くにさくロゴ
2011/11/25 第179回国会 参議院 参議院会議録情報 第179回国会 本会議 第8号
姉妹サイト
 
2011/11/25 第179回国会 参議院

参議院会議録情報 第179回国会 本会議 第8号

#1
第179回国会 本会議 第8号
平成二十三年十一月二十五日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
    ─────────────
  平成二十三年十一月二十五日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 東日本大震災からの復興のための施策を
  実施するために必要な財源の確保に関する特
  別措置法案、平成二十三年度分の地方交付税
  の総額の特例等に関する法律等の一部を改正
  する法律案及び東日本大震災からの復興に関
  し地方公共団体が実施する防災のための施策
  に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例
  に関する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、議長西岡武夫君逝去につき哀悼の件
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(平田健二君) これより会議を開きます。
 議長西岡武夫君は、去る五日逝去されました。誠に痛惜の極みであり、哀悼の念に堪えません。
 同君の葬儀につきまして、議長は、議院運営委員会に諮り、本日午後、参議院葬をもって行うことにいたしました。
 この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は わが国 民主政治発展のため力を尽くされ 参議院議長として憲政の発揚につとめ さきに衆議院の院議をもって永年の功労を表彰せられ また国務大臣としての重任にあたられました 議員従二位桐花大綬章西岡武夫君の長逝に対し つつしんで哀悼の意を表し うやうやしく弔詞をささげます
    ─────────────
#5
○議長(平田健二君) 尾辻秀久君から発言を求められております。この際、発言を許します。尾辻秀久君。
   〔尾辻秀久君登壇〕
#6
○尾辻秀久君 十一月五日未明、時計を見ましたら二時五十分でした。なぜか目が覚めたのです。あれは、まさか議長が起こしに来られたのではないですよね。
 議長は律儀な方でした。ちょっとしたことでも事前に御説明がありました。
 議長が私の部屋に来られるというので、それはいけません、私の方から伺いますと部屋を飛び出そうとしますと、既に議長は部屋の前まで来ておられるということがしばしばでありました。
 律儀に私を起こしてくださるのなら、どうして約束を守ってくださらなかったのですか。議長は、今国会の前半だけ代わりをしてくれ、後半には元気に戻るからと言われました。とわの別れになるとは一言も言っておられません。
 あれは、十月二十八日でした。本日の本会議も無事終わりました、早く帰ってきてくださいと電話を差し上げましたら、必ずそうすると答えられたのです。その僅か一週間後です。約束はほごになりました。
 残念です。悲しいです。
 外国からのお客さんが来られると、議長はよく、隣に座っている私を指して、私たちは仲よしなのですと言われました。仲よしという表現も、そのときのお顔も子供そのものでした。純真、純情な方でした。
 信念を主張なさるときは、火のような情熱を持つまさに青年でした。議長の御挨拶の原稿を見せていただくことがございました。私が、ここは過激過ぎませんかと申しますと、すかさずこれではどうかと別の紙が出てきました。全てお見通しの老練な政治家でありました。
 生涯を通して自らの信ずるところをいちずに貫かれました。平成十二年の衆議院議員選挙では、比例区との重複立候補にしてあれば当選しておられたのです。しかし、選挙区で落選して比例で救われるということを潔しとされませんでした。西岡武夫の生きざまであります。
 先生は、昭和十一年二月十二日、衆議院議員で後に長崎県知事を務められた父竹次郎氏と、参議院議員を務められた母ハル氏の御長男としてお生まれになりました。二週間後が、あの二・二六事件であります。
 少年時代にふるさと長崎市に原子爆弾が投下される瞬間を目撃しておられます。御尊父が長崎と広島の両地で被爆されました。愛する郷土長崎の惨状は、先生にどれほどの衝撃を与えたことでしょう。平和を希求する政治家、西岡武夫の原点であります。
 県立高校から早稲田大学に進まれ、多くの偉大な政治家を輩出した雄弁会で活躍されました。在学中よりお父上の後を継がれ、長崎民友新聞の経営もしておられます。
 青雲の志を抱かれ、昭和三十八年十一月、衆議院議員選挙に長崎第一区より立候補され、二十七歳の若さで初当選されました。以後、衆議院議員当選十一回、参議院議員当選二回を数えます。初当選の後、自由民主党の青年局長を務められました。
 西岡先生に代わって、議場におられるお若い先生方に申し上げます。ついこの前、青年局長をなさった先生とのお別れをもうしなければならないのです。少年老いやすいのです。どうぞ、春秋に富んだ先生方、一日一日を大切にされ、しっかりと後を継いでくださるようお願いをいたします。つい僣越なことを申し上げてしまいました。お許しください。
 先生に転機が訪れたのは昭和五十一年。自由民主党を離れ、新自由クラブを結党されました。新自由クラブにあっては幹事長兼政策委員長の重責を担われ、国政の中で抜群の存在感を示されました。
 その後、自由民主党に復党され、昭和六十三年、竹下改造内閣において文部大臣となられ、続く宇野内閣においても二期連続の文部大臣として文教行政の先頭に立ち、御自身が立案に深くかかわってこられた教育改革に関する十二の政策の実行に向けて全力で取り組まれたのであります。この教育改革に関する十二の政策は、今も我が国の文教行政の根幹であります。
 党にあっては、税制調査会長、総務会長など、要職を歴任されました。そのさなか、歴史の流れは先生を再び激動の渦に巻き込みます。平成六年、新進党結党に向かわれ、幹事長として党のかじ取りをされることになるのであります。
 さらに、平成十三年、活躍の場を参議院に移されます。信念に基づく行動は、活動の中心が民主党へと変わっても、いささかの揺るぎもありませんでした。衆参ねじれの下での議院運営委員長として、極めて難しい国会運営を一身に背負われます。またしても歴史が西岡武夫という政治家を求めたのであります。
 先生、今だから正直に申し上げます。当時、私は自由民主党において参議院の議員会長を務めておりました。先生と相対することとなり、憎らしいほど手ごわい相手だと思っていたのであります。
 昨年、議長に就任されてからは、参議院の選挙制度改革に全精力を傾けて取り組まれ、そのエンジンとなられました。具体案を示され、議論を引っ張っていただきました。真に国を憂う気持ちから、与党の御出身でありながら、政府の有様を過激と言われるほど激しく批判されてきました。
 特に強い危機感を持っておられたのは、東日本大震災の復旧・復興対策、福島第一原子力発電所の事故後の対応に対してでありました。原子爆弾投下の瞬間を見、その引き起こしたすさまじい惨状を自らの体験として知るただ一人の国会議員として、政府だけに任せてはおけないと思われたのでありましょう。
 震災発生直後、まだ状況もよく分からないとき、原発、原子炉はどうなっているのだと叫ばれた議長のお姿は忘れられません。これから官邸に乗り込むと言われる議長を必死でお止めしました。官房長官を呼びましょうと申し上げましたら、とうとう最後に、そうするかと言っていただきましたが、まさに鬼の形相でした。
 大震災からしばらくの間、毎日防災服に身を包み執務をされるお姿に先生の御決意を感じておりました。外国からのお客様が見えますと、常に原発事故に言及され、真摯な情報公開の必要性を説かれておりました。
 顧みますと、昭和三十八年の衆議院議員初当選から半世紀近くに及ぶ政治生活でありました。移り変わる我が国の有様を政治の最前線で肌で感じ、常に深い問題意識を持ち、その論点を世に問われました。出た答えには真っ正面から向き合い、責任を持って実行、実践されました。病床にあっても被災地の子供たちのための法案を準備しておられたと奥様にお聞きしました。最後まで先生の胸は熱く燃えていたのです。
 私たちは、かけがえのない政治家を失いました。
 私が議長室を退室いたしますとき、いつも先生は、わざわざお部屋から出てこられて、廊下で私の姿が見えなくなるまで見送ってくださいました。先生にお見送りいただいていた私たちが、今日は悲しみの中で先生をお見送りすることになってしまいました。何という無常でありましょう。
 長崎のお別れの会でお約束しましたように、ニュージーランドからお土産として持ってきましたマヌカハニーは奥様にお届けいたしました。ゆっくり召し上がっていただきましたか。お口に合いましたか。
 黒いスーツ、ぴかぴかのフォーマルシューズ、よく見るとダンディーな議長。小柄ながら、大きな体の外国の議会指導者を貫禄で圧倒しておられた古武士そのものの議長。またお会いしたいです。
 今日もいつものようにお別れをします。それでは失礼いたします。
 さようなら。
     ─────・─────
#7
○議長(平田健二君) 日程第一 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案、平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案及び東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案(趣旨説明)
 三案について、提出者から順次趣旨説明を求めます。財務大臣安住淳君。
   〔国務大臣安住淳君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(安住淳君) ただいま議題となりました東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案の趣旨を御説明申し上げます。
 東日本大震災からの復興を図ることを目的として、平成二十三年度から平成二十七年度までに実施する施策に必要な財源については、歳出の削減並びに復興特別税の収入、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの国債整理基金特別会計への繰入金、日本たばこ産業株式会社及び東京地下鉄株式会社の株式の処分による収入並びに国有財産の処分による収入その他の租税収入以外の収入を活用して確保することとし、これらの財源が入るまでの間のつなぎとして復興債を発行することにより、所要の資金調達を行うこととしたところであります。
 本法律案は、このための法律上の手当てについて措置するものであります。
 以下、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、平成二十四年度から平成二十七年度までの間において、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から、予算で定めるところにより、国債整理基金特別会計に繰り入れることができることとしております。
 第二に、日本たばこ産業株式会社及び東京地下鉄株式会社の株式の所要数を国債整理基金特別会計に所属替えをすることとしております。
 第三に、税制上の措置として、復興特別所得税、復興特別法人税及び復興特別たばこ税を創設することとしております。
 第四に、平成二十三年度補正予算(第3号)から平成二十七年度までの各年度において、復興費用の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で復興債を発行することができることとし、償還は平成三十四年までの間に行うこととしております。
 なお、平成二十三年度補正予算(第1号)において減額された基礎年金の国庫負担の追加に要する費用の財源として、復興債を発行することができることとしております。
 第五に、復興特別税等の収入については、復興費用及び復興債の償還費用の財源に充てることとし、また、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの国債整理基金特別会計への繰入金等については、復興債の償還費用の財源に充てることとしております。
 第六に、附則において、政府は、この法律の施行後適当な時期において、復興施策に必要な財源の確保等についての見直しを行うこととしております。
 また、平成三十四年度までに二兆円に相当する償還費用の財源の確保を旨とし税外収入を確保することとし、日本たばこ産業株式会社の株式等の処分の可能性について検討を行うとともに、日本郵政株式会社の株式の処分の在り方を検討し、これらの早急の処分に努めてまいることとし、これによる財源の確保が見込まれる場合、復興費用の見込額を勘案しつつ、復興特別税の負担軽減のための措置を講ずることとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして一部修正が行われております。
 第一に、復興特別所得税の課税対象期間を平成二十五年から平成四十九年までの二十五年間に延長するとともに、その税率を二・一%に引き下げることとしております。
 第二に、復興特別たばこ税に係る規定を削除することとしております。
 第三に、復興債については、平成四十九年度までの間に償還することとしております。
 その他、決算剰余金の償還費用の財源への活用、復興に係る特別会計の設置等に係る規定を整備することとしております。
 以上、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(平田健二君) 総務大臣川端達夫君。
   〔国務大臣川端達夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(川端達夫君) 平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案及び東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 東日本大震災に係る復興事業等の実施のための特別の財政需要等に対応するために、震災復興特別交付税に要する額についての財源措置を講ずる等の必要があります。このため、平成二十三年度分の地方交付税の総額及び同年度分の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入金の額の算定について特例を設け、総額に約一兆六千六百三十五億円を加算するとともに、震災復興特別交付税の額の決定に関する特例を設けることとしております。
 次に、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 東日本大震災からの復興を図ることを目的として、東日本大震災復興基本法に定める基本理念に基づき平成二十三年度から平成二十七年度までの間において実施する施策のうち、全国的かつ緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため、臨時の措置として個人住民税の均等割の標準税率及び地方のたばこ税の税率の特例を定める必要があります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 その一は、個人住民税の均等割の標準税率の特例であります。平成二十六年度から平成三十年度までの各年度分の個人住民税の均等割の標準税率について、道府県民税にあっては年額二百円を、市町村民税にあっては年額三百円を加算した額とすることとしております。
 その二は、地方のたばこ税の税率の特例であります。平成二十四年十月一日から平成二十九年九月三十日までの間に売渡し等が行われた製造たばこに係る地方のたばこ税の税率について、道府県たばこ税にあっては千本につき三百九十五円を、市町村たばこ税にあっては千本につき六百五円を加算した額とすることとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第ではありますが、衆議院におきまして、個人住民税の均等割の標準税率の特例の適用期間を平成二十六年度から平成三十五年度までの十年度間に延長し、道府県民税及び市町村民税の標準税率に加算する額をそれぞれ年額五百円とするとともに、地方のたばこ税の税率の特例に係る規定を削除する等の修正が行われております。
 以上が、平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案及び東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#11
○議長(平田健二君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。江崎孝君。
   〔江崎孝君登壇、拍手〕
#12
○江崎孝君 民主党・新緑風会の江崎孝です。
 ただいま議題となりました東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案外二法案について、会派を代表して質問をさせていただきます。
 初めに、東日本大震災、台風、洪水、全ての災害でお亡くなりになられた皆さん、被災された皆さんに対して心からお悔やみを申し上げます。
 加えて、急逝された政治の先輩である西岡前議長の生前の御指導に心からお礼を申し上げます。そして、御冥福をお祈りいたします。
 今月に入り、悲しいニュースが届きました。岩手県の仮設住宅で、七十九歳になる女性の方の孤独死がありました。非常に残念です。
 民主党の福島県対策室の一人として、私は何回も福島県の避難所、仮設住宅を訪れました。私たちの思いは、仮設に移ってからが重要である、一人の自殺者も孤独死も出さないということでした。そのため早くから、サポート拠点センターを仮設住宅に建設をして、仮設の生活者の支援の拠点にしてほしい、そのことを自治体や地方議会の皆さんに訴えてきました。
 そして、先々週、二日間掛けて福島県内を回り、今の状況を確認をしてきました。現地の状況を把握するにつれ、私の不安は少しずつ和らぎました。補正予算で建設された真新しいサポート拠点センターには、運動や勉強に励むお年寄りの姿がありました。そこにはたくさんの笑顔があふれていました。会津若松市にある大熊町の仮設住宅では、仮設の店舗が開設をされていました。震災等緊急雇用対応事業を使って雇用をされていたのは、仮設住宅にお住まいの方でした。もっと売上げを伸ばしたいと話す笑顔は、厳しい生活の中で今を力強く生きなければならないという覚悟のような笑顔に思えました。
 私たちが国会で議論し成立をさせた一次、二次補正予算は、間違いなく地元で実を結びつつあります。そのことを前提に質問をさせていただきます。
 三次補正予算案は、新規事業に加え、これまでの補正予算の事業で生じた地方負担分を新たに補助し、更にその残りを交付税で国が負担することで被災自治体の負担をゼロにするという画期的なものであります。一次、二次、そして今回の三次補正予算によって、復興に向けて更に弾みを付けようという思いが込められています。しかし同時に、これまでの予算の執行状況が気になります。
 激務が続いた自治体において、必要とされる事業が計画どおりに進捗できていたのかどうか、把握されている執行状況について、財務大臣にお聞きします。
 先日訪問した自治体で、仮庁舎の建設が年度内に着工できなかった場合、繰越明許はできるのだろうかとの心配の声を聞きました。復興交付金、復興特別交付税は翌年度繰越しも可能とありますが、自治体の予算の組立て方からいって、一次、二次、三次補正予算の事業をトータルで繰越しの対象としてよいのか、総務大臣にお伺いいたします。
 また、復旧・復興の経費は十年間で二十三兆円、三県の試算では三十兆円を超えます。復旧・復興が最優先事項であることは誰もが承知をしております。一方で、被災地以外の自治体も厳しい状況にあるのも周知の事実です。そのため、民主党の幹事長室に陳情に来られるほとんどの自治体の不安は、来年度の地方財政計画への影響です。被災自治体以外に対する交付税も十分に確保されることが重要です。総務大臣の決意を併せてお伺いいたします。
 民主党は、十月三十一日、三県合同の現地意見交換会を仙台市で開きました。その中で、切実かつ緊急な要望として出されたのが、仮設住宅に住む皆さんと、みなし仮設、つまり民間のアパートや公営住宅に住む皆さんとの平等の取扱いを求める声でした。国は、仮設の皆さんに対しては暖房器具を無償で提供していますが、みなし仮設の皆さんに対してはそれができないとして、いまだ対応していません。既に十一月末、自力で暖房器具を提供している自治体や、冬期対策として一律の現金支給に踏み切った自治体もあります。現場からの再三の要望に対して、このままの対応でよいのでしょうか。政府としての決断が求められています。厚生労働大臣、お考えをお聞かせください。
 三次補正予算の目玉である復興交付金、基本的には地域自主戦略交付金と同じ手続のようです。全国知事会は、地域自主戦略交付金の配分方法をめぐって、予算の内閣府への一元化、事務手続等の簡素化などの要望書を提出をいたしました。
 今回の補正では、予算は府省に移し替えられ、事業間流用や年度間調整の内容もはっきりしません。例えば、地域自主戦略交付金では、事業申請を内閣府に出して事業が認められても、再度同じような交付申請を各府省に提出させるという煩雑さが指摘されています。復興交付金はできる限り使い勝手の良いものにしなくてはなりません。知事会の要望に沿ってどのように検討され、実施されるのか、復興担当大臣にお聞きします。
 また同時に、予算総額が限られている中で、被災地の求めに応じてどのように復興交付金や復興特別交付税を配分されるのでしょうか、一定の配分基準を明確化しておく必要があると考えます。総務大臣、復興担当大臣に併せて考え方をお聞きします。
 補正予算の財源とする臨時増税分は十・五兆円ですが、既に今回だけで十一・五兆円の復興債を発行します。集中期間の予算総額は十九兆円、十年間分の二十三兆円までにはあと四兆円の予算措置が必要です。しかし、その四兆円の財源の見通しは明らかとなっていません。三県の試算が三十兆円であるように、元々二十三兆円では不足する可能性が非常に高いのです。今後の必要予算に対する財源の見通しを早急に明らかにすべきではありませんか。
 与野党協議によって、復興債の償還財源に充てる復興特別所得税の課税期間が二十五年という長期となりました。政府は、来月にも社会保障と税の論議を再開し、消費税の考え方を整理する方針ですが、所得税も消費税も払うのは国民です。これから負担しなければならない復興財源をどうするかも一緒に国民の前に提示すべきです。財源見通しと併せて、財務大臣に考え方をお聞きします。
 三次予算で被災地の高台移転への道が開けました。所有地の買上げも進むと期待されています。原発災害に対しても除染対策二千億円強が充当されています。しかし、避難区域の対策費用は計上されていません。
 先日、仮役場で会った福島県の青年は、家族別れ別れの二重三重の暮らしを続けるのにももう限界がある、人生を前に一歩進めるためにも残してきた財産を処分したいんですと、唇をかみしめました。
 避難区域の住民から土地を買い上げることに関して、国が責任を持って考え方を示すべきときに来ています。大きな問題ですが、しかし政治が決断すべきです。野田総理大臣のお考えをお聞きします。
 政治家を目指し全国を飛び回っていた二年前、ある町で聞いた青年の言葉は生涯忘れないでしょう。救急車を運転する消防職員です。彼は、たらい回しが羨ましいと言うのです。私は耳を疑いました。しかし、彼が続けた言葉にはっとさせられました。たらい回しができるほどの病院がここにはないんですと言うのです。心肺停止の方をついこの間一時間以上搬送しなければならなかった、こんな状況を何とか変えてほしいと真剣な目で訴えてきました。
 この国に生まれてよかったという国にしたいとの総理の思いに私も同感です。しかし、命さえ守れない、これが今の国の現状です。そして、大震災が発生しました。原発対策も含め、想像を超えるであろう復旧・復興の財源負担、二十五年という所得税の増税の一方で増え続ける生活保護受給者。総理は、一つ一つ乗り越えていくという言葉を選ばれました。乗り越えなければならない山が余りにも多く国民の前に立ちふさがっています。
 日本国民が困難に向かって一歩前に進めるためにも、乗り越えた先にどんな世界が広がっているのか、どんな世界をつくろうとしているのか、総理の言葉で語っていただくときに来ています。過酷な今を見据え、覚悟も含め、野田総理の決意を最後にお聞きします。
 私も微力ではありますが、ここに生まれてよかったと思える国にこの日本をするために全力を挙げることを申し添え、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#13
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 民主党、江崎孝議員から私には二問の御質問をいただきました。
 まず最初が土地の買上げについてのお尋ねでございます。
 政府としては、まずは、原子力被災者の方々のふるさとへの帰還に向け、環境モニタリングや除染等の安全確保のための取組を全力で推し進めているところでございます。他方で、こうした取組を進める中で、相当な期間にわたり住民の帰還が困難な区域が出てくることも考えられます。そのような場合には、議員の御指摘のような土地の買上げなどを含め、様々な観点から、地元自治体と十分に相談をしながら、国が責任を持って中長期的な対応策を検討していきたいと考えております。
 続いて、目指す日本の姿についての御質問をいただきました。
 野田内閣の使命は、震災復興と原発の事故の収束でございます。これを最大かつ最優先の課題であると申し上げてまいりました。政府を挙げ、国会、各政党の御協力をいただきながら、官民の総力を結集して取り組む中で、希望と誇りの持てる日本の再生、福島に生まれてよかった、そして、宮城に生まれてよかった、岩手に生まれてよかった、この日本に生まれてよかったと思えるプライドの持てる国を築いていきたいと考えております。目の前の困難な道のり、危機を乗り越える一つ一つの積み重ね、努力の道筋においてそうした日本が築かれるものと確信をしています。
 国民の皆様の声、そして江崎議員を含め、各党会派の議員の皆様の声に耳を傾け、共同作業を進めるために全力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣安住淳君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(安住淳君) 甚大な被害をもたらした東日本大震災からの復旧・復興予算が円滑、迅速に執行されるかどうかは大変重要なことであると認識をしております。それぞれの担当省庁を通じて個別の事業がどの程度進捗しているかについては現在財務省として把握に努めております。
 具体的には、災害廃棄物の処理について、当初の目的どおり八月末までに住宅地近傍の瓦れきの仮置場への搬入を完了するなど、事業が進捗しております。
 被災者再建支援金については、十一月二十四日までに財団法人都道府県会館で受理している約十九万九千件の申請のうち、十九万四千件の約一千七百五十億円について振り込み手続を終了しております。
 仮設住宅の供与については、十一月二十二日現在、応急仮設住宅は五万一千九百九十一戸完成し、このうち四万六千八百三十八戸に被災者の方が入居をされております。
 公共土木施設の復旧については、直轄道路につき、四月十日までに迂回路の利用を含め応急復旧が完了し、現在被災地での基幹道路となっております国道六号線、四十五号線等については本格復旧を実施中であること、また、港湾につき、岸壁等の応急復旧を実施し、現在全ての港湾で一部の利用が可能となっているなどと承知しております。
 今後とも、補正予算に盛り込まれた事業が円滑に執行されますよう、財務省としても各省の動きを注視し、一日も早い復旧・復興に努めてまいりたいと思っております。
 次に、復興財源については、歳出削減や税外収入の確保に努め、できるだけ時限的な税制措置の幅を縮小していくことが重要であると考えております。
 復興特別所得税は、個人の所得や各種の軽減措置などを反映した所得税額に対し一定の課税をするものであり、所得の低い層には、課税されないか負担が軽くなるような仕組みとすることとしており、所得税額に対する税率は二・一%としております。
 政府としては、一定期間経過後に、事業の進捗等を踏まえ、復旧・復興事業の規模の見込みと財源を見直すこととしておりますが、その際、仮に復興事業が増加する場合であっても、安易な増税に頼ることなく努力することが重要であると考えております。
 なお、各年度ごとの国民所得に対する税負担の割合を示す租税負担率等については、毎年度公表しておりますけれども、社会保障・税一体改革についても、必要な情報は今後とも国民の皆様に適時提供していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣川端達夫君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(川端達夫君) 江崎議員に、私に対して三つの御質問ありましたので、お答えいたします。
 まず、仮庁舎の建設等に関する補助金についてお尋ねがありました。
 今回の震災では、市町村役場の機能の回復が喫緊の課題であったことから、仮設庁舎の建設等、応急的な復旧に係る経費について国庫補助制度を創設し、一次補正で三十七億円、今般の三次補正では補助額二十一億円を盛り込み、支援していくこととしております。
 当該補助金につきましては、その性質上、年度内にその支出を終わらない見込みのある経費であるため、国会の議決を経て、翌年度に繰越しして使用することができることとなっております。また、地方自治体が当該補助事業を執行するときには、当該年度予算において繰越明許費を設定することにより、翌年度に予算を繰り越して使用することができるところでございます。
 次に、来年度の交付税の確保についてお尋ねがありました。
 平成二十四年度の復旧・復興事業に係る地方負担分については、概算要求組替え基準において歳出の大枠とは別枠で地方交付税を加算することとされており、地方財政計画の策定に当たっても、地方の復旧・復興事業費及びその財源については通常の歳入歳出とは別枠で整理することといたしております。
 平成二十四年度の地方交付税については、東日本大震災対応分の確保と併せ、被災自治体以外についてもその財政運営に支障が生じないよう、通常の財政需要に対応する所要額の確保に全力を尽くしてまいります。
 次に、震災復興特別交付税の配分基準の明確化についてお尋ねがありました。
 震災復興特別交付税により、東日本大震災からの復旧・復興事業に係る第一次から第三次までの補正予算に伴う地方負担分等に対応することとしており、個々の被災団体における負担をゼロとするように、事業実施状況に合わせて決定、配分することとしております。
 震災復興特別交付税の具体的な算出方法については、法案の成立をいただいた後、直ちに省令を定め、速やかに地方団体にお示ししたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣小宮山洋子君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(小宮山洋子君) 民間賃貸住宅等の借り上げによる仮設住宅への暖房器具の設置についてですが、プレハブの仮設住宅は、民間賃貸住宅等の一般住宅に比べて、断熱材の追加や二重サッシ化などの追加工事をしてもなお断熱面等で劣っていることから、プレハブの仮設住宅を対象に暖房器具の備付けを進めているところです。
 民間賃貸住宅等の借り上げによる仮設住宅については、NGOの皆さんなどが自治体と協力して暖房器具の配布を進めているところもあります。
 厚生労働省では、このような暖房器具を提供していただくNGOなどの支援団体や被災自治体などに対しての支援として、「絆」再生事業の補助事業の対象に含めることとして、借り上げによる仮設住宅にお住まいの方への支援にも最大限努力をしていきたいと考えています。(拍手)
   〔国務大臣平野達男君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(平野達男君) 江崎議員からは、私に対して二問質問をいただいております。
 まず、復興交付金の使い勝手の良さについての御質問をいただきました。
 復興交付金においては、復興地域づくりに必要なハード事業として、五省四十に及ぶ幅広い事業を一括化しまして、地方公共団体は一本の事業計画を提出することで足りることといたします。また、事業計画の提出や交付申請等に当たりましては、内閣府、復興庁が発足してからは復興庁がワンストップの窓口として対応することとしております。
 このように、被災市町村等が行う手続の簡素化、迅速化を図ることとしておりますけれども、今後、詳細な制度設計を進めるに当たりまして、交付申請手続や提出書類の簡素化、年度間の調整や事業間の流用等の弾力的な執行などについて検討を進めてまいります。
 次に、復興交付金の配分方法についての御質問をいただきました。
 震災からの復興は、住民に最も身近で、地域の特性を理解している地方公共団体が主体となって行うものであります。復興交付金は、こうした考え方の下、あらかじめ国において例えば一定の配分基準を定めて配分するのではなくて、今地方公共団体において復興計画を作っておりますが、その復興計画の中で事業計画を作成していただきまして、国は計画の内容に基づいて必要な額を配分することとしております。
 私からは以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(平田健二君) 塚田一郎君。
   〔塚田一郎君登壇、拍手〕
#19
○塚田一郎君 自由民主党の塚田一郎です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました復興財源確保特別措置法案等について質問いたします。なお、答弁が不十分な場合は再質問をさせていただきます。
 野田総理、最近の世論調査では、内閣支持率が三五%にまで落ち込み、支持と不支持が逆転したものもあります。TPPに関する不誠実な説明、国内の合意を無視して国際社会で勝手に公約をする態度、山岡大臣の政治と金の問題や、一川大臣の宮中行事を無視した行動などを国民はしっかりと見ています。既に国民は野田政権を見放し始めているのです。
 総理、最近の内閣支持率の低下をどのように受け止めているのですか。また、問題のある閣僚について、任命権者としての責任をどのように取るつもりか、伺います。
 TPPについて一点お伺いします。
 総理は、関係国との協議の結果、国益を損なう場合は交渉に参加しないこともあり得ると表明しています。鹿野農林水産大臣は、米を例外品目にすることは大変困難なことであると答弁をしています。
 総理、米が例外品目にならなければ国益は損なわれます。その場合、交渉には参加しませんね。当然だと思いますが、念のため、確認させてください。
 本題に入ります。
 復興政策について伺います。
 震災から八か月を迎えようとする今日に至っても、被災者の生活再建、被災地の復興への展望が開けない状態が続いています。なぜいつも、民主党政権の出してくる補正予算、復興関連法案は、余りにも遅く、ずさんなものばかりなのでしょうか。我が党や公明党の提案を基本として復興基本法が六月二十日に成立し、政府の復興構想会議が六月二十五日に提言を出しているにもかかわらず、補正予算や法案の形にするのに五か月も掛かっています。提言を出した五百旗頭議長本人が、率直に言って遅過ぎると苦言を呈しているのは当然です。
 総理、三次補正やこの財源確保法案はなぜここまで遅くなったのか、御説明を願います。また、その結果として復興が遅れていることを被災地の皆さんに謝罪してください。
 今回の補正予算は、自民党が七月に提案をした十七兆円に全く満たない金額であり、不十分です。政府は、震災復興に五年で十九兆円、十年で二十三兆円が必要と試算しました。しかし、岩手、宮城、福島の被災三県は、合計で三十兆円以上が必要と試算しています。
 自民党は、政府案を検証し、七・一兆円の予算上積みを提言しています。例えば、復旧・復興事業に約一・六兆円の積み増し、被災者の生活再建、被災地の再生事業に約一・五兆円などの内容です。
 これらに加え、原発事故に伴う除染費用や廃炉費用、廃棄物の貯蔵など、いまだ総額が分からない費用もあり、政府案で足りないことは明白です。
 総理は先日、二重ローン対策などを盛り込んだ第四次補正予算の編成を示唆する発言をされましたが、一方で、官房長官や財務大臣は四次補正は考えていないと否定しています。しかし、財確法六十九条三項では新たに補正予算を作成する場合を想定しており、第四次補正予算の編成は既定路線と思われます。
 総理、第四次補正予算を考えているのかいないのか、明確にお答えください。また、官房長官は二重ローン対策は予備費で対応するとおっしゃっているようですが、総理もそういう方針なのか、お答えください。
 また、新たな予算編成により不足する財源はどのように確保するのでしょうか。増税幅を更に増やすのか、復興債を増発するのか、総理にお尋ねします。
 自民、公明、民主の三党は、復興特別会計を平成二十四年度に設置することで合意しました。特別会計の対象は、平成二十四年度以降の復興費用と三次補正で発行する復興債となっています。しかし、一次、二次補正で執行される復興費用やその財源、三次補正の復興関係費用はその対象に含まれると明記されていません。
 これらを復興特別会計に含まなければ、復興事業に係る歳入歳出の全体像が把握できず、中途半端なものになってしまうと考えます。第一次補正予算から全ての復興費用及び財源を特別会計に含めるべきと考えますが、財務大臣の見解をお聞かせください。
 政府は、復興財源のうち七兆円は歳出削減、税外収入で賄うとしています。内訳は、子ども手当の見直しや東京メトロ株の売却などで三兆円、JT株の売却や公務員人件費の見直しなどで二兆円、そして、今後十年間で様々な努力で捻出する二兆円というものです。
 そこで、まず、子ども手当の見直しについて伺います。
 政府・民主党は、子ども手当などマニフェストが実現できない理由に復興財源の捻出を挙げていますが、これは明らかな詭弁です。マニフェストの実行は、大震災以前、今年度当初予算の編成時点で既に困難となっていたのです。その時点で、無駄の削減や予算の組替えで捻出できるとした民主党の財源論が破綻していたことは明白です。子ども手当削減で得られた財源は、本来、増発した赤字国債の発行の減額に充てるべきと考えますが、総理の御所見を伺います。
 次に、公務員人件費の削減について伺います。
 政府は人事院勧告を実施しないとしていますが、人勧の趣旨が特例法案の七・八%に含まれるという政府の説明は納得できません。まず人勧に基づき〇・二三%を下げ、続けて七・八%との差額を給与特例法で削減するのが筋ではありませんか。なぜそうできないのか、納得できる理由をお示しください。
 また、このままでは年内の給与引下げが行われず百二十億円の削減が不可能になります。それでも人勧を実施しないのか、お答えください。
 さらに、今回の七・八%の引下げは、新たな労使関係制度を先取りする形で政府と連合系の労働組合が合意したものだといいます。川端大臣もはっきりそう答弁しています。しかし、政府と組合の直接交渉で給与を決めるのは、公務員に労働協約締結権がないという現状において違法ではないですか。総理、お答えください。
 また、この合意では、今回の給与引下げは地方公務員には波及させないことも決められたといいます。しかし、全ての公務員が震災からの復興に力を合わせるという意味で、当然、地方公務員も給与を引き下げるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、今後十年間で捻出するという二兆円について伺います。
 JT株の政府保有分やエネルギー特会の保有株式の売却には大きな問題があります。本当に実現できるのか、甚だ疑問です。昨年の一本当たり三・五円の大幅なたばこ増税により、葉たばこ農家は危機に瀕しており、全国で、耕作人員で約四割、耕作面積で約三割が来年度から廃作する意向です。葉たばこ農家は福島など被災地にも多くあります。被災地の葉たばこ農家は、震災と増税の二重の苦しみにあえいでいるのです。
 このような状況で、政府は当初、復興財源として更なるたばこ増税を打ち出しました。結果として与野党協議でたばこ増税はなくなりましたが、そのようなことを言い出すこと自体、とんでもないことです。一体、政府は葉たばこ農家の現状をどう認識しているのか、総理に伺います。
 来年度以降のたばこ税については、今年度の税制改正大綱で、葉たばこ農家、小売店、製造業者等に及ぼす影響等を十分に見極めた上で判断するとしています。総理、よもや、このような現状でこれ以上のたばこ増税はないでしょうね。ここで確約をしてください。
 さらに、今後JT株を全て売却し、完全な民営企業になった場合、現在の葉たばこ全量買取り制度が維持できなくなり、国内の葉たばこ農家は壊滅的な打撃を受けるとの懸念があることについて、総理の見解を伺います。
 また、エネルギー特会の保有株式売却により政府の後ろ盾がなくなって、国際的な資源獲得競争に勝てるのでしょうか。総理、エネルギー安全保障の観点からエネルギー特会の保有株式は売却すべきではないと考えますが、見解をお聞かせください。
 もし、検討の結果、売却を行わないことになり、予定していた二兆円の財源が確保できない場合、その分の財源をどうするのか、財務大臣に伺います。
 次に、消費税について伺います。
 総理は、G20に続いてAPECでも、消費税を二〇一〇年代半ばまでに段階的に一〇%に引き上げると国際公約をしてきました。閣議決定もなく、そして国会での決定もないまま国際公約をしてくるというのは、国会軽視であり、国民を無視する行為です。
 総理、憲法六十五条には、「行政権は、内閣に属する。」と書いてあります。内閣法四条一項には、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と書いてあります。閣議決定もしないことを国際公約してしまうのは、総理の越権行為ではないですか。お答えください。
 民主党は、政権交代前には、四年間は消費税を上げる必要はないと主張していました。二〇〇九年の政策インデックスでも、税率五%を維持すると明記しています。鳩山元総理は、消費税をこの四年間の間に触ることはしない、そのように決めておりますと国会で答弁しています。四年間の間に解散せずに消費税増税のための法改正をすることと、この答弁は明らかに矛盾します。総理、いかがですか。お答えください。
 そもそも、消費税を含む税制改正に関しては、平成二十一年度の改正所得税法の附則百四条で、経済状況を好転させることを前提として、平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずるとされています。政府・与党が六月に決定した社会保障と税の一体改革成案でも、同じように、経済状況を好転させることを条件としています。日経平均が連日、年初来最安値を更新する状況で、経済状況は好転しているとお考えですか。総理の認識とその根拠をお示しください。
 もし法案を提出するのであれば、いつ消費税増税のための法案を国会に提出するのか、お答えください。
 最近、政府は平成二十六年四月に税率を八%に引き上げる方針だという報道がなされ、五十嵐財務副大臣もそれに沿った発言をされています。これは政府の公式見解ですか。法案の中に書き込む増税の具体的な時期と税率について、明確にお答えください。
 また、政府の社会保障・税一体改革成案では、引上げ分の消費税収については社会保障給付における国と地方の役割分担に応じた配分を実現するとしていますが、増税に伴う税収における国と地方の配分をどのように考えているのか、総理に御説明願います。
 民主党の藤井税調会長は軽減税率導入に反対すると発言していますが、今回の増税において軽減税率の導入を行うのか否かについて、財務大臣に御説明願います。
 最後に、総理の政治理念と消費税増税の関係について伺います。
 総理は、国家ビジョンを問われると、中間層の厚みのある社会とおっしゃいます。総理の唯一の国家ビジョンだと思いますが、私は、これと今回の消費税増税との関係が理解できません。
 総理は、中間層の厚みがある社会を具体的にどのような政策で実現されようとしているのでしょうか。また、この目標と消費税増税は矛盾するものではありませんか。お答えください。
 総理、あなたは消費税増税の法案を通した後に国民に信を問うと言っていますが、その理屈が通らないことは明白です。消費税を引き上げないと言って与党・民主党が得た議席を使って、消費税増税の法案を審議し、議決することは、国民軽視であり、断じて許されません。
 消費税の増税法案を提出する前に衆議院を解散して民意を問うことを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 自民党、塚田議員の御質問に順次お答えをしてまいりたいと思います。
 まず最初に、支持率と大臣の任命責任についてのお尋ねがございました。
 世論調査における国民の声は、叱咤激励として真摯に受け止め、身を引き締め、更に「正心誠意」なすべき課題に取り組んでいきたいと考えております。
 閣僚の任命については、それぞれ適格であるとの判断に基づき任命をしております。各大臣に関する御指摘については、本人がこれまで国会審議においても説明し、また、これからも必要な説明はされるものと考えています。
 TPPにおける米の扱いについての御質問をいただきました。
 TPP協定については、基本的に全ての関税を十年以内に撤廃することが原則になるとされていますが、最終的に即時撤廃はどの程度となるのか、段階的にどれぐらいの時間を掛けて撤廃するのか、また、関税撤廃の例外がどの程度認められるかなどについては現時点では明らかではありません。
 いずれにせよ、協議に際しては、守るべきものは守り抜き、そして、勝ち取るものは勝ち取るべく、まさに国益を最大限に実現をするために全力を尽くす次第であります。
 続いて、三次補正予算と財源確保法案の提出時期についての御質問をいただきました。
 当面の復旧・復興施策については、一次、二次合わせて六兆円規模の補正予算を編成し、これを着実に執行しているところであります。
 また、予備費や二次補正に盛り込まれた復旧・復興予備費八千億円の活用により、例えば、除染事業、汚染された稲わらに係る肉用牛肥育農家支援、中小企業等グループ補助金などについて機動的な対応を併せて行ってまいりました。
 他方、本格的な復旧・復興を総合的かつ計画的に進めるためには、復興構想会議での議論や、それを取りまとめた提言を踏まえた上で、必要となる復興施策、復興事業に係る財源確保など、国による復興のための取組の全体像を明らかにすることが必要であり、こうした観点から七月末に復興の基本方針を策定をいたしました。
 今般、この基本方針に沿って、真に復興に資する施策を重点的に措置した第三次補正予算が成立をいたしました。被災地の本格復興に向けた施策を速やかに執行していくため、財源確保法案についても早急に成立をさせていただくようお願いをいたします。
 続いて、四次補正予算の検討状況、二重ローン対策、今後の復興財源についての御質問をいただきました。
 通常、年末に、生活保護費負担金を始めとする追加財政需要に対応するための補正予算が編成されることが多いのは事実でございますが、今年度については、今後、追加財政需要の状況を見て判断することとしています。
 いずれにせよ、現時点で四次補正の編成を具体的に検討してはおりません。二重ローンへの対応に関して必要な予算措置については、予備費の活用といった方法も含めて必要な対応を検討しているところであります。
 また、復興財源に関して、政府としては、一定期間経過後に、事業の進捗等を踏まえ、復旧・復興事業の規模の見込みと財源を見直すこととしていますが、その際、仮に復興事業が増加する場合であっても、その財源については安易に増税に頼ることなく努力することが重要と考えております。
 続いて、子ども手当削減で得られた財源は赤字国債の発行の減額に充てるべきとの議論についての御質問をいただきました。
 与野党の賛成により成立した復興基本法は、第七条で歳出削減による復興財源の捻出を定めております。子ども手当については、三党合意に基づき見直しが行われ、この見直しによる歳出削減分を震災からの復興という優先度の高い歳出への振替に充て、復興財源として活用することにより、時限的な税制措置の幅を一定程度縮小することとしています。
 給与臨時特例法案と人事院勧告についてのお尋ねがございました。
 労働基本権が制約をされている現行制度においては人事院勧告制度を尊重することが基本であるとの考えの下、今般の人事院勧告の取扱いについて真摯に検討を行ったところでございます。
 その結果、我が国の厳しい財政状況と東日本大震災という未曽有の国難に対処するため、既に提出をしている給与臨時特例法案が、今般の人事院勧告による給与水準の引下げ幅と比べて厳しい給与減額措置を講じようとするものであり、総体的に見ればその他の人事院勧告の趣旨も内包しているものと評価できることなどを総合的に勘案し、本年の人事院勧告を実施するための法案は提出しないこととしたものであります。
 給与臨時特例法案は、その実施により、結果として今般の人事院勧告の趣旨も生かされることになりますので、是非とも同法案の早期の成立に御協力をお願いをいたします。
 続いて、職員団体との話合い及び地方公務員の給与の取扱いについての御質問をいただきました。
 今回の職員団体との話合いは、団体協約を締結するための交渉ではなく、使用者である政府として、今般の異例の給与減額措置に対して職員の理解が得られるよう、職員を代表する立場にある職員団体と真摯に話し合ったもので、違法との御指摘は当たらないと考えております。
 また、職員団体との話合いで合意したのは国家公務員の給与減額支給措置についてであり、地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において地方公務員法の趣旨に沿って適切な措置が講じられることを期待をしています。
 葉たばこ農家の現状認識についてのお尋ねがございました。
 たばこ消費が減少傾向にある中で、JTが来年以降葉たばこの生産をやめる農家を募集したところ、全体の四割近い農家から応募があったことは承知をしています。
 こうした状況の中で、葉たばこ農家に対しては、JTによる廃作農家への廃作交付金の交付と耕作を続ける農家への支援策をしっかり実施していただくとともに、政府としても、各府県と連携を取りながら、他作物への円滑な転換を推進するための技術指導を行うなど、適切な対応を行っていくこととしています。
 今後のたばこ増税及びJT株を全株売却する場合の葉たばこ農家への影響についての御質問をいただきました。
 今後のたばこ税の在り方については、これまでの税制改正大綱で示している、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって税率を引き上げていく必要があるとの基本的な考え方に基づき、葉たばこ農家等のたばこ関係事業者に及ぼす影響等を十分に見極めつつ、引き続き検討を行っていく必要があると考えております。
 JT株式の全株売却については、国産葉たばこの全量買取り契約制やJTの製造独占、小売定価の認可制等と密接な関係を有しており、たばこ法制の根幹にかかわる議論を行う必要があると考えております。
 このため、復興財確法案の附則では、JT株式の全株売却の検討に当たって、たばこ法等に基づくたばこ関連産業への国の関与の在り方を勘案すると規定をしたところでございます。この検討に当たっては、葉たばこ農家への影響等を十分見極める必要があると考えております。
 エネルギー特会保有株式の売却についての御質問をいただきました。
 資源小国の我が国にとってエネルギー資源獲得は重要な政策課題であり、東日本大震災後、エネルギーの安定供給の観点から、その重要性はより高まってまいりました。
 したがって、政府保有の資源開発企業の株式については、日本の資源獲得に係る権益確保、相手国の協力関係維持への影響など、エネルギー政策の観点を踏まえつつ、保有の在り方を見直すことにより、売却の可能性について検討した上で、保有する必要がないと認められる株式は売却する考えであります。
 続いて、社会保障・税一体改革に関するG20等での発言についての御質問をいただきました。
 一体改革成案については、政権発足後の九月に閣議決定した基本方針においてこれを早急に具体化するとの方針を示しているところであり、また、一体改革についての私の考え方は、新内閣発足後、最初の所信表明演説やその後の国会審議において既に申し上げているところであります。先般のG20やAPECにおける発言はこうした従来からの方針を説明したものであり、越権行為との御指摘は当たらないものと考えています。
 続いて、消費税と解散に関する御質問をいただきました。
 社会保障改革はもはや待ったなしの課題であり、そのための財源確保についても税制改革は避けて通れない、そうした判断に基づき、旧政権においても所得税法附則第百四条項を挿入されたものと理解をしております。
 同時に、社会保障と税一体改革は、政権が替わるたびに変更することなく、安定した政策として確立させることが必要であり、そのために旧政権も現政権も与野党協議による合意形成を目指してきたものと認識をしております。
 また、マニフェストを含め、さきの総選挙で政権の負託を受けた任期中は消費税率を据え置くという方針と社会保障・税一体改革は矛盾するものではありません。まず、あるべき社会保障の姿を議論し、そのために必要な財源として消費税率の引上げをお願いするときには、その実施前に国民に信を問うことを一貫して申し上げてきております。
 税制抜本改革における経済状況の好転及び法案の提出時期についてのお尋ねがございました。
 平成二十一年度税制改正法附則百四条及び一体改革成案においては、消費税を含む税制抜本改革の実施に当たり、経済状況を好転させることとされており、現時点や法案提出時点の経済状況について言及しているものではないと考えております。
 また、法案については、附則百四条に示された道筋に従って本年度中に国会に提出することとしております。
 消費税率の引上げ時期などについて御質問をいただきました。
 消費税率の引上げ時期やその税率、税収の国と地方の配分などについては、今後、政府・与党内の議論及び与野党協議等を踏まえ、改革の具体化を図る中で決定したいと考えております。
 中間層の厚みのある社会についての御質問をいただきました。
 大震災からの復興、原発事故の収束、そして日本経済の立て直しは当面する国家目標として政治の現実課題であり、さらに、その先に中間層の厚みのある社会、この国に生まれてよかったと誇りを持てる国をつくることが私の目標であります。そのためには、セーフティーネットの充実と経済全体の適正な成長を実現することが不可欠であり、また、持続可能な社会保障制度をつくり上げるための社会保障と税の一体改革は必要不可欠と考えております。矛盾するとの御指摘は当たらないと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣安住淳君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(安住淳君) 塚田先生からは三問の御質問をいただきました。
 財政法では、各会計年度の経費はその年度の歳入をもって支弁すべきこととされております。ですから、この原則を踏まえますと、平成二十四年度に三党で合意をした設置されるであろう特別会計の予算については、過年度である二十三年度の補正予算に計上した歳出歳入予算を盛り込むことはできないと考えております。
 ただし、復興・復旧に要する資金の流れの透明化を図るということは重要でございますので、二十三年度の補正予算を含め、復興に係る財源、経費の全体像を決算ベースで明らかにする必要があると私も考えておりますので、具体的な表示方法については今後検討してまいりたいと思っております。
 次に、十年間を基本として想定している二兆円の財源の質問でございましたが、今後十年間を基本に想定している二兆円は、JT株やエネルギー特会の保有株式の売却のほか、様々な税外収入により確保することとしておりまして、こうした選択肢の中から今後十年間の中で二兆円の財源確保に努めていくこととなります。
 なお、財源確保法案で規定されている時限的な税制措置は、歳出削減及び税外収入による財源確保額が五兆円程度であることを前提としておりますから、十年間で二兆円が更に確保できれば結果として税制措置の幅が縮小されることになると私は思っております。
 次に、消費税に伴う軽減税率についての藤井税調会長の発言でございますが、社会保障・税一体改革成案においては、いわゆる逆進性の問題については、消費税率が一定の水準に達し、税・社会保障全体の再配分を見てもなお対策が必要となった場合には、制度の簡素化や効率性などの観点から、複数税率よりも給付などによる対応を優先させることを基本に総合的に検討するとされております。
 低所得者対策等については、成案を踏まえ、税制調査会等において今後議論してまいりたいと考えております。(拍手)
#22
○議長(平田健二君) 塚田君から再質疑の申出があります。これを許します。塚田一郎君。
   〔塚田一郎君登壇、拍手〕
#23
○塚田一郎君 二点について再質問をさせていただきます。
 まず一点目は、TPPに関連をして、米が例外品目にならなかった場合に交渉に参加するか否かを総理にお尋ねをいたしましたけれども、明確な御答弁がございませんでした。この点についてはっきりとお答えをいただきたいと思います。
 もう一点は、消費税に関連をし、五十嵐財務副大臣も、平成二十六年四月の税率八%引上げ方針について言及をしております。これは政府の公式見解か否かを問わせていただいたわけでありますが、これについても明確な御回答もないまま、また、引上げの時期、税率についても何ら言及がありませんでした。この点について再度御答弁をお願いいたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#24
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 今二点再質問いただきました。
 一つは、TPPにおける米の取扱いでありますけれども、先ほど関税撤廃の扱いがまだ決まっていないというお話をいたしました。即時撤廃がどれぐらいあるかとか、段階的にどうなるとか、例外がどれぐらい認められるか、米も含めて今そういう形で、現時点では明らかではありません。
 その際、私は、記者会見で申し上げたとおり、美しい農村は守り抜くということを申し上げました。そうした協議に際しては、守るべきものは米も含めて守り抜いていくということであります。
 続いて、五十嵐さんの発言ですが、これは明確に申し上げますが、公式見解ではありません。税率をどうするか等々は、これから政府内、与党内で議論を詰めて、そして与野党協議でこれから詰めていく話であるので、これは個人としてどこかで御発言をされたものと承知をしています。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(平田健二君) 竹谷とし子君。
   〔竹谷とし子君登壇、拍手〕
#26
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案外二案に関連して、野田総理に質問いたします。
 まず最初にお尋ねいたします。
 復興債の償還財源として、不景気が続く今、増税を必要とする理由は何でしょうか。また、復興債の償還財源を検討するに当たり、最初の段階で総理の指示で消費税を外したとのことですが、その理由を伺います。
 民主党は、政権交代時の二〇〇九年のマニフェストで、増税しなくても予算の組替えなどで年間十六・八兆円の予算を捻出できるとしていました。三度に及ぶ事業仕分でも予算の組替えによる財源捻出はできないことが明白となり、岡田前幹事長、菅前総理、そして野田総理も、見通しが甘かったと相次いで発言されました。できもしないことをやると言って国民を欺き、政権を交代し、果ては今回の増税です。野田総理は、今や物言わぬ総理と言われていますが、増税を国民にお願いするならば、まずは、総理御自身が国民の前に出て、国民に対する謝罪と増税に対する真摯な説明を繰り返す必要があると考えます。総理の御見解を伺います。
 次に、将来の消費税増税に関してお伺いします。
 野田総理は、G20で消費税率一〇%への引上げを表明され、これについて、国内で方針として示したことを国際社会で説明し、アクションプランに入れたと衆院本会議で御発言されました。カンヌの前に国内で方針を示したということですが、国内での十分な説明は本当にあったのでしょうか。総理の見解を伺います。
 新聞報道によると、十一月二十二日、民主党の小沢元代表は、消費税率の引上げ幅や増税時期を年内に決めるということは理解を得られないだろうと政府の動きを牽制したとされています。これが事実であれば、国内での方針どころか、民主党内での方針も決まらないまま国際公約をしたということになるのではないでしょうか。総理の御見解を伺います。
 消費税引上げの議論においては、その使い道、特に社会保障をどう改革するかをその前に議論しなければなりません。民主党は、全ての年金を一元化し、最低保障年金を創設する民主党案がベストと言い放ち、現行制度を批判してきました。ならば、具体的な制度設計を国民に示すのは当たり前です。
 本年二月の衆院予算委員会において、我が党の坂口副代表は、民主党の最低保障年金の支給対象について、年収二百万円未満の人と設定した場合、十二兆円という巨額の財源が必要との試算を提示し、政府の考えをただしましたが、前総理は明言を避け、最低保障年金も一元化も決まっていない、すなわち民主党案は絵にかいたもちだったということが明らかになりました。
 政府が与野党協議を踏まえて決定したいというならば、まずは、与党と政府内での成案をまとめ、閣議決定するのが先です。
 そもそも、政府・民主党のやり方は余りに唐突、ばらばら過ぎます。例えば、将来の年金の姿、形すら明確にしないまま、出てくる報道は、支給年齢を上げる、消費税を上げるです。さらに、TPPへの参加など、国民生活にかかわる重要なことが、党内の議論や意見集約、合意のないまま唐突に総理によって発表され、みんなが大混乱をする、これが民主党政権の常套手段です。
 国民生活の根幹となる税と社会保障の一体改革について、与党内と内閣の合意形成をいつまでにどのようなプロセスで図るのか、その道筋と時期について総理の御見解を伺います。
 一方で、民主党の元代表、前原政調会長は、今月二十日のNHKの番組で、民主党が二〇〇九年に掲げた年金制度の一元化や月額七万円の最低保障年金創設を内容とする年金制度改革について、一三年度に法案を出すべく作業していくと述べられました。前原政調会長の御発言内容は、年金制度改革の根幹と言える重要事項ですが、この内容は、民主党内、そして内閣の中で合意しているのでしょうか。総理の御見解を伺います。
 年金制度への政府の姿勢について質問をさせていただきます。
 年金制度を支えるのは財政だけではありません。財政とともに、将来にわたって制度が安定して維持するという国民の信頼感が年金制度を支える根幹なのです。
 十月に、政府が年金支給年齢を六十八歳から七十歳に引き上げることを検討するという報道があり、年金制度は大丈夫なのかという不安の声が多くの国民から寄せられました。
 民主党は、野党時代から年金制度への不安をあおり、与党になって、今なお国民を不安に陥れています。このことに対する猛省を促すと同時に、年金制度への信頼を維持することの重要性と政府の責任について総理の御決意を伺いたいと思います。
 次に、基礎年金の国庫負担分の財源についてお伺いします。
 三分の一から二分の一に引き上げられた基礎年金の国庫負担分のうち、二・五兆円の来年度の財源について、小宮山厚生労働大臣が将来の消費税で返済をするつなぎ国債の発行に言及したと報道されています。また、藤村官房長官も、年金債について一つのアイデアと発言したと報道されています。しかし、消費税の引上げが法律として確定もしていないにもかかわらず、将来の消費税を財源とすることは明らかにおかしいことだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 今回の財源確保法案に加え、総理が年度内に法案を出すとされている消費税引上げと、増税の話が続いています。先進国の中で群を抜いて高い我が国の債務のGDP比率を考えれば、避けては通れない議論であることは承知していますが、増税への国民の理解は、政府への信頼なくしてはあり得ません。そのために、政治と金の問題に対処しなければなりません。
 民主党は、マニフェスト二〇一〇において、政治改革を掲げ、政治資金規正法改正と企業・団体献金の禁止を明言しています。であるならば、我が党が提出している政治資金規正法を受け入れ、早急に成立させるべきであります。総理の御見解を伺います。
 クリーンな政治とともに、国民の皆様からの信頼を得るために必要なことは、更なる無駄削減の努力です。
 会計検査院が今月公表した二〇一〇年度の決算検査報告では、税金の無駄遣いなどと指摘された金額が四千二百八十三億円に上りました。無駄ゼロへの取組を一層進めていくために、公明党は、二〇〇九年から、検査院による不当事項の指摘の実効性を高めるため、指摘を受けた省庁などに対して是正措置などの状況報告を義務付ける会計検査院法改正案を繰り返し提出しています。無駄遣いを防ぐ上で必要不可欠な法案と考えますが、早期の成立に向けて、総理の御見解を伺います。
 さて、ようやく成立した第三次補正予算により、本格的な復興に向けて取組が始まろうとしています。しかしながら、予算の迅速かつ着実な執行のために運営・運用面での改善と工夫が欠かせません。復興事業を統括する復興庁の設置法案や地域主体の復興を後押しする復興特区法案などの成立が不可欠です。とともに、役場の域外移転を余儀なくされている原発周辺の町村や、役所ごと津波に流され、役所機能を今なお完全に回復できていない三陸沿岸の市や町などに配慮し、事務手続の簡素化や柔軟な運用など、被災地の目線に立った懇切丁寧な予算執行が求められると考えます。これに対して、総理の御見解、そして迅速な復興事業遂行への御決意を伺います。
 最後に、公明党は、長きにわたる復興への取組を支え、被災者の方々に笑顔が戻るその日まで被災地に通い続け、被災された方々に寄り添い、全力で働かせていただくことをお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#27
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 公明党の竹谷議員の御質問に順次お答えをしていきたいと思います。
 まず最初に、復興のための税制措置の必要性及び復興財源から消費税を除外したことについてのお尋ねがございました。
 現下の経済金融不安の最大の要因は、ギリシャに端を発する欧州諸国の財政危機の問題、政府債務問題であります。財政健全化は、経済や国民生活を守る上でも、市場や国際社会の信認を得る上でも逃げることのできない課題であります。
 こうした状況の中で、復興財源については、今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うことを基本とし、歳出削減や税外収入の確保に最大限努めるとともに、それでもなお足らざる部分については、今を生きる国民の皆様に一定の御負担をお願いをするものであります。
 消費税については、一体改革成案において社会保障財源として活用することとしているため、政府税調で複数の選択肢をまとめる段階において選択肢から外すように指示をしたものでございます。
 続いて、マニフェストと税制改革に関するお尋ねがございました。
 マニフェストについては、前執行部が中間検証を行って、財源確保を含めて実現できていないところは真摯に認め、その理由についても御説明をしていると考えております。また、社会保障・税一体改革は、マニフェストに記載した政策とその財源確保とは別の問題として御提起をさせていただいております。
 政府としては、社会保障・税一体改革の必要性について国民の皆様に丁寧に御説明するとともに、国民利益の実現のために真摯に与野党協議のお呼びかけをしていきたいと考えております。
 今後も、まず社会保障に関する議論を進め、与野党が共通の成案を得る努力を行いながら、国民の皆様の御理解をいただけるよう全力を尽くしていきたいと考えております。
 社会保障・税一体改革に関するG20での発言などについて御質問をいただきました。
 一体改革成案については、政府・与党における熟議の末に、本年六月、政府・与党社会保障改革検討本部において決定したものであり、また、政権発足後の九月に閣議決定した基本方針において、これを早急に具体化するとの方針を示しております。
 一体改革についての私の考え方は、新内閣発足後、最初の所信表明演説やその後の国会審議においても繰り返し御説明申し上げてきたところであり、先般のG20で合意したカンヌ・アクションプランは、こうした従来の方針を記載をしたものであります。
 社会保障・税一体改革の合意形成の道筋と時期についてのお尋ねがございました。
 社会保障・税一体改革については、本年六月に決定した成案を早急に具体化するため、八月に公表したスケジュールに沿って着実に検討を進めているところであります。
 具体的には、政府においては、社会保障改革については関係審議会等において検討を進めており、年内に各分野の具体的な改革案を取りまとめ、平成二十四年以降、順次関連法案を提出することとしています。また、消費税を含む税制抜本改革の具体的な内容については、税制調査会等において本年度中の法案提出に向けて検討を進めることとしています。
 一方、民主党においても、社会保障と税の一体改革調査会などにおいて成案の具体化の議論を進めているものと承知をしており、与党とも連携を取りながら一体改革を進めてまいります。
 一体改革は、若い世代を含め国民が将来に不安を持たないようにするため、我が国にとって決して先送りできない喫緊の課題であります。各党各会派におかれても政策協議に御参加いただくように改めてお願いをいたします。
 民主党の年金制度改革案についての御質問をいただきました。
 民主党のマニフェストでは、所得比例年金と最低保障年金の組合せから成る一つの年金制度に全ての人が加入することを目指しております。この新しい年金制度の創設には、現在の年金制度を抜本的に改めることとなるため国民的な合意が不可欠であり、本年六月に政府・与党検討本部として合意した一体改革成案では、その方向性と骨格を示し、国民的な議論や環境整備を進めて実現に取り組むこととしています。
 制度の詳細については、民主党において検討してまいります。今後、政府としては、民主党の動きを踏まえて引き続き検討を進め、平成二十五年、二〇一三年の法案提出を目指してまいります。
 年金制度への信頼維持についてのお尋ねがございました。
 御指摘の支給開始年齢については、諸外国では六十五歳を超えて引上げが決定される中、我が国が世界最長寿国であることを踏まえて、一体改革成案において年金制度をめぐる検討課題の一つに挙げられ、厚生労働省の審議会で議論を開始したところであります。この問題については、高齢期の雇用、働き方や、高齢者世帯の約六割が年金だけで暮らしているという現実を踏まえて、中長期的な観点から考えていきたいと思います。
 いずれにしましても、年金制度は国民の間の支え合いの仕組みであり、竹谷議員御指摘のとおり、国民の制度への信頼を保つことが不可欠であります。政府としては、今後とも、諸課題について丁寧な議論を進めながら対応することにより、信頼できる安定した年金制度を確立をしてまいる決意であります。
 来年度の基礎年金国庫負担の財源についての御質問をいただきました。
 来年度の基礎年金国庫負担二分の一と三六・五%の差額分の取扱いについて具体的にどのような措置を講じるのかは、今後の予算編成過程で検討していくものであり、現時点で、御指摘のような国債の発行について政府内で具体的な議論を進めているわけではございません。年金財政の安定が損なわれないようにするためにも、社会保障・税一体改革を進めていくことが必要であると考えており、御党にも御協力をお願いをしたいと考えております。
 政治資金規正法改正に関する御質問をいただきました。
 公明党提案の政治資金規正法改正案については、民主党の提案、企業・団体献金禁止を内容とするなどでございますが、これと併せて具体的に協議に入るように党に指示をしております。お互いの提案について現場において協議を進めて、各党が合意に達し、成案が得られることを強く期待をしております。
 続いて、会計検査院法改正案についての御質問をいただきました。
 会計検査院の機能を向上していくことは重要な課題であると認識をしており、御指摘の問題意識は共有し、民主党においても検討しているところでございます。法案については政党間において御議論がなされるものと承知をしていますが、政府としては、これらの御議論も十分踏まえ、より一層の予算執行の適正化に向けて積極的に取り組む所存であります。
 第三次補正予算の丁寧な執行と復興事業の迅速な遂行について御質問をいただきました。
 東日本大震災からの復旧・復興は、この内閣が取り組むべき最大かつ最優先の課題であります。政府は、これまでも、地元自治体とも協力して、全力を挙げて被災地の復旧・復興対策に取り組んでまいりました。
 去る二十一日には第三次補正予算が成立したところであり、今後、この予算を迅速に活用し、被災地の復興を加速をさせていくことが重要な課題であります。このため、復興特区に係る計画を始め、各種手続の簡素化を図るとともに、復興庁を可能な限り早期に設置して、現地の復興局が被災地の要望等にワンストップで対応するなど、できるだけ被災自治体の立場に立った運用を行い、復興事業を速やかに実施をしてまいります。
 また、行政機能が低下している市町村に十分配慮し、地域の要望を踏まえ、県とも連携し、職員の派遣や技術的な助言など様々な支援を行ってまいります。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(平田健二君) 桜内文城君。
   〔桜内文城君登壇、拍手〕
#29
○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
 みんなの党を代表して、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案外二案について、野田総理に質問します。
 まず、政権交代後二年余りで見えてきた民主党政権の三つの特徴を指摘します。
 第一に、国会無視。すなわち、唯一の立法機関の定める法律を枚挙にいとまがないほどに無視してきました。
 例えば、尖閣事件への対応。これは検察庁法十四条ただし書又は刑事訴訟法二百四十八条違反に当たります。那覇地検の判断と強弁し、中国人船長を処分保留の上、釈放。
 また、原発事故への対応は、原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする原子力災害対策特別措置法違反。総理、あなたは国民の生命、身体、財産を守っていると国民に向かって言えますか。沃化カリウム剤を配布せず、子供を含む多くの避難住民が被曝しました。細野原発事故収束・再発防止担当大臣の所管は、無任所大臣ゆえに法的にも不明確です。その結果、三次補正でも、福島第一原発の敷地内、オンサイトの予算は一円たりとも付いていない。レベル七の国際的な大事故であるにもかかわらず、敷地内での汚染水の循環装置、地下水の漏れを防ぐ遮蔽壁、再度の津波を防ぐ防潮堤の建設等、全てが実質的な破綻状態にある東京電力に丸投げされています。
 第二に、国益無視。民主党政権は、普天間基地移設問題をいたずらにこじらせただけでなく、外交面で尖閣事件の処理、竹島や北方領土問題でも国益を損ねる対応を重ねてきました。
 また、経済面でも、野田総理は分厚い中間層の復活を目指すと言いながら、そこを狙い撃ちするかのような法人税、所得税、消費税のトリプル増税の負担を求めています。デフレ経済下での増税、すなわちデフレ政策は明らかに国益を損ないます。
 第三に、国民無視。被災地の救済は後回し、増税のみ先行する。
 二重債務法案の衆議院での与党修正は、明らかに被災者の救済という意味で参議院可決法案よりも後退しました。被災地では日々の資金繰りに支障が生じ、一刻を争う事態であるにもかかわらず、民主党は参議院で反対、衆議院では三か月以上たなざらしにしました。こんなことを胸を張って被災者に説明できますか。加えて、議員立法であるにもかかわらず、提出会派を排除する一方、官僚が参加して密室で三党協議を行った。民主党政権の言う政治主導の化けの皮が剥がれたと言わざるを得ません。
 それだけではありません。何事につけ国民への説明がありません。そして、国会や公の場での議論を経ることなく、唐突に自分の都合だけで一方的に自分の意見を言うのみ。TPP交渉参加、消費税増税についても、国内での議論を経ずに外国で勝手に約束してくる。一体どこの政治家なのでしょうか。政権の性質として指摘しておきます。
 どうせ今日も官僚の作文を読み上げるだけでしょうが、政治家としての気概があるなら、自らの言葉で語ってください。
 それでは、質問に移ります。
 野田総理、そして閣僚の皆さんは、一体何のために国会議員をやり、政権を担っているのですか。国政について自ら議論をする意思も能力もない政権には存在価値がありません。いっそのこと、選挙は、政党名だけの比例代表で議席数のみ確定し、政治家は選ばない、あとはその議席数で多数決をすれば足りる。その方がよほど国費の無駄遣いを削減できます。
 ギリシャでは、政治家ではなく経済学者が首相となりました。イタリアに至っては、首相だけでなく閣僚ポスト全てが政治家ではなく、専門家や実務家に委ねられました。国家の危機に際して統治能力を発揮できず、国会無視、国益無視、国民無視を続ける政権は、高額の議員歳費をもらう分、国民にとって有害な存在でしかあり得ません。総理のお考えをお聞かせください。
 問いの二。
 本法案九十条二項は大いに問題だと考えます。基礎年金の国庫負担増加分二・五兆円を一次補正で流用したことを理由に復興債の対象経費とするということですが、これは復興債の本来の使途とは全く異なる以上、別途、補正予算等で対応すべきものです。筋違いも甚だしいと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 問いの三。
 本法案の条文の大半が復興特別税に関するものです。復興に名を借りた増税法案とでも呼んだ方がよい。民主党政権下の予算編成で将来世代への負担の先送りが毎年度四十兆円を大きく超えている中、十兆円程度の復興債の償還を優先するというのは優先順位を見誤っているのではないでしょうか。国債の信認というならば、本予算での国債発行自体を抑制すべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 問いの四。
 外務省の資料によれば、野田総理はG20首脳会議で、二〇一〇年代半ばまでに段階的に消費税率を一〇%まで引き上げる等の方針を定めた社会保障と税の一体改革案を具体化する、これを実現するための法案を二〇一一年度内に提出すると明言しましたが、事前に国民への説明はありませんでした。
 そもそも、社会保障・税の一体改革成案といいますが、政府・与党社会保障改革本部決定ではあっても閣議決定ではありません。単なる閣議報告には何の法的効果もありません。憲法八十四条租税法律主義はどこへ行ったんでしょうか。野田総理は九月に閣議決定した基本方針においてこれを早急に具体化するとの方針を示したと言いますが、閣議決定も経ていないものを早急に具体化するという閣議決定こそ意味不明です。さらに、野田総理は衆議院本会議で、国内で何度も方針として示してきたことを国際社会に説明しただけだと答弁されていますが、野田総理は所信表明演説でも歳入改革という曖昧な物言いしかしていません。これで消費税増税の是非について国会で議論したと言えるんでしょうか。単に財務官僚の願望を代弁したにすぎないのではないですか。
 問いの五。
 野田総理は衆議院本会議の答弁で、平成二十一年度税制改正法附則第百四条の規定は平成二十三年度までに消費税を含む税制抜本改革法案を国会に提出することを政府に義務付けている、政府としては法律を尊重する責務を負っており、一体改革成案ではこの附則百四条に示された道筋に従って本年度中に法案を提出すると述べています。
 しかし、野田総理は、附則百四条に重要な前提条件が付されていることを意図的に無視したんではないですか。附則百四条には、「景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、」とあります。野田総理は、既に我が国の経済状況が好転したと判断したんでしょうか。昨年後半以来、名目GDPが年率マイナス五%以上も減少する中、更に追い打ちを掛けるように東日本大震災が発生して甚大な経済的損害が生じていますが、それで本当に経済状況が好転したと言えるんでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 問いの六。
 小宮山厚生労働大臣が社会保障関係費の削減に言及したと報道されています。これは、古くから伝わる、入るを量りて出るを制するという財政運営の基本姿勢からすれば評価できます。税収が不足する場合には増税して入るを増やすのではなく、出る歳出を減らす方向で考えるべきです。
 内閣府の試算によれば、二十歳未満の若者世代と既に年金を受給している六十五歳以上の高齢世代との間には一人当たり平均九千五百万円の格差が生じています。また、高齢世代内部でも大きな格差があります。国民年金のみの高齢者は生活保護よりも少ない金額で生活を維持しなければならない一方、厚生年金や公務員の共済年金の支給額のうち、その高齢者自らが過去に積み立てた分は僅か一五%程度、それ以外の八五%は若者世代からの直接の所得移転です。デフレ経済下で年金のマクロ経済スライドを適用するだけでなく、一部、高額の年金支給そのものも見直すべきと考えます。
 また、復興債について野田総理は、長い償還期間を設定すれば、若い世代は負担をし続けることになる一方、高齢世代は短い期間しか負担を負わないと答弁しています。しかし、現実には、法人税、所得税、消費税共に、働き盛りで所得も多く出費もかさむ若い世代が負担しています。今を生きる世代全体で連帯して負担を分かち合うという総理の言葉をそのまま解釈するのならば、高齢者向けの社会保障関係費を縮減するほかはないと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 最後に、作家の塩野七生氏は、禁じ手と称して、一、全ての銀行口座から〇・〇五%を徴収する、二、相続税免除の無利子国債の発行、三、宗教法人課税等を提言しています。国家の危機に際しては、歴史に学び、このような異例で新しきことにも挑戦すべきではないかと総理にお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕
#30
○内閣総理大臣(野田佳彦君) みんなの党、桜内議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、野田内閣に関する御質問でございました。
 ギリシャ、イタリアの危機管理内閣ともいうべき事例を引いて、我が野田内閣に対する御批判をいただきました。御批判は御意見として承りますけれども、ギリシャ、イタリアは言うまでもなく、我が国の危機の多くも長年の政策運営の蓄積によるものであり、与野党が責任を共有すべきものであることは議員も御承知のとおりであります。
 山積する危機を一つ一つ乗り越えるために国会の機能を発揮し、議員としての職責を果たすためにも、是非とも、与野党が協力して国民の要請にこたえることを期待し、また、そのために政権を挙げて全力を傾注したいと考えております。
 続いて、年金国庫負担増加分を復興債で賄うことについての御質問をいただきました。
 一次補正予算の際には、復興財源の確保策が決定していなかったことから、基礎年金国庫負担分二分の一と三六・五%の差額に充てるため確保していた臨時財源二・五兆円を活用いたしました。先般成立させていただいた三次補正予算では、そうした一次補正予算の際の経緯を踏まえ、復興債を充てて年金臨時財源二・五兆円の補填を行うこととしたものであります。御指摘の規定は、このような三次補正予算における対応を法律に明記しているものであり、問題はないものと考えております。
 続いて、復興債の償還財源と本予算での国債発行の関係についてのお尋ねがございました。
 現下の経済金融不安の最大の要因は、ギリシャに端を発する欧州諸国の財政危機の問題、政府債務問題であり、財政健全化は、経済や国民生活を守る上でも、市場や国際社会の信認を得る上でも逃げることができない課題であります。こうした状況の中で、今般の復興財源に関しては、国債の信認を維持する観点から、つなぎ財源である復興債について、償還の道筋をあらかじめ定めることとし、時限的な税制措置等をその償還財源に充てることとしています。本予算においても、引き続き財政健全化への取組を進め、国債の信認を維持するため、中期財政フレームを遵守し、めり張りの利いた予算編成を行い、国債発行を可能な限り抑制をしてまいります。
 G20における一体改革についての発言に関するお尋ねがございました。
 先般のG20では、政府・与党において熟議の末に取りまとめた一体改革成案を具体化し、これを実現するための所要の法案を本年度中に国会に提出するという従来の方針を表明をしたものであります。一体改革についての私の考え方は、新内閣発足後、先ほど御指摘もありましたが、最初の所信表明演説やその後の国会審議においても繰り返し御説明申し上げてきたところであります。
 租税法律主義との関係について申し上げれば、税制抜本改革は法律改正が必要であることは当然であり、附則百四条に示された道筋に従って本年度中に法案を国会に提出することとしています。各党各会派の皆様におかれましては、一体改革に関する政策協議や国会での御議論に御参加いただきますようお願いを申し上げます。
 附則百四条の経済状況の好転についてのお尋ねがございました。
 附則百四条第一項においては、消費税を含む税制抜本改革の実施に当たり、経済状況を好転させることとされており、現時点や法案提出時点の経済状況について言及しているものではないと考えております。
 なお、経済状況の好転については、一体改革成案において、名目・実質成長率など種々の経済指標の数値の改善状況を確認しつつ、東日本大震災の影響等からの景気回復過程の状況、国際経済の動向などを見極め、総合的に判断することとされており、この方針に従って経済状況の判断をしてまいりたいと考えております。
 高齢者向け社会保障関係費削減についてのお尋ねがございました。
 社会保障制度については、安定財源を確保し、その持続可能性を維持するとともに、必要な機能の充実を図りつつ、給付の重点化、効率化も行う必要があります。このため、社会保障・税一体改革成案では、子ども・子育てや若者就労に対する支援の充実を図るとともに、年金のマクロ経済スライドの見直しや、高額療養費の見直しと併せた受診時定額負担の検討などの重点化、効率化の改革項目を示しております。
 具体的な改革は厚生労働省の関係審議会等で現在議論しておりますが、世代間の公平を図り、全世代対応型社会保障制度の構築に向けて、今後、高齢者に対する社会保障について、充実と重点化、効率化の両面から見直しをしてまいりたいと考えております。
 最後に、復興財源の確保策に関する塩野七生さんの御提案についての御質問をいただきました。
 塩野七生さんが復興財源を確保するために税制に関する新たな取組を御提案をされていることは承知をしております。
 今般の税制措置については、復興の基本方針に基づき基幹税などを多角的に検討しましたが、時限的な措置であることに鑑み、既存の税目と異なる課税対象など新たな税制措置は制度設計を行うために相当な時間を要することなどを踏まえて、現行の所得税額や法人税額に一定率を乗じる簡素な制度により負担をお願いをすることとしたものであります。(拍手)
#31
○議長(平田健二君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト