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2011/04/14 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第6号
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2011/04/14 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第6号

#1
第177回国会 法務委員会 第6号
平成二十三年四月十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     古川 俊治君     山崎 正昭君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     山崎 正昭君     古川 俊治君
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     難波 奨二君
     古川 俊治君     高階恵美子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                金子原二郎君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                難波 奨二君
                平田 健二君
                高階恵美子君
                古川 俊治君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                森 まさこ君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     江田 五月君
   副大臣
       法務副大臣    小川 敏夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  黒岩 宇洋君
       文部科学大臣政
       務官       笠  浩史君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   戸倉 三郎君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   安浪 亮介君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  永野 厚郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務大臣官房司
       法法制部長    後藤  博君
       法務省刑事局長  西川 克行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務大臣官房司法法制部長後藤博君及び法務省刑事局長西川克行君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(浜田昌良君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○前川清成君 おはようございます。
 今回の裁判所職員定員法の改正ですが、判事に関しては四十五名増員の御提案ですが、判事補については増員しないことになっています。昨年は二十名判事補の定員を減らしているんですが、それにもかかわらず、二十二年十二月時点、十二月一日時点ですが、判事補に関しては百三十八名の欠員があります。
 それで、実はこの間、司法試験の合格者は一貫して増えています。最高裁が出している裁判所データブックによりますと、例えば私が修習をした四十二期では修習終了者が四百八十九名でした。うち判事補に任官したのは八十一名。翌四十三期は修習終了者が五百六名で、判事補に採用された者は九十六名。ところが、例えば平成二十年の第六十一期、二千四百三十名が修習を終わっていますが、判事補に採用された者は九十九名。六十二期は修習終了した者が二千三百四十六名ですが、判事補に採用された者は百六名。その司法試験の合格者数あるいは修習終了した者の数はおよそ五倍近くに伸びているわけですが、判事補については増えていない。裁判官については増員していないということになります。
 今回の白表紙で事件の数はどうかといいますと、民事事件の第一審の新受事件ですが、平成十一年には十六万一千百三十八件、ところが平成二十一年には二十三万八千三百八十六件。事件数でいくと一・五倍ぐらいに伸びています。事件数は一・五倍ぐらいに伸びているにもかかわらず、裁判官は増やさない。これはなぜなのかと。
 最高裁とその点の話をしますと、一つの理由としては事件数に応じて適正な数を確保すると、もう一つは裁判官にふさわしい人を確保したいと。この後者の裁判官にふさわしい人を確保したいというのは、要するに質を確保したいと、こういうことなんだろうと思うんです。
 質のことで申し上げれば、たしか昨年もどこかでこの議論をさせていただいたんですが、二回試験の不合格者数が増えています。かつて五百人のころは風邪さえ引かなければ大丈夫と言われた二回試験、その私の四十二期は一人も二回試験に落ちていないんですが、平成十九年の六十期は新旧合わせて百四十七人が不合格。平成二十年は新旧合わせて百四十六名、平成二十一年は九十八名、平成二十二年は百十八名。最高裁あるいは法務省は司法試験の合格者増に伴う質の低下の問題を正面からは認めようとしないんですが、この辺のデータ、数字を考えますと、やはり質の問題、これはもう少し真摯に向き合う必要があるのではないかなと、私はそう思っています。
 その点で、実は司法試験の合格者増に伴って、法曹養成のプロセスとして法科大学院が設立をされました。その法科大学院の問題も、やはり質の問題の際には検討しなければならないだろうと私は思っています。
 その法科大学院の教育の質の問題に関して、是非今日は議論をさせていただきたいのは教員のことです。文科省の専門職大学院設置基準、これによりますと、法科大学院、これらの文科省の省令等によりますと、法科大学院の教員についてはおよそ二割以上が実務経験を有する者であれば足りると、こういうことになっています。ですから、極端なことを言うと八割は学者でも構わない。つまりは、裁判所に行ったことがない人でも構わないということです。
 じゃ、残りのおおむね二割の実務家教員、これについても昨日ちょっと文科省と議論をさせていただいたんですが、その際伺ったのは、この実務家教員、二割の実務家教員は、司法試験に合格して司法修習を経て裁判官や弁護士や検事になった人たちだけには限りませんと。およそ何らかの法律あるいはその周辺の業務に携わっていた実務経験があれば、例えばですけれども、司法書士さんとか行政書士さんとか社会保険労務士さんであっても、その法科大学院が必要だと認めれば実務家教員になるということなんですね。
 そもそも法科大学院というのは、裁判官や弁護士や検察官を養成するプロセスとして設立された。法科大学院を経たら、司法制度改革審議会の最終意見書の中では、法科大学院修了者のおよそ七割、八割は司法試験に合格する、そういう教育水準を目指すんだと、こういうふうに位置付けられています。にもかかわらず、この実務家教員が二割であったら足りると。しかも、その二割も法曹三者に限らなくてもいいんだと。これは私は、法科大学院の在り方としてどうなのかと常々疑問に思っています。質の問題だけではなくて、あるいは司法試験の合格者の数の問題もあります。あるいは、給費制の問題について、今年の秋に先送りされましたけれども、これについても今年の秋には最終結論を出さなければなりません。
 非常に高い理想で司法制度改革がスタートをいたしました。これまで社会の片隅にあった司法というのを大きな存在にしたいと、法と正義が社会の隅々まで行き渡らせたいと、この理念は恐らく私も江田大臣も思いとしては共通なんだろうと思うんですが、法曹養成の在り方、これについては、私はこの辺りで一度立ち止まって、振り返って見直す必要があるのではないか。検察の在り方検討会議の提言の中でも、特捜部には振り返る勇気が必要だったというような一節がありましたけれども、法曹養成についてもまさにそれが当てはまるのではないかなというふうに思っています。
 それともう一点、是非この点については真摯に御議論いただきたいのは、去年の秋に貸与制か給費制かというときに、貸与制になったら金持ちの子供でしか弁護士になれなくなってしまうというふうなキャンペーンが日弁連を中心としてありました。金持ちの子供でないと弁護士になれない、それは別に弁護士に限らず、どのような職業だってそうだろうと思います。しかし、金持ちの子供でしか弁護士になれない最も大きな問題は、私は、司法試験に合格した後の司法修習生の給料が貸し与えられるものなのかくれるものなのかではなくて、むしろその前提、法科大学院の学費の問題。大学を卒業して、国立大学であればおよそ年間八十万円、私立大学であればおよそ百三十万円、原則三年間、この授業料を払うことができる家庭の子供でないとそもそも司法試験を受験することさえ認めない、この仕組みはやっぱり間違っている。この法科大学院を卒業しないと司法試験を受けさせない仕組みだとか、あるいは法科大学院の教員の八割は学者であっても構わないとか、ちょっと余りにもその法曹養成が大学教員の側の既得権益を擁護する形で私はねじ曲げられてしまったのではないかと。
 ですから、この機会に是非、副総理格でもある江田法務大臣の強いリーダーシップで、法務省と文科省の小さな議論じゃなくて、与党も野党ももちろん、国民的な大きな議論をもう一度するべきではないかと、私はそう考えています。
 ちょっと、この法曹養成の基本的な点について、大臣の御所見お伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(江田五月君) 司法制度改革の議論の前夜のころのことを思い出すんですが、司法制度を改革したいと、日弁連が中心になりまして、あれは何年のことだったでしょうか、有楽町の脇のよみうりホールでシンポジウムをやったことがございました。司法制度改革というようなテーマに一体人が集まるのかなと思いながら私はパネリストの役目を果たしていたんですが、有楽町の改札からそのホールの入口まで行列でつながってしまったんですね。もう資料が足りなくて、入ることもできなくて大勢の人が帰っていった。だから、これは国民の皆さんが本当に当時の司法についていろんな意味で不満を持っておられたと思います。
 その議論の中で、弁護士さんはすばらしいんだと、こういう議論になるかと思ったら、そうじゃない。裁判所と検察官、あんまり検察官の議論は起きなかったんですが、弁護士と、この法曹三者全てが国民からいろいろ批判されているというのに直面をいたしました。
 そういう中で司法制度改革審議会ができて、いろんな議論をして、法曹養成についても議論をして、そして一つの理念、プロセスとしての法曹養成。それは、単に法律の専門的な知識、技術があるだけでなくて、やっぱり、例えばコミュニケーション能力であるとか、あるいはコンサルティング能力であるとか、あるいは実務的ないろんな、この実務的というのは判検弁の実務ももちろんありますが、それ以外にいろんな、単なる学問以外のことをしっかりと身に付けたそういう人をプロセスとして養成していこうということで、法科大学院というものをそういう法曹の養成の中心に据えてこの制度を立てた。そのときに私どもが考えた理念というもの、これは私は、今も生きているし、その理念をやはりゆるがせにするわけにはいかないと。この理念の達成のためには、これはかなり長いプロセス掛かっていくので、これは途中で、どうも理念に向かって進んだけれどもなかなか簡単にいかないから引き返そうということであってはいけないと思っております。
 しかし、そうではなくて、やっぱり理念を掲げても、その理念の実現の過程でいろんな困難がある。これは当たり前で、現に今、司法制度改革審議会の答申にあった、七、八割は通ること、あるいは三千人法曹を増やすこと、これがなかなかそうはいかないという現実に我々直面しているわけですから、これはやはり現実をしっかり見据え、これをまともに真正面から受け止めて、この現実をどう変えていくか、理念の実現のために現実をどう制度設計を調整し直していくかと、これをやらなきゃいけないことで。
 というわけで、国会におかれましても、昨年、例の貸与制に、既にもう貸与制に入っていた、制度的には貸与制に入っていたんですが、衆参の議論の中で給費制というのを一年延長するということになり、その際、これは衆議院の方ではありますが委員会の決議をいただいて、そして今政府の方でも法曹養成についてのフォーラムを立ち上げる準備を鋭意進めているところでございまして、そのフォーラムの中でいろんな議論をひとつさせていただきたいし、またフォーラムのプロセスの中で、これは政府だけでなくて、あるいは与党の皆さんだけでなくて、野党の皆さんからもいろんな御意見をいただくことがあれば大変幸いだと思っております。
#7
○古川俊治君 続きまして、自由民主党、古川俊治の方から質問をさせていただきます。
 最初にこの法案についてお聞きしたいんですけれども、今回、判事を四十五人増やすという法案でございますが、判事のみを増やすのは、その理由を聞かせてください。
#8
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) この度の増員におきましては、事件増あるいは事件の複雑困難化の中で事件処理を適正迅速に解決するために、事件処理にたけたベテランの裁判官を増員するということで判事四十五名の増員をお願いしたわけでございますが、御指摘の判事補につきましては、これまでの採用……
#9
○古川俊治君 指摘していませんよ。
#10
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) あっ、よろしいですね。四十五、四十五ですね。はい。
 この四十五という数字の根拠ということも含めてお答え申し上げますと、この判事に、裁判官につきましては……
#11
○古川俊治君 分かりました。端的にお答えください。
 今回、判事のみを増やすのはなぜですかというふうにお聞きしているんです。
#12
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今回は判事のみを増員するということでございます。(発言する者あり)理由でございますね。
 ですから、今申し上げましたように、判事を四十五名増員するというのは先ほども申し上げたような事件増等を背景とした事情でございますが、これに対して、判事補を増員しない理由でございますね。
 その判事補を増員しないという点につきましては、これも当然例年どおり判事補の採用というものは私どもも検討しておるわけでございますが、ただこの定員的措置が必要かということに関しましては、これまでの採用実績など、あるいは今後は判事補から判事へ任官していく者もおります。こういった点を考慮いたしますと、今年度につきましては判事補の増員まではお願いしなくてもやっていけるという判断をしたものでございます。
#13
○古川俊治君 目的が、何ですか、迅速な処理ということでベテランを、即戦力になるベテランを入れるという話でございましたけれども、裁判所法の四十二条一項によれば、判事に任命されるのは判事補としての在職期間が通算で十年以上ということになっておりますね。
 ですから、今回この法案によって仮に判事になられる判事補の方々、この方が別に判事補であってはいけない理由はないはずです。ということは、そうであれば、別に四十五人増やさなくても、判事補を増やせば同じように迅速な解決はできるんじゃないでしょうか。
#14
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘の裁判官への採用資格という点でいきますと、判事補を十年、なって任期終了した者がまた再び判事補に任命をするということは一応、法律上それは可能ではございますが、ただ通常は、裁判官、十年いたしますと裁判官は次の再任願というのを出しますが、その再任願は皆さん判事を任官を希望されるわけでございます。
 これは、これまでの採用、裁判所の人事のこれは慣行といいますか、これまでの経過を見ますと、通常、十年間判事補として研さんした者については次は判事に任官を特段問題がなければするという状況がございますので、こういった点に加えまして、さらにやはり事件処理にたけた者という点では、やっぱり判事を我々採用したいということで増員をお願いしたわけでございます。
#15
○古川俊治君 今、慣例に従うというお話でしたけれども、別にそれは慣例であって法律で決まっているわけじゃないんですね。慣例というのは、何か問題があればそれは改めなきゃいけないということで、例えば、今お聞きしたところによりますと、判事補から判事になると給料が十万円ぐらい上がるというお話でしたので、四十五名増やすんであれば四百五十万円は安くなるわけですね、判事補のままでいれば。先ほど、迅速な事件処理というお話でしたけれども、同じく十年目になった人であれば、判事であっても判事補であってもその処理能力は変わらないんじゃないでしょうか。
#16
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 経験年数ということでありますと、そういうことですね。
 ちょっと私、先ほど慣例と申し上げましたが、これはあくまで、採用につきましては、まず大前提として、判事補に任命を希望されるか、あるいは判事に任命を希望されるかということを前提に決めていくしかないわけでございます。そういった点で、まずもってどういう形で裁判官が再任を希望されるかということが前提でございますので、仮に判事で任命希望された方を判事補で採用するというのは法律上問題があろうかと思っております。
 もう一つは、判事と判事補、最後の方は特例判事補というふうになっているわけでございますが、ただ、権限は、単独事件は処理できますが、例えば高裁の陪席には二人入れないといった制約等もございますので、やはり若干の違いがあろうかというふうに考えております。
#17
○古川俊治君 時間の制約がございますので、なるべく短く、端的に御答弁をお願いしたいと思っております。
 この判事補についてですけれども、じきに、次に判事補から判事になるということも見込まれて、慣例に従いと、非常に慣例をこのまま踏襲していくんだという姿勢がもう御答弁にも表れているんですけれども、先ほど前川委員からも司法制度改革審議会のお話がございました。これで、法曹はもちろん増やすという話ですけれども、その中で裁判官も大幅な増員というのが提言されているんですね。それは御存じのことだと思いますけど。
 当時の事件数を前提として、平成十四年からの十年間、すなわち二十三年まで、この本年までですが、五百人の増員が必要であると。仮に、事件数が一・三倍になればその一・三倍、五百人の一・三倍の数が必要になるんだと、そういう提言が出ているわけですね。ところが、この十年の間に事件数は約一・五倍に増えました。ですから、この七百五十人、五百人が一・五倍ですから七百五十人を増員しなきゃいけないんですね、この十年間の間に。そういう司法制度改革審議会の答申ではそうですね。
 ところが、昨年度までの増員数は五百六十二人でございまして、本法案が可決したとしても十年間で六百七名です。ですから、約百五十人は不足するんですね。なぜ判事補を増やさないんでしょうか。
#18
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今、事件が増えたという、当時の想定に比べて事件が増えたというのは委員御指摘のとおりでございますが、判事補の採用数につきましては、先ほど来議論がございましたように、まず一定の判事補が任官を希望するということが前提でございますが、さらにやっぱり一定の質の確保という観点で、こちらの採否の判断としておるわけでございます。近年では、下級裁判所裁判官指名諮問委員会ということの答申を受けて採用するという結果、現在のような採用数という実績でございます。
 そういう関係で、今、定員もそういった実績を前提とした定員ということで今年はやっていけるんではないかというふうに考えた次第でございます。
#19
○古川俊治君 では、先に進みますけれども、今お話がございました下級裁判所の裁判官指名諮問委員会ですね。これ、裁判官の今新任の希望というものがあるというお話でしたので希望数ということから考えたいんですが、今まで新任の裁判官、質ということもおっしゃいましたけれども、裁判官の質というのは法曹の質と同義か同義じゃないか、この辺が私も大変疑問なんですが、新任の裁判官の採用についてなんですけれども、どういう基準により今まで行ってきたのか。また、それは下級裁判所裁判官指名諮問委員会ができた前後によって違いがあるのかないのか、この点についてお話をいただきたいと思います。
#20
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 裁判官の採用に当たりましては、現在の様々な紛争に対しまして適正迅速に対処していくために、資質それから能力の両面におきまして、法的な知識、判断能力はもちろんのこと、教養や視野の幅広さ、洞察力、理解力、決断力、またコミュニケーション能力などが求められるということに考えております。採用に当たりましては、以上のような観点から、司法修習中の成績ばかりでなく人物面においてもふさわしい人物かどうかについて見ております。
 指名諮問委員会が立ち上がった後との対比の点でございますけれども、一般有識者委員を含むこの委員会では、先ほど申し上げました観点から、司法修習中の成績のほか、指導担当者の意見など人物に関する情報等も総合的に検討した上で指名の適否を判定しており、指名過程の透明性をより高めることができたものと考えております。
#21
○古川俊治君 安浪局長は私、司法修習中に大変お世話になったので、局長のように見識等も優れて、能力、見識優れている方はそんな多くないと思うんですね。裁判官でもそうではない人を私も存じておりますけれども。
 そうすると、現在、今おっしゃったような基準というのは極めて抽象的で恣意的な判断を妨げられないということがございます。現在も、下級裁判所裁判官指名諮問委員会ができて外部からの評価も可能になった、そういう前提があるのになおそうした裁判所の選択が行われているのかどうか、その点について伺いたいと思います。もし客観的な評価があるんであれば、希望者は全部諮問にかけたっていいんじゃないでしょうか。
#22
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 裁判官を希望する者につきましては、そのとおり指名諮問委員会の方に諮っております。その結果の答申を受けて、適とされた者について任官をしてもらっておるという、こういう状況にございます。
#23
○古川俊治君 確認です。はっきりお答えいただきたいんですが、司法修習中の成績が極めて悪い、それでも、順位を付けますからね、あれ、極めて悪くても、希望すれば今諮問にかけているんですね。確認です。
#24
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 裁判官への希望をしておりながら裁判所の方でそういった任官の希望を絞り込むというようなことはいたしてないものと承知しております。
#25
○古川俊治君 この新任の裁判官については、私も修習中にいろんな事情がございまして、今日そのような御答弁ありましたのでこれで多分成績の悪い人も希望を持って裁判官を選ぶというふうに思いますから、それはそれでいいんですけれども、できるだけ自由な選択を認めるということをお願いしたい。従来は、成績が悪いと何となく肩たたきで、おまえはきっと無理だよというようなお話があったということも私伺っておりますので、そうした恣意的な選択がないようにお願いをしたいと考えております。
 もう一つ、判事補の増員で申し上げますと、医療過誤あるいは建築関係、こうしたものは非常に専門化しております。ですから、この十年間、数だけではなく、事件の専門性ということも増したという観点からは、当時の数の状況以上に、そういった意味では、七百五十人と言われていますけど、もっと、千人、それ以上に増やす努力をされるということも必要だと私は考えていますので、裁判所の方でも、この辺、開かれた司法という司法改革の理念に沿うためには是非より多くの裁判官になっていただくようにリクルートを活発にやっていただきたい。そのぐらいの姿勢で取り組んでいただくのが国民のためだと思います。よろしく御尽力いただきたいと思っております。
 では、次に移りますけれども、憲法七十六条三項、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と、基本的な条文でございますけれども。江田大臣も、一昨日の本委員会、私も質問させていただきましたけれども、その場で、裁判官の場合も一人一人の裁判官が独立して職権行使をするんだということをお話をされております。
 ところが、裁判所も多くの訴訟というのは合議制で、特に重要な訴訟は合議制で行われております。そうすると、検察と同様に同一体として判断することが求められることになるわけですね。
 先日は検察のこの独任官庁と検察官同一体の原則という相反する原理でございましたけれども、今回の場合も裁判官の独立と合議制、この相反する要請がございますけれども、これもどのように調整されているのか。江田大臣、是非裁判官の御経験からお話をいただきたいと思っています。
#26
○国務大臣(江田五月君) 法務大臣としてお答えするのはなかなか困難なテーマで、いや、これは笑い事ではないんで、本当に司法の独立がありますし三権分立もありますから、私が合議の在り方についていろんなことを言うことは差し控えなきゃいかぬことだと思いますが、せっかくの委員の御質問ですから私の経験から申し上げるので、これは法務大臣が司法の方に介入しているというふうに受け取られたら大変心外ですが、審議の参考のために申し上げますと、合議というのは、検察官の場合とは違いまして、これは合議は、やはり一人一人の裁判官が全部独立して合議に参加をいたします。そして、いろんな議論をして、その結果まとまらなければ多数決です。ですから、三対一という、いや、二対一ということはあり得る話です。ただ、合議の秘密がありますから、これは二対一でしたとか三対ゼロでしたということは外には出しません。下級裁判所の場合はその合議で多数決で、あるいは全会一致で決まった結論は一つの判決として外へ出てまいります。
 その合議の場合に、まずは普通は主任の裁判官が意見を述べます。これは大体の場合が判決を起案して、そして合議の合議体を構成している裁判官に順次回して、そして筆が入ってまいります。そして、その主任の裁判官というのは、私の経験ではやはり一番若手の裁判官が行うと。
 これは、実は合議といいましても、独立といいましても、やっぱりキャリアを積んだ先輩裁判官と、そしてまだなりたての、これは本当にそうなんです、なりたての裁判官が自分の意見を独立して先輩の裁判官に対して堂々とこれが私の意見だとして言うのは本当に大変なことであるし、そして勇気の要ることでもあるし、あえてそれを一番若手の裁判官がまず最初に起案して出していくというところに鍛えられていくというプロセスがあるんですね。
 そういうことをやりながら、そして合議というのは今の起案の過程だけでなくていろんなところで行われます。法廷が終わります、法服を脱ぎます、昼飯を食べに行きます、そこでいろんな議論を食べながらやるということもあるし、様々な合議がございまして、その生きた合議体の議論というものが実は裁判官を鍛えていく、そういう道筋にもなっていると。
 裁判官の独立と言うけど、本当は独立して物を言うというのは物すごく大変なことだと、そのことは是非お分かりをいただきたいと思います。
#27
○古川俊治君 くしくも、今お話ししていただきました。江田大臣の個人的な御意見というふうに伺っておきますけれども。
 私もそれはそうだろうと思うんですね。やっぱり若い人たちがその組織の中で物を反対して言っていくというのは非常に難しいと。だけど、お分かりのように、最高裁の判断なんかでは、例えば八対七、九対六というふうに極めて微妙なところで判断しなきゃいけない法律判断ですから、そういう事例はあるわけですよ。ですから、逆に言えば、意見がみんな一致する方がおかしいと思うんですね、私も。ただ、そうすると、上司になかなか物を言いにくいと。この状況のその裁判官の独立というのは、そうすると非常に憲法で保障されていながら危機的ではないかと私は非常に懸念をするんですね。
 この点で、裁判官の人事評価というのは私は極めて重要だと思うんですね。その点で、この透明性を確保するために、司法制度改革審議会の意見を受けて、平成十六年四月から新しい人事評価制度が行われております。ただ、この中では、人事評価は、判事、判事補についてはその所属する裁判所の長、簡易裁判所についてはその所属する簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の所長がそれぞれ行う。すなわち、上司が行っているんですね、やっぱり。
 人事評価の基準ですけれども、客観的でかつ透明性のあるものにしろという審議会の意見でございましたけれども、先ほど安浪局長がおっしゃったような、何とかの能力とか何とかの資質とか、そういうふうに書いてあるわけですよ。それ、とても客観的で透明性があるとは思えないんですね、とてもじゃないけど。それを上司が判断するということになると、これは裁判官独立ということになると、これ極めて危機的じゃないかと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。どなたでも結構です。
#28
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 議員御指摘のとおり、個々の裁判官は独立してその職権を行使するものでございます。したがいまして、裁判官の人事評価ということにつきましては、その独立性に影響を与える危険ということについて常に慎重な配慮が必要になるものと考えております。
#29
○国務大臣(江田五月君) 再度全く個人的なことを申し上げますが、上司とその部下という、そういう関係に裁判官は立ちません。一つの部をつくった場合だって、部を総括する裁判官と右陪席、左陪席とおりますが、全部対等です。上司じゃありません。
 上司に物が言いにくいんじゃなくて、先輩にはやっぱり後輩というのは、だって先輩の方がそれは優秀だということ、そのくらいが分からない独立性ではそれはいけないんで、やっぱり先輩の言うことはよく自分は聞いてみるという、そういう気持ちを持ちながら物を言うんです。先輩の方は、やっぱりそういう若手を育てるためにそういう若手に物が言いやすいような、そういう合議の雰囲気をつくっていくという、そういうところが重要なんで、したがって今の人事評価についてもそうした、私なんかは随分裁判所の中で生意気な裁判官でした。それでも自分が生意気にその先輩にいろいろ物を言って、それで何かにらまれたりしたようなつもりは毛頭ありません。
#30
○古川俊治君 検察の場合は事情が違うのかもしれませんけれども、検察の場合はもう独任官庁制ですから、ある意味では上司といってもそれは先輩という形だと思います。これは多くの官僚の方にも言えるんではないかと思うんですけれども。そうであれば、やっぱり先輩に物を言いにくいとすれば、上司ではなくてですね、そうすれば、やっぱり裁判官の良心の独立というのは、法的な考え方、先ほど申し上げましたように分かれるのが自然なんですね。それであるのにそれを一つにしなきゃいけない、かつ先輩に物が言えない、この事情がやっぱり問題ではないかと私は考えていると、それを意見として言わせていただきたい。
 もう一つ、不服申立ての制度がそこでやっぱりあるわけですね。これ、人事評価、客観的にやらなきゃいけないと。残念ながら、透明性、客観性、いずれもない基準で相変わらず行われているということは今分かりましたけれども。
 それで、この不服申立てができればまだいいんではないかと、そのために不服申立て制度をつくりなさいということを審議会の方から言われてつくったわけですね。これ、平成十六年につくりました。十六年度四件、十七年度五件ありました。ですから、一応機能しているように見えた。ところが、十八年度から二十二年度までは五年間で一件しかないんですね。すなわち、当初やってみたんだけれども、やっぱりそんな不服申立てするととっても不利に扱われちゃって、やっぱりやらない方がいいよという文化ができちゃったんじゃないか。実際この五年間を見ると、この不服申立て制度が機能しているとはとても思えないんですね。その点いかがなんでしょうか。
#31
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 裁判官の評価が終わりまして、評価書というのができ上がります。それに対しまして、裁判官の方から評価書の開示請求というのを行うことができることになっております。その件数は大体年間で百五十人ほどの者から請求がございます。その開示を受けた者の中で更に不服を申し出るという数が先ほど議員がおっしゃられた数でございます。
 この人事評価の過程ではいろいろ裁判官と評価権者が面談を行ったりしておりますので、そうした過程で評価書に書かれていることと同じような内容を評価権者の方で面談を通じて説明などもしておりますので、それなりの納得が得られているということもあるんだろうと思っております。
#32
○古川俊治君 自分がどう評価されているかというのは恐らく知ってみたいと思うところなんですね。私も司法修習所を卒業するときの成績を開示していただきましたけれども、それは不満がありましたけど、別に文句言ってもしようがないと思って不服申立てはしませんでした。だから、それは見たいということと不服を実際に申し立てるという行為とは全然違う次元でございますから、みんなが見たいと言っているからいいという話には私はならないと思っております。
 今後もより客観性そして透明性ある基準にやはり変えていただく、こういうことが必要だと思います。検察の件、これも今いろんなことが言われましたけれども、その評価制度も含めて検察の例にならないように御検討をいただきたいと思います。
 前川委員と同様に、これ、私も司法改革のことにはもうほとんど同じ意見なんですが、やはり法曹養成の在り方は変えていかなきゃいけない、そういう時期に来ているんだろうと思っております。
 端的にお聞きしますけれども、二十二年度まで新司法試験の合格者約三千人にしよう、この目標は残念ながら達成できなかったわけですけれども、二十三年度、本年度、もうすぐです、決めなきゃいけないんですが、どのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思っております。
#33
○国務大臣(江田五月君) 委員、残念ながらとおっしゃっていただきましたが、私も本当に残念に思っております。
 司法制度改革のスタートのときに三千人という目標を立てて、そこへ持っていこうといろんな努力をしましたが、それが実現できていないということはこれは大変残念なことで、しかし、できていないにはできていない理由があるわけですから、これと真正面と向き合いながら、合格者数のことについても、何が何でも三千というわけではなくて、やはりそこはいろんな工夫をしながら、しかし法曹人口を増やしていく、日本の法的サービスというのをもっと層の厚いものにしていくという努力はしていかなきゃいかぬと思っております。
 そういったいろんな、毎年の試験の結果、合格者数というのはいろんな状況の中で変動していくものでありまして、現段階で合格者数について言及することはできないものでございますが、いずれにしても法科大学院において司法制度改革の理念を踏まえた充実した教育が行われるように、そして多くの有為な人材が新司法試験に合格していただくことを期待をしております。
#34
○古川俊治君 時間も押しておりますので先に。
 法科大学院のことも前川先生もおっしゃいました。私も今度どうするのかと大変不安に思っております。文科省の方から、今日、政務官に来ていただきましたので、法科大学院の今後の方針について伺いたいと思います。
#35
○大臣政務官(笠浩史君) 先ほど来御指摘ありますように、今後、本当に法科大学院の組織の在り方というものは、これまで法務省の方とも検討してまいりました。
 もちろん、この見直しについては各大学において自主的そして自律的に判断すべきものであるということが大前提ではございますけれども、この質の課題を抱えている法科大学院について、私どももその質の向上を促進するとともに、特に深刻な課題を抱える大学院に対しては、この自主的、自律的な見直しを促進するため、新司法試験の合格率やあるいは入学者選抜の競争倍率を指標として公的な支援を見直すということも公表をしたところでございます。こうした方針を踏まえて、各大学において主体的な組織の見直しが行われるものというふうに考えております。
#36
○古川俊治君 自然淘汰という方針というふうに伺いますけれども、私も前川委員と同じように、どこかの既得権益がはびこっていて、なかなかこれは一回つくっちゃったものは難しいということでありまして、ただ、現に一〇%以下でずっと来ているとか、もっとひどいのになると数年に一回しか合格者が出ない。このような大学院に在学していても受かる気になりませんよね、やっぱり在学生だって。それから思うと、つくってしまった責任というのは文科省にもかなりあると思うんですね、国の方にも。ですから、その辺の議論をしっかりして、大学当局もかなりの出資をしているわけですから、その辺を合意を取ってしっかりと修習をしていただきたいと。
 江田大臣おっしゃいました国民に開かれた司法、まさにこの理念は私も失ってはいけないと思うんです。ただ、その手段についてはいろいろ考えなきゃいけない。ただ、それはみんなが、国民に開かれた司法というのは誰でも考え付く理念なんですよ。それがいいに決まっている。多様な人材から法曹になっていただきたい、誰でも思いますよ。ただ、そのための手段を考えるのがまさに政治の場じゃないですか。ですから、これはもう江田大臣として、法務大臣でいらっしゃいますから、是非ともここはしっかりとした方針を打ち出していただきたい。
 司法修習生の給費制のお話、前川委員からもありましたけれども、あと半年になっちゃったんですね。この半年間、ほとんどそういった議論が進んでいないと思うんですね。そうすると、あと半年でまた一年間どうするんだと必ず議論になりますよ、大騒ぎになります。実は、この一年間の間に司法制度改革の大きな見直しをするんだと、あのときに超党派でお話をしたと思います。
 ところで、私も、このことはまさに中長期的な司法制度という国民生活に非常に深く関連するものの基盤をつくっていく話ですから、是非超党派の合意でもって変えていくべきだと思うんですね。この超党派の議論の場というのが全くないというのにも非常に私、時間的な迫りもございますし、不審に思うんですが、江田大臣、いかがなんでしょうか。
#37
○国務大臣(江田五月君) 超党派の議論の場というのは、司法制度改革のときにはいろいろとできました。司法制度改革についての議員連盟もできましたし、また個別の議員連盟もできました。そして、これは私が法務大臣に就任する以前の話ですが、給費制、貸与制の問題をめぐってと、それからもう一つは司法制度全体についてと、超党派の議員連盟をつくろうというような機運が若干起きたことがございました。
 しかし、今のような現状になっているわけでありまして、私は、議員連盟という形であるかどうかは別として、司法制度というのはやはり与党、野党を超えた課題ですから、是非とも与党、野党を超えて皆さん、ひとつ本当にどういう司法制度がいいのか、よく超党派で議論していただくことは大変大切だと思っております。歓迎いたします。
#38
○委員長(浜田昌良君) 古川君、おまとめください。
#39
○古川俊治君 副総理格というお話でございますので、是非イニシアチブを取っていただきたいというように思っております。
 以上で私の質問を終わります。
    ─────────────
#40
○委員長(浜田昌良君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として難波奨二君が選任されました。
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#41
○木庭健太郎君 東日本大震災の関係で、昨日、私ども、日本弁護士会さんから緊急提言をいただきました。様々傾聴することもございましたし、私自身も思っていることもありまして、今日はその中から二点だけ、ちょっと大臣に質問をしておきたいと。
   〔委員長退席、理事金子原二郎君着席〕
 一つは、この前、私、質疑で質問をさせていただきましたが、いわゆる日本司法支援センターですね、ここの情報提供というものを、言わば業務を拡大してここがワンストップのセンターにして、震災専用のコールセンターの中核としてこの司法支援センターを置くと。そして、ここから各いろんな省庁も加えて、言わば被災者の皆さんがワンストップでそこに電話で相談すれば返すことができるというふうな機能を充実すべきじゃないかと。これは傾聴に値するお話だと一つ思います。
 これについて、大臣、どう考えられるかということとともに、これからだんだん被災者の皆さんも少し落ち着いてまいりますと何が激増するかというと、間違いなく法律にかかわる相談が激増します。これはコールセンター等で対応できる問題ではなくなってまいります。阪神大震災のときがそうでございました。言わば、そうなった場合は、コールセンターじゃなく直接被災者の方たちと面談をしてやる場所が必要になってきます。つまり、巡回相談であってみたり、被災地にそういう相談所を仮設であってもつくらなければならないと思います。
 したがって、そういう問題に対してこれから政府として第一次の補正予算を多分お作りになるんだろうと思います。その際に、こういったものをつくるときに、ボランティアで弁護士さんたちにただ頼むだけではこれは解決できる問題ではないと思います。こういったことに対して、言わば手当の問題であるとか、また臨時の相談所をつくる問題であるとか、言わば巡回相談や直接面談相談をするための整備体制のための予算というものは、是非第一次補正の中でも法務省として私は要求すべきであると考えますが、この二点について大臣からお答えをいただいておきたいと思います。
#42
○国務大臣(江田五月君) 既に被災地等で、法テラスの常勤弁護士を始めとする多くの弁護士さん方に大変お世話になって相談に対応していただいているものと思っておりますが、法テラスは更に引き続いて、日弁連、あるいは地元弁護士会、あるいは司法書士会、その他関連の様々な団体の皆さんと協力しながら、被災地のニーズに的確に対応できるように方法を検討し、実行していくものと思っております。
   〔理事金子原二郎君退席、委員長着席〕
 その際には、今委員おっしゃられた避難所に赴いての巡回相談とかあるいは出張相談とか、こうしたものを一層活用する。あるいは、相談の情報提供でしたっけ、これには資力要件というものはないわけですから、ここを弾力的に運営して情報提供サービスとして相談のぎりぎりのところまで行くようなこととか、いろんな弾力的な運用というものもあるし、さらに、今委員おっしゃられました、その他の様々な団体、商工会議所なんかもあるかもしれません、生活再建システムがいろいろあるかと思いますが、そうした機関とも連絡を密接に取って、法テラスがワンストップサービスの窓口になると、これは大変私は積極的で貴重な提言だと思っておりまして、是非法テラスの皆さんにはそういうことをやっていただく、法務省としてはそういうことを支援をしていきたいと思っております。
 その際に、それは支援、支援といっても掛け声だけで財布の方は空っぽというんじゃ、これは絵にかいたもちだというのは、もう委員の御指摘はまさにそのとおりでございますが、今第一次の補正を組もうと努力をしているところですが、そこにはなかなか実際困難でございまして、まずは、まずは私ども、法テラスの平成二十三年度の予算の中にあります運営費交付金、これをまずは最大限使っていきたいし、さらに、やはり未曽有の大震災ですから、それでちゃんと手当てができるかどうか、この辺は十分見ながら、関係省庁としっかり協議をして適切に対応していきたいと思っております。
#43
○木庭健太郎君 是非、本当にあと何日かたつとというか、もう間もなく避難所から仮設住宅へ移ったり、いろんなことが起きてくると、本当に私はその問題は結構激増することはもう間違いないと思いますので、万全の体制で是非臨んでいただきたいし、また予算の面も、今大臣おっしゃいましたが、民事扶助制度も今の予算の枠で足りるのかという問題もあるわけで、その辺は是非きちんと対応していただきたいと、このようにこれは要望しておきたいと思います。
 今日は裁判官の増員の問題でございます。
 この裁判官の増員の問題は、先ほども議論があっておりましたが、この十年間というのは裁判官を増員をしていこうと、それは司法制度改革の中で二つほど大きな理由があったというふうに私はお伺いしております。一つは訴訟の迅速化、専門化への対応のための増員、もう一つは裁判員制度の導入に際しての人的体制の整備のための増員と、こういった目的があったというふうにお伺いしております。
 この十年間でどれぐらい裁判官を増やそうかという中では、この訴訟の迅速化、専門化への対応、これのために約五百人の裁判官の増員が必要である、これは平成十三年の最高裁判所の事務総局から出された人的体制の充実という文言の中でこのように書いて報告がなされておるわけでございます。さらに、これを詳しく見ると、当時の事件規模を前提にした上では約四百五十人の体制が必要と、このように言われていたわけですが、先ほどもちょっと委員の方から数字の指摘はございましたが、言わばこの訴訟の迅速化、専門化への対応というためにどれだけ人員が増えてきているのか、その進捗状況についてまず伺いたいと思います。
#44
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘のとおり、司法制度改革審議会におけます裁判所のプレゼンテーションに従いまして、平成十四年度から計画性を持った増員を行いました。さらに、平成十七年度から五年間は裁判員制度に向けた体制整備のための増員も行いまして、平成十四年度から平成二十二年度までの間、合計で約五百六十人の裁判官が増員されたところでございます。
 この成果という点でございますが、まず訴訟の迅速化という観点で申し上げますと、平成二十二年の民事訴訟の第一審の平均審理期間は六・八か月ということでございまして、これは平成十二年の八・八か月ということから比較いたしますと二か月間の短縮となっております。また、未済事件のうち二年を超える長期事件の割合は、平成十二年では一二・四%ございましたが、平成二十二年度では五・三%まで減少しております。
 しかしながら、他方で課題もございまして、これは先ほど委員御指摘のような事件数の増大ということもあった関係で、裁判官の手持ち事件数はその後増加した等の要因もございます。その結果、人証調べを行って終局判決するという比較的複雑困難になった、審理が複雑な事件につきましては、審理期間が平成二十二年度でもこれは十八・七月というところでございまして、この点は改革審議会で申し上げた目標の十二か月にはまだ達成できていないという状況でございます。
 ただ、この中でも専門事件への対応ということでいきますと、医療事件は相当審理期間が短縮いたしまして、平成十二年との比較では、平成二十二年度は約十か月余り審理期間が短縮しているところでございます。
#45
○木庭健太郎君 ちょっと今いろいろ言っていただいたんですけど、じゃ、確認して聞きますが、今おっしゃった中で、人証調べを伴う民事訴訟の平均審理期間ですか、これは平成十一年度では二十・五か月だったわけですよね。これ半減させるというのが一応目標ですよね、半減というのが。ただ、それが十八・七か月だということですか。
 そして、それぞれちょっと聞きたいのは、例えばほかに半減するとおっしゃったのは何があるかと。知的財産権関係事件は、平成十一年当時は二十三・一か月ですよ、これも半減するというふうに書いてありますよね。これは一体、知的財産権関係事件というのはどれくらいになったんですか。
 医事関係事件というのは、今ちょっと十か月とおっしゃったんですが、よく分からないのは、平成十一年当時は医事関係事件は三十四・六か月掛かっていたわけですよね、これも半減するというふうに当時指摘をされているわけですが、それぞれもう一回、人証調べを伴うやつ、それから知的財産権の問題、それから医療関係事件がどうこの十年間でなったのかというのを、もう一度報告し直してください。
#46
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 申し訳ございません。
 改めて御説明申し上げますと、まず民事訴訟のうち人証調べをする事件、判決で終局した事件でございますが、これは平成十二年が二十・三月であったものが、平成二十二年は十八・七月でございます。他方、医療関係訴訟は、同じく平成十二年が三十五・六月であったものが、平成二十二年は二十五・〇月でございます。あと、知的財産関係の訴訟でございますが、平成十二年が二十一・六月であったものが、これは二十二年度では十四・八月と、そういう結果になっております。
#47
○木庭健太郎君 もう一つは増員によって訴訟の専門化への対応をしようということだということになっているわけですね。
 そして、これ、二十二年の三月二十五日、参議院の法務委員会で最高裁の総務局長さんの御答弁では、増員により裁判官一人当たりの手持ち事件を減少させることによって合議等を向上させるというふうな意味合いであったというふうにお聞きしておるんですが、先ほどもちょっとおっしゃっておりましたが、これ一体、言わばこれまでの増員によって合議率の向上というのがどうなっているのか。
 それから、専門部とか集中部ですか、それから訴訟の専門化への対応というようなことでいろんなことをするというようなことをおっしゃっておりましたが、具体的にはこの十年間で成果は何か上がっているんでしょうか。
#48
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) まず合議率、合議事件の関係でございますが、合議率については、平成十二年は全体で見ますと四・三%であったものが、平成二十二年は二・八%と、率では減少しております。これは特に平成十七年以降は過払い金事件等が急増した関係で全体の率は減ったわけでございますが、その中で先ほど申し上げました人証調べがあり判決で終局した事件の合議率を見ますと、平成十二年の七・五%から九・五%に合議率は向上しております。
 あと、専門事件への対応につきましては、これは手持ち事件、全体で申し上げますと、手持ち事件も、先ほど申し上げたような過払い金事件の増加がございまして、これは近年その審議会当時から比べてむしろ増加しておると、現状では増加しておるという状況にございます。その中で、特に専門事件につきましては、各、特に都市部の裁判所を中心にいたしまして、医療であるとか知財であるとか、あるいは行政、労働の専門部あるいは集中部を設けまして、そこに相応の人の手当てをした上で集中的な審理をするということを行いまして、それぞれ、先ほど申し上げたような審理の迅速化、さらに専門性への対応ということができておるものと承知しております。
#49
○木庭健太郎君 でも、今聞く限りは、例えば、人証調べが半減とおっしゃっていたのが十八・七か月、二十か月がですね。ちょっと短縮しただけなんですね。医療事件も確かに十か月も短縮していただいたとおっしゃっていただいたんですが、三十五か月が二十五か月になったと。半減には程遠いんですよね。
 そういう意味ではなかなか、増員してやろうとしたことと増員してできた結果というのは、確かに過払い事件の問題とか事件数の増加とかいろんな問題ありますよ。でも、少なくともそういった問題に私は本当に対応できているのかということでいえば、いやいや、増員したけれども何が一体実現したんだろうというような問題は残ってしまった。つまり、さっきから議論あっているように、増員はこれで本当に人数はよかったのか、もっと充実させる必要があったのか、いろんな問題をこの十年間、ちょうど十年がこの今回の増員のところですから。
 そういった意味では一つの、今後どうするのかという問題も含めて大きな課題になっておると思うんですが、今私がこういうやり取りしたのを聞いて、法務大臣、どうお考えになっていらっしゃるのか。そして、これどういうふうに今後なさろうと言わば、これもまた大臣としては言いにくいのかもしれませんが、でもやっぱり司法全般の問題について統括するのは大臣ですから、その方向性は、大臣としての御意見はここは伺っておかなければならないと思います。どうぞ大臣。
#50
○国務大臣(江田五月君) 木庭委員と最高裁事務総局の方とのやり取りを聞いておりまして、ただただ裁判所頑張ってほしいと、そういう思いでいっぱいでございます。
 やはり、増員計画、十年間ここまでやってきて、しかしその間、こういうことを目指したいということが十分できていないという、これは、私ども裁判所を言ってみれば側面から支援をする立場にある者としても、最高裁判所を始めとする裁判所全体に本当に頑張っていただいて、しっかりと関係当局とも交渉していただき、もし必要なら私どももそのお手伝いもして、本当に専門的事件においても審理が迅速化される、その他、国民の期待にこたえる裁判所に、もちろん今期待にこたえていないとは申し上げませんが、しかしもっとこたえることのできる裁判所にしていただきたいと、つくづくそう思っております。
 ただ、これはあくまで行政府として司法に介入するつもりで言っているわけじゃありませんで、私の望みでございます。
#51
○木庭健太郎君 裁判員制度にかかわる問題もお聞きしたかったんですが、ちょっと時間。
 一つだけ聞いておきましょうか。
 裁判員制度が始まって、それに伴って増員したと。ところが、どうも地裁ごとに事件、想定した数と随分違ってみたり、例えばそれを受けて、今度東京の方ですか、東京地裁では合議体を減らしてみるとかいろんなことが変化はあっているようでございますが、やはりこの裁判員制度、今のところまだ二年ぐらいなんですが、始めようとしたその当初の段階と実際にやってみて違った点も随分出てきているような思いがします。もちろん、基本的には増員という問題が基本にあるんですが、それとともに、やはりその裁判所ごとにいろんな過程があるというようなこともこれ一回いろんな意味で調査をし、見直すべきところに来ているんじゃないかという思いがいたすんですが、この点について最高裁判所からお話を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#52
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘のとおり、裁判員制度施行後二年ということで、もうこの間千七百件の事件が審理されました。その中には、いわゆる否認事件、複雑困難な否認事件あるいは非常に重大な刑が言い渡される事件ということも行われてきたわけでございます。
 一方で、今、事件数ということでいきますと、委員御指摘のように、庁の間ではそれぞれやっぱり、例えば東京地裁はよそより必ずしも多くない、他方で隣の千葉では大変事件が増えているというような状況があります。こういったものにつきましては、今御指摘のように、この百五十名の増員いただいた中で、非常に柔軟に人的体制をきめ細かく配置を見直すということをやりまして、各庁の事件処理体制に今問題が起きないように我々配慮しているところでございます。
 具体的な審理につきましては、一時、未済事件が非常にたまるというようなことがございまして、これは、一つは公判前整理のやり方についてこれは法曹三者まだ必ずしも慣れていないという点がございまして、かなり慎重になったという要素もございますが、これも徐々に改善の方向に向かっております。
 こういった点で、若干我々が想定しておるよりは個々の事件に掛かっている時間というものもこれはまだ長く掛かっているような点、認識をしておりますが、こういった点も含めまして、裁判員制度につきましては、その具体的な審理の在り方について検討するとともに、それに応じた我々人的体制についてもきちんと整備をしていくことを検討してまいりたいというふうに考えております。
#53
○木庭健太郎君 終わります。
    ─────────────
#54
○委員長(浜田昌良君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、古川俊治君が委員を辞任され、その補欠として高階恵美子君が選任されました。
    ─────────────
#55
○桜内文城君 まず、裁判所職員の定員数を増加させる背景について、戸倉総務局長にお伺いしようと通告もしておるんですが、既に古川委員からも同趣旨の質問がなされておりますので、時間の関係もありますので、そこは省略させていただきます。
 特に、民事訴訟におきまして、過払い金返還請求訴訟が激増しているというふうに聞きますけれども、その実態について、例えば件数ですとか金額等についてどうなっているのか、御教示お願いいたします。
#56
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。
 過払い金事件という形で統計を取っておりませんので、過払い金事件がかなりの割合を占めていると考えられます金銭その他の事件の累計についての数字でもってお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、事件数でございますけれども、御指摘のとおり平成十八年以降急増しております。全国の地方裁判所に提起された金銭その他の事件の事件数は、平成十七年には三万八千三百六十八件であったのが、平成二十一年には十三万九千八百二十五件にまで増加いたしました。平成二十二年には、若干減少して、十二万五千八百七十三件となっております。
 次に、請求の平均額でございますけれども、統計上の制約がありますので正確な数字を申し上げることは困難ではございますけれども、例えば訴額が五百万円までの事件については実数値に基づき、五百万から一千万円までの事件、一千万円以上の事件については、それぞれ七百五十万、二千万を代表値に設定した上で、訴額の平均額を推計してみますと、平成二十二年では約二百六十万円という数字が得られます。
 最後に、訴訟のてんまつでございますけれども、平成二十二年に判決で終局した事件が全体の二七・五%を占めております。そのうち原告の請求が全部又は一部認容された事件の割合は九三%となっております。判決で終わったもの以外の大部分は、和解又は取下げで終わっておりますが、経験的にはこれらのうちのかなりのものが原告の請求が満足される形で終局しているものと思われます。
#57
○桜内文城君 続いて、法務大臣にお尋ねいたします。
 今、お聞きになりましたとおり、過払い金請求訴訟、非常に件数も、そして金額的にも大きいものがございます。この四、五年といいますか、で見ましても、恐らく、これしっかりとまだ統計を取っていないということ自体も私は問題だと考えますけれども、それはさておき、一年間当たりどのぐらい過払い金請求訴訟によって支払がなされているのか。先ほどおっしゃいました数字から推計しますと、年間約三千億円前後、あるいは超えるんではないかというふうに考えられます。これが四、五年続いておるわけですので、恐らく一兆円軽く超えているような状況になっておると思われます。
 これに対して私がお尋ねしたいのは、弁護士会あるいは弁護士の報酬の関係、報酬金ですね、の関係でございます。非常に高率の報酬金を手にしていらっしゃる弁護士もたくさんいると聞いております。また、一部には、実際の原告と申しますか、請求を申し立てた方に十分な情報を開示せずに非常に高額の報酬金を手にしていらっしゃるとの批判も報道等で出てきておるところでございます。
 この四月一日に施行されました日弁連の規程がございまして、その十五条では、過払い金報酬金として「二十五パーセント以下の範囲内で」というような文言がある。ということは、逆に言うと二五%以上取っていた事例も恐らくはこれまであったんではないかというふうに推測されるところでございます。
 これらについて、弁護士あるいは弁護士会においてこの期間どのぐらいの報酬金といいますか売上げがあったのか、その利益率等について法務省として把握されているかどうか、まずお尋ねいたします。
#58
○国務大臣(江田五月君) 弁護士の報酬というのは、これはもう委員御承知のとおり、原則としては各弁護士が個々の事案に応じて依頼者との合意によって定めるものでございまして、さらにまた、消費者金融の過払い金返還請求訴訟というそういうカテゴリーというのが社会にはあるんですが、今の最高裁の統計といってもなかなかそういうことで事件がふるい分けられないというようなこともあって、なかなかその実態というのは統計的に正確な把握の仕方が非常に困難でございまして、弁護士報酬というのはそういう個々の相対の契約で決まるものでもあるということもあり、過払い金返還請求訴訟の弁護士報酬の実態は把握をすることは大変困難でございます。
 しかし、困難だと言っているだけではいけないんで、いろんな報道の関係、あるいはいろんな人の生の声、そういうものを聞いておりますと、確かにこの報酬に関していろんな問題があるということは察知されるわけでございまして、しかしこれは、それを察知したからどうというんじゃなくて、やっぱり日弁連においていろんな努力をしていただきたいということで、日弁連において批判がいろいろあることに鑑み、主として過払い金返還請求事件における弁護士報酬額を適正化するため、本年二月に今委員おっしゃいました債務整理事件処理の規律を定める規程というものを定めて上限の定めなどを行っておると、そういう取組をしているものと承知をしております。
 法務省としては、日弁連が引き続き適切な対応をすることを期待をしております。
#59
○桜内文城君 その方向で法務省としても対応していただければ幸いでございます。
 なぜこのようなことが起きるのかということから考えますと、やはり弁護士自治の範囲がやや曖昧な部分が多いのではないかというふうに考えております。昨日質問通告の折に法務省の方にもお尋ねしましたけれども、弁護士自治の原則というのは一体法的な根拠としてどういったところにあるのかということで一緒に弁護士法なども見ておったわけですけれども、特に明確な根拠、これだっていう条文がなかなかないんですね。
 ただ、私が考えますに、これは意見として申し上げますけれども、弁護士がなぜ独立して職務を遂行することが認められているのかということを考えますと、やはりそれは社会正義の実現、もうちょっと具体的に言いますと、例えば政府から介入されないように、政府から例えば政治的な自由あるいは言論の自由が侵害されそうな方がいたときに権力と対峙していくという非常に重要な役割を担っているからではないかというふうに私は考えております。
 ただ、その観点からしますと、こういった弁護士の報酬ですとか、あるいは先ほど話ありました修習生の貸与制かどうかというのは、これは経済的な利益に関する事柄でありまして、直接、例えば憲法訴訟上にありますようないわゆる二重の基準論、精神的自由とそれから経済的自由において、特に精神的自由あるいは政治的自由についてより厳格に考えていくべきじゃないかというふうなことからしますと、このような今回の過払い金請求訴訟によって貸金業という一つの業種が消滅したんですね。まあそれはいい面もいっぱいあったと思うんですけれども、それだけの経済的なインパクトがあったのは確かです。これに対して、その報酬というものが法務省もほとんど把握できていないということが、私はそこが問題だと考えております。
 私は会計士補でして、会計士の端くれでありますけれども、公認会計士の場合、もちろん職務の独立性というのはあるんですけれども、プロフェッションとしてあるんですけれども、同時に日本公認会計士協会の懲戒の規則とともに金融庁によって監督されるという部分もあります。なぜならば、公認会計士の目的というのは資本市場を守る、公正な資本市場をつくっていく、こういった公益にあると私は考えておりますけれども、弁護士も恐らく先ほど言いましたような社会正義を実現するという意味で公益に携わっているプロフェッションとして独立性が認められているわけですけれども、こういった経済的な利益についてまで法務省が口出しできない、あるいは情報開示すら十分に求められないという現状は改めるべきだと考えますが、大臣の所見をお伺いいたします。
#60
○国務大臣(江田五月君) 本質的な問題点を指摘をされたと思っております。ただ、社会正義の実現を超えて、私は、自由な社会というものにおける公権力の在り方という、これはもう桜内委員がいろいろなところで御指摘いただいていることでございますが、その辺りにかかわってくることだろうと思っております。
 弁護士自治というのは、やはり弁護士という、これはもちろん一人一人の人権の保障であり、裁判の場でまさにもう検察官と真っ正面から向き合う職種であり、そしてそれだけではなくて、社会のいろんな隅々で、弁護士がそれこそ正義の実現、時には社会から見ると、おいおいそこまでやっていいのかというようなことをあえてやる、それをやることによって私の言いたいことがやっと言えたという、そういう人もいるわけですから、そういう立場に立つ弁護士活動というもので、これは弁護士一人一人の自治もありますが、やっぱり弁護士会自治、これが非常に重要なことで、そこに我々は極力介入をせずに、そこは頼みますよと、そういう重要な役目を弁護士会は担っているし、弁護士は担っているんだよと、こういうことを自覚をしてやってくださいよという思いで見守っていく以外にないものだと思っております。
 さはさりながら、報酬はちょっと物言ってもいいんじゃないかと言われますが、やっぱり報酬というのは、そういう弁護士さん方が自分の生活を立てながら、子供を養いながら自分の人生を全うしていく一番の基礎ですから、そこに対して余りいろんなことは言いたくない。しかし、世の中が、いやいや、しかしこの今の過払い金請求事件の報酬などでこんなむちゃがあるじゃないかという声が聞こえる。これはやはり何かしらのことは、希望の表明ぐらいはさせていただくことはあっていいのかなと思ったりしております。
 日弁連において、今、先ほど御意見が、御議論があったようないろんな報酬規程について一定のアクションを起こされ、そしてそういうことに従って過払い金請求訴訟においても弁護士報酬の適正化が今図られているんだろうと期待をしているところでございます。
#61
○桜内文城君 大臣のおっしゃるとおりだと思っております。
 一言だけ付け加えますと、言わば、やはり弁護士会ですね、日弁連さん、大変に政治的な力もお持ちの業界といいますか団体でもありまして、例えば昨年の貸与制に関する話におきましても、私はあえて本会議でも反対討論に立たせていただいたところでありますけれども、それほど非常に政治的な力をお持ちの団体であり、たまたま宇都宮会長が私同郷の出身だと知らなかったんですけれども、そうやってけんか売ったりもしたんですけれども、少なくともやはり業界の売上げ動向ですとかあるいは利益水準ですとか、個々の報酬あるいは個々の弁護士が幾ら稼いでいるかというのはもちろん開示する必要はないんですけれども、業界全体としてどういった状況にあるのかということぐらいは情報開示を求めていっていいんではないかなというふうに考えていることを意見として申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#62
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、震災対策について一点お聞きしておきます。
 先ほどありましたように、今後法律相談が非常に増加をしていくという中で、法務省としてもしっかり対応をお願いをしたいんですが、裁判所としてどうするかという問題です。
 特に民事調停事件の増加等が予想されるわけですが、阪神大震災のときも同じようなことがありました。当時はどういう対応をしたのかというのが一点。それから、今後、東日本大震災ではどのような、特に人的体制が必要だと思うんですが、お考えか、まずお願いします。
#63
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 阪神・淡路大震災の際には、これは調停事件が非常に増加するという予測がございまして、実際に事件は非常に増えております。それに対応するために、平成七年四月に、神戸地方裁判所と簡易裁判所にまたがって裁判官四名、書記官八名等で構成されます震災事件処理対策センターを設置いたしまして、震災関連の調停事件等を集中的に取り扱う体制を取ったところでございます。
 これに対しまして、今回の震災に関しましては、これはもちろん阪神・淡路のときの例を参考にしまして事件の予測等もしておるわけでございますが、今回はやはり震災の被害が非常に広範囲に及んでおる、被災の状況にも、必ずしも同じようではないという点がございます。
 あと、そういった点も踏まえまして、今いろんな観点からどのような事件が増えていくかということは、例えば弁護士会に来ている法律相談であるとか法テラスとも情報交換をいたしまして、どういう相談が来ておるかというのを情報収集いたしまして、今後起き得る法的紛争を予測しております。
 これに応じまして、我々、当然これをそういう紛争が提起された際には裁判所としても適時適切に対応できるように、あるいは裁判官あるいは書記官等の職員の配置人数の増加であるとか、あるいは応援体制を構築するといった体制整備についても早急に検討してまいりたいというふうに考えております。
#64
○井上哲士君 広範囲かつ長期にわたりますので、是非きちっと対応していただきたいと思います。
 それで、裁判官の増員の問題ですが、十年間で五百人増やすという最終の年になるわけですね。果たして司法改革審議会の意見書が求めた二十一世紀の日本を支える司法制度にふさわしい裁判所の人的体制ができているのかという問題です。
 当時、五百人増やすという際に、裁判官の負担の軽減、それから合議率を五パーから一〇パーに引き上げる、そして審理期間の短縮という三つのことができるということが言われておりました。審理期間については先ほど答弁がありましたので、負担軽減、手持ち事件数が実際具体的にどうなっているかという数を出していただきたいのと、合議率はむしろ下がっているという答弁もありました。もう一つ、特例判事補の解消というのも目標に上がっていたと思うんですが、これが一体どうなっているのか。
 ですから、手持ち事件数の具体数と特例判事補、この二点、お答えください。
#65
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判官の手持ち事件数につきましては、例えば一番繁忙と言われている東京地裁の例で申し上げますと、平成十三年が、これ民事通常部でございます、平成十三年が約百八十件でありましたものが、平成二十二年には約二百八十件ということでございます。ただ、この二百八十件のうち三十件程度は昨年十月に会社更生手続の開始決定を受けた貸金業者に対する過払い金返還請求事件でございますので、これらの事件は訴訟手続が中断しておりますので訴訟手続が行うことができませんが、これは更生手続内での更生債権の確定が成りますとこれは実質的に終局するというものでございますので、実質的には約二百五十件ということでございます。
 次に、特例判事補制度の見直しにつきましては、これは最高裁といたしましても、一方で事件処理要員を確保しつつ解消していくという現実的な視点に立って計画的、段階的に今解消するということをやっておりまして、当面は特例判事補が単独訴訟事件を担当する時期を任官七年目ないし八年目にシフトすることを目標として見直しを進めているところでございます。
 この結果、東京、大阪、名古屋を始めといたします大都市本庁におきましてはほぼこの目標を達成することができる状況になっております。しかしながら、弁護士任官者の確保が進まないといった判事の体制の確保という問題もございまして、大都市部以外の裁判所では見直しはまだ道半ばと言わざるを得ない状況でございまして、これについては引き続き取組を継続していく必要があるものと考えております。
#66
○井上哲士君 人数はどうなっていますか。特例判事補の人数。
#67
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 特例判事補の人数は、これは平成十四年が四百十八名でありましたものが、平成二十二年は四百五十四名でございます。
 特例判事補自体は、判事補のうち五年を経過した者について特例の指名をするということでございまして、先ほど申し上げたのは、そういう特例判事補にどういう仕事をさせるかという点で、従来は特例が、付きたての五年目、六年目の者が単独事件を処理しておったものを、もう少しこれは後ろに倒していくという、そういった観点で今施策を行っておるものでございます。
#68
○井上哲士君 しかし、結果としては解消というのが増えているというのが現事態なわけですね。
 それで、先ほど都市部の裁判官の手持ち事件が増えているという数も出ました。一方で、審理期間は短縮が進んだというのが先ほど来の答弁なんですが、やっぱり求められたのは、充実、迅速化なんですね。
 果たして審理の充実が進んでいるのかと。合議が減ったというのは、むしろ減ったというのは先ほどもありましたが、更に聞きますが、地裁での処理事件数のうち証人尋問、それから当事者尋問、それから鑑定実施率、それを当時と現状について明らかにしてください。
#69
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 地方裁判所の民事第一審について今の数値を申し上げますと、まず証人尋問実施率は、平成十三年が一四・五%、これが平成二十二年は六・一%でございます。本人尋問実施率は、平成十三年が二一・七%、平成二十二年が九・四%、鑑定実施率は、平成十三年が一・二%、平成二十二年は〇・四%となっております。
#70
○井上哲士君 とても審理の充実が進んだと言える実態ではないと思うんですね。最高裁は当時も、大体一人の手持ち事件数は百三十程度が適当だとしていたと思うんですが、手持ち事件数が逆に増え、裁判官は忙し過ぎるという下で、にもかかわらず審理期間の短縮は一定進んだという中で、結局、この審理の充実というのが犠牲になっているというのが現状じゃないんでしょうか。
#71
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 審理期間は短縮しております。事件も急増しておって、これ自体は確かに負担が重くなっておりまして、そういった点は裁判官の審理の在り方にもいろいろな負担となって表れるわけでございますが、ただその内容は、先ほど来申し上げておりますように、過払い金事件が中心に急増したということもございまして、過払い金事件については他の訴訟運営と比べて若干審理の仕方がもうかなり定着し定型化しておるという点もございまして、そういった点も負担の点では考慮しております。
 ただ、やはり、いずれにしましても、証人尋問実施率あるいは鑑定実施率等につきましては、これは個々の裁判体の判断ということになるわけでございますが、大きな流れといたしましては、新民訴法施行以来の争点整理の充実あるいは集中的証拠調べの実施といった訴訟運営の合理化といったものが、これは弁護士の方々の御協力もあってこれが浸透していった成果ではなかろうかというふうには考えております。
 ただ、我々といたしましては、やっぱり裁判官の不足によって必要な証拠調べが行われないというようなことがあってはならないというふうに考えておりまして、こういった点については、審理期間の点だけではなく、やはり手続に対する当事者の納得ということもこれは重要な問題だというふうに理解しておりますので、この点については今後ともよくバランスを取って行うということを心掛けてまいりたいというふうに考えております。
#72
○井上哲士君 弁護士の方や当事者からはもうちょっときちっと鑑定とかやってほしかったとかいう声も随分聞くわけで、やはりなかなか裁判官が忙しいという中でそういうところがおろそかになっているケースが多々あるんじゃないかということを非常に危惧するわけで、ですから、全体としてやっぱり件数も増えている、先ほど来ありましたように、事件数が増えればもっと増員が必要だということが当時から言われていたわけですし、しかも全体、また複雑で専門的な事件も増えているということからいえば、より充実した審理などもする上でも更なる増員が必要だと思いますが、どういうふうな計画を持っておられるんでしょうか。
#73
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘のとおり、これはやっぱり事件数は今後とも、過払い金事件についてはやや傾向がちょっと変わったように見受けられますが、いずれにいたしましても、弁護士人口の増加というようなことを考えますと、中長期的には事件が増加していくというふうに我々も、裁判所としては認識しておるところでございます。
 また、事件の内容も更に複雑困難ということでありますので、例えば合議事件の処理体制を拡充するといったことも考えていかなければならないわけでございまして、そういった点で我々としても、今後とも裁判所に与えられた機能を十分に果たし、国民の期待にこたえることができるような中長期的に必要な人的体制の充実を図っていかなければならないというふうに考えております。
#74
○井上哲士君 その増員の上で、私は支部の充実というのをどう位置付けるかというのがあると思うんですね。
 今地方では裁判官が常駐していない支部が二百三のうち四十六もありますし、月に数回しか裁判が開けない支部もあると。ですから、その日に各種事件が集中して、裁判官が多忙を極めて十分な審理時間確保できないとか期日が相当先にしか決まらないなどの弊害もありますし、七割の支部はもう合議事件を取り扱っていないと。ですから、医療過誤とか民事再生など複雑な事件を取り扱わないという支部も増えているということもお聞きをしております。
 住んでいる地域によって裁判を受ける権利に大きな格差が生じているというやっぱり実態があると思うんで、裁判官を中長期的に増やすという中でこの支部機能の充実強化ということを柱に据えることが必要だと思いますが、その点、いかがお考えでしょうか。
#75
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判所といたしましても、これは本庁だけでなく、全国津々浦々まで均質な司法サービスを提供するということが我々の使命だというふうに考えておりまして、支部の事件処理体制の充実ということも、その審理の状況あるいは審理期間その他内容を見ながら、これはきめ細かく考えていかなければならないというふうに認識しております。
 ただ、今委員御指摘のように、裁判官全体の配置を考えますときには、やはりこれは裁判所も予算で運営される公的な機関ということで人員の有効活用ということを考えていく必要がございまして、その結果、事件数がやはり一人分に満たないというような庁については近隣の庁から出張するという体制を取らざるを得ないということもあるわけでございますが、こういった庁につきましても、事件数の動向に応じまして出張する回数を、これを柔軟に見直していくということもやっておりますし、また、いわゆるDV事件あるいは令状事件その他の緊急事件などがあった場合には、これは臨時にでも出張して事件を処理するという体制を取るなどして、これはほかの庁とサービスにおいてそんな遜色のないようにやってきておるところでございまして、今後ともそのような考えで進めてまいりたいというふうに考えております。
#76
○井上哲士君 この間、逆に地家裁の支部や簡裁など身近な裁判所は減っておるわけで、やっぱり遜色がないという実態ではないと思うんですね。弁護士会はいろいろな努力してゼロワン支部などかなり解消されているわけですから、やはり裁判所の取組は私は立ち遅れていると思います。住んでいる場所でやはり裁判を受ける権利に格差が生じるということはあってはならないと思うんです。
 最後に、大臣にお聞きするんですが、やっぱり司法制度改革の当時は、推進本部も総理を本部長につくられてやられました。今後、それにふさわしい予算と体制がずっと確保されていくんだろうと思っていたんですが、その後、推本もなくなり、なかなか全体としての推進のセンターも発揮しないという中で、やはり必要な予算と人員を確保するということがどうもできてないと思うんです。
 十年たった今、改めてこの点をきちっとすることが必要だと思うんですが、そういう点で、特に司法予算全体の拡充をしていく、それを推進をしていくという点で大臣の現状認識と御決意をいただいて、質問を終わりたいと思います。
#77
○国務大臣(江田五月君) 司法というのは社会の一番基本的なインフラでございまして、その人的基盤の充実強化の実現、そのための予算の確保、これはもう不可欠でございまして、しかし今、井上委員始め今日の議論の中でも出てまいりましたが、委員各位の御指摘のとおり、まだまだ課題はたくさんあるということで、とりわけ裁判所の予算や体制の拡充については司法の機能が十分に果たせるため最高裁において適切に対応されるものと思っておりますが、委員御指摘のとおり、私も内閣の一員として、また法務を担当する大臣として十分協力をしていきたいと思っております。
#78
○委員長(浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#79
○委員長(浜田昌良君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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