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1947/06/10 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第29号
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1947/06/10 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第29号

#1
第002回国会 予算委員会 第29号
昭和二十三年六月十日(木曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 庄司 一郎君 理事 苫米地英俊君
   理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君
   理事 押川 定秋君 理事 今井  耕君
   理事 大原 博夫君
      青木 孝義君    淺利 三朗君
      東  舜英君    植原悦二郎君
      角田 幸吉君    島村 一郎君
      鈴木 正文君    西村 久之君
      本多 市郎君    本間 俊一君
      海野 三朗君    岡田 春夫君
      加藤シヅエ君    黒田 寿男君
      田中 松月君    中崎  敏君
      中原 健次君    矢尾喜三郎君
      梅林 時雄君    押川 定秋君
      川崎 秀二君    小島 徹三君
      鈴木 強平君    田中源三郎君
      圖司 安正君   長野重右ヱ門君
      笹森 順造君    松本 瀧藏君
      大神 善吉君    叶   凸君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 北村徳太郎君
        運 輸 大 臣 岡田 勢一君
        逓 信 大 臣 冨吉 榮二君
        労 働 大 臣 加藤 勘十君
        國 務 大 臣 栗栖 赳夫君
        國 務 大 臣 野溝  勝君
 出席政府委員
        経済安定政務次
        官       西村 榮一君
        経済安定本部財
        政金融局長   佐多 忠隆君
        地方財政政務次
        官       西郷吉之助君
        大藏政務次官  荒木萬壽夫君
        大藏事務官   福田 赳夫君
        大藏事務官   河野 一之君
        專賣局長官   原田 富一君
        逓信事務官   横田 信夫君
 委員外の出席者
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年度一般会計予算
 昭和二十三年度特別会計予算
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 会議を開きます。
 昨日に引続きまして、政府当局より予算案に関する説明を聽取いたしたいと思います。冨吉逓信大臣。
#3
○冨吉國務大臣 昭和二十三年度逓信省所管一般会計、通信事業特別会計及び簡易保險並びに郵便年金特別会計の歳入歳出予算について大要を御説明申し上げます。
 まず一般会計におきましては、その歳出額は六十二億三千八百万円となつております。そのうち五十七億三千万円は逓信省所管特別会計への繰入金でありまして、その他は五億八百万円でありますが、そのうち文官に対する年金恩給一億八千万円を除きますと、本省所管の一般行政関係の経費は三億二千七百余万円となります。その事項別金額を申しますと。一、逓信省基幹職員その他に要する経費三百万円、二、航空保安施設の維持運営に必要な経費一億三千万円、三、無線通信士養成に必要な経費五千三百万円、四、電力及び電氣機器の研究、電氣計器電氣用品の檢定処理に要する経費一億六百万円、五、臨時物室調整法に基く物資の割当に要する経費六百万円、六、賣格補正等に生ずる予算不足を処理するため必要な経費二千八百万円であります。この予算額は、他の一般会計予算と同樣、人件費の一割五分を節減いたしたものであります。なお無線通信士養成に必要な経費及び電力電氣機器の研究、電氣計器、電氣用品の檢定処理に要する経費は、各省設置法の公布に伴い、それぞれ文部省及び商工省へ所管換えを予定されております。
 次に通信事業特別会計について申しますと、歳出の総額は八百九十一億六千百万円でありまして、事業收入六百二億七千八百万円、事業外收入二百八十八億八千三百万円よりなつております。事業收入の内訳を申しますと、一、業務收入四百億三千八百万円、二、公債金受入一日四十六億二千九百万円、三、一般会計より受入五十六億一千百万円であります。これに対しまして歳出の総額は八百九十一億六千百万円でありまして、事業支出五百八十八億五千百万円、事業外支出二百八十八億八千三百万円、予備費十四億二千七百万円よりなつておりまして、事業支出の内訳を申しますと、一、総掛費三十八億三百万円、二、業務費三百八十九億五千八百万円、三、建設改良費百六十億九千万円であります。
 御承知のごとく通信会計は終戰以來連年赤字に悩まされてきたのでありますが、本年度におきましては、物價運賃の改訂、給與水準の引上等に伴いまして、一層経費の増大を來すこととなりましたので、やむを得ず通信料金の改訂及び一般会計よりの繰入によつて收支のパランスを保つことといたしたのであります。しかしながら、事業自体の経営の合理化健全化は、今日の場合特に眞劍に取上げ実行しなければならぬことを痛感するものでありまして、この趣旨よりいたしまして、通信事業復興五箇年計画を立て、二十三年度をその第一年度としまして、將來五箇年間内に通信サービスも昭和九――十一年度の水準に復元するとともに、経営面におきましても、他の條件に変化のない限り、いわゆる独立採算の実を挙げ得るごとく見透しを立てたのであります。なお経営合理化の問題につきましては、人件費、物件費ともに現状として最大限の努力を拂いました。まず人件費の基礎となる定員は、昭和九――十一年を基準年度としまして、この期間の從業員一人当り能率を通信各事業ごとに算出し、ことと本年度の各事業の利用見込物数とに定員算定の基礎を求めたのであります。從つて業務用資材も不足がちな今日、この定員は少しむりかとも思われますが、これは從業員の能率向上によつて事業運営に支障がないように努めるつもりでおります。物件費について申しますと、資材の整備は建設面におきましても、業務面におきましても、サービス向上、從業員の労苦軽減、両樣の意味においてこれを急ぎたいのでありますが、收入との均衝を考え、物動ともにらみ合わせまして、やむを得ない経費のみを計上いたしました。その他、借入金の返済、公債の償還等も、後日に解決すべきものとして、今回は計上を見合せ、できる限り歳出を狹めることに努めた次第であります。
 次に簡易生命保險及び郵便年金特別会計予算について説明いたします。
 本特別会計は、前に延べました通り、事業運営は通信事業特別会計において行い、その必要経費を本会計より通信事業特別会計へ繰入れているのであります。從いまして、本会計の支出は、右繰入と支拂保險金及び年金でありまして、本特別会計も、独立採算制の確立をはかりますために、以下申しますような多額な新規募集を目途とする一方、運営経費は、できる限りの節減をはかり、人件費において約五分、物件費においては必要最低限度に切りつめたのであります。
 さて簡易生命保險及び郵便年金の收支の概要を簡單に説明いたしますと、まず簡單保險については、本年度收入は保險料收入総額約八十一億一千万円、積立運用收入約三億三千万円、戰爭死亡者に対する保險金の一般会計よりの繰入一億二千万円を合わせまして、約八十五億六千万円となつております。これに対し支出は、保險約七億円、運営経費として通信事業特別会計ヘ約四十四億七千万円、予備費約三千万円、合計約五十二億円で、三十三億五千万円の歳入超過となりますが、法定の責任準備金額が三十三億五千万円余でありますから、差引過不足ないこととなります。
 なお郵便年金につきましては、收入は年金掛金四億九千五百万円、責任準備金運用收入約一億三千六百万円、計六億三千百万円となり、支出は年金支出一億九千八百万円、通信事業特別会計へ繰入三千六百万円、予備費八百万円、計二億四千二百万円で、責任準備金三億八千八百万円を積立てて、なおわずかながら、九十万円余が別途積立て得られることとなります。
 簡易生命保險郵便年金の積立金運用の現状は、昨年六月末現在において、公共團体等に放資額約一七%余、國債約一四%余、預金部預入五六%余、その他約一三%となつておりますが、昭和二十一年一月より、連合軍最高司令部の指令により、契約書貸付以外は、逓信省における直接の投資融資活動を停止し、積立金はことごとく大藏省預金部に預入することとなつております。
 以上概略をもちまして御説明といたします。
#4
○鈴木委員長 ちよつとお諮りいたしますが、引続いて野溝國務相並びに運輸大臣の御説明を聽く順序でございますが、ただいま參議院からじきに來られるそうでありますから、來られるまでの間、タバコの値上の問題を含んでおりますので、ちようど專賣局長官がおられますから、一應タバコの問題について、それまでの間、專賣局長官から御説明を聽きたいと思います。
#5
○淺利委員 ちよつとその前に……。財政法第二十八條によりますと、予算審議のため、参考書類を提出することになつておりますが、これが從來の補正予算等には、ほとんど出ておりませんけれども、今回は本格的の審議をする以上は、この参考書類を整備していただきたいと思いますが、これはいつごろとりそろえて提出されますか。その点について、政府なり委員長の方でお取計いを願いたいと思います。
#6
○鈴木委員長 その点は政府当局とよく話合いをいたしまして、いずれお答えいたします。ちようど專賣局長官がお見えになりましたから、專賣局長官の御説明を願います。原田專賣局長官。
#7
○原田政府委員 專賣局特別会計予算案の概要を御説明申し上げます。專賣局特別会計におきましては、御承知のように、タバコによりまして歳入と申しますか、益金の大部分をあげることにいたしておりまして、塩としようのうは大体におきまして收支とんとんということに建前をとつておるのでございます。
 それでまず全体のことを申しますと、專賣局特別会計の二十三年度予算案の歳入が、総額千三百十億七千三百万円でございます。これに対しまして、歳出は四百八十九億六千七百万円、歳入超過が八百二十一億六百万円でございます。それで專賣益金の内容を申し上げますと、まず歳入のうちの事業收入、これは歳入全体と同額でございますが、千三百十億七千三百万円、そのうち專賣品の賣渡代金が千三百六億二百万円、雜收入が四億七千百万円、以上が事業收入でございますが、これに対します経費が先ほど申しました四百八十九億六千七百万円でございます。それで歳入歳出の差引が先ほど申しました八百二十一億六百万円になるのでありますが、これに專賣局特他会計におきます固定資産の増加額が二十五億六千万円、運轉資産の増加額が九十六億七千七百万円、それに対しまして減價償却額を二千六百万円と見込んでおりまして、結局專賣益金が九百四十三億一千七百万円となるのでございます。これをタバコ、塩、しようのうの三專賣に区分いたしてみますと、タバコ專賣におきまして歳入総額が千百三十五億五千一百万円でございます。歳出の総額が二百九十九億九千五百万円、差引歳入超過が八百三十五億五千五百万円でございます。歳入のうち事業收入が、これは歳入全体と同額になるのでございますが、先ほどの千百三十五億五千一百万円、そのうちタバコの賣渡代金が千百三十二億四千八百万円、雜收入が三億三百万円、経費が先ほど申しました二百九十九億九千五百万円、差引は先ほど申しました八百三十五億五千五百万円、これに固定資産の増加額が二十二億八千万円、運轉資産の増加額が八十五億円、減價償却額が二千五百万円、結局タバコ專賣による益金が九百四十三億一千二百万円でございます。
 次に塩專賣について申し上げますと、歳入総額が百六十八億九千五百万円、歳出が百八十二億七千九百万円、差引これは歳出の超でありますが、十三億八千四百万円、歳入の内訳を申しますと、歳入全体の百六十八億九千五百万円のうち、塩の賣渡代金が百六十八億六千二百万円、雜收入が三千三百万円、経費は先ほど申しました百八十二億七千九百万円、差引十三億八千四百万円の歳出超過となるのでございますが、固定資産の増加額が二億三千六百万円、運轉資産の増加額が十一億五千百万円、それに減價償却を百万円見こみまして、結局益金が二百万円という計算でございます。
 次にしようのう專賣について申し上げますと、歳入が六億二千六百万円、歳出が六億九千百万円、差引歳出の超過が六千五百万円でございます。歳入の内訳を申しますと、六億二千六百万円のうち、しようのうの賣渡代金が四億九千百万円、雜收入が一億三千四百万円、経費は先ほどの六億九千百万円で、結局六千五百万円の歳出超でありますが、固定資産の増加額が四千三百万円、運轉資産の増加額が二千五百万円、減價償却は三十万円を見込みまして、結局益金として三百万円を見込んだのでございます。
 右のうちタバコ專賣の賣渡予定を、少しく内容について申し上げたいと存じます。タバコの販賣計画は、國内産のタバコの販賣計画が、本数にいたしまして――これは刻みタバコは一グラムを巻タバコ一本に換算しての計算でございますが――五百五十一億本を本年度販賣する計画であります。代金にいたしまして千百二十一億二千四百万円、それから外國タバコ、これは進駐軍の放出タバコでございまして、これには巻タバコ、パイプ・タバコ、葉巻タバコ等があるのでございますが、全体合わせまして、金額にしまして六億八千三百万円を見込んでございます。その合計が千百二十八億八百万円でございます。先ほどタバコの賣渡し代金の総額を申し上げましたときに、千百三十二億四千八百万円と申しましましたが、千百二十八億八百万円で、その差額は輸出用の薬タバコを含んでおるのでございます。輸出用葉タバコが、その差額にあたるわけであります。
 それからタバコの販賣計画の内容にまいりまして、自由販賣品として、現在「ピース」「新生」を賣つております。なおこのほかに新しい製品をつくりまして、販賣する計画でございますが、その内容を少し申し上げますと、從來配給品にいたしておりました「朝日」を八億本販賣する計画でございます。金額は昨日主計局長から申し上げたのでありますが、十本二十円にいたしております。「ピース」は十本六十円に値上をする案でございまして、数量九十億本を販賣する計画であります。なお「光」を少しく持続する考えでございまして、定價は從前通り五十円でございまして、数量を三億二千万本ばかり計画いたしております。次に「憩」という新製品をつくりまして、十本あたり四十円の案を考えております。その数量が二十億本でございます。次にこれも新製品「ハツピー」というタバコをつくりまして、三十円の案でございますが、四十四億五千万本の計画をもつております。「新生」は昨年度つくりましたものの賣残りと、なおあと少しつくくる予定でありまして、数量三十三億本を見込み、定價は從前通り二十円でまいりたいと思つております。それから新しく細刻みの自由販賣品を考えておりまして、これは十グラム二十円の案でございますが、本数に換算しまして二十二億本の計画でございます。以上が自由販賣品の販賣計画案でございますが、全体合計いたしまして、二百二十億本の計画で、その賣渡し代金の総額八百五十億三千二百万円でございます。
 次に配給用のタバコでございますが、「金鵄」が現在六円の定價を十一円に値上する案でございまして、数量百二十八億五千万本、「みのり」は十円に値上する案でございまして、本数に換算いたしまして百二十億本、「のぞみ」は九円に値上する案でございまして、これも本数に換算いたしまして九十億本でございます。配給品の合計が三百三十億五千万本、先ほどの自由品の合計のところで省略したのでありますが、二百二十億七千万本でございます。配給品が三百三十億五千万本、配給品の賣渡し代金総額が二百七十億九千二百万円、その合計が先ほど申しました五百五十一億二千万本でございまして、代金の総額が千百二十一億二千四百万円、こういう計画をもつて予算案を編成いたしておりますし、また新製品の價格の決定、あるいは從來のタバコの定價の改正の案は目下國会に提出して御審議を願つておるような次第でございます。
#8
○田中(源)委員 この製造に要する葉タバコの大体の收穫見込量を説明しててください。
#9
○原田政府委員 昭和二十二年度の葉タバコの生産は五千七百万キログラムの実績であります。本年度は五万町歩を耕作いたしまして一反歩あたりの收穫見込高を百六十キロに見積りまして、八千万キログラムの收穫を予定いたしております。なお先ほど販賣計画を申しました際に五百五十一億二千万本と申しましたが、実際製造する予定高は五百三十億本でございます。これは昨年つくりました「新生」が賣れないで二十億本近いものが今年度内に繰越されますので、本年産の葉タバコが八千万キロあれば十分できる予定であります。
#10
○川島委員 タバコの小箱の生産計画について伺いたい。
#11
○原田政府委員 小箱は「新生」「ピース」等でありますが、非常に原料の入手難で困つたのでありますが、現在におきましては、全部自分でやる計画をもつて印刷その他の手配をいたしております。本年度は自由品について、ばら賣りはしないような案にしております。
#12
○鈴木委員長 お諮りいたしますが、まだ予定は運輸大臣、野溝國務大臣、安本長官の御説明を聽く予定になつております。大体從來の慣例を破りまして、大藏大臣やこういう人たちのほか、主計局長、主税局長など質問に先だつて御説明を聽くことにいたしましたのは、予算案の中の重要な問題に関しましては、質問に先だつてあらかじめ問題の所在をはつきりとさせるために政府の説明を聽いた方がよかろう、こう考えてこういう手筈をいたしたのでありますが、あと安本長官、運輸大臣と野溝國務大臣は参議院の関係上都合が惡くて御出席はまだしばらくできないそうでございます。そこで予算委員会はこれで休憩をいたしまして、以上残つております説明は省略いたしまして、午後正一時に質問にはいりたいと思いますが、いかがでございましようか。
#13
○鈴木委員長 政府の出席に関しましては、委員長より後刻嚴重に政府との間に折衝する予定でございます。
#14
○苫米地(英)委員 先ほど問題になりましたが、予算に関する材料がいつごろでて来ますか、これは委員長がお計らいくださることになつておりますが、あまり遅れますと、質問を反復やり直さなれければならぬようなことも起るかと思いますので、あらかじめお含みおき願いたいと思います。
#15
○鈴木委員長 その点も一緒に政府と十分打合せをしておきたいと思います。
 それではこれで休憩いたします。
    午前十一時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十一分開議
#16
○鈴木委員長 午前に引続いて開会いたします。
 これから政府の説明に対する質問に移りたいと思いまするが、質問は通告順序によつて、順次質問をお許しいたしたいと思います。なお発言の通告のない方は、なるべく早く御通告を願いたいと思います。質問の第一は西村久之君であります。西村君。
#17
○西村(久)委員 私は二十三年度の本予算の審議にあたりまして、予算委員の一人といたしまして、この審議がいかに重大であるかを痛感いたしておるのであります。今月八日に提案されましたる二十三年度の予算は、申し上げるまでもなく厖大なる予算でありまして、三千九百九十三億余万円という過去にない國民の負担を重からしめる案件であるのであります。從いまして、その審議には、私ども委員といたしましては、及ぶだけの努力を拂い、國民のために、國家再建のために委員の任務を果さなければならないと信じておるものでございます。予算に対する私の質問の要点は、歳入に関係いたします部門が大体の骨子とはなつておりまするが、予算案をお尋ねする前に一言、二言政府にお尋ねしておかなければならぬことがあるのであります。それは今朝の新聞を見てますると、二十日をもつて終了せんとするこの会期の、今月一ぱいの延長を政府は要請されておるということでありますが、これは事実でありますかどうか、まずこの点を先にお尋ねしておきたいと思います。
#18
○北村國務大臣 ただいまの西村君の御質問にお答え申し上げたいのでありますが、これはまだ閣議で國会に対して、どれだけ延長を願うということをきめたようには覚えておりません。ただ私は閣議に列席しないことが多く、委員会及び本会議等に出ておりますから、連絡の惡い点があるかもしれませんが、今のところそんなようには聽いておらないのであります。ただ先般総理がここに参りまして、予算の提出が遅れたことに対して遺憾の意を表されました際に、できれば今月一ぱいぐらいは延長をしていただきたいということを願望として思つておるということを、この席で述べましたので、そのことであろうかと考えております。
#19
○西村(久)委員 大藏大臣のお話はよくわかるのであります。私は実は当然会期の延長をはからなければならないものと考えているのであります。この会期の延長は、議会がきめるのでありますけれども、余すところは十日に相なつた今日から、この尨大なる予算審議にとりかかるのであります。過去問題のない時代の予算でありましても、二十日以上の日数を本予算は要する。今日出ております予算は、租税の面におきまして、あるいは鉄道料金、通信料金の面におきまして、あらゆる増徴をはかつてまいる案件が多分に含まれている重大な案件でありますから、二十日ぐらいの日数でこの案件の審議を議了するとは私は考えておりません。政府が専門家ぞろいで今日まで予算を編成されたその日数は、四箇月になんなんといたしておるのであります。しかしてでき上つたから出すと称しまして、なお三十幾日を経過している今日提案されたような、内容すこぶる重大性を含む案件であるのでございます。それをわれわれ委員が審議をして、適当なるかいかんを決定するのでありますから、少く見ましても、三十日ないし三十五日の審議期間をもたなければ、ほんとうの審議はできないのではないかということを考えますために、冐頭申し上げましたように、この審議は私ども委員に課せられたる重大な責務のあることを痛感するのであります。もし会期延長を政府が要請されるという心持があられますならば、軽卒に審議を急がれる心持をもたれないで、國家再建のためにはたして健全財政に基く予算であるかないかを、十二分に委員会に檢討せしめていただきますよう、会期の延長を御考慮になることを、切にこの期会に私はお願い申し上げておく次第であります。
 御承知の通りに、本予算はようやく提出になりましたが、この予算の内容は、申し上げるまでもなく、六月十五日を基準として組まれた予算であります。タバコの値上げにいたしましても、運賃料金の値上げにいたしましても、物價の改訂、統制の改訂等、大体において六月十五日を基準として計数が出されている予算であると、私は信ずるのでありますが、六月十五日にこういうふうな法案が通過いたすとは思われないのであります。もし六月十五日までの間に、今申しますような各種の値上げの法案、あるいは物價の改訂発表というようなものが、きちんとそろわないというような場合には、予算の内容そのものも根本的に計数が狂うてまいると存じているのでございますが、この点に対しまして、大藏当局はいかようなる御見解をもつておられますか、この点をお尋ね申し上げてみたいと存じます。
#20
○北村國務大臣 ちよつとこの機会に弁明をいたしたいのでありますが、会期延長のことに関しまして、少し連絡が惡かつたのでありままけれども、ただいま連絡がありまして、昨日正式に官房長官より今月一ぱい延長していただきたいということを國会に対して申し出ているそうであります。その点御了承を願いたいと思います。
 それからこの予算が大体六月十五日を中心として物價の改訂等織りこんでおりますので、これはさような意味において御審議をはなはだ勝手ながら早くやつていただきたいということを、切に願つているわけでありまして、物價改訂の問題その他と食い違いを來しますと、財政的な欠陷を、ただちに生じますので、かような点について、非常に心配しているわけでございまして、この点御了承願いたいと思うのであります。
#21
○西村(久)委員 ただいま大藏大臣の御答弁を伺いますと、前段に私が申し上げました会期延長は、先ほど延長の要請をしたということに御訂正になつたのでありますが、これは大藏大臣が知らなかつたのでありますから、やむを得ぬと存じますが、その会期の延長を要請されるについて、六月一ぱい延長すれば、この八日に出した尨大な本予算が通過されると政府が御認定になつたのが、私はそもそも政府の誤りではないかと思うのであります。先ほど申します通り、政府自体が数箇月を要してでき上つた予算を私ども委員が少数の者でここで審議をいたすのであります。その過誤なきを期するための審議――日数を二十日で切上げるというような御認定をなさるということは、私は政府の御認定が過つていると思うのであります。しかしながら、この案件は私どもが早く上げるということよりも、案そのものがはたして國情に即應するか、國民の納得のいく案であるかということを檢討して、そうして協賛を與うべきは協賛しなければならないのでありますから、私は六月三十日は問題にしておりません。先ほど申します通りに、四箇月余もかかるような、税の負担の過重を來す、國民の経済に累を及ぼしますこの今年の予算は、私ども過去において知り得ない予算でありますから、十二分に檢討の余裕を與えていただき、また私ども檢討したい、かように実は考えているのでございます。この点につきましては、これを今ここで追及する必要もなかろうと存じます。会期の延長は、私どもの審議のいかんによりまして、必要を感じますれば当然延長もし、必要を感じなくなれば延長もしないということは、私どもにその権限があるのでありますから、あえて問いません。しかし第二段にお尋ね申し上げました六月十五日起算の点につきましては、大藏大臣の御答弁に、私は承服し得ないのであります。なるほどこれを起算としてやつておりますから、狂いますれば財政的に狂いを生ずることはわかるのでありますが、予算そのものの計数が六月十五日を起算として出されて、そうして算出されて出ました各数字の蓄積が、今日現われている予算の数字に相なつていると私は信ずるのであります。從いまして十五日が狂うてまいりますと、結局根本から予算の計数をやりかえなければ、私はほんとうの予算にならないのじやないか、こういうふうな考えをもちますがゆえに、数字の上には支障を來さないということに、大藏大臣の御答弁が了解されるものかどうか、私の見解と同じような考えをもつておられるかを、重ねてお尋ね申し上げてみたいと存じます。
#22
○北村國務大臣 私どもは大体今までたびたび運営委員会などと御相談申し上げましたが、予算の審議はどうしても三週間くらいはかかるぞというお話がございまして、そういうところをめやすにおいて御進行を願うようにいたしたい、こう考えておりました。そこでめやすをそこにおきまして、物價その他の改訂もどこへ線を引くかということも問題でございますが、大体十五日の実施するものとして、計画を立てておりますので、さような方向に向つて御審議を願いたい、こういうことを繰返して申し上げるほかはないような状態なのであります。
#23
○西村(久)委員 私が尋ねております点が、大藏大臣に御了解がいかないのかもわかりませんが、私の尋ねておりますのは、六月十五日を期して料金その他の関係の轉換をいたす時期になつておるのであります。六月十五日に完全に変るものなりとして予算計数は算出されておるのであります。それが狂いを生じて、あとになつてまいりますと、予算算出の計数に影響を及ぼしまする関係上、了算総体の数字が、いろいろ行き違いを生ずるのじやないか。そうなつてくると、予算そのものの土台が狂いを生じておるのでありまするから、一應お組替えでもなさり、そうして正確なるものにしてお出しになるというのがほんとうでありませんかという趣意を、お尋ね申し上げておるのでございます。もちろん私のお尋ね申し上げまする前提の彌縫策として、政府がとられます策に対しましても、私は敬意を表し得ないのであります。かく私が申し上げまするゆえんのものは、鉄道、通信両会計の赤字を鉄道は九十億でよろしい、通信は四十億でよろしい、一般会計の繰入れはこうおきめになりまして、大綱予算で、それをもつて審議をせよとお迫りになつたが、日ならずして、一日か二日おきまして、一般会計より鉄道への繰入れを百億とし、通信会計への繰入れを五十億と変えられて、大藏大臣は御説明になつておられるのであります。こういうように狂いを生じておるので、これは十五日の値上が人間に合わないということを推定されて、このくらいの程度一般会計から繰入れれば間に合うという数字の繰入れ方じやなかろうかと実は思つておるのであります。その数字は概算的にそういう繰入れ方をやられるといたしましても、それはそれで済むかもわかりませんが、そういうふうに計数に狂いを生じてまいりすと、予算そのものの計数の土台に狂いを生じてまいるのであります。ただ金だけの問題でないのであります。かるがゆえに私は、ここでこの十五日をもつて大体の根本の物價あるいは値上料金の変動ということを起算して出されるところの予算が、今後においてこういう法律案の成り行きいかんによつては、根本から狂いを生じてくるのではなからうか、かように考えますので、これはあとになつてでも数字の計算には何ら異状がない、こういうふうに大藏大臣は御解釈になつておられるかどうかをお尋ね申し上げておるわけでございます。
#24
○北村國務大臣 ただいまのお話の点でありますが、これは打明けて申しますと、大綱のときと、通信並びに鉄道の数字が少し変つておることは、今西村君の御指摘の通りであります。これは実は値上が遅れるだらうと予想して、そういうことをしたかというお尋ねでございますが、そうではございません。当時われわれの考えでは、鉄道の混雜を緩和する、また新しいサービスとして、たとえば座席券のようなものを発賣して、そういうことを通じて多少増收が見込まれるのじやないかというような意見と、いま一つは、通信関係におきましては、最近電話等の復旧がかなり高速度に進んでまいりましたので、そのことからくる必然的の増收というものを見込み得る。從つて予備收入を両会計において二十億くらい計算に立てることは、まずむりではないという考え方をいたしたのであります。その後さらに檢討いたしました結果、これをこのままに出すということは多少不確実である、やはりこれは両会計の二十億の收入というものを両会計に繰入れた方が安全だというような関係から、これを大綱から今回の本予算になるまでに一應修正した、こういうことに相なつておるのでありまして、これは遅れることを予想して云々ということではございません。それから大体今まで運営委員会等としばしば御折衝申し上げまして、少くとも三週間かかるぞということを、絶えず御警告を受けておりましたので、そういうような観点に立ちまして、これはおきめを願い得る、かようにわれわれの方としては考えております。そういたしますと、これで狂いは生じないのでございます。但しこれがさらに延びるということになりますと、やはり歳入に影響いたしまして、歳出の方はどんどん出さなければならぬ。しかし歳入の方は計画したようにまいりませんで、そこから來る一つの財政的な欠陷を生じますので、その点は非常に憂慮いたしておるのでありますが、できれば私どものお願いのごとくに、御審議をやつていただきたい、こういうことをお願いする立場におりますので、そのことを繰返して申し上げた次第であります。
#25
○西村(久)委員 大藏大臣の御答弁によりまして、大綱と本予算との一日おきの違いで、数字のかえられたことは了解いたします。しかしながら、私は事少くも大綱なるものをおこしらえになつて、そうして予算の審議を政府として本会議に諮つて、その趣旨を大藏大臣は一應御説明になつたのであります。そうして審議半ばにしてこれをかえられ、今の御予定が思うような予定にならないから繰替えておいた方がよかろうというようなことで、本予算にま二十億の一般会計繰入れ増額をはかられるということでありますが、私はこういうことがすこぶる根拠が薄弱であるような感じがいたすのであります。きめられた大綱を本会議に大藏大臣が説明して審議を要請されたその事柄から言えば、ある程度不動なるものでなければならないと考えるのであります。私どもはこういうふうなことを予想いたしまするがために、本会議にかけて、また委員会にかけて審議をするのは、政府の方で間違いのないというようなことで、きちんとしてから、会議に臨むのが、ほんとうであろうと考えて、大綱予算の審議は実は反対をいたしたようなわけであります。そういうふうに、政府当局ですらも、中間にして予算の数字のやりくりをやられるというような事柄は、一をもつて他を知るべきだと申さなければなりません。そういうことを考えます際に、私どもはこの予算は十二分に檢討をいたさなければならない、実はこういうふうな信念をもつておるのであります。こういうことを申し上げるのは穴をほじるようでありますけれども、例をほかに申し上げてみますると、價格調整費であります。價格調整費は二十二年度の分がずれとなつてきたものが四百四十億あり、今年の今度の改訂によるものが七十五億円予算に組んだと書いてあるのであります。大綱予算にそういうように書いてあり、そういうふうに御説明になつたのであります。ところがきのう私どもの手もとにまわされました二十三年度予算の説明といたしまして、六月九日附の大藏省主計局の書類によりますと、前からのずれのものは四百三十六億、今年物價改訂に伴うものが七十九億、その合計が五百十五億になるのであると書いてあります。いずれを信じていいのやらわからないのであります。この点は一体いずれが正当でありますか。御迷惑ながらここではつきりしたことを御説明願いたいと存ずるのであります。
#26
○北村國務大臣 お答え申し上げます。先の通信、運輸の問題でありますが、これは私は正直に申しますと、変更しなくてもそのままでも済まぬことはない。しかしながら、多少ともこれは不確実である、あるいはやれぬことはないと思うけれども、確実性がいくらかどうも足りない点があるというようなところから、はつきりと直した方がいい、こういうような態度で改めましたので、その点はさよう御了解願いたいと思います。
 それからいずれの方を信憑していいかわからぬということでありますが、大綱はあくまで大綱でございまして、後に正式に出したものを正式の予算としてごらんを願いたい。その間にこまかい数字の調整、その他の点の補正さるべきことはもちろんでございまして、大綱としてあらましこういうことになるので、正式に提出にはならぬが、実質の御審議を願いたいということを申し入れ、また若干の数字の調整等のあるべきことは、初めから申し上げて、ごらんを願いたいと申し出たのでありますから、その点は正式に予算として提出いたしましたものが、やはり最後のものである、從つて数字の調整等に基きまして、若干の狂いがあることは、当初ここで私が大体の御説明を申し上げたときにも、そのことを併せて申し述べておいた通りであります。さように御了承を願います。
 なお價格差補給金の点でございますが、ただいま数字をあげての御質問でございましたので、これは主計局長より御答弁を申し上げることにいたします。
#27
○福田政府委員 お答えいたします。ただいまお尋ねの價格調整費でありますが、これは昨日私から御説明いたした数字によつていただきたいのであります。その数字は昨日お手もとにお配りいたしました予算の説明書に出してございます。予算の大綱におきましては價格調整費を四百四十億というふうに書いてあるのでありますが、計数整理の結果、四百三十六億と四億円減少しております。この点御了承を願います。
#28
○西村(久)委員 質問にはいります前に、質疑應答の段階が違いまして、実は今までの質疑になつたのであります。冒頭に申し上げました通りに、私の質疑は歳入に関係する問題と、國債費に関係する問題と、この二点を主といたしまして、大藏大臣の御所見を伺つてみたいと思うのであります。
 まず順序といたしまして、國債費関係からお尋ねを申し上げます。二十三年度の本予算に組まれておりまするところの國債費の七十五億それがしという数字は、一体どういうふうな計数の蓄積が、こういう数字になつておりまするものか、さだめしこのうちには國債の償還金もありましようし、特殊借入れの利息、あるいは國の國債というようないろいろなものが含まれていると思うのでありますが、この点に対してこの内容がおわかりでしたら、はつきりとここで予算計数に合う数字の明細をお示しが願いたいと存じます。
#29
○福田政府委員 お答えいたします。國債費七十五億二千二百万円の内訳を申し上げますると、國債償還費が九億九千八百万円、借入金返還費が百万円、國債利子が五十一億八千二百万円、借入金利子が九千五百万円、一時借入金利子が二億五千五百万円、大藏省券の割引差額が九億八千五百万円、かようなことになつております。
#30
○西村(久)委員 ただいまおあげになりました数字のうち、國債費の五十一億八千二百万円というもののうちに、政府の軍事公債と称せらるる公債の利息は、いくばくを計上されておるものか、この点をお伺いいたします。
#31
○福田政府委員 いわゆる國債費に属するものは、その利息の中で四億九千五百二十万八千円でありまして、これは四月の利拂期の到來せる分が、そのうちで二千九十七万五千五百円、六月に期限の到來した分が四億七千四百二十一万二千円、かようなことになつております。
#32
○西村(久)委員 そういたしますと、今の政府委員の説明によりますと、大体五十一億八千二百万円の國債利子のうちに含まれておる軍事公債利息というものは、四月分拂うべき利息と、六月分拂うべき利息の合計額の四億九千五百二十万それがしだけを含めてあるということに承知いたさなければならぬと思いますが、その通りになるのでございますか。
#33
○福田政府委員 その通りでございます。
#34
○西村(久)委員 軍事公債の利拂停止に関する法律案が出ておりますが、外國人のもつたものは利拂するということになつております。少くも外國人のもつておる國債に対する利息は、この國債費のうちに計上になるのが妥当なように考えますが、全部年公利子は拂わないということに相なつておると考えられますので、今まで言われましたところの大藏大臣等のお言葉と違うような感じがいたしますが、どういうわけで外國人等のもつておる利子を國債費に計上いたしてないのでありますか、この点をお伺いいたします。
#35
○福田政府委員 先ほどの答弁少し足らなかつたのでありますが、四月、五月の分のほかに、外國人所有の分の九千五百万円が五十一億円の利子の中にはいつております。
#36
○西村(久)委員 そういたしますと、四月と六月のすでに政府で認めましたところの軍公利子のほかに、九千五百万円が含まれていて、あとを軍公利子の停止によつて節約したということになるの思うのでありますが、その通り承知して差支えございませんか。
#37
○福田政府委員 その通りでございます。
#38
○西村(久)委員 この軍公の利拂問題は、金額の上から申しますと、大した問題でなかろうと実は私は考えるのであります。四千億に近いところの國の予算から見まして、軍公利拂というものの利子額は二十七億一千五、六百万円程度の利息になるのでありまして、そのうちからすでに支拂われましたところの、ただいまの政府委員の御説明による五億余を控除いたしますと、二十二億程度の金高になるのではなかろうか、かように実はうかがわれるのであります。この二十二億円のうちにも、大藏省の預金部がもつた軍事公債があると実は承知いたします。この大藏省の預金部がもつておるところの軍事公債は、大体その利息において金額がどのくらいの程度に相なつておりますか、御説明をお願いいたしたいと思います。
#39
○福田政府委員 お答えいたします。大藏省預金部保有の國債は百七十六億六千五百万円でありまして、その利息は六億一千八百万円、かように御了承願います。
#40
○西村(久)委員 そういたしますと、軍公利拂停止の結果、預金部に六億一千八百万円ほどの軍公利子がはいらなくなるのでありますから、預金部の方に穴があきます関係を生じてくるのではなかろうかと思います。これは一般会計から預金部繰入金でこの穴を埋められておるのであるか、この点をお伺い申し上げたいと思います。
#41
○福田政府委員 ただいまの軍事公債の利息に相当する額だけが預金部特別会計の赤字の額の増加となつて現われてくるのであります。さようなことがなくても、預金部といたしましては、相当な赤字があるのでありますが、その額だけが増加されます。從つて預金部の会計に対しましては、その收支差額を一般会計から補填するということになつておるのでありまして、その金額だけ増加された額、すなわち本年度におきましては四十五億七千九百万円という額が、一般会計から預金部の收支差額補填といたしまして繰入と相なる。かように御了承願います。
#42
○西村(久)委員 四十五億の預金部繰入金の中に、軍事公債利拂関係の金が、預金部に穴があきますために、一般会計から繰入れられておる、その六億一千八百万円を含んでおるということでありますから、これも当然軍公利拂停止によりまして、何も利益にならない金であり、一方で停止して、國が一般会計から補給したということに承知いたしたいと存じますが、その通りなるのでございますか。
#43
○福田政府委員 その通りであります。
#44
○西村(久)委員 そういたしますと、軍公利拂停止によりますところの額というものは、だんだん減つてまいつておるのであります。口で十五億ほど節約したというようなことを言うておられるのでありますが、これは、ただいま御説明を願つた数字で合わせてみませんと、はたして十五億になるものやらはつきりいたさぬのであります。こういうふうにだんだん減つてまいりまして、実際の実質におきまする紛約額というものは、非常に僅少になつておる。これが停止をしまして及ぼしまする影響はどうかと考えますと、御承知の通り金融機関は軍公利拂停止に対して実は反対をしておると承知いたすのでありますが、金融機関が軍公利拂に対して反対するのは当然であろうと考えます。債務者である國が権力をもつて権利者たるところの金融機関に命令をされるのでありますから、賛成される道理はないのであります。これは権利を一部侵害するようなやり方のようにも思われ、考えようによりましては、憲法違反になるような感じもいたします。だから金融機関は反対をされておるのであります。それだけの金がはいつてくるべきものを、政府の御都合のためにはいらなくなる、つまり政府の債務不履行によつては要らなくなるということでありますから、自衛上債権者が怒るのは当然であります。從いまして、こういうことから、今後中小商工業者が融資を御相談いたします際に、融資に支障を來すというようなことになるのであります。市中銀行が貸さなくなるのは、これまた当然であります。そうすると、産業資金が不如意で、中小商工業者が困ついてる矢先にこういう拳に出でられるために、今後産業の振興を妨げるという結果を來すと思うのでありまするが、この点に関しては、大臣はいかようにお考えになつておるか、お尋ね申し上げたいと思います。
#45
○北村國務大臣 きわめてごもつともの御質問と思いますが、お話のごとく、このことによつて産業資金が行きつまるというようなことは、私ども考えておりません。これは申すまでもなく、軍公の利拂を止めてしまえという説が一方にある。一方においては軍事公債なるがゆえに、軍事公債そのものを否認すべしという説がある。かような中で、今回これから一箇年間に到來するところの支拂期に属するものについては、元本償還まで期日を変更するということで、しかも閣議決定によつて声明いたしました通り、この措置は今回このことに限るのであるということをはつきりと声明いたしましたので、非常に不安定な、軍事公債そのもの全体が否認せられるのではないかというような不安が一方にあり、あるいは利息を全部否認せられるのではないかという不安がある中で、とにかく今回の措置は私どもが考えましても、正直にいえば、十全の策とは思いませんけれども、少くともこのことによつて今までもやもやしておつたいろんなものを一掃した。そうしてこれは今回の利子の支拂期がこれから一箇年間に來る。しかも軍事公債と銘打つたものに限つて支拂期日を変更するという程度でありますから、ある意味においては、これではつきりしたということも考えられないことはない。
 次にこのことと産業資金の関係でございますが、これはお説の通り金融機関が大約九十四、五パーセントももつておるのでありますから、影響は金融機関にある。ところがこれは現実に現金が既経過の利息で、既得の権利に属するけれども、現金がはいらないということなのでありまして、金融的な措置が講ぜられない限りは、実害があるということになる。ところが問題が金融機関でありますから、これは金融機関自身の問題としては、ただこの経理上の処理さえ方針がきまれば、必ずしも金融がそのことのために困るということはない。全國の総金融機関に対して、約十四、五億の利拂が先に延ばされたとうことが、ただちに産業資金に非常な障害を來すということは考えておりません。ただしかしながら、そういう事実があるのでありますから、從つてこれは日本行銀等と一層連絡を緊密にして、いやしくも産業資金に影響を與えるようなことがあつてはならぬ。その点は金融の面において、できるだけの施策を講ずるような努力をいたして、そういう手配もすでにいたしております。從つて現在までのところ、このことによつて産業資金に云々ということは全然ございませんから、この点は御安心をしていただいてよろしい、かように考えております。
#46
○西村(久)委員 私も額そのものから論じて、十五億程度のもので、國内全般の産業資金をして窮地に陷れる額でないことは承知いたすのであります。しかしながら氣分の問題でありまして、こういう事柄をやられるということを考えまする際に、金融機関はこれを口実として、融資を求める際に、ややもすれば断わるというようなことが起りがちになるのであります。こういうようなことから考えますると、相当な影響が國内には及んでくるのではないかということを実は心配するのであります。それでお尋ねを申し上げたのでありますが、今日政府が軍事公債なりと銘を打たれました支那事変國庫債券、特別國庫債券、大東亞戰爭國庫債券、大東亞戰爭特別國庫債券等、これを軍事公債と銘を打たれて、これに対する利拂期の変更というか、一年延期案を國会にお出しになつたようでありますが、このほかには軍事公債というのはないのでありまするか、この点をお尋ねしたい。
#47
○北村國務大臣 軍事公債というものを一体どこに線を引くかということは、かなりむずかしい問題でございまして、内容的に考えますと、名前が違つても軍事費に使つたものならば軍事公債じやないかという考え方も起るのでありますが、一應私どもこの場合には形式的に軍事公債という名において発行されたものを軍事公債として扱いたいということが一つ。それからそういうふうな銘柄のものでも省いたものがございます。たとえば大東亞戰爭割引國庫債券、あるいは支那事変割引國庫債券というようなものは、御承知の通り割引方法によつて発行したものでございまして、利息の観念はございません。かようなものは除外する。デイスカウントによるものは除外して、利息のつくもので軍事公債、大東亞戰爭あるいは支那事変という頭にそういうものを冠したところのものを軍事公債と、一應さようにきめまして、まあ無理のない方法で、ただいま申し上げましたように軍事公債の範囲をきめた。かように御了承願いたいと思います。
#48
○西村(久)委員 大藏大臣の御説明によりますと、他に軍事公債と稱すべきものがあるということであります。私もあると思います。その点は了解いたしますが、今大藏大臣からお話になりました支那事変割引國庫債券、大東亞戰爭割引國庫債券というのは、割引してうるのでありますから、利拂いの関係がないというお話であつたのであります。私も実はそう思つております。そこで私はお尋ね申し上げるのであります。同じ軍事公債でありながら、割引した軍事公債の國庫債券は、何も今回の処置に対して支障はこうむらないのでありますが、同じ戰爭に関係のありますところの軍事公債であつて、今政府が提案なされておる四種の國庫債券は利拂いを一年延期されますがために、そこで一種の利子の收入がない。一方は割引をして加減しておりますから、もうすでに解消しておるのであります。この延期されますために生じまする金利は、一年延べてそれで済むのではないのでありまして、元金の償還期に返すということになつておるのでありますから、そこで繰延べた利息に対しては、残りました期間の償還期間だけは利息を食つてお返しに相なるということになるのでありますか、その点を伺いたいと思います。
#49
○北村國務大臣 ただいまの割引國庫債券並びに割引公債との関係でございますか、これはつまり当初から発行條件が違うのであります。すなわち種類を異にしておる。割引の方法によるという特殊の発行條件と、普通の金利をつけるという金利後拂式と金利先拂式と申しますか。この初めから條件が違うのでありますから、これが後になつても同一條件において処理せられるということがあれば、むしろふしぎなのであります。割引債券はあくまで割引債券であつて、これは今回の問題の対象外になるべきことは当然である。かように考えております。なお償還期までこれが金融機関に対して、お前さんの方でがまんしろということは、政府としては無理でございますから、現在の公債の利率と同一のものを附加して支拂う、かような法立案を出して、ただいま御審議を煩らわしておる次第であります。
#50
○西村(久)委員 私のお尋ね申し上げておるのは、延ベました利息に利息をつけるかということをお尋ね申し上げたのであります。この点に対する御見解をお答え願いたいと思います。
#51
○北村國務大臣 孫利息ということになるわけでありますが、さように御了解願つてよろしゆうございます。
#52
○西村(久)委員 この軍公利拂に関する問題は、先ほど來申し上げます通り、金額そのものは大したことはないのでありますが、これが政治問題化しておるのでありまして、この問題をめぐつて、各政党間にいろいろの意見があるのであります。おそらく社会党内にも意見はあろうと思います。民主党内においてもあろうと思うのであります。新聞等の報ずるところによりますと、この問題の内容はいかような内容を含むかしりませんが、軍公利拂いに対して離党騒ぎでもあるかのような実は大きい政治問題にまでなつておるのであります。政府は三党政策協定の線に沿うて、そして與党は完全にこれに一致するという確信をもつて実は御提案になつておられるのであるか。不服のある者は不服で構わない、この際これで押切つていこう、こういうようなおつもりであられるのか伺つてみたいと思います。
#53
○北村國務大臣 御所見の通りであります。
#54
○西村(久)委員 そういたしますと、三党政策協定というようなことは考慮の中には入れない、所属代議士はどうなつても構わない。ただ大臣諸公が閣議決定しておるのだから、それで進んでよろしい、こういうような結論になるのではないかと私は思う。わずか十五億程度の金のいざこざの問題のために、私どもは政治問題化していざこざ言うことを好まないのであります。当面の大藏大臣も、おそらくお好みにならないだろうと思うております。大藏大臣の眞意がここにないことを私は了承し得るのであります。当初私の質問に対して大藏大臣のお答えになつたのがほんとうなお心持であろうと、私は存じておるのであります。ところがその後に上林山君が質疑を重ねて、そうして不確実にはいりましたその結果が、稻村君が怒り立てまして、また言葉をおかえになると言うて三轉、四轉いたしてぐるぐるまわつた結果が、結局利拂いを停止するのかしないのか、一年限りの延期案でここをお茶を濁そう、こういうふうな案になつてきておると、私は思うのであります。ほんとうな政府の腹、ほんとうな與党諸君の腹は、この軍公利子に対しまする心持は私は現われておらないのじやないか、実かうような考えをもつのであります。これは私どもといたしましては、軍事公債の利子は、國の債務であります関係上、國が拂い得る関係の財源がありまするならば、ぜひ拂つていただきたい。万難を排して借銭は拂うという建前をもつて、國民に御迷惑をかけない、またその代り國が金が要る際には國民に御相談をしていく、そうして債券の消化に協力を願うというのが、私の建前でありますから、この軍事公債の打切りに対しましては、私どもは心持よしと実は思つていないのであります。しかし御提案の十五億程度のものをここへ今年一年に限つて節約をされようという案でありますから、その可否は別といたしましても、わずかの金の問題でいざこざ言うて、そうして世間を騒がせるとということは、私は好んだやり方じやない、かように実は考えるのであります。停止すべきものであれば清く停止する、停止すべきものでないのならば、きれいに停止せぬ。そうしてきれいに禍根をあとに残さないようなやり方をやつていただくことが、私は公明なる政治のやり方ではなかろうかと実は考えるのであります。しかしながら、これをここで議論いたしておりましても、結局理論の相違となりますし、ただ私どもは軍事公債であろうが何であろうが、國の債務は國家がこれを負担していく義務があるという観点から、この御提案の趣意に御賛成しにくい事情を一言申し上げておきたいと存じます。
 軍公問題の関係の質疑はこの程度にいたしておきますが、次に私がお尋ね申し上げてみたいのは、今年新設せんといたしておりますところの取引高税について、実はお尋ねを申し上げてみたいのであります。この取引高税という税を創設されることに相なりました原因は、しばしば大臣もお述べになつております通りに、所得税、法人税の軽減をはかる、そのために七百億余の穴があく、これを埋めるために財源がないので、いい税とは思わないが、ここへ取引高税というものを創設して、そうして平年四百億程度の税收を見込んだ、本年は年度半ばであるのだから、二百七十億程度のものを税收として見込んであると言われておるのである。私どもは所得税を減税していただくという政府の心持に対しましては、あながち反対はいたしません。しかし減税をする中にも、政府の言われる大口利得者、やみ利得者には高額の税をかける、こういうことを始終言つておられるのであります。一率に課率を引下げられるということは、私は政府の言われる利得者に対する税をとるという建前と反するのではないか、昨年納めておりまするところの高額者の課率をそのまま納めていただきましても、なおかつ税收に、政府の財源に支障を來すという結果ならば、甘んじて國民諸君に訴えて限度一ぱいであつて、所得者も納め得る能力がないのである。やむを得ぬから、税目は何であろうとも、この賣上高税で國民大衆の負担によつて政府の財政を緩和してほしいと言うならば聞えまするが、一方高額所得者に対するところの課率は引下げられて、そうして所得税の減をはかられて、反面大衆課税として呼ばれる、しかも惡税なりと称せられるこの取引高税を創設されました理由を、いま少しく納得のいくように大藏大臣より御説明願いたいのであります。
#55
○北村國務大臣 取引高税につきましては、これから御審議を願うことになつておるのでありますが、これは今回所得税、特に勤労の果実たる所得に対して、大幅に軽減することを中心といたしまして、税の上に大幅の改正を行おうとしておるのであります。所得、殊に勤労所得税においては、從來の総額から申しますと、三分の二程度を減少して、三分の一程度が残るというほどに大幅の軽減を考えておるのであります。これはそうすることによつて勤労者の生活への安定点を與えることと、勤労意欲を増していただいて、この際國の復興のために一層協力していただくというような考え方でございます。今お話がございました中に、法人税の軽減があるのかと思いますけれども、これはまた企業の再生産活動を阻害するような税制では、今の日本の段階でいろいろ障害がある。從つてこの点は是正すべきものであると考えまして、是正をいたしたのであります。それから所得の最高を押える場合に、今までたしか最高は所得の八五%とつておつた。これはいかにも行き過ぎであつて、まあ金持は何でもとれというような考え方もできないことはありませんけれども、今日財閣は解体せられ、企業独占は禁止せられてその他いろいろの方法によつて、もはや從來のような資本家、あるいは金持というものはなくなつておる。かような際に所得の総額から八五%税でとるということは、これは今の段階では少し無理ではないかというので、これを八〇%に下げたのであります。その点を御指摘になつたと思うのでありますけれども、これは私は全体を見まして、全体の合理化、調整ということを考えまして、この点において今の日本の実情に即したやり方である、かような信念をもつて御提案申し上げたわけでございます。
 それから取引高税でございますが、これはお話のごとく、やはり各段階ごとにとるという点が、実はいろいろ非難される点である。同時にもしこの捕捉がうまくいきますと、これは徴税目的ではございませんけれども、そういうことから流通秩序をかえつて確保するということにもなり、またそうなるように努力したい、この税を免れた者がありはせぬかというような点から、無税で正常ルートを離れるものを非常に嚴重にこれを取締ることも、いわゆる流通秩序を確立するという点に、一方において役立つのではないかというような観測もできるのであります。それからこれは御承知の通り、ほかの國でもやつておりまして、割合に成績をあげているフランスは早くやつております。ドイツは最初の段階において百分の三とつております。アメリカは各州においてはやつているところとやつておらぬところとございますけれども、大体成績をあげている。私は実は税のことは素人でございますが、税制改革懇談会において、塩見先生のごときも、今の日本の事情では取引高税はきわめた適当な税であるという御意見もあつたのでありまして、税制改革懇談会等のいろいろの権威者の御意見等も十分取入れまして、今回これによつて所得税の軽減から來る財政欠陷を補おうと考えたわけでありまして、もちろんこれが最後において消費者の負担になるという点に、非常な難点もあると思いますけれども、できるだけ実施にあたつては、その弊害をなくするように努力いたしまして所期の目的を達するようにいたしたいと考えている次第でございます。
#56
○西村(久)委員 私のお尋ね申し上げました趣意は、所得税の減税の法人税をお尋ね申し上げているのではない。法人税関係の所得税を、多少なりとも下げて、外資導入の一助となさんとするその方針を、私は論るわけではないのであります。普通所得の関係を、実はお尋ね申し上げているのであります。また所得税を減らしたために取引高税を新設した、それじや所得税を減らさなければ新設せぬでもいいというように、簡單に解釈をなさつたことは、私の質問の趣意に副わないのであります。政府のお考えになつておりますところの勤労大衆、すなわち源泉課税、勤労大衆の所得税の減免につきましては控除率の引上げその他政府のとつているところの処置に対しましては、物價高の今日でありますから、適当なる処置でなかろうかと、実は存じているのであります。しかしながら、一般所得者の所得に対しまして、前年の率よりも率を引下げられるということは、去年よりも倍に上るべきところの國家財政の膨脹の今日におきましては、去年なりの程度の税に止めておいて、なおかつ足らないところを大衆國民に訴えられる税制の立て方をやるのが妥当ではないか、高額者の率を減らしてまでも、あまり世間が喜ばないてことの新税たる取引高税を創設せられるということは、私は矛盾があるのであなかろうかと考えまするので、お尋ね申し合げているわけであります。税制改正の結果は、所得税の減免をやりますために七百億ほどの赤字が出る。それを補うために、勤労所得税、源泉課税で四百億、一般所得の関係で三百三十億程度のものをここへ減らした関係上、取引高税を創設しなければならないと言われるのでありますから、源泉課税の減額はこれを認めましても、一般所得者の率を前年なりにここへ置いておきますならば、二百七十億余の財源がここにあるのではないか。そうすれば前年の率を下げずそのまま据置きまして、新設税をここへやつて、いろいろと非難を受けることは避けられるのではなかろうかという考えをもつているのであります。この点に関しまして、大藏大臣はいかようにお考えになられるか、実はこれが今日國民怨嗟の的となりまして、所得税の高額者の税はとらないでこれを安くする、そして一般國民大衆に轉嫁する。間接税、轉嫁税を政府がやるということは、何でも聽きとり得ないというのが、今日の輿論の声になつているのではないかということを考えますし、のみならず私の考え方も、実はそう思つておるのであります。前年よりも課率をふやすということは考えなければなりますまいが、財勢が倍以上に膨張した際には、前年くらいの率にして、高額所得税もある税度以上の所得の大きい人方に御負担願つても、國家財源のためにはやむを得ないじやないかという考えをもつておりますために、お尋ねを申し上げておるわけであります。
#57
○北村國務大臣 取引高税及び所得税は、一連のものとしてうらはらの関係のものでございますから、全体として法そのものを調整合理化したというような意味で、離れ離れにはなつておりますけれども、一連の関係においてごらんを願いまして、全体を調整合理化したというような意味に御理解を願いたいと思うのであります。全体から申しますと、昨年度の國民所得に対する負担の割合は一八%である。本年は二二%になつておる。されだけ多くの御負担を願わなければならぬ実情になつておりまして、先ほどお話がございましたけれども、第一次的に主として勤労所得者の税を軽減し農業所得に対して軽減をするというようなことを中心といたしまして、これと関連いたしまして、全体を調整し、全体を合理化するために取引高税を創設した。かような考えをもつておるのでありまして、これは税制懇談会等においてもお諮りをいたしまして、一應了解を得たのでございます。しかしながら、税の問題は、現実に即して考えなければならぬことでありますから、一旦きめたからいつまでも必ずこれで押すんだという考はいたしておりません。今後も研究を続けまして、また欠陷でも出たら、それは補うことに努力いたしましようし、いやしくも税の問題でありまして、直接に國民生活に重大な関係をもつものでございますから、今後研究を続け、もし是正すベき現実の問題が起りましたならば、その際には檢討を加えることにいたしたい。かように考えておる次第であります。
#58
○西村(久)委員 実は本件につきまして、昨日本会議で同僚の本間君が、大藏大臣にパーセンテージの問題から質問を試みられたかと思うのであります。その時分に大藏大臣は数字をあげられて、本間君の質問の趣意とは違うというようなことを言われたようでありますが、政府のお考えになつておる事柄に、本間君のお尋ね増し上げたのは税を軽くしたというようなことを言いつつ、今度は課税人員は前年度の人員よりもふやして予算の税收の計算を立てられておる。こういう結果が減らしたことにならないのではないか。人間が減らないのであります。去年の課税される総人員と、今年課税せんとするところの人員は、かえつて政府の人員数は増しておるように承知いたすのであります。この点を本間君はお尋ねしたのじやなかろうかと思うておるのでございますが、大藏大臣の御答弁は、いかにもあつさりと、そういうことではないというようにお答えをされたように思いますので、この際ここでもう一度その関係を明らかにしておきたいと、実は考えておるのであります。私の承知いたします範囲では、営業所得の関係について申し上げますと、本間君は昨年平坑二万四千円でありましたものを、ことしは十万八千三百円に平均額を見て、課税人員は去年二百三万八千人の人員予定数であつたのだが、ことしの予定数は二百六十八万人の予定人員としておるというように承知いたすのであります。そうするとここで課税人員が相当殖えて、政府の税の算出の基礎になつておる、こういうふうに存ずるのであります。この点を本間君はお聽きになつたのではないかと思いまするが、これは一体どういうふうな関係になりまするか、いま少しく私どもの納得のいくように、去年の人員よりも今年の人員の方が免税点等を引上げて殖えるというようになることが実はわからないのでありますから、お尋ねを申し上げておるようなわけであります。
#59
○北村國務大臣 本件については数字をもつて御説明をした方がいいと思いますので、政府委員より答弁いたさせます。
#60
○河野(一)政府委員 先ほど納税人員が今年は前年に比較して殖えておるのではないかというお尋ねでありますが、二十二年度の予算におきましては、勤労につきましては一應予算上は九百四十五万人ほどに予定しておつたのでありますが、実質的には千百万人程度に上つておるのであります。また営業においても、予算的には百九十万程度であつたのでありますが、実績は二百四十万程度になつておる。農業では三百三十万程度のものが五百万人程度になつております。今年度の予算の積算におきましては、右のような実積を基準といたしまして、勤労においては九百万程度、営業においては二百六十万程度、農業については三百四十万程度でありまして、昨年の実積に比べて、相当減つておるような実情であります。あるいは前年の予算と比較になりましたので、そういうお話が出たかと思いますが、実積に徴しますと、かえつて減つておるという実情であります。
#61
○西村(久)委員 数字の計算方はいかようになりましようとも、昨年の租税負担よりも本年の國民の負担すベき租税が倍額になつておるということだけは間違いなかろうと思うのであります。いずれが負担いたすにいたしましても、実は國民が負担しなければならなくなりますので、國民負担は昨年の負担の倍額になることは、國民が覚悟しなければならぬのではないかと思います。こういうように税は非常に殖えてまいつております。昨年の税ですらも租税旋風とでも申しますか、今年の二三月ごろには國民は非常に負担に困つて悲鳴をあげたのでありまするが、これが倍額の負担になつてまいりますと、ますます國民は窮地に陷りまして、産業を興すにいたしましても余力がないという結果を招來してまいるのではないか、実はこういうことを考えるのであります。從つて國の予算としては、新しい税を創設するということよりも、できるだけ即往の税を整備合理化しまして、その範囲内において國家の経費を賄うように國の出途を考慮に入れていただかなければならないのではないか、かようなことを考えるのであります。政府が物價の改訂をして七割程度の標準に引上げようという声のために、すでに國民はあらゆる品物が上げるだろうと今日予想しておる。そういうふうに、上げることばかり上げましても、結局國民の負担は重くなるだけで、賃金ベースを二千九百円から三千七百円に上げましても追いつかないのであります。上げた賃金よりも先に走つていく物價の値上のために、あるいは負担の増徴のために、國民は追いつきません。生きておる人間であるますから食えなるなることは困ります関係上、悲鳴があがつてくる。爭議、ストライキも起きるということになるのではないかと思います。今日ここで新税としてお考えになつておりまするこの賣上高税というのは、階段をくぐるたびごとにかかるのであります。課率は百分の一となつておりますけれども、動くたびに百分の一かかるのであつて、物によつては百分の十かかるものもできてくるのではなかろうかと思うのであります。政府の予定しておりまするこの予定の收入よりも、やりかかるというと思いがけもない税を取立てるということになりまして、またここへ租税旋風とでも申しまするか、納税に討する不穏なる思想が勃発することを、私どもは今考えなければならないような感じがいたすのであります。從いまして、政府はこの取引高税という税を一度きりに止める、各段階は追わない、一度だけに止めて、そうして一遍の取引にして段階を踏まないというようなことについては、実はお考えにならなかつたものであるかどうか。その点をひとつ大臣にお尋ね増し上げておきたいと存じます。
#62
○北村國務大臣 さきに申しましたように、國民負担の適正衡平ということを前提といたしまして、全体の視野からこれをながめまして、全体を調整合理化するという見地に立つておりますので、むやみに税が殖えるということではございません。たとえば勤労所得税につきましては、一番中堅的な六千円程度の人では、今まで二四%課税されたものが四六%になるというようなことに相なりますので、從つてこれは勤労者の生活に対して安定を與えるということがきわめて重大な問題でありますから、さような点を非常に考慮いたしましたのでありまするが、全体としての合理化をはかる、全体としての調整をはかるという観点から取引高税を設けましたので、これはいろいろの見ようがあると思いますけれども、國が現在のような経済情勢にありますときには、思承知のごとく、西村君のおつしやいました通りで、たとえば本來の税体系としては所得税一本でいくというのが建前である。この点は間違いないのでありますけれども、これは正常な経済の場合のことでありまして、今のような段階においては、間接税的なものが起るということはどうしてもやむを得ない。それで取引高税についていろいろお説もあるのでありますが、今のところ最初の段階だけに止めるということは考えておりません。むしろそれ以上各段階ごとにとることによつて、さきにも申しましたけれども、税目的はもちろんでありますけれども、一面にこの流通界における一つの秩序をその中に見出してたくというようなことにも役立つような方向へ努力をいたしたい。かように考えておりますので、きわめて軽度にしたしまして、たとえばドイツでは最初百分の三%をとつて、あと段階ごとにとるというような考え方もあるのでありますけれども、各段階ごとに一%といたしまして、われわれの見解では、総平均にいたしますれば四%ないし五%で終る。かような観点に立つておりますので、その程度の御負担を一般に分散してやつていただくというようなことが、今の段階ではやむを得ざることではないか、かように考えておる次第でございます。從つて一段階限りでやめるようにしたらどうかというお話でございますけれども、ただいまはそういうふうには私どもとしては考えにくい。こういう点はひとつ御了解願いたいと思います。
#63
○西村(久)委員 この取引高税は脱税か盛んに行われ、賣上げを隠蔽するというようなことになりまして、方針のように思うように運ばない。すなわち正直な者だけが税を納めて、不正直な者は逃れてしまうというような脱税行為が盛んになる心配をもつのでありまするが、この脱税に対する心配はないとお考えになられますか。この点につきまして御意見を拜聽いたしたいと思います。
#64
○北村國務大臣 これは御承知と思いますけれども、一種の印紙のようなものを貼りまして、貼つてない商品は脱税品であるというようなことで、消費者大衆の御協力を得て、國民全体かそういうことについて、われわれとしてはそういう運動も起したいし思うのでありますが、監視をしていただく。消費者たる國民大衆全体がそのことに対して監視をしていただくというような建前をとることによつて存外うまくいくのではないかというふうに考えておるるのであります。
#65
○西村(久)委員 そこでお尋ねを申し上げまするが、現政府が三党政策協定の基盤の上に立つていることは申し上げるまでもないのでありますが、三党政策協定の際に、やみ利得者を捕捉して盛んに税をとる、これに関連いたしまして脱税者をあげる。そのために脱税防止法をつくつて出すというようなことが、協定事項の一、二の中にあつたのではなかろうか。またそうあるべきが現政府の方針ではなかろうかと思うのでありますが、脱税防止法というようなことは考えていないのでございますが。この点を伺いたいと思います。
#66
○北村國務大臣 脱税防止法と申しますと、いかにもそういう單行法がありべきであるというような考え方になりますけれども、およそ現行の税法の中には、脱税を防止する法規は必ずついておりますし、またこれを犯した者には、ある処罰をもつて臨むということも、それぞれの税法ごとに必ず規定があるのであります。そこで脱税防止法云々というのは、それをもう少し強化して、何も脱税防止のために單化法を出すというのではなくて、すでにあるところのそれらの法を強化して、ただいまお話のごとく税というものをめぐつて一つの倫理観に動揺を與えるといいますか、正直者がばかをみるというような結果になつてはなりませんので、その点には十分注意いたしたいと存じておるのであります。最近ただいまお話のような意味での脱税に関する法規の改正について、現に計画いたしておりますところの一つは、これはたとえば從來農村の主食供出等の場合に、中には少し行き過ぎた農民運動があつて、この農民運動などに名をかりて、かえつて供出を阻むというような結果になる運動さえも一時行われた。そういうような場合、これに対して相当強い罰則が規定されたのでありますが、これと同樣な意味において、國民が皆この際いわゆる健全財政で、租税によつて國が賄われるというのに、その租税の納付方に対して集團的にこれを何となく逆の方向へもつていこうとするような、そういう集團運動が起つた場合に、これに対しては相当嚴罰をもつて臨むべきではないかというような実情において、ただいまお話が出ました脱税防止の点から申しますと、さような改正を大幅にいたしたいということで、おそらくこれは近く御審議を願うことになると思います。
 それからもう一つ積極的にこのいわゆるインフレ利得者といいますか、やみ利得者というものをどう処理するかという問題でございますが、これは捕捉が実に困難であります。なかなか容易でありません。今やつている税務暑の機構では、これはきわめて不完全だということは、私も卒直に認めるのであります。從いまして最近ではおそらく全國において財務局等をもつと増設することに相なつておりますが、税務暑等も相当殖やす。そうして中央はもちろん各財務局ごとに税專門の査察官というようなものを置きまして、これはいわばやみを追求することを專門とする。いやしくもやみで非常な利得をしているにかかわらず、大した税も納めずに暮しているというような者があつたのでは、まじめに税を納めている方々に対しても申し訳ないわけでありますから、これはきわめて熟練したそういうことの練達な者を選拔いたしまして、相当数の税の査察官かなんかを各財務局ごとに置いて、全國にわたつて相当に積極的な努力を展開したい、かように考えております。すなわち積極的な面においては、ただいま申しましたやみ利得の追求については、具体的な方法で努力する。一方においては税法の中の罰則を強化する、こういうようなことで、ただいま計画を進めている次第でございます。
#67
○西村(久)委員 取引高税の課税標準と申しまするか、標準額の算定につきまして、物品販賣業者の取引額は五兆七千億だというような御計画になつておるように承知いたすのであります。もつとその内訳は小賣業者、生産業者というようにわかれているようでございますが、この御算定の基礎は、一体どういうところから御算定になつてこういう数字が出たのでありまするか、算定の基礎、算出方法について御意見が拜聽いたしたいのであります。
#68
○福田政府委員 お答えいたします。取引高税の税額算定の基礎になりまする取引高でありまするが、これは昨日も主税局長からお話がありましてのですが、物品販賣業が五兆七千四十二億、それからその他の個人の販賣業の分が二千五百億、金融機関関係等の取引高が千六百八十三億、合計いたしまして六兆一千二百二十五億円という取引高になるのでありまして、これがどういうふうに算出されてあるか、かようなお話かと存ずるのであります。これは昭和二十二年度におきまする國民所得というものが大体わかる、すなわち國民所得の基礎になる生産というものが昭和二十二年度についてはわかるのであります。そのわかる生産の実績に対しまして、昭和二十三年度におきすまる生産の量の増加、これを大体十一パーセントくらい見ておるのでありますが、その増加見込、また今回の價格改訂の結果によりまするものを加味いたしましたところの價格、この生産量の増加と物價の増加との両者を昭和二十二年度の生産実績に対比いたしまして、そうして二十三年度の生産の價格を算定いたすのであります。その生産價格を算定いたしましたものに対して、その販賣ごとにこの回轉が大体何回轉になるかということを算定いたしまして、六兆一千二百二十五億、かようなものを出している、きわめて達観的な数字となつているわけであります。
#69
○西村(久)委員 政府委員の説明を承りますると、この計数の基礎というものは、すこぶる根拠が薄弱のように思われます。計数算出の基礎は根拠が薄弱であるといたしますると、これを基礎にして出てまいりますところの予定税額というのがまた薄弱ということになるのであります。こういうようないい加減な数字を並べ立てて掲げるということは、私は本当でないと思う。ずつと今日まで今年の國民所得は一兆九千億といわれておるが、この國民所得の一兆九千億という算出も実はわからないのであります。どこを標準にして國民所得が一兆九千億になるのか、政府もおわかりにならないのだろうと思います。從つて今の集計六兆一千二百二十五億という計数が出たのも、すこぶる根拠は薄弱のように思われます。從いまして政府が計画されておりますところの学用品、主食等の関係、非課税額を一兆一千五百五十三億と予定されて、それをぬいただけの四兆九千六百七十二億というのが、課税標準になつているのであります。それの十分の一の四百九十億というのを大体予定してあるのでありますが、一年間やるのではない、またいくらかの狂いもあるだろう、一割くらいは減額を見るだろうというのでありますが、この数字がすこぶる私は不安でならないのであります。基礎数字の算出がしつかりしなければそれを土台としてこしらえました予定額はすこぶるふらふらにならなければならない、かように考えるのでありますが、政府は今年の予定の税額は完全に徴收し得られるお見込が立つておるのでございますか、お尋ね申し上げます。
#70
○北村國務大臣 ただいま詳しい数字を申し上げたのでありますが、もちろんこれは推定であります。推定のほかに途がないのでありますから推定であります。ただその推定がどれほどの根拠をもつかということは、大よそ税関係において起りますそろばん玉のはじき方というものは、日本だけの問題ではなく、こういう方法が普遍的に妥当なものであるという一つの原理があると思うのであります。取引高税は、日本だけでございません。すでにやつている國もございます。從いまして今申し上げましたように、生産の量を測定する、それに対して生産量の実積に今年度の増加生産力がどれだけあるかということを乗ずる、そういうことから生ずる日本の從來の商品の回轉というものを基礎にして回轉率を立てる、こういうふうなことは、これは推定としてはやむを得ない推定でありまして、それだからでたらめだとは考えておりません。今のところいやしくも取引高税を課するということになりますれば、かような方法によるよりほかはないと考えます。さような根拠に基いた数字でありますので、ただいま私ども立てております一應の案は、大体計画通りに実收があるものと信じているのであります。
#71
○西村(久)委員 つつこんでお尋ねを申し上げましても、計数の基礎がはつきりと了解し得ないような計数でありますならば、その税について、ここでいろいろ議論いたしましても、推定議論になりますので、この点に対しましての質疑は、私は継続いたさないことにいたしたいと思います。つきましては、この新設いたさんとする取引高税は、私はあまりほめた税でない、代るべき方途があるなら、これは取替えていただく、もし國会の多数の意見がそういうふうな議に向いてまいりまする際には、政府は國会の意を尊重して、こういう税は廃止してもやむを得ぬというふうにお考えがあられるかどうか。この一点だけお確め申し上げまして、私の本日の大藏大臣に対する質疑は、時間の関係等もありますから止めたいと存じます。
#72
○北村國務大臣 ただいま御提案申し上げております税法改正は、政府の責任において、これはまた確信をもつて提案いたしておりますので、われわれとしてはこのことに対して國会の通過を願つております。ただしかしながら、國会は最高の権威ある機関でございますから、國会が國会自体においてどういうふうな方向に向われますか、そのことについては、私どもからは希望としては、われわれは政府の責任において提案したのであつて、このことによつて財政の調整をはかるということに一つの確信をもつて、切に通過せんことを願つておるということを申し上げるほか、それ以上のことは申し上げかねるのであります。
#73
○稻村委員長代理 この際お諮りいたしますが、総予算と関連して、安定本部長官、地方財政委員長、運輸大臣よりそれぞれ説明を承りたいと思いますが、いかがですか。
#74
○稻村委員長代理 それでは安定本部長官。
#75
○栗栖國務大臣 本年度予算編成の基本的構想につきまして、その概要を御説明申し上げたいと存ずる次第であります。終戰このかた、わが國の経済を不安定ならしめた最も大きな原因の一つは、財政が健全でなかつた点もあると存じます。もとより経済安定のためには、生産の復興が根本要件でありますが、現在のようなインフレの危機のもとにあつては、生産の復興は、当然通貨の安定なくしては望み得ないのでありまして、通貨を安定せしめる最大の要件は財政を健全化することに存するのであります。申し上げるまでもなく、財政の健全化とは、一般会計においてその收支をバランスさせるだけでなく、一般会計、特別会計はもとより、復興金融金庫の融資や地方財政まで入れた総合的な資金需給において適正な均衡を保持することであります。さうに財政を実質的に健全化するには、單に財政收支の均衡だけでなく、財政全体の規模を國民経済の実力に照應せしめ、両者の間に適正な均衡を得させなければならないと存ずる次第であります。
 次に現行の價格体系は、昨年七月設定せられまして以來、各般の施策と相まつて、当時非常な速度をもつて進行しておりましたインフレーシヨンノ破局化を防止し、その速度を相当ゆるめることに成功いたしました。しかし経済の基盤はインフレーシヨンの進行をくいとめるまでには回復せず、やみ價格は速度をゆるめながらも騰貴し、実際支拂賃金も、生産の増加、生産能率の改善の程度を超えて上昇してまいりました。これらの原因によりまして、民間企業、特に石炭、電力、肥料等の基礎産業に相当赤字が発生するようになりまして、復興金融金庫を通ずる赤字融資だけでも、最近は月三十億円程度に達するものと認められております。また國鉄、通信、船舶等につきましては、昨年七月の運賃、料金をやや低目にきめた事情もあり、現在では月約五十億円の赤字を重ねているのであります。これに基礎物資に対して支出せられる價格補給金を加えますと、價格調整のための財政金融上の負担は、実に月百億円、年間千二百億円を超えることになります。從つてこのままでは生産を停滯させ、流通の円滑を阻害するおそれがあり、また赤字金融の面からするインフレーシヨン促進の懸念もありますので、この障害をとり除くため、この際公定價格の補正を行い、企業運営を正常化して、財政及び金融の健全化をはかり、経済の円滑な循環を期する次第であります。
 しかし物價安定の基礎條件が必ずしも整つていない現段階といたしましては、公定價格をあまりに大幅に改訂いたしますことは、かえつてインフレーシヨンを促進する結果をもたらすおそれのある一面を考慮し、國民経済全体の見地に立つて、財政、物價、賃金の三者を総合調整し、健全財改の立場を貫き得る範囲において、公定價格の引上げを最小限度に止め、同時に勤労者に対しましては、大むね最近の実質賃金を維持することをもつて根本方針としたのであります。
 價格決定の方式は現行價格体系におきまするのと同樣に、鉱工業品につきましては原價計算により、農産物につきましては、いわゆるパリテイ計算によることを原則としたのであります。その大綱を申し述べますれば、まず原價計算を行う場合の織込賃金の水準は、全國工業平均において、最近の物質賃金を維持することを目途とし、またこの際勤労所得税の大幅軽減の措置を行うこととして月三千七百円と決定したのであります。
 次に一般物價水準が循環的に急上昇するのを防止するため、石炭、鉄鋼、化学肥料、ソーダ、重要非鉄金属等の基礎的な價格の上昇を七割程度に止めることとし、このために本年度に支拂を必要とする從前の分と合わせて五百十五億円の價格調整補給金を國庫において負担することといたしたのであります。その他の点につきましては、おおむね從來の方式によるのでありますが、生産量、操業度ならびに資材、労務の製品單位当りの所要量等に関しましては、今日までの実績及び將來の計画を参照いたし、また國際價格、國内市場價格の推移をも勘案し、総合的に最も適性なることを期している次第であります。
 運賃および通信料金につきましては、企業の独立採算性を回復することを目途としつつ、他の物價への影響等をも考慮し、國鉄運賃は貨物、旅客とも三倍半、通信料金は四倍、海上運賃は三倍に引上げることとし、なおかつ生ずる國鉄事業の赤字百億円、通信事業の赤字五十億円、船舶運営会の赤字四十億円はこれを一般会計において負担することといたしました。
 以上が予算編成の基礎として考慮せられた物價及び賃金体系に関する構想であります。この基礎の上に立つて健全財政の趣旨を貫徹いたしますために、政府は一般会計、特別会計を通じてあらゆる冗費を節約し、特に一般会計につきましては、一部の行政整理を断行し、経費をもつぱら重点的に圧縮することに努力いたしました。また地方財政の窮乏している実情に鑑み、その自主性を確立する目的をもつて、地方財政法を今次國会に提出するとともに、國庫の乏しきを割いて相当の税額を分與し、また彈力性ある税源を委讓することといたしました。
 税制につきましては、経済情勢の変化に即應して、所要の改正を行い、特に先に申し述べましたように、所得税については、勤労者の負担を大幅に軽減して実質賃金水準の維持に資し、法人税につきましては、外資導入等に備えて税率の引下をはかり、一方間接税につきましては、物價体系とにらみ合わせつつ、國庫の減收を補う意味におきまして、ある程度の増徴をはかることといたしました。
 さらに財政全体の規模を、國民所得に適合した限度に策定すべく、特に考慮を拂つたのであります。その結果特別会計及び地方財政におきまして、資本的支出に属するものの一部を、経費の性質上公債または借入金によることといたしましたほかは、一切赤字を出せしめないことを見透し得るに至つたのであります。また復興金融金庫の融資につきましても、價格改訂によりまして、企業の運営が正常化されました曉には、從來のような赤字融資は、そのあとを絶つべきことを期しておるのであります。
 國民所得に対する財政資金の割合は、一般会計、特別会計及び地方財政を通じて約二八%でありまして、前年度の二七%に比し、わずかながら増加いたしておるのであります。しかしながら、この際考慮しなければならないことは、今年度の実質國民所得、すなはち実質経済力は、約一〇%増加しておりますのでこの程度の増加では、特に財政の規模が過大になつたとは認められないと存じます。いずれにいたしましても、現下のわが國のように、実質國民所得が低下している際には、右の割合は決して小さい率とは申されません。けれども他面現在の物價事情から申しますならば、財政資金自身が、実質的に必ずしも多くないのであります。殊に一般会計予算の中で、終戰処理に要する経費や、價格調整のための経費や、地方分與税分與金が、半分以上も占めている現在におきましては、生産的ないし社会政策的な経費は、きわめて乏しからざるを得ない実情にあるのでありまして、この程度の財政負担は、眞にやむを得ないと存ずるのであります。ただ昨年度に対しまして、本年度におきましては、資本的支出に担当すると認められる経費が相当増加しておるのであります。すなわち一般会計歳出総額に対しまして、公共事業費は、昨年度り六・九%に対して一〇・七%、復興金融金庫出資金は、昨年度の一・四%に対して四・五%と相なつておるのでありまして、わが経済の復興に寄與する財政の役割も、それだけ増大してきたと思われるのであります。
 昨年度におきましては、財政資金の放出超過額は約七百億に達し、しかも徴税が時期的に遅れたために、昨年十二月末までは、相当巨額の放出超過となりました。これに対し本年度は特別会計公債借入金額六百七十五億円、地方債増二百億円、計八百七十五億円と予測され、これより復興金融金庫に対する政府出資百八十億円を差引きますと、純粹の財政資金支拂超過は、六百九十五億円となるのであります。今年度は物價の改訂による單價の引上を見込んだにもかかわらず、総額においては、昨年度とほぼ同額に止まりましたことは、実質的には相当の改善と認められるのであります。
 なお産業資金の増加は二千六百億円、貯蓄の増加は二千三百五十億円見当と見込まれますので、差引通貨の増発は、九百四十五億円程度に止まり、増発率は四三%と推定せられ、昨年度中の増発高千三十億円、増発率八九%に比し、よほど増加の勢いは鈍るものと予測せられるのであります。
 以上におきまして、本年度予算編成の基本的構想及び予算の國民経済に及ぼす影響の見透しについて概略を申し述べたのでありますが、申すまでもなく、現在におきましては、経済安定の基礎條件が未だ十分整つておらず、インフレーシヨンの最後的終熄を期待し得る段階に立ち至つておらないのであります。もしインフレーシヨンが急速に進行し、物價賃金がさらに惡循環を始めるようなことになりますれば、健全財政も結局これを維持するによしなく、財政の破綻は、再びインフレーシヨンに拍車をかけて、経済を破滅に陷れることは必定であります。從つて、インフレーシヨンの進行を最小限度に喰い止め、できる限り速やかに物價の安定を実現いたしますためには、全國民の協力を得て、まずこのたびの改訂物價体系の維持に、あらゆる努力を傾けなければならないのであります。すなわち、食糧、石炭、その他の重要資材、日常必需品等の増産計画の達成、生産せられた物資の適正な配給、財政の実行上における健全化、放漫融資の防止等、物資及び通貨の両面からする対策を強力に推進いたす必要があります。この國内の努力が、まじめに懸命に行われますならば、わが國の経済安定に対する外國の援助も、相当早い機会に期待し得るものと信ぜられるのであります。かくして、この國内の努力と外國の援助とによりまして、経済の安定復興が一日も早く実現されることを期待するものであります。
#76
○鈴木委員長 次に地方財政に関しまして、野溝國務相より御説明があります。
#77
○野溝國務大臣 地方財政に関しまして、概略御説明を申し上げたいと思います。
 新憲法が成文をもつて新地方自治法を制定いたしまして、地方住民の創意による地方團体の活溌な活躍を深く期待したのであります。しかしながら、その裏づけとなるべき財政の面におきましては、その與えられた財源の量は、未だ十分ではありませんし、その與えられた財源を入手する方途には、これまた未だ十分に自主性が確立されておらないのであります。
 昨一年度間を顧みますとき、地方財政を最も悩ました大きな問題は、第一には六・三制新教育制度の実施に要する経費と、それから頻発いたしました災害復旧対策に要する経費でありました。いずれも当初予想しなかつた多額の経費を要するものでありました上に、國庫財政の都合で、相当多額の負担が地方に轉嫁されたのでありまして、地方財政は、その運営に非常な困難とかつ迷惑を來しました。この問題は今後も國、地方を通ずる大きな財政問題として、遺憾のないよう措置されなければならない重大な問題だと思つております。
 第二の点は、インフレの進行に伴いまして、人件費の増嵩と物件費の増加、それに対應するところの所要の財源が欠如した点でありました。これがために地方團体は極度の財政難に陷りまして、そのなすベき事業も実は中途半端に終つておる次第でございます。地方財政はいたずらに今日澁滯を來しておるような結果を生んでおるのでございまして、敗戰による若難の中から立ち上りまして、平和日本の再建に努力すべき地方の活発な活躍も、せつかくの自治法の精神に副うことができない現実にあるわけであります。しかして地方團体は、これらの問題のため、前年度におきましては、この急場を乘り切るために、百二十億の公債と、それから五十五億の政府貸付金を得て、どうかこうか切拔けたという次第でございます。その実体は、なお非常な金融難に苦しみつつも、多額の一時借入金を背負つて、その他の不足の分もどうかこうか補つてきた次第でございます。從いまして、地方財政委員会といたしましては、委員会が生まれまして、今後の地方の財政をいかに処するかという問題について檢討した結果、第一には、地方自治権の確立の方針に則りまして、地方の財政の自主化の徹底をはかる。これは、現在の経済の情勢を分析いたしまして、それに即應するところの地方財政制度を確立する。この二点を目標といたしまして、地方財政制度全般にわたる改革案を、以上の趣旨に基きまして作成いたし、地方財政現在の危局をどうかこうか切拔けようじやないかという應急方針を立てた次第でございます。しかしながら、ひとしく多大の困難に遭遇しておりますところの國庫の財政との関係もありまして、今ただちに地方財政改革案を当初計画いたしました通りに、全面的に実施することは、なかなか容易でありませんので、先ほど申した通りの方針によつて、逐次その趣旨貫徹に努力を拂つてきた次第でございます。なお、以上の趣旨を徹底せしめるためには法的根據をつくらなければなりませんので、近い機会に地方税法を改正するところの法律案を、今議会に提出する予定になつておりますから、その際にはよろしく御審議を願いたいと存じております。
 これらの基礎といたしましては、昭和二十三年度の地方歳入歳出総額は、千九百九十四億円と概算いたしております。前年度の九百六十三億に比較いたしまして、千三十億円の増加であります。大体二倍半となつております。
 本年度歳出のおもなるものを申し上げます。まず第一に教育費でありますが、教育費は本年度におきましては五百四十五億円で、歳出総額の約二七%になつております。次は土木費が三百九十億円で、歳出総額の二〇%になつております。次は一般職員費でありまして、二百四十億円、歳出総額の一三%になつております。次は警察消防費百六十七億円で歳出総額の八%になつております。次は観業費百四十九億円で、歳共総額の約七%、次が厚生費百三十億円で、歳出総額のこれまた七%、次が戰災復旧費で百二十一億円、歳出総額の六%であります。このうち新規の財政需要のおもなるものといたしましては、警察消防制度の改正に伴い増加するものが約六十八億円、教育制度の改正に伴い増加するもの約百七十七億円であります。
 次に本年度歳入のうちおもなるものを申上げます。税收入が千八十七億円で、歳入総額の五五%であります。國、縣支出金が五百四十二億円で、歳入総額の二七%、公債收入が二百五十八億円で、歳入総額の一三%、その他小さいものといたしましては、使用料、手数料が七十六億円で、歳入総額の四%となつております。税收入のうち、今國会へ提案予定の税制改正によりまして増收になる分は約三百五十六億円であります。地方財政は極度に窮乏しておりますので、この際從來の中央集権的な税体系論の誤謬を改め、中央地方の財政、税制の根本的改革をするにあらざれば、新憲法下新時代に即應した地方財政制度、税制制度を打立てることはなかなか容易でないと私は思います。さりながら、このことは関係するところが非常に多く、必ずしも根本的な改革ができ得ないといたしましても、その線に沿つて順次に努力しなければならないと信じております。よつて今回はやむを得ず残されている、許されたる範囲におきまして、地方財政制度の確立のために努力を拂うことに専念しておる次第であります。よつて税源のうちから比較的無理の少いものを取出しまして、多数の新しい税目を起すことにいたしたのであります。新税は惡税のたとえもあります通り、そこにはかなりの無理のあることは卒直に認めるものであります。しかしこれまた窮迫した日本の現状であることを考えなければなりませぬので、その点は御了承を願いたいと存じます。
 税制改正による増收のおもなるものを申し上げますと、國税、入場税を八月から委讓を受けますので、この税收が約六十四億円であります。新たに原始産業及び自由業に対しまして、事業税を創設しますので、その收入が五十億円、その他新しく税目を起しましたもので、木材引取税九億円、電氣ガス税として約十七億円、鉱産税として六億円の收入を見込んでおるのであります。その他府縣民税と市町村民税を合わせまして、住民税といたしまして、一納税義務者当り平均が四百円でありましたものを、千円に引上げたのであります。その増收は八十二億円、地租と家屋税の賦課率を、本税、附加税を合わせまして、それぞれ賃貸價格におきましては百分の二百、百分の二百五十に引上げて、その増收約二十一億円、不動産取得税の賦課率を、本税、附加税を合わせまして、最高制限を百分の二十まで引上げ、その増收二十五億円、その他税制改正案におきましては、住宅緩和の一助といしたしまして、特に余裕住宅税としいたしまして、戰災地市町村等におきましては、これらに対して課税をいたしまして、増徴をはかることにいたしました。この額は明確にまだわかりませぬが、大体二億円くらいではないかと思います。
 次に地方團体間の財政調整の役割を果しておりまする地方分與税は、地方配付税とその名を改めることにいたしたいと思います。昨年度の総額は百九十四億円、地方税総額四四%に対しまして、本年度は三百八十六億円、地方税総額の三六%となつております。
 今後地方財政の運営にあたりましては、能うる限り歳出の節約に努めますとともに、予定の歳入は適宜かつ嚴正に確保するよう地方團体側に要請してまいりたいと思います。他面二百六十億円に上る公債による收入につきましては、何らかの適切な金融的措置を講ずる必要があると考えております。またいたずらに國庫の負担がさらに地方に轉嫁されることのないよう要請してまいりたいと思つております。しこうして國庫財政のみならず國地方を通じまして、財政の健全化に努力いたさなければならないのでありまして、これがために、別に地方財政法案を今回國会に提案いたしたいと考えております。
 簡單でありますが、以上申しまして地方財政の概要の説明にかえた次第であります。よろしく御審議願います。
#78
○鈴木委員長 次には運輸大臣の御説明をお願いいたします。
#79
○岡田國務大臣 昭和二十三年度の國有鉄道事業特別会計歳入歳出予算に関しましては、すでに四、五、六月分につき暫定予算として、昭和二十三年度特別会計予算、同補正特第一号及び同補正特第二号をもちまして御承認を得たのでございますが、このたび会計年度全体にわたる予算の編成を完了いたしましたので、ここにその概略につきまして、御説明をいたし、御審議の資といたしたいと存じます。
 予算の説明に入ります前に、まず本年度の事業計画に大綱につきまして申し上げたいと存じます。昭和二十三年度輸送計画は、國有鉄道が経済再建と民生安定の基盤たるに思いをいたしまして、車輌施設の戰災復旧と、保守度の向上によりまして、各種の設備の整備をはかり、もつて輸送力の確保増強をいたす目途をもちまして、計画を樹立いたしたのでございます。まず鉄道におきましては、旅客輸送人員三十五億六千万人、九百四十一億二千八百万人キロで、対前年比は五%増でございます。貨物輸送トン数は、目標一億三千万トンといたしまして、予算におきましては一億二千六百万トン、二百五十四億六千七百万トンキロで、対前年比は一七%増でありまして、これに要する列車キロは二億三千三百万キロで、対前年比は一二%の増加となつております。國営自動車におきましては、旅客輸送人員五千六百万人、六億六千万人キロ、貨物輸送トン数八百万トン、一億三千万トンキロで、これに要する走行キロは一億千三百万キロ、船舶においては旅客輸送人員千四百万人、三億三千三百万人キロ、貨物輸送トン数五百万トン、四億四千万トンキロとなつております。
 次に工事計画といたしましては、施設の維持をなすための、工事に重点をおきまして、鉄道諸施設、車輌、自動車、船舶の戰災復旧、維持修繕の工事が大部を占めておりまして、新規の改良工事中、そのおもなものは、輸送力増強と石炭の恒久的節減を目途とする電化並びに発電工事、すなわち沼津、浜松間、松戸、安孫子間、福島、米沢間の電化並びに改良工事、川崎発電所の戰災復旧、信濃川発電所の第三期工事と、電氣機関車二十輛、客車百七十二輛、電車四十二輛、貨車四千四百五十輛の新造、並びに青函間、宇野高松間、連絡船六隻の新造費であります。新建設線につきましては、新規工事を一切中止する方針のもとに、二三の線につき工事打切りに伴う整理工事費と補償金を計上いたしたにすぎません。以上によります工事費の総額は、設備の補修に要する経費を計上せる、損益勘定において、施設、車輛機械、船舶の修繕費二百三十三億円、設備の取替改良に要する経費を計上せる工事勘定において工事費百五十七億円で、工事費総計は三百九十億円であります。
 以上の諸計画に要する資材は、そのおもなるものについて述べますれば、普通鋼々材十七万五千トン、銑鉄三万トン、セメント一〇万トン、木材二百四十八万石、枕木六百三十二万丁、石炭七百六十万トンでありまして、これを昭和二十三年度の生産計画に対比いたしますと、普通鋼々材において一八%、銑鉄四%、セメント五%、木材六%、石炭二一%となるのでありまして、國家全体の資材需給計画において、國有鉄道の使用量は相当なる部分を占むることとなりますので、これが使用にあたつては、極力節約に努むるとともに、合理的運用をなす所存でございます。
 以上の諸計画を実施するに要する職員数は、損益勘定所属のもの五十三万二千人、工事勘定所属のもの二万人、中間勘定所属のもの七万五千人、合計六十二万七千人であります。先般も本委員会おいて、御説明申し上げたごとく、今回の予算編成に際し節約に努力いたしたのでございます。これを事項的に見ますと、戰前における平常状態の年度を基準年度として、これが各種設備、各種業務量及び労働條件と、昭和二十三年度のそれを比較考量いたしまして算定いたしました基準人員五十四万一千人と、交通保安一万三千人、保守復元一万一千人、渉外関係四万人、会計制度及び統計事務強化等五千人、道路運送監理強化三千人、労働基準法に基く定員外人員一万五千人であります。これを前年度当初の定員六十二万一千人と比較いたしますと、労働基準法に基く定員外人員一万五千人を除いたものは、本年度六十一万一千人であり、輸送量が七%増加し、進駐軍の要請に基く増員、交通保安官及び道路運送監理事務職員の増員をなしましても、なお一万人を節減したのであり、さらに又労働基準法の定員外については、労働基準法施行により夜間作業、危險作業の就業停止となる女子年少職員は四万人になる見込みのものを、極力配置轉換致しまして、最小限の一万五千人といたしておるのであります。もちろん今後におきましても、新規採用を原則的に停止いたし、配置轉換を促進し、職員の地域的不均衡を是正いたしますとともに、職員の労働意欲を向上せしめて、経営の合理化をはかる考えでおります。
 次に昭和二十三年度國有鉄道事業特別会計歳出歳入予算につき説明いたします。以上の諸計画を織りこみました予算の総額は、歳入、歳出共に千二百六十九億円でありまして、その歳出から申し上げますと、人件費については、四月五月はいわゆる二千九百二十円ベース、六月一日以降は三千七百円ベースで、物件費については四月から六月十四日までは、昨年七月に改訂せられたいわゆる七・七價格で、六月十五日以降はおおむね七割騰貴するものと見込んでおります。総経費は、百二十六億で、これが内訳は業務運営及び工業施行に要する監理部内の諸経費、百八億円と発行済公債二百十五億、借入金百十五億円及び昭和二十三年度新規発行予定の公債百七十四億円に対する利子及び債務取扱諸費十八億円との合計額であります。業務費八百九十二億円は、鉄道、自動車、船舶、病院に要する人件費、修繕費、業務委託費及び業務上必要なる諸物件費等業務運営に必要なる直接的諸経費を計上いたしております。
 陸運行政費十四億円は、陸運監督費、観光行政費、鉄道保安費等、鉄道事業外の諸経費を計上いたしまして、これが財源は、國有鉄道事業の企業独立採算に資するため、一般会計からの受入れにまつこととして、別途法律案を提出いたしております。建設改良費百五十七億円は、先ほど御説明いたしました取替及び改良の工事費を計上いたしてあります、
 運轉資金補足六十億円は、同額を歳入に計上いたしておりますが、ともに事業遂行途上における運轉資金の増減に備え、補足及び戻入を計上いたしました。諸支出三百万円は、地方鉄道及び軌道における納付金等に関する法律に基く地方鉄道及び軌道の補助費を計したものであり、これまた、同額を同法に基く納付金收入として歳入に計上いたしております。予備費二十億円は、業務取扱数量の増加その他避けがたい事由により生ずることあるべき業務運営上、その他の予算の不足に充つるために計上いたしました。以上で歳出の合計は、千二百六十九億円となります。
 これに対する財源といたしましては、事業收入で、これは運輸收入九百十五億円と、病院收入二億円、雜收入八億円との合計額九百二十五億円でありまして、運輸收入につきましては、別途國有鉄道運賃法を提出して、御審議を願つておりますごとく、六月十五日以降、鉄道客貨とも三倍半に、自動車同じく三倍に改訂するものとして、これが増收額五百八十九億円を見込んで計上しております。雜收入八億円は、土地物件の貸付料、廣告料金、不用財産または物件の賣拂代金等による收入を見込んでおります。
 公債金受入百七十億円は、工事勘定に要する経費に対する財源として、損益勘定の内部保留金たる減價償却金相相額六億円と、公債発行差額相当額四億円との合計額十億円と、財源賣拂代金たる雜收入とをもつて、資金に充つるのほか、残額全部を公債発行にまつことといたしたのであります。一般会計からの受入金百十四億は、前述いたしました陸運行政費受入金十四億円と、これまた別途法律案をもつて御審議を願つております業務收支差額受入金百億円との合計額であります。
 運輸資金戻入六〇億円と、地方鉄道及び軌道特別資金收入三百万円については、前述いたしましたので、説明を略します。
 以上、歳入歳出予算のほかに、事業施設の建設改良工事に要する経費につきましては、工事の性質上、年度内に支出を完了することが予期しがたいので、本年度の支出残額を、翌昭和二十四年度に繰越し使用する明許をお願いしております。なお以上のほか予算総則第二條に掲示しております國庫債務負担行為に関しましては、業務費に九十億円、建設改良費で四十五億円を必要とするものといたしております。さらにまた予算総則第四條には、國有鉄道事業特別会計におきまして、その事業收入が予算額に比し増加したときは、その増加額に相当する金額を借入金の借入額の減少またはその返還に充つるほか、その收入増加が事業量の増加に伴う場合においては、予備費使用の例に準じまして、その收入の一部を事業のために直接要した経費に充当することができるように規定して、企業運営の機動性を発揮できるように措置いたしております。一時借入金の限度につきましては、予算総則第八條に百三十億円を規定いたしました。これは予算執行に伴う資金の一時的不足に処するためのものでございます。
 最後に國有鉄道の財政につきまして、今後の見透しを申し上げますならば、本年度六月以降價格水準が改訂された場合に、運賃をかりに現行賃率のまますえおくものといたしますれば、行政監督的経費については、一般会計の受入金にまつといたしましても、なおかつ六百八十九億円という尨大なる赤字を生ずる見込みでございます。從いまして今回提出の予算におきましては、六月十五日以降鉄道貨客とも三倍半、自動車貨客とも三倍に運賃を改訂いたしまして、増收を見込んだのでありますが、しかもなお百億円の赤字を生じますので、現下の経済的情勢より見まして、一般会計から繰入を受けることといたしまして、一應收支を合致せしめたのでございます。この際ここで特に御考慮をお願いいたしたいことは、百億円の赤字と申します場合においては、経費中減價償却相当額につき、財産の帳簿價格を基礎として計算いたしているのでありまして、実質的に財産を維持していくためには、いかにしても再調達價格をもつて計上せねばならぬと考えるのでございます。かくなりますと、昭和二十三年三月末固定財産價格は帳簿上では二百二億円でありますが、時價によれば四千二百五十億円程度となる見込みで、これによる償却額は、百三億円となるので、結局現在提案している收支見込におきましても、九十数億円の赤字を生ずるのでありまして、この分だけ赤字公債を発行いたしているということになるのでございます。從いまして、かかる赤字の状態を今後も永続いたしますことは、事業の円滑なる運営に支障を來すものと考えられますので、國有鉄道事業につき、今後完全に独立採算制を確立して運営するためには、会計上、法規上の諸制度を改正いたしますとともに、收支の点においても経営を合理化して、経費の節減に努力いたしますことはもちろん、さらにまた経済情勢の安定をまちまして、何らかの收支均衡の措置を講ずるの必要があるものと存じます。
 以上昭和二十三年度國有鉄道事業の特別会計予算の大綱につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上、御承認あらんことを切望いたします。
 次に海運関係の説明を簡單に申し上げます。政府は状來外國航路に從事し、國際收支の改善に資するように、日本海運の振興発展をはかりますためには、方針としましては、船舶運営会傘下の船舶を漸次民間に還元いたしまして、民間の創意と経驗を十分生かして、合理的経営と能率向上とに、さらに一般のくふうをはかる必要があると考えております。しかしわが國経済の現状より見まして、今ただちにそれを実行することは、幾多考慮を要すベき点があるのでございます。政府といたしましては、可能な限り現在の船舶運営会による船舶の運行方法に改善を加えまして、民間の創意とくふうと責任を参加せしめることによりまして、輸送能力増強の現下の要請にこたえるベく、目下関係方面とも折衝中でございます。
 汽船の貨物運賃につきまして、簡單に御説明申し上げますが、内航の運賃は現行の三倍といたしたのでございます。これは從來はブロック別運賃で、航路の長短、難易、積荷の種類等の要素をまつたく無視したものであつたのでありますが、今次の改訂では、これを航路別、貨物別に編成替えすることといたしております。値上比率は原價計算の結果は五・七九倍であるのでありますが、從來海上輸送費が鉄道輸送費に比しまして、著しく割高でありましたことを考慮いたしまして、鉄道の三・五倍に対し、海上を三倍といたすことにいたしまいた。外國航路運賃、これまた三倍にいたしまいたが、外航運賃は現在比較的原價に近いのでございまして、現行の一・七七倍にいたしますれば、採算までに達するのではございますが、一面船舶運営会に対する國庫補助金等を減少せしめまして、他面外國船舶との競爭をも考慮しつつ、三倍といたすことにいたしたのでございます。タンカー(油槽船)の運賃は、海運調整の必要なく、また外航にも貨物運賃ほどの注意を拂う必要がございませんので、内外航路を通じまして、採算点に達するごとく、これまた三倍といたしました。
 以上簡單でございますが、なお詳細にわたりましては、御質問等の場合御説明を申し上げたいと存じます。
#80
○鈴木委員長 以上をもつて予定の政府の説明を終りましたが、今日委員会において説明いたしました栗栖安本長官、岡田運輸大臣、並びに野溝國務大臣の御説明はプリントにいたしまして、追つてお手許に配布することにいたしております。明日は定刻午前十時より質問を続行いたします。
 本日はこの程度で散会いたします。
    午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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