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1951/08/17 第11回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第011回国会 通商産業委員会 第1号
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1951/08/17 第11回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第011回国会 通商産業委員会 第1号

#1
第011回国会 通商産業委員会 第1号
昭和二十六年八月十七日(金曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 小金 義照君
   理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君
   理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君
   理事 今澄  勇君
      阿左美廣治君    今泉 貞雄君
      小川 平二君    神田  博君
      澁谷雄太郎君    永井 要造君
      中村 純一君    福田  一君
      南  好雄君    河野 金昇君
      山手 滿男君    加藤 鐐造君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       首藤 新八君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (銀行局長)  河野 通一君
        大蔵事務官
        (銀行局特殊金
        融課長)    有吉  正君
        中小企業庁長官 小笠 公韶君
        日本銀行理事  五十嵐虎雄君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 大石 主計君
        専  門  員 越田 清七君
八月十七日
 委員佐伯宗義君及び山口武秀君辞任につき、そ
 の補欠として山手滿男君及び深澤義守君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 中小企業の金融に関する説明聴取の件
    ―――――――――――――
#2
○小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
 本日はすでに御通知してありましたように、まず肥料に関する件について審査をする予定でありましたが、その後委員会の質問の方が見えませんので、次に議題として取上げました中小企業の金融に関する件について政府当局の説明を聴取するとともに、種々の質疑をいたしたいと存じます。質疑の通告がありますから順次これを許します。
 なお議事に入る前に御報告いたします。本日委員の佐伯宗義君が辞任せられまして、山手滿男君が補欠選任されました。以上お知らせいたしておきます。
 それでは中村純一君。
#3
○中村(純)委員 中小企業金融に関することにつきまして、少しお尋ねをいたしたいのであります。
 私は前回の委員会におきまして、二、三の質疑を申し上げたのでありますが、時間がありませんでしたためにはなはだ不徹底に終つたので、本日あらためてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 中小企業金融の問題は、前会にも申し上げましたように、これは常に古くして新しい問題であるのであります。朝鮮動乱以来一部の中小企業者が多少の好況に恵まれておることは事実でありますが、大部分のものは、なお依然として金詰まりにあえいでおるばかりでなく、今後必然的に予想されますところの企業の合理化等のために要する長期資金の調達、かような面におきましては、はなはだしい困難に当面いたしておると思うのであります。しこうしてこの中小企業金融の問題を解決して行きます上におきまして、諸般の方策がとられなければならないことは当然でありますが、まず何と申しましても第一に重要な問題は、資金源の拡充ということであろうと思うのであります。これにつきましてはやはり政府資金の面からする救援の手が、増強の手が延べられるのでなければ、とうていこの十分なる資金源の拡充ということは望まれない。この点についてまず第一に私はお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 次に中小金融を扱つております金融機関の態度、取扱い方、これらの面におきましても多くの問題を包蔵しております。ややもすれば比較的金額の少い融資につきまして多くの手数を要する、かようなことでとかく中小企業金融を忌避する傾きがある、またその信用力が薄弱であるということに藉口して、これまた金融を親切に行わないというような面も多く考えられるのでありますけれども、前回の委員会におきまして国民金融公庫総裁の証言にもありましたごとく、その回収率ははなはだ良好である。また最近のある経済雑誌に所載しております市中銀行の特別店の関係者の懇談会の記事等を見ましても、市中銀行の面におきましても、案外に私どもが通常考えておりますのに比べて、中小企業金融の回収率ははなはだ良好なのであります。かような点から考えますと、世間通常信用力が稀薄であるがために融資が困難であるということは、これははなはだ事実と相反することである。要するに金融機関の面においてもつと親切な気持でもつてその回収の方法なり何なりを考えてやります場合におきましては、きわめて良好な回収率を示しておるということは厳たる事実であります。かような面につきましても、政府としても、また金融機関としても、今後中小企業の面において多くの改善すべき面を持つておると思うのであります。
 次に第三の問題といたしましては、この中小企業金融を円滑に実行して行く上におきます補助的な方法、たとえば信用保証制度の拡充強化、あるいはまた信用保険制度の改正強化、あるいは事業協同組合の改善等、この補助的な面におきましても、多くの問題を持つておると思うのであります。
 これらの点につきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、まず第一に資金源の拡充の面におきまして、伝えられるところによりますれば、大蔵当局は国民金融公庫あるいはまた商工中金等に対しまして、資金源を増強する措置を研究しつつあるやに承るのでありますが、まずこの点につきましていかなる方策を考えておられるのか、その点を承りたいのであります。
#4
○有吉説明員 ただいまの御質問の第一点の資金源の拡充の問題につきましてお答え申し上げます。大蔵省といたしましては、中小企業の資金源の拡充に関しましてかねてより種々研究いたしまして、第一着手といたしまして、先般市中銀行を中心といたしまして預託せられておりました政府資金約百五十億に近いものがございますが、これを一応引上げまして、中小企業金融を中心とする金融機関に再配分する措置を行つたのであります。これによりまして、まず従来商工組合中央金庫に対しましては、六億六千万円の預託がなされておりましたが、今回大幅に増額せられまして、十三億、さらに無尽会社及び信用組合に対しましては従来政府資金の預託が行われておりませんでしたが、今回新たにこれに対しまして、無尽会社六十三社に対して二十一億九千五百万円、信用組合に対しましては、約百の信用組合を対象として、約九億九千五百万、なお農中等に対しましても行つたのでありますが、これら政府資金の預託というものを行い、三箇月間の政府資金の預託でございますが、これによりまして相当量の政府資金の供給により、中小企業の金融を主としております金融機関に対して、資金源の確保ということに努めておる次第であります。
 第二に大蔵省といたしましては、先ほどお話がありました通り、政府一般会計資金の投入と同時に、見返り資金なり、あるいは預金部資金というものを集めまして、これを中小金融に対する専門の資金として投下するということを考えておる次第であります。ただその取扱い機関といたしまして、いまだ政府部内においては意見が統一いたしておりませんが、われわれ大蔵省といたしましては、これを国民金融公庫に投じまして、国民金融公庫の資金源として、さらに中小企業金融に対して投下して行くということを考えております。
 なおこの際つけ加えて申し上げますと、国民金融公庫に対して流しますが、しかし業務のすべてを国民金融公庫に行わしめるということは考えておりません。国民金融公庫は従来からも全国に相当数の事務の代理所を設けてあります。今回もその資金の相当数は、この業務の代理所を活用して行きたい。さらに進んでは商工組合中央金庫をも、代理所にいたしまして、相当数のものをこれによつてやつて行きたいというように考えております。
#5
○中村(純)委員 ただいまの大蔵当局の御答弁によりまして、まず政府余裕金の再分配の問題に触れられたのであります。その御趣旨はまことにけつこうと思うのでありますが、せつかくおやりになるならば、今のお話によります無尽、信用組合、商工中金等を合せて約四十三、四億のものだと思うのであります。今日中小企業はみずからの金融難に苦しんでいるばかりでなく、大企業の金融難のしわ寄せがかぶつて来る、その下請の関係にありますところの中小企業の面におきまして、大企業の金融のしわ寄せがかぶつて行くという、まことに同情すべき面が多分にあるのであります。私は百五十億の余裕金の再分配を行うにあたりましては、もつと中小企業向けの再分配のことを御考慮願いたいということを、この際特に希望申し上げておきたいのであります。
 さらに次に財政資金の投入の問題でございますが、ただいまのお話によりますれば、幾らであるかわかりませんが、その数字及び財源の内容を明確にしていただきたいとともに、何ゆえに、これを国民金融公庫にのみ全額投資せられたのであるか、その理由を承りたいのであります。
#6
○有吉説明員 新しく政府資金として投下いたしまして、国民金融公庫にやらせるというものにつきましての御答弁の前に、先ほど申し忘れました点をちよつとつけ加えさせていただきます。と申しますのは、政府預託金におきましても、これを市中の銀行に残余の大部分が預託されるわけであります。その際の配分につきましても、市中金融機関が特に中小企業の金融に努力をしている面に中心を置きまして再日配分をいたします。
 次に国民金融公庫に対して政府資金を投下して、これを中小企業の金融に対する資金源の確保に充てる金額の点に対しての御質問でございますが、一般会計から十億、預金部からの借入れを二十億、見返り資金から二十億ということを一応予定いたしている次第でございます。さらに何ゆえに国民金融公庫を使うのであるかということの御質問でございますが、これに対しましては、まず政府資金の投下ということにつきましては、われわれといたしまして、政府機関へまずもつて流すべきではなかろうか。御承知のように商工組合中央金庫は政府機関と金融機関の中間的な存在であります。その性格から申しまして、かような政府財政資金というものを受入れるということはやりにくいという点がございます。そこでまずもつて政府機関でありますところの国民金融公庫に金融をいたしたいということがわれわれの気持でございます。
#7
○中村(純)委員 ただいまの御答弁でも十分納得いたしかねるのでございますが、政府資金であるがゆえに、政府機関である国民金融公庫にのみ投資をするということは、現在すでに商工中金に対しましても見返り資金等から相当の投資もしているはずであります。この際国民金融公庫でなければできないということは、私には納得いたしかねる。どうもはなはだうがつた話かもしれませんけれども、国民金融公庫は大蔵省の所管である、商工中金は通産省の所管である。自分のところのものには金を出すが、よそのところのものには金を出さぬというようなことでもしあるとすれば、これははなはだ遺憾千万なことであります。どうかその点はさらに政府内において御研究をお願いしたいのでありますが、その点に対する通産省側の御意見を承りたいと思うのであります。
#8
○首藤政府委員 今の御質問は、政府資金は政府機関でなければいかぬという点についての御質問でございますが、まつたくわれわれもこの意見に対しましては同意しかねておるのでございます。なるほど形式的にはそういうことも一応考えられますけれども、現在の中小企業の金融の逼迫しておる現実の姿から見て、形式よりも実質に重点を置いて適当な金融をすみやかにやるべきではないかという考えを実は持つておりまして、先般来大蔵省に対しましてはそういう点を強く主張いたして、いたずらに形式に流れることなく、実質を重点として考慮すべきではないかということを考えまして、さらに努力を続けている次第でございます。この点につきましては、本委員会に対しましても特に御協力をお願い申し上げるとともに、党の政調の方におきましても、やはりこれが解決にいろいろ奔走をしていただいておるのでありますが、考え方といたしましては、繰返して申し上げるまでもなく、形式ではなく、実際に重点を置いてやるべきではないかということを、今後も強く主張して行きたい、かように考えておる次第であります。
#9
○中村(純)委員 私は政府資金であるから政府機関であるものにのみ流すというりくつにはどうも納得いたしかねるのであります。むろん国民金融公庫も中小企業金融の専門機関であります。この面の資金源を確保するということ、それ自体につきましては双手をあげて賛成をいたすのであります。かつまた資金源は多々ますます弁ずるわけでありますので、どうか国民金融公庫に増強せられるとともに、商工中金の面につきましても、十分にこの資金源が増強せられるような措置を必ず講じていただくことを強く要望いたすのでございます。
 次にお伺いいたしたいのは、国民金融公庫に対して財政資金を投入いたしますとともに、現行の貸付限度を相当に引上げるという考え方があるやに承るのでありますが、それはどういうふうな腹案をお持ちであるのか、その点を大蔵当局にお伺いをいたします。
#10
○有吉説明員 国民金融公庫の貸付限度を引上げるということでありますが、これはただいま御説明いたしました新しい政府資金を国民金融公庫に出すという場合におきまして、中小企業の貸付金額の対象というものを、従来の二十万円なり、あるいは百万円という金額を離れまして、別個にこれを切り離しまして、五百万円以下の貸出しというものを考えている次第でございます。
#11
○中村(純)委員 ただいまの御答弁を承つて実はますますわからなくなるのでありますが、国民金融公庫の性格は、申し上げるまでもなく、法律に明示してあります通り、俗な言葉で言えば、いわゆる中小企業の面における零細なる生産資金、通常の金融ベースにはよりがたい面に対する金融を担当するということが本金融公庫の根本の性格であろうと思うのであります。しかして今日国民金融公庫の営業の内容を見ましても、現在の借入れの申込みの二五%程度を擁しておるにすぎないのであります。現在国民金融公庫の貸付の対象の分野におきましても、いまだに救われない面がきわめて多分にある。かようにして考えてみまするならば、ここに新しく貸付限度を拡充して行くということは、現在の仕事を十分に、手一ぱいにやつておるならばむろんこれをおやりになることもけつこうだと思うのでありますが、現在本来の職能の面におきましていまだにきわめて不十分である、ここにおきまして資金源を拡充することはむろんけつこうでありますが、さらに飛躍的にこの貸付限度を拡充して行くということは、国民金融公庫の性格の根本に触れる問題ではないかと考えられるのであります。一面におきまして、この五百万円程度の、いわば中小企業の中の中流に属します面は、これは協同組合の形におきまして商工中金から金融しておる分野に大体属するのではないかとわれわれは考える。かようにいたしますと、それぞれ特色があり、それぞれ分野を持つて活躍しておるところの金融機関の間に性格の混淆を来すおそれが多分にあるのではないかと思うのであります。さようなことに相なりますと、これは中小企業金融の根本問題に触れる問題でありまして、ただ貸付限度を増額するということを、そう単純に考えて決定すべき問題ではないので、その辺に関する御見解を承りたいのでございます。
#12
○有吉説明員 先ほど政府資金の投下の金額を申し上げました際に、総額五十億と申し上げましたが、この中の二十億は国民金融公庫の従来の部門、仰せの通りいわゆる零細な金融面に充てる予定にしております。残余の三十億というものをもちまして、国民金融公庫に別個の金融部門を設けて、これをして中小金融に当らせるということを考えておる次第でございます。国民金融公庫の性格から申しまして、零細金融のみに当るということをわれわれとして考えておりません。さらに広い層におきまして、なお申しますれば商工中金が取扱つておりますような組合にのみ限らず、組合であるといなとにかかわらずに、広く中小企業の金融に資して行きたいというのがわれわれの所存であります。
#13
○首藤政府委員 大蔵省は今課長から御答弁したような趣旨でありますが、しかし通産省はまつたく反対な見解を持つておるのであります。御承知の通り、中小企業の金融と申しましても業種が非常にたくさんありまする関係上、相当の経験を必要とするのであります。御承知の通り、中金が創業以来すでに十五年を経過いたしまして、ようやく昨年来多少軌道に乗つたかと考えられるような金融をいたしておるのであります。しかるに何らの経験知識のないところの国民金融公庫が、三十億という国家資金をもつて新たに中小企業の金融を始める。これをやつた場合に、はたして予期のごとく短期間に金融ができるかどうか、まず一番にわれわれはこの点に非常な疑問を持つておるのであります。
 もう一つは政府の中小企業に対するところの指導方針が、いわゆる弱小企業が個々の力では大企業に対抗できないという見解から、組合を結成させまして、そうしてこの組合の力によつて大企業に対抗せしめる、合理化をせしめる、その他各般の指導をして参つておるのであります。しかるにもしこの国民金融公庫をして個々の中小企業に、かりに可能であるとして金融をした場合、政府の中小企業に対するところの組合組織の指導方針と全然矛盾するのでありまして、おそらく協同組合の結成の最も大きな希望は、金融を受けることに大きな魅力をもつて組合を組織しておるものが大多数だとわれわれは見ておるのであります。しかるにその政府の方針に逆行して個々の企業家に金融するということになりますれば、せつかく協同組合的な組織が非常な勢いで発達しておる現在の姿が、まつたく反対な傾向になつて、おそらく今後組合を結成するという中小企業はなくなつて来るのじやないかというような気持もいたしておりまして、政府の政策に大きな矛盾を生じて来るということもまた今後大きな問題として残ると考えるのであります。もう一つは先ほど申しましたごとく、実際問題として複雑多岐な中小企業の金融が、何らの経験のない国民金融公庫でできると考えること自体が大きな誤りではないかというふうな見解を持ちまして、この点は実は大蔵省の方に強く申入れをいたしておるのであります。
 もう一つこの機会に申し上げておきたいと思いますのは、通産省といたしましては、この財政資金を流します関係上、金融公庫をつくつて、金融公庫としてそれぞれの下部組織に流したいという案をつくつたわけであります。ところがこれに対しまして、大蔵省の銀行局長から、新しい機構を次から次へつくるということはおもしろくない、むしろ在来の機構を強化してこれを活躍せしめることが適当ではないかという御意見があつたのであります。これもわれわれといたしましては非常にごもつともだというふうに考えまして、一応金融公庫の案を自発的にひつ込めたのであります。ところがこの新しい機構をつくることを反対された大蔵省が、国民金融公庫の中に新たに中小企業の部門をつくる、これまた大蔵省の意見にも非常な矛盾がある。かような考え方を持つておるのでありまして、その主張から見ましても、また実際問題から見ましても、この零細企業を対象とした国民金融公庫に五十億の国家資金を一度に投入するということは、しかも一方においてそれに何百倍するところの機構を持つておる中金に対して、一つも国家資金を投入しないということは、議論の余地なく誤つた政策だとわれわれは考えておるのでありまして、どうしてもこの点は大蔵省の方にお考え願いたいと強く要望しておる次第であります。
#14
○中村(純)委員 通産省の御見解を承りましたが、先ほど大蔵当局から国民金融公庫は必ずしも零細金融を対象とするものではないという驚くべき御見解を承つたのであります。何ゆえにさようなことをおつしやられるのか、私ははなはだ理解に苦しむのでありますが、ここに法律がありますから、まずこの法律を読んでみます。国民金融公庫法の第一条によりますと、「国民金融公庫は、庶民金庫及び恩給金庫の業務を承継し、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、心要な事業資金の供給を行うことを目的とする」。とあつて、これが国民金融公庫の根本性格であるということがここにうたつてある。また同法の第十八条によりますれば、「公庫は、第一条に掲げる目的を達成するため、大蔵大臣が審議会の議を経て定める計画及び指示に従い、生業資金の小口貸付の業務を行う。」、同じく第十八条の第二項には「前項に規定する「生業資金の小口貸付」とは、独立して事業を遂行する意思を有し」、云々、「小口の事業資金を供給することをいい、」云々、かように明確に国民金融公庫の性格が法律をもつて規定しておるのでありまして、私はこの法律を読んでみますときに、どうしても俗にいう零細企業に対する融資を行うものが国民金融公庫の根本性格であると思う。あなたのお話のごとく、必ずしもそれに限らないとおつしやるならば、まず法律を改正してかかるべき問題じやないかと思う。私は金を幾らどこに流せ、商工中金にもくれ、どこにもくれというようなことをここに申し上げようというのではない。中小企業全体として総合的にそれぞれが担当する分野をもつて円滑に行つて参るということが中小企業の金融を円滑にやる根本のゆえんであると考えまするがゆえに、この金融機関の根本的性格を無視したやり方をされるということは、はなはだ不可解に考えるのであります。もしただいまの御説明のごとく、五十億の財政投資のうち、二十億をもつて現在の国民金融公庫の対象としております融資面に対する財源としては十分であるとお考えになりますならば、残余の三十億は市中銀行なり、無尽会社なり信用組合なりあるいは商工中金なり、その他の比較的その上の階層に対する融資担当機関に分配されることが適当じやないかと思うのでありますが、重ねて御所見を承りたい。
#15
○有吉説明員 先ほど私の申しましたことがあるいは不十分であつて誤解を招かれたと思いますが、現在におきましては、なるほど国民金融公庫は零細なる金融を対象としておる次第であります。私どもの考えといたしましては、三十億の投下によりまして新しく国民金融公庫にそういつた性格を持たせたい、そのために必要ならば法律の改正をお願いしなければならぬというような気持を持つておるわけであります。なぜ国民金融公庫にやらせるかということは、あくまでこれは国家機関であるから政府資金の投入に便利であるという意味であります。
#16
○中村(純)委員 立法論でおいでになりますならば、これは一つの御見解でありますから承つておくのでございますけれども、私はただいま申し上げましたように、今日このほかにも市中銀行なり無尽会社なりあるいは信用組合なり、あるいはまた商工中金なり、中小企業の金融を担当しておる機関はたくさんあると思う。あえて今日国民金融公庫の性格を変更してまでさような措置を講ぜられる必要は毛頭ないと考えるのであります。これは見解の相違であるとすればこの際ここで打切つておきますが、その点に関しまして、通産当局はいかなる御見解をお持ちになりますか、あわせて伺つておきたいと思います。
#17
○首藤政府委員 先ほど申し上げましたごとく、中小企業の金融に対しましてはすでに中金、その他信用組合あるいは無尽等専門的な金融機関がそれぞれできておるのでありまして、しかもこれらの機関は多年の経験と知識を持つておるのでありまして、その日から幾ばくの金融を受けましても即座に融資のできるという態勢を整えておるのであります。しかるに国民金融公庫は御承知のごとく、まつたく零細な企業家あるいは引揚者等々を対象とした金融を専門としておる機関でありまして、新たに中小企業の機関をつくりましても、おそらく私はその活躍は困難であろうという見解を持つておるのであります。困難な新しい機関をわざわざつくつて、しかも効果の上らないような指導をするよりも、せつかくできておるところの、しかも確信の持てる機関をして、迅速に金融せしめることは最も適当だという確信を持つておる次第であります。
#18
○中村(純)委員 私は国民金融公庫に対して、資金面を拡充せられること自身につきましては双手をあげて賛成をいたすのであります。どうか十分に国民金融公庫の資金面を増強せられまして、この面に対しまする中小企業金融が円滑に参りますよう、この上とも政府当局の御努力をお願いいたしたいのでありますが、ただいま申し上げましたこの金融機関の性格の根本に触れる問題につきましては、ただいま大蔵、通産両当局の御見解を承りましても、政府部内において、まだ見解の統一がとれていないように考えるのであります。これはきわめて重要な問題でありますから、どうかこの上とも慎重なる御検討をお願いすることといたしまして、この点に関しまする私の質疑を終りまして次の問題に移ります。
 次には、先ほど申し上げました中小企業の金融を円滑にするための補助的な諸施策、ことに信用保証協会、信用保険制度に対する制度の改善、それらの点について通産当局において、何か研究し、実現せんとせられておるところの方策がありますならば承りたいのであります。
#19
○首藤政府委員 昨年の年末の臨時国会におきまして、中小企業の金融を急速に円滑化したいという希望から、特に信用保険法の御協賛を経まして、年末金融にいささかでも貢献をいたしたいという強い念願をもつて発足いたしたのでありますが、その後の経過は遺憾ながらわれわれの期待したような成績を上げていないのであります。そこで何がゆえに成績を上げないかという点をいろいろ検討いたしました結果、国家の補償率がいささか低過ぎる、もう一つは保険料が、銀行と業者との負担の均衡が若干不釣合である、あるいはまた事故を生じた場合の債権の取立ての問題について、統一した具体的な案が示されていないというようないろいろな問題がありますし、さらにまた限度も現在の物価の趨勢から考えまして若干低過ぎるというような傾向もありますので、ぜひともこれを修正いたしたいという希望を持ちまして、実は現在検討をいたしておるのでありますが、現在われわれの持つおりますところの修正いたしたいという案は、七五%の国家補償を九〇%に引上げたい、もう一つは保険料の負担の三分の二を業者、三分の一を銀行ということに変更いたしたい、また貸出しの限度を現行の三百万円を五百万円に引上げたらどうかというような案をもちまして検討を加えておるのでありまして、それをできるならば次の臨時国会に提案いたしまして御協賛を得たいと考えておるのであります。さらにもう一つは、各府県市の保証協会の金融も近来非常に成績が伸びまして、相当の金額になつておるのであります。そこでこの損失の負担を府県だけの責任にいたしますならば、若干今後伸び悩む傾向もありますので、その半額程度は国家が補償してもいいのじやないか、そうすることによつて信用保証協会の融資の方も、相当従来以上に成績を上げるのではないかというような考えのもとに、この面の半額を国家が補償いたしたい。これも次の臨時国会に保険法としての改正案を提出いたしまして、御協賛を経たい、かような考えを持つておる次第であります。
#20
○中村(純)委員 この信用保証制度あるいは信用保険制度の体制強化をいたしますることは、私が冒頭に申し上げましたごとく、とかく信用力の薄弱ということを理由として金融が円滑に行われ得ないところの中小企業の金融を、できるだけ円滑にやつて行きまする上の潤滑剤と申してもいい方法であろうと思うのであります。どうしてもこの面につきまして現行制度の不十分なるところ、足りないところを十分に改善強化せられるように、今後とも一段と強力なる施策を講じていただくことをお願い申し上げる次第でございます。
 なお中小企業の問題につきましては、あるいは税務の問題とか、組織の問題とかいろいろお尋ねいたしたい点もございまするが、他に同僚議員の質疑もあるようでありますので、私は次会に保留をいたしまして、本日はこれをもつて質疑を打切ります。
#21
○小金委員長 次は山手滿男君。
#22
○山手委員 ただいま私の聞きたいと思つていたことを二、三お聞きになりましたので、重複しない限りにおいて少しお伺いをしてみたいと思うのであります。
 一般論でありますけれども、今日大企業を含めて業界が非常な金融難に陥つておることは御承知の通りでありますが、今国内物価の水準を少し引下げるというような一律の大わくで、中小企業の金融に対しても非常な引締めが大蔵省の方の指令で行われておるのじやないか、こういうことが私ども感ぜられるのであります。中小企業の金融とインフレとの関係が、どの程度にまで大企業のそれと性格が違うかというようなことも議論をして行かなければならぬのでありますが、大蔵省が相当金融を引締めておいでになる、その引締め方についての手心、そういうもので大企業と中小企業金融との比較をどのようにお考えになつておるか、まずお伺いしたいのであります。
#23
○有吉説明員 大蔵省といたしましては、先般銀行局長名をもちまして、各銀行に対しまして、当面の財政金融情勢に即応するところの銀行業務の運営に関する方針を述べたわけでありますが、そのうちの一つに、経済の現況にかんがみまして、金融政策の基本方針というものはあくまでも健全財政政策に即応いたしまして、インフレーシヨンを回避することにあるということを一般方針として言つております。しかし経済自立のために必要なるところの重要産業と並びまして、中小企業の所要の資金につきましては、努めてこれが疏通をはかるということを特に念じておる次第であります。そのようにいたしまして金融機関を指導しておる現状でございます。
#24
○山手委員 今のお話で一応抽象的にはわかるのでありますけれども、しかし大企業と違いまして、中小企業の方へ金を流すことは困難である、こういうことも手伝いまして、やはりインフレを防止するということに名をかりて、と言つたら語弊があるかもわかりませんが、そういうことと結びつけて、私は中小企業の金融は相当以上に逼迫しておるのではないかと考えるのであります。私は大企業の場合と違つて、中小企業に金融をしたからといつてすぐインフレになるとは考えないのであります。大企業の場合とは違いまして、ルートも違いますし、そうすぐ金融界を逼迫して、抜き差しならぬようなかつこうになつて行くとは考えない。この点についてもつと同情のある配慮がなされなければならぬ。けさあたりの新聞を見ますると、大企業を含めて繊維業界の方には、工賃なんかに対しても一種の滞貨金融が行われるような形勢に日銀の方の態度がきまつておるという話でございますが、大企業の方では、いろいろ苦情を持ち込まれると容易に話がきまつて来るのでありますけれども、中小企業の方になると、そういうものをだれが持つか、なかなか取上げられないのであります。しかも中小企業の場合には、インフレという問題と大企業の場合のようにそう密着してはおらぬ、こういうように考えておるのでありますけれども、その点大蔵省はどのようにお考えか承りたい。
#25
○有吉説明員 ただいまの御質問に対しましては、大蔵省としては中小企業の金融に対しまして、大口の貸出しを抑制しても進めて行きたいというつもりでおります。
#26
○山手委員 そういう御答弁では私ども非常に困るのであります。もう少し話を進めて行きますが、これは小笠さんにお答え願いたい。中小企業の保護育成という問題でありますが、何といつても中小企業を育成して行くことで具体的な問題は、共同施設の問題であろうと思います。本年度の共同施設に対する国庫補助はすでに配分済みであろうと思うのでありますが、どういう状況であるかお伺いいたします。
#27
○小笠説明員 簡単にお答えいたします。協同組合の共同施設に対する二十六年度の補助金予算は、自転車を除きました一般産業が一億九千万円、自転車産業が一千万円、こういうことに相なつております。そのうちで節約が一般産業については五%、九百五十万円、そのうち大蔵省とお話をして五百万円の解除を見た。従つて一億八千五百五十万円というのが実行予算に相なるわけであります。この分につきましては一応配分を大体終了いたしたのでありますが、まだ若干、先ほど申しました節約分のうちで解除されました五百万円のうち三百万円ばかりが未割当であります。昨日来通産局の企業課長会議を招集してやつております。爾余は全部完了いたしたわけであります。本年度の共同施設の補助要請総額は五億を若干上まわつておる状況であります。これを、各府県の実情を通産局を中心といたしまして調査とりまとめをいたしまして、大体のところ、通産局の地方的な見解を中心にいたしまして、その線できめるという状況であるわけであります。対象組合の総数は、ちよつと忘れましたが、相当の数に相なつておる。こういう状況でありまして、本年度の割当にあたりまして考えましたのは、できるだけ各県の実情を重んじて行くという考え方でやつたわけでありまして、幸いにいたしまして、各自共同施設の設置に今進んでおる、こういう状況に相なつておるようであります。
#28
○山手委員 国庫補助も順次きまりつつあるようでございますが、これと金融との関係でございます。国庫補助に並行して各府県ではやはりそれと同額あるいはその倍額くらいの補助をして行くようでありますが、通産省の方でいろいろ方針をきめられまして、国庫補助を共同施設に対して出すことに決定をし、すでに支給することになつた組合に対しては、商工中央金庫からひもつきで優先的に融資をする、こういうふうな方針がきまつておると思いますが、それについてどういうふうに優先的に融資をするか、その方針をひとつ承りたい次第であります。
#29
○小笠説明員 共同施設の補助金の内定を得ますると、実際上施設が三分の二の完了までまだ金が出ないわけでありまして、つなぎの資金がいるわけであります。つなぎ資金融資をどうするか、金額はもうきまつておるわけであります。この点につきましては、まず第一に商工中金と連絡をいたしまして、指令の内容と申しますか、最終的にきまつた内定案を連絡いたしまして、極力その分のつなぎ資金を出す、こういうことで話合いの上進めておるようであります。ただいままでのところ、実際の施行状況は一部の出張所と申しますか、商工中金の出張所では若干の問題があるようであります。多くのところは問題なしにつなぎ資金が出ておるようであります。あといわゆる国庫補助金を中心にいたしまして、府県補助費、それからところによりましては市の補助費というものがこれにくついて、大体多いところで三分の二強というものが補助金でできる場合もあるようでありまするが、そういう場合は、その足らない資金は、一部はいわゆる自己資金ということで、自前で持つ分につきましては、出資その他の自己資金でまかない、あるいは足らないところは商工中金で貸出しをしておるというわけでありまして、自己負担分につきましても、はつきり商工中金から全部出すという形でなしに、組合の実情に応じてこれを出して行く、こういうような形でございます。
#30
○山手委員 今のお話の通りでございましたらけつこうなのでございますが、各府県によつて相当実情も違うと私は考える。商工中金の中でいわゆる支所のある府県は比較的強力にそれをおやりになつておると思う。しかし支所がなくて、単に出張所があつて四、五人でおざなりの商工中金の業務をおとりになつておるところでは、一応出張所から支所に出る、支所から本部に連絡するというふうなまわりくどいことをやつておるのでありまして、なるほど中小企業庁や通産省の方ではいろいろそういうふうなお考えでおられても、実際の面では、商工中金の方ではそれをそういうふうには解釈をしておらないで、なかなかややこしくなつておると思うのでありますが、その辺の実情がわかつておりますかどうか。
#31
○小笠説明員 御指摘の通り組合の状況は、府県の状況によりましてはつきりいたさないのでありますが、極力今申し上げましたように、つなぎ資金はそういう形で出しておるということにいたしておるのであります。ここで問題になりますのは、商工中金の支所あるいは出張所によりまして、事務の運び方がスムースでない面もないではないのであります。その点ははつきり認めてけつこうだと思うのであります。そこで今回そういう点を直すということで、商工中金では各窓口に指令を発したわけであります。一応書類が出ますれば支所で一切書類を受取つて、それで方向をはつきり下の方に示せということで書類をできるだけ早く流すということにいたしておるわけであります。この点は従来とも、ところによつてはやつておるのでありますが、窓口によりましては必ずしもそうなつていないというような事情で、今後その事務の扱いを極力円滑化するということで進めておるわけであります。具体的に、こういうところで今言つたようなつなぎ資金その他について問題があるという場合には、御連絡願いましたら、できるだけあつせんいたすようにいたしたいと思います。
#32
○山手委員 金融の面は借りる方に信用がないからだというふうなお話になりますと、これは持つて行き場がないのでありますけれども、中金の方はどこに貸すか、どういうふうなものに貸すかということについて、業種別で判断をするとか何か重要度を中央で示されたもので、きちつとしやくし定規で判断するということで中小企業者の金融を割り切られると、たいへんな間違いが起きて来るのじやないか。中小企業の金融というものは、その社会性を重んじて国家的な見地に立つて金融を推し進めて行くというところに非常な重点があるのであります。特に共同施設に対して国庫補助をある程度やつたものに対して、さらに商工中金の方はその業態の内容を審査するとか、いろいろなことをやつて、共同施設の実際のつなぎ資金を出すようにするというふうなお話でありますけれども、実際にはその資金がなくて動きがとれない、はなはだしいのになりますと、国庫補助も返上して行くというふうな業種も一、二あるように聞いておりますけれども、その点はどういうふうにお考えでありますか。
#33
○小笠説明員 つなぎ資金の点につきましては、先ほど申し上げましたような方針をとつておるのであります。ただいまお話の中で一部返上の問題がある、こういうことでありますが、その通りであります。これはこういうふうな業界の実情によつてあるのでありますが、ごく一部であります。当初予定いたしておりました資金繰りの点がむずかしくなつたというような事情も一つでありますし、また業界の先行きの問題というような点から見て、共同施設を見送るというような場合もあるようであります。しかし数ははつきり先刻申し上げませんでしたが、約四百五組合はただいま決定いたしておるのでありますが、その中のごく一部がただいまのところとりやめて次年度へまわそう、こういうふうな状況に相なつておるようであります。その点は資金の問題がうまく行かない、商工中金のつなぎ資金の出方がどういうような問題よりも、業界の見通しの問題あるいは業界内部におけるあるわだかまりというような場合が多いようであります。そういう場合はできるだけ翌年度においてまた考慮して行こうというふうな考え方で進んでおります。
#34
○山手委員 大蔵当局の方にお伺いをしたいのでありますが、さつき中村さんの方から質問がありましたときに、御答弁のありました、立法論ではございましようが、国民金融公庫の性格をこの際かえたいという大蔵省の御意向はどういう意図から出ておるのか、もう少し詳しくお話を承りたいと思います。
#35
○河野説明員 先ほど課長の方から申し上げたかと思うのでありますが、前提として申し上げておきたいのは、今きまつておりますことは、政府部内といたしましては、何らか中小金融のための資金の疏通をはかるために、政府資金をできるだけ財政の許す限りにおいてこれを注ぎ込みまして、中小金融の操作に資したい、これは金額ははつきりきまつたという段階に至つておりませんが、そういう点が一つと、それからこれがために特別の金庫とかそういうものをつくることはこの際見合せて、既存の金融機関―これにはいろいろな機関がありますが、これをできるだけ活用するような方向で参りたい、こういう二つの点が現在政府部内で大綱としてきまつておるわけであります。それからではこの金融を取扱う機関を、いかなる金融機関をしてやらせたらよいかという点につきましては、若干政府内でもまだ意見が一致を見ておらぬようなわけでありますが、私ども大蔵省の事務当局として国民金融公庫を中心として考えておりますゆえんは政府資金を流します場合には、できるだけやはり政府機関―言葉は非常に悪いのでありますが、ガヴアメント・コーポレシヨンと申しますか、そういうふうなものを使つて行くのが筋といいますか、資金の性質からいつて性格的に適当ではないだろうか。そういたしますと、現在純粋の意味のガヴアメント・コーポレシヨンといいますか、これに一番適当いたしておりますものは、やはり何といたしましても現在国民金融公庫であろうと思います。従いましてこれをある程度拡充いたしまして、機能の拡大によりましてこの方面の金融を取扱わせて行つたらどうかというふうな建前から、この問題を事務的には検討いたしておるわけであります。理由は今申しましたような政府資金をそのまま右から左へ流す機関は、政府機関であつたほうがやはりよいという観点に主として基いております。
#36
○山手委員 今の御答弁でございますが、国民金融公庫は現在二十箇所くらいしか全国にその組織網を持つておらないと思うのでありますが、商工中金は何といつても四十箇所くらいのものを持つておる、倍以上のものを持つておるのであります。ところが今の国家資金を流す場合には、できるだけ政府機関を通して流した方がよいというようなことからだんだん判断して行きますと、商工中金の性格を大蔵省はどういうふうにお考えになつておられるのか、その点にも問題が出て来ると思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。
#37
○河野説明員 最初の店のお話でありますが、今商工中金は店が三十九でございます。国民金融公庫は三十三か四ございます。年度内に五箇所ふやしますから三十八くらいになるのじやないかと思つております。それにいたしましても、商工中金もそうでありますが、国民金融公庫といたしましても必ずしも店の網というものは十分でありません。従いまして私どもは、この点につきましてはかりに国民金融公庫をしてこの方面の金融をやらせるといたしますならば、十分に代理貸しということを活用して参りたい、そういう考え方に立つております。代理貸しは、信用組合―これは今後信用金庫になりますが、信用金庫でありますとか無尽会社、今後相互銀行になりますが、こういうものを活用して行くのはもちろん、必要によりまして商工中金の方もこういうような代理貸しの制度を活用して参りたいという考えでおります。
 第二点の商工中金の性格の問題でありますが、これは非常に見方によつては中間的なものということになると思います。純粋な意味のコマーシャル・バンクではない、しかしながら純粋な意味の政府機関でもない、その中間的なものであつて、しかも中小金融というものの特殊性から見まして、そういう中間的な機関が存在することが必要であろう、ごく抽象論を申し上げて恐縮でありますが、そういう考え方をいたしております。
#38
○山手委員 商工中金は単なる中間的な性格のものだというようなことで片つけることはできない。国家機関の一つであるように解釈してもよいと思うのでありますが、この金融公庫から流す国家資金は、私は商工中金の方はその機関を拡充して、商工中金は単に組合金融だけを担当さすのだ、そういうふうなことでなしに、個人に対しても相当貸す余地がある、どうしても貸さなければならぬ、こういうふうに考えておるのであります。いたずらに商工中金、やれ国民金融公庫というふうに何本もルートをおつくりになるということは、私は国民をとまどいさせるものじやないかと考えております。特に今国民金融公庫の方は代理店をたくさん持つておる、信用組合だとか無尽会社なんかを代理店に使つて非常に御利益があるようにお話が出ておりますけれども、事実はまつたくそれと逆でありまして、信用組合だとか何とかいうものがそんな政府の、あまりもうけにもならないで、あとからおしかりを受けるような金融を献身的にお手伝いするものじやない。やはり自分が自分のところの仕事として推進して行くという機関を充実して行かなければいかぬのだと私は思うのでありますが、その点いかがでございますか。
#39
○河野説明員 お尋ねの点でありますが、商工中金の性格といたしまして、これは政府機関かどうかという点でありますが、私どもこういうふうに考えております。これは現在の制度であります。これを将来立法論としてどうするかという点については、これは御質問があればお答え申し上げてもいいと思いますが、現在の制度はやはり商工中金は自分で預金を集め、自分で債券を発行して、その債券は御承知の通り一部はもちろん政府資金で持つておりますが、いずれにいたしましても、自分で債券を発行し、自分で預金を集めたものを中心にして、金融をいたして行くという建前になつておるように思います。政府出資も御承知のように一時はありましたけれども、現在は政府出資はありません。それから預金部が債券を引受けておる点につきましては、これは純粋のコマーシャル・バンクである興業銀行あるいは勧業銀行についても同様に引受けます。それから見返り資金による優先出資の問題も、これはただ商工中金だけではなくして、農林中金あるいは興業銀行、勧業銀行等にもやつております。そういう関係で、私どもとしましては、政府機関か純粋の民間機関かということになるならば、いずれかといえばやはり民間の機関に近いのじやないかという考え方を持つておるのであります。それから立法論として組合金融に直接しないで、もう少し個人等にもおつかぶせたらどうかという御意見につきましては、実はいろいろな御意見を承つておるのでありまして、むしろ逆なお考えも相当強く有力に主張されておるやにも聞いております。この点はむしろ通産政務次官、あるいは企業庁長官の方からお聞き願つたらいいかと考えます。
 それからこれはまだはつきりきまつておりませんが、今通産省当局とも打合せをいたしておりますが、組合金融の原則は維持しながら、間接構成員、つまり組合員相手の―組合員に対して直接取引を開く道は、今度法律を改正してすぐできるようにして参りたいというつもりで、現在通産省ともいろいろ打合せをいたしておる段階であります。
#40
○今澄委員 関連して大蔵省に伺いますが、私が奇怪至極に思うのは、当委員会に出て来る政府委員のうちで、大蔵省の先ほどの課長といい、今の局長といい、かような答弁態度をとるものを今までほかに見たことがない。いつかの議員総会においても、あるいはいろいろの場面において、少くとも大蔵大臣は、先般の中小企業者の少々死んでもという前言をひるがえして、非常に中小企業金融に忠実なる答弁をいたしておるが、今のあなたの答弁並びにその前の課長の答弁などは、立法府であるべきこの国会に来て、何だか法律改正でもやるのだというような、少くとも政府執行部、いわゆる行政府の一課長が、何か立法府をも左右するような言辞を弄することは、ぼくは事の内容を問わず言語道断だと思う。少くとも大蔵省はもう少し謙虚な態度をもつてわれわれの質問に答えるべきである。そうして中小企業の金融については、少くとも銀行の窓口の中小企業関係はどの程度のものを対象にして、将来どういうふうにこれを取運んで行くか、今度総合銀行にした無尽会社は一体どのような構想のもとに、中小企業金融の中にどの程度の層をとらえて行くか、あるいは信用組合を信用金庫にしたが、これは一体どのような構想をもつて、中小企業金融のいかなる部門に当らせるか、大蔵省の管轄をはずれた府県知事の認可する信用組合もどんどんできつつあるが、一体どのような考えで大蔵省としては臨んで行くか、商工中金に対してはどういう態度に出る考えであるか、国民金融公庫は国家機関としてどういうふうにするか、一貫した大蔵省の中小企業金融に対する体系的な考え方並びに中小企業金融の信用保険制度あるいは信用保証協会等等のあらゆるものを通ずる中小企業庁が立てる一貫的な中小企業金融への非常に涙ぐましい努力に対しても、大蔵省は何ら協力しておらぬ。そうしてあなた方の答弁態度を見ると、法律は自由に動かすのだというような態度は言語道断だと思う。少くとも当通産委員会においては、まず中小企業金融に対する大蔵省の体系的なものの考え方と、これらの各金融機関を通ずる特色についてのあなた方の将来の方針並びに考え方を十分説明しておいてもらいたいと思う次第であります。
#41
○河野説明員 今申し上げましたのは非常に言葉が足りませんでしたが、今のような法律案の提案をいたしたいという気持を申し上げたのでありまして、私が法律をつくるわけではもちろんございません。そういう意味で、国会に対して失礼な、僭越な考え方は毛頭持つておりません。そういうことで提案をいたしたいというつもりでおります。あと御決議なさるのはもちろん国会でございますから、私どもそういう僭越なことは考えておりません。ただ言葉の足りない点につきましては、十分おわびを申し上げます。
 それから中小金融の全体的な体系の問題であります。御承知のように信用組合なり、あるいは無尽会社というものは、おのおのその性格によつて仕事は違つておりますが、いずれにいたしましても、これらはおのおの中小金融というような大きなわくの中でそれに相応した金融を担当しております。それから今後信用金庫ができました場合は、府県知事の監督に入ります信用協同組合というものができるわけであります。これは国会の方の御提案によりまして成立した法律によつてそうなります。私どもとしましては直接にはこの信用保証協同組合に対しましては指導権はないわけでありますが、十分全体の金融が体系を乱さないように、また監督がルーズになりまして、不健全な、預金者等に迷惑をかけることのないよう堅実な運営のできるように、間接には指導いたして参りたいと考えております。ほかのいわゆる特殊機関と申しますか、商工中金と国民金融公庫との関係につきましては、冒頭に申し上げました通り、政府部内においても意見の一致を見ておりませんので、まだ政府としてのはつきりした御意見を申し上げる時期には至つておりませんが、国民金融公庫にかりに中小金融の部門を取扱わせるといたしました場合には、現在やつております小口貸出しと、今後やつて参ります中小企業の部門とは別の勘定にして、両者おのおの動かすことのないようにいたして参りたいと考えております。それから政府資金を出します場合には、普通の政府資金でない、一般の市中から調達された資金によつて中小金融がまかなわれるのが原則でありますから、その市中金融によつてまかなわれるものについて、国民金融公庫がやつた場合には動かすことはできない、市中の普通のルートで金融のつかない中小金融については、さらに政府資金でめんどうを見て行くという形にして参りたい、非常に抽象的でありますが、かように考えております。
 商工中金につきましては、先ほどもお話があつたかと思いますけれども、先般来この資金の充実につきましていろいろな方途を講じて参つております。実は金額はあまりたくさんとれませんでしたけれども、政府・資金を預託がえいたしましたときにも、商工中金には他の機関に比べて非常に多くを預託いたしております。たしか十三、四億だつたと思います。それから資金力の充実のために資金運用部―昔の預金部でありますが、金融債は三年以上の長いものでなければ預金部資金は持たないという原則にいたしておりますが、商工中金の債券の消化も十分でありませんので、その限りにおきましては、短期の一年の割商についても、資金運用部がこれを持てるように改正いたしまして、できるだけ資金的な援助を商工中金にも、政府としてはいたして参りたいと考えております。
 それから中小金融につきましては、例の見返り資金による四十億の中小融資がございます。これも前年度の終りから今年度の初めにかけまして成績が非常に悪うございまして、国会方面からたびたびおしかりを受けまして、これを促進する方法はないかということで、制度的にも、また運用上もこれを考えて参つております。まだ十分ではありませんが、六月、七月とだんだんふえて参つております。今後もこれが活用については、できるだけ金額が十分出て行くように努力して参りたいと考えております。
#42
○山手委員 私は今いろいろお話を承つて、抽象論としてはできるだけ多く貸し出すように努力するというお話でありまして、異存はないのですが、その実績においてどれだけふえておるか。今のお話の見返り資金にいたしましても、ちつとも貸出しは伸びていないのじやないか。これは長期資金、設備資金でありまするから、もつと見返り資金の活用も短期の運転資金なんかにもどんどん広げて活用できる道を早くお講じにでもなれば、もう少し活用できる。ところがちつとも活用されておらない。あるいはまたさつきからお話のありましたように、市中銀行の資金の預託がえをした、これは商工中金に対しても非常に努力を払つておられるように見えるのでございまするけれども、私はごく最近いろいろ頼まれて、二、三当つてみたのでありますが、末端機関においてはむしろ引締めて行かなければならぬ、こういう考えでおるようであります。ことに大企業なり、輸入商社なりは、この春思惑買いで輸入をやつて、中小企業者は何らそういうことをやつておらないのでありまするが、大きな輸入商社や大企業の方で思惑をやつたものを、それと天秤にかけて、中小企業の方も何らか悪いことをしたかのごとく、この業態はいかぬ、この機屋はいかぬというように言つておられるように聞えますが、その点実際はあなたのおつしやることとずいぶん違うのじやありませんか。
#43
○河野説明員 金融が非常にきゆうくつになつておりますことは御承知の通りであります。そのうちで特に金融が詰まつて参りますことのしわが中小企業に寄りがちであるという傾向も、遺憾ながら事実としてはあるかと考えております。そういう点について中小金融の必要性、緊急性にかんがみまして、できるだけ私どもとしては努力いたして参りたいと考えておりまするし、また時間的にもちよつと間に合いませんけれども、国会に提案して、何らか政府資金をつぎ込んで、これらの方面の金融の打開に資したいと考えております。なお御指摘の見返り資金から長期運転資金を供給する道を開くべしという御意見、これは実は国会方面からもたびたび御要望が出ており、私どもの方も従来からできるだけ努力しており、今後も何らかこれに対して実現をいたしたいということで努力をいたしておりますが、遺憾ながら各国の例等から見ても、見返り資金から運転資金を直接的に供給するという例は皆無であるようであります。これらの点もありまして、見返り資金の性質からいいまして、関係方面の意向も非常に強く反映いたします関係上、今のところではこの問題が成功裡に解決いたします見込みは非常に薄いということを申し上げざるを得ないのであります。
#44
○山手委員 見返り資金の活用、あるいは今の預託がえをおやりになつたとしても、なかなかそうすぐ政府がおつしやるように、朗報のごとく、中小企業者に対して、貸付金が伸びて行くというふうなことにはならないのでありまして、この点何かそういう手をお打ちになると、それに並行した新しい手といいますか、積極的な手が打たれて行かなければ何にもならないというふうに私は考えておるのでありますけれども、実際にはその逆の手が打たれておる。そうして大企業などでやつたことのしりぬぐいをやる、そのしわが全部中小企業者の方に寄つておるというこの現実を、名目だけの口頭禅だけでしりをぬぐつておられるのではないかと思うのでありますが、この点積極的におやりになる御意思があるのかどうか、積極的な手を打つておられるのかどうか、もう少しお伺いしたいと思います。
#45
○河野説明員 積極的な手は可能な限り打つて参りたいと思います。しかし具体的には非常にむずかしい問題であります。と申しますのは、私どもといたしましては、インフレにならないような形で金融をして行かなければならない。そういたしますと、おのずからお話のように中小企業の方にしわが寄つて来る心配が確かにあります。それらのために普通のコマーシャル・ベースによる中小金融に対しては、今後私どもはいろいろ努力いたしますが、十分に参らない懸念がございますから、政府資金をできるだけ出して参つて、これによつてつかい棒をやつて参りたいと思います。
#46
○山手委員 そういうことになると、私どもも議論をしなければならないのでありますが、商工中金あたりの貸出し総額と、大企業を含めての市中銀行そのほかの機関が貸出しておる貸出し金額の総額とを比較してみますと、全然パーセンテージとして言い上げるほどのパーセンテージになつておらないということを私は考えておるのでありますが、まあ百二、三十億くらいはお貸しになつておると思うのであります。この事実をもつてしても、私はこの商工中金のわくを少しゆるめて積極的にお貸しになつたつて、インフレにはそう関係はないものだということを深く考えておるのでありますが、銀行局長はどういうふうにお考えになつておりますか。
#47
○河野説明員 インフレーシヨンの問題はなかなかむずかしい問題であります。簡単に実は申せないと思います。裏に生産があり、物があれば、通貨はいくら出てもいいということにはならぬと思います。この問題はいろいろな観点から判断しなければならないと思います。それから私どもとしては今お話のように、銀行等におきましては、中小金融についてどちらかといいますと、十分にやつていないということはよく言われておる通りであります。しかしながら銀行の貸出し等をごらんになりましても、ここに地方銀行等におきましては、一件百万円以下の貸出しが五〇%を占めております。もちろん百万円以下の貸出しの中でも、必ずしも中小企業と言えないものもございますが、一件の金額百万円以下のものが五〇%を占めておるということからいいましても、中小企業に対する金融は銀行としても相当やつておる。いわんや無尽会社、信用組合等におきましては、相当程度やはり中小企業の方へ資金を流していると考えておるのであります。ただ中小金融の機関としては、商工中金だけではなくて、これらの機関も相当に中小金融のために金融はいたしていると考えております。ただその程度がいろいろな観点から十分ではないという点もございますので、大蔵大臣もたびたび申しておりますように、銀行等の中小金融に対するさらに積極的な指導を今後もいたして参りたいと考えております。
#48
○小金委員長 この際ちよつと御報告いたします。ただいま委員山口武秀君が辞任せられ、深澤義守君が補欠選任せられました。以上御報告申し上げておきます。
 次会は明十八日午前十時より開会いたすこととし、本日はこの程度にて散会いたします。
    午後零時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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