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2011/05/17 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第10号
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2011/05/17 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第10号

#1
第177回国会 法務委員会 第10号
平成二十三年五月十七日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     平田 健二君     那谷屋正義君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     田城  郁君     平野 達男君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     平野 達男君     田城  郁君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                金子原二郎君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                那谷屋正義君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     江田 五月君
   副大臣
       総務副大臣    鈴木 克昌君
       法務副大臣    小川 敏夫君
       厚生労働副大臣  小宮山洋子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  黒岩 宇洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   豊澤 佳弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務省民事局長  原   優君
       法務省矯正局長  三浦  守君
       厚生労働大臣官
       房審議官     石井 淳子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、平田健二君が委員を辞任され、その補欠として那谷屋正義君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長原優君、法務省矯正局長三浦守君及び厚生労働大臣官房審議官石井淳子君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(浜田昌良君) 民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今野東君 民主党の今野東でございます。
 明治二十九年以来の改正、民法改正となる今回の改正が、親権の行使は、子の利益を最も優先して考慮しなければならないと明記したことの意味、これは非常に重いと思いますが、民法が子の利益に触れるのは、家庭裁判所が親権者や監護権者を変更する、あるいは特別養子縁組の成立や離縁を認める場合に限られていたわけですけれども、今回の改正で、父母も親権行使あるいは監護権者の決定に当たっては子の利益を最優先にしなければならなくなりました。
 チルドレンファースト、子の利益が最優先というと、このところ法務や外務関係で話題になっているハーグ条約であります。
 政府は、ハーグ条約、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約への対応のために、内閣府、法務、外務の副大臣会議を設けて検討してきたようですが、実は私も、民主党の中のこのハーグ条約検討小委員会の事務局長をやっておりまして、関心を持っておりました。おおよそ批准の方向に行くようではありますが、これを所管する中央当局がどこになるのかということですが、法務省になるんでしょうか、外務省になるんでしょうか、定まっていないようであります。これを法務省、大臣はどういうふうに考えているんでしょうか。また、見通し等もあれば併せて教えてください。
#7
○国務大臣(江田五月君) 御指摘のハーグ条約は、中央当局を置かなければいけないことになっておりまして、その中央当局を新たにつくるということになりますと、やはり行政改革という昨今の情勢からそれは差し控えるべきだと。ということになりますと、外務省か法務省かあるいは内閣府か、どこかの省府にその事務を取り扱わせるということになるんだと思いますが、今まさに、まさに鋭意検討中でございまして、私としては、早晩決着が付くものと期待をしているところですが、まだ今の段階では鋭意検討中と申し上げる限度にとどめておきたいと思います。
#8
○今野東君 外交上の関係もいろいろあることで難しいとは思いますが、特に当事者の方々については、その中央当局がどこになるんだろうかというのは非常に大きな関心でありますし、それによって、問題を今抱えている、実際に抱えている方々は影響されるというふうに関心を持って見ておりますので、できる限り早くにそこのところは決定をしていただくのがいいのかなと思っております。
 さて、我が国では民法の改正というのは大変重い課題で、夫婦別氏制についても足踏み状態が続いております。今回、親権の停止を新たに定めるわけですけれども、これは、子供の利益が害される場合は親権を制限しようということで、こうした改正は、児童虐待防止法の精神が市民社会の基本法と言われる民法に及んできたというわけで非常に大きな一歩だと思います。
 さて、我が党民主党も掲げているチルドレンファースト、これを実現するには、大臣、このほかにどのような課題があるとお思いでしょうか。
#9
○国務大臣(江田五月君) ちょっと委員の問題意識がどういうところにあるかというのを、今ごめんなさい、十分測りかねておるんですが、チルドレンファーストというのは、当然これは国際的な準則であり、国連においても子ども特別総会で採択された基準だと思っております。
 我が国の全ての制度の根幹に子の利益、チルドレンファーストというのを置いていかなきゃならぬし、国連では今後あらゆる政策の選択をする場合にまず何よりもチルドレンファーストということを考えなきゃならぬということになっているわけでありまして、本法律案については、衆議院の法務委員会の附帯決議で、更に親権制度の在り方全般について必要な検討を加える旨の指摘がなされました。
 これは、例えば協議離婚制度の在り方であるとか、あるいは親権の一部の制限制度の創設とか、懲戒権というものはいいのかとか、あるいは離婚後の共同親権、共同監護権といったものも考えるべきではないかとか、そのような課題がなお残っているものと理解をしております。
#10
○今野東君 大体そういう方向でいいんだろうと思いますけれども、子供の意向あるいは意見をどういうふうに反映させていくかということが大事なんだろうと思います。
 例えば、おっしゃったように離婚調停とか協議の際に当事者ばかりの意向で進められている現状に対して子供の意見表明権を盛り込むとか、あるいは子供代理人制度とかが考えられると思います。また、児童虐待を受けた子供のシェルターを全国化する。これ、公費で全国化するというようなことも考えていかなければならないのではないかと思います。
 ここについても少し議論をしたいところではありますが、ちょっと先を急ぎたいので、ここは、私がそういうことが必要なのではないかと言ったことにとどめておきたい、今日のところは、と思いますが。
 さて、今回の民法の改正では、親権を制限した場合には速やかに未成年後見人を付けるというのがポイントの一つであります。財産権のない未成年の後見人をどういうふうに付けるのか。複数とか法人に拡大することで、それでは後見人を見付けることはできるんでしょうか。
 責任の幅が非常に広い反面、経済的な対価がおぼつかないためになり手が不足しているということがあって、これをすることでどういうふうに解消するのかなというふうにもちょっと思っておりまして、その辺りを是非お伺いしたいと思います。
#11
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、特に児童福祉施設などで生活する子供たちの中には親権を行う者がない者もおられまして、退所後に自立をしていくためには、身上監護と財産管理を行う未成年後見人の存在は大変重要でございます。
 この未成年後見人、この方に対しては報酬を支払う必要があるわけでございまして、その報酬の問題とか、あるいは被後見人、お子様ですけれども、そのお子様が第三者にけがを負わせたり他人のものを壊してしまい、この未成年後見人に損害賠償責任が生じた場合のこの保険の問題、こうした保険料負担ということをどうしていくのかということについて検討する必要があるのではないか、そういう意見があるところでございます。
 今回の制度改正では、現行法では自然人一人に限られている未成年後見人が、複数でもいいあるいは法人でもいいということになる結果、法人が新たに未成年後見人の給源というんでしょうか、そういうことになることが期待をされるわけでございます。
 ただ、そのままでは私どもも十分ではないというふうに考えておりまして、子供の権利擁護の観点から、法人などが未成年後見人となる場合にどのような支援が可能か検討してまいりたいと思っております。
 これは私ども、この問題を検討しました専門委員会でもこうした支援が必要だという御提言もいただいておりますので、こうした支援をすることにより確保に努めてまいりたいと思いますし、また確保は一定程度可能かというふうに思っているところでございます。
#12
○今野東君 私も公的保険の検討というのはしなければならないんじゃないかと思っていたところでした。今、公的保険の検討の必要があるのではないかというふうにおっしゃった。そういうふうに問題意識を持っているということは、これからこれも検討していくと、厚労省の中でということにとらえていいんでしょうか。
#13
○政府参考人(石井淳子君) 検討してまいります。
#14
○今野東君 これはいい答えをいただきましたが、是非検討し、実現をしていただきたいと思います。
 今日、せっかくの機会ですので、成年後見制度についてもお尋ねしておきたいと思います。
 成年後見制度は、精神障害や知的障害、認知症など、判断能力が不十分な人を支援するものですけれども、二〇〇〇年にこの制度が導入された際に、禁治産制度を引き継いで選挙権も被選挙権も持たないというふうに定めました。私はこれは人権上問題なのではないかと思っております。病気や障害で社会的な活動ができにくくなっている人について、選挙権の行使というのは大切なライフイベントであります。せめて、本人が選挙権を行使したいという意思がある場合はこの権利を守るのが当然のことではないか、そうしなければならないのではないかと思いますが、今日、お忙しいところ、総務副大臣においでいただいておりますので、鈴木副大臣にお伺いしたいと思います。
#15
○副大臣(鈴木克昌君) 委員も十分御案内のとおり、公選法第十一条において、成年被後見人について選挙権及び被選挙権を有しないというふうにされておるところでございます。
 今お話がありましたように、平成十一年の民法改正以前は、禁治産者についてはその要件が心神喪失の常況にある者であるから、行政上の行為をほとんど期待できないため、選挙権及び被選挙権を有しないこととされてきたわけであります。
 平成十一年の民法改正により、禁治産者は成年被後見人と呼称が変わり、その定義は、心神喪失の常況にある者から、精神上の障害によりその事理を弁識する能力を欠く常況にある者に改められたわけでありますが、その対象はまさに一致するものでありまして、選挙時に個別の能力を審査することも困難であるということから、従前の禁治産者同様、選挙権及び被選挙権を認めないこととされたものであります。
 ただ、現在、成年後見制度を利用することで選挙権を失うのは違憲だとして、選挙権があることの確認を求める訴訟が二件提起をされているところでありまして、総務省としましては、今後これらの訴訟の動向について注視をしてまいりたいというところでございます。
#16
○今野東君 これは選挙権ですから、当局が困難であるかどうかを判断するのではなくて、本人の意思によるべきだと思いますけれども、今のところは、おっしゃるように、そのように当局が困難であるかどうかと判断するようになっているわけですが、そこのところは、本人の意思というのはどういうふうにお考えになりますか。
#17
○副大臣(鈴木克昌君) 繰り返しになりますけれども、従前は禁治産者そして準禁治産者という制度であったわけでありますが、現在は後見そして保佐、補助という三段階になっておるところであります。
 いずれにしましても、お医者さんによって、医師によってこの後見については一定の審査を受けて、そのときの判断で分けられているという事実もあるわけでありまして、私どもとしては、やはりそういった流れの中で後見という形に決定をされれば、その方についてはやはり能力的に単独にできる行為はないとか、それから行為の効果を常に取り消すことができるとか、いろいろとあるわけでありますが、そういったいろいろなものを含めて医師による判断というのが出て決められてある以上、それに準じて私どもとしては選挙権については考えてまいりたい、こういうふうにしておるところでございます。
#18
○今野東君 おっしゃることは、現状はそうなんだということでよく分かりますが、やっぱり本人の意思についてはどのようであるかというのはすっかりそこから抜け落ちているというふうに思います。
 今、裁判も提起されていることで、なかなかおっしゃりにくいことだろうとは思いますけれども、私もその結果を見詰めていきたいと思いますし、また総務省としては、当人の意思それから人権上の問題ということを中心に据えてこの問題については是非お考えいただきたいと思います。
 さて、これはまた今回の民法改正から少し離れるんですが、この機会に伺っておきたいと思いますが、刑事収容施設法施行後五年後の見直しについて、省令の見直しですが、この中で、刑事施設から外部への通勤作業等を行う受刑者にGPS機器を携帯、装着させるというふうにあるんですけれども、まず、今外部に通勤、外泊で出かけさせる人という人はどういう人たちなんでしょうか。ちょっと議論の前提として聞いておきたいと思います。
#19
○政府参考人(三浦守君) お答えいたします。
 現在、法令によりまして、施設に収容中の者について、塀の外の作業場所に通勤をさせるということですとか、あるいは塀の外に外出をして戻ってくる、あるいは外出をした上で外の家族の元その他の場所に外泊をして戻ってくるという制度がございます。
 どういう者かということについては、いろいろな法令上の要件に基づいて個々に判断をしているわけでありますけれども、いずれの場合も、施設の職員が同行をしないで本人それぞれ外に出て作業なり外出、外泊をするということでございますので、そのような外に出た場合でも逃走するおそれがないという判断ができる場合にそのような措置がとられているということでございます。
#20
○今野東君 刑事収容施設の中で模範的であって、そして間もなくそこの施設から出ていくことになっていて逃走する必要もないであろうという人について外出や外部への通勤作業等を行っているわけで、そういう方に改めてGPSの装置を付ける必要があるかどうかというのは、これはどういう議論があったんでしょうか。
#21
○国務大臣(江田五月君) 刑事施設に収容するということ、これは外部との絶縁ですよね。絶縁して外部といろんな交渉ができなくなるということ自体が懲らしめになるんだという意味では、それは懲らしめで懲役の実を果たすゆえんであるかもしれません。しかし、そういう懲らしめだけじゃ駄目なんで、やはり懲役、禁錮の皆さん、いずれは社会へ戻っていくわけですから、社会との接点というものがなるべくやっぱりたくさんあった方がいいと、これが一つの理想だと思うんですね。
 諸外国でもいろんな行刑のタイプのものがありまして、外部にどんどん出ていって通勤してらっしゃい、家へ時々帰ってらっしゃい、奥さんともあるいは子供たちとも家庭の味も味わってらっしゃいと、そういうようなことをやることによって社会復帰というものがスムーズにいくようになっていくというようなこともあるわけで、したがって、私は、日本においてもそういう施設の外での処遇というものを積極的に取り入れていく必要はあるだろうと思っております。
 したがって、もう外へ出しても大丈夫なんだから外へ出すんだというんじゃなくて、やっぱり外へ出すことによっていろんな社会との接点を増やしていくということになれば、多少やはりそこは刑務所へ戻ってくるということについての完璧な安心感がなくても、やはりあえてやってみるということが必要で、その場合に、外へ出ていくことについて一定のまた元へ戻ってくるための担保というものが要ると。そこで、こういうGPSというようなものを採用してみようというので今回の省令の改正を今準備をしているということでございます。
 外部での、外部通勤とか外泊とかというものがいろいろ言われるんですが、実際は非常に限られた数なので、もっといろんな担保があって大胆な取組ができるようにということですので、是非御理解をお願いしたいと思います。
#22
○今野東君 そうすると、これは矯正局に聞きたいと思いますが、GPSを付けると、それがどういう範囲まで広がるんでしょうか、外出や外泊で作業をするというようなことが。
#23
○政府参考人(三浦守君) 範囲といいますと、それぞれの事案によることになろうかと思いますけれども、こういった機器を使わない場合、やはり若干そういう逃走のおそれの懸念が残るというような場合に、こういう機器を携帯あるいは装着させることによりましてその辺の懸念を減少させることによって、それぞれの外部通勤先、さらには外出、外泊の先にそういった収容者を出すことができるということでございまして、その範囲はもちろんそれぞれの、個々のケースによって異なるということになろうかと思います。
#24
○今野東君 結局、GPSを付けても、それじゃどういう幅のどういう方々に外出作業等をやってもらうかというのが、どうも今の答えだとイメージできにくいんですが。
 これ費用はどれぐらい掛かるんですか。
#25
○政府参考人(三浦守君) 私ども現在検討中の省令案の下でございますけれども、このGPS機能付きの携帯電話ですとか、あるいは腕輪型などの小型の装置を利用して施設側において位置情報を把握するというような仕組みを想定しているところでございます。
 現段階でその内容が確定しているわけではございませんので、今後、機能面あるいは人権保護といった点を考慮しながら、費用対効果あるいは有効性といったことも踏まえて、適当な機器の検討を行って、さらに関係府省とも協議してまいりたいと考えているところでございます。
#26
○今野東君 私、これに徹底的に反対をしているというわけでは決してないんですが、費用がどれぐらい掛かって、そしてその効果がどういうふうに出てきて、それから外出をして作業をしてもらうというような人がどの範囲でどう広がっていくのかという具体的な説明が今のお話を聞いているともう少しあってもいいのかなと、こういう大事なことを実現をしていくのには。費用も分からないし、効果も分からないし、どういう幅になるかも分からないというんじゃ、一体それじゃ何のためにこれ始めるのかというのが、今聞いている限りでは全く分からない。
 さて、時間もありませんので、最後にこの機会ですから、これ大臣にお伺いをしておきたいと思いますが、今年の一月、私どもの宮城県知事が、私どもというわけじゃありませんけれども、私、宮城県なものですから、宮城県の知事が性犯罪前歴者にGPSの携帯を義務付けて出所後も行動を監視する条例の検討を始めたと聞いて私は大変驚きましたが、服役して罪を償った後までこうして監視をするというのはそれこそ人権侵害のおそれがあると私は思ったんですが、大臣はこれについてはどのようにお考えでしょうか。
#27
○国務大臣(江田五月君) 宮城県が御指摘のような条例制定を検討しているということは聞き及んでおります。
 これは、今委員が御指摘のとおり、刑の執行を終えた者に対する話でございまして、私どもが今考えているのは刑の執行中の者をどういう刑の執行の仕方にするかということですので、この二つは全く似て非なるものでございますが、地方団体が制定を検討している条例の内容ですので、コメントは差し控えたいと思いますが、宮城県における性犯罪の状況などがどういうことになっているか私はよく知りませんが、やはり刑の執行を終えた者は、これはもう終えているわけですから、そういう者にこうした携帯等を義務付けるという権利の制約を伴う措置を講ずる場合には、その必要性は一体どの程度あるのか、どういう根拠に基づいてやるのか、どういう対象に対してどんな措置でやっていくのか、これは宮城県の皆さんでひとつ慎重な、しかも十分な検討を図っていただかなければならないものだと思っております。
#28
○今野東君 終わります。ありがとうございました。
#29
○丸山和也君 では、大分人数少なくなりましたところで、四十分という時間があるんですけれども、三十分でやめておけという声もありますので、そこらは臨機応変にやらせていただきたいと思うんですけれども。質問がそうたくさんありませんので、大臣も長々と、と言っては失礼ですけれども、十分に語っていただいていいかと思いますので、今日は短くと言うことはありませんから、思いのたけをしゃべっていただきたいと思います。
 そもそも、今回、民法の一部の改正ということで、非常に大きな改正だと言われているんですけれども、確かにそうも思えるんだけど、ややちょっとピンぼけと言うと変ですけれども、不徹底というか、どこを本当にどうしたいからこういう改正をしようとしているのかということがちょっと私は不透明なように思うんですけれども、今回の改正の目玉といいますか、これが主眼だというようなところを、大臣、ひとつ御説明いただきたいと思います。
#30
○国務大臣(江田五月君) 長々と答弁して結構と言われますと、何か皮肉を言われているような感じで、なるべく短く答えたいと思いますが。
 児童虐待、これが深刻な社会問題となっている。そこで、児童虐待への取組、これを民法あるいは児童福祉法の場面で更に進めようというのが今回の問題意識でございまして、その場合に、親権があるから虐待していいんだという、そういうことをあえて言うというか、あるいは誤解をしている、そういう親も見られるわけで、そこで親権制度というものにメスを入れようということが一つ。
 それから、親権制度にメスを入れますと、やはり親権者に代わって子に親権、監護権を行使する者が必要ということで、未成年後見人というものを増やしていこうということ。さらに、今の親権の行使の制約のこととか、あるいは離婚の場合の措置とかなどなどを通じて子の利益というのが一番重要なことですよと、これを導入をしようと。
 これは別に今始まったわけではないので、前も当然ですが、そういう文言が入っていなかったので、こういう文言を明確に入れようと、こうしたことが今回の主眼だと思っております。
#31
○丸山和也君 今おっしゃっていただきましたことであると思うんですが、そうだとしますと、私がやや不満に思ったというのは、やはり今大臣の答弁の中にもありましたように、親権の在り方というか、それが非常に一つの根幹になっているように思うんですね。そういう問題意識を持っておられると。
 やはり、児童の虐待防止、児童の福祉、いろんなことを考えた場合、親権者であるからということでいろんな好ましくない事態が発生していると。そうすると、やっぱり親権の在り方について、規制も含めて、停止、いろいろなことを含めて、従来からあった問題を含めて見直していくということで今回の改正があるということをおっしゃっているようで、やはり親権の在り方というのは一つの核になっていると思うんですね。
 そういうふうにとらえた場合、私は、これ昨今始まったことじゃないんですけれども、もう恐らく私が弁護士になって、そうですね、三十年、三十年以上になるんですけれども、やっぱり親権が単独親権であるということについての疑問というのはずっと持っていたんですよ。親権が単独で、例えば離婚したときに片方が親権を持って片方がなくなるというのはどう考えても理屈に合わないと。
 これはやはりなぜかなという疑問を持ちながら、まあ現実は、男性は社会に出て外で働く、女性は家庭にいるとかこういう発想で、それから子育ては女性に任せるとか、特に乳幼児の場合は、そういう非常に時代がかったやや封建的な発想の中で、社会構造の中で、女性が子供を育てる、だから親権を女性にという、まあそれはどちらでも行くんですけれども、ほとんどの場合は現在もう親権は女性に争った場合なりやすいんですけれども、そういうことで単独親権というのが何となく是認されてきたように思うんですね。
 ただ、女性の場合も離婚してもやっぱり働く必要がありますし、あるいは養育費をもらう必要がありますし、両親とか手助けを受ける必要があるし、あるいは女性であるがゆえに再婚してまた別の家庭をつくるということもあって、いろいろなことを考えますと、決して単独親権が根本的に、両親の間から生まれた子が、離婚したからといって、たまたま親が離婚したというだけで単独の親権になるということが考え方としておかしいなとずっと、今でも思っているわけなんですけれども。
 それで、更にそういう傾向は強くなっていると思うんですね。男女並びに働き方、生活の形態も変わってきていますし、それからやっぱり諸外国を見ましても、大半というか、正確に何割と言えませんけれども、主要な国の七、八割といいますか、ちょっと正確な数字は分かりませんが、それぐらいは共同親権じゃないかと思うんですね、考え方自身が。
 そうなりますと、今回、久々に一種の児童の虐待防止なり福祉を考えて大改正に及ぶとするならば、どうして根本的にこの親権の在り方、共同親権というところまで踏み込もうとしなかったのか、これについて私は是非聞きたいと思っていますので、ひとつ含蓄のあるお答えをいただきたいと思います。
#32
○国務大臣(江田五月君) 私は法律家になって四十三年ぐらいですが、委員と違って実務に携わったのは初めの十年程度裁判官として携わっていただけで、後は実務に携わっていないので、ただただ長いというばかりで、しかも司法試験通って司法研修所へ行ったのはもうはるか昔のことになってしまいましたので、いろんな知識がさびついていると思います。
 そういう前提で今の委員の御質問にあえて答えていくとすれば、私どもが勉強した当時は、やはり離婚をする、そうするとその父と母の間にいろんなトラブルがある、それを子に引き継いでしまうことはやっぱり遮断をした方がいいだろう、あるいは養育についていろんな方針が違いがあって、それを離婚をした父と母で協議をしなければ決まらないというのもやはり難しい、子供の育ちにとって親の監護、教育というのはやっぱり一本化していた方が一つの基準がはっきりしていいだろうという、そういうことから単独親権にしたというように学んだような気がいたします。
 今回は、この児童虐待の防止という観点でメスを入れましたので、その根本のところまでまだメスを入れるに至らなかったということなんですが、さはさりながら、今委員がおっしゃるとおり、私どもが勉強した、お互いもうかなり古いですが、それから今日までいろんな変化が起きてきたのは事実だと思います。
 以前は、夫と妻がもう憎しみ合って別れるというのが普通の形だったのかもしれません。しかし、今は、結婚をして子供をつくってみたけれども、やはり私たち別々の道を歩んだ方がお互いの人生、より豊かに歩めるねというので、常ににっこり笑ってというのはもちろん難しいことではあるけれども、やはりそこは理解をしながら別れ、そして父と子、母と子、この関係はずっとこれからも続けていくんだという、そういう別れた夫婦の在り方というのも別に不思議ではなくなってきているということは、これは事実だと思います。
 そういうことを考えると、やはりこれは、今回は児童虐待防止ということでありますが、共同親権というのは一度真剣に議論をしてみる価値のあるテーマだと思っております。
#33
○丸山和也君 基本的には前向きに共同親権について検討をする価値があるとおっしゃっていただいて非常に結構だと思うんですけれども、私は、民法の改正といいますのは、平易なようで、社会の根幹といいますか、人間関係の根幹にかかわるやっぱり大きな一種の地殻変動を起こすぐらいのものですから、なかなかそうチャンスがないんですね。一旦決めますと、すぐ政策的にころころ変えるということはとてもできるような性質のものじゃありませんし、すべきじゃないと思いますので。今回もう一歩踏み込んで共同親権まで入っていくべきじゃなかったかなということが非常に残念でなりません。
 といいますのは、いろんな事例を相談を受けたり聞いたりしていますと、やはり一方に親権が行くということで問題になっているケースというのは、常識的な面会交流というのがやっぱり妨げられると。要するに排除されるということから、一方の親の非常に孤独感というか、生きていく上で支えというのがなくなって、それがだんだんエスカレートしてあるいはやや実力行使に出ると、それは法的に処罰される、あるいは子供からも危険な人物のように思われて排除されてしまうということで、更に苦しみの中に、連鎖の中に行っているという割かしそういう男性が多いので、私、その男性の悲痛な叫びをいっぱい最近聞いているんですよ。
 弁護士の中にもそういう人がおりますし、お役所の役人の中にもおられますし、元裁判官の中にもおられるんですよね。それで、政治家の秘書の方にもそういうのがおられまして、今回私がこの質問をすると言ったら、何人も来られまして、いや、実は私も会えなくて困っているんだということで、決してむちゃなことをしようとか誘拐しようとか拉致しようなんて思っていないんだけれども、親権が元女房の方に行ってしまって、あなたとは会わせたくないということで、家庭裁判所も協力してくれないということで、これは聞いていますと、同じ男性の父親としてかわいそうだなというより、真剣な悩みなんですよね。
 それぞれがちゃんと社会的に立派な方であるし、ただ子に会いたいと。せめて月二回ぐらいは週末を一緒に過ごしたいとか、ささやかな願いなんですけれども、これがかなえられないということで、やっぱりこれ根幹を考えてみますと、親権の在り方、それから離婚のときの親権の決め方、こういう法制度並びにそれから家庭裁判所の運用、ここら辺に原因があったと思うんですね。ですから、やはり今回、法改正の中で、養育監護とか面会交流についても家庭裁判所の指導の下にそれをきちっと決めなさいということにわざわざ明文化されたということで、非常に一歩前進だと思うんですね。
 ただ、そうやって悲痛な訴えをしてくる人たちのを聞きますと、やっぱり家庭裁判所がなかなかそういうふうに動いてくれないんじゃないかという、かなりもう絶望的な危惧を持っている方が多いんですよ。というのは、今までの家庭裁判所の運用を見ていても、やはり実際、面会交流なり養育監護というのは議題になっているんですけれども、親権が女性が取った場合に、面会交流させたくないと、私の方で責任持ってやりますからとかあるいは前に子供が嫌がったとかいろんなことがありまして、家庭裁判所も調査官なり裁判官いろいろ入って、一応努力はされて、その場はあるんですけれども、結論的にはなかなか認められないということが多いようなんですね。
 ですから、今回も法改正の中で、この七百六十六条の中で、子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項はとして、子の利益を優先して考慮しなければならないというふうに、こういうふうに、そして二項の中で、協議が調わないときは、家庭裁判所が同項の事項を定める、こういうふうになっているんですけれども、やや権利として、面会交流についても、面会交流する権利があるんだということまでは必ずしもうたっていない。協議して定めなさいと、定まらないときは家庭裁判所が何とか決めますよというような家庭裁判所に対する丸投げなんですよね。
 すると、実際にこの法改正の趣旨が両親共同親権的に離婚後もうまく機能するためには、やっぱり家庭裁判所が物すごい一種の意識改革をするなりしてそういう方向で稼働してもらわないとやっぱり余り変わらないと。こんなふうに条文が変わったということだけで裁判官なり家庭裁判所自身がどれくらい違った取組になるのか、ここが非常に私は現実的な問題として心配しているんですが、この点についてはやや楽観的に考えておられるんでしょうか、いかがでしょうか。
#34
○国務大臣(江田五月君) 楽観的というわけではありませんが、ある種の期待を持っているというのは事実でございます。
 七百六十六条は、協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会その他の交流、費用の分担その他子の監護についての必要な事項は協議で定めると。家裁に丸投げじゃなくて、まず離婚をする父と母あるいは夫婦で、そこは必要な事項ですから決めなさいよと、こういう思いがにじみ出ているので、必要でない事項だと書いてない、必要な事項だと。しかし、その協議がなければ協議離婚が成立しないというところまではいっていないけれどもというある種の思いだと思います。で、次に子の利益を最も優先して考慮をする、さらに家庭裁判所と、こういう立て方になっているわけでございます。
 面会交流というのは必要なことなんだと、いいことなんだという思いが条文上にじみ出ているのならば、ならば共同親権ということの方が面会交流はよりスムーズにいくじゃないかという、そういう委員のお気持ちがあるんだろうと思いますが、これは確かにそういうケースもあると思いますが、さっき言ったとおり、今回は児童虐待ということなので、そこまでは踏み込んでおりません。おりませんが、単独親権であっても父と子、母と子、この関係は変わらないので、したがって単独親権であってもどんどん面会交流などやって一緒に育てようというような別れた両親の子に対する態度というものが生まれてくれば、これは大変、どういいますか、結構なことだというのが今回の法改正への期待だと思っております。
#35
○丸山和也君 しつこいようですけれども、例えば協議離婚、まあ離婚については同意している、それで面会交流についてのみ両親が対立していると。それで、母親の方としてはできれば会わせたくない、子供がどうするとか、自分が、まあいろんな配慮はあるんでしょうけれども、会わせたくないと。しかし、こういう規定があるからやむを得ないと。裁判所の説得もあると。じゃ、月に二回ぐらい、それぞれ一時間ぐらいとか二時間ぐらいずつだというぎりぎりの同意をしたとしますよね。それで、男性の方は、いや、それじゃ余りにも、月に二回会って二時間程度のあれじゃもう十分なあれも尽くせないし、やっぱり最低でも四、五時間、そのうち一回ぐらいは週末に自分のところに来て泊まると、そういう外泊といいますかね、それも認めてくれと。こういうことになると、結局意見が、協議が調わないんですよね。それで、こういうことが対立する場合というのがもうほとんどなんですよ。
 そうなると、裁判所としてはやっぱり決裂はさせられないと。すると、一時間というところをまあせいぜい二時間とか二時間半にするとか、あるいは一方が、ゼロよりはいいでしょうと、それで多少あなたも譲りなさいよというようなところで、非常にやっぱり面会交流を極度に制限する形で認めるというところに落ち着きやすいんですよね。それで、哀れな男性は、ゼロよりはそれでも一目見たいという思いでやっぱりのむんですね。
 ある僕は週刊誌の記事で見ましたけれども、どうしても会わせてくれないということで、中学生になった娘さんが学校へ通う駅に通学の途中にお父さんがぱっと娘に駆け寄ったときに、娘がびっくりして逃げるというんです、逃げたと。それで、逃げたときにちょっと転んで、それを抱きかかえようとしたら、このくそじじいと言って叫んだっていうんですね。それで、それはやっぱりずっと面会交流を遮断されていて、それから、母親の方からお父さんに会っちゃ駄目、お父さんはこういう人なんだとかいろんなことをやっぱりある意味では吹き込まれていたらしいんですよね。まあ報道ですから全てが、細かいところはありませんけれども。そういう身を挺して娘に駆け寄って、ここしかないと思ったときに、くそじじいと言われたこの男性は心境いかなるものかと思ってですね。
 私は、やはりこういう極端に面会交流が遮断されていると、どちらにとってもやっぱり悲惨なんですね。娘は父親を憎み、恐れ、父親はショックを受けという、こういうことは、やっぱりちょっと一時間、二時間ちょこちょこっと形だけ会わせて、あるいは誰かの監視、立会いの下に会わせるというようなことではなかなか解消していかないと思うんですね。
 だから、ここらは日本の社会もやっぱりかなり勇気を持って開かにゃいかぬと思うんですね。離婚しても、それは良き、かつての同窓生と言ったらおかしいけれども、良き仲間というか戦友というかね、かつての同志ぐらいのつもりで付き合うぐらいの度量をやっぱり示さにゃいかぬし、またそういう、家庭裁判所自身がそういう啓蒙的精神で積極的に取り組まにゃいかないんですけれども、どういうわけか、調査官にしろ裁判官にしろ、やっぱり割かしそこらの頭が柔軟でないというか固いというか頑迷固陋というのかもうカビが生えているというか、そういう方が多いというふうにも被害者的な男性からは聞こえるんですね。
 ですから、是非、家庭裁判所の役割が大きくなりましたから、家庭裁判所に対するそういう意識改革ということを強く私は望みたいと思うんですが、その点については何か御意見ございますでしょうか。
#36
○国務大臣(江田五月君) 委員の御指摘は本当に含蓄のある御指摘だと思っております。
 社会というのは、やはりこれは人間同士のきずななんですね。そのきずなの中で最も深いのが夫婦のきずなであり親子のきずななんだろうと思います。それを、せっかくあるきずなを大切にするんではなくて、きずなを絶っていこうというのはやはりいい傾向ではないと。
 ただ、以前はそのきずながどうしても身分的なきずなになったり、あるいは子はかすがいとか言って、もう子がいるんだからここは何としてもあなた、夫が少々わがまま言っても我慢しなさいよというような、ここで耐えるのが女の務めみたいな、そんなものも随分強かったんですが、それではいけないんで、やはりきずなというのはお互いの共感、お互いの理解、そういうものの上に立ってできていくのでなければならないので、今そうした岐路に私どもの社会が立っているんだろうと思っております。
 そんなことを踏まえながら、新しい家族や親子の在り方、離婚後の夫婦であったものの在り方、こうしたものをこれからみんなで探っていく時代に来ているわけで、そういう思いをこの法改正というのは含んでいるものだと、私はこの案文を作ったときにはまだたしか法務大臣ではなかったのかもしれませんが、そういうような理解をしておりまして、家庭裁判所におかれても是非そういう辺りのことをよく理解の上で家裁実務を運営をしていただきたいと願っているところでございます。
#37
○丸山和也君 是非お願いしたいと思います。
 それから、よくそういう子に会わせない理由、制限する理由として、暴力を振るうとか、かつてDVがあったとか、それから、よく女性側から主張されるんですけれども、そういう例もそれはあるんでしょうけれども、いろいろ細かく聞いてみますと、女性からの暴力というのも結構多いんですね、昨今は。だから、おとなしい男性が、草食人間じゃないですけれども、多くて、女性側の方が、獣とは言いませんけれども、非常に乱暴で強くなって、暴言を吐くし、時々は女性が手を出すと。女性が手を出してもなかなかDVと言われないけれども、男性がちょっと手を振り上げるとすぐDVだと言ってね、それで警察が動いたりするという、こういうことがやっぱりあるんですよ。
 だから、僕は、そこら辺、時代は大きく変わっているし、やっぱり個々の判断をしないといけないのに、まだそういう弱い女性を保護するとか、そういう観点から離婚の運用、親権の運用、親子関係も見られているところにやっぱりかなり時代的ずれが出てきていると思いますので、そこら辺は、まあ法務大臣に直接言ってもあれなんですけれども、一言ここで言っておきたいと思います。
 それから、だんだん時間の関係ではしょりますけれども、ハーグ条約について少しお聞きしたいと思います。
 これは、私はそういう条約に加盟するということについては賛成なんですけれども、結構これは厳しい世界に突入するという予測をしているんですね。
 それから、本当に日本人が例えば子を連れ去ってきたような場合、そういうハーグ条約の下で対応していけるのかと。そこら辺はよく、やっぱりこれは基本的には、原則は子を連れ去った場合は元の居住国に返さなきゃいけないと。そこから親子の関係についていろいろ定めていこうということですから、一旦実力行使的に日本に避難してきた人がそういう法の下へさらされると。もちろん、例外的な場合は、DVがあるような場合は返さなくていいとかいろいろ言っていますけど、そう生易しくほとんどの場合が例外だ、例外だということにならないと思いますので。
 ここら辺について、今の時点で、いや日本も加盟するんだという、これはまた民法改正と違って大きな決断をされているように思うんですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。
#38
○国務大臣(江田五月君) 国際結婚というのはもうごく普通のことになっていると思います。国際結婚は普通だけど、国際離婚はめったにない、そうはなかなかいかないんで、やはり国際離婚というのも普通のことになってきている。その場合に子供は、親権は共同という場合もありますが、子育てをするというのはやはりどちらか、子供は生身ですから両方に引き裂くわけにいかないので、子育てをどちらの親がやるのかということの審判、判断はどこでするのかと。
 これは、やはり別れる前に子供がいた場所、そこの裁判所なり司法機関でやることが適切だというのが国際ルールであって、そこで、そういうような判断を経る前に国境を越えて子供が連れ去られた場合には元へ戻して、そしてその子供の養育についてちゃんと手続を法定しましょうというのがハーグ条約で、したがって、ハーグ条約というのは子供を誰が育てるのがいいかということではなくて、どこで決めるのがいいのか、そのどこというのが、つまり常居所地国、そこへ子供を戻しなさいと、こういうルールでございまして、このハーグ条約しかそういう場合のルールは今ありませんから、私どもは、やはり国際社会の一員として生きていく以上、そういう今あるルールの中に私どもも入っていって、それによりいいルールに変えていこうという努力をしていくべきものであると。
 初めからあそこが悪い、ここが困る、だから入らないというのでは、もう今これだけ国際結婚、国際離婚が普通のことになっているときにやっていけないというような思いで、ハーグ条約への加入の準備を始めるかどうかというところが今煮詰まってきつつあるというところでございまして、是非、これはそんな意味から、ひとつ日本の国を外国に、国際社会に開いて、そうした場面においても日本が国際社会のルール作りで一定の役割を果たせるようにしていきたいと思っているところでございます。
#39
○丸山和也君 それに関しまして、日米間で、ある報道で調べたところによりますと、日本人女性とアメリカ人男性が結婚して向こうに住んでいたんですけれども、主としてDVかも分かりませんけれども、そういう理由で子供を連れて、もちろん夫の承諾なく独断で子供を連れて帰ってきて、それで、男性側から戻せという係争になっているのは百四、五十件ぐらいですかね、日米間であると聞いています。それで、これはもちろん女性側としてはもう二度と戻りたくない、向こうに返したくないということなんですけれども、そういう紛争状態になっていると。
 それで、つい先般ですかね、新聞に見ましたけれども、そういう例の一つで、やはり子供を奪われたということでアメリカ人男性がどこかの州で損害賠償請求を起こして六百万ドルか何かの判決が下りていましたけど、六百万ドルというと日本円でいうと五億円ぐらいになるんですけれども、それを出したり、その男性は日本に来て、一時、連れ去ろうとして日本で逮捕されて、ただこれはそのまま起訴もされずに釈放されてアメリカに帰っていると。こういうまさに刑事事件、民事事件絡んだ国際紛争になっているのも新聞で報道されていました。そこまでいかなくても、百四、五十件があるんじゃないかと言われていましたので、やはりこれはまたもっと増えてくるんじゃないかと思うんですね。
 そういう意味で、例えば、取りあえず条約に従ってアメリカに子供を返し、そこで子供の在り方、夫婦の在り方について協議するとしても、当然法手続に従ってやるわけですから、あるいは向こうで現地の弁護士を雇う、あるいは滞在する、それからまさにそこでしばらく居住してやる、そういう物理的な負担があるわけですよね、当然、日本人女性とすれば。なかなか大変なことですよ。
 そういう、だから国際的に子をめぐる紛争というのは非常にレベルの高いというか、次元に入っていくと思うんですね。ある意味、今までは実力的に逃げておれば何とか時間の経過とともに収まるという、こういうことを期待していたんですが、これからは堂々と法的舞台で闘わなきゃならない。闘うと言うとあれですけど、協議したり争ったり闘ったりしなきゃならぬという非常にレベルの高い次元に入ることを要求されることになると思うんですね、このハーグ条約に入るということは。それでも、そういう時代の流れなんだということであれば、また私はある程度それはもうやむを得ないと。
 だから、日本人、ほとんどの場合は女性ですけれども、そういう理論武装なり、国際的にやっぱり闘うマインドの訓練もしていかないと国際競争の中ではこれは勝ち抜けないと思いますので、そういうことも、やっぱりこのハーグ条約の意味というのは非常に重いんだよということも、裁判員制度じゃないですけれども、政府としてこういう方向で進んでいくのであれば、国民にやっぱり周知させるというか、知らせる必要もあると思うんですけど、いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(江田五月君) 今委員が御指摘のような事案がつい先日報道されたのは存じております。
 そういうものも含めて、やはり国際社会の中で日本というものが生きていく、国際社会の中で生きていくのは日本という国だけじゃない、日本人自身が一人一人やはり国際社会の中で生きていくという時代になってきていて、そういう時代に国境を越えた結婚をしようとする場合には、ちょっとイケメンだからひょいという、そうじゃなくて、やっぱりそこはきっちり自分で判断をし、別れるときにもよく覚悟を持って話合いをして別れるということでなければいけないと。日本にとにかく子供を連れて帰って実家に戻ってじっと逼塞、蟄居しておれば一定の期間がたってもうこれで大丈夫だという、やはりそれはそうばかりはいかなくなるよという時代になっているのだと思います。ハーグ条約の場合は、一定の養育の年限がたてばハーグ条約が働く場面でなくなるということはありますが、やはりそこに逃げ込むのではいけないので、ちゃんとルールに従った処理をしていくということで。
 ただ、今、アメリカはそんな国だから、とてもアメリカなんか相手にハーグ条約なんか入ったら大変だという、そういう心配もあるかと思いますが、今のこの損害賠償額、これは日本の場合には実際の損害、精神的な苦痛も含めて実際の損害についての賠償でなければ、単なる懲罰的な賠償の場合にはこれは強制執行はされないと、日本で執行判決は出さないというのが最高裁判所の扱いですので、そこはそんなに心配することはないと。ただ、だからといって居直っちゃいけないということだと思います。
#41
○丸山和也君 じゃ、時間の関係で一点だけ。
 ちょっと前後して元の問題に戻るんですけれども、離婚後の面会交流の中で、今、何というんですか、FPICというのが、御存じかと思うんですけれども民間団体でございまして、これが家裁の調査官とかいろいろやられた方が中心になってつくられている団体のようなんですね。それで、そこがいわゆる面会交流についての相談を受けて、その仲立ちをして、いろいろ取決めをして、それでそういう、まあ家裁のお墨付きのような感じですね、そういういろいろお手伝いをしてまとめているという団体があるようなんですけれども、これは非常に結構なことだと思うんですけど、このFPICもなかなか利用制限というのが、例えばかつてDVあった人は駄目とか、あるいはこの面会交流認めるのが非常に制限されているんですね。もちろん宿泊というのは駄目とか、それから一時間以内だとか、それから監視付きだとか、結構制約が多いようなんですね。
 ですから、こういう団体ができて活動することは基本的には非常にいいんですけれども、やはりそこの、せっかくいいものができたのであれば、そこら辺の運用の仕方なりをもう少し柔軟に改善するなりして、この新しい法改正の趣旨に沿った形で、利用しやすいもの、また利用したいなと思うものになってもらいたいと。
 これはだから、法務大臣にどうこうしろという趣旨じゃないんですけれども、こういう問題点もあるということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
 以上です。
 大臣、一言あれば。
#42
○国務大臣(江田五月君) 親と子の面会交流をどういうふうに円滑に進めていくかということについては、これは社会的なサポートというのはやっぱり必要だと思います。どういう組織機構がそういうサポートができるかということで、家庭裁判所もいろいろと行います、あるいは厚生労働省もいろいろな仕組みをこれから用意していくことと期待をしております。
 そうした中で、今委員おっしゃった家庭裁判所のOBの皆さんが、NPOでしょうかね、自主的な団体をつくって、そこでいろんな活動をしながら面会交流をサポートしていくというような取組が行われているものと承知をしております。残念ながら、今のその家庭裁判所OBの皆さんの活動というのは、まだまだ本当に生まれたばかりというか卵の段階で、これからこれがどういうふうに大きく育っていくかということですが、これはやはりみんなで育て、そういう種類のものを多様に育てていくことが必要だと思っております。
#43
○丸山和也君 ありがとうございました。終わります。
#44
○木庭健太郎君 お二人からハーグ条約の問題が出ましたので、私も最初にハーグ条約のことについて何点かお伺いしておきたいと思います。
 一つは、先ほど江田大臣はこの議論は煮詰まってきているところだというふうにおっしゃいましたが、新聞報道を見る限り、あしたですね、二十日の閣議で了解して、これをサミットに持ち込むという、フランスでの、という報道で伝わってきているわけですね。ということは、もうこれ、既にこのハーグ条約については入ろうということで今もう方向が大きく動いているという段階だと私は思っているんです。
 そのこと、賛成、反対ということを議論する前に、私はそれはちょっと早過ぎるんじゃないかなと。しかも、その問題を、このハーグ条約について一番海外の中で日本に対して求めている国がフランスとアメリカなんですよね、早くなるべくやれと言っているのが。そのフランスであるサミットだからといって、なぜそこの場にこの問題を、ハーグ条約の問題を持っていかなくちゃいけないのかというのは何か拙速過ぎるような気がして私はならないんです。
 もう少し慎重な議論が欲しいと思うし、例えば子供が虐待を受けている場合の返還拒否の問題なんか、指摘されているものは幾らでもあるわけですよね。そんな問題に対して、大臣は一定の方向にまとまっているというような認識はお持ちなんですか。早過ぎるんじゃないかという私の認識と、今申し上げたような条件整備が本当にできているのかというようなことについてお尋ねをしたいと思います。
#45
○国務大臣(江田五月君) フランスですよね、フランスのサミットに間に合わせるとかというようなことではないんですが、しかし、一定の日程についてのイメージを持ってやっていることは事実でございます。
 ちょっと拙速過ぎるという御意見もございますが、やはりこれは国際社会の中で日本が生きていくにはある種のスピード感は要るぞという意見もまたあるところでございまして、今二十日の閣議と、まだ行けるかどうか、いよいよ最後のぎりぎりの、最後といいますか煮詰まる寸前というところなので、ちょっとまだ予断を許さない部分はございますが、議論をしていると。
 そして、確かにいろんなケース、ケースがあるのは事実なんです。しかし、今私どもやろうとしているのは、ハーグ条約加盟への準備を進めるかどうかについてが今煮詰まる寸前ということで、準備をするということになったら、それから今度は国内担保法の検討などに入っていくわけですから、そんなに何か焦って、つんのめってやっているというような感じは持っておりません。
#46
○木庭健太郎君 こう申し上げたのも、例えば外務省さんがハーグ条約に関するアンケートとかをやって、発表したのは今年の二月なんですよね。二月に発表したばっかりですよ、ハーグ条約に関するアンケートというやつ。
 この中では、条約締結すべしというのが二十二件ですけど、すべきでないというのも十七件なんです。それぞれいろんな理由が付けてある。私は、大臣さっき、日本に逃げ帰ってしまうようなそんな弱いことじゃとおっしゃいましたが、私は、もうこの方々のおっしゃる中で、例えばやっぱりDVとかいろんな問題があったときに、やっぱりどうしてももうそれしか最後の手段として残されてないと、そんな思いを持っていらっしゃる方もいらっしゃる。そういう、ある意味では、まだ今年の二月のアンケートの段階でも、実際にそういうものに該当すべきような方々の意見がある意味じゃ真っ二つに割れていると。こういった状況について、大臣はどんなふうにお考えですか。
#47
○国務大臣(江田五月君) そのアンケートは、外務省において昨年の五月から十一月までの間、外務省本省と在外公館のホームページを活用して、国際的な子の移動の当事者となった経験のある日本国民を対象にアンケートしたものだと承知をしておりまして、本年二月に公表されたということでございますが、内容はまさに賛否始めいろんな意見がある。回答件数六十四件で、ハーグ条約締結について、締結すべきと明示したもの二十二件、すべきでないと明示したもの十七件というように承知しておりますが、いずれにしても、そうしたまだ、このアンケート自体はこの程度の母数のアンケートだと、その中でも締結すべきと明示したものの方がまあまあ多数ではあるということでございます。
 確かにいろんな事例があるんですが、しかし国によっては、DVのことなどいろいろ心配されるけれども、自分の国はDVのことなどあればDVをやるような親に子供を預けない、そういうしっかりした審判をすると自信を持って私に言われるような国もありますし、いろんな事例があるというのが事実だと思います。そんな中で日本がちゃんと一定の役割を果たしていこうということだと思います。
#48
○木庭健太郎君 まさにこれは先ほどから議論になっている、例えばやはり日本は単独親権の問題を取ってきた、海外が共同親権を持っているというような問題、こんな問題もかかわります。これから日本の国内法について議論をするということでは、私はいささかちょっと心配だなと思わざるを得ないところがあるんです。
 例えばこの親権問題というのは根本問題ですから、そういった意味では、どういう在り方ということについて、もちろんこれをきっかけに議論をしていただくことは最低限必要でしょうが、少なくとも国内法を整備するときに不可欠なものとして、例えば面会交流のサポートをするような仕組み、これはどうつくるかと、つくる方向でどう検討するかというような認識をお持ちになってやっていらっしゃるのか。例えば、今おっしゃったようなDVから子供を守るような問題について、じゃ国内法として守るために、先ほど申し上げましたが、例えば返還拒否の問題等も含めてそれができるような仕組みをつくるために法的ないろんな検討をしていくというお考えなのか。それとも、今全く白紙で、さあ今から考えますよじゃ、これはいささか心もとないと思うんですが、法務大臣、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(江田五月君) 国内法の整備ということは、当然ハーグ条約加盟の準備を進めようとしたらやらなければいけない課題でございますが、全く何にも今準備していなくて、さあと言っているわけではありません。一定の準備はずっと進めておりまして、DVの場合に返還をしない手続であるとか、そうしたものを、これは先ほどもちょっと言いました本案、つまり誰、どちらの親が子供を養育するかということをどこで決めるかということであって、日本で例えばインカミング、外国から日本に子供が国境を越えて連れてこられた場合に日本の裁判所で手続をやるとすれば、それはどちら、常居所地国なのか、あるいは日本でやるのがいいのか、その判断ですから、ある意味でこれは、どういいますか、本案の判断の前提となる判断をやる、その手続を日本の裁判所できっちりやるための手続法を整備をするといったことを今議論をしている最中だと。この議論はもちろんある程度やっています。
#50
○木庭健太郎君 ということは、そういうことを整理した上で、そういうハーグ条約に関係する法案の問題なんですが、秋に臨時国会が開かれるのかどうか、通常国会がどうなるのか分からないんですが、そういった整備のための法案というのをおおむねまとめた上でいつごろ提出なさろうというお考えかだけ聞いておきます。
#51
○国務大臣(江田五月君) これはまだちょっといつごろというところまで日程のイメージを持ってはおりませんが、もし近々準備をしようということになれば、そんなに何年も掛けてというわけにはいかぬだろうと思っております。
#52
○木庭健太郎君 まあ余り詰めても。
 でも、もしそういう状況でハーグ条約への加盟を加速されるのであれば、法的整備も是非加速させていただきたいと。もし二十日とかそういう流れになるんだったら、少なくとも来年の通常国会、ちょっと遅いぐらいの気持ちはあるんですが、それぐらいは最低限やっぱりやっていただかないと、これ本当に心配されている方がいっぱいいるということも、一方でやっぱり大臣も、国際関係で大事だとおっしゃる一方で、日本人としてやっぱりそこに極めて危惧を抱いていらっしゃる方々がいっぱいいらっしゃるということは認識していただけますか。
#53
○国務大臣(江田五月君) 今の委員の認識を共有したいと思います。
#54
○木庭健太郎君 それでは、東日本震災の関係でいつも一問、二問お聞きしているんですが、一つちょっと、前々回ですか、質問をさせていただいて、その後、大臣の方でも対応していただいた問題と言えるような問題が一つございます。矯正局の問題なんですが、刑務官とか出していただくという問題で。
   〔委員長退席、理事金子原二郎君着席〕
 実は、刑務官の方々が震災後すぐに行かれまして、例えば新聞報道を見ましたら、宮城県の石巻市の避難所ですか、ここで住民への支援活動をずっと行った刑務官に対して、活動終了のときに避難所の全員が送り出していただくというようなそういうのが載って物すごくうれしくて、そんな反応があったということで、それはそれで大変評価すべきだと思いますし、その後、できる限り、日常業務もあるわけですから全てを出せるわけじゃないんですが、例えば刑務官とかそういう方々、さらに子供の問題これからありますから、是非心理技官、心のケアの問題で協力できる方があれば是非協力もしてもらいたいというようなことを御指摘をしておったんですが、何か法務省として四月下旬から再びそういうことを決めたというようなお話がちょっとあったものですから、確認の意味で質問をさせていただきます。
#55
○国務大臣(江田五月君) 御関心持っていただいて大変ありがとうございます。三月に宮城刑務所の管区機動警備隊四十名を派遣をいたしまして矯正施設の警備・救護業務に当たらせ、さらにその際、近隣の地域社会に甚大な被害が発生している状況があったので、石巻市からの強い要請を受けて地域住民の支援活動に当たらせました。
 その後、石巻市から、避難所の運営に人が足りないから更に来てくれないかということがございましたので、今委員の御指摘のとおり、四月の二十七日から当分の間、石巻市内の避難所運営の支援のために刑務官十名を派遣し、また、避難所における被災者への心理相談のために少年鑑別所の心理技官二名を派遣をいたしました。
 たしか今委員御指摘の情景と同じ情景だったと思いますが、その職員に対して、女子高校生でしたか中学生でしたか、敬礼というので労をねぎらっていただいたと、大変役に立ってうれしかったのを思い出しております。
#56
○木庭健太郎君 ちょっと申し上げましたが、日常業務との兼ね合いがいつもあるということなんですが、これから特に必要になっていくのはやっぱり先ほど指摘した心の問題、ストレス反応が出てみたり、いろんなことが避難所の中では大変な一番の課題になっていくと思いますし、そういった意味では、こういう被災者の心理相談を持つ心理技官ですね、今二名の方を派遣していただいておりますが、これをどのくらいやれるかという問題はあるんですが、やはりこういった方々はある程度長期間の派遣というようなことも是非検討もしていただきたいなという気持ちを持っておりますので、この点について、大臣、何かあれば伺っておきたいと思います。
#57
○国務大臣(江田五月君) 心理技官というのは心理学等の専門的知識に基づいて少年鑑別所とか刑事施設において活動している職員でございまして、石巻市の要請で二か所の小学校の避難所に心理技官二名派遣したほか、仙台、山形、福島、水戸の各少年鑑別所等が自治体等の要請に基づいて派遣をして心理相談を実施をしているところでございまして、今後とも自治体やあるいは教育委員会等の要望に応じて活動を行う予定にしております。
#58
○木庭健太郎君 それでは、この民法改正についてお尋ねをしていきたいと思います。
 今回、この改正が行われる背景について、先ほど少しはありましたが、私自体もこの法案改正というのは、児童虐待の問題、社会的問題になって、統計取るようになってからもう二十年以上経過をしたわけですけれども、児童虐待に特化した法律が必要だということで、平成十二年には児童虐待防止法も議員立法によって制定され、これも十年以上たっていると。この間、ずっと児童虐待防止法であり児童福祉法の改正でいろいろ権限強化は図られたけれども、それでもなお児童虐待が後を絶たない。児童相談所が適切な処理をしようとしても困難事例が起きてきている。その困難事例の中に、やはり親権を理由に児童虐待を正当化しようとするような人たちがいらっしゃったり、親権を理由に、入所させたとしても児童の監護、教育に関する事項についていろんな主張をなさる。
 そういった意味でどうすればいいのかというときに、やはり児童虐待防止のためには、児童虐待防止法とか児童福祉法の施策だけでなくて、親権自体どうあるべきか、その行使に問題がある場合にどのような制度が用意されればいいか、民法に定められている親権制度自体についても見直す必要があるということで今回の規定ができてきたんだろうと私自身は理解しておるんですが、つまり、今回のこの法提出の背景と見解、これを法務大臣と厚生労働副大臣にそれぞれきちんと伺っておきたいと思います。
#59
○国務大臣(江田五月君) 委員御指摘のとおりでございます。
 児童憲章というものがありまして、児童福祉法というのもあるし、そして議員立法で児童虐待防止法を作って、改正も重ねて今日までやってまいりました。しかし、なかなか児童虐待が深刻な社会問題からなくならないというようなこともあって、そこをよく見ますと、やはり親権との関係で踏み込めないというようなことが出てくるわけです。
 例えば、医療ネグレクト。子供にどうしても医療行為を施さなきゃならぬ、ところが自分は親権者だと言ってそれを拒絶をするとか、あるいは、里親等に委託中の児童について親権者が不当な主張を繰り返すとか、子供がアルバイトでお金稼いで携帯買おうと思っても親がオーケーしないとか、などなどいろいろございまして、やっぱり親権に踏み込まざるを得ないということで、今回、親権の問題というのを扱うと。
 扱う場合に、親権を剥奪するというのは、なかなかこれは大上段に振りかざしてということですから簡単にいかないということで、停止の制度を設け、さらにその停止中にも未成年後見というものを整備をしようということで今回の法改正となりました。
#60
○副大臣(小宮山洋子君) 今、江田大臣からお話があったこととほぼ同じですけれども、私も議員としてこの児童虐待防止法の改正などにずっと超党派で御党の議員とも一緒にやってまいりまして、そのとき、特に児童虐待防止法を制定してもなかなか児童虐待が減らない中で、どういう見直しが必要かを多くの関係者からヒアリングをした際に、一番多い要望が親権の一部停止、一時停止だったんです。ほかの要望よりも群を抜いて多い要望でした。
 ただ、そこのところは、親権について、家族法についてずっと触られないまま来ている中で、やはりこの親権のところをきちんと考えて、全部なくすか全く触らないかではなくて、そうしたいろいろとケース・バイ・ケースでできるようなものを親権について行わないと、しっかりせっかく児童福祉施設に保護をした、養護施設に保護をした子供をどうしても自分が見るからと言って連れ帰ってしまうとか、様々な問題も起こってまいりましたので、今回、民法と児童福祉法と併せて改正をして、親権の問題に正面から取り組むということになったものです。
#61
○木庭健太郎君 今副大臣おっしゃいましたが、副大臣はこの児童虐待の問題については深いかかわりを本当にお持ちのようでございまして、したがって、ちょっとお聞きしようと思っているんですが、何かというと、この親権問題については平成十六年の児童虐待防止法の一部改正のときにもなかなか詰めることができなくて、三年以内にどうしようかという話がして、さっきおっしゃったように、三年後の十九年の改正においては親権の一部停止、一時停止制度の必要性の問題も含めて引き続き議論が必要であるというようなことを言って、それでもなかなか改正に至らないというようなことの経過があったわけでございました。
 副大臣は、平成十九年のときがたしか青少年問題の特別委員会の委員長でしたか、委員長で改正案の提出をなさったお一人だと思うんですが、どうして親権という問題になるとなかなか見直しが進まなかったと、ようやく今回実ったんですが、なぜここまで親権問題が掛かったか、副大臣なりに御感想があれば聞いておきたいと思います。
#62
○副大臣(小宮山洋子君) 難しい御質問ですが、感想でよろしいということでございますので、これはやはり民法の中で家族法の改正というのはずっとなかなか手が着けられないまま来たということと恐らく関連をするかと思うんですけれども、児童虐待防止法の改正のときに、これは附帯決議とかでは駄目なので、附則で二回の改正とも、この民法の親権の見直しが必要だと読めるような書き方をしてあります。
 最初のときは割と軟らかく書いてあったのが、全く法制審議会が動かないということで、平成十九年のときには、かなりもうこれは虐待のところに絞ってでいいからしっかり取り組むようにと、名指しではございませんが、法制審議会にしっかり取り組んでくださいという可能な限りの注文を超党派で付けたと。そういうことでございますので、やはり子供の権利と親権の問題について非常に法整備が進んできていないというものの一つがこの問題だったのではないかと、感想と言われましたので、感想としては思っております。
#63
○木庭健太郎君 今日、やっぱりちょっと私も解説を受けまして、民法というのは私人間の関係を規律する基本の法律ですよね。このうち財産法が想定しているのは、財産を所有する独立して平等な個人が私的自治の原則の下で自由な経済活動と。
 これに対して親族法、中でも親子のこの法律の部分というのは、市民社会に独立して主体として登場することができない者を保護するためのルールについて定めている、だからこれを私的保護法と呼ぶ人がいらっしゃると。他方で、子供の保護ということになると、これは児童福祉法を始めとする社会保障法によって担われていると。この分野は、私的保護、公的保護、あるいは私法と公法が隣接するような分野じゃないかなと思うんです。
 ただ、この両者の連携という点では課題が幾つもあると思っておりまして、親権についていうならば、民法に基本的な規定が置かれる一方、児童福祉法についても関連する規定が設けられていながら、その連携というものは必ずしも効果的に働いてないというような指摘がこれまでもございました。
 今回の改正というのは、そういう意味で、児童虐待を防止するというまさにその目的の下に、小宮山副大臣もおっしゃいました目的の下に、子の利益という観点から民法と児童福祉法を同時に見直すという点で大きな意義があるものだろうと思うんです。
 そこで、ここで基本のお話を是非、法務大臣、厚生労働副大臣からお聞きしておきたいんですが、子供の保護という点について民法の果たす役割と児童福祉法の果たす役割についてどのように考えていらっしゃるか、お二人から御見解を、基本的なことをお伺いしておきたいと思います。
   〔理事金子原二郎君退席、委員長着席〕
#64
○国務大臣(江田五月君) 骨太の質問ということになるわけですが、子の健やかな育ち、これをみんなで応援をしていかなきゃいけない、やはり一番の基本は親子関係なんだと思います。その親子の関係を規定をし、そして子の健やかな育ちに資さない親権の行使が起きた場合にどうするかといったこと、これを規定していくのが民法でございまして、親権を一時停止するなら未成年後見といったことが必要ですよといったことを決めているのだと思います。
 そして、これはあとは小宮山副大臣の方からお答えいただきますが、児童福祉法の方は今度は社会的サポートということで、そこにいろいろなサポート体制をつくろうということで、両々相まって子供の健やかな育ちが実現していく、これが私どもの願いである、祈りであると思っております。
#65
○副大臣(小宮山洋子君) 今、民法の方の考え方について江田大臣からお答えいただきましたが、児童福祉法の方では、児童の福祉、保護に当たるために、民法の親権停止の創設、親権喪失、それから管理権喪失の見直しに併せまして、こうした制度について児童相談所長の請求権を児童福祉法の改正により付与をすることでそこの部分の児童福祉をしっかり守るということ、それから親権者又は未成年後見人のいない児童などについて、施設入所中だけではなくて里親委託中あるいは一時保護中にも親権代行の規定を児童福祉法上に盛り込んだということで、この両方の制度が相まって親子の関係とそうした中での児童の福祉を守るということを同時に改正をするものだと考えております。
#66
○木庭健太郎君 今日の最後に、また個別の議論は今後させていただこうと思うんですが、今日の最後にお尋ねしておきたいのは、今回の法改正のときもそうなんですが、こういう問題を検討するときに、例えば今回の法改正というのは最初、学者、実務者、関係の担当官で構成される児童虐待防止のための親権制度研究会というところが開催されて、ここでまず民法、児童福祉法及び児童虐待防止法全体を通じての論点を整理した報告書をまとめるんですよ。しかし、その後になりますと、民法関係については法制審議会、児童福祉法と児童虐待防止法については社会福祉審議会、それぞれ部会、専門委員会が設けられて別々なんですよね。交互に委員を置くとか工夫はされたようですけれども、何か見ていると互いにそういうところの専門分野にはもう入り込まないみたいな何か、何やっているんだろうなというような歯がゆい一面もあったような気がするんですよ。だから、こういう問題考えると、やっぱり両者が一緒になってやるような方向も必要だったんじゃないかなということを私感じましたので、今日の質問の最後にこの点を法務大臣、厚生労働副大臣にお伺いして、私の質問を終わります。
#67
○国務大臣(江田五月君) 委員今御指摘のとおり、民法改正の議論と児童福祉法改正の議論が別建てで行われたというのはそのとおりで、合同で審議を行うことはありませんでした。しかし、委員等一部重なっておりますし、また一方の会議で他方の会議の議論状況が随時報告されるなどして、それぞれの審議会が十分連携をして議論したものと承知をしております。
 なお、一つ申し訳ありませんが、若干の訂正させてください。
 先ほど矯正職員の派遣のときに宮城刑務所の管区機動警備隊と言いましたが、これは宮城刑務所に、それから警備・救護業務と言いましたが、救援業務で、申し訳ありません、訂正をさせてください。
#68
○副大臣(小宮山洋子君) これも江田大臣から答弁のあったところでございますが、それぞれ今回、今までもそうだったと思いますが、法務省と厚生労働省と別々に審議をしてまいりましたが、委員が重なっていることですとか、厚生労働省、法務省、最高裁判所の事務総局からは共同で参加をしているというようなことがございます。
 ただ、この件でなくても、全部省庁縦割りで一つのことを二つのところで一緒にやるというのは、今回はちょっと扱っているテーマが違うということで別々にやって、いろいろな資料やら状況の報告をし合いながらというやり方は適切だったとは思いますが、テーマによりましてはやはり省庁の垣根を越えて共にやった方がいいテーマもあると思いまして、別の件ではそういうようなことも働きかけをしたりしておりますので、御理解いただければと思います。
#69
○木庭健太郎君 終わります。
#70
○桜内文城君 今回の民法等の一部を改正する法律案ということで、メーンはやはり民法とそれから児童福祉法の二つだと考えております。
 民法の方については後ほど触れたいと思うんですが、一点だけ冒頭申し上げておきますと、今回の七百六十六条におきまして、これまで法文上明確でなかった面会交流につきまして、子の利益を最も優先して考慮しなければならないという理念を示す規定を置かれたことにつきましては賛意を示すものでございます。
 今ほどの木庭委員の質疑の中にもありましたように、この民法とそれから児童福祉法の関係ですけれども、ちょっとやはり役所の縦割りと言ったら失礼なんですけれども、テイスト、テイストといいますか、法文の味わいにやや違いがあるように感じております。
 まず、今日は児童福祉法の関係から、法律上の観点も含め、お尋ねいたします。
 今回の児童福祉法の関係の改正は、やはり児童虐待というものをいかに防いでいくのか、こういった観点があるかと思っております。このような法の改正案を提出されるに当たりまして、厚生労働省の方で児童虐待の実態をどのように把握されているのか、お聞きいたします。特に、例えば児童相談所ですとか児童福祉施設におきまして、その定員、キャパシティーですとか、あるいはその定員が充足されている割合が高ければ、高ければいいという話ではないんですけれども、むしろ低い方がいいんでしょうけれども、十分に足りているのか。それから、児童相談所の場合は一時保護ですけれども、その平均の在所期間ですとかあるいは再入所の件数等々についてどこまで把握されているのか、お示しください。
#71
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
 いろいろと数字を挙げて御説明させていただきますが、若干もし漏れているところがありましたらまた御指摘いただければと思います。
 まず、児童相談所あるいはその連携を取りやすい場所に設置をするということで、虐待とか置き去り、非行などの理由によって子供を一時的に保護するための施設として一時保護所というのがございます。この全国の一時保護所の定員につきましては、平成二十二年四月一日現在、二千六百八十七人となっております。また、二十一年度の一時保護所の一日当たり平均保護児童数は千五百十一人でございまして、したがいまして、一時保護所の定員に占める一日当たりの平均保護児童数は五六・二%となっております。
 また、児童養護施設につきましてもお尋ねがございました。児童養護施設につきましては、平成二十二年三月末現在で、定員三万四千五百六十九人、現員が三万五百九十四人となっておりまして、充足率、これを分母、分子で割り戻しますと、八八・五%となっております。
#72
○桜内文城君 こういった一時保護ですとか児童養護施設の場合、児童虐待に限らず、例えば特に一時保護の場合ですと、家出少年少女ですとか、そういったものも含まれると思います。特に、この児童虐待、親による、親権者等による児童虐待で保護をせざるを得なかったという実態についてはどの程度把握していらっしゃるでしょうか。
#73
○政府参考人(石井淳子君) 児童虐待による一時保護総数でございますが、平成二十一年度で一万六百八十二件となっております。そして、児童虐待による施設入所等については、平成二十一年度現在、四千三十一件ということでございます。
#74
○桜内文城君 ばらばらと数字を挙げていただいているところなんですけれども、できるだけ包括的に最初にお尋ねしたようなものについて明確にお答えいただきたいんですが、例えばその児童相談所の一時保護の場合ですけれども、私、最初に定員のほか平均在所期間もお尋ねしました。それから、再入所の件数についてもお尋ねしました。
 恐らく十分に調べられていないということだと思うんですけれども、私ども、この参議院の法務委員会で二月に、東京の児童相談センターですか、それから児童養護施設に視察に行かせていただきましたが、そのときの厚生労働省の担当者の方々のお話ですと、十分に把握していないということでした。それから、再入所についても、厚生労働省の言う数字とそれから実際に現場で理事長をされている方のおっしゃっていることが食い違っておったり。
 その際にも厚生労働省の方には指摘しておいたんですけれども、このように児童虐待を防ぐという明確な立法目的がある中、このように国会に提出する前にきちんと立法の準備の段階でなぜそういった現在の児童虐待の状況をきちんと把握していないのか、そこについてお尋ねいたします。
#75
○政府参考人(石井淳子君) 大変失礼いたしました。用意いたしておりましたけれども、ちょっと答弁が漏れておりました。
 まず、児童養護施設の平均在所期間でございますが、児童養護施設に在籍する児童の平均在所期間は、平成二十年二月一日現在で四・六年、月数に直しますと約四年と七か月となっております。
 そして、今お尋ねございましたように、児童養護施設の再入所でございますが、その件数でございますけれども、平成二十三年四月一日現在で児童養護施設に入所している児童について調べたところ、大震災の被災三県一市を除きまして、二万九千七百十四人の在籍児童のうち再入所である者の数は二千三百九十二人でありまして、在籍児童数に対する割合は八・一%となっております。
 これは、実は二月二十四日の視察のときに、多くの児童が再入所していますというふうなお話がございまして、それとの違いも私どももちょっとおかしいなと思って再度お尋ねしたんですが、そのときは、一旦再入所するとその子が何回も再入所してくるという趣旨で申し上げたということでございまして、その施設における再入所率も一〇・〇%ということでございました。
 それから、もう一つお尋ねございました一時保護所でございます。一時保護所につきましては、平均在所期間というのが平成二十一年度におきまして二十八・六日となっております。一時保護所は、かなり保護所によって多い日数のところと少ない日数のところと相当幅がございます。
 議員お尋ねの一時保護の中での再保護を行うケースでございますけれども、実はここは、申し訳ございませんが、数としましては把握はいたしておりません。概数としまして、一万六百八十二件の一時保護総数のうち施設入所が四千三十一件でありますから、残りの六千六百五十一件が一時保護を解除した後、家庭引取り等に至ったわけでございまして、その六千六百五十一件のうち、どの程度一旦解除した後、一時保護になってしまったのか、そういうことが必要なわけでございますが、一時保護というのは、まさに児童の命を守るために緊急に保護する関係上、必ずしも虐待と判明できていなくても取りあえず保護するということがございますので、恐らく数字としましては児童養護施設の再入所率よりは低いかなと思うわけでございますが、これにつきましては今後把握をしてまいりたいと思っております。
 また、今先生の御質問は、なぜ法案を出してくるのに実態把握ができてなかったかというお尋ねでございました。
 これも、特に一時保護につきましては、今般非常に問題となっておりましたのが、一時保護をすることができるという原則が二か月であるにかかわらず、それを超えて入所している児童がいて、それについて何とか規律することができないかといったような観点がございまして、その観点の調査はさせていただいたわけでございますが、特にこの再入所のところについては調査の対象から漏れてしまったということでございます。大変失礼いたしました。
#76
○桜内文城君 特に、児童虐待で再入所してしまう子供さん、場合によっては亡くなるほどの大変な虐待があったりとか、新聞報道等でも耳にするところです。そういった意味で、児童相談所のキャパシティーといいますか、一時保護をした上で親子の再統合ということでおうちに帰す場合もそれなりに多いというふうにお聞きします。それはそれ自体必ずしも否定するものではないんですけれども、しかし、このように再入所してしまうケースがそれ相当にある。かつ、これも十分調査してもらう必要があるんですけれども、そもそも児童虐待をする親の側の原因というのが、精神疾患であるとか、ほんの数回児童相談所でカウンセリングをするですとか、そういったもので簡単に治るものではない原因の場合が大半だというふうにお聞きしております。そういったときに、再入所の数字も調べずにこのような法案を出してくる。そのことが私は厚生労働省の仕事のやり方としていかがなものかというふうなことは指摘させていただきます。
 特に、この実態の把握が十分でないにもかかわらず、私は問題として感じております条文がございます。今回の児童福祉法の中です。親権停止の申立てと併せて親権停止の取消しの申立て権を児童相談所長に与えるという条文がございます。これが三十三条の七ですかね。取消しの請求権まで広げているということでございます。
 何が言いたいかというと、このように児童相談所長の判断が子の利益を守るという意味で十分でない場合がそれなりに数字としても散見される。かつ、十分に一時保護の場合、特に再入所の割合等あるいは数等について把握もしていない。にもかかわらず、児童相談所長が親権の停止の取消しの請求まで行っていく。これは立法の趣旨、精神として、子の利益を図るということに私はつながらないというふうに考えております。
 厚生労働省のあらかじめの説明によりますれば、この親権停止に係る取消しの請求というものが行われた後、家庭裁判所で厳正に審査されて、審議がなされて審判が下るんだからこのぐらい構わぬのだというような言い方をされていますけれども、そもそもこの児童相談所等の行政を所管する厚生労働省の立場として、そのような立法の態度は私は余り認めたくないというふうに考えておりますが、副大臣、どのようにお考えでしょうか。
#77
○副大臣(小宮山洋子君) この部分でございますが、先ほど審議官からお答えをいたしましたように、一時保護の場合は把握をしておりませんで、またそこも調査をさせたいと思っておりますけれども、児童養護施設の場合は、再入所の率はさっき申し上げたように八%余りということでしっかり把握をしております。
 これはちょっとお尋ねとはずれてしまうかもしれませんが、この議員立法の見直し作業をしてきた者といたしまして、ここのところは議員立法の中でやり残したとかやり切れなかった部分として、親の教育とか親指導というところが、これはDVなどにも共通しますけれども、DVも加害者の更生プログラムがなかなかできない。日本の仕組みの中で親の指導をどうするかということで、これも超党派で大分検討はしたんですけれども、ドイツのようにその専門とする役職の人がいないとか、専門職がいないということとか、幾つかのことでやり残しています。親の方の元を絶たないとやはりそれは再入所ということもなるということがあるのではないかということは、お尋ねではございませんが、それは事実関係として先に申し上げます。
 この三十三条の七の件で今お尋ねをいただいておりますけれども、これは子供の福祉、親権者との関係で、守るために今回児童相談所長にいろいろな権限を付与しておりますので、その一つでございまして、この規定を設けたこと自体は私どもは今回の法の改正の趣旨に沿ったものだというふうに考えております。
#78
○桜内文城君 副大臣、議員立法とおっしゃったんですが、これ閣法として出ておるもので、ちょっと……
#79
○副大臣(小宮山洋子君) いやいや、違う、前です。改正のときが、児童福祉法改正のときにそういう問題点を、済みません、残しているということで。申し訳ございません。これは、なぜ再入所が多いかという御趣旨かと思いましたので、そこは以前に議員立法で改正をしたときにやり残した課題だと申し上げました。
 今回のこれは閣法でございまして、閣法は、今申し上げたような、先ほどから申し上げている趣旨で閣法の今回提出をさせていただいているということです。
#80
○桜内文城君 無関係なことについてはお答えいただかなくて結構です。
 私が申し上げたのは、この一時保護というのは児童相談所長が決めたりする話であります。その児童相談所長の権限として、ここにあるように、親権停止の審判の取消しの請求を行うことができるという新たな権限を付与することが、実態も把握していないのにいいのかどうかということをお尋ねしたんです。全く違うことをお答えになって……
#81
○副大臣(小宮山洋子君) 違うのかな。
#82
○桜内文城君 違います。先ほどおっしゃったのは、児童養護施設の再入所等について把握しているけれども、一時保護については把握していないと明確におっしゃいました。私はそこをとらえて問題だというふうに申し上げているわけです。きちんとお答えください。
#83
○政府参考人(石井淳子君) 今般の親権停止制度の創設に併せまして、児童相談所長にその親権喪失のみならず取消しについても家庭裁判所の請求権を持たせることが不適切ではないかというお尋ねでありましたけれども、確かにこの再入所というのがあるということで、児童相談所長の判断が十分適切か、あるいは親子分離の後の家庭復帰に当たっての判断が適切になされているかという御懸念だろうと思います。
 ここにつきましては、親子再統合について対策は十分、十分というか、これからますます高めていかなきゃいけないというふうには考えておりますけれども、ただ、児童福祉法三十三条七の規定につきましては、その親権停止の請求のみならずこの取消しの請求権を付与することによりまして、児童虐待に対する親や子の状況を見ながら一体的な運用が可能になるわけでございまして、親指導の効果を高めるというところも期待できるわけでございます。したがいまして、こうした措置というのは必要なのではないかと、ロジカルに必要ではないかと思うことを付け加えさせていただきたいと存じます。
#84
○桜内文城君 事前の説明のときにも申し上げましたが、ロジカルな説明じゃないからこうやって申し上げているわけです。この点については、私はこの三十三条の七という規定は、実態も把握せずにこのように児童相談所長の権限を拡大するということは全くロジカルじゃないというふうに考えております。
 次に、今度は四十七条、それから関連して三十三条の二、似たような条文があるわけですけれども、ここでは四十七条の条文を見ながらお尋ねいたします。
 四十七条の四項、五項というのが新設の条文であります。この四項というのが厚生労働省らしいといえば厚生労働省らしいんですけれども、とても法務委員会に出てくるような条文とは思えません。
 「前項の児童等の親権を行う者又は未成年後見人は、同項の規定による措置を不当に妨げてはならない。」、この条文の法的要件それから効果についてどういうものを想定しているのか、お答えください。
#85
○副大臣(小宮山洋子君) 親権者による不当な妨げというのは、目的とか手段の観点から見て妥当性を欠く行為、そのことによりまして児童相談所長や施設長などの措置を妨げることでございます。
 具体的には、子の利益と関係のない主張をするとか施設に押しかけて子を連れ去る行為ですとか児童相談所や施設の周りで騒音を出す、こうしたようなことが該当すると考えております。
#86
○桜内文城君 そのような事例も含め、全くガイドラインがないということを事前の法案の説明のときに厚生労働省に申し上げました。このような具体例のガイドラインもこのように国会に提出する前に用意をしていない閣法、これは一体どういうことなのかということを申し上げておきます。
 そして今、法的要件として幾つか解釈を述べられましたけれども、私は法的効果についてもお尋ねしております。法的効果はないとはっきりおっしゃってください。
#87
○副大臣(小宮山洋子君) 法的効果はあると考えております。
 一時保護中とか施設入所中の児童に対して児童相談所長や施設長などがとる措置につきましては、児童福祉関係者などから、親権者などの意向との関係について明確な規定がないことから、親権者などが不当な主張をするなどによって対応に苦慮する場合があるということが指摘をされております。そのため、今回の改正によって、児童相談所長や施設長などがとる措置を親権者等は不当に妨げてはならないと明確化する規定を盛り込みました。これは訓示規定ではございますが、実際の現場ではこれによって不当な主張をする親権者などへの抑止効果につながると考えられております。
 また、この規定があることによって、親権者などが繰り返し不当な主張をする悪質な場合には、児童相談所長が家族再統合の時期の延期や新たに設けられる親権停止の裁判の請求などを検討する際の判断材料にもなると期待をされております。
 それから、先ほどガイドラインがまだできていないという御指摘がございまして、ガイドラインは早急に作りたいと思いますが、この法案に限らず、ガイドラインはその法案を作っていただいて、その法案の審議の過程なども踏まえて作るものでございますので、今この審議の経過も踏まえてガイドラインを作る作業を進めているということです。
#88
○桜内文城君 ガイドラインについてこれから作るということですけれども、このように解釈をどうするのか、法案の審議に必ず出てくる論点です。そういうのも全く用意せずに国会に出してくるということが、厚生労働省の役人の仕事の仕方としてどうなのかということを申し上げただけです。
 今、法的効果があるというふうに断言されましたけれども、訓示規定とも同時におっしゃっています。意味を教えてください。
#89
○副大臣(小宮山洋子君) 訓示規定でございましても、こういう形に規定をすることによりまして、やはり何もない中で児童相談所長などが判断をするのは非常に困難だということが現場からも声が上がっておりますので、こういう形のものがあるということはこれから判断をする際に役立つものだと考えております。
 また、先ほど、言葉を返すようではございますが、国会での審議でいろいろと御指摘をされたことも盛り込んでガイドラインを作りませんと、またこれは役所が勝手に作ったという話にもなりかねませんので、御審議の経過も踏まえて必要なことをしっかりとガイドラインに盛り込んでいきたいと考えております。
#90
○桜内文城君 ガイドラインについては水掛け論になりますのでこれ以上言いませんけれども、これだけ附帯決議が衆議院で付いているような法案を出してくること自体が厚生労働省の怠慢だというふうに申し上げております。
 私は法的効果は何かということをお尋ねしました。訓示規定ということは認めていて、一体何の法的効果があるということなんですか。ちょっと論理的に意味が分からないんですが。答えられるなら、審議官、お願いします。
#91
○政府参考人(石井淳子君) 小宮山副大臣は、法的規範を作るという意味で法的効果と申し上げたんだというふうに理解をいたしております。
#92
○桜内文城君 法的規範というのを法的効果と呼ぶような解釈は始めて聞かせていただきました。法務委員会でそのようないいかげんなことを政府参考人といえどもするのはいかがなものかということは主張しておきます。本当、笑われますよ。笑っている委員の方も多いんですけれども。そんなので役人としてこれからどうするんでしょうか。
 続きまして、この同じ四十七条の五項ですけれども、これを追加した趣旨ということについてお尋ねしたいと思います。
 時間がないので一言で申しますと、ここでは緊急の必要があると認めるときというふうに場合を限定しております。それで、その際には、親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、その措置をとることができるという条文の立て付けになっております。三項は、どういう場合であっても児童等の福祉のために必要な措置をとることができると一般規定があるわけですので、この五項、これは反対解釈すれば、緊急の必要がなければ親権者等の意に反しても措置をすることができないというふうに解釈するのがこの三項と五項の関係でいえば通常の法的な解釈ですけれども、こういうふうな限定を付すことが子の利益を増進することになるのか、これについては法務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 要は、三項と五項の関係で、反対解釈をした場合に子の利益を守るということにつながらないんではないかという法律上の解釈についてお尋ねしたいと思っております。突然済みません。
#93
○国務大臣(江田五月君) 申し訳ありません、児童福祉法の関係は担当の厚労省の方にお聞きいただけるものと思っておりましたが。
 親権者が明確に異を唱えている場合、この場合に児童相談所長等の判断を優先させてよいかという、これはもうなかなか困難なことでございますが、個別の事案によって判断する以外にないと思うわけでございます。しかし、明確に異を唱えているというよりも、親権者がどうもここははっきりしないという場合に、児童福祉の衝に当たる者の権限というものを明確に規定をして、こうした者がしっかりした行動ができるようにということにしたわけだと思っております。
 ただ、親権者が明確に異を唱えていても、それがもう明らかに子の利益に反するような場合に、親権の一時停止の手続を取るようなゆとりがないときに、一定の者に一定の権限を与えるというのがたしかこの今の五項だったんではなかったですかね。違いますかね。ちょっと答えてください。
#94
○委員長(浜田昌良君) 時間が来ておりますので、簡単に答弁を願います。
#95
○政府参考人(石井淳子君) 四十七条五項はまさに児童等の生命、身体の安全を確保するために緊急の必要があると認めるとき、これは、誰しもこういった場合には親権者が異を唱えていても当然これは優先すべきだという明々白々な状況でございますから、これについてははっきり書き込んだと。ただ、それ以外でも不当な措置を要求してはいけないということは書き込んでいるわけでございますが、ここはとりわけ明確にしたというわけでございまして、反対解釈ということではないというふうに、これは周知の観点から十分図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#96
○桜内文城君 きちんと法務省とちゃんと相談した上でこういった条文を作っていただきたいと思います。
 終わります。
#97
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今回の改正案のキーワードは、一つは子供の利益ということだと思います。関係者から様々要望があったことが盛り込まれております。一方、多くの要望がありながら今後に先送りされたこともありますし、人員体制などの強化なしには実効性がないと思われるものもあるわけでありまして、こうした問題を審議を通じてただしていきたいと思っております。
 まず、このキーワードである子供の利益、この子の利益ということがこの改正案の中で具体的にどういうふうに盛り込まれているのか、まず法務大臣にお聞きしたいと思います。
#98
○国務大臣(江田五月君) 御指摘のとおり、今回の改正案のキーワードは子の利益であると、それはそのとおりでございまして、身上監護に関する総則的規定と言われている八百二十条、ここに子の監護、教育が子の利益のために行われるべきことを明らかにしたと。さらに、親権や管理権の行使が困難又は不適当であることによって子の利益が害される場合に親権喪失等の審判ができるということも入れておりますし、また、子の監護について必要な事項を定める際の指針として子の利益を、これはもう現行民法でも当然のことでありますが、この点を、特に面会交流や監護費用については、離婚をする当事者間の利害の対立が大きいのみならず、離婚をめぐる夫婦間の協議における駆け引きの材料とされかねないので、当事者間における協議の際、さらに家庭裁判所における調停、また審判の際にも、子の利益を最も優先して考慮しなければならないと理念を明記をしたというところでございます。
#99
○井上哲士君 様々なところに明記をされたわけでありますが、特に、この民法の親権の規定に子の利益のためにということを明記したことは大変重要だと思います。
 確認したいのは、児童虐待防止法の四条六項との関係なんですが、ここでは、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならないと、こういうふうにしております。衆議院では、この防止法にこういう規定があることが今回の民法の明文化の一助になったという大臣答弁をされているんですが、当時、逆に言いますと、民法に明確な規定がなかったことから、虐待防止法の方は、できる限り努めなくてはならないと、こういう規定になっております。
 そういう点でいいますと、今回の民法改正はもっと私は強い規定になっていると思うんですが、このことは児童虐待防止法の運用上も重要と考えるんですけれども、今回、子の利益の尊重ということが民法改正によってより明確になったと、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
#100
○国務大臣(江田五月君) そのとおりだと思います。
 元々民法の規定に明文のそういう文言がなかったので、児童虐待防止法でこのおっしゃるような規定ぶりになったと。それがあるから、今度はそれが民法の方にいい効果を及ぼして、民法の規定に子の利益ということが明文化されたと。両々相まってだんだん前へ進んできているという理解だと思います。
#101
○井上哲士君 この子の利益というのが書き込まれましたが、親権という言葉自体がどうも親の支配権という印象があります。逆に、親権を失うと、もう親ではなくなったと、こういうような誤解も生むこともあったわけで、私はやはり本来のこの親権という言葉の持つ意味に即した言葉の在り方ということも今後検討されるべきだと思うんですが、それは家族法の今後の検討の中に出てくるんだと思うんですが、ただ、そうであっても、今回の法改正の趣旨というものをより鮮明にするということでいえば、この親権について、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うと、これを、より子の利益ということを明確にする上でいいますと、義務を先に持ってくるというような改正もあってもよかったんではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#102
○国務大臣(江田五月君) これは現行の民法においても親権に義務的な側面があることは明らかにされているところでございますが、それをその権利義務の順序を書き換えるというんでなく、八百二十条に子の利益のためにという文言を挿入をしたということでございまして、子の監護及び教育が子の利益のために行われるということを明確にしたものでございます。
 権利義務というと何か堅苦しい感じはしますが、権利についても義務についても、お互いこれは相互に補完し合うものであって、権利がある者は義務も負うんだと、義務がある者は権利もあるんだという、そういう親子関係ということだと思っております。
 なお、権利を有し義務を負うというのは、どうもそういう順番で書くのは私ども法律家としてはちょっと慣れておりまして、まだ頭がそれ以上に回転しないということかもしれません。
#103
○井上哲士君 子の利益のためにということを書いた上で、あえてその順番を変えるというのがよりメッセージ性があったんではないかなということは思っております。
 それで、今も少し議論になったわけですが、今回の改正案で親権の一時停止ができるという規定が盛り込まれました。同時に、一時保護中や施設入所中の場合は、生命や身体の安全を確保するために緊急を要する場合については、親権者の意向にかかわらず施設長等が必要な措置をとることができると、こういうことが盛り込まれたわけですね。
 このいずれの、親権の一時停止の場合も施設長等の必要な措置の場合も、これが必要な理由としては医療ネグレクトとか、こういうことが挙げられるんですね。ですから、同じ例が例示されておりますので、施設長が必要な措置をとることができるで足る場合と親権の一時停止まで求める場合というのは、どこにどういう区別がケースとしてあるのかがもう一つはっきりしないんですけれども、この点はどういうことになるんでしょうか。
#104
○国務大臣(江田五月君) 施設長が緊急の必要がある場合に措置をとることができる場合は、これはあえて親権者等の意に反しても必要な措置をとれると書いてあるわけで、つまり、親権の一時停止などをやっている暇がないと、そういう時間的なゆとりがないという程度に緊急の必要な場合だということだと思っております。
 緊急の必要というまでには至らないような事案とか、あるいは親権者が正当な理由もないのに繰り返し施設長による必要な措置を妨げるといった事案においては、これは停止制度を利用すべきであると思います。
#105
○井上哲士君 そうすると、ちょっと確認なんですが、先ほどもちょっとあったんですが、緊急性がない場合であっても、しかし施設長が必要な措置をとることができる場合もあるということだったと思うんですが、例えばそれはどういうことを想定されているんでしょうか。
#106
○政府参考人(石井淳子君) まさに様々なケースが考えられるわけでございますけれども、よく言われますのは、子供が病気にかかったと、親がなかなか病院に行かせること、神様が治してくれるとか言って病院に行かせることを許さないというか妨げると、そういった場合には、まさにこれは、仮にそういうことをおっしゃっても、合理的に考えて病院に行かせるのが子供の利益にとって必要なことだと思いますから、そういった場合は、例えば四項におきましても完遂することになるというふうに考えます。
#107
○国務大臣(江田五月君) もう少し補足を私がするのもあれですが、親権者等の意に反しても緊急の必要があるときに施設長がこの措置をとれるというのは、もう切迫しているわけですね。例えば、今の医療でいうと、今親権者は駄目だと、自分はそんなことは認めないと言って、しかしこれほうっておいたらもうこの子の命が危ないというようなときに施設長はこれをすることができると。
 しかし、意に反するわけでもないけど反しないわけでもないという、何かもたもたして、あるいは親がどこにいるかどうもよく分からないとか、停止というところまで行ってもいいんだけれども、しかし、今緊急にやらなきゃ命が危ないというような場合ではなくても、やはりここで医療行為を取っておくことが必要だという場合に、これは意に反しない反するということでない場合ですから、施設長は適切な措置をとることができると、こういうことでございます。
#108
○井上哲士君 施設長が必要な措置をとる場合は、親の親権はあるわけですよね。そうすると、例えば医者が、こういう法改正があったからできるんだということを施設長から言われても、そうはいっても後で何か親権者から言われるかもしれないというちゅうちょすることがあると思うんですが、衆議院の議論で、訴えが起こされても対応できますという答弁がありましたが、それは例えば、そういうこの条文に基づいて施設長が必要な措置をとった場合に、例えば医療の側がそれをオーケーしたということに対して訴えられても、つまり親権の一時停止と同じような効果を持って対応できると、こういう理解でよろしいんでしょうか。
#109
○政府参考人(石井淳子君) まさにその児童の生命に緊急な場合の判断として明文規定が設けられた以上、その規定に基づいて医療機関が何らかの医療的措置をとる、これは全く問題がないことであると、そういう趣旨で答弁をさせていただいたところでございます。
 それから、先ほど来の議論で若干整理をさせていただきたいと思いますのが、まさに例えば事故に遭った、輸血が必要だと、ところが宗教上の理由で輸血を拒否するといったような例がよく問題点として挙げられてくるわけでございますが、まさにそういったような場合は安心してこの四十七条五項の規定を用いて医療機関もまた施設長の判断で親が仮に反対をしても措置をとっていただくということになろうかと思いますが、病気には様々なものが考えられまして、例えばアレルギー性の病気だとか、あるいは精神疾患等でじわじわと利いてくる、緊急性はないんだけど放置していくわけにはいかないと。その場合に、親御さんが施設長さんとかあるいは医療機関の話を聞いてそうですねと応じていただければよろしいわけでございますが、その他もろもろのものも含めまして、なかなかそうした理解が得られないという場合には、最後にやはり親権の一時制限という規定ができますれば、これを用いて適切にその必要な措置をとることができることになるというふうに考えております。
 そうしたような具体的な事例などもできるだけかみ砕いて、施設のみならず医療機関の方にも今後、法案がもしお通しいただければ周知をしていく必要はあるのではないかなというふうに考えております。
#110
○井上哲士君 法務大臣が何か物言いたげだったんですが、何かあればどうぞ。
#111
○国務大臣(江田五月君) 別に変わったことを言っているわけじゃないので。親権者の意に反する程度という一つの変数があります。それから、保護の子供の利益のためにとる措置の必要性というもう一つの変数があります。施設長という判断者が一方でいます。そういう相互のこの変数の相関関係でいろんなことが決まっていくということだと私は理解をしているということを申し上げたかったんです。
#112
○井上哲士君 ですから、作られるであろうガイドラインが非常に大事になってくると思うんですが、できるだけやっぱり現場が迷わないように具体的かつ明確なものを出していただきたいんですが、今どういう形で検討されているのかということと、やはり早い段階に出して周知徹底を図ることが必要だと考えるんですね。いつまでに、施行のどのぐらい前までにガイドラインを提示されるのか。
 それから、あわせて、今医療機関などにもということがあったと思うんですが、例えば携帯電話でも、今までも業者によって別に施設長がオーケーすればいいところと、どうしても親権者が必要だということを求めたところもあったというふうにお聞きしているんです。これはあくまで施設長ができるということにしたので、相手側にそれにオーケーする法的義務が発生しているのではないと思うんですが、ですから、かなり幅広く関係するようなところにも周知することが必要だと思うんですけれども、行政機関も含めてですね、この辺はどういうふうなことを考えていらっしゃるのか、併せてお願いしたいと思います。
#113
○政府参考人(石井淳子君) まず、現状におきましては、先ほど小宮山副大臣からも答弁申し上げましたように、ガイドラインのその検討作業に正式に入っているものではございません。やはり法案がもし可決成立を見たならば、その後で速やかに検討体制に入りたいと思っております。その際には、やはり現場の専門家、法律の専門家、それから医学の専門家と、様々な専門家、あるいは法務省さんとか最高裁さんの方にもお入りいただいた方がいいかもしれません。様々な関係者にお入りいただきまして、専門的な観点から検討していきたいと思っております。
 ただ、現在、手元にございますのが、やはり施設長等が今現場で起こっている問題に対してできるだけ対応しやすいような形の中身を作っていくということだろうと思いまして、どういうことで困っているのかということについてはいろいろ今情報を集めているところでございまして、これがまず一つたたき台になっていこうかと思います。
 また、このガイドラインが非常に今回の法改正の中で重要な位置付けを占めるということは皆様からいろいろ御指摘いただいているところでございますので、できるだけ早くに用意をいたしまして、周知につきましては必要なところに必ず行き渡るような形で様々な工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
#114
○井上哲士君 親権の制限が必要な場合でも、親権の喪失というのは非常に使いにくいということで、今回一時停止という使いやすい制度が導入をされたわけで、今後の活用を期待されるわけですが、しかし、一時停止であれ、親権をその間は失うという点では大変それはそれで重いことだと思うんですね。親として失格という烙印を押されたという受け止めをされる場合もあるでしょう。ですから、やはりこれも活用をちゅうちょする場合というのは私はあると思うんです。
 親子関係は様々ですから、子供の利益を尊重するということであれば個別のケースに柔軟に対応できることが必要だと思うんですね。今の、施設長による必要な措置をとるというのは、ある意味でいいますと、一部を限定した期間停止をするということだと思うんですね。ただ一応相手の親権は残っているけれども、実際に優先することによってこれを制限をすると。そうしますと、そこと一時停止の間にやっぱり一部停止という使いやすいものを作っておくというのは私は大事だと思うんですね。一時停止まではちょっと重いけれども、しかし、この必要な措置だけでは足りないという場合も出てくると思うんですよ。そこはやっぱり一部停止というのは是非盛り込んでいただきたかったんですが、そういう柔軟な制度ということの必要性ということはいかがでしょうか。
#115
○国務大臣(江田五月君) 委員がおっしゃるような、柔軟に施設長であるとか児童福祉の関係者であるとか親権者であるとか、いろいろな人たちが子供の利益のために様々な活動をしていけるようにという、そういう制度はこれは必要でございまして、そういう観点から一部の停止という主張がなされたことは事実でございます。
 ただ、一時停止というのも二年以内と言っておりますから、一年もあるし一週間もあるだろうしいろいろなものがございまして、一週間の停止のときにもうまるっきりなくなってしまうと、しかし一週間たったら全部また復活というように実際には考えられない、やはりそれは一部停止的なものになるかと思います。
 一部停止という制度を入れるについては、これはなかなか一部ということになると、例えば身上監護権のみを制限すると、しかし財産管理権はあるけれども身上監護権のみがないというようなのが本当にどうなるのか、あるいは必要な場面、必要な部分を限定するというのはどういうふうにできるのかなどなどいろいろ考えますと、かなり複雑になってしまうので、今回は期間という点でフレキシブルにして一時停止という制度だけを入れたということでございます。
#116
○井上哲士君 今ありましたような一部停止でのいろんな懸念は確かに挙げられたんですが、一方で、一部停止になりますと家裁のチェックというものが入るんですよね。ですから、それがあってもなお問題、不都合だというふうなほどのことでもないんじゃないかなという思いがするんですが、そういう家裁のチェックをすることによって必要な場合には一部停止もできるという制度はやはりあっても私はいいと思うんですが、改めていかがでしょうか。
#117
○国務大臣(江田五月君) 法律上書くということになりますと、その一部というのがなかなか表現はしにくい子の財産管理あるいは身上監護、そういう二つの側面を更にもっと書き分けることが果たしてどこまでできるかとかなかなか困難なのと、もう一つ、制度設計の仕方いかんによっては国家による家庭への過度の介入を招くという、そういう問題点の指摘もあったやに聞いておりまして、それらを総合勘案して今回はこういう制度の立て方ということにいたしました。
#118
○井上哲士君 国家による過度の干渉と言いますが、全体としてこの親権の停止というのはそういう側面があるわけで、これだけ取り上げてそれを理由を付すのはいかがなのかなと思うんです。かつ、それも含めて家裁がいろいろとチェックをして柔軟にやるということが私は必要だと思っています。
 いずれにしても、一時停止というのが使いやすい制度だということで盛り込まれましたが、やっぱりそれはそれで全面的に停止するということで、今後どういうふうになっていくかということをよく見て、今後、是非検討いただきたいと思っております。
 一時停止の運用について聞いておきますが、停止期間は最長二年ということでありまして、先ほど言われたように、ごく短い場合もあるということがあるんです。例えば、そういう緊急の手術なんかのときの一時停止ということになりますと、申立て者の側がそういう期間を提示して付して申し立てるということもあり得るということなのか、それとも、とにかく停止だけ申し立てて家裁が期間を決めるという、どういう運用になるんでしょうか。
#119
○国務大臣(江田五月君) これはある意味でこういう裁判手続の通則と関連する部分というものがございまして、例えば親権の喪失を求める、しかしその喪失ではなくて停止だけを認める、これは一部の認容ということで、これは認められる。
 しかし、親権の停止を求めて、裁判所がこれは喪失だという、これは申立ての範囲を超えるという関係になる、そのようなことがございます。そうした場合で、親権の一時停止というのに期間を付して申し立てた場合の期間を付しているのは、これは申立人の意見であって、やはりそこはどの期間にするかは家庭裁判所が総合的に判断して職権で決めるということでございまして、期間を付けて申し立てることは十分可能でございますが、それは申立人の意見として扱われると、こういう理解をしております。
#120
○井上哲士君 そうすると、家裁が判断をするわけですが、そういう期間を定める基準とかそれから要素、これはどういうことになるのかということが一つ。
 それから、この一時停止を創設する理由として、父母が希望を持って更生をして親子再統合の可能性を高めるということがあるわけですね。そうしますと、これは二年を限度として更新といいますか再申立てをするということもできるというふうになっていますが、その際に、やはりその停止されている期間に児童相談所等の再統合に向けた指導に対する対応というようなことがしっかり評価をされるということがむしろ意欲にもなるんじゃないかと思うわけですが、そういうまずそもそもの期間を定める基準と要素、そして再申立ての際にそういう再統合に対する指導への対応というのはどういうふうに評価をされていくのか、この二点をお伺いいたしたいと思います。
#121
○国務大臣(江田五月君) 期間を定める場合のどのくらいの期間にするかというこの要素、判断の基準、これはなかなか難しいことでございまして、親権者とその子との間の再統合のためにやはりこれは相当長期の期間が必要だという場合には二年ということになるでしょうし、先ほどから出ているような、医療行為がとにかく緊急に必要と、緊急といいますか必要だと、一か月も置いておけば、置いておけばというか医療行為を施していけば全快するというような場合には一か月になるかもしれませんし、その辺りはこれからの家庭裁判所の運用を注視をしてまいりたいと、家庭裁判所においてしっかりとそこは考えていただきたいと思っております。
 そして、再度の申立てですが、これはその都度の申立てでございまして、前回申立てでこうだったから二度目は緩やかにとか二度目はきつくとか、そういう関係には立ちません。その都度その都度、新たな申立てということで判断をしていきたいと。しかし、いずれにせよ再統合というのは一つの目的ということですので、是非、新たな申立てのときに、さらに再統合のためにどのくらい必要かということを考えていくということになると思います。
#122
○井上哲士君 終わります。
#123
○委員長(浜田昌良君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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