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2011/11/01 第179回国会 参議院 参議院会議録情報 第179回国会 本会議 第4号
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2011/11/01 第179回国会 参議院

参議院会議録情報 第179回国会 本会議 第4号

#1
第179回国会 本会議 第4号
平成二十三年十一月一日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成二十三年十一月一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○副議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件を議題といたします。
 去る十月二十八日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。溝手顕正君。
   〔溝手顕正君登壇、拍手〕
#4
○溝手顕正君 皆さん、おはようございます。自由民主党の溝手顕正であります。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、所信表明演説並びに財政演説に対し、質問をいたします。
 質問に先立ちまして、東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福を改めてお祈りいたしますとともに、御遺族並びに被災された皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
 また、現在、タイの洪水及びトルコの地震により、大きな被害が出ております。被害を受けられた皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。東日本大震災に際していただいた両国からの御支援に報いるためにも、政府は速やかな支援策を講じるべきであります。
 タイの洪水については、日系企業も大きな被害を被っているにとどまらず、世界各国の企業活動に悪い影響を与えております。海外での邦人保護、日系企業の保護について、我が国は諸外国に比べ常に後れを取っております。政府には、速やかな支援を行うように求めるものであります。
 では、質問に入りたいと存じます。
 野田総理が民主党政権三人目の総理に就任されてから二か月が過ぎました。総理は、保守政治家を自任し、自身の著書でも新憲法の制定や新日本創成論を唱えてこられた政治家です。我が国が目指すべき国家像をどのように提示されるのか、また、これまでの民主党の総理とどのように違うのか、私たちは注目しておりました。
 しかし、残念ながら、二か月たっても、総理がどのような国づくりを目指しているのか全く見えてきません。今回の所信表明演説も、目先の課題を並べ立てたにすぎず、官僚の作文をそのまま読み上げたという印象でございます。
 また、総理の政治姿勢も、最初の国会を四日間で閉じようとする、あるいはぶら下がりの会見を拒否する、被災地に行ってもただ視察をして話を聞くだけというように、自らの言葉で説明を尽くそうという気持ちが全くありません。二度の所信で示された「正心誠意」という言葉とは相反する不誠実な対応ではありませんか。
 総理は、就任後の本会議で、我が党の中曽根議員会長がどのような国家像を目指すのかと質問したのに対し、中間層の厚みのある社会、ここに生まれたことにプライドの持てる国をつくりたいと回答しております。しかし、これは余りに抽象的で、どのような国なのかよく分かりません。
 総理がどのような国家像を目指すのか、もう少し具体的に聞かせてください。また、どのような政策によってそれを実現しようとされているのか、総理の具体策を聞かせていただきたい。
 総理には、我が国が大切にすべき価値観をしっかりと国民に、そして世界に、自分の言葉で発信していただきたいと思います。それがここに生まれたことにプライドを持てる国の第一歩ではないでしょうか。
 次に、総理が立ち上げた国家戦略会議について伺います。
 この会議は、重要政策の司令塔機能を担うとのことですが、そもそも国家戦略会議は法的な位置付けがなく、閣議決定のもので果たしてその効力を持つものか、外交・安保がテーマから外されている、経済問題に偏っている、予算の骨格づくりの議論も既に財務省が始めており、意見を来年度予算に反映させることができるのかといった数多くの問題を抱えております。
 聞くところによると、TPPと、税と社会保障の一体改革といった目下の最重要課題は議論の対象にしないようであります。日米関係をどう再構築するか、少子高齢化と人口減にどう対応していくのか、そうした問題に対する基本的な戦略があって初めて、TPPや税と社会保障の一体改革について方向性を決められるものであります。
 国家戦略会議で、TPPや税と社会保障の一体改革についても時間を掛けて議論すべきと考えますが、総理の考えを聞かせてください。
 次に、震災復興に対する政府の方針について伺います。
 政府は、本格的な復興のためだと称して、総額十二兆円の第三次補正予算案を提出しております。しかし、そのうち最も金額が大きい項目は一次補正に使った年金財源の補填二・五兆円であります。これは余りにも情けないではありませんか。また、本格的な復興予算だと言いながら、復興に直接関係ないものも含まれており、被災地の物理的な復旧のために本当に十分な内容なのか、極めて疑問であります。
 私は、釜石市から福島県の南相馬市まで、三日間にわたり被災地を縦断いたしましたが、いずれの被災地も想像をはるかに超えた状態でした。活気のあった町の変わり果てた姿、この状態からの復興は容易なことではありません。しかし、我々は何としても被災地の繁栄を取り戻さなければならないのです。そのために、復興のための投資を惜しむべきではありません。
 そこで、総理に伺います。
 政府は、復興に必要な予算を五年間で十九兆円と試算しております。その算出根拠を教えてください。
 また、今回の補正予算のうち復興予算は約九兆円と言われていますが、その中には、先ほど述べた一次補正の穴埋めや円高対策なども含まれております。実際に被災地の物理的な復興のための公共事業に使われるのは何兆円になるのか、答えてください。また、それで足りるとお考えなのか、聞かせていただきたい。
 次に、野田総理の外交・安保政策について伺います。
 言うまでもなく、民主党政権になって以来、日本外交は失態に次ぐ失態を重ねてまいりました。周辺国からはなめられ、アメリカからは愛想を尽かされ、我が国の国家としての威信は地に落ちた状態になっております。総理は、この状況をどう挽回するつもりなのでしょうか。
 野田総理、これまでの民主党政権の外交政策は何が間違っていたと考えておられるのか、聞かせていただきたい。また、野田総理の外交政策はこれまでの二人の総理とどう違うのか、説明してください。
 昨年発生した尖閣諸島沖における中国漁船船長釈放事件は、日本の国益を大きく損ね、また日本の法治国家としての仕組みを根底から破壊するものでありました。
 なぜならば、第一に、明らかな公務執行妨害行為の被疑者である中国人船長を、中国からの脅しに屈して公訴提起をすることなく処分保留のまま無条件釈放してしまいました。事実上、司法権を放棄したことであります。
 第二に、中国人船長の釈放決定に当たって、当時の政府において、菅総理及び仙谷官房長官の判断により、船長釈放に向け、法律上の手続によらず事実上の指揮権を発動した疑いが極めて高いという事実であります。さらに、釈放に当たり、検察による外交上の政治判断をさせるという形式を装ったがゆえに、検察そのものの政治的中立性が揺らぎ、検察の威信の失墜を招いたことは疑う余地もありません。
 失われた国益は甚大でありますが、少なくとも違法な裏指揮権発動の実態だけは解明し、法治国家の尊厳を早急に回復しなくてはならないと考えております。
 また、総理は、外交政策の中でも、目下懸案となっている普天間問題について、御自身の言葉で余り語っておりません。外務大臣や防衛大臣に任せて、自身で本気になって解決に乗り出すようには見えないのであります。民主党の失政を謝罪し、日米合意への理解を求める努力が必要であり、総理自ら先頭に立つべきであります。
 先日、元総理の鳩山氏の最低でも県外との発言に対し、外務大臣が発言は誤りだったと答弁しましたが、この外務大臣答弁について野田総理は鳩山元総理に陳謝したと報道されております。まさに内閣不一致であります。
 総理は、普天間問題をどう解決する考えなのでしょうか。問題を決着されるという明確な意思とその方法を御自身の言葉で示していただきたい。
 次に、集団的自衛権について伺います。
 総理は、自身の著書で集団的自衛権の行使を認めるべきという主張をされています。一方で、総理になられてからは、集団的自衛権の行使は憲法上許されないという従来からの政府解釈を変えないと答弁されています。
 新憲法の制定もそうですが、なぜ野田総理は、総理になった途端、従来の自らの主張を封印し、百八十度違うことをおっしゃるのでしょうか。細かいことならともかく、国家の根幹にかかわる問題について、自分の信念と違う方向で政治を行うというのが私には理解できません。
 総理は、なぜ集団的自衛権の行使を認めるべきという主張を封印されたのか、答えてください。また、御自身の在任中にはこの問題について再検討する余地がないのか、答えていただきたい。
 次に、財政問題について質問します。
 まずは、復興財源について伺います。
 政府は、復興債を十年で償還すると言っております。しかし、この復興債は通常の建設国債と何が違うのでしょうか。同じ復興事業でも、第三次補正予算に入れば十年の復興債で、来年度予算に入れば六十年の建設国債で償還することになります。執行が半年違うだけで、償還が十年か六十年かという違いが出てくるのはおかしいではありませんか。
 短期間で償還する理由として、市場の信認を得たい、次世代に負担を残したくないなどの説明がなされております。しかし、復興事業も中身は通常の公共事業と同じです。単なる応急措置ではなく、長期にわたり利用できる社会インフラを造るのですから、長期にわたって償還するのが自然ではありませんか。償還期間を仮に六十年とすれば、年間一千から二千億で済み、無理な増税を検討する必要もありません。次世代に負担を残したくないというのは誰しも親心としては思いますが、ここにだけ格好を付けるのではなく、現実的な対応をすべきだと考えます。
 総理、復興債の償還期間について、余り短期間とすべきではありません。整備されるインフラの利用期間を考えても、もっと長期にわたる償還を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、プライマリーバランスの問題について伺います。
 民主党政権になってから、歳出の膨脹に歯止めが掛かりません。来年度の概算要求は史上空前の九十八・五兆円となりました。震災関連を除いても九十五兆円です。自民党時代には八十兆円であったのが、民主党政権になって九十兆円台が定着してしまいました。
 復興債では償還を急ぐ一方で、通常予算はどんどん膨脹しているという明らかな矛盾であります。むしろ、復興にはその支出を惜しまず、通常予算には徹底的にばらまきを排除するという方針で臨むべきで、民主党のやっていることとは全く逆であります。
 将来の世代も、復興特会をしっかり管理していけば復興財源への負担は惜しまないでしょう。民主党のばらまき政策に掛かった費用こそ、次世代に残すべきではありません。
 そこで、総理に伺います。
 民主党、二〇二〇年までのプライマリーバランスの黒字化を達成するという目標を示していますが、本当に実現可能だとお考えでしょうか。達成する気があるなら、なぜ震災関連を除いた一般歳出をもっと削減しないのでしょうか。マニフェストの取扱いが大きな原因になっていると思います。答えていただきたい。要請申し上げます。
 次に、社会保障と税の一体改革について伺います。
 政府が発表している一体改革案では、二〇一〇年代半ばまでに段階的に消費税率を一〇%まで引き上げるとしています。
 そもそも、民主党のマニフェストでは、社会保障の充実に必要な費用は無駄削減で捻出するとしていたはずであります。社会保障の財源を増税に求めるということは、その考え方を放棄したということでよろしいでしょうか、総理に伺います。
 また、マニフェストでは、子ども手当はもちろんですが、ほかにも出産一時金の引上げ、医師不足の解消、介護労働者の賃金引上げ、最低賃金の引上げといった社会保障の充実をうたう公約が並んでいました。
 これら公約は、社会保障・税一体改革案にどのように織り込まれているのでしょうか。また、この政府案と民主党マニフェストの矛盾はないのでしょうか。
 併せて伺います。消費税の引上げスケジュールと年金支給開始年齢の引上げのスケジュールを具体的に示してください。
 公務員の給与について伺います。
 政府は、公務員給与を引き下げる代わりに公務員の労働協約締結権を認める法案を提出しております。このバーター取引は、政府が連合系の労働組合と合意したものだとされています。もしそうだとすれば、この合意自体がやみの労働協約ではありませんか。事実だとすれば大きな問題であります。
 削減法案と労働基本権に関する法案は、セットで考えるのではなく、全く切り離して対応すべきではないでしょうか。また、地方公務員の削減の問題が放置されております。この問題からも逃げてはなりません。
 総理、公務員給与引下げの代わりに労働協約締結権を認めるという政府と労働組合との間の合意は存在するのですか。本当のところを述べてください。
 この七・八%の給与引下げを行うために、政府は人事院勧告を無視することを決めました。法律に基づいた人事院勧告を無視し、恣意的に給与を引き下げるというのは公務員制度を破壊するに等しい行為であります。民間企業に対して、原発を止めろ、社長は辞任しろなどと勝手に言っているのと同様、法に基づかない行政を乱発する民主党の特徴がここにも表れております。
 この問題について、人事院総裁と閣僚の見解も分かれているようであります。総理、人事院勧告を無視することは憲法違反であるとの声もありますが、あなたの見解を求めます。
 次に、経済問題についてであります。
 まずは、TPPについて伺います。
 野田総理は、何としても今月のAPECで交渉参加を表明できるよう結論を急いでいるように見えます。初の訪米では、オバマ大統領にねじを巻かれたことがよほどこたえているのでしょうか。しかし、現状では、TPPの交渉参加を判断するには圧倒的に情報が不足をしております。加入した場合のメリット、デメリットも詳細に示されず、どの分野の交渉が対象になるかすら不明確であります。民主党内での意見集約も全くできていないようであります。このような状況で参加の可否を判断することは不可能であります。
 民主党は、TPPを平成の開国と称しております。そうであるならば、幕末の改革と同じように、慎重に議論をすべきであります。拙速に結論を出せば、必ずや将来に禍根を残すでありましょう。
 当時の幕府も、ペリーの来航によって、まさに今と同じようにアメリカに圧力を掛けられたわけであります。しかし幕府は、一旦ペリーにお引き取りを願った後、広く諸大名の意見を聞くという、当時としては前例のない方法で国家の英知を結集いたしました。そして、再度ペリーが来航したときには開国を決断しました。しかし、通商の要求は断り、和親条約のみを締結したのであります。今の民主党にこのような熟慮や決断ができるのでしょうか。
 さらに、大切なことは、当時は、国体を守るという、皆が共有する絶対目標があったことであります。幕末の動乱から明治維新へ続く激動の時期に、日本はいつ列強の植民地になってもおかしくない状況でした。そうならなかったのは、絶対に守らなければならない目標として、国体を守ると、一点だけは皆に共有されていたからではないでしょうか。党の綱領さえない民主党で、そのような筋の通った信念を持った態度が取れるのでありましょうか。
 総理、残念ながら今の民主党には、TPPのような国家の一大事を扱う信念も能力もないように思われます。このような状況で、拙速にTPP交渉への参加を判断すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
 また、交渉に参加しても離脱すればいいのだといった無責任な議論もあるようです。総理に確認いたします。TPP交渉に参加しても、都合が悪ければ離脱するという選択肢があるのかどうか、総理から明確に答えてください。
 次に、円高対策について伺います。
 政府は、先月二十一日に円高への総合対応策を発表しました。しかし、その後、連日のように円は最高値を更新しています。政府は八月にも円高対応緊急パッケージを発表していますが、円高を止める効果は全くありませんでした。いずれの対策も対症療法にとどまっていることを市場に見透かされているからであります。
 円高に伴う企業の痛みを和らげるというだけでは、円高自体への対策にはなっていません。円高を脱却するには、根本的なデフレを克服するしかないのであります。
 今週に入りやっと十兆円規模の為替介入が実施され、市場は一時小康状態にあるようですが、構造的な対応策は取られておりません。野田総理、日銀とも連携し、本格的な円高・デフレ対策に取り組むべき時期に来ていると思いますが、そうした考えはないのか、聞かせてください。
 また、空洞化についても伺います。
 政府は三次補正に、立地補助金など空洞化対策を盛り込んでおります。また、被災地で新たに設立する企業に、五年間法人税を無税にする対策を講じることにしております。
 しかし、被災地の法人税を免除するなら、新設企業だけでなく、既存の企業も対象にすべきであります。そもそも、空洞化するのは既存の企業が逃げていくからであります。それを止めずして新設企業だけを優遇しても意味がありません。
 総理、被災地の法人税免除について新設企業だけを対象にした理由について答えてください。また、既存企業も対象にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、地方自治について伺います。
 私は、広島県の三原市長を務めておりました。その経験から強く感じるのは、民主党の地方政治に対する考えの甘さであります。
 言葉では地方主権や新しい公共などと言っておりますが、単なる言葉遊びで、本当に地方自治体の苦しい実態を分かっているとは思えません。今、地方がどんな状況で何が求められているか、地方組織の弱い民主党には十分把握ができていないのです。
 民主党は、地方分権を論じる際、地域主権という言葉を使っていますが、そもそもその言葉自体、意味が曖昧で混乱のもとであります。
 一体、地域主権とは何でしょうか。地域に主権を持たせるという意味になりますが、まず地域というのはどの主体のことを示すのでありましょうか。はっきりしません。市町村なのでしょうか、都道府県なのか、あるいは道州制にした場合の道州を指すのでしょうか。
 また、主権という言葉も、国と地方という文脈で使う場合は、国でなく地方に主権があるという意味にしか思えません。立法、司法、行政の権限は地域にあり、国はその一部を補助的に行うのにすぎないという意味を持つのでしょうか。もし本当にそういう意味なら、大変な大問題であります。
 総理、民主党の言う地域主権という言葉について、地域とは何か、主権とは何か、それぞれ明確に御説明ください。また、地域主権と地方分権とはどう違うのか、説明をいただきたい。
 また、次に、新しい公共についても伺います。
 これも民主党用語ですが、意味不明であります。これまで国や地方自治体がやってきた仕事を民間にやってもらうということでしょうか。そうであれば、官から民へという流れは自民党時代からのものであり、特に新しいものではありません。
 むしろ我々は、官から民へという動きの行き過ぎを反省し、国の責任、行政の責任というのをもう一度見直すべき時期に来ているのです。何でも民間にやってもらえばいいというものではありません。
 そもそも、公の事業は、民間では採算が取れなかったり、民間がやるべきでなかったりというものが多くあります。民間企業が運営している刑務所がありますが、私にとりましては不自然でなりません。コストは少し安くなるというメリットはあるかもしれません。しかし、暴動、災害、あるいは危機管理対応など様々な問題が想定されます。
 また、安全保障上の問題で行政がやらなければならない仕事もあります。防衛省の警備まで民間企業に任せてしまって本当によいのでしょうか。他にも水道や病院など、いざというときの危機管理を含め、行政がやらなければいけない部分と民間がやっても大丈夫な部分、再検証する必要があると考えます。
 民主党は、一方では地域主権、新しい公共と、小さな政府を目指しているようなことを言いながら、他方ではばらまきを繰り返し、増税と限りない財政の膨脹を進めております。やっていることが支離滅裂に思います。自らの矛盾に気付いていないのでしょうか。新しい公共というものを打ち出すからには、もっと突っ込んだ議論が必要かと思います。
 そもそも、党としての政治理念がなく、各議員がばらばらに言いたいことを言い、やりたいことをやるといった民主党の根本的な欠点がこのような矛盾を生み出しているのではないでしょうか。
 野田総理、地域主権や新しい公共という考え方と民主党政権になってからの予算の膨脹は、矛盾しているとは思われませんか。見解をお聞かせください。もし矛盾していないのであればどう整合性が取れているのか、説明してください。
 最後に、地方財政について伺います。
 大震災以前のときから多くの地方自治体は、地方税収の減少に苦しんでおります。それが大震災により一層不透明さが増しております。
 国からの地方交付税も、算定根拠が不透明であることや毎年のように制度がころころ変わることで、一体この先増えるのか減るのか予測が付かないのであります。地方財源基盤の安定化が図られることが大切であり、そのことなくして全国の知事や市町村長は自治体の運営に責任が持てないのではありませんか。
 総理、震災の影響をも織り込んだ今年度の地方税収の見通しをお示しください。また、今後、地方交付税の今後の在り方についてどのような考えなのか、地方の財源はしっかりと確保できるのかどうか、総理としての認識を示していただきたい。
 総理が所信で述べられたように、震災からの復興が我が国の最優先課題であり、そのために皆が協力しなければならないということは、我々自由民主党も完全に同意いたすところであります。
 我々は、この国難から一刻も早く被災地が、そして日本が復興を遂げるように全力を尽くします。そのためには、第三次補正予算についてもその成立に協力をいたすつもりであります。
 しかしながら、震災への対応とは別に、私が本日申し上げたような民主党の根本的な問題もまた放置できるものではありません。三次補正や震災関連法案が成立した暁には、一日も早く野田政権には退陣してもらい、我々の政権を樹立しなければならないと考えております。それが我が国を救う唯一の道であると信じます。
 そのことをここに宣言をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 溝手議員の御質問に順次お答えをしてまいりたいと思います。
 まず、目指す国家像についての御質問をいただきました。
 野田内閣が何を目指しているかは、さきの臨時国会における所信とその後の質疑でも御説明をしてきたとおり、一言で言えば、ここに生まれたことにプライドを持てる国をつくることであります。
 今、現実を見据えて、目の前の危機を一つ一つ乗り越えていくことが必要であります。すなわち、まず成し遂げるべきは、大震災からの復興、原発事故の収束、そして経済金融危機からの脱却による国民生活と日本経済の立て直しであります。
 所信表明では目先の課題を羅列をしたというお話がございましたけれども、単なる目先の課題ではなくて、それぞれ大きな国難ともいうべき状況だというふうに考えております。
 勤勉さなど日本人が持つ人の力、我が国の国土が持つ新たな可能性、フロンティアに挑戦できる技術力など、日本が持つ未来へのダイナミックな可能性を現実のものとしていくことが必要であります。
 目の前の困難な道のり、危機を乗り越える一つ一つの積み重ね、努力の道筋において希望と誇りを持てる日本の再生が築かれると確信をしています。そして、そのためにこそ、震災復興、原発事故収束、円高対策と空洞化対策などの具体的な政策を提案をしております。
 国家戦略会議についての御質問をいただきました。
 国家戦略会議においては、産官学の英知を結集して、重要基本方針の取りまとめや中長期的な国家ビジョンの構想等を行っていきたいと考えています。
 同会議では、当面は日本再生の基本戦略の策定に向けた議論を行うこととしていますが、それぞれの局面における重要な政策課題についても議論をしていきたいと考えております。
 御指摘のTPPや税と社会保障の一体改革については、既に設けられている検討の場において議論することが基本だと考えてはおりますが、必要に応じて同会議においても議論をしていきたいと考えております。
 五年間の復興事業の規模と三次補正予算における被災地向けの支出額についてのお尋ねがございました。
 復興の基本方針において示された当初五年間の集中復興期間における事業規模十九兆円については、阪神・淡路大震災の際における当初五年間の国及び地方公共団体負担分を踏まえつつ、被害総額の規模の違いなどを勘案し、さらに、全国の緊急防災・減災事業について阪神・淡路大震災の直後に講じられたものと同程度は必要と見込んだ結果、全体として五年間で少なくとも十九兆円程度は必要と見込んだものでございます。
 また、第三次補正予算においては、東日本大震災関係経費として、年金臨時財源の補填約二・五兆円を除き、約九・二兆円の事業経費を計上をしています。これらの中には、公共事業等の追加約一・五兆円、東日本大震災復興交付金約一・六兆円など直接被災地に向けられた経費のほか、日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はないとの認識の下、災害関連融資関係経費約〇・七兆円、立地補助金〇・五兆円など全国を対象とする経費も計上しており、両者の相互作用により東日本大震災からの復興が成し遂げられていくものと考えております。
 政権交代以降の日本外交の評価及び私の外交政策についてのお尋ねがございました。
 我が国を取り巻く世界の情勢が大きく変化する中で、政権交代以降、日米同盟の深化や近隣諸国との関係強化など様々な外交上の課題に真剣に取り組んでまいりました。その過程では、率直に申し上げて、個々の問題の複雑さゆえに全てが順調に進んだわけではありません。例えば、普天間飛行場の移設問題では沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けし、深くおわびしなければならないと認識をしています。
 私としては、反省すべきは反省しつつ、これまで得られた外交上の成果を生かしながら、様々な課題に一つ一つ着実に取り組んでまいります。国と国との関係は人と人との関係の積み重ねの上に築かれるとの考えの下、各国首脳との信頼関係を築きながら、より能動的な外交を展開をしてまいります。
 普天間飛行場の移設に関しての御質問を更にいただきました。
 普天間飛行場の移設問題については、鳩山政権の発足以降、何とか県外移設ができないかという考えの下、様々な案を検証しましたが、結果的に現在の日米合意に至りました。民主党政権としては、この過程で沖縄の皆様に大変な御迷惑をお掛けしたことについては深くおわびしなければならないと認識をしています。
 普天間飛行場の移設問題については、日米合意を踏まえつつ、普天間飛行場の危険性の一刻も早い除去を目指し、沖縄の負担軽減を図ることがこの内閣の基本的な姿勢であります。
 沖縄において県外移設を求める声があることは承知をしていますが、現在の日米合意は全体として、少なくとも現状に比べると沖縄の大きな負担軽減につながると考えております。政府としては、引き続き、沖縄の皆様の声に真摯に耳を傾け、政府の考えを誠実に説明し、沖縄の皆様の御理解を得るべく一歩一歩努力をしていく考えであります。
 集団的自衛権についてのお尋ねがございました。
 従来から、政府としては、集団的自衛権の行使は憲法上許されないと解してきていると承知をしているところであり、内閣総理大臣として、現時点でこの解釈を変えるということはございません。
 復興債の償還期間などについての御質問をいただきました。
 今回御審議をお願いをしている復興債は、東日本大震災からの復興費用を賄うものであり、今回の三次補正のみならず、これは誤解なきようお願いをしたいと思いますが、来年度予算以降においてもその活用を考えているものであります。
 この復興債の償還期間については、次の世代に負担を先送りせず、今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うとの復興の基本方針における考え方に立ってその期間を設定しておりますが、野党の御意見も真摯にお伺いをしながら柔軟に対応してまいりたいと考えております。
 財政健全化目標の実現可能性とマニフェストの取扱いについても御質問をいただきました。
 我が国の財政は、主要先進国の中で最悪の水準にあり、国債発行に過度に依存することは困難であります。
 政府としては、今後も財政運営戦略に基づき、二〇一五年度までに基礎的財政収支の赤字対GDP比を半減し、二〇二〇年度までに黒字化するとの財政健全化目標の達成に向け、歳出歳入両面にわたる取組を着実に実施をしてまいります。
 御指摘の歳出削減については、先週金曜日の所信表明演説でも申し上げたとおり、断固たる決意で臨みます。
 マニフェストについては、経済財政状況の変化と三党合意を踏まえながら、政策の優先順位、政策選択に基づき、今後も一つでも多くの政策を実現できるように努力をしていきたいと考えております。
 次に、社会保障の財源確保と無駄削減についての御質問をいただきました。
 一体改革成案では、二〇一〇年代半ばまでに段階的に消費税率を一〇%まで引き上げる、当面の社会保障改革に係る安定財源を確保するとともに、社会保障の機能の充実と重点化、効率化の同時実施などを行うことにより、安定財源の確保と財政健全化の同時達成への一里塚を築くこととしています。その際、歳出の無駄削減に向けた取組を徹底的に行い、国民の理解と協力を得ながら改革を進めることが重要であり、先週金曜日の所信表明でも申し上げたとおり、まず何よりも、政府全体の歳出削減に断固たる決意で臨むこととしております。
 民主党のマニフェストと社会保障・税一体改革成案の関係、消費税率引上げや年金支給開始年齢引上げのスケジュールについての御質問をいただきました。
 一体改革成案では、社会保障の充実と重点化、効率化を併せて行うことにより、その機能強化を図ることにしていますが、マニフェストに掲げられている施策の全てが成案に盛り込まれているわけではありません。マニフェストは、経済財政状況の変化と三党合意を踏まえながら、政策の優先順位、政策選択に基づき、今後も一つでも多くの政策を実現するよう努力をしていきたいと考えております。
 消費税率の具体的引上げ時期等については、今後、政府・与党内の議論及び与野党協議等を踏まえ、本年度中の法案提出に向けて改革の具体化を図る中で決定したいと考えております。
 また、年金支給開始年齢については、六十五歳までの引上げを行っている途上ですが、更なる引上げについては現時点で決定しているものではありません。
 給与臨時特例法案と国家公務員制度改革関連四法案との関係についての御質問をいただきました。
 政府として職員団体との交渉で合意した事項は、給与の減額支給措置の内容についてであります。
 給与臨時特例法案と国家公務員制度改革関連四法案は同時期に提出した大変重要な法案ですので、いずれもできるだけ早く成立をさせていただきたいと考えています。
 給与臨時特例法案と人事院勧告との関係についての御質問をいただきました。
 労働基本権が制約をされている現行制度においては人事院勧告制度を尊重することが基本であるとの考え方の下、今般の人事院勧告の取扱いについて真摯に検討を行いました。
 その結果、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、既に提出をしている給与臨時特例法案は、今般の人事院勧告による給与水準の引下げ幅と比べ厳しい給与減額措置を講じようとするものであり、総体的に見ればその他の人事院勧告の趣旨も内包しているものと評価できることなどを総合的に勘案し、本年の人事院勧告を実施するための法案を提出しないこととしたものであり、憲法上の問題はないものと考えております。
 いずれにせよ、政府としては、給与臨時特例法案の早期成立に向け、最大限の努力を行ってまいります。
 TPP協定への参加判断についての御質問をいただきました。
 TPPについては、八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点を踏まえ、国民の理解を深めるための説明や情報提供に努めつつ、協定への交渉参加について、引き続きしっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出します。
 いわゆる交渉からの離脱に関するお尋ねがありましたが、一般論としては、交渉の中で国益を最大限追求することは当然のことであり、国益に合致するよう全力を尽くして交渉に臨むべきものであると考えております。
 円高・デフレ対策についての御質問をいただきました。
 我が国経済が緩やかながらも依然としてデフレ状況にある中で、円高の進行がデフレを強め、また、逆にデフレが円高をもたらすという悪循環に陥ることのないよう対処していくことが重要であります。
 政府と日本銀行は、デフレ克服が重要な課題であるとの認識を共有し、両者が緊密に連携して取組を行っており、日本銀行に対しては、引き続き、政府との緊密な情報交換、連携の下、適切かつ果断な金融政策運営によって経済を下支えするよう期待をしています。
 また、政府は、円高の痛みの緩和のみならず、リスクに負けない強靱な経済の構築や円高メリットの徹底活用を柱とする円高への総合的対応策を先般閣議決定したところであり、これに基づき、あらゆる政策手段を講じてまいります。
 新規立地新設企業を五年間無税とする措置についての御質問をいただきました。
 復興特区制度では、被災地における投資や雇用を促進する観点から様々な特例措置を講ずることとしていますが、新設企業については、立ち上げ当初の経営が安定していないと考えられることから、特に大胆な措置を講じ、創業を支援し、地域への定着を促すこととしたところであります。
 既存企業については、事業用設備を取得した場合の即時償却や被災者を雇用する場合の税額控除等の適用を受けることが可能であり、こうした措置によって投資や雇用が促進されることを期待をしています。
 地域主権という用語についてのお尋ねがございました。
 地域の主体としては、都道府県や市町村といった現行制度上の地方公共団体を念頭に置いております。主権の定義には幾つかありますが、例えば、国政の在り方を最終的に決定する力といった意味があるものと承知をしております。
 地域主権という用語は、国民主権や国家主権を否定するものではなく、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決める活気に満ちた地域社会をつくるための改革の理念として掲げているものでございます。
 一方、地方分権という用語は、一般的に中央集権の反対語として使用され、中央にある権限を地方に分配、分散するという趣旨であると認識をしております。
 予算の膨脹についての御質問をいただきました。
 地域主権改革は、先ほど申し上げたように、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにするための重要な改革と認識をしています。また、新しい公共は、市民、NPO、企業などが公共的な財・サービスの提供主体となって共助の精神で行う活動であり、居場所と出番がある社会の実現のために重要であります。
 このように、これらはそれぞれ固有の意義を有するものとして推進をしてきていますが、予算全体については、高齢化の進展による社会保障費の自然増等の大きな膨脹要因を抱えております。
 こうした中ではありますが、中期財政フレームを策定し、基礎的財政収支対象経費について前年度当初予算の規模を実質的に上回らないこととするなど、抑制に努めてきているところであります。
 今年度の地方税収の見通し等についてのお尋ねがございました。
 今年度の地方税収の見通しについては、年度途中でありますので、現時点では的確に見通すことは困難でありますけれども、東日本大震災の影響により、四―六月期の名目GDPが前年同期比マイナス三・三%と落ち込んだなどから、厳しい状況であると考えております。
 地方交付税については、地方公共団体の予見可能性の向上を図るため、引き続き、算定方法の簡素化、透明化を推進するとともに、財源調整機能や財源保障機能という本来の機能が適切に発揮されるようにしてまいります。
 今後とも、地方交付税について東日本大震災への対応分の別枠での確保を図りつつ、中期財政フレームに沿って地方公共団体の安定的な財政運営に必要となる地方財源の確保を図ってまいります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#6
○副議長(尾辻秀久君) 高橋千秋君。
   〔高橋千秋君登壇、拍手〕
#7
○高橋千秋君 民主党の高橋千秋です。
 民主党・新緑風会を代表して、第百七十九回国会における野田内閣総理大臣の所信表明演説並びに安住財務大臣の財政演説について質問をさせていただきます。
 今年の三月十一日に発生した東日本大震災、そして、九月上旬に私の地元を含む紀伊半島を襲った台風十二号や十五号の水害などの災害で亡くなられた多くの皆様に心から哀悼の言葉をささげるとともに、今もなお避難を余儀なくされ、不自由な生活を強いられている皆様にお見舞いを申し上げます。
 野田総理が就任して二か月が経過し、自らをドジョウと称した総理は、就任直後の両院議員総会で、ギアをローに入れたばかりで、これから加速をさせていくという意気込みを述べられましたが、まず、野田総理御自身は今どこまでギアが入ったとお考えでございましょうか。
 山あり谷ありで、野田総理の車はオートマでなく自分自身でギアをその都度入れ替えなければならないマニュアルタイプだと思いますが、国民は常にトップギアに入れ続けて頑張れと期待していると思っております。しかし、急な上り坂では再びローに入れ直さないとエンジンが止まってしまいます。総理の御所感を伺いたいと思います。
 さて、今年は震災のことを抜きに語ることはできません。震災発生から八か月が過ぎようとしています。私は、震災直後から何度も現地に入って被災者の声をたくさん聞かせていただきました。
 先日も、福島県で開催しました民主党・新緑風会の会派の研修会の翌日、私たちは石巻市などを視察してまいりました。石巻市では、市の中心的な産業である漁業や水産加工業が壊滅的な打撃を受けました。震災発生直後から比べると、瓦れきは片付けられ、随分復旧しているようにも見えましたが、また、港は一部復旧して漁が行われ水揚げが始まり、少し活気が出ているということでありました。
 しかし、まだまだ実情は厳しく、町にあった四百もの水産加工会社はことごとく津波で壊され、水揚げはあってもそれを貯蔵する冷蔵庫や加工のための施設の復旧には時間が掛かりそうで、大半の方々がこれからの生活に不安を抱いています。
 まずは命を救い、次は住むところを確保し、今度はその地に住み続けていただくための経済を再生しないと、幾ら仮設住宅ができても住み続けることは難しいということは明らかです。
 総理自身も何度も被災地に入られていますが、確実な予測は非常に難しいと思いますけれども、今どの程度まで復旧・復興が進み、今後復興に向けて大体これぐらいの時間が必要だというある程度の見込みをお知らせいただければ、慣れない土地で暮らす人々にも希望が見えてくると思います。
 復興の進捗状況と今後の取組を平野復興大臣に、そして、復興に向けた意気込みを総理に伺いたいと思います。
 また、私の地元、三重県南部を含む台風十二号による紀伊半島の水害では、野田総理も就任直後に現地に行っていただきました。過去最悪と言われた伊勢湾台風のときよりも大きな被害が出ています。災害が続く日本列島で、東北の復興とともに、今後も十分な対応をお願いを申し上げたいと思います。
 さて、国連によれば、昨日十月三十一日、世界の人口は七十億人になったそうです。地球上の人口は、紀元前二五〇〇年に一億人になり、紀元一八〇〇年に十億人、最初の一億人から十億人になるのに何と四千三百年も必要でした。しかし、一九〇〇年に二十億人になり、十九世紀には人口が十億人増加するのに百年でした。次に、三十億人になったのは一九六〇年、今度は六十年で十億人が増え、それから十四年後の一九七四年に四十億人となり、増え続けるスピードが急速に速くなって、あっという間に昨日、七十億人になりました。このままいくと、四十年先の二〇五〇年には九十五億人ぐらいまで人口が増えると言われています。
 つまり、あと四十年たつと今より一・三五倍の人口になると言われているわけでありますけれども、地球の大きさは変わりませんから、地球はどんどん狭くなって、食料や水、エネルギーや土地など、私たちが生きていく上で必要なものの確保がますます難しくなってくるのは誰にでも理解できる話です。
 しかし、これから人口が爆発的に増えようかという地球全体の動きとは違って、日本では確実に人口が減り始めています。高齢者の割合が爆発的に増える中で、人口減少社会への懸念から、様々な問題が生じ始めています。
 その一つが年金の問題です。
 最近、年金の支給開始年齢を六十八歳まで引き上げるというニュースが流され、衝撃を受けました。今朝のニュースでは七十歳もあり得るというニュースが流れておりましたけれども、確かに年金の掛金を拠出する若者が減り、支給を受ける高齢者が増えるわけで、年金の財政が厳しくなるのは分かりますが、もし六十八歳から支給開始ということになれば年金の意味があるのでしょうか。それなら、現役世代は自分で貯蓄するなり投資をして老後に備えた方がいいと考え、年金未納者が増加し、年金制度そのものを維持することが困難になると思います。
 年金支給開始年齢引上げについての総理の見解を伺いたいと思います。
 さて次に、人口減少により懸念されるのは医療の問題です。
 年金も健康保険も互いの思いやりと助け合いですから、若い人もいつ何どき自分が使わなければならないときが来るか分からないため、今は掛金よりはるかに低い金額しか使っていなくても、助け合いの中でほとんどの日本人が支払っています。しかし、このままで掛金を払う人がどんどん少なくなって医療費がかさむ高齢者が増えれば健康保険の財政が難しくなるのは当たり前で、果たして国民皆保険制度が維持できるのか心配になります。
 世界に誇るべきこの制度の維持に向け、総理はどのように考えているのか、所見を伺いたいと思います。
 また、今話題のTPPに加入するとこの皆保険制度ができなくなるという指摘もありますが、それは真実なんでしょうか。併せて伺います。
 そして、これから第二次医師不足の時代と言われています。
 かつて、我が国は医学生を減らし、研修医制度を変更したことにより、地方から医師がいなくなりました。それはまだ今も解決していなくて、私の地元でも大変深刻な問題になっております。来年には団塊の世代の方々が六十五歳に突入する二〇一二年問題と言われておる問題が到来いたします。この問題は、高齢化の加速とそれに伴う医療利用者の増加により、更に厳しい医師不足を引き起こす可能性があります。
 医師不足の問題は、国として十分な対策を講じる必要があると思いますが、総理の見解を伺うとともに、今後の対策をお答えください。
 次に、人口減少で問題になるのは、産業と社会のシステムを維持することです。生産年齢人口が極端に少なくなり、今は失業問題が大きな課題ですが、いずれ生産を維持するための人口がこのまま少なくなれば経済を維持することも大変難しくなってくると予想されます。実際に、地域の祭りや共同作業なども、若い人たちがいないことから中止をせざるを得ない事態が発生しており、地域コミュニティーの崩壊が進んでいます。
 今回の震災でも、東北の被災地は高齢化が進んでいて、互いに助けるにも若い人が足りなくて、消防や警察、そして自衛隊など、公の力の重要性が再認識されたと思います。しかし、近年の公務員削減の動きの中で、こうした力も当てにできなくなる可能性も出てまいりますけれども、公務員、特に消防や警察など地域の安全を維持するための人たちは今も定数を満たしておりません。
 総理は、この定数に満たない今の状況をどう考えたのでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
 また、復興財源のためにも郵政株が取りざたされておりますが、復興と地方の再生のためにも、総理自身が所信の中で決意を述べられたように、郵政改正法案の早期成立が必要だと考えますが、総理の決意を再度伺いたいと思います。
 また、今後更にニーズが増えると言われている看護や介護などの分野では担い手不足が懸念されており、国民は誰に老後介護してもらうのか不安を抱いています。一つの解決策は、現役を引退した高齢者と家庭に入っている女性に更に社会に出てもらい、働いてもらえるような、働き続けてもらえるような環境をつくることだと思いますが、まだまだその整備は遅れております。
 こうした女性や高齢者が働き続ける環境、働きやすい環境を整えるための具体的な提案を総理に伺います。
 それとともに必要なのは子供の数を増やすことだと思いますが、基本的に少子高齢化を食い止めるためには子供を増やすための政策が必要です。そのためにも、待機児童の解消や、少し前には進みましたが、少人数学級などの充実で教育を充実し、安心して子供を育てる環境を更に整備することや、子ども手当は与野党協議で見直されましたけれども、子供を増やし、少しでも人口減少を食い止めるための方策をどのように考えているのか、総理に伺います。
 日本の経済は今、六重苦と言われています。法人税の高さ、そして先ほどの少子高齢化に伴う消費の減少、人件費や電力代金の高さ、関税の高さ、円高、それに東日本大震災がそれらの理由に挙げられています。
 これまで日本経済を牽引し、地方の雇用に貢献している裾野の広い自動車産業や電機関連産業など主要な産業はもう日本から出るしかないと、今まで私たちには冗談ぽく言っておりましたが、昨今の六重苦の影響で、大企業だけでなく中小企業の中でもこの言葉が真実味を帯びてきました。
 複雑に入り組んで消費者が九つもの税金を支払っている自動車関連諸税は役目を終えたものなどの見直しが必要ですし、また、化学原料の基本となるナフサ税の本則非課税化など、世界的にも常識になっていて当たり前のことだと思います。
 年末に向けて、政府税調の議論かもしれませんけれども、総理は、国内の雇用を守り続けるための産業育成のための税制と産業育成のための政策についてどう考えておられるのか、御所見を伺いたいと思います。
 この六重苦の中で企業にとって一番大きな問題は円高です。
 総理は財務大臣をされて、当時、円高対策については何度も対応をしていただき、それなりの成果が出たこともありますが、御存じのとおり、日本だけで解決できる問題ではなくなっていて、日本が頑張れば頑張るほど逆に円が高くなってしまうというようなことが続いています。先週ついに七十五円台まで突入し、戦後最高値を更新してしまいました。
 総理は所信で、日本銀行と連携して、円高自体の対応を含め、あらゆる政策手段を講じますと述べておられました。
 先週末に日銀が緩和策を打ち出したものの、逆に円高が進み、これまでの対策は焼け石に水状態が続いて、韓国などに比べて自国通貨を安くするための対応が中途半端で手ぬるいのではないかと感じます。
 昨日の介入で少し円安に振れたものの、日銀の更なる金融緩和政策も含め、できる限りの対応を是非取っていただきたいと思います。前財務大臣でもある野田総理の方針を伺います。
 また、他の苦しみの一つに、今、連日議論を行っているTPPの問題は、賛成、反対、入り乱れていろいろな意見が出されています。私は、JA出身で農業分野にかかわる方々の心配はよく理解できます。
 一方で、経産大臣政務官と外務副大臣という立場で経済交渉にも立ち会ってきた経験から、それぞれの立場について知っているだけに、難しい問題であることも理解しています。
 間もなく総理はホノルルで開催されるAPECの首脳会合に出席される予定で、TPP交渉の参加表明についてそのAPECに間に合わすということが報道で流れていますが、本当のところ総理はどうしたいのでしょうか、総理に伺いたいと思います。
 農業は国の基本であり、自国の食を確保するのは政府の責任です。その意味で、農業関係者だけでなく国民に対して説明しないと、不安だけが増幅されてしまいます。TPPの議論が混乱しているように見えるのは、情報が伝わっていないことの結果だと思います。農林水産業はTPPに入る入らないに関係なく、一次産業の再生は喫緊の課題です。いち早く具体的な基本方針を示していただきたいと思います。総理の一次産業再生に向かう決意を伺います。
 また、日本農業を強くする方法の一つに農産物の輸出がありますが、福島原発事故以降、風評被害はまだ収まっておらず、最大の相手国となる中国では実質輸入ストップの状態が続いていて、更なる対策が必要ですが、どう考えておられるでしょうか、併せて総理の所見を伺います。
 国の方向性は総理が大胆に示すべきです。私は総理のリーダーシップに期待をしたいと思います。
 先日、中部地方の経営者の方々に、これまでの政権がどの方向に向かってきたのかよく分からないと言われました。そのとおりだと思います。一方で、野田総理の政権運営には期待をしているとも言われました。
 近年、様々な分野で韓国が引き合いに出されることが増えてきました。それは、韓流ドラマだけでなく、韓国が、経済だけでなく文化や様々な分野でも、国が声を出して大胆にかじを切りながら国を発展させているからだと思います。
 野田総理は、日本の経済、日本の進路をどのようにしていくつもりなのか、どんな国にしていきたいのか、基本的な考え方を伺います。
 最近、日本の企業がどんどん海外へ出向くことが増え、現在ベトナムのズン首相が来日されており、昨夜、総理もお会いになり、大きな日越関係の進展があったと聞いておりますが、ベトナムにも多くの日本企業が進出をしております。そして、何といっても東南アジアのデトロイトと言われるタイには多くの日本企業が進出していて、今回の大洪水で水没被害を受けた約八百社のうち約六割が日本企業で、その多さにも驚きます。
 今回の水害はいまだ進行中で予想以上だということですが、日本の地震よりは予想可能だったのではないかと思います。その経済に与える大きさはまさに想定内であったにもかかわらず、今回のような被害が出てしまったことは、タイ政府並びにタイの国民の皆様にお見舞いを申し上げますとともに、根本的な対策を講じないと、日本やアジアのサプライチェーンの崩壊につながり、日本企業にとっては大きな損害となり、日本の雇用にも影響が出るとともに、ひいてはタイにとっても大きな痛手だということを痛感させられます。
 一義的にはタイ政府のやるべきことですが、今回の水害に遭った日本企業への対応として日本政府の対策は適切なのか、国民に説明をする必要があると思います。
 それは、今回のことで、日本政府が自国だけでなく海外に滞在する日本人、日本企業に対しても十分な対策を講じていると発信することで、海外にいる日本人だけでなく日本に住み続けている日本人に対しても大きな安心感を与えることになり、政府として意思表示をする必要があると思いますが、総理の見解を伺うとともに、是非、総理には水が引いた段階でタイの日本人社会に対するメッセージを発していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、日本のエネルギー政策について伺います。
 今回の震災のショックは今も癒えることがありませんが、何より大きな課題は、総理自身が述べているように、福島の再生なくしては日本の再生なしというのはまさにそのとおりです。
 一方、この原発事故以降、夏の暑くて暗いオフィスは当たり前の風景になってしまいました。オフィスが暑くて暗いのは少々我慢すれば対応できますが、この夏には大きな問題が生じました。それは、東北や関東だけでなく、東海や近畿など西日本でも電力不足が如実になり、多くの工場では休日のシフトを行い、電力不足に対応をしてもらいました。
 ともかくこの夏は乗り切れたものの、それは多くの皆さんの犠牲の下で乗り切れたもので、この冬も心配ですし、日本の再生のために産業を育成し、企業立地を増加させるためには電力の安定供給は欠かせず、再生エネルギーの普及の加速化のためにもスマートコミュニティー政策の加速化など、エネルギー基本政策を早急に見直し実行していく必要があると思いますが、総理の基本的な考え方をお示しください。
 また、国の在り方を考える上で重要な事件が起きています。それはサイバーテロの問題です。
 衆議院のサーバーが攻撃され、国土地理院や日本の各省庁や日本の防衛産業の中核を成している三菱重工等、民間企業にもサイバー攻撃があり、重要な情報が国外に流出したことが報告されています。この問題は欧米諸国など各国でも報告されていますが、日本はこの面の対応が緩いと指摘されています。日本の生命線である最先端技術の情報が流れ、日本の国防などにかかわるゆゆしき事態を見逃してはならないと思います。当然、防御の対策を更に講ずるとともに、ほとんどが特定の国から発信されているとの報告から考えれば、確認を急ぎ、厳しく対策を講じるように申し入れるべき問題だと思いますが、このサイバー攻撃への防御対策を早急に取ることを要望するとともに、総理の考えを伺います。
 さて、日本人は表現が下手だとか、いろんなことが言われますが、しかし、私たち日本人はあえて外国のまねをする必要はありません。日本は日本らしいやり方があるはずです。
 震災直後に私の同級生で四日市の消防本部に勤務する友人は、被災地に緊急援助隊として入りました。救援から彼が地元に帰ったとき電話が掛かってきて、そのときの模様を報告してくれました。悲惨な津波被害の状況でしたが、彼からは、しかし東北の人はすごい、日本人ってすばらしいという話を聞きました。
 それは、津波が襲った陸前高田で被害者の捜索任務に当たった際、女性が寄ってきて、消防の服を着た彼らに水はありませんかと言ってきたそうです。三重県から乗ってきた車にはまだペットボトルの水があって、二本渡したそうですが、そのとき女性はポケットに入れていたソーセージ数本の束を彼らにそっと差し出し、援助を頑張っている彼らにこれを食べて頑張ってくださいと言ったそうです。彼は食べ物も持って現地に入っていて、当然返したそうですが、何もない状態のところで水を渡した救援隊のことを気遣う東北の女性にも本当に感動したと言っていました。
 同じような話は救援に来てくれた各国の救援隊からも感嘆の言葉をもって報告されましたが、日本が胸を張って言えるのは、こうした人の優しさと日本人の真面目さではないでしょうか。
 希望の種には水が大量に必要です。希望の芽を大きくするにも水と管理が必要で、ちゃんと管理ができたら希望の花はきれいな満開の花になるはずです。その水となる第三次補正予算案を早く成立させ、本当に希望の花を咲かせるために、各党の協力をお願い申し上げます。どうしても内向きになりがちな今こそ、日本のすばらしさを私たちが再認識して、日本の文化そのものを形にして世界に売っていくことで、日本がどんなに人口が少なくなろうが、世界の経済が厳しくなろうが、日本が生き残って満開にさせていく道は必ず開けるはずです。
 最後に、こうした日本そして日本人らしさをどのようにして強みに変えていくのか、総理の御所見を伺って、私の質問を締めくくりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(野田佳彦君) まずもって、高橋議員に激励と貴重な御助言をちょうだいしたことに感謝をいたします。
 まず、政権運営のペースについての御質問をいただきました。
 原発事故の収束、震災からの復旧・復興、日本経済の立て直しは、野田内閣にとって最大、最優先の課題であります。これをやり遂げなければならないという使命感、危機感は総理大臣として極めて大きなものがあります。
 トップやローという車の運転に例えた御助言をいただきましたが、その比喩を使えば、私は安全運転をこれからも心掛けてまいります。乱暴な運転や急に行き先を変える、事故を起こすということは許されません。何よりも大切なことは、諸課題に一つ一つ答えを出し、実行していくことであります。そのために、ふさわしいギアを選択をしながら決断と実行に努めてまいる所存でございます。
 復興に向けた意気込みについての御質問をいただきました。
 東日本大震災からの復旧・復興は、この内閣が取り組むべき最大かつ最優先の課題であります。政府は、地元自治体とも協力をして、仮設住宅の建設、瓦れき撤去、被災者の生活支援などの復旧作業に全力で取り組み、これらは発災当初から比べれば相当程度進展してきていることも事実でありますが、一方では、残念ながら、迅速さに欠け、必要な方々に支援の手が行き届いていないという御指摘もいただいているところでございます。
 政府としては、こうした御指摘を真摯に受け止め、復興基本方針に基づき、着実かつスピード感を持って具体策を実行していく所存であり、そのためにも第三次補正予算及びその関連法案の速やかな成立を目指し、被災地の復興を加速をしてまいりたいと存じます。
 次に、年金の支給開始年齢引上げについての御質問をいただきました。
 支給開始年齢については、諸外国では六十五歳を超えて引上げが決定される中、我が国が世界最長寿国であることを踏まえて、社会保障・税一体改革成案において年金制度をめぐる検討課題の一つに挙げられ、厚生労働省の審議会で議論を開始したところであります。
 政府としては、引き上げることを決定したものではなく、また、年金の財源対策として議論を開始したわけでもありません。
 この問題については、高齢期の雇用、働き方や高齢者世帯の約六割が年金だけで暮らしているという現実を踏まえまして、年金制度への信頼確保のため、中長期的な観点から考えてまいります。もとより、拙速に議論を進めることは考えておりません。
 次に、国民皆保険制度の維持についての御質問をいただきました。
 急速な少子高齢化の進展等によって医療保険財政は厳しい状況となっていますが、社会保障・税一体改革成案を踏まえ、給付と負担の不断の見直しを行い、持続可能な医療保険制度を確立をしてまいります。また、TPP協定交渉においては、公的医療保険制度の在り方そのものは議論の対象となっておりません。
 政府としては、国民皆保険制度を堅持し、必要な医療を確保していく姿勢に変わりはありません。
 医師不足対策についての御質問をいただきました。
 いわゆる医師不足問題については、これまでも医学教育や地域医療への影響を考慮しつつ、医学部定員の増員を行ってきたところですが、医師の地域的な偏在、診療科の偏在等が指摘をされています。
 このため、一体改革成案では、診療報酬の体系的な見直しや法整備等を通じて偏在是正等に取り組むこととしています。さらに、各県に設置した地域医療再生基金により地域の医療機能の再生、強化を図るとともに、病院の医師確保の支援等を行う地域医療支援センターを創設し、各県における偏在対策を推進をしてまいります。
 消防及び警察の職員数についてのお尋ねがございました。
 地域の安全を守る消防職員や警察官の人数については、地方公務員の総数が減少する中、増加しており、また条例定数に対して共に約九九%充足されているものと理解をしています。したがって、高橋議員の御指摘は、定数の問題じゃなくて実員が少ないんではないかという懸念だと思いますが、条例定数については九九%充足されているのが現実でございます。
 各地方公共団体においては、地域の実情に応じ、行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置を行っており、今後とも引き続き適切な人事管理が行われるものと考えております。
 郵政改革関連法案の早期成立に向けた決意についてのお尋ねがございました。
 郵政改革関連法案は、郵政民営化によって生じた諸問題を克服し、郵政事業サービスが利用者の立場に立って郵便局で一体的に提供され、将来にわたりあまねく公平に利用できることを確保するためのものであります。
 同法案が成立すれば、郵政株式処分凍結法による処分の停止が解除され、結果として株式の処分が可能となります。内閣を挙げて法案の早期成立を図ってまいる所存であります。
 女性や高齢者の働く環境整備についての御質問をいただきました。
 少子高齢化が進展する中で必要な人材を確保するためには、女性、高齢者も含めた意欲のある全ての人が働くことのできる全員参加型の社会の実現が必要です。
 具体的には、男女の雇用機会の均等の確保、育児・介護休業の取得促進、保育サービスの充実などにより女性の就業率のM字カーブの解消に取り組んでいきます。また、高年齢者については、生涯現役社会を実現をするため、高齢者雇用を推進する助成金など、高年齢者が働きやすい環境整備や再就職に関する支援を引き続き進めてまいります。
 少子化対策の方策についてのお尋ねがございました。
 本格的な人口減少社会が到来したことを受け、少子化対策は待ったなしの重要課題であります。このため、チルドレンファーストの理念に立って、人生前半の社会保障の充実のため、国や地域を挙げて子育て世代へのサポートを強化していかなければなりません。
 具体的には、子ども・子育てビジョンに基づき、待機児童の早期解消、地域における拠点づくりや学校の教育環境整備、経済的な支援など、バランスの取れた総合的な子育て支援策を推進をしてまいります。あわせて、子ども・子育て新システムについて、税制抜本改革とともに、来年の通常国会に関係法律を提出をし、恒久財源を得て早期に本格実施できるように取り組んでまいります。
 国内の雇用を守り続けるための産業育成のための税制と政策についての御質問をいただきました。
 現下の歴史的な円高に伴う産業空洞化を防ぐため、昨日、為替介入を実施したほか、先般の円高への総合的対応策に基づき、あらゆる政策手段を講じてまいります。
 まず、これまで措置した累計額の約三倍となる五千億円の立地補助金を用意をいたします。また、金融支援の拡充を中心とした総額約七千億円に上る中小企業対策を実行をいたします。さらに、電力供給不安の解消に向け、本日、エネルギー・環境会議において、エネルギー需給安定行動計画を決定をしたところであります。
 なお、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資を拡大する観点から平成二十三年度税制改正法案に盛り込まれた法人実効税率五%引下げについては、復興のための財源確保に係る税制措置と併せて、この国会で御審議をいただきます。
 また、自動車課税等については、平成二十三年度税制改正大綱を踏まえ、年末までに検討してまいりたいと思います。
 円高対応策についての御質問をいただきました。
 先ほど申し上げたとおり、急速な円高の進行等による景気の下振れや産業の空洞化を防ぐため、先般閣議決定した円高への総合的対応策に基づき、あらゆる政策手段を講じてまいります。為替市場においては、一方的に偏った円高の動きが続いています。為替市場の過度な変動は、経済、金融の安定に悪影響を及ぼすものであります。
 最近では、為替市場において短時間に急激な変動が生じ、円高が急速に進む局面が見られたところであります。投機的な動き、無秩序な動きへの対応に万全を期し、日本経済への下振れリスクを具現化させないため、昨日、為替介入を実施をいたしました。引き続き、為替市場の動向を注視し、適切に対応してまいります。
 また、日本銀行に対しては、引き続き、政府との緊密な情報交換、連携の下、適切かつ果断な金融政策運営によって経済を下支えをするよう期待をしております。
 TPP参加表明の時期について御質問をいただきました。
 TPPについては、世界の成長エンジンであるアジア太平洋地域の成長力を取り込むという視点や農業再生との両立を図るという課題などを踏まえ、国益を最大限追求していくべく、八月十五日に閣議決定した政策推進の全体像にあるような広範な視点から、協定への交渉参加について、引き続きしっかりと議論をし、できるだけ早期に結論を出してまいります。
 一次産業の再生に関する御質問をいただきました。
 高橋議員御指摘のとおり、TPPに入る入らないに関係なく、農林漁業の再生は待ったなしの問題であります。このため、二十一世紀の成長産業となり得る農林漁業の再生に向け、さきに策定した我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画に基づき、政府全体の責任を持って、被災地の農林漁業の復興、原子力災害対策に万全を期すとともに、五年間で競争力・体質強化、地域振興を集中展開をしてまいります。
 また、日本農業を強くする上で農産物の輸出は大切でありますが、福島原発事故以降、諸外国において我が国の食品に対する輸入規制が強化され、輸出が落ち込んでいます。その回復に向け、中国を始めとする諸外国に対し、政府一体となって輸入規制の撤廃、緩和を一層働きかけるとともに、現地でのPR活動を通じて我が国農産物の安全性や魅力を発信をしてまいります。
 目指す国家像とリーダーシップについての御質問をいただきました。
 野田内閣が何を目指しているかについては、先ほど来もお話がございましたが、一言で言えば、ここに生まれたことにプライドを持てる国をつくることであります。どのような国をつくるのか、大風呂敷は幾らでも広げることができますが、足下を見ないで遠くを語ることは間違いであり、道を誤ります。
 今、現実を見据えて目の前の危機一つ一つ乗り越えていくこと、すなわち、まず成し遂げるべきは、大震災からの復興、原発事故の収束、そして経済金融危機からの脱却による国民生活と日本経済の立て直しであります。国民の皆様とともに、そして、各政党の皆様との共同作業によって、目の前の危機を乗り越えていく道筋において、希望と誇りを持てる、ここに生まれたことにプライドを持てる国をつくられていくことと確信をし、総理としてのリーダーシップを発揮していきたいと考えております。
 タイ洪水被害への日本政府の対策の発信に関する御質問をいただきました。
 タイの洪水被害に対しては、邦人保護や日系企業支援も含め、我が国政府としてできる限りの支援が必要と考え、私から政府全体としてしっかりとした対応を取るよう指示をいたしました。これまで、各種専門家の派遣や資金協力、日系企業のタイ人従業員の我が国への受入れ等の措置をとってきたところであります。水が引いた段階も含め、今後、どのような対策を取り、それをどのように発信していくことが最適かを十分考えながら、適切に対応をしてまいります。
 エネルギー政策の早急な見直しについての御質問もいただきました。
 中長期のエネルギー政策については、国民が安心できるエネルギー構成の在り方について、幅広く国民各層の御意見をお伺いをしながら、来年夏ごろの策定を目指し、エネルギー・環境会議を中心に検討してまいります。
 同時に、今年の冬、来年夏を含む当面の電力需給の安定化を図ることは、産業の空洞化を防止し、国内雇用を確保する観点からも喫緊の課題であります。このため、今朝開催されたエネルギー・環境会議において、エネルギー需給安定行動計画を策定したところであります。この行動計画に沿って予算措置や制度改革など、あらゆる政策を政府一丸となって総動員し、ピーク時の電力不足とコスト上昇を極力回避をしてまいります。
 最近のサイバー攻撃への対応についてのお尋ねがございました。
 現代のIT社会において、サイバー攻撃への対応は国家の安全保障、危機管理上の重要な課題であります。こうした認識の下、政府においては、平素から政府機関や重要インフラの情報セキュリティー水準の向上や、攻撃への対処能力の強化に努めているところであります。
 先月七日には、内閣官房長官を議長とする情報セキュリティ政策会議を開催するなど、御指摘のサイバー攻撃事案等を踏まえ、有識者の意見も取り入れながら、官民の情報共有、連携強化等の対策の強化に取り組んでおります。
 また、これらのサイバー攻撃事案については、警察においても鋭意捜査や情報収集等を行っており、違法行為があれば厳正に対処していくものと承知をしております。
 さらに、サイバー攻撃の発信元が海外であると判明した場合には、海外の捜査機関等に対し捜査協力要請を実施するなど、国際的な連携を推進しているものと承知をしています。
 今後とも、政府一丸となってサイバー攻撃への対処に万全を期してまいりたいと考えております。
 私についての質問の最後は、被災地の人々が見せた日本人らしさについての御質問でございました。
 これまでに約八十万人の方々がボランティアとして被災地での支援活動に参加をされています。困難の中で他者をいたわる心は世界に誇るべき日本人の気高き精神であります。そして、議員の指摘された被災地の方々の真面目さ、優しさ、そして、しんの強さもまた日本人の美徳を世界に示し、感銘を与えたと思います。
 被災地の人々、自治体、全国や世界から集うボランティアなど、全ての日本人が被災地に生まれる希望の芽を大きく育てていくことにより、被災地の復興のみならず、新しい日本をつくる力になります。
 今、政治がまずやるべきことは、三次補正とその関連法の成立であります。ここにいらっしゃる全ての国会議員の皆様に、共にこの希望の芽を育て開花させる先頭に立っていただきますように改めてお願いを申し上げます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣平野達男君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(平野達男君) 高橋議員から私には、復興の進捗状況と今後の取組についてのお尋ねがございました。
 政府は、発災後、全力を挙げて被災地の復旧・復興対策に取り組んでまいりました。これまでに約五万二千戸の応急仮設住宅の建設を支援するとともに、約六万二千戸の民間住宅及び約一万七千戸の公営住宅等への入居を支援し、その結果、避難所にいる避難者の数は約千百人まで減少しております。
 また、電気、ガス、水道等、主なライフラインにつきましては、家屋等流出地域、原発警戒区域等を除きまして、ほぼ復旧しているところであります。
 さらに、防潮堤や港湾などの公共施設につきましては、順次応急復旧に取り組んできたところであります。
 瓦れき処理につきましても、精力的に支援を行い、居住地近傍の散乱瓦れきは八月末までに全ての市町村で撤去を完了したところであります。
 こうした取組は、一定の成果を上げていることも事実でありますが、先ほどの総理からの御答弁にもございましたように、一方では、迅速さに欠け、必要な方々に支援の手が行き届いていないとの御指摘もいただいていることも事実でございます。
 被災地の本格的な復興に当たりましては、御指摘のように、地域経済を再生し、働く場を確保することが重要であります。具体的には、漁業及び水産加工業の再生、関連施設の復興等を始め、産業の振興に全力を挙げる必要があると考えております。
 また、被災市町村が早期に復興計画を策定し、それに基づいて速やかに復旧・復興に着手することが求められております。このため、政府としては、国の職員による支援チームを被災市町村に派遣いたしまして、復興計画の策定に関する専門的、技術的な支援を精力的に行っているところであります。
 また、規制、手続等の特例措置、税、財政、金融上の支援措置をワンストップで講じる復興特区制度や、復興に必要な各種施策を展開できる自由度の高い東日本大震災復興交付金などについて、今国会での速やかな成立を目指し、被災地の復興を加速してまいります。
 以上でございます。(拍手)
#10
○副議長(尾辻秀久君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○副議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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