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2011/06/01 第177回国会 参議院 参議院会議録情報 第177回国会 本会議 第19号
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2011/06/01 第177回国会 参議院

参議院会議録情報 第177回国会 本会議 第19号

#1
第177回国会 本会議 第19号
平成二十三年六月一日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十九号
  平成二十三年六月一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(G8ドーヴ
  ィル・サミット出席等に関する報告について
  )
 第二 東日本大震災の被災者に係る一般旅券の
  発給の特例に関する法律案(内閣提出、衆議
  院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(西岡武夫君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件を議題といたします。
 G8ドーヴィル・サミット出席等に関する報告について、内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。内閣総理大臣菅直人君。
   〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
#4
○内閣総理大臣(菅直人君) 私は、五月二十四日から二十九日までの日程で外国訪問を行い、フランスを公式訪問するとともに、OECD設立五十周年記念式典、G8ドーヴィル・サミット及び日・EU定期首脳協議に出席しました。
 フランス公式訪問では、サルコジ大統領、そしてフィヨン首相との間でそれぞれ会談を行いました。サルコジ大統領からは、外相間の戦略対話の立ち上げを提案いただき、合意いたしました。また同時に、国連の安保理改革の実現やグローバルな諸課題について有意義な会談を行うことができました。
 OECD設立五十周年式典では、日本の総理として初めてOECDを訪問し、スピーチを行いました。新興国が台頭し、世界経済が様々な課題に直面する中で、世界のシンクタンクとしてのOECDへの期待を表明いたしました。また、震災からの復旧・復興、原子力安全・エネルギー政策について、我が国の状況や考え方を表明いたしました。
 昨年に続き二度目の出席となったG8サミットでは、各国首脳と率直な意見交換を行うことができ、外交政策を円滑に進めるために首脳同士の信頼関係が重要であることを改めて認識をいたしました。サルコジ・フランス大統領から、困難に直面した日本に対してG8としての連帯を示したいとの意向が示された上で、我が国の震災及び原子力事故について冒頭発言を求められ、私から発言をいたしました。
 まず、今回の原子力事故を教訓として、最高水準の原子力安全を実現するために、事故調査・検証委員会を立ち上げたことを説明し、事故の経験と教訓を共有することは我が国の歴史的な責務であるとの考え方を伝えました。また、来年後半、我が国は、IAEAと協力して、原子力安全に関する国際会議を開催することを伝え、G8各国の参加を求めました。
 次に、今後の我が国のエネルギー政策について、原子力エネルギーと化石エネルギーというこれまでの二つの柱に加え、再生可能エネルギー、いわゆる自然エネルギー及び省エネルギーという二つの柱を加えるという、新しいエネルギー政策の基本について考え方を申し述べました。
 原子力エネルギーについては、今回の事故に関する情報を迅速に国際社会に提供し、世界の専門家との協力により、事故の徹底的な原因究明を実施し、IAEAを中心として行われる原子力安全基準の策定を始めとする取組に最大限貢献する旨を申し述べました。
 第二に、化石燃料については、中長期的にも世界のエネルギーの六割以上を占めることが見込まれる中、化石燃料の徹底した効率的利用を進め、二酸化炭素の排出削減を極限まで図っていく旨述べました。
 第三に、太陽光や風力、バイオマス等の再生可能エネルギー、いわゆる自然エネルギーについては、発電電力量に占める割合を二〇二〇年代のできるだけ早い時期に、少なくとも二〇%を超える水準まで拡大していくため、大胆な技術革新と積極的な普及を促進したい旨述べました。
 第四に、省エネルギーについては、エネルギーを効率的に使うことと同時に、生活の質は落とさないで、より少ないエネルギーでも快適な生活を維持できる新たな文化を創造すること及び国民一人一人の取組が重要だと考えており、そのような観点からしっかり取り組んでいく旨述べました。
 さらに、中東・北アフリカ情勢、アフリカ諸国との対話を含め、世界情勢に関する議論を幅広く行いました。特に、北朝鮮問題については、私から議論を主導し、ウラン濃縮計画が明らかに国連安保理決議に違反していることを指摘し、また拉致問題を含めた北朝鮮における人権状況への懸念を提起しながら、これらの問題につきG8の取組を求めました。そして、北朝鮮に対し、対話再開に向けた具体的な行動を求め、核開発計画の放棄、拉致問題の解決を迫る強いメッセージをG8として出すことができました。
 また、第二十回日・EU定期首脳協議を行いました。今回は絆サミットとして基本的価値を共有するグローバルパートナーである日本とEUが、その協力関係を一層拡大、深化させ、絆を深めていくことで一致をいたしました。また、日・EU関係を包括的に強化するために、日・EU・EPA等について、交渉のためのプロセスを開始することに合意をいたしました。
 今回の一連の国際会議出席の機会に、多くの国の首脳と二国間の会談を行いました。
 米国のオバマ大統領とは、日米関係、中東情勢、アジア太平洋情勢などの幅広い議題について、中身の濃い意見交換ができたと思います。その中で、TPPについては、被災地の農業の復興にも関係しており、その点を踏まえ、しっかり議論し、TPP交渉参加の判断時期については、震災のために遅れているが、改めて総合的に検討し、できるだけ早い時期に判断したい旨、私の方から伝えました。
 また、オバマ大統領より、改めて今年九月前半の私の訪米の招待をいただき、今後日程調整を進めていくことになりました。この私の訪米に先立って、国会の御了承が得られるという前提で、いわゆる2プラス2を六月下旬に開催したいと思っています。さらには、本年夏に検討されているバイデン副大統領訪日を歓迎したいと思います。こうした流れの中で安全保障、経済、文化・人材交流の三本柱を中心として日米同盟を更に深化させていきたいと考えております。
 ロシアのメドベージェフ大統領とは、東日本大震災後のロシアの提案を受けて、原子力・エネルギー等の幅広い分野での協力を進めていくことを確認しました。また、領土問題については、静かな環境の下で協議を継続していくことで一致をいたしました。
 このほか、ハンガリーのオルバーン首相、カナダのハーパー首相、英国のキャメロン首相、ドイツのメルケル首相とも個別に会談し、有意義な意見交換を行いました。
 今回の一連の首脳外交を通じ、各首脳から日本への深い同情と連帯が示されるとともに、困難な状況の中で日本人が示した不屈の精神と勇気ある行動に敬意が表されました。それを受けて、私は、各国から寄せられた支援に謝意を伝えた上で、日本が国際社会とともに一日も早く開かれた復興を成し遂げ、世界のリーダー国の一つとして、改めて国際社会の善意へのお返しができるように取り組んでいく決意を申し上げ、温かい支持をいただきました。
 今後も取り組むべき課題は引き続き大きいですけれども、与野党の御協力を得つつ、また、今回の外交成果も踏まえて、被災地の皆様を始めとする国民の皆様の期待におこたえできるよう、未来志向の力強い復興、再生に向けて全力を挙げていく考えであります。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(西岡武夫君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。一川保夫君。
   〔一川保夫君登壇、拍手〕
#6
○一川保夫君 民主党・新緑風会の一川保夫でございます。
 ただいまの総理の主要八か国首脳会談の報告に対して、会派を代表して、質問をいたしたいと思っております。
 ただ、総理、今、菅内閣が大変な大地震に襲われるんではないかというような、そういうことを予知する人がおります。本日のこの本会議での、私は、総理の答弁は大変重要な意味があるというふうに考えておりますので、内閣の防災対策という観点からも、私は、総理は気合を入れて、前向きで、しかも国民に対して、被災地に対して温かみのある、そういう答弁を期待しておきたいと、そのように思っております。
 まず、原発問題でございますが、これまでのサミットでは割と影の薄かった我が国ではありますけれども、今度ばかりは主役を演じたというふうに思っていいと思います。菅総理は、開催国でもないのに冒頭のスピーチを務められたということが報道されました。しかし、私たちはこのことを手放しで喜んでいいというものではないと思っております。というのも、今回の日本は、福島原発事故の当事国として、同情され、激励される立場だったからであります。
 そこで、本日は、総理の報告を受けて、原発とエネルギーの問題、そして今後の災害対策に絞って私の方から質問をいたしたいと思っております。
 まず、福島第一原発の事故は、マグニチュード九の地震による大津波という天災をきっかけに発生したものとはいえ、原発は、我々人間の能力ではコントロールができ難い、そういう施設であるということが判明いたしました。国民には十分分からないまま隠されていた原発の重大な弱点が、次々にさらけ出されてきたと言ってもいいと思います。
 この原発事故に対しては、東電そして日本政府の対応が適切であったかどうかについて、今世界中が注目をいたしております。サミットでの参加国に対して、総理は、原発の被災状況またその対策についてどの程度説明されたのか。また、参加国の受け止め方、その評価について、総理の感想をお伺いしたいと思っております。
 次に、福島第一原発は、今も予断を許さない状況が続いております。この難局を乗り切るためには、諸外国の理解と援助がどうしても必要でございます。その前提となりますのが徹底的な情報公開であります。
 この点について、今なお不信を持っていると言われる諸外国に現状をどのように説明をし風評被害を防いでいくのか。各国の理解を得る努力と各国の対応、そして今後の我が国の取組について、総理のお考えを伺いたいと思っております。
 菅総理は、原子力安全に関する国際会議を日本で開催したいと表明されました。また、サミットにおいては、日本など地震国には特に厳格な原発の安全基準を策定するようIAEAに求める首脳宣言も採択されました。
 我が国は、今度の原発事故の経験を教訓に、世界に対しより厳しい警鐘を鳴らしていく新たな責任を有することにもなりました。原発の安全性について我が国が果たすべき役割について、総理の見解を伺っておきたいと思います。
 次に、エネルギー政策についてお聞きいたします。
 再生可能な自然エネルギーの割合を二〇二〇年代のできるだけ早い時期に二〇%を超える水準にする方針を表明いたしました。政府が昨年六月に決定したエネルギー基本計画では、自然エネルギーについては二〇三〇年までに二〇%にすると言われたものを、前倒しをした形で事実上の国際公約を行ってしまいました。
 しかし、エネルギー政策の見直しは、国民の理解の下、具体的にどのように行うのかが大きな問題でございます。例えば、総理はこの度、太陽光パネルを一千万戸の屋根に設置することなどを表明されました。確かに、太陽光発電については将来に向けて大変期待が高まっております。しかし、コスト問題を始め、多くの課題が指摘されております。具体的方策について、現時点での総理の考え方をここでお示し願いたいと思います。
 また、この表明に当たっては、関係大臣が事前に知らなかったというようなことも聞いておりますけれども、重要な問題だけに、政府や党内での積み重ねた議論が必要であったと思いますが、総理のお考えを確認しておきたい、そのように思います。
 また、今回の表明では、残念ながら、こうした新エネルギー政策と原発政策との関係が明確ではありませんでした。サミットでは、エネルギー政策をめぐって、原発は必要不可欠だという意見が出される一方で、各国ごとに異なるアプローチもあるというふうに、いろんな意見が出されました。原発を推進するアメリカやフランスと、脱原発にかじを切ったドイツやイタリアとの意見の違いがございました。こうした中で、事故の当事国として我が国が今後どのような方向にかじを切るのか、世界の目が注がれております。
 今後、我が国のエネルギー政策と併せ、原発政策をどのような方向に持っていこうとしているのか、総理のお考えをお伺いしたいと思っております。
 そもそも、原子力発電を国策として積極的に進めてきたのは、前政権である自民党政権ではありますけれども、私たち、今政権を担っている民主党といたしましては、国民が安心できる責任のある対応をすべきであるというふうに考えております。
 さて、最後に、今回の災害対策の基本姿勢と補正予算について総理にお伺いしたいと思います。
 東日本大震災、原発事故は我が国の危機的な国難であります。その早期復旧のために、五月二日には全党賛成の下に四兆百五十三億円の第一次補正予算が成立をいたしました。しかし、それから一か月は経過しましたけれども、被災地の復旧が遅れているとの批判もございます。
 この一次補正に関する制度設計や手続は極力地方自治体、被災地にとって使い勝手の良いものにし、そして復旧を促進しなければなりません。今回の災害は、そういう面では、国民の生活第一、元気な日本を復活させるという、これは菅内閣での一つの政治信念でありますけれども、日本の威信を懸けてでも今回のこの対策をしっかりと取り組むべきであります。緊急の課題でもございます。そういう面では、進捗状況をしっかりと把握する中で、各地方自治体なり各省庁に対してしっかりとした指示をすべきであるというふうに思っております。
 いよいよ復旧から復興、再生に向けての政府は積極的な前向きな対応をすべき節目の段階を迎えているというふうに思います。この第二次補正予算に向けて政府の積極的な姿勢を期待したいわけでございますけれども、現段階での政府の基本的な考え方を総理に確認したいと思っております。
 最後に、被災地の早期の復旧・復興を心から祈念申し上げまして、私の質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(菅直人君) 一川保夫議員から激励の意味を込めての御質問をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、サミットでの原発事故に関する説明等についての御質問であります。
 サミットでは、原発事故について、周辺住民の避難、退避は続いているものの、世界の英知と技術を結集し、一日も早い事態の収束に向けて全力を挙げている旨述べました。
 その上で、第一に、徹底的な原因究明のため事故調査・検証委員会を立ち上げたこと、第二に、最大限の透明性を持って事故の経験と教訓を国際社会と共有することが歴史的な責任であるということを述べたこと、第三に、来年IAEAと協力して原子力安全に関する国際会議を開催することなどについて説明をいたしました。
 各首脳からは、我が国の説明と取組に対する理解が表明されました。また、首脳宣言においては、我が国への心からの同情と連帯が示されるとともに、日本人が示した勇気と尊厳に敬意が表されたところであります。
 次に、風評被害の防止についての御質問をいただきました。
 初期段階においては、国際社会に対する情報提供は必ずしも十分に行えておりませんでしたが、その後、最大限の透明性を持って情報提供と説明に取り組んできております。
 風評被害については極めて重要な問題と認識し、政府として戦略的かつ一元的に取り組んでまいらなければなりません。
 具体的には、各国に対し、市場に出荷され我が国から輸出されている産品は安全性が確保されている旨の説明を行うとともに、科学的根拠に基づいた対応を求め、規制の緩和、撤廃に向けた働きかけを行っております。
 私自身、日中韓サミットにおいては日中韓三首脳による被災地訪問なども実現をし、また、G8サミット、日・EU定期首脳協議や二国間会談等の機会を通じ、各国首脳に対し、日本や我が国産品の安全性をアピールをいたしております。例えば、G8首脳宣言においては、物品と渡航に対する措置が科学的根拠に基づくべきものであることを強調する文章が盛り込まれたところであります。
 引き続き、政府一体となって、輸入規制や渡航制限等の緩和、撤廃を求めていく所存であります。
 次に、原発の安全性のために果たすべき役割についての御質問をいただきました。
 原発事故の原因について、事故調査・検証委員会による徹底的な検証を行い、得られた教訓を国際社会と共有することは、事故を起こした我が国の歴史的な使命だと考えております。また、原子力安全の向上のため、国際社会の議論に積極的に貢献していく。そのため、先ほど申し上げましたように、来年にはIAEAと共同での国際会議を催したいと、このように考えているところであります。
 次に、自然エネルギーに関する目標についての御質問をいただきました。
 現行のエネルギー基本計画では、二〇三〇年における総発電電力量に占める再生エネルギーの割合を二〇%としておりますが、今回の目標はこれを前倒ししたもの、つまりは二〇二〇年代のできるだけ早い時期にこの二〇%を超える水準にすると、そういうことにいたしたものであります。
 また、太陽光発電はこの現行のエネルギー基本計画の二〇三〇年度の推測として約五千三百万キロワットを発電するものとされており、その七割を住宅の太陽光パネルで発電するとすれば約一千万戸の住宅に設置することが必要となり、またこれを賄うことができることになります。これらの目標の実現に向けて、固定価格買取り制度、太陽光発電のコストを低減させるための革新的技術開発、規制緩和などの政策を総動員し、最大限の努力をしてまいります。
 先ほど申し上げましたこの数字は、二〇三〇年における現行のエネルギー基本計画の基本的な考え方の中に盛り込まれているものを二〇二〇年度できるだけ早い時期にということで前倒しで行うというものでありまして、その内容については二〇三〇年度の具体的な考え方と共通のものを前倒しで提案をいたしたところであります。
 次に、今後のエネルギーの政策に関する質問をいただきました。
 今後のエネルギー政策については、これまでの原子力エネルギーと化石燃料エネルギーという二本の柱に加えて、再生可能エネルギー、つまり自然エネルギーと省エネルギーの新たな二本の柱を加え、四本柱として推進していくことが必要だと考えます。
 その際、原子力については、今回の事故の検証を踏まえて、安全性確保のための抜本的対策を講じていくことが必要です。これによる安全確保を大前提として、今後の原子力政策の進め方についても検討をしてまいらなければならないと考えております。
 最後に、第二次補正予算の基本方針についての御質問をいただきました。
 一次補正には、大震災からの早期復旧に向け、年度内に必要と見込まれる経費を計上したところです。まずは、この四兆円規模の一次補正に盛り込まれた瓦れき処理、仮設住宅などの事業を迅速かつ着実に実施し、復興の基盤をつくることが必要だと考えております。
 そして、復興については、復興構想会議で創造的な復興について御議論をいただいており、六月末に提言をいただくことになっております。また、自治体の具体的な復興計画が順次出てまいることになっており、これらも検討の中に入れていかなければならないと思っております。
 当面は、一次補正予算の執行に全力を挙げて取り組むことになっておりますけれども、その上で、今御指摘のように足らざるものがないか、あるいは復興をどのようにしていくのか、各党各会派の御議論なども伺い、二次補正の中身をつくっていくこと、さらに、それに必要な国会会期の延長を含めて前向きにしっかりと検討をしてまいりたい、このように考えていることを申し上げておきたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(西岡武夫君) 石井準一君。
   〔石井準一君登壇、拍手〕
#9
○石井準一君 自由民主党の石井準一です。
 私は、ただいま議題となりましたG8ドーヴィル・サミット報告に関して、自由民主党を代表して、菅総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 初めに、今回の東日本大震災に当たり、G8各国からも多大なる御支援をいただきましたこと、また、サミットでは、首脳宣言を始め様々な場において各国首脳から日本への継続的な支援と連帯を表明いただいたことに対し、深く感謝を申し上げます。
 国際社会からの温かい支援と期待にこたえるためにも、また、今回の震災が世界経済に与える影響を最小限にし、我が国が世界に貢献し続けるためにも、一日も早い復興を成し遂げることが我々日本人の責務であると言えます。そのためにも、今国会において復興のための本格的な第二次補正予算を策定、成立させることが急務であると考えます。
 そこで、最初の質問として、総理、第二次補正予算のスケジュールと想定している内容についてお考えをお伺いをいたします。
 また、会期内に提出できない場合には、先ほども答弁があったように、会期を延長する心積もりがあるのか。総理、よもやないということはないと思いますが、所見をお伺いをいたします。
 では、サミットの内容について質問に移ります。
 サミットの冒頭発言で、総理は、福島第一原発の事故に関し、最大限の透明性を持って全ての情報を国際社会に提供すると述べられました。また、同様のことが首脳宣言にも、全ての関連する情報を適時提供するとして盛り込まれております。
 しかしながら、そのサミットの最中にも、原子炉への海水注入問題をめぐる政府の説明が二転三転いたしました。また、事故発生当初の放射線測定値のデータを東京電力が一部公表していなかったことも発覚をいたしました。総理、これでは到底、最大限の透明性などという言葉は信用できません。
 そこで、まず海水注入の問題についてお伺いをいたします。
 福島第一原発一号機への海水注入を一時中断していたという政府と東京電力の説明が誤りであったということが明らかになりました。このことは皆さん御承知のとおりであります。
 記者会見をした武藤副社長によると、福島第一原発の吉田所長は、新聞報道や国会で中断が問題となり、国際原子力機関(IAEA)の調査も予定されていることから、事実に基づいての検証がなされるべきだと考えて報告したとのことであります。
 まるで、報道や国会で大きく取り上げられなければ、そして国際機関の調査がなければ、事実に基づいた検証は必要ないというような言い方ではありませんか。このような考え方は極めて危険です。一歩間違えれば、誤った情報によって事故の検証が行われかねません。
 事故発生以来二か月以上も事実と異なった報告が放置をされ、独り歩きしていたことになりますが、それに基づいた国会での議論は一体何だったのでしょうか。総理、論争に巻き込まれた原子力安全委員会の班目委員長も、私は何だったのかとあきれています。ずさんな情報管理と間違った説明を繰り返した政府、東京電力の責任は重大であります。
 当初の官邸発表では、総理のリーダーシップにより海水注入を命令したことになっていたはずですが、その後、政府の説明は二転三転しています。これは、現場の状況を把握をしていなかったということになるのではないですか、総理。結果的には現場の所長の判断で事なきを得たわけですが、原子力災害対策本部長として、総理は正しい情報把握をし、判断を下す責任があります。現場の状況を把握していなかったことについて、本部長としての総理の責任をどのように考えるのか、お伺いをいたします。
 サミットでは、総理は、原発事故について全ての情報を公開すると約束しました。しかしながら、これまで原発事故に関する様々な隠蔽が行われてきました。事故発生当初、速やかに公表すべきであったSPEEDIの予測結果について、公表が大幅に遅れたことは大きな問題となりましたが、つい最近も、事故発生当初の放射線量のデータを一部公表していなかったことが明らかになりました。
 さらには、サミットの後でも、原発事故に関する情報の不透明さが全く改善されていません。五月二十八日に福島第一原発五号機の冷却機能が一時失われましたが、公表されたのは半日遅れの二十九日になってからであります。また、作業員が限度を超える被曝をしていたことも最近になって明らかになりました。
 政府の隠蔽体質は全く改まっていないのではありませんか、総理。これらの隠蔽体質は本部長である総理の責任ではないですか。あなたは自分の責任についてどうお考えか、総理の見解を求めます。
 菅政権はこれまで、原発事故のレベル七認定の遅れ、メルトダウンが起きていたという発表の遅れなど、世界中の信頼を失うような情報隠しを行っているのです。レベル七の認定は、統一地方選挙の投票日の直後、四月十二日でした。意図的に選挙後まで認定を遅らせた、悪質な隠蔽と言われても仕方ない状況です。
 総理に伺いますが、これ以上原発に関して隠している情報はないと断言できますか。また、万が一、今後、公表されていない情報があったことが発覚した場合、国際公約違反となるわけですが、どのように責任を取るおつもりなのか、明確にお答えをいただきたい。
 総理は、OECDとサミットで、太陽光や風力などの自然エネルギーの割合を二〇二〇年代の早い時期に二〇%超にする、そして太陽光パネルを一千万戸に設置すると発表いたしました。これは本当に実現可能なんでしょうか。この目標には技術的、予算的な裏付けがあるのか否か、総理にお伺いをいたします。
 また、この話について海江田経済産業大臣は、聞いていない、報道を通じて知ったとおっしゃったそうです。信じ難いことであります。また菅総理お得意の思い付きの政策なのでしょうか。このように重要な国際公約について事前に政府部内の調整を行っていないなどということは、通常あり得ません。
 経済産業大臣にお伺いをいたしますが、本当に事前の政府部内の調整はなかったのでしょうか。大臣の記者会見でのお言葉どおり、なかったのであれば、このような政策形成のやり方についてどう思われるか、見解をお伺いをいたします。
 今回の菅総理のパフォーマンスは、鳩山前総理が国連の会議で温室効果ガスの二五%削減を唐突に打ち出したことをほうふつとさせます。そういえば、あの公約はどうなったのでしょうか。原発事故を経て、我が国のエネルギー政策の抜本的見直しを余儀なくされている今日、総理、あの公約を維持するのでしょうか。
 多くの原発が停止していることに伴い、一時的には火力発電への依存度を高めざるを得ないのが我が国の現状ではないでしょうか。この状況で二五%削減の目標は、達成が極めて難しいと言わざるを得ません。総理、実行力の伴わない国際公約は、対日不信を増幅をし、国益を損なうだけであります。この際、二五%削減という目標をはっきりと撤回すべきと考えますが、総理の見解はいかがでしょうか。目標を維持するか撤回するか、明確にお答えください。
 サミットの首脳宣言では、原子力の利用について、各国が段階的な導入や段階的な廃止も含め様々なアプローチを取り得るとして、原発の推進や廃止については各国に委ねております。
 総理は唐突に浜岡原発の停止を中部電力に要請されましたが、今後、建設中、停止中の原発の稼働をどうされるおつもりなのか、総理のお考えをお示しください。また、特にドイツは脱原発の方針を明確にしておりますが、その方針をどう考えるか、併せてお答えをください。
 また、首脳宣言には、原子力の安全性を再評価し、特に地震が多発する地域などにおける原発の安全指針の強化を検討することが盛り込まれております。安全基準の強化が必要であることは論をまちませんが、基準を高くすれば高くするほど、当然、基準に適合するための時間もコストも掛かります。我が国においては、どの程度の時間とコストを掛けて原発の安全性を強化していくおつもりなのか、その見通しについてお伺いをいたします。
 続いて、総理がサミットで行った各国首脳との会談についてお伺いをいたします。
 まず、米国との会談ですが、今年前半に予定していた総理の公式訪問が九月前半に先送りをされました。これは、米国が既に菅政権に見切りを付けている証拠ではないでしょうか。米国はあなたの退陣を念頭に置いて、訪米を先送りにしたのではないのでしょうか。
 総理、あなたは訪米が九月前半になったのはなぜだとお考えでしょうか。また、そのときまで菅政権は存在しているとお考えでしょうか。見解をお伺いをいたします。
 次に、EUとの会談についてお伺いをいたします。
 EUとの会談ではEPAの予備交渉入りに合意したとのことですが、EUの求める自動車や医薬品の安全基準といった非関税障壁の撤廃は、菅総理のリーダーシップでは到底まとめることは不可能だと思われます。総理は、今後のEUとのEPA交渉をどのようなスケジュールで進めるおつもりなのか、見解をお伺いをいたします。
 最後に、ロシアとの会談であります。
 ロシアは、五月十五日にイワノフ副首相らが北方領土を訪問するなど、北方領土が自国の領土であるとの主張をますます強硬にしております。そればかりではなく、韓国の国会議員もロシア経由で北方領土を訪問するなど、我が国として容認し難い行為が続いております。
 昨年十一月のメドベージェフ大統領の北方領土訪問に対しまして、総理は許し難い暴挙と批判をされましたが、今回の副首相らの訪問には明確な抗議を行っていないようであります。さきに行われた日中韓首脳会談においても、総理は韓国に対し何ら抗議はされなかったのであります。自国の領土を守ることは、総理としての最も基本的な責任ではありませんか、総理。
 総理はロシアとの首脳会談で北方領土問題についてどのような話合いを行ったのか、御説明をください。また、副首相らによる北方領土訪問に対して直接の抗議を行わなかったと認識をしておりますが、そうであれば、抗議をしなかった理由をお答えをください。
 総理、直近の世論調査では、内閣支持率は実に二割台、不支持率はメディアによっては七割台となっております。菅政権の震災対応、原発事故対応の混乱ぶり、無能ぶりに、国民はもうこれ以上我慢できないという明確な意思表示をしているんです。
 本院の西岡議長も、公正中立であるべき議長という立場は十分承知の上で、それでも強い言葉であなたの退陣を要求をしております。良識の府である参議院の長としての発言です。総理は極めて重く受け止めるべきではありませんか。
 菅総理、あなたには一日も早く退陣していただきたい。あなたが一日長く総理の座にこだわれば、それだけ復興が遅れ、国益が損なわれていくのです。このサミットを花道として潔く退陣されることを求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(菅直人君) 石井準一議員にお答えを申し上げます。
 まず、第二次補正予算と会期の延長についての御質問に一括してお答えを申し上げます。
 一次補正には、瓦れき処理、仮設住宅の建設など、大震災からの早期復旧に必要な経費を計上したところであります。まずは、その迅速かつ着実な執行により復興へ向けての基盤をつくることが必要と考えております。
 復興については、現在、復興構想会議で創造的な復興についての御議論をいただいており、六月末には提言をいただくことになっております。また、自治体の中で具体的な復興計画がいろいろ議論されており、それも受け止めてまいりたいと思っております。
 当面は一次補正予算の執行に全力で取り組みますけれども、その上で、足らざるものがないか、復興をどうするか、各党各会派の御議論も伺い、二次補正や会期延長を含め、しっかりと前向きに検討してまいりたいと考えております。
 次に、海水注入に係る政府の説明についての御質問です。
 御指摘の海水注入の件については、当時、原子炉の冷却が何よりも必要であり、真水がなくなった場合には海水注入が必要であるという点では、私や海江田経済産業大臣を始め関係者の認識は全て一致をいたしておりました。
 この件に関して、東京電力から当初報告されたものが後に変更され、正確な情報把握ができていなかったことについては大変遺憾に思っております。私も原子力災害対策本部長としてのそうした責任を感じているところでありまして、これからはそうしたことがないよう、関係者の間の情報連絡に対してきちっと把握ができる体制にしてまいりたいと考えております。
 次に、情報発信の在り方に関する質問をいただきました。
 原発事故に関しては最大限の透明性を持って情報提供するよう努めてきたところでありますけれども、SPEEDIに関する政府各部局の推計結果が共有されていなかったり、東京電力による情報公開に遅れや訂正があったことは事実であり、不信を招くような対応につながったことについては大変遺憾に思っております。原子力災害対策本部長としてのその点での責任は感じております。
 私が知っていることで隠していることはないかという趣旨の御質問も併せていただきましたが、私自身が知っていることで、こういったデータ等を私が隠したり、あるいは隠すように命じたことは一切ありません。今後、関係機関に対しても迅速かつ十分な報告と情報公表を求めていく所存であります。
 次に、サミットで掲げた目標について御質問をいただきました。
 現行のエネルギー基本計画では、二〇三〇年における総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を二〇%としておりますけれども、今回の目標はこの二〇三〇年というものを二〇二〇年代の早い時期にということで前倒ししたものであります。
 また、太陽光発電については、この二〇三〇年の計画の中で約五千三百万キロワットを発電するものとされており、その七割を住宅太陽光パネルで発電するとすれば約一千万戸の住宅に設置することが必要となると、こういった当時の試算に基づいて提起をさせていただいたものであります。
 これらの目標の実現に向けては、固定価格買取り制度、さらには太陽光発電のコストの低減などをさせるための革新的技術開発、規制緩和などの政策を総動員して努力をすれば、私は達成は十分に可能なものと、このように考えております。
 次に、温室効果ガスの二五%削減目標に関する質問をいただきました。
 再生可能エネルギーと省エネルギーを新たなエネルギー政策の柱に加えるということは、これはお分かりいただけると思いますが、いわゆる地球温暖化に対しても、つまりCO2の削減に対してもプラスになる政策でありまして、地球温暖化の問題、地球規模での解決に貢献するためにもこの二つを柱として進める必要があると、このように考えております。
 そういう中で、全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際的な枠組みが、この温室効果ガスの削減についてはその枠組みとしては必要であると考えておりまして、これまでその国際的な枠組みの構築等、意欲的な目標の合意を前提とした温室効果ガス二五%削減目標は従来と変わりなく掲げてまいります。
 次に、今後の原発の稼働に関する質問をいただきました。
 浜岡原発の運転停止要請は、想定東海地震の切迫性という特殊要因によるものであります。建設中、停止中の原発については、しっかりと安全性を確認し、適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、各国のエネルギー政策は各国の置かれたそれぞれの環境を踏まえて決定されるものであり、我が国は我が国としてしっかりしたエネルギー政策を考えてまいりたいと思っております。
 次に、原発の安全性強化についての御質問です。
 特に、地震が多発する地域などにおける原発の安全指針の強化を検討することなどが盛り込まれた首脳宣言を踏まえ、原発の安全確保にしっかりと取り組んでまいります。
 今般の原発事故の検証に当たって事故調査・検証委員会を設置したところであり、同委員会での徹底的な検証を踏まえて、今後の安全基準の見直しなど、原子力発電所の安全性強化のため抜本的な検討が必要だと考えております。
 次に、私の訪米時期についての御質問をいただきました。
 私の訪米については、昨年十一月にオバマ大統領から本年前半の招待を受けておりましたが、その後、東日本大震災が発生し、日米両国の国内日程等も踏まえ、日米間の外交行事を調整してきたところであります。国会の了承を前提に、六月の下旬にいわゆる2プラス2を開催し、また、この夏のバイデン副大統領の訪日、そしてさらに九月前半の私の訪米招待が先般の日米首脳会談においてオバマ大統領からなされたものであります。このような全体的なスケジュールに沿って日米関係を進展させていきたいというものであります。
 オバマ大統領との間では、安全保障、経済、文化・人材交流といった分野で日米同盟を深化させる作業を加速させ、私の訪米の際に二十一世紀の日米同盟の共通のビジョンを示すことで一致をしているところでありまして、御指摘は全く当たらないと考えております。
 次に、政権の将来についての御質問をいただきました。
 昨年六月の総理就任以来、オバマ大統領とは四度の会談を行い、日米関係の深化に努めてきましたが、公式な訪米はまだ実現しておりません。今般、オバマ大統領から改めて訪米の招請を受けました。訪米を果たすことによって日米関係を更に深化させ、政権としての責任を果たしていく所存であります。
 日本・EU・EPAについての御質問をいただきました。
 世界最大の経済規模を誇るEUとの間で経済的関係を深めることは我が国にとって極めて重要なことであります。したがって、日本・EU・EPAにつき、前向きに取り組んできたところです。その結果、今般の日・EU定期首脳協議において、日・EU・EPA交渉のためのプロセス開始に合意をいたしました。今般の合意を踏まえ、まずは交渉の大枠を定める作業、いわゆるスコーピングを可能な限り早期に実施することといたします。
 我が国としては、国を開くとの方針の下、政府一体となって、非関税措置や政府調達等の分野でEU側の関心事項にしっかりと取り組んでまいります。これは、五月二十日のFTAAP及びEPAのための閣僚会合で了承されたものであります。
 今後、日・EU双方で速やかに更なる作業を進め、是非EPAを前進させたいと考えております。
 次に、北方領土の問題についての質問をいただきました。
 自国の領土を守ることは我が国の主権にかかわる最重要な問題であり、領土問題の解決に全力を挙げて取り組んでまいらなければならないと考えております。
 イワノフ副首相らの北方四島訪問に関しては、松本外務大臣からベールイ駐日ロシア大使に抗議をいたしました。また、韓国国会議員の北方領土訪問に関しては、同じく松本外務大臣から権哲賢駐日韓国大使に抗議をいたしました。
 日ロ首脳会談では、北方領土問題に関し、私からメドベージェフ大統領に対し、あらゆる分野で日ロ関係を発展していく中で領土問題を解決に向けて進展させていきたい旨を述べました。
 また、イワノフ副首相の北方四島訪問については、外務大臣からの申入れに言及しつつ、日本の立場を明確に伝達いたしました。その上で、静かな環境の下で領土問題についての協議を続けていくということで合意をいたしたところであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣海江田万里君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(海江田万里君) 石井準一議員にお答えをいたします。
 太陽光パネルの設置に関する御質問をいただきました。
 今般のサミット等で総理が表明した自然エネルギーに関する目標については、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて総理が強い決意を示されたものと認識しております。この目標については実現可能との認識を総理と共有しておりますので、今後、目標達成に全力を挙げていく所存でございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(西岡武夫君) 石川博崇君。
   〔石川博崇君登壇、拍手〕
#13
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
 ただいま議題となりました菅総理のサミット出席報告に関し、公明党を代表して、質問をさせていただきます。
 質問に入る前に一言申し上げます。
 三月十一日に発生した東日本大震災から間もなく三か月になります。福島の原発地域を除く被災地では、ようやく復旧・復興に向けた歩みが少しずつ見られております。最愛の家族を失うなど筆舌に尽くし難い悲しみを背負った方々が涙を拭い、励まし合いながら勇気を持って頑張る姿に、人間の無限の可能性を見出し、深い感動を覚えるのは私だけではないと思います。
 私ども公明党は、人間の復興を基本理念とした復興ビジョンを提示しております。すなわち、憲法の定める幸福追求権、第十三条、そして生存権、第二十五条の保障のため、住民一人一人に視点を当てた地域主体の復興計画を推し進め、これを国が全面的に応援していくというものです。
 我が国日本は、これまでも、明治維新、第二次大戦での敗戦など、国家存亡の危機を幾度も乗り越え、発展してまいりました。今回の大震災からの一日も早い復旧・復興に向けて、今こそ私ども国会議員が、こうした被災地の方々の思いを我が思いとして、誰よりも全力を尽くさなければなりません。
 しかしながら、菅総理、あなたからは、そうした被災者の方々と一緒になって復旧・復興を進めていこうという信念や決意を残念ながら全く感じることができません。あなたの政治指導力のなさ、スピード感の欠如に国民の多くはいら立ちと怒りを覚えております。初動対応を誤り、思い付きのような唐突な指示を出し、会議体を次々と増やしては指揮命令系統を混乱させました。また、炉心溶融など次々と新事実が明らかになる、訂正を繰り返す、言った言わないで内輪もめをするなど、政府発出の情報に対する信用は地に落ち、国際社会からも不信感が突き付けられました。
 今回のドーヴィル・サミットにおける、菅総理、あなたの最大の使命は、その傷つけられた日本の信頼を少しでも回復することであったはずです。ところが、世界中が、菅総理、あなたの発言に注目しているそのときに、東京電力福島第一原発一号機への海水注入中断をめぐって政府、東電の説明が二転三転し、あなたの国際社会へのメッセージも信頼性を失いました。
 あなたが立ち上げた統合対策本部は、東京電力との情報共有を十分に図るためのものであったはずです。その最高責任者、統合本部長として、こうした情報発信の在り方とあなた自身の責任についてどう考えるか、総理の御所見を求めます。
 それでは、サミットについての具体的な質問に入らせていただきます。
 今回、総理は、二〇二〇年代のできるだけ早い時期に自然エネルギー発電の割合を二〇%台に引き上げると表明されました。そもそも、我が国における自然エネルギー発電の中では、現在、水力発電が八割以上を占めておりますが、民主党はコンクリートから人へという標語を掲げ、脱ダム宣言を行い、水力発電を中心とする自然エネルギーの活用に非常に後ろ向きでありました。自然エネルギーの発電割合は現在約九%、水力発電を除く太陽光、風力、バイオマスなどの発電割合は僅か一%しかない現状で、これを今後どう増やしていくのか、根拠はあるのか、必要経費は電気料金の大幅な値上げになるのでは等々、国民は不安を感じております。
 驚くべきは、この目標を実施、推進する経産大臣が事前に聞いていなかったと発言し、政府内で経産大臣すら全く知らないまま表明されたことが判明いたしました。国際公約となるサミットの場です。サミットは個人的な夢や個人的な妄想を語る場ではありません。まさか菅総理のお得意の思い付きで発言されたわけではないと思いますが、総理は実現可能性、積算根拠などの事務的な詰めをどう行って今回の表明に至ったのか、明快な説明を求めます。
 次に、自然エネルギー発電割合を二〇%台にすることを表明して、原子力、火力発電の割合をどうするのか明言しないのは無責任です。それぞれ何割にするのか、経産大臣の答弁を求めます。
 太陽光の発電コストは現在一キロワット時当たり四十円余りであり、今回の発表のとおり仮に二〇三〇年に六分の一にコスト引下げができたとしても、それで火力発電と同程度、原子力発電よりもコストが高いことになります。今後、こうした太陽光の発電コストを引き下げ、太陽光パネルの設置を全国的に拡大するには、既存の補助金や優遇制度の大幅な拡充が必要と考えますが、経済産業大臣の答弁を求めます。
 自然エネルギーの割合の増加に加えて、今後省エネと節電を推進する必要があります。例えば、LED電球は一般の白熱電球よりも消費電力が十分の一、寿命は約四十倍と言われており、これを全国で導入すれば大規模な節電効果が見込まれます。一家庭当たりの電球数は平均六個、そのうち一個を全家庭がLED電球に替えるだけで原発一基分の節電になるという試算もあります。
 そこで、自公政権の時代から実施してきた家電のエコポイント制度は本年三月末で終了しましたが、これに節電という視点を加えて、エコ・節電ポイント制度を導入すべきと考えますが、経済産業大臣の見解を求めます。
 続いて、G8首脳宣言の内容について質問いたします。
 まず、今回の首脳宣言では、日本との連帯に多くが割かれ、日本の復興に対する支援、協力をG8首脳が力強く表明してくれたことに国民を代表して感謝申し上げます。
 そのG8首脳宣言では、日本が原発事故の適切な情報を行うとの総理の約束が明記されております。これは、当然行われるべき情報提供について、これまでの政府の対応が余りにもお粗末であることから、国際社会からの不信感が高く、あえて首脳宣言にも明記されたものと認識しますが、総理の御所見を求めます。
 また、この首脳宣言では、世界経済の項目で、日本の震災復興財源に言及され、財政の持続可能性の問題に対処していくと記述されておりますが、これは、日本の財政規律に対する懸念として、今後の復興財源の議論にも影響を与えるとお考えか、総理の御所見を求めます。
 さらに、今回、総理は、来年後半に原子力安全に関する国際会議を日本で開催することを声高に呼びかけられましたが、首脳宣言にはこの点が全く触れられておりません。これに対し、IAEAが来年六月に開催する同様の会議については明確に歓迎されております。これは、文言交渉時における政府の根回し不足、外交上の失態ではありませんか。あるいは、これも総理の唐突な思い付きだったのでしょうか。外務大臣の答弁を求めます。
 続いて、今回のサミットで主要議題となった中東情勢について質問いたします。
 チュニジア、エジプトの政権転覆に始まり、リビアにおける武力衝突、多国籍軍の軍事行動、イエメンやシリアでの混乱など、今、中東の政治力学、安全保障が大きく揺れ動いております。また、産油国の情勢が石油価格、世界経済に及ぼす影響は大きく、中東情勢はG8各国首脳にとって最大の懸念材料であります。
 特に、リビアの反体制派を支援する欧米諸国にとって、今回のサミットは国際社会の連帯をアピールする重要な舞台であり、主要国の国益と国益がぶつかり合いました。菅総理は、油価高騰の主要因であり、また我が国経済にも大きな影響を与えているリビア情勢に対し、このサミットに一体どのような立場で臨み、日本の貢献策を果たして示せたのでしょうか。菅総理の答弁を求めます。
 菅総理も合意したG8首脳宣言においては、カダフィ政権は正当性がなく退陣すべきとしておりますが、外務省はこれまでリビア国民が決める問題として、ここまで踏み込んだ発言はしていません。これは我が国の外交姿勢の変更を意味するのでしょうか。外務大臣の答弁を求めます。
 最後に、二〇〇一年九月十一日に米国で発生した連続テロ事件の発生から十年目を迎える本年、アルカーイダのウサーマ・ビンラーディン氏が殺害され、各地で報復攻撃と見られる事案が相次いでおります。一昨年の政権交代後、民主党政権はインド洋における補給支援活動をやめ、代わりに五年間で最大五十億ドルの対アフガニスタン支援を表明しました。いわゆる小切手外交となって三年目を迎えるわけですが、アフガニスタンの治安事件数は昨今大幅に増大しております。この民主党政権の五十億ドルの支援は、これまでどの程度アフガニスタンの治安状況の改善に具体的な効果を発揮しているのでしょうか。外務大臣に答弁を求めます。
 以上、総理のサミット出席報告に対して質問をさせていただきました。
 菅総理、三月十一日の東日本大震災以降、あなたのこれまでの行動が一体どれだけ被災者の方々の心を傷つけてきたか、そして国際社会における日本の国益が一体どれだけ失われてきたか計り知れません。もはや、菅総理、あなたに東日本の復旧・復興を任せておくわけにはいかないというのが多くの国民の率直な声です。一日も早い菅総理の退陣が日本の国益にかなうと強く訴えまして、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(菅直人君) 石川博崇議員にお答えをいたします。
 まず、情報発信の在り方に関する質問にお答えいたします。
 原発事故発生直後には政府関係部局と東京電力との間の意思疎通が必ずしも十分に行われていないと感じ、三月十五日に東京電力本店に事故対策統合本部、現在の統合対策室を設置いたしました。これにより、政府関係者や東京電力の各部署が一堂に会し、二十四時間体制でプラントの一次情報を共有する体制が構築できました。
 現在でも原発に関する政府や東京電力の公表、特に事故発生直後の事象に関する公表について幾つかの訂正などがされていることは、そうした訂正が重なっていることは大変遺憾なことだと考えております。
 今後とも、統合対策室などを通じ、関係者間の情報連絡の改善強化に努めると同時に、しっかりと、なぜこうした情報が変更などが後にされるのか、そういった原因についてもしっかり把握に努めてまいりたい、そして改善を進めてまいりたい、このように考えております。
 次に、自然エネルギーに関する目標についての御質問をいただきました。
 現行のエネルギー基本計画においては、二〇三〇年における総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を約二〇%とすることになっております。これを二〇二〇年代早期に、早い時期に二〇%にすると、前倒しを今回提起をいたしたわけであります。今般のサミット等で表明した自然エネルギーに関する目標はこうした前倒しでありまして、実現可能との認識を経済産業省を始め関係省庁と共有しております。
 多少具体的に申し上げますと、二〇三〇年度のこの二〇%というものの一つの具体的な数字でいいますと、太陽光発電の導入量を原油換算で千三百万キロリットル、これを発電容量に換算しますと五千三百万キロワットまで拡大する設定になっておりまして、そしてその七割が住宅部門で導入するとすれば、一世帯当たり四キロワット導入されることによってほぼ賄えるというのがこの考え方であります。そして、これを実現するためには、例えば固定買取り制度とか、あるいはいろいろな規制緩和などをやることによって民間の力も十分に期待できますので、私は十分実現可能な政策だと、このように考えております。
 次に、G8首脳宣言についての御質問をいただきました。
 我が国は、国際社会に対し最大限の透明性を持って原発事故に関する迅速かつ正確な情報提供を行うことが重要であるとの考えから、G8首脳宣言においても、原子力に関する非常事態について全ての関連する情報を適宜提供することを約束したところであります。我が国による各国との情報共有はG8サミット首脳宣言にも盛り込まれ、各国首脳の理解を得られたところだと、このように考えております。
 次に、財政健全化と復興財源に関する質問をいただきました。
 ドーヴィル・サミットにおいては、日本が震災後も財政の持続可能性を堅持し、震災復興に全力で取り組んでいくことについて認識を共有したところであります。今後、震災からの復興に向け、復興の具体案を詰め、二次補正予算を編成することになりますけれども、その財源については、復旧・復興と財政健全化の両立を図る観点から、歳入歳出の両面にわたって幅広く検討してまいることになります。
 次に、リビア情勢についての御質問をいただきました。
 リビア情勢に関する我が国の基本的立場は、カダフィ政権による自国民への暴力は即時に停止されるべきというものが基本的な立場となっております。我が国は、今なお暴力を継続しているカダフィ政権を強く非難しており、関連する国連安保理決議に従い、カダフィ指導者及びその関係者に対する資産凍結等の措置を実施しております。
 G8サミットにおいて、私は、リビアを含む中東・北アフリカ情勢に関し、まず公正な政治・行政運営、次に人づくり、次に雇用創出・産業育成を中心に同地域への支援を行っていく考え方を表明いたし、議論に建設的に貢献をいたしたところであります。その結果、G8首脳としてリビアに関する明確なメッセージを打ち出すことに合意したものであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣海江田万里君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(海江田万里君) 石川博崇議員にお答えを申し上げます。
 まず、二〇二〇年代における電源構成に関する御質問をいただきました。
 平成二十一年度末時点で発電電力全体に占める原子力発電の割合は約三割、火力発電は約六割となっています。今後のエネルギーの安定供給の確保のためには、原子力の更なる安全性の向上、再生可能エネルギーの導入拡大に加え、社会全体の省エネ化、分散型電源の普及促進や化石エネルギーの有効利用など、政策を総動員しながら中長期のベストミックスを目指していくことが必要です。
 二〇二〇年代の電源構成については、こういった点や今日の原子力発電所事故の検証結果等も踏まえ、今後のエネルギー政策の在り方を議論する中で検討してまいります。
 次に、太陽光発電のコストについて御質問をいただきました。
 御指摘のとおり、太陽光発電システムの導入を拡大していくためには発電コストの引下げが必要です。住宅用を中心とする太陽光発電については、導入補助制度に加えて、二〇〇九年十一月から余剰電力買取り制度を導入した結果、国内での需要及び生産が拡大し、太陽光パネルの価格が下がる等、コストの低下が進んでいます。引き続き、更なる発電コストの低下に向けて革新的な技術開発に取り組むなど、政府として最大限の努力をしてまいります。
 最後に、エコ・節電ポイントについての御質問をいただきました。
 御指摘の家電エコポイント制度については、環境対策、景気対策、地デジ普及の三つの観点から行ったものであり、相応の効果を上げたものと理解しております。
 家庭部門の節電を促す観点から、省エネ製品の普及促進は引き続き重要ですが、例えば家電エコポイント制度では、一件当たりの事務処理コストがかさむといった課題がございます。このため、各家庭に節電目標・取組を宣言していただき、宣言者、達成者に対して企業協賛による恩典を付与するウエブサイトを設置するなど、家庭の節電に対してインセンティブを与える新たな取組を検討しております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(松本剛明君) 石川博崇議員にお答えを申し上げます。
 G8首脳宣言についてお尋ねがありました。
 我が国が開催する原子力安全に関する国際会議については、事故への対処及び検証等を踏まえて関係国との調整を行う必要があることから、G8首脳宣言での言及は働きかけておりませんが、G8サミットの前にIAEAや関係国には知らせ、理解を得た上で菅総理から発言されたものであります。
 リビア情勢に関する我が国の立場についてお尋ねがありました。
 我が国は、従来から、リビアの指導者はリビア国民自らが決定すべきとの立場ですが、この点に関しては、G8首脳宣言においても、リビア国民の意思を反映した政治的移行の支持へのコミットに言及があると承知をしております。
 我が国を含む国際社会は、従来から、リビア当局に対し、自国民に対する暴力の即時停止を繰り返し求めてきましたが、リビア当局は今なお暴力を継続し、状況は深刻となっていることから、今般の首脳宣言の合意に至ったと理解をしております。
 アフガニスタンの治安状況及び我が国の対アフガニスタン支援についてお尋ねがありました。
 アフガニスタンの治安状況については、厳しい状況が続いている中、我が国の支援は二〇〇八年から約七五%増加したアフガニスタンの警察官の増員に貢献してきており、今後それらが警察官の能力向上と相まって治安状況の改善ないし悪化防止に具体的な効果を発揮するよう最大限努力してまいります。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(西岡武夫君) 松田公太君。
   〔松田公太君登壇、拍手〕
#18
○松田公太君 松田公太です。
 私は、みんなの党を代表して、菅総理のG8ドーヴィル・サミット報告について質問をさせていただきます。
 今年で第三十七回目を迎えたサミット。言うまでもありませんが、不本意な形で日本が最も注目を浴びることとなってしまいました。その大切なサミットで、菅総理は異例の冒頭発言の場を与えられました。これだけ大きな事故を起こしてしまい、世界に多大な心配と迷惑を掛けた直後です。私は菅総理に、当事国の指導者として、世界観、哲学、そして強い理念を語っていただきたかった。しかし、残念ながら、せっかく与えられた演説の場で強い理念を感じさせるような訴えはありませんでした。それどころか、このサミットで、日本も含めて世界中に更なる不信感を与えてしまったのではないかと思っております。
 その不信感を増幅させた理由は大きく分けて二つあります。一つは、言っていることとやっていることが違うと思われてしまったこと。もう一つは、思い付きで話をしていると知れ渡ってしまったことです。
 例えば、最大限の透明性を持って全ての情報を提供するという発言を何度もされていましたが、G8の開催中に福島原発五号機が冷却機能を失うということが発生してしまいました。しかし、今回も国民への発表が半日遅れとなってしまい、つまり、菅内閣の隠蔽体質が全く改善されていないことが世界的に判明してしまったわけであります。これでは、言っていることとやっていることが違うと思われても仕方がありません。
 また、これもG8の真っただ中に露呈された海水注入問題、これも恥ずかしいほどのどたばた劇で、結局、真実が語られたのは、IAEAの視察が来て本当のことが発覚しそうだからという理由でした。
 菅総理、あなたの監督責任下で今までどれほどの情報が保身のために隠されてきたか、想像も付きません。情報公開、ディスクロージャーは国のリーダーとしての責務だと思います。我が党の渡辺喜美代表は、事故発生の翌日には、与野党党首会談でメルトダウンの可能性についても追及しているではないですか。私も早い段階から、メルトダウンを前提にした対処策の必要性を経済産業委員会などで提言してきました。総理もその可能性を本当は分かっていたはずです。
 なのに、なぜ事故発生後二か月以上たつまでメルトダウンの可能性についてそれを公表されなかったのですか。教えてください。もし事前に可能性の一つとして公表していれば、国民もここまで落胆せずに事実を粛々と受け入れることができたはずです。
 そして、さらに、先ほども質問が出ていましたが、もう一度お聞きします。現段階で、総理が本当は知っている、若しくは可能性を推察しているがまだ公表していないというものがあれば、この場で全て話をしていただきたいと思います。隠していることは本当にないのでしょうか。もしここで公表していないことが後で発覚したら、G8で国際的に約束された最大限の透明性を持って迅速に全ての情報を提供するということがうそになってしまい、菅総理は、歴史に名を残すインターナショナルうそつきプライムミニスターということになってしまいます。是非、それを念頭に正直に答えていただければと思います。
 また、突如発表された一千万戸の屋根にソーラーパネルを設置するサンライズ計画。私はビジョンとしては良いものだと思います。しかし、菅総理は何年までにとビジョンに日付を入れてしまいました。どの世界でもそうですが、納期を発表した瞬間にビジョンは具体的な目標となってしまうのです。これは既に日本の国際公約となってしまったわけです。大きなイメージを伝えるだけなら国内での調整や計画の策定は必要なかったかもしれない。しかし、公約を発表するのに、それを担当する海江田大臣ですら知らなかったというのはどういうことなのでしょうか。今回は、人生不条理だのコメントでは済まないことなのです。民主党は、マニフェストもそうでしたが、公約を余りにも軽く考え過ぎです。
 これは、コーヒーチェーンの社長だった私が、社員はおろか、担当役員に全く断りもなく、社外の会合で突然、今後我が社はコーヒーの売上げを大きく減らし、紅茶の売上比率を二〇%以上に引き上げますと発表するようなものです。社長の勝手な発表を後で聞かされた役員や社員はどう思うでしょうか。そんな社長に付いていきたいと思いますか。民間でそんな会社の社長が存在したら、その会社はとっくのとうに潰れていると思います。
 このサンライズ計画は、いつ、どこで、誰と作ったものなのですか。G8のために慌てて出してきたものだとしか思えません。
 また、ドイツでは原発全廃の議論を政府が国民に生中継して行いました。総理は、この全国民にかかわるエネルギー政策をオープンにするつもりはありますか。あるとしたら、このサンライズ計画は、なぜこっそり、国民どころか経済産業大臣にすら伝えずに発表してしまったのでしょうか。理由をお伝えください。
 この言っていることとやっていることが違うと思い付きで話すというのは、菅さんが総理大臣になって始まったことではありません。前の総理大臣の鳩山さんと実は同じことを繰り返しているんです。サンライズ計画について話をする菅さんの姿に、私は、鳩山さんが国連総会でCO2の二五%削減を約束している姿がダブりました。
 つまり、これは一個人の問題というよりは、民主党政治の根本的な問題ではないかと思ってしまいます。どうしても、ポピュリズムに走るがゆえに達成できない目標をぶち上げてしまう、その場その場を乗り切れればいいやと場当たり的な体質が政党の中に根付いてしまっているのではないですか。そのような政党には一回ばらばらになっていただいて、出直していただくしかない。実際、その方が良いと思っている民主党議員も多数いらっしゃいますよね。国民も、現在の日本は未曽有の危機に直面していて、一つにならなくてはいけない状況だということを十分認識しています。そんな状況下でも内閣支持率が二〇%台から一向に上がらないのは、菅総理では無理だと感じているからです。
 総理は、以前、一%の支持率になっても辞めないとおっしゃいました。これは私が政治家になって間もないときに発せられた言葉で、新人議員として非常に大きなショックを受けました。それから半年がたちましたが、ここでお聞きしたいのですが、総理がおっしゃった一%の支持率になっても辞めないという考え、これは今現在も変わりはございませんか。変わらないのであれば、何%になったら総理は辞職するべきだとお考えでしょうか。
 さて、総理は、世界中の原発の安全基準作りに寄与したいともG8で発言してきました。最近やっと学校での目標値を一ミリシーベルト以下にすると文科省は発表しましたが、元々安全としていた二十ミリシーベルトは国際的な基準と比較して適切だと思われますか。また、作業員が沃素剤を飲まずに、マスクも着けずに二百五十ミリシーベルト以上被曝してしまったという甘い管理体制、このようなことも国際基準にしたいとお考えでしょうか。何か問題が発生したときに限って全て電力会社の責任にするのは国際基準でしょうか。自然災害の想定を低く見積もって安全神話作りをするのも国際基準でしょうか。何をもって国際基準作りに貢献すると発言したのか、御説明いただければと思います。
 私は、先日、福島までボランティアに行ってきました。総理は、今の福島県民が何と言っているか御存じでしょうか。菅総理や世の中は復旧・復興と盛んに言っているが、そんなことを言っていられない現実が目の前にあるんだ、まだまだ原発がどうなるのか分からなく、心配で夜も眠れない。実際、昨日の四号機の水素爆発や、五号機の冷却ポンプ停止、汚染水の漏れ、そして冷却停止も工程どおりに進むか全く分からない、予断を許さない状況が続いているのです。福島の住民にとってはまだ非常事態が一日も途切れることなく続いているのです。そんな中で、国際基準作りに貢献したいという言葉は、己の置かれた立場を全くわきまえない、のんきな発言です。
 それはまるで、崖から落ちそうになった人がロープを投げてもらい、命からがらぶら下がっている状態で、そのロープを投げてくれた人たちに対して、僕が助かったら正しいロープの投げ方を投げて教えてあげますからねと言っているようなものです。本当に恥ずかしい限りです。菅総理、G8で大見え切ってそのような話をするのは時期尚早だったとは思いませんか。是非お答えください。
 さて、総理にとっては耳が痛い話をこの十分少々でさせていただきました。覚えていらっしゃるかどうか分かりませんが、総理、今年二月に一度、私と官邸で二人きりでお会いいただきました。一年生議員、しかも野党の議員と一対一で会っていただけるその懐の広さを持っているのが菅総理の一面ではないかとも私は感じております。
 そう信じて、最後に、私の苦い経験についてお話をさせていただきます。
 私は、経営者時代、社外から敵対的買収を仕掛けられました。しかも、同じタイミングで社内では造反に遭ってしまったのです。自分ではまだまだやれると思っていました。造反組や買収企業と戦って、自分の力でもう一度立て直すこともできると思っていました。しかし、それにはリスクが伴いました。何か月、何年続くか分からないその戦いを続けてしまうと、コーヒー会社として本来やらなくてはいけない、お客様の方だけをしっかりと向いて、最高のコーヒー、最高のおもてなしを提供するということがおろそかになってしまう、経営理念の、一杯のコーヒーを通じて、仲間とともに新しい価値を創造し、そして成長するという思いが達成できなくなるかもしれないというリスクです。それは、お客様、消費者、そして一般社員に対して一番の背任行為になると思いました。
 そこで、考えに考え抜いた結果、私自身はトップの座から降りて、次の経営者にバトンタッチすることを決心したのです。本当に自分が育てた娘を手放すようで断腸の思いでしたが、今ではそうして良かったと思っています。会社は一気に平常に戻り、大変厳しい日本の経済環境が続く中、今もなお成長を続けることができております。
 今、日本は大変な時期なのでトップを替えるべきではない、そういう議論は、私は反対でしかありません。それは、今のポストにしがみつきたいと思っている政治家たちの逃げ口上でしかないと私は思います。私は今まで数多くの会社を見てきましたが、駄目になって倒産してしまう会社は、社長や役員が最後までポストにしがみついたケースがほとんどです。組織論から考えると政治も同じなのです。
 菅総理は、昨年、予算委員会の場で初めて私の質問にお答えいただいたとき、御自身もある意味ベンチャー起業家と同じスピリットを持っていると話をされました。一市民運動家が政党をつくり、そして今となっては総理大臣になれたと、私もそう思います。
#19
○議長(西岡武夫君) 松田君、時間が超過しております。簡単に願います。
#20
○松田公太君(続) 菅総理は、政治の世界のベンチャー起業家です。だからこそ、冷静になっていただければ、今の状況を見渡すことができるはずです。一つにならなくてはいけない日本の政治は、今ばらばらになる寸前なんです。
#21
○議長(西岡武夫君) 松田君、簡単に願います。
#22
○松田公太君(続) 菅総理、いかがでしょうか。引き際が大切だと思います。日本の未来のために、是非とも御退陣いただけませんでしょうか。それを私の心からの問いとし、質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(菅直人君) 松田公太議員にお答えを申し上げます。
 まず、原発事故の情報公開に関する御質問をいただきました。
 メルトダウンについては、事故の当初から官房長官は記者会見等でその可能性に言及されていたと理解をいたしておりますが、政府としてそうした可能性についての認識は一定程度持っておりました。
 しかし、この段階では、原子炉内の状況について東電から伝わってくる情報は、まだ正確な状況は分からない中で、三分の二程度は水がかぶっているところまで水位があるようだというデータを基に保安院等が一つの見解をまとめておりました。私もいろいろな人からいろいろな意見は聞いておりましたけれども、少なくとも政府としての公式的な立場としては、その時点ではそういうデータを基に保安院が提示をしていた見解を政府としての一定の見解として考えておりました。
 しかし、いろいろな危険性は当然のこととして考えておかなければなりませんので、何をおいても冷却を続けることがいずれの状態においても最重要だという認識を持っておりましたから、そのことを今日までずっと継続してきているわけでありまして、そういった意味で、今日かなりの温度が下がってきていることは、決して対応としては間違っていなかったものと、このように考えております。
 また、五月になって東京電力がメルトダウンしているということを認めるまで、一―三号機の原子炉で燃料棒の損傷があるものの、メルトダウンではないという公式見解が示されておりましたけれども、その後の調査によってメルトダウンが明確になったということでありまして、そういう形が把握できるのが時間が掛かったことについては大変申し訳なく思っております。
 次に、自然エネルギーの割合の引上げに関する御質問をいただきました。
 私は、実はサンライズ計画というのは、今回のG8では私からは一切触れておりません。事前の政府の中での議論の中であった議論が一部マスコミに流れたようでありますけれども、私としてG8サミットの中でこの言葉は使っておりません。
 申し上げたのは、二〇二〇年代のできるだけ早い時期に発電電力量に占める自然エネルギーの比率を少なくとも二〇%に引き上げるということを目標として申し上げました。この根拠は、先ほども申し上げましたように、二〇三〇年までの予定を前倒ししたもので、二〇三〇年代においては具体的な試算も、これは経産省がベースになっておりますが、出されているところであります。
 また、実現可能性については、既に民間のいろんな方も、規制を緩和する、あるいは固定買取り制度を導入してもらえばもっと投資をしてもいい、あるいは個人としても採用してもいいという声もたくさん出ておりますので、私は、そういう形で十分に達成可能な目標だと、そのように考え、また達成しなければならないと、こう思っております。
 次に、支持率についての御質問をいただきました。
 私は、国民の皆さんの声は本当に真摯に耳を傾けなければならないと思っております。と同時に、やはり政治家が、あなたのやっている政策はここが悪い、だから辞めなきゃいけないと言われるのであれば、それはその政策の良しあしを私なりに判断しなければならないと思いますが、政策ではなくて支持率だけで、何か何%だったら辞めるとか辞めないとかという、それは少し違うんではないだろうかと。あくまでやっていることが国民のためになるか、あるいは歴史においてきちっと評価されるか、それをそれぞれの政治家が考えて出処進退を考えるのであって、単に数字がこうなったからということが私は絶対的な基準になるものとは考えておりません。しかし、いずれにいたしましても、国民の皆さんの声は真摯に受け止めて行動してまいりたい、このように考えております。
 次に、原発の安全基準作りの国際貢献に関する質問をいただきました。
 今回の事故で得た経験、教訓など、こうした事故を起こしたことの反省も含めてそれを国際社会で共有化することは私は歴史的な役目だと、そのことが結果において世界の原子力安全の向上に貢献していくことになると、こういうふうに考えておりまして、決して失敗したことを何か、このことから自慢をして何かするといったようなことでは全くなくて、その反省に立って、そのことが世界の原子力の安全性につながるようにという趣旨で申し上げているところであります。
 なお、学校におけるこの国際基準の二十ミリシーベルトの議論がいろいろありますけれども、決して、これは二十ミリシーベルトを暫定的な目安として、現在は一ミリシーベルトに実質上はなるような努力をしているということで御理解をいただきたいと、このように思っております。
 次に、いろいろ松田さん御自身の経験も踏まえて、私の退陣についていろいろとお話をいただきました。
 私も、確かにお会いをしたり、あるいは答弁の中で、ベンチャー企業をつくられた松田さんに対して私がベンチャー政党という表現をしたかもしれません。私は、先ほども申し上げましたように、やはり今自分が置かれた状況の中で自分がやっていることが本当に国民の皆さんにとってどうなのか、歴史から見てどうなのか。瞬間瞬間確かにいろんな評価があると思います。
 私は、今私がここに置かれた状況の中でいえば、三月十一日の大震災の発生も含めて、少なくとも、危機の中の危機として、この危機を一定程度ちゃんと乗り越えること、そして、その前から日本の中で成長が止まり閉塞感があるこの状況を打ち破る、その道筋については、それは付けることが私なり私たち世代の役目ではないか、このように考えておりまして、しっかりと仕事を進めてまいりたいと、このように申し上げておきたいと思います。(拍手)
#24
○議長(西岡武夫君) これにて質疑は終了いたしました。
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#25
○議長(西岡武夫君) 日程第二 東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長佐藤公治君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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   〔佐藤公治君登壇、拍手〕
#26
○佐藤公治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、東日本大震災により多数の被災者が一般旅券を紛失し、又は焼失したことに対処するため、一般旅券の発給の特例として、地震発生時点で有していた一般旅券の有効期限までの震災特例旅券を発行できること、震災特例旅券の発給に係る国の手数料は徴収しないこと等について定めるものであります。
 委員会におきましては、趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#27
○議長(西岡武夫君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(西岡武夫君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(西岡武夫君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十二  
  賛成           二百三十二  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#30
○議長(西岡武夫君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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