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2011/05/24 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第12号
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2011/05/24 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 法務委員会 第12号

#1
第177回国会 法務委員会 第12号
平成二十三年五月二十四日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     溝手 顕正君     熊谷  大君
     桜内 文城君     松田 公太君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                金子原二郎君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                那谷屋正義君
                熊谷  大君
                丸山 和也君
                森 まさこ君
                山崎 正昭君
                木庭健太郎君
                松田 公太君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     江田 五月君
   副大臣
       法務副大臣    小川 敏夫君
       厚生労働副大臣  小宮山洋子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  黒岩 宇洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   豊澤 佳弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務省民事局長  原   優君
       厚生労働大臣官
       房審議官     篠田 幸昌君
       厚生労働大臣官
       房審議官     石井 淳子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、溝手顕正君及び桜内文城君が委員を辞任され、その補欠として熊谷大君及び松田公太君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長原優君、厚生労働大臣官房審議官篠田幸昌君及び厚生労働大臣官房審議官石井淳子君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(浜田昌良君) 民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○田城郁君 こんにちは、民主党の田城郁です。
 一問目は、懲戒権について大臣にお尋ねをいたしますが、今回の民法八百二十条の改正案では、「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」とされております。これは、民法改正法八百二十二条に、「親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。」こととすると、懲戒場に関する部分は削除するとされておりますから、懲戒の範囲について文言上明確な制限を加えたということが政府の説明でもあったというふうに思います。
 一方の意見としては、懲戒という言葉が法案にあること自体が問題だという主張もあって、この規定を例えばインターネットなどで知って児童虐待の正当性を主張する親が現れるのではないか、懲戒権の規定自体を削除すべきだというような意見があることも事実でございます。
 こうした意見の対立がある中で、あえて今回の規定に至ったその理由はなぜでしょうか、法務大臣にお尋ねをいたします。よろしくお願いします。
#7
○国務大臣(江田五月君) 委員御指摘のとおり、親権というのは、子の監護、教育あるいは財産の管理などを行うわけですが、子供のために行うべきものである。これは、ずっと以前は親の子に対する特権的な地位みたいな、そういうとらえ方もあったかと思いますが、戦後は大体子の利益のためだということはみんなが認めるところであったと思うんですね。そういう意味で、懲戒という言葉は使っていますが、これは子の利益というのはもう当たり前の話で、そのために親権を行う権利もあるし義務もあるんだと。
 しかし、この懲戒という言葉が持っている意味内容もなかなか複雑で、この懲戒という言葉を口実にして虐待を行うような親もいたのも事実でございます。そうした中で、今回は、親権の行使は子の利益のために行うものだと、このことを明確に文言上いたしました。
 さてそこで、懲戒という言葉をあえて残したのはなぜかという御指摘でございますが、私ども考えましたのは、今回は児童虐待防止と、そういう観点から民法にメスを入れようということで、懲戒権の言葉が児童虐待の口実に使われることはあるにしても、児童虐待の防止という観点からあえて懲戒権という言葉を外すところまで踏み切ることはしなかったということでございます。
 なぜ踏み切るところまで行わなかったかといいますと、世間一般にいろんな理解がありまして、懲戒という言葉がなくなったら、もうあとはしつけも何もできないんではないかというような、そういう社会的な誤解を生むようなおそれもあったりするというので、今回はあえてそこまで踏み込むことはしなかったということでございます。
 繰り返すようですが、懲戒というのも子の利益のためだと、このことは一つ明確に申し上げておきたいと思います。
#8
○田城郁君 ありがとうございます。
 しつけという言葉があります。大臣も今おっしゃっておられました、しつけを理由に体罰が加えられるときに愛のむちという言葉が言い訳として使われることもございます。子のためを思い、耐え難きを耐えて愛のむちを与えたのだということ、子供を平手打ちにしたり殴ったり、あるいは棒を使って痛みを与える、そういう大人がおりますけれども、こうした体罰を伴うしつけと児童虐待の境目を認定することは非常に難しい、あるいは不可能ではないかというふうにも思うわけですが、軽い体罰ならいいじゃないかという意見もあります。軽い重いは主観的なものでありまして、与えた方が軽いと思っても受けた子供にとっては生涯のトラウマとして残ることも考えられます。
 先週十九日の日に、法務委員会の参考人であり、そして二十人もの子供を育てて社会に送り出しました里親のベテランでございます青葉紘宇先生に私質問をいたしました。親にしても子にしてもこのような状況になる前の予防策あるいは根治療法はありますかというふうに質問をいたしたところ、子供に必要なのは愛着療法ですという答えをいただきました。つまり、青葉先生によれば、立ち直れない子供の多くは、幼少のころ抱かれたりおんぶをされたり、ほっぺを付けてかわいがられたりという経験がない、そういう中で、非常に、そういう子たちが大人になると、大人というか少年期になると無機質な感じがすると。立ち直るのがそういう子たちは極めて難しい、幼児期に一回でもだっこをされたり頬ずりをされた記憶があれば立ち直ることができるともおっしゃっておりました。
 二十人もの子供を育てた青葉先生がその体験から語っていただいたのが、懲戒ではなくだっこをするという愛着療法なんですよということであります。懲戒というのは懲らしめるあるいは戒めるという意味合いであり、青葉先生が子供の立ち直りに最も大事だとおっしゃるだっこという教育手段とは対極にあるものであるとも言えます。
 国連の子どもの権利委員会は、日本政府に体罰の禁止ということも勧告をしております。それを受けて体罰の禁止を明文化すべきだという意見もございます。こうした意見について大臣はどのようにお考えでしょうか。
#9
○国務大臣(江田五月君) 衆議院における審査の過程でも、懲罰の代わりにしつけという言葉を使ったらどうだと、こんな御提言もありました。私は魅力的な言葉だというふうに答えたんですが、懲戒というのがいかにも重々しいといいますか、ちょっと堅苦しい言い回しであることは事実でございます。
 ただ、さはさりながら、親子の関係というのは本当にこれは千差万別だと思います。ハウツー物で、こういうふうにやれば親子関係はうまくいくというようなことはなかなかあるものじゃないんで、やはり親子の間の愛情と信頼と、こういうものが一番の基礎だと思います。
 そして、私も三人の子育てをしましたが、なかなか、それぞれ三人いたら三人、三者三様でそれぞれ違う。そして、なかなかよく育てたなという思いは持てないというのが事実でございます。
 そんな中で、今委員がおっしゃる、とにかく愛情を持ってしっかりだっこしてあげなさい、しっかり抱き締めてあげなさいと、子供が一番悩んでいるとき、困っているときにしっかりと抱き締めたその経験、その記憶というのは子供に残る、それはそのとおりであると思います。
 そんなわけで、懲戒という言葉に私自身も若干の引っかかりを持っていることは事実でございまして、今後また検討を加えてまいりたいと思っております。
#10
○田城郁君 ありがとうございます。今後の議論に期待をしたいというふうに思います。
 厚労省にお尋ねをいたします。施設の監護の問題についてです。
 親による子供への虐待の報道が増えるのに並行して、児童養護施設内での職員の子供への虐待も増えていることが報道をされております。厚生労働省の二〇〇九年の全国調査では、施設の職員らによる子供への虐待が全国で五十九件あり、百二十人が被害を受けたという報告もされております。
 親から虐待を受けて施設に入ることになった子供たちが二律背反の計り知れないストレスにさらされているというわけであります。つまり、虐待する親にもかかわらず、その親から愛されたいという気持ちと、そして、自分は愛される資格がないのではないかという矛盾した感覚であります。虐待をする親からある日突然遮断され、施設に入ることができた子供たちを見て、外部の私たちは胸をなで下ろすわけです。しかし、児童養護施設は、子供たちにとっては見ず知らずの人々のいる未知の世界であり、新しいストレスがまた満ちあふれる、そういうような心理状態になるというふうに思います。職員の方々が子供たちの心のやみを解きほぐすのは大変な努力を要するということも想像がされます。
 これも、前回の法務委員会での関西学院大学の才村純先生は、施設内で虐待が発生する原因は、何といっても職員数が圧倒的に不足をしているという実態を指摘をされました。理想は、現行の五倍程度の人員が確保されれば職員にもゆとりが生まれ、かかわりの質も向上して、こうした問題を回避できるというような御指摘をいただきました。
 今回の改正を受けて、職員の研修の義務化がガイドラインにうたわれることと思われますが、職員の少ない児童養護施設などでは、かえって人が引き抜かれる分、仕事量が増えて、ストレスを与えて、施設内の虐待も増大するのではないかというふうな危惧される意見もございます。
 厚生労働省では施設内虐待の原因をどのようにお考えか、また今後どういうような防止策を講じていくのか、お聞かせください。
#11
○政府参考人(石井淳子君) 議員御指摘のように、大変残念なことでございますが、依然として施設内の虐待という事件が起こっているわけでございます。
 その施設内虐待の原因でございますけれども、まず、子供の抱える課題の複雑さに対応できていない職員の質や意識の問題、ケアする職員の資質が追い付いていないという問題がございます。それから二つ目としまして、チームで子供にかかわるという体制が不十分であるなどケア体制の問題、これ、議員がいみじくも御指摘になられました職員数が少ないということも背景にあろうかと思います。そして三つ目として、施設運営の外部からの評価、検証する仕組みなどの透明性が十分確保されていないという問題、この三つぐらいがその要因として考えられるのではないかと思っております。
 施設内虐待の問題につきましては、平成二十一年の四月に施行されました児童福祉法改正で、被措置児童等虐待の通告等の規定が設けられておりまして、併せまして被措置児童等虐待対応ガイドラインというものを作成をいたしまして、各自治体に対し組織的な対応を促しているところでございます。
 具体的な対応としまして、まずは施設職員の質や意識の向上を図るための研修の充実、さらには、ケア体制を見直して、できる限りチームを組んで複数の体制として担当者一人が抱え込むことがないような組織体制を推進をし、なおかつ、施設内での職員間の連携を図るために指導的な立場として基幹的職員を配置をしていくこと、さらには、施設における第三者委員会の設置等の措置や、相談先を記載をしました子どもの権利ノートの作成、推進などを行っております。
 施設内虐待はあってはならないことでございますので、その防止の徹底に努めてまいりたいと思いますし、また児童養護施設の人員不足の対応としましても、ただいま現在、児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会で検討を行っておりまして、この検討の結果を踏まえまして適切に対応していきたいと思っております。
#12
○田城郁君 ありがとうございます。
 せっかくの子供の立ち直るチャンスを、施設に行ってなお悪い状況に追いやられるということがあってはならないと思いますので、是非今の対策も含めて、今後必要な対策を打っていただければというふうに思いますが。
 虐待をどう断ち切るかということについてお伺いいたしますが、アダルトチルドレンという言葉があります。精神科医であります斎藤学氏がアメリカの事例を日本に紹介をしたことから広く知られるようになりましたが、子が親の虐待を受けることによって自分も子供を虐待するようになる仕組みが知られるきっかけとなったという概念であります。
 虐待を受けた子供が問題行動を起こすようになり、やがて大人になって子供をつくったときに自分の子供を虐待をするようになるというメカニズムが斎藤氏を始めとする研究者の努力で世に知られるようになったものの、その性行をどうやってコントロールしていったらよいのかと、あるいは子供を虐待するなどの問題行動をどうやって治療をしていったらよいのかなどは、精神科や心療内科などの分野でもまだ手付かずの状態でありますし、一部のNPOが子供を虐待してしまうことに気付いた親のカウンセリングを行っているという例があるにすぎません。
 子供を児童養護施設で預かる極めて短い期間に、虐待をするそういう親のメンタルケアを行うのは極めて難しいというふうにも思います。しかし、子供を保護すると同時に、強制力を伴ってでも行わなければならないのが虐待をした親の心の矯正作業であるということもまた一方の事実であります。
 虐待の連鎖を断ち切るため、厚生労働省はどういう施策をお考えでしょうか、お聞かせ願えれば幸いです。
#13
○政府参考人(石井淳子君) 児童虐待は、身体的、精神的、社会的、経済的等の要因がかなり複雑に絡み合って起こると考えられております。
 過去に児童虐待を受けた人が親となってその子供を虐待をするようなケースがあるという指摘、確かにございます。私どもが行っております委託した調査研究の中でも、虐待者の九・六%に被虐待経験があるという調査結果も出ているわけでございますが、ただ、その一方で、施設退所者の中に親になって虐待をしない人もたくさんいるという事実もまた逆にあるわけでございます。そうしたケースがあるという指摘を受けた上で、なおやはり育児に不安のある家庭を積極的に支援をすることによって、こうした家庭についても虐待の発生を防ぐことが重要なのではないかというふうに考えております。
 具体的な虐待の発生予防の観点から、子育てに悩んだ方々が相談しやすい体制を整備することのほか、育児に不安を抱えた家庭は、とかく地域、友人あるいは親戚などから孤立をして、子育て支援サービスの利用に消極的であったりするということがございますので、こうした方々に積極的に支援の手を差し伸べるものとしまして、生後四か月までの全ての乳児のいる家庭を訪問する乳児家庭全戸訪問事業、こんにちは赤ちゃん事業とも呼んでおりますが、そういうものを推進をしたり、あるいは乳児家庭全戸訪問事業等で発見をした支援の必要な家庭に対して保健師などが継続して訪問を行う養育支援訪問事業の推進、あるいは子育て中の親子の集いの広場であります地域子育て支援拠点事業の推進などを行っております。
 また、こうした取組に加えまして、起きてしまった虐待の影響を深刻にしないために、早期の発見、早期対応の観点から、虐待に関する通告の徹底、児童相談所全国共通ダイヤルの周知、児童相談所、市町村の体制強化等、あるいは、さらに虐待を受けた子供たちが安心した環境で育ち自立できるように、子供の保護、支援の観点から、社会的養護体制の質、量の拡充などといった取組をして児童虐待防止対策を推進をいたしております。
 それと併せまして、最近の虐待事件などを受けまして、平成二十二年度の補正予算で、安心こども基金に子供の安全確認の強化のための補助職員の雇い上げとか、あるいは広報啓発等々に関する費用の積み増しを行いまして、児童虐待防止対策の強化を図っております。
 今後とも、このような取組を進めることによって、児童虐待の防止を図ってまいりたいと考えております。
#14
○田城郁君 ありがとうございました。
 震災孤児についてお伺いをいたします。
 両親をこの東日本大震災で亡くされた震災孤児の数が調査の結果を求める都度に増え続けております。現在、震災孤児は何人に上っているのでしょうか、お聞きいたします。
 また、具体的な保護状況についてお聞きをいたします。地震と津波の大きなストレスにさらされた上に両親を亡くした子供たちがこれから社会に出て立派に育っていくためには、物心両面の支援が必要だと思います。できるだけ親族に引き取られることが望ましいとは思いますが、中には児童養護施設による保護や里親委託なども当然必要になると思います。厚生労働省は震災孤児に対して今後どのような対応をしていくのか、また委託先としてはどういう形を優先していくのか、お聞かせください。
#15
○政府参考人(石井淳子君) 今回の震災で両親を亡くした、また両親が行方不明の児童については、これまで被災地の児童相談所職員と他県の児童相談所職員がチームを組みまして各避難所を巡回し現状の把握に努めているとともに、両親を亡くした子供たちの確認とか、あるいは子供との面談、養育と生活に関する親族との話合いを実施しております。そうしたことを通じまして把握できております現在の震災孤児の人数でございますが、五月二十三日現在百五十五名となっております。
 これらの子供たちの多くは親族の自宅で生活をしておりまして、親族里親の制度も積極的に活用しながら継続的な支援をしていきたいと思っております。また、親族が養育できなくなった場合には、これは養育里親、あるいはより家庭的な施設でありますファミリーホームなどを活用して、できる限り家庭的な環境で養育できるようにしていくこととしております。やはり、議員いみじくもおっしゃいましたように、震災でそれだけでも大きなショックを受けた子供たちであります。できるだけ身内といいましょうか、見知った関係で育っていくというのが子供たちの心の安定、養育の方向としましても望ましいのではないかと思っております。
 そうして、その親族里親、養育里親でございますが、この制度について十分知っていただく必要があるということで、厚生労働省の生活支援ニュース、これは各避難所で配布をしておりますものでございますが、それに掲載をしまして避難所で知っていただくように促していることのほか、被災自治体におきましても独自に作成をしましたパンフレットや自治体の広報誌などを配布をしまして、個別にこの里親制度の周知も図っているところでございます。引き続き制度の周知に努めていきたいと思います。
 こうした制度はせっかくあるわけでございますので、こうした制度の存在を知らなかったために利用できなかったとか、あるいはそのために親族が養育を断念することがないように、しっかり対応していきたいと思っております。
#16
○田城郁君 ありがとうございます。
 特に幼児期の、先ほどのだっこやおんぶや、ほっぺたをすり合わせると、そういうような育て方が将来の人格に大きく左右するということも含めて広く日本に呼びかけて、百五十人にとどまらないと思いますから、里親も含めてちゃんとしたその後の育成ができるような是非体制を取っていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 最後の質問になります。これは大臣にお伺いいたします。
 本日十三時半より、水戸地裁土浦支部におきまして布川事件の判決が言い渡されます。大方の予想では無罪が言い渡されるのではないかというふうに言われております。
 たまたま先日の日曜日、テレビをつけますと、テレビ朝日でスクープスペシャルという番組が放送されておりました。そこでは、布川事件や名張事件、あるいは佐賀農協事件などを扱っておりました。そこでは、この布川事件、この事件は冤罪で無罪になるというようなことも含めてですが、佐賀農協事件などを大きく扱っておりました。
 無罪になった元被告の副島さんは昨年他界をされましたが、この事件で取調べに不適切な発言があったとして厳重注意処分を受けて辞職した元検事の市川弁護士が御家族に謝罪をし、故人にお線香を上げたいということで元被告の御自宅を訪ねるシーンも映し出されておりました。そこで元被告の長男の方に、事件の内容も知らされないままに逮捕の前日にこの事件の責任者になれと言われたということや、捜査に当たった十三人の検事が全員不起訴を主張したにもかかわらず、上司はおまえら諦めろと言って起訴に及んだということ、そして自らがそれに抵抗できなかったことなどを赤裸々に語り、そして最後に土下座をして謝罪をしておりました。長男の方は、犯罪者の息子ということで職も奪われている中で、このように訴えておりました。最初は殺したいと思ったが、あなたも犠牲者なのですね、許しますというふうに言っておりました。お互いこれからの人生をしっかり生きていきましょうというエールも送っておられました。市川弁護士も長男の方も、初めの形相とは打って変わって晴れ晴れとした顔になっていたのが印象的でした。
 報道の全てが真実かどうかは私には分かりません。しかし、市川元検事の話にはかなりのインパクトがありました。村木事件は前代未聞ではないのだなと感じましたし、名張事件や布川事件でもいろいろと問題性を指摘をされておりました。検察の体質だという指摘もありました。
 世論は冤罪を許しません。しっかりと検察の自浄能力を見極めようとしております。今取り組んでいる改革が果たしてそれにこたえられる対策かどうか、私は疑問です。
 大臣にお伺いいたします。このような状況の中で、改めて全面可視化を始めとした冤罪をゼロにしていく改革への思い、大臣の決意を改めてお伺いをいたします。
#17
○国務大臣(江田五月君) 冒頭御指摘になりましたいわゆる布川事件というのは、御指摘の裁判所支部で間もなく再審の判決が言い渡されるというところでございます。個別の再審公判事件であり、しかも判決言渡しがまだなされていない段階でその事件そのものに何かのコメントを加えるということは差し控えたいと思いますが、大方の見方が無罪判決になるのではないかというものであることはよく承知をしておりますし、また、今委員が御指摘のいろいろな冤罪事件というものがあったことも、これは我が国の刑事法制の中で起こっていることは事実でございます。
 冤罪という言葉の定義などなかなかややこしいことではございますが、しかし、やはりぬれぎぬを着せられ、無実の者に有罪判決が言い渡されるということは、それは極力避けていかなきゃならぬと。そのために検察が、今御指摘の村木事件の反省も込めて大きく体質改善をしていかなきゃいけないというのは事実でございまして、今効果を上げるかどうか疑問だとおっしゃったんですが、私どもは、検察の在り方検討会議の提言を踏まえて、しかもその提言の中でも、提言が幾つかの幅のある提言をしていますから、その中でも検察により厳しい選択肢を取って是非実現をしてほしい、外部の目、外部の風も入れて、これからもいろいろな検察改革に取り組んでいきたいと。先日も、法制審議会に新しい刑事司法制度の在り方についての諮問をしたところでございます。
 このようなことを含めて、今とりわけ検察の信頼が地に落ちていますので、ある意味で、この機会にこの地に落ちた信頼を取り返すために検察挙げて努力をすると、そういうチャンスにしていきたいと思っております。是非これからも御支援、御指導をよろしくお願いいたします。
#18
○委員長(浜田昌良君) 田城郁君、おまとめください。
#19
○田城郁君 力強い大臣の指導力を期待いたします。
 質問を終わります。ありがとうございました。
#20
○熊谷大君 自由民主党の熊谷大でございます。
 本日は、被災地の国会議員として、今野委員もそうでございますが、被災地宮城県の国会議員としていろいろと質問をさせていただきたいなというふうに思っていた時期でございましたので、本当にこのような機会をいただきまして誠にありがとうございます。
 早速ではございますが、法務大臣に次の認識についてお尋ねしたいと思います。
 大臣御存じのとおり、近年、児童虐待が四万件を超えております。虐待による死亡例は百七件の百二十八人に上ってしまったというデータもございます。なぜこのような悲惨な事件、虐待は収まらないのか。これは社会問題にもなっておりますし、世間の関心も大変高うございます。
 大臣御自身の幼きころと大分相違を感じていらっしゃるというふうに思っておりますが、どのように現在の世の中をとらえていらっしゃるのか、お聞かせください。
#21
○国務大臣(江田五月君) 児童虐待、これは本当に近年、もうかなりの期間にわたって我々問題意識を持って、児童虐待の根絶のためにいろんな角度から取り組んでまいりましたが、いまだになくならないどころか、重大な深刻な社会問題として存在し続けていると、これは本当にゆゆしきことだと思っております。
 今朝も新聞で私の地元の事件が一つ報道されました。岡山市の北区の事件でございますが、お母さん、三十代の後半だったでしょうかね、中学一年生のお嬢さん、手足を縛ってお風呂に何時間も放置をして体温を失って殺すと、そしてその遺体には傷跡が幾つも付いているというようなことで、本当に、私の地元でなくたってもちろん大変ですが、地元で起きたということで胸を痛めているところでございます。
 様々な取組をしてまいりましたが、やはり親子の関係というのが、これは時代の大きな変化なので、そのことはそのこととして受け止めなければなりませんが、やっぱり今委員おっしゃった、私の子供時代のことと比べてどうだと言われますと、核家族になり、しかも最近の家族の生活が隣近所と切り離された孤独な砂粒風の存在になってきていると、こんなことがあって、親子の中だけでぐるぐるぐると問題が煮詰まってしまって、世間の、周辺の皆さんであるとか、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんであるとか、そういう人の助言というのがなかなか届きにくくなっていると、そんなことが背景にあるかと思います。
 そういうようなことを乗り越えて地域の子育て力をもっと高めていくとかいろんなことが必要でしょうが、当面、今回、この親子の関係を児童虐待防止という観点から一歩改革していこうということで、子の利益というのを中心に据えた改正を提案をしているところでございます。
#22
○熊谷大君 ありがとうございます。
 親子の関係、私もまさしくそのとおりだなというふうに思っております。
 こうした虐待事件が全国的な広がりを見せて、特に、データで見てみますと都市部が多くなってきていると、しかも流入人口が多いところ、特に横浜などで事例が多くなっていることで分かると思います。私も神奈川県に住んでいたことがありますが、そこで見られるのは、先ほど大臣も言及されたように、地域活動、核家族化とですね、地域活動が不活発なところが非常に多くて、特に、私も驚いたんですけれども、PTAのような活動が余り盛んでなくて、そもそもPTAすら組織できない、消滅してしまっている地域が多々ありまして、これは非常に問題なんじゃないかなというふうに思っていたときもあります。それはでも震災前ですので、震災後、このような被災地の状況を見て、紐帯であったりとか日本人の持つ連帯心であったり、そういったものを見て、どのように皆さんが変わっていったのかというのが非常に興味が持たれるところなんですけれども。
 私は別にこれに対して答えがあるわけではないんですけれども、ただちょっと思っているのは、先ほど大臣も時代の変化ということをおっしゃったんですけれども、私は日本人一人一人が自分のことしか愛せなくなってきているんじゃないかなというふうに思っております。日本は昔から、自分のことはさておき、他者のためにとか、ほかの人のためにという心を持っていた、そういう心情又は態度を持っていた人が多かったように思うんですけれども、なぜかそれが、地域の紐帯であるとかそういったもの、きずなが崩れてきて、自分のみ、個人主義と言ったらいいのか、自分のみしか愛せなくなって、親子でさえ、また自分の親でさえ、また自分の子供でさえ愛せなくなってきている現状があるのかなと思い、そういった根本的な、また先ほど大臣もおっしゃったように根絶するように御努力なさっているということだったので、いわゆる他人、日本人というのは他人を愛することが非常に得意というと変な表現ですけれども、そういった下地を持つ人たちだったというところがなかなか満たせなくなってきたことからこの児童虐待なんかが多くなってきているんではないかな、特にバブル崩壊後、そういったところが顕著に見えているのかなというふうに思っておりました。
 続きまして、親権の壁に伴います親権の停止、それが今回創設され明文化されましたが、私ちょっと懸念が一つあります。従来の親権喪失ということ、これは大変重い措置で、それがなかなか、データで見ますと非常に長い間これが、親権の喪失があったんですけれども、なかなかそれが施されることがなかった。それはつまり余りにも重い制度だったからということがあったんですけれども、私、これは懸念されるのは、もしこの親権停止というものがされたとき、親権喪失と同じように伝家の宝刀みたいになってなかなか抜けなくなるんではないかな。その伝家の宝刀を抜きやすくするために親権停止ということを創設したというのは分かるんですけれども、大変表現を簡便にして申し訳ないんですけれども、使い勝手を良くするということで導入したんですけれども、それがなかなか、もしかしたらかえって使い勝手が悪くなってしまうんではないかなという懸念があって、それについて二点ちょっとお尋ねしたいというふうに思っています。
 まず第一点は、この親権停止を行うときに家庭裁判所での手続はどういった内容になるのかということ。これはこの権限の創設の際も頻繁に言及されておりますが、手術など医療行為や即応性が求められる状況になった場合にすぐに親権停止というのができるようにということがあったんですけれども、むしろ家庭裁判所なんかに出したときに手続で手間が掛かって時間が取れなくなるんではないか、いわゆる間に合わなく、その状況に応じたことができなくなるんではないかということ、それについての手続的な時間はどういうふうなことになっているのか。同様に、期間を、停止した際の取消しの手続についてお尋ねしたいと、これが一点でございます。
#23
○国務大臣(江田五月君) 親権の喪失、これは委員おっしゃいますとおり、非常に重大な効果をもたらす重大な手続でございまして、なかなか伝家の宝刀を抜けない。そうではなくて、親権の一時停止、二年以内という期間を区切って、これは二年以内ですから二年もありますが、一か月とか半月とかというのもあると、そういうバラエティーを持って止めるということで、これでずっと発揮しやすくなっているというのは事実だと思います。
 その上で、今委員の御指摘ですと、申立ては誰が行うのかと。これはもちろん申立て権者で、その中には子本人も含めております。子に常に親権停止を申し立てなさいと別に奨励しているわけではなくて、特定の親子関係の場合に子が申し立てるという道もあるということで置いているわけで、申立てをできる者の範囲をかなり広げておりますし、また審査の期間について、特別に期間についての規定を置いているわけじゃございませんが、喪失よりもずっと早く簡易な方式でいろんな調査を成し遂げて、適正、迅速に家庭裁判所が判断をしていただけるものと期待をしております。
#24
○熊谷大君 是非ともその規定を置いて、もっと議論を詰めていただきたかったなというふうに思います。
 次に、親権停止によって権限はより強化されたというふうに、使い勝手が良くなったというふうに思いますが、それによって親子関係の修復というものが、親権停止してしまう、簡便に取りやすくなったがゆえに親権停止したことによって関係修復がより困難になってしまった、特に児童相談所との関係が悪化してしまうというふうなケースが考えられないか、またその際の関係修復について御高察はあるのか、お聞かせください。
#25
○国務大臣(江田五月君) 親子の関係というのは、いろいろ問題が起きてもそれを乗り越えてまた再統合していく、これが基本であることは間違いありません。しかし、無理やりに再統合といったって仮面の親子関係ではいけないので、そこはやっぱり心から打ち解けた関係に戻っていく、そして、そういうことがもうこれはどうしても不可能だという場合には、やはり独立の道を歩んでいくということを選ばなきゃならぬことも出てくると思います。
 そうした中で、やはり親権喪失となりますと、これは再統合は本当に困難になってしまうので、あえて停止で、一定期間、親なら親の分をわきまえた子に対する態度で接してくれれば、これは親権の停止が解けてもう一度再統合になるので、そうしたある種の親に対するインセンティブも親権の停止ということで働くようになると思っておりますし、またNPOであるとか地域社会であるとかあるいは家庭裁判所であるとか、家裁の調査官OBの皆さんの小さな団体ですがそういう動きとか、いろいろな社会の公共財というものが活性化して、そうした親子の再統合に仲立ちの役割を果たしていくようになればいいと思っております。
#26
○熊谷大君 ありがとうございます。
 続いて、先ほど田城委員からもありました人員の確保と、親権者による今度は不当の申立てという問題についてちょっとお尋ねしたいというふうに思っております。
 親権停止をしたことによって、親がそれは不当であるというふうに主張してくるというふうなケースが多々出てくるんではないかというふうに考えております。私も教育現場にいましたものですから、とんでもない保護者の皆さんがいるということはもうよく承知しております。いわゆるモンスターペアレントというふうな存在でございますが、親として自覚や意識が薄い親御さんもいらっしゃいますし、お子さんよりもしかして精神年齢が低いのではないかと思われる方も確かにいらっしゃいます。
 そうした保護者や養育者から親権停止を受けるような立場になる人も出てくることはとてもよく理解できることなんですけれども、これは行政や司法、家庭裁判所の前の段階で担わなければいけないことかもしれませんが、こうした不当に対する申立てなんかを、トラブルを抱えている親御さん、養育者さん、保護者さんと緊密にコミュニケーションをやっぱり取っておかなければならないんではないか。その際に、やはり人材、人員の確保というのが非常に重要になって、キーになってくるんではないかと。
 社会福祉協議会の方々や児相の方々が、まるでクレーマーの顧客、お客さんをなだめすかすようにして対処していかなければならないというような事情も紹介されておりますが、そのような人員措置、先ほども言及がありましたが、その人員措置に対する、配置に対する確保と、また予算措置というのはこの法改正によってしっかりとなされるのかどうか、お聞かせください。
#27
○政府参考人(石井淳子君) 議員御指摘のとおり、こうした新たに設けようという措置が真に生きていくためにも、体制の問題、極めて重要というふうに考えます。先ほど御答弁申し上げましたのは児童養護施設における体制の拡充整備の話でございましたが、片方で児童相談所における体制の整備も極めて重要と考えます。
 児童相談所の人員でございますが、これは地方交付税措置で要求をしていくという形を取っておりまして、実は今年度におきましても、若干でございますが、自治体のレベルで三十名から三十二名という形で一定の増員が図られたところでございます。また、そのほかにもやはり非常勤職員での対応という道、あるいは、今回の親権の制度をうまく使いこなしていくためには法的な技術にたけた人材の投入ということも必要でございますから、そうした法的な専門家の雇い上げ費用に対する補助といったようなものも予算措置の中に組み込んでしっかり体制を整えてまいりたいと、かように考えております。
#28
○国務大臣(江田五月君) 裁判所の関係についてもお尋ねかと思います。
 家庭裁判所における事件の取扱件数などが増えてくることも当然予測されるわけでございまして、今日、裁判所の方から答弁できる者が来ておりませんが、この事件の推移を見て裁判所でしっかり対応していくものと思っております。
#29
○熊谷大君 人員確保、非常勤で対応ということがあったんですけれども、やっぱりこういうケースに大事なのは信頼関係をいかに築いていくかということだと思っております。それで、そうした信頼関係を築くのに非常勤の方が果たして適切なのかどうかということ、もっと本当に議論を重ねていけたらなというふうに思っております。
 例えばカナダでは、よく御存じだと思うんですけれども、ソーシャルワーカー一人当たりの担当は十八件までというふうに決められて、その学歴も修士以上じゃなければいけないというふうな厳しい規定がある。それに対して東京では、例えば東京ですが、一人で百件以上のケースを担当しているという、もう本当に現場はあっぷあっぷな状態である、いっぱいいっぱいの状態であるということを是非司法又は行政の立場がよく理解して、大胆な措置をとっていかなきゃいけないなというふうに思っております。
 続きまして、不当なんですけれども、施設長などが児童の監護などに関してその福祉のため必要な措置をとる場合には、親権者は不当な主張はしてはならないというふうな規定が今回されていると思うのですが、これは何が不当に当たるのかと。不当といっても定義がないままに走ろうとしているんではないかと。ガイドラインがこれから作成されるのでしょうけれども、この定義が不明瞭なまま法律化すると大変不都合が今後起きてくるのではないか、運用上、大変トラブルが多くなってくるのではないかと。法律は作ったはいいんだけれども、解釈論のみで運用されてしまい、現場の判断に全て任せられるというふうになって、責任は全部現場で取ってくれなんというふうになりかねないのではないかというふうに思うんですけれども、そのようなガイドライン作成についてはどのようにお考えでしょうか。
#30
○政府参考人(石井淳子君) 委員御指摘のとおり、何が不当な措置か、その中身がはっきりいたしませんと現場での混乱を逆に招くことになるのではないか、そういったような懸念がたしか先回の参考人質疑の場でも示されたというふうに承知をいたしております。
 したがいまして、そういったような、現場が困ることがないように、私どもとしましては具体的な問題に即しまして、何が、どういったケースが不当と考えられ、どういったものがいけないのかといったようなことにつきましては、ガイドラインを示してそうした混乱を防いでいきたいというふうに思っております。
 そのガイドラインにつきましては、児童福祉や法律の専門家あるいは現場の御意見を聞きながら、具体的な現に困っている事例というのをできるだけすくい上げていくと、そしてできるだけワーカブルなものにしていくということが必要かと考えております。また、全ての事例について書き込むことは恐らく難しいと思いますので、その判断に悩むような事案につきましては、まずは児童相談所に相談をしてもらう、また、更に専門性が必要な事案につきましては児童相談所が児童福祉審議会の意見を聴くというような運用も併せて示して、円滑な施行に向けて準備を整えてまいりたいと思っております。
#31
○熊谷大君 是非迅速な、そして本当に喫緊を要するケースには即応できるような体制にしていただきたいというふうに思っております。
 続きまして、震災孤児とその関連についてお尋ねしたいというふうに思っております。
 先日、私、宮城県出身なものですから宮城県の県北の方の児童相談所にちょっとヒアリングに行ってまいりました。先ほど、震災孤児が五月二十三日時点で百五十五名だったというふうなお話でしたが、私も今月の上旬ヒアリングを行ったとき、宮城県内では六十七名の児童が残念ながら親を亡くしている状況であると。これは恐らく、まだまだ調査をしている段階なのでこれから出てくるだろうと。日本人というのは日付の区切り、四十九日であるとか百か日とか、そういったことで区切りを付ける習慣があるので、そういった百か日を過ぎた辺りとか、その区切りを過ぎるとどんどん出てくるんじゃないかというふうなことを言われました。
 そこでまた、同時に聞いたのが大まかに二点ございます。それについて質問をさせていただきます。
 一つは、これから震災孤児が増加するのに比例して、その子供たちに対応する、また先ほどと同じなんですけれども、人員が全く足りていないというふうに言われました。そしてもう一点は、そうした未就学児童、児童生徒に、親を亡くした児童生徒に寛大な補助をしてもらわなければならない、いわゆる資金面での補助をしてもらわないとこれから立ち行かなくなるのではないかということをヒアリングしてまいりました。
 この点についてのお考えを教えてください。
#32
○副大臣(小宮山洋子君) 今委員がおっしゃいましたように、五月二十三日現在、親を亡くしたあるいは行方不明の子供が百五十五人、今おっしゃいました宮城では、その中で八十人というふうになっております。
 そうした中で、やはりしっかりとフォローするために、まずこの子供たちは、ほとんどの子供が親族の方が見ておいでで、御自宅あるいは避難所で親族が見ているということがあります。どうしても親族が養育できなかった場合は、養育里親とかファミリーホームなど、なるべく家庭に近い状況で養育ができるようにということを考えております。
 人員の話ですけれども、元々そういう子供がいるということの把握自体が行政機能が非常に弱っている中でできなくて、全国から児童福祉の関係者、児童相談所の職員など来てもらって、現地の児童相談所の職員と一緒に避難所などを回って、そういう子供の家庭の状況を聞いたり、また子供たち、あるいは見ていらっしゃる御親族の方のいろいろな相談に応じたりということをしておりますけれども、これは今後とも必要なので、人員の確保はしっかり努めてまいりたいというふうに思っております。
 それから、資金の方も一緒にお尋ねで、お答えしてよろしいでしょうか。
 これにつきましては、親族里親に、里親手当というのは、民法で家族などは見る義務があるというようなこともあって里親手当というものは出ていないんですけれども、その中で、親族里親にもいろいろな形で今、支給を生活費という形でしています。親族里親には一般生活費が児童一人月額四万七千六百八十円支給されます。そのほか、教育費や医療機関にかかった場合の医療費も支給をしています。
 それから、今回の震災に際しまして、そこを何とか支給の枠を広げられないかということで、委託時の支度金四万二千六百円のほか、通常は一年生に入ったときに支援をしている衣服とか学用品の費用としまして、一年生以外でも、小学生三万九千五百円、中学生四万六千百円、高校生五万八千五百円、こうしたものを支給をしております。
 それからまた、今おっしゃったように、親族の方の申請や認定というのが、まだその手続ができない場合もございますので、それが遅れても養育期間に対応して里親委託費の支度金を日額で計算をしてちゃんと加算をできるようにするなど、なるべく弾力的に運用ができる部分は最大限活用いたしましてしっかりと支援をしていきたいと考えております。
#33
○熊谷大君 ありがとうございます。
 ちょっと二点目の件なんですけれども、親族里親とか里親制度の前に、やっぱり両親というか、片親になってしまった子供たちもいると思うんですけれども、その親を失った子供に遺族年金等々があると思うんですね。しかし、制度上の納付要件を満たしていなかった親御さんというのが実は結構いらして、それはなぜかというと、沿岸部というのはこの不況の中、なかなか雇用確保が難しくて納付できるような余裕がなかった家庭が多うございまして、それで遺族年金をいざもらおうと思ったら納付要件を満たしていなくてもらえなかったなんという要件もあって、生活再建に、そのような状況ですから、生活再建しようと思ったら、これは特に女性の場合はやっぱり女手一つで子育てするというのはなかなか難しくて、その難しい環境の中で、今被災地は非常に失業率が高くなってきて雇用そのものがなくなってきていると。
 そうなったときに、これもちょっと前段階が長いんですけれども、女性がどういう手段を取るのかというと、これもその児相でヒアリングしてきたときに言われたんですけれども、女性だったらやっぱり再婚をすると。働き手が、なかなかパートとかないので再婚をして家計を賄おうとすると。そのときに、いわゆるまま父、まま母でもいいんですけれども、子供とその親子の関係がぎくしゃくしてしまって、また更に不幸が生まれて児童相談所に一時預かりというようなケースが実は震災前の震災、前の震災というと宮城県で北部地震というのが松島近辺であったんですけれども、そういったところでは聞かれた、見られたということがあります。
 そういった意味でも、非常に、生活保護もそうなんですけれども、女性がしっかりと働ける又は保護を受けられるような資金制度というものがあってもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがお考えでしょうか。
#34
○副大臣(小宮山洋子君) 制度としては、児童扶養手当の制度というのも使える一つかと思っております。
 それで、また様々なケースの中で、父親が亡くなった後母親が子供を見ていく場合に、いろいろな相談とか援助も、これは児童相談所が非常に重い責任というか役割を担っているというふうに思っておりまして、先ほど申し上げたように、被災県だけでは足りないので、全国から児童心理司とか児童保育士とか児童福祉司とか児童福祉の専門家を募って、順次チームを組んで入ってもらったりしてまいりましたけれども、今回、二十三年度第一次補正予算でも二十七億円を安心こども基金に積み増しをいたしまして、児童福祉にかかわる専門職種の人が仮設住宅とか避難所とか、あるいはお宅とかを回ってしっかりと相談に乗れるようにというようなことをしているところでございます。
 最初申し上げましたように、母子家庭、父子家庭の方々に児童扶養手当、これは所得に応じまして児童一人の場合毎月九千八百十円から最大四万一千五百五十円まで支給をされますので、こうした制度についても、そうした母親一人でお子さんを育てていらっしゃる方にもこういう制度がありますよという周知を図ることも含めて、なるべく児童福祉の関係の職員など、あるいはハローワークなどでも可能な限り相談に応じ、いろいろと情報の周知に努めてまいりたいと思っています。
#35
○熊谷大君 ありがとうございます。
 是非、そういうすばらしい制度があるのであれば、情報の周知徹底というのをお願いしたいというふうに思っております。
 続いて、先ほど副大臣も言及された里親制度についてでございます。
 従来も現在も、里親さんたちは親権の壁と同時に行政の壁もあって、それは意外に高いハードルだというふうなことを聞いております。例えば、虐待を受けた子供たちは障害を持っていたりする子供たちが非常に多い割合でいるというふうに思っております。子育てが難しいからこそそういう境遇になるのかもしれませんが、愛着拒絶を持ってしまった子供を預かるというのは非常に大変困難なことであると。でも、それにもかかわらず、里親さんたちはとても人情家で、あふれんばかりの愛情を注いで子供たちを預かってくれているというふうに思っております。
 しかしながら、行政から補助の問題が出ると、国、県、町、本人の負担がそれぞれ三の三の三の一ですと。しかも、町に障害のある子供が来てしまうとという表現は適切じゃないんですけれども、いらっしゃいますと町の負担がかなり掛かることになりますと、そういった説明をされることがしばしば報告されております。善意でしっかりと子供を育てていこうというふうに思っている里親さんにはかなり厳しい行政の説明だというふうに思うんですけれども、こういった行政の壁を取り払って支援体制を充実していかなければならないというふうな議論は何度も言及されているというふうに思うんですけれども、全ての関係者が負担感をできるだけ少なく、心理的にも金銭的にも資金的にもできるように制度設計をしていかなければならないと、これから特に震災後、ならないというふうに思っておりますが、副大臣のお考えを是非お聞かせください。
#36
○副大臣(小宮山洋子君) 多分、今委員がおっしゃったことは、今回の震災時などでそのことが際立って出てきていますけれども、通常からある問題なんだというふうに思っています。
 そうした、特に支援が必要な子供の社会的養護のところ、これは里親とか施設とかファミリーホームとかいろいろな形態がございますけれども、そこになるべく力を入れていきたいということで、今厚労省の方でも検討会をつくって、いろいろな形でそういう子供たちを支援する方法を検討しているところでございますし、今新しい社会保障改革の中で子供に力を入れるということはこの政権言わせていただいておりますけれども、その中でもやはり待機児さんとか学童の問題と併せて社会的養護のところが非常に重要な柱だということを言っておりますので、今回、震災の中で特にいろいろな知恵を使って、配慮ができるところは、そういう特別な支援が必要な子供のところには極力やっていきたいと思いますし、また現地でいろいろ御覧になって委員からも御意見があればいただいて、こういうところはもう党派超えて力を合わせて是非、そういう特に支援が必要な子供のところには可能な限りの力を注いでまいりたいと思っております。
#37
○熊谷大君 今後、親権停止が創設されるに伴いまして、また子ども手当の制度が導入されて不当な主張をしてくる実の親御さんが、親権者が増えてくるのではないかというふうに予想されておりますが、人員が足りない中そういった事例を持つ子供が増えてくる、そして一時保護は欠かせなくなってくる、しかしながら一時保護する施設は満杯であると。そうなったときには里親さんに是非預かってくださいというふうにお願いが出てくるんですけれども。
 その資金なんですけれども、一時預かりの部分で一日につき千五百円であるというふうな取決めがあるようで、これは宮城県の例なんですけれども、例えば乳幼児を預かる場合に、おむつ代、ミルク代、諸手続のために行った交通費なども自己負担になるんですよね。また、着のみ着のまま保護された例えば中学生の場合なんかでございますと、やはり身の回りの物をそろえてあげるにはかなりの経費が掛かります。それもやはり里親さんの自己負担になってしまうということを聞きました。里親さんなんかは、そうした経費のお話をすると、そうしたことが嫌だったら里親を降りればいいんじゃないのなんというふうにも言われかねないので、なかなか口に出して説明できないんだというふうなことを言っておりました。
 このような問題を鑑みますと、子供のために最低限必要な経費は公的な補助が必要になってくるというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
#38
○副大臣(小宮山洋子君) おっしゃるとおりだというふうに思います。
 それで、こうした資金につきましても、予算に限りがある中で年々上げてはきているんですけれども、それでもやはりもっときちんと支援をした方がいいということは、私も同じ考えは持っております。
 そして、そういう中で様々なことをやはり里親の方に御相談をいただけるように、里親会とかあるいは里親支援機関ということで児童養護施設、母子生活支援施設、乳児院、保育所などが相談に乗れるような仕組みもつくっておりますので、その資金的なこと、そのほか様々なことを併せて支援ができるようにいろいろな工夫をしてまいりたいと思っております。
#39
○熊谷大君 是非、本当に相談しやすいような、やっぱりこれは社会で支えていかなければいけない部分だというふうに思いますので、是非いろいろな工夫を積極的に出していっていただきたいというふうに思っております。
 もう一つ質問なんですけれども、里親手当でも、子供がファミリーホームに預けられた場合とか施設に預けられた場合とか里親に預けられた場合で、補助額がそれぞれちょっと異なってきております。例えば、施設に預けられると一人につき四十万円ですか、ファミリーホームだと二十万円、里親だと十万円と、こういうふうに差が出てくるんですけれども、今後の里親制度を考えると、里親になられる方はそんなに裕福な方ではございません。むしろ、年金暮らしに差しかかるような方々が多いような気がしております。
 そうした方々の善意のみに頼るのではなくて、しっかりと法改正に伴って里親さんを支える資金的な側面も充実させていかなければならない、明文化して充実させていかなければならないのではないかというふうに思うのですが、副大臣のお考えをお聞かせください。
#40
○副大臣(小宮山洋子君) おっしゃることは、そのとおりだと思います。
 ただ、再三申し上げて申し訳ありませんけれども、資金に限りがある中で、どういうような形でそれぞれ施設に、あるいは里親の方にどういうふうに資金を手当てをしていったらいいかをいろいろと考えながらやってきた結果が今日の形になっていると思っています。
 ただ、今回の震災のことに限らず、なるべく家庭に近い状況で子供が育てられた方がいいと思いますので、そういう意味では、今施設とのバランスのお話ございましたけれども、里親になっていただく方にしっかりと支援ができるようにいろいろと知恵を集めてまいりたいと思っておりますし、こちらもまた御意見を伺わせていただきたいと思っています。
#41
○熊谷大君 震災前のことですけれども、何か震災前と言うと遠い昔のような感じがしないでもないんですけれども、タイガーマスク運動があって全国の伊達直人さんが、もう全国的に善意の輪が広がっていったと思うんですね。やっぱりそういった意味も、こういった問題を考えるきっかけになったと思うんですが、そういった本当に在野の方々の善意に頼るというのも非常に重要なことだと思うんですけれども、ただ、我々はやっぱり福祉国家であるということをしっかりと考えておかなければいけないと思うんですね。
 そういった意味で、予算措置、限られた資金の中でというよりも、やっぱり予算措置をしっかりと計上してやっていかなければならないのではないかと。それこそ福祉国家としての良心ではないかなというふうに思うんですが、いま一度しっかりとした御答弁をしていただければなというふうに思いますが。
#42
○副大臣(小宮山洋子君) おっしゃるタイガーマスクの皆さんの善意、あれは本当にすばらしいことですが、おっしゃるように、行政がもっと今できることがあるだろうということで、社会的養護の検討会を里親会とか現場の施設の方とかに集まっていただいてすぐに立ち上げまして、今検討をしております。
 それで、その中で、すぐに四月からできる、改正でできるものについては行っておりますし、また予算措置の必要なもの、段階を追ってそこのところは現場からの声を可能な限り聞いてしっかりと実現をしていきたいと思っておりますし、繰り返しになりますが、今回の社会保障制度改革の中で特別の支援が必要な子供たちのところにしっかりと重点を置いていくという方針も決めておりますので、是非そこのところは力を入れて取り組んでいきたいと考えています。
#43
○熊谷大君 震災後、いかに被災地が立ち直れるか否かというのは、やはり子供の状況をどのように改善させていくのかに懸かって、取り巻く環境をどのように改善させていくかに懸かっていることだと思いますので、是非ともしっかりとやっていただきたいなというふうに思っております。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#44
○木庭健太郎君 大臣と先週ハーグ条約の問題で少し議論をさせていただきましたので、質問通告まだちょっとしておりませんでしたが、先週の二十日でございますか、政府としてこのハーグ条約について締結へ向けた準備を進めることとするという閣議了解をなさったと。私も聞いて、珍しい閣議了解だなと。普通は、締結についての閣議了解というのは私も何度も聞いたことはあるんですけれども、締結に向けた準備を進めることとする閣議了解という、非常にほうと思いながら、ただちょっと、やや心配いたしましたのは、国際世論がいろいろあるものですから、ある意味ではそれに何か前のめりになっているような危惧も正直いたしておりまして、私は前回も申し上げたように、このハーグ条約という問題は、やはり慎重にいろんな物事を検討した上で進めるべきではないかという考え方は今も変わっておりません。
 つまり、何かと申し上げると、実際に子供が、児童虐待の問題であってみたり、又はドメスティック・バイオレンスの問題であってみたり、そういう事情で帰ってこざるを得なかった、もうそれしか選択肢がなかったという人たちが現実にこれまでもいらっしゃったのも事実でございまして、そういった方たちの本当に意見をきちんと聞き取ることができたのかなという疑問とともに、是非とも締結の前に必要なことは、ドメスティック・バイオレンスだ、児童虐待だと、こんなことがもし前提としてあるのであれば、条約には子供の返還という問題はあるけれども、それを拒否することができる、そういった明確な国内法というものがやはり担保されていなければならない、そんな気持ちが私は強くしているということでございます。
 幸いというか、この閣議了解を見させていただきましたら、子の返還命令に係る手続ということもきちんと明記はしていただいております。つまり、子供の返還命令のための裁判手続を新設することのほかにも、返還拒否についても様々な視点は入れていただいております。でも、私はやはりこの問題は、ハーグ条約は締結の前に国内法の整備が絶対できていなければならない、こう私は思っておる一人でございます。
 そこで、大臣にこの閣議了解に基づいてお尋ねしておきたいのは、この閣議了解に基づいて、江田法務大臣としてこの国内法整備のための法制審議会への諮問、これはやらなければならないと思います。これをいつおやりになるつもりでいらっしゃるのか。そして、それとともに、法制審議会にかけますと一年という長いレンジが普通は掛かってしまいます。でも、私はこの問題に関しては、政府がそうやっておやりになっている以上、この国内法の整備の問題は法制審議会にかけ、少なくとも年内には一つの方向性、結論を出すべきなんではないかなという思いもいたしますが、この点について大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
#45
○国務大臣(江田五月君) 前回、木庭委員とハーグ条約についての質疑を行わせていただきました。そのときはいろいろな議論が進捗していたんですが、まだ御報告できるところまで行っていなかったので、やや奥歯に物が挟まったような言い方をしたかと思います。そして、御指摘のとおり二十日に閣議了解をいたしました。
 ハーグ条約というのが国際離婚に伴って子が国境を越えた場合の唯一のルールですので、是非ここに日本も加入をして、そして国際ルールというものをよりいいものに努力をしていきたいという思いを持っておりますが、しかし、今委員おっしゃるとおり、もう国内的な整備は何もせずにというわけにもいきませんので、準備ということで閣議了解を取り付け、これから国内法の整備を図ってまいります。
 その際、まず中央当局をどうするかというので、これは閣僚の話合いで、中央当局を設置する場所は外務省、ただし、法務省その他、人員についても情報面についてもそこは協力してしっかり機能する中央当局にしていく。中央当局の在り方については外務省が中心になって法案を練っていただけると思っていますが、御指摘の子の返還事由あるいは返還拒否事由、そして子の返還についての裁判のやり方、こういうものは法務省が中心になって取りまとめをしていくということになっておりまして、なお、全体については法務省がしっかり把握をしながら全体の法案をまとめてまいりますが、子の返還に関する法規の取りまとめに当たっては、これは法制審議会に諮問をしなきゃならぬものだと思っております。
 いつかというお話ですが、今私ども鋭意準備を進めておりまして、現在、六月の六日に法制審議会の答申を予定をし、そこに諮問をしようと努力をしているところでございます。
 なお、通常、法制審議会の審議というのはかなり時間が掛かるぞと言われている中、委員からは、今年中には答申を出してもらえるようにという力強い応援のメッセージがございましたので、それをしっかり受け止めたいと思いますが、ただ、そうできるかどうか、頑張ります。
#46
○木庭健太郎君 応援かというような声も起きておりましたが、是非、でも、まずどういうことでどうしていただけるのかという、その前提をやっぱり見えるような形にしてもらわないと、これはもうまさにそれが前提条件になるわけです。
 だから、その姿を早く出していただければ我々議論しますよ、どうやるかということについては。そのことは申し上げておきますので、是非そういった方向で、六月六日ということも明確に、それでよろしいんですか、ちょっと何か。
#47
○国務大臣(江田五月君) ごめんなさい、ちょっと言い間違えた。六月六日は諮問でございまして、幾ら何でも答申というのはちょっと無理でございます。
#48
○木庭健太郎君 それでは、その方向で是非諮問もしていただき、法務省としての一つの見解、そして我々も申し上げたいこといっぱいございますから、是非たたき合わせていきたいと、こう考えております。
   〔委員長退席、理事金子原二郎君着席〕
 さて、今日は民法の問題の中で、施設入所中又は里親委託中の子の監護、教育、懲戒、今日もいろいろ議論になっておりましたが、これと親権との関係について、少し細かくなるかもしれませんが、お尋ねをしてみたいと思うんです。
 児童福祉法の四十七条を見ますと、児童が児童福祉施設に入所中あるいは里親に委託中の場合は、施設長及び里親は、入所中の子供や委託されている児童については、親権者や未成年後見人がいても、監護、教育、懲戒に関してその児童の福祉のための必要な措置をとれるということが明記をされているわけでございます。その一方で、民法を見ますと、子の監護、教育、懲戒に関する権利義務は本来親権者、未成年後見人にあるとされていると。そうしますと、この施設長や里親が児童を預かり保護している場合は児童についてこれまた一定の権限を持つわけで、この権利、どうなっていくのかという、いわゆる民法と児童福祉法上のこの権限の関係というのがどうもやや不明確だという指摘がよくなされるわけであって、特に現場においては、施設が行う措置と親の意向が異なるという場合は、これは深刻なトラブルになりがちだと、こう言われているわけでございまして、したがって、まず一問目にお尋ねをしたいのは、児童福祉法により監護、教育、懲戒措置が認められている場合は、その監護、教育、懲戒について親権者は権限を失うのか、それとも、その部分に関しては児童に関して権限を有する者が複数いるというような状態と見ていいのかと。施設入所の法的性格との関係でいろいろ学説もあるようですが、実務の扱いを確認したいと思います。
   〔理事金子原二郎君退席、委員長着席〕
#49
○政府参考人(石井淳子君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、児童福祉法の四十七条二項におきまして、施設入所中又は里親委託中の児童について、施設長又は里親などは監護、教育及び懲戒に関して、その児童の福祉のため必要な措置をとることができるという規定がございます。
 ただ、その一方で親権者の親権というのは現にあるわけでございまして、その関係が必ずしも明確でないために、親権者が異を唱えるとなかなか必要な措置を、子のために必要と思ってもなかなかとることができないという問題が指摘をされていたわけでございます。
 実務の取扱いとしましては、また法制的にもそうだと理解しておりますが、言わばその監護、教育それから懲戒については、二つの親権が重なり合っている、二つ同時並行的に走っているというのがこの法律の置かれた状況だろうというふうに理解いたしております。
#50
○木庭健太郎君 そうすると、少しちょっと具体的にお尋ねをしたいんですけど、施設入所中、里親委託中の子の監護、教育、懲戒の範囲がどこまでかという問題なんですが、例えば携帯電話の契約に関する同意、高校生のアルバイトの許可、子供名義の口座の開設などはどのような扱いになっているか、財産管理については日常的に必要なものであっても監護権の範囲には含まれないのか、これらの点について確認をいたしたいと思います。
#51
○国務大臣(江田五月君) これは、法律上の問題かと思いますので……(発言する者あり)
#52
○委員長(浜田昌良君) 法務大臣を指名しました。──石井審議官。
#53
○政府参考人(石井淳子君) 今委員からの携帯電話の話と、それからアルバイトの話と、それから口座開設でございますか、あともう一つ挙げられたように思いますけれども……
#54
○木庭健太郎君 財産管理。
#55
○政府参考人(石井淳子君) 財産管理ですね。
 まず、分かりやすい方から。財産管理につきましては言わば管理権でございまして、監護、教育、懲戒の対象から除外をされますものですから、そもそも児童福祉法の中で授権されていないものでございますから、それは対象外ということになります。
 若干微妙になってきますのが携帯電話とかあるいはアルバイトというところだと思います。
 実際問題、携帯電話の契約については非常にトラブルが報じられております。親権者のいる入所児童等につきましての施設長の権限は身上監護に関するものでございまして、携帯電話の契約となりますと、契約の同意といったような財産管理権の問題に刺さってくるわけでございます。ここは、その施設長等の権限にはぎりぎり申しますと含まれてこないわけでございまして、契約の同意や取消し権は親権者にあると解されております。
 しかしながら、監護していく上でこうした問題、出会いますし、非常に重要な位置関係もあるわけでございまして、この問題をもし対応しようとすると施設長等に法的な権限を持たせる必要がある。そうなりますと、今回改正で盛り込もうとしております親権の停止とかあるいは管理権の喪失というものをやることによって安定的な関係をつくるということになりますが、ただ、実態上、施設等の現場におきましては、施設長の同意で契約を認める携帯会社がございますのでそういうところと契約をするとか、あるいは施設や施設長名義で契約を行って児童に貸与する形で使用させるといったような形で施設入所中の児童が携帯電話を使えるようにしているというふうに承知をいたしているところでございます。
 それから、アルバイトの問題でございますが、アルバイトも子供の教育の延長線上でとらえることも可能かと思いますが、やはりその契約という行為、特に雇用契約になってきますと、契約というものは、これは児童の、施設長等には授権されておりませんので、その限りにおきましては施設長がやはりこれを単独で行うことには、いろいろ、その取消し権が行使された場合どうなるかといったような問題が伴うわけでございますから、やはり最終的には法的な権限を持たせるための対応が出てこようかというふうに思います。
 それから、口座の開設の関係でございますが、これも財産管理の問題に属するのではないかなと思いますが、ただ、子ども手当のときにも問題になったわけでございますが、やはりこれは、そもそも政府が提出いたしました二十三年度の子ども手当に関する法律の中では施設の設置者に子ども手当を支給するようにしようとしたわけでございますけれども、そのときの整理としまして、やはり施設の設置者が子供に対してそのお金を与えると、それは直接に与えるという形での意思表示をした場合には子供の財産として管理されることになるという関係はございます。
 そして、もう一つちょっと補足をさせていただきたいんでございますが、銀行口座の開設の関係は実は幾つか法律がございまして、まず一つは犯罪による収益の移転防止に関する法律というのがございまして、金融機関において口座を開設する者の本人確認、これが必要になってまいります。具体的には住民票とか健康保険証等の書類の提示が求められてくるわけでございますけれども、これらの書類が親権者の意向でやはり提示できない場合でありましても、これは児童相談所が発行する措置証明書等の書類によって入所中の児童の本人確認書類とすることが認められております。
 あと、もう一つの法体系としまして、今度は金融機関の方でございます。金融機関におきましては、未成年者の銀行口座の開設について、やはり通常、法定代理人であります親権者の同意を求めております、やはり管理権を持っているということであるわけでございますが。そういうことでございますけれども、ただ、現実の運用としましては、施設入所中の児童の場合につきましては個々の金融機関の判断とはなりますけれども、施設長の申出によって銀行口座の開設は可能としているというふうに承知をいたしております。
#56
○木庭健太郎君 まだちょっと細かくなっていきますが、これ、社会保障審議会の議論の中で全国の里親会から提出された資料の中にあったんですが、先ほど挙げられた携帯電話の今度は料金のいわゆる滞納のトラブルに関する事例というのが社会保障審議会の中で全国里親会から出されておったんですが。つまり、どんなことかというと、滞納のトラブル。業者からは滞納は里親の監護の範疇だと言われて里親の方に処理がこの滞納について回ってきた。しかし、里親が今度それを、契約を解除しようとすると里親からの解除は認められないというようなことが言われると。このような場合に、里親と親権者の責任、つまり滞納金の支払の問題も含めて権限はどのようになっているか、厚生労働省の方からお伺いをしておきたいと思うんですが。
#57
○政府参考人(石井淳子君) 大変難しい御質問をいただきまして、どうお答え申し上げようか、ちょっと考えているところでございますけれども。
 ただ、言えますのが、民法の世界でいいますと、やはり民法五条という規定がございまして、未成年者の契約につきましては、それは法定代理人の同意がない限りは取り消すことができてしまう、そういう言わば不安定な状態に置かれたものであるということは私どもしっかり受け止めて対応していかなきゃいけないのであろうと。特に、親権者が出てきてトラブルが起こるような、そういうことが予想されるケースにおきましては、やはり今回もしこうした法制度、親権の一時停止という制度ができますれば、それを適切に行使をして安定的な関係をつくっていくということではないかと思っております。
#58
○木庭健太郎君 つまり、やっぱりそういう施設長そして里親の監護、教育、懲戒の範囲の切り分けというのは、本当に具体的、いろんな事例に遭うたびに、どう扱っていいのか難しい事例が本当に多いというのが感じるんですね。
 でも、トラブルに関しては今私が申し上げたような典型的な例が多いような気もいたしますし、そういったトラブルが生じそうな具体的事例については親権者や施設長や里親等にあらかじめ扱いなどが示されているのかと、そしてまた各事業者さんはこれを承知しているのかどうかというようなことについて、厚生労働省から御答弁いただきたいと思います。
#59
○政府参考人(石井淳子君) 私どもの会議などを通じまして、様々困った事例につきまして個々に対応することはございます。しかしながら、今回この法改正がもし成れば、より様々な事例が更に上がってくるだろうというふうに思っておりますので、再三この場で御答弁申し上げておりますが、できるだけその具体的な事例を拾い上げた使えるガイドラインを作成をいたしまして、現場の混乱を起こさないようにしてまいりたい。
 また、運用といたしまして、全てにおいて書き切れないケースがありますので、困った場合にはまず児童相談所長、そして、そこでもやはり専門家の意見が必要な場合には児童福祉審議会の方に諮るといったような、運用の在り方についても示してまいりたいと思っております。
#60
○木庭健太郎君 そして、こういった問題もそうなんですが、例えば児童養護施設などを退所する児童が就職したりアパートを借りる場合について、これは厚生労働省が制度として身元保証人を確保するための事業というのを行われているようでございます、平成十九年度から始まったというふうにお伺いしているんですが。つまり、未成年後見人が見付からなくとも施設長さんたちが保証人となることによって就職や契約を了承してくれる事業者、こういうのは本当にいらっしゃるのかどうか。また、この事業の概要、また保険金の支払を求められる事例がどれくらいあるのか。
 この制度について、少し御説明をいただきたいと思います。
#61
○政府参考人(石井淳子君) 委員御指摘のとおり、児童養護施設などを退所する児童が社会的に自立した生活を行おうとする際に、保証人が得られずに就職あるいはアパートの賃借が困難となる場合がございます。
 このため、施設などを退所する児童が就職する際の身元保証人やアパートなどを賃借する場合の連帯保証人を確保できるよう施設長などが保証人となる場合の損害保険料について補助をする身元保証人確保対策事業、これ平成十九年度から実施いたしておりまして、その利用の推進を図っております。この保証限度額でございますが、就職時の身元保証としまして二百万円、そして賃借時の連帯保証として百二十万円となっております。
 この利用状況でございますけれども、平成十九年度から二十一年度まで、身元保証と家賃等の連帯保証を合わせた件数でございますが、二百二十二件、これが制度として利用されているという実績がございます。
 今後とも、この退所後の児童の自立支援のための必要な取組というのをしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。
#62
○木庭健太郎君 この施設長さんたちが保証人となっているような事例なんですが、これは、法人が未成年後見人となることが認められた場合には法人による未成年後見人に移行していくというふうに考えていいのかどうか。また、今後、整備することが求められている未成年後見人の保険制度、これも身元保証人の場合と同様のものが想定されるのか。
 この点について、これも厚生労働省からお伺いしておきたいと思います。
#63
○政府参考人(石井淳子君) まず結論から申し上げますと、それぞれの制度が引き続き必要かなというふうに思っております。
 まず、民法改正によりまして法人あるいは複数人による未成年後見人、この確保のためにやはり一定の手当てが必要だと思っておりまして、まずは未成年後見人の報酬という問題がございます。そしてもう一つ、やはり被後見人、子供が第三者に対してけがを負わせたりあるいは他人の物を壊してしまって、未成年後見人に損害賠償責任が生じた場合の賠償責任保険の保険料負担が必要というふうな意見があるわけでございます。今般の制度改正におきまして、子供の権利擁護の観点から法人などが未成年後見人となる場合の支援の在り方については検討していきたいと思っておりまして、これらはいずれも必要ではないかなと現在は思っております。
 あわせまして、先ほどのアパートを借りる場合、そして就職の場合というのは、これは同時並行的にあり得る場面でございますので、両方必要ではないかなと思っております。
#64
○木庭健太郎君 こうやって少し議論を今させていただいているんですけど、厚生労働省にもう一問だけちょっとお尋ねしておきたいんですが、いろんなこういう監護、教育、懲戒の範囲の問題について、やはりもう少し拡大をさせてほしいというような願いが、施設長さんからも、また里親からも挙がっている。例えばどんな事例があるかというと、もう本当僅かな財産の管理については施設長等が管理をすることもできるという解釈をする余地もあるんじゃないかというような声もあってみたり、特に里親さんたちからは、先ほど御指摘しました高校生のアルバイト程度の内容は日常的営みと解釈して養育者に判断を任せてほしいというような声もかなりあるわけで、つまり、こういった施設長さんたちの権限の範囲、少しこう拡大。
 だから、今からガイドラインをまとめられるということなんで、それが出てくる出てこないという、本当は何か、前回どなたかが指摘されたように、どんなガイドラインが大体大枠できそうなんだということを本当は当委員会に示してもらいたいぐらいの気持ちはあるんですが、これから様々整理をしていかなくちゃいけないという御答弁のようですから。
 でも、少なくともこの程度の問題について、どちらかというと、ガイドラインを作成するに当たっても、言わば現場の方々の御意見の中から出ている声を受けて少しは拡大できるような方向で何か検討していかれるお気持ちがあるのかどうか。そして、本当に拡大していこうとした場合は、今の法体系だけでどうなのかなというようなことも起きてくることもあり得る。つまり、この児童福祉法あるいは民法の解釈だけでできるのか。やっぱりそこまでやるんだったら、もう一回法改正みたいな問題もやらなくちゃいけないというような問題も起きてくると思うんですよ。
 そういった意味で、この権限の拡大というような問題について厚生労働省としてどうお考えかということとともに、是非、そのガイドラインですかね、それもう少し、もうちょっと本当は、もうすぐ採決になりそうなので悔しいんですけど、もうちょっと具体的に見えるような形でいろんな意味で何かの機会に提示はしていただきたいなという気持ちが強くありますが、まず厚生労働省から伺っておきたいと思います。
#65
○政府参考人(石井淳子君) 確かに参考人の意見陳述の中でもそのような御意見があったのを私も承知をいたしております。管理権とか職業許可権の例示が出ていたかと思いますけれども、実は今回私ども整理しようとしておりますのは不当に妨げている場合でそれを排除できる例でありまして、事例としましていろんなものをできるだけ幅広く取り上げて現場が受けやすいようにしていきたいと思いますが、そこに果たして当てはまるかという問題があるかなという感じが若干いたしております。
 と申しますのも、やはりその親権者との調整の話になるわけでございまして、不当に妨げてはならないという形で頭を切り替えた際に、例えば里親もそうですし児童養護施設もそうですけれども、入所されている児童の状況、これは必ずしも虐待だけではございませんで、例えば親御さんが病弱のためなかなか自分では育てられないということで施設に預けられる、里親さんに委託するようなケースがあるわけでございまして、一律に事実上の養育者に一定の権限を委ねてしまってよいのかという問題もやはり出てくるのではないかと思います。
 それからもう一つ、契約の問題をとらえてみた場合に、もう一人第三者の存在というのが出てまいります。やはりその取消し権を行使されてしまって、その結果損害を被るかもしれないような存在があり得るということを考えた場合になかなか難しさを伴っているのではないかなと思っておりまして、現在その拡大をしますというふうに元気にお答えする用意はございません。
#66
○木庭健太郎君 というような厚生労働省のお答えでございましたが、法務省は更に固いんだろうとは思いますが、ここに参考人の方もいらっしゃって、里親さんなんですよ、二十人ほど里子を育てたという経験のある方でしたけど、本当に、今もちょっと御紹介ありましたが、親の立場を否定するわけじゃないけど、せめて高校生のアルバイト、携帯の契約などについては日常的営みとして現に養育する人に任せてもらえないかと、そういう解釈ができる民法であれば有り難いというようなお話を里親の方がされておりました。
 この声、大臣はどうお感じになるかをお伺いして、質問を今日は終わりたいと思います。
#67
○国務大臣(江田五月君) 決して法務省だから固いというつもりはないんですけれども、しかし、やっぱり法律というのは抽象的な客観的な法規範ですから、そして具体的な事実というのは本当に千差万別ですから、具体的事実に法規範を当てはめるときにどっちに入るかというのは非常に悩ましい事例があることは事実でございます。しかし、今いろんな事例がございまして、病弱の親が自分の日ごろの子育てをすることができない、しかし、子供の将来については本当に自分としていろんな希望も持ち、悩みも持っていると、そういう親を親権者でなくするというわけにもいかない。ただ、私も、現実に里親といった形で子育ての現場で苦労している皆さんが本当にやりやすいようにしてあげなきゃいけないと、そういう思いは委員と同じくしております。
#68
○木庭健太郎君 終わります。
#69
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 この間、関係者の努力があって、児童虐待の早期の通報、そして必要な場合には親子を分離して子供を守るということが、様々制度が前進をしてまいりました。ただ、親子分離をしても、最終的には目標は、子供が安心して家庭に戻れるようにすること、家族の再統合にあります。しかしながら、それが十分に進んでいるのか。
 先日の参考人質疑の際にも、家族再統合への援助は極めて低調で、子供たちは家庭復帰への見通しがない中で長期の施設生活を余儀なくされていると、こういう指摘もありました。先日の質疑の際に小宮山厚労副大臣も、この間、議員立法の見直しをしてきた者として、親の教育や親指導はやり残した課題だと率直に述べられておりました。参考人からは、今回の改正案に盛り込まれた親権の一時停止についても、二年後という大きな節目が設けられることにより、援助目標やそれまでに達成すべき課題について親と児童相談所が共有しやすくなるんではないか、また、停止解除の申立てを条件として児童相談所が親に対して指導を受けるように説得するといった運用を行えば親の動機付けになると、こういう家族の再統合への期待をされているわけですね。ですから、この制度が本当に意義を発揮する上でも、親への援助の強化が併せて行われる必要があると思っております。
 この間、この問題でずっと衆議院でも答弁があるわけなんですが、まず、〇八年三月に児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドラインが策定されておりますが、これはどういうふうに活用され、効果が上がっているんでしょうか。
#70
○政府参考人(石井淳子君) 虐待を行った親に対して、親子の再統合に向けてその指導、支援を適切に行うということは極めて重要でございます。そのため、その保護者に対する援助に関する基本的なルールを定める児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドライン、これを平成二十年三月に策定をいたしまして、その中で、児童福祉司等による面接や家庭訪問での指導、支援、関係機関が実施する親子の再統合に向けたプログラムへの参加の促進などを示しているところでございます。
 厚生労働省が、平成二十年度中に児童虐待により施設入所又は里親委託をした全事例を対象としまして保護者指導あるいはその後の措置解除の状況について調査をしておりまして、これ五月二十三日まで回答があった六十九自治体のうち四十三自治体の状況でございますけれども、保護者指導を行った割合は九三・一%となっております。
 また、日本子ども家庭総合研究所が実施をいたしました平成二十年度の委託研究によりますと、ガイドラインについて、児童相談所からはおおむね有用なものと評価、九割以上の児童相談所が現状でよいと回答しておりまして、おおむね有用なものと評価されているとされておりまして、またさらに、このガイドラインが示されたことは、援助の中長期的又は短期的な目標とこれに到達するための羅針盤が与えられたことを意味するとされておりまして、保護者に対する指導、支援の充実に資する、そういう評価がなされているというふうに考えております。
 また、予算面では、精神科医などを児童相談所で活用するなど保護者指導を行う体制を支援する経費を補助しまして、ガイドラインが実際に運用できるような体制にサポートも行っているところでございます。
#71
○井上哲士君 ガイドラインとしては、今ありましたように行政の対応の手順というものだと思うんですね。それ自体が今有用なものだというお話もありましたが、ただやはり虐待の場合、親自身が虐待しているという自覚がありません場合が多いわけですから、参加させること自身が大変でもありますし、様々なやっぱり手法、技術的なプログラムの確立が大事だと思うんですが、この点も研究されているというお話なんですが、どういう時期にどういう形で現場に出てくるものになるんでしょうか。
#72
○政府参考人(石井淳子君) 先ほど申し上げました保護者援助ガイドラインにつきましても、実は平成十九年度のこども未来財団研究の研究成果を基にして作り上げたものでございます。このガイドラインに基づきまして、個々の事例に即した保護者の援助技術の開発について、現在、日本子ども家庭総合研究所において研究が行われているところでございます。具体的には、家庭復帰事例について、家庭復帰後の指導援助と保護者の状況との関係などを明らかにするために継続的な調査が行われているところでございます。
 また、もう一つ、保護者指導や援助方法についての研究としまして、特に施設における再統合のアプローチとか、あるいは連携の問題を研究しているものとしまして子どもの虹情報センターがございまして、ここに対して私ども補助を行いまして支援をしているところでございます。
 この再統合プログラムにつきましては、まだまだ開発をし、また研究をしなきゃいけないと思っておりますが、現状については以上でございます。
#73
○井上哲士君 人的措置についても先ほどありました。家族の再統合のための保護者指導支援員などを児童相談所で活用するための補助も行っているという答弁もあるんですが、この保護者指導支援員というのはどういうもので、どれぐらいこの補助に基づいて配置をされているんでしょうか。
#74
○政府参考人(石井淳子君) まず、保護者指導支援員でございますが、これは施設に長期に入所している児童の親など困難事例に対して、改善に向かうよう児童福祉司と連携をして継続的な指導を行うものとして配置を進めているものでございます。
 これは実は平成二十一年度に創設をした事業でございますけれども、現状におきましてはまだ利用が必ずしも十分進んでいないという状況でございまして、二十二年度におきまして五自治体が実施をされている、事業を活用しているにとどまっております。
#75
○井上哲士君 具体的にどこでしょうか。
#76
○政府参考人(石井淳子君) 北の方から申し上げまして、栃木県、東京都、広島県、川崎市、そして広島市でございます。
#77
○井上哲士君 やはり補助事業として昨年度から始めたファミリーグループカンファレンス事業、それから宿泊型事業への補助について、これはそれぞれ利用状況はどうなっているでしょうか。
#78
○政府参考人(石井淳子君) この事業は児童虐待防止対策支援事業におけるカウンセリング強化事業の中の一つのメニューとして、追加で平成二十二年度から実施をしているものでございます。
 事業の中身は、ファミリーグループカンファレンス事業は、祖父母などの親族も交えて今後の援助方針、子供のケアなどについて話し合う機会を設けるものでございまして、これはかなり先駆的なプログラムというふうに認識をいたしております。それからもう一つ、宿泊型事業は、親子での宿泊を伴う行動観察を行って、必要な支援の実施や家庭復帰の可否についての判断などを行うものでございます。
 これはまだ始まったばかりということでありまして、それぞれ一児童相談所で実施をしているのが二十二年度の状況でございます。
#79
○井上哲士君 どこで。
#80
○政府参考人(石井淳子君) 具体的に実施している箇所を申し上げますと、ファミリーグループカンファレンス事業実施自治体は仙台市でございまして、宿泊型事業実施自治体としましては北九州市でございます。
#81
○井上哲士君 始まったばかりの事業という側面もありますが、この間の厚労省の答弁聞いておりますと随分進んでいるかのように聞こえたわけでありますが、実際にはまだまだ、せっかくの制度もほとんど活用されていないというのが実態だと思うんですね。
 これ、制度の使い勝手がどうかとかあると思いますが、地方自治体の方の姿勢というのもあると思うんですね。児相の体制もかなり凸凹があるわけです。例えば、我々、地方議会などでも、せっかくこういう制度があるのにどうなっているんだとか、もっとちゃんと交付金に沿って増やせとか、いろんなことも地方議会なんかで議論できると思うんですよ。
 なぜこういうことが必ずしも十分に活用されていないのか、地方議会、自治体側の姿勢の問題も含めていかがお考えか、どうでしょうか。
#82
○政府参考人(石井淳子君) この新たに追加された事業はカウンセリング強化事業の中の一つのメニューでございまして、従前から行っている事業はかなり利用されておりまして、例えばカウンセリング促進事業は約八割の児童相談所で活用されておりますし、家族療法事業につきましても約四分の一の児相では利用しているという状況にございます。
 まだ使われていないこの二つのメニューでございますけれども、なかなかその分析は難しいところございますが、先ほど申し上げましたようにファミリーグループカンファレンス事業、これはかなり先駆的なプログラムということで、まだその良さについて私どもの周知が足りないというのも一つあろうかというふうに思っておりますけれども、やはり自治体における実施体制がまだ整っていない、あるいは補助金を使わずに再統合の取組をまず行ってみようとしている自治体があるという、そういう理由があるというふうに聞いているところでございます。
 ただ、平成二十三年度の動きといたしまして新たに補助金の申請を予定している自治体もあるやに聞いておりますので、私どもやはり、せっかく予算でいただいている事業で使える事業でございますから、もっとその意義につきましてしっかり周知を図りまして、必要としているところが使えるような状況に持っていきたいというふうに思っております。
#83
○井上哲士君 保護者指導支援員も五自治体の活用ということなんですね。これが進んでいないのはどういうことなんでしょうか。
#84
○政府参考人(石井淳子君) やはり同様の理由だというふうに承知をいたしております。
#85
○井上哲士君 やっぱり必要性があって親子、家族の再統合ということがあって、いろんなことが打ち出されていながら現にこうなっているということは、もっと原因をしっかり見る必要があると思うんですね。
 先ほど最近の調査のあれが出ましたけれども、こども未来財団が二〇〇六年に行った調査では、虐待を理由に親子分離されている事例で家族再統合に向けて援助を行われているのは児童養護施設では八・九%で極めて低調だと、こういう報告もされております。
 全体として、やはり参考人の質疑があったように、まだまだ進んでいない課題だと思うんですね。全体やはりこの問題が十分に進んでいない、その理由というのはどういうふうに厚労省としてはお考えでしょうか。
#86
○政府参考人(石井淳子君) 親子再統合につきましてはまだまだ途上にあると、課題は大きいというふうに私ども理解いたしておりまして、何らかの形の保護者指導とかそういうものを、保護者指導、保護者支援を行うような状況ができつつあるものの、中身においてまだまだ十分ではないというふうな認識は、委員と同じ認識に立っているものでございます。
 そして、なかなかこうしたような保護者指導について全体的にまだ十分ではないその理由でございますけれども、まず児童相談所の保護者指導を取り巻く状況として、やはり児童の安全確認あるいは安全確保といった初期対応に圧倒的多数の職員が必要となると。やはり子供の命がかかわる問題でありまして、何をさておき、まずそこに最優先で取り組むということが一つございます。その結果、後回しと言ってはなんでございますが、再統合の方が若干それに準じた扱いになってしまっているという事情があるのは、これは否定できない事実かというふうに思っております。
 それから、もう一つ大きな問題といたしまして、やはり様々なお子様の親御さんがおられまして、保護者がもうどうしても改善指導に、改善する意欲が乏しくて指導とか支援に乗ろうとしないと。保護者側の事情でなかなかうまくこの指導、支援の方に結び付くことができていないと、そういうケースがあるというものも保護者指導を困難にしている事情ではないかというふうに思っております。
 こうしたことから、やはりその体制というものがどうしても出てくるわけでございまして、児童福祉司の地方交付税措置につきまして厚生労働省として要望をし、また平成二十二年度の補正予算におきまして、安心こども基金の中で児童虐待防止に係る緊急的な対応、その中で先ほど非常勤の職員の配置などもできるようにしたということでありますが、十分の十補助をいたしましたので、かなりこれは思い切ったことをしたつもりでございます。
 それからもう一つは、平成二十年の児童福祉法改正によりまして保護者指導につきまして委託ができるような規定ができておりますので、それを推進をしていくだとか、さらには平成十九年の児童虐待防止法改正で保護者指導に従わない場合の入所措置とか親権喪失等の対応の明確化が図られておりますので、こういったようなことをしっかり進めていくということが重要なんだろうと思っております。
 今後とも、保護者指導に関する多様なプログラムの実施状況やその効果等について調査研究をしっかり行いながら、いいものは、体制きついだけにできるだけ効果的な方策を見付けて提供していくということが国としても必要だろうと思っておりますので、そうした姿勢で取り組んでまいりたいと思っております。
#87
○井上哲士君 人的体制の不足というのはやっぱり何といっても大きいと思うんで、これはもう是非積極的拡充をお願いをしたいと思うんです。
 同時に、この間、参考人の質疑の中で出されたのは、児童相談所が言わば鬼の顔をする強権的機能と仏の顔をする援助機能という矛盾する機能を一手に引き受けているという問題の指摘があったわけですね。言わば鬼の顔で親を子から分離をさせて、その同じ児相が援助をするという、ここに矛盾があるというお話がありました。
 この中で、強権的機能と言われる主なものがこの一時保護だと思うんですね。児童相談所長の必要と認めるときにはこれができるということになっております。児相が関与をしながら一時保護が行われないまま重大な事件になりますと非常にこれは厳しい社会的非難もありますから、そういう中で必要以上に一時保護を行っているんじゃないかという指摘もあります。
 ただ、やっぱり判断に迷った場合に、少しでも必要性があると思えば私は子供の危機を守るということを優先するのは、それはあり得ることだと思うんです。ただ、やはり一時保護というものが結果としては子供の権利の侵害になる場合もありますし、行き過ぎた措置として保護者との間で裁判等になる場合もあるわけですね。
 そういう中で、今回、二か月を超えて一時保護をする場合には児童福祉審議会の意見聴取を義務付けたわけですが、これはどういう理由からだったんでしょうか。
#88
○政府参考人(石井淳子君) 一時保護は、暫定的、一時的に児童相談所長が虐待を受けた児童などを保護する仕組みでありまして、原則的に二か月を超えてはならないこととされておりますが、ただ、現実にはもう少しその期間が延長することになるケースがあるわけでございます。
 すなわち、児童相談所長又は都道府県知事が必要と認めるときには引き続き一時保護を行うことができるという規定がございまして、この規定を用いて必要な場合は延長をしているという実態がございます。ただ、そうした二か月を超えて一時保護を行う場合でありますけれども、特に親権者などの意に反して長期にわたって一時保護を行うことは、やはりやむを得ない場合を除いてこれは望ましくないというふうに考えております。
 このため、今回の改正におきまして、親権者等の同意なく二か月を超えて行う一時保護について、適切な運用を図るべく手続的な措置を設けることといたしております。具体的には、児童福祉や法律、医療等の専門家で構成される第三者機関であります都道府県児童福祉審議会の意見を聴くことといたしまして、親権者の意向に配慮するとともに、いたずらに一時保護が長期化することを防ぎ、専門家からの助言を得ることができるようにすることを狙いといたしております。
 なお、親権者の意に反する強制入所等の措置について、家庭裁判所に既に承認の申立てをしている場合、あるいは児童相談所長が家庭裁判所に民法上の親権喪失あるいは親権停止の審判の請求をしている場合につきましては、既に児童の処遇等について司法の判断に委ねておりますので、この場合には都道府県児童福祉審議会の意見の聴取は不要というふうな扱いで考えているところでございます。
#89
○井上哲士君 衆議院の参考人質疑の中でも、この児童福祉審議会を親と施設、児相との対立調整の機関としての役割を果たしてほしいと、そのためにも親からの申立ての手だてというのも用意されるべきだというような御意見も出ているわけですが、この児童福祉審議会での意見聴取の際にはそういうような機能があるんでしょうか。
#90
○政府参考人(石井淳子君) この仕組みの手続というのが円滑に実施されることが必要でありますので、そのため、都道府県児童福祉審議会の組織や運営方法、あるいは児童相談所が都道府県児童福祉審議会に意見を聴く際の具体的な手続等について、現場の意見も聞きながらモデルを示していきたいと思っております。このモデルの中に親の意見の聞き方についても示していきたいと考えております。
#91
○井上哲士君 審議会が直接聞くようなことになるんですか。
#92
○政府参考人(石井淳子君) どのような聞き方をするかというのはこれからの話でございますが、例えば書面で親の意見を提出してもらうといった方法も一つのやり方ではないかなというふうに思っております。
#93
○井上哲士君 一歩前進だとは思うんですが、やはり一方で、行政の枠の中ということもありますし、必ずしも自分たちの意見を聞いてくれなかったということは残っていくと思うんですね。
 私はやはり、親と児相の対立解消という点でも、それから、特に長期になった場合に子供の権利侵害にもなりかねないということを考えますと、やはり司法が関与するという仕組みが検討されるべきではないかなと思うんですね。もちろん、緊急の場合のときに手続はできませんから、緊急の保護権限は引き続き児童相談所長に置くけれども、事後的にとか、そして一定期間後に司法の関与を入れると、こういうことも考えられるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#94
○副大臣(小宮山洋子君) 委員のおっしゃるとおりだというふうに思います。
 緊急なときにはやはり親権者や児童の意思に反してもその実施をすることが必要でございますけれども、そうでない場合に、今おっしゃった事後的な仕組みということも検討していければいいというふうに思っておりますし、司法が関与するようになりましたら児童相談所と親権者の対立を緩和する、そういう効果が期待できるという見解もあるということは承知をしております。
 この点につきまして、社会保障審議会の児童部会児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会の議論では、一時保護に際して司法審査の導入が望ましいなどの意見も提起をされました。
 ただ、今の司法とか児童相談所の体制がなかなかそれをやり切れないというような現状を考慮しますと、その手続を司法が必ず関与をして厳格化をすることによりまして、かえって迅速な一時保護が困難となる、そういうようなことになって児童の保護が図られなくなるおそれがあるとされまして、今回の改正案では盛り込まれなかったんですけれども、今おっしゃったような事後の仕組みを含めて検討課題だというふうに認識をしております。
#95
○井上哲士君 手続が非常に煩雑になって、今の児童相談所や家庭裁判所の人員体制の下ではなかなかできないということが今回盛り込まれなかった一つの状況だと思うんですね。
 ただ、先ほど申し上げましたように、児相が矛盾した機能を持っているという下で、いろんな親との間に深刻な対立が生まれた結果、その対応に非常に、大変長い時間を取ったり、それから再統合に向けた援助がなかなかできないということがあるわけで、むしろ司法が関与することによってそういうところが緩和をされることによって、結果として今のいろんな繁忙状況についても緩和されるという効果も私は出てくると思うんです。
 いずれにしても、そういうことがしっかりできるような児童相談所もそして家庭裁判所も体制を取るということも併せて必要だと思うんですが、こういう司法関与の効果、そしてそれができるような条件整備をするという点で、最後、法務大臣の答弁を聞いて、終わりたいと思います。
#96
○国務大臣(江田五月君) 一時保護における司法の関与が児童相談所と保護者との間の対立関係の緩和に役に立つんではないかと、こういう井上委員の御指摘は、そういう場面があると思います。そして、そういう見解も当然ございまして、今、小宮山副大臣から御紹介のあった専門委員会でもそうした議論がなされたと聞いております。
 しかし、この迅速な一時保護というのが、今の司法やあるいは児童相談所の体制の現実を考慮しますと、そういう迅速な一時保護が困難となって、かえって児童の保護が図られないおそれがあるというそういう指摘もございまして、様々な意見ございました。
 今回はそういう制度を取り入れなかったわけでございますが、今のやり取りを聞かせていただいて、その根本には、やはり子供をしっかりと支えていく、そういう社会的なサポート体制の弱点であるとか、あるいは司法、とりわけ家庭裁判所の人員の脆弱性であるとか、そうしたものが根本にあるということをやはり私たち考えていかなきゃならないと思っております。
#97
○井上哲士君 終わります。
#98
○委員長(浜田昌良君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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