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1951/08/18 第11回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第011回国会 本会議 第3号
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1951/08/18 第11回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第011回国会 本会議 第3号

#1
第011回国会 本会議 第3号
昭和二十六年八月十八日(土曜日)
 議事日程 第三号
    午後一時開議
 第一 講和全権委員任命につき国会法第三十九條の規定により議決を求めるの件
 第二 運輸審議会委員任命につき事後承認の件
 第三 商品取引所審議会委員任命につき事後承認の件
 第四 日本銀行政策委員会委員任命につき同意の件
 第五 公正取引委員会委員任命につき同意の件
 第六 鉄道建設審議会委員指名の件
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 講和全権委員任命につき国会法第三十九條の規定により議決を求めるの件
 講和全権委員代理任命につき国会法第三十九條の規定により議決を求めるの件
 平和会議に国会議員を派遣することとし、本院からは七名の議員を派遣し、その人選は議長に一任するの件(議長発議)
 日程第二 運輸審議会委員任命につき事後承認の件
 日程第三 商品取引所審議会委員任命につき事後承認の件
 日程第四 日本銀行政策委員会委員任命につき同意の件
 日程第五 公正取引委員会委員任命につき同意の件
 日本国有鉄道監理委員会委員任命につき同意の件
 日程第六 鉄道建設審議会委員指名の件
 議員吉田省三君の逝去につき院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞は議長に一任するの動議(有田喜一君提出)
 災害復旧に関する緊急質問(村瀬宣親君提出)
 鹿兒島県大島郡日本復帰に関する緊急質問(二階堂進君提出)
 南千島帰属に関する緊急質問(佐々木秀世君提出)
 引揚促進に関する決議案(三宅正一君外百一名提出)
 懲罰委員会を除く各常任委員会、海外同胞引揚に関する特別委員会及び公職選挙法改正に関する調査特別委員会における閉会中審査の件(議長発議)
    午後九時三十九分開議
#2
○議長(林讓治君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(林讓治君) 日程第一につきお諮りいたします。内閣から、講和全権委員に衆議院議員星島二郎君、参議院議員徳川宗敬君、衆議院議員苫米地義三君を任命するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者多し)
    〔賛成者起立〕
#4
○議長(林讓治君) 起立多数。よつてその通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#5
○議長(林讓治君) 内閣から、講和全権委員代理に衆議員議員松本六太郎君、同吉武惠市君、参議院議員大野木秀次郎君、同伊達源一郎君、同鬼丸義齊君を任命するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(林讓治君) 起立多数。よつてその通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○議長(林讓治君) お諮りいたします。来る九月四日米国サンフランシスコで開催される平和会議に国会議員を派遣することとし、本院からは七名の議員を派遣しその人選は議長に一任せられたいと存じます。これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#8
○議長(林讓治君) 起立多数。よつてさよう決定いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#9
○議長(林讓治君) 日程第二につきお諮りいたします。内閣から、運輸審議会委員に栢原語六君及び冨山清憲君を任命したので、その事後の承認を得たいとの申出がありました。右申出の通り承認を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて承認を與えるに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#11
○議長(林讓治君) 日程第三につきお諮りいたします。内閣から、商品取引所審議会委員に南正樹君を任命したので、その事後の承認を得たいとの申出がありました。右申出の通り承認を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#12
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて承認を與えるに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#13
○議長(林讓治君) 日程第四につきお諮りいたします。内閣から、日本銀行政策委員会委員に中山均君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#15
○議長(林讓治君) 日程第五につきお諮りいたします。内閣から、公正取引委員会委員に湯地謹爾郎君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#17
○議長(林讓治君) 内閣から、日本国有鉄道監理委員会委員に飯田精太郎君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意を與えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて同意を與えるに決しました。
     ――――◇―――――
#19
○議長(林讓治君) 日程第六に入ります。鉄道建設審議会委員に欠員を生じましたので、鉄道建設審議会の委員の指名を行います。
    ―――――――――――――
#20
○福永健司君 鉄道建設審議会委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名せられんことを望みます。
#21
○議長(林讓治君) 福永君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて議長は鉄道建設審議会委員に廣川弘禪君、増田甲子七君を指名いたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#23
○議長(林讓治君) 御報告いたすことがあります。
 議員吉田省三君は、一昨十六日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。この際弔意を表するため発言を求められております。これを許します有田喜一君
    〔有田喜一君登壇〕
#24
○有田喜一君 ただいま議長からご報告に相なりました故衆議院議員吉田省三君に対し院議をもつて弔詞を贈呈し、その弔詞はこれを議長に一任するの動議を提出いたします。
 この際、私は諸君の御同意を得て議員一同を代表いたし、つつしんで哀悼の辞を述べたいと存じます。
 吉田君はかねて御病中と承つておりましたが、あまりに突然の計報接し、異常な驚きに打たれるとともに、意義深い今国会の召集日当日に永眠されましたことは、われわれの、ことのほか痛惜にたえないところでございます。
 君は、明治三十四年六月、兵庫県加西郡九会村に生を受けられ、明治大学を卒業の後、司法官を志し、昭和三年司法官試補を第一歩に、検事及び判事を歴任すること前後二十年に近く、退職後は弁護士として今日に至つたのでございます。
 人となり温厚誠実、よく郷党の信望を集め、一昨年の総選挙には、推されてみごと本院議員に当選されました。在職中は法務委員として多年の薀蓄を傾け、誠心誠意職務に精励しておられましたことは、諸君御承知の通りで、ざいます。しかも、われわれは君の今後に期待するところ大なるものがあつたのでありまするが、講和の日を目前に控え、国会の使命もますます重きを加えんとするのときにあたり、かかる有為の士を失いましたことは、まことに痛惜にたえません、
 ここにつつしんで君の御冥福を祈り、哀悼のまことをささげる次第でざいます。(拍手)
#25
○議長(林讓治君) ただいまの有田君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて動議は可決せられました。
 ここに議長の手元において起草いたしました文案を朗読いたします。
 衆議院ハ議員正五位勲五等吉田省三君ノ長逝ヲ哀悼シ恭シク弔詞ヲ呈スこの弔詞の贈呈方は議長においてとりはからいます。(拍手)
 災害復旧に関する緊急質問(村瀬宣親君提出)
#27
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、村瀬宣親君提出、災害復旧に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
#28
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。災害復旧に関する緊急質問を許可いたします。村瀬宣親君。
    〔村瀬宣親君登壇〕
#30
○村瀬宣親君 私は、国民民主党を代表して、現におびただしき罹災者が塗炭の苦しみにあえいでいる災害復旧に関し、若干の緊急質問をいたしたいと存ずるのであります。
 昭和二十六年もいまだ八月というに、すでに七百七十七億円の災害を生じでおるのであります。すなわち、七月一日、九州南部に上陸したケイト台風は、四国、近畿を経て中部地方に至り、本年最初の台風として、通過の各地に甚大なる災害を発生し、越えて七、月八日より降り続いた豪雨は、九州、中国、四国、近畿の各地に暴威を振い、特に山口県、京都府地方の惨害は激甚をきわめたのであります。今日までに報告せらはた災害額は河川等の公共土木施設二百五十八億円、農業関係施設四百三億円、住宅、水道、都市、港湾、漁港、山林等百十六億円となつているのでありまして、迫り来る秋の台風期を眼前に控えて、被害地の住民はぼう然自失、日夜きようきようとして不安の中をさ迷うているのであります。政府は、これらの災害に対し、応急措置として緊急融資十三億五千五百万円を決定し、青森、秋田等十七府県に預金部資金を貸し出しておりますが、もとより災害の総額に対しきわめて少額であつて、一時を糊塗する工事費にも足らぬ状態であります。よつて次の諸点に対し、関係大臣の責任ある答弁を要求するものであります。第一、政府は本年の新規発生災害に対し、すみやかに復旧事業費総額の三割程度を予備費より支出する用意ありやいなやという点であります。過般、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法が制定せられ災害に対する国庫負担の体系は一応整えられたはずでありまするが、災害の早期復旧の問題に関しでは何らの規定もなく、緊急を要する復旧も遅々として進捗しない状態であります。さきに地方行政調査委員会議において災害復旧はその発生の初年度において三〇%、次の年度に五〇%、第三年度に二〇%の割合をもつて三年以内に復旧を完了すべきであるとの答申を行つておるのでありますが、ことに本年のごとく引続いて台風の襲来が予想せられる早期の災害は、一刻も早くその重要部分の復旧を完了しなければ、次に来る災害が思いやられるのであります。本年度公共事業の予備費は八十億円を計上せられておりますが、政府は、いつごろ、災害査定額の何割を今回の災害に支出する方針であるか、その金額はおよそいかほどになる見込みであるか、承りたいのであります。
 第二に、災害復旧費に対しては、起債を優先的にかつ全面的に認めるとともに、平衡交付金増額の用意ありやいなやを承りたいのであります。本年度予算の編成にあたつて、地方財政委員会が起債のわくを少くとも六百十五億円にせねばならぬと主張したにもかかわらず、政府はこれを四百億円に決定したために、地方自治体の財政は極度に窮迫し、知事や市町村長は、きびしい現実と財政窮乏との板ばさみとなつて、無謀とも思われる復旧費の捻出や変則的な契約を取結んで復旧工事の促進をはかつて来たのでありますが。今やこれらも行き詰りとなり、土建業者も立てかえ工事を回避するに至つて、万策ここに盡き果てたのであります。よつて、災害復旧促進に要する事業費の地方負担分については全面起債の措置を講ずることが先決問題であると存じますが、政府の所見を承りたいのであります。
 また平衡交付金は、地方財政委員会が本年度予算に少くとも千二百九億円を計上すべしと勧告したにもかかわらず、わずかに千百億円を計上したにすぎないため、今や地方財政の運営は停止せられんとし、三十五名の知事が、平衡交付金増額の見通しが立つまでは自分の任地に帰れないと、東京に籠城しておる状態であります。シヤウプ博士は、地方自治の財政を破壊するものは災害費であると断定して、災害復旧費の全額国庫負担を慫慂したのでありますが、政府はシャウプ博士の意見を無視して、ことしよりその一部を地方に負担せしめることにした経過より考えましても、当然平衡交付金を大幅に増額する責任があると存じますが、これが増額につき補正予算の措置を講ずる用意ありやいなや承りたいのであります。第三は、過年度災害に対する予算計上額は、台風時期以前にその全額を支出する意思ありやいなやの問題であります。本年度予算に計上されておる過年度災害に対する国庫負担三百二十億円は上半期にその三分の二を交付せられたにすぎませんが、災害の復旧は、台風時期以前に実施してこそその効果が発揮せられるのであつて、台風時期を経過して施行する場合は、その効果を半減する結果となるのであります。預金部資金九百億円を死蔵しておる政府は、適当なる措置を講じて、予算計上分は至急にその全額を支出すべきものと存じますが政府の所見を承りたいのであります。
 第四は、既往災害復旧事業費に対し早急に補正予算の措置を講ずる御意思ありやいなやであります。スライド制による災害復旧費の国庫負担を決定するにあたり、本年度施行の事業量に約二十億円の差異を生ずるに至つたことは、政府もこれを認め、当時の増田建設大臣は、補正予算によりこれが穴埋めをすると公約せられたのでありますが、本年度は、思わざる早期災害の発生により相当多額の災害復旧費を増額しなければ国土の保全は困難であると存ずるのであります。少くとも次期出水に対処して、既往災害復旧事業費の三分の一程度はぜひとも本年度中に施行せねばならぬと存じまするが、これが補正予算の措置を早急に講ずる御意思ありやいなや承りたいのであります。
 第五に、地盤沈下による災害復旧と、一般災害基金制度の創設についてお尋ねいたします。南海地震に基き四国中国近畿方面十四府県に起つた地盤変動による災害は、その発見の過程が多岐にわたつたため、今なおその四〇%は未復旧となつておるのでありまするが、今回の災害が地盤沈下災害の未復旧の箇所に特に甚大であつたことは見のがすことのできない事実であつて、これを放置するときは、災害がさらに災害を誘発して、その被害ははかり知れないものがあるのであります。ことにこの災害は、現に今日もなお継続しておるのであつて、毎月二回の最大満潮の都度、人家、田畑が脅威にさらされておるのであります。本件の災害に関しては経済安定本部の理解がはなはだ薄いと聞いておるのでありますが、これに落する周東長官の御意見をも承りたいのであります。
 また一般災害の早期復旧の有効手段として特別会計を設け、災害基金制度を新設して予算額を繰入れ、国庫負担金の交付を行い、交付額に不足を生ずる場合は借入れをなし得る制度を創設する必要があると存じまするが、政府の所見を伺いたいのであります。
 最後に、近年わが国に激発する水害は二千億円に上る国富の損耗を繰返すとともに、各種産業の生産面に甚大なる打撃を與え、国民経済の自立を阻害しておるのであります。ことに最も悲しむべきことは、過年度災害の未復旧事業量が毎年雪だるまのごとく増大する事実であります。すなわち河川災害のみについて見ましても、昭和二十三年における繰越し災害額は二百九十一億円であつたものが、年々累積して、昭和二十六年一月には千二十七億円となつておるのであります。戰前の五割五分に縮小された国土の上に八千万を越える民族の自活を確保する道は、一陣の風雨によつて生活のすべてを奪い去られることのない、強靱な国土の建設であります。しかるに、現状をもつてしては、河川は老朽化し、耕地は土砂に埋もれ、農民は精農意欲を失つて、食糧の確保も、資源の開発も、エネルギー源の獲得もすべて不可能となり、たとい待望の講和が成立して独立国家の仲間入りができましても、民生の安定はおろか、自立経済政策も砂上の楼閣と化し張るでありましよう。人類の歴史は、治山治水と災害防止の能力をもつて政治家の力をはかられたのでありまするが、治水が治世の根幹であることは、三皇五帝の五千、年の昔も、原子力時代の今日も、さらにかわるところはないのであります。インドにコロンボ計画があるごとく、日本もまた独立を記念して拔本塞源的災害対策を樹立し、うるわしく安らけき国土の建設に邁進することが今日の急務であると存じまするが、これに対する政府の所信と構想を承りたいのであります。
 以上をもつて私の質問を終ります。
    〔国務大臣野田卯一君登壇〕
#31
○国務大臣(野田卯一君) 村瀬議員の御質問にお答えいたします。最近災害がきわめて頻発いたしまして、復興にいそしむ国民に対しまして甚大な苦痛を與え、また復興のテンポを遅らせておる点につきましては、まつたく遺憾であります。私は、災害をこうむられました各地方の皆様方に対しまして、深甚なる御同情を申し上げます。
 質問の第一点でありますが、本年の災害は、土木関係におきましては、今までに二百五十二億円に達しております。これにつきまして、この損害額の三割を本年度中に出す考えありやいなやという点でありますが、われわれの希望といたしましては、この三割程度は出したいと考えておるのでありまするけれども、今日の財政の状況並びに本年度の予算における災害経費が四百億でありまして公共事業費の約半分を占めておるというような実情に照しまして、この金額の三割をあくまで主張する点につきましては、かなりの困難があると認めます。しかしながら、最大の努力をいたしまして、この割合をふやしたいと考えております。次に第二点の起債並びに平衡交付金の問題につきましては、他の大臣からお答えを願います。
 第三点の、過年度災害復旧費の三分の一をまだ出しておらないが、いつこれを出すかという点につきましては、でき得るならば今月中にこれを出したい、こういうふうに考えております。
 第四点の、過年度災害復旧費補助率の上昇に伴う不足額を補正予算に盛るやいなやにつきましては、目下検討中であります。
 第五点の、地盤沈下の災害に対する復旧費につきましても、目下検討中であります。
 第六の、災害復旧基金制度の設置につきましてはきわめて問題が重要でありますから、愼重なる検討を要すると考えます。
 第七の、復旧率きわめて低く、将来の災害復旧に対してはいかに考えておるかという点につきましては、御承知のごとく、治山治水の各種の方策を徹底的に強行いたしまして、災害の根絶をはかる必要があると、かたく信ずるのであります。(拍手)
     ――――◇―――――
#32
○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、二階堂進君提出、鹿兒島県大島郡日本復帰に関する緊急質問をこの際許可せられんことを望みます。
#33
○議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 鹿兒島県大島郡日本復帰に関する緊急質問を許可いたします。二階堂進君。
    〔二階堂進君登壇〕
#35
○二階堂進君 私は、来るべき講和條約締結を契機として、鹿兒島県大島郡の内地復帰に関する現地住民と大島出身内地在住者合せて四十万人の切々たる熱情の一端を申し述べ、これに対する吉田総理の率直にして真実ある御答弁を得たいとするものであります。(拍手)
 すでにわが同胞が周知いたしておりますように、この鹿兒島県大島郡が内地に復帰することの悲願のために、現地満十四歳以上の者九九・八%の署名をもつて、連合軍司令部、対日理事会、米国トルーマン大統領並びにわが政府に対して切実なる嘆願をいたし、また他面、復帰運動の一つとして、内地の同胞百万を突破する署名を完了しておるのであります。またさらに講和條約最終案の中に大島郡の復帰が記載せられておらない事実を承知いたしまするや、八月一日以来、全島民がこもごも断食の波状ストを断行いたしまして、生命をかけた悲願を続行いたしておるのであります。なおまた、郡民の代表者は万難を冒して、二晝夜の時間をかけた波濤を乗り越えて東京に集まり、関係方面と国会等に対しまして、日夜をわかたず嘆願を続けておる状況を見まするときに、私ども日本国民といたしまして、まつたく涙なきを得ない、悲壯きわまるものがあるのであります。(拍手)
 私は、去る七月の中旬、沖繩、大島の現地に親しく伺いまして、全島民の、まことに肉を裂かれる思いをして訴えておりますこの状態に接しまして、一層その感を深くいたすものであります。
 思いまするに、鹿兒島県大島郡は、古来奄美大島の名前をもつて呼ばれておりまするがゆえに、歴史と事情とを知らない方面におきましては、往古は日本国土の一部でなかつたものではないかという疑念を持つ者もあるやに思うのであります。しかしながら、この大島は、決して武力その他の侵略によつて獲得した領土でもなく、他国との話合いによつて得た領土でもなく、往古以来嚴然として日本の領土であることは疑いなき事実であるのであります。(拍手)長く日本民族である郡民が、風土による特殊産業ありとは申しましても、その生活が内地同胞と様式同じくし、その感情がわれわれとまつたく同一であることは申すまでもありません。かくの、ごとくでありまするから、かつての誤つた戰争の犠牲となりまして、特殊なる占領地となつておつた郡民四十万が、講和條約を契機といたしまして、すみやかに内地に復帰いたしたいと命にかけて念願するのもまた当然と申さなければならないのであります。(拍手)
 顧みまするに、終戰以来六年間、人道に基き、平和と文化とを目標としてわが日本の自立と国民の安定とに最大の努力をいたしてくれました多数の連合国、特に米国が、この大島郡民四十万の悲願とその真意とを理解し、同情し、善処してくれないはずはないと、私はかたく確信いたすものであります。(拍手)つきましては、将来大島郡が内地に復帰できるのではなかろうかというような、希望的な、緩慢な態度ではなくして講和條約とともにすみやかに内地に復帰せしめるために、吉田総理大臣初め政府は、最大最善の処置をおとりくださるべきことを強く要望いたすものでありまするが、吉田総理はこれに対していかなる御信念、いかなる御処置をとられる所存であられるか、お伺いいたしたいのであります。
 もとより、なお多数のわが旧領主たる島々や地域に関しましても善処をせられんことを希望いたすものでありまするが、鹿兒島県大島郡の歴史的地理的事情、経済と産業並びに民心等の特殊性にかんがみまして、特にこの切実なる要望に基いての緊急質問をいたす次第であります。何とぞこの事情を十二分に御了承の上御善処をこいねがい、質問を終る次第であります。(拍手)
#36
○議長(林讓治君) 吉田内閣総理大臣は病気ため出席いたしかねております。草葉外務政務次官。
    〔政府委員草葉隆圓君登壇〕
#37
○政府委員(草葉隆圓君) 御質問の御趣旨に対しましては十分了承いたした次第でございます。政府におきましては、従来とも、この点に関しましては、連合国に対しまして、現地島民を初め国民の熱烈なる要望を伝えて参り、その地理的、歴史的、経済的、人文的各種の関係資料を提出いたしましてその了解を求めて参つたのでありまするが、今後におきましても引続き努力いたして参る覚悟でございます。なお経済関係その他の交易につきましては、御質問のごとく運び得ることを強く期待いたしておる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#38
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、佐々木秀世君提出、南千島帰属に関する緊急質問をこの際許可されんことを望みます。
#39
○議長(林讓治君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 南千島帰属に関する緊急質問を許可いたします。佐々木秀世君。
    〔佐々木秀世君登壇〕
#41
○佐々木秀世君 講和條約を間近かに控えまして、本国会におきましては、わが国民を代表いたしまする全権団の決定の承認を見たのでございます。この機会にあたりまして、日本国民は、領土問題に対しましては大いなる関心を寄せているのでございます。ここに私は、最もいろいろなるところの疑念のあります南千島の帰属に対しまして、政府の見解をただしたいと存じます。
 御承知のごとく、講和草案の第二章第二條C項には、日本は、千島列島、日本が一九〇五年九月五日のポーツマス條約の結果主権を獲得した樺太の一部及びそれに附属する諸小島に対するすべての権利、権原並びに請求権を放棄すると明記されているのであります。もとより無條件降伏をいたしましたわが国民といたしましては、この第二章第二條の領土問題に対しましては、何ら異存をはさむものではございません。しかしながら、千島列島そのものの歴史、今日までのあり方等を検討いたしますると、そこに大きな疑点をさしはさむものがあるのであります。
 国際條約上に現われました千島の歴史は、安政元年、すなわち一八五四年の日露和親條約ーー神奈川條約ともいわれ、また下田條約ともいわれているのでありますがその規定におきましては、こう書いてあります。今より後、日本とロシヤとの境、すなわちエトロフ島とウルツプ島の間にあるべきものであつて、エトロフ全島は日本に属し、ウルップ全島、それより以北のクリール諸島はロシヤに属すると書いてあります。次いで、明治八年のいわゆる樺太、千島の交換條約が成立いたしました。その條約におきましても、全千島は日本領に樺太は露領と定められ、日露間の外交問題として、エトロプ島以南の千島、俗にいいますところの南千島について境界争いということは一度もなく、千島列島はウルツプ以北の十八島をいうのであつて、エトロフ島以南は條約上の千島にはなつていないのであります。
 最近の国際條約等を見ましても、またはわれわれは後において知つたのでありますが、あるいはヤルタ協定は秘密協定といわれておりますが、そうした秘密協定におきましても、今回のいわゆる講和條約の草案におきましても、その原文には、いわゆる千島列島というものにつきましては、クリール・アイランドという名称を用いちれているのであります。しかして、明治八年のいわゆる千島樺太交換條約におきましても、いわゆるクリール・アイランドの名称をもつて、南千島の択捉または国後諸島は、完全に千島列島からは分離されているのでございます。こうした解釈から見ましても、今回の第二條にあてはまります千島列島というその通俗的な考え方から考えまして、われわれといたしましては、国際條約に現われたそのものを基本とするのがこれすなわち当然であろうと私は考えます。(拍手)そうした点から考えまして、この択捉並びに国後諸島は、今回の領土條約に基きましても当然日本の領土であると私たちは考えているのであります。(拍手)
 政府におきましては、今日まで、領土問題につきましても、連合国との間に幾たびか交渉せられたことで、ございましよう。今この国後、択捉両島があいまいのうちにソビエト領に属するというようなことがありまするならば、先ほど奄美大島の帰属の問題に対して言われましたことく、島民はもちろん、あるいは北海道四百数十万の道民並びに日本国民全体の希望から考えましてもまことに遺憾といわなければなりません。ことにこの択捉、国後島の水産あるいは漁業等に関する地位におきましても、北海道がかつて世界三大漁獲地の一といわれたのもーーすなわちこれら南千島諸島におけるところの漁獲の数字を見ましても、これらの島を失うということは、現在日本の置かれている経済状態から見ても重大な問題といわなければなりません。政府におかれましては、もしこの解釈に疑念がありーー日本に属するところのものであろうと私たちは考えますが、講和條約にあたりましては、全権団はもちろんのこと、政府におきまして万全の努力を盡して、これら日本領土をはつきりと帰属されるよう特段の努力を懇請し、質問といたすものでございます。(拍手)
    〔政府委員草葉隆圓君登壇〕
#42
○政府委員(草葉隆圓君) クリール・アイランド、すなわち千島、この範囲につきまして、ただいまの御質問にお答えを申し上げたいと存じます。クリール・アイルランド、千島の範囲につきましては、日本との平和條約の中におきましては何ら定義されておりませず、従つてその範囲につきまして明瞭ならざる点もあると存じます。従来日本政府におきましては、その歴史的、文化的、地理的、経済的関係につきまして連合国に対して詳細資料を提出し、かつ日本国民の輿論を申し述べて参つたのでありまするが、今後におきましても引続き熱心にこの点を申し述べて国民の熱情を伝えたいと存じておる次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#43
○今村忠助君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、三宅正一君外百一名提出、引揚促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略しこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#44
○議長(林讓治君) 今村君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。
 よつて日程は追加せられました。
 引揚促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。受田新吉君。
    〔受田新吉君登壇〕
#46
○受田新吉君 私は、ただいま上程いたされましたところの引揚促進に関する決議案の提出者を代表いたしまして趣旨弁明をいたしたいと思います。
 まず引揚促進に関する決議案の主文並びにその理由を申し上げます。
  引揚促進に関する決議案
 海外に残留する同胞引揚のため、講和を前にして、政府は、特に万全の措置を講ずべきである。
 右決議する。
    理由
  終戰後六年も経て、いま講和を目前にひかえ未だ海外に残留する同胞引揚の熱望は切実なものがある。特に講和後中・ソとの関係を考えた場合、條約草案に引揚事項を挿入するのみで満足することなく、更に政府は全力を盡してこの引揚を完了する如く努力すべきである。
私は、この主文並びに理由に若干の補説を試み、趣旨弁明を進めたいと思います。
 終戰以来満六年たつた今日、祖国再建の前途には、ようやくほのぼのと光明が見出され、かつ経済復旧も着々とその歩を進めつつありまするときにいまだなお海外から多数の同胞が帰還していないという現実は、何たる人生の悲劇でございましようか。ポツダム宣言第九條には、武装を解除いたされましたるところの捕虜はすみやかに祖国に帰され、生産的かつ平和的産業に従事せしめられると明記せられておるのであります。しかるに、このポ宣言第九條を実行していないところのソ連並びに中共の両国におきまする未帰還者は、先般の外務省の発表によりましても、七万七千という、確実なる情報に基いたところの数字があげられておるのであります。私たちはこの重大なる現実をよく直視いたしまして、(発言する者あり)平和運動が着々として推進されようとする今日、なおかつ異境にありて望郷の念やみがたき同胞を持つておるということに思いをいたさなければならないのであります。(拍手)
 皆さん、この国民的要望にこたえまして、去る七月十三日、米国より関係諸国家に発表いたされましたるところの日本国との平和條約草案を見まするときに、捕虜條項の規定をどこにも見出すことのできなかつたことは、全国百万に余る留守家族たちをして極度に失望せしめ、輿論またこの問題について重大なる関心を持つて参つたのであります。留守家族代表たちは東京に相寄り、大会を開き、かつ国会、政府並びに関係諸国家に訴えまして、ポ宣言が廃止された後、講和條約が締結された場合において、捕虜條項なき條約によつて、われわれの帰らざる同胞にいかなる措置をしてくれるのであるかという悲願に燃え、遂に千鳥ケ淵のあの断食悲願となり、百五十時間の長きにわたつて七十歳を越えましたる老人が、帰らざる子供のために、あるいは若き婦人が帰らざる夫を待つて、切々、あの生命に影響する断食悲願を続行したのでございました。
 ここに政府は、輿論のおもむくところ、未引揚者の家族の熱願にこたえて最後の努力を集中してくださいまして、遂に去る八月十五日、平和條約の最終草案には、その第六條第二項において、「日本国軍隊のその郷里への帰還を取り扱つた千九百四十五年七月二十六日のポツダム宣言第九條の規定は、まだ完了されていない限り、実行されるものとする。」と明記せられたのであります。(拍手)私たちは、ここに全国留守家族たちの悲願にこたえ、輿論にこたえたこの條文が挿入されたことに対して、米国を中心とする関係諸国家の絶大なる理解に感謝をいたしまするとともに忘れてならないことは、今後における引揚げ促進は、この條文の挿入とともに一層意義が重加されたことであります。われわれは、この機会において、国連の引揚げに関する特別委員会がすみやかにその活動を開始せられることを懇望いたし、かつ平和條約締結の後においては、われわれは国際連合の一個の人格として加入を許され、しかして国連によるところの引揚げ促進が堂々と推進されることを期待し、かつ万国赤十字あるいは宗教的諸団体等を通じて、人道的に、正義の立場からこの重大なる問題の解決に堂々と邁進しなければならないのでございます。(「その通り」)皆さん、われわれは、この機会に、政府がこの問題について以上申し上げましたるごとき諸点に関し、堂々とその所信を断行し、関係諸国家に訴え、あらゆる努力を傾倒すべきことを要求いたしますとともに、忘れてならないことは、この問題の解決は人道的であり、かつ正義の立場に立つものでありまして、現在のごとく、わが祖国が今後いばらの道を進もうとするときに、たんたんたる平野ではなくして、荒波もみ洗うところの大洋を進もうとするときに、温室に咲くヒヤシンスのごとくやさしい生活でなく、海岸にそばだつ岩頭の松のごとく洗練されたる生活をこの目前に控えて平和的、文化的国家を再建しようとするときに、一人として気の毒なる、不幸なる運命の人を祖国に残してはならないのであります。ここに帰らごる方々の引揚げ促進に万全の策を講ずるとともに、祖国において不幸なる生活に終始しておる留守家族たちの援護の道に万遺憾なきを期すべきでありまして、政府は以上申し上げましたる諸点に対し、国会の要求に応じて堂々と所信の断行に邁進されることを要望してやまないのであります。
 ここに簡單でございまするけれども、引揚げ促進に関する決議案の趣旨弁明をいたし、諸君の御賛同を心より待望いたしまして、私の演説を終る次第であります。(拍手)
#47
○議長(林讓治君) 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#48
○議長(林讓治君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。
 この際政府より発言を求められております。草葉外務政務次官。
    〔政府委員草葉隆圓君登壇〕
#49
○政府委員(草葉隆圓君) 八月十五日発表せられました條約の最終案によりまして、捕虜の帰還に関するポツダム宣言第九項の規定は、日本国との平和條約第六條によりまして、未帰還捕虜に関する限り存続されることが明らかになりましたことは、まことに御同慶にたえない次第でございます。このことによりまして、未帰還同胞の引揚げについて明瞭に根拠を得たことでございますから、今後さらに在外抑留者の引揚げに関しまして関係各国に要請を続けますると同時に、広く世界の人道問題といたしまして、国際連合を初めとし、世界の輿論に訴え、全力を盡して引揚げが完了いたしまするよう努力を続ける覚悟でございます。(拍手)
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#50
○議長(林讓治君) お諮りいたします。懲罰委員会を除く各常任委員会、海外同胞引揚に関する特別委員会及び公職選挙法改正に関する調査特別委員会において、第十回国会、すなわち本年六月五日の会議で議決した事項と同一の事項につき閉会中審査したいとの申出がありました。但し、人事委員会における公務員の勤務地手当の支給地域に関する件を、公務員の給與改訂問題に関する件に変更し、法務委員会における検察行政及びこれと関連する国内治安に関する件を、法務行政及び検察行政に関する件に変更するとともに、住民登録法施行に関する件を追加したいとの申出がありました。各委員会において右事項について閉会中審査するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつてさよう決定いたしました。
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#52
○議長(林讓治君) 先刻の日程第一の議長の採決宣告に対し、林百郎君、黒田寿男君等より異議の申立がありましたが、これには出席議員の五分の一以上を要しますが、五分の一に達しませんので、議長はこれを受付けませんでした。
 この際暫時休憩いたします。
    午後十時三十七分休憩
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    〔休憩の後は会議を開くに至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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