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2011/04/26 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 内閣委員会 第7号
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2011/04/26 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 内閣委員会 第7号

#1
第177回国会 内閣委員会 第7号
平成二十三年四月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十一日
    辞任         補欠選任   
     宇都 隆史君     中曽根弘文君
     佐藤 正久君     山東 昭子君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任   
     蓮   舫君     梅村  聡君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任   
     平野 達男君     斎藤 嘉隆君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松井 孝治君
    理 事
                相原久美子君
                大久保潔重君
                宮沢 洋一君
                山谷えり子君
    委 員
                植松恵美子君
                梅村  聡君
                江崎  孝君
                岡崎トミ子君
                斎藤 嘉隆君
                芝  博一君
                牧山ひろえ君
                岩城 光英君
                岡田  広君
                山東 昭子君
                中曽根弘文君
                松村 龍二君
                谷合 正明君
                小野 次郎君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    中野 寛成君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        五十嵐吉郎君
   政府参考人
       警察庁刑事局組
       織犯罪対策部長  小谷  渉君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(松井孝治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、佐藤正久君、宇都隆史君及び蓮舫君が委員を辞任され、その補欠として山東昭子君、中曽根弘文君及び梅村聡君が選任されました。
 また、本日、平野達男君が委員を辞任され、その補欠として斎藤嘉隆君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(松井孝治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長小谷渉君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松井孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(松井孝治君) 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中野国家公安委員会委員長。
#6
○国務大臣(中野寛成君) ただいま議題となりました犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近における犯罪による収益の移転に係る状況等に鑑み、電話転送サービス事業者を規制対象の事業者に加えるとともに、規制対象の事業者が一定の取引に際し顧客等について確認しなければならない事項の追加、預貯金通帳の不正譲渡等に係る罰則の強化等を行うことをその内容としております。
 以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。
 第一は、特定事業者の追加についてであります。
 これは、顧客あての又は顧客からの電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者を特定事業者に加えることとするものであります。
 第二は、取引時の確認事項の追加等についてであります。
 これは、司法書士等を除く特定事業者は、顧客等との間で、一定の取引を行うに際しては、当該顧客等について、本人特定事項に加え、取引を行う目的、職業等を確認しなければならないこととするほか、成り済ましや偽りが疑われる取引等の犯罪による収益の移転防止のために厳格な顧客管理を行う必要が特に高いと認められる取引を行うに際しては、これらの事項に加え、資産及び収入の状況の確認を行わなければならないこととするものであります。
 第三は、本人特定事項の虚偽申告、預貯金通帳の不正譲渡等に係る罰則を強化することとするものであります。
 なお、この法律の施行期日は、預貯金通帳の不正譲渡に係る罰則の強化に関する規定については公布の日から起算して一月を経過した日、その他の部分については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申し上げます。
#7
○委員長(松井孝治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○植松恵美子君 民主党の植松恵美子でございます。
 本日は、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部改正案についての質問を伺ってまいりたいと思いますが、今回の改正はFATFからの是正勧告を受けての改正であると思いますけれども、今お手元に配付しております資料では、FATF加盟主要国による相互審査の結果が記されています。
 この四十九の項目についての相互審査の結果を見ますと、日本は国際的にはどのように評価されていると考えるべきであると思っていらっしゃいますか。まず、その御認識を伺いたいと思います。
#9
○国務大臣(中野寛成君) 平成二十年十月に公表されましたFATF第三次相互審査において、我が国はG8を始めとする諸外国に比べ相対的に低い評価を受け、顧客管理に関する問題を始め様々な指摘を受けたところでございます。特に、FATF勧告の中でも重要勧告の一つである顧客管理については、四段階ある評価のうち最も低い不履行との評価を受けたところでございます。この顧客管理について、G8諸国のうち不履行の評価を受けたのは我が国以外ではカナダのみであり、その後、カナダにあっても法令改正を行ったものと承知をいたしております。したがって、我が国だけ何の対応もしていないとの評価を受けないように、顧客管理を内容とする今回の犯罪収益移転防止法の改正が是非とも必要であると考えております。
 若干我が国が遅れているような印象を持たれるかもしれませんが、相対的にそう遅れているということではなくて、それぞれお国柄もございますので、そういう意味で、ただしかし肝心要のところでやっぱり遅れるということはいかがということで、今回この問題に取り組ませていただきました。
#10
○植松恵美子君 私も、この表を見たときの印象としましては、他国に比べて日本というのはちょっと不履行とか一部履行の三角とかペケが多いなという印象でございましたので、今回の一部改正をすることによって前進をされているんだなということを理解しております。
 マネーロンダリングは国際的に国境を越えて行われる犯罪でありますから、日本が世界の中で非常に不用心で犯罪がやりやすいと思われるような国で、またそういった法整備であってはいけないと思っております。そういった意味においては今回の改正は大変必要であると思っておりますが、今回、対日相互審査において指摘されたのは先ほど大臣もおっしゃったように顧客管理措置についてですが、この資料によりますと、五番目の項目でバツ、不履行になっておりますが、そのほかにもバツ、不履行だとか、三角、一部履行なども見受けられます。
 こういった顧客管理措置以外のことについては他省庁の所管事項であるとも思いますけれども、他省庁との連携も取って対応をしていっていらっしゃるんでしょうか。対応状況などについて伺いたいと思います。
#11
○政府参考人(小谷渉君) FATFからは、今回の犯罪収益移転防止法の改正の対象でございます顧客管理以外にも、テロ資金の国内取引の凍結の問題や国際組織犯罪防止条約の批准の問題などについて様々な指摘を受けたところでございます。これらの事項につきましては、それぞれ関係省庁において検討がなされているものと承知をいたしております。
#12
○植松恵美子君 今回の改正ではこの五番目の顧客管理措置だけの改正になりますので、是非他省庁との連携を取っていただいて、まだ不履行だとか一部履行をちゃんと履行になるように連携を取っていただきたいと思っております。
 今回の改正によって本人確認などを行う必要がある事業者、つまり特定事業者に電話受付の代行サービスの事業者が追加がなされました。この電話受付代行サービスという、そういった事業者があるということも私余り知らなかったですし、自分自身は余り利用したことはございませんけれども、この事業者の追加を検討するに当たっては、やはりこれらの事業者を舞台にしたいろいろな犯罪がこれまで行われてきたという事実関係があると思いますけれども、これらの事業者を利用してでの犯罪が、どのような犯罪が行われ、また被害額というものはどういったものがあるか、確認をさせていただきたいと思います。
#13
○政府参考人(小谷渉君) 今回の改正により特定事業者に追加されます電話転送サービス事業者は、近年、特に振り込め詐欺に多く利用されている実態があるところでございます。平成二十二年中の数字で申し上げますと、警察が検挙いたしました振り込め詐欺事件は五千百八十九件でございまして、このうち電話転送サービスが利用されたものは千七百二十三件と、全体の約三分の一にも及んでいるところでございます。
 一方、この電話転送サービス事業者を利用した犯罪の被害規模でございますが、これを把握することはなかなか難しいわけでございますが、平成二十二年中に警察が認知をいたしました振り込め詐欺全体に関して申し上げれば、件数は六千六百三十七件で、被害金総額は約八十二億一千三百六十一万円となっているところでございます。
#14
○植松恵美子君 実際に犯罪には利用された事業者ではございますけれども、そもそもはちゃんとしたいろいろな業務をアシストするような事業者だと思いますけれども、こういった事業者が特定されたわけでございますけれども、実際この犯罪防止法を全面施行されて、平成二十年の三月から三年がたちました。この間、この制度を導入したことによって様々な問題が生じてきている特定事業者というのもこれまであったかと思いますけれども、こういった特定事業者の方々に御意見を聴取するといったような機会などはこれまで持ったことがあったんでしょうか。もしあったとしたら、こういった法律が施行されて特定事業者に起こった問題点というのはどういったものが挙げられたのか、伺いたいと思っております。
#15
○政府参考人(小谷渉君) 今回の提出させていただきました法案の検討に当たりましては、昨年二月から六回にわたりまして、銀行業界や不動産業界の方を含む実務家等から成るマネー・ローンダリング対策のための事業者による顧客管理の在り方に関する懇談会を開催いたしまして各業界のヒアリングを行うなどいたしましたほか、同懇談会が昨年七月に公表いたしました報告書も十分に踏まえて検討、立案を進めてきたところでございます。
 その間、事業者の方からは、要するに、一方でマネーロンダリング対策としての実効性をどう確保していくか、そしてその実効性を高めれば高めるほど逆に事業者の方でありますとか顧客である国民の方々の負担というものは重くなりますので、その両者のバランスをどういうふうに取っていくかというような御議論がこの懇談会でも盛んに行われたわけでございます。
 そういうことを踏まえまして、本法案の内容につきましても、関係省庁を通じまして業界の意見を伺いながら検討を進めてきたものでございます。業界の御理解をいただきながら検討を進めてきたものと承知をいたしております。
#16
○植松恵美子君 実際に私も、久しぶりに自分自身が銀行の窓口に行ってお金を引き出そうとか、別に全然悪いことをするつもりもなく、突然に銀行に行ってお金を用意しようとか思ったら、いろんな書類を準備してくださいだとか本人確認をしてくださいとか、あるいは書類提出してくださいと、もう行ったり来たり、一度で済むことはなくて何度か銀行に往復するようなことも経験したこともございますし、また定期をつくろうと思ってもなかなかつくれないような状況になったりして、非常に手続が煩雑になってきたなという印象があったりするわけなんですけれども。
 やはり、実際に犯罪を未然に防ぐというのは、この特定事業者の窓口に当たっている人の非常にフレキシブルな、何というんですか、対応というのが非常に大事になってきますので、そういった窓口に対応している方の現場の声というのをしっかりと耳を傾けて、意見を取り上げていって改善をしていくべきだと思うんですけれども。
 この犯罪の取締りや抑制の効果ばかりに重点を置いて、法改正によって煩雑ないろんな提出書類が増えていくわけでございますけれども、このために一方で事業者に大きな負担というか、経済活動に支障を来すような負担が、私はある程度負担がのしかかっているんじゃないかなという懸念というか心配もございますけれども、政府はこの負担を軽減するためにはどのような対応を取っているんでしょうか。
#17
○政府参考人(小谷渉君) 本法案の策定に当たりましては、先ほど申し上げましたように、マネーロンダリング対策としての実効性と、事業者、国民の方々の負担のバランスを考慮してきたところでございます。また、本法案に基づく下位法令の制定、ここでいろいろな手続等を定めることになるわけでございますが、その制定に当たりましても、今申しましたと同様に、マネーロンダリング対策の実効性、それから事業者、国民の負担のバランス、これを考慮していく必要があるものと考えております。
 議員御指摘の事業者の方々、国民の負担ということにつきましても、今後、関係省庁、業界と十分協議をいたしまして、パブリックコメントで広く意見を募るなどしながら十分に検討してまいる所存でございます。
#18
○植松恵美子君 実際にちょっと負担が増えたとかといった事業者とかはございませんでしたか。
#19
○政府参考人(小谷渉君) この制度で一番大きな負担を担っていただいているのは金融機関の特に銀行の方々でございますが、いろいろな約款等で、例えば確認するものについてはその約款で顧客の方にお願いをするというようなことによって、幾つかの銀行においてはうまく負担とそれからマネーロンダリング対策の目的の達成をバランスをさせるというような自主的な努力もこれまでされてきたところでございます。そういうことでございます。
#20
○植松恵美子君 恐らく顧客の方たちにも負担が増していると思いますが、これはもうそれぞれがいわゆる今回のマネーロンダリングを防ぐということに対して善意を持って皆さんが協力をしていくという上に成り立っていることだと私は認識しております。
 今回心配しておりますのは、東日本大震災によって被災された方々とか事業者というものは、もう全てのものを失っている方たちがたくさんいらっしゃるような状況であります。こういった方たちは、やはり一番最初に経済活動を始める上において、金融機関などへ行って口座を開くだとか、あるいは何も証明するものはないけどお金を引き下ろしたいとか、そういったことが今後頻繁に起こってくるというか、今でも起こっていると思っております。
 この法律が施行されて、身分証明書や印鑑、会社の登記簿などが準備できない方に本人の確認書類の提示を求めることは困難であると思いますけれども、この法律の適用によって支障が出るようなことにならないように、被災された方々に対してはどのように対応されていくおつもりなんでしょうか。
#21
○国務大臣(中野寛成君) 全く御指摘のようなことをしっかりと我々踏まえて対応しなければならないと思っております。
 特に、東日本大震災による被害の状況等に鑑みまして、被災された顧客であって運転免許証を提示するなど正規の本人確認方法によることが困難であると認められる方の本人確認方法を、暫定的な措置として、当分の間、当該顧客から申告を受ける方法とすることができるよう犯罪収益移転防止法施行規則を改正をし、三月二十五日に公布、施行しているところでございます。また、運転免許証の再交付などにつきましても適宜対応をしているところでございますが、警察としては、引き続き、今般の地震で被災した方々に対するあらゆる支援を含めて努力をしてまいる所存でございます。
#22
○植松恵美子君 被災地周辺の地域においての金融機関だとか特定事業者は、こういった今回は特例措置が行われているということは周知徹底されやすいと思いますし、感覚で、今こういう状況なので、今国からこう言われているのでちゃんと対応できるかもしれません。
 ところが、今被災者の方たちというのは被災地以外の県外に、御親戚を頼ったりとかあるいは新しいところで生活を始めるといった、県外で、日本各県に散らばっている状況であります。そうしますと、そういった方が県外の金融機関に行って、いわゆる銀行だとかそういったところに行ったときに本人確認の書類を提出を求められて対応なかなかしてくれないということも懸念されますが、こういったように被災地以外の場所での特定事業者への周知徹底というのはどのようになさるおつもりだと思っていらっしゃるのかということが一点。
 あと、もし本当に地方の方でなかなか対応してくれないような特定事業者があった場合、相談をしたりとか連絡を取って何とかしてもらいたいと思う方々の窓口ですね、相談窓口というのは設けていらっしゃるんでしょうか。というのは、お年寄りだとか高齢者の方だとかというのは、金融機関に行って何々を提出していただけないと口座を開けませんよと言われると、それ以上自分のことを主張することができない方もたくさんいらっしゃると思うんですね。そういった方々が気軽に相談したり連絡する窓口の創設というのは必要だと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
#23
○国務大臣(中野寛成君) 東日本大震災の被災者に対する本人確認方法の特例措置については、先ほど申し上げましたように三月二十五日に公布をいたしましたが、この公布、施行された三月二十五日に、早速、警察庁のホームページにその概要を掲載をしたほか、マスメディアを通じた広報や首相官邸のホームページへの掲載等を通じて周知徹底に努めてきたところでございまして、新聞等も主要紙がほとんどその広報を掲載をいたしましたし、またNHKその他マスメディア、いろんな形で御協力もいただいております。また、事業者に対しては、それぞれの事業者の所管省庁を通じて、この特例措置の趣旨や運用上の留意事項について周知を図っているところでございます。
 なお、相談窓口ですが、全国銀行協会は被災者のために銀行の相談窓口を取りまとめて公表しているほか、業界団体、金融庁や各地方財務局等におきましても相談に応じているものと承知をいたしております。でき得る限り御不便のないように、警察としても、また各省庁協力をして努力をしてまいりたいと思います。
#24
○植松恵美子君 私が先ほど申し上げましたのは、やはり今回被災された方々で心配なのは、余り事務手続とかが慣れていらっしゃらない一般の方々も被災をされている、またお年寄りの方もされているわけですね。ですから、ホームページだとかというのは余り慣れていらっしゃらない方にも周知を徹底するためにはもう少し工夫をされた方がいいんではないかという御提案を申し上げたいのと、やはり気楽に、窓口に行って事務的に機械的にお断りをされると、お年寄りの方は怖くて次、銀行に、ちょっと私はもう無理なのかしらと思ってしまう可能性もあるわけなんですね。
 ですから、身近なところで相談に乗っていただける、あなたの場合大丈夫なのよとか、一緒に付いていってくれるような、そういった気軽な相談窓口、身近な相談窓口を私はやはりつくっていただきたいなと思いますので御提案申し上げます。
 そして、その一方で、この特例措置を悪用して、いわゆる犯罪に利用されるおそれも増すわけであると思っております。この大震災の火事場泥棒と言ってはなんですけれども、言葉は悪いですけれども、どさくさに紛れて今こそ悪用される可能性も高いわけです。今、現段階で考えられているように、当分の間は被災者に関しては本人の自己申告を受ける、そして後日に確認できるようになった段階で本人確認をするといったような措置をとるわけですけれども、これ悪用されないためにはどういったいわゆる用心をしておくような措置をとっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#25
○政府参考人(小谷渉君) 先ほど大臣から答弁していただきました本人確認方法の特例でございますが、これは地震で被災された方で、かつ本人確認書類を用意することが本当に困難な方などを対象としたものでございます。犯罪に悪用されることのないように、それぞれの事業者において適切に運用していただくということが望まれるところでございます。
 そのため、事業者に対しましては、私どもの方からそれぞれの事業者の所管省庁を通じまして、この特例措置の趣旨や運用上の留意事項について周知を図らせていただいているところでございます。
 なお、被災者に成り済まして口座を開設するなど、この特例措置を悪用した事例が発生いたしました場合には、検挙すべきものは検挙措置を講じるなど厳正に対処してまいる所存でございます。
#26
○植松恵美子君 是非とも、このどさくさにいろんな犯罪が国際的に、被災地が現場として使われないように警戒をしていただきたいと思います。
 それでは、取引時の確認事項が追加されたことについて伺います。
 今回の改正によって、本人の特定事項のほかに、第四条第一項第二号で新規に追加された確認事項に取引を行う目的があります。この取引を行う目的というのは一体どのようにして確認を行うつもりなんでしょうか。もう既に具体的な策が決まっているんでしょうか。
 また、続いて第三号では職業と事業内容という項目が追加されました。この職業を書くという欄というのは、これまでにもいろんな書類に私も書いたことがあります。正直言って国会議員と書くのは恥ずかしいので、会社経営者とか、あるいは出す書類によっては主婦でも十分通じるんですよね。何と書けば信用があって何と書けば通らないのか、意味もなく職業欄があったりするんですけれども、この職業によってどのような判断をなさるおつもりなんでしょうか。また、本当にその職業に就いている人かどうかというのを確認する方法というのも確定しているんでしょうか。
 同様に、その職業と事業内容についても、最近はもう横文字の会社だとか、こんな言い方したら年が分かりますが、片仮名の会社だとか、ちょっと一見してどんな事業内容の会社に御勤務されているのかさっぱり分からないようなことが多いんですけど、この仕事が、事業内容が本当かどうかという真偽をどうやって確かめるつもりであるのか。
 つまり、きちっと確認を取る方法とか具体策を考えていないならば、単なるこれは国際的にアリバイづくりなんですよね。たくさんのことを聞きましたよというアリバイづくりのためにこの項目が追加されたのではいけないと思いますが、この三点についてどのように確認を取るおつもりなんでしょうか、お伺いしたいと思います。
#27
○政府参考人(小谷渉君) お答えいたします。
 まず、取引を行う目的でございますが、これは例えば銀行に口座を開設するといったような場合では、生活費の管理のためといったものや事業用の資金決済のためといったようなものが想定されるところでございます。
 それから、続きまして職業でございますが、これは例えば公務員でございますとか銀行員でございますとか、そういったものが一般的には想定されるわけでございますが、その確認の仕方につきましては、取引目的もそうでございますけれども、先ほどから申し上げておりますマネーロンダリング対策としての実効性、そしてその一方で事業者や国民の御負担というのを考慮しながら、関係省庁、業界と十分協議をいたしまして、さらにパブリックコメントで広く御意見を募るなどしながら、一番適切なところを検討してまいる所存にいたしております。
 ちなみに、事業者や国民の方々の御負担を考えた場合に、今回の改正によって新たに追加される事項の確認方法につきましては、例えばチェックリストのようなものを用いることも含めて検討していかなければならないと思いますが、具体的な確認方法等について、そしてそれが正しいものであるかどうかということも含めまして、先ほど申しましたような協議、そしてパブリックコメントで御意見をいただくというようなことでしっかりと検討してまいりたいと考えております。
#28
○植松恵美子君 ちょっと御答弁がよく理解できなかったんですけれども、犯罪を起こす人が怪しい職業をわざわざ自分で書くことというのは恐らくないと思います。私も無難なところで主婦だとかと書いた方がいいときは主婦と書きますし、あるいは会社員の方がいいときは会社員と書いてもいいんじゃないかというぐらい、その職業欄はあってなきがごとしのような欄だと思っておりますし、事業内容に至ってなんかは本当に好きなように書けると思いますので、もう少しここは、せっかくこういったことを追加されるのでしたら、どういった確認方法を取るつもりであるのかというのをもう少し踏み込んでお考えになって改正をされたらいいのではないかということは思っております。
 最後になりましたけど、今回の改正によってFATFの指摘されたことに十分にこたえた改正案になったかどうか、どのようにお思いになっているかを伺って、終わりたいと思います。
#29
○国務大臣(中野寛成君) FATF勧告は、今回の犯罪収益移転防止法の改正が対象としている顧客管理に関するもののほか、テロ資金の凍結、没収や国際組織犯罪防止条約の批准など多岐にわたり、また改善すべきとの指摘も様々な点に及んでおります。これは先ほど御指摘いただきました。顧客管理に関しましても、我が国の法制度に必ずしもなじまないものも含めて様々な指摘がなされましたが、今回の改正案には可能な限り指摘への対応を盛り込んでおり、相当程度こたえているものと認識をいたしております。
 ただ、それぞれのお国柄や歴史や伝統や文化、その他いろんなものが国際社会の中では入り交じっているわけでありますので、単にペーパーによる回答というだけではなくて、もう少し背景の事情を説明することも必要かと思いますので、本年十月のFATF全体会合においては、できる限り良い評価が得られますように、そうした事情や改善状況について十分に説明を尽くしてまいりたいと思います。
 よって、どこまでやれば十分かとか不十分かとかというこの線引きはなかなか難しいところでございますが、この十月における全体会合においてそれらのことをしっかりと説明をし、また議論もしてまいりたいということでございます。
#30
○植松恵美子君 ありがとうございました。
 国際的な評価をいただくというのも大事でございますけれども、実際にこの日本というところがマネーロンダリングとか犯罪の温床だとか現場になってはいけないと、それをやはり防ぐことがそもそも一番大事だと思っておりますので、是非とも皆様方のお力をいただいて、こういったことにならないように是非頑張っていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
#31
○松村龍二君 自民党の松村でございます。
 この度の犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきますが、あわせまして、三月十一日に発生しました東日本大震災におきます警察の諸活動についても、この際、国家公安委員長に幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、マネーロンダリングについて御質問するわけでございますが、この法律はマネーロンダリングを防止するための法律ということでありますが、マネーロンダリングというと、言葉はよく聞いたことがあるんですけれども、内容があと一つなじみがないという国民も多いんでないかなというふうに思います。
 マネーロンダリングといいますと、中南米におきましてコカインその他の麻薬がアメリカ、ヨーロッパ等に密売されると、そのお金を生で使うわけにはいかぬので洗浄して、ロンダリングして使うというギャングの手法、これに対して国際的な輪をはめているということかと思うんですが、そういうイメージがあるところに今この度の改正でございますので、少しく具体的な話をお聞かせいただければ幸いでございます。
 そこで、まずそもそもの前提として質問いたしますが、マネーロンダリングという行為について我が国の法令では具体的にどのように規定し、あるいは処罰しているのか、お伺いします。
#32
○国務大臣(中野寛成君) 御提起申し上げております法案の淵源につきまして先生から御説明いただきまして、ありがとうございました。まさにそのとおりでございます。加えて、最近は、国際テロ問題であるとかいろんな対策にこのことをより一層役立てていきたいという、目的が広くなっていることもまた一方事実でございます。
 マネーロンダリングについては、組織的犯罪処罰法又は麻薬特例法におきまして、犯罪収益等又は薬物犯罪収益等の隠匿の罪、もう一つは犯罪収益等又は薬物犯罪収益等の収受の罪等を規定をいたしております。隠匿と収受ということで、日本語で言うことによってかえって難しくなってしまうのかもしれませんが、しかし、このことによって、先生先ほどおっしゃいました歴史的経緯もこの名称によって一目瞭然で分かるということでもございますが、隠匿の罪につきましては五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金、収受の罪につきましては三年以下の懲役又は百万円以下の罰金と規定されております。
#33
○松村龍二君 どうもありがとうございます。
 我が国におきまして、それではこのマネーロンダリング犯罪というのは実際にどれぐらいあるのか、また具体的な事例としてどのようなものがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#34
○政府参考人(小谷渉君) 平成二十二年中に警察が検挙いたしましたマネーロンダリング事件の件数でございますが、犯罪収益等の隠匿の罪につきましては、組織的犯罪処罰法に係るものが百三十九件、麻薬特例法に係るものは八件でございます。それから、犯罪収益等の収受の罪につきましては、組織的犯罪処罰法に係るものが六十五件、麻薬特例法に係るものが一件など、合計で二百十四件ございまして、前年と比べ二十二件減ってはおりますが、過去二番目に高い数字でございます。
 具体的な事例でございますが、例えば中国人の窃盗グループが日本で空き巣などを行うことによりまして得た犯罪収益を、既に強制退去させられた中国人名義の口座を用いるなどして中国に送金していた事案、あるいは、ブラジルから持ち込んだ大量の医薬品を無許可で販売して得た犯罪収益を、ブラジル国内の貿易会社との取引の代金を代理決済するなどの方法によりましてブラジルに送金していた事案などがございます。
#35
○松村龍二君 少し具体的な姿が見えてきたような気もいたしますが。
 そもそも我が国におきましてどの程度の規模の犯罪収益があるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#36
○政府参考人(小谷渉君) 犯罪収益の規模につきまして警察が把握している数字を幾つか申し上げますと、まず平成二十一年中の窃盗、詐欺、横領等の刑法上の財産犯の被害額の合計は約一千八百二十四億円でございます。
 また、幾つか類型別に各種犯罪の平成二十二年中の被害額を申し上げますと、振り込め詐欺又は恐喝の被害額が約八十二億円、やみ金融事犯の被害額が約百十九億円、未公開株売買などによります利殖勧誘事犯あるいは資産形成事犯の被害額が約百八十億円でございまして、このほかに薬物事犯でございますとか賭博などといった犯罪の収益も、数字は把握していないわけでございますが、多額に及ぶものと承知をいたしているところでございます。
#37
○松村龍二君 我が国において行われる組織犯罪の中心にありますのは暴力団であるわけでありますが、まさに暴力団のような犯罪組織が行うマネーロンダリングをしっかりと検挙していかなければならないと考えます。
 そこで、暴力団によるマネーロンダリング犯罪はどれくらいあるのか、また具体的な事例としてどのようなものがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#38
○政府参考人(小谷渉君) 平成二十二年中に警察がマネーロンダリング事犯で検挙いたしました二百十四件のうち暴力団構成員等が関与いたしましたものは九十五件でありまして、全体の半数近くを占めているところでございます。
 具体的な事例といたしましては、六代目山口組の傘下組織の組員らが路上生活者に成り済まして住宅ローンの融資を申し込み、だまし取った犯罪収益によりマンションを購入していた事案、あるいは、同じく六代目山口組の別の傘下組織の幹部でございますが、売春行為を行っていた無店舗型性風俗特殊営業の経営者からみかじめ料として収益の一部を受け取っていた事案などがございます。
#39
○松村龍二君 我が国におきましては、暴力団等の犯罪組織がマネーロンダリングをする事例が相当程度あるとのことでございますが、一方では、国際的なマネーロンダリングを防止していくという観点からは、外国の国際的な犯罪組織が日本にいる者と結託してマネーロンダリングを行うということも防いでいく必要があると考えます。
 外国の犯罪組織がマネーロンダリングを行った事例としてはどのようなものがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#40
○政府参考人(小谷渉君) 外国の犯罪組織による具体的な事例といたしましては、ナイジェリア人らが国際的な詐欺事件により取得をいたしました多額の犯罪収益につきまして、アメリカ国内の銀行から偽造の送金指示書を利用いたしまして、日本を始めとする複数の国の銀行口座に合計約二十八億円の資金を送金した事案などがございます。
#41
○松村龍二君 次に、今回の議題であります犯罪収益移転防止法についてお伺いいたします。
 まず、現行の犯罪収益移転防止法がこのマネーロンダリングに対してどのように機能しているか、お伺いします。
#42
○国務大臣(中野寛成君) 犯罪収益移転防止法は、金融機関等の特定事業者に対し、顧客の本人確認、取引記録の作成、保存、疑わしい取引の届出などを義務付けることにより、マネーロンダリングが行われた場合にその資金の追跡ができるようにするとともに、犯罪の実態解明や検挙に役立てることとし、マネーロンダリングの抑止を図っているところでございます。
#43
○松村龍二君 今回の改正案では、取引時の確認事項の追加として取引目的や職業、事業内容、実質的支配者等の事項を確認しなければならないということとしております。今までは疑わしい事例があればそれを報告するということで、あとは店員等が気を利かして突っ込んで聞くこともあるかもしれないけれども、それを義務とはしていなかったわけですが、それを確認しなければならないということにしたわけであります。事業者や国民にとっては一定の負担が生じることになるので、これによる効果をしっかりと説明していく必要があると思います。
 今回の改正により、特定事業者が取引目的等の事項を確認することはマネーロンダリング対策上どのような効果が期待できるのか、お伺いします。
#44
○国務大臣(中野寛成君) 御指摘いただきましたように、特定事業者が取引目的、職業等の事項を確認し、取引の態様等と照らし合わせることにより、疑わしい取引を一層的確に把握することができるようになり、ひいてはマネーロンダリングが行われた場合の検挙が促進されるとともに、その抑止が図られることを期待をいたしております。
 また、マネーロンダリング対策の国際基準であるFATF勧告に対応することで、諸外国との歩調を合わせることができるものと期待をいたしております。
#45
○松村龍二君 疑わしい取引を的確に把握すると言いますけれども、疑わしい取引の届出については現在どの程度活用されているのか、お伺いします。銀行等からどんどん情報が入っても、警察にいただいた情報が宝の持ち腐れになるということであってはならないというふうに思うわけですが、現在どの程度活用されているのか。また、改正によりまして今後の活用についてどのような効果が見込めるのか、お伺いします。
#46
○国務大臣(中野寛成君) お答えいたします。
 平成二十二年中は約二十九万四千件の疑わしい取引の届出が行われました。そのうち二十万九千件、約七〇%でありますが、都道府県警察等の捜査機関等に提供をされております。提供を受けた都道府県警察におきましては、疑わしい取引に関する情報を端緒として三百九十件の事件検挙をしているほか、約八万八千件について裏付け捜査、余罪捜査、犯罪収益の移転先の解明等に活用しているところでございます。
 改正案が成立した場合には、疑わしい取引に関する情報をより一層活用してまいりたいと存じております。
#47
○松村龍二君 今回の改正案では、振り込め詐欺対策として、振り込め詐欺に多く利用されている電話転送サービス事業者を特定事業者に追加する、そして預貯金口座の不正譲渡等に関する罰則を強化するということを盛り込んでおります。
 振り込め詐欺については何としても抑止していかなければならず、その改正項目についても全く異論はありませんが、そもそも振り込め詐欺とマネーロンダリングはどのような関係があるのか、お伺いします。
#48
○政府参考人(小谷渉君) どのような犯罪でございましても、他人名義の預貯金口座等に被害金を振り込ませる行為は、犯罪収益の取得について事実を仮装している、装っているという点におきましてマネーロンダリングそのものでございます。したがいまして、振り込め詐欺もマネーロンダリングの典型的な例の一つであるということでございます。
#49
○松村龍二君 振り込め詐欺等への対策として今回の改正案はどのような効果を期待しているのか、お伺いします。
#50
○国務大臣(中野寛成君) 本改正案では、振り込め詐欺等に多く利用されている、先ほど申し上げました、電話転送サービス事業者に対し顧客の本人確認等を義務付けるとともに、被害金の振り込みに利用されている口座の不正譲渡等に係る罰則を強化することとしております。
 改正案が成立した場合には、電話転送サービスを利用する振り込め詐欺犯の検挙が促進されるとともに、口座の不正譲渡等に歯止めを掛けることが可能となりますので、振り込め詐欺等の抑止に相当の効果があるものと期待をいたしております。
#51
○松村龍二君 これまでの御答弁で、今回の改正案は振り込め詐欺対策を含め、マネーロンダリング対策に効果が期待できるということでありました。マネーロンダリング対策は、ともすれば国民に先ほど御質問がありましたように一定の負担を強いることになりますために、国民の理解が不可欠であると考えます。このためには、今答弁されたようなマネーロンダリングの実態や今回の改正による効果という部分を国民に対ししっかりと説明し、周知していく必要があると考えます。
 このような観点から、今後、国民に対し、これらのことを周知していくことについてどのような方策を考えておられるのか、大臣にお伺いします。
#52
○国務大臣(中野寛成君) 御質問ありがとうございます。
 犯罪捜査をより厳しく的確に行っていくことは大変重要でありますが、そのことによって一方で国民に負担が掛かるというこのジレンマをどう解決しバランスを取るかというテーマでございまして、そのためには、一番の効果がある、必要なことは、今先生が御指摘のように、国民の皆さんに理解をしていただく、広報、周知をすると、このことが大変大切であるというふうに認識をいたしております。
 各種広報媒体の活用、事業者に対する研修会の開催、国民の皆様への直接的な徹底周知の方法についてあらゆる工夫を駆使してまいりたいと、努力してまいりたいと思っております。
 ありがとうございます。
#53
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほども申しましたように、東日本大震災の問題について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 今日も新聞に、東日本大震災の被害は、死者は一万四千三百五十八人、行方不明者は一万一千八百八十九人、負傷者は五千三百十四人というふうに載っておりまして、この数を足すだけでも二万六千二百五十人の死者が出た災害であったかなというふうに思えるわけでございますが、阪神・淡路大震災のときは六千人亡くなりまして、それと比較しても大変な規模の大震災であるというふうに思うわけでございますが、その問題につきましては後ほどまたお伺いするとして。
 この度の大震災におきまして消防団あるいは地方自治体の方々等が殉職されたということは国民の皆さんよく御承知でございますが、警察官が一体何人殉職されたのか、またそうした殉職者につきましては被災時にどのような活動を行っておられたのか、お伺いいたします。
#54
○国務大臣(中野寛成君) 大震災に当たりまして、震災の大小によって人的被害、また人権侵害、いろいろなことが起こりますが、それについて数字の上では比較することができたとしても、その重さについて比較することはできないだろうというふうに思います。あらゆる災害をいかにして未然に防ぐか、またいかにしてその対策を講じるかということに全力を尽くさなければいけないと思っているところでございます。
 阪神・淡路大震災、私も経験をしておりますが、今回それを十分に参考にして対策を講じていくことはもとより大切だと思いますが、その規模、内容によって実は今回の東日本大震災は随分と違うと思います。私も現地を訪れましたが、阪神・淡路大震災のときにはその後ブルーシートが一面に活用されておりました。今回はブルーシートはほとんど見かけない、一部だけであります。言うならば、阪神・淡路は火災がありましたけれども、いわゆるその場で瓦れきになって崩落をしている。今回の場合には、そのこともありますけれども、いわゆる津波という全く異質な災害が起こったということだと思います。言うならば、何かを防ぐために、守るためにブルーシートを掛けるその余地さえもないということが今回あったように思うのでありまして、私もそういうことを踏まえながら対策を講じていかなければと思いますし、被災された皆さんに心からのお見舞い、そしてまた亡くなられた方に哀悼の意を表したいと思っているところでございます。
 その中で、警察官がどのように働いたのか、またその被害はという御質問でございまして、今回の東日本大震災により、これまでに二十三名の警察官の殉職を確認をいたしております。行方不明の警察官は七名と承知をいたしております。殉職者等のほとんどは地震発生に伴う地域住民の救助、避難誘導や交通整理、管内情報の収集といった災害警備活動中に津波に巻き込まれ被災したものでございます。
 併せて申し上げますが、被災三県、主な被災三県で八千人の警察官、これに現在は毎日四千五百人の警察官を全国から動員をして対応をしているところでございますが、まさに連日連夜、しかも危険な状況を押してでも、あの今問題になっております福島原発へ地上から最初に放水をいたしましたのも警視庁機動隊でございました。そして、今二十キロ圏内、十キロ圏内にまで踏み入って捜索をしておりますのも警察でございまして、まさに全力を尽くして警察が努力していること、これは先生の後輩に皆さん当たるわけでございますが、大変な御努力をいただいていることに私も日々敬意を表しているところでございます。
#55
○松村龍二君 二十三人の警察官が殉職され、七人が目下行方不明であるというお話でございます。
 ここで質問を二つさせていただきますが、殉職者というのは、交通取締り中に殉職するとかいろいろあるわけでございますが、年間、昨年何人殉職されたのか、あるいはここ数年何人ぐらいの方が殉職されているのか、お伺いします。
 それともう一つ、亡くなられて御遺体が確認された警察官は二十三人、行方不明が七人と、こう言いますと、遺体が発見されない警察官は殉職者でないのかというふうにも論理上なるわけでございますが、その辺については特定失踪宣告とかいう制度もありますけれども、殉職者であるということさえ具体的に認定されれば、それは初めから殉職者にカウントしてしかるべきでないかなというふうに思いますが、その二つ、お答えいただきたいと思います。
#56
○国務大臣(中野寛成君) 今回の震災に伴う行方不明者は、いずれも地震発生に伴う災害警備活動中に被災をしたものでございまして、警察としては、行方不明者の生存を信じ鋭意捜索を行っているところでありますが、死亡が確認された場合、殉職者として扱われることになります。
 過去五年の警察官の殉職者は、平成十八年五名、十九年四名、二十年一名、二十一年三名、二十二年三名、計十六名と承知をいたしております。よって、過去の五年の殉職者の平均人数は三・二名になります。数字をこういうふうに統計的に申し上げるのは少々つらいところでございますが。
 なお、先ほど失踪宣告手続に絡んでのお話もございましたが、冒頭申し上げましたように、これらの手続も踏まえまして、丁重にその功に報いたいというふうに思っているところでございます。
#57
○松村龍二君 先ほど申しましたように、消防団とか地方自治体の方等、住民を救うために命を投げ出したという事例もこの度たくさんあったわけでございますが、警察官も恐らくそのようなお気持ちで殉職されたんだというふうに尊崇の念を持つわけでございます。
 それでは、命を投げ出して国民を救えというふうな、津波に対して日ごろどういう教育をしておられるのか、また今後どのような教育されるのか、そこのところをちょっとお伺いしたいのは、今回も大きな余震が、同じ規模の余震があるというふうな記事が新聞等にも出るわけでございますが、そのような津波に対して警察官がどのような対応をするのか。
 あるいは、東北の方ではこの度駐在所もなくなったというようなことであれでございますが、和歌山県始め南海地方においては、「稲むらの火」というんですか、私らも小さいころ、稲むらで、津波があって稲に火を付けて奥地の住民に知らせたというふうな、小学校の教科書にそんなようなのがあったような記憶もあるわけでございますが、そのような、和歌山県で、地方でまた大津波等があったときに、警察官に対してどのような教育をするのか。
 津波というのは三十分とか時間があるという話も聞くわけでございますが、そこのところをちょっと基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
#58
○国務大臣(中野寛成君) 警察は、国民の生命、身体を保護するなどの責務を有しております。警察職員は、国民から負託を受けた警察の責務を果たすという使命感を持って警察活動を遂行するものと承知をいたしております。
 警察では、警察職員に対して、そうした警察の責務とともに、今回のような災害の発生時における地域住民の避難誘導、被災者の救出、救助等の警察活動について、採用時や昇任時等において警察学校などで教育をしているものと承知をいたしております。この度の地震の発生に際しましては、そうした使命感を持って津波等による災害から地域住民の方々を避難誘導するなどの活動に従事したものと承知をしており、大変残念ながら、想定を超える津波により、その活動中に警察官が殉職をしたところであります。
 警察活動では、災害を始め事故や犯罪等による危険な事態と向き合うことが多く、こうした事態の発生に際し、受傷事故防止に配意しつつ、決して無理な危険を冒すということではなく、自らもしっかりとした防護態勢をやはり注意しつつ、警察の責務を的確に遂行できるよう、引き続き警察職員に対する教育について警察庁を指導してまいる所存でございます。
#59
○松村龍二君 震災の翌日以後、七十二時間ということはよく言われますけれども、警察の人命救助活動があって、どれぐらいの方が出動されてどれだけの方の人命を、被災者を救出、救助したのか、お伺いいたしたいと思います。自衛隊等もこの震災に対しては大変な御活躍であるということで国民の信頼を今集めているところでございますが、警察が人命救助で具体的にどれぐらいの実績を、実績といいましょうか働きがあったのか、お聞かせいただきたいと思います。
#60
○国務大臣(中野寛成君) 警察では、この度の震災の発生を受けまして、これまでに岩手県、宮城県及び福島県に対し、他の都道府県警察から合計約二万六千人の警察職員を派遣するなど、組織を挙げ被災者の救出、救助等に一つ一つ丹念に当たってきたところであります。これまでに約三千七百五十名の被災者を救出、救助したところであります。
 時々自衛隊と比較をして語られることがありますが、そもそも自衛隊と警察はその任務、目的、組織の概要、装備、全然違うわけでございまして、自衛隊のようにいわゆる自己完結型で短期間に大量に動員して事に当たることができる組織と、警察のように都道府県警察として、そしてまた、しかもこの前福島原発に参りましたときにも自衛隊の防護服を借用して警視庁機動隊が参りましたように、本来自衛隊と同じ装備を持っているわけではありません。
 もう少し言いますと、例えば自衛隊は重機を持っておりますが、警察はそれほど重機を持っているわけではありません。それぞれの役割分担があるということを前提にして、多分先生もおっしゃりたいと思いますけれども、警察と自衛隊違うということをむしろ何らかのときに申し上げておきませんと、類似の似て非なる作業をしている、そこで混同されることがありますので、先生の御質問の機会をちょっとお借りしてそのことを付け加えさせていただきたいと思います。
 さて、例えば三月十二日、宮城県警察においては、警察ヘリを活用し列車内に閉じ込められていた乗客など約二十名を救出をいたしました。三月十四日及び十五日には、福島県警察において、福島第一原子力発電所から二十キロメートル圏内における病院や介護施設から自力退避が困難な方々約四百五十名を救出をいたしております。三月二十日には、宮城県警察において、石巻警察署員が消防レスキュー隊とともに連携を図り、倒壊した家屋から女性一名と男性一名を救出するなどしたところでございます。
 以上でございます。
#61
○松村龍二君 私も若いころある県に勤務しておりまして、山崩れで集落が全部なくなってしまったと。そのときに県警として動いたときに、交通整理とか法的権限を身に付けておりますので、それを十分に発揮させる仕事をすると警察は働くけれども、自衛隊等は、やっぱり集団で寝泊まりして、食事も寝具も自分の手前で持って、それで、しかも労働を伴うような仕事を集団でやるということには非常にたけた組織だなというふうなことも私自身も経験いたしましたけれども、機動隊その他、警察もしっかりやっていただいていると思います。
 ところで、外国人から日本は大したものだと、こういう大震災があっても、外国ですとお店から物をかっ払って逃げ回るというふうなことがよくテレビ等でも放映されたりしますけれども、日本人はそういうことが一切ないということで尊敬するという最初報道がありましたけれども、その後、信用金庫の金庫が全部開けられたとか、コンビニエンスストアのATMが破壊されて現金が盗まれたというふうな事案とか、あるいはガソリン等が盗まれたとかいうような事案が報道されております。最近では、空き巣が十キロや二十キロ以内の範囲の家に入って窃盗の被害に遭うというふうなこともあるわけでございますが、こういう犯罪の予防については国家公安委員長としてどのようなお指図をしておられるか、お伺いします。
#62
○国務大臣(中野寛成君) 御指摘のように、国際社会から日本人の節度、そしてまた忍耐力、いろんな意味で日本人のすばらしい対応をしている姿を評価をされておりますが、また一方、政府としてはそれに甘えるわけにはまいりません。精いっぱいの努力をして、国民の皆さんの御苦労を少しでも少なくするように努力を重ねていかなければならないと思います。先生の御感想についてまさに共鳴をするところでございます。
 一方、御質問にお答えいたしますと、残念ながら、被災地においてコンビニエンスストアのATMが破壊されたとか、いろんな事件が勃発をしていることもまた一方で事実でございます。
 被災地におきましては、その治安を維持することが最も重要でありますから、警察としては、被災県警察に加えまして、全国から派遣されました地域警察特別派遣部隊、これはパトカーで制服で、言うならば、これ見よがしと言ってはいけませんが、むしろ警察の姿を皆さんに見ていただくことによって、被災者の皆さんが安心してくださる、また場合によっては抑制というか牽制効果も発揮するという意味で、見える姿、形での対策と、一方、特別機動捜査派遣部隊、覆面パトカーで私服でという刑事部隊、これら双方を派遣をいたしまして、パトロールや違法行為の取締りを強化をいたしているところであります。
 また、女性警察官等が避難所等において相談対応や防犯指導等に従事するなど、これは先ほどのマネーロンダリングの御相談もあるかもしれませんし、それから、その他女性警察官、女性同士でなければ話せないこともあるだろうと思いますので、いろんな臨床心理の勉強をした女性警察官に行っていただくとか、いろんな形ででき得る限りの創意を工夫しながら、少しでもお役に立てるようにという気持ちで被災地の方々の安全、安心の確保に努めているところでございます。
 今後とも、現地の状況等に応じて必要な体制を確保し、被災地における違法行為の抑止、牽制と住民の安心の確保のために努めてまいりたいと思います。
#63
○松村龍二君 もう一つ、警察のこの度の大きな役割といたしまして身元確認ということがあったんでないかなというふうに思います。
 先ほどの、今日の新聞でも数字が、死者は一万四千三百五十八人、行方不明者が一万一千八百八十九人、そのほかにも行方不明の、失踪したという届けが警察にない方の亡くなっている方というのが数千人いるんじゃないかなというようなことが指摘されておりますが、地震の直後、我が自民党におきましても、地元の国会議員あるいは関係の国会議員等が集まりまして警察にも御留意の発言をしたわけでございますが、日本の場合非常に遺体の尊厳ということを強調されて、そのことはすばらしい国柄だと思いますけれども、そのために厳格になり過ぎて遺体の発見が遅くなるというようなことがあるんでないかなと。そして、最初は非常に慎重に丁寧にやっておりながら、最後は土葬して取りあえず埋めておくというふうなことに走らざるを得なかったというふうなこともあったんでないかなというふうに思います。
 また、皆様御覧になったと思いますけれども、「三陸海岸大津波」という本等を読みますと、津波において御遺体が海岸等において非常に残酷な無残な姿であったというふうな、小説といいましょうか、吉村昭さんの実録の本があるわけでございますが。いろいろ御苦心されたかと思いますけれども、戦後、私ども北陸におりますと毎年大きな洪水がありまして、それでその翌日の新聞を見ると二十四人亡くなったと、流れたというふうな記事が載る。そうすると、正確に数えると実は一人少ないというようなことがありまして、警察がずさんに数えているんじゃないかというようなこと等があったためか、非常に御遺体を、死者を一人一人、お医者さんの死亡診断書がなければカウントしないと。また、行方不明についても、警察に対して捜索願があったものだけ行方不明者にカウントするということになりますと、実際の震災の大きさを当初において把握するのに非常に間違いを起こすというふうなことにもなるんでないかなというふうに心配する発言があったわけですが。
 この度の御遺体の身元確認に大変御苦労されたわけでございますが、それについて一言お話をいただきたいと思います。
#64
○国務大臣(中野寛成君) 今回は御遺体の収容、実は大変困難を極めております。それでも大体一日平均百体くらい今なお発見、また収容されているところでございますが、阪神・淡路のときには津波ではありませんでしたので、御遺体が、言うならば、発見する場所というのが日常生活をされている場所又は早朝でしたので御自宅であるとか、行方不明が最終的には一桁に収まったと思います、阪神・淡路の場合は。
 今回はそういうことはとても望めませんが、それでも日々大変な努力をしているところでございまして、昨日現在で都道府県警から、各府県から報告を受けております死者数及び行方不明者数は、死者数が一万四千四百七人、行方不明者数が一万一千七百六十二名でございます。
 私はあえてこれを合計して物を申し上げたことは一度もございませんで、死者数がこれからなお増えてまいりますが、それ以上に行方不明者数の数が減ってきつつあることも事実。すなわち、行方不明者ではあったけれども、亡くなっておられたのではなくて御健在で発見されるケースも今なお毎日あるということを念のために申し上げさせておいていただきたいと思います。
 警察では御遺体の身元確認に努めておりますが、例えば身元を確認できない御遺体を収容した場合、死者数に計上することとなりますが、こうした方について行方が分からないとの届出や連絡がなされた場合には行方不明者としても計上されることになり、重複が生じる可能性は否定できないところでございます。
 警察におきましては、全国警察の協力の下に、医師や歯科医師の御協力もいただきながら、昨日現在で、岩手、宮城、福島三県で一万四千三百五十一体の御遺体を収容し、そして検視はほとんど一〇〇%できておりますけれども、身元確認ということになりますと、八四・三%に当たります一万二千百四体の身元確認を終えているところでございます。
 身元の特定は、御遺体のお体の特徴や所持品等を手掛かりにして御遺族等から事情を聴くとともに、直接御遺体や写真を確認いただくなど慎重に行う必要があると認識をしております。その上で、できるだけ速やかにかつ一体でも多くの御遺体の身元確認を行うために、岩手、宮城、福島の三県警察では、所持品等から判明した氏名、年齢、居住地等の情報をウエブサイトに掲載するとともに、三県で収容された身元不明の御遺体のお顔や所持品等の写真台帳を共有し、各安置所等に備え付けるなどして御遺族の負担軽減に取り組んでいるところでございます。
 なお、DNA鑑定のデータベースでありますとか指紋写真はもとよりですが、御遺体、日々傷んでまいりますので、やはりこれは火葬にできるか又は埋葬かという、これ地元自治体に、もうこれは断腸の思いでありますが、お渡しをするというケースも出ております。これは決して安易な扱いは一切いたしておりませんで、後々分かる材料もしっかりと確保しながらそういう経緯をたどっているところでございます。
#65
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#66
○谷合正明君 公明党の谷合です。
 まず初めに、震災対応についてお伺いさせていただきます。
 先日被災地域に行った折に、こういう悪質な詐欺事例が増えているということで、例えば、原子力損害賠償制度に基づく仮払金なんかが支給され始めるということで、高齢者かどうか分かりませんけど、電話で、その申請手続を代行すると、ついては通帳やら何やら渡してほしいというようなものが消費者センターにも届けられていると。これは未遂に終わったようではありますが、あると。
 震災直後は恐らく義援金の詐欺とかあったと思うんですけれども、今後、各種支援制度、先ほどの原子力損害賠償金、また、ほかにもいろいろな各種公的な支援制度も支援金が支給されていきますと、高齢者、特にいわゆるそういった方々に詐欺が狙いを付けていくのではないかと思うわけでありますが、こうした点についてどのようにまず警察の方で取組を強化されているのか、この点についてお伺いさせていただきます。
#67
○国務大臣(中野寛成君) お答えいたします。
 御心配のことは誠にごもっともなわけでございますが、今の事例のちょっと前提で、時系列的になるかもしれませんが、今回の震災に便乗した義援金という名目の詐欺については、昨日までに全国で二十四件認知をし、そのうち九件を検挙いたしました。そのほか、事件性が判然としない不審情報を含め、昨日までに二百数十件の相談が都道府県警察に寄せられております。このような犯罪は被災された方々に対する国民の善意を踏みにじる悪質なものでありますから、この防止と、そして防止のための広報啓発に努力をしていく所存でございます。
 その手口ですね、市役所職員や実在の団体を装うなどして電話や訪問等により義援金名目の現金等を求めるものが全体の約七割を占めて最も多く、震災に絡んで電気、ガス設備の点検、修理名目で現金を求めるもの、被災地にいる身内と装った電話で現金を求めるおれおれ詐欺、そういうものがございます。
 また、いろいろ調査はいたしておりますけれども、いずれにせよ、いろんな相談、また啓発活動によって、広報活動によってこれを防ぐという努力を精いっぱいこれからもしていきたいというふうに思っているところでございます。
#68
○谷合正明君 是非とも、注意のポイント等を当事者の方々、被災者の方々が実際どうしたらいいのかという具体的な行動につながるような注意喚起、またアプローチをしていただきたいと思います。福島の避難所にも福岡県警の方が訪問されていて、そういうようなこともされているわけですけれども、その折にもこういう詐欺対策なんかもしっかりと周知をしていただきたいと思います。
 次に、法改正について質問させていただきます。
 犯罪収益移転防止法の改正ですが、まず、改正の時期が今のこの時期になったわけでありますが、もっと早く対応できなかったのかという思いもあるわけでありますが、この点について、今見直しがこの時期になったということについて、この理由についてまずお聞かせください。
#69
○政府参考人(小谷渉君) FATFの第三次対日相互審査によりまして様々な指摘があったわけでございますが、平成二十年十月、この相互審査の結果が公表されまして以降、私ども関係省庁等とともに対応策を検討してきたところでございます。
 このうちで顧客管理に関する問題は、対象となります事業者が多岐にわたっていること、それから取引実務でありますとか、利用者、つまり国民の利便性にも影響をいろいろと与えるものでありますことから、事業者へのヒアリングでございますとか、有識者懇談会の開催等を経るなどいたしまして、関係省庁と慎重に検討を行ってきたものでございます。
 議員から非常に時間が掛かっているではないかという御指摘でございますが、いずれにいたしましても、FATFからは相互審査結果の公表後三年である本年の十月までに改善を図れということを求められておりますので、本年十月のFATFの全体会合におきましては、できる限り良い評価をいただけるように改善状況につきまして説明を尽くしてまいりたいと考えております。
#70
○谷合正明君 次に、このFATFの勧告なんですが、今回の改正では、取引時の確認事項の追加部分については、義務の主体である特定事業者から司法書士等の士業者が除かれているわけでございます。
 これがなぜ除かれているのかというと、疑わしい取引の届出義務が課せられていないということだと思いますが、FATF勧告では弁護士等の士業者に対して疑わしい取引の届出義務を課すことを求めていると思いますが、この点について今後どのように検討を進めていくのか、御答弁ください。
#71
○政府参考人(小谷渉君) 弁護士等のいわゆる士業者による疑わしい取引の届出につきましては、犯罪収益移転防止法の制定時に日本弁護士連合会等から依頼者との関係に与える影響について懸念が示されたことなどを踏まえまして、引き続き検討を行うこととし、この法制定時には届出義務を課さないこととされたものでございます。
 今回の改正におきましては、FATF勧告、これ四十九ございますが、そのうち重要勧告とされる六つのうちの一つとして重要な位置付けがなされているにもかかわらず、四段階ある評価のうち最低の不履行との評価を受けております顧客管理の項目について最優先で対応を図らせていただくものでございます。
 弁護士等の、御指摘のありました士業者の疑わしい取引の届出義務につきましても、重要勧告ということでは位置付けられておりませんけれども、FATFの指摘の一つでございます。我が国におけるマネーロンダリング事犯の動向等も踏まえつつ、関係省庁、関係団体と十分に協議の上、引き続き検討してまいる所存でございます。
#72
○谷合正明君 確認ですけれども、そのFATFの勧告というのは、例えば我が国では日弁連等からの懸念が示されたことであるとか我が国なりの実態であるとかいうのは余り考慮されずにこういう勧告に至っているんでしょうか。ここは通告しておりませんけれども、もし分かる範囲でお聞かせいただければと思います。
#73
○政府参考人(小谷渉君) これは、FATFではマネーロンダリング対策のために各国が取るべき基準というのをまず定めて、それに基づいて相互審査が行われる、各国を審査しているという形でございまして、それぞれの国によってもなかなか制度も違うわけでございますので、できるだけ基準をクリアするように各国努力をしているわけでございますが、その実情は国によって違っているところでございます。
 ちなみに、弁護士による疑わしい取引の届出について、例えば米国、アメリカにおきましては法曹協会というところが、依頼者関係とか弁護士会の独立を損なういかなる法令にも反対する旨の決議がなされたということがございまして、アメリカにおいては弁護士に対する規制が掛けられていないとか、そういうもろもろの事情がございまして、日本としては、いろいろな条件がある中でできるだけその勧告にこたえようとして努力してきているところでございます。
#74
○谷合正明君 今のと関連するところもあるんですが、四十九あるFATF勧告のうち我が国は不履行の項目が十あるということですが、改正が見送られている項目があります。
 これは先ほど来の答弁の中で、例えばお国柄であるとかの事情が様々あるとか、あと、各国に比べて相対的に低いとか高いとかそういうことでもないという大臣の答弁もございましたが、そう聞くと余計にどういうことなのかと私もよく分からなくなるんですが、国際的な基準が我が国の実情に当てはまらない部分があるというふうに受け止めてよろしいのか。
 また、一方で国際的な信用力ですね、このFATF勧告という勧告があるわけですから、こういう国際的な勧告という観点から、やっぱり我が国の場合ですと他国に比べるとバツの数が多いわけです。そうすると、今回改正しなかった部分について今後どういうふうに進めていくのかという点について、併せて大臣の方に答弁願いたいと思います。
#75
○国務大臣(中野寛成君) 御指摘のように、四十九あるFATF勧告のうち、重要勧告とされる六つのうちの一つであるにもかかわらず四段階ある評価のうち最低の不履行との評価を受けたと、ここからスタートしているわけですが、顧客管理の項目について、マネーロンダリング対策上の効果や事業者、国民の負担等を慎重に考慮した上で、可能な範囲で最優先で対応を図ろうとするものということであります。
 これ、警察だけが担当している分野というのはかなりごく一部でございます。金融庁や各省庁が担当している分野、約十省庁ぐらいに及んだと思いますけれども、九省庁ですね、にまたがりますので、それぞれの省庁が自分の分野で担当するところをそれぞれに検討していただいております。
 これを一括してまとめて、相談をして、日本国政府としてどおんと出せれば、もっと一気に問題解決というか、イメージも上がってくると思いますが、それぞれに経緯、歴史ありますし、別に縦割り行政で云々することではありませんけれども、しかし、それは精査をしていきませんと、国民の負担もこれは増えます、協力をいただけないといけませんので。そしてまた、犯罪防止のための効果も上げなければいけない。これらのことについては、まずできることからやっていこうと。そして、一番悪い評価をされたところからしっかりやっていこうということで、まず警察で自分の分野、所轄のところについてスタートをさせたということでございますので、そこはよろしく御協力をお願いしたいと思います。
#76
○谷合正明君 大臣がそう答弁されましたけれども、まさにほかの役所と絡むところがあるので、逆にほかの役所の進行具合どうなのかなと思っていると、余り警察庁に比べると動きが見えないものですから、私はある意味、連携する部分はしっかりと連携していただきながら、十月の会合あるんでしょうかね、これにしっかり臨まないと、何か再度また勧告を受けるとか、そういう事態になりかねないのではないかと思っておりまして、警察だけよければいいという話でもないと思いますので、どうぞこの点についてはよろしくお願い申し上げます。
 以上で終わります。
#77
○小野次郎君 今日は、私、十四年前の新聞に自分が「論壇」に投稿した、資料として配らせていただきました。この時期が九八年の前年で、第二回の対日審査を迎える前の年だったんですね。そのときには、この見出し自体がこれを取り上げてくれた新聞社と論争になったんです、前夜まで。マネロンと書きたかったんだけど、マネロンという言葉は社会的に認められていないと言われて、資金洗浄と、こう直されたんです、新聞社から。それぐらい、この十数年間の間に制度も変わったし私たちの認識も変わったと思うんですが、私が日本で最初のFATFの国際審査員なんです。アメリカに対する対米審査の国際審査員で、日本で最初に選ばれて行ったこともありまして、ところが、本国の日本は非常にお寒い状況だったので、これをもう世論に訴えようということで新聞にも投稿したということです。
 そうしましたら、直接じゃないんですけれども、当時の橋本総理の耳に達して、これ何とかしなきゃいけないけど、警察の権限を増やしてくれという話なのかということになったので、いえ、そういうことではありませんと言って、最初は、後で御答弁の中に出てくるかもしれませんが、金融庁にこのFIUという機関をつくってもらったんですね。以来、当時は数省庁でしたけど、今大臣もおっしゃったとおり、九つとか十とか多くの省庁が協力して運用していこうという機関として整備されてきたものなんです。
 それで、まず知識の整理のために一つお尋ねしますけれども、同僚議員がいろいろ聞いてまいりました。じゃ、逆に聞くと、FATFの勧告というのは、条約の履行義務でもないのに、この国際機関の指摘にこたえて国内法の改正が必要とされる理由はなぜなんでしょう。つまり、履行しないという悪い評価を受けたり、あるいは不履行という評価を受けるということに対するペナルティーとか国際的な制裁というものがあるからこの国内法の改正が必要となっているのでしょうか。そこをお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(中野寛成君) 事の経緯は今おっしゃられたように小野先生の方がお詳しいわけで、むしろ議員立法で提出いただいて私の方が質問者に立ちたいという感じもいたしますが、経緯を御説明いただいたことに感謝をいたしたいと思います。
 今まさに法的拘束力はないのにという、いわゆる逆質問の形でおっしゃっていただきました。そのことによって大変答弁がしやすくなったんでありますが、そのまま今日までの経緯、なぜ国内法の改正が必要なのかということについてちょっとお答えをさせていただきたいと思います。
 FATFは、加盟国におけるマネーロンダリング対策及びテロ資金対策に係る勧告の履行を目指し、各加盟国に対し、順次その他の加盟国により構成される審査団を直接派遣して相互にその履行状況を審査をしている。その審査団を先生がおやりになられたということのお話がございました。
 我が国は、平成十九年から二十年にかけて第三次相互審査を受け、その結果は平成二十年十月に公表されたところであります。FATFからは、重要勧告の一つである顧客管理に関する勧告について様々な指摘を受け、四段階ある評価のうち最低の不履行との評価を受けたほか、テロ資金の国内取引の凍結の問題や国際組織犯罪防止条約の批准の問題など、他の勧告についても様々な指摘を受けました。
 各FATF加盟国は、不備が指摘された項目について相互審査の結果公表から三年以内に改善措置をとることが求められていることから、我が国は本年十月に開催される全体会合までに改善措置を講ずる必要があるということでございます。このうち、先ほどもちょっと申し上げておりましたのが、警察庁が担当する顧客管理の項目に関する部分については、本法案でFATFの指摘に相当程度こたえたものとなるよう措置するものでございます。
#79
○小野次郎君 僕の聞きたかったことに必ずしも的確にお答えいただいていないと思いますけれども。自分で自分の原稿を見てくださいというのもおこがましいんですが、このお配りさせていただいた資料の二枚目にもありますけれども、結局最後は、対策が不十分な国との金融取引において、よその国、諸国が一致してその国との金融取引について一定のハンディを課すということ、これが唯一の制裁なんですね。つまり、日本のマネロン対策が十分でないという評価を受けると、国際的な金融の世界、つまり警察でない、むしろ金融機関の世界の方で日本は透明性が低い国だという評価を受けるということがマイナスだということなんです。そこを是非お答えいただきたかったなと思うんですが。
 ですから、先ほどの同僚の谷合委員の質問に対する答えも同じなので、それぞれの担当の省庁が適切な対応を取るべきだというのは、別に義務があるからというよりも、そうしないと日本という国の金融システム自体の評価が下がっちゃいますよということだけしかないということなんですね、逆に言うと。そこをいかに、旗持ちと言っては失礼ですけれども、一番フラッグを持っている警察庁がよその省庁に説得力を持てるかということなので、是非その点はしっかりと説得をしていただきたいと思います。
 二十一世紀にどんなビジネスが伸びると思うかと会合で話題になったときに、ある人はネットビジネスだろう、ある人は環境ビジネスだろうと言ったときに、私が答えたのは、いや、二十一世紀に確実に伸びるのはノークエスチョンビジネスというやつなんだと。つまり、なぜやるんですか、何のためにやるんですかということを聞かないということでお金を取る商売というのはこれから伸びるんだということを、僕は警察でしたから申し上げましたけれども、まさに今回、というかずっと一連の、この以後の十年間、様々な顧客管理の規制を厳しくしてきた、あるいは範囲を広げてきた、業種を広げてきたのは全てノークエスチョンビジネスということで、ビジネスにさせちゃ駄目なんだということを、そういう努力を政府として、国際的にも求められてしてきたということだろうと思います。
 次にお伺いしますけれども、この疑わしい取引に関する情報を有効活用するために、最初は金融庁に、そして今は警察庁に移りましたけれども、資金情報機関、ファイナンシャル・インテリジェンス・ユニットというのがあるわけですけれども、その組織と構成メンバーをお伺いしたいと思います。また、このFIUというのは日本でどんな機関から集めた情報を集約しているのか、それでどういうユーザーというか、ユーザー機関はどんな範囲に情報を活用してもらっているのか、そこについても、大臣でなくて政府参考人でも結構ですけれども、お答えいただければと思います。
#80
○国務大臣(中野寛成君) 先ほどの答弁に対して、先生から補足していただきました。国際的なやはり金融機関の信用、これは一番大きな目的と言っても過言ではないと思います。どなたか、前の質問者のお答えの一部でそのことを申し上げたようには思いましたけれども、改めてそのことは強調させていただきたいと思います。
 また、今の御質問にお答えをいたしますと、資金情報機関FIUとは、特定事業者からの疑わしい取引に関する情報の集約、整理及び分析や捜査機関等への提供を行う機関であり、各国にそれぞれ設けられるものであります。我が国のFIU機能は、平成十九年の犯罪収益移転防止法成立以前は金融機関を所管する金融庁が担ってきたところでありますけれども、金融機関以外の業種も規制の対象となること等を契機として、組織犯罪対策、テロ対策で中核的な役割を担う国家公安委員会、警察庁に移管することが適当であるとの判断がなされたところであります。小野先生が一番その経緯は御存じだろうと思います。
 現在、国家公安委員会、警察庁に置かれているFIUについては、刑事局組織犯罪対策部の犯罪収益移転防止管理官がその事務を処理する任に当たっており、警察職員のほか様々な専門的知見を十分活用する視点から、検察庁、海上保安庁等からの出向者で構成されているところでございます。また、国家公安委員会、警察庁は、特定事業者から各所管官庁に届出のあった疑わしい取引に関する情報を集約、分析し、その結果を検察庁、都道府県警察、麻薬取締部、海上保安庁の四つの捜査機関と税関、証券取引等監視委員会に提供をしているところでございます。
#81
○小野次郎君 ありがとうございます。
 最後の質問になりますけれども、私は、このマネロン対策を日本で整備しなきゃいけないという話をするときにいつも言っていた論理は、犯罪対策のループホール理論、自分で勝手に名前付けていましたけれども、言っていました。
 どういうことかというと、汚い金とか、人間もそうなんです、危険なものもそう、人も物もお金も情報も、犯罪対策に段差があると谷間になったところに漂う、停滞するものなんだということを言っていまして、その四十の勧告、当時FATFの勧告を履行するようにと言われたときにも、なぜ条約でもないやつを履行しなきゃいけないんだという、警察の内部ですら言われ、外へ行けばなお言われたときに、銀行協会の方にもお話ししたときにも義務ですかと言われましたけれども、結局は凸凹があると凸凹の凹のところにダーティーマネーが集まるからみんなそろえなきゃいけないんですよということを申し上げました。
 その意味で、このFIUの活動の中では国内の関係機関との連携あるいはユーザーの利用機関に情報提供していただくことも極めて重要ではありますけれども、同時に、我が国のFIUと各国のFIUの情報交換の仕組みというのが必要だと思うんですが、これは当時の経験で言うと外交一元化と、外交チャネルじゃないところで、実務機関でそうやって情報交換することについてなかなか出だしは御理解いただけなかった部分があったんですけれども、現在の状況、情報交換の仕組みをまずお話しいただきたいのと、あるいは最近における国際協力、そういった情報交換の結果、言える話と言えない話とあるでしょうけれども、こういうジャンルの部分で実績を上げていますということを御説明いただきたいと思います。
#82
○政府参考人(小谷渉君) 我が国のFIUと外国のFIUとの間の情報交換につきましては、犯罪収益移転防止法の第十二条に規定がございます。第十二条第一項においては、我が国のFIUとしての国家公安委員会、警察庁が外国のFIUに対して、その職務の遂行に資すると認める疑わしい情報に関する情報を提供することができると定めております。また、第二項では、第一項の規定に基づいて、外国のFIUに提供する情報が提供先機関の職務の遂行以外に使用されず、かつ同意なく刑事事件等に使用されないよう適切な措置がとられなければならない旨が定められているところでございます。
 今申しました適切な措置でございますが、原則として外国との間で国際約束を締結することによるものとされておりますが、それが困難な場合は外交当局間同士の口上書により、更にそれも困難だということになりますとFIU同士の当局間文書、これMOU、メモランダム・オブ・アンダースタンディングによるものとされているところでございます。FIUであります国家公安委員会、警察庁は、外交当局であります外務省の御了解をいただいた上で、この三つの方法のうち各国のFIUとの間で先ほど申しましたMOUを設定し、これに基づいてFIUの間で直接情報交換を行っているところでございます。現在、アメリカ、韓国、香港等二十七の国・地域とMIUを設定して情報交換をいたしております。
 最近の実績でございますが、外国のFIUからの我が国に対する情報提供の要請件数は平成二十二年では五十四件、それから、これとは逆に我が国のFIUから外国のFIUに対する要請は平成二十二年は七十八件、それ以前の数字もございますが、この要請は順次年を追うごとに伸びてきております。それ以外にそれぞれの要請に基づかない情報提供というのもございまして、平成二十二年はそういうものも含めますと百六十二件ということでございます。
 今後とも、できるだけ積極的な情報交換に努めてまいりたいと存じます。
#83
○小野次郎君 質問をこれで終わりますけれども、やはりこういったやや理解されにくい分野の制度の整備であるだけに、是非警察当局にはいい実績を、目に見えるものを上げていただくことで、そのために金融機関でも、あるいは今度新たに加わる義務の履行をされている方たちも、自分たちが履行、遵守していることがそういうことに役立っているんだということが、理解してもらうためには成果を出すことが一番大事だと思いますので、そのことにも努力していただきたいということを御期待申し上げて、私の質問を終わります。
#84
○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。
 まず、法案の質問に入ります前に、東日本大震災における警察の対応状況について改めてお伺いをしたいと思います。
 東日本大震災が発生して以降、多くの警察官が被災地に赴き、パトロールのほか、救出そして救助活動、先ほどもございましたが、女性警察官による心のケアなど、多岐にわたって活動していらっしゃいます。被災地では様々な困難があり、警察官自身も大きな心身に負担が掛かっているというふうに思いますが、被災された方々のために身を粉にして活動していらっしゃる警察の方々に心から敬意を表し、お伺いしたいと思います。
 この度の震災が発生して以降、警察においてはどのような体制をしき、何人体制でどのような活動に従事をしてこられたのか。また、被災地に赴いている警察官の心のケアをどのようにして併せてやっていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
#85
○国務大臣(中野寛成君) むしろ御質問に感謝をしなければいけないと思いますが、ありがとうございます。
 東日本大震災に伴い、警察庁では警察庁長官を長とする緊急災害警備本部を、そして、岩手県警察、宮城県警察、福島県警察を始めとする全ての都道府県警察では警察本部長を長とする災害警備本部を設置するなど、所要の体制を確立し、組織を挙げて被災情報の収集、被災者の救出、救助、避難誘導、パトロール、緊急交通路の確保、御遺体の収容、検視等の各種活動に全力を尽くしてきたところでございます。
 また、特筆すべきは、警察情報、警察無線などが、各自治体の連絡が寸断をされた、機能しなくなったときに、唯一警察電話だけが、通信だけが通じて、そして東京から、またそれぞれ県庁から各市町村への連絡等についてはそこへパトカーが行って、そのパトカーの電話でいろんな通知、通達をお伝えをしたという経緯もございまして、言うならば唯一警察の通信網だけが健在だったというところが多かったことも特筆をさせていただきたいと思います。
 警察庁は、震災発生直後、全国の部隊に出動の指示を行い、その翌日には、岩手県、宮城県及び福島県に対し合計約千八百人の部隊を派遣し、地元県警察と共に被災者の救出、救助等に当たったところでございます。また、順次被災三県に派遣する部隊を増強し、さらに四月に入ってからは約千五百人の部隊を増強派遣し、本日現在、全国から派遣された警察職員約四千五百人と地元警察約八千人、合わせまして一万二千五百人以上の体制で連日各種活動を実施しているところでございます。これまでに被災三県に派遣された警察職員は約二万六千人に及んでいるところでございます。
 また、心のケアの問題等につきましては、もう以前先生にお答えをいたしましたが、女性警察官、そしてまた女性警察官をサポートするための男性警察官も含めましてそれぞれ派遣をさせていただき、被災者の皆さんに寄り添う活動を展開をしているところでございます。
 ただ、警察官の支援も実は限界といいますか、来ております。全国の警察でそれをサポートする支援チームをつくったり、いろんな形で、例えば警察官の活動のシャツもろくにクリーニングもできないとか、いろんなことがございます。活動している、それを全国の警察でサポートしようということで、支援チームが物心両面にわたって現地に派遣をされた人たちをまたサポートするというような形で、全警察一体となって努力をしていることをこの際ちょっとアピールさせていただきたいと思います。
#86
○糸数慶子君 ありがとうございます。
 私も先日、わずか二日ではございましたけれども、被災地へ伺いましたときに、ちょうど御遺体が収容されて警察の皆さんが黙祷をささげていらっしゃるその現場に遭遇をいたしました。わずか二日間の滞在日数ではありましたけれども、やはりその日は午前四時、五時ごろまで本当に眠ることができませんでした。
 ですから、そういう状況を考えていきますと、何日間もずっとそういう被災地で対応されて、しかも御遺体に対する対応なども毎日のようになさっていらっしゃる方々のことを考えていきますと、警察官の皆さん、現地にいらっしゃる方、あるいはまた戻ってこられた方に対する心のケアも専門的にきちんと対応していただきたいということをあえて重ねて要望を申し上げたいと思います。
 今回のこの法案に関しての御質問でございますが、もうほとんど今同僚議員の皆様から細かく質問がございましたので、私も四項目通告をしてございますけれども、時間の関係もございまして、まず通告をいたしました三番目の方からお伺いをしたいと思います。
 平成二十年の十月に出されたFATFの対日相互審査の結果を受けて、政府におきましてはFATF勧告実施に関する関係省庁連絡会議が設置されるとともに、警察庁におきましてはマネー・ローンダリング対策のための事業者による顧客管理の在り方に関する懇談会が設置されました。しかし、警察庁の懇談会が設置されたのはFATF対日相互審査が終わってから約一年半後の平成二十二年二月でありました。そして、本法律案が提出されたのはFATF対日相互審査から約二年半後でありますが、また、先ほども出ましたが、関係省庁連絡会議は設置されて以降三回しか開かれていないという実態がございます。
 本年十月までに相互審査のフォローアップ手続の対象から外れるよう努めることが求められているわけですが、政府内における検討は対日相互審査以降、具体的にどのように行われてきたのか、お伺いいたします。
#87
○政府参考人(小谷渉君) 平成二十年の十月に第三次対日相互審査の結果が公表されまして以降、政府内では、ただいま議員から御指摘がございました関係省庁連絡会議を始めといたしまして、各級レベルで対応策について検討を進めてまいりました。
 連絡会議は御指摘のとおり開催は三回でございますが、それ以外にもこの勧告をフォローアップするためのいろいろなレベルでの検討を進めてきたところでございます。このうち、特に顧客管理に関する問題は、対象となる事業者も多岐にわたり、また取引実務や利用者の利便性にも大きな影響を与えるものでございますので、事業者へのヒアリングでございますとか有識者懇談会の開催等を経るなどいたしまして、関係省庁とともに慎重に検討を行ってきたものでございます。
 いずれにいたしましても、本年十月のFATF全体会合におきましてできる限り良い評価を得られるように、改善状況についてしっかりと説明をしてまいりたいと存じます。
#88
○糸数慶子君 それでは、最後になりますが、今回の東日本大震災に便乗して義援金を振り込ませようとする詐欺に関する情報や相談が増えていると、先ほども質問ございましたが、この未曽有の災害に見舞われた方々のために寄附をしようとした国民の良心を踏みにじるような犯罪は絶対に許してはならないというふうに思います。
 また、義援金詐欺による金がマネーロンダリングを経て他の犯罪に使われるおそれがあるという意味でも、やはり義援金詐欺による被害を阻止するとともに、マネーロンダリングを防ぐため警察が中心になって政府一丸で取り組むことが求められるわけですが、国家公安委員会委員長に対しましては、全体を考えての決意をお伺いをしたいと思います。
#89
○国務大臣(中野寛成君) 議員御指摘のとおり、義援金詐欺につきましては、被災された方々に対する国民の善意を踏みにじる極めて悪質なものであるということから、引き続き取締りの強化と被害防止のための広報啓発に努めてまいりたいと思います。
 また、犯罪組織が得た収益は、おっしゃるように更なる組織的犯罪の資金として使用されたり、不正な事業の支配に使用されたりすることから、マネーロンダリングを防止することは極めて重要でございます。
 本法案が成立した暁には、改正法の効果的な運用等により、義援金詐欺の防止はもとよりのこと、一層のマネーロンダリング対策に努めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
#90
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 今、国家公安委員会委員長の方から御決意をお伺いいたしましたが、先ほどから何度もございましたように、やはりこのFATFにより実施された対日相互審査の結果で我が国のマネーロンダリング対策が、FATFが実際には各国がとるべき措置をまとめた四十の勧告及びテロリストへの資金供与対策のための九つの特別勧告の内容を十分に反映できていないということが判明したわけであります。
 そういう意味でも、やはりこのFATF勧告の遵守についての評価、これは四段階評価のうちの一番良い評価である履行が四十九項目のうちの四項目、それからおおむね履行が十九項目、そして一部履行が十五項目、一番悪い評価である不履行が十項目、そして適用なしが一項目となっている。これはそれぞれの委員の皆さんの質問の中でも、具体的にこういう評価の報告なども実際に質問の中にもございました。
 言えることは、やはり履行及びおおむね履行の割合の中で、日本は四八%、これはFATF加盟国の中で良いとは言えないわけですし、G8の各国に限定して評価いたしますと、米国が八八%、英国が七三%、イタリアが六三%、カナダが六一%、ロシアが四九%、ドイツが五九%、フランスが八〇%、そして日本が今申し上げましたように四八%というふうな、こういう結果になっているわけです。これが全体の我が国におけるマネーロンダリング対策の状況を正確に表す数字ではなく、一定の参考になるというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、この対策はやはり一つの国でやっていくことではなくて、世界的に取り組まなければいけないというふうに思っております。
 平成十九年三月二十九日、本委員会で犯罪収益移転防止法が可決された際の附帯決議には、犯罪による収益の移転防止及びテロ資金対策において、国際的な連携を十分に図ること、また、金融活動作業部の、いわゆるFATF等におけるルール作りにおいて、我が国の国情を踏まえつつ、主体的な役割を果たすことができるよう体制を整えることというふうにあるわけで、実際に我が国のマネーロンダリング対策に対するFATFの評価というのもこういう形で出ているわけですが、最後にその評価に対しての、どう変えていくか、そして今度のその十月のフォーラムに対する決意を再度お伺いいたしまして、終わりたいと思います。
#91
○国務大臣(中野寛成君) 今国会におきましてこの法案を提出をいたしました中で、大変優先的にこの法案を当委員会で、また国会でも取り上げていただいたこと、そのことについても感謝したいと思います。
 今先生御指摘のように、やっぱり国際社会における信頼度をいかにして日本が確立をしていくかということは大変重要なテーマであります。そして、この果たしている役割を思いますと、特に最近はテロの問題があり、そしてまた薬物の問題があり、そして、このFATFからはイランとともに非協力的な国として北朝鮮が名指しをされているわけでありますけれども、北朝鮮対策というのは、私は拉致問題対策も兼ねておりますけれども、やはりこれらを適切に適用することによってそれらのいろんな国際的な問題に対応する力も付けることになるわけでございますので、そういう視点をも考えながら、そしてまた、今先生が総合的におまとめいただきました御意見をしっかり肝に銘じながら今後努力をしてまいりたい、また十月の全体会合にもそういう視点で臨んでまいりたいと思います。
 ありがとうございます。
#92
○糸数慶子君 終わります。ありがとうございました。
#93
○委員長(松井孝治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#94
○委員長(松井孝治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(松井孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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