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1947/06/21 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第36号
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1947/06/21 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 予算委員会 第36号

#1
第002回国会 予算委員会 第36号
昭和二十三年六月二十一日(月曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 鈴木茂三郎君
   理事 庄司 一郎君 理事 苫米地英俊君
   理事 川島 金次君 理事 押川 定秋君
   理事 小坂善太郎君 理事 今井  耕君
   理事 大原 博夫君 理事 東井三代次君
      青木 孝義君    淺利 三朗君
      植原悦二郎君    磯崎 貞序君
      角田 幸吉君    上林山榮吉君
      古賀喜太郎君    島村 一郎君
      鈴木 正文君    鈴木 明良君
      西村 久之君    原 健三郎君
      本多 市郎君    本間 俊一君
      海野 三朗君    加藤シヅエ君
      田中 松月君    田中 稔男君
      中原 健次君    矢尾喜三郎君
      鈴木 強平君    圖司 安正君
     長野重右ヱ門君    笹森 順造君
      大神 善吉君    中村 寅太君
      世耕 弘一君    野坂 參三君
 出席國務大臣
        内閣総理大臣  芦田  均君
        大 藏 大 臣 北村徳太郎君
        國 務 大 臣 鈴木 義男君
        農 林 大 臣 永江 一夫君
        國 務 大 臣 栗栖 赳夫君
        國 務 大 臣 野溝  勝君
        國 務 大 臣 一松 定吉君
 出席政府委員
        経済安定本部物
        價局長     谷口  孟君
        大藏事務官   福田 赳夫君
        商工事務官   増岡 尚士君
        運輸事務官   藪谷 虎芳君
 委員外の出席者
        議     員 北  二郎君
        專門調査員   芹澤 彪衞君
        專門調査員   小竹 豊治君
    ―――――――――――――
 六月二十一日委員片岡伊三郎君辞任につき、そ
 の補欠として磯崎貞序君が議長の指名で委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 昭和二十三年度一般会計予算
 昭和二十三年度特別会計予算
 分科会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 この際お諮りいたしたいことがあります。本委員会の分科会を設定いたしたいと存じます。分科の区分、主査及び副主査の選任並びに分科員の配置等につきましては、先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
#3
○鈴木委員長 御異議ないようでありまするから、まず分科の区分を申し上げます。
 分科は四分科にわけまして、第一分科は皇室費、國会費、裁判所、会計檢査院、総理府、法務府及び大藏省所管並びに他の分科の所管以外の事項、第二分科は外務省、文部省、厚生省及び労働省所管、第三分科は農林省及び商工省所管、第四分科は運輸省並び逓信省所管、以上四分科を設定いたします。
 次に主査、副主査並びに分科員の御指名をいたします。
         第一分科主査 稻村 順三君
        副  主  査 田中源三郎君
  分科員は、
      青木 孝義君    淺利 三朗君
      植原悦二郎君    庄司 一郎君
      西村 久之君    鈴木茂三郎君
      田中 稔男君    田中 松月君
      中崎  敏君    米窪 滿亮君
      梅林 時雄君    小坂善太郎君
      大神 善吉君    東井三代次君
      野坂 參三君
         第二分科主査 押川 定秋君
        副  主  査 松本 瀧藏君
  分科員は、
      東  舜英君    島村 一郎君
      鈴木 正文君    苫米地英俊君
      海野 三朗君    加藤シヅエ君
      小島 徹三君    大原 博夫君
      世耕 弘一君
         第三分科主査 中原 健次君
       副  主  査 長野重右ヱ門君
  分科員は、
      角田 幸吉君    上林山榮吉君
      原 健三郎君    本間 俊一君
      岡田 春夫君    黒田 寿男君
      川崎 秀二君    圖司 安正君
      今井  耕君    叶   凸君
      中村 寅太君
         第四分科主査 笹森 順造君
        副  主  査 川島 金次君
  分科員は、
      磯崎 貞序君    古賀喜太郎君
      鈴木 明良君    本多 市郎君
      矢尾喜三郎君    鈴木 強平君
      鈴木彌五郎君以上であります。
 前日に引続きまして質疑を続行いたします。地方財政に関しまして大原博夫君。
#4
○大原委員 地方財政中の事業税についてお伺いいたしたいのであります。今ごろいかなる税も大したよい税のあるはずはないのでありますが、私は事業税なるものは最も惡い税の一つだと考えております。農業にかけるにいたしましても、これはすでに供出したものに対してはかけないということでありますから、問題がなくなつたのでありますけれども、農業は植付等についても、ちやんと政府の方から命令をしてそれぞれ植付反別もきめ、あるいはそれに対してでき上つたものは供出もさせ、價格も政府においてきめているというようなことで、ほとんどこれは國家管理と同じ状態にあるのであります。これが供出についてはかけないということになれば、事業税の大半を失つたものだと私は思うのであります。ついては漁業についても、やはり供出したものについてはこれに税を課さないという結論になるであろうと思いますが、その点をまずひとつお聽きしたいのであります。
 なお私は医師でありますが、医師、産婆は法律においてすでに規定されて義務を負わされておりまして、その上に法律上の義務でなくても、あるいは町村医であるとか、あるいは校医とかいう点につきましても、一年に百円とか何とかいうようなきわめて少額なものでこれに從つている。また戰時中等には銃後の救護にあたるというので、まつたく軍隊と同じようなものを無報酬で防空救護に協力をさせておつたこと等も、ことごとくこれは医師は営利でなくして、公益事業であると考えたその結果でありまして、今日までまだ営業税を課していないのであります。医は仁術であるということについては今日の医師にもいろいろ惡い者もおりますけれども、大半はそういう考え方をもつておるのであります。なお医師に対しまして統制をするということを近ごろまで医師会においてやつておつたのでありますけれども、その医師会は改組されまして、今後は自由加入で、從つて医師会がこれを統制することはほとんど不可能な状態に陷つた。なお医師会の中においても、これの統制に違反するような惡い者は処罰するというような機構を設けておりますけれども、自由加入であつて、脱退すればそれきりで、これを処罰するような権利は、医師会にはなくなるのであります。いかにしてこれが統制をとるべきであろうかと考えておつたのでありますけれども、今日また進んで営業税に代るべき事業税がこれにも課せられるということになりましたならば、ほとんど医師を適当に統制し指導していくということは、不可能な状態になつてきたのであります。なお大体医師にも二種類あるといつてよいのであります。都会のようなところでは、それぞれ自由的な開業をいたしておりますが、一方には社会保險、殊に國民保險等にのみ沒頭しているような医者があるのであります。これらの社会保險、國民保險等の状態を見ますと、きわめて安い價格をもつてこれを治療させておるのであります。しかもその請求書は、一々査定をしているというような状態でありまして、これに事業税を課するということは、まことに不都合なことであると存じております。その一点單價のきめ方等につきましても、御存じでありましようが、去る四月までは一点單價わずか三円五十銭でやつておつたのであります。最近ようやく上がつて六円になつたという状態であります。この六円になつたものも、小さい経営をいたしますればともかくでありますけれども、ほとんど赤字の続出をしているというような状態であります。こうしたものに事業税をかけるのは、私はとうてい経済上の点から不可能だと考えております。こういうふうに医者にも大体二種類があるのでありますが、社会保險、國民保險をやつておるような医者は、他にこれを完全に轉嫁する途はありませんし、また事業税をとる余地もない。これらの社会保險に從事してない医者は、これに事業税を課しますならば、この事業税ぐらいは何でもなく、これは医者が負担をするのでなくして、これを患者にかけるのであります。國民はこの上ない不幸に陥ると、私どもは考えておるのであります。從つてこうしたものをかけて、わずかに税を稼ぐというようなこの税は、惡税だと断ぜざるを得ないのであります。なお医師の数はきわめて少いのでありますし、かつたくさん軍医が帰つてまいりましたけれども、ほとんど完全なる医院を経営しておるものはないのであります。從つて家賃の拂えないもの、あるいはわずかにある配給さえもとれないというような状態であかまして、これに税をかけても大した税のあるはずはないのであります。私はむしろ医師を道徳的にしばりつけておいて、そうしてこの事業税も医師にはかけないのである。あるいは産婆にはかけないのである。從つて今までのような医道に從つて治療すべきである。こういうふうに道徳的にしばりつけてやつた方が、最も適切な方法だと私は考えておるのであります。その点につきまして、経済上にどれだけもとれないこの事業税を、強いて医師からもとろうと思うそのお心持、またむしろ轉じて道徳的に医師をしばりつけて、このわずかな事業税をやめて、そうして営業的氣持をもたない医師をして國民を治療せしむる方が、國民のためによいのじやないかと思う。また先般も事業税反対に対しまして、医師会のものが会合いたしまして、その席上においていろいろな議論が出ましたが、大体五割近くの数というものは、われわれが食えないとか、経済上の理由を言うてくれるなと主張した医師がありました。これらはなお昔の医道に立てこもつておる人たちでありまして、これらをして自由放漫な営業氣分をもたせることは、まことに國民のために不利益なりと考えるのでありますが、この点に対するお考えもひとつお聽かせを願いたいと思います。この点については産婆も同様であります。他の弁護士諸君のことについては、私知りませんが、医業、農業、漁業についての御所見を承りたいと思います。
#5
○野溝國務大臣 大原さんにお答えいたします。まず事業税は惡税だという御所見でございます。大体ひとり地方税ばかりでなくて、國税においても何様でございますが、現下の情勢のもとにおきましては、戰前における大衆課税今日必ずしも大衆課税ということには当らぬと思います。しかしまたその税の中に非常に割り切れない税金があるということについては同感でございます。その一つとして事業税があげられておるようでございますが、事業税も、私は必ずしも妥当な税というふうには考えておりません。しかし御承知のように、地方の財政が非常に枯渇しておるのでございまして、この地方財政の枯渇を補うには、何と言いましても中央地方の財政調整、特に地方財政に対する國家の財政の移讓なり、あるいは税種税口の移讓なりを行うのでなければ、なかなか自主的な地方財政の維持ができない状態になつております。御案内のごとく、地方におきましては、ほとんど直接税でありまして、彈力ある間接税というものではないのであります。そこで中央と地方財政との調和の点につきまして、大いに努力をしたのですが、未だ解決をし得た点の範囲だけでは、とうてい地方財政の維持ができませんので、そこで地方におきましては、新たに独立新税なり、あるいは税率の改正なりを行つた次第であります。その新税の制定の中の一つとして事業税が創設されたのでございます。大原委員も御承知のごとく、特に地方財政の主軸をなすべきものは営業税でありまして、その営業税の範囲を拡張いたしまして、今回事業税ということにしたのであります。そこで事業税につきましては、原始産業と自由職業を事業税の範囲に入れました。しかしいろいろと御意見がありましたので、特に事業費の中へ入れました医者、弁護士、助産婦等に対しましては、これは普通の事業と見ることはどうかという御意見もありましたので、それを掲げまして今回は特別業務税としてこれを徴收することにしたのでございます。なお医師、助産婦につきましても、特別應をその他のいろいろの義務づけもありますので、この点は勘案をいたしまして、從來事業税の中の自由職業の課税率でありました百分の十を今回は百分の八ということにいたしまして、特にその國家義務的な仕事に専念從事してもらうという建前から百分の八として、名も改めて特別業務税とした次第でございます。さよう御了承願いたいと思います。
 なお漁業につきましては、これまた主食をやるものと同様に、供出の対象になつておるものであるから、これをやめたらどうかという御所見でございます。今回主食に対しまして事業税を省いたのは、單に供出というだけで省いたのでありません。主食につきましては、何と言いましても日本の生産の基礎であり、インフレの大きなる原因ともなつておりますので、主食の点に対しては、日本國内において自給態勢のできるようにしたいという心構えから、かつは今日外資導入と言いましても、そのおもなる面は食糧でありまして、それが二百万トンも輸入をしておるというような状態のもとにおいては、いつインフレが解決するか、いつ外資導入の光明が得られるかというようなことも、いろいろと勘案いたしまして――特に主食に対しましては、物の裏づけのないのに一割増産を強いておるという状態であります。なお農地改革、日本農村民主化のために、十月末をもつて一應第二次農地改革を完了しなければならぬという際にあたつておるにもかかわらず、未だその解決を見得ざる事情のもとにおきまして、特に日本の農村民主化を阻むものというふうにも考えますので、これらをいろいろ勘案いたしまして、特に主食につきましては、一應これを事業税の対象とすることを省くということにしたのであります。よつて供出という面から見まするならば、確かに魚なども部分的には供出の対象となつておりますが、蛋白給源の意味において、あるいは主食という定義はあてはまるかもしれませんが、國民生活の量的解決という点においては、その比ではないという点においても御了承願いたいと思うのであります。大体以上の点から、この点差等を設けた次第でございます。
#6
○庄司(一)委員 野溝國務相に伺いたい。地方財政関係の質問の一点は、御承知の通り今や全國都道府縣並びに市町村の財政は、極度に疲弊困憊の状態に陥つておりまして、六・三制による学校校舎等の建築はむろんのこと、あるいは水害、災害等によつて、多少の國庫補助の依存によつてのみ完成され得るところの地方道府縣市町村等の中小河川、あるいは重要河川等の改良、改修、災害復旧等の工事費、これらの点において極度に金詰りの状態に陥つており、いかなる新しい地方財源をもつて充当すべきかということは、いづれも地方の市町村の大きな悩みの種、財政上の癌と相なつておるのであります。ただいま議題となつておりまする昭和二十三年度一般会計の中に、あなたの所管であられる都道府縣市町村に対し、地方分與税分與金四百四十九億余万円の分與をなさる、あるいは地方建設費の國庫負担金の二十八億九千余万円、その他國庫補助、國庫交付金等々の合計において、約一千億近いものがあるであろうと推定されるのでありますが、それら分與金あるいは交付金、助成金等によつては、とうてい現下における市町村の財政は打開されないのであります。一昨日の本予算総会における公聽会等においても、全國町村長代表である生田和平君が、るる町村財政の現下の情勢を述べられました。まことに悲痛極まるところの財政の状態に相なつておる。たとえば六・三制関係の完成のために、政府の六・三制関係に対する補助金が少いので、少くとも一戸平均が二千円、最高五千円程度の寄附金を、税同様の割当において市町村民は納付しなければならぬ、寄附しなければならぬというような物語りもございました。市町村では縣民税のほかに、当該町村の町民税、その他いろいろな町村の独立税、あるいは附加税等々のみが租税、公課ではない。野溝さん御承知の通り、市町村等においてはほとんど税にひとしい、まつたく税と同じ性格をもつている、たとえば國民健康保險組合の組合費であるとか、あるいは農村においては水利組合の組合費、あるいは灌漑用水を完璧ならしめんがための電力の組合費、あるいは農業協同組合の組合費、あるいは野溝さんが多年御体驗の畜産関係の協同組合の負担金、あるいは最近はユネスコ教育運動に対する会費、あるいは社会運動等に対する共同募金の應募、あるいは教師父兄の会と称するP・TAの割当会費、かようなこと等を総合すると、市町村民の現下における一箇年の負担というものは、公課、租税とわせますと、私の推定的な調査によると、一戸当り約七千円を超過しておるのであります。國税を合わせますと、御承知の通り國税及び公式なる地方税の負担は、一人当りが五千三百七十円と政府の参考書類においては、発表されておる。すなわち一戸平均が二万七千八百五十円に相なるのでございます。でございますから、ただいま、るる申し上げたような税に匹敵する、税の性格をもつている、強制力をもつている。その負担金の合計を合わせまするならば、優に一箇年一戸平均が三万円を超えるものだ。ほとんど國民の、あるいは地方民の公課、租税の限界点を突破している。かような場合における市町村の財政が、いかに困難な状態に陷つているかということは、その方面の権威者であり、また当面の指導監督の役割にあるあなたとしては、よく御承知のはずであると思うのであります。よつて新しい財源を市町村等に與えるお考えはないか。たとえば酒の最終販賣小賣に対し、酒の消費税として賣上高の一割程度に該当するものを、市町村の新しい財源として、恒久性をもたせて與えるところのお考えはないか。またその他に何らかの方法をもつて、市町村の財政の安定をはからしむるところの施策がないか、かようなことについて、國務相の一應の御意見を承つておきたいのでございます。
#7
○野溝國務大臣 庄司委員からの御説ごもつともでございまして、地方財政といたしまして文字通り困つている点につきましては、先般生田君からのお話によりまして、御了承願つたと思います。なおせんだつて野坂委員からの御質疑の際にも、特に私申し上げておいた次第でございますが、せつかく庄司委員からの激励を加えた御質疑のようでございますので、この際一つ申し上げてみたいと思います。
 昨年、昭和二十二年度におきまして、地方財政といたしましては、九百七十二億ばかりの予算であつたのでございます。それが本年度は千九百五十五億、実はそれがまた、六・三制の殖えた点から修正をされまして、二千億を突破するようになつてきました。よつて前年度の倍額以上の予算を切り盛りしなければならぬ状態になつたのでございます。ところが昨年の自治体の財政の経理にあたりましても、御承知のごとくその張尻におきましては、百二十億の起債と五十五億の借入金をもつて、どうかこうかつじつまを合わしたという状態であります。かような状態のところに、その倍額にもなるような予算を組むのは何事かということになるのでございますが、これにつきましては、六・三制の新教育制度の問題と、かてて加えて災害復旧によるところの地方負担、なおそれをより一層強めたものに最近の賃金ベースの増加による補正の問題、こういうような点から、新規事業といたしまして六百億近くのものをこの予算に計上しなければならぬことになり、それに附随いたしましていろいろの諸費用がかさみまして、倍額になつたという状態でございます。かような状態であつて、地方財政としては、よぼどここで革命的措置を講しなければ、地方財政の負担というものは、限界点以上に達してしまうのでございます。特に庄司委員も御承知のごとく、地方財政のこの財源は、一体とういうふうにしてやるかということになりますならば、一千七十億が租税收入であるのでございますが、あと五百何十億かが國庫からの支出、それから公債による二百八十億ばかりと、あとは使用料が七十何億、これによつて賄つておるのでございますが、この一千七十何億の租税收入の主なるものは何かと申しますると、これは営業税が地方においては、主なる財源になつておるのでございますけれども、営業税を今度は非常に各方面から、大原委員あたりからも御意見がありまする通り、今度はその範囲を拡張いたしまして、そうしてこの財源を求めておるのでございます。しかしこれだけではとうてい賄つていくことができませんので、何とかして、國に直結した仕事でありまするところの六・三制の事業であるとか、あるいは警察の事業負担であるとか、あるいはその他災害復旧事業であるとか、こういう公共性をもつたような事業に対しましては、國が賄うか、さもなければ、國としてこの予算に対する解決をしてもらわなければならぬ。これにはどうしても地方に財源を移譲してもらうことにしなければ、賄つていくことができないということから考えまして、特に入場税と酒・タバコの消費税、入場税約七十何億、酒・タバコの税金は二百四、五十億、この財源を地方へよこしてもらいたい、そうするならば今申し上げましたような六・三制の教育施設の問題、あるいは自治警察の問題、公共事業等に対する裏づけの問題等を賄つていくからということで案を出したのでございますが、遺憾ながらその解決を得ることができず、入場税の委讓を受けたのみで、酒・タバコの消費税という彈力的な税は委讓を受けることができないので、遺憾ながらその補填策といたしまして、二百四十億の起債、政府が責任をもつてこの融資斡旋をするということで、一應けりをつけた次第でございます。
 以上の事情でございまして、今後の地方財源をいかにしてやつていくかということにつきましては、近い機会に今議会に地方財政法、地方税法及び地方配付税法という法律案を出しまして、要するに地方税制の根本的な中央地方の税制の区画を明確にしなければならぬという法律案を近い機会に出しますので、この法律案が御審議、御檢討の結果、御決定になる場合におきましては、地方財政の確立は相当目鼻がつく、かように信じておる次第であります。
#8
○庄司(一)委員 野溝さんに対する質問はこのくらいにしまして、法務総裁に対して質問いたします。
 ただいま議題と相なつておりまする昭和二十三年度の一般会計予算の中に、法務廳主管関係の刑務所関係の予算が出ております。十一億九千三百余万円、しかして在監者の一箇年の働き高による收入が五億何千万円という收入関係に相なつておりますが、本予算総会の公聽会等においても、ある口述人は現在の在監者の八万何千人の能力を最も有効適切に稼働させることによつて、少くとも三十億の生産高をあげることができ得ると思うというような一つの考察がありました。本員は在監者を労働基準法以外にこれを駆使して、いたずらに生産額を上げさしたいというような意味の考えはもつておりません。ただ法務総裁に特に御注意を申し上げて、刑務所在監者がほんとうに在監の生活が、將來改過遷善の一つの教育道場であるというような信念の上から、愉快に働き得る――獄内に拘置されておつて、愉快というのはあたりませんけれども、しかるべき快適なる生活をなし得るように指導していかなければならぬ。それには以前請願等においても御要求を申し上げておつたのでございまするが、明治四十何年かに発布された監獄法――監獄の名前が刑務所にかわつておる今日においてもなおかつ監獄法という法律のもとに、監獄官吏によつては相当監獄法によつて、未だに圧制的な旧式な取扱いをやつておる。かような意味において、刑務所の受刑者が自然、自暴自棄となつて不愉快な状態に陷つて能率が上らない。また下級官吏であるところの看守等が、待遇が惡いがために指導力を失なつておる。現に最近宮城縣の矢本という刑務所において、亞炭を掘つておるところの受刑者を指導しておる看守人は、一日三食の食事が三円五十銭である。これではとうていわれわれは、受刑者を戒護しながら指導することが能わないがゆえに、その食糧を増してほしいというような陳情書が、刑務所長を通して本省の方に出ておるような状態である。そこで私の質問の要点は、決して昔のように刑務所は單なる懲罰の機関にあらずして、少くとも行刑的の大きな社会教育の道場であり、彼らに十分の精神的慰安を與え希望も光も與えて、愉快に働けるような措置をとるために、総裁はどういうお考えをもつておるか。またそれに即應させるためには、根本的には監獄法というような旧式なものを改めて、新しい行刑上の法律が必要ではないか。監獄法を少くとも憲法附属の法律として、あなたはいつ立案され、これをいつ國会に提案されんとするのであるか。かようなことを本予算に関連して、まずあなたの御意見を承つておきたいと思います。
#9
○鈴木國務大臣 ただいま庄司委員から、刑務所の作業その他の改善について御質問であります。実は刑務所の作業をもつと経済的なものに組み替えなければならないのではないかということは、前から問題になつておることでありまして、それぞれの專門家を煩わして調査はいたしておるのであります。ただ御承知のごとく、刑務所というところは、單に生産をすればよいという所ではないのでありまして、受刑者を改過遷善するために、若干の規律的な苦痛を與えなければならないのでありまして、そういう意味では経済本位にだけこの経営を考えるわけにはいかぬのであります。從つて経済的にはそろばんのとれない場面も多々あることは、御了承願わなければならぬのであります。それにしても、できるだけ能率をあげるように、また國家の負担を少なからしめるようにいたしますることが望ましいことでありまするから、それらの点につきましては、それぞれどういう作業を刑務所に設けたらよろしいか。またそれをどういう形でやつていくことが経済的であるか。また受刑者をしてそれぞれの業務に修練させる機会を得させることになるか。またそろばんがとれるかというようなことを調査いたしておるのでありまして、それらの調査ができるに從つて御報告もいたし、また採用すべきものは採用いたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
 なお刑務所の経営、やり方、それらはすべて根本的には監獄法の規定するところでありまして、現行監獄法が、すでに明治時代にできたものであつて、新時代の要請に副わない、部分的には最近改正をいたしている点もあることは御承知の通りでありまするが、全体としてこれに大改革を加えなければならないという考えをもちまして、御承知のように昭和二十二年の五月に監獄法改正調査委員会を設けまして、一應の立案を得たのであります。これに基きまして、その要請はすでに発表いたしてあるのでありまするが、司法省におきまして、監獄法改正草案というものを起草いたしたのであります。これが完結いたしますれば、國会に提案いたす予定であつたのでありまするが、司法省の廃止、法務廳の新設等に累せられまして、遺憾ながらこの國会に提案する運びに至らなかつたのであります。しかるところ、この法務廳の発足に伴いまして、刑の執行と犯罪の予防、犯人の矯正、出獄後の保護、それらの仕事を一つの統一的見地から一貫してやつていかなければならない、こういう考え方が強く相なりまして、法務廳にも矯正三局を設けたような次第でありまして、これに順應するようにいま一度つくり直す必要を感ずるに至つたのであります。ただいま第二草案を起草中であるのでありまして、これはぜひ次の國会に提案をいたしまして、御協賛を願いたいと考えておる次第であります。その一部分といたしまして、この國会に御承知のように犯罪の予防、矯正並びに犯人の更生に関する法律というような法律案を提出いたしまして、その予防並びに犯罪後の復活更生に関する取扱についての國家の態度を法文化いたしましたものの御審議を煩わすことに相なつたのでありまして、これと監獄法との改正ができまするならば、ほぼ完璧を期することができるのではないか、かように考えておる次第であります。
#10
○庄司(一)委員 第二に話しておきたいことは、昭和十四年に制定されたる司法保護事業法という法律は、これは御承知のごとく、戰爭中においてはきわめて官僚的な、統制的な、そうして中央集権的な法律であつたように思うのであります。そのためにここに理解ある篤志家であつて、司法保護事業を地方において起したいと考えても、その事業法に縛られて保護指導上のそういう聖なる仕事がなかなかできない、かような状態に相なつておるが、現行の司法保護事業法なるものを、よりよく改善するお考えを法相はもつておりませんか。
#11
○鈴木國務大臣 司法保護事業法も、たしかに仰せられますように古い法律であり、同時に官僚的な色彩が強いということは、否定することができないと存ずるのであります。この司法保護は、今日の國家におきましては、最も力を入れなければならぬ仕事の一つでありまするので、先ほど申し上げましたように、行刑と保護とを一環といたしまして、その間に統一的な有機的な関連をもたせまして、新しい制度を考えておりまするのが、ただいま政府の立案しておりまする監獄法であり、犯罪の予防更生法であるのであります。これらを運営していきまする方法としては、内閣総理大臣を委員長とする最高級の委員会を組織いたしまして、法務総裁、文部大臣、労働大臣、厚生大臣、その他民間の学識経驗者を委員といたしまして、國家における最高の運営機関をつくりまして、それがこれらの新しい時代の司法保護の仕事に任ずる、こういう建前であるのでありまして、これが完備いたしまするならば、ほぼ庄司委員の御期待に副い得るようなことに相なるのではないか、かように考えておる次第であります。
#12
○庄司(一)委員 もう一、二点伺いたいと思います。
 公職審査の資格調査表の第二ページには、かつて逮捕、監禁あるいは裁判所の判決を受け、恩赦あるいは仮釈放、即決等々に関する前歴のある者は、全部それを書けよということになつております。有権者より要求があれば、國の選挙管理委員会において、あるいは地方都道府縣、あるいは市町村等の管理委員会において、これは公に見せなければならないものであることは、御承知の通りであります。一方においては刑余者を保護するために、また刑余者の前途に希望をもたせるために、前國会においては刑法第三十七條の第一項かにおいて、いわゆる一定の年限を経過せるものは、その前科を抹消することがうたわれてきたのであります。これはきわめて当然のことであります。しかるに一方においては、かりに五十年前に逮捕、監禁された事実がありましても、あるいは刑を受けた事実がありましても、そうしてそれが大赦を受け、恩赦を受け、すでに数十年前に復権になつたことであつても、資格審査の調査表の第二ページには書かなければならない。もしそれを書かなければ、昭和二十二年勅令第一号第十五條に該当する犯罪として罰せられることになつておる。現にただいまさようなことのために告発を受けておる人が数名あると聞いておりますが、かようなことは、非常に野蛮な旧式なやり方であると考えますが、資格審査に直接関係をもつておる主管大臣としての御所見はいかがでありますか。
#13
○鈴木國務大臣 御質問の点はごもつともでありまして、実際の取扱いの上では、まことに遺憾な点があるのであります。なるべくこれらのことは人に秘したいことであり、またすでに非常に年月が経つております逮捕監禁であるとか、前科であるとかいうことは、他人の前に公にしないことが、國家としても望ましいことであるのであります。ある意味における人権を保護することに該当すると思うのでありまして、しかしながら、またその人の経歴全体を審査しなければならぬという立場からは、一廳過去の歴史的事実としてありましたことは、すべて書き出すということに、勅令は命じておりますので、この矛盾はまことに困るのであります。実はその点について関係方面とも相談をいたしたことがあるのでありますが、占領早々の際には、どうしてもこの追放の適格について考査するためには、たとえ法律上はすでに効果を失つております古い逮捕監禁その他の事実でありましても、一廳知ることを希望する。決してこれを他人に示すことが目的ではない。審査の万全を期するためのものでありますから、そういう意味において、その点を留保することはできなかつたのであります。すでに一通りの審査を終つた後でありますから、今後においてはそれほどの必要はないのではないか、少くとも法律がすでに免除しておるていの前科というようなものは、これを記載することを必要としないというふうに改めたいという希望を政府ももつております。できるだけ早い機会にさようにいたしたい。関係方面とも連絡をいたしまして、さように修正をいたしたいという希望をもつておるということを申し上げておきたいと思います。
#14
○庄司(一)委員 公職資格審査に関連していま一つ伺つておきたい。それは過般の最後の資格審査の発表においてたとえば蝋山政道君などは解除された。私は蝋山君の資格をただいま云々せんとするものではありません。これと比較して、たとえば本員の先輩である杉山元治郎君のごとき、ただ單に東條内閣の翼賛会の推薦を受けただけである。それもそんなものは受けなくとも同君においては当然当選されたはずである。しかるに參議院においては松本治一郎君は、多年水平運動をやつたという意味でありますか解除されておる。杉山君のごときは、わが國農民運動の先駆者である。あるいはある時代の無産堂の委員長である。賀川豊彦君の出しておつたキリスト教の雜誌には、毎号々々國際的な平和主義を唱え、戰爭反対を唱えてきた人である。しかるに蝋山君のごときが解除されて、杉山君のごとき程度の者が解除されないということは、どうしても納得できない。杉山君のほかにも多数実例がございますが、最もわかりやすく申しますれば、松本治一郎君が解除されて杉山元治郎君が解除されない理由はどこにあるか、私は納得できない。あなたはどういう実感をおもちになつておりますか。これをお取扱いの法務廳の立場から、ひとつ伺つておきたい。
#15
○鈴木國務大臣 御質問の点は非常にデリケートでありまして、政府の責任者として、それに対してお答えするわけにはまいらぬと思うのであります。ただ私個人の感想を述べろということであれば、述べないわけでもありませんが、それは御質問として非常にむずかしいことでありまして、お答えをすることは――過日樋貝君からも同じような趣旨で均衡論の御質問があつたのでありますが、これはまつたく見方によるのでありまして、追放の問題は均衡がとれないというならば、一人ずつ均衡がとれないのであります。すべて公平にというわけにはいかぬ。また翼賛議員は全部いけないということが原則であつたのでありまして、その点から蝋山君だけが例外になつた。なぜ例外になつたかということは、私の聞いておる若干の理由はありますけれども、ここで発表をすることが正しいかどうか存じません。たとえば御指摘の杉山君のごとき、許されてしかるべきであるということにつきましては、私も少しも異存はないのであります。心からそれを希望し熱望しておつた一人でありますが、翼賛議員であります以上はやむを得ない、こういうことであつたわけであります。さよう御承知を願いたいのであります。
#16
○庄司(一)委員 この問題はこれ以上つつこんで伺つても公にはお答えできないという前堤もあるのでありますから、個人の鈴木君の御意見を拜聽しても何もならないし、これ以上お伺いすることはむだでございますが、最後にお伺いしたいのは、例の西尾問題でありますが、稟請事件があつて以來すでに本日で十日になります。ところが何か不備の点があつて再調査を檢察廳に命ぜられたという本会議における御答弁でありましたが、過去十日間の日数を閲しておるが、あなたの指導監督を受けておる檢察廳の第二次の御回答はまだありませんか。この一点を伺つておきます。
#17
○鈴木國務大臣 西尾君の問題は本会議でもお答えをいたしましたように、別に再調査を命じたというほどのものではないのであります。納得のいかない点を質問をいたしたにほかならぬのでありますが、それに対してはまだ答えは得ておらぬのであります。答えを得ましたならば、適当に考えようと思つております。しかし稟請があつたならば、いつまでに決裁をしなければなならいという期限は附されておらないのでありますから、このことにつきましては、御了承おきを願いたいと思います。
#18
○庄司(一)委員 法務総裁は個人的に社会的にただいま非常な誤解の焦点になつておる。もしこれがあなたの所属政党の反対党でありますならば、少々不備な点があつたにしても、とうにあなたは決裁しておつたのではないかと思います。あるいは將來総理大臣の同意を強いてあなたは受けておつたのではないかというようなうわさがこもごも立つておる。あるいは平野君の追放問題の際においてもお聽きでありましようが、相当あなたに対してはいろいろな評判が立つておる。僕は一個の個人としてあなたをよく知らないが、特に法務総裁は英國の大法官のようなものである。あなたの地位において、ほんとうに良心的な行動を私は要望してやまない。もしうわさのごとくんば、一体最高の檢察廳ともあろうものが何ゆえに不備の点のある書類をあなたに稟請されたのでありますか。これは將來のためにもぜひお伺いしておきたい。しこうしてどういう点が不備であつたか。具体的なことが言い得ないならば、せめて大体の輪郭でもいいからお示しを願いたい。
#19
○鈴木國務大臣 どういう質問をしたかということについては、適当な時期がまいりましたならば申し上げるつもりでおります。またどういう稟請であつたかということも発表いたすつもりでありますが、なぜ稟請を押えておるかという趣旨の御質問であるといたしますならば、これは諸般の状況を勘案して、適当な時期に決裁をすべきものであると、私は考えるのでありまして、殊に西尾君を起訴するという問題は、起訴の時期が非常に大切な意味をもつておると思うのでありまして、現職の大臣であり、この内閣において重要な仕事をしております人を起訴するについて、稟請したときに起訴しなければならない理由があるかどうか。むしろ適当な時期まで待つことが、政局全体の上からも必要なことではないかというようなことを考慮しなければならぬと考えるのであります。そういう意味において、私は愼重に考慮して、適当な時期に決裁をいたすつもりであります。
#20
○庄司(一)委員 法務総裁は、さきに新聞記者会見のときに述べられた談話にあるように、あなたの潜在意識あるいは先入主が、同僚である西尾君を助けたいという心理状態で動いておるように見えてなりません。それは大法官として私ははなはだ惜しんでやまない。政局云々あるいは諸般の事情を勘案してということは、それは市井の一個の無頼漢であつたならば、ただちにこれをひつくくり、特権階級であるがゆえに、まあ適当な時期にというようなお考えは、司法権の独立を擁護する上においてどうかと思いますので、いま一回あなたの御信念及び御回答を要請してやみません。
#21
○鈴木國務大臣 結論的に申し上げますならば、少しも私は西尾君を庇護する、特別に扱うとかいう考えはありません。但しすべての人は法のもとに平等でありますが、ただ現実に内閣の大臣であり、殊に重要な役割を努めておるものであるということは、考慮の中におかなければならない。そのことについて起訴するということがかりにきまつておるといたしましても、起訴の時期というようなことは、十分に考慮して差支えないことであり、――差支えないどころではない、十分に考慮すべき必要のあることであると考えます。ゆえに、そのことを御了承を願いたいと思います。
#22
○庄司(一)委員 法務総裁に対する質問はこれで終りますが、最後にぼくはあなたに一言提供しておきたい。われわれ日本國民は憲法の前に、法律の前に、このわれわれの人権も権利もすべての法の待遇も平等であらねばならぬ。にもかかわらず、國務大臣であるがゆえに、その起訴をぼやかして、第二回の國会でも終つた後においてゆつくりやるというようなお考えは、ほんとうに鈴木君の良心的なお考えでございますか。われらは眞にピューリタン的な教育を受けてきた。そういうような、ことさらに自分の所属党員であり、あるいは國務大臣として、同僚なるがゆえに、あなたの良心までも糊塗して、さようなあいまい模糊な態度をとられるということは、あなたのこの後の長い生涯において、大きな汚点を残すであろうことを私はおそれる。私はこの上あなたの答辯をとろうとはしません。けれども、あなたはあなたの公人としての一身上を取巻いておる國民的な疑雲を、一刻も速やかに拂式されんことを要望してやまないのであります。御答辯は要りません。
#23
○鈴木委員長 上林山君から関連事項について、簡單にということでありますから、特に上林山君。
#24
○上林山委員 法務総裁に私はこの問題についてお尋ねいたしたいと思います。ただいま庄司委員との問答において、私は腑に落ちない多くの矛盾を感ずるのであります。そこでまず第一にお伺いをいたしたいことは、稟請書がきて、その書類が不備であるということについての具体的な御披瀝がないのを遺憾とするのであるが、その前にまずその不備であるということは、事務的な不備であるのか、あるいはその内容的なものであつたのか。その点をまずお伺いいたしたい。
#25
○鈴木國務大臣 不備という言葉が適当でないのであり、また事務的という言葉も適当でありません。内容的という方が、いくらか近いとは思いますけれども、内容的に私がさらに知りたいことがあつた、かようにお答えをいたしておきます。
#26
○上林山委員 不備という言葉も適当でない。あるいは事務的の手続に不備な点があるということも適当でない、いくらか内容に関係があるけれども、ただ自分は知りたいという意味で、これを調査を命じたのである。こういうふうに、私軽く受取りましたが、その点に間違いはないでしようか。
#27
○鈴木國務大臣 それで間違いないです。
#28
○上林山委員 しからば、私お尋ねいたしますが、その根本において、西尾君は当然近い時期に起訴すべきものであるというあなたの御見解はどうでありますか。その点をお伺いいたします。
#29
○鈴木國務大臣 それをお答えいたすことは、非常にむずかしいのでありますが、特別の変化がない限りは、おそらくはこの稟請に対して、私が決裁をいたすべきときがくると思うのであります。すなわち決裁するときは、起訴すべきものであると認めるときである。こう申してよかろうと思います。
#30
○上林山委員 近いうちに決裁をしなければならぬ時期がくる。そのときには、おそらく起訴としての決裁であろう。こういうふうに承つたのでありまして、われわれは單なる不備な点、あるいは内容を檢討する上において参考になる資料を集めるという意味においては、ある程度諒とせられるけれども、その内容までも指揮監督する権限は法務総裁にはない。もし、そういうことをやるとするならば、檢察廳に対する一種の威圧であり、彈圧である、こういうふうに考えますので、おそらく近い時期に法務総裁は起訴にしなければならぬという内容をもつた決裁をやらなければならぬ、こういうふうに考えるのであるが、その点はどうでありますか。この点をまずお伺いして、最後に委員長にお願いしたしのであるが、しばらく一、二回の質問を許してもらいたい、こういうことを私は希望いたします。
#31
○鈴木國務大臣 今の御質問に対しては、すでにお答えがすんでいると思うのであります。
#32
○上林山委員 しからば、私が反複して申し上げたように、それは内容に重大な変化のない限り、これは記訴すべきものであると、法務総裁は考えている、こういう認識のもとに立つて、私はさらに質問を続行したいのであります。
 まず私は先ほどの庄司君に対する御答辯の中に、いつの時期にこれを決裁をするかは法務総裁の自由である。なるほど端的に考える場合に、そうことが考えられるのであるけれども、私はそうは考えない。今日政界を不明朗にしているものは何かというならば、西尾問題である。この政界の混迷を除くために、重要な國務の一つであるこの問題を、法務総裁が、いかなる意図があるかしれないが、躊躇逡巡して、その決裁は自由である。こういうふうに御答辯になることは、私どもはまことに不可思議に思う。こういう混迷な問題を取除くことによつて、政界は明朗になり、國務の澁滯は取除かれて、すべての懸案が早く解決できる。これこそ急がなければならぬ問題であると、私は考えるのであるが、これに対して、決裁は法務総裁の自由である。いつこれをしなければならぬということはきまつていないから、自由である。こういうふうに御答辯になるのは、一体どういうことであるか。私はこの点を第一にお尋ねいたしたい。
 さらに続いてお尋ねしたいことは、國務大臣は重要な地位であるから、適当な時期がくればと言われるが、一体あなたの胸の中に画いている適当な時期とはいつか。われわれが考えるところによれば、いわゆる内閣の瓦壊あるいは本予算の通過、こういうものとからみ合わせて、西尾問題を政爭の具にしている。政府側が特別に政爭の具にしている意図が濃厚である。こういうことが考えられるので、この点はまことに遺憾に考えておるのであります。この点について、あなたの考えておる適当な時期というのは一体いつか。この二点について明確なる御答辯を要求いたしたいと思います。
#33
○鈴木國務大臣 適当な時期ということは、諸般の状況から考えて出てくる結論でありまして、ただいまここであらかじめ申し上げることはできないのであります。すなわち適当なる時期がまいつたときに、初めてその時が明示されるわけでありまして、それまでお待ちを願うほかはない。從つてさようにお答えを申し上げます。
#34
○上林山委員 適当な時期というのは、諸般の事情を勘案して適当な時期ということになるのであるから、それまでお待ちを願いたい。まことに答辯に窮した御答辯のようにも思うし、あるいはまた政治的謀畧を含んだ意味にもとれるのでありまして、私まことに遺憾であるが、もう一歩何月何日に、あるいはこういう諸般の事情のときにというようにはお答えできないかもわからない。しかし今あなたの御答辯では、これはあまりにも抽象的であるから、私はもう一歩胸襟を開いて、お互いに政府党であるとか、野党であるとか、こういう感情や作戰を抜きにして、もう少し一皮むいて、日本のこの國情をどうするか。政界の不明朗をどうするか。こういうような大乘的見地に立つて、いわゆる同僚をかばわんとするあなたの小乘的な氣持はわかるけれども、そうでなく大乘的な見地に立つて、法務総裁として適当な時期というのは大体こういうように考えている。その点くらいは私はお漏らしになつても、これは國民のために、あるいはまたあなたの属する政党のために、あるいはあなたが連立に参加しているが、よちよちしているこの連立内閣の一つの補強工作のために、かえつて私は明瞭にされることが必要であると考える。こういう意味合において、もう一皮むいて、いわゆる答辯を巧妙に逃げればいい。言質をとられたくない。そういう氣持ではなしに、もう一歩進んだ誠意のある答辯を、私は要求したいと存じます。
#35
○鈴木國務大臣 上林山委員の質問は、御立場からすればごもつともであります。また私も差支えない限りはお答えをいたしたいのでありますが、しかしことはやはりデリケートでありまして、すべては仮定論の上に立つてお答えをするような形になつてまいりまするから、できるだけそれを避けたいのであります。
 ただこういうことをお考えを願いたい。なるほどある時期に禀請があつた。西尾君を起訴すべきものであるというふうにきめて、檢察当局がもつてまいつた。何ゆえにそのときに西尾君を起訴しなければならないと決心したかということが、第一に問題とならなければならない。司法省――法務廳になる前から考えて申すのでありまするが、数十年の慣例によりますれば、かくのごとき重大な問題については、常に大臣が関與いたしまして、大臣の前で会議を開いて、そうして禀請をすべきか否かを決定したもので、禀請の書類というものは、ただ形式的にあとからつくられたもので、ゆえにただちにこれが決裁されるのが例であつた。しかるにこの数十年の例を破りまして、突如として今月の十日に禀請の書類として、私に決裁を求められた。そういうことは、非常に異例でありまして、私は十二分にこれは考えて善処しなければならないということを思つたのであります。そういう事情があるということも、一つここで申し上げておくのでありまするが、從つてその他の問題につきましても、十分愼重に考慮を要するものがあるがゆえに考慮しているので、それが政局の上にどういう影響を及ぼすかというようなことは、第二段、第三段の問題でありまして、私としては決して党派的にはかろうとか、あるいは友人であるがゆえに庇護するというような氣持は、毛頭もつておらぬつもりであります。あくまでも公正にやるつもりでありますが、ただいま申し上げましたような点については、十分に愼重でなければ、後の例としてもよくないものを残しはせんか、かように考えるような次第であります。御了承願いたいのであります。
#36
○上林山委員 法務総裁にもう一言今の御答辯に対して伺つておきたいのでありますが、あなたは、数十年來の慣例を破つて、突如としてこの禀請が現われたので、異例のことに属する。だから愼重にやらなければならない。こういう御答辯であるが、これは憲法の違反でもなければ、むしろ私は新しい憲法の精神からいけば、これは檢察廳の当然の仕事である。そういう立場から禀請したものを、異例であるというこれを理由にして、もつと惡くこれを解するならば、感情的になつて法務総裁がこの書類をつつ返した。こういうふうにもわれわれには受取れるのであります。私はこの問題は重大な関係になると思う。なるほど國務大臣を処断するについては、これは重要なことではあるが、一つの國務である。この國務であるという立場から、あなたは十分にこれを処断し得る立場におられない。理解のある意味で言うならば、苦しい立場におられる。そういうことが手傳つて躊躇逡巡しているのだ。あなたの明快な答辯がないので、私どもはこういうふうに考えておるのであります。もしあなたがそういう苦しい立場に置かれているとするならば、新しい憲法の時代における、いわゆる法を生かす意味において、國民の名において、公平に法を裁く意味において、法務総裁の地位を去るべきではないか。あなたが今答辯せられておるのを聽くと、具体的な答辯がない。その具体的な答辯がないがゆえに、抽象的な結果になり、その結果は同じ党に属し、しかも友人である、こういう意味合いから、私は非常に人間として苦しい立場に置かれておると思う。そうであるならば、私は法務総裁の地位を、今ただちにお引きになつて、そうしてこの政界の不明朗の大きな原因になつている西尾問題を、速急に解決すべきものである。こういうふうに考えるものであるが、この点についてどうお考えになつておるか。相変らず抽象的な御意見であるのか、もつと具体的な御意見は聽かれないのか、この点をお伺いしたいのであります。
#37
○鈴木國務大臣 適当な時期がまいりまするならば、もつと具体的にお傳えをすることができる時期がまいると思います。御忠告は謹んで拜聽いたしておきます。また私といても十分信頼するそれぞれの人々に御相談をいたしておりまので、自己の出処進退を誤らざるように、心がけておるつもりであります。御忠告は謹んで拜聽いたしまするが、少くとも私の信ずる限りにおいて、私は誤りなく自分の道を進んでおるつもりでありますから、さように御承知を願いたいと思います。
#38
○鈴木委員長 十二時半になりましたが、野溝國務大臣の都合で東井君の質問をなるべく午前中に片づけたいと思いまするから、どうぞ東井君。
#39
○東井委員 野溝國務大臣にお伺いをしたいと思います。今年度の地方財政は約二千億円になつておるのでありまして、これは國家予算の約二分の一であることは申すまでもありません。事実今日地方財政の重要性は、きわめて大なるものがありまして、さらに昨年から地方團体には六・三制の実施や、あるいは自治警察の費用負担など、種々仕事も殖えておりまして、今までよりも一層地方自治全体の活動が、われわれ國民の日常生活に大きな関連性を加えておると申し上げるのであります。地方財政はいかなる状況にあるか、この状況いかんが、われわれ國民生活の実態に大きな影響を及ぼすということは、いまさら申し上げるまでもないのであります。かかる重大性をもちまする地方財政が、最近実に深刻な窮迫状態にあるということは、本日も庄司委員から、いろいろ大臣に対して申し上げられたのでありまするが、大臣も御承知の通りであります。わが民主政治の発達は、地方自治の完全な発達を基盤とすることはもちろん、この自治の発達は、一にかかつて地方財政の自主性の獲得にあると、私は考えるのであります。この意味におきまして、今日地方財政の逼迫が見逃し得ない。野溝國務大臣は地方財政に関しまする主管大臣であります。その御関係におきまして、いろいろ御苦心を重ねておられるということは、つとに私も承知をいたしておるのであります。先日も小坂委員からいろいろ質問もあり、また本日庄司委員から、いろいろの御質問もあつたのであります。御複の点を避けまして、私は次の諸点につきまして、野溝國務大臣の御答辯を煩わしたいと思うのであります。
 その第一点は地方財政の自主性の確立。と申しましても、おのずからそこに限度があると私は考えるのであります。どの程度に中央と地方との調整をされるつもりであるか。たとえば現在におきましては、地方財政が國家財政へ依存をしておる比率は大体六〇%くらいであると、私は考えるのでありますが、主管の立場におられる大臣は、どのくらいのパーセンテージが適当であるとお考えになつておりまするか。この点をまずお伺いをいたしたいと思うのであります。
#40
○野溝國務大臣 東井委員にお答えいたします。自主性のことについての御質疑のように思います。御指摘の通り、昭和二十三年度の地方財政の内容におきましては、税收入は、歳入総額約二千億の中約五五%千百億ばかりでありますが、その五五%のうち、分與税が約三五%、税外收入の四五%のうち、特に國の方から出されるのが六〇%でありますから、二千億の中の九百何十億というのが、大体國の方からくるわけになつております。詳細の数字はここにもつておりませんが、特に総收入の五五%中の三五%の分與税ですが、この分與税という考え方がすでに私は自治体の性格を歪曲している。いわゆる中央に依存している性格を如実に現わしておるのでございまして、この分與という性格をかえようという考えをもつております。しかし実質は依然として分與される建前になつておりますので、かくては自主性を冒涜するものなり、かように考えておりますから、かような点について考えなければならぬのは、中央地方の税の調整ということにあると思います。そこで東井委員も御承知のごとく、今日地方の税の主なるものといたしましては、営業税今度名をかえまして事業税ですが、これが中心税目でございまして、その他の地方税としての独立新税というのは、ほとんどとるに足りない税目でございます。よつて眞に地方の財政を確立しようとするならば、自主独往の性格を織りこんだ税の編成をしなければならぬ。そこで特に彈力ある税を地方に委讓しなければいかぬという点で、酒タバコの税であるとか、あるいは所得税の率をずつと殖やす――附加税に対する率を殖やすとかいうようなことにするとか、あるいはその他最も有力な財源を地方に委讓してもらうというようなことを考え、また具体化されなければ、眞に地方の財政の確立はできないと思つておるのでございます。そこで結論として東井委員のお話では、かようなパーセンテージのもとにおいては、地方の財政の自主性がないじやないか。しからば一体具体的にどのくらいな構想をもつているのか。こういうお話ですが、理論的に申すならば、地方に直結しているものは、地方に多くとりたいというのは理想でございますが、しかし私の考えといたしましては、國家的な事務――六・三制のものとか、あるいは警察というような國家事務の延長であるようなものに対しましては、当然國家が支弁をするという建前が、最もよいのでありますが、その建前がとられたならば、中央の財政計画を根本的に建直さなければならぬと思います。根本的に建直すには、どうするかというならば、結局人工の関係、あるいはその地方における諸施設の関係、あるいはその地方におけるところの経済力の点、並びに公共團体の経済力の関係等々を勘案いたしまして、それに対する中央地方の財政計画の方針を科学的に立てなければならぬ。かような意味で財政、税制の根本改革を必要とするのでございますが、とにかくとりあえず、それができませんので、当面処置といたしましては、一應地方の自主性をもたせるという考え方と、一つには当面の経済的諸事情を勘案いたしまして、それに即應した処置を講ずるという建前で税制の方針を立てておる次第でございます。
#41
○東井委員 ただいまの御答辯では、大体どれくらいのパーセンテージが適当であるかというお答えは得られないように思いますが、それは他日にまた讓ることといたしまして、次にお伺いいたしたいことは、先ほど庄司委員の御質問に対して、大臣は本年度の地方債は大体二百四十億というように、最前御答辯をしておられましたが、私は二百八十億と承つておつたのでありますが、これはどちらがほんとうでありましようか。さらにそれにつきまして、その地方債の融資については、優先的に政府の方でいろいろ斡旋をする。こういうお話がありましたが、具体的にどういう御斡旋をなさるつもりでありますか。それが決定になつておりまするか、承つておきたいと思うのであります。
#42
○野溝國務大臣 それは、先般の小坂委員に対する答辯のときに、私は二百八十億くらいと申しておきましたが、その後地方財政委員会の方面から要請がありまして、特に内閣におきまして種々檢討の結果、先ほど庄司委員に答辯したような御回答を申し上げたのでありますが、この際あらためて私からまたその内容を申し上げておきたいと思います。大体は二百八十億には間違いありませんが、内訳を申しますると、地方債の内容として、二百四十億の分としては、公債收入の百八十一億、六・三制追加の二十億、節約分として三十億、それから六・三制の前年度繰越分として約九億、計二百四十億でございますが、それに三十六億円ばかりを別立てにしたのでございます。それはどういうわけかというと、大体初期におきましては、節約の分のところで六十七億計上しておいたのでございます。それを特にこれは別立てにしてもらいたいという話がありまして、別立てにしたので、初期にお答え申し上げました二百八十億と二百四十億との差が出たのでございます。さよう御了承願います。
 なおこの融資の方法でございますが、この点は東井委員の御指摘になります通り、所管大臣の私といたしましても、この点がいつもあいまいにされまして、地方財政自治体といたしましては、非常に迷惑をしておる点でございますので、この点はあくまでも明確にしておかなければならぬ。そこでこの起債に対しましては、政府が責任をもつて斡旋をするということにしたのでございますが、ただ問題は政府が責任をもつて斡旋をすると申しましてもこれが事務的になりまするというと、なかなか思うようにまいりませんので、特にかような点につきましては、政府当局において、その融資斡旋の具体的な内容を近く発表することになつておりますので、さよう御了承願いたいと思つております。特にこの際附け加えて申しておきますが、地方の財政は、申し上げるまでもまでもなく、彈力もなければ、金融措置におきましても、非常に困つておるのでございます。中央におきましては、大藏証券を発行いたしまして、融通をつける途もありましようし、あるいは臨時國会を開いて、また補正予算をするという途もありますが、地方におきましては、ほとんどそうした途が開けておりません。特に市中銀行などにおきましては、もう都道府縣会の決議ぐらいでは、なかなか融通斡旋をいたされませんので、このところ まつたく困却を來しておるのでございます。特にかような状態でありまして、地方財政の起債の問題につきましては、かような内容が明らかにならぬ場合におきましては、その運営の上におきまして、非常なる支障を來すというように考えております。
#43
○東井委員 簡單にもう一、二点を伺つておきたいと思いますが、この二十四、五両日にわたりまして、全國の知事会議が開かれる、その知事会議で、地方財政並びに税制改革に関する政府案に、知事側は反対をする、そうして地方財政委員会の原案、その方針を貫徹するというように傳えられておりますが、これに対しまして、政府といたしましては、何かそれに対する対策をおもちになつておりまするか、あるいは何か政治的な措置を御考慮になつておりまするかどうかということ。もう一点は、これは先日小坂委員から大臣に質問をされたと、私記憶するのでありまするが、しかしながら、大臣の御答辯は、はなはだ理解に苦しみますので、もう一度お伺いをしたいと思うのでありますが、この地方の政府支出、その使用監査でありますが、この政府支出をする場合に、その使用を監査する何か具体的なことをお考えになつておりませんかどうかということであります。これは申すまでもなく、租税というものが非常に重大なものだということ、これがルーズに取扱われるということは、われわれ断じて許し得ない。こういう建前から、これは國家財政におきましても、同じことだと私は考えておるのであります。特に地方財政において、この財政支出の使用監査ということにつきましては、重大な関心を私はもたざるを得ないのであります。この点について大臣が具体的に何かお考えになつておりませんかどうか。この点を明確にひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
#44
○野溝國務大臣 お答えいたします。知事会議の政府に対する御意見に対しましては新聞紙上すでに御承知のことと思うのでありますが、大体ひとり知事会議だけではなくて、自治体におきましては、地方財政委員会の決定方針を支持してきておるのであります。そこで地方財政委員会の決定が、現政府においてこれを全部容れられなかつたことは事実であります。ここに各自治体の非常な不満があつたと思うのでございます。ざつくばらんに申し上げますと、私はこの財政委員会の委員長であり、その方の所管大臣であると同時に、私は國務大臣であるという関係におかれておりますので、もつぱら両者の調整の役を勤めておつたのであります。しかし両者の調整の役目を勤めておりましても、最後的な地位というものは、國務大臣として芦田内閣の下に参加し、同時に芦田首相に命ぜられまして、その所管事務を担当するということになりますので、勢い私の最後的な地位というものは、國務大臣としての地位を果すということが妥当だ。かように考えておるのであります。そこで特に知事側の意見に対する政府の見解という御質疑でございましたが、これにつきましては、先般回答を出した次第であります。その回答の要旨を申し上げますると、地方財政委員会の知事側の要望といたしましては、地方財政委員会の権限強化について、それから地方財政の改革案について、それから地方債の点について、この三つの点を要望されてまいつたのでございます。そこで政府といたしましては、この財政委員会の権限を強化することについては異議がない。しかしこれはいずれ財政委員会法というのが來年一月でもつて改正になるのでございまするから、その際に十分意見を尊重してこれを措置することにしたい。それからさしあたりの措置といたしましては、地方財政制度の改正について、税法並びに財政法及び配付税法という地方の自治体内部ないしはその裏づけになる財政上の措置を講ずる法律案を出すことにするという回答をしたのであります。
 第二の地方財政改革案については、先ほど御指摘になりました通り、彈力をもたせる。こういう意見が非常に強いのであります。その一つの内容といたしまして、入場税、酒、タバコ税あるいは所得税附加税というものが強調されておつたのでございますが、これは今日國庫予算及び國税改正等の関係もありますので、今政府案に変更を加えるということはなかなか困難である。しかしこれは税制、財政の根本的な問題であるから、檢討を加えて、その解決にあたりたい。それに加えまして、起債の点に対する回答は、先ほども申した通り二百四十億円については、責任融資の斡旋をする。具体的内容については、近くこれを明らかにするということを回答したわけでございます。
 大体以上が政府の知事側からの要請に対する回答の内容でございまして、これについてはおそらく知事側といたましても、自治團体といたしましても、満足はでき得まい。私はかように思います。しかしここで考えてもらわなければならぬのは、何といいましても、財政委員会というものは、法律によつてできた機関には違いありませんが、内務省解体後における臨時的措置機関でございます。でありますから、この臨時的措置機関である地方財政委員会法そのものに、私は相当にまだ不備があると思います。よつてこれらの臨時立法が完全なる解決を得るには、この財政委員会法の内容、この決定に対しましては、政府においてもこれを取入れるだけの法律的な内容がここに具体化されておらなければ、今日の段階におきましては、この法案の性格並びに精神からいきますと、諮問機関的な内容になつておりますので、せつかく地方の自主性ないしは財政の裏づけをするために委員会が懸命な努力をいたしましても、その結論が政府に全幅的にこれを取入れられるということにならない実情にあります。なおかてて加えて、今日の財政、統制の企画立案体というものは、大体は中央集権的な大藏当局にあるのでございまして、これらをにらみ合わせて、全面的な檢討を加える段階に迫つているのではないか、かように私は考えております。よつてかような点は、総合的に檢討をしてまいらなければならぬ。なお地方財政委員の諸君にも、不満足はありましようけれども、今日の段階においては、これ以上もし趣旨を徹底させようとするならば、最高の民主的機関であります議会において、その結論を得るという以外には方法がない。かように考えております。
 次に、これだけの國庫の財政の半額にもひとしい二千百余億の莫大なる財政を運営していくにあたつて、その使用に対するところの監査処置が、非常に不明瞭ではないか、これは御指摘の通りでございまして、これにつきましては自治法に、自治監査といたし、財政監査も織りこんでおりますが、自治監査に対する規定があるのであります。この自治法に対する自治監査の規定が非常に抽象的でありますので、今回は財政法並びに地方税法の中に監査の内容を織りこんでおきました。かような点につきましては、当局といたしましても、十分考えておりますので、今後の運営におきましても、人民の疑惑の対象とならないように措置していきたい。かように考えております。
#45
○西村(久)委員 議事進行について………。本予算案の審議も、余すところ十月前後と相なつたのであります。実は非公式ではありましたが、委員長を通じて資料の提出をお願いしてありますけれども、出てまいらぬのであります。その資料と申しますのは、所得税の税額算出に関する件であります実は本年度の改正案とそれから現行法との比較表が出てまいるのでありますけれども、人員数と所得の見込数と、それによつた税收入見込数は出ておるのでありまするが、この算出にあたつて、税法十三條改正法案による算出によつて出まする関係を明示される明細書をお拵え願つて、提出願いたいということを要求してあるのであります。それが出てまいらぬので、至急に審議する心要がありますので、御提出をお願いいたしたいと考えます。
#46
○鈴木委員長 承知いたしました。実はめんどうな資料のようで、なかなか計算が困難なために遅れておると思いますが、政府に督励したします。午前はこれで休憩したします。
    午後一時二分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時四分開議
#47
○鈴木委員長 午前に引続き再会いたします。開会に先だつて政府に資料の要求をいたしますが、前に要求してありまするものが、まだなかなか出そろつてまいりませんから、審議を急ぎまする必要上、政府においてはできるだけ資料を早く提出してもらいたいと思います。
 第一には経済安定本部に関するものであつて、一、昭和二十二年同二十三年度の國民所得とその推定方法の説明に関する資料、二、昭和二十二年度資金計画及びその実績並びに昭和二十三年度四半期別及び年間資金計画推定表、三、昭和二十二年度物資需給計画及びその実績、並びに昭和二十三年度四半期別及び年間物資需給計画推定表、四、三千七百円ベース算定の説明資料。
 次は、大藏省主税局に関するもの、一、昭和二十二年度各種租税收納額五月末日までのもの、二、昭和二十二年及び三年の各種租税の積算方法、三、昭和二十二年及び三年度の所得税の階層別人員、課税、所得額、租税額。
 次は大藏省主計局に関するもの、一、各人予算單價一覽表、各自の予算單價一覽表、二、公債及び借入金等を必要とする各特別会計につき、これを説明するに足る資金計画、または收支計画に関する資料、三、各公團及び政府出資金に関はる收支一覧表、以上であります。
 引続き質問に移りますが、亞炭局長が出席されておりますから、亞炭局長に対する前の質疑の保留になつておりまする問題の質問から、先にいたします。庄司君。
#48
○庄司(一)委員 家庭燃料としての亞台、工業燃料としての亞炭、石炭の増産がかまびすしく論議されて、それが思うようなある一定の増産になつておりません今日、石炭の不足を補う意味においても、亞炭の燃料としての重要性は、今さら呶々喋々を要せぬのであります。しかるに政府は片山前内閣の時代、亞炭を配炭公團のわくに入れられまして、亞炭の配給に関する面においては、これを公團という役所内の國家管理のわくの内に、亞炭の配給を編入されたのであります。私は亞炭をただいま配給の面において國家管理にされたことの是非を論じようとするのではありません。前内閣以來亞炭を統制され、配給の面において亞炭公團を通して需要供給の関係が保たれてきたのである。しかるに最近において全國二十七縣でありますか、亞炭の生産縣において、亞炭は予定通り年産約三百万トンの増産は見ておるけれども、その亞炭の輸送の面においては、商工省並びに運輸省の計画されたる輸送計画の五〇%程度の亞炭しか需要地に対して輸送ができておらない。その証拠には現に東北六縣だけの亞炭の滯貨は、今や三十万トンを超えております。岐阜縣であるとか、愛知縣であるとか、関西方面の亞炭生産地区における滯貨を加えますならば、全國において約五十万トンの亞炭が滯貨されておるという、ただいまの実情であります。これは輸送の面におきまして貨車の円滑を欠いておるという事情もありましようが、むろんこの問題はぜひ改正していかなければならぬことは言うまでもありませんけれども、亞炭公團を通して亞炭を生産者より政府が買上げる場合における公團に対するところの資金において、はなはだ不円滑な状態にあるというようなうわさを聞いておりまするが、この後亞炭公團をして、亞炭を政府買上げとせしめる意味において、どの程度の資金をより円滑にして生産者から円満に増産したる亞炭の生産品を購入させる方針であるかどうか、この点をまずお伺いしたい。
 第二は今回政府は総理大臣を初め、商工大臣等もこの席において亞炭のある一部に統制のわくをはずした、何か三千五百カロリー以下のものは統制のわくよりはずして自由販賣にさせることになつたというようなことをおつしやつておりますが、ただいまこの段階において、にわかに統制のわくより除外されたるところの業者は、その亞炭経営の面において非常なるトラブルを感じておる状態である。この除外されたる亞炭業者は、全國の亞炭業者の何パーセントに該当するか。またにわかに除外されて生産経営の面において苦悶しておるところのこれらの業者を、いかなる方法をもつて一應暫定的に救済するの方途を講ぜんとするものであるか、これが第二点であります。
 第三点は、生亞炭の輸送は、現下の情勢においてなかなか困難である。でき得るだけ商工省並びに運輸省が計画されたるところの輸送計画通りの輸送は、もとより願わしいのであるけれども、連合軍の砂利を運ぶとか、その他の資材を運搬するとかいう面において、大部分の貨車はとられておる。なかなか亞炭の輸送の面において困難なる状態にあります今日において、これらの生亞炭を加工して、さらに高度なるところの燃料として利用更生するところの方途について、政府は何をお考えになつておるか。ただいま議題と相なつておりまする昭和二十三年度予算歳出の中に、國立の亞炭の研究所関係において、約七百万円の予算が計上されておりまするが、さような國立の亞炭研究所を開設されて、亞炭をいかに加工し、いかに高度なるところのコーライトその他を生産をして工業燃料界に貢献せんとされるのであるか。この亞炭の研究所あるいは調査所を、全國何箇所に開設されんとする御意向をもつておられるか、どうかこれが第三点。
 昭和二十三年度において、政府は亞炭の増産を何百万トンと見ておられるのであるか。また亞炭の現在の價格は、全國平均はただいま承知しておりませんけれども、東北地方においては、一トン五百二十円程度である。よく選炭をしてカロリーの最も優秀なるものにおいて、一トン約六百円であります。かような價格は、亞炭の生産業者において、とうていその経営面において收支のバランスがつかないのであります。この際において、亞炭の價格をどの程度に是正されんとされておるか。かような点を一括して、一問一答の形式では当当時間がかかりますので、便宜上ただいま申し上げた諸点について、亞炭局長の簡單かつ明快なる御答弁を願いたいと思います。
#49
○増岡政府委員 庄司委員の御質問に対してお答えいたします。配炭公團に亞炭を買上げる資金が足りないために産地に多量の亞炭が滯貨になつていはしないかという点でありますが、滯貨のできましたおもな原因は、鉄道の輸送力が足らないという点にありまして、その数字は先ほど庄司委員が指摘されました数字を、大体同じ程度のものがありますがこれは公團の資金が足らないためではございませんので、できるだけ鉄道の輸送力を増強するという点につきまして、商工省といたしましても運輸省とよく連絡をとつて、現在の滯貨ができるだけ早く解消するように努めていきたい。買上げます資金につきましては、特に公團が資金的に困るという事情ではございませんので、輸送力の増強を大いにやつていきたいと考えております。また今後はお話のように統制する亞炭と統制しない亞炭とを区別いたしましたので、統制いたしました亞炭の量は、今までの全体の亞炭よりもいささが少くなつておりますので、この部分については、重点的に輸送をはかるということにいたしまして、山元の滯貨をできるだけ早く一掃したいと考えております。
 次に非統制亞炭の占める割合について御質問がありましたが、山の数にすると約半分でありますが、統制されるものと統制されないものとは、約半分ぐらいになつております。それから出炭量にいたしますと、全体の亞炭の産出量がその中の約三万五千から四万トンくらいのものが非統制になる。從いまして、山の数は比較的多いのでありますが、統制から除外される炭の量といたしましては、それほどたくさんの量ではないということが言えるのであります。しかしこの出炭量は少いにしても、たくさんの山が非統制になりますと、輸送の関係で劣後関係になりますので、山の経営が困難になつていくということは、現在の状態においては予想されるところであります。これに対する善後措置は、何らか考える必要がございますので、この方法については、目下鋭意研究中でありますが、山にある炭を買上げるという方法が考えられないかどうかという線で研究をしておりますが、まだ結論に達してはおりません。とにかく相当の山の数でありますので、この善後措置については、十分熱心にまた綿密に研究をいたすつもりであります。
 それから加工亞炭が今後の重要な問題であるというお話がございましたが、まつたくその通りでありまして、私どもといたましまても、今後石炭の代用として工場燃料として使う以外の家庭燃料として、亞炭を大いに活用するということが必要であることは承知しておりますし、またこれがためには、できるだけカロリーの高いものに加工して輸送をし消費をするということが必要と存じまして、亞炭の加工についても今度新設を予定しておりますところの指導所において、大いに研究したいというふうに考えております。さしあたりのところは、おの指導所は東北地方におきまして、大体二箇所に置いて、山に最も近いところで研究をいたしたいというふうに考えております。
 次に亞炭の生産計画でありますが、一應二十三年度の当初におきましては生産を三百五十万トンというふうに予定をしておつたのでありますが、輸送の関係ともにらみ合わせまして、この計画をそのまま取進めることは、一方山では掘るけれども消費者には渡らないというようなことにも相なりまするので、輸送力とにらみ合わせた考え方で、第二・四半期以降は生産計画を改訂していくという考え方で進んでおります。
 次に價格でありますが、亞炭の價格は、一般の物價の改訂の線に沿いまして、目下物價廳において審議中であります。現在の價格では、とうてい生産者がやつていけないということは明らかでありますので、今度の價格改訂に際しましては、相当値上になり、また品位によりまして、かなり價格に差異がありますから、先ほどお話がありましたように、選炭等を嚴重にやることによりまして、相当いい値段をもらえるという可能性があるように改訂をする考え方で、目下物價廳と共同審議中でございます。
 御質問の五点につきまして、簡單でありますが、お答えを申し上げます。
#50
○庄司(一)委員 ただいまの御答弁によつて、大体了承いたしましたが、亞炭の生産家が相当採算がとれるように、また亞炭の山に働いておる亞炭採掘の勤労者の諸君に対しても、石炭を掘つておる勤労者と比較して加配米その他の配給品等においても、格段の差別待遇がないよう、一層亞炭当局においては、善処されんことを要望いたしまして、あなたに対する質問はこれで止めますが、この亞炭を万遍なく円通無碍に全國亞炭需要地に輸送するためには、運輸省が商工省の亞炭局とよく懇談をされて、昨年のように輸送計画をせつかく立てられても、東北地方においてはこの輸送計画の五十二、三%程度の貨物しか廻らなかつた。そのためにただいま東北六縣の山、あるいはステーションの貯炭場には、約三十万トンの亞炭が山積滯貨している。亞炭の滯貨は御承知のごとく、滯貨約二十日後において、だんだんと風化してまいりまして、亞炭のカロリーが激減するのであります。でありますから、ちようど魚で言えば、たいの鮮度が非常に激減したと同樣に、亞炭のカロリーが激減した場合には、その燃料としての効果がきわめて僅少になる恐れがあるのでありますから、運輸省におかれては、亞炭の輸送計画の面において、最善の努力を盡してもらわなければならない。昭和二十三年度における亞炭の輸送は、石炭の輸送とともに優先的なるところの計画を建てられて善処してほしいのであります。これらに対して運輸省の御見解を承りたい。
#51
○藪谷政府委員 庄司さんの御提案にかかります亞炭の輸送について御説明申し上げます。本年度の輸送要請といたしましては、生産計画からみまして、大体一億九千万トンに上つたのでありますが、その間安本等における調査において、おのおの生産部門間の相関関係における支障、あるいは海陸自動車の輸送力等を勘案いたしまして、一億二十六百万トンというものを査定いたしたのでありますが、運輸省におきましても、これについて予算を組んでおります。しかしながら現地の要請、あるいは生産の増強の面からみまして、努力目標をさらに大きくしよう、こういう観点から一億三千万トン輸送の目標を立てたのであります。かようにして一億三千万トン輸送をいかにして輸送力を各物資に振当てるか、重要物資三十七品目をまず各生産管廳、あるいは生産團体等と相談いたしまして、中央輸送協議会でこれを公平に分配いたしたのであります。たとえば主食につきましては一〇〇%、副食物については九五%、その他の重要物資につきましては九五%ないし六〇何%、こういつたような割当をしたのであります。たとえば石炭につきましては三千六百万トン生産態勢に対してフルに輸送力を振当てまして、問題の亞炭につきましては、他の物資との関連を考えまして、輸送要求に対して六三%の査定をいたしたのであります。しかし昨二十二年度に比べまして約四五%の増加の輸送計画をもつております。現に今までの実績をみますと、大体予定通り輸送されておりますが、ただ庄司さんの御指摘の東北地方においては、御承知の東北地方における某地点の大きな輸送のために一時支障がありまして、從つて滯貨が相当生じたことと思いますが、その後それらのこぶもとれましたので、これを取返すべく努力いたしております。目下亞炭のみならず木炭その他とともに專用の列車を運轉しておりますが、今後もできるだけカロリーの高い亞炭に対しては、十分御希望に副うべく努力いたしたいと存じます。
#52
○庄司(一)委員 希望に副い得るよう最善の御善処を願うと同時に、亞炭の輸送の場合において、往々各駅の全部の駅長とは言いませんけれども、ある駅の駅長あるいは貨物主任等が、亞炭を積載する十トンの貨車を提供するのに、最低一千円くらいの特別なるプライヴェートな收入がないと提供しないという亞風があるのであります。さような汚職的な行為をやつておる亞炭生産地の駅職員関係もございまするから、そういう点は十分御戒告を願い、改革をしてほしいのであります。もしそれそういう汚職的な各駅の不良なる官吏の氏名等御必要であれば、庄司はいつでもあなたに御内報申し上げるゆとりをとつております。ただこの席においては公には申し上げません。そういうものが相当多数に上つておる。ひとつ十分監査の眼を延べられて、そういう不良な駅職員というような者に対して、断固たる処置に出ていただけるよう、最後にひとつ御忠告申し上げておく次第であります。
#53
○鈴木委員長 この際、前に中原君に対する物價局長の答弁が保留されておりましたから、物價局長の答弁をお願いいたします。なるべく簡潔にお願いいたします。谷口物價局長。
#54
○谷口政府委員 中原委員の御質問にお答えいたします。中原委員の御質問は、物價に織りこみます平均賃金三千七百円の算出の基礎と、特にその過程におきまして用いられておる五月から六月へのやみ物價の上昇率の三・六%というものについての御質問だと思います。
 まず第一の点についてお答えいたします。物價に織りこみますところの平均賃金の三千七百円を決定いたしましたにつきましては、物價の水準をなるべく低く保つこと、第二には財政の実質的均衡を容易にするということ、第三には実質賃金の水準を維持していくこと、この三つの点を目途といたしておるのであります。勤労所得税の軽減というものを見込みまして、総合的に決定されたものであります。そこでこの平均賃金三千七百円の実質賃金の高さは、しからばいかになるかという問題であります。それには過去の実質賃金の高さの実績に基いて出してくる必要があるのであります。ただいまそれを簡單に御被露いたしますと、昨年の千八百円ベースの場合の実質賃金の高さを百といたしますと、昨年の八月におきましては一一五・四、逐次月別に申し上げまするならば、九月は一一八・四、十月は一一七・八、十一月が一二四・八、十二月は特に年末の手当等がありまして、賃金收入は殖えておる。從つて実質賃金も高く一四六・三、今年の一月になりまして一二三・五、二月は一一九・〇、三月は一二三・四、こういうような実績を示しておるのであります。これらを平均してみますと、大体昨年の千八百円基準のときに比べまして、二割方高い水準をもつておるのであります。しからば今年の四月、五月はどういう水準であるかということでありますが、これはまだ計数が得られないのでありまして、推定を加えることになるのであります。まず中間の推定過程におきまして、五月の全國工業平均賃金を推定いたしております。これは長期、短期の傾向から、いろいろな計算をいたしまして出した数字であります。その價は三千五百円という價を得ておるのであります。この三千五百円という價と、いま一つ知りたいことは、今後この三千五百円が六月に價格の改訂をいたしまして、そうしてマル公は人為的に上つてまいりますが、一面やみの物價がどういうふうに動くかということを、推定する必要があるのであります。第一番にはまずこの三千五百円という平均の賃金の中で、手取りがいくらになるかということを算定いたします。税金はこれに対しまして三千五百円の二・五人の世帶に対しては五百三十一円でありますので、手取額は二千九百六十九円に相なります。今度は生計費の中でマル公支出とやみ支出、この二つにわかれております。この價も知ることが必要なのであります。これも過去の実績を檢討いたしまして、マル公支出割合が二五・四、やみの支出割合が七四・六、こういうふうな價を得ました。そこでこの実質手取りであるところの二千九百六十九円を、この比率で割つてみますと、マル公支出が七百五十四円、やみ支出が二千二百十五円となるのであります。次にはこのやみの部分の物價の上昇の割合であります。これも過去の長期、短期の趨勢を勘案いたしまして、五月から六月への上昇率を三・六%というふうに推定いたしました。次にはこの與えられたるところの数字に基きまして、今度はマル公の改訂がいかになるかということを加味して、六月の價格改訂後における実質の手取りを算出したわけであります。かくのごとくしていきます場合、マル公が七割上るという場合におきましては、この二千九百六十九円の五月の手取りに相当する実質賃金の手取りの部分が、三千五百七十七円を要することになるのであります。八割上る場合には三千六百五十二円を要することになるのであります。これは今度の新しい税法によつて税金を加算いたしますと、三千五百七十七円の手取りに対しては七十二円の税が加算せられるのであります。税込みの賃金としては三千六百四十九円、八割上げのときには手取りは、すなわち三千六百五十二円に対して加算せらるべき税金が八十六円になるので、税込み賃金が三千七百三十八円、こういうことに相なるのであります。この高さを見ますと、これは大体において昨年の千八百円ベースの場合を百と見た場合に対して、一二二・五という高さを得ておるのであります。先ほど申し上げました通りに、過去の実績、十二月の多く出ておるときも含んで平均したものと、大体似たことになるのであります。この高さをもつてまず今日の物價の基礎に織りこむ平均賃金として、妥当なものというふうに考えておるわけであります。
 なお特に三・六%のやみ物價の上昇についての御要求がありましたので、これについていま少し補足して申し上げたいと思います。やみ物價の対前月上昇率を三・五%と推定いたしました場合に用いた資料は、物價廳の非配給物價指数の十一品目につきまして、長期の趨勢、これは昭和二十一年の八月以降であります。それと短期の趨勢、最近の一、二箇月の趨勢をとつておるのであります。この両者を平均いたしました價であります。これは長期の趨勢というのは十一品目について出ておりますが、一例を申せば主食は六月において四百四十六という價になります。短期のものは四百という数字が出るのであります。これは最近物價が横ばいいたしておりますので、低く出るのであります。これを平均いたしまして四二二・四というのが六月の價になるのであります。その他蔬菜とか、水産魚介とか、調味料とか十一品目についてやりました結果を申しますと、これは六月において平均いたしまして四五〇・七という水準になるのであります。この水準を今年三月と結んでみますと、これはちようど月三・六%上昇する線にはまるのでありまして、五月から六月への上昇線を三・六%と推定いたしました。
 なおすでに五月の数字も出ておるのであります。六月も十五日まで計数が出ておりますが、六月十五日におきましては四三三・八という数字が出ております。これは月末までに、なおなにがしか上るわけであります。大体われわれの見ております四百五十には届かないのではあるまいかというふうに考えております。以上二点につきまして御説明申し上げます。
#55
○中原委員 非常に詳細な御説明でありましたが、一應数字の上ではなるほどそういうふうになつておつたかと了承いたしますが、しかし三・六のやみの上昇率につきまして、この賃金決定の六月基準が七、八、九へと進行するにつれて、やみの上昇率が当然累加していくと考えるのでありますが、これに対してはどういう御処置をお考えになるのでありますか。
#56
○谷口政府委員 お答えいたします。昨年七月、同じく物價改訂が行われたのでありますが、その以前におきましては、やみの價格は遅欠配の事情もありまして、対先月比におきまして、約一割ずつ上昇しておりました。そういうような情勢下に公定價格の改訂をするならば、しかもその改訂は二倍半くらいの大幅な改訂になつたわけでありますが、そうすればやみの價格は、さらに輪に輪をかけて上昇するであろうというふうにも見られたわけであります。しかし実績を檢討いたしますと、昨年の七月を境といたしまして、八月以降はマル公は予定通りに逐次上つてまいりました。昨年の十一月暮までの間に二倍から二倍半くらいまでの水準に達しているのであります。ところがやみの上昇率は昨年七月を境といたしまして、落ちております。大体月一割見当上つておつたものが、五%前後に落ちております。特にこれが最近になりましては、横ばいの状態になつておるのであります。從いまして、われわれが満配事情を前提とする限り、やみ價格の上昇はマル公が上るほどは上らないというふうにわれわれは考えております。しかしながらこれは経済の実態の反映となりまして、このやみ價格の動きというものも、今後どういうふうに変化するかは、これはいろいろむずかしい予測をしなければならぬと思いますが、われわれといたしましては、極力この満配ということを持続し、さらにできるならば、あらゆる努力をいたしまして、これになにがしかのプラスをして、そうして生計の安定に資したい。同時にまた通貨の面におきましては、大藏省当局も月別にもなるべく、收支を合わせて時期的に通貨が膨脹することはできる限り避けたいという方針をとつておる次第であります。生産の状況をも見込み、これらも合わせて、そうしてやみ物價の上昇を低度に抑えたい、こういうように考えております。
#57
○中原委員 この賃金水準の決定ということは、全國家財政に、あるいは一般の國民経済に対する影響が非常に重要でありまして、もし賃金基礎に対する認識が間違いますと、その面から特に國家予算のごときは総崩れを始めるであろうと考えることができるのであります。それだけにいわゆる希望的な観測をもつて上昇率を観測する、予想するというような事柄は、好ましくないのではないかと私は考えるのであります。なるほどマル公價格の改訂の率に相應してやみが上昇していくということは、もちろんできないのでありますが、しかるにもかかわらず、やみはやはり依然として毎月累加されていくであろうと考えることは、決して無理な観測ではないと思います。おそらくそれだけの見透しをもたなければならない必至の情勢があると考えられるのであります。殊に六月現在をもつてやみがストップするとは、どのような操作をもつてしても、考えられないのであります。しかるに三・六のやみの計算をもつて賃金水準が決定されようとすることについては、何としても了解ができないのであります。殊に先日も総理廳の統計発表によれば、すでに四月の物價が予想より高くなつておる。すなわち三千六百七十一円という数字が発表されておつたようでありましたが、いわゆる五月に対する推定の三千四百四十、それに対しまして、すでに二百三十いくらの上回りを示しておるような状態であります。そういう実情を見ますならば、もはやすでに今日この予算が決定されようとする前において、賃金の基礎になるべき物價の基準数字が、予想より上回つてきたということを示していると考えるのでありますが、これらについての御観測はいかがでございましようか。
#58
○谷口政府委員 お答えいたします。まだ総理廳の統計局からの四月の毎月の統計によります全國工業、平均賃金は発表していないのであります。新聞等には三千六百七十円というふうに発表されたものもあるようでありますが、これがかりにそういうふうになりましても、この中にはいろいろ意味があろうかと思うのであります。御承知のように、紡績とか、その他一、三月に遡つて賃金基準が決定されたものがありますが、遡つて拂われたものも、あの統計にはその月の支拂として出るのであります。これは先ほども申し上げました通り、十二月の年末手当がありまして、レギュラーなもの以外に、非常にふくれた実質賃金の水準が一四六ということになつておるのであります。もし四月の水準が非常に高く出ますならば、過去のものから見ますと、特殊なものがない限り、そうふくれるはずはないのであります。われわれはこの四月のふくれは結局平均してみて大体昨年からの実質賃金の高さというものを算定して、その高さを維持するという建前に立ちたいのであります。またやみ價格が今後絶対に上らぬことは保証できないとおつしやることは、御説の通りであります。過去の実績を檢討いたしますならば、今日の日本のインフレーションの時代におきましては、絶対に物價が安定するということは今明言のできないことであります。極力この物價の上昇を低度に止めて、そうして逐次実質賃金の上昇、家計の安定という方向にもつていく努力をいたしつつあるのであります。今後も今までと同じ努力を、さらにより一層続けてこの際徐々に生活の向上に向うということが、今の日本の立場であるように考えているのであります。
#59
○中原委員 時間がないようでありますから、それではただ一つだけ最後にお伺いいたします。この賃金の基準を維持するということについて、あらゆる努力を傾けられるであろうことは、もとより了解いたしておりますが、しかしそれにもかかわらず、実体は非常な予想より強い速度で上昇を続けるでありましよう。從いまして労働者といたしましては、おそらく政府の推定されました、あるいはここで基準を決定されようとする、これに対してこれを了承してのむわけにはいかないという結果に当然なつてまいるであろうと考えるのであります。殊に現在すでに官公労の意思表示によりましてもわかるごとくに、五千二百円という数字が出ているわけでありまして、しかもそれは相当科学的な根拠をもつものであつて、五千二百円の基準を否定する、おそらくこれに対抗するだけの根拠は出てこないであろうと私どもは信じております。そのような実情の中になおかつ三千七百円をいろいろな言葉をもつて弁解づけようとなさる努力は、遺憾ながら逐にむだに終るのではないか、このことを憂うるものであります。從いまして、実情はもはやすでに政府が考えておりますような状態でないのでありますから、ただいま一應政府が考えておりますこの賃金を、一体いつから実際は支給しようとしているのか。もちろんわれわれの見解では四月、すなわち新年度にさかのぼるということが、当然であろうと考えておりますが、政府のほんとうの腹はどこにあるのか。これはただ参考にうたうのでありまして、これをもつてまた第二のわれわれの考え方をきめたいと思うのであります。遺憾ながら時間がありませんから、ただそれだけのことを伺いまして、他は分科会において詳細に追究もし、御意見を伺いたいと考えております。
#60
○谷口政府委員 お答えいたします。ただいま私の申し述べました言葉は、物價の基礎となる限界を、ちよつと私見を織りこみ賃金を御説明したのであります。官廳給與の点は物價局長の責任外でありますので、これはまた適当な担当者からお答えを願いたいと思う次第であります。
#61
○鈴木委員長 次に総理大臣への質疑として海野君。
#62
○海野委員 総理にお伺いいたしたいと思いますことは、この敗戰後の日本を起ち上らせるためには、どうしても科学の研究、科学技術の強力なる向上をはからなければならない、そういうふうに考えるのでありますが、前議会におきましても、科学技術振興に関する決議案が通つてはおるのでありますが、歴代の内閣はただこれを読んでいるだけで、歌に歌つているだけで、実際面を見ますと、ほんとうにここに目ざめているとは考えられないのであります。
 まず今日米國の科学研究に対する予算を見ますと、総予算の二%を占めているのであります。ソヴィエトにおいては六十億に及んでいる。十二億米ドるの研究費を支出しているのでありますが、日本のこの四千億の予算に対する研究費を見ますと、わずかに〇・二%になつているのであります。九十議会における予算を見ましたところが、〇・〇六%でありましたから、いくらか増加せられているということはわかりますが、総予算の〇・二%である。元來研究というものは、國の総予算の何%をもつて押すべきものではなくて、研究費の多少によつてその効果が上る、上らないということが定まるので、アメリカの総予算から見ますと、アメリカでは二%であるならば、もし私ども地上に生を享けたる人間がひとしく文化に浴さんとするためには、アメリカが二%であるならば、わが日本においては少くとも二〇%、それ以上の研究費が割当てられなければならないと思うのでありますにもかかわらず、〇・二%とは何たる状態でありますか。これは敗戰後の日本をほんとうに起上らせようとするお考えについては、私ははなはだ疑問なき能わないのであります。あるいは土木工事費にいたしましても、何百億という予算が計上せられておる。しかるに研究費については〇・二%であつて、実に蚊の涙にもひとしい、このような貧弱な研究費では、とうてい文化日本の建設ということに向つては、將來まことに暗澹たらざるを得ないと、私は考えるのでありますが、この点に関しまして、首相の所信をほんとうなところを、ごまかさないで述べていただきたいと私は思います。
#63
○芦田國務大臣 海野君の科学研究を強調せられる御精神は、政府においても全然同感でありまして、さなきだに科学的精神の欠乏を痛感しているわが國において、一日も速やかに科学振興の方法を講じなければならぬことは、申し上げるまでもないのであります。海野君も指摘されましたごとく、現在の科学振興に関する経費が少いことは、アメリカその他に比べてほとんど雲壤の差があると考えられるのであります。しかるところ戰敗國として、われわれが今日戰災をこうむつたる諸般の救済費用、あるいは災害に悩まされている地方の実情に鑑みて、災害復旧に多額の費用を必要とし、また國民教育の完成のためにも六・三制その他に莫大な経費を要する関係上、やむを得ず科学振興に関する研究費を、この程度に切詰めるほかなかつたというのが実情であります。わが國の経済再建の問題が軌道に乗つた曉には、國民の彈力性を今日よりははるかに増加することと考えられます。それまでは経費の面はやむ得ないとして、でき得る限り人的配置あるいは構講の改革等によつて、経費を比較的必要としない部面の改善を加えたい。かような考えから、先般も申し上げたように、日本学術会議を起して、練達堪能なる人々に研究の便宜を與え、あるいはまた商工省その他においても研究所を統合整備して、これによつて研究の能率を上げていく、かような考え方から、近くこれらについても必要なる法律案を國会に提案いたしまして、審議を願うように取計らつておる次第であります。
#64
○植原委員 私の本会における質問に対しては、ほとんどお答えというものが一つもないと申しても、あまり極端な言葉ではなないと思います。第一に、私は外資導入のことについて、ことごとに現政府は進駐軍を口実として、いろいろの理由を言うか、あるいはそうでなければ外資導入が唯一の政策のごとくに言うておる。外資導入と申しても、アメリカならアメリカがその世界政策から生ずるところの、向うがヨーロッパを救援するがごとく日本を救援しよう、あるいはアメリカの対ソ政策の結果これ以上日本の経済状態を貧困ならしめてはいけないからそれを改めようとかいうように、三項目、四項目ありますが、アメリカの外資というがごときものは主としてアメリカの政策から生じておるものであります。こういうことによつて、日本の産業の復興も容易でなし、日本のインフレ防止ということも、日本のような人口の多い資源の乏しい、しかも今日のごとく非常な勢いでインフレが高昇する場合に、これを阻止しようとするならば、思い切つて民間外資の導入をはかるようにしなければならない。それについては、何よりも先にいたさなければならないことは、労働者の問題だと思う。実はどの方面を見ましても、今日の労働法規をもつてしては、拘束八時間、私ども本会においてもこの問題をお尋ねしたいと思つて用意しておりますけれども、石炭國管によつて生産は減じておるではないか。石炭が増産されておるということを政府がいかように宣傳しても、事実石炭は減産しておる。四月から國管が実行されておると言うておるにかかわらず、ただその用意がしておるというだけのことで、一歩も進んでおらない。ほとんど月に從つて減産しておる。これもどうかと言えば、いろいろの理由がありましようが、第一に労働問題で拘束八時間、炭鉱のごときは御承知でございましよう。ある鉱山においては、坑口にはいるときから切羽まで行くのに二時間かかる。往復四時間かかつて切羽で働く時間は四時間しかない。こういう状態で、日本の産業の発達のはかりようはない。各地における労働問題の一番の根幹は何かと言えば、今の労働法規が行過ぎておる。労働者自体が民主主義を誤解しておる。労働組合というものは自活しなければならないのに、その労働組合が御承知の通り各官廳に労働組合の本部をもつておる。しかもその官廳において給料を得ながら労働組合運動をしておる。こういうことは樂なことでありますけれども、これが健全なる労働者の地位を向上せしむるゆえんでもなし、またわが國の産業の発達をはかるゆえんでもない。何としても日本に外資を導入しようとするならば、労働者が当然あるべき立場、労働者の地位が当然擁護さるべき立場、労働者の経済的状態が当然あるべき場所に引返すようにいたさなければならない。この問題を解決することが、まず第一であるというお尋ねをしたのに対して何らのお答えもございません。また資本に対してもその通り、資本家も今までのような考え方ではいけない。労働ということが生産のおもなることですが、同時に資本なくて労働の問題も解決できない。どうしても資本家と労働者の両者がほんとうに完全に協調する方法を講じなければ、外資の導入はできない。しかるにこの内閣はそれらに対して何らの処置もしておらぬじやないか。これに対してどういう考えをもつておるか。労働法規の改惡はしない、改惡をしてはならぬけれども、ほんとうに日本の國情に適しない法規であるならば、これを改善する方法も考えなければならないが、これに対する考えはどうかというお尋ねをしたのであるが、これに対してお答えはなかつた。次に戰前においてわが國が國際上の債権債務をもつておる。この國際上の債務に対しても、何らかの処理方法を講じなければ、外國人が來て日本に投資するというようなことも考えられないことだ。これらに対して負けた國であるから、どの程度までアメリカ人が主張するかわからないけれども、彼らの財産に対する相当の見透しもつかなければいかぬ。御承知の通りアメリカで太平洋の沿岸から戰爭中日本人を内地へ輸送した。その日本人十二、三万に対して損害賠償するために一千億の支出をしようとするくらいに、個人の権利に対して尊重するアメリカ人を考慮する場合に、これらの問題を考慮しなければいけない。これまで政府は何をしておりますかという質問に対しても、何らのお答えがなかつた。また軍公問題についてもそうです。これは私が申さぬでも総理よく御承知のことです。英米の法規はコントラクトというものを非常に重きをおく。事業上の契約を一方的の意思で左右できるような状態に置いて、外資の導入ということは思いもよらざることだ。なるほど負けた戰爭の軍事公債――火事に遭つた人もその保険金をとれないような状態だがら、それを一時支拂を停止しても、あるいは中止してもいいではないかということも、一應考えられますけれども、軍公にせよ政府とその軍事公債を持つている人から言えば、当然の権利だ、両者の間の契約である。その契約を政府が一方的に左右する。しかもそれがはつきりするならばいいけれども、民主党に聽けば、ただ一年停止するだけだ、その停止した先の金利はまた拂う。これでは何も國民の負担の軽減にはならない。利息のまた利息をおいて將來の國民に負担をかけるだけのことで、これでは何も國民の負担を軽減するゆえんでも何でもない。たかが知れた十五億の金、四千億の予算に対して、十五億の金利の問題、それを延ばすとか延ばさないとかいうことの政策すらはつきりしないところの政府。社会党の方の主張から言えばこれもだめだ。さような状態に軍公の問題をおくような政府の不透明な、不徹底な政策をもつて、外資の導入などということは、ほとんど木によつて魚を求めるようなことだ。これでよろしいのか。また現在の日本の法律の上から考えましたならば、少くも外國人が日本へ來て投資するというならば、その投資する者の資本が、安全であり、ある程度の利潤が得られると思わなければ投資する方法がない。それでは現在の法人法に対してかなり徹底的な改正をするとか、外資に対しては特別な取扱いをするとかいうことの方法を講じなければならないのであります。過去四箇月の間、総理大臣は全國に向つて、外資導入を芦田内閣の唯一のよりどころであるかのごとく宣傳しておるが、何もしておらないじやないか。これで外資導入などということを言つたつて、ほんとうにただ一つの宣傳に使つておるとしか思われない。これはどうしたものか。もつと徹底的に外資を導入できるように、外國人が安心して日本に原料、資材、あるいは資金を投ずることができるような法制上の改革もいたさなければならないではないか。これに対しても何もしておらないじやないか。こういう状態で外資の導入などということは、われわれから考えれば思いもよらざることだ。しかもわれわれが言いのは、アメリカの政府の政策からよつてくるところの外資にあらずして、アメリカの民間の資本、資材を導入しようとすることについては、安心のいくような方法を講じなければならないじやないか。これに対して私は本会議において質問いたしたけれども、芦田総理は何らのお答えもない。どうかこれに対して明確なるお答えを願いたい。
#65
○芦田國務大臣 植原君にお答えをいたします。ただいまお話のような問題に対して、本会議で何も答えなかつたというお言葉であるが、これは形容の言葉でありましようが、速記録を見ていだだけば、私が答弁している問題は相当にあります。
 いまさらそういうことを私は論議するわけではありませんが、第一の問題は、労働問題をどういうふうに取扱うべきであるかという御意見でありました。植原君の御意見に從えば、今日の日本の労働法規が行き過ぎであるがために、とかく労働爭議が起る。あるいは労働能率があがらないというふうな点もあつたやに考えますが、概して言えば、今日のわが國の現行の労働法規は、世界においても比較的進歩性をもつた労働法規であつて、ただその細目にわたつて、わが國の國情に適しないかのごとき点も指摘し得るところもあると思います。しかしながら、終戰後における労働運動の全体の方向としては、少数のものに行き過ぎのあることは何人もこれを認めるといたしまして、過去三箇年に近い混乱期において、労働運動の大体の方向が次第に堅実な方向に向いつつあるということは、公平な第三者はそれを認めているところだと思います。不幸にして今なお行き過ぎがありますが、これは今後勤労者の自覚を求め、また政府においても極力正当な軌道に乗せるごとく努力しなければならぬと考えておるのでありますが、この際に勤労階級の労働意欲を害するごとき衝撃を與えたり、あるいはさような方向に政策を振り向けることは、よほど慎重に考慮する必要がある。しかしながら、この穏健な政策の方向にかかわらず、なおかつ少数の勤労階級において、行き過ぎが是正されないという場合においては、あるいは立法的手段をとる必要があることは予想しておるのであります。それをどういう形においていつ行うかということは、ただいま愼重に考慮している際であります。
 次に外資導入の問題であります。率直に申しまして、施政演説のときに外資導入を唱えたことが一つの動機となつて、新聞雜誌その他朝野の経済論者が続々と外資導入論を取上げられたのであります。この問題は政府の口から朝晩に宣傳しているというのではありません。たまたま施政演説が動機となつて、朝野各方面に外資導入が声高く叫ばれる契機になつたということにすぎないと私は信じております。むろん今日のわが國の経済の実情から言えば、アメリカの政府資金による外資の導入は、ある程度期待し得ると思います。しかしながら、民間資本の導入については、その受入態勢について整備しなければならない幾多の隘路があることは、ただいま植原君の指摘された通りであります。あるいは労働問題、あるいは為替の問題、あるいは從來戰爭中からややもすれば外國資本を差別待遇のもとに阻止せんとしたごとき、そのあとがまだ残つている。從つて今後外國資本家をして、安んじてわが國にその資本を投下せしめようと思うならば、ある程度外國資本に安全性を與えて、その利益を特に守る手段を考える必要が起つてくると思います。またその利潤保護のために、國内の租税法規その他についても考慮しなければならぬと考えておるのでありまして、現に法人税を大幅に引下げるごとき措置を、今回國会に出しているのも、その一端であります。その他これがために必要とする法規は、目下安定本部において具体的に研究をいたしております。おそらく次の会期の議会においては、これらの諸法規の改正案が國会に提案されることと考えております。
 軍事公債の問題につきましては、すでに数回の予算委員会において質問が提起されまして、政府側においてその都度これに回答をいたしてまいりましたので、今日それらの回答に附け加えて申し上げることはあまり残つていないと考えております。
#66
○植原委員 私のお尋ねすることの根本に対して、実は多くの問題は避けて御答弁のように思われます。労働問題を申しましたのは、労働問題全体に申したのではありません。芦田首相は、施政演説のときに外資の導入のことを言つたことが、たまたま世間に廣く傳わつて、外資の問題が起つたように言わましたが、それは事実と違います。芦田内閣が成立以來、各地において芦田首相が言われた演説の中に、外資導入によらないお話をなさつた事例はありません。ほとんどすべての演説において、外資導入のことが、あだかも近き將來芦田内閣の対外における信用によつてできるがごとく――そういうお考えで述べたではありますまいが、そういうような誤解が一般國民の間に生じておることは間違いありません。それほど外資導入のことを力説され、外資導入のことを宣傳することを私は惡いとは申しません。それをするならばそれに対應するだけの政策がなければならないじやないか。こういう質問であるのであります。労働問題、ただに國内ばかりの問題ではありません。今日の日本の生産が増強されないことは、いろいろの理由がありましようけれども、一つは、日本の労働問題が適当な場所にない、誤つた指導なり行き過ぎの法律によつてはき違えておるところの行動を、労働團体や労働者によつてなされておることが、日本の國内産業のすこぶる萎靡沈滯しておるのもそれに基くものであります。おそらく今日の事業家に、どんな事業家でもよろしいが、ほんとうにその事業の状態において黒字の経営をしておる人は、ほとんどないと申してもよかろうと思います。やみは別問題として、健全なる基礎のもとにおいて、ほんとうに忠実に経営する人では今日は経営はできない。なぜできないかといえば、百人の労働者でよろしいところに百五十人もおる。その一つの例が、これはいい例か惡い例かわかりませんけれども、東宝映画のあの爭議の状態を見てもよくこれはわかることで、今日の日本の事業家は、労働問題を何とか適当な場所に納めなければ、日本の産業の振興ははかれないと申しておりますが、私のお尋ねしたのはそこが要点ではありません。そういうような状態にしておいて外資の導入は困難じやないか、外資の導入を盛んに口にする芦田内閣が、これに手を触れないのは何事だ、こういうのであります。ただいまただ一つ法人税の改正の問題をお述べになつておりますが、この改正は幾分外資導入の材料になりましようが、その程度では私はだめだと思います。また為替の問題をお述べになりましたけれども、為替の問題は、これは相手方があることで簡單にはできない。日本の國内において外資導入を唱えるものならば、いの一番になさなければならないことを手をつけないでおられるのは一体どういうわけか、こういう質問であります。それからもう一つ、軍公の問題についてはこれまでいろいろな方に御答弁になりましたが、私のお尋ねしておるのは、軍公の國内における問題とか國内における影響のことをお尋ねしておるのではありません。軍公の問題のごとき芦田内閣がやり方をして、それがアメリカ人あるいは外國人の資本導入に支障になつても益にはならない、なぜそういうことをおやりなさるのか、契約の根本精神を乱すような、一方的の意思によつて軍事公債の利拂を停止する、この停止がほんとうに國民のために利益であるということならまた考えられもするけれども、現在せいぜい十五億の金を繰延べて將來の國民に負担をかけるだけのさような政策をとつて、外資の導入に禍いになつても、これが利益になるとは考えられないが、その点がいかがであるかというお問であることをよく御了承を願いたい。ただ軍事公債利拂停止は、社会党と民主党との間の三派協定の政策でどうだというようなお尋ねを私はしておるのではありません。コントラクトというものは、英米人の頭からいえば、どこまでも尊重しなければならない。その軍公の問題、一方的の政府の徹底せる、そうしてそれが將來の國民の負担の軽減になるということなら、また外國人もある程度納得いたしましようが、將來の國民の負担を軽減されるでもない、將來の國民により多くの債務を残すだけのことである、しかもそういう問題を政畧的に取扱われる、これほど外國人がいやなことはない。そういうことは、純然たる國家の國策ならいいけれども、ただに民主党と社会党との政畧的のために取扱われておるということの事実は判明して動かすべからざるものである。今日までのお答えは全部その釈明や弁明にすぎないのでありますが、私の質問はそこにあるのではありません。私の質問は、さようなことをすることは、外資の導入を言うところの芦田内閣としては逆の政治をやつておるじやないか、これをどうお考えなさるか、こういう質問であることを明瞭に御理解くださつて、確たる御答弁を願いたいものであります。
#67
○芦田國務大臣 軍公の利拂停止が外資導入の問題と非常に密接な関係があるように、植原君の御意見を拜聽したのでありますが、私どもの見るところでは、軍事公債の利拂を一年延ばしたという問題が、外國の日本に対する信用を傷つけたという事実は、まだ一つも耳にしておりません。今日までも、われわれの得た情報によれば、軍公の利拂を延ばしたから日本の財界に対する信用がなくなつたというのならば、ニューヨークやロンドンの日本の公社債の値段もたちまち影響を受けるわけですが、それは何も影響はありません。また、アメリカの議会に関する限り、軍公の利拂を延期したということによつて、日本の將來の経済的援助の上に変更があつたとも考えられない。また現に今日民間においてアメリカ資本導入のために種々の交渉が行われておるようであります。それが軍公利拂停止によつて影響されたという事実も、一つも聞いておらぬのであります。植原君の御心配は少し神経質にお考え過ぎになつておるのじやないかと思いますが、その辺のことは、さほど政府としては心配はいたしておらぬのであります。労働問題について何も手をつけておらぬというようなお話でありましたが、組閣以前から行われておつた官公廳の労働爭議その他も、内閣成立以後これを一應解決いたしました。また今後労働問題の種々の紛糾の起るべき場合においては、極力勤労階級と政府あるいは労働問題処理の機関等と協力して、経営と資本と労力とが協調して日本再建に邁進し得るように政策を立てていきたいと考えておるのでありまして、この際に、政府が勤労者の立場を十分理解することなく、正面からこれに対立するがごとき形をとることが、はたして今日の労働平和を導くゆえんであるかどうかという点に重きを置いて考えておるのでありまして、それがわれわれの考えておる中道のいき方である。労働爭議の解決に際してできるだけ勤労階段をして、資本家の味方としての政府であるとか、あるいは反動思想による政府であるとかいう形を示すことは、決してわが國の労働問題を円満に解決するゆえんでない、かような考えのもとに、労働対策をとつておるのであります。その点について、いろいろまだ努力が足らないという御批判はありましよう。しかし芦田内閣は成立以來まだようやく今日百日、そう各方面の施策を完全に行うだけの余日がなかつた。しばらくかすに余日をもつてしてくださるならば、植原君の御指摘のごとき方向に政策を操ることができると考えております。
#68
○植原委員 これ以上は議論になるから、その点はお尋ねしませんけれども、私ども労働者の反感を買つて、労働者を敵として労働問題を解決するなどということは毛頭申しません。労働者の地位を考えなければならないが、いくら労働者の地位を考えると言つても、行き過ぎをすれば労働者みずからを滅ぼすことになります。言葉で中道とかいうようなことはあいまいでよくわかりませんけれども、日本の産業の、日本の社会状態の、日本の経済状態の一切の事情を考慮して、労働者をあるべき地位に置かなければならないのであります。そのあるべき地位におらないことに問題がある。その当然あるべき地位、労働者のためにも、資本家のためにも、日本の産業のためにも、一番いい地位に置かなければならないのであるのに、それに対して芦田内閣は何も途をとつておらない。こう申すのでありますが、成立後三箇月でまだ何もできないのだから、それは了解してくれというならば別です。そういうことであるならば、どうも非常に宣傳なさるけれども、宣傳の方の力をもう少し実際の政治の方にあてはめられたらいかがかとでも申し上げておくよりほかはいたし方がないのであります。
 それからただいま妙なふうにお言いになりますが、軍公の問題は、英米に対して惡影響を與えたというような証拠が出てこない。証拠が出てきたらたいへんなことである。そういう問題は、実業家が腹の底においても容易に口にしないことであります。そういうことが事実になつてアメリカの経済界、英國の経済界に現われるようなことがあつたらば、これはたいへんなことである。今回においても、日本の公債がロンドン市場において下らないではないかというようなお答えをなさつたが、ロンドン市場における公債に対しては、支拂の停止の問題も何もありません。ただ契約というものを一方的に自由にすることにおいて、外國人が尊重するコントラクトの神聖ということに対して、その氣分を損うことが尋常一樣でないということを申し上げたのでありますが、その点に対してはお答えがない。顧みて他を言うておられるような状態でありますから、この点は強いてかれこれ申しますまい。
 次に私のお尋ねしたことでお答えになつておらないことは、芦田総理は盛んに貯蓄のことをお言いになる。にもかかわらず、現在の政府ごとき政治の行き方では貯蓄はできません。こういうのが私どもの考えで、現在大藏大臣の説明を聽いても、安本長官の説明を聽いても、近來著しく中央地方を通じて貯蓄の減じておることは爭われない事実であります。口で貯蓄を奬励しても、國民の間に余裕があり、安心あり、事業が盛んになつて貯蓄する考え、またいかに資本がありましても、その貯蓄したものが資本に投下されて絶えず利潤が得られるというような考えでなかつたら、投資する途もないとかいうような場合において投資するものではありません。芦田首相はあたかも芦田内閣の一つの処女政策として、有力な政策のごとくであるように貯蓄のことをお言いになつたけれども、現在貯蓄がすべて中央、地方の銀行で非常に減じております。のみならず、地方においては御承知の通り、郵便貯金や郵便の保險金まで早く貸出すようにしてもらわなければならないと言つておる。また農業会が今過渡期であるがために、その融通も得られず、農家の者など配給品さえとることのできないほどで、貯蓄どころではない、貯えの金もなくなつておるというような事実を御存じないことはございますまい。こういうようなことで貯蓄の宣傳をしたところが、空宣傳になるではないか。これに対しても何らお答えがなかつたのであります。
 次に三百万町歩の開墾のことをお言いになつたけれども、何も計画ありません。予算の上に何らこれが現われておらないのに、これもただ空宣傳である。そういうことを考えたけれども、芦田内閣は成立後三箇月だからして、そういうことに手をつけられないという御答弁なら、それでも伺つておきましよう。けれども、それじやあまりに無責任だ。また現在の開墾の仕方、ずいぶん耕される土地で遊んでおる土地があります。また現在の開拓営團のごともやり方では、ほんとうに落ちついて、そこに將來農産物を増産するというような者は、百人のうちに二割も歩止まりがないというような事実も御存じないことはございますまい。この上三百万町歩の開墾ということは、どこにそういう計画があるか。どこにその予算が計上されておるかというお尋ねをしたのであります。それに対してもはつきりしたお答えがなかつたと思いますが、この際お答えがあればはなはだ仕合せであります。
#69
○芦田國務大臣 最初にロンドン、ニューヨークの公債の値下りは、これは別に関係がないのだというようなお話がありましたが、植原君の御承知の通り、契約を尊重するという観点が非常に英米には強いのだ、こうおつしやつたのだから、もし日本政府が契約を尊重しないということで信用を害したものならば、日本政府のもつておる公債が下らないという理窟はない。ただになるかもしれぬという心配を抱くならば必ず下ります。けれども日本は外國人に関する限り、外債でも社債でも決して破棄しないのだという信頼感があるから、東京市の公債でもロンドン、ニューヨークで下らなかつた。対外的に日本が信用を害したという事実は、一つも出ないと私が申し上げたので、その一つの例として引いた。從つて日本の対外信用が公債、社債の上に現われてこないという議論は、私はどうも植原君の御議論には賛成いたしかねる。
 それから三百万町歩の波丘地帶がわが國に存在しておるということは、農林省の統計をごらんくださればわかる。わが國は耕地としては非常に僅少であつて、約全面積の一八%ぐらいしか耕地になつておりません。残るところは山岳地帶あるいは原野地帶で八二%以上を占めておる。ところがわが國の食糧問題の解決のためには、將來どういう方針でいかなければならぬかという点になると、われわれの見るところをもつてすれば、この山岳地帶と平野地帶との間に、約三百万町歩の波丘地帶と称する地帶がある。これを食糧増産あるいは食糧自給のために利用しないという手はない。どうして使うか、私はこの三百万町歩の波丘地帶を開懇するという言葉を一言も言つたことはない。開発すると言つた。どうして開懇するか。たとえば今日水田を利用しておる桑畑を波丘地帶に移せば、少くも二十万町歩の利用はできます。また今日の生糸の海外事情から考えて、新たに三十万町歩以上の桑畑を至急つくらなければならぬ。どこにこの桑畑をつくるかというと、波丘地帶につくることが一番よい。わが國のごとく澱粉過多の食糧をもつておる民族にとつては、今後どうしても脂肪や蛋白の食料品をよけいに與えなくてはならぬ。それにはどうするか。鶏を飼うか、豚を飼うか、有畜農業を奨励するほかに途はない。その有畜農業を入れる余地がどこにあるかというと、その波丘地帶しかほかにはないのです。また食料果樹としてくるみを植える。あるいはくりを植える。もしくはその他の果樹を植える。どこにその余地があるか。この波丘地帶を利用することが一番有利である。そうすればこの三百万町歩の波丘地帶というものは、わが國將來の有酪農業にとつても、あるいは食糧改良の一つの方法としても、最も價値のある土地である。さように考えて、現在農村に特に小委員会を設けて、この計画立案のことを今始めております。しかしながら、金を使わなければ、すぐに仕事ができないことはわかりきつたことだが、まずもつて一應の実体的の計画を立てて、しかる後に、その計画に基いて必要な國費を投ずるということが順序である。かように考えましたから、この予算には特に厖大な金額を要求いたしておりません。しかしそれは漸を逐うてなすべき仕事である。かような考えのもとに今実行に着手しておるわけであります。
 次に貯蓄が殖えないことは皆よく知つておる事実であります。しかしたとえば農村の貯蓄が四月から五月にかけて減少するという事実は、毎年の週期的な事実でありまして、今年は特にそれが例年よりも顕著であつたというにすぎないのでありまして、農村の問題はそれで一應よくわかる。しからば都市はどうかというと、御承知の通り上半期以來のあの所得税その他の数百億に上る資金を政府に吸い上げたのでありますから、そのために一時預金の減少を來したということは、これまたやむを得なかつたと思います。しかしながら遠からずかくのごとき一時的な減少は漸次平常状態に帰つて、今後政府の支拂金が本予算の成立とともに相当民間に放出せられるでありましよう。また第一封鎖の解除によつて、個人の取引も相当活発に行われる目安もついておるのでありますから、貯金の目標を二十三年度に三千億円に定めて、これが達成のために全力を盡したい。かように考えておる次第であります。
#70
○植原委員 政治の問題は現実の問題で、遠き將來がどうなるとか、こうなるとかいう問題ではありません。ただいま芦田首相は三千億円の貯蓄をさせるということを御吹聽なさつた。農村の方は年々起つてくるところの金融の逼迫状態であると簡單に言われましたけれども、その限度を非常に超えております。今日では配給品も受取れないという農家が多数であります。それは芦田首相が総理として天下に声明していることと矛盾するじやないかと思う。のみならず、たくさんの資金を吸い上げたから都会においても貯金ができないというなら、ちようど逆な政治をやつておるじやないか。將來また政策が変つたり方法が変れば、それで貯蓄ができるようにもなりましよう。けれども芦田内閣が今実行に移すということと、政治のやり方は逆な結果を生じておるじやないかということを私は問うておるのであります。
 それから今の波丘地帶三百万町歩の問題でありますが、日本のような山岳重疊の國で平坦の場所がないから耕地が少いということはわかつておる。政府みずから三百万町歩の土地を開発しなければならないと國民に言うた以上は、たとえその片鱗でもその方向に向つて政策をとらなければ、責任ある政治家のすべきことじやないではないか。農林省において三百万町歩の波丘地帶があるくらいのことは、十年も十五年も前からわかつておることである。いまさら芦田内閣によつて何も調査する必要はないことである。おそらく芦田首相も三百万町歩の波丘地帶があるということは、農林省からお聽きになつたことでしよう。わかつておる。それを開発しなければならないのだと言うた以上は、一國の総理大臣であるならば、それに副うだけの政策を立てなければならない。たとえ三箇月であろうとも、それをすでに言うた以上は、いかなる片鱗であろうとも、その片鱗が出てこなければならないのに、何もないじやないか。そういう宣傳をしてもただ國民を惑わすだけのことじやないか。から宣傳はやめたがよろしいというのです。芦田内閣の外資導入、貯蓄の奨励、三百万町歩の波丘地帶の開発の問題、ことごとく一時の宣傳であつて、誠意を示した政治家の行動でない。さらに最近において五箇年計画を唱えておられる。その五箇年計画に対して予算面において現われておるものを発見することはできないじやないか。現在日本の國民が芦田内閣の対して抱いておるところの意見はその意見である。宣傳内閣だ、ときに都合のいいことを言つてその場逃れをするだけだ、無責任きわまる内閣だ、かような内閣では今のような日本の戰後の状態に対しては國民として困つた内閣だと、こういうのが一般の世論であります。そこでこういう点をどうなさつておるか。芦田首相は、親切にそういうことを指摘してくれてありがたい、これから大いにやる、こういう計画があると、一々おつしやるのはよろしいのだが、そうなつたらやがてはできましよう。しかし無責任じやないか。これ以上あなたとの間に質疑應答をしてみたところが、益するところはありますまい。私どもは、芦田内閣が存在するその間、この日本の時局に対していかなる仕事であろうとも、國民に責任をもつて有利な政策を、たとえ一つでもできないながらもしてもらいたいということで、かような質問をしておるのであります。ただそれに対して、それは言うたけれども、それは將來のことだ、今調査中だ、やがて金融、経済がよくなつた貯金ができるだろう、そんな無責任な答弁なら聽いて何らの國民を益することもなし、私らはそういうことを聽こうともいたさないのであります。ただあまり宣傳して何もしないじやないか。これをどうするかということであると御了承願います。
#71
○磯崎委員 ただいまの質疑に関連してちよつと質問いたしたいと思います。先ほど來、総理大臣がいわゆる外資導入の問題を提げられまして、各方面、各地に御演説を試みられました問題は、総理大臣がたまたま施政演説においてわずかに片鱗を現わしただけだというようなお話でありますが、私どもはさようには心得ておりません。おそらく外資導入の問題は、芦田内閣の一番大きな問題、一枚看板であるというふうに私どもは考えております。ところがこの一枚看板たるや、その態勢はほとんどなつておりません。これを財政的に見ましても、あるいは労働問題にしましても、インフレ問題にしましても、各般の問題におきまして、外資の導入を求むる態勢がひとつもなつてはおらぬと私どもは考えざるを得ない。しかしこの問題について重複する御質問はあえて試みませんが、少くともただいま問題にされました。いわゆる軍公利拂いの停止の問題、この問題につきましては、金額についてはきわめて些少とは心得ますが、しかし事の波及することきわめて重大であります。
 外に向つて大きな問題であるばかりでなく、内においても実際重大な衝動を國民に與えていることもいなめざる事実であります。すなわち政府は國民の前に儀表として立つべき立場でありながら、國民にかつて約束した問題をあえて履行しようともせず、一方的な方針によつてこれを破棄するような行動、これは実際八千万國民から見ますと、ずいぶん重大な問題に考えます。私はこの問題につきましては、総理大臣がいま一度、正義人道のためにこの方針を改めることがいいじやないか、こういうふうにさえ考えます。しかしこれは先ほどまでの御論議によりまして重ねて御質問はいたしませんが、少くとも昨年、総理大臣の所属せられる民主党の諸賢は、全國津々浦々の選挙にあたつて、軍公利拂いは停止すべからざるものであるという、國民的な信任によつて現在の勢力を議会にお有しになつた。また他の組閣者であるところの社会党は、これはまた異なつた主張によつて現在の勢力を院内におもちになつておる。あるいは國協党におきましてもその通り。おのおの國民の前に提げましたそのスローガンを、三党連立の組閣のためにいろいろ御協定なさることはよくわかります。しかし現在御決定に相なりましたような、こうした問題につきましては、少くともそこにおいて総理大臣としての断がなければならぬと思います。すなわち現在の政局の混迷の根幹はここにあります。そこで昨年皆さんを御信任しましたる國民に、その是非曲直を問う、この観点からしまして議会の解散をするか。解散もまた及ばざるものであるとするならば、その責任を天下に謝するという意味で総辞職なさるか。大きな一つの観点に立つて御処理なされませんと、現下のような政局の低迷を展開する。これでは再建というものはとうてい望めない。かような重大問題、金額は些少ではございますが、世道人心に影響を與うるところの重大問題、しかも昨年國民にお誓いになりました問題を、現実に断行せんとするならば、まずもつて國民に御相談なされて、実現なされることが立憲的ではないか。こういう観点から総理大臣の解散に対するところの御意見をこの際併せて御質問申し上げます。
#72
○芦田國務大臣 軍公の問題は本会議なりこの委員会で答えた通りであります。総辞職をする氣はないかというお話でありますが、そういう氣持はありません。解散してはどうかという御意見でありますが、とくと考慮いたします。
#73
○磯崎委員 ただいま総理大臣から明確な御答弁でお話はわかりましたけれども、解散問題につきましては、先日の民主党の総会における、相当うがち得ましたような総理大臣の最近の御心境等も漏れ承つたのでありますが、さらにこの席上におきまして、もう少し明確に、そのお氣持を示していただきたいと思うのであります。
#74
○芦田國務大臣 國民の輿論に問うべき必要な問題が起つたときには、躊躇するところなく解散をいたします。
#75
○鈴木(強)委員 私は國土保全につきまして、総理大臣の御所見を承りたいと思います。私たちの知つておる友人が、しかも外國人が、多くジープに乘つて二時間も走れば、白砂青松の美しい海岸から緑の原を経て山紫水明の國に、心中豊かに遊べると言う。しかるに今日の日本の國土はどのようになつておるか。満身創痍ということがありますが、日本の國土は傷あとだらけであります。山は赤はだになり、われわれの愛する農村の田畑は荒廃しております。かような段階におきましては、日本の再建はとうてい考えられないのであります。今日このごろのように雨が降つておりましても、配電会社は電氣を止めております。このように雨が降つても電氣がないということを言つております。またきようのような雨のときは、一昔前であれば慈雨、慈しみの雨といつて、どのように農村の人が喜んでおるかしれませんが、このごろは恨みの雨であります。この二三日の梅雨ですでに橋梁は流れ、田畑が流れたことは、新聞紙上で御承知でありましよう。かように荒れ果てた日本の國土をいかようにしたら再建できるか。また日本の再建の根幹をなすわれわれの思想は、かような山間農村の強い魂から出るのでなかつたら、再建できるものではない。申し上げるまでもなく、戰爭によつて大きな破壞があつたあとにおきましては、いかなる國におきましても、勝つた國においても負けた國においても、山間農村からこれを再建回復せられております。かような見地から、どのようにしましたら、日本の傷だらけになつた國土が回復するか。またこれにどのくらいの日数を要するか。かような点につきまして、御所見をお伺いいたします。
#76
○芦田國務大臣 ただいまの鈴木君の國土保全に関する熱意ある御心配は、われわれにおいてもまつたく同感であります。戰爭以前においても、わが國の治山治水については、根本的な対策を立てる必要を痛感いたしておつたのであります。その計画がまだほとんど緒につかない時期に大東亞戰爭が始まつて、わずかばかりの砂防の費用さえも全部打切らざるを得ないという状態に陷つたのであります。これに加うるに、戰爭中における山林濫伐の影響もありまして、昨年、一昨年あたりにわたつて幾多の災害を見たのは、まことにわれわれが不幸に感ずるところであります。その災害に対しまして、今後わが國の國土を治山治水の見地からりつぱな國土に仕立てあげるためには、相当の年月と莫大の経費を必要とするところと考えられます。治水といいましても、水源地のもとに溯つて砂防工事から手をつけなければ、堤防の高さを一メートル二メートルをもつて必ずしも安全感を得ることができないということは、鈴木君もよく御承知の通りであります。治山治水の計画は長き根本的の計画から出発しなければならないということを、われわれは痛感いたしておるのであります。しかるところ、今日のわが國の財政状態、またこれらの工事に必要とする資材、いずれもきわめてきゆうくつになつておりまして、希望通りの計画を今日実行することができないということは、政府においても、地方の直接利害関係ある人々に対しては、まことに済まないと考えておるのでありますが、いかんせん今日の状況におきましては、予想の通りにこれらの工事を行うことのできない状況にあります。しかしながら、わが國の財政に余裕ができ次第、また資材の余裕ができ次第、何をさしおいても國土保全のために、極力必要な施策を行わなければならないと考えておる次第であります。
#77
○鈴木(強)委員 重ねてお尋ねいたしますが、芦田総理は前内閣におきましては、副総理として活躍されておりました。前内閣におきましては、戰爭以來の水害と、前年におきまするカザリン水害、この合せた水害につきましては、三箇年でこれを完遂することを言明したのであります。しかしながら、予算面におきましては、百四十七億に対して五十一億というような、非常に貧弱な関係から、この完遂は本年の予算面から見ますと、足かけ五年かかるのではないかと思われるのであります。かようなことであつては、とうてい國土の改善はできないと考えますので、この費用の出し方について、一言意見を述べてみたいと思います。今日いろいろ財政から税制の改革が叫ばれておりますが、一般財政に対する一般の税制、かようなことであつては、去年のような一年間に百年以來なかつた大水害があつて、二百五十五億の損害を内務省が課されておる。それにはそれに應ずるような非常税制が必要ではないか。われわれはこの機会に徴税と同時に、國民が喜んで税に應ずる、かようなことが政治の秘訣であろうと思つております。戰爭以來の水害がそのままになつておりまして、二十一年までが旧單價で百二十七億ございます。また去年の残りが旧單價で百五十八億、これを新單價で言うならば、五百億のものが今日残つております。かようなものに対しましては、たとえてみれば、一番被害をこうむりました群馬縣は二百五十五億のうち、二十五億に達しておる。政府が三分の二補助するときにおきましては、あの小さな縣で八億の負担をしなければならぬ。かようなことであつては、被害を受けたら、とうてい立上れないと思いますから、われわれはこの被害に対して、全國民に向つて、これは百年に一回しかない災害に対する税金であるから、非常税であるというようなことを、言つて呼びかけなかつたなら、どうしてこれが貫徹できるか。関係当局の官僚たちは、とうてい將來の望みが果されない。本年度において、もし大きな水害があつたならば、今までの計画も瓦解するということを言われております。今度の予算も國民の所得の二二%というような非常な苦しいところまで取立てておりますので、われわれはこの財政につきましては、相当意見をもつておりますが、これと場所をかえまして、單に國土の保全という意味から、百年に一回しかないような水害が起つた場合には、こうした非常税をとらなければならぬ、その意味で水害税をとる意思はないか、その点について伺いたい。
#78
○芦田國務大臣 鈴木君にお答えいたします。私はあまり税制のことは詳しくありませんので、正確な回答はいたしかねると思いますが、水害税というのはどういうふうに税をかけられるのであるか。あるいは所得税の附加税のようなものでもかけられるのでありますか、その辺のことをもう少し承らないと、私には的確な回答ができかねるのであります。なお必要であれば政府委員からお答えをいたさせます。
#79
○鈴木(強)委員 われわれの言う水害税と申しまするのは、全國民の負担において水害を治めていきたい。われわれは取引をするから取引高税、事業をするから事業税、こういうようなことであつては、國民はなるべく自分の税金を納めたくないと考えまするが、ここに日本の國土が傷だらけになつたのを直すために、水害税をかける。その人の所得に應ずるようなものを一挙にとつてこれを納める。中には水害公債によつてやつてはどうかという人もありますが、公債で財政面にきずを残すことになつては、日本のような財力の乏しいところにおきましては、將來に禍根を残すのではないかというようなことから、全國民に対して、かような見地から水害を一年、二年で治めるのだということを強調して、当局は非常税をとつていただきたいと思いますが、これについて大藏当局がお見えになつておりますから、御意見を承りたいと思います。
#80
○芦田國務大臣 技術上のこまかいことは、政府委員からお答えいたしますが、政府の方針として今ただちに新税を起すかどうかということは、おそらく政府委員限りでは御答弁ができないと思います。私からお答えいたします。一應昭和二十三年度の予算を編成して、これに関連する各種の法律案を提案いたしたのであります。從つてまずこの歳入歳出を來月から施策の上に実行していきたいと考えておりますので、水害税を起す問題につきましては、なおこれと別個に十分考慮をいたすことに取計いたいと考えます。
#81
○鈴木(強)委員 もう一点総理大臣にお尋ねいたしますが、かような破れた國土を建直すということで、先日緑十字ができた。御存じのように、山村の人の植林する方はほとんどございません。かようなときに学生團、日本青年植林團などと称しまして、すでに群馬、山梨、長野におきましては植林をやつている。私はこの運動に感激しております。かような方面によつて日本の再建を考えることは、非常にいいことであろうと思います。総裁はこの発会式へお見えになつておりますが、ただ私が残念に思いますのは、さいわいにしてかような團体ができても、ほかの方面では米の特配があり、あるいは地下足袋がくる。作業衣もくるということがあるのですが、植林の方には何らのさような手当もなければ特配がないのであります。日本を再建するためにみずから望んで日本の國土を完璧にするために働いている者に対して、総理からも一言強いおほめの言葉をいただきたいと思います。
#82
○芦田國務大臣 ただいまの鈴木君からのお話は、私も非常に感激すべき美挙であると存じます。政府としては、われわれの氣持を現わす形として何らかの方法をとりたいと考えております。
#83
○鈴木(強)委員 次に建設院総裁にお尋ねいたします。この間水害地の特殊対策委員会において、かような決議をいたしましたので、申述べたいと思います。まず第一に本年の公共事業費の予算はわずかに百十一億で、政府は相当にお出しになつたように言つておられますが、前年度の比率は三五%で、本年は二五%になつている。予備費の十億を入れても二八%にすぎない。從つて二十一年度と二十二年度を合わせましても、五百億のものを百十一億でやるには、少くとも五箇年かかることになります。かような見地から、委員会におきましては、二十三年度における水害に対しましては、少くとも百六十五億を出さなければやつていけないじやないか。政府におきましては、いろいろの都合があるだろうけれども、百六十五億都合してもらいたいというのが一点であります。
 次に四、五、六の暫定予算におきましては、三十億が計上されておりますが、実際にこれが水害地に金の届いたのは、まだ四月分が届いたか、届かないかでありまして、五月、六月は届いておりません。しかるにこれが決定済というので、旧單價でやられておる。金が渡らない関係から、これを旧單價でやられたのでは、事業の完遂ができないというので、すでに決定せられたものにつきましても、未だその予算面の金が関係のところに届かない分については、これを新單價でやつてほしいというのであります。
 次に各水害地におきましては、水害の復旧を急ぐために、非常な苦労をいたしております。それに政府が明示せられました三箇年でやりたいということで、すでに各縣におきましては、三分の一の事業には全部手をつけております。しかるに政府から來る金は、全水害に対してわずかに一割五分しかまいりません。そういう関係で、各縣におきましては、非常に金融面で苦難に陷つておるのでございます。かような立場から、現在やつておる工事が進捗いたしましたところにおきましては、でき高拂いをしていただきたい。三割できたら三割、五割できたら五割のでき高拂いにしていただかなければ、あとはゆつくりできないという情勢になつております。
 もう一点は本年度までの予算に計上されないものでありましても、万一突発的な水害があつた場合におきましては、これらについては、政府は特別の金融上のめんどうを見て、應急の措置ができるような措置をやつてもらいたい。この四点を委員会で満場一致決議しております。これにつきまして、まず第一にわれわれは非常な困難な時代でありましようけれども、現在百十一億の水害復旧費に対しまして、十億の予備費――もちろん予備費はこの際本予算に繰入れていただくという意味でなく、水害復旧費については、なおできるならば四十億のものをしぼり出してもらいたい。そういうことでありませんと、先ほど申し上げましたような敗戰こそすれ、日本に生れたことを喜びとするわれわれにおきましては、非常に悲しい結果になりまして、四千万の農村の人々は、毎日いらいらした氣持で、とうてい國土の開墾に手が出せないのであります。この四点につきまして、総裁からの御所見を承りたいと思います。
#84
○一松國務大臣 鈴木君にお答えいたします。公共事業費は昨年度に比較いたしまして、本年度は相当増額をいたしておりますことは鈴木君の御承知の通りであります。また公共事業費に関しましては、新聞等でお聞き及びでありましようが、二百七十億というものを公共事業費として最初計算に入れて、それが新聞等に発表せられておつたのでありますが、だんだん物價の騰貴等によりまして、これでは十分の賄いができないということになりまして、四百十億ということにその金額を殖やしまして、これを各公共事業に按配をいたしたのであります。そういたしまして、河川の振当につきましては、実は鈴木君も言われましたように、昨年の河川の水害というものは、よほどその被害が甚大であるということに思いをいたしまして、実は二百七十億の公共事業費が計上されておりますときに、七十七億の請求をしたのでありましたが、それが四百十億に殖えましたことについて、自然に七十七億の率が殖えてまいつたのであります。ところが結局のところ、この四百十億の公共事業費のうちで、二百七十億のことに関係しまして、安本の方で査定したのが四十二億であつたのでありますが、四百十億に金額を殖やしましたに関連いたしまして、安本で査定いたしましたのが六十二億ということになつたのであります。鈴木君も言われますように、六十二億ということでは、建設院を預つております私としては、とうてい災害復旧は及びもつかないということで、非常にその増額を要求いたしました結果、辛うじて御承知の軍事公債利拂延期によつて生じました十五億のうちの七億というものを、こちらにまわしていただきまして、そうして六十九億ということにこれを計上いたしたのであります。ところがそれらの中で、いろいろすでに支拂つて金額等を控除いたしましても、二十年度の災害分がなお八億三千万円、二十一年度の災害分が九億六百万円、そうして二十二年度の災害分が四十四億五千万円、合計六十一億何千万円という被害があるのであります。これらの中ですでい支拂つておりますものを除きますと、わずかに三十数億よりほか残つていないのであります。これらの金で二十一年、二十二年、二十三年の三年分の災害に充当いたしますときは、九牛の一毛と言えば少し過大でありますが、よほど金額が足りません。それで私の立場としては、これら三年の中の被害の中で、重点主義にどういう方面にまず着手しなければならないかということを勘案いたしまして、これに手をつける、かような考えを今もつておるのであります。これで十分なことでありませんことは、あなたのお考えの通りでありますから、私としては何らかの方法によつてこれをいわゆる民主の安定に資すべく努力しなければならぬということを考えたのでありますが、わが國今日の財政状態では思うようにまいりません。そこで御承知の公共事業費の方の予備金の十億円というものがありますから、この十億を今年度の災害について、まず建設院の方面の災害に優先充当するという閣議了解を得まして、そういう方面に使わしていただくということになつておる以外に、今あなたの言われましたように、何らかの新税を考え、そうしてそれらの新税が非常によかろうということになれば、まず私の方と六・三制の方面の充当すべく、これについて閣僚が互いに研究をして、そういう方面にひとつ努力をしよう。こういうようなことで、これらの災害に善処しようと考えておるのであります。それからすでに仕事のできておることに対して四月、五月、六月分の金を分配することについて、未だに届かないところがある。それがために非常に困つておるというようなことは、すつかりそういう陳情を聽きましたから、すでに政府からそれらの金が地方に配給されておるにかかわらず、未だに届いていないという怠慢については、はなはだ不都合でありますから、そういうことについて十分に手を打つて、速やかに配給のできるようにということで、今手を打つております。
 それからまだ届かないことによつて、いわゆる新物價並びに旧物價というようなことを基本として査定をした。その金額が届かないものに対しては、いわゆる新物價を基礎として算定したる金を補助してもらわなければならぬのではないかという御請求は、今日の程度においては、もつともな御請求であろうと思いますから、それらの点につきましては、さらに相当に研究をして、できるだけそういうような御趣旨に副うようにいたしたいと思うのであります。
 それからこれらの問題に対しまして、しからば何か新税を考えておるかということについては、現在の予算においては、総理の申されましたように、この予算の程度において御審議をお願いしなければなりませんが、引続きまして、われわれの方で十分に檢討をいたしまして、何か新税を発見したならば、それをこの方面に振り向けよう、こういうことを私どもは考えております。私の個人としての考えも多少そこに新税についての考慮をめぐらしておりますが、まだ発表するだけのところまで達しておりませんから、十分にそういうところを研究いたしまして、あなたの言うように、水害税とかいうようなことにまでは至らないにしても、とにかく國民の納得するような新税を発見して、そういう方面の危機を救いたい。かように考えておるのであります。
#85
○鈴木(強)委員 重ねて建設院総裁にお尋ねいたします。非常な御苦心の結果であることはよく了承しております。しかしながら、前年においては三箇年計画、今年度におきましても、少くとも三箇年計画を堅持しておられるのであろうと推察いたします。ただわれわれのもつておる数字は三箇年にならない。かような見地から、去年におきまして、大藏省から九億三千万円の緊急の金融措置をしていただきました。この金はこの年度で返さなければなりません。かようなことになりますので、もしやり繰りができないことならば、少なくとも金融面におきまして三十億ないし四十億のものを、何とかこの七月一ぱいにできるようなことに御努力願いたい。これならば金融でありますから、御努力の結果できないことはないと思うのでありまして、併せてこれについての御所見を承りたいと思います。
#86
○一松國務大臣 御希望はごもつともでありますから、大いに考慮いたしまして、適当な処置を考えたいと思います。
#87
○鈴木(強)委員 公共事業費のうち、私鉄に四千二十九万の金が出ておるのでありますが、われわれはこの公共事業という立場から見まして、はたして私鉄関係に公共事業費から賄う必要があるかないか。檢討を要すると思うのであります。しかも私鉄の会社におきましては、十八社が非常な災害を受けまして、今日まだ應急の措置だけであつて、きわめて貨物あるいは旅客に対しての危險を感じております。これにつきましては、政府といたしまして、相当の手を打つべきだと思つております。ただ單に私鉄という私の名前を掲げたものが公共事業費の中に出ておることにつきまして、政府はその後これの組替えをせられたかどうか。この機会に大藏当局の御意見を承つておきたいと思います。
#88
○福田政府委員 お答えいたします。私鉄の災害補助というものが、公共事業費の中に四千万円ばかり計上されておるということは事実であります。しかしながら、四千万円ということを掲げましたその内訳表というのは、先般も申し上げております通り、これは異動があるのでというふうに申しておるのであります。その一つの事例に該当するのでありますが、私鉄補助を公共事業費として出すことが穏当であるかどうかという問題が、さようなことを政府で一應事務的に決定した後におきましてもあるのであります。これにつきましては、あるいは削除となりますか、あるいはこれを運輸省所管に移しまして、運輸行政の一環としてそういう見地から考えまするか。ただいまいずれにいたしましても、公共事業費の中に一般の公共事業費という観念で出すことは、適正でないのだという見地から再檢討いたしておるわけであります。
#89
○鈴木(強)委員 ただいまのお話を承りますと、はつきりしたことがわからないのでありますけれども、私は当然私鉄に対しても助成しなければやつていけない。災害がひどいものですから。この場合は大藏省の産業経済費なり何かで当然やるのがいいのではないか。金額が少いのですから。從いましてこの四千万円は予算が組んであります。一般災害として災害の方で使わなければならないことは、当然であろうと思うのであります。これについても御返答願いたいと思います。
 この機会に農林大臣に承つておきたいて思います。この間農林委員会におきまして、いろいろと開拓の問題が取上げられました。特に自作農創設特別法案の一部を改正する中に、第一の末項、あるいは第四條、第三條、かようなものは少しく行き過ぎではないかと考えております。なぜなら、この芦田内閣が成立当時におきまする三党の政策協定におきましても、明らかにわれわれは第三次農地改革はいたさぬということを約束しております。しかるにこの文面から見ますと、これはその線をいくらか逸脱しておるのではないかと思うのでありまして、われわれはこの機会に農林大臣のはつきりした御所見を承つておきたいと思います。
#90
○永江國務大臣 ただいま鈴木君お話の点は、決して第三次農地改革を意味しているのではないのであります。この点は第二次農地改革の範囲内におきまして、当然事務的に処理する必要のありますことを法的な処置として御審議を願つているわけであります。第三次農地改革につきましては、しばしば私が言明いたしておりますように、あくまで三党政策協定の線に沿いまして、あらためて三党の代表者によりましてその方針を明らかにいたします以前において、第三次農地改革に着手するということは絶対にいたしません。
#91
○鈴木(強)委員 重ねてお尋ねいたしますが、かねて五月十二日附の総司令部の所局が発表いたしました日本の開墾計画というのが載つております。総司令部天然資源局は、日本農業の見透しという新しい報告書を公表した。U・P通信によりところの報告で、日本政府の土地開墾計画は欠陷が多く、輸入食糧に依存する程度を軽減することにはならぬと、次のように警告している。日本政府は十五箇年計画で、未耕地百五十万ヘクタールを開墾しようとしているが、これはきわめて野心的な非現実的な考え方である。そうして次に、日本政府は未耕地開墾の可能性とその收穫を過大に評價している。開墾予定地のおよそ四割三分は北海道にあり、残りは本州、四國、九州に分散しているが、そのうち水田として開墾できるのは一割にすぎない。他の九割は畑地以外には利用できず、土質も現在の耕地より劣つている。計画中には全然開墾に適しない土地まで含まれている。かように警告を発しております。しかるに農林関係の公共事業においては、百一億の予算を組まれまして、そのうち四十億以上のものが開墾費用でございます。われわれはただいま総理にもお尋ねしましたが、國土保全の立場から、開拓、開墾につきましては、十分意を用いなければならぬと思つております。すでに不幸なる海外引揚者や、われわれの農村の子弟から十四万五千戸の入植がありました。從つて六十余万の人々の開拓、入植に必要なことは当然やらなければならぬ。また本年度におきましても、一万二千戸の入植も認めなければならぬと思つているのでありますが、四十何億の公共事業費の予算から考えると、あまりに多過ぎる。なぜならば、農林関係の事業は二十九億、それ以外が開拓関係である。しかも、土地の改良にも十六億しか見積つておらない。農業水利にも八億八千万円見積つております。かような点から考えると、先ほど申し上げたような日本の國土保全ができなくなるのではないかと考える。從つてこの点について農林大臣は今後の開拓についてどのようにお考えになるか。先ほど申し上げた自作農創設特別措置法の一部改正について見ましても、ああいう見地からやられるということは、きわめて危險であるということを、私は申し上げたい。さような見地から併せてお答え願いたいと思います。
#92
○永江國務大臣 今総司令部の発表についてお尋ねがありましたが、この点は発表以外に、実は司令部がドレーパー・ミッションの参りました際に必要とする他の目的のために、この発表がなされているのでありますが、これはこういう席上でその目的について、総司令部の関係官からお話がありましたことは、発表を差控えたいと思つております。しかし予算の面におきまして、今同じ開拓の中においても、農業土木、水利等、直接食糧増産に関係のある予算よりも、開拓開墾の予算が多額ではないか、しかもこれをこのまま放置すれば、司令部の指示したように、非常に不備な多額の金をこれに投入しながら、その目的を達することができないではないかという御心配でありました。私どももそういう点につきましては、十分考慮しておるのでありますが、他の機会におきましても、私がお答えいたしましたように、開墾開拓の第一の目標は、当然國内の食糧増産ということにあるのは明らかなことであります。なお一つの目的は、やはり戰爭犠牲者であります海外引揚者、あるいは戰災者等の入植を考えておるわけでありまして、開墾開拓にはこの二つの要素がありますので、ただ食糧増産の面からのみこの予算を論議いたしますれば、今御心配になつたような点があろうと思うのであります。私どもは直接食糧増産に関係があつて、しかもきわめて近い機会にこの効果の現われます農業土木、水利にも、なお多くの予算を投入すべきであると考えておりますが、ただいまのところは、この予算で御審議を願う程度において、私どもはこの農業土木に使います金と開拓に使います金とのバランスを考えるのが、妥当であると考えております。
#93
○鈴木(強)委員 農林大臣にさような見地から農林委員会に出ております自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案は、お引下げになることを希望いたします。この機会に農林大臣がいつも消費者の立場から、特に家庭燃料に重きをおかれて、非常にその方面に御努力なすつておられることを感謝いたしますが、今回薪炭の需給調整規則が一部改正されるやに聞いております。そこでお尋ねしたいことは、農林省におきましては、木炭事務所の出先官廳を廃止するか、あるいは必要とするか。この問題は最近審議されておりますが、この薪炭需給調整規則をかえるにあたりまして、大臣の抱負である木炭はなるべく家庭用に、そうして動力といたしましてはガス、薪を使わせたい。ガスなし家庭には、少くとも木炭を使わせたい。これはまことに結構である。とこたが薪は今度規則が変りますと政府が直賣する。今出先官廳が縮小されることを希望しておる際に、どうしてこれの設備を拡充して、ここから直賣するようなお考えをおもちになるのかどうか。
 もう一つは最近薪炭の價格が物價体系におきまして改正せられるやに聞いております。かような機会におきまして、木炭は從前通り産地で買い上げる。言いかえれば、今まで通り集積地で買い上げるが、薪は発駅で買い上げる。同じものを一つは山で買い、一つは発駅で買い上げる。しかも農林省がこれらの立木を拂い下げるときに、木炭の場合にはいくらであつて、薪の場合にはいくらであつてというように、同じ立木が拂い下げる目的によつて変るということは、まことにむずかしいことじやないか。かつまた配給機構におきましては、当然臨時に買うべきものでありますが、生産の條件にまでゆえなくて手をつけて、もし二十三年度が二十二年度より生産が少い場合には、どのような責任をおとりになるか。私はこれを関係当局にお尋ねいたしましたところが、これについては御返事がありませんでしたが、そこに確信があるなら、私は何をか言わんやであります。われわれの考えますところ、また業界の意見によりますと、もし薪を発駅で買上げることになりますと、おそらく薪の生産ができなくなるのではないか。またその間における運賃問題、また生産者價格と最終の消費者の價格との價格差を非常に心配しておられるように聞いておりますが、その心配を第一とするか、生産高を第一とするか、この二点に解決点があると思うのであります。これを生産者價格と消費者價格との價格差が多いということで発駅までもつてくることになれば、生産者は発駅までもつていかなければ金がもらえない。今度大臣のおせわで十五億の金が生産資金にはいるように聞いておりますが、かような金も、発駅までもつていかなければ金がもらえない。家庭におきましても、木炭で御飯を炊いておる家はありません。最近は薪に変つております。この薪が巷に出ないようになりましたならば、重大な影響を與えるだろうと思います。この問題は大臣のふだんお考えになつておる家庭燃料の見地から、十分御考慮を願いたいと思います。まず出先官廳をどの程度に整理するか。整理はするけれども、事業を拡張して直賣をするか。あるいは生産を第一にするか、價格差を第一にするか。こういう点について、大臣の御所見を伺つておきたいと思います。
#94
○永江國務大臣 木炭事務所を廃止するかどうかという点でありますが、これは御承知のように、薪、木炭等について、すべてを一應統制のわくの中に入れておりますので、その事務機関としてこれがあるのであります。もちろんこれは手段であつて目的ではありません。今お示しになりましたように、薪及び木炭につきまして、新しい制度による生産及び配給を考えたいと思つております。從つて新しい制度が確立いたしますならば、それに從つて木炭事務所の機構ははつきりしてくるわけであります。ただいままでに申し上げ得る範囲は、木炭事務所をただちに廃止することは困難だと思います。木炭の生産配給につきましては、先般もこの委員会において、私は一應構想の大要は申し上げておるのであります。
 第二にお尋ねになりました木炭と薪についてでありますが、木炭は今まで通り、全部マル公のわくの中において操作をいたすつもりでありますが、薪については、場合によつてはマル公をはずしたい。一應の價格はきめますが、今までと同じ方法ではなるべくやらないようにと思いまして、目下関係方面と折衝をしておりますから、もしその制度がはつきりいたしまして、木炭とは別に薪の制度が変りますれば、今御心配になつておるような点はなくなると思つております。
#95
○鈴木(強)委員 ただいまの農林大臣のお答えでは、なお一層の危惧を実は抱くのでありまして、薪も東京におきましては三十束も配給されておらぬ。そのためにそだというものが町々に出ておつて、ようやくこれで補つておる。かようなときに、もし薪の公定をはずしてやるようなことになつたら、おそらく多くの消費者、たとえば最近の三千七百円ベースの方々は、一束の薪も買えなくなるのではないかと思う。これらはもうしばらく統制のわく内に置いていただく方が結構であろうと思います。
 なお財政金融委員会に出ております特別会計の問題でございますが、これはおそらく間違つて財政金融委員会に出たのではないかと思います。今まで農林委員会に出ておつたのでありますが、しかるにこれが財政金融委員会に出たために、委員会では困つておりますので、この機会に意見を申し述べておきますが、これらの法律案の決定にあたつては、農林大臣は農林委員会の意見を尊重することを希望しておきます。
#96
○永江國務大臣 お答えいたします。実は木炭と薪の制度につきましては、全面的にかえたいと思いまして、初めは全部マル公をはずしてやるということすら、一つの試案に考えてみたわけであります。実はただいまも、この二つの制度について、コンクリートいたしました案はでき上つておりません。木炭につきましては、大体ある程度の固まつた制度になつておりますが、薪の方は、先ほど申し上げたように、関係方面ともまだ打合せも済まぬ点もありますので、これもこの委員会が進行中に、私どもは前國会の議決をも尊重する建前から、できるだけ早くこの制度を明らかにいたして発表いたしたいと思います。なお第二の点につきましては、もちろん私どもといたしましては、農林委員会の御決議を尊重するつもりであります。
#97
○押川委員長代理 この際委員外の北二郎君より農相に対し簡單なる質疑がありますので、これを許します。北二郎君。
#98
○北二郎君 実は農林大臣にお尋ねしたいのでありますが、わが党には委員がありまして、あとでまた申し上げると思いますが、実は今農村において重大な問題となつているのは、今度の物價改訂による差額金の支拂問題。一体政府は院議でもつて決議をしたこの價格の差益金の支拂いについて、どんな態度であるのか、熱がないと思うのですが、一体どうするつもりか、まずこの点を伺いたい。
#99
○永江國務大臣 これは先般本会議におきまして院議決定をされまする際に、芦田総理が政府を代表して言明いたしました線に沿つて、政府は鋭意その実現のために努力いたしております。
#100
○北二郎君 努力するだけで、今度の予算を見てみると一銭も盛られていないが、この点はどういうわけか。それからもう一つは、一体昨年の農作物の價格というものはパリティ計算によつて買い上げられた。われわれはパリティ計算は賛成だが、今度の物價改訂によりまして、この追加支拂いをしないということになりますと、パリティ計算の名において農民をだましたということになる。この点政府はどう考えるか。
#101
○永江國務大臣 ただいまのパリティ計算のことでありますが、パリティ計算によつて米價が決定いたしますことは、私どもはそれによつて農民をだましたとは考えておりません。あくまでも二十三年度の米につきましても、パリティ計算が採用されると思います。そういう際の基本的ないろいろな物價については、今國会が御審議中でありますから、その決定によつて、パリティ計算によつて新米價が決定するわけでありますから、この点は農民諸君をそこで政府が欺瞞するということにはならぬわけであります。
#102
○北二郎君 私は欺瞞をしているという結果になると思う。一体この予算に一つも還元支拂の金が載つていないということは、農村をだましておる、百姓をだましておるということになるが、政府はもう一回答弁したください。拂うというのか拂わぬというのか。
#103
○永江國務大臣 この点は國会で院議をもつて御決議になりましたが、昨年の米價と、本年の場合、かりに七月一日で計算をいたしまする仮想米價との比較について、國会側はこれを支拂うべしという御決議がありました。もしその通りするといたしましても、その際に昨年は一般会計から適当な金額を予算に計上して支拂うべきか、あるいは適当な主食の値上りによりまして、三千七百円ベースとのにらみ合わせにおいて、その主食の値上りの限度において、消費者價格中からこの金額を出すべきか等がまだ決定されておりませんので、この予算には計上されておらぬのであります。
#104
○北二郎君 いずれにしても、農林大臣、支拂うのか支拂わないのか、その点をはつきり答えていただきたい。
#105
○永江國務大臣 政府はその差額を支拂うということを、いまだ言明いたしておりません。
#106
○北二郎君 それなら支拂わないという結果になつてもいいのですか。そう解釈して構わないのですか。
#107
○押川委員長代理 ちよつと申し上げますが、討論にならぬように願います。
#108
○永江國務大臣 その点はまだ政府が責任をもつてお答えをする段階におりません。
#109
○北二郎君 どういうわけでその責任をもてないのか。さつきは農民にうそを言わないと言つて、今度は責任をもてないと言う。これを説明してもらいたい。
#110
○永江國務大臣 先ほど申しましたのは、パリティ計算については、農民に対して私どもは欺瞞をしないということを申し上げた。ただいまは責任をもてないということは、その差額の金を拂えるか拂えないかということについて、今まだ答弁をする段階ではない。こう申し上げたのであります。
#111
○北二郎君 それならば農林大臣はパリティ計算ということを知らない。パリティ計算は、どこまでも均衡計算である。均衡計算であるから、物價が上れば必ず農村に還さなければならぬという意味のものがパリティ計算である。そこからパリティ計算によつて農民を欺いたということになるが、その点どう考えるか。
#112
○永江國務大臣 もちろんパリティ計算は主要の物價によりまして、それを基準として計算をいたしておるのであります。從つてそのパリティ計算が決定するところの基礎物價の数によつてパリティの原價が出てまいるのであります。その点はその計算をいたしますときに、生産された米なら米についての價格が決定されておるのであります。その一年中におきまして、さらに物價が改訂いたしました際に、その差額は農民に還すと約束をいたしておりますならば、これは還すべきであろうと思うのであります。
#113
○北二郎君 パリティ計算自身が還すということなんです。一体政府は今度の農作物の買上げについて、たとえば北海道にしましても、十二月とか、内地には二月とか、期限を切つて、強権でたたいて強制したのである。それならば必ず、パリティ計算の原理によれば、これを還さねばならぬということになるが、農林大臣どう考えるか。
#114
○永江國務大臣 お答え申し上げます。今北君のような御意見でありますと、やはりパリティ計算でなしに、一つのスライド制で米の値段をきめなければ合理的でないと思います。しかしパリティ計算で決定いたしまして、米價が買い上げられました以上は、これはスライド制とは違うと私は思います。
#115
○押川委員長代理 委員の質問の通告がたくさんありますから、委員外からはあまり時間をとられますと……。
#116
○北二郎君 それではいずれあとに讓りまして、きようはこれで終ります。
#117
○押川委員長代理 安本長官が見えられましたから、質疑を許します。海野君。
#118
○海野委員 おもに輸出品、輸入品の價格について、全般にわたつてお伺いしたいと思いますが、政府御当局におきましては、いかなる財源をもつて輸出輸入をおやりになつているのであるか。その腹のきめどころを伺いたいと思います。つまりもう少し端的に申しますと、内地の工芸品、そういうものを輸出する際に、品物が賣れるからということで、どしどしそれを外國に賣出す。但し生産費はそれに伴わない。そういうふうな点が見えるのでありますが、そういう点については、どういうお考えをもつて輸出の方をおやりになつておるか、お伺いしたい。
#119
○栗栖國務大臣 お答えいたします。これは本來商工大臣の方の関係に属すると思うのであります。しかし私は貿易開始の臨時委員会というものについての仕事もいたしておりますので、その面からお答えを申し上げたいと思います。現在の輸出輸入のきめ方その他あるということをまず第一に申し上げでおきたいと思います。それからいわゆる換算比率、あるいは一種の補給金の性質をもつておりますけれども、そういうものもいわゆる連合軍の指導によつて速やかにきめなければならぬ。こういう点がはつきりしないと思う次第でございます。これは遠からずきまるものと、私どもは予測をいたしております。それから輸出入の貿易につきまして、殊に民間の方の輸出入の関係からいたしますと、一貫性と総合的の政策をもつていなければならないのであります。貿易の金額から言うならば、輸出額と輸入額、輸出額には品物を輸出する金額と、貿易外の受取勘定、こういうものがあるのでありまして、そうして輸入の支拂勘定というものに、大体マッチさすように努めていかなければならぬと考えるのであります。そういうことから言いましても、いずれの点において、國内産業と貿易産業の進展というものとをにらみ合わせて、そうしてどういう方面の産業を振興さし、製品を輸出すべきかという点について、考究すべき点が多々ございます。これは私は産業の分布と將來の貿易産業の振興ということをにらみ合わせまして、実は先ほど來できました経済復興の長期計画の委員会において、それを第一に取上げて策定をいたしたいと今急いでおるような次第でございます。個々の價格のきめ方その他につきましては、ただいまは商工大臣の管轄の貿易廳で、これを実際に扱つております。先ほど來申しておりますように、民間からも種々の要望がありますし、國家全体から申しましても、今私申しました点がありますから、さらに民間からの要望にこたえまして、手続を簡素にするとか、あるいは妥当なる價格をもつて取引できるようにするとか、そういう点について十分改善をいたしたいと考えておる次第でございます。具体的の價格その他につきましては、商工大臣から答弁申し上げませんと、私実際にタッチいたしておらぬような次第でございます。御了承を願いたいと思います。しかし日本の経済復興には、この点きわめて重要な問題であると思いまして、安本といたしましても、基本方策については、十分檢討をいたしておるような次第でございます。
#120
○海野委員 この前商工大臣にお伺いいたしたのでありますが、貿易廳の專門の方がおらなかつたために、御返答をいただけなかつたのでありますが、ブリキ一トンの輸出が百四十ドルになつておるようでありますが、ブリキ一トンをつくるのに石炭は約七トン使います。一トンは二十六ドルで購入しておる。その石炭を七トン使つてまいりますと、石炭代だけが二百ドル以上になるのであります。ここに鉄鋼石の原料、それから石灰石、そういうものを換算いたしますと、ブリキ一トンの輸出に対して百ドルのマイナスがここに生じてくるのであるが、この辺に対して、はどういうふうにお考えになつておるか、政府御当局のどなたか御返事をいただきたいと思うのであります。人件費、労働費、そういうもの以外に、材料費だけですでに百ドルのマイナスになつておる。それが二万五千トンの注文があつたからといつて、よかつたといつて喜んでおりますが、事実一トン百ドルのマイナスである。尨大なるところの負担が國民全体にかかつておると、私は考えるのであります。
#121
○押川委員長代理 海野君、担当の政府委員が見えでおりませんから……。
#122
○海野委員 それではこのお答えは後日にお願いいたしまして、たとえば木炭アイロンにいたしましても、一箇南方方面に輸出するので、商工省に納める値段が二百九十九円五十銭という値段であるが、実費はそれ以上かかつておる。そういうものを何ゆえに二百九十九円二十銭と値切つておるか。つまり約一ドルいくらかに値切つておるが、そういうようなことがどうもぴんと來ないのであります。それからカナダから北海道の輪西へ石炭を入れて、あすこの熔鍍炉が動いておりますが、この石炭の値段は二十六ドル、約一ドル百五十円としましても四千五十円、こういうような高い石炭でなしに、もつと安い開らん炭のごときものを入れたらどういうものであるか、そういう点に対して十分御檢討になつて、輸出の方をおやりになつておるのが、あるいはその筋からの命令によつて、高いものをむりに買わされておるのではないかというようなことを考えますがゆえに、この点をお伺いいたしたいと思います。
#123
○栗栖國務大臣 いずれ今のブリキの問題その他の問題につきましては、貿易廳から政府委員が参りまして、あらためて説明をいたすことにいたしたいと思うのであります。しかしこの貿易振興と貿易産業の発展というものを期する上におきましては、無理をしておるということでは、とうてい長い間の発展ができないのであります。今計算上赤字になるというような状態で、むりに輸出さすということは、これは当を得ないのであります。赤字になる原因が、あるいは生産者の経営合理化が足らぬ場合か、あるいは物資の配給なり資材の配給に隘路があつて、やみの價格が取入れられておるために、かえつて生産費が販賣費を上まわるというような結果になるのか、あるいは貿易廳の買上げる値段が、原價計算的に十分の檢討を経えておらないために、そこに赤字が出るのか、そういう点は十分合理的に研究をいたしまして、そうしてこの不合理な無理な價格の決定がないように努めたいと思う次第であります。そういう点の問題につきましては、そのほかにも各地からも御陳情もありますので、私どもの貿易外資の委員会におきましても、これは取上げて基礎的に研究いたしたいと思つておる次第でございます。
#124
○海野委員 あとで貿易廳長官にお伺いすることにいたしまして、これで私は打切ります。
#125
○東井委員 安定本部長官がお見えになりましたので、簡單なことでございますが、一点お伺いいたしたいと存じます。現在インフレの高進を防ぐためには、租税の徴收と政府支拂との間に時間的なずれがないように完全に行われていかなければならぬということも一つの要件であります。なお專賣益金が確実に予定通り確保されなければならぬということも、一つの要件であります。さらにまた予算に盛つておりますところの終戰処理費、あるいは公共事業費、これらのものが予算の範囲内で賄われなければならぬということ、すなわち根本的には新物價水準、新賃金水準というものが明年三月まで、年度間これが安定せられなければならぬということになると思うのであります。物價と賃金との惡循環が、はたして完全に断ち切れるかどうかということ、これは非常にわれわれ疑問に存じておるのでありますが、すでに現在新して賃金ベースに対しまして、労働攻勢が新たに準備されておるということ、これは日本の産業復興のためにまことに憂慮すべきことと思うのであります。これに対しまして北村大藏大臣は、先般來しばしばこの惡循環を断つためには実質賃金の引上をして、それに対する十分の裏づけを行つていきたいということを申されまして、相当樂観的にこれを取扱つておられるように、私は拜聽したのでありますが、しかしながら、これは私ははたして実質賃金の引上をすることができるかどうかということを、私は疑問にしておるのであります。ここで安定本部長官にお伺いいたしたいのは、この実質賃金の引上げということを裏づけるところの計画的な需給計画というものを、はたして政府の方でおもちになつておるのかどうか。これについては、私は少くとも副食物を含みまする食糧の増配、さらに衣料を初めといたしまする日常必需物資の裏づけがなければならないと思うのでございますが、この食糧の増配にいたしましても、現下の國内の食糧事情から申しますると、これはとうてい不可能じやないかと思われます。なお消費財にいたしましても、現在の國内生産をもつていたしますると、はなはだ心細いような感じもするのであります。そこで外資導入ということが考えられるのでありまするが、この外資導入によりまして、はたしてこれが充足されまするものかどうか。その点につきまして食糧、さらに一般消費財、すなわち実質賃金の引上げについての裏づけをする消費財、こういつたものが外資導入によつて、はたして確実に裏づけられるかどうかということについて、安定本部長官のお見透しなり、御所見を承りたいと思うのであります。
#126
○押川委員長代理 この際速記を中止していただきます。
#127
○押川委員長代理 本日は長時間にわたつて、熱心なる御審議をお願いいたしましたが、明日午前十時より質疑を続行することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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