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2011/05/26 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 農林水産委員会 第10号
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2011/05/26 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 農林水産委員会 第10号

#1
第177回国会 農林水産委員会 第10号
平成二十三年五月二十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     福岡 資麿君     猪口 邦子君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     猪口 邦子君     福岡 資麿君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         主濱  了君
    理 事
                岩本  司君
                大河原雅子君
                野村 哲郎君
                山田 俊男君
    委 員
                一川 保夫君
                金子 恵美君
                郡司  彰君
                外山  斎君
                徳永 エリ君
                松浦 大悟君
                青木 一彦君
                加治屋義人君
                鶴保 庸介君
                長谷川 岳君
                福岡 資麿君
                横山 信一君
                渡辺 孝男君
                柴田  巧君
                紙  智子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        稲熊 利和君
   参考人
       有限会社耕谷ア
       グリサービス専
       務取締役     佐藤富志雄君
       鳥取環境大学環
       境情報学部環境
       マネジメント学
       科教授
       京都大学名誉教
       授        三野  徹君
       東京大学大学院
       農学生命科学研
       究科准教授    八木 信行君
       独立行政法人農
       業環境技術研究
       所理事長     宮下 清貴君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (東日本大震災による農林水産関係被害と復興
 対策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のうち、東日本大震災による農林水産関係被害と復興対策に関する件の調査のため、本日の委員会に有限会社耕谷アグリサービス専務取締役佐藤富志雄君、鳥取環境大学環境情報学部環境マネジメント学科教授・京都大学名誉教授三野徹君、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授八木信行君及び独立行政法人農業環境技術研究所理事長宮下清貴君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査のうち、東日本大震災による農林水産関係被害と復興対策に関する件を議題といたします。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 ただいま議題となりました東日本大震災による農林水産関係被害と復興対策に関する件につきまして忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方について御説明いたします。
 まず、佐藤参考人、三野参考人、八木参考人、宮下参考人の順でお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることになっております。
 また、参考人の皆様の御発言は着席のままで結構でございますが、質疑者は、慣例により、起立の上発言することといたしておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、佐藤参考人からお願いいたします。佐藤参考人。
#5
○参考人(佐藤富志雄君) 皆様こんにちは。ただいま御紹介にあずかりました宮城県名取市に所在します耕谷アグリサービスの佐藤でございます。どうぞよろしくお願いします。
 この度は、三月十一日発生した東日本大震災に際しましては、国会はもとより全国民の多大なるお見舞い、そしてまた心温まる御支援をいただき、誠にありがとうございます。地元を代表して御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
#6
○委員長(主濱了君) どうぞ着席されてください。
#7
○参考人(佐藤富志雄君) 当委員会において災害の状況を紹介する機会を得ましたこと、これもひとえに御礼を申し上げたいと思います。
 では、まず、現在の状況を冒頭申し上げたいと思います。
 私どもの名取市は、人口七万三千百九十三人、三月現在だったんですけれども、そのような状況の中で、今回の震災によりまして、死者九百一名、行方不明者百四十八名、合計千四十九名の被害者がございます。そういう状況になってございます。農地全面積は名取管内におきまして二千百六十五ヘクタール有しますが、そのうち千二百四十五ヘクタールは被害に遭ってございます。通水可能な、何とか水田にすぐ戻せそうなのは七百三十九ヘクタールということで、この部分は今年も何とか田植に結び付けている状況にございます。こういう状況にございます。
 これは地域の問題でございまして、アグリサービス当社としましても、今現在七十六ヘクタールは利用権設定で農地を集積しておるところなんですけれども、そのほとんどがもう一〇〇%塩害等で作付けできないという状況になってございます。
 この内容を若干説明しますと、下流の排水機場の崩壊もございまして、若干作れそうな部分もあるんですけれども、それも含めて全面積駄目と。要するに、管内では作付け自粛地域と申しております。これは、用水が流せなくて、もうどうしても我慢して作れないと。結果的には一〇〇%作れないというふうな答えになってございます。
 そのような状況の中でございますけれども、私もあの震災後、地元をぐるっと見回して、友達なり友人なりと会いますと、もう駄目だ、もうやめちゃおうという声があちらこちらから聞こえました。まあそれも致し方ない問題かなと思うんですよ。
 さらに現状を紹介しますと、海岸に近ければ近いほど被害が甚大でございまして、当然、自宅の流失、作業場の流失、機械全般、道具全般の流失、そしてまた農地の流失、もう手の付けようがない、そしてまた地盤沈下もございます。若干上流に上りますと今度は、海岸線から運ばれた砂防林の松の大木が横たわり、瓦れき、また家屋が流失したそういう瓦れき類の惨たんたる情景でございます。それを見ますと、これ百姓、農家どうしたらいいの、仕事したらいいのというか、取り組める状況にはもうその時点ではございませんでした。
 しかし、今現時点、こうずっと、それから二か月ほど今たっているんですけれども、今現状を見ますと、若干の変化を見てまいります。というのは、若干のお互いの仲間数名と組んで、当然、機械類、道具類もないものですし、三人なり四人なりの複数の共同での作業開始というメンバーも、やる気のある、中にはそういう姿も見られました。今後は、この姿を見ると、完全に離農をされる方と、あと、やる気があって残る方と、そういう二分された流れになっていくのかなと思うんですよ。離農をされる方も、これは止めようがない。当面の生活を確保するためには他産業に入っての所得取得というのも、これはやぶさかじゃないと思うんですよね。そういう状況だと思うんですよ。
 その中で、一つ農家の立場でお願いなんですけれども、いずれにしても、我々の復旧復興のための最大のポイントでございますのは農地の復興でございますし、その復興を期するのは末端の方にある排水機場の一刻も早い回復、機能回復なんですよ。それがないと、私どもの持ち田は全部が塩害の除塩対策事業になかなか取り組めない。今の状況では野放しの状態、ちょうど福島原発の状態になっておるような状態だと思うんですよね、今の状態は、野放しですから。これを何とか除塩対策を講じていただきまして、一刻も早い農地の回復、農地の回復が農家の回復、農民の回復、食料生産の回復につながるかと思うわけでございます。
 何か時間が早いんですよね。まだまだ言い足りないんですけれども。
 あと、私どもの被災農家経営再建支援事業なんですけれども、今紹介したような、現場はそういう状況になっているんですよ。その中で、この事業、復興組合組織の設立自体がなかなか難しいんでないかと。復興組合をつくることによってステップツーで支援事業へと入る予定になっているようなんですけれども、これも現場サイドでは、被災してもういないよとか、あと、それぞれの避難場所に、あっちの避難場所こっちの避難、集落ごとに人間がばらばらの状況の中で復興組合を組織しなさい、これはちょっと現場としては無理な話なんではないかと思うんですよ。この復興組合の組織づくりには、かなり寛容な簡易な考え方に基づく復興組合と、余り、慣例に倣った堅苦しいような復興組合ではなかなか復興組合そのものの設立には難しい。結果的には、もうそんなの要らないよという声も聞くところでございます。
 それから、これは一つだけお願いしたいんですけれども、今言ったように、もう現場が地盤沈下等、また農道、また瓦れきの堆積の山、数メートルの山という状況でございますので、この辺は国家レベルでの基盤整備を踏まえて農地の復興に向けていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、我々も食料安定生産供給のため、うちは若い社員がございまして、もう平均レベル三十代前後でございますので、二十代から三十代のメンバー、スタッフをそろえて今農業で頑張っている当社でございますので、そのためにも、私はこの会社を潰すわけにもいきませんし、精いっぱい頑張る所存でございますので、今後とも各委員さんの御支援と御協力をお願いして参考人の言葉とさせていただきます。
 本日は誠にありがとうございます。
#8
○委員長(主濱了君) ありがとうございました。
 次に、三野参考人にお願いいたします。
#9
○参考人(三野徹君) 鳥取環境大学の三野でございます。のっけから恐縮でございますが、お手元のレジュメ、二か所ちょっと御訂正をいただければ幸いです。
 一ページ目の下から六行目のところでございますが、「低下する。また、粒子の細かい海生粘土」の「生」の字が、生まれるを成るにしていただきたいと思います。急いでおりまして、ワープロミスで失礼いたします。
 それから、二ページ目の下から四行目でございますが、右の最後のところに「さらに今後」、次の行にわたる「の将・来展望」の「・」が入ったりしておりますが、この部分を削除いただければ有り難いと思います。
 それでは、座って説明させていただきます。
 それでは、お手元のレジュメに従いまして、除塩と土地改良を中心に、私の専門分野でございますかんがい排水、これを基にして四つの視点から意見を述べさせていただきます。
 まず最初に、塩害の発生の仕組みと作物の耐塩性ということでございます。
 塩分を含んだ水で作物を栽培すると当然収量が低下したり品質が落ちたりしまして、場合によっては作物が枯れてしまうということがございます。台風による高波や津波で海水が農地に浸入いたしますとこのような塩害が発生するわけでございます。塩害は、溶解した塩類によって作物根が水を吸えなくなる吸水阻害、これを浸透圧ストレスというように表現しておりますが、浸透圧のストレスによる吸水阻害と、もう一つは吸収したイオンそのものによって生理障害が発生する、これをイオンストレスというような形で呼んでおります。この二つの原因で生じるとされておりまして、両者の効果は独立して分離することは不可能でございます。同時に起こると考えるべきであります。
 最初の浸透圧ストレスは、水によって発生する水分ポテンシャルの低下が原因でございまして、乾燥したところに作物を植えると根が水を吸えなくなって枯れてしまうのと同じ現象でございます。もう一つのイオンストレスでございますが、例えばナトリウムとか塩素とか硼素というのは植物に生育障害を引き起こすと言われておりまして、その他必須元素の吸収阻害だとか代謝の乱れを引き起こす。これがイオンストレスということでございます。
 いずれにしても、塩害は塩分濃度が高くなると当然大きくなってまいりますが、かんがい水と土壌水とで塩分濃度の影響の仕方とか測定方法、そういうものがかなり異なってまいります。塩分濃度の表し方も、その利用目的によって、そこに挙げておりますような幾つかの表現の仕方があるんですが、通常、@の電気伝導度とDの塩素の濃度で表現するのが最も一般的に用いられます。
 乾燥地ではかんがいに伴う塩分集積問題、砂漠化の原因というのがこの塩分集積にあると言われておりますが、そういう問題がありますので、塩分濃度とか溶解しておりますイオンの構成比とかということはかんがい計画を立てる上での基本でございまして、様々な研究が行われております。いろんな成果が出ています。ところが、我が国では、津波とか高波によります農地の冠水、あるいは沿岸部での塩水遡上などの特殊問題として取り扱われますので、余り関心が払われないというのが今までの状況かと思います。
 その次に、第二の海水をかぶった水田土壌の生産力の問題でございます。
 海面下にあった土壌や塩類集積によってナトリウム化した土壌というのは、一般に物理性が非常に悪くなりまして、生産力が低下いたします。特に、粒子の細かい海成粘土、先ほどちょっと訂正を願いました海成粘土というのは淡水に接すると分散して、濁り水となって海に流れ出てしまうというような性質がございますので、このような物理性の劣化に対応するためには、一般にナトリウム土壌をカルシウム土壌に変えるという操作が必要になってまいります。
 その二つの点を考慮いたしまして、我が国の除塩対策工法といたしましては、二ページ後に参考資料として付けさせていただいておりますが、農地の塩害と除塩という、これは農村振興局で説明によく使われております資料でございます。大変うまくまとめられておりますので、これを付けさせていただきました。
 先ほど申しました塩害の二つのメカニズムといいますのは、その下の図にあります中央部の枠書き、農地や農作物への影響とありますが、上の丸が実は浸透圧ストレスによって作物が影響を受けるもの、それから下側の丸は、これはナトリウムによる土壌の物理性の劣化、これを同時に解決しなければならないために、次のページにございます資料の二の上の方ですが、除塩の仕組みとありまして、カルシウムイオンでナトリウムを、吸着されているナトリウムを追い出すと同時に、真水を供給して塩を洗い流すというのが一般的に取られる方法でございます。
 それを具体的な工法として組み立てられたのが、その下の四つの工程が必要であると。これをそれぞれの状況に応じて組み合わせながら実際には除塩作業、除塩を行うということになるわけでございます。
 最後のページは、これは実際に行われている状況の写真でございます。
 それでは、資料、元へ戻ります。
 私が実は申し上げたいのは、以上の除塩の工法、これが、的確に除塩が行われるためには幾つかのいろんな技術的な方法が重要であるということと同時に、次に実は述べます二つの点を強調しておきたいと思っております。
 第三番目ですが、海水と淡水の境界のバランスの形成と塩分リスクの管理についてとございます。海岸部では、実は後背地から浸入する淡水とそれから潮の満ち干によります海面変動によって微妙なバランスで一つの塩水と淡水の境界が形成されます。実は、塩水は比重が大きいですから下に、淡水の下に潜り込んで淡水を押し上げるような形になって、塩水のくさびというような形で具体的にはそのバランスが形成されます。見方によりますと淡水が塩水を海の方へ押し出しているというような非常に微妙なバランスが形成されております。
 これは実は地下水についても同じでございまして、諸外国ではむしろこの地下水、海岸の地下水管理というのが非常に注目されておりますが、ガイベン・ヘルツベルグの関係というのがございます。これは、海面下よりも淡水の高さの四十倍下に実は塩水と淡水の境界が浸入しているという圧力のバランスの関係で導かれている関係式でございます。といたしますと、実は海面と淡水面との相対的な関係によって塩水が微妙なバランスで内陸の方へ潜り込むということでございます。
 したがいまして、海面と淡水面の標高の差、これが相対的に海面の方が高くなりますと内陸へ塩水が入ってまいりますが、地盤沈下によりまして内陸の水面が低くなったら塩水が入りますし、最近特に問題にされておりますのは、地球温暖化で海面が上昇すると言われていました。海面が上昇しますと、当然内陸の方に海水が浸入してくる。これによって世界中では大変な淡水資源が損なわれるということがいろいろ報告されておりますが、いずれにしても海水と内側の淡水の差というのが大変重要な課題になる。
 このバランス点は実は地域によってそれぞれ大きく異なっておりまして、複雑なそれぞれ地域の住民の利害関係を引き起こす原因になっております。取水や排水など、地域として、またこれは統一してそれを管理する行動が必要でございます。
 そういうことで、実は、最後になりますが、地域合意形成とソーシャルキャピタルとしての土地改良区の機能ということが挙げさせていただいております。
 この微妙な利害関係の調整というのは、実は土地改良区が、上流と下流、あるいは古い水田と新しい水田の間の利害調整を担ってきたいろんなノウハウを蓄積しております。また、土地改良事業を行う際に様々な合意形成を行うノウハウも土地改良区が持っております。したがいまして、震災の復興には、単に除塩のみならず、この土地改良区の機能というのが極めて重要な意味を持ってくるのではないかと思っております。
 以上、四点、私の意見として述べさせていただきました。
 ありがとうございました。
#10
○委員長(主濱了君) ありがとうございました。
 次に、八木参考人にお願いいたします。八木参考人。
#11
○参考人(八木信行君) おはようございます。
 東京大学の八木信行でございます。着席させて、続けさせていただきます。
 私は、大学で日本や外国の水産業を対象に、その経済などを研究をしております。その際、人間の活動には、経済面、社会面、環境面、それぞれに関心を払う必要があるというふうになっておりますが、この三つはあちらを立てればこちらが立たないというような関係になりがちでございます。例えば経済に力を入れ過ぎると環境保全がおろそかになってしまう、そういった関係があるわけでございます。この三要素のことをトリプルボトムラインというふうに、環境ですとか経済関係の国際会議で呼んでおります。
 そして、OECD、経済開発協力機構や生物多様性条約の会合などでは、そのバランスが重要だという議論がなされております。私自身、これらの国際会議に出席しておりましたし、また今回の震災後は現地の水産業復興に役立てたいと思いまして、陸前高田、大船渡、釜石、大槌、山田、宮古などを訪問いたしました。
 本日は、このような経験を踏まえまして、水産業の復興をどう考えるかという点に関しまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、経済面の短期的な課題から始めさせていただきます。
 水産業は、加工、流通、販売を含めたトータルな産業でございます。被災地ではこれらの機能を遅滞なく手配することが大きな課題となっております。その中で、既に漁船など生産設備の復興につきましては政府から適時に発表がございまして、現地ではこれを評価しながら、その拡充を期待しているというところでございます。しかしながら、一方で、流通や加工面、これらにつきましては更に対策が望まれているという状況でございます。
 具体的なアイデアとしまして、これをどうするのがよろしいかということなんですが、被災した加工施設がございますので、これに代わりまして中大型の漁船を被災地の港に停泊させまして、沿岸漁業の生産物を加工し冷蔵する、また、仮設の市場や加工場を整備するなどが検討の対象になるかと思われます。
 ただ、これには若干注意すべき事項がございます。日本市場では水産物は多種多様な製品となっております。刺身ですとか干物、そういったいろいろなものがございますが、加工、流通の効率化がそういったことでこれまで困難になっておりました。この際、割り切って真空パックの冷凍フィレだけを作るようなラインに絞るというようなことをしますと経済効率が上がりますので、そういう思い切った対策を取って、三陸ブランドとして流通させるというのも一案かと考えます。現在は漁期から外れているわけなんですが、夏以降漁獲が本格化しますサケ、サンマ、そういった魚種がございます。早急な対策が必要となっていると思われます。
 続きまして、長期的な課題に移ります。
 水産物は、農業よりも多段階の流通経路を有しております。このため、漁業者が受け取る金額は小売価格の二五%にすぎないといった数字がございます。したがって、生産、加工、流通などを垂直統合をする形で六次産業化を目指すということが震災前から目標として言われておりました。この点につきましても、被災地の水産業を復興させる際には十分対応する必要があるかと考えております。
 また、EUですけれども、独自の衛生管理基準や魚の原産地証明制度などを利用しまして、実質的に水産物の輸入制限を実施しているような状況がございます。このEUの手法も参考にしながら、今後日本国内の流通像を考えることが課題になっていると考えます。
 なお、沿岸漁業の拠点を集約し、大規模化すれば経済効率が上がり、競争力のある産業になるという説も一部にございます。ただ、本当にそのような経済的な効果が、良い効果が得られるのかどうかというのは更に検証が必要と考えております。小さな経営体の方が小回りが利くため、新しい経営アイデアが出やすい、そういった場合もございます。
 続きまして、経済面の課題は山積しておりますけれども、時間の関係上、今度は社会面につきまして説明をさせていただきます。
 まず第一点ですが、効率性と公平性、この両者は両立しないという問題がございます。一般的に経済効率を上げようといたしますと、公平性の維持、そういった社会的な課題の達成が困難になる傾向が見受けられます。
 先ほど紹介しました漁業の集約化の議論でございますが、このメリットが果たして社会コストに見合うものなのかについても検証が必要であると考えます。社会コストといってもいろいろなものがございます。東北の漁業につきましても大規模な沖合漁業から小規模な沿岸漁業まで多様なものが存在いたしますので、それぞれについて、その目標となる社会的な目標も違ってまいります。個別の対象ごとに地元の関係者を交えてこれらを議論をしていくことが課題となっていると考えます。
 二つ目は、経済効率性と多面的機能、この両者も両立しないという問題がございます。一般的に経済効率を上げようといたしますと、経営面の数字には表れない多面的機能の維持が困難になる状況になります。多面的機能といたしましては、例えば漁労技術の継承する機能でありますとか国境を監視する機能、そういったものがございます。まさに半島の先端近くの小規模な漁村がこれらに重要な役割を果たしているケースもあると考えます。大規模な拠点に集約されてしまいますと、こういった多面的機能も損なわれる可能性があるという点に注意が必要だと考えます。
 続きまして、環境面の課題に移ります。
 まず、震災復興を検討するためには、日本の沿岸で資源が保全されてきた伝統的な仕組みを活用すべきという点を強調したいと考えます。
 この伝統的な仕組みといいますのは、保全を行う者に対してそのコストに見合うだけの経済的な見返りを与えることにあるというふうに考えております。日本の場合は、漁業権制度によってこの仕組みが維持されてきました。こういった権利に基づく管理措置といいますのは外国でも高く評価をされておりまして、国連の食糧農業機関、FAOの水産を議論する場においても一つの見本とされている状況がございます。
 今回の被災では、その保全の見返りが成り立たないという状況が起こりました。漁業者が現地で瓦れきの処理を行っても将来の漁獲向上には直ちにつながらないという状況がございます。その中で、国が助成する制度を発表されましたけれども、これは従来の保全の仕組みを活用する方法でありまして、無理のない方法であるというふうに考えております。この継続が重要と考えております。
 今回の震災復興で民間資本、外部の資本の参入を行えるように制度を改革すべきという議論も一部でなされておりますが、これは、こういった従来の漁業管理、自然保全の仕組みを損なう可能性がないかどうかというのも慎重に検討する必要があると考えております。
 最後に、放射性物質による海洋汚染の被害への対策でございますが、これは極めて重大な問題と考えております。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故によりまして環境に放出された放射性物質は、環境を汚染しただけではなくて、漁業者がこれから水産資源の保全を行っていこうという意欲もそぐ効果を有しております。資源の保全を行っても将来魚価が確保できるか分からないということがその理由になっております。このため、汚染者負担の原則にのっとり、環境の回復だけでなく、漁業者による意欲の回復なども図る必要が生じております。
 また、経済的な被害も広範囲にわたっております。水産物は農産物と比較しても外国に輸出される割合が多い産品でございます。この場合、東北地方の産品だけではなくて、他の国産の産品も国際市場で値段が低下しているという現状がございます。これらの損害を補償し、また原状回復を汚染者負担の原則にのっとり行われるということも重要な課題でございます。
 さらには、世界規模で消費者などに的確な情報を提供し、風評被害を防ぐために、モニタリング活動を的確に行い、その結果を発表するということも重要と考えております。
 随分駆け足となってしまいましたが、以上で陳述を終了させていただきます。ありがとうございます。
#12
○委員長(主濱了君) ありがとうございました。
 次に、宮下参考人にお願いいたします。宮下参考人。
#13
○参考人(宮下清貴君) 農業環境技術研究所の宮下でございます。
 本日は、福島第一原子力発電所事故による農産物・農地土壌の放射性物質による汚染というテーマで少しお話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 では、座って続けさせていただきます。
 今回の農産物・農地土壌の汚染なんですけれども、少し経緯を振り返ってみたいと思います。(資料映写)
 これは簡単に経緯をまとめてみました。三月十一日、地震発生がありまして、その後原子炉に異常が発生したと。一号機に水素爆発、三号機でも水素爆発があった、二、四号機でも火災があって電力が止まったと、それで原子力発電所の周囲で環境中で放射能が検出されたというようなことが立て続けに起こったわけであります。
 厚生労働省から食品衛生法に基づく食品中の放射性物質に関する暫定規制値、これが発表されたのが三月十七日になります。それと前後する、そのころから、私どもも農水大臣の依頼を受けまして野菜の放射性物質の分析等を行ってまいりました。三月十九日には原乳、ホウレンソウから暫定規制値を超えた放射性物質が検出された、二十一日以降、関係する都道府県知事に対しまして原子力災害対策本部長から特定の農産物の出荷を控えるように要請が出されたと、立て続けに起こっているわけでございます。
 そのころ、私どもは土壌の放射性物質の分析を始めております。四月八日には政府が稲の作付に関する考え方を決定して、これまた後ほど説明いたします。また、二十二日には災害対策本部長より県知事に対しまして、避難のための立ち退きを指示した区域とか等々に対する二十三年産の稲の作付けの制限ですね、控えるよう、そういった要請が出されているというわけでございます。
 それで、御存じ、食品の規制値、暫定規制値でございますが、これは一キログラム当たりのベクレル値という形で示しています。ここにございますように、放射性の沃素131と、あと放射性のセシウム134、137がございまして、それぞれ食品ごとに規制値が三百とかそういった形で決められてございます。
 ベクレルにつきましては、そこに書きましたが、一秒間に一つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量ということになりまして、土壌も食品もこのベクレルで放射能の量を示します。農水産物の汚染が問題となる主要な放射性核種でございますが、沃素の131、あとセシウムの134、137、ほぼこの三つと考えてよろしいかと思います。
 そこに半減期を示しましたが、沃素131の場合には非常に短くて、八日で半分になります。ですから、急速に減ってまいります。ただし、チェルノブイリのときも、今回もやはりそうでしたが、事故の当初はかなり大量に発生いたします、この汚染が発生いたします。ただし、その後は急速に消えていくということになります。一方、セシウムの方は、134が半減期二年、137が三十年、どちらも長いんですが、特に137は長くなっております。チェルノブイリなどを見てみますと、もう二十五年たっておりますので、134はもうかなり減衰していると。今問題となっているのは土壌に残っているセシウム137と、そういった状況になります。
 それで、事故後、放射能の高い農産物あるいは土壌の検出が続いていたわけなんですけれども、農作物がどのように影響を受けるかと、放射性物質がどのように汚染するかというのを簡単にまとめてみました。
 経路としては二つございます。
 一番目と書きましたのが、放射性物質の直接の降下によるものでございます。大気から降下した放射性の物質が直接農作物に付着する。この右側の絵でいきますと上の部分になりますが、この降下による汚染がございます。これは原子力発電所事故に伴う大量の放出が続く間は大気からの放射性物質の降下による付着の影響が大きいということが言えます。
 一方、二番目が土壌からの移行になります。これは土壌に降下した放射性物質が、これが根を通して農作物へ移行する、吸収されて移行すると、そういった経路になります。ですから、フォールアウトが止まった後には二の方が問題になりまして、例えば現在チェルノブイリでは二の土壌からの移行が専ら問題になるということになります。また、これは土壌を耕起した後、耕作した後に作付けを行う農作物に対する影響もこれはかなり顕著に出てまいります。
 環境中の放射性物質ですね、汚染は、農作物や土壌の汚染ですけれども、これは当然のことながら、事故がそんなに起こっては困りますから当然なんですけれども、例は非常に少ない、したがって情報も限られております。一つは、これ日本で環境放射能の調査研究というのを行っております。もう一つがチェルノブイリの原発事故ということになります。
 環境放射能の調査研究なんですが、これは一九五〇年代から六〇年代、大気圏内の大規模な核爆発実験が盛んに行われました。その結果、その核爆発実験による大量の放射性物質、核種ですね、この降下が我が国にも及ぶといった事態になりました。それを受けまして行われたのが環境放射能の調査研究、これは旧科技庁の放射能調査対策研究費でずっと行われていたものでございますが、これになります。
 私どもは、土壌及び農作物、特にこれは米と小麦ですが、この放射能をずっと調べてまいりました。定点調査の実施を行いました。これは一九五九年から続いております。これがその例ですが、これは玄麦、麦ですね、玄麦の放射能になります。赤い折れ線グラフがございますが、一九五九年から始まりまして、高いピークが一九六三年にございます。これは核爆発実験が最も盛んだった時期でございますが、このとき大体四十ベクレル、高いところで百ベクレル程度の放射能が検出されております。
 その後、核実験が減りまして全く行われなくなりまして、急速に減っております。これ、単位がミリベクレルで、千分の一で示してございます。ちょっとベクレルとは違いますが、一番高いピークが大体四十ということになります。ずっと減ってまいりまして、途中で高いピーク期がございますが、これが一九八六年、あのチェルノブイリ事故のときになります。このとき、八千キロという非常に長い距離なんですけれども、日本にも実は降下してまいりまして、ちょうど玄麦で検出されました。〇・〇四ベクレルだったものが突然六ベクレル、範囲としましては一・二から十六ベクレルまで高いピークが認められました。ただしこれは一年で済みまして、翌年にはまた〇・〇四まで下がっております。このときはホウレンソウとかキャベツでやっぱり沃素も検出されているわけでございます。
 後半になって問題になります土壌からの作物の放射性物質の吸収ですが、このときに移行係数という考え方を使います。移行係数というのは特定の放射性核種、例えばセシウムとかでありますが、これにおける作物、可食部一キログラム当たりの濃度を土壌一キログラム当たりの濃度で割った値ということになります。作物の方は生鮮重当たりでございまして、土壌の方は乾土重、乾燥重量当たりで示します。これは、土壌に含まれる放射性核種の根を通じた吸収の程度、平べったく言えば吸収しやすいかどうかということを示します。この値、土壌中の放射性核種の濃度と作物の移行係数というのは、その土壌で生産される作物中の放射性核種の濃度を推定する、この土壌で、この程度の汚染の土壌でこれを栽培すればどの程度の汚染が予想されるかと、そういったことを推定する際の参考となります。
 ただし、課題もございまして、試験データから得られた移行係数の幅が広いし、データの数も現在のところ限られているというわけでございます。
 四月八日に出されました稲の作付に関する考え方について簡単に御説明いたします。
 ここでは、先ほど御説明いたしました私ども農環研が行っておりました環境放射能調査、モニタリング調査の結果であります。一九五九年から二〇〇一年まで全国十七か所の水田の土壌及びそこで収穫された米の放射性セシウム、これを分析した結果を用いて解析を行いました。統計解析を行いまして、それで信頼限界が九〇%ということで、そこで、二段目になりますけれども、水田の土壌から玄米へ移行する放射性セシウムの比率の指標を〇・一と算定いたしまして、玄米中の放射性セシウム濃度が暫定規制値であります五百ベクレル・パー・キログラム、これ以下となる土壌中セシウム濃度の上限値、これが五千ベクレルと算出されたわけでございます。
 したがいまして、それの結果、生産した玄米が食品衛生上の放射性セシウムの規制値を超える可能性の高い地域について稲の作付け制限が出されまして、また避難のための立ち退きを指示された区域でありますとか計画的避難区域、こういったところにおきましては平成二十三年度の稲の作付けを控えるよう、こういったような要請が出されていたというわけでございます。
 それで、非常に実は厄介な問題でございまして、影響の予測でありますとか対策、そういったことを考える上で土壌中の放射性セシウムがどのような挙動を示すかということを理解しておくことが重要かと思います。
 土壌中のセシウムというのは粘土鉱物に非常に強く結合いたします。剥がすのが非常に大変であります。二番目と三番目はその逆になるんですけれども、水溶性、水に溶けた形ではほとんど存在いたしません。また、可給態というのはこれ弱く存在していて、植物が吸収できるというふうに考えていただいていいかと思いますけれども、それもかなり少なくなっております。ですから、こういった性質を理解することが重要です。
 また、降下後しばらくは表層にとどまっております。時間とともに徐々に下層へ移行いたしますが、これは年単位、場合によっては十年、二十年という、そういったような単位で移行していく、それも非常にゆっくりした単位であるということでございます。
 また、放射性物質、セシウム137、多分五千ベクレルと言うと非常に多量に思うんですが、重量的には非常に僅かでございます。土壌一キログラム当たりのグラムにいたしますと〇・〇〇〇〇〇〇〇〇一六グラムという、非常に微量な数であるということであります。ですから、高濃度のいわゆる化学物質の汚染とは違った形であるということを理解しておくということが重要かというふうに思います。
 以上でございます。
#14
○委員長(主濱了君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#15
○岩本司君 おはようございます。民主党の岩本司と申します。
 参考人の皆様、本日は本当にありがとうございます、お忙しい中、私からも心よりお礼を申し上げます。
 まず、佐藤参考人にお伺いしたいんですが、排水機場の整備、これを真っ先にやってもらいたいというお話でございました。しっかり頑張りたいと思います。
 その後に、この復興組合でございますけれども、復興組合はもう要らないという声も出ているというようなお話がありましたけれども、もう少し現場の声を聞かせていただきたいんですが、では、どのような復興組合組織であればこれは助かるなというふうにお感じになりますでしょうか。
#16
○参考人(佐藤富志雄君) 先ほども申し上げたんですけれども、現場ではなかなかこの組織づくりそのものが立ち行かないような状況であると思うんですよ。復興組合そのものがこの組織づくりというのに対して問題があるのかなと思うんですよ。
 復興組合、どうしても人材的に被害の強い地域ほど、まして対策の大きく受けたい地域ほど人材が不足する。要するに、被災されて人がいないという状況なんですよ。災害の状況の中では、甚大なところ、軽いところ、中くらいのところとあるんですけれども、中程度から上の、軽程度の部分の復旧の復興組合ならまあ地域的にも何とか動けそうなんですけれども、最も必要な、被害の方が、もう家もないというような地域ほどその復興組合については難しいんではないかなと思うんですよ。ですから、そういう地域には、何かこの復興組合に、部分に、何か特別な計らいの上での組織づくりといいますか復興組合の在り方を考えてほしいと思うんですよ。
 私からは、何かその辺が、決められた時間ではもうまとめかねるんですけれども、とにかく現場としては、もうひどいよと、ひどい地域ほどひどいという考え方でございます。
#17
○岩本司君 ありがとうございます。
 次に、三野参考人にお伺いしたいんですが、除塩の専門家であるということでございますが、今回は除塩とともに油の汚染も懸念されておるわけでございます。アメリカでももう油が流出して大変な事故も起こりましたけれども、いろいろ情報や研究もされていると思いますが、御所見があれば教えていただければと思います。
#18
○参考人(三野徹君) 油につきましては、これはむしろ都市の中のいろんな工場跡地の土壌等の処理についてかなり大きな問題になっているやに聞いております。
 その辺で、基本的には、土をその部分を取って、除去してどこかに管理できるところに埋めるというのが基本的な方策でしょうが、なかなかあれだけの大量になると大変なことになるかと思いますので、それにつきましては、今までの研究例というのはごく少量のものの処理であって、大量の処理については少し、処理そのものは技術的に可能ですが、仕組みについて考える必要があるのではないかと思います。
 余り的確な答えではないと思うんですが、よろしくお願いします。
#19
○岩本司君 ありがとうございます。
 続きまして、八木参考人にお伺いしたいと思います。
 ITQなんですけれども、譲渡可能個別割当て方式ですか、これインドネシアの大津波の後にインドネシア政府がこの導入を検討されたかどうかというのは僕はよく分かりませんけれども、現在の社会資本ゼロの状況から復興する観点であれば、このITQは導入した方がいいというふうにお考えでしょうか。
#20
○参考人(八木信行君) ITQといいますのは譲渡可能な個別の割当てでございまして、その割当てを漁業者個人又は漁船個別に配分をすると。それを売り買いをすることで効率の悪い漁業者はその場から退場して効率のいい漁業者だけが残り、そういうメカニズムを通じまして競争力のある産業になると、そういう議論がございます。
 ただ、私が今回申し上げましたのは、経済だけではなくて、社会、環境、この二つの要素、合わせて三つのトリプルボトムラインと呼んでおりますけれども、その三つを成り立たせることが重要だというふうに考えております。ITQの場合、そうやって資本が集中するメカニズムがございますので、小規模なところが生き残れないという状況が生じます。そうしますと、社会的な公平性又はその地域社会の維持、そういった社会面で問題が起こる可能性がございます。
 ですから、これ、個々の漁業によって、沿岸漁業から沖合漁業、たくさんの種類がございますけれども、それぞれによって個別に検討していく必要があります。特に、沿岸漁業などは地域社会への維持、貢献、そういった要素が強いものでございますから、沿岸漁業にITQを入れるということは私は現実的ではないというふうに、日本の場合はですね、考えております。
#21
○岩本司君 ありがとうございます。
 続きまして、八木参考人にもう一点お伺いしたいんですけれども、御承知だと思いますが、宮城県の村井県知事が、水産業復興特区をつくって民間資本の水産業への参入を何か提案されているらしいんですけれども、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
#22
○参考人(八木信行君) 特区をつくりまして何を規制を撤廃するかというところが焦点になるかと思っております。例えば、これが漁業権を撤廃して、そして民間企業をそこに参入しやすくするというような話でありますと、やはり先ほど私が申しましたITQの議論に通じるところがございます。経済効率を求めようとしますと、社会の公平性、そういったものが失われるという、そういう、あちらを立てればこちらが立たないという状況に陥りがちでございます。
 したがって、そういう側面を勘案する必要がありますし、特に、やはり沿岸漁業の場合は、FAOでも議論になっておりますが、漁業権を与えることで沿岸環境が守られてきたという状況がございます。その漁業権を撤廃をして民間企業の参入ということになりますと、環境面でも少し影響が出る可能性があります。
 ですから、私の感覚といたしましては、漁業権の制度自体を変更するというよりも、その運用を工夫しながら、お互い、参入したいという企業があることはこれはいいことだと思いますので、その参入企業と既存の漁業者がお互いに合意を取り合うという、そういうプロセスで議論をすべき問題かというふうに思います。
#23
○岩本司君 ありがとうございました。
 続きまして、宮下参考人にお伺いします。
 チェルノブイリからもう二十五年経過しているわけでございますけれども、何らかの知見が集積されているのであれば御紹介を賜りたいと思います。
#24
○参考人(宮下清貴君) チェルノブイリ、確かに二十五年経過いたしまして、それで、当初から特にヨーロッパなどかなり影響を受けておりまして、ヨーロッパ、いろんな国が関心を持っておりました。もちろん、あの当事者である三か国もいろいろ研究を行ってきたわけでございまして、そういったものはかなり知見の集積がございます。人体に対する影響と、あと環境に対する影響もいろいろ集積がございまして、これいろんな形で文章で、例えばIAEAの文章とか、これはウエブからダウンロードできますけれども、いろんな形で出てきております。やっぱり当初は非常に情報が限られておりまして、かなり混乱していたんですけれども、いろんなそういったデータを解析していろんなことが分かってきているということは言えるかと思います。
 時間的に申しますと、最初起こったのはやっぱり沃素131の影響が非常に大きくて、特にチェルノブイリの場合には、沃素の影響というものを国民に十分情報を伝えなかったのでいろんな被害が広がってしまったと、特に乳製品ですね。かなり広く流通したために広まってしまったということが言われております。ただ、沃素はすぐ半減期で減りますので、その後はセシウムでありまして、それに関しましてもどのように減っていったかと、現在どのように減ってきたかというようなのもいろんなデータがそろっております。
#25
○岩本司君 ありがとうございます。
 宮下参考人から最後に、土壌中の放射性セシウム、これが一番厄介だというお話でございましたけれども、ヒマワリですとか菜種の作付けで放射性物質を、何といいますか、除染できるのかどうか、これが実用段階のレベルにあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#26
○参考人(宮下清貴君) 汚染、除染とかあるいは環境修復といいますけれども、放射能汚染土壌の修復あるいは除染はやっぱり非常に厄介な問題であります。それで、万能な方法はないと言っていいかと思います。ですから、その状況に応じていろんな方法を使うということが必要かというふうに思います。被害を幾らでも、汚染を少しでも少なくするためにいろんな方法を使うということです。
 植物を使う方法はファイトレメディエーション、ファイトは植物ですが、ファイトレメディエーションといいまして、土壌のいろんな汚染を浄化する方法がいろいろ開発されつつあります。一部実用化されたのもありますけれども、それはほかの元素に対してなんですけれども、ただそれもまだ開発段階という状況であります。放射能に対しましては、これも放射能に使えないかということで、特に諸外国ですけれども、いろんな植物を使って吸収量の多いものを探していた、そういった報告がなされております。それを使って実用化しようというような試みはなされておりますが、まだ開発途上にあるというふうに理解していただいてよろしいかと思います。
 その中にヒマワリも確かに言われていることは確かであります。ただ、方法にはそれぞれ特徴がございまして、この植物を使う方法の特徴は、非常に簡単であるとか、栽培するだけですから簡単であるとか、それとか環境に対するほかのインパクトが非常に少ない、ほとんどないと、そういったメリットはございますが、逆に除染効果という意味でいえば、それもやっぱり非常にマイルドなものであるというふうに考えていただいた方がいいかと思います。
 ですから、やはりその汚染の状況とあと目的に応じていろんな方法を使っていく、ほとんどの方法がまだ開発段階なんですけれども、開発しながら使っていくと、そういったことになろうかというふうに思います。
#27
○岩本司君 どうもありがとうございました。
#28
○鶴保庸介君 自民党の鶴保でございます。幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 佐藤参考人、本当にお疲れさまでしたというか、大変なことでありました。お話をお伺いしておって、まず数字の話だけちょっと冒頭お聞きしたいんですが、耕谷アグリサービスの被害調査で、これ千六百五十万円ですか、被害があったということだそうですが、その後、三千三百八十万円の借入れを、お見積書がこの裏に付いていますけれども、この被害があった後で三千三百八十万円の出費をしなきゃいかぬと、明らかにこれは赤字ですが、この辺り、お金のことはいかが考えておられるか。また、この場ですから、こういうふうなことが、制度があればいいなというようなのがあれば、是非御意見をいただきたいと思います。
#29
○参考人(佐藤富志雄君) 前段の千六百万円云々は、津波に遭いまして被災した農機具類でございます。その中に、今にももう必要だという、うちの会社運営上、大黒柱的な機械がございまして、それはここで申し上げますと、震災後三日後に機械屋さんにオーダーをして、一週間後には取りそろえたという部分がございます。この間隔なんですけれども、私どもの場合、もう本当にこの機械が中心的な役割を果たしていますし、皆さんも、委員さんも御案内だと思うんですけれども、フロントローダーといいまして、土砂等とか瓦れき類をどける機械なものでしたので、それがもう震災の現場では到底必要だということでございまして、何か、取り急ぎ準備をいたしました。
 そんな折、公庫さんの方から、いろいろこれは大変ですねということでお見舞いをいただきまして、現場も確認いただきまして、当社は平成十五年設立し現在に至っているんですけれども、それ以後の債権も持っているところなんですけれども、計画どおり順調にその辺は進めておるところでございまして、たまたまうちの決算書も現場も見ておりまして、アグリさんであれば、今回この機会に、何かいろいろな被災農機具の買換え等の部分もありますよという部分のお勧めがございましたので、この際であればそれを御利用させていただきましてということで考えました。
 その中に、被災農機具ばかりじゃなく、うちの方は被災が受けることによって、私、水稲なんかは長年やったんですけれども、米作りやって米を買うという状況に陥ってございます、今現在。その中で、農地の使い回しなんですけれども、今回、畑地化、要するに実質地域に大豆の作付けということでは、これが、今まで通常三十ヘクタール台が延々と五十、六十と延びようとしている現状にございます。そういった場合、そこに必要な合わせた機械も新規で増設導入という部分も含めまして三千万になったところでございます。
 あと、融資を、いずれ補助事業等が、前回参事さんとお会いしたときお話しした経過があったんですけれども、この辺は、農業というのは旬なものですから、もう事前着工でどしどし進めますよと、最終的に自己責任で管理しますと、補助事業が乗るか乗らぬかは皆さんの結果次第という部分でとらえてございます。
 以上です。
#30
○鶴保庸介君 本当に御苦労さまです。もう自腹切ってでもというお答えでありましたので、その勇気に敬意を表したいと思いますし、我々もしっかりと、マイナスの面では受けていきたいと思いますからどうぞ御安心くださいと野党の私が言うのもどうかと思いますが、頑張りたいと思いますので。
 それでは、そのことに少しちょっと関連するんですね、宮下参考人。
 実を言うと、放射線の基準に関して、私、あることがありまして、セシウムを吸着する物質が幾つか世の中にはあるということで、私のところにプルシアンブルーの、藍色の顔料をまけばいいんじゃないかという話を私のところに持ち込んできたある人物がいました。これ、東京電力に話をしますと、まだそんな検討もしていないということでいろいろつらつらあったんですが、結論からいうと、東京電力はこれ効能ありということで、最近はこの新しいセシウム吸着物質を使って、採用しようじゃないかという話に今なっておるようです。
 ところが、この物質はまだ実証もそれほどされては、国内では実証されていないんですが、チェルノブイリ事故等々の後始末で実績があるという話でありましたので、是非これは農地に使ってもらいたいと。特に、農作物の農地にこれらをまくと畜産関係の、農畜産物の特に畜産に、草を食べた牛が、乳の中に放射性物質が流出しないという結果がチェルノブイリで使った実証の結果出ておるようなんです。参考人、うなずいていらっしゃいますから、この話はお聞き及びかもしれませんけれども。
 このことをお聞きしたときに、一番の問題は、まず日本でこの実験をしたことがないといったものですから、実験というか実績がないといったものですから、そんなのまくことは相ならぬというところからまず議論が始まっちゃっているんですね。その次に二番目の問題として、先ほど佐藤参考人おっしゃいましたが、これ、じゃ、誰がやるんですかと。国が原子力災害賠償法でやるという規定にはなっていませんから、ファイナンスの問題が出てきて、それをやる人物、やる農協が、新しいものですから、それをやりたいといった場合、それを後々国がちゃんとファイナンスしてくれるのかどうかということが心配で、佐藤さんみたいな方だったら、よし、もうやってみようというふうになられるかもしれませんが、これがなかなかできないという実情であるようであります。
 したがって、ちょっとお聞きをしたいのは、こうしたものに対する今研究や調査というお話もありました。研究調査、これは大体どれぐらい期間が必要なものなのか。そしてまた、そうしたさっきのプルシアンブルーのような話、もしお聞き及びなら、効果ありというようなものがそれ以外にもあるようでありますが、新しくこの国の中で採用されるにはどういった法整備、問題を乗り越えていかなければいけないとお考えか、是非御意見をいただきたいというふうに思います。
#31
○参考人(宮下清貴君) 少しちょっと難しい御質問でございますが、プルシアンブルーについて私が存じ上げておりますのは、チェルノブイリの報告では確かに出てまいります。専ら畜産物だと思います。畜産の餌ですかね、餌として給餌して、それによって家畜のセシウムの摂取量を減らすことができたというような報告はございます。ですから、科学的な報告としては、そういった家畜の餌に対する、何といいますか、効果があるというのは確かにそのとおりではないかというふうに思います。
 プルシアンブルーは、恐らく、むしろ工学の人がセシウムの吸着剤としての研究をやっているんじゃないかと思うんですけれども、それで実用化、どのようなところに使われたかということになると思います。
 あと、使い方ですね。家畜の場合には食べさせるわけですけど、ただ、土壌に加える場合には、加えても、吸着しても、それをまた回収しなきゃなりませんから、ですから、土壌などの場合には土壌で吸着してもそのままの形で土壌に残ってしまいますので、ちょっと難しいんじゃないかと。
 やっぱり利用場面とか利用方法を見て、それで効果を測るということがまず大事になるかというふうに思います。
#32
○鶴保庸介君 じゃ、その研究をするということならば、その研究調査というのは大体どれぐらい掛かるものなんですか。
#33
○参考人(宮下清貴君) それは、もちろんケースによると思いますが、やはり最低でも数か月、半年、簡単に設計を行ってやるだけでも半年。ただ、それはやっぱりケースによりますね。簡単なビーカー実験ぐらいだったらもちろん簡単にできますけれども。
#34
○鶴保庸介君 そこなんですね。この間、佐藤知事に電話でちょっと話をしたんですけれども、福島県のね。やっぱりもうどうしても殺処分ありきなのかと。現場はもう、お分かりだと思いますが、もうとにかく殺さぬでほしいという声が圧倒的に多いわけです。そこへ持ってきて、その調査研究結果が、こういったもう新しい物質で研究結果が出ない以上使えないんだということをやってしまうと、同じ殺すんだったらやってみてよという声がやっぱり、当たり前ですけど、圧倒的に多いわけですね。
 数か月待てばできるという、数か月待っては多分いられないと思いますので、我々は是非ともこの場で考えていかなきゃいけないという問題提起をさせていただきたいというふうに思います。こういった場合に新しいものを使うといったときに、もっと弾力的に使う仕組みを我々は政治の場で考えていかなきゃいけないんじゃないかということだと思います。
 それから、もう一つ宮下参考人にお伺いをしたいんですけれども、今度は、海に流した場合の今度は海水の方なんですけれども、水産庁と話をしておりますと、これ、放射性物質を流しますと、流して、一時的に高いんですけれども、大丈夫ですよと、簡単に言うとこういう言い方ですよね。それ、なぜですかと言いますと、あるものは消えませんけれども、徐々に沈殿して、それがだんだんだんだんと薄まっていくでしょうと、こういう言い方であります。
 宮下参考人、この薄まっていっても、実際のところ、どんどんどんどん流れているんだから、そんなもの、その辺にやっぱりあるものじゃないかと。それでまた、薄まってよそへ行くということが、逆に言うと、流れ着いた先にしてみれば、何だこりゃと、ろくでもないことしてくれやがってと、時には損害賠償でも起こしてやろうかというような騒ぎにもなりかねないんではないかというような話もあります。
 水産庁のこうした考え方について、御意見があれば意見を賜りたいと思います。
#35
○参考人(宮下清貴君) 海洋と土壌は全く放射性物質の挙動が違いまして、私、海洋は専門でないので、はっきりしたことは申し訳ございませんが御説明できません。
 ただし、放射性物質は確かに濃度によって規制されていることは確かという、それは一つあるかと思います。ただ、逆に、海洋などになりますと食物連鎖というような問題も出てきますので、そこは八木参考人も先ほどおっしゃっていましたけれども、そういったことを考慮する必要が出てくるということで、また別の視点が必要になってくることも確かだと思います。
#36
○鶴保庸介君 これはなぜこういうふうに申し上げたかというと、今度は八木参考人にお伺いするんですが、現実に水産にかかわる問題を議論をしておりますと、各国、外国から様々な損害賠償が実を言うとこの国に起こされるんではないかという話がやっぱりあります。特にこの賠償スキームをいろいろ議論しておる中で、東京電力に負わせるのか国に負わせるのかという議論で、国が負ってしまうと、各国の政府は、国なんだったら損害賠償をじゃ日本国に請求すればどうだと、いいじゃないかと、だから東京電力に負わせた方がいいんだというような議論すら内々ですけれども出ておるように聞いております。
 その賠償スキームをどうこうという話はここではおいておいて、こうした各国の動き、八木参考人は海外との折衝に通じておられますから、お聞き及びのところがあれば一言お伺いしたいのと、それから、こうした海外とのやり取りの中で、私、マーシャルという国から、被災地のみ、被災地の出身の方々であれば優先的に、マーシャル海域のEEZ、排他的経済水域ですかね、漁業権を開放して、入漁料を取りませんから開放して、どんどんどんどん入ってきてくださいよというオファーが実を言うとマーシャル辺りから来ているんですね。こうした国々とのやり取りを八木参考人は、よし、やるべきだと、やっぱりいい話なんではありますけれども、様々な問題を勘案してどうお考えになられるか、所感をいただければというふうにも思います。
#37
○参考人(八木信行君) ただいま鶴保先生が御紹介していただきましたマーシャルの件ですけれども、これ、実は私、存じ上げておりません。
 ただ、一般的に申しまして、マーシャルだけではなくてよその国の、EEZと申しまして、経済水域と呼んでおりますけれども、その二百海里水域のことでございますが、ここに入るためには入漁料を払いながら入漁しているという実態があります。ですから、その入漁料を免除するというようなオファーがあるということは大変有り難い話だと思います。
 ですから、個別に入漁している船がございますので、その個別の船にそういった情報を伝えて、その船が判断するということになるかと思います。
#38
○委員長(主濱了君) いいんですか。
#39
○鶴保庸介君 もう一つあります。
 損害賠償ですね、各国から損害賠償を取ってやろうじゃないのというような話をお聞きですか、そんなことが耳に入ったりしますか。
#40
○参考人(八木信行君) 私は直接聞いておりません。私のところによく入ってくる情報はまだ初期段階の情報で、日本は大丈夫かですとか、どの程度の被害があるのかという日本の被害状況を聞くような問合せはかなり来ておりますけれども、日本に対して損害賠償をするというような話は私には届いておりません。
#41
○鶴保庸介君 分かりました。
 風評被害も含めて、我々、この問題を海外との視点をなくして考えないわけにはいかないと思うんですね。
 そこで、八木参考人、もう一つ。
 水産庁がずっとこの水産被害についてのモニタリングを、先ほども御説明にもありましたが、しておりますよね。これ、モニタリングしているんだしているんだと言っている割には、どうも我々も見ておって、イカナゴの話が出た後、じゃ、どこへどう行っているのかという情報について、どれだけの頻度でやっているのかと。ホームページで書いてありますよとか言っていますけれど、実際聞いてみますと、例えばモニタリング一つでも、魚を洗っているところもあれば洗っていないところもあると。洗っているところは当然低いんですよ。洗わずしてやっているところも、モニタリングしているようなところもあって、何かずさんな感じがしてならないわけですね。
 こうしたことについて、八木さん、御意見というか、元水産庁にいらっしゃったこともおありですから中身についてはよく御存じだろうと思いますので、何か申し述べるところがあれば、モニタリングの問題というのは非常に大事だと思うので、その辺のところをちょっと御意見をいただければなというふうに思います。
#42
○参考人(八木信行君) モニタリングを的確に行いましてその情報を隠さず伝えるということは、風評被害を防止する上でも大変重要だと思っております。
 それで、モニタリングの体制なんですが、私が聞き及んでいる限りにおきましては、この放射性物質を研究する研究者の数自体が日本で足りないと、特に水産に関係している研究者でそれを専門とする人は余り、数えるほどぐらいしかいないという状況であります。そういう中で今回の事故が起きまして、その研究者はモニタリングの試料を分析することに追われていまして、そういう少ないリソースの中でやっているように聞き及んでいます。その中で、いろいろな研究機関がモニタリングの分析を行っておりますが、その分析を行う際のマニュアルといいますか、こういうふうにしてどこをこう測るんだというものは、やはり鶴保先生がおっしゃったように統一をする必要があるというふうに思っております。
 あとはその情報伝達でございますけれども、全般的に情報伝達、地域と東京の情報伝達、これはもう少し拡大、拡充すべき必要があると思います。その点も含めまして御検討いただければ有り難いと思います。
#43
○鶴保庸介君 時間ありませんが、最後に一つだけ。
 その地域を拡充というのは、もっと具体的に言うとどういうことでしょうか。
#44
○参考人(八木信行君) 例えば、東京でいろいろなメニューを組んでおります。私どもの大学でも学生ボランティアを派遣をして、補助金の申請の事務手続をするようにボランティアを出したいですとか、あとは例えば日本財団が小型船舶の修理を、基地を造って修理をするという、いろいろな情報があるんですが、これが必ずしも現地に余り届いていない事態がございます。あとは、現地からも、新しい船を建造するときにこういうことをしていいのかですとか、そういういろいろな疑問がありまして、私のところに携帯電話で掛かってきたりするときがあるんですが、そういう情報も東京に伝えるようなそういうルートが余りないのでこういうことになるんだと思います。ですから、どこかでまとめてウエブサイトを立ち上げるでありますとか、そのような取組が一つ案としてあるように思います。
#45
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
#46
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。今日は貴重な御意見をいただきまして、心から感謝申し上げます。
 まず、佐藤富志雄様にお伺いをしたいと思うんですが、私も元仙台におりまして、今は山形の米沢におりますが、被災があった後で名取、岩沼、山元町と回らせていただいて、沿岸の大変な被災の状況、また農地の本当に瓦れきで大変な状況等を見させていただきました。
 佐藤様の方は、有限会社耕谷アグリサービスということで、これまで集落営農から今度は法人をつくって頑張っておられると。特に大規模化を目指して様々な、何といいますか、事業に進んでおられるということで、大規模化し、そのように広げていったがために今回大きな打撃を受けたということだと思うんですが、大規模化を進めていったそういう法人等に対する特別な配慮というようなものが、どういうことを一番していただきたいのか、その点をまずお伺いをしたいと思います。
#47
○参考人(佐藤富志雄君) 先ほどの前段の質問でもあったんですけれども、結果的には二重債務に陥る可能性もあるんですよね。その辺が大変だと。会社的には一応その辺の計算をしながら、ここは乗り切れるという部分で対応はしたところでございます。
 なかなか、私らの利用権設定での集積も当然集落農業の延長線上ということで、先生おっしゃるとおりでございまして、今現地では、後継者不足、また高齢化、いろいろな諸問題がございまして、私らも会社としては身の丈に合った経営が一番と私は思っておるんですよ。ですから、当初、私らの組織は四十、五十、せいぜいそのぐらいが限界かな、限度かなという認識でおったんですけれども、いかんせん、じいちゃん、ばあちゃん、みんな後ろから腰を曲げて何とか頼むと手を合わせられる状況にあって、規模拡大を望まなくても現実的にはやらなくちゃならないという対応で自然と面積が増えたと。だから、積極的に規模拡大を図ったんではなく、いろいろな諸般の状況、情景の中で増やしたと。ただ、会社は潰せないので、その辺の配慮を更に加えながら現状に至っていますということでございます。
#48
○渡辺孝男君 本当にこれまで周りで一生懸命農業に頑張ってこられた方々がどうしても農地を手放さなければいけない等々、様々な事情で、また高齢化等の事情でやっぱり集約化の方の流れの中でそれを受け入れてきたと。今、積極的にということじゃなくて、周りのいろんな状況を勘案してやってこられたということで、その御努力に敬意を表したいと思うんですが。
 これから農地の被災の状況、その深刻度に応じてやっぱり農地として利用することを断念するようなところも残念ながら出てくる可能性もあるわけですね。そういう農業者の現場の声をどう市町村の復興プランに反映をしていくのか、これが大事だと思うんですが、今のところ、この農地はみんなで残していこうというようなことで、市町村に対する意見の表明というのがきちんとできているのかどうか、そこがちょっと心配なんですが、復興プランに対する意見の表明をどういう形でやっていったらばスムーズに皆様の声が反映されるのか、もしこういうことにしてほしいということがあれば、お伺いをしたいと思います。
#49
○委員長(主濱了君) 今のはどなたに。
#50
○渡辺孝男君 佐藤参考人に、続けて。
#51
○参考人(佐藤富志雄君) この復興計画なんですけれども、これもいち早く指針、方針を決定していただけないと現場は動けないというのが現状でございまして、渡辺委員さんのとおり、本当にここが農地になっていいのかと、もう復旧復興ができるのかというのは現場としては感じております。
 地盤沈下でもう池の状態、ここはもう農地復興は無理だろうというのも現場では確認されております。そういう状況にあると。またあと、そういう状況であると、今後、そこで被災者もいる状況の中で、そこで生活するという気にもなれないというような状況もございまして、その辺の地元の意見、要望なりを確認いただきながら、基本的な方針の決定をしていただきまして、やっぱりここは住宅街、ここは農地、ここは工業地帯ということでの基本的な方針を決定されまして、いち早く農地の基盤整備に向けてほしいなと。今、現状はその姿すら見えませんので、本当に津波が起きた状態で、もう私ら何も手が付けられないそのままの現状で今現在いるのが本当に正直なところなんですよ。
 以上です。
#52
○渡辺孝男君 もし万一どうしても農地として利用が難しいということでこれを断念をするようなときに、その農地をどういう形でお売りになるのか、また別な人に利用してもらうのか、そういう農家の方々に対する配慮というものはどういうところを重点として考えていったらよろしいのか、現場のお声として伺っておきたいと思います。佐藤様、いかがでしょうか。
#53
○参考人(佐藤富志雄君) 冗談に近い話になるんですけれども、現場では、もうこれは国に買ってほしいというような声も実際正直に聞こえます。ですから、基盤整備とか計画の中での換地作業の中で移動できるものか、その中には宅地も入っていますし農地も入っています、いろいろな部分の整理ですから、この辺はなかなか難しい現実が来るのかと思うんですけれども、現場の声ではもうお国からお買い上げいただければこれ幸いですなんというお声も聞くところでございます。
#54
○渡辺孝男君 本当にそういう深刻な状況になっているのかなと。やっぱり国としてしっかり支援をしていかなければいけないという思いでございます。
 それでは次に、三野徹様の方にお伺いをしたいんですが、今回の被災で福島県の内陸部の水田農家の方をお訪ねしたときに、やはりいろんな用水のパイプが壊れていて水が来なくて今回は、今年は諦めたと、早くその水をほかの水利権者の方からいただいて来年度はやれないかというような切実な声も聞いているんですが、なかなか水利権の調整等、あるいは様々な利害関係がありますので非常に難しいという状況も聞いておるんですが、ここをうまく水を調整していただいて、本来作れる水田を作っていくということに対しての何か専門家としてのアドバイス等があればお伺いをしたいと思うんですけれども。
#55
○参考人(三野徹君) 確かに水利の問題というのはもう歴史の塊のようなものでございますので、一挙に解決するのは、一律に解決するというのは大変難しい問題でございます。
 例えば、私は除塩のお話を申し上げたのは、水を掛けるというのが基本ですよね。ただし、掛け方にいろんな技術的な手順を踏まないとうまく除塩ができない。したがって、まず除塩にしても水を確保するということが第一条件であると思います。ところが、水を確保しようとすると、必ず上流、下流という非常にこれまでありましたいろんな利害調整問題、それから排水を、そのまままた流すとより下流に今度は影響が及びますので、ということは、除塩をやるということはもう大前提として、水利施設、用水の供給と排水までがセットになって復旧しているという前提が必要ですので、まずそれをしっかり復旧するということが大事だと思うんですが。
 単に施設の復旧だけではなくて、今おっしゃいましたいろんな権利の調整と社会的合意というのが必要になってまいりますが、それは土地改良区というのは物すごい歴史の中で知恵をいっぱい持っていると思いますので、まずその土地改良区のその知恵をどういうふうに引き出すか。そして、土地改良区がそういう意味で合意をどのように形成していくかという地元の知恵をそれぞれうまく引き出す仕組みというのをまずセットにならないと、施設だけの復旧では済まない問題だと思います。そういう意味では、何か意見を聞く仕組み、それを早急に組織化していただきたいというように思う次第です。
#56
○渡辺孝男君 ありがとうございます。
 なかなか難しい作業ですが、ゆっくり時間を掛けていくというわけにはいかないので、やっぱり皆さんの地元の知恵をうまく集約して、来年度あるいは今年度秋に向けてしっかり農業ができるような環境を整えていくことが大事だというふうに思っております。
 ありがとうございます。
 それでは、八木参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、今日いただいた中で漁業者の環境保全活動、瓦れきの撤去とか様々な活動にまず、本業にすぐに取り組めない場合にはそういう活動に対する支援ということで、今も政府の方でそのように行っているわけですが、この拡充と継続が重要というようなお話でありましたが、拡充と継続、どのくらいの程度のその参加されている方々に支援をし、どのくらいの期間、これも置かれている状況で様々変わるんでしょうけれども、拡充という意味と継続という意味でどのくらいの目安で考えていったらいいのか、もし御意見があればお伺いをしたいと思っております。
#57
○参考人(八木信行君) 沿岸漁業の場合は比較的浅いところで行いますので、ですから、瓦れきの撤去も面積の、湾内ですとか湾の外の比較的狭いようなところかと思います。ただし、沖合漁業はかなり沖合に出まして、トロール船、底引き網で魚を捕る漁業があるんですけれども、そういう漁業をいたします。その操業海区というのは非常に広い海域に及んでおります。ですから、全てを含めますと、とても一年ですとか二年などでは済まないんだと思います。三年又はそれ以上の期間で対策をする必要があるかと思います。
 また、実際に底引き網で瓦れきを揚げてきた場合にこれをどこで処理をするのかということも問題になっているわけでございます。現在、港に野積みになっていたりするものがございますので、それをしっかりとどこで誰が費用を分担して処分をするのかといった筋道を立てることも重要かというふうに考えております。
#58
○渡辺孝男君 ありがとうございます。
 もうすぐ時間がなくなってしまいますが、最後に宮下参考人に放射能の除染についてお伺いをしたいんですが、浜辺の貝類等がちょっと心配だという思いなんですが、そういう砂浜の放射性物質の除染ということに対してもし何かお考えがございましたらば、お伺いをしたいと思います。
#59
○参考人(宮下清貴君) 浜辺の場合にはデータがまずはほとんどないと思いますね。それと、特に海で洗われるようなところですと、たとえ沈着があっても海水に流されていってしまいますので、浜辺自体がそんなに高いということは余り可能性は低いんじゃないかというような気はいたします。
 ですから、まず、そういう懸念がある場合にはやっぱり実態解明がまず必要かということはもう、測定ですね、放射能の測定は必要になるかもしれません。今のところそこが特に心配というようなデータは出ていないんじゃないかというふうに理解しております。
#60
○渡辺孝男君 ありがとうございました。
#61
○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。
 今日は、お忙しい中、それぞれ参考人の皆さんには本当にありがとうございます。やや重なる部分もあろうかと思いますが、御容赦をいただいて、順次お聞きをしていきたいと思っております。
 まず初めに、佐藤参考人にお聞きをしたいと思いますが、この後の質問の基本的な考え方に私にあるものは、いずれにしても元に戻すということではなくて、この機会にある意味では未来を先取りした制度改革を導入をしていくということであるとか、今までにないいろんな対応策を取っていくということが大事なのではないかというふうに基本的に思っているわけですけれども。
 例えば、先ほども二重ローンの話も一部出ておりましたが、まさに先ほど佐藤さんのお話では乗り切っていけるというようなお話もございましたが、多くの皆さんにとってはこの二重ローンが重くのしかかってくるというのが現実だろうと思いますし、このことによって、先ほど離農というお話もありましたが、被災地域から産業や人口の流出を防いでいくということもやっぱり考えなきゃならぬだろうと思っております。
 私たちは言わば平成の徳政令などと言っておりますが、やはり思い切ってこの二重ローンの免除というものをしっかりやっていく必要があるんではないかと思っておりますが、重なる部分、先ほどの質問とあろうかと思いますが、佐藤さんの、現場におられて、あるいは仲間の皆さんの状況、実態、地域の実情なども踏まえられて、何か御意見があればお聞きをしたいと思います。
#62
○参考人(佐藤富志雄君) 二重債務の件は、結局、数か月前に農機具の新車の導入をしたんですけれども、たまたま津波に遭いましたと。全くもうタイミング的に悪いよという部分がございました。そうなると、本当に二台立て続けに購入したというような状況になりますし、そういう現場の中で、農地も崩壊した中では、結局もうやる気がうせてまして、もう離農というタイプの人もおりますし、あと、この辺、先生おっしゃるとおり、幸い転じて福となすというんですかね、ピンチがチャンスという部分で考えた場合、基盤整備的な構想はなかなか本来、農家の場合ですと同意が得られないというのが事実、現状なんですよ。今回のあの被害を見て、その基盤整備的な事業を進めるに当たっては、多分、現場負担がない、軽いという部分であれば同意を求めるのは、容易に求めやすいのかなと。農地としての価値観はもうほとんどゼロと。地盤沈下、瓦れき何とかという部分ですから、固定資産的な財産的な評価よりもその農地をいかに復旧復興させるかという部分が第一かと思うんですよ。ですから、現場としては基盤的整備は今までよりは容易に取り組みやすいのかなと。
 あと、その中で、前段も申し上げましたが、離農者がいるということは、あとその受け手として残る人が面積拡大を図らないとその部分の埋め合わせが付かないということにもなりますので、その辺も想定しながら、私らも、もう次はアグリだ、次はアグリだと、被災所巡りすると皆お声が掛かってくるんですよ。私一人で名取市内全体を持てというのは、これは無理な話なので、我々の仲間を、別組織もつくりながらやっていかなければならない、当然個人でやる方もまだまだいるんですけれども、そういう傾向になってございます。
 以上です。
#63
○柴田巧君 どうもありがとうございました。
 それと、佐藤参考人にお聞きをしたいと思いますが、やむを得ず離農せざるを得ない、あるいは農業をやめざるを得ないという人も出てくるだろうと思われますが、先ほどのお話にもございましたが、ところが、全国的に、農水省もちょっと橋渡しをしているところもあるんだろうと思いますが、例えば他県でこの集落営農組織でそういった農家の、東北、被災地の農家の人たちを受け入れようと、農業がその被災地で再開できるまでその集落営農組織などで働いていただく、あるいはそこで取れた農作物を被災地の支援にしていこうというような動きもございますが、こういったやり方、考え方といいますか、取組について、どのようなお考えを持っておられますでしょうか。
#64
○参考人(佐藤富志雄君) 被害がひどい地域ほど集団移転等を含めまして、そういう当然地元には畑、農地がございませんので、どこかに移動して求めなくてはならないという状況になるのは事実でございます。
 その中で、自分の近くを見渡しますと、その割には余り遠くに行かないんですよね。やっぱり見える範囲内といいますか、ですから、他県移転とかそこまでの大きな移動は余り地元としては好んでいないようです。名取市内の上部の方とか、そんなような感じの小移動での農地利用と。たまたま、その辺ですとお互いに顔も見えますので、うちの農地が余っているからこれ使ってくれやという、あと仙台市場というバックもございますので、そういう販売方法も、近くでございますので、そのまま以前の販売戦略を活用できますので。もう全然、産地が他県になりますと作る物も違ってくる場合もあるんですよね。今まで軟弱やっていたんですけれども、向こうに行ったら白菜とか大根も作らなくちゃならないとかなりますので、やっぱり今の現状の中で近くにというような移動のように見えます。
#65
○柴田巧君 ありがとうございました。
 続いて、三野参考人にお聞きをしたいと思いますが、先ほどからもお話がございますように、いわゆるこの塩害の被害の状況も恐らくまちまちでございましょうし、これはいろんな、まあ土地改良区が中心となってこれから取り組んでいくというお話もありますが、土地改良区自体も大分被害を受けているところもあると推察をされます。したがって、先ほどのまず排水関係をしっかりやっていくと。あるいはいろんな、場所によって、あるいはその程度によって工法も変えていかなきゃならぬということだろうと思いますので、これはどこがどう音頭を取ればいいのかあれですが、この全体的な除塩対策の基本計画、またそれに基づいて具体的にやっぱり工程表というのをしっかり作ってやっていく必要があるんではなかろうかと思いますが、そこら辺はどのようにお考えでしょうか。
#66
○参考人(三野徹君) 私もそのとおりだと思います。ある意味で、先ほど八木先生のお話にもありましたとおり、社会的な公平性と経済的な効率性というのは時折矛盾するわけでございますし、それは地域地域によってそのバランス点というのは違うはずでございます。それを地域として全体的に工程表を組み立てる中で一つのシナリオをしっかりしていくということは、これから復旧復興に際して基本的に重要なことだと思いますので、そういう形で水利系統を中心にして地域の個性というのは決まってまいりますので、そういう形でこれから復興のシナリオを書いていくというのは極めて重要なことだと私自身も思います。
#67
○柴田巧君 ありがとうございました。
 それから、これは日本でももちろん、こういう形で起きまして、今までも高波や台風などでも塩害はあります。また、世界的にもインドとか、先ほど御紹介もありましたし、インドネシアでも大きな災害がありましたし、アメリカなどではハリケーンとか、カトリーナとかいろいろございますが、そういう意味で、この塩害対策の、もちろんそれぞれの国の農業の在り方も違いますし、農地の土壌も違うとは思いますが、この塩害対策のあるいは除塩研究の何といいますか共同研究なり、世界的な、国際的な研究の推進とか、その技術開発と、こういったものは今どういうような状況にあるんでしょうか。
#68
○参考人(三野徹君) 先ほどお話ししましたとおり、諸外国ではかなり研究が逆に進んでいるのを日本流にむしろうまく合わせるような研究というのが日本の除塩研究ですので、やはり、今おっしゃいましたように、国際共同研究というのは、塩類の問題については、大変我が国自身の除塩に対する対策を組み立てる上で大変大事だと思います。
 それからもう一つは、今インド洋の津波の件もありましたが、あの復興に際しては日本からもたくさんの研究者が出て現地の政府と一緒に復興計画、復旧計画を立てております。そういう意味では、余り公にはなっていないようでございますが、そういう形で国際的な連携というのは塩の問題についてはかなり活発に行われていると私自身認識しておりますし、今回の津波にもそういう基礎的な今までの取組が反映されるものだと確信しております。
#69
○柴田巧君 ありがとうございました。
 続いて、八木参考人にお尋ねをしたいと思いますが、先ほどからもいろいろな御質問もございましたが、参考人もおっしゃるとおり、持続可能な人間活動を行っていく、いろんな産業活動を行っていくためにも環境、経済、社会の三要素のバランスを取るというのは大事なことだろうというのは私も思うわけですが、ただ、こういう千年に一度あるかないかという、こういう段になると、やはり先ほど申し上げましたやや大胆過ぎるぐらいの策を取らないと、なかなか復興というところに行かないのではないかと思うんですね。特に今漁業者の皆さんなども、あるいは関連の皆さん方も、じゃ、いかにこの後自分たちの雇用がどうなるんだと、それによって住むところが先ほどの話じゃありませんが変わってくるということにもなりかねませんし、将来に対する安心感というか見通しというか、そういったものが今立たないというのが現実だろうと、こう思います。
 したがって、先ほどもお話があったように、宮城の村井知事がおっしゃるような国有化、あるいは協業化というものなどもやっぱり必要なのではないかと思いますし、私どもみんなの党としても、生活救済のための債務削減スキームというのを出しておるんですけれども、その中にも、時限的に会社をつくって、これは将来民間に、完全な民間会社にするんですが、そこで、甚大な被害を受けて漁業を実際できない、あるいはその関連の仕事ができない人たちを全員をある意味では雇用して、そこで、養殖場の再生業務でありますとかいろんな漁業等々、水産加工に当たっていただく。いずれは民営化していくということではありますが、そういうようなことをやっていくという考え方、それによって、ある意味では企業的な漁業あるいは大規模漁業ということにもつながるところも出てくるんじゃないかと思いますが、そういう考え方についてどうでしょう、お伺いをしたいと思います。
#70
○参考人(八木信行君) 協業化ですとか、そういった議論がございます。私はそれは肯定的に受け止めております。
 例えば、漁船を公的な資金で建造したものをリースをする、漁業者が建造するのに資金を渡して、それを漁業者が使っていく、そういったもの、スキームですとか、あとは、漁業を行うためにいろいろなコストが掛かりますけれども、その立ち上げのコストにつきましても協業化のような中で負担を国がしていくというような仕組みはこれは効果があると思います。そういうふうに考えております。
#71
○柴田巧君 ありがとうございました。
 時間がもうありませんので、最後に宮下参考人にお聞きをしたいと思います。
 御案内のとおり、飯舘村ですよね、今度実証実験が始まりますけれども、これから予定されているいろんな放射性物質の除去の現地試験、実験栽培といいますか、これへの期待というか、これが一種の始まりになってくると思いますが、この後どういうふうに展開をしていけばいいとお考えになっておられるのか。あるいは、これはもちろん日本の国力を挙げてやっていかなきゃならぬ問題でもありますし、やっぱりこれはいずれ、いや、こんなこと、ないことはこしたことはないわけですが、こういう問題は世界のどこに起きるかも分かりませんし、また過去に起きたところもある。そういう意味では、世界の英知を結集をして放射性物質の除去に当たっていくということが大事だろうと思いますが、そこら辺、宮下参考人の御見解をお聞きをしたいと思います。
#72
○参考人(宮下清貴君) 放射能汚染対策なんですけれども、緊急に行うべきことと、あと長期的に見ていくこと、その二面が必要じゃないかと考えております。
 緊急の対応といたしましては、最後のスライドでお示しいたしましたけれども、要は最初のうちはごく表面にたまっております。ですから、ある意味取り除くには今がチャンスということが言えます。ですから、早い方がいいものはもうできるだけ早くやることが一つと。
 あとは、ただ、長期的にやっぱり見ていくことも必要です。それで全て除染できるわけではありませんし、また、そんなに高くないところ、ある程度汚染されているけど、それほど高くないけれどもある程度汚染されていると、そういったところはやはり長期的に見ていくということが必要かと思います。
 人間や環境への害は先なんですね。要は、最終的にはその放射性元素の半減期でなくなってしまうことが非常に重要でして、ですから、その間、ちょっと変な言い方ですけど、うまく処理する、お付き合いするというような、そんな感じでしょうかね。もう被害を最小限に少なくして、なおかつうまくそれに付き合っていくと、そういったような考え方が必要じゃないかというふうに考えております。
 それと、世界の英知を結集する、まさしくそのとおりでございまして、私どもの今回の件でもやっぱりチェルノブイリの経験というのは非常に生きております。逆に、そういった我々がこれから得ていきます経験は世界に発信していくと、世界の皆さんに明らかにしていくということは我々の責務だというふうに考えております。
#73
○柴田巧君 ありがとうございました。
#74
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。今日は、皆さん、本当にありがとうございます。
 それで、最初に佐藤富志雄参考人にお伺いいたします。
 実は私も、先日、名取市からずっと海岸線を歩きまして、今日お話あった、配られている資料の、もう土地改良区の方からもいただいて、それで、やっぱり先ほどおっしゃいましたけど、ポイントは、いかに早く農地を復興し、そしてそのためにも排水機場をちゃんと整備してやるようにするかというお話されたんですけど、これも現場から直接伺って、とにかく梅雨入り前には早く排水機場を直して水を外に出せるようにしてほしいという話もお聞きして、ここは少なくとも国営の直轄のやつについてはできるところはもう大急ぎでやるというふうにはなっているんですけれども、ただ、やっぱり地盤が下がっているのでもっと能力を高めないといけないということも含めて議論をさせていただきました。私だけじゃなくてほかの党の方もこの問題を取り上げて、そこに向かって、ですから、当面の予算は付いたけれども、この後の本格的な予算ということでは、やっぱり次の二次補正で必ず取らなきゃいけないということで頑張りたいと思います。
 そのときにお聞きした中に、例えば、作れば作れるんだけれども、下に水を流せないために作付けを自粛している地域があるという話を、イエローゾーンというふうに聞いたんですけど、そのときに、このことの、この分の補償も必要じゃないかという話をしましたら、農水省は、できるだけ作付けしていただいて対応したいということをおっしゃっていたんですが、ただ、水田作っていたところを次、大豆だとかすぐにできるのかというと、これはなかなか難しい面もあって、その辺、現場でやっておられる佐藤さんの方から、どんなことなのかということでお話しいただければと思います。
#75
○参考人(佐藤富志雄君) 今のイエローゾーンの話なんですけれども、先生も地元を見られて分かったかと思うんですけれども、当然、上手のバイパス寄りなんですけれども、そこにたまたま上余田地区という集落があるんですけれども、その中で、当然、イエローゾーンの中にありまして、災害の対策が受けれない地域なんですよね、結局は被害のない農地として残っていますから。ただ、自粛地域ということで稲作りができない。結局は何もできませんよという結論になるんですけれども。
 そこでたまたま、上余田の地域の集落の皆さんの話合いの中で、やっぱり誰か知恵者がいるんですよね。たまたま、ただいまの水田利活用に乗っかった転作、要するに大豆作りなり、これからですと大豆なんですけれども、大豆に取り組もうという部分の声が上がりまして、たまたま私どもに目を付けられまして、この作業受託、委託はアグリさんでお願いできないかと、私らではこういう準備をしますという要望がございまして、私どもと上余田地区では契約が成立しまして、総面積で、あの地域、集落全部ですから、三十六ヘクタールぐらいになりました。
 一応そんな程度なんですけれども、それを受けて自前の面積、ですから、今回補助事業で農機具云々の話もそういった感じで、たまたま、稲作りたいんだがもう作れない、豆しかできない、で、他地区の部分も受託しながら面積拡大というのが当社の部分なんですよ。多分、そういう状況の中で、個人さんもいられるんですよね。この農地もったいないから豆作ってほしいという部分がありまして、恐らく最終的にはもう五十を超える上りかなと思うんですけれども、そうすると、通常の、通常は三十ヘクタール規模ですから、倍近くになるというような状況になっています。
 あと、何もないという地域もあります。もう諦めの心境で、本当にその地域に関しましては何の対策も取れないという部分ですよね。そういう地域も若干ございます。
#76
○紙智子君 大豆を作付けでやるというふうになったんですけれども、同じようにというか、今まで、通常の土地と同じような形ででき上がるかどうかという心配というのは、これはどうなんでしょうね。
#77
○参考人(佐藤富志雄君) 当然、農地を利用して作る分には同じですから。ただ、私どもは、基本的にはある一定の圃場整備を受けたところで今までやっていたんですよ。今回は未整理といいまして昔の一反歩というような地域なんで、これは作業効率が非常に悪いんですけれども、私らとしても仕事としてやらなくちゃならないという部分もあるんですよね、水稲作付けができない状況でございますので。考え方によっては、上余田さんの方から豆作りの作業を我々がいただいたというようにも理解できるんですけれども。
 そういう状況で、ギブ・アンド・テイクの世界で、先方さんは豆作りのノウハウ、そしてまたそれ用の機械も持ち合わせていないということですので、我々のできる範囲内の分は発揮してということになりますね。
 以上です。
#78
○紙智子君 ありがとうございました。
 じゃ、次に、三野参考人にお伺いします。
 今のお話とも重なるんですけれども、除塩の作業ですね、これやっぱりすごく急がれるわけですけれども、実際に地盤が下がっているところについていうと、先ほどの説明ですと、やっぱり海の塩との関係というのはすごく微妙な状況なのかなと。そうした場合に、もっと盛土をしてというか、高くしないといけないのかなというふうにも思ったりして聞いていたんですけれども、下がったところについて、名取市のような場合のですね、そういうところに対しての除塩の作業ということでいうと、どれぐらいのやっぱり経過を見ながらというか、時間掛けてやらなきゃいけないものなんでしょうか。
#79
○参考人(三野徹君) それは状況によると思うんですが、私もつい数日前に、地元に災害後すぐ入られたコンサルタンツの方から、いろんな施設の排水機場と排水樋門の災害の被災の状況を見せていただきました。これは悲惨なものです。少なくとも除塩を済ますというのは、作付けが可能なことは、あれだと思いますが、今度は海の水がいかに入ってこないようにするかという管理も保全も必要でございますので、そういうものを全体がうまく完成しないと、多分単なる水田で塩を抜いて作付けするだけでは済まない問題が起こっていると思います。
 そういう問題は、先ほど佐藤さんの方からもお話のありましたように、地元には大変知恵者がいらっしゃるし、いろんなことを経験してこられた。特に、数百年という歴史の中で多分いろんな慣行とか合意形成の仕組みができておりますので、そういう仕組みとセットにしないと、私は単なる工学的な復旧だけでは済まない話があると思いますので、大変これは、多分水門の復旧とかポンプ場の復旧というのはかなり時間が掛かる問題だと思いますので、その辺は少し地元の知恵をお借りしながら、なるべく今という時点をどう過ごすかということを集中的に考える必要があるんじゃないかというように思います。
 そういう意味では、先ほどのビジョンとシナリオというのをしっかり確立すれば、また地元も納得されるんじゃないかと、そういうように思います。
#80
○紙智子君 いずれにしても、これ挑戦していかなきゃいけないことだというふうに思います。
 次に、八木参考人に伺います。
 先ほどもちょっとお話が出ていましたけれども、環境、経済、社会という三つの視点からということでお話があったわけですけれども、三つ目の環境面についてという中で、やはり日本沿岸で資源が保全されてきた伝統的な仕組みの活用というお話がありました。そういう点では、漁業権の制度という問題を取り上げてお話しされているわけですけれども、やっぱり漁業権という問題は、すごくこれまでの長い歴史を通じて現場で積み重ねられてつくられてきたというのがあると思うんですね。
 それで、そういうやっぱり長い歴史の上にあって今日のものがあるということでは、この漁業権というものの持っている意味といいますか、これがもし損なわれるということになるとどういった心配することがあるのかということについてお聞かせをいただきたいと思います。
#81
○参考人(八木信行君) 基本的な漁業権の仕組みは、漁業者が一定の区画の資源を利用できる権利があるという状況の下で漁業者がその区画の中の資源を自ら進んで守るという仕組みになっています。権利型の漁業管理と呼ばれているものです。
 ですから、漁業権そのものが消失をするというのは仮の話としておっしゃったんだと思いますけれども、そういう場合はまた新しい権利関係の仕組みを構築するということが重要かというふうに思います。その権利が構築できない場合は魚が早い者勝ちの競争で捕られてしまうという状況になりますので、資源保全の立場からしても問題があるというふうに思います。
#82
○紙智子君 それで、ちょっと時間がすぐ来ちゃって、済みません、最後、宮下参考人にお聞きします。
 ホットスポットという問題について、これ、一応避難区域というふうに指定されているところ以外にも部分で存在しているということで、実はチェルノブイリのときもそういう分布の仕方というのがあってということだったわけですけれども、最近も例えば亀戸で三千ベクレルぐらい、超えるベクレルの数値が示されたとか、皇居の前の土からも千ベクレルを超えるそういうものが出てきたということですよね。これは考えてみるとちょっと怖いなというか、つまり、何というか、ぽんと飛んだ形でそういう放射能が出てくるということになりますと、それを受けて農産物なんかも出荷制限になったりとか、あるいは牧草なんかも、それからお茶なんかからも検出されるということになっていて、これ大変なことだなと。
 それで、ちょっとその辺のことについて、対策なんかもそうですし、そういうホットスポットということについてお話しいただきたいのと、じゃどういうふうな、もっと調べてということだと思うんですけれども、対応策が必要かということについてお聞きしたいと思います。
#83
○参考人(宮下清貴君) やっぱり汚染マップをより正確なものを作るということに尽きるかと思いますが、いろんなところが検査をやっておりまして、県なども汚染状況を公表しております。それを見ていますと、ホットスポットというのは、要は距離が遠くなればその分薄くなっていくんですけれども、そうじゃなくてある程度離れたところで高い濃度というのがホットスポットということだと思いますけれども、チェルノブイリで言っているホットスポットはもっとかなり高濃度、数千ベクレル程度じゃなくてかなり高濃度のところへいっているかと思います。
 それで、現状でちょっと汚染マップ見てみますと、大体距離がかなり利いていることはまず間違いないです、それは言えるかと思います。ただ、距離とは必ずしも比例しないで遠いところが高く出ると、そういった例も確かにございます。それは、恐らくそのときの、降下のときの地形とか気象条件によっているんじゃないかと思いますけれども、そこはやっぱり事実、情報ですね。汚染マップを、もうかなり詳しくなってきておりますけれども、これが更に詳しくなっていけばそれも安心材料になるんじゃないかというふうに思います。
#84
○紙智子君 そのためには検査の体制というのをもっと増やさなきゃいけないと思うんですね。それで、多分、検査体制というのは非常に不足していると思うんでそこを強化すべきだと思いますけれども、それについても一言お願いします。
#85
○参考人(宮下清貴君) いろんなところがやっておりまして、県もかなりやっておりますし、国でも戦略推進費ですか、それを使ってそろそろ更に本格的に始めるというようなことになっておりまして、そこの体制はかなりそろってきているんじゃないかと。また、放射能の分析器もまたかなり増えてきているようでありますし、そのような状況で進んでいくことを希望するというような感じですね。
#86
○委員長(主濱了君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきました。本当にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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