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2012/01/30 第180回国会 参議院 参議院会議録情報 第180回国会 本会議 第3号
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2012/01/30 第180回国会 参議院

参議院会議録情報 第180回国会 本会議 第3号

#1
第180回国会 本会議 第3号
平成二十四年一月三十日(月曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成二十四年一月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、議員大石尚子君逝去につき哀悼の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
     ─────・─────
#3
○議長(平田健二君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 去る二十七日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
#4
○山口那津男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました野田総理の施政方針演説に対し、質問いたします。
 野田内閣誕生から初の施政方針演説。私は、総理自らが社会保障と税の一体改革の実現に向け、最強で最善の布陣と位置付けられた新内閣を率い、大局観に立った具体的な道筋を表明されるものと思っていました。しかし、あなたの施政方針演説には具体的な中身が乏しい。二〇一四年四月からの消費税増税に言及されましたが、その前提となる課題への取組については、聞こえの良い言葉を並べただけで、重要政策の全体像について何一つ示していないではありませんか。
 総理、あなたは、国政の重要課題を先送りしてきた決められない政治から決断する政治に変えたいと言い、それが国民に対する政治の責任であるとおっしゃいましたね。しかし、民主党に決断する政治を期待する国民がどれくらいいるでしょうか。
 例えば、民主党のマニフェストは総崩れではありませんか。やると言ったことはほとんどやれない、やらないと言ったことをやろうとしている。これがあなたの言う決断する政治だとしたら、政治不信を増すばかりです。今や多くの国民が民主党の政治手法に失望しており、右肩下がりの支持率にも如実に表れています。
 そして、この二年間余り、選挙を経ないで総理は既に三人目です。国民の生活が第一と言いながら、国民との約束は総崩れ、その間の迷走でどれほどの国民を戸惑わせ苦しませたことか。
 総理は、ギブアップしない決意を強調するため、ネバーを四回も繰り返しましたが、消費税は四年間上げないとの国民との約束は、あっさりとギブアップ。消費税増税の実施は四年を過ぎてからと言い訳してみても、それが詭弁であることはとっくに国民に見抜かれています。
 民主党政権にはもはや正当性はないと冒頭に強く申し上げ、具体的な質問に入ります。
 総理、あなたは施政方針演説で、仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている方々と述べられましたが、政府の復興構想会議の五百旗頭議長をして、率直に言って遅過ぎると言わしめた政権の復興対応が不自由な暮らしを余儀なくさせているということを謙虚に反省しなければなりません。同時に、与野党共に真摯に受け止めなければならない課題でもあるのです。
 被災地の復旧・復興に関する課題は、仮設住宅に限った話ではありません。高台移転か現地再建か、住民の合意形成が難航している地域もあります。また、震災以前から抱えていた過疎と高齢化という問題は、震災によって一段と深刻なものとなりました。
 総理、東日本大震災発生以降、公明党を始めとする野党も、被災地の復興のため、被災者の生活再建のため、協力を惜しみませんでした。その結果、当面の復興に必要な財源や、復興庁設置や復興特区制度を始めとする基本的な制度の枠組みも整いつつあります。
 あとは、政権の実行力の問題なのです。特に、復興特区の特例を活用するために各被災自治体が作成できる三つの計画、すなわち、復興推進計画、復興整備計画、復興交付金事業計画について、政府は国の立場ではなく、あくまでも被災地の立場に立ってしっかりとサポートするよう強く求めます。復興元年である今年こそ、スピード感と実効性のある施策の推進に徹していただきたい。総理の決意を伺います。
 次に、福島復興への政府の取組について伺います。
 先週、原子力災害対策本部の議事録が存在しないと聞いて、にわかに信じ難い衝撃が走りました。総理、あなたが責任者である原子力災害対策本部は、なぜ議事録を作成していなかったのですか。なぜ録音すらしていなかったのですか。原子力災害対策本部の会議は二十三回開かれ、そのうち四回は野田総理になってから開かれています。その間、総理は議事録を確認したり、配布をさせたりしなかったのですか。
 しかも、議事録不存在の会議は十会議に上ると政府は認めています。発表できない都合の悪い事実を隠し通すために記録を残さなかったのですか。今から議事概要を作ると言い訳しても、もはや再現は不可能でしょう。取り返しの付かないミスを犯してしまったのです。経緯を明確にお答えください。
 未曽有の原発事故に直面し、政府の対応を検証できるようにするため議事録を残すことは、現在の国民及び将来の国民に対する重要な政府の責務であるとともに、国際社会に対する責任でもあるのです。かつて歴史への反逆と菅総理は言いましたね。またしてもブーメランではありませんか。
 そして、情報公開は民主主義の根幹でもあることから、行政情報については、公文書等の管理に関する法律第四条で、総理が出席するような重要会議は議事録作成が義務付けされているのです。総理、広範な議事録作成義務違反は重大な違法行為であり、国民や国際社会に対する深刻な背信行為であると言わざるを得ません。単なる遺憾では済まされる問題ではありません。歴史の空白をつくってしまったその責任をどう受け止めますか。
 国会の事故調査委員会は、まさにこうした政府の違法行為などをチェックするために設置されたものであり、徹底した調査と検証が期待されます。総理、調査に当たり、政府は関係資料の提出や関係者の聴取に最大限協力する用意があるか、答弁を求めます。
 さて、総理、昨年十二月中旬に政府が示した警戒区域などの避難区域解除・再編方針は、一体誰のための方針なのでしょうか。まさに、今対象地域に当たる十一市町村から避難を強いられている方々のことを一体どこまでお考えになっているのか。
 本年四月一日をめどに本方針が実施されるとのことですが、例えば、ある地域では町の九割近くが帰宅困難地域に指定されるため、コミュニティーは崩壊し、自治体自体が破壊されるとの声も聞かれます。
 総理、こうした区域の見直しには住民や自治体の声や意見を十分に踏まえる必要があります。加えて、当然のことながら、各地域の具体的な除染や社会インフラの復旧・復興の工程なども同時に示して、今後の個人の人生設計や地域再生の見通しが立てられるようにすることが重要だと考えますが、答弁を求めます。
 私は、本年一月八日、福島の仮設住宅などを訪れ、様々な声に接してまいりました。
 昨年の党首討論で本年初頭に福島を訪問するよう要請し、確たる返事はなかったものの、総理も同じ日、福島を訪問いただいたことは大変良かったと思います。
 福島の声を基に、公明党は一月二十四日に福島県の復興・再生に関する提言として福島特別立法に盛り込むべき内容を示しました。先週、我が党、井上義久幹事長の代表質問でもやり取りされましたが、改めて、十八歳以下の医療費無料化、長期継続的な県民健康調査の実施の法的裏付け、福島県民が特別に被っている放射能不安や風評被害に対する県民の分け隔てなき支援のための基金の積み増しや弾力的運用、これらについて特別立法と予算措置への総理の明確な答弁を求めます。
 震災の発生直後から各避難所においては、女性の着替えや授乳のスペース、また女性用のトイレがない、さらに、支援物資の中でも女性用の下着や赤ちゃんの離乳食も不足したなど、既存の防災対策や意識の中に女性や乳幼児を支援する視点が欠けている実態が浮き彫りになりました。
 そこで、公明党は、党女性防災会議を設置し、昨年十月には全国の女性議員が女性の視点から防災行政総点検を実施しました。その結果を基に、十一月二十四日には十一項目にわたる女性の視点を生かした災害対策についての第一次提言を政府に提出しました。
 その折、対応された藤村官房長官は、要請にこたえられるように取り組むと述べられましたが、野田総理はこの提言についてどう受け止めていますか。女性の視点を生かした防災対策の実現に向けて具体的にどう取り組むのか、総理の見解を求めます。
 第四次補正予算に関連して質問いたします。
 公明党は、医療、介護や子育て支援等について、地方自治体における迅速かつ柔軟な取組を支援するため、各種の基金事業を創設、推進してきましたが、その多くは今年度限りで終了するため、事業の継続など十分な対応を行うよう政府に求めてきました。
 こうした公明党の提案を受け、保育所や放課後児童クラブなどの整備を推進する安心こども基金、妊婦健診の負担を軽減するための妊婦健康診査支援基金、そして、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスの充実を図る障害者自立支援対策臨時特例基金の継続が第四次補正予算案に盛り込まれることになりました。
 また、七十歳から七十四歳の窓口負担一割の据置きや低所得者の保険料軽減措置等の継続についても、我々の主張どおり予算計上され、現下の状況ではこれらの対応を率直に評価いたします。
 同様に公明党が推進した、子宮頸がん、Hib、小児用肺炎球菌のワクチン接種を支援する特例基金の継続も補正予算に盛り込まれましたが、これらについては、早急に予防接種法を改正して、法律に基づく安定した制度として二十五年度以降も継続することを明確にすべきです。
 あわせて、高齢者の肺炎球菌ワクチンの接種についても財政支援を求めます。
 平成二十二年度は約十一万人以上が亡くなるなど、肺炎は六十五歳以上の死因の第三位となっており、このうち三分の一から四分の一は肺炎球菌によるものとされています。
 接種費用は一回七千円から八千円で、効果は五年以上持続するとされ、費用対効果は高いものの、その接種費用が高額なことに加え、一部地域では品薄状態もあり、なかなか接種が進まない状況です。現在、六百五十の市町村が高齢者の肺炎球菌ワクチンへの助成を実施しており、政府においても、子宮頸がん等の三ワクチン同様、法改正を伴う財政支援を検討すべきです。これらワクチン接種への取組について、総理の答弁を求めます。
 被災地における二重ローン問題について伺います。
 震災から十か月を経過し、被災地では仕事を失った被災者に対する失業給付が終了する中で、雇用の確保は最重要の課題です。さらには、被災された事業者、農業従事者などのいわゆる二重ローン問題への対応も実際にはこれからという状況です。生活支援は待ったなしであります。
 特に、二重ローン問題に関しては、当初、政府・民主党の対応は極めて腰の引けたものでありましたが、ようやく民主党が重い腰を上げ、公明党を始め野党が強く主張してきた、被災した中小企業や農業、漁業者の再生支援のために新機構設立の法律が昨年十一月成立いたしました。
 今般の第四次補正予算案には、この新機構の債権買取りのための政府保証枠五千億円が盛り込まれ、本年三月十一日までの事業開始を目指しているとのことですが、被災者、事業者の生活再建、事業再生がかなうよう万全を期すべきです。
 また、支援に当たっては、被災事業者にとって使い勝手が良く、さらには、支援の対象を可能な限り広げるよう最大限の努力を傾注すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 基礎年金国庫負担二分の一のための財源を交付国債で対応することは、償還財源が現時点で担保されていないことから、将来、償還財源が確保されたとしても、その間、実質的に年金積立金を取り崩すこととなり、年金財政の安定化を脅かすことは免れず、総理のこれまでの説明は形式的なつじつま合わせにすぎません。昨年度当初予算までの埋蔵金等歳出見直し努力による財源確保さえできなくなったことを表すものであり、ここでも民主党マニフェストの財源論が崩れ去っていることを率直に認めるべきであります。総理の答弁を求めます。
 社会保障と税の一体改革について伺います。
 公明党は、一体改革を進めるに当たり、議論の順序として、まずは年金、医療、介護など社会保障の将来像を明確にし、それに伴う所要額を明らかにした上で必要財源の確保について検討すべきであると政府に申し上げてまいりました。
 また、社会保障のあるべき姿について与野党が建設的な議論を行うための協議の場を提案し、その準備として党内議論を先行して進めてきました。既に二〇一〇年の十二月、公明党として、新しい福祉社会ビジョンをまとめ、現行制度の機能強化とともに、急増する虐待やうつ病など社会の病理的側面への対応をも包含した新しい福祉の考え方を明らかにしております。
 昨年の今ごろの代表質問でもそのことを提案するとともに、政府にも早く具体案を示すよう繰り返し申し上げてきましたが、ようやく示された素案なるものは大きな課題を残すこととなりました。
 野田総理は施政方針演説で、福田総理や麻生総理の演説を引用し、自身の主張と同じだと述べました。しかし、同じなのは政府、とりわけ財政当局の考え方であり、同じでなくなったのが民主党の主張なのです。当時の鳩山代表と今の野田総理の主張はまるで違うではありませんか。だからこそ、素案の決定過程で多くの離党者を出し、今も党内に反対論を抱え、国民新党を含めた与党の決定になり切れていない状況になっているのです。素案の意思決定の基盤が弱いのです。
 そのように足下が脆弱な状況で、野党の同意を求めようと声高に協議を迫るのはそもそも本末転倒であり、まず足下から固めるべきと言われるのも当然なのです。総理、顧みてどう思いますか。
 さらに、素案の中身も民主党が主張してきたこととの整合性が不明確であり、社会保障の全体像が示されていません。画竜点睛を欠くとはまさにこのことです。今年のえとは、たつ。素案という画竜に社会保障の全体像という点睛をはっきりと描いていただこうではありませんか。
 特に、年金の抜本改革、すなわち、国民年金を含む全ての年金の一元化と全額消費税で賄う最低保障年金月額七万円との主張は、もう十年越しの金看板ではなかったのですか。出し惜しみ、先送りの必要はないでしょう。関係法案を来年出すと、こうも言ってきたのですから、既に制度設計の基本も試算もできているでしょう。現に先日も、民主党幹部や閣僚から全体像を示そうとの発言も出たではありませんか。国民は、現行制度に基づく素案と民主党の言う抜本改革を比べて、消費税の負担がどうなっていくのか、受け取る年金がどうなるのか、これを知りたがっているのです。その全体像を明らかにしてこそ、一体改革として与野党の協議が国民のために実りあるものになるのではありませんか。
 総理、逃げないでください。試算の一部が報道されて、膨大な消費税が別に必要になるとか、受け取る年金額が現行制度より減る人がいるとか、それぐらい言われたぐらいで隠さないでください。不退転の決意が泣きます。まだ議論の時間が掛かるとか、すぐに消費税が掛かるわけではないとか、政府ではなく党に議論させますとか、「正心誠意」の総理らしくありません。堂々と全体像を示して協議できる環境を整えていただきたい。答弁を求めます。
 本年、野田政権にとって最重要の外交課題となる普天間基地移設問題について伺います。
 施政方針演説では、総理は、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け、誠実に説明し、理解を求めながら、沖縄の負担軽減を図るために全力で取り組みますと述べました。
 言行不一致も甚だしい。前の沖縄防衛局長の不適切発言や一川前防衛大臣の問責を受けた言動によって、沖縄県との信頼関係が更に悪化する中での環境影響評価書の強行提出、年内着工発言や普天間飛行場でのヘリコプターが多くないとの発言で就任早々から釈明に追われるような防衛大臣の任命など、総理の演説とは全く逆の言動が続いているではありませんか。
 桜の咲くころ、野田総理は訪米を検討されているようですが、それまでに沖縄を訪問し、施政方針のとおり、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け、誠実に説明し、理解を求めてはいかがですか。五月の返還記念式典出席だけでは、そのような機会はつくれないのではありませんか。総理の誠意ある答弁を求めます。
 年の瀬も押し迫った昨年十二月二十七日、内閣官房長官談話が発表され、政府はいわゆる武器輸出三原則等の事実上の緩和に踏み切りました。
 言うまでもなく、武器輸出三原則等は、非核三原則とともに我が国の平和国家の理念と専守防衛の姿勢を示すものとして、国内はもとより、広く国際社会において確固たる信頼を形成してまいりました。
 武器の海外供与に道を開くという防衛政策の大きな転換に当たり、長年築き上げてきた国際社会からの信頼という失う国益があることを十分に議論したのか、答弁を求めます。
 日本はこれまで、公明党が与党にいた時代も、三原則を堅持しつつ、必要であれば、事案に応じた慎重な議論を行い、広く国民の理解を得た上で例外を設けてまいりました。
 この度、具体的な個別案件がないにもかかわらず、一般的な基準を設けたため、今後は個別案件に応じて例外化を判断するための手順を踏まないこととなり、新基準の枠内だとして国民の知らないところでなし崩し的に武器輸出や共同開発が拡大しないか、懸念を抱きます。歯止めがどのように講じられるのか、明確にお答え願いたい。
 さらに、武器の移転と共同開発については、日本の同意がない目的外使用や第三国への移転を禁じ、厳格な管理が行われることを前提としておりますが、不同意すべき事案であるかどうかの判断力、関係国を説得する情報力や外交力が乏しい今の政権では、実効性を欠いていると指摘しなければなりません。
 この度の緩和について、国際共同開発の技術的必要性やコスト削減ばかりが強調され、多面的な議論が行われたとは決して言えず、国民的な開かれた議論も国会での議論もない拙速な政策変更と言わざるを得ません。総理の見解を求めます。
 北朝鮮の金正日総書記の死去とそれに伴う金正恩氏への権力継承は、我が国を取り巻く北東アジアの平和と安定に重大な影響を及ぼしかねず、政府の適切な対応が求められます。
 しかし、総書記死去のニュースが流れた当日の総理並びに関係閣僚の対応を見る限り、危機管理に対する認識が余りにも甘い。大いに反省すべきことがあるのではありませんか。総理の答弁を求めます。
 次に、選挙制度改革について伺います。
 衆参の選挙制度が共に一票の格差をめぐり最高裁から違憲ないし違憲状態と断ぜられており、特に参議院は現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要との見解が示されています。
 また、衆参のねじれ現象が構造的に生じやすい選挙制度の組合せになっていることから、衆参共に総合的な視野で我が国の議会制民主主義にふさわしい選挙制度の在り方を検討することが望ましいと思われます。野田民主党代表の御認識を伺います。
 先週、衆議院の選挙制度について与野党協議を進める合意ができたところから、参議院においても、より民意を反映できる選挙制度への改革に取り組む中で、一票の格差是正や定数削減を一体的に実現する協議を早急に進めるべきではないでしょうか。野田民主党代表として指導力を発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 国民の皆様に震災復興財源の償還負担を求め、また、社会保障の維持、機能強化のためにも負担の在り方を議論しようというのですから、国家公務員や国会議員のように公職にある者は、まず自ら身を切る改革を実行すべきであります。
 国会議員は、昨年、震災の復興財源に寄与するために一人当たり半年間三百万円の歳費の削減を時限的に実行しました。今後も身を切る改革をというのであれば、国会議員一人一人に身を切った効果が及ぶ歳費の削減が妥当な方法であり、議員の定数削減ではありません。しかも、社会保障と税の一体改革の議論に際して、身を切る改革で率先しようというのですから、時限的な削減というよりも恒久的な削減を実現する与野党協議をしようではありませんか。野田民主党代表の明確な答弁を求めます。
 一月二十日、政府は、現行の独立行政法人を成果目標達成法人や行政執行法人などに移行するとともに、統廃合などで六十五以下にする基本方針を閣議決定しました。しかし、この基本方針は非常に中途半端な内容で、単なる類型化や数合わせにすぎないと言わざるを得ません。歳出削減効果も全く不明確であります。
 そもそも、民主党は、二〇〇九年衆院選挙のマニフェストにおいて、独立行政法人の見直しについて、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人の在り方は全廃を含めて抜本的な見直しを進めるとしていたはずであります。
 この中途半端な基本方針で、どのようにマニフェストとの整合性を取るお考えなのか、総理の見解を伺います。
 硬直した行政を抜本的に改めるための無駄削減と、住民本位の新しい国の形づくりについて伺います。
 昨今の大阪都構想に代表されるように、二重行政の解消、大都市制度の在り方は自治の再生に向けて焦眉の課題です。公明党は、国、道州、基礎自治体の三層構造から成る地域主権型道州制への移行を目指し、その中で縦割り行政の解消や二重行政の解消を図り、国と地方の役割分担を明確にしながら、地域のニーズに柔軟に対応した効果的、効率的な行政をつくるべきと考えます。
 野田総理は、道州制への移行も含めて、この国の形づくりをどのようにお考えか。また、地方からの要請にこたえる意味でも地域主権確立に向けたスケジュールを示すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 また、政治への信頼に大きくかかわる政治と金の問題について、公明党が国会提出した政治家の監督責任を強化する政治資金規正法改正案に対して総理は前向きな答弁を重ねますが、実際には全く取り組もうとしておりません。
 昨年十一月一日、衆議院本会議において総理は、公明党案に対し、本当に検討の余地がある、党に協議に入るよう指示いたしますと答弁し、さらに、十一月二十五日の参議院本会議では、具体的に協議に入るよう党に指示をしておりますとまで答えました。しかし、一向に何の動きもないため、十二月五日の衆議院予算委員会において三たび質問したところ、総理は、改めて指示はしておりますけれども、再度徹底はさせていただきたいと答弁しました。
 これだけ総理自ら明確に答弁を重ねながら、公明党側にはいまだに協議の打診すら全く来ていません。同法案は既に倫選特で趣旨説明、質疑まで行っているにもかかわらず、委員会でも何の動きもありません。
 指示したなどと幾度も繰り返しながら、総理は一体何をしてきたのですか。今日ここに至るまで何も進まないのは、総理にリーダーシップがないのみならず、政権交代後、民主党から相次ぐ政治と金の問題について何の反省もないということではありませんか。一刻も早く協議を開始し、今国会で成案を得るべきです。具体的にどう取り組まれるつもりなのか、民主党代表として明確に答弁願います。
 総理、あなたは施政方針演説の最後で、国会議員の皆様、困難な課題を先送りしようとする誘惑に負けてはなりませんと呼びかけていますが、その資格はあるのでしょうか。
 民主党は、直近の公約、マニフェストさえ先送りしようとする誘惑に既に負けていると指摘せざるを得ません。
 野田総理、この国の未来を切り開く決断する政治を説かれるなら、まず自らおやりください、そう申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 公明党の山口那津男代表の御質問にお答えをしてまいります。
 まず最初に、復旧・復興に対する決意についてのお尋ねがございました。
 大震災からの復旧・復興は、この内閣が全力で取り組むべき最優先課題でございます。御党の御協力もいただきまして、さきの国会で成立をした三次補正予算と関連法によって、復興庁、復興交付金、復興特区制度などの道具立てがそろいました。また、平成二十四年度予算にも、除染や瓦れき処理など、更なる復興の推進に欠くことのできない経費が多数盛り込まれております。これらを用いて復興事業をこれまで以上に加速化してまいります。
 私自身、今年に入り、岩手、宮城、福島をお訪ねをいたしましたが、被災地では働く場の確保が特に重要な課題となっております。国としても、被災地の立場に立って、しっかりサポートし、復興特区制度などを活用して、被災地の産業復興と雇用の確保を進めてまいります。
 大震災からの復興は、全ての日本人にとっての挑戦であります。総力を挙げて被災地の復興を進めてまいりたいと考えております。
 続いて、原子力災害対策本部の議事録についてのお尋ねがございました。
 政府としては、原子力災害対策本部の議事内容や決定事項は基本的には記者会見や報道発表を通じて情報を発信してきたところでありますが、震災直後の緊急事態にあったことや記録を残すことの認識が不十分であったこと等のために、各本部の議事内容の一部又は全部が文書で随時記録されていなかったことは事実であり、誠に遺憾であります。
 公文書管理法では、議事録の作成まで求めているものではありませんが、事後も含めて、行政組織の意思決定の過程や実績について文書作成が求められているところでございます。加えて、原子力災害対策本部における意思決定の過程や実績が把握できる文書の作成は、国民に説明する責務を果たすためにも極めて重要であります。
 このため、一月二十四日に、原子力災害対策本部副本部長である枝野経済産業大臣から同本部の事務局長である原子力安全・保安院長に対して、関係省庁と協議しつつ、公文書管理法に基づき、意思決定の過程及び実績が把握できる資料の整備、公表を遅くとも二月中に行うよう指示をしたところでございます。
 また、原子力災害対策本部も含め、東日本大震災に対応するために設置された会議等の議事内容の記録についても、一月二十七日朝の閣僚懇におきまして、岡田副総理から、可能な限り迅速な対応がなされるよう指示がなされたところでございます。これらの取組を通じて私も責任を果たしていきたいと考えております。
 次に、国会事故調査委員会への協力についてのお尋ねがございました。
 一月十二日、私は官邸で国会事故調査委員会の黒川委員長とお会いをいたしましたが、その際、黒川委員長から、国会事故調査委員会による調査について政府に対する協力依頼があったところでございます。これを受けて、一月二十日の各府省連絡会議において、竹歳官房副長官から各府省の事務次官等に対し、国会事故調査委員会への資料提出や聞き取り調査の要請等に対し、積極的に対応するよう指示をいたしました。今後、政府としても、国会事故調査委員会に対して積極的に協力をしていく所存でございます。
 続いて、避難区域等の見直しに対する総理の見解についての御質問をいただきました。
 避難区域等の見直しに当たっては、昨年十二月二十六日の原子力災害対策本部決定に基づき、県や市町村などの関係者との綿密な協議、調整を行いながら、三月末を一つの目途に新たな避難指示区域の設定を目指すこととしております。
 除染については、その手順や事業の工程等について基本的な考え方を示す除染ロードマップ、これは一月二十六日に公表いたしましたが、これに基づき、市町村や関係機関と協議、調整を進め、同じく三月末を目途として各地域の具体的な除染実施計画を策定をしてまいります。
 インフラの復旧についても、避難区域における被害状況を速やかに把握し、区域の見直しを踏まえて必要なインフラが整うよう進めてまいります。
 あわせて、住民の安全、安心の確保、雇用対策、長期避難者の支援などに政府が一体的に取り組み、避難者の皆様が人生設計を描くことができ、地域再生の見通しが立てられるようしっかりと対応してまいります。
 続いて、福島復興再生特別措置法案についてのお尋ねがございました。
 福島の復興、再生を推進するため、現在、政府においては、福島復興再生特別措置法案を今国会に提出する予定で準備をしております。本法案は、福島県の要望を踏まえ、内容の検討を進めていますが、公明党による御提言についてもその内容を十分に検討させていただきたいと思います。
 なお、御指摘のあった具体的事項につきましては、十八歳以下の医療費無料化に関して新たに国費を出すということについては、医療制度全体の根幹にかかわる問題であり、対応がなかなか困難であるところでありますが、福島県として子供の医療費無料化を前向きに検討すると伺っており、国としても福島の将来を担う子供の健康について最大限支援を行ってまいります。
 福島県民の健康調査については、福島県が実施する県民健康管理調査を円滑に進めるための法的な手当てなど、必要となる措置について県からの要望を踏まえながら検討してまいります。
 福島県民の放射能不安や風評被害への対応については、仮払い法に基づく基金を新たに創設することにより、農林水産物、食品等の安全、安心、子供の屋外活動支援、地域の福島ブランド価値の回復に向けた活動支援の三事業について支援させていただくことを福島県にお伝えをしたところでございます。
 続いて、女性の視点を生かした災害対策についてのお尋ねがございました。
 災害対策に女性の視点を取り入れることは大変重要であると認識をしており、東日本大震災の反省、教訓も踏まえつつ、更なる努力が必要と考えております。
 昨年末に修正した防災基本計画においては、避難場所における女性や子育てニーズへの配慮や、応急仮設住宅の運営管理における女性の参画の推進など、男女共同参画の視点を充実させたところでございます。
 また、昨年十月に設置した防災対策推進検討会議は、学識経験者十二名のうち四名が女性委員であります。この会議での議論も踏まえながら、御党からいただいた提言にもありました地方防災会議に女性の視点をより取り入れるための工夫等についても検討してまいる所存でございます。
 今後とも、政府では、女性の視点を生かした災害対策の充実にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 続いて、予防接種についてのお尋ねがございました。
 子宮頸がん予防、Hib、小児用肺炎球菌の三ワクチンについては、来年度も接種を行う市町村へ財政支援を続けるため、四次補正予算案に五百二十六億円を計上をしております。これら三ワクチンや高齢者向けの肺炎球菌ワクチンなどの予防接種法上の位置付けを含め、予防接種制度の見直しについて厚生労働省の審議会で精力的に議論が進められており、引き続き結論が得られるよう努力をしてまいります。
 続いて、東日本大震災事業者再生支援機構についての御質問をいただきました。
 支援機構は、各県に置かれた産業復興機構による支援が困難なものを対象とし、産業復興機構と相互補完しつつ、支援の拡充を図るため、三党合意を経て設立をされたものでございます。三月の業務開始に向けて準備を進めているところでありますが、被災した事業者の利便性を考慮し、本店を仙台市とするとともに、各県の産業復興相談センターが支援機構の相談業務を実施するなど、関係機関と密接に連携しつつ、被災事業者の事業再生を図るために十分な支援を行えるように対応をしてまいります。
 続いて、年金交付国債に関するお尋ねがございました。
 二十四年度に発行する年金交付国債については、消費税引上げ後に消費税収を充てて償還することとしております。来年度の基礎年金給付費を賄うため、年金積立金の一部資産を現金化することとなりますが、代わりに年金交付国債を組み入れることによって、積立金は目減りせず、年金財政の安定に支障は生じないものと考えております。
 また、年金交付国債の償還は、消費税引上げ後に消費税収を充てて行うこととしておりますが、基礎年金国庫負担の二分の一の財源を消費税を含む税制抜本改革に求めることは、自公政権から引き継いだ年金法本来の考え方にかなうものであり、年金財政の安定確保のためにも御党の御協力をお願いをしたいと考えております。
 続いて、社会保障・税一体改革の意思決定についての御質問をいただきました。
 大きな改革をめぐっての議論においては、常に様々な議論が行われることが自然であり、それは政党においても同じでございますが、目標を一つにする政治家の集まりであるなら、議論はやがて収れんをされてまいります。むしろ、一人一人の政治家が悩み、考えながら、政治家同士の議論の中から答えを一つにしていく、結論を導き出すことが自然であり、右向け右、上意下達、命令一下で動くという意思決定の基盤よりは強いと考えております。
 社会保障・税一体改革は、政府・与党において、昨年の六月、成案に至るまで議論を重ね、さらに、本年一月の政府・与党の改革本部素案に収れんされる過程の中でも議論が積み重ねられてまいりました。そして今、この素案について、国民の負託を受けた国会議員、政党が議論を行い、一つの回答を導き出していくことをお願いをしております。政治の責任、政治家の存在意義が問われていると思います。
 社会保障・税一体改革は、この政権で成し遂げなくてどの政権で成し遂げられるのかと思います。抜本改革は、自公政権から受け継がれているものであり、与野党が全ての世代の国民に果たすべき政治の責任であると確信をしております。私自身、野田内閣として、あらゆる困難を乗り越え、不退転の決意でやり抜くことを国民の皆様、与野党の皆様に改めて表明をさせていただきます。
 続いて、社会保障改革の全体像、新しい年金制度の制度設計についてのお尋ねがございました。
 一体改革素案では、子ども・子育て、医療・介護、年金など、社会保障制度全般にわたる改革の全体像をお示しをしております。この中では、新しい年金制度についても、所得比例年金と最低保障年金の組合せから成る一つの公的年金制度の創設という基本的な考え方を示し、国民的合意に向けた議論や環境整備を進めた上で、平成二十五年に法案を提出することとしています。
 一方で、新しい年金制度は、その創設までに一定の時間を要することと、創設を行っても当分の間は新制度と旧制度の両方から年金が支給されることから、二〇一五年までの間においても、新しい年金制度の方向性に沿って現行制度の改善を図ることとし、本通常国会への必要な法案の提出に向けて検討を進めます。
 最低保障年金や一元化、そして給付や負担といった新年金制度の具体的な制度設計は、平成二十五年の法案提出に向けて、まずは民主党内で検討をしていくことになりますが、その検討内容について、どのように議論を深め整理するか、党が判断した上で取り扱うことになります。
 なお、相当長期の移行期間を要する新年金制度については、二〇一五年の段階において、現行制度による場合と比較して、消費税率の引上げ幅に影響を及ぼすほどの大きな追加財源が必要になるものではないと認識をしております。
 このように、素案の中では、これまで民主党が主張してきた年金制度改革の検討について時間軸を示した上で一体改革の姿を描いております。是非、御理解をいただいた上で協議に応じていただくよう、重ねてお願いをいたします。
 続いて、普天間飛行場の移設問題についてのお尋ねがございました。
 普天間飛行場の移設問題については、日米合意を踏まえつつ、普天間飛行場の危険性の一刻も早い除去を目指し、沖縄の負担軽減を図ることがこの内閣の基本的な姿勢であります。沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしておりますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えております。政府としては、引き続き、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け、誠実に説明し、理解を求めながら、沖縄の負担軽減を図るために全力で取り組みます。
 昨年九月に私の内閣が発足して以降、関係閣僚が累次にわたって沖縄を訪問して説明を続けているほか、私自身も沖縄県知事を始め関係自治体の皆様とは東京において様々な機会に直接お会いし、意見交換をしております。私自身も適切な時期に沖縄を訪問したいと考えておりますが、具体的なタイミングについては諸事情を十分考慮して判断をしてまいります。
 続いて、武器輸出三原則についてのお尋ねがございました。
 武器輸出三原則等については、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本的な理念に基づくものであり、政府としては、この基本的な理念を引き続き堅持をしてまいります。
 他方、新防衛大綱においては、防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策を検討する旨が明記されているところ、今般の基準は、その指摘にこたえるものとなっており、内外に及ぼす影響などを総合的に勘案した結果、国益にかなっていると考えております。
 また、今後、我が国の事前同意なく目的外使用や第三国移転がされないなどの厳格な管理が実効的に機能する枠組みをしっかりと整備しつつ、適切に運用してまいる所存であります。
 本件については、一昨年末、新防衛大綱を取りまとめた際に、安全保障会議や国会、与党内等において活発な御議論をいただき、その後も関係省庁の副大臣会合や安全保障会議において幅広い視点から検討、審議を重ねてきた結果、取りまとめたものであり、拙速な政策変更との御指摘は当たらないものと考えております。
 次に、金正日国防委員会委員長の死去報道に係る政府の対応についてのお尋ねがございました。
 金正日国防委員会委員長の死去に関する報道が流れた昨年十二月十九日、官邸では、平壌放送等による特別放送がある旨の報告を受けていたため、正午前から関連情報の収集に当たってまいりました。そして、正午の報道を受け、すぐさま官邸対策室を設置するとともに、私から、北朝鮮の今後の動向について情報収集体制を強化すること、アメリカ、韓国、中国等関係国と緊密に情報共有すること、不測の事態に備え、万全の体制を取ることを指示をいたしました。その後、安全保障会議を開催し、関係閣僚に対して情報収集等に全力を挙げるよう指示するとともに、李明博韓国大統領と電話で会談し、緊密に連携することなどを確認をいたしました。
 また、関係省庁においても、各閣僚のリーダーシップの下、それぞれ対策本部を設置するなどして情報収集や監視体制を強化してきたところであり、官邸を中心に政府一丸となって迅速かつ適切に対応してきたものと考えております。
 次に、衆参における一票の格差是正と議員定数削減についての二つの御質問にお答えをいたします。
 衆議院においては、各党協議会で、各党から提案されている一票の格差是正、定数削減、制度の抜本改革の三つの課題について、同時決着を目指して協議を行うこととされていると承知をしております。
 また、参議院においても、一票の格差是正は御指摘のとおり喫緊の課題であり、議長のリーダーシップの下で各会派が協議のテーブルに着き、合意を目指しているものと承知をしております。山口代表の御意見も、参議院選挙制度改革の実現にとって大きな糧となると考えます。
 衆議院においても参議院においても、今国会において速やかに成案を得られるよう、山口代表を始め各党各会派の皆様に御協力をお願いするとともに、そのために私もリーダーシップを発揮してまいる決意でございます。
 続いて、国会議員歳費の削減についてお尋ねがございました。
 行政の無駄を徹底排除することは当然の前提として、議員が自ら身を切る覚悟なくしては、大きな改革、国民負担を語ることはできないと考えます。山口代表から議員歳費削減の御提案をいただきましたが、やはりまず第一に取り組まなくてはならないのは、一票の格差是正と議員定数の削減であると考えております。各党が、選挙制度やあるいは議員の処遇など、それぞれの考え方、提案を持ち寄って、是非、与野党協議で成案を得られるよう与野党がお互いに努力することを提案し、私も努力することをお約束をいたします。
 続いて、独立行政法人改革についてのお尋ねがございました。
 今回の改革は、法人の政策実施機能とガバナンスの強化を主な目的として、新たな制度、組織を構築しようとするものでございます。これにより、一層効率的な業務運営が確保され、従来発生していた無駄を未然に防止することを通じ、将来的に国の財政負担の軽減に寄与していくものと考えております。また、政策実施機能の強化等の観点から法人の在り方を見直したところであり、単なる類型化や数合わせの統廃合を行うものではございません。
 今回の改革は、現行の独立行政法人制度を廃止し、新たな法人制度を構築するものであり、民主党マニフェスト二〇〇九の考え方に沿ったものになっていると考えております。
 続いて、道州制への移行、地域主権改革のスケジュールについての御質問をいただきました。
 地域主権改革においては、まず、受益と負担の相関関係が一番見える基礎自治体、つまり市町村に権限と財源を集中するべきと考えます。その上で、基礎自治体だけでできない部分を広域自治体が補っていくこととし、広域自治体については、当分の間、現行の都道府県の枠組みを基本と考えております。
 ただし、地域の自主的な判断として、基礎自治体の足りないところを補完するための道州制については、将来的に検討していくことはあり得ると考えております。
 地域主権改革のスケジュールや方針については、地域主権戦略大綱や出先機関の原則廃止のアクションプランにも示しており、二十四年度予算では、一括交付金の一層の拡充を図ることとしているほか、現在、国の出先機関の原則廃止に向けて必要な法案を今国会に提出すべく準備を進めるなど、改革を着実に前進をさせているところであります。
 今後とも、進展状況を踏まえながら、逐次、地域主権改革のスケジュール、方針を示し、実行に移してまいる所存でございます。
 最後に、政治資金規正法改正についてのお尋ねがございました。
 山口代表も十分御承知のとおり、政治資金規正法の改正については、公明党の御提案もあり、また民主党の提案もございます。御党の、政治家の監督責任強化も検討に値する御提案であり、内容を詰めるべきと考えますが、我が党が提唱している企業・団体献金廃止は、政治と金の問題の大本を断つ改革案として、御党におかれても賛成である旨を表明されておられると認識をしております。
 前国会でも、御党から御質問をいただき、民主党の企業・団体献金禁止の提案と併せて具体的に協議に入るよう、責任者である党幹事長代行にその旨を指示をいたしました。
 お互いの案だけを主張し合っていては、らちが明かないことは事実であります。両案が共に成立するための協議を行うよう、私も努力もいたしますが、山口代表におかれましても御努力をお願いをいたします。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(平田健二君) 水野賢一君。
   〔水野賢一君登壇、拍手〕
#7
○水野賢一君 みんなの党の水野賢一です。
 みんなの党を代表して質問します。
 まず、総理は、金曜日の渡辺喜美代表への答弁で、橋下市長にシロアリがたからないことを祈ると、何か腹いせのように述べました。あの意味不明な発言は何なんですか。真意を説明してください。
 橋下市長は改革者として注目大とも言いました。では、その橋下市長が期待する改革、地方自治法改正や首長が教育目標を設定できるとの法解釈、道州制法案に基本的には賛成ですか。御自分の言葉でお答えください。
 さて、野田総理は、消費税増税に強い意欲を示しておられます。増税すべきだと主張する方々は、よくギリシャの例を挙げます。消費税を上げないと財政が破綻して大変なことになる、ギリシャのようになってしまうというわけですが、これはギリシャの教訓から学ぶべき点が間違っているのではないでしょうか。
 ギリシャは、消費税に当たる付加価値税率を近年も何度か引き上げています。一九%から二一%、二一%から二三%へと引き上げたところで財政破綻に至りました。つまり、二〇%以上という高い税率を課していたにもかかわらず、財政が破綻したのです。
 ここから学ぶべき教訓は、消費税を上げないとギリシャのようになって大変だというのではなく、どんなに高い消費税を取っていても、一方でばらまきを続け、一方で行財政改革を怠っていれば、財政は破綻してしまうということではないでしょうか。だからこそ、私たちみんなの党は、まずやるべきは徹底した行財政改革だと一貫して主張しているわけです。この点について、総理の基本的な認識を伺います。
 政府が今国会に提出予定の法案には景気弾力条項、つまり、景気が好転しないときは増税しないこともあり得るという条項が入るようです。ということは、景気低迷の時期に増税をすべきでないということ自体は政府も認めているようです。しかし、そもそも、今現在がデフレなんです。こんな中で増税法案を通そうとするのは、時期としても不適当だと考えますが、総理の見解を伺います。
 また、景気弾力条項の内容が具体的にどのようなものになるのか、お尋ねします。
 増税の前にやるべきことがあるというのが、みんなの党の一貫した主張です。議員や公務員といった税金から給料をもらっている人たちが真っ先に身を削るのは、当然です。総理も口ではそう言います。しかし、与党である以上、言うだけでなく実行するかどうかが大切です。
 言うだけであれば、前回の総選挙のときからマニフェストで、衆議院定数八十削減、公務員総人件費二割削減と言っていました。ところが、政権を取って一年が過ぎ、二年が過ぎても実現していません。議員定数を見れば、八十はおろか、たったの一議席さえ減っていないのです。マニフェストも、財源の当てのない選挙目当てのばらまきの部分はともかく、財源の要らない、いや、むしろ財源を生み出すようなこうした部分ぐらいは、せめて実行したらどうですか。
 議員定数も公務員人件費もなぜ約束が果たせていないのか、その理由と反省の有無について伺いたいと思います。
 また、増税を掲げていないマニフェストでさえ定数八十削減を言っていたならば、国民への負担をお願いする以上、もっと深掘りして身を削るのが筋じゃないですか。みんなの党は、衆議院百八十名、参議院百四十二名の大幅削減を掲げていますが、こうしたもっと大胆な削減案を打ち出す考えはありませんか。
 政府案では公務員総人件費は二年に限って七・八%削減とのことですが、消費税増税が恒久措置なのに、なぜこちらは二年限定なんですか、なぜマニフェストでうたった二〇%ではないんですか。二〇%を諦めていないというならば、それに至る工程表もお示しください。
 無駄の削減について伺います。
 まず、天下り問題です。
 民主党は、政権交代前に、天下りと無駄遣いは表裏一体だと言っていました。政権交代によってここに切り込んでくれると期待した有権者も多かったと思います。
 政府は、天下りあっせんは禁止したと言います。しかし、我が党の桜内文城議員が一昨年出した質問主意書によって、政権交代後に早期退職勧奨、いわゆる肩たたきを千五百九十人に対して行っていたことが明らかになりました。そして、そのうち拒否をしたのは、たったの二名です。何のあっせんもなしに九九・九%の人が退職勧奨を受けて唯々諾々と従ったという説明など、信じろと言っても無理というものです。本当に天下りあっせんはないと断言できますか。
 また、さきに述べた千五百九十名というのは政権交代から一昨年八月までの数字です。政権交代から現時点まで合計で一体何人に対し早期退職勧奨を行い、そのうち何人が断ったのですか。また、本省課長級以上の幹部職員に限ればどうですか。併せて数字をお答えください。
 民主党の言う天下り禁止は、天下りの全面禁止ではなく、あくまでも天下りあっせん禁止なんです。しかも、それさえ実現しているのか疑わしいのは今申し上げたとおりですが、あっせんによらない天下りについては、これが続いていることを民主党自身が認めています。政権交代から一年後の参院選マニフェストに、「「あっせん」によらない、隠れた天下りはいまだに続いており、」と明記しています。そして、「引き続き取り組みます。」とも述べています。
 まず、あっせんによらない隠れた天下りとは具体的にどのようなものを指すのか、伺います。そして、参院選から一年半がたちました。引き続き取り組んだ結果、この隠れた天下りは根絶されたのですか、お伺いします。
 独立行政法人について質問をします。
 先日、政府は、独立行政法人の数を百二から六十五に統廃合し、特別会計の数も六つ削減することを決めました。ただ、国民の関心は、独立行政法人の数が幾つになるかではなく、統廃合によってどれだけの無駄が削減できるかだと思います。無駄遣いの撲滅がなければ、数だけ減っても単なる数合わせです。
 マニフェストには、独法・特会改革で六兆一千億円を捻出すると数値目標入りで書いているじゃないですか。今回の独法、特会の統廃合によってどれだけの金額が捻出される見込みなのか、お答えください。
 天下り、独法、特会にメスを入れるのが本当のシロアリ退治のはずでしょう。消費税増税については既にスケジュールを出しているのです。シロアリ退治もスケジュールと数値目標を出してください。
 私たち国会も、定数削減に加え、もっと大胆な改革が必要です。みんなの党は、将来的には憲法を改正して一院制にすることを主張しています。これによって、議員数はもちろん、職員数の削減や意思決定の迅速化なども期待できます。
 ところが、一院制の議論は参議院では党派を超えて反対の大合唱になるのが常です。参議院を廃止するとはもってのほかという本能的な反発があるようです。私たちは衆参統合の一院制を唱えており、単純な参議院廃止論ではありませんが、どうしてもこうした保身の本能による反発は避けられないようです。しかし、本当に身を切るというならば、こうしたこともタブーとせずにしっかりと議論すべきではないですか。総理の見解を伺います。
 私たちは、今なすべきことはこれらの改革であって、消費税増税ではないと考えています。一方、総理は、増税が必要だと思い込んでおられるようです。きれいに言えば、使命感を持っていらっしゃるんでしょう。しかし、私たちは、上げるべきでないという強い使命感を持っています。考え方が違うのは仕方がありません。ならば、選挙で決着を付けるしかないではありませんか。総選挙で堂々と税率一〇%を掲げて戦ってください。みんなの党は、あくまでも増税反対を訴えます。これで正々堂々戦いましょう。解散して、増税は是か非か、国民の信を問う覚悟があるかどうかについて伺います。
 続いて、国会運営の在り方について質問します。
 総理は、消費税問題について与野党協議を呼びかけています。みんなの党は、国会で大いに議論すればよいことで、外で談合する必要はないと考えています。国民の中には話合いぐらいは応じるべきじゃないかという方もおられるでしょう。しかし、民主党政権のこれまでの姿勢は、民主、自民、公明の三党協議を進め、三党で合意をしたら、あとは国会審議はすっ飛ばしてすぐに可決、成立させるということの繰り返しだったのです。
 例えば、前国会の会期末に、三党で合意をしたからといって、労働者派遣法を参議院審議僅か一日で成立させようともくろんだのは、そのもくろみは失敗しましたが、それをやろうとしたのは、今ひな壇に座っている当時の民主党国対委員長ではありませんか。政党間で話し合うことが全て悪いとは言いませんが、そこで合意を得たら、あとは国会審議をろくに行わず一気呵成に進むというのは、本末転倒であり、明らかな間違いです。総理、こうしたこれまでの国会運営への反省はありますか。
 次に、原発・エネルギー政策についてお伺いします。
 東京電力は、家庭用の電気料金も値上げする方針です。しかし、東電の管内に住んでいる家庭も小規模事業者も東電以外の電力会社を選ぶことができないんです。値上げされても東電から買わざるを得ない。電力自由化が進んでいないからです。原発事故の責任者たる独占企業が値上げを申請しているにもかかわらず、国民は他の会社を選べない、こんなばかな話はありません。枝野大臣も徹底した経営合理化をしなければ値上げは認めないと言いますが、具体的にどこまで東電に身を削ることを求めますか。
 電力会社はオール電化をさんざん宣伝していました。その宣伝費さえ総括原価方式で電気料金に組み込んでおいて、オール電化を普及させたら、今度は値上げとはどういうことですか。
 電力会社には使用済核燃料を再処理するために積み立てた費用があるではないですか。再処理をして核燃料サイクルを実現するのがもう無理なのは、誰の目にも明らかです。それならば、まず、そうした費用を取り崩すことを求めるべきではないですか。現在、再処理のために積み立てられている金額が何兆円に上るのかも含めて、お答えください。
 再生可能エネルギー普及への熱意も疑わざるを得ません。昨年、再生可能エネルギーの買取り法が成立しました。今後普及するかどうかの鍵を握るのが、買取り価格です。そして、それを決定するのが、国会同意人事である五名から成る調達価格等算定委員会です。ところが、昨年秋に政府が提示してきた人選案に対しては、五名のうち過半数が普及に慎重、反対の人たちではないかとの批判が強く上がりました。法律で、最初の三年間は特に集中導入期間としているんです。少なくとも、この集中導入期間の委員の場合は、再生可能エネルギー導入に前向きの人たちを多く登用するのは、法律の趣旨からして当然じゃありませんか。経済産業省は今国会に改めて人事案を提示すると思いますが、見解をお伺いします。
 この同意人事に関しては、とんでもないことが明らかになりました。最初に政府が民自公の三党にどういう人事にしましょうかと推薦を依頼して、三党が推薦してきた人を追認する形で政府案として国会に提示するという、前代未聞のことをしていたのを役所自身が認めたのです。三党が推薦した人を政府案として出せば衆参両院で否決される心配がないと思ったのでしょうが、これでは自作自演、やらせじゃありませんか。結果として採決に至らなかったからといって、不問に付すわけにはいきません。大臣に、このやり方への反省があるかどうかを伺います。
 また、官房長官には、他の同意人事案件において、今後はこうした自作自演はしないという約束をしていただきたいと思います。
 みんなの党は、電力自由化を掲げています。ただでさえ高い日本の電気料金を下げるためにも、地域独占を打破するためにも、自由化をもっと推進すべきです。そして、それを実効あらしめるためにも、発送電分離にまで踏み込むべきです。政府も検討はしているようですが、電力自由化、発送電分離をどのような形で進めようとしているのか、経済産業大臣に伺います。
 枝野大臣にはこうした改革に邁進してもらいたいと期待しますが、懸念もあります。報道によれば、東京電力が多額のパーティー券を購入していた十名の議員として、自民党のいわゆる商工族議員らと並んで大臣の名前も挙がっていました。法的には問題ないのかもしれません。報道が全部正しいと言うつもりもありません。しかし、所管大臣であり、重要な時期であるからこそ、きちんとした説明を求めます。そんなにたくさん買ってもらっていたのですか。また、返金の考えがあるかどうかについても伺います。
 ちょうど十年前の平成十四年に、ある月刊誌上に、枝野幸男衆議院議員、私、そして、ほかの二人の参議院議員と計四人で、一緒に政治資金の在り方や透明性、説明責任について提言をしたことがありました。政治と金の問題で建設的な提言をした大臣だからこそ、真摯な答弁を期待します。
 選挙制度の在り方について伺います。
 民主党は、衆議院小選挙区について、〇増五減を提唱するようになりました。これで一票の格差は二倍以内に収まるといいますが、そもそも、二倍以内ならばいいなどという発想自体が間違っているんです。二倍ということは、一票の人がいるのに対して〇・五票の人が残るということです。清き〇・五票などということはあり得ません。同じ国民が投票権でこんなに不平等でいいはずがないでしょう。私たちみんなの党は、完全一人一票を目指しています。そして、それは、空論ではなく、私たちの言う全国集計比例代表制であれば可能なんです。しかも、個人名投票もできます。
 総理は、国政選挙で一票の格差があってもやむを得ないと考えているのですか。もしそうならば、何倍以内ならば構わないと思っているのでしょうか。また、我が党が主張している完全一人一票の全国集計比例代表制という改革案について、どのような見解を持たれますか。
 今年は、多くの主要国で大統領選挙や指導部の交代がある変動の年と言われています。一方、国内の政治は、今年に限らず毎年首相が替わっているのが現状です。昨年まで六年連続して元旦の総理大臣と大みそかの総理大臣が違うという年が続いています。本来ならば少しは長くやってくれと思いたいところですが、残念ながらそう思えないのが現状です。
 こうした中、私たちみんなの党は、統治機構を含めた抜本的な刷新が必要だと考え、首相公選を唱えています。もちろん、本格的な導入には憲法改正が必要ですが、まずは、国政選挙のときに首相を選ぶ参考投票を実施して、その結果を基に国会議員が首班指名に臨むという、そういう法改正を提案しています。こうした事実上の首相公選によってころころ総理が替わるのは、野田内閣の退陣をもって最後にしたいと思っています。
 このような首相公選といった統治機構の抜本改革への総理の見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(野田佳彦君) みんなの党を代表しての水野賢一議員の御質問にお答えをいたします。
 まず最初に、衆議院本会議における私の発言についてのお尋ねがございました。
 みんなの党、渡辺代表に申し上げましたことは、決して腹いせでも皮肉でもなく、みんなの党、橋下市長の行政改革に対する提案と取組に対して敬意を表しつつ、税金の無駄遣い根絶への取組は不断の努力とチェックが必要であり、常に税金の無駄遣いが新たに発生する、あるいは、しがらみが発生するというおそれがあるということを申し上げたものでございます。
 行政刷新、行政改革を追求し、税金の無駄遣いの根絶を目指すという目標を共有する者として、その決意に対してエールを送るとともに、お互いに切磋琢磨し合うことを表明したものであります。
 また、橋下市長の御主張について一つ一つお尋ねがございましたが、それぞれの事柄については、御党の渡辺代表にもお答えしたとおりでありますけれども、よくその中身を検討し、勉強していく必要があると考えております。
 続いて、消費税率の引上げと財政破綻についてのお尋ねがございました。
 ギリシャの近年の二度の付加価値税率の引上げは、財政が危機に陥った後、厳しい財政健全化を強いられる中で行われたものであり、付加価値税率を引き上げたために財政危機に陥ったわけではないものと承知をしています。ギリシャが財政危機に陥ったのは、国債市場が安定をしていた時期に歳入と歳出の乖離を放置して、財政健全化への取組を怠ってきたことに根本的な原因があると考えており、我が国への教訓は、金利が低位安定している今の段階で財政健全化にしっかりと取り組むべき、そういうことではないかと私は理解をしております。
 無駄削減や行政改革は今後とも不断に続けなければならない課題であり、今回の一体改革も、経済再生、身を切る政治改革、行政改革とも一体で包括的に進めていく所存でございます。しかしながら、歳出削減や経済成長だけでは、自然増だけで毎年一兆円規模で増加する社会保障の安定財源確保や財政健全化を行うことは困難なのではないかと認識をしています。
 続いて、デフレ下での増税と景気弾力条項についての御質問をいただきました。
 人口構造の急速な高齢化、社会経済状況の変化、欧州の政府債務危機に見られるグローバルな市場動向を踏まえれば、社会保障の充実、安定化を図ることは先送りできない課題でございます。
 一体改革素案では、経済状況の好転を条件として遅滞なく消費税を含む税制抜本改革を実施することとしておりますが、平成二十四年度には、復興需要の増加が着実な経済成長を支え、平成二十五年度以降においては、復興需要が一段落するものの、民需主導の経済成長への移行によって経済が堅調に推移すると考えられることなどから、総合的な判断として、経済状況は好転していくとの見通しが立てられると考えております。
 なお、素案では、経済財政状況の激変にも柔軟に対応できるよう、消費税率引上げ実施前に経済状況の好転について、名目・実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、引上げの停止を含め、所要の措置を講ずるものとする規定を法案に盛り込むこととしております。
 続いて、マニフェストと議員定数削減問題についてのお尋ねがございました。
 マニフェストに関しては、昨年の夏に民主党が中間検証を取りまとめたところでございますが、実現した政策がある一方で、実現できていない政策があることも率直に認めております。実現した政策の中には、財源を恒久的に、あるいは臨時的に生み出した政策もありますが、議員定数の削減と国家公務員の人件費に関しては、実現させるべく全力を挙げている最中であり、今国会中の大きな課題の一つと位置付けております。
 みんなの党の衆参の議員定数削減のお考えはお伺いをいたしましたが、是非、各党各会派の協議に御提案をいただき、合意形成に御努力いただければと考えます。与野党が胸襟を開いて議論し、早急に結論を得ることを強く期待をしております。
 続いて、国家公務員総人件費の二割削減についての御質問をいただきました。
 国家公務員総人件費の削減については、地方分権推進に伴う地方移管、各種手当、退職金等の水準や定員の見直し、労使交渉を通じた給与改定など、様々な手法を組み合わせることにより、平成二十五年度までにめどを付けることとし、二割削減という目標の達成に向けて取り組んでいるところでございます。
 給与臨時特例法案は、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、平均約八%という厳しい給与減額支給措置を平成二十六年三月末までに講じようとするものであります。同年四月以降の給与水準については、引き続き、総人件費削減という目標に向けて適切に対応してまいりたいと考えております。
 続いて、天下りあっせんと早期退職勧奨についてのお尋ねがございました。
 政権交代後、天下りの根絶のために、府省庁による再就職あっせんを内閣の方針として全面禁止するとともに、独立行政法人の役員人事において公募を実施するなど、大いに取組を進めてまいりました。
 平成二十一年九月十六日から平成二十四年一月二十六日までに退職勧奨を行った人数は二千八百人、そのうち退職勧奨を拒否した人数は二人と承知をしております。また、同じ期間、本府省の課長・企画官相当職以上の職員に限れば、退職勧奨を行った人数は千八十四人、そのうち退職勧奨を拒否したのはゼロと承知をしております。
 いわゆる天下りについての御質問を更にいただきました。
 税金の無駄遣い根絶に向けた天下りの根絶は民主党政権の最大の課題であり、二〇〇九年の政権交代直後から真っ先に取り組んでまいりました。
 すなわち、鳩山政権発足直後の九月二十九日の閣議において、鳩山総理から各閣僚に対して、国家公務員の天下りあっせんを直ちに禁止するよう各閣僚に指示を行いました。また、同日の閣議において、「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」を決定し、独立行政法人の役員任命に当たっては公募により選考を行うことを定めました。
 その後も、二〇〇九年十二月には「政府関連公益法人の徹底的な見直しについて」を閣議決定し、国家公務員OBの在籍する公益法人の徹底的な見直しを、翌一〇年五月には特殊会社の役員人事に関する当面の方針についてを閣議決定し、特殊会社の役員人事の公平性、透明性確保に努めているところでございます。
 これらの結果、府省職員が業務として行う天下りあっせんは現時点では行われておらず、また、国家公務員の再就職件数や公務員OBの独法役員は大幅に減少しています。
 しかし、水面下で府省庁職員によるOBへの情報提供が行われている可能性や、公務員OBによる現職職員へのいわゆる呼び寄せと言われる行為など、あっせんによらない隠れた天下りが完全に根絶されていない可能性は排除できず、また、現に、同じ法人の同じポストに特定の省庁出身の特定のキャリアを持つ人が歴代にわたって着任しているという事象が散見されます。国民の皆様から見ても、まだ天下りが横行しているのではないかという疑念が残っていると思われます。
 このような疑念を解消するため、現在、国会に提出している国家公務員制度改革関連四法案の一刻も早い成立を図るとともに、今般立ち上げる行政改革実行本部において更なる取組を進めていく所存でございます。
 続いて、独立行政法人と特別会計の統廃合による財源の捻出についての御質問をいただきました。
 独立行政法人に係る予算の削減額等については、これまで約二兆円の不要資産が国庫納付されることとなったほか、国からの財政支出も政権交代前と比較して約一割の削減となっております。
 今回の独立行政法人改革は、法人の政策実施機能とガバナンスの強化を主な目的として新たな制度、組織を構築しようとするものでございます。これにより、一層効率的な業務運営が確保され、従来発生していた無駄を未然に防止することを通じ、将来的に国の財政負担の軽減に寄与していくものと考えております。
 また、今回の特別会計改革は、全ての特別会計及び勘定について見直しを行い、区分経理の必要性が乏しくなったものを廃止、統合し、国全体の財政状況の総覧性を高め、財政のチェック機能の強化、透明性の向上を図るものでございます。
 これまでも、特別会計の剰余金等については、毎年度の予算編成において可能な限り活用してまいりましたが、先日、閣議決定した特別会計改革の基本方針に沿って、可能な限り一般会計に繰り入れることとし、今後も財政資金の効率的活用を進めてまいります。
 続いて、天下り、独法・特会改革のスケジュール等についてのお尋ねがございました。
 天下りの根絶については、これまで申し上げてきたとおり、政権交代以降、取組を深めてきたところであり、現在、既に国家公務員制度改革関連四法案を提出し、一刻も早い成立を図っているところでございます。また、独立行政法人改革、特別会計改革については、先般、基本方針を閣議決定をし、今国会での法案提出に向け、鋭意作業を行っているところでございます。
 行政改革は、政治改革、経済再生とも一体で、社会保障と税の一体改革とまさに包括的に進めていかなければならない大きな課題でございます。聖域なき行政刷新の取組を引き続き進めてまいります。
 次に、一院制についてのお尋ねがございました。
 御党が衆参統合の一院制を提唱されているとのことでございますが、憲法にもかかわる問題であり、政府としてお答えをする立場にはございません。衆参の各党各会派で御議論を進めていただきたいと思います。
 続いて、消費税と解散についての御質問をいただきました。
 野田内閣としてなすべきことは、大震災からの復興、原発事故との戦いに勝ち抜くこと、経済の再生、そして行政改革、政治改革と一体・包括的に行う社会保障・税一体改革をやり抜くことでございます。これらの改革を成し遂げることなく解散を考えることはありません。
 続いて、政党間協議と国会審議に関する御質問をいただきました。
 政党は、国民の負託を受け、国会に議席を占めております。政党間協議は、議会制民主主義、議院内閣制の下での歴史に裏付けられた議論の形態であって、決して談合で片付けられるものではないと私は思います。議会の議場内、会議による審議、議場の外で行われる協議、いずれも重要かつ必要であり、国会は、異なる考え方を持つ会派が様々な形で議論を積み重ねることによって一つの結論を導き出す役割を果たさなくてはなりません。
 政党間協議も国会における協議も様々な形態があり、あらかじめその方法を狭めたり制約したりすることは、かえって議会の機能を限定化する危惧があります。昨年の政党間協議又は国会審議の成果としての法案成立を踏まえるなら、反省ではなく、前進的側面を強化するべき点もあるかと思います。
 次は、選挙制度改革についてのお尋ねがございました。
 一票の格差の問題、選挙制度改革の問題については、各党それぞれの考え方があると思いますが、少なくとも、違憲状態とされている一票の格差是正は喫緊の課題であり、また、議員定数の削減も必要な措置であると考えております。
 衆議院においては、各党協議会において、各党から提案されている一票の格差是正、定数削減、制度の抜本改革の三つの課題について、同時決着を目指して協議を行うこととされていると承知をしています。また、参議院におかれても、議長の下で各会派が協議のテーブルに着いていると承知をしております。
 みんなの党、水野議員の御提案を含め、各党各会派が胸襟を開いて議論し、早急に結論を得ることを強く期待をしております。
 続いて、首相公選制についてお尋ねがございました。
 御党が首相公選制法案を御提案をされたいとのことでございますが、議院内閣制との相違点を含めて内容を十分に承知しておらず、また、憲法にもかかわる問題であり、御党の渡辺代表にもお答えをいたしましたが、内閣総理大臣の立場としてこの場で見解を述べることは差し控えたいというふうに思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣枝野幸男君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(枝野幸男君) 水野賢一議員にお答えを申し上げます。
 まず、東京電力の経営合理化と料金値上げに関する御質問をいただきました。
 原子力損害賠償支援機構と東京電力が昨年十二月に公表した改革推進のアクションプランでは、緊急特別事業計画で示した十年間のコスト削減を更に約一千億円深掘りし、人件費の削減や購買改革を通じ、十年間で約二・六兆円のコスト削減を行うこととしています。
 さらに、東京電力と原子力損害賠償支援機構が今春を目途に策定する総合特別事業計画策定に際しては、あらゆる可能性を排除しない幅広い選択肢を検討し、新生東電の絵姿を国民に分かりやすく盛り込むよう、昨年十二月に東京電力及び原子力損害賠償支援機構に対して指示を行ったところでございます。
 現在、両者において引き続き検討が行われている途中段階でありますが、総合特別事業計画の認定に当たっては、賠償の迅速かつ適切な実施や経営合理化が徹底されているか等の観点から判断をしてまいります。
 また、一般家庭等の電気料金の値上げについては経済産業大臣の認可が必要ですが、現在、私が主宰する電気料金制度・運用に係る有識者会議において制度と運用の見直しを検討しているところです。この中では、御指摘いただきましたオール電化に係る宣伝費の問題も含め、ゼロベースでの検討を進めています。
 規制部門の料金値上げについては、これらの検討がしっかりと行われた後に、御指摘のとおり、ユーザーの側に選択肢がないことを十分に踏まえた上で初めて議論の俎上に上るべき話と認識をしております。
 再処理等積立金に関する御質問をいただきました。
 御指摘の再処理等積立金については、平成二十二年度末における電気事業者十社分の残高は合計二兆四千四百十六億円であり、このうち東京電力分の残高は九千八百二十七億円であります。
 原子力を含む中長期的なエネルギー構成や核燃料サイクルの在り方については、本年夏の革新的エネルギー・環境戦略の策定に向けて、エネルギー・環境会議の場で白地から議論を進めています。
 当該積立金については、その意義、法的位置付け等を踏まえて活用の是非を判断すべきですが、仮に今後再処理を行わないとしても、再処理工場建設のための借入金の返済や再処理工場の解体に要する費用など、様々な費用の発生が見込まれております。現時点の積立金額はこれらの費用にも足りない状況であり、残念ながら他の費用に回すことは事実上困難であると考えております。
 調達価格等算定委員会の人事案に関する御質問をいただきました。
 この人選については、法律の規定に基づき、電気事業、経済等に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから選任することとされております。再生可能エネルギー特措法が再生可能エネルギーの促進のためのものであることはもちろんのことですが、そのことを踏まえつつ、同委員会の委員の構成については、様々な専門性の方が入り、全体としてバランスの取れたものであることが重要であります。こうした点を踏まえながら、現在、この国会に提示させていただく政府案を検討しているところであります。
 なお、これについて、人選の進め方に関して御質問もいただきました。
 この委員会は、民主、自民、公明の三党の政調会長合意に基づく法案修正によって設置が決まったものであり、この三党の合意文書には、人選に当たり三党が御協力いただけることが明記されておりました。こうしたことから、三党に推薦をお願いし、これを参考にさせていただきましたが、あくまでも参考にさせていただいたものであって、追認をしたものではございません。
 国会同意人事について事前に幅広く御相談をすることは、人事の性格上も、また、情報管理の性格上も好ましくないところではありますが、こうした経緯があることに鑑み、異例の判断として行ったものであります。
 電力システム改革についての御質問をいただきました。
 電力システム改革については、従来のシステムがベストであるとの前提には立たず、電力自由化や発送電分離等も含め、白紙から我が国の電力供給システムを見直していくこととしています。
 発送電分離については、昨年末、送配電部門の中立化の方策として、会計分離の徹底、法的分離、機能分離、所有分離といった四つの類型をオプションとして提示したところであります。今後、総合エネルギー調査会に設置した電力システム改革専門委員会の場で、メリット、デメリットを十分に検証しつつ、特に電力の安定供給に支障を及ぼすことのないよう留意しながら、具体的な制度はどうあるべきかについて検討を進めていくことといたしております。
 それから、パーティー券購入に関して御質問をいただきました。
 当該報道で私について報じられているのは、東京電力が一方的に私を査定していたというものでありまして、私が多額の購入を受けていたという報道内容ではございません。にもかかわらず、あたかも多額の購入を受けていたものとの印象を与えるものとなっており、困惑をいたしております。
 私自身、政治資金パーティー、ほとんど開催をしてきておりませんが、これを指摘を受けまして改めて確認をいたしましたが、最近の十年間を全てチェックいたしましたが、この間、いわゆる政治資金規正法に基づく政治資金パーティーは、平成二十二年の三月と十二月に朝食会を二度開催をしたのみでございます。その際は東京電力からそれぞれ五口の協力をいただいておりますが、これ以外にはございません。
 なお、当該政治資金パーティーを含む平成二十二年の政治資金は政治資金規正法に基づき適正に処理しており、返金については考えておりません。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣藤村修君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(藤村修君) 水野賢一議員からは、国会同意人事の手続について御質問をいただきました。
 国会同意人事については、政府の責任において、それぞれ適任と考えられる方を慎重に人選の上、国会に御提示させていただくことが本来の趣旨であり、今後、この趣旨を一層徹底してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#11
○議長(平田健二君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#12
○副議長(尾辻秀久君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。中村博彦君。
   〔中村博彦君登壇、拍手〕
#13
○中村博彦君 自由民主党の中村博彦でございます。
 自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会を代表して、野田内閣総理大臣に質問をいたします。
 小学生のときから志した政治、幾度もの挫折を超え、今をいただきました。国民の皆さんに感謝の心を持ってこの質問をさせていただきます。
 三・一一の大震災、被災地で涙を流し、汗を流し、頑張られる皆さんの姿を見るにつけ、もどかしさと申し訳なさを感じます。今こそ政治の力を速やかに届けなくてはなりません。
 さて、野田総理は施政方針演説で、決められない政治から脱却し、重要な課題を先送りしない決断する政治を目指すと表明されました。しかし、さきに出された社会保障と税の一体改革素案では、重要課題は全て先送りし、まさに決められない政治そのものであります。
 先日、我が党を代表し、中曽根弘文会長が様々な観点から野田内閣の問題点をただされました。私は、引き続いて、社会保障分野を中心に政府の姿勢をただしてまいります。
 さて、日本の経済は、九〇年代以降、成長率僅か〇・九%であります。失われた二十年とも言われる中で、あの東日本大震災が起こり、日本企業は六重苦にあえぎ、産業空洞化に拍車が掛かっております。日本の貿易収支は三十一年ぶりに赤字となり、このままでは経常収支の赤字転落も懸念されています。強力な成長戦略を打ち出さなければ、日本経済の再生はなく、財政健全化を推し進めることはできません。
 しかし、政府の一体改革素案は、医療費窓口負担の引上げや外来患者の定額負担など、国民の痛みを伴う改革については全て先送りであります。年金財源の試算も公表せず、抜本改革についても何ら将来像も示さず、何のための一体改革なのでしょうか。総理は、ほとんどの問題を先送りし、全体像の見えない、具体案のない一体改革素案で国民の納得が得られるとお考えなのでしょうか。
 生活保護制度は、もはや待ったなしの課題であります。生活保護受給者は昨年十月時点で約二百七万人、過去最多を更新し続け、生活保護費は平成二十四年度当初予算で三兆七千億円まで膨れ上がっています。その中でも、保護費の約半分を占める医療扶助では不正受給が増加しており、生活保護は本当に必要な方に適切な措置がなされているのか、多くの国民は疑問と不信感を持っています。
 大阪市のレセプトチェックでは、生活保護者の通院日数が一般の人の十七倍、また、入院請求が月額四十万円も高い、また、架空請求を行っているケースなど、悪質な医療機関が多数あることが報告されています。大阪市の財政は、生活保護費で麻痺寸前であります。これらの悪質な不正が行われているのは、医療費の本人負担がゼロということが誘因となっています。
 総理は、特に問題の多い医療扶助に一時窓口負担を導入するなどの制度改正についてどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。
 また、地方都市を中心に、生活保護受給者の生活扶助、住宅扶助、介護扶助費を当てにした貧困ビジネスが乱立しています。これらは、生活保護や医療、介護保険の制度上の不備がもたらしたものであります。基礎年金の受給額と生活保護受給額の逆転現象や、これらの問題解決をどのようにされるのか、抜本的に生活保護制度を見直す必要があるのではないでしょうか。
 社会保障費と税の関係は、自然増をどのように扱うかが重要なポイントであります。高齢化などにより、現在の制度では、社会保障費は、毎年約一兆二千億円のペースで自然増が生まれ、団塊の世代が六十五歳を迎える今年には一兆五千億円、来年には一兆七千億円も増加すると推測されています。
 総理、これら自然増を容認し、全額消費税で賄うおつもりなのでしょうか。安心、安全の社会保障と言われても、給付と負担の見直しを行わない限り、巨額な赤字と借金は減らず、国民の不安は解消されません。まさに自然増に切り込まない改革は一体改革の名に値しないものであり、年金、医療、介護保険制度などを総点検し、制度設計をやり直し、負担と給付のバランスを取る構造改革なくしてこの難局は乗り切れないと考えます。総理、これらの諸制度を抜本的に改革することで自然増を抑制するというお考えはございませんか。
 世代間格差についてお伺いいたします。
 税や年金は世代間の正義にかかわる社会契約であります。この社会保障の世代間格差、不均衡が今大きな問題になっています。
 内閣府が先日まとめた社会保障を通じた世代間の受益と負担の試算によると、五十六歳より若い世代では、生涯において受け取る社会保障サービスの受益よりも保険料などの負担の方が多くなる支払超過となっています。
 世代が若くなるほど負担が増えます。現在二十六歳、一九八五年生まれでは、生涯収入を三億円として、約三千二百万円の支払超過となっています。若い世代への過大な負担は、夢や希望を奪い、労働意欲を減退させ、ひいては日本の競争力を低下させることになります。日本を担う若い世代が、住みやすく、国に誇りを持って頑張れる社会構築こそ喫緊の課題ではないでしょうか。
 総理、この世代間格差の問題、若い世代に損をさせる制度をどのように改めるか、お聞かせ願いたいと思います。
 総理は施政方針演説の中で、日本再生戦略に関連して、農業、エネルギー・環境、医療・介護の分野を新たな需要を生み出す二十一世紀の成長産業と位置付けられました。医療・介護分野は、大幅な需要超過で供給が追い付かない状況にありますが、規制に阻まれ、質、量とも国民が期待する状況にはなっていません。ますます高齢化が進む中で、この分野を雇用を生む内需産業として育成するには、既得権の温床となっている時代遅れの制度・規制の大改革しかありません。
 総理、日本経済の成長の牽引力として、医療・介護分野をどのように育てるか、決意をお伺いいたしたいと思います。
 日本は、高齢化先進国としてそのノウハウをアジアの国々に輸出することで、新たに需要を生み出すとともに、アジアに大きな貢献ができるものとなります。
 アジアの各国では、急速に高齢化が進んでおります。中国では、六十五歳以上の人口が一億人を突破しました。高齢化率で見ると、二〇五〇年には、日本が三五・六%、台湾が三五・七%、タイで二五・一%、ベトナムで二三・一%などと見込まれています。まさに、高齢化はハイペースであります。老いるアジアであります。
 内視鏡や人工透析装置の医療機器、ベッドや車椅子の介護機器は、アジアのみならず、欧州市場においても高い評価を得ており、輸出品として注目され、これからの日本の製造業を支える主力商品になります。日本の質の高い医療・介護技術がこれから高齢化を迎えるアジアの国々で必要とされることは間違いありません。
 日本は、アジアの経済成長を取り込むとともに、高齢化先進国として、ハード、ソフト面でのノウハウをアジアを始め世界各国に輸出する戦略を描いておくべきであります。そのためには、海外で使われている医療機器や薬が日本で認可、販売されるまで時間の掛かるデバイスラグ、ドラッグラグなど、成長を妨げる規制の大改革が必要であります。総理の御認識をお伺いいたします。
 認知症は、今や国民病、深刻な社会問題になっています。認知症は加齢とともに増加し、八十五歳以上の高齢者では四人に一人の割合で見られます。そして、現在の認知症高齢者数の推計を見てみると、軽度や未発見の者を加えて六百万人にもなると言われています。
 東京都の二〇〇八年十二月の調査では、ケアの必要な認知症高齢者の日常生活自立度U以上の方は約二十一万人であります。そして、その半数の方は居宅で生活をしています。
 この数字を日本全国に当てはめると約二百五十万人となり、厚生労働省が示している二〇一五年の数字と同じであります。このことや各地の統計例から見ると、本人や家族など、認知症周辺の人々は一千万人を超えています。
 もはや、認知症のキュア(治療)と、ケア(介護)は国民的課題であります。厚生労働省は、いまだに二〇〇二年に作られた古い推計を使っています。早急に認知症の実態調査を行い、必要な対策を行うべきではないでしょうか。総理にお伺いをいたします。
 一言に認知症と言っても、その原因は様々であります。疾患別で、アルツハイマー病五〇%、脳血管性二〇%、レビー小体型二〇%と言われています。日本の認知症治療の研究は目覚ましいものがありますが、世界のトップレベルではありますが、しかし、認知症キュアの専門医も、認知症疾患医療センターも不足し、全国的に見ると、到底対応できる数ではありません。
 認知症キュアは、早期発見、早期治療が全てでありながら、原因の特定もできずに、不十分なまま手探りでキュア、ケアが行われています。このように、認知症高齢者に対する公的な支援や受皿となる施設も不足しており、大部分は家族任せであります。そのため、家族介護では二十四時間目が離せず、介護サービスを使っても、その負担は減るどころか、認知症は進み、悪化してしまいます。
 認知症では、中核症状である認知機能の低下によって、それからくる不安やストレスから、BPSDと言われる徘回、妄想、せん妄、幻覚、攻撃的行動、不潔行為など、介護者にとって大きな負担になっています。身体的にも精神的にも追い詰められた家族は、悲惨な介護地獄になり、また、介護のためにやむを得ず退職しなければならない介護離職も後を絶ちません。
 総理、認知症専門医の養成、認知症疾患医療センターの整備について、どのようにお考えなのかをお伺いいたしたいと思います。
 一体改革素案で、地域包括ケアシステムを医療・介護サービス保障の強化の目玉としています。地域包括ケアは、できるだけ住み慣れた地域で在宅を基本とした生活の継続を目指すとしています。それは、サービス提供事業者、自治会、NPO、地域住民によって地域のネットワークをつくり、認知症ケアにも対応しようとするものであります。しかし、専門性が要求される認知症ケアまで住民主体に任せてよいものでしょうか。また、地域包括ケアシステムは、厚生労働省の意を酌む一部の審議会委員の強引な仕切りで地方や現場の声を無視してつくられ、十分な議論がなされないまま推進されています。
 総理は、この地域包括ケアシステムが全国の全ての地域で実現可能なのか、また、住民任せの認知症ケアでいいものなのか、お伺いをいたしたいと思います。
 認知症ケアを含め、介護を必要とする高齢者や家族にとって一番困っておることは、専門性の高いキュアの場(治療の場)、ケアの場(介護の場)が大きく不足していることであります。
 もう一つの大きな問題点は、サービスの質の問題です。科学的な質の高いケアを提供する事業体がある反面、それができない旧態依然とした事業体が多く残っています。これらの措置型事業体は、ガバナンスもなく、科学的介護や人材養成もできず、非効率で収支差額管理もできておりません。
 一方、疾患別アプローチや水分補給をベースにした認知症ケアを実践し、廃用症候群の予防と改善を目指すリハビリテーションを強化し、自立支援ケアに取り組んでいる事業体も全国には大きく広がっています。ケアの質が良い悪い、事業体の格差があり過ぎます。ケアの質が悪い事業体をどうしますか。大胆な供給体改革しかないのではありませんか。
 今、日本は大きな転換期を迎えています。多くの若者は、押し寄せるグローバル化の波の中で、閉塞感のある日本を飛び出し、高度成長の続くアジアで世界を肌で感じながら働こうとしています。
 しかし、日本の外国人の受入れはどうでしょうか。留学生受入れ一つ取っても、新成長戦略では二〇二〇年までに三十万人の受入れを目指すとしていますが、現在の外国人の留学生数は僅か十三万八千人にとどまっています。無策としか言いようがありません。
 平成二十一年七月、法改正されましたが、JITCO(国際研修協力機構)の外国人研修・技能実習制度は、今なお低賃金や不当な扱いなど、人権を無視した制度に非難が集中しています。
 スポーツの世界においても、年末、都大路を駆け抜ける全国高校駅伝では、外国人留学生枠をつくり、花の一区を走らせないなど、外国人の差別的な扱いは誠に残念であります。
 我が国の若年労働者の減少は著しく、日本企業を直撃しています。特に、社会保障の分野においては深刻な人材不足であります。介護に従事する職員は、二〇二五年までには百万人規模の増員が必要であります。しかも、認知症ケア、リハビリなど、専門性の高い人材が求められています。まさに、アジアの人材が必要なのであります。
 平成十八年に小泉首相とフィリピン・アロヨ大統領の間で、平成十九年には安倍首相とインドネシア・ユドヨノ大統領との間で経済連携協定の署名がなされました。看護師・介護福祉士候補生の来日が実現しました。両国合わせて二年間で二千人、四年間で四千人を受け入れる約束でしたが、千三百人程度しか来日していません。これは民主党政権の冷たい規制の結果であり、日本国内の受皿事業者はニーズがあっても手を挙げられないのであります。この日本国政府の姿勢に対し、両国の政府関係者は不信、不満を表明しております。総理、この契約不履行に近い実態をどのようにお考えなのでしょうか。
 昨日、インドネシアの介護福祉士候補者たちが国家試験に臨みました。彼らの三年間の苦しみ、葛藤、涙ぐましい努力には頭が下がる思いです。彼らは、母国で大学や看護学校を卒業し、看護師や介護士資格を得た、現場でもすこぶる評判が良く、みんなから期待されています。意欲ある優秀な人材を日本語の壁だけで追い返すのか、ぬくもりのある制度へつくり替えなければならないのか、総理、考えをお願いいたします。
 私たち日本は、歴史上経験したことのない少子化、高齢化による人口減少社会に突入しています。今、世界はグローバル時代。グローバル戦略あってこそ国は栄えます。この難しい大転換期を生き抜くには、時代遅れの制度、既得権を温存する規制を改め、国民に全体像を示し、議論し、結論を出す。今まさに、一八六八年、幕藩体制から明治維新を起こしたごとく、大変革が必要なときではないでしょうか。
 しかしながら、今の野田政権は、社会保障改革一つ取ってみても、提案能力も実行能力もありません。野田総理、あなたは、政治家になぜなったのですか。あなたは、総理になぜなったのですか。なぜやらないのですか。私には考えられません。これ以上の問題先送りは、国民にとって不幸なことであり、日本の将来に大きな影を落とします。一日も早く国民の審判を仰ぎ、国民の信を得た政権によって日本再生大改革を進めなければなりません。
 汗する友、涙する友、貧しき友、日本の友、アジアの友、世界の友、これらの友に光の当たる政治を、たとえそれを阻む勢力があろうとも、ひるまず、乗り越えて頑張る覚悟でございます。
 私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党、中村議員から社会保障を中心に御質問をいただきました。
 まず最初に、社会保障改革の全体像についてのお尋ねがございました。
 社会保障・税一体改革素案では、子ども・子育て、医療・介護、年金など、社会保障制度全般について充実と重点化、効率化を併せて行うこととし、その改革の全体像を具体的に示しています。この中で、重点化、効率化について、年金の物価スライド特例分の解消など、内容や時期を明確にしているものもあれば、七十歳以上七十五歳未満の方の患者負担の見直しなど、方向性と期限を明示して検討を進めるものもあります。また、新しい年金制度については、基本的な考え方を示し、国民的合意に向けた議論や環境整備を進めた上で、平成二十五年に法案を提出することとしています。
 今後とも、社会保障改革の意義や全体像について、国民に分かりやすく丁寧に情報発信し、御理解が得られるよう努めてまいります。
 続いて、生活保護の医療費の窓口負担導入についてのお尋ねがございました。
 生活保護受給者に適正な受診を行っていただくことは重要であります。しかし、本人が負担する受診時窓口負担を導入することは、金銭的な理由により必要な受診を抑制してしまうおそれがある等の理由から、慎重な検討が必要と考えております。このため、二十四年度においては、電子レセプトの活用や後発医薬品の使用促進により、医療扶助の適正化への取組の更なる強化を図ってまいります。
 続いて、生活保護制度の抜本改革についての御質問をいただきました。
 生活保護受給者等を劣悪な施設に住まわせ、その意に反して保護費を搾取する、いわゆる貧困ビジネスについては正していくことが必要であります。また、年金制度と生活保護制度はその役割や仕組みが異なっており、御指摘のような単純な比較はすべきものではないと考えます。
 しかしながら、生活保護受給者が現行制度下で最大である二百七万人を超えるといった状況を踏まえ、一体改革素案に示したとおり、重層的セーフティーネットの構築に向け、生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて総合的に取り組んでまいります。
 次に、社会保障の自然増とそれを抑制するための構造改革についての御質問をいただきました。
 我が国は、少子高齢化の急速な進行により、毎年一兆円規模の社会保障の自然増が不可避となっており、社会保障の持続可能性を確保するためには、給付の水準に見合った負担を国民全体で担っていかなければなりません。このため、今回の一体改革素案では、消費税率を段階的に一〇%引き上げ、その引上げ分を全額社会保障財源化し、社会保障の安定財源を確保することとしております。
 具体的には、五%の引上げ分のうち、一%分に当たる二・七兆円程度で社会保障の充実を賄うこととするとともに、四%分に当たる十・八兆円程度で社会保障の自然増や安定財源が確保できていない既存の社会保障費などの社会保障の安定化を賄うことにしております。さらに、今回、年金の物価スライド特例分の見直しなど、社会保障の重点化、効率化にも取り組むことにしております。
 しかしながら、毎年一兆円規模の社会保障の自然増への対応はこれらだけでは困難であり、一体改革をこれ以上先送りすることは許されないと考えております。
 社会保障の世代間格差についての御質問をいただきました。
 社会保障を持続可能なものとするため、給付は高齢世代が中心、負担は現役世代が中心という現在の社会保障制度を見直し、給付と負担の両面で世代間と世代内の公平が確保された制度へと改革することが必要であります。このような基本的な考え方に立って、少子高齢化が急速に進む中、子育てや若者就労への支援を強化するなど、全世代を通じた国民生活の安心を確保する全世代対応型の社会保障制度への転換を目指してまいります。
 また、高齢化が進む中で、勤労世代など特定の人への負担が集中しないものであることが必要で、消費税は高齢化社会における社会保障の安定財源としてふさわしいと考えております。
 医療・介護分野の成長についてのお尋ねがございました。
 医療・介護分野は、雇用の創出という意味でも、国民経済を支えるサービス市場という意味でも、将来的に有望な分野でございます。日本経済の持続的な成長を維持するためには、長寿社会に資するイノベーションを起こすことで成長産業の発展を促していくことが重要でございます。このため、革新的な医薬品や医療機器の実用化などに向けて、規制・制度の改革や資源の集中投入を図ることで、成長産業としての医療・介護施策を推進をしてまいります。
 デバイスラグやドラッグラグについてのお尋ねがございました。
 欧米では使用が認められている医療機器や医薬品が国内では承認されていないため使用できない、いわゆるデバイスラグやドラッグラグの解消は喫緊の課題でございます。
 現在、平成二十二年六月に閣議決定した新成長戦略に基づき、承認審査の迅速化のため、審査機関における人員増強等の審査体制の充実を図っております。さらに、比較的安全性の高い医療機器について、国による審査から民間の審査機関による認証制度への移行等の取組を行ってまいりました。
 今後とも、優れた医療機器や医薬品がより早く患者に届くよう取り組んでまいります。
 続いて、認知症の実態調査や医療体制についての御質問をいただきました。
 認知症高齢者数については、平成二十四年度までの予定で、厚生労働省の補助金により専門家の研究班が調査、推計を行っているところでございます。いずれにしても、この結果なども踏まえながら、引き続き必要な対策を講じてまいります。
 また、認知症に対して早い時期から適切な対応を行うためには、認知症に関する医療の質の向上を図ることが重要であり、地域医療体制構築の中核を担う認知症サポート医の養成や専門的な医療機関を充実させていく必要があります。
 御指摘の認知症疾患医療センターは、現在、全国で百四十七か所設置されていますが、ニーズを十分充足しておらず、今後とも、地方自治体や医療機関の協力を得ながら整備を推進してまいりたいと思います。
 続いて、地域包括ケアと介護サービスの質についてのお尋ねをいただきました。
 認知症の方も含め、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが包括的に提供されることが重要であります。このため、認知症の方を地域で見守る取組の推進や、グループホームや小規模多機能型サービス等の認知症に対応した在宅サービスの強化を進めております。
 その際には、利用者にとって適切なサービスを提供するためにも、サービスの受け手を中心に据えて、引き続き各地域における地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいります。また、ケアの質についても、情報公表制度の活用などにより利用者の適切な選択を促すとともに、平成二十四年度介護報酬改定においてもリハビリテーションなどの自立支援型の取組を重点的に評価するなど、今後とも、質の高い介護サービスが提供されるよう必要な取組を行ってまいります。
 続いて、経済連携協定による看護師、介護福祉士候補者の受入れ実績と制度の評価についての御質問をいただきました。
 フィリピン、インドネシア両国からの看護師、介護福祉士候補者の実際の訪日人数は、現在の受入れ環境の下で、病院や介護施設の求人と求職者とのマッチングの結果により決まるものでございます。一方、国家試験の合格者については、介護福祉士候補者は昨日初めて受験が行われたところですが、看護師候補者については、昨年、三百九十八人の受験に対して合格者は十六人となっており、合格率が低迷していることは残念に思っております。
 このため、政府はこれまで、協定で決まっている訪日後六か月間の日本語研修に加え、訪日前の日本語研修の実施、国家試験に向けた候補者の学習支援、国家試験での平易な日本語への置き換えなどの用語の見直し、特例的な滞在期間の延長など、様々な受入れ改善を図ってまいりました。
 今後も、意欲と能力のある候補者が一人でも多く試験に合格できるよう取り組んでまいります。
 最後に、私が政治家になった理由、総理としての提案、実行能力についてのお尋ねがございました。
 私は、中村議員と違って小学生のころに政治家を志したわけではありませんが、青年の時代に、希望と誇りある日本を取り戻したい、そういう思いを抱き、政治家を目指しました。この原点をしっかり踏まえながら、分厚い中間層の復活を通じて、今日よりもあしたが豊かになるという、そういう日本をつくるために頑張っていきたいと思いますが、その前に立ちはだかっている大きな課題、これは再々申し上げておりますけれども、我が内閣の最大の課題は、震災からの復興と原発事故との戦い、そして日本の経済の再生、それから、経済再生とも一体となって行革、政治改革と包括的に進めていく社会保障と税の一体改革、こういう困難を皆様の御協力もいただきながら乗り越えながら、目指している社会の実現に一歩一歩前へ進めていきたいと考えております。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#15
○副議長(尾辻秀久君) 藤原正司君。
   〔藤原正司君登壇、拍手〕
#16
○藤原正司君 民主党の藤原正司です。
 民主党・新緑風会を代表して、第百八十回国会における野田内閣総理大臣の施政表明演説、以下政府四演説について質問させていただきます。
 質問に入るのに先立ち、一言申し上げます。
 三・一一の東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故から、はや十か月余りがたちました。改めまして、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さんに心からお見舞い申し上げたいと思います。
 私は、昭和三十九年に電力会社に就職して以来、約四十八年、現在の電気事業の物の考え方、価値観とかかわってまいりました。特に、参議院議員になってからの十年がそうでした。
 そして、昨年三月十一日、東日本大震災が発生いたしました。マスコミを中心として、現在の原子力を中心とするエネルギー源、電力供給体制の在り方が諸悪の根源かのごとく喧伝されてまいりました。これらに対し、自らが被災者でありながらも黙々と復旧作業にいそしむ電力の仲間などから、何とかならぬのか、俺たちがそんなに悪いことをしてきたのかなど、悲痛な叫びが私の元に届けられています。
 そんな中で、改めて四十八年の我が身を振り返り、現段階で出した私の結論が以下です。
 一つ目に、東日本大震災は、福島を中心に放射能汚染を伴った過去に例を見ないものであり、このことによって、発電所周辺の方々に、帰るめどもないまま、ふるさとを捨てざるを得ないなどの打撃を与えた大災害であって、このことは、他のどのような理屈でも説明の付く問題ではない。被災された方々に対し、国を挙げて御支援申し上げなければならない。
 二つ目に、一方、一億三千万の民を飢えさせてよいものというものではない。我が国が、今日まで、そして今後、何をもって国民を食べさせていくのか、国として立国していくのか、冷静な検討が必要である。
 要は、この二つを一緒にしないで、しかも、当面の対策と中長期の対策を分けて考えていく必要があるということであります。
 昨年の四月、私は経済産業委員会で副大臣に対し、福島第一原子力発電所で復旧に当たっている者もまた被災者であり、必死に復旧にいそしんでいる。世論から悪者のように言われながら家族共々復旧等にいそしんでいる者たち、原子力が国策民営と言われる中で、何の責任もない多くの仲間が危険を顧みず、ひたすら復旧にいそしんでいる。この人たちに一声声を掛けてやってください、副大臣、とお願いしました。これに対し、松下副大臣は、快く対応していただきました。
 総理、ステップ2を達成し、ようやく現場は一息ついたかもしれませんが、これまでのこと、長く続くこれからのことを考えて、国民の代表としての総理からも、現場の人たちに一声声を掛けてやっていただきたいと思います。
 東京電力に全ての責任があるかのように言われる理由の一つに原子力損害賠償法、いわゆる原賠法ですね、特に原子力事業者に無過失責任を負わすことを定めた第三条があると思います。
 民法の原則は、過失責任です。ただ、原子力の場合、原告となる被災者には訴訟能力はあるのだろうか、たとえ訴訟を起こし、勝訴しても、賠償を得られるのはいつのことになるのであろうかということを考えれば、民法の特例として原子力事業者の無過失責任となっていることも十分理解はできるわけであります。でも、それは、賠償金の仮払いを命令するとき、このことを国が十分説明しなければ、やっぱり東電が悪いことをしているから払うてんねやでということになってしまいます。
 私は、原子力事業者に過失がないとは一言も言っておりません。しかし、過失の有無を問わずに原子力事業者に賠償責任を負わすのが原子力損害賠償法の精神であることを十分に踏まえて対応する必要があるのではないでしょうか。
 また、よく引き合いに出されるJALとの違いも含めて、枝野経済産業大臣の御見解を承りたいと思います。
 次に、地球温暖化問題についてお尋ねします。
 子々孫々に美しい地球を残すことは人々に課せられた壮大な課題であり、何人たりともこれを否定することはできません。しかし、それをそれぞれの国がどう分担し、対応するかということを決めようとしますと、取決めに拘束力を持てば持つほど血の雨が降るのです。それは、国際的な地球温暖化対策交渉が一皮むけば経済戦争だからです。
 その意味で、鳩山元総理が国連演説で表明された、一九九〇年比でいえば二〇二〇年までに二五%削減を目指すの前提、世界の全ての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築は、地球温暖化対策の真理を述べたものであり、称賛に値します。
 そこで、地球温暖化対策が経済成長を阻害することを嫌う国や、これで金もうけをしようとする国など、多くの国の利害が対立する中で、日本はポスト京都議定書にどう臨もうとしているのでしょうか、総理の決意をお伺いします。
 次に、TPP協定交渉参加についてお尋ねします。
 昨年末に南アフリカで開催された第十七回気候変動枠組条約締約国会議における政府の交渉は、称賛すべきものでありました。安易に妥協し国益を損なうことなく、世界の全ての主要国における公平かつ実効性のある国際枠組みの構築という原則を堅持し、将来の枠組みに関し、法的文書を作成するための新しい作業部会の立ち上げが合意されたのは、我が国外交の重要な成果であります。総理は、アジア太平洋地域の安定と繁栄を実現する先駆けとしてFTAAP構想の実現を挙げ、TPP協定への交渉参加に向けた関係国との協議を進めていくことを明言されました。
 一方で、TPP協定への交渉参加については、反対の声の根強いことも事実です。反対される方々の一番の不安は、弱腰の日本がTPP協定への交渉に参加すれば、関係国のカモにされ、国益を損ねる協定を締結してしまうのではないかというものではないでしょうか。反対される方々の不安を取り除く意味でも、TPP協定への交渉参加に当たっての総理の決意をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、経済情勢の認識についてお尋ねします。
 東日本大震災により、我が国経済は、一時期停滞を余儀なくされましたが、昨年半ばに震災前に近い水準まで回復いたしました。しかし、秋以降は、欧州の信用不安を受けた世界経済の減速や歴史的な円高の進行、そしてタイの洪水被害も相まって、輸出が牽引する構造の我が国経済は再び厳しい局面に立たされています。
 まず、日本経済の現状をどのように見ておられるのか、総理の認識をお伺いいたします。
 次に、デフレ経済の脱却についてお尋ねします。
 我が国経済を長年にわたり停滞させているのが、デフレです。我が国経済は、需要の低迷、物価の下落、賃金の減少という悪循環からいまだ抜け出せておらず、金融政策の効果も限定的と言わざるを得ません。デフレ脱却の戦略をどのように描いておられるのか、総理にお伺いいたします。
 次に、産業空洞化対策についてお尋ねします。
 産業の空洞化が叫ばれて久しい日本にあって、産業対策をどう講じていくか、すなわち、この国の民、一億三千万人を飢えさせない手だてを考える必要があります。世界経済の減速もさることながら、現在の我が国経済の最大の足かせは円高です。企業の懸命な努力が投機的な円高で吹き飛んでしまうような、そういう状況は一刻も早く是正しなければなりません。
 また、国内製造業は、円高を始めとするいわゆる五重苦と言われる厳しい状況にありますが、それに加えて、電力供給不安まで抱え、六重苦という環境下で、製造業の現場では悲鳴にも似た声が上がっています。刻一刻と進む国内産業の空洞化と雇用の流出を何としても阻止しなければなりません。
 こうした状況に対する国の責務をどのようにお考えでしょうか。総理の御所見をお聞かせください。
 次に、エネルギー政策の見直しについてお尋ねします。
 今日大きな懸案事項となっているホルムズ海峡問題で、エネルギーセキュリティーの重要性が再認識されました。エネルギーセキュリティーについては、基本に立ち返って再度強化を図る必要があると考えております。エネルギー自給率が僅かに四%しかない日本にとって、エネルギーの選択肢を数多く持つことが極めて重要です。石油、石炭、LNGの化石燃料、風力、太陽光などの再生可能エネルギーだけではなくて、燃料調達の国際交渉力を始めとする競争力の維持という観点からも、原子力を含めたベストミックスの構築が不可欠と考えますが、総理の御所見をお聞かせください。
 二十四日の施政方針における、経済再生のためにはエネルギー政策の再構築が欠かせない、そのためには、国民の安心、安全を確保することを大前提にしつつ、経済への影響、環境保護、安全保障などを複眼的に眺める視点が必要ですのくだりは、すばらしいものでございました。
 その上で、申し上げます。
 今夏のエネルギー政策の見直しに当たっては、理想や感情論だけではなくて、国際情勢、日本のエネルギー需給の実態等も踏まえ、時間軸や計画がうまくいかなかった場合の代替手段なども考慮し、地に足の付いた議論をすべきだと考えますが、総理の御見解をお聞かせください。
 次に、電力体制の見直しについてお尋ねします。
 電力システムの見直しについては、最近の報道では、再生可能エネルギー等分散型電源の導入や発送電分離という形や体制論ばかりが先行して、当面の対策と、今後時間を掛けなければならないことがごちゃごちゃになっているような気がいたします。また、発送電分離さえすれば全てうまくいく、何の問題も生じないかのような夢のような話がされておりますが、本当なのでしょうか。まずは、何のための、誰のための改革なのか、そして、そのリスクは誰が負うのかをオープンな場で慎重な議論をする必要があるのではないかと考えます。すなわち、良いとこ取りだけではなく、良いも悪いも結果の全てに責任を持つ論議と参加こそが必要だと思います。そして、日本型の電力体制を導くべきだと考えますが、枝野産業大臣の御所見をお伺いいたします。
 また、あるべき電力システムの体制は、その時点での電力や経済を取り巻く実態、目指すエネルギーのベストミックスによって異なってくるものです。ベストミックスはどうあるべきかを整理した上で議論すべきだと考えますが、御見解をお伺いいたします。
 さらに、全体のエネルギー政策の検討時期との関係はどうなるのでしょうか。併せて答弁をお願いいたします。
 次に、原子力再稼働についてお尋ねします。
 電力会社に関係のない私の友人には、必死に頑張って停電を回避したら、サバを読んでいたとマスコミに言われるで、そんなんやったら最初から頑張らぬ方がええでと言う人もいます。しかし、電力供給の職場では、一人として停電したらええと思っているやつはいません。結果的に需給の数字にサバを読んでいたと言われたとしても、何としても停電は起こさぬと皆さん必死で頑張っていました。停電が産業や生活にどれだけダメージを与えるものなのか、供給責任を果たすという強い使命感を持っておるからであります。
 国内の原子力五十四基のうち、一月末の運転中は三基だけで、四月末には全部止まる見込みです。エネルギー・環境会議が公表した需給見通しによれば、今年の夏は、五十ヘルツ、六十ヘルツ地域とも一割前後の供給力不足となることが予測されております。また、これを原子力を火力発電で代替すると、一年間に三兆円もの燃料費増加リスクがあるとの試算を示しております。
 実際に、先週公表された貿易統計によりますと、二〇一一年の貿易収支は、火力発電の燃料となるLNGの輸入量増加や価格上昇などにより、第二次オイルショックのあった一九八〇年以来三十一年ぶりの貿易赤字に転じています。ホルムズ海峡問題もあります。将来の我が国のエネルギー問題をじっくり腰を据えて検討をすればよいのです。まずは、今夏の電力需給を何としてもバランスさせなければなりません。安全確保を大前提とした原子力の再稼働を始め、この夏のエネルギー対応策について、総理の決意をお聞かせ願いたい。
 最後に、社会保障と税の一体改革についてお伺いしたいと思います。
 総理は施政方針演説で、現在の社会保障制度に対する危機感、その改革についての不退転の決意を述べられました。また、その中で、引上げ後の消費税収は、現行分の地方消費税を除く全額を社会保障の費用に充て、全て国民の皆さんに還元します、官の肥大化には決して使いませんと述べられました。歴代の政権が解決できず先送りしてきた問題に真正面から取り組む姿勢、また、受益と負担、使途を明確にした上で、増税に対する理解を求める真摯な姿勢に敬意を表します。
 しかし、世間では、増税内閣と、財務省が好きに使えるお金をかき集めるだけかのごとく言われ、十分理解を得るに至っておりません。一旦課税してしまうと、受益と負担の関係を棚に上げ、あたかも政府が自由にできるお金かのごとく使ってきたことが国民的理解を得るに至っていない一因ではないでしょうか。
 総理は、一体改革の中で特別会計改革にも取り組まれると述べられています。特別会計改革に当たっては、お金がないから、現在払っているお金だからと、一律に一般会計化するのではなく、受益と負担の関係から、目的税や特定財源として特定の財に課税してきたことに鑑み、剰余が出る際には減税、不要となった場合には廃止するということが筋と考えますが、いかがでしょうか。
 総理、財務大臣の御所見を伺って、質問を締めくくりたいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#17
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党、藤原議員から、私には十問の御質問がございました。
 まず第一に、現場作業員に関するお尋ねがございました。
 私も、総理就任直後の昨年の九月、東電福島第一原発を訪問をさせていただきました。昼夜を問わず過酷な現場において作業を続けていただいている現場の作業員の皆様には頭の下がる思いであり、私も現場で激励と感謝の言葉を述べさせていただきました。
 日本を原発事故から救うために行われたステップ2達成に至るまでの献身的な行為に、国民を代表して改めて感謝を申し上げます。ステップ2は完了したものの、原発事故との戦いは全て終わるわけではございません。今後も、安全、健康に留意しつつ、気を抜くことなく、忍耐強く作業に取り組んでいただきたく存じます。
 政府としても、安全維持に万全を期しながら、廃炉に至る最後の最後まで全力を挙げて取組を進めてまいります。
 第二に、二〇一三年以降の地球温暖化対策に関する御質問をいただきました。
 昨年末のCOP17においては、我が国の目指す、全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向けた前進を得ることができました。引き続き、我が国としても、排出削減に向けた取組を進めるとともに、世界全体での低炭素成長の実現に貢献しつつ、全ての主要国が参加する枠組みの構築に向けて国際交渉に積極的に参画をしてまいります。
 なお、その際、日本の優れた環境・エネルギー技術による削減が適切に評価される仕組みになるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 続いて、TPP協定交渉への参加についてのお尋ねがございました。
 世界の成長センターであるアジア太平洋地域の力強い成長を促し、膨大なインフラ需要や巨大な新中間層の購買力を取り込んでいくことは、我が国自体に豊かさと活力をもたらすものと考えております。このような観点から、我が国は、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの実現を目指していますが、TPPはその実現に向けた重要な地域的取組の一つと考えております。
 現在、TPPの交渉参加に向けて関係国との協議を進めておりますが、各国が我が国に求めるものについて更なる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上で、あくまで国益の視点に立って結論を得てまいります。
 いずれにしても、TPP協定交渉に参加する場合には、守るべきは守り抜き、勝ち取るものは勝ち取るべく、国益を最大限に実現をするために全力を尽くしてまいります。
 次に、日本経済の現状認識についてのお尋ねがございました。
 我が国の景気は、大震災の影響により大きく落ち込んだ後、サプライチェーンの立て直しなどにより持ち直してきておりますが、欧州政府債務危機の顕在化による世界経済の減速などから、そのテンポが緩やかになってきております。先行きについては、景気の緩やかな持ち直し傾向が続くと期待されますが、一方で、欧州債務危機の影響等により海外景気が下振れするリスクに十分留意する必要があると認識をしております。
 続いて、デフレ脱却に関する御質問がありました。
 政府としては、歴史的な円高と長引くデフレを克服するため、金融政策を行う日本銀行との一層の連携強化を図り、切れ目ない経済財政運営を行ってまいります。具体的には、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行するなど、日本経済の再生に全力で取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげてまいります。
 また、二十四年度予算にも、日本再生のためのプロジェクトを数多く盛り込んでおり、その早期成立を図ります。
 続いて、産業空洞化対策について御質問をいただきました。
 我が国は、歴史的な円高や産業の空洞化の危機に直面をしています。このため、産業空洞化を阻止する国の決意を行動で示すべく、昨年十月に円高への総合的対応策を閣議決定し、三次補正予算では、これまで措置した累計額の約三倍となる五千億円の立地補助金の拡充や住宅エコポイント制度の再開など、あらゆる政策手段を講じてきたところでございます。また、為替市場の過度な変動は経済、金融の安定に悪影響を及ぼすものであり、引き続き、市場を注視し、適切に対応してまいります。加えて、電力供給不足も産業立地にとっては大きな支障となります。このため、電力需給の安定に向けて万全の取組をしてまいります。
 こうした産業や雇用の流出を防止する取組に加えて、新たな産業を生み出すことが極めて重要であります。このため、農業、エネルギー・環境、医療・介護といった新たな需要を生み出す分野でのイノベーションを推進するとともに、日本の優れたコンテンツや地域資源を最大限生かすなど、新たな産業の芽を育てていくための環境を整備をしてまいります。
 エネルギー政策についての御質問をいただきました。
 エネルギー政策の再構築の検討においては、経済への影響、環境保護、安全保障などを複眼的に眺める視点が必要でございます。その際、御指摘のとおり、燃料調達における国際交渉力の維持という視点や、流動的な国際エネルギー情勢等を踏まえた柔軟な対応という視点も重要であると認識をしております。化石燃料が高騰する中で、足下の電力需給の逼迫を回避しながら、温室効果ガスの排出を削減し、中長期的に原子力への依存度を最大限に低減させていかなければなりません。
 現在、国民が安心できる中長期的なエネルギー構成を目指してゼロベースでの見直し作業を進めているところであります。幅広く国民各層の御意見をお伺いをしながら、委員御指摘のとおり、冷静に検討を進め、今年の夏をめどに新しい戦略と計画を取りまとめてまいります。
 続いて、今年の夏の電力需給対策についてのお尋ねがございました。
 今年の夏のエネルギー需給の見通しについては、仮に原子力発電所の再起動がなく、二〇一〇年夏並みのピーク需要となり、有効な対策を講じなかった場合には、約一割の電力需給ギャップが生じる見通しとなっております。
 このため、昨年十一月にエネルギー需給安定行動計画を決定をいたしました。この計画に沿って、予算措置や規制・制度改革など、あらゆる施策を総動員をし、供給力の積み増しと省エネの促進を図り、エネルギー需給の安定に万全を期してまいります。
 なお、定期検査で停止中の原子力発電所の再稼働に当たりましては、IAEAによるレビューを受けた上で、事業者が行ったストレステストを保安院が評価し、さらに、その妥当性を原子力安全委員会が確認した上で、地元の理解や国民の信頼が得られているかという点も含めて政治レベルで総合的な判断を行ってまいります。
 続いて、消費税収の使途についてのお尋ねがございました。
 今回の改革による消費税の増税分は、全額を社会保障財源化し、全ての国民の皆様に還元し、官の肥大化には決して使いません。これを具体化するため、国分の消費税収については全額社会保障四経費に充てることを消費税法に規定するとともに、会計上も毎年度の予算等において使途を明確化することとしております。地方分についても使途を明確化することとし、国、地方を通じて、現行の地方消費税を除く消費税収の全額が官の肥大化には使われず、国民に還元されることが国民に分かりやすい形で示せるよう検討を進めてまいります。
 また、改革の意義や具体的な内容を分かりやすくお伝えをしていく努力が欠かせないと考えております。私と関係閣僚が先頭に立って国民の皆様への情報発信に全力を尽くしてまいります。
 次に、特別会計改革と目的税や特定財源についての御質問をいただきました。
 特別会計改革については、先週閣議決定した基本方針に沿って、恒久的な税収は一般会計に計上することにより、国全体の財政状況の総覧性を高めていくべきとの基本的な考え方の下、改革を進めてまいります。
 このような観点から、目的税や特定財源については、現在の厳しい財政状況、社会経済情勢の変化、対象事業の範囲や受益と負担との関係などを踏まえつつ、不断の見直しを行ってまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣枝野幸男君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(枝野幸男君) 藤原議員にお答えをいたします。
 まず、原子力事故の賠償に関する御質問をいただきました。
 原子力事業者は、過失の有無を問わず、JALなどの一般企業にはない原子力賠償法に基づく原子力損害についての賠償責任を課せられていますが、これは原子力損害の被害者に対して迅速に救済が図られることを目的としたものでございます。
 議員御指摘のとおり、現場の事故収拾作業に当たっていただいた原子力事業者の社員の方、取引企業の方、あるいは下請企業の皆さんのその御努力は大変頭の下がる思いでございまして、私からも感謝と敬意の念を表したいというふうに思いますが、ただ、こうした個々の皆さんの御努力や御尽力とは別として、これまでの原子力政策、そして原発立地を国と一体となって進めてきたという経緯に鑑みれば、過失の有無を問わず、電力事業者がこうした責任を負っているという現行制度は一定の合理性があるものというふうに考えております。したがって、今回の事故による原子力損害に関しても、原賠法に基づいて、一義的には東京電力が責任を負うべきものであります。
 一方、政府としても、こうした社会的な責任を踏まえ、原賠法の趣旨を踏まえつつ、被害者救済に万全を期すため、原子力損害賠償支援機構による支援や仮払い法の規定に基づく仮払い等を進めており、今後も、東京電力とともに迅速かつ適切な原子力損害賠償の推進に万全を期してまいります。
 次に、電力システムの見直しやその議論の在り方に関する御質問をいただきました。
 東日本大震災によって我が国電力供給システムに内在していた様々な問題点が顕在化いたしました。電力システム改革はこれらの問題を克服するために行うものであり、例えば、柔軟な需給抑制の仕組みや多様な供給者の参入は、需給逼迫の状況だからこそ対策が急がれる論点であります。また、国民のため、国益のため、従来のシステムがベストであるとの前提には立たず、御指摘のとおり、発送電分離等も議論の論点ではありますが、発送電分離で全てがうまくいくなどということは思ってはおりません。まさに、白紙から我が国の電力供給システムを見直していくことといたしております。
 特に、先ほど申しました、国も一体となるような形で原子力政策を推進してきた、そうした中で、こうした大変大きな事故で福島県民の皆さんを始め、多くの国民の皆さんに御迷惑を掛けているという状況の中では、現状のシステムを前提としない白紙からのシステムの下で、いかにして再生可能エネルギーを増やすのかを始めとして、原発依存からの脱却に向けた最大限の努力を同時並行で進めることなしには、他の電力政策、エネルギー政策について何を言っても国民の皆さんから私は理解を得ることはできないと思っておりますので、同時並行で進めていくことが重要だと思っております。
 いずれにしても、今後、低廉で安定的な電力供給を実現する、このことが目的であります。そして、そのための、より競争的で開かれた電力市場を構築することに向けて、総合資源エネルギー調査会に設置した電力システム改革専門委員会の場でオープンかつ丁寧に議論を進めてまいります。
 次に、ベストミックスとの関係や全体のエネルギー政策の検討時期との関係について御質問いただきました。
 望ましいエネルギーミックスの在り方は、総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会においてこれから具体的な御議論をいただく予定ですが、基本的方向としては、昨年末に、一つ、需要家の行動様式や社会インフラの変革をも視野に入れ、省エネルギー・節電対策を抜本的に強化すること、二つ、再生可能エネルギーの開発、利用を最大限加速させること、三つ、天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限配慮しながら、化石燃料を有効活用すること、四つ、原子力発電への依存度をできる限り低減させることの四点が示されており、電力システム改革についてもこの基本的な方向に沿った検討を進めることといたしております。
 この夏に革新的エネルギー・環境戦略やエネルギー基本計画を取りまとめることとしておりますが、これらの戦略を実際に実行する上では電力システムが重要なものでありますので、電力システム改革専門委員会での議論、これと連動させながら、ほぼ同時期に結論を出せるように考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣安住淳君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(安住淳君) 先ほど総理からもお答えありましたように、特別会計改革については、先週閣議決定をいたしました特別会計改革の基本方針に沿って、国全体の財政状況の総覧性を向上させるとの基本的な考えの下、改革を進めていきたいと思っております。
 また、目的税や特定財源については、一般論として、現在の厳しい財政状況や社会経済情勢の変化を踏まえ、不断の見直しを行ってまいります。
 なお、エネルギー対策特会など、個々の特別会計の在り方については、それぞれの特性や役割も踏まえつつ、今後改革に取り組んでまいりたいと思います。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#20
○副議長(尾辻秀久君) 末松信介君。
   〔末松信介君登壇、拍手〕
#21
○末松信介君 自由民主党の末松信介でございます。
 私は、自由民主党・たちあがれ日本・無所属の会を代表して、野田総理の施政方針演説について質問をいたします。
 急遽、冒頭質問をいたします。
 去る二十七日、自民党、中曽根議員会長が総理の民主党大会での恫喝まがいの発言について総理に撤回と謝罪を求めましたが、答弁では言い訳に終始し、明確な撤回と謝罪がありませんでした。我が党は大きな憤りを感じております。再度総理に明確な答弁を求めます。誠意を持ってしっかりお答えください。
 さて、今月一月十七日に阪神・淡路大震災から十七年目を迎え、兵庫県内各地では追悼行事が行われました。神戸市で開かれました一・一七のつどいには、平野防災担当大臣、黄川田総務副大臣がお忙しい中御出席をくださいました。お二人とも東日本大震災の被災地御出身であり、式典参加者一同共に、被災した者同士、井戸知事始め、多くの県民はお二人に感謝と深い御縁を感じたと思います。
 平野大臣は開式に先立って、人と防災未来センターを訪問され、震災当日から復興に至る過程を見学されたと伺いました。これは震災の教訓として後世に残した一つのモニュメントであります。
 昨年秋、陸前高田市の戸羽市長さんが、将来海岸線を国営の防災公園にしたいとおっしゃっておられました。これも復興町づくりへの一つの記念事業であります。それぞれの市長、町長さん、住民の皆様は、あれだけの深い傷を受けましたから、後世百年、二百年にわたる記念碑など、教訓をしっかりとした形で残したいとお考えのはずです。
 そこで、伺いますが、国として国営の防災公園などの形で今回の震災の教訓を後世に残していくお考えはあるのでしょうか。土地利用計画上、急がなければならない課題にもなってまいります。総理の見解をお教えください。
 さて、私は、阪神・淡路大震災の後、あるお二人のおっしゃった言葉が忘れられません。当時、私は県会議員をいたしておりました。その一つは、震災から二年後、要望書を持って上京した折、ある国会議員が、まだやっているのかと何げなくおっしゃった一言です。二つ目は、当時、建設省から兵庫県副知事として赴任された方が、四年の任期を終えて離任するに当たり、こうおっしゃったことです。最後の県会本会議で震災復興に関する質問が一つも出なかったことは、正直寂しい思いがいたしました。
 人の心は変化していくものです。貝原前兵庫県知事は、よくこうおっしゃっていました。復旧・復興にも時の流れがあると。英雄期、ハネムーン期、幻滅期、復興期という例えがあります。災害直後、最初は誰もが、精神的高揚感でもって英雄の気持ちで何とかしてあげたいと思うものです。しかしながら、人々の熱意は薄らいでいくものです。でも、そこから本当の復興が始まるわけです。ここにおられる国会議員の皆様が選挙を経て、四年先、五年先にも同じ思い、同じ情熱を震災復興に注げるとしたら頭が下がります。でも、そうあらねばならないと、私も含めて信ずるところでございます。
 その思いを胸に、順次質問をいたします。
 私は、昨年十月の経済産業委員会で、原発事故のため双葉郡富岡町から会津若松市に仮移転した富岡幼稚園の問題について質問をいたしました。山本順三決算委員長を筆頭に、我々議員団五人に対して、郡山市内で切実に堀内副園長は訴えられました。元々百十五人の園児がいましたが、会津若松市に移って、現在、園児はたった六人になっています。しかも、被災した子供たちのため、授業料は無料にされているということです。十九人の職員のうち、十二人は一時解雇されました。残りの七人の人件費は、県からの補助が二分の一、残りの二分の一は幼稚園の貯金を崩しているというのが現状でございます。福島県は、今年度の補助はするけれど、その後のことは東電と交渉してほしいと言われたそうです。
 私が委員会でこの問題を質問したところ、当時、枝野経産大臣は、実態に即した形で速やかに賠償を行っていく必要があると答弁されました。あれから三か月がたちました。岩城光英議員も予算委員会で取り上げられましたし、森まさこ議員も大変気に掛けておられます。
 富岡幼稚園に現状を伺いましたところ、ようやく賠償請求できたとのことでした。学校法人は通常の賠償フォームでは対応できなかったため、書類整備に時間が掛かってしまったんです。柔軟な対応ができなかったことが問題であり、今後速やかな対応ができなければ、枝野大臣、あなたの御答弁は言語明瞭、誠意なし、そういうことになってしまいますよ。
 堀内副園長は、終わりが見えないのが一番つらい、駄目なら駄目で人生の選択肢を早く欲しいとおっしゃいました。
 総理は、被災者の目線に立った賠償に最善を尽くす、福島の再生なくして日本の再生なしとおっしゃっておられますが、被災者の求める一番のことは、賠償のスケジュールと帰宅のスケジュール。本音でスケジュールを示す時期だと思います。明確に御説明を願います。
 次に、市町村が行う除染に関し、直ちに必要となる仮置場についてお聞きをします。
 環境省では、除染対象となる土壌や廃棄物の量を最大で二千八百万立方メートル、東京ドームにして二十二杯分と見込んでおります。この大量の汚染土壌を中間貯蔵施設に移すまでの間、おおよそ三年間仮置場で保管することになっています。環境省が作った除染ガイドラインのうち仮置場の例示図では、いわゆる土のう袋に収納することにしていますが、一般的な袋とすると約三千万枚の袋が必要なんです。また、汚染水の漏れを防ぐためには、強度、耐久性に優れた一枚数千円程度のものが必要になると思われます。当然、材料費に土詰めや汚染水対策の工事費などを加えると膨大な費用が掛かります。また、仮置場の必要量も一万か所では利かないでしょう。この点について環境省の担当者に問い合わせましたが、必要な予算、仮置場は必ず確保するとの答えだけでした。
 政府は、仮置場に必要な費用を幾らと見積もっていますか。除染作業が始まればすぐにこの費用が必要になりますが、これまでの補正予算や二十四年度予算で計上されているのでしょうか。また、必要な仮置場の確保に関して地元との協議は進んでいますか。正直なお答えを求めます。
 次に、被災地の土地利用について伺います。
 被災地では、集団での高台移転が計画されていますが、実際にはまだほとんど進んでおりません。例えば、陸前高田市では、市内の九千世帯中約二千世帯が仮設住宅に入居しており、そのほとんどが高台移転を希望しています。しかし、高台移転を進めるためには大きな障害が一つあります。それは、元々住んでいた土地の処分です。津波で浸水した土地は、通常の市場では買手がなく、自治体が買い取るしかありません。土地の買上げ価格が決まらなければ、幾ら高台に土地を用意しても実際の移転は進みません。国は、一刻も早く浸水した土地の買上げ価格を決め、被災自治体に示すべきです。この点について、政府内の検討状況を伺います。
 次に、新築マンションに放射能で汚染された石材が使われていた問題について伺います。
 この問題は、浪江町の採石場から汚染された石材が出荷されていたことが原因です。この採石場から多数の業者に石材が出荷されており、汚染が広範囲に広がっている可能性があります。国は、汚染石材の実態調査と賠償についてどのように進めるのか、方針を御説明ください。
 また、福島県が昨年五月に建築資材の安全基準設定を求める要望書を出していたにもかかわらず、対応を怠ってきた国の責任は重大です。この責任を誰がどう取るんでしょうか。また、早急に安全基準を設定すべきと考えますが、いかがですか。
 次に、首都機能の移転、副首都構想について伺います。
 東京大学地震研究所が昨年九月に、首都直下型地震が四年以内に七〇%の確率で起こると発表しました。大変ショックなことです。減災対策はできても、災害から逃れることはできません。
 東京が大災害に見舞われたときのために、首都機能を一時移転し、機能を存続するための都市を早急に用意しておくべきです。東京が壊れたら日本が壊れることになります。その場合、首都の代替機能を担える都市は京阪神地域になると考えられます。京都には御所もあります。そのことも大きな理由の一つです。
 法整備を前提に、万が一のことを想定して、首都機能の移転先若しくは副首都を決定しておいてはどうでしょうか。総理のお考えをお聞きします。
 現在、危機管理都市議員連盟での勉強会が開かれていますが、現伊丹空港を廃止して、その跡地を副首都に活用すべきだという議論もあります。賛成、反対、いや、そんなことは考えずに空港が存続する限りとことん活用すべきだなど、いろいろな意見がございます。
 また、伊丹空港と関西国際空港は統合され、四月から新関西空港会社として新たなスタートをします。現伊丹空港廃止論について、総理の見解を伺います。
 今後、副首都の必要性を認める場合、今ある都市機能を活用して強化するのか、それとも新たな副首都を建設するのか、お伺いします。
 あわせて、関西の空港機能のフル活用のため、神戸空港も含めた三空港の一体利用の方策を更に検討していくべきであると考えますが、総理のお考えをお聞きします。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 野田総理は先日の施政方針において、原子力への依存度を最大限に低減させると表明されました。一方で、菅前総理は昨年七月の記者会見で、将来的に原発ゼロを目指すという脱原発の考えを表明されています。
 今回、野田総理の施政方針では、前内閣の方針を撤回し、原発の存続を長期的に認めるものなのでしょうか。また、夏に示される新しい戦略、計画において、中長期的な原子力発電の規模、基数は明示されるのでしょうか。明確な御答弁を願います。
 方針が変わったら変わったで、率直に国民に伝えるべきなんです。何もなかったような顔をするのが民主党政治の問題点なんです。
 さて、原発の稼働期間について、細野大臣は、四十年以上の稼働は極めて難しいと発言されています。廃炉を含め、点検中の原発が運転再開できない場合、関西電力管内は深刻な電力不足に陥ります。また、緊急対応ではない中長期的な代替電源を明確に示さないことも問題であると考えます。この夏の電力対策と稼働期間についての明確な説明、四十年である場合の代替電源の確保について御答弁を求めます。
 また、原発の管理について議論が必要です。今回の事故で改めて明らかになったように、原発は一度事故を起こすと、自衛隊や米軍まで出動するという事態になります。また、周辺住民の皆様の移転や補償、汚染地域の除染など、長期かつ広範囲にわたる問題が残ります。
 これらは到底、一企業だけの責任で対処できる問題ではありません。新聞の報道によれば、政府は原子力賠償支援機構を通じて東京電力に一兆円規模を出資する方向で調整中とのことですが、そうなりますと、政府が実質的に経営権を握ることになります。
 そこで、原発は電力会社から切り離し、原発部門は国の責任で管理する、つまり、国有化すれば実態にも合っていると私は考えます。
 海江田元大臣は昨年五月の委員会で、原発国有化に関する私の質問に対して、どちらかといえば否定的でありました。しかし、菅前総理は別の場で、国有化を検討すると述べておられます。ここにも閣内の意見不一致であることがうかがえますが、いかがでしょうか。
 さて、地震、津波、原発の被害地域では避難先へ連れていけなかった家畜が野生化しており、この春から夏に向けて活発に動き始めます。これら被災地で野生化した家畜によるものだけでなく、全国の農山村では近年、鳥獣の被害が拡大しています。取り入れを控えた農産物が大きな被害を受け、農家の経済的な損失につながり、地域で暮らしている人々の生活を脅かすようなことも頻繁に起こっております。
 我々は、住民の切実な声を聞き、鳥獣被害防止特措法の改正案をまとめ、参議院に提出していますが、審議は一向に進みません。被害農家の救済のためにも、一刻も早い改正案の成立が望まれています。
 民主党は法案成立には消極的立場のようですが、総理、あなたは党首ですから、法案の審議、成立にリーダーシップを発揮するお考えはありませんか。前向きな答弁を求めます。
 次に、TPP、特に医療分野について質問をいたします。
 USTRの報告書では、日本で営利企業が病院を経営できないことが障壁として取り上げられており、当然これらも開放を迫ってくることが考えられます。
 また、USTRのカトラー代表補が、混合診療の全面解禁を議題にするつもりはないと日本政府関係者に明言したとの報道もありますが、既に一部解禁になっている項目を増やすように迫られれば、限りなく混合診療の全面解禁と同じことになります。
 総理は、国会答弁で、国民皆保険制度は堅持すると繰り返していますが、総理のお考えになる国民皆保険制度とは何でしょうか。国民全員が健康保険に加入するという意味での国民皆保険制度の堅持は、ごく当たり前のことでございます。
 TPPによって営利法人の参入などが行われれば、お金持ちだけが高級な病院で高価な薬を使った高度な医療が受けられるようになるおそれがあるんです。そうなると、誰もがどこでも同じ医療サービスを受けることができるという国民皆保険制度の原点が損なわれてしまいます。私たちは、そこを心配しているんです。
 さらに、医薬品について言えば、外国医薬品メーカーは保険適用外での対応を望んでいるようです。保険適用ならば薬価が決められてしまうからです。薬価を自分たちで決める、そこに民間保険の入り込む余地があります。
 総理、TPPに加盟しても、誰もがどこでも同じ医療サービスが受けられる体制を維持できると責任を持って明言できますか。お聞かせください。
 さて、昨年の秋、福島県の原発事故による被害を受けたある町を訪ねました。その町の町長さんがこう話されました。たまらぬ日々だ、打てど響かぬ政府対応だ、こういう一大事には、いっとき田中角栄のような政治家が出てきてほしい。しかし、野田総理、あなたが登場させた方は、田中は田中でも、田中角栄ではなくて田中直紀さんでした。同じ田中でも、とんでもない人違い、勘違い、大間違いであります。その町長さんは今ごろ天を仰いでおられることでしょう。
 総理、あなたは、民の声が聞こえていません。民の声が変な声に聞こえております。民主党政権はマニフェストが完全に破綻し、また、総理も政権交代から三人目です。民主党政権は無免許政権にも等しい。総理、あなたは今、生の民の声を聞くべきです。
 さて、田中大臣、自衛官の定員削減についてお聞きをします。
 東日本大震災での活躍等で国民から称賛されている自衛隊が、定員にも満たない予算しか付けられず、なおかつ、毎年定員削減されている現状について御見解をお聞きします。
 あわせて、田中大臣の政治姿勢を知る上でお聞きをしますが、あなたは、岳父田中元総理から一体何を学ばれたのでしょうか。田中元総理と田中直紀大臣の違いは何か、そのことをお尋ねして、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#22
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党の末松議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 まず最初に、党大会における私の発言に関するお尋ねがございました。
 まず、私の党代表としての発言が舌足らずであり、誤解を招いたとするならば大変遺憾であります。先日、御党の中曽根議員会長にもお答えをさせていただきましたが、決して参議院の審議権を否定するものではありません。むしろ、昨年の参議院における議員立法の活動とその成果を評価し、それを見習うべきとの趣旨でございました。趣旨が必ずしも御理解いただけなかったことは私の不徳の致すところであり、今後十分に留意をいたします。
 衆参両院の機能の活性化と二院制の意義を高めるための発言として受け止めていただきますよう御理解をお願いをしたいというふうに思います。
 続いて、震災の教訓を後世に残すことについてのお尋ねがございました。
 東日本大震災の教訓について後世に伝えていくことは、委員御指摘のとおり、大変重要であるというふうに認識をしています。
 復興の基本方針では、地元発意による鎮魂と復興の象徴となる森や丘や施設の整備を検討することとされております。また、陸前高田市を含む複数の被災地の自治体から、震災復興祈念公園等の整備に係る御要望をいただいているところでございます。このため、国としても被災自治体の御意見をお伺いをしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 続いて、賠償及び帰宅のスケジュールについてのお尋ねがございました。
 まず、賠償のスケジュールについて申し上げます。
 原発事故による発生した損害については、これまで原子力損害賠償紛争審査会においてその範囲を順次示してきており、東京電力もこれを踏まえ、賠償を進めてきているところでございます。
 現在、避難指示区域等の見直しに関する考え方を踏まえ、同審査会においては損害賠償の取扱いについて検討が行われており、本年三月中には必要な指針を取りまとめていただきたいと考えております。また、東京電力に対しては、こうした点を踏まえて、速やかに賠償に係るスケジュールを示すよう求めてまいります。
 続いて、帰宅のスケジュールについて併せてお尋ねがございました。
 本年三月末を一つの目途としている避難指示区域の見直しの後、年間積算線量が二十ミリシーベルト以下となることが確実な地域については、除染、インフラ復旧、雇用対策など、復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、できるだけ早期に避難者が帰郷できる環境を整えてまいります。
 一方、なおしばらく帰還を制限しなければならない区域も生じます。長期間避難を続けなければならない避難者の皆様については、生活の支援に万全を期してまいりたいと考えております。
 続いて、仮置場の確保についてのお尋ねがございました。
 仮置場の確保等の費用として、第三次補正予算で五百八億円、平成二十四年度予算で千三百七十一億円を除染に不可欠なものとしてしっかりと計上しております。
 また、国が直轄で除染を実施する地域の仮置場については、国が市町村の協力を得つつ確保することとしており、昨年末より、地元説明会を含め、順次具体的な協議、調整を進めてきております。市町村を中心に除染をしていただく地域の仮置場については、市町村に確保していただくこととしていますが、国としても必要な財政的、技術的支援に万全を期してまいります。除染が滞りなく進むよう、引き続き、仮置場の設置場所の確保にしっかりと取り組んでいく決意でございます。
 土地の買上げ価格についても御質問をいただきました。
 高台移転については防災集団移転促進事業の活用が考えられますが、同事業により被災した移転元の土地を取得する場合には、一般の公共事業用地を取得する場合の考え方に準じて、契約締結時における正常な取引価格で取得することとなっており、事業主体である地方公共団体が適切な不動産鑑定評価などを参考に評価、決定することとなっております。
 続いて、放射能で汚染された石材についての御質問をいただきました。
 今回、顕在化した砕石の流通経路や最終的な施工現場の特定等の実態については、関係機関が分担して迅速に調査し、原因究明をしっかりと行ってまいります。賠償については、居住者の方々の状況を踏まえ、迅速かつ適切な賠償を行うよう東京電力を指導してまいります。
 昨年五月の福島県の要望に関連して、政府では下水汚泥を含むセメント等について基準等を示しております。その他の資材については、下水汚泥のような放射性物質が追加的に混入する経路が当時見当たらなかったことから、基準を策定するに至らなかったものでございます。その他の資材に係る新たな基準の策定については、今後の調査結果を踏まえて、関係府省が連携して対応を検討してまいる所存でございます。
 次に、首都機能の移転や関西三空港の活用について御質問をいただきました。
 大規模地震などの緊急事態が東京で発生した場合であっても、政府や金融機関、情報通信などの首都中枢機能が途絶することなく確保するための検討がまず必要であります。このような観点も踏まえて、首都機能の移転や首都のバックアップ機能を有する副首都の建設については、コストや実現可能性など様々な観点から検討される必要があると考えております。
 伊丹空港の活用については、関空、伊丹を一体的に運営する民間企業の経営判断を尊重してまいりたいと考えておりますが、現時点では直ちに伊丹空港を廃港にする可能性は低いと考えております。
 また、関西三空港の一体利用の御指摘でございますが、現在、地方自治体、経済界等の関係者と緊密な調整を行い、了解を得て、本年七月の関空、伊丹の経営統合に向けた準備を進めておりますので、まずは、この経営統合を確実に実施する必要があると考えております。
 続いて、原子力政策に関するお尋ねがございました。
 原子力発電については、中長期的には原子力への依存度を最大限引き下げていくという方向を目指すべきと考えており、この意味においては、菅前総理の考え方と基本的に同じと認識をしています。
 今後のエネルギー政策については、国民が安心できる中長期的エネルギー構成の在り方について、幅広く国民各層の御意見をお伺いをしながら、エネルギー・環境会議を中心に検討し、今年の夏を目途に新しい戦略と計画を取りまとめてまいります。その中で、将来的に原子力への依存度をどの程度の時間を掛けてどこまで引き下げていくのかについても検討をしてまいります。
 次に、今年の夏の電力需給対策と原発の稼働期間及び代替電源の確保についてのお尋ねがございました。
 今年の夏の電力需給については、仮に原子力発電所の再起動がなく、二〇一〇年夏並みのピーク需要となり有効な対策を講じなかった場合には、約一割の電力需給ギャップが生じる見通しとなっております。このため、昨年十一月にエネルギー需給安定行動計画を決定をいたしました。この計画に沿って、予算措置や規制・制度改革など、あらゆる施策を総動員し、供給力の積み増しと省エネの促進を図り、エネルギー需給の安定に万全を期してまいります。
 一方、原発の稼働期間については、厳格な規制を課すことで四十年を超えて運転することは、結果として極めて例外的なケースに限られるものと考えております。それらも踏まえながら、中長期的な電源構成を含むエネルギー構成について、現在、ゼロベースでの見直し作業を進めているところでございます。
 幅広く国民各層の御意見をお伺いしながら、今年の夏をめどに新しい戦略と計画を取りまとめてまいります。
 原発の国有化に関する御質問をいただきました。
 原発国有化の是非を含む原子力事業体制の在り方については、前内閣において何らかの決定があったものではないと承知しており、また、現時点においても政府として方向性を決めているものではありません。
 いずれにせよ、政府として、引き続き、国民が安心できる中長期的なエネルギー政策の在り方について、幅広く国民各層の御意見をお伺いをしながら検討してまいります。
 鳥獣被害防止特措法の改正案への対応について御質問をいただきました。
 近年、野生鳥獣による農林水産業被害が深刻化しており、鳥獣被害対策は中山間地域等における農業の存続にかかわる重要課題と認識をしております。
 昨年の通常国会で自民党から鳥獣被害防止特措法等の改正法案が提出され、民主党においてもこの法案に対する基本的な考え方が取りまとめられたところであると承知をしておりますが、現在の地域の窮状を早期に打開できるよう、与野党間で議論されることを期待をしております。
 TPP交渉と国民皆保険制度の維持に関する御質問をいただきました。
 TPP協定交渉では、現在、営利企業の医療参入、公的医療保険制度の在り方そのものについては議論の対象となっておりません。
 御指摘の国民皆保険制度の意義は、国民が平等に一定の負担割合で有効性、安全性が確立された医療サービスを受けることができることにあると考えております。仮に交渉に参加した場合、交渉の中で国益を最大限追求することは当然のことであり、日本の誇るべき国民皆保険制度を維持し、我が国の安心、安全な医療が損なわれないように対応をしてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣田中直紀君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(田中直紀君) 末松議員にお答えいたします。
 自衛官の定員についてお尋ねがありました。
 自衛隊の活動について高い評価をいただき、感謝申し上げます。
 防衛大綱及び中期防では、厳しい財政事情の中でも有効な防衛力を整備するため、陸上自衛隊について、効率化、合理化を徹底しつつ、即応性、機動性等を一層向上させることとされております。
 これを踏まえ、陸上自衛隊の定員については、より効率化、合理化を図る一方、大規模災害発生やテロなど予測できない事態に即応するため、第一線部隊に練度の高い隊員を十分に配置するなど、国民の期待にこたえるよう努めてまいります。
 次に、私が義父である田中角栄元総理から何を学び、私自身との違いはどこかというお尋ねがありました。
 田中の父は、常に口にしていた言葉が二つあります。一つは、何事にも弱い立場の人の身になって考える、そして、感謝を忘れるな、この二つでありました。人間田中角栄の根底に脈々と流れていたこの思いが接する人々に感動を与えたのだと思っております。
 また、政治家としては、類いまれな勉強家でありました。夜遅くまで、細かい資料に目を通し、本を読み、分析し、呻吟しつつ思索を巡らせておりました。そして、具体策を立てると、自らが責任を取る覚悟で決断し、果敢に行動に移しました。決断と実行、これが田中政治のスローガンでございました。
 田中の父と共に過ごした日々は、その一刻一刻が学びのときでありました。今、顧みて、男が男にほれるとは、あのような人物と出会ったときに言う言葉だと思います。
 なお、二つ目の質問に対しましては、田中の父は少壮政治家のころから国会論戦の名手として有名でした。そこが私との最大の違いと思います。自分の持ち味を生かして誠心誠意努めてまいります。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#24
○副議長(尾辻秀久君) 藤谷光信君。
   〔藤谷光信君登壇、拍手〕
#25
○藤谷光信君 民主党・新緑風会の藤谷光信です。
 去る一月二十四日に行われた政府四演説に対し、会派を代表し、質問をいたします。
 総理は、就任以来、財政の健全化、消費税を含む税と社会保障の一体改革を推し進める決意を示され、政府においても、二十一日、国民に理解を求める全国行脚をスタートさせています。しかし、消費税増税に対する国民の不安は根強く、また、反対派の人々は増税による景気の後退を大きな理由として挙げています。
 また、平成二十三年の日本の貿易収支は、東日本大震災や円高等の影響もあり、二兆四千九百二十七億円の赤字となり、第二次石油危機後の昭和五十五年以来、三十一年ぶりに貿易赤字国へ転落しました。
 確かに、財政の健全化や社会保障は長い間の大きな懸案であり、もはや景気回復やデフレ脱却を待つ余裕はありません。国民の皆さんにお約束した行政改革を断行しつつも、すぐに党派を超えて議論すべき待ったなしの重要課題だとは思いますが、同時に、景気浮揚のための対策も急を要する大きな課題だと考えます。
 総理は今までも、日本銀行との一層の連携を図り、日本経済の再生へ切れ目ない対策が必要、経済成長や雇用や教育を通じて分厚い中間層を復活するとも発言していらっしゃいますが、第四次補正の方向性を含め、具体的にどうされるのか、総理のお考えをお聞かせください。
 特に景気浮揚策は、単に金額の多さだけではなく、総理の言われる企業の国内投資や雇用創出の足かせを取り除くことこそが大切だと考えます。それは、税制や規制の変革を言うに及ばず、補助金の在り方や手続方法まで、今までの施策の内容をもう一度一から検証し、真に経済や生産活動をする立場からの使い勝手の良さや、有効性、機動性等を主眼として見直すことこそが必要であると考えます。また、それが、国民が民主党に望んだしがらみのない新しい政権だからできる施策の一つだと考えますが、総理のお考えをお尋ねいたします。
 次に、米軍再編、基地対策についてお尋ねします。
 私は、世界で初めて原子爆弾が投下された広島市の爆心地から直線で四十キロに位置する山口県岩国市出身で、私自身、原爆による爆震を体験し、遠くにキノコ雲を見て恐怖に震えた記憶があります。また、多くの方が広島市内から避難してくる姿や、後日、親戚を訪ね、市内の壮絶な光景も目の当たりにしました。また、岩国は焼夷弾による爆撃を受けた町でもあります。実体験として戦争の悲惨さを身近に知る一人なのです。
 その岩国には米軍岩国基地があり、米軍再編成により、基地の拡張や六十機にも及ぶ空母艦載機部隊を受け入れるという、多大な更なる負担を担うこととなります。また、基地近郊にある県有の開発地を米軍再編の住宅施設用地として国に売ることについても、先月、山口県と岩国市に原則的な方向性に御理解を示していただいたところであります。
 戦争体験からくる米軍に対するアレルギーとも言える感情がないとは言えません。また、いまだに残る基地にまつわる騒音、事故、犯罪等の不安が払拭されたわけでもありませんが、地元要望に対する政府の回答に示された将来的な対応への約束を信じ、ぎりぎりのところで沖縄の負担軽減という国の方向性に原則的に理解を示していただいたのです。
 このように、日常生活に多大な影響を及ぼす基地の負担は、住民の理解と協力がない限り進められるものではありません。
 沖縄における普天間飛行場移設においても、島全体が戦場になった事実を考えれば、私自身、心中を察するに余りある思いです。その上、日常生活に多大な影響を及ぼす現実は、安全保障や国と国との取決めだからという一方的な理論だけでは決して受け入れられるものではありません。
 確かに、民主党は外交・安全保障の基本政策として日米安全保障体制を基軸としつつ、東アジア共同体の実現を目指しておりますし、日本を取り巻く安全保障環境の不安定要素を考えると、基地の重要性は理解できます。
 しかし、新たに大きな負担を受け入れる地元、現場の心の声を聞かずして、何のための安全保障でしょうか。誠意の上にも誠意を持って必要性を説明し、地元の不安、懸念、要望などをしっかりと聞いて、粘り強く理解を得る努力こそが米軍再編問題の唯一の解決の道であると思います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで、普天間移設問題を始めとする米軍再編、基地対策について、地元の理解を得るために今後どのような姿勢で対応していこうと考えておられるのか、総理にお伺いします。
 次に、教育についてお伺いします。
 私は、国の発展の基盤として何よりも重要なのは、次世代を担う子供たち、若者たちの教育や人材育成であると考え、長年、幼児教育にも携わり、また、教育を中心に政治活動を行ってまいりましたが、この度の総理の所信には教育に関することが余り触れられていません。
 そこで、何点か総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 明治以来、我が国が幾度もの国難を克服し、大きな成長を成した原動力、これからの日本の再生を実現していくためにも不可欠なものとは、人々の高い能力や何事にも努力する勤勉さだと思います。人材そのものが日本の資源であり、財産なのです。つまり、常にたゆまなく、より良い人材を育むことこそが、日本の全ての成長や発展に欠くべからざる源なのです。そして、こうした日本の誇るべき人材力は、教育の力、教育のこの力を抜きにして開花させることはできないものであり、教育の力を強めこそすれ、もしも弱めることがあれば、国の将来は危ういと言わざるを得ないのです。
 また、今我々は、東日本大震災からの復興という大きな課題に立ち向かっています。震災からの復興なくして日本の再生はあり得ませんが、同時に、今被災地の子供たちの元気な笑顔を取り戻すことなくして日本の未来はないということを声を大にして訴えたいと思います。被災地の子供たち、若者たちが勉学を断念するようなことのないよう、被災地の教育を復興するための現在の取組や、それを今後更にどのように進めていくお考えか、まずは、今後の方針を含めて総理にお伺いいたします。
 総理は、就任以来、経済成長や雇用や教育を通じて分厚い中間層を復活することを強調しておられますが、私も全く同感です。そして、そのような分厚い中間層の育成に関しても、私は、基礎としての人材育成が重要であると考えております。しかし、経済効率性のみを追求し、限られたレベルの高い教育機関や能力の高い人材を選択し、そこに集中して投資すればよいというものではありません。全ての子供たち、若者たちが、それぞれの個性や希望に応じて、幅広くできるだけ充実した教育を受けられるような機会を保障することが不可欠と考えます。
 我が党が政権に着いて以来進めてきた高校の授業料無償化や奨学金制度の充実、三十五人学級の推進、国立大学や私学の教育基盤の充実、専修学校の振興など、幼児教育から高等教育までの幅広い層に対する教育重視の政策は、我が党が政権に着いたからこそ実現できたものです。今後更にどう進めていかれるか、総理のお考えをお尋ねします。
 また、この度の内閣改造で新たに就任された平野文部科学大臣にも、このことへの今後の方針をお伺いします。
 次に、総理は、社会保障制度を高齢者世代のみではなく、子ども・子育て支援や若者支援など、全世代対応型に転換し、全員参加型社会を実現することを目指し、その改革の先頭に立って取り組んでおられます。私は、その総理の姿勢を強く支持するものです。
 幼保一体化を始めとする子ども・子育て新システムの検討に当たっては、社会の中で女性の能力を最大限生かすとともに、安心して子供を産み育てられる社会をつくるという、育てる立場の視点だけでなく、育てられる子供の立場や気持ち、幼児期の教育の質の向上、幼児教育から高等教育まで一貫した教育など、チルドレンファーストの理念を持った幅広い確固たる視点を持たなくてはなりません。また、施設に対する国の基準や公費負担の在り方、個人給付格差の解消、ワーク・ライフ・バランスの実現などについても熟議が必要です。
 総理と平野文部科学大臣のお考えをお聞かせください。
 また、これらのことに加え、次世代を担う子供、若者への教育の質の向上や機会の充実など、社会保障と税の一体改革の環境の下で進めるべきと考えますが、御見解と具体的な取組について総理にお伺いいたします。
 子供たち、若者たちの大きな志を引き出し、我が国の経済社会を支える人材育成は、社会の新たなフロンティアを開拓し、新たな成長の基盤をつくることにつながるものでもあります。
 また、ロケット技術など多くの先端技術の輸出などを例に取るまでもなく、まさに教育重視政策と経済成長との間には好循環の関係があるのです。総理には、このことをもっと強力に発信していただきたいと思います。
 成長分野における人材育成や職業教育、産学連携を進めること、海外留学や語学教育を通じ、若者の国際的視野を涵養し、グローバルに活躍できる人材を育成することなど、いずれもおろそかにできません。
 総理は、従前より、文部科学行政に特別の思いを持っていただいているとお聞きしておりますが、新成長戦略実現の基盤である教育、人材育成を国家戦略の柱として位置付け、進めることが今こそ求められているのではないでしょうか。お考えをお伺いします。
 また、教育には、単に知識や技術だけでなく、土台としての人間形成、つまり、命のかけがえのなさとつながり、あらゆる存在との響生と一体感、心の絆や感謝の気持ちを育む等の命の教育が大切と考えますが、総理のお考えをお伺いします。
 今、国民の皆さんから、国会議員の定数や給与、国家公務員の待遇面などの御批判をいただいています。消費税など、国民に痛みを求めるには、私たちがまず姿勢を示すのは当然ではありますが、ただ削減すればよいということではないと思うのです。なぜならば、批判の原因が、単に消費税論議だけでなく、長きにわたる政府や国会に対するいら立ちにほかならないからです。
 一説には、国会の一日分の費用は、平成二十三年度予算ベースで衆参合わせて三億円強とも言われています。また、参議院は良識の府とも言われております。もしも、多くの経費を費やして、良識の府での議論が、党利党略や自分たちの身の保全のための議論だと国民の目に映ることがあるならば、負託を得た身としては恥ずべきことであります。
 今国会におきましても、国民目線とは真にどういうことなのか、果たして国会は国民目線で論議できているのかを私自身に問い続け、また、国民が安穏に暮らせる世界の実現を目指すことこそが政治の目的であることを再確認しつつ、より実りある議論を闘わせる場になるよう、私自身も努力してまいりたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#26
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党、藤谷議員からは、御専門の教育や人材育成を中心に御質問をいただきました。
 まずは、景気浮揚策に関する御質問をいただきました。
 政府としては、円高への総合的対応策を含め、第三次補正予算において措置した施策の迅速な実行により、景気の下振れの回避に万全を期してまいりたいと思います。さらに、エコカー補助金や中小企業資金繰り支援を含む四次補正や、日本再生のための多くのプロジェクトを盛り込んだ二十四年度予算の早期成立を図ってまいりたいと思います。
 また、新成長戦略の実行を加速するとともに、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行するなど、日本経済の再生に全力で取り組み、中長期的に持続的な経済成長につなげてまいりたいと思います。その際、議員御指摘のとおり、金額の多さだけではなくて、これまでの施策の内容を点検し、真に経済に資するものに改善していくという視点も重要だと思います。
 政権交代後、例えば地方の自由裁量を重視した地域自主戦略交付金を創設するなどの改革を実施してきておりますが、このような取組も引き続き行ってまいりたいと考えております。
 続いて、普天間飛行場の移設を含む在日米軍再編問題についてのお尋ねがございました。
 普天間飛行場の移設を含め、在日米軍再編については、昨年六月の2プラス2において、日米合意どおり着実に実施していく旨、再確認をしたところでございます。
 在日米軍の再編は、抑止力を維持しつつ、地元の負担軽減を図るための重要な施策であると考えており、政府としては、今後とも、日米合意に従い、再編を着実に進捗させるべく、引き続き、地元の皆様の声に真摯に耳を傾け、藤谷議員の御指摘のとおり、誠意の上にも誠意を持って皆様の声に真摯に耳を傾けて、理解を得るべく全力で取り組んでいきたいというふうに思います。
 被災地の教育復興の取組についてのお尋ねがございました。
 被災地の子供たち、若者たちが希望を持って勉学に励むことができるよう、被災地の教育復興を進めることは極めて重要な課題であると考えております。
 このため、政府としては、学校施設の復旧支援、奨学金の拡充や授業料減免など、就学機会の確保のための経済的な支援、スクールカウンセラーの派遣による子供たちの心のケアや、学習支援等のための教職員加配などの教育支援などの取組をこれまで進めてまいりました。
 今後とも、一日も早い被災地の教育復興に向け、引き続き最大限努力をしてまいります。
 続いて、質の高い教育の機会の保障や分厚い中間層の復活に向けた教育についての御質問をいただきました。
 資源なき我が国において最大の資源は人材であり、次代を担う全ての子供や若者に質の高い教育を受ける機会を保障することは極めて重要であると考えております。
 このため、政権交代以降、議員が御指摘のとおり、三十五人学級であるとか高等学校の授業料無償化等、様々な改革を行ってきたところでございます。こうした施策は分厚い中間層の復活にもつながるものと考えております。
 引き続き、全ての意思と能力ある人が教育を受けられる仕組みの構築や、将来の日本を支える人材を育てるための教育の質の向上などに全力で取り組んでまいりたいと思います。
 続いて、子ども・子育て新システムについてお尋ねがございました。
 子供は、社会の希望であり、未来をつくる力であります。子ども・子育て新システムの構築に当たっては、御指摘のようなチルドレンファーストの理念にのっとって、子供の最善の利益を考慮し、幼児期の学校教育や保育の更なる充実向上を図るとともに、全ての子供が尊重され、その育ちがひとしく確実に保障されるよう取り組んでまいります。
 また、御指摘のあった施設等の基準、費用負担、給付水準などの在り方やワーク・ライフ・バランスの推進方策についても、新システムの実施主体である地方公共団体など、関係者と十分に意見交換を行って検討を進めてまいります。早期に成案を取りまとめた上で、税制抜本改革とともに、関連法案を提出をし、国会において十分な御議論をいただきたいと考えております。
 社会保障と税の一体改革の下での教育の充実について御質問をいただきました。
 全世代対応型へと転換する社会保障制度改革を踏まえ、次世代を担う子供たちや若者の育成を進めていくため、手に職を付け、就業につなげるための教育・訓練環境整備や、生活困難でありながら好成績を修めた学生等への支援の強化などの方策に努めてまいりたいと考えております。
 成長の基盤としての教育、人材育成についてのお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、日本経済の再生のためには、それを支える人材をいかに育成していくかが大きな鍵になると考えており、特に、新たな時代の開拓者たらんという若者の大きな志を引き出す教育が求められていると思います。
 このような認識の下、自ら学び考える力を育む教育の充実を図り、産官学の英知を結集して、挑戦を担う人づくりへの投資を強化するなど、経済社会を支える人材の底上げやグローバルに通用する高度人材の育成に努めてまいりますし、御指摘のあったとおり、国家戦略会議においてもこの議論を深めていきたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣平野博文君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(平野博文君) 藤谷先生から二つの質問をちょうだいをいたしました。総理が具体的にかなり答弁されていますので、かぶっているところについては省略したいと思います。
 まず、分厚い中間層の復活と、このために向けた教育についてのお尋ねでございます。
 私ども、政権交代以降、未来への先行投資と、こういう考え方の下に文部科学行政の充実に全力を挙げて取り組んできたところでございます。総理から御答弁ありましたように、高校授業料の実質無償化に向けて等々、着実に実現に向けて取り組んでまいりました。文部科学省といたしましても、先生がまさに御指摘をいただきましたように、分厚い中間層の復活をする、そのためには教育が果たす役割は非常に大きいと、こういう認識に立っております。
 今後とも、全ての意思と能力のある人の教育の機会を必ず確保する、こういう観点から、就園奨励費の補助の充実でありますとか、就学支援の実施、奨学金や授業料減免の充実等、教育に係る国民の負担の軽減に努めてまいりたい、このように考えているところであります。
 さらに、全ての子供、若者が社会を生き抜く力を確実に習得できるように、子ども・子育て新システムの構築、教員の質や数の充実、大学改革の推進等、教育の質や環境の充実に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、二点目の御質問でございますが、特に幼保一体化を始めとする子ども・子育て新システムの検討のお尋ねでございました。
 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を養う重要な時期であります。この時期に質の高い幼児教育を保障することは極めて大事でございますし、先生の御指摘されているとおりだと思っております。
 このため、子ども・子育て新システムにおきましては、幼児期の学校教育、保育に関する財政的な措置を一体化したこども園給付の創設を今検討いたしているところでございます。幼児期の学校教育、保育を一体的に提供する総合こども園の創設等々を含めて、義務教育及びその後の教育の基礎を養う質の高い幼児教育、全ての子供に保障する、こういう考え方に立っておるところであります。
 現在、いろいろな課題につきましては、関係者と十分に意見交換を行いながら、成案の取りまとめに向けて検討を進めているところでございます。
 文部科学省としましても、生涯にわたる人格形成の基礎をしっかり担う幼児期の教育の重要性を踏まえ、その更なる充実に向けてしっかりと取り組んでまいりますので、先生におかれましては、今後また御指導いただきますことをお願いをいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(平田健二君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#29
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、野田総理に質問いたします。
 今も三十三万人もの方々が避難生活を強いられている東日本大震災と原発事故からの復興は、引き続き国政上の最重要課題であります。
 そこで、お伺いします。
 被災地では、仕事を失い、いまだに職に就けない人々が多数残されています。ところが、その人たちの職場の確保の見通しも立たない中で失業手当が次々に打ち切られています。この三月までに七千人を超え、九月末には全員が打ち切られてしまいます。職に就けないまま失業手当を打ち切られた人を見捨てるつもりですか。安定した仕事と収入を確保するために全力を挙げるとともに、当面、少なくとも失業給付の延長を行うべきだと考えますが、いかがですか。
 また、被災地で続けられている医療と介護の負担減免措置も、今のままでは二月いっぱいで打ち切られます。延長すべきではありませんか。
 福島の人たちは、日々刻々、放射能被曝のおそれにさらされながら暮らしています。とりわけ、子供たちの健康への影響は全ての国民が心を痛めています。福島県は、そうした不安に幾らかでもこたえるために、十八歳以下の子供たちの医療費の無料化を求めてきました。総理も直接その声を福島県知事から聞かれたはずであります。なぜ、その願いを拒否したのですか。掛かる費用は僅か九十億円にすぎません。民主党が懐に入れている政党助成金は、それをはるかにしのぐではありませんか。自らの懐は暖めても、福島の子供たちには手を差し伸べない、こんな冷たい政治はありません。
 二〇〇九年九月の政権交代に国民が託したのは、自民党政治を変えてほしいという願いでした。ところが、野田総理は、当時の自公政権の総理の施政方針演説を引いて、私が目指すものも同じですと述べられました。国民の期待と公約を完全に裏切った、文字どおりの自民党政治への回帰宣言であります。
 そして、やろうとしていること、その中心が消費税の大増税であり、社会保障の切捨てであります。
 総理は、消費税の大増税が国民の暮らしにどれだけ大きな打撃を与えるか、考えられたことがありますか。
 消費税の大増税は、必死で生活となりわいの再建に立ち上がろうとしている被災地の人々にも例外なく襲いかかります。消費税が五%から一〇%に引き上げられれば、岩手、宮城、福島の三県の人たちへの増税額は五千三百億円にもなります。今、三県の皆さんが負担している住民税の合計額は四千五十億円ですから、それよりもはるかに巨額な負担を強いることになります。
 あなたは、今なお仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている方々に少しでもぬくもりを感じていただきたいと言われました。しかし、これだけの負担増を被災者に押し付けて、何がぬくもりでしょうか。この言葉ほどうつろに響くものはありません。
 消費税が今の五%に引き上げられたのは、一九九七年でした。そのときと比べて、会社員の年収は五十五万円も減りました。さらに、この間、正社員から派遣や契約社員などへの置き換えが進み、非正規労働者は全体の三八・七%にもなり、年収二百万円以下の民間労働者は四人に一人、一千万人を超えています。こんなに収入が減っている国民に二倍の増税をする、何が生活第一でしょう。
 今生きている人の暮らしを破壊して、どうして社会保障が充実するというのか。しかも、社会保障は、拡充どころか、年金支給額の削減、支給開始年齢の繰延べ、医療費の窓口負担の値上げなど、改悪と切捨てのオンパレードではありませんか。
 消費税の増税は、庶民の暮らしに打撃を与えるだけではありません。日本商工会議所などの調査によれば、現状でも、消費税を価格に転嫁できず身銭を切って消費税を納めている事業者は、売上高が比較的多い五千万円のところでも半数以上に及んでいます。これが二倍の一〇%に引き上げられたら、売上高が更に多い二億円の事業者でも身銭を切らなければならないと答えた人が半分を超えています。ただでさえ、下請単価が切り下げられ、庶民の暮らしの悪化から売上高が急減しています。そこへ増税すれば、日本経済を根っこで支えるために必死で頑張っている中小企業の息の根を止めることになってしまうではありませんか。これでどうして日本経済の再生ができるというのでしょうか。
 消費税の大増税は、ただでさえ大変な日本経済と財政に決定的な打撃を与えます。歴史の教訓に学ぶべきであります。九七年の消費税引上げは三%から五%、増税額は五兆円、それに医療費の値上げなど、合計で九兆円の負担増でした。それによって、何とか回復しつつあった景気が一遍に冷え込みました。税収も落ち込みました。景気対策だといって、大企業減税、大型公共事業のばらまき、銀行救済のための公的資金の投入などが行われた結果、財政再建どころか、国と地方の債務は、増税後の四年間に四百四十九兆円から六百四十五兆円、対GDP比で八八%から一二八%に膨らんでしまいました。
 それを、国民の収入が減っているときに、消費税の増税だけで今度は十三兆円、年金給付削減、年少扶養控除廃止などを合わせると十六兆円もの負担増をかぶせれば、財政再建どころか、九七年のとき以上に暮らしも経済も財政も大打撃を受けることは明らかであります。しかも、一旦消費税増税に踏み出せば、際限のない増税につながることは閣僚の相次ぐ発言からも明らかではありませんか。きっぱり断念すべきであります。
 GDPのほぼ六割は個人消費であります。本当に日本経済を再生させようというのなら、まず何よりも、経済の主体である国民の暮らしと営業の再建、労働者の雇用の拡大と安定、中小企業を支援しながら最低賃金を時給一千円にするなど、賃金の引上げこそ急務です。ところが、今、パナソニックや東芝など日本を代表する大企業は、全国各地で猛烈な工場閉鎖と退職強要を強行しています。大量の期間工切り、派遣切りが横行していることは、リーマン・ショック後の大リストラと何ら変わるところはありません。
 派遣村に象徴される非正規労働の課題は、政権交代の端緒ともなった大問題でした。ところが、財界に言われたとおりに労働者派遣法の抜本改正の願いを民主、自民、公明三党で完全に骨抜きにし、さらに、今度は期間労働者をいつでも、どこでも、何年でも繰り返し使い捨てにすることができるようにする有期労働契約法制を作ろうとしています。今こそ大企業による横暴、勝手なリストラに歯止めを掛けるとともに、雇用は正社員を原則とするというルールの確立を目指すべきではありませんか。
 社会保障の拡充と財政危機を打開するためには、八ツ場ダムなどの無駄な大型公共事業、原発推進予算や米軍への思いやり予算を始めとする軍事費、政党助成金などの無駄遣いを一掃し、富裕層、大企業への一・七兆円もの新たな減税をやめるとともに、特権的な優遇税制を廃止する。そして、次の段階では、社会保障の抜本的な拡充のため、国民全体で支えることが必要になります。その場合も、収入の少ない人ほど負担が重くなる消費税ではなく、負担能力に応じて負担する応能負担の原則に立った税制改正によって財源をつくり出すべきだと、そのことを指摘して、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#30
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 日本共産党、市田議員の御質問にお答えいたします。
 まず、被災者の失業給付の延長、医療、介護の負担軽減についての御質問をいただきました。
 被災者の方々が生活の再建を進める上で最大の不安は、働く場の確保であると認識をしております。これまで特例として二百十日分の延長をしてきた失業給付の期限が到来する方が出始める中で、産業政策や復旧・復興事業で生じる求人をハローワークで開拓、確保し、必要な求職者には個別対応、職業訓練を行うなど、きめ細かな就職支援を実施する、被災地の強みである農林漁業、水産加工業に対して、産業政策と一体となって安定的な長期雇用を創出するなどにより、被災された方々が働くことで収入を得られるよう、被災地の雇用創造に全力を尽くしてまいります。
 また、被災された方々の健康を守る観点から、福島原発事故による警戒区域等の住民の医療や介護の一部負担金の免除措置を最長一年間延長するとともに、その他の地域でも、無職や高齢者の方が加入する国民健康保険、後期高齢者医療制度や介護保険の一部負担金の免除措置を一定期間継続する方針としております。
 十八歳以下の医療費無料化についてのお尋ねがございました。
 子供の医療費無料化については福島県から要望をいただいており、関係閣僚の間でも熟慮を重ねてまいりました。しかし、国の医療保険制度の根幹に影響を与えるなどの課題もあり、対応が難しいとの結論に至りました。この旨を一昨日、福島県に対してお伝えをしたところでございます。
 なお、福島県としては、子供たちを育てやすい環境を整備していく観点から、福島県民健康管理基金の活用を含め、子供の医療費無料化を前向きに検討すると伺っております。
 政府としては、放射線被曝の低減や健康管理対策等を通じ、引き続き、福島の将来を担う子供の健康について最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。
 消費税増税と被災地や国民生活への影響についての御質問をいただきました。
 大震災からの復興はこの内閣の最優先課題であり、復興庁や復興交付金、復興特区制度などを活用して被災地の復興を加速をしてまいります。
 一方で、社会保障・税一体改革は、社会保障の充実、安定化を図り、若い世代を含めた国民の不安を解消し、将来に希望を持てる社会を取り戻すための、どの内閣であっても先送りできない課題であります。全て国民に還元するものであり、消費税の引上げに当たっては低所得者等にも十分配慮をしてまいります。
 この改革の実施に当たっては、国民の皆様の御理解と御協力を得るために、改革の意義や具体的な内容を分かりやすくお伝えをしていく努力が欠かせないと考えており、私と関係閣僚が先頭に立って国民の皆様への情報発信に全力を尽くしてまいります。
 一体改革における社会保障についてのお尋ねがございました。
 今回の一体改革は、社会保障の充実を確実に実施するとともに、社会保障全体の持続可能性の確保を図ることにより、全世代を通じた国民生活の安心を確保する全世代対応型の社会保障制度の構築を目指すものであります。このため、全体で最大三・八兆円程度の充実を行う一方、最大一・二兆円程度の重点化、効率化も行い、併せて二・七兆円程度の充実を行うことにしています。
 具体的には、保育などの子育て支援の量的拡充と質の向上、在宅医療・介護の充実、低所得者への加算など現行の年金制度の改善、低所得者の保険料の軽減、総合合算制度など、貧困・格差対策の強化を行うことにしています。このように、一体改革は社会保障の必要な機能の充実と重点化、効率化を併せて行うものであり、改悪と切捨てのオンパレードとの御指摘は当たらないと考えております。
 消費税の適正転嫁についてお尋ねがございました。
 消費税の適正転嫁については、弱い立場の事業者が不利益を被ることのないよう、事業者の実態を十分に把握し、関係府省が一丸となって対策を講じてまいります。
 具体的には、今般の消費税率の引上げが段階的な引上げになることも踏まえ、消費税の転嫁・表示等に関するガイドラインの策定及びその周知徹底、中小事業者向けの相談窓口の設置、講習会の開催、取引上の優越的な地位を利用した不公正な取引の取締り、監視の強化、便乗値上げ防止のための調査、監督及び指導といった取組を行っていきたいと考えており、関係府省の緊密な連携を確保し、総合的に対策を推進するための本部を内閣に設置することとしております。
 消費税増税の経済、財政への影響について御質問をいただきました。
 人口構造の急速な高齢化、社会経済状況の変化、欧州の政府債務問題に見られるグローバルな市場の動向を踏まえれば、社会保障の充実、安定化を図ることは先送りできない課題であります。また、一体改革により社会保障の安定財源を確保し、財政健全化を進めることは、将来への不安を取り除き、人々が安心して消費や経済活動を行う基礎を築くものと考えております。
 なお、一九九七年の景気後退については、同年七月のアジア通貨危機、十一月の金融システムの不安定化という他の要因によるものが大きいと考えております。
 日本経済再生のための方策についてのお尋ねがございました。
 分厚い中間層を復活させるため、中小企業を始めとする企業の競争力と雇用の創出を両立させ、日本経済全体の元気を取り戻せるよう取り組んでまいります。
 このため、農業、エネルギー・環境、医療・介護といった新たな需要を生み出す分野でのイノベーションの推進等により、安定雇用を生み出すとともに、労働力人口の減少が見込まれる中で、若者、女性、高齢者、障害者の就業率の向上を図り、意欲ある全ての人が働くことのできる全員参加型社会の実現を進めてまいります。
 さらに、最低賃金の引上げについては、新成長戦略でも掲げた目標の実現に向けて、中小企業団体とも連携しながら、中小企業に対する総合的な施策を講ずるなど、雇用、経済への影響も配慮し、労使関係者との調整を丁寧に行いながら、その引上げに取り組んでまいります。
 最後に、大企業のリストラへの歯止めと正社員を原則とする雇用ルールの確立についての御質問をいただきました。
 解雇、雇い止めは労働者の生活に大きな影響を与えるため、企業の方々の御理解をいただきながら、雇用の維持確保を図ることが重要であると考えます。
 非正規労働者は、正規労働者と比べて雇用調整の対象となりやすいこと、相対的に低賃金であることなど、雇用や生活が不安定であるとの認識をしています。このため、ハローワークにおける就職支援や各種助成金の支給により、非正規労働者の正社員としての就職を支援をしてまいります。
 また、派遣労働者の雇用の安定を図るため、現在、国会で継続審議となっている労働者派遣法改正案については、与野党で精力的に議論いただき、速やかな成立をお願いをしたいと考えています。
 さらに、有期労働契約を長期にわたり反復継続した場合に、労働者の申出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入することなどを柱とする法案を今国会に提出する予定でございます。
 これらの対応を通じて、働く方々の不安を取り除き、安心して働き続けられる社会の実現に努めてまいります。(拍手)
#31
○議長(平田健二君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#32
○議長(平田健二君) 議員大石尚子君は、去る四日逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。
 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ さきに懲罰委員長の重任にあたられました 議員従四位旭日中綬章大石尚子君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
    ─────────────
#34
○議長(平田健二君) 輿石東君から発言を求められております。この際、発言を許します。輿石東君。
   〔輿石東君登壇〕
#35
○輿石東君 本院議員大石尚子先生は、去る一月四日、都内の病院において呼吸不全のため逝去されました。享年七十五歳でした。
 つい先日まではお元気に御活躍されていたお姿を拝見しておりましたので、余りに突然の訃報に、いまだに信じられない思いであります。誠に哀悼痛惜の念に堪えません。
 私は、ここに同僚議員各位のお許しを得て、議員一同を代表し、故大石尚子先生の御霊に対し、謹んで哀悼の言葉をささげます。
 大石先生は、昭和十一年八月二十六日、潮の香り満ちる瀬戸内は江田島の海軍兵学校官舎において、大石宗次、宜子御夫妻の長女としてお生まれになりました。先生の母方のおじい様は、日本海海戦時に連合艦隊作戦参謀を務めたあの秋山真之海軍中将であります。その後、先生は鎌倉において御成長されました。幼少のころから曲がったことが大嫌いで、相手が学校の先生でも、友達でも、思ったことははっきり言い、みんなをまとめていく少女だったと伺っております。そんな先生に付けられたあだ名は、尚子ならぬ卑弥呼だそうです。横浜国立大学附属小学校、同中学校を卒業された先生は、神奈川県立鎌倉高等学校、さらに横浜国立大学学芸学部心理科に進まれ、学業を修められました。
 大学卒業後の昭和三十四年、先生は神奈川県教育委員会に採用されます。そして、まずは現場を経験したいという先生の強い御希望で藤沢市立辻堂小学校の教諭に御着任され、社会人としての第一歩を踏み出されたのであります。さらに、教育心理学の専門家として神奈川県立外語短期大学講師としても御活躍されました。先生が日ごろおっしゃっておられた、国づくりは人づくりからの原点がここで培われたのではないでしょうか。今思えば、先生が最初に選んだ職が教師であったことと、大伯父様である秋山好古陸軍大将が晩年、郷里松山の北予中学校の校長先生を務められたこととは単なる偶然ではない因縁を感じます。
 こうして教育の専門家として御活躍されていた先生に大きな転機が訪れます。民社党の曽祢益衆議院議員が大石先生の資質を見抜き、政治の世界へ挑戦することを勧められたのです。昭和四十六年、神奈川県議会選挙に立候補され、見事に当選され、以後、五期十八年にもわたり御活躍されました。先生は文教の大石と言われ、今なお教育問題に真剣に取り組んだ一番の県会議員は大石さんと、県議たちの間では語りぐさとなっております。
 その教育問題に心血を注いでおられた県議時代に、先生は一冊の本を上梓されました。「まこちゃんがはだしになった」という幼児からお年寄りまで幅広い層に向けられた絵本であります。この作品は、子供たちへの優しさにあふれ、自然との共生という難しいテーマを絵本の形を通して子供たちやそれを読み聞かせる大人たちにまで訴える内容となっております。平易でありながらも巧みな文章を紡ぎ出し、読む人間に深く訴えかけるこの才能は、あの連合艦隊解散の辞など数々の名文を起草されたおじい様から受け継いだものではないか、そう思えてなりません。
 その後、平成元年六月、先生は神奈川県議会議員を辞職し、民社党の要請で参議院議員選挙に立候補されましたが、惜しくも当選ならず、そこから十年に及ぶ雌伏のときを過ごされることとなりました。この間、先生は民社党女性局長などを歴任し、また、女性の地位向上の問題に熱心に取り組まれ、各国の女性組織と交流するなどして世界にも目を向けるようになられたのであります。
 そんな先生の実力がついに発揮されるときがやってきたのであります。先生は、平成十二年六月の第四十二回総選挙において、地元鎌倉の衆議院神奈川県第四区から立候補され、見事に当選されました。
 衆議院議員時代の大石先生は、それまで蓄えられてきた力を遺憾なく発揮され、文部科学委員会、安全保障委員会等で御活躍されました。そして、この時代の先生の御活躍で忘れてはならないのは、テロ対策特別措置法に基づいてインド洋での海上給油活動に派遣された自衛艦への訪問であります。やはり、大海原で体を張って国際貢献に従事する隊員に対する思いは格別のものがあったのでしょう。先生が自ら雑誌に寄稿された「ドバイまでわが自衛艦を追いかけるの記」には、平成十四年の年末から翌十五年の年始にかけ、秘書も伴わず単身でドバイに飛び、日本から持参した正月飾りや日本の花々で自衛艦内を飾り付けて隊員を激励された様子が残されております。改めて、先生の行動力、人への思いやりにただただ敬服するばかりであります。
 こうして衆議院議員を二期五年務められた先生は、平成十七年、あの郵政選挙で苦杯をなめてしまわれます。先生は捲土重来を期し、平成十九年参議院通常選挙に比例代表として立候補されます。そして、立候補に際しては、日本の興廃、この一戦にあり、全力を尽くして勝ち抜いてまいりますと、おじい様になぞらえて先生の御決意を語られましたが、惜しくも次点に終わりました。ところが、平成十九年の末、山本孝史先生の御逝去に伴いまして繰上げ当選となり、先生の参議院議員としての御活動が始まったのです。
 本院における先生は、環境、文教科学、外交防衛などの委員会に所属され、従来から取り組まれてきた分野において精力的に議員活動をこなされました。また、議院運営委員会庶務小委員長として、新議員会館の移転に際し隅々まで配慮されておられました。今日、我々が日々使っている議員会館には先生の細やかな心遣いがこもっている、そんなふうに今感じております。
 大石先生は、御自身の議席が亡くなられた山本孝史先生のお命の延長線上にあると深く自覚され、山本先生の御遺志であるがん対策を受け継がなければならないと常々語っておられました。自然と共に生きることの大切さ、命をつないでいくことの大切さを知る希有な政治家を我々は失ってしまったのです。
 ちょうど一年前の平成二十三年一月二十八日、先生はこの本会議場の演壇に立ち、政府四演説に対する代表質問を行いました。その代表質問の最後で、先生はこうおっしゃっております。
 人生は有限でございます。年を重ねて初めて一人の人間の生涯を超えた出生以前の過去から現在、さらに次世代の担う未来へと連なる人類の流れ、営みを実感できるようになる気がするのです。そして、国難の多いこの大きな変革期に、国政を国民の皆さんよりあずかっている私たち全員が英知を寄せ合って、たくましく速やかに幾多の国難を乗り切っていけるよう心から願い、私の質問を終わります。
 今から振り返りますれば、この最後のお言葉は、まさしく先生の御遺言のように聞こえてくるのです。英知を寄せ合い、たくましく速やかに国難を乗り切るという先生の御期待に我々は全力でおこたえすることをここにお誓い申し上げます。
 先生の告別式が執り行われた一月九日、くしくもおじい様の郷里松山では秋山好古生誕百五十三年祭が行われ、松山の方々も大石先生をしのばれておりました。また、その日は、敷地内にある武道場の柔道と合気道の稽古始めの日でもあり、子供たちは秋山兄弟を目指し心身を鍛えておりました。大石先生の御足跡を顧みますとき、人と人との巡り合わせの不思議さを感じます。先生がおっしゃる一人の人間の生涯を超えた人類の流れに秋山兄弟の物語が刻まれ、大石先生の御足跡もまた刻まれたのであります。
 ひょっとすると、先生、今ごろは、はるか坂の上の雲の上でおじい様にお会いされ、立派に務めを果たしたことを御報告されているのかもしれません。そう信じております。
 ここに、謹んで在りし日の大石尚子先生のお人柄と御功績をしのび、院を代表して御冥福をお祈り申し上げ、哀悼の言葉といたします。
     ─────・─────
#36
○議長(平田健二君) この際、お諮りいたします。
 田中直紀君から裁判官弾劾裁判所裁判員を辞任いたしたいとの申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#37
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#38
○議長(平田健二君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員一名、またあわせて
 皇室会議予備議員一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、皇室会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員に増子輝彦君を、
 皇室会議予備議員に一川保夫君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、皇室会議予備議員の職務を行う順序は、一川保夫君を第一順位といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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