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2011/10/27 第179回国会 参議院 参議院会議録情報 第179回国会 法務委員会 第2号
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2011/10/27 第179回国会 参議院

参議院会議録情報 第179回国会 法務委員会 第2号

#1
第179回国会 法務委員会 第2号
平成二十三年十月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         西田 実仁君
    理 事
                中村 哲治君
                松野 信夫君
                森 まさこ君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                石井  一君
                江田 五月君
                今野  東君
                田城  郁君
                谷  博之君
                松下 新平君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                山崎 正昭君
                魚住裕一郎君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     平岡 秀夫君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  谷  博之君
       外務大臣政務官  加藤 敏幸君
       文部科学大臣政
       務官       城井  崇君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  永野 厚郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       岩瀬 充明君
       警察庁刑事局長  舟本  馨君
       法務大臣官房司
       法法制部長    後藤  博君
       法務省民事局長  原   優君
       法務省刑事局長  稲田 伸夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (足利・太田連続幼女誘拐事件と公訴時効の見
 直しに関する件)
 (法曹養成の在り方に関する件)
 (尖閣諸島沖での衝突事案における中国人船長
 不起訴処分等に関する件)
 (東日本大震災被災地における法務及び司法行
 政に関する件)
 (死刑の執行に関する件)
 (検察改革に関する件)
 (在日米軍関係者に対する刑事裁判権に関する
 件)
    ─────────────
#2
○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁生活安全局長岩瀬充明君、警察庁刑事局長舟本馨君、法務大臣官房司法法制部長後藤博君、法務省民事局長原優君及び法務省刑事局長稲田伸夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(西田実仁君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○有田芳生君 おはようございます。民主党の有田芳生です。
 今日はコールドケース、つまり未解決重要事件と時効の問題について、中心にお聞きをしたいというふうに思います。
 言うまでもないことですけれども、政治というものは国民の生命、安全、そして財産などを守っていく、それを国民の立場から考えると、やはり政治がそういうことに熱心に取り組んでくれているかどうかということが政治の正統性、正しく統べる正統性の判断の根拠になるというふうに私は考えております。
 そういう意味において、二年前の夏に政権交代が実現をいたしました。そして、鳩山政権のときに所信表明演説で、当時の鳩山総理が命を守るということを何度も強調されました。そうした国民の生活を守っていく、特に命を守るということについては、やはりこれはお年寄り、そして一生懸命働く人たち、そして日本の未来であり、日本の宝である子供たちの命そのものを守っていくということがやはり新しい政治の推進力、基準にならなければいけないと考えております。
 フランスの哲学者のジャン・ポール・サルトルは、かつて無常観の政治化という言葉、それを使いまして、無常観の政治化を克服しなければいけないと。つまり、政治というものに国民が信頼を置いて期待をしているにもかかわらず、結局のところ、何をやっても駄目じゃないか、何を言っても無駄じゃないかと、そういう無常観が政治の世界に広がることを克服しなければいけないということをこれはサルトルは語っているわけですが、私たちも、新しい政治を更に求めていくためにも、この新しい方向性というものを模索し、それを実現しなければいけないと強く感じております。
 今日は、皆様方の前で質問をさせていただくその機会に、今日のテーマであるコールドケース、未解決重要事件と時効問題について、足利事件の冤罪被害者である菅家利和さんが今日傍聴に見えておりますので、菅家さんのお気持ちも考えながら、やはり平岡法務大臣が所信でおっしゃっていたように、常に国民の皆様の常識というものに立った新しい司法というものを追求する、そういう視点で質問をしていきたいというふうに考えております。
 菅家さんに来ていただいたというのは、皆さんお分かりでしょうけれども、栃木県足利市で起きたいわゆる足利事件、実は足利市だけではなく、そのお隣の太田市でも事件が起きておりました。いわゆる北関東連続幼女誘拐殺害事件、五件の事件が一九七九年から一九九六年の間起きておりますけれども、一体どのような事件だったのかということをまず一つ一つ振り返りながら、いかに私たちが重大な課題に直面しているかということをこれから御質問させていただきたいというふうに考えております。
 栃木県そして群馬県で一九七九年から九六年の間に起きた五つの事件について、具体的に何が起きたのか、まず刑事当局からお答えをいただきたいと思います。
#6
○政府参考人(舟本馨君) お答えをいたします。
 五事件について発生順に申し上げますと、いわゆる福島万弥ちゃん事件につきましては、当時五歳の福島万弥ちゃんが昭和五十四年八月三日に栃木県足利市内の神社付近で行方不明となり、同年八月九日に同市内の渡良瀬川河川敷内において御遺体が発見された事件でございます。
 長谷部有美ちゃん事件につきましては、当時五歳の長谷部有美ちゃんが昭和五十九年十一月十七日に栃木県足利市内のパチンコ店付近で所在不明となり、昭和六十一年三月七日に同市内の畑において御遺体が発見された事件でございます。
 大沢朋子ちゃん事件につきましては、当時八歳の大沢朋子ちゃんが昭和六十二年九月十五日に群馬県太田市内の公園付近で所在不明となり、翌六十三年十一月二十七日に同市内の利根川河川敷内におきまして御遺体が発見されたという事件でございます。
 松田真実ちゃん事件につきましては、当時四歳の松田真実ちゃんが平成二年五月十二日に栃木県足利市内のパチンコ店付近で所在不明となり、翌十三日、同市内の渡良瀬川河川敷内において御遺体が発見されたという事件でございます。
 横山ゆかりちゃん事件につきましては、当時四歳の横山ゆかりちゃんが平成八年七月七日に群馬県太田市内のパチンコ店付近で所在不明となり、現在も所在不明であるという事件でございます。
#7
○有田芳生君 確認しておきたいことですけれども、今要約してくださった五つの事件については一つでも解決した事件はありますでしょうか。
#8
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 誠に遺憾ながら、この五事件につきましては全て現時点で未解決でございます。
#9
○有田芳生君 残念ながら、五人の幼女が誘拐をされて、そのうちの四人が殺害をされているということが分かった。
 これは現地に行ってみれば分かりますけれども、足利市の駅前に織姫山という百十八メートルぐらいの小さな山がありまして、そこの上に登って見渡しますと、渡良瀬川が流れていて、渡良瀬川の向こう岸の方に、今御説明いただいた万弥ちゃんの御遺体が発見をされた、リュックの中から発見をされたんですけれども。その渡良瀬川を挟んだ僅か直線距離で二百メートルのところで、一九九〇年、菅家さんが冤罪被害者となってしまったいわゆる足利事件の真実ちゃんの遺体が発見された。僅か二百メートルなんですよね。その織姫山から左側を見ますと、今御説明をいただいた二番目の有美ちゃん、これは畑の中から白骨の遺体で発見をされております。織姫山から見渡しますと、その渡良瀬川を挟んで三人の幼女の遺体発見現場がもうすぐそこに見えるんですよ。右側の方を見ますと太田市の方になりますけれども、それは直接遺体発見現場あるいは横山ゆかりちゃんがいなくなったパチンコ屋が見えるわけではないんですけれども、車で移動をしてみると三十分も掛からない生活圏なんですよね。
 そういうところで五つの事件が一九七九年から一九九六年に連続して起きた。これは戦後の日本の犯罪史を振り返ってみても、日本広しといえどもこういう土地は全くありません。そういうことがこの間起きてきた。しかも、半径にしますと十キロ圏なんですよ。十キロ圏でそういう事件が連続して起きていて、しかも未解決である。
 もう少し詳しく申しますと、この五つの事件のうち三件がパチンコ屋で発生をしている、あるいは五件のうち三件が遺体が河川敷で発見をされている、あるいは五件の事件が起きた曜日を調べますと全て週末あるいは祝日に起きている、そういう共通点がある。これはおかしいんじゃないか、ひょっとしたら同一犯の可能性があるのではないかということで、この間、日本テレビの清水潔記者とそのスタッフが精力的に取材を進めてまいりました。私はその取材をずっと見聞きしておりまして、ただ、そういう事実、疑惑が報道されたからそれを信じるわけにいかないということで、現地にも何度も伺いましたし、被害者にもお会いしました。そして、菅家さんからも昨年詳しくお話を伺いました。
 そうした現地調査に基づいた上で、これはやはりおかしいぞということで、今年の三月八日の参議院の予算委員会で質問をさせていただきました。そのとき、当時の中野寛成国家公安委員長は、この五つの事件が同一犯の可能性であることを否定できないと、そのように答弁されました。
 それから政権が替わってしまいましたけれども、三月八日の国家公安委員長の答弁、これは今でも有効だと判断してよろしいでしょうか、警察庁のお考えを伺いたいと思います。
#10
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 警察としましても、これらの事件につきましては、いずれも幼女を対象とする誘拐殺人事件や行方不明事件であること、行方不明になった場所等が近接していることなどから、一般的には同一犯による犯行の可能性が否定できないものと考えておりまして、警察庁の見解は変わったということはございません。
#11
○有田芳生君 その三月八日の予算委員会では、前総理の菅直人さんも、やはりこういう冤罪にかかわる事件、しかも同種の事件が近郊で起きているということについては、時効の問題などが、これから質問をしますけれども、あるけれども、類似事件が起きている以上、必要な対応をしなければいけないと、そういう答弁をしてくださいました。
 その前総理である菅さんの答弁について、平岡法務大臣、いかがお感じでしょうか。
#12
○国務大臣(平岡秀夫君) 菅総理の答弁については私も承知しておりますけれども、まさに答弁された考え方に基づいて我々も行動していくべきだというふうに思っております。
#13
○有田芳生君 菅前総理、そして中野寛成前国家公安委員長の積極的な答弁をきっかけにしまして、実は五つの事件の家族の方々というのは、これまでずっと、自分の娘さんが誘拐され、殺害され、あるいは一九九六年に横山ゆかりちゃんはパチンコ店から行方不明になっていまだ行方が知れない、来年成人式を迎えるんですけれども、その五つの家族の皆様方はこの間ずっと孤立をしていた。孤立をしていて、自分が悪いんじゃないか、あのときパチンコ店に連れていかなければよかったなというような思いで、本当にじくじたる悲しい思いで夫婦であるいは家族で結束をされてこれまで生きてこられた。
 本当につらい思いをされていたんですが、この三月八日の予算委員会の質疑を九六年に行方不明になった横山ゆかりちゃんのお父さんが見ていてくださいまして、それをきっかけにして、総理もそして国家公安委員長も積極的な答弁をしてくれた以上、家族がこのまま黙っているわけにはいかないんじゃないかと、そのような思いが湧き起こってきまして、私のところに相談をしてくださいまして、そのことが一つのきっかけになって、実は五つの家族が、四月でしたかね、三月の末だったか四月の末に足利市で集まったんです。そして、そこで初めて五つの家族が一堂に会してそれぞれの悩みを本当に泣きながら語り合いました。そして、いや、もっとしっかり頑張って生きていこう、やはり自分たちの事件はもう終わってしまったように世間では思われているけれども、これを何とかしなければいけないんではないかという思いが重なって、そして足利・太田連続未解決事件家族会が結成をされました。
 そのことをとらえて、菅前首相のイニシアチブの下で、中野寛成前国家公安委員長が家族会と会ってくださったんです。長時間お話を、国家公安委員長もそれから当時の刑事局長さんも同席をしてくださいまして、家族の思いが語られました。そして、警察当局のこれからの事件に対する対応についても正直に語ってくださいました。
 その家族会と国家公安委員長との懇談内容について、一体何が話し合われたのか、刑事局長にお聞きをしたいと思います。
#14
○政府参考人(舟本馨君) 本年の七月十四日に、中野前国家公安委員会委員長が足利・太田連続未解決事件家族会の皆様方とお会いをし、お話をお伺いしましたところ、その席上、御家族の皆様方から、五事件については同一犯による連続事件を考慮した捜査をお願いしたい、また時効となった事件についても再捜査をお願いしたい旨の御要望がなされました。
 そうしたことに対しまして、中野前国家公安委員会委員長からは、四事件が時効となってしまっていることや捜査が長引いていることについて心からおわびを申し上げ、引き続き他の事件との関連性も視野に入れ、時効の成立していない横山ゆかりちゃん事件の解決に向け全力で事件解決を図るよう警察を督励する旨の御発言があったと承知しております。
#15
○有田芳生君 その後、警察当局として、栃木県警さらには群馬県警に対して具体的にどのような指示が行われ、そしてさらには、栃木県警、群馬県警では現在に至るまでどのような捜査が進んでいるでしょうか。差し支えないところまでお聞きできればというふうに思います。
#16
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 現在、群馬県警におきましては、公訴時効の完成していない横山ゆかりちゃん事件につきまして、栃木県警と緊密に連携を取りつつ、他事件との関連も視野に入れて捜査中でございます。捜査体制につきましては、群馬県警、栃木県警合わせて約二十名の捜査員を専従で捜査体制として当たらせております。
 また、この間、群馬、栃木、そして私ども警察庁が合同で捜査会議を開催するなどしまして、必要な情報交換、不審者に関する捜査などを行ってきているところでございます。
#17
○有田芳生君 この家族会の結成、そして今御説明をいただいた警察庁の指揮の下で、栃木県警、群馬県警の連係プレーというものが徐々に進みつつあるというその成果を期待したいというふうに思いますが、更に言えば、栃木県警、群馬県警の担当者の方々が家族会それぞれ自宅を訪問してくださって、今こういうことになっているんだよというような御説明をいただいているということはこれまでにない対応なので、更にそういうことを強めていただきたいというふうに思いますが、しかし、中には、後でも時効の問題で御質問をさせていただきますけれども、栃木県警の警察官の中には、一生懸命やりたいんだけれども時効の壁があってなというようなため息をつかれる方もいらっしゃる。そういうことについては、警察庁としてはどのように判断されていますでしょうか。
#18
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 時効の壁という厳然たる事実はございますけれども、一方でまだ公訴時効の期間が経過していない現在群馬県警が捜査しております横山ゆかりちゃん事件、これを何とか言わば突破口としながら、全容の解明に今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
#19
○有田芳生君 少し踏み込んでお聞きをしたいんですけれども、群馬県警が横山ゆかりちゃん事件で特別な体制を取られて捜査を進めていらっしゃるということは調査の結果理解をしておりますけれども、栃木県警の動きというものはどういうことなんでしょうか。
 つまり、栃木県警から群馬県警に、つまり足利事件等の捜査資料を栃木県警から群馬県警に渡したということは承知しているんですけれども、それ以外に栃木県警としての具体的な日常的な捜査というものは何か行われていますでしょうか。
#20
○政府参考人(舟本馨君) 先ほどの答弁とちょっと重なりますけれども、栃木県警としましても数名の専従の捜査体制を取っておりまして、栃木県警のこれまでのやりました捜査情報は全て渡し、また日々群馬県警と連携を取りながら、群馬県警から更に捜査事項の要望があればまたそれにこたえていくという、とにかく言わば一体となって群馬県警、栃木県警が捜査をやっている、またそれについて警察庁が強力に指導しているところでございます。
#21
○有田芳生君 五つの事件で、先ほど御説明いただきましたように一九九六年に起きた横山ゆかりちゃんの事件は、これは時効ではないわけですよね。しかし、残念ながらほかの四つの事件については時効とされている。そうすると、足利で起きた三つの事件について栃木県警は捜査は具体的になされているんでしょうか。
#22
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 現在の捜査の詳細の部分までは御容赦いただきたいと思いますけれども、現在の栃木県警の捜査は、現在群馬県警で行っております横山ゆかりちゃん事件の捜査に資するということを中心に体制を取って行っているところでございます。
#23
○有田芳生君 この家族会の結成の動き、そして中野寛成前国家公安委員長との懇談、それがマスコミに報じられる経過の中で、様々な積極的、前向きな報道がなされてきましたけれども、産経新聞の八月二十五日の群馬版、これは群馬で産経新聞を取っている人だけしか読めないかというとそうではなくて、実はこの記事がインターネットで全国に流れたわけですけれども。
 その産経新聞の八月二十五日の記事によりますと、不審男、不審な男というのは、これは足利事件で菅家さんが冤罪被害者になってしまったわけですけれども、足利事件についての不審な男と、ゆかりちゃんが行方不明になったときのパチンコ屋で、夏の七月七日、暑い日にもかかわらずサングラスを掛けて長袖の服を着て長ズボンをはいて、どうにも、何でこんな暑いときにこんな格好をしているんだろうかという不審人物、そしてその男と足利事件の不審人物、これが同一人物ではないと群馬県警太田署捜査本部が断定をしたと、そういう記事が出ているんですが、そういうことを太田署の幹部が、あるいは誰かが語っていたとすれば、中野寛成前国家公安委員長が参議院の予算委員会で語った五つの事件が同一犯の可能性を否定できないと、あるいは今御説明いただいた、今でも五つの事件は同一犯の可能性あるという判断と、この太田署の捜査本部の産経新聞が報じている記事とは大きく異なり、国会での答弁というものを覆すことになってしまうんですが、この記事についてはどのように評価すればよろしいんでしょうか。
#24
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 その記事が出ましてから群馬県警に確認をいたしました。群馬県警は、横山ゆかりちゃん事件のビデオの不審者と松田真実ちゃん事件で目撃された不審者が別人であると断定したという事実はないというふうに私どもに答えてきております。
 なお、松田真実ちゃん事件の目撃情報からは不審人物の身長などは特定できないものと考えておりますけれども、群馬県警におきましては、予断を持つことなく、他事件との関連も視野に入れながら現在捜査を進めているところでございます。
#25
○有田芳生君 そうしますと、今もお話がありましたように、菅家さんは冤罪の被害者だと明らかとなりましたけれども、今でも足利事件についての不審な人物ということを、それが単数なのか複数なのか分かりませんけれども、当局としては承知をしていると、不審人物として認識をしているという理解でよろしいんでしょうか。
#26
○政府参考人(舟本馨君) いわゆる足利事件の捜査の過程で得ました不審者情報等も含めまして、あらゆる情報を視野に入れて捜査をしているということでございます。
#27
○有田芳生君 そうした報道に困惑しつつも家族会は、先ほどもお話をしましたように、熱心に、やはり世論とともに、あるいは警察当局とともに、あるいは私たち国会議員の家族会を支援する会とともに、何とか事件の真相解明に迫っていきたいと、そういう思いを皆さん持たれております。本当に年金生活で大変な状況の下でも自分たちがまくチラシをお金を出し合って、署名運動なども始まっているんです。
 家族会が結成をされてから、まず足利市で署名運動が行われました。チラシ、カラー刷りのやつを作りまして、そして署名用紙を作って、足利の商店街で署名を取りました。私もそこに参加をしていたんですけれども、やはり足利市あるいは太田市でもこの五つの事件については物すごく今でも高い関心をお持ちなんですよね。それは、自分たちの子供たちの周りにもしかしたら足利事件などの真犯人がいるかも分からない。これは、お父さん、お母さんだけではなくて、お孫さんを持ったおじいちゃん、おばあちゃんたちも高い関心を今でもお持ちになっております。
 ですから、署名活動をやっていますと、普通、なかなかテーマによっては難しくて、こっちからお願いしに行って、こういう中身ですよというようなことを言って理解していただけなければ署名なかなか難しいんですが、足利市、その次に行った太田市での署名運動については、家族会の皆さんがおそろいのTシャツを着て署名活動をやっていると、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんたちが寄ってきてくださって署名をしてくださる。太田市と足利市で合計四時間、署名運動、宣伝活動を行ったんですけれども、四時間で二千を超える署名をいただいておりますし、さらには幼稚園とか保育園の先生たち、そして父兄の皆さん、ひょっとしたら、真犯人捕まっていないんだから再びそういう事件が起きたら大変だという思いで、何とか真相解明をしてもらいたいということで、署名がどんどんどんどん集まって、まだまだ足りませんけれども、今では五千を超えるところになってきております。
 これからも、十二月になれば私たちは家族会とともに署名活動を行う予定でおりますけれども、その署名のお願いが、五つの事件が同一犯の可能性を否定できないという以上は再捜査を何とか実現していただきたいということと、そして、警察の誤認逮捕で、菅家さんの誤認逮捕で捜査が途中で終了した足利の三つの事件の時効を延長していただけないかと、そのような要求で活動を続けております。
 実は、足利事件というのは、菅家さんが本当に無念の思いをされて、冤罪は晴れた。しかし、足利事件、残された課題が幾つかあるんですよね。昨年の四月に、警察庁それから最高検が、足利事件にかかわる捜査・公判活動の問題を総括されました。総括、かなり分厚い冊子で、最高検、警察庁の総括文書があるんですけれども、そこにもまだ解明されていない二つの課題があります。
 一つはDNA問題です。DNAについて言えば、菅家さんが犯人だと誤認されたその根拠となる当時のDNA鑑定、MCT一一八型法の初期の段階の鑑定。そのことによって菅家さんは大変な思いをされてきたわけですけれども、しかしその後、最新のDNA鑑定によって菅家さんは犯人ではないということが明らかとなりました。皆さん御承知のとおりです。しかし、最新の鑑定を使って菅家さんは全く事件には関係がなかったということが明らかになったわけですが、もう一つの問題があります。それは、九〇年の事件で殺害をされた真実ちゃんのTシャツ。そのTシャツには真犯人の体液が残っております。そのTシャツに残った体液。
 ところが、菅家さんの無罪は、最新型のDNA鑑定で菅家さんの潔白は晴れたんだけれども、実は真犯人の体液がそのTシャツには残っている。そのことについて、検察側の鑑定と弁護側の鑑定が食い違っているんですよね。最新式のDNA鑑定に基づいても検察と弁護側の鑑定が食い違っている。じゃ、これ一体何なの、真犯人のDNAというのは一体何なのか。そのことを明らかにしていくことが今後大きな重要な課題として残っているわけですけれども、そのことについても今後機会があれば私はどこかで質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、もう一つの問題は時効の問題です。足利事件は時効とされております。
 そこで、そもそも時効とは一体何なのか。そのことを平岡法務大臣に、御専門ですから、少し一般市民にも分かるような説明をしていただければというふうに思います。時効とは一体何でしょうか。
#28
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になりました時効というのは公訴時効ということでございますけれども、公訴時効というのは、法が定めております一定の期間が経過することによって公訴権、つまり起訴していくような権利が消滅をしていくという制度であります。もう少し具体的に申し上げますれば、犯罪行為が終わったときから法が定めておりますその犯罪行為別の期間が経過いたしますと、その犯罪行為について起訴することができなくなるという制度でございます。
 では、なぜこういう公訴時効というものが制度として設けられているのかと申し上げれば、これはいろんな学説等でも説明されていることではございますけれども、一般的には、まず第一に、時の経過とともに証拠が散逸してしまい、起訴して正しい裁判を行うことが困難になること、第二に、時の経過とともに被害者を含め社会一般の処罰感情等が希薄化すること、第三点に、犯罪後、犯人が処罰されることなく日時が経過した場合には、そのような事実状態を尊重すべきということが学説等においても根拠として説明されているところでございます。
#29
○有田芳生君 実は、先ほども申しましたけれども、この五つの事件の被害者御家族、一番最初は一九七九年に発生をし、横山ゆかりちゃん事件は、繰り返しますけれども、一九九六年七月七日に発生。この五つの御家族、御夫婦と言っていいかと思いますけれども、処罰感情、非常に強いものがあります。何とか事件の解明をしてもらいたいという思いが今でも満ちあふれております。それは、自分たちの娘たちが誘拐され殺害されたというだけではなく、あるいは誘拐されたままいまだ二十歳になるはずなのに行方が分からないということだけではありません。
 性犯罪は繰り返すということは、これは日本の戦後の刑事犯罪の歴史の中でも、警察庁の方でも明らかにされていることですけれども、このまま事件が解決されなければこれからも同種の事件が起きる可能性が高い。だから、自分たちの娘たちの無念、自分たちのつらさ、それを犯人検挙、真犯人の逮捕ということを通じて明らかにしたいという、その思いは変わっていないんですよね。変わっていないからこそ、家族会を結成し、本当にお体が悪い方もいらっしゃるけれども、署名活動のたびに現場に来てくださって一生懸命声を上げて署名を求めている。
 さらには、証拠の散逸というお話が今ありましたけれども、これはもう大臣が十分御専門家として御存じのように、先ほど申しましたDNA鑑定にしても、菅家さんが被害者となったMCT一一八型法以降、すばらしい進歩が科学技術の上でも起こって、STR法などDNA鑑定も詳細なものができるようになってきている。もちろん証拠としては補助的なものだと私は理解しておりますけれども。そうなると、これまで学説上言われていた処罰感情であるとかあるいは証拠の散逸などについても大きく条件が変わっているんだろうというふうに私は理解をしております。
 その上で、じゃ、時効が停止する場合はどういうときなのかについて、これも御専門家である法務大臣にお聞きをしたいと思います。
#30
○国務大臣(平岡秀夫君) 公訴時効の停止というのは、法定されました事由、停止事由でございますけれども、それが発生することによりまして公訴時効の進行が停止をするということでございますけれども、それまでの公訴時効の進行は効力を失わないということでございますので、停止事由がなくなってしまいますと、その後は残存期間の進行によって、残っている期間の、公訴時効期間の残っている部分について経過をしてしまいますと公訴時効が完成することになるという制度でございます。
 ちなみに、どういうものが公訴時効の停止事由として法律上定められているかと申し上げれば、その事件について公訴の提起があった場合、次に共犯者の一人について公訴の提起があった場合、次に犯人が国外にいる場合、そして次に、犯人が逃げ隠れしているために有効に起訴状の謄本の送達とかあるいは略式命令の告知ができなかった場合ということが法定されているところでございます。
#31
○有田芳生君 足利事件の時効はいつ迎えましたでしょうか。
#32
○国務大臣(平岡秀夫君) 足利事件については、委員が配られているものの成立日というのが資料の中にございますけれども、実は公訴時効の完成については、先ほどの答弁の中にもありましたように、罪によって公訴時効の期間が違うということでございますので、果たしてこの事件の罪名が最終的にどういうふうになるのかといった点、あるいは犯罪行為の終了時がいつになるのか、あるいは時効の停止が先ほどの停止事由になるようなものがあったのかどうなのかと、こういうもので最終的に決まってくるということでございますので、収集された証拠に基づいて最終的に判断されるべき事柄であるということなので、具体的にはお答えすることは差し控えたいと思います。
 ただ、一般論として申し上げますと、足利事件が発生しました平成二年当時の刑事訴訟法によれば、例えば殺人罪の公訴時効期間というのは十五年間、十五年でありましたところ、殺人罪が成立すると認められる場合には、時効の停止がないことを条件として殺人行為が終了したときから十五年を経過することによって公訴時効が完成することになるということでございます。多分、委員がお示しになっている日にちというのが一番早く来るタイミングだというふうに思います。
#33
○有田芳生君 先ほど時効についての学説についてもちょっと触れていただきましたけれども、刑事訴訟法二百五十四条の第一項の解釈について、これは学界レベルでいうと積極論、消極論、実務のレベルでは消極論と言ってしまっていいんでしょうか。しかし、学説上、やはりこういう問題を前向きに解決していかなければいけないという解釈に立つならば、裁判中は時効が停止するという理論も成り立つという、そういう見解の学者の方々もいらっしゃいます。
 そうしますと、一九九一年の十二月に菅家さんが起訴をされておりまして、二〇〇〇年に最高裁の刑が確定をしておりますから、起訴をされてから最高裁の確定まで九年。だけど、菅家さんは冤罪ということが明らかになったわけですから、二〇〇五年に時効が確定しているとするならば、この法理論からいえば足利事件は二〇一四年、二〇一四年まで時効は成立しないと、そういう積極的な、理論的な評価をすることもできるわけですけれども、そうなると、足利事件も時効だから、あるいはほかの足利で起きた二つの事件ももう時効が来ているから捜査ができないというような立場を取ることなく、捜査当局の現場で一生懸命頑張っている方々も、よし、頑張ろうじゃないかといって事件の真相解明に進むことができると私は考えておりますけれども、この刑事訴訟法二百五十四条一項を積極論の立場で解釈していただくわけにはいかないでしょうか。法務大臣、いかがでしょうか。
#34
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になりました公訴時効の停止の問題については、お話があったとおり、学説上も公訴時効が停止するという見解と停止しないという見解が分かれているということは我々も承知しているところでございます。
 しかしながら、この問題については判例も見当たっておりませんし、最終的には、個別具体的な事件について検察当局が公訴を提起した場合に、最終的な法令の解釈というのは裁判所において行われるべきものでございますので、裁判所において判断されるべき問題だというふうに考えているところでございます。
#35
○有田芳生君 実は、足利事件の真相解明に向けて、時効について私は今年の初めに警察庁に問合せをいたしました。足利事件の時効についてどう考えればいいのかということに対して、二月に警察庁から文書で回答をいただきました。
 そこには、時効完成を否定する要素が得られれば真犯人の検挙に向けた捜査を実施すると、時効完成を否定する要素が得られれば捜査をこれからも足利事件については行うんだと警察庁の御回答をいただきましたけれども、この時効完成を否定する要素、これは具体的には何を意味するんでしょうか。刑事局長、お答えいただければ幸いです。
#36
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 本件の場合は、時効完成を否定する要素とは、具体的には犯人が外国に逃亡していた場合がこれに当たるものと考えております。
#37
○有田芳生君 足利事件の真犯人が海外に逃亡していたかどうかということは、これは捜査をしなければ分からないことですよね。そのことについては後ほどお聞きをしますけれども、この海外逃亡の場合時効が停止するというのは、捜査権が及ばないからだという理解でよろしいでしょうか。刑事局長、お願いいたします。
#38
○政府参考人(舟本馨君) 現在の我が国の刑事法の法制度としてそういうふうに規定されているからだと理解しております。
#39
○有田芳生君 これは、法務大臣が大臣所信でおっしゃってくれた国民の皆様の常識、私たち市民生活の常識から考えますと、仮に真犯人が海外に逃亡していた、だけど足利事件の場合、菅家さんが誤認逮捕をされて起訴をされてずっと長い年月苦しい思いをされてきた。だけどこれは、真犯人でない菅家さんを逮捕して起訴して、その間、捜査はしていないわけですから、実質的に捜査権が及ばない事態と一緒ではないかと。これは、世俗的な常識からいってそう判断してしまうんですよね。
 具体的に言いますと、九〇年五月十二日に足利事件起きました。真実ちゃんが行方不明になり、翌日、遺体として発見されました。警察当局は、栃木県警は、九〇年の十二月から菅家さんの尾行を行っておりました。そして、翌九一年六月二十三日、菅家さんがお住まいになっていたところのごみ箱からティッシュを押収をされて、そして科警研でDNA鑑定をされて、MCT一一八型法の当時の水準で菅家さんが犯人に仕立てられてしまって、九一年の十二月二日に逮捕をされ、十二月二十一日に起訴をされました。
 だから、これは、菅家さんに尾行が付いた、事件が起きた年から菅家さんが怪しいぞというような捜査がされてきたとしますと、ほかにも不審人物がいたことが、皆さん方はもう詳しく御存じなわけですけれども、菅家さんにターゲットが絞られているわけですよね。そうしますと、ほかの不審人物についてそのとき捜査が行われていたかどうかは分かりませんが、少なくとも菅家さんが翌年の十二月に逮捕されて以降、それからの時効を迎える期間は捜査は行われていないわけですよね。これがやはりおかしいんじゃないかというのが家族の会の皆さんあるいは支援する私たちの思いなんですよね。
 法務大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、公訴の時効はあっても捜査に時効はないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(平岡秀夫君) 捜査は何のためにするのかということを考えれば、先ほど、既に公訴時効が成立したものについてもいろいろな関連性の中で捜査を行うことはあるというふうなことはありますけれども、全く無関係ということではないだろうというふうに思います。
 それから、先ほどからちょっと御指摘になっているケースについて言うと、犯人が海外に行った場合というのは、本人がそういう意思を持って出ていって、ある意味では自分が捜査を逃れようという、そういう意図で出ているという点で少し事情が異なっているのかなというふうにはちょっと感じました。
#41
○有田芳生君 そこで、中野前国家公安委員長が家族会との懇談の中でもお話をくださったわけですけれども、群馬の横山ゆかりちゃんの事件、まだ時効を迎えておりませんから、群馬の事件を突破口にして足利事件も含めたほかの四事件についても解決に向かいたいと、そのように語ってくださいました。
 しかし、群馬県警太田署の捜査員の皆さんが一生懸命今でも努力をしてくださっているにもかかわらず、実質的にはなかなか事件の解明には進んでいないわけですよね。そうすると、五つの事件が同一犯の可能性があるということならば、ほかの事件、つまり足利事件などほかの事件の捜査を進めることによって横山ゆかりちゃん事件についての解明にもつながるという、そういう連関で考えていかなければいけないというふうに思うんですよ。
 そこで、時効の壁が捜査員の間では問題になっているわけですけれども、足利事件を含めたほかの事件の捜査を進めることを通じて全体を解明する、横山ゆかりちゃんの事件も解明するという、そういう立場に立っていただくわけにはいかないのかということを刑事局長にお聞きしたいと思います。
#42
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 私ども捜査に携わる者といたしましては、現在まだ時効が完成しておりません横山ゆかりちゃん事件を突破口として全容を解明したい。そのためにいろいろな捜査手法があると思います。また、横山ゆかりちゃん事件につきましても、今も多くの情報が寄せられておりますので、群馬県警はもとより、関係警察が連携を取りながら、そうしたことで一体となった捜査を進めてまいりたいというふうに思っております。
#43
○有田芳生君 この五つの事件の解明については、今までお話をして質問をさせていただいた時効の壁と同時に県境の壁があるのではないかと、どうしても外から見ていると思わざるを得ないのです。
 元最高検検事の土本武司さんは、警察庁が栃木県警、群馬県警に事件解決のために横断的な指示を出すことがあってしかるべきではないかと、そのように指摘をされているんですが、そういった体制を取ることはできないでしょうか。
#44
○政府参考人(舟本馨君) お答えいたします。
 この警察庁の指示につきましては、既に先ほどもお答えいたしましたとおり、群馬県警、栃木県警との合同の情報共有、また調整というものを図っておりますし、これからもしっかりと図ってまいりたいというふうに思っております。
#45
○有田芳生君 菅家さんが傍聴してくださっておりますけれども、私は菅家さんから詳しくお話を伺いました。
 そのとき、取調べのときに暴言を吐かれ、あるいは椅子をけられ、非常に恐怖の下で自白をせざるを得なかった、だから、大臣所信の中でも触れられておりますけれども、取調べの全面可視化が必要であると。そのことを菅家さんの冤罪事件からも私たちは酌み取らなければいけないということと同時に、菅家さんはそのお話の中で、自分は冤罪であったということで、それで真っ白ではないんだと菅家さんはおっしゃるんですよね。灰色なんだ、えっ、何で灰色なんですか、それは真犯人が見付かっていないからだ。中には、心ない人は、菅家さんが怪しいんじゃないかなんというのは今だって言う人がいるわけですよ。だからこそ、菅家さんの無念というのは今でも続いている。だからこそ、この足利事件を含めた五つの事件の真相解明を図らなければなりません。
 と同時に、足利事件の被害者の松田真実ちゃんのお母さん、松田ひとみさん、被害者の御家族も、時効を何とか克服してもらいたい、そのような思いで、今日皆様方にお配りをしておりますけれども、私の事務所が松田真実ちゃんのお母さんの松田ひとみさんからの聞き取りを行いまして、メッセージとしてまとめさせていただいて皆様方にお配りを、今してくださっているんですかね、そういう思いを述べられております。もう時間の関係がありますので、要するに時効を何とかしてほしいと、どこかで真犯人はのうのうと暮らしているんだと。「何よりも罪を犯し、罰を受けなければいけない真犯人が、安心を約束されていてはいけないと思います。皆様方全員が、「対岸の火事」とは思わず、わが身に置き換えて考えて頂きたいのです。何卒、皆様方のお力で特例の時効延長の法律改正をお願いいたします。」、そのような思いを語っていらっしゃいます。
 もう一度繰り返します。実は、菅家さんが冤罪で誤認逮捕をされてから、弁護団は一九九七年にDNAの再鑑定を求めているんです、九七年。九一年の十二月に逮捕をされて九七年に弁護側はDNAの再鑑定を求めている。もし、DNA鑑定の技術の進歩によって、その段階でSTR法等含めて菅家さんのDNAの再鑑定をやっていたならば、二〇〇五年の公訴時効成立の間に再審が行われて菅家さんの冤罪がもっと早くに晴れていれば、菅家さんの無罪が確定して事件の再捜査も可能だったんですよね。そういう無念が、菅家さんも、御家族も含めて多くの方がいまだ抱えていらっしゃるんです。
 だから、これを政権交代の新しい政治の下で何とか乗り越えていかなければならないし、同時にこの場で申し上げておきましたら、これは一党一派の問題ではなく、私たち家族会を支援する会は、自民党の三原じゅん子議員も含め、あるいはこれからはみんなの党の議員の皆さんも中には加わってくださるということで、超党派でやはりこの足利事件を含めた五つの事件の真相解明を進めていかなければいけないというふうに考えております。
 そこで、法務大臣にお聞きをしたいんですが、そういう社会正義を新しい政治の下で実現をするためにも、そしてどこかでいまだ暮らしを続けている真犯人明らかにするために、そしてさらには、幼児に対する性犯罪が再犯の可能性が高いということがもうこれは統計的にも明らかになっている以上、再犯を防止するためにも、まず現行法で何らかの対処ができないのか、お聞きしたいというふうに思います。
#46
○国務大臣(平岡秀夫君) 今御指摘の点につきましては、現行法で対処ということでありますれば、菅総理も再犯防止ということに努力していくためにも捜査しっかりとやっていくということが必要だという趣旨のことをおっしゃっておられますけれども、先ほど来からありますように、まだ完全に公訴時効が成立していないというよりは、むしろ、多分殺人ということであるならば公訴時効は撤廃されているということでございます。
 その事件の捜査に資するためにも関連する事件についての捜査というものが行われていくというふうに、私としては先ほど来からの議論の中で受け止めさせていただいたところでございます。
#47
○有田芳生君 私はこの問題に取り組んできて、オウム事件を思い出します。私も取材者の一人としてオウム事件にずっと長くかかわってまいりました。そして、一時は破防法を適用するかどうかで国論は二分しました。学界でもいろんな意見が出て、ジャーナリズムでも賛成、反対起こりました。私は、そういう破防法をオウムに適用するかどうかというときに、そういう議論になれば賛成、反対でまとまらない、だからこそオウムのような大変な犯罪を起こした組織については新しい法律で対処していかなければならないということをテレビでも、あるいは様々な場所で発言をしてまいりました。
 そうすると、今でも忘れませんけれども、テレビ朝日の朝の番組で元検事の弁護士さんなどが、私は、今こそ新しい時代なんだから新しい法律が必要だと、オウム二法について積極的に作っていくべきだという発言をしたところ、一言、そんなことはできるはずがありません、法律の専門家の皆さんはそういう態度を取っていらっしゃった。だけど私は、そんなばかなことがあるかと。新しい時代には新しい法律で新しい対応をしていくことこそが社会正義を実現することだと確信をしておりましたから、当時、自民党の、後に総務大臣になった菅義偉先生と相談をしながらオウム新法を作っていただきました。オウム事件についても、そんなことできるわけがないと専門家の間で言っていたオウム新法は実現したんですよね。だからこそ、この足利事件を始めとする五つの事件についても、新しい発想で、もしかしたら新しい法律を作ることによって事件の真相解明を図っていかなければいけないというふうに考えております。
 もう一度繰り返します。大臣所信の中で平岡大臣は、法の持つ厳格さだけでなく、常に国民の皆様の常識というものを忘れることなくと、そのように発言をされました。こういう分かりやすい言葉は本当に好ましいものだと私は思っておりますけれども、法の厳格さというものを損なうことなく、国民の常識、つまり、菅家さんの無念を本当に晴らし、松田真実ちゃん、そして松田ひとみさんを始めとして五つの御家族の憤りと不安とこれまでの悩みを克服し、さらには、今でも足利、太田市で子供たちを育てていらっしゃるお父さん、お母さんのためにも新しい法律を作っていかなければいけないのではないかというふうにも思っておりますが、最後に法務大臣の御見解、御感想をいただいて、質問を終わりたいと思います。
#48
○国務大臣(平岡秀夫君) 委員の御指摘となっている点については、例えば再犯防止の視点、あるいは公訴時効の在り方の視点、いろんな視点が入った問題提起だというふうに思います。他方、憲法上の原則、あるいは近代刑法の在り方と、いろいろなことがこの問題についてもまたかかわってくるというふうに私も思いますので、今委員が御指摘になった点も踏まえながら、そういういろいろな原則との対応も考えながら考えてまいりたいというふうに思います。
#49
○有田芳生君 終わります。
#50
○中村哲治君 民主党の中村哲治です。
 本日は、平岡法務大臣の所信に対する質疑ということで、先日述べていただきました所信の中の法曹養成についての部分について質問をさせていただきます。
 大臣は、司法制度改革において新たに導入した法曹養成制度については各方面から様々な問題点が指摘されていると、この部分の冒頭で述べていらっしゃいます。特に、志願者が大幅に減っております。志願者が減るということは、この法曹養成制度がうまくいっていないことの一番大きな証拠であります。だからこそ、私たち民主党の法務部門会議の大勢は、現在問題となっております司法修習生に対する給費制を維持しないといけないと、そういう議論になっております。
 このように、法曹養成がうまくいっていない理由は、原因は、法科大学院の在り方にあるのか、司法試験の在り方にあるのか、法務省、文科省、それぞれから伺います。
#51
○国務大臣(平岡秀夫君) 今、中村委員が御指摘になりましたように、法曹養成の在り方については各方面からいろんな問題点が指摘されているというふうに思います。
 今、法科大学院の在り方に原因があるのか、司法試験の在り方に原因があるのかという択一的な御質問でありましたけれども、そこのところはいろんな原因が、何といいますか、相乗的に組み合わさって現在の状況が生じているのではないかというふうに私としては思います。
 そういう観点から、今年の五月に、法曹の養成に関する制度の在り方について検討するという観点から、法務大臣を含めまして、内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣が共同して法曹の養成に関するフォーラムを開催しているところでございまして、この場において指摘されている問題も含め、各種の問題についてしっかりと全体的に検討を進めていってほしいというふうに考えているところでございます。
#52
○大臣政務官(城井崇君) 文部科学省の立場をお答えを申し上げます。
 政府のワーキングチームの認識ということにもなりますけれども、新たな法曹養成制度については、多様な経験、能力を有する法曹を輩出することなど相応の成果を上げているという評価がなされている一方で、新司法試験の合格率が低迷をし、法曹志願者が大幅に減少するなど、制度全体が悪循環に陥っているという指摘があるというふうに承知をいたしております。
 これを好循環に変えていくためにはということで関係機関が連携をし、制度の抱える問題について共通理解を深めて制度全体を見直し、改善に取り組んでいくことが必要でありまして、先ほど平岡大臣からもお話がございました法曹の養成に関するフォーラムなどにおいて関係者と議論をしてまいりたいと思っております。今月、その再開第一回があったところでございます。なお、法科大学院についても、これまでも、中央教育審議会法科大学院特別委員会が提言した教育の改善方策を踏まえ、入学定員の削減等の改善に取り組んできているところでございます。
 文部科学省といたしましては、中教審が実施する教育の改善状況の調査や、深刻な課題を抱える一部の法科大学院に対する財政の支援の見直しにより、引き続き、法科大学院に対し、教育内容そして方法の充実や入学定員の削減を始めとした組織見直し等の改善を促してまいりたいというふうに存じます。
#53
○中村哲治君 今、結局、法曹養成フォーラムで議論をしていますという答弁と、中教審の法科大学院特別委員会でされた提言を基にしっかりやっていますというようなことが言われているだけで、原因がどこにあるのかというようなことに関しての端的なお答えはありませんでした。
 もう一度お聞きいたしますが、平成十三年六月十二日、司法制度改革審議会の意見書で示されていた方針であるにもかかわらず、なぜ法科大学院は平成二十二年ごろに三千人という合格者を出せるような教育をできていないのでしょうか、また、司法試験は受験者の七、八割が合格するという結果になっていないのでしょうか。文部科学省、法務省の順にお聞きいたします。
#54
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 司法試験合格者数については、法曹人口の大幅な増加が喫緊の課題であるとの司法制度改革審議会の意見書を踏まえ、平成十四年三月の閣議決定によりますが、司法制度改革推進計画において、平成二十二年ころには年間三千人程度とすることを目指すとされたところでございます。
 また、同意見書では、法科大学院の学生が在学期間中その課程の履修に専念できるようにする観点から、法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度、例えば七、八割ということでありますが、これは単年度の合格率ではなくていわゆる累積の合格率といたしたものでありますけれども、そうした人たちが新司法試験に合格できるように充実した教育を行うべきというふうにされております。
 法科大学院につきましては、その修了者に対し一定の評価がなされている一方で、一部の法科大学院において新司法試験の合格状況が低迷するなどの課題を抱えているということも指摘されているということであります。中央教育審議会法科大学院特別委員会では、平成二十一年四月に、法科大学院教育の質の向上のための改善方策については体系的な提言を取りまとめており、各法科大学院では、同提言も踏まえて入学者の質の確保や教育体制の充実、成績評価の厳格化などに取り組み、質の高い修了者を輩出するよう改善に取り組んでいるところでございます。
 文部科学省といたしましては、特別委員会が実施する教育の改善状況の調査等を通じ、各法科大学院による改善取組の加速を促進してまいりたいと存じます。
#55
○国務大臣(平岡秀夫君) 司法制度改革推進計画の中で言われておりました話は今の答弁の中で尽くされていますので、私からは繰り返すことはいたしませんけれども、現在の司法試験の合格者については、司法試験委員会におきまして、法曹となるべき能力の有無を判定した上で決定されるということになっているところでございます。
 その結果として、残念ながら合格者数は約二千百人程度にとどまっているということでございまして、御案内のように、その合格率についても、当初の意見書の中に示されていた七割、八割といったようなところには届いていないというのもまた事実というような状況でございます。
 その原因については様々な見方があると思いますけれども、先日も少し政務三役で議論したときには、やはり法曹のニーズというものが当初予定していたほどには進んでいないというようなところに根源があるのではないかといったような、もっともっと、何といいますか、法曹養成だけじゃなくて、社会の在り方にまで議論として考えていかなければいけないんじゃないかと、こんなところの議論もしたというところでございまして、いずれにしても、現在開催中の法曹の養成に関するフォーラムにおいて、法科大学院の在り方あるいは司法試験の在り方も含めて全体的に議論を進めていく予定としているところでございます。
#56
○中村哲治君 今大臣おっしゃいましたけれども、社会のニーズが少ないから司法試験の合格者が二千人余りにとどまっているわけじゃないでしょう。今大臣の答弁にあったように、司法試験委員会が考査委員会としてレベルがそこまで至っているかどうかということを判断したときに、二千人余りでしか合格者が出せないというのが状況じゃないんですか。
#57
○国務大臣(平岡秀夫君) ちょっと私が舌足らずだったですけれども、私が申し上げたいのは、今、この法曹養成に関する問題というのが全体的な問題としてあると、その根源がどこにあるんだろうかという議論をいろいろとしているということが他方にあり、その中でこの二千人という結果が出ているということについて言えば、先ほど答弁申し上げたように、それは司法試験委員の方でそれだけの法曹に値する能力があるのかどうかということを選定していく中で、結果的にその判定は二千人にとどまっていると。
 じゃ、その二千人にとどまっているのはなぜなのかと。これはどんどんどんどん遡っていきますと、例えば受験者の数あるいは受験者の質、そしてそこに至るまでの法科大学院の陣容、陣容といいますか、法科大学院における制度の状況、なぜその制度の状況になっているのかと。そうすると、法科大学院に入学する人たちがやはり減少して、入学を目指している人が減少してきている。
 じゃ、そういう入学を目指す人が減少してきているのは何なんだろうかといえば、出口のところの、例えば法曹家になっても、法曹に対するニーズが少ないためになかなか仕事が、いい仕事が見付からないというふうな形になっている。そういうふうにいろいろと循環をしているという意味で、根源的なところに、どこにあるのかということをちょっと中で議論したときの話として紹介した次第でございます。
#58
○中村哲治君 そうなんです。
 だからこそまず考えないといけないのは、司法試験で二千人余りしか通らないというのは、これはニーズが少ないから通らないんじゃなくて、その時点での法曹としての資質を兼ね備えているのかという試験をしたときに、今までの法曹の人たちから試験委員が選ばれているわけですけれども、そういった人たちから見て法科大学院で十分な効果を上げられていない、結局、受験をしても二千人余りしか通すことができないという、そういうふうな教育効果しか法科大学院は得られていないということなんです。ある意味で入学試験のセレクションも甘いのかもしれません。
 志願者が、もうどうせ法律家になれないような志願者しか入学しないのであれば、そこは絞らないといけないというのが法科大学院の在り方であるはずです。そこは、まず指摘をさせていただきます。
 それから、先ほど城井政務官の答弁の中で、この平成十三年の司法制度改革審議会の意見書の中で、「法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約七〜八割)の者が新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである。」と。ここについては、一回の試験ではなくて、そのトータルとして七、八割だというふうに今御答弁されました。それはこの意見書のどこに書かれているのでしょうか。
#59
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 この意見書のどこに書かれているかということでありますけれども、今私が申し上げましたのは、その意見書に書かれている部分と、その意見書作成に当たっての経緯を通じた部分で今御説明を申し上げたところでございます。
#60
○中村哲治君 その意見書の経緯の部分というのはどこですか。
#61
○国務大臣(平岡秀夫君) 司法試験の方の合格率との関係ですので、私の方から答弁させていただきたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。
#62
○中村哲治君 私は、本文のところで、もう一回読みますと、意見書にはこう書かれております。
 「法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約七〜八割)の者が後述する新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべきである。」と。私はこの教育の質のことを聞いているんですよ。だからこそ、いや、三回受けて、そのときで七、八割だったらいいんですよというようなことを、それじゃどこに書かれているのかと。
 私は、この意見書が出たときに、私自身は司法試験も受けていましたから、やはり医者と同じような形で一回の試験で七、八割が受かるのが普通だろうと、だから三回だったら大体九割以上は通るようになってくる、それだったら三年のロースクールの意味があるんじゃないかと、そういうふうに考えておりましたし、そういうふうに印象を受けておりました。しかし、それでもなお三回で七、八割というふうなことを言われる根拠というのはどこにあるんでしょうか。
#63
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 今、委員からも御指摘ございましたけれども、この試験については修了後五年間で三回の受験した結果、その累積でということで考えておりますけれども、その部分につきましては、この仕組み自体が想定したものからこの三回の受験をした結果を考えたときには、何と申しますか、仕組み自体が三回を、何というか許容していることを考えますと、その三回の中で考えるということが合理的ではないかというふうに考えているところでございます。
#64
○中村哲治君 ここの部分につきましては、もう堂々巡りの議論になるので、また違う観点で後ほど議論させていただきたいと思います。
 やはりそういうことを考えていくと、法科大学院の在り方、司法試験の在り方、それぞれの在り方について詳しく具体的に検討していかなくてはなりません。
 そこでまず、法科大学院の在り方について検討をさせていただきます。
 実務家養成機関であるにもかかわらず、法科大学院では、司法試験に受かっていない教員が多数教鞭に当たられております。昨日、質問通告のときに資料請求させていただきまして、専任教員合計が千六百三十二人、そのうち実務家教員は五百三十四人で三二・七%、研究者教員は千九十八人で六七・三%ということでございます。
 私の感覚からすれば、実務家養成機関にもかかわらず司法試験を受かっていない研究者教員が六七%もいると、これは異常なんじゃないでしょうか。やはり、全員とは言いませんけれども、司法試験に通っていない教員は例外的にすべきではないでしょうか。どのような考え方を法務省、文科省はされているんでしょうか。
#65
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 今の御指摘の点でありますけれども、法科大学院は、司法制度改革審議会の理念を踏まえながら、法学教育、そして司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成の中核機関でありまして、体系的な理論をまず基調にしながら、そして実務との懸け橋の部分を強く意識した教育を行うというものでありまして、研究者教員、ここは司法試験を通っているとは限らない部分でありますけれども、そうした方々と法曹三者を中心とした実務家教員の双方が教育に参加しているというところでございます。
 各法科大学院におきましては、この理論と実務の架橋を図る観点から、研究者教員と実務家教員が適切に役割分担をするとともに、連携協力をして共同で授業を担当するなど、授業内容、方法等について様々な工夫を行っているところでございます。
 文部科学省といたしましては、各大学においてそれぞれの教育理念にのっとり、担当する授業科目等との関係において適切な人材を登用しているものというふうに認識をいたしております。
#66
○国務大臣(平岡秀夫君) 基本的には、法科大学院の教員の在り方という点については、優秀な教員を確保すること、当然重要であろうというふうに思いますけれども、具体的には、法科大学院の専任教員については専門職大学院設置基準において要件を定めているということで、この内容については、今、城井大臣政務官の方からお話があったとおりだということでございます。
 ただ、それが本当に法科大学院としてしっかりと教育できる体制になっているのかどうかというような点について言えば、また第三者評価機関といったようなものとして、法科大学院を対象とした認証評価機関、日弁連法務研究財団、あるいは大学評価・学位授与機構、大学基準協会といったようなところが評価機関になっておりますけれども、そこの評価の対象にもなっておりますので、そこからもしっかりとした評価をしていただきたいというふうにも思っているところでございます。
#67
○中村哲治君 今、城井政務官から、理論と実務の架橋をするのが法科大学院という目的が述べられました。それじゃ、果たして本当にそれができているのかということなんです。理論家が三分の二で実務家が三分の一、それが効果を上げているというふうに例えば学生は思っていますか。それについては調査されていますか。
#68
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 調査の件でありますけれども、文部科学省としては承知をしておりませんけれども、各大学におけるアンケート等を通じて把握しているものというふうに認識をいたしております。
#69
○中村哲治君 実務家教員というのは二年なり三年なりで替わっていくんですよね。そして、研究者教員というのはずっと残っていくので、教授会でも研究者教員の言うことで大体運営が決まっていくというのが私が大体実務家教員に聞いた答えです。そういうことであって、どんどん現場の実務者教育から懸け離れていくようなプロセスになっていくんじゃないかと。上位校はかなりうまくいってやっているわけですよ。しかし、そこについての総合的な取組を少なくとも担当政務官や担当副大臣は御認識の上で、ピンポイントとしてどこがどうおかしくてどういうふうに変えていくのか、実務家教員が割合が少ないところのそういうような成果はどうなっているのか、そして学生の声はどうなのかということも聞いていただく必要があるんじゃないでしょうか。いかがですか。
#70
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 今委員御指摘の部分につきましては、極めて重要な御指摘だというふうに考えております。とりわけに、今各大学における取組を相当自主的に組んでいただくようにということで我々も注視をいたしておるところでございますけれども、その実態の把握、とりわけに理論と実務の懸け橋の部分を重視しながらという、何というか、そもそものスタートの部分の議論はあるにいたしましても、その部分が実践としてどうかというところ、とりわけに今法科大学院の存在の意義が問われている時期でもありますので、その点はしっかり受け止めさせていただきたいというふうに思います。
#71
○中村哲治君 そこで、法科大学院側の自主的な取組としては、コアカリキュラムという、法科大学院ごと共通したカリキュラムを組んで教育の実効性を上げていこうという取組がされているようでございますが、このコアカリキュラムという取組について御説明いただけませんでしょうか。
#72
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 法科大学院におきましてはプロセスによる法曹養成の中核を成すものでありまして、その修了生について、司法試験、司法修習を経て、将来法曹として活躍するために必要な一定の資質、能力を習得させることが必要であります。
 そのため、修了生が共通に備えておくべき能力について関係者で共通理解を得、その質を保証することが重要であり、このような観点から中央教育審議会法科大学院特別委員会が平成二十一年四月に取りまとめた報告におきまして、今議員から御指摘がありました全ての法科大学院における共通的な到達目標、いわゆるコアカリキュラムでありますけれども、この策定の必要性が提言をされ、昨年九月には法科大学院の教員や法曹関係者が参画する調査研究班がそのモデルを策定したところであります。
 共通的な到達目標は法科大学院における学修として共通に必要な最低限の水準、片仮名で言えばミニマムスタンダードということになろうかと思いますけれども、これを定めるものでありまして、各法科大学院においてはこれを参考としつつ、それぞれの教育理念にのっとり創意工夫による教育を行っているものというふうに認識をいたしております。
#73
○中村哲治君 そのようなコアカリキュラムについてはまた後で議論をさせていただきたいと思いますが、文科省から今日の御答弁にもありますように、平成二十一年四月に中央教育審議会の法科大学院特別委員会が提言を出していて、その提言に基づいて法科大学院の改革を進めているという、そういう御回答でありました。
 しかし、私としてはまだまだ危機感が足りないんじゃないかと思っております。今民主党の法務部門会議の中では、法科大学院はもう全廃すべきという法科大学院全廃論も出ています。また、予備試験に一本化すべきだという一本化論まで出ております。今の議論の流れでは、残しても三年合格率や五年合格率の高い上位校のみ残せばいいんじゃないかと、あとはもう予備試験で対応すればいいんじゃないかというような議論も出ております。多分そういうふうな形になるんじゃないかなと思います。
 しかし、本当にそれでいいのかということもありますので、私は地域ごとに教育効果の高い教育機関として再生をしていくべきなんではないかと考えております。そうすると、今の中教審の提言よりももう少し速いペースで統廃合を促進していくべきかと考えておりますけれども、文科省、法務省の見解を伺います。
#74
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 先ほどから答弁させていただいておりますように、各法科大学院での努力というところもありますけれども、中央教育審議会の法科大学院特別委員会におきましても平成二十一年四月の報告書におきまして、単独では質の高い教員や入学志願者の確保が困難な法科大学院については他の法科大学院との統合等を検討する必要があるという提言がなされております。
 さらに、先ほども少しお答えを申し上げました、いわゆる法科大学院の自主的、自律的な組織見直しを促すために、例えば公的支援の見直しを検討すべきという提言もなされておりまして、そうしたものを受けまして、文部科学省といたしましても、この新司法試験の合格率や入学選抜における競争倍率を指標とした財政支援、具体的には国立大学法人運営費交付金でありますとか私学助成ということになりますけれども、そうしたものを見直すということを昨年の九月に発表したところでございます。
 この法科大学院の統合等を行うかどうかというのは設置者の判断ということでございますけれども、ただ、先ほどからの、委員からも御指摘があった危機感が足りないんじゃないかというところについては我々も共有するところであります。そうした深刻な課題を抱えている法科大学院の取扱いについては、一層自主的、自律的な組織見直しなどの改善をより一層促してまいりたいというふうに思います。
#75
○中村哲治君 私は、法曹養成制度に関する検討ワーキングチームに、議論に参加をしておりました。当時、法務大臣政務官を務めておりましたのでそういう機会でも発言をさせていただきました。
 平成二十二年の七月六日にこのワーキングチームによる検討結果を取りまとめさせていただきまして、そこのところで、組織見直しについては、「法科大学院の統廃合を含む組織見直しを実効的に促進するために、認証評価を活用すべきであるとの指摘や、平成二十二年三月に法科大学院特別委員会が提言したとおり、新司法試験の合格実績を十分に挙げていない法科大学院について財政的支援の見直し(国立大学法人運営費交付金・私学助成金を削減すること)や人的支援の中止(法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律(以下「派遣法」という。)に基づく裁判官及び検察官の教員としての派遣要請に応じないこと)といった措置を検討すべきであるとの意見があった。」と、こういうふうな取りまとめをさせていただいたから、やっと平成二十二年九月十六日に文科省としては「公的支援の見直しについて」ということがされたわけです。
 いかにも法務省とのこのやり取りがなければ自主的には文科省がこの取組をやらなかったというのは、私、ワーキンググループに出て実感しております。
 だからこそ加速をしないといけないんじゃないかと言っているにもかかわらず、実際それじゃ、平成二十三年の、今年の結論を受けて、入学選抜等の結論を受けてどれだけのことを二十四年度以降されようとしているんですか。
#76
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 繰り返しになりまして恐縮でありますけれども、先ほど申し上げた、いわゆる財政支援の見直し等も通じながらの法科大学院の、それを受けての取組の作り直し、見直しというところを今注視している途中でありますので、その自主的で自律的な組織見直しなどの改善を促していくというところを引き続きまずは注視をさせていただきたいというふうに存じます。
#77
○中村哲治君 党側での議論からすると、今のような答弁というのはいかにも、城井さんの個人的な意見じゃないのでそういう答弁になるというのはよく分かっているんですけれども、危機感が文科省としては足りないということを改めて指摘はさせていただきたいと思います。
 今日は質問通告をしていないので聞きませんが、もうこの段になったら人的支援の中止もやっぱり考えていくべきであるのではないかなと、そういうことは改めて法務省の皆さんにもちょっと指摘だけさせていただきたいと思います。
 それで、次は司法試験の在り方について議論をさせていただきたいと思います。
 法科大学院の見直しを進めるとしても、今までの学生にしわ寄せが来るような見直しではよくありません。ただ、いわゆる三振制度、五年内に三回しか受けられないという制度はやはりここで見直すべきではないでしょうか。
#78
○国務大臣(平岡秀夫君) この新しい司法試験の中で三振制度が設けられた趣旨については委員も御理解いただいていると思いますけれども、旧司法試験については、受験競争の激化、合格率の低下、あるいは合格者の平均年齢の高齢化という事態がありまして、受験生の受験技術優先の傾向が顕著となって、法曹の質を確保する上で重大な問題が生じてきていた、長期間受験しても結局合格できないいわゆる司法試験浪人が多数発生して社会的損失が看過し難いといったような弊害が指摘されていたということでございます。
 そういう状況の下に、新司法試験においては、合理的な範囲内で受験回数の制限を設ける必要があると考えられたことによって五年間で三回の受験ということに決まったというふうに承知をしているところでございます。ただ、今、これから御指摘もあろうかというふうに思いますけれども、この点についての問題点の指摘があるということも承知しているところでございます。
#79
○中村哲治君 その今の議論は、七、八割の卒業生が合格できるというような、そういう教育効果を上げていることが大前提ですよ。
 今、もう大臣、改めて聞きはしませんけれども、五年合格率、五年間たって三回受けてそして合格率何%かということが法科大学院ごとに出ております。これで、五年合格率で、平成十八年度修了者が二十三年度までの司法試験を受けた中で、七割以上合格を達成できている法科大学院は何校ありますか。もう改めて聞きませんけれども、七十四校のうち七校、八校ぐらいしかないわけですよ。そういうふうな状況の中で果たして三回というのが合理的なんだろうか、そういうことで皆さんが納得できるのか、法科大学院の今のこの五年間頑張ってこられた学生の皆さんが納得できるのかということを私は問うているんです。
 改めてそういう人には、予備試験をもう一回受けて、そして合格して次の年からまた受ければいいじゃないかという議論もあるかもしれませんが、ここは法科大学院が教育効果を上げていないという特殊事情に鑑みて、この五年間の修了生については回数制限をなくすとか、そういうことを考えるべきではないかと申し上げているわけですけれども、いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘の問題意識というものについては我々も持っているところでございますけれども、先ほど来からちょっと申し上げております法曹の養成に関する制度の在り方について検討するための法曹の養成に関するフォーラムにおいても、この受験回数制限の在り方について必要な検討を行っていただきたいというふうに考えているところでございます。
#81
○中村哲治君 私は、私事にもなりますけれども、私は司法試験五回受けました。五年間で諦めました。大学の同級生は昨年、旧試験、旧司法試験が終わるまで十六年間受け続けました。この彼と私の十年間の違いを考えても、本人の意思ではなく強制的に回数制限を設けるということは結局本人のためになるということは、私もそれはあると思います。それはあくまでも本人の側から見たときにそういうふうな制限を設けるべきだというようなことが理由になっているから、私は、三回ないし五回ないし十回がいいのか分かりませんけれども、そういうふうな回数が設定される、制限が設定されるというふうに見るべきじゃないんでしょうか。
 今のような形で理由を言われても、なかなか、法科大学院に通って、多額の借金を抱えて、そして試験を受けた。しかし、当初七、八割は通ると言われていたのに七割以上通っている法科大学院は全体の十分の一しかないと。そういうふうなことになっているということに対してどのように当事者である法科大学院卒業生の皆さんがお感じになっているのか。そのことに私たちは政治家として寄り添えているのか。これは与野党を超えた課題であると思いますけれども、そのことについての答えで本当に今のような答えでいいのかどうか。もしお答えいただけるのであれば答えていただいて、もし答えていただけないのであれば次の質問に行きたいと思います。
#82
○国務大臣(平岡秀夫君) まさに委員の御指摘については私も大変共感を覚えるところもございます。先ほどのフォーラムでも真剣に取り組むように、私の方からもお願いをしていきたいというふうに思います。
#83
○中村哲治君 積極的な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、司法試験の在り方についてなんですけれども、質問通告と少し順番を変えまして、先ほど文科省からの答弁にありましたコアカリキュラムについてお聞きしたいと思います。
 法科大学院側で今進められておりますコアカリキュラムの取組、これは司法試験にどのように生かされているのでしょうか。司法試験の内容がどのような形で法科大学院の教育に生かされているのかということと併せて、文科省、法務省から答弁をいただきます。
#84
○国務大臣(平岡秀夫君) 御指摘のコアカリキュラムについては、全ての法科大学院において学修することとして共通に必要な最低限の水準を定めたものと承知しておりますけれども、当然、法科大学院においてもこれを念頭に置いて教育が実施されているというふうに思っております。
 そのような教育を踏まえて、司法試験考査委員による司法試験問題の作成等が行われているものと承知しているところです。
#85
○大臣政務官(城井崇君) お答え申し上げます。
 私からは、司法試験の内容がどのような形で法科大学院の教育に生かされているかという点について答えさせていただきます。
 法科大学院の教育については、それぞれの教育理念にのっとり、創意工夫による教育が適切に行われているというふうに認識をいたしておりますけれども、個々の大学院ということで申しますと、例えば演習において判例や仮想事例を用いて議論するのと同じように、題材として新司法試験の問題を活用するという事例があるというふうに把握をいたしております。
#86
○中村哲治君 司法試験の問題を活用しているということであるのであれば、法科大学院においてはもう少し受験指導の割合を増やしていく必要があるんじゃないでしょうか。
 今、現場の意見を聞いておりますと、いや、文科省に聞くと、文科省はそういう過度な受験指導にならないようにだけを言っているけれども、そんなことやっちゃいけませんなんて言っていませんと、そういうふうな答弁が返ってくるんですけれども、そうではなくて、現場は、いや、文科省からもうそれはやるなと言われていますのでできないんですという話になっています。
 本当に司法試験の問題を生かすような形で演習等をされているんでしょうか。答案の書き方も含めて、適切な分かりやすい答案を書くような技術、こういったものはやはり身に付けていく必要があるんじゃないでしょうか。そういった受験指導といいますか答案の書き方講座みたいなものは各校でやられているという御認識でしょうか。
#87
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 法科大学院の日々の生活パターンと申しますか、学びのお話を聞いておりますと、これも担当と少し議論をさせていただいたんですが、いわゆる受験対策をするようなダブルスクールを組む暇はないというのが日々の生活の実態であるというふうに認識をいたしております。
 その意味では、あくまで法科大学院であって受験予備校ではないわけでありますけれども、そうした日々の取組の中でトータルで法曹人口を育成していくということを考えるならば、その中での工夫は、与えられた場所の最大限で工夫することは可能なのではないかというふうに思っております。
#88
○中村哲治君 工夫は可能ではないかと考えているということは、今やっているかどうか分からないということなのかなという印象を受けます。
 現場の声を聞かせていただくと、私も、法曹関係者多いわけでして、法務省の方も個人的に話をさせていただくと、娘が法科大学院へ行っていて卒業したとか、弁護士さんもそういう方がいらっしゃって、そういうふうな方に聞いたら、いや、法科大学院だけやっていたら落ちちゃったと、結局、後でみんなに聞いたら、やはりみんなダブルスクールやっていたと、そんな受験指導をそこで受けていたというのが現場の声ですよね。
 だから、そういったことを考えれば、今政務官お答えになりましたけれども、現状は不十分だと認めていただいた上で思いますと言っていただいたということは、これからそういうふうな形で、よりダブルスクールをしなくてもいいような形で教育内容を総合的に見直していくと、そういうふうな御決意と受け取って構いませんね。
#89
○大臣政務官(城井崇君) 今委員から御指摘をいただいた部分を十二分に受け止めさせていただいて、法科大学院において本来なすべき部分についてしっかりやれるように注視してまいりたい、取り組んでまいりたいというふうに存じます。
#90
○中村哲治君 積極的な答弁ありがとうございます。
 それと、そこと関係してくるのですけれども、教科書をどのようにこれからしていくのかというのは非常に大切な問題であります。予備試験が始まりましたので、予備試験を受ける受験生がどのようなテキストを使って勉強すべきなのか。それから、今まで法科大学院としてはコアカリキュラムというような形でしていただいているわけですけれども、そのような取組がされるのであれば、コアカリキュラムにのっとった、そういう標準的な教科書というのはやはり必要なのではないかという視点が出てまいりました。
 質問通告時に、今各法科大学院で使われている教科書についてはどのようになっているのかということを質問させていただきましたら、各大学に任されているという、そういうふうな回答でありました。私も通りはしませんでしたし、向いていなかったから通らなかったんだと思いますけれども、司法試験、また法律の勉強をしておりまして、学者の書いている教科書というのは正確だけれども難解、また自説の偏りもあります。一方で、司法試験予備校が作った参考書は分かりやすいけれども内容が不正確であると。こういった、両方問題があるわけですね。
 そうした中で、やはり国民から見て分かりやすい、法曹三者が作るような正確で分かりやすい実務者養成用の教科書が必要ではないかと考えますけれども、法務省、文科省、いかがお考えでしょうか。
#91
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 議員の問題認識、共有するところであります。
 その上ででございますが、ここは難しいんですけれども、法科大学院の教育内容というのは、その独自性と多様性をどうやって尊重していくかというところはやはり求められると。ですので、その教育内容にかかわる例えば教材の選定や作成については、各法科大学院に現在のところ創意工夫しながら決定せよということで今進めているところであります。
 仮に、例えば法科大学院教育にかかわる法曹三者の教員によりまして教科書が作成されるということが仮にある場合には、それを選択肢とすることは一つあり得るのではないかというふうには思いますけれども、それを採用するかどうかというところについては、あくまでやはり各法科大学院、その独自性あるいはその創意工夫というところの範囲に任されるものと、判断に任されるものというふうに存じます。
#92
○国務大臣(平岡秀夫君) 教科書の在り方というのは大変私は重要な話ではあるけれども、また難しい話ではないかというふうに思います。
 自分が法律を勉強しているときの経験からしても、何か人によっては基本書を何回も何回も読んで頭にたたき込んでいくというような形で勉強されている方もいましたし、人によっては同じ本を二度読むよりは別の本を読んだ方がいいというような勉強の仕方をされておられる方々もおられました。そういう意味で、学ぶ側においても教科書をどういうものを自分として選んでいくかということもあろうかと思いますけれども、教える人にとってみても、やはり教科書、どういうものを使っていったら最も教育効果が上がるというふうに考えるのかと、様々あろうかというふうに思います。そういう意味で、大変重要だけれども難しい問題だというふうに思います。
 御提案のあった法曹三者が作る正確で分かりやすい実務者養成用の教科書についてちょっと部内でも議論してみましたけれども、法曹三者が一致してまとまるようなものを作るのはなかなか困難ではないだろうかというような意見も多々出たということでございます。
#93
○中村哲治君 大臣、検討した上で困難ではないかという意見があったと、だからこそ、やってみる価値はあるんですよ。法曹三者が話し合って教科書を作ろうとしてまとまらないという、誰がまとまらなかったのか、それも全部オープンにしてやっていけば、そういうところで問題点も見えてくるかと思われるので、それは是非検討していただきたいと思います。
 それで、この議論というのは、いかに教育をしていくのかという、教育プロセスを標準化いかにしていくのかという、そういうふうな問題であります。これで教科書ともう一つ重要なのは、やはり教え方、講義の内容をいかにしていくのかということでございます。
 私は、政府の法務省と文科省でつくっていたワーキングチームのときでも申し上げて提案させていただいたことがあります。それは、未修者用には特に全国共通のビデオ講座をつくった方がいいのではないかということでございます。
 具体的には、各大学が競ってライブの講座をビデオに撮る、登録されたビデオ講座は各法科大学院の学生ならば誰もがそのビデオを見ることができ、勉強することができる、そして評価の高かった講座についてはアーカイブ化をする、そして次年度からネットで公開をすると。そのことにより、予備試験を受ける人や法科大学院に進もうと検討している人が学ぶための教材とすることができます。このような全国共通ビデオ講座があれば、アジア諸国に法曹養成制度を広めていく法制度整備支援にも活用できると、そこまで視野を広げることができます。
 大学では難しいのかということもあるかと思いますけれども、法科大学院協会に検討を促すつもりはないか、文科省に伺います。
 また、先ほどとも関係してきますけれども、大学では難しいということであれば、法曹三者でつくることはできないか、この点については法務省に伺います。
#94
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 先ほどの教材のお話と同様になるかと思いますけれども、ビデオについても、その中身、教育内容ということでは各法科大学院の創意工夫による独自性、多様性を尊重するというところがやはりベースになろうかというふうに思います。
 その上でですが、特にビデオという特性から申しますと、何というか一方的になってしまうのではないかと。人を見て法を説けという先達の言葉がありますけれども、やっぱりそこはお互いに顔が見えて双方向でというところが基本なんではないかと。そういたしますと、その部分が担保できるんだろうかというところの心配もありつつでありますが、そういうところも頭に置きながらでありますけれども、そうした講座を例えばビデオに撮って活用するということは選択肢だと思いますけれども、それをいわゆる国が推奨して全国共通でという形が本当にいいのかどうか。先ほどの創意工夫、多様性というところを頭に置くならば、仮にそれを行うにしても、文部科学省側から、国から検討を促すという形よりも、むしろ各法科大学院が知恵を結集するという形でお話しいただくという形の方が適切なんではないかというふうに存じております。
#95
○国務大臣(平岡秀夫君) 基本的には、今、城井大臣政務官が言われたこと、私も同感でございます。
 各法科大学院で、やはりお互いにいい教育をどうしてやっていったらいいのかという、そういう競争というものも必要だというふうにも思いますし、是非、各法科大学院でどういう教育をするのかについてしっかりと検討していっていただきたいと、このように考えています。
#96
○中村哲治君 ということですので、やはり多様性、独自性という法科大学院のメリット、特徴があるわけですから、そういったことも含めて講座内容を公開してもらうということにつながるわけですね。そうすると、やはり司法試験を受けたい人、自分が法曹を目指したい人が法科大学院を選ぶときに、公開されている講座が幾つかあれば、あっ、この先生はこういう教え方するんだなと、どういう双方向のやり取りがあるんだなということで、それをチェックすることが利用者側からできるわけです。
 私は何も国の側から推奨してよと言っているわけじゃなくて、こういう形をやったらどうですかというような形でやはり法科大学院側に提案をしていくと、そういうふうな枠組みづくりが政府としては必要なんじゃないかと考えているんですが、城井政務官、もう少し答えていただけますでしょうか。
#97
○大臣政務官(城井崇君) 委員御指摘の趣旨は大変大きな部分があるというふうに思いますので、受け止めさせていただきたいというふうに存じます。
#98
○中村哲治君 司法試験の在り方にまた戻ります。
 司法試験や予備試験の合格基準についてはどのような基準を設けるべきなのかということは一つ議論になろうかと思います。今、司法試験考査委員や予備試験考査委員が内部で決めているということなんですけれども、その決め方について、それじゃ客観性がどのように担保されているのかということが一つ問題だという声も、そういう指摘もあります。
 私が一つ提案させていただきたいのは、例えば、入って一年目の検察官や裁判官に司法試験や予備試験の問題を解いてもらう、そしてそのときの得点分布などを参考にして合格の基準を決めるような資料にすると。
 今、司法試験に関しても予備試験に関しても、その試験内容、そして合格の点数を決めるのは考査委員なんですけれども、そのときの資料を用意するのは大臣官房人事課でありますので、そのような資料として、このような取組で、入って一年目の裁判官や検察官の解いた得点分布というものを参考資料として付ければいいんじゃないかと、そうすると客観性が担保できるんじゃないかというふうに考えているんですが、この点についてはいかがでしょうか。
#99
○国務大臣(平岡秀夫君) 委員御案内のように、司法試験あるいは司法試験予備試験については、委員会制度の下で中立性、独立性のあるものとして、各試験の合否判定はその委員会に置かれた司法試験考査委員又は司法試験予備試験考査委員において専門的見地から行われているということでございます。そういう仕組みを取って委員の合議によって判定をしているということでありますので、基本的には司法試験委員会においてどういうふうにするのが最も適切な判断ができるのかということを考えていただく問題ではないかというふうに思います。
 今私の方から司法試験委員会等に対して、こういうふうにすべきだ、ああいうふうにすべきだということについてのコメントをすることについては適当でないと思いますので、その点については差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#100
○中村哲治君 私は、そのようにすべきと法務大臣に委員会の方に言ってくれと言っているわけじゃないんです。今それを徹底するのであれば、事務方も大臣官房人事課が行うのもおかしいわけですよ。いろいろな資料の整理をするのもおかしい。
 そうではなくて、資料の整理をするときに、その資料の一つとして、入ってきた一年目の裁判官や検察官が試験を受けた場合にはどれぐらいの点数が取れました、どういうふうな答案でしたというふうなことを考査委員の方々にお示しをすると、そういうことは一つの資料の提供としていいのではないかということなんですけれども、御認識はいかがでしょうか。
#101
○国務大臣(平岡秀夫君) 法務省の事務方が司法試験委員会のお手伝いをするといいますか、事務局として活動しているということはまさにそのとおりでありますけれども、あくまでもこの司法試験委員会の判断の下といいますか指揮の下といいますか、そういう下で行われているというふうに私としては承知しておりますので、その範囲内でどういう判定の仕方をするのがいいのかということについての情報提供ということについてはしていければいいと思いますけれども、あくまでもそれは司法試験委員会の判断の下で、指揮の下で行われていくべき問題だというふうに思います。
#102
○中村哲治君 また、別の考え方としては、考査委員が自分の専門以外の問題を解いてみると。実務家として必要な知識を問うのであれば、そのような幅広い知識を見るということであるのであれば、専門外のものでどれぐらい解けるのかということをやってみて、それを採点の基準にしていくと、そういうことも考えられると思うんですけれども、これについては答えられないということでしょうかね。
#103
○国務大臣(平岡秀夫君) これは法務大臣としてというよりは一法律を勉強した者としてという感じで聞いていただければというふうに思いますけれども、そういう形にすると、考査委員になっていただける方が限られてくるといいますか、何となく気が、腰が引けてしまうんではないかというふうなところを危惧するところでございます。
#104
○中村哲治君 それでは、これで質問を終わります。ありがとうございました。
#105
○委員長(西田実仁君) それでは、午後一時に再開することといたしまして、休憩をいたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#106
○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#107
○桜内文城君 みんなの党の桜内文城でございます。
 平岡法務大臣、御就任おめでとうございます。
 役所の後輩として、法務行政、それから法律解釈論等々、是非御指導いただきたいと思っております。
 まず、お聞きしたいのが、北朝鮮に関するテロ行為等に関する情報収集について先般の大臣挨拶で触れられました。いろんな委員会で既に大臣御答弁されているところだと思うんですけれども、今回法務大臣に御就任されて、公安調査庁も所管されております。その中で、やはり大臣御自身がこの御挨拶でも触れられていらっしゃいますとおり、北朝鮮関係については、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいりますと述べられておりますけれども、二〇〇六年十一月十日の朝鮮大学校創立五十周年の記念行事に出席されて、更に祝辞を述べられたというふうに国会の場でも度々指摘されております。
 これにつきまして、やはり普通に国民目線から見ますと、公安調査庁を所管し、かつ北朝鮮の関連の情報収集をこれからしっかりとやっていくという大臣御自身が、過去、言わば、こういう行事に参加すれば、もちろん公安調査庁の調査対象といいますか、トラックレコードとして記録がされていくわけですけれども、その所管する大臣が事もあろうか調査対象になってしまう。このようなことについて、反省の弁なり、これからの抱負をお聞かせいただければと思います。
#108
○国務大臣(平岡秀夫君) お尋ねの朝鮮大学校創立五十周年記念祝賀会の出席の件でございますけれども、当然、その当時は私は野党の一国会議員という立場でございました。予算委員会などでも聞かれましたけれども、まず、なぜ行ったのかという点については、その場でもお答えいたしましたけれども、私の高校の大先輩である民法学者の末川博先生がこの朝鮮大学校に対していろいろな支援をされ、協力もされてこられたという御縁を私も知っておりましたので、案内があったときに参加をさせていただいたということでございます。
 そのときにも申し上げましたけれども、そこでは、大学関係の方々で埼玉大学の鎌倉名誉教授とか、これは挨拶ですが、され、日本体育大学の正木名誉教授、東京国際大学の下羽教授、早稲田大学の木名瀬名誉教授が祝辞を述べられたということでございます。私自身は行っていただけだったんですけれども、挨拶を頼まれて、私と末川先生との成り行きについて挨拶の中でお話をさせていただいたというようなことでございます。
 当時、野党のそういう一議員という立場で参加させていただいたわけでありますけれども、今委員が御指摘になったように、今私はこういう立場に立った中で、公安調査庁の言葉を借りて言えば、関心を持って調査しているという、そういう対象先ということでもございますので、私の行動については十分に注意をしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#109
○桜内文城君 是非、今おっしゃったとおり、十分注意して法務大臣としての職務に注力していただければと思います。
 先般のこの委員会で国籍法の一部を改正する法律の施行状況に関する報告がなされました。これについて少しお聞きいたします。
 数字は先般御説明いただいたとおりでありますし、またその後、少しより詳しい数値等を私も法務省から事前にお聞きいたしました。いわゆる虚偽認知なりで過去不受理になった件数が十九件、この二年半ぐらいの間に生じておると。さらに、一番悪いケースですけれども、一旦受理していながらその後虚偽認知が発覚し、結局不受理となった事案も二件報告されております。
 やはりなかなかこういった完全を期すことは難しいかとも思うんですけれども、この改正法の際の国会での議論でも多々あったと思うんですけれども、なるべくこういった虚偽認知等々が生じないような工夫というものもそろそろ立法的にも考えていく必要があるんじゃないかというふうに考えるところでございます。
 特に、若干コストは掛かるとはいえ、不審な事案についてはDNA鑑定を求めるですとか幾つかやり方もあろうと思うんですけれども、今後そういった立法上の検討を進めていくべきではないかと考えるんですけれども、法務省の御見解をお尋ねいたします。
#110
○政府参考人(原優君) お答え申し上げます。
 今委員から御紹介していただきましたとおり、改正国籍法の審議の際にも、虚偽認知による不正な国籍取得をどうやって防止するのかということが議論になりまして、父子関係の確実な確認方法としてDNA鑑定というものを導入すべきではないかという御意見がございました。ただ他方で、様々な観点からこのDNA鑑定の導入には消極的な意見も多数あったわけでございます。
 このように、DNA鑑定を導入することにつきましては様々な意見がございますので、そういうことを踏まえますと、更に今後の施行状況を注視し、事例の集積を待った上でこの問題については慎重に検討するのが相当であるというふうに考えております。
#111
○桜内文城君 その意味でも、すぐに事が決着するような話じゃないと私も認識しておりますけれども、今やられておりますこういった状況の報告、これは法律上当分の間とされておりますけれども、もう少ししばらくの間、長くやはり実態を見ていく必要があるかと思っております。
 もう二年やったからこの辺でいいやと言わずに是非続けていっていただきたいんですが、その辺の今後の見込みについてお尋ねいたします。
#112
○政府参考人(原優君) この改正国籍法の施行状況報告は、国籍法の改正について御審議をいただいた際の当委員会の附帯決議で求められたものでございまして、附帯決議におきましては、当分の間、施行状況を報告するということになっております。
 したがいまして、この当分の間をいつまでやるかということにつきましては当委員会において御判断いただくものと承知しておりますが、いずれにしましても、私どもとしましては、附帯決議の趣旨にのっとりまして、引き続き厳正な調査をするとともに、施行状況を注意深く見守っていきたいというふうに考えております。
#113
○桜内文城君 ありがとうございます。
 次に、昨年以来何度もこの法務委員会で取り上げさせていただいています尖閣事件について、再び蒸し返すつもりじゃありませんけれども、お尋ねいたします。
 昨年こういった尖閣事件が生じまして、当委員会のみならず予算委員会等々でも、そもそもそのような、今回、最初は処分保留の上釈放、結局不起訴処分という形になったわけですけれども、その経緯というものがなかなかまだ、一年たった今なお十分に明らかにされておりません。昨年の予算委員会の質疑の際、私から当時の仙谷官房長官にお尋ねしたところ、閣僚といいますか、内閣は一切、処分保留の上釈放という判断にはかかわっていないというふうに明言されております。
 ただ一方で、そのころから何度も刑事訴訟法上の検察官の裁量の範囲ということで私はずっと問題提起をさせていただいておるところでございますけれども、大臣に二点まずお伺いしたいと思います。
 後ほど自民党さんからの御質問の中でもあるようですけれども、新聞報道等によれば、そのような官邸内での政治的な判断というのが実際にはなされていたということが報道されておったりします。事の経緯、経過、事実関係として、法務大臣として述べられるところ限られているかとも思いますけれども、できるだけつまびらかにしていただきたいというのが一つ目。
 二つ目が、那覇地検の判断であるというふうにずっと政府としてはおっしゃっていらっしゃいますけれども、刑事訴訟法二百四十八条の起訴便宜主義の検察官の裁量の範囲といたしまして、犯罪後の情況、これを大変広く解釈して、外交関係への配慮というものもこれに含まれるんだというような御答弁を、当時の法務大臣あるいは予算委員会での官房長官等々の御答弁にもありました。
 しかし、少なくとも、当時、処分保留の上釈放と、処分保留という段階ですので、その後実際に起こりました検察審査会での審査というものもまだ行われていない。そのように、対抗手段といいますか、手続的にそういう疑義があるものがそれを提起できない状況の下で、このようにもう無限に広く検察官の裁量の範囲を解釈していくというものは、私はこれはむしろあってはいけないんではないかと考えております。おのずと検察官の裁量の範囲というものには限界というものがある、特にこういった外交関係への配慮というものが刑事司法において考慮されることがあってはならないと考えるわけですけれども、そういった意味で私は、那覇地検の判断というのは、もし実際に那覇地検がやったとすれば刑事訴訟法二百四十八条違反だというふうに解釈いたしますけれども、この刑事訴訟法上の解釈、適用等について法務大臣としてどのようにお考えになるか。
 この二点、事実関係とそれからこの二百四十八条の適用関係について御答弁いただければと思います。
#114
○国務大臣(平岡秀夫君) 経緯という話になりますと、どこからちょっとお話しするのがいいのか、事件が発生したところからというと結構長くなってしまいますので、釈放のところぐらいからお話ししたいと思いますけれども、九月の二十四日に那覇地検が釈放方針を発表いたしまして、九月の二十五日に被疑者を釈放したと。そして、一月の二十一日に那覇地検が不起訴処分にいたしまして、四月の十八日、今度は那覇検察審査会が公務執行妨害事件に係る不起訴処分について起訴相当議決を出したと。六月の二十二日に那覇検察審査会が、今度は外国人漁業規制法違反事件、艦船損壊事件、漁業法違反事件、これは検査忌避ですけれども、に係る不起訴処分について起訴相当議決を出したと。六月の二十八日に那覇地検が再度の不起訴処分を出したと。そして、七月の二十一日に那覇検察審査会が、公務執行妨害事件、外国人漁業規制法違反事件、艦船損壊事件について再び起訴議決をしたというふうな流れになっています。
 この流れの中で、先ほどの釈放についてでございますけれども、あくまでもこれは検察当局が国内法と証拠に基づき判断したものであって、先ほど新聞報道のお話もございましたけれども、そうした政治判断により行われたものではないというふうに承知をしているところでございます。
 そして、その釈放の判断に当たって刑訴法二百四十八条を根拠としているということで、その二百四十八条に言う犯罪後の情況の具体的な中身は何なのかという点について、委員が外交関係を考慮というふうなちょっと表現を使われたわけですけれども、外交関係ということではなくて日中関係を考慮というような形になっております。
 そこはこういうことになるわけでございます。刑事訴訟法第二百四十八条というのは、起訴、不起訴の判断に当たって考慮すべき諸事情として、犯罪や被疑者に関する情状に加え、犯罪後の情況を定めているところ、これには社会一般の状況の変化、あるいは起訴、不起訴等の処分が社会に与える影響が含まれるものと考えられるというふうに理解をされていまして、そうした状況の中で今後の日中関係等も考慮されたものというふうに承知をしておるところでございます。
#115
○桜内文城君 今の大臣の御答弁で一つ確認させていただきたいことがあります。私が外交関係と申し上げたところ、日中関係への考慮という文言をお使いになりましたけれども、日中関係というのは二国間の外交関係を指すのではないでしょうか。ちょっと一般的な理解として何をおっしゃっているのか少し理解しづらいものですから、確認を求めます。
#116
○国務大臣(平岡秀夫君) これは私の理解ではありますけれども、外交関係という場合は中心的には国と国との交わりというものではないんだろうかと。日中関係というと、それが除外されるわけではないとは思いますけれども、もっと幅広く日本と中国の関係と、外交関係だけにとらわれない、もっともっと広い関係ということではないだろうかというふうに思います。
#117
○桜内文城君 今の御説明もちょっと意味不明なわけですけれども、今回、こうやって検察官が職務として行うというのは、もちろんこういった刑事訴訟法あるいは刑法等の適用を行うか否かというのを職務とする方が、そういった法の適用関係以外のことを考慮して、確かに犯罪後大変反省しておるとか、そういうものもあって結構ですけれども、この日中関係という言葉の中でそういった、日本って何なのか、中国って何なのか、その主体は誰なのか、誰がどう考えたものなのかというのを考えたときに、外交関係ではないというふうにおっしゃることの意味がとても取れないんですけれども、もう一度確認を求めます。
#118
○国務大臣(平岡秀夫君) 釈放した当時に那覇地検の方からプレス発表したものがございまして、そこにはいろいろな、釈放するときなど、事件の大きさの問題とか、そういうのもあるわけでありますけれども、加えて、引き続き被疑者の身柄を勾留したまま捜査を継続した場合の我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮いたしますと、これ以上被疑者の身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した次第でありますというふうに言っておりますけれども、私が申し上げた日中関係というのは、そういう意味では、国と国との関係だけではなくて、一人一人の、例えば中国にいる日本人の問題であるとか、あるいは日本にいる中国人の問題であるとか、あるいは相互に行き来している一人一人の問題であるとか、そういうものをひっくるめて全体的に日中関係というふうに私としてはとらえているところでございます。
#119
○桜内文城君 なおのこと意味不明なんですが、中国にいる日本人の関係と言い出すと、これは在留邦人の保護というまさに国としての責務にかかわってくるところでございます。実際あのとき、フジタの社員ですかね、一体どういった法律上の構成要件に基づいて逮捕、勾留されたのか、いまだもってよく分かっていないと聞きます。一体どういった罪名でそのように日本人が捕まってしまうのか、そのような関係こそまさに外交関係じゃないんですか。今、中国にいる日本人の関係も含むとおっしゃったんですが、それこそ外交関係だと考えますが、どうなんでしょうか。
#120
○国務大臣(平岡秀夫君) 私が申し上げたかったのは、外交関係という言葉の場合は国と国との関係というものが中心になっているということだろうというふうに思いますので、ここで那覇地検がプレス発表したときの表現というのは日中関係の考慮ということで発表させていただいているということを申し上げたかったわけです。
#121
○桜内文城君 押し問答でしようがないのでこの辺で切り上げますけれども、しかし検察官の職務を定める刑事訴訟法のこの手続上、これをどう解釈するかというときに、日中関係というのは外交関係と違いますと、法的な関係じゃないんですみたいな言い方されても、ここは法務委員会なんですから、日中関係といったものは外交関係じゃないというような、そういう詭弁が通ることもないと思います。
 余りこの件で、一つの文言で解釈論を延々やってもしようがないのでこの辺でやめますけれども、そこはやはり今の大臣の御答弁にあるとおり、十分に政府内でも整理ができていない問題だと、一年たった上でもこの刑事訴訟法二百四十八条違反なのかどうなのか、ここはもっと検証していく必要があると考えております。
 特に、この刑事訴訟法二百四十八条違反というのも私は問題だと思いますし、仮に二百四十八条違反でないとすれば、それはまさにかつての菅内閣、そして官房長官が常にこれまでもずっと否定してきた内閣の関与というものがあったということに逆になるわけですから、それこそ報道されているように問題だというふうに考えております。それを内閣が、あたかも自分たちは何も判断していない、したがって責任もないと。これほどの大きな二国間での、まさに日中関係においての事件について政府がそのような無責任な態度を取り続けることということが国民の批判を浴び、そして結局は菅内閣が最終的に総辞職に追い込まれていった、その契機だと私は考えております。
 もう一つ、尖閣事件についてお尋ねいたします。
 いまだもって例のビデオ、海上保安庁が撮影したビデオ、一部にしか開示されておりません。一部分、かつ全体的に開示されているのは相当限られております。もちろん予算委員会で御覧になった方もいるかとは思いますけれども、それも重要な逮捕の部分が含まれていないですとか、そのように情報が十分にいまだもって開示されていない、こういった状況にあります。
 同じく刑事訴訟法ですけれども、四十七条、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」。誰が相当と認めるのか否か、まずそこの解釈論をお伺いいたします。
#122
○政府参考人(稲田伸夫君) 刑事訴訟法四十七条に言います開示につきましては、その証拠書類等を保管しております捜査機関、この場合は検察官の判断であるというふうに考えております。
#123
○桜内文城君 昨年、予算委員会にビデオが出てくる際、わざわざ当時の官房長官がなるべく広く見せないようにという注意書きを添えて出されたと。その文書も皆さん持っておると思うんですけれども、これは一体何の権限があって官房長官がそのような文書を発出したんでしょうか。
#124
○国務大臣(平岡秀夫君) 仙谷長官の発出した文書の法的根拠については私の立場ではお答えする立場にはないわけでありますけれども、仙谷元官房長官が、当時は官房長官ですけれども、平成二十二年の十一月二十六日、参議院予算委員会において答弁したところによれば、国会法百四条という国会のまさに国政調査権の行使に対して、私どもが国会法百四条第一項、第二項、第三項、第四項の規定に基づいて、内閣としてもこの種の責任を持って要望を出すということをしたわけでありますというふうに答弁をしておられるというふうに承知をしております。
#125
○桜内文城君 国会法百四条は、もちろん皆国会議員である者分かっているはずです。
 そうじゃなくて、今お伺いしているのは、この刑事訴訟法四十七条との関係で、国会法百四条は別にいいんですけれども、これ適用関係はどうなっているんですか。
#126
○政府参考人(稲田伸夫君) 私の方から国会法につきましてお答えを申し上げるのがよろしいのかどうか若干ございますけれども、この場合は、刑事訴訟法四十七条で判断をすることはもちろんでございますけれども、その上で、四十七条で開示をするということになった場合に国会法との関係はどうなのかということも考えなければならない問題だろうというふうに考えております。
#127
○桜内文城君 今刑事局長がおっしゃったのは、まず刑事訴訟法四十七条で可否を判断した上で国会法百四条の適用関係に移るという段階的なものをおっしゃいました。
 であるとすれば、検察官あるいは検察庁あるいは法務大臣との間で何も話がないと、なかったと私はその当時予算委員会で聞いておりますけれども、逆に言えば、この刑事訴訟法四十七条を無視したということでしょうか。事実関係としてどうなっているのかを教えてください。
#128
○政府参考人(稲田伸夫君) その際に提出いたしました資料は那覇地検が保管しているものでございまして、まず那覇地検の方でこれを開示をするということについて刑事訴訟法四十七条に基づいて判断をした上で、その結果を踏まえられて、官房長官の方でといいますか政府の方で国会法の判断をされたものというふうに考えております。
#129
○桜内文城君 ですから、だから適用関係をお伺いしているんですが、要は刑事訴訟法四十七条では、恐らく那覇地検の判断としては特に開示を一部に制限するとかそういったものは言っていなかったと思うんです。単に開示するか否かだと思います。それを国会法百四条で、官房長官が官房長官名でその開示を制限するようなことをするのがそもそも認められるのか否かということです。
#130
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、前提事実といたしまして、開示をいたしました際に十月二十七日付けで那覇地検の方から衆議院あてに要望書を提出させていただいておりまして、御配慮をいただきたいということは申し上げております。
 また、さらに国会法につきましては、これは検察も行政機関の一つでございますので、行政機関として開示、不開示の問題を判断し、それは最終的に政府の方としても御判断があろうかと思いますので、その点につきまして国会法との関係で政府で御判断があったというふうに考えております。
#131
○桜内文城君 時間ですのでこれで終わりにしますが、何度も当委員会あるいは参議院の予算委員会でも指摘してまいりましたが、この民主党政権、大変法律を無視する、あるいは法律にないことを思い付きで行っていく、こういったケースが多々あったと思います。
 時間がないので今日はこれで終わりにしますが、今後、これに関連する質疑を当委員会なりで続けていきたいと思います。
 ありがとうございました。
#132
○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。よろしくお願いします。
 平岡法務大臣、大臣は民主党政権になって何人目の法務大臣でいらっしゃいますか。
#133
○国務大臣(平岡秀夫君) たしか五人目だったというふうに思います。
#134
○森まさこ君 歴代の法務大臣のお名前を挙げていただけますか。
#135
○国務大臣(平岡秀夫君) 最初が千葉景子大臣、その後が柳田稔大臣、そして仙谷由人大臣、そして江田五月大臣、そして私ということだと思います。
#136
○森まさこ君 大臣が御就任になったのは何月何日ですか。
#137
○国務大臣(平岡秀夫君) 九月二日でございます。
#138
○森まさこ君 御就任から二か月が過ぎようとしております。私、なぜ今冒頭このようなことをお聞きしたかと申しますと、私、千葉景子大臣のころからずっとこの法務委員会で自民党の筆頭理事をさせていただいておりますけれども、大臣所信のたびにむなしい思いを感じているものですから質問をさせていただいたということなんですね。
 民主党政権になって二年ちょっとですか、平岡大臣を入れずに計算しますと、お一人当たり在任期間が五・八か月、約五・八か月と半年にも満たないわけでございます。ですから、大臣所信のたびに質問をさせていただいて、法務大臣のそれなりのお考えというものをいただいているわけでございますが、これがなかなか政策に反映されないうちにまた次の大臣になってしまう。平岡法務大臣も約六か月の在任期間だと仮定いたしますと、もう既に二か月が過ぎてしまった。やはりもっと早く、就任直後に大臣の所信を伺いたかったわけなんです。
 今日は、私、被災地の福島県でございますので、福島県の原発地域の空き巣被害が大変な問題になっております、このことをこの後質問をさせていただくんですけれども、平岡大臣の前の江田五月大臣に何回も質問しているんですよ。それが、もう被害が増大する一方なんです。しかも、看過できない事態もいわき市で起きております。ですから、私は早く大臣所信をいただきたかったなと思うんですが、野田総理が任命してすぐに国会を閉じてしまった。それで、私たち、平岡大臣に所信を伺って、そして、そこでいろんな、大臣ってどういう人なんだろう、何を考えて、法務行政どう進めるんだろうと質問をする機会もなかったし、前回からの引継ぎ事項を注文する機会もないうちに二か月が過ぎちゃったんです。
 それは、補正予算を組むから忙しいからという理由だったから、震災のための補正予算を組んでいただけるのであればやむを得ないかなと思って待っておりましたが、この間出てきた三次補正の中身を見ましたら、十二兆のうち八兆が震災と言っておきながら、被災地への予算ではない全国防災とかいっぱい入っておりますし、この法務省の予算でいっても、今から言う被災地の治安の問題も入っていないし、福島県民の損害賠償の法テラスの法律扶助の予算も入っていないし、一体何のために二か月間無駄にしたのかなというとても残念な気持ちでございます。
 大臣、このことについて、まず大臣のお考えをお聞かせ願えませんか。
#139
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員からいろいろな御指摘ありましたけれども、まずは、法務大臣、私は五人目ということで、平均すれば六か月に満たないという御指摘、そのことによって法務行政の、何といいますか、連続性といいますか、日本全体あるいは被災地における法務行政の展開に何らかの滞りというものが生じているのではないかという御懸念を持っていること、あるいは第三次補正において十分な法務行政における予算獲得ができていないんではないかという点、しっかりとそうした御批判も受け止めながら、先生が御指摘になっているような様々な点について、精いっぱいより向上された法務行政が実行できるように頑張っていかなければならないなということを感じた次第でございます。
#140
○森まさこ君 大臣が今御決意を述べていただきましたけれども、それでは被災地の財産的損害、特に犯罪による、空き巣、窃盗、そういったものについて、私、江田大臣に、震災直後の一番最初に開かれたこの法務委員会、三月二十四日にまず質問をいたしました。その後も何回か質問をいたしておりますけれども、平岡大臣はその点について江田大臣からどのような引継ぎを受けていらっしゃいますか。
#141
○国務大臣(平岡秀夫君) 江田大臣からその部分について直接具体的なお話は聞いておりませんけれども、ただ、被災地の問題、そして原発事故による被害の問題、そうしたことの中に法務行政としてしっかりと取り組んでいかなければならないということについてはお話は伺っております。
#142
○森まさこ君 今引継ぎがされていないということで、愕然といたしました。
 私が江田大臣に質問をした議事録に目を通していただいたことはありますか。
#143
○国務大臣(平岡秀夫君) 全てかどうかというのはちょっと自信がありませんけれども、森委員と江田大臣の委員会におけるやり取りについてはある程度は見させていただいております。
#144
○森まさこ君 その点が大臣、所信表明の中に入っておりませんでしたけれども、議事録を見たということであればこの場で御説明いただきたいと思いますが、震災直後に法務省管轄の検察がどのような行動を取ったか、述べてください。
#145
○国務大臣(平岡秀夫君) 多分、森委員御指摘の点は、検察庁のいわき支部が震災直後に、これはまあいろいろな事情があったと思いますけれども、裁判所が移動するに伴って活動の拠点を郡山の方に移動させたと。その後、また二週間弱ぐらいたってでしょうか、戻ってきて活動をしたというようなことがあったと。その中には、勾留されていた被疑者についてこれを釈放したというような事実も伴っていたというようなことについて委員の方からいろいろな御指摘があり、それに対して江田大臣の方からも、ある意味では行き届かなかったところについての自分の反省すべき、検察としても反省すべき点についても言及をされているというふうに承知しております。
#146
○森まさこ君 今のことを私から詳しく説明を申し上げますと、震災後、いわき市の福島地検いわき支部、それから地裁いわき支部も、ちょっと時を異にしておりますが、十五日、十六日に次々と庁舎を閉めて、十六日には郡山の方に移動してしまったということがあったんです。そして、それに先立ち、地検では勾留をしていた被疑者を全員釈放する、処分しないで釈放するということがあり、その中には女性の家に押し入って手錠をはめて性的犯罪を犯すという、そういう容疑者もおりましたし、釈放されたうちの被疑者がまた再犯を起こしたということも起こりました。
 あの当時、いわき市は避難地域でありませんでした。三十キロまでが屋内退避です。一部三十キロに入っておりますが、警戒区域ではありませんから、いわき市の北部の少しだけが屋内退避、それ以外全ていわき市は何の避難区域にも、政府の言う避難区域に入っていないんですよ。そこにいなさいという指示です。ガソリンも何もなくて、自分で避難したいと思う人さえ避難できなかった。今お昼休みに、福島県の方々、双葉郡、いわき市の方に会ってきましたけれども、その当時の状況を話すと今でももう泣いてしまって、地獄のようだった。その中に大変な犯罪が多数起きているんですよ。
 私が三月二十四日に質問したときには、警察庁は、特にそんな犯罪は増加しておりませんし、ちゃんと警戒していますというような答弁でしたけれども、今になって、十月十六日の朝日新聞に書いてありますけれども、九月末までの住宅の被害は前年同期の三十倍近くに達していて、五十軒に一軒が被害に遭った。被害者からはこれは避難せよということが原因なんだからということで東電に賠償を求めておりますが、東電は悪いのは泥棒だとして一切賠償には応じていないんですよ。これは財産犯罪だけの話ですけれども、先ほどのような性犯罪も起きて、避難所に婦人警官が私服で泊まり込むということもありました。
 その中で、国民に対して避難指示が出ていないのに、国の機関が先に避難したというのはどういうことなんですか。大臣、お答えください。
#147
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員がるるお話しになったのは、特に原発事故の関連でお話しになったというふうに存じ上げますけれども、先ほど、福島地検いわき支部の移転の状況というのは、この支部管内において死者、行方不明者が多数に上り、建物等にも甚大な被害が及ぶとともに、水道などのライフラインも途絶えた状況にあって、さらに余震も相次ぐという状況の中で、このいわき市内の支部庁舎に関係者を呼び出して取調べを行うことが事実上困難になるというようなことで、いわき市内の庁舎での執務遂行が大きな支障が生じるようになったということが大きな避難の原因であったというふうに思います。
 そのような状況の中で、福島地裁の方から地裁のいわき支部の執務場所を変更したい旨の申出を受け、協議をしたようでございますけれども、地裁いわき支部の執務場所の変更に合わせて地検のいわき支部の執務場所を一時的に変更をしたというふうに報告を受けているところでございます。
 なお、後段の方で、いろいろな盗難の被害、あるいは性犯罪を警戒するための種々の活動という問題についてもお触れになりましたけれども、こうした問題、我々としてもあってはならないことだというふうに思います。これは法務省の行政だけでできる話ではございませんで、関係当局とも協力をしながら、こうした問題についても適切に対応してまいるように努力してまいりたいというふうに思います。
#148
○森まさこ君 大臣が述べた理由は江田大臣が述べた理由と全く同じです。まあ官僚が書いた紙だと思いますけれども。余震が多くて断水だったのは住民も同じなんですよ。住民はみんなそこにいるんですよ。そして警察は働いていたんですよ。警察はもう次々に来る犯罪に対応していたんですよ。
 私もこの委員会で言ったけれども、またこうやって何回も言うのが、大臣が替わるから何回も言わなきゃならないのが悔しいですけれども、私が被災地を回っているときにも、その辺でいっぱい泥棒がうろうろしているんですよ。人がいないところに、空き家に入って何かいろいろ持って出てくるとか。私はすぐ通報したけれども、もう警察もいっぱいで、検察も裁判所もいない。これを逮捕状を取ろうと思っても、裁判官のところに行かなきゃいけないでしょう。
 法務大臣、逮捕状を取るのにファクスでできるんですか。
#149
○国務大臣(平岡秀夫君) ちょっと今最後のところが、逮捕状を取るのに……
#150
○森まさこ君 ファクスで。
#151
○国務大臣(平岡秀夫君) ファクスで。ファクスで取れるのかと。
 ちょっと私もファクスで取ったことはありませんけれども、実務に詳しい人の話によれば、ファクスでは取れないということのようでございます。
#152
○森まさこ君 ファクスでなんか取れないんですよ。裁判官のところまで行って面談して、ちゃんと理由を述べて逮捕状をいただいてくるんです。ガソリンがないいわき市から郡山までどうやって逮捕状を取りに行くんですか。しかも、余震があるとか断水があるとか、容疑者を呼んで取調べするのが難しいというのは、容疑者を釈放する理由には全然なりませんよ。何でそれを勝手に、この混乱した町の中に釈放しちゃうんですか、ちゃんとした取調べもしないで。
 そのことについて私は何回も質問をしたんですけれども、一回目の質問のときに江田大臣はこのことを隠していたんです。私が三月二十四日に質問をして、とても治安が悪いから、私は行って見てきたんだけれども、悪いから、これについてはきちっと裁判所、検察官やってくださいねと言ったら、頑張りますというような答弁だったんです。ところが、三月二十四日に私が質問した時点では、裁判所も検察官も逃げていたんじゃないですか。いなかったんですよ。そのことが新聞で暴露されてからまた私がこの委員会で質問したら、江田大臣は、一々釈明することはできない、申し訳ございませんと謝っただけなんですけれども、謝っただけでは足りないんですよ。
 これに対してどのような対処をして、これからのこともあります、また同じような災害があったときに、ほかの地域でもまた裁判所と地検が逃げてしまうんですか、国が避難命令を出してない地域で。ほかの国の機関もたくさんありますけれども、全部逃げないでやっていましたよ。裁判所と検察庁だけですよ、逃げたの。一番法を守らなきゃいけない国家機関が。
 これに対して、大臣は通達か何かお出しになったんですか。
#153
○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど来からの御指摘、真剣に受け止めてまいりたいと思いますけれども、委員も御案内のように、検察庁は、検察庁法第二条によって裁判所と対応してその事務を行うこととされているという中で、福島地裁のいわき支部の執行場所について、先ほど私が申し上げたような事情の中で協議をした結果として移動をしたということでございます。そのことの適否については、委員の御指摘しっかりと受け止めて、どうあるべきであったのかということについては私もしっかりと検証していきたいというふうに思います。
#154
○森まさこ君 最初に三月に指摘して、今はもう七か月たって、十月の時点でまたこれから検証しますなんという答弁をいただいても全く納得できないんですよ。
 大臣、検察は裁判所が一緒にやるから、裁判所が移動したら移動するとおっしゃった。だけど、警察は残っていて検察が郡山にいたら、ガソリンもなくて行けないんですから、送致できないんですよね。そうしたら、いろんな被疑者が来たって警察はもうろくにやっぱり取調べもできないんですよ。
 実際に、結果として、警戒区域で空き巣被害が前年度の三十倍。私が三月に指摘したときには大丈夫ですなんて答えていましたけれども、結果はこのような被害が出て、みんな泣いています。警戒区域の皆さんは、帰れない家に一時帰宅で帰ったら、ガラスが割られて泥棒が入って、大切な結婚指輪が取られて、金庫が破られて、その横で猫が腹を裂かれて死んでいたとか、そういうものを見て、それでもたった二時間ぐらいしかいられない、大切なものだけ持ってきてくださいなんて言われて、家の修理もできずに、また二回目行ったら、二回目また違う泥棒が入って、放射能に汚染された靴で土足で入って、もう汚くしていた、そういう悲しい目に遭っているんですよ。全部これ新聞記事に書いてあります、読んでいらっしゃらないと思いますけれどもね。
 この財産的被害に関して、私は東電に責任があると思いますけれども、先ほどのような体制のありようを考えると国にも責任があると思います。法務大臣、どうお考えになりますか。
#155
○国務大臣(平岡秀夫君) いろんな被害が発生しているということに対しては、検察官の会議、会同というふうに呼んでいるようでありますけれども、そこにおいても、被災地の混乱に乗じた犯罪に対しては、引き続き、警察当局等の関係機関との緊密な連携の下、迅速かつ適正な処分を行うよう努め、被災地における治安の確保や法秩序の維持に万全を尽くすべきだということの指示が出されているというふうに承知をしておるところでございます。
 その財産的被害についての責任というのは、それなりの因果関係等の法律的な位置付けがはっきりしない以上は、私の方から今申し上げられる状況ではございません。
#156
○森まさこ君 平岡大臣の答弁は本当にはっきりしなくて残念です。昨日も、おとといですか、衆議院の法務委員会で稲田朋美議員が、先ほどから平岡大臣の答弁をずっと聞いておりまして、野党時代のあの生き生きとした平岡大臣は一体どこに行ってしまったんですか、もう別人と述べています。是非、大臣、野党時代の大臣の生き生きとしたお姿、私は存じ上げませんけれども、後で動画で見たいと思いますが、そのときのようにしっかりと、きちんと答えていただきたいということを御要望申し上げます。
 次の質問に移りますけれども、私、これ予定していなかったんですが、先ほど桜内議員が御質問なさった朝鮮大学校の問題で、やはり大臣のお答えが何かはぐらかしているようなはっきりしない御答弁だったので、私からも質問しようと思いますけれども、大臣は朝鮮大学校の創立五十周年に国会議員として唯一招かれて祝辞を述べたということですが、国会議員で一人だけで行ったということ、間違いございませんか。
#157
○国務大臣(平岡秀夫君) 私は、どなたが行かれたのかについては全く存じ上げておりません。案内が来ていたので私は行ったということであります。
#158
○森まさこ君 公安調査庁、これは大臣の所管でいらっしゃる。この公安調査庁の調査対象になっているということは間違いございませんか。
#159
○国務大臣(平岡秀夫君) 公安調査庁については、我々が把握していない部分でのいろんな活動もされておられるんだろうというふうに思いますけれども、先日聞いたところによれば、公安調査庁が関心を持って調査をしている対象である、これは朝鮮総連でございますけれども、その下に、影響下にあるのが朝鮮大学校であるというふうに聞いたところでございます。
#160
○森まさこ君 大臣は、大臣所信の中で北朝鮮の問題も取り上げていらっしゃいますけれども、法務大臣はそのような立場にある。朝鮮大学校に国会議員としてただ一人招かれて祝辞を述べた人物が法務大臣になるということが北朝鮮に対してどのようなメッセージを与えたとお思いになりますか。
#161
○国務大臣(平岡秀夫君) 朝鮮大学校の五十周年の式典に参加した理由は、先ほど桜内議員の方にも御答弁申し上げましたけれども、私の高校の大先輩である民法学者の末川博先生がこれまでも支援されてきたというような関係がありましたので、私も末川先生のことを敬愛している立場でそのお祝いの場所に行ったということでございます。そのこと自体が、特に野党の一議員である私が行ったこと自体がどういう影響を与えるのかということについては私もしっかりとした考えを持っておりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#162
○森まさこ君 野党の一議員とおっしゃいましたけれども、そのときに民主党の中でどのような役職でいらっしゃったんですか。
#163
○国務大臣(平岡秀夫君) そのときの立場は、私にはちょっと記憶はございません。
#164
○森まさこ君 それでは、この招かれて行ったときに皆さんの前に立って挨拶をした。そのときに、創立五十周年おめでとうというふうなお祝いの言葉をお述べになったんですか。
#165
○国務大臣(平岡秀夫君) 私の記憶には、末川先生と朝鮮大学校との関係について皆様に御披露したことは覚えているんでありますけれども、それ以外にどのような言葉を使ったのかということについては記憶はございません。
#166
○森まさこ君 この質問は一昨日、棚橋委員が何回も聞いているんですけど、おめでとうという言葉を使ったかどうか、確定的なことではなくて、祝辞を、お祝いの意を述べたかどうかということを聞いているんですが、何回聞いても大臣が答えません。ということで、稲田委員の言葉ではないですけれども、はぐらかさずにはっきり答えていただきたいと思うんですよ。大臣のこの朝鮮大学校での祝辞の映像がユーチューブに流れているかどうか私は確認をしておりませんけれども、大臣の御記憶の中で五十周年おめでとうと言ったんじゃないですか。お答えください。
#167
○国務大臣(平岡秀夫君) そこは一昨日も棚橋議員から何度か聞かれましたけれども、記憶にないと言うしか言いようがないというのが真実であります。
#168
○森まさこ君 記憶にないということですが、またこの質問を続けさせていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 法務大臣の政策秘書の問題ですけれども、この問題について大分取りざたをされておりますが、大臣の秘書官が給与を二重取りしていたんではないかという問題でございますね。九月の一日に公設秘書に採用し、九月の二日に大臣秘書官に採用をしたので、これが公設秘書との、公設秘書の給料がまた九月分一か月分出て、そして大臣秘書官の分の給料が一か月分出て、二重取りしているんではないかという質問ですね。これに対してはどうですか。お答えください。
#169
○国務大臣(平岡秀夫君) その状況が棚橋議員の質問によって状況としては分かったので、その後私も調べさせていただきましたけれども、それが生じている原因というのは、まさに議員秘書の方に対する給与の支払の仕方というのが、日割りがなくて月ぎめで支払をしているという仕組み、そして、大臣秘書官の方は、これは日割りで支給するという仕組み、これを取っていることによって生じた問題でありまして、何も私の秘書官についてだけ発生した問題ではなくて、過去全ての政策秘書から大臣秘書官になった人たちにおいても同様の状況が発生しているということは、調査の結果、私には分かった次第でございます。
#170
○森まさこ君 過去全てとおっしゃいましたけれども、一日前に秘書になって、翌日に秘書官になって、二か月分いただいているという方はいらっしゃるんですか。
#171
○国務大臣(平岡秀夫君) そこは、私には個々の事実関係は分かりませんけれども、同じような仕組みは全て取られていますから、その仕組みの中で同じような立場にあった人は同じようなことが起こっているのではないかというふうに思います。
#172
○森まさこ君 私は、この仕組みにも確かに不備があると思います。
 ただ、不可解なのは、初めて採用した秘書さんを次の日に大臣秘書官にしているということなんですね。そして、その方が過去に詐欺をした方だということなんです。この方が、Mさんというんですけれども、でもMさんという名前も名前変えているんですよね。前はKさんです。MさんはKさんという名字のときに、二〇〇五年、島原市で児童養護施設太陽寮をめぐる補助金の不正受給事件で四十二歳で逮捕、起訴され、懲役一年六月、執行猶予三年の有罪判決を受けているんですね。
 そして、この事件の内容は、太陽寮の施設長だったMさんが、知人の元高校教諭を家庭支援専門相談員として勤務しているように装い、県に虚偽の申請をして二〇〇四年度分の補助金約五百八十二万円を受け取ったというもの。判決の中で裁判官は、児童養護施設に対する社会の信頼が低下した、書類上の体裁を整え、元教諭らと口裏合わせをして発覚を防ごうとしており悪質というふうに指摘をしております。そのような公金を詐取するということをした人物なんです。その人物が大臣のところに採用されて、その次の日に大臣秘書官になってしまい、法務大臣室という政権の重要な場所にやすやすと入ってしまったということですね。
 これは大変な問題だと思うんですよ。私も調べてみましたら、大臣の秘書官になるのに必要な手続というのが物すごく簡単なんですよ。これは公設秘書になるときより簡単なんです。だけど、その重要性といったら、やはり秘書官の方がずっと責任が重いですよね。秘書官というのは特別職の国家公務員、年収はもうざっと一千万以上で、大臣室に行く手前に秘書官室があって、そこを通らなければ大臣室に入れない。大臣に集まる情報もここに入る。そして、秘書官は大臣といつも行動を共にしていますから、官邸に入ったり、海外の要人と会ったり、陳情のアポを取ったり、本当にいつも国家機密に触れている、そういう職業です。
 ほかの秘書官と違って、大臣が連れてくるときには本当に二枚ぐらい書類を出すだけ。なぜこんなに簡単になっているかといったら、それは大臣が任命するからなんです。大臣がきちんと身体検査をして、大事な役目の秘書官ですから、何年も一緒に、自分と一緒に仕事をした公設秘書を、何年も一緒に国会議員として、秘書として使った方が秘書官になることはあります。だけど、前の日に雇って次の日に秘書官になるということが、これは危機管理としてどうだったのかと私は大変な疑問を持っているんですよ。
 大臣、大臣はこのMさんに過去に犯歴があるかどうかということをお尋ねになったんですか、採用の際に。
#173
○国務大臣(平岡秀夫君) 犯歴があったかを尋ねたかと言われれば、尋ねておりません。
#174
○森まさこ君 この永田町からも情報がいろんな面で流れたという事件がありましたけれども、やはり情報を取りに来る悪い人たちがたくさんいるわけですよね。やはり安全保障、それから先ほど言ったような治安維持、それを束ねる法務省なんですから、大臣、やはりこれは大臣の採用の仕方も甘かったと言われても仕方ないことなんじゃないでしょうか。どうですか、大臣。
#175
○国務大臣(平岡秀夫君) 確かに私との付き合いは極めて短い状況の中で大臣秘書官に任命をしたということについて私も反省しなければならないと思いますけれども、ただ、そこに至るまでの経緯というのがいろいろありまして、公設秘書を探している中で彼と面談をさせてもらいました。その中で、彼の人となり、あるいはこれまでの仕事の実績、そういうものも聞いてまいりました。その中には、自民党の参議院議員の方の公設秘書も務めておられ、そして政策秘書資格を取得する試験の推薦委員にやはり自民党の参議院の、これは私も大変尊敬しておる自民党の大政治家の方が推薦をされておられるというような事実を私も聞きまして、あえて私が犯歴を聞くような、そういうような人物であるとは全く認識をしなかったということでございます。
 短期間の間に決めざるを得なかったのは、やはりこの東京というところで、ちょうど私の政策秘書が、これまで務めてくれていた政策秘書が独立をしたいということで、辞める二か月ぐらい前から、次の公設秘書、特に政策秘書を探すようにしてほしいという話があってから、ずっといろんな方と会いながら探してきた結果としてこの方を私は採用させていただいたということでございます。
#176
○森まさこ君 唖然といたしました。大臣、今長々お述べになったことは何の言い訳にもなりませんよ。公設秘書を雇うのとは訳が違うということを今私が申し上げたばかりじゃないですか。自民党の議員の政策秘書だと。これ、辞めるのに、辞めたんです、問題があるから辞めたんじゃないんですか。自民党の議員の秘書だったらいいんですか。そういう安易な考えで大臣秘書官にしちゃったんですか。
 私は、その理由をそれが納得できるものだと思ってこの国民がみんな注目している国会の中でお述べになるその態度にびっくりいたしましたよ。それはやはり、申し訳なかった、もう本当に監督不行き届きでしたと言うならともかく、何か自分の方に理があって、自民党の秘書だったということが理であるとか、何か前の人が辞めるから急いで探したというのが理があるみたいなことを言って、その前に、国家の、国民の、先ほどのような、命と安全を預かっている、そういう国家機密の中枢にいるんだという、そういう仕事を受け持っているんだという自覚がまるで感じられないですよ。私はまさか今日こんな答弁をされると思っていませんでしたから、私は、その秘書さんのことをどうしたんですか、処分したんですかと、そういう質問をしようと思っていたんですけど、今余りにもそんな理由をお述べになるからちょっと私怒ってしまいましたけれども。
 ここにその秘書さんの給与明細がありますよ、これ、給与。幾らいただいたんですか、その方は、お辞めになるまでの間に。
#177
○国務大臣(平岡秀夫君) 今の御質問は、公設秘書とそして大臣秘書官を合わせてということでしょうか。
#178
○森まさこ君 そうです。
#179
○国務大臣(平岡秀夫君) 公設秘書としての給与支払は九月分が約五十二万円、大臣秘書官としての給与の支払は、現金支給額でいいますと約九十一万円というふうになっております。
#180
○森まさこ君 私の手元にあるこの給与明細ですと、九月が重なっていまして、約百万円。だけど、このことが発覚してからすぐ辞めていないんです。十月分の給与がもらえる日付までずっといるんですね、約一か月。で、十月分ももらって、全部で百五十万近く給与をもらっているんですけど、なぜこれすぐ辞めなかったんですか。
#181
○国務大臣(平岡秀夫君) 失礼いたしました。先ほどの支払額はそうでありますけれども、大臣秘書官については、これは先ほど申し上げましたように日割りになっておりますので、十月の二十日から十月の三十一日分については戻入手続がされるというふうに聞いております。
 辞める時期の問題でございますけれども、この問題が発覚したといいますか、雑誌社の取材でこういう事実関係があるということが分かったのがたしか九月の中旬から下旬にかけてぐらいだったと思いますけれども、私としても事実関係をはっきりとさせなければならないということで調査をする必要があったということでございますが、私自身は、それまでの間、彼がよく仕事をしてくれていましたので個人的な信頼関係はあったというふうに思います。
 しかしながら、大臣秘書官という立場の仕事の問題については、将来のこと、これからどういうふうな彼に対する処分をするか、あるいはどういうようなけじめを付けるかという問題の中で、節度を持ってやってきたつもりでございます。
#182
○森まさこ君 その方が大臣秘書官になって問題があったかどうか、それは私も分かりませんし、今の時点で分からないと思いますけれども、少なくともこれが雑誌に掲載されたことで、発覚をしてから通常であればすぐ辞めていただくと思いますが、一か月も調査に必要としていた。本人に聞けば、その過去やったことも分かるし、二か月給与をもらっていることも分かるし、これはやはり普通は辞めていただくというのが一般常識だと思うんですけれども。しかも、雑誌の書きぶりによれば、雑誌記者が本人に突撃インタビューしたら、本人は大臣から辞めてくれと言われたことは全くないということで、話合いの末、自分から辞めましたというようなことを言っているんですね。
 大臣は、この方に、この事実が発覚したときに、何で君、こういうことを言ってくれなかったんだ、大問題だよ、これ、大臣秘書官というのは特別なんだからということで、辞めていただけないかということはおっしゃらなかったんですか。
#183
○国務大臣(平岡秀夫君) 私としては、やはり既に執行猶予の期間が終わって刑の言渡しの効力が失われているという状況の中で、本人が更生を果たしていきたいというそういう思いも考えながら、どういう事実関係でこういう問題が起こったのかということについて私なりに把握をしたかったという関係がございます。
 それからもう一つは、先ほど秘書の採用に当たって公設秘書資格を取るための試験を受けている状況があるというふうに申し上げましたけれども、その発表日というのが十月の二十四日ということの中でそちらの方の手続も進んでおりましたので、そちらの方の関係というものも、私なりに彼の社会復帰というようなものも考えながら、これまで彼との関係でいろいろとどうするかということについて彼と話し合いながら来ていたということでございます。
#184
○森まさこ君 全く納得ができない答弁ですけれども、大臣、答弁は簡潔にお願いをいたします。
 次に、この秘書さん、名前を変えていたということですけれども、これは恐らく婚姻によって妻の方の名前に変わったんではないかと思いますけれども、そうでなくて、婚姻外、婚姻でない理由によって戸籍を変更する場合についてお伺いしますけれども、法務省、この婚姻外の戸籍名の変更について戸籍法上の規定を教えてください。
#185
○政府参考人(原優君) お答えいたします。
 戸籍法上、氏を変更することができる場合の規定がございまして、具体的には戸籍法の第百七条でございますが、やむを得ない事由があるということで家庭裁判所が許可をした場合には戸籍上の氏を変更することができるということになっております。
#186
○森まさこ君 やむを得ない事由というのは、具体的にどういう場合ですか。
#187
○政府参考人(原優君) これは個々の具体的な事案ごとに家庭裁判所が判断されることですので私の方から余り具体的なことは申し上げられませんが、過去の審判例等を御紹介いたしますと、例えばその氏が難読であるために実生活において支障がある場合、このような場合にはやむを得ない事由に当たるという審判例がございます。それからもう一つ例を挙げますと、戸籍上の氏と異なる通称を長年にわたって使用してきたと、そういう場合にもやはりやむを得ない事由に当たるという審判例がございます。
#188
○森まさこ君 義理の父親のペンネームに変えるという例がありますか。
#189
○政府参考人(原優君) 具体的な事例があるのか、私は承知しておりません。
#190
○森まさこ君 先ほどの秘書官のように名字が変わっていると、過去に犯罪をしていても気が付かないということは、これはあると思います。私、消費者問題が専門の弁護士をしてきましたけれども、大臣はずっと大蔵省でいらして、その後弁護士になって、二年間でもう政界に出られたということですので、御存じかどうか分かりませんけれども、詐欺をする犯罪はよく、通称名ですけれども、変えるんです。名字のところを変えていくというと、大変追跡調査が困難になるんです。
 大臣の中に、山岡大臣ですけれども、戸籍の名字を変えておられます。今、法務省が答弁したとおり、婚姻以外の理由によって氏を変えるというのは非常に特別な場合に限られます。読むのが難しい漢字であるので、難読とおっしゃいましたけれども、社会生活上困難であるとか、そういうような理由なんですけれども、山岡大臣は、元々の自分の生まれたときのお名前から、婚姻によって藤野さんに変わった。奥さんの方の姓に変えたわけですね。藤野さんというのは、作家山岡荘八さんの本名です。国会議員に出られたときには藤野賢二で登録をし、議員名簿にもそう載っております。
 ところが、その後、法務政務次官になった。これは戸籍法を所管する法務省の政務次官です。その間に氏が山岡に変わっているんです、と思われます。議員名簿には通称という記載が消えて、今は山岡であるということなんです。でも、これ、義理のお父さんの本名じゃなくてペンネームですよね。なぜそんなものに戸籍を変えるんでしょうか。私どもは、法の適用、大臣もおっしゃいました、法秩序の維持とおっしゃいました、そういうものをつかさどる法務政務次官が、通常認められないような氏の変更を在任期間中にしたということ、大変不可解に考えているんですけれども、大臣はどのように思われますか。
#191
○国務大臣(平岡秀夫君) 今の事実関係、私もつまびらかにはしておりませんので何と答えていいか分かりませんけれども、先ほどの民事局長の答弁では、最終的には家庭裁判所が判断するところであるということであったので、家庭裁判所における判断によって決まったものではないかというふうに感じた次第でございます。
#192
○森まさこ君 国会議員で、義理の親のペンネームに戸籍を変更した方はいません。また、御自分の芸能人活動のときの芸名であるとかそういうものに戸籍を変更した方もおられません。戸籍の氏を変更した方はおられないんです。また、一般人でも、私が調べた限りでは、国会図書館に調べていただいた限りでは、義理の親のペンネームに戸籍を変えたという方、いらっしゃらないんですね。ですから、私、戸籍法を担当している大臣の御感想を伺ったんですけれども、家庭裁判所の判断ですので何もコメントはありませんと、そういうお答えでした。
 それでは次に、著作権法の違反についてお伺いしますけれども、他人が書いた論文を一言一句そのまま使って、何の文章も付け加えず、どこも削除せず、まるきり同じ文章の作成名義だけを自分の名前に変えて、それを他者に提供してお金を受け取ると、こうした場合に著作権法違反で罰則が適用される可能性はあるんでしょうか。
#193
○国務大臣(平岡秀夫君) 著作権法の所管はたしか文部科学省だと記憶しておりますけれども、いずれにしても、犯罪の成否というのは収集された証拠に基づき判断されるべき事柄であるので、私からは答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#194
○森まさこ君 罰則の部分は法務省であると思いますけれども、それでもお答えにならないということですか。
#195
○国務大臣(平岡秀夫君) 答弁は変わりません。
#196
○森まさこ君 それでは、犯罪被害者の問題に参ります。
 先ほど、御自分の秘書官も犯罪を犯したけれども、もう執行猶予期間が満了したのでということをおっしゃられましたけれども、今度は被害者の問題についてお伺いしようと思います。
 大臣が犯罪被害者に対してどういうお考えでどういう施策をしていくかということ、大臣所信には書かれておりません。大臣が民主党ネクスト法務大臣の時代にテレビで発言したことがいろいろと取りざたされておりますので、大臣は大臣所信で犯罪被害者の施策をきちっと書き込んでくださるのかなと、過去の大臣は書いておりましたので、私も思っておりましたけれども、犯罪を犯した側のいろいろな処遇等については所信の中に書かれてあるものの、被害者については何も一言も言及がございませんでした。大変そのことについて残念に思っています。
 衆議院の法務委員会で三人の委員からこの問題を、自民党についてだけでも三人の委員から質問がされたようでございますけれども、テレビ番組で、息子さんを少年のリンチで殺害された被害者の母親の前で、その被害者に発言したということで、どういう発言をしたんですかという質問に対して正確にお答えになっておられないので、もう一度お伺いします。
 この被害者の母親にどのような発言をなさったんですか。
#197
○国務大臣(平岡秀夫君) 私、同じ質問を受けましてそれなりに正確に答えたつもりではございましたけれども、こういうふうに発言をしておると思います。
 そういう悪いことをした子供たちはそれなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけどと申し上げたところ、被害者のお母さんの方から、事情って何ですかという問いかけがありまして、私の方からは、いやいや、事情というのは、要するに彼らがどういう環境の中で育ってきたとか、どういうふうにその大人とか親とかの関係であったとか、まあいろんなことがあったわけで、それはとにかくおいておいて、その加害者であった子供たちにどうなってもらいたいのか、その子供たちが自分を反省し、これからの人生を歩んでくれるということには、そういうようなことというのはもういいから、とにかく死の恐怖を味わわせてやりたいということですかというふうに話したというふうに承知しております。
#198
○森まさこ君 大臣のホームページにはもう少し書いてあるんですけれども、この事件は大変残酷な事件ですけれども、被害者の方が交通事故で体が不自由な高校生、定時制に通っていたけれども、勉強して今度全日制に移ることになった。そして、非常に喜んでいたら仲間の二人がお祝いの会をしてやると呼び出して、障害者のくせに全日制に行くのは生意気だと言って、顔、頭、足、腹、所構わず無抵抗の被害者を七十回以上殴った。それで、被害者の顎は外れ、顔はたちまち原形をとどめないほど膨れ上がった。意識を失いかけた被害者を、この二人の少年は高さ六十センチほどもあるコンクリート台からプロレス技のバックドロップで頭から地面にたたきつけた。さらに、別の場所に移動し、二回バックドロップを繰り返した。失禁して泡を吹いた被害者を更に一メートルほどの高さからコンクリートに頭を打ち付けた。そして、障害者だから助ける価値がないとか、こういうことをいろいろ言っていたと。こう言って、この二人の少年が被害者に水をぶっかけて、暴行は一時間半以上も続いて命を失ったという、こういう本当にむごい犯罪でございます。
 この被害者のお母さんが、大臣がテレビ番組に出ているとき、これ、民主党ネクスト大臣のときに出ておられるときに被害者のお母さんが来たときに何と言ったかというのは、これは平岡大臣のホームページに、私はこういうふうに発言をいたしましたという、以下に記させていただきますと書いてあるところを読み上げますと、その加害者の人にその死の恐怖を味わわせるという気持ちで、あれですかね、私は、あなた、あなたというのはお母さんが、本当に幸せというか納得するというか、できるとはちょっと思えないんですね。むしろ、そういう悪いことをした子供たちはそれなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけどというふうに言った。それに対して、お母さんが事情って何ですかと問いかけたら、ここから先は、先ほど大臣がおっしゃったとおり、いやいや、事情というのは、要するに彼らがどういう環境で育ってきたとか、どういうふうに大人とか親とかの関係であったとか、まあいろんなことがあったわけで、それはとにかくおいておいて、その加害者であった子供たちにどうなってもらいたいのか、その子供たちが自分を反省し、これから人生を歩んでくれるということには、そのようなことはもういいから、とにかく死の恐怖を味わわせてやりたいということですかと、そういうふうにおっしゃったというふうに大臣のホームページに書いてあります。
 確かに、少年法の精神は精神としてあります。私たち法曹、そして法務委員会の国会議員はそれは理解していると思います。ただ、犯罪被害者のお母さんにこれを言うというのは、これは本当に人間としてどのような気持ちでおられたのかと私は思うんですよ。そして、その後、お母さんに電話一本の謝罪をしたということですけれども、お母さんはまだ怒っていらっしゃる、気持ちが傷ついていらっしゃる。
 そういう中で、一昨日、我が党の平沢議員がお線香を上げに行ったらいかがですかと言ったら、そう言われて初めて、じゃ、そうしますというような趣旨のことをおっしゃいましたけれども、その前の答弁では、自分は電話で謝罪をし、その前にホームページで、先ほどのような引用をした上で、ホームページで謝罪をしたので、それで十分な謝罪をしていると考えているというふうにおっしゃったんです。
 私はそれは違うと思うんです。先ほどからの、被災地のことも大臣所信に書いていただけませんけれども、そういうようなことの一つ一つの答弁を見ても、何か本当に誠意が感じられない気持ちがいたします。犯罪被害者の施策については、その後の衆議院の質問で答えていらっしゃいますけれども、その答えたことを本当に魂を持って取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。
 先ほどから申し上げてきましたとおり、大臣所信を、大臣が五人目ということで繰り返してきて、なかなか功を奏していないということからも、この法務委員会、大変課題が山積しておりますので、私から委員長にお願いをしたいのは、この間ずっとこの法務委員会の課題であります尖閣問題とか、それから検察庁のフロッピーディスク改ざん事件もありました。これに関して検察の在り方検討会からも報告をいただいておりません。また、最高検の報告もいただいておりません。ですので、しっかりとこういうことについて、早くまた委員会を開いていただいて、集中審議をしていただきたいということを申し上げます。委員長。
#199
○委員長(西田実仁君) ただいま森さんの要求につきましては、後刻理事会において協議をさせていただきます。
#200
○森まさこ君 ありがとうございます。
 それでは、これで質問を終わります。
#201
○丸山和也君 自民党・無所属の会の丸山和也です。
 今日は新しい大臣の下での初めての法務委員会ということでいろいろ質問させていただきたいと思うんですけれども、その前に、今回質問に当たって政府参考人として、検事総長、それから最高検察庁公判部長兼裁判員公判部長、かつての前福岡高等検察庁次席検事、それから最高検察庁検事・前那覇地方検察庁検事正、それから東京地方検察庁検事・前那覇地方検察庁次席検事、検事総長は笠間氏、今、次はずっと岩橋氏、上野氏、鈴木氏と、こういう方々を政府参考人として何としても呼んでいただきたいと。
 これはなぜかというと、やっぱり三権分立とも密接に絡む検察庁法第十四条、指揮権発動という国家の大事、法の中枢にかかわる問題に関して、昨年、尖閣諸島中国人漁船船長釈放ということが不可思議な形で行われ、もう国じゅうの世論が沸騰し、非常にこの法的な処理という面で国家の根幹を揺るがすような疑惑が沸騰したにもかかわらず、何ら解明されないまま一年がたってしまったということの解明を、是非この法務委員会というところにおいてきちっとすべきだという一年間思い続けた思いから、是非これらの方々は、当時、その船長釈放に当たって、検察庁の判断で、那覇地検ですね、具体的に、処分保留のまま釈放したと。こういう判断にかかわった検察庁側の当事者なんですよ。
 しかし、問題は、これは本当に検察庁の判断なのかと、あり得ないだろうと。法務大臣が所信で言われている国民の常識という、書かれていますけれども、三行か四行に、国民の常識から見たって、これ誰一人、当時、これは検察庁が独自に官邸とか内閣と関係なくやったと、日中関係の外交関係を配慮してやったなんて誰一人として思っている人はいなかったと思う。こういう国民の常識から来る強烈な疑問がある中で、一年たっても何ら解明、説明されないまま隠蔽されて、蓋をされて今日に来ているという中から、どうしてもお聞きしなきゃならないと。
 また、その動機になったのがお手元に配付しています資料なんですけれども、これは今年の九月二十六日、産経新聞、トップページですね。ここにすごいことが書いてある。私はこれを見て驚愕しましたよ。普通なら、これが出たら健全な時代だったら内閣吹っ飛びますよ。吹っ飛ぶかどうかの大変な騒ぎになっているはずなんです。みんな感覚が麻痺しているのかなと思うんですけれども。
 そこで、まず、この新聞記事ですね。大臣、今日じゃないですよ、当時、九月二十六日発売の新聞ですけれども、これはそのとき御覧になったんでしょうか。なったとすれば、なかったら仕方ないですけれども、なったとすれば、これを見て率直な印象として、まあそのときは大臣じゃありませんけれども、どう思われましたですか。一言お伺いしたい。
#202
○国務大臣(平岡秀夫君) これは、その当日に新聞記事としては拝見をいたしました。私自身はこれを見て、これはどういうことなんだろうかというふうに、ちょっと真実のほどについては疑問を持ったというのが率直な印象です。
#203
○丸山和也君 その程度の疑問じゃ困るんですよ。真実のほどはどうかなという、それは誰でも思いますよ、百人が百人。問題は、ちょうど尖閣衝突から一年たって、当時の、内閣官房参与になる直前のことですけれども、松本健一氏の詳細な証言ですけれども、証言内容の衝撃度なんですよ。
 これは、要するに、この二枚目というか若干引用させてもらいますけれども、その釈放に関して、赤線で囲んでいますけれども、釈放は菅氏と仙谷氏の二人で決めたのかという質問に対して、少なくとも官房副長官ぐらいはいるかもしれないが、政治家が決めたと断言しているんですね。官邸側の誰が法務省、地検側に釈放しろと命令をしたのかと。回答、少なくとも菅氏はしていないでしょう、仙谷氏の可能性が高い、こういうこともはっきり言っている。質問が、官邸側の指示で検察が動いたと言えるか、それはそうですねと、明快に答えている。
 この松本健一氏というのは著名な、何というか歴史学者というか評論家というのかね、若干経歴が書いてありますけれども、非常に見識のあるたくさんの本を書かれている人です。仙谷氏とも四十年来の友人だとか知人だとかいうことでもあるようですけれども。その方が、当時はっきりしなかったことについて一年たってここまで断言、明言をされたということは、要するに、歴史の真実を知っていた証人として、沈黙を守って歴史に対してうそをつくのか、それとも松本健一個人としての、自分が積み重ねてきた人間を、そこにむしろ筋を通そうとするのかと。彼はここの人生の決断をしたと思うんです。じゃなきゃ、こんなこと書けませんよ。まさに、これはいわゆる当時からあらゆるマスコミで疑念を持たれたいわゆるやみ指揮権発動という問題なんですよ。
 そこで法務大臣にお聞きしたいんですけれども、法務大臣は日本国憲法並びに検察庁法というのはいつ施行されたか御存じですか。まあこれはあれですから、昭和二十二年の五月三日なんですよ。憲法記念日になっていますね、同じ日なんですよ、検察庁法。具体的には、指揮権発動は検察庁法の第十四条なんです。法務大臣も法律の専門家ですから御存じだと思うんですけれども、第十四条、二段目ですね、「但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」と。
 この指揮権というのが何のためにあるのかという解釈についてはいろいろあると思うんですけれども、いわゆる三権分立の中で、いわゆる検察、司法に対する一種の民主主義的な関与といいますかそういうチェック機能、そういうこともあるんだと思われます。
 ところが、これが今まで発動されたのは昭和二十九年でしたかね、いわゆる造船疑獄事件、あのときの吉田内閣ですけれども、犬養健法相が、当時の佐藤栄作自由党幹事長、二千数百万円の賄賂を受け取ったという疑惑で逮捕寸前に逮捕を阻止するという、指揮権発動によって逮捕を阻止したんですね。これは昭和二十九年だと思います。これはもうもちろん大事件になりまして、即日法務大臣は、たしか午後、辞任いたしました。多くの検察庁の幹部も責任を取ったと思います。もう国家を揺るがす大事件でありました。これが、歴史的には初めて行使された。それ以後、幸か不幸か指揮権発動というのはタブー視されまして、今日まで一度も発動されたことはなかった。
 ところが、昨年の尖閣諸島沖事件においては、故意に、明らかに故意に公務執行妨害やったにもかかわらず、また勾留延長もして、完全に相手は否認をしていると、容疑事実を。そういう中で、勾留延長をして起訴態勢に着々と進めていたところ、突然、那覇地検が記者会見をして、日中関係を考えると、あるいは日本国民への影響を考えると捜査を継続できないということで、未明でしたかね、九月二十四日、釈放決定をし、九月二十五日、中国側の用意したチャーター機でさっさと帰ってしまいました。
 こういうことは誰が見たっておかしい。法に従って粛々とやると言っていた内閣、政府、当時の法務大臣、外務大臣、全て内閣一体として、捜査当局も法に従って粛々とやると言っていた。あっけに取られた。この事件を、当時のことを、生々しいですから、法務大臣、回想されると思うんですけれども、これと、今回の新聞記事を見ましてどのように思われましたですか。やっぱりあれは官邸側が政治的な圧力を加えたんだなという疑念をお持ちになりませんか。
#204
○国務大臣(平岡秀夫君) この件については、実は質問主意書等でも政府の見解を求めるのが行われておりまして、私もその作成にかかわったわけでございますけれども、この松本前参与が言っておられるような事実関係というのはなかったというふうに承知をしております。
#205
○丸山和也君 じゃ、大臣、あなたは今法務大臣ですからね、やっぱり内閣の一員として法務行政の最高責任者ですから、当時の問題も解決されたわけじゃないんですよ。政府が強弁しているだけで、国民的疑惑は全く解明されていない。ほとんどの国民はうそだろうと思っています。国民の常識、あなたがおっしゃっている、「はじめに」と書いてあるのを見れば、政府はずっとうそをついて隠しているなと思ったままなんですよ。それで法務行政とか政府の信頼なんて全然回復しないですよ。そういう状況の中で、あなたが法務大臣になられた以上、事実をはっきりさせようという真摯な動機がなければ駄目なんですよ。
 そこでお聞きしますけれども、事の釈放の経過について、官邸側の関与について、当時の官房長官であった仙谷由人、それから総理であった菅直人、この二名に、法務大臣を引き受けるに当たってあの重大事件の事の経過はどうだったんだとただされましたか。お聞きしたい。
#206
○国務大臣(平岡秀夫君) 就任するに当たっても、今委員が御指摘にあった点についてはただしたという事実はございません。
#207
○丸山和也君 それは失格じゃないですか。当然、こういう問題は一年たったから消えてしまうという問題ではなくて、これからもっと大きな問題になりますよ。しかも、法務行政の責任者として就く以上は、死刑問題もそうですけれども、いろんなことについて自分なりのやっぱり覚悟と、それから過去に積み残された問題についてどう自分は解明していくかという、そして国民の信頼を回復するかという、こういう態度が必要なんじゃないですか。先ほどの秘書の件もありましたけれども、安易に引き受けるべきじゃないと思うんですよ。これから、仙谷氏なり菅氏に聞いていないということであれば、なぜ聞かれないんですか、そういう必要性はないと思われているんですか。お答えください。
#208
○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、この問題に関する質問主意書というのがございまして、答弁書を作成する過程の中で、法務省のみならず官邸の事実認識というものもしっかりと踏まえて作成されていると思いますので、これ以上確認するということは特に必要ないというふうに考えております。
#209
○丸山和也君 全く中身のない答弁だと思うんですよ。しっかり確認されて、報告されていると思いますのでという、思うという意思統一をしているというだけのことじゃないですか。何ら確認されていませんよ。
 じゃ、あなたは法務大臣ですけれども、前任の、何代目か前になりますけれども、柳田稔元法務大臣ですね、この方を御存じだと思うんですけれども、当時法務大臣はこの方だったんですよ。まさに指揮権発動という問題がなるならば、法務大臣が発動するんですよ。そういう事実があったのかなかったのか。当時、柳田大臣は、もちろんしていないと言っていますよ、私も知っていますけれども、表向きは。そういうことについてどうだったのかという確認はされましたか、柳田さんに、今日まで。
#210
○国務大臣(平岡秀夫君) 本人に直接確認はしておりませんけれども、これまでの国会答弁の中で、柳田大臣がどういう行動を取ったのかということについては私としても把握しているつもりでございます。
#211
○丸山和也君 柳田大臣は、三つのことだけ覚えていりゃいいんだということで、短期間で辞められた方ですけれども、非常に法務行政の在り方としては、なめたというか軽率というか、余り熟知もされていないような方だった。恐らく指揮権発動ということについてもそんなに研究されている方でもないと思うんですよ、事の重大性について。ところが、平岡大臣は弁護士を長くやられているし、いわゆる法務行政に関してはまさに専門職として、中から大臣になられたと言っていいと思うんですよ。だからこそ私は平岡法務大臣に期待してこれらの質問をしているんですよ。
 ただの役人答弁、政府統一見解を繰り返すだけであれば、やっぱり国家の中枢にかかわるような問題についての最高責任者としての重責果たせないですよ、これは。これがなぜ問題かというと、昭和二十九年の造船疑獄のときは、法的、政治的当否は別にして、少なくとも手続は適正に踏んで指揮権が発動された、検察庁法十四条に基づいて。
 今回、仮に政治的圧力によって那覇地検がこういう記者会見をして釈放を発表したということであれば、手続を全く踏んでいないということになるんですよ。指揮権発動という重要な権限を行使しておきながら手続すら全く踏んでいないという、二重の意味で、全くこれは法治国家の破壊行為なんですよ、根本的に。そういうことについて非常に厳しい感覚を持たないと。法務大臣、所信の中で述べられているじゃないですか。これ、皆さん所信のとき立派なことを言われるんだけれども、今回は、いわゆる第二行目ですよ、私が平岡秀夫ですという次に、法務行政が目指すのは法秩序の維持というんですよ。これが裏とかやみで指揮権を発動したということになれば、法秩序の維持なんて問題じゃなくて、全く法秩序を無視した無頼な行為じゃないですか。とんでもない行為じゃないですか、これ。仮にそうだとしたら、そう思われませんか。
 その点について、仮定の質問でもいいですけれども、仮に官邸側が圧力を掛けてそれを釈放されているとしたら、これ、それでも関係ないんですか。どうですか。
#212
○国務大臣(平岡秀夫君) 仮定の質問にお答えするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、法に基づく権限の発動においては、正規の手続を経て行われるのが法治国家であろうかというふうに思います。
#213
○丸山和也君 ということは、指揮権発動というものが手続を踏まずにやるようなことはとんでもない、それは法秩序の観点から許されないことですね。
#214
○国務大臣(平岡秀夫君) 指揮権発動という法律に基づく権限を行使する場合には、それは法律に基づくしかるべき手続を取って行うべきものであるというふうに、これは一般論でございますけれども、思います。
#215
○丸山和也君 じゃ、少し具体的にお聞きしますけれども、これは報道されているし、官邸も認めていると思うんですけれども、那覇地検にあったビデオテープを官邸側が官邸に持ってこさせて検証していますね。これは問題があるんじゃないですか。ないんですか。
 私の見解では、既にそこからいわゆる指揮権発動の領域に踏み込んだか、タッチしたか、そこらはいろいろ評価はあるでしょうけれども、おい、ビデオ持ってこいと、それで官邸で何人かで見たらしい。この事実は御存じですね、平岡大臣。
#216
○国務大臣(平岡秀夫君) 今お尋ねになった事実はないというふうに承知しております。
#217
○丸山和也君 官邸でビデオを見たこともないとおっしゃるんですか。そういうふうに認識しているということですか。もう一度お答えください。
#218
○国務大臣(平岡秀夫君) 検察は報道にあるビデオテープを官邸に届けたという事実はないというふうに承知しております。
#219
○丸山和也君 私の常識というか、国民の常識というか、いろいろな報道をされているところから判断しますと、官邸にビデオを提出させて、ビデオを見て、ビデオに瑕疵があると。これじゃ起訴しても公判は維持できないという官邸側の意見、主にまあ仙谷氏の意見でしょうけれども、そういう結論が出て、それを検察庁に伝えたという、ありありと証言ではされていますけれども、そういうことの経過がほかからもいろいろ推測できるんですけれども、これについてはどのように思われますか。
#220
○国務大臣(平岡秀夫君) 報道にありますところの瑕疵というのがどういう意味か明らかでないので、お答えはしかねます。
#221
○丸山和也君 大臣がこの問題についてもう真剣に答えてやろうという気がないなら私も質問をやめますよ、もう、意味がないから。
 でも、やはりこれ最初の法務委員会ですし、大臣の、しかも、これ、何といいますか、検察の問題でもあるんですよ。所信表明の中で第二項で検察改革と書かれている。これは、フロッピーディスクの問題とかいろいろなことが、村木さん事件とかありまして、それで、検察の威信が地に落ちたということで検察在り方検討会議とかいろいろな提言がなされて、検察改革を取り組んでいこうという決意でしょう。
 これ、まさに、事実上の指揮権を発動して船長を釈放したということになれば、検察に対する、しかも検察にとっても最大のこれ失点ですよ。まあ財産犯でいえば、例えはちょっとやや極端ですけれども、フロッピーディスク事件が大事件だと言えば、あるいはこそ泥とすれば、こっちの事件は強盗殺人並みですよ。そのくらい大きな事件なんですよ、これは。だから、真実の解明ということを法務行政の責任者としてやり抜くという決意がないと、僕は検察の威信なんて回復なんて絶対できないと思いますよ。それで、当時、検察官の中でも、これは非常に苦しい決断をさせられたという人がいっぱいいるんだから。
 そこで、大臣の御見解をお聞きしますけれども、刑事訴訟法二百四十八条に起訴便宜主義というのがございますね。当時、那覇地検の鈴木検事でしたか、記者会見していましたのは。これに基づいて釈放したと。その他一般条項ですよ、諸般の事情というところですね、日中関係を考慮してとかいうようなことをたしかおっしゃったんですけれども。
 この外交的な事情を考慮して起訴するか起訴しないかというような判断をしたということは前代未聞だと思うんですよ。こういうことが刑事訴訟法という厳格な法律の解釈の中でも堂々とまかり通ってくるということについて、どのように思われますか。今後、法務大臣としては、起訴便宜主義の中で外交情勢をどんどん考慮してやったらいいというお考えなんでしょうか。お答えください。
#222
○国務大臣(平岡秀夫君) 本件釈放については、刑訴法二百四十八条の起訴、不起訴の判断において考慮すべき諸事情を考慮した上でなされたものだというふうに承知しておりますけれども、刑訴法の二百四十八条では、その犯罪又は被疑者の情状に加えて、社会情勢の変化や今後社会に与える影響等を含む犯罪後の情況の事情としていろんなことを考慮して判断がされたものだというふうに承知しております。
#223
○丸山和也君 もう一度松本氏のこの証言を引きますと、松本氏は、ここにもありますが、官邸が、証拠となる地検のビデオテープに瑕疵があり、起訴しても公判に堪えられないと判断した。こういうふうに、彼は当時仙谷氏からいろんな中国問題について相談を受ける立場にあって、その直後に内閣官房参与にもなっているんですけれども、もうこのときには既に事実上、内閣官房参与的な立場で行動しているんですよ、仙谷氏からしょっちゅう相談を受けながら。何で中国人はあんなにすごく反発するんだろうなとか、いろんな相談を受けながらやり取りしているんですよ。最も近い立場にあった、個人的にも最も近い立場にあった人。その人がこんな新聞で堂々とうそを言いますか。言うと思われますか。誰が見たって、大臣なり当時の官邸側の方がうそをついていると思いますよ。
 国民の常識というよりも、当たり前の常識からいったっておかしいと大臣思われませんか。官邸はテープを検証したんでしょう。御存じないんですか。
#224
○国務大臣(平岡秀夫君) 存じ上げておりませんし、先ほど答弁させていただきましたように、ここに報道されているようなテープが官邸に検察から届けられたという事実関係についてもこれはないと承知しております。
#225
○丸山和也君 じゃ、もうそのことについては聞きませんけれども、大臣、刑法百九十三条、公務員職権濫用罪というのがあるんですけれども、これは御存じですね。公務員職権濫用罪、これについてちょっとお聞きしますけれども。
 当時の官房長官というのは仙谷由人氏、総理大臣は菅直人氏、これは間違いありません。彼らが仮にこのテープは瑕疵があるよと、こんなので起訴していいのというようなことを検察庁にじゃ問合せをしたとしましょう。ここまでは、今の前言ちょっと、官房長官なり総理大臣がとします、当時のというのじゃなくて、一般論で結構ですけれども、官房長官なり総理大臣が検察庁に証拠の一部について意見を言うということについては許される範囲なんでしょうか、どうなんでしょうか。法務大臣。
#226
○国務大臣(平岡秀夫君) ちょっと事実関係もよく分からない状況でございますので、仮の、仮定の話ということで、ちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#227
○丸山和也君 いや、事実関係じゃないんですよ。これはもう尖閣事件とは関係ない一般事件、一般的な規定としてね。起訴独占主義というのがあるじゃないですか、起訴便宜主義もあります、起訴独占主義の中で、ある特定の刑事事件について起訴するかしないかというのは検事が専権でしょう。これはもう大臣、お説教するまでもない、よく御存じだと思うんですよ。そこには例外的な指揮権発動というのがあるんですけれども、指揮権発動という手続を正式に取るのでなくて、官邸なりが検察当局に、その事件を担当している検察当局に、こんな証拠でこの事件は大丈夫なのという問合せをするということはぎりぎり許されるんでしょうか、許されないんでしょうか。刑事局長でも。
#228
○政府参考人(稲田伸夫君) ただいまの点につきましては、まず前提といたしまして、検察庁は行政機関の一部でございまして、法務省の一組織でございます。そういう意味で、法務大臣の一般的指揮監督下の下にございます。先ほどから問題になっております指揮権は、更にそれを超えて具体的な事件についての取調べ、処分について個々の検察官を指揮するかしないかという論点でございます。
 ただいまお尋ねのありましたようなことにつきましては一般に検察の処分等にかかわる事項でございまして、法務省の中に刑事局、ここが検察に関する事項を所管しておりますので、仮にそういう問題があるとすれば、これは基本的には、もちろん大臣が報告を聴取しておられるということを前提ではございますけれども、刑事局の方で通常事実関係を承知しているところでございます。何となりますれば、そのようなことをしておかないと、個々の検察官に対しまして政治あるいは官邸とかいうそういう立場の方から直接のお話を受けるということは必ずしも望ましいことではないというふうに考えておりまして、通例、私どもの方で仮にお話があれば承ることになろうかと思いますが、余り具体的に承知している例はないものと思います。
#229
○丸山和也君 これは結構重大な回答をされたと思うんですが。
 刑事局長、続いてお聞きしますけれども、すると、個々の事件について指揮権発動というような具体的な手続を取らなくて、結構話題になった一般事件としましょうよ。これについて官邸なりが、この事件、検察庁、本気でやるのと、この程度の証拠でやるつもりなのという、あるいは電話、刑事局長、誰でもいいですよ、電話、こういうことがしょっちゅうあるんですか。それともそれは是とされているんですか。そういう質問なんですよ。何か今のを聞いていると、私どもが承って何かやりますみたいなことを言っているんだけれども、それは事実上の検察、指揮権発動じゃない、事実上の官邸からのこんなので起訴していいのかというような質問と同じなんですよ。それを承って意見交換するんですか、やっているんですか。
#230
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども最後に申し上げましたように、私の知っている限りでそういうことは基本的には私は知りませんということを前提に申し上げておりますけれども、理論的に申し上げれば、法務省で一般的に検察に関する事項は承知しているところでございますということを申し上げているところでございます。
#231
○丸山和也君 だから、答えになっていないんですよ。行政組織が法務省のあれだとか、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。指揮権発動という非常に強力な例外的な行為の是非がかかわるような根幹の問題について、それが疑われるような行為が頻繁に行われるのか、あるいはどうかということを聞いているわけですよ。そういう姿勢で答えてもらわないとね。全く答えになっていないじゃないですか。
 例えば、小沢事件が今係属していますね。あれについて官邸側は、この程度の証拠で有罪にできるのかと、例えば裁判所に電話した、あるいは検察庁にこの程度の証拠で小沢氏起訴していいのか、できるのかというような問合せを受けるんですか、あなたは。受けても変だなとも思わないんですか。
#232
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど申し上げましたのは、私どもが法務省の中で刑事局が検察に関する事項を所管しておりますということで申し上げております。それは、前提といたしまして、先ほどの検察庁法にある指揮権というような非常に、先ほどから先生が御指摘になりますような非常にそういう意味ではドラスチックな権限行使にかかわることについて関係してくるところでございますので、個々の直接の検察庁との間でやり取りするということは基本的には考えていないと、そこで刑事局が検察に関する事項を所管しているということを申し上げているところでございます。
 したがいまして、国会等におきましても、検察の処分等についてお尋ねがあります場合には、もちろん法務大臣あるいは政務三役において御対応いただくところでございますが、私どもの方でそれを補佐し、あるいは必要に応じて我々法務当局が御答弁をするというふうにやっているところでございまして、そういうやり方のシステムを御説明申し上げたものでありまして、現実にそういうお問合せがあるかどうかについてお答えをしたつもりではございません。
#233
○丸山和也君 システムの一般論を聞いているんじゃないんでね、わざわざ手を挙げて答えていただかなくていいんですよ、そういうことについては。教科書を読むようなことであってね。
 そうじゃなくて、これが新聞各紙、マスコミ、海外も含めて、政治的には中国の圧力に屈したと。もう諸外国全てですよ、これ、例外ない。それは別にして、法手続として、指揮権発動だと、事実上の。検察の敗北でもあるし、検察も苦渋の決断とうまく言っていますけれども、政府の政治介入、しかも手続を踏まない、堂々とやったんならまだその当否の問題ですけれども、そういう手続を踏まないでやってごまかしているということについての法不信、政治不信、外国からの信用の失墜、こういう三重の失敗をしているということが全く解明されていないんですよ。責任も取られていないんですよ。
 こういうことについて、法治の徹底だとか、国民の良識に、常識に基づいて、国民の利益のためにやりますだとか、検察改革をやりますと。ちゃんちゃらおかしいんですよ、言っていることが。恥ずかしいですよ、皆さんも、そこにおられること自身が、この程度の答弁であっては。
 要するに、法ということに対する意識が麻痺しちゃっているんですよ。事の重大性ということに場当たり主義になっちゃっている。大過なく、まあ小過だね、で過ごせればいいという思考、思想に走っちゃっているんですよ、この国が。だから、争いを避けると、取りあえずあしたを無事迎えるという、それが是だという発想で流れているんですよ。漂流しているんですよ、この国が。
 だから、法務大臣しっかりしてもらいたいというのは、法務大臣も、弁護士会の弁護士政治連盟というのがございますね、そこのインタビューを受けて立派なことを、まあ立派でもないというか、当たり前のことなんですけれども、そんなに立派でもないんだけれども、よく見ていただくと、言われているんですよ。弁政連ニュースという中でこういうことをおっしゃっている。十月二十六日号、弁政連ニュースというのがあるんですけれども、この短いインタビュー、新任の法務大臣に聞くということで、法務省の仕事というのは、派手さはありませんが、国の背骨、背骨ですね、のような役割であると思っていますと、こう言っているんです。
 まさに背骨なんですよ、国の。だから、一番大事な、僕はいつも、自分が法律だから言うんじゃないんですけれども、法務大臣というのは全ての大臣の中で一番僕は格が上であると、あっていいと思っているんですよ。国家の背骨ですから。
 すると、こういう三権分立に抵触するのかどうかということがまた世論から大きく疑問を持たれるというようなことについて、一年たっても、それは震災もありますよ、現場対応も大変だけれども、こういう国家の背骨に関する矯正といいますか、きちっとやっぱり取り組んでいかないと国家としての背骨がぐちゃぐちゃになってしまうんじゃないですか。そういう国家に未来はありませんよ。
 そういう自覚を持ってやっぱり法務大臣、これからでもいいですけれども、気合を入れ直して、やっぱりこういう問題について、政治的に流されてしまうんじゃなくて、大臣としての気概を持ってもう一度検証してくださいよ、この中国人船長の釈放の経緯、指揮権発動との関係について。今回どういう問題があったのか、検証委員会ぐらいつくって、どこが問題あったのかと、あるいはどこは正しくてどこは間違っていたのかと、こういうことについて検証委員会をつくってやっていただけませんか、どうですか。
#234
○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど来からるるお答えしているように、この件については指揮権の発動はなかったといいますか、検察当局の方で国内法と証拠に照らして判断してまいったということでございますので、改めて検証ということについては考えておりません。
#235
○丸山和也君 それならそれで逆の宣戦布告みたいな態度だと思うんですけれども、いずれ明らかになりますよ、これは、それらしい事実があったということを。それを私言っておきますからね。どういう形で明らかになるかは分かりませんが、いずれ明らかになりますから。そのときには今の答弁をやっぱり恥じることになると思いますよ、平岡大臣。時間がどんどん過ぎていきますので、押し問答になってしまっているので意味がありませんのでこれ以上は言いませんけれども。
 次に、山岡大臣の法律にかかわる若干疑惑についてお聞きしたいと思うんですけれども、こういう問題を追及するのは余り私は得意じゃないんです、本当のことはね。森さんなんかの方は本当に得意なんですけれども、私はだから今までやっていることの方があれなんですけれども、若干、時の人ですから山岡大臣も、お聞きしたいと思うんですが。
 かつて、今民主党に入られましたけれども、どなたかが鈴木宗男さんに対して疑惑のデパートだとおっしゃったような気がしたんですけれども、疑惑の総合商社か、というような言葉をうまく使われたような気がするんですけれども、残念ながら山岡大臣にもいろんな疑惑といいますか、取りざたされているんですね。もちろん、これは任命者は平岡大臣じゃございませんから、そこの責任はありませんけれども、やはり大臣、内閣の一員である大臣がいろんな角度から法的に疑問視されるというか、倫理的にも疑問視されると、こういうことについては、やっぱり法秩序の確立、維持という観点の責任者の法務大臣としては、まあ人のことだからほっといていいやというわけにもいかないんじゃないかと思うんですね。
 それで、若干大臣の御意見をお聞きしたいんですけれども、今大臣自身が自ら大臣秘書の給与、政策秘書の給与等について追及されてお答えになっていましたけれども、実は山岡議員に、これはもう二年ぐらい前からいろいろ報道されているんですけれども、選挙に関し、具体的に言いますと、ある地方自治体の市長の選挙に関して秘書を派遣したということで、見返りに四百五万円を要求して受け取ったと、こういうことがございます。これは当時の新聞、日経新聞、朝日新聞、各紙で結構報道されていまして、栃木県の真岡市長から病院へのコンサルタント料名目で四百五万円ですか、振り込みがなされたと。それで、このコンサルタント会社というのが山岡さんの奥さんが発行済み株式の六割、一万二千株を保有している、だから実際には山岡さんのところにお金が行ったと、しかも、山岡さん自身がお金の支払を要求したという報道になっているんですけれども、これとか、マルチ商法の問題とかいろいろあるんですけれども。
 大臣にお聞きしたいんですけれども、いわゆる国会議員が自分の公設秘書を配下の地方自治体の選挙に関して候補者の下に派遣して、それで派遣料といいますか見返りをもらうということは、どうなんですかね、これは法的には問題があるんですか。それとも、ただ、ちょっとみっともないなというか、えげつないなという程度のことなんでしょうか。どのように理解したらいいんですか。
#236
○国務大臣(平岡秀夫君) 今の事実関係について言うと、どういう法律のどういう問題があるかということについては、申し訳ありませんけれども、私自身今情報を持ち合わせておりませんし、若干個別的な問題とのかかわりもあろうかというふうに思いますので、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#237
○丸山和也君 一応昨日通告していますので。余り細かいことは言っていませんけれども。しかも、そんなに難しい問題じゃなくて、いわゆる公設秘書というのは公設の秘書ですよね、国会議員の。国会議員の公設秘書を他の候補者の、地方選挙の候補者に派遣して、そこから指導料というか派遣料といいますか、もらうということは法的には問題ないのですかどうですかということを言っているんです。道義的にじゃなくて、法的な問題として。それはそんなに難しい問題じゃないんじゃないですか。
#238
○国務大臣(平岡秀夫君) 法的な問題という御指摘でございましたら、いずれにしても、犯罪の成否というのはやはり法と証拠に基づいて判断されるべき事柄であるので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#239
○丸山和也君 誰か分かる人いませんかね、今の件。刑事局長。
#240
○政府参考人(稲田伸夫君) ただいま大臣の方から申し上げたとおりだろうと思います。
 事実関係につきまして私どももつまびらかにしているわけではございませんし、犯罪の成否ということであれば、捜査機関が収集した証拠に基づき、それを法に当てはめて判断していくべきものだろうというふうに思っております。
#241
○丸山和也君 いや、犯罪の成否を聞いているんじゃなくて、考えてみれば、自分の系列の議員、配下の者の選挙に対して応援というのをやりますよね、国会議員というのは。お互いだと思うんですけれども。そういうときに、自分の公設の秘書を派遣して、いろいろ仕事するわけですよ。それに対して、当然見返りとか、見返りというか、派遣した対価としてお金を要求すること自身は、この山岡さんじゃなくて一般論として問題あるのかないのか。これはもう基準の、基準というか、法解釈だけの問題じゃないですか。局長。
#242
○政府参考人(稲田伸夫君) 申し訳ございませんが、多分それは、公職選挙法上どこまで許されるかということであれば、ちょっと私ども法務省の立場で、刑罰かどうかということはさておくといたしますれば、なおさらちょっとここでお答えするのはいささか私どものところとしては難しいなというふうに思うところでございます。
#243
○丸山和也君 大臣に聞くにはつまらぬ質問なんですけれども、大臣も御存じないということなんですが、この問題について、次回までで結構ですから、公職選挙法の関係、その他刑法でも全て法令上問題があるのかないのか、統一的な見解を次回までに調べて報告していただきたいと思います。よろしいですか、大臣。
#244
○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど刑事局長も答弁したように、公職選挙法の当てはめの問題とするならば、所管は総務省の方でやっておりますので、是非また総務省の者を呼んで聞いていただければいいんではないかというふうにも思います。
#245
○丸山和也君 十分早いですけど、終わります。
#246
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 ちょっと十分早まって、心の準備がというところがあるわけでございますけれども、私自身かつて法務委員会に所属しておりまして、十年ぶりぐらいに戻ってきたなということがございまして、懐かしいといいますか、江田先生も目の前に座っておいでになるということでございます。
 また、平岡大臣は以前総務副大臣やっておいでになって、総務委員会で御答弁いただいたわけでございますが、大臣の所信とか、副大臣の所信って余り聞かないですよね、挨拶だけで。ですから、今日は大臣の所信に対する質疑ができるということで楽しみにして参りました。
 先般の大臣の御挨拶、いろいろるる問題点等を述べられているわけでありますが、この「はじめに」のところで三行目、法務省の大きな役割であると思っております、他方で、次ですね、法務行政を遂行するに当たって、法の持つ厳格さだけでなく、常に国民の皆様の常識というものを忘れることなく、さらに社会のきずな、あるいはお互いの思いやり云々と、先ほど有田先生も引用されておいでになったわけでございますが、こういうくだりというのは今まで大臣の挨拶の中で余りなかったなというふうな感触を持っているわけでございますが、これは平岡大臣が筆を入れたということになるんでしょうか。
#247
○国務大臣(平岡秀夫君) この言葉は、たしか私が就任したときに、法務省の職員に対して就任の挨拶をするときに使わせていただいた言葉をこの中に使わせていただいたというふうに記憶しております。
#248
○魚住裕一郎君 そういうことなんですね。それをおもんぱかってここで文章になって出てきているということなんですが、そういう意味では平岡大臣らしいなということもあるわけでありますが。
 ただ、この厳格な法務ということから考えると、ちょっと意味がよく分からないといいますか、そういうふうに響いてくるんですが。言わんとすることは分かるんでありますし、最近またきずなというのは非常に大事であると思いますし、ただ、法務行政で思いやりとか言われると、ちょっと、えっという、ちょっと詰まってしまうというか、そんな感想を持つところでございます。
 それで、何点かまず大臣のお考えというものをただしていきたいと思っておりますが。既に衆議院も、またこの委員会でも何回か出ている、先行質問者の中でも出てきているわけでございますが、まず、大臣の北朝鮮とのつながりといいますか、非常に色濃いなというイメージを持つわけでございます。先ほどもございました、朝鮮大学校五十周年に、祝賀の儀に挨拶をされているとかありましたし、また国交正常化へ向けての活動もされていると。もちろん、いろんな外交関係の中で、いろんな考え方でやるのもいいんでございますが、ただ一方でやっぱり拉致の問題も抱えているということがあるわけで、ちょっと一方的にそういう方面だけでいいのかなと。
 さらに、いろいろ調べてみますと、市民の党ですか、の方の選挙の支援も受けているというふうになっているわけでございまして。例の補欠選挙のときに、その市民の党の方が随分頑張って応援をしていたという、そういう状況にあるようでございます。私も、あのとき、補欠選挙のとき、自民党さんは山本繁太郎さんだったと思うんですけれども、非常に記憶が鮮明に残っておりまして、ああ、そういうときにこの市民の党も大挙して応援に駆け付けているんだなというふうに思ったわけですね。
 市民の党は、もういろんな地方議会でも入っておいでになるし、北とのつながりが強いというふうにも報道されているわけでございますが、そんな、大臣についてはそういう印象に残っている。だから、先ほど来ございましたけれども、やっぱりそれで拉致やあるいは情報収集は一体どうなるんだろうか、きちっと厳正にされるんだろうかというふうな懸念を抱くわけでございます。
 それで、というのは、この市民の党といいますと、たしか菅前総理の政治資金規正法の虚偽記載の告発が出ていますよね、東京地検特捜部に。受理されているわけでございまして、もちろん個別案件は大臣がじかに指揮を執るということは、先ほど来から指揮権発動の問題が出てきているわけでございますが、やはりそのトップが選挙支援を受けているという関係者ということになれば、公正公平な判断を下したとしても、そこの、そういうポストにいるということ自体が、法務行政あるいは検察の活動についての公平さというものが害されてくるのではないのかなと、そういうふうに私危惧するわけでございますが、その点についての御所見をお伺いをしたいと思います。
#249
○国務大臣(平岡秀夫君) 今いろんな点を御指摘をいただきましたけれども、特に最後のところで捜査と政治との関係について御指摘があったんだろうというふうに思います。
 先ほど来からるるお話がありますように、検察の準司法的機能、これは司法権の独立ということを含めて必要とされているという基本的な認識については私もしっかりと持っているつもりでありますし、そういう状況の中で、告発されたものが法と証拠に照らして適切に判断されていくということに対して私自身が何らの影響を行使するものでもありませんし、適切に検察における活動を行っていただきたいというふうに思っております。
#250
○魚住裕一郎君 次に、拉致被害者の家族の会の皆さん、ええっという感じでかなり動揺が走っているといいますか、本当にしっかりやってくれるんだろうかというような思いを持っていると思うんですね。
 それで、この挨拶の中でも、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう云々という話がありますけれども、資するというだけじゃなくて、担当大臣は別におりますけれども、やはり法務行政といいますか、治安を預かるという一番大事なポストにおいでになるわけですから、この被害者の家族の会の皆さん、いやいや、よくやってくれるかもしれないという、そういう決意表明をしていただきたいと思うんですよ。
 特に、拉致の加害者というのはみんな基本的には海外ですからね。文字どおり、今朝からの議論で、時効もない、時効も止まったままになっておるわけですよね。今生きているというか、主権を侵害され、人権を侵害されているという大変な事件なわけでございますので、別に法務大臣にエールを送るつもりはありませんけれども、しかし、やはり今いるポストでしっかりやってもらわなきゃ困りますものですから、決意を披瀝をしていただきたい。
#251
○国務大臣(平岡秀夫君) 私も、拉致問題の解決ということは、本当にしっかりと政治家としてもあるいは国民の一人としても取り組んでいかなければならない大きな課題だというふうに思っております。その中で、じゃ、どうやってこの問題を解決していったらいいのかということについては、私はいろいろな考え方があるんではないかなというふうに思います。
 これまで、ある意味では対話と制裁といったような形でのバランスを取りながら物事を進めてきたという中で、私は、物事を進めていく中にあっては、特に、先ほど言われましたように、海外との関係というようなことを考えてきたときには、やはり信頼関係を築いて物事を解決していくということも一つの考え方ではないだろうかというふうにも思います。そういう意味で、私が野党時代に活動をしてきたのは、できる限り信頼関係を構築していくと、対話を進めていくという方向で何かできないんだろうかというような思いで活動もしてきたこともまた事実でございます。
 そうはいっても、現在、この法務大臣という職責にあり、この法務省の中に公安調査庁というような、ある意味では非常に重要な情報収集をしている、そういう部署があるということでございますので、そこは私もしっかりとそういう立場をわきまえながらこれから取り組んでいきたいというふうに思っております。
 繰り返しになりますけれども、拉致問題の解決、これは私も、他の国会議員の皆さんあるいは国民の皆さんに負けず劣らず、その解決の必要性、あるいは解決に向けて頑張らなきゃいけないという気持ちは全く劣るものではないというふうに思っています。
#252
○魚住裕一郎君 何かちょっと物足りないなという気がしますけれども。
 次に、昨日ですか、衆議院の外務委員会で玄葉外務大臣が、鳩山元総理の、最低でも県外と言いましたね、普天間基地、鳩山総理がね。それで、その衆議院の外務委員会で玄葉大臣は、あの時点でああいう発言をしたのは誤りだったと思うというふうに玄葉大臣が述べられたんですね。
 それで、これ、平岡大臣は普天間基地はいらない集会とか出ておいでになりますよね。それは、でも二〇〇九年十二月十五日、これもう与党の時代ですかね。もちろん大臣になっていないでしょうけれども、ネクスト大臣ぐらいですか。二〇〇九年十二月、この沖縄の集会があるじゃありませんか。そのときに、やはり普天間基地はいらないという集会であったわけでございますが。
 玄葉大臣のこの認識というか発言、大臣はどういうふうにとらまえますか。やはりあのとき鳩山さんが言ったのは間違いだったと、そういうふうに大臣も同じ御認識ですか。
#253
○国務大臣(平岡秀夫君) 二〇〇九年の二月は政権が……
#254
○魚住裕一郎君 十二月。
#255
○国務大臣(平岡秀夫君) 二〇〇九年の十二月は政権交代した後だったですね。私は与党の一員ということで、政府には何も関係がなかった状態だというふうに思います。
 法務大臣という立場では、所管外の事項でありますのでお答えは差し控えなければならないと思いますけれども、一政治家として発言させていただくならば、私は、あのときの鳩山総理の考え方については、是非それが実現できればいいなというふうに思っていたことは事実でございます。
#256
○魚住裕一郎君 いやいや、所管外なんて言わないでくださいよ。検察官だって日中関係おもんぱかる時代だよ。大臣が何で控えるんだよ、それは。ちゃんと自分の信念に基づいて答弁してよ。
 で、玄葉氏はあの発言を聞いて、鳩山政権ができたら恐らくこの問題で終わるんじゃないかと思った、現実になってしまったとも語った。これは自民党の河井さんへの答弁なんですよね。それは、できればいいなというふうに思うのはいいですよ。聞いているのは、今の時点で大臣の認識として、あの鳩山さんの発言は誤りだったというふうな認識をしているかということを聞いているんです。
#257
○国務大臣(平岡秀夫君) 誤りであったかどうであったかということについては、ちょっと私が言える立場ではないと思います。
 先ほど申し上げたように、鳩山総理の方針については、私はそれが実現できればいいなというふうに思っていたことは事実であります。
#258
○魚住裕一郎君 それから、ちょっと問題を整理していただきたいんですが、岩国基地の米軍艦載機の話でございますけれども、これは大臣になった後の話でしょう、これ。先月ですよね。今基本的に、大臣の所見の最終版といいますか、どういうお考えか、ちょっとお示しをしていただきたいと思います。
#259
○国務大臣(平岡秀夫君) 私自身は、一人の政治家としての考えとして、厚木基地にある空母艦載機の岩国移駐には反対であると、その気持ちは変わっていませんということも申し上げました。しかし、それと同時に、今、反対だからといってそれがストップできるというものでもないという事実認識もしっかりと持っていると。今、私がやらなければならない、政治家としてやらなければならないことは、地元の皆さんが考えていること、思っていること、これをしっかりと今の政権に伝えていくことであるというふうに申し上げたところでございます。
 この点について申し上げれば、せんだっても閣内不統一ではないかというようなお話がございましたけれども、その点について言えば、これは平成五年に政府統一見解というものが示されておりまして、仮に、国務大臣の立場において明らかに内閣の一体性を損なうような言動を取った場合には、憲法第六十六条第三項の規定との関係でいわゆる閣内不統一の問題を生ずるものと考えると。しかしながら、国務大臣が一政治家あるいは政党の一員としての立場から個人的見解を述べたとしても、国務大臣の立場において内閣の方針に従うということである場合には、憲法第六十六条第三項との関係でいわゆる閣内不統一の問題を生ずることはないというふうに見解が示されておりまして、私もそのときに、予算委員会の答弁でも申し上げました。閣議で決まったことについては、私もそれには従ってまいりますというふうに申し上げたところでございます。
#260
○魚住裕一郎君 政治家はどこかから選ばれてくるわけで、どなたも地元があるわけですよ。地元の声をしっかり聞いて、それを国政なら国政できちっとつなげていくといいますか、それは当たり前の話なんですね。もちろん政治家個人として信条もやりたいこともこれあるというのは当たり前の話なんですが、大臣になるとそうじゃないでしょう。その地域のことだけじゃなくて、例えば外交であれば内閣の所管なんですから、日本全体のことを考えてもらわなきゃいけないわけですよ。
 法務大臣になれば、当然国務大臣としての立場と法務行政の総責任者としての、日本全体をしっかり、自分の思想とは別ですよ、そういう立場で物事を発想していかなきゃいけないなというふうに思うんですよね。是非そこのところを、余りにも個々人のといいますか、個別の信条を大事にし過ぎているんじゃないのかなというふうに思います。
 それで、もうあと一点ぐらいちょっと姿勢というか、TPPなんですが、これ別に農業問題だけじゃなくて、二十一項目ぐらい分野ありますよね。例えば法務の関係であれば、弁護士の相互承認みたいなことも出てくるんでしょう。それはもう法律、法制度というのは文化そのものですから、そこまで全く同じにしようというのはどだい無理な話かもしれませんけど、例えば紛争解決という、そういう分野もある。政治家平岡さんとして、あるいは大臣として、TPPに対する大臣の姿勢、考えをお示しください。
#261
○国務大臣(平岡秀夫君) TPPの問題については、現在その交渉参加をどうするかということについて政府・与党内でも、あるいは与野党の間でも非常に活発な議論が行われているというふうに承知しておりますけれども、政府としては、しっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出すというふうに今しているところでございまして、私もそれと同じ考え方を持っているところでございます。
#262
○魚住裕一郎君 それで、このTPPについては、余りにもこれ情報不足なんですね。何か交渉参加して将来的には何兆円プラスになりますよみたいな話は出てくるわけだけど、例えば労働分野はこうだよ、あるいは法務分野はこうだよと、そういうのが余り出てきませんよね。だから、交渉参加していないから細かいことは分からないとも言えるかもしれないけれども、やはりそういうことをどんどん発信をしてもらって、別に農業だ、あるいは医師会の問題だけではないわけであって、法務当局からも是非そういう発信をしていただきたいと思います。
 それに関連はしないだろうとは思うんですけれども、弁護士法人等に関する法律案というのについてちょっとお聞きをしたいと思います。
 この間、特許の、弁理士の関係の人と話をしたんでございますが、何か百七十七通常国会では弁護士法人等に関する法律案、いわゆる外国法事務弁護士で弁護士法人をつくれると。外国法事務弁護士だけで法人をつくる場合と、それから日本の弁護士と外国法事務弁護士が共に社員となってサービスを提供する法人、二つが考えられていると。
 要は、何を言っているかというと、結局日本においては弁護士は当然の弁理士、税理士というふうになっていて、弁理士業務もできる。特に日本人弁護士と外国法事務弁護士と合わせていくと、特許庁は弁理士の専権業務範囲内においても法人による代理を認めておるものですから、いわゆる混合法人、外国法事務弁護士と日本の弁護士が合わさった法人では代理でできてしまうわけですね。だから、外国法事務弁護士は単独ではできないことなんだけれども、法人になってどんどんできてしまうという、そういうことが非常に危惧されておりまして、日本の産業政策上もう大問題だと。要するに、知的財産権のハブとしての地位を近隣の中国や韓国に持っていかれてしまうんではないかという、そういう危惧とともに、弁理士業界へも影響が大きいと。これは、弁理士というと経産省所管、特許庁かもしれませんけれども、弁護士法人に関連してでございますので、この点についての大臣の所感を、御所見をお聞きしたいと思います。
 TPPも踏まえ、そういう議論の中でこういうこともしっかりきめ細かく目を光らせていきたいと思っております。どうぞ。
#263
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘の外国法事務弁護士の法人化については、法務省と日本弁護士連合会が共同してつくりました外国弁護士制度研究会において検討がなされて、一昨年の十二月に取りまとめられております。
 外国法事務弁護士の法人化についてはいわゆるA法人、B法人という二種類の法人がございまして、A法人というのは外国法事務弁護士のみが社員となって外国法に関する法律事務の提供を目的とする法人ということであり、B法人というのが弁護士、これは日本の弁護士ですけれども、弁護士及び外国法事務弁護士が共に社員となり法律事務全般の提供を目的とする法人という、この二つの種類の法人を設立を可能とするための措置を講ずるように先ほどの申し上げた報告書では提言されています。
 今、法務省ではこの提言に沿って、できる限り早期に国会に法律案を提出することを目指しておりますけれども、問題と御指摘のありましたB法人については、確かに今委員がお話しになりましたように、外国法事務弁護士が権限外の業務を行うことを認めることになるんではないかというような指摘があることは我々としても認識をしておるところでございますけれども、実はこの外国弁護士制度研究会の提言でも、B法人の設立を認めた場合であっても、B法人においては、日本法に関する法律事務については日本の弁護士のみが意思決定を行い、法人を代表するものとされているということであり、さらに、外国法事務弁護士は日本法に関する法律事務について業務を執行することも、法人を代表することもできないとされておりますし、さらに、外国法事務弁護士である社員が日本の弁護士である社員を介して日本法に関する法律事務を取り扱うことを防止するという観点から、外国法事務弁護士である社員による日本の弁護士に対する不当な関与を禁止するという規制も設けるというふうに先ほどの提言の中ではされているところでございます。この仕組みは、現行法にありますところの外国法共同事業と同様のものになっているというようなことでございます。
 委員の御指摘になっている外国法事務弁護士に対して権限外の業務を行うことを認めるというものではございませんので、その点は是非御理解をいただきたいというふうに思います。
#264
○魚住裕一郎君 いや、まだちょっと納得できませんね。本当にそれが機能するのかということはしっかり議論させていただきたいと思っておりますし、出すこと自体断固反対という、そういう弁理士さんの言葉もありまして、よく協議したいと思います。
 次に、先ほど政治家個人の信条と大臣の姿勢ということでずっと聞いてきたところでございますが、死刑の執行等についてちょっとお聞きしたいと思うんですが。
 死刑執行に関する法務大臣の個人的信念、どういうものなのか。いや、私も実は死刑廃止議連に入っているわけです。前、EUに行ったときに、EUはもう大体死刑はやめていると。オブザーバー参加も、死刑制度をやめないとオブザーバー参加もさせないぞみたいなことを言われたわけでございますが、政治家個人としてどう判断するかということと、法務大臣としてやはり法秩序をきちっと維持をしていくということが大事なのであって、その個人の信条といいますか信念としてそういうことが、職責を果たせることができないというのであれば、これはやはり大臣を辞するべきではないのかなというように思うんですね。
 その辺の立て分けはどうなっているんでしょうか。何か勉強会ばっかりやって先延ばしというんじゃやっぱりまずいですよ、これは。この議論はもうずっと、論点尽くされているといいますか、そういう古い議論でありますし、昔教えを請うたあの団藤重光先生も、学者のときと最高裁判事になったときと、やはりそれは最高裁判事として職責を全うするというお立場から、死刑について残酷な刑だという上告を棄却されているということがありました。また学者に戻って更に深い識見を表明されておりましたけれども。やはりその立場で、もし本当に死刑は駄目なんだと、具体的に、勉強会どころか立法せぬといかぬですよ、これは。そういう立場にいるんだから、大臣は今。単に勉強会を続けて先延ばしすればいいと、さっきやった、あと五・八か月待てばいいと、そんな話じゃないわけですよ。私は何も死刑をどんどんやれと、そんな話じゃありません。
 だから、そこのところをしっかり、立て分けをちょっと御説明をいただけますか。もし駄目だったらもう大臣を辞めるべきだと。どうぞ。
#265
○国務大臣(平岡秀夫君) 委員から大変重い御指摘をいただいたというふうに思います。
 私自身は死刑制度廃止議員連盟に所属しているわけではございませんけれども、なぜ所属していないかといえば、やはり死刑制度どうあるべきかということは私もずっと自分なりに考え悩んできていた話であるということでございます。
 そこで、実は先日の予算委員会でも質問を受けまして、私が申し上げたことは、今法務省の中に死刑の在り方についての勉強会というものがあって、これは是非私としても引き継いでまいりたいと。その勉強会でのまずおさらいもしなければいけないし、そこでも勉強をして考えていかなければいけないというふうに思っています。その勉強会の中には、死刑制度の存廃についての議論もしておりますし、死刑の執行の問題についても議論を、勉強するということになっているわけですね。
 私が申し上げたのは、この死刑の在り方についての勉強会が結論を出さなければ、私は結論を出すまでは死刑は執行は止めますというような一律的なことを申し上げたのではなくて、私は個々の死刑の問題については、これは非常に重大な刑罰でございますから、個々に慎重に考えていかなければいけない、そのことを考えている間は執行をすることは当然できない。これはある意味じゃ当然のことを述べたということでございまして、私としては、勉強会が続いている限り死刑の執行をしないという趣旨で申し上げたわけではなくて、あくまでも自分自身が死刑執行を命令するかどうかを考えている間は死刑執行を命令することにはならないということを、ある意味では当然のことを申し上げたというふうに思っているところでございます。ちょっと分かりにくかったかもしれませんけれども。
 勉強会というのは、死刑の存廃、死刑制度の存廃についての勉強と死刑の執行の在り方についての勉強をやっていますと。この勉強会が結論が出なければ死刑はしませんと言ったんじゃなくて、その勉強会は勉強会としてしっかりと続けていきたいということと、それから、個々の死刑執行の問題については、私がそれを行使するかどうかということは考えていかなければならない話だし、考えている間はできないけれども、勉強会の結論が出る出ないにかかわらず、自分なりに考え方をまとめたところで自分なりに判断をしていきたい、こういうことを申し上げたということです。
#266
○魚住裕一郎君 刑事訴訟法は、あれ、何か月以内に執行するとなっているんじゃないの、これは。(発言する者あり)六か月でやりなさいと、それは国会で法律通してやっているわけですから。それはどういうふうな関係になるんですか、今の大臣の答弁は。執行の在り方なんというのはもうずっと続けてやっているわけでしょう、同じ方法で。
#267
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になったように、刑法の中では、死刑執行というのは判決が確定してから六か月以内に行うということに、命令を出すということになっているわけですけれども、ただし書もございまして、上訴権回復あるいは再審の請求、非常上告、恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しないという、そういう計算規定みたいなものもあるわけですね。
 ただ、この法律の位置付け自体は一種の訓示規定であるというふうに判例でも言われているところでありまして、六か月たったからもうできなくなってしまうものではない、六か月過ぎちゃったからできなくなるものではないという意味において訓示規定であるというふうに解されているということでございます。
 しかし、いずれにしても、死刑は、先ほども申し上げましたように、大変重大な刑罰でございますので、その執行に当たっては慎重に考えた上で判断をしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
#268
○魚住裕一郎君 しかし、裁判員制度で死刑判決が出ているわけでしょう。一般市民に死刑の判断をさせているわけですよ、これは。それは重大な刑罰ですよ。一般市民がそれ判断しているんだから、その判断をないがしろにしてずっと握っているみたいな世界になってしまいますよ。本当にそれで法秩序を維持するという職責を果たせるのかなというふうに私は思いますね。
 それから、いろいろ指摘もございました、死刑あるいは少年問題の。また、被害者よりも加害者の偏重ではないかということもあるんだけれども、そういうことの指摘もあるかもしれないけれども、やはり平岡先生、やっぱり弁護士的な発想といいますかね、強いんじゃないか。
 弁護士は、例えば弁護人であれば、被疑者、被告人を、そこに光を当てて事件がどういうふうに見えるか、それを裁判官に理解してもらうとか、そういうふうにやりますよね。だけれども、そういう個別事件をやる場合はそれでいいと思うんだけれども、やっぱり大臣となると、それは被害者もいる、社会の法秩序の維持ということもある、あるいは国際関係まで配慮しなきゃいけない時代になってきたわけでございますものですから、そういうこと、個人の信条とか、弁護士的な物の見方、法律家としてといいますか、そういうことにこだわっていたら法務大臣として国民から信頼されないのではないのかなと。もちろん、被害者ばっかり優遇するみたいなこともおかしいですよ、これ。だけれども、やっぱり刑事司法の中で国家刑罰権の最終判断者といいますか、執行の最終判断者は大臣なんですから、その点についての御所見をお聞きしたいと思います。
#269
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になったのは、委員会でも取り上げられている、少年法に関する話題のテレビでの私の発言のこともあるんだろうと思います。
 実はあのときは、少年法廃止すべしというマニフェストに賛成か反対かということを議論する場面、そういうテレビ番組でございました。私は当然、次の内閣の法務大臣という立場だけでなくて、やはり少年法というのは、可塑性に富む少年が一度過ちを犯しても、過ちを犯さないことにこしたことはありませんけれども、過ちを犯した場合でもやはりしっかりと立ち直っていくというためにも少年法は必要であるという、そういう立場で出演をしておったわけでございます。
 当然、そのテレビ番組の収録というのは二時間半ぐらいに及びました。実際は放映されたのは五十分ぐらいでございまして、その中で、議論している中には、犯罪被害者の皆さんに対する支援とか救済とか政策といったものについても十分議論をしました。しかし、その場面というのはほとんどそのテレビでは放映されておりませんで、最後の段階になって、我々出演者には、全てかどうか分かりませんけれども、少なくとも私とか、あるいは一緒に出ていた民主党の女性議員であるとか、あるいは少年法の大家である弁護士の方とかには、その被害者のお母さんが出てこられるということは全然知らされないままに登場されて、先ほど森議員が言われた事件について切々とお話をされたということでございます。
 その状況の中で、私としては、少年法廃止という雰囲気が非常に強まってきている中で、先ほど申し上げましたように、加害者であった子供たちにどういうふうになってもらいたいというふうに思われるんでしょうかと、やはり、その罪を認め、そして改悛し、そして立ち直っていくということを本当は望んでおられるんじゃないでしょうかという話を私としてはしたつもりなんです。
 ところどころちょっと私の舌足らずなところはありました。例えば、死の恐怖を味わわせたいんですかという話、あれは私が言ったんじゃないんです。あれはお母さんがそういうふうに言われたものですから、私はその言葉を使って、そうじゃ本当はないんじゃないですかという話をさせていただいたということでございます。
 そういう意味で、番組全体の中では、私も被害者の方々に対する支援、救済、いろんな政策についても必要性はしっかりと訴えさせていただきましたけれども、済みません、少年法の必要性をやっぱり何とか訴えたいという思いで、先ほど委員が言われたような印象がテレビ番組の中では出てしまったのかなというふうに思います。
 済みません、長くなりましたけれども。
#270
○魚住裕一郎君 そうであれば、テレビは編集するものですよ、プロデューサーの意図に沿って。それを何か、不意打ち的なこともあるでしょう。しかし、そういうふうな誤ったイメージで放映されるんであれば、なおさらそれを誤解を解くといいますか、大臣の心情はこうですよという、やっぱりそういうことをしっかりやっていくべきだろうなと。それはホームページもあるかもしれないし、具体的に会ってお話をしていくという、そういうこともやっぱりやっていかなきゃいけないんじゃないですかね。私はそう思います。
 次に、先ほどお昼の段階で、また当委員会やっている間に、日弁連あるいはビギナーズ・ネットというんですか、の方が院内集会、そしてまたお昼はデモ行進が来ました。給費制の問題であるわけでございますけれども、去年ちょうど今ごろですかね、今野先生にもよく御相談させていただいて、やっぱりちょっと、結論としては一年延ばすという形になっているわけでございますが、その間、しっかり弁護士会内もあるいは法務省の中でも議論をしていただくという形になったわけですね。附帯決議に基づいて、そして法曹養成に関するフォーラムというのが設置されたということでございますが、実質審議二回ぐらい、修習生に対する余り事情聴取等をなされなかったというふうに言われているわけでございますが、本来、この法曹養成全体の見直しが必要という趣旨の下でやっているにもかかわらず、この給費制の問題だけ切り離されて議論がされたというふうに日弁連等では理解をしているようでございます。
 先ほど司法試験の問題もあったわけでございますが、戦後の第二次世界大戦後の日本の国をどう立てていくかというところで、やはりこの司法国家というか、国が給料を出しても、そして新しい法曹というものをつくっていこうと、そして法曹三者合同で研修をして戦後の民主主義の礎になって大事な柱である司法制度を支えていこう、こういうところから出発したはずなんですね。それでずっと給費制になってきた。そこにまた法曹の公的な使命というのがあって、そこにこの給費制というものが来たと思うんですね。これを、給費制を貸与制に戻すというものは、結局個人の、公的な養成というよりも個人的な支出だけで済ませてしまうという、そんなことを意味するんだろうというふうに思っております。
 何か給費制に関連する法律案も出すやに伺っているところでございますが、しかし、今これ切実な思いで今日のデモ行進の皆さんはやっておいでになった。そもそも、司法試験の合格率が低い、あるいは合格後、卒業後、就職状況も大変厳しい、また借金もいっぱい抱えたまま法律家としてやっていくという、金持ちしかできないのかという話になってくるわけでございまして、やはりそれを拙速に、いつまでも給費制だけという話じゃないかもしれませんけれども、何らかの形で公的な支援というものをしっかりやっていくべきだと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#271
○国務大臣(平岡秀夫君) これまでの経緯については委員がお話しになりましたので省略させていただくとして、今回、フォーラムが第一次取りまとめということで出した案に基づいて、今必要な法案の提出をさせていただこうというふうにしているところでございます。
 実は、このフォーラムについては、昨年の十一月に衆議院の法務委員会でございましたけれども、貸与制を一時停止するという中で決議を出されています。その決議が二つに分かれていて、一つはやはり修習資金の取扱いについての決議で、これは翌年の十月末まで、つまり今年の十月末までに結論を出して措置をしなさいと、そしてもう一つは、法曹養成全体のことについて見直しをしていきなさいと、こういうような御趣旨でございました。これに基づいて、先ほど言いましたように、フォーラムが第一次取りまとめとしての修習資金の在り方についての考え方を提示させていただいたということでございます。
 しかし、先ほどの、午前中の質問あるいは午後の質問の中にもありましたように、法曹養成の在り方についてはいろんな御指摘が出てきていることもまた事実でございますので、私たちとしては、是非このフォーラムでしっかりとそうした意見を踏まえた議論を幅広くやってほしいというふうに考えているところでございます。
#272
○魚住裕一郎君 具体的にこの給費制をどういうふうに変えていくといいますか、あるいはいっぱい借金を抱えている合格者といいますか、どういうふうにフォローしていこうと。だって、これ修習やっている間はバイトをしちゃいけないわけですからね。法律家になってバッジ付けた、判事になった、検事になった。借金が重くて大変ですよ。不祥事も出ないといいなと思っておりますけれども、その点のフォローはどう考えていますか。
#273
○国務大臣(平岡秀夫君) まさにその点が大きなフォーラムにおける議論の焦点になったわけでございます。
 フォーラムでは、司法修習を終わって五年から十五年の方々に対してアンケート調査をしたりしまして、その返済の能力がどのような状況で分布しているのかというようなことも調べた上で、できる限り負担が軽くなるような貸与制、そして、経済的な状況で返済ができないという場合にはそれについても猶予する、さらに、法科大学院において奨学金で勉学された方々のその奨学金の返済義務がある場合にはそうしたものもしっかりと考慮しようと、そういうような中身で取りまとめがされていまして、それに基づいた仕組みができるように必要な法案を今提出させていただこうとしているところでございます。
#274
○魚住裕一郎君 だんだん時間がなくなってきたんですが、飛ばして。
 九月の末ですか、検察の倫理規程という御説明をいただきました。「検察の理念」というやつですかね。説明を伺って暗たんたる思いでございました。何でこんなものを作らなきゃいけないような検察の状態になったのかなと、本当にびっくりしたところでございますけれども、確かにいろんなことがあったなというふうに思うわけでございますが。
 まず、こういう倫理規程を作らなければならなかったという現状に対して法務大臣はどういう御認識なのか、かいつまんで御説明いただきたい。
#275
○国務大臣(平岡秀夫君) 検察については、最近様々な不祥事といいますか、あってはならないことがいろいろあったわけでございます。そうしたことを踏まえて、やはり国民の信頼を回復していくためには綱紀の保持が極めて重要であるというふうに考えておりまして、この「検察の理念」についても、検察改革を進めていく中で様々な方々からの御提言もいただいた中でこの「検察の理念」というものを作成させていただいたということでございまして、これは検察の長官会議、会同という会議でも議論をし、そして決まったことについてはしっかりと検察の事務をしております検察官そして検察庁の職員に徹底するように今させていただいているというところでございます。
#276
○魚住裕一郎君 倫理規範とかいうと、我々政治家も何かそういえば規範があったなと、また大臣規範もあるねと。別にパーティーの話をしようとは思っていませんけれども、何かあると規範というのが出てくるなとは思っているわけでございますが。
 この倫理規程を作る以上、やっぱり中身のある有意義なものじゃないといけないと思いますが、日弁連も、一定の評価もあるけれども、もっと具体的に被疑者、被告人の防御権の尊重について十分に留意すべきであるとか、あるいは自白偏重することなく客観的な証拠を重視すべきであるといった、そういうこともやっぱり書き込むべきじゃないのというような指摘もございます。
 大臣は、このような指摘はどうお考えですか。
#277
○国務大臣(平岡秀夫君) いろいろな、この「検察の理念」について策定する過程の中でもいろんな御意見もありましたし、作った後も、この部分がちょっともう少し必要ではないかとか不十分じゃないかというような御意見もいただいているわけでございますけれども、理念ということでございますので、それに基づいて具体的なことをどう実行していくのかというのは、またいろんな必要性に応じてしっかりと中でも議論して徹底をしていきたいというふうに思います。
#278
○魚住裕一郎君 それで、一方で、やっぱり不祥事というか、また新たな冤罪の可能性、東電OL事件とかですね、そういう可能性も出てきているなと。また、この間、どこかの検事正がスナックか何かで殴ったというのがありましたね。えっというか、検事正といったら、大体お付き合いするのは知事とかそういう偉い人たちですよ。何でそんな粗暴犯やるのかなと思うわけでございますし。また、大阪地検で何か不当勾留だという報道もありました。また先般、村木事件の、村木さんの案件ありましたね。賠償を認諾したじゃないですか。民事裁判で一つ一つ証拠に基づいて事案をしっかり解明していくことがやっぱり検察の姿勢をただすということになるんじゃないの。それが何か認諾という、そのままのみ込んじゃったという、事実関係は明らかにしませんという、そういうことに走っちゃったのかと、何かそんなふうに見えるんですね。
 だから、ちょっとこれ、この辺の最近の不祥事等に対して危機感が少ないんじゃないのかなと。何か倫理規範作ればもうそれでいいやというようなことになっていませんか。大臣の御所見をお聞きしたい。
#279
○国務大臣(平岡秀夫君) 請求を認諾させていただいたのは、やはりフロッピーディスクを改ざんするという違法な行為を捜査の過程の中で行ったということで、刑事手続において極めて重大な違法行為が行われたという事件の特殊性に鑑みて認諾をさせていただいたということでございますけれども、認諾というのはあくまでも損害賠償義務の存在を認めるというものであって、そこで請求原因として主張された個々の違法原因を認めるものではございません。
 逆に、この点については昨年の十二月に最高検察庁の方で事件の検証というものをやっておりまして、その検証の中でどこにどういう問題があったのか、これはどうすべきなのかということを検証させていただいているということでございます。この検証結果をしっかりと踏まえて、これからの必要な改革に、検察改革に生かしていきたいというふうに考えています。
#280
○魚住裕一郎君 もうこれ以上言いませんけれども、しかしやっぱり、そもそもそういう国に賠償を求めるという場合、普通認諾はしないものですよ、これは。民事事件としてしっかり事実関係を明らかにして、そういう中で次の検察改革にやっぱり資するべきではなかったのかなと。はなから、もちろんそちらはそちらでやるのは大事ですよ、検証をやっていると。やっぱり公開の裁判の中でやっていくことの大きなチャンスを自ら閉じてしまったなと私は思っております。
 まだまだいっぱい聞きたいことありますが、また次の機会に譲って、今日はこれで終わりたいと思います。終わります。
#281
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私もまず検察基本規程の問題でお聞きいたします。
 一定の前向きの表現もあるんですが、行為規範でなく訓示的規程にとどまっているということや、幾つかの重大な問題が欠落をしていると思います。
 その一つが証拠の開示の問題です。私も当委員会で、イギリスやアメリカの例も引きながら、検察官が被告に有利な証拠を隠したら処分の対象になるような、そういう規程が必要だということを提起をしてまいりました。また、在り方検討会議の提言でも、検察官は、被告人の利益に十分配慮し、法令の定め、判例とそれらの趣旨に従い、誠実に証拠を開示するべきであると盛り込むことが考えられるとしていたわけでありますが、この基本規程には証拠の開示について何も言及をしておりません。どうしてこういうことになったんでしょうか。
#282
○国務大臣(平岡秀夫君) 実は、私も最初にこの「検察の理念」と提言とを見比べながら説明を受けたときに、この部分が明示的に書かれていないということについて私なりに疑問を呈させていただきました。
 その上に立って御説明申し上げますと、証拠開示につきましては、刑訴法によりまして検察官請求証拠、類型証拠、主張関連証拠についての開示要件が法律で定められているということで、弁護人に不服があれば裁判所に裁定請求を行うことも可能な制度となっています。また、実務上でありますけれども、検察官は法律の要件に該当しない場合でも柔軟に開示に応じているというような制度になっております。
 そして、その上に立って基本理念について申し上げれば、一般的な基本理念そのものは一般的な検察の精神及び基本姿勢を示すもので、検察官の個別の訴訟行為について具体的な行為規範を定めるという性格のものではないということでございますけれども、「検察の理念」では、被疑者と弁護人との関係に配慮し、法令の定めに従って証拠開示を行うことを含む趣旨で法令を遵守しという文言や、公正誠実に職務を行うという文言、あるいは裁判官及び弁護人の果たすべき役割を十分理解しつつ職責を果たす等の文言の中に、証拠開示を含む弁護人への対応等が適切なものとなるようにする趣旨を盛り込んでいるというふうに理解をしているところでございます。
 さらに、適切な証拠開示への対応の前提となる消極証拠を含む十分な証拠の収集、把握という事柄もこの「検察の理念」には盛り込まさせていただいているというふうに考えております。
#283
○井上哲士君 いろいろ言われましたけれども、開示ということはどこにも書かれていないんですね。わざわざ提言で書かれているのにそれが書かれていないと。私は、今弁護人が請求すれば出るようになっていると言われましたけれども、現実には全くいろんなやっぱり問題が起きているわけですね。
 例えば、昨年の十二月に鹿児島地裁で無罪判決が出た老夫婦殺害事件というのがあります。この判決を見ますと、こう言っているんですね。正しい認定を行うには被告人に有利、不利な情況証拠を漏らさず確認しなければならず、そのためには公益の代表者である検察官は、被告人と犯人を結び付ける方向に働くだけでなく、被告人の犯罪性を否定する方向に働く証拠であっても自ら提出するのが相当であるとした上で、重要な証拠が弁護人に開示されなかったということを指摘をして、被告人以外の不審な第三者の痕跡がなかったという検察官の主張自体が採用できないと、こう言って無罪にしたわけですね。つまり、やっぱり検察側が隠していたということを言っているわけですよ。だから、こういう事態は続いています。
 そもそも民主党が野党時代に提案した取調べの可視化法案では、検察官の手持ち証拠の開示に向けての標目の一覧を出すということを盛り込まれていたわけですから、やはり現状、適切にやられていないと、こういう認識ではないんですか。
#284
○国務大臣(平岡秀夫君) 今、個別的な御指摘がございましたけれども、「検察の理念」というものは、先ほど言いましたように、検察の精神及び基本姿勢を示すというものでございます。その中で、我々としては提言で示されている誠実に証拠を開示すべきであるということについては盛り込んでいるという認識でおりますので、また個別的に「検察の理念」に沿っていないんではないかというような話があれば、また御指摘をいただきたいというふうに思います。
#285
○井上哲士君 盛り込んでいるとおっしゃいましたが、書かれていないんです。あえて書いていないことに、私はこれはやはり本当の反省があるんだろうかということを思わざるを得ないし、証拠をきちんと開示をするということを理念として位置付けるということを是非強く求めたいと思います。
 もう一点、先ほどあった検察長官の会同での検事総長の訓示は、供述調書至上主義的な捜査を一掃する必要性が痛感をされたと言っていますが、この土台になるのが、身柄を拘束して自白を強要するいわゆる人質司法という問題があるわけですね。この問題もこの基本規程には何も書かれておりません。身柄の拘束というのがやはり重大な人権制限であるということであるとか、それから供述を獲得するために身柄拘束を利用してはならないであるとか、さらには、違法や不当な捜査を認識したときには告発であるとか是正措置を講ずべきだとか、こういうことをやっぱりきちっと明記すべきことが必要だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#286
○国務大臣(平岡秀夫君) この「検察の理念」においてもいろいろな項目がございますけれども、今委員が御指摘になった点につきましては、例えば基本的には法令を遵守し、基本的人権を尊重し、刑事手続の適正を確保するという文言、あるいは無実の罪を罰することのないよう事案の真相解明に取り組む、被疑者、被告人等の主張に耳を傾け、積極、消極を問わず十分な証拠の収集、把握に努めるというような文言などを記載しておりまして、被疑者、被告人の身柄関係を含む人権への配慮が盛り込まれているというふうに我々としては承知をしています。
#287
○井上哲士君 あぶり出しとかしなきゃ分からないようなものでは駄目なんですね。すっきりとやはりこの問題というのは証拠開示の問題も含めて文言としてしっかり書くということなしには、私は、村木さんの無罪事件の反省が本当にされているのかということになるわけでありまして、そういうものに是非改善をしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、在日米軍関係者の裁判権の問題についてお聞きいたします。
 私、昨年四月に外交防衛委員会で、公務中を理由に日本が不起訴にしてアメリカに裁判権が移った場合も、これは検察審査会の対象になるんですかということを聞きますと、法務省はなるという答弁でした。
 その後、岩国と那覇で初めて米軍関係者の検審の申立てがあったんですね。那覇で申し立てられた事件は、今年一月に沖縄で米軍属が十九歳の男性を交通事故で死亡させましたけれども、公務中だということで不起訴になったものであります。遺族が不服の申立てをしまして、那覇の検察審査会は五月に、これは不起訴は不当だと、起訴相当という議決を初めて行いました。今検察が再捜査をしているわけですね。地位協定では、日本が不起訴にしてアメリカ側に裁判権が移って実際に裁判権が行使された場合に、日本が重ねて裁判をすることはできないと、こうなっておりますけれども、この米軍属の場合は五年間の運転禁止処分になっているだけなんです。
 そこで、一般論として聞きますけれども、日本では行政処分に当たるようなこういう運転禁止処分というのは、アメリカ側で行われた場合に、これはアメリカが裁判権を行使したと、こういうことになるんでしょうか。
#288
○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になった点は、日米地位協定第十七条第一項(a)におきまして、「合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服するすべての者に対し、合衆国の法令により与えられたすべての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する。」と規定していることに関してだと承知しております。
 お尋ねのあった、米軍当局によってなされる運転免許停止処分等の言わば行政処分というものが、先ほど私が申し上げた懲戒の裁判権行使に該当するのか否かというような問題でございますけれども、これについては、先ほど委員が御指摘になった、今年の五月の二十七日、那覇検察審査会が、那覇地方検察庁が行った不起訴処分に対し、仮に運転禁止処分という行政処分が米軍による裁判権行使に該当するとしても、余りにも処分が軽く、不当と言えるのではないか、その意味からも我が国において第一次裁判権を行使すべきであるというような理由の下に起訴相当の議決をし、現在、那覇地方検察庁は、この検察審査会の議決を参考にして捜査中であるというふうに承知しております。
 というような状況の下で、お尋ねの点は、現在、検察当局において捜査中の個別案件にかかわるものであるので、法務大臣としてお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#289
○井上哲士君 さらに、これは半世紀以上こういうことが起きていたと思うんですね。そのことについて見解が出ないというのはどういうことかと思うんですね。
 これまで、米軍属で、公務中という理由で日本が裁判権を行使しなかったという事件は何件あるんでしょうか。
#290
○国務大臣(平岡秀夫君) 米軍属による公務中の犯罪に関して検察当局が第一次裁判権なしを理由として不起訴処分にした件数については、平成二十年が十九件、平成二十一年が十六件、平成二十二年が十七件であるというふうに報告を受けておりますけれども、この中身を見ますと、自動車運転過失傷害、あるいは自動車運転過失致死、道路交通法違反といったような事案となっているところでございます。
#291
○井上哲士君 合衆国の連邦裁判所は、平時に軍属を軍法会議に付することは憲法違反だという判決を実は一九六〇年に出しているんですね。私、調べてみますと、駐留軍関係法規に関するハンドブックというのが出されております。その中で、アメリカの第七陸軍司令部の外国法部副部長という人が解説している。つまり、米軍の法規対策の方が解説しているんですが、連邦裁判所は平時における米国人家族及び軍属に対する米軍の軍事裁判権を事実上排除したと、こう書いているんです。
 ということは、軍属の場合、公務中だからといって日本が不起訴にしたら、アメリカの軍法会議にはかけられないんです、誰からも裁かれないんです。だから、この今あった三年間の五十二件について言えば、誰からも裁かれていないことになっていると思うんですね。これ、大臣、不合理だと思われませんか。
#292
○国務大臣(平岡秀夫君) 今御指摘のあったアメリカ合衆国連邦裁判所の判決というのは我々も承知しているところでございますが、その後、アメリカにおいても平時における軍属の起こした犯罪について国内法で裁くという法律も制定されているというような、いろいろな経緯もございまして、その経緯の結果として、先ほど私が申し上げたような取扱いになっているところでございます。
 ただ、本件については、重ねて申し上げますけれども、現在捜査中という状況になっておりますので、私の方からはどのような取扱いになるべきなのかについてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#293
○井上哲士君 では、先ほど挙げられた公務中という理由で日本で不起訴になった軍属がアメリカでどのように処罰がされているのか、それ資料で出していただきたいと思いますが、いかがですか。
#294
○国務大臣(平岡秀夫君) その資料がどうなっているのかということについて、私も情報を持ち合わせておりませんので、ちょっと部内で検討をさせていただいて、どういう対応ができるかどうか考えさせていただきたいと思います。
#295
○井上哲士君 日本の裁判権にかかわる問題ですから、きちっと資料を出していただきたいと思うんです。
 それで、これは外務省にも通告していませんが、お聞きしますが、先ほど紹介したこのアメリカのハンドブックは更にこういうふうに書いているんです。米国人家族又は軍属が接受国の法に違反する犯罪を犯した場合には、実質的に接受国がそれらの者に対する専属的裁判権を持つと、こうしているんです。これは二〇〇一年に作られた、米軍が実際に、中で担当者が書いているハンドブックですね。
 ですから、これは日本が専属的に本来裁判権を持つということをアメリカ自身も言っているんですよ。これはもう日米地位協定と全く食い違っているわけですから、これはアメリカが言っているとおり、軍属の場合は公務中であっても日本が専属的に裁判権を行使するように私は地位協定を改めるべきだと思いますけれども、これは今まで余り議論になっていなかったことでありますが、是非外務省も、民主党政権は地位協定の改定を提起するということをマニフェストにも書いているわけですから、その中にきちっと入れて提起をするということでしていただきたいと思いますが、法務大臣、外務省、それぞれいかがでしょうか。
#296
○委員長(西田実仁君) どちらから。
#297
○井上哲士君 法務大臣。
#298
○国務大臣(平岡秀夫君) 日米地位協定の問題については、外交当局とよく相談しながら対応を考えてまいりたいと思います。
#299
○大臣政務官(加藤敏幸君) お答えをいたします。
 日米地位協定につきましては、今後とも日米同盟を更に深化させるよう努めていく中で、普天間飛行場移設問題など他の喫緊の課題の進展を踏まえつつ、その対応について検討していく考えでございます。
#300
○井上哲士君 これ、現に今も、例えば一年間で十数人、さっきありましたように、公務中だということで軍属が不起訴になっているんです。そして、那覇ではさっき紹介したような事件が起きているわけですね。
 これまでよくアメリカ側と意見の違いがあって、それで調整が大変だということを言われていますけれども、これは、アメリカ自身の法律のハンドブックでこういう場合軍属は接受国が専属的な裁判権を持つというふうに書いているわけですから、向こうが言っているようにするということなんです。これが提起できなかったらどうやって地位協定改定するんですか。もうちょっときちっとした答弁を法務大臣はしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#301
○国務大臣(平岡秀夫君) いずれにしても、現在捜査中の問題も絡んでいますので、私からは個別にどうするかということについてはコメントはいたしませんけれども、地位協定の改定の問題については政府全体の問題でもありますので、外務当局と相談しながら対応を考えてまいりたいというふうに思います。
#302
○井上哲士君 私は個別の事件について申し上げているんではなくて、現にアメリカの連邦裁判所の判決やそしてハンドブックがこういうことを書いているという下で日本の裁判権が極めて侵されているということがあるわけですから、これは本当にきちっと解決をしていただきたいということで、法務大臣そして外務省、きちっとやっていただきたいと繰り返し申し上げておきます。
 次に、八月の二十六日に、一九五三年の日米行政協定改定の際の議事録と資料が公開をされました。これは、在日米軍の関係者の犯罪行為について法務省の刑事局の津田総務課長が、日本にとって著しく重要な事件以外は第一次裁判権を行使しないという旨を述べた議事録であります。
 これは二〇〇八年にアメリカの公文書館で発見をされて、公開がずっと求められてきたけれども、自民党政権時代は、それはないということで存在そのものを否定をしてきたものであります。私、昨年の外交防衛委員会で求めますと、当時の岡田外務大臣が地位協定に関するものは優先的に公開をしたいと、こういう答弁があって今回の公開になったわけですね。従来は存在を否定していたものが今回公開に至った経緯について、まず外務省からお願いいたします。
#303
○大臣政務官(加藤敏幸君) 井上議員御指摘のいわゆる資料につきましては、本年八月、外務省といたしまして、一九五三年に行われました日米行政協定第十七条の改正交渉にかかわる記録を公表いたしました。御指摘の一九五三年十月二十八日の合同委員会裁判権小委員会刑事部会での日本側代表の発言の記録は、外務省が保管していた過去のファイルには含まれていなかったということでございます。しかし、本件ファイルの公表に際しての米側との種々のやり取りの中で米側から当該記録の写しの提供がございましたので、今般、併せて公表することにしたという経緯でございます。
#304
○井上哲士君 自民党政権時代は、これ以外でも、私たち、例えば核密約などでアメリカ側で公表された文書を示して質問をしても、それはアメリカがやっていることで私たちは知りませんということで、アメリカに調査すらしないという対応でありました。今回は、日本にはなかったけれどもアメリカ側にあったというものを提供を受けたということでありますが、これは日本政府として公式に存在を認めたと、こういうことで確認してよろしいですか。
#305
○大臣政務官(加藤敏幸君) これは、もう先生御承知だと思いますけれども、公表されたかかる文書につきましては、一部のみ米国が保管するということで米国にあり、我が国にはコピーも写しもなかったというのは事実であります。したがいまして、求められても外務省としてはないということは、これはもうまさにそのとおりでございましたけれども、今般、米国側から写しをいただいたということで併せて公表をしたということでございますので、それは公表したという事実をもって、私は、まさにないものは公表しないわけですから、そういうふうなことで認識をしております。
#306
○井上哲士君 これ以外にも、アメリカでは公開されているのに日本政府が認めていないものがあります。一層きちっと調査し、公表していただきたいと思います。
 この発表に当たって、前日の日米合同委員会で、この議事録は確かだけれども日米間に合意はなかったということを確認したというふうに言われているんですね。しかし、公開された文書全体を見ますと、そういう説明は成り立たないということは私は明らかだと思うんですね。
 お手元に、資料から幾つかピックアップして並べてみました。この一九五三年の日米行政協定の改定というのは、それまで日本における在日米軍関係者の裁判権は全てアメリカが持っていたのに、それはちょっと余りひどいという声が広がる中で、公務外については日本に第一次裁判権を移すという、こういう改定でありました。しかし、協定自身はそうするけれども、実際には日本は第一次裁判権はもう重要なもの以外は行使しないと、こういうことを約束しようじゃないかということがアメリカから言われて、それをめぐっていろんな交渉をしていたというのが非公式会談、今回出てきた記録なわけですね。
 日本の第一次裁判権の行使の程度をどういうふうにするかということを日米間で非公式交渉をして、八月二十五日に、日本がその裁判権の実際的運用方針を一方的に陳述すると、これなら法務省もオーケーするんじゃないかということを日本側が言ったら、アメリカ側は、形式は重きを置いていない、実質を確保せよと言われていると、こういうことを言って話が付いて、九月の十日に、日本は日本にとって実質的に重要と認める以外の事件については通常第一次裁判権を行使するつもりはないと一方的声明を出す形にして、それを部外秘とするということでアメリカ側と合意をします。そして、十月七日にそれと同じ中身の通達が法務省から検事長、検事正あてに出されて、この通達もずっと秘密にされてきました。そして、この中身に基づいて、十月二十八日に当時の津田総務課長が声明をして、署名をし、この議事録自身もずっと秘密にしてきたというのが経過なんですね。
 ですから、これ見ますと、行政協定の改定はこれはもう国民の前に明らかになりますけれども、改定はするけれども実際は日本は重要なもの以外は行使しませんということを約束をして、それをまるで合意でないかのように装って国民に隠してきたという経過ですよね。まさに、実際にはそういうことでやられてきた密約ではないんですか。
 まず、外務省、いかがですか。
#307
○大臣政務官(加藤敏幸君) 御指摘の文書並びにやり取りの中で、日本側代表の発言は起訴、不起訴についての日本側の運用方針を説明したにとどまるものであり、日米両政府間で先生御指摘の合意の上に行ったということではないということでございまして、この点につきましては、先生御承知のとおり、八月二十五日の日米合同委員会の中でも確認をし、両国政府の一致した理解となっていると。またこの経過につきましても、その合同委員会でのやり取りについてもお話をさせていただいているということでございます。
#308
○井上哲士君 私は今の経過、先ほど説明しましたけれども、これを見れば、国民の常識から見ればやっぱり密約だったんじゃないかと、こういうことを思うと思うんですが、法務大臣、いかがですか。
#309
○国務大臣(平岡秀夫君) これについては、中身の問題にも関係するんではなかろうかというふうに思います。これは、文章を借りて読みますと、実質的に重要であると日本が認める以外の事件についてはというくだりでありますけれども、ここは日本側において起訴を必要とする程度に重要であるとは認められない事件を指しているわけですけれども、これについては、日本人に対して起訴猶予の処分を相当とするような事件と実質的には同一であるという理解に立っておりまして、そういう意味で、日米間において米軍人等に対する刑事裁判権の行使に関して何らかの約束とかあるいは密約があったというようなこととしては認識をしておらないところでございます。
#310
○井上哲士君 交渉の経過の中で、形式は重きを置かない、実質を確保しろというふうに言っているんですね。ですから、結局アメリカが協定上は裁判権を、公務外を移すけれども、実際上は多くは従来どおりという、そういう実質を確保するということで話をしたということはこの経過を見れば明らかだと思うんですね。
 今、実際に重要なもの以外は起訴されていないというふうな、日本が起訴するというふうなお話がありましたけれども、例えば強姦とか強制わいせつ、傷害などの重要事項についてはいまだに非常に起訴率が低いということがいろいろ指摘をされております。
 例えば、大臣の地元の、在日米軍の岩国基地の海兵隊四人が広島市で十九歳の女性を集団強姦した二〇〇七年の事件もこれ不起訴になりました。この事件はアメリカの軍法会議で有罪判決が出ているんですね。なぜこんな事件が日本で裁かれないのかということが大変大きな問題になりましたし、大臣もこの事件の直後に、なぜこの米兵四人の身柄を拘束して取調べを行わなかったのかと、これでは非常に国策非捜査だと、こういう批判をして、地位協定を改定しなければアメリカの属国みたいな扱いだと、こういうことまで言われているわけですね。
 ですから、こういう重要な事件が先ほど言ったような取扱いの中で日本で起訴もされないということが現に起きていると。これはやっぱりこの密約が土台にあってこういうことになっている。これはやっぱり改善すべきじゃないでしょうか。
#311
○国務大臣(平岡秀夫君) 今、井上委員から岩国基地の米軍人による強姦事件ということで御指摘がございました。この事件も、新聞報道等によって得た情報に基づいて私も委員が御指摘になったような質問をさせていただいた記憶がございます。
 ただ、その後のこの推移を見てみますと、事実関係として言えば、日本側は嫌疑不十分ということでの不起訴処分であったと。米側の処分状況も、これは強姦については無罪とか訴追取下げというようなことにもなっているようでございまして、個々の事実関係に基づいてどう判断するのかというのは、なかなかちょっと私が今ここで言うべきことではないのかなというふうに思います。
 いずれにしても、先ほど私が申し上げましたように、日本にとって実質的に重要と日本が認める事件については通常第一次裁判権を行使するということに反対解釈としてなろうかというふうに思いますので、それを前提として今後の在り方については考えていくべきではないかというふうに思っております。
#312
○井上哲士君 時間ですから終わりますが、私は、この事件でいいますと、日本が不起訴になりましたから、被害女性は米軍の軍法会議でもう涙ながらに証言したんですね。強姦事件の場合はよほど配慮しなければ裁判での証言が二次被害を及ぼすわけで、軍法会議でこの証言をするというのはどんな女性は思いだったかということを思うわけで、こういうやはり重要な事件が現実に日本で不起訴になっているということは、これは厳然たる事実でありますから、私は、こういう土台にある密約であるとか、それに基づくような通達というものをこれは見直して、本当に国民の命、安全が守られると、米兵の事件というものがきちっと日本で裁かれると、こういうことに地位協定の改定も含めて取り組むべきだということを改めて強く求めまして、質問を終わりたいと思います。
#313
○委員長(西田実仁君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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