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1947/05/24 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第24号
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1947/05/24 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第24号

#1
第002回国会 予算委員会 第24号
昭和二十三年五月二十四日(月曜日)
    午前十一時五十一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 川島 金次君
   理事 苫米地英俊君 理事 小島 徹三君
   理事 今井  耕君
      淺井 一郎君    東  舜英君
      植原悦二郎君    角田 幸吉君
      上林山榮吉君    古賀喜太郎君
      島村 一郎君    鈴木 明良君
      原 健三郎君    本間 俊一君
      西村 久之君    海野 三朗君
      岡田 春夫君    加藤シヅエ君
      黒田 寿男君    田中 松月君
      米窪 滿亮君    田中源三郎君
      押川 定秋君    川崎 秀二君
      小坂善太郎君   長野重右ヱ門君
      松本 瀧藏君    大原 博夫君
      中村 寅太君    野坂 參三君
 出席國務大臣
        内閣總理大臣  芦田  均君
        大 藏 大 臣 北村徳太郎君
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
        運 輸 大 臣 岡田 勢一君
        労 働 大 臣 加藤 勘十君
 出席政府委員
        経済安定政務次
        官       西村 榮一君
        大藏政務次官  荒木萬壽夫君
        文部政務次官  細野三千雄君
        文部事務官   日高第四郎君
        運輸事務官   加賀山之雄君
 委員外の出席者
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年度一般会計暫定予算補正(第三
 号)
 昭和二十三年度特別会計暫定予算補正(特第二
 號)
    ―――――――――――――
#2
○川島委員長代理 会議を開きます。
 午前の会議は閣僚が閣議その他の都合で出席がありませんので、午後一時から定刻開会いたすことといたしまして、これにて休憩いたします。
    午前十一時五十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十分開議
#3
○川島委員長代理 休憩前に引続いて会議を開きます。
 この際文部大臣が出席されておりますので、文部大臣に対する質疑をお願いいたします。上林山榮吉君。
#4
○上林山委員 私は教育費に関連いたしまして、文部大臣に質疑を試みたいと思うのであります。
 まず地方においては新学制の実施によりまして、政府も御承知のように、財政的に非常に過重な負担をしておるのであります。これは中央集權的な教育制度が、地方分權的な方向に轉換していくという時代においては、地方財政に占める教育費が、非常に負担が重くなるということはやむを得ないのでありますけれども、現在においては過渡期的処置であり、あるいは基礎的処置であるということを考慮に入れまして、教育費に対して考えてもらわなければ、地方財政は立ち行かぬという状態になつておるのであります。殊に最近六・三制を実施する結果、財源の非常に貧困なる町村においては、町村長がこの町村長としての職を遂行することができないというので、各地方にこれを理由として辞職する者が続出してきておる状況でありますが、この状況に対しまして、文部当局としては、何らか具体的に積極的な方策を考えておるものであるかどうか。この点をまず承つておきたいのであります。
#5
○森戸國務大臣 新しい教育制度、殊に六・三制の新制中学につきましては、地方に重い負担をかけておるということは、まことにその通りでありまして、私どもできるだけ國費の面におきましても、六・三制実行のために、十分な費用を充てたいと思うのでありますが、御承知の事情で十分にはまいりません。その結果地方財政に重い負担となつておることは御説の通りでございます。しかし大体の傾向から申しますと、かようなまことに苦しい時代におきましても、地方におきまして、また教職員の方々にも、父兄の方々にも、窮乏に耐えながら、教育のためには驚くべき努力をなさつておることを、私どもは驚嘆しかつ感謝いたしておるのであります。中にはそれがために市町村の財政で非常な窮乏に陷られておるところもあると存じますが、町村長でそのことのために辞職する者が続出しておるというような現象があるということは、私はまだ聞き及んではおらないのであります。この点につきましては、もちろん調査もいたしますけれども、上林山さんも具体的にお調べを願いたいと存じておるのであります。
#6
○上林山委員 地方財政の総予算に対して教育費の占める額は、本年度は平均三割くらいになつておるのでありますが、ところによると五割五分、あるいはそれ以上も上まわらなければならないというようなところが相当に見受けられるのでありますけれども、國家予算の二十二年度の教育費國庫負担は、わずかに五%にすぎない。國家の総予算に対する教育費の割合は五%にすぎない。この結果が今私が言うように、貧弱な町村においては、続出という言葉は少し適切ではないかもしれませんが、数箇所において財政の切りまわしができないという点がおもになりまして町村長が辞職をしておる。そのうちのおもなる問題は、教育費の負担、殊に六・三制を十分にやつていくことができないというのが、その理由になつておるのでありまして、この点は文部当局においても、特に調査を進めてもらわなければならぬ点であると考えるのであります。そこで今文部大臣は、父兄の熱意によつて、あるいは町村当局の熱意によつて、この困難な事業を完遂しつつある。こういう御説明でありまするが、この点は一應諒とする點もありますけれども、これらは大口の寄附金が地元であつた所が大体において新制中学の校舎の建築あるいは復旧ということに着手をしている所でありまして、その多くのものは、まだ寄附金も十分に集まつていないために、これらの二十三年度の事業については、非常なる困難を來しておるということが事実でありまするが、今町村において新制中学につきまして、いわゆる純粹の町村の経費、あるいは寄附金、この割合がどの程度において進行しつつあるかということを、文部大臣はどういうふうにお考えになつておるか。この点を質してみたいのであります。
#7
○森戸國務大臣 先ほどの御質問についてでありますが、地方において若干の町村長が辞職をした者もあるのですが、しかしそれは主として学校敷地選定の問題に関して辞職したのであつて、財政切りまわしというようなことが主たる原因ではないというように聞いておるのであります。なお六・三制殊に新制中校の建設費につきましては、國費の補助、地方財政の負担で十分でなく、父兄に対して相当の寄附がかかつておるという事態は、義務教育といたしましては、必ずしも望まして状態ではないのでありますけれども、地方財政も國の財政も、御承知の通りでありますので、父兄もまたその力に應じて子弟の教育に対してこれを自発的に援助していくということも、あながち否定すべきことではないと思いまするので、そういう方面からの援助も、新制中学を促進していく上において、大きな力となつておるということを、私どもはその通りに、認めておるのであります。
#8
○上林山委員 われわれも自分の子供は自分で教育をする、あるいは自分の村の子供は自分の村で教育をしていく、この根本方針については考えておるのでありますけれども、先ほどから申し上げるように、そうしたような自発的な考えをもつてそういうことをやることについては、何ら異議はないのでありますけれども、寄附金のごときは、税金あるいはその他のことを考慮いたしまして、半強制的に学校区の住民に対して寄附をせしめている、こういうような状態にあるのでありまして、われわれといたしましては、税金で苦しめられ、その上にさらに半強制的に教育費の負担をさせられる。こういうようなことについては、政府として今基礎的に出発しておる時代であるから、もつと積極的に考えて援助の手を伸ばすベきである。こういうような建前から政府に対する要望をいたしておるのであります。
 そこで私は具体的に質問を試みる前に、まず教育優先ということが今日唱えられておる。六・三制を実施するについては、いろいろな困難があり、特に財源の点について非常な困難がある、こういう際において、先ほど申し上げましたごとく、前総予算に対する五%の教育費しか國家は負担していない。こういう見地から見て、まずこれは予算技術の上から考えてみますと、教育費も、戰災復興費も、その他の公共事業費も、公共事業費という一つの大きなわくの中にあてはめておりまして、文部当局がこの教育優先、ないしは必要なる六・三制のこ業を完遂するためにどれだけの努力をしておるかということが、一目瞭然としてわからない。説明を求めて初めてわれわれはこれがわかるのである。これは大藏大臣がおりますならば申し上げたいのですが、公共事業費から戰災費も獨立すベきものであるが、特に教育費というようなものは、これを獨立して予算に現わしていくということが、文部省としての教育に対する方針を明らかにしているものだ、こういうように考えるが、まず形式的な立場から、こういう問題に対して、文部当局はどういう見解をもつているか。いわゆる公共事業費一本でまとめてやると、これは大藏省としては予算編成上便利であるかもしれないが、教育に対する政府の熱意を、たれもが簡單にわかる方法としてはいけないことだ、われわれはこういうように考えるのであるが、これに対する見解と政治折衝の經過を承りたいのであります。
#9
○森戸國務大臣 初めの御質問の、半強制的な寄附が相当にあつて遺憾であるというお話であります。私もこれははなはだ遺憾であると存じております。寄附は性質上強制的のものではないのでありまして、当局といたしましては、そういうことにならぬように、府縣にもしばしば注意をしておるのであります。
 それから第二の問題の教育優先ということとにつきましては、ただ口での教育優先というお題目に止まらずに、予算の上でもこれを実現していくことが重要であるということは、まことに御説の通りであります。なおそれを具体的に現わす形といたしまして、公共事業費というものにいろいろなものが一緒に盛りこまれておるということは、教育に対して、これは建築等の問題に関してでありますが、見透しがつかないので、これは別に項目を立つベきであるという御意見でありまして、この点きわめてごもつともな御意見と存じておるのであります。もつとも公共事業費には教育費が全部はいつでおるのではないのでありまして、資材に関連する面が、ここに盛りこまれておるのであります。これは敗戰後における日本の建築資材等が供給に制限があるという面に即して、こういう立て方がされておるのでありまして、本來の予算の立て方からいたしますれば、学校の建築等は、教育に関する文部省の面に組み入れられるのが妥当であると考えておりますけれども、今日の経済の状態、殊に建築資材の状況からいたしまして、かような取扱はやむを得ないものと存じておるのであります。
#10
○上林山委員 やむを得ないから、資材の関係があるから、これは獨立する必要がないという考え方は、予算技術としても、私はあるいは教育に対する熱意を示す點からいつても不穏当である、こう思いますので、この点については格段の御研究と努力を要望することにいたしまして、私がさらにお尋ねいたしたいことは、文部当局としては二十三年度の予算に、大体どれだけの六・三制に対する教育費を要望されたのであるか、おそらく近いうちに、すでに確定をして本予算として提出されるはずであるのでありますが、この際どれだけを要求して、そうしてどれだけ査定を受けて、決定をした、その額をまず示されたいのであります。
#11
○森戸國務大臣 六・三制の予算についてどのくらいの額を要求しておるかというお話でございますが、これはただいま財務当局、安定本部との交渉の過程にありますので、はつきりした数字を申し上げることができないのははなはだ遺憾でございます。
#12
○上林山委員 形式的には二十三年度の予算がまだ出ていないから、大臣が言うがごとく、あるいは交渉中であるということも言えると考えるのであります。けれども、すでに戸田總理も、わが党から本会議において予算提出の時期について質問したのに対して、ここ二、三日の間に本予算を提出する、こういう言明を総理としてしておるのであるし、殊に予算委員会においては、大体印刷等の関係もあるから、事前審議というような意味において、二十六日に要綱による審議を進めようではないか、こういうような申出もあるときでありまして、そういう時期であるから、未だなお財務当局と折衝中であるという考え方は、あまりにも取越苦勞的な答弁であるのではないか、こういうふうに考えるのであります。でありますから率直に、総額これだけあつたら、二十三年度は文部省としては六・三制の教育をこの程度にやり得る考えだけれども、折衝のご果は大体こういうふうになつたというくらいのことは、お漏らしになつても、何もそれによつてわれわれは文部大臣を追い詰めようという考えなどはないのであるから、この際そういう点を遠慮なくひとつ発表していただきまして、むしろわれわれのごとき理解のある各議員を動員して、これは立場も違うのでありますけれども、そこはそことして協力するというような態度を、文部大臣が強くお示しになることが、私はこの際必要である、こういうふうに考えるのでありますが、大臣の御所見を伺いたいのであります。
#13
○森戸國務大臣 上林山委員のお話で、力強い御協力を願いたいことはもちろんでございますけれども、ただいま三時から、また今晩この問題を私ども審議いたしますので、それまではちよつと申し上げかねるのであります。なお公共事業については、このたびからは、その中のさらに区わけをして提出するというような方向に、大藏省でもなつておるというようにただいま承りました。これは私どもただ公共事業一本では十分に審議ができぬので、少くとも公共事業の中にありましても、その内訳が明らかにされることが、審議の過程上必要であると、私ども申しておりましたけれども、このたびはそういうことになるということが、大藏省主計局からのお話であります。
#14
○上林山委員 大体文部当局が御要求になつたのは四百億ないし五百億程度であつた、こういうように言われておるのであるが、それが大体その半分くらいは認められるのではないかというふうに、各方面でうわさがあるのでありますが、そういうような程度であると承知してよいのでありましようか、この點を軽く確かめたいのであります。
#15
○森戸國務大臣 同じことを繰返すようでありますが、しばらくお待ちくださるように……。ただいま私からそのことは申し上げかねます。
#16
○上林山委員 しばらく待てと言えばこれはやむを得ないことかもわかりませんが、それならば文部大臣としては絶対必要と考える当初の要求額が全部通るお見込みでありますかどうか、この御決意と折衝の經過をお考えになれば、大体おわかりになると思いますが、その點はいかがでありますか。
#17
○森戸國務大臣 私どもは少くとも要求しておる最小限は通したいという決意をもつておるのでありますが、他面日本の財政の現状もありますので、それらをにらみ合わせて、初めて予算は決定されるものと存じております。
#18
○上林山委員 非常な善良なというか、非常にお弱い性格というか、そういうような立場から御判断になれば、國家財政の全面的なことをにらみ合わせて、國務大臣として平均した氣持で日本の全行政を考えていくということは、これは一應考えられなければならぬことではあるけれども、当面の責任者としての文部大臣としての閣議における主張、ないしは教育事業に対する熱意ある主張というものは、私はもつと線を大きく、しかも力強く御主張になつて差支えないものだと考える。そういうような建前から言つて、私はもう少しくらいの要求額は、大体通ることに内定しておるが、その詳細は報告できない、あるいは要求額の半分だけは今大臣が説明されたような事情によつて通ることになつたが、その詳細は後刻に譲りたいと思うというような程度のことは、もうめやすがついていなければ、二十六日の全予算に対する要綱の審議ということはできぬのであります。これはおそらく政府側から委員会に連絡があつての全予算に対する要綱の審議であろうと察するのでありますが、詳細の点は私は聽かんでもよろしいが、大体のめやす、あるいは決定は、あるべきはずだと考えられるが、その点をさらにお答え願いたい。答えることができなければ、それでいいのであつて、私は文部大臣の愼重さに、まことに遺憾の意を表して、この点はその程度でもいいと思うが、できるなら、この際熱意をもつて報告願いたいのであります。
 そこで、さらにそれに次いでお尋ねいたしたいことは、町村長で辭職するものが出てきている。これは財政の関係、あるいは六・三制の関係、あるいは文部大臣が言われるように、学校敷地の関係というようなものでありまして、ほとんど財政の関係から、あるいは教育費のかさんでいる関係から悩みに悩んで、その責任を果し得ずして辞職するものができてきている。おそらく文部大臣は樂観しているかもわからぬが、今後も私は残念ながらこういうことが続出してくるものと予想しているのであります。
 そこでお尋ねしたいのは、こういうような貧弱町村に対しても、國家は何らか特別の財政授助の方策をもつているか。いわゆる画一的に、あるいはきめられた標準によつての教育費の補助ではなしに、あるいはそういう特に貧弱町村に対しては、何らか特別の授助の方法を考えているかどうか。これは地方財政殊に教育費の負担が加重されている町村の悩みを、政府としても考えているのだ、こういう点から何かここに特別の方法を考える必要があると思うので、大臣にこれを答弁願いたいのであります。
#19
○森戸國務大臣 一つは教育に対する熱意の問題の御質問でありましたが、これは上林山委員とちよつと考え方が違いまして、私どもは外に大いなる聲で主張することではなくして、実際にその問題をよい結果をもつてくるように主張することが大事だと思つているのでありまして、その点については、私は最善を盡しているつもりであります。
 なお地方において非常に困つている町村のあることは、御承知の通りであります。しかし先ほど申しましたように、それで町村長が辞職するという例は非常に少いのでありますけれども、しかしかような町村に対しては、まことにお氣の毒に思つておりますが、これらに対しては、本來の筋からいいますと、こういう中小学校の教育費は、地方で負担するのが原則となつておりまして、義務教育であるという点と、地方の財政の状況とを勘案いたしまして、半額國庫負担ということになつているのであります。それでその半額が府縣に渡されまして、府縣はさらに実情を調査して、特に貧窮なる町村については、その範圍内では特別に考慮を拂う余地もあろうかと存ずるのでありますが、全体國家といたしましては、特別にある町村が困つているから、それに國費をよけいに出すということは、行われることにはなつておらないのであります。
#20
○上林山委員 私は國費をよけいに貧弱な町村に特に考慮して――現在までこれが行われていないがゆえに、現在非常に困つておる町村に対しては、氣の毒であるから、所期の目的を達成せしめるために、政府が特別の考慮を拂う必要があるのではないか。そういう場合に、何か特別の方法を考えてみたことはないか、こういう点を私は主張しておるのであります。あるいは要望しておるのでありますが、この私の要望的意見に対しての御答弁ではないようであります。現状の報告を聽いておるのではありません。現状の報告は大臣の言われる通りであるが、それでは特に困つておる町村に対しては不十分である。いかに名目は町村みずからがやらなければならない教育である面が多いとしても、それでは不徹底である、こういうので私は特にこの点を要求したのであります。
#21
○森戸國務大臣 國家といたしましては、先ほどお答えした通りでありまして、地方長官は町村の実際の事情を勘案しまして、その判定に從うて、適当に授助をしていくことが可能であります。この問題はそういう形で解決されるのが、大体の筋であろうと、私は存じております。
#22
○上林山委員 大体の筋であるとか、國家は現在考えていないとかいうことをお尋ねしておるのではありません。少くともそういう貧弱な町村が、もし新学制による教育ができないような結果になつたときに、政府としては規則通り、法令通り、これを何らかの形で強制する。財政が苦しいことはわかるけれども、國家の規則がこうなつておるから、このままやらなければならぬという、何か命令を出すくらいの考えをもつておるのであるかどうか。あるいは地方の実情によつては、何らかの緩和方法をとることもあり得ると考えておられるのか。その点を質しておきたいのであります。
#23
○森戸國務大臣 小学校、中学校は國民の義務教育でありまして、その点においては、父兄は子供を就学させなければならず、市町村長はこれに必要な学校の設備を準備する義務があるのであります。
#24
○上林山委員 市町村長が学校の設備をする責任があるという法律上の根拠は、われわれも承知しておるのであるが、もしこれをなし得なかつた場合においては、國家はその根拠に從つて、いかに町村の財政が貧困であつても、これはその通りにやるべしというような強い命令を出す考えか。あるいは一定の期間、あるいは事情を斟酌して、何らかの調和をはかる方法もあるものかどうか。これを聽いておるのでありますが、この点を明暸にひとつお答え願いたいのであります。
#25
○森戸國務大臣 お答えいたします。中学、小学が義務教育である以上は、これは行わなければなりません。ただ特定な設備、これくらいの内容をもつ学校を建てて、そこで就学しなければならぬということが、必ずしも命令されているのではないのであります。從つて二部教育でも、また仮教室でも、実際の經濟の許す事情に應じながら、六・三の教育をやつていくという義務を、市町村長は滯びているのでありまして、こういうことはぜひともやつていただかなければならぬと私は考えております。六三制が完全に実施されることを私どもは望むのであるが、この完全なる実施というのは、教場その他が十分な設備を整えたものであるということではなく、この制度を中止したり、また延期したり、そういうことを全面的にもまた部分的にもやらず、國民ひとしく各地方にこの制度が行われることを意味しているのであります。
#26
○上林山委員 私の質問に対して、どうも正確な答弁をされないようでありますが、明暸にお答え願いたいのは、そういうような事情があつた場合に、町村がこれをあらゆる方面からやり得ないというときには、強制的な命令を出して、こうやるべし、いわゆる法令がこういうふうになつているから、財政の都合もあるけれどもやれ、こういう命令を出すか、こういうことを聽いておるのであります。命令をお出しになる覚悟でおやりになつているのか。こういう点 あります。
#27
○森戸國務大臣 その地方々々の実情によるのでありますけれども、義務教育でありますから、これはぜひやつてもらわなければなりません。ただ形は二部教授ということもありましよう。またその他いろいろな経済の事情に應ずる形で教育が行われるということはやむを得ませんけれども、制度は実行する義務があり、これは必ずやつてもらうということを、私どもは期しているのであります。
#28
○上林山委員 われわれも文化國家建設という見地から、高い教育を國民に與えるというような意味において、國民に教育の機会均等を與えるというのは大賛成でありますが、この問題に対して、今申し上げるごとく、財源その他の関係から、非常に國民的な批判も下されているようでありますが、これに対してある方面から、制度そのものに対してか、あるいは財源の関係からか知りませんが、この六・三制に対しては、あるいは新学制全体に対しては、事情によつては考慮の余地もあるのではないか、こういう意味のことが言われたようなことを聞いておるのでありますが、そういふ点は全然なかつたのであるかどうか、この点をお尋ねいたしたいのであります。
#29
○森戸國務大臣 文部当局といたしましては、そういうことは聞き及んでおりません。
#30
○上林山委員 次に六・三制に関連して、資金あるいは資材、こういうような方面については、当然町村みずからがやらなければならぬ点も多いのでありますが、政府は資金の面あるいは資材の面について、町村がやりやすいように、特別の援助をどの程度に與えておるか、現在の程度ではわれわれは不十分だ、こういうふうに考えております。二十三年度に関連しては、もつと積極的にこれらの面について何か考えているか、具体的な御意見を承りたいのであります。
#31
○森戸國務大臣 二十三年度の予算については、先ほども申しましたように、数字的なことを申し上げる段階に達しておらないのでありますが、資金、資材の面については、昨年十分でなかつたということを、私どもも諸方面から聞いておりまして、それも理由のあることと存じまするけれども、大体同じような基準に從うて行われるものと考えられるのであります。
#32
○上林山委員 この際特に資金の関係について、たとえば六・三制に関する、あるいはその他の新学制に関しての校舎建築、こういうようなものに対しては起債は優先的に行われる、行われなければならない。こういうふうに考えておるが、現在の進捗状況はあまり速度が早くない、あるいは速度が遅い。こういうような状況であるので、こういう点については大藏当局あるいはその他の関係当局に文部省として強く何か要望されておるか、あるいはこういうような方面について何か具体的に、二十三年度に対しては昨年度よりももつと適当な方法を與えるというようなことを何か考えておるかどうか。この点を特に承つておきたいのであります。
#33
○森戸國務大臣 起債等の問題につきましては、義務教育の費用でありまする点から、大藏省に対しましても、かような起債については優先的に取扱つてもらわなければならぬということを、昨年もしばしば交渉いたしまして、大体その線にきまつたのであります。本年もまたかような方針で事務当局に話はもちろんしておるのであります。大体そういう方向に決定するものと信じておるのであります。
#34
○上林山委員 ただいま昨年も努力をしたし、今年も努力をするという文部当局の言質を得まして、諒とするものであります。非常に速度が遅くて、町村ではこの金がまわつてくるのに数箇月、あるいは半年も要する。その間に貧弱なる町村が金融をやらなければならぬ。請負師にこれを拂わなければならぬ。こういうような状態で、事実あなた方が單に要望したり、書類の上で取引しておる程度では、地方の実情はわからぬのでありますから、こういうように速度が非常に遅い。だから速度を早める、あるいは優先的な扱いをするというような方面に、特段の努力をされるように、私は要望いたしたいと思うのであります。そこで六・三制に関連いたしましてお尋ねいたしたいことは、都市あるいは農村といわず、勤労青年に対するところの教育の徹底、あるいは不徹底というような問題についててあります。本年三月で廃校になりましたところの青年学校の生徒を受入れる態勢が、全國的にできておるとお考えになりますかどうか。この点をお尋ねいたします。
#35
○森戸國務大臣 青年学校の対象になつておりますのは、勤労青年でございまして、私どもはこれら勤労青年の教育については、特に留意をいたしておるのであります。新制高等学校におきまして、普通の課程ではこれらの人はなかなかはいりにくいという事情もありまするので、一面夜学、夜間の課程を設け、他面においては定時制の課程を設けまして、これらの青年学校に行つておりましたような勤労青年の教育ということに可能性を與えておるのであります。
#36
○上林山委員 定時制の高等学校、あるいは夜間学校によつて勤労青年の教育を徹底したい。こういうお話でありまして、これは当然のことだと考えるのでありまするが、この定時制の高等学校は、一都市一單位であつて、聞くところによると、その單位ごとに分校を三校ぐらい設ける。こういうような案のようでありますが、これと夜間学校にして、青年学校の廃校になつた生徒を、全部これに收容し得るという計算が立つておるのであるかどうか。われわれの見解では、これでは不十分であり、決して青年学校の廃校になつた生徒を、全部收容することはできない。相当の開きがある。こういうように計算をいたしておりますが、これに対しては、どういうふうにお考えになつておるか。
#37
○森戸國務大臣 大体において廃校になりました青年学校の生徒は、この夜間高等学校と、定時制高等学校とに收容し得るものと考えております。
#38
○上林山委員 この点は抽象的に御答弁を願いましても、われわれは一郡市一校では、距離あるいは家庭の経済、あるいは勤務先、こういうような点からいうて、わずか一校くらいに、あるいは小さな分校をつくつても、これを收容することはとうていできない。こういうふうに考えまして、その具体的数字があるならば、その收容し得るという数字をば、お示し願わなければならぬと思うのであります。この際その点を承りたいと思います。
#39
○森戸國務大臣 ただいま政府委員からその数字を説明いたさせます。
#40
○日高政府委員 旧制の中等学校の数は、大体三千八百くらいに推定いたしております。そのうち新制高等学校になり得るものは大体七〇%で、定時制の課程を設けるものは千二百五十ばかりに推定いたしております。そして独立して定時制になるものを約二百と考えましておよそ二千四百五十くらいを予定いたしております。青年学校は御承知のように、戰爭中多少無理な教育をいたしましたのと、教育内容に魅力が少かつたために、現在の状況では、出席率が非常に惡いのであります。その出席率をおよそ統計をとりまして、大体從來出席していた者が收容でき得る程度の学校を建てる予定にしております。もう一つ定時制の高等学校を考えますときに特に大切な点は、教育内容をよくするために、教師をよくしなければ、つくつた目的が十分果されないのでありまして、そういう点からも、相当從來の青年学校の内容を改革する必要がありますので、初年度において十分すべてのものを入れるわけにはまいらないと思うのでありますけれども、なるべく充実したよい学校をつくりまして、自然の要望に從つて、徐徐にすべての希望を容れ得るようにいたしたいというのがわれわれの方針でございます。こまかい数字はちよつと今日持ち合せておりませんけれども、先ほど申しましたように、國庫補助の要求の基礎といたしておりますのは、中心校を約八百五十、分校を二千五百、合計で三千三百余を予定いたしておる次第であります。
#41
○上林山委員 ただいま政府委員から数字の説明がありましたごとく、もとの青年学校に籍をおいておつた生徒を、廃校になつたということによつて、新制高等学校に全部收容できないことが明らかになつたのでありますが、文部省の方針として、当時の出席率を考えて、その出席率の基準によつて新制高等学校に收容する程度のことを考えておる、教育内容を改善するという方向に進まなければならぬ。こういう答弁でありますが、私はこの考え方が根本的に間違つておると考えるのであります。もとの青年学校の教育内容に魅力を感じないというのであれば、新制高等学校は、もちろん時代に即して魅力を感ずるような教育内容にすると同時に、もとの青年学校に籍を置いておつた者、あるいは青年学校にはいり得た資格のあつた者は、全部ここに收容するような方法を講ずるし、これが收容できないとするならば、これに対してさらにこれを補う方法を考えていかなければならぬと思うのでありますが、これに対してどういう見解をもつておるか。殊にこの際これを補充するものとして、文部当局が考えておる通信教育、この通信教育は、傳えられるところの案によれば、一府縣に二百名くらいずつを割当てる。いわゆる晝の学校にも、夜の学校にも、家庭の事情によつていきたいけれども、経済的な結果のためにいけない。こういつたようなものを補うために、通信教育ということが唱道せられ、文部省もこれに関心をもつておるようであります。しかしこの案ではわずかに一府縣に対して二百名程度だと聞いておるが、これは事実かどうか。これが事実とすれば、一町村に対して、所によつては〇・四人、所によつては一・五人というような割当になるのであつて、まことにこれは貧弱なるやり方であると考えるが、この点はどうか、これを伺いたいのであります。
#42
○森戸國務大臣 青年学校の生徒を全部收容するような定時制高等学校、あるいは夜間課程の高等学校ができることは望ましいのでありますが、青年学校は男子に対して義務制であります。この青年がすべて定時制の高等学校に実際にはいるとは考えられないのであります。現実に青年学校に通つておる者――これは女子をも含めまして、それらの者も基礎として、さしあたり本年度において收容し得る者を考えていくことは、きわめて理由のある考え方だと、私は存じておる次第であります。
 なお通信教育のことにつきましては、政府委員からお答えいたしますが、通信教育も、定時制高等学校も、実は本年度から発足するのでありまして、これを基礎に、將來こういう方向に教育を伸ばしていきたいという意圖をもつておりますが、御承知のような今日の中央、地方の財政の状況でありますので、私どもの目標としておる基準になかなか副わない憾みがあるのであります。しかしかような方向に將來歩を進めていく第一歩を進めたものと御承知願いたいのであります。
#43
○日高政府委員 通信教授のことについて、ちよつと補足的に申し上げます。通信教授の制度は、ぜひ必要で、拡充していきたい所存でございますが、まだ制度も確立しておりませんので、たとえばこれを受けた者を、いかにして普通の学校に学んだ者と同じ取扱いをするか。簡單に申しますれば、その條件をどういうふうに設定するかというようなことについては、未だ研究の途上にありますので、本年度からやりますものは、ごく小規模に試驗的にやる予定でありまして、この成績をまつて、將來は一層拡充していきたいつもりでおります。
#44
○上林山委員 これは勤労青年を國家ないしは町村の財政の都合によつて十分教育ができない。その教育をば補うために、通信教育というものを拡充強化したい。またそうしなければならぬ。こういうことになるのでありますが、今私が質問したごとく、最初であるから小規模にという文部省の案は、一府縣大体二百名程度の割当になるかどうか。この点を指摘いたしたいと思います。さらにこれらの問題は、紙の問題が必要になつてくると思うのであります。これは教科書とも関連があるのでありまするが、これらの教科書、あるいは通信教育が紙などがないために十分にできない。こういうときに書店、あるいは街頭では猟奇的な低俗な雜誌、そういうようなものが非常に氾濫をしている。これはひとり文部当局を責めるわけにいきませんが、芦田総理もお見えになりましたから、いわゆる学校の教科書も十分に配給できない。学用品も十分に配給できない。今言つた通信教育のための費用も十分に出すことができない。こういうときに、ああいう低俗な雜誌、印刷物が氾濫しているが、これに対して政府は何らか具体的に対策を考えているものであるかどうか。この点について文部当局あるいは最高方針として総理大臣の答弁を私は重ねて要求したいと思います。
#45
○森戸國務大臣 通信教育につきましては、紙の問題も存在しているのでありますが、この制度そのものを現実に即していくための準備段階にあることを御承知願いたいと思うのであります。
 紙の問題に関連いたしまして、遺憾や出版物が非常にあり、しかもそれがために通信教育に必要な紙とか、お話にはなかつたけれども、教科書などが十分でないという事情は、まことに私ども遺憾に存じているのであります。しかしこれは出版制度が自由な出版制度となつて、從來の檢閲制度というものがなくなりました時代においては、この出版という面に関する限りにおきましては、いかんともすることができ得ないのであります。これは出版社と読者においてかような出版物ができないように、十分関心をもつことが、民主國家としてはきわめて大事なことだろうと思います。それで出版用紙割当につきましても、かようなものを目標にしたものには、割当はされていないと、私は信じているのであります。これは主として國民の自粛にまつことが、民主的な制度のもとにおいては、根本の途であり、また風俗等の法規にふれるものについては、それに應じて処断されることがあると思います。文教行政の面においては、出阪の自由な原則から、発賣禁止等の処置をとることはないのであります、
#46
○芦田國務大臣 最近に至つて巷間國民の道義の標準から、はなはだ好ましからざる傾向をもつ種々の印刷物が出ておることは、上林山委員の御指摘の通りであります。政府としても、できることならば、今日非常に貴重な紙を、風教に害があつても益のないような方向に使用せられることは、まことに憂うべき現象であると考えております。しかしながら、文部大臣から説明をいたしましたごとく、わが國の憲法の精神は、あくまでも民主的な、そうして言論の自由を尊重するという建前でありまして、法規に反するごとき卑猥な文字は、これを嚴重に取締ることは当然でありますけれども、その範囲にわたらざる言論の自由を拘束することは、一方において、またその弊害をも考慮いたさなければならないのであります。窮極のところ、國民の社会的制裁、あるいは出版者、著述者の自粛にまつということが、今日の民主國家の建設において、最もふさわしい行き方であろうと、かように考えておる次第であります。
#47
○上林山委員 この問題は、私は非常に重要な問題だと考えますので、さらに一言要望を含めて質問いたしたいのでありますが、なるほど御説明のごとく、これは國民の自粛にまつ点も多くなければならぬ。こういうふうに考えますけれども、一方には文化國家としての教育事業、こういうような方面に國家が特に力を入れてやつていくというときに、教科書がない。あるいは学用品がない。あるいは出版のための紙がない。こういうときに、なるほど強制的に法律に触れる点は触れる点で処断もされるでありましようが、われわれの見るところでは、法律に触れておるような卑猥なものが非常に多い。そういう方面の監督も、まだ不十分であると言いたいのでありますが、殊にこの際考えたいことは、教育事業の殊に教科書等に必要な紙を増配する。そうしてそういう方面に使われておるものに対しては、あるいはやみ取引であるならば嚴重に処断の方法を考える。あるいは配給の量を規正をするとかいうような方向に政府が力強く進めなければならぬ。こういうふうに考えるのでありますが、そういう方面に対しても、政府は何ら手をうつ考えはないのであるか。あるいは十分にやつておると言われるかもしれませんが、事実は街頭に犯濫しておる。犯濫しておることが事実であるから、これを逆算して何らか適当な方法を講じなければならぬ。こういうふうに考えるのでありますが、これに対して、これは文部大臣よりも総理大臣の答弁が適切かと考えまするので、さらに要望を含めて御答弁を要求いたしたいのであります。
#48
○芦田國務大臣 ただいま上林山君御要望の点は、まことに有益な点に触れられたものとして、政府は十分この点を考慮いたしたいと思います。
#49
○上林山委員 最後に文部大臣に対しまして、勤労学生に関係ある問題について、一、二質問をいたしたいと思うのであります。御承知のように、教育費が非常に高くなつて、國家としてもそれとの均衡を保つために、財政の都合から授業料の値上をやらなければならぬというようなことは、一應考えられる問題でありまするが、そこでこの三倍の授業料の値上が、はたして適切であるかないかという点についての文部大臣の意見、それに附け加えてこれらの欠陥を補うためには、現在ある育英資金というものを増額していき、現在の定員あるいは現在支給しておる支給額を、相当増額していくというような考え、あるいはこれは昔あつた制度でありますけれども、優秀なる学生、そういうような者に授業料免除の特典を與えていくというような方向にもつていかなければならぬと考えておるのでありまするが、二十三年度の予算に対して育英資金をどれだけ増額し、あるいは定員、あるいはその支給額をどの程度に増額する考えであるか。この点は要望を含んでいるのでありますが、この点についてのお考えを願いたいのであります。
#50
○森戸國務大臣 上林山委員の御質問のように、学生が今日非常な窮乏の状態のある。内職をしなければならぬという事情にある者も相当に多いということは、すこぶる遺憾なことであります。これと関連いたしまして文部当局が大学の授業料の三倍値上をいたすということになりましたについて、いろいろな問題を起つておるのは、御説の通りでありますが、文部当局といたしましては、この三倍の授業料の値上は、まことにやむを得ないものではありますけれども、不合理なものであるとは存じておりません。実は生活費の高騰、学生の生活費において占める授業料の割合、その他私立学校、自治体の学校の授業料との比較、また國家が大学生に対して、國立大学では一年五万円余も國費を投じておるというような事情を全体的に考えまして、これは不合理な授業料の値上であるとは存じておらないのであります。授業料の問題につきましては、かようにしてやむを得ない値上ではありまするけれども、学生ら対する負担については、できるだけの考慮をいたしまして、たとえば納入の方法については、これを月賦拂いにするとか、督促についてもある程度の緩和をするとかいたしまして、過酷な負担にならないように、また困つている学生については、育英資金を増し、この特典にあずかることのできる学生の数を殖やすように努力いたし、それも授業料との関連を考慮いたしまして、範囲を殖やすようにと考えておるのであります。現在從來の費用とは三倍あるいは四倍の増額をいたそうというような考えをもつて、その方向に努力をいたしております。なおこの育英資金は資金がなくて優秀な学生に対して貸費をいたすということになつておるのでありますが、さらに場合によつては、優秀な学生に対しては給費の制度にしようというようなことも考えられておるのであります。まだこれは結論には達しておりません。
#51
○上林山委員 ただいま御答弁願いましたが、育英資金をどの程度増額する、あるいは定員を現在よりどの程度増加するということになつておるかという点、さらに授業料を三倍ないしは四倍に上げるということは、一方には食費も上つてくる、あるいは鉄道料金の値上げによつて、さらに通学費も上つてくるということで、学校に出す父兄の立場から考えても非常に困難が伴うであるが、これに対しまして官立学校があまり教育の理想を追い過ぎて、たとえば定員を收容することを非常に狭めておる。こういうものを定員を増加して、その増加率によつて授業料の三倍ないし四倍の値上げを、あるいは二倍程度にこれをば抑えていくというような、そういう方向についてお考えになつたことはないか。今日、親にしてもあるいは心ある國民にいたしましても、相当常識のあると思われておるところの専門学校、大学の学生の犯罪人が非常に激増してきておる。こういうようなことは、もちろん敗戰後の日本の一つの反映でもありましようが、一つにはこれは經済的には非常に学生が苦労しておる。その結果からこういう犯罪というものも、心掛けのいかんもありますけれども、こういうようなところから犯罪が激増しておるとわれわれは見るのでありまするが、そういうような点に対する対策、あるいは官立学校の定員を増加して授業料の輕減をはかるというようなことはお考えになつていないか。そういう点についての御答弁を要求いたしまして、結論を得たいと思います。
#52
○森戸國務大臣 お答えいたします。官立学校の定員を増すことによつて授業料を輕減するような方向を考えたことがないかというお話でございました。官立学校の定員増加ということについては考慮いたしておるのでありますが、それによつて授業料を輕減いたすというふうにはただいま考えておりません。なお青年の、殊に学徒の風紀の頽廃と言いますか、犯罪等の問題についての御質問はきよめてごもつともでありまして、まことに憂慮すべきものであります。ただ新聞に傳えられておるように、学徒が全体としてさような状況にあるのではないのでございまして、これはきわめて少数の例外的のものでありまして、大多数の学生は終戰直後の混乱の状態からだんだんと改まつてまいりまして、まじめに勉強する傾向が殖えてまいつておるのであります。遺憾な状態にありまするものはただ学徒に止まらず、むしろ社会の影響が学徒に及び、かような状況が遺憾ながら学生の間に現われたのでありまして、私どもはかような状態は一面学生の心持の改まること、根本的には社会の状況が正される。学生におきましとは、殊に物的生活の面とともに、学生の本分にふさわしい心持をもち、学生としての品位を保つというような、学生の間に自治的な自粛的な運動が起るということが、私はきわめて望ましいことと存じておるのであります。
#53
○川島委員長代理 東君、なるべく簡潔にお願いします。
#54
○東委員 ただいま上林山君の文部大臣に対する質疑で、貧弱町村は金がないために設備ができないで困る現状にあるときに、政府は何かこれに手を伸ばす意思はないかということに対して、文部大臣は率直に、結論として私の判断するところによりますと、そういう意思はない。貧弱町村でもとにかく六・三制の制度だけはぜひ実施してもらわなければならぬ、ただしそれは二部制であらうと、また校舎がバラツクであらうと、内容はどうあらうとかまわぬのだ、とにかく町村の負担において六・三制だけは形だけでも整えてもらわなければ困るのだ、こういう御説明であつたと思います。そうしますと、私この点一言だけ文相に念を押しておかなければならぬことは、貧弱町村で教育が充実できない。できなくとも貧弱町村のものは仕方がないのだ、貧弱町村の子供ははなはだ氣の毒だけれども、どんな貧弱な教育でもとにかくこれはやむを得ぬのだ、こういう結論になるのでありますが、そういうことに理解してよろしゆうございますか。これを念のために伺つておきたい。
#55
○森戸國務大臣 お答えいたします。多少誤解があるようでありますが、國家は特別の措置として、かような市町村に対して補助を増額をいたしたりするような方法はとらぬ、しかし國民教育として、國家は半額を補助することになつており、府縣にそれが割り当つておりまするので、府縣知事は町村の実情に即しながら、これを正しく補助するという形をとることによつて、彈力性をもつて、これらの市町村に教育ができるようにすることができるのではないか。しかも私はただ六・三制が形の上で整えばそれでいいであろうと申したのではないのであります。教育は校舎だけがりつぱだからできるというわけではありません。假教室におきましても、二部教授におきましても、実質がしつかりしたものになる余地はあるのでありまして、これは村の父兄の方々、先生の方々、子供たちの心がけによるところもすこぶる多しのであります。私どもはそういう点で、殊に経済的に豊かでない町村においては、この教育制度を補うていかれることを心から期待しておるのであります。
#56
○川島委員長代理 この際総理大臣が見えられておりますので、大臣に対する質疑の通告がございますから、その通告順によつて質疑を許します。鈴木明良君。
#57
○鈴木(明)委員 私はこの際芦田総理大臣に質問いたします。芦田内閣は片山内閣と同樣に、もともと両立しない二つの努力の一時的な抱合せの上に立つておる以上、その政策に一貫性を欠くのが当然てあると思います。そこで組閣の前提となつた三党政策協定のすこぶるあいまいな不明瞭な協定は、ともかくも成立したように思われます。しかしそれは問題の解決を先に延ばしただけであつて、本質的には一切の重要問題は少しも解決されていないのであります。そこでわれわれ國民はただ迷つておるのみであります。私はこの際國民の納得のいくように、逐次三党協定の内容について総理の所信を伺いたいのであります。
 第一にお伺いいたしたいことは、金融機関の問題であります。社会党は、金融機関は國営または國家管理を実施したい、こう述べておつたようでありますが総理の所信をまず伺いたいと思います。
#58
○芦田國務大臣 三党政策協定においては、金融の國営を行うという点は決定しておりません。金融機関の現状から御承知であるように、日銀にしても、あるいは、復興金融金庫にいたしましても、相当に現実の管理が行われておるのであります。今後もしこれを強行する必要が生じた場合には、さらに実際方法について考える場合もあると思います。さしあたり今日までの管理方式において運営に注意さえすれば大したことはない。かように考えております。
#59
○鈴木(明)委員 二番目には國債の利拂いの問題でありますが、これは同僚議員から前にも出たようでありますから、この際省略をいたしまして、農地改革の問題を伺いたいと思います。
 社会党は第三次農地改革を断行すると言つておりました。民主党はやらないと党議て決定しております。しかしながら、結局のところ、第二次農地改革の徹底的推進という字句を使いまして、第二次農地改革の完遂、第三次農地改革の準備を意味するように伺つております。一体どういうことか、われわれには了解に苦しむのであります。何が何だかさつぱりわからない。ぼやけておる、この点について、ひとつ総理の所信を質してみたいと思います。
#60
○芦田國務大臣 ただいま鈴木君よりお尋ねの農地改革の問題につきましては、三月の予算委員会におきまして、永江農林大臣から答弁いたした通りであります。それ以來何ら政府の方針に変りはありません。現在行つておる農地改革を徹底的に推進する。その事業完了の上、今後農地改革においてさらにどういう方法をとるかということを、あらためて考慮する。こういう方針であります。
#61
○鈴木(明)委員 私は茨城縣の出身でありますが、わが茨城縣の第三区の選挙区におきましても、社会党出身の議員は、この第三次農地改革は断行するのだ。こういうことを演説をして歩いております。このために地方民は非常に迷うておるのであります。そのために私は今の農地改革の問題をお尋ねしたのであります。これ以上この問題について追究はいたしませんが、総理の答弁を伺いまするに、どうも了解のできない点がたくさんございます。総理自身も腹の中は不可解だろうと私は存じます。まして國民においては、この三党政策協定の内容については、すこぶる不可解な、不自然なことだと迷つておると思うのであります。國民を欺瞞する政治となる、あるいは政治をもてあそぶ結果となると世間から言われるのも、この結果から生じたのだと私は思います。私は今日まで本予算もまで提出をしないこの内閣の責任を追究するものであります。この点について、私は逐次これからお伺いしたいと思います。
 まず行政整理の問題でありますが、政府は行政機構の改革とともに行政整理にも着手する、その方針は決定しておるようであります。人員の整理もすると決定しておるようでありますが、どうもかけ声だけで、さらに進展せぬように存じます。一体政府は断行する考えか。もし断行するとするならば、その具体的方針を、私は伺いたいのであります。地方におきましては、出先機関の整理というものは、われわれ國民の声となつております。ここで総理のこれに対する具体的方針を宣明せられたいと存じます。
#62
○芦田國務大臣 行政整理は着々案を立てまして進行いたしております。出先機関の統合廃止の問題については、すでに第一次の案は政府において決定いたしました。ただいま諸般の打合せを必要とする関係上、今日この委員会において言明し得る時期に達しないことは、はなはだ遺憾でありますが、遠からず公表し得るものと思います。その他一般的な行政改革、行政総理につきましても、すでに政府においては閣議においてその根本方針を決定いたしております。それに伴う具体的の整理に必要な各省の案を、すでにとりまとめております。まだ全部は手もとに集まつておりませんが、これも遠からず各省の案が出てくるはずでありますから、これに從つて、できるだけ速やかに実行いたしたい、かように考えている次第であります。
#63
○鈴木(明)委員 ただいまの御答弁によりますと、着々進行しておるということでありますが、どうも今まで発表した政府の事柄は、口ではやるということを言つているのですが、その内容に至つては、すこぶるあいまいな点があるように伺つております。着々進行しておるというが、どの程度に進行しておりますか。大体の点で結構でありますが、お伺いしたいと存じます。
#64
○芦田國務大臣 先ほどお答えしましたように、出先機関の問題については、すでに関係筋とただいま打合せ中であります。今日具体的にこれを発表することはさしひかえたい、かように存じて、先ほどその旨をお答えしたのであります。行政各般の改革につきましても、なほ今後多少打合せを要する点がありますので、いましばらく発表することをさしひかえることに御了承をお願いいたします。
#65
○鈴木(明)委員 着々進行しておるという程度で了承しろ、こういうことでありますが、他方においては、この出先機関がたくさんありますために、どの機関にお願いしても、どうも連絡が十分にまいりません。たとえば農林省の出先機関のごときも、実に矛盾が多いのであります。ですから、ぜひこの点については、早急に実現されんことを要望いたします。
 それからこの際、勤労階級あるいはそういつた労働階級、その賃金安定の新しい法律を考え中だ、こういうこともこの前述べておつたように思うのでありますが、この賃金安定の新立法の内容はどんなものか、おわかりになりましたら、お伺いいたしたいと思います。
#66
○芦田國務大臣 賃金安定に関する政府の法案は、ただいまそれぞれ專門家の手において研究いたしておりますが、まだこの委員会に内容を具体的にお話する程度に達しておりません。さよう御承知を願います。
#67
○鈴木(明)委員 どうもいずれも研究中のように伺つておりますが、この点はこの程度にいたしまして、先ごろのドレーパー陸軍次官の報告について伺つてみたいと思います。
 このたびアメリカの陸軍次官ドレーパー氏が東京に参られまして、詳細に視察をしましたが、その報告の内容について、総理の見解を私は伺つておきたいと思うのであります。
 なおこの報告中に、総司令部は日本における米軍の占領費を減らすよう努力せねばならぬと勧告しておりますが、この点については総理はいかように努力をしたか、それとも御無理ごもつともで引下つてきたか、総理の見解を伺いたいと思います。
#68
○芦田國務大臣 ただいま御質問の趣意が、ちよつとはつきりわかりませんでしたが、先方の言つたことをそのまま聽いてきたのか、あるいはこちらの希望を言つたか、こういう意味のお尋ねであつたのでしようか。
#69
○鈴木(明)委員 そういう意味です。ドレーパー陸軍次官の報告について、政府の所信はどういう考えかということと、もう一つは、この報告に中の総司令部は日本における米軍の占領費を減らすよう努力せねばならない――終戰処理費の問題であります。この点について総理は先方に対して努力をしたが、こういうことをお尋ねしたのであります。
#70
○芦田國務大臣 ドレーパー視察團の報告書は、單に政府のみならず、おそらく日本國民の大多数は、日本の経済再建に力強い援助あるものとして、これを歓迎しておると思います。政府もまたその通り感じております。
 次にドレーパー氏が日本の占領軍の費用を、米國民が負担しておるその高を、できるだけ軽減しなれればならぬと言つたことは、私は承知しておりますが、日本國内における終戰処理費の問題に触れたということは承知いたしておりません。さよう御了解を願います。
#71
○鈴木(明)委員 次に芦田内閣は、外資導入を一枚看板として生れ出たように思つております。また総理自身もそのことを述べております。そこで私が伺いたいことは、この外資を導入するについても、まず為替レートのことが問題になるのであります。あるいはこれから貿易を再開するについても、この為替レートが問題になるのであります。この為替レートは大体どの程度になるお見込みか、それも伺つてみたいと思います。同時に貿易の問題に対しましての見透しが大体ついておると思いまするが、その民間貿易はいつごろ再開されるか、自由貿易はいつごろ再開されるか、同時に外資導入の具体的受入態勢と、その導入の額、導入の範囲、その時期について、詳細に闡明せられんことを望みます。
#72
○芦田國務大臣 為替レートの正式な設定には、わが國の生産能力及び輸出貿易並びに輸入貿易の均衡の問題、労働賃金の問題、各般の條件が安定した上で決定することが必要であることは、鈴木君も御承知の通りであります。從つて現在の事態において、ただちに正式の為替レートを設定し得るかどうかということについては、まだ十分の確信をもつていないのであります。しかし全体の方向としては、一日も早く正式の為替レートを設定し得る時期のくることを目標として、諸般の努力をいたしたいと考えております。外資導入の受入態勢を定めることは、この際官民ともに全力をあげて促進すべき問題であることは、ただいまの御意見の通りであります。これについては、立法的の手段をとるべき問題も相当廣汎に考おなければなりません。またそれと同時に、実質的に日本経済が安定して赤字財政を克服し、インフレーションを抑制し、労働條件を安定するという各方面の態勢を必要とするのでありまして、その各般にわたつてここで私から、かれこれと申すことは、かえつて煩瑣であろうと思いますから申し述べません。鈴木君もその点については、十分御承知のことでありますから、詳しく申し述べる必要はないと思います。
 外資導入については、どれくらいの額を目標としておるか、これも今日のところ米國政府の予算に計上されておる金額については、比較的正確な文字をつかみ得るのでありますが、それ以外の民間のクレジットその他については、ただいま正確な金額を申し述べることは、少しく困難であると考えております。
#73
○鈴木(明)委員 大体のところで結構でございますが……。
#74
○芦田國務大臣 大体のことは先ほど私がお答えしたと思つております。あまり詳細な数字は、殊に政府以外のクレジットについては、計数を申し上げることは困難であります。
#75
○鈴木(明)委員 そうしますと、この外資導入という問題は、結局見透しがつかぬ。こういうことに了解してよろしゆうございますか。
 この問題は一應ここで打切りまして、先ごろアメリカの視察國は、講和会議前ても海外渡航を許す用意があるのだというようなことを述べておつたように、私は記憶しておりますが、これに対して総理大臣として、われわれ國民が海外に渡航できるよう努力したことがあるか。もし許可してくれるというならば、いつごろから許可してくれるか、その見透しについて伺つてみたいと思います。
#76
○芦田國務大臣 わが國民が海外に渡航することは、從來種々の困難に逢著しておつたのでありますが、最近に至つて漸次渡航が許可される傾向になりまして、御承知の通りすでにインドにも通商の使節が行き、近く南米にも、あるいはニユーヨークにも使節が出ることに内定いたしておるようであります。また一昨日は生糸の使節がアメリカ経由、フランスに出発いたしました。その他労働関係、キリスト教関係で、すでに個々の海外旅行が許されて、現在アメリカに行つておる者も数名あります。現在のところ漸次わが國民の海外旅行は自由に許される時期に達し得るものと考えております。
#77
○川島委員長代理 次に海野三朗君。
#78
○海野委員 芦田総理にお願いしたいのであります、この五月十八日の朝日新聞に発表されました五箇年計画であります。この五箇年計画の表を見ますと、國民所得と個人消費の差三十一というのは、これは國民の貯蓄になるのでありますか。または税金にとられる額になるのでありましようか。それからまたこの能率が上つておりながら、國民の消費が一〇〇%に達していない。それと石炭、鉱工業、いずれも昭和五年から九年までの状態に比べまして、一〇〇%以上になつておりますが、個人一人当りの消費カロリーが、なおその当時の状態に対して一〇〇%に達していない。これはどういう見地からこういうふうな統計價格をお立てになつたのでありますか。それをお伺いしたいと思います。
#79
○芦田國務大臣 海野君にお答えいたします。率直に申しますが、私はどうもあまりそういうこまかい知識をもつておりません。從つてこの場で自分の頭で御返事をすれば、きわめて不正確なことをお答えするおそれが多分にあります。ついては五箇年計画に直接関係のある國務大臣並びに政府委員の出席いたしましたときに御質問をされるように、私からお願いいたします。
#80
○海野委員 それではもう一つ。鉄鉱石の價格でありますが、今日内地の鉄鉱石はトン五百円未満でありますが、海南島からの鉱石は非常に高價でありまして、その開きは鉱石の性質から割出したところの價格差をはるかに超えておるのであります。またブリキ一トンの輸出が百四十ドルという値段でたたかれておるのに、これに要する石炭が七トンである。ドルから勘定すると百八十ドルを要しておるのである。それに私鉱石を加えますと二百四十ドルほどになるのでありまして、ブリキ一トン輸出するたびに、百ドルの損をしておることになつておるのでありますが、そういう点は総理はいかにお考えになつておるのでありましようか。
#81
○芦田國務大臣 ただいま御指摘の点は、純粹の経済的見地から見れば、非常な矛盾を含んでおることは、一目瞭然であります。しかしながら、國内経済建直しのために、その緊急の度に應じて、あるいは鉄鉱石、石炭、塩というふうな緊急必要とする物資については、ときにはそろばんの桁を外しても輸入することを必要とする場合が起るのであります。かような矛盾は、きわめて暫定的なものでありまして、今少しく日本の経済の再建が進捗すれば、十分採算のとれる輸出入が行われることと期待しておるわけであります。
#82
○海野委員 ただいまの総理のお話は、どうもぴんとこないのであります。これから勘定いたしますと、莫大な損をしておるのである。たとえば今のブリキにいたしましても、鉄鉱石と石炭だけではブリキはできません。それに石灰石とかいろいろなものを加えなければならぬ。それが國内にあるものであります。それを根こそぎその生産に使つて、そうして非常に莫大な損をしてこれを輸出しなければいれないというようなことは、政府当局のお考えが、はなはだぴんとこないのであります。そういう点と、何ゆえにこの高い石炭を買わなければいけないのでありますか、何ゆえにこれはバーター制にいかないものか、この辺をお伺いしたいと思います。高いところから高いと知りつつも買わなければいけない。そういうことは、現下の日本としてはでき得ないので、ことごとくその筋からの命令によつて高いものを買わされておるのであるかどうか。それもお伺いしたいと思います。
#83
○芦田國務大臣 海野君のよく御承知の通り、たとえば食糧を輸入してわれわれが麦粉を入手するにしても、現実に消費者の拂つておる金額は、輸入代金に相当しない低價なものであります。その差額は特に政府の負担においてこれを支拂つておるのであります。場合によつては高いものを輸入してこれを安い値で國民の手に渡す。また相当原價の割れるおそれのものであつても、時には食糧輸入その他の必要品の購入のためには、しばらく忍んで輸出をしなければならぬ、こういう事情にあるのが現在のわが國の環境であります。かような事態は、一日ま早く常規の態勢に返したいと念じておりますが、今ただちにすべての輸出において純経済的計算の上において行うことの困難であるという事情は御了承を願います。
#84
○海野委員 この前の國会におきましても、私は石炭のことについて、盛んに主務大臣に質問を発したのでありまするが、その後さらに見るべき施設がない。それは何であるかと申しますと、われわれ日本人の持てるところの科学的頭脳を働かしめたらいいのじやないかということを申したのでありますが、その当時の閣僚の人たちは当座逃れのお話をなさるのであります。今日石炭が三千万トン、來年度は三千六百万トンという目標を置いてやつておりますが、この石炭の消費節約につきまして熱管理を何ゆえもつと政府は力を入れないのか。戰前ドイツにをきましてはこの熱管理に力を入れまして、三〇%の成果を得ておるのであります。わが日本におきましても、学界の人々及び技術者、そういう人たちにこの熱管理、熱経済のことをもつともつと民間に徹底するように指導させましたならば、いくら内輪に見積りましても、ドイツの三分の一、1〇%はゆうに節約可所であることを、私は信じておるのであります。しかるにこの熱管理の問題につきまして私は文部当局をも責めました、商工当局をも責めましたが、一向ピンとこないらしい。そうしてただ單に予算の面においてのみつじつまを合わせんとしておるのでありますが、日本人の持てるところの科学的頭脳を最大限に活用するために、もつとお力を注がれたらいいのではないかと思いますが、現在芦田総理大臣といたしましては、この科学者を動員して使うか使わないかということについて、いかようにお考えになつておるのでありましようか。そのお考えを伺いたいのが一つと、もし御構想がおありでありましたならば、その御構想をお伺いしたいと思います。一〇%節約いたしますれば、三千万トンのうち三百万トンの増産になります。三百万トンと一口に申しますが、トン千円と見ましても、すばらしい成果になるのであります。私は過去三十年にわたりまして、この燃料方面の研究に沒頭してまいりましたが、民間のみならず、各自の家庭におきましても、燃料の使い方については非常に程度が低いのである。しかもその專門の学者、技術者は、今民間にうろうろといわば路頭に迷つておるような形であります。この技術者たちを動員して、何とかもつと徹底して燃料の節約、石炭の節約という方向に持つていつて一〇%の節約ができれば、その十分の一の予算をここに注がれたならば、天然資源に代るところの節約が可能であると、私は考えるのであります。その点につきまして、総理の御所信をお伺いしたいと思います。
#85
○芦田國務大臣 ただいまの御所見は、至極もつともでありまして、日本において物資を愛護うる精神を起すということは、一面においては、お話のように科学技術者の動員による学問的の方向からこれを解決しなければならぬ。一面においては、國民の教育であると思う。明るい部屋に煌々と晝間電燈をつけ放しにしたり、暖房を焚きながら窓を開けて平氣で熱を逃がしておる。そういうことが相当高度の教育を受けた社会にも行われておる。これはもうごらんの通りである。從つてドイつのごとき物資愛護の精神、熱力の愛護の精神が生まれたのは、やはり廣い意味における家庭教育社会教育からたたき上げた一つの結果であるということを痛感いたすのであります。もう一つは科学者を動員して科学的に問題を解決していくということを、科学技術の遅れておるわが國において最も必要とすることは、ただいま御指摘の通りであります。準く日本学術会議と称するものを設けて、自然科学、人文科学を通じての会議でありますが、特に科学技術方面に力を入れて、その科学精神を利用いたしたい。かように考えておるのでありまして、この新しき日本学術会議の大体の草案はでき上つておりますから、遠からず國会の御審議を仰ぐ予定にいたしております。
#86
○海野委員 アメリカ合衆國におきましては、國の総予算の五%が研究費に使われております。わが國の二十二年度の研究費を見ますと、科学研究費としましては〇・〇六でありました。私は單にこのパーセントの大小を申すのではございませんが、もしかりにわが國の総予算の五%を研究費に向けたといたしましても、國全体の予算から見ますれば、研究というものは、その金高に比例するのでありまして、パーセントに比例するのではありません。この研究費が少いということは、とりもなおさず、文化に浴することができないということになるのであります。この外國に比べましてわずかな総予算、この中で何パーセントくらいを科学技術の方面に向けたらよろしいのであると、総理はお考えになつておりましようか。その御所見をお伺いいたしたいのでございます。
#87
○芦田國務大臣 政府の方針としては、まさに今海野君の指摘せられた通り、相当の國費をもつて研究所を充実し、科学の振興をはからなければならぬことは、全然私同感であります。今日これが実現せられなかつたのは、要するに日本の國庫の歳入歳出が戰後非常な勢いをもつて國民の負担を重からしめ、必要とは知りながら、十分の経費をこれに差向けることができないという事情から生じておるのでありまして、將來経済再建の事業の振興に伴つて、極力これらの点も考慮いたさなければならないと考えております。
#88
○海野委員 ただいまのお話につきまして、もう少しお伺いいたしたいと思いますことは、私どもが子供を教育いたしますに、子供の教育のためであれば、われわれは食うものを減らしても学校にやらなければ、子供が將來立ち上らないのでということは、よく御承知のことであると思います。今日本が文化國家として立ち上りますためには、日本人の驚くほどの科学的頭脳を働かしめなければ、いずれの日か、日本人の立ち上る日がありましようか。私はこのままにして放置するならば、日本は奴隷と化するのではないかと考えます。一々具体的に申し上げると時間がかかりますから申し上げませんが、とにかくわれわれ日本人の頭脳が科学的に秀でておることは、総理もよく御承知であると思う。たとえば左甚五郎のごとき人を生んでおるのも、やはり大和民族である。世界的なあの有名な数学者ライプニッツの発見に先だつこと七年も前に、あの徳川未期の教育者関孝和は、デターミナントの公式を見出しておるではありませんか。また國友藤兵衞という幕府の刀鍛冶が鉄砲を発明しておることは、御承知の通りであります。またポルトガルからはいつてきた望遠鏡を見ただけで、それ以上の水晶レンズのはいつた望遠鏡をつくつておるのであります。かくのごとき科学的に優れた頭脳を生かしていかなければ、いずれの日か、われわれ日本人は立ち上ることができましようか。今予算面を見ましても、苦しいからと総理は言われますけれども、われわれは食うものをへずつても、この研究費の方に向けて、この科学的頭脳を働かしめなければならないと考えます。この点について、國の総予算の何パーセントぐらいをこれに差向ける考えがあるか、承つておきたいと思います。
#89
○芦田國務大臣 学術研究の費用が、國家総予算の支出の何割に当るかという御質問でありますが、はなはだ不準備でありまして、私は今日的確に來るべき予算の支出の中から、何割が研究費に当つておるかという数字をお答えすることはできません。いずれそれぞれの政府委員に申し傳えまして、他の機会にお答えいたします。
#90
○川島委員長代理 では次に野坂參三君。
#91
○野坂委員 私は総理大臣に財政に直接間接に関係のある問題について、二、三お伺いしたいと思います。
 まず第一に、先ほど民自党の鈴木君らか質問になつた問題に関連したことでありますが、少し具体的にお答え願いたいために、特別にお聽きするわけであります。その問題は外資導入の問題でありまして、芦田内閣が創立して間もなく発表したいろいろの政策、殊に三党協定、あるいはつい最近発表された五箇年計画案とか、あるいはいわゆる経済白書とかいつたものを見ましても、その根本はすべて外資の導入にかかつておるような印象をわれわれは受けますし、実際総理の今までに発表された答弁でも、やはりそうだというふいにしか、われわれはとれないと思います。つまりすべての政策の根抵が、外資導入の受入態勢に置かれておるように思います。そこでお聽きしたいのは、外資の導入について、新聞の発表によりますと、総理は大体五億ドル内外のものが日本に來る予定であるという意味のことをおつしやつております。先ほどもアメリカ側における予算が決定されれば、大体具体的の見込みも立つ、こういうような意味の御説明もあつたと思います。それで私のお聽きしたいのは、外資の導入について、具体的にどこにおいて、こういうふうに外資の導入を政策の基礎にし、またこれを総理はあらゆる場合においてお話になつておりますが、その根據を聽きたいのであります。
#92
○芦田國務大臣 野坂君の御質問は、アメリカ政府の日本に対する援助の形によるものがどのくらいあるかという御質問であつたと思います。私の承知しておる限り、最近に成立しました六千万ドルの綿花借款は、これは必ずしも政府のものではありませんが、政府が管理し得る綿花借款です。そのほか遠からず成立を期待されておる一億五千万ドルの回転基金、これは主として輸出入の便宜のために回転して使うものでありますから、利用の途いかんによつては、必ずしも一億五千万ドルとは限りません。年に三億でも四億でも、これを活用する手腕によつて差が生じてくると考えております。それから日本、沖繩及び朝鮮を通じての経済復興援助、これが約一億五千万ドルと傳えられております。そのほかに日本の食糧の買入れに対する経費、それからいわゆるドレーバー・ビルと称しておるドレーバー報告書の精神に基いて、日本の経済援助のためになお若干の政府予算が提出されるというふうなニュースも聞いておりますが、それははたしていくらの金額でいつ提案されたかということは、まだはつきり承知いたしておりません。大体形を備えたものは、以上申し上げた程度のものだと思います。そのほかに民間のクレジットと稱するものは、いろいろ成立せんとしておるものもあるやに聞いておりますが、まだ発表し得る時期には達しないと思います。
#93
○野坂委員 ただいまおあげになりました数字を総計しても、これは数億程度としかとれませんが、九億ドル内外と申されましたが、これの根拠を私はもう少しお聽きしたいと思います。これが一つ。いま一つは民間投資という形が最近に現われる條件がありますかどうか、これについても見透しをお聽きしたいと思います。
#94
○芦田國務大臣 アメリカの政府予算の中には、アメリカの占領軍費と称するものがありまして、そのアメリカ側の占領軍費の中から時々食糧その他のものを放出されておる形になつております。きわめて正確にどの程度これらの物資に充てられておるかということは、算定することが困難であります。しかしながら、各殿の民間のクレジット及び回転基金の流用その他の方法によつて、七億四、五千万ドルのクレジットは受け入れることができるというふうなニュースが、アメリカからしばしば新聞にも傳えられておるのであります。大体その程度を本日まで押えてきたのであります。なお民間のクレジットについては、今回これをまだ発表する時期には達していないのであります。
#95
○野坂委員 そうすると今七億数千万ドル内外と申されましたが、今のところは大体このくらいのところである。そうすると九億ドルとか言われましたのは、これは正しくないというふうに理解していいのか、どうか。あるいはまだそのような見透しがあるかどうか。それから第二には、民間のクレジットについてでありますが、これがはつきりしたところはまだわからないのはもちろんよくわかりますが、大体たとえば今年中にあり得るだろうか、あるいはもつと延びるだろうか、こういうふうな見透しをお伺いしたいと思います。と申しますのは、今後ここで本予算を討議する場合においても、この問題を拔きにして、われわれが今年度全体の経済問題を論議することはできないと思います。だからこの点をわれわれは総理の方からもう少し具体的な、また確かな報道を私たちは得たいと思います。
#96
○芦田國務大臣 アメリカ政府のクレジットについてはむろん情勢によつて変化をしております。また回転基金の法案も、もう近く通過するとは思いますが、一時復興援助の資金が、議会において討議を延期されたような事情もあり、その都度アメリカからはいつてくるクレジットの計算についても、変化のあることは、野坂君も新聞でごらんになつた通りであると思いますが、先ほど申し上げたのは、現在のところ私がアメリカからくるニュースによつて計算したにすぎない。なお個人の借款及びクレジットについては、今日この場で申し上げることは差控えます。
#97
○野坂委員 それではこの問題はこのくらいにしまして、第二の問題についてですが、やはり先ほど鈴木委員の方から質問されたものについての関連であります。それは新聞でも発表されていますし、また政府の責任者も談話として発表しておりますが、つまり賃金、給與の最高を決定するような法案を政府は考えておる、あるいは準備しておる、こういう意味のことがありましたが、この問題について、鈴木君の質問に対する御答弁もはつきりしなかつたようでありますから、この点を私はもう少し具体的に御説明願いたいと思います。こういうふうな法案を準備されていますかどうか、いればどういう具体的な内容であるかどうか、この問題について伺います。
#98
○芦田國務大臣 御承知の通り物價をくぎづけにして、そうして賃金は從來まで統制はしなかつた。その過去の経驗によると、ややもすればインフレーションの堤防が賃金の方からくずれたというふうな経過をすることができるのでございまして、將來経済再建のためにいかにしてインフレーションを克服するかという問題については、やはり物價と賃金の関係をよほど十分に研究しなければならない。そういう意味において賃金を統制する場合の種々の方式について、それぞれ主管の官廳が研究はしております。しかしまだそれを具体的に案をまとめたという域には至つておりません。さよう御了承を願います。
#99
○野坂委員 これは一分間で済むことでありまして、さいわい加藤労働大臣がここにお見えになつておりますので、今の問題について加藤労働大臣も、これは直接関係のある問題でありますから、これについてお答え願いたいと思います。それは今の問題について、政府側としては、特に加藤労働大臣としては、今の総理のおつしやつたような意図をもつて今後お進みになるか。また労働省としては、今どういうふうな準備をされていますか。これは日本の勤労大衆全体にとつて非常に大きな問題だと思います。と申しますのは、ただいま総理が申されましたが、物價をこうして安定し、あるいはくぎづけにするから、從つて給與の方もそうしなければならない。こういうふうな思想だと思いますが、しかし過去の日本の状態を見てもはつきりしますように、物價は決してくぎづけされていないが、給與だけがくぎづけされようという政策が上から出ておるし、実際上物價が破れるから給與があとを追つかける。給與か破れるから物價がそれで破れる。こういう結果ではないと思います。こういう問題については、結局意見の相違になりますが、これは私は加藤労働大臣にお聽きしておりません。先ほどの問題についてであります。
#100
○加藤國務大臣 今の野坂君の御質問でありますが、最近の情勢は物價の統制よりも賃金の上昇率の方が若干上まわつておる。こういうことは数字の上には現われてはおりまするが、基本年次を土台として考えれば、言うまでもなく、物價の方がはるかに上まわつておることは、数字の明らかに示しておるところであります。現在の情勢において一番強く要請されるものは、言うまでもなくインフレーションの克服と、日本経済再建の問題でありまするが、いやしくも日本経済復興のために阻害となるような事柄は、とらるべきでない。現在のような日本の物質の乏しい経済情勢のもとにおいて、ただちに賃金を安定せしむるというようなことは、とうてい私は不可能であるばかりでなく、むしろそういう政策をとることは、逆にかえつて日本経済の復興を阻害するおそれさえ十分にある。こう考えられまするので、今総理がお答えになりましたように、個々としてはそれぞれ研究あるいは考えられておるでしようが、まだ正確にどこの機関においてどのように具体的な檢討が進められておるという段階にはなつておりません。私としては十分に物資の供給が確保せられるという具体的な見透しが立たない限り、そういう問題は、軽軽に論議さるべきでない。こう思つております。
#101
○野坂委員 ただいま加藤労働大臣の御回答を聽いて、こういう問題はまだ政府全体としてははつきりしていない。こういうふうな意味であつたと思います。私は加藤労働大臣に希望したいことは、今の加藤労働大臣のお答えを、あくまで貫徹していただきたいと思います。と申しますのは、あの二千九百二十円のベースの問題のときに、加藤労働大臣は、組合側の意見を尊重せられて、相当つつぱられたが、しかしだんだん腰くだけがやつてきて、結局ああいう結果になつたと思いますから、ここでも申し上げたいことはああいうふうな結果にならないようにということであります。
 時間がありませんので、これから次に簡單に要点だけを御質問したいのでありますが、問題は非常に重要な問題であります。まづ第一にお聽きしたいのは、この間外務委員会で高瀬委員の質問に対して、総理がいろいろお答えになつた。これに関連しまして、まずや聽きしたいのは、総理が軍國主義及びフアッシズムについてどういう解釈あるいは定義をくだされておるかという問題です。われわれ一般の解釈によれば、軍國主義と言えば、これははつきりしていますように、あに日本の軍閥あるいは軍需質本が外國の支配掠奪のために行う戰爭、これを軍國主義とわれわれは理解しておる。こういうふうに総理も解釈されるかどうか。第二のフアッシズムの解釈でありますが、これも一般常識となつております。われわれの解釈によれば、これは少数独占資本の勤労大衆全体に対する露骨な独裁政治である。こういうふうに、われわれは解釈していますが、総理もこれと大体似たような御解釈になつておりますか。言いかえれば、たとえばヒトラー、ムッソリーニ、日本の東條、あの政治がすなわちフアッシズムであるというふうに、一般に理解されておりますが、総理はどうであるか。この二点をまずお伺いしたいのであります。
#102
○芦田國務大臣 ムッソリーニ、ヒトラー、東條、これらの人物が軍國主義者であり、フアッシヨであるかどうか。御見解の通り、これらの人物はそういう類型に属するものだと思います。ただし初めの方の解釈論は、野坂君の主張せられる唯物主觀論――私は不幸にして唯物主観説ではないのであります。いわゆる軍國主義とか、あるいはフアッシヨとかいう理論の解釈においては、いつまでいつても並行論であつて、必ずしもマルクスのような意味において解釈はいたしておりません。從つて野坂君も私がマルクシストでないということは御承知でありましよう。そうすればその間の見地がどれだけ違うかということは、こんなところで論議するまでもなく、世間の常識でわかつている。そういう論は今日の予算審議とは関係がないと思います。そういうマルクシズムによる軍國主義の定義があたつているかどうかということは、私は申し上げません。
#103
○野坂委員 実はこれが予算に関係が出てくるわけです。私は何もマルクスの立場から、この二つの問題について、理論闘爭をやるというような、そんなばかなことを考えているわけではありません。今総理のおつしやつたヒトラー、ムッソリーニ、東條が、あるいは軍國主義でありフアッショであるとお認めになつたこと自体、これで私の質問に対するお答えはできた、こういうふうに解釈いたします。
 さて次にお聽きしたいのは、高瀬委員の方から、共産党は軍國主義であり、フアッシヨを奉ずるものである、ム共産主義は軍國主義でありフアッシズである。こういう意味の質問があつたと思いますが、総理はそのようにお考えになりますかどうか。日本の共産党の奉ずる共産主義は、東條やヒトラー、ムッソリーニのあの軍國主義であり、フアッシズムと同じものであるかどうか。もし同じものであるならば、その根拠はどこにあるか。これをお聽きしたいと思います。
#104
○芦田國務大臣 そのことは先ほど私がお答えした通りでありまして、この席上でマルクシズムのいわゆる軍國主義だのフアッシズムだのという議論を、私とあなたの間に交換したところが、これはいつまで経つても並行線で、とうてい打開の道はないのですから、そういう議論をここで繰返すことは、予算審議の進行に何ら意義はない。これはいくらお尋ねくださつても、私は無益な討論だと思います。
#105
○野坂委員 私は何もマルクスの理論を言つているのではなくて、今総理自体がフアッシズム、軍國主義というのは、あの東條とか、ムッソリーニ、ヒトラーなどのやつたことだと言われたことについて、私は言つているが、これと日本の共産党は同じものであるかという点だけお聽きして、それから次に予算の問題に入りたいと思います。
#106
○芦田國務大臣 それは私はお答えいたしませんから、どうかあなたに御自由に御解釈を願います。
#107
○野坂委員 非常に不可思議な御回答だと思います。日本共産党は、ともかく天下の公党であり、ここにも代議士を出しております。これがはたして東條やムッソリーニ、ヒトラーと同じような軍國主義者であり、あるいはフアッショであるというなら、これは重大な問題になると思います。これについて総理はここで簡單でよろしゆうございますからお答えは当然なさるベきだ。何もわれわれはここで理論闘爭をやつているのではありません。
#108
○芦田國務大臣 私の見解によれば、日本共産党が東條、ヒトラーあるいはムッソリーニと同一の典型であるかないかということは、予算審議とは何も関係がないと思います。
#109
○野坂委員 これは実は予算審議とは関係があるわけです。その次にいろいろの問題が出てきます。たとえば共産党員を公務員としないとかいうが、そうなればこれは直接予算に関係があつて、何十万という共産党員が、公務員から除外されれば、たとえば予算の人件費も減るわけです。そういう意味でも実は関係がある。その意味で私はこの問題は非常に簡單な問題であると思うが、総理はなぜお答えにならないか。それが私は理解できないと思います。先ほどここからもあの委員が言われましたように、なぜお答えにならないか。言つた方がいいと思います。
#110
○芦田國務大臣 答えるにはあまりに明白なことだと思います。
#111
○野坂委員 私も非常に明白になつたと思います。と申しますのは、日本共産党は軍國主義でもないし、ファシズムでもない。こういうふうにわれわれは理解して差支えないと思ひますが、これに異論がございますかどうか。異論がなければよろしいのであります。
#112
○芦田國務大臣 その点は先ほどすでにお答えしたのであります。どうぞ自由に御解釈ください。先ほどすでにはつきりお答えした。
#113
○野坂委員 それでは大体異論がない、私の意見と同一だ、こういうふうに理解して差支えないと思います。それからもう一言私はくどくならないように、簡單にお聽きしたいと思いますが、一昨年本会議で質問した問題について、多少まだはつきりしない点が殘つていますので、まず第一に総理は外務委員会の問答の中で、政治運動と組合運動との関連についてお答えになりました。総理は政治運動と組合運動は、これは別個なものである。これはもちろん原則としてはわれわれは正しいと思いますが、さて実際の問題になりますと、いろいろ政治運動という解釈によつて、組合運動が大きく影響されるし、変化もしてくると思います。さて極東委員会の発表した労働組合運動に関する十六原則、あの中で明らかにこう書いております。労働組合は政治活動に参加し、また政党を支持することを許さる。すなわち労働組合運動に参加し、政治運動に参加し、または政党を支持することができる。こういうことが、明確に規定してあります。さてそこで政治運動と組合との関係でありますが、たとえば労働総同盟というものがあります。これは御存じのように、松岡衆議院議長が会長、あるいはそのほか社会党の指導者がそこには指導的な地位についておる。こういう事実があります。それからたとえば芦田総理の指導されている民主党、これにおきましても、全國労働組合連合協議会というものを組織されておるように承つております。また民主自由党においても、山崎猛君が会長をやられておる全日本農民組合とか、あるいはまた最近は日本漁業組合とかいうふうなものを、民自党の方で組織されておる。こういうふうに、政党とこうした組合とははつきりと結びついたものがありますが、こういう点について、総理は、これは正しくない行き方であるとお考えになるかどうか、こういう点をお聽きしたい。
#114
○芦田國務大臣 それは野坂君が私よりよく御承知でしようが、政治運動という言葉に、いろいろ濃淡の差がある。たとえば投票に行くとか、あるいは一つの組合が自分の組合はどの党を支持するという声明をするのはちつとも差支えない。その政治運動という文字の中には、どうもはつきり定義することのできない文字があつて、非常に濃淡の差がある。しかし労働組合運動が即政治目的のために動くということは、政治運動であつて、そこはいわゆる許さるベき政治運動ではない。組合運動というものと政治運動というものとの間には、やはり一つの線がある。労働組合が即政党として行動することは、これは許さるベきものでない。かように私は考えております。
#115
○野坂委員 しかしちよつと簡單にお伺いしたいのは、今日本に産業別労働組合会議というのがありますが、あれはすなわち今総理の申されましたような政治運動即組合運動を混淆したものであるかどうか。こういう点をお聽きしたい。
#116
○芦田國務大臣 労働組合問題については、ここに主管大臣加藤君が出ております。詳しいことは、どうぞそちらへ質疑をしていただきたい。
#117
○野坂委員 この問題はあとで加藤労働大臣にお聽きすることにしまして、もう一言芦田総理にお聽きしたいのは、一昨日の本会議においての私の質問に対する回答が、実はまだ回答されないで残つておる点がありますので、この好機に一度総理の御見解をお伺いいたしたいのは、一昨日総理は私の質問に対する御回答の中で、つまり公務員には共産党員が就職することを排除することを考慮しておる。これはアメリカ、イギリスでも、すでにやつておることではないか。だから考えるのは当然である。考えないのがむしろおかしいことだという意味のことをお答えになつたと思いますが、それで私がお聽きしたいのは、それはどういうふうに具體的にお考えになつておりますか。言いかえれば、共産党員というものをいかなる公務員からこれを出されようとするのか、どういう條件のもとにおいてこれを出されるのか、いつやられるのか、どういう法案を出されるのか、こういうことは、今完全でないにしても、具体的に総理の頭にはある程度あるのではないかと思いますので、この点についての御意見をお伺いしたい。
 もう一つお伺いしたいのは、その御意見は総理としての御意見であるか、それとも閣議を経た御意見であるのかこれも附け加えてお答えを願いたい。
#118
○芦田國務大臣 ただいま御質問になつた点は、非常に重要な問題でありまして、影響するところはなはだ廣大であると思いますから、私自身としてもまた政府としても、この点は十分研究し考慮しなければならぬ問題だと考えております。最近イギリスにおいて立法されたものも、まだ手もとには入手できないような状態であります。これもできるだけ早く手に入れて、研究をしてみたいと考えております。頭においておるという意味で、これを英米のごとくに、すぐ立法化するかどうかという程度の具体的な問題にはなつておりません。先ほど來私が述ベたこの問題に関する意見も、むろん私の單獨の意見であります。閣議によつてこの問題を決定しておるわけではありません。さよう御承知を願います。
#119
○野坂委員 一言最後にお聽きしたいのは、そういうことをお考えになつておりますなら、なぜ日本共産党だけがこういう制限を受けなければならないか、この理由をお聽きしたいと思うのです。
#120
○芦田國務大臣 私が委員会で答えたように、國家社会に不利益なる行動を行う政党であれば、必ずしも共産党には限らないということを、初めからはつきりあなたに答えておるのであります。ゆえにもし日本共産党にして、わが國の社会生活、國家生活に不利益な行動があつた場合には、これを禁止することにしたいということを言つたにすぎないのであります。別に共産党なるがゆえに、何にも惡いことがないのに、かれをかれこれと差別するとは言つておりません。
#121
○野坂委員 しかし一昨日の本会議におけるお答えにおいても、今ここでお答えになつたところをみても、英米においても反共的の法案が出ておるし、だから日本においても、こうしたものをやはりつくるかどうか考慮する。すなわちここでは單なる共産党だけについての反対的な、制限的な法案のことが問題になつておるのである。一般のたとえば國家あるいは公安を害するという行為は、何も特別の法律をつくらなくても、刑法その他において解決できる問題だと思ひます。ところが別個に新しく共産党だけに制限的なものを設けるのかという点を、はつきり示していただきたい。
#122
○芦田國務大臣 野坂君のお話の通り、問題になるのは共産党のみを特に公務員から除外することの可否を研究しておる。それはもうあなたのお話の通りであります。それをイギリスなどが一体どういうふうに考えて、どういう立法をしたかということも、十分研究したいということでありますから、これはちつとも差支えないと思います
#123
○野坂委員 それでは総理にざつくばらんにお聽きしますが、現在の日本共産党は、公益に害のあるものであるとお考えになりますか。あるいはそうでないとお考えになりますか。
#124
○芦田國務大臣 日本共産党は、法律によつて認められたる公的の政党でありまして、法律がその事態を正当に認めて、おること自身が、合法的な存在であることは言うまでもありません。ただその場合党の名によつて國家、社会に害を及ぼすような行動があつて場合は別です。それを今日共産党の認められておる合法的な存在と混同することは間違つておると思います。
#125
○野坂委員 それはこれでわかりましたが、もう一つ予算について……。これは多少技術的な問題になりますけれども、これは総理か委員長代理にお聽きしたい。と申しますのは、昨年理事会で、予算が編成される場合には、特別の小委員会を予算委員会につくられております。ここでまず政府側からの材料によつて、あらかじめ討議する。これを政府側の予算編成と並行してやる。こういうことになつておつたのであります。これは委員長御存じのことと思います。ところが今度の予算編成については、何らそうした手続がとられておりません。これについて総理並びに委員長側において、どういうわけでこういうことをおやりにならないのか。もうすでにこの問題については前年末及び今年初めにかけて三回ばかり会合が開かけておりますけれども、その後全然やられておりません。つまり特別にここに設けられた予算編成についての委員会が、結局今では無視されて、そうして予算の編成がどんどんやられておる。こういう、状態であります。これについてお聽きしたい。もし総理が御存じなければ、たれか他の方から御返事願いたいと思います。
#126
○芦田國務大臣 実は私はその問題をよく存じませんが、後刻相談しまして、政府の考え方をお答えします。
#127
○野坂委員 委員長御存じのはずですが……。
#128
○川島委員長代理 お答えします。御存じの通り、私は正式の予算委員長でありません。鈴木委員長が病氣のために次席中でありますので、やむを得ず代行をいたしております。今野坂君のお話になつたことにつきましても、私は多少記憶にありますが、その後委員長がどういう意味でそうした会合をもつことを避けておるか、私は不幸にしてそれを存じておりません。いずれ委員長は四、五日経てば健康が回復して出てこられるというお話でございますので、委員長としての考え方については、そのときまで保留をしていただきたいと思うのであります。
#129
○野坂委員 これは予算委員会の運営について、非常に重大な問題だと思います。一方では、政府は予算編成の準備をやり、これと並行してこの予算委員会において特に小委員を設けて研究をする、こういうことになつておる。つまり今までのように、予算編成を單に官僚だけでやるのではなく、やはり國会においても予算編成に参加する。こういう建前だつたと思います。ですから私は、今度本年度の本予算が出る前に、先ほど申しましたような小委員会を開いていただいて、これに提示してもらつて、そしてここであらかじめ編成についての相談があるべきが至当だと思います。出されたあとでこれを召集しても意味はないと思います。
#130
○川島委員長代理 よくわかりました。いずれ委員長にその旨をお傳えいたすつもりであります。次に原健三郎君。
#131
○原(健)委員 芦田総理にごく簡單に若干の質問をいたしたいと思います。
 第一にお尋ねしたしたいことは、今日たれが見ましても、どうも政局が安定していると見ることはできない。どうも不安定であり、いつ内閣を投げ出すかもわからない。こういう声が全國民の間にありまして、きわめて不安の念に駆られておる。これは言うまでもなく、社会党、民主党、國民協同党というような、小さい政党の三派連合の上に立つているからであります。これは主観的にそうでないとおつしやられても三派連合でやつている関係上、政策の協定にいたしましても、その他にいたしましても、閣僚の間においてさえも意見がまちまちでありまして、予算を出す出すと言いながら、出されない理由も、皆ここにある。このために総理大臣も十分苦心されている御心中は、察するに余りあるのであります。しかも衆議院の第三党である民主党総裁として、この重大難局を担当せられているその御苦心は、これまた察するに余りあるのであります。そこでわれわれが眞にこの難局を打破するためには、小党連立ではだめである。よろしく團結できるものは大同國結すベきである。それにはやはり立憲國の先輩國であるイギリス流に、急進と漸進の二大政党が対立するのが非常にいいと思う。それができたときに、初めて日本の難局も打開されると思います。それに向うために、かりに保守という言葉を使いますならば、保守的な、漸進的なものが合同して、大同團結していく方が時艱克服にいいと思う。これについて総理の御見解をお聽きしたい。われわれはそれをやるからといつて、この内閣を倒すとか何とかいうことはまた別個の問題であります。この点について御答えを願いたい。
#132
○芦田國務大臣 二大政党対立の形が一番立憲政治の運用にはいいという御意見のようであります。そこで社会党に属しないものは、非社会主義政党として合同したらどうか、それが論理的だ。こういうふうに拜承したのでありますが、政策が同一であれば、政党がわかれる理由がないのであります。まずもつて本質的にこれらの政党が政鋼政策において一致しているということが先決問題であります。これができさえすれば、おのずから合同の氣運も生れるかと思います。
#133
○原(健)委員 政策が相一致するならば、合同ができるというだけの話で、合同した方がいいという御意見のようにも拜承したのであります。それでは具体的に申し上げますならば、われわれの民主自由党にもその用意があるのであるが、民主党に政策の協定をおやりになる御意見があるかどうか、その点をお聽きしたい。
#134
○芦田國務大臣 政策協定については、昨年五月十九日に四党政策協定が成立いたしました。当時は自由党も政策協定に参加せられている。しかし政府には参加しなかつた。政策が同一であつても、自由党は特に参加を拒否された。そういう前例もあります。今年にはいつては、政策協定に應ずることさえも拒否された。そういう政党がにわかに三派連立に期待を投ぜられるという見込みがつかないというだけのことであります。
#135
○原(健)委員 三派連合に一緒にはいろうという話をしておるのではありません。それとは別個の問題として、この内閣にはいるかはいらないとか、政権が欲しいとか欲しくないとかいうことを言つておるのではありません。もつと大所高所から、保守合同をしたらどうかという質問をしておるのであつて、そういう点について、自由党のときにおいては政策の協定ができたか、今度は云々と申されましたが、新しく政党ができたときに、もう一度その点について考慮される意思があるかないかをお聽きして、次に進みたいと思うのであります。
#136
○芦田國務大臣 いずれ民自党において御意見がきまれば、総裁なり幹事長から、それぞれの党の機関にお諮りくださることと期待しております。
#137
○原(健)委員 民主党総裁の芦田首相は、全國各地の演説会において、極右極左を排して、われわれは中央党というものをつくるというようなことを言われておる。その意味はどこにあるか知りませんが、極右極左を排すると言われておるが、一体その意味はいかなる意味に解釈してよいのであるか。日本において現実的に極左というのはどの政党であり、極右というのは一体どの政党を指すのであるか。この点をお聽きしたいのであります。
#138
○芦田國務大臣 これとまつたく同じ質問を、民自党の同僚からこの席上で質問がありました。私の知つておる限り明細にお答えいたしました。これ以上附け加えることは何もないと御承知を願います。
#139
○東委員 今原君が極右極左ということを言いましたが、総理大臣は地方へ遊説されると、私どもこれは明らかに耳にし、新聞にも出ておりますが、民自党は保守反動の政党だ、こうういことを明確に言つておられる。そこで保守反動ということの意義を、御説明願いたいと思います。
#140
○芦田國務大臣 お答えいたします。私は演説会で自由党は保守反動だといつたようなことを言つた覚えはありません。もしあつたら、どうかその証拠を出してもらいたい。
#141
○川島委員長代理 ちよつと東君に御注意いたしますが、今の問題ににつきましては、ただいま総理大臣からお話がございましたごとく、過日上林山議員からかなり深刻な質問がありまして、それに対してすでに総理大臣は明確に答弁されておるのです。一つの問題をなるべく繰返さぬようにお願いいたしたいと思います。
#142
○東委員 これは私言葉じりを決してとらえるわけではありません。総理大臣は、民自党は保守反動だということは言わぬとおつしやるけれども、それは聽く者が皆、言葉はどういうあやの使い方をなさるか知りませんが、少くとも現在の政界において野党というものは民自党が代表しておる。その野党に向つて、保守反動だという言葉を使えば、これは民自党を指しておることは明瞭である。これに対して、あなたがそういう言葉を使うとか使わぬということは別としまして、今までそういうことをたびたび公言されておることは、新聞に明らかに出ておる。私どもは新聞記事をそのまま信ずるのではありませんけれども、到るところの新聞において、必ずあなたは車中談で述べておられることは明瞭である。それをあなたは絶対に言つたことはない、またそういうことを覚えておらぬと言うならば、民自党は保守反動でないと考えておるなら、それでも結構です。そういうことを聽きたいのです。
#143
○芦田國務大臣 そう言われれば私が言つたというのは、こういう言葉でしよう。アメリカの週刊雜誌に、先々月の政変の記事を出して、その中に自由党は――そのときは自由党と出してありました。自由党は極端な保守政党だと書いてあるということを言いました。それはその通りです。出してごらんになればちやんとあります。それを言つたにすぎません。
#144
○原(健)委員 もう一つお尋ねいたしたいことは、この予算につきましても、政府は出す出すと言つて、いつ出すかはつきりわからない。國民もこの内閣に対して非常なる失望をいたしておるし、はなはだ頼りないことおびただしい。この際において、一度首相は、國民に内閣の信頼を乞うために解散をやる勇氣があるかどうか。それをお聽きいたしたいのであります。
#145
○芦田國務大臣 この質問も原君からすでに受けたことを記憶しております。原君も御承知でありましよう。從つて繰返して申し上げることもどうかと思いますが、政府としては、現在の衆議院が輿論を代表する点において、食違いが生じたという事実が、比較的明確になつた場合には、当然衆議院は解散せられるものだと考えます。しからざる限り、今日ただいまの事態において、衆議院を解散すべき特殊の理由があるとは考えておりません。さよう御了承願います。
#146
○原(健)委員 われわれは公平に伺つておりまして、首相のいろいろな声明、談話などを聞いておりましても、時に應じ前言を飜し、あるいは信念をかえる等のことを、われわれはきわめて多く知つておるのであります。それでそういうことのないように、一、二の点についてお聽きいたしたいのであります。その第一は戰時公債の利拂いの問題であります。これはしばしば大藏大臣の言葉は聞いておりますが、総理大臣の言葉はまだはつきりしていません。これについて、民主党の役員会において、さきにこういうことを述べておられます。民主党としては軍事公債利拂停止には反対である。結局のところは反対であるから、金融界、実業界などの諸般の情勢から考えても、民主党の主張は通るものであると考えておる。すなわち金融界、実業界など、諸般の情勢から考えて、民主党の軍事公債利拂停止反対という主張は通る。だから停止することにならぬだろうということを、民主党の役員会で言明されております。また民主党の役員もそれを了解しております。しかるに今度聞くところによりますと、大藏大臣は一箇年だけ延期するということを言明しておられるのでありますが、この点の食違いについて、どういうふうにお考えであるか、それをお聽きいたしたいのであります。
#147
○芦田國務大臣 民主党の役員会の中の議論を、かくも正確に原君が御承知であるということは、私以上であります。まことに私は驚いたのでありますが、そういうことを言つたという何か速記録でもあるのか。それともだれからかお聞きになつたか。それをお知らくだされば、また私の記憶を思い起すことができると思います。
#148
○原(健)委員 速記録というようなものは、一々役員会ではとりませんが、少くとも総理大臣であり、総裁である人が言つたことは、速記録がなくても、たとえこういうものは記録になくても、言うたことは言うたことであるし、言わないことは言わないことである。言うたことは明らかにそれは一人ではなく、多数の人が聽いて承知しております。速記をとつてなければ自分は言わなかつたと言うならば、民主党の役員会でも、民主党の議員総会でも、一回も速記をとつたことはない。だからいかなることを言つても、自分は責任をもたぬと一体首相は言われるのかどうか。それをお聽きしたい。
#149
○芦田國務大臣 速記録もなく、だれからも聽いたとも言えないようなことを、公開の席上で、お前がこう言つたとおつしやられては私は迷惑千万であります。
#150
○原(健)委員 それは私は聞くところによると、新聞にも出ておりましたし、民主党の幹部も、名前を差控えておきますが、数名の人から聽きましたが、明らかに今申したことは、総理大臣は言つておられると、みな出席した代議士諸公は了承しておる。しかるにかかわらず、これを言わないとおつしやるならば、それは民主党の代議士諸君はうどお考えになるか。後日私は民主党の諸君に、これを傳えてひとつお聽きしたいと思つておるのである。しからばお聽きするが、民主党の過般の大会においては、利拂停止に反対すると言つておる。ここにおいでの川崎秀二君なんかのごときも、明らかにこれは停止すべきでないということは年來の主張であります。しかも川崎君のごときは、政治調査会の副会長をしておられる重要な責任ある地位の人である。この人が停止してはならぬということを言つておるし、党の大会では停止反対ということを明言しておる。それを総理大臣が、自分は速記録がないから言つたことがないとかおつしやられるのでありますが、それはそれといたしましても、少くとも民主党の党議と、一箇年間だけ停止するということは、非常なる食い違いであります。われわれはかつて党議に反したといつてすぐ除名されたのでありますが、みずから一箇年間だけ今度は停止すると言われておるが、その間の食い違いを、一体どういうふうに考えるのか。
#151
○芦田國務大臣 ただいまの問題については、大藏大臣からもすでに委員会において説明をいたしましたはずであります。なるほど利拂停止ということは、民主党の大会においても論議はされました。しかし決議としては採択はされておりません。なお個人の議論として、利拂停止に反対の議員も相当あつたと思います。しかしそれは、原君もよく御承知のように、政党の党議というものは、最終段階において初めてきまるのであります。昨日までは刑法改正反対だと言つていても、状況によつては、また刑法改正に賛成する場合も起るのである。そういうことを一々拾いあげると際限のないことでありますが、われわれの行なつたことは、國家のためにかくすることが一番適当だ、かように思つてやつたにすぎないのであります。その辺の事情はおわかりくださると思います。
#152
○原(健)委員 私はそういう言葉尻をうまく言いくるめることにおいては、総理大臣にはとうてい及ばないのでありますが、大体民主党においても、民主党の総裁においても、利拂停止には反対であるということは、公人として天下ことごとくこれを知つております。これを、速記録がないとか、党議でどうだとか、何とか言つておられますが、そういうお上手に言われましても、國民はみなそれを知つておる。それほど重大な、民主党にとつては、党議というか、党として決定しておる重大問題であります。それを、途中で変つたとか変らぬとか、党議がどうとか、わしは速記録がないから知らぬとか、そんなことを言わなかつたとか、いろいろ申されても、私はそういう上手な言葉は言えませんが、明からに一年間だけは停止するということを大藏大臣は言つておる。この点は私は総理大臣に対して、もう少し眞劍に、まじめに國を憂えてひとつ答弁をお願いいたしたいのであります。さらにお聽きいたしたいことは、大藏大臣は明らかに一箇年だけ利拂を停止するということを言明しております。総理大臣もこれに間違いないことはその通りであると思います。それでお聽きいたしたいことは、一年間だけ停止いたしまして、一年間の期間が過ぎた場合に、それから以後は一体利子支拂を停止するのかしないのか。その点をお聽きいたしたいのであります。
#153
○芦田國務大臣 一年間停止して、さらに來年の七月一日以後どうするかということは、さらに先になつて考えるということで、とりあえず一年間停止したのでありまして、停止するともしないとも、まだ一年以後のことは確定していないわけであります。
#154
○原(健)委員 一年以後のことは確定していないといいましても、この利子の問題は一年だけで解決する問題ではなくして、先に引続いた問題でありまして、一年間停止するときには、必ず一年以後の二年、三年はどうするかということを考えずには――こういう経済問題を一年だけ考えて、あとはまだ考えていない、あとはどうするか、停止するかしないかそのときのことだというようなことでは、はなはだ國家百年の経済政策を立てる上から考えましても遺憾千万であります。よろしく、停止するならする、しないならしない、確定していなくても、大体どういうつもりであるくらいな心組は、当然まじめなる政治をやる政治家であるならば、考えておるべきはずである。この点をひとつ明確に決定していなくても、大体どういう腹構えでおるくらいのことは、言い得べきことが当然である。大体國民においてもそのことを熱望しております。切に御答弁願います。
#155
○芦田國務大臣 原君の御説の通り、政府が政策を立てる上において、できるならば五年先、十年先のことをはつきりとにらんで、そうして國家百年の大計を立つべきだという御議論は、私は傾聽いたします。かくあるべきだと思います。しかしこの問題に限つて、種々の関係上、まだ明確に來年以後のことをどうするかということを決定していないのであります。正直にお答えをした次第であります。さよう御承知を願います。
#156
○原(健)委員 次にお聽きいたしたいのは、総理大臣は過般の本会議において、五月十五日ころに本予算を出すと言明され、この間の本会議においては、数日中に本予算を提出する運びとなるということを言明されましたが、きよう委員長から聽きますと、ここ数日中の予算の大綱だけは出すが、全部の完全に本予算を出すのは、何でも六月にはいつてかららしいのでありますが、この点をひとつ明らかにしてしただきたいのであります。
#157
○芦田國務大臣 御承知の通り、予算書全部は相当浩瀚なものでありまして、印刷にかなりの日を要するのであります。從つて政府としては、はなはだ不本意でありますけれども、予算の大綱だけならば、ガリ版で印刷をして、相当部数間に合わせることができる事情に鑑みて、少くともそれだけの簡單な予算書だけでも國会に提案をして、できるならばその大綱に関しての審議をお願いしたい。かように考えておるのでありまして、その方はここ数日中にでき上る見込みであります。しかし全部の予算書は、印刷の関係上、來月初旬にはいらなければ準備ができかねる、こういう事情にあることを御了承願います。
#158
○原(健)委員 これはきわめて重大なことで、もう少しはつきりいたしたいのでありますが、大綱のガリ版刷りは何日にお出しになられるか、それから全部の完全な予算は、六月の何日にお出しになられるか、これをもう一度お聽きいたしたいのであります。
#159
○芦田國務大臣 いろいろ技術的な関係がありまして、五月何日、六月何日ということを、的確に申し上げることは困難でありますが、要綱については、ここ数日中、印刷にした予算書を全部は六月初旬に提出のできる見込みであります。
#160
○原(健)委員 総理大臣に申し上げたいのでありますが、この前におきましても、本会議におきましても、数日中に本予算を出すと言明されたことは、もちろんわれわれの了解においては、明らかに予算書全部を数日中に提出されるというふうに解したことは、言うまでもないのであります。何となれば、要綱だけでは、これは予算書になつておりませんし、本予算を提出するというのは、要綱だけを出すことが、本予算を提出するということにはならないのであります。これは今までの慣例からみましても、明らかにそうなつております。でありますから、少くとも総理大臣は、過般本会議におきましても、数日中に出しますと言つたことは、これは非常なる欺瞞でありまして、本予算の予算書というものは、六月の初旬と言いますが、――初旬という言葉は追究いたしましても言葉があいまいでわかりませんが、まず十日と見なければならぬ。六月の十日までかからねば出せないような予算書を、数日中に出すと言明されたことは、首相としては責任をお感じにならないかどうか、これをひとつお聽きしたい。
#161
○芦田國務大臣 本会議において、ここ数日中に予算を提案して御審議を願いますと言つた意味は、予算書全部を付けて詳細なものをそろえて提案することができるかどうかというふうなことを十分研究しないで、大体そのころにおいて出せるという言葉をそのまま、数日中に予算を提出すると言つたのでありまして、決して議会を欺瞞しようなどという氣持で答えた意味ではなかつたのであります。むろん予算書全部がそろわなければ、國会の審議において非常に不便があるということは、よくわかります。全部を印刷に早く付して、提出すべきが、もとより順序でありますが、最近のごとき、予算書のみならず、印刷能力が非常に低下しておるためにかようなことになることは、政府としてもまことに遺憾なことだと思つております。
#162
○原(健)委員 今のお話で承つたのでありますが、われわれの考えるところによりましては、そういうガリ版で刷つた要綱だけをもつて、本予算の審議をするというようなことは、未だかつてありもしないし、おそらく法律的根拠にも欠けるところがあると、われわれは考えるものであります。でありますから予算の本予算書は、今の首相の答弁によりますと、大体六月の上旬と言いますが、上旬というのは、遅くともまず六月の十日までということで、われわれは非常なる期待をかけておつたにかかわらず、それ程遅れることになつたのは、返す返すも遺憾千万に思うのであります。
#163
○川島委員長代理 原君にちよつと申し上げますが、たまたま労働大臣が見えておりまして、もし簡單で済むことでしたら、引続いて労働大臣に御質問願います。
#164
○原(健)委員 労働大臣にお聽きいたしたい一点は、労働大臣が御承知のように、天下たれでも認めておることは、社会党の左派に属する人であるということは、御自身も、天下もこれを認めております。もし左派でないとおつしやられるならば、その弁明をお聽きいたしたいのでありますが、私はその前提のもとに話をいたしたいのであります。
 過般の片山内閣が倒壊した原因は、言うまでもなく、鉄道運賃、通信料金の値上げによつて、これが國民大衆の生活を脅かす、だから反対だというので、われわれとともに反対をして、片山内閣を倒壊に導いた、それは社会党においては、左派の人がわれわれの意見と同調してやつてくれたのであります。しかるに聞くところによると、今度は鉄道運賃を三倍半値上げ、通信料金四倍値上げをしようとしておる。しからば加藤労働大臣は、こういう予算に一体賛意を表されたのであるか、反対されたのであるか、もし自己の信念に忠実であつたならば、これに反対されて、大臣をやめるのが当然であると思う。しからば自分が大臣になつてしまえば、大臣のいす欲しさに、政策も信念も、大衆の利益も犠牲にして、こういうものに賛成されたのじやないか。われわれ自身、また國民一般もそう考えておる。これについてどういうように考えられるか。明快なる答弁ををお願いしたいのであります。
#165
○加藤國務大臣 原君の御質問にお答えします。社会党は世間では左派とか右派とか言つておりまするが、社会党には社会党の立党の精神である綱領があり、政策があります。綱領政策に関する限り、社会党は一つであります。その点は世間で勝手に左派とか右派とか言つておるだけであります。もし世間でそういうことのどちらにあてはまるかと言われるならば、左派の概念にあてはまることは、言うまでもないのであります。そんなことは問題でないのであります。われわれは社会党の政策をいかにして社会党本來の姿において実現せしめるかということが、われわれ社会党員の任務である、ちようどあなたが民自党の党員として民自党の政策を実行しようとお考えになるのと同様であります。そのことはともかくとして、鉄道もしくは通信料金の値上げの問題でありまするが、いかにもわれわれは片山内閣の当時、御承知にように〇・八の生活補給金支給の問題について、政府は他に財源がないから値上げによつてこれを支給するようにしたい、こういう意見でありましたけれども、われわれはこの程度のことは、いずれ新予算年度においては、本格的な檢討がされなければならない。その時にあるいは値上げを余儀なくされるであろうから、今値上げをして、再び値上げをしなければならぬ、そういうことでなく、およそ四十億足らずの財源は、非常に大きな鉄道予算から見れば何とか捻出する方法があるはずだ、こういう点において反対をしたのでありまして、本年度の社会党の大会におきましても、当然鉄道運賃の値上げの問題については考慮されなければならぬということが決定されております。從つて今度のこの鉄道賃金なり通信料金なりの値上げの問題につきましても、原則的にはそれらの仕事が独立採算を可能とする方向に向うために、どうすれば赤字を補填することができるか、將來どうすれば独立採算を可能とするか、こういう観点から引上げたものでありまして、〇・八の生活補給金支給当時のように、ただ單に赤字を無條件で一般会計から補填しようというような立場から今度の値上げが考えられたものではないのであります。從つてこの前の当時と今日の問題とは、まるでその本質を異にしております。このくらいのことは原君御自身も、十分御承知のはずであると思うのであります。從つて私どもは十分檢討を加えまして、さらに國鉄が、ここに当該責任の大臣がおられまするが、当然これだれけの大衆負担を大衆諸君に向つて要求する以上は、それに先だつて、鉄道内部の経理を明らかにして、そうして國民大衆諸君の納得と御了解を得てこれを行うべきである、こういうことに議がまとまつたものであります。御了承を願います。
#166
○原(健)委員 今加藤労働大臣は、なかなか雄弁に自己の御心事を弁解されましたが、大局から考えて、これほどの鉄道運賃、通信運賃を上げて、この予算に賛成すれば、だれが一番困るか、勤労者、無産大衆が一番困る。そういうことは十分御承知のはずである。それをきのうは反対しておいて、きようは大臣になつたからといつて、いろいろな理由をつけて、かれこれ弁解されるが、國民はそんなことには納得できない。國民は加藤氏は大臣になつたがために、日ごろの信念も意氣も、闘志もなくなつて、実に芦田内閣のちようちんもちばかりやつている。國民大衆を賣るものだと言つて、非常なる憤慨をいたしておることを十分銘記すべきである。同じことを私は言いたいが、たとえば取引高税においても、こういう税金は國民大衆をいじめるところの大衆課税であることは言うまでもない。大藏大臣がいくら言つたつて、世界の学者が認めている。この取引高税のごときは、インフレを助長することは一番大である。第一次欧洲大戰後においても、ドイツでやつて、これはインフレを助長した結果になつております。勤労者、無産者の味方だと言つて、過去数十年來豪語してきた加藤労働大臣が、こういう税金にどういう理由で賛成しておるか――賛成していないか知りませんが、この点の御見解を聽きたいのであります。
#167
○加藤國務大臣 原君の私の人格に関する僭越極まる御質問がありました。私はそういう個人の人格に関する点については、もし爭うべきものがあるならば、談じて徹低的に爭います。
 それは別としてとにかく今あなたはいろいろなことを、自分の意見を加えて御質問になりましたが、意見は一應あなたの自由として、御質問の要旨として、賣上税の問題が取上げられました。賣上税が大衆課税であるという点は、原君の御意見をまつまでもなく、すべての人が知つておることであります。それにもかかわらず、なぜこの大衆課税が課せられなければならなかつたか。御承知のように、今度の税制改革案が國会に提案されれば、御了承でありましようが、三党政策協定の精神に則つて、勤労所得税の大幅軽減が行われるのであります。この税制改革によつて、およそ九百億円近い減税を示しております。一方に敗戰國の悲しさには、一千億を超える厖大な終戰処理費を負担しなければならない。九百億に近い減税が行われ、一千億円を超える厖大な終戰処理費が負担されなければならない。これはまつたく戰爭に負けたためであります。この負担を一体どこに求めるか、こういう点において、われわれは國民の何びともが、どこかに負担を甘んじてがまんしなければならない点があると思います。ただ負担の公正ならざることを憂うるのであります。多くもてる者は多く、わずかしかもたない者はわずか。それぞれその立場、分に應じて負担の均衡がはかられることが、一番大事なことであります。賣上税の設定が、言われる通り、どこまでインフレーションを促進するか、私は課税せられたものが、すぐ物價に與えられれば、それだけすぐにインフレーションを促進するという論旨は成立たぬと思います。インフレーションはそんなところから生れてくるのではない。それは小さな原因の一つではあろうが、そこから生れてくるのではありません。同時にそういう事柄から、だれかが負担しなければならぬとして、他に適当なそういう財源を埋めるものがないとすれば、どこかからわれわれは負担しなければならない。こういう意味において、賣上税の新設が行われるようになつたのであります。
#168
○川島委員長代理 この際運輸大臣が見えられておりますので、運輸大臣に対する質疑をお願いいたします。押川定秋君。
#169
○原(健)委員 加藤労働大臣は……。
#170
○川島委員長代理 原君はもう一言で終るという約束であつたのですから、こちらへ……。
#171
○原(健)委員 まだ発言中です。
#172
○川島委員長代理 原君にちよつと御注意申し上げます。先ほど私は委員長として、あなたの発言に対して御注意を申し上げたいと思つたのですが、それはただいま労働大臣からも言われました通り、大臣の、あるいは個人の人格等に対して傷つけるようなお言葉は、今後御注意願いたいと思います。それでは原君に発言を許します。簡單に願います。
#173
○上林山委員 議事進行について、私は委員長に希望と警告を発したいと思います。警告は、予算委員会が始まつて以來、われわれは談笑裡に委員長に希望を申し上げてきた。委員長もこれを了承したはずであると考えておるのであります。しかるに、言葉のあやで一言お許し願いますと言うた、その言葉のあやを言質として、各委員の自由なる発言を封鎖するという考え方は、議事の運栄精神において、根本的に間違つておると私は考える。だから今後そういうようなことのないように、警告を発したいと考えます。次に希望といたしましては、委員長としてはもちろん與党側から出ておる委員長であります。あなたの人格において公平にやつていきたいという考えもおもちになつておるかもしれませんけれども、外に現われるあなたの言葉、議事運営の方向は、與党側の委員であるということをあまりにも意識してやつておらりるように思う。ということは、最も大事な論旨が盡きない、殊に言葉がある程度激してくると――激するというわけではありませんが、大事な要点をつかもうとするときに、委員長は質問を肇制する上か何か知りませんが、注意を與えたり、あるいはその人がまだ審議を終えないうちに、與党側の委員諸君の発言を許したりして、われわれとしては、まとまつた結論を得ることができない。それがまた予定せられておる日数の切迫する一つの原因になつておるのであります。これは要望でありますが、そういう点をひとつ勘案せられまして、議事運営に遺憾なからしめんことを、私は望むのであります。
#174
○川島委員長代理 お答えします。私はただいま上林山君のおつしやられた言葉について、別に與党であるから発言をなるべく許す機会を與えたり、野党であるから発言の機会を封ずるという考えは毛頭ありません。ただ議事の進行中発言者の中で、あなた方の方から、もう一言、あるいは簡單だと言われるので、他の発言者の機会を待たしてある。しかもその上に與党側の議員諸君からも、相当の発言があるのです。しかし與党側としては、私どもと話合いの上で、なるべく野党の方にたくさんしていただこう、こういう氣持で議事を私は進行せしめておるつもりでありますから、その委員長としての私の氣持を御了承願いたいと思います。
#175
○原(健)委員 議事進行について……どうも先ほどから委員長は、とかく今総理大臣が見えておるから、今どの大臣が見えておるからということで、いかにもわれわれの言論をいいかげんに切り上げて、次に移すように思います。われわれも委員長の顔を立てなければならぬということになつて、しやべりたいこともしやべれない。大臣の御都合ばかり考えずに、少しは議員の立場も考えていただきたい。そこらを考えてみなさい。この委員会では、委員の質問が一番大事だから大臣は時間にはみんな出てくるのがあたりまえです。みんな委員が出てきておるのに、大臣がきまつた時間に出てこないのはもつてのほかである。予算を出しながら出てこないのは、もつてのほかです。委員長は出しなさい。
#176
○川島委員長代理 原君に発言を許します。
#177
○原(健)委員 私が委員長に申したいのは、私の発言を打切つて、ほかの人に許しておいて、そこにおいて私に対する注意をやるということは、はなはだ実際不都合千万で、残念至極であります。そういうことを言つても仕方がないが、一言申し添えて簡單に切り上げます。加藤労働大臣は……、
#178
○川島委員長代理 私語を禁じます。
#179
○原(健)委員 税金においては、多くもてる者から多くとり、少くもてる者から少くとる、これが税制の公正を期するゆえんであるということを、今加藤労働大臣がおつしやられたが、その通りであります。しかるに御承知でもありましようが、この取引高税というものは、多くもてる者から多くとり、少くもてる者から少くとるということにはいかないと思う。大部分の税金は、勤労者大衆が拂うことは、御承知の通りだ。金持が買つても、私どもが買つても、千万長者が百円買つても、貧乏人が百円買つても同じ税金である。しかも百円ぐらいならばわずかであるが、少しづつ買う税金がたまつて、この税金の実收をなしていくのであります。この点から見ても、一方においては勤労所得税を少くしたから勤労者のためになつという、それはなつたでありましようが、なつたといつて、表面では勤労者のためになつたように示しておるが、実際は賣上高税という惡税を設けて、右で税金を緩和して、左の手で税金を大衆から取上げておるのである。名前が変つておるだけである。こういうやり方は、私をして言わしむればなお惡い。実際こんなのならば、もつと所得税でも高率にして、金持からとる方法はいくらもある。勤労所得税の免税点を上げても、もつともてる人から所得税をたくさんとる方法はあるのである。しかもその方は放つておいて、勤労者の税金を免除してやるなどと放送しておいて、実質的には取引高税によつて勤労者大衆を非常に苦しめる。しかもこれは一%という税金になつておるが、これがあつちにかかり、こつちにかかりしまして、結局大藏大臣も言つておられる通り、四%が、五%かかつてくるのである。しかもこの税金の特色は、必ず四%ぐらいかかる。これに味をしめて、政府はだんだん上げていく傾向をもつておる。そういう税金である。この点から考えても、これは惡税中の惡税であります。しかもこれは御承知のように、遊興飲食税のときに脱税が起きてしまつたと同じように脱税をやる。しかも困るのは、脱税をやつて商賣人の方はもうけるが、一般の勤労者無産階級は、これによつて塗炭の苦しみに陥り、インフレは助長する。こんな惡税を、しかも労働者の味方である。勤労者の味方であると言つて、数十年來労働運動に闘つてきた労働大臣だから、この点を私はお聽きしておるのであるが、その人が反対もせずに一切賛成されるということは、私どもは理解しがたい。私がもし加藤さんの立場なら、大臣なんかやめても反対する。その点をもう一度お聽きしたい。
#180
○加藤國務大臣 税制の問題につきましては、いずれ國会に提出された折に、主管責任者から説明されることと思いまするので、その点に私は触れようとはしませんが、現在の勤労大衆の生活を少しでも引下げない。現在の生活水準を少しでも上まわる、こういう観点に立つて、今度の予算編成の基本方針の一つとしております。從つて勤労所得税の軽減、賣上げ税の新設、交通賃金、通信料金の引上げ、また物資のできるだけ配給の確保、そうした全体を総合しまして、現在の勤労大衆の二千九百二十円を基準とする生活水準は、引下げられない立場に立つております。
#181
○川島委員長代理 本日はこの程度に止めまして、明日は引続き午前十時半から会議を開き、質疑を続行いたしたいと思います。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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