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2011/05/12 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第9号
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2011/05/12 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第9号

#1
第177回国会 法務委員会 第9号
平成二十三年五月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     外山  斎君     平田 健二君
     徳永 エリ君     江田 五月君
 五月一日
    辞任         補欠選任
     木庭健太郎君     竹谷とし子君
 五月二日
    辞任         補欠選任
     竹谷とし子君     木庭健太郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                金子原二郎君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                平田 健二君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     江田 五月君
   副大臣
       法務副大臣    小川 敏夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  黒岩 宇洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   戸倉 三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      田中 法昌君
       警察庁長官官房
       審議官      鎌田  聡君
       法務大臣官房司
       法法制部長    後藤  博君
       法務省民事局長  原   優君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局次長      渡辺  格君
       厚生労働省職業
       安定局次長    黒羽 亮輔君
       経済産業大臣官
       房審議官     中西 宏典君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (改正後の国籍法の施行状況に関する件)
 (福島第一原子力発電所における労働実態の諸
 問題に関する件)
 (時代に適合した犯罪規制法制定の在り方に関
 する件)
 (原発事故の情報開示と国民の知る権利の関係
 に関する件)
 (被災者のための関係諸機関の連携強化の必要
 性に関する件)
 (流失した戸籍の再製データの運用開始時期に
 関する件)
 (改正後の施行状況から見た国籍法の評価に関
 する件)
 (原子力災害への政府対応に対する評価に関す
 る件)
 (被災地における民事法律扶助の活用の必要性
 に関する件)
 (検察官の倫理規程制定の必要性に関する件)
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十七日、徳永エリ君及び外山斎君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君及び平田健二君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁長官官房審議官田中法昌君、警察庁長官官房審議官鎌田聡君、法務大臣官房司法法制部長後藤博君、法務省民事局長原優君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、厚生労働省職業安定局次長黒羽亮輔君及び経済産業大臣官房審議官中西宏典君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(浜田昌良君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。
 去る平成二十年十二月四日の国籍法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に基づき、改正後の国籍法の施行状況に関する件について、政府から報告を聴取いたします。原法務省民事局長。
#6
○政府参考人(原優君) 国籍法の一部を改正する法律に係る参議院法務委員会における附帯決議に基づき、平成二十二年十月一日から平成二十三年三月三十一日までの間における改正後の国籍法の施行状況を報告いたします。
 まず、国籍取得の届出状況について報告いたします。
 平成二十二年十月一日から平成二十三年三月三十一日までの間における改正法に係る国籍取得の届出件数は五百八十件であります。このうち、改正法の施行によって新たに国籍取得が可能となった事案、すなわち、父の認知のみで父母の婚姻がない事案は三百三十九件となっております。
 国籍取得の対象となる子の国籍については、フィリピンが三百五十五件と最も多く、次いで中国が六十四件、韓国・朝鮮及びタイがそれぞれ四十一件、その他が七十九件となっております。
 また、国内でされた届出は四百十九件、在外でされた届出は百六十一件となっております。
 処理件数については、受理が五百五十三件、不受理が十三件で、期末に審査中のものが二百六十一件となっております。
 なお、虚偽の国籍取得届をしたとして罰則が適用された事案はありません。
 次に、改正法の周知状況について報告いたします。
 国籍法の改正及び改正法に基づく国籍取得の要件については、引き続き、法務局等における国籍取得の相談等において適切に説明しているほか、法務省ホームページ、ポスター、リーフレット等により周知を図っております。
 次に、国籍取得の届出の調査方法について報告いたします。
 法務省では、虚偽認知による不正な国籍取得を防止するため、届出人に対して国籍法施行規則の一部改正により見直した添付書類の提出を求めているほか、全国の法務局等あてに民事局長通達を発出し、国籍取得の届出に係る慎重な調査を実施しております。
 具体的には、法務局等における届出の受付後の調査として、父母双方の出頭を求め、父母から認知に至った経緯等の聴取をするほか、必要に応じ、届出人や関係者に対する文書照会、現地に赴いての事情聴取、出入国記録の取り寄せなど、父子関係の有無を確認するための厳正な調査を行っております。
 次に、関係機関との連携について報告いたします。
 法務省民事局は、不正な国籍取得の防止及び虚偽の届出をした者の制裁の実効性を確保するため、全国の法務局等に対し、都道府県警察及び地方入国管理局との間で虚偽認知に関する情報を交換し共有する体制を整備するよう指示しており、法務局等は、随時、関係機関との間で情報交換を行いつつ、慎重な調査に努めております。
 法務省におきましては、今後とも、更に関係機関との連携を深め、虚偽認知に関する情報収集に努めるとともに、より慎重に調査を行うことにより、不正な国籍取得の防止に努める所存であります。
 以上、御報告申し上げます。
#7
○委員長(浜田昌良君) 以上で報告の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○田城郁君 民主党の田城郁です。質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私からは、福島第一原発の現地で働く方々の最近現出しております労働実態の諸問題についてお尋ねをいたします。
 質問の前に、改めまして、原発事故の現場で事態の収束に向けて全力で活動している東電及び協力会社の社員、周辺で活動する自衛隊員、消防隊員、警察官を始め関係する全ての皆様に深い敬意と感謝を申し上げます。
 原発事故の現場では今も、この瞬間も東電、協力会社及びその下請会社の労働者が事故収束のために体を張って作業を行っております。放射線にさらされながら行うその作業は肉体的、精神的にも非常に過酷なものであるということは私たちが想像する以上のものであると、そのように思います。吉田福島第一原発所長を先頭に現場の方々はまさに命を賭して闘っておられ、士気も非常に高いとお聞きしており、頭の下がる思いでございます。
 一方、そのような中で、大阪あいりん地区の労働者を女川での運転手の仕事だと偽って福島第一原発の敷地での作業に従事をさせたという事件が発覚をしております。この労働者は、当初は線量計すら与えられず、敷地での瓦れき撤去作業に携わったと報道されております。労働者を欺いて福島の原発で働かせるなどの不心得な事業者をばっこさせれば福島第一原発で働く人がいなくなり、事故収束作業が大幅に遅れることが懸念をされます。こうした行為は、職業安定法、労働基準法及び派遣労働に関した諸規則を無視した違法行為だというふうに思われます。今真剣に事態の収束のために活動している現場の方々や国民が大変な苦しみの中にいるときに、こうした火事場泥棒的な違法行為を許すことはできません。
 国難とも言えるこの事態を乗り越えるべく皆が頑張っているときにこうした違法行為が起きている実態に対して、江田法務大臣の御所見をお伺いできれば幸いです。よろしくお願いいたします。
#9
○国務大臣(江田五月君) 福島第一原発の事故は、委員おっしゃるとおり、本当にこれはもう我が国の歴史上もまれに見る大変な事故でございまして、また世界的に見ても国際社会が注目をしている重大事故でございます。発災から二か月ですが、今なお行きつ戻りつし、一歩一歩前へ進んでいると理解をしたいんですが、時々、えっ、こんなところもまだあったかというようなことが、昨日も高濃度の水が海に流れていたというようなことが出てまいりました。そんな中で、委員おっしゃるとおり、現地で、とりわけ最近は建屋の中に入って働く、作業をする皆さんが本当に命懸けで作業をしていると。頭を下げ、みんな感謝をしなければいけないと思っております。
 そうした現場で働く皆さんの健康、安全、これに最大限の意を用いることは当然でございまして、私ども所管というわけではありませんが、現場で働く皆さんに十分な線量計を着けずに作業をさせていたというような報道にも接しており、そうしたことがあってはならないと。これは関係の皆さんに強く我々要請をしなければいけないことと思っております。
 そんな中で、今委員が御指摘の大阪の方の人の採用についての報道がございました。これについては私も個人的には大変心を痛めるところでございますが、この案件そのものについては所管の者の方に聞いていただければ幸いでございます。
#10
○田城郁君 ありがとうございます。
 厚生労働省にも同様にお聞きいたしますが、大阪の件について、職業安定法、労働基準法及び派遣労働法に関した諸規則を無視した違法行為だと思われます。
 さらには、月曜日の報道ステーションでは、テレビ朝日ですが、三人のJヴィレッジから原発に行って働く二十代の若者についての取材報道がありました。その一シーンでは、承諾書というふうに書いてありまして、この仕事を通じて白血病その他の病気にかかっても御社には一切責任を問いませんという内容の承諾書にサインをして、それで働いているというようなことが画面にも映し出されておりました。公序良俗に反するこうした契約は違法であることは言うまでもありませんし、現場で働く労働者を愚弄する行為であり、憤りを感じます。また、線量計も初めの三日間は持たされていなかったというようなこともその方はおっしゃっておりました。
 このような実態について、厚生労働省はどのような対処をしているのでしょうか。例えば聞き取り調査などをしているでしょうか。していれば、聞き取り、どんな方にしているのか、あるいはその聞き取り内容などについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#11
○政府参考人(黒羽亮輔君) 大阪労働局から本件の職業紹介を行いました西成労働福祉センターに確認いたしました結果、紹介を受けた二名につきまして、いずれも求人時に示された条件と異なる作業に従事されていたということが判明したということでございますが、本件につきましては引き続き調査を続けているところでございます。
 個別事案の調査内容あるいは指導内容につきましてはお答えを差し控えるところでございますけれども、一般論として申し上げますと、職業紹介事業者、就業先の事業主、実際に業務に従事した労働者の方々から聴取を行いまして、その結果、労働関係法令に違反していたことが確認された場合には、都道府県労働局から厳正に指導を行っているところでございます。
 今後とも、労働関係法令に違反する事案に対しましては、都道府県労働局において厳正に指導を行うとともに、労働関係法令違反の未然防止に向けまして、事業主に対する労働関係法令の周知徹底を図っていくこととしております。
#12
○田城郁君 ありがとうございます。
 だまされて現場に連れてこられる、さらには現場では累積の被曝量カウントもままならない、今後の健康管理の保障もないと。このような不信感が蔓延した現場の状況では、よし、日本のために福島原発に行って働くかという気になっている人も引いてしまうのではないかというふうに思います。
 東電は、原発事故を六か月、長くても九か月で収束をさせるという工程表を発表しております。しかし、こうした現状が続けば、現場作業員を集めることは困難になり、ひいては工程表どおり作業ができなくなりませんか。もっと公明正大というか明瞭、明確な募集方法や事後の健康管理も含めて、どのように指導をこれからしていくのか、厚生労働省のお考えをお聞きいたします。
#13
○政府参考人(黒羽亮輔君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、労働関係法令違反のないように周知、指導を徹底してまいりたいと考えております。
#14
○田城郁君 Jヴィレッジ内の労働者の安全確保のそのほかの所管は原子力安全・保安院だというふうにもお聞きをしております。現在、Jヴィレッジ内には何人の正規社員、下請社員、孫請社員等いらっしゃるのでしょうか。
 現場での安全を確保するには、原発事故収束のために働いている人々、特に管理の行き届きにくい非正規労働者の労働実態や雇用状況を正しく把握しなければ、非常に大きな問題が出てくると思います。
 福島原発で働く正規・非正規労働者数は何人なのか、あるいはまた、Jヴィレッジで働く非正規労働者の労働実態を直接聞き取る形でのヒアリングなどを行っているのでしょうか、お伺いいたします。保安院の方、お願いします。
#15
○政府参考人(中西宏典君) お答え申し上げます。
 現在、Jヴィレッジというところで作業をやられている方及び福島第一原子力発電所の方で作業をやられている方々、そういう方の現状をちょっと我々も電力を通じてヒアリングを行ってございます。
 現在、五月十日時点でございます、福島第一原子力発電所で作業をされる方、トータルで千七百二十三名、そのうち東京電力の社員の方が三百七十五名というふうに伺ってございます。そういう意味で、協力会社の企業の方の人数は千三百四十八名というふうに認識しているところでございます。
 そういう形の中で、原子力安全・保安院といたしましては、原子炉等規制法、そういう法令に基づきまして適切な管理がなされているというようなことの確認を取っているところでございます。
#16
○田城郁君 適切な管理というお答えでしたけれども、例えばホール・ボディー・カウンターですか、はJヴィレッジに何台あるのか、あるいはどのようなほかのところに移動してそういうものを測っているのかとか、その実態を教えてください。
#17
○政府参考人(中西宏典君) お答え申し上げます。
 現在のところ、福島第一原子力発電所で作業を行って、いろんな方の作業の結果、被曝をされるというようなことがございます。そういった作業員の方々の放射線管理という形で、ホール・ボディー・カウンターというものを使いまして、今委員御指摘のように、いろんな管理をやってございます。現在のところは、福島第一原子力発電所で作業をされた方は、小名浜にございます東京電力のコールセンターというところに移動式のホール・ボディー・カウンターを、これはまだ現在のところ一台でございますけれども、を設置いたしまして、作業をやられた方々、最近の管理を強化される中では一月に一回、ホール・ボディー・カウンターでの計測を行い管理をするという形になってございます。
 さらに、このような作業がどんどん進んでまいりますので、新しく東京電力第一原子力発電所関係の作業でホール・ボディー・カウンターの計測をするための機器の拡充をするというふうに伺ってございます。
#18
○田城郁君 その結果、例えば先ほどの報道ステーションの中では、三人の方のうち一人は三月中旬から一か月半ぐらいもう勤務をしていて、二百五十ミリシーベルトの半分の既に百二十ミリシーベルトの被曝をしているというようなこともお話をされていましたが、今、二百五十に上がりましたけど、理想的には百ミリシーベルト、ここを超えている方々は何人ぐらいいらっしゃいますか。
#19
○政府参考人(中西宏典君) 今お問い合わせの百ミリシーベルトを超えている作業員の方、現段階、昨日段階で三十名の方が百ミリシーベルトを超える被曝をされております。
#20
○田城郁君 三十名というと、結構随分前から三十名というふうな人数で私はいろいろな会議の中で聞いているんですが、それを超えていないということですか、現時点で。
#21
○政府参考人(中西宏典君) お答え申し上げます。
 まさに御指摘のとおり、三十名という数字、かなり早いタイミングではその数が急速に増えてきたのは事実でございます。しかしながら、これは三月の三十一日、保安院の方から東京電力さんに対しまして、現場での放射線管理をしっかりと充実させるべきというような指示をやってございます。それに対する正式な返答を五月二日付けで東京電力より受けてございます。
 そういう保安院と東京電力の関係の中で、最近の被曝量の管理はかなり徹底されてきているというふうに認識してございます。
#22
○田城郁君 ありがとうございます。
 一刻も早く事故の収束を図るには、現場で働く方々の労働環境、心身の安全の確保、十分な賃金、命を賭して日本のために働くその方々に一生涯の健康管理と、特に非正規労働者には例えば一生涯の安定した雇用を確保するとか、そういうことが私は必要ではないかと、安心して誇りを持って働いていただく処遇が必要だと、そのように思います。そのくらい大きな仕事をしているんだと私は思います。
 二十五周年のチェルノブイリの、今年の四月ですか、大統領から、当時のチェルノブイリの事故収束に当たった十六名の方が勲章を授かったというニュースも聞いております。そのぐらい大きなことを今の福島原発で働いている方々はしているんだということを是非肝に銘じていただいて、しっかりと管理をお願いしたいと思いますし、厚労省の皆さんも含めて、今繰り返しませんけれども、不当な派遣に関する募集の仕方などないように是非よろしくお願いをいたします。
 最後に、この件は法務大臣に通告しておりませんが、大変申し訳ないんですけれども、この場になじまないということは重々承知の上で、私が、参議院議長を経験され、法務大臣として内閣の一角を占めている江田大臣に是非お聞きしたいなというふうに思うんですが、ずっとこの問題にかかわっていると、各省庁の所管、所管がありまして、私たちはここまでです、ここまでですという中でぽっかり真ん中に穴が空いて、その穴の中でいろいろな問題が、今日、今まで話したような問題が起きているなと。そこを埋めるのは、機構上、官僚の皆さんに求めるのはやはり無理なのかなという気もいたしました。やはり政治家がそういうことも、穴を埋めていくという作業は政治家の責任でやることではないかなというふうにも思った次第であります。
 そういう中で、各省庁にまたがる福島第一原発の収束、冷温停止処理には長い年月と多くの労働力が必要ですが、どう推移していくかも含めて検証をしていく必要もあると思います。また、周辺の広大な汚染地域の今後どうしていくのかという問題等、課題は山積をしております。
 これは本当にもう突然のことで申し訳ないんですが、私は実感として、昨日、今日、この質問を考えている中で、これらの問題を扱う、例えばですが、福島第一原子力発電所問題に関する特別委員会とか、そういうものを参議院につくって、しっかりと検証、監視をしていくということが必要ではないかと。本当にこれは全然大臣がお答えになるような内容ではないんですが、感想とかで結構ですので、お答えいただければ幸いです。よろしくお願いします。
#23
○国務大臣(江田五月君) 田城委員の問題意識を私も共有をしたいと思います。
 各省庁の間でぽっかり落ちてしまうところもあると。まあポテンヒットといいますか、ヒットではないですね、この場合は。というようなものもあるし、それから三権分立の間でぽっかり落ちることがあるいはあるかもしれない。本当に私ども、国民の生命、身体、安全、財産、そうしたものに責任を負っている立場として、常にこの日本国という国がどう役割を果たしていかなきゃいけないかということを政治家は考えていかなきゃいけないと思っております。
 今、福島原発のことでおっしゃられましたが、例えばあいりん地区の労働者のこの働かせ方は刑罰法令に違反するのではないかといったこともあって、そうすると、これは刑罰法令なら法務省だけど、その刑罰法令の基を取り扱っているのは、これは経済産業省であったりあるいは厚生労働省であったりと、それでぽっかり落ちるというようなこともあるかと思いますし、また福島第一のこの経過については、政府の方も調査委員会をかなりしっかりしたものをつくってやっていかなきゃいかぬと思っておりますが、同時に、国会においてもそうした議論を仄聞しておりますので、これはもう国会でどういう特別委員会をおつくりになるかというのは全く私が言うことではないんですが、ひとつみんなで議論していけばと思っております。
#24
○田城郁君 突然の質問で申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
 これで質問を終わりにします。
#25
○有田芳生君 有田芳生です。おはようございます。
 法律というのは、言うまでもないことですけれども、私たちの、国民の日常生活に深い関係があるものですけれども、しかし、なかなか直接自分が何かにかかわってみないと分からないようなことがあるというのもまた残念ながら法律を取り巻く様相だというふうに思います。
 例えば、前回ここの場所で議論をされた非訟事件についても、法律をかじった人たちに話を聞けば、こういうことだ、大事なことだということは言ってくれる人もいるんだけれども、例えば一般のところで非訟事件って知ってるというふうに言いますと、えっ、砒素事件というような反応が来るのが残念ながら現実だとすると、前回前川議員が指摘をされたように、法律というものあるいはその条文というものがもっと国民に身近なものに変わっていく必要があるだろうということを常々考えております。
 一方で、科学技術が発達する中で新たな、犯罪の質の変化というのがあるというのは、例えば今から十六年前のあの地下鉄サリン事件においても、第七サティアンというところのクシティガルバ棟などと言われた小さなプレハブ小屋でサリンが作られて、それが実際に地下鉄の中で使われて大きな事件を起こしたというふうに、やはり現代というのは、科学技術の発達によって事件の質そのものが変化しつつあるというふうにとらえるべきだというふうに考えております。そうしたときに、新しい事件の質が生まれているときに、やはりそこに法律がいかに対応していくのか、あるいは先駆けてどのように対応していくのかというのが現代的な課題であろうというふうに考えております。
 私は、今日はストーカー事件と時代の新しい課題について質問をしたいというふうに思います。
 実は、昨日、午前十一時から東京地裁五百三十一号法廷で、統一教会信者がストーカー事件を起こしたその初公判がありました。まず、この事件の概要について、警察庁、御説明をいただけますでしょうか。
#26
○政府参考人(鎌田聡君) お答えいたします。
 お尋ねの事件についてでございますけれども、被告人である男性が、かつての婚約者である女性に対する恋愛感情を充足させる目的で、女性の父親が使用していた自動車の底部にGPS機能付きの携帯電話機をひそかに張り付け、車の位置を測定して父親の立ち回り先から女性の所在を推測する等の方法により、平成二十二年六月ころから同年十一月ころまでの間、五回にわたり女性を待ち伏せしストーカー行為をしたと、こういう事件でございます。
#27
○有田芳生君 統一教会、正式名称は世界基督教統一神霊協会。この特徴というのは、日本の世間からすれば、霊感商法を信者たちがやっているというイメージと、あるいは一九九二年ですが、歌手で俳優を務めていらした桜田淳子さんが合同結婚式に参加をするという、そういうことで広く知られるようになりました。
 合同結婚式というのは、正式名称では国際合同祝福結婚式。教会の内部では祝福というふうに言われているんですけれども、今御説明があった統一教会の信者は、二〇〇七年二月二十二日、韓国で行われた合同結婚式に参加をいたしました。だけど、世間で言う合同結婚式に参加をしたから結婚したということではなくて、これは宗教上の結婚でありまして、籍を入れていない段階でした。そして、日本に戻ってきてその逮捕された信者の相手の女性が脱会をされた、つまり統一教会をやめられた。そこで、しかし、恋する思いというのがなかなか晴れないということで、今御説明があったように五回にわたって付きまとい行為を行いました。
 そのとき、大事なのは、被害者のお父さんの車に携帯電話を取り付けたんですよね。携帯電話のGPS機能がありますから、そこにバッテリーをくっつけて、韓国製のバッテリーをくっつけて長時間使用することができるような形にしておいて婚約者がどこにいるかということを探し求めたんです。ですから、五回にわたって新宿とか杉並とかいろんなところで先回りして、びっくりするようなところにその男性がいるということで恐怖を覚えた。で、その女性たちが、何しに来たんだということで、あるときには一一〇番通報をして、そしてその逮捕をされた男性は、いや愛しているんだというようなことを言った。それが繰り返されたことによって、恋愛感情があることによってストーカー規制法違反で逮捕をされたという経過なんですよね。
 問題は、付きまとい、その繰り返しであるストーカー行為で逮捕をされたんですが、GPSを他人の車にくっつける、そしてそのことによってその人がどこに移動してどこにいるんだろうかということを確認すること自体、これは法律的に違反じゃないというんですが、警察庁、いかがなんでしょうか。
#28
○政府参考人(田中法昌君) ストーカー法の対象となるためには、恋愛感情その他好意の感情というものが必要であります。ただ、それがない場合でありましても、一定の付きまとい行為等をしたことによって軽犯罪法あるいは迷惑防止条例違反として検挙することが可能な場合はあります。しかしながら、GPSを設置する行為自体を禁止した法令はございません。
#29
○有田芳生君 ですから、例えばGPSを他人の車にくっつける、それが例えば自宅の駐車場に入り込んで付けたということが分かれば建造物侵入ということで検挙をされることになるんだけれども、例えばコンビニエンスストアなんかに車を駐車していたときに何者かがGPSを付けたならば、それはもう今の法律においては問題にならないわけですよね。そういう理解でよろしいわけですね。
#30
○政府参考人(田中法昌君) GPSを公開の場所で付ける行為自体は禁止されておらない、法令で禁止されておらないということでございます。
#31
○有田芳生君 そういう現状の下で、いろんなところでそういう使用がされていたり、あるいは最近分かった事例では、携帯電話を壊して、その中のGPS機能だけを取り出して小さなたばこの箱のようなものに入れて、それをある特定人物の車にこっそりと付けているというような件も発覚しているんですよ。
 だから、今の現状では、法律では、付いているだけ、あるいはそれで居場所を確認するだけでは法律的にはなかなか難しいんだけれども、じゃ、しかし、ストーカー規制法だと恋愛感情なんですが、そうではなくて、例えば江田大臣どうなさっているかなという気にした人がいて付けたりすれば、それはもう法律的には何ともしようがないわけなんですよね。
 それで、警察庁にお伺いしたいんですけれども、例えばストーカー規制法だと恋愛感情がなければいけないわけですけれども、そうではなくて、例えば恨みだとか、あの人に関心があるとか、そういうことによって、例えば迷惑防止条例で、GPSを設置した、そしてそのことによって特定個人のプライバシーを探ったと、そのことで検挙されたケースというのはありますでしょうか。
#32
○政府参考人(田中法昌君) 御指摘のような件が存在するのかどうかにつきましては、警察庁においては現在のところ把握しておりません。
#33
○有田芳生君 そうすると、迷惑防止条例については各都道府県がどのようにつかんでいるかということが警察庁には来てないということなんでしょうけれども、軽犯罪法違反として、GPSを設置する、あるいはそのことによって他人の、第三者のプライバシーを侵害するということで検挙されたケースというのはありますでしょうか。
#34
○政府参考人(田中法昌君) 軽犯罪法においても同様でございまして、検挙件数あるいは認知件数等については報告ございますけれども、その各それぞれの件がGPSを使用していたかどうかということについては報告を求めておりませんので、したがいまして、あるかないかも含めて把握しておらないということでございます。
#35
○有田芳生君 つまり、新しい課題だというふうに思うんですよね。
 去年の秋でしたか、菅総理と江田大臣が食事をされて、多忙な中で本当にほっとされて、それで、その後に銀座のビルの地下にある小さな安いバーに行かれた。それは、私も年に一、二回行くからよく分かっているんですけれども、そういうのだって総理や大臣なんかのやっぱり行動ですから、世間には注目されて、次の日には新聞に載りました。だけど、そうでなく、先ほども少し触れましたけれども、大臣がお休みの日に例えば釣りに行ったとか、いろんな私的な行動をするときに、江田五月さんはどうしているんだろうかということでこっそりとGPSを付けるようなケースがあったときに、これは法律に問われないということになってくる。
 そういう現実があるということについて、大臣、どのようにお考えですか。
#36
○国務大臣(江田五月君) 私は、なるべく情報公開というんで、毎日の活動もホームページ上、活動日誌になるべく書くようにしておりまして、プライバシーも含めて誰に見られても後ろめたいことはないようにしているつもりではございますが、それでも全てを書いているわけでもないし、やっぱりどこへ行っているか常に誰かさんに監視されている、これが町中の、何というんですか、防犯カメラなどは最近はちょっと仕方がないのかなという気もしますが、誰かさんに監視されているというのはやっぱり嫌なことであるし、そういうことのない社会の方がいいと、本当にそう思います。
 その上で、やはり時代が変化していく中で、新たな類型の行動、一般的にある一定の類型の行動があって、これに対して何らかの対処を法的にしていかなきゃならないようなことが生じてくる、これはもう委員おっしゃるとおりでございまして、私のこれまでの経験でいえば、現代社会というものが抱える様々な病理現象にやはり対処していこうということで、この十数年でしょうかね、の間に、一つはストーカー防止法、一つはドメスティック・バイオレンスの関係の法令、もう一つがチャイルドアビュースですね、子供の虐待、こういうものができてきたということがありまして、この新たな仕組みというのを更にもっとブラッシュアップしていかなきゃいかぬというんで今いろんな議論が行われているというように認識をしております。
 そんな中で、今のGPSですが、ただ、これどういう形で犯罪として取り締まるようにするのがいいのかというのは、甲論乙駁、様々な議論がございますが、しかし、故なく人の住居に入っちゃいけない、故なくということで、今住居侵入というのは、たしか改正後も故なくですかね、だと思いますけれども、そういう格好で作っておりまして、故なくというのは本当はどうもあんまりはっきりしない。しかし、それは社会通念上分かるだろう。じゃ、GPSだって故なく付けちゃいけないというようなこともあるかもしれないし、いずれにしても、委員の今の問題意識というのは貴重な問題提起だと思っております。
#37
○有田芳生君 恋愛感情に基づくストーカー行為だけではなくて、付きまとい、尾行、嫌がらせというようなケースが、この社会に残念ながら存在するということになってくると、やはり様々な事件が起こる可能性がある。例えば、一九九九年、埼玉県の上尾市で当時二十一歳の女子大生がストーカー行為の果てに殺害をされるという事件があって、それで世論が高まりストーカー規制法というものができるという経過になりました。
 ですから、今の現状の下では、公の空間あるいはコンビニエンスストアなんかで、例えば江田大臣の車にGPS機能が付いたものを設置するとかになると、そこで法律に問われないという現状があるとするならば、だから、それが横行した場合、やはり何か大きな事件が起きて、あっ、こんなことがきっかけになって事件が起きたんだということにならないと再び法律が変わっていかないのかということを、何とか新しい政権で克服していかなければいけないと思うんですよ。
 そこで、私は世界中いろいろ探してみたんだけれども、やはり大臣がおっしゃるように、そういうGPS機能などを規制する法律というのはなかなかない。だけど、先進国の新しい時代の課題として考えたときに、一つ、アメリカのカリフォルニア州でそういう法律がありました。
 これは、警察などが公の目的で使う場合、あるいは日本でも徘回老人の方とか自分のお子さんがどこにいるのか分からないと、そういうときに合意の下でそういうものを付けるのは、これは日本でも今でも問題にはならないんですが、カリフォルニアの場合も、そういう合法目的あるいは同意がある場合以外に、第三者が自然人の位置や移動を監視する目的で電子追跡装置、これはGPS機能だけではないんですけれども、電子追跡装置を使用することを禁じているんですよ。それをもし付けた場合、六か月以下の拘禁又は千ドル以下の罰金が科せられる。日本でいうと興信所、カリフォルニア州が禁じているのは、私立探偵なんかがそういうことをやったことが発覚した場合には免許も取り上げられると、そういう法律がある。
 だから、そう考えると、やはり時代に合った新しい課題を解決するというときにこういった方向もひとつ考えるべきではないかというふうに思います。そのことについて、江田大臣のお考え、そしてまた、そういうことが可能だとすれば、新しい法律が必要なのか、あるいは現行法規に何かを付け加えればこれを解決できるのかというその御見解を伺いたいというふうに思います。
#38
○国務大臣(江田五月君) 先ほど故なくと申しましたが、ちょっと私の法律の知識も古いんで、その後刑法改正されて、「正当な理由がないのに、」とより分かりやすくなっているので、その点だけ訂正いたしますが。
 ストーカー防止法の場合も、初めは結構漠然とストーカー、付きまといを防止する規制を作ろうというところから議論はスタートをしたんですね。しかし、やっぱり単に付きまとうといって、付きまとうというように、付きまとわれる方からは付きまとうでも、付きまとう方からいうと、いや付きまといじゃないんで、いろんなこういう理由がある、ああいう理由があるという場合もあるからというんで、大変に我々議論をいたしまして、「恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足」というようなまどろっこしい文章を付けてやっているわけで、その辺の議論というのはやはりしていかなきゃいけないんだろうと思います。
 カリフォルニア州での規制について御紹介がございました。私は今ここでこの資料を見ているだけしか知りませんが、GPSの場合もあるし、それから最近では例の盗聴装置ですかね、そんなものもありますし、個人の生活の平穏に対する正当の理由のない侵害というのはいろんな形があるだろうと思うんですが、そうしたものを刑罰法令で守るのがいいのか、あるいはほかの方法があるのか、これはいろいろ議論をしていきたいし、また法改正なのか新法なのか、これは恐らくその先に出てくる議論だろうと思いますが、いずれにしても委員と一緒に勉強していきたいと思います。
#39
○有田芳生君 私の周りでも知人がそういうGPS機能付きのものを付けられて、探してみたらごろごろ出てくるというようなことになってくると、私の身の回りでもそういうことだというと、日本全国だと様々な問題がこれから発生する可能性があると思いますので、せっかく実現した政権交代ですから、新しい課題にチャレンジすると、そういうことを大臣もあるいは私たちもやらなければいけないということを強調しまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#40
○森まさこ君 自民党の森まさこです。
 東日本大震災から昨日で二か月がたちました。二か月目の昨日、天皇皇后両陛下が福島県に来県され、福島市、相馬市などの被災者を励まされ、県民に大きな勇気を与えていただきました。一方、福島県では、昨日段階で今なお五万九千人が県内外で避難生活を余儀なくされています。原発事故は一向に収束せず、県内の農業や漁業、林業、観光など、全ての産業に暗い影を落としています。
 その中で、昨日また汚染水が漏れていたというニュースも出ました。十一日に汚染水が三号機から海に流出しているということが発見されたけれども、いつから漏れていたかは不明ということでございます。いつから、どのぐらいの濃度の、どのぐらいの量の汚染水が漏れていたかも分からないという事態に県民は大きな不安にさいなまれています。県民の願いは、自分たちにかかわる、自分たちの命と健康にかかわる情報が欲しい、正確な情報が欲しい、これが当初からの願いでございます。
 十日には、原発直下の地域の浪江町の木材業界の方々が我が党の谷垣総裁のところにいらっしゃいまして、るるお述べになりました。浪江町の方、十日現在、いまだに一銭も現金をいただいていない。東電からの一世帯百万円、赤十字からの義援金三十五万円、県からの五万円、町からの二万円、どれも一銭も手元に届いていないということなんです。二か月もこの支援金、義援金がない中で、非常に皆さん、憲法の二十五条の最低限度の生活、これができないような状態を送っていらっしゃると、二か月間たってもそうであるという現状の中で、金員もそうなんですけれども、正確な情報、これを下さいというのが皆さんの切なる願いなんです。
 しかし、これまで政府は、原子炉の状態と現在及び今後の対策について、正確かつ迅速に情報を開示してきたとは言えないと思います。
 例えば、大気中に放出された放射性物質の拡散は、地形、天候による影響が大きく、モニタリング結果や原子力安全委員会による放射性物質の拡散を予想するシステムであるSPEEDIの試算結果を迅速に公表していれば、市町村の避難時の参考になり、早急に適切な避難範囲を指定することができたと思いますし、何より住民たちが自らの命と健康にかかわる情報を提示されるということで自分たちで判断することができたというふうに思います。
 政府は、今月三日からようやくSPEEDIのデータを全面公開をしました。SPEEDIによる試算約五千件はこれまで未公表であり、その理由について、細野豪志首相補佐官は二日の会見で国民がパニックになることを懸念したというふうに説明をいたしましたが、これは私は違うと思うんですね。試算結果を迅速に公表することは国民の知る権利、これに資することではないかというふうに思います。
 この点について、文部科学省から事実についての説明と、それから、その点についての法務大臣の御見解を伺いたいと思います。
#41
○政府参考人(渡辺格君) 御説明申し上げます。
 今回の事故では、原子炉からの放射性物質の放出量が把握できず、本来の意味での放射能影響予測を行うことができませんでした。しかしながら、その後モニタリング情報からの放出源情報の推定が可能になったことにより、原子力安全委員会がその計算結果を三月二十三日以降数次にわたり公表しているところでございます。また、放射性物質一ベクレルが放出された際の計算結果について、四月二十五日以降原子力安全委員会のホームページにおいて公開してきているところでございます。
 これらに加え、文部科学省、原子力安全委員会及び政府原子力災害対策本部事務局である原子力安全・保安院等においては、それぞれの検討作業用に様々な放出量を仮置きした試算を行っておったところですが、これらについても全て公表することとし、五月三日以降順次公開を進めているところでございます。
#42
○国務大臣(江田五月君) SPEEDIについての御質問ということになりますと、これは残念ながら私どもが所管せず、また詳細も承知していないので今の担当の方のお答えに代えさせていただきたいと思いますが。
 より一般論として申し上げますと、こうした原子力発電所事故というのは本当に我々経験したことのないことでございまして、手探りで前へ進んでいるという状況が確かにあるのは事実なんです。放射性物質がどう飛んでいくのかというその可能性をいろいろ探っていくというものが取りあえずSPEEDIというものであったんだろうと。現実には、飛散した放射性物質がある程度はっきり分かってきて、それでこれが単なる可能性でなくてもう少し現実のデータになり得るということで、今のような公表ということにだんだんなってきたのだろうと思いますが。
 当初の段階でいろんなデータが可能性のデータ、ところが、可能性というだけですぐそれが現実だというふうに理解をされますと、今度は不必要な反応というのが起きてしまうということも心配をして、情報の正確性の問題、そしてそれによって起きる様々な不自由の享受の可能性の問題、こうしたことを総合勘案しながら適切な情報提供というものに努めて、手探りでやってきたと。しかし、なるべく速やかにやってきたというのがこれまでのところだと思いますし、これからは更に一層、情報が適切に開示できるようになっていくと思っておりますし、そうしたいと思います。もちろん、法務省所管をちょっと超えた答弁でございます。
#43
○森まさこ君 私、法務大臣の方には知る権利を害していないのかという質問をしたんですけれども。今、文科省の方が何か説明をいたしましたけれども、はっきりしませんでしたけれども。要するに、SPEEDIの結果は五月の三日になってからやっと全部、五千枚が出たんですよ、本当は六千五百枚ぐらいあるらしいんですけどね。それまでは、それまで随時とかなんとか言っていましたけど、二枚しか出していないんです。三月二十三日に一枚、四月十一日に一枚の二枚だけです。私はこれが国民の知る権利を害するのではないかというふうに言っているんです。知る権利というのは、国民がその必要とする情報を妨げられることなく自由に入手する権利ですよ。
 このSPEEDIというのはとてもすばらしいシステムで、全国の原子力施設の炉型や周辺の地形などがデータとして組み込まれていまして、原発事故が発生して放射性物質が放出されると気象庁のアメダスと連動して風向や風速、気温などから放射性物質の拡散を計算して図形化し、最大七十九時間後までの飛散を予測する能力を持ちます。この所管は文部科学省で、傘下の財団法人原子力安全技術センターが運用しているんですけれども、これは、そこから専用回路で政府の原子力安全委員会、そして関係省庁、都道府県の端末にリアルタイムで情報が送られるんです。それを基に関係自治体が住民に、住民にですよ、放射線警報を出すシステムになっているんです。これは、原子力災害危機管理関係省庁会議が作成した原子力災害対策マニュアルに載っているんです。
 そして、文部科学省は、原子力災害法、原災法、この第十条に基づいて、震災当日、三月十一日の十五時四十二分に十条通報、この電源喪失を報告する通報ですけど、これを出している。そうすると、その後マニュアルどおりにSPEEDIは緊急モードで動き始めて、十一日の当日の十七時ですよ、この通達が出されてから約一時間後にはもうスタートして、それから一時間ごとに拡散状況を計算して、そして端末に送っていたんです。都道府県にも送られていたんです。
 これは、当時もう決まっている流れですと、そのまま住民に送られるべき情報なんですよ。これがずっと送られていなくて、随分たってから二枚だけ出されて、そして結局、飯舘村や川俣町などの非常に、三十キロよりも外でも放射線量が濃い地域が計画的避難区域ということで、四月十一日、震災一か月後になってから避難してくださいというふうなことを言われたんですけど、もうそこまでの間に被曝をしたわけですね。それについて知らされてなかったわけなんですね。これについては、やはり私は知る権利を害していると思います。
 知る権利は、自分の命と健康、そういう必要な情報について妨げられることがない権利なんです。しかし、先ほどのこの法律にのっとった手続では、妨げられることなく住民に行くようになっている。どこで妨げられたかと申しますと、福島県の災害対策本部、ここまで端末に行っていたんですよ。しかし、福島県の災害対策本部はこう言っているんですよ。原子力安全委員会が公表するかどうか判断するので県が勝手に公表してはならないとくぎを刺されました。そして災害対策本部、県のですよ、県の災害対策本部の中では県職員が、これは本当は言わなきゃいけないんじゃないか、みんな本当に非常に苦しい思いしながら議論しながらずっと来たという、そういう現実があるんです。
 法務大臣、もう一度お伺いしますけれども、これは県民の、国民の知る権利を害してないでしょうか。
#44
○国務大臣(江田五月君) 森委員が今詳しくお調べの上で御質問されたことなので、そのことを私がそこは正確とかここは違うとかと言う立場にいるとは思いません。思いませんが、私としてはこれは法務省を所管しておりまして、法務省としては今のお話のようなことについてまさにもう知る立場にないのでございまして、それがどういう情報でどういう効果を持っておるものなのか、そうしたことはさっぱり私の方では評価できませんので、申し訳ありませんが、これはやはり所管の省庁の方に聞いていただくほかないと思っております。
 一般論として、国民の知る権利が大切な権利であるという、そのことは私も同意をいたします。
#45
○森まさこ君 それでは、大臣、質問いたしますが、大臣は前回の私のこの法務委員会の質問に対して、政府の原子力災害対策本部のメンバーであるとお答えになりました。三月十一日当初からメンバーであったと、そして十三回の会議に全部御出席なさったということでございます。
 この原子力災害対策本部において、このSPEEDIの情報がメンバーに知らされることは一度もなかったんですか。
#46
○国務大臣(江田五月君) 原子力災害対策本部について、全閣僚が構成員となっている、現在はそうなっておりますが、いっとき全閣僚構成員ということでなかった時期もございます。しかし、私は、緊急災害対策本部の会合と一緒にあるいは隣接して行われていましたので、全てに出ておりました。その中でSPEEDIのデータがその出席者に開示されるということはありませんでした。
#47
○森まさこ君 それはおかしいですね。これ、このペーパーに、これ、国のホームページから取りましたけれども、原子力災害対策本部というのは原子力災害に対して一番トップの統括する会議ですよ。このSPEEDIというのが国のシステムで、原子力災害の被害地域について、国民の税金を何十億も投入して毎年毎年作られているもの、これがこのトップの会議で一度もこういうシステムがあるということ自体もメンバーに知らされていない。じゃ、一体どこがこの情報を握っていて、どんな権限で住民のその知る権利を握り潰したんですか。
 私は、法務大臣がこの災害対策本部に出ていらっしゃったというふうに前回お答えになったから、このSPEEDIのことが発覚した後、きっと大臣でしたらば、そのことを聞いて、法務大臣としてですよ、いや、それはやはり知る権利の上でも重要な情報だからということを災害対策本部の会議で発言をしていただける、そのために全省庁の大臣が入っているんじゃないんですか。
 もう一度お伺いしますけれども、SPEEDIという、それ名前は別としてですよ、そういった放射線量について予測するシステムが、この物すごく高価な、物すごい高い技術の機械が政府にあって、そしてその情報が政府にあるということをお聞きになったことがありますか。
#48
○国務大臣(江田五月君) 原子力災害対策本部の会議というのは大きな方向について協議して決めますが、個々の省庁がやっている対策については概略の、概略というか非常に大まかな報告をいただいたりしますが、それも常に報告があるわけではありませんし、文部科学省がSPEEDIということについてこういう取組しているというような報告はいただいておりません。資料がかなり付いておりますので、ひょっとしたらその資料の中に入っていたかもしれませんが、私の見落としかも分かりません。
 いずれにしても、私自身にも、このSPEEDIというのがこんなにすごいシステムでこんなに貴重なデータがあるんだと言われても、それは私が判断すること申し訳ないけどできませんので、やはり担当の省の方に聞いていただかなければちょっとお答えのしようがございません。委員の私に対する御発言は私への叱咤激励だと受け止めさせていただきますが、ちょっとお答えとしてはそれ以上申し上げるわけにいきません。
#49
○森まさこ君 知る権利について一般的にお伺いいたしますけれども、放射線量の情報が政府にあったのに住民に知らされていないという事実は知る権利を害するものだとお思いになりますか。
#50
○国務大臣(江田五月君) それはやはり、その場合場合によるんではないでしょうか。情報公開というような制度もありますし、一般に国民への広報という形で常に記者会見などでオープンにしていなければ知る権利を害しているということになるかどうかというのは、やはり事案によるのではないかと思います。
#51
○森まさこ君 知る権利がもしあったとしてそれを、知る権利はあると思いますね、これは憲法二十一条から派生する権利、知る権利はあるんですが、それをいつ、侵害することの正当な理由があるかと、正当な事由として許されるかと。表現の自由の場合には急迫かつ現在の危険がある場合ですけれども、知る権利、知る権利というのがどういうときにそのように政府によって妨げられることが正当されるとお思いですか。
#52
○国務大臣(江田五月君) これも大変恐縮なんですが、私は法務省を所管している法務大臣ではございますが、今のお話は憲法解釈の問題なんだろうと思います。憲法解釈について内閣を代表して答弁をする立場に私は少なくともおりません。
 これが内閣法制局長官であるのか、あるいはそうでなくて官房長官がその任に当たるのか、これが今議論の最中でございまして、今の内閣では官房長官ということになるんだと思いますけれども、大変申し訳ありませんが、表現の自由の今のクリア・アンド・プレゼント・デンジャー・テストという話されましたが、それと同じように、知る権利というのが憲法上二十一条から派生して出てくるということはありますが、知る権利自体が憲法上の、どういいますか、条文に直接に根拠を持つ権利とまではなかなか言えないので、その辺まだいろいろ流動的なところもあると思うんですが、これもちょっと憲法解釈に踏み込み過ぎたかもしれませんが、申し訳ありませんが、その程度で御勘弁願いたいと思います。
#53
○森まさこ君 このことについて、今、計画的避難地域の方々、五月二十二日までに引っ越しせよと言われて、大変関心の高い事柄だと思います。お一人の方は、地元の新聞によると、今更避難しろか、これまでもっと高い放射線を浴び続けていたんじゃないか、そういうふうに述べておられるんですね。爆発したときに一番高い値が出て、今現在は上から降ってくるものはほとんどありません。これからどんどんどんどん減っていくんです。そのときになって、今まで浴びさせておいてこれから避難しろって、これまで築き上げてきたいろいろな生活、仕事、教育、そういったものを全て投げ出して避難しなければならない。まだ避難先も国から明確な提示もないものでございます。
 私たちは、この国に生まれて、そして真面目に働いて税金を納めてきたその国民が、先ほどのように最低限度の生活を支えるような支援金、義援金もまだ二か月たってもいただけない。そして、知る権利も侵されている。正確な情報もいただけてこなかった。この状況を決してやはり見逃すことはできないんです。
 是非、政府が、大臣が力を合わせて、担当省庁がどうだ、そういうことを言うのではなくて、立派な対策本部があるんですから、全般的にこれをこうしたらどうなるか、末端の避難民や被災者は担当省庁なんて関係ないんです。そして、担当省庁と言ったことによって結局何も進んでいないんです。二か月たってから、情報もない、金もない、そういう状況が続かないように強く要請をしたいと思います。
 次の質問に移りたいと思いますが、放射能の被曝についての風評被害等に対する法務省の対応について御質問したいと思います。
 文部科学省の方はここで御退席されても結構です。
#54
○委員長(浜田昌良君) 文科省渡辺次長、退席いただいて結構です。
#55
○森まさこ君 新聞報道等によれば、原発事故のあった福島県からの避難者がホテルで宿泊を拒否されたりガソリンの給油を拒否されるといった事案のほか、小学生が避難先の小学校でいじめられるなどの事案があったとされています。
 放射線被曝についての風評被害の件で、件数など、法務省として把握していることはあるのか。それから、こういった根拠のない思い込みや偏見で差別することは人権侵害につながると思いますが、法務省として何か対策を検討しているのかということを伺いたいと思います。御答弁お願いします。
#56
○国務大臣(江田五月君) 原子力発電所の事故によって放射能被曝の被害が出てくるということは、これは今委員、前の質問でるるお述べになったところでございまして、そういうことはございます。しかし、それが福島県なら誰でもみんなとか、あるいはあの地域なら誰でもみんなそういう被害に遭っていてというような、それはそんなことはないんです。それは個々にやはりちゃんと判断していただかなきゃならぬし、また、まして、仮に、仮に何か放射性物質が衣服に付いていたりしても、それですぐにもうあなたは出ていってくださいと言われるようなものでもないんで、そこはやはり、今こういう大変な災難のときに国民みんながそれを一緒になって乗り越えていこうという気持ちを持って、妙な思い込みや誤解で人を排除するんではなくて、やはりお互い助け合い、支え合いの気持ちをみんなで持っていかなきゃならぬということは今大変大切なこと。
 国民みんながこの東日本大震災と原発事故に思いを寄せているときに風評被害といったことが起きるのは大変残念でございますし、また、これは人権侵害に当たるということで、私どももこうした人権侵害は許さないと、是非ひとつそういうことはやめてくださいということでいろんな、相談窓口を置いたり対応を取っているところでございます。
 今委員の方から、どのくらいの相談があったかということですが、法務局、地方法務局、そしてその支局が取り扱った震災関係の相談件数が五月九日現在で百十一件という報告を受けております。これの中には、具体的な事案についてはちょっとプライバシーという観点からお答えを差し控えたいと思うんですけれども、典型的な例でいうと、例えば自動車を駐車場に駐車しようとしたらナンバーを見て追い出されるとか、あるいは宿泊を拒否されるとか、子供が避難先で学校へ行ったら嫌だといっていじめられるとか、そうしたようなことが起きているので、これは是非ともそういうことはやってもらっちゃいけないということで、法務省としても、例えばホームページへの掲載であるとか私が記者会見で申し上げるとかいろんなことをやっていきたいし、皆さんの御協力も是非いただきたいと思っております。
#57
○森まさこ君 大臣、ありがとうございました。
 そういったことをなくしていきたいということはしっかりとお伺いできてよかったと思うんですが、具体的に今何を行っているかというところが少し、もし、副大臣でも政務官でも結構なんですが、細かいところを伺えたらと思うんですが、ホームページ、それから大臣の記者会見等以外にどのような施策を行っているんでしょうか。
#58
○国務大臣(江田五月君) 法務省の人権擁護機関というのがございまして、そこで人権問題への対処、これはもう救済ですね、それと啓発、大きく分けてその二つのことになると思います。
 具体的な取組としては、一つは人権相談で、これは法務局、地方法務局、支局等で面談あるいは電話の人権相談、さらに避難所に特設相談所を開設、これは常設じゃありませんで、ずっと動いておりますが、そうした相談所を開設するとか、あるいは啓発活動につきましては、そうした人権侵害の疑いがあるという新聞報道などがございましたので、「放射線被ばくについての風評被害等に関する緊急メッセージ」、これはさっき申し上げたホームページ、それについて会見も申し上げましたが、さらに各地域の実情に応じた方法による啓発活動、チラシの配布であるとかコンビニエンスストアあるいは公共機関などへのポスターの掲示であるとか、そういうことを行っております。
#59
○森まさこ君 更に強い啓発の方をお願いしたいと思います。
 これで終わります。ありがとうございます。
#60
○木庭健太郎君 東日本大震災から二か月、昨日たちまして、この委員会でも指摘をさせていただきましたが、やはり法務省にかかわる部分というか、経過が、時間がたてばたつほど法律に携わるようないろんな悩み事ということがこれからどんどん出てくるんじゃないかと、増えてくるんじゃないかということを御指摘もさせていただいておったんですが。
 先日、日本弁護士連合会、日弁連さんが避難所九十五か所でいわゆる無料の法律相談をなさったと。そうすると、その数日間だけで約その相談件数が千件を超えるような相談があったということをお聞きしまして、やはり体制を整えていかないと、特に被害が大きかったところというのはどちらかというと法律過疎地域と言われる、弁護士さんも少ない、裁判所自体の整備も、面的な面でいえばやはり大変な地域だということで、これからその必要性をますます感じた次第でございますが。
   〔委員長退席、理事金子原二郎君着席〕
 まず、大臣になるのかどうか分かりませんが、先月の四月二十七日ですか、法テラスと日弁連がこの東日本大震災の被災者に対する法的支援に関して連携を強化しようというようなことで基本合意を締結されたというふうに伺っておるんですが、この内容も含めて御答弁をまずいただければと思います。
#61
○国務大臣(江田五月君) これは報告を受けておりますが、四月二十七日に日本司法支援センター理事長の梶谷さんと日弁連の宇都宮会長との間で基本合意というものが締結をされ、これは、今回の震災の規模が非常に大きく、しかも被災者は極めて多数に上ると、そしてこの影響というのは長期にわたって続くので、長期的な視野に立って被災者に対する法的サービス提供を行うことが必要だということを考えて、その二つの組織、日弁連と法テラスが連携協力関係を一層強化して被災者の法的権利の実現を図るということを目的として締結されたと伺っております。
   〔理事金子原二郎君退席、委員長着席〕
 法テラスと日弁連との協力、それともう一つは各地の弁護士会と地元自治体と、こういうものの協力、これも基本合意に入っておりますが、これはもちろん地元自治体が当事者にはなっておるわけじゃありませんが、法テラスも公的な機関でございますので、そういう協力関係に努めていこうということだと理解をしております。
#62
○木庭健太郎君 これ、阪神・淡路大震災の際でございますが、このときは当時の法務大臣が呼びかけ人というか中心になられまして法曹三者に呼びかけをして、権利関係の問題も当時はまだ法整備もできていなかったというような経過もありまして、法曹三者の震災対策連絡協議会というのを法務大臣が呼びかけた形でおつくりになられて、三者の連携についていろんなことを図っていかれたというような経過があったというふうに承知しております。
 私は、その法的な、いわゆる当時整備が少なかったその法律関係の問題というのはかなり整備されたことはそのとおりだと思うんですが、やはり現時点で、法テラスと日弁連という、これでも協力関係ができたことは非常に評価いたしますが、やはりここは、大臣というか、法務省と、どちらと言えばいいのか分かりませんが、ともかく私は是非大臣が自ら立ち上がっていただいて、三者に呼びかけた形で、じゃ、法律関係についてはどうなんだ、それから被災者に対する相談体制についてはどうするんだ、地方自治体のこともおっしゃいました、そういった連携をしていく上では、やはりトップにその中心に座る方がいらっしゃってこの法曹三者をまとめるという作業は必要ではないかなと思っております。
 この点について、この経験を生かして、是非今回も、どういう、同じものをつくれとは言いません。でも、やはり同様の対応が必要だということは強く感じておるんですが、大臣から見解を伺いたいし、また、最高裁にも来ていただいておりますので、最高裁からも当時のことも含めて御意見があれば伺っておきたいと思います。
#63
○国務大臣(江田五月君) 阪神・淡路大震災の際に、最高裁と日弁連とそして私ども法務省、法務大臣が音頭を取られたのかもしれませんが、この三者が法曹三者震災対策連絡協議会というものを設置をして事に当たった。三回、連絡会を開いたと聞いております。そして、その連絡会を立ち上げるまでに既に一部の法整備はできましたが、ここでいろんなその後の法整備についても協議をして、それが実現をし、さらにそれが恒久法になっているようなものもあると聞いております。大変精力的な活動をしていただいたと思っております。
 さて、そこで今回の東日本大震災でございますが、既にそういう経験もありますし、また法テラスというものも生まれましたので、法務省と日弁連、さらに法テラスの間でいろいろな連絡関係を進めていることは今もう御承知のとおりでございますが、さらにそのほか、最高裁の間でも逐次各種の情報交換などを行っております。また、被災地においても弁護士会や裁判所等との間で情報交換も行われていると思いますが、法務省としても、被災地の復旧復興に向けて、引き続き、最高裁、日弁連との間で密接な連絡・協調体制を講ずることにしていきたいと思います。
 その上で、阪神・淡路大震災のときのようなああいう、どういいますか、正式なというんですかね、連絡協議会を設置するかどうかについてですが、これはまた、今後どの程度の必要性があるのか。今、現にいろんな整備は進みつつありますし、制度の整備だけでなくて、現実の協力体制、支援体制も進みつつありますが、よく状況を見て、必要があれば御指摘のようなこともまた考えてみたいと思っております。
#64
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今回の震災に際しましては、最高裁といたしましても、今法務大臣が御答弁されましたとおり、震災の復興に関連して今、既に様々なレベルで実務的な情報交換というものを法務省あるいは弁護士会あるいは法テラスといったところと進めておるところでございます。
 裁判所といたしましても、今後、法曹三者においてますます緊密な連携を取りながら、復興の過程で生じます様々な法的問題に適正迅速に対処できるように努めてまいりたいというふうに考えております。
 今委員御指摘の法曹三者の協議会というものにつきましても、その必要性があるということで、そういう話、そういう段階になりますれば、私どもとしても前向きに検討してまいりたい、対応してまいりたいというふうに考えております。
#65
○木庭健太郎君 というのは、それぞれの取組が起きてくると思うんですよ。例えば私は、最高裁には今の裁判官の人員を増やすことも検討されているということをちょっとお聞きしたんですが、つまり、どんなことかというと、阪神・淡路大震災のときは裁判所の中にも震災センターって、これ神戸地裁でしたよね、たしか設けられて相談窓口をつくっているんですよ、それはそれで、裁判所として。で、弁護士会は弁護士会でまた別の動きをしていると。いろんな形で動いたわけです。
 そうすると、どんなことがかかわってくるかというと、是非法務省に中心になってもらいたいと言ったのは、例えば、日弁連と法テラスの今回合意した中にもこの法律扶助制度の問題、これは民事扶助制度ですね、これやっぱり活用していかなくちゃという話が出てくるわけですよ。これは何にかかわってくるかというと、予算ですよ、今度は、増えてくれば。当然、そんな悩みが出てくれば、それは法務省は受け取っていただいて、私は少なくとも第二次のもし補正ということをお考えに政府がなるとするならば、今度の場合は、一次補正のときはありませんでしたが、是非そういったものに対する支援の予算辺りも第二次補正に私は必要になってくると思うんですよ。
 そういった意味では、ちょっといろいろ申し上げましたが、せっかく言いましたので、大臣の方には是非、この予算の問題はもし足りないものがあったらそれはきちんとやっていくんだという決意を是非伺っておきたいし、裁判所に対しても、そういった震災センターも含めてどんなことをもうちょっと具体的に考えていらっしゃるのか、もしあれば伺っておきたいと思います。
#66
○国務大臣(江田五月君) 御指摘のとおり、第一次補正ではそうした法的サービスの関係についての予算措置というものは盛り込まれておりません。これは復旧の瓦れきの処理とかそうしたことが中心なので、運営費交付金で法テラスについては当面やっていけるということで盛り込んでいないわけですが、しかし膨大な数に上ってくるでしょうし、複雑多岐な問題もいろいろ出てくるでしょうし、そうしたことを考えますと、第二次補正予算については、これはそれこそ皆さんの御協力もいただきながら、是非予算措置もおろそかにしてはならぬという決意でおります。
#67
○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今回の震災に関しまして、神戸の震災の当時の、震災事件対策処理センターというのを設置した例がございます。この関係につきましては、裁判所といたしましても、現在、法テラスあるいは弁護士会等の法律相談で現れましたいろんな被災地の方が持っておられる法的紛争、悩みと、そういった問題に関する情報を今鋭意収集しております。そういった点で、今後どのような法的紛争が起こるかということを予測しつつあるところでございますが、今後そういう関係で、いろんな関係で事件が増えるということも予想されるわけでございます。
 そういった体制に対しましては、今回は若干神戸と異なりまして被災地域が非常に広いという問題がございます。そういう意味で、いろんな裁判所の拠点というものも幾つかにわたるということがございますが、この関係で、やはり利用される方の分かりやすさというようなことで何らかのセンター的なものも設ける必要があるのかどうかということも含めて、現在鋭意検討しているところでございます。
#68
○木庭健太郎君 それでは、次は滅失した戸籍の再製のお話をちょっとお聞きしておきたいと思います。
 宮城県の南三陸町、女川、陸前高田、ああ、もう一つ町がありましたかね、戸籍の全データが消失したということで、先月九日、法務大臣は被災地を視察された際に、この消失した戸籍データは今月中、つまり四月中に国の責任で再製するというようなことを表明されて、震災後は出生届なんかの問題がこれありましたが、先月二十五日ですか、四市町村のこの戸籍の再製データの作成が完了したことを受けて、なるべく早く市町村において運用を開始する必要が出てきているというような状況だと思うんですが、実際に各市町村において運用が開始できる時期の見通しについて、法務大臣として確認をちょっとさせていただきたいと思います。
#69
○国務大臣(江田五月君) 御指摘のとおり、大槌町、女川町、陸前高田市、南三陸町、この一市三町で戸籍の正本が流失をしてしまいました。
 しかし、法務局で保存していた副本のデータと、それから各役場から届けられます届書、これによってこの再製はかなりの程度まで可能であるということで、私も見に行って、四月中にはやるということを言ったわけですが、四月の二十五日に法務局での再製データ作成作業が完了いたしました。これを、それぞれの今の市町に機器を備え付けて、そこへちゃんと入力をして、そして供用開始できる、運用開始するようにということでやっておりまして、現在のところ、大槌町五月二日、女川町五月六日、この二つは開始をいたしました。私どもが聞いているところでは、陸前高田市が五月の十六日、南三陸町は六月の一日開始の予定だと聞いております。
 ただ、これは届書が届いていない部分がちょっとありまして、その部分は再製は完了ですが、その部分は更に、どういいますか、手当てが必要だというところが残っております。
#70
○木庭健太郎君 まさに次に聞きたかったのはその届出の問題でございます。要するに、報道ベースになってしまうんですけど、大臣の発言のいいところしか報道は取りませんから、全てが大丈夫だというふうに伝わっておったところ、どうもちょっと、よく調べてみると、届出の問題で一部どうしてもこれが復元できないという部分があるというようなことが判明したというようなことが少し分かってきたわけでございまして、この辺、当事者の方々からすればもう当然全部なっているものだろうと思っていらっしゃるわけで、ところが実際はなかなかできていないというところがあると。
 これ、ちょっとどうその方々に周知徹底をしていくか、また届け出てもらわなければこれきちんとならないわけであって、その辺を、今のホームページだけというだけじゃちょっとこれ足りないような気がするんですが、こういった方々、つまり一部届出の関係で戸籍が再製できない方々がいらっしゃるんだということをきちんと周知徹底をしていただいて、もう完璧なものを是非仕上げていただきたいと思っているんですが、この点について大臣から伺っておきたいと思います。
#71
○国務大臣(江田五月君) 私も決してそこは隠してはいないんで、当初からその部分はありますということは申し上げておるんですが、なかなかそういうところまで正確に伝わらないというのはちょっと歯がゆい思いはいたします。
 もう委員よく御理解いただいていると思いますが、副本は一昨年のある固定した日、その日以前のものを全部副本で取ると。そして、それ以後のものについては、各戸籍役場に婚姻届とか死亡届とか出生届とか届けが出されます。そして、戸籍役場でこれが戸籍に記載されて、その届書が法務局の方に送られてきていて、それを副本に加えれば再製できるというんですが、これはそういう届書が届くわけですから、どうしても、届いたのはいつまで、そこから先、地震までの間、これが流れてなくなってしまうというところが出てくるので、その部分だけが抜けておるということでございます。
 ただ、その部分がちゃんとそろわなければ戸籍の再製にならないというんじゃ、これはもう動きが取れませんので、そこのところは可能な限りのところで再製はしたということで、あと、そういう皆さんには大変申し訳ないんですが、こういう事態ですから、是非とも更に届出をした旨の申出をしてほしい、これ分からないんで、申出をしてほしいということを言っているわけでございまして、時間がございますから、余りいつからいつまでそれぞれの町についてということは申し上げませんが、本当僅かな期間について是非申出をしていただきたいと思っておりまして、そのことは全国紙、地方紙等複数のマスコミ報道で周知をしたつもりなんですが、なかなか書いていただけないということはあるかもしれない。それと、法務省法務局のホームページ、さらに関係機関の協力をいただきまして、是非とも被災者の皆さんに直接にお伝えできるようにこれは周知を今予定しているところでございます。是非、御協力いただきたいと思います。
#72
○木庭健太郎君 もうあと残り一分だそうで、あっ、もう時間か。幾つかありましたが、ここで質問を終わらせていただきたいんですが、ともかく、全国に被災者の皆さんそれぞれ今避難とかいろいろ散っていらっしゃいますから、今大臣おっしゃったように、もう本当に一部できていないやつがあるよということの認識をそういう散った方々にも、どうやって連絡方法を取るかは別として、とにかく徹底をしていただきたいと、こう思いますので、よろしくお願いして質問を終わります。
#73
○桜内文城君 今日の委員会の冒頭に報告のありました国籍法の施行状況についてまずお尋ねいたします。結構細かい数字の話もございますので、主に原民事局長にお尋ねしたいと考えております。
 今回の報告ですけれども、いろいろと法務省の担当の方にもお話を伺いまして理解させていただきました。この中で、今回そもそもこの施行状況の報告がなされるその趣旨というのは、やはり懸念されておりました虚偽認知、これによって国籍が取得される場合がどのぐらいあるのかないのかということだと思うんですけれども、ちょっと細かい話ではありますけれども、今日のこの報告の内容で、虚偽認知がこの半年間で何件あったかというのがこの今日の報告を見るだけでは分からないような仕組みになっているわけですね。
 特にこの言いぶりで私が問題だと感じていますのは、なおというところ、二ページ目ですけれども、虚偽の国籍取得届をしたとして罰則が適用された事案はありませんというふうにあるんで、これだけ読めば虚偽認知なかったのかなということになるんですけれども、実際にお聞きしてみますと、この半年間で五件その事例があって、ただ実際に罰則の適用というのは、その虚偽認知で申請をした者が日本国内にいて罰則を実際に執行できるか否か、その辺で決まってくるということだと聞いております。
 ちょっとこういった書きぶりは誤解を与えるようなものだと私は思うんですけれども、その辺、民事局長、どうお考えでしょうか。
#74
○政府参考人(原優君) 本委員会の冒頭、施行状況を報告させていただきまして、今回は六か月間ということでございます。
 虚偽認知に基づく不正な国籍の取得を防止するために法務局において慎重な調査をするということをやっておりまして、これまでのトータルとして四十五件不受理として処理しております。この不受理の中には明らかに虚偽認知であるということが分かって不受理にしているものもございますが、受理したものの中に実際に虚偽の認知が含まれていたかどうかというのはなかなか難しいということで、今回のような報告になっているわけでございますけれども、私どもとしては、できるだけ慎重に調査することによりまして、受理したものの中に虚偽認知による不正な国籍取得が交ざらないように努力をしているところでございます。
#75
○桜内文城君 努力は多といたしますけれども、またこの報告、決してうそを言っているわけじゃないと思うんですけれども、本当のことを言っていないというか、今おっしゃいました不受理の、制度施行後の、資料二にありますけれども、この二年数か月の間に不受理、確かに四十五件ありますけれども、このうち虚偽認知だと判定されたものが十六件だというふうに別途数字をいただいております。
 これを、全部の処理件数が二千四百一件ですけれども、そのうち十六件という虚偽認知に基づくものを、不受理を多いと思うのか少ないと思うのか。それから、伺いますと、この十六件のうち、最初受理されたと、しかしその後他の刑事事件になって、いろいろと他の刑事事件が端緒となって捜査している中でどうもこれは虚偽認知だったというのが判明したと、それによって不受理に転換したものが二件あるというふうにお伺いしております。
 逆に言うと、この受理した二千三百五十六件のうちに同じようなものがどのぐらい含まれているのかというのが分からない状況でもあります。少なくとも、全然関係のない別の刑事事件で判明したものが二件ということでありまして、この辺について、民事局長は先ほどもおっしゃいましたように厳正に調査を行っているというふうにはおっしゃいますけれども、これで本当に十分なのか、その辺についてお聞きいたします。
#76
○政府参考人(原優君) 今委員から御指摘いただきましたように、この二年三か月の間に全部で二千四百一件の届出事件を処理しております。この中に、御指摘のありましたように、後に虚偽認知であることが判明しまして当初の受理を不受理にしたものが二件あるということでございます。これをどう評価するかというお尋ねだと思いますけれども、これはなかなかお答えが非常に難しいわけでございます。
 一方におきましては、後に虚偽認知であるということが判明したのが二件に一応とどまっているということや、私どもの調査で親子関係がないということで不受理にしたものが十六件あると、こういうことを総合的に判断いたしますと、これまでの改正国籍法の施行はおおむね順調にいっているという評価もできようかと思いますが、他方におきまして、後に虚偽認知であるということが分かったものが二件あったということは、これ以外にも虚偽認知を見逃した事例があったのではないかと、これはまさに委員が御指摘のようなことだと思います。
 そういう考え方がございますので、現時点において一定の方向で評価を直ちに下すことはなかなか難しいというふうに考えております。一定の評価を下すためにはもう少しこの改正法の施行状況を見守る必要があるのではないかと、こういうふうに考えております。
 ただ、法務省としましては、虚偽認知に基づく不正な国籍取得届を受理したことが二件といってもあったということ、この事実は深く反省しております。引き続き、関係機関と連携を密にしまして、厳正な調査をして、虚偽認知に基づく不正な国籍届を防止するということで万全を期していきたいと考えております。
#77
○桜内文城君 この報告の中にもありますように、厳正な調査といいましても、結局面談ですとか、父母双方の出頭あるいは聴取、文書照会、出入国記録の取り寄せ等々でありまして、これが本当に十分なのかというのが問われているんだと思います。今回の報告は報告として是といたしますけれども、この施行状況をやはり今後とも見守っていく必要があると思っております。
 そしてまた、今回の状況の評価につきましてはもうちょっと時間も掛かるとも思いますので、法務大臣におかれましては、今回のこの認知に基づく国籍取得の制度の在り方、あるいは実際にどの程度の調査を行っていくのか、これまでも議論になっておりますようなDNA鑑定なども導入するのか否か等々について今後やはり検討の必要があると思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
#78
○国務大臣(江田五月君) 審査の際に、いろんな出入国の記録などを見て、おまえ、これはこの時期に懐胎しているはずがないじゃないかというようなケースもあったりしてはねたりしております。私は、基本的にはきっちりとした調査が行われた上でこの手続が進められていると思いますが、それでも後から間違いだったと分かっているケースがあるのは確かで。
 この改正は、最高裁の判決が出ましてそれに基づいて私ども改正をしたものですが、その当初からDNA鑑定の是非という議論はございました。これはかなり当委員会でも議論をいたしまして、そしてDNAの鑑定までは求めずにやった方が総合的に見て適切ではないかということでこうした改正になっておりまして、今、二年数か月、二年三か月ですか、経過したということですので、これからも施行状況をしっかりと注視をしていきたいと思っております。
#79
○桜内文城君 これからもしっかりと見守り、また不断に検討を行うということが必要だと考えます。
 次に、ややちょっと大きな話といいますか、先ほど森委員からも御指摘のあった原子力災害に対する政府の対応について、原子力災害対策本部の部員でもいらっしゃいます、その立場の大臣にお伺いいたします。
 御承知のとおり、この原子力災害に関しましてはいろんな法令が事前に用意されております。一番メーンとなりますのはやはり原子力災害対策特別措置法であります。これに基づいて今回、十五条事項といいますか、緊急対策本部、災害対策本部が設置されて、大臣もその本部員になられているわけであります。こういった観点からいいまして、その本部員という立場は、私が察するところ、まあ違うかもしれませんけれども、やはりこういった法令の遵守あるいはコンプライアンスというものを法務大臣として期待されている部分もあるんではないかなというふうに思っております。
 そこで、今回の政府の一連の対応の法令遵守状況についてどう評価すべきなのかということをお伺いいたします。
 まず一つ目が、これは衆議院の法務委員会でも問題になったらしいんですけれども、例の浜岡原発の停止の内閣総理大臣による要請ですよね。これは一体何なのかと。実際にこれ停止の要請というのを行った結果、恐らく経済的な損害というものが中部電力を始め生ずるおそれが非常に高い、実際起こるであろうと思われております。
 じゃ、要請じゃなくて行政処分といいますか、命令として行うことができなかったのかといえば、私は政府のやり方からすれば十分できると考えております。というのは、例えば防潮堤の高さの基準ですとか、そういったものを原子力保安院などが定めて、それに基づいて検査なりを行っていくわけですけれども、今回の震災といいますか地震、津波を受けて、そういった検査の基準を改定する、その上で保安院が実際に見に行く、検査をする、それに基づいて止めなさいという命令を行うということも可能だったと思うんですけれども、そういった法令の手続を踏んでこのような大きな決断を行っていくというのが法治主義の原則だと思うんですけれども、そういった観点から見て、今回の内閣総理大臣の要請というものが一体何なのか、どういうふうに評価できるものなのか、これについてお伺いいたします。
#80
○国務大臣(江田五月君) 原子力災害対策本部の構成員であるということはそうでございますが、原子力発電をつかさどっているのは法務省ではありませんので、そこのところはなかなか答弁しにくいところではございますが、そうしたややこしいことを言うのではなくてお答えをしますと、日本の原子力行政というのは法令に基づいて行っているのは確かなんです。私もかつて科学技術庁という役所があったときにその長官を務めて原子力行政にも携わったことがあります。そのときにも法令に基づいてちゃんとやっていたつもりでございます。
 福島第一原発も法令に基づいて適法に設置をされている、そして運営されている原発なんです。しかし、こうした事故が起きたわけですね。この福島第一原発の地震についてのリスク評価はゼロ%であったと聞いております。これに対して浜岡原発の方は八九%でしたかね、何かもう異常に高いリスクがある、そういう原発なんです。法令に基づいてやっていてそうなんですね。
 そうすると、これは私どもやっぱり今までの法令でいいのかという問題に今直面をしているわけでございまして、私はそうした今、浜岡原発が抱えている大変な危険性というもの、これはやはり政府としてはしっかり認識をして国民のためにアクションを取らなきゃいけない、それがどういうアクションであるかは、これはもちろんよく検討しなきゃいけませんが、ということだったと思います。
 浜岡原発を止めれば経済的ないろんな御苦労も国民の皆さんにお掛けします。しかし、一方で、福島第一原発で起きたあの、経済的だけじゃありません、まさにもうありとあらゆる被害というものが起きているわけでありまして、それが現実化する前に何とかしてこれは止めなきゃいけないというそういう思いから、これは総理大臣として要請ですから。そして、現実には経済産業大臣が中部電力に要請をして、総理大臣はその元の判断はしましたが、総理大臣の方は国民への説明をしているということだと思いますが、そして要請ですから、もちろん大変重たいものだということはしっかり認識しなきゃいけませんが、中部電力において取締役会で二度も協議をいただいて停止という重い決断をいただいているわけで、私はこの間全体を見まして、これが何か違法なことをやっているとかいう感じは全くいたしません。
#81
○桜内文城君 時間がないのでこれで終わりに、指摘するだけにしておきますけれども、浜岡原発の停止の要請自体が私は悪いと別に言っているつもりもありませんで、法を超えてやらなくちゃいけない場合ももちろんあると思います。
 ただ、逆に原子力災害対策特別措置法ですとか、あるいは災害対策基本法、これに基づく防災基本計画、これに基づいた対応が少なくとも福島第一原発の事故の件においてはなされていないのが大変多く見られる。例えば、SPEEDIの結果の都道府県に対する転送、情報の転送あるいは公表、あるいは安全委員会なりの職員の派遣、現地への派遣、こういったマニュアルがきっちりあるものを、法に基づくマニュアルを遵守していないというのが一方であるわけです。それをほっといていながら、一方で法を超えたことは平気でやる、法令遵守というのを守っていないんじゃないかという指摘をしたかったというのが私の趣旨です。
 以上で終わります。
#82
○井上哲士君 私も、まず震災問題についてお聞きいたします。
 震災から二か月たちまして、先ほどもありましたように、現地の法律相談が非常に増えておりまして、民事法律扶助の拡充というのは非常に重要になっております。この制度を利用するには資力要件がありますけれども、多くの被災者が家屋も財産も仕事も失っているという下で、被災前の収入から見ますと資力基準を満たさないという場合もありますし、必要な書類を準備するのも大変困難だという状況があります。
 阪神大震災のときは、特別な被災者法律扶助事業を行いまして、この被災者の利用に際しては資力要件を緩和したり、それから立替払の償還についてはこれを猶予するというようなことも行われ、実際上ほとんどの申込者が償還を免除されたということも聞いております。今回もこの被災者について、資力要件の大幅な緩和であるとかないしは撤廃、立替え費用について、やはり生活が立て直るまでの猶予や免除ということが必要だと思うんですね。
 大臣は衆議院の答弁では、今の状況に即応した対応は必要だとした上で、法テラスはやるだろうと、今、今後の状況を注視していきたいと、こういう答弁だったと思うんですが、ここに来て非常にやはりこの要求が高まっているという中で、より法務省として後押しをすることを示すことが必要だと思うんですね。先ほどは予算についてもおろそかにしてはならないというお話があったわけでありますが、今後、そういう需要が増え、そしていろんな困難の中で柔軟な対応が法テラスとして必要になったときに、財政的に心配でそれをちゅうちょするようなことがあって必要なことができないということがあってはならないと思うんですね。
 そういう点で、きちっと必要なことはやりなさいと、そういう財政的なことについては法務省としてもしっかりやっていくからということで、法テラスの取組を後押しをするという方向をしっかり大臣として示していただきたいと思うんですが、まずいかがでしょうか。
#83
○国務大臣(江田五月君) 井上委員の御指摘はそのとおりだと思います。法テラスの現場の皆さんがひょっとして金が来ないんじゃないかなどと仕事が鈍るということではいけないんで、これはしっかりしたいんですが、残念ながら、私ども法務省が予算を作るわけじゃないので、これは関係府省と精力的に協議をして適切に対処していきたいので、是非応援をしていただきたいと思います。
#84
○井上哲士君 是非、法務省としてしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、もう一つ、この民事法律扶助で、ADRの問題があるんですね。
 仙台弁護士会が五月二日から震災ADRというのを開設をしております。通常のADRと比べて、申立ての手数料を無料にしているし、それから成立の手数料も大幅に減額して、非常に利用しやすくして好評だというふうにお伺いしているんですね。例えば隣の家のブロックが倒れてきて自分の車が壊れたとか、こういうことを裁判ではなくて簡便に、そして弁護士が仲裁人になって迅速に解決をするという点で私はこの被災地の状況に合った手続だと思うんですね。
 これ、もっともっと利用促進をするということが必要だと思うんですが、やはり民事法律扶助の対象を代理援助にとどめずに、こういうADRなどをもっともっと活用できるように対象にしていくということが必要かと思うんですけれども、その点是非お願いしたいんですが、いかがでしょうか。
#85
○国務大臣(江田五月君) ADRというのも随分定着をしてきて、ADRと言うと普通には何だか分からないけど、オルタナティブ・ディスピュート・レゾリューションでしたか、裁判外紛争解決手続ということで、これはいろんな団体がやってくれておりますが、弁護士会も積極的にADRに乗り出してきているというのは大変有り難いことだと思っております。
 ところで、法テラスですが、総合法律支援法上は、民事法律扶助の対象というのは民事裁判等手続の準備及び追行ということで、この中に、裁判に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものも含まれるということが条文上定められておりまして、その和解の交渉で必要なものと認められるもの、ここのところにADRというのが入るのではないかという、そういうポイントだと思います。
 これは、和解交渉の中には、当事者同士が相対で行う示談交渉だけではなくて、やはりADRを通じた和解、ADRが紛争を解決するためにいろんな当事者の合意の取付けのための労を取っていただくというのは大変重要なことで、受任弁護士が和解交渉の場としてADRが適当だと考えるような場合には、現行制度の下でもこれはADRにおける代理人費用等は扶助の対象となし得ると言って差し支えないと思っておりまして、是非ともその活用を図っていただくことが重要だと思います。
 ただ、ちょっと後ろ向きの話をしますと、法に基づく仲裁というのが裁判と違うのでとかいうような議論があるようで、是非ともそこのところは弾力的に運用していただければと思います。
#86
○井上哲士君 まさに被災者の立場で、より弾力的に運用をしていくことが必要だと思いますし、必要とあらば更に広げていくということも検討すべきだと思います。
 もう一つ、先ほどありましたように、この連休に入るところで日弁連や法テラスの共催で広範囲な法律相談が行われました。従来の法律相談の場合は、県内で弁護士さんが移動してやることはあるんですが、今回の場合、例えば関西で阪神大震災の経験を持っておられる弁護士さんなんかも含めて相当全国的な移動がありましたから、交通費なども含めた一定の財政的な支援、負担というものを法テラスもやっておられるんですね。
 これは今後長期的に続くことになりますから、そういう体制を、つまり県を越えた協力を求めたような相談体制に対する財政的なものも含めた法テラスの関与であるとか、それからやはり長期になりますから、拠点となる施設ということも必要になってくると思うんですが、こういうことも含めた点での積極的な対応が必要だと思いますが、この点、いかがでしょうか。
#87
○国務大臣(江田五月君) こういう被災現場の状況ですので、どうぞ相談にいらっしゃいではやっぱり済まない。このゴールデンウイークにも出張相談などをしていただいたようで、その結果も踏まえてこうした同様の被災者支援の取組が進んでいくと思っておりますが、さらに、今御指摘のように、県を越えたとかあるいは被災地にちょっと常設の拠点が要るんではないかとか、そうした御指摘を重く受け止めたいと思います。
 これは関係機関、団体としっかり協議、検討を進めて、法テラスの方で進めているものと聞いておりまして、更に一層法務省としても関係府省と協議の上、法テラスを支援していきたいと思います。
#88
○井上哲士君 まさに今からが活躍どきでありますので、是非必要な対応をお願いをしたいと思います。
 あと、検察の在り方検討会議の提言にかかわって、検察官の倫理規程の問題についてお聞きいたします。
 提言は、いわゆる検察官の倫理についての基本規程を作るということを打ち出しました。私、昨年の質疑で、国連の検察官の役割に関するガイドラインについて、国内での具体化が求められたにもかかわらず日本はやってこなかったじゃないかと、こういう質問をした際に、当時の刑事局長の答弁は、この国連のガイドラインの内容は我が国の法制度と大きな違いはなくて、特段意識することなく日常の指導に盛り込まれていたからと、こういう答弁だったんですが、今回こういう提言にもなり、またあの事件を受けたときに、やはり先進国の中でこういう独自の規程を我が国だけ持っていなかったという状況があるわけで、こういう検察官の倫理規程に対するこれまでの姿勢、対応というのにやはり問題があったと、こう思うんですが、大臣の認識はいかがでしょうか。
#89
○国務大臣(江田五月君) これは当時の局長答弁でございますが、検察官の日常業務を遂行していく、それぞれの検察官が心得ているこの倫理規範といいますか、書いたものじゃありませんが、そうしたものはしっかりこの国連のガイドラインに基づいたものになっているという、そういう趣旨だったと思うんですが、残念ながらそうとも言えない事態が起きたことは確かでございまして、そしてそうした事件を受けて検察の在り方検討会議が提言を出していただきまして、倫理規程の明文化というものの必要性を述べられました。
 個々の検察官が自らを厳しく律しているという信頼があった、これが今崩れかけているというところで、やはり私としてもそうした提言を受けて、この倫理規程というものを検事総長に対してしっかり作ってくださいと四月の八日に申し上げたところでございます。外部の有識者からの意見を聴取する、さらに、これは単に倫理規程こうですよといって配る、それだけじゃ駄目なので、やっぱりこれからの検察を担う若手検事の皆さんの意見などももうどんどん闊達に議論をいただきながら、そうしたものを踏まえて、みんなの血となり肉となるような、そうした基本規程にするように、六か月間ほど時間をちょっとあげますから、掛けてやってくださいということを今申し上げているわけでございまして、そうした基本規程ができることを期待をしております。
#90
○井上哲士君 どういう中身が必要になってくるかということになってくるんですが、今回の村木さんの無罪事件でフロッピーディスクの改ざんが問題になったわけでありますが、仮に前田元検事が、あのフロッピーディスクが消極証拠になるという認識をしながらそれをもう証拠として扱わないと、そしてああいう報告、証拠も別途報告されないままフロッピーディスクを返してしまったと。こういうことになりますと、一体あの元検事は法に触れるということになったのかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
#91
○国務大臣(江田五月君) フロッピーディスクのプロパティーを改ざんしない、それはもちろん違法じゃありません、当然。それをお返しをする、これはその証拠品の扱いのことで恐らく違法という、違法に返すということはないだろうと思います。そこに記載、そのプロパティーに記載されていることが消極証拠だということを認識しながら報告書にしなかったということが違法であるかどうかというのもこれもなかなか困難で、むしろそれはお返しをして弁護人の方から公判廷にこういうものですよといって出していただければいいわけですから、報告書にしなかったことが違法というわけにはなかなかいかない。
 ただ、フェアネスということから見ますと、もし仮にこれは立証について非常に重要な消極証拠になるということが分かりながら口を拭って知らぬ顔で報告書にもしないというのがフェアであるかというと、アンフェアだと思います。
#92
○井上哲士君 まさにアンフェアなんですが、それを縛るものがやっぱり現状ではないわけですね。言わば心構えにとどまっていると。それをやはりいろんな国際的な検察官のガイドラインは明文化しているわけですね。
 国際検察官協会の九九年に公表されたガイドラインでも、検察官は常に被告人の公正な裁判を受ける権利を擁護しなくてはならないと、とりわけ被告人にとって有利な証拠が法ないし公正な裁判の要請に従って開示されることを確実にしなければならないというように言っておりますし、欧州評議会の二〇〇〇年の検察官の役割に関する勧告でも、相手方の証拠開示によって武器平等の原則が守られるように努めるべきであるというふうにいろいろ書いているんですね。
 ですから、やはり私は、こういう国際的な水準を踏まえて、相手に有利な証拠であっても開示もするし指摘もすると、こういうことを、きちっとこういう今の法で引っかからないんであるからこそ倫理規程の中でしっかり縛ることが必要だと思います。
 その点の所見をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#93
○委員長(浜田昌良君) 簡便に答弁、江田法務大臣、お願いします。
#94
○国務大臣(江田五月君) フェアネスということは非常に重要だと思っております。ただ、そのフェアネスを何かがっちりとした法規範にしてしまうかというと、これがなかなか難しいところで、私は今委員の御指摘は重要だと思いますが、しかし、この基本規程にそれを書く、そしてそれに違反したら何か罰則がというようなことよりも、むしろ全検察官の血となり肉となってそれが体現されることの方が重要で、そのために粘り強く検察官の皆さんともいろんな形の対話を重ねながら、皆さんこれを、フェアネスを守っていただくようにしていきたいと思っております。
#95
○委員長(浜田昌良君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#96
○委員長(浜田昌良君) 民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。江田法務大臣。
#97
○国務大臣(江田五月君) 民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 近年、児童虐待は深刻な社会問題となっており、これまでも様々な取組が行われてきましたが、児童虐待を行う親に対しては、必要に応じて適切に親権を制限すべき場合があるとの指摘がされております。
 平成十九年に成立した児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律においても、その附則第二条第一項で、政府は児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から親権に係る制度の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされております。
 この法律案は、以上のような経緯等を踏まえ、児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、民法、児童福祉法その他の法律を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点は、次のとおりであります。
 まず、民法につきましては、第一に、二年以内の期間に限って親権を行うことができないようにする親権の停止制度を創設するとともに、子の親族及び検察官のほか、子、未成年後見人及び未成年後見監督人も、家庭裁判所に対し親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の請求をすることができることとしております。
 第二に、家庭裁判所が未成年後見人に適任者を選任することができるようにするため、複数又は法人の未成年後見人の選任を可能とするための所要の規定の整備を行うとともに、その選任に当たり家庭裁判所が考慮すべき事情を明記することとしております。
 第三に、親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うこととするなど、親権が子の利益のために行われるべきものであることを明確にするための所要の規定の整備を行うこととしております。
 次に、児童福祉法につきましては、第一に、児童相談所長は、家庭裁判所に対し、親権喪失のほか、親権停止又は管理権喪失の審判の請求もすることができることとしております。
 第二に、児童相談所長が、一時保護中の児童について、その監護等に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができることを明らかにするとともに、児童等の親権を行う者又は未成年後見人は、児童福祉施設の長、里親等又は児童相談所長が入所中、受託中又は一時保護中の児童等についてとる措置を不当に妨げてはならないこととしております。
 第三に、児童相談所長は、一時保護中又は里親等に委託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うこととしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決していただきますようお願いいたします。
#98
○委員長(浜田昌良君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#99
○委員長(浜田昌良君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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