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2011/03/25 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第4号
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2011/03/25 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第4号

#1
第177回国会 法務委員会 第4号
平成二十三年三月二十五日(金曜日)
   午前十時二十二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     浜田 和幸君     溝手 顕正君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                金子原二郎君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                平田 健二君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     江田 五月君
   副大臣
       法務副大臣    小川 敏夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  黒岩 宇洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務大臣官房司
       法法制部長    後藤  博君
       法務省民事局長  原   優君
       法務省刑事局長  西川 克行君
       法務省矯正局長  三浦  守君
       法務省入国管理
       局長       高宅  茂君
       厚生労働大臣官
       房審議官     渡延  忠君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成二十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、平成二十三年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、平成二十三年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (裁判所所管及び法務省所管)
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、浜田和幸君が委員を辞任され、その補欠として溝手顕正君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に法務大臣官房司法法制部長後藤博君、法務省民事局長原優君、法務省刑事局長西川克行君、法務省矯正局長三浦守君、法務省入国管理局長高宅茂君及び厚生労働大臣官房審議官渡延忠君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(浜田昌良君) 去る三月二十二日、予算委員会から、三月二十五日の一日間、平成二十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○丸山和也君 自由民主党の丸山和也です。
 今日は三十分間という長いような短いような時間でありますけれども、二点に絞って、外弁問題とそれから外国人政策、いずれも法務省にとって重要な議題だと思います。これについて質疑させていただきたいと思います。
 まず、外弁、いわゆる外国法事務弁護士、いわゆる外弁と言われているこの問題についてお聞きしたいと思うんですけれども、まず、質問に入る最初ですけれども、そもそも今日本に現在どれくらいの正式な外弁という方がおられるのか、それから昨今のあるいは増加ないし減少というか、そういう傾向という、そこら辺についてまず概略的にお尋ねしたいと思います。
#7
○政府参考人(後藤博君) お答え申し上げます。
 三月一日現在で、日本で登録されている外国法事務弁護士の数は三百五十四人でございます。毎年徐々に増えてきていると承知しております。
#8
○丸山和也君 これは経済動向と関係なく、やはり基本的には増加しているんでしょうか。一時減ったという、あるいはクローズした事務所がたくさんあるということも聞いたんですけれども、そういうリーマン・ショックとかバブルの崩壊とか、いろんな関係とほとんど関係なく漸増というふうになっているんでしょうか。
#9
○政府参考人(後藤博君) 統計の数字でございますけれども、例えば、平成五年、六年辺りは七十人、八十人というレベルで推移をしておりまして、その後、平成十二年、十三年辺りから百五十名、十四年に百八十六名となりました。その後も徐々に毎年二、三十人ずつ伸びてまいっておりまして、リーマン・ショックがあった後も、昨年ですと三百二十三名でございましたが、先ほど申しましたように、本年は三百五十四名となっておりますので、増加しておるということでございます。
#10
○丸山和也君 それだけ需要があるというふうにとらえていいかと思うんですけれども、そうなりますと、極めて外弁問題というのは今後も基本的に増加していくというふうに一般的には考えられるんで。
 ここで、いわゆる外国人弁護士という中に、外国法事務弁護士という正規に登録された資格を持った人と、そのほかに、いわゆる外国で資格を持っていて日本でそういう登録、外国法事務弁護士じゃない形で働いている人も相当な数があると思うんですけれども、むしろこちらの方が多いのかなとも思ったりするんですけれども、ここら辺の実態は把握されておるんでしょうか。
#11
○政府参考人(後藤博君) 外国法事務弁護士として登録されている者の数は先ほど申し上げたとおりですけれども、そうではなくて、外国の弁護士で、日本の事務所において研修員、研修生、トレーニーのような形で働いておられる方の人数については承知しておりません。
#12
○丸山和也君 結構いろんな仕事やっていますと、外国法アドバイザーという名前であったり、研修生という名前であったり、顧問というか、そういういろんな肩書を付けてやっている方がたくさんおられたり、あるいは肩書一切なしで雇用されている方が相当いると思うんですけれども、これはいわゆる、例えば外国法アドバイザーというような形で外弁に登録しなくて働くということは許容されていると考えていいんですか、それともこれは問題があるいわゆる潜りなんでしょうか、そこら辺はどのようにとらえるんでしょうか。
#13
○政府参考人(後藤博君) 一般的には、弁護士法七十二条によりまして、弁護士でない者が法律事件に関する法律事務を取り扱うことは禁止されております。外国法事務弁護士の制度は、その例外として、日本においてこの弁護士法で禁止されているところの法律事件に関する法律事務、法律に関する一般的なアドバイスということではなくて、弁護士法に言うところの法律事務をできるかできないかということで、その資格を取得した国の法律事件に関する法律事務を日本で行うことができるというのがこの外国法事務弁護士の制度でございますので、その制度に触れない範囲で、禁止されているものでないことを活動されるということについては、私どもとしては特段この外国法事務弁護士制度に触れるものではないというふうに理解しております。
#14
○丸山和也君 少し注意する必要があると思うのは、いわゆる資格要件を満たさない人、あるいはとにかく、出稼ぎと言ったらおかしいんですけれども、日本に来て、やっぱり外国で弁護士資格があるということで結構安易に雇用されて、外国文書の翻訳とかそういうことをやっているというんですが、実際は、これ内部ですることですから、外国法についてのアドバイスをやっていたり、もちろん文書に名前は出さないんですけれども、かなりの範囲で活動が行われていると私は思うんですね。
 だから、ここら辺については、野放しにするんじゃなくて、やはりこういう外弁制度があるんであれば、その周辺についてきちっとやっぱり調査とか回答を求めるとか、あるいは場合によっては指導をするとか、そういうこともする必要があるんじゃないかと思うんですけれども、ここら辺はかなり緩やかに放置されていると思うんですが、これについて、法務大臣、どのように思われますか。
#15
○国務大臣(江田五月君) 今司法法制部長の方からお答えをいたしましたが、なかなかそこの仕分は難しいんだろうと思います。
 例えば、日本の企業の中で企業の法務部というのがございますね。もちろん法曹資格を持っていない者がそこの従業員として法律関係のことをいろいろ検討して、もちろん法律事務を処理するということになるとそれは弁護士さんにやっていただくんですが、その弁護士さんの手足としていろんな手助けをするようなことは、これは弁護士法七十二条に抵触するというものではないという仕切りなんだろうと思います。
 同じように、外国の多少法律に詳しい者がある企業の中でそういう仕事を外国法についてやって、それがすぐ外国法事務弁護士制度に違反するかどうかという仕切りは非常に困難だと思いますが、いずれにしても、外国法事務弁護士制度というものを潜脱するような形で外国の法律の専門家がこの資格をしっかり取らずに日本で外国法につき仕事をしますと、これはこの制度によって認められるものでないので、そこは適切に見ていきたいと思います。
#16
○丸山和也君 おっしゃるとおりだと思うんですね。非常にこれ活動の実態が把握が難しい。しかも組織の中ですし、それから対外的には名前出したりをしませんから。
 ただ、実際は、やはり外弁問題が規制緩和とかの、サービスとか貿易の自由化の一環としてずっと、外圧とは言いませんけれども、まあ一種の外圧ですかね、開かれた司法、国際的にも開かれた司法という流れの中で外弁制度が生まれてきて今日に至っている経過を考えますと、この流れは、外弁の増加も含めまして、やはり基本的には日本の司法制度、司法市場ですね、に要するに外国人弁護士が活躍していくと、これはいい面もいっぱいあると思うんですけれども、そういう中で日本の司法制度、資格制度の根幹とやっぱり微妙に絡んでくる、また問題も起こりやすいところなんで、やはりこれ、司法制度の根幹にも触れる部分がありますので、例えば外弁制が今活動がかなり、資格要件も徐々に、三度ぐらい緩和されて今に来ていると思うんですね。それから、活動形態も、共同事業がやられるということになってきたり、いろんな形で活動が、規制が緩和されてきていると。
 この中で、さらに将来、例えばどういう方向に行くのかなと。例えば、外国人弁護士が直接例えば日本人弁護士を雇ってそれでやれるのかとか、いろんな課題が出てくると思うんですね。あるいは資格要件をもっと、今三年、現に資格を三年というのを一年でもいいんじゃないかとか、あるいはいろんな形での要求が出てくると思うんで、非常に、どこかで基本的な理念を持っていないと、これは徐々に徐々に自由化で、最終的には資格制度の根幹にかかわってはいけないと思うんですが、今後の方向について、どのレベルまでというか、どの程度まで日本の弁護士との関係において活動が許容されていいというようなお考えをお持ちなのかどうか。やや抽象的なんですけれども、大臣、お答え、できればお願いしたいと思います。
#17
○国務大臣(江田五月君) 私もこの外国法事務弁護士制度導入のころのことを思い出すんですが、日本の弁護士さん方は非常に警戒をされまして、アメリカ等からいろいろ言ってこられるのに対して厳しく対応していこうというような雰囲気がございました。しかし、一方で、経済界の中で、やはり外国法について適切な資格を持った人のアドバイスが身近に欲しいというような要求もあって、それが両々相まってこの導入ということになって、しかし、あくまで日本の国内で日本法について法律事務を、法的サービスを提供するのはこれはもう日本の弁護士じゃなきゃいけないと、この線はこれはもうどうしても崩せない線でございまして、たとえ日本の弁護士法人に雇われている外国法事務弁護士であろうとも、その雇用形態の中で外国法事務弁護士が日本の法律について法的サービスを提供することは、これは駄目というような辺りはしっかりしております。
 今のお話の資格というよりも、むしろ取り扱う範囲がだんだん広がってきて、国際仲裁事件の手続の代理であるとか、あるいは書面による助言を得て資格取得国法以外の外国法についての法律事務を取り扱ったり、あるいは共同事務所をつくったり、あるいは外国法事務弁護士が日本の弁護士を雇うということもできたりとか、その辺まで今広がってきているわけで、これから今検討中なのが、外国法事務弁護士の法人化というものが果たして可能かどうか、これを今鋭意検討中のところでございます。
 いずれにしても、必要な職務経験年数の短縮とかあるいは日本に現に住んでいるという在留義務の短縮とか、こうしたような改正要望がございまして、今の法人化についてはできるだけ早期に国会への法案提出も目指していきたいと思っているところでございますが、その他についても、関係の皆さんとよく相談をし、調整をしながら、間違いのない進め方をしていきたいと思っております。
#18
○丸山和也君 法人化についてもいろんな議論がありますので、是非慎重に進めていただきたいと思います。
 それから、外国法事務弁護士にはいわゆる保険に入る義務といいますかね、業務に関して損害を与えたときにはそれを賠償するということで保険に入らせるように義務が課されているんじゃないかと思うんですが、これは特に日本の弁護士にはないんですけれども、外国法事務弁護士にというのは、やっぱり外国に帰国してしまった場合とか、そういうことで損害賠償が難しくなるからという、こういう配慮からなんでしょうか、事務当局で結構ですけれども。
#19
○政府参考人(後藤博君) 委員の御指摘は、法律、外弁法上は、外弁法の十条に承認の基準を定めておりますけれども、その中に「誠実に職務を遂行する意思並びに適正かつ確実に職務を遂行するための計画、住居及び財産的基礎を有するとともに、依頼者に与えた損害を賠償する能力を有すること。」という承認のための基準が定まっておりまして、この最後の「損害を賠償する能力を有すること。」を担保するために多くの方に保険に入っていただいているということでございまして、これは当然ながら、委員御指摘のように、依頼者の保護のための規定であると考えております。
#20
○丸山和也君 念のためお聞きします。すると、保険に入っていない場合は事実上登録は認めていないんですか、その点を。
#21
○政府参考人(後藤博君) 事実上、ほとんどの外国法事務弁護士として登録される方は保険に入っていただいております。
#22
○丸山和也君 この問題で、最後にTPPの関係で、日本がそれに加盟した場合に外弁、外国法事務弁護士制度に何か劇的な影響があるのか、今まで述べられた、大臣を含めて述べられた、そういうこととは基本的に余り関係ないのか、あるいはどういう部分が影響があるのかないのかについて少しお聞きしたいと思います。
#23
○国務大臣(江田五月君) TPPについては、現在政府においてこれに、協議を始めるかどうかということをこの六月をめどに結論を出そうと検討を進めているところでございますが、外国法事務弁護士始め弁護士資格については、これは人の移動の関係でこのテーマにはなりますが、現在のところ私どもTPPの中でこの法律事務についてのことが問題になっているとは理解しておりません。
#24
○丸山和也君 では、時間の関係で、次の外国人政策といいますか、についてお聞きしたいと思うんですけれども。
 これは、僕、前から何度も政府にお聞きしているんですけれども、そもそも日本の政府というか、法務省中心になると思うんですけれども、外国人に対して、これは受け入れる、いわゆる人口減少下に入っているわけですよね、二〇〇五年ぐらいからもう。それで、いわゆる今は一億二千八百万前後だと思うんですけれども、三十年、四十年後ぐらいにはもう八千九百万とか、一億を確実に割るという統計が出ております。私が調べたところでも、二〇五五年には人口は八千九百九十三万人になると。それで六十五歳以上が四〇・五%を占めると。非常にもう急速な世界に例を見ない高齢化と人口減少期に入っているわけですね。
 この中で、日本は少子化対策とかいろいろやっていますけれども、現実には今やっているような形ではこの人口減少は食い止められないわけですよね。人口減少が社会を、いいか悪いかという判断はこれ別にまたあると思うんですね。
 そこで、もしこれ労働人口とかいろいろ確保していくとなると、当然外国から移民という形で人を受け入れざるを得ないと思うんですね。すると、五十年間に三千万人ぐらいやっぱり入れていかないと駄目なんですよね。すると一年間に六十万人ぐらいの受入れということになるんですよね。これはとてつもない数で、恐らく日本の伝統、歴史、文化の、それからやや単一民族の国家とすれば、そういう能力と資質を持っていないと思うんですよね。すると、日本政府としては、基本的には人口減少を認めると、そういう出入国管理政策を取る、今後も取っていくのか、それとも、この人口減少社会に向けて大幅な移民政策というような方向を取っていくのか、ここら辺の基本的な議論が余りなされていないように私は思うんですね。
 それで、明確な声明も出されなくて、個々の入国管理行政の、不法入国を排除するとか、それから強制送還をどうするとか、その場合の人権はどうだとか、こういうやや各論的なところが常に議論されているんですけれども、大臣、どうですか、入国管理行政の総責任者として、その人口減少社会における移民政策との関連ではどのようにお考えになっておるんでしょうか。
#25
○大臣政務官(黒岩宇洋君) 私も今、入管政策については責任ある立場で当たっていることもありますのでお答えさせていただきますけれども、非常に今委員御指摘の様々な問題点、確かに深い深い問題意識を私どもも持っております。
 おっしゃるとおり、これから人口減少社会になると、で、労働力人口が減ると、そうなると経済成長がなかなかままならないと、こういう批判もある一方、非常に景気が停滞している中、じゃ日本人の雇用をどうするんだという、こういう問題もございます。国民の中には、治安に対する不安など、そういったことを心配される方もいらっしゃいます。そう考えますと、経済成長もする、そして国内の雇用も安定する、そして治安もいいと、全てを丸々と満額回答できるような政策というのはなかなか難しい。その点において、やはり今、まだまだ国民的なコンセンサスを得る努力がこれからも必要であると。
 ですから、今日、委員が御指摘のようなそういった問題点を法務省としても共有しながら、本当に国民全体で我が国の在り方をやはりきちんと議論できるような環境をつくってから、私は非常に概括的な政策を打ち出していかなければいけないと、そう思っております。
#26
○丸山和也君 よく分かりませんけれども、おっしゃっていることが。
 基本的にこれ縮小社会を目指しているんですよ、日本の外国人政策という観点から見るとね。確実に、もう何十万人ずつ毎年入れていかないと確実にこれ減るんですよ。だから、それはそれで縮小社会を目指す入管行政ということで、基本的に人口は減る、しかし大量移民は受け入れないんだということをきちっと出すなら出して、その中で農業とか介護とか特定分野には入れるよと。しかし、入れた人は単なる一時的な労働者、出稼ぎ労働者じゃなくて基本的には日本国民になって将来国籍取得してもらって、いわゆる移民として定着してもらう形で特定部門には積極的に入れていくというようなめり張りを付けないと、何となくどっと来られては困ると、しかし人口は減っていくという、このまあ基本政策のないまま場当たり的な入管行政が、これは何も民主党政権になったからじゃないんですよ、ずっと昔からなんですけれども、日本は取っていると思うんですよね。
 それで、個々の問題として外国人とうまくやれるか、犯罪の問題があるとか、あるいは日本人の労働が奪われるんじゃないかと、個々のこういう臨床的な現場の問題がクローズアップされて、そこが社会的イシューになって、本当にだから大きなやはり議論を是非、せっかく政権交代もしたわけですから進めていただいて、僕はだからこのまま行くと、行くとという、やむを得ないというより、もう必然的にやっぱり七、八千万とかいうような国家になると思うんですよね。その中で、いわゆる移民政策も含めた出入国管理行政をきちっとやっぱり大事な議論を進めてほしいんですよね。
 それで、七、八千万といったって、フランスやドイツと比べれば決して小さな国じゃないんです、世界の大国なんですよね。だから、そういうことを是認した上でどういう入国管理行政をやるかというのをやらないと、やっぱり必要な人もなかなか来れないし、必要じゃない人が入ってきたりとか、なかなかもう、はっきり言って僕はもう政策全然ないと思うんですよ、基本政策が。出入国管理行政の中で根本的な方向を見据えた国民的議論になってないと、なってない中で苦労をしていろいろやっているという現実はあるんですよ。
 だから、是非、法務大臣、法律家の専門家でありますし、また参議院議長もやられたわけですから、非常にポジションも高いわけですから、是非、こういう歴史に残るような議論を進めて、そういう端緒を切った法務大臣として実績を残してもらいたいんですよ。前の法務大臣のようなこれだけ答えていれば問題ないんだというつまらない答弁は本当されない、本当に専門家でありますから、是非、この入管行政に関しては、僕はやっぱりもっと日本は力を入れて、国際社会の中で日本の進み行きを、人口形態、それから国の在り方、産業構造全て絡まってくる。少子高齢化という中で、やっぱり一つの非常に大きな柱が、この入管行政と絡めた形で議論をリードしていただきたいと思うんですが、江田大臣、御決意はどうですか。
#27
○国務大臣(江田五月君) これは今その関係の実務に当たっている黒岩大臣政務官から答弁ございましたが、政策目的というのが多岐にわたるわけです。それをどれか一つだけやればいいんだということでないものですから、ですから、あれも考えるこれも考える、いろんな多方面に目くばせする、そうするとどうも答弁が何言っているかよく分からぬと委員に冷やかされるようなことになるのかもしれません。
 私は、やはり日本というのは国際社会の一員であることはこれは間違いないので、やっぱり世界に開かれた国になっていかなきゃいけない。その意味では外国の人も大いに来ていただく、あるいは日本からも出ていく、それは必要なことだと思うんですね。ただ、しかし一方で、人口減少という状態を外国からの労働力を入れることによって埋めようという発想は私ども取れないんだろうと思います。
 これはやっぱり今の人口減少というものが持っている、ある意味、子供を経済的理由などでつくりにくいといった事情がありますから、そうしたことをなくして人口減少に極力歯止めを掛ける努力も必要ですし、また人口が減っていくときにどうしても労働力が足りなくなる。しかし一方で、日本に寝ている、寝ているというと申し訳ないんですが、現に働いていない、しかし立派な労働力というのがあって、これは基本的には女性ですね、あるいは一遍退職をした皆さん、こういう人にどうやって職場に出ていただくかというような、そのためには女性も働きやすいそういう職場環境にするとか、そうしたことを全てやっていく必要があるんで、外国からの労働者でこれを埋めるという発想は取り得ないと思います。
 いずれにせよ、日本社会というのが、決して単一民族の社会ではないんですが、やっぱり外国の皆さんから見るとなかなかぴたっと住み着けない社会であるところはまだありまして、そういうところは日本社会自体を内なる国際化をやっていかなきゃいけない。その意味からも出入国行政というのは非常に大切だと思っております。
 委員の問題意識にぴたっと合うかどうか分かりませんが、移民をどんどん入れて日本、今の一億二千数百万を維持していくという、そういう政策は、これはまだ我々として取ることはできないと、もっと日本社会自体が国際化していくために国民全体のコンセンサスが必要だと思っております。
#28
○丸山和也君 恐らくそういうことだと思うんですね。私がそれを要望したいのは、そういうメッセージを例えばはっきり出して、その上で国際社会あるいは日本国内でどういう方向に日本は進んでいるんだということを意思形成をする必要があると思うんですね。
 例えば、二〇一一年、今年の一月九日の日経新聞に、ジャック・アタリという元フランス大統領補佐官で、この方が一つコメントしているところで、日本についていろいろコメント、やや批判的なコメントをしているんですけれども、衰退招く人口減少ということで、日本は人口減少を受け入れる選択をしていると、日本は外国人を受け入れようとしていない、これは危険な選択だと、こういうことを、これは一つの意見ですから、でも僕は必ずしもこの意見に賛成じゃなくて、彼はもっと移民をどんどん受け入れるべきだということを言っているんですね。そうしないと日本はやっぱり衰退していくだろうということを言っているんですけれども。
 私は、やはり大臣がおっしゃったように、これは非常に、日本の歴史、伝統、文化含めて難しいと思うんですね。だから、そうであるならば、人口減少社会に沿って、社会は人口で規模としては縮小していくんだと、縮小していく中での国家モデルをやっぱりぴしっと示すいうことが、縮小が何も悪いことじゃないんだということをモデルを示して、どういう国の在り方ということを示すべきだと思うんですね。
 そこで、入れるべきところは入れると。しかし、一般的には大量移民は受け入れないんだということを明確にして、そういう国家モデルを国際社会に示して、また日本国内でもつくって、そういう中でバランスの取れた国家づくりということをする必要があると思うんですよ。そういう意味では、法務省というのはやっぱり一つの非常に大きなポジションにあると思うんですね。
 だから、繰り返しは言いませんけれども、まあフランスはやはり人口増加にいろんな手だてを打って今復活して増加傾向にあるんですけれども、それは別にしまして、移民政策という形で日本はこういう国になるんだと、あるいはすべきなんだと、それが是なんだというモデルを、指針を是非つくっていく必要があるんじゃないかと思っております。
 時間が来ましたんでこれで終わりますけれども、歴代法務大臣にも同じような質問を何回もしているんですけれども、国民的合意を形成する努力をしますということで、そういうこともおっしゃらない法務大臣もありましたけれども、大体そういう回答でもうここ数年過ぎていますので、是非真剣に取り組んでいただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
#29
○金子原二郎君 質問をする前に、今回の東北関東大地震で被害を受けられた多くの方々に対して心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 江田大臣、御就任、どうもおめでとうございます。実は私、江田大臣と最初にお会いしたのはもう三十数年前です。江田大臣が、たしか昭和五十二年ですか、参議院議員に当選されまして、当時社会市民連合の代表として長崎にお見えになりました。私は当時県会議員をいたしておりまして、江田先生のお父様と日ごろ親しくしておった県会議員の方が当時社会党を離党しまして、私ともう一人、三人で会派を組んでおりました。私は、四年間その先生にいろいろなことを教わりまして、今日あるのはその先生のおかげと思っておるんですが、そのとき、五十三年にたしか大臣お見えになりまして、後援会その他、その後の食事等でお会いしまして、まあ本当に新進気鋭で、これから将来を嘱望される政治家として大変私たちから見るとまぶしい感じがしておったわけなんですが、その後、昭和五十八年に衆議院に移られて、私も同じように衆議院に五十八年に当選してまいりました。
 その後、大臣の政治活動というのを見ておりましても、非常に公平公正で、人格、識見にすぐれて、もう申し分のない、そういう政治家として私は日ごろから大変尊敬しておったんですよ。知事になりましてからも、原爆の記念式典で二、三回お会いしました。そのたびにお話をさせていただいたわけでございます。
 そういったことで、私も、非常にそういう人格、識見すばらしい江田大臣が、実は今回参議院に当選してまいりまして、前回の選挙前の参議院の本会議を開かないでそれで終わってしまったというのを聞きまして、いや、従来のその政治姿勢と、あの真面目な方が何でそんなことをしたんだろうと理解に苦しみました。いろいろな方からの質問がありましたけど、是非これについて、どのような気持ちでそれを開かなかったのかをお聞かせいただきたいと思います。
#30
○国務大臣(江田五月君) 金子委員とは本当に長く御交誼をいただいておりまして、感謝いたします。
 今お話の昭和五十二年、長崎には吉永正人さんという県会議員がおられて、委員と一緒に会派を組んで、残念ながら、私、吉永さんの選挙の応援に行ったんですが、議席を持ち続けることができずということで、しかし、今も時々、娘婿さんからお電話いただいたりしておりまして、大変御指導いただいております。
 もう委員にいろいろ褒められますと、本当に穴があったら入りたいという恥ずかしい気持ちでございますが、委員が今回議席をお持ちになる直前の通常国会の幕切れのお話でございます。
 これは、なかなか議長の立場で見ていて、各会派がいろんな折衝をされます。その折衝が、それぞれの会派ごとに、その会派ではこういう説明というふうにしてやっておられると思うんですけれども、両方を超越する立場で議長として見ておりますと、やはり、ここはああした方がいい、あそこはこうした方がいいというのはいろいろございます。
 この間の通常国会の最終日については、初めは最終日の本会議をセットすることもしないというようなことになってきて、それはやっぱりいけないんじゃないかと、いろんな私なりに影響力を行使して本会議のセットまでは行ったんですが、ところが、現実に開く段になって、まあいっぱいいろんな懸案があって、あれはこうしよう、これはああしよう、最後の最後できっちり詰まらない、詰め切れないところが出て、そしてついに本会議が開くことが議運の合意にならなかったということがございます。
 その最後の最後に詰め切れなかったところがあるのが誰が悪いかという話は、これは今してみても仕方がない話でございまして、私としては、議院運営委員会でこれは私に対する不信任案も出ていたので、その点からいえば、それをちゃんと処理せずに、本会議開かずに、最後の御挨拶も、あるいは引退される方についてのねぎらいの言葉もなしに終わるというのは大変ざんきに堪えぬところはございました。現に、最後の挨拶文もちゃんと用意していたんですが、それが読めなかったという形になりまして、まあ選挙前でかなりとげとげしい状態になっていたのは事実ですが、やはり参議院、議論すべきはきっちり議論するというところにこれからも王道を見付けていただきたいと思っております。
#31
○金子原二郎君 私も県会議員で三回任期を迎えて選挙をやりましたし、衆議院でも五回やりまして、最後の議会というのは非常に議員にとっては重いものなんですよ。やっぱり、引退する方もいらっしゃるし、また再選目指して頑張る方もいらっしゃるし、そういう一人一人の思いの中の最後のけじめなんですよね。
 それともう一つは、聞くところによると、参議院には何か調査会というのがあって、三つの調査会が、中間報告は毎年やっていたけれども、最終的な報告を最終議会でやる予定にしておったと、もうそれも流れてしまったと。結果的にはそれはもう今議会ではメンバーが替わったからやらないと。じゃ、自分たちが三年間やってきた調査の結果についても報告を聞かないで、それは、選挙があるにしろ、やっぱり私は議会人である以上は、たとえどういう事情があろうと本会議を開くべきと、こう思うんですね。
 それで、私も実は議運の理事を衆議院でしていましたから、議運で決定しないと議長はなかなかやれない、拘束されるということはよく分かっています。だから、今の話を聞いていると、どうも議運で合意に至らなかったというので、当時、議運の委員長というのは西岡先生だったと思うんですね。西岡先生も、それから江田先生も議会の申し子ですよ、ある意味じゃ。そういう方が議会を否定してしまったのと一緒なんですよ、最後に議会を開かないというのは。
 だから、普通と違うんですよ。だから、もう分からぬ人間がやったんだったら私もこんなこと質問しないんですよ。私が尊敬する西岡先生、江田先生がこういうことをやったということは、これは議会史を大変、これは恥じ入るべきだというように思っておるんですよ。その点についてちょっとお伺いします。
#32
○国務大臣(江田五月君) 調査会の報告ももうやる用意はできておりました。これもやらなきゃいけない、もちろんそこで閉会するわけですから、閉会中のいろんな手続もございますし、それから上がり法案も実はありました。あるいは、上がり法案までいかないが、最後これはやっぱり上げたいというような、そういう法案もあった。決算については、最後の締めくくりができていなかったので、すぐその時にというわけにいかないと思いましたが、もろもろあったわけです。
 しかし、もうこれは委員御承知のとおり、議運の議がなくて、議長が開会のボタンを押したって、これはもうそれこそ混乱に混乱を重ねるだけの話なので、もう本当に、まさに議運の議が調わない、調う、いや、調いかけたぞというところまで報告受けておったんですが、最後に調わないというので、断腸の思いでボタンを押せなかったということでございまして、そこのところは御理解いただきたいと思います。
 そして、議が調わなかったことについては、これは私は、各会派それぞれいろんな言い分があるので、それを今ここでまた蒸し返すよりも、やはりああいうことはやめようと、ちゃんと最後の本会議はやろうということで前へ進んでいただきたいという思いでございます。
#33
○金子原二郎君 決して蒸し返しているんじゃないんですよ。私から見たら江田大臣がそんなことするはずないと思っておったから、どういう気持ちだったかということをお尋ねしたわけでございまして、今回は法務行政を預かるわけですから、くれぐれもそういうことがないように今後はよろしくお願いしたいと思います。
 次は、盛んに政治主導ということが言われているんですね。私も知事になりましたときに全く行政経験ありませんでした。しかし、前の知事のことを全て否定するなんてことは絶対やりませんでした。まずは、どういうことが今までなされてきたかということをやっぱり各それぞれの担当から聞きまして、その中で自分としてじゃどういう方向に持っていかなきゃいかぬなという判断をしながら。
 それは正直言って抵抗は多いです。やっぱり役人さんというのはどこでも一緒です、自分たちがやってきたものが一番正しいと思っている。それでも根気よく説得をしながら、何でこうしなきゃいけないということを一人一人にお話をしながら、そして、やっぱりそこの持てる職員の力を一〇〇%発揮しないと、なかなか行政というのは一人の人間とか数人の人間でできないんですよ。そして、行政というのは流れがありますから、流れを全く無視してやってしまうということになってくると、間違った判断をするんですよ。
 だから、私は、民主党の皆さん方が政治主導、政治主導とおっしゃっているのは、これは結構なこと。ただ、全て官僚を最初から否定して、そんなに全部が全部そうではないかもしれないけれども、全く官僚の皆さん方をして官僚は悪いんだと決め付けてしまって、ある意味じゃ官僚も萎縮してしまったと。私は、そういうことをするとかえって余り行政はうまく機能しないんじゃないかなという懸念をしておりましたが、大体最近はやっぱりその辺の問題が出てきておるのかなと。今回の震災を見ておりましても、随分私もいろんなものを十二年間やってまいりましたから、そこは、やっぱり最後はリーダーシップを発揮してトップが決めなきゃいけない中の前提においては、十分に現場の意見とみんなの意見を聞く。
 行政経験というのは、これはなかなか一年や二年でできるものじゃないんですよ。判断力を付けるためには、長年の経験に基づいて自分が実績の現場を踏まえてきたからできるんですよ。ところが、一年や二年の人で、自分がこうやりたいと思っておっても、それをそのとおりやろうったって、それは無理な話なんですよ。しかし、意見を聞きながらその方向に近づけていくことはできるんですよ。それはもう江田大臣はよく分かっておると思うんですよ。
 今の民主党政権のやり方、どう思いますか。
#34
○国務大臣(江田五月君) 私も今の民主党政権の中の一員でございまして、これはもう民主党政権、閣僚の一人として、自分の所掌事務だけでなくて政権全体の間違いない運営を図っていきたいということしかお答えできませんが、しかし、委員おっしゃる政治主導を履き間違えるなよというその御指摘は、ぐさりと胸に刺さるところは確かにございます。
 私どもが言っているのは、どうもともすれば日本の民主主義というのが官僚主導になって、民主主義とは名ばかりで、実際は選挙で選ばれた国会議員が官僚の皆さんにいいように操られているというような、そういう政治の姿がずっとあったんじゃないか。それではいけないんで、やはり選挙によって選ばれた者が、官僚の皆さんにしっかり働いてもらうと、そういう覚悟を持って内閣を動かしていくということが必要なんじゃないかというんで、その点は私はそのとおりだと思っておりますが、一方で、国民は政権が替わったって毎日の生活はずっと続くわけですから、行政の継続性というのも当然必要だと。ただ、行政の継続性だけ言っていたんじゃ政権交代で別の政府を選択した意味がなくなるという、その辺りの兼ね合いだろうと思っております。
 法務省も、たしか五万ですよね、五万を超えるような職員いますし、今、私は、私自身、後ろにいる皆さんがどう思っているか分かりませんが、私自身は、この後ろにいる皆さんに信頼されて、そして何でも言えて、支えようという気持ちを持って支えていただいていると思っていますし、私自身もいろんな意見をお役人の皆さんにも申し上げて、法務省一体として政治主導で仕事をしているつもりでおります。
#35
○金子原二郎君 使いこなしさえすれば思い切った改革できるんですよ。国民の目に分かったような改革だってやり方次第で、私も十二年間のうち七十九市町村を二十一に合併しましたし、それでほとんどの福祉施設は全部民営化してしまったし、大体十二年間で職員を九百人ぐらい知事部局を減らしましたので、それはみんなあつれきしないでも上手にやっていけるんですね。だから、やっぱり是非これからのまた政治主導の中でそういったことを参考にしながらやっていただきたいと思っております。
 最後に、中国人です。非常に今の政府は観光客の誘客に非常に積極的に取り組んでおります。私は、今の厳しいこの時代の中で、特に東北の大震災が起こって、観光客をどう誘客するかということは、これから特に西の地域は中国の方々にやっぱり今まで以上に来ていただきたいという、そういう強い気持ちを持っております。今まで段階的にずっと緩和をしていただきました。おかげで緩和したら緩和しただけの数字はちゃんと出てきているんですよ。
 ただ、やっぱりノービザ、韓国と同じように、十五年間は韓国の場合もノービザで入れるという、これをやっていただけると飛躍的に中国の観光客が増加することはもう間違いない。
 そのときに、それをやっていただいたときに、問題はCIQなんですよ。入国管理局の皆さん方も非常に頑張っていただいて、最近は人員も増やして、今年も人員を増やしていただいていますが、ただ、それでも十分じゃない。正直言って一人当たりの件数は増えてきているわけですね。だから、私は知事の時代に、県職員を派遣しまして、代わりにその業務をやらせるような仕組みをつくっていただきました。船が、クルーズが入る前にもう香港に人を派遣して、そして船の中で手続をして、すぐ上陸できるようなことも、入国管理局のそういった御協力でスムーズにいくようになりました。
 ところが、それが去年の、二十二年の秋ぐらいからストップしてしまったというので、非常に地元でも、これは大変だというので、今クルーズ船を積極的に誘致していますから。
 だから、是非これは、そういうふうな姿勢で行政が取り組んでいるところには積極的に協力する体制を取っていただいて、そしてなかなか、やっぱり観光ぐらいしかないような地域も随分あるんですから、その辺を是非、今回の予算の中でもある一部含まれておるでしょうが、それでも十分じゃないと思いますので、支障がないように、そういった新しい事業を進めていくときに。
 特に今、クルーズというのについては、もう九州は積極的にみんな各県取り組んでいますから、これの入港について支障がないように、これは、是非入国管理の関係についてはよろしくお願いしたいということが一つ。
 そしてビザ、ビザは緩和されましたけれども、正直言ってやっぱりノービザですよ。来年、日中四十周年ですよね。できたらこれを記念して、ちょうど韓国をやったときが、あれは万博、緩和やったんですかね、だから、もう是非来年、記念してもう少し緩和をできるだけやっていただいて、できるだけ多くの方々を誘客できるように、その入国管理の手続とビザの関係について、二点、よろしくお願いしたいと思います。
#36
○国務大臣(江田五月君) お話承らせていただきました。
 今、政府は、新しい成長戦略ということで、観光というところに大きな企業展開、産業展開ができるんではないかと、そんなことも考えておりまして、そこは是非やっていきたいと思っておりまして、中国人に対する査証の発給要件を昨年の七月に緩和をしましたら、平成二十二年六月には中国人入国者が八万人だったのが七月には十四万人と、どんと増えるわけですね。そこに大きなビジネスチャンス、ビジネスだけで見てもいけませんが、ビジネスチャンスもあるということでございまして、関係機関とよく協議をしながら進めていきますが、今委員のおっしゃったクルーズですかね、船上入国審査といったようなことも進めておりますし、様々なアイデアがあると思います。県の職員の皆さんにこれはどういうお手伝いの仕方か、なかなか入国審査官という立場に立ってもらうというのは困難だと思いますけれども、いろんなお手伝いをしていただくということも長崎でやられたこともあるということも伺っておりまして、しっかり進めてまいりたいと思います。
#37
○委員長(浜田昌良君) 金子原二郎君、おまとめください。
#38
○金子原二郎君 はい。
 副大臣がお見えになりましたんですが、この瓦れきの除去の問題で私が一番懸念しているのは、地方自治体にこれをやってもらうときに、正直言って市町村はもう壊滅的に機能は発揮できませんよ。それを一々車をチェックできるというのは、本当に現場のそういった市町村にお任せするということになったときは、これは難しいと思うんですよ。だから、瓦れきを撤去する方々にある一定の判断をさせるとかって考えないと、あの車の台数、何万台ですから、海に沈んでいる車の台数も分からないわけですから。
 だから、通常だったら市町村で、県でという話になりますが、その実態はなかなか、人がいないんですから、もう正直言って機能を発揮していないわけですから、約五つか六つの町は。そこの機能を発揮していない地域が一番被害が大きいんです。そこを早く瓦れきを撤去しなきゃいけないということを考えていくと、ちゃんとこれが実行に移される、現場のそういった状況を考えた上でやっていただきたいと思います。それで終わります。
#39
○委員長(浜田昌良君) 答弁はいいんですか。
#40
○金子原二郎君 それじゃ、答弁してください。
#41
○委員長(浜田昌良君) 小川法務副大臣。短くお願いします。
#42
○副大臣(小川敏夫君) ただいまの御意見を十分尊重して取り組みたいと思います。
#43
○金子原二郎君 終わります。
#44
○木庭健太郎君 昨日に続いて、東北地方太平洋沖地震の被災地に関する問題で、何点かだけ確認というか、一つは、昨日の質疑で、法務大臣が法務省として今人を出しているのは矯正管区の職員を四十名派遣して被災者支援、お手伝いしていると。もう一つは、物資ですよね。刑務所が所有している毛布とか非常食等を、これを支援物資として提供したという二点を昨日お話になったと思うんですが、実はその支援物資の件なんですけど、一回刑務所から出していただいたと。もうそのことは承知しておるんですが、これを更に、現地の調査をしていただいて、もし余裕があるのであればということにもちろんなります、非常用のものですから。
 したがって、まだ現地から要望があるものもあると思うんです。そういった意味では、物資の提供についても、もう一回現地を調査した上で、更にもう一回できるのかどうかという取組を検討していただきたいというのと、もう一つは、刑務所の中に、受刑者の皆さんの中には被災地と関連する人たちもいらっしゃると思うんですよね。そういう意味では大変心配もされている。受刑者の皆さんに、だからといって連絡がどうのこうの、それはなかなか難しいにしてみても、例えば刑務所の非常物資を提供しているんですよということを受刑者の皆さんがもし知れば、それはそれなりの一つの安心感というのにもつながるんじゃないかなと。こういったところもちょっと細かい配慮も是非していただきたいなという思いがあるんですが、大臣からちょっと答弁いただいておきます。
   〔委員長退席、理事金子原二郎君着席〕
#45
○国務大臣(江田五月君) 今回、大変な非常時でございまして、別に刑務所に物が余って困っているということは、もちろんそんなことはないんですが、それでも毛布が、これは受刑者用の毛布ですがまだ使っていないものがあったので、現に今受刑者の皆さんは自分が今使っている毛布はそれなりに、それはそれとしてあるものですから、これを千と千、二千枚提供させていただいたり、あるいはその他の物資も提供させていただきました。これは、現地の状況と相まって、ある程度行き渡ってくるようになると、刑務所のものはやはり被災者の救援のために置いているというものでないものですから、やはり受刑者のために使わせていただきたいと思いますが、これは引き続き適切にやっていきたいと思っております。
   〔理事金子原二郎君退席、委員長着席〕
 そして、今お話しの、自分の現に今いる刑務所からこういう物資を被災地に送ったんですよというのをそこで受刑している皆さんに知らせるという、これは私はやはり適切な委員の問題点の指摘だと思いますので、早速そういう指示をいたします。
#46
○木庭健太郎君 もう一点、いわゆる矯正管区の職員というのは、これは被災者支援という意味で行かれていると。もう一点、例えば、昨日も御報告ありましたが、仙台地検の石巻支部ですか、ここは結局、検察職員、法務局職員、一般人も含めてこれ庁舎内に避難するというような状況で、だから業務ということを考えても、そういう職員が、自分自身も被災しているわけですから、業務の継続とか復旧の作業とかいうようなことになっても、実際被災した職員が、やらせるというのはこれはなかなかきつい話じゃないか。
 つまり、何を言いたいかというと、矯正管区の職員が被災地に行ってそれをお手伝いする、それはそれで結構なんですが、いわゆる実際被害に遭っているところの部分についても、例えば検察職員であるとか法務局の職員であるとか、こういった方たちを応援でそういった法務局自体、地検自体の支部の復旧というか、それについてはよそからある意味では人を派遣する必要があるんじゃないかなという気がするんですが、そこはいかがでしょうか。
#47
○国務大臣(江田五月君) これはおっしゃるような必要というのは確かにあると思っておりまして、全省的に被災しているところをしっかり手助けするということはやっていかなきゃいかぬことだと思って、今現にもうそういうことは進めております。更にもっと広く、例えば自治体に人を派遣できるかとかそういうことも念頭に置きながらいろんな検討を進めているというところです。
#48
○木庭健太郎君 もう一点、昨日、法務省の関連施設で五千人ですか、五千人の受入れが可能というお話をされました。これは是非、これもどこを窓口にしてどう具体的に受け入れるかという作業に是非、この五千人という大きな人数ですから、ただ、その部署部署では何人という制限があるんでしょうし、そういった意味では県、自治体と連携取りながら是非受け入れるべきだと私どもも思っておりますので、そういった情報の提供、そして向こうから情報を得て、きちんとした、せっかく受入れ可能といってそれが何も実現しなかったら意味がないわけで、そこを是非取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(江田五月君) これは受入先として宿泊滞在が可能な施設を調査をいたしましたところ、法務省関連で矯正施設、研修施設あるいは法務省が管理する宿舎など全国二百施設、合計五千六百名の受入れは可能だということが明らかになってまいりましたが、現実には北海道から沖縄までですから、それはやはり沖縄に受入れ可能なところがあるよといって喜んで行くということにもなかなかなりにくいですよね。したがって、そこはよく調整をしながら受け入れていかなきゃいけないと思っております。
 それで、政府の方でこれは緊急災害対策本部の下に小川副大臣が座長をしてくれている法制度についての検討会と、もう一つ被災者救援の円滑化でしたかね、という検討のところがありまして、そういうところへちゃんと情報提供して調整していく、被災者生活支援特別対策本部というのがあって、その下に法的検討と円滑化とありまして、そういうところに情報提供してマッチングを図っていきたいと思っております。
#50
○木庭健太郎君 今日はもう一つ、検察の再生、検察改革という問題でお尋ねをしておきたいと思います。
 既に最高検の検証結果報告書というのが出されて、今は検察の在り方検討会議ですか、これが精力的に作業を進めていただいているという現状だということでございます。
 この検察の在り方検討会議、途中経過も様々報告されておるんですが、例えば、今年の一月二十七日でしたか、この会議というのが、検察の検討会議が設置されるきっかけになった言わば村木さんの問題で、本人に直接ヒアリングをするということを検討会議はなさったと。
 村木さんがこの中で何をおっしゃっているかというと、まあいろんなことをおっしゃっているんですが、裁判が終わって二つの疑問が残ったと。一つは、私が全くかかわっていないにもかかわらず、どうしてたくさんの検事さんによってたくさんの私のかかわったという調書が作られたのかと。もう一つは、私がこの犯罪の首謀者だというストーリーを検察が作り、公判でもそれを維持したのは何でだったのかという、こういうことを述べられているわけでございます。
 これは第六回検討会議の資料から引用した次第でございます。これを、この問題というのは村木さんだけじゃなくて国民全体が何でだろうと思ったことを御本人がおっしゃったということなんですが。この昨年十二月二十四日、最高検が公表されましたこの村木さんの事件に関する検証報告書では、こういった疑問に対してどのように回答しておったのか、お答えをお願いしたいと思います。
#51
○政府参考人(西川克行君) 最高検の検証結果でも、やはり取調べの問題点というものが指摘をされております。したがって、過度の不適切な誘導によって作られたという要素が否定し難いと、こういう調書があったんではないかという点は率直に認めて、やはりこれについては何らかの改善策が必要であろうということでありまして、改善策の一つとして、最高検としては、特捜部の独自捜査の身柄事件については録音、録画を実施するという、こういう方針を打ち出したということでございまして、その方針がもう既に二月に発表されて三月の十八日から実施の運びになっていると、こういうふうに理解をしております。
#52
○木庭健太郎君 ただ、村木さん御自身は何てこれをおっしゃっているかというと、その最高検の検証で何らかの答えがあるかと期待していたけれども期待はかなえられなかったというふうに御本人はおっしゃっておるわけであって、さらに検証報告するにしても、これ最高検がやるにしてみても、村木さんは何とおっしゃっているか。何で自分から事情を聞かずに、村木さんに事情聴取してないわけですから、事情を聞かずに検証したという、それは疑問だし、極めて不満が残った。なぜ組織的にあれだけ事実と違う調書が作られたかということについて、この最高検の結果報告書はそれを直視せずに、それに対する原因とか要因の分析というのがなかったんじゃないかと、大変がっかりしたというふうに、これは御本人のお言葉でございます。
 さらに、検察の在り方検討会でも、この最高検の検証報告書に対する批判が相次いで挙げられているわけでございます。あの発表した当時、報告書については最高検は総力を挙げて検証したと、最高検が総力を挙げて行った検証がなぜこんなふうに批判ばっかりさらされているのかと。大臣、どうお考えになりますか、これ。
#53
○国務大臣(江田五月君) いろいろな検証の報告書に対する批判があることは私も承知をしております。村木さん御本人からの事情の聴取もなかったという、それについて村木さんが大変残念に思っておるということも承知をしておりますが、これは私の立場としては、最高検に検証をもう全くお任せをしていて、私の方からあれこれ指示をして検証をグレードアップさせるというようなことでなくて、もう検察でとにかくやってみてくれと、どこまでやれるかということで任せていたことであって、そこは是非御理解をいただきたいし、また最高検としては最高検なりにといいますか、精いっぱいやろうと思ってやったその主観的な善意は私は疑っているわけではありません。最高検としてここまでのことをしたんだけど、まだこれでは恐らくそれは検討会議の中で確かにいろんな意見が出て不十分だというようなところがあると思います。
 どうやって検察の信頼を回復していくかということについては、最高検の検証結果に基づく取調べの可視化の試行が今始まったところでございますから、そういうこともしっかり見ながら、そして検討会議の結論を今月末にはいただく段取りになっておりますので、それをいただいて私の方で、まさにこれは政治主導でぴりっとしたものを出していきたいと思っております。
#54
○木庭健太郎君 これは多分、大臣御自身も大臣になる前にお感じになっていたことなんだろうと思うんですが、何を言いたいかというと、ここでもさんざん議論したんですけど、いわゆる氷見事件とか志布志事件、二十二年には足利事件と冤罪事件が続いて、最高検はこのときも実は検証報告書をまとめられて再発防止策を打ち出されているんですよね。本当におっしゃるみたいに再発防止策というのが機能していれば、村木さんの事件というのは本当は起こるべきではない話ではなかったかなというようなことも私自身もちょっと感じますし、大臣になる前でしたから、多分そういう御批判の精神をお持ちだった方が今大臣におなりになっているわけであって、つまり、そういう結果が機能しないというような問題ですよね、せっかくやっても。
 そういう点について、大臣御自身はどんなことを少しお感じですか。
#55
○国務大臣(江田五月君) なかなか難しい御質問でございますが、大臣になる前、しかし当時の大臣が検察の中に乗り込んで答えを自らつくり出すということはやっぱりまずいんだろうと、それは私は分かっておりましたが、やはり検察が自分自身の、どういいますか、とても受け入れ難いというところまでやっぱり踏み込まないと国民の信頼は回復できない。それがあの検証結果だとちょっと、確かに多少は痛いというところはあるんだろうけど、あれだけ裁量の幅が多いということになると、やはりその裁量の中の一番痛くないところを取りがちになりますから、これでは大変だなということは感じました。
#56
○木庭健太郎君 つまり、この検察のやつを受けて、三月十八日から確かに一部可視化という問題が始まる、それは大臣おっしゃったとおりで、それは一つの前進かもしれないんですが、ただ、今回行われる一部可視化というやつですけれども、これ結局検察官の裁量で対象が身柄事件の被疑者にのみ限定されているということで、これは衆議院でもちょっと議論になりましたけれども、結局任意聴取は除外されるわけですよね。
 今回起こった問題というのは、村木事件というのは何かというと、まさに参考人の任意聴取の中で作成された調書がまさに問題になったわけであって、そういう意味では、これを試行したとしてもそれが再発防止策に即なるかというと、これはなかなかつながりにくいと。したがって、大臣はこの前は衆議院の答弁のときは何ておっしゃったかっていうと、別の防止策を着実に実行することが再発防止ができるというような趣旨のことをたしかおっしゃっているんですよ。
 ただ、その別の再発防止策というのは一体どんなことなのかなと。こういう問題でそういうことが、こういうことをやればこういうものは防げるんだということにはなかなか直結しないような気がして、この点についてちょっとやや疑問に思っているんですが、大臣として今回のこの任意聴取で起きたような問題について、こういう方法をやるんだからこんな冤罪につながるようなことは起こり得ないんだと確信を持っていらっしゃる再発防止策がもしあるんなら教えていただきたいと思います。
#57
○国務大臣(江田五月君) 今回検察が試行をしているのは、確かに今おっしゃる特捜部における身柄事件でございますが、身柄事件がやはり一番取調べ状況というものが争点として出てきやすい場面であって、その身柄のところへ焦点を当ててここを可視化の対象にしようということでございました。
 村木さんの事件についても、村木さんの被疑事実を立証するための第三者の供述の中には、身柄の人もたしかいた、身柄でない人もいたと、そういうことにはなっておって、もし身柄は全部可視化ということになれば、それは身柄の人の供述を第三者の供述として被告人の立証のために使えばそこのところはカバーできるわけですけれども、全てがカバーできるわけではないというのはそのとおりでございます。
 最高検の検証では、再発防止策として今の可視化のこともありますが、そのほかに、例えば検事長が指揮する場合とか、あるいは高検に、高等検察庁に特別の検事を置くとか、その他十二項目にわたっていろんなことを書いていますので、こうしたこともちゃんとやっていただきたいということもございますし、さらに、もうこれで冤罪というのは一切起きないという、やっぱり人間のやることですから、なかなか試行錯誤で、いろんな形のそういう制度の漏れというのはこれから先も出てくる可能性はやっぱりあるんですね。
 ですから、今のこの可視化というのをやって、今度は、昨日もお話ございましたが、可視化によって真実追求が弱まるというところもそれはないとはなかなか言い難い部分があるので、そうすると、可視化はするけれども、別のいろんな、例えば客観証拠をもっと重要視するとか、あるいは微に入り細にわたってでなければ刑事判決が書けないというようなことはもういいんじゃないかとか、そうした刑事手続全体をちゃんと見直していく、新しい刑事手続に変わっていくという、そういうことが必要かも分かりません。
 今、いずれにしても、そういうことを検討会議がいろいろ精力的に筆を進めてくれているところなので、それを待ちたいと思っております。
#58
○木庭健太郎君 可視化の問題もう少し議論しようと思うんですが、その前に一つちょっと聞いておきたい。
 例えば、おっしゃるみたいに、こういった事件を起こさないために検察の組織としてもきちんとしたそういうことの徹底ができるように、複数チェックができるようにと、いろんなことがあるとは思うんですよ。
 ただ、この前、私もちょっとこの検察官の意識調査というのはびっくりしまして、これは三月十日のやつですよね、検察の在り方検討会で、全国の検事を対象にした意識調査の報告があったと。そして、その中で検事たちが何を言っているかというと、実際の供述と異なる方向での供述調書の作成を指示されたことがあるというのが二六・一%、任意性、特信性に問題が生じかねない取調べであると感じる事例を見たり聞いたりしたことがあるというのが二七・七%なんですよね。正直に、びっくりしたというか、そうだったのかなと言うべきなのか分かりませんが。
 つまり、村木さんの問題だけじゃないんだと、全国いろんな人たちがこのことも感じていたんだというような調査結果だったような気がしてならないんですが、このことについて大臣はどう感じられます、この意識調査について。
#59
○国務大臣(江田五月君) これは、この質問と答えをどう理解するかというのはなかなか難しいところで、供述人の実際の供述とは異なる特定の方向での供述調書の作成を指示されたことがあるか、二六・一%がよく当てはまるかあるいはまあまあ当てはまるかという、これを、いや、この人間は実際にはこういう供述をしているのに、それはもう伏せておいて、別の供述の内容の供述調書を作れと指示されたというようにまあまあ読める内容ですよね、このこと自体は。
 しかし、そうじゃなくて、この人間の供述はこうなっていますと言ったら、いや、だけど、それは客観証拠から見たら違うだろうと、もう少しその被疑者によく聞いて、そして客観証拠も示しながら、今言っているのは単なる弁解かあるいはうそで、そうじゃない真実の供述を取るように努力をしなきゃいけないよというような、上司というか先輩からのそういう指導があったことはありますというような趣旨に取るか、その辺りのところだろうと思っておりまして、私は、現場の検察官に、ある意味優しくこれを理解しようとはしているんですが、しかし四分の一の人が実際の供述とは違うように書けと言われたというように読めるような質問にマルと答えているというのは重要な指摘だと思います。
#60
○木庭健太郎君 この検察の在り方検討会で村木さんがおっしゃっていること、いろいろ本当に考えることがいっぱいあるんですけど、例えばこんなこともおっしゃっております。公判前整理で出てきた調書を読んで、私が関与したという調書だけで三、四十通もあった。びっくりした。私だけ記憶喪失になったのかと思った。調書は具体性、迫真性があるもので、調書同士では非常に整合性が取れていたと。原因はいろいろあるでしょう。私も調書を見せられながら取調べを受けた。公判で明らかになったのは、否認をしている間は調書を取らない、認めたら調書を取って、その調書はすぐにみんなに配付される。それから、人によっては脅迫された、誘導されたという話もあったわけですし、いろんな事情があるんですけれども、調書自体は非常に事実と違ったものになったということですというような話があったわけです。
 これで何を感じるかというと、やっぱり一部の可視化というのはなかなかこれ難しいというか、ある意味では、やっぱり可視化をするものについてどういう事件を可視化するかというような在り方は、私は選択肢として残っているんだろうと思います。真実に迫る問題とかいろんな問題点も指摘されている。確かにそういうやり方はあるだろうけれども、一つの事件の中の一部だけをということになると、これはやっぱり何か問題を残しそうな気がしてならないし、どうせ試行されるなら、何か事件を、ある意味じゃ、こういう事件の種類をやるというような形、それは、でも、全て全面可視化するというような方法を取られた方が私はいいような気がしてならないという感想を抱くんですが、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#61
○国務大臣(江田五月君) これはまさにこれから検討の結論を出さなきゃならないポイントでございます。全事件可視化というのもある、全過程可視化というのもある、その中間のところのどこかがあるのか、全事件ではないけど全過程というのがあるのか、あるいは全過程とはするが、しかしこういう事件はちょっとやっぱり無理じゃないかという例外をつくるというのがあるのか、いろいろな議論があって、弁護士の皆さん方の意見もございますし、今検討会議で最後の議論をしていただいていまして、検討会議がこれだという答えを出してくれればそれは比較的楽ですが、なかなか検討会議もこれだという一つの選択肢にはなりにくいんだろうというようなことも報告受けておりまして、これから先、私ども政務三役が悩まなきゃいけないところだと思っております。
#62
○木庭健太郎君 最後に、検察の在り方検討会議なんですけれども、大臣、これ多分いろいろ御心配されたんでしょう、一月のときの記者会見の中で、大事な課題なんだけど、場当たりやってもいけないから、検察の皆さんに十分納得いただかなければならない課題でもあるんだからというようなことをちょっとおっしゃっている。
 これ、検討会議の結論をいつ出すかという問題なんですよね。確かに言われたみたいに難しい問題もいっぱいある。でも、やっぱり私は、一つを区切ってこの検討会議の結論、それは両論になるという危険性も、危険性というかそういう可能性もあるんだろうけど、やっぱり一つの区切りを持って、例えば年度末なら年度末という形で出した方がいいような気がするんですが、この検討会議の結論を大臣として、このときまでに出すというようなことが見定めたものがあるならばその時期について最後に御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#63
○国務大臣(江田五月君) 検討会議の委員の皆さんには本当に熱心に議論をしていただいております。今、私になって、やはり年度内にちゃんと結論を得ようと。多少それは一週間やそこらずれ込んでもいいじゃないかという意見もあったんですが、やはりあれだけ精力的に根詰めてやっていただいていますと、いよいよゴールに来たらすっとまた延びたというんじゃ、それはもう委員の皆さんも大変で、年度内と。そこへ地震が起きたんで、一回会議は飛んだんです。飛んだんですが、今予備日も入れて、もう本当に午前午後通して議論をしていただいていまして、まだあと一、二回かな、議論があって、年度内にお答えをいただくということで進めております。多分それでいけると思います。
#64
○木庭健太郎君 終わります。
#65
○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
 今日は、大臣に基本的人権あるいは人権についてお考えをお聞きしたいと思っております。
 大臣の所信表明の中で、人権救済のための体制整備等ということで二つ大きな項目が挙げられております。新たな人権救済機関、それと人権諸条約に基づく個人通報制度であります。いずれも人権あるいは基本的人権というものに大変深くかかわる制度であろうと思うんですけれども、昨日は法の支配について大臣に御教示いただいたところですけれども、今日は、まず基本的人権について特に私がお聞きしたいのは、私は、基本的人権というものは、日本国憲法上、政府からの自由あるいは政府との関係における基本的人権というものがあくまでも主であって、私人間の間でのことというのは一つ下がるべきものではないかと考えております。ここで言うところの基本的人権について、大臣のお考えをお聞かせください。
#66
○国務大臣(江田五月君) 人権というのはいろんな定義の仕方があるのかもしれませんが、人がその固有の尊厳に基づき当然に有する権利、言い換えれば人間が人間として生まれながらに持っている権利と、こういうことが言えると思います。
 日本国憲法では基本的人権という項目を立てて条項をいっぱい載せているわけですが、これが基本的人権ですが、しかし、日本国憲法に書いてあることだけが基本的人権かというと、その後の歴史の変化に伴ってそのほかにもいろんな基本的人権が展開されてきているという状況だと思っております。
 憲法ということになると、憲法は、一番基本はやはり権力者が勝手に権力を行使しちゃいけないという、権力者にたがをはめるという意味で近代憲法というのが生まれてきているんで、その意味では、憲法に規定している人権の中枢部分というのは権力と個人との関係で権力がこれはできないということと言う委員の指摘も当たっている部分があると思いますが、しかし、基本的人権ということになると、人が人として持っている権利なので、これは私人間においてもそういうことは十分あり得ると。
 民法九十条というのがありまして、公序良俗と言うわけですが、この公序良俗の中身は、やはり人権侵害というようなことは、これは私人間であっても公序良俗に反しますよということで、人権がこの個人と個人の間にもあるいは民間の中にも反映されるというような、そういう解釈もしておりまして、個人と個人の関係でも人権は十分尊重されなければならないと思っております。
#67
○桜内文城君 人が人として生まれながらに持っている権利ないし人権というところについては全く異論がないところでありますけれども、私人間に効力を及ぼしていく、今おっしゃいました民法九十条を通じて類推適用なりしていく、その考え方が確かに最高裁の判例等でも示されているところでありますけれども、こういった新たな制度、人権救済機関なりをつくっていくときにそこまで、何といいますか、人権の範囲を広げ過ぎますと、人権のインフレ化という言い方もありますけれども、他の人権の価値が下がってしまう、あるいは他者の基本的人権を侵害するおそれも出てくるというふうな懸念も示されているところであります。
 その点について、大臣、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
#68
○国務大臣(江田五月君) 人権のインフレ化というように言われますとなかなかつらいところがありますが、しかし例えば児童虐待であるとか、親子の関係ですね。あるいはセクハラのことであるとか、職場におけるパワハラであるとか、いろんなそういう人権侵害事象というのもございます。
 私は、これは人権概念というのはなかなかぴたっと定義し切れるものではなくて、その周辺部分は確かに曖昧部分というのがないわけじゃないけれども、やっぱり中核部分というのはしっかりあって、そこの中核部分を押さえながら、極力人権が保障された社会にしていくために人権概念というのは考えていくべきものだと。
 人権概念が広がり過ぎてほかの人権との衝突ということになると、これは憲法にも公共の福祉とかそういう概念もあるわけで、人権を広げ過ぎて他の人の人権を侵害してはいいということにはならないのは、これはもう当然でございます。
#69
○桜内文城君 個人通報制度といいますと、所信表明にありますように、人権諸条約ということになります、その法源といいますか。
 法務省から、諸条約、どんなものを具体的に指しているのかということで、和文になったものをいただいたわけですけれども、これを、例えば人権規約、B規約と言われるものですとか、あるいは女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約、強制失踪条約、これらを指すとのことですけれども、この条文、和文ですけれども見させていただきました。
 例えば、B規約の個人通報制度ですけれども、一条にありますのが、その管轄下にある、どこかの国、締約国ですね、締約国の管轄の下にある個人であって規約に定めるいずれかの権利を当該締約国によって侵害されたと主張する者からの通報というふうに、政府から人権侵害がなされた場合を基本としております。基本というか、それだけを規定しておるところでございます。
 それから、女子差別撤廃条約についても、我が国で問題とされておりますのは、例えば夫婦別姓をどうするか、あるいは婚姻の年齢、女子の方が低いであるとか、まさに政府が、政府といいますか国会も含めたところの政府が法律でもって定めているものについて、それがこの条約上問題になり得るということであります。
 それから、そのほか、もろもろの条約見ておりましても、例えば差別。差別というと私人間効があるのかなというふうにも思うわけですけれども、この差別に関する条約についても、まさに書いてありますのは、締約国というか政府ですね、各国の政府が個人、集団、団体に対する人種差別等に従事しないように、政府自体が従事しないように、あるいは公の当局がこの義務に従って行動するよう確保することを約束するなり、あくまでも締約国の政府に対する義務として課せられておるわけであります。例えば、人種差別に関する条約の一条二項では、締約国が市民と市民でない者との間に設ける区別、これは要は国籍を持っているか否かですけれども、これらについては適用しないというような明文もなされているわけであります。
 何が言いたいかといいますと、こういった国際的な諸条約、人権関係の諸条約を見ておりますと、あくまでもここで言う人権というのは日本国憲法における基本的人権、要は政府との関係というものがあくまでも主体であって、だからこそ政府からの人権侵害に対してはその当該国の政府に対して救済を求めることはできない、だからこそ個人通報制度が制度として認められている、そういう立て付けあるいは趣旨だと考えております。
 それと同様に考えますと、新たな人権救済機関、これはもう過去の経緯等を私も調べさせていただきましたが、自公政権のとき以来、人権擁護法案ですとかいろんな議論がこの十年以上なされてきておるところでございます。一番の問題は、私は、人権という定義、それが非常に広い、あるいは定義自体がない、そこにあるのではないかと考えております。
 昨年の法務省の中間報告を見ましても、「政府からの独立性を有し、」というふうな文言があります。政府からの独立性を有しと言っていながら内閣府に設置するというのは意味が分からないんですけれども、それはさておき、政府から独立性を有する機関が必要だという意味は、政府からの人権侵害に対して救済を求めるのであれば政府に求めたってしようがないと、別の独立した機関が必要だと、そういう趣旨だと考えます。そういった意味では、ここで言うところの人権救済機関を仮に今後検討されるのであれば、私の意見としましては、やはり人権というものをきちんと定義する、少なくとも政府からの人権侵害というものに限定的に解釈できるような、そういうふうな仕組みが必要だと考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
#70
○大臣政務官(黒岩宇洋君) 今委員から多岐にわたる御指摘あったんですけれども、まず個人通報制度についての、これが、私人間の人権侵害事案は対象になるのかという、こういった御指摘がありましたけれども、これは、外務省によると、この個人通報制度においては、いかなる主体による権利の侵害かを問わず、これは国内救済措置を尽くしてもなおその当該権利がこの締約国によって保障されていないと、こういう主張をする場合においては、これは各条約に基づき設置された委員会に救済を求めることを認めると。この個人通報というのは、これも委員のおっしゃるとおり、国内においてこの侵害を救済する手続をし尽くしても駄目な場合、そういう場合は、例えばこれは私人間においての権利侵害であっても、私人間においてもこれは対象となるということになります。
 それと、先ほど……
#71
○桜内文城君 ちょっといいですか。済みません。
#72
○委員長(浜田昌良君) 桜内文城君。
#73
○桜内文城君 ちょっとそれは条約の解釈としていかがなものかと私は思います。
 この条約、条文ちゃんと見ていただければお分かりのとおり、私人間のものが全てこの条約の個人通報制度の対象になるというような言い方されましたけれども、そうじゃありません。私人間のものであったとしても、それを当該国の政府が容認するような場合、あるいは法律上それを助長するような場合においては個人通報制度の対象となり得るというような書き方をしているわけですよ、明文で。ですので、今のような御答弁はむしろ誤解を招くような言い方だと指摘させていただきます。
#74
○国務大臣(江田五月君) これは、条約の解釈というのは外務省の方でやっていただくことであって、私どもは今、外務省の解釈はこうですということを黒岩政務官が述べたわけですが、先ほど委員も御指摘のとおり、国内の救済を全て尽くして、それでも自分は納得できないと主張する人がこの国際機関に通報することができるというシステムで、国内の機関で自分が納得できる救済を得られないというところで、その国の、締約国によって救済されないというこのモーメントが出てくるわけです。そういう仕組みになっていると私は理解しております。
#75
○桜内文城君 大臣のおっしゃるとおりだと思います。
 そこで問題となるのが、もちろん条約に関しては外務省に解釈の所管があるわけですけれども、ここでお尋ねしていますのは、最初から申し上げていますように、人権という概念の広い狭い、広狭についてであります。
 私が申し上げたいのは、もう一度繰り返しになりますけれども、こういった人権諸条約というものを全て通底している恐らく理念、趣旨というものは、政府からの人権侵害に対してこれをどう救済するのかということがメーンであるということを申しておるわけです。
 これを新たな人権救済機関に置き換えて考える場合、以前、二〇〇二年に、小泉内閣時代に内閣が国会に対して提出してきた法案、もちろん、それが今度民主党政権になりまして、今検討されているものと全く同じと言うつもりはありませんけれども、参考とするならば、人権の定義はないんですけれども、人権侵害の定義は当時の廃案になりました法案の二条一項にあります。
 ここでは、非常に曖昧な表現なんですけれども、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいうというのが人権侵害であるということになっておるんですけれども、具体的には、公務員としての立場において人種等を理由として不当な差別的取扱い、これは政府による人権侵害でありますので全く妥当だと考えます。問題なのはそれ以外なんですね。業として対価を得て商品、施設、役務等を提供する者、要は三号にあるわけですが、事業主ですね、事業主が行う差別的な取扱い、あるいは、これは事業主に限らないんですけれども、不当な差別的言動等、そういったことが挙げられております。
 まさにこういった私人間効というか、私人間での、これを人権侵害と呼ぶかは別として、行為、言動に対してこういった法律を適用していく。まさにいろいろ問題になったところ、過去の経緯からいいますと、報道機関について報道の自由、表現の自由共に抵触するのではないか、他者の、その人権という概念を広げ過ぎたために、私人間のものまで人権だというふうに言ったがために報道の自由まで侵害されるのではないか、そういった懸念から報道機関を外すというふうに、昨年のこの中間報告でも報道関係条項は外すというふうな規定が設けられているわけですね。
 何が言いたいかといいますと、人権の概念というものを広げ過ぎることによって他者の人権、例えばこの場合でいいますと、報道機関の報道の自由、あるいは個人であったとしてもその表現の自由、あるいは事業主であれば経済的活動の自由、これらが、政府からの独立性があるといっても、そのような国家機関によって制限されるおそれがあるのではないかということであります。その意味でも、ここでいう人権の概念、定義というものをより限定的に解釈できるような立て付けにすべきではないかという意見であります。これについてどう思われますか。
#76
○国務大臣(江田五月君) このテーマは、これは人権擁護推進審議会という審議会が設置をされて、そしてそこで本当に詰めた議論をしていただいて、そして答申が出て、その答申に基づいて政府において法案を出してこられたという経過がございます。
 そのときの議論、実はあれは参議院先議で出されまして、私は当時法務委員会の理事をしていて、この法案をどうするかという最後の最後のぎりぎりの決断をしかけたところに名古屋刑務所の事件が起きて潰れてしまったんですが、そのときに私どもは、この人権の定義がこれで曖昧、拡大解釈、濫用のおそれになるという議論はたしかしていなかったと思うんですね。
 人権という定義は、それは世の中様々なことが起きますから、例えばハンセン病の人が温泉に入ろうとしたら止められるとか、あるいは外国人がアパートを借りようとしたら借りられないとか、いろんな事象、それを具体的なことでなかなか書き切れないので、そこで、例えば日本の司法手続で違法と評価されるような人権侵害、すなわち民法、刑法等の法律や判例に照らして、違法な人権侵害ということを対象にするというふうに念頭に置き、当時政府が出した法案にも人権侵害というくくりで書いてあるわけで、これは私は最終的には司法判断で決まる。しかし、司法判断というのはなかなか使い勝手が悪い、そこで、もっと使い勝手のいい救済システムをつくろうということで、人権擁護推進審議会が一生懸命考えてつくってくれたもので、当時、私の率直な感想を言うと、まさに今言われた自公政権の下で出されましたが、しかしなかなかよく頑張って出してくれたなという思いで受け止めておりました。
 その当時、私どもはなお足りないということで、反対のトーンでありながら、しかし最後はやっぱり、これはやっぱり生まなきゃいけないものだということで決断をしかけたところまで行ったということでございまして、是非御理解をいただきたいと思います。
#77
○委員長(浜田昌良君) おまとめください。
#78
○桜内文城君 時間がないので、これで終わりますけれども、過去の経緯は過去の経緯として、また今、江田法務大臣の下で新たにこのように検討が始められているところですので、ある種白地に全て絵をかいていくということじゃないかもしれませんけれども、やはりこの国民の基本的人権というのは非常に重要な問題でもあります。もちろん私はこれを守るなと言うつもりもありませんし、差別がいいとも言うつもり全くありませんけれども、しかしこのような新たな機関が設けられることによって、人権の……
#79
○委員長(浜田昌良君) 簡潔にお願いします。
#80
○桜内文城君 政府による人権の制約が行われることのないように希望いたします。
 以上で終わります。
#81
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 市場化テストによる登記の証明書等の発行事務、いわゆる登記乙号事務の一般競争入札に関連してお聞きいたします。
 昨年の臨時国会でも質問をしまして、この登記乙号事務を落札したATGカンパニー株式会社及びそのグループ企業であるアイエーカンパニー合資会社の二つについて、法人登記された本社の住所に存在しないじゃないかということを指摘いたしました。その後、決算委員会の答弁で大臣も事実を認められましたが、虚偽登記をしている会社が登記事務を受託をしているということで、国民のこの制度に対する信頼が得られるのかということが今問われております。そして、この会社の問題はこれだけでないということを決算委員会で指摘をいたしました。
 お手元に資料を配っておるんですけれども、この登記乙号事務の法務局で働いているAさんのATGカンパニーからの給与明細とねんきん定期便のコピーを配付をしております。この方は二十二年の四月から入社をされておりますけれども、この月は年金が未加入という扱いになっております。さらに、二枚目の給与明細を見ていただきますと、七月分の給与は二十四万二千百七十円でありますけれども、ねんきん定期便を見ますと七月分の標準報酬月額は九万八千円ということで最低の等級になっているわけですね。これはもう大問題になった消えた年金と同じような手口でごまかしている可能性があるということを指摘をいたしました。この問題、指摘以後、法務省としてはどういう対応をされたんでしょうか。
#82
○国務大臣(江田五月君) まず、御指摘をいただいた本店の所在地ですね、これが虚偽の登記であったかどうかというのはちょっと分からないんですが、いずれにしても実態と合っていないことは確認をできまして、これについてはやはり正しいものに改めなきゃならぬということを指導いたしまして、これは、いつだったか、改まりました。指導の結果、アイエーカンパニーについては本店の移転が二月二十二日に完了して、ATGカンパニーについてはやはり同じく二月二十二日に完了、さらに代表者の住所変更を二月一日に完了ということになっております。
 今、年金のことを聞かれたんですが、この年金関係については、これはちょっと法務省として調べるというわけにもいかなくて、これはもしいろいろ疑問があれば関係の機関の方で調べていただければと思っております。
#83
○井上哲士君 法務省としてはそういうことを関係機関に依頼をされたんでしょうか。
#84
○政府参考人(原優君) お答えいたします。
 この問題につきましては二月十四日の参議院の決算委員会におきまして委員から御指摘を受けまして、厚生労働省の方におきましても問題があれば適切に対応するということでございますので、私どもの方も厚労省との間で情報交換をして対応すると、こういう体制になっております。
#85
○井上哲士君 この委託を受けた民間業者の責務について、公共サービス改革基本方針では、業務の公共性を認識の上、国民の信頼にこたえられるよう、法令を遵守するとともに、責任を持って業務に取り組まなければならないとしておりまして、そして、国には的確な監督等を行う必要があるというふうに言っているわけですね。ですから、現に年金をごまかした場合は、これはもう罰則も付いたことが、証拠も示して文書も示しているわけですから、私はそのような対応では極めて不十分だと思うんです。
 そして、同社の問題はこれだけではありません。厚労省来ていただいていますが、アイエーカンパニーの二〇〇九年度分の労災及び雇用保険の加入者数は何名になっているでしょうか。
#86
○政府参考人(渡延忠君) お答え申し上げます。
 労働保険の仕組みといたしましては、年度当初に事業主から一年間の労働保険料の額について概算で申告をいただき、その後これを確定精算するという仕組みを取っております。確定精算に当たりまして、申告書には前年度を通じての常時使用労働者数、それから雇用保険の被保険者数の平均を記載いただくということになっております。
 この申告書の内容に即してお尋ねのアイエーカンパニー合資会社についてお答え申し上げれば、平成二十一年度を通じての同社の雇用保険被保険者数の平均は一人でございます。また、労災保険の加入対象者になると考えられます常時使用労働者の数の平均も一名でございます。
#87
○井上哲士君 つまり、〇九年度は一人しか社員がいない会社が、この二〇一〇年度当初から九局四十庁、四百三十人分の仕事を落札しているんですね。
 この会社が、じゃ一〇年度の労災、雇用保険の仮増員概数の申請はどうなっているでしょうか。
#88
○政府参考人(渡延忠君) お答えいたします。
 平成二十二年度、二〇一〇年度における数でございますが、ただいまお答え申し上げました労働保険の申告納付の仕組みからしまして、現在のところ把握に至っておりません。
#89
○井上哲士君 仮増員の概数が年度当初は出ていると思うんですけれども、その数は言えませんか。
#90
○委員長(浜田昌良君) もう一度質問をお願いします。
#91
○井上哲士君 仮の増員の概数の数が年度当初出ていると思いますが、それは答弁できませんか。
#92
○政府参考人(渡延忠君) お答えいたします。
 年度中途で変動がある場合の増加概算等の申告の制度はございますが、こちらに関しては出ておりません。
#93
○井上哲士君 落札したのは二〇〇九年度の十二月ですよね。その時点ではこの会社は一人しか事実上いないわけですよ。そういう、社員もいない、そしてそれまで一切この業務に対して実績もないという会社がどうしてこの四百三十二人分もの仕事が落札できるのか、極めて疑問でありますけれども、なぜこういうことになるんでしょうか。
#94
○政府参考人(原優君) 今御指摘のありましたように、アイエーカンパニーは二〇〇九年、平成二十一年十二月の入札におきまして初めてこの包括的民間委託の事業に参加いたしまして、九局において落札したわけでございます。この落札を受けまして、アイエーカンパニーにおきましては、必要な従業員を確保して受託した事業が遂行できるようにしたという、こういう経緯ではないかというふうに承知しております。
#95
○井上哲士君 全くそれまで実績もない一人の社員が、かき集めて本当にできているのかと私は極めて疑問なんですが。
 さらに、資料のCを見ていただきたいんですが、先ほど紹介したこのAさんの例なんですが、この方はアイエーカンパニーの会社に応募したんですね。Bを見ていただきますと、アイエーカンパニーの入社説明会に参加していただきましたけれども、入社はATGにさせていただきますと、了解してくださいというのがいきなり送り付けられてくるんですね。本人はおかしいと思いながらも、これは職を失いたくないから入っていくわけですが。ATGに入社をしながら、その表を見ていただきますと、七月には今度はアイエーカンパニーから赴任辞令というのが出てまいりまして、墨田出張所に変わってくださいと、こういうことになるんです。その後、九月二日は再び今度はATGから転勤辞令が出て、七日に雇用通知書というのがATGから送られてまいります。雇用期間は九月七日から翌年の三月三十一日までなんですが、その期間の間の十二月の一日に今度はアイエーから雇用通知書というのが送られてくるわけですね。このときには基本給は二十二万から十六万に一方的に下げられていると。この間、本人の同意は全くないわけですよ、一方的に送り付けられてくると、一体自分はどの会社に働いているのかと、こういうことが起きているわけです。二つの会社の間を行ったり来たりさせていると。そして、この二つの会社の東京エリア長は同一人物で、一遍に両方の肩書を使った様々な社内文書も出されているんですね。
 厚労省に一般論で聞きますけれども、こういう本人同意なしに雇用関係を勝手に変えるというようなことは許されるんでしょうか。
#96
○政府参考人(渡延忠君) お答えを申し上げます。
 民法六百二十五条第一項の規定等に照らしまして、一般論として申し上げれば、合併等の場合を除き、雇用契約の一方当事者である使用者が別法人となるような場合には労働者本人の同意が必要と解しております。
#97
○井上哲士君 これは全く一方的に送り付けられているんです。
 さらに、表を見てもらいたいんですが、この方、例えば四月一日にATGから雇用通知書を出されていますけれども、勤務地は西多摩支局なんですね。この西多摩支局の仕事を受託しているのはアイエーカンパニーなんです。それから、九月七日にもATGから雇用通知書をもらって墨田出張所で仕事をしていますけれども、ここを受託しているのもアイエーカンパニーなんです。
 ですから、本来受託した会社と違う会社の労働者がここで働いているということになっているんですね。これは法務省は把握されているんでしょうか。
#98
○政府参考人(原優君) 個々の具体的事案におけます受託事業者と受託事業者に従事している者との間の法律関係については把握しておりません。
#99
○井上哲士君 じゃ、こういうやり方は委託契約上許されているんですか。
#100
○政府参考人(原優君) 個々の受託事業者と受託事業に従事する労働者の法律関係、これはいろんな形態があろうと思います。雇用関係がある場合のほかに、例えば派遣というようないろんな関係があると思いますので、その具体的な法律関係の適否につきましては、労働法制を所管する関係機関において判断していただくのが適当ではないかと考えております。
#101
○井上哲士君 ATGもアイエーも派遣労働者の届出はしておりません。派遣はあり得ないんです。
 それから、じゃ再委託をしているのかということも考えられますが、一部再委託は法務省に届出が必要だと思いますが、届出、出ていますか。
#102
○政府参考人(原優君) 届出を受けておりません。
#103
○井上哲士君 そうすると、出向ということも考えられるんですが、就業規則には出向という規定はないんです。
 ですから、結局労働者が、自分の知らない間に二つの会社の間を、知らない間というか同意もないままにどんどんどんどん異動させられて、受託したところと全く違う雇用関係にあるような人が現場で働いているという事態が起きているんですよ。
 大臣、こういうことが、そして先ほど年金のこともありました、昨日も法の支配というお話がありましたけれども、およそ私は、労働法規とか、それからいろんな保険の問題での法律遵守とは思えないような事態が起きている。それが法務省の登記の事務の現場で起きているということが、法の支配を言われるような大臣の足下で起きているということが許されるのか。いかがでしょうか。
#104
○国務大臣(江田五月君) これは、余り弁解するようなことをあれこれ言いたくはないんですが、この民間競争入札の実施要項で、総合評価方式というんですか、必須の項目としての四項目、それにさらに加点項目があって、そういうものをずっと見て、ここにやらせようということで今の二社を含む民間に委託をして進めているわけで、今度、そうしますと、一旦そういうことが始まりますと、公共サービス改革法で今度はその契約を解除する場合の要件が法定されていまして、なかなかその業者が実際の利用者との関係で能率よく待ち時間も少なくきっちりやっているというような報告を受けておりまして、それを超えて実際の民間に委託をした会社にメスを入れるというのはなかなか困難だと思います。
 しかし、今委員御指摘のような点が確かに、これはもう少し、Aさんというだけではちょっと調べようもありませんが、いろいろ委員の御指摘のような点があるようですので、しっかりと調べてみたいと思います。
#105
○井上哲士君 年金の問題も同じケースが和歌山から私どもに届けられておりますし、同じようなことは幾つかの事例が寄せられております。ですから、これは会社が全体としてやっている可能性があるんですね。
 この入札の実施要項では必須項目審査というのがあると思いますけれども、これはどういうものでしょうか。
#106
○政府参考人(原優君) 細目にわたるものですので、私の方から御説明させていただきたいと思います。
 この民間競争入札の実施要項、落札者の決定は、先ほど大臣から御答弁がありましたように総合評価方式によるとされております。提出されました提案書の内容につきまして、必須項目と加点項目という、この二つの観点から評価をするということになっております。
 必須項目につきましては、委託業務の目的に沿った実行可能なものかという観点から評価しておりまして、内容的には四つの最低限の要求項目を満たす必要があるということで、具体的には、登記に関する知識が十分か、あるいはコンプライアンス等の体制が整っているか、それから公共サービスの質を確保するために業務処理体制や人的構成等が整っているのか、あるいは研修体制を整えておる、こういったことを審査しております。
#107
○井上哲士君 今の四項目、一つでも満たしていなかったら失格ということでよろしいですか、入札資格として。
#108
○政府参考人(原優君) これは、入札の段階におきましてこういう項目が評価されるということでございまして、その後に、例えばコンプライアンスの観点で何か違法な点があったからといってこの加点項目についての審査が無効になると、そういう仕組みではございません。
#109
○井上哲士君 つまり、入札段階では、このコンプライアンス・セキュリティー管理についての社内体制を整えるということは必須項目になっておりまして、これがないところは失格になるわけですよね。そのときに文書だけは整えて、落札をしたら、先ほど私るる言ったような、どう考えてもコンプライアンスなんというのはないような疑いのある事態が次々とあると。そもそも入札に参加できなかった企業の可能性があるんですよ。それを、もう通ってしまったから仕方がないということでは私はおかしいと思うんです。
 そして、業務は滞っていないというようなこともこの間も言われましたけど、どういう調査されているのか知りません。例えば、週刊東洋経済がこの問題を特集していますが、実際に司法書士の事務所に聞いてみたら、一般の人じゃなくてね、もう事務に精通していない職員が多くて、安易にありませんとの答えが返ってくるとか、誤って証明書を交付するなど間違いが目立つとか、そういう声もいっぱい寄せられているんです。
 私はやっぱり、改めて大臣に聞きますけれども、この法務省の登記の職場でこういうようなことがまかり通るということが、まさに法の支配を言う大臣の下で起きているということが許されるのかどうかという、そこのことを私は聞きたいんですね。それで本当に登記に対する国民の信頼が得られるとお考えなのかと、そこを聞きたいんですが、どうでしょうか。
#110
○国務大臣(江田五月君) 入札のときにどういう経過でこの会社が落札したかということは私自身は知りませんが、これはもちろん事務方でしっかりと審査をしてそして落札させたものだと思います。
 しかし、そこで後から見るとどうもいろいろこういう点、ああいう点、御指摘のようなことがあるという場合にどうするかというので、これは、公共サービス改革法では解除をするというのは法定の要件がなければ解除できないので、じゃほっておくかというと、ほっておくわけにももちろんいきません、それはやっぱり国民の皆さんに良質な公共サービスを提供しなきゃいけないわけですから。
 したがって、これは、もしそういう点があればちゃんと指導して改めさせなきゃならないし、改めることができないならばそれなりの措置をとらなきゃいけないことになると思います。
#111
○委員長(浜田昌良君) まとめてください。
#112
○井上哲士君 時間なんで終わりますが、結局、二〇〇八年に入札要項を変えて、価格が低い方が有利な入札になってこういう業者が入ってきたんですね。その結果、四十年間ずっとこの業務担ってきた民事法務協会の皆さん、これまでも七百人が職を失い、この三月末で七百六十二人が職を失おうとしておるわけでありまして、本当に私は、国民の権利の土台を支える登記がこういうことでいいのかというのが問われます。
 きちっとしっかり調査をして厳正な対応をしていただきたい、強く求めまして、質問を終わります。
#113
○委員長(浜田昌良君) 以上をもちまして、平成二十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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