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2011/10/27 第179回国会 参議院 参議院会議録情報 第179回国会 文教科学委員会 第2号
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2011/10/27 第179回国会 参議院

参議院会議録情報 第179回国会 文教科学委員会 第2号

#1
第179回国会 文教科学委員会 第2号
平成二十三年十月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野上浩太郎君
    理 事
                鈴木  寛君
                那谷屋正義君
                橋本 聖子君
                水落 敏栄君
    委 員
                大石 尚子君
                神本美恵子君
                斎藤 嘉隆君
                谷  亮子君
                藤谷 光信君
                森 ゆうこ君
                横峯 良郎君
                石井 浩郎君
                上野 通子君
                熊谷  大君
                義家 弘介君
                草川 昭三君
                山本 博司君
                柴田  巧君
   国務大臣
       文部科学大臣   中川 正春君
   副大臣
       文部科学副大臣  奥村 展三君
       文部科学副大臣  森 ゆうこ君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       神本美恵子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        古賀 保之君
   政府参考人
       内閣官房東京電
       力福島原子力発
       電所における事
       故調査・検証委
       員会事務局長   小川 新二君
       内閣法制局第一
       部長       横畠 裕介君
       文部科学省初等
       中等教育局長   山中 伸一君
       文部科学省研究
       開発局長     藤木 完治君
       厚生労働大臣官
       房政策評価審議
       官        棚橋 裕之君
       厚生労働大臣官
       房年金管理審議
       官        今別府敏雄君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院審議官   黒木 慎一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (東日本大震災からの教育復興及び支援に関す
 る件)
 (高校無償化制度の政策効果の検証に関する件
 )
 (原発事故発生後の緊急時迅速放射能影響予測
 ネットワークシステム(SPEEDI)の運用
 に関する件)
 (被災地の子どもの心のケアに関する件)
 (教育公務員の政治的活動に関する件)
 (高速増殖炉「もんじゅ」の今後の研究開発と
 ストレステストに関する件)
 (朝鮮学校への高校無償化制度適用に関する件
 )
    ─────────────
#2
○委員長(野上浩太郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局長小川新二君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(野上浩太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(野上浩太郎君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○那谷屋正義君 おはようございます。民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。
 二年ぶりの本委員会での質問ということで、言ってみれば二年前の政権交代以降初めてのこの委員会での質問ということで、大変期待をする部分も大きいわけでありますけれども、ある意味、与党としての責任、そして緊張を持って質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず初めに、大臣の所信的挨拶の中で、内閣の最優先課題である大震災からの復旧復興に全力で取り組む、また具体的には、チルドレンファーストの理念を踏まえ、学校の施設設備の復旧を始め、学びの場の確保に努めますというふうに述べられたわけであります。こうしたことは、被災地は特にそうでありますけれども、全国的な課題でもありまして、国として、文科省としてその解決に向けて取り組まなければならないというふうに思うわけであります。
 一方、成果として、少人数学級を実現する標準定数法の改正ですとか、来年度以降の制度の在り方について必要な見直しの検討を行うとしながらも、高校の授業料無償化など、教育制度改革が行われてきているということ、あるいは教育予算がここ二年増額で来ている、こうしたことは教育関係者から一定の評価が聞かれるわけであります。
 被災地はもとより、学校が子供たちの笑顔に満ち、そして子供たちの豊かな育ちをサポートする教職員の元気を引き出すための大臣からの決意、抱負をお聞かせいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(中川正春君) チルドレンファーストというのは、私たちの国自体を元気にしていく牽引車として一つの政策課題として追っていきたいというふうに思っております。
 災害の後、現地にも度々入ったんですが、やっぱり学校が再開をされるということが、そして、そこで元気な子供たちが本当に日常の生活に戻っていくというその姿を大人が見て、私たちもそこで元気が出てきたんだという、そんな話を聞かせていただいたり、あるいは、今復興フェーズになっていますけれども、それぞれの首長さんがコミュニティーに入って、これまでのところで復興計画を作るのか、あるいは高台へ向いて新しい町をつくるのかという、そんな町のコンセンサスをつくる作業に入っておっていただきます。
 その中でも出てくるのが、やっぱり先に学校を決めたらどうだと。私たちはここから新しい出発をするんだというときに、その学校の在り方、新しい防災拠点としての在り方、あるいはまた次の時代というのを学校から発信していくために、太陽光発電だとかあるいは省エネだとかというようなものもその中に見える化をして、次の段階に情報発信をしてコミュニティーの中でやっていくというような形だとか、あるいは、そこから次の防災計画を立てていくときに、学校がやっぱり中心になって一緒にコミュニティーと子供を中心にして防災計画を作っていくというふうなこと、そんな議論が今続いておりまして、やっぱりそういう意味でもチルドレンファースト、地域で子供たちを中心にコミュニティーをつくるということ、そんな原点がこの災害でも確認をされたんだというふうに思っています。そういう意味で、パッケージにして、そこを政策としてしっかり組み立てて、地域でそれを支えていけるような形にしていきたいというふうに思います。
 その上で、今回の原点というのは、恐らくこの被災地の地域の問題だけではなくて、我々の国が全国的にもう一回学校の在り方というのを、あるいは子供たち、まず子供たちが優先、子供たち、チルドレンファーストなんだということを、原点を確認をしていく一つのきっかけになっていったんだというふうに思います。
 そういう意味で、また学校の先生方の、教員の果たす役割というのも大きなものになってきておりますし、子供たちに対してはもちろん、コミュニティーに対しても先生方が一つのリーダーとして恐らくイメージをつくっていく、そういうことにもなってくるというふうに思いますし、もっと言えば、さっきの話のように、子供たちに対して信頼感を持って接していこうと思うと、その環境づくりというのが大事になってきます。少人数学級あるいはきめの細かい子供たちに向き合うような環境づくり、あるいは質の高い教育をしていく取組、あるいはまたこれからの新しい制度設計、特に課題として、この質の保証をしていくにはどういうふうな改革をしていったらいいかというふうなこと、こんなことを具体的にしっかり組み立てて、そして皆さんと一緒に議論を重ねて次の教育の改革に結び付けていきたいというふうに思っております。
#7
○那谷屋正義君 ありがとうございました。
 大臣のその強い決意というもの、これがまず大変重要ではないかと思いますし、それをお支えする意味で私たちも一生懸命これから議論をさせていただきたいというふうに思います。
 最初に、震災関連でありますけれども、実はようやく八月の二十六日に引っ越しができた宮古工業高校というところがあります。そこからいろいろとちょっと情報を得たんですが、学校に戻ってもまだまだ足りないものが多いと。それから、いわゆる校舎外の施設はいまだに使えない。工業高校ですから一般校とはまた違う様々な施設があるわけですけれども、それがいまだ使えない、そして実習も難しいという、まだまだ教育環境整備という意味ではなかなかまだこれからだというような状況のことが言われています。
 さらに、生徒のトラウマ状態の手だてが必要であるとか、精神的に弱い生徒が多いので心配だという先生方の声。それから、土曜日、授業を行って授業日数の確保に努め、九月十日でようやくそれまでの時間数を終えたと。六週間の支援授業で高知からの支援者で大変助かった、スクールカウンセラーが来てくれて助かっている、こうした心のケアのための常駐者が欲しい、子供たちの中には不眠や過敏性腸症候群になっている生徒が多いというような実態があります。また、生徒は解決を求めているわけではなく、とにかく先生に話を聞いてほしいと思って来るわけでありますけれども、なかなかこうした状況の中で一人一人と話をする時間が持てないことに一つのまたいらいら、先生方も持っているということであります。
 そういう意味で、この教育環境整備、いわゆるハード面、そして子供の心のケア、学習支援等の人的措置、ソフト面、この両方を長いスパンでやはり支援していく必要があるというふうに考えるところでありますけれども、いかがお考えでしょうか。
#8
○国務大臣(中川正春君) 御指摘の点、しっかり踏まえて対応していきたいというふうに思います。
 特にハード面は、学校自体の再建、あるいはさっきのその備品等々の整備ということについて、これまでいろんな災害に対する手続ですね、そういうものが煩雑にあったわけですが、これは省略できる限り省略をして、もう再建に掛かってくれと、あるいはそれぞれ備品を購入してくれというふうな形で指示を出しておりまして、できるだけ早い措置ということを心掛けていきたいというふうに思っております。
 それから、心のケアでありますが、これは中長期的に取り組むということが非常に大事だというふうに思います。これまで教職員定数の加配措置、それからスクールカウンセラー等の派遣を行っておりますが、実績として出てきていますのは、予算の状況では、一次補正で三十億、それから三次補正で四億、二十四年度の概算要求で五十五億ということで積み上げていきたいというふうに思っておりまして、スクールカウンセラーとしては一千八十名の加配措置を行っております。人もなかなか県内だけではということがありますので、全国的なネットワークをつくって、文科省の中でそのマッチングをやりながら、できるだけ長期に滞在していただける、そういう仕組みをつくってもらえるようにということで努力をしていきたいというふうに思っております。
#9
○那谷屋正義君 今、加配の措置をしていただいたということで、大変それは現場にとっても有り難いということですが、ただ一つ、今言われたように、県内の中ではなかなかその人材が見付からないという、そういう問題も実はありまして、これは教員の免許の問題だとかいろいろありますけれども、それはまた後ほどお尋ねしたいというふうに思いますが、阪神・淡路のときも、この心のケアの部分において加配が長い間措置をしていただいたという経緯もございますので、是非お願いをしたいというふうに思います。
 それから、学校のいわゆる防災、あるいは減災とでも言いましょうか、その働きというものについては今大臣の方からもう既にお話しいただきましたので、通告では質問をすることになっていましたけれども、もうそれはいいということにさせていただきたいと思いますけれども。
 一方で、今回、東日本大震災のときに、岩手の海側の学校を中心に実は津波のいわゆる避難訓練も実施していたそうなんですね。にもかかわらず、やはり今回こうした甚大な被害になったということでありますけれども、その津波、例えば地震は震度幾つだったらばどういう状況になるという、言ってみれば指標みたいのがあるわけですけれども、なかなか津波の場合は難しいかもしれませんが、やはり文科省にそこは頼るしかないというふうに思いますので、そうした指標を始めとして、こうした非常時、災害時にどういうふうにするべきかという日ごろからの防災教育、減災教育というものが重要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、どのようにそれについて取り組まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#10
○国務大臣(中川正春君) 防災教育というのを改めて重点を置いて優先的に取り組むということ、これが大切だと思っております。
 これは、一つは学校の中だけということではなくて、地域防災とも連携をして、その防災教育を通じて学校が地域の中に出ていく、あるいは地域が学校に入ってきてもらうというふうなきっかけにもしていきたいというふうに思います。
 具体的には、この平成二十三年七月に防災教育等を見直すための有識者会議を設置をして、この中身について議論をしているところでありまして、この中には、例の釜石の奇跡と言われました、中学校や小学校の子供たちが自ら進んでお互い助け合いながらずっと避難をして助かったという、あれを指導しておられた群馬大学の片田先生なんかもこの中には入っておっていただきまして、そのときの経験を生かしながら政策をつくっていただいています。
 この中間取りまとめでは、児童生徒らが自らの命を守り抜くために主体的に行動するという態度を育成する防災教育の推進、あるいは学校において学校安全の中核となる教職員等への効果的な研修をしていくということ、それから、さっき申し上げたように、地域、家庭と連携をした実効性のある防災訓練等の実施が必要だということで進めています。
 同時に、ハード的にも、地震の予知、瞬時に縦の波が来たときにそこで警報を鳴らして次に備える装置ですが、それを学校にもそれぞれ配置をして、そういうようなものを活用しながら防災教育にも結び付けていくというハード的な配慮もしていくということにしています。
 こうした中間取りまとめの内容も踏まえて、今後、各地域における具体的な取組が一層進んでいくように、これからも国としてもその充実に努めてまいりたいというふうに思います。
#11
○那谷屋正義君 学校の中だけでなくて地域も含めてということで、言ってみれば九・一、これは関東大震災の防災の日というふうな形で地域ぐるみでやるわけでありまして、今回の東日本大震災というものを本当に一つの教訓として、日本全体でやはりそうしたことは、もう地震というのはどこで起こるか分からないわけですから、そういう意味では全国でそうしたことがきちっと行われていくということ、そのことが今はある意味いい機会ではないかというふうに思いますので、是非これも推し進めていただけたらというふうに思います。
 福島の第一原発の事故を受けて、事故当時十八歳以下だった子供の甲状腺検査を始めたということでありますけれども、約三十六万人を生涯にわたって検査するということになるわけでありますけれども、これは計画でいきますと二〇一四年三月までに一巡をする、そしてその後は二十歳までは二年ごと、二十歳を超えた後は五年ごとに実施をするというふうになっているわけであります。
 ところが、地元福島民友という新聞、マスコミがあるんですけれども、そこでは、毎年実施してほしいという保護者からの声ですとか、県外検査や精神的ケアの充実と併せて、子供本位に柔軟に対応できる対策を県とともにやはり模索していく必要があるのではないかというふうに思うわけであります。
 そのことについてどうお考えかというのが一つお聞きしたいことと、もう一つは、放射線に対する正確な、まあ私もそうかもしれませんが、いわゆる認識、国民の認識がなかなか共通になっていないというか共通理解されていないという、このことが非常にいろんな風評被害だとかそういったものも招くわけであります。根拠のない思い込みとかそういったことの中で、福島県の子供たちが未来に暗い影を落とすようなことがあってはならないというふうに思うわけであります。文科省として、子供たちが自らの人生に自信を持って歩むことができるように、しっかりとフォローアップできる体制を整える必要があるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#12
○副大臣(奥村展三君) お答えをいたします。
 那谷屋議員におかれましては、常に児童あるいは生徒の立場に立っていろいろ今日までも情熱を持って取り組んでこられたことに敬意を表したいと思います。
 今仰せのとおり、十月の九日より超音波による検査をいたしております。三十六万人とおっしゃいました。そのとおりでございます。
 確かに、地元と保護者の皆さん方、いろいろと御心配をしておられるわけでございますが、今のお話のように、二年ごと、二十歳までは二年ごとということになります。その後は五年ごとになるわけでございますが、今、放医研やあるいはまた関係省庁とも連携を取りながら、もう少しきめ細かなことができないかどうかということに検討させていただいておりますし、できるだけ保護者の皆さん方に安心をしていただけるようにそのような体制を整えていきたいというように思っているところでございます。
#13
○副大臣(森ゆうこ君) お答えいたします。
 放射線被害に対する正確な認識の共有ということで、私、先週、ウクライナに行ってまいりました。チェルノブイリ事故について政府関係者、研究者、また地元住民の皆さんなどと様々意見交換をさせていただいてきたところでございますけれども、その中で、非常事態省チェルノブイリ立入禁止区域管理庁長官ホローシャさんという方から聞いたお話でございますけれども、政府の住民に対するコミュニケーションの失敗により住民は放射線恐怖症に陥った、このようにやはり経験として語られているところでございまして、私も改めて、いかに住民に対して正確そして迅速な情報提供をしていくことが重要であるかということを痛感したところでございます。
 このためにも、子供たちに対しましては、放射線についての正しい認識を教育することは極めて重要であると認識をいたしておりまして、新しい中学校学習指導要領の理科におきましては、放射線の性質と利用について新たに示すとともに、今年度から前倒しして指導をしております。また、今月十四日、放射線等の基礎知識や人体への放射線影響、放射線防護などについて説明をした小中高等学校用の放射線等に関する副読本をそれぞれ作成いたしまして、ホームページに掲載するとともに、十一月以降配布することとしております。
 この副読本に対しましては、様々な御意見があるわけでございますが、現場の方からできるだけ早く配布をしてほしいという御要望に従って配布することとなったものでございますが、今後様々な御意見もちょうだいをして改訂をしていくというふうになるかと思います。
 さらに、放射線等に関する指導の充実を図るために、この副読本等を利用して教育職員等を対象とするセミナーの開催や学校等を対象とする出前授業を実施しているところでございます。
 今後とも、子供たちが誤った理解や根拠のない思い込みではなく、放射線に関する正しい知識を持ち、科学的に考え行動することができるよう教育の充実に努めてまいりたいと思います。
#14
○那谷屋正義君 私も教員時代に放射線の様々な問題について子供たちと勉強した記憶がありませんので、そういう意味では大いに反省をするところでありますし、これから学校の中で子供たちとそういったことをしっかりと共有していくということは大事なことでありますけれども、それだけに、事実というのは何なのかということが非常に問われてくるのではないかなというふうに思うわけであります。
 毎日新聞の山田孝男編集委員のコラムを見たんですけれども、そこで現実に除染における大変さというものを改めて知ったわけであります。それによると、除染の先頭に立つ木村真三さん、その方の奮戦、苦闘ぶりが紹介されているわけであります。
 木村さんによると、特別な道具を使わず、個人で家屋を丸二日間必死で除染しても放射線量は半分程度にしか下がらないとか、ホットエリアでは、一つの家を除染するのに半径百メートルを除染しなければいわゆる自然状態に近い〇・一マイクロシーベルト毎時まで下げられない、これは現実には不可能に近いというふうなことがそこで触れられていました。
 こうしたことに対して、野田総理は全力で取り組むという決意を示されておりますし、また原発事故担当大臣は、経済性は度外視してでもやるんだという決意を示されていますけれども、まさにそのことが現実として行われなければならないんだろうというふうにも触れられているわけであります。
 これは蛇足かもしれませんが、報道に携わる方たちの中には、国民の一員であることをすっかり忘れてしまって、自らを高みに置いたまま理屈のためのへ理屈を重ねる人たちもいるわけですけれども、久しぶりに真っ当な意見を見たなという感想も持っていたわけですけれども、現実として、この日本列島、まあ幾つか各国で行われた核実験ですとか、あるいは今お話があったチェルノブイリ事故、そして今回の原発事故等で既にそうした汚染が大なり小なりされているというこの認識にまず立つということが大事なんではないかというふうに思います。つまり、既に飛散している放射性物質と共存をするというか、その中でどう生きていくかということだというふうに思います。
 そこで、やはり文科省から国民に発していただきたいのは、正しい除染とは、あるいは正しい防御とはと。このことが、いわゆる放射線に係る最高の研究機関を所管する文科省こそが、この除染に寄せる国民の期待にこたえていく役割というふうに思うわけでありますけれども、積極的にこのことを担っていただきたいわけですけれども、御決意を聞かせていただければと思います。
#15
○副大臣(奥村展三君) お答えをいたします。
 今、木村先生のお話が出ました。三日前にも我々、木村先生お招きをして、大臣始め各担当、お話を聞かせていただきました。確かに、今おっしゃったとおり、百メーター周辺の中にも大変な数量が出てくるというお話も聞きました。ですから、特に学校、校庭あるいは園庭におきましてもしっかりとそれに取り組んでいかなければならないと思っております。
 私も郡山の薫小学校へ寄せていただいて、校長先生並びに教育委員会の皆さんの御苦労をお聞かせをいただきました。そういう現場を見せていただいて、これはやはり国挙げて、総理もおっしゃっているとおり、しっかりと取り組んでいかなければならないというように思っているところでございます。
 そのことにおきまして、やはり緊急実施の基本方針をしっかり持っているわけでありますから、これをベースにして、今、那谷屋先生がおっしゃったように、そういうような方向付けをしっかり進めていきたいというように思っているところでございます。
 特に一番線量の高いところをしっかり把握しないとあれですので、あらゆるアドバイザーだとか、先ほどおっしゃった木村先生だとか、いろんな人のお話を聞かせていただいて、その体制をしっかり取って、そして教育委員会あるいは福島県等といろんな連携を取ってしっかり取り組んでいきたいというように思っておりますので、いろいろまた御指導をいただければというように思っているところでございます。
#16
○那谷屋正義君 福島県はもとより、昨今、東京足立区ですとか様々なところでホットスポットというふうに言われるところもございますので、そういったところの方たちも、まあ要らぬ心配と言っちゃうとあれですけれども、心配なく安心して生活ができるようにしていくということ、これも文科省の重要な役割ではないかというふうに思いますので、是非、そのことについて頑張っていただきたいというふうに思います。
 甚大な被害を受けた地域、先ほど少しお話をしました特に宮古にちょっと話を戻したいと思いますけれども、その宮古の現状というのを、これもまたちょっと調べたところ、通学路、学校に通う、これ特に高校ですけれども、通学路に街灯とか信号がないという、いわゆる安全な状態ではないわけであります。そして、唯一の公共交通機関と言ってもいい、いわゆる三陸鉄道、北リアス線、南リアス線、そして真ん中のJR、この復旧が大変遅れているということ、交通の便が非常に悪い。
 その中で、バス通学とかということでバスがあるわけですけれども、この便数が非常に少なくて、しかも少ないだけにそのバスが大変な大混雑をすると。そのことによって、時間も決まっているわけですから、部活動にもやっぱり相当支障を来すようであります。最終のバスが六時半ということのようで、これからもっともっと暗くなるのが早くなるわけですけれども、六時半にバスに乗るのはいいんですけれども、そこから自分の近くのバス停まで行くわけですけれども、そのバス停から家までが全く街灯がなくて真っ暗やみで、星の明かりで帰れるかどうか分かりませんけれども、そういうような状況に今なっていて、非常に子供たちの安全という意味では問題がある状況になっているようであります。
 また、いわゆる子供たちの学びを支える最後のとりでとして機能しています通信制の学校、この通信制の学校であってもやはり登校する場合がありますけれども、その場合の、まず学区が広いということ、そしてその足が十分な確保をされていないという、そういうような状況があるわけであります。
 こうした状況の中で、子供たち、保護者の側に立った施策、事業を迅速に完了できるように、文科省として復興対策本部等に積極的に働きかけていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
#17
○副大臣(奥村展三君) 仰せのとおり、確かに信号機あるいは街路灯も本当に損傷して、再起できていないというのは事実だと思います。
 文科省といたしましては、四月五日に通達をいたしまして、安全確保をするようにということで各関係の自治体に連絡をしたところでございます。
 特に今御指摘をいただきましたように、県警、あるいはこれは公安委員会の所管になるわけでありますが、そこと、あるいはまた市との連携を取りながら、街路灯あるいはまた信号機等の設置をしっかりやっていただけるように、我々も復興本部を通じてこれからも頑張っていきたいというように思っているところでございます。
 また、いろいろと、通学のスクールバス、あるいはまたそういう通学に対しましても、いろいろ今おっしゃったとおり、なかなかうまくいっていないということも聞いているわけでございますが、その点につきましても、連携を取りながら、そして、特に部活なんかで遅くなることが多いものですから、やはり安全というものをベースに置きまして、そのところをしっかりやっていただけるようにあらゆる措置を講じていきたいというように思っているところでございます。
#18
○那谷屋正義君 行政として新しい都市づくりというふうなものを考えたときに、どれだけそれが有効でというふうな、言ってみれば費用対効果みたいなものもどうしても考えるんだろうと思うんですけれども、しかし、今現在安全になっていないということを考えると、これは早急にやはり手だてを講じていただかなければならないのではないかと。何かが起こったということになると、また新たな災害として起こるわけですから、是非お願いをしたいと思います。
 大臣所信の挨拶の中で、質の高い初等中等教育の実現ということで、先ほど教育予算が二年連続増額してきたというお話を指摘をさせていただきましたけれども、来年度の概算要求というのがもう既に公になっておりますが、この中で、全国学力テストの実施ということの中で、きめ細かなという、そういう文言がございます。この間、全国学力テストは二〇一〇年度から抽出になったわけであります。今年度は震災の影響から取りやめ、来年度、二〇一二年度は国語、算数・数学に理科を加えると、そして二〇一三年度はきめ細かな調査というふうに、そのための概算要求をしているわけでありますけれども、このきめ細かな調査というその意味、一般的にマスコミなんかは、マスコミなりの理解の中でまた悉皆だとかあるいは全数だとか、これは同じような意味だと思いますけれども、そういうふうな話が出てきています。きめ細かな調査というものは、何をどういうふうにしてやろうとするのか。もちろん今文科省としてお考えがあるとは思いますけれども、今後やはりそのことについてしっかりと議論をしていっていただきたいということをこの場でお約束いただきたいというふうに思うんですが。
 といいますのは、この全国学力テストというのは、民主党の事業仕分の中でも、悉皆調査で行われているが抽出調査で十分であり、毎年実施する必要があるかも検討するというふうに指摘を受けている。さらに、既にこれまで行われてきたことの、何というんですかね、答え、答えがなかなか見えていない、結果が見えていない。その結果から、本来は教育施策にいいものを持ってこようということになっているわけですけれども、その道筋が十分に見えていないと。
 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立し、教育施策の改善や学校における指導の充実を図るというふうに所信的挨拶の中で述べられていますけれども、そのことを本当のものにする意味でしっかりとこれから議論をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(中川正春君) 少しその質問に答えさせていただく前に、さっきの除染のことなんですが、実は私も同じ問題意識持っていまして、具体的には、文科省としても三十チーム、JAEAという専門家の方からチームを三十チーム編成しまして、特にモデル的にはもう学校を中心に除染をやっていこうと。それで、技術をそこで地域に伝えて、どういう除染が一番効果的かというふうなことも併せて効果が出るようにやっていこうということを一つはやっています。
 ちょっと相談しているんですが、このままでいくと、地域の皆さんからもう一度自衛隊を導入をして、具体的に難しいところについてはそこで厄介になるということが有り難いと、何とかならないかというような話も来ていますので、細野大臣と相談しながら、そういう対応も含めて考えていきたいというふうに思っています。
 それからもう一つは、ガイドラインで、ホットスポットが出てきたときには相談窓口、文科省の中にしっかりつくって、そこから全て段取りができるようにというようなこともやってきました。更に様々な状況が起きてくると思うんですが、柔軟に、弾力的に対応していきたいというふうに思っています。
 さっきの学力の調査でありますが、これは全国的な児童生徒の学力や学習の状況を把握、分析して教育施策の成果と課題を検証していく、さっきの検証、それから改善を図っていくことが大事だということだと思いますし、教育に関する継続的な検証改善サイクルをいかに確立していくか、ここについても更に議論を進めなきゃいけない。あるいはまた、学校における教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てていくことということで、抽出でやった学校以外にもこれを採用していきたいんだというところもかなりありまして、そういうところも含めた効果というのを、専門家会議において、この全国的な調査のやり方については更に検討をしていきたいというふうに思っております。
 実は、本年の三月にこの専門家会議の検討のまとめが出ておりまして、それによると、このような目的というのは今後も極めて重要であり、当面は平成二十二年度調査と同様の抽出調査及び希望利用方式を実施することとしていく、二番目に、数年に一度は最新のデータを得たり、国として教育格差など様々な状況等を把握、分析をして、関連施策の検証を行うために、市町村、学校等の状況も把握することが可能なきめの細かい調査を実施をしていくということが必要であろうと提言されたことなどを踏まえて、来年度の概算要求においては、平成二十五年度にきめ細かい調査を行うための経費を盛り込んでおります。このきめの細かい調査の基本的な枠組みについては、専門家やそして教育関係者の意見、あるいはまた現場の意見を伺いながら検討をしているところでありますが、政府予算案がまとまる年末までに決めていきたいというふうに思っております。
 今後とも、より良い学力調査となるように努めるとともに、教育施設の改善や教育指導の充実、これを図っていきたい、そのためにこの調査というのを有効に活用していきたいというふうに思っております。
#20
○那谷屋正義君 時間が残り少なくなってきたのであれなんですが、目的は私も理解をするところでありますし、おっしゃるとおりだろうと。ただ、そのやり方、そして何よりもそのことをしっかりと検証して、そして教育のいわゆる施策に生かしていくという、そこの部分がなかなか見えてこない、ここのところをやはりしっかりとやらないと、きめ細かな調査というのは、今までの例えば抽出ではこういうところが分からないという、そういうふうなことというのが多分出てくるんだろうと思うんです。そういうふうなことを今後是非、検討、議論をさせていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと幾つか質問を飛ばさなければならない状況になってまいりましたけれども、この七月に改正障害者基本法というのが全会一致で成立をいたしました。「障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ということが明記されたわけであります。中教審でこのことについて教育の現場でどうするかということについていろいろ議論がされているというふうに伺っておりますが、なかなか具体的なものになってきていないというのが現状であります。
 学校現場においては、言うまでもなくこのインクルーシブ教育というものを推進していくことが重要でありまして、豊かな学びを保障するための支援員等の人的配置、個に応じた学習内容等に関する合理的配慮を行う必要があるというふうに考えるわけであります。そのための予算付けということで、いろいろと来年度も予算、概算要求されているわけであります。
 この改正障害者基本法の第十六条に教育に関する規定がございます。それに基づいて来年度概算要求に特別支援教育就学奨励費として七十八億九千八百万円が計上をされているわけであります。この根拠となっている法律、特別支援学校への就学奨励に関する法律というのがございますけれども、これがこの障害者基本法となかなか整合性が取れないというふうに言われている部分がございますので、この部分について、例えば特に小中学校の普通学級で学ぼうとする障害児についても就学奨励費を積極的に活用できるようにするだとか、あるいは普通学級で学ぶ子供については親が付添いを強要されるというようなことがこの間国会の中でも問題として指摘されているわけでありますけれども、そのための学校内での介助だとかあるいは通学での移動介助等でも就学奨励費が活用できるようにするというような法的な処理が必要ではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#21
○副大臣(森ゆうこ君) お答えいたします。
 本年八月に公布されました改正障害者基本法を踏まえまして、今先生がお話しになられましたように、現在、中央教育審議会特別支援教育の在り方に関する特別委員会において教育分野における合理的配慮も含めた環境整備についての審議をいただいているところでございまして、このワーキンググループ、五回やっておりまして、六回目は十一月、まさに先生のおっしゃいました合理的配慮について今検討させていただいているところでございます。
 そして、今御指摘の、来年度概算要求、特別支援教育就学奨励金として七十八億九千八百万円なんですけれども、今の先生の御指摘の御趣旨というのはよくよく私どもも承知をいたしておりますけれども、まず、現在のように法律に基づく支援と予算ということで措置が行われておりまして、特別支援学校のみならず、特別支援学級や通級による指導に在籍している障害のある児童生徒に対する支援が行われております。まずは一人一人の教育ニーズにこたえる形で一層整備をしていくことが必要と考えておりますが、その上で、必要に応じて、将来的には通常の学級で学ぶ障害のある児童生徒への支援についての検討も行ってまいりたいと思います。
 そして、今御指摘のありました介助や学習活動上のサポートなどを行う特別支援教育支援員は、今約四百八億円相当の地方財政措置がなされております。また、他校で通級による指導を受ける場合の交通費につきまして、就学奨励費の対象としております。
 先生の御指摘は今後検討ということになりますけれども、実態に合った就学奨励費の充実の在り方について今後検討してまいりたいというふうに思いますので、今後とも御指導よろしくお願いいたします。
#22
○那谷屋正義君 実態に合ったということで検討されるということで、是非お願いしたいというふうに思いますし、このインクルーシブ教育、そしてひいてはインクルーシブな社会というものについて、やはり文科省が積極的な意思を示すということ、このことが今問われているんではないかというふうに思いますので、是非強力に推し進めていただきたいというように思います。
 もう残り一問ぐらいしかなくなってしまいましたけれども、スポーツに関しても大臣が所信的挨拶の中で触れられましたけれども、スポーツ基本法の成立後、最大の課題の一つになっているのは、まさにその名にふさわしい国立競技場に生まれ変わるための建て替え問題だというふうに思うわけであります。
 このスポーツ基本法の成立に向けては、奥村副大臣が、そして谷亮子委員が本当に党内そしてほかの野党の皆さんとも本当に御苦労されて成立したものだということで敬意を表したいところでありますけれども、これが五十年ぶりですよね、これを改定されたということで、本当に画期的であるわけであります。
 今後は、このスポーツ基本法に魂をやっぱり入れていかなきゃいけない。そして、文科省としては、スポーツ基本計画を策定して今後のスポーツ政策の青写真を作っていくということでありますけれども、その際、いつでもどこでも誰でもがスポーツに親しむ、スポーツに親しむというのはいろいろなのがあると思いますけれども、スポーツに親しむことができるための環境整備、そして、支援すべきはきちんと支援するということを明確にした具体的な計画が欲しいところでありますけれども、そのことについて是非お願いをしておきたいというふうに思います。
 お尋ねしたいのは、老朽化が進んでいる先ほど申し上げた国立競技場、この部分について、今二〇二〇年のオリンピックの招致が大分持ち上がってきているところでありますけれども、東京都あるいは二十三区と密接に連携する必要があるというふうに思うわけであります。そして、その中で、このスポーツ基本法に触れられている、国が国際競技大会の開催のために必要な特別措置を講ずるということが規定されているわけでありますから、東京都と一緒になって主体的に国立競技場の改築に向けて取り組んでいく必要があるというふうに思うわけでありますけれども、今後の方向性、スケジュールについて、済みません、時間がなくなってまいりました、簡単にお願いします。
#23
○副大臣(奥村展三君) お答えをいたします。
 那谷屋委員を始め今日御出席の各先生方の御支援をいただいて、スポーツ基本法が五十年ぶりに施行されることになりました。心から御礼を申し上げる次第でございます。
 今お話しのように、国立競技場、昭和三十三年のアジア大会を皮切りに、オリンピック等いろんな国際大会も開催をしてきてもらいました。しかしながら、耐震あるいはまた老朽化ということを見ますと、現況のままでは国際的な大会を招致するわけにはまいりません。
 特に、二〇一九年にはワールドラグビーの大会もございます。そして、今、那谷屋委員からお話しのとおり、二〇二〇年、東京オリンピックをということで、特に各先生方の本当に御理解の下に今その展開をしていただいているわけでございますが、都市計画だとかいろんなことで現在の国立競技場をどのようにするかということで、まさしく東京都と一体となって推し進めていかなければならないということで、来年度の概算要求に調査費を要求をさせていただきたいというように思っているところでございます。
 そして、やはり国民の皆さんがもう一度東京オリンピックと同じように、昭和三十九年のあの盛り上がりをしっかり国民の皆さん、そして、東日本の今回の大震災で百六十か国以上の国から御支援をいただいた、頑張れ日本と応援をいただいたその結果、こうして世界大会が開催できるんだということをしっかりメッセージを発信をしていくという意味でも、私は二〇二〇年のオリンピックは意義があるというように思っておりますので、JOC、そして東京都、そして国と、三位一体となって取り組ませていただきたいというように思っておりますので、那谷屋先生始め各先生方の温かい御協力、御支援を心からお願いし、答弁とさせていただきます。
#24
○那谷屋正義君 終わります。
#25
○斎藤嘉隆君 民主党・新緑風会の斎藤嘉隆であります。中川大臣を始めとされます新しい政務三役の皆様方におかれては、本当に日々政務大変御苦労さまでございます。私も委員の一人として精いっぱい子供たちのあしたの幸せのために力を尽くしてまいりたい、是非御指導いただきたいと、そのように思っております。
 時間も余りありませんので、早速質問させていただきたいというふうに思います。
 大臣は、先日の大臣挨拶の中で、親の経済力によって子供の教育機会が制約をされない、意欲のある全ての人が教育を受けることのできる、そんな仕組みを構築していくことが重要だというふうに述べられました。
 そこで、まずお伺いをしたいというふうに思います。中川大臣は、具体的にどのような方策をもって、このように全ての人、意欲のある全ての人が教育を受けることのできる仕組みを構築されようとしていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#26
○国務大臣(中川正春君) 具体的に、もう既に私たちが進めようとしている社会全体で子供の就学機会を支えていくということ、それには高等学校の無償化を始め、それぞれ大学における奨学金の充実、具体的には給付型の奨学金というものを是非創設をしていくべきだということがあるというふうに思います。
 さらに、私立とそれから公立のそれぞれ学校があってするわけですけれども、この辺の格差と同時に、受験制度の中で、それこそ塾に行って、ある意味でテクニックをマスターをしないことには今の受験制度を勝ち抜いていけないという親の思い入れの中で、非常にその部分のいびつな進学状況というのが出てきているんだと思います。
 そういうところも含めた全体の改革といいますか、そんなものをやはり議論をしていく必要があるんだろうというふうに思っておりまして、そうしたトータルな形の中で、あるいは親の経済状況によって子供の機会というのが左右されるということがなるべくなくなっていくように、そしてやる気のある、能力のある子供たちがしっかり育っていって、そのような機会を得られて、社会全体がダイナミックに動いていくというふうな、そういう状況を是非つくっていきたいというふうに思っています。
#27
○斎藤嘉隆君 私も全く同感であります。いろんな方策があるとは思います。今大臣も言及をされましたけれども、その中でも特に授業料負担を例えば軽減をしていくこと、あるいは奨学金事業を充実をさせていく、こういうことは本当に重要な課題だろう、そんな思いもあって、公立高等学校の授業料無償制、また私立も含めた高等学校の就学支援金という制度も構築をされているというふうに思います。
 今日は、このいわゆる高校無償化の件と、それから奨学金の件、この二点について少しお考えを更に掘り下げてお聞きをしたいというふうに思っています。
 まず、昨年度から始まりましたこの高校無償化でございますけれども、これからいわゆる政策効果の検証をじっくりしていく、その上で必要な見直しをしていくということを先日もお話をされました。もちろんそれは重要なことだというふうに思っています。大臣は現段階において、この高校無償化についてどのような政策効果が見込まれそうだと、見込まれるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、もしお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
#28
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、民主、自民、公明三党の確認書の中で、高校無償化の平成二十四年度以降の制度の在り方については、政策効果の検証、これを基に必要な見直しを検討するということになっております。今その検証作業に入っているんですが、取りあえず出てきている話としては、現下の経済情勢の中で、特に被災地における家計急変世帯を始め、高校生等の就学機会を確保するという観点からはこれは非常に大きな役割を果たしております。
 こういう時代ですから、今はしっかりした職業があって安定した家庭というのが営まれていても、突然こういう災害あるいは経済の急変によって親が失業するという状況が出てくるわけですが、そんな中でも、やはりこうした非常に安定した形で無償化をしていくということが所得の急変に対してもしっかりこたえていけるというか、そういう制度であるということがあると思います。
 それからもう一つは、低所得世帯の私立高校生等に対する就学支援金とそれから授業料減免、こういう制度があったわけですが、この併せた支援が多くの都道府県において高校無償化開始前よりも手厚くなってきております。
 また、制度を導入した平成二十二年度の経済的理由による高校中退者数は前年度に比べてしっかり減少をしているという統計的な成果も上がってきておるということ、こんなことが今の時点で明らかになってきておりまして、更に詳しい分析をしていくということで、今それぞれの現場に向けてアンケートを取ったり、あるいは調査を入れたりということを進めています。
#29
○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。
 先日の予算委員会でも我が党の岡田代議士からの質問に対して大臣がお答えにこの件についてなられています。経済的理由による中退者が二十一年と二十二年と比較して三六%減っているというようなことを御答弁をされています。
 これ、もう少し、今後政策効果の検証をしていくということですので、一つのちょっと視点として、二十二年度からこの高校無償化をスタートした。二十一年と二十二年を比較をしてこのようになったということももちろん重要だというふうに思いますけれども、これ、もう少し考えますと、二十一年度、実はこの年に政権交代があって、二十二年度からの高校の無償化というのが見込まれた、ある程度見込まれた。そんな中で、例えば私はこれは現場の教員からちょっと聞いたんですけど、二十一年度末、高校の中退者って、いろいろ中退の多い時期というのはあるんですけれども、年度末って比較的多いんですね。例えば卒業間際にして授業料がなかなか払えなくて中退せざるを得ないという子もいますし、こういった子が二十一年度末に随分減ったというような話を聞きました。
 ちょっと私調べたんですけれども、この二十一年度末は授業料の滞納などで卒業保留になっていた子供に自治体が厚生労働省の生活福祉資金というものを活用をして卒業保留を解除をすると、こういった措置も実はコンクリートから人へという大きな考えの中で各自治体が実施をしているんですね。
 こういった状況を見ますと、二十年度と比較するともっと如実にこういった政策効果というのが僕は出てくるのではないかなというふうに思っています。中退者そのものも六万六千人から五万三千人、この二年間で実は減っています。この経済状況の中で一万三千人減っているって物すごい大きなことだというふうに思っていますし、経済的な理由による中退者も、先ほど三六%という数字を御紹介をいたしましたけれども、この二年間で二千二百人から千七人と、実はもう半分以下になっているんです。
 こういったことを踏まえて、こういった観点からも政策効果の検証を行っていく必要があるというふうに思っていますし、私、地元は愛知県でございますけれども、これも愛知県教育委員会の方に出向いてちょっと調べてきましたけれども、愛知県の県立高校に限れば、経済的理由による中退者というのは二十年は数少ないんですけど四十八人いた、これが二十二年には八人、六分の一に激減をしているんです。
 今後、この委員会も含めて無償化の検証、政策効果の検証についてはいろんな議論がされてくるというふうに思っていますけれども、是非こういう教育的な視点、あるいは子供の側に立った観点からの検証というのをしていただきたいし、そういった観点から私は議論を是非もっと深くしていくべきだというふうに思いますので、その点を御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 高校無償化についてはこれぐらいにしまして、奨学金事業について少しお伺いをしたいと思います。
 これは中川大臣のかつてのというか、副大臣時代だと思いますけれども、御自身の総支部のあれは、かわら版ですか、僕は、済みません、ちょっといろいろ細かく見させていただきました、その中でこんなことを述べられているんです。高校無償化の次は大学生だと、大学生の奨学金を充実をさせる、こういう課題に僕は挑戦をしていくんだということを書かれています。
 改めて確認をさせていただきます。先ほども若干ありましたけれども、どのような観点からこの奨学金事業を充実をさせていく、そのような決意をお持ちなんでしょうか。
#30
○国務大臣(中川正春君) 実は、こういうことは私自身の学生時代の経験が原点にあるんですが、アメリカの大学に留学をしていまして、様々にアメリカの社会というのは移民社会で、特にメキシコだとかあるいはアジアからもありますが、移民が入ってきます。そんな中で、大学で頑張っている、それこそ子供のときにアメリカに渡って、親が苦労して非常に所得が低い、そういう階層にいる若者が大学まで機会を与えられて、それで勉強してきた。その基本にはやっぱり充実した奨学金制度がありまして、これは税で奨学金、税だけで奨学金を構築するということではなくて、民間の寄附制度の工夫ということも含めながら、非常に多様なファンドと、それからそれぞれの学校に帰属する奨学金制度というのが充実をしている。それがあって社会が流動化していくというか、逆に言えば階層化して底にたまっていくような階層というのができ得る限り社会のはしごを上っていける、階段を上っていけるような仕組みになっていると、こういうことを実感として体験をしてきましたので。
 日本も下手をすると、逆に非常にスタティックに、お金がないと自分の思う大学に行けない、いわゆる東京大学なんかを頂点にしたそういうはしごを上れないというようなことになってきている。まあ東京大学なんかの調査でよく指摘をされるというところがありますけれども、所得が高くないといい大学に行けないというのが東京大学なんかの調査の中で出てきているということでありますから、それを克服するためにもやはりこうした制度というのがしっかり充実されるということが基本だというふうに思いまして、そういう思いの中で政策をしっかりつくっていきたいというふうに思っています。
#31
○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。大臣の思いは大変大きいなというふうに私思いました。
 ただ、我が国の奨学金事業については、やはり世界各国と比べて、じゃ、どうなのかということを考えますと、十分ではない部分がかなりあります。その一つに、給付型でない貸与型がどうしてもメーンになってしまうという状況があるんだろうというふうに思います。大学生向けですと、日本学生支援機構が行っているこの事業でありますけれども、ちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。いわゆる貸与型の奨学金の返済の状況、ここ数年、もしデータがあればで結構です、大まかで構いませんが、返済の状況というのはここ数年どのように推移をしているのでしょうか。
#32
○副大臣(森ゆうこ君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のありました日本学生支援機構の奨学金事業につきまして、貸与を終了した学生からの返還金は次の奨学金貸与の貸与者の原資となることから、返還金の回収は重要な課題と認識しておりまして、これまで回収促進に取り組んできた結果、回収率は平成十六年度の七七・九%から平成二十二年度は八〇・六%になっております。また、新たに返還を開始した者の回収率は、平成十六年度の九三・四%から平成二十二年度は九六・四%に改善をいたしております。
 このような状況の下、奨学金貸与者の経済状況に合わせてきめ細かい返還が可能となるよう、通常の返還が困難な者に対して、返済猶予制度に加えまして、平成二十三年一月より減額返還制度を導入したところでございます。
 ただ、先生御心配のところは私も同じ問題意識を持っておりまして、貸与型奨学金の返還の負担というのはどの程度のものなのかということを改めて調べたところ、一人当たりの平均貸与総額は、大学学部の場合では約三百万円、そして大学院、修士、博士の場合では約三百八十万円となっております。例えば、高校から大学学部まで奨学金の貸与を受けた場合には、返還総額は約四百万円以上、大学学部から大学院、博士課程まで奨学金貸与を受けた場合、返還総額は約一千万円の債務を負うということになると。学生の負担は重くなっていると認識いたしております。
 経済状況が厳しくなって家計の収入が伸び悩む中、経済的に厳しい者にとっては、学業の選択に当たって心理的、経済的負担が大きく、学業を断念するおそれがあることから、学生の返還の負担を軽減するため、平成二十四年度概算要求におきましては、授業料の減免の拡充のほか、現行の貸与型奨学金に加えて給付型奨学金を含む大学等奨学金事業の拡充に向けた要求を行っているところでございます。
#33
○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。今の副大臣の御認識のとおりだろうというふうに思います。
 もう少し細かく見ていくと、いわゆる延滞者の方、要するに返済がなかなかできない、滞ってしまっている方について職業なんかを見ていきますと、返済が半年以上遅れている人、実は八八%が年収が三百万円未満の若者でありますし、そのうちの半数以上は無職であったりアルバイトをしているという方なんですね。
 二〇〇九年度時点で未返済額は、経済状況も反映をして過去最高の八百億円だということも一部の週刊誌等で見させていただきました。これに対して、いわゆる予定どおり返している方、無延滞者、こういった方の仕事なんかを見ますと、七割が実は正規雇用者なんです。極めて厳しい経済状況の中で、本当に若者が苦しんでいる状況が僕はこんなところにも色濃く出ているんではないかなというふうに思います。
 文部科学省として、特に若い方の雇用の問題については、昨今本当に誠心誠意お取り組みをいただいておるというところでございますけれども、現実の問題として、奨学金は借りた、でも返したくても返せない。どうも返せるのに返していないんじゃないかというような考えがかなりある方もいらっしゃるんですけれども、実は返したくても返せない、そんな状況に置かれている若者が多いんだということを是非分かっていただきたいというふうに思います。
 それから、先ほどのいわゆる返済率の問題も、これも実際本人がどれぐらい返しているのかとか、実際は本人でなくて保証人が返しているんじゃないかとか、それなりに保証をする機関が返しているんじゃないかとか、そういったものも見ていく必要があるんではないかなと。こういうのを見た上で全体の返済率がどのように変化をしているかということを是非御確認もしていただきたい。ちょっと私細かな数字を持ち合わせておりませんので、そのように思っています。
 もう少しちょっとこのことについてお話をさせていただきますと、二十年度に日本学生支援機構は、私は決算の委員もしておりますけれども、会計検査院からこの滞る延滞債権の回収について改善の措置要求をされているんです。返済の状況を更に改善をしていく、これはもちろん重要です。先ほど副大臣がおっしゃったように、返済をしたものを原資にまた次へ貸し出していくわけですから、当然必要だというふうに思いますけれども、昨年からは、実は個人信用情報機関の活用も始まっていまして、これはどういうことかというと、奨学金を借りるときに判こを押すんです。この押印をするのは、三か月でしたか、奨学金を滞納、返還を滞納したら個人情報機関へ登録をしますよ、それでもいいですねと。これは判こを押さないと奨学金借りれないんですよ、貸与型の奨学金というのは。
 これどういうのかというと、三か月間遅延をしてしまうと、これはもう即ブラックリストに載るんです。登録をされると、その後奨学金を完済をしても五年間はクレジットカードも活用できませんし、住宅ローンなんかも受けることができないという指摘もされている。この貸与型奨学金は本当に奨学金なのかサラ金なのかというような指摘をされる方もいるぐらい、そんな実は現状にあるんです。
 是非、こういった状況を見ていただきたい。高校生の奨学金事業についても同様だというふうに思います。これは日本学生支援機構からもう今都道府県へ移管をされておりますので、実は高校生の方がもっと深刻な状況もございます。
 私の愛知県でいいますと、二十二年度ですけれど、返還をすべき七千六百九十六件に対して返還されたのは四千九百五件ですから、返還率というのは六四%となっています。これはもう経済がこういう状況になって年々年々増えているという状況でございますので、是非、こういった若者の姿というのに目を向けて、そしてこの後政策をどうしていくかというのを我々も含めて議論をしていきたいというふうに思いますけれども、このような数字を受けてどのようにお考え、感想をお持ちになられますでしょうか。ちょっと通告していませんけれども、副大臣。
#34
○副大臣(森ゆうこ君) いろいろとありがとうございます。
 私も同じ危機感を持っております。私自身三人、一番下が大学生ですけれども、私立、しかも薬学ということで、大変大きな負担ですね。
 そういう経済的な環境が整わない方がこういう奨学金を受けて、先ほども申し上げましたけれども、多い方で卒業するときに一千万円も債務を抱えたまま社会に出ていくと。これは本当に重いことではないかというふうに思いますし、最近、平均給与というものも年々下がってきておりますので、そういう意味で、本格的な給付型の奨学金ということについて道筋をどうしても開きたいと、そういう思いでございます。
#35
○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。
 私も、今まさに副大臣おっしゃられたとおり、こういう状況だからこそ、改善していく方法はいろいろあります、回収率の問題もありますけれども、まずこの貸与型の奨学金制度をやっぱり給付型にしていくというのがもう必要だというふうに思います。
 諸外国でも、これ、ずっと中国や韓国なんかは給付型の奨学金の制度がなかなかなくて日本と同様の状況がありましたけれども、中国でも国家助学金とか国家励志奨学金という形で給付型の奨学金が創設をもう既にされておりますし、韓国でも李政権において給付型の奨学金制度が構築をされたというふうに聞いています。もう今、日本は極めて特異な国になってしまっているわけですね。
 今回の概算要求で、高校生向け、それから大学生向けということで給付型の奨学金について要求をされていますけれども、僕は極めてこれについては優先順位の高いものだというふうに思っています。そんな点で、私たちも全力でこの点については対応してまいりたいというふうに思っております。
 その上で、ちょっともう一点だけ。この二万一千人の大学生への奨学金ですね、これちょっとお聞きをしますと、この給付型の奨学金を受ける、今文科省の方が考えている条件というのが一定あるようで、これちょっとお聞きをしたところによると、高校の成績が四・三以上、五段階でです。四・三以上の方が一つの条件になるんだということがありました。本当はお考えをお聞きしたいんですが、もうちょっと時間があと一分しかありませんので、これ、奨学金というのはそもそも何なのか。どうして日本育英会がやっていたものが移管をしたのか。これは、やっぱりここには考え方の大きな転換があったんだろうというふうに思います。単なるこれは英才を育てるための英才教育では僕はないと思うんですね、奨学金の趣旨というのは。
 まさに大臣が冒頭におっしゃったみたいに、学ぶ意欲があっても学ぶことのできない全ての子供たちが学ぶことができる環境を整えていくことがこの奨学金の制度だというふうに思いますので、私は是非、この給付型、それも余り成績に特化をしてそこに細かく条件を付けるというものは趣旨が大きく逸脱をしていくおそれがありますので、その点についても、今後の課題、給付型の奨学金を更に拡充をしていく、その上での考え方の基本のところに是非私は置いていただきたいというふうに思います。
 今回の概算要求で示されたこの方針については、私も個人的にももう本当に大賛成でございますので、共に実現に向けて頑張ってまいりたいというふうに思います。今日はどうもありがとうございました。
 以上です。
#36
○上野通子君 自由民主党の上野通子でございます。
 本日は、新大臣に就任されました中川大臣に対しましての初めての質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。
 本委員会は、大事な日本の未来を担う子供たちのための教育分野にかかわることが大変多い委員会でございます。ごまかしや誤りや正しい情報がゆがめられるなどの答弁を行わないように、よろしくお願いいたします。真実に基づいた、そしてごまかしのない、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
 さて、原子力安全・保安院は、九月二日に東京電力福島第一原子力発電所の事故進展解析結果についてという報告書を公表いたしました。こちらにそのコピーがございますが、この報告書は、原子力災害対策本部事務局として経産省別館に設置された緊急時対応センター、ERCといいますが、この中において事故の進展を予測した経過を記録した報告書でございます。
 大臣はこの報告書を御覧になりましたでしょうか。また、御覧になっていらっしゃるとしたら、いつ初めて御覧になったか、お聞かせください。
#37
○国務大臣(中川正春君) まだ詳しくは見ておりません。報告としてこういう内容のものが出ているということを聞いております。
#38
○上野通子君 では、この報告書が公表されたのは実は九月の二日ですが、この日は何の日でしょうか。
#39
○国務大臣(中川正春君) ちょっと意図が分からないんですが。
#40
○上野通子君 きっと余りお忙しくて思い出せないのかもしれませんが、この日は野田内閣が発足した日です。ということは、この報告書を作成した最高責任者は野田総理大臣ということでよろしいのですよね。
#41
○国務大臣(中川正春君) はい、そういうことであります。
#42
○上野通子君 中川大臣におかれましては、多分就任したばかりで大変お忙しい中でこの報告書を詳しくは御存じないという御発言でしたが、実はこの中には文科省に関連する事項も大量に掲載されております。そして、私が言いたいのは、この報告書の公表が余りにも遅過ぎたのではないかということです。
 原子力保安院は、多分ずっと前からこの報告書を書き終えて手元にあったはずですから、本当ならばもっともっと早く公表すべきだったと思います。むしろ、こんなに遅くなってしまったことによって私たち国民は、菅内閣の責任追及逃れのような感じもしますし、また、何か情報が隠蔽されているのではないかと勘ぐりたくもなるわけです。
 では、中身の質問に入りますが、その前に大臣、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステムという大変長いものなんですが、短く言うとSPEEDIですね、について、高木前文部科学大臣から何か引き継がれたことはございますか。
#43
○国務大臣(中川正春君) SPEEDIについての議論は、私もこの今のポジションに就く前から興味、興味といいますか、一緒に議論をさせていただいた経緯がありまして、高木大臣から特にここについての引継ぎということよりも、いわゆる概略として、全体としてこうした議論があったということは聞いております。
#44
○上野通子君 実は、SPEEDIにつきましては、私は震災直後からずっと疑問に思うことが多かったものですから、高木前大臣の方には何度も質問させていただいております。
 御存じのように、SPEEDIには約百二十億円、そして緊急時対策支援システム、全てのシステムですね、そのERSSと合わせると約二百億円という莫大な投資がされてまいりました。
 そして、もちろん多額な投資に値するすばらしいシステムであり、各々のシステムを操作、解析する原子力安全センターも独立法人原子力安全基盤機構、JNESも緊急時の予測に対応するシステムの運用には誇りと自信を大変持っております。このことについては両センターにお伺いして事実を確認してきております。
 それが、この東日本大震災の、まず本当にこのSPEEDIとERSSの出番という肝心なときに有効活用されなかったということ、この事実、大変私も残念に思っております。もし三月十二日の原発のベントの前にSPEEDIの予測情報に基づいた避難誘導が行われていれば、本当に浪江町の人を始めとする多くの方々が余計な放射能を浴びることも被曝することもなかったんです。そのことがいまだに尾を引いて、被曝してしまった多くの方々はこれからどうすればいいんだろうと、本当に心に不安を抱きながら毎日の生活を送っているわけです。
 その事故当時のことがこの報告書に記載されているわけですが、事故発生後に、経産省別館に設置されました緊急時対応センター、ERCですが、政府の原子力災害対策基本本部事務局の役割を担っていました。このときERCは、ERSSの解析結果を入手するために運用先の、先ほどお話ししましたが、JNESとの連絡を取っていました。報告書には、JNESが震災翌日未明の一時五十七分ごろから同原発一号機の解析結果をERCプラント班に報告して、SPEEDIの入力データとして用いられたと記載されています。
 そこで本論に移りますが、先ほども申し上げましたが、震災発生直後にSPEEDIのデータが運用できなかったことは大変遺憾に思っております。それで、私はこの委員会で高木前大臣に当時の経過を質問してまいりました。高木前大臣は五月十七日のこの本会議で、私の質問に対して、いわゆる緊急時対策支援システム、ERSSが機能していなかったということであろうと思いますと答弁し、そしてさらには、今回の事故でいわゆる放出源データが取れなかった、そういう意味で緊急時対策支援システムであるERSSが機能していないと、原子炉からの放射性物質の放出量が把握できなかった、そのためSPEEDIによる予測ができなかったという状況にありましたと答弁されました。
 しかしながら、先ほどもお話ししましたように、たとえ実際の事故情報が得られなかったにしても、原子炉からの放射性物質の放出量が把握できなかったとしても、これまでの蓄積による想定結果に基づき十分に予測は可能であり、信頼できるデータであるということ、それが住民の避難に十分利用できたということは、先ほどもお話ししました原子力安全センターとJNES、両方とも認めております。報告書の中で、その事実を認める部分がありますので、もう一度読み上げます。
 JNESがERCプラント班にERSSによる解析結果を送信しており、当該結果についてはSPEEDIの入力データとして用いられ、三月十二日六時七分ごろに計算結果が出力されていますと記載されています。つまり、前高木大臣はSPEEDIが活用できなかった理由についてERSSが機能しなかったと答弁されましたが、一方で、この報告書は、ERSSによる解析結果が送信され、SPEEDIの入力データとして用いられたとあります。ここに明確な食い違いがあると思います。
 さて、どちらが正しいのでしょうか。大臣に御説明いただきたいのですが。
#45
○国務大臣(中川正春君) 恐らく、さっき先生からも自らお話があったように、このERSSに対して現場のそれぞれの機器から出てくる生データといいますか、これが電力喪失をして機能しなくなったために、生データはここには届いていないと、そういう意味で機能しなかったということだと思うんですね。しかし、SPEEDIに対しては、さっきまさにお話があったように、これまでの蓄積データをもって、それこそERSSの機能として、生データではないけれども、これまでの蓄積データを基にして想定をした上でSPEEDIに送って、その想定をされたものに基づいてSPEEDIが起動したということだと思うんです。
 そんなようにここの文書の中とそれから報告書、特に報告書の中ではそのような記述になっているというふうに思うんですが、それをもってSPEEDIが稼働したわけですけれども、問題であったのはこの稼働したSPEEDIのデータがどのように活用されたかということだと思うんです。
 今回の場合、もう御指摘のとおり、それを例えば避難誘導に即使ったということではなくて、参考データとして使われて、官邸危機管理センターには送付をされなかったと、そこで間違った判断があったんだというふうに思います。
#46
○上野通子君 あくまでもSPEEDIは予測です。そして、先ほどお話ししましたように何度も、原子力安全センターもそしてJNESもこれは十分に予測に使えるデータであると確信を持っています。そして、高木前大臣の答弁が、やはりこれで大変私は不満を抱きましたので、実は中川大臣に替わられてから、私、また改めて質問主意書を提出させていただいておりますが、この中でもその答弁は何をおっしゃっているのかよく分からないような御説明になっておりましたので、今日改めて質問させていただいたわけですが。
 実は、それだけでも納得しなかったものですから、もう一度ということで、こちらにいらっしゃいます熊谷議員と石井議員と一緒に九月二十日に虎ノ門にございますJNESの方を訪ねてまいりました。そこでは非常に分かりやすく説明をしていただきまして、そして、これまで答弁いただいたようなSPEEDIとERSSの情報伝達がうまくいかなかったとか、これが利用できなかったとか、そういうことはあり得ないということが更に分かりました。なぜなら、経産省別館の緊急時対応センター、ERCの中にはERSSの端末とSPEEDIの端末が隣り合わせで設置されていたからです。高木大臣もこのことは御存じだと思います。なのにもかかわらず、ERSSがうまく伝わらなかったので、利用できなかったのでSPEEDIは利用できなかった、運用できなかったというようなお答えをいただきました。私は大変納得いかなく思っております。
 再度、中川大臣にこのことについてお伺いしたいと思います。
#47
○国務大臣(中川正春君) もう一回申し上げると、ERSSというのはどういう形で稼働するかといえば、現場の、いわゆる原子力発電所の中にある様々な計測メーターがあるわけですよね。それと連動をしていて、その計測メーターの出てくる結果によってどれぐらいの放射能の放出量があるかということを想定をしていくという機能があるんだと私は理解しています。
 事故があって電源が全部止まって、このそれぞれの計測機器というのもダウンしたわけですね。今でもダウンしているんです。ここからは何にもデータが取れない。なものだから、どういうことをしているかというと、SPEEDIの場合は、一つは、結果として放出された放射線をその放出された地点でそれぞれ測定をして、それから逆算をして、元々の原子力発電所のサイトからどれぐらいの量が放出されたかということを想定をするというようなことが一つ。それからもう一つは、先ほど言われたこれまでの現実の蓄積データというのがあって、それをまた参考にして出すということ。それを併せてこのERSSの機能として見るならば、その機能をもってSPEEDIに伝達をして、SPEEDIはその想定の下に起動をしたということ、そのように理解をしています。そのことを高木大臣も説明の中で申されているんだというふうに思うんです。
 さっき申し上げたように、問題といいますか、ここで問題になるのは、そうした形で、想定というそのデータの中で起動されたSPEEDIの結果、これは本来は、先生御指摘のように、もっと幅広く、そして緊急事態を制御するために利用されてよかったと、されるべきだったと、参考にされるべきだったということなんですが、そこのところが途中で、恐らく生データではなくてこれは想定データだからそこまでの活用はできないということを誰かが判断したんだと思うんですね。その判断が間違っていたということが指摘をされているんだというふうに理解をしております。
#48
○上野通子君 今の大臣のお話で、SPEEDIは活用できなかったじゃなくて活用されなかったという発言がございましたが、高木前大臣は活用できなかったというような答弁をされています。では、活用されなかったというふうに高木大臣の議事録を変えることは許されるのですか、できるのですか。
#49
○国務大臣(中川正春君) されなかったと表現するのかできなかったと表現するのか、そのときのその判断の主体によるんだと思うんですね。だから、まあそこは私は同じような意味合いだというふうに受け取っていただいたらいいと思いますね。
#50
○上野通子君 SPEEDIは活用できなかったというのは、機械、SPEEDIを含めたそのときの予測データが全く活用できるものではなかったという意味になってしまいます。活用されなかったというのは、そのものの予測が十分に使えたにもかかわらず、それを人的な何かの形で活用しないように仕向けた、活用することがなされなかったという意味に私は取りました。ですから、これは十分に活用すれば、予測システムですから、あくまでも予測です、事実は取れなかったわけですから、データが。でも、それによって皆さんを避難に誘導することは十分できたんです。私はそう思います。
 時間がありませんので、次に移らせていただきます。また引き続き次の機会にさせていただきたいと思いますが。
 次に、科学技術について質問させていただきます。
 二十五日の本委員会で中川大臣は、天然資源に乏しい我が国にとって、経済社会の成長を支えるプラットホームである科学技術とそれを担う人材こそかけがえのない資源ですとおっしゃいました。私も全くそのとおりだと思います。その考えに沿って科学技術を発展させていくためには、国の財政が苦しい折といえども必要な予算を確保していかなければならないと思います。
 ところが、政権交代してその直後に、事業仕分の名の下に科学技術予算が大幅に削減されてしまいました。今でも皆さん覚えていらっしゃると思いますが、蓮舫さんのおっしゃった二位じゃ駄目なんですかという言葉、これは今でも子供たちの流行語になって残っているところです。中川大臣はそのときの鳩山内閣でたしか文部科学副大臣を務めていらっしゃったと思いますが、先ほど大臣の格調高い所信の一部を紹介させていただきましたが、ほんの二年前に科学技術予算をばっさりと切り落とした政権の一員でしたよね。一員でありながら、今ここで、今ごろになってというか、この所信表明で全く今度は予算を大幅に増やすような、そのようなことを言われたというのは私はちょっと疑問に思ったわけですが、でも、いいことだとは思いますが、ただ、大臣はそれでは当時のことを振り返って今どう総括されるのか。事業仕分は失敗だったのか、それともやるべきだったのか。また、具体的に言うと、失敗と思われるのであれば、だからこそ予算を増やす方に動いたのか。その辺をお聞きしたいと思います。
#51
○国務大臣(中川正春君) 私もあのとき事業仕分を一方で受けながら、もう一方でこの予算をどのように組み立てていくかということを担当させていただきました。
 さっき蓮舫さんのお話が出ましたけれども、ちょっと誤解があるのは、事業仕分というのは、あそこで主張されたことがそのまま私たち取り入れて、その主張されたとおりに実行していくかということではなくて、あそこで出ていた議論と、それからこれまで、あの時点では過去の政権、自公政権が積み重ねてきたものと、これが対峙して議論されたわけですね。そんな中で、私たちは真ん中に座ってその議論を聞かせていただいて、その上で我々なりの新しい政権としての整理をしていくと、こういう作業をしていたということなんです。
 なものですから、あのときに課題になったのは、スパコン、スーパーコンピューターだったんですね。それで、世界一でなければならないかというような議論が出ましたが、結果、我々が出した結論というのは、瞬間的に、もうIBMが後ろから追いかけていますから、これは次から次へと更新されていく、そういう過程の中での競争ですよ。そんな中で、瞬間的に世界一というような発想をするんじゃなくて、絶えずその世界一のグループ、いわゆるマラソンでいえばトップグループに位置付けて、それで走り続けるというような環境をつくっていくということが正しいだろうということをあのときの結論として私たちも位置付けまして、その上で、あのスパコンも実は実質的には継続をしているということなんです。切っていません。だから、あの世界一の記録がもう既に出たということでありまして。
 そのときにやったのは、IBMが追いかけてきているから、その達成年度を一年さきに位置付けなきゃいけない。だから、そこの位置付ける過程の中で、そこに一年早くするために付加した予算を付けていたものですから、そういう一年のためにこれだけの予算を付けるということじゃなくて、それはこれまでの歩みの中で着実に持っていったらいいんだということで、そこの部分を削ったという形で資金を見出したというような、そういう議論があったということなんです。
 そんなことを、これは一つの例示ですが、そういう組替えをしながらあのときの予算を組み立てていったということでありまして、あのときの思いとしても、やはりこのプラットホームを、いわゆる科学ということ、このイノベーションをしっかり位置付けることによってこの国の未来があるということについては、これはコンセンサスとして我々の中にもあったということであります。
#52
○上野通子君 ありがとうございます。一生懸命答えていただきましたが、ちょっと大臣の言っていることがよく分からなかったです。
 私としては、まさにその自民党政権のときの責任も十分理解しておりますが、何といっても、私たち日本の未来を担う子供たちの分野もある。しかも、科学技術はどんどんこれからもしっかりと日本では力を入れていかなきゃならない分野です。ですから、大切なものは大切だということは変わりません。そこからやはり責任を持って私たちはそれを守っていく、そういうことをしなければならぬのではないでしょうかと思いますが、大臣の答弁、ちょっと不満なところも感じますが、質問を先に進めます。
 科学技術白書についてですが、日本は科学技術、先ほど何度も言いましたが、技術立国であり、科学技術大国としてこれからも不動の地位を維持していくべきでなければなりません。そのために、日本の科学技術の成果と、それを後方支援する政府の方針を内外に明確に公表するという意味でこの科学技術白書の役割は大変大きいと思いますが、中川大臣は科学技術白書の役割についてどうお考えになっていらっしゃいますか。
#53
○国務大臣(中川正春君) 全く御指摘のとおりだというふうに思います。
#54
○上野通子君 ということは、科学技術白書は後世に残すべき日本の科学技術の大事な記録であると、そういうふうにお考えですね。ありがとうございます。もちろん私もそう思っております。
 実は、平成二十三年度版の科学技術白書が閣議決定されたのが七月十二日です。高木前大臣の在任中ですが、もし仮に問題箇所があれば新大臣の責任で訂正なり修正なりしていかなければいけないと思います。平成二十三年度版の科学技術白書は、冒頭の十三ページを割いて東日本大震災についての記述をしております。その九ページに先ほども質問させていただきましたSPEEDIの記載があります。ここなんですが、その部分を読み上げます。放出源情報を得ることができずに大気中の放射性物質の濃度等の変化を定量的に測定するという本来の機能を発揮できなかった云々と記述されてあります。
 でも、これではSPEEDIのシステムに問題があったようなニュアンスだと私たちは受け取ってしまいます。SPEEDIは事故直後も、先ほど大臣も認めていらっしゃいましたように、仮定条件を入力することによってきちんとシミュレーションを行っていました。問題なのは、シミュレーションの結果が原発周辺の住民の皆さんの避難誘導に活用されなかったということだと思いますが、いかがですか。
#55
○国務大臣(中川正春君) この白書でも、そこの点については、IAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書では、SPEEDIなどの活用結果を当初から公開することなど、当初から公開すべきだと、こういう記述ですが、公開することなど全二十八項目の教訓を取りまとめているということで、そういう前提で私は書かれているというふうに思います。
#56
○上野通子君 ありがとうございます。
 そうです。三月十二日のベントの前に住民の避難誘導に活用できなかったということが、政府の公式見解であり後世に残すべき貴重な教訓としてIAEAに報告していただいたということを大変有り難く思っておりますが、この報告書が日本政府の国際社会に対して表明した東日本大震災とその後の対応に関する公式の報告書だと私は思っております。そこは、きちんとSPEEDIが推測していたのに、現に行われた試算結果は、先ほどもお話ししましたが、活用されなかったと記載されております。というか、これは元々は違ったニュアンスと先ほど取ったように、活用すべきだったを変えたわけですが、このときは同僚の森委員が、森まさこ委員が六月十七日の参議院の震災特別委員会の方で指摘されて、それから追加修正していただきました。
 繰り返しますが、事故直後、SPEEDIはきちんと機能していました。しかし、活用されなかった。私たちはそのことを東日本大震災の教訓としてきちんと後世に伝えなければいけない。先ほどもお話ししました。ところが、今回の科学技術白書はIAEAの報告の修正前の表現に先祖返りしているようにも受け止めてしまいます。大臣はそうではないとおっしゃいましたが、多くの方々はそう受け止めることも可能です。
 改めて大臣に質問します。現に行われた試算結果は活用されなかったという記述を追加して、IAEAに報告したと同じように修正する考えはございますか。
#57
○国務大臣(中川正春君) 先ほど申し上げたように、この白書の中に、このIAEAの報告書、これが取り上げられて、二十八項目、その前段でこの影響予測ネットワークシステムなどの活用結果を当初から公開することなどということで、そのことについて公開すべきだったということもここに付記をして、二十八項目の教訓を取りまとめていると、これは政府の公式見解であるということもここで連動してはっきり表明をしているんだというふうに解釈をしていきたいと思っています。
#58
○上野通子君 実は、この件について森まさこ先生が先日、質問主意書を出されておりますが、それの中では、きちんと修正する必要はないというような形になっておりますが、今の大臣の説明ですと、十分に同じ、IAEAとまさに同じ考えであるということに、IAEAに報告した報告書と同じ考えであるというふうに取ってよろしいわけですね。
#59
○国務大臣(中川正春君) そういうことです。
#60
○上野通子君 実は、IAEAにこの六月に報告されました文書はほかにもいろいろ問題があるので、今日はそのことはちょっと時間がないので、追ってほかの機会にまたさせていただきたいと思います。
 次に、原発事故による観光業の風評被害に対する賠償について質問したいと思います。
 東日本の震災が発生しましてから間もなく十一月の十一日で丸八か月になろうとしています。東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故を受けまして、福島はもちろんのこと、私の地元である栃木県の日光市や那須地方などは、特に観光地と言われる隣県におきましては観光に対して大変な影響を受けました。
 震災直後に私も何度も何度も聞き取りに伺っておりますが、日光市の観光業は前年比マイナス九五%という数字もございます。これは三月十二日から三月三十一日の日光東照宮の拝観者数です。日光を訪れる観光客のほとんどが東照宮を参拝されますので、かなり周辺の観光客のデータとしては信頼できるものだと思います。周辺の観光客はその後も回復は進んでおりません。三月十二日から九月三十日までの日光東照宮の拝観者総数は前年同期比マイナス三七%にまで落ち込んでいます。
 ここで皆さんに配付させていただきました資料を御覧いただきますと、これは栃木県、山梨県、神奈川県の三県についての東日本震災以降のJTBさんの営業成績です。三県とも東日本大震災直後は実績が大きく落ち込んでおりますが、福島原発から離れている山梨、神奈川両県は、七月には前年並み、八月にはそれを上回っております。ところが、栃木県を御覧いただくと、八月でも六四%にしか回復していません。
 そして、ここに実は本日の地方紙である栃木県の下野新聞というものがございますが、そこに改めて宿泊者数が減ったという記事がございます。宿泊者数について、栃木県が四月から六月において前年同期から三五・五%と大変減少になったということが二十六日までに観光庁の宿泊旅行統計調査で分かったということです。そして、全国ワースト三位です。さらに、外国人宿泊が、これも激減しております。前年同期から八二・六%の大幅減です。これはまさに風評被害そのものが原因になっているとしか思われません。
 このように、観光業に対する具体的な指針が発表されないままずっと来たわけですが、実は一か月前の九月二十二日にやっと観光業の方々に発表されました。皆さん来る日も来る日も待ちわびていたわけですが、その内容は、私も見てびっくり、愕然とするような内容でした。というのは、観光業に対し、仮に原発の放射能漏れがなかったとしても地震などで一定減収があったはずだという信じられない想定に基づいての、風評被害のあった対象となる県に対し、みなし減収二〇%というひどい発表でした。
 私もびっくりしたんですが、特に栃木県内では既に老舗と言われるホテルが三月には倒産しておりますし、そのほかにも多くの観光関係の方々が失業に追いやられているという状況です。関係者の方々は、厳しい厳しい風評被害の下で、今も手持ちの金がいつショートしてしまうのかという不安を抱えながら毎日を生活しています。
 しかしながら、ここに来て、最近ですが、政府も東電もようやくこれはおかしいということで、この基準を見直す方針を打ち出してくれました。ところが、これによりますと、政府も東電もこんなむごい基準を本当に撤回してくれることを私は望んでおりましたが、そうではなかったんです。何と政府も東電も全面撤回せずに減収率を一部引き下げただけにとどまっているんです。二〇%を一〇%にするという、この程度にとどまっているというこのことを賠償の担当大臣としてどう思われるか、コメントをいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(中川正春君) 私も、観光業の皆さんが風評被害で非常に苦しんでおられる、先ほどお話が出たように、店によっては倒産という憂き目に遭っているということ、本当に心に、心を本当に痛めております。
 そんな中で、この賠償基準というのを何らかの形で作っていかなきゃいけない、そのときに、それなりの根拠をもって説明するということが公平さということにもつながっていきますので、そうした意味で最初の二〇%という値が出たんですが、これが、基は阪神・淡路の大震災のときの減収率というのを前提にして、地震に対する風評でその被害があったというのが平均して二〇%だったから、二〇%地震分をカットするというようなことで打ち出されたわけであります。
 私も、もう本当に皆さんの状況を見て何とかしたい、これ、このままではという思いでいたんですけれども、最近になって今の地震についてのデータというのが出てきたものですから、これを参考にして、これを基準にしてカット率というのを見直したということであります。それが先ほど申し上げた一〇%ということで、八月までこれがカットする率としていきたい。それ以降は大体地震による風評というものは消えていくと、実質的には地震ではなくて原子力の関連だけだということが統計的にもはっきりしてきたものですから、九月以降はこれをゼロにしていくということで、最初の八月までの期間を減殺したと、こういうことになりました。
 ここのところ、どうしても何らかの形で客観的な根拠というのを示さなきゃいけないという苦しさがありまして、そこの中での今の基準ということになっております。
#62
○上野通子君 この対象となっている県が、福島、茨城、栃木、群馬ですが、大変この地域は風評被害を依然と受けていると思います。
 しかしながら、このまだ一〇%というのを残しているという、控除を残しているということ、そうですよね、三月から八月、これっていうのは大変栃木県にとっては厳しい値となります。
 先ほどお話ししましたように、日光そして那須地方では、場所によっては地震の被害そのものよりも、その後の全てが風評被害に係るという、風評被害であるという地域がたくさんございます。にもかかわらず、地域ごとにきちんと視察されているならともかく、全部を一緒くたにして四県一緒にやるということ、これもいかがなものかと思いますが、もう一度コメントをお願いします。
#63
○国務大臣(中川正春君) 基準というのはどこかで作っていかなきゃいけないのでこんな形になっていますけれども、実質の運用の中で、それぞれ個別の事情があると思うんです。
 このデータを見ていても、栃木県というのはそういう意味では非常に苦しんでいるということ、なぜこういう数字になっているのかという、それなりの個別の事情があるのだと思うので、そういうところを事故と相当因果関係が認められるものについて全て適切な賠償が行われるということになっている。これは一般的な総則の中でこうした基本原則がありまして、それに向けて原子力損害賠償紛争解決センターというのを開設をしておりまして、そこへ持ち込んでいただいて、個別の問題を議論をしていただきながら対応していく、これは弾力的に対応していくというような申立ての制度を、和解の仲介の申立てという形でありますので、こういうものも活用していただいて弾力的な運用へ持っていきたいというふうに思っています。
#64
○上野通子君 時間となりましたので、また次の機会によろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#65
○委員長(野上浩太郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#66
○委員長(野上浩太郎君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#67
○熊谷大君 自由民主党の熊谷大です。
 冒頭、まず、この場をお借りして、今般の三・一一東日本大震災で全国の皆様から御支援をいただいていること、とても感謝いたしていますことを表明させていただきたいと思います。今後とも、北海道から千葉県にかけて長い距離の被災であることから、長い年月の御支援と御協力が必要になってくると予想されますので、どうぞ温かい御支援をお願いいたしたいというふうに思っております。
 そして、最近、少々事実と反することが巷間耳にされることがありますので、ちょっとこの場をお借りしてですが、それも指摘させていただきたいというふうに思っております。
 それは、被災地は今、大バブルだというふうに言われることでございます。私は仙台市内に住んでおりますが、実感として、バブル経済になっているとか、被災地は非常にお金が回っているとか、そういうことを実感として感じておりません。何やら週刊誌又は新聞等々では、高級車やブランド品が非常によく売れているということを面白おかしく書かれたりするんでございますが、そうしたことも見聞きをしたこともありませんので、是非委員の皆様には御理解していただきたいなというふうに思っております。
 さらに、災害復旧、現在、瓦れき処理は、町中、確かに見なくなったのではございますが、それからぱたりと音が、町中から災害瓦れきを運搬する音も聞こえなくなった。普通はその後、災害復旧のための建設ラッシュというか、生コン車であるとかそういった車の音が聞こえると思うんですけれども、それが全く聞こえない状態でございます。それは被災地の皆さんは三次補正の執行を待っているからでございますので、是非とも皆さんで議論をさせて、速やかな執行に臨んでいきたいというふうに思っております。
 では、質疑に入らせていただきたいと思います。三月十一日の東日本大震災関連で質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 東日本大震災で被災した学校の応急のために震災・学校支援チーム、EARTHなどを派遣していただいたり、又は心の相談員、スクールカウンセラーも派遣していただいたりしてとても助かりました。ありがとうございます。心のケアというのは個別の事案でありますし、個々の子供たちの心の状態のこと、そして思春期の子供たちのことでございますので、大変難しい事案だなというふうに思っております。抱えるものの大きさもまだまだ子供たちは実感を持っていない、又は把握し切れていない状況であるということは変わりないというふうに思っております。
 そこで、心のケア、これは何度も申し上げますが非常に難しい課題だと思いますが、おおよそ何年間程度、子供たちの心のケア、震災関連ですね、が必要であるかということを、科学的なデータ又は知見が出ておりますれば示していただきたいというふうに思っております。
#68
○国務大臣(中川正春君) おおよそ何年間というところに焦点を当てたものでもないんですけれども、調査が行われております。これは、平成七年及び八年、被災地におけるというのは阪神大震災のときの子供の心の健康に関する調査というのを行っております。これは、その結果は各都道府県教育委員会に既に配布をされておるようなことなんですけれども、本調査において、子供自身や保護者及び教職員から見た震災による子供の心の影響、あるいは教職員の取組についてなんですが、例えば、例えばの例示ですけれども、まず一番、震度が大きく被害が大きいほど震災による子供の心に対する影響力は大きいが、震度の小さい地域でも、地震のことを思い出すようなことがあると緊張したり、どきどきすると。こんな被害の大きい地域と共通して認められる項目があるということ。
 あるいは、学年層別に反応の仕方に差異があって、低学年層では、小さいころしていたことをまたする、これを退行というらしいんですが、それから地震の話をしたり聞いたりするのが嫌だと、これを回避行動というらしい。それから、高学年層では、遊びや勉強に集中できない、これは集中困難。そういう心理現象が起きているということなどが明らかになっております。
 平成十年度には、これらの調査結果を基礎としまして、各学校等における体制づくりや対応方針の作成及び対応方法等の参考に資するための指導参考資料を作成をいたしました。また、平成十五年及び二十二年には、新潟県の中越沖地震等の自然災害に加えて、近年の事故あるいは事件などの状況も踏まえた改訂版を作成をいたしております。
 こうした工夫をしながら、よりきめの細かい対応をしていきたいというふうに思っておりますが、今回の震災についてのカウンセラー及びこうした様々な形での指導というのは、必要がある時期はもう徹底してそうしたサポートを続けていくという方針でやっていきたいというふうに思っています。
#69
○熊谷大君 今の御答弁の中で、その内容は大体分かるんですけれども、その期間についてどれくらい要するかということがちょっと抜けていたというふうに思っておりますが、先ほど那谷屋委員からの質問にもあって、大臣、答弁されていましたが、できるだけ長期ということで、ちょっと曖昧な形で言葉を濁されているのが非常に気になったんですけれども。
 阪神・淡路大震災では被災者が自身の心の問題に気が付かなかった。で、後に出てきたというふうなこともございまして、平成それこそ八年から二年後の平成十年がピークでございまして、四千百六名の方がそこで受診をされたりしております。それからだんだん減ってきまして、平成二十年に百六十九名というふうになっておりますので、大体おおむね十年スパンの計画が必要なんではないか、又はその十年という単位で考えて政策を打っていかなければならないなというふうに思っておりますが、文科省はカウンセラーを被災地に派遣しておりますが、その年限等々はもっと曖昧な形じゃなくてはっきり決めていただきたいんですけれども、決めていただくというのもおかしいですけれども、明言していただきたいんですけれども。
#70
○国務大臣(中川正春君) 貴重な御指摘をいただいたと思います。
 実際に阪神・淡路のときも様々な加配措置でカウンセラー等を送り込んだんですけれども、大体十年ぐらいは継続をしてそういう措置をしてきたというふうに聞いております。
 その辺も基本にしながら、今回の災害に向けても必要な期間送り続けていくということ、あるいは、また更に新たな施策を積み重ねていくという努力をしていきたいというふうに思います。
#71
○熊谷大君 三次補正予算では緊急スクールカウンセラーの派遣事業として四億円が計上されておりますが、これで終わりということはもちろんないですよね。継続して事業も施策も打っていただけるということでお願いしたいというふうに思っております。
 そこで、カウンセラーさんたちの活躍もさることながら、各教育委員会を回ったときに要望されることがあったんですよ。もちろんカウンセラーさん、非常に重要だと。でも、やっぱり長く、今大臣御答弁していただいたように、長く担当してもらえる、子供たちを面倒を見てくれる担任の先生が必要だということ。この委員会でも以前、鈴木寛副大臣、当時副大臣ともやり取りさせていただきましたが、担任の先生というのが必要になってきますというふうな要望を受けているということを紹介させていただきました。
 やっぱり、被災地のNPO法人で子供たちの様子なんかを見ていると、子供たちは非常に勉強に集中しづらくなっている、仮設住宅はスペースが非常に狭くて勉強できるスペースが取れないなんというふうないろいろな問題を抱えている。そうした中で、担任の先生になっていただいて、家庭訪問をして逐一そういった子供たちの抱える課題なんかを解決、一緒に長い時間を、期間を掛けて解決させられることができる担任の先生を多く加配してほしい又は派遣してほしいという要望がありますが、この点についていかがお考えでしょうか。
#72
○国務大臣(中川正春君) 私も被災地の学校を訪問しまして、先生御指摘のような要望を受けております。
 そんなことで、特にこの県外から支援という形でたくさんの先生方入っていただいているということでありますが、短期派遣、長期派遣それぞれございまして、実績からいくと短期派遣で合計派遣人数が千二百五十四名、うち養護教諭が八十五名、それから長期派遣、これは八都県教育委員会から非常に有り難い御支援をいただいておるということでありまして、合計で百十一名で、うち養護教諭が三十一名。この中で、特に特筆すべきは東京都でありまして、この百十一名のうちの八十五名というのが東京都から長期で派遣をしていただいています。
 文科省としても、この長期派遣をできるだけお願いをしたいということでマッチングをしておりまして、それぞれの県に対しても地域の事情というのを説明しながら、安定した形でこの加配が行われていくという状況をつくり出していきたいというふうに思っております。
#73
○熊谷大君 今大臣御答弁いただいたように、長期派遣をお願いするというふうな形、やっぱり他県の良心に頼っているようなところがあると思うんですね。
 でも、例えば災害時又は緊急時又はそのポスト災害時における教員の派遣を、是非、これは提案になると思うんですけれども、全国規模で文科省が派遣できるようなスキームを是非とも作っていただきたいと。
 というのは、宮城県、被災三県でありますが、非常に財政が厳しいところがあります。財政が厳しいところで、この震災時も、実は災害救助法の手続から被災県にかなりの額が他の地方自治体から請求を受けております。七月末の時点で四十五億円の請求がなされております。大半が交付金等々で見てもらえるというふうにとらえておりますが、しかし、やはりその派遣してもらうにも、そういうふうに請求、いわゆるコストが掛かっていたり、お金の面で今どこも財政が大変な状態で、請求をされるということで、心理的にも非常にお願いしにくい、又は負担に感じるところがありますので、そこら辺を何とか文科省で全国的な災害派遣の教員の仕組み、スキームを作っていただきたいというふうに思っておりますが、大臣の御見解をいただければと思います。
#74
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、一つの制度化をしていくということは、長期にわたっていく中では一つ工夫が必要なのかなということを私も受け止めさせていただきたいというふうに思います。
 それで、現在のコストの面からいきますと、こういう整理がしてあります。派遣のありようによって違うんですけれども、短期派遣の場合は、派遣元の都道府県から出張の形態を取る場合が多いということが考えられまして、その際の旅費等の費用は派遣元の都道府県が負担をしているということであります。
 一方で、長期派遣の場合には地方自治法二百五十二条の十七の規定に基づいて派遣という形態を取っておりまして、給料とそれから手当等の費用についてはこの法律によって派遣を受けた都道府県が負担をすることになっている。そういう意味で宮城県にも負担が掛かってきているということだと思います。統計を見ていても、岩手、宮城、福島の中ではやっぱり圧倒的に宮城がこういう形で派遣を受け入れているということがよく分かります。
 そういう意味で、いわゆる加配措置というのを文科省の方ではやっておるわけですが、それでも三分の一ですから、そういう意味では宮城にとっては財政負担ということになっているんだろうというふうに思います。いろんな形で交付金化といいますか基金化をされていますけれども、その基金化された資金を活用するということも含めて工夫をしていきたいというふうに思います。
#75
○熊谷大君 ありがとうございます。
 それと、先ほど言及いたしました災害救助法でございますが、とても津波被害からの復旧については使い勝手が悪いという評価を受けております。公益的施設、病院でも図書館でも学校でも、津波で被災した施設は、そこに同じ場所にやっぱり建て直さないと補助が下りない、復旧の補助が下りないというような使い勝手でございまして、非常に評判が悪いんですね。同じところに、やはり津波の被害を受けた同じ場所に沿岸部に学校を建て直す、建て直したいというところもあるんですけれども、そこに生徒を通わせる保護者の皆様にとっては、心情をおもんぱかれば、非常に使い勝手が悪いなと、改正に向けたこともしてもいいと思います。
 また、先日自民党の厚労部会に出たとき、施設の災害復旧における移転の扱いについてということで、官庁建物等災害復旧費実地調査要領に基づき、被災前の位置に被災施設と同規模、同機能施設に復旧することを原則としているというふうに書いておりますが、ただし書に、地形地盤の変動や施設の流失、埋没が生じている場合など、施設の移転が必要となる場合には必要な移転による復旧も補助対象となるというふうな文言も出ておりますので、これは柔軟な対応をしていただきたいなというふうに思っております。
 というのは、大臣も所信で述べておりますように、学校の施設設備の復旧を始め、学びの場の確保、それを努めることは、学校は地域コミュニティーの拠点であるから、最初に学校を復興することによりという、地域を再生できるというふうな強い意思が所信で表明されましたので、それに私も信じたいなというふうに思っておるんですけれども、残念ながら被災地は今非常にジレンマに陥っております。
 というのは、県又は市町村の方から沿岸部は建築制限を受けております。建築制限を受けている場所は、学校が建てられるか、建てていいものか駄目なのか、又はその見通しが付かなくて全く白紙の状態であると。市町村は三次補正の執行を待って計画をどんどん進めていきたいという一方で、政府の方は市町村からの計画が出ないと何とも動かない、動けないということで、非常に今地域住民はジレンマに立たされているところ、それが七か月間ももう続いていて、八か月を迎えようとしていると。
 その中で、大臣がおっしゃった学校を中心にした地域コミュニティーを再生していくというこの強い意思でもって、何とか文科省を始め大臣の方から、学校を中心にコミュニティーを再生するからしっかりと、しっかりとというか、建築制限を解除しても大丈夫だということを意思表明していただきたいなというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
#76
○国務大臣(中川正春君) これも非常に貴重な御指摘をいただいたと思います。
 私も現地に入りまして、ちょうど市町村の首長さんがコミュニティーに入って、現状のところへ戻るのか、あるいは高台へ向いて集団移転して、そこで新しい町をつくるのかというようなことを地域の皆さんと議論しながら、なかなかコンセンサスをつくるのに苦労をしておられる。それと同時に、そのコンセンサスをつくるためにも、じゃ国の支援がどこまでできるのかということをはっきりしてほしいという、そういうお話がございました。
 そういうことを受けて、実はもう既に文科省の方で新しい見直しをやりまして、学校を移転する場合にはそこで土地を取得しなきゃいけない。これまでその部分については出なかったんですが、これももう一〇〇%国費で土地も購入をして、先陣的に学校を設定して、そこからコミュニティーを始めていただけるような、そういう形にしております。同時に、災害でありますから、補助率のかさ上げ、実質的にはもう一〇〇%に近い形で国がその資金を提供をしていくということ。
 さらに、午前中にも議論が出ていましたが、学校だけの機能じゃなくて、今回分かったのは、ここが被災地の避難センターになっていて、そこで応急の仮住まいが始まってくる。そこに対するいろいろな設備をやっぱり事前に充実をしていかなきゃならないだろう。あるいは、逃げる場所としての学校の設計をしていくということもあるだろう。あるいはまた、コミュニティーのセンターとしての機能もあるだろう。
 そういうところを各省庁合わせてパッケージにしまして、モデル化して、こういうモデルがあるから、市長さん、頑張ってまず学校を決めようよというようなメッセージを出していきたいということで、そうした何といいますか、指導指針というよりも、情報を私の名前で県の教育委員会それから知事部局等々、できれば各市町村にと言っておるんですが、現場に情報を流して、それを使って地域のコミュニティーのコンセンサスをつくっていっていただけるようにというような配慮をしております。
#77
○熊谷大君 今の大臣の答弁がもう半年前、又はもっと被災直後からあれば被災者も非常に元気が出たんではないかなというふうに思って、ちょっとうれしい反面、残念に答弁を聞かせていただきました。
 それで、今その被災者に対する希望を与えるということで、我々は百七十七国会の際に、私学学校に対して、被災を受けた私学学校に対してかさ上げをする、公立の学校と同じようにかさ上げをしていくということを法案で通しました。ここの委員会では残念ながら反対がされたんですけれども、本会議では賛成と、多数で可決されました。この今の私学の補助率のかさ上げの法案の状況、どういうふうになっているかちょっと説明してください。
#78
○国務大臣(中川正春君) この法案そのものは与野党間において協議がなされているというふうに聞いておりまして、その協議を私たちは見守っていきたいというふうに思っております。
 実質的には、一次補正で施設災害復旧費の補助、これに加えて教育活動復旧のための経常費補助、これを行うということと、それから実質的な設置者負担分の軽減、これを、いわゆる三分の二補助相当ということですが、こういうことが現実的に可能な形で執行しているということでありまして、新たな形で法律を作るかどうかということについては、この国会の議論に、是非充実をさせていただきたいというふうに思います。
#79
○熊谷大君 私は、ちょっとこのかさ上げが、本当に私立の幼稚園等々、又はほかの学校を回っているときに、早くしてほしいと、非常に不公平感の強い補助の感覚でしたので、それは何とか全額補助してほしいという私立の幼稚園又は学校さんが多かったんですね。
 それで、私ちょっと驚いたんですけれども、第三次補正のこのペーパーを見せていただいて、被災私立学校等復興特別補助・交付金というのが出ているんですね。この非常に有り難い八十三億で計上されているんです。私は非常に有り難いというふうに思うんですけれども、この委員会ではその私立の助成のかさ上げのときに何と言って皆さん反対されたかというと、憲法の八十九条に反する、その理念に反するという考えで皆さん反対されたんですね。
 それで、今、神本政務官もそこに座っておられますが、八十九条に反するというとき、あのときも反対なされたんですけれども、この被災の私立学校等の復興特別補助・交付金、これはその御自身が言っていられたことと相矛盾する、相反することではないですか。ちょっとお答えください。
#80
○大臣政務官(神本美恵子君) 御通告なかったのでちょっと唐突、驚いていますけれども、あのときに八十九条との関係で、現在三分の一であるものを二分の一にするということについては、それなりの理由があって、それなりの理由が、憲法八十九条の公の支配に属しない教育の事業に対する公金の支出を禁止するこの八十九条との関係をきちっとやらなければいけないという意味で、あのときそれを一つの理由に反対をしたわけでございます。
#81
○熊谷大君 それなりの理由というのがちょっと分からないんですけれども、そのそれなりの理由を説明してください。今回はどうしていいんですか、これは。それを説明してください。
#82
○国務大臣(中川正春君) ここで私たちが整理をしたのは、この私学助成というのは、御指摘のように国及び地方公共団体が私立学校に対して支出をする助成であって、公の支配に属しない教育の事業に対する公金の支出を禁止する憲法第八十九条との関係が論点となっているということですね。
 この点、学校法人が設置する私立学校に対する助成措置については、学校教育法、それから私立学校法及び私立学校振興助成法、この三つの法律によって学校の閉鎖命令等の各種監督が及んでいるということから、これら三法の規定を総合すれば、学校法人の設置する私立学校の行う教育の事業は憲法八十九条に言う公の支配に属しているというふうに解釈をして、憲法上問題ないものと理解をしているということであります。
 具体的には、学校教育法における学校の設置、廃止の認可や、学校の閉鎖命令あるいは変更命令など、二番目には、私立学校法に基づく学校法人、準学校法人の解散命令、それから三番目には、私立学校振興助成法による予算変更の勧告、役員の解職勧告などの規定が適用されることを踏まえて、公の支配に属しているものというふうに解されているということ、これを整理をして、それで今の助成制度ということを執行していきたいというふうに思っています。
#83
○熊谷大君 ちょっと私は合理的な説明がなされたと今大臣の答弁を聞いていて思わないんですけれども、神本政務官、これ本当にどういうふうにお考えなんですか。
#84
○大臣政務官(神本美恵子君) 憲法八十九条との関係であのとき反対した一つは、公立は二分の一、私立は三分の一というこれを、本体を二分の一にするには八十九条との関係があるのでというのが一つの理由です。
 今回の三次補正で立てられておりますのは、これは私学助成法という法律に基づいて私たちは要求をしておりますので、直接八十九条との関係ではないということでございます。
#85
○熊谷大君 ちょっと私は今の説明を聞いても納得いかないんですけれども、時間が来てしまいましたので、次の機会にこれもまたやっていきたいと思います。
 ありがとうございます。
#86
○義家弘介君 自由民主党の義家弘介です。
 ようやくこの日が来てくれたなと私自身思っております。新内閣が発足して、我々は一貫して、大臣の所信を聞き、そして現在の文部科学省、閣僚の体制の中でどのような指針で教育行政を進めていくのか早急に聞くべきであるということを主張してまいりましたが、ようやく本日を迎えました。
 私は、現内閣及び現文部科学省を非常に憂慮しているものであります。それは、あえて言えば、戦後の教育界を混乱させてきた日教組内閣、その問題性、これをしっかりと指摘しておきたいと思います。
 衆議院議長に北教組の組織代表の横路氏、そして、もうお辞めになりましたが経済産業大臣に鉢呂氏、この二人は北教組の専従が選挙のときはびっちりと張り付き、そして動員を掛け、激しい活動をしている、違法な活動をしているかかわりのある人物です。
 そして、参院会長、民主党幹事長に日教組のドン、教育に政治的中立はあり得ないとのたまった輿石東氏、そして厚生労働副大臣に兵庫県選出で、違法なストライキ、これは一昨年この委員会でも指摘しましたが、兵庫県教組、西宮教組の違法ストライキの画策及び教頭推薦、組合人事で教頭先生を決めるという書類も出回っておりますが、これも資料として出した兵庫県の選出の辻泰弘氏、そして官邸には内閣総理大臣補佐官として、同じく兵庫県選出の水岡俊一氏、そして政務官には神本美恵子政務官。
 そして、本日のこの質疑でも、日政連の議員、日教組の組織代表の議員八名いるわけですが、八名中六名閣内に入って二人だけ閣内には入っていなかったわけですが、本日午前中の質疑で、斎藤嘉隆議員、そして那谷屋正義議員という形で、非常に日教組の影響力の色濃い内閣の中で、さあ朝鮮高校の無償化の問題をどうしていくのか、今後の日本の教育行政どうしていくのか、今日これからの質疑ではっきりとお答え願いたいと思っております。
 親殺しや子殺し、虐待、そして、例えば親が亡くなったことさえ届け出ずに、その年金を当てにして生活する、そんな事件が相次いで起こっております。日本の根幹あるいは教育というものはどうなってしまったのか。これは多くの人々が感じていることであろうと思います。公共の精神の欠如、そして個人主義に入り込んで、自分さえ良ければいい、とにかく今楽しければいい、そういった傾向をまさにつくり上げてきたのがこの日教組教育であろうと私は思っております。
 母親が子供を車に置いてパチンコに興じて熱中症で殺してしまう、こんな事件も報道されるたびに胸を痛めますが、さて大臣、大臣は、二〇〇六年六月二十二日木曜日、御自身のホームページ、「ひとこと」という欄で、私はこれを見たとき、知ったときにちょっと愕然といたしました。こんな記述を刻んでおります。パチンコ屋の託児所こそが、少子化対策の突破口になる可能性があるのではないか。私は、この文言を読んだときに、一体この大臣は何を考えてこの文章を言ったんだろうと。記者会見等々でも苦しい弁明をしていますけれども、全くもってその弁明はこの書いた内容とは私は乖離するものであろうと思います。パチンコ屋の託児所こそ、事件等々を受けて、大臣はこの事件、子供が熱中症で死んでしまった事件等々もこの前段に書いていますが、パチンコ屋の託児所こそ少子化対策の突破口になる可能性がある、これはどんなお気持ちで記したのか、まずお答えください。
#87
○国務大臣(中川正春君) 一部だけをそうして取り上げていただいて、誇張した形で報道されたということに対しては非常に私も遺憾に思っています。
 その文の中にも、あるいはその前後の私の体験の中にも記されていますが、中小企業をずっと回っていまして、なかなか人を育てていく、人を確保していくというのは難しいと。そんな中で、託児所、いわゆる企業の中に託児所をつくっていくということについて私は真剣に考えているんだという中小企業の社長に会いまして、その動機が、この間パチンコ屋に行ったら最近のいろんな事象の中でパチンコ屋にも託児所ができていると。それぐらいのことだから、特に企業についてそうした託児所をつくっていくという、そういう制度化と、その時代の流れというのは当然のことだから、中川さん、どうやったら企業で託児所ができるのか教えてくれと、こういうことを言われたということなんです。
 そのことをちょっと例示的に挙げてパチンコの例を出したということでありまして、そこだけが特筆されて書かれたということでありまして、そういう背景というのは、私は企業にとってもしっかりとこれからの対策としてあり得るんだろう、いわゆる託児所というのを企業の中につくっていくということの必要性というのはあり得るんだろうというふうに思っています。そういういきさつの中で引用された話であります。
#88
○義家弘介君 その説明は日記の内容とはちょっと異なるので、前文も含めて読みたいと思います。
 中川さん、パチンコ屋が託児所を始めよった。若い母親が子供をほったらかしにしてパチンコに熱中した結果、子供が何人も犠牲になってきた。パチンコ屋の対応は早い。うちの工場もこれに負けずに、女子従業員に託児所を開くと約束した。離婚率の増加でシングルマザーが増えてきている。みんな喜んでいる。ある企業の社長さんが話してくれました。施策の体系化だ、全体のバランスだとへ理屈の多い官僚に比べると、会社経営者は問題解決発想で即実行。この後がその問題の部分が出てくるんです。それにしても、パチンコ屋の託児所こそが、少子化対策の突破口になる可能性はあるのではないかと、私は今真剣に考えています。
 今、大臣は人のことのような、そんな話の中でそんな話が出たという話ですが、書いている内容と全く違うわけですが、どうですか。
#89
○国務大臣(中川正春君) いや、さっき説明したとおりだというふうに思います。
#90
○義家弘介君 これはもう全くひどい答弁だと思いますよ。
 少子化対策の突破口になる、パチンコ屋の託児所こそが、少子化対策の突破口になるのではないかと、私は今真剣に考えています。考えているのは大臣なんですよ。いかがですか。
#91
○国務大臣(中川正春君) 社長のそうしたコメントを聞いて、私もなるほどなと思ったということです。
#92
○義家弘介君 そもそも教育で問われるべきは母親の母親としての在り方の問題であって、託児所をつくるから、それが少子化対策になる、託児所をつくるから。そんな発想の文言を無責任に書き、そしてこのような、ある意味でごまかしのような説明をしていると。
 では、もう一つお聞きします。
 大臣はパチンコチェーンストア協会の政治分野のアドバイザーを務めていらっしゃると、今は削除されていますが、この協会のホームページに名前も載っておりましたが、これは事実でしょうか。
#93
○国務大臣(中川正春君) そのように登録をされているようです。
#94
○義家弘介君 だから、私は心配しているわけですよ。
 あなたは、組織率ほぼ一〇〇%を誇る三重の教組の確認書を、同意書を交わし、そして組織的に応援してもらいながら出ている大臣であります。つまり、このパチンコストアの政治アドバイザーを務めているから、あえてこのパチンコの事件の中でパチンコ屋さんに託児所をつくることが少子化の突破口であると書いているとしたら、自分の有力な支持団体である三重教組がこう言ったらこういう発想の行政をしていくんじゃ、まさにつながるところなわけですよ。
 大臣、笑い事じゃないですよ、これ。何を笑っているんですか、大臣。国民の前で笑えますか、それ。
 繰り返しますけれども、パチンコ屋の託児所こそが少子化対策の突破口になる可能性はあるのではないかと私は真剣に考えている、そう言っている大臣はパチンコストア協会の政治アドバイザーに名を連ねている。そして、今のようなごまかしの発言、これを国民が聞いて納得するかどうかという問題なんですよ。私は、適格性、全くもって疑わしい大臣であると思っております。
 さて、その上で更に進めていきますけれども、まず教育基本法、教育の根幹にある教育基本法、二〇〇六年の十二月に改正されたこの教育基本法を大臣は遵守しますか。いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(中川正春君) これは、私たち行政に携わる者は法律に基づいて執行をしていくということでありますから、そういう意味で遵守をしていきます。
#96
○義家弘介君 同じ質問を神本政務官にもお聞きします。
 教育基本法を遵守しますか。
#97
○大臣政務官(神本美恵子君) 大臣も申されたとおり、私も行政府の一員として教育基本法を含む法律に基づいて仕事をしてまいりたいと思っております。
#98
○義家弘介君 そこが心配だからあえて問うているわけです。
 まず、神本政務官、二〇〇六年のホームページで書いております。教育基本法改悪に断固反対しますという旨の意見が書かれています。政府は、国と郷土を愛する愛国心を明記した教育基本法改悪案を国会に提出しました云々と、反対の御自身の姿勢をつらつらと述べております。
 一方、今、政務官になったら、信条が変わったからそう言っているのか、それともダブルスタンダードで、自分はこう思っているけれども、こういう今役職に就いたからこれを遵守しますと言っているのか、どちらですか、お答えください。
#99
○大臣政務官(神本美恵子君) 信条で反対したわけではございません。
 私も教育基本法特別委員会に当時所属をしておりまして、その中で改正教育基本法案が提案されて、たしか、ちょっと正確には覚えていないんですけれども、前の教育基本法第一条で、教育は、人格の完成を目指し、正義と真実を、何でしたっけ、そういうことが書かれているんですが、それが今の教育基本法、いわゆる改正された教育基本法では、第一条の目的のところからその部分、ちゃんと言えませんでしたけれども、教育は、人格の完成を目指し、前の教育基本法ですね、平和な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならないとされておりました。
 それが、改正教育基本法では、現行の教育基本法ですが、一条のところに、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者としてというところまでは一緒なんですけれども、その後にあった真理と正義を愛し云々というところが第二条の教育の目標のところに移行されておりまして、そして一条の結びは、必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならないというふうになっておりましたので、私はそこを見たときに、そして第二条の教育の目標のところに、真理と正義を愛するとか、勤労と責任を重んじというのも入っているんですけれども、現行法では五項目にわたる目標を達成するよう行われるものとするということで載っております。もう御承知のことだと思いますけれども。
 その中の第五に、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うことというふうになっておりますので、これは当時の委員会の中でも私は、当時伊吹大臣でしたけれども、伊吹大臣にそのことをただしてまいりました。これは、国民に必要な資質として教育の目標に掲げ、我が国と郷土を愛するということを強制することになるのではないかということで議論をさせていただきました。
 そうしましたら、大臣の当時の答弁では、そういうことではなくて、教育の目標として掲げたものであって、心の中に入り込んだ、その人の信条に入り込んだようなことを国家はしてはならないということが大前提なので、強制することにはなりませんというふうな御答弁をいただきました。
 ですから、ここについては、私は当時はそういうこと、非常に危機感を感じましたので反対をしておりましたけれども、これが成立して現行法になっておりますので、強制されるようなことがあってはならないということは今も思っておりますが、今の教育基本法に基づいてきちっと行政を進めていかなければいけないということは冒頭申し上げたとおりでございます。
#100
○義家弘介君 ありがとうございます。
 これではっきりしたわけですけれども、教育基本法に対しては中身としてはかなり反対、左寄りの見方からこの教育基本法というのはとらえているということがこれではっきりいたしました。
 いいですか。伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国の郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和に寄与する態度を養うこと、これが強制なのか強制じゃないのかなんて問題じゃなくて、こういう態度を養うような教育をしていきますということなわけです。
 神本政務官の当時のホームページの中で、まさにこれ同じこと書いてあるんですね。
 改悪案の本当の狙いは、国を愛する態度を国民に強制し、愛国心を無理やり押し付けようとしていることです。国に従順な国民をつくるための心の教育を推し進めようとしています。日の丸・君が代を強制してきたのと同じ手法ですという形で書いておりますけれども、まさにこの強制ということに対しては今言っていることと解釈が全く変わっていないということなんですね。
 この法律の中身というのは、何かの価値観を強制するというよりは、公教育の中でそういう態度を養っていくための教育をしていくという中身なわけですから、まさにこの歪曲した教育基本法の在り方。それから、一番最初に口から出てきたのが四七教育基本法なわけですけれども、やはり四七教育基本法を前提として教育基本法をとらえているということがまさに私は明らかであろうと思っています。
 改めて質問いたしますが、神本政務官は日本教職員組合の組織内候補、間違いありませんか。
#101
○大臣政務官(神本美恵子君) そのとおりです。
#102
○義家弘介君 その日本教職員組合、これちょっと調べただけでちょっとすごいなと思うんですけれども、十八年度だけで「神本みえ子さんを励ます会」、これ北教組、岩手県教組、千葉県教組、神奈川県、様々な教組でやっていますが、すごいですね、一回パーティーするとこれだけ集まるんだなという、まさに政治資金とそして票、それから活動の母体、これ丸ごと乗っかっている中で、この日本の公教育を、責任ある仕事をつくっていかなければならないわけですけれども、御自身も福岡県で教職員組合の執行役員・女性部長、そして九六年からは日教組の本部ですね、中央執行委員会の教育文化部長、そして日教組の教育改革推進部長、そしてまた日教組の文化局長を経て参議院候補になっていますが。
 この日教組、実はこの本持ってきたんです。これ、普通の書店で今も売られている本なんですね。三百円で売られている。この「ゆたかな学びにむけて」という、日教組のカリキュラム提言という本、神本議員、御存じでしょうか。
#103
○大臣政務官(神本美恵子君) 日教組カリキュラム提言「ゆたかな学びにむけて」ということで二〇〇八年に発行されているようですが、残念ながらちょっと中をつぶさには私は見ておりません。
#104
○義家弘介君 私も中をつぶさに見させていただきましたが、実は非常にいいことも書いていたんですね、なるほどなと。なるほどということも書いてある。
 一方で、これはとても問題だなということも多く出てきているわけです。例えば、教材は自主編成していきましょう。これ、学習指導要領への否定なんですよね。自分たちで独善的な教科書をやっていきましょう。あるいは英語教育は、これは何で外国語教育が英語教育に直結するんだと。これはほかの国の教育をしてもいいじゃないかとか、様々な、おやおやということが書いてあるわけです。
 その中で、まさにこの取り巻く課題について今神本政務官がおっしゃった教育基本法観と全く同じことが書いてあるんですね。四七教育基本法の理念に基づいて民主教育の確立を目指して実践を重ねてきたと、日教組は。しかし、戦後六十年間の教育に対する総括もなく、これらの方向性も共有化されることもなく四七教育基本法が、かぎ括弧改正、これは本当は改悪と書きたいんでしょうね、改正されました。まさに現行の教育基本法を否定する立場、四七教育基本法に基づいて行っていく立場の中でこの中身というのは全て書かれているわけですね。
 私は、政務官という立場にいらっしゃる神本先生がこういう形の発想を持って教育行政を行っていくことは非常に危険なことであると思っています。
 これは長い戦後五大審議、物すごく長い時間を掛けて国会内で議論して成立していった教育の根幹を成す、前文のあるのは憲法と教育基本法だけです、そういう法律の認識自体に非常に揺れがある、あるいは認識自体にずれがある。この中で教育行政を行ったらどういうことになるのか、非常に心配しております。
 その上で、教育基本法について具体でお伺いしたいと思いますが、先ほど神本政務官もおっしゃいましたが、一条に、教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならない、つまり、教育基本法は元々、日本国民に向けて教育の指針を示したものであります。
 そして、教育の目標について規定した第二条についてですけれども、先ほどこれも神本議員がおっしゃった、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和、発展に寄与する態度を養うこと。
 さあこれ、じゃ具体的にお聞きします。
 大臣、この愛国心、郷土愛、他国の尊重、国際平和への寄与について、大臣はどのようにお考えですか、中川大臣。
#105
○国務大臣(中川正春君) 日本の国民として基本的なスタンスですか、物の考え方として、先ほど提起をされたような資質というのは教育の中で培っていって、そしてそれこそ世界に向けてしっかりと生きていくような、そうした人材を育てていくということ、これは大切なことだというふうに思います。
#106
○義家弘介君 ありがとうございます。
 まず、この教育基本法に基づいて文部科学行政が行われている、もう一度確認しますが、教育基本法に基づいて文部科学行政は行っていくんですね、中川大臣。
#107
○国務大臣(中川正春君) そういうことです。
#108
○義家弘介君 さて、だとしてですよ、例えば現在、菅直人総理大臣が最後の空白の一日で突如審査を再開した朝鮮学校の問題であります。
 朝鮮学校は、本当に他国を尊重し国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う体制がその教育内容の中で行われているか。更に言えば、この教育基本法第十六条では、教育は、不当な支配に服することなく、公正かつ適正に行われなければならないとされているわけです。しかし、朝鮮学校は、朝鮮総連という日本側では検証できない不当な支配の中で運営されている学校であるということも再三指摘してまいりました。
 この朝鮮学校、これは教育基本法に違反するとお考えになりませんか、大臣、お答えください。
#109
○国務大臣(中川正春君) その点についても、今この無償化の課題というものを抱えている中で改めて朝鮮学校の中身についてもしっかりとチェックをしていこうと。実は、地方自治体についても朝鮮学校に対してのいわゆる補助ということがなされてきました。民族学校も含めて、あるいはインターナショナルスクールも含めて、そういう中で、その中の一つの類型としてこの朝鮮学校があったんだと思うんですが、そういうことが改めて今回の議論の中で一度チェックもする必要があるだろうということになってきたんだと思うんです。そういう仕組みを、今回の無償化をしていくかどうかというその過程の中で私たちが入れ込んで、そしてチェックをしていくということにしております。
 ただし、ただし、今回の無償化というのは、学校に対する補助金じゃなくて、子供たちに対する無償化ということでありますので、ここは教育的配慮といいますか、それぞれの子供たちの人権というものもしっかり確保していく、これも教育基本法の中の一つの根幹の価値観だと思うんです。また、国際的にもそういう意味合いで日本が問われている課題だというふうに思います。そこのところをしっかりと調和させながら最終的な判断をしていきたいというふうに思います。
#110
○義家弘介君 調和とか権利とかじゃないんですよ。教育基本法と朝鮮学校のことについて私はお尋ねしているわけです。他国を尊重し、国際平和の発展に寄与する態度を養うこと、あるいは教育基本法の第一条等々も含めた上で、朝鮮学校は教育基本法に違反していませんかというお話をしています。
 不当な支配という意味でも、朝鮮総連の不当な支配なのか正当な支配なのか分かりませんけれども、完全な影響力を受けている組織である、これは政府の見解としても明らかに出しているところなわけですよ。そして、その朝鮮総連の中には例えば日本の会計検査院が入っていくことできない。つまり、本当に子供たちに使われたのかそうじゃないのかを責任を持って検証することさえできないわけですね。
 そして、当委員会でも私言ってきましたが、この無償化の議論の中で、逆に多くの在日の方たちがとにかく生徒を集めようという形で、ほかの学校に行きたいと、日本の学校に行きたいと言っている子供たちに、いやいや、そんなことやったらおまえの親が大変になるよというような働きかけさえ一部で行われていることも指摘してきましたが、こういう内容をずっと発信してきたにもかかわらず、何と民主党政権、文科省は、教育内容は問わないと。これはまさに文部科学省への自己否定なんですよ。
 文部科学省は、教育内容についてしっかりと担保して教育行政を行ってきたはずなのに、教育内容を問わない、つまり教育基本法もう関係ないというような立場で行政、審査開始を行っていること、改めてこれは大問題である、これは即刻停止し、しっかりとした考え方を示すべきであるということを指摘しておきます。
 さて、不当な支配という意味では、例えば教頭人事に介入した問題、あるいは教員人事に介入した問題、大分なんかでも教員採用・昇進不正事件に組合が組織ぐるみでかかわっていた。文部科学省が調査して明らかにした結果としても出てきていますが、まさに教育行政への不当な介入、これは日教組が歴史的にずっと行ってきて、今もそれを行っているものであります。
 さて、冒頭ちらっと言いましたが、中川大臣、圧倒的組織率を誇る三重県の日教組、三重教組の推薦を受けており、そのことも御自身も認め、副大臣時の平成二十一年十月十四日の記者会見、日教組の意見を参考にしながら議論を進めていきたいということはあるともおっしゃっておりますし、三重県教組の新聞でも紹介されています。そして、これも三重県教組新聞に紹介されていますが、衆議院選挙に際しての同意書という確認書も交わしていると紹介されております。
 中川大臣、これは事実でしょうか。
#111
○国務大臣(中川正春君) そういう確認書も交わしておりますが、我々、選挙になると様々な団体から支援をいただいて選挙の体制を組んでいくということであります。その支持をしていただいている以外の団体あるいはそれぞれの利害関係者というのもあるわけでありまして、そういう皆さんから様々な声をいただいて、そして政策形成をしていくというのが議員だというふうに私は思います。
 ですから、そういう意味で、教組だけというようなことでもありませんし、私自身の判断基準というのもあって、その中で是々非々で参考にするものはしっかり参考にさせていただくと、こういうことであります。
#112
○義家弘介君 御自身の判断基準で推薦を受けて、同意事項もしながら是々非々でやっていくというお考えですが、では、この有力支援団体である三重教組の活動、教組としての活動について大臣はどのようにとらえていますか。
#113
○国務大臣(中川正春君) 教育行政の中でやっぱり現場の考え方をしっかり組み込んでいって、その中で現場の協力を得て物事を動かしていくということ、これは大事な要素だというふうに思います。そういう意味では、教組の活動もそうした一つは現場の中でのそれぞれの先生方の思いというのを一つの政策に結集しながら上げてきているということでありますので、そうした能動的なというか、そういう活動への評価というのは私もしていきたいというふうに思っております。
#114
○義家弘介君 現場の声としっかりと向き合っていくことは大事ですが、現場が異常な状態ならば、しっかりとリーダーシップを持って正さなければならないのが文部科学省の役割なわけですよ。
 例えば、八重山の教科書採択の問題も、現在も違法状態が続いているにもかかわらず、延々とその手を差し伸べずに、この問題は後でやりますけれども、結果的に違法状態を放置し、そして昨日の衆議院で何と言った、教科書無償措置を竹富はやめる、しないと、このままの状況ならと。そういう法解釈にまで踏み込んだとんでもない発言もしていらっしゃいますが、これは後で行いますが、まずおかしな状況があったら、それはおかしいと言わなければいけない。
 そして、三重教組のおかしな活動、この三重の問題についてもこの委員会で取り上げてまいりましたけれども、それを理解していないかのように、現場の声を吸収してなんて無責任なことを言っていること自体、もう文部科学大臣の適格性として私は疑わしいと思いますよ。
 北海道で、皆さん、再三、私、予算委員会でも質問して、当時の鳩山総理が文部科学省に調査をしっかりとしてもらうように答弁しているにもかかわらず、北海道の教育委員会に丸投げして、結果的に不十分だと、そして会計検査院の結果がそろそろ出ると。その中で、アリバイ的にこの北海道の教育の現状、北教組の現状についての調査の指示を、指導を文科省はしましたけれども、その前に御自身の団体のことをよく考えてくださいよ。三重県、北海道と同様に、平成十二年に県教委によって教職員の実態調査が行われたこと、覚えていらっしゃいますか。
#115
○国務大臣(中川正春君) そうした調査が度々この教職員組合の活動の歴史の中で行われてきたということは記憶をしていますけれども、具体的に、先ほどの年度でどのような背景でやられたかということについては余りしっかりとした記憶に残っておりません。
#116
○義家弘介君 もう都合の悪いことは記憶に残っていません。しかし、これ重大な事件として、これ教育史に残る重大な事件として起こっている問題ですよ。それを御自身同意書を交わして推薦を受けて、そして都合の悪いことになったら覚えていません、余りにも無責任な答弁だと私は思いますよ。
 じゃ、お教えしましょう。三重県では、教職員組合の違法な組合活動や違法な選挙運動が問題となって、平成十二年、県教委が実態調査を行いました。その結果、今回の北海道と全く一緒ですよ。勤務中の組合活動が明らかになって、教職員に対して教育委員会は十億円以上の給与の返還請求を行ったんですよ。結果として、今度、三重教組どうしたか。大騒ぎして、猛烈な不正給与返還拒否運動を子供たちを置き去りにして展開したんですよ、あの時期。最後はどうなったかというと、教育委員会が返還請求権を放棄する代わりに三重県の教組が教育振興にかかわる寄附金という形で、実質的に不正給与を返還するという形で決着を見たわけです。この結果、三重県の教育長及び三重県教組の委員長は責任を持って辞任しているわけです。
 そういう組織だということを分かった上で大臣は同意書を交わし、推薦を受け、協力をもらっているということの御認識があるのですか、お答えください。
#117
○国務大臣(中川正春君) 過去にはそういう議論があったということも承知をしております。私も県議会におりましたので、そうした返還、この十億円という金額をさっき提示をされましたけれども、これについて返還すべきだということを、実はその当時は私は自民党だったんですが、教職員組合に対して主張をしてきた、そういう立場にございました。これはたまたま平成十二年ですか、に表に出ていますけれども、それまでに長い議論があったということを併せて認識をしております。
#118
○義家弘介君 過去にはという話で、しかしこの返還すべきだということを県議会の中で主張してきたということは、そういう真っ当な感覚もおありだったのかなと思いますが、一方で、現在は同意書を交わして、まさに全面的な応援の下で選挙戦を戦っているわけですから、そういう意味で、以前はじゃないですよね。
 この後にも、例えば、私もこの偏向教育あるいは外国人の問題についてどんな教育が三重教組で行われているのかというペーパー等を出してこの委員会でも指摘してきましたが、例えば平成十五年三月二十七日の週刊新潮の特集、これリアルな特集ですよね。
 校内暴力ワーストスリーでも政治活動に狂う日本最強の三重日教組なんという記事ですけれども、組合員を前にして、どんどん教え子を訪問して、家に電話をして開拓してもらいたいと言う三重県の教組執行部の話や、実際に戸別訪問で二人捕まってしまったという事例、あるいは教組が人事を支配している実態などが詳細に報道しておりますけれども、この平成十五年はもう既に中川大臣は国会議員と、今県議会議員のころのことをおっしゃられましたが、国会議員としてなっておりますが、こういう違法な組合活動や選挙運動について承知の上で同意書を交わして応援を受けていたのか、是非お答えください。
#119
○国務大臣(中川正春君) そうした不当なあるいは不正な活動については、それこそ是々非々でお互いしっかりと改革をしていかなきゃいけないという思いでおりまして、そのことと、その政策的なものがいわゆる同意書の中にあるわけですけれども、その中身というのは政策なんですが、政策的なところで合致をする部分、これは進めていこうと。教組の方も、逆に現場のサイドから協力をしていただいて、それぞれの立場立場で、教組だけじゃなくて地方の行政組織、そしてコミュニティー、そしてまたその子供たちを取り巻く様々な人たちが一つの方向で学校づくりをしていく、あるいは子供の教育をしていくということがこれは大切なことだというふうに思います。
 そういう意味で、政策がそこで合致をしておれば協力をお願いをするということ、これは当然のことだというふうに思います。
#120
○義家弘介君 問題は、教育界を揺るがすようなこのような出来事が起こり、そしてその後もその体質が変わらずに、そして現在も私が指摘したように偏向教育の内容も変わらずに行われている教組の推薦を教育行政のトップの文部科学大臣が受けていて、それを問題意識としてしっかりと指摘することなく是々非々でとごまかしている文部科学行政が非常に無責任であると私は言っているわけです。
 北海道あるいは三重県にも調査が入りました。このほかでも、昨年の選挙のときにも具体的な動きがあったので、この委員会でも出して、議論の俎上に上げましたが、民主党輿石幹事長の地元でもある山梨や、あるいは教職員組合により違法な選挙活動や人事支配の実態があって去年の参議院選挙でも教職員による違法な選挙活動が行われた山梨や、あるいは問題が数多く指摘されている大分、教員採用・昇進不正事件の大分、そういったところでも、文部科学省として、今回アリバイ的に会計検査院の結果が出るから北海道に改めて調査というのではなくて、こういう実態を明らかにしたところに対して、ほかのところも含めて勤務実態調査を行うという考えはございませんか、大臣。
#121
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、今回は北海道で、我々が調査をした結果というのが本当に一部の結果しかそこから出てこなかったということについては反省をしていきたいと思います。
 その上で、会計検査院が改めて会計検査院なりの手法で、これも一部ですけれども、調査をしたと。その結果、新聞報道で出ているような形のものが出てきている。これはまだ最終的な報告書として届いておりませんので、その辺確かめていく必要があると思いますが、しかし、結果として新聞報道上のようなものが出てきたということについては、北海道教委に私どもの方から確認をして、そういうことがあるということが分かってきましたので、この時点で改めて会計検査院並みの、その手法を使った形で、北海道教組よりもその現場ということですがね、教育委員会に対して、教育委員会に対してこの会計検査院の手法とそれ並みの手法でもって全北海道を調査をするようにと、こういうことで指導をしたところであります。
 ほかの地域についても、御指摘のようにこうした事例が出てきて、それが非常に大きな形で蔓延をしているというふうなことがしっかり出てきたときにはそれなりの指導をしていきたいというふうに思っております。
#122
○義家弘介君 この実態を我々はこの二年間、このファイル全部そうですけれども、こういうペーパーがありますよ、こういう活動がありますよ、こういう勤務時間中の組合活動がありますよと、校長交渉の中でこの長期休み中の活動についてこういう届出をして、こういう形で校長先生が追い詰められていてということを一つ一つ明らかにしてきたわけです。しかし、動かなかった。
 今、大臣は、我々の調査の結果、不十分な結果しか出なかった。我々は調査なんかしていないんですよ。道教委があの混乱の中でかなりの覚悟を持って行った。本来、その道教委の覚悟を持った調査の中で、文科省が一定の枠を示す、今回のように一定の枠を示したらあの時点で出たわけですよ。しかし、一向にしなかった。だから、当委員会で会計検査院を呼び、会計検査院に中身の調査をしていただけませんかと言って、当時の局長がこれはゆゆしき問題であるから必ずやりますと言って、その結果が今公表されようとしている。文部科学省はやらなかったんですよ。再三言ってもやらなかった。これが私は一つの大きな罪であろうと思います。
 今文部科学省が調査を行ったら、またぞろ真面目な教師たちがぼろぼろになっていくんですよ、北海道で。そして、札幌市と北海道の道の教育委員会の違いによって、また別の処分がこれから生まれていくんですよ。だからこそ、あの問題が出て、逮捕者も出て、教組の問題明らかになったあのときになぜ踏み込もうとしなかったのか、最低でも調査の基準を道教委に、あるいは札幌市教委に示すことはしなかったのかということ、本当にこれは大きな汚点となる私は行政の怠慢、文部科学省の怠慢であったと悲しい思いも含めて受け止めています。そして、これからの調査も非常に強く心配するものであります。
 さて、質問を移しますが、神本政務官に質問いたします。
 神本政務官は日教組の組織代表で御自身も小学校の教員をされてきましたけれども、教育公務員の政治活動についてどのようにお考えになっているか、それからもう一つ、教育公務員だった教師時代、勤務時間中の組合活動は行っていましたか、この二点、お聞かせください。
#123
○大臣政務官(神本美恵子君) 教育公務員も地方公務員でありますので、公務員として政治活動については制限があるというふうに思っております。
 それから、自分が学校の現場の教員のときに勤務時間中に組合活動をしたかということについては、ございません。組合活動がもしある場合には年休を出してやっておりました。
#124
○義家弘介君 小学校の先生が組合活動がある場合年休を出してやっていると、先生いなくなっちゃいますよね。
 更にお聞きしますが、是非、神本政務官、もう一回法律をしっかりと読んでいただきたいんですが、神本政務官、記者会見でこういうことを言っているんですね。
 一応といいますか、教員も公務員ですので、公務員の選挙活動については、政治的中立ということで禁じられております。これも地方公務員と教育公務員を同列に論じていますが、これ同列じゃないんですよ。教員はその影響力が高いことから、地方公務員以上の政治的制限、国家公務員と同じ制限が加えられている。それが教育公務員特例法というやつですよね。だから、同じで、地方公務員と一緒にまず答えていること自体、果たして法律を理解していらっしゃるのかなと。
 その上で、こう言っているんですよ。一市民あるいは有権者として、その地位を利用しての政治活動ではなく、一市民としての選挙権、被選挙権という立場からの運動というものは、そこまで禁じられていないふうに私は理解しておりますというお話なんですね。この違いを教えてください。その有権者として、地位を利用しての政治活動ではなく、一市民としての選挙権、被選挙権という立場からの運動というものは禁じられていない、この中身について、これもうちょっと分かりやすく教えてください。
#125
○大臣政務官(神本美恵子君) 義家委員、今御紹介いただきましたように、地位を利用して、教育公務員として地位を利用して政治活動をやるということについて禁じられているということでございます。地位を離れて一市民として自分が選挙に立候補するとか投票するとか、自分が支持する、例えば家族が選挙に出るとかいった場合に、地位を利用してではなくてやる、一般市民としてやることまで禁じられているというふうには承知しておりません。
#126
○義家弘介君 一般市民としてまでやるということは禁じられてと、そもそも先生は立候補できませんからね、先生辞めないと。先生辞めてから立候補しなかったら、これは公務員がいきなり公職に立候補するなんて、被選挙権なんという議論は始めからないわけですが、しかし、一市民として運動をしてもいいなんて、これまさに、これ文部科学省の通達とちょっと引っかかってくるような発言ですよ。
 当時の鈴木寛副大臣、直近では、教職員の選挙活動の禁止等についての通知、これ副大臣名で出してくれた。これ実は画期的だったんですよね、今まで初中局長名で出ていたんです。しかし、今度はしっかりと、北教組事件を受けて、様々な問題も受けて、こういう形ですと責任を持って副大臣名で出たわけですが、こう書いてあるんですよ、神本さん。教育公務員が個人としての立場で行うか職員団体等の活動として行うかを問わず、これらの規定に違反する行為や教育の政治的中立性を疑わしめる行為により、学校教育に対する国民の信頼を損なうことがないようにしなければならない、通達出ているんですよ。
 これ、民主党政権で、文部科学省から出ているものですよ。大丈夫ですか、神本さん。
#127
○大臣政務官(神本美恵子君) 今御紹介いただきましたのは、鈴木副大臣名で今年の二月十八日に出されているものでありまして、教職員等の選挙運動の禁止等についてということで、御紹介いただきましたように、個人としての立場で行うか職員団体等の活動として行うかを問わず、政治的中立性を疑わしめる行為によって信頼を損なうことのないようにということでございます。
#128
○義家弘介君 だから矛盾していると言っているんですよ。
 一市民として選挙権、被選挙権という立場で行動を行う、運動を行うのは、そこまで禁じられていないというふうに理解しておりますと。しかし、今あなたは文部科学政務官なんですよ。文部科学省から毎回通達が出ていて、教育公務員が個人としての立場を行おうが団体としての立場で行おうが、これに違反してはならないと、こういう疑わしめる行為はしてはならない。だから身分がしっかりと保障されているわけですよね。この辺の見解さえ曖昧であります。
 だから、これまさに日教組と一緒だなと思うわけで、日教組の内部ペーパー。誰にでもできる選挙活動、先生方にと。支持依頼は積極的にやってください、戸別訪問は制限されていますが、たまたま会ったときの応援を頼むこと、知人、友人、ほかの要件で人に訪ねたときの選挙の話になり支持の応援を頼むことは全然できるからがんがんやってください、電話による活動は無制限、自宅でも選挙活動ができます、とにかく自宅、自分の自宅にポスターを張るということですね。それから、手紙をどんどん活用しましょう、これ実際の直筆の手紙も先生方の政治活動として提示してまいりましたが、文科省、お伺いします。
 支援依頼は先生は積極的に行っていいのか、電話による活動は無制限なのか、自宅でも選挙活動ができるのか、手紙をどんどん利用すれば大丈夫なのか、いかがでしょうか。
#129
○政府参考人(山中伸一君) 公務員、そして教育公務員につきましては、地方公務員法、それから教育公務員特例法で一定の政治的行為が禁止されておりまして、特に教員の場合には、政治的行為の制限は国家公務員並みの規定となっております。
#130
○義家弘介君 じゃ、個別にします。
 自筆であれば、支持の依頼を先生方、書き添えることができますか。いかがですか。自筆であれば、手紙を書いてこの人を応援してくださいという支持の依頼をすることができますか。
#131
○政府参考人(山中伸一君) これは、公務員の場合、政治的行為の制限、行為の制限とそれから政治的目的の制限と両方ございまして、ちょっと今のそこのところの対応関係で、一つ特定の政治的目的を持って一定の……
#132
○義家弘介君 選挙の依頼ということです。政治的目的です。
#133
○政府参考人(山中伸一君) 政治的行為が制限されているということですかね……
#134
○義家弘介君 もうちょっと具体的にじゃ読みましょう。これは日教組の内部ペーパーですからね。
 政党の政策や候補者の人柄や説明や投票の依頼など、電話による選挙活動は自由にやっていい、先生方無制限にやっていいですよと書いているんです。
 これは山中局長、どうですか、無制限にやっていいんですか、いいわけないでしょう。
#135
○政府参考人(山中伸一君) 政治的目的を持って政治的行為という場合には、政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること等が政治的行為ということで規定されているものでございます。
#136
○義家弘介君 なぜそれができない、もう自己否定です、自分たちの通達と全く違うことを言っているわけですよ。電話で政党の政策や候補者の人柄の説明を無制限で学校の教員が行っていいんですかと聞いているわけですよ。これは法律の中身にしたって駄目に決まってるじゃないですかという話をしているわけですよね。
 さらに、もう進めます。
 神本政務官、記者会見の中でまたこれもすごいことを言っているわけですけれども、国旗・国歌を学校の行事の中でどのように実施するかということについては、それぞれの設置者である市町村や所属長である学校長が子供や地域の実態に合わせて判断するというところは、そういうふうに考えていいのではないかと思っていますと答えていますが、神本政務官、学習指導要領を否定しますか。
#137
○大臣政務官(神本美恵子君) 学習指導要領にのっとって適切に指導されるべきだと考えております。
#138
○義家弘介君 学習指導要領にはどこにも、学校行事の中で国旗・国歌を扱う場合は市町村や所属長である学校長が判断、学校長が判断していいなんて書いていないんですよ、これ。そんなこと書いていないんですよ。あなたは記者会見でそう言いましたが、子供や地域の実態に合わせて判断するんじゃないんですよ。
 これは指導要領にのっとってその扱いを文科省も指導しているわけでしょう。入学式や卒業式における国旗及び国歌の扱い、このことについて、学習指導要領第四章、これは中学校版です、第三の三では次のように記している。入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するものと指導する。これに基づいて各県の、道の、都道府県の教育委員会が通達を出して、教育委員会がこれをしっかり徹底してくださいとやっているのが現在の公教育の行政の中身じゃないですか。
 それをあなたは何て言ったかっていったら、その地域の状況に合わせて学校長がその判断をすることは私はいいというふうに考えていますということは、これは文部科学行政の自己否定じゃないですか。それは、政務官としてまさに不適格じゃないですか。学習指導要領は守らない、教育基本法はおかしいと思っている部分がある、あるいはこの日の丸・君が代についてはそういうスタンスだ、選挙運動に対してはこういうスタンス、これじゃ文部科学行政成り立たないじゃないですか。
 少なくとも、それが駄目だというなら国会で審議して法律や指導要領を変えてからやっていただかなかったら、法治国家なわけですから現在ある法律に基づいて政治を行うなんていうことはこれは当然の話、それを行えないなら、あるいは理解していないなら、そもそも政務官になる以前の問題であろうと私は思いますけれども、これはまさに政務官としての言葉としては非常に重いですよ。
 中川大臣、いかがですか。神本政務官、この指導要領に対して理解していないようですが、いかがですか。
#139
○国務大臣(中川正春君) いわゆる国旗・国歌の取扱いについては、確かに学習指導要領の定めるところに基づいて適切な指導が各学校において行われるという、このことが大切だということだと思います。
 ただ、恐らくニュアンスとして、これの運用といいますか、どのようにそれを実現していくか、実行していくかということがあるかと思うんです。そこのやり方については、それぞれの校長あるいは地域で様々な機会に様々な形でこの国旗・国歌の取扱いというのがあるんだと思うんで、どのようにしていくかという細かいことまでこれは求めているわけじゃなくて、それを尊重しなさいよと、それを指導要領の定めるところに従って指導しなさいよというところは、これはもうそれこそ遵守をしていくということですが、運用の幅というのがそこにあるんじゃないかということを神本さんは言われたんではないかというふうに思います。
#140
○義家弘介君 大臣からしてもう分かっていないですよね、本当に御理解しているんですか。
 これは、所属長である学校長が地域の実態と合わせて国旗・国歌やるかやらないか判断するなんていう問題じゃないんですよ。神本さんは、実態に合わせて判断するということはそういうふうに考えていいのではないかと、それぞれが判断していいのではないかというふうに記者会見をしているわけですから、これは非常に問題がある、そして大臣の対応も含めて問題のある対応だろうと思います。
 残り五分なので、ちょっと具体的に北教組についてお伺いしたいと思いますが。
 本当に北海道教職員組合の問題、事件というのはつぶさに一つ一つ明らかになりましたが、これ過去のことではなくて現在進行形の北教組のやみがあるわけです。私、何回も何回も北海道に入ってこの実態について調査してまいりましたが、例えば勤務時間中の具体的なファクス、日時も入ったようなファクスも国会で取り上げさせていただいて、それを導火線になって様々な問題、日の丸・君が代闘争の過激なものとか、あるいは校長を追い詰めるような非常にひどいものとか出てきたわけですが、この内部資料もすごいことですよ、本当に。
 義家弘介ら自民党プロジェクトチームがと、また呼び捨てですよ。とにかく、道議会に入り、政治活動、勤務時間中の活動に対して国会参考人招致、再調査を指示して、道教委も調査しているなどもろもろ書いて、すごいこと書いてある。全く懲りてないわけですよ。だから調査なさったんだと思いますけれども、情報提供までに。いいですか。
 間違ったこと、やり過ぎ、失敗してしまったということと今回の我々の処分されたものは一〇〇%違うと。労使交渉はもちろん、それに不可欠な準備行為は勤務中に行うことは適法である。校長との労使交渉はもちろん、それに不可欠な準備行為は勤務中に行うことは適法だと言っている。これ適法じゃないことは明らかですよね。まして、組合の交渉相手といったら校長じゃなくて教育委員会ですから、校長と校長交渉で行うなんということはこれ自体もうあり得ない。勤務時間中の組合活動は直ちに違法になるわけではない、何を言っているんだという話ですよ。
 その後にこう書いてあります。だから、胸を張って堂々と勤務に支障を来さない範囲で認め合っている勤務時間の中の組合活動、どこが違法なのかと訴えるべきではないかと。日常の教職員の勤務実態を言った上で、長期休業中は柔軟な勤務対応を取り決めていくことが大事なんだ、主張すべきではないか。そして、私文書を勝手に持ち出した資料に基づき組合活動に介入して調査する道教委の行為こそ違法であると。我々は全く悪くない、勤務時間中の組合活動はいいんだと、これを取り締まる道教委や文科省や義家がおかしいんだと延々と言うわけですよ。
 そして、これもすごいですよ。勤務場所や勤務時間内で組合活動ができない、あるいは学校の機器も使用できない、括弧、もしするなら、かぎ括弧、こっそりと、と刷り込まれつつあると。組織としては不当だ、やめろと主張し闘わなければならないと。一人一人が怒りを持ち、拳を握り締め立ち上がろう、握り締めた拳を振り上げ、道教委、文科省、自民党に対して突き上げようと、おおよそ先生たちの話合いの中身じゃないことが延々と書いてあるわけですね。
 いいですか。文科省は今回、全体の調査に乗り込んだわけですが、校長先生は、現場の、そして教育委員会はこういう人たちを相手に調査しなきゃいけないんですからね。そのことを重々承知した上で、しっかりとした後押しをしていってくださいよ。そうじゃなかったら、真っ当に調査しようとしている人は潰れますからね、これ。こういう人たちを相手に、我々はどんなにたたかれても正しいことは正しいと言いますが、それは政治家の責任ですが、一方で、先生方は狭い町の中にいる、同じコミュニティーの一人ですからね。
 その相手方が、こういう状況の中で、大衆戦争だとまで書いているわけですよ、これからの我々のスタンスとしてはと。そういう状況の中で、文科省が示した基準に基づいて校長先生が中心になって聴き取り調査を行っていく、あるいは道教委、市教委が中心になって聴き取り調査を行っていく。これ十分配慮していただかないと、私は大きな問題が今回の調査でまた、問題というのは、問題行動がということはもちろんですが、そうじゃない問題ですね、本当に調査しようとした真っ当な人たち、あるいは正直に変えようとしている真っ当な人たちだけが処分されて、そうじゃない人は何となく終わってしまうというようなものとか、あるいは広島で起こったような、校長が組合に物すごいつるし上げを受けて、その職責さえ全うできず倒れてしまうような事件が起こり得るぐらいの状態に今あるわけです。だから、なるべく早く文科省には会計検査院の前に動いてほしかったわけです。しかし、それを決断しなかった。
 しかし、そのときは大臣は副大臣でしたけれども、今度は文部科学大臣ですから。先ほどから、三重教組の支持は受けていても、おかしなものはおかしい、是々非々で徹底的にやるとおっしゃいましたね。是非ともこれは不退転の決意で、増税を議論するなら、こんな公務員の勤務時間中の組合活動が公然と行われているような状況だったら、国民への説得力全くないですからね。この部分に意欲を持って取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、大臣のその決意についてお聞かせください。
#141
○国務大臣(中川正春君) 先ほど申し上げたとおり、是々非々でしっかり調査を入れていきたいというふうに思います。
#142
○義家弘介君 終わります。
#143
○草川昭三君 公明党の草川であります。
 私は、文科省の指導の下になると思うんですが、高速増殖炉「もんじゅ」の今後の研究開発とストレステストについてお伺いをしたいと思います。
 最初に、高速増殖炉「もんじゅ」は、原子炉内に落下をいたしました炉内中継装置の引き抜き作業を終了し、運転再開に向けた作業が進められていると承知をしております。「もんじゅ」は発電用原子炉なので、今回のストレステストの対象となっており、既にストレステストが始まっていると聞いていますが、「もんじゅ」の今後の取扱いについて、ストレステストのスケジュールや今後の運転再開についてどういうような状況になっているのか、お答えを願いたいと思います。
#144
○大臣政務官(神本美恵子君) 今お尋ねの「もんじゅ」についてでございますけれども、まず第一に、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえまして、ストレステストの実施やシビアアクシデントの対応の検討など、安全性の確保のための方策に万全を期することが重要であると考えております。
 「もんじゅ」はストレステストの対象の原子炉でありまして、現在、原子力機構において十二月を目途に実施結果の取りまとめを目指して準備を進めていると承知しております。
 「もんじゅ」の運転再開につきましては、ストレステスト等の結果を踏まえて、安全性が確保されていること、地元の理解を得られることを前提とした上ではありますけれども、来年の夏を目途に策定予定されております新しいエネルギー基本計画、原子力政策大綱を受けてその実施を判断したいと考えております。
#145
○草川昭三君 今、来年の多分これは前半になるんじゃないかと思いますが、大綱の問題を含めて具体的な再開の努力をしたいと、こういう趣旨の答弁があったわけでありますが、中川文科大臣は、九月の二十七日の記者会見で高速増殖炉の実用化へ向けた研究開発を一年間凍結するという考えを示されたと聞いております。
 「もんじゅ」を含めた今後の高速増殖炉の研究開発についてどのような展望を持っておみえになるのか、ただいまの答弁も含めてお答え願いたいと思います。
#146
○国務大臣(中川正春君) 先ほどちょっと説明をさせていただいたように、本来なら来年の四月に向けて四〇%出力プラント試験ということを目指していたんですけれども、今年度中の実施を見送っていくということにいたしました。その間、ストレステスト、それから、これだけでは十分でないということで、シビアアクシデントの対応ということも併せてやっていきたいというふうに思います。
 先ほどのお話でもあるように、これから原子力政策をどうしていくかということ、それからさらに、核燃料サイクルについてどういう見直しをしていくかということについて、来年の夏までに、具体的には新原子力政策大綱、それから新エネルギーの基本計画、これを政府としてまとめていきたいというふうに思っておりまして、その結果を踏まえて、この「もんじゅ」の在り方についても総合的に判断をした上でプラン作りをしていきたいというふうに思っております。
 その上で、先ほどお尋ねの部分というのは、次の段階ですね、「もんじゅ」の次の段階の実証炉と、それから実用炉に向けてのいわゆる研究開発というのをやっていたわけですが、これについても、この方向性を定めた上で改めて計画を立てていこうということで、今年一年、予算としては凍結をするということにいたしました。
 したがって、今年の予算は、この「もんじゅ」を維持していくための予算ということになっています。ナトリウムの循環を止めてしまうということになると、その後の維持ができないということになりますので、この維持をしていくということを主にした予算ということになっております。
 そして、いずれにしてもこれから考えていかなきゃいけないことというのは、今回の東京電力の福島原子力発電所における事故の原因の検証、それからエネルギー資源をめぐる我が国の状況、そして再生可能エネルギー等の普及の可能性、それから諸外国の取組というようなことを前提にしながら、夏までの議論になっていくというふうに思います。
 ただし、原子力に関連する研究開発というものについては、これは完全に閉ざすということであってはならないというふうに思います。「もんじゅ」についてどういう結論が出ても、原子力に対する研究開発とそれから人材の育成ということについては、これは維持をしていかなければならないというふうに私自身は考えておりまして、そのような方向で整理をして主張をしていきたいというふうに思います。
#147
○草川昭三君 今答弁をされまして、私改めて、更問いというんですか、追加で聞きますが、一年間凍結をしたという記者会見というのは、相当大きな関係者に影響力を与えているわけですよ。
 今のお話だと、付けた予算は、研究開発はやっていきますよ、研究を放棄したわけではないですよというような趣旨に私聞こえたわけですが、そこは非常に科学技術という立場があるわけですから、特にこの「もんじゅ」のような新しい分野の研究というのは止めることのないように、関係者は自信を持っていただいて勉強はしてもらわなきゃいかぬわけですよ、日本の将来のエネルギー対策について。
 ですから、そこは、ちょっと私風邪引いておりましてお聞き苦しい点があって申し訳ないんですが、そこはひとつ大臣、十分考えて、これからも対処をしていただきたい、こういうように注文を付けておきます。
 今度は、原子力安全委員会の方お見えになると思うのでございますが、菅前総理は七月の六日、衆議院の予算委員会における答弁で、まあ私にとっては突然だと思うんですが、ストレステストの実施を原子力発電所の再稼働の条件とすることを表明をされました。一方、原子力安全委員会は、同じ日でございますけれども、通産大臣に対して、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第二十五条の規定に基づき、ストレステスト実施に関する報告をしてもらいたいということを求めています。
 これは、総理が突然この発言をしたことによって、原子力安全委員長が急遽ストレステストの要請を行ったのではないかとも私ども思うわけです。これはいわゆる後付けの要請になるのではないだろうか。それとも、元々原子力安全委員長はこの日に要請を予定していたのか。総理の発言とその後行われた原子力安全委員長の要請の関連について是非お考えを示していただきたい、このように思います。
 あれっ、来ていませんか。小川さんでないの、それ。
#148
○委員長(野上浩太郎君) どなた。
#149
○草川昭三君 内閣官房小川新二さん。
#150
○政府参考人(小川新二君) 私は事故調査・検証委員会の事務局長でございますので、ただいまの問題は所管しておりませんので。
#151
○草川昭三君 じゃ、私の方の質問通告が念を入れてなくて、この質問については東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会の事務局長が答弁されるものだと私は思っておったんですが、それは違うんですね。
#152
○政府参考人(小川新二君) はい。
#153
○草川昭三君 それは、委員長、申し訳ない。私の注文をした方と、注文をしたと言うと言葉が悪いけれども、予告をした方に伝わっていないわけですが、この点については、じゃ、文科省全体として統括をする立場の方、誰かお見えになるなら答弁をしてください。これは答弁は無理ですか。(発言する者あり)「もんじゅ」の最高責任者ですから、どっちにしても。
#154
○国務大臣(中川正春君) その辺の経緯について一度検証してみないと、私自身から今すぐ回答ということにはならないということで、申し訳ないと思います。
#155
○草川昭三君 国会の中でも国会独自の調査をやろうということで、ついせんだってもこれが決まったところなんですね。ですから、私は、もう今退任をされた菅さんの在り方を一々ぐずぐずけちを付けても始まりませんが、思い出しますと、菅さんのあのときやられた一連の行動というのは、これは国会でも率直に時間を掛けて調べていただいて、そして適切であったかどうか、これは非常に重要だと思うんです。そういう点では、今大臣が答えられましたように、今後の問題として是非考えていただきたいと思うわけであります。
 それで、同じようなことでございますけれども、これは科学技術庁、元の科学技術庁でございますが、そういう意味では文科省関係があるわけでございますが、その当時、菅総理は、関係者と調整や相談をしないで自分だけの判断でこういう新しいことを発言されたのではないか、私は今でもそう思っているんですよ、あの当時のことを思い出すと。これが結果として日本の原子力政策の今後の在り方に大変傷を付けたのではないだろうかと、そういう心配を現実に持っておるわけです。
 それで、昔の話になって大変恐縮でございますが、このストレステストの話も典型的な例ではないだろうか。本来ならこれだけの大事故のきっかけになったわけですから、国民に安心感を与えるべく落ち着いた対応を取るべきだったと私は今思っております。
 このストレステストというのは、今よく使われておりますけれども、当時の政府の答弁というんですか、態度というのは非常にばたばたした対応を示されたような気がしてなりません。今後の私は原子力政策あるいはまた大綱等についても新しいものが来年予定されるわけでございますが、是非、私は大臣として、先ほどの答弁の繰り返しになるかも分かりませんけれども、これは十分我々の声を取り上げていただいて科学技術の振興のために対処していただきたいと思うんですが、その点、改めて御質問しますが、どうでしょう。
#156
○国務大臣(中川正春君) 確かに、私も閣外におりましたけれども、あのときの状況というのはいわゆる唐突観は否めなかったというふうに思っております。
 ただ、その上で考えていくと、このストレステストを入れたということによって、結局はその周辺住民の皆さんに対して、より的確な安全ということについての説明ができる、あるいはそうしたプロセスを経た上での再開に向けての議論というものができるということに資しているということはあるんだというふうに思います。
 なものですから、我々としてはそれをしっかりと対応していくということと、さっき申し上げたように、私の管轄では「もんじゅ」があるわけでございますが、それについても、やっぱりあれを続けていくという前提があるとすれば、このストレステストだけじゃなくてシビアアクシデントについての対応も更に付加して安全性というものを確かめていこうという、そういう姿勢をつくっていきたいというふうに思っております。
#157
○草川昭三君 七月の十一日に文部科学省としてたしか態度の表明がございました。いわゆる「もんじゅ」を所管する文部大臣の名前ではございませんが、ストレステストについての見解というのが出ておったと思うんです。
 それで、今更言うまでもありませんが、ストレステストというのは法令に根拠を持つものではないでしょう。法令があるわけじゃない。内閣官房長官だとか経産相だとか、あるいは内閣府特命大臣の連名による文書でこれが、考え方が示されているにすぎません。これは政治的な私は妥協の産物ではなかったかと。今年の初めから菅さんのやられたことの後付けですよ。
 それで、問題は、先ほども大臣答弁をされておりますが、安全ということについて非常に国民の皆様方は心配を持っておみえになるわけです。あるいはまた、電気事業者に対しても一定の義務を課すことになるわけでありますから、手続として非常に不十分ではないだろうか。改めて、こういうストレステストあるいはシビアアクシデントを入れてやりたいということを今大臣答弁をなさっておられますけれども、やはりそういう法令に基づく調査をこれから展開をして、是非この「もんじゅ」の対応を考えられたらどうかと思うんですが、その点についてどうでしょう。
#158
○国務大臣(中川正春君) 御指摘はしっかり受け止めさせていただきたいというふうに思います。
 さらに、これ実際には規制官庁としては経済産業省になっていきますので、その辺の御意見があったということも経産省には伝えていきたいというふうに思います。
#159
○草川昭三君 是非、今確かに大臣答弁されたように、経済産業省は現実の原子力発電所の所管をするところでありますが、研究開発という意味で、また将来のエネルギー問題等についてはやはり「もんじゅ」の役割というのは非常に重要だと思うので、その点は是非積極的な連絡をして対応を立てられたいということを申し上げておきたいと思います。
 先ほども触れましたように、このストレステストには法的な裏付けがありません。このテストの結果を審査をする判断基準あるいは審査方法が明らかになっていないことは繰り返し私述べておるわけでございますが、そこで恣意的な審査が行われるのではないだろうかという疑念が国民の中からもあることは事実だと思うんですね。
 当然、今度は審査を受ける側の電気事業者、会社ですが、電気事業者も心配をしているのではないだろうかと思うんですが、政府はこのような疑念を払拭する責任が私はあると思うのでありますし、その考え方で将来の特にこの「もんじゅ」の対応等を考えるべきだと思うんですが、その点についてはどうお考えか、お答えを願いたいと思います。
#160
○政府参考人(黒木慎一君) お答えいたします。審査の方法、基準などについて明確なものを示すべきではないかという御質問でございました。
 私ども原子力安全・保安院におきましては、いわゆるストレステストにおきまして事業者に求める内容、これは七月二十一日に原子力安全委員会の了承を得た上で総合的評価に関する評価手法及び実施計画として取りまとめたところでございます。この評価手法、実施計画については、翌七月二十二日に事業者に文書で指示しているところでございまして、併せてホームページ等で公開しているところでございます。
 この評価手法、実施計画におきましては、設計上の想定を超える地震や津波が原子力発電所に来襲した場合にどの程度まで炉心溶融に至らずに耐えられるか、その安全裕度をシミュレーションにより評価することを求めているところでございます。この文書の中で評価の対象とする自然事象などの事象、評価の条件、評価の方法などを具体的に示しているところでございます。
 先生御指摘の審査の方法、判断基準でございますが、私ども求めておりますこの評価の方法に従いましてしっかり評価がされているかということを我々としては審査をしていきたいと思いますし、その安全裕度があるかということを見極めていくということでございます。審査に当たりましては、先生御指摘のように、恣意性をできるだけ排除するために専門家の意見をしっかり聞いて、それで審査を行っていこうというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、公平性、透明性ということを十分に留意しながら、申請がなされた以降、審査を進めていきたいと考えているところでございます。
#161
○草川昭三君 今、黒木さんですか、原子力安全・保安院の審議官から答弁がありましたが、是非、国民の間にある程度理解されるような、そういう何というんですか、ハードルというんですか、そういうものを是非説明をしていただきたいと思うわけです。要するに、電気事業者自身がどんなハードルをクリアすれば安全が確保されるのかといったことを分かりやすく国民に説明をすることが、私は一番今将来の問題を含めてやってもらいたいことではないだろうか、そういうように思うわけであります。その点、是非、原子力安全・保安院の方もしっかりと対応を立てていただきたいことを注文をしておきたいというように思います。
 それから、保安院にもう一問お伺いをしたいと思いますが、ストレステストをクリアし地元の合意が取られた原子力発電所については再稼働を許可するという方針は変わりがないのかあるのか、この点も余り明確になっていませんが、お答え願いたいと思います。
#162
○政府参考人(黒木慎一君) お答えいたします。ストレステストが終了後の話でございます。
 定期検査により停止している原子力発電所の再稼働につきましては、事業者の行ったいわゆるストレステストの内容を保安院と原子力安全委員会が確認した上で、地元の理解や国民の信頼が得られるかどうかも含めまして、最終的には政治レベル、これは関係の三大臣と総理が総合的な判断を行っていくというふうにされているところでございまして、この点については全く変更はございません。
#163
○草川昭三君 変更がないという答弁をしていただいたんで、一定の方向が理解できました。
 そこで、原子力の事業仕分というのが今話題になっております。これと、今後の研究開発の在り方についてお尋ねをしたいと思います。
 蓮舫行政刷新担当大臣は十月の十三日、事業仕分の第四弾として政府の原子力政策についての検証を行う方針であることを明らかにしていますし、新聞報道等でもそれは報じられているわけであります。現在、原子力政策については、国の原子力委員会における原子力政策大綱の見直しと、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会においてエネルギー基本計画の見直しがそれぞれ進められています。また、第四期の科学技術基本計画では、原子力の研究開発については福島第一原発事故の検証を踏まえるとともに、今後の我が国のエネルギー政策や原子力政策の方向性を見据えつつ実施をすることになっております。
 これからの我が国のエネルギー政策の在り方、特に原子力政策をどう進めていくかを検討している段階で、財源を捻出するために無駄を洗い直すといった観点から原子力政策を事業仕分の対象にすることは、我が国の今後の原子力政策の検討に悪影響を及ぼすのではないだろうかというのが私の意見なんですよ。
 その上に立って文科省にお伺いをしますが、今回の東日本大震災及び福島第一原発事故を受けて、これまでの原子力政策を検証し、過ちを反省し、今後の将来方向を築くためには、原子力政策大綱やエネルギー基本計画といったこれまでの計画の見直しの中でいわゆる事業仕分をやろうとする考え方をその基本に据えるべきであって、私、別に国民受けをするために事業仕分をやっているとは言いませんけれども、どうも趣旨が違うような気がしてなりません。だから、その点をしかと私は文科大臣にお尋ねをして、一回基本的な考え方を明確にしておいていただかないといけないのではないかと思うので、改めてお伺いをします。
#164
○国務大臣(中川正春君) 今回の事業仕分の方針というのがまだ基本的には詳しいところまではっきりしてきていない、言い換えれば、これから具体的な仕分の中身を議論をして入っていくという段階にありますので、先ほどのお話をしっかり受け止めさせていただきたいというふうに思います。
 同時に、御指摘のとおり、根幹にかかわる施策というものの見直しを来年の夏までにやっていくということで、そのスタートがそろそろ切られようとしているわけですが、結果的には、この仕分そのものは過去の原子力政策に基づいてある今の体制ということ、これを前提に切り込んでいくんだろうというふうに思うんです。ですから、そこから出てきたものは、恐らく新たな大綱が示されていく過程の中で生かしていくというような形で活用していけばいいんじゃないかというふうに思います。
 そういう意味では、整合性を持たせながら私も運用をしていきたいというふうに思っております。またこれからも御指導をいただければというふうに思います。
#165
○草川昭三君 中川大臣は一年間凍結なんということを最初にかますものですから、我々はそういう心配をするわけですよ。あれは私に言わせてみればかましの類いですな、違いますか。
 冷やかしておっても始まりませんから話を進めますが、文科省というのは原子力の研究開発を担っている役所なんですよ。高速増殖炉「もんじゅ」だけではなく、独立行政法人日本原子力研究開発機構、ここでは試験研究炉を用いた様々な研究が現在行われております。万が一、先ほど触れましたように事業仕分の判定で事業廃止だとか予算の縮減といったことになると、我が国の原子力の研究開発に明日はないということになります。
 どうかひとつ、大臣は、ただいまの答弁にもありましたようにビジョンを持って取り組んでいただきたいということを、これは非常に強く私は要請をしておきたいと思います。
 さらに、もう一つ大臣の見解をお伺いしたいわけですが、政府は、この文科省所管の日本原子力研究開発機構、あるいは医療関連では放射線医学総合研究所、あるいは経済産業省所管の原子力安全基盤機構の三法人を一つにまとめて、来年四月の発足を目指す原子力安全庁、これは仮称でありますけれども、そこに集約をしようということが報じられております。
 私は、行政のスリム化、重複業務をしている独立行政法人の整理統合を否定するものではありませんけれども、今後の我が国のエネルギー政策、特に原子力政策の方向性をきちんと決めた上でそれぞれの施策を担うところの独立行政法人の役割を整理すべきと考えますが、中川大臣の見解をお伺いします。
#166
○国務大臣(中川正春君) 先ほどの議論が、独立行政法人改革に関する分科会で具体的に試案といいますか、提起をされているということについては認識をしております。
 これから、最終的にこの独立行政法人、どのように合理化し、そして再整理をしていくかという議論が始まっていくわけでありまして、そこに対して、先ほど御指摘のありましたような観点、しっかり整えて私も向かっていきたいというふうに思います。
 問題意識は恐らく共有させていただいておるんだと思うんです。JAEAが、基本的には研究開発にしてもあるいは技術という観点からしても非常に根幹になる、これから根幹になる組織ということでありますし、安全庁自体はどちらかというと規制官庁になっていきまして、研究開発とかあるいは技術開発とかというところまでそこに行ってしまうという前提ではないということを私も理解をしております。それだけに、このJAEAという組織をいかにこれから有効に活用していくかということであろうかと思います。
 具体的には、私の今の整理の中にも思っていますのは、一つは除染ということに対して、この技術確立はやっぱりJAEAが中心になっていくということでありますし、それからそれをもう一つ越えていく長期的な廃炉、今のサイトの廃炉に向けての事故収束とそれから研究開発ですね、これは本当に人類未踏の分野へ向いて組み立てていくということでもありますので、そこのところをやっぱり受け持っていかなきゃいけないだろうというふうに思いますとともに、この原子力の基盤と、それから安全を支える研究開発、人材育成等々、非常に重要な役割を担っております。これを分割するということではなくて、更に中心として育てていくということ、それからもう一つは新しい廃炉に向けてどういう体制で整えていくかということ、これも前提にして考えていくような根本的な戦略というのが必要なんだろうということだと思っているんです。
 そのことを前提に、この独立行政法人の改革論議にも臨んでいきたいというふうに思っております。
#167
○草川昭三君 内閣官房が担当だと思いますが、改めて質問をしますけれども、事故調査・検証委員会の畑村委員長は、就任の挨拶の中で、国民が持っている疑問に答えていきたい、あるいは世界の人々が持っている疑問に答えたいと述べられております。しかし、第三回以降の委員会を見ておると、非公開になっているんですね。せっかくの事故調査をこれからやろうという専門家の方々の会議というのが非公開になるということは、かえって国民が持っている疑問に答えないのではないだろうか、こんなように思うんですが、この点、どうでしょう。
#168
○政府参考人(小川新二君) お答えします。
 政府の事故調査・検証委員会は本年五月二十四日の閣議決定によりまして開催が決定されたものでありまして、これまでに三回の委員会会合を開催しております。
 当委員会におきましては、多数の関係者からヒアリングを行うなどして鋭意事実調査を進めているところでございますけれども、これまでのヒアリングにおきましては相手方の意向を踏まえまして非公開で行っているのが実情でございます。
 こういった調査結果につきましても中間報告や最終報告におきましては必要な範囲で明らかにする考えでございますけれども、調査途中での事実関係の十分確認できていない、いわゆる生煮え段階での調査状況が公表あるいは報道されますと、やはり相手方に様々な影響が出ることは避けられないという実情もございます。それによって調査への協力を得るのが困難になるという実情もございます。
 そして、第三回委員会は九月二十七日に行われましたけれども、この委員会では事務局からこれまでの調査状況の報告が中心でありましたことから非公開とさせていただきまして、これに代えて協議内容につきましては委員会後の記者会見で可能な範囲で明らかにしたところでございます。非公開とした理由につきましては、その際に畑村委員長からも説明させていただいているところでございます。ということで御理解をいただければと考えております。
#169
○草川昭三君 せっかくこのような委員会で、それで大きく言えば世界から注目をされている委員会ですから、生煮えの結論を出すとかえって混乱をするという答弁なんですが、それは分からぬでもないんです。分からぬでもありませんけれども、事はもっと私重要だと思うので。
 私は、一々誰がどういうような発言をしたかというような、そういうものの公開ではなくて、一定の取りまとめというんですか、それは報告をすべきではないだろうか、私はそう思うんですが、是非、今後のスケジュール等々を明らかにする中で、私が今提言をしたようなことについてはおこたえを願いたいと思うわけであります。どうでしょう。
#170
○政府参考人(小川新二君) 議論の内容の公表につきましては、できるだけ国民の問題意識にこたえたいという趣旨から対応していきたいと考えておりまして、第三回委員会におきましても、調査の内容ではございませんけれども、どういう項目について調査をしているかということにつきましては詳しく記者会見でも明らかにしているところでございます。引き続きそういった努力をしていきたいと考えております。
 それから、スケジュールでございますけれども、実は明日、第四回の委員会があります。それから、十一月二十九日に第五回の委員会を予定しておりまして、十二月二十六日が第六回委員会でございます。中間報告はその十二月二十六日に取りまとめをして公表するということは決めておりますので、それはここでも明らかにさせていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#171
○草川昭三君 じゃ、年内に一応の中間報告は出ると、こういうことですね。是非それは実行していただきたいというように思います。
 それから、これは私が五月の三十一日、この委員会で、東電福島第一原発における事故調査・検証委員会は政府関係者も調査対象になるということから、委員会の独立性や調査権限というのを法律で位置付けをするという必要性があるということを主張しました。そのときに福山官房副長官は、関係大臣が有する権限を行使をして全面的に協力を行うことになっておるので、結果としては十分な調査を行うことが可能であり、私の提言は必要ないという趣旨の答弁をされたわけであります。
 私は、かねて来、政府の事故調査あるいは検証委員会の法的裏付け、調査権限の付与が不十分であるということを強く主張し、本日もその旨を述べておるわけでございますけれども、本当の真相に迫る十分な調査を行うことができるかどうか、若干私は今でも疑問に思っているわけであります。是非、これだけの未曽有の事故で、短期間に政府からあるいはまた東京電力まで多岐にわたる関係者を対象に調査を行うわけでありますから、私は、是非私どもの心配をしておる点を参酌をされて、今後の調査委員会等に臨んでいただきたいと思うわけであります。
 それで、時間が来ましたので、あと僅かでございますので、ちょっと飛ばしまして、社会保障の教育推進における文科省の対応について質問したいと思います。
 去る十月の十一日、年金や医療などの社会保障制度について、小学校、中学校や高校での教育方法などを検討する厚生労働省の有識者会議、社会保障の教育推進に関する検討会が開かれました。この検討会で最終的に副教材の作成を目指すということになっておりますけれども、現在、社会保障については、学習指導要領で言及があり、実際に中学の社会科、高校の公民や家庭科の教科書に記述をされています。
 しかし、近年は、消費者教育、金融教育など児童生徒に求められている教育内容は増加をしてきておるわけでありまして、限られた授業時間をどのように振り分けるかは重大な課題でございます。ちなみに、中学三年間の社会科のうち、社会保障の授業時間の配当は約一・二時間にすぎません。厚労省の検討会でこれが問題になりまして、社会保障教育の充実を求める理由の一つとして、年金があるじゃないの、あるいは教育に充てる授業時間が少ないという指摘があったやに聞いております。
 授業時間の充実を求められた場合、社会保障教育の授業時間を増やすことができるのかどうか、まずこれを文科省にお伺いします。
#172
○政府参考人(山中伸一君) 今御指摘いただきましたが、厚生労働省の社会保障の教育推進に関する検討会、ここで社会保障に関する副教材を作ろうということで御検討いただいているということで、大変有り難いというふうに思っております。
 一方、委員御指摘のように、社会保障につきましては、社会あるいは公民とか家庭科の中でもいろいろなところで取り上げられている非常に重要なものでございますが、例えばこれも委員今御指摘のように、高校の政治・経済、ここでは現代社会の諸問題の中の現代日本の政治、経済の諸問題、この中で少子高齢化社会と社会保障ということで取り上げられております。一方、現代日本の諸課題としては、ほかに雇用と労働、あるいは産業構造の変化と中小企業、農業と食料問題というのもございますし、また、現代日本と並んで国際社会の政治、経済の問題ということで、地球環境と資源・エネルギー問題、国際経済格差の是正と国際協力、人種・民族問題と地域紛争、こんなふうなものも取り上げられております。
 また、現代社会の問題と並んで、現代の政治、現代の経済、こういうものが大きな柱として取り上げられているものでございまして、その課題を聞きますと、非常にわくわくするような重要な問題が幅広く取り上げられているということでございまして、これを一定の時間の中でしっかりと教えていくということで、非常に重要な社会保障の問題でございますので、それぞれの学校で授業分担、授業の配分ということは考えるわけでございますけれども、是非高校について、社会保障についてのしっかりとした副教材というようなものも作っていただいて、有効に充実した授業というものが行われるということが非常に期待されるというふうに思っております。
#173
○草川昭三君 そこで、この検討会でいろんな議論をされているわけでありますが、教科書の記述に関して、説明が複雑過ぎて誤解を招きやすい、あるいは表現が悲観的過ぎるという指摘のほかに、そもそも内容が間違っているという問題提起まであるんです。間違った教育ということをやっておるのかねと、こういう疑問を率直に私は持つわけなんです。いろいろと調べてみると、国民年金と厚生年金の在り方が一緒に説明をされているとか、非常に雑なことが副読本なんかに記述をされているんですね。
 それで、国の制度の問題点を指摘をしたというような答弁をこの中ではされておるようですが、国の制度の問題を教科書で間違っているというような在り方で子供に教えるというのは何事かと、こういう議論を私はしたいわけですよ。たまたま高校向けの「新版 現代社会」という教科書を調べたところ、二〇〇七年から使用が開始をされておりまして、以来四年間この記述がそのまま掲載されっ放しになっております。
 文部科学省がまとめた一一年度の高校教科書採択の内容を見ますと、この現代社会で採択された教科書は全部で十六種類あります。この「新版 現代社会」が採択数では第三位になっておるわけです。十六種類の教科書の中で第三位というのは、いかにこの教科書がたくさん利用されているかということの証明でありますが、こういう記述の間違いが起き、これが訂正をされなかったのは文科省の責任だと思うんですが、文科省の答弁を求めたいと思います。
#174
○政府参考人(山中伸一君) 委員御指摘のように、その検討会の中で、用語が難解である、分かりにくい、あるいは記述が間違っているといったような御指摘があったということは承知しております。
 ただ、先生今御指摘いただきましたけれども、具体的にどのような記述がどう問題であって、何ゆえそれが問題なのかというふうなところまで具体的に明確には指摘がなかったようにも聞いておりまして、今後検討会で教科書についてどのような御議論が行われていくのかによりますけれども、その議論を待っていきたいというふうに考えております。
#175
○草川昭三君 今、局長の答弁ですが、こういう指摘があったら、すぐどこが違っておりますかというぐらいの熱意を持って、厚生労働省という、役所は違いますけれども、その役所の審議会の方々と相談をされるのが私は当然だと思うんですよ。そういう点ではなっとらんと、こう思うんですね。それは深く反省をしていただきたいということを申し上げて、最後に一言、大臣から、私の最終的な発言について、質問について見解を賜って、私の質問を終わりたいと思います。
#176
○国務大臣(中川正春君) 私もこうして御指摘をいただいて、改めてこうした問題について認識をさせていただきました。
 元々、社会保障だけじゃなくて国のいろんな制度というのは非常に複雑なところがあって、それを子供たちにどう説明していくかということは大事なことだというふうに思います。
 検定ということだけじゃなくて、様々な切り口からこの教科書、点検をしていって、間違いがあったときにはすぐ直すと、また直す努力もするという、そのことが必要だという御指摘、ごもっともだと思いまして、そのように指導をしていきたいというふうに思います。
#177
○草川昭三君 以上で終わります。
#178
○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。この委員会では初めて質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、科学技術の問題を取り上げたいと思いますが、先ほどもございましたが、また大臣も所信の中で、天然資源に乏しい我が国にとってこの科学技術が大変大事だということをおっしゃっておられるわけで、まさにそのとおりだと思います。
 したがって、この知恵を生み出して優れた人材を育成してイノベーションにつなげていく、これが日本の経済成長や産業競争力、そして国力を維持向上させていく上で大変重要なことでありますし、当面の日本の被災地の復興、日本の再生にとってもこの科学技術政策のこれからの積極的な展開というのは大変重要な部分を担うと思っております。
 そういう中で、第四期科学技術計画、まあ震災があったもので遅れましたけれども、策定をされたところでありますし、今年度はいわゆる科研費が増額されたり基金化が図られるなど、いろいろと充実強化といいますか、科学技術をめぐっていい雰囲気、状況もあるわけですけれども、一方で、科研費をめぐる不祥事というか不正使用、不正経理というのは後を絶たないのが現実です。
 この問題は決算委員会などでも取り上げさせていただいた経過がございますけれども、先般も御承知のとおり、いわゆる預け行為というものが多くの大学で明るみになって大変な今大きな問題になっております。ある学校、大学では、学長任命の保留事態ということも起きているわけでありまして、この科研費もいわゆる我々の大変貴重な税金で賄われているわけであり、こういうことが続くと科学政策そのものに対する、あるいは科学技術行政そのものに対する信任を大きく失墜させるものだと思うわけでありまして、ましてやこの競争的資金の科研費を拡充をこれからもしていかなきゃならぬという段において、この科研費の不正使用、不正経理の問題の再発防止に真剣に取り組んで、そういうことがないような仕組みを、体制をつくっていくということが大事なことだと思います。
 文科省においてもいろんな監督、監視のガイドラインは作ってきたんですが、なかなか再発防止というところまで至っておりません。したがって、この預け行為など不正経理が後を絶たないわけですが、この科研費の不正使用の防止の徹底を図ると同時に、チェック体制や制度自体に何らか大きな欠陥があるのかないか、そういったことも幅広く検証、検討をして根絶に向けた取組を強化すべきだと思いますが、大臣にお伺いをしたいと思います。
#179
○国務大臣(中川正春君) この不正経理については、その都度、厳正な対応をしてきているんですが、御指摘のとおりまだ後を絶たない、あるいは過去のものが出てきて、それがまた問題になっているということを繰り返しております。
 私の知っている限りでは、平成十六年にこの問題が大きく取り上げられて、そのときに制度改正をしながら、これまで慣例化してきた様々なことに対して、大学を中心にある意味で粛正をしたというか、徹底的にその改革をやったということ、そのことによって相当大学自体あるいは研究者自体の体制が変わってきています。その効果というのは出てきているというふうに私は認識しているんですが、それでもまだ出てくるということ。
 もう一つは、その当時の議論として科研費が一年ぽっきりの予算であって、長期的に研究を継続していくような前提で取り組んでいる人たちにとっては非常に使い勝手が悪いと。そんな中で、つなぎができないんで、本来これは駄目だと言われているやり方の中で不正経理が行われてきたということもあったというふうに聞いておりまして、それを改革するために、二年ほど前、あるいは去年、今年から基金化をしていこうということで、それをある程度長期化した形で計画性を持って科研費が使えるような、そういう枠組みにしてきたというのがこの基金化の発端であったんだというふうにも認識しています。
 そういうことをいろいろ工夫しながらやっていきたいというふうに思いますし、申し開きのないような事例については、これはもう徹底的にルールに基づいた処罰をしていくということにしていきたいというふうに思います。
#180
○柴田巧君 預け行為のことについての調査についても御答弁されるかなと思っておりましたが、いろんな取組をこれからもされて、しっかり厳正に対応していかれるということですが、ちょっと気になりましたのは、その預け行為、今回のを受けて調査を文科省等もされます。それが、大学から結果を出す締切りが十二月で、公表するのは三月という今のところ予定だと聞いていますが、先ほど申し上げましたように、既に管理、監視のガイドラインがあり、恐らく各大学でもそういう内部監査制度というのはあるはずなんですから、こんなに時間が本当に掛かるのかなと正直思うんですが、ここら辺の調査作業の迅速化というのは、その辺については大臣、どういうようにお考えでしょうか。
#181
○国務大臣(中川正春君) そうして御指摘がありましたので、改めて私も、今どういうプロセスでこれが行われているかと、調査が行われているかということをチェックをしていきたいというふうに思います。
#182
○柴田巧君 しっかりとやって、迅速化をできるはずだと思いますので、しっかりまずやっていただきたいと思います。とにかく、適正な取扱いがされないものだということが定着してしまうことは大変怖いことだろうと思います。しっかりやっていただきたいと思います。
 さて、科学技術立国を目指していくためには、科学技術政策を総合的に国家戦略として展開をしていく上で何よりも求められるのは真の司令塔となるものであります。つまり、関係府省を束ね、高い見識と戦略性に基づいて有効な指示を出せる強力な司令塔が必要になるわけですけれども、本来ならばいわゆる総合科学技術会議がその役割を担わなければなりませんが、御案内のとおり、各省庁の利害調整の場になったり、所管事業の調整に終始をしているのが現実であって、この総合科学技術会議をしっかりとしたものにしていかなきゃならぬというのは前々から議論があったところであります。
 特に、科学技術政策を展開していく上で、戦略があって資金があって配分があって、それで実行という段階があるわけですが、その戦略を担うものがいまだしっかりできていないというのは大変大きな問題だろうと。どれだけ予算が増えても、立派な計画が立っても、ヘッドクオーターというか、司令塔がなければ、やはり国策として政策を展開することができません。
 大体、民主党さんはこの総合科学技術会議を改組して科学技術イノベーション戦略本部にしていきたいと、こうおっしゃっておられていたわけでありますが、政権交代して既に二年余り、折り返しを過ぎてもそのいつできるかというめどが立っていないというのは、本当にこの科学技術政策を真剣にやろうとしているのかどうか、本気度を疑わざるを得ないと思います。また、単なる名称の変更や看板の掛け替えで終わるようでは意味がないわけであって、やはりこの際、中身的にもしっかりと改革をすべきだと。
 つまり、この議員構成も産業界から多く入ってもらうとか、あるいはこの事務局体制、あるいは調査、評価体制を強化するために、産学官から多様な人材を入れて戦略立案等々をやれるプロパーの職員を育てるとか、何よりも予算配分権限を強化するという、そういった改革が必要だと思いますが、いつまでにこの改組をしていくのか、そしてどういう考えに立ってその見直しを図っていこうとするのか、この会議のメンバーでもある中川大臣にお尋ねをしたいと思います。
#183
○国務大臣(中川正春君) 現在の総合科学技術会議については、先ほど御指摘のあったような批判、あるいは改組に向けていわゆる戦略性を持った総合的な機関というのを創設すべきだという議論、様々にお聞かせをいただいてきました。それを受けて、先ほどのお話のように、私どもの政権としても、あるいは第四期の科学技術基本計画においても、新たに科学技術イノベーション戦略本部という、これは仮称でありますが、これを創設するということを示しております。
 現在、科学技術政策担当大臣の下に有識者から構成される研究会を設置をいたしまして、この行政体制、それからどういう形で、それこそ意思決定、デシジョンメーキングと戦略をつくっていくかということについての議論をいただいて提言をいただく予定になっております。
 いつまでかと、こう言われると、まだそこについての具体的な予定というものまでは至っておりませんが、これは内閣府を中心として行われている今の検討会に向けて私も積極的に提言をしていきたいというふうに思っております。
#184
○柴田巧君 是非、中川大臣からも、しっかりと早期にやっていく、でき上がるように、しりをたたくというか一生懸命役割を果たしていただきたい、頑張っていただきたいと思います。
 時間があれなので次に行きますが、次にお聞きをしたいのは、知的クラスター創成事業でありますが、御案内のように、地域イノベーションの創出に向けた地域主導の構想を効果的にこれ応援していこうというものであって、地域の公的研究機関や大学を中心に関係の民間企業等とも連携をしてネットワークをつくって産業集積をしていこうとするものでありまして、大変意味のある事業だと私も正直思っております。
 そういう中で、私の地元、野上委員長の地元でもありますが、富山県でも平成十五年からバイオクラスターということでやってまいりました。二十年からは隣の石川県と共同で、ほくりく健康創造クラスターということでやっているわけですが、バイオ事業の共同研究をやっているということで、いろいろとこれまでも成果を生み出してきているところでありまして、例えば血液中のアミノ酸濃度に基づく新たな肝臓病の診断方法の開発やベンチャー企業の設立など今事業化に着々とつながっているということです。
 行く行くは、集積しているこの医療機械、医療・医薬品産業を世界的なライフサイエンスのそれを基に拠点にしていこうと、一兆四千億ぐらいの事業が展開できる、集積するようなものにしていこうといって頑張っているわけですが、こういった石川、富山のほくりく健康創造クラスターを始め、今全国で幾つか展開をしているわけですけれども、この事業については一昨年の事業仕分でも廃止の判定を受けました。また、昨年の行政刷新会議でもいろいろと指摘を受けたところでありますが、このように着実にこの地域のイノベーションを図るために成果を上げている大事な事業でありますし、五年なら五年の計画を立てて技術開発、研究開発をしている中で変な横やりが入る、素人の横やりが入るということは、出てくる成果も出てこないと私は正直思いますし、研究現場が、あるいはそれを一生懸命支援を実際やっている地方自治体が大変困惑するということになりかねないと思いますので、文部科学省としても、他の関係省庁とも連携して、この知的クラスター創成事業、しっかりと事業がそれぞれの地域でやり遂げられるように、また成果を生み出せるように全面的に応援すべきであると思いますが、いかがでしょうか。お尋ねをします。
#185
○国務大臣(中川正春君) 私も二年前にこの事業仕分を受けまして、それを受けた上でどう整理をしていくかという、そんな作業をさせていただきました。結論からいうと、この知的クラスター、非常に成果が結果的には出ている、そういう評価をしていいんだというふうに思うんです。
 事業仕分で指摘されたのは、しかしそれを国が直接いわゆるトップダウン型でやるということがいいのかどうかという、そこのところに問題があったわけでありまして、それを改めて組み替えて、いわゆる資金の下ろし方、それからそういう事業の組み方主体というものを逆に地方から起こし上げてくるというような形で今度は進めていこうというふうに整理をさせていただきました。
 その上で、今知的クラスターとして、これまでの事業で走っている地域が二十九地域あるんですが、これは二十五年まで、全てが終了するまで継続をするということ。
 それからさらに、さっき申し上げたように今度はボトムアップで地域で起こした形で、そしてそこから新しいイノベーションを起こし上げてくるという、そのための事業というのを改めて起こしまして、これが地域イノベーション戦略支援プログラム、こういうものになっているんですが、これを今年度から実施をしていくと。だから、二十九地域に、プラス今年度からくみ上げていくということにしておりまして、その予算額が百十億円ですね。そういう額で計上をされております。
 引き続き関係省庁とも連携をして、こうした地方からのイノベーションというものをしっかり育てていきたいというふうに思っております。
#186
○柴田巧君 それぞれの地域が独創的なシーズを実用化すべく頑張っているところです。どうぞこれからもしっかりと応援をしていただきたいと思います。
 また一方で、国際的な技術開発競争というのはだんだん厳しく、激しくなっているわけですが、自国の研究活動を支援するというのはある意味では当然ですけれども、昨今の実情はというと、複雑に絡み合っているといいますか、いろんな研究を連携させて実はいろんな技術開発ができている、いろんな新製品、新技術が生まれているのが現実でありまして、競争と協力のバランスをどう取るかというのが大事な観点だろうと思います。
 ざっと世界的に見ると、欧州に一つのそういう知的な塊がある。アメリカにももう一つある。そして、アジアにも、日本はもとより中国、韓国、インドなどが技術レベルが上がってきて、いろんな論文もそうですが、技術開発も多くなって、アジア全体でも一つの塊になっている。
 されど、欧州内ではかなりそういう共同研究はありますが、国を越えた。アメリカはアメリカでアジアとの連携はありますが、実は、アジアの中で連携というのは、欧州なんかに比べるともはや四分の一程度しかないというのが現実であって、これからの時代は、いろんな面でアジアのパワーを日本は得ていかなきゃならぬと思いますが、取り入れていかなきゃならぬと思いますが、そういう意味でも、アジア域内の共同研究を、これから技術連携を進めていくということは大変大事なことだと思いますし、これまでは、ややもすると垂直的な協力というのがアジアの中では考えられがちでありましたが、今ほど申し上げたように、水平的な協力をこれからしっかりやっていくと、また、そういった連携をしていくことが国際標準、あるいはこの新製品のアジアワイドのあるいは世界ワイドの市場を獲得していく上でも役に立つと思いますけれども、いずれにしても、国際的な技術開発競争に際しては、自国の研究活動を応援するだけではなくて、特にこれからアジアの研究リソースを取り入れて、国際協調、技術連携を戦略的にやっていくべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねをします。
#187
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のとおりだというふうに思います。
 私も、鳩山政権時代の科学技術をそんな形でアジアで是非進めていきたいということで、ちょうど日中韓のサミットが済州島であったんですが、そのときに日中韓のそれぞれ担当大臣に対して、日本からの提案として東アジア・サイエンス・アンド・イノベーション・エリア構想というものを提起をいたしまして、共同研究をやっていこうと。それも、もうそれぞれ成熟してきたんだから、ODA的な話じゃなくて、それぞれがファンドを出し合って、共同ファンドの中で共通の研究課題というのを設定をして、その中での組合せを各研究者の中から募っていきながら資金を供給していこう、そんな事業を提案をいたしました。
 まだ中国の乗りがちょっと悪いんで、四苦八苦をしているんですが、これを今度は東南アジアの方にも広げまして、今担当者レベルではそうした構想に向かって、東南アジアも含めた形で動かしているということでありまして、しっかり結実をしていきたいというふうに思います。
 同時に、発展途上国向けなんですが、これについては、ODAとそれからこの研究開発資金というのを組み合わせて、それで向こうの国での立ち上げを、いわゆる向こうの研究者の立ち上げをODAでやって、こちらの研究者を研究開発資金で手当てをして、その国の中の課題を協力してこちらの研究者が開発をしていくというふうなプロジェクトがありまして、これはなかなかいい結果を出してきております。
 こういうものを駆使しながら、それぞれ工夫をして国際化に向けてしっかりかじを取っていきたいというふうに思います。
#188
○柴田巧君 是非、アジアのそういう知的パワーもしっかり取り入れて、日本の技術開発が、同時に様々な研究開発が進んでいくようにまた努力をしていただきたいと思います。
 時間がなくなってきましたので、飛ばしまして、留学生の問題についてお聞きをしたいと思いますが、大臣所信の中でも、大臣は積極的な留学生政策を進めるということを明言をされているわけですが、日本から送り出す政策についてはまた改めてお聞きをするとして、日本で受け入れる政策についてお聞きをしたいと思いますが、御案内のとおり、三十万人留学生計画というのを作って二〇二〇年までには三十万人を受け入れようということでやってきたわけですが、政権交代後、見ておりますと、感じるところ、どうも留学生政策が、受入れ政策がどうもややそういう方向に行っていないんではないのかなと懸念をするわけであって、やはり留学生をしっかり、これは中身の問題もありますが、多くの留学生を受け入れるかどうか、それが、またそれを上手に活用できるかがこの日本の盛衰に懸かっていると言っても過言ではないと思いますし、そういう意味で、この三十万人計画達成に向けて今後どのように取り組んでいくのか、また今後の留学生受入れ政策の充実、これは就職の面、今回、震災を受けていろんな問題もクローズアップされたと思いますが、そういったことを含めてどのように充実を図っていかれるのか、大臣にお聞きをしたいと思います。
#189
○国務大臣(中川正春君) これも留学生の受入れによって日本の大学、あるいは社会そのものもそうかもしれませんが、国際化をしていく、あるいはそれが改革に結び付いていくということ、こんなことも考えて更に頑張っていきたいというふうに思います。
 具体的には、これも日中韓で、ヨーロッパのエラスムス計画と同じように、日中韓でそれぞれ単位の互換性を目指してキャンパス・アジア中核拠点支援ということを始めておりまして、これが具体的に大学間によって、留学したときにその留学した単位がそのまま元の大学でも互換性を持っていけるというような体制を進めております。
 それから、アメリカの大学等々の質の高い協働教育創成支援事業、こういうものも入れておりまして、アメリカからの留学生等々に対応していく。
 それからもう一つは、前政権時代、いわゆる自公時代からグローバル30を進めていただいておりました。これについて、まだ三十まで行っていなくて十三止まりですが、更にこれを広げていくということと、先行してこのグローバル30を始めている大学があるんですけれども、なかなか四苦八苦をしておりまして、そこに対してどういう形で改めて制度化をしていくかという工夫が、もう一工夫が要るんだろうと思うんですが、そういうことを進めていきながら、まず英語で入口つくって、日本の留学の本格的なものにしていくというふうな戦略も更に進めていきたいというふうに思います。
#190
○柴田巧君 時間がなくなってきましたので、ちょっと最後の二つの質問を一つにまとめてお聞きしますが、先ほども出ましたが、朝鮮学校への無償化適用の問題ですけれども、この前も、一部報道によれば、教科書の改訂用の審査再開に当たって、審査の中でですね、教科書の改訂の偽装の問題も明るみに出ました。その当該自治体ではかなり、コピーだけ見ているという非常にずさんな審査方法であったと思いますが、神奈川は神奈川で再調査をするということでありますけれども、徹底的に、学校現場に出向いて本当にどういう実態になっているのか、しっかりそこら辺を文部科学省としては、全国的な調査というか確認をしっかりやるべきだというのが一つ。
 そして、御存じのように、この朝鮮学校の無償化については全国各地から反対の意見書も出ておりますし、国民の多くも、どうして今この審査の再開しなきゃならぬのかというのを非常に不信感を持っていると思います。したがって、また誤ったメッセージを北朝鮮に送ることにもなると思いますので、すっぱりと、これは大臣の決断でできるものと思いますが、再開を、審査再開を取りやめになる、あるいは適用化そのものをおやめになるということを考えられるべきだと思いますが、併せてお聞きをします。
#191
○国務大臣(中川正春君) いろいろ説明をさせていただいておるんですが、高等学校の無償化ということをあまねく進めていくという前提、これがあるんだと思うんです。それだけに、これは子供たちに対して無償化をしていくという事業であるだけに、やはり、人権といいますか、朝鮮学校だからということで差別があってはならないということ、これはもう原則だというふうに思っております。
 それはそれで進めていくということなんですが、しかしチェックは、これは厳正にやらなきゃいけないということでありますし、学校としてのしっかりとした基盤がある上で教育が行われているのかどうか、これは外形的なチェックになりますが。同時に、私も言うべきことは言っていかなきゃいけないということで、教育の中身についても、あるいは教科書についても、皆さんに様々に届けていただいている資料なんかも基にして、最終的には調査委員会、これが外形的なチェックをする、それから中身については、私も含めて、しっかり教育の中身についてチェックをした上で結論を出していきたいというふうに思っております。
#192
○柴田巧君 ありがとうございました。
#193
○委員長(野上浩太郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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