くにさくロゴ
1947/07/24 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第3号
姉妹サイト
 
1947/07/24 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第3号

#1
第001回国会 文教委員会 第3号
昭和二十二年七月二十四日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 松本 淳造君
   理事 高津 正道君 理事 西山冨佐太君
   理事 花月 純誠君
      野老  誠君    永井勝次郎君
      原 彪之助君    松澤 兼人君
      松本 七郎君    久保 猛夫君
      五坪 茂雄君    水谷  昇君
      松原 一彦君    黒岩 重治君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
 出席政府委員
        文部政務次官  永江 一夫君
        文部事務官   柴沼  直君
        文部事務官   伊藤日出登君
七月二十四日
 理事近藤鶴代君辞任につき、その補闕として、
 同日花月純誠君が理事に當選した。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 理事互選
 六・三制完全實施に關する國政調査承認要求の
 件
 社會教育の現況及び教育施設の概要について説
 明聽取
    ―――――――――――――
#2
○松本委員長 會議を開きます。
 この際お諮りいたすことがあります。理事近藤鶴代君が理事を辞任されましたので、その補闕をいたしたいと思いますが、委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○松本委員長 御異議がなければ花月純誠君を理事に指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○松本委員長 次に六・三制完全實施に關する事項については、國政調査の承認を得る必要がありますので、要求書を議長まで提出いたしたいと思いますが御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○松本委員長 御異議がなければさよう決します。
    ―――――――――――――
#6
○松本委員長 次に六・三制完全實施に關する決議案起案のために、先日小委員を設けたのでありますが、まだ十分とは言えませんけれども、三十一億二千萬圓だけの豫算は一應確保されましたので、この際、この決議案上程を見合わせることにいたしたいと思いますが、御異議ございますまいか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#7
○黒岩委員 三十一億二千萬圓の豫算を獲得するような努力をなさいました文部大臣以下文部當局の御努力に對しては衷心から敬意を表します。しかしながら六・三制の完成を考えますときに、普通教室約十萬、特別教室約三萬、それに附属建物を合わせますと、完成までの建築の建坪は約五百五十萬坪を要しまして、今日の文部省の計算の單價をもつて計算をいたしますと、およそ三百億圓を突破するほどの費用を、建築だけで要するのであります。今囘確保いたしました三十一億圓餘の豫算はその一割にしか相當いたしません。して見ると、今後教育の低下しないように、早急に六・三制の完成につきまして、最前の努力を拂わなければならぬ政府といたしまして、あとの九〇%をいかなる計画をもつて豫算を獲得し、そして具體的な年次計画をもつて進まれるかということにつきまして、國會としては十分それを鞭撻し、その促進をいたさなければならぬと思います。かような観點から今次の特別議會において、さらにということはあえて申しませんが、次に確保しなければならぬところの要求として議會の意思表示をする必要があると思いますので、決議案上程見合わせに對しては、異議をもつものであります。
#8
○松本委員長 ほかに御意見はありませんか。
#9
○永井委員 私は決議案を上程する時機でないということで、それをひつこめたらよろしかろうと思いますので、それに贊成するものであります。もちろん今度通過いたしました豫算をもつて、われわれは満足するものではないのでありますが、今の追加豫算としての段階においては、これ以上のことを期待することは、各種の状況から見て困難であると考えておるわけであります。現在の段階においては、可能なる最大限度の豫算の獲得であつたとわれわれは認めるのでありまして、次に來るべき通常豫算の場合に對する備えといたしましては、さらによく議を練り、そうしてそれらの要求をするにはおのずから時機というものがあり、その政治的に最もいい條件のもとにいおいて、これを實行する方途を講ずることが、最善であると思うので、今日の場合はその時機でないという考えから、われわれはひつこめることに贊成をいたします。
#10
○黒岩委員 ただいまの時機でないという具體的の内容を伺いたいと思います。
#11
○永井委員 今の決議案というのは、大體今度の豫算獲得に對してまず強力な手を打たなければならぬこと、それから八億の本豫算の實行によつては六・三制なんか口頭禪であつて、そんなことは實行できるものではないという観點に立つて、どうしてもこれだけの豫算は最小限度に要求し、これの通過をはからなければならぬということで、この決議案を提案する、要求が生れてきたと、われわれは考えているのであります。さらにただいま申されました通り六・三制をほんとうに實行するには、これくらいの雀の涙ほどの豫算では足りないということは、もちろんでありますが、しかしながら與えられているいろいろの條件というものを考えてみますと、われわれの要求通りの豫算を獲得するということは、各種の條件から見て困難であると考えるのであります、どういう線を通して、どういう立場において、教育全般からみて重點的にものを考えていかなければならないのでありますから、この豫算を實行した上に立つて、どういうところに重點をおいて、そうしてわれわれは次の豫算を要求するかということは、これはもう少し十分に研究し、檢討し、そうしてその時期を失せず、次の豫算編成の直前においてこういうことを實行していくことが、最も愼重なる態度でもあり、また時期でもあるとわれわれは考えるので、そういうふうに考えたわけであります。
#12
○黒岩委員 御意見のあられる點はよくわかりましたが、元來文部省が四十九億三千萬圓から當初豫算を三十一億三千萬圓に減額したときの、この前の委員會の説明によりますと、本年度の教室不足は一切考えないで、明年度新たに必要とする教室を對象として豫算に直した。從つてそれだけの差額が生じたという御説明であつたと思いますが、ものの順序からいたしまして、本年度の不足数を補わずして、明年度の學級数を補充しようということは、まことに順序を得ない考え方であると、私は思つております。なお、二年、三年生が本年度は義務制でないという建前をとつておられるように考えますが、それは理論上はその通りであります。しかしながら、現在二萬五千いくらかの學級数不足というものは、政府が六・三制を實施したがゆえの不足数でありまして、この學制の改革をしなかつたならば、學級の不足を生ずることはない筈であります。してみると、新たに義務制の一年をして入りました百七十五萬の生徒を収容いたします約三萬五千の新たなる教室をつくるということが、當然政府としての責任ではないかと思います。それをわれわれは現在不足しているところの二萬五千あまりものものでまず満足をしている。そうして、さらに増加するところの明年度のものを含んで今から考えなければ、明年度の教育が不十分であるということを考えている、してみると、本年度の不足数を補う努力が文部當局は缺けている。私はこの點を非常に遺憾と思います。しかしながら國家財政の現状はいろいろ復雜な條件がございましようから、その點はやむを得ないと考えましても、別に財源を得る方法をくふうすれば、私は必ずしも現在政府が取上げておりますところの財源以外に、財源がないと斷言することはできぬと思つております。私自身にそれについて説明をしろというこでありますならば、その用意はもつております。かような意味におきまして、私はこの際國會は政府を鞭撻する必要があるということを痛切に感ずるものであります。
 なおまた地方の實情を考えますときに、地方の人たちは、政府は學制改革を行いながら、その實のあがらないような方法をとつていることに對して、非常な不満をもつております。殊に農村地帯の人は、都會の勞働者ごとくデモをやり、何々大會をやるといつたような、騒がしいことはいたしませんけれども、今日における六・三制實施に關して、政府の措置に對するところの不満が、表面に現れてデモをやるような人たちよりは、もつと深刻なものをもつております。これがひいて私は食糧の供出關係にも影響をもつものでないかと思います。また思想傾向から考えましても六・三國論をすでに唱えておる者がございます。かような實情から考まして、單なるいままでの型にはまつた教育といつたようなものから見たような観點から律すべき問題ではなくして、國政の根幹に立つてこの問題は解決すべきものであるという意見を私はもつております。こういう段階におきまして、國會が次に來るべき時機において積極的に政府を鞭撻する、この意思表示をすることは、最も時機を得たものであるという考えの下に、決議案が、過日の委員會において決定をいたした内容とは、幾分違つた意味合になるかもしれませんけれども、一般國民の納得するような意思表示をする機會としては、絶好の機會、この機會を取り逃がしてはますます國民を失望させる結果になりはしないか、かように考えるものでございます。
#13
○松本(七)委員 お話の趣旨はよく諒解できますし、同感と思いますが、先般の決議案は、追加豫算の中に、ぜひこのわくを獲得しようといふ意味での決議案提出であつたわけでありますが、お話のように今後はより以上に六・三制の完全實施その他根本的の問題について重要なる問題があると思うのであります。一應追加豫算の入れるためのこの決議案というものは撤囘して、あらためて十分に檢討の上で、文教刷新振興という意味の決議を出して政府を鞭撻するということにしたらいかがでございましよう。
#14
○久保委員 大體松本君あるいは先ほど社會党の方の御意見と、私民主党の者としては同様でありまして、今囘の六・三制實施にあたつての當初豫算八億圓というのでは、とうていどういうこともできない、非常に困つた状態になつておりましたので、この追加豫算において相當額をとつて、とにかくまあこの程度でがまんしなくちやならぬという最小限度のところを、われわれはぜひ確保したいというための決議案であつたのでありまして、今囘大體数字的に三十一億二千萬圓、この数字を認められたということは、まずわれわれとしても一應満足すべきものであつたと自分は思うのであります。そこで黒岩君の御意見は、私もまつたくそれに贊成のものではありません。これでわれわれは六・三教育の問題について満足するのではありませんけれども、今、決議案を出す時機であるかどうかということを考えてみますると、あらためてそうした意味の決議案、さらに想を新たにした別の立場に立つての決議案は、しかるべき時機があるだろうと私は思うのであります。その時に譲りまして、今囘の決議案は一應これで終止符を打つてしかるべきでないかと思うのであります。
#15
○黒岩委員 社會民主両党からただいまのような御意見が出ておりますので結局数において私の意見は通らないと思います。ただ、ただいま御意見がありました通り、想を新たにして來るべき時期においてあらためて文教刷新の決議案を出すという前提の下において、皆さんの御意見に同意いたします。
#16
○松原(一)委員 私も今日の日本の経済面から見ても、これより以上の要求が今追加せられることには、非常に無理があると思いますから、一應ここで満足することには同意いたしますが、しかし御承知のように、六・三制は六・三・三制であつて、當然これにつなぐことろのあとの三年の制度がすでに來年度からは開始しなければならぬいわゆる高等學校に對し、同時に勤勞青年に對する青年學校の改造の問題が焦眉の急に迫つておりまして、これを繼きたなければ、まつたく意味がないのであります。そういう意味におきましても、文教方面の負擔は非常に大きいのであります。從つてこの一應の追加豫算案の確定には満足いたしますが、さらに引續いて新年度豫算にも非常に大きな要求を私はもつておるのであります。そういう意味におきまして黒岩君に私は同感でございまして、時期はこの次に延びましても、この六・三・三制の新たな學制の完成に對して、非常に大きな熱意をもつたる構想が起こさなければならない、かのように信じますので、次の時期を見て、新教育制度に對する意思表示をば議會がおやりになることを條件として、私も賛成いたします。
#17
○松本委員長 それではこの決議案上程は見合わせまして、來るべき機會に想を新たにして決議案を上程する。かように決定して異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○松本委員長 さよう決定いたしました。
#19
○松本委員長 文部大臣より、先般の六・三制問題に對しまして御挨拶の發言の通告ございますので、これを許します。文部大臣
#20
○森戸國務大臣 特に皆様が強い關心を拂われており、また文教委員會の決議によりまして、六・三制の實施について力強い御支援をいただいたことを、厚く御禮を申し上げます。
 私ども日本の新しい教育制度の基本としての六・三制における中學校の實施ということが、できるだわ完全な形で行われることが、日本の將來にとつてこの上なく必要であることを確信いたしまして、皆さんの御支援を得て、及ばずながら最善の努力をいたしてまいつたのであります。御承知のごとく日本の財政は非常に苦しい立場にありまして、大蔵當局といたしましては、日本のインフレーシヨンを克服し、赤字財政をなくして健全財政を立てることが、日本を救う途であるということを固く確信をいたしております。こういう立場から、實はいろいろな方面において、赤字のできることを防いで、いくことが正しいという信念をもつておつたのでありまして、私どもはこれに對して十分な敬意を拂つてまいつたのであります。と同時に、しかし新しい日本の教育制度を立てることは、今さしあたりの時期でないような形には見えるけれども、日本の將來のためには、これが礎を今日すえておくかおかぬかによつて、實は新日本建設の基礎がすえられるかすえられぬかという大事な問題であることを考えまして、一文部省の省としての主張だけではなく、日本再建の政策としてこの點に強い重點をおきまして、過ぐる委員會に御説明申し上げました最小限度を固く守つて、その貫徹に努めたのであります。そしてそれは本委員會の御決議等の強い支援により、また外からは組合、父兄、子供たち、また輿論等の強い支援がありまして、私どもの主張に遂に大蔵省局も同意するということになりまして、閣議において大體の方針がきまり、最低限度を守ることができましたことは、皆様の御支援の力強かつた結果であると存じまして、ここに厚い感謝を申し上げたいと思うのであります。
 ただ私どもといたしましては、新制中學は國民の義務教育であるから、國家的の意味をもつておるものである。他面におきましては、日本の地方財政といいうものが非常な窮乏の状態にあるのであるから、これが全額國庫負擔であるように、そうでなければ最大限度國費の負擔であるようにと希望いたしまして、その方面にもあらゆる努力をいたしたのでありまするけれども、日本の今日の財政状態は、これが許されないということが強く主張されまして、またそれにも強い理由がありまするので、やむなく大體半分近くを國庫の負擔ということになり、残りの部分は地方の起債にまつことになつたのであります。しかしその起債が地方で十分にできないという危険もありますので、これは國家が裏づけをしたところのもので―どういう形になるかわかりませんが、おそらく預金部等の資金で裏づけられたものになるのではないかと思われますが、これは單なる起債が許されたということではなく、起債が確實に裏づけされたものであるということにきまつたわけなのであります。この點では實は私どもの考え方が特に皆様の御期待に副い得ませんでしたことは、きわめて私としては遺憾でありますけれども、右のような事情であつたことを御了承願いたいのであります。
 なお私どもの達成いたし得ましたところは、實は六・三制實現の最低限度でありまして、決して理想的な状態ではないのであります。從つてこの教育制度を完全な實施の方に導いていきまするためには、今後多くの國民の努力が必要であります。國家ももちろんのことでありますが、地方団體、先生方、父兄、子供その他一般の國民が、新しい教育制度の重大性を、殊に新日本建設において占める地位の重大性を十分に理解いたして、國民のすべてが協力してこの制度を守り立つていくようにしていただかなければ、所期の目的は達し難いと思います。私ども當局といたしましても、決してこれで安ずることなく、あらゆる努力をいたすのでありまするけれども、皆様方文教の方面について特別の任務をもつておられます委員の方におかれましては、さらにこの最小限度をよりよいものになすように、一段の御協力、一段の御支援をいただきたいと思います。一言お禮を申し上げる次第であります。
    ―――――――――――――
#21
○松本委員長 これより文部當局から、社會教育の概況と、教育施設の概要について説明を聽きました後に、自由に質疑を試みたいと思います。社會教育局長柴沼政府委員。
#22
○柴沼政府委員 社會教育局におきまして、所管いたしておりまする事務の概要を申し上げるのでありまするが、先ほどお配りいたしました資料に、現在やつておりますところの大體のことは、簡單ではございまするが記載してございます。あるいはお讀み願うも煩わしいとお考えかもしれませんが、もしおひまがございましたら、ぜひひとつごらんおき願いたいと存ずる資料なのでございます。そうして本日私はそれをさらに概略をまとめまして、ごく簡單に申し上げてみたいと存ずるのであります。
 現在文部省の社會教育局は、いわゆる社會教育、つまり正規の學校教育以外の教育に關することと、さらに一般的な藝術、文化に關しますことと、この二つを所管いたしておるのであります。正規の學校教育以外の教育と申しましても、ずいぶんいろいろな種類もございまして、從つて私の方の仕事は、他の省との關連も多分に生じております。たとえば、國際文化の問題でありまするとか、あるいは教育にいたしましても、勞働者に對する教育とか、厚生省所管の事務を相當重複する分も出てまいります。それから本省内におきましても、他の局、たとえば、學校施設を利用いたします社會教育のためには、學校教育局との關連もあり、また通信教育をいたしますにいたしましても、その資格の認定等のためには、學校教育局と密接な關連がございます。さらに科學の普及、あるいは映画ニユースをとりましたり、博物館を設置いたしましたりするにいたしましても、科學教育局との關連が必要でございますし、また社會人一般の體育の奬勵、あるいはレクリエーシヨンの問題等につきましては、體育局との間に關連が生じてまいりまして、それぞれ各局の特徴をもち寄りまして、相寄り、相助けて、社會教育一般の目的の達成に努力をいたしておるのでございます。
 それで現在社會教育局には、その資料にもございまするが、課が四つございます、社會教育一般のことを掌ります社會教育課と、その基礎的な調査をし、一般的な企画を立て、また特に最近の重要性に鑑みまして、通信教育を掌つておりますのを企画課と申しますが、この二つが、いわば社會教育本來の事務をやつておる課でございます。それから文化課、藝術課と申します方は、文化、藝術のいろいろな施設、いろいろな現象を社會教育的に利用するという意味におきまして、社會教育局においては、きわめて重要な地位を占めておるのでありますが、一應前申しましたこととは異なりまして、文化課におきましては、たとえば、図書館、博物館等の具體的な施設の運營の事務に當る、あるいは國費、重要美術品等の保存に當るというような部面に關與す、また藝術課におきましては映画、演劇、音樂等の一般的な藝術、藝能の奬勵普及という方面に事務の方向を向けておる次第であります。そのほかに、先般内務省から著作權に關する事務が文部省に移管せられてまいつたのであります。このことはまだ移りましたばかりで、事務が十分に進捗いたしておらぬのでありますが、しかし檢閲を廢しました著作權一般に關することは、これは一般の文化に關與する部分が強くなるのでありますから、自然文部省がこれを所管することに相なつとのでありまして、現在の見込みでは、社會教育局に四つの課と竝んで、著作の關係の一つの係りを設置しまして、これに當らしていきたいと思つておるのであります。實は戰爭中における外國著作權の侵害の問題、あるいは講和條約に伴いまする外國との著作權に關する條約締結の問題等がございまして、今後は相當この方面の事務も多忙に相なるのではないかと考えておる次第であります。
 以上申し上げましたのが、社會教育局の制度的な部分でございますが、これをもう少し内容的に踏み入つて考えてみますと、社會教育の實施につきまして、社會教育のための特有の施設を利用してする教育の部分がございます。これは図書館、博物館等の施設、それから公民館の施設、これらが官公私それぞれを中心としまして設置されておりまして、これが社會教育的に非常に活用されておりますことは、御承知の通りだと思います。
 なおそのほかに施設と申しますよりは、一つの組織でございますが、各種の団體がございます。この社會教育関係の団體は、青少年関係の団體以外にも、文化的な活動をする団體が無数にございます。全國を勘定いたしますれば、おそらく数千の多きに上るかと思うのでありますが、目下のところ文部省といたしましては、これらの団體には、もつぱら自主的な活動をお願いし、われわれの方は、いわばその活動のための資料を提供する、あるいは何らかの便宜をはかるというふうなことだけに止まつておるのであります。この點は新憲法第八十九條との關係がありまして、補助金等の交付が非常に困難に相なつております。そのために、もつぱらそういう方針でやつておるわけでございます。
 それからそういう社會教育特有の施設でなく、學校の設備を利用いたしまする社會教育の活動といたしましては、俗に學校擴張あるいは學校開放というような名前を使つておるのでありますが、文化講座、夏期講座、専門講座というようなものが、方々の學校の教職員の能力を利用し、その建物等の設備を利用して開かれております。これは國におきましても相當程度の計画を立てまして、目下各大學、専門學校はもとより、中等學校に至るまでこの種の施設をするように計画中でございまして、概略その案ができ上つたところでございます。おそらくこの夏中には實施に移せる見込みと考えておる次第でございます。これも國が助成をし、あるいは経營をするもののほかに、聽講生によつて賄つてやつております私的の文化講座、夏季講座というものも、實に無数にあるのでございまして、これも一府縣少くとも平均十講座程度は開かれている様子であります。正確な数は、實は総計がとりにくいので、わからないのでありますが、われわれの達観いたしますところ、その程度のものは行われておるかと思うのであります。
 それから學校の施設の利用ではないのでありますが、學校と最も關係の深いことで、先生と父母の關係を考えまして、從來の學校に對する寄附金などだけに終つておつた父兄會を解消いたしまして、先生と父兄とがまつたく同等の立場において一つの會を組織いたしまして、その會によつて學校教育の運營を進めますとともに、また同時に父母に對する學校からのよい影響を期待しようというようなことが考えられておりまして、この點も文部省が各府縣に勧奬いたしましたところ、各府縣とも大分動きを見せてまいつております。まだでき上つておるものはごくわずかでありますが、將來この組織は、一つの注目すべき社會教育上の系統的組織になるのではないかという期待をもつております。
 それから學校教育に代るものとして、通信教育を實施する豫定を立てております。通信教育は文部大臣からもたびたびお話し申し上げる機會があつたかと思うのでありますが、現在私どもが著手するばかりに相なつておりますのは、中等學校卒業の資格を與える通信教育が一つであります。これは各府縣にありまする中等學校の學校そのものを利用いたしまして、單に通信のやりつぱなし、あるいは資料の送りつぱなしというばかりでなしに、通信による添削はむろんのこと、必要な課目等につきましては、休み等を利用して學校に集めて教育もするというようなことも加味しまして、中等學校卒業の資格を與えよう。これもその計画の一部分が豫算的にも、認められるところまで來ておりますので、八月中には生徒募集にとりかかりたいと思つておるのであります。これが四月からできなかつた理由は、まつたく紙の量の足りない一點に歸著するのでありまして、六、三制に伴う教育内容の変更によりまして、學校の教科書が全面的に変り、それに要する紙の量が多大でありますので、通信教育にまわすまでの量が、四月の當時においてはなかつたのでありますが、さいわいにその方も見透しがつきまして、九月、少くとも十月の初旬には實行に移したいと思つており、中等教育につきましても紙の目算が確實につきましたら、今度は間違いなくやれるというように考えております。これのための教科書の編集も、教科書局と強力いたしまして、現にそのための委員會を今つくつておるのでありますが、實際にはそれの準備を進めておる次第であります。
 それからもう一つこの秋よりいたしまするのは、主として、國民學校中等學校の先生を對象としまして、その教養の増加、再教育等のための通信講座でありまして、現在學校教育局が企画を立てまして、新教育内容の講習を各地で大々的にやつておるのでありますが、なおかつ全部の教員に僻陬の地まで講習が行く届くというのには、相當ひまがかかるように思われますので、この穴を埋めてまいりますような意味におきまして、また同時に新しい知識を絶え間なく注入するという目的をもちまして、教員の再教育、教養の向上のための講座もこの秋より開始する段取りに相なつております。これは文部省に附属してありまする教育研修所が教員再教育の機關でありますので、これが責任をもつて編集いたしまして、地方に配布することに相なつております。
 そのほか、さらに社會教育を内容的に見ますと、たとえば、家庭教育の問題でありますとか、あるいは勞働者教育、特にその公民教育竝びに技術教育の問題でありますとか、あるいは職業指導の問題でありますとか、ずいぶんいろいろな問題があるのであります。たとえば、石炭増産につきましても、社會教育方面で協力する部面が、相當あるかと思うのであります。現に秋田の鉱山専門學校は、われわれと協力いたしまして、炭鉱に教員竝びに學生を―、北海道だけでありますが、炭鉱に派遣いたしまして、技術教育の方面で貢献をしようという計画を立て、この夏休みにもう行くじやないかと思います。ついせんだつてその準備が整つたということを聞いておるのであります。
 それから青少年の教育一般につきましては、青少年団のいわゆる統制的な國體の育成のしかたから、全面的に文部省は手を引いておるのであります。これは各地々々に、あるいは各職場々々に自主的に盛り上つてくるのを待つておるのでありまして、ペーパー・プランで、全國的な統制団體ができるような形をとる。あるいは全縣の連合會ができるというような形をとるとかいう、形だけを整えるということを極力排しておるのであります。そしてその指導上、全般の方から御覧になると、多少、心配の部面もあるのでありますが、なおわれわれといたしましては、青少年の能力を信じまして、その自主的な、自發的な相互の教育、切磋琢磨ということを期待しております。むろんこのための資料を提供することは必要でありますので、文部省には青少年団體委員會と申す青少年団關係の、いわばエキスパートでありますが、その方々が委員會を構成しておりまして、この人たちがいろいろな、たとえば指導書等の編集であるとか、あるいは學科課程式の日々の教師のやり方の作成であるとかいうことに從事いたしておりまして、その第一のものがようやく最近脱稿して、發行できるというところまできております。
 なお青少年につきましては、このほかに純潔教育の問題があるのであります。純潔という言葉は少し耳新しいような感じがするのでありますが、昔の性教育を土臺といたしまして、その醫學的な、あるいは性的な教育のほかに、さらに精神的な部分を加味した教育を考えておるのであります。これによりまして、性に關する知識が足りないとか、あるいは性に關する信念が足りないとか、あるいは情操が低いとかいうことのために起る弊害、殊にやみの女等に轉落する危険を防止しようというので、これも委員會をつくつて目下關係の資料を編集中であります。でき得れば、家庭の父兄が安んじて活用できるような資料をも、この委員會でつくりたいと考えておる次第であります。さらにもう少し青少年の暗い面でありますが、不良化を防止しようという問題もあるのであります。そのためにも司法省、厚生省と協力いたしまして、委員會をつくつて、いろいろ打つ手を打とうということになつて目下進めておるのであります。
 なおこういう暗い面に對する對蹠的なことのほかに、明るい面といたしましては、先ほど申しました藝術文化のもつよい面を利用いたしまして、たとえば、藝術祭というようなことを試み、恒久的な文化をなるべく一般に見る機會をつくるというようなことも試みておりますし、またこれからは演劇熱の盛んな農村青年のために、よい脚本を供給するとともに、現在の教科書等を利用して、すぐ劇ができるというようなことについても、指導してまいりたいと考えておる次第であります。時間がありませんので、なおその書き物の方にはまだたくさん事項があるのでありますが、一應概略だけの説明に止めておく次第であります。
#23
○松本委員長 續いて教育施設局長伊藤政府委員。
#24
○伊藤(日)政府委員 時間がございませんので、ごく概略教育施設局の擔當しておる事務について申し上げます。教育施設局は、先月の十六日に新しく文部省にできた局でございまして、ただいまその局の機構及び事務の發足に大わらわになつておるのであります。現在五課もつております。一口にこの局がやります仕事を申し上げますと、文部省が所管しておる各種の事業に伴う資材全般にわたりまして、その仕事をいたすわけであります。
 從來文部省のそれらの資材は、會計課の一つの係でやつておつたのであります。なぜそういうふうに小さい、ごく小人数でやつておつたかと申しますと、文部省が直接割當配給その他をやつておりましたのは、直轄學校だけでありまして、いわゆる中學校、小學校その他の大部分を占める大きい部分が、商工省、府縣というようなルートでやつておつたのであります。それが昨年九月三十日にお定めくださいました臨時物資需給調整法に基きまして、指定生産資材割當手續規則という内閣の訓令が本年の二月に出まして、これに基いて、各省所管の物資は、各省が直接に末端までやるという方針がとられたのであります。從つて文部省が所管しておる事務の物資につきましては、文部省が末端に至るまでおせわをするということに相なりましたので、このたび教育施設局という新しい局をつくることに、相なつた次第であります。
 大體の仕事といたしましては、たとえば、小學校の例をとりますと、小學校で必要とする物資については、大體大まかに申し上げますと、それを四半期ごとに配當割當を決定することになつておりますが、四半期ごとに必要とする物資を縣庁に申し出ますと、縣庁は縣下の各中學校、小學校、その他公立の學校、あるいは社會教育に關係しますもの、あるいは宗教に關係いたしますもの、そういうものの資材をとりまとめて文部省へ持つてまいり、文部省におきましては、各府縣のものを整理調整いたしまして、これを安本に要求する。安本はその要求に基きまして文部省の割當を決定し、そうして文部省は受け取りましたものをまた各府縣あてに割當を決めまして、その府縣が具體的な學校の割當を決定して、それに基いて、それらがその物資を購入する切符を發行いたします。これは文部省で發行いたすことになつておりますが、學校はその切符をもつて現物化する。大體こういうあら筋で物資が流れていくという、新らしい體系ができたのでございます。これによりまして、從來、たとえば子供の學習用紙というようなものは、紙の需給關係で非常に追い詰められまして、一年に一人五枚か六枚というような見當で配給されておるものが、現實にはあその五枚、六枚の少いものさえも、生徒には實際に行き渡つていない。一枚ももらつたことはありませんというようなことをしばしば聞かされたのでございますが、これらの點も、こういうやり方をもつてやれば、是正されてくるのじやないかと考えておるのであります。
 いずれにいたしましても、從來文部省がと申しまするが、教育その他の文部省所管のとつておつた物資というものは、非常に少量であります。私どもはできるだけ安本と折衝して、これをできるだけのものは獲得していくということが、私に課せられた一番大きい使命であると自覚しておるのであります。そうしてもらつたものはできるだけこれを公平に配分していくということ、竝びに、そのためには末端の需要者の實際の需要要求というものを本當に把握するということ、それからもう一つは事務をスピード・アップしていく。これらの點を目標といたしまして、目下事務の整理を急いでおるのであります。まだできました早々で具體的な仕事をいたしておらないので、それらの點についての説明は、いたすことがないのでございますが、ただいまのような覚悟をもちまして、この新らしい局をこれから運營してまいりたいということを申し上げて、皆さんのこれからの御指導、ご鞭撻をお願いいたす次第であります。
#25
○松本委員長 以上の柴沼、伊藤両政府委員の説明に對しまして、これから自由に質疑を試みたいと思います。御發言を願います。
#26
○久保委員 いろいろ尋ねてみたいことがあるのですけれども、社會教育というのは、まことに間口の廣い仕事でありまして、困難なことが多いだろうと思うのありますが、反面それだけ重要な問題だと思うのであります。私は働く人達が、いわゆる勤勞の場において、あるいは農村であれば生活の場において、この社會教育というものがどういうふうになされていくかという立場で計画が立てられないと、實は實際の問題として實績があがらないという結果を過去において見た。もちろんこういう點は、ずいぶんお考えになつておると思うのでありますが、今日では、都會においては勞働組合ができておりまして、そういう方面との關連なり、未組織の、たとえば農村等におきましては、農村の生活形態にぴつたりいくような考え方によつてこれが強力になされないと、實はうまくいかぬのではないかと思うのですが、そこらについての御意見を伺いたいと思います。
#27
○柴沼政府委員 社會教育が職場の活動に即して考えられなければならないという點、まことに御同感なのでありまして、われわれもいろいろな方法を用いて、その達成に努力したいと思うのでありますが、實はお話の通りなかなかむずかしい問題であります。ちようど本年の初頭から勞働組合の代表の方々、主として教育文化を擔當しておられる方々三十人ほどでございまするが、文部省にお寄りを願いまして、いろいろ具體的な御相談をいたしておるのであります。そしてその御意見によつて、いよいよ正式に勞働者の教育に關する委員會をつくろうかと、その關係の向き向きから適當な委員を推薦してくださるというところまで、實は話がきておるのでありますが、現在のところでは、指導層の方々に何らかの便宜、何らかの資料を提供いたしまして、それを職場に持つて帰つて、その方々に自發的に働いていただくということの程度を出ないのでございます。もう少し徹底さしたいと思うのでございますが、これは青少年団等の活動がさらに民主的によくなつてまいりますれば、またやりようもあるかと思うのでありますが、現在の終戰後の状況としては、まだその程度に止まつておるので、はなはだ残念に存じておる次第であります。
#28
○久保委員 公民館は、私の縣の状態は大體存じておりますけれども、全國的に今日どの程度に設置を見ているか。そして大體どういう出發をやつてどの程度の働きをやりつつあるか。
 それから實際問題としまして、これを建てるということに非常に困難を感じておるわけであります。この公民館設置は、われわれは非常に贊成であり、その趣旨は實に同感であつて、これが普及することを望んでおるのでありますけれども、實際問題として容易に建たないという實情にあるので、全國的な状況と、これを普及するために、あなた方の方で考えておられる方策というようなものについて、承りたいと思います。
#29
○柴沼政府委員 公民館は、現在各地とも設置の計画が進んでおるという程度の所が多いと思うのでございまして、今われわれの手に持つております資料では、全國でまだ千二、三百の程度かと存じます。多い府縣は百以上もできているところもございます。この近くでは長野縣、茨城縣等は、いずれも百も超しておるのでありますが、しかし場所によりましては、まだ七つしかできておらない、五つしかできておらないという府縣もございまして、平均いたしまして考えることもちよつとできない程度に、足並の揃わない状況でございます。しかし全體を考えてみますと、千はちよつと超しておるではないかというふうに見ております。公民館の設置は、現在建築が非常にむずかしいために、われわれの方といたしましては、公民館独特の建物は欲しいのでありますけれども、さしあたつてはそれをつくることをあまり奬勵できないようなジレンマ的な状態にあるのでありまして、やむを得ませんので、内容正義擴張のようなことに若干の奬勵金のようなもの出しましたりいたしまして、既設の建物を何とか利用するようにというふうにいたしておるのであります。その結果青年學校等の一部の建物を利用しておるもの、あるいは戰時中の工場施設を利用しておるもの、寺院、神社等の餘裕のある建物を利用しておるもの、それから中にはまつたくまとまつた建物なしで公民館運營をやつている、つまりその時々の必要なスペースをその都度借りて使つているというような公民館も實はあるのであります。大體現在の状況はその程度でございまするが、公民館は市町村の施設なので、法律上の補助は可能でありますから、できれば何とか補助をいたして充實してまいりたいと考えております。
#30
○久保委員 今日どれくらいの補助がなされておりますか。
#31
○柴沼政府委員 二十二年度の計画では、整備擴張のため四百萬圓足らず、三百九十萬圓程度のものが出ております。これで設備と指導者の養成、その他表彰とか奬勵等も併せてやろうという程度で、一公民館當りにいたしますと、お話にならぬような金になつております。
#32
○黒岩委員 社會教育方面につきましては、ただいまの御説明と、この参考資料のプリントを瞥見しただけでありまして、十分な御意思の點が私にはわかつておらないためでありましようが、失禮な言い分でありますが、社會教育は何をしなければならぬかという集點が、きわめてはつきりしていないと思う。いろいろな資料を羅列いたしまして、あたかもデパートの品物を見るような感じがいたします。私どもが考えますには、社會教育は、まず社會のよりよき習慣を確立して、好ましい社會の雰囲気をつくることでなければならぬと思います。日本には、明治時代までは。封建制度の殘滓ではありましたけれども、そういうものが確立をしておりましたが、その後それが亂れたということは御承知の通りでございます。今日國家再建の場合には、日本の個性と、新しく養成されたところのデモクラシーの線におきして、いかなる好ましい社會をつくるかということに集點を置かなければならぬと思う。そうしてその集點を置いて社會教育を行つていこうとするにつきましての具體的な案というものが、集點を中心にして總合的に盛らなければならないと思います。社會のいわゆる規格と申しましようか、これが確立しましたときに、初めてその中に育つところの個人が立派に育つていくと私どもは考えております。明治時代までの日本の社會の規格というものは、年中行事を具體的なものといたしまして、それが宗教に結ばれ、社會道義の確立に對して、きわめて強固な習慣が形成されておつたと思う。今日國を再建いたしまする場合には、過去のそれに代るべき新しい強固なる社會の規格が形成されなければならね。かような意味におきまして、たとえば、公民館の問題であれば公民館というものに重點を置いて、それに附隨する各般の事項を總合的に考える。つまり重點的なるものに全力を注ぐ。ただいまのお答えを聽いておりますと、わずかな費用をもつて公民館の問題を考えております。こんなことでは川の中に鹽を放りこむような感じがいたします。そういう意味におきまして、日本の政治の精神面を擔當するものは、主としてではありますが、文部省一省でありますから、精神的に國を救うという気魄と熱意を、この集點をきめることろの社會教育の一點に集中をしまして、總合的な御計画をされて、力強く國民を率いるという意気込みをもつて働いていただきたいということを希望するのであります。これは私の希望であり、意見でございましたが、こういうような私の要望しますことにつきまして、文部省としてすでに御立案になつておられるような點がございましたならば、この際お話を願いたいと思います。
#33
○柴沼政府委員 教育の目的はすでに教育基本法によつても與えられておるのでありまして、お話の通り、りつぱな社會を現出するための一つの努力であろうと私も考えております。ただそのためには唯一の方法、一つきりの方法というよい方法はないのでありまするので、いろいろいわばあの手この手、一歩でもそれに近づくための施設をやつていくことになるのであります。ただ社會教育の關係のことは、御指摘の通り非常に關係する部面が廣いために、散漫な印象をお受けになつたことだろうと思うのでありますが、實は國といたしましては、社會の自己教育の自主的な活動を、側面から奬勵、援助するという態度であります。これは教育基本法の第七條に「家庭教育及び勤勞の場所その他社會において行われる教育は、國及び地方公共団體によつて奬勵されなければならない。」というこの箇條に該當するのでありまして、文部省としては、いわばこの教育を受ける需要者と申しますか、利用者と申しますか、そういう一般の人々の聲を聽まして、その要望を察しまして、援助なり奬勵なりの手を、あれこれとくふうをいたしてまいりたい。實は羅列的な書類上の御印象というお話でございましたが、そのうちにも、われわれはわれわれとしての一つの系統を立てて考えてはおるのであります。しかし教育に關しますことは、ずいぶんいろいろな見方が立ちます。場合によりましては、文部省の中でも、私芝沼個人の考え方も成り立つのでありまして、その意味で御遠慮いたしまして、その方面には本日は触れなかつたのであります。まつたくばらばらで相互の連絡がないというのではないということだけを、ひとつお認め願いたいと思うのであります。
 なお公民館につきまして非常に重點的な力の入れ方が足りないということでございましたが、これは實際に四百萬圓程度では足りないことは、その通りでございます。ただ建物にこれを入れますと、あとは地方の人々の自發的な活動をまつて、これにいくらかでも油を注ぐという程度になつてしまうのであります。現在青年団員等が毎月一日の働きの金を持ち寄つて、公民館をつくつていくというようなことも現にあるのでありますが、そういうところに對して、わずかでも奬勵金を出しまして、気持を引立てるというような方法に出ておるのであります。もしまた財政が許されるならば、また事情が許されるならば、建物についても十分な計画をもつて援助してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#34
○黒岩委員 御苦労のほどはよくわかります。ただ私の希望しますところは、集點をもてという點でございます。例を公民館にとつただけでございますが、たとえば、公民館でございましたならば、これができますときに、青少年の社會教育もそれに結ばれると思うのであります。それから婦人の問題についても、これに結ぶことができる。さらに藝術方面についても、地方の藝術の振興につきましては、これが利用されると思うのであります。かような意味において重點的な金の使い方をする、重點的な努力の向け方をすることによつて、各般に影響するところが多くある。そこでお考えになりましたような所期の目的が、きわめて總合的に達成できるのではなかろうかと考えたのであります。御存じの通り、明治時代までは、各村落におきましては神社竝びに寺院が中心になつて、その民衆の心をまとめておつてわけでありますが、それが亂れましたから、社會教育方面において公民館がそれに代るべきであるというお考えでもし御指導なさるならばと、かように私は考えて、こういうことを申し上げておきたいと思います。
#35
○柴沼政府委員 ただいまのお話、まつたく御同感でございます。先ほど申し落して大変相済まなかつたのでありますが、たとえば、藝術課で映画を制作いたしますときに、あるいは映画を認定いたす場合に、やはり常に公民館における活動ということを眼中において、その事務に當たらしておるのでありまして、實はお示しの通りのことをいたしたいと奮闘いたしておるつもりであります。十分な結果に至らないで殘念でありますが、映画ばかりでなく、その他一般につきましても、少くとも農村につきましては、公民館中心に社會教育の内容を盛つてまいりたい。この點は社會教育局全體を通じて、少くとも社會教育に關する限りは公民館に全部注ぎこむつもりでかかつておるのであります。形の上で公民館といわない部分でも、大部分は公民館に關係があるといういうふうに御了承を願えば、大変ありがたいと思います。
#36
○松原(一)委員 私は今までの諸君の御主張に全部同感でありますから、その點は省きますが、ただ從來文部省が學校省の形であつたことを遺憾に思つておるのであります。學校の民主化によつて將來の社會がよくなることは當然でありますが、今の急務は學校教育だけでは間に合わないのであります。そういう意味におきまして、文部省は教育省でありたいと思います。學校省であつてはならぬ、教育省でなくてはならぬ。日本國民全體の教育に對する廣い視野の上から、日本の國の教育を私は考えなければならぬと思うのであります。この點で特に今、日本國民全體に急施しなければならぬ教育の一つは、政治教育だと思います。新しいデモクラシーのあり方、その現實に現れる實践面、特に選挙の際などにこれが最も強く現れるのでありまして、もしこの實行面の指導を誤れば、日本の政治を誤るのであります。御承知の通り今日の選挙は、從來に比べてひどくよくなつておるという面もありますけれども、一面には新しい選挙權をもつた婦人層等の全然政治を知らない人たちに投票を強要する結果は、まことに妙なものができ上がつてまいつておるのであります。政治教育を行わずして政治の責任をもたせるということは、種をまかないで収穫を求めんとする愚かな農夫のことしとよく言われますが、日本の政治形體が今日のごとく改まり、そうして國會の運營がその中心となるという重大な大転換期に、日本國民に對する最も急施すべきものは、私は政治教育だと思う。政治教育の問題はその政治思想の涵養から來ますけれども、その運營形式の上においては、選挙の際に最も現實に現われるのであります。この點について文部省がいかなる御用意があるか。最近國會は、國會中心に民主政治の眞のあり方をば教育するための、政治教育連盟というものを設立する案が、今進行中でありますけれども、これは私は國會議員だけの責任ではないと思う。また國會議員だけがいかにあせつてもできる問題ではないのでありまして、こういう問題こそ、正しいデモクラシーのあり方を政治の面に實現する全有權者への教育、これがどうしても最も適切に行わなければならないと確信するのであります。むしろ私は焦慮するものであります。從來この面に關する指導は、おもに内務省がやつてまいつておりましたが、その内務省も、ややすれば取締方面に重きをおいて、威嚇するといつた方面から重刑をもつて臨んでまいつて、非常に選挙の思想を萎縮せしめておつたのであります。それが昨年來警察面が手を引きました結果、非常に明るくなりましたものの、積極的なる選挙の指導、選挙のやり方といつたようなものに對する力が、がつくり抜けてまいつたのであります。それはなるべく触れるな、官庁方面から触れてはいけないといつたような遠慮があつて、また今年はぐつと悪く逆もどりしてまいつた傾向が少くないのであります。この根底が亂れれば、日本の政治は用をなしません。新憲法による普及會等の運動もありますけれども、これもまたきわめて形式的で、一向に徹底を見ないのであります。私は今日まで公民館というものに非常に大きな望みをかけてまいつておりますが、昨年の奬勵金は一村當り百圓といつたようなきわめて微々たるもので、問題にならなかつたのでありますが、今後はひとつ文部省が社會教育方面に對する大きな企画をお立てになり、なお相當多額の費用は當然御要求になつてしかるべきものであり、われわれの方でその方面の立案をすることにやぶさかではありません。この政治教育の方面に對しまして特に何かお考えがあるかどうか。今、國會中心の民主政治教育連盟のごときものが生れたとしましても、私は一時的なものだと思う。これが大きな効果をあげ得るとは考えられないのであります。これこそ公民教育の最も重大なる骨髄をなすものであつて、この點につきましては、文部省が教育省という意味において、今、黒岩君の言われましたような日本の精神面、特に政治道徳、政治上の運營あるいは団體意思の決定のしかたという、當然新らしく盛り上がらねばならない教育方面の責任を負つてお立ちいただくように希望するものであります。この點に對する局長の御考えを伺いたいと思うのであります。
#37
○柴沼政府委員 政治教育の重要なことは、まさにお話の通りだと存じます。われわれといたしましては、現在のところ、たとえば内閣で行つております憲法普及會の事業に對する援助でありますとか、あるいは、各學校の開放講座を實施いたします際に、新憲法の趣旨の徹底、ひいてその政治的な意義を自覚させるというようなことに努力をいたしておるのでありますが、さらにごく最近においては、連合軍の方と共同主催の形をもちまして、社會教育研究大會というのを、全國を九地區にわけまして、その各地區が一齊に一府縣二箇所ずつ研究大會を開催いたしまして―これは別段それによつて何ものかをわれわれが教えるとか指導するとかいうのではなしに、政治なら政治に關する問題を提起しまして、そしてその土地の指導層の方に相互に論議を盡して、正しい結論に導いていただく、そのやり方のモデルを見ていただくというような意味で、研究大會を實施しております。これが五月から始まりまして大體今月をもつて九州から北海道に至りますまで一巡するのであまりすが、この影響によりまして、各府縣とも類似のデイスカツシヨンの方法によりまして、あるいは郡市別に、あるいはさらにもつと細部の数箇町村ごとにそういう大會をやろう、そして相互に議論し合うというふうな気風が出てまいつているということを縣當局から報告を受けております。こういうことも政治教育達成上、非常な効果をもたらすのではないかと考えているのであります。いずれも一つにまとまつた政治教育ではなく、その都度々々行われることに政治教育が盛りこまれるというだけなのでございまして、このことはまさに御指摘の通り、文部省における社會教育の意義、あるいは重要性という問題から、考え直していかなければいけないのだろうと、私も實は考えたのであります。また先般森戸文部大臣も、私に直接、今後の文部省の行政の重點としての社會教育の意義について、懇々と御指導を賜わつたのでありまして、ここには政務次官も見えおでありますが、おそらく文部省といたしましては將來社會教育に画期的な肩を入れてまいりたいという希望を、首脳部ももつておられることと察せられる次第であります。われわれといたしましては、そうなりましたならば、ひとつ皆様方のお力によりまして、別に法律が欲しいわけでもないのでありますが、何か基礎を固くする意味で、社會教育法というようなものを制定していただいたらばどうであらうか。それによつて統一的な系統的な國の社會教育施策というものが皆さんのお考えによつて天下に示されるということにもなれば、われわれ事務に從事する者としては、大変やりよくなるというようなことも、内心考えているのであります。この法案の内容等につきましては、まだ私などの考えを申し述べるまでに練れておりませんので、本日は申し述べかねるのでありますが、こういうことも併せて考えている次第であります、大臣もそういう考えでございますので、ひとつ皆様方からも社會教育の画期的な振興について、さらに大臣、政務次官を御鞭韃を願えれば、われわれとしては大変ありがたいのでございます。大層あつかましい申しようでありますが、併せてこれもお願いをいたしておきます。
#38
○野老委員 永江政務次官に伺いたいのでありますが、今囘の追加豫算三十一億圓の内譯は、どういうふうになつておりますか、お聽かせを願いたいと思います。
 次に新制高等學校が、明年度より新發足するわけでありますが、その新制高等學校について文部省が考えている財政的の見透し、この二點についてお伺いいたします。
#39
○永江政府委員 私を指名してのお尋ねでございますが、本日はその三十一億二千萬圓の内容についての詳細な数字は持つてきておりません。先般ここで一應各局長以下から御説明申し上げた通りでありますが、それをまとめたものの数字は持つてきておりません。しかしこれは先般も懇談會の際に私から申し上げましたが、豫算の決定いたしました今日、すなわち政府部内におきまして、閣議で豫算案が決定されたのでありますが、その豫算案をこの委員會でも御審議を願い、さらに豫算委員會でも御審議を願う。こういう方法でいくべきかどうかという點については、いずれ議院運營委員會なり、各常任委員會の委員長會議で御方針をおきめになつた上で、當局としてはその御方針に從いたい。この委員會で特に文部省の豫算を十分御審議願うことも結構でございますが、その御審議願つたことと、豫算委員會で御審議を願つたこととの間に一致點のない場合に、どう処理されるかという點も、やはり政治的に起つてくると思います。そういう運營の方法が、これは文部省ばかりでなくして、各關係方面において非常に關心が深まつておるから、その方針が明らかになりましてから、一應國會側の御意見に從つて、豫算の詳細についてこの委員會なり、あるいは豫算委員會なり、同時に出すか、いずれを前後にするかということをきめましてから、御説明申し上げたいと思います。ただその内容につきましては、先ほど大臣がお禮かたがた御挨拶をせられました中にありますように、全額國庫負擔では押し切れなかつたのであります。殘念でありますが半額程度のものは地方起債ということになつておりますので、さよう御了承願いたいと思います。その中で建設費は何パーセントぐらいの補助にするとか、そういう個々の問題については、文部事務當局と大蔵事務當局と目下折衝中であります。そしてその内容はいずれ豫算委員會において審議を願うまでには、はつきりすると思いますが、そういう各費目についての補助と起債の歩合等については、今申し上げたように事務當局で折衝中でありますから御了承願いたいと思います。
 それから次に、來年の四月から新制の高等学校が實施せられることにつきましては、先般も懇談會における説明の中で當局から申し上げましたように、來年の四月からの新制の高等学校を延期して、延期することによつて若干の教室が餘剰をもつ。その餘剰を六・三制の方へまわすというようなことを、大蔵當局が主張いたしましたけれども、これは豫算の数字についての審議を超えた意見であつて、來年の四月から新制の高等学校を實施するかしないかということは、むしろこれは國策の線で決定すべきだ。さような豫算の数字の上から、大蔵當局がいろいろ審議をせられて、それからさらに数歩前進した意見として、來年の四月から実施の新制高等學校をやめるとかやめないとかいうようなことを條件にもち出されることは、文部當局として、特に學校教育に全責任を負うべき文部當局としては承服しがたいということで、強硬に主張いたしまして、すでに御承知のように、その點は撤囘されたのであります。從つて新制高等學校は來年の四月からどうしても實施したいという固い決意をもつております。それにつきましての豫算については、いずれ來年度の當初豫算として文部當局から要求したい。これまた先般この點につきましても、若干説明を申し上げておいたと思いまするが、新制高等學校の實施にあたりましては、特に六・三制が完備いたした將來においてもそうありたいと考えておりまするが、義務教育を卒りました者の大多数が、あるいは工場に農村に、あるいは會社、銀行その他の職場に働きに出ることは當然でありまして、從つて新制高等學校においては、夜間の高等學校あるいはパート・タイムの高等學校等を都市、農村、漁村といわず、適當に勘案いたしまして、むしろそういう面に國の豫算としては主力を置きたい。言葉をかえて申しますれば、普通の新制高等學校というものを、從來の教育の概念から申しまして、この新制高等學校を設置するというという建前に、さらに一歩切り下げまして、新制高等學校の中においても、特に働きながら學ぶという面に國の豫算を重點的に注ぎこんでいくということがいいのではないか、かように現在は考えておるような次第であります。そういう面から來年の新制高等學校の豫算編成においても、文部當局としては立案したい、こういう心組みをもつております。
#40
○松澤(兼)委員 二つばかりお尋ね申し上げます。一つは從來の公民館の問題は、どうも建物本位になつておるのではないかということを伺うのであります。建物を建てることを勧奬し、建物を中心として事業をすることを勧奬されておるように考えられるのでありますが、私はむしろ、先ほども黒岩委員からお話がありましたように、あるいは神社とか寺院とか、そういうものを十分に利用すれば利用できるのでありまして、私の考えは、むしろ事業中心に、公民事業を普及するというような意味に、今後もつていかれる方が、よくはないかと考えるのであります。それと申しますのは、申し上げるまでもなく、地方町村は最近非常に財政的に疲弊しております。あるいは六・三制の負擔にも耐えられないような状態にあります。またこれは時期的な問題でありますけれども、住民税が六月にとれるはずのところ、十月あるいは十一月に延期になつておるというようなことでありますので、そういう窮乏した町村に公民館を設置させるということは、よほど地元に熱意があり、財政的な負擔ができる所は別でありますけれども、そうでない所においては、おおむね發展できないということが實情ではないかと考えるのであります。從つて、それでは建物ができなければ事業は放つておいていいかと申すならば、そうではないのでありまして、むしろ事業の方を早急に發展させなければならない實情にある。また公民事業が、これはあるいは自分の考えであつて、文部當局の考えと違うかもわかりませんが、公民事業は公民の生活改善の事業まで含めなければならないと思うのでありまして、それはこのいただきました書類の中にもあるのでありますが、公民館設置を勧奬せられるに至つた重要な理由の一つは、町村において各種の事業が統一的に運營されていなかつたということを述べて、その總合的な運營をはかり、町村生活全體の向上刷新に寄與させることが、その重要な理由であるというふうに言われておるのであります。從つて生活保護法に基く保護施設も、だんだんと公民館に統合して運營させることが適當であるというように言われておるのであります。私はその趣旨から、憲法二十五條の、健康で文化的な生活を營むその中心の建物、中心の事業として、この公民事業というものを運營させていかなければいけない。都會にありましては、貧困者のために、あるいは勤勞者のために、こういつた社會教育事業あるいは生活援護事業というものが行われなければならないと同時に農村におきましても、そういうことが行われなければならない。外國におきましては、あるいはトインビー・ホールであるとかいうようなソシアル・セツワルメント事業というものがあるのであります。これがわが國においても一時發達いたしましたけれども、最近におきましては、戰時中からずつとこれがとだえておるのであります。私はそういう事業が官製で行われるということは、必ずしも希望するものではありませんが、もしこの公民館の事業を普及させることが、文部省の現在の御方針であるといたしますならば、ソシアル・セツツルメントの精神をこの中に織りこんでいく。それは文化的であり、かつ保護衛生の面まで含んだものでなければならないと考えるのであります。從つてその厚生關係の面は、あるいは厚生省から文部省が委託を受けて管理をする、運營をするというような連絡をいたしまして、そういう生活援護の面まで、私どもはこの公民館の事業としてやつていくことが必要であるのではないか、こういうふうな考えをもつておるのでありますが、社會教育局長のお考えを聽いてみたいのであります。
 もう一つの點は、今後中央に、あるいは地方に、教育委員會というものができるわけでありますが、この教育委員會は、いわゆる學校教育が中心であるというふうに存じておりますが、社會教育もその教育委員會の權限として包含せられるものであるかどうか。これは私ども實際地方の末端に至つて社會教育が實施せられております状態をみますと、どうしても上から官僚的に一方的に押しつける教育になつておるのであります。もちろん地方には社會教育委員會というものがありますけれども、それすらも縣庁の社會教育課の役人が原案を持つてきて押しつけて、無理というわけではありませんが、とにかく押しつけて、委員會で異議なく決定して実施せられるという、形式だけの委員會組織でありまして、實質的に申せば、極端に言えば、官僚統制の色彩が地方において見られないことはないのであります。從つてこの文教委員會においていろいろ御意見がありましたような、民主的自主的な社會教育を實施するためには、どうしても現在の地方の官僚機構の中にあります社會教育事業というものを、はずしてしまわなければ、ほんとうに民主的な、自主的な社會教育の効果をあげることはできないと考えるのでありますが、將來教育委員會ができましたときに、社會教育の面もこの委員會に包含せられるものであるか。あるいはもし包含せられないといたしますならば、將來やはり社會教育の面においても、こういつた民主的自主的な委員會を設置いたしまして、社會教育はそういう人々によつて、その委員會によつて自主的に民主的に運營せられるという方向に進まれる方が適當であると考えられるのでありますが、この點について御意見を伺いたいのであります。
#41
○柴沼政府委員 公民館の運營方針につきましては、文部省の方針そのものが、ただいま仰せになりましたような御意見と、まつたく同じでございます。御指摘にありましたように、この刷り物でも、實はいわゆる講義とか講習とかいうことだけをするつもりで公民館を考えたのではないのでございまして、むしろ國の各種の施設が、町村では一體的に運營せらえるようになりたい。産業に關することも、生活保護に關することも、その他文化一般に關すること、公民一般に關すること、すべてにひつくるめて、ここで生活に即した活動を現わしていきたいというところにねらいがあるのでありまして、社會教育というこの表題と、むしろ從來の観念から申しますと、やや逸脱したような見地から、公民館というものを計画いたしたのでございまして、現在もそのつもりで府縣當局等に指導をいたしておるのでございます。なおこれが建物につきましては、何と申しましても、建物は特殊なものがあつた方が確かに便利でございます。從つてこてに關與する者はみな建物を欲しがるのでありまして、われわれもその気持には同感できるのでありまするが、しかし先ほども申し上げました通り、現在の事情では六・三制の教室の建物さえできないくらいであり、また國の財政がこのような時代に、公民館を設置することを奬勵するということは、國としては實情としてもこれはできない問題であります。先ほどもちよつと例を申し上げましたように、まつたく建物なしで公民館という精神的な活動だけをしておる町村が現にあるのであります。そういうことも、われわれの方の者が地方にまいりましたときは、實例を示して、建物が不便であつても、なおかつ公民館の活動ができるということを指導させておるような次第であります。決して建物にとらわれる、あるいは教育という部面にとらわれるということはいたさないつもりでございます。
 それから社會教育の運營につきましては、實は非公式ではございまするが、社會教育委員というものを中央の文部省にも、府縣にも、また市町村にも設置するように勧奬いたしております。これが設置せられております所は、それらの方々が指導者であると同時に相談の機關となつて、社會教育のその地に適した進み方をやつてもらつておるわけでございます。まだ全國的な普及は、十分に目的を達しておりませんが、相當できてまいつております。將來地方教育委員會ができました際は、これはまだ案がきまつておらないようでございますが、私の聽いておりますところでは、おそらく社會教育に關することも地方教育委員の權限として属せしむることになるであろうというふうに聽かされておるのであります。多分そういうことになるのではないかと考えておる次第であります。
#42
○久保委員 施設局長にちよつとお尋ねいたします。先ほどの御説明で、學習用品の需給状況は、漸次圓滑にいくだろうと思うのでありますけれども、そのことについてですが、四半期ごとに計画を立てて現場に流れるようにするというお話でしたが、第一・四半期のものは前年度の第四・四半期、そういうふうに現われる。そうしないと、たとえば二十一年度第一・四半期のものを第一・四半期に計画を立てて、それを末端において切符をもつえ購入するというふうにすると、ずつと遅れていくだろうということを考えるわけなんです。そのためであるかどうか知りませんが、今一番困つているのは衣料材料です。これは子供の精神に非常に影響が大きくて、材料をもつてこいということになりますと、實際家庭にないものですから、とうていもつていけない。わずかの者がもつていく。それでは授業ができないし、もつていけない者は非常にはずかしい思いをする。いろいろそうした問題を起して、教育者も、父兄も全體が困まつておるわけですが、これはどういうふうにやつていくのか。私どもの考えをもつてすれば、たとえば布のようなもの、手藝品は、結局學校の方で材料として購入するならば、それは全部家庭にはいつていくのですから、何とか商工省の方と技術的に折衝されたら、うまくいくのじやないか。もつとも、できておるのかどうか知りませんが、そころの二つの點について…。
#43
○松原(一)委員 糸と針です。
#44
○伊藤(日)政府委員 第一點の需給の時期の問題ですが、大體は第一・四半期のものは、その二箇月前に計画を出すようになつております。そうして實際の切符はその二箇月前、たとえば第一・四半期のことを考えますと、第一・四半期は四、五、六月です。從つて二箇月前ですから二月の末日までに計算を立てる。そうして四、五、六月をまとめまして、物によりますけれども、四、五月で安本で策定して、五月末には割り當ててよこすことになつておる。そうしてそれによつて發行します切符は、六月から九月まで有効ということになつておりますから、從つて第一・四半期で計画した物が實際に入手できるのは、大體九月というふうになりますから、大體一期ずつ遅れていく。從つてその計画は一期前期前々にやつていくというようなことになると思います。
 それから第二の點につきましては、實は私も新任早々で、大変恐縮でありますが、まだ詳しいことは承知いたしておりませんが、女子の教材につきましては、ただいまのようなお話を私どももよく聞きますので、ひとつ特別の係をつくりましておせわしたいと考えまして、やつております。おそらく從來は、女子教材についての特別わくがなかつたのではないかと思います。たとえば糸だけのことを申し上げますと、その時々に特配する。つまり正常なわくの中へははいらないで、その時時に特別配給でもらうというような行き方で糸を流しておつたのではないかと思うのです。その點はたびたび私も伺いますので、今度は正常なわくの中へそれを見込んでもらうというふうな行き方をしたいと思つております。そのためには、まず女子の裁縫なら裁縫の教材に、年間どのくらい要るものか、それから何年生はどれくらい要るかという基準をつくることが必要だと思います。そういうものから手始めにしませんと、正常なルートに乗つてこない。こういうことでありますから、これを正確にきめる努力をこれから續けていきたいと思つております。
#45
○久保委員 今の問題に關連して大體二十二年度の豫算を見ますと、ちやんとわくの中にはいつております。それは商工省關係を見てごらんなさい。そういうことを局長が知らぬとかなんとか言うことは、私はけしからぬと思う。そうしてこれが實際にはうまく現場に流れておらぬのです。これはもつとよく調べてやつてもらいたいと思う。それからその資料がないとか、資料を今からつくるとかいうことでは、實際私は文部省の怠慢だと思う。この現場からの叫びは、昨年あたりからずつと叫ばれておるのであつて、確かに私は資料などはあるはずだと思う。二十二年度のわくもちやんと向うの調査ではできておるのだ。それから先はあなた方がやることであるから、どうぞひとつよろしくお願いしたいと思う。
#46
○黒岩委員 永江政務次官にちよつとお伺いしますが、教育委員會法は今次國會に提出されるかどうか。もし御提出にならないようになつているようでありましたならば、その理由を話していただきたい。さらにどういう點が現在問題になつておるか。そういう點についてお伺いしてみたいと思います。
#47
○永江政府委員 教育委員會法は、この國會には提出いたしません。その理由は、文部省において立案したものについて、ただいま關係各方面と打合わせ檢討中でありますが、種々各方面の意見もありまして、その意見を参照して、法案について決定いたしますには相當の日時を要するものと、かように考えております。ただどういう點が問題になつておるかということは、まだここで皆さんに御相談する時期にはなつておりませんから、御了承を願いたいと思います。
    ―――――――――――――
#48
○高津委員 本日はこの程度で打切りにして、しかしながら重要な問題もたくさんあるし、われわれも勉強するつもりでありますから、定例日にはこの委員會をお聞きになるように、また問題によつては臨時にお聞きになるように、さらに委員長においてもプランでも立てて、視察すべきものがあるならばわれわれは視察もする、そういうふうにしていただきたいと思います。皆さんにお諮りの上で、本日はこの程度で打切られるように動議を提出します。
    〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
#49
○西山委員 今の動議に贊成ですが、ちよつと一言―今の教育委員會の法案です。これは非常に重大な問題で、全國の教育者が血眼になつて内容を知りたいと考えておる問題なので、われわれ委員會の方に事前に懇談協議されて―もうちつとも動きがとれないという状態になつてからこちらにお示しくださるのでは遅いので、この問題に限つては、特にその點をお考え願いたいと思う。
#50
○永江政府委員 ただいまの御意見ごもつともだと存じますが、これは豫算も伴いますけれども、この法案はもちろんこの委員會で正式に御審議、御決定を願うものでありますが、それ以前にやはり政府といたしましては關係各方面の御了解を得なければなりません。この手續を目下履んでおるわけでありますから御了承を願いたいと思います。
#51
○松本(七)委員 今の問題と關連するのですが、教育委員會法ばかりでなく、すべて關係者において立案しつつあるものについて、少くとも國會でこれをあらかじめ承知し、その経過を知つておくということは、非常に重要なことであると思います。從いまして、正式に提出することができないとすれば、秘密懇談會というような形式でもつて、あらかじめその経過を知つておくことが必要でないかと思います。この點をひとつ委員長の方でも十分檢討しておいていただきたいと思います。以上申し上げて先ほどの議事打切の動議に贊成します。
#52
○松本委員長 では本日はこれで散會いたします。次會は、科學教育、體育が殘つておりますので、その方面を質疑いたしたい。大體かように考えております。日取りは公報であとから通知いたします。
   午後零時三十一分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト