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2010/10/21 第176回国会 参議院 参議院会議録情報 第176回国会 外交防衛委員会 第2号
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2010/10/21 第176回国会 参議院

参議院会議録情報 第176回国会 外交防衛委員会 第2号

#1
第176回国会 外交防衛委員会 第2号
平成二十二年十月二十一日(木曜日)
   午後一時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十日
    辞任         補欠選任   
     石井  一君     江田 五月君
 十月二十一日
    辞任         補欠選任   
     江田 五月君     石井  一君
   ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 公治君
    理 事
                榛葉賀津也君
                谷岡 郁子君
                岸  信夫君
                佐藤 正久君
                山本 香苗君
    委 員
                石井  一君
                大野 元裕君
                北澤 俊美君
                徳永 久志君
                広田  一君
                舟山 康江君
                猪口 邦子君
                宇都 隆史君
                島尻安伊子君
                浜田 和幸君
                山本 一太君
                山口那津男君
                小熊 慎司君
                舛添 要一君
   国務大臣
       外務大臣     前原 誠司君
       防衛大臣     北澤 俊美君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  福山 哲郎君
   副大臣
       法務副大臣    小川 敏夫君
       外務副大臣    松本 剛明君
       農林水産副大臣  篠原  孝君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  徳永 久志君
       文部科学大臣政
       務官       林 久美子君
       経済産業大臣政
       務官       田嶋  要君
       国土交通大臣政
       務官       津川 祥吾君
       防衛大臣政務官  広田  一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        堀田 光明君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       古澤 ゆり君
       内閣法制局長官  梶田信一郎君
       警察庁警備局長  西村 泰彦君
       法務大臣官房審
       議官       甲斐 行夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (尖閣諸島周辺領海内における我が国巡視船と
 中国漁船との接触事案に関する件)
 (日中関係に関する件)
 (朝鮮学校への高校無償化適用に関する件)
 (日韓併合百年の総理談話に関する件)
 (日米同盟に関する件)
 (防衛大綱の見直しに関する件)
 (武器輸出三原則等の見直しに関する件)
 (宮崎県で発生した口蹄疫への対応に係る自衛
 隊の災害派遣に関する件)
 (文民統制に関する件)
 (食料安全保障に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(佐藤公治君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣参事官古澤ゆり君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(佐藤公治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(佐藤公治君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。
 両大臣の所信に対する質疑に入る前に、民主党の小沢元幹事長の政治と金に対する両大臣の見解をただしたいと思います。
 今回小沢議員は検察審査会から起訴相当の議決をされ、今後起訴されるという運びになる、そして刑事被告人の身になると思われます。国民は、政治と金に関する、特に小沢さんのこの問題、もううんざりなんですよ。しっかりと国会の場において説明をしないと、菅政権に対する国民の信頼、幾らいいことをやってもなかなか信頼されない。また、我々国会に対しても、あれほど国会で説明すると本人が自ら言い、菅総理も代表選のさなか不十分であれば説明してもらうと明言しているわけですから、ここでしっかり国会の場で証人喚問という形で説明していただく、これがこれから外交防衛委員会でいろいろ審議をして国民に我々のこの思いというものを伝える意味でも、政策を実行する上でも、私は大事だと思います。両大臣の見解をお伺いします。
#6
○国務大臣(前原誠司君) 佐藤委員にお答えをいたします。
 検察審査会というのは国民から選ばれた方々が御判断をされる場所であって、国民感覚というのは一番私は反映をされるものだというふうに思っております。そこで、仕組みとしては二回起訴相当になれば強制起訴になるということで、今回そういう事案になったわけでありまして、国民の全般の今回の小沢さんの政治と金にかかわる問題意識というのを一つ私は反映をしているのではないかと思っております。
 従来から小沢元幹事長も国会の場で説明するのにはやぶさかではないとおっしゃっていたわけでございますので、私はしっかりと国会のしかるべき場で自らお話しされるのが適当ではないかと、そう思っております。
#7
○国務大臣(北澤俊美君) まず、私は党の役員をしておりませんから、このことについて質問されても答弁をする立場にはないわけでありますが、また今外務大臣からお話がありましたように本人の意思もあることですから、国会でお決めをいただいて粛々とおやりになることは結構だというふうに思います。
#8
○佐藤正久君 やはりしっかりと説明しないと、幾ら国会の場で我々が議論をしても、それ自体がなかなか国民から評価されないと思います。是非とも国会の場で、正々堂々と証人喚問という場で説明していただきたいということを強く要望したいと思います。
 それでは、両大臣の所信に対する質疑に移ります。
 まず、尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁との、巡視船との衝突事件について伺います。
 前原大臣におかれましては、先般決算委員会で私が尖閣諸島に関する外務省の見解のホームページ、これにおけるQアンドA、これを中国語等に訳すべきだということに対して、外務省の方から聞いているのは今作業中だということで前向きに対応をしていただいていると、まずそのことについて感謝したいと思います。
 ただ、菅政権の内閣の閣僚あるいは民主党幹部の発言、これはひどい、余りにもひどいと思いますよ。仙谷官房長官、その代表格ですけれども、十九日の参議院の決算委員会で中国漁船の船長の釈放をめぐって我が党の丸山議員の質問に対して、健忘症なのか分からないが記憶にないと言われました。健忘症なら普天間問題やあるいは防衛計画の大綱、安全保障を取りまとめる官房長官としてはふさわしくないと思います。それが本当であれば、まじめに診断書を出していただきたいぐらいですよ。
 官房副長官、健忘症の官房長官、これじゃ安全保障、対応できないと思いませんか。
#9
○内閣官房副長官(福山哲郎君) 佐藤委員にお答えします。
 私は、官房長官はしっかりと適切に政府としての仕事をこなしていただけるものと考えております。
#10
○佐藤正久君 だったら、あんな健忘症とか、あんなごまかしちゃ駄目ですよ。何でああいう表現をするんですか。そのほかにもいろんな不適切な発言がある。決算委員会で委員長からも注意を受けた。本当に真摯にこの国を運営する、そういう気概があるのか、安全保障をまじめにやろうとしているのか疑わしいと言われても仕方がないと思いますよ。しっかり官房長官、今日は出席要求しましたけれども出てこないということですので、福山官房副長官の方から厳しく、そういう指摘があったということをお伝え願いたいと思います。
 また、その発言の中で、丸山議員の話によりますと、官房長官は中国がAPECに参加しないとAPECが吹っ飛ぶと言われたようです。外務大臣も同じ認識ですか。仮にAPECに中国が参加しないとどういう問題があるんでしょうか。
#11
○国務大臣(前原誠司君) それぞれの国が、二十一か国が参加をされて、地域の問題あるいは地域の成長、そしてまた二〇二〇年にはAPEC全体で経済統合していこうというその過程を、プロセスを議論をする場でございますので、それぞれの国が参加をされることが自らの利益になられると思いますし、どの国が出席する、欠席ではなくて、まずは自らの国益に基づいて参加をされるというものがAPECの会合だという認識を持っています。
#12
○佐藤正久君 私も同感ですよ。
 もしも官房長官が中国が参加しないからAPECが吹っ飛ぶ、だから船長を釈放したということが本当に思っていたとしたら、これは大問題だと思いますよ。APECと領土や主権、どっちが大事か、だれが考えたって分かりますよ。どの国がAPECを主催するにせよ、APECより領土、主権というものをないがしろにする、そういうような政権に統治されている国民、本当不幸だと思いますよ。仮に官房長官のこの発言が本当であったとしたら、私は、菅内閣は内閣としてこの国をつかさどる、そういう資格もないと思います。即刻の退陣を求めたいと思います。
#13
○国務大臣(前原誠司君) その丸山議員の発言をもう前提として今佐藤委員は御質問されているわけでありますが、この間の決算委員会ではそういうことはないということを否定をされているわけでございますので、そのことについては是非伝聞を前提にして御質問するんではなくて真実を前提にしてお話をいただきたいと思いますし、APECについては先ほど申し上げたとおりでございます。
#14
○佐藤正久君 それは前原大臣、間違いですよ。官房長官は否定はしていないんですよ。健忘症か分からないが記憶にないと言っているんです。否定はしていないんですよ。一緒にいたら分かるでしょう。そういううそを言っちゃ駄目ですよ。否定はしていないんですよ。
 また、枝野幹事長代理、この発言もひどい。中国人船長の釈放に関して検察に半分悪意があると。検察に半分悪意がある、検察が政権の足を引っ張ろうとしたという発言をインターネット番組で我が党の石原幹事長との対談で述べたようです。私もその起こしを見ました。実際言っています。その根拠は私は分かりませんが、枝野幹事長代理の発言ですけれども、検察が菅政権の足を引っ張ろうと。更に彼はこう言っています。検察が菅政権の意向をそんたくしたのがいけない、勝手にそんたくされ、仙谷官房長官はタイミングからやり方まで不満だと、そう思うというふうにテレビで、インターネット番組で述べられています。
 前原大臣、この事実承知していますか。
#15
○国務大臣(前原誠司君) 報道で、まあインターネットだったかもしれませんが、そういった発言をされたということについては事実として存じ上げておりますが、私は検察が菅政権の足を引っ張ろうとかあるいは悪意でもって何かを判断したということは全くないと信じておりますし、今回の事案というのはまさに司法手続にのっとって行われたものであるというふうに私は理解をしております。
#16
○佐藤正久君 枝野幹事長代理、まだ民主党の幹部ですよ、前の幹事長の発言がこういうことを言われる。インターネットの番組見たらすぐ分かりますから。しかも、明らかにその発言というのは、仙谷官房長官の発言と政府見解と違いますよね。これは地検独自の判断だ、これを了としたと。地検が判断したと言っているのに、また違うことを言っている。政府の意向をそんたくしたんだ、しかも検察は政権の足を引っ張ろうとした、悪意があると。
 法務副大臣、どう思われますか、これを。
#17
○副大臣(小川敏夫君) 今回の那覇地検の処分は、那覇地検が法と証拠に基づいて適正に処分したものでございますので、そのような悪意があるということは当たらないと思います。
#18
○佐藤正久君 でも、これは法務省としてしっかり調べて抗議すべきですよ。公の場で御党の幹事長代理、前幹事長が言っているんですよ。調べて抗議をする、やらないんですか、法務省。
#19
○副大臣(小川敏夫君) まず、那覇地検のこの釈放処分が民主党に対するあるいは菅政権に対する悪意があったかどうかということに関しましては、調査するまでもなくそういう事実はないと確信いたしております。
#20
○佐藤正久君 質問に答えてください。枝野幹事長を呼んで聞かないんですか。公の場で言っているんですよ。しっかりと確認をして、御党の幹事長代理ですよ、そのぐらいのことをしっかりやらなくてどうするんですか。政権としてあなたたちが言っていたことが覆されているんですよ。全然信頼できないじゃないですか、菅内閣は。民主党の、御党の幹事長代理が言っているんですよ。何で調べないんですか。調べると言ってください、ここで。
#21
○副大臣(小川敏夫君) 調べるというのは、悪意があったかどうかを調べろということの御質問の趣旨ですよね。ですから、そういう悪意はなかったということですので、調べるという考えは持っておりません。
#22
○佐藤正久君 そうではなくて、枝野幹事長代理を呼んでその真意を聞いたらどうですか。彼は何かの根拠に基づいて言っているはずですよ。幹事長代理が公の電波のところで言っているわけですから、何らの根拠もなく言っている、あり得ないと思います。
 枝野幹事長代理、呼んで確認をし、抗議すべきだと思います。それもできないんですか、民主党は。
#23
○副大臣(小川敏夫君) 政治家はそれぞれその考えから発言されることがいろんな場面であることと思いますが、法務省としましてはそのような悪意はないということで対応させていただいて、個々のそれぞれの様々な人の発言に対して逐一それに対応するということがなっているわけではございません。
#24
○佐藤正久君 法務省が調べないんであれば、当委員会で枝野幹事長代理を参考人として招致することを要求します。
#25
○委員長(佐藤公治君) ただいまの件につきましては後刻理事会においてその取扱いを協議いたしたいかと存じます。
#26
○佐藤正久君 仙谷官房長官も枝野幹事長代理も前原さんのグループ、凌雲会のメンバーですよね。二人とも発言が私はどうかなというふうに思わざるを得ません。前原大臣も何か国交大臣のときと外務大臣になってから違うような気がして仕方がない。
 特に二十四日、ニューヨークの午前一時ごろですかね、これは那覇地検の発表の三十分ほど前ですけれども、船長の処分保留の知らせを聞いたと。この前のこの委員会の答弁によりますと、検察の判断として受け入れたと言われました。本当にそのとき初めて知ったんですか。前原大臣、正直に答えてください。
#27
○国務大臣(前原誠司君) そのときに初めて知りました。
#28
○佐藤正久君 でも、これは今までの政権が言っていた国内法に基づいて粛々と対応する、勾留期間を延長し、審議をしている最中のこういう決定と。恐らく国交大臣のときの思いとは違った結果というふうには思います。しかも、これは今後の外交上もいろんなことが起き得るということは容易に推察が付く。
 一緒にいた菅総理のところになぜ行かなかったんですか。そのまますぐ寝てしまうようなそういう小さな案件ではないと思いますが、なぜ総理のところに行って、こういう話を聞いた、今後の方向性、議論するのが普通の感覚だと思います。
#29
○国務大臣(前原誠司君) 当然総理にもお話があったということは確認をしておりますので、検察が決めたことについて総理と相談する必要はないと私は思いました。
#30
○佐藤正久君 この前の委員会では、ほぼ同じころに菅総理と前原大臣のところに行ったと。事前に総理の方にそういう報告が上がっているということを今言われたんですか。
 普通に考えれば、こんな大事なことを夜中の一時といえ、知ったら総理のところに行くのが普通ですよ。行かないとしたら、それは事前に知っていたのか、もしかしたら二人の仲が悪いのか、あるいは(発言する者あり)両方かと。ありがとうございます。普通じゃないですよ。何か外務大臣になってからちょっと発言が国交大臣のときと違ってしまったという感じがします。
 前回の委員会でも山本理事の方からありました。NHKの番組の中で偶発的な事故と言われました。本当に事故ですか。こう立件されている以上は、普通は事件というふうに言うのが普通であって、これは多分、恐らく言葉の使い方を間違ったんだと思います。これは事件だと思います。
 しかも、偶発的という意味は、これは事前に計画したものではなくて、故意にぶつけたとはいえこれは事前の計画的ではないから偶発的という言葉を使ったんでしょうか、お答えください。
#31
○国務大臣(前原誠司君) これは、お隣に座っておられる山本議員にこの場でお答えをしたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、これは国交大臣のときに何度か十一管区の石垣の事務所に私は行きまして、そして今まで国会議員になってから三度あの上空を私は飛んでおります。
 その話とそしてまたその経験からして、これは佐藤委員も御覧になったことおありだと思いますけれども、あそこは漁場なんですね、それで多くの日本の漁船のみならず中国や台湾の漁船がたくさん来ていて、特に今年は、夏は、海水温の関係か分かりませんけれども、かなり中国のみならず台湾の漁船も多かったと。そういう中で追い出し作業をしている、常日ごろその活動をしている十一管区のメンバーの発言として、故意でやったのではないと思うと。つまりは、計画的、まあ故意ですね、でやったのではないと思うと、こういう話で偶発的な事案であると。
 先ほど国土交通大臣のときと外務大臣で言うことが違うということをおっしゃいましたけれども、この私の認識、自分の今申し上げたことについては、国土交通大臣のときに見聞きして蓄積されたものを私の感覚として申し上げたことでございます。
#32
○佐藤正久君 よく分かってないようですね。
 那覇地検も法務大臣も国会の場で故意にぶつけたと言っているんです。故意というのを使っているんですよ。ただ、計画的ではないという意味の多分偶発的ではないですかと私聞いたんです。故意にぶつけているんですよ。那覇地検もそういうふうに認めていますし、法務大臣も答えています。故意にはぶつけたけれども、事前、前からの計画的ではない。ただし、今の説明だけだと、本当に計画的ではないという根拠としては非常にまだ乏しいと思いますよ、分からないですよ。
 あの船長の顔一つ見ても、全然日に焼けていない。そういう漁民がいるんでしょうか。しかも、船長が自分の船をぶつける、普通はあり得ないですよ。船乗りというのは、船は自分の命に懸けても守るというのが普通ですよ。それをぶつける。しかも、あの両手のピースのパフォーマンスとか、あの家を見ても漁民にしてはやや立派なような家だ。本当にそれが計画的ではないと言えるのかどうか、私は疑問だと思いますよ。
 法務省に再度お伺いします。今回の中国漁船は故意に海保の巡視船にぶつけたと法務大臣も述べられていますけれども、故意にぶつけた、この認識は間違いないですね。
#33
○副大臣(小川敏夫君) 那覇地検の釈放の際の記者会見でそのように判断したあるいは認定したと言っております。
#34
○佐藤正久君 故意にぶつけたんだと。
 じゃ、国土交通省にお伺いします。船体損傷の賠償請求を中国側に行いましたか。
#35
○大臣政務官(津川祥吾君) 海上保安庁といたしまして、巡視船の二隻の原状回復につきまして現在中国側には請求をしておりません。
 なお、現在中国漁船に衝突されました巡視船「よなくに」と「みずき」についてはまだ修理が終わっていない段階でございます。原状回復の取扱いにつきましては、今後損害額が確定された後で関係省庁と協議をしつつ適切に対応してまいりたいと思います。
#36
○佐藤正久君 何ですか、それ、適切に対応すると。賠償すると言えないんですか、お願いします、賠償を請求するということ。
#37
○大臣政務官(津川祥吾君) まず、海上保安庁といたしましては、まず今回の損害額を確定をして、その上で、実は、ただどのくらい壊れてどのくらい修理に掛かるかというだけではなくて、外部検査機関による調査というものが必要になります。つまり、その事故によってどのくらい壊れたのかと、そういったものをすべてまず数字が出てからでなければ判断できないということと、それから外務省それから法務省などと相談をさせていただく必要があると思っています。
#38
○佐藤正久君 何でそうやって中国に配慮するんですか。国有財産ですよ。だれが考えても、あれ見ただけでもう数百万以上掛かるのは明白ですよ。多分もう一千万以上掛かるかもしれません。国有財産にかかわらず、どうして請求すると言えないんですか。まさかAPECが終わってから請求するということじゃないでしょうね。こんなことをしたら、官房長官の発言を裏付けすることになるかもしれませんよ。
 どうして損害賠償請求すると言えないんですか。官房長官も記者会見でいずれ損害賠償請求を行うと言っているじゃないですか。なぜ国土交通省として言えないんですか。
#39
○大臣政務官(津川祥吾君) まず、APECとの関係は全くございませんので、そこだけ確認をさせていただきますが。
 それから、損害賠償請求をするにしても、その主体は国土交通省ではございません。それから、どなたに対して損害賠償請求をするかということもございます。それから、中国なのか漁船の船長なのか分かりませんが、その方に対しても日本の国内の国民ではございませんので外務省との相談が必要になるかと思いますし、国として損害賠償請求する際には法務省と相談をさせていただかなければならない、このように認識をしているところでございます。
#40
○佐藤正久君 もう本当に何かたらい回しのような、意思が見えない。今の議論を聞いて国民は本当にがっかりすると思いますよ。
 調整するのは当たり前です。窓口が外務省になるのは当たり前ですよ。だけど、現場で頑張っているのは海上保安官でしょう。実際に本当に危ない目に遭ったと、そういうことも分かっているでしょう。何でそういうことを言えないんですか。やっぱりここはビデオというものを国民に見せないと分からないかもしれない。
 委員長、今回の漁船衝突のビデオ、これを当委員会への提出を要求したいと思います。
#41
○委員長(佐藤公治君) ただいまの件につきましては後刻理事会においてその取扱いを協議したいかと思います。
#42
○佐藤正久君 次に、これに関連するんですけれども、十六日から十九日に行われました中国の反日デモ、これについてお伺いします。
 あろうことか、中国政府のコメントの中に一部群衆が日本側の一連の誤った言行に義憤を示すことは理解するというものがありました。何ですか、これは。ふざけていますよ。いまだに全然、中国、こういう認識を変えていない。外務大臣の認識をお伺いします。
#43
○国務大臣(前原誠司君) この中国外交部報道官の発言に全く理解できません。
#44
○佐藤正久君 私も同感です。この前の決算委員会で前原大臣は中国側の対応は極めてヒステリックだと。よく言ったなと思いますよ。ヒステリックだけでなくて、極めてヒステリックだと。
 であれば、今回この反日デモによって日系の企業も被害を受けていますよ。であれば、やっぱり今回抗議をすべきですよ。単なる低いレベルの申入れではなく抗議という明確な形を取るべきだ。極めてヒステリックな行動を取り、このようなコメントをしている。抗議をするのが当たり前じゃないですか。これは日本国民の大方の思いだと思いますよ。なぜ抗議しないんでしょうか。外務大臣、お願いします。
#45
○国務大臣(前原誠司君) 十六日以降、中国の各都市でいわゆる反日デモなるものが行われておりまして、日系企業が経営するスーパーのガラスが割られるなどの被害が生じております。
 これを受けまして、在中国大使館及び在重慶総領事館から中国側関係当局に対して遺憾の意を伝えるとともに邦人及び日系企業の安全確保を強く要請をいたしました。また、十九日の午前には丹羽在中国大使から楊潔チ外交部長に対しまして同様の申入れを行いまして、同部長から安全確保に全力で努力するとの反応がございました。
#46
○佐藤正久君 遺憾というレベルじゃないんですよ。遺憾と抗議は違いますから。それは外務大臣がよく御存じのとおりで。
 やっぱり抗議すべき内容ですよ。何でこんなに中国に気を遣うのか。そうなると、どうしても官房長官の発言が出てきてしまう。APECに参加してほしいから抗議しないのかと、こうなっちゃうんですよ、どうしても。健忘症か分からないが記憶にない、否定もしない。
 今回のデモは、確証はありませんが、あの映像を見る限り学生がかなり多い。その学生は共産党下部組織の学生会が組織したとか。今回の期間というのは、中国においては中央委員会第五総会が開かれて全国で厳戒態勢を取っていたと、そういうさなかにデモが起きたと。しかも、インターネットの書き込みに、それに応じて参加した。その書き込みも、中国政府はそれは容認していた。いろんなことを考えると、中国のある報道紙が述べているようにこれは官製デモだという見方もあります。
 前原大臣、資料一を見てください。この写真を見てください。これは成都市のデモです。この垂れ幕に収回琉球、解放沖縄と書いています。この意味は、昔のように中国の朝貢国に沖縄を戻して支配してしまおうという意味ですよ。特に大臣、この解放沖縄、解放、これは物すごくきつい表現ですよ。侵攻予定とも場合によっては取れかねないようなきつい表現なんですよ、解放沖縄。尖閣諸島ではなく沖縄なんですよ。でも、今中国ではこのような論調が増えていると言われています。
 以前、民主党の喜納昌吉前参議院議員、ここでも言われていましたけれども、その著書によれば、昨年九月に菅首相も沖縄は独立した方がいいというふうに言ったと著書で述べられています。これを受けて中国のネットサイトでは、菅直人氏もいいこと言うなと称賛する声や沖縄は一度独立をさせて中国の属国にした方がいいという論調が増えたんですよ。今回のこの尖閣の事案を受けて中国の世論の中には沖縄奪還論とか沖縄帰属問題を主張する論調がやっぱり増えている。これは注意すべき兆候だと思います。
 外務省としてこれはやっぱり気を付けながらこれをウオッチする考えはありませんか。
#47
○国務大臣(前原誠司君) デモにつきましては、もちろん注意深くしっかりと注目していきたいと思いますし、またしかるべき申入れを必要なときに逐次行っていきたいと考えております。
 二つ委員の御発言で私の考えを改めて申し上げたいんですが、まず菅総理が喜納前議員の著書に書かれているように、沖縄は独立した方がいいということをどなたかが委員会で取り上げられて菅総理に質問されたときに、菅総理はそれは事実ではないということをおっしゃっております。これがまず一つ。
 もう一つは、APECについて言われますけれども、これは先ほど佐藤委員は私と同じだとおっしゃっていただきましたけれども、私の一貫した考え方は、二十一か国が集まって歴史を積み重ねてきたわけですね、このAPECという二十一か国が集まるところに参加をしないことの方が、これは一般論として私はその国の国益に反する話ではないかというふうに思いますので、別に先ほどおっしゃったように議長国だからといってそういうものを勘案するのではなくて、まさに二十一か国が自らの国益に基づいて参加をする。もし参加を何らかの理由でしなかったらその国の国益が損なわれると、私はそういう意識で見ております。
#48
○佐藤正久君 そこまで言われるなら、仙谷官房長官も同じグループでしょうし付き合いがあるんでしょうから、あの発言を否定すると、覚えがないではなく、そんなことを言ったことはないと明言するよう言ったらいかがですか、ここまで言われるんだったら。
#49
○国務大臣(前原誠司君) いや、そこまで言われるんだったらじゃなくて、佐藤委員と全く同じ意見であるとおっしゃったので、何度も言及されますので、私はそういう思いでありますということを申し上げたわけです。
#50
○佐藤正久君 この議論はまた今後にしますけれども、私はもっと大臣に言ってほしいのは、この動きなんですよ。よく中国はこういう領土問題に関して世論戦、法律戦、心理戦、三戦を仕掛けるとよく言われます。これは大臣も御承知のとおりだと思います。
 今回尖閣事件を受けて沖縄は中国のものだという論調が増えている。こういうデモも今までないような垂れ幕も出ている。こういう形で国内の世論を喚起し、そのうち、もしかしたら以前中国に朝貢していた国は中国の特別な関係ある国あるいは属国という権利があるというような国内法を勝手に作り、経済力や軍事力というものに幅を利かせて沖縄県民あるいは沖縄の県の統治者日本国民に対して威圧を掛けて心理戦を掛けるということもゼロではない。非常に今からそういう対処というものをやっていただきたい、そういうことを本当は答えていただきたかった。そんな小さな話ではなくて大きなことを、この今回の中国のデモ、しかもこの垂れ幕、あると思いますから、しっかりとウオッチをし対応していただきたいと思います。
 次の議題に移ります。
 朝鮮学校の無償化についてお伺いします。
 民主党の部門会議では、いろんな反対意見もあったようですけれども、結局は朝鮮学校無償化制度、これを適用する、しかも教育内容には注文を付けないということを了承されたと聞きました。前原大臣、おかしいと思いませんか。私は今回の朝鮮学校の無償化、反対ですけれども、前原大臣は朝鮮学校の無償化、これは賛成ですか、反対ですか。
#51
○国務大臣(前原誠司君) 高校授業料の無償化の対象に今おっしゃったような朝鮮学校を含めるかについては、審査の基準をどうするかについて文部科学省において検討が行われていると承知をしておりますし、また民主党の中でも議論が行われております。
 今後は文部科学大臣が必要に応じて私を含めた関係閣僚との意見交換を行い、まずは審査の基準を決定されて、その後この基準に基づき個々の朝鮮学校についての判断がなされるものと聞いております。
#52
○佐藤正久君 前原大臣ともあろう方が、次の総理大臣候補とも言われている方が、こういう大事な外交案件に関して官僚の書いた答弁を読まれる、何かがっかりしました、少し。
 これは本当に多分外交上も大きな問題に私は発展する可能性はあると思っていますよ。本当にこれからの対北朝鮮外交上、支障はないんですか。それは今言った答弁ではなく、外務大臣としても意見を言うべきだと私は思いますよ。また、北朝鮮からはややもするとこれも日本側の謝罪の一環だあるいは賠償はまだまだ足らないと、いろんなまた宣伝がなされるかもしれません。そもそも教育内容、これに何にも言及しない。おかしいですよ。
 資料四を御覧ください。
 これは公安調査庁が今年出された「内外情勢の回顧と展望」、朝鮮学校の思想教育のやつを抜粋したものです。法務副大臣、公安調査庁こう書いていますけれども、ここに書いてある記述、これは事実と認定していいですよね。
#53
○副大臣(小川敏夫君) そのとおりでございます。
#54
○佐藤正久君 それでは文部科学省に聞きます。
 このコラム、承知していましたか。
#55
○大臣政務官(林久美子君) 佐藤委員にお答えいたします。
 内容は承知をいたしております。
#56
○佐藤正久君 見てください、これ。すごいこと書いていますよ、思想教育。これ真ん中のパラグラフ、高級部生徒用教科書、現代朝鮮歴史では金正日総書記の先軍政治の実績を称賛している。個人崇拝をやっているじゃないですか。しかも先軍政治の実績を称賛している、こういう教科書を使って教えている。しかも、三番目のパラグラフ、初級部四年生以上の生徒はそれぞれ朝鮮総連の傘下団体である在日本朝鮮人教職員同盟及び在日本朝鮮青年同盟に所属させて、折に触れ金総書記の偉大性を紹介する課外活動を行うなどの思想教育をやっていると。
 前原大臣、これを見て、本当にこういう教育をやっている学校に国民の税金を使って支援をする、おかしいと思いませんか。私は、その子供たちが教育を受ける、それに対する支援というのはそれは理解できます。だけど、教育内容も関係ない、しかもそれが朝鮮総連の傘下にあって、その意図が伝わっているような内容で教育をし活動をしている。これは学校に対する支援ではなくて、本来のこの制度の趣旨はそこに通っている子供に対する支援でしょう。だったら、内容について何も問わない、これは普通の感覚からいってもおかしいと思いますよ。日本国民に説明できないと思いますよ。日本国に忠誠を誓わない、日本のために働くことを教えていない、そういう教育内容をやっている高校にどうして国民の税金でそれを無償化しないといけないのか。このコラムを見ても、この思想教育を見ても、前原大臣、外務大臣として本当にさっき言った答弁でいいと思っていますか。
#57
○国務大臣(前原誠司君) 現在文部科学省の中で審査の基準をどうするかというものが議論されていると思いますが、この審査の基準を議論する際に今佐藤委員のおっしゃったようなことも含めて私は議論されるというふうに考えております。
#58
○佐藤正久君 大臣も閣僚の一人です。主要閣僚ですから、外務大臣の立場、外交上への影響あるいは拉致被害者の関係もあります。これから平壌宣言に基づいていろんな日朝の経済関係の協定も進めないといけないでしょうから、いろんなことを考えながら対応をしていただきたい。私は、我が党は断固反対です。
 さらに、これの背景として菅政権がやっぱりおかしいと思うのは、この前の日韓併合百年の謝罪談話ですよ。十八日の参院決算委員会においても、菅総理は、八月の日韓併合百年のその談話の中の反省とおわびは韓国だけではなく北朝鮮にも適用されるという答弁をされました。外務大臣も同じ認識ですか。
#59
○国務大臣(前原誠司君) 御指摘の総理談話は、あくまで当時の韓国が一つの国であったという事実に基づいた認識を述べられたものでありまして、同総理談話はあくまでも現在の韓国の方々に向けられたものでございます。
 日朝関係については、先ほど佐藤委員のおっしゃったように、日朝平壌宣言にのっとって拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を図るという方針には変わりはございません。
#60
○佐藤正久君 この談話は、後半部分は確かに韓国に対して言っているんですよ。前半部分についての反省とおわびという部分については、菅総理も前の岡田大臣もこれは北朝鮮にも適用されると明言しているんです。だからややこしくなる。本当にそれで今後の、今言われた平壌宣言に基づく外交交渉が北朝鮮にも適用されるということを明言して本当にいくのか、私は甚だ疑問です。前原大臣、日韓併合条約、これは合法と認識していいですよね。
#61
○国務大臣(前原誠司君) 当時の手続にのっとって行われたものであると認識をしております。
#62
○佐藤正久君 それでは大臣、なぜ合法なのに謝罪する必要があるのか、外務大臣の認識をお伺いします。
#63
○国務大臣(前原誠司君) この問題につきましては、手続にのっとってやられたにいたしましても、いわゆる併合された側の国民の心情、そういったものを勘案をした場合に、それをどう今の時点で我々が歴史を総括して評価をするかということも大事なことだろうというふうに思っておりまして、そういう思いを込めての私は総理の談話につながっていると理解をしております。
#64
○佐藤正久君 そのとおりだと思いますよ。そういう多分思いでこれを出したと。法的にはこれは有効であり、合法なんですよ。ただ、現在から過去を振り返った場合、やっぱり遺憾だと。だから、協定とか条約には謝罪とかおわびの文言は一つも入れていないんですよ、今まで。しかし、今回この反省とおわびという部分が北朝鮮に及ぶと言われています。
 ただ、今回のこの表現の中に朝鮮王室儀軌というものも向こうの方に渡すということが書いています。これは、韓国政府は日本政府からの返還というふうなことまで言っています。これは間違いですよね。返還ではないという認識でいいですよね。
#65
○国務大臣(前原誠司君) 総理の談話の中で朝鮮王室儀軌などの図書をお渡ししたいと、こういうことをおっしゃっているわけでありまして、現在国有財産になっているものでございますので、もしそれをお渡しする場合には引き渡すということになります。
#66
○佐藤正久君 それが極めてあいまいなんですよ。返還なのか貸与なのか、このお渡し、どっちの意味ですか。
#67
○国務大臣(前原誠司君) なぜこれを条約にしてそして国会の御承認も求めるかということになれば、今この朝鮮儀軌というものについては日本の国有財産であります。国有財産を他の国に渡す場合、譲渡ですね、渡す場合については、これは国有財産を引き渡すためのその取決めが必要だということで条約化をするということの今準備をしているところでございます。
#68
○佐藤正久君 その辺りは非常に微妙な問題だと私も思いますよ。しっかりこれはこれから議論、多分条約ならやりますけれども、返還なのか貸与なのかと。韓国政府は返還と、わざとこれ言葉を換えて言っていますから。それは、非常に我々国民にとってもそれは大事な部分だし、今回のこの談話というのは別に韓国に個人補償を、これを認めるものでもないわけですから、一切この談話によって我々が縛られるものではない、単なる談話ですから。そういう辺りをもっと説明しないと分からない。しかも、今回の談話、党内の議論も不十分だったと玄葉大臣も認めています。非常に十分な議論もないままなされてしまった。国民への説明もまだまだ不十分だと思いますよ。
 前の私は村山談話は撤回すべきだと思っている一人ですけれども、その中では植民地支配というのをたった一回しか使っていないのに今回は植民地支配を三回も使っているんですから。なぜわざわざここまで増やしたのかも意味が不明。なぜ朝鮮半島だけなのか。じゃ、台湾やパラオ、そちらから要求されたらこれも出すのか。いろんな疑問がわいてきますよ。
 今回のこの問題、非常に説明不足で拙速だ。植民地支配といっても、欧米が行った植民地支配と日本政府が韓国に対して行った植民地支配、全然違いますから。搾取の対象ではなく、日本の一部という感覚で鉄道とか学校とかインフラとかいろいろ日本の予算を使って造った。ソウル大学もソウル帝国大学で、大阪とか名古屋の大学、帝大よりも先につくったりしている。軍の関係でもそうですよ。日本の士官学校の方に韓国の人が入られて中将に六人、少将に三人なって、その韓国の方に日本の兵士が仕えているんですから。全然違う植民地支配。一緒くたでやるということがやっぱりおかしいと思いますよ。
 今回これをお渡しする、条約をやるということに際して、もっともっとこの談話の意味や文言、国民に丁寧に説明すべきだと私は思いますけれども、大臣の見解をお伺いします。
#69
○国務大臣(前原誠司君) いずれにいたしましても、この朝鮮儀軌の引渡しを実施するためには、国有財産を国外に持っていく話でございますので、条約を作って国会で御審議をいただくことになると思いますので、そのときに詳しくまた御議論いただければ大変有り難いと思っておりますが、言わずものがなでございますけれども、一九六五年の韓国との国交正常化において請求権の問題、すべてその問題については整理はされているというのが我が国の一貫した考え方でございます。
#70
○佐藤正久君 これ、これからの対北朝鮮対応でも今回の韓国に対する対応では非常に難しいと思うんです。北朝鮮も同じようにこの朝鮮王室儀軌の返還求めていますから。韓国だけじゃないんですよ。さっき言ったように当時は一つの国だと言っている以上、北朝鮮もこれはおれのものだと要求をしている、そういう中で渡す。そんな甘い問題じゃないということを真剣に考えながら、これは北朝鮮外交上も大事な問題だということを理解していただきたいというふうに思います。
 次に、防衛予算関連について質問をいたします。
 六月二十二日の財政戦略会議で決定されました中期財政フレームによる歳出抑制、すなわち二十三年度から二十五年度まで基礎的財政収支対象経費を七十一兆円を上回らない、二十三年度国債発行額を四十四兆円をこれを超えないとするものです。防衛予算、とりわけこの中期防衛力整備計画、これを作るときにこの財政フレームワーク、これ物すごく利いてくると思います。中期防衛力整備計画の作成、責任たる防衛大臣、この財政フレームワークと中期防衛力整備計画の関係、この御認識をお伺いしたいと思います。
#71
○大臣政務官(広田一君) 佐藤理事が御指摘のように、本当に我が国の財政は大変厳しい状況でございます。前原大臣も国土交通大臣のときに、三つの制約の一つが我が国の厳しい財政状況でございます。こういった事柄については防衛予算も例外ではなく、今現在八年連続のマイナス予算になっているというのが現状でございます。それに対しまして、装備品の集中調達であるとか、できる限りの効率化というものを進めておりますけれども、佐藤理事が本当に常日ごろからお話しくださっていますように、陸海空含めてそれぞれの自衛隊がしなければならないこと、そしてその使命というものは年々増えてきているわけでございます。こういった状況の中で防衛大綱を作成し、それに伴って中期の計画も策定をしていかなければなりません。
 私たちとしては、必要な額というものはしっかりと確保していかなければなりませんから、そういった事柄については是非とも御支援を賜りたいというふうに思っております。ただ、厳しい財政状況、これは十分踏まえた取組が必要であるということは言うまでもございません。
#72
○佐藤正久君 厳しい、私も分かります。このままの民主党のマニフェストをそのまま実行したら、絶対足らないと思いますよ。
 資料二を御覧ください。これが中期財政フレーム、歳出抑制の構造をまとめたものです。この右上の国債費と決算不足補てん繰戻しというものを除いた社会保障費とこの公共事業からその他地方交付税、これを合わせた額が七十一兆円なんです。この七十一兆円をずっと二十三、二十四、二十五年やるって言っているんです。国債発行額も抑えて財政を何とかするって言っているんです、閣議決定で。
 ただし、その社会保障費、自然増だけで年間一兆円ずつがんがんがんとこちらの公共事業、文教科学、防衛その他に入ってくるんです、どうしようもなく。今社会保障費が二十三年度の概算要求で二十七兆円です。その公共事業から防衛入れたやつが二十六兆円です。二十六兆円がこのままで行くと二十五兆円、二十四兆円、二十三兆円にどんどん減っていくんです、自然増だけで。プラス国民年金の国庫負担の二分の一にするその財源がまだ来年度決まっていない。それだけで二・七兆円必要なんです、更に。それが、もしもこの中でのみ込む、大変な話ですよ。
 だから、中期をこれから作った場合、これが抑制が来れば初年度が一番良くて、二年、三年、どんどん下がっていく中期になりかねない、もうこの中でやると閣議決定していますから。これは非常に大きな意思決定を私は六月二十二日にしたと思っているんです。これは公共事業も同じですよ。文教科学も同じですよ。今回の中期、場合によってはこれに影響を受ける。防衛大臣、そう思いませんか。
#73
○国務大臣(北澤俊美君) 御指摘のように極めて厳しい現実はあるわけでありますが、しかし一方で我が国の財政を立て直すということは国家の存続にかかわることでありまして、現実の問題として予算編成をどうするかというのは今後様々な段階で協議をしなければなりませんが、今の段階で、今、佐藤委員がお示しになったことでいうと、これは理屈どおりすりゃそのとおりになるわけでありますけれども、しかし予算編成をどう切り抜けるかというのも我々の腕次第でもありますので、最大の努力はいたします。
#74
○佐藤正久君 防衛大臣の手腕を期待したいと思いますけれども、ただ、そのためには、あのマニフェストで評判が悪いやつ、やめりゃいいんですよ。子ども手当、あれをなくすだけでも全然違いますし、農家の戸別所得補償制度も二十三年度の概算だけでも八千五百億円ですよ。高校の無償化も高速道路も、そういうのをやめればまだ全然違ってくる、私はそう思います。その辺りも併せてうまく手腕を発揮していただきたい。
 やっぱり大事なんですよ。船の上でおいしい食事をしたい、あるいはゆっくり寝たいと思っても、船がひっくり返ってしまったら寝れないんですから、しっかりとそこは外務省、防衛省、非常に安全保障に関係する部分、大事だと思います。国土交通省もそうです。しっかり頑張っていただきたいと思います。
 次に思いやり予算、これについてお伺いします。
 防衛大臣、特別協定が今年度末で切れます。十九年度の特別協定、今年度末まで有効の特別協定に民主党は反対でした。防衛大臣も採決では反対されました。防衛大臣、現在の思いやり予算の特別協定に反対した理由は何ですか。
#75
○国務大臣(北澤俊美君) 私もそこで委員長をやっていた経験がありますので申し上げますが、当時は、娯楽性の高いものについて人件費の中であるとかあるいは施設の問題であるとか、様々なものを洗い出してその部分で反対をして、全体で反対ではないけれどもその部分について反対したと。したがって、それを今度はこの見直しの中で生かしていくという方針で米側とただいま交渉をいたしております。
#76
○佐藤正久君 ということは、これから、来年度から始まる特別協定については、今言われた娯楽性の高いものはなくなる、今まで反対した理由部分をみんな削除して盛り込むというふうに今理解いたしました。
 ただ、今回暫定的とはいえ来年の概算要求、もう行っております。ただ、恐らくその中身というのは、今大臣が言われた反対した理由という部分はもう是正されているという認識でいいですか。二十三年度の今暫定的な予算というものの中身を洗い出したときに、今民主党が反対されたそういう理由の部分はもう入っていないという理解でよろしいですか。
#77
○国務大臣(北澤俊美君) これは、日米の協議がまずあるわけでありますから、そういう問題点も含まれている中で日米で協議をただいましているところでありまして、一方で米側からは環境に関する新提言も出てきておるわけでありまして、そういうものを双方でお互いがどちらに比重を掛けていくかというような今かなり詰めた協議をいたしておりますので、ただいまのところ、それがすべて落ちているとか入っているとか、そういうことを申し上げる段階ではないというふうに思います。
#78
○佐藤正久君 ただし、民主党として一応反対した以上は、その反対理由の部分、これについてはどういうふうに是正されたのか、やっぱり国民に説明すべきだと思います。もしもそれが是正されない結果となれば、調整の結果、それはそれとしてしっかりと国民に説明し、場合によっては謝罪するということも必要なのかもしれない。それはやっぱり政治家としてあるいは内閣としての責任だというように思います。私も、思いやり予算、賛成討論した人間の一人ですから、非常に重要性、分かっております。しっかりとしたいい思いやり予算、これを組んでいただきたいと思います。
 あと三分しかありませんけれども、アフガニスタンへの復興支援についてちょっとだけ質問をさせてもらいます。
 来月の十一月の十九から二十日に開催されますNATO首脳会議、これではアフガニスタンでの来年の夏以降の体制、これが多分議論される非常に大事な会議だと思います。私は、アメリカがこれから逐次引き始めるという観点から言うと、やっぱり自衛隊も新たな支援策というものももう必要な時期ではないかなというふうに思います。自衛隊がある意味得意とするPRTの分野とか、キャパシティービルディングという部分について、私は支援策を検討というのを加速すべきだというふうに考えますが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
#79
○国務大臣(北澤俊美君) 防衛省とすれば、アフガンに限らず、あらゆる事態に対応できるように検討はいたしております。そういう中でアフガンに対する支援については様々調査もさせていただいたりしながら協議を進めておりますが、現在のところ、まとめて言えば一般的な検討をしておるということで、特定してこの分野に、ただいま今キャパシティービルディングのお話もありましたが、これは日本とすれば非常に手を掛けやすい部分だというふうに思いますが、そうかといって、それに特定しているという段階には至っていないというふうに御理解いただきます。
#80
○佐藤正久君 自民党は国際協力にかかわる一般法、自衛隊の派遣の一般法を国会の方に提出し、衆議院の方で今これから議論をされるという状況になっています。一般法という形で自衛隊派遣の原理原則を定めて、そしてやっぱり時間が掛かるという弊害を削除して、実施計画の方でしっかり議論をするというふうに持っていくべきだと思います。自民党の一般法の中ではPRTとかキャパシティービルディングもできるような感じにしています。私は、今までの経緯からいって、しっかりとそういう法律を作って出すというのが筋だと思います。
 この前一部の報道にありましたように、自衛隊、防衛省設置法の四条という形で出すという報道がありましたけれども、あれは多分ガセネタだと思いますけれども、できるにしてもやっぱりいろいろ問題はある。賞じゅつ金の問題にしても、全部それを、出張扱いですから全部外務省に便宜供与をお願いする、全部の送り迎えを含めて警備も全部お願いする、いろんな多分課題があると思いますから、私は正々堂々とあるべき形で、今までのPKO協力法や特措法をやってきたという形で議論をして、しっかりした形で参加する場合には参加するという形を取っていただきたいということを最後に要望しまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#81
○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。
 一昨日の大臣のごあいさつをお聞きいたしまして、前原大臣それから北澤大臣、中身については私も非常に同意できるところが大筋では多かったなというふうには思っておるわけです。
 まず、前原大臣の部分で、例えば外交の目的は国益の追求であり、国力を高めることである、その目的達成の前提として盤石な安全保障体制があるのだ、これはまさにおっしゃるとおりだと思いますし、その体制を固めていただくのがまさに外交であり前原大臣のお仕事だと、こういうふうにも思っておるわけです。そして、日米安保を中核とした日米同盟の深化を目指す、これも当然のことだと思うんですね。日米同盟というのが我が国の外交の基軸である、こういうことです。
 それぞれ個別の優先順位等々はこれはいろいろ考え方に違いはあると思うんですけれども、今日特にこの安全保障の分野についていろいろお尋ねをしてまいりたいというふうに思っています。
 我が国を取り巻く安全保障環境というのは非常に厳しいものがある、むしろ厳しさを増しているんじゃないか、こういうふうにも思っているんですね。ここは共通した認識であるというふうに考えておりますけれども、世界的には冷戦構造が崩壊をした。ヨーロッパでは東西の壁もなくなってきた。
 ただし、この極東の部分、我が国の周辺地域においてはまだまだ、ソ連がロシアに変わりましたけれども、またその力を盛り返してきている。あるいは北朝鮮拉致問題を我が国抱えておるわけですけれども、その北朝鮮においては核開発があり、あるいはミサイル開発を進めているわけです。中国の軍事力の増大、これも言わずもがなの状況であるわけですから、世界の中で、世界を広く見た中でもこれほど今緊張した状態になってきているところはなかなかないのかなと。一見平静を保っているけれども何があるか分からないような状況というのは、常に我々もそういう心構えでいなければいけない、こういうふうに思っております。
 その中で、我が国にとって日米同盟ですね、日米安保というものがどのような機能を果たしてきたのかということなんです。また、これからどういうふうな期待がされているのか、こういうことですね。先ほど申しましたけれども、日米、日本の外交の基軸であるということはこれは間違いないわけですけれども、一方で、我が国の安全の基礎である一方でアジア太平洋地域の平和と繁栄を支える共有財産である、こういうこともおっしゃっておられるわけです。日本だけではなく周辺諸国、特にASEAN周辺、アジア、オセアニア諸国にとってもこの日米同盟が盤石であるということが何よりその地域の平和と安定、繁栄に寄与してきたし、また今後も期待されているところじゃないかなと、こういうふうに思うわけでございます。
 この日米同盟の中核を成してきた安保条約でありますけれども、これは改定されて五十年ということですが、これが機能するための前提条件、要は五条ですね、特に五条、日本の防衛のために米国が対処をしてくれる。この五条が機能するための両国間の前提条件、前提の土台というものはどういうものだとお考えになりますでしょうか。大臣の御所見を、お考えをいただきたいと思います。
#82
○国務大臣(前原誠司君) この安保条約というのは改定されて今年が五十年でございますけれども、先ほど岸理事からは五条をという話でございましたけれども、私はこの日米の同盟関係というのは非対称的な双務性だと思っております。日本に何かがあった場合に自国が攻撃されたものとみなして日本の防衛義務を負うというのは五条で書いてあって、五条というのはですから主にアメリカに課された義務が書かれていて、日本にはしかし、アメリカが攻撃されたときにアメリカへの防衛義務は負わない代わりに六条において極東の平和と安定を守るためのいわゆる施設・区域の提供の義務というものが書いてあるということだと思います。
 したがって、この日米安保条約がしっかりと守られるためには、この非対称性ではあるけれどもお互いの義務を相互にしっかり果たしていくということと、それを前提とした日ごろのミリタリー・ツー・ミリタリーあるいは政府間の信頼関係、こういったものが必要であるというのが今の岸委員への根本的なお答えになるのではないかと思います。
#83
○岸信夫君 私もそのとおりだと思います。特に信頼関係ですね、これは非常に大切な部分だと思います。
 まず、条約ですから文書に書いてあることではあるんですけれども、より情緒的な感情的な部分かもしれないけれども、これを支えているのはお互いの信頼関係。それは、両国間の指導者同士の信頼関係であり、あるいは米軍と自衛隊間の信頼関係であり、そして国民同士の信頼関係、このすべてがきちんとなされて初めてこの条約が機能するんだと、こういうふうには思っているんですね。何といっても、日本が攻撃を受けたときに米軍が血を流す可能性のあるその戦いに大統領がゴーサインを出すわけですね。本当にそれはやってくれるのかどうか。これは常に疑心暗鬼になりがちな部分だと思うんですね。
 そうならないようにするためには、やはり指導者同士がきっちりと相互の信頼関係を高めていく、当然ながら多く顔を合わせてお互いの意見交換をする、そしてこれは言葉だけじゃなくて行動で示していく、お互いが相手の国を信頼しているんだ、そして信頼に足るんだ、相手の国にとって我々は信頼に足る国である、こういうことを示していかなければいけないんだというふうに思っております。軍同士もそうですね、お互いの技量を認めてリスペクトし合う、これが一番大切なことだと思いますし、あるいは一般国民でいえば経済活動やあるいは文化、そうしたものすべてを通してお互いの国民を理解する、歴史も含めて理解をしていくということが必要なんだろうというふうに思っています。
 なかなかこれは言うはやすしですけど現実にはそれが難しい状況が起こってくる。私は、正直申しまして、去年からの沖縄普天間をめぐる状況というのは、これは不信感を招いてしまった。それは指導者同士だけではなくて国民の間でも本当にどうなんだろう、こういうことにもなってきているんじゃないかな、こういうふうには思うんですね。
 それで、いざとなったらアメリカが守ってくれるんだというようなことをよく言われることがあるんですけれども、これはそんな安易な安保観ではやっていけないんだというふうに思っています。これは、アメリカの建国の歴史を振り返ればもう分かるとおりで、彼らは自由を力で戦って勝ち抜いてきたわけですね。当然我々もどこかに危機が迫ってくるというときにじゃアメリカ助けてくれと、これではアメリカは動いてくれないかもしれない。やはり我々は自分自身の独立国として日本の国はまず日本人が守っていくんだ、その気概を示していかなければ、これはアメリカもきちんとこの安保条約に沿って動いてくれるかどうか、これは分からないんだと思うんですね。
 このことについて、要は日本人、よく言われるんです、日本は日本人が守るべきだ、こう言うと、それはおかしいだろうと、こう言われることがあるんですけれども、そういったお考えについては、外務大臣、どういうふうに考えておられますか。
#84
○国務大臣(前原誠司君) 今御指摘をされた点について私は岸理事と全く同じ考えであります。
 まずは自分の国は自分で守るという意思がない国に対して、たとえ同盟国で防衛義務を負っているからそれは役割を果たしてくれるだろうというのでは、それは同盟国としても助けがいがない国になってしまうだろうと思いますし、そしてまずそのときのリーダーが本当に自国の国民の犠牲も生むという覚悟で日本の側に立つということは、その正当性と、あとはまずは日本がしっかりと努力を行って自分の国を守るという気概のみならず、姿勢のみならず、その行動を示すということが大事なことだと思います。
 あともう一つ、先ほど、こういう議論は大変私大事だと思っているんですが、いろんなチャンネルでの信頼が必要だと。具体的に岸先生も例示をされましたけれども、私はかなり大事なのは、やはり軍と軍との信頼関係というのは非常に大事だと思いますし、それはどういったところが大事なのかというと、やはりいろんな想定をお互いにして、そして共同の訓練を、図上演習を行ったり実地の訓練を行ったり、そういうシナリオベースの訓練を共にやっていく中でそこでの信頼関係、つまり現場レベルでの信頼関係、これが日米両国間であるということも大事なことであり、そういった信頼関係がまた指示をするリーダーにも私は伝わってきて、実際機能する同盟関係になるんではないか、そういう思いを持っております。
#85
○岸信夫君 おっしゃるとおり、その軍同士の信頼関係、これはまさに大変重要なことですね。血を流すのは彼らであるという部分でもあります。それでも日本の自衛隊の皆さんが一生懸命頑張っている、そこに我々も助けに行くんだ、こういう気持ちが生まれてくるかどうか、これは本当に士気にかかわる問題だと思います。
 ただ一方で、この軍同士のそういった士気というものは政治に左右をされるわけですね。文民統制という言い方もありますけれども、政治の在り方次第で彼らは自分たちの行動を抑制されてしまう、そういうことはあるわけです。その中で、じゃ政治同士が信頼関係を失ってしまったときに、それでも軍同士は、軍同士はそれでも信頼関係を維持しなければいけない状況だとは思うんです。ただ、それが崩れてくる可能性だってこれは政治同士の状況によっては生じてしまう。それだけ指導者の、政治のリーダーの責任というのも大変重いと思うんです。そういう意味では、昨年からのこの普天間をめぐる一連の動きというのは、私は非常に残念なところだったんだろうというふうに思うんですね。
 余りそこの部分に返ることはいたしませんけれども、新しい政権になって、そしてもう一度この再編を前に進めていこうと、こういう形になっているわけですから、むしろそっちを、じゃどういうふうに進めていくのかと、このことについてお聞かせいただきたいわけですけれども、かなり時間が掛かってしまっている。もう元々、我々の政権の中でも普天間の移設ということに関しては大変長い時間が掛かってしまったわけです。何にもしなかったわけじゃないけれども、だけれども、それだけ慎重にやってきた、地元の皆さんとも対話を重ねてきた、その中で賛成じゃないけれども容認をしてくれるというところまで持ち込んだ、環境アセスもいよいよというところになっていたところだったわけですね。
 ですから、それだけ時間が掛かるのも分かっていただかないといけないんですけれども、何よりこの件で一番大切なことというのは、やはり普天間の危険を除去する、あの周辺の住民の方々に安心をしてもらわなきゃいけない、このために一刻も早く移すんだ、これが第一の目標だったわけですね。ですから、そこは是非これからも、早く移さなきゃいけない、これを念頭に置いてやっていただかなきゃいけないと思うんですが、去年からのいろいろな地元の政治状況を見ておりますと、どんどんどんどん厳しくなってしまう。様々な地方選挙が行われる。今度のまた知事選が控えているわけですね。今の現職の知事も県外移設を唱えているような状況になってきてしまっている。
 私は、この基地の問題、大変国防の問題というのは、ある意味非常に冷徹に判断をしなければいけない、政治が判断をして国政のリーダーがすべての責任を取っていかなければいけないことだと思っております。それがなかなかできてきていないような状況だと思うんですね。
 先日総理に代表質問でお聞きをしたときに、五月の日米合意を踏まえて取り組んでいくと、さらっと答えられてしまったんですけれども、前原大臣は、しかるべきときに2プラス2をやって、それで政府として決断、決定をしていく、こうおっしゃっています。いつごろ2プラス2を行う、こういうお考えでしょうか。
#86
○国務大臣(前原誠司君) 岸委員がおっしゃったことは、我々も真摯に受け止めなくてはいけないと思います。というのも、やはり選挙のときには少なくとも県外ということを言って選挙を戦い、そしてもちろん沖縄の負担軽減をという本心から努力をしたわけでありますが、政治は結果がすべてであって、結果的には普天間に戻ってきたというところを考えたときには、やはり沖縄の皆さん方にはその意味においても私は真摯におわびを申し上げなくてはいけないし、それが大前提でなければいけないという思いを私も強く持っております。
 この五月二十八日の日米合意というものを、我々、沖縄の皆さん方に御理解をいただくために誠心誠意お願いをしていかなくてはいけないというふうに思っております。そういう沖縄の皆さん方の御理解をいただくということがやはり2プラス2の前提でございますので、いつにとかいつまでにということについては今のところ明確に申し上げることできないことは御理解をいただきたいと、しかるべき時期にということでお答えをしているのも御理解をいただきたいと思います。
#87
○岸信夫君 ただ、一方で時間は過ぎていきますし、時間が掛かれば掛かるほどそれこそ手足を縛られてしまう、いろんな意見も当然出てくるでしょうし、厳しい意見も当然ながら出てくるでしょう。
 その中でじゃ政府としてどうしていきたいのか、当然ながらこういった話をするときは地元の方々の考えを吸い上げていく、対話をしていくというのは一番大事なことだと思います。是非しっかりやっていただきたい。
 といいますのは、私の選挙区になりますけれども、岩国にも米軍の海兵隊の基地があります。今米軍の再編、大きな再編という枠組みの中で空母艦載機の移駐があるわけですね。この部分なんですけれども、民主党、選挙のとき再編を見直すんだと、こういうふうにおっしゃったんですけれども、新しい政権ができた後、結果的に岩国の部分は決められたロードマップどおりに粛々と進めていく、見直すのは沖縄の部分ですよと、こういう厳密じゃないかもしれないけれども、普天間に象徴されるところの見直しだと、こういうことだと思います。岩国についてはそのままに進んでいこうと、こういうことなんですね。
 まず申し上げなきゃいけないのは、私自身は、当然、再編というのは我が国の安全保障、防衛のためにこれは進めていかなければいけないんだと、パッケージとして進めていかなければいけないんだという立場であります。今もそういう立場です。ただ、じゃ沖縄が止まっているのに岩国だけ何で進めるのか、これは地元の皆さんもみんな疑問に思っているわけですね。空母艦載機の移駐だけはそのまま粛々と進めますよ、沖縄はまだ時間が掛かりますよ、これでは納得できない部分というのはいろいろあるわけです。ですから、私も、これまでもきっちり説明をしてください、なぜ岩国の部分は前に進めるんですか、こういうことを申し上げているんですけれども。
 なぜ、じゃ沖縄だけがこういうことになって岩国は粛々と進めるんだ、こういう話に、決定になったのか、この新しい政府ができたときの意思決定のプロセスについて教えていただければと思います。
#88
○大臣政務官(広田一君) 岸理事が御指摘のとおり、結果といたしまして岩国のこの基地問題につきましては前政権の計画予定どおりというふうに進めさせていただいているところでございます。確かに総選挙等また政権交代後も見直しをする、そして検証をしていくというふうなお話をさせていただきました。それにつきましては、どういった経緯で日米が合意に至ったのか、このことをいま一度私たちもしっかりと認識をしていかなければならないというふうな意味でございまして、決して白紙から見直すというふうなことではございませんでした。
 これまでの経緯を見直すというふうな中で、やはり米空母であるとかその艦載機といったものが抑止力というものを考える上では大変重要であるということ、そして厚木の住宅密集地における騒音問題といったものもこれは解決していかなければならない、こういったところを踏まえて、この五月の日米のロードマップに従って、この五月の2プラス2の共同発表においても空母艦載機の移駐については着実に実施していくということになったわけでございます。
 ただ、岸理事がお話しのように、一方でこの普天間というものが進捗しない中でどうしてあの岩国がというふうな住民の皆様方の不安であるとか疑問であるとかといったものがたくさんあるということは私たちも重々承知をしているところであり、まさしく今、榛葉筆頭理事が副大臣時代にも何度も足を運んで岩国の皆様方の御理解を賜るべく取り組んでおりました。北澤大臣も行ってお話もさせていただいたところでございます。そういった中で、岸理事にも様々な形で御理解やそして御指導いただきながら、この取組をより一層進めていかなければならないというふうに考えております。
 まだまだ住民の皆様方からの疑問点等多々あるわけでございますが、その一つ一つにつきまして丁寧に説明をしていって、地元の皆様方の御理解が賜るように最善の努力をしていかなければならないというふうに考えております。
#89
○岸信夫君 厚木が住宅地の真ん中にあると、後で住宅地ができたのかもしれませんけれども、そういう意味では周辺の安全状況というのは言わば普天間と同じような形になっているのかもしれない。
 一方で、じゃそれを受ける方は、我々の岩国基地のことでいえば今年春に滑走路が沖合移設ができました。その結果として騒音のレベルも随分下がってきています。実際にそういう状況が起こってはいるんですけれども、一方で将来的に艦載機が来たときにじゃどうなんだと、そういうことになりますと、またせっかく騒音のレベルが下がったものが、今度は回数が、少なくとも回数は増えてまいります。そうしたところで、住民の皆さんも、じゃその騒音の問題そして安全性の問題、そしてさらに米軍の兵士がたくさん岩国に入りますからそういう意味での治安の問題、そうしたことに大変な不安を抱いているわけです。
 そうしたこと一つ一つにやはり政府としてきっちり納得のいく説明をしていただく、そしてその対策をしていただかなければ、これはなかなか納得できる話ではないと思うんですね。これはもう本当に、我々がとか民主党がとか、そういう話ではないんで、そして岩国だけの話ではもちろんありません、米軍の基地あるところはどこでもそういう同じような状況にあるわけですから、是非きちんと誠意ある対応をしていただかないといけないというふうに思います。是非よろしくお願いいたします。
 それから、話をちょっと戻りますが、日本のアジア太平洋地域の平和と繁栄への貢献ということについてちょっと御質問させていただこうかなと思います。
 先日、私もASEANの議員といろいろお話をする機会がありました。その際に彼らからの出てきた言葉というのは、まず過去のODAに対する感謝の言葉、これはどこの国の方からも言われました。ODA、日本からのODAがそれぞれの国の繁栄につながっている、このことの感謝、それから将来的な期待感も含めてなんですけれども。その上で日本に対してアジア地域の安定のために安全保障的な安定のために貢献をしてほしい、こういうことなんです。今気候変動があったり、あるいはそのために大規模災害が起こっている、あるいは新型インフルエンザ含めたパンデミックの問題もある、そうしたところに日本の力を生かしてほしい、こういうお話がございました。
 もう去年ですけれども、ARFの救難共同訓練に自衛隊が出ましたけれども、そのときも地元から大変好感を持って受け入れられたことがございました。この一つを見ても日本が地域の安全保障に対して一定の役割を果たしてもらう、しかもそのことは日本だけじゃなくて米国も含めていわゆる日米同盟が機能した上での話である、こういうことだと思うんですけれども。
 実際このASEANの地域、特にアジアの地域におけるこの日米同盟あるいは日本のそういった意味での貢献というものについて、まず外務大臣のお考えを聞かせてください。
#90
○国務大臣(前原誠司君) 先ほど岸理事がASEANの議員の方々との交流の中身について言及をされましたけれども、我々も様々な議員あるいは政府関係者、今の立場ですと外務大臣、いろいろお話をいたしましても、やはり日本の役割と同時に日米同盟関係を結ぶことによってアメリカのプレゼンスというものに対する期待というものが強いなということをつくづく感ずるわけであります。
 やはりこの地域の平和と安定のためには、先ほど北朝鮮の話もありましたし、成長は著しいこの地域でありますけれども、不確定要因というのも多いわけでございまして、そういう意味では世界最大の軍事力を持つアメリカが日米同盟をいわゆる懸け橋としてプレゼンスをしているということについての安定感について評価があり、またそれがベースにあって経済活動が自由に行うことができるんだと、こういう思いがあるんだと思います。
 つまりは、そういうシナジーというか相乗効果をしっかりと発揮するまさに共有財産、公共財だという思いの中で我々は日米関係をしっかりと強化をしていくということが大事なんだ、つまりは、日米同盟は日米のみならずこの地域の安定のための公共財なんだという意識を持って、日々、発展、深化を努力することが大事だと考えております。
#91
○岸信夫君 彼らは、南沙諸島、西沙諸島でもう既に中国との間で問題が起こっている。そういう意味で中国の今の拡張主義に対しては物すごい警戒感を持っているわけですね。それに対して日本がどれだけアメリカと一緒になって抑えになってもらえるか、その部分をはっきり言えば期待をしている、こういうことだと思うんです。だからこそ、しっかりしなきゃいかぬということだと思うんですが。
 一方で、北朝鮮の核開発の問題やあるいは中国のこういう軍事力の増強に直面している我が国としては、安全保障を維持していくためにやっぱり引き続き現実問題として米国の核の傘という存在を含めたこの拡大抑止というものに頼るところが、これはいずれにしても大きなところだというふうに思います。どんどんどんどん中国の力が強くなっていけばいくほどどれだけ抑えられるか、それを考えれば現実に直視をしていかなければいけないんだと思います。
 十月八日には米国と韓国との間で防衛の首脳会談があって、韓国での拡大抑止について再確認がされた、こういうふうに聞いています。我が国は唯一の被爆国でありますから、核軍縮・不拡散についてはもちろん積極的に取り組まなければいけないわけですけれども、この現実に直面してまさにこの米国との連携をしっかり取っていかなければいけないし、それから拡大抑止の有効性、信頼性についてもこれは強化していくことがどうしても必要になる、こういうふうに思っています。
 この件についてお考えをお聞かせください。
#92
○国務大臣(前原誠司君) 国際社会には核戦力を含む大規模な軍事力が存在をしておりますし、また日本の周りを見ましても、今議員が言及されたように中国それからロシア、そして北朝鮮も核開発の疑惑が持たれているという状況であります。一方で、日本は唯一の被爆国として非核三原則をこれからも堅持していくという中で、どうやってその核の脅威から自国を守っていくかということを考えたときに、今までどおりアメリカのいわゆる核の傘、核の抑止力というものに期待をするという方策は、方向性は私は変わらなく維持をしていくべきだというふうに思っております。
 確かにプラハ演説でオバマ大統領は核のない世界をつくるんだということはおっしゃいましたけれども、しかしまだまだ大量の核弾頭をアメリカもあるいはロシアも持っている段階でございまして、これがSTARTの交渉である程度減らしていくことにはなっても、まだ全くなくなるということについては相当長い道のりだと思いますし、他の国についてもやはり同調してもらわないと意味がないということでございますので、核をなくしていく努力を行っていくということと、しかしながら他方で核を保有している国が日本の近辺にあるということを考えたときには、アメリカに核の傘、拡大抑止を、抑止を期待をするということは、何ら矛盾をしない考えだというふうに思っております。
#93
○岸信夫君 ありがとうございました。
 非常に難しい問題ではありますけれども、やはり唯一の被爆国としてしっかり考えて、現実を見ながらですけれども、しっかり取り組んでいただかなければいけないと思います。
 もちろんそういう核の傘に頼らなければいけないような状況にならないようにすることが大変重要なことだと思うんですけれども、やっぱり特に日中間ですね、先日のあいさつの中でもハイレベル交流の実施を通じて戦略的互恵関係を推進すると、これ前原大臣もおっしゃられました。それから、北澤防衛大臣も相互理解と信頼の醸成の増進に取り組むと、こういうふうにおっしゃられて、これは交流を進めていくべきだと、こういうことだと思うんですけれども。
 ただ、実際に漁船の衝突事件が起こってからこういう交流が途絶えているとお聞きをしています。例えば中国の佐官級交流団の訪日がドタキャンされたという話がありますし、それから遠洋航海練習艦隊の青島への寄港、これが向こうから受け入れてもらえなかった、寄港することができなくなった、こういうお話を聞いています。
 北澤大臣が十月十一日に中国国防部長と懇談を行った際にこの二点について確認を求められたと、こういうふうにお伺いをしていますけれども、そのときは確約が得られなかった。その後ではっきり向こうから難しいと、こういうふうに言われた、こういうことだと思います。
 特に佐官級交流については政治的な環境がどうあろうとこれは続けていくんだという趣旨で、これは笹川財団がやっておられる事業だと思うんですけれども、これについては大変なキャンセル料も発生しているんだろうと思うんですけれども、大変こちらの意識と中国側の意識というのがずれているんじゃないかな、こういうふうに思うわけですね。
 最近の反日デモ、ありました。これもいわゆる官製デモというような言い方をする批判も一部ありますけれども、これは分かりませんけれども、デモというよりもこれはむしろ反社会的な活動と言った方がいいようなものだったと思います。
 それから一方で、尖閣に昨日の報道で中国から漁船の監視団三隻がまた出ている、派遣されたという報道がありました。まだこれは政府として確認はされておられないという立場かもしれませんけれども、日中間の関係が本当にじゃこれは良くなってきているのか。要は、船長が釈放された以降、良好な関係に戻りつつあるのか、いや、でもそうじゃないのか。例えばレアアースの問題もまだまだ引きずっているわけです。
 そうしたところについて認識を両大臣にちょっとお伺いしたいと思います。
#94
○国務大臣(北澤俊美君) 私がハノイで梁光烈部長と会見をいたしましたときは、一言で言えば、日中が非常にとげとげしい雰囲気になっているという中で、私が会談をした中身は決してそういう雰囲気ではなくて、私がこれ総括して今考えると、軍部も中国全体の政治も含めた流れの中である程度同調しなければならない部分があるという、そういう雰囲気での会談でありました。
 したがって、佐官級交流なんというのは、これはもう十年続いておるわけです。しかも佐官ですから若手のこれから本当の幹部になっていく人たちがやっていて、非常に両国の若手の人たちも楽しみにしていたわけでありまして、特にまた今年は観閲式のところへちょうど当てはまりますから、観閲式にも招待していますよということを含めて梁光烈部長に申し上げまして、彼は、簡単に言いますとこういうことを言っている。佐官級交流、練習艦隊の青島寄港については報告を受けている、日本がこれを重視していることも聞いておる、一方今の中国の国民の気持ちと態度を慎重に考慮する必要があると、こういう微妙な言い方をして、その数日後にいずれも延期という言い方で、例えば青島へ入港することは拒否するんではなくて延期と、それから佐官級も延期と。
 佐官級の交流の方は笹川財団の方が長年の好意でやってきたのにもかかわらず突然こういうことをやったというんで、一般的に分かりやすく言えば大変お怒りになってこちらから中止をしたと。それから、青島は世界中回ってきた練習艦隊が延期と、しばらく待てと言われてもそこでぐるぐる回っているわけにもいきませんから、私の方から帰国を命令をしたと、こういうことであります。
#95
○国務大臣(前原誠司君) 先般のASEMの首脳会合の機会をとらえて菅総理と温家宝首相が会われて、そしてハイレベルの交流を適宜行っていくことあるいは最近延期となった交流事業の再開を含む民間レベルの交流を推進していくことで一致をされました。
 これを受けて今外交ルートでいろいろと話をしておりまして、何とか大局に立って今委員の御指摘のような様々な交流というものが順次元に戻っていく、あるいはそれが活発に行われるような状況をつくり出していきたいと考えております。
#96
○岸信夫君 一方で交流を再開しよう、進めようと言っていながら、それが実際には現場ではちょっとまちまちの状況になっているんじゃないかな。先ほど北澤大臣も向こうから延期だとおっしゃられたけれども、現実には延期というわけにはいかないわけですね、どちらも。ですから、結果、我々から中止ということになったのかもしれない、日本側から中止ということになったのかもしれませんけれども、いずれにしても、結果的には交流はできなかったという事実があるわけですね。
 その辺が、中国として本当に日本との間で関係をもう一度再構築をしていくんだというところが、ああいう全体主義の国ではありますけれども、きちんとできてないんじゃないかな、こういうところは非常に感じるわけでございます。もちろんこれお互いの国が言わなきゃいけないことというのは言っていかなきゃいけないと思います。
 先ほどのビデオのこと、佐藤理事からもお話がございました。衆議院では予算委員会がビデオの提出について決議をされたと伺っておりますけれども、いつ政府がこれに応じていかれるのか、これがまだはっきり分かりません。どういう条件が付くのかということも具体的には聞いていないわけです。参議院でも先ほどビデオの提出の話がございました。どういう形で、あるいはほかの委員会でも出てくるかもしれませんけれども、参議院でも対応していかなければいけないんだというふうに思っていますけれども、今、そのビデオの取扱いについて、いつ出すか、それからどういう制限を付けて出すのか、これはどなたが、だれが決める話なんでしょう。
#97
○国務大臣(前原誠司君) 法律でいいますと、刑事訴訟法の四十七条に基づいて法務省、検察が提出について御判断をされるということでございますけれども、その取扱いについては、今議決をされて提出を前提に考えている衆議院の予算委員会でそのタイミングまたその形態についても話合いがなされているのではないかと承知をしております。
#98
○岸信夫君 まだビデオが証拠としての取扱いだと、こういうことだと思うんですが、船長は処分保留のまま釈放されたわけですね。その船長は帰っちゃった。現実問題として処分保留といいながらも今後起訴という判断はないんだというふうに思っております。そうした中でもこのビデオというものをまだ公開できないでいるという状況というのが私には余り理解ができないわけです。
 ちょっとお聞きしますと、やはり検察と元々の所有者である海保との間での協議を経て提出の判断をするんだと、こういうふうに了解をしておりますけれども、法務省の御見解はいかがですか。
#99
○副大臣(小川敏夫君) 先般の委員会でも申し上げましたように、処分保留の釈放が最終処分ではございませんが、やはり一応最終処分らしき状況の釈放という状況を迎えて、国会等の要請があれば那覇地検において適正に対応するであろうと申し述べたわけでございます。
 今回衆議院の方で予算委員会の決議に基づきまして衆議院議長から那覇地検の方に要請がございました。そうした正規な要請を受けましたことを踏まえまして、那覇地検そのものは海保から提出を受けたものでございますので協議しておりまして、適正に対応するものと思っております。
#100
○岸信夫君 前も申し上げたことなんですけれども、公益上の必要というものを考えれば、まさにこれは一刻も早く提出していただかなければいけないと思っています。
 というのは、一部例えばネットで中国の国内でこの衝突の状況が全く事実と違うような形で、すなわち漁船に対して海保の船がぶつかってきたような、もう図式で示されているような、それは勝手なことですよ、勝手なことだけれどもネット上ではんらんをしてしまっている。そういうような状況が一方で起こってしまっていることは決していいことではないと思うんですね。
 それよりも早い段階で事実を示していく。このことが何よりも我が国の立場をしっかりしたものにするわけですから、そこはもう一度お考えいただかなければいけないんだと思います。もうある意味ではちょっと時機を失してしまったのかもしれませんけれども、一刻も早く提出していただきたい、このことを申し上げたいと思います。
 ちょっと時間が余りなくなってしまったんですけれども、大綱の件についてちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。
 先日新安保懇で示された提言というものがございました。これは非常に中身については同意できる点が多かったと思うんですけれども、特に武器輸出三原則の見直しに関連して御意見をいただきたいと思います。
 これは元々、武器輸出三原則は、佐藤内閣としての三原則から三木内閣で解釈の変更、こうなったわけです。武器を輸出しないことで平和に貢献するという観点が最初あったんだと思うんですが、結果的に我が国の防衛産業、防衛力整備基盤というものが脆弱なものになってしまった、調達コストも結果的に跳ね上がってしまっている、こういう事態になっているんだと思います。
 状況が変化して、地域紛争、それぞれの地域で起こっている紛争に対しての平和構築とかあるいは人道支援、災害支援等に我が国が果たす役割というのは大変大きな期待があるわけで、そうした協力の手段としても、この武器の、防衛装備品と言った方がいいかもしれない、そういうものを活用していくのが効果的であると、これは報告書に指摘をされていることであります。北澤大臣のごあいさつの中にも三原則の在り方について検討をすると、こういうことがあったと思います。
 装備品の共同開発が安全保障上必要になってきているわけですね。例えばFXの問題一つ取ってもそうなんですけれども、今まで米国としかこれができていないわけです。これがはっきりとした問題として顕在化してしまった。
 もちろんこれは自民党政権下でもずっと議論をしてきながらなかなかできなかった難しい問題であるということは分かった上で申し上げているんですけれども、そういう状況の変化に従ってこの三原則というものは見直されなければいけないんじゃないか、そのことが日本の更なる国際社会に対する貢献をしやすくすると同時に、当然ながら日本の防衛力に対しても調達コストを下げあるいはいろいろな国との共同開発もできるようになる、こういうことだと思うんですけれども、この点について防衛大臣のお考えを聞かせてください。
#101
○国務大臣(北澤俊美君) 岸委員の方から大変御理解のある御発言をいただいたわけでありますが、これはここ数年、装備品の開発というのはもう多国間であるいは二国間、最低でも二国間、多国間でやらざるを得なくなってきておるという現実、それからそれに伴って調達経費の削減を図れる。その枠から外れますと、生産基盤が劣化する、技術基盤が遅れる、そしてまた高いものを買わざるを得ないと、こういうことになってきておるわけでありますが。
 しかし一方で、この武器輸出三原則をつくったときは平和国家の基本理念としてこれをつくったわけでありまして、要するに国際的な紛争を助長しない、日本の技術をもって紛争の増加を防ぐ、輸出しないことによってと、こういうことになってきたわけでありますが、御案内のように三木総理のときにこれをぐっと広げたためにますます身動きができなくなった。
 一方で、現実にぶつかりながら自民党政権はその都度官房長官談話を出してこれを抜いてきたという現実があるわけでありまして、私は政権交代をしたこの機がいいチャンスだと。それから、冒頭申し上げた武器開発の多国化というような流れの中で一つのいい機会をとらえて議論をしていただきたいと、そういう思いから今年の初めに経済界の皆さん方の新年会でお話を申し上げて今日まで発言をしてきておりますが、しかしこれはまだ内閣として方針が決まったわけでも方向性が決まったわけでもないわけでありまして、ただいま大綱を見直しを策定している中で私の方から提言を申し上げながら徐々に今議論を広めていただくように努力しているというのが現状であります。
#102
○岸信夫君 是非、これは今内閣として統一できていないというお話でしたけれども、是非大臣、これは次の新しい大綱にも生かしていただかなければいけませんし、しっかりリードしていただきたいと思います。
 終わります。
#103
○山本香苗君 公明党の山本香苗です。早速質問に入ります。
 尖閣諸島沖の衝突事件をきっかけとした破壊活動を伴う大規模な反日デモが続いております。現在まで邦人の人的被害は確認されていないそうですが、日系スーパーや日本料理店などに物的被害が生じています。中国側当局に対して遺憾の意を伝えるとともに邦人及び日系企業の安全確保を強く要請しているということですが、現地邦人と日系企業の保護は当然のこととして、このような反日デモによる破壊活動に対する厳しい対処を中国政府に求めるべきだと考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。
   〔委員長退席、理事榛葉賀津也君着席〕
#104
○国務大臣(前原誠司君) 十六日には四川省の成都、河南省の鄭州及び陝西省の西安、また十七日には四川省の綿陽、また十八日には湖北省の武漢、それぞれの市におきまして今議員がおっしゃったような尖閣諸島に関して我が国に対する抗議活動が行われたということは承知をしております。
 岸委員にもお答えをいたしましたけれども、これらの抗議活動に対して、在中国大使館及び在重慶総領事館から中国側関係当局に対して遺憾の意を伝えるとともに邦人及び日系企業の安全確保を強く要請をいたしました。また、十九日午前には丹羽中国大使から楊潔チ外交部長に対して同様の申入れを行い、同部長からは安全確保に全力で努力するとの反応がございました。
 今後も必要な場面で、こういった抗議活動が起きれば、しっかりと中国側に申入れを行っていきたいと考えております。
#105
○山本香苗君 大臣、事実関係を聞いているわけじゃないんです。今申し上げたのは、破壊活動に対する厳しい対処を中国政府に求めますかということを聞いたんです。
#106
○国務大臣(前原誠司君) 引き続き申入れをしっかりと行っていきたいと思います。
#107
○山本香苗君 やるということだと思いますが、しっかり、二十三日、二十六日にもネット上で呼びかけがあると伺っておりますので、対応していただきたいと思います。
 大臣、今回のデモは尖閣諸島沖の衝突事件をきっかけとして起きているわけですけど、大臣は、今回の衝突事件がなぜこれだけ大きな問題に発展したのか、この点をどう認識、どう分析しておられますでしょうか。
#108
○国務大臣(前原誠司君) 中国側の反応について余りこちらから予断を持って判断をするのはいかがなものかと思います。
 いずれにいたしましても、我が国は中国漁船の公務執行妨害事案として我が国の法令に基づき厳正に対応したわけでありますが、それにもかかわらず、中国側が一方的に事態をエスカレートさせたことは極めて残念だと考えております。
 いずれにしても、日中関係を安定的に発展させていくことは、日中両国のみならず地域の安定及び国際社会にとって極めて重要だと考えておりますので、大局的な立場に立って戦略的互恵関係の充実を図っていくべきだと考えております。
#109
○山本香苗君 大臣、朝から大変だと思うんですが、質問に真っ正面に答えていただきたいわけなんですね。
 十月十三日の朝日新聞の「オピニオン」の欄に細谷雄一慶応大学准教授が、今回の事件がなぜこれだけ大きな問題になったのかということについて、日中の領土争いという表層的な現象の背後に潜む大きな構造的変化にも留意すべきと述べ、東アジアにおけるパワーバランスの変化と国際社会のルールの変容という二つの構造的変化を挙げていました。
 要するに、一つは、よく大臣がおっしゃるように、中国が急速に台頭してきた、それによって域内のパワーバランスが変わってきた。もう一つは、中国だけではありませんけれども、新興大国が従来の国際規範だとかルール、そうしたものに従うのではなくて、それに従ってではなくて、言わばむき出しの力で物事を、問題を解決しようとするような動きが強まってきているということ、この二つを挙げていらっしゃるわけですね。
   〔理事榛葉賀津也君退席、委員長着席〕
 大臣にお伺いしたいわけですが、今回の事件の背景に今申し上げたような構造的な変化があると前原大臣は認識しておられますか。
#110
○国務大臣(前原誠司君) 細谷雄一先生は若い研究者でありますけれども、私も非常にすばらしい学者さんだと思っておりますし、特にイギリスの研究では、私も何冊か本を読みましたけれども、大変示唆に富んだ、我々政治家が外交、国際政治を行っていく上では大変いい御示唆をいただいているんではないかと思います。
 今回の問題の背景というものについては、当然今、山本理事がおっしゃったような面もあろうかというふうに思いますけれども、とにかくこの構造的な変化が仮にあったとしても、じゃ力を持った人間が、一般論ですよ、力を持った国がその力を背景にして何をしてもいいんだという社会は、今まで戦後世界がつくってきた国際機関やあるいは国際的なルールを前提とする秩序を逸脱するものであって、それは絶対に我々は認めてはいけないと、こう思っておりまして、そういう意味では、いろんな枠組みがありますけれども、その枠組みの中に台頭する国もしっかり入ってもらって、そしてグローバルスタンダードにしっかり従ってもらうように、それを重きに置く国というものが連携をしてそういった国々に対しても働きかけ、そしてそういうものに組み入れていくという努力が大事なのではないかと思っております。
#111
○山本香苗君 後段は別として、前段でお持ちだということだと思うんですけれども、そういう認識はお持ちになっていらっしゃるということだと言うんですが、鳩山由紀夫内閣、菅直人内閣と続く民主党政権は、政治主導を提唱しているにもかかわらず、こうした国際環境の構造的変化に無関心だったと。これは私が言っているわけではなくて、細谷准教授がおっしゃっているわけです。私もここをずっと読みながら、もし今言ったような構造的な変化がこの事件の背景にあるんだという認識をしっかり持っていたのであれば、まずこんなに理不尽なことをやっているんだと国際社会に事の真実を伝える、国際社会にアピールする、それが一番大事なんだということに気付いたはずだと思うんです。
 要するに、何が言いたいかといいますと、真っ先にその大臣が見たらすぐ分かりますとおっしゃったビデオを公開して国際社会を味方に付けるべきだったんですよ。その上で、処分保留じゃなくて、起訴した上で最終的に船長を釈放するかしないか、ここのところは内閣が政治的な判断すればよかったんですよ。こうした措置が何でとれなかったんですか。
#112
○国務大臣(前原誠司君) 閉会中審査のときにも山本理事にはお話をさせていただきましたけれども、ビデオを出すということについては、私はあのときは国交大臣で海保の担当をしておりましたけれども、逮捕をするという前提で、まあ逮捕をしたら取調べしてすぐ送検しますよね。送検したらそれが証拠として扱われるということで公開には慎重であったということは前も申し上げたとおりでございます。
#113
○山本香苗君 全く今の答弁に納得できませんが。
 東アジアにおけるパワーバランスの変化と国際社会のルールの変容、これを背景としている限り今回のような事件というのは一時的なものではないわけです。同じような事件が繰り返し起きる可能性の方が高いと言わざるを得ないわけですね。ですので、今必要なことは、事件の背景にこういう構造的な変化があるんだという認識をしっかり持った上で、まだ事件全部済んでいるわけではありませんけれども、検証して対中戦略というものをしっかりと構築していくことではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#114
○国務大臣(前原誠司君) 今回の事件のことは横に置いておいても、今、山本理事がおっしゃったようなこの地域における地殻変動というのは私は起きていると思います。したがって、その地殻変動というものをどのように我々は認識をして対応していくのかということが大事だと思います。
 まず一つには、自らの主権をしっかり守るような態勢を、いわゆる法律だけではなくて態勢ですね、熊みたいな字の態勢ですね。(発言する者あり)熊じゃないですね、態度の態の態勢、こういうものをしっかり取るということと、あとは、先ほど申し上げたように、戦後六十五年たって、やはりあの第二次世界大戦の悲惨な経験を人類は、世界は二度と繰り返してはいけないということでいろんなルールを作ってきたわけですね。それがしっかり守れるような枠組みあるいは価値観を共有する国との連携を強める中で、力を付けてきている国だとしても一国だけでその国は発展するわけできないわけですから、そういったところに組み込んでいく中で、グローバルスタンダードにしっかりと従ってもらうような雰囲気をつくっていくということが大事なことではないかと考えております。
#115
○山本香苗君 態勢全体というより中国のことを聞いたんですけれども、中国との話は、先ほどの答弁の中で戦略的互恵関係という言葉で、所信の中でも引き続きそれを推進していきますということでございましたので、大臣に改めてお伺いしたいわけですが、ちょっと四点まとめて言います。
 ここでいう戦略的というのはどういう意味ですか。二点目は、中国に対して日本はどういう戦略をお持ちなんでしょうか。三つ目は、この互恵というのは具体的に何なんですか。最終的に、結論として日本と中国の戦略的互恵関係というのは分かりやすく言いますとどういうことなんですか。
#116
○国務大臣(前原誠司君) 戦略的というのは大局に立ってと、こういう意味でありまして、日中双方が、大局ということは将来にわたりと、今だけを見るんではなくて将来にわたり、あるいは二国だけ見るんではなくていろんな地域、国際社会というものも全体に見ながら二国間を見ていくということが戦略的というふうにお考えをいただければ。つまりは、狭い小さな国益を求めるのではなくて、将来にわたって広い観点から両国の国益増進に向けた見方をしていこうというのが私の理解をする戦略的でございます。よろしいですか。
#117
○山本香苗君 いや、よろしくはないです。
#118
○国務大臣(前原誠司君) よろしくない。
 それと、互恵関係の基本的な中身ということになりますとちょっとかなり長くなるんですけれども、いいですか、時間。といいますのも、これはお隣に座っておられる岸理事のお兄様が総理大臣のときにこの戦略的互恵関係というものを温家宝総理との間で結ばれたわけでありますけれども、我々はこの中身というものはしっかり踏襲しようというふうに思っておりまして、この戦略的互恵関係の基本的な内容というのはかなり多岐にわたっています。
 じゃ、余り怒られるといけないので短くいたしますが、一つは、平和発展を相互に支持して政治面の相互信頼の増進あるいは各レベルの往来の維持強化、各レベルというのは政府、議会、政党間、こういう交流と対話を拡大するというのがまず一点。
 それから二つ目には、エネルギー、環境、金融、情報通信、知的財産、こういった分野での協力を強化してメカニズムを充実させ整備させるということ。
 それから三点目は、防衛分野における対話及び交流を強化して共に地域の安定に向けて力を尽くすということ。
 四点目が、人、文化の交流を強化して両国民の相互理解、友好的感情を増進させると。具体的には、両国の青少年、メディア、友好都市、民間団体の間の交流を幅広く展開して多種多様な文化交流を展開すると。
 最後のポイントといたしましては、協調と協力を強化して地域及び地球規模の課題に共に対応していくと。例えば朝鮮半島の問題とか安保理改革とかASEAN、東アジアの地域協力、こういうものについて協力をするというのが安倍総理のときに合意をされた互恵関係の中身だと思っておりまして、我々はこれをしっかりと踏襲して、これを実のあるものにしていきたいと考えております。
#119
○山本香苗君 よく分かりませんが、日中間でその言葉が繰り返し言われるんですけれども、どうしても言葉ばかりが独り歩きしているような感がしますので、そのことだけ申し上げて、ちょっと次の質問へ行かせていただきたいんですが。
 北方領土のことについて、ロシアは九月二日を第二次世界大戦終結の日に制定しました。ロシアがどういうねらいでこの日を記念日に制定したにせよ、北方領土は我が国固有の領土であり、粘り強くその返還を求めていくという我が国の考え方にいささかも変化も与えない、影響もしないと、そういうのが日本政府の認識であると受け止めていいですか。
#120
○国務大臣(前原誠司君) それで結構でございます。
#121
○山本香苗君 もう一点事実確認したいんですが、一九五一年、対日平和条約、いわゆるサンフランシスコ平和条約が交渉されていたときに日本にある英国大使館から、対日平和条約において日本に千島列島を放棄させるが、この放棄させる千島列島の範囲をあいまいにしておけばこの範囲をめぐって日本とソ連は永遠に争うことになり、これは西側連合国にとって利益となるであろうといった趣旨の英国本国あての極秘意見具申電報、この存在について外務大臣は承知しておられますか。
#122
○国務大臣(前原誠司君) 一九五一年九月のサンフランシスコ平和会議直前の同年七月、在京英国大使館から英国本国政府に対して千島列島の戦略的価値に関する意見具申の電報が発出されており、同電報においては、当時の日本が東西両陣営のいずれに付くかによって千島列島の戦略的価値が大きく異なることが述べられているものと承知をしております。
 なお、この電報には今議員が引用された文言が含まれているわけではございません。
#123
○山本香苗君 これはちょっと別の機会にしっかり質問させていただきたいと思うんですけど、というのが、二〇〇四年に出た元ロシア大使の丹波さんが書かれた「日露外交秘話」の中にこれが書いてあるわけなんですね。また別の機会に、今中身については意見がちょっと違いましたので、質問させていただきたいと思います。
 北澤大臣、防衛大綱について伺いたいんですが、年内に新たな防衛大綱を定めるということですけれども、検討状況はいかがでしょうか。
#124
○国務大臣(北澤俊美君) 年内にこれを完成させるということは総理からの指示でもありますので今それに向かって鋭意努力しておりますが、御案内のように八月二十七日に新安防懇の報告書が出まして、その後をちょっと時系列で申し上げますと、九月十四日に安全保障会議を開催をいたしまして大綱の見直しについての本格的な検討を開始しまして、今月の一日には国際情勢などについて、また十九日には国の安全保障の基本的な方針について議論を順次進めてきておりまして、今のところそういう意味では順調に進んでおります。
#125
○山本香苗君 ということは、本年内に結論を得るとありましたけど、きちんと年内には新しい防衛大綱を決定できる、決して先送りはしないとお約束していただけますでしょうか。
#126
○国務大臣(北澤俊美君) 先ほどの衆議院の安保委員会で同趣旨の御質問がありまして、必ずまとめると。しかもこれは、これに合わせて中期防計画も作らなきゃいけませんし、そのことは来年度予算に直結しますので、これを何としても今年内にまとめるという決意でありますので、御理解をお願いいたします。
#127
○山本香苗君 決意でなくてしっかりとやっていただきたいわけでございますが、先ほどもお話あった八月二十七日に出された有識者の報告書が、これは新防衛大綱策定においては検討材料の一つとされているわけでございますけれども、この報告書では、基盤的防衛力という概念は有効性を失った、基盤的防衛力という概念は継承しない、こういうことで、いわゆる基盤的防衛力構想というものとの決別を提言をしているわけでございますが、この点は極めて重要なポイントだと思うんですけれども、この点を防衛大臣はどのように受け止めておられるでしょうか。
#128
○大臣政務官(広田一君) 御答弁申し上げます。
 御指摘のように、現在の防衛大綱が基盤的防衛力構想につきましては有効な部分を継承して、そして実効的に対応していくというふうな記述になっております。それを受けて今この大綱の実現に向けて取組が行われているわけでございますが、山本理事が御指摘のように、新安防懇の報告書の中では基盤的防衛力の概念といったものがもはや有効ではないといったものが確認したとか、そして基盤的防衛力構想は日本の防衛という役割に限ってみても既に過去のものであると、こういったような御指摘があるわけでございます。
 これも理事の方からお話がございましたように、この報告書というのは今回新防衛大綱を作成する際の一つの検討の材料として扱わさせていただいているわけでございます。
 御指摘のように決別をしたかというふうな事柄について今明確に申し上げることはできませんが、今の不安定なそして不確実な地域周辺の状況等々を踏まえながら、この防衛大綱の在り方について議論を進めていきたいというふうに思いますし、その際には山本理事の御意見とかそして御指摘等も踏まえて進めていきたいというふうに考えております。
#129
○山本香苗君 聞いたことに答えていただきたいんです。
 私は大臣の受け止めを聞いているわけでありまして、今日、政務官の登録はしておりません。
#130
○国務大臣(北澤俊美君) お許しをいただければ、折々に政務官も副大臣も答弁をさせていただいて、こういう場面での討論技術を練り上げていくことも大切なことだと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 そこで、御案内のように、基盤的防衛力構想というのは五一大綱でできて、〇七大綱でこれを継承して、一六大綱でそろそろ時代遅れだよと、こういう話になったわけでありまして、我々とすれば、今一番大きな問題は、ではこの基盤的防衛力構想に代わるものは何であるかと、こういうことですが、今の我が国を取り巻く安全保障環境からすると、中国の海軍力、空軍力あるいは北朝鮮の状況等を見ると、空へ海へとシフトしてきていますから、我々は機動力のあるものに変えていかなきゃいかぬ。そうかといって、既に定着した基地を、どこかの基地をこれを全部抜いてしまうということはなかなかでき難いことでありまして、イメージ的に言いますと、海兵隊的なものを編成をして事態に即応できるようなものにできればいいかなと、こんなふうに今思っております。
#131
○山本香苗君 今大臣、大事なことをおっしゃったんですけれども、基盤的防衛力構想が時代遅れの感がしてきたと。この基盤的防衛力構想の一つの特徴というのは第三国、特定の脅威を想定してないところにあったわけですが、じゃ、新しいそれに取って代わる構想というのは、特定の国・地域といったような脅威を想定したものになるんですか。
#132
○国務大臣(北澤俊美君) もう私から申し上げなくてもいいと思いますけれども、基盤的防衛力構想というのは漫然としていては駄目ですよという話なんですね。正確に言えば、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するよりも自らが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有することという考え方、これは我が国が防衛力を増強し始めてきたときには非常にしっかりした考え方だったと私自身も思います。
 これに対して、これはどこを想定していないというか、かつては日本の防衛は日米の間でソ連を想定してやってきましたから、これに基づいてやった日本の防衛のシフトというのは、北海道や東北へずっとシフトしていたということはもう御案内のとおりでありますが。それから今度は変えていくわけですが、先ほども申し上げましたように中国の海軍力、空軍力それから北朝鮮の不確定さ、そういうものに対応できるような対応と、今我々とすればそういう新しい脅威に対して、それからサイバーとかそういったものに対する対応、そういうものを総合的に勘案した中で新しいものをつくり出そうと、こう思っております。
#133
○山本香苗君 だとすると、ちょっと今の答弁、後でまたしっかり精査しますけれどもね。ちょっと時間も関係ある。だとすると、今おっしゃったような様々な中国の海軍力だとかいろいろ軍事力のことをおっしゃいました、新たな脅威のこともおっしゃいました、そういう脅威対応型の所要防衛力という概念を取るんですか。
#134
○国務大臣(北澤俊美君) 冒頭申し上げましたように、基盤的防衛力構想の必要なところ、いいところは残して新しい脅威や不安定要素に対応できるものに変えていくと、そういうことです。
#135
○山本香苗君 じゃ、新しい防衛力構想は、提言とは違ってそこのところは残すんだ、有効な部分は残すんだ、一六大綱のときと同じような形で有効な部分は残すんだというお考えですか。
#136
○国務大臣(北澤俊美君) 菅総理も言っていますようにこの報告書は一つの材料として検討の資にする、基にすると、こういうことでありますから、我々としては独自な考え方を作り上げたいと思っております。
#137
○山本香苗君 もう一個、角度を変えますが、その報告書を受けて新大綱を策定するに当たりまして、憲法九条に関する従来の解釈変更を必要とするような方針転換はあり得るんでしょうか。大臣、お願いします。大臣にお願いいたします。
#138
○国務大臣(北澤俊美君) 憲法九条の解釈について今までの考えを変えることはありません。
#139
○山本香苗君 しつこいようですが、自衛権の発動の三要件、すなわち自衛権の発動の三要件ですね、我が国に対する急迫不正の侵害があるということ、これを除去するに他の適当な手段がないということ、必要最小限度の実力にとどまるということ、この三要件を今回の新たな防衛大綱を作るに当たって解釈を変えたりとかいうことはないと明言できるということですね。
#140
○国務大臣(北澤俊美君) 失礼しました。
 そういう考えはありません。
#141
○山本香苗君 とにかく年内に策定するということでございますから、そのときにもまたしっかりと議論させていただきたいと思います。
 先ほど武器輸出三原則のお話がございましたけれども、そこで二点ほど確認をさせていただきたいわけなんですが、一つは、菅総理は武器輸出三原則について基本的な理念を変えるつもりはないと言っているわけですけれども、菅総理が変えないと言っているこの基本的な理念というのは具体的に何ですか。
#142
○国務大臣(北澤俊美君) 先ほどもちょっと岸委員にお答えしましたが、国際紛争等の助長を回避するという平和国家としてのそこの理念は変えないと、ここのところだけはしっかり押さえたいというふうに思っております。
#143
○山本香苗君 理念のところは変えないと。具体的にどういう形にするかということを大臣は見直しをしたいという答弁をされているわけですね。
#144
○国務大臣(北澤俊美君) 大きく分けて二つあると私は思っておるんです。
 先ほども申し上げましたように、我が国の生産基盤の劣化や技術基盤の劣化を防ぐということ、それから装備の調達を効率よくするということ。それからもう一つは、従来の自民党政権が官房長官談話で幾つか抜いてきたわけですが、例えて言えば、私よく例に取るんですが、ハイチへ今行っていますね。あそこへたくさんのブルドーザーや何か重機持っていっているわけですよ。これをハイチに置いて帰ってくれば、輸送費は安くなる、ハイチは喜ぶと、こういうことですが、これが武器輸出の範疇に入るわけですから、置いてくるわけに今のところいかないわけですね。これもう御案内のように、外為法によって我が国から輸出という概念は、船積みした、飛行機に積んだと、ここから輸出になるわけですから、この辺のところをもう少し合理的にやったらどうかなというふうに思っております。
#145
○山本香苗君 二点目なんですけれども、菅総理が、この間の参議院の予算委員会だったと思うんですが、防衛大綱も含めた議論の中でもしっかりやっていきたいと答弁したんですね。他方、大臣は防衛大綱の見直しの中で見直したいと言っているんですね。微妙に違うわけですね。
 確認をさせていただきたいわけなんですが、見直すと言うんだったらいつまでに、つまり大綱の議論の中でやるのか外でやるのか、どこでいつまでにどういう形で見直しをするのか。大臣個人の意見じゃなくて菅内閣としての統一した考え方を示していただけますか。
#146
○国務大臣(北澤俊美君) 私再三申し上げておりますが、菅内閣としての統一的な見解であるとかあるいはまた統一的な議論というものは起きているわけではなくて、むしろ私の方から防衛大臣として問題提起をしておると。そうかといって、私が菅内閣の中で独りぼっちかというと、極めて理解のある前原外務大臣もおいでになりますし、議論は徐々にしておるわけで。今、山本さんの言われたようにぎゅうぎゅう詰められると、そこまでのイメージを持って今進んでいるわけではなくて、私がここでこの問題提起をしただけでもこの一年間相当な反対意見を寄せられてきておりますので、そう簡単にできるものではないと。
 先ほど、岸委員からは大変力強いお言葉もいただきましたけれども、この議論をこういうふうに公の場でもしながら私は前へ進んでいきたいと思っています。
#147
○山本香苗君 今日あえて突っ込まなかったんですけれども、この間猪口委員が閣内不一致じゃないか、これはもう閣内不一致じゃないですか。意見がばらばらだったら、検討中といってここでやるべき話じゃないんじゃないかと思うんですが。
 もう時間があと三分ちょっとしかないので、最後に……(発言する者あり)
 いいです。済みません、あと三分しかないので、聞きたいことがあるんです。済みません。
 前原大臣、ハーグ条約の関係なんですけれども、端的に、オバマ大統領が十一月に来日した際に締結をしちゃうんじゃないかと、そういう表明してしまうんじゃないかという話がありますが、事実かどうか、端的にお答えいただけますか。
#148
○国務大臣(前原誠司君) 子の親権の問題でございますが、ハーグ条約締結につきましては、検討すべき論点が多数ありまして、現在は外務省と法務省の間で協議を進めているところでございまして、また与党にもいろいろな御意見があって、その考え方を受け止めているところでございますので、私は少しじっくりと十分な議論を尽くす必要があると考えております。
#149
○山本香苗君 今の御答弁聞いて、御答弁の中にありましたけれども、検討すべき論点というのは、大臣、具体的に何だと認識されていますか。
#150
○国務大臣(前原誠司君) 例えば我が国の法制度との整合性とか、あとは中央当局の指定、子の安全な返還の確保、こういった問題があると思っております。
#151
○山本香苗君 先ほどの答弁でいきますと、そういった論点の結論が出ない限り締結しないとお約束していただけますか。
#152
○国務大臣(前原誠司君) 今省庁間でも議論しておりますし、与党でも議論しております。また、現在外務省でホームページでアンケートを実施をしておりまして、幅広く御意見も承りたいと思いますし、委員の御意見も是非こういった場で御披瀝いただければ有り難いと思います。
#153
○山本香苗君 今アンケートの話をくしくもしていただいたんですけれども、関係者の方に伺いますと、DV等で子供を連れ帰っている方々なんか、そこに出したら、そもそも表に出てそういうことを言うこと自体が怖いというような御意見もあって、なかなか話がそこにつながるような形になっていないと伺っています。
 実態がきちんと把握されないまま話がどんどん進むようなことがあってはならないと思いますので、是非大臣、省庁間で今事務的な話をしていらっしゃるのは伺っているんです。ですが、是非こうした事情を抱える方々を支援していらっしゃる方々も含めて、ちょっと開かれた場で検討する場を持っていただいて議論していただきたいなと思うんですが、そういう場をつくっていただけないでしょうか。
#154
○国務大臣(前原誠司君) いずれにしても、幅広くいろんな方々の御意見は承りたいと思っておりますので、今の御意見は参考にさせていただきたいと思います。
#155
○山本香苗君 終わります。
#156
○小熊慎司君 みんなの党の小熊慎司です。熊そのものの漢字の小熊慎司でございます。
 良くも悪くも、尖閣諸島沖での中国船の衝突事案以後、国内はもとより国外からも日本の外交、防衛について日中の二国間の動きを注目されている中でこの参議院の外交防衛委員会が開かれているわけでありますけれども、政府においては、国家国民の皆さんへの真摯な態度、真剣な取組を示さなければならないときに官房長官がこの委員会に出席をされないということは大変残念なことでありますし、政治の王道を行く、逃げない政治ということをこれが政治の王道とすれば、忙しい中でもまた健康上の理由があったとしても、はってでも、五分でも十分でも、一問でも自らがその説明を果たす、この委員会での発言をさせてくれというぐらいの態度があってしかるべきだということを御指摘を申し上げておきます。
 我々野党も御覧のとおり紳士淑女ばかりでありますから、決して揚げ足を取るような、やり込めるような議論はしませんから、是非官房長官には堂々と恐れずに、柳腰じゃなくてもう腰がない状況です、これ出席しないようであれば。是非恐れずに出席をされて、真剣に国家国民の皆さんへの真摯な態度を示していただくことを要請を申し上げておきます。
 さて、質問に移らさせていただきます。
 この衝突事案の一件以来、もちろん大臣は折あるごとに領土問題は存在をしないという表明をされてきておりますけれども、残念ながらこの船長の解放が、手続上正しいとか正しくないとかそういうことを乗り越えて、外交的には失敗をしてしまったのではないかというふうに思っている我々議員そして国民の皆さんは多いということは承知をしているところだと思います。
 そしてまた、これまでの中で、先日の委員会でも外務大臣は各国政府に正式に日本の主張をされておるということを答弁していただきましたけれども、残念ながら一方で、インターネット検索大手の地図サービスなどの尖閣諸島に中国語が誤って表記されているなど、また私自身も語学に堪能ではないので各国の新聞報道等、どのようにされているのか、想像すれば、恐らく直訳をすれば領土問題と、日中間の領土問題というような報道がされているやに危惧をするところであります。
 そこで、今後とも国際世論の喚起のためにも日本の立場をしっかりと主張をしていくためにも、日本の国家主権を堂々とこの国際社会の中で広く訴えていかなければなりません。各国政府への対応は重々承知をしておりますけれども、こうした報道機関、民間機関へのこの日本の主張をどう伝えていくかという対応について、取組について外務大臣にお伺いを、政治の王道を行く外務大臣にお伺いをいたします。
#157
○国務大臣(前原誠司君) 小熊委員にお答えいたします。
 我が国の一貫した立場に関して国内外で正しい理解を得るために、外務省ホームページを含む対外発信の強化、外交ルートを通じた働きかけに加えまして、累次の機会に外国メディアへの反論書簡掲載や申入れを実施をしております。
 今後ともそういった努力をしていきたいと考えております。
#158
○小熊慎司君 あらゆる手だてを講じて、あらゆる機会を通じて一〇〇%これは日本が正しい立場だということを強く訴えていくことが必要でありますし、そして今、反日デモなどでの状況も御承知のとおり、このネットの世界の中でもしっかりとそうした書き込みがあるものに関しては日本政府の立場を明確に主張していく必要があるというふうに思っております。報道機関のみならず民間機関というふうに私先ほど質問させていただきました。こうしたネットの世界の中での日本の立場、こうしたものはどのように訴えていくおつもりか、お伺いをいたします。
#159
○国務大臣(前原誠司君) このインターネット等で流れております例えば反日デモの呼びかけなどについては各在外公館を中心に常時注意を払っておりますし、関連情報が確認をされた場合には各在外公館から各地の関係当局に対しましてデモ申請、許可等の事実関係を照会するとともに日系企業及び在留邦人の安全及び財産の確保に対する協力と保護を要請をしております。
 また、照会の結果等を踏まえまして、各在外公館から現地の在留邦人に対しましてしかるべく注意喚起を行っているところでございます。
#160
○小熊慎司君 済みません、私のつたない質問で、その答弁は次の質問をもう答えられておるんですけれども。
 ネットの世界の中で日本の主権をしっかりと主張していかなければいけない。正式な報道機関だけではなくて、今ネット社会でもありますから、そういうものに対して日本の政府としての領土問題はないというこの主張をどのように対応していくのかということを聞いたんです。
#161
○国務大臣(前原誠司君) 失礼しました。
 外務省といたしまして、様々な御意見もいただいて各国語に訳したものそれからQアンドA、こういうものも作らせていただきましたし、そういったものをまたいろんなところにリンクをさせていただく、あるいはいろんな報道機関に対して提供していく、あるいは各国の在外公館に対して提供していくという中でそういったインターネットなどの媒介を通じての広報活動もやっているところでございまして、もし小熊議員がその分野にお詳しければ、更にどういうふうにしたら広報活動がよりできるのかということについても御教授いただければ有り難いと思います。
#162
○小熊慎司君 私、不得手なところですけれども、我が地元には会津大学というコンピューターの単科大学がありますので、いろいろ通じて御提案をしていきたいというふうに思います。
 逆に答弁が出てしまったので質問しにくいのでありますけれども、今この瞬間にも中国での在留邦人の、あるいはまさに不安の中で暮らしておられるというふうに思います。在留邦人も近年ではロサンゼルスが一位、二位がニューヨーク、そして上海が三位となっているところでもありますから、数多くの邦人が中国におられるようでありますので。
 本当にいろんなデマにも近いデモの書き込みや情報、やっぱりどの情報が正しくて正しくないかというのはもう個人では追いかけられないというふうに思います。もやもやした単なるうわさ話で右往左往してしまう状況でもあるかもしれません。そして、逆に情報が多ければ多いほど、今度はそれに麻痺をして、どうせないだろうというそういうすきが出てしまうかもしれません。
 これはしっかりと的確な情報把握が必要だというふうに思いますし、また中国の国内での安全に関しては中国の内政にも絡むかもしれませんけれども、先ほども答弁でも出ていましたが、中国政府への申入れだけではなくてしっかりとした協議をして、どうやって具体的に日本の方々の、中国に住んでおられる方々のその安全が確保されるかということは、言いっ放しではやっぱり駄目だと思うんですね。中国政府との日本人の安全についてしっかりとやり取りを具体的にどのように今していて、申入れだけじゃなくて具体的にどのようにしていて、今後どのような更にそこについての取組をしていくのか、取組をお伺いいたします。
#163
○国務大臣(前原誠司君) 先ほど委員から膨大な情報があって本当にそれが正しいのかどうなのかという信憑性に対する御指摘がございました。
 これを確認する手段といたしまして、本当にそのデモ申請、許可がなされているのかどうなのかと、こういう事実確認を各地の在外公館からさせていただいておりまして、そして仮に申請が出ていると、じゃデモが行われるんだということについて言えば、その地域を管轄をする在外公館から日系企業や在留邦人の方々に対する注意喚起をやると。それと同時に、委員の御指摘でもありますけれども、単に申入れだけじゃなくて具体的に安全あるいは財産の確保に対する協力、保護を現地でしっかり要請をするという活動を今も続けてきているところでございます。
#164
○小熊慎司君 その要請の結果、今現時点では、日本の政府として中国政府がちゃんと対応しているという判断をされていますか。
#165
○国務大臣(前原誠司君) 結果として、在留邦人がけがをされたというような情報もございませんし、また我々の注意喚起だけでは十分ではないと思いますけれども、しかしその中で、注意喚起もさせていただく中で、例えば渡航情報なんかも出しております。そういったことの中で現時点では幸いにもけがをされた方に関する報告がございませんし、そういった面では中国側も一定の努力をしてもらっているんではないかと、そういう評価をしております。
#166
○小熊慎司君 一方で、中国の農業省によると、監視船三隻をこの尖閣諸島に出航させたという情報が入っております。
 大人の対応、お互いに紳士的な対応をしなければならないこの時期にこうした中国の牽制がされているということは大変ゆゆしき問題であります。現時点、今直近の一番近いところでのこの監視船の動きを日本政府としてはどの程度把握をしておられるのか、お聞きいたします。
#167
○国務大臣(前原誠司君) 今委員が御指摘をされました中国漁政局の漁業監視船、漁政一一八が魚釣島の周辺海域に向けて出航したとの報道については承知をしております。ただ、現時点においては、尖閣周辺海域で当該船舶が確認されたとの報告は受けておりません。
 いずれにいたしましても、政府としましては、従来から一貫した答弁をさせていただいておりますように、東シナ海に領有権問題は存在しない、尖閣諸島は我が国固有の領土であるという前提に立って、一義的にまず海上保安庁しっかりとガードしてもらって、我々の領海を守るという活動を今後も続けてまいりたいと考えております。
#168
○小熊慎司君 その姿勢、了としたいところでありますけれども、実際にこの監視船が具体的に領海内に入ってきたときどのように対応するのかということは、海保の方と協議をしてそのシミュレーションはされているのかどうか。
 また、そうした行動を取ったとき、また今緊張感をはらんだ牽制を中国政府がしているというふうに受け取られますので、今現時点でこの監視船の動きについて中国政府への申入れがされているのかどうか、日本政府として。そしてまた、今後こうした行動を取らないようにという対応をどのように取っていくのか、お伺いをいたします。
#169
○国務大臣(前原誠司君) 私も国土交通省におりましたので、海保がどのような対応を取るのかということはすべて申し上げられませんが、お分かりいただけると思いますけれども、どんな対応を取るかについてはすべてお話しできないことについてはおわびを申し上げておきたいというふうに思いますが。
 いずれにしても、今まで漁船はたくさんありますので、入ってきてそれを追い出す活動をしておりましたけれども、この漁政や他の公船については、これについての情報を早期に収集して、そして基本的には接続水域の辺りからしっかりガードをして、そして領海内には絶対入れないと、こういう態勢で今まで来て、それが成し遂げられておりますので、様々な形でそういった努力を海保にしっかり行ってもらう、また様々な情報提供については海上自衛隊のP3Cなどからちょうだいをするということになろうかと思います。
 二つ目の御指摘でございますけれども、申入れでございますけれども、仮にこの海域に来たということが確認をされれば、当然ながらしっかりと中国側には申入れをさせていただきたいと考えております。
#170
○小熊慎司君 国家の安全対策上機密でなければならない分野は重々承知をしております。しっかりとした対応策があるということの確認をさせていただきました。
 過日大臣には「会津魂 ならぬことはならぬ」というTシャツをお贈りさせていただきましたけれども、ならぬことはならぬという精神で一ミリたりとも譲ることなくその対応を取っていただくことをお願いを申し上げます。
 次に移らさせていただきます。
 先ほど来出ております防衛計画大綱、この新しい大綱について、その中で武器輸出三原則の話題が出ております。報道等を見れば、防衛大臣と総理との少しその対応の、見解の乖離が見られる報道もされておりますけれども、ここであえてこの三原則に対する、防衛大臣、御見解、また政府にとっての見解を併せてお聞きをいたします。
#171
○国務大臣(北澤俊美君) 先ほど来お話を申し上げておりますが、重ねて答弁をさせていただきます。
 武器輸出三原則を取り巻く環境が変化しているということは再三申し上げてきておるわけでありまして、実際的には調達といいますか生産が二国間あるいは多国間の共同開発の流れがもう主流になってきているということ、それからそこに参画できない日本が生産基盤や技術基盤が遅れていくということに対する危惧、それから現実対応とすれば、官房長官談話でその都度抜いてきた処方、これに対する新政権としての考え方を明確にすべきではないかというふうな問題意識の中から私が提言をさせていただいて、それを基にして閣内でも議論をしていただくと。
 たまたま防衛大綱の見直しの時期に来ておりますので、そういう環境の変化、状況を踏まえて議論をしていくというのが今の状況でありまして、先ほどもありましたが、今まだ閣内不統一だとかなんとかという状況にまで来ているわけではなくて、私は入口のところでまだ議論をしているのに閣内不一致だとか不統一だとかといってこういう真摯な議論を封じ込めるようなことは是非慎んでいただきたいというふうに考えております。
#172
○小熊慎司君 副長官もおられるので、政府としての見解はどうですか。
#173
○内閣官房副長官(福山哲郎君) 小熊委員にお答えをさせていただきます。
 政府としてとおっしゃいましたので、防衛大臣がお答えをされたとおりだというふうに認識しておりますし、総理と防衛大臣の考え方には相違がないというふうに思っております。
#174
○小熊慎司君 いずれにしても、この三原則の基本的理念、この普遍的な価値観というものは守っていかなければなりませんし、日本自身のこの防衛の在り方、そしてこの地域、世界に対する平和への貢献、これは外してはならないというふうに思っております。大臣のおっしゃったとおり、この冷戦構造時代にできた三原則、今テロとか様々なこの国際紛争の時代の中でやはり時代に合った対応も求められるところでもありますし、また防衛費の上昇を避ける意味でもこれは考えていかなければいけないことは私も重々承知をしているところであります。
 ですから、これはやはり今大臣のおっしゃったとおりこれは聖域を設けずにしっかりと議論をしていくことが重要であると思います。また一方で、この三原則、まあ見直しというよりは、これは普遍的な部分は変えないわけでありますから、付加していくとか時代に合ったものを付け足していく、そのような表現の方がしっくりくるのかなというふうに思いますし、またこれを変えていく場合でも、やはり避けて通れないこの集団的自衛権とかこの出資の問題また生産分担の問題とか、クリアしなければいけない課題は山積をしておりますので、悠長なことを言っているような場合でもありません。オープンな形でしっかりと議論をしていく環境がこれは国民にとっても重要なことであります。
 また一方で、この三原則を守りながらも、ゲーム機とか民生品の方で武器に転換されてしまっているものもあります。そうしたことも含めれば、これだけ守っていれば日本は平和に貢献しているということではなくて、そうしたことも含めて平和に貢献できる在り方の基本はしっかりと堅持しつつ、日本の防衛の在り方、世界への貢献の在り方を追求していっていただくことを、その姿勢を大綱の中で生かしていただくことを御要望申し上げて、質問を終わらさせていただきます。
#175
○谷岡郁子君 大臣の皆様方、本当にお疲れさまでございます。民主党の谷岡郁子でございます。いましばらくお時間をいただきたいと思います。
 最初に、実は北澤防衛大臣に大変僣越ながら先日の大臣のごあいさつに関しまして一点だけ確認をさせていただきたいと思います。
 四ページ目の最後の、次に、海外における自衛隊の活動については、海賊対処行動や国際平和協力活動などということで、今後とも積極的に取り組んでまいりますというふうに書かれておりますが、ここに述べられております海賊対処活動というのは、基本的に今行われているソマリア・アデン湾等における海賊対処活動のことを指しておられる、つまり海賊活動一般であるならばこれは主務官庁が恐らく国土交通省ではないかと思いますので、その範囲に及んでいるわけではないということだけ確認させていただけますでしょうか。
#176
○国務大臣(北澤俊美君) この海賊対処につきましては、おっしゃるとおり国土交通省が第一義的に所管をするわけですが、しかし遠隔の地であるということも含めて、国土交通大臣の方から自分たちには簡単に言うと荷が重いから防衛省でやってくれという書簡をもらった上で我々が任務に就いておると、こういうことであります。
#177
○谷岡郁子君 確認いただけたものというふうに思いたいと思います。
 次に、この間の自衛隊の様々な活動、私は大変感謝と感激を持ってこの推移を眺めさせていただいておりました。特にこの間口蹄疫がございましたね、宮崎県で。これは、場合によって他県等へも広がれば日本の安全保障を本当に脅かしかねないゆゆしき問題であった、相手が生物であるだけに大変な問題であったろうというふうに考えております。
 これを宮崎県内に封じ込めるために自衛隊の方々が頑張られたというふうに理解をしておりますが、このことにつきまして、自衛隊の出動の規模、延べ人数、期間そして作業の内容など概要を御説明いただけますでしょうか。
#178
○大臣政務官(広田一君) 谷岡理事の御質問に御答弁申し上げます。
 自衛隊は、七月二十七日までの約三か月間、逐次派遣規模を拡大しながら、陸自の第四十三普通科連隊を主力として隊員延べ一万八千七百二十人派遣をさせてもらいました。家畜の埋却場所の掘削であるとか畜舎の清浄化などの消毒作業、これは合計百三十八か所、消毒ポイントにおきましては二十四時間対応したわけでございますけれども、これも計十五か所など行わさせていただきました。これらの対応につきましては、宮崎県知事始め関係市町村から高く評価されたところでございます。
 実際、私も宮崎県の都城の長峯市長にも直接お伺いをさせていただきました。当初は、初期段階におきましてはやり取り等で課題等もございましたけれども、本当に自衛隊の隊員が献身的に活動をしてくれた、日々日々評価が上がったということでございます。
 そして、自分たちの寝泊まりにつきましても、ほかの応援の方々がホテル等に宿泊するときに自衛隊員は体育館で寝泊まりをして、本当に現場等にもすぐ行けるような対応をしたということでございます。そして、作業が終わって撤収するときには、地元の住民の皆さん、全然動員をしたわけではありませんが、何百人集まって涙を流しながら隊員を送り出した、そういったようなお話も直接お聞きをいたしました。そういった意味でも隊員は非常に一生懸命取り組まさせていただいたというふうに思っております。
#179
○谷岡郁子君 あの暑さの中で、また私どもは想像を絶するような多分環境、におい、あるいは動物の叫び声であったり悲しい目であったりするものと遭遇しながらの作業というものは本当に大変であったろうと思います。生き物を殺さなければいけないということは、そのためにたとえ訓練を受けた者であってもやはりつらいことであったろうというふうに考えます。そういう御苦労を九州管区以外から、外から人を呼ぶことによって他へ広げてはならないということで、本当に一部の自衛隊員の方々に負担が掛かる形でおやりになったという理解をしております。
 そういう大きな功績というものがなかなかマスコミ等に取り上げられないということを大変に残念に思っておりますが、その一方で私どもは、やはりここまでやっていただいた方々が、後、精神的に苦しまれたり、またいろいろな形でトラウマを引きずったりするということ、これに対しては必ず責任を持たなければならないというふうに考えておるわけですけれども、そういう場合のケアというものは今どうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#180
○大臣政務官(広田一君) お話しのように、殺処分の支援等々を行う中で本当に派遣された隊員の精神的負担というものは相当大きいものがございました。
 意識調査等を行いました結果、特に派遣隊員が一番つらかったというのが殺処分の現場に居合わせていたとき、先ほど谷岡理事の方からお話がありましたように、その光景とか鳴き声とか、そういったところに目の当たりにする、また臭気、においが、これが耐え難いようなにおいであった、そういったところから睡眠障害であるとか疲れやすい、こういった事柄が生活において、食生活も含めて変調を起こしてきたというふうなことでございます。
 このようなことも踏まえてしっかりとやはりメンタルヘルスケアというものを行っていかなければなりませんし、その取組をさせていただいたところでございます。
#181
○谷岡郁子君 私たちは本当にこういう自衛隊の活動の中から自衛隊に対する信頼そしてまた自衛隊を頼りにする気持ちというものを重ねてきていると思います。これは災害対策であり、また場合によっては、沖縄の不発弾の処理がこの間ありましたけれども、爆破処理せざるを得ないというような状況にあって、最後にその危険な現場に自衛隊の方々が居合わせたということであろうと思います。
 これから病原菌は家畜を含んだものとしていよいよ広がってまいりますでしょうし、また災害対策も様々ありましょうし、このような爆破処理というようなものもあろうかと思います。自衛隊がいわゆる安全保障といったときに軍事以外の面で国民の命また財産を守るということへの期待というものがますます掛かることだろうと思いますが、この辺につきまして、今後の対策、その考え方ということにつきまして大臣に一言お尋ねをいたしたいと思います。
#182
○国務大臣(北澤俊美君) 自衛隊の長い歴史の中でそれぞれの駐屯地等で忌避されていた状況から今は高い信頼を受けるようになってきたのは、今まさにおっしゃっていただいたような様々な地域の問題に真剣に取り組んできた歴史だというふうに思っております。
 それから、自衛隊、大変な仕事だなと、こういうふうに思われがちですが、そもそも軍事に携わるわけでありますから、それはもう命令一下でありますから、その訓練はしっかりされていますから、どこの場所でどんな仕事をやるかということは問題ではないんで、きちんとした指示を受ければただひたすらその目的を達成すると、こういうふうに訓練されておりますから、そういう面で大変な仕事を処理すると一般の国民の皆さんから称賛の声が出るんだろうというふうに思います。
 しかし、これはちょっと余談でありますけれども、さすがの隊員も参ったと、こう言うのは、殺処分をして埋却して、それが数日たつと、二メーターぐらいで土を上へ掛けてあるにもかかわらず、ガスで膨脹した牛や馬が爆発をしてその砂を全部吹き上げて肉が飛び散ると。これだけは、夜中にどかんどかんという音だけは、さすがに彼らも耐え難いものがあったというようなことを言っておりました。
 北海道方面での行方不明であるとか様々な問題に対応してきておりますから、国外で活動するのもさることながら、国内で新聞記事にもならないほどのことでもしっかり対応してきておると。私が大臣に就任して一番最初にびっくりしたのは、一気に全国の市町村長さんから陳情が来まして、それは全部駐屯地の市町村長さんたちでありまして、駐屯地でいかに地域と同化しているかということをしみじみ感じさせていただきましたので、こういう国民との間の信頼感はしっかりこれからも堅持していきたいと、こういうふうに思っています。
#183
○谷岡郁子君 本当に御苦労さまということを隊員の皆様にお伝えいただきたいと思います。
 その一方で、委員長時代に今北澤大臣とはシビリアンコントロールの問題、田母神発言に関連した問題等で一緒に委員会で議論させていただいたという、大変私にとっては新人のころの大切な思い出がございます。そこで、その命令一下、今大臣がおっしゃいましたようにどのような任務であっても果たすということがあるからこそ本当にシビリアンコントロールというものが重要であろうと思いまして、その幹部学校におけるカリキュラムの在り方、それが偏ってはならないということを私どもは感じております。
 その後カリキュラムは、その当時に問題になりました問題というものが今どのようになされているのかということを教えていただければと思います。
#184
○国務大臣(北澤俊美君) 谷岡委員の問題意識は私も常々持っていた問題意識と全く一緒でありまして、私も防衛省・自衛隊が厳然たる文民統制の中で運営されるということは、国民に対する信頼感を勝ち得る一番の基盤だというふうに思っております。
 そこで、この統幕学校のカリキュラムでありますが、二十一年の三月以降、将官昇任者を対象とした研修を行ったり、それからまた高級幹部としての自覚と認識、文民統制や政府見解等について徹底を図り、さらにまた二十一年十二月には防衛大学校、防衛研究所の協力を得まして歴史認識も含め幹部自衛官の自己研さんに資する推薦図書のリストを作成し各自衛隊に配付をいたしたところでありまして、今後また自衛隊の教育については広い視野を養うべく統一の取れた方針にのっとって実施することが必要であるとの観点から、教育を実施するに当たり留意すべき事項等をまとめた方針を策定すべく今現在作業を進めておるところであります。
#185
○谷岡郁子君 ありがとうございます。
 実は、私なりにその後、三自衛隊の書物というのもチェックさせていただいておりまして、この間の空自の「鵬友」、「翼」、全部読ませていただいております。そして、それが本当に大きく転換されているということは確認をさせていただきました。特に「鵬友」にこの間シリーズとして述べられていることは、同じ歴史でありましてもアメリカの軍事史をずっと取り上げるというような形で客観的なところから考えていくということが本当によくなされているなということで、さすがにエリートの空自であるということで評価をさせていただいております。
 その一方で、空自が当時も一番問題のある論文というものが散見されたんですが、それは先ほどの陸自の方々が家畜を埋設したというようなところと違って、やはり空から、遠くからしか現実のリアリティーが見えないあるいは臭気を感じることができないということに場合によって陥る傾向というのはどこの国の空軍であろうと空自であろうとあるのかなというふうに私は想像いたします。そのことを念頭に置いて今後も空自の言わば教育ということをやっていただきたいなと思うわけでございますが、北澤大臣、いかがでございましょうか。
#186
○大臣政務官(広田一君) 航空自衛隊は、この日本の防空を守るということで本当に大変重要な役割を果たしているところでございまして、こういった任務をする際において何しろ誇りというものはしっかり持たなければなりませんが、しかしながらそのことが谷岡理事御指摘のように根拠のないエリート意識につながっていくということは大変問題だろうというふうに考えております。そういったところを踏まえてまさしく人間力というものをどのようにして養っていくかというのが大変重要になってくると思います。
 現在初級の操縦課程におきましては、まさしく人間性として強い責任感、判断力、協調性そして遵法精神、こういったものを学んでおります。また、先ほど北澤大臣の方から様々な田母神氏の事案等から見直しが行われているふうなお話がございましたけれども、航空自衛隊におきましても、田母神事案以降は将官に昇任するときには高級幹部としての自覚と認識というものを改めて認識するような教育というものを行っております。その際にはやっぱり文民統制といったものが大変重要であるといったところをやっているところであります。
 北澤大臣は、常日ごろから航空自衛官を含めた自衛隊につきましては、まず専門知識といったものをしっかりと身に付けてほしい、その上で常識人、国際人にふさわしい人材になってほしいというふうに述べられております。このことをしっかり踏まえながら適切な見直しを行って、実効ある教育に努めてまいりたいと思っております。
#187
○谷岡郁子君 大変力強いお言葉をありがとうございます。私自身もこの間の様々な空自から出ておる論文を読ませていただきまして、本当に、ああ、ここまですぐに変われる、さすがはやはり対応能力のあることだというふうに思っておりますので、これからも頑張っていただきたいと思います。
 さて、話題を変えまして、今日は様々な方が既に取り上げられましたが、私も尖閣列島の問題をちょっと違う形で切り取らせていただきたいというふうに思います。
 島の所有とそしてそれが今現在の状況どうなっているのか。予算委員会で賃貸契約等もあるんだというようなことも伺ったわけですが、もう少し詳しく現状をお聞かせいただけますでしょうか。内閣府の方からお願いいただけますか。
#188
○政府参考人(古澤ゆり君) お答え申し上げます。
 尖閣諸島は島が五つございまして、そのうち大正島につきましては国有地でございます。残る四つの島につきましては民間の方が所有する私有地でございます。四つの島のうち、魚釣島、北小島及び南小島につきましては平成十四年度から尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を目的として政府が賃借をしております。
 その契約形態ですが、賃貸借契約につきましては、期間一年間の契約を基本的には自動更新するという形で安定的な賃借権を確保しているところでございます。
#189
○谷岡郁子君 その今三つの島の貸借関係についてお伺いしたわけですけれども、それにつきましては、例えば所有の関係あるいは貸借関係の契約等何らかの形で登記されていたり書面になったりしておりますでしょうか。
#190
○政府参考人(古澤ゆり君) お答え申し上げます。
 賃借権につきましては、もう登記をされております。
#191
○谷岡郁子君 もう一つの、五つ、今は四つの島についてお答えいただきましたが、もう一つの島はどうなっておりますでしょうか。
#192
○大臣政務官(広田一君) 久場島に係る契約等でございますけれども、先ほど賃貸借権の登記のお話がございましたが、防衛省の場合なんですけれども、防衛省は駐留軍の用に供する土地につきまして賃貸借契約を締結し使用することを原則としておりますけれども、久場島につきましては、土地所有者の方とお話合い、合意をいたしまして実は二十年間の使用の権原を得ております。そういったことから登記上の賃借権の設定までには至っていないというのが現状でございます。
#193
○谷岡郁子君 契約書はありますでしょうか。
#194
○大臣政務官(広田一君) はい、ございます。
#195
○谷岡郁子君 それは一九七二年からそういうことだというふうに理解してよろしいでしょうか。
#196
○大臣政務官(広田一君) はい、そのとおりでございます。
#197
○谷岡郁子君 沖縄返還の年にその方の元へ、今の所有者の元へ返って、それが防衛省によって借り受けられている、そして賃貸料が払われてきたと、二十年の契約になっているという今事実をお聞かせいただきました。
 つまり、もちろん法的なものを私たちは何ら領土問題はないというふうにこの間お聞きしてきたわけですけれども、それと同時に具体的な所有者との関係においての実態ということを見ても、またその賃貸契約がなされていてずっとそれに対するお金も払われていると、明らかな所有者というのがいらっしゃるというこの具体的事実というものを本当に今日お聞かせいただいて安心をしております。
 その一方で、この問題がないにもかかわらず大きな問題になってしまったという事実もあるわけです。私は野党の皆様方とは違いまして、政府のやってきたことが間違いだというふうには思いませんが、しかしこの案件から学ぶべきこともあったということは事実であろうというふうに思っております。
 まず、一つ目なんですけれども、お互いの国における反感というものがエスカレートしてきてしまった経緯というものがあろうと思います。そして、それはある意味で日本の側での政治家、重要人物という人たちの発言というものが火に油を注いできた側面というものがなかったわけではないと思います。反省を込めまして、我が党の重鎮と言われる方々があしき隣人ということを言ったりしたというような事実もやはりあろうかと思うんですね。
 これは未熟な与党ということなのかもしれませんが、私は、そういうときに党もそして政府も固まってやはり不用意な発言をしないということを私自身が学ばせていただいたというふうに思っております。とりわけこういう大きな影響を与えることに関しては、党としても今後ともちゃんとやっていかなきゃいけないと思うわけですが、政府としてもその辺についてどういうふうにお感じになっているのかということを、外務大臣、今の御感想がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#198
○国務大臣(前原誠司君) 中国はあしき隣人だとは思っておりません。
 我々は、やはり今回の一連の事案について、もちろん原則というものはしっかり守っておかなくてはいけませんし、日本の立場からいうと東シナ海においては領土問題は存在しない、また尖閣諸島は日本の固有の領土であるという原則は保ちながらも、先ほど山本委員にお答えをしましたように広い観点に立って、つまり戦略的という意味においては、時間軸もそして面積というか二国間だけでなくてその地域における大きな意味という意味も含めてやはり共存共栄、共にしっかりと考えていかなくてはいけないと思っています。
 いずれにしても、この両国間の中でいろんな発言というものが相互不信を生んで、そしてそれがまたASEMで菅総理あるいは温家宝首相が関係改善を目指していこうと言われていたものに対して水を差すということにならないようにやはり努力をしていくということが、また大局的な戦略的互恵関係に立つという意味ではないかと思っております。
#199
○谷岡郁子君 もちろん私たちもそうですし、また今日は野党の同僚の皆様方から反日的な中国におけるデモ等についてはやはり毅然として異議を申し立てるべきだというような御意見もいっぱいありましたが、一方で日本国内で私たちは民主国家としてそして言論の自由を守る国として様々な反中国的な言動というものがもちろん行われているわけですし、またそれはネットを通じて世界へ流れているわけですけれども、それが中国に対してまた影響を与えているという事実も見失ってはならないだろうと思います。
 今の時代にありまして、一方的にどちらかが勝つのが私は外交だとは思いません。むしろお互いさまの世界の中で五〇、五〇を六〇、六〇に変えるようなその建設的な知恵をお互いに出し合ってウイン・ウインの関係をつくるということがとても大事でありまして、自重すべきだろうなと。そういう意味におきまして我が国がやっぱり今回考えるべき点というのは、私は次に質問をしたいと思いますが、勾留延長に関する問題でございます。
 勾留延長、十九日に行われました。最初の十日間が済んだということでございます。そして、その十九日に石垣簡易裁判所が船長に対する勾留の十日間の延長決定をしたら、その夜に中国外交部から強烈な反撃処置をとる旨のホームページの掲載がありまして、閣僚級以上の往来の一時停止、日中間航空協議の中止、上海万博への日本青年千名の派遣事業の延期通告等が次々と行われました。そして、フジタ社員の中国当局による拘束があって、二十三日にはレアアース輸出停滞が発覚したと、そういう現実がございます。そして、二十四日には那覇地検から船長が釈放されるということになったんですが、この勾留延長を決めたときに、それまでいろいろ大使が呼び出されたようなことはあっても比較的穏やかであった中国の反応というものは一挙に激烈になったのではないかということを感じるわけです。
 そして、勾留延長ということが場合によっては中国に対して誤った、意図しないメッセージを与えてしまった可能性があるのではないかということを私は感じております。これはあくまで推測にすぎませんが、例えば十日以内に起訴をして、そして先ほど野党の同僚からもありましたように例えば解放するなり、あるいはもう少しうまいやり方というのはもう十日で切って釈放するなりというようなことがあり得たのかなと。
 日本では簡単に延長してしまう、それが言わば検察の常套手段であると。しかし、私も刑訴法の二百八条を読ませていただきました。そこには、一項として、まず十日が勾留であるということが書かれていて、やむを得ない事由がある場合には、二のところでもう十日間できるというふうに書いてあるんですね。つまり、原則は十日間であって十日間で起訴するというのが普通なんであるというのが法律上の素直な受け止め方であろうと思います。
 しかし、日本でもこの間言われておりますように異常に長い勾留、そしてある意味で問題があるかもしれないと言われる不可視の取調べというようなもの、そういうもの、今私たちが対面している問題は実は外交にも影響を与えた可能性があるというふうに思うわけです。
 そして同時に、これは国連で、今朝から議論がありましたようにさんざんこの問題については国連の人権規約の問題として勧告を受けてきて、その改善を言われてきた。しかし、それをやってこなかったということもあろうかと思います。
 そして、この今回の問題を考えますと、その間にやはり本当に逮捕の当初から外交とそしていわゆる法治であるということにおいて、担当省庁との間で詳しいやり取りであり、情報共有、認識の共有というものが必要であったのにそこが欠けていた嫌いがあったのではないかと。このことについて今どのようにお考えになっているのかということを外務大臣とそして法務省の方からお答えいただければと思っております。
#200
○国務大臣(前原誠司君) 今の御質問を外務省としてお答えするというのはなかなか難しい御質問かと思います。いずれにしましても、今のある法律の中で検察当局が事件の性質等を総合的に考慮した上で、国内法に基づいて判断をした結果だというふうに思っております。
 ただ、今谷岡理事から一つの御示唆があるとすれば、これは別に日中両国だけではなくて、これは仙谷長官が記者会見でおっしゃったことが、あたかも何か自分が間違っていた、誤ったというふうにやゆをされていましたけれども、そうじゃなくて、お互いの法律に対する認識というものが違う。当然法体系も違うわけですし、そして今おっしゃった勾留延長の仕組みなんかも当然ながらいろいろな国で違うわけですよね。それに対する認識というものについての理解というものが十分に行われていなかったということは、それはあるんだろうと思います。
 ただ、また話が元に戻りますけれども、あくまでもこれは何かが起きたときに、日本とあるいはA国、B国含めてですけれども、日本の法律に従って対応するということについては、何らかのサポートとして外交当局が日本の法律の立て付けはこうなっていますよというようなことを伝えるということは、今の御質問を聞いていてあり得る丁寧な対応かなというふうには思いました。
#201
○政府参考人(甲斐行夫君) 御指摘のとおり刑事訴訟法は勾留期間は原則として十日間と規定しております。また、裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは検察官の請求により最大限十日間勾留期間を延長することができるとされているところであります。
 個別に勾留期間を延長するかどうかというのはそれぞれの事件に応じて判断される事柄でございまして、全部の事件を延長する、あるいは延長しているというわけでも決してございません。
 本件におきましては、検察当局におきまして、九月十九日以降もなお捜査を継続する必要があるので、やむを得ない事由があるというふうに判断をいたしまして勾留延長を請求し、裁判官にこれを認めていただいたというものと承知をいたしております。
#202
○谷岡郁子君 沖縄で爆破処理をしなければいけなかったときに、まだ二千二百トン以上の第二次世界大戦からの米軍の砲弾が残っているということに関して私たちは沖縄の方々の痛みというものを感じ、そして現実に対しての理不尽さというものをある意味で怒りを持って感じたわけでございます。その一方で、私たちはまだ中国に第二次世界大戦から遺棄化学兵器という形で十万発を超えるような兵器を置いていて、今もその処理中だというふうに思います。
 つまり、私たちは自らされたことについては非常に激しく感じるけれども、自分たちがやっていることについては忘れがちなんだと。それを忘れないで外交あるいは国と国との付き合いというものをやっていかなければならない。先ほども申し上げたように、そこでしかし連携を密にして、先ほど来大臣がおっしゃっていますようにいわゆる総合的にそして戦略的な互恵関係というのを進めていかなければならないということで、それがウイン・ウインの関係というふうに菅総理がおっしゃっていることかなと私も思っております。
 そこで、私は今回お聞きをしたいんですけれども、EPA、FTAというものをしっかり結んでいってということで経済外交というものをしっかりやっていくんだということを、これ菅総理もまた前原大臣もおっしゃってきたことでありますが、私が今申し上げたように、言わばただ単に経済成長していくということだけではなくて、そうやってその経済外交というものを続けていくことが最終的にはアジアのあるいは世界の安全保障に寄与するという考え方だということでよろしいんでしょうか。
#203
○国務大臣(前原誠司君) 日本はASEANとのEPAを結んでおりますし、またASEANの多くの国々が入っているAPEC、今度は横浜で行われます、日本が議長国になるわけでありますが、ボゴール目標に従って、まずは先進国地域が二〇一〇年、今年ですね、そして二〇二〇年までには途上国と地域も含めて全体で自由ないわゆる人、物、金の動きをつくる中で、一体化をしていく中でまさに共存共栄を図っていこうという合意をしているわけです。
 他方で、二国間でのEPA、FTAを、これは国益に基づいてやると、こういうことも行っているわけでありますけれども、また他方では、そのベースとなるWTOというものについては、今ドーハ・ラウンドがかなり難航して長く続いておりますけれども、基本的にはどんどんどんどんこれも物、人、金の自由を仕組みとしてやっていこうという両方のアプローチが今なされているわけであります。その意味においては、お互いがこれも第二次世界大戦の起きた原因であるブロック化、囲い込みというものが結果として谷岡委員がおっしゃったような争いを生むと。争いを生まないあるいはつまはじきにされない、そのための自由貿易をやっていこうというのが第二次世界大戦の世界の一つの教訓として続いていっているわけですね。
 だから、それをベースに考えるなら、もちろんそれを結んでいくときには国内事情も考えながらやっていくということにはなりますけれども、方向性としてはいかに国を開いてそして相互利益になるような自由貿易体制を進めていくのかということが今の流れだと思いますし、その流れに基づいて日本も現実的な対応をステップ・バイ・ステップで取っていくということが私は大事なことだと、このように考えております。
#204
○谷岡郁子君 そして、この間実は私も民主党のワーキングチームの中に入らせていただきまして、APECそしてFTA、EPAの問題というものを勉強させていただきました。その多くの同僚議員の中から、特に農業、農水関係者など部門に興味のある方々からは大変大きな声が出ております。
 そして、日本の独立国として守っていくためには今の食料の自給率では絶対駄目だから、これは簡単にはドアは開けないんだというようなことがあって、私ももちろん農業を守っていかなきゃいけないというふうに思っているわけなんですが、その中で、議論をしていて、どうもちゃんと地に足が付いた議論ができないということをこの間感じております。それはなぜかといえば、カロリーベース総合食料自給率、いわゆる自給率四一%ということが盛んにずっとメディアでもどこでも言われてきたからなんです。
 私が今日出しましたその一枚の資料というものを御覧いただきたいんですけれども、これカロリーベース総合食料自給率なるものが何を意味するのかと。それは分母に一人一日当たりの供給当たりカロリーということであり、一人一日当たりの国産供給カロリーということで、言ってみれば必要なカロリーとそれから現実に確保できるカロリーというものがどういう割合になるかということを単純に計算すると実は四一%ぐらいだと、二〇〇八年度においてということを農水省が発表しております。ここの図に書かれているとおり、式に書かれているとおりなんです。
 しかし、厚生労働省による摂取カロリーの日本の平均というのは、実は千八百六十七キロカロリーです。なぜならば、この二千四百七十三キロカロリーというのは二十代の男性の、そして実は運動系と言ったらおかしいですけれども、そういう仕事に就いていらっしゃる方々が必要とする摂取量ということを基盤に置いているからなんです。
 もちろん日本は二十代の男性だけで構成されているわけではなくて、女性が半分以上おりますし、また本当に高齢化が進んでおりまして六十五歳以上が二三%以上、またゼロ歳から十歳もたくさんいるわけでございます。それの平均を取ってみれば二〇〇八年度には千八百六十七キロカロリーの平均摂取量であると。そうすると、これをもし必要量として考えた場合、現在その上記の式に当ててみますと五四%になると、何と自給率が。つまり、私自身が皆様が五〇%を目標にとおっしゃったことをたった一つの小学校四年生ができる割り算で五四%へ到達してしまったということを言うつもりはありませんが、この程度の式なんじゃないか。
 つまり、本当に私たちは、今日本の自給率ということにおいて食料安全保障ということを考えるベースとして使うことが正しいのか。そして、こういうことを基礎として議論をしていくことということからは国民の食料安全保障ということは達し得ないのではないかということを伺いたくて今日は農水省にも来ていただいたんですが、いかがでございましょうか。
#205
○副大臣(篠原孝君) 今の食料自給率にお答えする前に、先ほど触れられていました自衛隊と口蹄疫の対策でちょっと感謝の意味を込めまして申し述べさせていただきたいと。
 私、三十五日間宮崎市に滞在いたしまして現地対策本部長をしておりました。感動いたしましたことはたくさんあるわけでございますけれども、その一つが自衛隊の皆さんの大活躍です。埋却措置というのは普通の方には多分できなかっただろうと思うんです。それから、交通の規制、危機管理、すべて自衛隊の人たちにやっていただきまして、川南町を去るときはもう拍手で見送られております。非常に我々も感謝しております。
 安全保障、軍事的な安全保障もあるかと思いますけれども、食料安全保障も重要でございまして……
#206
○委員長(佐藤公治君) 済みません、副大臣に。質問の趣旨にきちっと明確に答えていただけたら有り難いと思います。
#207
○副大臣(篠原孝君) 分かっておりますから大丈夫でございます。その前に、前段に申し述べただけでして。
 カロリーベースの自給率のこのカロリー、摂取カロリーがおかしいんじゃないかという御指摘でございますけれども、これ谷岡委員は御存じだと思いますけれども、このカロリーベースの自給率というのは我が国が一番最初に使い始めたのではないかと思います。それに追随いたしまして韓国や台湾も同じように計算しておりますけれども、総供給カロリーに対して国内で供給したのがどれだけかというので計算しております。
 それと実際に取っているカロリーは違うじゃないかと。確かに六百六十二キロカロリーぐらいはロスで捨てられているわけです。だから、そういう計算の仕方もありますけれども、伝統的に供給カロリー分のうち国内生産が幾らかというので計算しておりますので、過去との継続性から考えてこれでよろしいのではないかと思います。
#208
○谷岡郁子君 じゃ、この二つ目のラインの式を見ていただきたいんですね。実際にこれはそういう形でどのくらい一日当たりの国産の供給カロリーがあるかというのが分からないのでだと思うんですが、国産プラス輸出供給カロリーというものを人口で割ったものを分子として、そして国産プラス輸入マイナス輸出供給カロリーということを分母としてやっているわけなんです。
 その場合で何が言いたいかというと、ここで輸入をしているものというものは、牛や馬やあるいは鳥や豚が食べているものがたくさんあって大概安いものであると、そして輸出の分母、分子の方でやっているものというのは、ほとんどが野菜や果物であって人の口に入っているものであると。つまり、そういうことで人と例えばえさであるものとがごっちゃになった形でどうやって本当にしっかりしたものを見ていけるのか。
 御案内のように食物連鎖が一つ上がるたびに大体八倍から十倍ぐらい必要な食料というものは変わってまいります。そうしますと、このままの、今のままの日本の農業を続ければ確かにこれは妥当として言えるのかもしれないけれども、本当に、まあ困ったときは別として、そうでないふだんのときは、例えば畜産については一定程度オーストラリアのものを食べていいじゃないか、えさをそれで削減してもいいじゃないかといえば自給率なるものは大きく変わってしまう可能性がある。
 私が今日なぜそういうことを言わせていただいているかといえば、今年の夏、若者たちと会いました。二十代から三十代前半の愛知で農業をやっている二十人ほどの若者たちと会ったときに、彼らは私に対してびっくりするようなことを言いました。本当に僕たちが国内で食料自給力を高めることができるような農業をやらせてもらえるのならば、今ある様々な規制やそしておかしな政策というものを変えてもらえるのであるならば、立派に補助金をもらわなくても競争力を持ってやりたいんです、それを何とかしてください、日本の食料供給力が、自給率が四〇%であるはずがないというのを農業をやっている若者たちが私に切々と訴えました、二時間にわたって。
 そこから私もちょっと考えを変え始めたところというのがあるんですね。やはり農業対策しっかりやっていかなきゃいけない、そして日本人がしっかり生きていけるという安全保障というのをつくっていかなければいけないと。
 同時に、本当にインターディペンデンス、相互にもうかけがえのない関係というものをたくさんの国々と構築するということによって安全保障というものを全体に築いていかなければならない、それが私は日本の取るべき道ではないかと思っておるわけですが、そういう考えでおやりになっているのか。そしてまた一方では、本当に農政を含めて、これから日本がしっかりより安全保障、国民の安全保障へ向かっていけるという総合的なマクロな対策というものを描きながらしか、私は実は軽々にはTPPなどということを言えないというふうに思っておるんですが、そこに賛同していただけるかどうかということを外務大臣にお伺いをしたいと思うんですが。
#209
○国務大臣(前原誠司君) 私に来ますか。農水副大臣に行くと思ったんですが。
 いずれにしても、私の立場で申し上げられるのは、経済外交をやっていこうと、経済外交というのは多角的なやはりリスクヘッジをやっていかなきゃいけない。それは今おっしゃった食料であり、そして資源でありエネルギー、まあ資源にかかわりますからエネルギーであり、こういったものは多角的にやっていこうということなんですね。
 ただ、外交でやるものについては、中国みたいにどこかの土地を借りて、そして逆輸入するというようなことをやるならまだ違いますけれども、外交はあくまでも、先ほど谷岡理事のおっしゃったことでいえば、自給できないものについてどうやって多角的に確保することによってリスクをヘッジしていくのかというところが外交になっていくし、国内対策としてはいかに自給率を上げて海外に頼らないような仕組みを行っていくのかということにもなろうかというふうに思うんですね。
 ちょっと的外れの答弁になるかもしれませんが、私は、篠原副大臣おられますけれども、自給率を高めるべきだという論なんですけれども、今日本の農業の状況を見ていると、関税も極めて高いですし、そして平均従事者年齢も非常に年齢が高いですよね。今後の農業について非常に危惧を持っている一人であります。
 つまりは、先ほど違う意味である委員から政権交代したんだからという掛け声ありましたけど、私は、農政についても、政権交代をしたんだから、逆にいい意味で攻めるものに変えていくというところもあっていいんではないかと、こう思っているわけです。そして、そのやはりきっかけをつくるものとして、より自由な貿易体制の中に入っていって、そして国内の体制改革を促していくということも大事。
 しかし、そのときには必ず韓国の例を私は出すのは、韓国は相当程度農業に予算を掛けてそういう自由化に踏み込んでいっているということで、単に何の農業に対する支援策もなく単なる自由貿易というものに入っていったらそれは農業が惨たんたるものになって、それは国土保全とか、日本の場合は森林、山林等が七割ですから、そういう国で考えると、やはり何らかの手当てをしながら、しかし日本の農業の構造改革もやっていく、そしてその一つのきっかけとして、こういうより自由な貿易体制に対する参加というものもきっかけにできるんではないかと、私はそういう考え方を持っているところでございます。
#210
○谷岡郁子君 先ほど言いたいことを言わせていただきましたが、加えて、今前原大臣がおっしゃったことに対して農水省の方でどういうふうにお答えになるかというお答え、もしできましたら聞かせていただきたいと思います。
#211
○委員長(佐藤公治君) 先ほどは失礼いたしました。篠原農林水産副大臣。
#212
○副大臣(篠原孝君) 前原外務大臣からまるで農林水産副大臣のような答弁いただきまして、私の方からもうたくさん申し上げる必要はないかと思いますけれども、我々も考え方は同じでございます。民主党のマニフェストにありましたEPA、FTAを推進していくと、しかし国内の農業との共存を図ると。
 ですから、TPPについて申し上げれば、これは鹿野大臣が予算委員会で明確に答弁されておられますけれども、TPPに参加を検討する、それ以上でもないし、それ以下でもないのではないかと思います。先ほど農林水産委員会でも同じようなことを何回も聞かれておりましたけれども、鹿野大臣はそういうふうにお答えになっておりますので、私もこの場で同じように答えさせていただきます。
#213
○谷岡郁子君 ありがとうございました。
 本当に重要な問題を次々に決めていかなければいけない、そういう過渡期に私たちは差しかかっている。そのためにも、本当に省庁の思惑というような形でそのデータ、数字を作るのではなくて、素直なその事実に立って、素直な国民の思いに立ってその議論をしていけますように今後とも御協力いただけますようお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#214
○委員長(佐藤公治君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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