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1951/08/20 第11回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第011回国会 通商産業委員会 第3号
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1951/08/20 第11回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第011回国会 通商産業委員会 第3号

#1
第011回国会 通商産業委員会 第3号
昭和二十六年八月二十日(月曜日)
    午後一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 小金 義照君
   理事 高木吉之助君 理事 中村 幸八君
      今泉 貞雄君    小川 平二君
      神田  博君    澁谷雄太郎君
      永井 要造君    中村 純一君
      福田  一君    南  好雄君
      加藤 鐐造君    風早八十二君
      河口 陽一君
 委員外の出席者
        通商産業政務次
        官       首藤 新八君
        公益事業員会委  
        員      松永安左ェ門君
        公益事業委員会 
        事務総長    松田 太郎君
        大蔵事務官
        (銀行局総務課
        長)      福田 久男君
        通商産業事務官
        (通商雑貨局長)徳永 久治君
        国民金融公庫副
        総裁      井關 孝雄君
        参  考  人
        (商工組合中央
        金庫理事長)  豊田 雅孝君
        専  門  員 谷崎  明君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
八月十八日
 電気事業及びガス事業に関する件
 貿易の振興並びに貿易資金調達に関する件
 中小企業の金融状況並びに中小企業等協同組合
 に関する件
 鉱業、採石業、鉄鋼業、繊維工業、化学工業、
 機械工業その他一般工業に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件      
 中小企業の金融に関する件
 電気事業に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小金委員長 ただいまより通商産業委員会を開会いたします。
 一昨十八日すなわち第十一回国会の最終日におきまして、院議によつて閉会中審査案件は従前通りと決定いたしましたので、これに基きまして調査を進める次第であります。
 本日は公報に掲げました二件のうち、まず中小企業の金融に関する件につきまして、大体一時間ぐらいの予定をもつて調査を進め、次に電気事業に関する件に移りたいと存じます。すでに御決定を願いましたように、この中小企業の金融に関する件につきましては、参考人商工組合中央金庫理事長豊田雅孝君が御出席になつております。それでは質疑に入ります。加藤鐐造君。
#3
○加藤(鐐)委員 最近貿易不振の問題がやかましくなつておりますが、私はそうした問題の中に、世界経済の中に立つて行きます上において、一つの日本の重大な問題が起つておることを見のがしてはならないと思うのでございます。それはいわゆるダンピングの問題でありますが、日本商品のダンピングの問題は、戦争以前におきましてもしばしば問題になりまして、さらに今回講和会議が行われるにあたりましても、イギリス等から日本に対して最恵国待遇を与えることについて承認を澁つておる、その裏にもこのダンピングの問題があげられておるのであります。しかし現在、日本の物価は世界物価水準に比較して非常に高いと言われ、それがまた輸出の障害になつておると言われておるのであります。そういう中にこのごろちよいちよいダンピングの問題につきまして具体的な問題が論議されておるようでございますが、通産当局は一体、今日このダンピングという事実が発生しておると認められるかどうかということをお伺いしたい。具体的な問題につきましては雑貨局長にもお伺いしたいのですが、まず首藤政務次官からこの問題についてお答えを願いたい。
#4
○首藤説明員 最近国際的景気の中だるみといいますか、非常な不況に直面いたしまして、日本の各産業とも非常な金融難にあえいでおることは御承知の通りであります。特に中小企業の金融難は深刻でありますので、政府は鋭意金融のあつせんその他の方法によつて、それぞれの市場の安定策を講じておるのであります。御指摘のダンピングの問題でありますが、まつたく御説の通りでありまして、もしもその金融難のためにダンピングをあえていたしますれば、ただちに相手国の関税の引上げを見ることは火を見るよりも明らかでありまして、いずれかといえば、自殺的行為になつて参るのであります。のみならず政治的に考えましても、日本のダンピングということは関係各国とも非情な注視をいたしておりますので、たとえそれが小さいダンピングでありましても、非常に大きく取扱われまして、重大な結果をもたらすであろうということは、政府も重々了解しておるのであります。これがためにダンピングを防止いたします手段といたしまして、御承知のごとく繊維に対しましては、チエツク・プライスの制度をとりまして、国際価格とにらみ合して、いやしくもダンピングに陥るきらいのある輸出に対しましては、断固それを抑制いたす対策を講じております。絹織物に対しましても、最近放任しておけばダンピングに陷るおそれありというような情勢がちらほら見えますので、これも最近チエツク・プライスの制度を適用いたしたいというふうに考えておるのであります。その他の商品に対しましても、ただいま申し上げましたような趣旨によつて、極力ダンピングを防止いたしたいという気持で、輸出の照会に対しましてはすべてのものについて注意を怠つていないのであります。ただ雑貨の方は御承知の通り非常に範囲が広いのでありまして、しかもまた個々の契約というものがあまり多くありませんので、今日まで的確な実相は把握しておりませんが、しかしいやしくもダンピングに近い形というような事実がありますならば、ただちにこれが防止をやつてみたいというふうに考えております。ただ問題は、しからばどの点がダンピングになるのか、この限界点でありまして、先ほど加藤委員からも申されたように、近来景気は中だるみ的で、総じて各相場とも安くなつておりますが、しかし個々の商品をとつてこれを検討いたしますれば、国際価格よりもはるかに高いものが相当あるのであります。従つてこのダンピングの限界をきめまする上におきましては、やはり国際相場を対象として決定するという方法をとる必要ありと考えておるのであります。今日国際価格よりもはるかに高い物が一応国内では非常に安く見えましても、それが国際価格と大体並行する価格でありまする限りは、これをダンピングとして取締るのはいささか無理ではないかというような気持もいたしておりまするが、目下のところ、具体的にこれこれの商品がこういう価格で輸出されておるというような例示をまだ見ておりませんので、具体的にお答えはできませんが、少くとも気持といたしましては、この際できる限りダンピングを防止いたしたいという気、持の上で、それぞれの対策を講じておるのが現状であります。
#5
○加藤(鐐)委員 政務次官は、ダンピングの、ある標準とでも申しまするか、認定標準を国際価格に置くというようなお話ですが、私は必ずしも国際価格のみによつてダンピングという認定を下すわけにも行くまいと思います。いわゆる日本がソーシヤル・ダンピングをやるということを、しばしば国際市場から警告された原因と考えなければならぬと思いますが、一応簡単に見て現在政府がそういうふうに認定されておるといたしまするならば、今日の日本の繊維、綿糸、綿布等が、はたして国際価格を割つておるかどうかという問題ですが、その点について一応御説明を願いたいと思います。
#6
○首藤説明員 日本の繊維が国際価格を割つておるのでないかという御質問でありますが、これもごく最近のマーケツトは、国際価格に比較して大体一割くらいは下まわつておるというのが業者の定評になつております。但し御承知の通り非常に複雑でありますので、このことごとくが国際価格を下まわつておるかどうかということは断言いたしかねるのでありますが、少くとも国際価格並みになつておるということは、この際はつきり申し上げてもいいのではないかと考えておるのであります。
#7
○加藤(鐐)委員 綿糸、綿布等についても、もちろん今次官がおつしやつた通り、国際価格と申しましても、一例一例あるわけではないので簡単に断言ができませんが、少くともイギリスの繊維製品に比較して、日本の繊維製品の価格は安いとは考えられません。しかしそういう問題は、今日論じておりますと非常に長くなりますので――私がこの具体的な問題についてお伺いしたいことは、ただいま通産次官はダンピングの標準を大体国際価格に置くというお話でございましたが、先ほど申し上げました通り、日本の繊維商品は今日あるいは国際価格標準に大体接近しているかもしれませんが、その他の商品は、国際価格よりもはるかに高いと言われているのであります。特に世界的な商品として具体的に考えてみますと、今問題になつて取上げられているようであります陶磁器の一部、たとえばデイナー・セツトというようなものが、アメリカでいわゆるダンピングではないかと考えられて、関税の引上げというようなことが一応考えられていると聞いております。もちろんこれもあるいは一部の業者の、ためにせんとする宣伝であるかもしれませんが、そういうふうに生産地にも伝えられ、あるいはまた政府当局もそういう点を、いろいろな情報に基いて対策を考えられているということですが、この事実がありますかどうか、次官がおわかりにならなければ局長からでもけつこうです。
#8
○松永説明員 ただいまお尋ねのございました陶磁器の対米輸出、さしあたり品物はデイナー・セツトでございますが、お話がございましたように、アメリカで問題になつているようであります。これは正確な日にちを忘れましたが、六月の何日かに米国の関税委員会の方に、日本の輸出品がダンピングのおそれありということで調査方が国内の業者から提訴されているという情報が入つているわけであります。対米輸出の陶磁器につきましては、古くから問題が多いことは御承知の通りでありまして、ただいまも日本の陶磁器がほかの国の陶磁器に比べまして一般関税率のほかに一ダース幾らというような一種のダンピング関税が課せられているような事情でございますが、それにさらに現在の輸出のものが問題にされているという状況になつているわけであります。そういう状況のもとに、さらに先方の国内の同業者を刺激するような、従来の輸出品よりもはるかに安い輸出契約というものができまして、現品はまだ輸出されているわけではありませんが、この問題をどう判断し、どう処置すべきかということは、実はわれわれの研究の課題となつているわけであります。まだ通産省といたしまして最終的な結論は出していないわけでありますが、大体におきましての方向といたしましては、今までの輸出価格、それすらがダンピングと言われているような状況にかんがみまして、さらに格安なもの、そまつなものが出ることは好ましくないのではなかろうかという方向で結論を出そうという方向に進みつつあることを中間的に御報告申し上げておきます。
#9
○加藤(鐐)委員 日本の産業は企業が不合理であるがために、非常に物価高の現象を来しておるということで、生産の合理化、企業の合理化がやかましく言われておるわけであります。陶磁器その他の雑貨類のような中小企業の製品というものは、他の基幹産業とは違う点がいろいろあるでありましよう。しかしながら日本の産業全体のそうした企業の不合理性のために非常に高いということで企業の合理化が叫ばれ、またアメリカ等もそれを日本の経済の独立のために強く要求しておるわけであります。そこでそういう際に、日本の一部の商品が安過ぎるということは、それによつていわゆるダンピングだと認定する裏には、先ほど政務次官が言われたように、單に国際価格を基準として低いとか高いとかという問題ではなかろうと思うのであります。一体アメリカが陶磁器に対してダンピングと認定したその根拠が、單に価格だけの問題であるか、あるいは従来しばしば指摘されたいわゆるわが国のチープ・レーバーの問題が取上げられたのであるかどうか、その点についての正確な情報が入つておるかどうか。単に日本の商品が高いからダンピングと認定する問題なのか、これは重大な問題でありますから、ひとつ明確に伺いたいと思います。
#10
○首藤説明員 御説の通り日本の商品のあるものは、国際価格よりも非常に高いものもあることは事実でありますが、同時にまた国際価格よりもはるかに安くできる商品もまた相当にあることも事実であります。特に資材がことごとく内地で獲得でき、生産される商品のごときは、相当それと違つた事情の国よりもはるかに安くできることは議論の余地がないのであります。たとえばただいま問題になつております陶磁器にいたしましても、生産に必要とする資材がことごとく内地で確保され、その他生産上におけるところの条件が他の国よりも非常に有利であります関係上、勢いコストが非常に安くなる。従つて国際的に見れば一応ダンピングに見えますけれども、実際はダンピングではないというものも相当あると申してよいと思います。かような場合に、もし安くできるものを安く売つたことによつてそういうふうにダンピングとして指摘される。そうしてそれが防遏の手段を講ぜられる。片一方高いものはあくまでも国際価格でなければ買わないということになりますれば、日本の貿易は、いかに政府がこれを推進いたしましても、結局衰退せざるを得ないという結末に終ることを恐れておるのであります。従つてむしろ原価が非常に安くできるというものに対しましては、あくまでもその理由をはつきりいたしまして、それらの相手国に対して了解を求める方法を講じますが、しかしながらりくつでは行かぬのでありまして、相手国のそれと同様の生産をしておるところの業者は必ずいろいろの対策をもつてこれが防止の方法を講ずるであろうことも想像されるのでありまして、こういう問題は突き詰めて行きますと非常にむずかしい問題になつて参るのでありますが、いずれにいたしましても国際価格を現実に上まわつているもの、あるいは実際にはるかに安くできるもの、これらははつきり区別をいたしまして、相手国の了解を求めるような方法は政府としてできるだけいたしたい、かように考えております。
#11
○加藤(鐐)委員 私はもう少しいわゆる陶磁器等の日本の中小企業から生れて来る商品が、チープ・レーバーによるところのダンピングと相手が認定しておるかどうかという問題について、正確におわかりにならなかつたならばひとつ御調査願いたいと思う。ただ向うがダンピングだと言つたからといつて、すぐこちらは向うの要求に応じて何とかしますでは少し弱過ぎる。今首藤政務次官が言われたように、高い商品はたたかれる、とにかく国際価格以下ならば買つてやるが、安くても困るというのでは、日本のような特殊産業では世界市場に生きて行かれない。今日ダンピングと言われている問題の裏には、私はおそらく国際的な、いわゆる政治的な圧迫の手が加わつておると断定してもさしつかえないと思う。たとえば陶磁器の場合でありますならば、日本の陶磁器がアメリカのメーカー等と比較して非常にコストが安いというようなことで、アメリカあたりの大きな商社から政府に対して何とかしろというようなことで、いわゆる関税障壁が設けられるということでありますならば、今政務次官の言われたように、われわれはそれに対して極力了解を求める手を打つてもらわなければならないと思うわけであります。ダンピングだからこちらは関税障壁を設けるぞとおどされると、すぐかしこまつてこちらが何とかするのでは――もちろんそれに対して適当な手段は講じなければなりません。いわゆるテープ・レーバーによるソーシヤル・ダンピングの傾向がありますならば、これはやはり労働省と連絡してこの問題は適当に処理してもらわなければならないのであります。しかし国際的な、政治的な圧迫が加えられ、それに対してすぐ頭を下げてしまうのでは、今日の日本の産業というものは国際市場の中に立つて行かれないと思うわけであります。陶磁器の問題は最も適切な例であると思いますが、いわゆるドルにいたしましても、外貨を獲得するのに最も有利な産業である陶磁器産業が、今日外国に非常に競争者があるということで、いろいろな面でたたかれますならば、日本にとつて非常な不利であると思うわけであります。先ほど徳永局長がおつしやつたように、最近一商社がそういうダンピングと思われるような行為をしようとしたということでございますが、しかし私はいわゆるデイナー・セツトというような高級品の中にも、安くできて、安く売れるものがあればけつこうな話だと思う。それはやはりある程度保護するというような行き方も考えてもらわなければならないと思うわけであります。そこでそれに対して一体政府当局は今日向うから文句が来たからこちらでいろいろな統制をして、たとえば輸出承認品目に加えるとか、あるいはフロア・プライス制をとるとかいうようなことをただちにせられるということは、私はどうかと思うのです。まず相手国が一体どういう認定のもとに、これをダンピゾグと認定したかという事実を御調査になつて、そうしてもしそれが不当なる誤解でありまするならば、その誤解を解くところの手段を講じてもらわなければならない。そうしてまた国内におきまして、いわゆるチープ・レーバーという事実によつてそういうことが行われまするならば、これは将来の日本の産業のためにも、あるいはまたいわゆる労働者のためにもとるべき道ではありませんから、この点を改める方法を講じてもらわなければならない。こういうふうに考えるわけであります。そこで私は徳永局長がそういう点をどういうふうに考えて、今日いわゆる承認品目に加えるとか、あるいは最低価格制をとるとかいうようなことを考慮になつておられるかという点を、お伺いしたいと思うわけであります。
#12
○松永説明員 ダンピング問題に対しまする基本的な考え方は、ただいま政務次官からお答えございましたように、ダンピングであるかないかということが、ただ相手国によつて恣意的にきめられ、これに対してこつちが追随するということでは、日本の輸出貿易というものがほんとうに伸びることになりませんので、こちらの主張すべきことは十分主張するという、あくまでそういう原則で行くべきものと思います。ただ陶磁器につきましては、先ほどもちよつと申し上げましたごとく、広い長い歴史を持つておるわけでありますから、日本の陶磁器の輸出がダンピングであるかないかということに関連して長い苦しみといいますか、相手国市場、米国市場に向けられます日本品につきまして紛争を起します結果として、ある一つの日本品が向うに設けられた関税の障壁を越えながら行きつつあるものがあるわけであります。しかもその金額が相当に大きな額を占めておるわけでありまして、ある種の製品の輸出によつてかためられておる何といいますか、向うの市場の中において、日本品が堂々と占めておる分野というものがあり、それが日本の輸出としても相当な額であるという事情があるわけであります。そこにただ振出しに戻つたと同じような問題を起して、新たに向うの業者と衝突する形のものが出て参りまして、既存の製品そのものの占めている地位というものも根底からぐらついてしまうという危險があるとしますならば、その際に日本としてどのアメリカのマーケツト、特定の市場に対してどういう分野をねらうべきかというようなこともまた考慮してしかるべきじやないか、総体として対米輸出なら対米輸出として、日本として最も有利な品物を買つてもらうというふうに考える一つの考え方もあるのではなかろうか、そういうようなことを考えておるわけであります。それぞれの市場の違いを見まして、同じ品物がアメリカでは非常な摩擦を起すが、ほかの地域には摩擦なしに出るということもあるわけでありますし、総合的に見まして日本として一番有利な輸出になるような考え方で、その問題の処置にあたりまして判断の一つの大きな要素として加えてしかるべきじやなかろうか。しかし問題は通商政策の一つの基本的な問題にもなりますので、さような考慮を交えまして、省内におきまして関係の部局と目下検討中でございまして、先ほど申し上げましたごとくに、まだ最終的な結論に到達しておりませんが、そういう要素も加味して研究しつつあるということを申上げておきます。
#13
○加藤(鐐)委員 問題は、アメリカと日本の商人の間で商取引の契約ができた、それがまた先方において他の業者の間から政治問題化されたということであろうと思う。特に陶磁器は今局長も言われたように、非常に不名誉な歴史を持つておりますので、陶磁器がダンピングをやつておると言うと、そうだそうだ過去の歴史が示しておるということになるわけであります。しかし問題は、これがソーシヤル・ダンピングであるかどうかということによつて――ソーシヤル・ダンピングであるといたしますならば、私どもも陶磁器の一関係者として、この問題は解決しなければならぬ、あるいは直接メーカーあるいは労働組合と一体となつて、解決しなければならないと思う。しかしこれがいわゆる国際的な政治的圧迫によつて起つて来た単なる問題だといたしますならば、政府も少し強腰になつてもらわなければならぬと思う。いかに今日敗戦国であるといえども、要するに最恵国待遇をお互いに与えよう、日本に平等な待遇、国際的な待遇を与えようというときに、そうした政治的な圧迫によつて日本の輸出が押えられるというようなことがあつたならば、これは日本としても重大な問題であると思う。ことに陶磁器の場合を考えてみますならば、アメリカは今そういうふうに政治問題化しております。しかし南方諸国、東南アジア、その他インド、パキスタン、イラン、エジプト方面においてそういう問題が提起されておるかと申しますと提起されておりません。特に陶磁器の将来伸びる市場というものは、支那市場は今日ほとんど梗塞されておりますけれども、東南アジアあるいは中東方面に大いに伸びなければならないのでございます。私はアメリカ市場を軽視せよというわけではございません。しかしアメリカでそういうふうに一部の業者から起されて政治問題化されたからといつて、他の市場に適用する必要のない手続とか、あるいは不必要な、いわゆる官僚統制と悪口を言われるような方法を今日とる必要はなかろうと思う。一アメリカとの問題は、できるだけアメリカとの関係において解決する方法を考えてもらうべきじやないかというふうに思うわけでございます。その点私は徳永局長の御答弁で、そういう点を含んで考慮しておられるようでございますから、時間の関係もありまして、重ねて追究はいたしませんけれども、今私が仄聞するところの、いわゆる統制が行われる意図があるというこの問題は、一つ愼重に考えてもらいたい。政府ももう少し強腰になつて、相手国が日本に対して、いわゆるソーシヤル・ダンピングであると断定いたして来ましたならば、この問題を国内的に解決する。もしそうでないといたしますならば、もう少し強く出て、いわゆる最恵国待遇国家間における対等の立場で取引のできるような御努力を願いたいと思うわけでございます。
 それからそれに付随した問題として――時間が大分たちましたから簡単に御質問いたしまするが、こういう一つの統制商品品目に加えるとか、あるいはフロア・プライスを考えるというやり方も、場合によつては必要でございましようけれども、しかしながら業者が自主的に統制をやる。たとえば共同販売制度を実施するとかいうようなことも、官僚統制をやる前にやらなければならない問題ではないか。たとえば事業者団体法によつて制限が加えられておるところの輸出組合等の設立の問題、こうした共同販売をやつて、業者は自粛自戒しながら、また中間商人にもたたかれない、こうした行き方をまずすべきではないかと思うのです。事業者団体法の第四条でありますかの制限というものが一向政府によつて考慮されないで、いわゆる官僚統制をやろうという考え自体が私は間違つておると思うのです。この点について政府は、いわゆる事業者団体法の四条でありますかの規定を緩和する考えがあるかどうか。輸出組合法等を制定して、業者みずからが統制し、そうして共同施設の中に生きて行くところの道を講ずる考えがあるかどうかという点をお伺いいたします。
#14
○首藤説明員 法規に関する加藤委員の御意見は、まつたく政府も同感でありまして、御趣旨の線に沿つて今後調査を進めます。また交渉すべきものは強く交渉して、適当な結論を得るように努力いたしたいと考えます。さらに次のチエツク・プライスの問題でありまするが、これもまた御説の通り、かりにダンピングを防止する対策といたしましてチエツク・プライスを適用いたしましても、これがまた各需要国によつて相場を異にいたしておりまする関係上、言うべくしてそう簡単にはできかねる問題であります。ことに日々変化するところの相場に対応するということは容易ならぬ問題でありまするので、政府といたしましても、現在はこういう制度を一応取上げておりまするが、これが実行に対しましては愼重な検討を加えておるのであります。従つてそれよりも効果的な、いわゆる業者の結成する組合によつて、それぞれ問題を適当に処理するということが一番好ましい姿であることは、これまた政府も加藤委員のお説に同感であります。従つてできる限り早く輸出組合を創設させまして、そうしてこういう問題はあげて輸出組合において適当な対策をとらせようという構想を持つておりまするが、これには現在の場合、事業者団体法がありますので、この事業者団体法を急速に廃止いたしたい。またかりに廃止ができなければ、あとう限り緩和いたしたいという考え方のもとに、現在政令委員会の方でも検討いたしておりまするし、また通産省といたしましても、この問題に対する見解を答申いたしておるのであります。おそらく次の臨時国会で、廃止かあるいは廃止に近い緩和が行われるであろうという想定のもとに、それがさような状態になりましたならば、すかさず輸出組合をそれぞれの重要な地域に創立させたいという考え方のもとに現在準備を進めておるのでありまして、できる限りこれが実現を期して参りたいと考えております。
#15
○加藤(鐐)委員 私は事業者団体法を廃止かあるいは根本的に改正するという御意見は非常にけつこうであると思うのです。その点につきましていろいろ意見がありまするけれども、時間の関係でまた次の適当の機会に譲ります。
 最後に、もう一つ重大な問題を質問したいのでありまするが、これは先ほど政務次官も私の質問に先立つて申された、いわゆる金融難の問題であります。特にストツク融資の問題が今やかましく論議されて、大体繊維関係につきましては相当なストツク融資が行われることになつたようでありまするが、中小企業の製品に対するストツク融資というものが考えられておらない。ことに輸出製品になりますると、季節的に売れる時期と売れない時期がありまして、それだからといつて、いわゆる注文が来たからすぐに生産にかかるというわけにも行かないので、時にストツクができるわけです。これはストツクというべきものではないと私は思うのです。そういう場合に、いわゆる資本の蓄積が十分でない今日の業者が、すぐわずかなストツクのために参つてしまつて、いわゆるダンピングをやらなければならぬということにもなると思うのです。その場合に金融業者が一切中小企業にはそつぽを向いて相手にならない。この問題のために今日中小企業者が苦しんでいることは私が説明するまでもない。もちろん大企業に対しまして、そうした恩恵が与えられますならば、中小企業に対しましても、重要な産業、特に輸出関係においては、やはりストツク融資の道を講ずる必要が絶対に私はあると思う。それが今日行われておらない。ことに最近いろいろな中小企業に対する処置が講ぜられ、中小企業信用保険法ができましても、金融機関はほとんどこれに協力しないという現状である。また中小企業に対するところの見返り資金のわくが設けられても、これは市中銀行が協力しないために、日銀には金が余つておつても、中小企業には利用できないという今日の実情に対して、政府は何らかの手を打つ考えはないかどうか。私は時間がございませんから、一括していろいろ意見を交えながら質問いたしまするけれども、今日市中銀行が中小企業に対して一切協力しないそうした状態のもとにおいて、なお一方には不当なる融資をしておるという事実を私どもは散見する。私は端的に今一つの例を申し上げまするが、私の郷里の岐阜の一新聞の記事を見ますると、大垣共立銀行は預金が五十五億円であるのに、一アミノ酸しようゆの製造販売をやつておる会社で、資本金も一千万円そこそこの会社に対しまして、五十五億の預金を持つておる銀行が五十五億しかない預金の中から、一ぺんに二億二千万円という融資をする、こういう事実も実はある。きようは、日銀の方が来ておられないが、岐阜の日銀の出張所においてもこれに協力しておるという話も、私はこの記事とともに聞いております。こういういわゆる不当貸出しと見なされるような問題は随所に起つておる。またあるいは料理屋、飲食店の建築等に対して不当融資をしておるという事実も、ときどきわれわれは聞く。そういう事実が一方にありながら、重要な企業、特に輸出産業等に対しまして、わずかなストツク融資さえもしないという行き方では、金融機関は国の産業に協力するところの金融機関ではなくして、一高利貸にすぎないと思うのぎあります。金融関係の方もここにおいでになりまするけれども、少くとも今日の市中銀行というものは昔の高利貸同様である。ただ昔ほど高い金利を表面とつておらない。しかしその裏ではいろいろな手数料というようなものもとつておるようでありまするから、相当な高利につくでありましようが、こういう不当貸出しをしておる。こういう問題を合日大蔵省はどういうふうにお考えになるか、簡單でよろしいから御答弁を願いたい。私に与えられた時間が過ぎましたからこの問題で質問を打切りますが、通産当局はこの中小企業に対する金融の問題、特に今日焦眉の急となつているところの、一切の問題がそこから起つて来るところのストツク融資の問題――大企業に対する融資の問題はある程度解決されつつあるようでありますけれども、中小企業、特に輸出産業等については絶対必要であると考えるのでありますが、この問題をどういうふうに考えておられるか。単なる口先の御答弁でなくして、具体的にどういうふうにしたい、そうすればこの問題は解決するというお考えがあるならば御答弁を願いたい。今日日銀当局が言つておりますように、通貨が非常な膨脹をしているということで、これはできないというような御答弁をなさるかもしれませんけれども、私どもはそれでは、今日本の産業は非常に重大な危機に直面すると思うのでありますから、これを打開するところの道を考えていただきたいと思いますが、その点についての御意見を承りたいと思います。
#16
○首藤説明員 銀行の個々に対する金融に対しましては、大蔵省の方から答弁いたしますが、中小企業金融に対して通産省のとつておる今日までの施策の具体的な問題あるいは今後の対策という点について、一応御答弁いたします。
 最近の金融難は、これは大中小を問わず全部一律でありまして、政府は極力これの金融の疏通をはかつておることは、加藤委員も御了承願つておることと存じておるのであります。現にこの金融がいかに迅速に行われておるかは、日銀の貸出高がすでに二千五百億という厖大な金額に達しておる点だけでも御理解願えると存じておるのであります。ただ、しからばこの間に中小企業に幾ら融資されたかということに相なりますと、まだ具体的な資料が届いておりませんので、ここに数学的には申し上げかねますが、中小企業にも相当の金融がついておることと存じておるのであります。しかし大企業と中小企業を比較した場合、どうしても金融機関が大企業を優先的に取扱つて、中小企業をあとまわしにすることは、これまた現在の実相であります。そこで通産省といたしましては、このいずれかといえば不利な立場にある中小企業の金融を、何らかの方法でカバーしなければならぬという考え方のもとに、もつぱらその辺の対策を講じておるのでありますが、具体的に申し上げますれば、信用保険の促進であるとか、あるいはまた中金の貸出しの促進であるとか、あるいはまた無盡、信用組合等々、さらにまた地方の信用保証協会、これらの機関を通じまして、極力あつせんの方法をとつておるのであります。しかしこれだけではなお不十分であるという考え方のもとに、現在大蔵省と折衝を続けておりますが、中金の方に少くとも三十億、また国民金融金庫の方に二十億、財政資金を五十億出してもらいたいということを今折衝をしておるのであります。さらに輸出製品の中小の加工工場に対する金融でありますが、これも次の国会に法案を提出して御協賛を仰ぎたいということで、今準備を進めておりますが、その法案におきましては、現在の基金十億をさらに五十億ふやしまして、そうしてその保険の範囲を現在よりも著しく拡大いたしまして――その中にはただいま加藤委員が御指摘された、時期的には不需要期である、現実には輸出はできないが、いよいよ輸出のシーズンに入りますと、とても生産が間に合わない、従つて不需要期に多量に生産して、需要期になつて輸出にさしつかえない生産を続ける、そうすることによつてコストも安くなるし、また輸出を振興せしむる、それがためにはそういう不需要期において生産するものに対してあらかじめ金融をつけるということが、新しく提案することになつております輸出保険の中に加えてあるのでありまして、これらがせつかく議会で御協賛を経ますならば、ただいま御指摘の問題も当然解消して参りまして、中小企業の輸出産業に対するところの生産が、従来よりもはるかに円滑に運ばれて行くであろうと考えておるのであります。
#17
○加藤(鐐)委員 時間が長くなつて非常に恐縮ですが、最後に希望だけを申し上げて、私の質問を打切ります。私の調べによりますと、三月現在の市中銀行の中小企業に対する貸出し残高は、三千二百七十三億というようになつております。これは相当な金額であつて、今私が大蔵当局にお伺いしたように、今日の銀行業者の態度が問題なのです。こういう必要でない所にこの不当と思われるような融資をする、しかも場合によつてはそれに日銀の地方の出張所が中に入つてあつせんするというに至つては、これは納得できない。これによつてまた日本の産業を混乱させ、一方においてはいわゆるインフレの助長となり、そうして必要な産業に対する融資ができないということになると思うのです。こういう問題を大蔵当局はいかに査察されるかという問題――きよう日銀当局はおられませんけれども、大蔵当局で御答弁のできる方がおいでになれば、この問題を一応大蔵当局から御答弁を願いたい。
 それからもう一つの問題は、輸出手形は相当利用されておるようでありますけれども、これがいわゆるサプライヤーによつてストツク融資にまわされておる。いわゆる貿易手形の融資を受けて、それは当然メーカーに渡つて行くべきものであるのに、それが今言つたようにストツク融資が行われておる。さらに今日のサプライヤーというものは、大きいのもありますけれども、小さい米粒みたような、電話一つ置いて、人の事務所に間借りをして――間借りというよりも同居をして貿易をやつておるようなサプライヤーがたくさんおる。従つてもし――まさかそういうものにまで多額の融資は行われないでありましようけれども、それに類するようなサプライヤーが貿易手形の融資を受けると、それがストツク融資になつてしまつて、メーカーにはまわつて行かない、こういう事実がある。これも政府は、そういう問題に対して一々調査はできないとおつしやるかもしれませんけれども、しかしこれは非常に重大な問題である。そういう点では私は、貿易業者に対しては、自主的な組合によつてある程度の制限を加えるか、その能力の点についての資格があるということでなければ――もしこういう業者がいたずらに氾濫することになりますと、この問題は随所に起つて来ると思う。こういう問題につきまして、政府が深甚なる考慮を払われることを希望する。御答弁を願えればなおけつこうです。
 それからきようは商工金庫の理事長も来ておいでになりますから、理事長にも一言希望を述べておきます。御答弁は必要でありません。商工中金が非常な努力をしておられる点は私も認めます。しかし末端の支所あるいは出張所において非常に調査に手間がかかつて、実際に間に合わぬという事例が非常に多い、こういう点は特に迅速に調査が行われるように御努力を願いたい。案件が多過ぎて手がまわらないというような点もあるではございましようけれども、しかしながら一方は必要に応じて申込みをするのでありますから、これを何らかの方法をもつて迅速に調査して、できるだけ早く処理するようにしてもらわなければ、実際に間に合わぬという事実をわれわれ往々目撃するので、特にその点御注意願いたい。
#18
○福田説明員 きようは銀行局長がさしつかえがございまして、どうしても来られないので私参つたような次第であります。
 銀行の経営等につきましていろいろと御注意をいただいたのでありますが、ただいま御指摘になりました大口信用ですが、その具体的な事案につきましては私承知いたしておりませんので、その問題自身の可否についてはいずれ調査した上でなければお答えできませんが、どういう事情か、何らか特別な事情があるかもしれぬと思います。ただしかしながら一般論といたしまして、御指摘に相なりました点は主として二点であつたようでございます。その一つは大口の信用集中と申しますか、ある特定の相手方に対してまとまつた金を身分不相応に大きく貸すということはどうであろうかという点が一つ。もう一つは高利貸しという言葉をお使いになりましたが、表面のデータは安いようだけれども、実際は高利貸し的なことをやつておる。おそらくその実体は両建預金というような実質ではなかろうかと思う。そこでそれらの点につきまして全部が全部の銀行がそうやつておるのではないと思いますが、そういう傾向がちよいちよい見受けられますので、先般七月の何日かに銀行局長通牒で、銀行の業務運営のいろいろな点について各銀行に通牒いたしまして反省を促し、要すれば法的措置も考える、大臣もそういうことをおつしやつておるのでございます。特に一つの大口の信用集中という点につきましては、銀行自身の経営の立場から申しましても、ある一つの大口の債務者に対して大きな貸付がありますと、そのたつた一口だけの焦げつきなり、あるいは回収不能というようなことが起りますと、銀行の運命も左右されるような危険もありますので、自己資本の一定割合を越えるような大口の貸出しは差控えるようにということを、従来銀行検査の場合等にもよく注意をいたしておるのでありますが、何分にも資本蓄積が乏しかつた関係もあつたと思いますが、相当大きな割合、たとえば自己資本の六割か七割、ごく少数とは思いますが、はなはだしきは自己資本一ぱいというようなものも若干あるように見受けられます。従いまして今後は銀行の自己資本もかなりふえたことでもございますし、自己資本の一定割合以下にとどめるように指導して行きたい、先般の通牒もその趣旨を十分織り込みまして強調しておるのでございます。
 それから第二点の表面は金利は安いけれども実質は高利貸しだと御指摘になりましたが、そういう面も最近ぼちぼち見受けられますので、両建預金貸出しの金利違反、特に産業の実質的な金利の負担の軽減をはかるために、両建のごときはやめるようにという嚴重な通牒を発しております。それによりまして臨時金利調整法の間接的な違反となるが、金利調整法に違反するごときはなはだしいものについては、嚴重な処置をとるからあらかじめ注意されたいということをつけ加えて戒めております。現在ウインドウ・ドレツシングと両建預金につきましては、検査部の検査機能と財務局の検査機能とを動員いたしまして、ただいま全国数十箇所の店舗について実情を検査中でございます。そういうふうに御指摘の点は、全部が全部とは申し上げられませんけれども、方々にそういうことがあるように見受けられますので、大蔵省といたしましても、ただいま御注意のありました方向で監督を進めることにいたしたいと思つております。
#19
○小金委員長 福田一君。
#20
○福田(一)委員 私は中小企業金融の問題について、政府並びに関係者の各位にお伺いを申し上げたいと思つております。但しこの問題につきましては、過日以来熱心な同僚委員の質問がありまして、いろいろ問題が明らかにされた点もあるのでありますが、質問の関係上、あるいはダブる面が起るかもしれませんけれども、その点は御了承願いまして、御答弁を願いたいと思うのであります。まず今回問題になつておりまするところの中小企業の金融強化に関する件につきましては、事自体は何人を問わず皆賛成をいたしているのでありますからして、今問題になろうとし、あるいは研究されているのは、いかにしてこれを強化するかという方法論に盡きていると考えているのであります。
 そこでまずお伺いいたしたいと思いますことは全体商工中金の現在の金融の動きといいますか、現在やつておられます内容、並びに商工中金がどのような面において非常に不便を感じておられるか、またこれをいかにせば改善し得るかというような、この三点についてひとつ中金の当局から明快な御答弁が願いたいのであります。ただ時間もありませんので、簡単にお答え願いたいのでありまして、要は現在の動き、またどのような点に不便を感じておるか、またこれをどういうふうに改善すれば最もよく実現できるか、こういう点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
#21
○豊田参考人 ただいま中金の事業内容、さらに不便といたしておりまする点及びこれの対策について意見を述べろということでございます。これに対しましてできるだけ簡単にお答え申し上げます。
 商工組合中央金庫は、すでに御承知願つていると存じまするが、設立当初から一般大衆の預金はもとよりでございますが、組合員の預金も直接にはとれない、ただ組合の余裕金だけを預金としてとり得るということに相なつておるのであります。従いまして資金源といたしましては、当初から終戦後金融機関の再建整備に至りますまでの間におきまして、出資は政府が半額出資、民間から半額出資、要するに組合から半額出資ということに相なつておつたのでありまして、さらに債券の発行ができる。しかし大部分は預金部資金によつて引受ける、また預金部資金の貸出しを受ける。要するに政府出資と債券発行を中心にいたしまして、預金部資金の活用という面におきまして、資金源を何とかするという建前におきまして、商工組合中央金庫は出発いたしておつたのであります。ところが昭和二十四年の初めであつたかと思いますが、金融機関再建整備の荊後から政府出資の見込みが立たなくなりまして、さらに債券の発行が不可能に相なつたのであります。と申しますのは、商工組合中央金庫も、先ほど申します通り、組合のみの預金にせよ預金を取扱つておる以上は、債券の発行ができないということに当時相なりまして、これがために債券の発行は不能となり、また預金部資金の漸次引上げというようなことに相なりまして、ここにおいて商工組合中央金庫といたしましては、非常な苦境に当面いたしたのであります。しかしようやくにいたしまして、いわゆる日本銀行の別わくというものが出るように相なりました。さらにまた府県庁の非常に理解ある御協力によりまして、組合の預金のみではとうていいかに努力しても足らないだろう、それを幾分なりとも府県庁の余裕金の預託によつて補い、しかして中小金融に力を入れて行くという意味におきまして、府県庁の余裕金の預託というものが始まりました。これらによりまして、ようやく漸次危機を脱して参つたのであります。しかしさような状態でありましたがために、好むと好まざるとにかかわらず資金源からいたしまして、主として貸出しは短期資金と相なりますし、またその形は依然いわゆる商業金融的な行き方に相なつておつたのであります。しかしこれは過渡的な状態でありまして、その後組合の自力によります増資まず一億五千万円を達成いたしまして、その後幸いに銀行等の債券発行に関する法律というものができるように相なりまして、昨年来債券の発行が復活できるように相なつたのであります。同時に組合によります増資を五億までいたしまして、見返り資金からの優先出資が五億、ここにおいて十億の資本金になりまして、これの二十倍までの債券発行ができるということになりまして、昨年来債券の発行を続けて参つておるのでありますがその消化もいわゆる利付債券の方の三年ものがなかなか困難でありました。しかしある程度預金部資金によりましても引受けてもらつて参りましたし、また割引商工債券の消化はある程度利付債券に比べますと、消化率はよろしい。ようやく債券の資金によりまして商工中金というものは、かつてありました本来の姿に今立ちもどりつつあるわけであります。要するに本来は長期資金の放出というような特殊使命を持ちながら、一時は資金源の関係から余儀なく短期資金、商業金融的になつておりましたけれども、ようやく漸次本来の姿に立ち返りまして、これから大いに設備資金、長期運転資金の貸出しに重点を置いて行こうというふうになつて来ておるのであります。これを貸出しの面から見ますると、昭和二十二年、私が引受けましたのがそのころでありますが、当時は貸出しが四億程度であつたのでありますが、ただいま百五十億を上まわるように相なつて来ております。これが最近非常にふえました原因は、先ほど申します通り、債券によりまする資金源の道が開かれたということのほかに、需要の面からいたしますと、御案内の公団廃止縮小、これがため中小企業界は自力によりまして資金の調達をしなければならぬということになつたのであります。公団のありました当時は、いわゆる公団金融によりまして、原材料を中小企業者に委託加工させるというような行き方であつたのでありますが、公団廃止後におきましては、中小企業者は全部買取り加工あるいは販売をしなければならないということに相なつたわけでありまして、そこに中小企業界といたしましては、どうしてもみずから資金調達をいたさなければならぬ。この面にみそ、しようゆ、酒あるいは木材、木炭関係等が組合を中心にいたしまして、資金の申入れが非常に多くなつたのであります。さらにまたGHQの方針にもよりまして、衛生施設の改善あるいは露店の撤去収容の問題、これらに関しまする資金の需要がふえて参つたのであります。さらにまた最近におきましては、大企業の金融逼迫関係からいたしまして、その下請が非常に困つておるのでありますが、この下請が組合をつくりまして、親会社からの振出手形を商工中金に持ち込みまして、これらの融資を受けるというような行き方が非常にふえたのでありまして、東日本重工、大阪瓦斯、神戸の川崎重工業でありますとか、安川電機あるいは不二越鋼材というような大企業の下請組合からただいま申すような方法での金融というものが多くなり、また今後これが非常に大きくならんといたしております。
 ただいま申しますような中小企業の層――中小企業と申しますのは、大体三段階にわかれておるようであります。一番上の層になりますと、これは個々ばらばらで参りましても、今日のような金融逼迫の情勢下においても、なおかつ地方銀行からは融資を受けられる。その次の層と申しまするのが、大体先ほど申しまする生活必需品関係、あるいは輸出産業関係、あるいは大企業の下請関係、これが大体みずから組合をつくつて来ておるのでございます。最近まだまだふえつつあるのでありまするけれども、要するにこれが組合といたしまして、それか商工中金を相手として資金を借り入れる。一番下の層が中小企業のうち特に小企業とか、零細企業とか言われておりますが、この面が今までの無盡会社、あるいは信用組合、あるいは国家機関である国民金融公庫等へ参りまして、十万あるいは二十万の資金を個々ばらばらの形で融資を受ける。またその程度の資金でりつぱに事業資金にもなるというような階層であります。要するに上下の層は個々ばらばらでも、何とか普通銀行なり、あるいはただいま申すような、どつちかと申しますと、少額の資金融通をいたします層から個々に融資を受け得る。中間の層が金額が非常に張るにもかかわらず、市中銀行へ行くと融資がしてもらえない。従つていわゆる組合の形によりまして金融べースに乗るようにして行くというわけでありまして、商工中金といたしましては、主としてこの層には従来融資をいたして来ておるのでありますが、もちろんそこには、上下のずれがあることは申し上げるまでもないのであります。さような状態でありまして、組合は漸次ふえつつあるわけでありまして、ことに最近は急激にふえました。昨年度はかれこれ一万四、五千も組合がふえたかと思うのでありますが、さような状態でありますので、今後新たにできました組合と商工中金との関係を緊密にして、その面に対する資金需要に応じたいというようなことからいたしまして、ただいまさらに増資を計画いたしております。この九月にさらに五億円、これも組合のみの出資によりまして増資をいたすわけであります。
 さらに、営業所のことをつけ加えて申し上げておきまするが、ただいまは営業所は三十八であります。先ほど申しました終戦後間もないころは十四であつたのでありますが、ただいま、三十八に相なつております。この九月にさらに出張所を四箇所増設いたしまして、全部で四十二になるわけでありまするが、あとの県につきましては駐在員を常駐いたしましてこの秋に全国的に営業所の一応の整備をいたしたいというふうに考えまして、ただいま鋭意努力いたしておるような次第であります。最も今不便を感じておりまする点は、これはいろいろとあるわけでありまするが、特に私どもの痛感いたしておりまする面は、先ほど申し上げましたごとく、組合員に対しましては、組合から転貸の形で融資をいたしておりまするにかかわらず、その組合員からは預金が吸収できない。この点が貸出しの管理回収上から見ましても非常に不便である。また組合員自身も直接商工中金に預金をし、小切手帳が振り出してもらえるならば、喜んで預金をするということを言つておるのでありまするが、いかんせん組合員には直接小切手帳が振り出せないただいまの建前でありまするがゆえに、商工業者は預金いたしましても、まつたく預金が固定して来る。小切手帳によりまする弾力性のある動かし方ができない。これは商工業者にとつては非常な苦痛でありまするので、この点を、直接組合員から預金の吸収ができるようにする点につきまして御改正が願いたいということを前々からいろいろ申し上げてもおるようなわけであります。
 次には、資金源の問題でありまするが、この資金源につきましては、本来は主として長期資金を貸し出して行かなければなりませんので、長期資金に向く資金源の確保ということが必要でありますので、この点におきましては、債券の発行をいたしてはおりますが、これらの大幅の引受けを政府資金によつて願う、あるいはこれにかわるような方法が講ぜられることを最も希望いたしているのであります。さらにまた短期資金も長期資金とあわせて、組合で中小企業者に融資をいたします必要があることは申すまでもないのでありますので、この点におきましては、従来債券によりまする資金を充当しておりますがゆえに、非常にコストが高くなるのでありまして、ただいまでも債券によりますと、日歩二銭六、七厘くらいにコストがなるのであります。従いまして、これを三銭未満で短期資金といたしまして貸出しをいたしますと、場合によりますと人件費などの面から見ますと、逆ざやになる傾向すらあるのであります。この短期資金貸出しにふさわしいような低コストの資金が得られる、これを痛感いたしているような次第であります。不便の点はまだいろいろとあろうかと思いますけれども、特にただいま痛感いたしておりますのはこれらの点でありまして、この面につきまして政府資金を中心にいたしまして十分なる御考慮を願いたいと存ずる次第であります。
 要するに、中小企業金融が非常に問題になりつつ、商工中金は一般大衆の預金が直接とれぬ、そこに問題がありまして、いろいろと困難なる問題を派生せしめているわけでありますので、この面に対します打開の道をお考え願いたいというわけであります。
 以上簡単ではありまするが、申し上げまして、なお御質問等がございましたらお答えすることにいたしたいと思います。
#22
○福田(一)委員 ただいま御説明があつたので、一応内容を了承いたしたのでありますが、そこで今の御説明によりますと、一般の銀行と同じように、個人の預金並びに貸出しを組合員に関する限り認めてもらいたい、そういうことをしなければ、ほんとうの中小企業金融の打開ができない、こういうふうに御説明があつたと了承するのでありますが、私たちは実は今までの中金のやられておりました手続が早く行かないとか、あるいは昨年織物が暴落いたしましたときに、大蔵省、日銀を通じて融資が決定したにもかかわらず、本年の五、六月ころまでに二十億の融資の中でやつと十四、五億しか出なかつた、そういうような具体的な例もあり、あるいはまた最近官僚的であるとか、いや何とかいうようなことをよく言う人もありますが、私はそういう面は順次改善してもらえるものと思いますので、その点についてここで強く要望はいたしますが、弁明を求める必要はありません。しかし今言われるような組合員に対する預金と貸出しができるようにしたい、こういうお考えを持つておられるのに対して、これはひとつ大蔵省の銀行局の関係者にお伺いするのでありますが、商工中金というものは、組合に対する金融というものを重点においてつくられたものである。日本では商工業者に対しては商工中金、農林、畜産あるいは漁業というようなものに対しては農林中金という二つの組合をつくつておられるのでありますけれども、今言うごとく、商工中金でそういうことをなされるようになれば、農林中金でも同じようなことをすべき筋合いのものである。もともと組合金融によつて組合を強化して、産業の発達をはかろうというのでありますが、最近の現状を見ますると、当初組合をつくりました本来の目的は産業の合理化という点にありまして、一つは共同購入、一つは共同の施設というようなものをつくつてやつて行く。それには金融の問題もからんで来るというので、商工中金あるいはその他の組合をつくられたと思うのでありますけれども、そういうような事情から考えてみて、一体今後大蔵省としては、大体商工中金に対して、商工中金がそのような方法をとつて行くことが妥当と考えておられるかどうか、それが一般の金融体系を乱すとお考えになるか、それでもよいとお考えになつておられるかどうか。これは非常に大きな政治問題でありまして、あるいは大蔵省の今出ておられるお方では御答弁しにくい面があるかとも考えるのでありますが、一応関係者の御意見を承りたい。
#23
○福田説明員 御質問の中にも非常に御同情あるお言葉がございましたように、非常にむずかしい問題だと思います。従来商工中金あるいは農林中金は、組合金融機関としてつまり組合の中央金融機関としての性格を持つて発足したのでありまして、いわば組合に対する金融機関で、それから先は組合と組合員という引続き昔からそういう思想で来ておつたと思いますが、ただ農林中金の系統の場合を御指摘になりましたが、農林中金の場合には、単位の組合と、それから中央金庫との間にもう一つ信連というのがございまして三段階になつており、おのおの金融事業をやつておるという事情もございますので、商工中金の場合と比べてみまして、多少趣きな異にする点もあるようにも見受けられるのであります。ただ商工中金につきましては、中金その他各方面の強い御要望もありまして、間接構成員である組合員との取引という点について強い御要望もあることでございまするし、目下政府部内におきましていろいろと検討を続けておる現状でございます。従いましてもしも結論を得られることになりますれば、その機会に結論についてはお答えするのが適当ではないかと思つております。一応この程度で御了承願いたいと思います。
#24
○福田(一)委員 これはいろいろ関連した問題がありますので、次はひとつ公庫の方へお伺いしてみたいのでありますが、公庫の方では最近個人に対する貸出高を一人当り二十万円まで引上げる。今までは、最初は五万円次に十万円にして、そして二十万円にするということを承つておるのでありますが、この二十万円にするというのは、二十万円程度まで貸出さなければ、零細な金融を行うことができない。むしろ社会保障的な金融というものは、その程度まで貨幣価値が下落しておるのだ、こういうお考えで引上げられたのだと考えるのであります。にもかかわらず十万円のときには十人全体でもつて百万円まで金が借りられたのに、今度二十万円になつた場合にも、なおこれを百万円として置かれたのはいかなる理由があつてこれをとめ置かれたのか、なぜ二百万円まで引上げられなかつたのかということをひとつ解明していただきたいのであります。
#25
○井關説明員 お答えいたします。国民金融公庫といたしましては、今商工組合中央金庫の豊田理事長が御説明になつたと同じような対象で、組合でなしに、個々の単独の個へ、それから組合、会社というものに融資していいという解釈を持つております。これは法律の国民金融公庫法の第十八条の第二項に「銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対して、小口の事業資金」、こういうことになつておりますので、そういうものを含んでおると私どもは解釈いたしまして、従来ともそういう組合でなく、個々の個人組合、会社等に融資いたしておる。組合等はもちろん商工中金さんあたりから御紹介になつたものも二、三融資しておりまして、商工中金でお扱いにならぬというものをお世話しております。御質問の金額問題につきましては、なぜ百万、二百万という限度を設けたかというようなことに対しては、これは政府の方で小口という解釈をさようにいたしておるのであるというふうに解釈いたしております。しかし実情は、小さい商店を開きますのにも、場末の表辿りであれば権利金に百万、百五十万を投じなければならぬ。そのほか商品、運転資金を入れますれば、三百万、四百万を要するのであります。私の方といたしましては限度をもう少し拡張していただきたいという希望を持つております。先般昨年でありましたか、今年でありましたか、中小企業庁が御調査になりました日本経済新聞あたりが御編纂なさつておる著書の中において、中小企業と申しましても、ほとんど企業の形態をなさぬ零細企業から大きい企業まである。その限界は使用人をもつてしても、資本金をもつていたしましても限界がつきにくいのだというふうに解釈をいたしておるので、われわれもそういうふうに解釈いたしておりますが、企業の分類が、そういうふうにむずかしいので、大体の目安しかおそらく分類できないのではないか、にもかかわらず金融の方面だけを百万と限つたのでは、われわれは現状からいたしましてもう少し貸付の限度の拡張をいたしますれば中小企業はたいへん御便利ではないか、かように考えておるのであります。簡単に申し上げておきます。
#26
○福田(一)委員 今の御答弁では、そういうふうにしてもらえば便利ではないかというお話でございますが、実はあなた方の方にそういう広げる権限が一応法律によつて与えられておるのではないかと解釈しておるのですが、そうではないのですか。
#27
○井關説明員 ただいまのお話でございますが、法律の条文では大蔵大臣が審議会の議を経て貸付の限度その他期限をきめるというふうになつております。法律でなく、大蔵大臣が審議会の議を経てきめるというふうになつております。この提案は私の方からすることもあるいはできるかもしれませんが、今までの例は大体大蔵大臣が承認いたすものでありますから大蔵大臣からすることになつております。
#28
○福田(一)委員 そこら辺がよくわからないところでありまして、大蔵大臣がきめるのだ、あなた方の方も関係者であつてきめられるのであれば、必要であれば公庫の方からどんどん大蔵大臣の方に、あるいは審議会の方に運動をして、それをおきめになつたらいいと思いまして、それを大蔵大臣がきめるのだ、あるいは審議会の議を経なければならないのだということでちつともそれをおやりになつていない。やつておられないということになりますと、これはどうも少し怠慢ではないかという印象を受ける。私はおそらくやつておられるのを表現の仕方はそういうようになつておるのではないかと思うけれども、しかしあるいはほかに御事情があつて言えない面もあるかもしれませんから、私はこれ以上はあまり追究いたしません。
 そこで時間が非常に短かいものですから、簡単に政務次官にひとつお伺いしてみたいのでありますが、政務次官は政府の政務次官として、通産政務次官という政府の答弁を求めたいのであります。大臣がおれば一番よかつたのですが、大臣がおられませんからいたしかたない。一体政務次官は不動産金融というものはやつた方がいいかどうか、どうゆうような意見を持つておられるか、わが党は御存じのように不動産金融は大いにやつた方がいいという意見を持つておりますが、不動産金融というものはやつた方がいいかどうか、これについて簡単に御答弁を願いたい。
#29
○首藤説明員 この問題につきまして、私個人としては当然不動産金融はやるべきだ、やる必要ありというふうに考えておりますが、政府のこの問題に対する最終的な結論がまだ出ておりませんので、政府の意見としてここでその是非を申し上げることは若干尚早かと考えます。
#30
○福田(一)委員 私の聞いておるところでは、非公式声明であるかどうか知りませんが、池田大蔵大臣は不動産金融というものは最近において公庫をしてやらしめる、あるいはどこかの銀行にやらしめるというようなことを言つておられるということを聞いておるのでありまして、おそらく不動産金融をやること自体については政府部内に反対はないのじやないか、但しそれの限度あるいはまたいかなる銀行にこれをやらせるかということが問題になつておるのではないか、かように私は考えるわけであります。そこで従来問題になつております焦点に返つて参りますと、来年度においては今度の臨時国会あるいは通常国会によりまして、いろいろの資金をかき集めまして、中小企業金融のために大体五十億円ほどの金ができるだろうということが、この間銀行局長からもお話があつたわけであります。そこでその五十億円をいかにして活用するかという問題でありますが、まず二十億円というものは、これは公庫の方に無条件で、いわゆる二十万円限度までの零細な金融の増額に充てようということについても意見が一致しておるやに承つておるのでありますが、残りの三十億円をどういうふうに、どこへ配分するかという問題がかなり問題になつている。これと金庫の性格、中金の性格というものとからみ合いましていろいろ疑点が出ているわけでありますが、私が御質問いたしたいと思いますことは、一体この不動産金融というものを商工中金の方でもやりたい、こういうような御希望があるやに聞いておるのでありますが、組合員に対していわゆる貸付と預金ができるようにし、同時に今言つたような金融もやりたいという希望があるのかどうか、まず中金の御当局から御意見を承りたい。
#31
○豊田参考人 お答えいたしますが、商工組合中央金庫といたしましては、すでに現在不動産金融は相当いたしておるのであります。設備資金につきましてはもちろんでありまするが、運転資金等につきましても、組合の役員あるいは組合員、これの不動産等を対象にいたしまして、これを担保にいたしまして融資をいたすというようなことは現にやつておるわけでありまして、さような金額が先ほど申しましたように合計百五十億を上まわつておるのでありますが、平均いたしますると、組合当りにいたしまして三百万円程度でありまして、組合単位にいたしましても、この程度の金額になつておるのであります。その点どうぞ……。
#32
○福田(一)委員 個人に対してそういうことをしたいかどうかを承つておるのです。組合員の個人に対してもそういうことをやりたいかどうか。
#33
○豊田参考人 現在組合経由で、組合員には転貸をいたしておるのでありまして、もうすでに転貸の形で組合員に対しまして、不動産金融を行つておるわけであります。今後も続けて行いまして、組合の結束が外部から乱されないような方向にぜひ進めて行きたいものだというふうに考えております。
#34
○福田(一)委員 実は今の組合の状態を見ますと、先ほども申し上げましたが、共同購入だとか共同作業所とか、共同施設をつくるというのが目的でつくられたのでありますけれども、非常に金融が逼迫しておりますために、金融をつけるために組合をつくつておるというのが、最近の現状になつておる、事実はそうなつておるのが多いのです。そういう場合において、現在できておる組合の数は、私の了承いたしておるところでは、大体二万五千ぐらいあります。金庫の方から取引のある組合というものは七千に満たないものだと考えておるのでありますが、もう少しこれは、その方面の組合との取引というものをどんどんやる面の方が、私は本来の中金の立場から見れば、組合の個人との間の問題を取上げるより先に、組合が四分の一の取引しかなくて、四分の三はまだ取引をいたしておらないというような、こういうような現状において、まだそのほかに欲張つて手を広げるようなことはどんなものだろうか、特に今度の問題は、私の了承いたしておるところでは、大蔵省側に、この公庫に対して不動産金融で五百万円ぐらいまで認めてもいいじやないか、こういう意見が出たのを、それくらいの財源があるのなら、ひとつ中金の方によこしたらいいじやないか、おれの方も非常に困つておるというような、嫉妬というか、人のうまく行くのがどうもちよつとおかしいというような感じで中金が割り込んで来たというような悪印象を一般に与えておるということは非常に損だ、私はこう考えるのであります。もつと組合金融の方を強化する、組合を組織しておる個々の人との金融の問題よりは、それ自体を強化される方面に中金としては御努力になるのが必要なのじやないか、いろいろな事例でもつてぶつかつてみましても、なかなかあなたのところの問題は、法律やらその他いろいろな面でむずかしい面があるようでありますが、法律を改正するなり、先ほど言いましたような法律、あなたの御希望になつておられるような法律の改正、このことは非常にけつこうで私たち大賛成であります。中金を拡充強化することについては、私はだれよりも強くこれを主張するものでありますけれども、今言つたように、組合の数が二万五千あつて、しかも取引しておるのが六千ないし七千というような現状では、まだずいぶんこういう面における努力が足りないのじやないか、こういうことを私たちは数字の上から印象を受けるのでありますが、これに対して理事長はどういうお考えを持つておりますか。
#35
○豊田参考人 商工組合に対します融資は、農業協同組合などに対します融資と根本的に本質が違う点があるのでありまして、農業協同組合の方は、御承知と存じまするが、ほとんどが組合の共同施設に対する貸出しであります。と申しますのは、農業関係でありますると、一村共同で共同施設をやりまするために、必要とする資金が入りますと、大体あとは組合員が種子でありますとか、あるいは肥料であるとかという程度でありまして、そう非常に商工業のごとく多くの資金を組合員自身も同時に必要とするということがないのでありますが、商工業関係でありますと、組合をつくりまして、たとえば綿織物あるいは絹織物などにいたしましても、織り上げたものを組合の方で共同施設といたしまして、さらしをするとか、あるいは精練をするとかいうことを組合自身がやるのでありますが、これにつきましては相当の資金がいる。ところが組合員は今の綿布、絹、人絹等を織り上げることにつきまして、組合の共同施設と並んでまた組合員独自の立場の資金がいる。これが商工と農林関係と非常に違う点であります。従いまして組合でいわゆる金融ベースに乗るということになりまして貸出しをいたしますと、組合のみならず、組合員に同時に並行的に貸して行くということが必然的に出て来るのであります。従いまして組合員に対する個人融資といいますか、その面が当然出て来るのであります。全体と部分の関係といいますか、両々相まつて組合及び組合員の事業が初めて繁栄して行くというような行き方でありますので、これは商工業独自の本賀でありますので、この点御了承を得たいと思うのであります。
 それからもう一つは、国民金融公庫との問題でありますが、これにつきましては、私、実はあまり触れたくないくらいに思うのであります。と申しますのは、国民金融公庫の審議会の私は委員をさせられておりまして、またその互選の結果、委員長まで推されておるようなわけでありまして、国民金融公庫の実態もよくわかり、また従来の零細金融といいますか、小金融といいますか、要するにあの法律にあります小口金融につきましては、私どもほんとうに率先して資金源の拡大強化をお願いいたしたいと存ずるのであります。ただ今回伺つておりますような案があわせ行われることになりますと、これは小口金融でなく、相当な金融でありまして、場合によりますと、大口金融とまで言い得るのじやないかというふうにすら思われるのでありまして、これがもしいわゆる普通金融の線には乗らぬ場合において、それだけのものが貸出されて行くということになりますと、普通金融に乗らない場合には、合理化の線といたしまして組合にこれをまとめて、そうして金融ベースに乗せるという線が別にありますので、この線が崩壊する端緒がつくられて来る、これが私どもといたしましては、広く中小企業全体のことを考えております立場からいたしまして、非常に心配なのであります。何もセクシヨナリズムなどという考えは、毛頭持つておらぬのでありまして、小口金融と、相当まとまつた組合金融、合理化の線に即した金融、これが両々相並んでどんどん進んで、初めて日本の中小企業はよくなるという確信を持つておりまするので、その線の混乱いたさないようにすることが必要じやないかということを考えておる次第でございます。どうか御了承願います。
#36
○福田(一)委員 そこで今仰せられたことは意味がわかりますが、実は先ほどから私が繰返して申し上げておりますように、今度の組合法によりますと、組合員の加入というものは、脱退、加入とも自由であります。脱退、加入とも自由なときに、今度は組合へ入つておつて、そして個人金融をあなたのところから受けられるような形になつた場合に、そうなれば何もあえて組合に入らないでもいいじやないかというようなことになつて、組合を育成するというためにつくられた中金というものが、組合を崩壊させる手段になる可能性が非常にある。現在組合がどんどんできておるのは、実は共同工場とか作業場をつくるというよりは、むしろ金融をつけてもらうために組合がどんどんふえておるのであります。それが今度はあなたの方へ個人的に頼んでもできるという形になりますと、あえて組合をつくる必要がない、こういうことになることを私は非常に恐れる。この点について、あなたはどういうお考えでありますか。
#37
○豊田参考人 まことにごもつともな御意見でありまして、私どももまつたくそういうふうに考えておるのであります。みずからこれをやつておりましても相当問題が出て来る。いわんや外部からさような融資の線が出て来るということになりますと、一層ただいまの御発言のような懸念がふえるわけであります。みずからやつておる場合におきましても、これはよほど注意をしないと、組合崩壊の端緒が出て来るということはその通りであります。今後、もしそうなりました場合にも、よほどの注意がいると思うのでありますが、いわんや外部からこの線が出て参りますと、せつかくの従来の沿革と将来の合理化の線としてはほとんど唯一の道だと言われておる組織化の道がこわれて来る。この点を非常に懸念いたしておるような次第であります。
#38
○福田(一)委員 そこで問題は、今度はあなたの方の対象とされるところの、いわゆる中小企業というものは、組合をつくり得る範囲の人が対象になるわけであります。一方においては、そういうような組合をつくり得ない中小企業が非常に多いということも考えてみなければならない。そういう面に対しては不動産金融ができなくて、そうしてあなたの方のような、組合がつくれるようなところにはできるということになりますと、これは国政全般から見て、はなはだしい不公平を生ずるということになる。もともと不動産金融というものの建前から言えば、国民はだれでも適当な担保、不動産さえ持つておれば金融を受けられるというのが、これが当然の措置であるべきにかかわらず、組合に加入した人はそういう意味で金が借りられるけれども、そういう組合をつくれないような人は金が借りられないということになつては、はなはだこれは私はおかしいじやないかと思うのですが、あなたはこれをどうお考えでありますか。
#39
○豊田参考人 その点につきましては、私は金額の点が一番問題になつて来るのだと思うのであります。これは私は何も責任ある地位にないものでありますから、エキスパートとしての意見をお聞取り願つておるというふうにお聞取り願えば仕合せだと思うのでありますが、不動産金融それ自体では問題は起らないじやないかと思うのであります、金額いかんが問題になつて来ると思うのであります。と申しますのは先ほど申しますように中小企業は三段階あるのでありまして、その間、ずれはありますけれども、一番上の線はこれは個々ばらばらで、個人なり会社で融資が受けられる。これは普通の銀行へ行つても融資が受けられる。今のような金融逼迫のときでもすでに三割という絶対額は、やはり個々の中小企業なり会社に普通銀行から融資せられておるというのでありますから、さような行き方になると思うのであります。それからまたその一番下の方と言うと語弊がありますが、従来十万、二十万の資金があれば一応の事業がやつて行けるという、個々ばらばらでやつて行けるものが相当多いじやないかと思うのであります。従つてこういう面につきまして、それにふさわしい程度の金額によつて、あるいは不動産金融ということが行われることは、これは別にそれほどの混乱がないのであります。要するに問題は中間層で、これは組合にいたしますと、相当に金額が張る層でありまして、特に輸出産業、生活必需品産業、ことに大企業の下請などになります関係上、相当に金額が張るのでありますが、この面を金融ベースに乗せようとすると、一つの組合にまとめなければならない。その組合にまとまつたものに対して融資をいたしますのには、おのずから一件当りの金額というものが常識的に出て来るのであります。その線が他の方面からこわれて来ないか。しかも個々ばらばらで金融ベースに乗るものに出て来るのだと、これは私はシステムとして問題ないと思うのでありますが、金融ベースに乗らぬ、しかもその貸し出す金額が相当の金額であるという場合には、この中間層を主にして考えました場合に、組合組織の崩壊を招くという点で、非常に懸念せられるのであります。
#40
○福田(一)委員 ただいまお話の中で、あなたは層を三つにおわけになりましたが、しかしその三つのわけ方が私は問題だと考えておる。どういうことであるかというと、上中下とおわけになつたが、その中をもう一ぺん二つにわけなければならぬ。その二つにわけた場合に、組合をつくれる層はなるほど救えるけれども、組合がつくれないような層も相当私はあるということを確信いたしておる。これは中小企業庁の長官も来ておるようだから、私の言うことに間違いがあつたらそれを解明していただいたらいいと思うのでありますが、私はそういうものを助けることができなくてはおかしいじやありませんかということをお尋ねしておるのであります。
#41
○豊田参考人 その面につきましては先ほどちよつと触れましたが、かりにありといたしますれば、これはあわせて、両方にらみ合せつつ、一機関でやつた方がよかろうというふうに考えております。
#42
○福田(一)委員 大分問題が明らかになつて来たようであります。きようは何もあえて結論を出すという意味で質問しておるのではないのでありまして、問題を明らかにするということが大事だと思つておるのであります。そこでもう一ぺん、そこまで問題がはつきりして来たところで、今度は政務次官にひとつ聞いてみたいと思うのであります。不初産金融をした方が私はいいと考えておるが、もし不動産金融をするということになれば、どこかにやらせるということになつて来るだろうと思うのであります。金額の多寡とか、あるいは貸出しの最高限度という問題についても議論が行われるでありましようが、今言つたような状態であるとしまして、商工中金は、ただいま豊田理事長のお話によると、最近はだんだん事業も進展して来た。ここでもう一ぺん法律を改正して、個人に預金をさせたり貸出しをするようなことも認めてもらうならば、どんどんこれでやつて行ける。将来は預金部からも金を出してもらう、あるいは日銀の別わくの何かも出してもらうということにすれば、相当発展ができるというように、私は最初御説明があつたときに承つたのであります。そういうことになれば、むしろそういう面を大いに強化することにわれわれとして奮闘努力するという線をひとつはつきりしなければならないと思うのであるます。これは大いにやつてあげなければいけないと思う。ぜひやらなければいけないのであります。そこで今度は不動産金融をする場合に、商工中金がやつたらいいのか、その場合の額の限度をいかにすべきか。あるいは国民金融公庫がやつたらいいのか、その場合の額の限度をいかにすべきかというようなことを検討することになると思うのであります。あなたは通産大臣としてひとつ答弁してもらわないと、通産政務次官ということではちよつと御答弁がしにくかろうと思うのであります。国務の問題でありますから、国務としてお考えにならなければいけない。そこでどちらがいいかという問題になるのでありますが、何といつても組合に不動産金融をやるということになれば、国民全般、だれにでもやつてやつた方がよろしいということになる。そのときに組合に加入しておる人は、それはできるけれども、組合がつくれないような者には不動産金融が認められないということではいけないから、どつちへ入つておつてもいいから、そういうものができない人にでも今度は商工中金がやるのだ、そういうふうにするのがいいのだ、こういうふうに豊田さんは言われておるようであります。しかしこの問題は私たちから考えると、要するに金額が五十億なら五十億の金額が出るということの方が問題でありまして、今はたいへんな日照りで三十日も雨が降らないといつてわれわれはふらふらしておるのでありますが、そういう日照りのときでも、農村なんかに行けば、上流で雨が降れば下流の者は潤うのでありまして、零細な金融を通じてでも、とにかくどんどん資金が出て来るということになれば、これによつて中のものも大のものもだんだん潤つて来る。同じことであります。先ほど豊田さんが言われたところによりますと、大企業の下請をするところの中企業を救うために、いろいろの便宜をはかるようにしようというのでありますが、中企業の下請をするために、また零細企業がそういうようなことをやつておる事例も非常に多いのであります。従つて金がどこかへ落ちなければこれは問題にならぬ。方法論であまり議論することによつて――今の日本の政治は残念なことではあるけれども、占領下にあるのでありますから、GHQとかそういう面との交渉その他において、かえつて私たちはそういうことをあまり議論するために出なくなるというようなことになつては、これはたいへんだと、こう私は考える。そこで三十億の金をどうするかという問題は、そういう問題もにらみ合せて、そうしてこれはどうしても金を出すという方が重点であつて、方法論は二の次の問題だ、こういうように政府としてお考えになつておられるか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいのであります。
#43
○首藤説明員 中小企業の金融が大企業と比較して非常な不利な立場にある。従つてこの不利な面を政府の方で何らかカバーして行かなければならぬということはもう議論の余地はないと思うのであります。こういう思想のもとに今日まで中金並びに国民金融公庫という二つの機関を通じて、できるだけ金融の面を促進して参つたのであります。従つて今回なおこの中小企業の金融を促進いたしたい、ことに最近の経済の実情がこれを非常に必要といたしておりますので、通産省といたしましては、今日まで大蔵省の方としばしば折衝を続けて参つたのであります。その結果大体五十億の財政資金を中小企業のために出そうということになつた点は御承知の通りであります。問題はこの五十億をどういう方法で流すか、この方法論に盡きると思います。そこでわれわれは、少くとも国民金融公庫と中金との金融の対象にはつきり性格の区別がある。御承知の通り国民金融公庫は零細な企業者並びに海外からの引揚者に対するところの事業資金、この二つを対象として金融することが当初からの性格であります。また同時に現在の日本の経済面におきまして、ぜひとも零細企業並びに引揚者に対する事業資金を金融することも必要欠くべからざるものであります。一面また中金の方は御承知の通り、それ以上の層、いわゆるこれは先ほどから三段階あり、あるいは四段階あり、五段階あり――これは見る人によつて相当認識を異にすると思いますが、ことほどさように複雑多岐にわたつておるのでありまして、それと同時に政府はこの弱小企業を大企業に対抗せしむるためにはどうしても組合を結成さして、そうしてこの組合の力によつて合理化し、内石を充実し、そうして大企業に対抗し得るように指導をとつて参つておるのでありまして、いわば政府の基幹政策と申し上げてもいいと思います。その協同組合に対するところの金融をもつぱら中金で扱つている、しかも現在組の数は二方五千に達している。先ほ福田委員はそのうち七千より金融をしていないじやないか、きわめて成績が悪いじやないかという御意見もありました。なるほど現在の状態では成績が悪いと言われてもやむを得ない状態にあると思いますが、しかし結局これも金融源が不足している結果がここに至らしめたのでありまして、できることならば二万五千の希望する組合にはどしどし金融できるような資金源をあらかじめつくつておくといふことが必要だと考えておるのであります。そこ幸いにして今度五十億中小企業のために金融するということになつたならば、これを従来の貸出しの額並びに対象の範囲、この性格等々から考えて、国民金融公庫に二十億、中金の方に三十億これをまわして、両方から適当な金融をすることが、一般中小企業に対するところの金融を円滑にする上において、最も効果的じやないかという、実は見解を持つておるのであります。担保の有無というよりも、中小企業全般に対して円滑な金融をいたしますためには、この二つの機関をそれぞれの性格に応じて、同時にまた過去久しい間の経験知識、これらもしんしやくして、今申し上げたような方法によつて金融することが一番適当でないか、こういうような考え方を持つておるのであります。国民金融公庫は、申すまでもなく、今日まで零細企業あるいは海外引揚者の事業資金でありまして、これをかりに中小企業の方の金融をいたすといたしますならば、今日まで中金が十何年かかつてようやく把握したところの中小企業の実体を、国民金融公庫がきわめて短期間にこれを把握するということは事実上困難でありまして、そこでその困難なものを対象として金融することによつて、その資金の問題あるいは金額の問題等々にきわめて遺憾な結末を現わすのではないかというような点もあわせて考えた場合、二つの機関に先ほど申し上げたような方法によつて金融することは適当である、かような考えを持つておるのであります。
  〔委員長退席、中村委員長代理着席〕
#44
○福田(一)委員 ただいまの御答弁は通産政務次官としての御答弁、あるいはあなたの個人的の意見を言われたと思うのであつて、私はそうゆうことを聞いたのではないが、あなたがそういう意見でいられるならば、それを押問答してもいたし方ありませんから、それはもう聞きません。但しあなたの今立論されたものの中で、これは中金の理事長と同じようなものの考え方であるのでありますが、私は一方は組合金融というものを中心にして立案されている、しかも国の機関でない、一方は零細な金融というものを中心にして、国の機関として公庫というものはつくられた、こうゆう性格だけははつきりしておる。その場合に、組合を中心にしたところの中金が、組合員でない者にまでも資金の貸出しをするということの弊害というか、筋の通らなさと、いわゆる一般の零細というか、中小の一部分も入るかもしれませんが、とにかく国民というもの全体を一応対象にしてつくつた、しかも国の機関であるところの公庫がやるのがいいか、こういうところに議論が集約されて来るのではないかと私は考えている。その意味で中小企業という、三段階にして、上中下の中というものは、これはもう全部組合がつくれる中小企業だというような印象でもつてお話されておつたやに私は聞いたのでありますが、それは誤解であれば、何もあえて議論すべき筋合のものでありませんから、それはかまいませんけれども、私としては、この点はもう一度通産省、大蔵省あるいは農林省というようなセクシヨナリズム的なものの考え方に立たないで、金融全体をもつと系統的に、しかも合理的に運用するという面からひとつ検討をさるべきものではないか、どうも通産省になると通産省のことばかり考える、大蔵省になると大蔵省のことばかり考えるというのが、今までの政治の通弊でありますが、そういうことでなくて、もつと公正な立場に立つて国政を処理するという信念を、みんなが持つて行くのでなければ、政治というものはうまく行く道理がない。そこでただいま言つたような建前において、公庫の本来の使命というものは、ただ単に零細なものだけで、組合なんかつくるようなものは零細の中に入つておらないのだ、こういうふうに考えることは大きな間違いだ。零細な金融、十万円、二十万円くらい借りている人でも、ずいぶんたくさん組合をつくつております。そういう例も多々あるのでありまして、そういう層にも組合をつくるものがある。同時に中小と言われておるような層にも、組合をつくれないものもある。どちらの方を中心にしてやつた方がいいかということは、これは水かけ論になるのであつて、むしろその問題よりは、本来の使命がどこにあるか、本質論を一応考えて行かなければいけないということが一つ。もう一つは、何といつても不動産金融というものはやつた方がよろしい。私をして言わせるならば、別箇の銀行をつくつた方がいいと思う。そうしてこの不動産金融をやることが一番正しい、一番合理的な、こういう複雑な問題を起さない一番いい方法だと思うのでありますが、それが現実に今できないという状況にあるやに聞いておる。もしそれが事実であるといたしますならば、その建前に立つて、将来は不動産金融銀行をつくる建前で、どこかにこれをくつつけなければならない。あるいはこの両方にわけてやらせる方がいいという議論も出て来るでありましよう。中金にもやらせる、公庫にもやらせるという議論が立ち得るのでありますが、どこか一箇所にまとめてやらせるという意見もあります。要は不動産金融をひとつやらせるという見地から、もう一ぺん中金と公庫の性格を大いに検討して、そうしてやるならばやはりできるだけ筋が立つような方法でこれをやる、こういうように考えていただくのが私は一番正しい方法だと思う。通産政務次官でいらつしやるから、私はあなたに、通産政務次官として答弁されるとちよつと困りますよということを前提として質問したにもかかわらず、あえて通産政務次官としての御答弁があつたことははなはだ不満でありますけれども、そこまで同僚の間で言つてもしかたがないことでもあるし、悪意があつてのことでもありませんから、これはあえて私は追究いたしません。どうか関係者の方皆さんおいでになつておりますが、そういう意味合いで、ひとつ虚心坦懐にこの問題をここで研究をする、こういうことにお願いをいたしまして、一応きようは結論を出すという段階に来ておらないようでありますし、私もまた大いに研究いたしますから、そういう意味合いで御研究をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
#45
○首藤説明員 福田委員は御質問を打切つたそうでありますから、これ以上私が答弁するのもどうかと思いますが、私の先ほどの答弁を政務次官個人の答弁だと御了解したそうでありますが、私の申し上げておることは、通産省の省議によつて決定した通産省の意見でありますので、さよう御了承を願いたいと思います。さらにまた今のセクシヨナリズム、いわゆるわけ合うというような思想があることは、大局から見てとるべき策ではないという御意見でありますが、かようなこともわれわれは、考慮いたしまして、そうして財政資金を五十億出す、これを国民金融公庫一本に集中して金融すること自体が中小企業全般の金融問題から見て不公平だ、少くとも零細金融も必要であるが、それ以上の中小企業に対する金融もより以上必要である、この全体を見た場合二つの機関を通ずることが適当であるとわれわれは考えておるのでありまして、決してセクシヨナリズムにとらわれて小さい意見を述べておるものでないことを御了承願いたいと思います。
#46
○福田(一)委員 私は質問を終つたのでありますが、あなたが御答弁なさるからもう一点お伺いするのであります。私が質問したのは、政府としての見解を言つてくれと言つたので、通産省の意見を言つてくれとは一言も言つておりません。この点はつきりしておきます。
 次にあなたの今おつしやつた御意見の中で、零細なものとそれから中小関係との間にわけてやるのがいいのだ、一方においては二十億円、片方においては三十億円やると言われるのでありますが、片方の二十億円はわけるもわけないもない、国民金融公庫でなければできない金であります。残りの三十億円を両方にわけてやらせるというなら、あなたの言う両方にやらせるという意見の通りになりますが、そうではない。その三十億円は中金で使つた方がいいのだと言われるところに、私は立論のおかしなところが起きやしないかということを言つたのであります。この点を明らかにしておきます。
#47
○澁谷委員 私は先ほどから関連質問を要求しておるのですが、なかなか許していただけませんでした。あとで電気の問題に入るそうですから、あまり時間がないと思います。しかし私がここにちよつと申し上げたいことは、この問題に対する質問でありますれば、私は前もつて予告したのであります。ところがその予告に対してはいれてくれなかつた。それはどういうわけかわかりませんが、今回の問題については、すでに同僚の中村委員が一昨日の会議で相当詳しく言つておりますので、われわれといたしましては、この問題はあらためてゆつくり御相談するつもりであつた。ところがたまたまこういうお話があつて、特に私が関連質問で伺いたかつたことは、国民金融公庫の副総裁の方のただいまのお話で、表に店を出すならば、現在の状態では百五十万、二百万、あるいは荷物も入れれば五百万近くの金もかかるのじやないか、だから国民金融公庫の貸出しのわくを広げて、そういうものに貸出しをしようというようなお考えのように伺つたのですが、それは間違いございませんかどうか。そうしますと、あなたは国民金融公庫法を十分にお読みになつておられるかどうか、その点をひとつ伺いたい。
#48
○井關説明員 私は先ほど金額の限度の増加する傾向の一例に申し上げたのであります。そういう例もあるという意味で申し上げたのであります。
#49
○澁谷委員 重ねてお尋ねしますが、国民金融公庫法の第四章第十八条の第二項にこう書いてあります。「前項に規定する『生業資金の小口貸付』とは、独立して事業を遂行する意思を有し、」つまり新しく仕事をしようということでしよう。それから「適切な事業計画を持つ者で、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とするものに対して、小口の資金を供給することをいい、」と書いてあります。さらにそのあとに「生活困窮者に対する救済資金の供給を意味するものと解釈してはならない。」とある。これは一体何を意味しているのでしようか。これは国民金融公庫の性格をはつきり現わしているのではないですか。だからそういう莫大な資金の貸出しをするというようなことが考えられないことは、ここにはつきりうたつてある。しかるにどうしてその資金のわくをそう大きくしなければならないのか。ここに特に注意してあるのは、生活困窮者に対する救済資金の給与を意味するものと解釈してはいけないということは、どういう意味ですか。今までの国民金融公庫法によれば、一口小口貸出しの五万円が不足だから、十万円、十万円が二十万円、そういうふうにして全体で百万円だ、こういうふうな状態になつておりまして、比較的に金額の小さい小口のものであるからして、場合によつては、ややともすれば生活困窮者にもその救済の方面に向けられるおそれがあるから、特にこういうことがうたわれておるのではないのですか。この金庫法に規定されておるのではないか。それが今ここでいろいろ議論をされておるのを聞いておりますと、一昨日か、同僚中村委員が言われた通りに、この商工中金の規定にも書いてあります通りに、そういつた意味とは全然違つた形で表現されておるように思うのですが、国民金融公庫の副総裁としてもう一ぺんこの解釈の意味とその精神をひとつ御説明願いたい。
#50
○井關説明員 御趣旨よくわかりましたが、これは消費資金でなく、生活資金でなく、事業資金だということの限界だというふうに解釈いたしております。それで小口の限界がどこにあるかということは、百万円が小口か、百五十万円が小口かということは、数字的にはなかなかきまらないものだと私は思います。ただ今の審議会の議を経たのでは、そういう意味もありますので、五万円から十万円になり、二十万円になつたのだ、こういうふうに考えておりますので、この金額の問題は不動のものでない、しかし何千万円とかいう金額を意味しておるのではない、かように考えております。
#51
○澁谷委員 はなはだ金融公庫の副総裁に失礼な言葉に当るかもしれませんが、あなたは金融公庫の副総裁として社会の実情を十分にごらんになつておられますか。われわれの考え方からすれば、私は五十万、百万という金は相当厖大な金だと思つております。私はそういうふうに解釈しておるのです。相当厖大な金でございます。それで政府資金であるから、かつてにぽんぽん貸してもいいということは言い得ないのであります。この条項に書いてありますのは、ことに国民金融公庫におきまして、零細な貸出しをしたものの焦げつきが相当多いのは、大部分が生活の方面に使われておつたから、それで焦げつきが多いということをわれわれは聞いておるのです。これは一万円や一万五千円程度の金しか出さなかつた場合においては、実際引揚者やあるいは非常に困窮した者は、そういう方面に使われたかもしれないということは、よくわかるのでありますけれども、私はここで特にこういうことを書いてあるということは、小口資金で十万、二十万の金でも、生活方面に使つてはいかぬのだ。われわれ少くとも事業を経営する人間が事業資金として考えますときに、五十万、百万という金はそんなに簡単な金ではないのであります。そこでこういう国民金融公庫というものの性格からいつて、どうしてそういう大きな金を出さなければならぬか。ただいま福田委員からは別の角度から、一般のいわゆる中小企業等協同組合に加入しない業者の方々に対する資金の運用の問題に対して、相当に御心配になつておる。不動産担保の問題についてもいろいろ御心配になつております。それには興業銀行なり勧業銀行というものがかつてあつた。現在でも債券を発行してやつておりますが、そういうふうな問題でなく、別な角度から御心配になつておることは、これはよくわかる。しかし私はこの国民金融公庫の法律が現存する以上は、そういう理論は成立たないと思う。つまり問題が現われて、別な角度でもつて政府が五十億の金を別に出すのだ。その金をどういうふうにあんばいしてやるかという問題は、私は少くともこういうところでもつて論議すべき問題でなく、もつと突き進んで、積極的にひざを交えて論議しなければ解決ができないと思う。なぜかと申しますと、ここに中小企業庁の長官もおいでになつておりますから、よくおわかりのことと思いますが、われわれが過去二箇年前に、中小企業等協同組合法を、相当大きな努力をしてあの組合法をつくり上げて、そして実施してから今日まで至つておるが、その目的はどこにあるか、その問題さえ冷却に考えたならば、私はあえてほかの方々の御議論をとやかく言うのではありませんけれども、この問題につきましては、同僚の中村委員が前会のときにるる申し上げております。われわれはこういうふうな問題を十分に考慮した上で、あとで判断をすれば、すべての問題はきわめて簡単に了解できると思います。でありますから、どうも私ははなはだ失礼でありますけれども、国民金融公庫の副総裁の御意見が私たちには納得が行かないということだけを申し上げて、私は関連質問を打切ります。
#52
○中村委員長代理 次は風早八十二君。
#53
○風早委員 先日日銀の五十嵐理事からの御答弁の中にもありましたが、これは中小企業金融だけに限らず、一般の金融の問題としてでありますが、とにかく講和までは何とかやつて行かれる。しかし問題は講和以後だということであつたと思います。実際日銀の貸出し等を見ましても、現在は相当にやつておる。しかしながらこれが講和以後は問題だ、こういうことがあつた。これは一般の金融でありまして、むろんこれが中小企業に何らの縁もゆかりもないものでありますが、しかしこれがひいては今でも困つておる中小企業者に対しては、非常に大きな警鐘だと思う。先ほどから大体国民金融公庫の副総裁の方からも相当大きなお話が出ておる。もともと本国会で衆参両院でもつて可決した国民金融公庫の強化拡充の件につきましても、その意図するところが今副総裁の言われたことと通じておるかもしれない。しかしわれわれはやはり三万、五万、十万というものを手形を切つて、そうして何とかその日暮しをやつておるという圧倒的大多数の中小企業者の立場から考えるのでありますが、こういう人たちに対して実際講和後は思いやられる次第だと思います。こういう点について大蔵当局としてまず答えていただきたいことは、これは新しい数字でありますから、私どもの手に入つておらないのでお尋ねするのですが、市中銀行の貸出し、その中でも特に十一大銀行以外の地方銀行というものの貸出し、それの五月から八月までの大体の趨勢を、質問にあたつてまず最初に御質問しておきたい。
#54
○福田説明員 ただいま御質問いただきました、市中銀行の貸出しの趨勢のことでありますが、抽象的には逐次貸出しは増加しておるということは申し上げられるのであります。その数字は、今手元に持ち合せておりませんので、数字的には正確には申し上げかねます。
#55
○風早委員 今数字をお持ち合せがないと言われれば、どうもしようがないのですが、大体趨勢はふえておる。ところでここにちよつとお尋ねしたいことは、十一大銀行が最近に資金の回収をやりまして、そしてこれを地方銀行に肩がわりしておるという事実があるように見受けるのですが、そういう事実は大体あると思いますが、その点について、そして一体これはどういうことを意味しておるのか、これについても大蔵当局としての御見解を承りたいと思います。
#56
○福田説明員 十一大銀行と地方銀行との間で、大銀行から地方銀行へ融資が肩がわりされておる模様じやないかという御質問でございますが、あまり正確な数字等は存じませんが、抽象的には、大銀行は特に輸入物資の引取り資金等の関係で、一時的に非常に資金をたくさん需要する季節にたまたまあたつておりますので、あるいは一部におきましては、地方銀行の余裕資金が、そういう関連で大銀行と協調融資等の形で出ておる場合があるのじやないかというふうに想像しておりますが、正確なはつきりしたことは今申し上げられません。
  〔中村委員長代理退席、委員長着
  席〕
#57
○風早委員 われわれももとより正確に数字的にこれを出すことはできないので、それで実は大蔵当局あるいは日銀の方も来ておられればお尋ねしたいと思つたのですが、いずれもはなはだお答えがあいまいではつきりいたしませんが、私の心配することは、やはりこれが講和後の大きな破綻と非常に関連しておるということです。率直に言えば……。その点はこの次の機会にひとつ大蔵当局として数字を整えて、見解を述べていただきたいと思います。
 そこでもう私の持ち時間は五分しかないということでありますから、単刀直入に通産政務次官にお尋ねしますが、国民金融公庫の拡充強化並びに商工組合中金の拡充強化、この二つを兼ねて五十億という政府出資について折衝中であるというお話でありますが、その折衝の見通し、これは確信があるのであるかどうか、この点をひとつお尋ねしておきたい。
#58
○首藤説明員 大蔵省の方で、大体財政資金を五十億を限度として中小企業の金融のために出すということだけは、了解ができておると考えておるのであります。
#59
○風早委員 これは大体講和までの一つの高等政策といいますか、往々にしてこういつたようなことが流布される。まだ金が入らないうちに、今に金が入るのだ、入るのだという、こういうことは、今までもしばしば経験しておる。しかしながらいざとなれば入らない。こういう懸念があるから私は特に聞いておるわけでありまして、この五十億については、もちろん国民金融公庫が待つておるわけじやない、実は業者が待つておる。この点について不確かなことになつて来れば、これはいよいよ問題の紛糾に輪をかけるので、お尋ねするのでありますが、その確信の根拠は、ただ大蔵省が大体の返事をしておるということに盡きるのか、もう少しはつきり、ここに保証があるのか、そういう点をお尋ねしたい。というのは、マーカット局長でありましたか、大体九月までは、今の日銀の政策――これは全体の金融の問題でありまするが、これはひいてはみな関係する。この九月までは、とにかく見のがしておくと言つておるのです。九月というのは講和の問題です。調印でもされたあとは、もうおれは知らないということになつて来たのじや、これはたいへんなことです。そういう意味で、特にこの際念を押しておきたいのですが、この五十億について、その確信の根拠を、われわれ並びに一般の業者にも、納得の行く程度にひとつお答え願いたいと思います。
#60
○首藤説明員 この問題は、通産省といたしまして、大蔵省の責任者としばしば折衝した場合に、責任者から直接、この程度の予算は今度提案いたしたい、その準備を進めているということを承つておりますので、万間違いないと考えております。
#61
○風早委員 大蔵総務課長に、ひとつその点をお答え願います。
#62
○福田説明員 ただいまの御質問の点については、最終的な決定までには至つておらないかと思いますが、大体五十億程度、そのうち二十億程度は、国民金融公庫の生業資金も、もう上半期で大体予定の二十億がなくなりますので、下半期分として充当すべく考慮したい。残りにつきましては、先ほど来議論になりましたような問題でございますが、何らかの形で中小企業について、一般の金融機関でまかない得ない長期の資金の供給源としてということで、大蔵省としても、省内でそういう方向で諸般の準備を進めつつある次第でございます。
#63
○風早委員 そこで、大蔵省はそういうことを言われますが、これはやはり国家の金でありまして、そうやたらに補正予算と言われても、補正予算は国会が承認しなければどうにもならない。現在政府の、いわゆろ備蓄的な資金がたくさんあります。見返り資金、資金運用部資金その他あるわけですが、どういうところから出されるつもりか。また終戦処理費等が今度の講和でどうなるか、これはまた大きな問題でありますが、一体どこから出されるつもりであるか。その点もはつきり財源を示して、われわれに対して確信を与える答弁を願いたいと思います。
#64
○福田説明員 財源につきましては、まだはつきり決定を見ておりませんが、おそらく見返り資金とか、あるいは一般会計、資金運用部等がその対象になるのではないかと思います。
#65
○風早委員 そういうおそらくというような頼りないお話でありまして、これは通産当局としても、あるいは中小企業庁としても、よほど考えておいてもらいたい。これは結局その場になつてすかされてしまうというような危險が多分にあるとわれわれは見ている。そういう点で、ただ一応今国民の前に、一時を糊塗するというようなことであつては、これははなはだ政治的な責任も重大であると思う。そういう意味で、ひとつ通産当局としてはふんどしをしめて、ぜひともこれが実現をする、その場合には相当責任を持つてやるということでやつていただきたい。今これ以上申しても水かけになりますからやめますが、これはから約束であるという危険が多分にあるということを私は警告を発して、それだけに通産当局の責任が重大であるということをこの際に述べて、質問を終ります。
    ―――――――――――――
#66
○小金委員長 それではこれより電気事業に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますからこれを許します。神田博君。
#67
○神田委員 いろいろお伺いしたいのでありますが、大分時間も過ぎておりますので、簡単にお伺いいたします。ことに先般来問題になりました電力料金の値上げにつきましても伺いたいのでありますが、これは時間の都合によりまして他日に譲りまして、今日非常に問題になつておる、しかも悩まされておる渇水の問題について、その対策は一体どういうふうになつておられるか、伺いたいのであります。ただいま手元に参つております、公益事業委員会から出た資料と思いますが、全国主要貯水池旬報、昭和二十六年八月第一旬というのがございます。これを見ましても、昨年に比べまして、満水に対するパーセンテージにいたしましても、これは全体についてでございますが、昨年は八九であつたのが、六六に滅つておる。ことに最も大きな貯水可能をいわれております猪苗代を例にとりまして、昨年満水に対して一〇〇%でありましたが、今年はすでに五一%になつておる、こういうように半分に減つておる。この減つていることは、大部分が天候のしからしめるところと考えますが、特にこの猪苗代の問題につきましては、どうも今年の春の貯水期間において、関西方面に非常に送電をやつた。すなわち貯水量を発電の方に振り向けまして、関西に非常に送つておる。夏になつたならば、関西から火力で逆送電をして返してよこすからひとつ手伝つてもらいたいということで、今日から見ますれば、石炭の問題を甘く考え、あるいは天候の問題も、これは予知できなかつたとは思いますが、それらのことも、最近猪苗代の貯水池としての役割を果して参りましたのを大きく計算して、貯水の時期にこれを電力に振りかえた、夏には関西から返してもらうということが、それが今日石炭の事情でできない、こういうようなことを言われておる。さらにまたわれわれの耳にすることは、なるほど天候による自然的現象でありましようが、電力の再編成や電力料金の値上げの問題に専念したがために、この豊水時をむだに過して、今日の渇水を招いておるということも耳にするのであります。いずれにいたしましても、今年の天候のぐあい、また渇水の状況も並々ならないようでありまして、これは各電力会社の心配もさることと思いますが、公益事業委員会におきましてもなかなか心配されておつて、いろいろ対策を立てておるというふうに聞いておるのでありますが、一体それらの対策はどういうようなことをおやりになつておられるか、その効果はまたどういうようなことに相なつておるか、非常に心配をしておりますのでお伺いしたい。まさか台風の来ることを待つておる、お折りしておるということだけではないと思います。みな心配をしておることでありますから、対策はいかようになされておるか、その効果はどういうふうになつておるか。委員長代理もお見えになつておられるようでありますし、最近方々をまわつて御調査されておるようでありますけれども、需用家、特に産業家もみな心配しておる状態でありますから、この機会に明確にしていただくことが必要でないか、かように思いますので、その点を第一にお伺いいたします。
#68
○松永説明員 私もちようどこの十六日に猪苗代の湖水を視察いたしましたが、まつたく神田さんのお話の通りであります。その後少し夕だち等があつたかと思いますが、もし十六日ころ夕だちさえもなかつたならば、十七日にはどうしても水をとめなければならぬ。そうしなければ安積疏水のポンプが故障を起した場合には、あの安積平面に非常な危害を起すというようなことを、親しく県当局からも、あるいは私について参りました東京電力の猪苗代の所長からも聞いて、非常に腐心をしておられる現状を児たのです。これはひとり猪苗代ばかりでなく、各地とも同じような現象であります。最近、お話の台風の関係で、九州の一部と中国のごく一部、それから四国は、大体において水が少しもどりまして、この方面は幾らか楽になつておりますが、東の大部分は依然として困つた状況にあります。これは台風などを当てにするなというても、当てにせざるを得ない、どうかして、台風さまさまと思つております。おりますが、どうも今のありさまでは、二、三日もこのままでありまして、台風もあまり見込みがないということになりますと、あるいは緊急停電とかあるいは休日、祭日の労働を押えるとか、何か方法をとらなければ、全体のボルト、サイクルを落すというようなことが起りはせぬか、目下しきりとその対策を練つておりましたが、それでもさようなことは皆さんの御迷惑でありますから、最後の石炭までたくだけたく、お互いに譲り合えるだけ議り合つておりますが、場合によりましてはそういう方法をとらざるを得ないかと思つております。しからばどういう方法をとるかというようなところまではまだ詳しくきわめておりませんが、大体このまま降らなければ、両三日のうちにはやはり非常手段に出るよりほかにないかと心配いたしておる次第であるのであります。
#69
○神田委員 ひでりが続いているわけでありますから、根本的には降雨を待つほかにはないと思いますが、先ほどもちよつと触れたのでありますが、電力の再編成や料金の値上げ等で渇水に対する対策を怠つているというような声もあるのであります。それらの点についてはお答えがなかつたのでありますが、とにかく公益事業委員会が、非常渇水に構えていろいろ考えておられるということだけは明瞭になつたと思います。そこで、時間がないのでありますから前の方に進みまして、同僚議員の質問があろうかと思いますので、渇水の問題は一応この程度にいたしたいと思います。
 この電力の不足の解決には、消極的にロスの軽減であるとか、あるいは節電であるとか、電気の消費規正ということになろうかと思いますが、根本的の解決はどうしても電源開発以外にはないと私は思います。そこで電源の開発でありまするが、これにはいろいろ方法があると思います。電力問題を急速に解決せんとするならば、政府の財政資金、あるいは外資によることが一番近道であろうと考えますが、ドツジ・ラインのもとでは政府の出資は非常にむずかしい問題であります。さらにまた外資の問題でありますが、これもいろいろ新聞で拝見していますが、私は簡単に運ぶとは考えられない。なぜかと申しますと、今まで日本に参りました外資は、大体物で来ておる。今日わが国で電源開発に要するものは大体自給できる。そうなりますと、なかなかこれはむずかしいのではないか。むずかしいということでありますならば、どうしても電源開発は刻下の急務でありますので、これは国としてよほどしつかりした方法を考えなければならないと思うのであります。外資々々といいましても、時機を失しやしないか。また外資が来るといたしましても、所要の外資が来ない、不十分であるという場合も考えられるのではないか。どうも電源の開発につきましては、今まで見ておりますと、計画が先行いたしまして、電源開発ということが、声だけで、終つておるような気がいたしますので、私はこれは非常に心配にたえない。公益事業委員会の委員の方々もその点おそらく非常に御心配されているだろうと思う。しかし現実の問題になると、小さい電源の開発は若干あるようであります。この表にも若干見受けられるのでありますが、刻下の電力不足を解決するという面から考えますと、これはなかなかむずかしいと思います。そこまで行つておらないこれらの電源開発について、一体どういうふうにお考えになつておられるのか。外資に依存されているのか、あるいは九電力会社がこの開発を十分遂行するに足る能力を持つておると考えておられるのか、もしそうだとするならば、どういう方法によつて電源の開発資金をお集めになるのか、私は十分お聞きしたい。ただいまいただいているこの資料によりましても、公益事業委員会がアメリカのOCIとの間に電源開発の調査につきまして契約を結んでおられる。私はこのOCIのことにつきましては、新聞で二、三度拝見したのであります。これは実にけつこうな企てと考えておりますが、ただ一つふに落ちないような気がしないわけでもないことがある。これはどういうことかと申しましすと、OCIか調査をされて、そして外資を入れることをあつせんするといいますか、そういうような空気をつくるといいましようか、何か期待するようなことかできるように見受けられるのでありますが、一体そういうことで入つて来るかどうか。先ほど私か触れましたように、外資を私ども望んでおりますが、われわれが望んでいるような外資が入つて来るのか来ないのかということになりますと、消極的と申しますか、悲観的な見方がどうしても強くなつて来る。最近公益事業委員会からも伊藤委員がアメリカへ行くようになりますが、今まで行つて帰つて来たいろいろな方々から聞きましても、アメリカの外資というものが日本に来る、ことに電源開発のような――アメリカからいえば大した金でないかもしれませんが、日本からすれば相当莫大な金なんで、そういう金が簡単に入つて来るということは簡単に考えられない。それをOCIが来て調査をする、調査が済むとすぐ外資が入つて来るというふうに混同されるおそれが生じて来るように思う。発表の仕方にもよるし、新聞の書き方にもよると思いますが、これから調査をしようということと、これから外資が入つて来るという現実の問題とが混同されているように見受けられる。これは委員会の責任という意味で私はお尋ねしているわけでわありませんが、外資はわれわれ歓迎するが、その外資が入つて来るか来ないか、入つて来るとしても今日日本が期待しているような額が来るかどうか、時期において望ましい時期に来るかどうか、これらのことが一つでもはずれて参りますと、電源開発の所要の目的を達成することができない。そういうことに相なりますと、日本の再建、日本の産業計画が乗つて来ないことになつて来る。それを私は非常に心配しておるのでありまして、そのことにつきましては、公益事業委員会としてはどういうようにお考えになつておられるのか、どういうような手をお打ちになつておられるのか、これは非常に大きな問題でもあり、真剣な問題であると思います。委員長代理から十分な御答弁を願いたいと思います。これは公開の席上で困るというのでありますならば、適当な方法を委員長がおとりになつていただいて、秘密会にするなり何なりなされてけつこうであります。とにかく私非常に電源の開発を時期的に心配をしておりますので、おそらく委員諸君も同じ考えだちうと思います。外資が入つて来るのか来ないのか、入つて来るとするならば、真に日本が期待するようなものが期待する時期に来るかどうか、それらがもし来ないということになれば、あるいは少いということについては、手を打たなければならない問題があると思います。日本の唯一の資源であり、また八千万国民の唯一の念願でもありますので、その点につきましては非常に重大だと考えておりますから、委員長代理からひとつ詳細かつ明確な御答弁を願いたいと思います。
#70
○松永説明員 ただいま電源開発の問題は大体どういうふうな方法になつておるか、また現状はどうであるか、その現状ということと同時に、OCIの調査と外資導入とに何らか相当な結びつきがあるものであるかないものであるか、もしないものであるとしても、他に外資導入に対して相当な考えを持つておるかどうか、それから外資以外に電源開発に対して国家の助成あるいは金融ということについて何か考えておるのかどうであるか、ともかく現在から見れば非常な電力の不足であり、かつ開発資金というものを非常に多大に要する次第であるが、自分が見たところは、九電力会社の力では容易でないと思うが、公益委員会はこれに対して何らかの対策を持つておるのであるかどうか、あるいは持たないのであるかどうかという御質問のようでありましたので、まずただいままで私ども委員会で研究もし、こうもしたいという問題につきまして率直な考え方を申し述べ、御批判を仰ぎ、また御指導も得なければならないと思いますから、時間をとらないように注意しまして簡單に成行きを申し上げたいと思います。
 委員会ができましたのは昨年の冬でありまして、これが運用して行きます九つの会社ができたのは、御承知の通りついこのごろの五月であります。この委員会及び九つの会社の行動をとります前の成行きを少し簡単に申し上げてみたいと思います。
 大体二十四年からある意味においての外資が入つておる。その外資のみでほとんど日本発、電及び配電の電力の開発をやつておつたのであります。御承知の通り二十四年に百億万円の見返り資金が参つたので、ようやくその前うつちやらかされた仕事に手をつけたのであります。これでようやく芽を吹き返して電源開発ということができたのであります。大体これも考え方によつては外資で、日本政府がどうしろという意味には、解釈はできないのであります。二十五年は引続いて百億出るはずでありました。ところが電力再編成というのが非常に遅れ、たいへんごたつきました結果として、二十五年は遂に十二月の末になつてようやく百億出たのであります。言いかえますと、二十五年は一文も出なかつた。これが継続して仕事を進める上について日本発送電及び配電会社の人たちをして躊躇逡巡せしめたばかりでなく、またその後の物資の値上り等によつてすべての計画は変更せざるを得ないようになつたのであります。そうして二十五年にはようやくわれわれの委員会ができ、本年に入つて、昨今になり、ようやく二十五年の資金がまわつて来て、継続工事として今やつているような次第であります。それで本年はちようど見返り資金の末期であります。百五十億の見返り資金が大体きまつて、昨今少しずつ各会社はそれをもらつて工事の方に充てておりますけれども、なお大体の予定は二百五十億の見返り資金をもらいたい。それに対して三百五十億の自己資金を加えて六百億だけはせめてやらなければならぬというのが現況であります。その現況の中に百億の見返り資金はまだ未定であります。従つて二百五十億というのは百五十億が現実である。それで自己資金の三百五十億というものも御承知の通り現在のところではほとんど見込みありません。ようやく、三、四十億円の社債募集を十一月ごろまではぼつぼつするだけでありまして、もうこれはほとんど焼け石に水であります。三百五十億の自己資金を調達するというごときは、今日のところ各社が非常に努力はいたしておりますけれども、見込み薄であります。しからばかりに百五十億の自己資金が聞違い、見返り資金が百億間違いが起るとすると、半額近い二百五十億というものはまた工事が遅れる。従つて二十五年は何もしなかつた。二十六年はわれわれの予算では約一千億の仕事をする予定で四月からその計算をもつて出発しておりますが、事実はそういうことができないために、六百億だけでも、せめて金をつくりたい、自己資金もできないという断言はしませんけれども、
  〔委員長退席、中村委員長代理着席〕
非常な見込薄になり、見返り資金も百五十億きまつて百億未定であるという現状であります。つまり二十五年はまる遊び、二十六年は半分以下の仕事しかできないというのが現在の状態であります。かくのごとき電力の不足、電力の欠陥に対して穴埋めをして行くということは、とうてい考えられぬことでありまして種々の希望を申し述べ、またいろいろの方法をとるよりほかにないのであります。お手元に差上げております大体公益委員会で調査しましたものは、この線の中でA線と言われるのが一割ずつ各地域において増加するに必要な電力でありますが、それをどうやりましても、最初の年は一年に七百四十何億、それに二百五十億の工事改善資金で約十七万キロぐらいの電力を浮かそうと考えております。やはりこれも拡張工事と見ていいわけであります。これがざつと千億円でありますが、今申し上げるように、千億円のうち約三百四、五十億調達しておるにすぎない状態であります。そこでなおかくのごときことはよほど空想だとしまして、適切なことをやろうというのが、公益委員会の前に安本そのほか経済関係でお立てになつたと思われるのが、いわゆる自立経済でありますが、この自立経済によりますと、各社でこしらえた案の約三分の一が自立経済であります。私どもの六百億の金をもつてやろうという線と、この自立経済の線とはやや接近した線であります。要するに需用に対して約三割三分ばかり何とかして電力をつくつて行かなければならぬ。水力をも火力をもそれに加えてつくつて行かねばならぬというのが、自立経済並びに金がないためにやむを得ずやつております本年の六百億の計算であります。しかしかりにその金ができ、完全にやつたとしましても、とうていそれでは電力は足りないのであります。差上げてある別表をごらんくださるとわかりますが、もしこの案で参りますと、全国相かわらず北海道そのほか――ここに申しますと、北海道はかりに百万キロの電力が必要としても、それであると五十万キロしかできない計算であります。それから東北は相当開発されても、なお三分の二しか需用を満たすことのできない状態になります。東京は二割八分の不足を訴え、中部は三割の不足を訴え、北陸は四割の不足を訴え、関西は二割四分八厘の不足を訴え、中国は三割の不足を訴え、四国は二割六分八厘の不足を訴え、九州は一割六分五厘の不足を訴えて、合計してなおかつ全国で、かりに二百万キロ発生するとすれば、三割すなわち六十万キロはなおかつ常に電力の不足に苦しまねばならぬという状態であります。この状態を克服して行くことは、先刻申し上げたように、現在の事情ですらも困難でありまするが、さらにその困難に甘んずるというようなことでもありましたならば、もう三、四年後の日本の各種の産業の隘路となりネックとなつて、他の産業全体の障害となることは間違いのないことでありますから、ここに何とかして公益委員会としては相当の方法を立てなければならぬことはむろん覚悟はいたしておりますが、大体の建前として私どもの監督している限りにおきましては、九つの会社がそれぞれ自分の需用を満たすために、その需用に応ずるだけの電力を発生し、あるいは渇水そのほかの事故のためには他の区域との間に連絡があるところは、できるだけ連絡して相互いに助け合う。それよりほかに方法はない。そして自分の必要だけは自分でやらなければならぬ。もしもそれをやらなければ、独立した産業形態をつくることはできないということは、はつきりした再編成の精神でもあり、また発電の方法でもありますから、それを申しております。本日も明日も、このことについて各首脳者のお集まりを願つて、そしていかにして資金をつくつて行かれるか、いかにして見返り資金のついているものを相当開発することができるか。ともかく自分の力でどこまで行けるかということの再検討をすることを第一に考えております。それから政府の金だとか外資についての話は、とうてい今のような困難な状態では、ちよつととりつきにくいくらいに話が懸隔を来しております。ただできるだけ皆さんにも御了解を得て、幾らか日本の電力を九会社以外につくる方法を考えることもまた公益委員として考えなければならぬこととしておりますのは、自家用の発電をもしおやりになるところがあれば、これは今管轄は通産省にありまするが、通産省の方でもよく御監督くださつて、そうして電気の発生については私ども公益委員会が片棒をかついでおりまするから、よく御相談申し上げて、これをできるだけ開発して九会社以外の開発をしたいと思うのであります。これもお手元に資料はあると思いまするが、通産省から通告を受けているものでは、ただいまややお取上げになりかかつているのが十二箇地点、七万八千八百七十二キロワットであります。これだけでも早くさしつかえなくできれば、よほど日本の産業全体のための電力はふえるわけでありますから、この自家用発電は、大きな発電を開発するのにじやまにならず、将来適当に大発電所と連繋のできるという見通しをつけて、通産省と御相談して、なるべく開発を奨励してもらいたいと思う。それからいま一つの電力の開発資金は建設省の御関係のある公共事業でありまして、これは見返り資金からも出ておりましようし、あるいは県の御費用からも出ております。あるいは国直接のお金もあろうかと思いますが、これが相当大きな数字であります。これが具体的に実際的に促進されることができますと、電力の飢饉をよほどカバーすることができるだろうと思います。これは建設省御関係の地点は、ただいまほとんど着手をしておられるところが二十五箇地点であります。そしてその総キロワットは三十二万五千八百二十三キロワットに達しております。三十二万五千八百二十三キロワットは、戰後ただちに着手しておられるところもあります。もう五箇年にもなつて、新潟県のやつておられるのは、多分本年の末あたりは発電ができる程度になつているのじやないかと思いまするが、まあこれのみで、ほかは遅れております。たとえば四国の銅山川のごときもすいぶん前からやつておられまして、トンネルなどはもう掘つておられまするが、そろそろトンネルがこわれて来ておりますから、今度ほんとうにやる時分には、別にトンネルを掘つた方が安くできるというような悪口を言うている者もあります。だからこういうものを整理なすつて、建設省、県及び公益委員会などで連絡をとりまして、できかかつたものは早く発電する。中央政府の方もこの方に全力を注いで金を出してやるというようなことにお話が進むと、たいへん都合がよくはないかと思つて、先日個人的に野田建設大臣にお目にかかつたときに、それから大蔵大臣にお目にかかつたときも、これは非常に大きな電源である。しかも国は現在金を出して工事をやつておられる、しかも三十二万キロという雄大なるものにすでに着手しておられる、これを早くやられるということは、これまでの電力の欠陷を補うのに重大な力を持つものであろうということを申し上げた。もつともプライベートな話でありますが、御注意を促しておきました。私は今でも国がやはり力を合せるというなら、新たに金を補助してやるとか、電力会社に貸すとかいうこともけつこうでありますけれども、まず国自身がすでに手をつけたものを有効適切に早くやつて、この電力飢饉を幾らかでも救うというのが第一の道である。その上なお電力会社が金が足らぬ、だから外資も困難であるというなら、電力社債を何とか買い上げてやるとか、あるいはオペレーシヨンを日本銀行にしてもらうとかいう方法等はお考えになつてもよいであろうと思つて、まだその点までは深く考えておりませんが、第一に自家発電というものをおやりになるならば、通産省あたりとどんどんこれを進めて行きたいものだと思つております。かつ建設省は重点主義で、速成主義で、財政を統一して電力の発生を早くやつてもらいたいという希望を申し述べておくものであります。
 それからOCIのことを申しますと、電力の大きな開発に伴う問題であり、かつその資金も、そういう面から申しまして、どうしても外資ということが連想されるわけであります。また私がただいま申し上げたような意味におきまして、どうしてもやはり何といつても、頭を下げても外資によるよりほかないということも、あるいは御同感くださつたのではないかと思いますので、OCI調査そのものも、これはただちに借金の手段として調査を願つておくという、そんなことでもありませんけれども、御承知の通り只見川としましては、群馬、新潟、福島三県にわたつており、栃木に一部分わたつている。そうしてその電力は、尾瀬ケ原からこれを利根川に落しますことは、利根の国土計画及び動力の発電に大なる影響を与える。またこれを只見川に落します場合に、大きな電源となることは当然である。この両方をにらみ合つて、利根川の国土開発というものがまだ十分きまつていないのでありますけれども、ずいぶん前から詮議せられている問題でありますが、これを早急にやはりきめてもらつて、只見川のみに落すか、あるいは利根に分流するかということは、やはり国の国土計画に伴う、治水に伴う電力以外の重要な問題であると思う。ことに尾瀬ケ原に至つては、学問上の問題としても相当めんどうな問題であります。これもOCIの方面の人によく調査してもらつた方が、日本人の考え方より少し広い考えを持つていられると思つております。それから只見川に落しますにしても、大体大きな貯水池をつくるということが眼目になるのであります。これは地質調査といい、あるいは雪の量の調査といい、落差を新潟にとるか、あるいは只見川にそのまま落して行く方が計算上有利であるか、ともかく原価が一キロでも安くできて、そうして多く出ることでないと、もうあのくらいの大きな発電所というものは、まず日本で今のところ見当りません。熊野川も同様であります。熊野川も大体あの三分の一以内、あるいは四分の一くらいの力でありまして、この両方のおもな河川はやはりOCIに見てもらいたいというのであります。しからばOCIが見た結果、多分外国に行つて只見川、熊野川の優秀なることを彼らは説明してくれるだろうと思います。私ども見たところにおいても世界で優秀なものであつて、アメリカで現在つくられるよりも、あるいはカナダのごときは、水力は非常に安いところでありますが、熊野、只見両川、あるいは天竜川のごとき、おそらくカナダ、アメリカの半分近くの値段でできるじやないかと思つております。つまり五割ないし六割のコストであがるではないかと思つております。これは十分なる調査を願わなければならぬのですが、この電源地が優秀であるということがやはり金を借る一番もとでであります。外国が金を貸しても、アメリカより高いものであり、あるいはインドよりも高い水力発電所であるというのなら、経済を維持することができませんから、アメリカの資本はとうてい入るものではないのであります。私ども公益委員の一員としても、また電源開発調査会の専門家が先般も六人そろつて只見川を視察して参りました。私も今回行つて参りました。その結果、われわれやはり同一の、ただいま申し上げたような結論に達しておりますが、OCIが大きな開発調査をしてくれて有利なりと認めた場合には、外資の導入は困難ではないとも思われるのであります。しかし只見川にしましても、やはり初めは七百億円くらいの計算でありましたけれども、少し大きくすれば一千億円近くかかるはずであります。やり方としては五箇年一ぱいでやりたい、三年目くらいに多少出したいという計画であります。熊野川は上流だけをとつて、下流の方は第二の計画になりますが、これも五、七万キロ出る程度であつて、かような所はほかにもある。東海道の天竜、大井のごときも相当大きな電力が出る見込みがある。九州も出る見込みがある。四国もとれる見込みでありまして、来年はこの方面の調査も願い、またわれわれも金をかけて調査するつもりでおります。外資につきましては、先ほど申したように、これらの調査がやはり基礎であります。この調査がよく、それからこれを払う力、日本国民の産業力がなければ、金を貸しつぽなしで、利息も入らなければ、元金も五十年もまけておこうというような契約はとうていこのせちがらい時節にはできないものと思つております。その辺について今いろいろ探りを入れておる時期です。それから講和会議も済まなければ、どうせほんとうの話になりますまい。講和会議等も済めば、ぼつぼつOCIの調査と相伴うて行きます。しかし何と申しても、もとはやはりこの九つの電力会社と、自家用発電をやるところと、政府の国土計画でやつておる仕事を電力に集中的にやるという、これらが一丸となつて総力を集中して行かないと、いわゆる協力協心で行くことであります。今の九つのこのごろ歩み出した会社だけの力では、先刻申し上げた事情において自家資金をつくるということは、再評価しまして社債を多少増加発行するというのが見込みでありますが、そのほかは大した財源を持たぬのであります。どうぞその辺についてなお御審議を願いたい。
#71
○神田委員 ただいま松永委員長代理の御答弁によりまして、電力開発に関しましての構想を伺つたのでありますが、私が非常に心配しておりましたように、外資が来るということにつきましてはなかなか容易でないということをお述べになられたようであります。但し只見川等につきましては、非常に有利であるから、OCIの報告いかんによつてはうまく行くのではないかというような希望的な御答弁であつたようであります。くどいようでありますが、電源の開発は刻下の急務中の急務と思う。もしこのような状態が続きますならば、日本の産業は、自然的にこれは縮小生産にならざるを得ないだろうと思う。只見川の電力開発は、これは調査が完了して、ほんとうに利用できるということになりますには、日本の金でやろうといたしましても、あるいはまたぐあいよく外資が入つて来たといたしましても、相当先の問題だろうと思う。それまで日本の産業が足踏みしておつて、われわれ国民生活の向上がはかられるかどうか。縮小生産に入つたならば、国民生活の向上どころか、国民生活の切下げをしなければならないという問題が起るだろうと思う。そこで委員長代理は、今自家用発電をやつてほしい、さらにまた建設省等におきまして治水の費用、あるいはまた農林省関係におきまして利水の費用を相当国家的な予算として組んでおるから、これらの金もあわせて一連の金として、電力開発をすることが必要だと思う、そういう方向に持つて行きたいということを述べておりましたが、これは私も同感なんだ。私もそれを述べたいと考えて質疑を進めておつたわけでありまするが、ぜひ公益事業委員会に努力していただきたいことは、日本の今の国家予算の中に、相当巨額の経費が治山治水費として組まれております。さらに利水費としても組まれておるわけでありますから、これらの金と公共団体の金、それから会社工場等におきまして自家発電をするならば、それらの資金も合せ、さらにまた九電力会社がそういう方面に参加しまして、急速な電源開発をしなかつたならば、容易ならざることに相なるのではなかろうかということを恐れるのであります。私の耳にいたしておりまするのに、電源開発をしたい、かように会社自体において自家用の電源開発を計画いたしましても、いろいろの認可許可等の面におきまして非常な手数がかかつておる。さらにまた既得権の関係等もありまして、いろいろな煩雑な問題がある。さらにさらに資金の問題になりますと、また新たなる困難を増して来るというわけでありまして、どうも行政事務が複雑をきわめておる関係で、計画は立ててもうまく行かないんだ、こういうことを耳にするのであります。公益事業委員会におきましては、自家用の発電を十分に援助したいというような考えでありますならば、これらの点につきましても十分これをめんどう見てしかるべきものではないかと私は考えておる。
 さらに通産省にお伺いしたいのでありますが、今公益事業委員会の松永委員長代理から御答弁ありましたように、電源開発が非常に進まない。進まない原因といたしましては、資金がなかなか容易じやない。今日まで集めた資金の大部分も見返り資金から出ておる。これは事実であります。見返り資金が外資であるかどうかということについての問題は、これは別といたしまして、とにかく今のような金融政策のもとにおきましては、これは電源開発自体といえども、簡單に資金が集まつて来るような方向に向つておらないと思う。さらにまた今の九電力会社のあり方によりまして、それは小規模の電源開発につきましては出足も早かろうと思いますが、相当規模、すなわち十万キロ以上くらいの電源開発になつて参りますと、資金の面で非常に困難を来して来るじやないか。さらに二十万キロ、三十万キロということになつて参りますならば、一層困難な問題だろうと思う。そういうことを考えますると、これはどうしても産業を統轄しております通産省といたしまして、このまま黙視することはできないだろうと私は思う。どうしてもこれは縮小生産に入ると思います。国民生活が向上どころか、退歩の面に入つて行くと思う。私は安本のあの産業五箇年計画というものは、電源の問題からくずれるのじやないかということを恐れておる。どうしても電源開発は、政府も国民も国会もすべて一体となつて、そして新たなる構想のもとに大きな手を打つ必要に追られているのではないかと思う。電力会社だけがこの仕事を担当して行く、あるいは自家発電をする会社だけがこの面を担当して行く、これだけではとてもにつちもさつちもならぬじやないか。公益事業委員会だけがこの電力の問題を解決する。これもなかなか私はむずかしいのじやないかと思う。これは通産省といたしまして、あるいは政府といたしまして、大きな立場から国民の協力によつて政府の財政資金も投ずる。この政府資金の使い方によりましては、いろいろな考え方から計画の立てようはあろうかと思います。とにかく明るい方法によつて、しかも相当な規模、それからすみやかな電源開発、こういうことにつきまして通産省はどういうふうにお考えになつておられるのか。電源を今の状態にながめておつて、そうして産業計画が進み、自立計画がとられて行くということでありますならば、私どもはほんとうに心配にたえない。外資々々といつても、私は外資というものは非常に困難だろうと思う。最近帰つて来たいろいろの諸君に会つてみても、日本の有利な事業ということだけでは外資は入らない。政府が保証したらどうか、日本の政府が保証したくらいでは外資は入つて来ない。アメリカの政府が保証するなら外資が入つて来るかもしれぬが、それはたいへんなことだ。アメリカの政府が保証するなら外資が入つて来るということなら、これはなかなか容易なことではないと私は思う。そういうふうに考えて参りますと、電源の開発こそは、これは日本国自体の大きな問題でありまして、政府も国民も一切あげて新しい構想で、新しい視野の角度で解決しなければならぬ。来るだろう、来るだろうであつて来なかつた、さらにまた、来ても十分でなかつたというときに、国民に協力を求めても、それは手遅れになるおそれがあると思う。私はこの電力問題の解決には、外資を一面において考えられることは、決して私どももノーとは言いませんが、事実において来ないようなおそれなきにしもあらずでありますし、また参りましたならば、さらに大きな電源の開発計画を繰上げてやるということをお考えになれば、これはきまりのつくことだと思うので、どうしてもこの電源開発の問題は、この産業面を担当しております通産省といたしまして、特にこれを重視されておるだろうと思う。どういうような構想をお持ちになつておられるか、この問題についてどういう手を打たれようとされておるか。あるいは見通し等につきましてどういうようなお考えをお持ちになつておられますることか。ひとつこの機会に十分お示しを願いたいと思う。
#72
○首藤説明員 神田委員の御指摘の通り、日本産業の根幹である電力をこのまま放任できないということはまつたく同感でありまして、特に現在におきましても、多量な石炭を使つておる。この貴重な石炭をむざむざと消費しておるのみならず、特にこれがために火力料金という高い料金を課せられておる。そしてそれが輸出産業その他に、コストの面で重大な影響を及ぼしておる。しかもその上になお絶対量の不足を来して、日本の経済の伸張に大きなブレーキとなつておるというようなもろもろの点を考えた場合、何よりも優先的に、電力の開発に最重点を置くべきじやないか、これはいまさら議論の余地はないと思うのであります。
 先般電力会社の値上げに対しまして、通産省が三割の値上げを妥当とするという意見を発表しました。かなり各方面から批判されましたけれども、この際多少料金が高くなつても、これによつて会社の内容を充実し、そして現在のような払込額よりもはるかに低い株価を、少くとも百円近く引上げて、そして増資が可能になるように、さらにまたこれによつて外資が多少でも容易にできるようにする。これが結局目先においては各消費者なり国民が負担をしまするけれども、その後においては、長い間国民の受ける利益の方がはるかに大きいではないかという見解をもちまして、実は通産省は三判の値上げを主張したわけであります。この趣旨によりまして何らかの画期的な方法を講じて電力の開発に重点を置くべきじやないか、それがためには公共事業費のごときは――これは個人の意見でありますが、ここ一年や二年は犠牲にしても、その全額を水力の開発に持つて行くことがむしろ将来の国家産業を思つた場合にとるべき策ではないかということさえもわれわれは考えておるのであります。むろんこれは政府の最終的な意見をまとめなければなりませんが、少くともその気持を基礎といたしまして、公益事業委員会にも積極的にかような計画を推進することを希望しておるわけであります。当面の問題、特に本年の問題といたしましては、何らかの方法をもつてもう少し電力を確保いたしたいというので、いろいろ先般来検討いたしました結果、炭鉱その他の自家用になお相当の余力があることを発見いたしました。ただ料金に相違のあるためにこれがそのまま放任されておるという事情にありますので、これをフルに運転してもらつて、この損害に対しては別途政府が補償するという案を立てまして、現在それをまとめておるわけであります。これは一例にすぎませんが、かような構想のもとに、当面できるだけの対策をもちまして不足を多少でもカバーしたい。さらにまた進んでは、先ほど神田委員が言われたと同様の考えで、何らかここに国策として、画期的な大きな対策を打つ必要があるということを痛感しておるものであります。
#73
○神田委員 日本の産業のすべてをあげて担当されております通産省として、現下の電力事情、また将来の面にわたりましても、非常な心配をされておることにつきまして今御説明がありましたが、まことにごもつともだと思います。どうかひとつ、これはきよう結論が出るということはなかなかむずかしいことでありますし、また数日の間に結論を出すという問題でもありませんので、私も急ぎませんが、この電力の開発こそは日本民族に課せられました大きな問題である。松永委員長代理は、只見川百万キロの電力開発は千億という厖大な金に上る五年、七年にわたる工事であると言われましたが、なるほど千億という金は大金であります。しかし五年を要するというなら一年に二百億ということに相なろうかと思うのであります。一年に二百億という金は、もちろんこれは巨額の余でありますけれども、今日国家財政の面から考えましたならば、そう大きな金額ではないと思う。ことに電力の開発によつてわれわれ民族が生活面におきましても、産業の興隆、さらに諸外国との交易その他にわたりまして、あるいはまた文化生活の向上ということに考え及びましたならば、決してこれは高い金ではない。先般の電力料金の価上げにつきまして、国民があげて反対いたしましたことも、あれが真に電源の開発になつて国民生活の向上を見、産業の興隆を見るということでありましたならば、あれほどの反対はなかつたのではないか。持つて行き方の問題もあつたと思いますが、私ども地方をまわりまして、電力の開発のためにやることであれば、私どもも一はだ脱ぐことについてはやぶさかではない、しかしどうも今度の値上げははなはだ納得の行かないものがあるというようなことでありまして、あのような結論になつたわけであります。値上げも一つの方法であろうと思いますが、電力問題こそは民族あげての大きな問題でありますので、電源の開発につきましてはどうしても国民の総意をあげて協力を求めて解決したい。一年に二百億や三百億の金、あるいはそれに倍加する金でありましても、決して無理のない説明をして参りましたならば、行く方法があるのではないか、かように私は考えておりますので、ひとつ公益事業委員会におきましてはそういう面も構想の中に入れられて、さらに大きな視野で急速に電源を開発する、また外資が入つたならば、また費途を別に考え、これは振りかえてもいいわけでありますが、外資が入ればあれもひとつやろうというくらいなお気持を持つて電源開発に大きな努力を払つていただきたい。
 もう一つ、時間がないので簡単にお伺いしたいのでありますが、電気事業の復元の問題であります。電気事業の復元の問題はなかなかこれは重大な問題である。ことに戦時におきまして戦争完遂、必勝の手であるというようなことを言つて、公営事業あるいは民営事業を掠奪にひとしい方法をもつて、法律によつてこれをふんだくつた。そしてこの問題につきましては政府におきましても閣議を開きまして、返還しよう、公営事業についても復元を認めてやろう、また民営事出来でありましても、これを原料として使つております、すなわち工場立地をそこに求めておるというようなものにつきましては復元を認めてやろう、こういうふうなことを昨年のたしか十月の三日の閣議と思いますが、これは再確認をしておる。その前にもこれはきまつておつたのでありますが、十月の三日の閣議にこれは再確認されておる。さらにまた当衆議院におきましても、また参議院におきましても、この復元の請願につきましては満場一致をもちまして国会を通過しておる。すでにこの点についてはそういう関係がございましたので、復元なれりというところまで進んでおつた。しかるに突如としてポツダム政令が出まして、電気事業の再編成を急がなければならないような事情に相なりまして、九電力会社が急いで設立された。五月の一日から新発足されたことは申し上げるまでもないのでありますが、そういうような径路を経て来ておる。そこでこの電気事業が再編成されたわけでありまするから、この復元の問題もこの辺でひとつ解決しなければならない時期に到達したのではないか、かように考えるのであります。この点につきましては、公益事業委員会といたしましても、再編成の前後におきましてこの問題を十分御検討されただろうと思うのであります。また当委員会におきましても、復元の問題につきましては十分ひとつ考慮するということを御答弁されたこともしばしばあるわけであります。今日電力の不足の際でございまするから、電源の復元につきましては、これは復元をさせる、すなわち所有権の返還をいたしましても、電源の管理権といいましようか、管理はやはり公益事業委員会のもとにおきまして、公益に反しない、こういう観点から十分な処置をとらなければならないことはもちろんであろうと思いまするが、今日日本が大きな電源の開発をしなければならない、さらにまた民間会社等をして電源の開発をさせるという方針にきまつた、いろいろの手を打つて電力の開発をしよう、しかも大きな問題でありまするから国民の総意をあげてひとつこの問題を解決しようということに相なりまするならば、戦時中不当に掠奪にひとしいような法律によつて奪い取りましたこの電気事業につきましては、私は道義の面からもこれは復元させるべきものと思う。何らかの立法処置をしなければならないじやないか、かように考えるわけであります。いろいろポツダム政令の出まする前におきましても、この問題につきましては巨細にわたりまして意見の交換があつたわけでありまするが、政府におきましても返そう、また国会におきましても請願を受理いたしまして返そう、ただその返すがために、九電力会社の中で経営を困難とする、あるいは他の地域にわたりまして、料金の値上げもそのためにしなければならないというような大きな問題がからんで参りまする点につきましては、これは公益上の面から多少これを全部返すということは困難であろうけれども、さような公益上支障ない点においては、それはそうすべきものである、こういうようなことにきまつておつたのでありまして、公益事業委員会といたしましても、この問題につきましては、いろいろその後電力料金の値上げの問題、あるいは電源開発の問題あるいは今日また当面しておりまする渇水対策の問題等々いろいろございまするので、こういつた全体の中からは、ごくわずかのパーセンテージだけ一部の問題と相なるのでありますから、なかなかまだ十分なお考えがまとまつておらないように聞いておりますが、一部の問題ではありまするけれども、当該会社工場、当該市町村におきましては、これは全部の生き死にの問題、そのような大きな問題に相なつておるのでありまして、大きな関心を持ち、また念願をされておるわけでありますので、全体的に微細ではあるかもしれませんが、地方的あるいはまた当該会社等にとりましては致命的とも言うべき問題に相なつておりますので、この点につきましては十分ひとつ御考慮されまして、適当な処置をとつていただく、すなわち返還すべきものは返還する、復元さすべきものは復元させる、こういうようなことをされて、道義を正すことが、今後の電源を開発いたすにつきましても非常に効果があるのではないかと思う。今日電源の開発を政府も慫慂され、自分たちも採算が合うからやるのだが、また取上げられつばなしになるようなことではなかろうかというようなことを考えましたならば、これははなはだ私はよろしくないと思う。今後ああいつた戰時立法をいたしましてとるというようなことは、これは何人も考えないことと思つておりますので、言うだけ必要もないかもしれませんが、この復元の問題は、私ども非常に地方的に考えまして大きな問題と考えております。公益事業委員会におきましては、今日この問題につきましてはどういうようなお考えをお持ちになつておられるか、政府も閣議で決定し、国会も請願を採択しておる。また再編成もすでに済んでおる。電力料金の値上げも一応は片づいた。電源の急速な開発をしよう、また当面の渇水対策を十分練つておられる際でありますので、まことにこれは多忙といわなければならないと思いますが、復元の問題は当該市町村、当該各社からいたしますれば、先ほど申し述べたような重大な問題でありますので、公益事業委員会の所見をひとつ伺いまして、この対策を、もしなかつたならばすみやかにお立ていただくということを希望するものであります。
#74
○松永説明員 ただいまの問題は私どもよくその当時の事情をわきまえた問題もあります。中にはまたわきまえない問題もありますが、復元についてそれぞれの理由があることは了承いたしております。大体にこの事務局的に取調べましただけのところでは、復元せなければならぬ状態及びその関係利害はまことにたくさんあるようであつても、調べてみれば非常に少いというようなことも一応調べられたこともあります。その後お話の通りに、あるいは再編成が人事問題そのほかで忙しくなり、五月一日出発後はまた種々の問題等でこの問題はまだ委員会として手を出しておりません。部分としてはごもつともでありますけれども、今神田さんお述べになつたように、全体の問題としては孫の手も借りたいというようなきゆうくつ千万な電力状態で、これを一方を理由のあるところから処理する、理由のないものはそれでは処理せぬでもその地方の利害はどうかというと、理由は少くても、非常に利害は多いということもまた出て来て、はなはだ処理するに困難をきわめ、全体の電力の融通ということを一層悪くするおそれもありまするので、現在のところでは、公益事業委員会としてはまだ研究するという段階にはなつておりませんのでありまして、電源開発がだんだん進みまして、相当その連絡等が悪くなり、部分が全体と必ずしも十分一致せぬときがあつてもさしつかえないほどの電力の開発ができるあかつきには、むろんこれらの相当理由のある方面から考えて行かなければならぬことと思つておりますが、現在のところでは、まだそこまでの段階に入つていないかと思いますから、どうぞその問題はその問題として、全体の電源を盛んに開発する、従つて自家用などは今後無意味に取上げるというようなことは絶対にないようにして、自家用の人を安んじて自分のものとして使うように、国はやはり保障を与える必要があると思います。なお当時のことは、私ども被害者の一人でいろいろ苦しんでおりますから、その当時のことに遡及すればいろいろ議論がありますけれども、今日はしばらくこの問題は、電源開発が進行し、目鼻がつきますまではこしんぼうができればいいがと希望する次第であります。
#75
○神田委員 私のただいまの復元の問題につきまして、松永委員長代理は趣旨は賛成だが、まだ委員会としては十分な案を練つておらない、いろいろ他のことがあつて手が伸びないが、思いつきでもなかろうが、ただいま電気が不足しておるから、電源開発に専念したいから、電源開発が完了してからこの問題をひとつ考えたいというようなお話がございました。大きな上から考えますれば、それも一つの理由になるかと思いますが、私が申し上げましたことは、戰時立法といたしまして人のものを取上げた、そういうものは返すということは、やはり立憲政治の当然な措置だと思います。今国破れて山河ありで、ようやく立ち直つたようにもみえておりますが、なかなかまだしんが弱い。日々の新聞を見ましても、兇悪な犯罪、予想もし得ないような事故が瀕発しておる。これはやはりあの戰争というもの、いろいろな困難なこともございましたが、やはり今日の道義の頽廃が一番国家再建の上に遺憾な点だと思つております。道義の高揚なくして民主国家というものは成り立たないと思います。人のものをとつたものは返すべきだ。今日日本が戦争によつてとつたものは返せと言われておる。国と国との間においても、そういうことを言われておるのでありまして、国の中においてこれを改めるにやぶさかであつたならば、道義の高揚いつできるかと私は言いたい。ことに私が述べておりますることは、所有権はお返しください。但し電力不足であるから、電源の管理権というものは国家がお持ちになつてもよろしいのではないか。電源を返したから、返つて来たから自分の方で使いつぱなしだという思想は、今日公益上どうかと思う。そこでこれは公平に分配するという意味から、電力の管理は電力事情が好転するまで国家がやる。それが立法措置としていいのではないか、所有権はお返ししなさい、こういうことなんです。さらに配電事業に至りましては、これは電気の過不足の問題ではない。当然そんなことを言わずに返すべきだ。公共団体の事業を取上げておいて、そのまま株式を法律によつて交付しておいて、そうして今日それを配電会社の株を電力会社の株に書きかえておる。これではどうして何十万という市民を持つておる公共団体がじつとしておることができるかということなんです。返さないという理由は成り立たない。これは返すべきものなんです。私の希望することは、法律によつて奪つたのであるから、法律によつて原状回復すべき問題であると思う。公益事業委員会がそれらのおもんぱかりがなかつたならば、おそらくこれは議員立法の問題に発展するだろうと思う。政府も閣議できめており、国会も請願が満場一致で通つておる。そういう際にこの問題を他の事情によつて押えておるということは、押え得ることができるかどうかという政治問題としても御考慮願いたい。ことに公益事業委員会がこれを返そうという非常なおもんぱかりをお持ちになつても、これは立法事項になつて来ると思います。なぜかならば、今日のような金融政策、財政経済政策をとつております際においては、おそらく公共団体が買いもどしをする場合において起債の発行力というものは、今の株券との差額が出た場合において、おそらくなかなか困難な問題が出るだろうと思います。そういう際に、おそらくかつて自分たちが株式を取上げられたと同じように、交付市債によつて解決する問題が出て来ると思う。現にこれは政府の同じ系統機関である自治庁において、あるいは財政委員会において、これは法律でもつて解決せい、法律でもつて解決しようじやないか、株券によつて奪われたのであるからこれは市債により、県債によつて交付して原状回復すべきものだという有力な意見が示唆されております。そこで私はあまりりくつでこの問題を解決したくない。たとえば復元したからといつても、電気事業者なんです。電気事業者は、先般の編成がえになつた九電力会社だけが電気事業者ではない。今後新たに電源を開発する電気事業者も、これは一つの電気事業者になる。さらにまた公共団体が復元の問題とは別な問題で新規にあるいは配電事業を営むかもしれない。それは法律によつて認めておるから、両者の話合いがつけば新規な公益事業が成り立つ。公益事業委員会の行政対象としては、これは配電事業は全部対象になつて参りますから、まあ公益事業委員会の受持つ団体の数といいましようか、業者がふえた、しかし地域的には同じかもしれませんが、中の頭数がふえた、小ざいものが頭が出た、こういうことになろうかという程度だと思う。そこで私は配電事業を復元されても、電源をやはり親会社の電力会社からもらわなければならない。これはけんかしてはどつちも商売は成り立たないと思う。配電会社から時々刻々に電流を流してもらわなければならない。これは商売になつて来る。卸と小売というかつこうになつて来る。さらに電源の復元がございましても、その電源は所有権は返しても、管理権は公益事業委員会の方でコントロールするということになりますれば、これはまた公益事業委員会との関係、また九電力会社の方と当該自家用の返還を受けた会社との関係において、いろいろなおつき合いが出て来ると思う。そういうような業者の仲間入りをするわけです。その仲間入りをする際に、両者の理解なくして、これは法律で片づけてとつたとられたというようなことになると、はなはだおもしろくないと思う。どうしても電気事業の総本山であるところの公益事業委員会が中にお入りになつてあつせんされて、そうして十分納得づくで両者の間で、あるいは今日の法律の段階で解決できないようなものは、法律の力によつて穏当にして解決して行く、こういうように私はしたいと思う。またそうすべきものであると思う。両者の間を十分にあつせんして話をつける。そしてそれをスムーズにやるために、あるいは今日他の方法が行きかねるところを立法する、こういうような親切心があつてほしいと思う。電源開発を大いに急がなければならないという大きな問題、そういう問題から見るとこれは小さい問題になるのでありまするが、小さい問題といつても当該区域からいえば、これはオール・マィテーの問題なので非常に大きな問題なのです。これは市町村民なり当該会社から見れば致命的な問題になつて来る。そういうわけでありますから、この問題をひとつ委員長代理、委員の諸君、また事務局の諸君におかれましても、十分な資料をお集めになつて、この解決というものはやはり公益事業委員会が親切をもつて電気事業者の仲介者としてあるいは監督者として、あるいは指導者としてこの問題を解決すべきものと思う。戦時中は当時の軍の傀儡になつた政府が赤子の手をひねるようなぐあいにねじ上げてとつてしまう、あるいは今度またとられたからといつて腕ずくで取返す、そういうようなりくつを拔きにして、電気事業者の数がふえるのだ、りつぱな子供として育成するのだというような立場でひとつこの問題を解決していただきたい。どうかそういう意味でお考え願いたいと思う。電力の不足を解決しない限りはこれはなかなかできないというような考え方は、私の申し上げていることとはなはだ意味が遠いんじやないかと思う。電力の不足の際には不足のようなことをやる措置がある、所有権はお返しになつても管理権をお残しになればちつともかまわない。電力が豊富になれば返すということならば、何も人の財産を預かつておく必要はない。電気が豊富になつて返すということになれば、返すがお前には使わせない、こういう手はあると思う。どうも今のままでやると、まつたく委任統治領とまでも行かないことになつてしまう。今は返さないんだ、しかし電力が豊富になれば返す。それでは電力がいつ豊富になるか、委員会が非常に御熱心であつて、私が申し上げたようなことを御参考にして大いにおやりになつたならば、私は数年のうちには大いに電力の問題も満足すべきようなことになると思う。しかし手の打ち方によつてはなかなか遠い将来までも電力の不足の時代が続くことも想像される。いずれにいたしましても、私どもはそういうことよりも電力が豊富になり低廉になり、しかも良質の電気であることを希望するし念願する。またそのことは日本国にとりましてむずかしい問題ではない。為政者間においてこれを十分におもんぱかりまして、国民の協力を得ましたならば、必ずやできるという確信を持つておりますので、どうか委員会におきましては、電力が豊富になるまでお預かりするというようなお考えでなしに、この問題をひとつ今日からお取上げになつて、十分御研究願つて、近いうちに結論を出していただく、こういうことにいたしたいと思う。結論を出すということは、先ほど松永さんが言われたように、返すものではあるが、先にというようなことでなしに、返すものは早く返す、この方が私は非常にけつこうなことだと思う。どうかそういう意味でひとつ御努力を願いたい、またすべきものではなかろうか、こういうふうに考えますので、これについて委員長代理の御答弁を伺いたいと思います。
#76
○松永説明員 豊富になればお返しすると申したというよりは、現在非常に電力が足らず、その連絡等がこの上悪くなるようなことでもあれば、いよいよ一般の迷惑が多くなるわけでありますから、この問題などは電力が豊富になつたときに考えるべき問題で、今日考えることは非常にむずかしいというような意味で申し上げたつもりであります。
 それから電力再編成で私どもの今日存じておる立場では、ともかく自発を廃し、旧配電会社を廃し、新しい九区域において独占的な電気事業を許す、そうしてなるべくその形においてその能率を発揮させてサービスを全からしめるというのが再編成の大体の方針になつておりますので、再編成そのものの方針から申しますと、今ただちに公共団体等に電力を返して所有権はお返しする、またやり方は、監督はするけれども、そこに一つの事業者をつくつて行くという考え方は、大体今日においてまだ考え得られぬことになつております。しかし御議論必ずしも悪いという意味で申すわけではありませんから、お話のことについてはもとより十分研究いたすことにさせていただきまして、豊富になれば必ずそうしますと言つた意味でもありませんことを御修正を願います。
#77
○神田委員 ただいまの御答弁によりますと、この前の松本委員長の御答弁と大分食い違いがあるのではないか、松本委員長はこの議場におきまして、ただいまはこの再編成が済むまでは、ポツダム政令の条項によつて再編成を急がなければならないからそういうことを考えるわけには行かないが、再編成後においてはひとつ考えて行こう、こういうような御答弁のように私は記憶しておる。これはもとより当然だと考えております。現に自家用の電力を会社、工場、あるいは公共団体もしかりでありますが、今日計画し、これをやり得るということになつたことは、再編成後の姿ではなかろうかと思う。そういうことでありますならば、やはり戦争によつてとつたものは返してやることが、道義上からも、法律上からも当然考えなければならないことだと思う。これは日本人同士として私は当然なことだと思う。ほかから強制されておれば別でありますが、日本人がお互いに日本人という感覚のもとにとつた場合ですから、これは当然のことではなかろうかと思う。しかしここで議論をし、討論をする意味ではないのでありますから、委員長代理がそういうことを述べられるのでありますならば、それは一つの考え方と思いますが、私どもどうしても納得できない。しかしこれは後段で十分研究しましようという、何といいますか、私のいろいろな質問につきまして最後のつながりは残つておるようでありますから、切れたわけではありませんので、きようは時間もありませんし、そう質疑を続けたくないのでありますが、この電力の管理をされた時分の松永さんのことは十分私どもも承知しておりますので、これは再編成後初めて復元の問題が議題になつたのでありますから、きようは初日でありますので、私はこの程度で質疑は留保いたしますが、政治というものは情がなければならない。沿革も考えなければならない。これは決して悪いことじやないという確信を持つておりますから、どうか電源の急速な開発のためにもなるし、親切なやり方だというふうに考えますので、きようから新しい問題だというふうにして委員会の方で急速に御相談を願いたいと思います。なおまた御検討をいただく機会もあろうかと思いますので、きようはこの復元の問題はこの程度にいたしますが、十分ひとつ御考慮を願いたいと思います。
 そこでもう一つだけお尋ねいたしたいのでありますが、公共団体の電気事業の配電会社等に対する移管に際しまして、配電会社から公共団体に十箇年間公納金をやるという約束になつておる。ところがこの公納金が今年でちようど十箇年の満期になるのでありますが、御承知のように戦争中ああいつた政府補償もあつたのでありますが、戦争後政府補償がなくなつた、さらに物価の高騰等に伴いまして、公納金が非常な少額のものになつてしまつた。これは公共団体の側におきましては、それらの公納金は当該公共団体の財政補給金であるのだから、電気料金の値上げの程度に応じたスライド制をとるべきものである、そこでその差額をひとつ出してもらいたい、さらにまた今年で十箇年の満期になるのだが、この復元ができるまで公納金の問題は持続されたいという要望が出ております。これは公益事業委員会でも十分御承知だろうと思います。電力会社のお立場もあろうかと思いますが、公平なところ、これは復元を要求されておる今の公共団体、事業を奪われた公共団体から見ますと、当然な要求のように思う。簡単な問題でないことは私も十分承知しておりますが、これらの要望につきましては、自治庁、財政委員会当局も非常な苦心をしておられるようであります。公益事業委員会がこれをさばかれるのもなかなか御苦心のいることと思うのでありますが、これらのことにつきましてどういうようなお考えを持つておられるのか。十分時間もありませんので、簡単でやむを得ないかと思いますが、この問題は、ただいま答弁を伺いまして納得行かなければ、納得できるまでさらにまた他の機会にも質疑を継続いたしたいと思います。これは重大な問題でありますので、復元の問題と関連をいたしておりますから、この機会にひとつ委員長代理のお考え方を伺いたいと思います。
#78
○松永説明員 この補償、何と申しますか、河川水利使用料の問題及びある意味において補償金の問題は、性質の多少かわつた問題となりますけれども、そういう公共団体の補償金が、貨幣の評価が非常に変化してお困りになつている事情は深くお察しして、地方の知事さん方とお会いする場合にも、よくその事情はお話を承つております。むしろ同情して聞いております。ただここで、どういうことから起つたのか知りませんが、シヤウプ勧告案に基いてできたのだろうと思いますが、固定資産の税金というものは近来非常に拡大いたしまして、中には一向水利の役に立たぬ古くなつたものも――土手には旧水路にもやれ税金がかかつて来る、なかなか河川水利料どころの騒ぎじやない、これをそのまま置きました場合、あるいは将来の高い建設費でやつた場合、これがことごとく、ダムにもかかり、何にもかかるということになりましたら、電力原価は非常に高くなりまして、従つて消費者価格は非常に増加する。今日も委員会の事務局に頼みまして、水力に関する税金をもう少し調査してはどうか、もう少し公平に、水力電気の発達を阻害しないようにしてはどうか。火力のごときでありますと、そのかかる税金の高がちやんと限界があり、高くともわかつておりますが、水力は御承知の通り三千を越え何十キロ、何百キロの間の、全体のものにかかるような状態でありますが、このままでは水力電気の開発ということは非常に困難なのです。これは電気の開発に関係する者は、どうしても根本的に税法に向つて一つの研究を始めなければいかぬといつて、きよう事務局にもそれを委託したわけであります。これらの問題と相関連しまして、地方の補償金、水利の使用料について適当な方法を相合わせ相かんがみて、解決を進めなければならぬと思つております。要するにまだ未定稿であります。どうぞそのおつもりで……。
#79
○神田委員 大分時間も長くなりましたので、一応あとの質疑を留保いたしまして、次の機会に譲りたいと思います。今委員長代理から御答弁になりましたが、補償金の問題もなかなかうるさい問題といいましようか、むずかしい問題といいましようか、大事な問題といいましようか、とにかくひとつ十分御配慮を願うという意味で御検討を願いたいと思います。復元の問題につきましては、いずれまたさらに意見も述べ、御所信も聞きたいと思いますので、一応本日はこの程度にして私の質問を打切ります。
#80
○中村委員長代理 風早八十二君。
#81
○風早委員 皆さんもたいへんお疲れだと思いまして、申訳ありませんが、しかしながらやはり各相異なる政党の意見、質疑は十分に聞いて、ひとつ御参考にしていただきたいと思います。
 まず第一点は、電力値上げの階級性についてであります。われわれが電力値上げに対してかねがね一貫して反対いたしましたのは、いろいろな根本的な理由はたくさんあります。しかしながらその一つとして、値上げをやれば結局いつもそれが一方の側には大した値上げにならないが、他方には非常に大きくぶつかかつて来るということは、これはもう定石なのです。でありますからこの値上げには反対なのです。他方の側というのは言うまでもなく、一般の小口電力消費者、また家庭の電燈消費者、特に定額には必ず一番大幅の値上げがかかつて来るということは、これは定石なのです。でありますから反対した。そのことが、私の申した通り、ここに物価庁の調査によります電力料金の各産業並びにその他の方面に対する影響が、数字をもつてはつきり出て来ております。これによりますと、たとえば硫安であるとか石灰窒素、苛性ソーダ、アルミニウムあるいはレーヨン、パルプ、こういう方面につきましては、大体これは平均しないでもほとんど一%、つまり一分の値上げ以上のものではありません。ことにレーヨン、パルプのごときは〇・一%一厘の影響になつておる。もつともこのうち、たとえば石灰窒素などは地域差が非常にありまして、東北では一・八%、中部では二・六%、九州では一〇%、つまり一割になつておる。これは地域的な差が相当ひどい例であります。しかしその他は概して――今あげました品目は、主として今日の花形産業、特需関係のものでありますが、一%台である。これに対して家庭用の場合におきましては、これは東京電力管内の数字でありますが、定額は四割一分増であります。また従量は二割二分でありますが、これもやはりその中で、特に一般家庭用のものは平均して大体三割程度、夏は四割程度ということになつております。これによつて見ましても、これはもうあまりに露骨な階級性がこの値上げそのものに現われておる。この点について私は思い起すのでありますが、何回か前の議会に、この委員会において、松永委員長代理に私は特にこの点を聞いたわけです。ことに総司令部関係からとんでもない勧告が最後に出ておる。その中を見ますと、この定額に比重をかけろということがはつきり出ておる。こういうことでは困るのではないか、これに対して公益委員会としてはどういう態度をとられるかと聞きましたところが、これに対して松永委員長代理はきわめて正当に、これは確かに困る、定額のごときはいわば国定教科書のようなものである。ただにしておくというわけには行かないけれども、これに重くかけるわけには行かないのだ、これについては目下折衝中であるが、大体聞いてもらえるだろうというような話であつた。しかるにふたをあけてみますと、相かわらず定額には格段にべらぼうな比重がかかつておる。こういうことでありますから、結局あなた方がその場で何と言いくるめられようと、実際の結果はわれわれの指摘した通りになつておる。特にこの定額につきまして松永委員長代理は、あのようにきわめて正論をはかれたその立場から、今日いかなる考えを持たれ、いかなる責任を感じておられるか、この点についてまず御答弁を願いたいと思います。
#82
○松永説明員 確かに定額を上げたくない、これはお話の通り、いわば庶民燈とも言うべきもので、上げたくない。しかし何ともこの以内についての許可をとる自信はありませんが、できるだけ努力したいということを申し上げたように記憶しております。私どもふがいないと思うのでありますが、御承知の通り何しろ外国貿易に関する問題そのほかについて、国の重点としておられるところが大分風早さんの考え方と違つておりますために、定額燈について特に考えたことのみがうまく行かなかつたということもありましようけれども、大体あの線で済んだのでよかつたのではないかと思うのでありまして、もししからずんば定額はもう少し高い線まで行つたのじやないかと心配しております。その点で相当食いとめたつもりでおりますが、十分に行かなかつた点は風早さんとともに遺憾に考える次第であります。これも御時世ですからどうぞおあきらめを願いたい。
#83
○風早委員 今この問題はこれ以上追究して述べる必要はないと思いますのでやめますが、しかしながら決してただあげ足をとるという意味ではありません。しかしあのときああいうふうにして、非常にわれわれを納得させる態度をとられた松永委員長代理としては、もう少し自己の責任というものを感じられるかと私は思つておつたのでありますが、この程度で済んだからがまんしろというようなお話では、私はとにかくとしても、国民は絶対に納得いたしません。このことだけははつきりしておきたい。しかしながら結局値上げというものはこういうものなのです。われわれは最初からそれはわかつているから反対した、反対が敗れたからいまさら言つてみてもしようがない。
 しかしもう一つ第二に問題になるのは、この値上げをせられる根本の理由は、また公益事業委員会としても明言せられた理由は、これをやつてとにかく体裁を一応経理の上では整えて、これで外資を導入するということを言われた。これは石炭代がどうであるとか、減価償却がどうであるとか、いろいろありましようけれども、それはりくつでありまして、結局は値上げによつて、あなた方の立場から言つて改善して、これで外資を導入する。今のままではかつこうがつかない。つまりもう少しきれいにお化粧をして、俗な言葉でありますが、旦那を迎える、こういつたような態度を一貫してとられたわけでありますが、そのかんじんの外資導入というものが、先ほどの神田委員に対する御答弁ではさつぱりわからない。大体OCIというものはブローカーのようなものでありまして、金さへ出せば調査に参ります。そのことと、実際に外資が入るということとは、まつたく別問題である。実際また委員長代理のお話によりましても、外資が入るという何らの見通しはない。ただ只見川の開発のごときは、世界にもまれな絶好の電源地帯として、その地の利を得ているから、有利であるから、あるいはものになるかもしれぬ。それも講和後のことであつて、今から何とも言えない、こういう頼りないお話なのである。だれもこれを聞いて外資が入るということに確信を持つた者は一人もないはずです。私は決して外資を導入するということは言つておらない。外資導入は最初から絶対反対でありますが、あなた方外資導入をやるために料金を上げると言われた。料金を上げて、しかも階級的に一方にはどえらくぶつかけておいて、そして本来の目的とする外資は入つて来ないというに至つては、これは皆様方公益委員会とされて、その責任はきわめて深刻でなければならぬと思います。こういう点についてはもう事実を皆様方が言われたのでありまして、これ以上それらについての御意見を伺つても始まらないのでありますが、しかしとにかくそういう次第で、まつたく皆さん方の最初の企図されるところ自身が、もう破綻しているということだけは明瞭ではないかと思うのでありますが、これについては、一言でよろしいから御意見をお述べ願いたいと思います。
#84
○松永説明員 料金問題のときにるる申し上げましたように、大体物が上り、修繕するにしましても、あるいは資本の償却をするにしましても、まつたくけたはずれな金額が必要になつておりますにかかわらず、旧来その辺の経理面というものはまつたく無視されて、そして暗やみのうちに手探りに営業しておつたという状態でありますから、それをはつきり一通りの経理が立つようにするのには、電力会社自身の努力並びに自己の責任によつて、その当時六割強の値上げ案に対して公聽会を開き、これに賛成するせぬでなくて、公聽会の意見を聞いた後に決定し、考えましたのが三割強の値上げであります。この経理の回復が十分、十分でないということを議論するのは、今日まだ早うございますが、ともかく一応の道理に基いてやりましたので、外資ばかりではなくて、これによつて幾らか払込みができるようになるのじやないか、あるいは国内社債等もできるのじやないか、それをしない限りは、もう毎日の石炭代にも困るし、またサービスもできない状態になつておりましたわけで、これをもつてただちに、外債に直結して外債そのもののために値上げをしたと言うのは、少し話が飛躍し過ぎておるように思います。もとより外債もこの中に含まれておることは言うまでもありませんが、單に外債のみに結びつけてお考えにならないように、また外債も必ずしも見込みのないものとも思つておりませんから、外債はおきらいかもしれませんけれども電源開発のためには必要な状態になつておりますことは、先刻神田委員の御質問に対してるる答弁して、あなたも十分お聞きのことと思いますから、そのすききらいは別として、私どもの誠意のあるところだけはおくみとりを願いたいと思います。
#85
○風早委員 まず第一にこの値上げが、根本において外資導入のためだと言われたことは、これは明らかな事実であります。また実際そうなんです。実際もそうであることは、これは十分に了承もできることです。結局電源開発をしなければならない。しかしこれにはどえらい金がいるので、外資導入をしなければやれない。けれども外資導入には、今のような経理内容ではどうにもならないから、とにもかくにもある程度しつかりした経理内容にしたい。そのためにいろいろ石炭代その他の経理内容の問題が出て来たわけであります。根本はこの外資導入のためであつたということは、いまさらここで争うまでもないと断定して私ははばからないと思います。しかしながら外資導入はすききらいの問題ではありません。私どもは外資のすききらいを言つてはおりません。場合によつては外資も大いにけつこうであります。しかし現在の場合に外資を入れることになぜわれわれが反対するかということは、かねがねわれわれが一貫して言つておるように、今度もまたOCIあたりの案を見ましても、このどえらい外資が入つて来て、これで日本の電力を掌握してしまえば日本の産業全体を掌握する。産業だけではない。国民経済、またこの電力を消費する生活面にまでこの支配力が及ぶということは、言いかえれば、結局日本の植民地化に拍車をかけるその根幹を握られてしまうのだという意味において、われわれはこの危険性を感ずるがゆえに、これに反対しておるわけであります。この点はひとつ十分に考えていただきたい。外資でも何でもよろしい、とにかく実際に大規模な開発ができて、日本の産業がこれで発展するようになればよろしい、これは非常にけつこうな話です。そのために全力をあげて、今の国土計画なども全部電力に集中して、その他いろいろな余裕資金があればこれを一切合財電力に集中してやる、それははなはだけつこうな話です。電力というものの社会性からいつて、もちろんこれは治山治水にも関係するし、利水にも関係するし、つまり農業にも関係するわけです。また一般産業だけではない、とにかく全国民生活、交通、運輸その他万般に関係するその原動力になる大きな力でありますから、これに一切合財集中しろということは、抽象論としてはきわめて正しいのです。しかしそれは松永さんがこれを言われる場合におきましては、これは残念ながら夢であるか、あるいはまた松永さんが、はつきり言つて社会主義にならなければいかぬ。ときどき松永氏は社会主義者だというようなうわさもありますが、つまり松永さんは氣がつかれずして電力の社会性、電力全部を預かつておるものだからおのずからそういう面に到達せざるを得ない。しかしこれは残念ながら松永さんのように一会社、戰時中はそうでありました、また現在も九つにわかれたとはいいながら、結局は大きな独占利潤を吸い上げるために、この電力の社会性というものは、絶対に貫くことはできない。これはほんとうに国力をあげればできないことはありません。外資を導入しなくても、日本の国力をあげてこれにかかればやれないことはありません。われわれはそれを考えている。レーニンはすでに一九一七年の革命の成功した直後から、一切の社会主義計画経済の基礎はまず電力だというので、それにかかつてりつばに成功しておる。しかしながら社会主義以外においてあなたの言われるようなことは夢、米国におきましてもあのテネシー渓谷の計画にしましても、絶えず独占によつてじやまされて、結局ああいう大きな国で、ああいう大規模にやつていても、やれない。絶えず障害が起るということは、あのジヨン・ガンサーも「アメリカの内幕」の中ではつきり暴露している。ましていわんや日本においてそういうことをやろうというならば、これはあなたの立場を捨てられるか、そうして社会主義に行くかしなければやれないことであります。私どもはそう断言してはばからない。さもなければ、これははなはだ無責任な夢のようなたわ言を言われたのだと伺つておくよりしようがない。しかしこれは決してたわ言じやないのです。私どもはかねがねからこの電力というものは結局国営なり、人民管理にならなければならないということは言つて来ましたが、大体今そのどたんばにまで来ているのではないかと思うのです。あなた方の手によつてそれをしてくださいということは申しません。しかしながら問題は、これは絶対に今のようなやり方では解決できない。しいてやろうとすれば、今のままでお化粧をする。言いかえればもう一ぺん三割、四割では足りないから、今度は六割、七割、倍に値上げをして、また外資をお迎えしよう。それでもまだ外資は入つてはくれない。そうして入つて来た外資ということになりますれば、結局はいよいよがんじがらめに日本を支配する、こういうことにならざるを得ない。どうしても私は、あなたの先ほどのああいう大きな広げられたふろしきというものは、あのままでは収拾のつかない問題だということを考えるのでありますが、あなたはまじめにこの大きな電力問題の解決について、先ほど言われたように、全国力をあげてやるということを考えておられるのか、これだけはひとつ御明答を願つて、私の質疑を終りたいと思います。
#86
○松永説明員 御明答をと言われましたけれども、レーニンに転向する気持にはなれませんから、やはり松永は松永流にひとつやつて行きます。また国民が力を合せれば、日本の電力を開発する気力が日本国民にあることを信じて、日本国民を信じて一緒に行きます。これをもつて明答にはならぬかもしれませんが、どうぞ御了承ください。
#87
○風早委員 あなたは日本国民を信ずると言いますが、今度の値上げに対する国民の態度はいかがです。そうしてこの値上げの内容は一体どういうもんです。これは先ほど申しましたように、あまりにも露骨な階級的な値上げである。そしてあなたは国民を信じる――それはあまりにそらぞらしい御説だろうと思うのです。しかしながらまあそこにあなたの御本体があるというならば、これはやむを得ませんから、大体きようのところはこのくらいなところにしておきます。
#88
○松永説明員 どうぞそのくらいで御勘弁願います。
#89
○中村委員長代理 ほかに質疑はございませんか。――別に御質疑がないようですから、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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