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2012/02/15 第180回国会 参議院 参議院会議録情報 第180回国会 国民生活・経済・社会保障に関する調査会 第1号
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2012/02/15 第180回国会 参議院

参議院会議録情報 第180回国会 国民生活・経済・社会保障に関する調査会 第1号

#1
第180回国会 国民生活・経済・社会保障に関する調査会 第1号
平成二十四年二月十五日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事         金子 洋一君
    理 事         西村まさみ君
    理 事         関口 昌一君
    理 事         秋野 公造君
    理 事         寺田 典城君
                梅村  聡君
                尾立 源幸君
                小西 洋之君
                小林 正夫君
                高橋 千秋君
                中村 哲治君
                広田  一君
                牧山ひろえ君
                安井美沙子君
                吉川 沙織君
                石井 準一君
                岸  宏一君
                中原 八一君
                牧野たかお君
               三原じゅん子君
                山崎  力君
                義家 弘介君
                竹谷とし子君
                荒井 広幸君
    ─────────────
   委員の異動
 一月二十四日
    辞任         補欠選任
     中村 哲治君     川田 龍平君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     田城  郁君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事
                金子 洋一君
                西村まさみ君
                関口 昌一君
                義家 弘介君
                秋野 公造君
                寺田 典城君
    委 員
                梅村  聡君
                尾立 源幸君
                小西 洋之君
                小林 正夫君
                田城  郁君
                高橋 千秋君
                広田  一君
                牧山ひろえ君
                安井美沙子君
                吉川 沙織君
                石井 準一君
                岸  宏一君
                中原 八一君
                牧野たかお君
               三原じゅん子君
                山崎  力君
                竹谷とし子君
                川田 龍平君
                荒井 広幸君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        近藤 俊之君
   参考人
       ダイキン工業株
       式会社人事本部
       グローバル人材
       グループ長 部
       長        中川 雅之君
       駒澤大学経済学
       部准教授     飯田 泰之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○国民生活・経済・社会保障に関する調査
 (「持続可能な経済社会と社会保障の在り方」
 のうち、高齢社会における経済活性化について
 )
    ─────────────
#2
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活・経済・社会保障に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十三日、古川俊治君が委員を辞任され、その補欠として義家弘介君が選任されました。
 また、去る一月二十四日、中村哲治君が委員を辞任され、その補欠として川田龍平君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(鴻池祥肇君) まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に義家弘介君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○会長(鴻池祥肇君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民生活・経済・社会保障に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○会長(鴻池祥肇君) 国民生活・経済・社会保障に関する調査を議題とし、「持続可能な経済社会と社会保障の在り方」のうち、高齢社会における経済活性化について参考人の方々から御意見を聴取いたします。
 本日は、ダイキン工業株式会社人事本部グローバル人材グループ長・部長中川雅之君及び駒澤大学経済学部准教授飯田泰之君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず中川参考人、飯田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきました後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず中川参考人にお願いをいたします。
#9
○参考人(中川雅之君) ダイキン工業の中川でございます。
 我が社の概要と、あるいは高齢者雇用、この実態ということを若干述べさせていただいた上で、意見を述べていいということですので、若干の意見も付け加えて述べさせていただきます。(資料映写)
 まず、我が社の現在の概要でございますけれども、売上高が一兆一千六百億で、ほぼ六〇%余りが海外でございまして、国内は三分の一強という売上高になっております。従業員数は今、ここでは年度末で四万一千五百でございますけれども、十二月末で四万二千人程度、四万二千人強ですね、それで、国内の従業員数が一万一千人というような程度になっております。したがいまして、従業員の四分の三は海外の従業員であるというような状況であります。
 事業としては、空調機、業務用のエアコンでは国内のシェアで大体四十数%、海外でも、ヨーロッパ、中国あるいはアジアにおきましてエアコンのシェアは業界ではナンバーワンのシェアを持っております。空気清浄機なども作っております。それと、あとほかに弗素化学の樹脂なども、非常に高付加価値の樹脂を作っておりましたり、あるいは、公の仕事では防衛庁に陸上自衛隊あるいは海上自衛隊の砲弾の納入もしております。
 ダイキン工業は、元々大阪金属工業という会社でございましたですけれども、もう今は、大阪金属の大きいと金を取りましてダイキン工業という名前になっております。
 今の会長が井上礼之という会長でございますけれども、こちらの方は人事あるいは総務を長らくやっておりまして、私が入社いたしました一九八〇年当時は人事部長でして、この井上が人事制度をずっと見て、社長になるまで人事部長あるいは人事担当役員として人事制度の改革をやってきたというようなことで、ここでは、従来の人を大切にする会社というような言い方から大切にする仕方を変えていくんだということで、二〇〇〇年に抜本的に変えましょうということで、双方向に選択する関係であると、会社が個人を一方的に選ぶのではなくミューチュアルセレクションであるというようなことでございます。あるいは、自己責任の徹底を求める、会社にぶら下がっていても困ると。あるいは、単なる平等主義でなしに、機会は平等に渡して結果には公平性を追求しようというようなことで、成果主義であり、あるいは実力主義というような言葉で人事制度を展開していこうというのが我が社の基本であります。
 定年あるいは再雇用制度というのをいち早く、当社は今本体が七千人ほどおりますけれども、五千人を超える企業の中でいち早く定年延長あるいは再雇用制度というのを導入してまいりました。これは、時代の流れとともに、一方でかつての年功序列の賃金体系というのを大きく寝かせていくと。あるいは、年齢給、勤続給というような給与の中の構成要素があったんですけれども、それはもう個人の能力に応じて払っていくんだということを、一九七九年あるいは九一年、二〇〇一年と、人事制度全体の見直しの中で、一方で雇用の安定あるいは高齢者の活用というようなことでやってきたということで、今現在は、二〇〇〇年以降、六十五歳までで希望者全員の再雇用を行っておりますし、後ほど述べますとおり、七十歳までの方で百数十名の方が働いていると。最高の方は、たしか今八十歳あるいは八十一歳の方で働いていただいておる方がございます。
 六十五歳までの再雇用制度の実態でございますけれども、一九九一年に導入しましたときは六十三歳まで希望者全員でございましたけれども、二〇〇〇年からは六十五歳まで希望者全員を再雇用すると。年収基準は、これは五十歳から五十五歳の労働組合員の平均年収の約七〇%を保障しようというような形で五百四十万、ほぼ一律に決めております。
 一九九〇年当時は在職老齢年金等がございましたですけれども、今は非常に年金の受給年齢がどんどん繰り下がっておりますので、労働組合との約束ですので五百四十万という額は下げずに会社負担を、段階的に結果としては増えていっておるというふうなことであります。
 加算型の賞与というようなことをやっておりますけれども、これ賞与を加算しますと年金の受給額が減るというようなことがありまして、なかなか実力主義の徹底が高齢者の方では社会保障との関係で難しいというふうなことにもなっております。
 雇用基準は、健康であって本人の働く意思、意欲のある方というようなことでございます。
 雇用契約に関しましては、六十歳まで在籍して、そこで一旦退職していただくと。それで、退職金もお支払いした後、リフレッシュ期間を一か月から三か月取っていただくというふうな形を原則としております。ただ、最近はもうリフレッシュ期間なしで続けて働くよというような方も非常に増えておりますし、二十年前に導入したときよりも六十歳の方の健康ですとかあるいは意欲ですとかというのが非常に安定した状態の方が増えておると。また、二十年余り前に導入しましたもので、当時四十歳の方が今六十を迎えておりますので、六十過ぎても再雇用で働くことが当然であるというふうな会社の風土といいますか、そういう皆さん、従業員の気持ちがそうなっておるというようなことであります。
 勤務形態は、フルタイム、短時間勤務、隔日あるいは登録型と選べるように、メニューは一九九〇年当時から準備いたしましたですけれども、この資料の、九割方以上の方がフル勤務と書いてありますけれども、約四百数十名、五百名弱の再雇用の中でフル勤務以外の方は五人に満たないというふうな状態で、非常に皆さん仕事を続けるということが当然というようなことになっております。
 これはそのメニューですけれども、ほとんどの方が五百四十万で働いていただいておると。一部管理職の中で、管理職を継続するというような方につきましては、これとは別に例外的に、八百万ないし九百万、あるいは人によっては一千万程度の年収で再雇用を継続しておるということがございます。
 福利厚生あるいは有給休暇については、お手元の資料を御覧ください。
 どうして六十五歳までの再雇用を決断できたかということでございますけれども、ここの資料を見ていただきますと、一九九四年というのは今の会長の井上が社長になった年でございます。その当時に一万三千人、うち、多分日本人が一万一千人ぐらいというのは変わらずに、海外が二千人弱だったと思いますけれども、九四年から、間の九七年のアジア経済危機、タイ・バーツの暴落なんかを挟みましたりしたんですけれども、この間、基本的には事業を拡大し、増益を十数年続けたという中で海外の事業を非常に伸ばしてまいりました。
 結果、従業員は二〇〇〇年で一万五千人になりましたけれども、その後、ITバブルの崩壊等の影響で少し伸びが二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇二年は厳しかったですけれども、その後は千人から二千人単位で毎年従業員数が伸びていったと。これはほとんど海外での従業員あるいは事業の広がりでございます。二〇〇六年にはOYLというマレーシアの資本の会社を買収いたしまして、従業員数が一万人ほど増えたと。リーマン・ショックで若干減りましたけれども、その後も、今年も来年も二千人規模で従業員数が伸びておると。
 これ、従業員数で表しておりますけれども、要は事業の拡大があったと。その中で、それを支えるのがやはり人でございますので、その中で高齢者にも活躍の機会が非常に多くあったと。再雇用の方で海外勤務されておる方もございますし、後ほど申します工場の立ち上げなんかでも非常にベテランが過去の経験というものを生かして働いていただいておるというような状況であります。
 再雇用率は、八五%前後だったんですけれども、去年は九〇%を超えました。定年を迎える方の十人中九人までが再雇用されると。一部、やはり田舎に帰られるとかいう方もおられますので、再雇用されない方がございます。
 それと、このAのシニアスキル契約社員制度というのは、これは六十五歳を超えた方を会社の選択で更に働いていただいておるということであります。現状七十名以上在籍と書いてありますけれども、フル勤務で働いておられる方が七十名程度、それとアルバイト的、あるいは契約的に単発で来ていただいておる方も同数程度おられますので、百数十名の方が六十五歳を超えて働いていただいておるということであります。
 ここにいろんな仕事が書いてありますけれども、技術資料の翻訳、通訳、海外のお客様の工場見学の対応、この方が八十歳で働いている方の仕事例でございますけれども、空調の起源はアメリカでございまして、アメリカの空調方式と日本の空調方式は違いがございます。日本の空調は、皆さん御存じの、室外機を置いて、その後、フロンガスが冷媒として流れて室内で蒸発することによって気温を奪っていくというふうな方式でございまして、この技術の根本は大きくは日本発の技術。あるいは、マルチエアコンはダイキン工業発の技術でございますので、この方はダイキンヨーロッパ社の社長を務めて、その折に新しい技術に新しい単語を付けて、技術用語を自ら創出していったということで、デファクトスタンダードの英語を作っていった方ですので、こういう仕事が今でもやはりできるというふうな方であります。
 これは少し古いデータなんですけれども、昔ヒアリングしましたときに、コンピューターで管理しておって、弗素のガスの流れとか、あるいは反応の状態というのは、少し今の若い人はメーターあるいはコンピューターに頼り過ぎなんですけれども、音とか温度とかでそういうことをベテランの方は感じ取って異常を検出すると。エアコンの技術者でしたら、冷媒配管を持つと大体何度ぐらいだということは昔は分かったんだというような方がたくさんおられます。
 これは、五十歳以上、当時、二〇〇七年、八年ぐらいに皆さんにヒアリングしたんですけれども、使う側、使われる側の意識の問題、あるいはノウハウの伝承、適性配置等々、いろんな問題がありました。施策としてはもう少し、一律五百四十万じゃなしに特別賞与の適用を拡大したいなというようなことをやって、もうこれは先ほど申しました在職老齢年金をもらっている場合には、二十万をもらったところで手取りが年収ではほとんど増えないというふうなことなんですけれども、認められることの喜びというふうなことがあったりする、あるいはコミュニケーションでやっていく力が必要であるというふうなことが分かっております。対話の充実とか、あるいはより適した仕事に就いてもらうということが非常に高齢者にとっては大事かなというようなことで日々実践しておるということでございます。
 呼称も昔は特別嘱託というようなことでやっておったんですけれども、何も特別なことではないというようなことで、今ではプロフェッショナルアソシエイトとかシニアアソシエイトというような名前で、呼称も変えていこうというふうなことをやっております。
 これは少し観点が異なりますけれども、マイスター制度というのを技能の方から始めて、更に今は販売等にも拡大していこうという検討中でございます。具体的には、ダイキンの特殊な技能じゃなしに一般的な技能、板金加工ですとか旋盤ですとかろう付けという基本的な技能というのを国内に残していく必要があると。一時、皆様御存じのNC旋盤、数値制御の、コンピューター制御の旋盤なんかでほとんど技能者は要らなくなるんじゃないかという話が一九九〇年代に出たんですけれども、具体的に、一番最先端で物をつくるとなれば、やはり日本に最先端の技能者を育てていく必要があると、そこなくしては最先端の技術あるいは複合の技術というものは生まれてこないというようなことで、今現在は合計三十一名の方を四十歳ぐらいまで育ててマイスターに任命して、グローバルの物づくりのキーマンにしていっておるというふうなことであります。
 こうした活動を通じまして、これは去年の九月でございますけれども、元々のアメリカン・アソシエーション・オブ・リタイアメント・パーソンという全米退職者協会という名称が、今AARPという四千万人ぐらいの会員があって、五十歳以上の雇用者が全員入っておるんですけれども、そこの協会から初めて日本で最初の企業として表彰を受けたというようなことも去年行っております。BMWですとかマークス・アンド・スペンサーとかいう会社が共に受賞しております。
 それと、もう一点、後ほどのちょっと意見にも関係しますけれども、大阪府に雇用開発協会という協会がございます。これは大阪労働局の関連団体ということになっておるんでございますけれども、元々は企業の任意の企業家同士のいろいろな集まりということで、二千社余りの会員数ございますけれども、いわゆる独立行政法人の高障機構からの委託業務をいろいろやっておったんですけれども、それがなくなって、各都道府県ではこの協会、同様な協会が解散いたしましたけれども、大阪の協会、私どもの井上が会長をしておりまして、私が窓口をしておるんですけれども、二千社のネットワークをなくすことは非常に雇用問題を真剣に考える立場としては問題があるということで、一般会費だけでも存続しようということで、今事務局は、三十人ぐらいがおりました事務局を八人ぐらいに整理しまして、継続して企業間の情報交換なんかをやっておるというふうなことでございます。
 それで、意見が四点ほどしたためておりますけれども、要は、高齢者をどうとらえるかということでは、非常に重要な戦力であって、企業自身が事業の拡大発展というものの上でしか成り立たないという時代でございますので、高齢者をいかに戦力化していくかと。その場合には、個人差は非常に大きいんだということを認識しながら活用をしていくと。あるいは、はまれば非常に能力を出せるというふうなことでございます。当社の障害者の特例子会社がございますけれども、百名の重度障害者を雇用しております。そこの社長は今七十、この二月で七十一歳になっております。工場長も七十一歳の方、非常に障害者から慕われて、障害者にできないことはないんだというようなことを職場改善、あるいは仕事の改善をやりながら、そこにもうライフワークとして命を懸けておるというような方がおられます。
 全くこれ違った観点で、私が、人事関係を今三十年間仕事やっておるんですけれども、常々思いますのは、日本の労働法が、明治時代の工場法から始まり、労働者保護の観点が行き過ぎておるんじゃないかなと。労働者の個人の意思あるいは人権とか人間の尊厳というようなことに対して非常に日本の労働法というのは古いことになっておるんじゃないかなと。結果として、働く機会を阻害しているケースも多々あるというようなことで、国会で審議される折にそういう観点も持っていただけたらということで書いております。
 したがいまして、高齢者がどんどん増えていくわけですけれども、社会参画の機会を奪うことなく、やっぱり全ての人が働くことが人間の尊厳であり、その働くことに幸せがあるんだというふうなことを意識して、多様な人が働ける環境づくりというようなことが一番社会として必要ではないかと。
 それと、もう一点、先ほど申しました雇用開発協会のような企業の自主的なネットワークというのは行財政改革に対して私は非常に必要であり、賛成であるとは思っておるんですけれども、一律的に事業仕分という中で、結果として、社会の活力あるいは企業のこういう自主的なネットワークを阻害してしまったというような事例もありますので、よく個々のところにも目を向けていろいろ御支援をいただくようなことも検討いただけたらというのが最後のお願いでございます。
 私の方からの意見は以上でございます。ありがとうございました。
#10
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、飯田参考人にお願いをいたします。
#11
○参考人(飯田泰之君) よろしくお願いいたします。駒澤大学の飯田でございます。
 私、駒澤大学の経済学部で教えるのと同時に、財務省の財務総合政策研究所で客員上席研究員をしております。元々の専門はマクロ計量モデルでして、その意味では、高齢化社会の問題というのは比較的統計的にとらえているのみで、中川さんのように現場の知識というのは乏しいんですけれども、その統計的な側面からのお話というのを中心にさせていただければと思うんですが、まずは、今日は参考人として招致していただいておきながら、僣越ですが、実は今日は陳情をしに参りました。(資料映写)
 高齢者雇用安定法適用の除外縮小によって、現在、希望者全員を六十五歳まで雇用を確保していこうというお話が進んでいる、又は検討をされているかと思います。しかし、これを断固阻止する必要があるというのが今日のお話の枕でありまして、なぜかといいますと、これが、おまけが付いているんですが、現在の経済状況ではということになります。現在の経済状況で、こういった形で、ある程度法規の形で希望者全員の雇用というのを、高齢者雇用というのを促進していくと何が起きるのかというお話につきまして、少し、ここ数年来の論壇の中でのはやりであります経済論壇、又はそれ以外の一般の評論の世界で非常に特徴的になっている定常型社会論のお話をさせていただければと思います。
 定常型社会論といいますと、例えば内田樹さん、また平川克美さんなどの定常社会への提言というのが有名なんですけれども、実際国際的にも、また国内は特に、リーマン・ショック以降、経済成長だけでは様々な人間の幸せというのを達成することができないのではないか、したがって、経済発展だけではなく、より多様な形での行政であったり生活であったり労働の在り方が必要なんではないかといった観点から、経済成長なんてもう要らないというお話、しばしば耳にされることがあるかと思います。
 また、これ、出てきた背景としましては、日本において、失われた十年と言うよりも実際は二十年と言った方が正しいかと思うんですけれども、この失われた二十年というのは、実は仕方がなかったんだと思うための正当化の論理としての成長不可能論というのが登場している。
 つまりは、日本は、例えば少子高齢化であり、又は幸せ、国民幸福度の観点からいって、成長しなくてむしろよかったし、成長なんか到底できなかったんだという考え方、実際、これは長期の経済停滞が生じるとどの国でも大なり小なり登場する考え方です。これをアダム・ポーゼンはポリシーディフィータリズム、政策における敗北主義というふうに呼んでおりまして、現在、例えばアメリカの文脈では、日本に見られたような政策敗北主義が経済政策の手足を縛っているんだという形で提言をポーゼン自身が行っていたりする。
 しかし、この定常型社会、何か美しいイメージで描かれることが多いんですが、パイが一定のときに何が起きるのかというのは、皆さん容易に御想像いただけるかと思います。
 例えば、一定の議員定数の下で自民党の議席数が伸びるということは、これは他党から議席を奪うしかないわけです。ですから、この一定のパイを分配するときに、伸びるためには誰かから奪うしかないということになる。ちなみに、こういった形で、経済学的にはゼロサムゲームと呼ばれますが、一定のものを取り合うという競争、これが日本人における競争感を強く支配している。これ、競争の江戸化といいまして、愛知県立大の與那覇潤という若手の歴史学者が非常に重視する概念なんですけれども、一定の中で奪い合う、一定のパイを分配する場合には、奪い合うという競争しか起きない。
 さらに、パイが一定で更に競争を回避するならば、例えば一定の議席数の配分の下で選挙を二度と行わないならば、これは議席の比率変わりませんので、これは階層の固定が起きるわけです。こういった階層が固定化した社会というのを、レビー・ストロース、文化人類学者のレビー・ストロースは冷たい社会というふうに呼んでいます。「悲しき熱帯」という本の中で冷たい社会と呼んでいます。
 つまりは、定常型社会、経済成長のない社会において何らかの政策を考えるときには、奪い合いか階層の固定、この二つの方向性しか算術的にあり得ないということになるわけです。その中で、現在、先ほど高齢者の雇用継続の促進というのが大きな問題だと申し上げましたのは、一定の労働需要の下で高齢者の雇用を促進するということになったならば、これはどこか、より具体的には若年層の雇用を奪うしかなくなってしまうわけです。
 実は、先ほど中川さんからもお話ありましたように、多くの場合、やはり高齢者が重要な役割を果たし、かつ企業によって積極的に雇用させていくためには、企業全体の事業の成長、事業の拡大というのが不可欠になっています。実際、ダイキンさんですと、売上高で九〇年代以降、リーマン・ショックの年を除いて伸び続けている、そういった中での雇用促進は非常に大きな意味、雇う側、雇われる側に大きな意味を持つんですけれども、現状の平均的な日本企業の場合は、高齢者を雇用するイコール若年層を雇用しない若しくは首にするということであります。
 実際、これを見てみますと非常に特徴的なのは、二〇〇〇年代、労働年齢人口、これは十五歳から六十四歳までを指します、この労働年齢人口は六%減少しました。十年間で六%の減少です。しかし、同時期に完全失業者数は十六万人増加しています。実際、これはピーク時、おととしですね、おととしのピーク時は三十万人増加しています。
 そうしますと、現状の経済状態では、深刻なのは人口減少、つまり労働供給が減少している、だから何らかの形で高齢者又は女性というのを活用していかなければならないというよりも、労働需要が停滞している、つまりは雇いたいという企業の数が減っているというところが大きな問題になっている。
 実際、この世代間格差というのは年金の問題で最近クローズアップされているんですが、実は元々のこの問題の発端は雇用における格差です。若年層の雇用のクラウドアウト、押し出されてしまった場合、若年層にとって非常に大きいのが雇用訓練機会を逸失するということであります。二十代又は三十代の早い時期において訓練又は職能というのを身に付けていないと、それ以降、給与が上昇するその要因がまるでないことになってしまう。つまり、技能がない、そして、私三十六ですけれども、徐々にやっぱり体力が落ちていきますので、体力が落ちて能力がない人ということになってしまう。そうしますと、より深刻な問題としまして、将来時点での社会保障費が増大する懸念がある。つまり、生活保護へのなだれ込みというのが起きる可能性がある。さらには、そういった三十代の生活困窮者というのが増えれば社会というのは不安定化していくだろうと。
 実際、この若年層へのしわ寄せというのについて特徴的なのが次の図です。
 これ「若年無業者の推移」と書いたんですが、失礼しました、これ若年失業率の推移です。大変申し訳ありません。こちら若年層、年代別の完全失業率の推移です。
 実は、若年無業者という統計はなかなか難しくて、統計の取り方によって数値のぶれが大きいので余り使わないんですけれども、この若年の完全失業率の推移について、十五から二十四又は二十五から三十四の層を見ていただければと思います。
 十五歳から二十四歳の完全失業率が全年代平均に比べてかなり高くなる、これは世界中どこでも必ず見られる傾向ですし、戦後一貫している傾向です。これ自体は大した問題では実はありません。御注目いただきたいのは、二〇〇七年以降の黄色、十五から二十四とトータル、赤の動きの違いです。
 かつて、九〇年代まではトータルの失業率の動きと若年失業率の動きというのはそれほど違いませんでした。並行して動いている。どの年齢層も失業が多くなる時期がある。景気が悪いときですね。その一方で、景気がいいときには両方とも低くなる、だったんですけれども、二〇〇〇年代以降、十五歳から二十四歳の完全失業率の分散が大きくなっています。これはどういうことかといいますと、景気の動向によって他年代に比べ若年層の失業率は大幅に変化する。何を表しているかといいますと、これは雇用のバッファー、景気に対する企業側の対策が主に若年層の調整だけで行われている。だけと言うと語弊がありますが、他年代に比べ若年層の雇用を変化させる形で調整が行われていることを示しています。
 一方、その後、供給側についてなんですけれども、労働人口の減少が大きな問題であるというふうに言われているんですが、こちら多くの方、これ聞きますと、労働年齢人口、労働人口の減少はどのぐらいのピッチで進むかと聞きますと、中には二、三%で年率減ると思われている方がいるようなんですけれども、それは少々イメージが過ぎまして、年平均に直したときの労働年齢人口の減少は、二〇〇〇年代は先ほど申し上げましたように〇・六二%の年率、二〇一〇年代はそれより少し上がりまして約一%、二〇二〇年代は少し一段落しまして〇・七%云々といいますと、最も深刻な労働年齢の人口は二〇三〇年代にやってきます。ただし、二〇三〇年代であっても年率に直しますとマイナス一・五%です。
 人口の推移、特に高齢者人口の推移についてはそれほど推計というのはぶれないと思います。これ将来人口推計の中位推計なんですけれども、出生率に比べますとこの年齢のデータというのはそれほどぶれません。
 こういった労働人口の減少に対しまして、労働生産性、一人当たりの生産性の平均的な伸びというのは、これ先進各国ほぼ共通で二%となっています。そうしますと、二〇三〇年においてすら頭数の減少は一・五%、一人当たりの生産性の伸びは二%ですので、効率単位で見た労働人数、労働投入量というのは日本では減少が起きないということが分かります。
 さらには、女性の労働力化率、現在、三十代から五十代女性平均で六九%となっています。そうしますと、これが北欧並みの九割まで上がるならば十分人口減少はカバーできるのではないかと。したがって、現状、特に目先についてですけれども、労働市場に関して注目すべきは、むしろ労働需要が足りないと考えるわけです。
 そこで、高齢者雇用対策というもののためには何が必要かといいますと、これ少しレジュメの方では飛ばしてしまっていますが、高齢者の雇用対策というのは、一言で言うならば、企業が高齢者を自発的に雇いたいという経済環境を導くこと。そのために高齢者が果たす役割というのは、又は高齢者に期待したい役割というのは、むしろ高齢者の労働供給の増加よりも、現時点では高齢者の消費の活性化ではないかというふうに考えられます。
 高齢者の消費の活性化といいますと、これは経済産業省又は厚生労働省等の研究会、幾つも話を出していまして、高齢者に優しい自動車の普及促進、医療生活産業の創出、ロボット、福祉機械の実用化というふうに、いろいろな意見というのがありますが、これは私はいずれも見当外れだと思っております。
 なぜかと申しますと、これらいずれも行政のやる仕事ではないわけです。例えば高齢者に優しい自動車が実際に販売、売れるのであれば、民間が勝手にやってくれます。医療生活産業の創出、例えば高齢者向けの医療生活サービスというのを充実させるためには、医療生活産業において参入規制が撤廃されさえすれば、もうかるなら民間企業はやりますし、もうからないならば国が何を言ってもやらないわけです。まあ補助金を付ければ話は別なんですけれども。
 したがって、是非、いまだに各省庁又は議員の先生の方も、経済政策というと政府がこういった産業をつくってそれを盛り上げていくんだという、これ旧来型の産業政策というふうに呼ばれる視点というのを重要視されますが、この視点ではないんだと、むしろ高齢者がこれまた自発的、率先的にお金を使うような環境というのをつくる必要があるんではないかと。
 ひとつ、高齢者の方々が安心してお金を使える、支出できる環境というのをつくるために、ここでは三つの柱というのをお話ししたいと思います。
 一つ目の柱が社会保障への不安の解消です。社会保障、現在、高齢者の方に伺いましても、今後ずるずると給付が削減されていくんではないか。実際、厚生労働省の方は、又は政府の方はもちろん安心ですというふうにメッセージを発するわけなんですけれども、それが多くの方々にとって必ず信用できる、確信できるというのには至っていないように感じます。こういった給付削減の不確実性というのを減ずるためには、一つは、大きな年金、社会保障の改革として人口構成に依存しない年金システムの構築というのが必要ではないかと、これが一つ目であります。
 次に、もう一つは、使い残しが損になるような税制というふうに書いたんですけれども、現在、毎年日本において八十兆円の相続財産が発生しています。それに対して徴税額は一・四兆円を切る水準です。実効税率に直しますと約二パー弱しか徴税できていないと。事実上、日本においては、これは控除枠の上手な節税法次第になりますけれども、特に脱税に当たるような租税回避を行わなくても、上手に節税すれば事実上市場価格二億ぐらいまでは無税で相続が可能です。市場評価額でです。
 このような状態が続きますと、子孫に対して財産を残すということが非常に楽であり有利であり、かつ税金をそれほど取られないということになる。このようなシステムですと、使い残しというふうに書きましたけれども、高齢者がただ消費をするのではなくて、貯金又は資産として自分の財産を積み続け、消費に回らない、経済活性化に回らないという事態が生じ得る。そのために、この使い残しを避ける一つの方法というのが、広く薄くの相続税というのを課することかと思います。
 例えば世代間相続、つまり配偶者を除く相続に関して一律二〇%の課税、これは決して国際的には不自然な税率ではありません。一律の二〇%課税によって、ごく目の子の試算ですが十兆円の財源が確保できます。さらに、財源確保の上に使い残し、つまり相続が不利になるわけですから、消費の前倒しを後押しすることになる。またさらに、より短期的な視野での消費の先送りに関しては、インフレ期待の醸成が極めて必要である。これは別に高齢者に限ったことではないんですけれども、資産の内訳を見てみますと、高齢者ほどに預貯金又は個人向け国債といった名目固定資産による資産形成が目立ちます。
 この名目固定資産といいますのは、百万円の国債、そしてそれが一年後に百五万円、実際は利付債ではなくて割引債なんですけれども、話を単純化するために、一年後又は数年後に返ってくる金額が固定しているタイプの資産というのを多く持っている。こういった場合、デフレで物価が下がると、表面の金利以上の利回りを得ることになります。そうしますと、やはり消費は後に延ばせば後に延ばすほど得であるということになる。
 こういった不活性資産からリスク資産又は消費へと資産シフトを生じさせるためには、どうしてもある程度の定率のインフレーションというのが要されるであろう。
 実際、労働年齢人口の本格的減少が始まる二〇二〇年代、又は最も激しい二〇三〇年代、この段階で、一つは希望者全員が六十五歳まで働ける、そして六十五歳どころか、六十五歳までではなくもっと現役を続けられる社会というのをつくっていくためには、実際には十分な準備が必要だと。つまりは、景気が正常化し、さらに経済成長の経路に移行するような経済環境というのを整えてあげなければいけない。更に言えば、そういった拡大する経済環境においては、企業側も是非高齢者を雇いたいと考える。企業側が雇いたいと考えてしまえば、これは政策的に何かする必要はなくて、企業が自発的に雇用の継続を選択するようになるわけです。
 そのために、比較的、これは時間視野別なんですけれども、一つは相続税制の見直し、つまり控除枠の縮小というのを一層進める。これによって、現在どちらかというと様々な社会保障財源として消費税というのを中心に検討が進められていますが、現役世代の可処分所得を低下させる、又は生活に困っている、困窮高齢者の生活を脅かす消費税よりも、むしろ消費の前倒しを通じて消費促進効果のある相続税に財源を求めることで経済を活性化していってはどうか。
 また、これは昨日、この資料を作ったのは日曜日でして昨日の日銀の宣言を全く予想をしていなかったんですけれども、より積極的な継続的金融緩和というのが必要である。実際、ゼロ金利といいましても、まだまだ金利には低下余地があります。長期金利には低下余地があります。
 さらに、ステップの三として、社会保障改革によって年金への不安、つまり将来不安を減じることで現時点での消費を刺激するという方法が必要になるんではないか。
 というわけで、私のお話をまとめさせていただきますと、経済環境の正常化により、さらには経済成長により企業が自発的に高齢者を是非雇用したいという環境をつくる、これが実際には最大の高齢者雇用促進策なんではないかというところであります。
 御清聴ありがとうございました。
#12
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださいますようにお願いをいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いをいたします。
 それでは、質疑のある方、挙手を願います。
 梅村聡君。
#13
○梅村聡君 民主党の梅村聡です。
 今日はどうも、中川参考人、そして飯田参考人、本当にありがとうございました。
 まずは中川参考人にお聞きしたいと思うんですが、今日の資料の中でも、高齢者の方が雇用を続けていく、そのための社会保障制度あるいは労働法の整備が必要だという御提言がありましたが、私がぱっと思い付くところは、やはり一番大きな課題としては年金制度があるのかなと。つまり、せっかく働いて稼いでもその分年金が減額されるということが、なかなかこの雇用のモチベーションに労働者側もつながらないという面があるかと思いますが、この年金制度以外で、労働法、社会保障制度で更に整備が必要な点ということがどういうことが考え得るのか、少し具体的に教えていただきたいと思います。
 それからもう一点が、飯田参考人から少しお話がありましたが、要は、高齢者の方の雇用が増えると若い世代がその分押し出されると、その分スキルのアップとかこういうことが二十代、三十代の間は難しいのではないかと、そういうお話がありましたが、こういう点について、例えば技術の伝承ですとかあるいはその教育システムとか、企業の中で取り組んでおられる内容のことがありましたら、まずは中川参考人から御教示いただければと思います。
#14
○参考人(中川雅之君) 年金制度以外でも、申しました労働法で逆に雇用を排除するということはたくさんあるかと思います。
 例えば、我が社も労働局からの指導を受けたりしたのでございますけれども、いわゆる請負とか派遣、こういう制度が一律的に適用されるとかえって若年の働く機会が失われておるというのが今の日本の実態であると思います。
 あと高齢者に関していいますと、私のもう十年ほど前に少し計算した資料で、この冊子の二十五ページに書いていただいておりますけれども、日米の製造労働者の時間割り賃金というのを比較しておりますけれども、一九六〇年当時は日本を一〇〇としてアメリカが七〇〇、七倍ぐらい高かったというようなことでございますけれども、二〇〇〇年には、二千三百円に対してアメリカの二〇〇〇年の賃金は三分の二程度に収まっておると。今現在、七十七円あるいは七十八円というレートで考えますと、多分日本の賃金は更に上がっておるというふうなことでございます。
 したがいまして、今、民主党さんがけしからぬと言うつもりはないんですけれども、最低賃金制度が一律的でありますと、例えば千円の最低賃金ということになりますと、七十八円に対してドルでいいますと十三ドルとかいうことになってくるかと思います。そうしますと、非常に企業は全部雇用を外へ持っていかざるを得ない状態になってくると。
 とりわけ高齢者は、申しましたように個人差が多うございますから、一律的なさじじゃなしに、本人が働き方を選択して賃金も契約的な概念がもっと入れば、ふさわしい賃金というものを選べるんじゃないかなというようなことが一番大きな課題としてあるんじゃないかなと個人的に思っております。
 二つ目は何でございましたですか。
#15
○梅村聡君 二つ目は、若年者の方がスキルアップが難しくなったり、あるいはキャリアアップが厳しくなるのではないかと、高齢者の方が雇用されますと。その辺りについて、社内の中で、例えば技術の伝承制度であるとか教育システムであるとか、そういったものがきちっと構築をされているのかどうか、この辺りをお聞きしたいと思います。
#16
○参考人(中川雅之君) 若年の就業能力の向上ですけれども、これは、社内での就業能力の向上には当然伝承として非常にきめ細かく進めております。
 一方、我が社、グローバルの展開が多うございますので、私は今、タイトルにはグローバル人材何がしと書いておりますけれども、ほとんど我々の学生時代の教育は読むことが中心でございましたので、海外に行ってもしゃべることができないと。それに対して今の若い人は、学生時代に三か月ないし二年程度は留学している方が多うございますので、ダイキンに来る人は非常に会話力堪能で、時代とともに自分でも非常に職業能力の向上というのをなされているというふうに感じております。ちょっと抽象論ですけれども。
#17
○梅村聡君 それでは、次に飯田参考人にお伺いしたいと思うんですが、一枚目のスライドで、高年齢者雇用安定法適用除外縮小による六十五歳までの雇用確保は断固許してはいけないと、ちょっとセンセーショナルな見出しがあるんですが、ちょっと認識の確認なんですが、そもそもこれは今回初めて出てきたような考え方ではなくて、要するに年金支給年齢が上がっていく、それに対して現時点でも継続雇用されている方がおられて、その穴埋めをする、そういう内容だと思うんですね。そうしますと、実質的な数からいえば、我々が持っているデータでは一万人も行かないのではないかなと。つまり、それだけの穴を埋めるだけでも若年者への圧迫ということが現実的に起こり得るのかどうか。恐らくメッセージとしてそういうことがなるのではないかという御懸念かとは思いますが、実質、我々の認識ではここで特別打撃が生まれるとは考えておらないわけでありますが、それは実質の話なのか、あるいはメッセージとしてこういうメッセージが出ることが困るのか、その辺りを教えていただきたいのが一点であります。
 それから二点目は、支出が得な環境をということで九ページ目に書かれておられますが、年金制度については人口構成に依存しないシステムということは、これは非常にこれから考えなければいけない課題なんですが、もう一点、ちょっと今日話題には出なかったんですが、医療保険、日本は国民皆保険ですけれども、この医療保険という仕組みが、私医療者なのでちょっと肩入れするかもしれませんが、高齢者の安心の非常に大きな防波堤になっていると思っておるわけですが、この医療保険に関するお考えを是非教えていただきたいと思います。
#18
○参考人(飯田泰之君) 梅村先生御指摘のとおり、まずは最初の部分は、こちらのスライドですね、これは一つはメッセージではあるんですけれども、現在、若年層を中心に、報道はほとんどされないんですが、デモが非常に頻繁に行われるようになってきていて、学生とかはそろそろ結構デモ慣れしている子とかがいるんですね。そのデモの一番大きなポイントというのは、様々な政策というのがまるで若年層のことを考えていないではないかと。つまり、我々の世代は見捨てられているという感覚というのが非常に強い。その中で、若年層については、雇用の話でそのスケールを大きくする話は一切されず、せいぜい、何といいますか、頑張れといった話か、若しくはせいぜい再訓練の話がされるまでに対して、六十五歳以上については雇用継続の義務化ということになると、若年層を中心とした我々の世代は見捨てられているという感覚を更に強めることになってしまうと。これは、社会保障又は行政全般への不安というのを、また不満というのを拡大することになるかと思います。
 もう一つ、支出が得になる環境という話に関しての、次は医療保険についてなんですけれども、実は医療保険については、現在、国民一人当たりの医療費と平均寿命というのを比べると、これはごく簡単な回帰分析があるんですけれども、日本の医療保険システム、国民皆保険システムというのは極めて医療費支出を抑える、一人当たりの医療費支出を小さくする効果を生んでいることが分かります。えてして、ごく浅薄な自由主義的な意見、リバタリアン的な意見ですと、これも民営化すれば効率的になるという話をされるんですが、実を言いますと、民営化されているどの国よりも日本は一人当たりの医療費、安く、かつ平均寿命は御存じのとおり高い国です。
 その中で、医療保険について私が常々思っていますのは、一つは、医療費の拡大に歯止めを掛けるということであれば、例えばごくごく低額又は定型的な業務、物すごく単純に言ってしまえば風邪みたいなものですね、そういったものについての負担、自己負担分というのを増やす代わりに、ある程度重篤な病気又は継続的な治療が必要な病気についてはより抑えるといったふうに、定型業務と非定型業務、医師にとってのですね、によって患者の自己負担分というのを差を設けたらどうかというのを常々思っております。
 現在、どうも負担分に応じて、医師にとって大変なことは自己負担分も大きいことということになってしまいがちなんですが、これはある意味、今後ますます高齢化が進んで医師の実質的な人手が不足していく中で考えていかなければならない問題なのではないかなと考えております。
 以上です。
#19
○梅村聡君 ありがとうございました。
#20
○会長(鴻池祥肇君) 次に、関口昌一君。
#21
○関口昌一君 自民党の関口昌一です。
 今日は、中川参考人、飯田参考人、本当にお忙しい中、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。もう限られた時間での質疑ということでございます。
 まず、中川参考人にお伺いいたします。
 昨年、本調査会に参考人としてニトリの社長さんの御意見を伺いました。良い家具をより安く消費者に提供するという経営方針を徹底していったら、国内で家具を仕入れるんではなく、海外に現地工場を造って輸入するというビジネスモデルに達したというふうなお話を聞かせていただきました。
 当社においても海外で事業展開されているということ、アメリカ、ヨーロッパ、中国、アジア、オセアニアでも非常に収益を上げているということでありますけど、今、現状は円高、更に非常に厳しい経済環境があるわけでありますが、当社においての円高対策、またビジネスモデル、海外戦略について、個人的にどのように考えているか、御意見を聞かせていただければと思います。
 そして、九一年から高齢者の雇用に取り組んできたということでありますが、これに至った経緯、高齢者雇用を重点的にということに至った何か理由等がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
 さらに、飯田参考人からもちょっと御意見があったんですけれども、高齢者雇用と対を成す若年者雇用について、結局、一般論でいくと、雇用について、高齢者雇用を手厚くすると若年者雇用に影響が出るという状況の中、当社において高齢者の雇用と若年者の採用のバランスをどう考えているか、新規の採用はどのような対応をしているのかということもお話を聞かせていただければと思います。
 次に、飯田参考人にお伺いさせていただきます。
 ちょっと年金のことで、我々自民党は現行案を修正してということ、また、政府・与党は最低保障年金という形で、考え方がちょっと違うところがあるのでありますが、飯田参考人は、伺うところによりますと、独自の年金制度改革を考えていると。五十歳以上は現行の制度を維持して、五十歳以下は事前積立ての方式というような話もされておりましたが、その辺もちょっとお聞かせいただきたい。いろんなちょっと問題点が、途中から制度を変更するというような問題点もあるし、また、特例国債で対応するというようなことで、財源的に大丈夫なのかということもあるかと思いますが、簡潔にお聞かせいただければと思います。
 以上です。
#22
○参考人(中川雅之君) 海外の事業戦略というお話でございますけれども、私、専門でございませんので、専門でないというか、自社のことをもちろん皆さんよりは知っておりますけれども、うまく説明できるかどうかちょっと自信ございませんけれども、まず、今の生産地、販売の近くで物をつくるというようなことはもう基本的な事業の戦略になっております。あるいは、もちろん、安い物、ヨーロッパで売るルームエアコンはタイで作ったものを売っておるとかということがありますけれども、中国で作ったものは中国で売るというふうなことをやっております。一部、ニトリさんと同じように、日本で売るフラッグシップじゃない安い機械、量販店さんなどで三万九千八百円ぐらいですか、出ておるような機械は中国の提携先の格力電器さんから供給を受けております。
 というようなことで、やはり経済合理性があって、安いところから仕入れて適正な価格で売るというふうなことになっておりまして、輸送費も含めた現地に近い、市場に近いところで作って売るというのが基本でございます。
 日本で作る機械、あるいは海外で作る機械もそうなんですけれども、労働力こそ入ってきませんが、機械の部品、これについては六割、七割、もう少しかと思いますが、汎用部品等を中心にしまして、海外の、特に中国、あるいは東欧での安い労働力で作った部品をたくさん輸入して、輸入の今拠点はシンガポールの後タイに移したかと思いますけれども、国際調達をもう二十年前ぐらいからやっておりまして、為替の影響を逆に受けないといいますか、というふうな政策も取っていこうとしておるのが今の日本のメーカーの現状かと思います。したがいまして、一から十までメード・イン・ジャパンで物をつくっておるということは日本の製造業ではまずないというふうな状況になっております。したがいまして、雇用というものに関しましても非常に、思う以上に海外に流れておるという認識を持っております。
 二つ目、高齢者雇用の方針ですけれども、資料の御説明のときに少し申し上げましたが、当社の実力主義、あるいは、やはり実力主義というのは、会社で働く人たちが会社から認められる、あるいはお互いに認め合うことが実力主義であると考えております。雇用、労働は社会保障や福利ではございません。働いて、自らがもうけて、そのことによって認められるということが、お互いに認め合うようなことでの実力主義というのはどんどん進めるべきであると考えております。
 一方、その人たちが長期的な雇用と安心感でもって自ら成長できるというようなことでありましたら、いつになっても不安がないということが日本の雇用の特徴でございますので、実力主義を、先ほどちょっと、三ページ目ぐらいだったと思うんです、本文の九ページですか、昭和五十二年、あるいは平成二年、あるいは二〇〇〇年というような形で、実力主義を進めると同時に高齢者雇用というのをバランスさせてやってきたというのが当社のやり方であると認識しております。
 それと、若年雇用への影響ですけれども、これはもうシンプルに申し上げて明らかにあるというふうに思っております。ただ、先生にも言っていただきましたように、事業の拡大ということをやりますので、事業の拡大の中で高齢者も雇用しながら、更に今も年間三百人以上の採用を行っておりますけれども、そういう雇用を継続しておるというふうなのが実態でございます。
#23
○参考人(飯田泰之君) 年金について御質問かと思いますが、社会保障と税金につきましては、非常に有名なワニの口と呼ばれる理論がありまして、ちょっと、こんな波線にはなっていないんですけれども、社会保障というのは現在も、そして今後、比較的急ピッチな、上の方の線で伸びていく。その一方で、過去二十年の実績を見ますと、税収の方はほぼ一定のところを行ったり来たりしてきております。この二つを見ますとワニの口が開いているように見えるので財源のワニの口というふうに俗に言うんですけれども。
 これを閉じるときに、現状ですと、政府案もそうですし、自民党案の方も、どちらかというと増税によってこの口を埋めようと。しかし、増税によって口を埋めるというのは、この下の税収の部分のレベルの変化にすぎないわけです。つまり、増税によってこれを一旦、こういったちょっと上の水準に上げてやると。しかし、一時的にバランスをさせたとしても、税収の伸びが一定ならば、いずれまた口は開いていくわけであります。したがって、増税によって、つまり税収の伸び率を変えないで口を閉じたとしても、実はこれは問題を先送りしているにすぎない。確かに喫緊の課題として口を閉じる必要があるように感じるのは間違いないんですけれども、非常に実感としても感じられること多いかと思うんですが、実は増税は一時しのぎの策にすぎないんだと。
 では、どうするかといいますと、一つ、例えば実際にそういった御主張の政党もあるかと思いますが、この税収の方の傾きというのを上げていくという主張があり得ます。これが大体名目で四%強の成長があるとこの口は閉じるであろうというふうに言われている。一度口が閉じてしまえば、いずれどこかの将来時点でこの口は閉じるということになりますので、一見増税こそが本質的な解決のように見えて、実はこの問題の場合は増税がその場しのぎの解決で、逆に少し経済成長を上げる方が本質的な長期的な解決なんだという点が一点。
 ただし、どうしてもこういった経済成長というのは、リーマン・ショックがあれば、又は、そこまではまだ分かりませんけれども、ユーロ圏の経済に何か大きな事件があれば、どうしても下がらざるを得ない。これは、日本国内だけで解決できる問題以外のところで景気というのは悪くなることがあります。そのたびに税収が、いわゆる社会保障の財源が不足するという事態を避けるためには、元々この税収といったものを使って社会保障を手当てしていくという考え方そのものを改めた方がよいのではないか。
 関口先生御指摘のとおり、私自身の提案は積立方式への移行です。積立方式への移行の細かな試案につきましては、内閣府の経済社会総合研究所からディスカッションペーパーが何本か出ておりまして、厚生年金に限定いたしますと、厚生年金掛金の固定、現時点の段階での固定と、年間の財源が十兆円からせいぜい十五兆円、これは推計次第なんですけれども、といった財源で達成可能です。一時的な財源の手当ては別建ての、年金の特例公債、現在、国債は、建設公債と毎年毎年いろんな名前の法案が出てくるあの特例公債、この二本立てですが、通常、毎年の特例公債は、平成例えば何会計年度何々経済活性化に対する何々何とかの何とか特別法という名前が付いているんですが、それを例えばもう年金限定の形の特例法を通して、それを百年掛けて償還していく。
 例えば英国の場合は、こういった年金改革に関して使った債券はコンソル債という無限期間債という方式です。永久に返さないんですね。金利を払い続けるだけです。このコンソル債が本当は理論的にはよいんですけれども、コモンウェルス諸国は比較的コンソル債の伝統がある。英連邦諸国はコンソル債を昔から使ってきたんですが、日本では余り市場になじみがないので、学習院大学の鈴木亘先生たちはしばしば百年債という主張をされています。
 このようにして、何らかの形で、一つは口を閉じる、税収の方の傾きを大きくしてあげることで将来的な口を閉じるか、そもそもこの二つを比較するということをしないと財源が確保できないというシステム自体を見直すか、どちらかにしか私は答えがないと考えております。
#24
○関口昌一君 いろいろ御意見ありがとうございました。
 年金制度に関してはまたこちらも意見もあるんですが、今日は参考人として意見を聞かせていただきました。ありがとうございました。
#25
○会長(鴻池祥肇君) 秋野公造君。
#26
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。
 今日は、中川先生、そして飯田先生、お忙しいところをありがとうございます。
 お二人に伺いたいと思います。私、まず、中川先生の「賃金処遇も「一物一価」に還る」というあの論文、非常に興味深く読ませていただきました。御社においては、若い方の給与を一つの評価の尺度として考えるときに、年齢給、勤続給、職能給、様々な要素でつくっているこの六十歳、あるいは六十歳までの給与が、それを超えてくると五百四十万一律ということになっているんですけれども、お話を聞くと、高齢者の方々にも職能給みたいなものを付けて評価をすることも大事なんじゃないかと思ったりする一方で、若い人に対してもこの年齢・勤続・職能給というのを六〇対四〇から四〇対六〇に下げていくような改革というのがずっと行われてきているわけですが、一つ目の質問は、高齢者も何らかの差を付けていくことというのは重要ではないかということ、それから、若い人の給与も高齢者のように定額になっていくような方向性にだんだんなっていくということを想定しているのか、これが一つ目の質問です。
 それから、二つ目の質問ですけど、梅村委員のと重なるかもしれませんが、高齢者を雇うことによって若年者の人材育成の体制というものは分厚くなったか、以前との比較ということで教えていただけたらと思います。
 最後は、ちょっとお考えだけ聞かせていただけたらと思います。終身雇用に近い雇い方の方がよろしいとお考えになっているか、それとも人事というのは流動化することがいいとお考えになっているかということを教えていただけたらと思います。
 それから、飯田先生の方には、先生から今日の講義の中で日銀の対応についてコメントがあるかと思っておりましたが、ありませんでしたので、恐らく今日、ここに座っている全員がそれについて先生からコメントをいただきたいと思っていますので、私の方から聞きたいと思います。
 日銀の対応についていかがお考えでしょうかということと、先生の最後の方のスライドで、この継続的金融緩和、インフレの目標政策を置くということですが、このインフレの率、インフレーションターゲットに賛成の立場から、何%ぐらいを置くことが妥当なのかということを裏付けも含めてちょっと教えていただけたらということと、最後に、金融緩和競争、海外との金融緩和競争に勝ち抜くための手のうちを明かしてはいいかどうか分かりませんが、について一言コメントをいただけたらと思います。よろしくお願いします。
#27
○参考人(中川雅之君) まず一点目の年齢給、勤続給等のお話でございますけれども、私が入社しました一九八〇年代は六〇対四〇で、六割は年齢とともに上がっていくということで、誰でも新入社員が今の給料の基準でいいますと二十万円ぐらいの初任給で入れまして、誰でもが四十万ぐらいの給料になっていくという時代がございました。その四割の職能給部分は差がございましたですけれども、その一律部分が六割もあったというふうなことで、それを、一九九二年ですか、に四〇対六〇、逆転させまして、一律部分を減らしたと。
 二〇〇〇年には全部一律部分を排除しまして、まあ二十万から下げることはございませんけれども、十年間で三十二歳ぐらいになりますと、二十万から給料が二割程度上がって二十五万か二十三、四万で止まっている方がおれば、一方で、十年で四十万を超えるような給料をもらっている人がおると。今、基幹職と呼んでおるんですけれども、世間で言う管理職になれば、同じ三十歳前半で五十万、六十万という給料をもらっている人がおるというのが今の我が社の実態です。
 この格差は、製造業、あるいはほかの会社に比べて非常に大きいと認識しております。ですから、優秀な方には高い給料を出すけれども、平均的に上げていくというふうなことは、我が社の実力から、会社の力ではできないといいますか、国際的な標準の中では普通ではないかと思っております。
 高齢者にそういう制度を導入するかということに関しましては、長年の懸案でございまして、数年前にも私自身が検討しましたけれども、もう年金をもらいながらというようなことであると、非常に年金制度が邪魔になるというふうなことで、抜本的なことはできておりません。ただ、二〇二五年、あるいはもう少し財政が悪くなると二〇二〇年ぐらいには六十五歳までは年金がなくなると思いますので、そこでは急ピッチで高齢者にもその労働にふさわしい給料をお支払いしていくというふうなことを考えていきたいと思っております。
 二点目の人材育成の体制ですけれども、これは高齢者が面倒を見るということだけじゃないんですけれども、やはり日本で最先端の、先ほど言いました技術、あるいは日本でしかできない複合技術というものを日本で残していくというのが、そういうものしか残っていかないと考えておりますので、OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニング中心での人材育成が、これが一番大事だと、今でもトップ以下考え方は変わらないんですけれども、研修所を造りまして、そこで技能、あるいは技術、あるいは人材育成、経営理念等の浸透というようなものを積極的にやっていこうというようなことで、四年ほど前に数十億を掛けた研修所の充実なんかもやって、非常に人材育成こそが今からの柱であるというふうに考えております。
 三点目、終身雇用か流動化がいいのかということに関しましては、これは物々でございまして、最先端の技術をやる方、あるいはそういうこと。
 同一労働同一賃金ということをよく審議されたり、あるいは一般的に学者の方はおっしゃいますけれども、決して同一労働という労働はないと考えております。同じエアコンを作っておりましても、ダイキン独自の作り方、開発の仕方、そのことによって付加価値が、投入される資源以上に付加価値が高ければ生産性は高うございますので、そこを伝承していくということでは、そういう人たちの終身雇用と、あるいは心のケアも含めて、安定性というのは非常に大事かと思っております。
 ただ、一方、現実場面では、短期の雇用でありましたり、あるいは、いわゆる単純労働的な雇用に関しましては、どんどん外へ逃げていくというのが日本の今の物づくりの現状でございまして、一律的に終身雇用を法制化したところで、企業が成り立たなくなる、あるいは労働自身がどっちかといいますと、これはよく社内でも叱られますのであれなんですけれども、議事録残りますけれども言いますと、労働組合が既得権を非常に大事にしていただくのは結構なんですけれども、こだわり過ぎて企業の発展の邪魔になるというようなことがあってはならないと思っております。そういう意味では、終身雇用というのは大事だとは思いますけれども、全てが終身雇用でなければならない、あるいは契約社員を五年間契約すれば期限の定めのない雇用に切り替える、自動的に切り替えるべきであるというのは、本当にその人たちも望んでいるのかなというふうなことも思っております。
 ただ、人の親として、皆さんもそうでしょうけれども、我が子は安定的に終身雇用してもらいたいという気持ちはあるのは否定しません。ただ、もっと日本の雇用制度、労働法制については、選択肢とか人格とか人権とか、そういうふうなことから労働者にももっと選択肢があるんだと、あるいは企業にとっても非常に柔軟性が担保されるんだということが必要であると思っております。
 以上でございます。
    ─────────────
#28
○会長(鴻池祥肇君) 質疑の途中でございますが、この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、尾立源幸君が委員を辞任され、その補欠として田城郁君が選任されました。
    ─────────────
#29
○会長(鴻池祥肇君) 引き続き、よろしくお願いいたします。
#30
○参考人(飯田泰之君) 秋野先生から発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 昨日の日本銀行の事実上のインフレーションターゲット宣言というお話なんですけれども、実を言いますと、この事実上のインフレーションターゲットという奥歯に物の詰まったような言い方をするのは、元々、その前のFOMC、公開市場操作委員会でのアメリカの事実上のインフレーションターゲット化というのが前提にございます。
 なぜインフレーションターゲットと言わずに事実上のを付けるかといいますと、通常のインフレーションターゲットは、法律で定め、目標を政府が決定し、そしてそれの未達に関してペナルティーが中央銀行側に科される、これが一番典型的ですが、そこまでではなくても、例えば目標は中央銀行と、場合によっては、よくあるパターンでは大蔵大臣、財務大臣ですね、が協議して決定しとかという、多少の差はあるんですが、法システムとして成立しているものを通常はインフレーションターゲットといいます。しかし、FRBが実行しましたインフレーションターゲットは、FRBが勝手に二%と言い、勝手に達成期限を定めそれに向かって何かをしますという制度なので、インフレーションターゲットではなく、事実上のが付くわけです。
 ただし、アメリカのインフレーションターゲット宣言は、実際に外為市場でドル安方向に誘導し、長期金利を引き下げました。その日だけで結構大きく引き下がりました。その一方で、なぜそのFRBの政策が実効性を持ったかといいますと、ドクター・バーナンキは、学者、プリンストン大学の教授時代から、長期停滞には超金融緩和が必要であり、超金融緩和によってそういった不況状態から脱出できるという議論の理論的支柱であります。さらに、FRB就任以降もインフレーションターゲットが必要なんだと繰り返し主張し、リーマン・ショック以降はFRBのバランスシートを二・五倍にして対応し、そしてインフレーションターゲット宣言の日には同時に一四年度いっぱいまでのゼロ金利の継続を主張した、さらには今後もまだまだ金融政策の手段はあるというふうに言ったわけです。そうしますと、アメリカのマーケットというのは、マーケットは、これはFRBは本気であろうという確信を持ってポートフォリオの組替えを行うことができます。
 実際、インフレーションターゲットが法律又は法システムとして必要とされるのは、法律で定まっているのだからこれは必ず実行されるであろうという確信の度合いを強めるためであります。今次のFRBの場合は、法律になっていなくても、議長がドクター・バーナンキで、現在、どうも委員会も傾向としては掌握しているみたいだという状態だと、法律になっていなくても皆さん確信を持ってポートフォリオを組み替えられる。
 その一方で、昨日のマーケットの反応、実際、不動産関連株又は輸出関連株の一部に値動き見られまして、今朝からも日経平均堅調なんですけれども、いまいち大きな効果、FRBのときのような大きな効果がないのは、実を言いますと、まず、日銀総裁又は日銀自体がずっと金融緩和はこれ以上やっても意味がないと言い続けており、二〇〇〇年と二〇〇六年には安定的なインフレになるまでゼロ金利は継続すると言っていたのにデフレのままゼロ金利を解除し、又は量的緩和を解除し、そして、昨日の宣言においても、これは現在の枠組みとそれほど大きく変わるものではないんだと。ごく短く言ってしまうと、別に新しいことはやっていませんというふうに言ってしまう。
 さらに、十兆円の追加枠につきましても、現有の九兆円の追加緩和枠、使い切っていないんですね。九兆円の緩和枠のうち三兆しか使い切っていないが、枠だけ倍にしましたと。この状態ですと、マーケットの中には、しかしアメリカもやったので今度こそ日銀は本気だろう、又は、例えば先生方も多くかかわっていらっしゃるかと思うんですが、様々な議会の動き又は政党の動きからして、日銀は今回こそは継続的な緩和をせざるを得ないだろうと考えるグループが半分、昨日のマーケットエコノミストの反応を見ますと、半分は今回こそは本当だろう、そして、もう半分は今回も二〇〇〇年と二〇〇六年と同じで口だけだろうという反応が混じっている状態です。
 実際のところ、これは年金制度でもそうですし、財政政策でもそうですし、又は課税、社会保障、実は何でもそうなんですけれども、多くの経済政策というのはそれが継続されるのか、それとも今年限りなのかによってまるで効果が変わってきてしまいます。全てがというわけではありませんが、概して継続されるということが民間に信認されている政策は実際に効きます。その一方で、どんなに心の中で又は政府の中で継続する気でいたとしても、マーケットがこれは今年限りの措置であろうと予想した政策は額がどんなに大きくても効きません。
 その意味で、今回の金融緩和せっかくやるんであれば、より民間にコミュニケーションする形でできればよかったんじゃないかなと思います。
 ちょっと長くなりまして済みません。
#31
○秋野公造君 ありがとうございました。
#32
○会長(鴻池祥肇君) 次に、寺田典城君。
#33
○寺田典城君 どうも寺田でございます。よろしくお願いします。
 中川参考人と飯田参考人、どうもありがとうございました。勉強になりました。
 それで、中川さんのダイキンさんのあれなんですが、再雇用が九〇%ぐらいの再雇用率ですね。今、生涯現役時代とかという話も出ています。その中で、九〇%高齢者をそのように採用することによるメリットですか、若年者にどのような影響を与えるのかですね。
 私思いますには、日本の国というのはどちらかというと文化的に何というか考え方がハッピーリタイアというのがなくて、お年寄りがどこまでも働いていくというのは若年者に物すごい影響すると思うんです。これは日本の文化とそれから教育もそれは大きな問題があるんじゃないか、生涯学習的に早くできるだけリタイアして人生楽しむという欧米的な考えをどうやって持たせたらいいのか、その辺も含めて、御社は海外に六〇%ぐらいの仕事を持っていらっしゃるので、その辺の考えどうなっているかをお聞きしたいと思います。
 あと、飯田先生は、私は秋田なんですが、高齢化率が約三割行っております。二〇二〇年は日本の国も三〇%近くなりますけれども。現在、年金、何というんでしょう、社会保障費が百兆円といっておりますね。日本の国がピークのときは一九九〇年、約五十兆円ぐらいだったと思います。今は百兆円と。公費でどのくらい負担しているかというと、約四十兆円弱だそうなんですが。ところが、税収からいくと、国税で四十数兆円しかない、地方が三十数兆、七十何兆円しかないのに公費で四十兆円近いお金を出して、それから、公務員が今、調べてきましたら二十七兆円、地方と国との公務員の給料が。そうすると六十七、八兆円が、お金、基礎的に使われてしまうと。その中で、何とか増税をせずに考えていかなきゃならぬというお話もありました。もちろん相続税の話もあるわけなんですが。
 そういう点で、今の、一九九〇年は高齢化率一二%、現在が日本の国二三%ぐらいですか、それから二〇二〇年が三割ですね。ますます高齢化する事態の中で、果たして新しい切り口を、年金は積立方式だとかって切り口を出してくださったんですけれども、それこそ持続可能な経済でやっていけるシステムというのは、飯田先生、どのようにお考えになっているか、社会保障費も含めてですね、医療費も含めて、それを一つお聞きしたいと思うんですが。
#34
○参考人(中川雅之君) ちょっと、九〇%の再雇用率ということで御報告申し上げていますけれども、今現在、定年六十歳を迎える方は大体年間百人前後です。団塊の世代のときは最高で百五十人弱まで行ったかと思うんですけど、今百人前後ですので、それの九〇%、九十人ぐらいは雇用しておるという状況ですから、先ほど申しました新入社員を三百人ぐらい採用しておりますし、先生がおっしゃるマクロの経済成長の話と一緒で、企業の成長があればそういう雇用を吸収できておるという実態がございます。その上で、メリットのあるケースと、やはりどちらかというと、雇用を維持すること自身が目的になってしまっているようなケースがあるのも事実です。
 メリットといいますのは、やはり一つは、本当にベテランの力を使えるという意味で、先ほど言いました工場の立ち上げとかのケースでも、弗素の化学プラントは今、大阪と鹿島と中国とアメリカにあるんですけれども、中国のプラントを立ち上げるときには六十歳を超えた方が、昔、鹿島の建設をやったのでそのノウハウを持って立ち上げたとかというケースがたくさんの海外出張者を出したというようなことがございます。
 そういうケースと、それともう一方、メリットとしましては、この資料の中にも、我が社の相談役の山田という、相談役の記事が載っておりますけれども、これは今の高齢・障害者雇用支援機構ですか、の援助も得て、作業姿勢を非常に見直したと。工場の作業姿勢の見直しを広島大学の先生なんかに来てもらってやったと。結果、今ですけれども、若い方も無理な姿勢をせずに、高齢者が楽だということは若い人も楽であるし、生産性も高いというふうなことになっております。一個流しで大きな機械から小さな機械、同じラインで流れてまいりますもので、機械の大きさに応じて作業者の立っている立ち位置の台が上がったり下がったり、エレベーター式に上げたり下げたりして、同じ目線で大きさの違う機械の組立てができるというようなことも結果として今、我が社の堺の工場ではそういうラインもございます。
 ということで、高齢者の負荷を考えることによって生産性が上がるというのもメリットの一つかと存じます。
 ただ一方、警備なんかは社内でやっておるわけですけれども、これ、どうしても現場に付いていけない、スピードも速くなってきますし、私もそうなんですけれども、細かいものが見えなくなりますもので、組立て作業にも非常に障害が出てくると。そうすると、高齢者の職場として警備なんかをやってもらっているというようなケースが出てきます。それはどちらかというと雇用をつくるという観点かなと。ただ、先生おっしゃったように、そういう姿を若者が見て、あっ、ここの会社というのは従業員に対して最後まで、まあ言えば裏切らずにやってくれるんだなという安心感が持てているというようなことがあるかもしれません。
 したがいまして、長い人生ですから、時々、いろんな方がおられると。その個人の状況に合わせて働けばいいんだというふうなことも、少し他のメーカーと違うかなと思います。
 御参考までに。平成三年に育児休業法ができますときに、ダイキン工業はもう育児休暇という名前にして、女性の勤続を通算するよということですとか、子供ができたら、もう当時は画期的、今はもう当たり前なんですけれども、六歳まではフレックス勤務、短時間勤務を平成三年から選択できるよというような形にしましたので、私事でございますけれども、我が配偶者は十年間短時間勤務をして今はまた原職で仕事をしておるというようなこともありますので、それぞれの状況に応じて、長い一生の中でバランスしていくんだというふうなことで我が社の雇用政策があるかと考えております。
 答え、よろしゅうございますでしょうか。
#35
○寺田典城君 はい。
#36
○参考人(飯田泰之君) 維持可能な社会保障システムというお話でしたが、実を言いますと、現在、社会保障というのを何だととらえるかについて、重大な岐路に差しかかっているかと思います。
 現在、老齢基礎年金、給付が二十兆に対して掛金は十兆円、その差額である十兆円を税金によって補填している状態です。これは実はよく考えますと非常に不思議な制度ではありまして、現役世代に老齢基礎年金を支払うことができた、つまりは、比較的経済的余裕のあった人に対して毎年十兆円公費で補助金を出しているわけです。そうしますと、これは阿部彩社人研部長ですね、阿部彩先生の研究に詳しいですが、日本というのは極めて特異な国で、税金を取って社会保障給付を行うと不平等度が上昇してしまいます。これは極めて変わった国なんですね。
 そうしますと、現在の年金というのは何なのか。例えば、積立年金であればこういったこともあり得る。つまり、積み立てたものを将来返してもらっているだけなのだから、積み立てなかった人には渡しませんという割り切りが可能になります。その一方で、税金を投入するのであれば、これは格差や生活支援なわけですから、これは全ての国民に対して給付をする義務を負うことになるはずです。ですから、例えば現在、政府・与党から出ておりますといいますか、マニフェストの段階から出ている最低保障年金というのは、むしろ社会保障給付というのは生活のためにあるんだという考え方になる。そうしますと、この掛金方式というのは非常に非合理的なシステムということになります。
 現在、社会保障どちらに進むのか、どちらに進むのがよいのか、つまりは生活保障なのか積立てなのか。実を言いますと、経済学というのはこれを判断する学問ではありませんで、ある意味、どちらにするかは国民の選択かと思います。決められた、例えば積立方式でいきます、又は、そうではなくて生活支援のスタイルでいきますというふうに決まった後に、じゃ幾ら掛かるという話、又は効率的な財源の確保法は何ですかというのに答えるのが経済学だと、まあそれは僕の経済学の理解なんですけれども。
 その意味でいうと、社会保障については、少し大所高所というと変ですけれども、大方針を定めてからではないと動けないと。現在、自民党の方々が中心、又は野党が現在の政府素案というのを非常に強く批判している一つの原因は、じゃ結局どちらに進むのか、又はその進む方針というのについて国民の了承が得られているのかが分からないではないかという御批判なのかと思います。
 では、もう一方、高齢化率が三〇%の状態において社会が維持できるのかという問題ですけれども、これは、産業が現在のまま進めばこれは非常に難しい又は不可能だと思いますが、産業構造というのは、そこに賦存している労働資源というものによって勝手に変わっていくものではあります。つまりは、ある程度の健康で若い男というのを必要とする製造工業中心又は農業中心といったところから、次第に第三次産業、実際に第三次産業、さらにその中でも体力的な負担が少ない、先ほど中川さんのお話にもありましたけれども、教育であるとか継承といった部門については六十代は決して高齢者ではないはずなんです。下手したら七十代ですら高齢者では全くないと私は思います。そういった体力負担の少ないタイプの第三次産業、サービス業というのに産業構造自体がシフトして、これは政策的にさせるではなくて、実際にシフトすることでこの三〇%台の高齢化率というのには対応していくことになるんだと思います。
 その際に、やはり、例えば体力負担がない、例えば医療でも介護でもそうなんですけれども、医療の世界、介護の世界、非常に大きな体力負担があります。しかし、その一方で、大した体力負担がないけれども医者又は介護士さんがやっていることというのがあるんですね。これは何かといいますと、要するに書類仕事の面です。そういったものを分離して把握できるような規制緩和であるとか、又は例えば医師の仕事の中でもこれだけをするお医者さんみたいなもの、専門医化、又は看護婦、看護師さんの中でも職能の分割化というのを自由にやってよいと。ここの業務までは資格がなくてもできます、ここから先は絶対必要ですといったふうな形で規制を緩和していくことによって、高齢者又は体力的に強くない人々というものの雇用というのをつくっていけるんではないかと思います。
 以上です。
#37
○寺田典城君 もう時間でございますので。
 どうもありがとうございました。
#38
○会長(鴻池祥肇君) 続いて御発言のある方、挙手願います。
 岸宏一君。
#39
○岸宏一君 飯田先生に御質問いたします。
 先生から、おととし、林芳正さんの会で大変楽しい話を聞いたことで非常に親しく思っておりますが、今日もいい話を聞かせていただいて、ありがとうございます。
 ただ、一つ先生に御質問申し上げたいのは相続税の問題なんですけど、十兆円の財源を確保するということ、これ、例の一体改革、税との、などでもこれ話になっておるようで、早速新聞ではやや乱暴じゃないかといった議論も出ているようなんですね。それで、どうでしょう、今の制度での相続税の体制と、先生が今考えられておられるこの十兆円の財源を生み出す方法、これちょっとお聞かせ願いたいんですが。
 問題点として私が直感的に感じるのは、大都市に何十年掛かって家を建てて、戸建ての住宅に住まわれている方が亡くなられたと。そうすると、金はないけど土地はあるといった、そういう方々が税を払うということになる、こういった問題についてどういう程度のことを考えられてこの十兆円というものを考えられたかということですね。
 それから、これ、世界で相続税制というのが一般的なものかどうか、これもちょっとお聞きしておきたいというふうに思います。
 それから、ちょっとこれ、私も中期高齢者なんですわ、もう。そこで、このごろテレビや何かで見ると、先生、お墓の中に入れない遺骨がいっぱいあるというんですね。何か百万体以上あると聞いていますけど。そういう家族としての、何というんでしょうかね、つながりというか歴史というか、そういうものを紡いでいくためには、ある程度の資産というものはやっぱり相続していかないと、なかなかそういったものがつながっていかないような、これは年寄りだから考えるのかもしれませんけれど、そんな心配も僕はしているんですよね。ですから、その辺、先生、どう考えられるか、ひとつ爽やかにお答え願いたい。
#40
○参考人(飯田泰之君) まず、相続税が国際的に標準的な税率かという御質問からお答えしたいと思うんですけれども、これは答えからいうとノーです。といいますのも、次第に世界各国、相続税は低下させる傾向にあります。又は廃止する傾向にあります。
 しかし、実はこれは大きな見落としがありまして、相続税を廃止した、また相続税が低い国が上げている税金があります。それが固定資産税です。つまりは、国際的に見ますと資産に対する課税、所得課税、資産課税、消費課税というのが三つの税制の基本的な柱です。理想的に言いますとこれがバランスが良い、例えばそこまできっちりである必要はないかと思いますが、三分の一、三分の一、三分の一だと大変バランスが良い税制だと言われる。かつて日本は八割直接税、所得課税でした。つまりは所得税と法人税でした。現在はそこまでではないわけなんですけれども、いまだ日本は国際的に見ると資産課税をしない国であります。
 資産課税をするときに固定資産税と相続税、どちらがよいかというのが一つ大きな課題になるわけですね。これは、実は僕自身は、何といいますか、論理的ではない理由で資産課税が必要なのであってそれは必ずしも相続税に限らないと思っているのですが、生きている間に毎年毎年取られるよりは亡くなってから取られた方が気が楽なのかなというところから比較的相続税の方を推しているんですけれども、国際的に見ますと固定資産税を上げる方が大きいです。
 もう少し真面目な話をいたしますと、固定資産税方式にしますと、企業にとっては、企業活動にとってはマイナスになりますので、その意味でも、日本の場合、相続財産のほとんどが土地ですので、逃げにくいという特性も踏まえて相続税を取るというのは十分あり得るのかなと。ただし、国際的に相続税をやっている国、全然ないかといったらそんなことはありませんで、ドイツ、フランスではほぼ日本と、日本よりも控除額が小さい分、日本よりも高い相続課税は行われております。
 次に、大都市住宅問題なんですけれども、現在、実を言いますと、大変相続税が掛かると都市で相続ができなくなるのではないかという感想を持たれている方、非常に多いわけなんですけれども、これは恐らくバブル期のときの経験が効いていまして、現在、大都市の土地の相続の場合、相続税は路線価を基準に課税が行われます。路線価は市場価格の大体七割から場所によっては半分ちょいちょいぐらいの金額で路線価は定まっております。
 そうしますと、仮に一億円の土地を相続するというケースで、大抵相続の場合は上物、建物は三十年超ですので固定資産税評価額はゼロ円であります。そうしますと一億の土地を、これ路線価評価額が五千万円としますと、基本的にこれは無税で相続できてしまう。その一方で、市場価格一億円の土地を相続するときに、それを担保に例えば二〇パーとして二千万貸してくださいと言って貸さない銀行はありませんので、それほどバブルのころほど心配することはないかなと。
 バブルのころは全く自営業、パパママショップを経営している人に一億、二億という、又は都心部ですと数億円の評価額が付いてしまっていて払えないということがあったわけなんですけれども、現在ですと次第にそういった状況、地価が随分下がったので、そういった状況はなくなりつつあるのかなと思います。
 相続についてなんですけれども、これは東京大学の井堀先生が非常に面白いことをおっしゃられていまして、相続、つまりは次の世代に資産をあげるというのは人生における最後の、そして最もぜいたくな消費であると、したがって消費税は課するべきだという話をされていまして、ああ、なかなか上手な表現だなと思ったんですけれども、相続の問題に関して一億円の土地を二千万円で購入することができるオプションというのを持っているというのは非常に大きな得であります。差引きでいっても八千万得をするわけですので、それによってきずなが失われることはないのではないかと。さらに、二千万円の相続税、一億円の土地を買うのに二千万円の相続税さえも払えないという人がずっとその土地に住み続けるのがどの程度効率的なのかについてもやや疑問があるのかなと思います。
 以上です。
#41
○岸宏一君 また先生、いつか機会ありましたらお話しいたしましょう。ありがとうございました。
#42
○会長(鴻池祥肇君) どうぞ、他に御発言ありましたら。
 金子洋一君。
#43
○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。
 一点、飯田参考人にお尋ねをしたいと思います。
 実は、前回この調査会で円高に関する調査を行いまして、円高そしてデフレというのは、これは表裏一体であろうと思います。現在、政府は円高、デフレ脱却に向けて様々な施策を講じておるところでございまして、これに対する評価というのは様々な方が様々な観点からおっしゃっているところでありますけれども、先生もマクロ計量経済が御専門ですので、現在のこの円高・デフレ対策について何をすべきか、そして政府にアドバイスをするとしたらどのようなことが考えられるのかという点についてお聞かせいただければと思います。
#44
○参考人(飯田泰之君) 円高とデフレについてなんですけれども、その両者が表裏一体であることは明らかでありまして、円高というのはドルに比べて円の価値が上がることでありますし、デフレというのは一万円札で買えるものが増えるということですので、これは共に円の価値が上がるという意味では同じなわけであります。
 では、この円高、デフレというのを円安、インフレに変えるためにはどのような方法が必要であるか。円安、インフレというのは円の価値が下がっているということです。価値が低いものというのは何かといいますと、みんなが余り欲しくないもの又はたくさん存在する、たくさん供給されている、どちらかなわけです。
 そういった場合に、一番、円高・デフレ対策の根本になければいけないと思うのは、民間がどの程度円を欲しがるか、これを政府がコントロールすることはできません。しかし、世の中、市中にどれだけお金が出回るかについては政府、又は少々広義の政府になりますが、中央銀行の基本的にはコントロール下にあります。したがって、円の価値を下げるためには、円がありふれたもの、じゃぶじゃぶあるものになれば自然に下がっていく。又は、現時点でたくさんあるかどうかはさておき、今は大したことないけれども、来年、再来年、その次と、どんどんどんどん追加で供給されていくものというのの価値は下がらざるを得ない。
 これは、例えば世界的にリンゴが豊作になればリンゴの値段は下がります。ミカンが豊作になるというふうに予想されただけでミカンの値段は下がります。それと同様で、円の価値というのは、現在円が多くなるか若しくは将来円が多くなることをみんなが高い確度を持って予想すればいいということになります。
 政府の円高・デフレ対策についてなんですけれども、実は先ほど秋野先生の御質問に対してお話ししたことと重なるところがありますが、政策の継続性について非常に信頼度が低くなっている。ごくごく具体的、小さな、小さなというか、具体的、個別的な話題としましては為替への介入が挙げられると思います。為替への介入なんですが、現在、日本の介入方式というのは継続性が余りないと。緊急に一週間といった形で行われ、かつ、そのオペレーションも、もちろんですが、買い切るのではなくて、介入して市場の混乱が収まったら必ずそれと逆の取引をします。円売り介入を行って、しばらくすると円買いを行ってポジションを解消しています。市場関係者は日本の介入がその方式だというのを知っていますので、一時的に円が供給されてもしばらくすると円を引っ込めると分かっているわけですから、これ自体によって円の価値が大きく下がることはないわけであります。その際に、為替の問題については実は労働についても物すごく大きな影響を与えておりまして、先ほど中川さんの資料でもありましたが、やはり日米の時給を比べるとき、為替レートが幾らかによって大幅に結果が変わってしまうわけです。
 例えば、テイラー・溝口介入、二〇〇三年から二〇〇五年にかけての一ドル百十円台の為替レートのときは、一番目立った変化としまして、一番目立った変化を経験されたのは、福岡県東部と宮城県北部だと思います。この二つの地域に一気に製造業が戻ってきたんですね。
 それはなぜかといいますと、やはり百円を超えた辺りから、これは製造業、特にいわゆる部品工業の分野の方の、商工会議所でこの前、つい最近お話をしたんですけれども、やはり百円が一つのベンチマークだと。更に言うと、九十円を切ったら明確に海外に出ていった方が得になると。出ていかないのは、今要するに手元不如意なので、手元資金が少ないので出ていけないだけであって、うちも本当は雇用を外に持っていきたいんですというふうに各会社の方はお話しする。九十円台だったら迷いどころだと、百円台になるとむしろ積極的に日本に生産を戻す方が得になってくるというところがあります。
 先ほど私の御説明でも申し上げましたとおり、やはり労働需要の拡大というのが労働市場にとって至上命題であるといった場合、雇用のボリュームを今の段階で増やしていく方法は、ある程度の円高の是正、ある程度の円安化、一つの目標が百円、可能ならばいわゆる小泉内閣、小泉政権の前半期における百十円というのが大きな目標になっていくのかなと思います。
 以上です。
#45
○金子洋一君 ありがとうございました。
 それでは、具体的に円安方向、あるいはデフレ脱却の方向に持っていく手段としてどのようなものがあるんでしょうか。例えば、スイスは、一ユーロ一・二スイス・フランの時点で無制限に為替介入をすると宣言をして断固たる態度を取って、その結果一か月間で二割減価をさせることに成功しましたけれども、そういった選択肢が我が国にないのかどうか、あるいはほかの手段があるのかどうか、お教えください。
#46
○参考人(飯田泰之君) そうですね。スイスの場合は最も成功した、かつ短期において成功した為替への介入かと思います。ただし、そういった為替市場に直接介入する方式というのを提唱していたのが、金子先生はもちろん御存じかと思いますが、スベンソンという経済学者でして、フールスプルーフというふうに呼んでいる。つまりは、金融緩和をするのに、ばかでもできる方法とかあんちょこという意味なんですけれども、最も簡単、単純な、論理的に単純な方法は為替を使う方法だと、それをそのまま適用したに近いのが今回のスイスの無制限介入です。一か月間で二割、現行水準でいうと現在の七十円台後半から一か月間で九十円台半ばから後半まで為替レートを戻した、それによってスイスの雇用というのは大分救われたというふうに言われているんですけれども。
 ただし、日本の場合は、これが米国との兼ね合いでどの程度許されるのかという難点が立ちはだかっている。そうしますと、もう一つは、先ほど秋野先生の質問に答え得なかった部分なんですけれども、為替切下げ競争にしっかり参加しなければいけないと。
 私自身が非常に問題だと思っているのは、確かに経済評論家として為替切下げ競争は良くないと言うのは、これはありな選択肢です。世界中が為替切下げ競争になるのは良くないことですと言うのは分からぬでもない発言なんですけれども、少なくとも一国の経済政策の主体としては、始まってしまった為替切下げ競争に対する態度は、為替切下げ競争は始まってしまっているので、ちゃんと参加して勝つか、それかアメリカに為替切下げ競争をやめるように要求するか、この二つしか実はないわけです。実際のところ、これはアメリカに金融緩和をやめてくれと言っても決して聞いてはくれませんので、日本にとっての解は、日本もアメリカと同じぐらいの金融緩和をするというのが解だと思います。
 例えば、アメリカの場合、先月のFOMCの宣言で、長期金利が、ちょっと細かい数字がぱっと出てこなくなってしまいましたけれども、短日でも大幅に長期金利が下がりました。日本はゼロ金利と言われますが、長期金利はまだ一%台です。ですから、日本も長期金利を下げるような形での金融緩和、具体的に言うと、より長い残存期間の債券を買い入れる。これは、経済学者の中でも大きく意見は分かれるんですが、一つの方法は、日銀がリスク資産を買う。どちらかの方法、僕は単純に長期国債を買うというのが一番穏やかだと思っているんですけれども、そういった形で長期国債の買入れを、あるマッカラムという経済学者の見解ですと、三十兆円長期国債を買い切りですね、現在の買戻し特約付きオペレーションではなくて、三十兆円の長期国債の買い切りをするというのが第一歩になりますでしょうし、最終的にはアメリカのFRBに合わせた形でのバランスシートの拡大というのが具体的な方針になるかと思います。
 以上です。
#47
○金子洋一君 どうもありがとうございました。
#48
○会長(鴻池祥肇君) 引き続き、川田龍平君。
#49
○川田龍平君 ありがとうございます。
 中川参考人、飯田参考人、ありがとうございました。
 今日、私、こういった調査会、初めて参加させていただきます。済みません、今回、会派の変更があって、みんなの党にこういった席があるということで質問させていただきますが、私は障害者の雇用の問題にやっぱり関心がありまして、ダイキンさんの資料を読ませていただいて、障害者の雇用については子会社の方で積極的にやっているということで、特に高齢者の雇用ということと障害者の雇用ということで、やっぱりそういった体力がなかったり力が発揮できないという方の労働環境を整備するために三十年近く掛けてやってきたということで、資料を読ませていただいて、やっぱりすごく時間の掛かることだと思うんですが、大企業でできることとやっぱり中小企業でできることというのはかなり変わってくると思うんですが、かなり中小企業の方でもそういった雇用を維持するということがどうやったらできるのかということですとか、それと、中川参考人には、地域雇用の拡大への参画というところの課題に事業仕分で委託業務受託がなくなりということで、先ほど民主党の委員の中に事業仕分でこれなくなったんだねということで笑っている方がいらっしゃったので、ちょっとどうなのかなということで思ったんですが、この地域の雇用拡大をしていくのにどういった形でやるのがいいのか。
 その中で、飯田参考人には、産業政策の視点を捨てて、そういった新しい政策的なところではどういうふうな形で雇用を創造していくのがいいのかということと、是非、積立方式の年金に、私は三十六歳で飯田参考人と同じ年で、吉川さんも三十五歳なんですけれども、ちょうどやっぱりこの若い世代が実は本当に年金をもらえるのかどうかという不安をやっぱり多くの同世代の人たちが抱えていて、本当に早く積立方式には移行すべきではないかと思っているんですが、この時期について、今ちょうど団塊の世代と私たち団塊ジュニアの世代が、やっぱり本当にそういう意味では、子供のことを考えている団塊の世代というのがいるときにやっぱり今年金のことを早く動くべきではないかという、本当にそこの決定をやっぱり早くしなければいけないんではないかと思っているんですが、是非その点についてどう思うかということで、時期についてどう思うか、是非お話しいただければと思います。
#50
○参考人(中川雅之君) 高齢者雇用あるいは障害者雇用の推進、とりわけ中小企業での難しさというのは非常にあるかと思います。ただ、障害者雇用も、これ特例子会社の先ほど言いました七十一歳の社長とよく話しておりますと、特例子会社でいいのかなと、本来ならば障害者の方であっても何でも条件、環境さえ整えば同じ仕事はできますので、特例子会社の方がやりやすさはあるんですけれども、先ほど言いました高齢者の作業姿勢の問題をやることによって生産性が上がるということと同じように、障害者の人を普通のラインに入ってもらったりということの方が社会としては生産性が上がっていくに違いないというふうに思っています。
 大阪府雇用開発協会というのを、私、委員会の委員長なんかもやりながら、中小企業を年に一回ぐらい見学させていただいたりするんですけれども、大阪の、柿の葉ずしというおすしを販売しておられるあじみ屋さんという会社がありまして、ここは夜の間ずっと工場が動いて、昼はもうレストランとかに配送するのでお昼の仕事はないと。そこは障害者の方ばっかり数十人で柿の葉ずしを作っておられると。そこは、経営者の強い思いといいますか、障害者を雇用するために会社をやっているんだというふうな社長さんがおられます。そのことがやっぱり会社を、社会のお金を預かって、そのことによって社会に何か、自分の仕事は何かというようなことで考えている、まあ障害者雇用の鬼みたいな方ですけれども、おられて、それをまた受けて総務部長さんも必死でやっておられるというようなことがあって、経営者の強い意思が今一番大事かなと。
 それを支え合うのが、先ほど言いました、元々任意団体で始まった、雇用開発協会というのは二つの団体があれしておるんですけれども、一つは、早川徳次さんというシャープの創業者が始めた、戦争で視力をなくした方に工場を造ってそれで職場を与えたと、非常に高い生産性でもって、その会社がシャープ特選工業というんですけれども、早川特選工業かな、というのがずっと存続しておるとか、あるいは、高齢者も非常に、先ほど言いましたように、我が社の職場でも高齢者が多い職場というのが、意気に感じてやっているとか、あるいは高齢者でしかできない職場というのが一つございまして、我が社でいうと社史編さんのような、五、六名、平均年齢が六十八歳か九歳かだと思うんですけれども、の職場があります。こういうところは、ダイキンの今の強みを社内に伝承していくだけじゃなしに、どう海外にも展開していくんだというふうなことを、先ほど先生言われましたように、決してそういう力においては高齢とか年齢、関係ないわけですね。そこのところをうまく使っていっておるというふうなことがあると思います。
 したがいまして、そういういろんな事例を高障機構はあれやったりPRしたりしているんですけれども、そういうことを、地域のやはり企業家の団体である雇用開発協会みたいな会を非常に大切にするという気持ちがまず社会として持つべきではないかというのが私の主張であります。
 したがいまして、事業仕分、結構なんですけれども、そうじゃなしに、本当に雇用というのはその経営者の意思の問題であり、それと、そこにいろんなアイデアというものがあって初めて成り立つものですから、そういうことをやっている団体に対して、支援ということをお願いしているわけじゃないんですけれども、認知されること、あるいは、機械的な仕分をされるんじゃなしに、必要な事業とは何かということを議論していただきたいというふうなことをお願いしておるわけでございます。
 以上でございます。
#51
○参考人(飯田泰之君) まずは、障害者又は高齢者まで含めた雇用についてなんですけれども、事障害者雇用に関しましては、今後、NPO、中でも事業型NPOの役割というのが非常に大きくなっているかと思います。
 通常、どうも日本の場合、そうした障害者への対策というのは、篤志家・ボランティアモデルというふうに僕らは呼んでいるんですけれども、特定の篤志家又は団体というのが全く営利目的を伴わずにやっていこうというシステムです。これは日本の場合は極めて困難です。なぜかといいますと、日本は大金持ちが余りいませんので、そういった篤志家モデルに頼るというのは必ずその活動というのを厳しくしてしまいます。
 その一方で、現在、非常に障害者雇用、実際実績としても実績を上げているのは事業型のNPO、つまりは給料分は実際に稼ぎ出しているタイプのNPOであったりします。雇用条件というのは、もちろん民間、大企業に比べたら圧倒的に安いものではあるんですけれども、そういった中で、例えば心のケア、また対障害者、より重度の障害者への福祉サービスにおいて軽度障害者がやれることというのはたくさんあると思いますし、そういったものが事業化できるベースというのが必要なんではないか。
 その中で一つ、日本の場合大きな問題になっているのが、NPOの認定が楽過ぎる問題と認定NPOになるのが大変過ぎるという問題でありまして、いわゆるNPOと呼ばれているものは、目的がよく分からないものまで含めると非常にたくさんある。その一方で、ある程度組織としての信頼度を得られる認定型のNPOというのは物すごく厳し過ぎて、本当にもうNPO法があるよりもずっと前から活動している実績ある団体のみにとどまっている。これは一つは、その中間に当たる、それなりに最低限の規定というのをもう少し作った形で規定された中間ぐらいのNPO、ちょっと僕もすぐにはネーミングが思い付かないんですけれども、事業型でのそういった団体があることで、そういったきめ細かなといいますか、ニーズに応じたサービスというのを、かつ完全なボランティアモデルではない形で提供していけるのかなと思います。
 もう一つ、積立てへの年金の移行の問題なんですけれども、これは実際急務だと感じております。例えば、我々一九七五年生まれですと、生涯を通じて支払と給付の間で大体千二百五十万損をします。これはもっと若い層、八五年ですと二千数百万円の損が出ます。この損の額というのはただただ発散していくだけですので、どの時点で移行するかによって損失が決まってくる。一番有名な試算では大体全世代五百万円の損にとどめる方法というのが提案されているんですけれども、これは遅くなればなるほど全世代七、八百万になり、全世代一千万になりというふうに膨らんでいくばかりですので、どの時点でロスカットするか。実際、年金改革をしますと、僕らにとっては損失は確定します。ただし、これもどんどん損失が膨らんでいくであろうよりは五百万損してくださいというのを生涯で、これは厚生年金のケースですけれども、先に損失額を確定させて限定、これ以上は損はさせませんと言った方がある意味では安定するんではないかというのが私の見解です。
 以上です。
#52
○会長(鴻池祥肇君) 川田君。いいですか。
#53
○川田龍平君 ありがとうございました。
#54
○会長(鴻池祥肇君) 石井準一君。
#55
○石井準一君 中川参考人、飯田参考人、今日は本当に御苦労さまでございます。
 中川参考人の方から、高齢者の幸せの追求、また人間としての幸せの追求は働くことに生きがいを持つことだというようなお話をされたわけでありますし、また飯田参考人の方からは、失われた二十年、なかなか日本の経済は脱出をできないと。結論といたしましては、経済環境が正常化により企業が自発的に高齢者を是非雇用したいという、こうした環境をつくることが大切であると言われたわけでありますけれども、まあ二十年間、ここGDPが五百兆円で横ばいの流れの中で成長率も見込めない、こうした現状の中で、特に今社会で問題になっているのが、年金受給者との比較の中で、生活保護者の受給者数が厚生労働省の発表によると二百七万人を超えてきたと。
 この中でやはり一番の問題点は、高齢者は就業意識が高いという中であって、ここ十年で働く勤労者の世代が約一割、四倍に増えてきたということが大きく危惧する点だと思うんですけれども、やはり弱者救済のための生活保護制度がどういう形で使われているか、我々政治もしっかりと検証していかなければいけないわけでありますけれども、まずは、私たちは、生まれたからには天職、天職と言わず適職に恵まれれば幸せだと言われているわけでありますけれども、まずはこの働く意義についてお二人にお伺いをしたいなというふうに思います。
#56
○参考人(飯田泰之君) まず、幸せといいますとブータンというのが大変有名になりましたが、実を言いますと、幸せを左右する大きな要因、これ国際比較研究というのが年次でされていまして、幸福の経済学と日本では呼ばれている研究群です。海外ではまた別の名称があるんですけれども、その名称はちょっとあれなのでさておき、その中で、幸せに大きな影響を与える要因というのが大体四つあります。
 一つが年齢、これがやはり一番大きいです。実は、何といいますか、アジア諸国といいますか、低開発諸国ほど幸福度が高い傾向があります。なぜかといいますと、国民の平均年齢が若いので、若いと何だか知らないけど幸せだそうです。何だかは、そうですね、大変言葉悪いですね。ちょっと理屈はなく、理屈を超えた意味で幸せを感じる。次は、働いているか働いていないか。これは非常に大きいんですね。やはり、労働というのは、承認という言い方をしますけれども、自身が社会にとって必要とされていたり受け入れられているという感覚を得ることができる労働。あとの二つは、ごく個人的な話でいうと、信仰の有無とパートナーの有無だというふうに言われています。異性のパートナー、同性もあり得るでしょうけれども、パートナーの有無、どちらかなわけです。
 この四つなんですけれども、その中でやはり行政が大きく関与してくるものというのは、ほかの三つはどうも国のやる仕事ではないので、幸福度に政府の仕事として最も影響を与えるのは雇用であると。その中で自発的雇用を生む必要があるわけです。
 この自発的雇用についてですが、比較的多くのメディア論者さん等で誤解されているのは、日本における終身雇用システムというのは決して法律がつくったものではありません。更に言うと、日本の伝統でもないんですね。実際、多くの方がイメージされている長期雇用システムというのが完成したのが一九七〇年前後と言われています。それの崩壊が始まったのが一九九〇年前後と言われているので、実を言いますと、日本史上二十年弱だけ存在したシステムと言ってもよいかと思います。
 右肩上がりの成長が続いておりますと、長期雇用者を会社の中に抱えておくことが圧倒的に有利になる。事業が拡大していく中では若手を育てる力が必要ですので、高齢者の役割というのが重要になっていく。その意味でいいますと、やはり高齢の方というのが現場の一線で体力を使って仕事をするという面では、それは能力は落ちてしまう。しかし、教育や指導という面では一番適役なわけですね。そうしますと、雇用に関しては、やはり緩やかな成長によって、若者を育てる育成者、教育者としての高齢者の役割であったり、場合によっては、海外に目を向けまして、海外への技術指導というのを例えば講学的には一つの仕事にしていけるのかなと思います。
 もう一つの年金と生活保護の話題でありますが、生活保護に関しましては、日本の場合、ごく一時的な傷病による生活困窮というのが一つ頭の中にどうしても生活保護の際あるので、まあ言葉は悪いですが、ごく一般的な生活ができるようにという観点から生活保護額というのは結構決まってしまっている。
 そうしますと、非正規労働の平均的な賃金を生活保護でもらえてしまう、更に年金と比べると年金よりもずっと高い金額がもらえてしまうというのは、これは元々維持できないシステムなんですね。その結果、各自治体は水際作戦と呼ばれる方法で何とか生活保護を認めないという方針を取ろうとする。その結果、本当は必要なのにハードルをやたらと自治体が高くした結果、受け取れない。北九州の餓死事件が有名ですけれども、おにぎり食べたいの書き残しの、そういった痛ましい事件を生んでしまう。
 そこで、やはり生活保護に関しては、金額についてもう少し年金又は非正規労働者の通常の賃金とのイコールフッティングを行っていかないといけないんではないかと。その上で、傷病又は障害に起因する生活保護は別建てで対処してはどうかというのが私の見解であります。
 以上です。
#57
○石井準一君 ありがとうございます。
#58
○参考人(中川雅之君) 実務ばかりやっておりますもので、そういう難しい、働くということの意義は何なんだということに対しては余り考えたことがないんですけれども。
 先ほど、先生、障害者の雇用の問題でNPO型ということでおっしゃいましたけれども、やっぱり我が社の特例子会社もそうですけれども、助成金等、あるいは福祉の、障害者の福祉年金等ももらってもらっていますけれども、その最低限の社会の保障の上で、なおかつやっぱり企業として存続できて、自分たちの生活が、自分たちが働いたことによって自分の生活の向上があったり満足度があるということが働くことの本質だと私は考えています。したがいまして、先生がおっしゃったようにNPO型でノンプロフィットでもいいんだということでおっしゃっていることに対してはもちろん賛成なんですけれども、更にもっと向上していくとか企業として成り立つような形ということは必要ではないかなと思っています。
 高齢者の事例でいいますと、年金との兼ね合い、あるいは生活保護との兼ね合いはいろいろありますけれども、東京のケースも多いと思うんですけれども、大阪でタクシーに乗りますと、年金をもらいながらタクシーの運転をやって、非常に少ない実入りでも、まあこの程度でええんやという運転手さんがたくさんおられます。自然と自分たちでうまくコントロールしながら、少しでも働くことで自分の生活の向上、あるいは自分の時間を社会に還元することによって気持ちが豊かでありたいということを求めておられるんではないかなと実感しております。
 社内でも、したがいまして、やはりよく言うのは、高齢者をこき使えというようなことを言う我々の先輩もいてるんですけれども、やっぱり期待される、あるいは自分の働きによって何かが変わっていくということ自身が、そういうことが実感できる社会でなければならないと。今の社会は、生活保護問題もそうですけれども、逆に働く要素が余りにも多過ぎるんではないかということです。
 したがいまして、お願いしたいのは、企業がやはり企業活動を、雇用の最大の受皿は企業だと思っております。したがいまして、民間の企業が企業活動を円満に円滑に行えるようにいろんな手を差し向けるべきだというのが、私は別に、経営サイドではありますけれども、非常に自分自身はリベラルだと考えておりますけれども、その立場においても、働ける場を提供する企業が一番円滑に活動できるというふうな政策を取っていただきたいと思っております。
#59
○石井準一君 ありがとうございます。
#60
○会長(鴻池祥肇君) 以上で参考人に対する質疑を終了したいと思います。
 御挨拶申し上げます。
 中川参考人及び飯田参考人におかれましては、御多用の中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 本日お述べをいただきました御意見は、今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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