くにさくロゴ
2012/01/27 第180回国会 参議院 参議院会議録情報 第180回国会 本会議 第2号
姉妹サイト
 
2012/01/27 第180回国会 参議院

参議院会議録情報 第180回国会 本会議 第2号

#1
第180回国会 本会議 第2号
平成二十四年一月二十七日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成二十四年一月二十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(平田健二君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 懲罰委員長今野東君から委員長を辞任いたしたいとの申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(平田健二君) この際、欠員となりました懲罰委員長の選挙を行います。
 つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、懲罰委員長に北澤俊美君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ─────・─────
#7
○議長(平田健二君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十四日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。中曽根弘文君。
   〔中曽根弘文君登壇、拍手〕
#8
○中曽根弘文君 自由民主党の中曽根弘文です。
 私は、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会を代表して、野田総理大臣の施政方針演説に対し、質問をいたします。
 まず、総理の施政方針演説に対する質問に入る前に一言申し上げます。
 総理は、先日の民主党大会で、消費税増税の法案について、参議院に法案を送って、野党にもう一度この法案を潰したらどうなるかということをよく考えていただく手法も時には採用していこうではありませんかというような恫喝まがいの発言をされました。これは、法案も提出されてもいないうちから二院制における参議院の自由な審議権を否定するものであります。
 議会は、政府の政策の追認機関ではなく、法案の足らざるところは修正をし、なすべきでない政策については否決をし、議員自ら必要と考える法律を議論、立案していく場であり、議会制民主主義の根幹を否定するような発言は断じて許すことはできません。
 総理は、昨年九月の就任時に自らをドジョウと称して低姿勢でスタートし、所信表明演説では、「政治に求められるのは、いつの世も、「正心誠意」の四文字があるのみ」と述べられました。今回の御発言のどこが「正心誠意」なのか、同じ方の発言とはとても思えません。総理に対し、強く発言の撤回と謝罪を求めるものであります。
 さて、総理の施政方針演説を聞き、私たち国会議員ばかりでなく、国民の多くも大変失望したことと思います。政治が取り組むべき課題を並べ立て、耳触りの良い抽象的な覚悟や決意を述べるだけで、消費税を引き上げたいということ以外には全く具体性のないものでありました。
 一国の総理として国家の基本政策の方向性を明示すべき施政方針演説であるならば、述べるべきは抽象論ではなく具体論であり、国民は、これからの暮らし向きがどうなり、日本の国はどういう方向へ進もうとしているのかを知りたいのであります。これでは国民も野田内閣を支持できるわけがありません。
 私は、こうした抽象論ではなく、国会という開かれた議論の場を通じて、野田内閣の誤りを正し、我が国の進むべき方向性を明確にしていきたいと思います。
 昨年は、東日本大震災という我が国にとって未曽有の大災害が起きた年でありました。歴史ある美しきふるさとが大津波によっていとも簡単に破壊される姿、世界最先端の科学技術を自負してきた我が国が放射能汚染を止めることもできない姿、これらを目の当たりにし、我々国民の価値観は大きく揺らぎました。
 一方、被災された方々が大きな悲しみに耐えながら極限状態でも秩序を失わず力強く生き抜く姿、ボランティアの方々が全国から被災地に駆け付け汗を流す姿、不眠不休で献身的に救助と復旧のために力を尽くす自衛官や消防隊員などの姿、どんな逆境からも立ち上がろうとする国民のこの力強さは、海外にも深い感銘を与えました。その中で、政治の役割とは何かを深く考えさせられた一年でもありました。
 他方、世界に目を転じれば、今年は激動の年であります。私のちょうど一年前の菅総理への代表質問でも指摘いたしましたが、二〇一二年問題と言われるように、アメリカやロシアを始め、世界の主要国で指導者の選挙や交代が行われます。このような大きな政治の転換期には、各国の指導者は国内の権力基盤を強化することに専念し、自国の利益を強く打ち出した外交姿勢を取ると言われています。したがって、我が国はこれまで以上に難しい外交のかじ取りを迫られることが予想されます。
 本日、私からは、こうした内外の情勢に対する総理の基本的な方針を伺いたいと思います。
 野田総理は、今月十三日に内閣改造を行いました。適材適所と豪語していた前内閣の閣僚を僅か四か月余りで五人も交代させたのですから、総理自ら適材適所ではなかったことを認めたも同然であります。
 さきに参議院が問責した二閣僚も交代させました。今回の改造の目的は、一川、山岡両大臣の解任が目的で、他の三大臣はついでに交代させたようなものと言ってよいと思います。総理がどんなに最善かつ最強の布陣と言われようと、この改造は、自らの任命責任を曖昧にした問責カモフラージュ改造にほかなりません。その証拠に、内閣改造で通常は上がるはずの支持率がほとんど横ばいか、下がっているものもあります。新しい内閣に国民が全く期待していないことが明らかであります。
 また、新しく任命された閣僚も早速問題発言をしています。田中防衛大臣は、武器使用基準と武器輸出三原則の区別すら付いていないことが露呈してしまいました。さらに、辺野古の埋立工事について、年内に着工する予定である、埋立ての申請は六月ごろを予定しているなど、軽々しく発言をされました。これは、沖縄の複雑な事情や県民の感情、これまでの経緯などを少しでも理解していれば出てくるはずのない発言であります。
 民主党内閣の閣僚は、鳩山内閣時から失言、暴言、恫喝、撤回、謝罪の繰り返しであります。今度の内閣も適材適所だとは到底言えません。
 総理は、昨年、原発事故により被災された方々の心を踏みにじる不適切な発言をして辞任した鉢呂前経産大臣については、総理である自分に任命責任があると認めましたが、沖縄の少女暴行事件についての発言などで沖縄の方々の心も傷つけた一川前大臣については、御自身の任命責任をどうお考えになるのか。私は、一川、山岡両大臣を任命した総理の責任は非常に重いと思います。総理の御認識を伺います。
 こうした問題大臣ばかりしか任命できない総理には、日本の首相としてのガバナンス能力に欠けているのではないかと疑わざるを得ません。混乱の続く現状を生み出しているのは総理自身であり、野田総理に反省はないのか、厳しく問いたいと思います。
 まずは、本年の日本経済の見通しについて伺います。
 政府の経済見通しでは、来年度の国内総生産の実質成長率を二・二%としています。しかし、民間の調査機関の予測では、来年度の成長率は一%台後半とするものが多くなっています。また、日銀が二十四日に開いた金融政策決定会合では、世界経済の減速や円高の影響などを見込み、二・二%としていた成長率を二%へと引き下げています。
 さらに、IMFが二十四日に発表した世界経済見通しでも、我が国については当初より〇・六ポイント引き下げ、成長率は一・七%であろうと予測をしています。
 こうしたことなどから比較すると、政府の見通しはやや楽観的過ぎるのではないかと考えます。政府の見通しの根拠を見ても、成長の原動力は復興需要任せであり、欧州債務危機も安定化するだろうという希望的観測のような記述に見えます。
 民間や日銀、IMFの予測は、円高や電力不足、欧州債務危機の影響などを厳しく見ているものと考えますが、この違いが生じていることについてどのように考えるか、総理の御見解を伺います。
 また、二・二%の成長率を達成するには、新しい成長モデルを打ち出し、成長分野への投資について選択と集中を大胆に行い、日本経済に活力を取り戻すことが不可欠であります。政府・与党は経済状況の好転を消費税引上げの条件としていますが、成長戦略の具体案は全く見ることができません。
 どのように日本経済の活力を高めていこうとされるのか、総理のお考えを伺います。
 次に、円高・デフレ対策について伺います。
 復興需要に頼らず、日本経済を持続的な成長軌道に乗せるためには、極端な円高や長期にわたるデフレの是正が不可欠です。政府は何度も円高・デフレ対策と銘打った施策を講じていますが、状況は一向に改善していません。電力不足などと併せ、企業にとっては六重苦、七重苦とも呼ばれる状況です。
 今回の第四次補正予算案には、円高に苦しむ中小企業の資金繰り支援なども盛り込まれています。もちろん、こうした支援策も必要ですが、これは円高是正策というより、一時的な企業支援対策であり、本来、第三次補正で十分に手当てすべきものでありました。
 また、今回、為替介入のための資金調達枠も積み増しますが、介入はあくまでも、急激な為替変動を止めることはできても、中長期的に円高になっていくのを止めることはできません。円高、デフレを抜本的に是正するためには、大胆な金融緩和、税財政政策、新たな成長戦略など、あらゆる政策を総動員し、総合的な対策を取る必要があると考えます。
 特に、デフレからの脱却には大胆な金融緩和を断行するほかないと考えますが、総理のお考えを伺います。
 今回の第四次補正予算には、我々も緊急に必要だと認める事業もある一方で、本当に緊急なのか、疑問を感じるものも数多くあります。例えば、エコカー補助金、高齢者医療費の負担軽減、強い農業づくり交付金、国際分担金などは税制改正での対応や来年度予算で計上すべきものであります。補正予算への付け替えは、来年度予算の歳出を少なく見せかけるためであり、第四次補正を隠れみのにしようとしているとしか思えません。
 一方で、除染や汚染廃棄物の処理費など緊急に必要な予算を来年度予算に盛り込んでいますが、こうした予算は三次補正に続いて四次補正にも盛り込むべきではないでしょうか。なぜそうしないのか、総理、御説明ください。
 次に、平成二十四年度予算案について伺います。
 民主党のばらまき四K政策は既に破綻していることは国民の目にも明らかとなり、我々自民党は政策の撤回を強く求めてきました。その結果、昨年八月、ばらまき四Kの見直しについて、自民、公明、民主の三党間で合意されました。
 しかし、政府の平成二十四年度予算案を見ると、高速道路無料化の予算は合意どおり計上されていませんが、高校授業料無償化と農業者戸別所得補償制度は、十分な検証も行われず、そのまま計上されています。
 三党合意により、これらについては当然廃止の方向に向かうものと考えていましたが、なぜそのままの形で残っているのか、総理に明確な説明を求めます。
 子ども手当については更に大きな問題です。
 三党合意では、所得制限もないばらまきの子ども手当を廃止して、元の児童手当を拡充した制度に戻すことが決まりました。ところが、先日の報道によりますと、民主党は、児童手当法を子どものための手当支給法という名称に変え、法律の骨格は実質的に従来の子ども手当支給法とほとんど変わらないものにしようとしているとのことであります。
 公の政党間で協議をし、文書を取り交わした合意は重いものであります。約束をほごにするなら、民主党とは協議をして合意しても意味がないということであり、国民も民主党の言っていることを信用するはずがありません。三党合意に従って、子ども手当は廃止し、児童手当を拡充する制度へ変更するということで間違いありませんね。総理に確認をいたします。
 平成二十四年度予算で更に問題なのは、基礎年金の国庫負担の財源として年金交付国債を発行していることであります。これは、国債発行額を四十四兆円以内に抑えたように見せかけるための完全なまやかしです。これは、借金の飛ばし行為のようなものであります。また、この年金交付国債は将来の消費税増税で返すことを前提としています。つまり、消費税増税を既成事実化するという意図も隠されているのであります。この点も大いに問題です。
 こうした点について国民に納得のいく説明ができるのでしょうか。総理の見解を伺います。
 次に、社会保障と税の一体改革について伺います。
 政府・与党は、今月六日に社会保障・税一体改革素案を決定しました。そもそも、総理は、消費税増税について昨年十一月のG20の場で突然国際公約してしまいました。国民生活にも企業活動にも大きな影響を与える問題について、国内で議論もしないうちに国際公約してしまうというやり方は大きな問題であります。これは、鳩山総理のCO2の二五%削減や、菅総理の太陽光パネル一千万戸発言と同じであり、民主党の常套手段ですが、決して認められるものではありません。
 さらに、今回、野田総理は、国会での議論を始める前に与野党協議で消費税増税を決めようと野党各党に持ちかけてきましたが、これは、国会や国民に議論が見えない形で増税を決めてしまおうということであり、談合で決着を付けようという誘いにほかなりません。
 増税というような国民の直接的な負担増につながる法律について、国会を軽視するようなやり方に我々は決して乗るわけにはいきません。それが、我々が与野党協議に参加しない理由の一つであります。
 改めて言うまでもありませんが、平成二十一年八月の選挙によって民主党が政権を取ったときのマニフェストには、消費税を上げるとは一言も書いてありません。むしろ、様々な改革の財源は十六・八兆円の無駄削減で賄うと書いてあります。
 その選挙で野田総理は、当時は幹事長代理として街頭に立ち、マニフェスト、ルールがあるんです、書いてあることは命懸けで実行する、書いてないことはやらないんです、それがルールですと演説されていました。それが今は、消費税を上げると発言されています。明らかに矛盾をしています。
 総理、消費税増税はマニフェストに書いていませんでしたね。総理の演説の論理に従えば、書いてないことをやるのはルールに反していませんか。国民に対する説明責任も果たさずに消費税の話を持ち出すことは許されないのではありませんか。総理、お答えください。
 マニフェストに書いてない消費税増税を行うなら、まず民主党内の意見をまとめ、その上で、改めて消費税増税をマニフェストに明記して、解散・総選挙で国民に信を問うべきであります。また、総理は、民意の裏付けのない政権が国のかじ取りをし続けるということでいいはずがありませんと御自身の著書の中で当時の自民党政権を批判されました。民主党政権も鳩山内閣以後、菅・野田内閣と、民意の裏付けとなる選挙を経ずに内閣が替わりました。御自分の発言に責任を持つなら、やはり解散・総選挙で信を問うべきです。総理のお考えを伺います。
 この一体改革の素案のもう一つの問題は、社会保障改革の内容です。
 素案では、速やかな、早期に、できる限り、引き続き検討するなど、歯切れの悪い役人言葉ばかり並べ立てられ、どんな改革を行うのかもはっきり示されていません。逆に、消費税の増税については、平成二十六年四月に八%、二十七年十月に一〇%というスケジュールをはっきり決めています。レストランで料理のメニューも見せてもらえずに料金だけ払わされるようなものであると批判する人もありました。このような改革では国民の将来への不安を払拭することはできず、かえって社会保障への不信が募る結果になることは目に見えています。
 また、岡田副総理は、抜本改革には更なる増税が必要と発言されていますが、消費税を一〇%に引き上げるかどうかという議論がまだ国会で行われてもいない段階で、しかも政府・民主党の歳出削減策も不十分な状態で追加の増税に言及するなど、国民も困惑していると思います。
 政府は、まず年金改革を含む社会保障の全体像を明確に示すことが必要であり、将来的にどのくらいの国民負担を求めることになるのかを明らかにすべきであると考えます。総理から明確な説明を求めます。
 次に、東日本大震災と原発事故への対応について伺います。
 昨年、自民党を始めとする野党も全面的に協力して、震災復興のための第一次から第三次までの補正予算が成立いたしました。合わせて十五兆円が本格的な復興のために使われることになっています。
 復興事業は、菅前総理の復興を人質にした政権居座りや、その後の野田政権の動きの鈍さによって大幅に遅れ、いまだ瓦れきが山と積み上げられています。補正予算は速やかに執行されてこそ効果が上がるものです。
 被災地では、三度の補正予算で計上された約十五兆円のうち、現在までに執行された予算額はどれくらいなのでしょうか。責任ある予算執行ができずに遅れている部分があるのはなぜなのか、総理から被災地の皆さんが理解できる御説明をいただきたいと思います。
 次に、原発事故対応について伺います。
 政府が原子力災害対策本部や緊急災害対策本部などの震災関連の組織の会議の議事録を作成していなかったことが明らかになりましたが、これは政府のずさんな事故対応を象徴しています。
 議事録がなければ、当時の政府の事故対応が適切であったかどうかの検証ができなくなり、政府の責任は極めて重いものであります。当時の官房長官の責任について総理はどのように考えるのか、見解を伺います。
 さて、総理は昨年十二月、事故の収束宣言を行いました。しかしながら、まだ問題が種々残っているということで、福島県議会は全会一致で収束宣言の撤回を求める意見書を採択しています。また、海外からも宣言は時期尚早ではないかという懸念が寄せられました。総理は、これらの意見書や懸念に対してどのようにお答えになるのか、伺います。
 除染作業についても伺います。
 今後、どのような範囲、方法、スケジュールで除染作業を行うのか、その費用はどのぐらいになるのか、現段階の見通しをお教えください。
 また、除染に伴う廃棄物の処理も大きな問題です。現在、仮置場や中間貯蔵施設の場所選定が難航しています。一刻も早く中間貯蔵施設などの場所を選定すべきですが、この遅れが復興の妨げになっています。瓦れき処理には政府の一層の努力を求め、現状について総理から御説明願います。
 住民への賠償も急ぐ必要があります。政府は、避難指示区域外の二十三市町村の住民に、一人当たり八万円、子供と妊婦には四十万円という賠償指針を示しました。しかし、実際の損害額はとてもこれで収まるものではなく、また、県内全域を対象とすべきとの声もあります。この指針を上回る損害に対し、迅速に適切な額の賠償を行う方法について政府の方針を伺います。
 住民の方々の健康管理も重要です。今回のような低線量被曝の健康への影響は、分かっていない部分もあります。中長期的に検査をして健康管理を行う必要があると考えますが、政府の対応方針を御説明ください。
 次に、外交・防衛政策について伺います。
 まずは、日米同盟、普天間問題です。
 鳩山政権以来の普天間基地の移転問題をめぐる失態続きにより、民主党は沖縄からも米国からも信頼を失いました。野田政権になってからも、一川大臣、田中大臣の無神経な発言、昨年末の強引な環境影響評価書の提出など、沖縄県民の感情を逆なでし続けています。
 米軍再編のロードマップでは、普天間飛行場の移転を前提として、海兵隊のグアム移転、嘉手納基地以南の広大な土地や施設の沖縄への返還が行われることになっています。普天間の移設が進まなければ、基地周辺地域の危険が減少しないばかりでなく、沖縄の発展に活用が期待されている土地や施設の返還も遅れることになります。
 覆水盆に返らずという故事のとおり、もはや民主党政権の力では、沖縄の信頼もアメリカの信頼も回復するのは困難です。鳩山元総理のあの一言で普天間基地問題が迷走し、沖縄に大きな混乱を引き起こし、国際的な信用を失うとともに、地域への安全保障上の問題が生じていることを考えますと、鳩山元総理の発言は万死に値するものであり、責任は極めて重いものであります。
 今日までの迷走と混乱を引き起こした民主党の党の代表として、総理は責任をどのように取るおつもりなのか、伺います。
 続いて、北朝鮮関係について伺います。
 先日、中井元拉致問題担当大臣が中国の瀋陽で北朝鮮の宋日昊日朝交渉担当大使と四回目の接触を持ったと報じられました。政府の職員が公務の出張として同行していたということです。野田総理は、今回の訪朝を事前了解していたとも書かれていました。
 まず、この報道が事実であるのか、総理にお伺いいたします。
 もし、議員個人としての活動であったとすれば、政府として中井元大臣の行動に対し厳しく対処すべきであります。
 拉致された方々全員の早期の帰国は国民誰もが望むことでありますが、北朝鮮は、平成二十年八月に拉致問題に関する調査のやり直しを約束しながら、調査開始を棚上げにしたままであります。もろもろの周辺情報からも、中井元大臣による交渉は総理の承認の上で進められたことと思いますが、一体どのような指示を与えているのか、総理にお尋ねいたします。
 一方で、金正日総書記が死去したことは、拉致問題については一つの転機になり得るとの見方もあります。この機会をとらえて拉致問題の解決に向けてどのように取り組んでいくのか、政府の方針を伺います。また、六者会合の枠組みとの関係では今後どのように交渉を再開させる考えなのか、重ねて伺います。
 また、北朝鮮に関連して朝鮮学校の問題についても伺います。
 昨年行われた朝鮮総連の幹部会議で、神奈川朝鮮中高級学校の校長が朝鮮学校を代表して、金正恩朝鮮人民軍最高司令官への忠誠と愛国教育の推進を誓ったという報道があります。これが事実であれば、朝鮮学校に対し、補助金や高校授業料の無償化の適用という形で公金を支出することは行うべきではありません。既に東京都は、朝鮮学校への補助金を来年度予算に計上しないことを決めました。ほかにも凍結や削減を行っている自治体もあります。
 朝鮮学校に対して補助金や高校無償化というような支援を行うべきではないと考えますが、野田総理のお考えを伺います。
 次に、他の近隣諸国との関係について伺います。
 まず、日中関係については、尖閣諸島沖の漁船衝突事件以降も、最近では、五島列島沖や小笠原諸島沖での中国漁船による領海侵犯事件が発生しています。中国の国内市場の拡大とともに、今後、更に中国漁船の活動は活発になると考えられます。
 こうした事態に対応して、我々自民党は、中国漁船の不法操業に対する監視を強化するための議員立法を提出することを検討しています。政府においても、領土、領海を守る対策を強化すべきと考えますが、どのような対策を取ろうとしているのか、総理に伺います。
 日韓関係では、特に、野田総理の弱腰外交が目立ちます。ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像については、総理は李明博大統領に撤去を求めたとのことですが、同大統領から、日本が何もしなければ第二、第三の像が建つなどと発言があったようであります。
 韓国は、竹島での海洋基地建設など、不法占拠を強化しようとしています。このような国家の主権にかかわる重要な問題に対しては、野田総理は強く抗議し、毅然とした対応を取るべきであります。
 韓国が日本にとって、隣国であり、最も重要な国の一つであることは言うまでもありませんが、両国の間には様々な問題があることも事実です。そうした中でも、主張すべきは主張し、お互いに理解を深めていくことこそが重要であり、そこから真の友好関係が築けるのだと思いますが、総理の見解を伺います。
 続いて、日ロ関係について伺います。
 最大の懸案である北方領土問題は、現在は膠着状態ですが、三月の選挙でプーチン首相が再び大統領となった場合には、状況に変化が生じる可能性もあります。また、今年のAPECはロシアのウラジオストクで開催されることとなっており、極東の国際関係に注目が集まります。
 ロシアが新しい体制となった場合、対日政策にどのような変化があると認識し、また、北方領土問題の解決のためにどのような対ロシア政策を取っていくのか、総理の見解を伺いたいと思います。
 次に、八ツ場ダム問題について伺います。
 民主党は、八ツ場ダムの建設再開を決めました。過去の経緯も現場の状況も全く理解しないままに、いきなり中止を言い出し、これまで積み上げてきたプロセスを踏みにじって、地元や関係者をさんざん混乱させ、苦しめた挙げ句、元の案に戻るという構図は普天間問題と全く同じです。
 八ツ場ダムを始め多くのダムは、地元のためだけにあるのではありません。都市部へ水や電力を供給するため、また、流域の洪水を防ぐために地元の犠牲の上に造られているのです。こうした理解や協力の上に都市部の快適な生活があることを忘れてはならないと思います。
 地元の方々がどのような気持ちで先祖伝来の土地や家を手放し、ダム建設を受け入れてきたのかを考えれば、中途半端に途中まで造っておいて突然中止するなどという勝手なことができるはずはありません。当時の鳩山内閣の友愛や命を守りたいなどのスローガンが非常に白々しく聞こえます。そもそも、コンクリートから人へというスローガンの下、五十数年にわたる複雑な経緯も考慮せず、八ツ場ダムを中止としたマニフェスト自体が間違いであります。
 建設継続は当然のことであり、二年三か月余りにも及ぶ地域の混乱と住民の不安、苦痛に対し、総理も責任者として謝罪すべきであると考えます。また、この遅れを取り戻すために一日も早い完成に向けて事業の促進をすべきでありますが、内閣の責任者としての総理の責任ある答弁を願います。
 本年は、サンフランシスコ講和条約が発効して六十年となる年です。自民党は、主権を回復した四月二十八日に新たな憲法改正草案を発表する予定です。
 我々自民党は、真の保守政党として、我が国の歴史と文化、伝統など、大切にすべきものは大切にし、改革すべきものは大胆に改革し、憲法の改正等、新しい時代の日本の国づくりの基本を国民に示してまいります。同時に、皇室の今後のありようや国会の在り方など、国家の根幹の問題にも全力で取り組んでまいります。
 今年は、世界のパラダイムも大きく変わると予想され、先行きの不透明な年ですが、我が国はこれまでにも幾多の困難を乗り越え、世界の発展に大きな貢献をしてきました。今後も、私たち日本人は、自信と責任感を持って新しい世界の平和と発展のために貢献していかなくてはなりません。
 そして、厳しい時代を切り開いていくためには、日本人としてのアイデンティティーを持った、たくましく、自立した真の国際人を育成していく必要があります。人づくりこそ国家の最重要課題でもあります。同時に、科学技術を一層振興し、かつてのように元気で希望に満ちた活力ある日本の復活を目指していかなくてはなりません。
 我々参議院自民党は、この日本の難局を国民とともに乗り越えるために力を尽くすことを表明し、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#9
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党、中曽根議員から御質問をいただきました。順次お答えをしてまいりたいと思います。
 まず最初に、党大会における私の発言に関するお尋ねがございました。
 党大会における党代表としての発言については、民主党の原点に立ち返ろうという議員、党員に対するものであり、全体の流れを聞いていただければお分かりのとおり、特定の法案や政策を念頭に置いたものではなくて、自ら身を切る覚悟、国民生活が第一の覚悟を改めて民主党員に求めたものであります。
 また、参議院に法案を送るということについては、昨年、多くの議員立法が参議院に提出され、多数決によって可決し、衆議院に送られ、衆議院において議席数が過半数に満たなくとも、政党会派間でのその法案の意義、必要性を議論する中で、最終的には成立が合意され、制定された法案が多いという事実を念頭に置いたものでございます。
 すなわち、野党も与党も議会における議席数のみで先入観を持つことなく、積極的に議員立法等を議会に提案し、政策議論、政策協議において内容の優劣を競い合うことを提唱したものであり、決して恫喝ではなく、昨年一年のねじれ国会と言える下での政策協議の成果をもう一度かみしめて総括をし、与党としての責任を果たしていくことを促したものでございます。
 私の発言は、参議院の審議権を否定するものでは全くなく、また、衆議院の審議権をないがしろにするものでもありません。趣旨が必ずしも御理解いただけなかったこととするならば、不徳の致すところでございますが、現状のねじれ国会においては、与野党がお互いに歩み寄り、物事を決めていく国会とするため、衆参両院の機能の活性化と二院制の意義を高めるための発言として御理解をお願いをしたいというふうに思います。
 続いて、内外の情勢に対する基本方針についてのお尋ねがございました。
 昨年の東日本大震災と原発事故は、我が国に未曽有の国難をもたらしました。国際的な経済金融危機による円高や資源高、欧州における金融危機も困難を積み重ねております。中曽根議員御指摘のとおり、政治が国民のためにある証左を示すべき正念場と認識をしております。
 同時に、昨年末には北朝鮮で指導者が替わり、御指摘のとおり、本年は世界の主要国で選挙や指導者の交代が行われます。アラブの春という中東における新しい動きもしかりでございます。核拡散の危険性からも注意を怠ることはできません。
 このような中、野田政権がやらなければならないことは、まずは大震災からの復旧・復興、原発事故との戦い、日本経済の再生であり、社会保障と税の一体改革を成し遂げ、政治の責任を明確に示すことと確信をしております。
 また、外交においては、施政方針の繰り返しになるため要点のみ申し上げますが、アジア太平洋地域の安定と繁栄を実現をするため、日米同盟を基軸としつつ、幅広い国や地域が参加する枠組みも活用しながら、この地域の秩序とルール作りに主体的な役割を果たしていくことが我が国の外交の基本であると申し上げます。
 続いて、閣僚の任命責任についてのお尋ねがございました。
 閣僚の任命に当たっては、政治家としての経験と蓄積、政策能力などを勘案し、それぞれ適格であるとの判断に基づき任命をしてまいりました。御質問の両閣僚についても、それぞれ職務に邁進し、職責を果たしていただきたいものと考えております。しかしながら、中曽根議員の御意見についてはしっかりと胸に刻み、今後とも総理としての責任を果たしてまいりたいと考えております。
 続いて、政府経済見通しと民間機関等の経済見通しの違いについての御質問をいただきました。
 復興需要の発現等により来年度景気が緩やかに回復していくという経済の基本的な見方については、日銀やIMF、民間機関の平均的な見方と大きな相違はないと考えております。
 欧州政府債務危機の影響等による海外景気の更なる下振れ、円高の進行やそれに伴う国内空洞化の加速、電力供給制約等の景気下振れリスクには、引き続き十分注意をしてまいりたいと考えております。
 日本経済の活力についての御質問をいただきました。
 日本経済を再生させ、その活力を高めていくことは、被災地の復興のために、また、将来に繁栄を引き継いでいくために不可欠であり、全力で取り組んでまいります。特に、中小企業を始めとする企業の競争力と雇用の創出を両立させるとともに、農業、エネルギー・環境、医療・介護といった分野でのイノベーションを推進し、新産業の芽を育てていくための環境を整備してまいります。
 日本再生のための数多くのプロジェクトを盛り込んだ平成二十四年度予算は、経済再生の次なる一歩でございます。また、歴史的な円高と長引くデフレを克服するため、金融政策を行う日本銀行との一層の連携強化を図り、切れ目ない経済財政運営を行ってまいります。
 また、力強い経済成長を実現をするには、様々な主体による挑戦を促す明快なビジョンを描かなければなりません。このため、国家戦略会議において、新成長戦略の実行を加速するとともに、年末に取りまとめた日本再生の基本戦略に基づき、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行をいたします。
 円高・デフレ対策に関する御質問をいただきました。
 政府としては、歴史的な円高と長引くデフレを克服するため、金融政策を行う日本銀行との一層の連携強化を図り、切れ目ない経済財政運営を行ってまいります。具体的には、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行するなど、日本経済の再生に全力で取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげてまいります。また、二十四年度予算にも日本再生のためのプロジェクトを数多く盛り込んでおり、その早期成立を図ります。
 なお、金融政策については、先ほども申し上げたとおり、日本銀行に対して、政府との更なる緊密な情報交換、連携の下、デフレ脱却に向け、適切かつ果断な政策運営を期待をしております。
 次に、除染や汚染廃棄物の予算に関する御質問をいただきました。
 三次補正予算においては、今年度の除染及び汚染廃棄物処理事業に必要な事業費として二千四百五十九億円を確保したところでございます。政府としては、復旧・復興予備費を合わせ、今年度の予算としては総額約四千六百四十億円を確保したところであります。これにより、今年度事業には十分な額を確保したところであり、四次補正には盛り込まなかったところであります。
 なお、平成二十四年度予算については、除染等のために四千五百十三億円の事業を盛り込んだところでありますが、今後の事業の進捗に応じて、必要な予算の措置をしっかりと講じてまいります。
 平成二十四年度予算での高速道路無料化等の取扱い及び子どものための手当についての御質問をいただきました。
 高速道路の原則無料化については、歳出見直しに関する三党間の協議の結果、平成二十四年度政府予算案に計上しておりません。
 高校無償化制度については、政府としては、現時点において一定の効果が見られると考えており、現行制度を実施するための予算案を計上をしているところでございます。
 戸別所得補償制度については、三党実務者による協議の結果を二十四年度予算に反映させることが時期的に難しくなったことから、昨年八月九日の三党合意に基づく協議としては一旦打ち切ることになったものと承知をしております。このため、二十四年度の戸別所得補償制度については、基本的に二十三年度と同じ仕組みで行うこととしたものであります。
 二十四年度以降の子どものための現金給付については、昨年八月に三党で合意して以降、与野党間での議論が進展しなかったと承知をしております。このため、予算編成や法案の提出までの時間が限られる中で、三党合意に即して児童手当法を改正する法案を本日閣議決定をいたしました。今後、与野党で速やかに協議を開始し、法案の成立に向け、御協力をお願いをいたします。
 二十四年度予算における年金交付国債による対応に関する御質問をいただきました。
 今回の年金交付国債による対応は、年金財政の安定の観点から、二十四年度基礎年金給付費の二分の一と三六・五%の差額を国庫の負担としつつ、年金財政への国庫金の繰入れは消費税引上げ後に消費税収を充てて行うことを明確にするためのものであり、借金の飛ばし行為との御批判は当たらないものと考えております。
 消費増税を既成事実化する意図が隠されているとの御指摘については、基礎年金国庫負担二分の一の財源を消費税を含む税制抜本改革に求めることは自公政権から引き継いだ年金法本来の考え方にかなうものであり、年金財政の安定確保のためにも御党の御協力をお願いをしたいと考えております。
 国民への説明責任についての御質問をいただきました。
 まず、現在の政権期間中において消費税率の引上げは行いません。したがって、公約違反ではありません。また、行政改革、政治改革など身を切る改革も併せて包括的に実施をしてまいります。
 昨年の夏、民主党においてマニフェストの中間検証を実施をいたしました。実現したものもある一方で、実現に至っていないものがあることを率直に認め、国民の皆様に反省とおわびを申し上げたと承知をしています。
 マニフェストに記載をしていない政策については、政府として、リーマン・ショック後の緊急景気・経済対策の実施と新成長戦略の展開、地方交付税の増額、三十五人学級や学校耐震化の推進など、政権交代後の状況の変化に基づき、様々な事業を行ってまいりました。大震災からの復旧・復興、原発事故との戦い、さらに、日本経済の再生にも取り組んでまいりました。
 私の選挙中の発言において行き過ぎや言葉足らずの点があったとするならば、素直に反省し、国民の皆様におわびもいたしますが、政府の政策は、状況の変化の中で、国民の皆様の声をお伺いをしながら、優先順位を適切に判断していくことも必要と考えております。
 とりわけ、社会保障・税一体改革も、前政権から引き継ぎ、避けては通れない、先送りすることのできない与野党共通の課題として実現を目指しております。そして、消費税率引上げの最終判断は具体的に税率引上げを実施する半年前に行うことを想定をしており、現在の衆議院議員の任期中に民意を問い、新しい政権が引上げの最終判断を行うことになります。
 いずれにしましても、国民の皆様の御理解と御協力をいただけるよう、私を始め内閣が一丸となって、今回の一体改革の意義や具体的な内容を分かりやすくお伝えをしていく努力を尽くしてまいります。
 次に、国民に信を問うべきとの御質問をいただきました。
 まず、現在の政権任期中において消費税率の引上げは行いません。これは先ほど言ったとおりであって、したがってマニフェストには違反をしていません。また、行政改革、政治改革など、身を切る改革をも併せて包括的に実施していくことは、政府・与党一致した合意でございます。私の内閣においては、大震災の復興、原発事故への対応、日本経済の再生、そして行政改革と政治改革の断行、この一体改革をやり抜いてまいります。御指摘のあった社会保障・税一体改革は、前政権から引き継ぎ、避けては通れない、先送りすることのできない与野党共通の課題として実現を目指しております。
 民意の裏付けというお話でございますが、民主党は、さきの総選挙で、現在の衆議院の任期において政権の負託を受けていると認識をしております。
 政策判断の是非については、次の選挙において国民に御判断いただくべきものであり、やり抜くべきことをやり抜いた上で御判断を仰ぎたいと考えております。
 社会保障改革の全体像、将来的な国民負担についての御質問をいただきました。
 社会保障・税一体改革素案では、子ども・子育て、医療・介護、年金など、社会保障制度全般にわたる改革の全体像を示しております。この中では、新しい年金制度についても基本的な考え方を示し、国民的合意に向けた議論や環境整備を進めた上で、平成二十五年に法案を提出することとしています。また、社会保障に要する費用については、昨年六月に、一体改革素案の改革についても一定のものを盛り込んだ費用の推計を参考にお示しをしております。
 まずは、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成への第一歩である一体改革の実現に向けて、国民の御理解を得られるよう、分かりやすく丁寧に情報発信をしてまいります。
 補正予算の執行状況について御質問をいただきました。
 日々執行される補正予算の執行額の総額の集計には一定の時間を要することや、補正予算で措置した事業は、基金事業のように、国庫からはすぐに支出がなされるものの、実際に基金から必要な資金が支出されて初めて事業の効果が発現するものなど様々であり、国庫から支出済みの金額では執行状況の実態を必ずしも把握したとは言えないことから、むしろ主要な事業ごとに事業の実質的な進捗状況の把握に努めているところであり、具体的に申し上げれば、例えば被災者生活再建支援金補助金については、一月十日現在で、約二十一万一千件の申請のうち、約二十万九千件の千九百二億円について振り込み手続を終了をいたしました。応急仮設住宅の建設については、同じく一月十日現在で、約五万二千戸完成し、このうち約四万八千戸に被災者の方が入居をされております。瓦れき処理については、一月十一日現在で、五十四市町村に対し、三千二百二十二億円を執行済みでございます。などの進捗状況になっているものと承知をしております。
 いずれにせよ、被災地の一日も早い復興を目指し、復興予算を円滑、迅速に執行をしてまいります。
 震災関連の組織の会議の議事録についての御質問をいただきました。
 政府としては、原子力災害対策本部や緊急災害対策本部などの議事内容や決定事項は、基本的には記者会見や報道発表を通じて情報を発信してきたところでありますが、今般の緊急事態に各本部の議事内容の一部又は全部が文書で随時記録されていなかったことは事実であり、誠に遺憾であります。
 公文書管理法では、事後も含めて、行政組織の意思決定の過程や実績について文書作成が求められているところであります。加えて、東日本大震災に対応するため設置された会議における意思決定の過程や実績が把握できる文書の作成は、国民に説明する責任を果たすためにも極めて重要であります。
 このため、本日朝の閣僚懇において、岡田副総理から関係閣僚に対して、議事内容の記録の一部又は全部が作成されていない会議については、議事内容の記録作成を可能な限り迅速に行うよう指示を行うとともに、各府省において公文書管理法に基づく公文書管理の徹底を図るよう指示をしたところでございます。
 続いて、原発事故収束のステップ2完了宣言に関する御質問をいただきました。
 東京電力福島第一原発それ自体については、専門家による緻密な検証作業を経て、原子炉が冷温停止状態に達したことを確認したことから、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断し、ステップ2が完了したことを宣言をいたしました。このステップ2の完了宣言については、IAEAなど海外の原子力機関から歓迎する旨の声明がなされているものと承知をしています。
 このように、発電所の中の事故そのものについては一つの区切りが付き、周辺住民の方々に再び避難をお願いをせざるを得なくなることはなくなったという意味において、発電所の事故そのものは収束に至った旨を申し上げましたが、このような区切りが付いたことを踏まえ、警戒区域の解除や避難指示区域の見直しを検討する段階に移ってきているところであり、できるだけ早期に避難者が帰郷できる環境を整えてまいりたいと思います。
 他方、言うまでもなく、周辺地域の除染を始め、原発事故との戦いは決して終わってはいません。発電所の安全維持に万全を期しながら、廃炉に至る最後の最後まで全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、除染と瓦れき処理に関する御質問をいただきました。
 除染については、本年一月一日に全面施行となった放射性物質汚染対処特措法に基づき、国が責任を持って迅速かつ着実に除染を進めてまいります。
 具体的には、現在の警戒区域及び計画的避難区域に相当する地域は国が、その他の地域のうち、放射線量が年間一ミリシーベルト以上の地域は市町村が中心に除染を行います。そのうち、国が直轄で除染を実施する地域については、年度末を目途として除染の実施計画を策定して、本格的な除染を実施してまいります。また、市町村を中心に除染をしていただく地域についても、迅速に進められるよう国として必要な財政的、技術的措置に万全を期します。
 除染費用に関しては、復旧・復興予備費、第三次補正予算により、既に四千六百四十億円を確保しています。これらに平成二十四年度予算要求等を合わせ、当面の費用として総額一兆一千億円超の財政措置を計上をしています。
 除染に伴って生じる土壌等の処分のための施設は、円滑かつ迅速な除染の実施に不可欠でございます。国としては、市町村とともに、仮置場等の確保に取り組みます。
 また、中間貯蔵施設については、平成二十七年度より供用を開始できるよう、関係市町村及び地域住民の理解と協力を求めつつ、しっかりと取り組んでまいります。
 また、災害廃棄物の処理については、現在までに約七割の災害廃棄物の仮置場への移動を完了しています。今後は、平成二十六年三月までを目途に処分を完了するよう、広域処理の推進など、国としても積極的に役割を果たしてまいります。
 自主的避難に関する原子力損害賠償についての御質問をいただきました。
 原子力損害賠償紛争審査会においては、法律家などの有識者が集まり、様々な要素を勘案、議論して、原子力事故との相当因果関係が住民に一律に認められる対象区域と損害額を指針で定めたものであります。
 また、指針は迅速な賠償のための目安を示すものであり、指針で示された金額を超えて支出された実費や、指針に明示されていない区域の住民についても、個別具体的な事情に応じて、事故との相当因果関係が認められれば賠償の対象となり得ることが指針にも明記をされています。
 政府としては、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介などの枠組みを活用しながら、被害者の方々に対し、迅速、公正、適正な賠償が実現するための取組を全力で進めてまいります。
 福島県民の健康管理に関する御質問もございました。
 福島県では、県民の皆様の健康を中長期的に管理するため、県が主体となって、全県民を対象とした健康診査や、十八歳以下の子供を対象とした甲状腺超音波検査を継続して行うことなどを内容とする県民健康管理調査を実施をしています。
 政府としては、平成二十三年度二次補正予算において、住民の皆様の健康を確保するために必要な事業を中長期的に実施できるように、福島県の基金造成に対して七百二十二億円の予算を措置することで、こうした福島県の取組を全面的に支援をしています。
 今後とも、福島県の住民の方々の健康管理に万全を期してまいります。
 普天間飛行場の移設問題についての御質問をいただきました。
 普天間飛行場の移設問題については、政権交代以来、何とか県外移設ができないかという考えの下、様々な案を検証しましたが、結果的に現在の日米合意に至りました。
 民主党政権としては、この過程で沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けしたことについて深くおわびしなければならないと認識をしております。
 沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしていますが、現在の日米合意は、全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながるものと考えております。政府としては、引き続き、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け、誠実に説明し、理解を求めながら、沖縄の負担軽減を図るために全力で取り組むことによって責任を果たしてまいりたいと思います。
 中井元大臣の中国における活動についての御質問をいただきました。
 中井元大臣の中国における活動は、一議員としての活動と承知をしており、私は事前に知っていたという事実もなく、政府として申し上げることはございません。
 なお、御指摘の政府職員の出張については、業務の性質上、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
 次に、金正日国防委員長の死去を受けた拉致問題及び六者会合への取組に関する御質問をいただきました。
 金正日国防委員長の死去という事態に対して関係国が緊密に連携しながら対応し、拉致問題はもちろん、核、ミサイルも含めた諸懸案の包括的な解決につなげていく必要があります。拉致問題は、我が国の主権にかかわる重大な問題であり、基本的人権の侵害という普遍的な問題であります。被害者全員の一刻も早い帰国を実現をするため、政府一丸となって取り組みます。
 六者会合については、北朝鮮は非核化を始めとする六者会合共同声明におけるコミットメントを真剣に履行する意思を具体的な行動によって示す必要があります。引き続き、米国や韓国を始めとする関係国と緊密に連携しながら、北朝鮮の前向きな対応を求めていく考えでございます。
 朝鮮学校への高校無償化適用等についての御質問をいただきました。
 朝鮮学校を高校無償化の対象として指定するかどうかについては、文部科学省において審査基準に照らして厳正に審査を行うべきものと考えております。
 なお、朝鮮学校に対し、地方自治体が独自に交付する補助金については、各地方自治体の判断でございます。
 領土、領海を守る対策についての御質問をいただきました。
 政府では、近年の国際情勢の変化の中で領土、領海を守る対策を強化することが大変重要であると考えており、平素から関係機関による情報収集に努めるとともに、その時々の情勢に応じ、海上保安庁の哨戒体制を強化するなど、我が国周辺海域における監視警戒を厳正かつ的確に実施しております。
 また、海上保安庁の装備や要員の充実強化を図るほか、遠方離島上で発生した犯罪に海上保安官が対処できる仕組みを導入するなど、我が国の領土、領海において迅速かつ円滑な法執行を図るための法案を今国会に提出することとしております。
 今後とも、我が国の大切な領土、領海を守るため、必要な施策を推進をしてまいります。
 我が国の対韓国外交についての御質問をいただきました。
 日韓両国は基本的価値、東アジア地域の平和と繁栄の確保等の利益を共有しており、日韓関係を前進することが日韓双方にとり、極めて重要であります。
 日韓関係には時折難しい問題が起きることもありますが、日韓両国が未来志向の考えの下、日韓関係全体に悪影響を及ぼすことがないよう、大局的な見地から協力をしていくことが必要であると考えます。
 昨年十二月十八日に行った日韓首脳会談においても、李明博大統領との間で、日韓間には困難な問題があるが、首脳レベルでのシャトル外交を頻繁に行っていくことで一致しております。
 今後とも、緊密な意見交換を行い、懸案の解決を図りつつ、関係を強化していく考えであります。
 ロシア新政権の下での対ロ政策についてのお尋ねがございました。
 ロシアとの間では、アジア太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築していくために、政治、経済、国際舞台における協力等を含め、あらゆる分野で協力を深めていく考えであります。そうした関係を進めていく中で、日ロ間の最大の懸案である北方領土問題を解決するべく粘り強く取り組んでまいります。
 本年三月の大統領選挙後のロシアがどのような対日政策を取るかについては予断できませんが、我が国としては、ロシアの新政権誕生後も、今申し上げたこの基本方針に従って日ロ関係を進めていく考えでございます。
 最後に、八ツ場ダムについての御質問をいただきました。
 八ツ場ダムについては、政権交代以降、四代にわたる国土交通大臣の下で予断を持たずに検証を行ってまいりました。国土交通大臣がその結果に沿って事業継続との判断を行ったものであり、今後、官房長官裁定を踏まえ、国土交通大臣が適切に対処するものと考えております。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(平田健二君) 輿石東君。
   〔輿石東君登壇、拍手〕
#11
○輿石東君 民主党・新緑風会の輿石東です。
 会派を代表し、野田総理大臣の施政方針演説始め政府四演説に対し、質問をいたします。
 昨年は、日本にとって戦後最大の試練の年でした。東日本大震災と福島第一原発のメルトダウン。復旧と復興は緒に就いたばかりで、現地では、大勢の皆さんが今なお生活や仕事の再建に大変な御苦労をされております。
 今、被災地は厳しい寒さの真っただ中にあります。
 三月十一日から十か月余り、総理の言われる、今年はまさに日本の正念場の年であります。試練を乗り越えた先にある希望と誇りのある日本の光を目指して、私たちも必死に努力しなければなりません。
 東日本大震災からの復旧・復興のみならず、我が国をめぐる内外の情勢は、経済、財政、外交と、実に厳しいものがあります。与党であると野党であるとを問わず、私たち一人一人が覚悟を持って具体の行動を国民に示すときでもあります。
 総理は、大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、日本経済の再生という内閣の当初からの目標に加えて、行政改革、政治改革、さらに社会保障と税の一体改革を成し遂げようと内閣改造に取り組まれました。一層強力な布陣によって、一致協力して難題に立ち向かっていただけるものと固く信じております。
 私は、この国難の時期に政権を預かる与党の執行部の一人として身の引き締まる思いであります。差し迫った課題や中長期的な課題について、野田総理のお考えを伺いたいと思います。
 まず、東日本大震災からの復旧・復興について伺います。
 これまで三次にわたる補正予算が成立し、野党の皆さんとの協議を重ねる中で、復興庁設置法を始め復興財源確保法、復興特区法が成立いたしました。
 しかし、被災者からは、明日からの生活がどう変わるのか、どうすれば一歩前に進むことができるのか具体的に想像できないという声が聞かれ、被災した自治体においても、国からの方針が示されなければ動きようがない案件が山積しております。
 総理、これまで国が講じてきた措置により、被災者の暮らしが、被災地の町並みが、産業が、いつどのようにして新しく生まれ変わるのか、お示しいただきたいと思います。
 次に、総理はこれまで、福島の再生なくして日本の再生はないと、切実なる思いを込めて語ってこられました。その原発事故の収束について伺ってまいります。
 昨年十二月十六日、総理は、原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至ったとの判断から、ステップ2の完了を宣言されました。これに対し、福島県の皆様を始め多くの方から厳しい意見が示されました。総理は同じ会見の中で原発事故との戦いが全て終わったわけではないと言われましたが、事故の収束という言葉に不快感を持たれた方がおられる以上、更に説明を尽くさねばならないと考えます。この際、なぜあの時期に事故の収束という言葉を使ってステップ2の完了を宣言されたのか、総理の気持ちを総理御自身の言葉で聞かせていただくとともに、事故収束に向けた今後の道筋についても御説明いただきたいと思います。
 原発事故により遠く離れた町で暮らす方々が、懐かしいふるさとに、住み慣れた我が家に一日でも早く帰れるように、除染を始めとする諸課題について、いつまでにどのように解決されるおつもりなのか、お答えをいただきます。
 事故により発生した損害に対する補償、健康被害への対策、食品の安全確保、さらに原発利用の在り方を含めた将来のエネルギー政策についても、今までに決まっていること、現在検討中のもの、これから対応を考えなければならないことを整理してお示しいただきたいと思います。
 次に、内政の諸問題について伺います。
 我が国の経済は大震災の発生により大きく落ち込み、国民生活にも大きな影響を与えました。その後、生産や消費が持ち直しつつあること、また、復興事業の経済効果が現れてきたこともあり、改善の動きが見られております。その一方で、雇用情勢には依然厳しいものがあるほか、昨年の夏以来の歴史的な円高によって輸出は鈍化傾向にあるなど、今後の見通しは楽観を許さないものがあります。
 中国経済にもひところの勢いはなく、米国経済の回復のペースも鈍化しつつあります。何よりも、欧州で続く経済の危機的状況は、世界経済全体の足を引っ張りかねない状況を呈してきました。ユーロは、東京市場でも年明け早々に一ユーロ百円を割り込むなど、下落を続けており、円高の進行には歯止めが掛からない状況であります。
 二十三年度の税収見込みは予想を上回る状況にありますが、今後の経済情勢によっては予断を許しません。国内経済と海外経済が一体化しつつある状況を踏まえ、我が国経済が置かれている現状をどのように認識しておられるのか、また、将来に対してどのような見通しを持っているのか、伺います。
 明日は我が身といいます。日本の財政も借金残高は国と地方を合わせて一千兆円に達する勢い、一般会計予算も借金が税収を上回るなど、危機的な状況であります。
 こうした中で、政府・与党は、今月六日、社会保障と税の一体改革の素案を決定しました。この中では、国家公務員給与の削減や国会議員定数の削減等、国の側でのいわゆる身を切る改革と同時に、消費税を二〇一四年四月に八%へ、さらに二〇一五年十月に一〇%へと段階を踏んで引き上げさせていただく方針を打ち出しております。
 言うまでもなく、これは大きな改革であります。そして、国民の政権に対する信頼がなければとてもできない改革であります。まずは、私たちが目指す社会保障制度をきちんと御理解いただく必要があります。その上で、税制との一体改革の必要性を説明することが求められております。国民の疑問に一つ一つ丁寧に答えなければ、とてもなし得る改革ではありません。
 少子高齢社会における社会保障制度の全体像、その実現に向けた改革の道筋について、いつまでに何をどのように変えていくのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
 素案では、消費税の引上げで広く国民に負担を求める一方で、低所得者層に対しては減税と現金給付を組み合わせた措置を導入するほか、年金の上積みや健康保険料の軽減を図り、また、パート社員には厚生年金制度が広く適用されるようになるなど、税制や社会保障制度を改めて見直すことによって、低所得者層や現役世代にも十分配慮した内容になっていると思います。こうしたバランスを取ることがまさに一体改革の意味であると考えますが、本素案に盛り込まれた将来を見据えた基本的な理念と手段について改めて見解を伺います。
 増税による福祉の充実によって将来への不安をなくすことは、長い目で見れば経済の活性化につながります。しかし、景気が悪いときに増税を行えば、一時的にせよ経済が落ち込むおそれもあり、時として柔軟な対応が必要となります。
 したがって、素案における消費税引上げのもう一つの前提は、それが日本の景気の悪化を引き起こさないということであります。そもそも、消費税の引上げは、財政を改善し、日本経済を安定させるために行うものであり、それによってもっと景気が悪くなるのでは何の意味もありません。しかし、欧州債務危機の影響で日本経済も予断を許さない状況が続くおそれもあります。
 経済がいつどういう状態であれば消費税の引上げに踏み切ることにするのか、総理の考えを確認しておきたいと思います。
 平成二十四年度予算は、一般会計の総額で約九十兆三千億円の規模となり、六年ぶりに前年度予算を下回りましたが、厳しい財政状況の中で内容に工夫の見られる実質本位の予算であると思います。
 特に、日本再生重点化措置は、歳出削減の努力を進めることにより、当初の七千億円規模から一兆円規模に拡大された結果、総理のリーダーシップの下、府省の枠を超えて、成長の見込める新分野や国民にとって優先度の高い分野に予算を重点配分した画期的なものであると考えます。
 その一方で、基礎年金の国庫負担分約二兆六千億は一般会計から切り離され、交付国債で手当てするという措置がとられております。社会保障費の確保と厳しい財政事情とを勘案したやむを得ざる措置であるとは思いますが、国民にとって分かりにくいものとなっていることは否めません。
 財務大臣も経験された総理でありますので、熟慮を重ねた予算編成であるとは思いますが、総理として初めて作られた今回の予算において何を目指そうとしたのか、そのためにはいかなる手段を取ったのか、総理の分かりやすい説明をお伺いいたします。
 国際的に見ても、財政の役割やあるべき姿がこれほど議論された時代はこれまでなかったと思います。主要国を含む世界の多くの国々では財政状況は危機的な状況にあり、各国ともその再建に苦慮しております。もちろん、我が国もその例外ではありません。この際、改めて国民の生活が第一という民主党の原点に立ち返り、財政の役割について考え直してみることが必要であると考えます。
 平成二十四年度の予算編成においては、中期財政フレームに沿って歳出の大枠と新規国債発行額に上限を設定することによって財政規律が守られたものと承知しております。しかしながら、国と地方の長期債務残高が一千兆円に近づき、GDPの約二倍に達するという状況を改善していくための道筋はまだまだ険しいものがあると言わざるを得ません。各国の国債の信用が動揺する中、日本の国債価格や金利は安定的な水準で推移しております。こうした日本国債に対するマーケットからの信用が確保されているときこそ、財政再建についての議論が必要なのではないでしょうか。
 この厳しい財政環境の中で、改めて財政の役割とその再建への道筋について見解を伺います。
 今回の社会保障と税の一体改革について、マニフェスト違反だとの指摘もあります。しかし、この素案では、消費税増税と同時に、私たちがマニフェストでお約束した国会議員定数の削減と公務員人件費の削減を必ず実現することにしており、一体改革の実現はまさにマニフェストの実現以外の何物でもありません。
 また、消費増税について、確かに私たちは、現在の衆議院の四年間の任期中は消費税を上げないと述べてきました。しかし、未来永劫消費税の引上げは必要ないと言ったことは一度もありません。それどころか、四年間マニフェストの実現に全力を尽くした上で、それでも収入が足りなければ消費税の引上げを国民の皆さんに諮らせていただくとずっと述べてまいりました。
 実際、素案によれば、引上げの閣議決定までには必ず衆議院議員の任期が切れ、総選挙が行われているはずであります。したがって、国民の皆さんの同意なしに消費税の増税が実施されることはないのであり、これはまさに私たちが訴えてきたことそのものであります。
 歴史的な政権交代から二年半、国民の生活が第一を掲げ、政治と行政の抜本的な改革を掲げて船出した民主党政権の歩みは平たんではありませんでした。
 これに加えて、去年の震災と原発事故は我が国に未曽有の国難をもたらし、マニフェストを予定どおり行うことはますます難しい事態となりました。
 しかし、私たちはまだ諦めておりません。与えられた任期はまだ一年半もあります。確かに、財政の健全化において消費増税は避けて通れない課題ですが、だからといって、マニフェストを撤回し、消費増税だけを行うというわけにはいきません。というのも、増税の前に身を削れというのが今なお国民の大多数の声だからであります。これは元々、私たちがマニフェストを作ったときの根本的な考え方でもあり、私たちはもっと頑張れと叱咤激励されているのであります。
 どうせできないのならギブアップしろという声が聞こえますけれども、とんでもない責任放棄であります。一体改革の成功は、まさに原点であるマニフェストに戻る最後のチャンスなのであります。まさにネバーギブアップの精神が必要ですが、決意を伺いたいと思います。
 次に、外交・安全保障問題についてお尋ねします。
 今年は主要国の大統領選挙が、三月にロシア、四月にフランス、十一月に米国、十二月に韓国と続き、秋には中国の新指導部の選出が予定されております。
 東アジアでは、中国の軍事力増強、海洋進出や、北朝鮮の核開発、ミサイル問題など緊張が続く中、昨年末には北朝鮮の金正日総書記が死去し、新体制への移行をめぐり不透明感が強まっております。
 野田総理は、こうした歴史的転換の年になるかもしれない今年の年頭に当たって、危機管理を含め、緊張感を持って外交のかじ取りに努めるとの考えを示されましたが、国際情勢の認識と外交・安全保障問題に取り組む基本姿勢について改めてお尋ねをします。
 日米同盟は我が国の外交・安全保障の基盤で、これを更に深めていく必要があります。公式訪米の見通しも含めて、日米関係について野田総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
 また、米国は昨年、アジア太平洋重視を打ち出すとともに、国防費の削減の中で二正面作戦を実質的に転換する新国防戦略を示しております。この新たな戦略は、同盟国、協力国との連携強化を基本としていると理解されますが、我が国としてどう対応していくのか、総理の認識を伺います。
 沖縄は、今年五月に本土復帰四十周年を迎えます。地位協定の運用改善などと併せ、東アジアとの接点としての沖縄の特性を生かした振興策の充実を更に進める必要があります。
 総理には、できる限り早く沖縄を訪問し、普天間飛行場の移設問題や振興策の具体化について、仲井眞知事を始め、沖縄県民の皆さんと話し合っていただきたいと思いますが、お考えを伺います。
 中国との間では、相互の利益を土台に、尖閣諸島問題、海洋進出や東シナ海をめぐる問題については、主張すべきは主張するという姿勢で、戦略的互恵関係を図っていくべきであります。また、今年の日中国交正常化四十周年を契機に、国民レベルでの一層の関係改善の取組も必要です。野田総理の見解を伺います。
 北朝鮮の新しい指導者、金正恩氏への体制の移行が、核、ミサイル、拉致問題の包括的解決の契機となるよう、米国、韓国、中国などとの連携を強める必要があります。総理の認識と問題解決への決意を伺います。
 イランの核兵器保有は、核不拡散体制を揺るがし、中東の安定を崩すものであります。輸入原油の一割をイランに頼っている我が国への影響も懸念されております。国際社会と歩調を合わせ、核開発の断念を迫るとともに、日本がこれまで培ってきたイランとのパイプを活用し、事態の改善に努めるべきであると思いますが、認識を伺います。
 環太平洋連携協定、TPPをめぐっては、農業に破壊的な影響を与えるのではないか、金融、雇用、医療など、国民生活への影響は計り知れないなどと懸念する声が絶えません。
 国民の理解、納得が得られるよう、懇切丁寧なプロセスを踏まれることを望みたいと思います。見解を伺います。
 総理は、今年の年頭所感で、「三丁目の夕日」を例えに、高度成長を遂げていた時代には今日よりあしたが良くなるという希望が国全体にあふれていた、大震災からの復興を契機に希望と誇りのある日本を取り戻したいと述べられております。右肩上がりの経済成長が難しいこの時代にあって、豊かさとは何か、また、総理の考える幸せの形、希望の姿、何よりも、総理が目指す国づくりの基本をお聞かせいただきたいと思います。
 今年は、ロンドンにおいてオリンピックとパラリンピックが開催されます。海を越えて、きっとうれしい知らせも届くことでしょう。
 疾風に勁草を知るといいます。厳しい状況、試練を前に、競技に懸けてきた汗と涙を信じ、強い意思を持ち続けたアスリートだからこそ、光り輝く一瞬があるのであります。
 私たちは今、大きな政治、決断の政治を実現し、次の世代に歴史的なたすきをしっかり引き継ぐために、ぶれることなく、逃げることなく、この国難に真正面から挑む歴史的なときを迎えております。私は、語る言葉に魂を込め、行動に命を懸け、同じ志を持つ皆さんとともに、手をつなぎ、心を結んで国民の期待にこたえていく決意をここに表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党を代表しての輿石幹事長からの御質問にお答えをしたいと思います。
 まずは、東日本大震災からの復旧・復興についての御質問をいただきました。
 発災以来、政府は、被災地の復旧、そして復興に全力で取り組んでまいりました。発災当初と比較して相当程度進展したものと認識をしておりますが、一方で、今なお多くの方々が寒い冬の中、仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされているなど、課題も山積をしております。
 特に、被災者の皆様の生活再建は喫緊の課題であり、とりわけ働く場の確保が重要でございます。復興特区制度などを活用して、被災した企業を復旧させるなど、被災地の産業復興を図り、雇用確保を進めてまいります。
 新しい町づくりに向けた取組も進んでおり、昨年末までに津波被害のあった沿岸市町村のうち約八割が復興計画を完成させました。今後は、市町村において地域住民との調整を進め、個々の事業を円滑に実施していくことが課題でございます。
 被災地の復興は、全ての日本人にとっての挑戦であると考えております。国の復興施策については、既に事業計画と工程表を策定しており、これに沿って、被災地の一日も早い復興に向け、政府を挙げて取り組んでまいります。
 続いて、原発事故収束のステップ2完了宣言と今後の道筋に関する御質問をいただきました。
 東京電力福島第一原発それ自体については、専門家による緻密な検証作業を経て、原子炉が冷温停止状態に達したことを確認したことから、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断し、ステップ2が完了したことを昨年の十二月十六日に宣言をさせていただきました。
 このように、発電所の中の事故そのものについては一つの区切りが付き、周辺住民の皆様に再び避難をお願いせざるを得なくなることはなくなったという意味において、発電所の事故そのものは収束に至ったという旨を申し上げましたけれども、言うまでもなく、周辺地域の除染を始め、原発事故との戦いは決して終わってはおりません。
 原子炉については、事態の安定を目指す段階から廃炉に向けた段階へと移行いたしました。政府としては、昨年十二月二十一日に発表した中長期ロードマップに沿って、発電所の安全維持に万全を期しながら、廃炉に至る最後の最後まで全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
 続いて、原発事故被災者の帰還のための諸課題の解決についてのお尋ねがございました。
 住民の帰還に向けては、去る十二月二十六日の原子力災害対策本部決定を踏まえ、警戒区域の解除について、早ければ四月ごろを目指し、極力遅くならない時期に実施する方向で検討しております。
 避難指示区域の見直しについては、三月末を一つの目途として行うことを目指しております。その見直しの後、年間積算線量が二十ミリシーベルト以下となることが確実な地域については、インフラの復旧、また除染の進捗を踏まえて、地元との十分な協議を行った上で避難指示を解除し、できるだけ早期に避難者が帰郷できる環境を整えてまいります。また、年間積算線量が二十ミリシーベルト超、五十ミリシーベルト以下となる地域についても、昨日、二十六日発表した除染ロードマップを基本として順次段階的に除染を進めるとともに、インフラ復旧等を計画的に実施をしてまいります。また、五十ミリシーベルト超の地域の除染やインフラ復旧については、モデル事業などの結果などを踏まえて、その対応の方向性を検討してまいります。
 続いて、原発事故による影響への対応やエネルギー政策についての御質問をいただきました。
 原発事故により発生した損害については、これまで原子力損害賠償紛争審査会においてその範囲について順次示してきたところでございます。現在、原子力損害賠償紛争審査会においては、避難指示区域等の見直しに関する考え方を踏まえ、損害賠償の取扱いについて検討が行われておりますが、本年三月中には必要な指針を取りまとめていただきたいと考えております。
 健康管理については、福島県が主体となって県民健康管理調査が実施されているところでありますが、政府としては、この調査が長期間にわたり安定的に実施できるよう必要な支援を行っているところでございます。
 食品中の放射性物質への対応については、事故後、速やかに暫定規制値を設定し、これを超える食品が市場に流通しないよう検査や出荷制限の指示を行っております。また、本年四月の施行に向けて新たな基準値の検討を進めており、食品のより一層の安全、安心を確保することとしております。
 現在、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成を目指してゼロベースでの見直し作業を進めているところでございます。今年春には選択肢を提示した上で、幅広く国民各層の御意見をお伺いをしながら、今年の夏を目途に新しい戦略と計画を取りまとめてまいります。
 我が国経済の現状認識及び今後の見通しについての御質問をいただきました。
 我が国の景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にある中で、緩やかに持ち直しをしております。今後の見通しについては、本格的な復興施策の集中的な推進によって着実な需要の発現と雇用の創出が見込まれ、景気は緩やかに回復していくかと考えられます。
 他方、欧州政府債務危機の影響等により海外景気が更に下振れするリスクに十分留意する必要があります。このような認識の下、政府経済見通しにおいては来年度の実質成長率を二・二%程度と見込んでいるところでございます。
 続いて、社会保障改革の全体像、道筋と、一体改革素案に盛り込まれた基本的な理念、手段について御質問をいただきました。
 一体改革は、社会保障の充実、安定化と財政健全化を同時に達成することにより、少子高齢化が進む中、社会保障を持続可能なものとし、若い世代を含め、国民が安心で希望と誇りが持てる社会の実現を目指すものでございます。
 このため、政府・与党で決定した素案においては、低所得者対策を充実しつつ、子育てや若者就労への支援を強化するなど、子供からお年寄りまで全ての国民をカバーする全世代対応型へと社会保障制度を転換していくこととしており、素案に示した内容や実施時期に沿って改革を進めてまいります。
 具体的には、地域の実情に応じた保育等の量的拡充などを行う子ども・子育て新システムの創設、市町村国保において、財政基盤の強化を図るとともに、財政運営の都道府県化を実施、年金制度の持続可能性を確保するため、国庫負担二分の一の恒久化などを盛り込んだ法案を今回の通常国会に提出することを予定をしております。
 同時に、社会保障の充実、安定化のための安定財源を確保するため、世代を通じて幅広い国民が負担する消費税の税率を引き上げるなど、給付と負担の両面で世代間、世代内の公平を図ることとしております。
 一体改革は、全ての国民のために、そしてこの国の未来のためにやり遂げる必要があります。与党の皆さん、そして野党の皆さんの御協力もお願いをしながら、実現に向けて全力を尽くしていく決意でございます。
 続いて、消費税引上げに際しての経済状況についての御質問をいただきました。
 社会保障・税一体改革素案においては、経済状況の好転を条件として遅滞なく消費税を含む税制抜本改革を実施することとされております。
 平成二十四年度には、復興需要の増加が着実な経済成長を支え、平成二十五年度以降においては、復興需要が一段落するものの、民需主導の経済成長への移行によって経済が堅調に推移すると考えられることなどから、総合的な判断として経済状況は好転していくとの見通しが立てられると考えております。
 なお、素案においては、経済財政状況の激変にも柔軟に対応できるように、消費税率引上げ実施前に経済状況の好転について、名目・実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、引上げの停止を含め、所要の措置を講ずるものとする規定を法案に盛り込むこととしております。
 二十四年度予算について御質問がございました。
 平成二十四年度予算においては、無駄や非効率を徹底して排除するため、さきの提言型仕分の提言を適切に反映させ、既存予算を見直すとともに、公務部門における定員や庁舎建て替えなどには特に厳しく対応をしております。このような歳出削減努力によって捻出した財源を用いて、厳しい財政状況の中ではありますが、輿石幹事長御指摘の日本再生重点化措置を一兆円規模に拡充し、宇宙・海洋関連事業など我が国将来の経済成長に資する施策を盛り込んでおります。
 また、今年度の補正予算に続き、三・八兆円規模の復興予算を確保し、来年度においても復興や除染などの事業が切れ目なく実施されるようにしております。これらの観点から、平成二十四年度予算を日本再生元年予算と位置付けております。
 なお、年金交付国債による対応は、二十四年度基礎年金給付費の二分の一と三六・五%との差額を国庫の負担としつつ、年金財政への国庫金の繰入れは消費税引上げ後に消費税収を充てて行うことを明確にするために行うものでございますが、その意義についてはこれからも分かりやすい説明に努めてまいりたいと思います。
 財政の役割や財政再建への取組についての御質問をいただきました。
 我が国財政は、東日本大震災からの復旧・復興に必要な施策や世界に誇り得る社会保障制度を支えるなど、国民生活を支える重要な役割を果たしております。
 一方で、こうした我が国の財政は、国及び地方の長期債務残高が九百四十兆円とGDPの二倍近くに達する見通しであり、極めて厳しい状況にありますが、現状では、豊富な国内貯蓄の存在等を背景に、低い金利水準で安定的に国債を消化することができております。
 しかしながら、我が国の国債の国内消化を支えてきた国内貯蓄が伸び悩む一方、政府の債務残高は増加の一途をたどっており、今後、我が国の国債をめぐる環境は変化する可能性もあります。また、団塊の世代が高齢化する中で、社会保障関係費の急増が見込まれており、社会保障の安定財源確保も早急に進める必要があります。
 したがって、国債市場が安定している今の段階で社会保障・税一体改革を着実に実行に移し、市場の信認を確保しながら、しっかりと財政健全化を進めていくことが重要であると考えております。
 社会保障と税の一体改革についての御質問をいただきました。
 これも御指摘のとおり、社会保障・税一体改革をやり抜くことは国民利益のために必ず成し遂げなくてはならない課題であり、行政改革、政治改革を併せて包括的に実施することは民主党の原点と考えます。
 民主党は国民の生活が第一を掲げておりますが、親、子、孫を通じて、また、自身が尊厳ある生き方を貫くためにも全世代の営みと生活に責任を持つことが必要であり、そのための一体改革であると決意をしております。現在の政権任期中において消費税率の引上げは行わず、税率引上げの実施前に必ず民意を問うこととしており、一体改革の実行は決して公約違反ではございません。
 また、行政改革、政治改革など、身を切る改革を貫くことこそ民主党の原点であるとの確信に基づき、改革を貫く決意であります。是非とも、良識の府参議院の皆様の御協力を改めて切にお願いをする次第であります。
 国際情勢の認識及び外交・安全保障の基本姿勢についてのお尋ねがございました。
 アジア太平洋地域は、世界の成長センターとしてチャンスをもたらす一方、既存の秩序が変動する過程で地域の不安定性が増し、安全保障の先行きが不透明になるというリスクもはらんでおります。
 このような中で、我が国は、この地域の安定と繁栄を実現をするため、日米同盟を基軸としつつ、経済・安全保障面を始め、様々な分野で地域の秩序とルール作りに主体的な役割を果たしていきます。同時に、各国首脳との信頼関係を築きながら、近隣諸国及び主要国との二国間関係の強化に努めます。さらに、国連平和維持活動、軍縮・不拡散、気候変動などの人類の安全な未来への貢献、ODAの戦略的活用を通じた人類の豊かな未来への貢献にも努めてまいります。
 日米関係についての御質問をいただきました。
 日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸にとどまらず、アジア太平洋地域、そして世界の安定と繁栄のための公共財であり、厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境を踏まえれば、同盟深化は喫緊の課題でございます。
 このような中、米国が国防費をめぐる厳しい状況の中にあってもなお、アジア太平洋地域へのコミットメントを強化するとの政策を掲げていることは、我が国を含む地域の安全保障に資するものと考えており、これを歓迎をしております。
 我が国としては、今後とも、日米安保体制の下での幅広い安全保障、防衛協力を推進しつつ、アジア太平洋地域のみならず、国際社会の安定のために米国とも連携をして主体的に取り組んでいく考えでございます。
 折しも、本年は日本から米国に桜を贈ってから百周年になります。日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で一層深化、発展をさせていくべく、日米双方の都合の良い時期にワシントンを訪問をしたいと考えております。
 普天間飛行場の移設と沖縄振興についての御質問をいただきました。
 普天間飛行場の移設問題については、日米合意を踏まえつつ、普天間飛行場の危険性の一刻も早い除去を目指し、沖縄の負担軽減を図ることがこの内閣の基本的な姿勢でございます。政府としては、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け、誠実に説明し、理解を得るべく全力で取り組みます。
 沖縄振興策については、沖縄県からの提案等を踏まえ、県が新たな沖縄振興計画の策定主体となることや、新たな一括交付金の創設、沖縄の優位性を生かした産業の振興など、県の主体性をより尊重するとともに、国の支援措置を拡充する内容の法案を準備しており、今国会に提出をいたします。政府としては、沖縄の経済の真の自立と持続可能な発展を支援をしていく考えでございます。
 私自身も適切な時期に沖縄を訪問したいと考えておりますが、具体的なタイミングについては諸事情を十分考慮して判断をしてまいります。
 対中政策についての御質問をいただきました。
 アジア太平洋地域での安定と繁栄のためには、中国の建設的な役割が不可欠であります。国益の視点に立って、日中両国の戦略的互恵関係の内容を更に充実させるとともに、地域の安定した秩序づくりに向けた協力を深めてまいります。また、本年の国交正常化四十周年の機をとらえ、様々なレベルでの対話や交流を通じて互恵関係を深化させてまいります。
 具体的には、昨年十二月の訪中の際に表明した六つのイニシアチブに基づき、政治的相互信頼の増進、海洋に関する協力、震災を受けた協力、互恵的経済関係の強化、国民間の相互理解の増進、地域・グローバルな課題に関する対話、協力の強化などの分野で協力を進めてまいります。
 北朝鮮における指導部の変化を受けた関係国との連携に関する御質問をいただきました。
 金正日国防委員長死去を受け、私は、李明博韓国大統領、オバマ米国大統領とそれぞれ電話会談を行い、今般の事態が朝鮮半島の情勢を悪化させることのないよう関係各国と緊密に連携していくことを確認をいたしました。また、昨年末の私の訪中の際に行った日中首脳会談においても、北朝鮮情勢について緊密に意思疎通しながら対応していくことを確認をいたしました。
 今回の事態に対して関係国が緊密に連携しながら対応し、拉致問題はもちろん、核、ミサイルも含めた諸懸案の包括的な解決につなげていく必要があります。引き続き、米国や韓国を始めとする関係国と緊密に連携しながら、適切に対応していく考えでございます。
 イランの核問題への対応についてのお尋ねがございました。
 イランの核問題については、深刻な懸念を国際社会と共有をしています。我が国は、対話と圧力のアプローチに基づき、これまで我が国が培ってきたパイプを活用して様々な形で働きかけを行ってきています。また、昨年十二月には更なる対イラン措置を講じたところでございます。
 今後とも、平和的、外交的な解決に努力することを基本とし、原油市場や日本経済への影響なども総合的に勘案しつつ、各国と協調しながら問題の解決に向けて努力していく考えでございます。
 TPPについての御質問もいただきました。
 TPPをめぐり、農業に与える影響や、金融、雇用、医療などの分野について国民の間に様々な議論や御意見があることは承知をしております。
 TPPについては、交渉参加に向けた関係国との協議を進めているところでございます。協議を通じ、各国が我が国に求めるものについて更なる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上で、あくまで国益の視点に立ってTPPについての結論を得ていきます。
 今後とも、各国との協議を通じて得られる情報を含め、地方における説明会等を通じ、政府を挙げて国民の皆様への一層の説明や情報提供にしっかりと努めていく考えでございます。
 最後に、目指す国づくりについての御質問をいただきました。
 今、目の前にある課題を乗り越えたその先に、私が目指す国づくりの姿が見えてまいります。近代国家に生まれ変わる幕末、明治の時代においても、そして、戦後の焼け野原から立ち上がり高度成長を遂げた「三丁目の夕日」の時代においても、今日よりあしたが良くなるという希望が国全体にあふれておりました。昨今、こうしたささやかな希望さえ感じにくくなったという声が少なくありません。
 目の前の数々の危機は、日本を覆う閉塞感を拭い、新たな発展をもたらすチャンスにもなり得ます。私は、大震災からの復興を契機として、希望と誇りのある日本を取り戻したいと考えております。
 中長期的な経済成長と分厚い中間層の復活を実現をし、今日よりもあしたがより豊かで幸せになるという確かな希望を生み出す、そして、この国に生まれてよかったという誇りを将来の世代に残していく、これが私の目指す国づくりの基本であり、様々な困難、課題を乗り越えるために、ぶれることなく、逃げることなく、頑張っていく決意でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
#13
○議長(平田健二君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト