くにさくロゴ
2012/08/28 第180回国会 参議院 参議院会議録情報 第180回国会 国土交通委員会 第11号
姉妹サイト
 
2012/08/28 第180回国会 参議院

参議院会議録情報 第180回国会 国土交通委員会 第11号

#1
第180回国会 国土交通委員会 第11号
平成二十四年八月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月二日
    辞任         補欠選任
     西田 昌司君     岩井 茂樹君
 八月二十八日
    辞任         補欠選任
     一川 保夫君     斎藤 嘉隆君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡田 直樹君
    理 事
                白  眞勲君
                藤本 祐司君
                佐藤 信秋君
                吉田 博美君
                谷合 正明君
    委 員
                池口 修次君
                一川 保夫君
                植松恵美子君
                大河原雅子君
                斎藤 嘉隆君
                羽田雄一郎君
                前田 武志君
                室井 邦彦君
                岩井 茂樹君
                大江 康弘君
                小泉 昭男君
                伊達 忠一君
                中原 八一君
                藤井 孝男君
                渡辺 猛之君
                長沢 広明君
                平山 幸司君
                藤原 良信君
                上野ひろし君
                吉田 忠智君
   国務大臣
       国土交通大臣   羽田雄一郎君
   副大臣
       国土交通副大臣  奥田  建君
       国土交通副大臣  吉田おさむ君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       仲野 博子君
       国土交通大臣政
       務官       津島 恭一君
       国土交通大臣政
       務官       室井 邦彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       種谷 良二君
       国土交通省総合
       政策局長     中島 正弘君
       国土交通省国土
       政策局長     小島愛之助君
       国土交通省都市
       局長       加藤 利男君
       国土交通省水管
       理・国土保全局
       下水道部長    岡久 宏史君
       国土交通省道路
       局長       菊川  滋君
       国土交通省住宅
       局長       川本正一郎君
       国土交通省自動
       車局長      中田  徹君
       海上保安庁長官  鈴木 久泰君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○都市の低炭素化の促進に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航
 行に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(岡田直樹君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二日、西田昌司君が委員を辞任され、その補欠として岩井茂樹君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(岡田直樹君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 都市の低炭素化の促進に関する法律案の審査及び海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航行に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官種谷良二君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岡田直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(岡田直樹君) 都市の低炭素化の促進に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○大河原雅子君 おはようございます。民主党・新緑風会の大河原雅子でございます。
 本日、やっとこの都市の低炭素化の促進に関する法律案、審議をすることができました。これは、今日ここにもおいでになります前田前国土交通大臣の肝煎りの法案ということで、この中で、わざわざ都市のというふうに冠を付けている法案でございますけれども、まず、特徴を新大臣から伺わさせていただきたいと思います。
#7
○国務大臣(羽田雄一郎君) 先般の東日本大震災を契機といたしましてエネルギー需給が変化する中、低炭素・循環型社会の構築を図り、持続可能で活力ある国土・地域づくりを推進すること、このことは非常に重要な課題となっております。特に、国内の二酸化炭素排出量の五割以上を占める民生・運輸部門の主たる活動の場である都市の低炭素化を促進していくことが急務となっております。
 このため、個々の建築物の低炭素化のみならず、太陽光パネルや蓄電池などを用いたエネルギー性能の高いまちづくりや、公共交通網と一体となって住まいの身近に医療や福祉、公共施設などがあるコンパクトシティーの形成などにより、都市の低炭素化を目指すこととし、本法案を提出をさせていただいたところであります。
 本法案は、これまでの都市機能の高度化に重点を置いてきたまちづくりに、地球環境に優しい暮らしや少子高齢化社会における暮らし等の新しい視点、これを持ち込み、これらの視点から、住民や民間事業者と一体となってまちづくりに取り組んでいくための第一歩を築いていくものと考えさせていただいております。
#8
○大河原雅子君 民生部門のやはり課題というのは非常に大きくて、いろいろな工夫もされてはきましたし、もちろん法律もいろいろな面からカバーをしていると思います。自治体も苦労をしてそれぞれの地域のビジョンを作ったということがございましたけれども、これまで地球温暖化対策推進法、また同温暖化防止計画、こういったものに基づいて自治体は準備をしてきたという経緯もあるかと思いますが、これらの法律、また計画との関係ということで、いま一度この法案の特徴、御説明をいただけますでしょうか。
#9
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたとおり、都市の低炭素化に関連いたしまして、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画などの計画制度等が既にございます。このため、地方公共団体実行計画などが既に策定されている場合には、これらの計画を活用しながら本法案に基づく低炭素まちづくりを促進する上で必要な事項を追記していただくということで、容易に低炭素まちづくり計画の策定が可能である旨を周知していきたいというふうに考えております。
 また、既存の計画がない場合にも、地方公共団体実行計画と低炭素まちづくり計画を一体として策定することが可能である旨も周知してまいりたいと考えております。
#10
○大河原雅子君 そうなんですよね。自治体はいろいろともう既にやってきていることもあり、正直申し上げて、この前田肝煎り法案ではあるんですが、初めてこれを見せていただいたときに、あれ、この施策、もういろいろやってきているなという思いが実は正直いたしました。
 それで、この社会環境が変化をしている中で、やはり国土交通省としてやってきたことでも非常に大きな変化が起こっていると私は思っております。中でも、社会資本整備審議会の都市計画制度小委員会、ここでは都市の低炭素化を促進していくための議論が昨年秋、非常に行われています。国として示すこの低炭素化推進の方針、ここに盛り込む視点、論点というのはどのように議論され、示されたのか、これについてもお答えをいただきたいと思います。
#11
○政府参考人(加藤利男君) お答えを申し上げます。
 社会資本整備審議会の都市計画制度小委員会におきましては、本年の六月に、都市の低炭素化を促進していくために、国として示す方針においてどのような視点あるいは事項を盛り込むべきかということについて御議論をいただいたところでございます。
 その内容を御紹介いたしますが、小委員会におきましては、都市の低炭素化の目標等といたしまして、公共交通網と一体となった都市機能の集約化を進めるまちづくり、CO2の吸収源となる緑を保全、創出するまちづくりや、建築物の省エネルギー性能の向上ですとか、非化石エネルギーの利用など、低炭素化につながるまちづくりを目指すということのほかに、国における取組の方針といたしまして、都市政策ですとか交通政策に限らずに、幅広い政策分野との緊密な連携を図りながら施策の総合的な推進を図るべきことなどについて御意見をいただいたところでございます。
 以上でございます。
#12
○大河原雅子君 この都市計画制度小委員会の中の議論というのは非常に興味深いというふうに思っておりまして、とりわけこの都市計画法を変えていく中で、都市計画というどんどん開発を進めていくための法律ということの中からも転換をする考え方が出てきた、特に人口減少社会になっている、エネルギーの制約もある、そしてもちろん、お金の意味でも、経済のこれまでの停滞ということからいっても、制約はかなり大きくなってきているというふうに思います。ただ、目指されている方向性という中では、地域でどんどん変わるエココンパクトシティーをつくる、こういう思想がこの中にあふれているなというふうに思って読ませていただきました。
 私が特に、更に関心を持っているのは、この都市計画に関する諸制度の今後の展開について、この案の中に、早急に講ずべき都市の低炭素化に係る施策として緑地の保全、緑化の推進が挙げられました。古くからある施策でもございますけれども、改めてこういうものは緑の基本計画などで各地で取り組まれているわけですけれども、課題となっているものは一体何でしょうか。
 私、都議会にいるときにこの緑地管理機構というものが初めて創設をされて、東京都がこの緑地管理機構になれないのか、その指定をする要件が緩和できないのかとかいろいろやったんですが、なかなか増えなかったんですね。課題は今、何なんでしょうか。
#13
○政府参考人(加藤利男君) 課題についての御指摘でございますけれども、これまでは、緑化政策を進めるに当たりまして、どちらかといいますと、都市公園等の施設緑地の整備ですとか、比較的大規模な民有緑地の保全というようなことを中心に取り組んできたところだというふうに考えております。
 ただ、こうした中で、民有緑地の所有者の方が高齢化が進むとか、あるいは緑地の維持管理費の負担が大きくなってきて大変だといったようなことで問題となってきておるというふうに考えておりまして、今後は住民に身近な緑地の保全を進めていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
 このため、本法案では、特に管理が必要な樹木等の管理を推進する樹木等管理協定制度を創設をいたしまして、樹木等の保全に関する取組を推進するほか、ただいま御指摘いただきました緑地管理機構制度の拡充についても措置をしているところでございます。
 緑地管理機構につきましては、従来、都道府県知事が緑地の保全ですとか緑化の推進に取り組む公益法人やNPOを指定するものでしたけれども、今回、低炭素まちづくり計画を策定した場合には、緑地管理機構について市町村が指定できるようにするものでございまして、これによりまして市町村単位で活動しているNPO法人等の指定が容易となることから、今後指定数が増加し、よりきめ細やかな緑地保全等への対応が図られるものではないかと、そういうふうに期待をしているところでございます。
#14
○大河原雅子君 これまでの緑地管理機構は五つぐらいしかできなかったんですね、たしか。私が住んでおります世田谷ですと、世田谷トラストという非常に先進事例があるんですけれども、市町村がこの緑地管理機構にNPOなどを指定できるというのは非常に画期的なことだと思います。コンパクトシティーの中にあるそういう小さな緑を守るということについて、きめ細やかに、そしてまた地域の合意を持って共有された価値観というものが生まれてくると思うので、是非きちんと宣伝もしていただきたいなと思うわけでございます。
 次に、私は、今緑地というとどうしても都市だと公園という形になってしまいますが、農地というものに注目をしております。
 民主党政権、政権交代をした成果の一つに、食料・農業・農村基本計画の中に都市農業の振興と都市農地の保全というものが位置付けられました。農水省では、この都市農業振興のために検討小委員会を設けられまして、昨年の十月から、当事者の農業者の方たちも委員となって議論が進められてきております。
 国土交通省からもこういったことは関心を持って見てこられたと思いますけれども、先ほどの都市計画制度に関するこの小委員会の中でも、建築的な空間の使い方から農地、緑、こういうことをしっかり、非建築的な土地利用というものについての議論が進んだというふうに聞いております。
 国土交通省の立場から都市農業についての御議論というのを御報告いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。都市計画の中で中長期的に対応すべき事項、ここでは、まさに先ほどおっしゃった消えやすい緑というものについての認識が問われるというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
#15
○国務大臣(羽田雄一郎君) 社会資本整備審議会の都市計画制度小委員会においては、コンパクトなまちづくりを進めていく観点から様々な議論がされており、この中で、都市と緑や農が共生していくことが今後の都市像の一つとして重要であることなどの議論がされているというふうに聞かせていただいております。
 都市農地については、食料生産、緑地、避難地又は農業体験など、多様な役割を果たしていると思っておりまして、都市政策と農業政策双方で一体的、総合的に検討を進めることが重要というふうに考えております。
#16
○大河原雅子君 もう今、大臣がおっしゃっていただいた中に、都市計画の方からも農業の方からも一体的にというふうにおっしゃっていただいているんですけれども、まさに、私、東京で行われている、二十三区から多摩地域まで含めて、もう多摩の手前まで全部市街化区域なので、そういう意味では農業じゃないんだよと言われたことに非常にショックを受けたことをまざまざと思い出しますけれども、農水省の方で進められている検討会、それから国土交通省の方のこの考え方を大転換をしていくという中では、やはり共同で是非検討会を引き続きやっていただけないかと。都市農業の振興なり保全なりというのにはやはり税の問題が大きいものですから、いつもその税の公平性ということからいろいろなことも阻まれてきました。
 それで、国交省、農水省、財務省、この三者が入った共同検討会を設置していただいて、是非積極的に議論をしていただきたい。この検討会から、実は実態調査というようなものもきちんとされてきていないと思うんです。ですから、そうしたことをはっきりとさせていただきたいと思いますが、大臣、いま一度この一体的に議論しろよということ、御答弁いただけないでしょうか。
#17
○国務大臣(羽田雄一郎君) 都市農地の在り方についてでありますけれども、都市計画制度小委員会、また農林水産省では検討会において検討課題の整理等がなされているところであります。その中で、農林水産省の検討会には国土交通省からもオブザーバーとして議論に参加をさせていただいております。
 これまでも両省連携して取り組んでいるところでありますけれども、引き続き、農林水産省はもとより、今言われた財務省など様々な関係者と意見交換しながら、都市政策と農業政策の双方から一体的、総合的に検討をしっかりと進めていきたいというふうに考えております。
#18
○大河原雅子君 都市の真ん中で野菜畑があるというのはすごく不思議な光景だというふうに私の連れ合いなども言って、こんな高い土地でどうしてこんなニンジン作るんだ、一本幾らになるんだみたいな発想の方も確かにおられます。
 しかし、東京都が取ったアンケートでは、都市の中に農地があって当たり前にしたい、それについてのその価値というものに非常に大きな変化があったと思います。防災の観点からはオープンスペースと言いますし、教育の観点からいえば、自分のお弁当に入っているこのホウレンソウがあそこの畑から取れたものと。学校給食の中には地場野菜ということで各地で取組がされておりますけれども、本当に非常に価値の高いものが都市の中にある農地だと思います。
 都市農業の形態というのは、東京でも、また名古屋でも大阪でも少しずつ違っております。ですから、それぞれの地域でどのような守り方をしたいのかということは違ってくると思いますが、この一体的な共同検討会の中で、是非各地の様子も見ながら前向きなエココンパクトシティーを目指す議論をしていただきたいというふうに改めてお願いをいたします。
 この低炭素化促進に関する法律案に戻りますと、これ所管大臣が農林水産大臣は入っていないんですね。低炭素化を図るときに緑の部分というのは非常に大きな部分だと思うんですが、これを今更、今ここで入れろというふうには申しませんけれども、所管大臣が農水相が入っていないということに私は少し議論を、これから先実行していくときにこの分野への目をしっかりと向けていただきたいというふうにお願いをさせていただいておきます。
 何かこの点については、こういうゆえに農水相が入っていないということがおありになるんでしょうか。
#19
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、都市農地に限って言いますと、その都市農地の持つ多面的な効用を評価をして、これは積極的に都市計画に位置付けておるわけでございますが、実はCO2対策の観点から見た際に、これは都市農地に限らず農地全般として吸収源としてどのくらいの効用を発揮し得るものであるかどうかという点から、その農地が低炭素化に果たす役割について現在研究が進められているところでもございますので、その研究成果を待ってどう対応するかということを考えていきたいと思います。
 ただ、今の時点では、農地がCO2対策としてかなり効果があるというところまでは至っていない、そこまでまだはっきりしていないというのが実情でございますので、今回の施策の中には盛り込まれていないということでございます。
#20
○大河原雅子君 農地が吸収源の非常に私は効果がある場所だというふうに思ってきたので、それは少し、これから先、はっきりしていないんだったらもう本当にはっきりさせていただきたい、研究はしっかり進めていただきたいと思いますし、それはもう明らかだと思うんですけれども、そういう意味では所管の大臣に農水大臣を是非入れていただきたいと強く要望をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#21
○渡辺猛之君 自由民主党の渡辺猛之でございます。
 私は、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会を代表いたしまして質問をさせていただきますけれども、我が国の国益を大きく脅かす領土に対する不法行為が相次いでおります。この問題については、今日の午後、我が会派の藤井先生がばしっとやっていただきますので、私は粛々と都市の低炭素化の促進に関する法律案について質問をさせていただきたいと思っております。
 本法案は、前田前国土交通大臣も熱心に取り組まれまして、都市の低炭素化の促進に関する法律案としてまとまったものであります。法案の趣旨には十分賛同できるものでありますけれども、一方で、私が危惧しておりますのは、実はこの法案は低密度地域への配慮に少し欠けているんじゃないかなという点であります。それを中心に幾つか質問させていただきますので、御答弁をよろしくお願いをしたいと思います。
 まず最初でありますが、ただいま大河原委員からも御指摘がありました、持続可能なまちづくりの重要性が高まっていることに何ら異論はありませんけれども、政策が乱立していないかという観点であります。例えば、政府が二〇一〇年六月十八日に閣議決定をいたしました環境未来都市構想、この環境未来都市構想などと本法案の関係について、まず分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
#22
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 環境未来都市でございますが、この構想は、都市のエネルギーマネジメントシステムの構築、再生可能エネルギーの総合的な利用拡大等の施策を厳選された戦略的都市地域に集中投入して、未来に向けた技術、仕組み、サービス、まちづくりで世界トップクラスの成功事例を生み出し、それを国内外へ普及、展開を図るものでございます。
 また一方、この法案でございますが、この法案では、できるだけ多くの市町村が地球環境に優しい暮らし等の新しい視点からまちづくりに取り組んでいただけるよう、まずその第一歩を築いていくことを目指す、言わばボトムアップ型の制度でございます。
 このようにいずれも、この環境未来都市あるいは低炭素まちづくりは方向性は共有するものでございまして、環境未来都市におきましても、太陽光パネル等を設置するための公共施設の活用など、本法案の措置が必要な場合には低炭素まちづくり計画制度を活用していただくということが考えられるわけであります。
 また一方、環境未来都市としての高度な成功事例を地域の実情等に応じてこれを低炭素まちづくり計画に取り入れる、それも当然可能でございまして、言わばトップクラスのものから下から積み上げるもの、それらが相乗的に効果を相補って低炭素まちづくりが全体として進むように考えていきたいというふうに考えております。
 したがいまして、本法案を共同で提案している環境省、経産省はもちろんのことでございますが、内閣官房など関係省庁等との連携の下に、環境未来都市を始めとした関係施策とも十分連携を図りながら、都市の低炭素化の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#23
○渡辺猛之君 今、御答弁をいただきました。キーワードの一つは連携だということになると思います。それぞれ関係する省庁がたくさんあると思いますので、責任逃れにならないように、自分たちがやっぱり主体的に取り組むという姿勢で取り組んでいただきたいなということを思いますが。
 まちづくりといいますと、やっぱり基本的には都市計画法になると思います。現行の都市計画法、ざっくりと言わせていただきますと、市街地の整備というのは、道路、公園、下水道整備をして、義務教育施設が配備されればそれで一つ完了というような形になっていると思っておりますが、本法案による低炭素化対策と都市計画との連携という観点からしっかりその連携が図られているかについてお尋ねをしたいと思います。
#24
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 この法案は、市町村が地域の実情に応じまして低炭素まちづくり計画を作成し、それに基づいて都市の低炭素化のための施策を講じようというものでございます。その際に、民間等の諸活動を低炭素化へと向けるために、その投資活動に対しまして一定のインセンティブを付与しまして、一つでも多くの成功事例を形成するということを狙いとしておるところでございます。
 ただいま御指摘いただきましたけれども、都市の低炭素化を進めていく上で、こうした誘導施策だけでなくて、都市計画で定めます土地利用規制とセットで推進することが重要であるというふうにも考えているところでございまして、この法案の中でも、こうした今申し上げたような観点から、低炭素まちづくり計画の策定に当たっては都市計画のマスタープランと調和が保たれるようにしないといけないというふうにする一方で、都市計画の見直しや都市計画の策定の過程におきましては低炭素まちづくり計画が円滑に実施されるよう、都市計画の方でも配慮することが必要であるという旨の規定をこの法案の中でも置いておりまして、これから進めます低炭素まちづくり計画については、今申し上げた事業の面と、土地利用規制、誘導の面とセットになって連携、整合を図った上で施策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#25
○渡辺猛之君 低炭素という価値観はまだ新しい価値観だというふうに思っております。と同時に、非常に重要な価値観であるのは間違いないと思いますので、今、局長御答弁いただきましたけれども、しっかり過去の法律、現行法と連携を取って、今回のこの都市の低炭素化の促進に関する法律案が実効性のあるものにしていただきたいと思っています。
 さて、そこで、本法案によります低炭素建築物新築等計画、これを立案できるとなっておりますけれども、この立案できる主体としては、具体的にどのようなところを想定をしておられるのかをお尋ねしたいと思います。
 単純に考えますと、低炭素のまちづくりを進めていこうということになりますと、その絵がかけるのは大手のディベロッパーばかりに利益が及ぶのではないかという心配、危惧をしているところであります。
 大臣の本法案の趣旨説明の中でもお話がありました。都市機能の集約や建築物の低炭素化等の取組を通じて地域経済や住宅産業の活性化をしていくということが趣旨説明の中でも主張をされましたけれども、地域経済の活性化ということを考えますと、大手ではなくて、やっぱり地域に根付いた中小の工務店が非常に重要になってくるんではないかということを考えるわけであります。大手のディベロッパーや、あるいは大手のハウジングメーカーだけではない、地域の工務店が活力を取り戻すという視点あるいは仕組みが本法案に含まれているのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#26
○副大臣(奥田建君) 御質問ありがとうございます。
 この建築計画の立案主体ということですけれども、ビル建築から一般の戸建て住宅までを含んで考えております。さらに、大きなまちづくりということになれば行政が主体ということもあるかと思います。
 この低炭素建築物という認定基準、このことを現行省エネ法の基準に比べ、更にエネルギー消費量一〇%以上削減ということを求めての基準ということにさせていただいております。屋上緑化あるいは木材利用などの低炭素化のための措置ということも基準に盛り込む方向で考えさせていただいております。
 こういったことにより、先生御指摘の大手のディベロッパーのみならず、地域の木造住宅を主体としている中小工務店においても低炭素建築物新築等計画を立案できるものと考えております。
 さらに、最初に前田前大臣のお話いただきましたけれども、今年のうちにも、こういった下準備と申しますか中小工務店に対する支援策というものは動き出しておりまして、例えば講習という事業ですけれども、これも五か年計画で二十万人を対象に講習をしていくということで今年から動き始めております。
 さらに、住宅ゼロエネ化推進事業ということで、こちらの方も中小工務店の省エネ住宅に対する助成という形ですけれども、今応募が締切り終わりましたけれども、大体予算のといいますか、予想の十倍の申込みをいただいて、またそういった中小工務店が経験を積むための施策として有効に活用されていることというふうに考えております。
#27
○渡辺猛之君 中小工務店にも十分配慮をしていくという御答弁をいただきました。これまでの国土交通省の施策眺めておりまして、中小工務店を応援をすると、確かにいろんな御答弁はいただいておるところであります。
 ただ、中小の工務店の立場でしますと、新しい法律なり新しい制度なりが出てきまして、やっぱり大手のハウジングメーカーなどと比べまして、この書類や手続の申請の複雑化、ここにエネルギーを取られてしまって、なかなかいい制度ができても活用しにくいという側面がありました。
 この点について、何か具体的な改善策あるいは方向性等ございましたら、御答弁をいただきたいというふうに思います。
#28
○副大臣(奥田建君) 先生御指摘のとおり、やはり補助とか絡みますときには、申請といったことがやっぱり現場を預かる工務店の方には大変負担になったりということもあり得るかと思います。
 御指摘のとおり、申請書類の簡素化あるいは申請の支援ということも行うことによって認定ということにこぎ着けるようにまた支援をしてまいりたいというふうに考えます。
#29
○渡辺猛之君 その点、しっかり本当に取り組んでいただきたいなということを思います。
 私も、地場産業の一つが木造住宅建築の岐阜県の出身でありますので、現場の皆さん方のお話を聞いておりますと、やっぱり地域の中小工務店の皆さん方というのは基本的に職人さんなんですよね。職人さんというのは、昔はとにかくもう俺の腕を信じろと、立派な家を建ててやるからということで、なかなか説明という観点では非常に不得手な部分があるんではないかなということを思っておりますので、その書類手続の簡素化ということに対しては、やっぱり国土交通省で中小工務店しっかり応援していこうという気持ちがおありなら、もう少し精力的に取り組んでいただきたいなということを思っています。
 次の質問に移らせていただきますけれども、今回、認定低炭素住宅の軽減について、税額の優遇措置がとられておりますけれども、同じ低炭素住宅を造っても計画区域内だと優遇をされて、計画区域外だと対象にならないということであります。全く同じ住宅を造っても税額の優遇がある家と、同じ家なのに税額の優遇受けられないという家が誕生してしまうわけでありますけれども、この区域の内外で差を設けることの適否について、少し説明をいただきたいと思っております。
#30
○政府参考人(川本正一郎君) お答えを申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、住宅建築物の省エネ化の推進という政策につきましては、これは地域を問わず全国一律で進めていかなきゃいかぬ課題であるというふうに認識をいたしております。
 既にこのために、例えば融資についての金利を軽減するとか、あるいはリフォームを含めました税制上の措置というのを講じておりますし、今年度から住宅取得に係ります贈与税の非課税措置につきましても、省エネ型の住宅については優遇するというふうな措置を講ずることといたしておるところでございます。
 今回の法案につきましては、そういった措置に加えまして、特に民生部門、運輸部門の活動が集中しておって、まちづくりの一環として低炭素化を推進していくべき都市、その全体の低炭素化というものを進めていく上で、住宅建築物についても、通常レベルよりも高い措置を講ずる場合については一定の優遇措置を講じようというものでございます。
 先ほど奥田副大臣からも御説明がございましたように、通常のいわゆる省エネ住宅というものよりも高いレベルでの省エネ措置を講ずるとともに、例えば緑化でありますとか木材を利用するといったような措置に認定基準を設けるということを予定をいたしておりまして、そういった場合に限って重点的な支援を行う、そういった考え方で整理をさせていただいたものでございます。
#31
○渡辺猛之君 ただいま御答弁をいただきました本法律案が目指す、いわゆるコンパクトシティーと言われるものでありますけれども、分散している住宅を都市部に集中をさせることによって、そこでCO2削減の効率化を図っていこうというものでありますが、一方、違う観点から眺めてみますと、それが進むということは、今この人口減少社会を迎えている中で、過疎と過密の問題が余計激しくなってしまうのではないかという危惧もあるわけであります。優遇をされるこの計画区域内にはどんどん住宅が建っていくけれども、ただでさえ過疎に苦しむ中山間地域からますます都市部への人口集中が図られるんではないかということを私は少し心配をしているところであります。
 そこで、もちろん本法案が目指す、都市での排出量を抑える、CO2の排出量を削減をする、これは重要な観点だと思いますけれども、都市の排出量を削減をするだけではなくて、やっぱりCO2全体の削減ということを考えますと、吸収量を増やすための政策、特に日本は森林国でありますから、この森林の吸収源対策が非常に重要になってくると、私はそう確信をしておるところであります。
 平成二十四年の税制改正におきまして、本年の十月から全化石燃料を課税ベースとする地球温暖化対策のための税が導入をされます。その使途については、現在のところ排出抑制対策に限られておりますが、私はこの使途について是非森林吸収源対策も使途に加えるべきだと考えておりますけれども、これについての御見解をお尋ねしたいと思います。
#32
○大臣政務官(仲野博子君) 今委員が御指摘のとおり、平成二十四年度税制大綱におきまして、森林吸収源対策について、平成二十五年度以降の地球温暖化防止対策の国内対策の策定に向けて検討する中で、国全体としての財源確保に今精力的に検討しているところでありまして、農林水産省といたしましては、これを踏まえ、森林吸収源対策の在り方等について有識者会議を今年四月から精力的に開催をさせていただき幅広く意見を聴取したところであり、これらも参考にしつつ、森林吸収源対策等に必要なまずはこの財源を確保しなければならないということで、引き続き前向きに取り組んでまいる決意でございますので、是非御理解をいただきたいと思います。
#33
○渡辺猛之君 大変前向きな御答弁をいただきました。あとはもう形にしていくことだと思うんですね。
 森林の吸収源対策ということについては、もう随分前から指摘をされております。私も本当に山の中の生まれ、育ちでありますので、ずっとその山を眺めておりますと、残念ながら森林に係る経費というものが非常に少ない、そして木材の価格はどんどんどんどん下がっているという現状の中で、森林の荒廃というものは急加速的に進んでいるわけであります。
 もちろん、CO2の吸収についても当然でありますけれども、それ以外にやっぱり水源の涵養、あるいは、今年も大きな災害が起きましたけれども、やっぱり強い山をつくる、強い国土をつくるという観点でも、吸収源である森林にどのように対策を打っていくかというのが非常に重要になってくると思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思っています。
 政務官、質問終わりましたので、お忙しければもう結構でございます。ありがとうございました。
 それでは、続いての質問に入らせていただきたいと思いますけれども、本法案で行われる事業の財源というのは社会資本整備交付金の内数ということになっているところでありますけれども、社会資本整備交付金の推移について、少し御説明をお願いをしたいと思います。
#34
○副大臣(吉田おさむ君) 社会資本整備総合交付金は、地方公共団体にとって自由度が高く、創意工夫を生かせる総合的な交付金として平成二十二年度に創設されたものでございます。
 委員御指摘の推移ということは予算額の推移ということだと存じますので、平成二十二年度が二兆二千億円、平成二十三年度が一兆七千五百三十九億円、平成二十四年度が一兆四千三百九十五億円となっております。なお、この減少分の主な要因は、平成二十三年度の地域自主戦略交付金の創設、平成二十四年度の地域自主戦略交付金の拡充及び沖縄振興一括交付金の創設の際に財源としてこの社会資本整備総合交付金から拠出されたものであるということでございます。
#35
○渡辺猛之君 今御説明をいただきましたように、社会資本整備交付金としてはどんどんどんどんそのパイ少なくなってきているわけですね。その中で、今回の都市の低炭素化の促進に関する法律が成立をいたしますと、様々な事業を行っていく。これ間違いなく、この法案読んでいただければ分かるとおりに、都市部への投資になっていくわけであります。もうどんどんどんどん減ってきているパイの中で、都市部にしか限られて使えない予算ができ上がるということになりますと、ますます私、心配しておりますのは、中山間地域への予算取られちゃうんじゃないかということであります。
 この法案につきましては、一般的にやっぱり都市を対象にした事業が様々展開をされてありますけれども、この事業を展開していくことによって中山間地域との格差をますます広げることにつながらないかということを心配をしているところであります。
 本法案の目的というのは、都市から排出されるCO2を減らす、そのために市街地に人口を集中させるものであります。ここは羽田大臣にお伺いをしたいんですけれども、羽田大臣のお地元も中山間地域たくさん抱える長野県の御出身であられます。長野県でも本当に過疎に悩む地域たくさん存在をすると思いますけれども、今回のこの法案が成立したことによってますます都市部への人口集中が加速をするんではないか、その危惧について羽田大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#36
○国務大臣(羽田雄一郎君) 長野県も間違いなく限界集落が多く、また過疎の地域が多い中山間地域が多い地域であります。
 そういう中で、本法案は、公共交通網と一体となって住まいの身近なところに医療や福祉、公共施設等があるコンパクトシティーの形成などにより都市の低炭素化を目指すものであります。
 本法案に基づき都市機能の集約化をどのように進めていくかについては、各地域の実情に応じ市町村が判断することとなりますけれども、地域の活力にかかわる機能を全て都市部に集約することを狙いとするものではなく、地域全体として都市の経済活力や地域の活力が維持されるような持続可能なまちづくりに取り組んでまいりたい、こういうふうに考えているところであります。
 また、中山間地域等につきましては、農林水産省とも連携して木材生産と木材住宅振興を図るとともに、先般改正が行われました過疎地域自立促進特別措置法に基づいてこれらの地域の振興に万全を期していきたいというふうに考えているところであります。
#37
○渡辺猛之君 本法案との関係については今大臣、御答弁をいただいたとおりでございますけれども、どんどんどんどん国土交通省の予算が減ってきている中、その中でいわゆるBバイCの議論が様々展開をされているところでありますけれども、なかなかやっぱり中山間地域、特に過疎に悩む限界集落のような地域でこのBバイCで計算をしていきますと、本当にここに投資をして効果があるのかと心配をされる面も多々見られるのは現実であります。
 ただ、私自身田舎の出身なので思うんですけれども、その地域に根差す文化とか伝統というものは、やっぱりその地域の気候であるとか風土であるとか、そういうものによって形成をされている。その地域をまたしっかり守っておられる住民の皆さん方が、ただ単に集落につながる一本の道路、この一本の道路ぐらいはやっぱり二車線で安全に通りたいな、台風とか地震とかの災害が起こったときに孤立集落にならないようにもやっぱり強い道路が欲しいなと思われるのは当然だと思います。
 こういうBバイCに左右されないような、そういう新しい観点も、私はやっぱりこの中山間地域を抱える羽田大臣のうちにしっかりと新しい国土交通省としての新たな視点というものも提示していただきたいと思うんですけれども、もし大臣、御決意ございましたら。
#38
○国務大臣(羽田雄一郎君) いい御指摘をいただいたというふうに思っています。BバイCで測れない部分というのも大変多くあるというふうに考えております。全国防災、減災ということ、また病院に行くための道路、命の道路と言われるもの、やはりそういうものも本当に重要だというふうに思っておりまして、しっかりとそういう面も踏まえて考えていかなければならないというふうに思っております。
#39
○渡辺猛之君 ありがとうございました。
 少し時間が余っておりますので、通告いたしておりませんけれども、私の方から指摘ということで、もし後、御答弁をいただければということを思うんですが。
 先ほど大河原委員が、やっとこの都市の低炭素化に関する法律案について審議に入れますという御指摘がありました。私も随分前に質問準備をしておりましたけれども、やっぱりやっとの感があります。これほどまでに遅れた原因の一つが吉田国交副大臣の行動にあったということは否めないということを思っております。これは国土交通委員会の件ではありませんけれども、やっぱり復興特の御答弁を抜けていかれるというような、こういうことはちょっと私は責任感に欠けているんじゃないかなということを思うんです。
 実は、これ吉田副大臣だけではなくて、正直申し上げまして、思い付きで何かを言ったり、思い付きで何かを行動する、そして責任を取らないというのがこの民主党の政権の三年間、私、これ共通をしていたんじゃないかということを思うんですね。残念ながら、この三年間の政権を眺めさせていただきまして、これほど無責任な野田内閣にこれ以上この国を任せておくわけにはいかないと、私、もう強く今憤りに近いように感じているところであります。
 私どもは、しっかりとこの野田内閣に対峙していきますことをこの場で固く表明をさせていただきまして、私の質問は終わらせていただきたいと思います。
#40
○長沢広明君 公明党の長沢広明です。
 都市の低炭素化の促進に関する法律案で、少し中身の確認も含めて質問させていただきたいと思います。
 低炭素化の促進ということをまちづくりの基本的方向性に置くというのがこの法律の主軸なわけですけれども、この低炭素化というものを進めるということは、まちづくりの中で例えば耐震化とかあるいはバリアフリー化とか、これまでも置いてきた中心軸に対して非常に重要な課題であり、早急に取り組むべきものであるということは認識をしております。
 我が党としても、二年前のマニフェスト二〇一〇で、日常生活の諸機能を集約したコンパクトシティーを推進し、歩いて暮らせる安心で快適な生活圏の形成と低炭素化を図りますと、こういうことをマニフェストに明記をしておりまして、その意味では本法案が都市の低炭素化を促進する誘導策として重要な位置付けを持っているということを認めておきたいというふうに思います。
 同時に、地球温暖化を防ぐCO2の削減ということについては世界各国での重要課題でありますし、こうした地域に根差した低炭素化をきちんと進めるという意味で我が国が先進的な取組をきちんと世界に対して発信していくという、そういう意味でも大事な課題であるというふうに思っています。
 人口減少時代、また高齢化社会、そういう中で集約化、効率化したまちづくりをしていくという意味では非常に大事なんですけれども、この法案と、それからこれまで地域地域で様々な進めてきた問題、地方自治体での取組、あるいは地方行政で今まで進めてきたことと、この法律ができることによって地方との関係性でどういう関係が起きてくるか、あるいは整合性がどう取られていくか、その辺をちょっと頭に置いて幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 まず、コンパクトシティーといいますと、地域で様々な取組をしてきております。先進的な事例とかいろいろ工夫がなされている地域もあり、青森とか富山とか、いわゆる先進的事例と言われているところもございます。
 地域地域でそうやって工夫してきたコンパクトシティーの取組というものを今回のこの法律案を作るに当たってその評価をどうしてきたか、メリットあるいはどういう課題があるかということも恐らく分析をされた上でこの法律案作ったと思いますので、そういう各地域での先進的な事例というものを本法案を作るに当たってどのように反映をされたか、これについて示していただきたいと思います。
#41
○国務大臣(羽田雄一郎君) 本法案は、公共交通網と一体となって住まいの身近なところに医療や福祉、公共施設等があるコンパクトシティーの形成などにより都市の低炭素化を目指すものであります。
 これまで、都市の低炭素化につながる都市機能の集約や公共交通機関の利用促進等の先進的取組として、先ほど言われた、青森県であれば中心市街地の再開発やまちなか移住推進、また富山であると公共交通沿線の居住推進、またLRT整備やバスの利便性向上などによる公共交通の強化、こんなものが推進されてきて一定の成果を上げていると、こういうふうに認識をさせていただいております。
 本法案では、これら先進的な取組を踏まえて、都市機能の集約や公共交通機関の利用促進が低炭素まちづくり計画に位置付けられ、多くの市町村で取組が促進されるよう立案をさせていただいたところであります。今後、成功事例を一つでも多く形成し、その普及を図ってまいりたいというふうに考えております。
#42
○長沢広明君 法律案のちょっと中身について触れたいと思いますが、法案の第八条で低炭素まちづくり協議会を設置するということになっております。各市町村が低炭素のまちづくり計画を策定し、それを進めていく際には、その協議調整のための低炭素まちづくり協議会を設置するということになっておりますが、この協議会というものが、この国土交通委員会でも様々な法案を審議する際に非常によく出てくると思うんです。
 特に、まちづくりに関係する法律で規定された協議会というのが、幾つあるか数えたことはないんですけれども、少なくとも、例えば、ぱっと頭に浮かぶのは、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく協議会、あるいは景観法に基づく協議会、都市鉄道等利便増進法に基づく協議会あるいは居住の安定化に関する協議会とか、国土交通省に関係するものだけでも幾つも協議会が出てくるんですね。
 国土交通省だけではなく、ほかの各府省庁においてもその所管の中でいろいろな協議会が法律に基づいてつくられるということが多々行われております。受け止める各自治体にとっては、その協議会を設置するということも負担になりますし、せっかくつくっても回転させられないということも中には起きてきているということもありますので、十分な役割がかえってこの協議会が果たせなくなってしまうのではないかと。
 まず、本法に規定されたこの低炭素まちづくり協議会の設置の狙いというか目的、あるいは構成、役割ということをきちんとまず示しておかないと自治体も混乱すると思うんですが、その点について説明いただきたいと思います。
#43
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 この低炭素まちづくり協議会の構成でございますが、この構成員については市町村が実情に応じて決めるというふうに規定しておりまして、市町村のほか学識経験者ですとかNPO等の団体や民間事業者などの幅広い関係者により構成されるということが想定されるところでございます。
 具体的にどういうことを行うのかというお尋ねでございますが、この協議会におきましては、低炭素まちづくり計画の作成に関しましての協議ですとか、計画を実施していく際の調整などを行うこととしております。こうしたことを通じまして、目指すべき都市の将来像についての共通の認識を醸成できるとか、あるいは事業の実施についての合意形成もその場で図られるといったような効果が期待されるものでございます。
 以上のことを念頭に置いてこの協議会制度を設けているところでございます。
#44
○長沢広明君 今の御答弁を聞かれて分かると思いますが、協議会の構成については、必要な人たちで協議会つくってくださいと、簡単に言うとそういう話なんですね。
 そういうふうに言うと、よく言えば幅広、悪く言えば曖昧ということになってしまうんですけれども、こういうことをきちんと、ある意味では自治体にもどういう協議会をつくったらいいかという事例をきちんと示した方が僕はいいかなというふうに思います。せめて、国交省関係の協議会でもこのまちづくりに関係する協議会というのは幾つかありますので、この低炭素まちづくり協議会とかそれに関係するほかの協議会も含めて集約化できるとかいうようなことをしないと、また新しい協議会つくる、またこっちにも新しい協議会つくる、でも、よくよく見ると参加している人は結構かぶっているみたいなことが現実には起きてくるんですね。そういう意味では、各種協議会の在り方について、もうそろそろどこかで改善するということを考えた方がいいんじゃないかというふうに思うんですが、大臣の御見解をもしいただければと思いますが。
#45
○国務大臣(羽田雄一郎君) 低炭素まちづくり協議会の運営等につきましても、市町村の負担増とならないよう、既存の協議会を活用することが可能である旨を周知徹底するなど、十分に配慮していきたいというふうに今御指摘をいただいて思いましたので、しっかりと周知徹底させていただきたいというふうに思います。
#46
○長沢広明君 次に、この法案の第二十条の附置義務駐車場の特例について確認をしたいと思います。
 市街地において駐車場を確保するために、個別の建物とか敷地内に駐車場の設置をするという義務付けを駐車場法という法律で規定をしているわけでございます。これは附置義務駐車場です。
 この法案では、一方、渋滞解消による環境面とか安全面を考慮して集約型の駐車場は許可されるという、附置義務駐車場の特例というものをこの二十条で決めております。自治体がそれぞれの条例で、それぞれ自治体で、駐車場法に決められた敷地とか建物の中に駐車場を設置するという義務から外して、条例で敷地外特例、隔地駐車場と、離れたところで敷地外特例を作っている自治体が数多くございます。ただ、この隔地駐車場、各自治体が進める特例というのは、これまで国に特に許されるというか、規定は、国の法律では、法律はなかったと。条例で、それぞれ各地でやってきていると。
 その一方で、ちゃんと敷地内に設けなきゃいけませんよという駐車場法があったという関係がありまして、今回の法案では、その駐車場法の特例として駐車場の、隔地駐車場の設置が認められるということになります。
 そうすると、この法律で定める集約型駐車場と各自治体が条例で定めている敷地外の駐車場と、どう違いがあるのかということが一つ。そしてもう一つ、この法律で、低炭素まちづくり計画の中でいわゆる特例の駐車場ということを規定することによって、これは法律によって規定された特例ですから、それによって、もし、各自治体が条例によって個別に造ってきた隔地駐車場は、逆に言うとこの法律と違う駐車場になってしまう、法律から外れた駐車場となってしまうのか。この辺の、自治体でやってきた駐車場の条例とこの法律との関係、影響、この辺をどういうふうに見ているか、説明いただきたいと思います。
#47
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 駐車場の附置義務条例の取扱いについてのお尋ねでございますが、今御指摘いただいたとおり、今回の低炭素まちづくり計画の中では、市町村が都市の低炭素化の促進を図るため、まちづくり全体としての交通の円滑化等を図る観点から、集約駐車施設の位置ですとか規模をあらかじめ決めておくことが可能ということにしております。それを受けて市町村は、低炭素まちづくりの実現に向けて望ましい位置に駐車施設の立地誘導を積極的に図ることが可能ということをしているわけです。政策的にはそういうことをしているわけでございます。
 そういうことから、今先生から御指摘いただきました駐車場法の附置義務の駐車場の特例として隔地駐車場を認めるのとは違っておりまして、隔地駐車場というのは、あくまでも個々の建築物の附置義務の駐車施設をどこに造るかという個別の建築物対応になっております。
 今回の集約駐車施設は、計画で、ここに大体どのくらいの規模で、位置も決めて、ここに誘導したいという意思を明示をして、それを駐車場法の規定する条例で定めるときに、個々の建築物について附置義務を求めるか隔地を認めるか、あるいは集約駐車施設のところに設けてくださいというような選択肢を提供するということがこの本質でございます。
 したがいまして、現在、隔地駐車施設について、駐車場法に基づく条例として設置されているものにつきましては、これはこれまでどおり、個々の建築物の建築に対して、地域の実情に応じて活用していただいているものだというふうに考えておりますので、そこは引き続き有効であるというふうに考えております。
#48
○長沢広明君 今の説明で何となく分かりましたけれども、低炭素まちづくり計画の中で、低炭素化ということを目的とした隔地駐車場と、いわゆる駐車場法の特例として自治体で定める、条例で定める隔地駐車場とは、狙いは元々違っているから両方あっても特に問題は生じないということなんですが、実際は自治体の中で、地域の中でこの隔地の駐車場を設定していくに当たっては、どうしても最初駐車場法の方から入ってしまうので、この法律案を策定する際に、逆に駐車場法の方の見直しで対応するというようなことは検討されなかったんでしょうか。
#49
○政府参考人(加藤利男君) 今の御指摘でございますけれども、今回の特例措置といいますのは、低炭素まちづくり計画におきまして、集約駐車施設の配置を含めて、交通の円滑化等に関する必要な事項が計画の中でちゃんと決まっていると。その決まっているということを評価をいたしました。一般的には決まるわけでございますが、それを評価をして、特例措置として駐車場法の特例を置いたものでございます。
 したがいまして、ただいま御指摘いただきましたように、これを一般則の形で、低炭素まちづくり計画と連動しない形で駐車場法の特例措置として置く、駐車場法を改正して置くということにつきましては、今回設けました、都市の低炭素化の実現を図る目的で今回設けたと申し上げましたけれども、それの効果を見て、あるいは実態、どういうふうに動くかというような活用状況も含めてよく精査をさせていただきまして、引き続き適切に検討していきたいというふうに考えております。
#50
○長沢広明君 都市の低炭素化を促進するという意味で、この法律の中でまず進めていくということは十分理解をしております。
 また別の点ですが、この法案の第四十七条に下水道の排水施設からの取水に関する特例というのを定めております。下水を熱源とするエネルギーが活用できるようにということだと思いますが、下水道の排水施設から取水できるという特例が設けられておりまして、これは昨年この委員会でも審議をした都市再生特別措置法の一部改正にも同じような規定があったと思っております。
 都市再生法では、国際競争力に資する都市開発ということで、比較的大規模な都市を想定した規定になっていたと理解しておりますが、今回のこの法案は都市部というふうにしておりますけれども、ややもっと小規模の都市にも使える形になっていきます。そういう小規模な都市でも、下水から取水してそれを熱源として活用するということになりますと、なかなか二の足を踏むというか、技術が追い付くかとかコストがどうなるのかとか、実際にはこれを活用するにはちょっと壁が幾つかあるんじゃないかというふうに思います。
 国交省として、この下水を熱源として活用できるという技術を広げる、あるいは導入させていくという考えでいらっしゃるのか。あるいはそのためにはどのような努力をしていくつもりなのか、具体的な取組が、方向があれば示してもらいたいと思います。
#51
○国務大臣(羽田雄一郎君) 下水熱でありますけれども、熱需要の多い都市内に豊富に存在する未利用熱であり、都市の低炭素化に当たって下水熱利用の推進、これは極めて重要であると、こういうふうに認識をしております。本法案により、市街化区域等を有する中小規模の市町村において民間事業者による下水熱の利用が可能となり、下水熱が今後幅広く活用されることが期待をされております。
 国土交通省としても、昨年度より実現可能性調査、フィージビリティースタディー、これを実施をさせていただいておりまして、採算性や低炭素化効果の高い事業モデルの検討を行っているところであり、その成果を活用すること等により民間事業者と下水道管理者との連携を推進し、具体的な事業が実施され、下水熱の利用が進むよう努めていきたいというふうに考えているところであります。
#52
○長沢広明君 時間がちょっとなくなりましたが、最後に一問だけ。
 いわゆる低炭素化ということについての関連ですけれども、木造住宅の密集地域、いわゆる木密地域の対策というのも非常に重要な対策です。震災対策、防災対策という意味でも重要なんですが、特に首都圏、首都圏に限らず全国でこの木密地域って探してみると地方に結構点在している。それを、老朽化した建物が多い、住んでいる人が高齢化で建て替えようという意欲が少ない、あるいは権利関係が複雑でなかなかうまくいかない、そういうような問題が壁となっていますが、例えば東京都でいいますと木密地域不燃化十年プロジェクトというのを始めて、東京都はもうこれに乗り出そうとしているわけですね。
 いわゆる木密地域の整備改善ということについて、国としては地方に対するどういう支援策を持っているか。あるいは、この東京都がこれから進めようとしている十年プロジェクトというようなことに対して、例えば国の施策では、住宅市街地総合整備事業、特に密集住宅市街地整備型の整備事業というのがあるんですけれども、面積がどのぐらいだとか、そこに何十戸必要だとかという要件があります。この要件の緩和というものも視野に入れた対応が必要だというふうに思いますが、見解を伺って、終わりにしたいと思います。
#53
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今言われたように、木密地域不燃化十年プロジェクトを東京都ではやっておりますけれども、国においても、東京都を始めとする密集市街地の整備改善に取り組む地方公共団体に対し、社会資本整備交付金による支援や先進事例のノウハウ周知などを通じて連携しつつ、取組を進めさせていただいているところであります。
 社会資本整備交付金には、公共施設の整備等と一体となってその効果を一層高めるハード、ソフトの事業に対しても助成ができる仕組みがあることから、この活用も含めて、地方公共団体の御相談に応じつつ、地域の創意工夫を生かした取組に対して支援をしっかりと行っていきたいというふうに考えているところであります。
#54
○長沢広明君 終わります。ありがとうございました。
#55
○平山幸司君 国民の生活が第一、青森県選出の平山幸司です。よろしくお願いいたします。
 まず、国交大臣へ御就任の羽田大臣には、国土交通行政での積極的なリーダーシップを是非発揮していただきたいと心から期待するところでございます。
 早速ですけれども、質問に入らせていただきます。
 まず、都市の定義について質問いたします。
 本法律案の第一条に、この法律は、社会経済活動その他の活動に伴って発生する二酸化炭素の相当部分が都市において発生しているものであることに鑑み、都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針の策定について定めるとありますけれども、この場合の都市とはどの程度の規模の都市を念頭に置いているのか、まずその部分についてお伺いしたいと思います。
#56
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 都市についての考え方ということでございますが、これはCO2の排出量から見て、二〇一〇年度のCO2の排出量から見ますと、総排出量の五割以上を家庭部門ですとかオフィス等の業務部門という部門が占めておりまして、その部門の主たる活動の場は、総人口の約八割が居住する市街化区域あるいは市街化区域を設定していない用途地域でございます。それらの地域はCO2の排出量の割合が高いエリアということが言えようと考えております。
 したがいまして、この法案では、都市の低炭素化として、今申し上げました市街化区域及び市街化区域を設定していない用途地域に関連して発生するCO2の抑制を図っていこうという考え方で全体の構成を行っているものでございます。
#57
○平山幸司君 ありがとうございます。
 今の答弁から、これは首都圏とか都市部、そういったものにかかわらず、例えば、私の地元、青森県ですけれども、青森県でも、各地にいろいろな地域が点在している、居住している人たちがいるという、そういうところも全て含まれるという考えでよろしいでしょうか。
#58
○政府参考人(加藤利男君) ここで考えておりますのは、先ほども申し上げましたが、市街化区域は、人の活動、経済活動もそうですし、いろんな都市活動が集まる、そういう場所として、土地利用を調整する場として市街化区域は設定されておりますし、市街化区域が設定されていない場合であっても、集まってそこで生活をし、いろんな諸活動、都市活動が行われるという意味で用途地域が設定されております。そうした市街化区域なり用途地域が設定されているところを対象にして各種の施策を講じようというふうに考えております。
 したがいまして、今の五所川原もたしか用途地域が設定されておりますので、そういう意味からすればこの施策の対象になるものと考えております。
#59
○平山幸司君 そこで、都市の低炭素化と関係する、先ほど来出ておりますコンパクトシティー化の事業について質問をさせていただきたいと思います。
 コンパクトシティーは、先ほどもお話ありましたけれども、私の地元、青森市が先進的な事例として挙げられます。このコンパクトシティー化のきっかけは各自治体の事情により異なると思いますけれども、要するに、その成否は民間の資金をどの程度引き出せるかということが非常に重要になってくると考えるわけであります。これを踏まえますと、財政状況や経済基盤が厳しい地域などは取り組むことが非常に難しいのではないかと。対象となる地域、幅広くと先ほどお話がありましたが、これが限定されるのではないかと、こうも感じられるわけでございますけれども、この観点から、国交省として、青森市の取組も含めまして、これまでのコンパクトシティー化の動きに対する都市政策面からの評価、そして特に地方都市における様々な事例を踏まえての都市の低炭素化の推進に向けた課題について、今のところ認識している課題について御見解をお伺いしたいと思います。
#60
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 的確なお答えになっているかどうか、ちょっとそこは自信がないところもございますけれども、これまで都市づくりというのは、どちらかというと、何というんでしょうか、都市機能を高度化する、それで人口を増加させよう、あるいは産業を呼び込んでこようというような右肩上がりの都市づくりを念頭に置いて、そのために必要な都市機能の高度化なりをそれぞれの町で図ってきたということだろうと思います。一方で、低炭素化をこれから進めていくという中で、背景としては、人口の少子高齢化とか、あるいはそのほかにももろもろの経済社会状況の変化があって、都市需要等の環境は変わってきております。そういう中で、それぞれこれからのまちづくりをどうやったらいいのかというのが、みんな思いあぐねているというところ、思い悩んでいるというのが実情ではないかと思っております。
 そういう意味からしますと、これからのまちづくりを考えた際に、先ほど先生から御指摘いただきましたように、青森とか富山で低炭素のまちづくりで一定の効果を上げていると思われるような事例をできるだけ多く増やしていって、我が町に一番近いような事例はどういうものがあるんだろうかなといったようなことで、参考になるような事例をいろいろ情報提供することで、各地域の都市づくりの実情に合ったような形のまちづくりが推進される、そういうことを支援していくことが一番大きな課題ではないかな、そういうことが求められているのではないかというふうに考えているところでございます。
#61
○平山幸司君 青森市がその先進的な事例ということで今お話もありましたし、先ほど大臣の方からも、この法案によって市町村に負担増にならないようにというお話もございました。さらには、青森市関連ですが、中心市街地の再開発若しくはまちづくりなどが積極的に行われているという答弁もありましたけれども、是非この法案を契機に、青森市若しくはその他の地域に対しても更なる国の支援を積極的に行うよう要請したいと思いますけれども、ここで大臣の意気込みを是非お伺いできればと思います。
#62
○国務大臣(羽田雄一郎君) 本法案において、とにかく都市クラスの取組だけではなくて、都市の規模や地域の特性に応じた中で公共交通と一体となったまちづくりなどの取組が促進されるよう考えておりまして、これを積極的に推進していきたいというふうに考えております。
#63
○平山幸司君 ありがとうございます。
 大臣には、冒頭も申し上げましたけれども、是非積極的なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 そこで、公共交通機関というお話がございましたので、コンパクトシティーでは、低炭素化を推進するものとして公共交通機関を充実させようという動きがあります。しかしながら、徒歩と自転車だけで全ての移動を完結することは困難であり、都市のにぎわいや高齢者の移動手段などの確保など、できるだけ自動車に依存せず、快適なモビリティーを確保することが求められております。
 このため、それぞれの都市の特性に応じた公共交通機関の充実が必要だと、こう考えます。例えば、駅などで他の交通機関との乗り継ぎの利便性を向上することでありますとか、バリアフリーの充実、若しくは、富山だと思いますけれども、LRTの公共交通機関を導入すること等々もあります。
 これら低炭素化を推進する公共交通機関の充実がいま一つ普及していない現状もあるんではないかなと、こうも感じるわけでありますが、その辺をどのように分析されているか、また、これらの公共交通機関の充実に向けた今後の取組について、国交省の方にお伺いしたいと思います。
#64
○大臣政務官(津島恭一君) お答えを申し上げたいと思います。
 今委員の方から富山のLRTのお話もございました。それから、徒歩の話、自転車の話もございました。
 まず、LRTの整備につきましては、もう一つ広がりがないのかなというところも、実は思いをお持ちかもしれませんけれども、収支採算性の問題とか、あるいは他の交通機関への影響の点とか、あるいはまた各地域におきましては自治体、事業者、道路管理者等の関係者の合意形成に少し時間が掛かっているということが一つあるものですから、確かに広がりという面では少し欠けている面があるかもしれません。
 その中で、この本法律におきまして、市町村が作成する低炭素まちづくり計画に、都市機能の集約化に関する事項とともに、先生が御指摘のLRTの整備を含む公共交通の利用促進に関する事項を定めることができることとするなど、まちづくりと交通の関係者が連携して都市の低炭素化を推進する枠組みを構築してまいります。
 それと、自転車のお話もございましたけれども、これと併せまして、歩道やまた自転車走行空間の整備につきましても低炭素まちづくり計画に記載をするとともに、都市機能の集約化と一体的に進めることによりまして、都市、自転車で暮らせるまちづくりの実現につながるものと考えております。
 国土交通省といたしましては、先生の御指摘の点も踏まえまして、実現に向けて、本法案を活用し、しっかりと取り組んでいくつもりでございます。
#65
○平山幸司君 ありがとうございます。
 なかなか進んでいない面、若しくは積極的にやっていこうという意思は非常に感じられましたので、是非この公共交通機関、低炭素に向けてどういうふうにやっていくかと、いろいろな知恵を絞って積極的に推進していただきたいと、こう思います。
 同じく低炭素化に向けた、交通機関に関連した質問をしたいと思います。自動車交通の減少は低炭素化に大きく関連すると思いますので、関連としてちょっとお伺いしたいと思います。
 自動車の燃料効率は一般的に六十キロから八十キロの安定走行が最も高く、渋滞によるのろのろ運転時が最も低いとされております。そのため、一般道と高速道路での交通分担を図ることは自動車交通におけるエネルギー効率を高め、低炭素社会をつくり上げていく上においても重要であり、高速道路無料化は低炭素化社会を実現する上で私は最もふさわしい施策ではないかなと、こう一つ考えるわけでありますが、高速道路無料化は地方からの物流の活性化、さらには観光振興等への期待が寄せられるとともに、自動車ユーザーにとっても負担軽減の観点から大きな期待も寄せられるわけであります。
 そこで、高速道路無料化での、これまでいろいろなことをやられてきたわけでありますけれども、その実際の効果若しくは評価についてお伺いしたいと思います。
#66
○国務大臣(羽田雄一郎君) お答えをさせていただきます。
 高速道路の無料化により、一般道路の交通が高速道路に転換し、道路交通が円滑に流れることになれば、二酸化炭素の排出量が減少することも期待をされているところであります。一方で、高速道路の交通量の増加によって渋滞が発生するという懸念もある、課題があるというふうに思っております。これら環境への効果、影響等について把握するため、平成二十二年六月より高速道路無料化社会実験を実施をいたしましたが、東日本大震災の発生を踏まえて、平成二十三年六月に一時凍結しているところであります。
 そういう意味では、二酸化炭素排出量の減少に対する期待と、そしてまた渋滞が発生するということの懸念と課題等もあるというふうに思っております。
#67
○平山幸司君 今、大臣の方から渋滞によってCO2が排出される量が多くなるというふうにお話ありましたが、これ実際に数値として国交省の方で把握しておりますでしょうか。
#68
○政府参考人(菊川滋君) お答え申し上げます。
 今大臣から御答弁ありましたように、二十二年の六月から全国の高速道路約千六百キロ程度でございますが、実験を行いました。この実験実施中でございますけれども、交通量でございます。交通量につきましては、並行します一般道路の交通量約二割ほど減少しております。したがって、その結果、混雑時間も約五割減少ということになっております。ただ、一方で、実験区間の交通量は高速道路が二倍に増加といったことでございまして、一定の効果は見られたというふうに考えております。
 CO2などについての数値的なものは把握はしておりません。
#69
○平山幸司君 自分も、この無料化実験をやっているときに各地域、エリアを定めながらやっていっているという感覚もありましたので、全体的に見ますと、この渋滞によってCO2が余計に高速道路で排出されたという印象は全く持っておりません。よって、これは逆にCO2を削減する意味で高速道路の無料化は非常にいいのではないかと、こう感じているわけであります。
 しかしながら、今、この社会実験、僅か一年で凍結されまして、実際の交通量を見ますと、凍結後は元に戻ってしまっているというのが現状だと思うんですね。実験中には高速道路の物流を担う大型車の通行量、先ほどお話ありましたが、二倍以上に伸びたり、高速道路沿線の観光地の客数が伸びたり、特に社会実験に合わせて地域の取組が行われたところでは人の入りが一〇%以上増加が見られたという、こういうことも大変プラスになったという効果があるわけであります。
 そのような社会実験により築かれた地域への波及効果も、無料化社会実験の凍結、これ東日本大震災がありましたのでそれによって凍結したという状況はあるかもしれませんけれども、いずれ高速道路の無料化は、地域の物流、観光振興など経済を活性化する、さらにはこの低炭素化という視点からも非常にいい施策ではないかなと、こう感じるわけでありますが、是非これを本格的な施策を一日も早くまた復活させるべきだと、こう考えるわけでありますが、大臣、いかがでしょうか。
#70
○国務大臣(羽田雄一郎君) 高速道路の無料化については、歳出見直しに関する三党間の協議がございました。その結果、平成二十四年度予算には計上させていただいていないということであります。また、平成二十五年度予算の概算要求組替え基準についても、概算要求に計上しないこととされたところであります。
 高速道路のあり方検討有識者委員会の中間とりまとめでは、休日上限千円や無料化社会実験のようなインパクトの強い施策については、地域活性化などの面から一定の有効性が確認されたものの、当該施策の対象となった道路における激しい渋滞発生や他の交通機関への影響などの交通政策としての課題のほか、施策の継続に必要な予算の制約などの課題があり、持続可能性などの観点からも原点に立ち返った検討が必要であると、こういうふうに御指摘をいただいたところでございます。
 そういう意味では、効果をしっかりと検証しながら、また三党間の協議の結果、また有識者の委員会での中間とりまとめ等をしっかりと踏まえた上で今後も検討をしていかなければならないというふうに考えております。
#71
○平山幸司君 先ほど、この低炭素化という観点から、そのCO2の排出という意味において、具体的な数値は今のところ把握していないというお話もございました。今日は低炭素化の法案に関してでありますので、そういう視点からも、また他の視点からも是非ここは検討いただいて、また東北地方においては特に復旧復興という観点からも、復旧はしていると思うんですが、復興という観点からもこれは非常に必要であると思いますので、是非大臣に積極的なリーダーシップを発揮していただいて、実現に向けて努力していただきたいと要望申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#72
○上野ひろし君 上野ひろしでございます。よろしくお願いいたします。
 都市の低炭素化の促進に関する法律案について質問させていただきます。
 まず大臣に、この法律によってどの程度のCO2の排出の削減が達成できるのか、どの程度を目標にしているのかといったことについてお伺いしたいと思うんですけれども、まず一つには、計画を策定をする各市町村において削減の目標を設定をするのかどうか。こういったことがなければ、その計画を実施した後の効果の検証というのもできないんだと思いますし、また政府全体としてCO2の削減といったことを進めていく、目標としていくという中で、ではこの法律全体としてどれだけのCO2の削減が達成をできるのか。これも本来であればしっかり明確にしておくべきではないのか、政府全体の政策の中で、どうこの法律を位置付けていくのかといったことにも絡むと思うんですけれども、その点について大臣の御見解をまずお伺いをしたいと思います。
#73
○国務大臣(羽田雄一郎君) 本法案においては、一つでも多くの市町村に取り組んでいただけるよう、国として各市町村に対して二酸化炭素の削減目標の定量的な設定を課すのではなくて、まずは身近な成功事例を一つでも多く形成していただき、その普及を図ることを目指しているところであります。
 一方で、施策の効果等について適切に評価、検証することは重要と考えており、本法案に基づき今後策定する基本方針において低炭素まちづくり計画の達成状況等を適切に評価、検証し、その結果を計画の見直しに反映させること等について示してまいりたいというふうに考えているところであります。
#74
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 低炭素化の促進ということについては本当に同意をするわけでありますけれども、この法律、中身を見させていただきますと、様々、手続面での改正、手当てがされております。一方で、この法律の趣旨に基づいてしっかりと都市の低炭素化を進めていくということについて言うと、例えば予算面でありますとか、また税制面でしっかりと必要な支援策の裏付けをしていくということが必要なのではないかと思うんですけれども、その点についてどういう予定なのか、どう考えておられるのか、お伺いをいたします。
#75
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 都市の低炭素化を進めるための支援策といたしましては、まず低炭素建築物の認定制度を設けておりますが、この認定制度を受けた新築住宅については住宅ローン減税の最大控除額を上乗せするといったような措置を講じております。また、低炭素まちづくり計画制度を同様に設けさせていただいておりますが、この計画制度につきましては、まず低炭素まちづくり計画の策定に係る経費を補助するということとともに、都市機能の集約化を図るための集約都市開発事業に対する支援措置などを講じております。
 こうした措置を既存の様々な措置と組み合わせて総合的に講じることによりまして都市の低炭素化の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#76
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 今、支援策についてお話をいただきました。先ほど渡辺委員からも御指摘があった大変大事な点なので改めてお伺いをしたいと思うんですけれども、この法律による都市機能集約化の促進に伴って、都市部とそれ以外の地域との間で低炭素化の取組に対する支援に格差が生じることになるのではないかという大変な懸念を持っております。
 政府、国の側から見ると、都市部でのCO2の排出が多いというのは実態なんだと思うんですけれども、一方で、その支援を受ける側について見ると、これは差はない。例えば住宅であっても、どこに建てるのか、たまたま、都市部で建てるのか、都市部以外のところで建てるのか、それによって支援策が変わってくるということになれば、これは支援を受ける側にとってみれば大変な大きな問題なのではないかと思います。
 低炭素化の必要性について申し上げると、都市部であるかどうかということによって大きな違いはないのではないかと思うんですけれども、格差が生じるような取組、取扱いになってくる、このことに対する懸念についてどうお考えになるのか、どう整理をされているのか、お伺いしたいと思います。
#77
○大臣政務官(津島恭一君) お答えを申し上げたいと思います。
 この本法案でありますけれども、市街化区域やあるいはまた市街化区域を設定していない地域に関連して発生するCO2発生の抑制を図ることを目的としております。公共交通網と一体となりまして住まいの身近なところに医療や福祉あるいはまた公共施設などがあるコンパクトシティーの形成を目指すものであります。例えば、市街化区域等とそれ以外の区域を結ぶ公共交通につきましてはその全体に支援を行うとともに、集約都市開発事業につきましては市街化区域等内を対象とするなど、その対象に応じて適切に支援をしてまいりたいと考えております。
 都市機能の集約化をどのように進めていくかにつきましては、各地域の実情に応じまして市町村が判断することとなりますけれども、地域全体として、都市の経済活力やあるいはまた地域の活力が維持されるような持続可能なまちづくりの取組を進めてまいりたいと思います。
#78
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 都市機能の集約化について、関連をしてまたもう一点お伺いをしたいと思うんですけれども、例えば高齢の方々などその移動手段が限られている住民の方々もいらっしゃいます。いわゆる買物難民のような方々もいらっしゃいます。そういった方々にとって、都市機能を集約をしていくということによって生活に困難が生じることはないのかどうか、この点も懸念がございます。
 それぞれの住民の方々の暮らしやすさという観点に立てば、場合によっては各地域の機能を適度に分散をさせた方がいいケースもあるのではないかというように思うんですけれども、その点どうお考えになっているのかお伺いいたします。
#79
○大臣政務官(津島恭一君) まず、先ほどもちょっとお答えをさせていただきましたけれども、一つ、コンパクトシティーを形成する、都市の低炭素化を目指すということでありまして、都市機能の集約をどのように進めていくかにつきましては、先ほども申しましたけれども、各地域の実情に応じましてこれは市町村が判断することとなりますけれども、都市の郊外での日常生活に必要な診療所や、あるいはまた商業施設等まで一律に市街地の中心部に集約することを狙いとしているものではございません。都市機能の集約化と併せまして、公共交通機関の利便の確保を図り、地域全体として持続可能なまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。
#80
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 今、御答弁の中にも、公共交通機関の利便の確保を図るといった話もございました。先ほど平山委員の方からも御質問ありましたけれども、例えばバス路線、それからLRTの整備というような御説明もございました。具体的にどのように進めていくのか。現状、なかなか進んでいないのではないかという懸念もあるんですけれども、具体的にどのように進めていくのか。特に、各地方自治体や事業者任せにするのではなくて、しっかり国であったり政府として公共交通機関の充実といったことについてどう取り組んでいくのか、それが大事なのではないかと思うんですけれども、その点、今後の進め方についてお伺いしたいと思います。
#81
○政府参考人(中島正弘君) 本法案と併せて公共交通にどういった支援をするのかという趣旨のお尋ねだと思います。
 もとより、法案におきまして、市町村が作成します計画の中で公共交通につきましてもしっかり書いてあるわけでございますけれども、それとは別に国交省としては公共交通への支援策を予算面でも講じていきたいと思っております。
 一つは、平成二十三年度、昨年度から創設しております地域公共交通確保維持改善事業、今年度はおおよそ三百三十億円余の予算を確保しておりますが、この予算を使いまして、地域の最適な移動手段を提供するための助成でありますとかバリアフリー化などを進めていきたいと思っております。またあわせまして、ハード面の整備、これも必要でございまして、駅前広場などの公共交通結節点の整備でありますとか、あるいはLRTそのものへの助成なども、これは社会資本整備総合交付金を活用して進めていきたいと思っております。この二つの事業を両輪としまして、本法案と連携して、今後とも公共交通機関の支援を進めてまいりたいと思っております。
#82
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 では、コンパクトシティーに関連をしてもう一問お伺いをしたいと思います。
 これまでも、中心部に人を呼び込んでいって都市を活性化をしていく、集約化をしていくという動きはあったんだと思います。一方で、今回の議論とは完全に並列で議論するということはできないんだと思うんですけれども、なかなか各地で取り組んできた中心市街地の活性化というのはうまくいっていない例も多いというふうに聞いてございます。
 これまでの取組をどう評価をされるのか、また、それを踏まえて今後、今回の法律も含めてどう取り組んでいくのか、お伺いいたします。
#83
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 中心市街地の活性化の取組についてのお尋ねでございますが、この中心市街地の活性化については、中心市街地活性化法に基づいて市町村で基本計画を作っていただくということになっています。その際に、その計画の中では、各市町村自らが目標を設定して進捗状況などについて自己評価を行う仕組みという立て組みになっております。
 それで見ますと、平成二十三年度において各地がフォローアップを行ったわけでございますが、その際に、市が目標として定めました、例えば来街者の数でありますとか、人口ですとか、人の通行量ですとか、いろんな指標があるわけでございますが、それらの指標から見る限りでございますが、全体として半分程度、設定した指標のうちの半分程度が基本計画の策定時点よりも改善している。しかし、一方でその効果がまだ現れていないというのもやっぱり半分程度ございます。
 今回の法案は、都市全体を低炭素化していくことを目的として各種の助成措置、支援措置を講じているところでございますけれども、今回の対象となる市街地の類型としては当然中心市街地もその対象として入るというふうに考えておりますので、これまで行っております中活法の各種の支援施策と併せて、今回の低炭素まちづくり計画で用意している枠組みも併せて活用していただくことによって中心市街地の活性化にも貢献できるのではないかというふうに考えております。
#84
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 最後に、低炭素化の促進ということで関連をして一問お伺いをしたいと思います。
 先ほど、別の観点でありますけれども、駐車場の整備という話もございました。低炭素化の促進という観点から、自転車の利用の拡大というのは大変重要なのではないかと思います。自転車用の駐輪場の整備でありますとか、自転車専用道、また場合によっては自転車専用レーンの整備といったことが大事なんだと思うんですけれども、一方で、諸外国、自転車が普及をしている国に比べると大変整備が遅れているというのが現状ではないかと思います。
 特に、都市部での低炭素化ということでいいますと、なかなか今の日本の現状を見ると都市部で自転車の利用が進んでいない。それは、インフラの整備、社会資本の整備がなかなか進んでいないというのが要因なんだと思うんですけれども、国土交通省として現状をどう把握をしているのか、また、今後しっかり取組を進めていくべきなんだと思うんですけれども、今後の考え方についてお伺いをいたします。
#85
○大臣政務官(津島恭一君) お答えをさせていただきたいと思います。
 自転車の利用環境の状況でございますけれども、駐輪場につきましては、収容台数は増加しているものの、放置自転車等まだ数多く見られるのも事実であります。また、自動車や歩行者から分離された自転車道等につきましては、先生御指摘がございましたが、延長が三千キロメートルとまだ僅かであります。
 自転車利用環境の創出は喫緊の課題ということは我々も認識をしているところであります。国土交通省といたしましては、自転車が安全で快適に利用できる環境の創出に向けまして、関係行政機関と連携いたしまして、駐輪場や自転車道の整備とともに、自転車の通行ルールの徹底など、ハード、ソフトの面からも取組を進めてまいりたいと考えております。
 特に、この本法案におきまして、低炭素まちづくり計画におきまして、歩いて暮らせるまちづくりを実現する一つの手段といたしまして、市町村が自転車通行空間等の整備を記載することにより、各地域において自転車利用環境の更なる整備が促進されますことを私どもも期待しているところであります。
#86
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 予算面という意味でもなかなかこれまでは不十分だったんだと思います。是非しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#87
○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。
 本法案は、社会経済活動に伴って発生をする二酸化炭素の相当部分が都市において発生していることに鑑み、都市の低炭素化を図るため、国の基本方針の策定、市町村による低炭素まちづくり計画、低炭素建築物の普及等を定めるものであり、我が党も基本的には賛成であります。
 都市の低炭素化という理念は評価できますが、具体的に本法案における都市の低炭素化とは何を意味していて、どのような目標を掲げているのでしょうか。また政策手段としてはどのようなメニューが規定されているのでしょうか。まず、伺います。
#88
○政府参考人(加藤利男君) お答え申し上げます。
 本法案におきまして都市の低炭素化とはということでございますが、これは、都市における社会経済活動等に伴って発生する二酸化炭素の排出を抑制するとともに、その吸収作用を保全、強化するということを意味しているものでございます。本法案では、このような都市の低炭素化の促進を図ることを目的とするものでございまして、地球環境に優しい暮らし等の新しい視点からまちづくりに取り組んでいくための第一歩を築いていくものと考えておるところでございます。
 このため、本法案においては、一つでも多くの市町村に低炭素まちづくりに取り組んでいただけるよう、各市町村に対して二酸化炭素の削減目標の定量的な設定を課すということではなくて、まずは身近な成功事例を一つでも多く形成して、その普及を図ることを目指していこうとしているところでございます。
 具体的には政策手段としてどのようなことがあるのかというお尋ねでございますが、これにつきましては、まず、低炭素建築物の認定制度を設けまして、蓄電池ですとか蓄熱槽など、低炭素化に資する設備について容積率の特例措置を講じると。それと、新築住宅について住宅ローン減税の最大控除額の上乗せをするといったような措置を講じております。
 また、低炭素まちづくり計画制度を設けておりますが、これにつきましては、都市機能の集約化を図るための集約都市開発事業に対する支援措置を講じていく、また、公共交通の利用促進といった観点からの手続の特例措置ですとか、太陽光パネルなどを設置するための公共施設の活用に関する特例措置などを講じておるところでございます。
 こうした措置を既存の様々な措置と組み合わせて総合的に講じることによりまして、都市の低炭素化の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
#89
○吉田忠智君 ありがとうございました。
 そもそも、都市部の集合住宅に見られますように、人口密度の高い都市の方が低炭素化していると考えるならば、都市内では郊外から町中に人口を集約する、そして、より広域的に言えば、農村部から地方都市へ、さらには地方都市から大都市圏へ人口を集める方が低炭素化に資するということになりかねません。都市の低炭素化が大都市圏への人口集中に拍車を掛けることになるという心配はないのでしょうか。総合的なバランスが重要であるとすれば、都市の低炭素化と並行して、都市部以外の地域における低炭素化の取組、政策が必要ではないかと考えますが、これは国交大臣の見解を伺います。
#90
○国務大臣(羽田雄一郎君) 本法案は、公共交通網と一体となって住まいの身近なところに医療や福祉、公共施設等があるコンパクトシティーの形成などにより、都市の低炭素化を目指すものであります。
 都市機能の集約化をどのように進めていくかについては、各地域の実情、これに応じて市町村が判断することとなりますけれども、都市の郊外で日常生活に必要な施設まで一律に市街地の中心に集約することを狙いとするものではありません。
 都市機能の集約化と併せて、都市の郊外部については、公共交通機関の利便の確保を図るほか、地域の実情に応じたまちづくりを進め、地域全体として持続可能なまちづくりに取り組んでいければというふうに考えております。
#91
○吉田忠智君 本法律に基づきまして、市町村は低炭素まちづくり計画を策定することになるわけであります。国交省から市町村に対して必要な助言の提供など、どのように支援していくことになるのか、伺います。
#92
○政府参考人(加藤利男君) 具体的に、具体的にといいますか、市町村がそれぞれ地域の実情に応じて作る計画にどうやって支援をしていくのかというお尋ねでございますが、私どもとしては、この法案の中でも盛り込まれておりますが、国が定める基本方針におきまして、低炭素まちづくり計画の策定に関する基本的な事項などについてできるだけ分かりやすく示していきたいと、そういうふうにしていきたいと考えております。
 また、市町村や事業者の皆さん方が都市の低炭素化に関する取組を行う上で必要となる、いろんな情報が必要になってこようかと思いますので、それらを収集したり、それを広く提供するといったような支援策についても積極的に行っていきたいというふうに考えております。
 なお、低炭素まちづくり計画の策定に係る経費についてもこれは補助するということとしておりますので、そうしたことを通じて円滑に地域の実情に合った形で低炭素まちづくり計画が策定されるよう支援をしてまいりたいというふうに考えております。
#93
○吉田忠智君 低炭素化に向けて、交通政策では例えばマイカーの流入を規制し、都市部での公共交通の利用促進などが必要ではないかと考えますが、国交省として公共交通の利用促進という観点からどのように取り組んでいかれるのか伺います。
#94
○政府参考人(中島正弘君) この法律におきましては、都市を集約化してマイカーから公共交通へというのを基本的に考えております。そのためには、今御指摘があったように、流入マイカーを抑制するのと併せて公共交通を使いやすくするという、この二つを進めていく必要があると思います。これまでもパーク・アンド・ライドの促進でありますとか、あるいはそのためのインフラ、駅前の整備でありますとか、バス走行空間、LRT、いろいろとやってまいりました。
 今後とも、これらに必要な支援を行ってまいりまして、少なくともこの法律で、これらの取組を総合的に実施するというその基盤をこの法律で提供することになっておりますので、市町村がこの法律に基づく計画を策定されまして、この中にも、今まで議論ありましたような集約型駐車場の設置とか、公共交通の位置付けとか書かれておりますので、この法律を活用していただいて、各市町村が低炭素化に向けた公共交通についての総合的な施策を取り組んでいただけるよう引き続き支援してまいりたいと思っております。
#95
○吉田忠智君 ソフト面のそういう公共交通の誘導策と併せて、ハード面におきましても自動車本体そのものを低炭素化していく必要があるわけでございます。具体的には、電気自動車の利用を政府として強力に推進していく必要があるわけでありますが、現状、国土交通省の自家用あるいは事業用の電気自動車の利用促進に向けた取組はどのようになっていますか。また、特に充電インフラの整備促進に向けてどのように取り組んでいかれるのか伺います。
#96
○政府参考人(中田徹君) 電気自動車の利用の促進についてのお尋ねでございますが、電気自動車は走行中にCO2や排出ガスを出さない極めて環境負荷の低い自動車でございまして、低炭素社会の実現やコンパクトなまちづくりにも適した交通手段であることから、国土交通省としてもその普及に向けて積極的に取り組んでおります。
 具体的には、エコカー減税によります自動車取得税、自動車重量税の減免等を行っているほか、地域のまちづくりと一体となった先駆的な取組を行う事業者等に重点的な補助を行うことによりましてその加速度的普及を目指しております。特に、電気自動車の運行に不可欠な充電施設の整備につきましては、本年六月に充電施設の配置の考え方や操作性、設置スペース等に関するガイドラインを作成、公表しまして、自治体や関係業界等に広く周知を図っておるほか、駐車場と一体的に整備する充電施設や運送事業者が導入する充電施設に対して支援を行っております。
 今後も、本法案に基づくまちづくりと一体となって電気自動車の普及の促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#97
○吉田忠智君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 関連して、私も大変関心を持っているものですから質問しますが、雪冷熱エネルギーの利活用促進についてでございます。
 法案では、未利用エネルギーの利用の促進として、都市公園等に太陽光パネルを設置する際の占用許可の特例が設けられます。言うまでもなく、自然エネルギーは地域ごとに適不適があり、全国的には太陽光が必ずしも適さない地域も少なくありません。例えば、豪雪地帯である北海道や日本海側では雪冷熱エネルギーが注目されております。本年三月には豪雪対策特措法も改正され、雪冷熱エネルギーの利用促進が盛り込まれました。
 雪冷熱エネルギーの利活用促進に関し、国交省としてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。また、更なる利活用促進に向けた課題としてどのような問題があるのでしょうか、伺います。
#98
○政府参考人(小島愛之助君) お答え申し上げます。
 電力不足の問題等を踏まえまして、自然エネルギーの利活用促進をこれまで以上に促進する必要が生じているところであります。その一環といたしまして、雪冷熱利用の促進に関する研究開発を行っておりますほか、雪冷熱を利用した施設の整備に社会資本整備総合交付金等による支援を行っているところでございます。更なる利活用促進に向けた課題といたしましては、冬季に降雪しました雪を夏場まで貯蔵するための貯蔵施設の初期費用並びにその設置スペースの問題等がございます。
 今後とも、関係機関と協力の上、先導的な取組に対して、地方公共団体等を支援してまいりたいと考えております。
#99
○吉田忠智君 是非しっかり支援をしていただきたいと思います。地域に適した様々な自然エネルギーの開発、利用促進に向けて政府全体で支援をしていただきたい、そのように思っています。
 この法案には基本的には賛成の立場でありますが、法案には、持続可能な都市を建設し、都市住民の生活の質を向上させるということよりも、公共事業や住宅市場対策、地域経済の活性化が前面に出ているという、そうした面ももちろん重要でありますが、いささかの懸念するところもあるわけでございます。
 今後も政府の取組に特に注目をしていきたいと思っております。そうしたことを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#100
○委員長(岡田直樹君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 都市の低炭素化の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#101
○委員長(岡田直樹君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(岡田直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#103
○委員長(岡田直樹君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、一川保夫君が委員を辞任され、その補欠として斎藤嘉隆君が選任されました。
    ─────────────
#104
○委員長(岡田直樹君) 海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航行に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。羽田国土交通大臣。
#105
○国務大臣(羽田雄一郎君) ただいま議題となりました海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航行に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 四方を海に囲まれ、諸外国と海を介して接している我が国にとりまして、周辺海域における海上の安全及び治安を確保することは極めて重要であります。
 このため、海上の安全及び治安の確保を任務とする海上保安庁においては、我が国の法令に違反する行為に対し、適切かつ厳正に対処すべく、従来より巡視船艇、航空機の整備や要員等の拡充に取り組んできているところでありますが、我が国周辺海域における外国船舶による領有権主張活動の活発化等、近年の情勢の変化に鑑み、海上保安官等の執行権限についても、その充実強化を図ることが必要となっております。
 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、警察官が速やかに犯罪に対処することが困難である遠方離島における犯罪について、海上保安官等が対処することができるようにするとともに、そのために必要な職務執行権限を付与することとしております。
 第二に、現在、船舶の乗組員及び旅客に対して認められている海上保安官の質問権について、船舶の所有者等のほか、海上の安全及び治安の確保上重要な事項を知っていると認められる者もその対象者に加えることとしております。
 第三に、近年の情勢の変化に対応して、領海や排他的経済水域において海上保安庁が行っている警備業務について、海上保安庁の任務及び所掌事務として明確化することとしております。
 第四に、領海において停留等を行うやむを得ない理由が明らかにない外国船舶があるときは、海上保安庁長官は、立入検査を経ることなく、当該船舶の船長等に対し領海から退去することを命ずることができることとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案を提案する理由です。
 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
#106
○委員長(岡田直樹君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#107
○植松恵美子君 民主党の植松恵美子でございます。
 今回のこの海上保安庁法改正につきましては、そもそもこのきっかけとなりましたのが、平成二十二年の九月に起きました中国漁船が尖閣諸島沖で我が国の海上保安庁の巡視艇に対して公務執行妨害を行った、この事件をきっかけとして、領海警備とか海上警察権のあり方についていろいろ検討をしようという会議が立ち上がり、そして、中間の取りまとめにおいて、それに照らし合わせて改正がなされたと思います。しかしながら、先般、八月の十六日にもまた同じようなというか、もっとひどいと私は思っているんですけれども、魚釣島への外国人の上陸をなされてしまっている。
 こういった事件を受けまして、この中間取りまとめをもう一度検討したり、見直したりする必要があるんではないかと思っているんですけれども、この必要性についてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
#108
○国務大臣(羽田雄一郎君) 昨年八月に海上保安庁が公表しました海上警察権のあり方についての中間取りまとめにおいては、海上保安官の執行権限の充実強化を図る制度改正に加え、海上保安庁における今後二十年を見据えた体制整備についての中長期ビジョンが盛り込まれております。
 これらの事項のうち、今回の法案は、早急に対応すべき制度改正について取りまとめたものであり、体制整備についてはこの中長期ビジョンに基づいて推進することとしております。
#109
○植松恵美子君 二十年の長期ビジョンに基づいて作られているから大丈夫だというふうに今御答弁されましたけれども、八月十六日の事件以降、メディアを通じまして、新聞とかテレビで政治家と言われる方たちが、今参議院でこの改正案を審議入りをしようとしていたと、もしこの法案がきちっと可決していれば何とかなったんじゃないかと、思わせぶりな発言が続いておりますけれども、じゃ、この法案がもし成立した後にあのような同じような事件が起こっていたとすればどのような違いが具体的にあったかということをまず教えていただきたいと思います。
#110
○政府参考人(鈴木久泰君) 今回の事案は、香港の活動家等が尖閣諸島周辺の領海に侵入し、魚釣島に上陸したのに対しまして、海上保安庁及び警察が活動家全員を逮捕したものであります。
 改正法が施行された場合、今回のような事案におきましては、まず活動家の船舶に対しまして領海外への退去を立入検査を経ることなしに速やかに命ずることが可能となるほか、今回は事前に情報がありましたので警察が陸上で待ち構えておりましたけれども、仮に警察の対応が間に合わない場合において、不法上陸に対して海上保安官が陸上で犯人を逮捕するということが可能になります。
#111
○植松恵美子君 それを聞く限りにおいては、今あたかもメディアとか新聞を読んでいる国民の皆様は、この法案が成立を仮にしていたならば上陸なんか許さなかったとか、もっと強い退去をさせるようなことができたんじゃないかという幻想を抱かせてしまっていると思いますが、実際にこの法案が成立したとしても、今まで現場でいろいろと運用面で工夫をして対処をしていらっしゃった保安官の皆様に、いわゆる現場の現実に法律がようやく今日追い付こうとしているという状況であると思います。
 そういった意味におきましては、今後、いわゆる活動家という方たちが再び日本に来てやると、そのように言って帰った、つまり今後もいろんな強硬策を立ててくるおそれがあるにもかかわらず、本来はもっときちっとした対策に基づいて法案を整備していく必要があるということを、もちろん反対しません、賛成はしますけれども、まず私は厳しい意見として申し上げさせていただきたいと思っております。
 その中で、今回の改正のポイントの一番大きな点は、遠方離島についていわゆる海上保安官が上陸をして、島の上でも、警察官を連れていかなくてもいろいろな職務執行権限を付与しているということについて挙げられていると思いますけれども、そもそも、じゃ、この遠方離島につきましてはどういった基準、ルールで指定をする、決定をするおつもりであるかを教えていただきたいと思います。
#112
○政府参考人(鈴木久泰君) 今回の法案の対象となります遠方離島でございますが、これにつきましては、法案が成立した後、施行までの間に海上保安庁長官と警察庁長官が告示をして定めることにしております。
 その考え方としては、具体的には、警察署、駐在所等の警察機関がまず存在しない、それから、警察の船舶又は航空機により迅速に対処することが困難である離島ということで考えております。都道府県警察も小型の船舶とか小型のヘリとかお持ちでありますけれども、それではなかなか簡単に行けないというぐらいの遠方離島ということで考えてございます。
#113
○植松恵美子君 そうしましたら、尖閣諸島は遠方離島でございますでしょうか。
#114
○政府参考人(鈴木久泰君) ただいま御説明した考え方によれば、尖閣諸島はそれに含まれると考えております。
#115
○植松恵美子君 そうしますと、尖閣諸島に外国人が近づいたり上陸しようとした場合は、このいわゆる海上保安官が警察権も持つということになると思いますが、じゃ、続けて聞きます。
 竹島と北方領土は遠方離島として指定するつもりでしょうか。
#116
○政府参考人(鈴木久泰君) 竹島及び北方領土は我が国固有の領土ではありますが、現状においてこれらの島に対して我が国の管轄権の一部を事実上行使できない状況にありますことから、今般の告示では指定しないこととしております。
#117
○植松恵美子君 私は、これ以上突っ込んで議論をしても国益に利さないことをこういった公の場で言うつもりはございません。ただ、ちょっと懸念をしている件があります。
 といいますのは、今、総理大臣始め、いわゆる国際司法裁判所において竹島をきちっと国際的な下で裁きを得て、我が国の領土であるということをちゃんと認めてもらおうということで働きを掛けております。もちろん、今の韓国の姿勢を見るとなかなかそれに応じるという可能性は低いと思われますけれども、これ、数十年たって、あるいは何十年たってか分かりませんが、万々が一こういった場で韓国と日本が出てきて竹島の領土について裁判で争うというふうになった場合、平成二十四年に作られたこの法律の中で、遠方離島としてはいわゆる竹島、あるいは北方領土もですけれども、含まれていない、警察権は行使するつもりがないということが書かれていたことが日本の裁判において不利になる可能性はないかどうかということを懸念しております。
 そういった意味においては、国際的に見てこれが非常に理論的にきちっと武装されていて、そして、竹島はだから遠方離島として今回の法案の中では、というか今回の法律に従って指定をしないんだということを、きちっと国際的に見て理路整然とした理由があったんだということを説明できなければならない。
 それは、将来において私たちがいろいろな足を引っ張ることになってはいけないという理由からなんですけど、そういった意味で、もう一度、なぜ竹島を遠方離島として今回指定するつもりはないかということをきちっと説明ができるように御答弁をいただいておきたいと思います。
#118
○政府参考人(鈴木久泰君) 先ほど申し上げましたように、竹島及び北方領土は我が国固有の領土ではありますが、現状においてこれらの島に対して我が国の管轄権の一部を事実上行使できない状況にあることから、今般の告示においては指定しないことを考えておりますが、これは、既に低潮線保全法という法律ができておりまして、それの低潮線保全区域の指定の際にも同様の考え方で指定を見送っておる経緯がございます。
#119
○植松恵美子君 分かりました。
 じゃ、尖閣においては、きちっと今後はそういった警察権も付与して、海上保安庁がそのまま上陸して捕まえることができると。まずは上陸までされないように、アタックさえもされないように、やはりこれは今後、いわゆる巡視をきちっと強化して対策を強化していく必要があるということは中間取りまとめでも言われていることでございますけれども。
 今、巡視船艇や航空機については非常に長期に使用していまして、耐用年数が超過して非常に老朽化が進んでいると思いますけれども、今後これらの代替整備は、当然のことながら装備の強化充実、増加が必要であると考えられますけれども、今恐らく予算は単年度予算でこういった装備品等を購入していると思うんですけれども、これは中長期的な予算を確保して、そして中長期的な計画に従って徐々に増やすなり新しいものに替えていく必要があると思いますけれども、国土交通大臣はこういったことについてはどのように今後主張していくつもりでいらっしゃいますでしょうか。
#120
○国務大臣(羽田雄一郎君) 海上保安庁の巡視船艇や航空機等の装備については、各年度ごとに必要となる予算を要求しているところであり、これまでも当初予算に限らず補正予算等も柔軟に活用して様々な業務ニーズに対処するための体制強化を図ってきたところであります。
 海上保安庁としては、昨年八月二十六日に発表した海上警察権のあり方に関する中間取りまとめにおいて、今後二十年間を見据えた体制の整備について中長期のビジョンを取りまとめたところであり、今後、体制整備についてはこれを踏まえて、財政状況等の環境を勘案しつつ、効率化を図りながら着実に進めていきたいというふうに考えているところであります。
#121
○植松恵美子君 先ほどの御答弁の中で、中長期的な、防衛省のような何年分でどういった計画を立てて、どういった装備を増強していくかということを、やはりまだできていない状況であるから御答弁の中になかったと思うんですけれども、是非、やはり防衛省と同じような予算取りの仕方ができるような仕組みをつくっていかなければならないと私は思っております。
 この海上、これは世界六位の広さを海上保安庁が守ってくださっているわけでございますけれども、年間の予算が一千八百億円。これは、東京都を守っている警視庁の予算が約六千四百八十四億円で、海上保安庁の約三・六倍警視庁が持っています。だから、これは東京都が尖閣諸島を買って自分が守るんだという主張が、この予算だけでは言えませんけれども、説得力を持つものになってしまうんですね。私はやはりもう少ししっかりとした予算確保をして、そしてこの広い海をきちっとした船とかヘリコプターとか航空機でもって守っていただきたいと思っております。
 あわせて、今いわゆる海上保安官の増員も必要とされております。中間取りまとめにおきましても、大型巡視船への運用司令科の設置におきまして増員が必要である、人的体制の増強を図ることが大事であるということを示されておりました。私が調べたところ、二十四年度の定員要求査定の概要には二百七十五名の増員が海上保安庁全体では見込まれているという回答がございましたけれども、実際、現場で働く方たちは約二百人の増員。ところが、よくもっと調べますと、その前に合理化によって二百五十七名が削減されていますので、純増はたった十八名という計算になりますが、これは正しいんでしょうか。
#122
○政府参考人(鈴木久泰君) 御指摘のとおり、海上保安庁の平成二十四年度末の予算定員が一万二千六百八十九人でありますが、これは、二十四年度の増員が二百七十五名に対し定員削減が二百五十七人ありまして、その差引き十八人が純増になって年度末に一万二千六百八十九人という形になるものでございます。
#123
○植松恵美子君 一万二千人以上の定員の中で十八名を増やすことによって増強を図っているということは非常に説得力のない状況だと思いますが、どうして二百人以上もが合理化されてしまったのか教えてください。
#124
○政府参考人(鈴木久泰君) 国家公務員全体の定員削減の中で海上保安庁においても所要の削減が求められたということでありまして、ただ一方で、二百七十五人の増員が認められてプラス十八になったというのは、通常の部局はどんどん定員が削減されておる中で、いわゆる純増官庁と言うんですが、純増になっている部局は限られておりますので、そういう意味では海上保安庁は一定の配慮をしていただいておるんではないかと思っております。
#125
○植松恵美子君 大臣、本当にそのように受け止めておりますか。本来、こういった警備とか非常に重要な部分に対しては合理化というのは不適切だと私は同じ党でありながら思いますけれども、大臣はどうお考えですか。
#126
○国務大臣(羽田雄一郎君) やはりそういう意味では植松委員と同じ気持ちもあるわけでありますけれども、海上保安庁として今後とも緊迫化する国際情勢等を踏まえて必要な要員の充実、これを図っていきたいと、こういうふうに考えております。
#127
○植松恵美子君 本当に原理主義者がどんなことを言ったとしても、ここは譲れないよということをきちっと主張していただければと思っております。
 その続きには、済みません、話ちょっと変わりますけれども、昨日の朝のニュースで、防衛省が来年度予算の概算要求の中で、水陸両用の車四台購入で約三十億円の予算とか、古い潜水艦の改修費用なんかを概算要求の中に入れたというふうに言われております。これは恐らくこの尖閣の問題等を受けて、ああ、こういったことを強く対策しようということで入れたと思うんですけれども、やはりこれ防衛省は防衛省でこういうものを対策します、海上保安庁は海上保安庁でこういうふうなところに予算を付けたいというふうに、ちょっとばらばら感が私はあると思っています。
 国を守るということ、あるいは海洋政策全体を見渡した上で、省庁の壁を取っ払って一回各省が集まって会議を開くべきだと思っておりましたら、二〇〇七年に海洋基本法が制定されて、全閣僚がメンバーで構成される会議、総合海洋政策本部がつくられて、総理が本部長を務めていらっしゃいますし、大臣は海洋政策担当大臣も兼務されていると伺っております。
 是非、この会議におきまして、これはもう全体的に、領土防衛、あるいは海底資源とか漁業、あるいは教育の問題まで至って、この領土に関することをきちっと一度議論をされて、無駄のない対策、そして対策の強化ということをなさるべきだと私は主張したいと思うんですけれども、大臣、どうぞリーダーシップをそこで発揮していただきたいと思いますので、最後に大臣の答弁をいただきたいと思います。
#128
○国務大臣(羽田雄一郎君) 海上保安庁において、海上自衛隊との間で不審船対処に係る共同訓練、また通信訓練等を実施しているほか、警察との間でもテロリストの侵入防止等を目的とした水際対策訓練を実施するなど、緊密に連携体制強化を図っているところであります。個別事案への対処においても適時適切に関係機関と情報共有を行うなど、緊密に連携しながら的確に対処をさせていただいております。
 引き続き、関係省庁とも緊密に連絡を取りながら、整備等も含めて情報交換をしながらやっていきたいというふうに思っております。
#129
○植松恵美子君 韓国は本当に国を挙げて一生懸命頑張っております。ですから、やはり日本もしっかりと、中国とか韓国に劣らぬように、しっかりとこういった連携を取って対策を打っていただきたいと思います。そういったことをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
#130
○藤井孝男君 たちあがれ日本の藤井でございます。
 今日は、自由民主党、そしてまた無所属の会の皆さん方に御配慮いただきまして、本法律案に対して質問の機会をいただきましたので、大臣始め皆さん方に質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、まず羽田大臣に率直にお伺いしますが、今般の中国、民間団体による船が領海を侵犯し、また残念ながら上陸まで許してしまったという、こういう一連の事件を振り返って、大臣としてどういう認識で今般の事件、おられるのか、まず基本的な認識をお伺いいたしたいと思います。
#131
○国務大臣(羽田雄一郎君) 尖閣諸島は我が国固有の領土であります。そこに上陸するということでありますので大変遺憾に思っておりますし、上陸を許してしまったということについては、しっかりと検証をして、今後の体制強化ということもまたしていかなければならないというふうに思っております。
 海上保安庁においては、警告また進路規制、放水規制、接舷規制、これを繰り返し適切に実施したにもかかわらず、今回、活動家等が上陸を強行したものであります。
 今回の上陸、先ほど言いましたように、遺憾であるというふうに思っておりますし、この事案をしっかりと検証した上で、様々なケースを想定して今後の警備体制や警備手法等に関する検討を行うよう、既に海上保安庁長官に指示をさせていただいたところであります。
 今後とも、緊迫化する国際情勢等を踏まえて、海上保安体制の充実強化を図り、領海警備に万全を期していくということでございます。
#132
○藤井孝男君 一言で申し上げますけれども、基本的な考え方は分かりましたけれども、私としては非常に不満であります、今のような大臣の答弁というのは。通り一遍のような、そういう答弁に終始していると思わざるを得ない。
 極端な厳しいことを言いますけれども、これは一昨年の九月の中国漁船によるいわゆる衝突事件といいますか体当たり事件ですね、こうしたときの、菅内閣のときでしたけれども、この対応のまずさというものが指摘をされ、そしてまた、一色正春という海上保安官によるビデオ公開等々によって、何をやっているんだという国民からの厳しい批判が出たわけですね。あれからもう二年たつわけであります。そして、私はそのときから今日まで、今日を含めてずっとこの問題について質問をしてまいりました。
 一言で言いますと、先に言いますと、結局これは民主党政権の怠慢ですよ、これ。要するに、危機管理も危機意識もないということなんですよ。
 先ほど渡辺委員からも、民主党政権が今、政権たるに足り得ないという一つの一環として、この海上保安庁の強化法というのが今年の二月二十八日に、大臣、これ閣議決定されて国会に提出されているんですよ。その前に、昨年の一月七日に中間方針というのが保安庁長官を中心とした中で発表されている。それに基づいて法律を作り、今年の二月二十八日に国会に提出された。そして今日、これ二時間ですよ、委員長、二時間でこれ採決になるわけですよ。
 じゃ、一体二月二十八日から今日まで、こういった問題が起きるということを想定していて、前回、二年前のあの漁船の体当たり事件というものを深く反省して基本方針を作り、そして国会に法律まで提出して、それが今までたなざらし。民主党の中でいろんな分裂だとか何とかといろんな問題があったでしょう。それからもう一つ、あえて言えば、三年間の間に五人も国交大臣替わっているんですよ、五人も。総理も三人というけど、国土交通大臣だけで五回替わっているわけですね、五人。前大臣もいらっしゃいますけれども。
 そういった中で、私はこれをずっと質問してきた。そのときはやります、やりますと言ってきて、そしてようやく、私は評価していたんですよ、国会に提出してくれたということで。ところが、それ以来ずっとたなざらしで来て、ようやく、つい最近衆議院を通して、今日、また十月に香港から、あるいはまた台湾からも抗議船あるいはそういった船が来るかもしれないということで、何とかこれを今国会で間に合わせて今日に至っている。
 言ってみれば、私は、民主党政権自身のこうした危機、領土領海、先ほど同僚議員が、民主党の植松議員も言っていたじゃないですか、こうしたものは毅然たるところは毅然として守らなきゃいけない、そして話合いに応ずべきことは話し合わなきゃいけない、大人の対応が必要ですけれども、そうしたことによってこういう法律を、ようやく第一歩、まだまだこれでは不十分であるけれども、しかし第一歩を踏んだと。しかし、余りにも遅過ぎると。ようやくここまで来たかなんという感じでは、今後とも民主党政権にこうした我が国の領海領土、そして国家の安全保障を守るという、そういう気概が全く私は足りないと、こういった厳しい意見を言わざるを得ない。
 このことについて、大臣、もう一度大臣の気持ちを述べていただきたいと思います。
#133
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回の法案については、私も第一歩だというふうに思っております。
 日ごろから危機感を持って質問をしていただいていることは重々承知をさせていただいておりまして、しっかりと御意見も踏まえながら対応していきたいというふうに考えております。
#134
○藤井孝男君 本当に後手後手に回ってしまうということは、私どもは、国民にとっては、一体本当に民主党政権は我が国の国土、領海、あるいは生命、財産を守ってくれるのかと、こういう非常に大きな危惧を感じているからこそ、私はそれをあえて私自身の言葉として今大臣に質問したわけであります。
 それでは、具体的に質問に入ってまいりますけれども、海上保安庁長官、先ほどももしこの法案が通っていれば上陸を阻止できたんじゃないかと、そういう意味では非常に残念な気持ちもあるんだろうと思います。
 しかし、私は、やっぱりこの問題をずっと質問してまいりましたけれども、今回の法案、これ一歩前進になるのは間違いありませんけれども、しかし、まだまだこれではとてもじゃないけれども阻止できることもできないかもしれないし、上陸を、あるいは不法侵入に対して、侵犯に対して。
 こういった意味において、今回の法律においては退去命令というのを、立入検査なしに退去命令ができるということですね。これは私、大きな、やっぱり現場を預かって領海を守ろうとしている海上保安庁員からすればすごくプラスの面にとらえられて、そして、いわゆる何といいますか、この間も威嚇の放水をしたり、あるいは武器使用にしても今回はどうもけがをさせないためが大前提であって、限界があって、結果的には上陸を許してしまったと。
 しかし、今度の法律が施行されていた場合には、その点についてもう一度、こういうことによって阻止できたんじゃないかということ、もし率直にお考えがあれば申し述べていただきたいと思います。
#135
○政府参考人(鈴木久泰君) 今回の外国船舶航行法の改正の部分でございますが、領海等で停留、徘回等を行った場合に立入検査を経ることなしに退去命令をかけることが可能となります。勧告をして従わなければ退去命令、退去命令に従わなければ捕まえて罰則を掛けるというような制度でありますので、この退去命令というのは非常に強制力のある、迫力ある措置だと思っていますので、改正法が成立いたしましたら、これをしっかり活用してまた次の事態に対応してまいりたいと考えております。
#136
○藤井孝男君 そして大臣、この問題、今度の法案について、今度の上陸されてしまった残念な事件でありますけれども、これは二つあると思うんです。
 今般の上陸は、いわゆる尖閣が中国の領土であるといった、そういったいわゆる活動家による上陸ですよね、これが一つある。今回象徴的に起きたと。もう一つは、あの地域、沖縄あるいは石垣島を拠点とする漁業従事者、とても今の状況では安心して漁業はできない。大変優良な漁業地帯なんだけれども、中国やあるいは台湾の多くの漁船が来て、もう我が物顔に操業してしまっている。そこに日本の漁船が入ってとても操業できない。やっぱり漁業の問題というのが一つあるんですよね。この二つを分けて考えなきゃいけない。
 ところが、今までの法律ですと、今度の法律を作っても、いわゆる入国管理法で基本的には対応するという話ですよね、いまだに。領海侵犯としての、警備としてのそういった建前でやるんじゃなくて、今度の法律が成立しても、基本的にはこの基礎となる前提は入国管理法が前提とした中での一歩前進の法案だと思うんですね。私は、そこのところを分けないと、同列で考えているということはおかしいことだと思うんです。
 漁業の安全保障の問題と、まさに我が国の領土であるという意図を持って侵入してくる場合、ここをどういうふうに分けて、どういうふうに具体的に今後対応していかれるのかどうか、その点について大臣の考え方、もしお答えできなければ海上保安庁長官でも結構ですけれども、お答えいただければと思います。
#137
○政府参考人(鈴木久泰君) 外国人活動家が上陸の意図を持って領海に侵入してくる場合に、まずは入国管理法の不法入国ということで対応するということになると思っておりますけれども、今回の法律が通れば、その領海の中でやむを得ない事由がないのに停留、徘回等をする、等というのは上陸を目指して突っ込んでくるというような行為も入りますが、そういう形で勧告をし、退去命令をかけるというような道も取れることとなりますので、それも活用しながら総合的に対応していくということになると思っています。
 一方で、外国人の不法操業、領海内不法操業については漁業関係法令の方で基本的には対応していくということになると思います。
#138
○藤井孝男君 何となく心もとない答弁ですね。ということは、この法案が成立してもまだまだ乗り越えなきゃいけない壁といいますか、そういうものがあると。
 私は、個人的にあえて前から言っておりますけれども、やっぱり海上自衛隊、自衛隊法の改正というのが一方でなければ、両々相まってこの領海あるいは領土の警備というのはできないと。
 今般、先ほど植松委員の方からも質問ありましたけれども、また長官の方から答弁もありましたけれども、要するに今回は時間があったから警察官乗っけたり、あるいは入国管理官も乗っけていたんですかね。そういうことで、何か待ち受けて、最初からそこでやるというのがもう分かっているような形になってしまっているものですから、マスコミや国民からも何だこれはと、一体日本て何やっているんだと。はい、いらっしゃいませみたいな感じで、はい、お上がりくださいみたいな感じで、はい、じゃ、退去していただきましょうみたいな、こんなばかなことをやっている国なんかあるかというのが、ある意味では外国からの見方だと思うんです。
 そういう意味で、私は、今の民主党政権のこういった、二年前のあの漁船の、何か沖縄の検察官ですか、次席検事が何か中国との外交問題を配慮して何とか何とかと訳の分からない対応をして、それを追認する形の菅政権がそんなことに、うやむやにしてしまったということが、結果的に今回もやっぱり同じような対応の印象を受けてしまった、そこに問題がある。ですから、今後、これが施行されて、この次に来るそうした不法漁船あるいは抗議船、そういった人たちに対するある程度の抑止力はできるとは思うんです。
 そこで、もうちょっと今度は具体的に細かく聞きますけれども、武器使用という問題がありますよね。その問題について、今度も放水をしましたけれども、あれは相当な圧力を掛けて、でも、私は映像でしか見ていませんけれども、ほとんど、何となく火事を遠くから消すみたいに、行く手の何か視界を遮るみたいな程度のことにしか見えないんですけれども、今度の法律が通った場合、そういったいわゆる放水についても、あるいは警告音についても、あるいはもっと退去命令に従わない場合は立入検査せずに逮捕といいますか、拿捕できるということなんですけれども。
 まず、武器使用についての今後の、今回の法案が通ったときにどう変わっていくのか。あるいは、不法侵入してきた漁船にしてもそうした抗議船にしても、これを必ず、今度の法案であれば退去命令に従わなかった場合は必ず拿捕するんだという、そういう基本的な考え方でいいのかどうか、そこのところ、お答えいただきたいと思います。
#139
○政府参考人(鈴木久泰君) まず、武器使用についてのお尋ねでございますが、海上保安官の武器使用基準につきましては警察官職務執行法を準用しておりまして、犯人の逮捕、逃走防止等の公務執行上必要な場合に合理的かつ相当な限度でのみ武器使用が認められております。こうした基準は国際的に見ても妥当な枠組みでありますので、この法律上の枠組みというのは武器使用については維持することが適当だと考えております。
 一方で、今お話のありました放水銃、それからLRADというんですが、長距離音響発生装置、ピンポイントで長距離に大音響を届かすような装置がございます。こういった、武器ではありませんけれども一定の有形力を持った装置につきまして、今回、内部規則も定めましてその使用手順等をきちっと定めたところでございまして、こういうものを活用して、不法上陸を目指すような活動家に対する規制の在り方というのもしっかりこれから対応を考えていきたいと考えております。
#140
○藤井孝男君 後の質問にちょっと答えていないんですが、そうしたいわゆる退去命令違反ということで断定した場合、船長、船を拿捕したりするわけですけれども、犯罪に問われるわけですけれども、今後としては、そうした退去命令に従わないそういう船に対して、いわゆる退去命令違反ということであった場合はもちろん、懲役でたしか一年以下ですか、あと罰金五十万以下とかってありますから、それで対応するのはいいんですけれども、今後とも、認識として、そうした船に対しては必ず、命令に従わない者は必ず拿捕するんだという認識でいいかどうか、そこだけお答えいただきたいと思います。
#141
○政府参考人(鈴木久泰君) 退去命令をかけまして、これに従わない場合は逮捕して罰則を掛けるということになると思います。
 ただ、今回の場合、上陸されてしまったではないかということで誠に遺憾でありますが、海上保安庁としては、上陸する前に放水規制をしたり接舷規制ということで、昨日ビデオも公開いたしましたが、何度も船べりを当てて、向きを変えて返そうということで頑張ったわけでありますが、更に強行上陸をされてしまったということで、なかなか無理やり突っ込んでくる船を止めるというのは、特に気象、海象条件が厳しい場合に、しかも事故もなくやろうとすると、かなり困難な作業でございます。今回はそういう意味では、現場の人間は、向かい風で結構波が高くて、ピッチングという縦揺れが厳しい中で接舷規制までやったというのは、限界まで頑張ったんじゃないかなと私どもは理解しております。
#142
○藤井孝男君 ここは微妙な解釈といいますか、今回の場合はどうしても、最初から双方にけが人を出さないということが大前提にあってこの方針が決まったというふうに私どもは受け止めざるを得ないような状況なんですね。それで果たして本当にいいんだろうかと。だから、この法律が通っていれば、もっと強い措置がとれるんじゃないかと。そういう意味の中で、今度の法案にそういった基本がなされているかということを聞いたわけですから。ある程度はそういうことできますがということですけれども、後半の部分は、やっぱりけがをさせないために、あるいは波が高かったり風向きがあったり、いろんなことで難しい面はあるのはもう十分承知しておりまして、そうなった場合にまたどうするかというのは、また今後の課題として残るわけでありますけれども。
 そこで、今度の法律案では、いわゆる質問権の拡大というのがありますよね。今度の場合も、たしか香港のメディアの人が乗っていましたよね。質問権の拡大ということになりますと、こうした外国人活動家の使用した船にそういった人たちが乗るというのは、今度は単なるその活動家だけじゃなくて、同船しているほかの、いわゆる今回はマスメディアですけれども、そういった人たちに対してもやっぱり、質問権の拡大ということで、そこにいるそういった人たちも含めてという理解でいいですね。
#143
○政府参考人(鈴木久泰君) 今回の改正では、今の現行法では乗組員及び旅客というのを質問権の対象としておりましたが、それ以外に船舶所有者とか犯罪や不正行為の関与者、陸上にいる者なども対象に拡大するというものでございまして、犯罪を犯そうとしているグループの一味といいますか、そういうメンバーみたいな者も質問権の対象にするということで考えております。
#144
○藤井孝男君 じゃ、今回の場合はマスメディアの方は対象外ということですか。
#145
○政府参考人(鈴木久泰君) 船舶に乗っておりましたので、船舶に乗っている者は現行法でも今は対象になっております。船舶に乗っておる者は、乗組員及び旅客は現行法でも対象になっておりますので、今回の改正は更に陸上にいる関係者みたいな者を対象にしようということでございます。
#146
○藤井孝男君 分かりました。結構だと思います。
 そこで、しかし、その関係者の母体がまた外国にある場合、外国に居住している場合、こういった者に対する質問とか質問権というのは、相手国があることだし、そういった点についてはどういうふうに対応しようと考えているんですか。
#147
○政府参考人(鈴木久泰君) 観念的には、国内外問わずこの質問権の対象になり得ると考えておりますが、なかなか海上保安官が外国に行ってまで質問するという事態は想定することは難しいかと思っております。
#148
○藤井孝男君 ここが我が国の一番ある面では弱い部分といいますか、非常に一方では毅然たる態度を示さなきゃいけない、そしてまた一方ではやっぱり外交という問題であり、また友好国という形を取っていきたいと、いろんな隣国との関係は非常に微妙なところなんです。これは中国だけじゃなくて、韓国との問題、あるいはロシアとの問題も同じ共通点、悩みのところがあることは私も十分承知いたしております。
 しかし一方で、この竹島の問題はもちろんでありますけれども、北方四島の問題もそうでありますけれども、やっぱりここで日本人が、日本国という国がいかに領土領海を守る厳しさ、そしてまた、海洋国家であり、世界で六番目の海洋面積を持っている国でありながら、こういった事件が起き、一方では不当にもう占拠されていて実効支配されている。
 唯一この尖閣諸島だけは何とか日本の有効支配が、実効支配とはあえて、そこまで行っているというならば、あそこに基地を置き、港を置き、あるいは自衛隊員を常駐させる、あるいは海上保安庁職員がやっぱり常駐するとか、そういうことによって、これは我が国の固有の領土であるから当然のことなんですけれども、そこまでは行かないというのは、有効支配が何とか保たれている状態。しかし、これも、ちょっとでも気を緩めたら、もう中国であれ、あるいはほかの国であれ、この尖閣諸島を領有するという、そういうことを行動に移してくるということで、これは決して私はひるんではいけないと思っています。
 そういう意味での、羽田大臣、先ほどいろいろ検証して今後のいわゆる日本の領海領空を守っていくための一応決意の一端を聞きましたけれども、改めてこれは、大臣としての言葉というのを、羽田雄一郎として、政治家として、それから政権政党のそしてまた大臣でありますけれども、そういった意味でのやっぱりそういった毅然たる気持ちをここで、是非この公の場で発信していただくことが大事なことだと思いますが、いかがですか。
#149
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回の海上保安庁の行動も、上陸については許さないということで対応してくれたというふうに思っておりますが、残念ながら座礁も辞さない形で強硬に活動家の船が尖閣諸島魚釣島に突っ込んだというか、そういう事案でありまして、あの波の高い中、大変厳しい中でも接舷規制までしてやってくれたというふうに私は思っております。
 これからもしっかりと、法令にのっとるということは大変重要でありますけれども、毅然な対応をしていかなければならないというふうに思っておりますし、今回の教訓もしっかりと生かして対応していきたいというふうに考えております。
 今回、先ほど藤井委員が言われた、警察官とかが尖閣にいたのは、上陸していたのは、上陸させて捕まえるというような対応だったんじゃないかと、甘いんじゃないかというお話も、まあ世間からも言われているわけでありますけれども、実は、小泉総理時代に上陸されたときに警察官を連れてくるのに十二時間も掛かりまして、その間にいろいろなことが起こりました。そういう中で、その教訓を生かして、今回は波も高い気象状況とかもある中でしっかりと対応しなければならないということで配置をしていて、すぐに十五分で捕まえたと、逮捕したということであります。
 そういう意味では、今回の教訓も生かしながらしっかりと対応していきたいというふうに思っております。
#150
○藤井孝男君 私はウエルカムと言っているつもりで質問したわけじゃないんで、要するに、現行法だと結果的にそれしか対応できないと。しかも、今回は、香港を出港したのがもう分かっていて、何日後には来るということが分かっていて、これをどういうふうに取り締まるかというのは、現行法のできれば公務執行妨害でやれればよかったけれども、そこもいろんな意味において政府が決断したことだから、それは政府が決断したことであるけれども、本来であれば、先ほど私が言いたかったのは、要するに、この法律が少なくとも通っていればもっと別な対応ができたんじゃないかという意味で申し上げたので、何もウエルカムで何もしなくて待っていましたという話は、私はあえてそれを言ったつもりはありません。むしろ、そういうことの気持ちが、国民にそんな気持ちを抱かせること自体が問題だということを私は言っているわけなんです。
 そこで、ちょっと海上保安庁長官に基本的なことを聞きますけれども、今後、人員の補強だとか整備を更新だとか、今度も九州の方の船を、名前を変えて最新の巡視船を石垣の方に、尖閣の方に配置換えしたとか、大変苦労されたと思うんですけれども、特に海上保安庁の航空ですね、石垣島は今たしか空港を整備しているところですね。これはいつごろ千五百メーターが二千メーターになるんですか。これ、分かりますか。
#151
○政府参考人(鈴木久泰君) 石垣島で新空港を造っておりまして、今、千五百メーター滑走路のものを二千メーターにする工事をしておりまして、多分今年度中には完成するのではないかと思っております。
 それで、それに合わせまして、私どもの石垣航空基地も新空港の方に移しまして、新しい立派な格納庫と基地を整備、今しておる最中でありまして、これができますれば石垣の航空体制も格段にまた強化されることになると考えております。
#152
○藤井孝男君 保安庁長官、こういうことが大事なんです。具体的に千五百メーターの空港が二千メーターになると。そうすると、海上保安庁の航空部隊の方も、立派な格納庫、あるいは洗浄を含めて、すぐに発進できて、すぐに交代できて、そしてそれが相手国にも知れ渡りますから、そういった意味で、相手国は我が国のそういった法整備の体系を熟知しているんですよ。その穴を狙ってくるんです。
 だから、少しでも、毅然たるそういった態度を示すことは当然でありますけれども、体制整備が着実にこうやって行われているということであり、また法律も通ったとなれば、そう簡単に、ただ抗議に来るとか、不法に漁船が入ってきて好き勝手なことやることがしっかりと取り締まれるような、そういう法体系を、あるいは設備、そうした空港の整備は単なる石垣島の観光を増やすということじゃなくて、まさにこういった島嶼防衛にも大変重要な役割を、海上保安庁にとっても非常にそういった意味では機能的に、機動的に対応できるということを私は申し上げたい。そういった具体的なことを着実にやっているということを言っていくことが大事だと思っております。
 何かありますか、補足すること。
#153
○政府参考人(鈴木久泰君) 先ほど御質問の新空港の開港時期でありますが、来年三月を予定されておりまして、今御指摘がありましたように、新しい航空基地では、飛行機の塩分を取り除くために、毎回出動して帰ってくるとうちの職員が手洗いでやっておったんですが、これを機械で洗えるような装置なども付けまして、しっかりと体制整備を図ってまいりたいと考えております。
 また、それ以外の石垣の船艇、それからさらには十一管区全体の船艇、航空機の整備についてもしっかりと進めてまいりたいと考えております。
#154
○藤井孝男君 最後に、大臣の方に質問をしたいと思います。
 冒頭にちょっと厳しいことを言いましたけれども、過去のことを幾ら振り返っても、もう起きたことを、反省し、またそれをどう対応していくかということは将来に向けて大事だと思っております。
 そこで、昨年一月七日に海上保安庁が発表したといいますか、中間発表、いわゆる海上警察権のあり方に関する検討の国土交通大臣基本方針というんですか、正式に言うと。それの中でこういう部分があるんです。外国船舶の無害でない通航にさらに的確に対応するため、政府全体における検討が必要ではないかと。これは先ほど植松委員からも話がありましたように、平成十九年に海洋基本法というのが成立されてきた。そして、そういったことに基づいて、今度のこの問題を一つの大きな契機に、反省材料で、また前向きに検討していくと大臣の言葉もいただきましたけれども、総合的なやっぱりいわゆる領海侵犯に対する防御とかあるいは整備の在り方とか人員の配置だとか、そういうことをやっぱり私はもう、これたしか安倍内閣のときに設置されたんだろうと思いますけれども、総合海洋政策本部というのがありますね、ここを羽田大臣、それこそあなたが中心的な存在となって、そのためにはどれだけの予算が必要なのかと。海上保安庁の予算が先ほど大変小さいものだという話がありましたけれども、それと同時に、いかに効率的に、効果的な、そして予算としても堂々とやっぱり私は請求していくべきだと。そして、こういった全体的な、もちろん海上自衛隊との話合いも関係官庁との話合いも調整も必要でありますけれども、それを大臣が中心となって私はリーダーシップを発揮してもらいたいと思いますが、その点について、最後にこのことについてお答えをいただき、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#155
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今言われたとおり、海上保安庁を所管する大臣としても、また海洋政策担当大臣でもございます。そういう意味では、しっかりと関係省庁、政府で一丸となって対応を考えていかなければならないというふうに思っておりまして、その中でしっかりとリーダーシップを取ってやっていきたいというふうに思います。
#156
○藤井孝男君 終わります。ありがとうございました。
#157
○谷合正明君 公明党の谷合です。
 まず、私も、日々昼夜を分かたず現場で、特に海上保安庁の現場の職員の方が我が国の領海警備を通じて我が国の主権を守ると、そういう任務に当たっていただいていることというのは本当にその労をねぎらいたいと思いますし、敬意を表したいと思っております。
 昨日、国会で香港の活動家の尖閣諸島の上陸の映像がビデオ公開されまして、私も視聴をいたしました。率直に言って、上陸を防げないものなのかなと、全く私は現場に行ったこともありませんし、ビデオを見た中での感想でありますから、本当はいろいろ困難な部分があったのかもしれませんが、そういう率直な、感想としては持ちました。
 大臣、我々は三十分の編集物を見たわけですね。巡視船の中から撮った映像というのは見ておりません。遠目から見た映像を見させていただいたわけでありますが、大臣は、この三十分の編集物に加えて、例えば逮捕の瞬間であるとか、あるいは別の角度の映像というのは御覧になられたんでしょうか。
#158
○国務大臣(羽田雄一郎君) 全てを見たわけではありませんけれども、ほかの部分も見させていただいている部分もございます。
 ただ、今まで活動家の関係のビデオについては、海上保安庁としても出していなかったと、情報公開はしていなかったというのが現状であります。そういう中で、今回三十分に編集したという中で皆様には御提供させていただいたということであります。
#159
○谷合正明君 それで、御覧になられた感想というのはどんなものでしょう、大臣。率直にどのように思われたのかということを披露していただきたいと思います。
#160
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回は大変荒波でもあったということで、尖閣に向かうときに波が高くて、当日は東から風が強く吹いておりまして、この同船が魚釣島に接近しているときは向かい風でございまして、船体が大変動揺が大きくて接舷を伴う規制というのも大変厳しい状況の中での放水ですとか、放水規制また接舷規制も強行したところでございます。
 たまたま皆様に見ていただいたものは、手法が余りにも分かると今後の海上保安庁の対応について支障が出るということで、元々は海上保安庁としてはビデオを公開しないという方針を立てていたわけでありますけれども、捜査も終了したということも含めて、今回は捜査手法の部分を少しカットさせていただく中で三十分に編集をしたものを提出をさせていただいたということでございます。
 放水規制についても、あれではというお話がございましたが、実は相当やっておりまして、ほかのものは余りにもちょっと出せない部分もあるということでございまして、そのことについては御理解をいただきたいというふうに思っております。こういう手法をやったんだという部分だけ国民の皆様に理解をしていただくために出したものであります。
#161
○谷合正明君 状況の説明は分かるんです。答弁書を読んでいただくと分かるんですけれども。率直にどのように大臣が思われたのかというのを、率直な思いを披露していただきたかったなと思っているわけでして、これ、次また彼ら再上陸するというような旨も、報道によりますと再上陸するんだと言っておりますが、これ再上陸阻止できるというふうに大臣は思われますか。
#162
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回も上陸はさせないという基本方針の中でしっかりと対応していただきましたけれども、残念ながら強行されました。今回の教訓も踏まえてしっかりと対応していきたいというふうに思っておりますし、上陸をさせないという基本方針は変わりはありません。
#163
○谷合正明君 上陸させないという基本方針だと、再上陸をさせないという方針で次も臨んでいくということだと思いますが、質問の順番ちょっと逆になりますが、日米安保の第五条、よく引かれますけれども、尖閣は日米安保の範囲内だと。ただ、この日米安保の第五条というのは、日本国の施政の下にある領域というふうに書いてありまして、当然日本国の施政にあることが大事でありまして、そのためには当然国境警備というものをしっかり行っていくことが当たり前といったら当たり前なんですけれども、ですからその再上陸を阻止するためにいかなる手段を講じていくかと。今大臣の方からの答弁は今回を教訓にということでありますけれども、もう少し具体的に再上陸を阻止するためにいかなる手段を講じてどのような体制を構築していくのか、どういう考えなのかということを答弁していただきたいと思います。
#164
○国務大臣(羽田雄一郎君) 海上保安庁では、従来より尖閣諸島の周辺海域に大型巡視船等を常時配備をしており、情勢に応じて哨戒体制を強化するなど厳正かつ的確に警備を実施しております。私からは、今回の事案をしっかりと検証した上で、様々なケースを想定して今後の警備体制や警備手法等に関する検討を行うよう、既に海上保安庁長官に指示をさせていただいたところであります。
 今後とも、緊迫化する国際情勢等を踏まえ、海上保安体制の充実強化を図り、領海警備に万全を期していく所存であります。
#165
○谷合正明君 今回、海上保安庁は、警告、進路規制、放水規制、接舷規制と、取るべき手段は取ってきたという説明があったわけでありますけれども、そのプロセスが何かプラスアルファで加わることはないと思うんです。
 ですから、何が次、教訓として、何というんでしょうかね、巡視船の数を増やすのかとか。ただ、今回三隻もいながらやっぱり難しい部分があっただろうと思いますので、本当、具体的に再上陸を阻止するために何ができるのかと。極端な話、いや、実は強行的にやられると難しいんですというお話なのか。その辺、ちょっとお答えいただきたいんです。
#166
○政府参考人(鈴木久泰君) 具体的な今後の手のうちを御説明するわけにまいりませんが、今回の教訓として一番我々想定外だったのは、彼らが本当に座礁も辞さずというような形で真っすぐ島に突っ込みまして、本当に岩礁に乗り上げるような形で船を止めて、そこからもうすぐに、ちょっとだけ泳いで渡るぐらいの形で上陸をいたしました。また、そのままバックをして、また向きを変えて逃げていったのでありますけど、これはビデオでも映っておりますが、これは想定外でありまして、とても私ども巡視船ですと、あんなことをすると本当に壊れかねないというようなやり方であります。どうも中国の漁船は、結構そういう港が多いらしくて、かなり船底なんかも強くできておるということのようでありますけれども、そこは想定しておりませんでした。
 ですから、そういう事態も十分今後想定をして、しっかり早め早めの対応を考えていくというふうなことを検討するべきだと考えております。
#167
○谷合正明君 続いて、先ほどの遠方離島について、これ尖閣が含まれるという話がございましたけれども、尖閣以外に具体的な場所というのはどこを検討されているのでしょうか。全体に何か所ぐらい検討されているんでしょうか。
#168
○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 告示で指定いたします遠方離島は、警察機関が存在せず、かつ警察の方が自らの船艇や航空機で迅速に行けないというような遠方離島を考えておりますが、これを、本島以外に附属島みたいな小さい島や何かもたくさんありますので、海域を緯度、経度で指定しまして、そこにある離島というような形で、陸域というような形で告示をしようと考えております。
 そうすると、例えば尖閣なんかはまとめて一つの海域ということで指定をするわけでありますけれども、そういった海域が今検討しておりますのは二十海域ぐらいあるかなと。例えば、南鳥島とか沖ノ鳥島とか長崎の男女群島という、五島列島のはるか沖合にありますが、そういったところを含めて二十個ぐらいの海域を指定しようと考えております。
#169
○谷合正明君 その対象の区域は、この対象の範囲は、これ絶えず見直しをしていく必要もあるとは思うんですね。一回決めて終わりというわけじゃ、当然そうではありませんから。その見直しのためのモニタリング等、また時期的なスケジューリングを含めてどのように考えていらっしゃるのか、答弁していただきたいと思います。
#170
○政府参考人(鈴木久泰君) この遠方離島につきましては、今後の領海警備情勢等を勘案しつつ、その範囲とか、あるいは警察との連携の在り方等について、時宜に応じてしっかりと見直しをしていくということで考えております。
#171
○谷合正明君 それと、今回の法律案で、最後に確認しますけれども、今回の法律案が施行されますと現行の第二十七条、第二十八条、第二十七条というのは関係行政省庁の連絡、協議、協力の規定であります。また、第二十八条は指揮系統の規定がありますけれども、ここに基づく運用というのは実際どのように変わるのかということをちょっと確認させていただきたいと思います。
#172
○政府参考人(鈴木久泰君) 現行の海上保安庁法二十七条、二十八条では関係行政庁との協力等について定めておりますけれども、これは例えば海上保安庁と警察がそれぞれの見解に基づいて共同して警備や捜査を行うという場合について定めたものでございます。
 これに対し、今回の改正は、遠方離島上における犯罪に対して海上保安官が自ら対処できるように陸上における捜査権等を付与するものでありまして、これを使いまして、もちろん警察とも連携をしながら、しっかりこの遠方離島上における犯罪に対応してまいりたいと考えております。
#173
○谷合正明君 もう一つ、尖閣の話題とは違うんですが、朝鮮半島の有事の際に大量の避難民が発生するという想定が、これは一九九四年の内閣安全保障室で大量避難民対策についてというところから議論されているというふうに承知をしております。今、差し迫って北朝鮮の方から避難民が来るという状況にはないかもしれませんが、しかしながら、大量の避難民が発生した場合に、通常、海上ルートで日本に来るということを想定するのであれば、身柄の保護から様々なステップがあるわけですね、応急物資の支給であるとか、身体検査の実施とか、上陸手続とか、入管、税関、検疫、保護施設の設置、運営、庇護すべきか否かのスクリーニングと、様々なプロセスがあるわけでありますが、大量の避難民が発生した場合に対応できるのか、まず内閣審議官の方に尋ねたいと思います。
#174
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
 内閣官房におきましては、我が国に大量の避難民が流入した場合を想定いたしまして、関係省庁と連携して対応の方策を検討してきているところでございます。また、その対応方策につきましても、情勢の変化に応じ、随時見直しを実施してきているところでございます。
 基本的な手順について若干具体的に申し上げますと、第一段階として避難民の身柄の保護、それから水、食料等の応急物資の支給、それから身体検査の実施等を行います。それから第二段階として、入管、税関、検疫による上陸手続を行うと。第三段階として、収容施設の設置及び運営、そして我が国が庇護すべき者等に当たるかどうかについていわゆるスクリーニングを行うといった対応を取ることを想定しているところでございます。
 これらの対応を適切に行うためには関係機関との緊密な連携が肝要でありまして、連携の在り方については今後も引き続き検討してまいる所存でございます。
 以上でございます。
#175
○谷合正明君 そこで、海上保安庁の役割、体制であります。
 北朝鮮の体制崩壊に伴って、実は毎月、例えばの話です、毎月数千人という単位で海上ルートで避難してくるんではないかと。この毎月数千人というのはすごい数で、実はインドシナ難民のときは年間で最大数百人規模だったわけですね、ボートピープルというのは。その規模をはるかにしのぐ数を想定しなければならないというわけであります。
 じゃ、海上保安庁が対応できるのかということなのでありますが、ちょっと確認させていただきたいと思います。
#176
○政府参考人(鈴木久泰君) 今、内閣官房の方からもお話ありましたように、政府全体としてこの避難民の対応について検討しておりますが、海上保安庁としては、その第一段階の避難民の身柄の保護、身体検査、応急物資の支給といったところを、特に、今委員御指摘のように、海上からやってくるわけでありますので、海上保安庁を中心になってこれを対応せにゃいかぬと考えております。したがいまして、必要な勢力を投入して、関係省庁とも十分連携しながらこれに対応するということで考えております。
#177
○谷合正明君 日本海の余りにも広大なエリアを海上保安庁の船が対応できるのかというと、まあそう簡単に、しかも小舟で来られた日にはそうそう簡単に対応できないのではないかなと思っております。
 小舟の話をしましたけれども、ついここ近年においても小型の木造船で我が国の領海に入ってきたのかな、北朝鮮からですね。ところが、この小型の木造船というのは巡視船のレーダーではなかなか捕捉できないというふうに承知をしております。これ、仮に小型の木造船が不審船であったとか、あるいは領海領土に侵入を目的に来るということであれば、海上保安庁の巡視船が今後そうした小型の木造船に対してどのように捕捉、対応ができるのか、ちょっと検討状況を教えていただきたいと思いますが。
#178
○政府参考人(鈴木久泰君) 委員御指摘のとおり、我が国の周辺海域は極めて広大でありまして、レーダーに映りにくい小型木造船を発見することは困難な状況でありますが、海上保安庁では、平素から関係機関と連携して北朝鮮関連情報の収集、把握や巡視船艇、航空機による厳重な哨戒に努めております。
 ただ、我々の力だけでは限りがありますので、不審な船舶をできるだけ確実かつ早期に発見できるように、海事・漁業関係者や沿岸住民等の協力も不可欠でありまして、平素から一一八番緊急通報という、一一八番に掛けると、消防とか警察のように私どもにつながるという、これを呼びかけておりまして、実際に、昨年の九月に九人の脱北者が小型の木造船で能登半島沖に流れ着いた事案では、一一八番通報により我々が早期に把握、対応した事態もございました。
 こういうものを活用しながら、何とか早期に発見して、しっかりこれに対応するということでやってまいりたいと思っております。
#179
○谷合正明君 最後に確認しますが、その避難民が純粋な避難民であればいいんですけれども、一部例えば武装避難民ということも想定しなければならないわけでありますが、その際に、最初にやはり海上保安庁がそこを、武装しているかどうかというところの確認をすることになるんだとは思うんですが、海上保安庁のそうした体制、あるいはそのリスクは大きくないのか、そういったことについて御答弁いただければと思います。
#180
○政府参考人(鈴木久泰君) 事態の個別具体的な状況によりますけれども、一般的には、相手船の外観調査等を入念に行い、不測の可能性も考慮して必要な装備、勢力を整えて、安全を確保した上で相手船を停船させ、必要な検査等を行うということでやっておりますが、北朝鮮の不審船に対応する体制としては、不審船対応ユニットというのを、二千トンと千トンと二百二十トンの高速船二隻、四隻をワンユニットとして三ユニット、日本海側と九州西方海域に用意しておりまして、こういうのでしっかり体制を整えて対応してまいりたいと考えております。
#181
○谷合正明君 時間が参りましたので終わりますけれども、あくまでも今回の海上保安庁の改正法案というのは一つのステップにすぎなくて、これからの本当に我が国の領海領土を守っていくという部分においては、しっかりと党派を超えて事に当たっていかなければならないということを決意させていただきましたし、政府においてもしっかりと万全の体制で次の再上陸の阻止の体制をしっかりとしいていただきたいと思います。
 以上です。
#182
○藤原良信君 大臣、よろしくお願いいたします。
 私は、この法律は、我が国の安全保障の観点から、それを確立していく上で大変必要性があるということを前提として御質問させていただきます。課題等も、これを拝見をいたしますと、このこともちょっと目に付きますので、これを踏まえてちょっと見解を改めてお示しをいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 かねてから私は、日本の海洋資源というのは相当これは確実視されている、しかも膨大であると。排他的経済水域が世界の中では六番目の領土と、国土ということで大変大きな面積を有しているわけでありまして、その中に鉱物資源からいろんなエネルギー資源等、今分かる段階でも相当量がもう分かってきていると。
 当然、そういう中で、近隣の諸国が、特に具体的には中国や、あるいは韓国等でございますけれども、いろんな動きにそれがつながってきているように拝見をいたしておりました。よって、いろんな法整備をして、国土の保全、安全保障ということを確立していかなきゃならないということは皆さん同じだと思います。そういう意味合い等もあってのこの法律案の改正ということが今回提示されているんだと承知しております。
 そこでなんですが、大臣、だとすれば、今回この法律を改正することによって、我が国の主権の確保、どのような成果を見込んでこの法律を出す、改正法案を出されたかということをまずお示しをいただきたいと思うんです。
#183
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回の改正は、遠方離島上で発生した犯罪に海上保安官が対処できる仕組みや、外国船舶に対して領海外への退去を速やかに命ずる制度の導入などを目的とするものであります。
 これらは、緊迫化する国際情勢を踏まえ、現場における海上保安官の執行権限の充実強化を図ることにより領海警備を厳正かつ的確に行うことができるように措置するものであり、我が国の主権確保に資することとなるというふうに考えております。
#184
○藤原良信君 今大臣の御説明のような成果につながっていくことを期待をいたします。
 そこで、長官、お尋ねいたしますけれども、この法の改正につきましては、平成二十三年の八月、海上保安庁の海上警察権のあり方についての中間取りまとめがございましたですね、その内容が反映をされているものと承知いたしております。これは、今大臣が御説明をされましたように、海上保安庁が業務を的確に遂行するための目途で、海上保安庁の執行権限の強化、これ一点、それから将来を見据えた体制整備、これが二点目として提言されています。
 そこでなんですが、海上保安庁の執行権限の強化につきましては、法律改正を要するものと、現行法の下で内部規則の改正を行うものとに分けられていますね。法律改正につきましては、大方全てが本改正案によって処置されるものと思います。内部規則の改正で対応するものとしては大きく分けて五つございますが、これは細かく申し上げませんが、その中で、お尋ねしたいんですが、一点だけ改正の可否を含めて検討中のものが一つありますね。それは、武器使用に関する近年の領海警備情勢を踏まえた内部規則の必要な改正というような項目があるんですよ。これが、今回は見送っております。
 私はこのことについてお尋ねしたいんですが、改正が行われないというこのことにつきましてはどういう点が課題となったものでしょうか。これ、一点です。
 それから、既に行われた内部規則の改正や通達改正等の処置によりまして具体的にどのようなメリットが生じているのかということも併せて聞きたいんです。特に、今回の尖閣事案の対応に対し具体的にどのような成果があったのかということです。
 これ、併せてまずお尋ねをいたします。
#185
○政府参考人(鈴木久泰君) お尋ねの内部規則の改正でございますけれども、これもまた我々の手のうちを明らかにできないという部分から余り詳細な御説明はなかなかしにくい部分がございますが、まず武器の使用基準につきましては、警察官職務執行法を準用しておりまして、国際的に見ても現行の枠組みを維持することが適当な状態にありますので、先ほど御説明しましたように、武器に至らない有形力を行使する放水銃や長距離音響発生装置について具体的な使用方法や手順を内部規則において今回定めたところでございます。
 それからさらに、内部規則の改正につきましては、船舶の停止、移動等の強制的措置に関する運用を見直して機動的かつ適切な事案への対応を図るほか、停船措置の際に使用する警告弾、催涙弾等の使用方法や手順を定めることにより事案に即した実効性の高い停船措置を可能とするなどの措置を既に講じたところでございまして、こうした改正について現場でしっかりと活用を図ってまいりたいと考えております。
 今回も放水銃を使って放水規制等いたしましたので、この放水銃の使用方法を定めたというところは今回のケースでも生かされておるものと承知をしております。
#186
○藤原良信君 そうしますと、ただいまの御説明では、武器使用に関する分野については今後検討を進めていくということのとらえ方でよろしいんですか。
#187
○政府参考人(鈴木久泰君) 武器の運用基準や内容についてなかなか具体的に申し上げることは難しゅうございますけれども、例えば武器を使用する以外にほかに適当な手段がないと認められる場合に、一定の要件の下で威嚇射撃という、上空に向けて撃ったり海面に撃ったりという、そういう威嚇射撃をうまく行えるように内部基準を検討するというふうなことを考えております。
#188
○藤原良信君 これ以上この件については突っ込んで御質問はいたしません。
 いずれにしろ、五つの課題については、これは改正するものが四つ、それから今の武器についてはこれから検討はしていくというふうになっているものですから、一つだけ改正対象となっていないということで御質問をさせていただいたわけでございます。
 それから、大きなもう一点目ですが、中間取りまとめの、海上保安庁における将来を見据えた体制の整備があります。このことについて御質問いたしますが、これは、我が国を取り巻く国際情勢と将来を見据えた海上警察権のあり方を踏まえて、東日本大震災で被災した航空機等の復旧と、現在進めている老朽あるいは旧式化したいろんな装備、これを早期に体制整備する、推進するんだということだというふうに伺っておりまして、海上保安庁体制強化中長期ビジョン、これがうたわれております。
 そこでなんですが、海上保安庁として、今回の事態を含め、海上保安庁の執行体制を強化するためには、巡視船あるいは航空機等についての基盤強化を行い、ただいま問題となっている尖閣諸島を含む東シナ海、さらには我が国の資源確保における、いわゆる沖ノ鳥島周辺を含む本州南方海域における広域的な常時監視体制の在り方等の整備がこれは重要になってまいります。海上における主権と安全の確保のために政府全体がこの重要性を認識していくことがこれは必要だと思います。後でも触れますけれども、これは海上保安庁だけの問題じゃないんですよ。
 取りあえず、今日は国交委員会でございまして、この法案でございますから、よって必要な予算を確保していくということがこれ大臣、大切なことなわけですが、概算要求、九月七日ということですけれども、それに向けましてどんな方針でこの予算、体制整備についてはお考えになっておられますか、お尋ねいたします。
#189
○国務大臣(羽田雄一郎君) 我が国周辺海域においては、近隣諸国の海洋活動が活発化しているなど、海上保安をめぐる情勢は厳しさが増していることから、海上保安庁の役割、ますます重要というふうに考えております。
 海上保安庁の体制整備については、これまでも厳しい財政状況の中で必要な予算を確保し、様々な業務ニーズに対処するための体制整備を図ってきたところであります。補正予算等でも計上したり、そういうこともしてまいりました。
 今後とも、緊迫化する国際情勢等を踏まえ、財政状況等の環境を勘案しつつ、やはりしっかりと海上保安体制の充実強化を図っていくために予算を確保していかなければならないという思いを持っております。
#190
○藤原良信君 意気込みが感じられました。
 これは人事面でも同様でございますので、ちょっとそのことも触れますけれども、中間取りまとめでは人事面の体制強化も実は取り上げられておりました。よって、併せてこのことも、中身について細かいことは申し上げませんが、これは、ある意味での退職者、これはいろんな能力を持っている方々、退職者におありになると思います。この有効な活用、あるいは若年層もこれは当然対象になってくるんでしょう。こういうことを積極的に、特に退職者、大いに活用すべきじゃないかというふうに私は思います。それらの取組についても。これは長官ですね。
#191
○政府参考人(鈴木久泰君) 海上保安庁をやっぱり動かしているのは人でありまして、人材の育成というのは大変我々は重要な課題だと思っておりますし、今御指摘の定年退職した後の再任用者の活用というのも今どんどん進めております。
 ただ、なかなか私ども目いっぱい働いて退職する者もおりますし、それから単身赴任が結構多いもので、単身赴任してまで再任用はしたくないみたいなこともありまして、無理やりというわけにはいきませんが、なるべく若手に技能を伝承していただくとか、そういう意味も含めまして再任用者をしっかり活用しようと思っておりまして、今どんどん進めているところでございます。
#192
○藤原良信君 次に、これも大変私は重要だと思うんですけれども、領海侵犯や無害通航に関する検討の必要性ということでちょっとお尋ねをいたします。
 海上警察権の権限強化につきましては、今回の本改正法案の処置で全て終わりということになるのかどうか、我が国の国家安全保障の観点から、領海侵犯に対する法整備は十分に処置をされていると言えるのかどうかということを、懸念材料でございますが、このことについてもお尋ねをしたいんです。
 それで、併せてなんですけれども、実はこれ重要だと思いますのは、海洋法に関する国際連合条約におきまして、領海を通航する外国船舶には無害通航権が認められているんですね、無害通航権。また、同条の、第十九条第二項では、沿岸国にとって無害でない通航が例示されております。ただし、ということなんでしょうが、同規定に基づき国内法が整備されていることもこれ承知しております。
 しかしながら、ここが重要だと思っているんですが、しかしながら、我が国の主権の確保、さらには安全保障の観点から、外国船舶の無害でない通航の検討とともに、政府全体で領海侵犯も併せて議論し、万全となる措置を講じていくべきではないかと思う次第でございます。今回の事件も踏まえて、執行権限の機関としての海上保安庁に対応を任せるというだけではなくて、政府全体で私は取り組むべきではないかと。だから、先ほど海上保安庁だけの問題じゃないですよということを申し上げたんです。政府全体でこういう対応の取組をしていくべきじゃないかと私は思うんです。
 このことについて御見解をいただきたいです。
#193
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今言われた無害でない通航の規制についてでありますけれども、我が国では個別法に基づき関係省庁が連携して対応しているところであり、その在り方については、国際法との関係も踏まえて、政府全体で別途検討を進めることが適切であるというふうに考えております。
#194
○藤原良信君 そこでなんですが、先ほど来お話ございました香港活動家の尖閣諸島上陸事案についての政府の対応を、私は懸念を持った一人でございます。逮捕に至るまで、相手側に抵抗のれんがを投げ付けたという事実がございます。しかしながら、公務執行妨害で立件をしなかったのは非常におかしいではないかと私は思っております。最初から入管法のみの逮捕とし、強制送還をするということでこれを収めようとしたんじゃないかなというふうに思わざるを得ません。
 平成十六年、中国人の活動家の尖閣諸島上陸のときと同じような処置を行うことが最初から実は決まっていたんではないかという懸念を持ちます。なぜならば、八月十三日には関係省庁会議が開催されております。この時点で方向性が決まっていたのではないかなと私は思わざるを得ないんですね。また、野田総理や官邸サイドからの判断が働いたのではないかなということも私は思わざるを得ないんですが、一般論でございます。
 これは大臣に質問してもなかなか難しいかもしれませんけれども、もしよろしければどうぞお願いします。
#195
○国務大臣(羽田雄一郎君) 公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫が加えられた場合に成立するものであり、この暴行又は脅迫とは、公務員の職務の執行を妨害するに足るものでなければならないと、こういうふうにされているところであります。活動家から巡視船の船体に対してれんが片等の投擲などの抵抗があったものの、海上保安庁においては、これが巡視船乗組員の職務の執行を妨害するに足るものとは認められなかったことから公務執行妨害罪には当たらないと判断したところであります。また、現実的にも、海上保安庁の巡視船は活動家の船舶に対して放水規制や接舷規制等の規制措置を適切に実施してきたところであります。
 八月十三日のことに言及されましたけれども、八月十三日に開催された関係省庁会議では、我が国法令に基づき適切に対処するとの基本方針を確認したところであります。詳細については差し控えますけれども、例えば抗議船の海上での排除に全力を尽くすこと、公務執行妨害等の犯罪が行われた場合には、我が国法令に基づき厳正に対処すること等について関係省庁で確認をしたところであります。
 今般の投擲行為等については、海上保安庁において、巡視船乗組員の職務の執行を妨害するに足るものとは認められなかったことから公務執行妨害罪には当たらないと判断したところであり、適用しないことを最初から決めていたものではありません。
#196
○藤原良信君 時間も来ておりますから、最後の一点といたします。
 今回の法改正でございますけれども、これは先ほど来お話ございましたけれども、本土から遠方であるということで、警察官が速やかに対応するということは困難であるということで、遠方離島において海上保安官及び海上保安官補が犯罪に対処することができるようにするということになっていきますね。
 ですから、そういう意味では、尖閣諸島や竹島は遠方離島となると思います。遠方離島の概念ですが、それはそれなりに把握をされていると思うんですが、どのくらいの数があるのかということ。それから、これは時間も来ておりますから簡単で結構でございますが、これは再びもう上陸させないんだと、先ほど来のお話の、話題の香港の活動家等々、これは毅然たる態度で臨んでいくということが、この法律を作成をして、なおかつやっていくということが今回求められていると。よって、大臣、その決意を最後示していただいて、私の質問を終わりますけれども、いかがでございましょうか。
#197
○政府参考人(鈴木久泰君) まず、数についてお答えさせていただきます。
 遠方離島につきましては、告示で海域を指定して、その海域にある離島ということで、附属島とかもございますので網羅的に指定をしたいと考えていますが、海域の数で二十程度の海域を考えております。
#198
○委員長(岡田直樹君) 羽田大臣、簡潔に願います。
#199
○国務大臣(羽田雄一郎君) はい。
 今回の法改正は、緊迫化する国際情勢等を踏まえ、遠方離島上で発生した犯罪に海上保安官が対処するほか、外国船舶に対し領海外への退去を速やかに命ずるなど、海上保安官の現場における執行権限を充実強化するものであります。
 こうした法制面での整備を行うとともに、海上保安庁の巡視船艇等の装備、要員の充実を図り、今後とも我が国周辺海域における警備を万全の体制で行っていく所存であります。
#200
○藤原良信君 終わります。
#201
○上野ひろし君 上野ひろしでございます。
 では、海上保安庁法等の一部改正法案について質問をさせていただきます。
 まず、先ほど藤井委員からも大変厳しい指摘がありました。我が国の国土それから国民の生命、財産を守るのは国として一番基本的な役割ではないかと思います。先般の尖閣の対応でもそうですけれども、頑張ったけれども駄目だった、国民の生命、財産、国土が脅かされたということがあっては決してならないんだと思います。現場ではもちろん厳しい条件の下で最善を尽くされたということだとは思うんですけれども、だとすれば、だからこそ、より根本的な問題があるのかなという気もいたします。是非、しっかりとした対応をお願いをしたいと思います。
 内容に入ります。今回の改正でありますけれども、遠方離島における犯罪の対処、また立入検査を行わずに勧告、退去命令をかけることができる等々の改正があるということであります。大変重要な内容だと思うんですけれども、そこで、そもそも今回の法改正の対象となるような事案、今回の改正があれば違った対応ができたような事案、典型的なのは今回の尖閣のようなケースだとは思うんですけれども、どのようなケースがあったのか、何件程度あったのか、まずお答えをいただければと思います。
#202
○政府参考人(鈴木久泰君) まず、遠方離島における犯罪対処でございますが、現行法によりますれば、突然に遠方離島に上陸されてしまったような場合には私どものヘリコプターで警察を輸送してその警察に対応してもらうというような形になりますが、実際に平成十六年に七人が上陸した事案では、先ほど大臣も答弁しましたように、沖縄県警を私どものヘリで輸送して、これを逮捕するまでに十二時間掛かったということでございます。こういった事案をそばにいる我々の巡視船が直ちに対応できるようにしたいというのが遠方離島の方の改正でございます。
 それから、外国船舶航行法の立入検査なしで退去命令をかけるという件につきましては、今まで何件も荒天等で立入検査ができずに警告のみで済ませてしまったという事案がございますので、こういう場合に、荒天とかあるいは相手船が多数おるという場合に速やかに退去命令をかけられるような仕組みにしたいと考えております。
#203
○上野ひろし君 ありがとうございます。是非、今回の改正も踏まえてしっかりとした対応をお願いをしたいと思います。
 条文の話になりますけれども、海上保安庁法の第五条に今回の改正で、海上における船舶の航行の秩序の維持に関すること、それから、海上における犯罪の予防及び鎮圧に関することといった内容が新たに規定をされたということだと思います。
 これらの中には具体的にどのような業務が含まれるのか、新たな業務があるのかないのか、また、仮にないとすれば、これまではどのような規定に基づいて誰がどのように対応していたのか、お伺いをしたいと思います。
#204
○政府参考人(鈴木久泰君) まず、海上における船舶の航行の秩序の維持でございますけれども、これは具体的には領海に侵入する政府公船、あるいは排他的経済水域で我が国の同意なく海洋調査を行う外国船への中止、退去要請等の業務を指しております。この業務は、従来関係省庁間の協力業務として位置付けてまいりましたけれども、海上保安庁の正面業務として、最近そういう件数も大変増えておりますので、正面業務として任務及び所掌事務規定に新たに規定するものでございます。
 それから、海上における犯罪の予防及び鎮圧につきましては、犯罪の発生を未然に防ぐための警備業務、あるいは犯罪が発生した場合にこれを拡大を防いで終局させるという業務でありますが、これは海上保安庁法二条の任務規定においては定められておりましたが、五条の所掌事務の方には定められておりませんでしたので、所掌事務の方でもしっかりと明記をしたいというものでございます。
#205
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 続きまして、領海等における外国船舶の航行に関する法律の方についてお伺いしたいと思うんですけれども、新たに第七条が加えられたということだと思います。周囲の事情から合理的に判断をして、第四条第一項の規定に違反していることが明らかである場合には、立入検査を行うことなく勧告を行うことができるということだと思うんですけれども、その判断基準が何なのかということをお伺いをしたいと思います。
 現場において円滑な権限行使を可能にするといった観点、現場で混乱が生じないように、いろいろな基準又は手続について、あらかじめ定められるものについてはしっかり定めておくということが現場での速やかな権限行使を可能にするということにもなると思うんですけれども、その辺り、基準それから手続についてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
#206
○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 船舶の外観というのは、国旗の状況あるいは漁具、横断幕の有無等の外から見える船舶の状態、それから航海の態様とは、進路、速力あるいは停留、徘回の有無等の船舶の航海の状態、それから乗組員等の挙動とは、乗組員が暴言を吐いたり、あるいは巡視船を見て隠れたりするかどうかといったそういう挙動、それからその他周囲の事情とは、昼夜の別、あるいは事前に知り得た犯歴等の情報をそれぞれ指すものでありまして、合理的に判断しというのは、海上保安官の主観的な判断ではなく、これらを勘案して、客観的に、社会通念上合理的に判断されるということを意味しております。
 具体的な基準については、これから内部規則を定めまして、現場にしっかりと周知をしてまいりたいと考えております。
#207
○上野ひろし君 法律改正の内容は大変大事なことなんだと思うんですけれども、現場で混乱なく円滑に執行されるということが何より大事だと思います。是非、事前にできることについてはしっかりと手続をしていただくということだと思います。
 あわせて、今回の法律改正に加えまして、海上保安庁の装備、人員の充実といったことが大変大事なのではないかと思います。先ほど来、植松委員からも御指摘もございました。海上警察権のあり方について、中間取りまとめにおいても、例えば、大型巡視船への運用司令科の設置、また巡視艇の複数クルー制の拡充といった人員体制の増強について指摘が行われております。一方で、先ほど来、一万人以上いる今の人員に対して増員されたのは十数名、一%にも満たない数字ということなんだと思います。
 今の尖閣の事例もそうですけれども、我が国の国際情勢が大変厳しさを増しているという中で、こういった現状も踏まえて、今後どういう対応を取っていかれるおつもりなのか、お伺いをいたします。
#208
○大臣政務官(室井邦彦君) お答えをさせていただきます。
 海上警察権のあり方につきましては、先生おっしゃいましたように、中間取りまとめを踏まえ、平成二十四年度におきましては、大型巡視船における運用司令科要員の配置、拡充、また巡視艇における複数のクルー制の拡充等、海上保安庁全体で合計二百七十五人の増員を行いました。そして、海上保安体制の強化を図りつつ、一方、既存の業務の見直し等により二百五十七人を減員をしております。そして、海上保安庁全体で十八人の純増を確保させていただきました。その結果、海上保安庁の定員は、平成二十四年度末において一万二千六百八十九人となっております。
 今後とも、緊迫化する国際情勢等を踏まえまして、必要な人員の拡充をしっかりと図っていきたい、このように考えております。
#209
○上野ひろし君 先ほど来答弁ありましたけれども、十八名の純増ということでありました。これは、今、大変国民の皆さんも、尖閣の問題も含めて危機感を持っておられる、関心も高まっている、そういう中で、海上保安庁の人員の純増が十八名。これで本当に足りるのか、我が国の国土、国民の安全、安心を本当に守れるのか、大変大事なところでありますし、是非、しっかりと今後、本当に今の現状、人員で十分なのかどうなのかしっかり精査をしていただいて、増やすべくは増やす、しっかりと政府の中でも議論をしていただきたいと思います。
 続いて、装備についてお伺いいたします。
 同じく中間取りまとめにおいて、人員に加えて巡視船、それから航空機の充実についても指摘が行われているところでございます。
 これも、今回の法律改正も踏まえて、ますます海上保安庁の業務というのは拡大をしていく、重要性を増していくということだと思うんですけれども、どのように充実をさせていくのか。特に、これは昭和五十年代、海洋権益の拡大に伴って特に大きく装備が整備をされた、その装備がちょうど更新期を迎えている、また耐用年数を過ぎているという現状もあるんだと思います。
 どのように現状認識をされているのか、また、どのように対応されていくおつもりなのか、お伺いいたします。
#210
○大臣政務官(室井邦彦君) お答えを申し上げます。
 現在、海上保安庁が所有している船舶は四百四十八隻、航空機は七十三機であります。海上保安庁では、昭和五十年代に集中的に整備をされました。老朽、旧式化、著しい現状であります。
 巡視船艇百十八隻、そして航空機三十三機について、平成十八年から緊急かつ計画的に代替整備を進めてきておるところであります。また、これら代替整備の対象となる巡視艇、航空機のうち、平成二十四年度までに巡視艇は約八割、そして航空機は約九割について予算措置を図ってきたところであります。
 今後とも、計画的な巡視船艇、また航空機の整備を努めてまいりたいと、このように思っておるところでございます。どうか御理解のほどお願い申し上げます。
#211
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 最後になりますけれども、大臣にお伺いいたします。
 今回の法改正の中でも、従来は警察官が対処すべきことになっていた部分について海上保安官等が対処することを可能にするといった改正も盛り込まれております。また、この業務の性格上、当然、海上自衛隊との関係というのも生じてまいります。現在の国際情勢の下で、これらも含めた、警察、自衛隊との関係も含めた他省庁との緊密な連携を取っていくということは大変重要なのではないかと思います。
 例えば、情報共有でありますとか、先ほど来指摘もある装備の充実についてもしっかりと調整をしていく、また、現実に事案が発生をしたときにどう連携をして対応するのか。大変大事な観点があると思うんですけれども、他省庁との連携について、大臣、しっかりとやっていくという観点から、是非御答弁をお願いしたいと思います。
#212
○国務大臣(羽田雄一郎君) 海上保安庁においては、海上自衛隊との間で、不審船対処に係る共同訓練、また通信訓練等を実施するほか、警察との間でもテロリストの侵入防止等を目的とした水際対策訓練を実施するなど、緊密な連携、協力体制を構築してきたところであります。
 個別事案への対処においても適時適切に関係機関と情報共有を行うなど、緊密に連携しながら的確に対処しているところであります。
 引き続き、警察、自衛隊等の関係機関との協力、連携を強化し、領海警備情勢に適切に対処していく所存であります。
#213
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 今回の法律改正は大変大事なものでありますけれども、これのみならず、しっかりと海上保安庁の業務の見直しをいただいて、充実すべきは充実をしていただいて、国土を守る、国民の生命、財産を守る、本当に最も大事なことであります。是非しっかりと対応をお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#214
○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。
 この度の海上保安庁法等改正案は、一定の遠方離島において、従来の海上に限らず陸上であっても海上保安官等の犯罪対処を可能とするとともに、一定の場合、立入検査を行わずに勧告及び退去命令を行うことができることとするなど、海上保安庁による海上警察権限を強化するものであり、我が党としても基本的には賛成の立場であります。
 法案による海上保安庁の権限拡大に伴い、人員、装備を含む体制整備が必要となりますが、改めて国土交通省の方針についてお答えください。
#215
○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、今回の法改正は、遠方離島上での犯罪対処について海上保安官ができるようにするもの、あるいは領海からの退去命令を立入検査なしで発出できるようにするというものでありまして、これは海上保安庁の有する能力を活用して、政府全体として事案に迅速に対処することや、あるいは海上保安庁の現場業務を円滑に遂行することを目的に行うものでありまして、これで直ちに人員、装備の充実が必要であるということにはつながらないと考えておりますけれども、しかしながら、全体としてやはり今この国際情勢、大変緊迫しておりまして、領海警備業務、これからしっかりとやっていかないといかぬという中で、我々としては、必要な装備、人員の強化というのを着実に推進してまいりたいと考えております。
#216
○吉田忠智君 先ほど来るる議論がありましたように、行革の中で十八名純増で増やすというのはなかなかやっぱり大変なことであったと、そのように思っておりますが、人員を確保するだけではなくて、やっぱり人員を養成する、体制整備ということも必要でございます。
 人材を養成する海上保安大学校や一部の海上保安学校等については、施設の老朽化が深刻であります。早急に対応が必要ではないかと考えますが、例えば呉の海上保安大学校なども細かく施設改修がなされておりますが、全体に一昔前の入院病棟のような雰囲気である、そのようにも言われております。
 これら教育訓練施設の改修など、施設整備の現状と今後の取組について伺います。
#217
○国務大臣(羽田雄一郎君) 海上保安庁にとって人材育成、これは最も重要であるというふうに認識を持っております。全寮制による教育を行っている海上保安大学校や海上保安学校等の教育訓練施設の老朽化に対しては代替の整備や改修を随時行っており、改善に努めているところであります。今後とも、優秀な人材を確保し、そして現場で活躍できる人材を輩出できるよう、教育環境と生活環境の改善に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#218
○吉田忠智君 今後は陸上での犯罪対処能力の向上のために、これまで警察が有していたノウハウを提供していただいたり、あるいは研修や、警察との人材交流あるいは情報通信システムの共有化なども進めていく必要があると考えます。
 今後、海上保安庁として警察との連携にどのように取り組んでいかれるのか、伺います。
#219
○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 今回の改正を踏まえまして、現場における捜査や引継ぎの方法等について海上保安庁と警察との間で定めることとしておりまして、遠方離島における対処に遺漏がないよう緊密に連携協力を図ってまいりたいと思います。また、従来よりテロリストの侵入防止等を目的として水際対策訓練を実施するなど緊密な連携協力体制を警察と構築しているところでありますけれども、こうした訓練や今回の法改正を踏まえまして、更に警察との連携を強化して領海警備情勢に適切に対処していきたいと考えております。
#220
○吉田忠智君 それ以外に必要なことは国際協力ということもございます。国境を海上に持つ我が国において、周辺国の関係機関との連携協力は海上の安全確保に非常に重要な役割を果たしてきているわけであります。これまでも海上保安庁は、北太平洋やアジアといった枠組みで、我が国の周辺海域における共同の問題対処を図っておりまして、マラッカ海峡などの海賊事件対処における海上保安庁の取組については内外からも高く評価をされておられますし、この間の御努力に敬意を表するものでございます。
 警察権限を整備をするということはもちろん必要ですが、我が国周辺海域における安全確保と秩序維持のためには海上保安分野での国際協力も並行して追求をしていかなければならないと考えます。国際協力の現状と今後についてお聞かせください。
#221
○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 御指摘の国際協力も我々にとって大変重要な問題だと考えておりまして、例えば、長官級の多国間の会合として、ロシア、中国、韓国、カナダ、米国そして我が国の六か国が参加する北太平洋海上保安フォーラムというのを毎年開催しておりますし、それから、中国、韓国を含む十七か国・一地域が参加するアジア海上保安機関長官級会合というのもやってございます。これはいずれも日本がまず呼びかけて始めたものでありまして、第一回の会合を日本で開催しております。
 こういった取組に加えまして、二国間の取組といたしましては、ロシア、韓国との間では原則として毎年一回長官級会合を開催し、あるいは地方レベルで合同訓練を実施したり、実務レベルによる情報交換を行ったりして連携強化を図っておりますし、中国との間では密輸、密航等に関する情報交換や海上での捜索、救助等に関する協力を行っておりますが、昨年十二月に日中首脳会談がございまして、ここで日中高級事務レベル海洋協議の立ち上げが合意されまして、本年五月に中国で第一回会合が開催されましたので、これにも私どもが参画してございます。
#222
○吉田忠智君 今、韓国、ロシア、中国についての言及もございました。とかくその三国とはあつれきがあるわけでございますが、海上保安庁としてやっぱりそういうチャンネルを大事にすることが一方では極めて今後の課題として重要なことだと思いますが、改めて、とりわけその三か国とはどういうチャンネルをこれから形成していくべきであると考えておられるか、伺います。
#223
○国務大臣(羽田雄一郎君) 我が国周辺海域における安全確保と秩序維持のためには、今言われたようなロシア、韓国、中国を始めとする周辺諸国との連携協力、これは不可欠であります。このために、北太平洋海上保安フォーラムやアジア海上保安機関長級会合等の多国間の枠組みや二国間の枠組みを通じた連携協力を引き続き積極的に推進していく所存であります。
#224
○吉田忠智君 野田総理は、尖閣諸島も含め、領海で周辺国による不法行為が発生した場合には、必要に応じて自衛隊を用いることも含めて毅然として対応すると発言をされています。領海警備につきましては、第一義的には海上保安庁の任務であることは明白でありまして、我が党は、国境をめぐる問題は憲法の理念に基づき平和外交の努力を尽くして両当事国が冷静な対話によって解決すべきと考えます。
 今大臣から答弁もありましたけれども、やっぱり国土交通省として、海上保安庁を所管する省として、そうした軍事的緊張を生むことなく海上警備をしっかりやっていくということが私は極めて必要だと、なかなか難しいことは承知をしておりますが、その点、どういう点を特に留意をしながら進めていくかについて、改めて大臣の御決意を伺いたいと思います。
#225
○国務大臣(羽田雄一郎君) 今回の法案についても、遠方離島上での発生した犯罪に海上保安官が対処することや、外国船舶に対し領海外への退去を速やかに命ずること等を可能とするものであり、警察機関としての海上保安庁の執行権限を充実強化するものであるということでありまして、特定の国や地域を念頭に置いたものではありません。
 このように、今般の法案、我が国周辺海域における軍事的緊張、こういうものを高めるものではなくて、引き続き海上保安庁が的確に法執行活動を行っていくことを目的としたものであるというふうに思います。
#226
○吉田忠智君 ありがとうございました。
 周辺海域をめぐっては、一足飛びに領海警備に海上自衛隊を充てるべきだという御議論もありますけれども、我が党は、海保が独自につくり上げてきた国際協力と信頼のネットワークを大切にしながら海保による安全確保に努めることが海洋国家としての我が国の利益にかなうことであると、そのように考えております。このことを最後に強調させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#227
○委員長(岡田直樹君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航行に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#228
○委員長(岡田直樹君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小泉昭男君から発言を求められておりますので、これを許します。小泉昭男君。
#229
○小泉昭男君 私は、ただいま可決されました海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航行に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会、公明党、国民の生活が第一、みんなの党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航行に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一 近年の我が国の周辺海域をめぐる警備情勢は厳しさを増していることから、海上保安庁の執行体制を強化するため、海上保安庁の組織・人員、巡視船艇・航空機等について所要の体制整備を行い、海上における主権と安全の確保に万全を期すること。
 二 特に、近隣諸国等の海洋活動が活発化しており、今後、不測の事態の発生も懸念される周辺海域については、海上保安庁において、警備情勢に応じて大型巡視船を重点配備する等、現場における監視・警戒体制を強化するとともに、関係省庁と連携して、領海警備に万全を期すること。また、我が国の海洋権益確保の観点から、排他的経済水域における広域的な監視・警戒体制の整備に努めること。
 三 海上保安業務の遂行に当たっては、周辺諸国等と、現場レベルを含む各レベルでの協力を密にすること。
 四 海上保安官等が犯罪に対処することができることとなる遠方離島については、変化する治安情勢を踏まえ、遠方離島における犯罪への対処が迅速かつ適切になされることとなるよう、その範囲や警察との連携方策等について、時宜に応じた所要の見直しを行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#230
○委員長(岡田直樹君) ただいま小泉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(岡田直樹君) 全会一致と認めます。よって、小泉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、羽田国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。羽田国土交通大臣。
#232
○国務大臣(羽田雄一郎君) 海上保安庁法及び領海等における外国船舶の航行に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。
 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長を始め理事の皆様、また委員の皆様の御指導、御協力に対し深く感謝を申し上げます。
 大変ありがとうございました。
#233
○委員長(岡田直樹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(岡田直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト