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2011/04/19 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第7号
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2011/04/19 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第7号

#1
第177回国会 法務委員会 第7号
平成二十三年四月十九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     有田 芳生君     蓮   舫君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     難波 奨二君     江田 五月君
     蓮   舫君     有田 芳生君
     高階恵美子君     山崎 正昭君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     外山  斎君
     溝手 顕正君     若林 健太君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                金子原二郎君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                外山  斎君
                平田 健二君
                丸山 和也君
                森 まさこ君
                若林 健太君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
                長谷川大紋君
   国務大臣
       法務大臣     江田 五月君
   副大臣
       総務副大臣    鈴木 克昌君
       法務副大臣    小川 敏夫君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   植村  稔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務省民事局長  原   優君
       法務省刑事局長  西川 克行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法
 律案(第百七十六回国会内閣提出、衆議院送付
 )(継続案件)
○非訟事件手続法案(内閣提出)
○家事事件手続法案(内閣提出)
○非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴
 う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出
 )
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、難波奨二君及び高階恵美子君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君及び山崎正昭君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長原優君及び法務省刑事局長西川克行君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(浜田昌良君) 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は先国会において既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○木庭健太郎君 民事訴訟法の一部改正案の質疑に先立ちまして、東日本大震災の関係で今日も一つだけお伺い冒頭しておきます。
 実は、裁判員制度の、裁判員裁判の問題でございます。今も十万人以上の方が避難生活を余儀なくされておりまして、実質、裁判員裁判をやる場所の問題とかいろんなことも被害は出ているようでございますが、ともかく被災者の皆さんにとってみて、突然この裁判員という問題が来たときの問題というのは、これはなかなか不安感というのはあると思うんです。
 最高裁におかれましては、この裁判員裁判、こういう問題が起きたときに、裁判員法の中にこんな災害が起きたときはどう負担を免除するんだというような配慮するような規定が置かれているのかどうかということを伺っておきたいし、それとともに、また裁判員の呼出しの免除という問題について、今この大震災に関して様々な御検討を最高裁そのものもなさっているということもお聞きしております。
 ただ一方で、これ免除ということを認める、それはそれでやり方は当たり前のことだと思う一方で、これやり方を誤ってしまうとその負担が他の地域に波及するのかというような問題が起きてみたり、また一方で、裁判員となる意思がある人たちがある意味ではこれによって権利を奪われるとか、そんな問題も惹起する可能性はあると思うんです。
 したがって、どういう規定がなされているかということとともに、この被災地、どんな検討を今最高裁でされているのか、まず冒頭伺っておきたいと思います。
#7
○最高裁判所長官代理者(植村稔君) お答えを申し上げます。
 一部新聞でも報道されましたけれども、今、東北三県、岩手県、宮城県、福島県、大変な震災の被害を受けておられまして、そこで裁判員裁判再開に向けてどうしようか検討してきたところでございます。
 今のところ、関係機関、関係者と調整に入ったところでございますが、東北三県で裁判員裁判の事件を担当しています裁判体といたしましては、このような深刻な事態を考慮いたしまして、被災地域の方々にはくじで裁判員候補者に選ばれたとしても、当面、呼出し状の送付というのはしないという方針で調整に入ったものと承知をしております。
 なぜこのような方針で今それぞれの地裁が動いているかということでございますが、まず、今回の未曽有の震災によりまして非常に広い範囲に被災地域がございます、これ私がここで説明することもないと思いますが。住民の方々が今委員御指摘のとおり多数避難を余儀なくされると、こういう事態に至っておるわけでございます。被災地域への呼出し状の送達は大変困難でございますし、仮に送達できたとしても、勘弁してくださいというお答え自身きちんと届くかどうかという問題もございます。それから、裁判員候補者の方々の本庁までの出頭というのもこれまた著しく困難であるというふうに考えられます。
 そこで、委員御指摘のように、裁判員法を見てみましても明文の規定はないわけでございますが、一方、裁判員制度は国民の皆様に過度の負担を強いてはいけないということで、辞退制度というのを用意してございます。今回の措置につきましては、呼出し状の送達が非常に困難である、さらに裁判所への出頭も困難であると、こういう一定の被災地域に住所を持っておられる方々につきましては、当面の緊急の措置といたしまして、事件を担当している裁判体の判断で、実質的に見て、辞退があった場合と同様の取扱いをさせていただくことでどうだろうかということでございます。
 ただ、これは裁判体だけで決めればいいという問題とは思っておりませんので、それぞれのところで関係機関、それから関係者の皆さんと調整に入って、皆さんの御理解をちょうだいした上で最終的にそのような方針に決めていきたいと、このように聞いております。
 以上でございます。
#8
○木庭健太郎君 今回、想定しなかったことが起きたということで、そういった方向になるんだろうと思います。是非、本当に負担感掛けないようにそこはきちんとやっていただきたいと、それはお願いをしておきたいし、今おっしゃったような方向で、呼出しそのものも出さないという、極めて賢明な私は判断だと思っております。それはそれでやっていただきたい。
 ただ、大臣、今回想定したものがなかったので、今回は辞退することもできるという項目を使ってそれでどうにかやろうということになっているんですけど、やっぱりそういったことを考えると、今後こういった問題、それは二度と起きてほしくないです。でも、そういった問題も考えると、こういったときには出さなくてもいいんだというような規定を裁判員法そのものにもやはり設ける必要があるような気もいたします。
 そういった意味では、今後、裁判員法というのをきちんと見直すときに、こういったことも検討の課題としてひとつ検討していただきたいと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#9
○国務大臣(江田五月君) これは、この未曽有の大災害が起きた後、問題の指摘をされる向きもあって、私もいろいろ考えてみました。
 もちろん個別の裁判体がどういうふうに処理するかということで、余りくちばしを差し挟むべきものではないんですが、しかし、やっぱり事態が事態ですからみんなで知恵を絞らなきゃならぬというので、今最高裁の方から御説明があったように、一定の地域については一般的にこれはもう辞退事由があると。そして、辞退事由があって申立てがあれば辞退を認めるというんですが、もう申立てといったって申立てすることも非常に困難な状況ですから、これはもう一定の地域について個別に、裁判員になることは国民の権利でもあるから、私はやりたいんですという人がいればそれは裁判員候補の中のリストから外すことはないんですが、やっぱり呼出しをやめようという、そういう処理でいかれるということは私も委員同様、非常に適切な措置であって、そういう措置が法律上明文というわけでもないけど、しかし辞退事由の記載の中に読み込むことはできるわけで、今何か法改正をしなければこういう事態に対応できないということではないので、御指摘は受け止めながら、しかし、今すぐ必要かと言われるとそうでなくて、裁判体において適切な処理をしていかれるものと期待をするというところにとどめておきたいと思っております。
#10
○木庭健太郎君 大臣のおっしゃるとおりです。私も今すぐにとは申しません。
 ただ、今回こういう対応をせざるを得なかったという状況を踏まえるならば、今後裁判員法を見直すときには是非ひとつそういったことも、例えば事由の中に掲げるとか、やりようはあると思うんです。その辺は是非今後の課題としていただきたいということを要請をしておきたいと思います。
 さて、本法律案ですが、本法律案は財産上の訴えを対象としておるわけですが、人事訴訟等の財産権以外の訴えについては、人事訴訟法には国際裁判管轄に関する明文の規定がありませんで、実務上は最高裁の判例の準則に沿って運用がなされているというふうに私も認識しております。ただ、人事に関する訴えに対する国際裁判管轄も整備する必要があると思うんですが、この人事に関する訴えに対する規定がないことの理由について、まずちょっと伺っておきたいと思います。
#11
○国務大臣(江田五月君) 規定がないことの理由というのは、これはなかなか難しい御質問でございまして、今回は国際的な要素を有する財産権上の訴えと保全命令に関して定めたということでございまして、人事についてはこれから整備をしていく必要はあると。なぜ今回やらなかったというのは、ちょっとそこまでまだ手が届かなかったということだと思います。
#12
○木庭健太郎君 実は、百七十四国会でも、この人事の問題について当時の千葉法務大臣は何とおっしゃったかというと、家事審判法等の整備の状況等も併せつつ今後前向きに検討するというようなことをおっしゃって、さらに、当時、加藤法務副大臣は、人事に関する訴えの手続が家事審判手続に密接に関連していることから、現在、法制審に調査審議中の非訟事件手続法及び家事審判法の見直しに関する議論を踏まえて検討するとおっしゃっているわけですね。
 この非訟事件手続法、間もなく参議院でやるようになっているわけでございますが、この法案の中にはこういう問題は含まれているんでしょうか、今回出る法案については。
#13
○政府参考人(原優君) お答えいたします。
 今国会に御審議を願うことになっております家事事件手続法案の中には、国際裁判管轄に関する規定は含まれておりません。この家事事件手続法を成立していただきまして、その後に家事審判手続と人事訴訟を併せて国際裁判管轄についての規定を検討してまいりたいと考えている次第でございます。
#14
○木庭健太郎君 ただ、人事に関する訴えに関する国際裁判管轄について含まれていないということなんですが、この問題については、人事に関する訴えの国際裁判管轄について法制審の部会で議論したことがあるのかどうか。これも民事局長で結構ですから、お尋ねしておきたいと思います。
#15
○政府参考人(原優君) 人事訴訟について、具体的に法制審で取り上げて議論したということはないものと承知しております。
#16
○木庭健太郎君 ただ、議事録をちょっと読ませていただいたんですが、議事録の中にこういうのがあるんですね。人事に関する訴えについても国際裁判管轄を整備していく必要があり、非訟事件手続法及び家事審判法の見直しに関する議論を踏まえて検討するというようなことがこれ言われているんですが、百七十四国会の後、どのような検討をなされたのか。これも局長で結構ですから、教えてください。
#17
○政府参考人(原優君) この家事事件手続法案についての検討で申し訳ございませんが手いっぱいでございまして、今回御審議をお願いしております家事事件手続法の審議の中で国際裁判管轄についてまで検討する余裕がございませんでしたので、次の課題として検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。
#18
○木庭健太郎君 大臣、だからちょっとそういう意味では、本来は百七十四国会以降、実はこの人事の問題というのは委員会でも様々、各委員、私どもの党だけじゃなくて指摘をされて、とにかく必要性はあるよ、少なくとも検討は進めなくちゃいけないよということを申し上げていたんですが、どうもお話聞いているとなかなか進んでいないと。これについてどんなふうに今後お考えかを大臣から聞いておきたいと思います。
#19
○国務大臣(江田五月君) 御指摘はまさに正鵠を射ておると思います。委員各位の大変な御配慮をいただいて、今日にも非訟事件と家事事件の法案の審議に入っていただくというふうに承知をしておりまして、この家事事件手続法案が成立をされますと、その施行状況を見て検討していきますが、同時に、一つ付け加えておきますと、今年度の予算で人事訴訟事件についての国際裁判管轄に関する外国法制等の調査研究業務と、これが予算措置を講ぜられました。
 したがって、この予算でどういう検討をしていくか、これはもう予算付けていただいているわけですから、待ったなしの課題として取り組むように指示をしていきたいと思っております。
#20
○木庭健太郎君 もう一方で、ちょっと確認でお聞きしておきたいのは、例のヘーグの管轄合意条約批准の問題でございます。
 百七十四国会の当時は、当委員会におきまして質疑を行っておりますが、当時は締結しているのはメキシコ一国であって、米国とEUが署名をしている状況であるというふうなお答えをいただいております。百七十四国会から少し進んでおるわけでございますが、この管轄合意条約の批准、現在の批准状況について、局長から伺っておきたいと思います。──じゃ、大臣が答えるそうですので。
#21
○国務大臣(江田五月君) この条約につきましては私も報告を受けているだけなんですが、メキシコが締結、米国とEUが署名をしているだけ、この状況はまだ変わっていないと。発効のためには三か国の締結が必要ということですので、まだ発効していない状況だと承知をしております。
#22
○木庭健太郎君 そうすると、我が国として、これについての批准なり批准に向けた取組ということは、これはどんなふうにお考えになられるのか。これについて、じゃ大臣から御答弁をいただきます。
#23
○国務大臣(江田五月君) これは、国際的な状況が今申し上げたようなことで、今回の法案自体はこの条約の規定も参照しつつ立案をしておりまして、しかしまた、この条約が管轄権に関する合意についての現在の国際取引の実態に、実務に合わないようなところもあると聞いておりまして、これから国内法と異なる規律の存在とかあるいは各国の今後の締結状況なども考慮しつつ、慎重に検討するというところにとどめておきたいと思います。
#24
○木庭健太郎君 最後にお伺いしておきたいんですけど、そうなると、我が国としてはこのヘーグの管轄合意条約というものに関しては、今の状況を見ていくと、締結する必要がなくなってきているんじゃないかとか、あるいは必要性が遠のいたというような御認識をお持ちなのかどうかということをお伺いしたいとともに、もう一つは、やっぱり二国間の条約というのは、これはできるだけ取引の安定を図っていくためにはやっていかなければならない課題だと思うんですが、つまり、本法律案が可決されたとしても全ての国との共通の基盤ができたことにはならないと思いますし、ある意味では近隣諸国や経済連携の多い国との二国間条約を作っていくことは必要なことであると思われます。
 今後、我が国としてこの二国間条約の締結の必要性ということについてどうお考えなのか、先ほどの条約そのものに対する締結の問題及び二国間条約の必要性の問題、大臣からお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#25
○国務大臣(江田五月君) 一般論として、やはり今こういう世界が一つになってきているわけですから、国際的なルールというものはなるべく整備をされていった方がいいと私は考えております。やっぱり国際ルールの中で日本は活動していくし、同時に国際ルールを作るということにも日本は参画をしていくことが必要だと思っておりまして、多国間条約の形式の国際裁判管轄の規律を定めるという、これは一つの考え方としては重要な考え方でございます。
 しかし、やはり現実を見ながら進まなきゃいけないので、今のこのヘーグ国際私法会議における交渉の経緯などに照らすとちょっとなかなか難しい状況にあるので、そこは、基本的な在り方としてはそういうものを作っていきたいと思いながら、やはり世界中を見て行動していかなきゃいけないわけですから慎重に考えていきたいと。
 次に二国間ですが、今回は、いろんな国際的な状況であるとか、あるいは各国の国内法であるとかブリュッセル条約等の内容を参考にして立案していますので、この法律が成立させていただけますなら、これに従って日本の裁判所がアクションを起こせば、それは、そうしたここで考慮に入れた国々との間は二国間条約がなくてもちゃんとこれでやっていけるということになります。二国間条約というのを一層事態を明確にするために結んでいくというのも一つの考え方ではございまして、それは検討の対象にはなると思っております。
#26
○木庭健太郎君 終わります。
#27
○桜内文城君 この国際裁判管轄に関する民訴法改正案につきまして、今日はややテクニカルな部分が多いものですから、原民事局長に主としてお尋ね申し上げます。
 まず一つ目でございますけれども、そもそも今回の改正案の立法趣旨と申しますか、聞いておるところによりますと、ヘーグ国際私法会議におきましてマルチの多国間の条約に関する交渉が行われてきたわけでありますが、先ほど江田大臣からもおっしゃいましたように、国際ルールを作っていく、それに積極的に我が国が関与をしていくということは非常に重要だと私も考えております。
 ただ、残念ながら、国際裁判管轄に関しますこの条約については特にアメリカが反対したという理由で失敗に終わっておるのが現状でございますが、これをあえて国内法でもってこのような規定を置いていく、その理由についてお尋ねしたいと思います。特に、本法案がヨーロッパ諸国間でのみ国際裁判管轄を規律するルガノ条約というものをベースとしておるということについて、その理由についてもお尋ね申し上げます。
#28
○政府参考人(原優君) 現在の民事訴訟法におきましては、国際裁判管轄についてのルールが法定されておりません。したがいまして、裁判所におきましては、国際的な要素を含む事件が提起されますと、ほとんどの事件で被告が国際裁判管轄を争うという事態になっているわけでございます。現場の裁判所は、最高裁判所が示した一般的な考え方に従いまして、個別の事案を踏まえて、当該事案について我が国の裁判所が管轄権を有するかどうかを具体的に判断するということになっておりますので、結局、裁判所の判断が示されませんと、当該事案について日本の裁判所の管轄権が認められるかどうかの予測可能性が付かない。また、こういった具合に裁判で本案前の問題として国際裁判管轄が争われますと、それだけ本案に入るまでに時間を要しますので、当該事案の解決にも時間を要するという、こういう状況がございます。
 そこで、今回、国際裁判管轄のルールを民事訴訟法に規定することによりまして、当事者の予測可能性を高め、国際的な要素を含む事件の適正、迅速な解決に資するようにしたいというのが本法律案を提出した趣旨でございます。
 この法律案を立案するに当たりましては、各国の国内法や条約を参考にして立案をしております。先ほど委員から御指摘いただきましたように、ヘーグ国際私法会議におきましてこの国際裁判管轄に関する包括的な条約を作成しようとする動きがございましたが、主として大陸法系の国々と米国との間の考え方の対立がございまして、包括的な条約を作成することができなかったという経緯がございましたので、今回、国内法でこのルールを明確化しようというものでございます。
 世界的な趨勢を見た場合に、大陸法系の考え方が趨勢ではないかということで、大陸法系の考え方にのっとった法案を提案している次第でございます。
#29
○桜内文城君 日本の貿易なり国際的な投資の相手国の大半はアジア諸国ですとかアメリカであります。そういった意味で、国際的な紛争、私法上の紛争というものは、むしろ今おっしゃいましたような大陸法系の国々というよりもこういったアメリカ等を始めとする国々が多いのではないかと考えます。そういった場合に、先ほどおっしゃいましたような大陸法系、ヨーロッパ諸国の間で規律している条約をベースにすることがそもそもいかがなものかというふうに考える点を指摘しておきます。
 次に三点、今回の法案につきまして問題と私が考えるところについて指摘させていただきます。
 一つ目が、国際的な商事取引におきまして、一般的に今回の三条の三、一号におきまして、契約上の債務の履行の請求を目的とする、こういったものが挙げられております。
 その場合、履行地が日本国内にあるときに裁判管轄が日本に認められるというような条文の立て方になっております。もちろん、これはその前の条文、三条の二におきまして、一般的な原則といたしまして被告の住所を手掛かりに管轄を決めていく、こういったものがございまして、それ以外の部分、むしろ例外といいますか、限定列挙として三条の三でいろいろと類型ごとに列挙されておるわけでございますけれども、特にこの商事取引の場合、いろいろと問題が恐らく起きるのではないかなというふうに感じております。
 例えば、四号におきまして事務所又は営業所、あるいは五号におきまして事業という文言が規定されておりますけれども、例えば取引の継続というのは一体どういう解釈になるのか。そういった点で、本当に日本の仮に原告が裁判を提起したいと思った場合に、きちんとその救済といいますかが図られるのか否か。要は、この三条の三の一連のホワイトリストと申しますか、列挙されております裁判管轄を認める事項がきちんと、日本の国で主として、ベースとして商事取引を行っている者の救済が本当に図られるのかなと。
 何が言いたいかと申しますと、現在国際的な電子商取引等々が非常に盛んになってきております。もちろん、その場合、外貨建ての取引も大変多くありますし、また、特に金融商品ですとかあるいは有価証券というものも今や電子化されておりまして、その履行地が一体どこなのか、特に外貨建ての場合、あるいは果ては私企業が発行いたしますポイントですとか、そういったものが一体どこで履行されるのか等々の解釈に恐らく疑義が生じてくる場合が多数これからあろうかと思っております。
 事前に法務省に大変時間をいただきまして説明も伺ったんですけれども、過去の判例上あるいは問題となった事案について十分に検討された上でこの条文を作成されたというふうに聞いておりますけれども、その努力を多としたいとも思いますが、しかし、今申しましたような国際的な商取引の電子化ですとか、大変大きな変化が見られるときに、過去の、民事訴訟法上の原則である被告の住所ですとか、あるいは履行地がどこにあるかとか、そういったものがなかなか、実際の日本で商売をする方々の利益を守ることがそれで本当にできるのか、私は疑問に感じております。この点について、民事局長の御見解をお聞きします。
#30
○政府参考人(原優君) この法律案におきましては、三条の二で原則的な規律を設けてございまして、住所等が日本にある場合には日本の裁判所が管轄権を有するとした上で、三条の三で付加的な管轄の規律を置いているわけでございます。訴えの類型ごとに応じた特別な規律を置くことによりまして、様々な場面に対応した国際的な裁判管轄のルールを立案したというふうに考えております。
 現状、民事訴訟法に国際裁判管轄に関する規定がございませんので、裁判実務におきましては最高裁の判例にのっとりまして、国内土地管轄の規定に依拠しながら、特別の事情がある場合には日本の裁判所の管轄権を否定するという、こういう一般論にのっとって個別具体的にそういう事情があるのかどうかを判断しているわけでございますが、これでは当事者にとって当該事案に日本の裁判所の管轄権が認められるのかどうか本当に予測可能性が立たないということになりますので、これまでの裁判例や諸外国の立法例あるいは条約に基づきまして網羅的に国際裁判管轄の基礎となる事由を検討していただきまして、日本の裁判所の管轄権を認めるべき事由をこの法律の中に盛り込んだわけでございます。
 もちろん、取引の形態が従来の対面取引からインターネットを通じた取引等に取引の態様が変わってきているわけでございますが、そういった問題につきましても、この三条の三の各号の規定を適用することによって具体的な妥当な解決が導かれるものというふうに考えております。
#31
○桜内文城君 この三条の三の各号が想定しているものが本当に全て日本の裁判を受けるべきもの、ここはまた法の解釈とは違った司法権という、ある種、三権といいますか、主権の一部の及ぶ範囲を決める規定でございますので、その国際的な関係という意味から、本当に妥当な結論が全て導かれるのか否かということについて私は疑問に感じておるところが残っております。そういった意味では、こういったホワイトリストといいますか、日本の裁判管轄を認めるための一般条項的なものを一つ置いておくべきではなかったのかという点は指摘させていただきます。
 そして、時間がありませんので最後に二つまとめてお聞きいたしますけれども、一つは、公海上の船舶の衝突事故の場合、特に不法行為地、それから損害の結果が生じたところが公海上、言わば日本の領海内にない場合。例えば、尖閣諸島沖で船をぶつけられました、航行不能になって一番近い台湾の港に引っ張っていかれました。そうすると、これは八号それから九号に関係してくるんですけれども、最初に到達した町が日本国内にないものですから、こういった場合に裁判管轄が認められないということになってしまいます。
 例えば、海上保安庁の船がこういったことになった場合に損害賠償を求めるというときに、東京地裁に訴えを提起できない、あるいは却下されるということが予想されるわけですけれども、こういった規定を置くことが本当に国益に資するのか否かという観点からお答えを求めたいということと、最後にもう一つですけれども、相続に関するホワイトリストと申しますか条文が十二号にございます。
 被相続人、要は亡くなる方ですね、の住所のあるところで裁判管轄を認めるという規定でございますけれども、国際的に見ましても、こういった相続に関する国際裁判管轄を規定する立法例というのは僅か一か国しかないそうであります、ヨーロッパにおきましても。こういった、特に相続に関しましては租税回避というものも予想されるところでもあるわけですけれども、こういった規定をわざわざ、ある種日本の裁判管轄を制約するとまでは言いませんけれども、他国に裁判管轄を認めざるを得ないような明文の規定を、あえて他国の立法例もない中でこういうふうに規定される理由について教えてください。
#32
○政府参考人(原優君) まず、海上での事故に基づく損害賠償請求でございます。
 当該事故が我が国の領海内で発生した場合を考えますと、これは三条の三の……
#33
○桜内文城君 公海上のと言いました。
#34
○政府参考人(原優君) 順番に御説明させていただきます。
 領海内で発生した場合には、三条の三の八号の不法行為に関する訴えの規定に基づきまして我が国の裁判所の管轄が認められることになります。
 委員がお尋ねの公海上で生じた場合はどうかということですが、九号の規定で、損害を受けた船舶が最初に到達した地が日本国内にあるときは日本の裁判所が管轄権を有すると、こういう規定になっておりますが、公海上での事故の場合の損害賠償請求で日本の裁判所の管轄権が認められる場合はこの九号の規定が一つの場合でございまして、それ以外に管轄が認められないわけではないわけでございます。
 例えば、衝突事故によりまして人的な損害が生じたというケースで……
#35
○桜内文城君 さっきは物的な損害と言ったわけですよ。勝手にケースを作らないでください。
#36
○政府参考人(原優君) はい。人的な損害が生じた場合には日本が結果発生地になることがございますので、日本に管轄が認められる可能性が八号の規定でございます。
 人的な損害について日本の管轄が……
#37
○桜内文城君 だから、物的な損害がと言ったじゃないですか。
#38
○政府参考人(原優君) はい。認められるときには、物的な損害につきましても併合請求の管轄権の規定、これは三条の六の規定でございますが、これによりまして日本の管轄権が……
#39
○桜内文城君 だから、物的な損害しか生じない場合をさっき言ったんですよ。
#40
○政府参考人(原優君) はい。そのほか、例えば、外国の船舶の所有者等が日本に財産を有している場合であれば、三条の三の第三号の規定で日本の裁判……
#41
○桜内文城君 勝手に仮定を付けないでください。
#42
○政府参考人(原優君) はい。ですから、いろんな……
#43
○委員長(浜田昌良君) 答弁者は明確に答えてください。
#44
○政府参考人(原優君) 分かりました。いろんな事案が考えられますので、この三条の三の規定の各号を使って、日本の裁判所の管轄が認められる場合が相当あるのではないかというふうに考えております。
 先ほど、我が国の裁判所の実務ということを御説明いたしましたが、最高裁判所は国際裁判管轄につきまして、我が国の民訴法の規定する裁判籍のいずれかが我が国国内にあるときは、原則として我が国の裁判所に提起された訴訟事件について被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であると、こういうふうに判示しております。
 現在の国内の土地管轄の規定を見ますと、海上の船舶同士の事故については、損害を受けた船舶が最初に到達した地の裁判所に管轄を認めているわけでございます。これは民訴法の第五条第十号の規定でございます。
 したがいまして、この最高裁判例の下でも、本法律案と同様の結論になるものと考えられるところでございまして、本法律案は、特に御指摘のような事案について、日本の裁判所の裁判管轄を現在よりも制限しようというものではございません。
 また、日本の裁判所の管轄権が及ぶ範囲を定めるに当たりましては、その規律が外国裁判所の確定判決を承認、執行する際の基準となることにも留意する必要がございます。仮に、公海上での日本船舶が絡む事故全般につきまして、日本の裁判所が国際裁判管轄を有するような規律を置いたとしますと、同種の事案について外国の船舶が当該外国において……
#45
○委員長(浜田昌良君) 答弁者は質問に明確に答えてください。質問以外は答えないでください。
#46
○政府参考人(原優君) はい。ということで、その外国判決の承認、執行の場面でも考えなければいけないということで、九号の規定をそのまま委員御指摘のことにやれば、最初に到達した地が日本でなければ管轄権を認められない、それは御指摘のとおりでございます。
 それから、相続に関する規定が十二号と十三号にございます。これは、相続に関しましても国際的な要素を有する事案が増えてきておりますので、これについても規定を置くのが相当であるという判断から規定を置いた次第でございます。
#47
○桜内文城君 終わります。
    ─────────────
#48
○委員長(浜田昌良君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、江田五月君及び溝手顕正君が委員を辞任され、その補欠として外山斎君及び若林健太君が選任されました。
    ─────────────
#49
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 民事訴訟法の改正案については、国際的な民事紛争を裁判所の管轄権を定め、ルール化することは必要であり、紛争解決に役立つものだと思います。特に、消費者や労働者の権利保護に配慮した特例を新設するなど国民的利益にかなうものでありますから、賛成であります。
 そこで、民法と国民の権利に関連して質問をいたします。
 民法の改正によりまして、従来の禁治産制度を改正する形で成年後見制度が九九年に創設されました。この制度の理念、目的というものはどういうものなのか、まず法務大臣にお聞きします。
#50
○国務大臣(江田五月君) 成年後見制度は、認知症であるとか知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方々、これを保護する必要があるというのが、保護し支援する制度をつくるというのがその理念でございます。
 これは、こういう方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、あるいは身の回りの世話をしてもらうためのサービスや施設への入所に関する契約を結んだりする必要がある。しかし、自分でこれらのことをするのが難しいという場合があるわけで、後見人等がその判断能力の不足を補うということにしておりまして、平成十一年、一九九九年の民法改正前はこの制度に当たるものとして禁治産、準禁治産というものがありましたが、これが十分利用されていたとは言い難い状況にあったので、自己決定の尊重あるいはノーマライゼーションといった現代的な理念を十分考慮して、これらの理念と本人保護の理念との調和を図りながら柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度にしようと、こういう目的で現在の成年後見制度が導入されました。
#51
○井上哲士君 自己決定の尊重、そして本人の保護、権利擁護が理念にあるわけですね。
 ところが、逆に権利が奪われるという事態が起きております。公選法の十一条一項の禁治産者は選挙権及び被選挙権を有しないという条項をそのまま引き継ぎましたので、被成年後見者も選挙権を奪われるということになっております。先日、成年後見を付けて選挙権を失ったのは憲法違反だということで、四十八歳の女性である名児耶匠さんが東京地裁に訴えも起こされました。
 なぜ、その禁治産の制度から発展をさせて自己決定の尊重そして本人保護という理念を掲げたにもかかわらず、その古い規定をそのまま受け継いで、この選挙権を奪うという規定を見直すことをしなかったのか、総務省来ていただいておりますが、いかがでしょうか。
#52
○副大臣(鈴木克昌君) 御答弁させていただきます。
 今委員おっしゃったように、公選法第十一条、申し上げるまでもなく、成年被後見人については選挙権及び被選挙権を有しないというふうにされておるわけであります。
 そこで、お尋ねの、なぜ平成十一年の民法改正以前が、禁治産者についてはその要件が心神喪失の常況にある者であるから、行政上の行為をほとんど期待できないため、選挙権及び被選挙権を有しないこととされておったわけであります。
 この改正によって禁治産者というのは成年被後見人と呼称が変わったわけでありますけれども、その定義を、委員十分御案内のように、心神喪失の常況にある者から、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に改められたわけでございます。その対象は一致をするということでありまして、選挙時にいわゆる個別に能力を審査するということも事実上困難であるということから、従前の禁治産者同様、選挙権及び被選挙権を認めないとされているところでございます。
#53
○井上哲士君 当時の法改正のときも同じ答弁だったんですね。その後、しかし、国民の選挙権の保障について重要な判決がありました。海外在住の日本人の選挙権について争われた二〇〇五年の最高裁大法廷の違憲判決ですね。こういうふうに述べております。
 憲法の趣旨に鑑みれば、国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されず、国民の選挙権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきであると。そして、そのような制限をすることなしに選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り、上記のやむを得ない事情とは言えず、このような事由なしに国民の選挙権の行使を制限することは憲法に違反すると。非常に厳しい基準を示したわけですね。
 選挙の公正を確保できない事情がない限り制限してはならないと言っているわけでありますが、なぜ被成年後見人が選挙権を持つことが選挙の公正を確保できない事情に当たるんでしょうか、総務省。
#54
○副大臣(鈴木克昌君) 御指摘の最高裁の判決にそのような記載があることは承知をいたしております。一方で、御指摘の最高裁判決は在外の国民の方々の選挙権の行使について争われたものでありまして、成年被後見人の方々の選挙権の有無について直接に判断をされたものではない、このように考えております。
 繰り返しになりますけれども、先ほどのように、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者ということが成年被後見人でございますので、従前から選挙権及び被選挙権を認めないということでありまして、そのことには一定の合理性があるといいますか、そういった流れであるというふうに理解をいたしております。
#55
○井上哲士君 役所が答弁を書くと最高裁判決はそう読むことになるんでしょうが、今日、副大臣に来ていただいたのは、是非やはり政治家として普通に読んでいただきたいんですね。
 確かに、最高裁判決は在外の日本人の選挙権の問題で起こされた裁判です。しかし、判決そのものは広く選挙権一般について述べているんですね。こういうふうに言っています。議会制民主主義の根幹を成すものであり、民主国家では一定の年齢に達した国民の全てに平等に与えられるべきものであるというふうにしているんです。
 むしろ、日本に帰ったら選挙権が得られる当時の在外邦人と比べて、一旦選挙権を奪われますと回復できないんですね、被成年後見人は。おかしいといって、そういう法律を決めた国会議員を選び直すことも、その権利も奪われているわけですから、より深刻だと思うんですよ。しかも、選挙での判断能力を選挙権の条件にいたしますと様々な矛盾が出ております。
 これ、法務大臣にお聞きしますけれども、民法におけるこの被成年後見人の規定というものは、選挙での判断能力がないということが問われている規定なんでしょうか。
#56
○国務大臣(江田五月君) 民法の規定は、選挙権行使の能力についてとは関係ないと思います。
#57
○井上哲士君 明確な答弁なんですが、私、手元に最高裁の出した成年後見制度における鑑定書の書式というのを持っているんですが、この中にも、鑑定事項は、精神上の障害の有無、内容及び障害の程度、二つ目が自己の財産管理、処分をする能力、三つ目が回復の可能性、四つがその他でありますから、そもそも鑑定項目に選挙する能力はないんですね。ある意味で、高い能力が要る財産管理と選挙で判断する能力は全く別物だと思います。
 実際、千葉県の手をつなぐ育成会が二〇〇四年にアンケートをしておりますが、療育手帳の区分で、審判の申立てをすれば被成年後見人になる可能性の高い知的障害の最重度、重度三百十三人のうち八十七人、約二八%が投票に行かれているんですね。訴えを起こされた名児耶さんも、二十歳のころからずっとほとんど選挙に行っておられました。ですから、現に行っておられるんです。
 それから、例えば事故で高次脳機能障害になった方がいらっしゃいますが、記憶障害などがありますから、悪徳商法に引っかかることがあるということでこの成年後見人を付けるという場合もありますけれども、日常生活は普通に行えるんですね。もちろん選挙の判断も十分に行えるんです。
 ですから、財産管理能力の判断を選挙の能力とリンクさせた結果、財産管理の能力はないけれども十分に選挙の判断能力がある人からも、結果としては選挙権を奪うということになっているんですね。私はこれは許されないと思いますけれども、総務副大臣、いかがでしょうか。
#58
○副大臣(鈴木克昌君) 委員のおっしゃることも分からないわけではありませんが、繰り返しといいますか、この裁定のというか決定の過程の中で、いわゆる本人からの申立てや鑑定やそして陳述聴取など、家庭裁判所で手続を経てこういう決定がなされておるのはもう御案内のとおりであります。
 したがって、今係争されておるということでございまして、私どもはこの係争の状況を、裁判の結果はもちろん注視をしていかなくてはいけないというふうに思っておりますが、現段階では、やはり行政上の行為についてほとんど期待するということはできないとなっておるこの現在の状況については、私は先ほどから申し上げておるように一定の合理性があるというふうに判断をさせていただいてもいいんではないかなと、かように思っております。
#59
○井上哲士君 鑑定をしていると言いましたけれども、鑑定項目には選挙の能力というのはまずないんですね。
 一定の合理性があると言われますけれども、現に三割の例えば知的障害の方でも選挙に行かれていたのが行かれなくなる、高次脳機能障害の方が行かれなくなるということには、到底私は合理性は感じられないんです。
 もう一つ矛盾があるんですね。選挙の判断については同じ能力、そもそも私は、能力が問われるべきなのかということはあるんですね、誰でも与えられるべきだと思いますから。仮に能力を問うとしても、同じ能力の人が成年後見を申し立ててそうなれば選挙権を奪われるんです。しかし、申し立てなければ奪われずにそのまま投票に行くわけですね。これはやっぱり法の下の平等に反するんじゃないでしょうか。
 副大臣、いかがでしょうか。
#60
○副大臣(鈴木克昌君) 確かに委員のおっしゃることはある種分からないわけではありませんけれども、いずれにしましても、先ほどからのまた繰り返しになって恐縮ですけれども、本人だとか配偶者、四親等内の親族、検察官などの申立てによって、いわゆる精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者ということで裁判所において手続をされておるわけでございまして、そういったことでいうと、繰り返しになりますが、私どもは今現在の状況では一定の合理性があるというふうに考えておるところであります。
 また、いわゆる成年後見の申立てをされていない方々ということでございますけれども、じゃ、選挙のときに行政上の行為が期待できるか否かの審査をその都度その都度するというのも、これはやはり困難なことであろうというふうに思っておりまして、いずれにしましても、法の下の平等に反するのではないかというお考えは分からないわけではありませんけれども、今の状況の中では、やはり手続においてそうされておるこの流れの中で私どもは判断をさせていただいておると、このように御理解をいただきたいと思います。
#61
○井上哲士君 なかなか理解できないわけでありまして、個別に審査するのができないというのであれば、投票所に来れる人には認めるべきだと思うんですね。できるのに奪っているわけですから、これは本当に是非見直しをしていただきたいと思うんです。この規定があるために成年後見制度の利用をちゅうちょしているという方も随分いらっしゃるわけですね。国民の基本的な権利や法の下の平等にもかかわる問題でありますし、是非これは総務省任せにせずに法務大臣としてもいろいろ私は努力もしてもらいたいし、政治家としても努力も必要だと思うんです。
 先ほど紹介した最高裁判決では、海外在住者の比例は認めたけれども小選挙区、選挙区は認めなかったというのは、これは国会議員の不作為だということも指摘をされ、その後法改正をしたという経過があるわけで、私はそういうことじゃなくて、やっぱりこれだけの問題明らかになっているので国会動くべきだと思っておりまして、是非各党の皆さんにも御検討いただきたいわけでありますけれども、大臣の決意、最後にお聞きして、質問を終わります。
#62
○国務大臣(江田五月君) 成年後見制度の趣旨は先ほど申し上げたことでありまして、不動産やあるいは預貯金の管理、あるいはいろんな契約を結ぶ場合に適切な判断能力を欠いているときに、成年後見制度をなるべく広く認めて、そしてこの支援によってそういう皆さんも社会で十分に社会生活を営めるようにしていこうということですから、これはなるべく広くした方がいいと。しかし、そのことによって一方で選挙権が制限されるというのは合理性があるのかという委員の御指摘は重要な指摘だと受け止めます。
 ただ、私は今法務省を預かっておりまして、これは法務省の所管でないのでそれ以上踏み込むことは差し控えますが、重要な指摘だと受け止めておきたいと思います。
#63
○委員長(浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#64
○桜内文城君 私は、みんなの党を代表して、民訴法改正案に対する反対討論を行います。
 みんなの党は、衆議院では本法案の委員会質疑に参加できず、昨年の衆議院本会議の採決で賛成いたしました。
 しかし、先ほどの、当委員会での質疑をさせていただきまして、例えば、こちらからある事例についてどのような結論が導かれるか尋ねましたところ、勝手に仮定を置いて強引に自らに都合の良い結論を導く、あるいは相続の国際裁判管轄につきましてその立法趣旨を尋ねたのですけれども、それに答えられない。このように、本法案の不備が明らかになったことから反対の立場に転ずることといたしました。
 反対の理由は以下の三点です。
 第一に、国際裁判管轄に関する条約交渉が、主としてアメリカの反対により失敗したという経緯があるにもかかわらず、本法案がヨーロッパ諸国間でのみ国際裁判管轄を規律するルガノ条約をベースとしていること。我が国の貿易や投資の大半はアメリカやアジア諸国との間でなされており、国内法で自国の裁判管轄権をヨーロッパ諸国並みに制限することが妥当なのか。司法権という主権の及ぶ範囲を自ら制約することが国益に資するとは思われません。
 第二に、本法案の構成として、我が国の裁判管轄権が及ぶのは原則として被告の住所が国内にある場合に限定する一方、その例外として、我が国の裁判管轄権が認められる場合、いわゆるホワイトリストを契約類型等によって限定列挙しております。
 しかし、現在、様々な通貨建ての金融商品や有価証券が電子化され、さらに、私企業の発行するポイント等も疑似通貨として決済機能を持つに至るなど国際的な電子商取引が高度に発達している中で、被告の住所が国外にあり、かつ本法案のホワイトリストでカバーできないケースが出てくるおそれは皆無とは言えません。法務省の説明によれば、過去の判例等に見られる様々なケースを想定してホワイトリストを規定したとのことですが、想定外を想定しなければならないというのが今般の大震災の教訓でもあります。条理によって我が国の裁判管轄を認めるホワイトリストの一般条項を規定すべきではなかったのか。
 第三に、既に法務省との個別の協議の中でも、公海上での船舶の衝突事故や租税回避を目的とする相続事案において我が国の裁判管轄権が及ばないと想定されるケースが確認されています。特に相続については、国内法で国際裁判管轄を規定する他国の例はほとんどないことは明らかであるのに、あえて我が国で立法化する必要性はないと考えます。
 以上、司法権という我が国の主権の及ぶ範囲について、我が国の主要な貿易相手国と比較しても過度に制約するおそれがあるのではないか、立法論として我が国の裁判管轄権を認めるホワイトリストの一般条項を規定すべきではなかったのか、これらを指摘して反対の討論を終わります。
#65
○委員長(浜田昌良君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#66
○委員長(浜田昌良君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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#68
○委員長(浜田昌良君) 非訟事件手続法案、家事事件手続法案及び非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。
 まず、三案について政府から趣旨説明を聴取いたします。江田法務大臣。
#69
○国務大臣(江田五月君) 非訟事件手続法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 現行の非訟事件手続法は、その第一編の総則規定が多くの非訟事件に適用又は準用されているという意味で、非訟事件の手続の基本法ともいうべき法律ですが、明治三十一年に制定されて以来、現在に至るまで、抜本的な見直しがされたことがなく、近年の他の民事関係の手続を定めた法令と比較しますと、手続法として備えるべき基本的な事項に関する規定が十分とは言えません。また、この間の社会経済情勢の変化に伴い、非訟事件として処理される事件も複雑化、多様化しており、非訟事件における当事者等の手続保障の重要性が認識されるようになってまいりましたが、現行の非訟事件手続法は、この点に配慮した規定が十分であるとは言い難く、現在の社会の状況に適合していない部分が生じております。
 そこで、この法律案は、このような状況に鑑み、非訟事件の手続を国民にとってより利用しやすく、現代社会の要請に合致した内容のものとするため、新たな非訟事件手続法を制定し、非訟事件の手続の改善を図ろうとするものであります。
 その要点は、次のとおりであります。
 第一に、管轄、代理、不服申立て等の手続の基本的事項に関する規定を整備することとしております。
 第二に、当事者等の手続保障を図るための制度を拡充することとしております。
 例えば、現行の非訟事件手続法には、利害関係を有する者が手続に参加するための制度や非訟事件の記録の閲覧、謄写の制度が設けられておりません。しかしながら、これらの制度は、裁判の結果に利害関係を有する者が非訟事件の手続に主体的に関与し、裁判所の判断の基礎となるべき資料を認識しながら主張、反論等の手続追行をするために必要不可欠なものと考えられます。そこで、裁判の結果に利害関係を有する者が非訟事件の手続に参加することができるようにし、また、当事者による記録の閲覧、謄写を原則として可能とすることなどを内容とする制度を創設することとしております。
 第三に、非訟事件の手続をより利用しやすくするための制度を新設することとしております。
 例えば、遠隔地に居住する当事者等への裁判所への出頭の負担を軽減するため、電話会議システム及びテレビ会議システムを導入することとしております。
 また、事案に応じて柔軟に非訟事件の解決を図ることができるようにするため、和解制度及び調停制度を導入することとしております。
 さらに、株式の価格の算定を要する事件など、専門的な知見を要する事件の審理を円滑かつ迅速に進めるために、中立の立場にある専門家に、裁判の資料に関し意見を述べさせたり、和解に関与させたりすることができる制度を導入することとしております。
 第四に、現行の非訟事件手続法の第一編及び第二編は、片仮名、文語体で表記されておりますが、国民により理解しやすい法律とするため、平仮名、口語体の表記とすることとしております。
 続いて、家事事件手続法案について、その趣旨を御説明いたします。
 家庭裁判所における家事審判及び家事調停の手続を定める現行の家事審判法は、昭和二十二年に制定されて以来、全体についての見直しがされないまま今日に至っております。そのため、近年の他の民事関係の手続を定めた法令と比較しますと、手続法として備えるべき基本的な事項や当事者等の手続保障に関する規定が十分とは言えないものとなっておりますほか、この間の社会の著しい変化に伴い、家族をめぐる事件も複雑化、多様化しており、現在の社会の状況に適合していない部分が生じております。また、現行の家事審判法は、広く非訟事件手続法の規定を準用しているため、非訟事件手続法の改正の影響を免れないという関係にあります。
 そこで、この法律案は、このような状況に鑑み、家庭をめぐる紛争を扱う手続のうち、訴訟手続について平成十五年に人事訴訟法が制定されて現代化が図られたのに続き、非訟事件手続法が改められるこの機会に、家事審判及び家事調停の手続を国民にとってより利用しやすく、現代社会の要請に合致した内容のものにするため、新たに家事事件手続法を制定し、家事事件の手続の改善を図ろうとするものであります。
 その要点は、次のとおりであります。
 第一に、管轄、代理、不服申立て等の手続の基本的事項に関する規定を整備することとしております。
 第二に、当事者等の手続保障に資する規定をより充実したものに改めることとしております。
 まず、手続への参加に関する規定を整備し、裁判の結果に利害関係を有する者が家事審判及び家事調停の手続に主体的に関与することを容易にするため、手続に参加することができる者の範囲や参加した者の権限を明確にすることとしております。
 また、当事者に、裁判の資料を提出し、又は裁判所によって収集された資料に反論するなどの機会を保障する見地から、当事者による記録の閲覧、謄写に関する規定を整備し、当事者が記録の閲覧等の許可の申立てをした場合には、家庭裁判所は、関係者のプライバシー等に配慮した例外を認めつつも、原則としてこれを許可することとしております。
 さらに、一般的に紛争性が高いと考えられる類型の家事審判事件におきましては、家庭裁判所は、原則として当事者の陳述を聴くものとし、また、当事者に裁判資料の提出期限を示すとともに、裁判所の判断の基礎となるべき資料の範囲を明らかにするため、原則として審理を終結する日を定めなければならないものとするなど、当事者に適切かつ十分な主張、反論等の手続追行の機会を保障するための特則を設けることとしております。
 第三に、家事事件の手続をより利用しやすくするための制度を新設することとしております。
 具体的には、遠隔地に居住する当事者等への裁判所への出頭の負担を軽減するため、家事審判及び家事調停の手続において電話会議システム等を利用することができるものとする規定、高等裁判所においても調停を行うことができるものとする規定等を新設することとしております。
 続いて、非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、非訟事件手続法及び家事事件手続法の施行に伴い、家事審判法を廃止し、旧非訟事件手続法外百二十九の関係法律に所要の整備を加えるとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。
 以上が、これら法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決していただきますようお願いいたします。
#70
○委員長(浜田昌良君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 三案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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