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2012/02/24 第180回国会 参議院 参議院会議録情報 第180回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号
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2012/02/24 第180回国会 参議院

参議院会議録情報 第180回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号

#1
第180回国会 政府開発援助等に関する特別委員会 第2号
平成二十四年二月二十四日(金曜日)
   午後一時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 一月二十五日
    辞任         補欠選任   
     行田 邦子君     舟山 康江君
     友近 聡朗君     大野 元裕君
 二月二十三日
    辞任         補欠選任   
     大久保潔重君     牧山ひろえ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 基之君
    理 事
                石橋 通宏君
                谷  亮子君
                水戸 将史君
               北川イッセイ君
                小泉 昭男君
                竹谷とし子君
    委 員
                大久保 勉君
                大野 元裕君
                武内 則男君
                轟木 利治君
                中谷 智司君
                姫井由美子君
                藤谷 光信君
                舟山 康江君
                牧山ひろえ君
                米長 晴信君
                赤石 清美君
                川口 順子君
                岸  宏一君
                中原 八一君
                中村 博彦君
                長谷川 岳君
                水落 敏栄君
                魚住裕一郎君
                小熊 慎司君
                浜田 和幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        矢嶋 定則君
       常任委員会専門
       員        工藤 政行君
   参考人
       国際開発ジャー
       ナル主幹     荒木 光彌君
       特定非営利活動
       法人オックスフ
       ァム・ジャパン
       アドボカシー・
       マネージャー   山田 太雲君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府開発援助等に関する調査
 (ODAに対する国民の理解・参加等に関する
 件)
    ─────────────
#2
○委員長(藤井基之君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十五日、友近聡朗君及び行田邦子君が委員を辞任され、その補欠として大野元裕君及び舟山康江君が選任されました。
 また、昨日、大久保潔重君が委員を辞任され、その補欠として牧山ひろえ君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤井基之君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として国際開発ジャーナル主幹荒木光彌君及び特定非営利活動法人オックスファム・ジャパンアドボカシー・マネージャー山田太雲君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(藤井基之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(藤井基之君) 政府開発援助等に関する調査のうち、ODAに対する国民の理解・参加等に関する件を議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本委員会は、去る十四日、JICAの広尾センター及びJICAの横浜国際センターへ視察を行い、ODAに対する国民の理解・参加等について理解を深める機会を得ることができました。
 本日は、更なる理解を深めるべく皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず、荒木参考人及び山田参考人からお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、荒木参考人からお願いいたします。荒木参考人。
#6
○参考人(荒木光彌君) 皆さん、こんにちは。荒木でございます。
 今日は、私、三点ほど論点がありまして、第一点は、ODAは我が国の国家政策を達成していく手段であるということを申し述べたいと思います。第二点は、ODAは国家事業であって、チャリティーの事業ではないということですね。三番目は、新しい援助の潮流について触れたいと思います。
 まず、最近の世論調査の傾向を見てみますと、もう四割を割るような勢いで、こういう状況なものですから、ODAの下降傾向が深まっておりますけれども、東日本の災害の際に、ブータンの国王夫妻も後ほど参りましたけれども、ブータン始め多くの小さないわゆる開発途上国の国々から多くの力強いメッセージと義援金を、百万ドルと一口に言っても小さな国にとって大変なお金なんですけど、それをそれぞれの国が、五十か国近くお出しになって、改めて、日本のODAが今までやってきたことに対する一種の感謝の気持ちがあったんじゃないかというのを我々は感じ入ったわけです。
 さて、私が言いたいのは、時々、ODA委員会もそうですけれども、外務省もそうですけれども、ODAを単独で議論をするんですけれども、ODAというのはいわゆる我が国の国家政策あるいは外交政策を達成するための手段であって、手段のこと自体について仮に国民広報といっても、なかなかその手段についてはいろんなテクニカルなことがたくさんあり、しかもたくさんの分野にわたっていまして、一般にはなかなか理解しにくいと。ともすると、実施機関もやや国民の感情に訴えるような広報の仕方をするので、ますますそのODAというのが政策から遠のいて、国の政策とは一体何ぞやというところまで行かない前に終わっているというケースが非常に多い。
 そこで、私はやっぱりもう少し政策そのものについて議論をしていくべきじゃないかというふうに思っている次第です。
 例えば、過去ずっと歴史を検証してみても、例えば戦後間もないころは我が国は国際社会に復帰するんだということで初めてこのODAに参画するんですけれども、ODAという手段を使って我が国の国際社会への復帰を達成していくわけですね。困ったときは、その間、日本の経済成長のプロセスにおいてはいわゆる輸出振興にもこれは加味して、参加して日本の国家の事業にある程度協力するということで、ただいま今日でいうと、政府の言う経済成長政策の中で大型インフラの輸出ということがありますけれども、それについても我々、ODAの方はどういう形でこれにコラボレートするのかということをやっぱり考えなきゃならないと。
 そういう時期に来ているんですけれども、今までの流れからいうと、やや放漫というか、いわゆるバブル、我々はODAバブルと言っているんですけれども、非常に、八〇年代から九〇年代にかけて大量の日本のお金を海外へ言ってみれば散逸させたというか、ただばらまいたというような外交政策であって、いわゆるそこに本当の日本の国のサバイバルにかかわる外交政策というのがあったかというと、それはなかなか問題であったということが今我々は反省をしているところであります。
 したがって、話が、短くいたしますと、ODAというのは国家事業であって、チャリティーではないということは二番目の論点ですけれども、主要国というのはどの国も、そもそも自分の国の例えば世界における一種のインフルエンスあるいは存在感というのを高めていくために、いろんな意味でですよ、経済のみならずいろんな意味で高めていくために、知的なものもそうですけれども、そのためにこのODAという手段を使ってネットワークを広げていると。
 それが、例えばアメリカの場合は、国務省と連動する形で例えば国際開発庁、USAIDというのが動いて、これは専管の援助庁です。でも、これは国務省の流れの中で動いているんです。つまり、国務省、ホワイトハウスの政策に基づいて彼らも動いていると、こういうことで連動しているわけです。したがって、今更ながらアメリカが国民に向かって何で援助するんだということはもう聞いていないんです。これはもう国家として当然やるべき仕事だということでこの援助庁をつくっていると。
 それから、イギリスもDFIDという国際開発省をつくっている。これも、最初からイギリスは英連邦というのがありまして、その英連邦を中心にして、途上国、大体三十か国ぐらい中心に、集中的に援助をそっちへ流している。アフリカがかなり多いですけれども、そういう旧宗主国を中心に動いている。
 フランスなどはほとんど海外県、あるいは彼らのいわゆるかつての植民地政策で独立をしてもらった国々の途上国に対して集中的に援助している。それがフランス開発庁というところがやっているわけです。そのためにやっているんです。国家政策のためにセットされているわけですね。
 それから、日本は外務省国際協力局、そして国際協力機構というJICAがあってやっていると。日本だけ、正直言って担当省とか庁とかないのが日本だけなんですけれども、一応それでも日本の外交政策に沿ってやっているはずなんですけれども、そのはずというのがなかなか問題で、我々が一体、外務省も含め政府が何のために援助するのかというのは、外務省のODA白書を見ても非常にテクニカルな話ばっかりなんですね。
 基本的に日本が諸外国の中、この競争の中でどうやって日本のインフルエンスあるいは存在感を高めて、今度、例えば日本という国をシンボライズする形で国際活動をしているというのが我々の言うODAなんです。企業活動も海外で相当やっていますけれども、企業だけでは日本をシンボライズした形の国際活動にはなっていない。したがって、その間を縫ってODAが日本国民全体を代表する形で、ああ、あれが日本だと、あれが日本人だという存在感をやっぱり知らしめていくためにこのODAという存在が必要だというふうに我々は解釈しているわけですね。
 平たく言うと、世界の人々が日本は嫌いだと言われないような世界をつくっていくということが非常に大切なことで、そのベースの上で日本の外交はもとより、経済活動もスムーズにいくし、観光活動もスムーズにいくというような地ならしのところをやっていると、こういうふうに我々は解釈しておりまして、したがって、先ほどから申しますように、ODAというのはともするとややチャリティー的な感じで取られ、NGOの活動と何か非常に合体して考えているケースがあるんです。これは必要なんです、NGOの存在は。でも、政府の政策においてNGOがこの部分で必要だとすればNGOを重視し登用しなきゃならぬことは事実だし、それから地方自治体が必要なら地方自治体を登用しなきゃならないし、それは場面場面で登場があるんですけれども、それらを全部ひっくるめて、全部やっぱり日本という国をどうやって世界に売り出していくかというその基本のところが間違っている。
 今までのODAの、政府というか、政府ですね、外務省等の説明は国際的なつまり解釈、国際的な解釈というのは国連等を含めた一つの多国間の解釈の定義を日本の国内に持ち込んできて、上からこういうもんだというふうに国民に言うもんですから、じゃ、日本はどうするんだと。日本の国民、そのお金を出しているのは国民だろう、国税だろう、税金だろうと。それを日本にどうやってフィードバックするんだというところの説明が非常に曖昧なことになっている。その曖昧さ加減のところで国民がよく理解ができないということになっているので、私は、これからの援助というのはやっぱり、昔からもそうですけれども、ウイン・ウインの関係だと思うんですね。日本もやっぱり良くなる、それから途上国も良くなる、双方が良くなるような方程式を考えていくのが日本の援助のあるべき姿だというふうに考えている次第です。
 したがって、国際社会で生き抜いていく日本の土台をどうやってつくっていくかと。
 私ももうこの四十年間ぐらいほとんどの途上国回りましたけれども、つい最近ももう四十年ぐらい昔のプロジェクトを追っかけましたけれども、そこには日本がないのかと思ったら、もう完全に日本というのが存在し、日本の価値観が存在しているんですね。
 最近洪水で問題になったタイのバンコクの中に、日本が初めて四十年以上応援した、援助したキング・モンクットという、モンクット王工科大学というのがあるんです。この大学は今や三万人ぐらいの学生規模になっているんですけれども、最初の段階から我が国の企業が進出する、その進出した企業に優秀な人材を送り出している。相手の国は、是非送り出してくれとタイに頼まれたんですよ。タイは、なぜかというと、日本の企業を呼び込んでタイの工業化を図っていこうと、そのために人材が必要だと。その人材のために学校をつくってくれということで始まったプロジェクトがありましたけれども、今や本当に彼ら卒業生が、私に言わせりゃ日本のバンコク・ファミリーをつくっているというぐらい日本の影響力を非常に深めている。
 そういう土台の中で日本の企業が進出して、非常に相手の理解を得ながら大きな経済活動をやっているということをやっぱり理解すべきであって、そういう土台をつくるのが私は信頼感と、土台をつくるのがODAだろうと思うんですね。例えば、そういう話だとほかにもたくさんありますけれども、それがやっぱり援助の基本だというふうには考えています。
 三番目、新しい援助の潮流ですけれども、最近はもうビヨンドODAというのが欧米ではやり言葉になっています。要するに、ODAを超えてという。
 ODAを超えてという意味は、ODAをなくするという意味でなくて、ODAと民間と、あらゆる民間ですね、民間と、NGOも含めて多くの民間と連携しながら途上国援助をやっていこうというのは、資金的な限界もあるわけです。ほとんどヨーロッパの方も資金的限界があって、先進国もなかなか今までどおりに援助ができないということになっていまして、民間の力を借りながら援助をやっていこうというような流れ。
 それからもう一つは、やっぱり民間のノウハウを入れることによって効率を高めると、効率を高めることによって資金効率を高めていわゆる援助効果を出していくという、そういう時代に入ってきているということでございまして、その中にはNPO、NGO、それから民間企業、それから大学も入っていますね、それから地方自治体等も参加しております。
 アメリカでは、NGOと企業とそれからUSAID、先ほどの援助機関と一緒になって、例えばコカ・コーラに話をして、アフリカで一緒になって水掘りをやっているんです。コカ・コーラにとってみれば水が命だというんですね。ですから、水を掘る技術をすごく持っている。それを政府が目を付けて、コカ・コーラと組んで水をくむ、掘り当てる、掘り当てた中で飲料水に適しているものについてはその地域に全部還元していくというやり方を例えばやっている、そういうシステムをアメリカは取っているわけですね。
 イギリスも、ややそれと同じようにやっています。例えば、南アで農村の食料品の生産増強について支援をします。そうすると、農産物がたくさん出てきます。それを、今までの日本なり先進国のやり方はそこでストップなんです。そこから先へは流通に流さなきゃならない、民間企業が参加すると。そうすると、ODAは民間のところはやらないんだという原則だったので、そこでストップしちゃう。ストップしたら、その農民は、物は作ったけど物が売れない、売れなければ現金が入らない、現金が入らないと子供たちを学校に行かすこともできないと、こういう悪循環なんですね。そこで、イギリスはそこを流通と、南アの大きなスーパーマーケットと組んでその農産品を卸して全国に流通させる、させることによって現金収入を得て、それでその地域の農村開発をやる。
 今までの日本の農村開発も、やたらと物を作るというか、物を作ることだけを教えていたわけですね。そうじゃなくて、物をいかにして売るか、現金にするかという、それを所得にするか、それがやっぱりこれからの新しい援助の潮流で、そうすると政府だけじゃできない、民間を引っ張り込んで一緒になってやっていこうと、これが新しい援助の潮流でございます。
 最近では、日本ではPPP、官民連携ということが言われています。それで、JICAでも民間投資をやって、最近出てきている大きなプロジェクトでは、例えばベトナムに対して工業団地を造ると。その工業団地は環境型工業団地で、廃棄物も完全に処理できる能力を持って、地域住民対策を十分考えた工業団地で、その工業団地にいわゆる日本の中小企業の方を、そこに入ってもらう。中小企業誘致のための工業団地を今ハノイに造りつつある、造ろうとしているわけですね。そういうアイデアをこれからどんどん、例えばミャンマーにも持ち込んで、ミャンマーでその工業団地を造るという今動きがありますけれども、そういう小規模の工業団地を造って日本の中小企業の、例えば繊維関係とか、いろんなところの企業をそこへ誘致するということによって、日本の企業も助かるけれども、現地においてはアパレル産業が発展していくということにもなる。
 そういう、まさに日本と途上国というか、ミャンマーの間はウイン・ウインの関係を築いていこうというのが最近の援助動向でありまして、私はこういう、その中で新しく登場したのが、また私も経産省のプロジェクトに参加しているんですけれども、BOPビジネスで、一生懸命地方行脚してBOPビジネスは何ぞやということを言っているんですけども、なかなか実際は道遠い話なんですけど、それでもNGOの方、NPOの方が成功して、BOPビジネスに近いビジネスになっているケースもあるんです。例えば石けんですね。ナチュラルな石けんを作って、非常に美容にいいということで、三越辺りで売られて結構売れている。
 そういうことももうどんどんやっていこうというような流れが、今のODAが、ODAというのはだから政府主流で、中心でやるんじゃなくて、要するに民間の活動をバックアップするという立場に立つと。今まではどちらかというとおらが天下でやっていたやつを、やっぱり民間のバックアップ体制に入るというのがこれからのODAであり、それによって日本社会あるいは日本の産業界の発展に側面から寄与しながら途上国に寄与するという、まあウイン・ウインの関係を築いていこうというのが今の新しい援助の潮流であると思います。
 したがって、今そういうことも含めた援助政策というか、日本のいわゆる援助政策というんじゃなくて、日本の国家政策というか、政策にODAをこういうふうに使っているんだということを是非政府というか、政治家の方が是非優先してそれを国民にちゃんと言う、話をできる。地方でいっても、いや、そうじゃないんだ、地方の中小企業の方々やそういう方々もちゃんと今お手当てする方法を考えているんですよ、ODAの方も。それで、我々もわんわん文句言ってその流れを大きくつくろうとしています。
 ですから、これは、これからはむしろ、今まで違った、言葉は悪いんですけれども、やっぱり日本の安全保障にかなり大きく寄与する形で動こうとしておりますので、是非ひとつそういう流れの中を御理解いただければと思いますし、そういう形の流れの中で国民広報をやっぱりやっていかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#7
○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。
 それでは、続きまして山田参考人にお願いしたいと存じます。山田参考人。
#8
○参考人(山田太雲君) 皆様、こんにちは。本日はこのような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
 私の発言内容に関しましては荒木先生の資料の次にございまして、その後、こういった参考資料ですね、ちょっとカラーの資料も付けてございます。
 私からのお話としては、国民からのODAに対する理解や支持、参加に関して、特に震災後の文脈でどう考えたらいいのかということに関してお話しできたらというふうに思っておりまして、まずは、国内外での様々な期待であったりとかそういったものと、今の日本の中でのODAの説明のされ方というものが若干ずれていないかということをまずお話をさせていただきます。それで、その後、ではどういう形で日本は今後ODAを戦略化していくべきなのか、位置付けるべきなのかというお話をしていきたいというふうに思っております。
 まず、簡単に私自身の御紹介をさせていただきますと、オックスファムというNGOが一九四二年に、元々イギリスで始まった団体、まだ戦中だったんですけれども、に始まった団体で、その後七十年間活動をしてまいりました。日本を含む十七の団体が国際的な連合体をつくっておりまして、世界九十か国以上で数千のNGOと協働をしながら活動してきております。活動内容としては、特に途上国における緊急人道支援、それから長期的な開発支援、またそこから出てくる様々な政策提言ですとか世論喚起型のキャンペーンといったようなことを展開をしております。
 私自身は、その中で特に途上国の保健医療や教育分野向けのODAの量と質の改善と拡充ということを特に日本政府に対して働きかける仕事をしておりますが、組織全体としては、こういったODA以外の開発課題も包括的にかかわっております。あと、国連やG8、G20といった国際会議の場では、私自身、オックスファムの国際チームの一員として活動しておりまして、そういった場で、ほかの国の政府であったりとか市民社会、NGOがどういった議論を展開しているのかということについてふだん慣れ親しんでいる立場です。そういった観点からコメントさせていただけたらというふうに思っております。
 まず、国内的なODAの議論についてなんですけれども、震災の前から必ずしもODAに対する支持というのは高くなかったというふうに思っております。
 資料一を御覧いただきたいんですが、カラーの資料の一枚目をめくったところにございますが、財団法人の国際協力推進協会といったところが国際協力に関する調査というものを行っておりました。二〇一〇年の調査を見ますと、その調査に答えた人の回答を見ると、ODAに何を期待するかというところで見ると、貧困や保健、教育、水、子供、災害といったような、いわゆる人道的な分野というものへの期待がすごく高いということが順序としては出てきています。しかし、ODAと聞いて何をイメージしますかと聞かれると、経済インフラ、無駄、腐敗の助長といったようなネガティブ、ネガティブじゃないものもありますが、そういったイメージがあると。じゃ、ODAを使うべきではない、必ずしも不要ではないと思う分野があるとしたら何ですかと聞かれたところ、科学技術、文化交流、経済成長、インフラといったようなものが出てくると。
 量的な部分についてはかなり誤解がありまして、世界最大の今でもドナーであるという理解であったりとか、予算の中でどれくらい使っているかに関しては、分からないという意見が実は一番多かったんですけど、必ずしも正確に一%前後ということを当てているわけではないということですね。
 そういったことを総合しますと、ODAに期待をしている分野にODAが必ずしも行っていなくて、しかも、実態よりもすごくたくさん出しているというふうに思い込んでしまっていますから、これ以上出す必要は、特にこれだけ経済状況が厳しい中では、出す必要はないんじゃないかという意見が大勢を占めるというふうに至っているのではないかと思っております。
 それから、国内で例えば事業仕分が二年ほど前にございました。そのときに、政府側の説明などを聞いていますと、まあそこだけではないんですが、いろんな場面で出てくる説明というのが非常に、若干私どもから見て内向きじゃないかなと思うような説明がございます。国益に資するんだ、それから支持や感謝がもらえるんだ、それから国内企業も裨益するんだと。結果としてそういったことはあるかもしれませんが、そういったものが非常に中心となる説明になっていて、一方、国民の多くの方というのは、企業がスキャンダルが起きたときにも非常に厳しい批判をしますけれども、営利企業ではない非営利の活動若しくは公共益のための活動とされているものが、そこに自己利益みたいなものが入ってきていると非常にそれを偽善、欺瞞というふうに感じる傾向がすごく強いんじゃないかというふうに思います。そこは、NGOに対してもそういった声が若干あるときがございますし、そういったことを考えたときに、政府のODAの説明というのが、若干そこの国民心理というものに配慮が行き届いていないんじゃないかということがございます。
 ただ、国民が国際協力、途上国への支援に対して完全に背を向けているかというと必ずしもそうではなくて、例えば、これは海外の話になってしまいますが、二〇〇八年のアメリカの大統領選でオバマさんが大統領選に立候補されていたときに、演説が非常に話題になりました。CDがたくさん売れたということもありましたけれども、やはりああいった、今の世界、社会が非常に行き詰まってしまっている、それに対してみんなで協力して乗り越えていこうじゃないかというような、ある意味高潔な演説といったものに対してはまだポジティブに反応する、そういったものに飢えているという感情があるのではないかというふうに思います。そういったものをどうODAの議論をするときに刺激することができるかということを考えていけたらというふうに思っております。
 震災後なんですけれども、こちら資料の二番目になりますが、最近電通が発表した資料で、震災後、世界とのきずなに対する意識というのは高まったかという質問に対して、かなり高まった方が多いんですが、その後一年たって下がってしまっているんですね。上から七番目ぐらいに世界とのきずなというのがございます。ただし、被災地などでお話を伺っていると、やはりハイチであったりとかスマトラ沖での津波、ああいったものの大変さというものがすごくよく分かりますということをおっしゃる被災者の方もそれなりにいるということはNGOなどからも聞いております。
 あと、この一年間のメディア報道なんですけれども、震災に対する海外からの応援があったときには非常にそこは大きく報道されたんですが、タイで似たような被害、洪水で起きたときに、報道されたのは主に日本企業の被害の実態ということで、特にタイ国民の状況というのは余り報じられなかったんですね。ニュージーランドの地震からつい先週一年たちましたが、これについても、邦人が二十八人死んだあの地震という形で、必ずしもニュージーランドの人々の取組、努力というものが報じられているわけではないということで、この内向き傾向というものはメディアの影響力が少なからずあるのではないかというふうに思っております。
 そうはいいながら、日本の多くの方にとっては、この震災をきっかけにかなりやはり日本の将来について不安を感じているところだと思いますし、そういうところで、遠くの人のための助けというのは若干後回しにならざるを得ないんじゃないかというのが偽らざる多くの方の感情ではないかと思います。そういうところから考えますと、恵まれている我々から恵まれていない彼らに対する支援というような広報というか、売り込み文句というのはなかなか通用しなくなってきているんじゃないかというのが正直なところです。
 それから、世界の状況に関しましては、二〇〇〇年代に入ってから国際社会の開発の合い言葉になったのがミレニアム開発目標という国連の共通の目標でございました。これは、世界史的に見れば、世界から貧困をなくそうという、そういった目的のために各国が力を合わせる最初の、世界初のプロジェクトだったというふうに言えると思います。また、その二十年ぐらい前から、実は途上国が多くの債務を抱えている中で、特に教育分野や保健分野への政府支出が削らされたといったことがありまして、それが、多くの人たちが亡くなるであったりとか子供たちが学校に通えないという状況があって、それが内戦につながるというようなこともございました。
 そういった状況に対して世界の反省もありまして、MDGs、ミレニアム開発目標が共通目標になったわけですけれども、この十年間、多くの前進がございました。資料の三の方にも関係してきますが、実際に五歳未満児の年間死亡件数も大きく減りましたし、九〇年代にはアフリカなどではHIV、エイズが物すごく猛威を振るって、平均寿命が三十代、四十代にまで落ち込んでしまうような国がたくさん出てきたんですけれども、薬に対するアクセスというものも飛躍的に伸びました。こういったこの十年間の努力で、適切な政策とそこに十分な資金を付けることができればMDGsの達成は可能だということが、二〇〇〇年代後半に入って国際社会は自信を付けるに至ったわけですね。
 ところが、これからラストスパートだというところでリーマン・ショックが起きてしまい、雰囲気がかなり変わってきたと思います。まずはその経済危機が世界中を直撃しているわけですけれども、特にその中で貧困国が影響を受けておりまして、IMFなどは次に何かショックが起きたら途上国の社会開発の予算は削られてしまうだろうというふうに言っております。
 また、食料価格の変動というものが物すごく大きくて、日本では円高の影響でそれほど感じておりませんが、途上国の飢餓人口がまた十億人を突破しようとしております。これが資料の四のグラフになりますけれども。この食料価格の乱高下に関しましては、元々化学肥料に頼った食料増産といったものがかなり限界に来ているといったことですとか、気候変動の影響が増えてきている、元々途上国の農業セクターが物すごく疲弊してきたというような状況がございました。
 こんな状況で、資料の六にちょっと飛んでしまいますけれども、実は飢餓人口、十億人と言われる飢餓人口の中で半分ぐらいが途上国の小規模農家なんですね。農家の方々がたくさん飢えているという非常に逆立ちをした状態になってしまっているという中で、食料価格がこれだけ変動するから、特に食料を輸入に頼っている国が多くの途上国の土地を買い占めるというような動きが出てきています。これは実は日本の食料安全保障にも非常に脅威になってきているということで、どうやって、この荒れてしまった状況に対して各国が自分さえ良ければというふうに動いてしまいますと、日本も含めてですけれども、特に途上国が非常に厳しい状況に追い込まれてしまうと。どうやったらもう一回この危機的状況の中でグローバルガバナンス、多国間の協調というものを取り戻すのかというのが今の課題になっているかというふうに思います。
 こういった中で、若干MDGsからは国際社会の開発の軸足というのは移りつつあるんですが、最近多く議論されるようになってきているのがG20ですね、G20の中で議論されている。どうやったら世界経済がもう一回成長軌道に乗せることができるのかといった議論が大体前面に出てきているのではないかというふうに思います。
 経済成長というのは途上国にとっても非常に重要なんですね。ただ再分配をすればいいというものではなくて、例えばニジェールという国を見ますと、平均所得が一日一ドルぐらいですから、これを、所得を全部平等にしてしまっても皆さん物すごく貧しいままであると。つまり、経済を成長させなければいけないというのは途上国にとっても当てはまることなんですけれども、じゃ、マクロ経済を成長させれば貧困問題が解決するかというと、そうではないんですね。
 ブラジルとペルーのこの二十年余りの実績を見ますと、ペルーは三・九%年間平均で成長していますが、貧困人口も増大してきています。それに対してブラジルは、成長率は二・五%と若干低めなんですが、貧困率を半減させるということに成功しております。
 こういったところから、経済成長に貧困層をいかに参加させることができるのか、また成功の果実をいかに貧困層に還元することができるのかというのが非常に重要になっておりまして、この間、特に経済危機の勃発以降、多くの国際機関などもかなり研究を進めてまいりました。
 世界銀行によりますと、経済成長が実際に貧困削減の効果を持つには、その社会にそもそもどれくらいの平等が達成されていたかによるという試算を出しております。IMFは、不平等を放置してしまうと貧困削減効果が減るだけではなくて長期的にはその国の成長の見通しすら下げてしまうということを訴えております。私どもオックスファムの方でも、不平等の克服をするためには五本柱があるのではないかというふうに考えております。所得移転であるとか、教育、保健医療への普遍的アクセス、累進税制、女性の権利の向上、それから土地改革といったことを申し上げております。
 こういったことを考えたときに、日本は、じゃ、どういうふうにそのODAをとらえるのかなんですけれども、まず、相互依存をこれだけ強めた経済の中で、世界経済の中で、一国の問題は世界中の問題であるということをまず認識する必要があるのではないかというふうに思います。今後、二十年後、三十年後の世界を見据えたときに、今はアジアの新興国の成長にかなり日本の経済も支えられているところがありますが、じゃ、ポスト新興国はどこなのかということを考えたときに、もしかしたらアフリカかもしれません。そういったときに、アフリカの多くの人々が字の読み書きもできない、病気になったら亡くなってしまうという状況では、日本の経済にとっても実は非常に不安を抱えるわけですね。そういったときに、じゃ、今日本ではしきりにその助ける余裕があるのかというふうに議論されがちなんですが、助けないことによる日本にとってのコストというのは長期的に見たときに大きいのではないかというふうに私自身は思っております。そういうことで、日本経済の長期的な投資という観点からとらえていただければというふうに思っております。
 今後の日本のODAに対する提言なんですけれども、一つは、今申し上げた不平等であったりとか貧困を是正する、そういった形で途上国の成長を支えるといったところにODAの目的をしっかりと位置付ける。ODAというのは民間資金と違って公的資金としての強みが大変ございます。そこを非常に活用していただきたいということと、今までかなり自己完結型で日本のJICAやコンサルが活躍するという形が多かったんですが、もっとほかのアクターの力を活用する、協調する形の援助に切り替えていただいてはどうかというふうに思っております。
 若干、外務省が政策を作ってJICAが実施をするという今の体制、それから、ODAには実はほかの多くの省庁が予算を持っているというこの体制ですと、なかなか一貫性のある開発政策ということをやることが難しくなってきていますので、中長期的にはやはりイギリスのDFIDのような独立した省庁を、専門の省庁をつくる必要があるのではないかと思います。
 それから、国民の支持、理解の回復というところに関しての提言なんですけれども、まず、私自身が国内での広報のされ方を見ていて非常に違和感を持つのが、日本人を主人公にしたものがすごく多いんですね。もちろんそういった話も必要だと思うんですが、開発の主人公というのはあくまでもその国の人々であるということを申し上げたいというふうに思います。
 実際に、ケニアのナイロビのスラム街を私が訪れたときに、非常に貧しい人たちが毎日お互いを傷つけ合いながら暮らしてきていたのを、みんなで話し合って、そうではなくてみんなで支え合うという形で生活様式を変えるというような場面を私自身も見てきました。そういったところから、途上国、自分の国の政府に、行政に対してもこういった政策を導入してほしいというふうに訴えているような人々もおります。また、内戦が終わって民主化をするような国々もアフリカの中で多く出てきていますが、そういった新しい国づくりに燃えている官僚の方々、指導者の方々も大変多くございます。こういった人たちをまず主人公というふうにとらえて、その人たちを助けるということがODAの目的であるということを強く訴えたいというふうに思っています。
 これは、彼らを一方的に助けるということではなくて、先ほど申し上げた日本の未来への投資であるということを考えると、実は担い手は彼らですけれども、考えようによっては日本の将来政策、戦略を支えるパートナーでもあるということが言えるのではないでしょうか。そういう意味では、我々のお金だからあの人たちに与える余裕がないというような形ではなくて、もう少し世界規模で一緒に協働作業をやっていくということが訴えていけるといいというふうに思っています。
 震災後、日本全体ではやはり内向き志向が強まっておりますが、被災地に入ると、私どももスリランカで津波の被災をされた女性の方をこの度、石巻にお招きしたんですけれども、そこでは、その石巻の女性の方が、東京のNGOにも話さないようなつらい体験であったりとか、これからどういうふうな不安を抱えているというようなことをこのスリランカの被災者の方とお話をするというようなことがありました。また、陸前高田の中学生たちは、タイで洪水が起きたときに義援金を集めるというような動きもありました。
 こういった被災地から生まれてくる国際連帯の気持ちといったものを、是非政治の力で全国規模に広めていただきたいというふうに考えております。
 最後に、広報なんですけれども、実は今、一番問題は、ODAに対する支持が低いということだけではなくて、国際課題に対して国民一人一人が触れる、それに対してどういうふうに自分たちがかかわっていけるのかといったことを考える機会が非常に少なくなっているんじゃないかというふうに思っております。
 そういったことを考えたときに、広報をすればODAの支持が高まるということではなくて、もう少し国際課題について勉強する、知ってみる、そういったところから始めなければいけないのではないか。
 これに関しては、実はNGOなどが全国各地の先生方と協力をしながら開発教育といったものを非常に頑張ってやっております。ただ、規模の面で非常に限界がございまして、是非ここは行政とも協力をしながら公教育の中にも取り入れることができたらというふうに思っております。
 ただ、開発教育というのは広報ではございませんで、問題を掘り下げる、自分たちとの関係を考えるといったものですから、その中では当然ODAに対する批判的な議論も出てくると思います。ただ、批判も含めて議論がなければ関心がそこに高まりませんので、まずは関心、議論を起こすことが大事で、そこからより良い、より多くのODAを出していくべきだという世論の醸成を図っていくべきではないかというふうに思っております。
 大体そういったところで、私からの報告は以上とさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の進め方でございますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に質疑をしていただき、その後は自由質疑といたします。
 質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を待って、御起立いただいた上で御発言くださるようお願いいたします。
 参考人の方々の御答弁につきましては着席のままで結構でございます。
 なお、質疑の時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○石橋通宏君 民主党の石橋通宏でございます。
 まずは、参考人のお二方、今日は大変貴重な御意見、御提言をいただきまして、本当にありがとうございます。
 限られた時間でありますので、早速質問を幾つかさせていただきたいと思っておりますけれども、今日お二方のお話をお伺いいたしまして、それぞれに共通するところと若干その方向性が違うところがあるのかなという印象を受けました。
 共通するところは、やはり日本としてしっかりと国益、国策を見極めた上でそれを戦略的に追求していくべきだというところと、その追求していく上で民間の力を積極的に活用すべきだという点であったかなと思いますけれども、その点でまず荒木参考人にお伺いをしたいのですが、荒木参考人の御意見は、どちらかというと、その国益、国策というところは、やはりより日本の民間の利益といいますか、積極的な関与に重点を置いた形をすべきだというふうに私は受け止めさせていただきました。事前に配られた資料を読んでも、やはりタイド化、アンタイド化のところで非常にいろいろと御意見を言われていた。
 これは、先生は、是非今後、日本はやはりODAの積極的な推進に向けてタイド化をより進めていくべきだと、それによって日本の様々な民間の力をより積極的に活用していくべきだという御意見であるというふうに理解をさせてよろしいのかどうか。それを一点お伺いしたいのと、もう一点は、これも荒木先生にお伺いしたいのは、民間の力を活用していく上で、私は、日本に大きく欠けているのは、いろいろなODAを実際的に運用、推進していく大きなNGOといいますか、民間の組織ではないかなと。
 日本も様々なNGOが活躍をいただいておりますけれども、残念ながら、ドイツのような又は欧米の各国のような非常に大きな力を持った、能力を持った民間の組織が育っていないのではないかという懸念を持っております。その意味で、日本もそういう大きなNGOなり民間の組織をつくっていく、育てていくべきではないかと個人的には思っておりますが、その点についてどうお考えか、まずは荒木参考人から御意見を伺わせていただければと思います。
#11
○参考人(荒木光彌君) ありがとうございます。
 その第一点の国益に関してですけれども、私の主張は、もちろん民間企業を応援しなきゃならない。でも、この解釈なんですけれども、単に私的な利益だけの追求の仕事に公的資金を投入するのはいかがなものかという前提での国益論なんです。
 つまり、日本国全体の益になっているかどうかという国民益ですね。国民の利益になっているかどうかということを玩味して、解釈して民間との連携を進めていくべきで、何でもかんでも民間の私的な利益に全部協力して公的資金を投入するというのは、これはいかがなものかと、こう思っております。
 したがって、これは途上国の援助をする場合も、途上国側に対してやっぱり社会全体の発展、国民の福祉に貢献するかどうかというところが一つの、まあ向こうから見た一つの判断基準だと思います。我が方の判断基準はそういうことで、国民の税金を使うわけですから、要するに公的ないわゆる感覚じゃなくて、私的な利益だけにODAがくみするというのは、これはいかがなものか、これは反対でございます。
 それから、第二番目の民間の組織が育っていないということですけれども、これはまさに欧米を見ると、民間の組織、NPOがかなり専門的なNPO、かなり技術的に優れた能力を持った、医療関係でも教育関係でも存在しているわけですね。
 これは何かというと、余りにも長い間、つまり専門性の高い公的なところの分野に関して、保健医療もそうですけれども、政府がやり過ぎちゃったんですね。長年ずっと政府主導でやってきたものですから、民が育たなかったということがあるんじゃないかというふうに想像しております。
 したがって、これから徐々にそういったもの、例えばアメリカの場合、保健医療の関係でも四つか五つぐらいの大きな固まりのNPO団体がありまして、彼らが政府開発援助を分担して実施しているんですね。アメリカのUSAIDもそこに入札を掛けて委託しているわけですね。したがって、NPOが堂々と国の事業に介入しながら、入りながら事業をやっているという、そういう組織です。ですから、何千人というオーダーの組織であって、インテルサットを上げて、ブラジルの森林の伐採の監視までやるという巨大な組織がたくさんあるわけですね。
 ですから、それはやっぱり歴史の違いで、長い間日本は丸抱えで、つまり全て政府がやってきたというところでその部分がなくなったということでないかというふうに想像しています。
 したがって、もう一つの観点は、まあオックスファムもそうですけれども、国際的なNPOの組織が日本で募金活動とかいろいろやって、極端に言うとシンガポールよりもお金が集まらないと。何というか、献金に対する、お金を出すという社会的な流れというのは、別な言葉で言うと自助努力ということがあって、自分で努力しないやつにお金なんか出せるかという風土が片やあるんじゃないか。何か日本のそういう風土的なものもあってそういうお金が集まらないのか、あるいは税制が悪いのか、その辺のところはまだ解明されていませんけど、もう少しその辺を解明しながら、NPOの育成についてやっぱり考えていくべきだというふうには感じておりますけれども。
#12
○石橋通宏君 ありがとうございました。
 歴史的に見て、日本がそのODAの実行において公的な部分でやり過ぎたというのは、全く私も個人的に同意をさせていただきます。
 その流れで、山田参考人に是非二点ほどお伺いしたいのは、先ほどと同じ脈絡になりますけれども、じゃ、日本の今後ODAの質的な向上ということを考えたときに、我々としてやはり何を具体的な指標として追求していくべきなのか。
 これは、途上国のMDGsをいけば、MDGsの具体的な指標の向上にいかに直接的に日本のODAが貢献、関与をしているのかというのをきちんと数量的に出していくべきなのか、若しくはより違う指標を使うべきなのか。その辺で何か具体的な御示唆があれば、その点、一点お伺いしたいのと、もう一つは、これ、山田参考人の様々な資料で主張されているODAのやはり資金的な確保というのが絶対的に必要だと。その中で、現在、財政的に非常に日本としても厳しい中で、これからどうODA資金を確保していくかというのは非常に大きな問題だと思っております。
 その中で、今、革新的資金調達メカニズムというのが国際的に議論されておりますし、また、今ヨーロッパの方では、現在の欧州の金融危機に際して、フランス主導で金融取引税のようなものも具体的な導入に向けて議論が高まってきております。私は、日本でも是非この機会に、そういう国際的な流れと協調しながら、金融取引税を含めた国際連帯税のようなものを導入していくべきだということを考えておりますが、この点について、山田参考人の御意見なり御示唆をいただければと思います。
#13
○参考人(山田太雲君) ありがとうございます。
 まず、一点目の御質問なんですけれども、一言で答えるのは若干難しいかと思うんですが、今MDGsというものが国際的に合意をされてから、途上国の中では貧困削減戦略というものをしっかりとつくるようになっているんですね。政府が、例えば教育分野であったりとか保健分野、食料、農業分野、そういったところでどういうふうに、何年間で例えばお医者さんをこれくらい配置するであったりとか、病院をこれだけ開設するというようなことを目標として掲げています。あとは、そこにその国内のNGOであったりとか市民社会組織、そういったところが政策をつくるところに関与できている国というのもだんだん増えてきているんですね。なので、それがうまくいけば、実際にその政府が公立病院をしっかりと造って、国の政策として保健医療従事者をしっかりとトレーニングして雇用を充てていくといったことが行われますし、また、行政では手の届かないところに関しては、国家政策の一環として国内のNGO、NPOが活動をやるということをやっています。
 ODAのドナーに問われるのは、そういった途上国が、まさに日本語で言うと自助努力ですけれども、自分の国の力で問題を解決していこうというときに、やはりそれを側面から支えるということがとても大事なんですね。なので、目標を掲げるときも自分勝手に目標を掲げるのではなくて、その国の政策にしっかりと合致する、その中で自分、日本だったら日本の得意なところで相手の国が必要としているところは何なのかということをしっかりと相手の国の政府やNGOと相談をして、やるべきことを定めていただきたいと。
 数値目標に関しては、そういう意味では、日本のODAでこれができましたという直接的な目標というよりは、もう既にみんなで決めたこういった目標がこの国にはあるわけだから、これに私たちはこういうふうに貢献したんですというふうに説明できるようにすることが大切なんではないかというふうに思います。
 ただ、数量的なものだけではなくて、やはりすごく途上国で今まで開発がうまく進んでこなかった根本は、やはりその国の国民が自分たちの運命というか、国の行く末に対して余りにも物が言えなかった状況があったと。それは、独裁政権もありましたし、植民地支配もありましたし、いろいろな問題がありました。これは、やはりもう少し国内の民主的な対話というものを循環させるような仕組みというのをつくっていかないと、幾らこの援助でこれだけの数値が上がったといっても、やはりそれが持続可能ではなくなってしまうということでは、例えば日本のODAの一部が、一部は政府に行く、もう一部は、じゃ、そういった政府に対して政策的な関与ができる、若しくはサービスプロバイダーとして機能できるようなNGOに、市民社会の組織に対しても日本のODAが行けるようになるといいんじゃないか、そういった、誰がこの開発に参加できているのかといったような定性的な目標というものもあってもいいんではないかというふうに思っております。
 二つ目の革新的資金に関しては、本当におっしゃるとおりでございまして、二〇〇五年のグレンイーグルズの、イギリスで行われたG8サミットで、二〇一〇年までに年間のODA規模を五百億ドル増やすということがG8の公約になりましたが、半分ぐらいですかね、達成できたのが。これからODAを増やそうというふうにちゃんと言っている国というのはヨーロッパの中でもすごく少ないんですね。
 そういった意味では、今までの財源だけではなかなかその国際協力のお金が確保できないといったときに、どこかからお金を持ってこなければいけないと。ヨーロッパなどで起きているのは、そもそもこういった財政的な危機を起こしたのは金融危機であって、それを起こしたのは金融セクターであると。その金融セクターは必ずしも実体経済に対して利益をもたらしていないということを考えると、そろそろ国際的な経済活動で環境的にも社会的にも害をもたらし得るような経済活動に対しては課税をするべきではないのかというのが今の議論であるというふうに思います。
 そういったところで金融取引税があったりとか、あとはバンカー燃料税ですね、国際的な船舶などに課する税金ですけれども、そういったところから途上国の問題解決のためのお金を調達してはどうかということになっておりまして、日本でも議連などが起こっておりますし、政府税調の中でも検討課題になっていると思いますが、是非これを推進していただきたいですし、今ヨーロッパではFTT導入に動いていますけれども、お金が開発に使われるかどうかというのは非常に微妙な状況ですので、そこは日本からも是非というふうにヨーロッパの背中を押していただけると大変助かるというふうに思っております。
#14
○中原八一君 自由民主党の中原八一でございます。
 今日は、参考人のお二人、大変ありがとうございました。
 先ほど、タイド化、それからアンタイドというお話がございました。それで、日本も一九六一年のOECDの発足に伴ってできました開発援助委員会、DAC、このメンバーに参加をするようになりましてから、二〇〇一年には最貧国に向けてODAのアンタイド化を合意というようなことで、順次アンタイド化の援助原則を日本が受け入れてきて、だんだんとODAの姿が変わってきたと、こういうふうに理解をさせていただいたわけでありますけれども、このDACの規制によって日本のODAが国民の皆さんからの理解というものもやっぱり得にくくなってきたのかなというのは、荒木参考人のお話を聞かせていただいて、私もそんなふうに感じさせていただいたところであります。
 それで、DAC規制を仮に日本が拒んだ場合どういうふうになるのか、ひも付き援助にしたらどういうふうになるのか、改めてDACの規制ということについての荒木参考人の御見解を伺いたいと思います。
#15
○参考人(荒木光彌君) 個人的にはDACの役割は終わったというふうに私は思っているわけです。
 OECDをつくるときにはヨーロッパ復興ということで、戦後間もないころ、やっぱり復興計画としてOECDができて、その中にDACができて、OECDメンバーのヨーロッパ諸国が中心になってDACをつくり、やってきたと。日本もその後OECDに参加、加盟してDACに加盟する。だけれども、戦後社会、それは元々冷戦時代においての一つの大きな機能を果たしたんですけれども、その後、開発の主導権というのはどちらかというと国連の方へ移行していったわけですね。DACの方は金持ちクラブというようなあだ名が付けられるほど先進援助国が中心になってやっているわけですけれども、私、一つだけ今のそのひも付き云々の話について言及しますと、こういう話があるんですね。
 結局、なぜ日本だけがアンタイドのわなに落ち込んだかという背景ですけれども、これはやっぱりタイドで、日本が戦後、賠償もタイドだったんですね。その後の援助は全部タイドなんです。それで、あっという間に、もう三十年たたずして東南アジアのヨーロッパ、アメリカの市場を一気に日本が全部、まあ言ってみれば奪い取っちゃったわけですね。それに対する一つの牽制球として、要するに日本の力を弱めるという、要するにそれが元々のヨーロッパの発想で、それで日本に足かせ手かせでアンタイドにしていって、全部公開入札でやるというような形のものを段階的に踏み込んでいったというのが歴史的な背景だと私は解釈しているんですけれども。
 今や、DACの規制はあるんですけれども、DAC自身が、例えば中国の進出とか、要するに新興国の進出でDACの弱さというか脆弱さがもうはっきりと明確になってきたのは、彼らが何度、DACの人たちが、関係者が中国に行ったりあるいはブラジルに行ったりして是非我が方へ入ってくれと言っても、DACに入らないんですよ、新興国の方は。彼らはDACを拒絶しているわけですね。我々はその先進国のクラブには入らないと、我々は我々のレベルで新しい、場合によっては第二のDACをつくってもいいというぐらいになっちゃって、DACが世界的な意味で新興国の進出によってもう実質的に壊れているんです。
 後生大事にこれをやっていることはヨーロッパの利益だからやっているわけであって、今や日本の利益にはならないはずなんですけれども、何しろ日本は欧米追従でやってきた国なものですから、一応そこは反対することもできずにやっているわけですね。それが実態だと思います。
 したがって、アンタイド、タイドの問題というのは、私は概して、じゃ私がタイド論者かというとそうでもなくて、アンタイド、タイドというものは、やっぱり一応、さはさりなん、国際社会の中で日本が生きていく中で、仮に悪いと思っていてもある程度合意せざるを得ないことだと思うんですよ。
 だけれども、その中で日本が今、日本の技術、相手の国がこの技術を、あるいはこの日本の新幹線が欲しいといって相手が要請しても、これ公開入札になったらそれはどこの国に行くか分からないんですね。現実に、今、道路関係の入札、アフリカはほとんどというぐらい中国が持っていっています、ほとんどです。日本のお金はほとんど中国へ流れて中国の経済発展に寄与していると、こういうことになっている、方程式になっているわけですね。
 ですから、そういうことも考えて、私は、日本がどうしても売り込みたい技術、日本が将来この分野を伸ばしていきたい技術という分野については特定してタイドにしてやっていくという方程式、今STEPという、日本の技術を生かしてひも付きにして借款を行うというのが、STEP方式というのがありまして、その方式で今タイドをやっています。
 その中には、例えば、場合によっては原子力開発もそうなんですけれども、いろんな日本の特殊な技術があるんですね。例えば、水産もそうですが、農産品もそうですけど、そういうものもタイドでやっていこうと、そういうSTEPでやっていこうという動きになっていますので、その辺については、実質的にDAC原則は、余り反対と言わずに、もう崩れていると、崩しつつあるというふうに私は解釈しておりますけれども。
#16
○中原八一君 もう一点、荒木参考人にお伺いしたいんですけれども、日本技術の、今おっしゃいました優れた新幹線ですとか道路ですとか上下水道を発展途上国に輸出をしていくということが我が国の成長戦略でもあり、欠かせないことであるわけですけれども、仮にタイドになったとしても、日本企業の海外進出への意欲というものが余り強く感じられないように受けられる場面も多々あるんですけれども、日本企業の意欲の現状認識について、また日本企業の意欲を高めるための対策についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
#17
○参考人(荒木光彌君) グローバル人材という言葉が最近言われておりますけれども、例えば三菱商事さん辺りは、海外で外国人の方々二万人ぐらいを外国人採用しているわけですね。本来ならば、二万人のうちの少なくとも半分以上は日本人で充当したいと、こういうのが本音なんでしょうけれども、それだけの人材がいないということで、外向き人材というかグローバル人材の欠如というのが非常に大きな問題になっております。
 今、民主党政権が言っているいわゆるパッケージ型インフラの場合も、パッケージというと、いろんなノウハウ、知識、経験等々を含めてこれを集約するわけですね。それで、単体のインフラじゃなくて、そのマネジメントも含め、その先の背後地の開発も全部含めたものも含めてやるわけなので、その辺のところの、何というんですか、計画立案し、それを形作る人材がいないんです。
 何で人材がいなくなったかというと、長い間アンタイドでやってきたものですから、企業の方々が、アンタイドということは、つまり国際入札に掛ける、自分がいいプロジェクトを発掘して形成してそれに日本の援助を付けようとしても、公開した結果、安かろう悪かろうでほかの国にみんな持っていかれちゃう。そういうことだとその企業は成り立たないので、そういうプロジェクトをみんな企業はやらなくなったんです。したがって、国際的なそういう競争に勝つ、つまり中核的な実践的なビジネスマンというのが非常にいなくなって消滅していくというのが、もう私が知っているだけでも商社に、どうでしょうか、四、五人いるでしょうかね。
 そんなような状態で、それでインフラ、パッケージインフラなりインフラを輸出すると一言で言ってもこれはなかなか至難の業で、これは仕掛けをやっていかなきゃならないプロセスで人材がいないんですよ。お金もあり技術もあり、あらゆるものがあるんです。ないものは人材だけなんです。
 ですから、これをどうするかというのは本当にこれもう大きな国の問題だと思っていまして、さはさりなん、それをどういうふうに短期的にやるかということはなかなか大きな問題だというふうに思って、そういう意味で企業の、企業進出をしたくないというんじゃなくて、やるにも、したいと思っても人材がいないと。
 一番典型的なのは、中小企業の海外進出と簡単におっしゃいますけれども、中小企業の海外進出にも人がいないんです。人をどうやって彼らに付けてあげるか。お金だとかいろんなことを言われるんですけれども、今やもう人です。それだけのできる人間を中小企業の方にいかに付与してあげるかという政策を展開しないと、なかなか、そう簡単に言っても中小企業はなかなか出ていかない、外へ行かないと、こういうような状況なので、その企業の意欲というのは裏を返せばそういう事情があるというふうに私は思っておるんですけれども、いかがでしょうか。
#18
○中原八一君 ありがとうございました。
#19
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。
 荒木先生、山田先生、本日はありがとうございました。
 今日はODAに対する国民の理解や参加についてお話を伺いましたけれども、荒木先生からは、ODAというのは国家事業で国益の実現の手段であるという立ち位置を明快にしたお話がありました。アメリカやイギリス、ドイツの事例を事前にいただいた資料で御紹介いただきまして、それぞれの国によってこの国益というのは違うのであると。そしてその中で、ドイツの例にありますけれども、環境に優しい援助を旗印にして、途上国へ再生可能エネルギーの技術移転、熱心に取り組んでいると。この中では、ドイツは一番日本のライバルになるのではないかというふうに先生の論文の中にありました。
 また、このODAというものが表の顔と裏の顔があるのであると。分かりやすい表現だなというふうに思ったんですけれども、表というのは国連の政策テーマ、貧困削減、良い統治、紛争解決への貢献、また、裏というのは国益に資することであるということでありました。今日の荒木先生のお話は、この国益に資する方、裏の顔ということで、やればメリットがある、利益があるということをしっかりと打ち出していって、それを実現して、そして国民の理解を得るべきであるというお話であったかと思います。
 このドイツの事例につきましてもう少しお話を伺いたいんですけれども、ドイツはODAを経済協力省とドイツ国際協力公社がやっていると。日本は外務省とJICAがやっているという、そういう構造的な違いがあると思います。ドイツをモデルにするとした場合、日本はどのような取組の体制を変えなければいけないのかといったところを御示唆いただければというふうに思います。
 そして、山田先生にお伺いしたいんですけれども、荒木先生のお話の中で、ODAの表の顔と裏の顔という中で、表の顔、国連の政策テーマは貧困削減や良い統治等、山田先生はこれを堂々と日本はやっていくべきだというお話のように私は受け止めさせていただきました。
 この中で山田先生は、相互依存を強める世界経済にとって、援助というのは世界の問題であって、やらない場合に将来的に日本が損失を受ける、コストが掛かるんだというお話があったかというふうに思います。そのやらない場合の損失というのは具体的にどういったものが挙げられるかということを教えていただきたいと思います。
 そして、当然経済成長は必要だけれども、同時に不平等の克服も重要であるという重要な御示唆をいただきました。これにつきまして、オックスファムさんでの不平等克服策の五本柱を挙げていただきまして、援助はこれらの改革を支援できる有効なツールであるというふうに提言されています。これを日本が援助をする場合に、どのようなツールとして、カードとして使っていけばこの不平等を克服させることができるのかということについてお伺いしたいと思います。
 そして最後に、ODAの広報につきまして御意見いただきました。広報よりも開発教育、教育をしていくのであると。私も本当にそのとおりだなというふうに思います。この場合、公教育への導入ということも御意見ありましたけれども、まず第一歩として、どのように政府として取り組んでいったらいいかということについて御示唆いただければと思います。
#20
○参考人(荒木光彌君) ドイツの話が出ましたけれども、最近はドイツは新しい、まさに先ほど申しましたビヨンドODAということで中進国、要するに今でいう中国とかブラジルとか新興国とも組んでやるという援助体制を組みつつあるんですけど、今の環境問題に関して言いますと、もちろんこの経済協力省というのはドイツ外務省と不可分の関係というか、非常にリンケージしているんですけれども、省としては完全に独立して、全省の、全省というか各省の意見も全部総括することになっております。それがその下で働くGTZという、昔はGTZと言ったんですけれども今はGIZに変わりましたけれども、これはもう有料の技術協力もやっている。そして、これはもろにドイツの職人さんが専門家になって、エチオピアでもどこでももう現場に入ってやっている。彼らを使っているということで、もう産業界と一体になってドイツの産業技術を売り込むのに専心しているわけですね。産業学校というか技術学校にしても、全部その先生は向こうの本当に職人さんたちです。
 そういうテクニカルな話ですけれども、そういうような技術協力体制をつくってやっていて、単にそのODAという、ドイツはODAを何でもやるというよりも特化してくるんですね。やっぱりドイツが将来飯を食っていくべき道というのがあって、それはやっぱり地球環境に優しいあらゆる技術、つまりそれは単に今はやりの技術のみならず、都市開発計画も含めて、あるいは港湾一つ取っても新しいその環境というものを頭に入れた設計を考えるという、そういうものも含めて全て環境に特化した技術を彼らは途上国へ移転しようとしているんですね。移転して、ノウハウも移転する。
 それで、その後どうなるかというと、やはりドイツ流の考え方、ドイツ流の技術というか、それにみんななじんできます。なじんでくると、その後どうなるかというと、黙っていてもドイツの製品が売れていきます。これは、だから先に製品を売るのか、それともその知的貢献というか人材育成を先にやって後から製品を売るのか、これはまさにドイツ流のやり方。かつて日本もそういうことをやっていた、初期の段階はやっていたんですけれども、だんだん短期になって物を売り込むことに一生懸命になったけれども、今のドイツの環境関連の援助の仕方というのはそういう方式です。
 ですから、これは結構各国に大きな、何というんですか、ネットワークをつくっていて、専門家もたくさん育成していますから、この後が、彼らがいわゆるドイツ流の環境技術、環境開発のノウハウを恐らく導入していくだろうと。
 長期的に見ると、このやり方というのは非常に戦略的であって、ちゃんと筋が一本通っていると。何でもかんでも向こうの要請にこたえているわけではないんです。ドイツのできることしかやらないというやり方をやっていまして、どちらかというと日本は気がいいというか人がいいというか、できないことも時々やったりして、自分でできないことをできないから済みませんとほかのところにお願いしたりするぐらい非常に親切なところがあるんですけれども、そこのところは非常にシビアにやっているというのがドイツ的なやり方だと思っています。
 表の顔、裏の顔というのは、これはある日本の研究所が研究したデータにありまして、ちゃんと各国別にそれぞれ分析して、各国の国益というのがそれで浮き彫りにされているわけですね。
 先ほど言ったイギリスの場合は、ここに書いていますように、国際開発省は表の顔なんですが、ある程度、裏の顔というのは、横に書いている英連邦開発公社というのは、これは英連邦、四十か国以上の国々に対してきめ細かく彼らの人材育成までやっているんですよ、国会議員の育成までやっているわけですから。つまり、政治を押さえることが国を押さえるという前提。これはもうまさに旧植民地主義のまさに骨頂でありまして、その辺のところを、人を押さえに掛かっているということで、実は表の顔の留学生と違って、公社がやるやつは本当の、つまりイギリスのインフルエンスを深めるための留学制度をやっているというのがあります。全般的に、例えば一か国で何万人という留学生を受け入れていますから、それはもう政策的なんですね。
 ですから、イギリスの場合はそういうことで、英連邦を中心にしてそういう政治的な人物というか政治に関与する人たちを押さえていくということを中心にやっています。
 ちなみに、ちなみにですけれども、イギリスでODAの宣伝なんか全然しません。必要であるかないかもしません。なぜかと、もう黙っていても必要なんです。つまり、彼らの選挙区に全部、アフリカの人たち、それからバングラデシュの人たちがみんな移住して選挙権を持っているんです。彼らのためにも援助政策をやらなければ、その議員は落ちるんです。それをちょっと付け加えておきます。
 どうも済みません。
#21
○参考人(山田太雲君) 御質問ありがとうございます。
 表をどんどんやっていくべきだというふうに私は申し上げたんですけれども、実はその表をしっかりとやっていくことが裏の利益になっていくんだというお話が私の趣旨であったかというふうに思います。
 もちろん、NGOとしては余り裏を応援するということは役割としてあるわけではないんですが、例えば資料三を御覧いただきますと、MDGsでアフリカは変わったということを申し上げました。これは、二〇〇〇年以降がMDGsの十年間なんですけれども、この十年間で、アフリカにおいて例えば内戦であったりとか戦死者数というのは明らかに減っているんですね。これはやはり政治の安定というものをもたらした。
 非常に絶望的な状況の中ではやはり紛争が起きやすいんですけれども、国として立ち上がって、やっぱり貧困者に対して手当てをしていこうということになっていったときに、そういったことを抑えることもできるようになっていったということ。実際に、その貧困者がただ見捨てられる世の中ではなくて、しっかりと生きていけるようになる、若しくは教育などで身に付けるべきものを身に付けていくということは経済成長にも資するということで、右側のグラフになっております。
 こういったことを考えたときに、国連などで当然、人権だったりとか貧困削減だったりとかというのが大事な価値として言われるわけですし、それは多国間のガバナンスとしては普遍的なものを出すというのはすごく大事ですからなってくるわけですけれども、実はそういった目標をしっかりと日本として貢献をしていくことが、今後、じゃ、これがなかったときにアフリカはどうなってしまうのかということを考えると、重要になってくるんじゃないかということです。
 今までは、割とそのMDGsの十年間というのは、ちょうどヨーロッパが社会民主政権がすごく多かったということもありまして、割と国連の言っているようなことと似たようなことを援助政策でも拡大していたんですね。しかし、経済危機が起きてから実はヨーロッパはかなり内向きになってきています。
 一方で、新興国、中国やインド、ブラジルといったところは、まず自分たちの成長のために援助でも何でも活用するんだというかなりぎとぎとした姿勢を打ち出しておりますね。OECD、DACのルールに縛られる覚えはないといったことを出しています。
 そういったときに日本がどういうメッセージを出すのかといったときに、いわゆる今までヨーロッパがいろんなものを交ぜながら、裏の顔も交ぜながらですけれどもやっていた表の政治というものをやる主要国がなくなっているこの状況において、日本がちゃんとリードをするべきなんじゃないかと、それが今後の国際社会の議論に影響力を及ぼしていくんじゃないかということを私はまず一点目として申し上げておきたいと思います。
 どうやったらその五本柱に資することができるのかなんですけれども、一つは、低所得国のほとんどもそうですし、インドみたいな国もそうなんですけれども、やはり日本でいえば、明治時代以降の一時期、やはり政府がかなり公共セクターというものをしっかりと整備をしていくということが大事な段階なんですね。それがない中で民間セクターだけに頼っても、かなりそれは、例えばインドにおける医療の実情なんかを見ても、全く政府の規制がないためにやぶ医者が非常にひどい治療を行うというようなことがたくさんあります。これは結局開発に資さないわけですね。そういう意味では、パブリックセクターを強化していくというのが今途上国が非常にまずニーズとしてあるということですから、日本のODAがやるべきところというのはまずそれが一つだと思います。
 日本の企業の参入に関しましては、私自身は日本の技術が優れているということは全く疑問の余地がないと思うんですけれども、途上国の今のニーズに適しているかということからもう少し議論をする必要があるんじゃないかということを思うわけですね。ひも付きにしてしまうことが企業の長期的に開発途上国のマーケットに適したモデルを編み出す努力を怠らせるような形になってしまうのであれば、結局それはODA頼りの企業展開になってしまいますから、そういう意味では、これは若干中長期的な話になると思いますけれども、日本の企業がもう少し途上国のマーケットに合ったようなものをつくるというところに経済産業省なんかももう少し力を入れていただくといいんじゃないかと。
 今出てくる議論は、どうしても日本にはこういった優れた技術があるからそれを是非ODAで輸出したいという今の技術を前提にしていると思うんですけれども、必ずしもそれが相手に適しているかどうかというところはちょっと別の問題なんじゃないかというふうに思っております。これは、例えば日本人がみんな自動車でいえばポルシェを買いたいかというとそうではなくて、やはりアフリカ人にとってのカローラが必要だということだというふうに思います。
 開発教育に関しては、これは専門の団体が、私どもとは別に開発教育協会というNGOがございまして、そこの方が包括的な情報を持っておりますが、ヨーロッパでいいますと、私の所属団体のオックスファムが幾つかの国でやはり途上国の問題と先進国に住む私たちの暮らしの関係みたいなものをゲームみたいないろいろな教材にしているんですね。それが、例えばイギリスだったらイギリスの教育省などと話をする中で、公教育の中でもカリキュラムに取り入れられていくということが起こっております。
 日本ではNGOの仕事はNGOがみんなやっていて、日本では政府は、外務省は外務省で開発教育的なことをやっていたり、JICAは別にやっていたり、文科省は別のことをやっていると。かなり縦割りでばらばらになってしまっていますので、そこをNGOのノウハウみたいなものを是非取り入れていただくような形で協議の場ができるといいのではないかというふうに思います。
#22
○竹谷とし子君 ありがとうございました。
#23
○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司です。
 今日は、荒木参考人、山田参考人、本当にありがとうございます。
 まず、荒木参考人の方にお聞きいたしますけれども、先ほど日本のODA、人がいいという言葉もありましたが、私もそういう印象も持っていますし、各国と比較すると日本は比較的広域的に、多岐にわたって、いや、本当に牧歌的に、人道的にやっている感もあるわけですけれども、そうすれば、今後の日本のODAの在り方として、戦略的にやっていかなきゃいけないというのは承知しておりますが、フォーカスしていくべきなのか。私は、逆に日本は広く掛け値なしに各国いろんな国にやっているということが、日本のある一面、ODAはほかの国と違った評価をいただいて、ある意味では世界一と言ってもいいんじゃないかなというふうに自分自身は考えているんですけれども。
 広域的にやっていった方がいいのか、フォーカスした方がいいのかというのは、どちらもどうせやるなら戦略的にやらなきゃいけないんですけれども、荒木参考人の考えとしてはフォーカスした方がいいような御主張であられるかなとちょっと受け止めたんですが、どうでしょうか。
#24
○参考人(荒木光彌君) ケース・バイ・ケースといったら並の答えになりますけれども、その地域を全世界のレベルに全部広げていくというのは資金の分散、かなり分散で、一つ一つのプロジェクトについて、いわゆる、昔ばらまきと言われたんですけれども、単にばらまきのようなことになって、余り日本の方もその人材が少ないという中でなかなか手に負えない。
 ですから、まあこれは各国やっていることですけれども、日本もやっていますけれども、重点国を決めて、この重点国を決めるときには、日本の貿易とか投資とか、いろんな日本との関係で濃ゆい国を一応選択して、その国に対して、それなりの向こうの要請も含めて社会づくり、国づくりにいろんな形で貢献するということでございます。したがって、その意味においては絞っていくということだと思うんですね。アフリカを五十何か国という、五十か国以上のアフリカを全部ターゲットにした場合には、これはもう完全に分散しちゃって、どこに何が、日本の旗が立っているのか、もう旗さえも見えないということだと思いますね。
 そこで、昔はやっぱりケニアとかタンザニア、ある一定の国に絞り込んで、そこに日本の、まあ言葉はあれですけれども、日本の旗を立てると、ここで日本が日本人の足跡を見せると、日本とはこういうものだということを見せていくということを集中的にやったというのを覚えているんですけれども、今の例えばアフリカの援助でも全面戦争みたいになっちゃっていて、そうするとどこに焦点を絞るのか、セクターをどれにするのか、それももうばらばらになってくる。これだと、援助成果から見た場合には、本当に集約されていないんですね。
 それよりも、やっぱり一つの方向で行くとすれば、例えばASEANの場合が非常にうまくまとまったのは、日本のつまり工業技術を中心にまとめたわけですね。それから、ブラジルも工業技術プラス農業なんですけれども、基本的には工業技術を中心。ですから、日本の得意とするところはどうであろうが、今のところはやっぱり工業技術というのが大きな力を持っているわけですね。
 ですから、そういう形でまとめていくのか、あるいは非常に難関ですけれども、その知的ないわゆる大学とか、要するに人材育成というところに絞り込んで長期的に構えを見せるのか。その辺のところは若干、余り絞り込むとなんですけれども、少し幾つかの選択の中で日本の得意とするものをやっぱり売り込むという戦略を展開するということになると、絞り込みになるかもしれません。
#25
○小熊慎司君 再度、荒木参考人に、参考までにですが、私見として、具体的に、今ここ薄いと、この国が薄いと、この分野でやれれば戦略的にやれるのにというところがあれば、お示しいただきたいと思います。
#26
○参考人(荒木光彌君) 長年の間、日本の協力でもって大きく成長した地域というのがASEANだと思いますね。やっぱりASEANは、中には、まあシンガポールは別格かもしれませんけれども、中進国あるいは新興国の類いに入る国々に近い国が結構増えてきたと。そうすると、日本の援助原則としてそういう国に対してはもう援助を減らしていこうとかということになってきて、私は、まあその援助の量は減ってもいいと思うんですけど、選択的にやっぱり援助は続けていくべきだと思うんですね。彼らこそ日本の本当の味方で、昔からこうやってきて、アジアにおける外交の拠点でもあるわけですね。
 そういうところが手薄になっちゃまずいので、いわゆるDAC等が言う規制に基づいて、これだけの所得の国はもう一切やらないと、こういうような原則がおかしいと思っているのは、ODAというのは外交の手段であると、こう言っているんですね。外交の手段のODAを所得配分別にいろいろやって、いや、この国は高いからやらないとかと言ったら手段にならないじゃないかというようなことも含めて再考していくべきだと考えております。
#27
○小熊慎司君 ありがとうございました。
 私も昨年度この委員会でASEANの方に派遣して、まさに日本の評価、また期待度というのも身をもって研修させていただいたので、本当に貴重な意見をありがとうございました。
 山田参考人にお伺いをいたします。
 いろんな今後のODAの方向性にはやはり国民の理解がなければいけませんし、荒木参考人も指摘した、そのビヨンドODAという意味では民間を巻き込んでいく、また、逆に被ドナー国もドナー国に変えていく上では、日本がそのリーダーシップを発揮していくという意味では、国民の理解というのが本当にないということは、昨年、補正予算の減額で、ODAの減額で、いなくなっていますけれども、中村前委員長を中心に超党派で政府に申入れしたら、それぞれの名前を連ねた議員、私もそうですけれども、相当批判を、メールなりファクスなり電話なり、国賊者と来まして、私も福島県ですから、被災県なのに何だというような激しい批判を受けましたが、やはり減額すべきでなかったと思いますし、私の見解では、政府の減額のその根底にあったのは、先ほど荒木参考人も指摘した、チャリティーだから、ボランティアだから、日本が困っているんだから出さなくていいという、国家戦略ではないという。観点があれば減らさないんですよ、イギリス財政破綻したってODAは増やしているわけですから。
 だから、あれは、昨年のODA削減は国家戦略として間違いですし、結局あれを削減したことによって、困っているときに出さないというまさにチャリティー感覚、ODAはチャリティー感覚だということを国民に認めてしまった政策選択だったというふうに私は思っています。これを巻き返すには相当大変なんですけれども。
 それで、私の妻も青年海外協力隊のOBで、今、福島県のOB会の会長をやっていて、まさにそのJICAのメニューであちこち、国際理解教育というメニューで各学校を回っていたりするんですが、非常に公教育の中でのこの取組が薄いというのは感じますし、年一回、それは出前講座やったからって子供たちの理解が深まるかといえば、深まらないんですよね、やらないよりはやった方がいいんですけれども。長期的なスパンでやっぱり教育の現場においてやっていかないと、メディアの在り方も変えていかなきゃいけないんですけれども、これは非常に強く感じます。特に、日本は島国というところの短所もあって、その関係、先ほど関係性と言いましたが、関係性を意識するのが非常に薄いというふうに思っています。
 ちょっと話はずれますけれども、沖縄の基地問題も、沖縄の地域の問題ではなくて、これは日本の全体の問題ですし、この福島県の原発も、これ福島県にありましたけれども、実際は関東の電気なのに人ごとになっているし、原発だけじゃなくて、私も地元で飲んでいる水は東京電力のダムを三つ経ないと取水できないんですよ。それはもうこの関東の人は知らない。
 恩恵を受けているのに恩恵を受けていない、まさに金持ち感覚でお金出しているという。逆に、世界の人に日本がお世話になってこれだけの繁栄を受けているという、そういう理解をさせていかなきゃいけない、もう子供のときから。これは、非常にそこが薄いがゆえに、もちろん政府の説明責任もおかしかったり、このODAの減額のときの間違いもありますけれども、教育の部分から長期的にやっていかないといけないなというふうに思っています。
 そういう意味では、そこの指摘もありましたけれども、私はもうかなり義務教育の中で骨太に入れていかなきゃいけないというふうに思っていますが、その点、具体的にどうしていくべきか、山田さん、お願いします。
#28
○参考人(山田太雲君) まず最初に、御指摘いただいた、本当にチャリティー感覚といったものがこういった局面になると非常に邪魔になってくるというか、正しい判断を鈍らせてしまっているんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味では、やはり戦後一時期、ODAというのは日本にある程度有用性というのが、NGOから見て賛成できるかどうかは別にして、多くの国民にとっては見えるものだったんだろうと思うんですけれども、やはり時代が変わって、MDGsの時代になって、MDGsの議論からその援助効果、いわゆるアンタイド化もそうですけれども、いわゆる途上国政府への直接的な財政支援をもっとやるべきだみたいな議論が出てきた中で、この十年間、ちゃんとそういった政策論議が報道を全くされていないんですね。なので、全くパブリックディベートがそういったところにない中で外交の場面で守りに出なきゃいけないという、そういう状況がずっと続いているんじゃないかなというふうに思います。そういう意味では、報道を何とかもう少し多角的にというか、多国間、マルチの視点を持たないと、どんどん後手後手になるんじゃないかと。
 一つは、報道がやるべきこととしては、人道的な状況はやる必要がありますし、途上国で途上国の人たちがどういうふうに頑張っているのかということをもっと報道してもらいたいと思いますが、もう一方で、例えばG8、私、もう二〇〇五年ぐらいからいろいろG8とか国連とか行っていますけれども、例えばグレンイーグルズのサミットはアフリカが一番最大の課題だったんですね、議題だったんですね。ところが、それはほとんどちゃんと報道されずに、日本では北朝鮮非難が声明に入ったかどうかだけがすごく大事、あとはちょうどロンドンでテロが起きましたから、それだけになってしまって。だけど、テロの一番の被害国であるイギリスの報道は、ちゃんとアフリカ開発に成果を出したかといったところでG8の成果を報道しているんですよ。
 そういう意味では、それはなぜかというと、やっぱり途上国が独立して、民主化を冷戦が終わってからして、かなり物を言うようになってきたんですね。WTOとか気候変動の交渉の中でも、今までどおりに先進国の言うことばっかり聞いていなくなってきたという中では、先進国がどう途上国に対していいことをするかというか、批判を受けないようにするかというのはイギリスもかなり認識をするようになっていたから、ああいう外交をするようになってきているんだけれども、そこら辺のアンテナが日本の報道はすごく弱いのがすごくもったいないなというふうに思っています。
 そういう意味では、これだけ多極化した世界の中で、内向きな情報だけだと国全体として見誤るんじゃないかということを考えています。
 教育をどうしたらいいかということに関しては、済みません、具体的に次にはこうした方がいいんじゃないかということはちょっと申し上げられませんけれども、先ほどの御質問の方でも私お答えしましたが、開発教育の活動を頑張っているNGOというのは各地にあるんですね。しかし、やはり規模がすごく小さいですから、どうやってこういった活動を公共の教育政策の中に入れていただくかというところが一番大事になってくるというふうに思っています。
#29
○委員長(藤井基之君) ありがとうございました。
 以上で各会派の質疑が一巡いたしましたので、これより午後三時半を目途に自由質疑を行いたいと思います。
 質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言を願います。
 それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。姫井先生。
#30
○姫井由美子君 ありがとうございます。民主党の姫井由美子と申します。
 今日は、お二人の参考人の方々、貴重な御意見ありがとうございました。
 まず、荒木参考人にお伺いしたいんですけれども、今回、海外の企業進出も金ではなく人材がいないんだよというお話をされました。
 今、経済産業省では、中小企業の海外進出に際して、地方でいう信用保証協会みたいなものを日本政策投資銀行がしようということで、保証するので出ていきやすくするというような事業を考えていますが、今日の御意見でそれだけでは足りないということを聞いてちょっとショックだったんですけれども、例えばミャンマーは、これから今まで停止した円借款をもう一回再開するかもしれないということで、ミャンマーの方々からは、やっぱり官の支援があればもっと出ていけるというふうに言われております。もっと出ていけるやり方の一つで、先ほどコカ・コーラの案も言われましたが、ほかに例えば具体的にどういったところまで官がすれば出ていきやすいか。
 一方で、今年行った南アでは、今日、石橋理事がいらっしゃいますけれども、NTTが三年掛けて地元の大きな企業を買収しまして、日本、今円高ですから買収しやすくて、三百億という大きな事業を手にしておりました。いろんなやり方があるかと思うんですけれども、具体的にこれからはこんなやり方がいいんじゃないかというものがあれば教えていただきたいと思います。
 そして、山田参考人には、私も実は岡山でイギリスのオックスファムをモデルにしてセカンドハンドというNPOをつくっておりましたが、今日伺ってショックだったのは、震災後にもなおODAに対する関心というものが高まらない、政府が国民心理に配慮が行き届いていないと言われました。
 今回の震災のときに、私は、特にODAでお世話になった国々が日本に対して、貧困国であるにもかかわらず、多くの支援物資とか義援金を下さったことに大変私は感動いたしましたし、私はハイチの支援をしておりましたが、ハイチからも義援物資が届きましたし、ハイチに行っていた岡山のAMDAを始め、みんなハイチに行っていたNGOが全部東北に集まって、しておりました。
 そういった中でも、今回資料にいろんな例がありますけれども、やっぱりそこでお互いさまということで、今まで日本が国際協力、貢献をしていたから返ってきたんだという、それがこれから今後どうやったら浸透していくのか。先ほど荒木参考人も、イギリスでは言わなくてもODAをやることが選挙につながるんだと言われましたけれども、日本では何でそういう土壌が育たないかということも少し御教授いただければと思います。
#31
○参考人(荒木光彌君) 人材のことでございます。
 信用保証強化という、それもお金の面で重要だと思うんですけれども、やっぱり残るは企業の中の人、人材をどう育てるか。例えば、青年海外協力隊の中に現職参加制度というのがありまして、今、現職というのは、今の企業で働いている方を二年なりその任地国、途上国へ派遣して鍛え直すと。企業の方で鍛え直すという言葉を言っていますけれども、非常に厳しい環境の中でもう一遍鍛え直して、戻して海外事業に従事してもらうということをやっているようです。
 そういうことも含めて、協力隊なり政府がやる一つの機能としては、ODAとすれば青年海外協力隊があるんですけれども、やはりもう少し中小企業の人材の話については、ちょっとツーレートの感がありますけれども、早めに手を打たなきゃならなかったと思うんですね。
 その点では、例えばこの前、蒲田の小さなばねの会社、中小企業の方が行ったら、その会社はジャカルタに、インドネシアに出ているんですね。出て、保税加工区に行ったものですから、間違って入っちゃって、ちゃんと政府が、政府というか誰かがちゃんと誘導してくれないものですから、輸出しなきゃならないと。実は、その会社は輸出しなくて、そこに出ている日本企業に納品する会社だったんですね。非常に間違って入った。そういう間違った入り方を許しているということ自体が、誰もその指導できないということが日本側としてはちょっと手落ちだったなと思いますね。
 そういうような法制をちゃんと指導する、国際的に法制、まあいろんな国があります、それに対して適合する形で中小企業の方を誘導するような何か日本におけるそういう相談の窓口みたいなところも、ジェトロがやっていますが、もっと強化をしていくべきだというふうに一つは思っております。
 それから、ミャンマーの話が出ましたけれども、たまたま実は数日前に関西の某アパレルのニットの関係の会社の社長さんがお見えになって、今、中国に行っているんだけれども、上海だけれども、上海では賃金がすごく高くなってもうやっていけないと。したがって、ミャンマーに行きたいと。ミャンマーに行くには政府として何ができるかという議論があったんです。そのとき出た話が中小工業団地を造ろうと。
 要するに、ヤンゴンの近くに中小工業団地を造って、そういう日本の中小企業の、何か職業ごとに、繊維なら繊維とか、そういうものを造って応援するという手もあるんじゃないか。中小工業団地は日本の政府でできるんです。ですから、そういうようなことで日本の中小企業の方を応援するとすれば、非常に早い、スピードアップできるというふうに考えております。
#32
○参考人(山田太雲君) ありがとうございます。
 まず最初に、イギリスの状況をちょっと正確に、正確にというか私が伺っていることでは、経済危機の前までは確かに物すごく支持が高かったんですね。それは、NGOなどがかなりグレンイーグルズ・サミットの前後に大きなキャンペーンを、しかも世界的に展開をしまして、それで、アフリカがこんな状況になってしまっているのに対してイギリスがしっかりとリーダーシップを取ってやるべきだと。そこで、ODAを増やすだったりとか債務を帳消しにするだったりとかという多くのキャンペーンをやって、またこれにBBCとかガーディアンといった新聞が協力をしたんです。毎日のようにアフリカ特集みたいなものを組んで、あとはロックスターみたいな人も参加をして、本当に大きなキャンペーンだったんですね。
 その影響もありまして、二千あれはいつでしたか、六年ぐらいだったかと思うんですけれども、世論調査で、次の総選挙で候補者の何を見て投票しますかということを聞かれたときに、途上国の貧困問題への姿勢が第四位だったということがありました。ただ、そのときでもそうですし、その後、特に危機が起こってからのイギリスでもそうなんですけれども、ODAを増やすべきかという質問をしたら、必ずしもイギリスでもいい評価、前向きな返事が来るとは限らないんですね。それはやはり、ODAとか政府が行う援助というものに対してはいろいろなやっぱりスキャンダルが付いて回ったりと。イギリスもやっぱり九〇年代に物すごく大きなスキャンダルがあって、マレーシアのダム建設だったんですけれども、それがDFIDをつくる一つのきっかけになったんですね、やはり余りにも汚い援助をしてしまったということが大きな批判を浴びて。
 なので、日本でも少し質問の仕方をやっぱり工夫した方がいいのかなと思います。私たちも小規模ながら調査をしたときに、途上国の保健医療の実情がこんなふうになっていて、そこに実は日本はこれしか援助ができていない、どうしたらいいと思いますかといったときには、結構いい答えが返ってきます。ODAと言った途端に様々な悪いイメージが付いて回りますので、そこら辺はパブリックリレーションズの中でもいろいろ工夫があるのかなと思います。
 ただ、日本で例えば、じゃ、NGOが大きなキャンペーンができるかというと、非常に財政的に厳しいところがうちも含めてありまして、ここは、アメリカですと民間財団がNGOにかなりのお金を出してそのキャンペーンを支えてくれたりするんですね。ヨーロッパだとODAの一部がそういったNGOのキャンペーン代に使われることがあるんですが、日本ではプライベートセクターからもパブリックセクターからもそういったお金というのはNGOには回らないです。ですので、NGOは途上国での具体的なプロジェクトにはお金が回せても、なかなかその政策提言やキャンペーンの方にはお金が回らないということが議論が盛り上がらない一つの理由かなというふうに思っております。
#33
○姫井由美子君 ありがとうございました。
#34
○委員長(藤井基之君) 赤石委員。
#35
○赤石清美君 自由民主党の赤石清美と申します。
 今日は荒木参考人、山田参考人、本当にありがとうございました。
 実は、私も二月の五日から一週間、モンゴルのウランバートルと、そして中国の北京と四川省に行ってまいりました。
 そこで感じたことを少し話しながら質問をさせていただきたいと思うんですけれども、まずモンゴルで感じたのは、経済成長が加速度的なスピードで成長していると。この三年間でGDP倍増すると、そして十年後には日本を追い越すと。こういうレベルの国に対する今のODAの活動は本当に戦略的にやられているかというと、現地を見た限りそうではないと。やっぱりある種のミスマッチが結構どの国でもそういう意味ではあるんではないかなと。このミスマッチをなくすことによって、そのODAのコストというのは大分削減できるんではないかという印象を私は持ったんですけれども、その点について荒木参考人、世界でどのぐらい非効率、ミスマッチが起こっているか、パーセンテージはどのぐらいあるのかということをちょっとお伺いしたいということと、それで、北京に行って中国のODA政策について議論してきました。もう北京は本当に国策で、中国は国策で国益を勝ち取るためにODAをすると。もうそういうことで、人も派遣するし設備も派遣するし、事業も全部取ると、もうそういう目的を持った活動をしているということで、これは日本とはちょっと違うODA活動だなと。私は、どっちがいいかといったら、やっぱり日本の今のやり方の方がいいなというふうな印象を持ちました。
 中国にODAが要らないという議論もかなりありますけれども、私が四川省に行って、植林と、そしてなぜ植林をしなきゃいけなくなったかという原因がその農民の人たちにあるということが分かりました。農民の人たちは、日本の財産区みたいに順番に木を切っていって山をずっと残していくという習慣ではなくて、もうとにかく燃料がなければどんどん切っていくということで、裸山になってしまって洪水が起こるということが起こって、そこに日本人の営林局の人たちが支援をして植林活動をしていました。農家には、その燃料をどうやってそれじゃ作るかということで、エコサイクルじゃないですけれども、家畜を飼っています、そして野菜も作っていますし、そういう生の飼料、材料を使って発酵させてメタンガスを作っています。そのメタンガスで火をたいて料理をするというサイクルを、私は日本の農家でもあれをやった方がよっぽどいいなと思ったんですけれども、そういうことをきちっと日本が指導して、大変感謝をされました。
 私は、そういう意味では中国のODAというのはお金ではなくて、そういう指導をして中国を全体を発展させる、それが日本の将来の公益に発展していって、日中の貿易が拡大するということに結果としてはつながるわけですので、そういう意味で、単純に経済力が付いたからODAをなくすとか、そういう論理ではないんだろうなということを印象として持ちました。この点に関して、山田参考人にお願いしたい。
 この二点、お願いしたいと思います。よろしくどうぞ。
#36
○参考人(荒木光彌君) パーセンテージ、大変難しい話なんですけれども、ミスマッチというのは確かに起きています。それを起こさないために国別援助計画というのを立てて、やっぱりその国が十年後どのぐらい、どういう国になるのかということをやっぱり推測をするというか観測する。それにおいて三年ぐらいのタイムスパンで計画を立てていこうという、これが本来の姿なんですけれども、これをやっている国とやっていない国がいろいろありまして、重点国は結構やって、先の見通しが利いているんですね。
 一つだけ申し上げたいのは、パーセンテージがちょっとなかなか分からないんですけれども、例えば貧困削減といって、国際的なコンセンサスなんですね。貧困削減といったら、非常に単純に貧困削減だけに一生懸命やるんですよ、そういう点で日本は、忠実に、世界が貧困削減に協力してくれと言ったら、はい分かりましたということでちゃんとやる。そういう点が時々、その国の発展具合も余り考えずにミスマッチを起こすということがありますね。
 それからもう一つ、中国について言いますと、現在、先生、ODAをやっていると言っていますけれども、基本的にはもうやらないんです。たまたままだ一つだけやっているのは、内陸部に何億という形で貧困の方々がいらっしゃるということで、それに対して応援しなきゃならないかという議論があって、それについて、いや、もうこれだけの国になったんだから自分の国の貧困は自分で解消してくれという意見がいろいろあって、ODAは必要ないという御意見があったりして、大体その辺は大体抑えられてきたんですけれども、今先生がおっしゃった植林とか、そういう知的な交流というのはもう大学間交流も含めてどんどん進んでいます。
 ですから、これから中国の関係はもう民間レベルでやっていくべきであって、政府の援助とかなんとかというのは一切要らないんじゃないかというふうに、植林においても、もし植林技術等について必要ならば、それはJICAの技術協力がちょっとありますので、要するに政府と組んである程度ボランティアを支援するということはできると思いますけれども、だけれども、大々的にやるということはちょっと勘弁してくれというのが大体その世論というか関係で、なかなか対中援助はうまくいかないと思います。
#37
○参考人(山田太雲君) ありがとうございます。
 今先生が例として挙げられた植林というか、中国での話なんですが、これは中国に限らず、アフリカなどでも非常に重要なことなんですね。やはり一つはCO2の問題がすごくあるということと、多くの家庭でやはり近代的なエネルギーが全然供給されていないがために家の中でまきを燃やしてそれで料理をするということが結構多くて、女性、お母さんが肺疾患になるということが結構あります。ですから、一つは環境保護の観点から、それからもう一つは貧困削減とか女性の負担軽減とか、そういった観点からも、近代的なエネルギーをいかに効率的に届けるのかといったところの支援というのは世界的にすごく重要になってきているというふうに思います。
 中国のようなといいますか、いわゆる中所得国というふうに区切られている国に対しての援助というのは、今恐らく国際的にもすごく直面している課題であろうというふうに思います。といいますのも、最近、これもイギリスの学者さんが出した統計なんですが、世界のいわゆる最貧層ですね、一日一ドル、一・二五ドル未満の暮らしをしている人たちの七割ぐらいは中所得国に住んでいるというふうに言われています。
 つまり、低所得国ももちろん貧しい人はたくさんいるんですけれども、マクロ経済レベルで見たときには中所得国に上がっている国というのが増えてきています。ザンビアのような国もそうです。だけれども、ザンビアのじゃ貧困層の暮らしが良くなっているかというと全然良くなっていないので、援助の配分を考えたときに、やはり中所得国というものに対して、より、マクロ経済の指標だけではなくて、実際にUNDP、国連開発計画が出しているような人間開発指数といったものをある程度参考にしながら、しかし、中所得国である以上その政府がもっと負わなきゃいけない責任というのはあると思いますので、その政府に対してしっかりとハッパを掛けつつ、しかし、援助としてはよりそういったニーズの高いところに焦点化してやっていくべきなんではないかなというふうに思います。
 より中所得国で貧困層が多いといいますと、かなり格差が大きいということなんですね。物すごくお金持ちがいる一方で、激しい貧しさの下で暮らしている人たちがいると。そういう国でも、かなりNGOも含めてですけれども、そういった状態に対してすごく批判的に声を上げている人たちがいまして、そこから見たときに、例えばザンビアであれば、ザンビアの貧しい人たちの暮らしを良くするためにしっかりと日本が援助をしたということは記憶に残りますから、それが長期的には外交的な資産にもなるというふうに思います。
#38
○赤石清美君 どうもありがとうございました。
#39
○委員長(藤井基之君) 一問ぐらいでしたら。大野君。
#40
○大野元裕君 参議院の大野でございます。今日は本当にありがとうございました。
 一点だけ、非常に簡単な質問をお二人にさせていただきたいと思っております。
 これからの日本の戦略的なODAと、それから、これまで関係が良かったけれどもDACリストを卒業してしまった国、こういった国々を考えたときに、民間に、純民間に移る前の有償技協、こういったものを使えるかどうかということに対してまずその御意見と、それを使う場合にどういった基準で考えていくか、シンプルですけれども質問をさせてください。
#41
○参考人(荒木光彌君) 民間企業の……
#42
○大野元裕君 民間企業がやる前の有償技協ですね。有償でその技術協力を政府のツールを通じて与えるという、例えば産油国ですとか、あるいはシンガポールのように卒業した国々に対して技術協力を有償で差し上げるという。
#43
○参考人(荒木光彌君) これは、ブルネイとかシンガポールとかサウジアラビアとか、そういう国々を対象にしてJICAは一応有償技術協力をやることになっております。もし要請があればJICAで受けて、それで再編、民間の企業なり政府なりに編成しながら、再編成しながらその技術協力団をつくってやっていくと。
 ブルネイの場合なんかでも実は農業について申請がありまして、もうちょっと大規模に、ブルネイというのも、やっぱり今は資源で食べているけれどもこれから大変なので農業をやりたいという、そういう有償の受皿をつくろうという今話は進んでおります。
#44
○参考人(山田太雲君) ローン、有償に関しましては、これは非常にNGOからの原則的なコメントになってしまいますが、それがその国の例えば教育や保健医療といったベーシックニーズの分野の政府支出を圧迫しないような形にしていただきたいというのがあります。これは、フィリピンのようなある程度政府がお金を持っているというふうに言われている国でも、債務の返済の結果、やっぱり社会支出が圧迫されているという事例が結構あるんですね。なので、そういうふうにならない、ある程度経済成長がしっかりと見込めて、しかもそれが社会支出みたいなものにちゃんと還元されるというようなことを担保した上で有償というものをやっていただくことが必要かなと。
 あと、最近、外務省が発表した新しいやり方で、パキスタンのポリオの対策として、日本が有償支援をして、効果が出たらそれをゲイツ財団が債務を肩代わりするという、そういう取決めを行いました。これは、一つ工夫としてはいいやり方かなというふうに思うんですが、ただ、その効果が事前の予想に反して出なかった場合に、そうするとパキスタンには効果が残らず借金だけが残るんですね、ゲイツ財団は効果が出たときだけ肩代わりすると言っていますから。
 そういう意味では、若干そのリスクが途上国にだけ行くというやり方はどうなのかなと思うところがありますので、かなりそこは効果の観点から見たときに、若しくは相手の国にどういう影響を及ぼすのかということを見たときに、気を付けていただく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
#45
○大野元裕君 ありがとうございました。
#46
○委員長(藤井基之君) 予定の時間になりましたので、参考人に対する質疑はこの程度にさせていただきたいと存じます。
 参考人のお二方に御挨拶を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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