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1947/06/11 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第30号
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1947/06/11 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第30号

#1
第002回国会 予算委員会 第30号
昭和二十三年六月十一日(金曜日)
    午前十一時二十五分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 庄司 一郎君 理事 苫米地英俊君
   理事 稻村 順三君 理事 川島 金次君
   理事 押川 定秋君 理事 小坂善太郎君
   理事 今井  耕君 理事 大原 博夫君
      青木 孝義君    東  舜英君
      植原悦二郎君    角田 幸吉君
      古賀喜太郎君    島村 一郎君
      鈴木 正文君    鈴木 明良君
      西村 久之君    本間 俊一君
      岡田 春夫君    黒田 寿男君
      田中 松月君    中崎  敏君
      中原 健次君    梅林 時雄君
      川崎 秀二君    田中源三郎君
      圖司 安正君   長野重右ヱ門君
      笹森 順造君    松本 瀧藏君
      中村 寅太君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 北村徳太郎君
        農 林 大 臣 永江 一夫君
 出席政府委員
        経済安定本部財
        政金融局長   佐多 忠隆君
        大藏政務次官  荒木萬壽夫君
        大藏事務官   福田 赳夫君
        專賣局長官   原田 富一君
 委員外の出席者
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年度一般会計予算
 昭和二十三年度特別会計予算
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 たいへんお待たせいたしました。御著席を願います。これより会議を開きます。
 きようは参議院において財政演説に対する質問がただいま続行中でありますために、総理大臣あるいは大藏大臣などの御出席を得ることができませんので、きのうのように、午後一時に政府委員から確実に出席していただくことにいたしまして、ただいま農林大臣が御出席でございまするから、さしあたり通告順によりまして、農林大臣に対する御質疑は、稻村君、それから田中君、押川君、次に黒田君と、こういう順序になつておりまするから、この順序によりまして、時間一ぱい農林大臣に対する――たいへん勝手でございますが、御質疑をしていただきたいと思います。
#3
○西村(久)委員 議事進行について、お許し願いたいと思います。農林大臣に質疑をいたすのは結構だと思いますが、けさの新聞を見てみますると、大藏大臣は議員の予算審議を拘束すると申しまするか、牽制すると申しまするか、解釈はいろいろございましようが、與党の代議士諸君の意見を束縛するようなことを記者團に発表されておるかのように思われるのであります。從いまして、あの記事の眞相を大藏大臣からはつきりしていただきますることが、今後與党の委員諸君が、予算案を審議する上について、参考にもなり、また審議の進捗をはかるゆえんではないかと、私は考えるのであります。この機会に議事の進行に関して、大藏大臣の弁明を求めたいと思います。
#4
○鈴木委員長 ただいまの西村君の御意見は、大藏大臣御出席の際にいたします。稻村順三君。
#5
○稻村委員 実は私の質問は、主として大藏大臣と安本長官に対する質問でありまして、大藏大臣に質問した方がはつきりするのでありますけれども、その点、ほかの大臣が出ておりませんので、関連事項として、簡單に農林大臣に質問したい、かように思つております。
 まず第一に農林大臣に質問したいことは、今度の予算を編成するにあたつて、農林省関係の予算を、どういう心組で編成したか。私をして言わしめるならば、今日最も破壞もされなかつたところの産業として、農業があげられておるのでありますし、また農業がそれほどまでにひどい破壞もされなかつたということによつて、國民がどうやら最低生活を保持することができておる、かように理解しておるものでありますが、しかしながら、戰爭の間の多年の荒廃と、それから最近における水害、旱害というようなものが、近時ようやく著しくなつてまいりまして、その結果として農業生産が非常に荒廃に帰そうとしておるのであります。この農業生産が荒廃に帰するということは、一面において農民生活を窮迫せしめるとともに、今日すでに部分的に現われておるインフレ下における恐怖現象、特に國内において最も大きな商品市場でありますところの農村の恐慌が、生活が窮乏していくということによつて、これがますます激化されているという事実を見るのであります。それに生活必需品が、農業が荒廃することによつて、最も大きな打撃を受ける。産業全体の基本が破壞されようとしていると言えるのであります。その際に農林大臣といたしましては、予算編成に対して、かような一番打撃が少かつた農業を復活させるということは、日本産業再建にとつての一箇の優先的なものとも言えるのでありますが、優先的に農業の復興をするというような氣持でもつて農林省予算の編成にあたられたかどうか。そうしてそういう氣持であたつたものとすれば、今度の公共事業費の中におけるところの農林省の九十何億というあの予算、その中におけるところの水害、旱害の予算、それからまた農業土木、土地改良その他の事業に対するところの予算が、これで農業が國民生活に最低の保障をするところの生産を完全に維持するというところまでいかないにいたしましても、少くとも平時において國内食糧の八割を供給するだけのところにまでもつていけるかどうか。この点をまず第一にお尋ねしたい、かように考えております。
#6
○永江國務大臣 稻村君にお答えいたします。本年度の農林省の予算についての心構えについてお尋ねがありましたが、私といたしまして、今お話のごとく、わが國の経済復興の第一の基盤になりまする農村の復興ということに、もちろん重点をおきまして、諸般の予算の組立をいたしたのであります。非常な困難なる予算編成の現状でありまして、この意思を十分に現わしておるとは、残念ながら申しかねるのでありますが、本予算に出ておりまする農林省関係の予算は、今お示しのような御趣旨のもとに、私としては最高度の予算として、ただいまのところ、これを認める、こういう考え方で、この予算を皆さんの御審議にお願いをしたわけであります。もちろん個々につきまして、今例にお引きになりましたような公共事業費の面につきましても、いろいろ私どもとしては十分ならざる点がありまするが、しかし現在の公共事業費の内容から申しまして、またその総額から申しまして、いろいろ関係方面との折衝等の経過を見ましても、この限度において、私どもは最高の効果をあげたい、こういうように考えておるわけであります。
#7
○稻村委員 農林大臣がその氣構えをもつて苦心して予算を組んだということは、非常に私としては喜ばしいことだ、かように考えておるのでありますが、しかし不十分であるという御返事でありましたが、現在少くとも輸入食糧の関係その他とにらみ合わせまして、どうしても八割以上の食糧を國内で補給しなければならない、それからそのほかに今日資源が非常に不足しておるところの工業資源の供給も、農業化しなければならない。食糧ばかりでなく、こういう面もますますその意味が大きくなつてきておる。私はかように解釈している。そうしますとこの点食糧は八割以上、それから今日與えられているところの國内の工業資源としての役割を果すことがこの予算の中でできるかどうか。これは緊急の問題であります。決して一年の後にはこうしてやる、二年の後にはこうしやるという問題ではありません。工業資源の方はまだそれとしましても、食糧は少くとも八割二、三分ぐらいなものは、國内で確保しなければならぬのであります。この確保にはたして万全を期するだけの予算であるかどうか、この点お伺いいたします。
#8
○永江國務大臣 ただいまお話の食糧につきまして、國内需要の約八〇%以上をこれで確保できるか、こういう御質問でありますが、私はよほどこの予算面以外に農家の皆さんの御協力を得なければ困難ではないかと思う点があるのであります。しかしこれは御承知のように、一割増産運動と申しましても、一つの國民運動ではありますが、これはやはり相当の物資の裏づけをもつた國民運動として政府は展開をしておるのであります。しかしその物質的な裏づけ以上に、農民の皆樣の協力によつて、害虫の駆除その他の努力が加わらなければ、やはり八〇%確保ということは、むつかしいと思うのであります。ただ先ほども御指示になりましたように、農業土木、あるいは土地改良、その他の面についての予算的な措置において十分でないと、私は申し上げた。これはしばしば皆樣から御議論のありますように、食糧増産という一つの窓から議論をいたしまして、土地改良費に重点をおくべきか、あるいは開墾開拓に重点をおくべきかということは、かなり永い間の議論であり、また実際の問題であります。予算面から申しまして、開墾開拓に重点をおかずして、土地改良に重点をおきまして、ただちに本年の食糧増産に間に合わせるということが緊急のことであるという一つの議論は成立つのであります。しかし稻村君も十分御承知になつておりますように、開墾事業は、その目的とするところの一つは、たしかに將來における食糧の確保に役立つ目的でありますが、他の一つは戰爭犠牲者に対します國家的な責任において行つておる開墾開拓でありますので、食糧という窓から議論するだけではこの点は十分でないのであります。こういう点について、一つの財布から出まする予算について、特に農林省が左右し得る予算面の中におきまして、どちらにウエイトをおくかということに、かなり苦慮をいたしたのであります。結局今提出しております予算のように、開拓事業にも、また土地改良事業にも、両者にどちらから見ても十分なだけの予算を計上するに至らなかつたという点は、私は残念に思つております。しかし最初に申し上げましたように、食糧増産ということにつきまして、物質の裏づけ以上の協力を得まして、これが達成をいたしますれば、八〇%の確保ということも至難ではない、こう考えております。
#9
○稻村委員 大体生産がかくのごとく荒廃に帰しつつある現状におきまして、さらに農村に対するところの供出が――これは日本の食糧事情からして、やむを得なかつたとは申しながら、非常に強い供出が強要されておる。そこにもつてきて、さらにことしは非常な多額の所得税が課せられた。そのために農民はほとんど裸になつてしまつた。殊に一年に一回の收穫しかしないところの單作地帶、あるいは寒冷地帶の農民は、ほとんど裸になつてしまつた。こういう事実を農林大臣はよく御承知であるかどうか、この点ちよつとお尋ねしておきたい。
#10
○永江國務大臣 今お示しの通り、單作地帶及び寒冷地帶における農家が、非常に逼迫した経済事情のもとにあるということは、私は十分了承しております。
#11
○稻村委員 先ほど申しました通り、この情勢は私の知つておる限りにおきましては、全國約六割に近いものが單作地帶と寒冷地帶が面積を占めておると私らは想像しておるのであります。こういうふうな関係にあるところの農民が、生活が窮乏しておるということが、これがすなわち一面において農村の購買力が非常に減退して、地方的に農村では配給品すらとれない。こういう状態になつておるのであります。現在の價格ですらも配給がとれないというときに、物價改訂をした場合を考えてみますと、これによつて農民が購買することができない。從つて國内で最も大きな市場であるところの農村が購買力を失つたということが、物價改訂によつてますますこれが強められて、恐慌的現象を強めるというように、私は考えられるのでありますけれども、この点に関しまして、農林大臣はどうお考えになつておられますか。
#12
○永江國務大臣 今お話のように、税あるいはその他のことが、いろいろ條件の上では非常に農村を逼迫させる原因になつておるということは、私は十分了承しておりますが、これにつきましては、何としても今まで農村問題の中で、そう急に起つてまいりませんところの農村の金融の逼迫ということが、本年の二、三月以降急激に実際問題として現われてまいつておるのでありますから、これらのことについては、緊急並びに根本的な金融対策ということを、併せて農村の対策として、政府は実施をしつつあるのであります。
#13
○稻村委員 今大臣の方から出ましたので、農村金融の問題について、ついでにお尋ねするのでありますが、農村金融に関しましては、日本の金融機関そのものは実に冷淡であります。たとえば土地改良の問題でありますとか、あるいは水害、旱害の復旧の問題とかいうものに関しまして、農民がこれに対して助成金が出るから、一應助成金を担保として金を貸してくれというのでは、ほとんど市中銀行は金を貸さないのであります。はなはだしいものになりますと、二重の担保として自分たちが秋にとれる米を、いわゆる供出米の代價を見返り担保として金を貸してくれと言つても、それを貸さない。それから日本銀行の融資ということを條件としましてもつていつても、それでも貸さない。私の知つておるところの、これは名前は出しませんが、某地方銀行のごときは、農村金利などというような年に一割かそこいらにしかならないものには、とても金を貸しておくわけにいかない。われわれは何とかして金をまわすならば、月一割くらいでもつて十日か十五日でもつて金の貸り手はたくさんある、こんなひき合わないものはやらないのだ、と断つておる実例もあるのであります。こういうふうにやみ金融をしつつも、農業金融をしない。こういう銀行、これは殊に地方銀行業者の常套手段である。こういうふうな状態で、農業金融というようなものを考えてみた場合には、現在の金融機関を利用して農業金融をするというのは、農業会が解体をしておる今日におきましては、ほとんどその金の出みちがないのであります。この点農業金融の機関というものをつくることをわれわれとしては非常に待望しておるものでおりますけれども、さらにわれわれが考えなければならないのは、單に農業金融というようなことになりますと、これは短期の金融の問題でありますか、実に短期金融というものは、農業においては前の青田賣り、黒田賣りという形を繰返されるにすぎない。殊に資金の蓄積というものは、非常に零細な農民であります。一度借金をいたしますと、その借金を短期で返さなければならないということは、その年の青田を賣ることなのです。そういうことで農業手形制度というものを農林省で考えまして、殊に農林大臣などは――ここで言うとどうもおかしい話ですが――大分得意になつて談話発表がありましたけれども、実を言うと、これはどうも地方に行きますと、農業手形をやるというのはいいが、これは青田賣りを始めるのだというように言つておる。そこでわれわれとしては、農業にはやはり生産資金としては、短期と申しましても、半年あるいは四箇月の一生産過程における償還し得る金、あるいは農機具とか、あるいは土地とかいうように、何年かかつて償還しなければならぬものに対しましては、長期金融が必要だろう。しかもこれは非常に安い金利でなければならぬ。今の復興金融金庫ぐらいの金利だと、今ちよいとインフレーシヨンでありますので、農村の手もとに残る金は少いとしても、一應まわす金の量は多いのであります。從つてある程度金利がそう安くなくてもいいのでありますが、しかし今後になりますと、長期金融は特に金利が安くなければならない。今の復金金利よりも、もつと安くならなければならないというようなことを、私たちは考えているのであります。殊に最近になりまして、大藏省預金部の金もなくなつたことでありますし、その点われわれとしては、こういうふうな長期金融の特殊の機関をもつことを必要だと考えているのでありますけれども、これに対する農林大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
#14
○永江國務大臣 農村金融のことにつきまして、私どもが五月から実施しておりまする農業手形のことを今お話がありましたが、もちろん私どもは農村金融はできるだけ長期で、さらにこれが低利でなければいけないという今のお説に、まつたく同感をしているものであります。しかし本年農業手形の処置をいたしましたのは、先ほどお話がありましたように、かなり農村の課税につきましての支拂期日が一度にまいりまして、たまたま春肥等の購入についても、非常な逼迫した事情が現われたのであります。併せて農業会の解体、協同組合の発足等の問題が、これに絡んでまいりまして、從つて農村における実際の金融機関でありまする農業会の機能が完全に協同組合に移行をしない特殊な事情の中におきまして、政府としては農業手形という別個な方法を立案いたしまして、これを実施したのであります。特にこの実施の区域は、北有道及び東北等の先ほどお話がありました寒冷地及び單作地帶をまず第一の目途といたしまして、実施をしたのでありまして、その結果かなり北海道及び東北地方におきましては、應急の処置としては、ある程度の効果があがつていると、私は信じているのであります。しかしこれは先ほど申しましたような農業会の解体、協同組合の完全なる機能の確立をせざる状態、及び特に農村課税における影響等が重なつた際にとつた方法でありまして、恒久的な金融としては、すでに御承知のように原始産業でありまする農業、あるいは水産、あるいは林業等を含めました農業復興金庫等の処置を考えまして、これを政府は立案して目下檢討中でありまして、この制度があるいは農業復興金庫という名前で発足をいたしますか、今の復金の一部門としてわくを別にしてやりますか、あるいは別個に今の農業中央金庫の改組をいたしましてその業務をやらせるか、それらの問題を含めまして、今政府では鋭意考究中であります。適当な機会に、その具体的なことについてはまた皆さんの御審議を願いたい、こう考えております。
#15
○稻村委員 最後に私やはり関連して質問いたしたいと思いますが、土地改良、灌漑の事業が、資金難で悩んでおります。予算が決定されるまでのつなぎ資金もないというものに対して、市中銀行が金融をぽつりぽつりと行つているところもありますけれども、概して行つていない。殊に日本農業は、先ほど申しました通り、予算が不十分であるから、こういうことが十分できないとしたら、金融の面でこれを補つてやらなければいけない、こういうふうに考えているのでありますが、私農林省に行つて、開拓局長その他ともいろいろ相談してみたいのでありますけれども、今のところほとんど処置がないというのが、農林省の人たちの意見じやないかと思います。こういうことに対して、大藏省との間にどういう折衝が行われているのか。こういう緊急な措置であります。殊に今植付が始まつているのであります。この植付を前にして何万町歩、新潟縣の私の南蒲原郡でも一万町歩くらい取付ければすぐ排水ができる。しかもポンプもセメントも來ているというのに、資金がないために仕事をしないで、ことしの植付には間に合わない。今はちようど旱魃状態なので何とかなるそうでありますが、もしも一雨降るとせつかく植えたものが腐つてしまう。こういうような状態のところがあるのであります。これは新潟縣下に相当たくさんあるように私は聞いているのであります。こういうものの資金を、一体どうやつてつないで、ことしの植付に間に合わせるか、ことしの秋には、すでに増産の実をあげることができるというような手段を講じているかどうか。これに対する質問をもつて私の農林大臣に対する質問を終ります。
#16
○永江國務大臣 土地改良事業が、從來ただ政府なり公共團岩の一方的な天降り的な補助金で行われるということよりも、これらの事業は金融によりまして、自主的に行われるような傾向をもつことが、日本の農村の土地改良には私は望ましい傾向だと考えているわけであります。從いまして、ただいま緊急に何らか処置をしたらどうかというお話でございますが、先ほどお答えをいたしましたように、農業復興金庫等の処理によつて、基本的な金融を考えますと同時に、その案ができまするまでのつなぎとして、適当な方法を考えたいと思つております。それにつきましては、お尋ねはありませんが、昨日本会議において議決になりました米價の改訂に関する際においても、いろいろ関係方面とこの点も話合をいたしまして、適当に緊急な処置を何とかいたしたいと思つております。
#17
○鈴木委員長 田中君。
#18
○田中(源)委員 農林大臣に大藏省所管の專賣益金と関連いたしましたことについてお伺いいたしたい。わが國の食糧問題につきまして、日夜農林当局の御苦心のほども察しております。今回の事前供出割当について、農家はできるだけの協力をして、わが國の食糧問題について鋭意國家に奉仕いたしたいと考えている。ところがこの予算を通覽してみますと、歳入の面におきまして、專賣益金は約二五%近く占めておるのであります。專賣益金中殊にタバコ益金がその主要なる部分であることは、農林大臣も御承知のことであろうと存じます。そこで本年度のタバコの生産目標は約五百五十一億二千万本だということを專賣当局は発表されておりまするが、このうちには前年度收納したる葉タバコの原料と同時に、新生賣残りのものをもつて大体販賣予定をいたしているわけであります。ところが私はこればかりでなく、やはり輸入タバコをこれに混合する、または場合によつて、ことしの收納した葉タバコを原料として、これにやはり幾分か混合していくということになる。そこで專賣益金の増收面から考えてみますと、農林省の方で事前供出をお割当になつておりまするが、現在すでにタバコは植付けております。タバコの性質は農林大臣御承知の通りに、在來種は連作は利きます。しかし黄色種においては隔年もしくは三年更新ということになつております。從つて前年度畑地でつくつたものは、今年は水田につくるということになる。事前供出で永田には全部タバコ耕作禁止の通牒がまいつておる。かりに氣温なり、あるいは灌漑用水の関係から、あるいは一部過植によつて、タバコ收納後において栽培可能のものもあろうと思いますが、これは当初植付けたよりも相当量減收を見込まなければならぬ。たとえば反当收量二石五斗あるものとみるならば、あるいは二石とか、一石八斗とみなければならぬ。こういうように植えたものは、その事前供出の割当の率によつて供出することは当然だと思う。しかし現在連作をやるべき米種の問題については、すでに大部分が植えられたと思う。まず今年の五万町歩の中で予定される米種は、おそらく一万八千町歩以上になろうと思う。そのうち水田がなんぼ占めるかという問題です。かりに二分の一水田が占めたと仮定したならば、事前供出の割当そのままの米を出すというならば、遺憾ながらこの葉タバコを引拔いて今日これを他に植えなければならぬことになる。これは大藏省と食糧管理局との間に事前協定ができておらなければならぬはずでありますが、全國に通牒のまいつておりますところによりますならば、これはできておらぬ。話が継続中のものかもしれません。そういうわけで、各縣の当局、知事並びに農産課長等は、今日これに非常に頭痛をいたしておるような実態であります。これをもし御解決をつけられなかつたならば、本年度の專賣局のあわゆる葉タバコの製造の面につきましては、ある程度のものはできましようが、來年度においては予定收量より非常に激減して、來年度の專賣益金は相当に減るものであるということは、ここにはつきり現実に現われてきておる問題でございます。またそのうちで灌漑地があります。灌漑地は、いかに水田に政府が植えるなと言つても、その補給水量によつて三分の一植付けるか、あるいは二分の一植付けるかいたさなければならぬことは、大臣も選挙区である兵庫縣において、はつきりと御承知のことであると思う。兵庫縣だけでなく、四國、中國、九州、いわゆる近畿以西全体は、このことははつきりいたしておる。この問題は適宜地方長官において処置はつくだろうと思います。しかしそれ以外の用排水利の面において惠まれておりますものは、この問題の解決は今日両者の間において決定されてなければ、ここに葉タバコの減收ということははつきりとした事実が現われてくるわけです。從つて本年度並びに來年度の專賣益金の上において、製造原料タバコは減る、あるいは関東東北地帶における比較的寒冷地の在來種の轉作をいたさなかつたならば、原料タバコの予定收量は得られないという実態がくるのでございます。この点は特に農林大臣はいかに御指令相なりましたか。なお今後これらの問題について両者の間において御協定をつけて、本年度の問題は、事前供出よりこれを除く、そうして過植並びにその後に植付けたるものにおいては、これは当然供出いたさせる、こういう御処置をおとりになるでしようか。今後この予算を審議する上におきまして、本問題は重要な問題でございますから、この際大臣の御所見を承つておきたいと存じます。
#19
○永江國務大臣 主食の事前割当については、いろいろ六箇條の條件がついて全國知事会議の決議を尊重して適当に是正をするということにいたしております。しかし今お示しのようなことは特例でありまして、政府部内においてどの程度助成ができるかということはまだ結論に達しておりません。しかし食糧の生産を担当いたしております私としては、よほどこの問題は愼重に処置をしなければ、弊害が出てまいると思いますので、適当に大藏当局と早急に結論を出したい、こう考えます。
#20
○田中(源)委員 私はごく要点だけを申し上げますが、これは結論はすぐ出るのです。なぜかと申しますならば、專賣局においては、現実タバコは植付いたしております。しかも本年度から昔にかえつて葉数檢査をやることになつておる。葉数檢査を現に專賣局の支局において、植付の反別一筆田ごとにいくらタバコを植えて、いくら葉数ができるかということを、今度耕作面積と併せて耕作者の名前を掲示して、一一標柱を立てるわけであります。それでありますから、これははつきりしておる。また用排水の問題については、今後の雨量等とも関係を生じてくるだろうとは存じますけれども、大体降雨量から見ますならば、予期の通りの植付は不可能ではないかと思われる地方が多少あるのではないかと考えられる。從つてこの問題については、もうはつきりとしておる。現実面において、一筆ごとにこれを隠蔽することができない実態におかれておるのでありますから、專賣当局との御処置は、私は容易なりと考えておるようなわけであります。かようなわけでありますから、早急にこの問題を御解決願いませんことには、全國のタバコ耕作業者はいかなる成行になるだろうかということを、鶴首して待つているようなわけであります。從つてもしこれがどうしても現在の政府の方針通りいきますならば、遺憾ながら各地方長官は六箇條の條項がございましても、断じてこれは事前供出せしめるよりほかに途がないことをはつきり申しておりますので、何らかの御指令をお出しくださらない以上におきましては、この問題の解決は不可能だろうと思う。この点については当予算委員会期間内において、事前に御協定願つて、はつきりとその方向をお示し願わない以上には、遺憾ながら歳入の上において考慮いたさなければならぬ事態に逢着いたすのであります。これは予算委員会の責任でなくして、政府の責任に帰着すると私は思いますので、どうかこの期間内において農林当局との間で早急に御決定願いたいことを申し上げまして、他の問題は関連事項もまだ二、三ございますが、他の方の関係もございましようから、一應これにて私の質疑は打切ります。
#21
○鈴木委員長 お諮りいたしますが、農林大臣は関係方面との約束の時間があつて、時間がないそうでありますから、午前はこれで休憩いたしまして、ただいま政府の都合を確かめておりますけれども、本会議の始まります前、午後正一時に開会しまして、きのうのように政府側の全部の御出席を煩わして、稻村君の質問を続行することにいたしたいと思います。休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十二分開議
#22
○鈴木委員長 午前に引続いて開会いたします。
 稻村順三君の総理大臣、大藏大臣並びに労働大臣に対する質疑を続行いたします。
#23
○稻村委員 大藏大臣にお尋ねしたいことは、まず第一に今度の予算編成にあたつて、予算の実行過程にインフレーシヨンが高進するということを、一應計算に入れておられるのか、それとも今の程度のインフレーシヨンで止まるということを前提としているのか。その点お伺いいたします。
#24
○北村國務大臣 お答え申し上げます、インフレーシヨンの進行過程において編成した予算でありまして、從つてこの問題はきわめて重大な意義をもつと思うのでありますが、しかし大体私どもといたしましては、從來考えられた一種の危機感から、やがて安定の方へ向わしむべきであるし、向うべき諸條件がやや現われてきたという考え方をいたしておるのであります。從いまして、たとえば物價賃金の惡循環等がどうして断切れるかという問題が、むしろ今後インフレーシヨンがもつと進行の速度を早めるかどうかということの大きな原因になると思うのでありますが、しかしこれについては、いろいろ考え方があると思いますが、一應政府の計算をいたしました賃金ベースに從つて、これを維持するために必要なるあらゆる努力を傾倒いたしまして、たとえば主食についてその他家計費に及ぼす諸條件、その影響等については、これを実質的に保持し、あるいは実質を向上するために、最善の努力を盡すことになつて、大体このインフレーシヨンの緩慢化に向つて効果をあげ得るというように考えておるのであります。從いまして、予算等につきましては、その程度の勘案と、なお若干の修正等を要する場合が起り得るかもしれません。このことは予算の中に多少の用意を含めて御審議を願つている次第でありまして、今よりも緩慢化に全力を盡して努力をいたしたい、こういう考え方をいたしておる次第であります。
#25
○稻村委員 そうしますと、大体がインフレーシヨンの進行は緩慢になり、物價も大体横ばいの形を維持することができるということを前提にして組まれたものであろうと思うのでありますが、しかしながら、そうなりますと、この予算にそういう意味で健全財政の建前をとつておいでになるのだろうと思うのでありますが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
#26
○北村國務大臣 大体今の段階で財政支出から來るインフレーシヨンの進行を、どうしても止めなければならぬというような点から、財政の面に國民経済の規模において財政を処理するということに努力をいたしまして、從つて財政支出から來るインフレーシヨンを防ぐために、どこまでも收支の均衡に力点をおくというような意味で予算を編成しましたので、ただいま稻村君のお言葉の通り申し上げてよろしいと思うのであります。
#27
○稻村委員 本予算を見ますと、大体において收支の上で均衡がとれまして、 赤字が出ていないように出ているのであります。しかしながら、これは帳簿上で赤字がないというふうにわれわれは見るのであつて、その実結局赤字と同じような條件がたくさんあるというふうに、私考えているものがあるのであります。その点につきまして二、三の質問をしてみたいと思うのであります。
 まず第一に交付公債の問題であります。これは予算外に計上されております。最初政府が第一次案をつくつて、いわゆる現行物價を基準といたしましてつくりました三千七百億円の案の中には、この予算の中に交付公債がはいつておつたと思うのでありますが、しかるにもかかわらず今度の予算を見ますと、これが予算外として書かれているのであります。しかもこの交付公債は、公債である以上は、これはたしか日銀の見返り担保となつて、融通が可能であるというのに考えております。そうしますと、かようなことが、やはり紙幣の増発となつて、インフレーシヨンを高進させるという結果になりはしないか、これはこれだけでそうなるというのではありませんが、あとからだんだん質問していくうちに、これと似た問題がたくさんあると思いますが、まずこの点に関しては答弁を願いたいと思います。
#28
○北村國務大臣 御質問の交付公債は、主として金融機関等に対する補償にあてるものであります。これはいわゆる交付公債でございまして、現金の收受を伴わないのでありますから、從つて予算には入れておりません。これは別途法律的な措置を講じまして、法律案として御審議を願うことにいたします。新たなる赤字公債の発行ではなくて、政府が補償すべきものを、現金もしくは交付公債をもつて処理するということに相なるのでありまして、これはもちろん金融機関が主でありますから、登緑公債の形をとる。從つて流通自在のものには相なりませんので、登録公債として発行せられることになると思います。最後には日本銀行の担保の対象になることはもちろんでありますが、それだからこれがただちに赤字公債と同じようになるとは考えておらないので、將來必要があればもちろん財産でありますから、國家の國債でありますから、担保になるべき性質をもつているというだけでありまして、これを現金で交付するのと、交付公債で交付するのといずれがたとえばインレーシヨンだけの観点から申しまして、インフレーシヨン的な結果を來すかといえば、むしろ登録公債をもつて交付した方が安全である。政府が支拂うべき債務でございますから、これをただちに現金で拂わずに、登録公債による交付公債を発行する。こういうことになりますから、その点からだけではインフレーシヨンをそれだけ促進するという議論には、ただちに相ならぬ。こういう見解をもつております。
#29
○稻村委員 大藏大臣の答弁を聽いておりますと、これは現金化する速度が、いわゆる通貨の融通となつて現われる速度が、非常に緩慢であるというだけでありまして、結局このものがかつての公債と同じように、これが日銀担保となつて貸出がなされるということは、実は否定していないと考えております。そうすると結局これは金融が逼迫するにつれて、金融関係ではこういうものを担保に入れて、日銀から融資してもろうというようなことが、行われるだろうと思うのでありますが、これに対して制限か何かされるのでありますか、その点を伺います。
#30
○北村國務大臣 これは御承知の通り、ただいま融資準則というものを設けまして、つまり地方、國家を通じての健全財政ということの建前から、この健全財政がもし金融においてはみ出すことがあつてはならないし、また資金の重点的な配置から考えまして、生産に対して役立つように、あるいは不生産的方面には資金が流れないようにという観点から、資金の融通準則を設けまして、第一に何に資金を流すか、第二にいかなる必要の用途に資金を流すか、第二段の構えは何であるかというふうなことを決定いたしておりますので、その面で十分に資金の流れ方を國家の一つの考え方に伴わせる。すなわち生産第一主義の、インフレーシヨンを防ぐ方向へ資金を流れさせるということに相なつておりますので、公債が交付になりましても、必要があればこれは日本銀行の借入れの対象になることはもちろんでありますが、その資金の流れ方については、國家の強力な統制を必要とする。こういう関係から重点的に必要な方面にのみ流れる、かように考えていただいてよろしいと思います。
#31
○稻村委員 そういうことは、日銀の最近の貸出の引締めによつて、一應なされるとは申しますが、しかしながら、地方銀行あたりで、はたして日銀に対して資金の融通を頼んだ場合に、日銀融資がそのままに、地方の銀行から貸出されておるかどうかは、きわめて多くの疑問がある。日銀当局との間の了解では、借りる業者とのいろいろな関係もありますので、一應のそういう日銀融資なら融資という日銀の計画のもとに、金融するという了解のもとに借出す場合がありましても、その際に地方にまわりますと、それがそういうふうにいかない。私は名前は申しません。しかしながら、地方某銀行のごときは、日銀融資の話合いがつきまして、そうしてそれを地方銀行から貸出される場合には、必ずそこの貸出す所の支店長なり何なりが、借りる人間との間の契約によつて、一應いろいろな別な形の金融がなされておるということを聞くのであります。しかもこういうふうな金があれば、そのためにやみ金融も行われる。新潟縣の私の住んでおる三條市のごときは、私を借りたことはありませんが、人のうわさによると、大体こういう金利相場が月一割、そういうことかどうか知りませんけれども、私が土地改良の問題でいろいろ金融のことについて大藏大臣にもいつかお話したこともありますが、日銀当局と話合いがつきまして、日銀当局からある地方銀行に日銀融資をするから、貸してやるようにという話合いが、借りる方と日銀との間についたのであります。しかるに地方銀行は、その際に日本銀行から融資するという約束があるにもかかわらず、農業金融は年一割、年にたつた一割ぐらいの金利しかとれない。これは実をいうと土地改良のための金融であつたのであります。從つてそれには補助金もあります。補助金ばかりではない、もし補助金が十分でないというならば、農家は自分の供出した米の代金を銀行に預けて、それを担保にするからという話でいつておるのであります。それにもかかわらず、農業金融というものは、もうからないというので、途中でこういうところには金融しない。こういうふうなので、実をいうとそういうふうなもうからないところには金融しない。日銀融資があつても金融しない。もうかるところなら何とかかとか話合いをつけても、日銀にはもつともらしい話をもつていつて、融資をしてもらう。こういうふうになると、こういうふうないわゆる交付公債などというものが、こういう市中銀行の手にはいつた場合には、担保の濫発が行われるのじやないか、私たちはこういうふうに考えているのでありますが、これに対してもしそういう場合があつた場合に、これを阻止する方法があるのかないのか。これもお伺いしておきます。
#32
○北村國務大臣 ただいまの問題は、相当にむつかしい問題でありますが、現在資金を先に申しますように重点的に流す流し方の決定は、國家がやるということで、國家の法律秩序として、資金の融資準則というものがまわつておるわけであります。從つてその方向へ流さないということになれば、これは法に反したことになるのでありまして、さような場合は、違法行為ということになるのであります。このことに関しては、もちろん日本銀行も責任を負いますが、大藏省が監督して、さようなことのなからしめるよう絶えず注意をいたしております。また最近しばらくいろいろの事情で、大藏省の銀行檢査というものが、ちよつと時が長びいておつたのでありますけれども、最近はおそらく一箇年に一回くらい、一銀行について徹底的な検査を行うという方針で、ただいまそういう整理をいたしております。また日本銀行が金を貸す場合には、目的を明らかにして、これこれの具体的なこういうところの融資に使うのだということで、制約をしておる。制約されたものが手にはいつた場合には、また國家できめた流し方によつて流すということが決定しておるのでありまして、それを犯すものがあつた場合にはどうするかということになると、これはおのずから別な問題になりまして、ただいまお話のごときもしそういうことがありとすれば、きわめて不都合なことでありますから、私どもの方でも具体的な例がございますならば、それは注意をいたすことはもちろんであります。けれども一般の私どもの取扱いの例としては、ただいままでに申し上げたような方法で、そういう方向で監督をいたしておる、こういうことでございます。さように御了承を願います。
#33
○鈴木委員長 お諮りいたします。稻村君の質疑続行中でございますが、本日は本会議で大藏大臣の財政演説に対する質疑が行われまして、すでに本会議が開会されようといたしておりますから、稻村君の質疑続行中でありますが、このまま散会いたしまして、予算委員会はあす正十時に開会いたしたいと思います。
 それでは散会いたします。
    午後一時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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