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2011/03/10 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 文教科学委員会 第1号
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2011/03/10 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 文教科学委員会 第1号

#1
第177回国会 文教科学委員会 第1号
平成二十三年三月十日(木曜日)
   午後零時二十分開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         二之湯 智君
    理 事         神本美恵子君
    理 事         藤谷 光信君
    理 事         橋本 聖子君
    理 事         水落 敏栄君
                大島九州男君
                斎藤 嘉隆君
                鈴木  寛君
                谷  亮子君
                林 久美子君
                水岡 俊一君
                横峯 良郎君
                石井 浩郎君
                上野 通子君
                熊谷  大君
                義家 弘介君
                草川 昭三君
                西田 実仁君
                江口 克彦君
                自見庄三郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         二之湯 智君
    理 事
                神本美恵子君
                藤谷 光信君
                橋本 聖子君
                水落 敏栄君
    委 員
                大島九州男君
                斎藤 嘉隆君
                鈴木  寛君
                谷  亮子君
                林 久美子君
                水岡 俊一君
                横峯 良郎君
                石井 浩郎君
                上野 通子君
                熊谷  大君
                義家 弘介君
                草川 昭三君
                西田 実仁君
                江口 克彦君
   国務大臣
       文部科学大臣   高木 義明君
   副大臣
       文部科学副大臣  鈴木  寛君
       文部科学副大臣  笹木 竜三君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       笠  浩史君
       文部科学大臣政
       務官       林 久美子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        古賀 保之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (派遣委員の報告)
 (文教科学行政の基本施策に関する件)
 (平成二十三年度文部科学省関係予算に関する
 件)
    ─────────────
#2
○委員長(二之湯智君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(二之湯智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(二之湯智君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題といたします。
 先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。神本美恵子君。
#5
○神本美恵子君 去る一月十七日及び十八日の二日間、京都府及び奈良県において、初等中等教育、文化及び科学技術等に関する実情を調査してまいりましたので、その概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、二之湯委員長、藤谷理事、橋本理事、水落理事、大島委員、斎藤委員、谷委員、水岡委員、石井委員、江口委員、そして私、神本でございます。
 一日目は、まず、京都市教育委員会から、京都市の教育に対する取組について説明を聴取いたしました。
 京都市では、明治二年に日本最初の番組小学校が創設されましたが、現在に至るまで、市民ぐるみ、地域ぐるみで教育を進めることを大切にしておられます。地域の子供は地域で育てるという理念の下、全国最多となる百七十一の学校に学校運営協議会が設置されているほか、地域のボランティア等の協力を得て小中学校において土曜学習が実施されるなど、様々な先進的な取組が行われています。また、平成十九年には、子供を育むための大人の行動規範となる、子どもを共に育む京都市民憲章が制定され、子供を取り巻く課題の解決に向けて、町全体、大人全員で取り組むという明確な方針が打ち出されています。
 次に、京都市立高倉小学校におきまして、授業を参観するとともに意見交換を行いました。
 京都市では、市の独自予算により常勤講師を任用することにより、小学校一、二年生の三十五人学級、中学校三年生の三十人学級が実施されています。高倉小学校では、一クラスの児童数が二十七人の一年生の授業と三十九人の四年生の授業を参観いたしました。少人数学級と国の定める標準の児童数の学級とを比較することにより、少人数学級の実現によって教員が児童一人一人により深くかかわることができ、教員と児童の双方にとって大変意義深いものであることを実感いたしました。また、少人数学級は保護者からも好評であるとのことでしたが、京都市教育委員会からは、一律に学級規模を細分化することへの懸念が挙げられました。このほか、高倉小学校における読解科の取組、基礎学力の向上方策、いじめ問題への対応等について説明を伺いました。
 続いて、本願寺を視察いたしました。
 本願寺は、平成六年に古都京都の文化財の構成資産の一つとして世界遺産に登録されており、数多くの国宝や重要文化財を有しています。そのうち、重要文化財の御影堂や南能舞台、国宝の書院や飛雲閣等を視察いたしました。御影堂については、国、京都府及び京都市による補助の下、約六割の屋根瓦を新調するなど、二百年ぶりとなる大修復が平成二十年度に完成されました。また、現在においても、南能舞台では毎年五月に能が演じられ、書院では賓客のもてなしが行われるなど、文化財の保存と活用について着実な取組が行われています。
 二日目は、まず、関西文化学術研究都市を訪問し、財団法人関西文化学術研究都市推進機構から都市の概況について説明を聴取いたしました。
 京都、大阪及び奈良の三府県にまたがる関西文化学術研究都市は、昭和六十二年に施行された関西文化学術研究都市建設促進法に基づき整備が進められ、現在は、百十四の研究施設等が十二の文化学術研究地区に分散配置されています。また、研究施設と住宅の複合開発を一つの特徴としており、約二十年間で文化学術研究地区の人口は五倍に増加したとのことでありました。しかし、現状では、空いている用地も残っており、その原因として、我が国の厳しい経済情勢のほか、交通アクセスの問題等が挙げられました。
 続いて、株式会社国際電気通信基礎技術研究所を訪問いたしました。
 同社は、関西文化学術研究都市の中核的な研究施設の一つであり、心の通い合う真のコミュニケーション社会である「通心社会」の実現に向けて、情報通信に関する独創的かつ基礎的な研究を推進しています。また、海外からの研究者数が多いことを特徴の一つとしており、海外研究者の家族のケアも含め、きめ細かな受入れ体制を整えておられます。
 同社においては、人間と円滑に対話し、生活に役立つロボットの実現を目指す知能ロボティクス研究所と、脳と機械をつなぐことで脳活動による機械の制御や身体機能の補完等を目指す脳情報研究所を視察いたしました。遠隔操作により観光案内や買物の支援を行うロボットや、脳波だけで手足の操作を行うことができるロボット等を実際に拝見いたしました。現在、実証実験等が行われているとのことですが、更に研究が進み実用化されることにより、高齢者や障害者の更なる社会参画、医療や福祉の分野における活用などが期待されます。
 最後に、奈良文化財研究所及び平城宮跡を視察いたしました。
 奈良文化財研究所では、平城宮跡等の発掘調査を始め、建造物や古文書等の文化財の調査研究や展示普及などの取組が行われています。同研究所の平城宮跡資料館において、土器や木簡などの出土品や宮殿内部の様子を再現した模型等の展示を拝見するとともに、平城宮跡に関する説明を伺いました。
 続いて、平城宮跡に復原された第一次大極殿を視察いたしました。
 昨年、平城遷都千三百年祭が開かれ、平城宮跡に三百六十万人の方々が来場しましたが、その開催に合わせ、第一次大極殿が完成いたしました。第一次大極殿の復原工事は、平成十三年から開始され、奈良文化財研究所等による発掘調査の成果を基に、国産の木材等を使用し、可能な限り伝統的な技術を用いて建設されたとのことであります。また、地震対策として最新の免震装置が設置されるなど、新しい技術も使われています。第一次大極殿は、奈良時代に建設された当時、平城宮最大の建物であったとの説明があり、荘厳かつ精密に復原された姿に感銘を受けました。
 以上で報告を終わりますが、今回の調査に当たり、関係の皆様方に大変お世話になりましたことに対し、この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
 以上でございます。
#6
○委員長(二之湯智君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。
    ─────────────
#7
○委員長(二之湯智君) 次に、文教科学行政の基本施策について、高木文部科学大臣から所信を聴取いたします。高木文部科学大臣。
#8
○国務大臣(高木義明君) 文部科学大臣の高木義明でございます。
 所信に先立ちまして、先日、ニュージーランドにおいて発生した地震について申し上げます。
 この度の地震により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表します。いまだに安否不明の方が多くおられるなど、御家族、関係者の御心痛はいかばかりかとお察しします。改めて、被害に遭われた方々、そして御家族、関係者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
 続きまして、第百七十七回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
 我が国は今、様々な課題に直面しています。経済や雇用は依然として厳しい状況にあります。国際競争が激しさを増す一方、我が国の若者の内向き指向が懸念されています。少子高齢化が進む中で、我が国は元気を失っていると危ぶむ声もあります。
 我々は、自信と活力を取り戻し、これらの課題に立ち向かわなければなりません。そのために何が必要か。私は、今こそ、我が国の将来を見据え、人と知恵を育てる教育や科学技術を充実し、また文化やスポーツを振興していくことが大事だと考えます。未来への投資として、次世代を育みイノベーションをもたらす政策分野に力を注ぐことが、今後我が国において、持続可能な社会を実現する土台をつくることになります。
 人と知恵の力で日本を元気にしたい。国民が夢を持ち、それを実現できる国を目指して、私は先頭に立って文部科学行政の充実に全力を尽くします。
 教育は社会の基盤です。幼児教育に始まる初等中等教育から高等教育までを通じて、自立し、自らの意見を持ち、他人を思いやり、協調できる人間を育成することが必要です。また、豊かな創造性や高いコミュニケーション能力を育むことが重要と考えます。
 このような考えの下、私は、全ての意志ある人に教育の機会を保障すること、一人一人の潜在能力を最大限に伸ばすこと、そして、一人一人が能力を存分に発揮し社会で活躍できるようにすることに取り組んでまいります。折しも、諸外国は、生き残りを懸けて教育の充実にしのぎを削っています。社会全体が教育に大きな関心を払い、その充実に努力していかなければなりません。
 厳しい経済状況が続く中、子供が家計の状況によって学業を断念せざるを得なくなることが懸念されます。また、経済格差が教育格差につながることで、格差が固定化していくことも憂慮されます。全ての意志ある人が希望する教育を受け、自らの能力を高める機会を確保することは、社会全体の責務です。本人や家庭だけが経済的負担を負うのではなく、社会全体として支え合うことが必要です。
 このため、高校の授業料実質無償化を今後も引き続き着実に実施するとともに、大学の授業料減免や無利子奨学金に重点化した奨学金の拡充など、国際人権A規約における漸進的無償化条項の留保撤回も視野に、経済的支援の充実に努めます。また、幼稚園就園奨励費補助を拡充し、保護者の負担軽減を図ります。
 子供一人一人の能力を最大限に伸ばす上で、教員の質と数の充実が最も重要であることは論をまちません。
 本年四月から、小学校の新学習指導要領が本格実施となります。また、いじめ等の学校教育上の課題も山積しています。このような中で、教員が子供一人一人に向き合う時間を確保し、子供たちの個性に応じたきめ細かで質の高い教育を行うことができるよう、少人数学級を推進することが必要です。このため、三十年ぶりに四十人学級を見直し、公立の小学校一年生で三十五人以下学級を実現することとし、関連する予算案と法律案を今国会に提出をいたしました。来年度から確実に実施できるよう御審議をお願いを申し上げます。
 また、教員の質については、教職生活全体を通じた総合的な向上方策を打ち出すべく、現在、中央教育審議会において審議を行っています。審議の状況を踏まえ、教員の質の向上に取り組んでまいります。
 学校の教育力の向上も重要です。一人一人の子供たちの能力や特性に応じた学び、子供たち同士が教え学び合う協働的な学びのため、情報通信技術を最大限に活用し、学びのイノベーションを推進します。また、子供たちの社会性や豊かな人間性を育み、国際的にも活躍する人材を育成するため、自然体験学習や社会体験学習、読書活動、地域に根差した道徳教育、コミュニケーション教育、外国語教育等の充実に努めます。
 昨今、いじめや不登校、暴力行為といった子供たちの問題行動は依然として相当数に上っています。また、子供への虐待事件や子供の自殺が後を絶ちません。これらの未然防止、早期発見、早期対応のための取組を進め、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等による教育相談体制を充実します。
 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。幼児教育の振興を図るとともに、全ての子供が質を確保された幼児教育や保育を受けられるよう、幼保一体化を含め、子供にとって最善の利益を追求することを基本に、子供や子育て家庭の視点に立った制度改革を進めます。障害のある子供の教育について、一人一人の教育的ニーズに応じた特別支援教育の充実に取り組みます。
 学校は、子供たちが一日の大半を過ごす活動の場であり、非常災害時には地域住民の応急避難場所となることから、学校施設の安全性の確保は極めて重要です。耐震化のニーズが増加していることから、地方公共団体等の要望などを踏まえ、耐震化や老朽化対策、エコスクール化に取り組みます。
 民と官が一体となって進める新しい公共は、今や我が国の在り方を変える大きなうねりとなりつつあります。学校と地域等が連携する新しい公共の理念に基づく学校モデルの構築やNPO、フリースクールなどを含めたあらゆる関係者が協働して子供を見守り育てる取組の支援など、引き続き教育・文化・スポーツ分野における新しい公共の発展を目指して取り組んでまいります。
 我が国の成長の最大のエンジンは人と知恵です。強い人材を育成する大学の教育力、研究力を強化することなしに我が国の成長はありません。産業界とも連携しながら、大学の世界展開力を強化し、グローバルに活躍できる人材を育成する必要があります。
 このため、国立大学法人運営費交付金や私学助成を始め、大学の教育、研究の基盤となる大学関係主要経費の充実を図ります。また、アジアや米国の大学を中心とした学生の双方向交流、世界を牽引するリーダーを養成するリーディング大学院の構築、大学教育の質向上や社会人の学び直しの支援、大学間連携等を通じた地域活性化への貢献を推進します。
 医師不足解消や新成長戦略実現のための医学部入学定員の増員、社会の要請にこたえる優れた医療人の養成、地域医療において中核的な機能を担い、高度医療を開発、提供する大学病院の機能の充実に努めます。さらに、口蹄疫等の家畜伝染病に対応した獣医師の養成強化に努めます。
 国立大学法人等の施設整備については、老朽化、狭隘化の解消と戦略的な質の向上に取り組みつつ、年度内をめどに新たな五か年計画を策定します。
 厳しい経済状況の中で、今年三月に卒業予定の大学生の就職内定率は昨年十二月初めで六八・八%にとどまるなど、新卒者の就職状況は極めて深刻となっています。また、就職採用活動の早期化、長期化が進み、学生が学業に十分専念できなくなっています。
 雇用の問題を解決するためには、経済界、労働界、教育界が一体となって取り組むことが不可欠です。昨今、経済界においても、就職採用活動の時期を遅らせることや、卒後三年以内の者を新卒者扱いとすることなどについて改善の動きが見られます。今後の更なる改善に向け、引き続き就職採用活動の適正化に取り組みます。また、キャリアカウンセラーの配置など、在校生や卒業生の相談にきめ細かく対応する体制を整え、関係府省と連携しながら、新卒者等の就職支援に全力で取り組みます。
 一方、若者の早期離職や若年無業者の存在等、学校から社会、職業への移行にも課題があります。今後、幼児期から高等教育に至るまで、体系的なキャリア教育、職業教育を推進し、社会人、職業人として必要な能力と勤労観、職業観を身に付けた人材を育成いたします。産業界等と連携し、大学における就業力の育成を推進するとともに、生涯にわたり職業に必要な知識、技能を修得する機会を充実する新しい枠組みについて検討を進めます。
 天然資源に乏しい我が国にとって、科学技術と人材こそが唯一の資源です。
 昨年十二月にノーベル賞授賞式に出席し、日本人研究者が表彰される姿を見て、我が国が世界に向けて成長し、元気を復活させていくためには、科学技術力と人材力が鍵であるということを改めて強く認識いたしました。また、鈴木博士や根岸博士との意見交換を通じ、成果に結び付くまで時間の掛かる先端的、独創的な研究は、長期的な視野を持ち、戦略的に支援することが必要であることや、若者が夢を持ちつつ世界で活躍することの重要性を痛感しました。
 こうしたことから、未来をつくる基礎研究や若手研究者の支援の強化を図るため、大学等の研究者の自由な発想に基づく独創的な研究を支援する科学研究費補助金について、研究費の大幅な拡充や、複数年度にわたる使用を可能とするための基金の創設を行うこととし、関連する予算案と法律案を今国会に提出をいたしました。研究者が一日でも早く研究に着手できるよう、御審議をお願い申し上げます。
 また、若手研究者の戦略的な海外派遣により世界を舞台に切磋琢磨する機会の拡大を図るとともに、自立的な研究環境の整備、女性研究者が出産、子育て等と研究を両立できる環境整備など、若手研究者のチャレンジを支援をする取組を重点的に推進していきます。さらに、次代を担う子供たちの育成のため、理数好きの子供たちの裾野の拡大や、優れた素質を持った児童生徒を発掘し、その才能を伸ばすための取組を進めます。
 先日、HUBロケットによる無人補給機「こうのとり」の力強く見事な打ち上げを直接目にし、我が国の科学技術力の高さを実感するとともに、非常に心強く思いました。この科学技術力を活用して、我が国の強い経済の実現や病気、災害など国民生活における課題の克服のため、課題解決型の国家戦略を積極的に推進してまいります。
 具体的には、ライフイノベーションについて、再生医療や次世代がん医療など、我が国が強みを有する社会的ニーズの強い分野の研究開発を加速し、健康社会を実現するとともに、関係府省と連携して世界の医薬品・医療機器市場への展開を促進してまいります。
 また、気候変動問題を解決しつつ持続的な成長を実現することを目指し、グリーンイノベーションを進めます。このため、大学等のネットワークの構築や、温室効果ガスを削減する革新的技術の研究開発等を加速いたします。また、「もんじゅ」を始め高速増殖炉サイクル技術や核融合の研究開発を進めるとともに、国際的な核セキュリティー体制の強化等を支援します。レアアース等の希少元素の確保に向け、代替材料の研究開発や海洋資源探査に必要な技術開発等を推進します。
 宇宙開発利用は、我が国の成長に貢献するとともに、国民に夢や希望を与える分野です。「はやぶさ」の後継機を始め、我が国の得意とする技術力を生かした研究開発等を更に強化していきます。また、地震等の自然災害に関する観測や予測、防災、減災に関する研究開発等を推進し、国民の安全で豊かな暮らしの実現に貢献します。
 科学技術力を活用し、世界における我が国の存在感を高めるため、地球規模の問題解決に積極的に貢献するとともに、宇宙や原子力等の分野における我が国発の人材、技術の海外展開を関係府省と連携して進めるなど、科学技術外交を戦略的に推進します。
 科学技術によるイノベーションの推進のためには、研究環境の整備が必要です。
 このため、イノベーション創出の基盤となる次世代スーパーコンピューター「京」を中核としたハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの整備を着実に進めるとともに、基礎研究の成果を効果的かつ迅速に実用化に結び付けるため、産学連携の基礎研究段階への拡大や投資機関と連携した実用化支援等を進めます。また、地域の優れた取組を関係府省で連携して支援する新たなシステムを構築し、地域のイノベーション創出を促進します。
 我が国が真の科学技術立国となるためには、我が国の研究者が世界で活躍するのみならず、世界の優秀な人材が我が国に来て活躍し、更に世界に羽ばたいていくといった世界の頭脳循環の中で存在感を発揮できる環境を構築することが重要です。このため、最先端の研究基盤の整備とその利用支援体制の充実など世界の卓越した人材を引き付ける取組を進めます。また、知的財産等の活用等を行う研究マネジメント人材の育成確保や、国の研究開発を担う機関に関する新たな制度の創設に向け、関係府省と連携し、準備を進めます。
 平成二十三年度は、我が国の科学技術政策を総合的かつ体系的に推進するための基本方針として策定を進めている第四期科学技術基本計画の初年度となります。我が国が国際競争力を維持し、活力ある社会を実現できるよう、同計画を踏まえて科学技術の振興に積極的に取り組んでまいります。
 文化芸術は、過去から未来に受け継がれ、人々に喜びや感動、心の豊かさや安らぎをもたらすと同時に、子供たちの共感する心を養い、また成熟社会における成長の源泉ともなるものです。今こそ、国家戦略として新たな文化芸術立国の実現を目指す必要があります。
 今般、文化審議会の答申を受け、第三次となる新たな「文化芸術の振興に関する基本的な方針」を閣議決定しました。今後、この方針に基づき、六つの重点戦略、すなわち、文化芸術活動に対する効果的な支援、人材の育成、子供の文化芸術体験の充実、文化財等の保存・活用、地域振興や観光・産業振興等への活用、文化発信、国際文化交流の充実を強力に推進します。あわせて、日本語教育への支援、社会のデジタル化、ネットワーク化の進展に対応した著作権制度の見直し等、各分野の文化芸術施策を着実に推進します。
 また、前国会において衆議院で御可決いただき参議院に送付された展覧会における美術品損害の補償に関する法律案についても御審議のほどよろしくお願いします。
 先日のサッカーの日本代表、アジアカップ優勝は多くの国民に元気を与えてくれました。選手のひたむきな努力、信頼に裏付けられたチームワーク、そして自らの力を信じて最後まで諦めない粘り強さ、厳しい試合を乗り越えて成長していく姿を見てスポーツの意義や重要性を改めて認識いたしました。
 スポーツは、体力の向上、健康長寿の礎であるとともに、豊かな人格形成になくてはならないものです。全ての人々がスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、スポーツを支え、そしてスポーツを育てる活動に参画する機会が確保される社会の実現を目指し、昨年、新たにスポーツ立国戦略を策定いたしました。
 本年はスポーツ立国戦略元年であり、トップスポーツと地域スポーツが互いに支え合う好循環の創出に重点を置きながら、地域スポーツ・学校体育の充実と二〇一二年ロンドン・オリンピック等に向けたトップアスリートの育成強化を推進します。あわせて、スポーツを振興していく上で重要な役割を担うスポーツ団体のガバナンスを強化するなど、公正なスポーツ界を実現するとともに、財団法人日本相撲協会の諸課題にも適切に対応してまいります。スポーツ基本法については、その制定に向けて努力をいたします。
 文部科学行政においては、以上申し上げましたもののみならず、様々な課題が山積しております。私は、文部科学行政の責任を担う者として、多様な当事者との対話と協働を図り、また政策のための科学を強化して、客観的根拠に基づく政策を展開することにより諸課題の解決に全力で取り組む決意であります。
 引き続き、委員長を始め各委員の皆様方、関係各位の御指導と御鞭撻をいただきますように心からお願いを申し上げます。
#9
○委員長(二之湯智君) 次に、平成二十三年度文部科学省関係予算について、鈴木文部科学副大臣から説明を聴取いたします。鈴木文部科学副大臣。
#10
○副大臣(鈴木寛君) 平成二十三年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 平成二十三年度予算の編成に当たっては、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化の振興についての施策を総合的に展開するため、文部科学予算の確保に努めてきたところであります。
 文部科学省所管の一般会計予算額は五兆五千四百二十八億円、エネルギー対策特別会計は一千三百四十九億円となっております。
 以下、平成二十三年度予算における主な事項について御説明を申し上げます。
 第一に、新学習指導要領の本格実施に対応するとともに、教員が子供一人一人に向き合う時間を確保し、子供たちの個性に応じたきめ細かで質の高い教育を行う観点から、初等中等教育の充実を図るための関連施策を総合的に進めることとしております。
 具体的には、少人数学級を推進することとし、三十年ぶりに学級編制の標準を引き下げ、小学校一年生で三十五人以下学級を制度化するなど、義務教育費国庫負担金に一兆五千六百六十六億円を計上しています。
 また、家庭の状況にかかわらず全ての意志ある高校生などが安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、公立高校の授業料無償制及び高等学校等就学支援金に三千九百二十二億円を計上しております。
 このほか、新学習指導要領の円滑な実施に向けた理数教育、外国語教育、道徳教育などの推進、生徒指導・進路指導などの取組の推進、幼児教育や特別支援教育の推進、情報通信技術を活用した学びのイノベーションの推進、学校保健、子供の安全対策、学校における食育の推進を図ることとしております。
 第二に、地震により倒壊などの危険性がある学校施設の耐震化の推進などのため、公立学校施設整備費に八百五億円を計上しております。
 また、国立大学等施設の喫緊の課題である施設の耐震化、最先端研究施設の整備、大学附属病院の再生等を図るため、四百三十七億円を計上しております。
 第三に、学生が安心して学べる環境を実現するため、奨学金事業については、無利子奨学金の貸与人員を九千人増員するなど、全体で八万八千人増の百二十七万二千人に貸与することとし、事業費で一兆七百八十一億円を計上するとともに、大学の授業料減免についても、九千人増の七万五千人が減免を受けられるよう二百七十四億円を計上しております。
 第四に、我が国の人材養成、学術研究の中核である国立大学等が安定的、継続的に教育研究活動を実施できるよう、国立大学法人運営費交付金に一兆一千五百二十八億円を計上するとともに、その基盤を支える教育研究環境の整備のため新設する大学教育研究特別整備費に五十八億円を計上し、国立大学等の基盤的な経費を確実に措置することとしております。
 また、私学助成については、私学の振興を図るため、私立の大学や高等学校等に係る経常費補助等に四千三百六十八億円を計上しております。
 このほか、国公私立大学を通じた教育研究水準の向上に向けて、成長分野等で世界を牽引するリーダーを養成するリーディング大学院の構築、大学及び大学病院における高度医療人材養成機能の充実等を図ることとしております。
 第五に、我が国の大学の国際化を目標として、キャンパス・アジア構想の牽引役となる交流拠点の形成や米国等の大学との協働教育に取り組む大学の世界展開力強化事業等の実施に五十二億円を計上するとともに、新たに三か月未満の日本人学生の海外派遣、外国人留学生の受入れを実施するなど、学生の双方向交流を推進することとしております。
 第六に、地域全体で教育に取り組む体制づくりを支援し、学校と地域の総合的な活性化を図るため、引き続き、学校支援地域本部、放課後子ども教室、スクールカウンセラー等の配置の拡充など、学校、家庭、地域の連携協力に関する事業について九十五億円を計上しております。
 このほか、体験活動や読書活動、青少年を有害環境から守るための取組など、青少年の健全育成の推進を図ることとしております。
 第七に、スポーツ立国戦略元年として、スポーツ界の連携、協働による好循環の創出、国民のライフステージに応じたスポーツ機会の創造、世界で競い合うトップアスリートの育成強化などに二百二十八億円を計上しております。
 第八に、新たな文化芸術立国の実現に向け、豊かな文化芸術の創造と人材育成、文化財の保存・活用及び継承、我が国の文化芸術の国内外への発信や国際文化交流の推進に一千三十一億円を計上しております。
 第九に、iPS細胞等を活用した再生医療の実現を目指した研究開発等のライフイノベーションによる健康長寿社会の実現に向けた研究の推進に六百四十五億円を計上するとともに、温室効果ガスを削減する革新技術開発等のグリーンイノベーションによる持続的な成長に向けた研究開発の推進に百三十四億円を計上し、両者を強力に推進することとしています。
 第十に、成長を牽引する科学技術人材の育成支援に四百三十五億円を計上するとともに、科学研究費補助金について、研究費の効率化や研究者の負担軽減を目的として、一部基金化に取り組みつつ、総額で二千六百三十三億円を計上しております。これらを通じ、若手研究人材に対して総額一千四十六億円の支援を行い、自立的な研究環境の整備や国際的な活躍の場の提供などを重点的かつ総合的に推進することとしております。あわせて、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの着実な整備など、成長の源泉たる基礎研究の充実強化と最先端研究基盤の整備等による成長力の強化に取り組むこととしております。
 第十一に、イノベーション創出に資する研究開発システムの強化及び科学技術外交の戦略的展開について、それぞれ着実に推進することとしております。また、「はやぶさ」後継機の開発着手を含む宇宙開発利用の推進一千七百三十五億円を始め、原子力、南極観測、海洋科学技術、地震防災分野等の大型国家プロジェクトの推進に四千三百七十七億円を計上し、戦略的に研究開発に取り組むこととしております。
 以上、平成二十三年度文部科学省関係予算の概要につきまして御説明を申し上げました。
 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に資料をお配りいたしておりますので、説明を省略させていただきます。
 以上でございます。
#11
○委員長(二之湯智君) 以上で所信及び予算説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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