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2011/03/10 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第2号
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2011/03/10 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第2号

#1
第177回国会 法務委員会 第2号
平成二十三年三月十日(木曜日)
   午後零時十分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                森 まさこ君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                平田 健二君
                金子原二郎君
                山崎 正昭君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
                長谷川大紋君
   国務大臣
       法務大臣     江田 五月君
   副大臣
       法務副大臣    小川 敏夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  黒岩 宇洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局経理局長   林  道晴君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
 (平成二十三年度法務省及び裁判所関係予算に
 関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。
 法務行政の基本方針に関する件について、江田法務大臣から所信を聴取いたします。江田法務大臣。
#3
○国務大臣(江田五月君) この度、法務大臣に就任した江田五月です。どうぞよろしくお願いいたします。
 法の支配が行き渡り、誰もが個人として尊重される社会の確立は、国民が安心して生活するため、そして菅内閣が目指す元気な日本の復活のための最も基礎的な土台と言うべきものです。法秩序の維持と国民の権利擁護を主たる任務とする法務行政は、そのような社会の実現のために中心的な役割を担っています。
 私は、この重責を果たすため、法務行政の諸課題に正面から取り組みます。そして、優先度を意識しつつ、スピード感を持って政策判断を行います。もちろん、拙速に過ぎたり、独断で進めていくつもりはありません。国民の皆様からの様々な御意見、国会等での御議論、関係各方面の御見解などを虚心坦懐にお聞きします。そして、省内での検討、政務三役の協議などを経た上で、法務大臣として、責任を持って政策判断を行ってまいります。
 亡き父から受け継いだ私の座右の銘は、「もともと地上に道はない。みんなが歩けば道になる。」という言葉です。つまり、道は一人でつくるものではありません。歩むべき方向について、みんなで話し合い、支え合いながら道を探り、その実現に向かってみんなで歩むことによって道ができるのです。委員の皆様方には、委員会審議などを通じて忌憚のない御意見を賜りたいと思います。
 所信の一端として、まず、検察について申し上げます。
 先般の大阪地検特捜部における一連の事態により、検察に対する国民の信頼は失墜したと言わざるを得ません。刑事司法の要と言うべき検察が、その使命を的確に果たすためには、国民からの信頼が不可欠であり、誠に深刻な状況です。
 この問題については、私の下に設置している検察の在り方検討会議において、幅広い観点から抜本的な議論、検討を進めていただいております。そして、本年度内をめどとして、検察の在り方に関する有効な改革策等についての御提言をいただくこととしており、これを踏まえた上で、検察の信頼回復のため、真に国民の皆様に納得していただけるような改革策を講じ、検察の再生に取り組んでまいります。
 さて、多岐にわたる法務行政の中で、特に私が精力的に取り組みたいことは、まず、検察の信頼回復のためにも避けられない被疑者取調べの可視化、さらに、長年の懸案であった新たな人権救済機関の設置といわゆる個人通報制度の導入のための体制整備です。
 録音、録画による被疑者取調べの可視化については、政務三役を中心とする省内の勉強会を設けて、着実に実現に向けた取組を進めています。現在は、昨年六月に取りまとめた中間報告を踏まえ、国内外の幅広い調査を実施するとともに、これに並行して可視化の具体的な在り方についての検討を精力的に進めるなど、取組をスピードアップさせているところです。今後、国家公安委員会との協議なども行いながら、本年六月以降のできる限り早い時期に勉強会としての取りまとめを行うこととしています。
 政府からの独立性を有する新たな人権救済機関については、現在、その創設に向け具体的な制度の在り方について検討を行っており、これを着実に前進させてまいります。それとともに、現在行っている人権侵犯事件の調査・救済活動を適正に実施し、また効果的な人権啓発活動も行ってまいります。
 人権諸条約に基づく個人通報制度を導入することは、国際社会に向かって国を開くという点でも意義のあることです。今後、その導入を見据え、通報事案への具体的対応の在り方や体制整備等について関係府省とともに検討を進めてまいります。法相就任時の総理指示の一つであるハーグ条約加入の是非の検討も着実に行ってまいります。
 国民一人一人が自信を持って生活し、元気な日本を取り戻していくためには、その前提として、国民が犯罪に遭うリスクをできる限り小さくし、暮らしの安全、安心を確保することが必要です。
 犯罪対策の中で、刑務所から出所した者などの再犯を防止することは非常に重要な課題です。そこで、政府の新成長戦略にも掲げる刑務所出所者等に対する社会復帰支援事業を更に推進してまいります。
 具体的には、まず、刑務所等での改善指導や職業訓練等、保護観察中のプログラム等を一層効果的なものとするなど、処遇や教育を充実させてまいります。また、そのための体制整備として、刑務所等の施設整備、保護司の方々に対する支援の拡充を進め、刑の一部の執行猶予制度の導入などを内容とする法整備についても検討してまいります。
 社会復帰支援の中で特に重要なのは、刑務所出所者等の居場所と出番、つまり就労先や帰住先などの生活基盤を確保して社会のきずなを強くすることです。犯罪対策閣僚会議の下に設置された再犯防止対策ワーキングチームにより、関係府省との協力関係を密にするとともに、社会全体で一人一人を支えるという新しい公共の観点から、民間や地域社会との連携を強化していきます。
 いわゆるサイバー犯罪は既に社会問題となっており、また暴力団等による悪質、巧妙な強制執行妨害事犯も予断を許さない状況です。そこで、これらの犯罪に適切に対処するとともに、既に国会承認されたサイバー犯罪に関する条約を締結するために必要な法整備として、情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(仮称)を今国会に提出する予定です。
 国際テロについては、調査を一層充実することにより、その防止に努めます。北朝鮮関係については、日本人拉致問題等の重大な問題の解決にも資するよう、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいります。また、オウム真理教については、団体規制法に基づく観察処分を適正かつ厳格に実施することにより、公共の安全の確保に努めます。
 国民主権の理念に従い、国民にとってより身近でより利用しやすい司法を目指した司法制度改革は、各制度の実施段階に入っています。今後は、その運用状況を見定めながら、更に制度の成熟に向け努力してまいります。
 新たに導入した法曹養成制度については、各方面から様々な問題点が指摘されており、広く制度の在り方全体について検討を開始する必要があります。そこで、現在、文部科学省を始めとする関係府省とともに、そのためのフォーラムを設置する準備を進めています。
 なお、司法の中核を担う裁判所の体制の充実強化を図るため、判事の増員を内容とした裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を今国会に提出しています。
 裁判員制度については、裁判員の方々の誠実な取組により、国民の間に定着しつつあります。引き続きこの制度が国民の御理解を得ながら円滑に実施されるよう、関係機関とともに尽力してまいります。また、裁判員制度等を通して法や司法に対する国民の理解が深まっており、今後は、未来を担う子供たちへの法教育についても積極的に推進してまいります。
 日本司法支援センター、愛称法テラスは、国民に対する法的支援の中心的機関として次第に社会に根付きつつあります。とりわけ民事法律扶助業務は、厳しい経済・雇用情勢の中で社会のセーフティーネットとしての重要性を増していますし、国選弁護等関連業務は、刑事手続の適正を担保するため的確な対応が必要とされています。そのため、法テラスの業務体制の一層の拡充に努めてまいります。
 民事基本法は、国民生活の法的基盤であり、最も身近な法律と言っても過言ではありません。そのため、安定性も重視しながら、社会情勢や国民の意識の変化等に対応し、必要な見直しも行わなければなりません。
 このところ、親などによる児童虐待が多発し、深刻な社会問題となっています。そこで、その防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設することなどを内容とする民法等の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定です。
 また、非訟事件と家事事件の手続を、国民にとって利用しやすく、現代社会に適合したものにするなどの法整備を行うため、非訟事件手続法(仮称)、家事事件手続法(仮称)とそれらの整備法についても、今国会に提出する予定です。
 さらに、参議院において継続審議中の民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案につきましても、速やかに成立させていただきますようお願いいたします。
 現在、法制審議会においては、民法の債権関係及び会社法制について、それぞれ見直しに向けた審議が行われています。今後、それらの審議結果を踏まえて、必要な法整備等を行ってまいります。
 登記事務に関しては、国民の皆さんの利便性を高めるため、登記のオンライン申請システムの使い勝手を向上させます。また、全国の登記所備付け地図の整備にも積極的に取り組んでまいります。
 平成二十二年に我が国を訪れた外国人の数は過去最高となりました。人材交流の促進と円滑化は、菅内閣が進める平成の開国の柱の一つであり、日本が国際社会で役割を果たしていくために不可欠の課題です。
 このような観点から、これまでも新成長戦略にのっとり、観光立国の推進の観点から円滑な出入国管理を進めてまいりましたし、国際医療交流の観点から、我が国に長期間滞在して医療を受ける外国人の在留資格を明確化するなどの措置を講じてきました。今後とも、より一層円滑な出入国管理を実現していくとともに、優秀な海外人材を日本に招き入れるため、出入国管理上の優遇措置を講じるポイント制導入の準備などを進めてまいります。
 他方、バイオメトリクスを活用した厳正な入国審査の実施を続け、違法行為をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止し、退去強制事由に該当する者についても一層の減少に努めてまいります。
 難民認定申請については、申請者の置かれた立場等に十分に配慮した対応を行いつつ、一層の処理期間の短縮に努め、難民調査官の育成や国際情勢等に関する情報収集を強化します。また、第三国定住のパイロットケースとしての難民受入れも、今後とも円滑な実施に努めてまいります。
 国際貢献に関しては、現在、国際連合と協力し、我が国と関係の深いアジアの国々等の刑事司法実務家を対象とする国際研修等を行い、また、それらの国々の基本法令の起草や法律家の人材育成等を柱とする法制度整備の支援も行っています。これらの交流は、各国における法の支配の実現に貢献するものであり、我が国の法制度や社会を深く理解した人材も育っているので、引き続きこうした取組を促進してまいります。
 以上、所信の一端を述べさせていただきました。
 国民の皆様が安心してこの国に暮らす幸せを実感していただけるよう、今後とも、法務大臣として、小川副大臣、黒岩大臣政務官とともに全力を尽くしてまいります。
 委員長を始め委員の皆様方には、いつも法務行政の運営に格別の御尽力を賜っています。今後とも、より一層の御理解と御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
#4
○委員長(浜田昌良君) 次に、平成二十三年度法務省及び裁判所関係予算に関する件について順次説明を聴取いたします。小川法務副大臣。
#5
○副大臣(小川敏夫君) 平成二十三年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、法務省所管の一般会計予算額は七千五百七億九千五百万円となっており、前年度当初予算額六千七百九十八億二千四百万円と比較しますと、七百九億七千一百万円の増額となっておりますが、平成二十二年度末をもって一般会計に統合される登記特別会計を合わせた前年度当初予算額七千七百九億三千八百万円と比較しますと、二百一億四千四百万円の減額となっております。
 次に、重点事項別に予算の内容について御説明申し上げます。
 まず、主要事項の経費について御説明申し上げます。
 第一に、法秩序の確立による安全、安心な社会の維持につきましては四千百九十二億二千五百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと三十三億七千九百万円の減額となっております。
 その内容について申し上げますと、まず検察関係では、検察活動の充実を図る経費として千五十三億二千一百万円を計上しております。
 矯正関係では、刑務所等矯正機能の充実を図る経費として二千二百八十四億九百万円を計上しており、この中には、再犯防止のための刑務所出所者等の社会復帰支援事業のうち、施設内処遇及び矯正業務の民間開放を維持強化する経費の一部が含まれております。
 更生保護関係では、保護観察活動の充実を図る経費として二百四十億四千七百万円を計上しており、この中には、同社会復帰支援事業のうち、社会内処遇を維持強化する経費が含まれております。
 入国管理関係では、出入国管理機能の充実を図る経費として四百七十三億三千四百万円を計上しており、この中には、観光立国推進のために出入国審査業務を維持強化する経費が含まれております。
 第二に、司法制度改革の推進の関係につきましては三百二十億六千九百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと四億五千五百万円の増額となっております。
 その主な内容は、総合法律支援の充実強化を図る経費として三百十三億五千一百万円を計上しており、この中には、セーフティーネットとしての日本司法支援センターの事業を維持強化する経費が含まれております。
 第三に、国民の権利擁護につきましては千三百五十八億円を計上し、登記特別会計を合わせた前年度当初予算額と比較しますと四百二十億九百万円の減額となっております。
 その内容について申し上げますと、まず登記関係では、登記事務の適正円滑な処理を図る経費として千百七十二億六千万円を計上しており、この中には、地図整備事業の推進経費、登記事項証明書交付事務の包括的民間委託経費が含まれております。
 また、人権の擁護を図る経費として三十二億九千一百万円を計上しております。
 第四に、施設の整備につきましては、矯正収容施設や法務総合庁舎の整備を図る経費として二百四十八億一百万円を計上し、登記特別会計を合わせた前年度当初予算額と比較しますと三十九億一千九百万円の減額となっております。なお、この中には、再犯防止のための刑務所出所者等の社会復帰支援事業のうち、施設内処遇及び矯正業務の民間開放を維持強化する経費の一部が含まれております。
 次に、定員の関係でありますが、平成二十三年度の増員は千二百人となっております。
 その主な内容を組織別に申し上げますと、一、矯正官署で、刑務所等保安業務体制の充実強化等のため六百六十五人、地方入国管理官署で、出入国管理体制の充実強化のため百六十七人、三、検察庁で、検察体制の充実強化のため二百二十二人、四、更生保護官署で、保護観察体制等の充実強化のため八十八人、五、公安調査庁で、公安調査体制の充実強化のため三十人、六、法務局で、地図整備事務体制の充実強化等のため二十八人となっております。
 他方、平成二十一年七月一日の閣議決定に基づく定員合理化計画等により、平成二十三年度においては九百六十五人を減ずることとなっており、増員との差引きにより、前年度定員と比較いたしますと、純増二百三十五人となっております。
 以上、平成二十三年度法務省所管の予算概要を御説明申し上げました。
#6
○委員長(浜田昌良君) 江田法務大臣。
#7
○国務大臣(江田五月君) 先ほど予定した所信表明を申し上げまして、その中で民法等の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定ですと申し上げましたが、これは既に提出をいたしました。訂正いたします。
#8
○委員長(浜田昌良君) 次に、林最高裁判所事務総局経理局長。
#9
○最高裁判所長官代理者(林道晴君) 平成二十三年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。
 平成二十三年度裁判所所管歳出予算の総額は三千二百億二千二百万円でありまして、これを前年度当初予算額三千二百三十一億七千八百万円と比較いたしますと、差引き三十一億五千七百万円の減少となっております。
 次に、平成二十三年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。
 まず、人的機構の充実、すなわち裁判官及び書記官の増員等であります。
 司法制度改革が進展し、ほぼ全ての施策が実施の段階に入り、裁判所の体制の充実強化が求められている中で、複雑困難化し、かつ増加している民事訴訟事件及び家庭事件等の適正迅速な処理を図るため、裁判官は判事四十五人、書記官は、速記官からの振替十五人を含め八十人、合計百二十五人の増加をすることとしております。
 他方、平成二十三年度には六十五人の定員合理化をすることとしておりますので、振替分を除いて差引き四十五人の純増となります。
 次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。
 まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため百九十六億一千五百万円を計上しております。
 その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として五十三億六千九百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、労働審判員関連経費等が含まれております。
 第二に、刑事事件・裁判員制度関係経費として七十三億五千七百万円を計上しております。この中には、裁判員制度関連経費、心神喪失者等医療観察事件関連経費等が含まれております。
 第三に、家庭事件関係経費として六十八億八千九百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。
 また、庁舎の耐震対策等のための経費として百四十七億四千六百万円を計上しております。
 以上が平成二十三年度裁判所所管歳出予算の概要であります。
#10
○委員長(浜田昌良君) 以上で法務大臣の所信並びに平成二十三年度法務省及び裁判所関係予算の説明聴取は終了いたしました。
 法務大臣の所信に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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