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2012/03/15 第180回国会 参議院 参議院会議録情報 第180回国会 文教科学委員会 第2号
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2012/03/15 第180回国会 参議院

参議院会議録情報 第180回国会 文教科学委員会 第2号

#1
第180回国会 文教科学委員会 第2号
平成二十四年三月十五日(木曜日)
   午後零時十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月七日
    辞任         補欠選任
     有田 芳生君     蓮   舫君
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     熊谷  大君     片山虎之助君
 二月二十九日
    辞任         補欠選任
     片山虎之助君     熊谷  大君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野上浩太郎君
    理 事
                鈴木  寛君
                那谷屋正義君
                橋本 聖子君
                水落 敏栄君
    委 員
                神本美恵子君
                斎藤 嘉隆君
                谷  亮子君
                藤谷 光信君
                森 ゆうこ君
                蓮   舫君
                石井 浩郎君
                上野 通子君
                熊谷  大君
                義家 弘介君
                草川 昭三君
                山本 博司君
                柴田  巧君
                横峯 良郎君
   国務大臣
       文部科学大臣   平野 博文君
   副大臣
       文部科学副大臣  奥村 展三君
       文部科学副大臣  森 ゆうこ君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       城井  崇君
       文部科学大臣政
       務官       神本美恵子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        古賀 保之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (文教科学行政の基本施策に関する件)
 (平成二十四年度文部科学省関係予算に関する
 件)
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(野上浩太郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月七日、有田芳生君が委員を辞任され、その補欠として蓮舫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(野上浩太郎君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題といたします。
 まず、文教科学行政の基本施策について、平野文部科学大臣から所信を聴取いたします。平野文部科学大臣。
#4
○国務大臣(平野博文君) この度、野田内閣におきまして文部科学大臣を拝命をいたしました平野博文でございます。
 第百八十回国会におきまして各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
 我が国を取り巻く環境は、ますます厳しさを増しつつあります。グローバル化や知識基盤社会の到来、少子高齢化の進展等、世の中が大きく変化しつつある中、我が国が抱えてきた諸課題は残されたまま、大震災や原発事故により生じた課題が重くのしかかっています。文部科学大臣として、まずは野田内閣の最優先課題である大震災からの復旧復興に全力で取り組みます。とりわけ放射線から子供を守るという強い決意を持ち、安全、安心のための取組に力を注いでまいります。そして、我が国を新たな成長のステージへと導き、元気な日本の再生を実現すべく、未来への先行投資である文部科学行政の充実に全力を尽くす所存でございます。
 あの震災から一年が経過いたしました。私は、大臣に就任後、直ちに福島に赴き、今なお大震災や原発事故で苦しんでいらっしゃる方々のお話を伺い、改めてこの大震災及び原発事故の影響の大きさを感じたところであります。しかしながら、それと同時に、厳しい状況の中でも元気に学ぶ子供たちの心強い姿を拝見し、子供たちの元気が社会の元気につながるものと信じつつ、国としてしっかりと彼らを支えていかなければならないとの思いを改めて強く持ちました。まずは、この大震災からの復旧復興に全力を尽くします。
 具体的には、チルドレンファーストの理念を踏まえ、被災した子供たちが大震災前と同じように落ち着いて学ぶことができるよう、学校からのまちづくりの視点から学校の施設設備の復旧等の学びの場の確保や就学支援の充実、心のケア、心身のリフレッシュ等に関する取組を進めるとともに、震災の教訓を踏まえつつ未来に向かうための復興教育を支援をしてまいります。また、学校施設には地域のコミュニティーの拠点として非常災害時に緊急避難場所ともなることから、耐震化や防災機能の強化等に積極的に取り組むとともに、防災教育の充実に全力で取り組んでまいります。
 原発事故対応としては、放射線モニタリングの強化を図り、適時適切な情報提供に努めるとともに、校庭等の線量の低減、学校給食の安全、安心の確保に取り組みます。加えて、除染や廃炉に関する研究開発は福島の再生にとって要となるものであり、これに最優先に取り組んでまいります。
 また、原子力損害賠償については、被災者の立場に立ち、迅速、公平かつ適切に行われるよう、関係機関とも協力をして進めてまいります。原子力損害賠償紛争審査会において避難区域の見直しに伴う賠償の考え方等について審議いただくとともに、和解仲介体制の整備等に取り組んでまいります。
 さらに、地震、津波の調査観測の強化、大学や研究所等を活用した地域の再生に向けた取組、復興を担う専門人材の育成等を進めてまいります。
 一方、今回の事故を受け、現在、エネルギー政策の再構築に向けた議論が進められています。原子力の研究開発、特に「もんじゅ」については、安全確保を図った上で、議論の方向性を見据えて適切に対応してまいります。
 これらは国民が安心して生活するために必要不可欠なものであり、責任感を持ってしっかりと取り組んでまいります。
 さて、現在、我が国は多くの課題に直面をしています。経済や雇用は依然として厳しい状況にあります。国際競争が厳しさを増す一方、若者の内向き志向が懸念されています。我々は、自信と活力を取り戻し、これらの課題に立ち向かわなければなりません。そのためには、今こそ、未来を担う人と知の創造である教育や科学技術を振興し、また、豊かな生活の源泉となる文化やスポーツの推進を図っていくことが重要であると考えます。
 教育は、国家、社会の繁栄の礎であります。野田総理が言及する分厚い中間層の復活のためにも、教育が果たす役割は極めて重要です。生涯を通じ一人一人が自己を磨き、自立し、多様な人が協働する中で相互に高め合い、知的、道徳的水準の高い持続可能で豊かな社会を創造することこそが今後の我が国が目指すべき道であると考えます。
 政権交代後の教育改革に関しては、これまで、第一弾として家計が負担をする教育費の軽減、第二段階として教員の質と数の充実等の教育環境、条件の整備に取り組んでまいりました。今後も改革の手を緩めることなく、これらの取組とともに、第三段階として、教育行政や学校のガバナンス改革、大学改革等に本格的に取り組んでまいります。これらを踏まえ、更なる教育の充実に向けた方策を総合的かつ計画的に推進すべく、平成二十五年度からの第二期教育振興基本計画の策定に向けてしっかりと検討を行ってまいります。
 いまだ厳しい経済状況が続いていますが、家計の状況によって子供が学業を断念せざるを得なくなるような事態は避けなければなりません。意欲ある全ての人が希望する教育を受け、自らの能力を高める機会を確保することは、社会全体の責務であるとともに、社会の活力を向上させる有効な方策であると考えます。本人や家庭だけが経済的負担を担うのではなく、社会全体として支え合うことが必要であります。
 このため、これまでも奨学金制度の充実や大学等の授業料減免、幼稚園就園奨励費補助の拡充等、教育費の負担軽減に取り組んでまいりました。特に来年度におきましては、所得連動返済型の奨学金を導入したいと考えています。今後とも、保護者の負担軽減や多様で分厚い就学支援等、教育に係る経済的支援の充実に努めてまいります。また、昨年度実現をいたしました高校授業料の実質無償化、すなわち公立高等学校の授業料無償化、高等学校等就学支援金の制度の導入については、中退者の減少や再入学者の増加など一定の効果が見られ、被災地における家計急変世帯の高校生等の就学機会の確保に寄与するなど、意義は極めて大きいと考えております。
 教育の機会を確保するとともに、教育の質や環境の充実を図ることが重要であることは言うまでもありません。幼児教育から高等教育に至るまで、それぞれの段階に応じた教育の質や環境の充実に努めてまいります。
 幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼児教育の更なる充実に向け、しっかりと取り組んでまいります。また、幼保一体化を含め、子供や子育て家庭の視点に立った子ども・子育て新システムの構築を進めます。
 子供たちに対する質の高い教育の提供のためには、教員の質と数の充実が不可欠であり、今後、更なる少人数学級の推進や教職員配置の充実に努めるとともに、教員の質については教職生活の全体を通じた総合的な向上方策を打ち出すべく検討を行ってまいります。さらに、地方教育行政の在り方や地域とともにある学校づくりの推進等について、本格的な検討を行ってまいります。
 新学習指導要領の着実な実施、全国的な学力調査の実施等により、教育に関する持続的な検証改善サイクルを確立し、教育施策の改善や学校における指導の充実を図ります。また、教育の情報化を進める学びのイノベーションに取り組んでまいります。
 さらに、インクルーシブな教育システムの構築に向けた特別支援教育の推進に当たり、障害のある子供に障害のない子供が同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育ニーズのある児童生徒に対し、適切な指導を提供できる仕組みの整備を図ります。
 また、大学改革は、大学のみならず日本社会全体の改革を牽引するものと考えており、我が国の持続的発展のために必要な人材を大学が育成できるよう大学改革を実現すべく本格的な検討を行ってまいります。
 今日の危機を克服し、将来の希望と誇りある日本を築く上で、内向き志向にならず、イノベーションを創出し、自らの考えを積極的に発信するなど、グローバル社会で活躍していける人材の育成が必要であり、その主要な担い手である大学の機能を強化をし、高等教育の質の保証、向上を図ることが不可欠であります。そのため、世界を牽引するリーダーを育成するリーディング大学院の構築等、大学における抜本的な教育改革の支援や、海外大学との協働プログラムの構築を支援すること等により、世界の知が集積する魅力的な拠点の構築を進めてまいります。また、医師の地域偏在の解消、適正配置等も踏まえつつ、医学、歯学等の教育の質の充実を図ります。
 優秀な留学生の受入れや意欲ある若者の海外派遣を行うなど、高校、大学等における積極的な留学生政策を進めるとともに、青少年の国際交流、大学等の国際化の推進、外国語教育の充実等、グローバル人材の育成のための取組を戦略的、持続的に推進してまいります。
 また、国立大学法人運営費交付金や私学助成等の基盤的経費の充実、国立大学改革強化推進事業等により、大学の改革や機能強化の支援に努めるとともに、国立大学法人等の施設整備については、第三次五か年計画の下に、質の高い、安全な教育環境整備の確保とその一層の高度化に向けて取り組んでまいります。
 若者の就業機会の確保は喫緊の課題であります。引き続き、関係府省との連携の下、経済界と教育界等の連携強化や、きめ細かい相談体制の整備により、新卒者等の就職支援に取り組みます。
 また、児童生徒一人一人の将来の社会的、職業的自立に向けて、体系的なキャリア教育を推進します。引き続き、高校、大学、専修学校等においては、産業界と連携し、特性を生かした職業教育の充実を図るとともに、高度な専門職業人の育成に取り組むなど、官民協働による復興や日本再生を担う人材育成を進めてまいります。
 次世代に向かって知と情報の重要性がますます高まる中で、科学技術イノベーションは唯一の成長の種であります。また、それを担う人材こそ、かけがえのない資源であります。我々は、科学技術イノベーションの力でいろいろなフロンティアを切り開き、大震災からの復興、再生と我が国の持続的成長を実現をしていかなければなりません。また、大規模自然災害、地球温暖化、エネルギー、食料、水資源等の人類的課題に、世界に先駆けて対峙していく使命を担っています。このため、科学技術イノベーションの振興を国家戦略として強力に推進してまいります。
 具体的には、研究開発法人が世界の第一線で戦えるよう、国際水準にも即した目標設定や評価、国際的頭脳循環の促進など、研究開発の成果を最大化できるための制度改革に取り組んでまいります。
 また、国際的頭脳循環の中でグローバルに活躍できる若手研究人材の育成確保のため、自立的な研究環境やキャリアパスの整備、研究マネジメント人材の育成、戦略的な海外派遣等に取り組みます。さらに、次代を担う子供たちの科学技術への興味、関心を拡大する取組や才能を見出し、伸ばす取組を進めてまいります。
 さらに、研究者がその実力を遺憾なく発揮できるように、研究環境の整備に努めます。科学研究費助成事業について、研究費の複数年度使用の拡大等、制度改善を引き続き推進するなど、基礎研究の強化に向けた取組を進めてまいります。また、研究開発の基盤の強化も重要であります。次世代スーパーコンピューター「京」を中核とした革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ、エックス線自由電子レーザー施設「SACLA」等の整備、共用を着実に進めてまいります。
 ライフイノベーションについては、iPS細胞などによる再生医療の実現や次世代がん研究、また、グリーンイノベーションについては、新たなエネルギー社会の構築や資源制約の克服、地球規模の気候変動への対応のための革新的技術開発等を、国際的な共同研究を含めて、引き続き推進してまいります。あわせて、東北メディカル・メガバンク計画や東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクト等、被災地の復興に貢献する研究も進めてまいります。
 また、実用化や新産業創出を通じて優れた研究成果をイノベーションに結び付けていくため、産学官に金融機関を加えた連携体制の構築により、基礎研究と実用化を結ぶ取組や、地域イノベーションの創出に向けた地域主導の優れた構想を支援する取組を推進してまいります。
 海洋や宇宙は人類全体のフロンティアであり、科学技術によって新たに開かれる無限の可能性を秘めています。海洋については、海底地震・津波観測網の整備や東北マリンサイエンス拠点の形成等震災対応を始め、新規海洋資源の開拓などを進めてまいります。また、宇宙については、国民に夢を与える「はやぶさ2」等の宇宙科学や宇宙探査のほか、災害対策にも貢献する人工衛星の開発や国際宇宙ステーション計画等を着実に進めてまいります。
 文化とスポーツは人々に喜びと感動、安らぎと活力をもたらし、人間が人間らしく生きることを実感させてくれるものであり、今後とも積極的に推進してまいります。その際、障害の有無にかかわらず国民が文化、スポーツに親しむ機会を享受できるよう、必要な環境整備に努めてまいります。
 我が国にある文化芸術や多くの文化財は極めて大切な資源であります。今こそ文化芸術を国家戦略として位置付け、振興していくことが必要であり、文化芸術が有する人々を引き付ける魅力や社会に与える影響力を最大限に活用した取組や文化財の保存、活用の推進、それらの創造や継承を担う人材の育成を進めてまいります。また、アイヌの人々の心のよりどころであり、文化の多様性の尊重等の意義を有する民族共生の象徴となる空間における博物館の整備に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 また、近年、デジタル化、ネットワーク化の進展に伴い、著作物の利用態様の多様化が進む一方で、著作物の違法利用、違法流通が常態化しているとの指摘があります。こうした状況の変化に対応するため、著作権法の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただくなど、著作権制度の必要な見直しを行ってまいります。
 昨年のなでしこジャパンのワールドカップサッカーの優勝は、震災後の我が国に勇気と希望を与えてくれました。今般、アンダー20女子ワールドカップサッカーを我が国に開催することとなりましたが、本大会の開催は国際親善に寄与することはもちろん、国民に夢と元気を与えてくれるものと考えます。スポーツは人格形成や健康長寿の礎であるとともに、地域活性化の重要な資源ともなり得るものであり、まさに元気な日本の再生にとって不可欠なものであります。昨年八月に施行されましたスポーツ基本法に基づきスポーツ基本計画の策定に取り組んでいるところでありますが、今後ともスポーツ立国の実現を目指した施策を積極的に進めてまいります。また、二〇二〇年の夏季オリンピック・パラリンピックの招致に向け、外務省とともに連携し、政府全体で積極的に支援をしてまいります。
 冒頭申し上げましたように、我が国にはいろいろな課題が山積をしております。困難な時代にこそ、大局的に先を見据えながら、目前の課題を着実に実行していかなければなりません。この国の将来を創造し、国家百年の計を担う文部科学省の全責任を担う者として、専門家の方々はもとより、現場の方々の意見を十分酌み取りながら、また、政策のための科学の強化を図りながら、客観的根拠に基づく国民目線の政策展開により、効果的、効率的に施策を推進しつつ、諸課題の解決に全力で取り組む考えでございます。
 引き続き、関係各位の御指導と御鞭撻を賜りますよう心からお願いを申し上げます。
 以上でございます。
#5
○委員長(野上浩太郎君) 次に、平成二十四年度文部科学省関係予算について、森文部科学副大臣から説明を聴取いたします。森文部科学副大臣。
#6
○副大臣(森ゆうこ君) 平成二十四年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 文部科学省関係予算は、一般会計五兆四千百二十八億円、東日本大震災復興特別会計二千二百四十九億円、エネルギー対策特別会計一千二百四十五億円となっております。
 第一に、初等中等教育の充実を図るため、小学校二年生の三十五人以下学級の推進や特別支援教育、小学校専科指導の充実、被災した児童生徒に対する学習支援等に合計三千八百人の教職員の定数増を行うこととしております。
 また、道徳教育、外国語教育等の推進や全国的な学力調査の実施、公立高校の授業料無償制及び高等学校等就学支援金の実施や生徒指導、進路指導等の取組、幼児教育や特別支援教育等の推進を図ることとしております。
 第二に、公立学校における児童生徒等の安全を確保する耐震化、防災対策等の推進のため一千二百四十六億円、国立大学等の耐震化、最先端研究施設の整備、老朽施設や附属病院の再生等のため九百十五億円を計上しております。
 また、東日本大震災等によって被害を受けた公立学校施設の復旧についても取り組んでまいります。
 第三に、学生が安心して学べる環境を実現するため、奨学金事業については、所得連動返済型の無利子奨学金制度を新設し、無利子奨学金の貸与人員を二万五千人増員するなど、全体で六万七千人増の百三十三万九千人に貸与することとしております。また、大学の授業料減免についても、対象者を二万八千人増員し、十万三千人が減免を受けられることとしております。
 第四に、国立大学法人運営費交付金に一兆一千四百二十三億円を計上するとともに、新設する国立大学改革強化推進事業により、国立大学の改革、機能強化を図ることとしております。また、私学の振興を図るため、私立の大学や高等学校等に係る経常費補助、耐震化を始めとする施設整備の整備への支援等に四千五百十八億円を計上しております。このほか、世界を牽引するリーダーを養成するリーディング大学院の構築など、国公私立大学を通じた教育研究水準の向上を図ることとしております。
 第五に、地域全体で教育に取り組む体制づくりを支援するため、引き続き学校支援地域本部、放課後子ども教室、スクールカウンセラー等の配置や、被災地の地域コミュニティー再生のための学びの場づくりの支援をすることとしております。
 第六に、世界に雄飛する人材の育成として、大学生、高校生の留学促進、英語教育の充実、大学等の国際化のための体制整備や海外の大学との大学間交流、若手研究者の海外派遣など、グローバル社会で活躍できる人材の育成を推進することとしております。
 第七に、スポーツ基本法制定後、初の予算として、世界で競い合うトップアスリートの育成強化やライフステージ等に応じたスポーツ機会の創造などに二百三十八億円を計上しております。
 第八に、文化芸術立国の実現を目指し、豊かな文化芸術の創造と人材育成、文化財の保存、活用及び継承、我が国の多彩な文化芸術の発信や国際文化交流の推進など、一千五十六億円を計上しております。
 第九に、原子力災害からの復興に向け、福島県及び全国における環境モニタリングの強化、除染手法の確立や放射線防護・被曝医療研究の充実、廃炉に関する研究開発、人材育成の強化、被災者の迅速な救済に向けた原子力損害賠償の円滑化等の実施を図ることとしております。一方、高速増殖炉サイクル技術を始めとする原子力研究開発等の既存事業については、徹底した見直しを行い、予算額を大幅に縮減しております。
 第十に、宇宙、海洋といった人類のフロンティアの開拓や、海底地震・津波観測網の整備等の国家安全保障、基幹技術の強化を図ることとしております。また、次世代エネルギーの開発等につながるグリーンイノベーションや健康長寿社会の実現に向けたライフイノベーションを推進するとともに、科学技術イノベーションの推進に向けたシステム改革を進めます。
 第十一に、科学研究費助成事業については、研究費の効率化や研究者の負担軽減を図るため、基金の対象種目を拡大するなど制度改革を推進しております。あわせて、若手研究人材の育成支援や国際水準の研究環境及び基盤の充実強化を図ることとしております。
 以上、平成二十四年度文部科学省関係予算の概要につきまして御説明を申し上げました。
 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に資料をお配りいたしておりますので、説明を省略させていただきます。
#7
○委員長(野上浩太郎君) 以上で所信及び予算説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 大臣は御退席されて結構です。
    ─────────────
#8
○委員長(野上浩太郎君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。鈴木寛君。
#9
○鈴木寛君 去る二月十六日及び十七日の二日間、富山県及び岐阜県において、初等中等教育等に関する実情を調査してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、野上委員長、那谷屋理事、橋本理事、水落理事、斎藤委員、藤谷委員、熊谷委員、山本委員、柴田委員、そして私、鈴木でございます。
 一日目は、まず、富山市立芝園小学校及び芝園中学校を訪問いたしました。
 両校は、PFI事業によって同一敷地内に一体型校舎として整備された学校であり、相互に連携した活動が展開されております。
 芝園小学校では、少人数指導を行う五年生の授業を参観いたしました。ここでは、学級担任及び少人数指導担当の教員が、三つのクラスを四つのグループに分けて授業を進め、それぞれのグループでは、児童の習熟度に応じた目標に沿ってきめ細かな授業が展開されており、児童が主体的に授業に取り組んでいる様子が印象に残りました。
 また、芝園中学校では、いわゆる中一ギャップと言われるものが全く感じられないとの御説明を伺いました。現場の先生方のお話から、小学生が日常的に中学生の姿を目にする環境や、小学生と中学生が合同で参加する学校行事などの小中一貫的教育の取組が中一ギャップの対策に大変有効であることを実感いたしました。このほか、災害時に学校施設を避難場所として機能させるための対応、研修部活動の取組、小中合同で行う地域美化清掃活動、PFI事業による学校施設整備の教育への効果などについて学校関係者の方々と意見交換を行いました。
 次に、富山県庁に移動し、富山県及び富山県教育委員会から、富山県の教育に対する取組について説明を聴取いたしました。
 富山県は、児童生徒の科学に対する関心を高め、論理的な思考力を伸ばすことを目的とした「とやま科学オリンピック」の開催や、中学生が地域の事業所や福祉施設などで様々な体験活動に取り組む十四歳の挑戦など、特色ある取組を行っております。特に、中学一年生については、各学校が少人数学級と少人数指導のいずれかを選択する「中一・三十五人学級選択制」が実施され、その選択は、学校、教育委員会、PTA三者の円滑な意思疎通の下に行われていることが紹介されました。また、児童生徒の心の問題の解決にも全力で取り組んでおり、積極的なスクールカウンセラー配置などによって、いじめや不登校は減少傾向にありますが、引き続き教育相談体制を充実させていきたいとのことでありました。数々の意欲的な取組に、富山県の教育に対する意識の高さを再確認いたしました。
 なお、三十五人以下学級の推進に当たっては、教職員の加配定数について先進的に取り組んできた県に不利にならないよう配慮されたいとの要望をちょうだいしました。
 続いて、富山大学五福キャンパスを訪問いたしました。
 富山大学は、平成十七年に、県内の三つの国立大学法人が再編・統合され現在に至っております。再編・統合によるスケールメリットを生かすため、一体的な運営体制を今後も強化していきたいとのことでありました。また、同大学では、地域の特徴を生かした総合的な研究を推進しており、中でも、医薬学研究の分野では、医学と薬学が連携する特徴的なカリキュラムを有し、和漢医薬学総合研究所は我が国唯一の和漢医薬学研究の世界的拠点として知られております。同大学は、東洋医学の基礎と臨床がそろうという特色を持っており、西洋医学と、個人の体質に合わせたオーダーメイド治療とも言える東洋医学との融合により、一層高い治療効果が期待されます。
 次いで、同大学の杉谷キャンパスにある和漢医薬学総合研究所民族薬物資料館を視察いたしました。
 同資料館は、世界の諸民族の伝統薬物に関する共同研究を推進しております。約二万七千点に上る生薬標本を収集、保存し、保有資料数や収集範囲の広さでは世界第一の生薬博物館であり、収められている生薬についての適応症や伝統医学における使用法などをまとめたデータベースによって、世界に情報を提供しております。資料館を視察した後、和漢医薬学総合研究所における共同研究の取組状況、伝統医薬学の観点から統合医療を推進する意義などについて和漢医薬学総合研究所の方々と意見交換を行いました。
 その後、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりを目指し整備が進められている富山ライトレールに乗車し、富山ライトレールの通学による利用状況、交通環境学習の取組などについて富山市から説明を聴取いたしました。
 二日目は、岐阜県に移動し、東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設を訪問いたしました。
 同研究施設は、神岡鉱山内の地下千メートルに設置されたスーパーカミオカンデや重力波検出器を始めとする観測装置を用いて、究極のイノベーションとなる可能性を持つ素粒子や宇宙の物質についての研究を行っております。最先端の施設を御案内いただいた後、同研究施設での研究成果を広く社会に認知してもらうための試み、科学技術に関する政策と現場の研究との双方を理解する人材を育成することの重要性、諸外国における重力波観測の取組状況などについて、研究者の方々と充実した意見交換を行うことができました。
 以上で報告を終わりますが、今回の調査に当たり、大変お世話になりました訪問先の関係の皆様方並びに、私どもの受入れのため準備を進めていただきながら、悪天候のため今回訪問することができませんでした飛騨市立古川小学校、岐阜県教育委員会及び飛騨市教育委員会の関係の皆様方に、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
 以上でございます。
#10
○委員長(野上浩太郎君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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