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1951/08/18 第11回国会 参議院 参議院会議録情報 第011回国会 外務委員会 第3号
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1951/08/18 第11回国会 参議院

参議院会議録情報 第011回国会 外務委員会 第3号

#1
第011回国会 外務委員会 第3号
昭和二十六年八月十八日(土曜日)
   午前十時四十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○継続調査要求の件
○講和に関連する諸問題並びに国際情
 勢等に関する調査の件
○理事の辞任及び補欠選任の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大隈信幸君) 只今から外務委員会を開催いたします。
 第一番に継続調査要求についてお諮りいたしたいと思います。
   〔事務局職員朗読〕
   継続調査要求書
 一、調査事件 講和に関連する諸問題並びに国際情勢等に関する調査。
 一、理由 本委員会は目下右に関する調査を進めているが、この調査はその対象が広汎に亘り、且つその内容の重大なるに鑑み、慎重なる調査を必要とする。のみならず、その性質上相当の期間を要し、且つこれを中絶することは調査上多くの不利不便を招来するので、閉会中も継続して調査を行いたい。右本委員会の決議を経て本院規則第五十三条により要求する。
  昭和二十六年八月十八日
     外務委員長 大隈 信幸
#3
○委員長(大隈信幸君) この要求書を議長宛に出したいと思いますが、御異議ございませんでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(大隈信幸君) 御異議ないと認めます。それではさようにいたします。ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(大隈信幸君) 速記を始めて下さい。では午後の委員会まで暫時休憩いたします。
   午前十時四十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十六分開会
#6
○委員長(大隈信幸君) それでは休憩前に引続き委員会を開きます。実は総理に御出席を頂く予定にしておりましたが、総理が何か微熱がおありになつて来られぬということでございますので、条約局長がお見えになつておりますから、条約局長に御質疑のあるかたはどうぞ御質疑をお願いいたします。
#7
○曾祢益君 私は領土問題それから安全保障問題に大体限定いたしまして、二、三点御質問申上げたいと思います。
 先ず第一に該草案の第三条でありまするが、政府の御見解では国連の信託統治の下に置かれた場合には領土権は日本に残つておる、置かれても領土権は日本に残つておる、何と申しまするか、まあ眠つたような関係ではあるけれども、とにかく国連の信託統治になりましても日本に領土権が残る余地がある、かようにお考えであるかどうかを伺いたいと思います。
#8
○政府委員(西村熊雄君) 信託統治制度が発足してまだ僅かに五年乃至六年にしかならない今日であります。でございますので、自然この制度に関連して起るいろいろな法律問題については、まだ公権的な解釈というものが下されていない現状であるということは、たびたび御説明申上げた通りでございます。御質問の点を政府はどう考えているかという点でございますが、これは将来第三条に基いて信託統治が実施される場合にできまする基本的な文書、それによつて初めて或る程度の考えが成り立ち得る性質のものでございます。今日そういう基本的文書がまだ何にもできておりませぬこの段階におきまして、政府として御質問の点についてはお答えするだけの材料を持たない次第であります。
#9
○曾祢益君 日本の統治権がこの第三条によつて、第二条と異りまして、第三条によつては放棄した積極的な規定がないわけであります。そこで、この講和条約において、統治権の放棄が規定されておらなければ、信託統治の協定の作り方如何によつては、信託統治の下に置かれても、統治権が、領土権が、日本に残る余地がありとお考えであるかどうか、その点を伺いたいと思います。
#10
○政府委員(西村熊雄君) その点も現在の段階におきましては、政府当局としてはお答えできない段階でございます。ただ一昨日の演説におきまして、総理もはつきり申されましたように、問題の第三条におきまして、日本が領土的主権、権利、権能を放棄するということが言われていないということは、決して偶然の事実ではないのであつて、第二条との対比におきまして条約規定それ自身が、日本の国民感情にできるだけ副おうという精神を以て作られている点に対して、我々は非常に感謝的な気持を持つておるということだけしかお答えできない次第であります。
#11
○曾祢益君 非常にくどいようですが、私が伺いたいのは、法理的な解釈でありまして、勿論第二条と異つて領土権の放棄が書いてありませんから、従つて例えば信託統治に付しても、将来これを日本に正式に返還することも、第三条の書き方から言えば私は可能であろうと思います。申すまでもなく平和条約それ自身が永久的なものを規定するべき性質のものでありまするから、第二条のごとく領土権の放棄が書かれてしまつたのでは、これは如何なる法解釈から言いましても、又信託統治の解釈から言いましても、日本の領土権が残るはずがないのであります。従つて第三条が第二条と異つておることは、少くとも将来領土権回復の余地を条文的に残しておるということは、私は素人法律論としてもわかるのでありますが、それとは別に、現に信託統治に付せられた場合に、条件如何によつては、信託統治の下においてもなお領土権が残つておるというような法解釈が可能であるかどうかというような点を、実はもう少しはつきり伺いたいのであります。併しその点について更に御免明を頂ければ結構であるし、頂けなければ止むを得ませんが、次に信託統治にされることが今年予定されておりまして、その場合には、アメリカ合衆国を唯一の施政権者とすることも、日本がこの第三条によつて約束しておるわけでありまするが、それに至るまで即ち信託統治にならないで、提案して、それが決定されるまでは、現在のように合衆国が行政、立法、司法上の権力の全部又は一部を行使しておるわけであります。然らばその場合においては、やはり日本に主権が、領土権が残つておるという解釈が成立つのであるか。その点について伺いたいと思います。
#12
○政府委員(西村熊雄君) 第三条は、冷静にお読みになりますと、二つのことを規定いたしておるわけであります。前条は、アメリカが国際連合に対して信託統治を提案した場合には、日本はこれを承諾するということであります。第二段は、信託統治が布かれるまでは、問題の島とその住民に対しまして、合衆国が立法、司法、行政の全部又は一部を行使することを承認するということなのであります。今の御質問は後段に関するものと伺います。後段のほうは、信託統治の場合よりも、より正確に領土権の問題に触れておらないと言えると思うのです。而も立法、司法、行政の三権の全部を行うというのでなくて、又は一部を合衆国で行う場合をも想定しておるわけであります。合衆国がこの三権の一部のみを行使される場合は、その残部は誰が行使しましようか、ということの問題も起つて来る可能性があると存じます。いずれにいたしましても、現在の段階におきましては、第三条につきましては、今申上げましたような文理的な解釈だけを御答弁できるのでございまして、今後この三条の下において、如何なる程度厳重になるか、私ども日本の国民として持つておるかくありたいという希望に副うようなことができるかということについては、今後の事態の発展を見て頂きたいという昨日の総理の御演説、それを繰返さして頂きたいと思うのです。
#13
○曾祢益君 繰返して申しますが、そういうような非常に機微な外交の将来に関することについて、私が条約局長から御方針なり或はあれを伺おうというのではないのであります。私の伺いたいのは、後段の場合に、領土権の一部即ち立法、司法、行政の一部であつても全部であつても、かようなものをアメリカ合衆国が行使しておるということは、法理的に見て、日本の主権が行われてないということになるのか、それとも、日本の主権が行われつつ、その上に立つた一種の国際……何と言いますか、インターナシヨナル・サーヴイチユード、国際地役ですか、ああいつたような一種の特別な権利が設定されるけれども、領土権そのものはまたあるんだと、かような法律的解釈が、国際法の先例から成立つや否や、この点を伺いたいと思うのです。
#14
○政府委員(西村熊雄君) 御質問の点につきましては、或る段階に立至りますれば、私は今日よりももつとはつきり御答弁できる覚悟でおります。父御答弁しなくちやならないかとも思つておりますが、現段階におきましては、昨日の総理の御演説以上に出ることは、一切差控えたいと思います。
#15
○曾祢益君 その点は非常に機微な際でありまするから、非常に不満ではありまするけれども一応了承いたします。
 次にこの住民の国籍だけを日本に残すかということが、一体国際法上可能であるかどうか、この点について伺つておきたいと思います。
#16
○政府委員(西村熊雄君) これらの島島に住んでおられる我々の同胞、又本土におります我々日本人が、従来通りあの島々にいられるかたが日本人としておられるようにして上げたい、是非そうしてもらいたいという気持は十分合衆国政府には説明いたしてございます。島におる人々乃至日本人の気持がどこにあるかということは、合衆国政府としては十分了解されていると思うのであります。ただそれが将来第三条が実施されました場合に、如何なる程度に到達できるかということは、これ又昨日総理の説明なさいましたように、今後暫く事態の発展を見守つて頂きたい。どうか結論を焦らないでじつくり見守つて頂きたい。こういうことを繰返すほかない次第でございます。
#17
○曾祢益君 西村君の御意見は、これは政治論でありまして、政治論に関しては私は別の考えがあるのですが、本日は政治論をやり取りするつもりはありませんから、まあ御答弁はなかつたことといたしまして、次に安全問題について御質問を申上げたいと存じます。
 先ず第五条の三項でありますが、国連が憲章に従つてとる如何なる行動についても、国連にあらゆる援助を与えるという義務がこの第三項によつて日本に発生するわけでありまするが、例えば国連軍に対して基地を提供する、或いは日本領土の通過を認めると、かようなことは、この条項の結果として起り得る日本の義務の一つではないかと思いまするが、現に平和条約が効力を発生いたしましても、場合によりましては国連軍が日本に残つておるというような可能性もあると思うのでありまするが、その場合に、国連軍に対するあらゆる援助の一つとして、かような基地提供の義務等はこの条項から直ちに発生するものと見ていいか、それとも別段に何らかの取りきめを別個に必要とするかどうか、この点について伺いたいと思います。
#18
○政府委員(西村熊雄君) 御指摘の条文は、わかりやすく申せば、平和条約の前文に謳つてありまする日本政府は今後国際連合憲章の精神を体得して行動するという文句がございますが、それに対応して本文の中に規定されておるものでありますが、同時に、その次に直ちに、この平和条約に署名いたします連合国におきましても、日本との関係において同様の原則を以て行動の指針とするという条項がございます。御質問の法的諸原則は日本の一方的な理由ではなくして、連合国側におきましても日本に関する限りにおいてひとしく持つておる原則でございます。この点を先ず誤解ないようにお願いしたいと思います。大体その条項によつて、直ちに日本は国際連合に対して基地を与え、又は国際連合軍の通過権を認めなければならないという義務を生ずるかという問題であります。その点は別個の観察が必要でございます。現在国際連合に加盟しておる諸国は、同じ義務を国際連合憲章第二章によつて誓約いたしております。で、この国際連合憲章第二条の誓約によりまして、加盟国は直ちに国際連合に対して軍事基地を与え乃至軍事通過権を認むべきであるかどうかという質問に対して、然りという答弁をなすことは危険だと私は考えるのであります。要するに、国際連合のためにとられる軍事的措置が如何なる形式によつてとられるかということが、その問題に回答を与える一番の鍵になります。現在朝鮮に対して行われておりますように、国際連合総会の勧告決議に応じまして、各加盟国がそれを受諾してとる場合がございます。又安全保障理事会の決議によりまして、加盟国が義務的にやらなくちやならない場合もあり得るわけであります。理念上そういうふうに、国際連合の名においてとられるいろいろの措置、その措置に対して被加盟国に対して要請される援助、その根拠それ自身によつておのずと曾祢委員の御質問に対する答弁は変つて来る、こういうふうに考えております。一応私の当座の答弁でございますが……。
#19
○曾祢益君 大体それで了承いたすわけであります。要するに、この条項の受諾によつて直ちに国際連合が特定な場合にとる行動に対する無条件的な受諾の義務は発生するのではない。これは国際連合の憲章を認めた以上は、そういう一般的な、何と言いますか、モラルな義務はあつても、現実個々の場合において、或いは安全保障理事会の決議、これなら法的拘束力がある。それから総合の勧告であるというのなら勿論法的拘束力がない。そういうような国連軍に対する基地提供、或いは国連軍に対する通過権の承認のごときは、特別な場合、特別な取りきめによつて改めて発生すると考えるのが、法的には正しいと、かような解釈だと思いますので、その点を了承いたします。私がかようなことを質問するゆえんのものは、その国連の行動に対するこの本条の規定が、日本に対して無条件に、非常な広汎な、或いは日本の憲法に反するような兵力提供の義務等々までを約束しておるやの解釈が一部に行われております。さような点に対して政府が明確な法的解釈を下すことが私は必要だと思うので御質問したわけでありまするから、御了承願いたいと思います。
 次に同第五条の(b)項の規定でありますが、この(b)項の規定によりまして、日本の国際連合憲章、第二条の義務を負いまするところの誓約に対応いたしまして、連合国としても日本との関係において同様に国連憲章第二条の原則に従うことを確認しておるのではありまするが、併しその条文の記載の仕方からいたしますると、(a)項の日本の義務の非常に明確なのに反しまして、如何にも積極的に連合国側が日本に対して義務を、義務としてこの第二条を受諾するのではないやにも解釈されるような、非常に消極的だと申しますか書き方でありまするが、この書き方に関して、私は果してそれで十分なる連合の(a)項の日本側の義務に対応する連合国の日本に対する義務と解釈できるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#20
○政府委員(西村熊雄君) 曾祢委員は大きな事実を一つ忘れておいでだと思うのであります。対日平和条約に署名する連合国は殆んど今日国際連合加盟国でございます。でございますから、こういう連合国は、国連憲章署名各国といたしまして、第二条によつて、すでにその国際紛争は平和的手続によつて処理する、国際関係において武力を行使しない、国際連合のとる制裁行動に協力する、国際連合の強制措置の目的となつている国に対して援助を与えないという大きな義務をすでに負つておるわけであります。ですから、仮りに御指摘のような条項がない場合におきましても、日本といたしましては、連合国が対日関係におきましても、国際連合憲章第二条の大原則に従つて行動されるということを期待する十分なる法律上の根拠があるわけであります。それに加うるに、この第五条の御指摘の条項がございます。それによつて、十分私は、いわゆる日本とこの条約に参加いたします連合国との国際関係のいわゆる行動準則は、国際連合憲章第二条の大原則でございますということが明白になる。こう思うのでございます。
#21
○曾祢益君 御説明によりますると、ここで改めてさような義務を日本に負つたような条文を入れなくとも、多くの連合国は同時に国際連合に加盟しておるのであつて、国際連合に加盟する結果、当然に、第二条は一般的にどの国に対するということでなしに、第二条に従う義務があるから、ここではその方針を指針とするという記載であつても間接的には十分である。かような御説明だと思うのでありまするが、さような点は、これは曾祢一個の質問とお考え下さらないで、国民の知りたいところを丁寧にお答え願いたいと存じます。
 それから、第六条につきまして伺いたいのでありまするが、第六条の但書でございます。この第六条の但書によりまして、外国軍隊を日本の領域に駐屯させ、又は保持する場合が予想されておるのでありまするが、ここに、この予想されるところの、日本を一方とし、一若しくは二以上の連合国を他方とする、この両者間に締結された、若しくは締結される協定というものは、どういう性格のものであるか。と申しまするのは、例えば、第五条の(C)項にありまするような、いわゆる国連憲章の五十一条、五十二条等に基きました集団的安全保障取極めか、或いはそういつたようなものに、広い意味において、それに属するような取極めに限るのか、それとも、そうでなくて、一切の、例えば日本が非常に国権喪失的な、独立に際して、一つの国或いは二つの国以上に軍隊が残つてもいいといつたような国権を喪失するような、屈辱的と申しまするか、さような駐屯を許すような条約を作つても残り得るじやないかと思うのですが、要するに、ここに予定されておるこの協定の性質が、第五条(C)項のような協定に限るのであるか、それとも、全く不対等的な外国駐屯軍が残り得るというようなこともこれから出て来るのか、その点を伺いたいと思います。
#22
○政府委員(西村熊雄君) 御指摘の条文は、勿論条約全体として考えまして、第五条に規定しております日本が独立国として締結する権能を有する安全保障取極めの結果、日本に外国軍隊がおる場合は、これを例外とする、こういう趣旨でございます。
#23
○曾祢益君 私もそうであることを希望し、そうでなければならないと思うのでありまするが、併しながら、第六条の条文の書き方から言うならば、必ずしも第五条のような地域的集団保障で日本が対等な関係で結ぶというもの以外にも、例えば、連合国の一部が日本に当分の間監視的な軍隊を置くというようなことも、あれを日本に事実上強制したとして、形式的には独立後の日本を予想して、実質的には非常に不対等的な協定ができたと仮定しても、さような結果、第六条によつて残り得るというさような途は開かないかどうか、その心配がございまするから、もう一遍改めて伺いまするが、第六条のこの協定は、第五条(C)項の協定以外の不対等的な協定は含まない、かようにはつきり解釈してよろしうございますか。
#24
○政府委員(西村熊雄君) 私は、はつきりと、第五条におきまして、連合国が、日本が独立国として締結し得ることを承認いたしております安全保障取極めによつて、日本に兵隊を置く場合を予想したに過ぎないということを断言いたします。
#25
○曾祢益君 分りました。その御答弁大変はつきりしたので了承いたします。
 そこで、なお非常に細かいことで恐縮でありまするが、「外国軍隊を日本の領域に駐とんさせ、又は保持することを妨げるものではない、」これを「保持」とありまするが、これは非常に変な、訳がちよつとおかしいじやないかと思うのですが、リテンシヨンの訳としては、「保持」という訳がいいのか、或いは「残留」というほうが、より正文である英文に近いのではないかというような感じがしますが、なぜさようなことを伺いますかと言いますると、今西村局長が明確に言われましたけれども、我々国民的な、素人的な感じから言いますると、如何にも第六条の但書の規定が、第五条のあれとは違つて、外国軍隊が残るんだ、今までの占領軍とどういうふうに違つたか分らないような軍隊が残るんだ、而も期限が分らないじやないか、かような心配が現在の第六条の規定全体からそういう感じを受ける。して、みると、この「保持」と言いであるけれども、これは「残留」のほうが正しいじやないかというふうに思いまするが、その点は如何にお考えになりますか。
#26
○政府委員(西村熊雄君) リテンシヨンという言葉の訳語についての曾祢委員の御注意誠に尤もだと存じますので、再検討をいたすことにいたします。
#27
○曾祢益君 もう少し伺わさして頂きたいと思います。そこで、第六条の但書の規定を残した、作つた理由でありまするが、これは連合国軍隊が撤退するのが原則になつております。九十日以内。併し、場合によつて、というよりも事実上はもうそれを予定しておりまするわけでありまするが、第五条(C)項に基いて、一つの日米安全保障協定というものは、条約というものは、できて、従つてそういう結果として外国軍隊が残るということが、全体のいわゆる外国軍隊撤退の原則とは別なんだという意味で注意的に書いたものではないかと思うのですが、それにしても、この規定の書き方から言うならば、如何にも永久のことをきめるべき講和条約の性質から見まして、永久にここに外国軍隊が残り得る、永久の主権の制限であるというような感じを持たす心配は多分にあるわけです。この規定がありましても、永久的の主権の制限にはならないというような積極的な解釈ができるとするならば、条約局長の御意見を改めて伺いたいと思います。
#28
○政府委員(西村熊雄君) 問題の条項は、繰返して申しますように、第五条に明文として生きておりますように、日本が主権国家として有する安全保障取極めに基いて兵隊を置く場合を予定いたしておるわけであります。従つて、主権国家として、独立国として相手国との対等の立場に立つて交渉する結果でき上る取極めであるのでございますので、主権の制限という問題は全然起る余地はないと信じております。
#29
○曾祢益君 まあその御解釈は、法的には独立国であつても、みずからの主権の一部或いは全部ということはないでしようけれども、一部を放棄することは自由である。だから、その場合でも独立国だ、主権の制限にならない。これは一種のトートロジイで、循環論になると思うのですが、政治的には要するに永久に外国軍隊が駐屯するような根拠を平和条約に残して置くことは工合が悪いのではないか。従つてそういうような御議論よりも、むしろこの説明としては、さつき言われたような第六条の但書の規定は、そういう趣旨の外国軍隊が残るのではなくて、第五条に基いた、対等な立場に立つた筈である。この地域的集団安全保障の結果、暫定的かに外国軍隊があり得るというだけであるから、従つてこれは永久に主権の制限になるということは全然当嵌らないんだというような御説明ならば、一応私は納得するのであります。
 次に安全保障条約について伺いたいのでありまするが、これは恐らく総理の説明以外には話せないというようなお答えになるのではないかと思うのですが、若し話せなければ話せないでよろしいけれども、極く大まかな点だけ伺いたいと思います。総理の説明によりますると、まだ案文は、目下最後的な確定の段階に近付きつつあるようでありまするが、とにかく政府としては目下案文については話せないようでありまするが、併しそれにいたしましても、この安全保障協定によつてアメリカの軍隊が日本に駐留することは日本の希望によるというような建前に立つのであるかどうか。それは双方の合意によるという恰好になるのであるか。この点は極めて重要な点だと存じまするが、その点についての局長の御意見を伺いたいと思います。
#30
○政府委員(西村熊雄君) それはたびたび総理からも御説明がありました通りでございますので、希望と応諾と相一致して、そこに合意が成立いたした次第でございます。
#31
○曾祢益君 それはいわゆる阿吽の呼吸だというあれで、それも結構でありまするが、さような、然らば阿吽の呼吸であるというような形になるのであるか。それとも一方的に日本の希望によりというような形をとるのではないか。この点を伺つておるわけなんです。形の問題を言つている。
#32
○政府委員(西村熊雄君) 形を御披露するわけには行きませんが、総理の申上げられた通りの形になる筈でございます。
#33
○曾祢益君 了承いたしました。
 次に、この協定は、先ほど局長の説明によつて、いわゆる第五条の(C)項に基いた、或いは根拠といたしましたと申しましようか、協定条約になると存ずるのでありまするが、併し一方において、この集団安全保障の本格的なものは、いわゆるアメリカでいえば、ヴアンデンバーグ決議等の、いわゆる継続的、且つ効果的の自助及び協助というような条件、即ち日本の自衛力の存在ということの状態がない状態、過渡期におきましては、これは少くとも一種の、特殊な性格を持つて来ると思うのであります。そこで、実際上アメリカ軍隊が日本におつて、そうして本格的な集団安全保障の相互的な条件というものは整つておらないと想像されるのであります。そういたしますれば、この条約は当然に暫定的な性格ではなかろうか。若し暫定的な性格だとすれば、その条約の期限というものは如何になるのであるか。不特定な期限なのであるか。ただ性質が暫定的であつて、条約そのものにははつきりした期限がないのであるかどうか。この点について伺いたいと存じます。
#34
○政府委員(西村熊雄君) その点も、昨日、恐らく今日もそうであつたと思いますが、総理がはつきり御答弁になつているところでございますので、それ以上私が出て答弁する立場にないので、御勘弁願いたいと存じます。
#35
○曾祢益君 同様なあれで質問でありまするが、如何なる場合にこれが改訂し得るのか。日本の意思によつて改訂し得る根拠がはつきりあるのか。それとも日本の意思に拘らずに、期限が、日本の意思によつて期限を左右することができないものであるかどうか。この点はどうですか。
#36
○政府委員(西村熊雄君) 前回の御質問と全然同性格のものでございますので、答弁を差控えさして頂きます。ただ御質問の点は、条約それ自体が御答弁する筈であろうということを申上げておきます。
#37
○曾祢益君 この条約は、平和条約の条項に基いて作られるという附属条約の恰好をとるのであるか、単独のものであるのか、この点は如何ですか。
#38
○政府委員(西村熊雄君) これは平和条約ができまして、日本が独立国となりまして、独立国として合衆国との間に締結する、こういう考えに基くものでございます。でございますので、平和条約との政治的には極めて密接な関係があるのでありますけれども、純粋に法律的に見れば、一方は独立の国家の平和締結であるのに反し、これは日米間の別個の条約、そういうことになると考えております。
#39
○曾祢益君 この条約に基きまして、アメリカ合衆国の軍隊が日本にしばらく残留と言いますか、駐留することになると思うのでありまするが、その場合に、アメリカ軍隊は、日本の防衛に対して責任を、義務を負うものであるか、それともただ単に、日本に対する武力攻撃即アメリカ軍隊の存在に対する攻撃であるから、アメリカ軍隊はみずからを守るために発動する。その間接的な効果として事実上日本を防衛する。さような性格である。言え換えるならば、アメリカ軍隊の駐屯によつてアメリカは間接的に日本に事実上に安全保障の役割を演ずるけれども、これは正式にいつて日本の安全保障に関するアメリカ合衆国の義務、法的な義務を発生しない。かような意味であるかどうか。その点をお伺いいたします。
#40
○政府委員(西村熊雄君) その点は、問題の条約ができ上りましたあと、よく研究いたして結論を出したいと思つております。と同時に、只今の御質問は、日本政府だけで答弁し得る性質のものではないということを御了承願います。
#41
○曾祢益君 新聞の伝うるところによると、何でもこれは大蔵大臣だつたかと思うのですが、当然に日本が駐屯軍の費用の一部を負担するというような建前に立つているかと思うのでありまするが、さようなことは一体この条約の精神からいつて、さような財政負担の一部をやるというようなことが条約の義務として出て来るものであるかどうか。この点を伺いたいと思います。
#42
○政府委員(西村熊雄君) 日本に駐屯する合衆国軍隊の経費の負担の問題であります。これは日米両国間の話合いによつて決定さるべき事項でございます。今日まで一、二回話題に上つたことがございますが、まだ最後的な結論が出ていないことは総理が昨日御答弁なさつた通りでございます。
#43
○曾祢益君 最後に、私も一々総理の答弁を正確に記憶しておりませんから、西村局長から見ると非常にダブつたようにお考えになるかも知れませんが、その点は一つ勘弁して頂きたいと思います。今朝の地方版の読売だつたと思いますが、何でも総理の答弁の中に、日米合同委員会ができるというようなことは、初めはそう考えておつたけれども、それは止まつたというようなことが書いてあつたと思います。そのことが果して正確であるかどうか、若しそうであるとするならば、例えば北大西洋同盟条約みたいな形で行くならば、細かいことは合同委員会を作つて、そこできめて行くというような形の条約になるのじやないか。それともいわゆる米比間の協定みたいに、非常に細かく協定によつて、附属協定も含めて、雙方の権利義務、財政負担、或いは裁判権の問題その他一切の主権の制限その他の軍事的便宜供与、そういうような一切のものを細かく規定しているような附属協定を考えるのか。大体の構想はもはやきまつていなければならない。その点を含めて御説明願いたいと思います。
#44
○政府委員(西村熊雄君) 実は私も昨日の本会議を傍聴いたしませんでしたために、新聞の記事を読みまして奇異な感じを抱いた点は、今曾祢委員の御質問の点でございます。或る新聞では、総理の、日米合同委員会を設けるという計画はあつたけれども、それは沙汰やみになつたと答弁されたと報じているものもございます。一、二の新聞は、まだ決定に至つていないと説明がされたと報道している新聞もございます。関係者として申せば、後者のほうが正しうございまして、実は総理の御答弁を存じておりませんので、総理が正確にどう御答弁になつたか存じません。或いは私の答弁が少し矛盾するような印象を与えるかも知れませんが、私の関係している範囲内では、合同委員会の設置の問題は、話に出たことはあるけれども、今日の段階ではまだ決定に至つていない。全然未決定な状態にあるとお答え申上げます。
 ちよつと速記をとめて頂きたい。
#45
○委員長(大隈信幸君) ちよつと速記をとめて……。
   〔速記中止〕
#46
○委員長(大隈信幸君) 速記を始めて……。
#47
○團伊能君 先ほど曾祢君がすでに御質問になりました第三条でございますが、これにおきまして琉球その他の二十九度線以南の土地の帰属、民族の帰属問題は、そこに残して参りました日本人の私有財産というようなものを含めまして、全部は施政権者である合衆国の立法によつて決定されるものと承知してよろしうございますか。
#48
○政府委員(西村熊雄君) 御答弁申上げる前に、一応私の答弁を訂正さして頂きます。
 先刻大隈委員長から、昨日の総理の答弁は、日米合同委員会は話はあつたが、目下沙汰やみになつたと答弁があつたそうでございます。でございますので、私も、従来一、二回話は出ましたが、現在は沙汰やみになつております。と答弁を訂正さして頂きます。
 團委員の御質問の点も、私は将来日米の間に話合いをしまして、実際的な措置というものを考えられるべき事項の一つと考えております。七月二十日の条約案は、第四条或いは第三条も掲げられておりましたから、こういう西南諸島におきます日本人の財産乃至は西南諸島に住んでいる日本人の持つている財産などをどういうふうに措置するかということも、日米両国の特別の取極めのあるときとする、というふうな構想が考えられていたようであります。それが八月十三日の最後条約案では、第三条のごとく出ております。それは恐らく日米間の特別取極めというような方式によらないで、もつと実際に即した解決ができるという、又そうした解決をしなくてはならないという意味で、そういうふうになつたことと想像されるのであります。
#49
○團伊能君 御説明を承わりますと、この第三条に含まれた地域にあります日本人の資産というものは、他の土地にあるものと異なりまして、将来の取扱によつてはそれがなお日本人の手に存在し得る可能性があるものと承知してよろしうございますか。
#50
○政府委員(西村熊雄君) その問題は、今日の段階ではまだそう突き進んで研究いたしたこともないのでございまして、團委員のおつしやるようなことになればいいと思つておりますという希望の段階に過ぎません。いずれ又それ以上御答弁申上げることになれば、その節にいずれ申上げたいと思います。
#51
○團伊能君 次に曾祢君が御質問になつた外国軍隊の日本駐在に関する点でございますが、その目的は日本を防衛するために存在する外国軍隊で、日本と当該国との間の協定によりまして駐屯する軍隊でございますか、その軍隊駐屯の目的は、日本を防衛する、日本民族を護るという目的のために存在いたしておりますものでございますなら、その軍隊の駐屯目的は日本人の擁護にある。そのときに、この軍隊の行動に関する統帥は、これは原則といたしては日本人を護る、日本国を護るという目的が即ちこの統帥の目的であり、場合によつて両国間の協定によりまして、その統帥は当然日本国にあるべきものを、或る場合においては外国駐屯軍に委せることもあるという工合に考えてよろしうございますか。
#52
○政府委員(西村熊雄君) 現段階では御質問の点にはお答えいたしかねる次第であります。条約文が或る程度御質問には答えるはずでございます。ただ最後におつしやられました点、日本が有する統帥権云々の点は、そういう点は現在のところ起り得ないと思うのであります。日本は憲法によつて軍備を持たない国家ということになつておりますし、又実際、戦争又は武力行使を回避するということになつておりますので、こういう性格の国家、現日本国憲法におきましては、日本に関する限り統帥権云々の問題は起り得ないはずであろうかと、個人として考えております。
#53
○團伊能君 わかりましたが、統帥権と申しますものが、軍隊のあるなしにかかわらず、日本を防衛するための一つの指令が出る一番の根本は一体どこになりますか。外国軍隊の司令官が防衛することが必要なりと認めたるときその行動が起るのであるか。日本人が必要ありと認めたときその行動を起してもらうのか。そこの点を一つ伺いたい。
#54
○政府委員(西村熊雄君) 御質問には私御答弁することができません。私にもわからない問題であります。
#55
○團伊能君 それでは、その問題はそれだけにいたしまして、将来において何かその点におきまするはつきりしたお考えのできましたときに又承わらして頂きたいと存じます。
 次に十四条に参りまして、賠償の問題でございますが、これは只今非常に国民的関心も高く、これによりまして日本の自立経済の将来も大なる不安が与えられているところでございます。殊に最近におきまして変更されました条約の最後の修正の中においては、日本の賠償に関しては、従来より一歩譲つて、賠償の可能性がないのではなく、まだ、不十分である。十分になるときにおいてこの賠償を支払うがごときような工合にもとられる条文がございますので、ますます賠償問題につきまして国民の不安と申しますか、不安が与えられておりますが、実は今日はこの十四条の条項につきまして御説明を承わつて、私の質問は止めておきますが、これに記載されております賠償の方法が非常に漠然といたしておりまして、これらの実行方法に関しては何らの暗示が与えられておらず、殊に日本人の熟練及び勤労と書いてありますが、英語で読みますとインダストリーと書いてありますので、相当違いもあると思いますが、こういう非常に漠然とした文字で書いてありますが、この中に更に具体的に御承知あるところがあれば伺つて、この条文の解釈上の資料ともいたしたいと思いますが、この点伺いたいと思います。
#56
○政府委員(西村熊雄君) 十四条の新らしい条文につきまして、いろいろその意味を明らかにするために説明が欲しいと申されました。そのお心持はよく私どももわかります。併し今日、この十四条、言い換えれば賠償問題が、条約の最後案に関連する問題のうち、一番連合国の間で問題を起している点の一つでありますので、日本政府としては、今その解釈なり、又は新条文によつて旧条文に比して如何なる国家的の相違が起るかという点については、答弁をしないほうがよろしいと勘案いたします。賠償の問題につきましては、昨日総理及び大蔵大臣も軽く述べられた点がございますので、それ以上に触れまして説明申上げることはこの際は御勘弁願いたいと思います。
#57
○團伊能君 そういたしますと、この条文を率直に読みまして考えますると、日本の、日本人の熟練及び勤労を当該連合国に提供すると書いてございますことは、外国から為替上の負担を日本に課さないために、為替外のものとして原料を輸入いたしまして、これを日本国家の犠牲においてこれに加工いたし、これを製品といたしまして、加工賃は日本が支払いまして、これを相手国に渡すものと了解してよろしうございますか。
#58
○政府委員(西村熊雄君) それも一つの方法として言われておる、こういう現状でございます。
#59
○團伊能君 次にこの賠償問題の第十四第のA項の2の(5)に参りますが、この「日本国若しくは日本国民の債務」というものは、これは日本国が、或いは国民が負つている負債というと、外債利払とかいうような問題と解釈してよろしうございますか。この例外の(5)はオブリゲーシヨンと書いてございます。
#60
○政府委員(西村熊雄君) 五番は外債を言つておるのではなくて、外にある日本の財産を或る場合に清算から免除されることになつております。その一種として、具体的に申せば一番よくわかると思いますが、日本の会社の社債とか株券というようなものを仮りに上海なら上海、サンフランシスコならサンフランシスコにいた日本人が持つておつて、それを残して本国に引揚げた、そういう現物が所在国政府によつて押収されていましても、それを日本で追求して払わせることはしないということでございます。外貨債の問題とは別個の問題でございます。
#61
○團伊能君 そういたしますと、次に日本国に所在する有体財産に関する権利というところは、外国にありました日本人なり、日本の法人が、日本国内に持つておつた有体財産、つまり満鉄支社というものと考えてよろしうございますか。
#62
○政府委員(西村熊雄君) そういうふうに考えております。
#63
○團伊能君 有難うございました。それでよろしうございます。
#64
○委員長(大隈信幸君) ほかに御質疑はございませんか。ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#65
○委員長(大隈信幸君) 速記を始めて下さい。
 では局長に対する質疑はこれで終りまして、これにて暫時休憩いたします。
   午後三時四十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後八時五十五分開会
#66
○委員長(大隈信幸君) 休憩前に引続き外務委員会を開きます。理事の團先生から辞表が出ておりますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(大隈信幸君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。この際理事の互選をいたしたいと思いますが如何いたしましようか。
#68
○曾祢益君 委員長において御指名を願いたいと思います。
#69
○委員長(大隈信幸君) 曾祢委員の動議如何でございましようか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(大隈信幸君) それでは委員長において指名をいたします。自由党の愛知さんにお願いいたします。
 ほかに何か御相談することがなければこれで散会いたしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(大隈信幸君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後八時五十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     大隈 信幸君
   理事
           愛知 揆一君
           曾祢  益君
   委員
           團  伊能君
           岡田 宗司君
           金子 洋文君
           伊達源一郎君
  政府委員
   外務省条約局長 西村 熊雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員      久保田貫一郎君
   常任委員会専門
   員       坂西 志保君
   主     事
   (委員部第一課
   勤務)     杉山 茂雄君
ソース: 国立国会図書館
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