くにさくロゴ
2011/05/12 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 経済産業委員会 第7号
姉妹サイト
 
2011/05/12 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 経済産業委員会 第7号

#1
第177回国会 経済産業委員会 第7号
平成二十三年五月十二日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     姫井由美子君     尾立 源幸君
     松村 祥史君     渡辺 猛之君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     姫井由美子君
     松田 公太君     上野ひろし君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳澤 光美君
    理 事
                平山  誠君
                広野ただし君
                増子 輝彦君
                関口 昌一君
                牧野たかお君
    委 員
                加藤 敏幸君
                高橋 千秋君
                直嶋 正行君
                姫井由美子君
                藤原 正司君
                磯崎 仁彦君
                末松 信介君
                渡辺 猛之君
                松 あきら君
                上野ひろし君
                荒井 広幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田  宏君
   参考人
       社団法人日本経
       済団体連合会経
       済法規委員会企
       画部会委員
       同委員会競争法
       部会委員
       パナソニック株
       式会社法務本部
       東京法務室室長  坂田 礼司君
       日本商工会議所
       特別顧問
       東京商工会議所
       特別顧問
       愛知産業株式会
       社代表取締役社
       長        井上 裕之君
       東京大学社会科
       学研究所教授   松村 敏弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特
 別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(柳澤光美君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、松村祥史君が委員を辞任され、その補欠として渡辺猛之君が選任されました。
 また、本日、松田公太君が委員を辞任され、その補欠として上野ひろし君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柳澤光美君) 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見をお伺いします。
 本日、御出席いただいております参考人の方々を御紹介申し上げます。
 まず、社団法人日本経済団体連合会経済法規委員会企画部会委員・同委員会競争法部会委員・パナソニック株式会社法務本部東京法務室室長坂田礼司参考人でございます。よろしくお願いします。
 次に、日本商工会議所特別顧問・東京商工会議所特別顧問・愛知産業株式会社代表取締役社長井上裕之参考人でございます。よろしくお願いします。
 次に、東京大学社会科学研究所教授松村敏弘参考人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 この際、参考人の方々に委員会を代表して一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様からの忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で、坂田参考人、井上参考人、松村参考人の順に御意見を述べていただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 また、御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
 なお、参考人、質疑者とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず坂田参考人にお願いいたします。坂田参考人。
#4
○参考人(坂田礼司君) 日本経団連の経済法規委員会企画部会と競争法部会の委員を務めております坂田と申します。
 本日は、このような意見陳述の機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。
 産活法の改正法案につきまして、経済界としての意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず、この場をお借りしまして、東日本大震災の被災地の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 昨日で大震災から二か月がたちましたが、この震災は非常に広範囲な地域に未曽有の被害をもたらしました。
 震災の影響を経済活動の面から見ますと、あらゆる産業の基本的なインフラであります電力事業、全国的にも大きな生産額を誇る農林水産業、さらには国際競争力を持つ製造業の生産・物流拠点など、産業全体が大きな打撃を被っており、その影響は、直接の被災地にとどまらず、広く日本社会全体、さらには世界中に及んでおります。
 報道されていますとおり、経団連の会員企業にあっても、自社施設の被災あるいはサプライチェーンの混乱で少なからぬ被害を受けておりまして、BCP、事業継続計画の重要性を再認識した次第でございます。各企業とも中央、地方の行政と連携しまして、全力で復旧復興に努めているところでございますが、そうした中で企業活動を再び活性化させるには、被災した企業への資金面を含めた直接的な支援が重要であることは申すまでもございません。加えまして、事業再編等を通じて企業自ら復旧復興しようとする取組が円滑に進むよう手助けする仕組みの整備が重要であると考えます。
 本改正案は必ずしも震災復興を意図して検討されたものではないと理解しておりますけれども、図らずも企業の速やかな震災復興に資する有効なツールの一つとして位置付けられるのではないかと期待しているところでございます。
 さて、震災復興の問題とは別に、近年のグローバルな経済活動におきまして、海外の有力企業、特に近年は東アジアで急成長する企業との競争の激化にいかに対応するかという問題が多くの企業にとりまして克服すべき最重要課題の一つとなっています。
 我が国企業がそのプレゼンスの維持、向上を図り、国内における事業活動を継続し、雇用を維持していくことは国際競争力の強化なしには到底実現できません。海外の巨大な企業と伍するための企業規模の拡大や市場ニーズに柔軟に対応したワンストップ型の商品やサービスをタイムリーに供給するためには、戦略的で機動的な事業再編が円滑に進められる環境整備が不可欠と認識しております。
 こうした経済界の課題認識を踏まえ、昨年閣議決定された新成長戦略では、競争力強化のための民間主導による戦略的な事業再編を促進するための制度整備の重要性が挙げられました。今回の産活法改正はその一環として提案されているものと理解しております。同時に、先ほども申し上げましたように、震災からの早期復旧復興を実現するという側面からも重要な意義を持つものと考えております。是非とも改正法案を速やかに成立、施行していただき、我が国経済社会の再生に向けた歩みを進めていただきたいと存じます。
 それでは、今回国会に提出されております産活法改正法案の改正点のうち、特に会社法の特例による組織再編手続について、それから主務大臣と公正取引委員会の連携の強化について意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず、会社法の特例による組織再編手続の簡素化、多様化に関する措置についてでございます。
 先ほど申し上げましたように、我が国企業が厳しいグローバル競争に打ち勝つためにはMアンドA、事業再編は重要な経営戦略の一つとなっております。その意味において、今回の改正案は企業の経営戦略の選択肢の幅を広げるものと理解しております。
 今回の改正案では、自社株対価公開買い付けの促進と、完全子会社化手続の簡素化の二つの措置を御提案いただいております。
 まず、自社株対価公開買い付けにつきまして、企業の考える意義について御説明申し上げます。
 他社の買収に伴いまして、株式の公開買い付けを行おうとする際に、株式買い付けの対価は金銭、現金で支払うことが一般的でございますが、その場合、多額の資金調達が必要となります。そこで、金銭ではなく自社の株式を対価とすることができれば大型の案件であってもそうした資金調達の実施が不要になります。しかしながら、現在の自社株式を対価とする株式の買い付けは会社法上の現物出資規制や価格填補規制が掛かることから企業にとっては利用しにくい仕組みであるという指摘もございます。
 この点につきまして、今回の改正案では、認定事業者についてはこうした規制の適用が免除されることとなっており、自社株対価TOBを通じた事業再編が促進される効果が期待されます。
 次に、完全子会社化手続の簡素化についてでございます。
 企業のグループ経営においては機動的な経営を行うに当たり、既に傘下にある企業でありましても、一〇〇%子会社、すなわち完全子会社にしたいというニーズがございます。そうした場合に、現行制度の下では全部取得条項付種類株式を利用するという方法がございますが、これを実現するには、株主総会の特別決議が必要であるため時間とコストが掛かることになります。この点につき今回の改正案では、認定事業者が公開買い付けにより九割以上の議決権を保有することとなった場合は株主総会の決議を省略できることとなっており、迅速に完全子会社化を進めることができるという期待がございます。
 我が国企業の国際競争力強化につなげていくためにも、今般の改正により企業の組織再編の選択肢が増加することは有効であると考えられます。
 次に、主務大臣と公正取引委員会の連携の強化について申し上げます。
 まず一般論として、公正取引委員会による企業結合審査が適切かつ迅速に行われますことは、我が国の適切な競争政策にのっとって企業が戦略的な事業再編をタイムリーに行う上で重要な要素でございます。この点、公正取引委員会では、本改正法案とは別に、企業結合の審査手続の迅速化や透明性の向上を図るため委員会規則やガイドラインの見直し作業を進めていただいており、経済界もこれらの改正規則などの施行を待ち望んでいるところでございます。一方で、我が国経済社会全体の利益のためには、競争政策と産業政策の最適なバランスの追求が望まれるところでございます。
 さて、従来、産活法の下での事業再構築計画などの認定におきましては、主務大臣と公正取引委員会がそれぞれ必要と認めた場合のみ、関係資料を送付したり意見を述べたりするといった仕組みでした。
 グローバル競争の中で我が国企業が今後も競争力を向上させていくには、経済社会環境や産業構造の変化に迅速に対応しながら戦略的に需要構造と企業組織を変革できることが肝要であると考えます。そうした観点から申し上げますと、計画申請の対象となる産業について、国内市場のみならず海外市場の動向も含めて深い知見をお持ちになる主務大臣と公正取引委員会が緊密に連携することによって、国内外の経済の実態を踏まえた判断が公正取引委員会によって迅速に下されることで産業政策と競争政策の高いレベルでの調和が実現されるものと期待しております。
 なお、最後に、本改正案とは別件で誠に恐縮ではございますが、一点お願いを申し上げます。
 現在、継続審議となっております独禁法改正法案は、審判制度の廃止や意見聴取手続など処分前手続の適正化を内容としております。経済界としましては、公正取引委員会の判断に対する司法によるチェックの強化も喫緊の課題であると考えておりまして、できるだけ早い機会に独禁法改正案を成立させていただきますよう、先生方の御尽力を賜りたく、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
#5
○委員長(柳澤光美君) ありがとうございました。
 次に、井上参考人にお願いいたします。井上参考人。
#6
○参考人(井上裕之君) 日本商工会議所、また東京商工会議所の特別顧問を務めております。一方、百人足らずの物づくりの愛知産業という中小企業の代表取締役社長を務めております井上でございます。このような機会をお与えいただきまして、まずは御礼を申し上げます。
 また、この場をお借りいたしまして、東日本大震災の被災者の皆様方に心よりお見舞いを申し上げさせていただきます。
 まず、中小企業の景況と今回の震災の影響につきましてお話をさせていただきます。
 東日本大震災から約二か月が経過をいたしました。内陸と沿岸部ではその復旧の差が見られておるわけでございますが、また原発事故の影響を受けている地域の商工業者は事業継続の瀬戸際に立たされておりまして、いまだ復旧のスタートラインにも立てない状況でございます。
 日本商工会議所が毎月実施をいたしております景気調査におきます四月の調査では、東日本大震災の影響で業況DIがマイナス五七・七と、前月比マイナス一一・八ポイントの悪化幅を記録いたしました。これは、一九八九年四月の調査開始以来、過去最大の悪化幅となっておりまして、さらに二月との比較ではマイナス一七・六ポイントの大幅な落ち込みとなっております。
 また、五月から七月にかけての向こう三か月の先行きにつきましても厳しい状況が続くという見通しでございます。今回の震災では、復興需要が見込まれることから、影響は一時的との見方もあります。しかし、私どもとしましては景気低迷の長期化を懸念をいたしているところでございます。
 景況悪化の要因を業種別に見ますと、製造業は、サプライチェーンの寸断、原材料の調達難、価格上昇に加えて、東京電力管内の電力不足により生産活動が著しく制約を受けたことが影響をいたしております。小売業、サービス業は、宿泊、宴会のキャンセルや観光客の減少など、風評被害などに伴う消費の冷え込みが各地で顕著に表れておりまして、特に外国人の日本への観光旅行というものは全く見えない状況になっております。
 地域別で見ますと、関東地方のみならず、自動車産業が集積しております東海地方で特に影響が大きい結果となっております。
 経済統計データを見ましても、三月の鉱工業生産指数は前月比マイナス一五・三%と、一九五三年一月調査開始以来、過去最大の下げ幅になっておりまして、生産活動が停滞したことを示しております。また、消費につきましても、三月の家計調査では前年同月比マイナス八・五%と、比較可能な一九六四年一月以降で最大の落ち込みとなっております。
 このような現在の景気動向は大変に厳しく、先生方の御尽力によりまして先日成立いたしました第一次補正予算の迅速な執行とともに、今後は本格的な復興に向けて大規模な第二次補正予算の編成に早急に取り組むべきというふうに思います。
 さて、今回の産活法の改正につきまして中小企業の立場から意見を述べさせていただきます。
 まず、今回の改正によって、事業の引継ぎ先を探している中小企業へのニーズの高まりに対応して、制度面、資金面でこれまで以上に支援体制が整備されることは評価できると考えております。
 我が国の高度成長期に創業し、これまで日本経済の基盤をしっかりと支えてきました中小企業が今ちょうど世代交代期を迎えております。経営者は高齢化し、廃業も六%台まで上昇している状況でございまして、中小企業白書の調査では、廃業企業の総数の四分の一企業が後継者がいないために廃業しているとのアンケート結果もありまして、これを前提としますと、年間廃業社数約二十九万社のうち七万社は後継者がいないことを理由とする廃業と推定できます。
 中小企業は、御承知のように、金融機関より資金を調達をいたすときに全て個人資産を担保として提供しているというようなことから、家族内での事業承継が今なお多数でございます。中小企業にとって円滑な事業承継は極めて大きな経営課題となっておりまして、商工会議所ではこの点についてかねてより事業承継円滑化に資する税制措置を要望してきたところでございます。事業承継税制は累次の改正をいただいておりますけれども、制度が複雑なこともあって広く活用される状況にはありません。平成二十三年度税制改正大綱においても検討事項として事業承継税制が盛り込まれておりますので、産活法の改正とは直接関係はございませんけれども、是非ともよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 他方、親族内で後継者を見付けることができず、従業員の中にも適任者がいなくていたずらに時間のみを費やしてしまい、結局は廃業せざるを得ないケースも少なくないかと存じます。廃業率の上昇は、経営環境の悪化による側面も否定できませんけれども、廃業を選択してしまった中小企業の中には引き継ぐに値する企業もたくさんあるかというふうに思います。
 そうした中小企業の廃業が少しでも回避できるのであれば、その会社で働く従業員だけでなく、地域経済全体の雇用確保につながることにも相なります。反面、このような厳しい経営環境の下にありまして、意欲のある中小企業は、自社の経営基盤を拡大強化するために積極的な事業展開を行っておる企業もございます。その中には、自社の独力ではなく、他社の経営を引き継ぐ形で新分野や他地域へ進出したいというニーズを持った企業もございます。これらの中小企業のニーズをマッチングさせることの重要性はますます高まっているというふうに思います。
 他社の経営を引き継ぐいわゆるMアンドAは、従来、一定規模以上の中堅・大企業を中心に考えられてきました。しかし、最近は中小企業同士での会社や事業の引継ぎも増えてきているところから、事業引継ぎという選択肢は中小企業経営者におきましても一定の認識をされているものというふうに思います。しかし、新しい事業展開を考える企業と、後継者のいない悩みを持つ中小企業がうまく出会う機会はまだまだ少ないのが現状でございます。
 東京商工会議所では、このような中小企業のMアンドAを支援するための事業を実施しておりますが、この取組に係る紹介をさせていただきます。
 東京商工会議所では、平成十年の四月に、後継者難に悩む中小企業の事業承継を支援することを目的にMアンドAの支援事業を開始いたしました。十三年前の事業創設当時、中小企業の経営者にとってMアンドAという取引は身売りや乗っ取りのイメージが強くて、自社を売却する行為に対する抵抗感が非常に強くございました。その一方で、親族にも従業員にも適当な後継者がいない中小企業の経営者が、自社よりも事業規模の大きい企業に株式を譲渡し、より強固な経営基盤の下、従業員や取引先が引き継がれ、また経営者も経営努力の成果を株式の売却益という形で手にするという事例も僅かながら見られるようになった状況にもございます。
 そこで、東京商工会議所は、MアンドAという手法が後継者のいない中小企業の事業承継問題の解決に活用できるということを広く知らしめる啓発運動を行う中小企業のMアンドAに対する正しい知識や情報の提供とともに、実績とノウハウのあるMアンドAの仲介機関の力をお借りして安心して買手探しを行うことができるという、中小企業に特化したMアンドA市場の創設という二つの取組を様々な公的機関に先駆けて行ってまいりました。
 MアンドAの相談が寄せられると、まず東京商工会議所の担当者が秘密保持厳守の下にMアンドA取り組み時の課題、売買価格の可能性などに関する情報を相談者に提供いたします。情報提供を受けた相談者が実際に相手探しに取り組みたいという場合、提携している仲介機関の実務担当者とともにMアンドAを成約する見込みがありそうかどうかを事前調査をいたします。審査後、仲介機関の実務担当者が有料にてその企業の企業評価や買手候補の探索と交渉、最終的な契約まで直接支援をして成約を目指すというものでございます。
 この事業の相談窓口は、譲渡相談、買収相談、合わせて年間百から二百社ほどMアンドAに関する相談に来られますが、秘密保持に関するトラブルなどもなく、中小企業のMアンドAに関する情報提供や個別相談に対応しております。また、それらの相談企業の中からこれまで二十五件の成約が誕生をいたしております。過去に成約したほとんどの案件が友好的に交渉が行われまして、従業員の全員雇用継続を果たしております。
 もっとも、十三年間にわたるMアンドAの支援事業におきまして、相談件数は譲渡・買収相談合わせまして千五百件あるものの、MアンドA当事者間の利害調整が困難なこともあって成約に至る確率は非常に低いというのが現状でございます。
 会社や事業の引継ぎに関する中小企業の潜在ニーズはかなり多いのですが、それらの広範なニーズに的確には対応されていないというのが実情でございまして、それらの潜在的なニーズを掘り起こす、掘り起こしにも限界があります。加えて、MアンドAという手法が今なお中小企業者に正確に理解されているとは言えない面がございます。したがって、今後、事業引継ぎを円滑に進めていくためには、こうした手法が中小企業の事業存続にとって有効な選択肢であることをもっと広く知らしめることが必要であろうと考えます。
 また、専門家が中小企業の事業引継ぎを支援する際には、財務、会計、法律といった知識面のみならず、実際の経験が重要となりますが、中小企業の事業引継ぎの実務経験が豊富な専門家は日本では少ない状況でございます。こうした事業引継ぎをサポートする側の専門家人材の育成や、増やしていくことも重要であるというふうに思います。
 そのような中で、今回、事業引継ぎに関する取組を国が全国に展開していくことは、事業を引き継いでほしい企業、事業を引き継ぎたい企業の双方にとって力強い支援になるのではないかというふうに考えております。既に中小企業のMアンドA仲介を行っている民間企業などの取組とも連携をいたし、相互の資源を有効に活用し合いながら、手厚く息が長いより効果的な支援が実施されますことを期待をいたしております。
 もっとも、支援体制を整備するだけで十分な効果が得られるものとは思っておりません。先ほど申し上げましたとおり、中小企業のMアンドAに対する正確な理解が十分と言えない中、支援施策の広報を積極的に行い、より多くの人に知ってもらい、また参加してもらうことが重要であるかと考えます。
 この度、法改正で事業引継ぎの支援体制を整備することに加え、信用保険法の特例などの金融支援措置、許認可の承継円滑化など、事業を引き継ぐ側にとって有利な措置が盛り込まれました。また、ベンチャー企業など、成長企業の資金調達支援策なども手当てされております。これらの総合的な取組により、新事業の展開や地域中小企業の体質改善、強化が図られることを切に願っておる次第でございます。
 最後になりますが、御高承のとおり、中小企業は我が国の経済を下支える重要な役割を担っております。冒頭申し上げましたように、この度の東日本大震災では、被災地はもちろんのこと、全国各地の中小企業の経営に非常に大きな影響を与えております。これまで以上に中小企業を支え育成していくよう、力強い御支援をお願いをいたす次第です。
 私の発言は以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。
#7
○委員長(柳澤光美君) どうもありがとうございました。
 次に、松村参考人にお願いいたします。松村参考人。
#8
○参考人(松村敏弘君) 東京大学社会科学研究所の松村と申します。
 産活法の改正案に関して意見を述べさせていただきます。
 まず、システム売りの重要性、ベンチャー等による起業、グローバル競争下での企業のあるいは産業の組織再編という重要性は近年一層高まっており、震災以降でもこの重要性というのは大きくなることはあれ小さくなることは決してない、そのような方向に資する今回の改正案には基本的に賛成です。ただ、この法案成立した後に、法の趣旨に合うようにちゃんと運用がされたかどうか、それから目的をちゃんと果たしたかどうかということの事後検証が極めて重要なのではないかというふうに思います。この点、申し述べさせていただきます。
 まず最初の点で、産業政策と競争政策のコーディネーション、公正取引委員会との関係強化という点に関して申し上げます。
 まず、そもそも論として、私自身はグローバルな競争にさらされているような、主に製造業を念頭に置いているのですが、グローバルな競争にさらされているような産業で、なおかつ参入、退出が自由であるような市場においては、そもそも企業結合規制というのの意味は大きくないのだと、原則自由なぐらいでもよいのではないかとすら思っています。
 基本的に、企業結合したとして、これで消費者の利益を損ねるような市場支配力の行使というのを行ったとすると、このような市場環境ではたちまち輸入を招く、あるいは新規参入を招く、ライバルの拡大を招くということになるので、そもそも市場構造としてこのような市場支配力の行使というのが非常にしにくい構造になっているのだと思います。したがって、このような市場では、そもそも企業が自主的に再編しようというときには、こういう市場支配力を行使しようという目的ではなく、生産性を高め国際競争力を高めるという目的で行われているのだというふうに理解しています。
 このような状況で、基本的に結合審査において膨大な事務負担というのを強いられて、これで企業がコストに苦しむだとか、あるいは最悪の場合にはそのコスト負担に耐えかねて諦めてしまうというようなことがあれば国益に大きく反するし、その合併が止まったことによって消費者が利益を得たなどということはないと思います。このような状況下では、このような負担から企業を解放することが非常に重要だと。
 この視点に立ってみると、今回のように産業政策と競争政策のコーディネーションをきちんとし、どのような競争にさらされているのか、あるいはこの再編がどのような競争力強化につながるのかというようなことについて一番よく知っている所轄の大臣から適切な情報提供というのを得ることは審査においても非常に合理的で、その結果としてこのような市場環境であれば懸念は非常に小さいということが客観的に明らかになれば企業に負担を強いることもなくなるだろうということを期待していますので、今回のような改正というのは非常に良い方向だと思っています。
 ただ、一つ懸念がありまして、これが競争政策と産業政策のバランスを変えるのだと、より産業政策を重視するようにかじを切ったのだと、最も極端なケースだと、仮に消費者の利益を損なったとしても競争力を大きく強化して国益に合うようなものであるとするならば合併を認めるべきであるというふうに圧力を掛けるものだというふうに理解されると、これは短期的にはともかく長期的には弊害が非常に大きいのではないかと。
 グローバルな競争にさらされている企業の場合には、もし企業結合しようとしたとすると、日本の審査を受けるだけではなく、アメリカ、EU、中国などの審査を受けなければいけないと、こういうことになります。このときに、各国の当局が日本は政策を大きく転換して、産業政策のためには競争政策を犠牲にするようなそういう方向に動き出したのだと、したがって消費者の利益に大きく損なうようなものでも簡単に認めてしまうのだというふうに取られると、そういう偏見を持って日本企業の合併というのを、その他国の審査に合うなどということになると、むしろ国益を損ねるようなことになるのではないかと。
 したがって、今回の法改正の目的は、基本的にはコーディネーションであり、競争政策は基本的に公正取引委員会に任せ、公正取引委員会は消費者の利益というのをまず第一に考えるのだけれど、その審査を合理化するための情報提供ということが合理的にされるような法改正なのだということをアピールする必要があるのだと思います。
 ただ、この点については既に今までの説明でも十分説明されており、したがって今私が言ったのは明らかに杞憂だと、説明どおりに運用されれば何の問題もないのだというふうに理解しています。ただ、実際の運用がその最初に説明されたとおりの運用になっていたかどうかということを事後的に検証することが非常に重要だというふうに考えています。
 それから次に、ベンチャー等の成長企業に対する資金調達の支援という点です。
 起業の局面では、情報の偏在等の問題によって市場の失敗が非常に起きやすい市場だということが広く知られています。それから、ベンチャーや中小企業がアイデアがあるのに、それを製品化する、あるいはさらにその製品化したのを大規模な生産に持っていくという段階でしばしば資金調達の面で困難を来してせっかくの良い製品が世に出てこないというような、いわゆる死の谷と呼ばれるような現象が広く知られています。このようなところに焦点を当てて積極的に支援していこうという今回の法改正というのは高く評価することができると思います。
 一方で、情報の偏在等によって市場の失敗が極めて起きやすい市場だというのは、全く同じ理由で政策の失敗も起きやすいという市場構造なのだと思います。いわゆる逆淘汰の問題というわけで、債務保証を受けるような企業というのが比較的、質が悪いという言い方は若干失礼なんですが、リスクばかり高くて、成功したとしても余り大きな成果の出てこないようなところが全部こちらに回って、それで質の高いところは基本的に民間のベンチャーキャピタル等からの資金提供で十分やっていけるなどということになると、これは市場の失敗を上回るような政策の失敗になりかねないことになります。そうすると、これは意義も非常に大きいけれど懸念も非常に大きな市場であるので、事後検証、つまり本当にベンチャーの役に立った、中小企業の生産活動に役に立ったかどうかということを後から検証し、もし政策を継続するとすれば、その段階で厳しい審査をするということが極めて重要なのだと思います。この点で、また先ほどの点と同じになってしまいますが、事後検証というのが非常に重要になってくるのだと思います。
 それから次に、企業再編時の二段階融資制度についてです。
 この二段階融資制度というのは、言わば間接的に支援するという形になっており、民間の金融機関の活力というのを損ねないように十分工夫がなされた良い制度だというふうに理解しておりまして、これについても支持したいと思います。
 ただ、この二段階融資制度というのは極めていい制度なのかもしれませんが、そもそもなぜこの分野に公的な金融機関による間接的にせよ資金の提供が必要なのか、なぜ民間金融機関だけでできないのかということについては常に説明していく必要があるのではないかと思います。この説明が不十分。政策目的というのがかなりはっきりしていないと、先ほどのベンチャーのようなケースというのは非常に分かりやすいので事後検証も非常にしやすいのですが、御案内のように抽象的に資金が長期だから民間では難しいと言われても、長期の資金だって民間金融機関は十分貸すことはできますから、なぜ必要なのかという根本論というのをもう少し説明する必要があるのではないか。
 特に、長期的にこの制度が続くとすれば、その説明が必要なのではないかと思います。それは言うまでもなく、公的資金がそもそも必要なく民間資金に任せればいいじゃないかと、そういう極論を言っているつもりは全くなく、公的金融機関の役割は非常に重要であるという点も、それから公的金融機関が役割を果たすべき領域というのはいっぱいあるということも十分同意しますが、これがその領域なのかどうかということは常に議論していく必要があるのではないかというふうに思います。資金が長期に必要だから、だから必要ですというのは、決して経済学的な観点からは正当化はできないということなので、ここについては、ベンチャーの支援というのと同じぐらい本当は丁寧な説明が必要なのではないかというふうに思いました。
 以上です。
#9
○委員長(柳澤光美君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様の意見陳述は終了いたしました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の進め方でございますが、まず、各会派一名ずつ大会派順に質疑をしていただき、その後は自由質疑といたします。
 なお、質疑の時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○加藤敏幸君 民主党・新緑風会、加藤でございます。
 本日は、三名の参考人の方にお越しいただきまして、大変貴重な御意見あるいは御見解を聞かせていただきまして、大変ありがとうございました。私なりに非常になるほどと、こういうふうな思いの中でお聞きいたしました。時間の関係もございますので、順次御質問をさせていただきたいと、このように思います。
 まず、坂田参考人にお聞きしたいことは、御発言の中で、主務大臣それから公取委が、企業結合審査手続において最適なバランスあるいは海外市場の状況をよく分かった主務大臣の方との情報の提供等で高いレベルでの調和というふうなものを期待をしたいと、このようなお話がありました。
 お三方とも法案の改正等について賛成というふうなお立場が明確になっておりますので、まずこの高いレベルでの調和を期待をしたいという御発言の中に、やや言ってみるとまだ行われていないこれから予定される有効なラリーといいましょうか、キャッチボールを多分期待されると同時に、何がしかの懸念というとあれですけれども、あるいはこんなふうにやってほしいんだと。単なるお役所仕事のやり取りに終わるのか、本当の意味で期待されているレベルでの、まさに高いレベルでの調和というのは何を具体的に意味されているのか、よろしければ教えていただきたいというのが第一問です。
#11
○参考人(坂田礼司君) 御質問につきまして回答いたしますが、これまで産活法の中におきましてはそれぞれ主務大臣とそれから公正取引委員会が、必要と認める場合において情報の交換をしたり協議をしたりしたというところでございます。これが所定の要件に該当しますと協議を義務付けるというところに今回意義があるのではないかというふうに考えております。
 公正取引委員会の審査手続におきましては、審査を申請する企業におきましてはそれぞれ努力するわけでございますけれども、やはりそこを主務官庁である主務大臣の方からいろいろ背景を御説明いただくとなおその企業の思いが通じる、後押しをしていただけるのではないかという期待感がございます。
 ただ、法律の立て付けとしましては、あくまでも企業審査の判断は公正取引委員会がするということでこれは私どもも理解をしておりますので、そういう意味では産業政策に偏ったことになるということではないかと思います。ただ、これまで以上にバランスが取れた協議をしていただけるのではないかと、これを期待しているところでございます。
 以上です。
#12
○加藤敏幸君 非常に含蓄のあるお話だったというふうに思いますし、法案の審議に当たっても、今期待されているところが現実的に実現されるのかどうかというふうなことについては、我々議会としても十分な審議を行っていきたいというふうに思います。ありがとうございました。
 次に、井上参考人にお話をしたいと思うんですけれども、まず東京商工会議所がMアンドAについての一つの啓発活動と、現実に、お見合いと言ったらおかしいんですけれども、出会いの場をつくられている実務に大変大きな努力をされてきて、私はそのことについてまず敬意を申し上げたいし、この法律が目指すところの最終的な評価というのは、現に今言われた中小企業事業者にとって後継者の問題等を含めてどれだけの成案を得たかと、それが非常に数が増えてきたというやっぱり実績をもって私は評価されるべきだと。単純に法律の仕組みができたからそれで是とするということじゃなくて、現実にそれが動くということが大切だと思います。
 そのような意味で、いろいろと力強い運用を期待をするとかいろいろな要請事項をされたんですけれども、最終的に私は政府に対して端的に要請される事項、ここはひとつこうやってほしい、サポート体制だとか情報の公開だとか、あるいは啓発をとかいろいろ言われましたけれども、商工会議所がやれることとそれからやれなかったこと、当然政府がやれることとやれないこともある、しかし特に政府において何を、これからこの法律が成立した後、最も要請したいことがあれば一言お願いしたいと思います。
#13
○参考人(井上裕之君) やっぱり人材というのが一番大事でございまして、そういう点では、評価をする人材、これはある程度の経験を持った人でなきゃいかぬと。誰でもできるわけじゃないということでして、その人材を雇うのがやはりこれは非常に資金的にも掛かるということでして、これ全国ベースで大体広げていくということになると思いますけれども、再生支援協議会、私も関係しておりまして、その関係を見ておりましても、なかなかいい人材を確保できないということで全国がばらばらになっているということもございます。そういう点もあって、やっぱりいい人材をいかに各所に確保していって評価ができる。それで、今プライベートカンパニーといいますか私的企業がいろんな評価や何かをやっておりますけれども、これも今度は中小企業からそこに依頼をしたときに非常に巷間高い評価料が掛かる、それと時間が掛かるということもございます。
 そういった点でも、やはり短時間でいろいろと評価をして、金銭面でもこのぐらいということができる仕組みをやっぱり早くつくっていただくということがお願いしたいことだと思うんですよね。そういうことが早くなれば、今のような千五百件来てたった二十五件ということではないというふうに思いますので、そういう点で予算も大いに組んでいただくということをお願いしたいと思います。
#14
○加藤敏幸君 ありがとうございました。与党の立場で努力できることはしていきたいというふうに思います。
 最後に、松村参考人にお聞きしたいんですけれども、参考人が言われました、グローバルな競争にさらされ、かつグローバルな市場規模で見れば参入、退出が自由である産業においては、いわゆる企業結合等については一言で言うとフリーであっていいんではないかと。私はそういう産業におりましたものですから非常に共感するところもあるんですけれども、ただ一つお尋ねしたいのは、そのことが国際的な標準として各国が受け入れるという流れがあるのだろうかということも含めて、もしお考えがあれば、あるいは何かあればお話しいただきたいと思います。
#15
○参考人(松村敏弘君) 確かに、これが日本だけで仮に先行したとしても、世界でこの流れになっていないというのであれば企業の結合に関して大きな助けにならないというのは事実だと思います。それから、国際的にも経済学者の間ではこういうことを主張する人はかなり増えてきているのですが、残念ながらこれが当局に影響を大きく与えて大きくかじを切ったという事実はありませんので、残念ながらまだこのような状況にはなっていません。
 ただ、私たちはもうアカデミックな立場からずっと働きかけていかなければいけないというふうには思っています。それから、むしろ日本で先導してこういう流れができることというのが非常に望ましいことなのではないかというふうに思っております。
#16
○加藤敏幸君 ありがとうございました。私も率直に経験的に、今言われたように屋上屋を重ねるような審査だとか余計な手続が本当に日本の物づくり産業、まさに国際競争力を高めていく上でのマイナスのベクトルをつくっているんではないかということは非常に思っているわけでありまして、ただそのことがいわゆる産業政策と競争政策が簡単にお互いにバランスを取るとか、こういったところでも、今言われたようなところが本当にきちっと社会全体としての理解が得られる場面がなければなかなか次のところには行かないというような気もいたしますので、また機会があればいろいろとお考え等をお聞かせいただきたいというふうに思います。
 私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。
#17
○関口昌一君 自民党の関口昌一でございます。
 今日はお忙しい中、三名の参考人の皆様方には心から御礼を申し上げますとともに、貴重な御意見、御提言を聞かせていただきまして、感謝を申し上げる次第でございます。
 この法案でございますが、実は我が自民党としても、産活法の計画認定手続をより迅速かつ的確なものにする必要があるということで、衆議院の経済産業委員会において修正案を提出させていただきまして、おかげさまで各会派の御理解、御協力をいただいて修正議決をさせていただいております。
 修正の内容は二つありまして、主務大臣と公正取引委員会の協議において主務大臣が意見を述べるものと明記するとともに、協議に際しては競争に及ぼす影響に関する事項その他の必要な事項を述べることとして、意見の内容を明確にしております。また、新たに十三条に第二項を追加して、協議に当たっては、我が国の産業の国際競争力の強化を図ることの必要性が大変増大している状況を鑑みて、所要の手続の迅速かつ的確な実施を図るために相互に緊密に連携するということとしております。
 この自民党の修正内容について、坂田、松村参考人はどのようなお考えがあるか、まず聞かせていただければと思います。
#18
○参考人(坂田礼司君) 今、関口先生から御説明をいただきましたように、修正の趣旨は、主務大臣と公正取引委員会の連携の強化をより確実にすることによって産活法の認定手続をより迅速かつ的確なものにしようということだと理解しております。特に第二項におきましては、グローバル市場における経済実態を踏まえた判断がなされるということで期待が持てるわけでございます。修正案につきましては異存はございません。賛同いたします。
 以上でございます。
#19
○参考人(松村敏弘君) 私も修正案は非常に良い修正案だというふうに評価しております。先ほど御説明申し上げたような観点から、役割が極めて明確、この修正によって更に明確になったというふうに理解しており、大変良い方向だったというふうに理解しております。
#20
○関口昌一君 ありがとうございました。いろいろ評価していただき、ほかの会派の皆さんも賛同していただいて修正議決できたということでありまして、評価をいただいたこと、お礼を申し上げる次第であります。
 そして、お二人の参考人にちょっともう一問でございますが、国が今後どのような戦略を持ってこの産活法の内容も含めて今後の産業政策を展開していくべきであるかというお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
#21
○参考人(坂田礼司君) まず産活法につきましてでございますが、これは計画を申請してそれが認定されるということが前提になっておりますので、申請を考える企業にとりましてはやや負担感が出てくるかもしれないというのは個人的には考えております。しかしながら、これは種々の特例あるいは措置の軽減をお願いするわけでございますので、その点、申請があり承認がないとその特例を受けられないと、これは企業がその特例を受けるのかどうかというところの利害の判断があっての話ですから、その負担感という意味についてはその企業独自の判断で思いが違ってくるだろうという感じはいたします。
 それから、それ以外の面につきましてですが、特にその産活法の絡みで競争政策と産業政策のバランスが図られるのではないかという期待がございます。もちろん競争政策の意義を軽視しているわけではございませんけれども、事業所管大臣と公正取引委員会の緊密な連携の下に、今後も公正取引委員会が適切な競争政策上の判断を下していただけるということを期待したいと存じます。
 以上でございます。
#22
○参考人(松村敏弘君) 国が関与する産業政策というのは、ますます重要性が高まってきているというふうに思います。特に、国際標準を取りに行くだとかいうようなことでは、個々の企業の判断というだけではなく国が全面的にバックアップをするということも必要になってきますし、それから、大きな目標というのを国が掲げてこの問題を解決するために企業の力を結集するという方向に持っていくということも極めて重要だと。
 それから、この震災の後の状況ですと、今までももちろんそうですが、スマートコミュニティーというようなことが非常に更に重要になってくると思うんですが、こういうようなことの推進というのに関しても、今回出てきたような産活法の改正というのは、その全てに大きく役に立つ、非常に良い方向で、こういうようなことを高く上げていくということが今後の産業政策で非常に重要だと思います。
 ただ、私は是非とも民間主導ということを常に第一義に考えていただきたい。民間の活力を利用するのだと。それから、民間が主体的にやれるところに関しては、この弊害を取り除いていくんだというようなことも非常に重要な産業政策であり、お金を付けるというようなことと同じぐらいにウエートを掛けて今後も国が関与していくべきなのではないかというふうに思います。
 以上です。
#23
○関口昌一君 ありがとうございました。
 もうあと二、三分になってしまったものですから、井上参考人に次はお伺いいたしますが、今回の法改正によって中小企業にとってのMアンドAを行う際にどういったメリットが期待されるかということ、そしてさらに、今回の震災によって中小企業が大変な影響を受けたということであるんですが、中小企業の復興のため国として第二次補正予算などでどのような支援策を盛り込んでほしいか、ちょっと御意見があったら聞かせていただきたいと思います。
#24
○参考人(井上裕之君) 今回のMアンドAのメリットといいますか、今回、私どもとしては、まずは東商としてこういうことを先行してやってきているわけですけれども、こういうシステムがあるということをもっと広く広げると。中小企業にとっては、もうこういうことをやるには非常に資金が掛かっちゃって、なかなかそんな理想の結果を得られないというような感覚でいるわけですけれども、やっぱり国が関与していただいて、その資金を提供していただくことによって非常にコスト的にも安くできるだろうと、それから相談も非常に安易にできるだろうというようなまず仕組みをつくるということだと思うんですよね。
 今は東京だけですけれども、これを全国的に広げていただくと。もう技術を持った中小企業というのはたくさんあるわけですし、もうこれを継承していきたいという希望を持った経営者もたくさんいるわけですから、そういうものを目利きを持って見て継承させていくということに是非とも力添えをいただければというふうに思います。
 それから、あと、このPRの問題とそれからコストの問題というふうに言いますけれども、復興の予算ですけれども、一次補正で四兆円という程度の、これはもう本当に一次補正で、まあ現場をいかにきれいにするかという程度で終わってしまうと思うんですよね。
 次は、あとは企業をどうやって立ち直らせるかということの資金手当てであるわけでして、私考えているのは、その再生ということじゃなくて、中小企業の場合には再起、要するに、今までの借金を抱えながら新しく企業を起こすということは、借入れしてというのはもう非常な大きな負担になる。今までもただでさえ利益率の少ないところで企業を経営してきているわけですから、その分を返してというような形は到底取れないんじゃないかと。だから、できれば、過去の債務について取扱いをどういうふうにしていただくか、棚上げをしてもらうというような仕組みを何かしてもらえれば一番中小企業にとっては有り難いことじゃないかなというふうに思います。
 あと、失業の問題もしかりです。失業者をどのように全国的に、その地域で再興できれば一番いいわけですけれども、できない場合にはほかに求めるといいますか、今のハローワークにしても、これは国がやっているからなのか、それよりももっと各自治体に任せた仕組みというものをやっていただけるならば、もっといろんな案が出てくるんじゃないかなというふうに思います。
 私どもでも、本当に今従業員を雇いたい、いい人材であればどんどん雇いたいという気持ちでおります。しかし、なかなかそういう手当てができないという現状でございますから、御考慮いただければというふうに思います。
#25
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。
 本日は大変にお忙しい中をお三人の参考人の先生方、お出ましをいただきまして、本当にありがとうございます。質問時間の関係上、まとめてお伺いを申し上げますので、後ほどお一人ずつお答えをちょうだいできたらというふうに思っております。
 我が国の企業は、国際競争をする前に日本の国内での競争でくたびれてしまうと。例えば韓国などは、サムスンあるいは現代、非常に勢いがあるのは、これは私が申し上げるまでもないんですけれども、韓国はアジア通貨危機のときにIMFから救済措置がされる過程で財閥の解体がありまして、企業再編が行われました。その結果、分野ごとに強大な企業が存在することになりまして、国際競争にも勝てる産業政策になされてきたと、こう言われております。
 まず、坂田法務室長、お伺いいたします。
 イギリスのボーダフォンという携帯電話の会社があります。これは、インドの会社をインド国外でMアンドAを行って、百十一億円で買収をしたんですけれども、インドの課税当局から二十六億円の課税通知がされたそうです。ボーダフォンはもちろん裁判を行ったんですけれども、敗訴をいたしました。インド当局から見れば租税回避行為と判断されたようでございます。
 今後、日本企業も、大震災の反省から、サプライチェーンの多角化あるいはボーダーレス化を目指して海外企業の買収を行う事例が多くなるのではないかと思います。その際、相手企業の所在地の国、そのカントリーリスクを十分にチェックをする必要があると思いますけれども、政府にどのような支援を期待されるでしょうか、あるいはどのような支援が必要と思われるでしょうか、お伺いをさせていただきます。
 次に、井上社長、中小企業に金融不安を与えない目利きのできる金融機関が必要と、私もそういうふうに思います。日本はしかし、直接金融よりもほとんど間接金融ということを考えますと、担保主義あるいは個人保証を求める、こういうことの在り方、これに大きな問題があるのではないかと私は考えますけれども、その点いかがでございましょうか。
 また、在庫を抱えるということに対して監査法人が厳しくて、四半期分しか持てないという企業の声を聞くんですね。今回のような震災では、在庫があれば良かったという思いを強くしているという声も聞きます。そのような実情があれば教えていただきたい。また、これについてどのようにお考えになるか、お教えいただきたいと思います。
 最後に、松村先生、先ほどメリットというようなことも出ましたけれど、国際級の大規模企業を生むメリットというのはどの点にあるのでしょうか。また、先生が先ほど、成功の見込みが低く、成功したときのインパクトの小さい、質の悪い借り手だけがこの制度を利用するおそれもあるとおっしゃっておられますけれども、そういうことをさせないために、回避させるためにはどうしたらいいのか、お答えいただきたいと思います。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
#26
○委員長(柳澤光美君) それでは、最初に坂田参考人。
#27
○参考人(坂田礼司君) 松先生御指摘のように、クロスボーダーのMアンドAについてはこれから増えていくと思いますし、またそのニーズはあると思います。
 ただ、私ども法務に属しておる人間からしましても、やはり御指摘のように、カントリーリスクというものは非常に懸念するところでございます。これはよく調査しておりましても、やっぱりそのリスクがそのときになって顕在化してしまうというところはあるように思います。そういう意味での政府への御支援ということでございますけれども、当事者、当事企業同士で対応しておりますところにその国が関与してくることになると。この点につきましては、それぞれの国の、インドの件では租税当局になろうかと思いますけれども、やはり国と国との間の当局の連携を良くしていただくということ。さらに、課税問題のみならず、通商問題化しないように、よく国と国と、企業間のボーダーレスのMアンドAについては整合性を取っていただくということで御支援をいただければ幸いと存じます。
 以上でございます。
#28
○松あきら君 ありがとうございました。
#29
○参考人(井上裕之君) 金融機関の目利きの問題ですけれども、これは政府系の金融機関はある程度目利きのできる人間を置いてくれていると言っても過言ではないというふうに思います。政策金融公庫、ここなんかは非常にいろいろと外の人たちも利用しながら目利きをやっていると。それで評価をしていただいているというのが実情ですけれども、大手のほかの市中銀行、これはなかなかもう目利きのできるような状態にないというふうに私は思っています。人をどんどん削減して、ユーザーのところに訪問して経営者が何をしているかという、そういうことを見る余裕がなくなっている。だから、むしろ彼らはBS、PLで、その資料を基にして、その数字でいいところにはどんどん貸したいというケースでして、だから、そういう点で今後金融庁がどういうふうにして指導していくのかというような問題があるんじゃないかなというふうに思います。
 ただ合理化、合理化ということになると、利益追求ということになると、これはもうしようがないことだというふうには思いますけれども、そういった点で、我々は、目利きを持ってその事業の内容を判断して、それに対して金融をするという仕組みを、できれば今後そういうものを確立していただければというふうに思います。
 それから、在庫の問題ですけれども、これはもうなるべくしてなったということが言えるだろうと。コストダウンということになれば、在庫資金というものをいかに少なくするかということでやっておられるわけでして、その負担、それはもううまく回っているときはいいわけですけれども、こういうときにはもうとんでもないことになると。大体、いろんなところに在庫を抱えながら、本来はそれが一年分ぐらいがいろんな箇所で、二次、三次、四次と下請抱えながらあれば一番いい形だというふうに思いますけれども、世の中、コストダウン、コストダウンですから、そこまで行かないんじゃないかなというふうに思います。
 ただ、我々中小企業の場合には、ある程度在庫を持たないと、今度は大手の方から、例えば、何といいますか、納入先ですね、販売先ですぐそういう商品を持ってこれなければビジネスにはつながらないというケースもあるわけでして、下の方にはある程度はあるかもしれませんけれども、中間ではもうほとんどないのが現状だろうというふうに思っています。
 お答えになりますでしょうか、それで。
#30
○松あきら君 ありがとうございました。
#31
○参考人(松村敏弘君) まず、質問を受けた逆淘汰に関してですが、これに対する工夫は、例えばその保証率、保証率を一〇〇%にしてしまうということをすると、もう典型的にこの逆淘汰の可能性が非常に高くなってしまう。したがって、その点をきちんと考慮した上で五〇%から七〇%という形に制限しているというわけでして、こういう工夫がなされているのだというふうに理解しています。
 ただ、これ、下げれば下げるほど今度効果が小さくなってくるものですから、これバランスが非常に難しいわけですね。だから事後検証ということを申し上げたわけで、これでもまだ高過ぎたのか、あるいは逆に低過ぎて効果が低くなり過ぎたのかということを常に見ていかないと、この最適なものというのは事前には完全に分かりませんので、実際のパフォーマンスを見てみないと分からないということを申し上げたつもりでした。
 それから、聞かれてもいないことを勝手に答えて申し訳ないのですが、まず、個人保証のことを少し言われたのですが、経済学者は一般論として、この手の個人保証というのを強行法規で制限する、しちゃいけないというような形で制限することを非常に嫌うというか、それは経済効率性を下げるということをよく言うのですが、私はちょっと違う意見を持っておりまして、こういう個人保証というのは、一定の制限を加える、強行法規で制限を加えることが経済全体の効率性を上げる可能性は十分あるというふうに思っております。どういう理屈かということをこの時間で申し上げるのはちょっと難しいのですが、ちゃんとした理論に基づいてそういう可能性は十分あると。
 ただ、常にいいということを言ったつもりはないんですが、弊害も起こり得て、でも改善する可能性もあってということで、十分に経済学的にも正当化できる政策になる可能性はあるのだというふうに認識しております。
 それから、これも聞かれてもいないことで申し訳ないんですが、先ほど日本企業は国際競争の前に国内の競争で疲弊していると、企業が多過ぎるんだと、この点に関しては私はかなりの程度正しいと思っていて、このような視点から政策を設計していくことは非常に重要なことだというふうに思っていますが、ここだけを強調するのは少しまずいのではないかと思っています。
 私が学生のころにどういう教育を受けたのかというと、日本企業は、アメリカ市場のような巨大なところでも自動車メーカーは三社しかないのに、日本企業ではたくさんの自動車メーカーがあり、ここが切磋琢磨して競争していった結果としてこんな国際競争力を付けたんだと、こういうふうに習っていたのに、今は何か手のひらを返したように、韓国では一社だから強くて日本ではいっぱいい過ぎるからと。これはかなりの程度正しいんだとは思うんですが、しかし、切磋琢磨によって競争力を上げていくという側面も絶対にあるはずだと。
 だから、何というのか、官主導でどんどん再編していって企業数を減らせばいいんだというこういう話なのではなく、民間主導でやはり規模の経済性が生かせないほど今は小さ過ぎるんだというところを合併していくのを後押しするという姿勢が重要なのであって、どんな局面でもこの認識というのを全部当てはめるのはまずいのではないか、ケース・バイ・ケースなのではないか。最近の政策ではちょっとこの点が強調、この文脈では全く問題ないんですが、され過ぎているのではないかということをちょっとだけ懸念しております。
 ちょっと余計なことを申し上げました。
#32
○参考人(井上裕之君) 先ほど個人保証の問題をお聞きいただいたと思うんですけれども、私は経営者としては個人保証はこれは当然付けざるを得ない、第三者保証はノーだと。しかし、自分で責任を持って金を借りられない経営者であるならば、僕は問題があると思うんですよね。ですから、私はうちで、企業で借りている金は全部保証を付けています。そうしないと、また今度、金利が高くなってどうにもならないという問題もあるんですよ。責任逃れはどうかなというふうに思います。それだけです。
#33
○松あきら君 示唆に富むお話をありがとうございました。
 以上でございます。
#34
○上野ひろし君 上野ひろしでございます。
 三人の先生方、貴重なお話をありがとうございました。
 時間がないので、順次質問をさせていただきたいと思います。
 まず、坂田参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、企業規模の拡大、それから戦略的事業再編が必要だという話がございました。既存の制度、今の制度でどのような点がネックになっているのか。そして、今回法改正をするわけですけれども、それがどの程度解消されるのか。また、場合によっては我が国で企業規模の拡大とか事業再編が進まない理由というのはほかにもまだあるのではないかと思うんですが、その辺りについて御見解をお伺いをしたいと思います。
#35
○参考人(坂田礼司君) 既存の制度との御質問でございますので、産活法をベースにということで御回答申し上げます。
 産活法では今回、改正案に伴いまして、会社法の特例ですとか、あるいは競争法につきましては公正取引委員会との連携強化というところを改正していただくわけでございますけれども、それぞれ会社法あるいは独占禁止法といった大本の法律の特例を産活法で認定手続という形を取りながら緩和していこうということでございまして、非常に本則といいますか、本法のところを遵守しなきゃいけない手続を一定の認定手続の下で緩和していただくと、これは非常に、企業の経営戦略の多様化というところにつきまして非常に効果のあるものだろうというふうに考えておりまして、なおこういった取組を議員の皆さん、先生方にはお願いしたいところでございます。
 以上でございます。
#36
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 では次に、井上参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、お話の中で親族内での事業承継に関する税制改正、これまでいろいろやってきているんだけれども、なかなか使われていないという話もございました。
 まず、今回の法改正とはちょっと違う話だと思うんですけれども、具体的にどういう状況なのかというのをお伺いをできればと思います。
#37
○参考人(井上裕之君) どういうことというと、親族外。
#38
○上野ひろし君 親族内。
#39
○参考人(井上裕之君) 中小企業の場合に、やはり、先ほど個人保証の問題も申し上げましたけれども、全て、資金というものは金融機関からある程度借りているケースが非常に多いわけですよね。そうすると、その資金を、じゃ親族外に事業承継させようとしたときに、じゃ金融機関としては、個人保証をしてもらえますか、担保は何を提供してもらえますかという問題が出てきます。だから、そういうケースの場合、非常になかなか難しい。だから、保証をしてまでは俺は継承はしたくない。親族外の場合ですね。親族内でしたら、これは当然のもので資産も引き継ぐわけですから、それを担保にしてということになるわけです。
 と同時に、あと、親族内の場合にはいろんな要件の問題、事業承継の場合ですね、事業承継税制の問題ですけれども、これはもう今非常に複雑で、八〇%雇用を継続しなきゃ、もちろん雇用のために事業継承というのはあるわけですから当然なことなわけですけれども、それは何年間は雇用し続けなきゃいけないとかいろんな条件を細かく付けられているということに問題がある。
 それよりも、むしろ、要するに株に対する、株の評価なんですよね。中小企業の株券というのは紙ぺらなんですよね。誰も担保にしてくれるわけじゃない。だから、逆に言えばその株券を額面で相続させていくと。それで、最後に、事業を売却したときにその税金を取ればいいわけで、何で事業承継をしたときに相続税として取り上げるのかと。中小企業を小さくするためにか。活力を与えるために事業承継というのはあるんじゃないのかいと言うんですけれども、どうも国の考え方はそうじゃないんじゃないのかなと。一体、中小企業をどうしようとしているのかというふうに私は非常にいつも疑問に思っております。
 中小企業対策にしても千九百六十何億しかありませんし、今度は三倍、四倍にしていただくという民主党のマニフェストでございますので、是非ともそれはお願いしたいというふうに思いますけれども、そういうものでいろんな新しい事業展開ができていくならば、またそれは変わってくるのかなというふうにも思いますが。
#40
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 では、今度、親族外の話についてお伺いをしたいと思うんですけれども、私も地元、群馬なんですけれども、いろいろ中小企業の方々にお話をお伺いすると、まずはもちろん親族の方々に承継をしたい、それから例えば従業員の方々に承継をしたいということで、なかなか第三者に事業承継をしたいという話は、話を聞く中で出てこないんですけれども、実際にどれぐらいそういうニーズがあるのかどうかというのは把握をされていたらお伺いをしたいと思うんですけれども。
#41
○参考人(井上裕之君) 東商としてはそういう数字を把握しておりません、現状。非常に件数的には少ないというふうに思っていますね、今の時点では。
#42
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 もう一問、井上参考人にお伺いをしたいと思います。
 これまで、東京商工会議所の方で様々マッチングの取組をされているということだったと思うんですけれども、やっていく中で何か問題になっているようなこと、例えば制度的なネックがこういうところにあるとか、守秘義務の関係で何か問題が生じているとか、そういう事例といいますか問題点があったらお聞かせをいただけたらと思うんですけれども。
#43
○参考人(井上裕之君) これは余り具体的なことについては理解しておりませんけれども、会議所としては一番問題なのは人材の問題であって、と同時に資産の評価、これが一番大事なわけですよね、MアンドAの場合には。それにコストが、要するに頼まざるを得ないということでコストが掛かり過ぎるわけですから、今度それが自社内でできるようになればよりスムースにいくだろうというふうに考えておりますので、その点の予算配分をお願いしたいというふうに思います。
#44
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 最後に、松村参考人に一点お伺いしたいと思うんですけれども、お話の中で、そもそも参入が自由であれば、消費者に対しても市場支配力の行使はなかなかしにくいんだという話がございました。確認なんですけれども、例えば大企業が企業結合していく、そういう中で、長期的な取引関係にある企業とか密接な取引関係にある企業、下請企業、中小企業あると思うんですけれども、そういうところに対する交渉力というのも大企業が企業結合していく中で強まっていくんじゃないかという懸念もあるんですけれども、その辺りについてはどのようなお考えでしょうか。
#45
○参考人(松村敏弘君) 取引企業というのもある意味では顧客というのと非常に近い関係があるのだと思います。一方的に従属しているという関係では多くのケースないと思っておりまして、そういうところで仮に企業結合をしたとして、取引先をないがしろにするだとか搾取するだとかというような、そういうようなことが出てくれば、基本的な長期関係がもう維持できなくてほかのところに移っていく。そういう本当にキープレーヤーであるとするならば、そういうところを逃がすようなところというのは長期的にやっていけないわけですし、あるいは出ていくということをすれば、まさにそれが参入だとかいうのを招いてしまうということになり、同じような理屈で総体的に問題が起きにくいのではないかと思っています。
 ただ、先ほどちょっとひょっとして言い過ぎたのかもしれませんが、基本的には緩くあるべきだということを言いましたが、完全にノーチェックであるべきだとまでは言ったつもりはありませんでして、そういうような観点は一応審査のときにチェックするということは重要なのかもしれません。
#46
○上野ひろし君 ありがとうございます。
 企業と企業との間の取引関係というのは、先ほど消費者の話があった、例えば物をどこから買うとかというほど簡単な関係ではなくて、中長期的な取引関係というのは、あしたからは別の企業というふうになかなかやりにくいのかなという思いもあって質問をさせていただきました。
 ありがとうございました。
#47
○荒井広幸君 今日はありがとうございました。荒井でございます。
 今ほどの上野さんのお話でちょうど井上社長さんに聞きたかったところは、まさに事業承継のお話がございました。これ、併せでやっていかないといけないわけで、自民党のときからもなかなか手が付けられないで来ました。社長さんのお話のように条件がありますけれども、同時に、自分たちの株券、これを売ったときに課税すりゃいいんじゃないかと。こんな単純なことがなぜできないというふうに思われますか。まあ、憤っていらっしゃるので、私が聞くのはあれなのかもしれませんが。
#48
○参考人(井上裕之君) 何ゆえできないかと。中小企業を育てたくないということが結論だと思うんですよね。
 私は、昔はホンダにしてもソニーにしてもあれだけ大きくなれた。それは、そのときに税制というものが違ったと、評価の仕方が違うというふうに思うんですけど、今は根こそぎ評価して、それで株の価格を決めてくるということによって、それは全て取り上げられるんじゃないですか。いい企業ほど取り上げられると。そうしたら、大きくなりようがないというふうに思います。
#49
○荒井広幸君 もうこれは、また社長さんがおっしゃるように本当重要なことで、解決をしていくことが必要だと思っておるんですが。
 もう一つ、井上社長さんに。先ほど東日本で事業継続がなかなか難しい会社があると。今回の法改正もその一助になる部分はあるかもしれません。これは坂田室長さんもそうおっしゃっております。しかし、なかなかこれを機にやめようという人の方がどうも多いんじゃないかと。というのは、二重ローンを抱えるわけですね。自分の担保を入れながら、更に銀行はもちろん借りて担保を自分の入れているし、それで大手のお取引先というか受注の方ですね、大企業がもう待てないと言っている状況です、もう。そうすると、西に行くか海外に行くかということで、坂田室長さんのところもやっぱりそう考えざるを得ないと思うんですよね、だんだんだんだん、サプライチェーンもある以上。すると、待てない。待てないのにじゃ今どういうことを我々やっているかというと、やっぱり追い貸し的な二重債務なんですよ。幾らこれ、利益が上がってから返済していいですよ、担保なくていいですよ、二十年ですよと言っても、なかなか直撃受けている企業にはこれは無理です、周辺は可能性があるんですけど。
 この辺、井上社長さんとして、どういうふうに中小企業の立場で今後の対応として御意見などいただければ幸いだと思っています。
#50
○参考人(井上裕之君) 本当にこれ、全て裸になっているんですよね。全ての要するに物づくりであるなら生産設備というのは全部なくなっているという状況で、それで、まあ確かに技術というものはある。そういういろいろなその企業が持っている特殊な技術というのはあると思うんですけれども、それは設備、機械がなければ何も次に生むものはない。それは今度は借りてやればいいじゃないかといって、じゃ中小企業はそれだけ利益を上げられているのかということに問題があります。
 大企業はコストダウン、コストダウンで常に値を下げさせられる。また、支払にしてもそうだと思うんですけれども、製品にして売った場合には、大企業でもこれは長期の支払です。キャッシュ・オン・デリバリーではないわけですから、製品として物を売った場合には大体大手の企業さんは一年近くキャッシュになるまで掛かります、私どももそうなんですけれども。そういうようなケースの場合だったらもうどうにもならない状況にあると思うんです。
 ですから、何とか今までのローンは、全て白紙じゃないですけれども、国が持ってあげるぐらいな形で、そのしかし目利きもなきゃいけませんわね。目利きを持って、その必要な技術を持っている企業だったらそれを全て国が負担をするというぐらいにして企業を育てていただきたいというふうに思います。
#51
○荒井広幸君 ありがとうございます。今そういうところをみんなで相談しているところなんです。
 それで、松村先生に、融資の仕方として政府系金融機関の長所と短所がもちろんあるわけです。私は財投なんかの考え方で小泉総理とかなり激しくやり合った立場なんですが、最近やっぱり、そうはいっても、長期資金を貸すにしても、ある程度の一定のリスクを取るにしても、もう一つ違った方法で官民連携で官民ファンドという考え方があろうと思うんですね。
 そもそも、例えば今までも政府系と民間との協調融資というのはもうあるわけですけれども、そもそも目的を特化して官民でファンドをつくって、これは海外進出もそうなんですけれども、中小企業なんかにも、特に復興のときにも思い付くんですが、井上社長さんからもありましたように、マイナスからのスタートですから、マイナスの部分は取ってやらなくちゃいけないという発想も出るんですが、そこに使うかどうかは別問題として、やっぱりお金があるわけですから、結構、それをやっぱり目利きも加えながら官民でファンドをつくって、そして何といいますか育てていくようなつくり方、これは経産省でも法律で一つ持っているものありますけれども、考えているところあるんですが、この辺はどういうふうにお考えになりますか、官民ファンドという。
#52
○参考人(松村敏弘君) 官民ファンドという発想も、それから目的を特化するという発想も極めて良い方向性なのではないかと。もし公的金融というのを使うのだとすれば、そういうことをきちんと考えていく必要があるのではないかと思います。目的を特化するということは、逆に言えば、これは本当にその目的を果たせたのかどうかということを後から検証することが可能になり、その結果として、もし本当に目的を達成できないのだとすれば直ちに方向転換をするというようなことを可能にするものだと思うので、抽象的に長期の資金だとかというのではなく、そういう形で絞り込むというのは非常に良い方向性なのではないかというふうに思います。
#53
○荒井広幸君 最後に、坂田室長さんにお尋ねいたしますが、例えば昔ですと、自分の中小企業、下請の方々に機械も貸し、技術も教えに行きました。そういう例が多いですよね。最近は、もう機械を借用したりというようなことはない、自前で用意しなさいと、こういう時代になりました。その必要性も分かります。しかし、そういうふうにやっているところもあるんだろうと思いますが、ほとんど下請さんの場合はもう自前調達ですから、こういうふうに、いざという有事になると非常に弱いんですよね。それっきり、もうさよならというようなことがあり得るわけです、今までの関係を大切にしてきても。
 そういうことで、いかがなんでしょうか。例えば昔のように、やっぱり、先ほど室長さんからグループ経営というのがありましたけれども、そういう意味で、関連会社という位置付けをもう一回して、みんなでやっていくというようなのに向く企業あるいは業種というのもあると思うんですけど、そういうのは今大手の企業さんの中ではどういう意識になっているんでしょうか。
#54
○参考人(坂田礼司君) ありがとうございます。
 非常に私どもも常日ごろ頭が痛い、悩ましいところでございますけれども、今資本関係のない企業さんにおきましては、特に中小の規模の企業におきましては、やっぱり下請法とかいろいろその関連の法律で非常に規制が厳しくなっておりまして、きちっと対応していかなきゃいけないというところがございます。
 ですから、あるべきところは、何というんですか、緩やかな連携をしながら、技術を育てていきながらというところは望ましいところだと思いますけれども、非常にそういったところが一昔前と違いまして割と厳格に、何といいますか、ビジネスライク的に、何といいますか、経営が成り立っているような気がいたします。どうしても、これは企業、会社によると思うんですけれども、やはり中小企業を育てたい、その企業を育てたいという思いがあるときには、やはり出資をして資本関係を維持して、それでグループの中に取り込んでというのが一般的であろうかと思いますので、その辺の兼ね合いが非常に難しいと、私どももそこをジレンマに感じているところではございます。
 回答になっておりますでしょうか。
#55
○荒井広幸君 ありがとうございます。
#56
○委員長(柳澤光美君) 以上で各会派の質疑が一巡いたしましたので、これより午後三時をめどに自由質疑を行います。
 質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言願います。
 それでは、質疑のある方は順次御発言をお願いします。
#57
○磯崎仁彦君 自由民主党の磯崎仁彦でございます。
 坂田参考人にお伺いをしたいと思いますが、直接産活法にかかわるというよりも、先ほどお話をいただいた最後のところで、いわゆる独禁法の改正に関する要望といいますか、早く法律改正をというお話がありましたけれども、独禁法のその審査の基準については、公取の中でもガイドラインの変更であるとかそういうようなのも今検討されてパブリックコメントが終わった段階かと思いますけれども、よく言われますのが、市場の画定、どうしても狭く市場を画定する傾向にあるんじゃないかとかそういったことがよく言われるわけでございますけれども、そういったことについて、例えば主務大臣から公取の方に、いわゆる現状置かれているその背景という中で、市場というものの考え方とか、そういったものをやっぱり経済界としては希望されるということはあるんでしょうか。
#58
○参考人(坂田礼司君) まず、企業結合につきましての審査につきましては、当事会社の責任でまず公正取引委員会に御理解いただくというのが大前提だと思います。
 その上で、今般、産活法において協議が義務付けられるということになったのは有り難いことだと思っております。
 さらに、これを一般の、産活法の外での企業結合法制にどうかという点につきましてですが、これは企業にとりましては、当事会社とは異なる第三者といいますか主務官庁が、あるいはその主務大臣が公正取引委員会を説得していただけると、言い過ぎかもしれませんけれども、背景説明をしていただくということで、より公正取引委員会の理解が深まるということであれば非常に望ましいことだとは考えております。
#59
○広野ただし君 民主党の広野ただしです。参考人の皆さんには本当に貴重な御意見、ありがとうございました。
 今までも日本のMアンドAあるいはベンチャーの活発化ということで様々な政策がなされてきたわけなんですけれど、アメリカ等と比べますとちょっとダイナミックさに欠けると、そういう点があると思います。MアンドAに関しては、特に日本の場合は何といっても人ということを非常に大切にして、人がまた会社に対する忠誠心とかそういうものがいっぱいありますから、あるいは、人情味というかそういうものがありますから、なかなかドライに売り買いということができないということがやっぱりどうしてもあるのではないかと思いますし、もう一つ、ベンチャーについても、アメリカ等は開業率が物すごく高くて廃業率が極めて低いという形で企業数がどんどん増えていると、こういうことでありますけれど。
 そのいろんな原因を我々も、できるだけそういう阻害要因があればそういうことのないようにということで様々な施策を取ってきていると思いますが、そういう中で私は、根本的にはどうも人の育て方が、教育等も含めまして、欧米は非常に活発に、自分のやりたい道というか、企業に就職するよりも自分のやりたいことは山ほどあって、そういうような形で独立心が非常に高いといいますか、そういうような人間に育てていっているということがあるのではないかと思いますが、いずれにしましても、その観点でMアンドAあるいはベンチャーについて何か御指示がいただければ、御三人からお伺いしたいと思います。
#60
○委員長(柳澤光美君) 三人の方にですね。
 じゃ、坂田参考人から順番にお願いできますか。
#61
○参考人(坂田礼司君) 申し訳ありません、もう一度ちょっと御質問の趣旨を。
#62
○広野ただし君 様々な施策を我々、MアンドAとベンチャーにやってきているんですが、もう一つ、アメリカ等と比べますと活発でないと、ダイナミックさに欠けるという点、その根本的な何か解決策等について御指示があればということでございます。
#63
○参考人(坂田礼司君) ここ二、三年、確かにMアンドAにつきましては日本におきまして件数が落ちているのは事実だと思いますけれども、ただ、今円高ですとか資源高ですとか、あるいはリーマン・ショック、あるいは震災といったいろいろな要因があってのことだと思いまして、決して企業の方でMアンドAにつきまして意欲がない、あるいはそのために実施がされていないということでは決してないと思います。
 ただ、アメリカと比べて日本でそういう事例が見劣りするということでありますと、それは例えばそれぞれの会社のお考えというところもありますでしょうし、それからあと、ビジネスインフラといいましょうか、いろんな、先ほども国と国との間の制度間の違いというようなこともありましたけれども、そういったところの要因が非常に大きくなっているんじゃないかなと思います。
 国、政府の方で産業育成について日ごろいろいろとお取り組みをしていただいている中で私ども企業もMアンドAの活用については考えたいと思っておりますし、いつもそこはどう事業を有効に拡大していくのかという観点から常に念頭にあるところでございます。
#64
○参考人(井上裕之君) 先ほど教育の問題にもちょっとお触れになりましたけれども、教育の問題というのは、やはり日本の今の教育のシステムはもう少し検討する必要があるんじゃないか。人の個性、個々の個性を生かした教育といいますか、物づくりに適している人間は物づくりの方、金融に適している者は金融の方へというような進み方、文化系は文化系という、小さいときからもうそういう個性というのはあるわけですから、それを見抜いて教育をするという仕組みを、何でも同じように教育するんじゃなくて、進めてもらうべきだというふうに思います。そして、中小企業というものがいかに大事であるかと。大企業に勤めれば一つの歯車の一人だけれども、中小企業の場合には幾らでも独立してやれるというような仕組みを是非とも考えて教育に取り入れていただきたいなというふうに思います。
 それからあと、ベンチャーでいろいろなアイデアを持っておっても、やはりそれを商品化していく、製品化していくということにはそれなりの資金が掛かるわけでして、それをやっぱりバックアップすると。そういう点では、日本は非常に中小企業対策費というのは少ないというふうに私は思います。アメリカが大体一兆円、フランスが大体七千億円ですね、ドイツでも五千億からの、それを毎年中小企業対策費として組んでくれておるわけですけれども、日本のケースの場合は、どっちかというと、金融の方は一生懸命あれするけれども、そうじゃなくて、製品開発は非常にコストが掛かるわけですけれども、失敗してゼロになる、ゼロになったときにどうするのかと。それを借金を背負いながらまた次のことをというところに進めないわけですから、そういうものをやはりバックアップしていただくような仕組みを是非ともお願いしたいと。
 それによって成功する事例を多くし、そして、場合によってはMアンドAというようなケースもあるでしょうけれども、MアンドAをしてもやはりそれなりのコストは掛かるというふうに思いますんで、是非ともお願いをしたいと思います。
 以上です。
#65
○参考人(松村敏弘君) 広野先生から、まずMアンドAとベンチャーの話から始まって教育の話に行ったのは、何というのか、目からうろこが落ちるというか、本当に感動したというか、実際、確かに教育という問題を考えるときに、私たち大学の人間は、今まで一つ一つの問題が起こったときにそれに場当たり的に対処するというようなことしかちゃんとできていなくて、広く日本社会における、MアンドA、ベンチャーというのは例だと思うんですが、そのほかいろんな社会問題、社会構造というのと直結している話なのだと。そういうのをこたえるために、根本的に教育、例えば大学における教育というのをどうしなければいけないのか。それから、大学を出た後で就職するという、その接続というのをどうするのか。あるいは卒業した後で更に学び直すということをして日本経済全体のためにどう役立つ人材を育てていくのかという、こういう大きな視点に明らかに欠けていたのではないか。特に、私たち大学の人間は、そういう点、大いに反省しなければいけないというふうに思っております。
 そういうことをきちんと考えて、ゼロベースで、本当に白地に絵をかくような、そういう先生のような大きな視野で教育の問題を考えるという機会が今後絶対に必要で、私たちも自覚してやっていかなければいけないというふうに改めて感じました。
 どうもありがとうございました。
#66
○増子輝彦君 本日は、大変お忙しい中、三人の参考人の皆さん、ありがとうございました。
 また、冒頭に震災に対してのお見舞いをちょうだいしたことに、原発の事故も抱えている選出の議員として、御礼申し上げたいと思います。
 まず、松村先生にお尋ねしますが、これからやはり日本が成長戦略を果たしていくときに必要なイノベーションによる起業、雇用創出というのは非常に大きくなってくるんだと思うんです。今年の二月の末にシリコンバレーで、日米イノベーション・起業創出・雇用対話シンポジウムに出席してまいりましたけれども、日本のこのベンチャー企業に対する様々な支援の体制がやはり脆弱であるんだろうと。そういう中でのイノベーションが成長戦略の間違いなく大きな柱になっていくことは疑う余地のないところでございます。
 そういう意味では、産学官という体制の中でしっかり連携をしていかなければいけないという中で、今回、この産活法の改正も、ある意味ではそういうところにも大きな手を差し伸べて、企業を起こして雇用をつくるということになってくるんだろうと思うんです。是非この辺の考えをもう一度改めて先生の方からお話を伺えれば有り難いと思います。
 井上参考人に次にお聞きしたいと思います。
 今回、大変震災で中小企業が傷められました。全壊、半壊、あるいはもう事業所もなくなってしまう、原発の区域内ではそこで営業も営めない。そういう状況の中で、今回、この改正の中に二十四条関係で中小企業基盤整備機構の特例という形がありますが、今回、大変この中小企業基盤整備機構に頑張っていただいて、この被災を受けている地域の事業者の皆さんに対する体制のバックアップをしていただいているわけです。私は、もっともっと独立法人、悪という考え方ではなくて、ここの強化をもっと進めていくことが、よりこういう日本に災害があったときに極めて重要なことになってくるんではないだろうかというふうに今強く感じておりますので、この辺についての御見解をお伺いすれば有り難いと思います。
 それから、最後に、坂田参考人にお尋ねいたしたいと思います。
 先ほどのベンチャーにもかかわってまいるんですけれども、これから様々な分野での成長戦略を果たすときに、やはり企業結合という中で、大企業が中小企業をのみ込むという形ではなくて、ウイン・ウインの関係の中で、どういう形でこういう意欲ある若い起業家、中小企業家を大企業が引っ張っていくかということも私は大変重要になってくると思うんです。まさにパナソニック、松下幸之助翁の大変なるリーダーシップあるいは企画力、様々なことででき上がってきたわけですが、私はやっぱり大企業はこれから中小企業、第二の松下、第二のホンダをつくるような役割もまた、この産活法を活用しながらやっていくことも必要ではないかと思っておりますが、その辺の御見解をお伺いできれば大変有り難いと思います。
 以上、三人の参考人の皆さんにお願い申し上げます。
#67
○委員長(柳澤光美君) それでは最初に、松村参考人。
#68
○参考人(松村敏弘君) 増子先生の御指摘のとおり、成長戦略にはイノベーションというのが最も重要で、このための支援というのが今までなさ過ぎたというのは間違いないと思います。
 それから、産学官の連携が非常に重要だ、それで今回の改正というのはそれに資するものだと思います。もちろんこれで十分かどうかというのは別として、重要な一歩だと思います。
 今回の産活法に関しては、実は学官産のこの学産の部分が余り強く出ていないけれど、本当はここのところも非常に重要で、先ほど広野先生が御指摘になったような教育というような面でも、それから研究者自身が起業するという点においてももっと頑張っていかなければいけないというふうに思っています。ここの点についても産業政策の一環としてもっと光を当てていかなければいけないのではないか。
 大学に所属している人間として、もっとお金よこせなんというような、そんなずうずうしいことを言うつもりでは全くないのですが、私たちのマインドも変えていかなければいけないし、教育も変えていかなければいけないし、この点についてはもっと私たち自身も一生懸命考えていかなければいけないと思います。
 それから、不規則発言で申し訳ないのですが、今回の震災について、私自身も個人的に大変反省しております。電力系の対応に関しては、事後の対応の問題もありますが、事前の準備も足りなかった。事前の準備が足りなかったということについては、電力会社だけではなく、私たち有識者がもっとこういう準備が必要なのではないかということをきちんと言うべきであったのにもかかわらずそれを怠っていたのではないかということを十分反省いたしております。本当に申し訳ありませんでした。
#69
○参考人(井上裕之君) 今先生からお話がございました中小企業基盤整備機構、これの拡大化という、私も大賛成でございまして、やはり中小企業を見守っているのは、どっちかというとこの基盤整備機構ではないかというふうに思っています。
 今回も、災害地での仮店舗の問題も先頭に立ってやってもらっておりますけれども、逆に、商店ということだけじゃなくて、物づくり、工場、そういうものの仕組みというものを前に立ってやっていただくと。工場づくりも是非とも基盤整備機構で行動していただきたいというふうに思います。
 いろんなイノベーションのための、技術革新、技術開発、この産学官の連携、そういうようなことについても基盤整備機構が一緒になってやってもらっておるわけでありまして、そういう点では、もっともっと拡大化しながら、我々中小企業と産学官の連携というものも密接なる関係を保ち、新しい商品の開発、日本にはともかく資源がないわけですから、物づくりということでいろんないいものを開発して、海外に先立ったものを開発するという仕組みを是非ともお願いをしたいと思います。
 以上でございます。
#70
○参考人(坂田礼司君) 大企業とか中小企業と分けてお話しするのは余り望ましくないのかなとは思いつつも、規模的なところからどうしてもそういう区分けが出てくるのだろうと思います。
 日本経済は、あるいは大企業と言ってもいいかもしれませんが、中小企業の存在に支えられているというのが私どもの認識でございまして、非常に技術やノウハウ、優秀なものをお持ちの中小企業は日本にはたくさんございます。そういった企業さんとどうお付き合いしていくのかというのはまさしく私ども規模の大きい会社の責務といいますか課題というふうに理解しておりまして、御指摘いただいたように、ウイン・ウインの関係と御指摘いただきましたけれども、中小企業さんと相手を携えてどうやって日本経済を支えていくのかというのが我々に課された使命だろうと思いますし、日夜努力しているところでございます。
 その中で、私ども、民間として、知恵と活力、イニシアチブをどう生かせるのかということを先生方にも御指導いただきながら、仕組みとしてこの産活法の活用を突破口にして、今後もいろいろな産業振興、中小企業の産業振興策を御検討いただければ有り難いと思いますし、また私どもも日々努力していきたいと、そういうふうに考えております。
#71
○増子輝彦君 ありがとうございました。
 松村先生、もう一つちょっと追加でお尋ねさせていただきたいと思います。
 今のお話の産学官の中でのいわゆる学、教育が極めて重要だということは私も全く同感でございまして、特に今世界を席巻しているグーグルやあるいはフェースブック、あるいは様々な、このバックには自由奔放な考え方をする若い人たちが教育機関と連携をしながらいろんな形の中で頑張ってきたという実績があるわけです。ですから、官は、なかなか資金調達できなければ官がどんどんどんどん資金を提供して、しかし、事後検証という先生のお話の中にもありましたとおり、事後検証はきっちりとしなければいけないけれども、余り官が制約をせずに自由に伸び伸びとそういうイノベーションややはりベンチャーというものを応援をしていくという体制が私は産学官のバランスの中で極めて重要だと思っておりますので、官の余り表に出過ぎた形のいわゆる制約とか規制とかそういうものがない方が、私は、日本のこれからの新たなイノベーションやベンチャー企業の育成ということに極めて重要になってくるんではないだろうかというふうに思っておりますので、そこのところの御見解をもう一度お尋ねをしたいということ。
 さらに、先ほど個人的な見解で先生から大変な重いお言葉をいただいたこと、経済産業省としても、私ども政務三役のときにいろいろとお願いをして役に就いていただいて大変見識ある御助言をいただいたこと、逆に私も今改めて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
#72
○参考人(松村敏弘君) 自由奔放な発想が極めて重要であるというのはまさに一〇〇%賛同いたします。官が余りにも表に出過ぎるというのは非常に良くない。それから、その結果として、先ほど事後検証ということを言ったのですが、そこを余りにもうるさく言った結果として、結果的に自由奔放な発想に制約を加えるということがあってはならないというのはまさにそのとおりだと思います。
 私が先ほど申し上げた事後検証というのは、若干誤解を招いたかもしれないのですが、ある事業を行って結果的に失敗したというのを非難するとかという、そういうことでは決してありません。もう確実に成功すると分かっているようなものであればそもそも民間主導で十分うまくいくはずなので、自由奔放な発想というのでは、当然失敗するものも出てきて大成功するものも出てきてと、こういうことなので、個々のものについて何か事前にプレッシャーをすごく掛けて制約をするというつもりで事後検証ということを言ったのではありませんでした。
 しかし、逆に言うと、例えば、事後検証というのは、十分な自由度というのはちゃんと保てていたのかどうか、自由な発想を生かせるそういう仕組みになっていたのかどうかということも僕は事後検証の問題だというふうに思っていまして、確かに先生のおっしゃるとおり、事前の行動を制約するということが出過ぎることは十分注意することが必要だ、それから官が余りにも表に出過ぎるのではなく民間主導というのをあくまで第一に考えるんだということはすごく重要な点だと思います。
#73
○委員長(柳澤光美君) 大変参考人の皆さんには簡潔な御答弁をいただいて、密度の濃い質疑が行われまして、時間内ですけれども、以上で参考人に対する質疑は終わらせていただきたいと思います。
 参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト