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2010/11/25 第176回国会 参議院 参議院会議録情報 第176回国会 法務委員会 第7号
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2010/11/25 第176回国会 参議院

参議院会議録情報 第176回国会 法務委員会 第7号

#1
第176回国会 法務委員会 第7号
平成二十二年十一月二十五日(木曜日)
   午後三時五十四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     難波 奨二君     江田 五月君
     平山  誠君     有田 芳生君
 十一月二十五日
    辞任         補欠選任
     柳田  稔君     安井美沙子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜田 昌良君
    理 事
                中村 哲治君
                前川 清成君
                森 まさこ君
                桜内 文城君
    委 員
                有田 芳生君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                今野  東君
                田城  郁君
                安井美沙子君
                金子原二郎君
                丸山 和也君
                溝手 顕正君
                山崎 正昭君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
                長谷川大紋君
   衆議院議員
       法務委員長    奥田  建君
       法務委員長代理  辻   惠君
       法務委員長代理  稲田 朋美君
       法務委員長代理  平沢 勝栄君
       法務委員長代理  大口 善徳君
   国務大臣
       法務大臣     仙谷 由人君
   副大臣
       法務副大臣    小川 敏夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  黒岩 宇洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   大谷 直人君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   林  道晴君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       人事院事務総局
       職員福祉局長   桑田  始君
       法務大臣官房長  稲田 伸夫君
       法務大臣官房司
       法法制部長    後藤  博君
       法務省民事局長  原   優君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○裁判所法の一部を改正する法律案(衆議院提出
 )
    ─────────────
#2
○委員長(浜田昌良君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、難波奨二君及び平山誠君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君及び有田芳生君が選任されました。
 また、本日、柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として安井美沙子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(浜田昌良君) この際、仙谷法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。仙谷法務大臣。
#4
○国務大臣(仙谷由人君) この度、法務大臣に就任いたしました仙谷由人でございます。委員長始め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営に格別の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 法務行政は、法秩序の維持と国民の権利擁護を主たる任務としており、まさに国民が安心して暮らせる社会を実現するための基盤を成すものでございます。私は、常に国民の目線に立ち、法務行政の諸課題に取り組んでまいる所存であります。
 法務行政における現下の重要課題について申し述べますと、まず、司法制度改革は、現在、各制度の実施、運用段階に入っております。その中で、とりわけ法曹養成制度の在り方については、様々な御意見があるところですので、今後とも、関係省庁等とともに問題点を検証しつつ、必要な改善を行ってまいります。
 国民の安全、安心を確保するための犯罪対策としては、刑務所から出所した者などの再犯を防止するという観点が重要であります。政府の新成長戦略にも掲げている刑務所出所者等の社会復帰支援事業を始めとして、各種の施策を推進してまいります。
 出入国管理に関しては、観光立国の推進に向け、より円滑な出入国審査の実現に取り組み、他方で、違法行為をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止するため、バイオメトリクスを活用した厳正な入国審査を引き続き実施いたします。また、近年急増している難民認定申請については、より迅速に、かつ、申請者の置かれた立場等に十分に配慮した対応を行います。
 また、国際テロなどの未然防止のための調査を充実させます。とりわけ、北朝鮮関係につきましては、日本人拉致問題等の解決や今般の大韓民国との緊張関係の把握に資するよう、関連情報の収集、分析等を積極的に行ってまいります。
 さらに、新たな人権救済機関の創設、いわゆる個人通報制度の導入のための体制整備、録音、録画による被疑者取調べの可視化についても、着実に実現に向けた取組を進めてまいります。
 最後に、柳田前法務大臣の下で設置されました検察の在り方検討会議については、千葉座長及び十四名の委員の方々の下、今後、更に検討を進めていただくこととしております。検察の再生及び国民の信頼回復のため、貴重な御提言をいただけるものと考えています。
 法務行政は、その他にも、基本法の整備等を始めとして多くの課題がございます。委員長始め委員の皆様の一層の御理解と御協力を賜りながら、小川副大臣、黒岩大臣政務官とともに、法務行政の諸課題に全力で取り組んでまいります。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#5
○委員長(浜田昌良君) この際、委員長より一言申し上げます。
 本日、仙谷法務大臣より所信的内容を含む就任あいさつを聴取いたしましたが、理事会での協議の結果、所信的内容を含む就任あいさつを受けての一般調査を行う前に閣法の審査を行うこととなりました。
 なお、仙谷法務大臣におかれては、大臣交代の経緯を踏まえて、真摯な答弁に努めるよう委員長より一言申し上げておきます。
 また、理事会におきまして、検察問題につきまして小委員会を設置することで与野党合意されましたので御報告いたします。
 政府においても検察の在り方検討会議が設置されて議論しているところですが、立法府としても政府とは別に議論すべきであるとの共通意識の下、閉会中の調査を含めて精力的に調査するため、与野党で設置の合意を見たものと理解しております。
 今後、速やかに小委員会の設置の議決が委員会で行われるよう、与野党で小委員会の詳細を協議してもらい、設置の手続を行いたいと存じます。
    ─────────────
#6
○委員長(浜田昌良君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に人事院事務総局職員福祉局長桑田始君、法務大臣官房長稲田伸夫君、法務大臣官房司法法制部長後藤博君及び法務省民事局長原優君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(浜田昌良君) 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、両案について政府から趣旨説明を聴取いたします。仙谷法務大臣。
#9
○国務大臣(仙谷由人君) 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。
 政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改定する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしておりますが、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。
 一般の政府職員について、平成二十二年の民間の賃金水準に合わせて俸給月額を引き下げることといたしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、おおむねこれに準じて引き下げることといたしております。
 また、今回の改定に伴い、平成十七年の改正法において定められた経過措置についても所要の改正を加えることとしております。
 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌月の初日、ただし公布の日が月の初日であるときは、その日から施行することといたしております。
 以上が裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
 以上であります。
#10
○委員長(浜田昌良君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。
 仙谷大臣の所信のあいさつがございましたけれども、そこには大臣が替わった理由について何も触れられておりませんでした。冒頭、委員長からも、大臣が替わった経緯を踏まえて仙谷大臣の方に言葉があったかと思います。
 そこで、仙谷法務大臣に、柳田法務大臣がお辞めになって仙谷法務大臣に替わった、この理由と経緯をお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(仙谷由人君) これは任命権者の内閣総理大臣にお聞きいただきませんと、私では分かりません。
 推察するところ、これはもうあくまでも私の憶測でございますが、この時期のピンチヒッターということでありますから、多少、法務省の守備範囲に人生経験の上でまあまあ経験があるのかなと、そういう判断ではないかと推察をいたしております。
#13
○森まさこ君 あきれました。
 柳田法務大臣が辞任した、このことは、国民だれもが知っているとおり、国会軽視の発言があったからなんです。この法務委員会においても発言がありました。衆参の法務委員会、本会議、記者会見、全部で合わせて三十九回のあの発言があったわけです。一つは、個別の案件ですのでお答えできません。もう一つは、法と証拠に基づいて判断いたしますと。それだけ言ってればいいんだという国会軽視の発言があったから辞任したのではないですか。それに対する全く今、仙谷新大臣からの何の説明もない、意見もないということに私は大変驚きましたけれども、もう一度、柳田前大臣がお辞めになった理由を述べてください。
#14
○国務大臣(仙谷由人君) 柳田大臣がお辞めになったのは彼自身の御判断で、とりわけ国会運営に迷惑を掛けるのは心苦しいという思いだったのではないかと推測をいたしております。
#15
○森まさこ君 それでは、仙谷大臣、今のお言葉を聞きますと、柳田大臣が辞めたのは、あの国会軽視の発言が理由ではなくて、国会運営に迷惑を掛けるからということなんですか。
#16
○国務大臣(仙谷由人君) 自主的な辞任でございますので、私は彼の心中を推し量るわけにまいりませんが、私の推測ではそういうことになると申し上げているんであります。
#17
○森まさこ君 今日も北朝鮮の砲撃事件について予算委員会が朝から開かれて、今終わったばかりでございますが、仙谷大臣は官房長官でもございます。そのような国会軽視の発言について他人事のような御答弁をなさるから国民がすべての国政、すべての外交問題について不安を持つんじゃありませんか。柳田大臣はお辞めになったときにこう言ったんですよ、補正予算を通すために辞めたと。補正予算を通すために辞めたんですか。あの国会軽視の発言の責任を取ったのではないですか。もう一度お尋ねします。
#18
○国務大臣(仙谷由人君) 先ほどから申し上げておりますように、彼の辞任のその真意が那辺にあるのか、あくまでも私からすれば推測、憶測のたぐいを出ませんので、これ以上私がそのことをコメントしても、何というんですか、余り意味がないんではないかと思いますが、私は、先ほどから申し上げておりますように、補正予算なのか、あるいはもうちょっと広い国会運営なのか、彼は多分そういうことで国会の皆さん方に迷惑掛けるのは忍びないと、こういうことでお辞めになったのではないかと推測をいたしておるわけであります。
#19
○森まさこ君 それでは、仙谷大臣にお尋ねしますけれども、前の法務大臣があのような発言をしたということ、つまり、法と証拠に基づいてというのと個別の案件というのと、この二つだけを法務大臣は述べていればいいんだと、分からなかったらこれを言うと、何回使ったことかと、これを使うと野党の先生に怒られるんですけどもねというようなことをおっしゃったことについてはどうお考えですか。
#20
○国務大臣(仙谷由人君) これは、まあ彼の個性にもよるんだと思いますが、個別の事件について国会で事件の中身を申し上げることにまいらないというのは、多分これから個別の問題をお伺いをされたときに、私も、それはそう言っていればいいんだということではなくて、真意からそういうふうに申し上げなければならないことがある、そういうケースがあると思います。これは、捜査関係の諸事情をたとえ知っていても、国会といえども、ある時期に限って言えばこれは申し上げることができない場合が多々あるということは、森議員も専門家でいらっしゃるからよくお分かりいただけるんだろうと思います。
 そして、法と証拠に基づいて云々かんぬんの話は、それは質問内容によって、私がそのようにお答えするのか、この間、多少、おまえは長いと、言い過ぎだと言われるように、この法律の解釈は私なりの解釈、運用であればこうだと、だからこういう理由でこうさせていただいておるということを申し上げるのか、それは個々のケースによって違うんだろうと思います。ただ、私は私自身の人生の半分は法曹として生きてきておりますので、あるいは事件経験もございますので、それに基づいて、ある法条文あるいは事実の見方というものについてはそれなりの自負をしているつもりでございます。
#21
○森まさこ君 仙谷大臣の答弁って、官房長官のときもそうなんですけど、ごまかしなんですよ、毎回。答えになっていないんです。理論を振りかざすのはやめてください。理論を聞いているんじゃないんです。
 私が聞いたのは、議事録を読んでいただければ分かりますけれども、柳田大臣が、法と証拠に基づいてと、個別の案件と答弁したから皆さんに批判されているんじゃないですよ。この二つだけ言っていればいいから法務大臣は楽なんですと言った、分からなかったらこれを言うと、これでいいんですと、そういう国会軽視の態度が批判されているんです、非難されているんです。
 そのことを十分分かった上で、大臣は今理屈を振りかざして、いや、必要なときには個別の案件も答えますよと、自分は法律家だから、それを法と証拠に基づいて答えますなんてことを言っていますけど、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。法務大臣が、今あなたは法務大臣なんです、あなたの前任者がそういった国会軽視の発言をしたことをどう思いますかと言っているんです。
 この参議院の法務委員会でも十六回言っているんですよ。そのうち私に対して言ったのは九回ですよ。この九回を一つ一つ調べますと、別に個別の案件だからって答えられない質問ではないんです。法と証拠に基づいてと言って一文だけ言って逃げるような質問ではないんです。国民が真剣にこれ聞いてほしいと思っている、しかも、それを答えたからといって特段大きな支障もない。大事なこの法務委員会での質問に対するそういった答弁が安易になされているということを聞いているんです。
 もう一回お答えください。前の法務大臣がそういった国会軽視の発言をしたことについてどう思うんですか。
#22
○国務大臣(仙谷由人君) 私は法務大臣として、先ほど申し上げたように、皆さん方と真剣に議論をしてまいりたいというふうに思っておりますので、先ほど申し上げたような答弁をしたわけでございます。
 その余、こういう言い方をするとまた森議員にしかられるかも分からないんでありますが、私は、裁判官が判決文をもってその余の説明をあるいは釈明をしないというのを裁判官の本分だと言われております。私が今感じておりますのは、私が法務大臣に就任いたしましたので、私の考え方に基づいてここで述べることを国民の皆さん方からもそのことだけで御批判をいただくあるいは御評価をいただくと、これが法務大臣の務めであって、前の大臣がどこでどういうふうに言ったと森議員におっしゃられても、私はその場で柳田前大臣がどういう状況下でどういうニュアンスでそういうふうにおっしゃったのか聞いておりません。これを伝聞やあるいは森議員がこうだったとおっしゃるのを前提にして批評するのは差し控えたいと、こういうことで先ほどから答弁をしているわけであります。
#23
○森まさこ君 驚きました。どういう状況でどういう答弁したか聞いておりませんと。同じ菅内閣の中で法務大臣を引き継いで、前の法務大臣が辞めた、その契機となった発言がどういう状況下でなされたのか、どういう質問に対する答弁か、全く聞いていない、自分で調べようともしない。
 この法務委員会は、いまだかつてないほど重大な案件をたくさん抱えていると言われております。尖閣問題、検察フロッピーディスク改ざん事件、検察審査会、死刑問題、裁判員問題。いろんな案件をこれから小委員会も設置してやっていこうと、国民の声にこたえていこうと言っているときに、今まで一生懸命この法務委員会でやってきた中で十六回もこういった答弁があって、私たち今まで真剣にここで大臣と討論していたことは何だったのかと。失われた時間は戻りませんよ。
 それに対して、同じ内閣の中でそれを引き継いでこられた、しかもあなたは官房長官じゃないですか。それを何ですか。前の大臣が何で辞めたか分かりませんみたいな、どんな状況で言ったか分かりませんて、そんなことでは、私たち、次の仙谷大臣がきちんと答弁していただけるというふうに信頼ができないんですよ。
 仙谷大臣、あなたは官房長官として柳田大臣は辞める必要ないと言っておられましたが、それはどうしてですか。
#24
○国務大臣(仙谷由人君) 森議員にも御理解いただきたいんですが、この間の実務の処理に要する時間は大変、私が能力がないからかも分かりませんが、繁忙を極めておりまして、柳田大臣がどのような審議の過程で、どのような状況下でどのようなニュアンスで御指摘のような発言をされたのか、ビデオテープを回して見る時間がなかったわけでありますから、これはもう率直に申し上げますが、ひとつその点は御勘弁をいただきたいと思っております。
 それから、柳田大臣が辞めないでいいというふうに申し上げたのは、彼が検察改革に取り組むと、大きな夢を持ってといいましょうか目標を持ってその業務に邁進していると、こういうふうに私が認めていたからでございます。
#25
○森まさこ君 柳田大臣に問責が出されるという情報が出たときにも、やはり問責が出されたとしても辞める必要がないとおっしゃっていました。問責が出されても辞める必要がない、それは、先ほどのような国会軽視の発言があっても、検察改革を一生懸命にやろうと言っているから辞める必要がないんだと、今の考えが変わりなかったということでよろしいですか。
#26
○国務大臣(仙谷由人君) 率直に申し上げて、地元に帰られての発言は、これはこれでいささか軽薄だなというふうに、軽率だなというふうには実感をいたしますけれども、しかしながら、ここで、法と証拠に基づいてと、あるいは個別の事件については申し上げられないともし彼が森議員がおっしゃった回数を言われたとしても、状況下によっては、それはそのときそれしか答弁できなかったということも十分あり得るのではないかと私は思います。
#27
○森まさこ君 仙谷大臣も大分今まで失言が多かったんです。失言で辞めた人の後を失言の連発している仙谷大臣が引き継ぐので、これ本当に国会で真剣に議論してもらえるのかとだれもが心配しているんですよ。今まで、新聞記事に基づく質問は最も拙劣な質問方法だとおっしゃったこともありました。これは予算委員会で私、仙谷官房長官に直接、仙谷官房長官が野党時代に同じように新聞記事に基づいて質問していたものを羅列して御質問申し上げましたけれども、また、彼の将来を傷つけるという発言もありました。それから、ここにいる丸山和也議員の中国漁船船長の釈放のことについてのお電話について、APECが吹っ飛んでしまうと言ったことについて、健忘症にかかったかと、今暴露された会話の記憶は全くないと国会で言いながら、その後、国会の外に出たら、いいかげんな者のいいかげんな発言なんだということをおっしゃった。それから、参議院予算委員会で、委員会室で広げた資料が新聞に掲載されて、盗撮されたという発言もした。その後、参議院予算委員会で自衛隊について暴力装置であると。このように、失言というかひどい発言が連発しております。
 仙谷大臣、御自分でこのように失言が多くて、失言問題でお辞めになった柳田大臣の後が務まるとお考えですか。
#28
○国務大臣(仙谷由人君) 先ほどから申し上げておりますように、私、社会人になって約四十二年の人生を歩いてきたわけでございますが、私自身、今まで培ってきた人生経験と、そして法と法律、法の支配、法治国家、そういうものについてはいささか考えてきたつもりでございますので、その経験を生かして、これからの法務行政の遂行について頑張ってまいりたいと、そういうふうに考えているところでございます。
#29
○森まさこ君 私、大臣の法律家としての経験を聞いているのではありません。大臣としての資質について質問したんです。
 法律家としては、先日予算委員会で類推適用と準用を間違ったこと、私まだ忘れておりませんけれども、法律家としてももう大分お忘れになっていることが多いのかなと思いましたけれども、それはおいておいて、今失言を繰り返している人が、失言で御退陣になった方、その後を務まるのかということを言ったんですよ。失言仲間同士で、これを傷をなめ合っていても仕方ないんです。
 新聞記事に基づいて質問すると怒られるのかもしれませんが、新聞記事には、柳田大臣が辞めたら、その後また問責を出されると言われている仙谷大臣に辞任の火が及ぶので、辞任ドミノを避けるために柳田大臣は辞める必要ないと言われていたということが言われていますよ。御自分の辞任問題に、それが火の粉が降りかかってくるのが怖かったからじゃないんですか、柳田さんをずっとかばっていたのは。どうですか。
#30
○国務大臣(仙谷由人君) さすがにその新聞報道は、何の事実にも基づかない新聞的揣摩憶測であると。このごろそういう記事が非常に多いので、私はもう一々その種の記事については論評をしないということにしておりますし、ほとんど関心もございませんが、今、森議員の御質問、私はそんなことを考えているわけは一〇〇%ございません。
#31
○森まさこ君 よいことを聞きました。日本国のために自分が必要ないと思いましたら、やはり思い切って御自分の出処進退をお決めになるというものが政治家であると思います。
 あの新聞記事についてはコメントはないと言いましたけど、柳田大臣、失言をした後、官房長官のところに行きました。そのときに、お小言をいただきにいくんだと。お小言をいただきにいくんだと言って行かれましたね。このときにどんな注意をなさったんですか。
#32
○国務大臣(仙谷由人君) 地元に帰ったり親しい仲間のところへ行くと、ある種、必要以上に自分を卑下するといいましょうか、自分をやゆするといいましょうか、そういうことが時としてあるので、気を許す仲間のところへ行ったときには特に発言に気を付けてもらいたいと、そして、今回これだけ大事件になっておるので、まあ事件と言うのはちょっと言い過ぎで、大きなある種の問題になっておるので、今後この種の言動には気を付けていただきたいと、そういうふうに申し上げて、厳重注意をいたしますと、こう申し上げました。
#33
○森まさこ君 それは厳重注意と言わないと思います。事件というのが大げさで、ある種のことになっているのでと、まさに失言仲間の慰め合いであって、そんな地元に行ったら自虐的なことを言うのですから気を付けてくださいなんて、甘過ぎますよ。これをしっかりと、もう本当に深刻な事態だということを認識してきちんとした注意がなされたものとばっかり思っていましたけど、そういったことがないということでは、また仙谷さんが法務大臣に、ここに来られても、私は答弁が全く信頼ができないということを申し上げておきます。
 そしてまた、先ほど繁忙を極めているから柳田大臣のビデオが見れないんだとおっしゃっていましたけど、別にビデオを見なくても、どんな発言がされたか、その部分だけ、議事録だけ準備すれば、私だってすぐ調べて、この委員会だけで十六回、どの部分か、秘書に赤で線引いてもらったらすぐ分かりますよ。それもやらないぐらい、できないぐらい繁忙を極めているんだったら、官房長官と法務大臣の兼任なんかできないじゃないですか。法務大臣というのは、先ほど言ったように、重要な課題をたくさん抱えているんです。どうですか、仙谷大臣、これで自分が法務大臣できるとお思いですか。
#34
○国務大臣(仙谷由人君) ベストを尽くします。
#35
○森まさこ君 今答弁が聞き取れませんでしたので、もう一度。
#36
○国務大臣(仙谷由人君) 私の能力を最大限発揮して、ベストを尽くします。
#37
○森まさこ君 仙谷大臣が、御自分が法務大臣に任命されたときに、自分自身が一番こなれがいいということで選ばれたと。このこなれがいいというのはどういう意味ですか。
#38
○国務大臣(仙谷由人君) どういう表現で、どこでそういうふうに申し上げたか。記者会見でもし答えているとすれば、私なりの表現で言いますと、法律に最も今の大臣の中では親和性があるといいましょうか、法律の解釈、運用について最も知悉している方だと、あるいはその世界で生きてきた年数が長くて、何というんですか、今から基礎的なところを勉強しないでもまあできるだろうと、こういう意味で言ったつもりでございます。
#39
○森まさこ君 私の予算委員会の質問に対して、二百四十八条、類推適用ですかと質問しましたら、森議員も法律家でいらっしゃるから分かると思いますが、類推適用だけではなく準用もあるとおっしゃいました。準用って何ですか。
#40
○国務大臣(仙谷由人君) 準用は、準用するというふうに附則とかなんとかで書いてあるケースが多いと思いますが、もし二百四十八条を刑事司法手続の中で、身柄釈放処分に際して、その趣旨を体してといいましょうか、検察官が独任官庁として処分をするについて、釈放という処分をするに際して、これを勘案するというか、総合的にその二百四十八条の趣旨を体して処分をしたということを森さんが類推適用というふうにおっしゃって、私が準用というふうに申し上げたとすれば、正しい意味では準用ではなくて、その二百四十八条の趣旨を体して刑事処分を、身柄釈放という一つの処分をしたと、こういう理解だというふうに、そういうふうな私の発言だというふうに御理解いただければ幸いでございます。
#41
○森まさこ君 それでは、準用というふうに答弁なさったのは間違いだったということですね。
#42
○国務大臣(仙谷由人君) 厳密に言えば間違いでございます。
#43
○森まさこ君 先ほど基礎的な知識は十分あるとおっしゃったので、確認したんです。私、こんなこと質問するつもりじゃなかったんですけれどもね。準用ということさえ間違っておられるんですから、私たち本当に法務大臣として、法律的にも資質があるかどうかということは首をかしげざるを得ないと。
 もし分からないなら分からないでいいんですよ。忘れたなら忘れたでいいんですよ。それが、自分が法律の専門家で、こなれていて、親和性があって何でもできるというようなことをおっしゃるから、何でも答弁のときには法理論を振り回しておっしゃるからです。そういうことを、自分が法律家で何でも答えられると言っておきながら準用という基礎知識を間違った大臣はいらっしゃらないと思いますけれども、そういったことを私は、先ほどの失言と併せて資質に欠けるんではないかと。まじめにこの法務行政をちゃんと統制していくそういう気持ちがあるのかどうかということが、私には全く信じられません。
 それでは、先ほどの仙谷大臣の所信表明、こちらの方に尖閣諸島の事件と検察フロッピーディスク改ざん事件について触れられておりませんでしたが、どうしてこの法務委員会の二大重大事件について所信のあいさつに触れられなかったのか、お話しを願います。
#44
○国務大臣(仙谷由人君) まさに検察フロッピー事件は現在進行中の事件でございます。もし触れるとすれば、那覇地検、つまり検察庁も、海上保安庁という捜査機関共々、捜査に当たっている過程の中でその重要な証拠たるビデオがこのように流出したのかと、つまり証拠管理がどうだったのかということでございますが、多分現在、多分ではございません、現在これも捜査、調査を鋭意行っているところでございますので、それが中間報告でもできる段階では、皆さん方の前に、なぜこのようなことが発生したのか、今後の防止対策は何なのかということを、これは厳正な捜査を遂げる捜査機関としてしっかりと国民の皆様方に報告をしなければならないと考えております。
#45
○森まさこ君 今、後ろめたく思っていらっしゃるからビデオのことをおっしゃったと思うんですが、私、ビデオのことを聞いたわけじゃないんですけれどもね。
 尖閣諸島問題は、当初から検察がすべて処理して釈放したということで、この委員会でも問題になっております。もちろんビデオの流出もそうですけれども、指揮権が発動されたかどうなのか、また今捜査中であるので、その後の処分がどうなるのかということが国民の重大関心事です。このことについて所信表明に触れられていないということを大変残念に思いますが、衝突当時、何隻の中国船がいたか御存じですか。
#46
○国務大臣(仙谷由人君) 当時、官房長官として聞いておりましたのは、約、漁船は三百隻ぐらい当日はいたということでございます、周辺海域にですね。
#47
○森まさこ君 私ども自民党では、石垣島の海上保安部に調査に行きまして、実際に中国人船長を取り押さえた巡視船「みずき」の船長と乗組員に会ってまいりました。
 当時、周辺の海域に、領海外には百隻いたということです。その周りも含めれば、官房長官、確かにそのビデオを御覧になっていたのかもしれませんが、もっと多くの中国船がいたんだと思います。その百隻が領海線の外、領海線の中には三十隻の中国漁船がいたんです。そのうちの一隻がぶつかってきたんです。非常に悪質な事件で、私はこの釈放の経緯もまた今後追及していきたいと思いますが、その後、釈放したときに、那覇地検の検事正が、これについてはわざと故意に計画的にぶつかってきたものではないから釈放したと言っておりましたが、捜査については終了していなかったのに釈放したんでしょうか。
#48
○副大臣(小川敏夫君) 今の委員の御指摘の中で、那覇地検の次席検事の発表の中で、わざと、すなわち故意に衝突してきたのではなかったというふうに今おっしゃられたように思うんですが、那覇地検の発表は、故意に衝突したことは明らかであると。ただ、計画性がないとかいろいろ事情を述べて釈放したと、このように承知しております。
#49
○森まさこ君 巡視船「みずき」の追跡をかわすためにやむを得ずぶつかったと言っておりますが、ほかの三十隻は追跡されたらすぐ逃げていって、別にぶつかってこなくても逃げていっているんですよ。私は当時のビデオを見、そして当事者の意見を聞いて、この釈放理由は不可解なものであるというふうに考えましたが、今の最後の質問に答えていただいておりません。
 捜査がどの程度終了したから釈放したのか、捜査がまだ終了していないのに釈放したのかどうか、これをお答えください。
#50
○副大臣(小川敏夫君) 衝突というその現象そのものについての基本的な捜査はほぼ終了していると思いますが、ただ、終局処分を行うに当たっては、なお様々な状況を確認してからという状況があったのだと思います。
 私が、例えば、推測します、これはあくまでも私の推測とすれば、船長がまた入ってくると言っているわけですから、いったん釈放して国外退去した人間がまた入ってくれば、やはり起訴猶予にしていいのかどうかということもありましょうから、様々な状況を少し見る必要もあったんじゃないかと、私は自分でそのように推測をしております。
 ただ、具体的に、これは個別の事件の処分と言いますとまたおしかりいただくかもしれませんけれども、具体的な処分はこれは地検が行うことですので、私がそれを逐一説明する立場ではないと。まさに個別のことについては、そこまでのことは捜査の内容に関することでありますので、説明しかねるということになります。
#51
○森まさこ君 私ども自民党の調査団は、那覇地検の検事正と次席検事にも会ってきたんです。この委員会に参考人招致を要求していますが、なかなかかないませんでしたので、向こうに赴いて会ってまいりました。個別の事案だからというようなことはおっしゃいませんでしたよ。
 全体的な捜査がほぼ終了したと、釈放時には捜査がほぼ終了したとおっしゃっていました。その後、だって本人もいない、仲間も乗組員もいない、船も返した、こちらの船ももう全部修理が終わっている、何ももう調べるものがないんですよ。ほぼ終了して、返してからもう一か月半以上たっているから、皆さんがおかしいと思っているんじゃないですか。
 私、この委員会には次席検事と検事正、参考人招致要求しておりますから、今後ともまた追及したいと思いますが、答弁が長いのでなかなか時間が足りないんですけれども、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 給与法についてですけれども、菅総理は九月の代表選で、勧告を超えた削減を掲げていました。これを今回は人事院勧告どおりの改定が行われた。このことについて法務大臣の御見解をお願いします。
#52
○副大臣(小川敏夫君) 菅総理がそのような発言を代表選挙の前とか、そういったことで、代表選挙のさなかですか、そういったことで発言したということは承知しておりますが、あくまでもそれはこの臨時国会であるいは二十二年度のこの給与ですね、そこで実現するということではなくて、そうしたことも検討して目指すということでございます。
 私がそこまで答える立場かどうか、法務副大臣という立場からすると答える職責にはないのかもしれませんが、見ているところ、検討はしたけども今回のこの給与法案には反映されていないと、結論が出ていないと、このような状況であったと思っております。
#53
○森まさこ君 今、仙谷大臣はお勉強中でいらっしゃるようですけれども、仙谷大臣の御答弁もいただいてよろしいですか。
#54
○国務大臣(仙谷由人君) 今、小川副大臣が申し上げたとおりでございますが、いずれにしても次通常国会に国家公務員の給与改定が、自律的労使関係を措置するための法案を提出し、交渉を通じて給与改定が実現をできると、そういう制度的なことを用意しながら、いわゆる皆さん方が深掘りと言っているような現実をつくり出さなければならないというふうに考えているところでございます。
#55
○森まさこ君 次に、裁判官、検察官の労働基本権についてお伺いしますけれども、政府は閣議決定の中で、国家公務員の給与改定については、次期通常国会に自律的労使関係制度を措置するための法案を提出し、交渉を通じた給与改定の実現を図るとしています。
 公務員が交渉を通じた給与改定となった場合、裁判官、検察官の給与についてはどのようにお考えですか。大臣、お願いいたします。
#56
○国務大臣(仙谷由人君) 日本の裁判官は憲法によって報酬と身分が保障をされております。そして、職務の執行については司法の独立の下にその独立性が強く保障されておりまして、一般の労働者、勤労者のように使用者と対等の立場に立って経済的な地位の向上や労働条件の改善を図ると、そのために集団的な自治が必要だと、そういう必要性がないということで、裁判官に労働組合を結成し、又はこれに加入する権利は認められないと理解されてきたものと私は承知をいたしております。
 検察官は裁判官とは違いますが、これまた司法の独立の中の刑事司法のある種の独立性を持った存在として位置付けられていると思っておりまして、検察官の職務と責任についてもある種の著しい独立性が認められますので、検察官の給与、これは一般の政府職員とは別個に、裁判官が一般官吏に比べて高い報酬を受けることとされていることに準じた扱いとなっているというふうに考えております。したがって、基本的にはある種の憲法上の位置付けとして労働基本権が認められなくても、これはある種の許容範囲だろうと思います。
 ただ、検察官につきましては、現時点でも団結権と協約締結権を除く団体交渉権は認められているようでございますが、現実には、この治安関係に携わる検察官というものは、団結をして団体交渉をするというふうなことには日本はなっていないというふうに考えております。
#57
○森まさこ君 法律に詳しいとおっしゃっている割には法律の質問は全部紙を読んでいて、そして法務大臣の交代については不誠実な答弁でございましたので、本日の質疑を通して仙谷法務大臣の就任に対して不信感をお示しして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#58
○木庭健太郎君 仙谷法務大臣からごあいさつをいただいて、本日審議に入るわけでございます。今もいろんなやり取りが行われておりましたが、私も、仙谷大臣、官房長官という内閣のかなめ、もうスポークスマンからいろんなことの一番忙しいお立場の方がまた法務大臣を兼任されると。本当に正直に激務だなという気持ちもあり、専門家ということであればお隣に小川副大臣という優秀な方もいたのになというような思いも、本当は正直に言うとそんな思いも個人的にはあったわけでございますが、ともかく大臣として就任なさったわけです。
 大臣あいさつはありましたが、その激務の中で法務大臣もやり切るというその思いについて、改めて決意をお伺いして質問に入りたいと思います。
#59
○国務大臣(仙谷由人君) 日本は大変、多事多難という表現よりもあらゆる部面で構造的な困難な局面にあると考えております。
 その中でも、司法制度の問題というのは割とある種専門性があるというふうに思われているのか、ひっそりとというほどのこともありませんが全国民的な課題にならなかったわけでございますが、日本が事後救済型社会とか事後審判型社会とか、あるいはルールに基づいて法治が徹底されなければならないと、官治や人治から法治へということでありますと、やはり司法の果たす役割というのは大変大きい。そういう観点から司法改革がこの間提起され、衆知を集めて制度の改革が行われ、これが実行されている過程だと思っております。
 そういう過程の中で先般の大阪地検の事件というのが発生しておりますので、ある種日本の国家的ガバナンスの背骨の部分までおかしくなっていたと。これ一部なのか全体なのか、あるいはその抜本的なところなのか、これは大問題でありますけれども、要するにその骨組みの最も基礎的な部分まで病んでいた可能性があるということで、これは事は急を要し、かつある種真剣に、深刻にこの問題をとらえ直さなければならないと。
 そういう重大な職責を感じながら、官房長官としても当然そのことには関係をしなければならないわけでありますが、しかし、法務大臣ということでありますれば、その司法制度全体の問題についてやはりより専門的な角度からもこれに全力を挙げて取り組んでいかなければならない、そういうふうに改めて身の引き締まる思いでございます。
#60
○木庭健太郎君 給与法についてお聞きします。
 今回の給与法の改正というのは、人事院勧告が政府職員の俸給の月額の引下げを勧告して、裁判官の報酬も政府職員と同様に引き下げられる。これは平成十四年が初めて引下げをやって以来、その後も十五年、十七年、二十一年と報酬が引き下げられて、本年も引下げの勧告ということでございます。
 今もちょっと御質問がありましたが、民主党はこれ参議院選挙のマニフェストにおいて、無駄遣い、行政刷新として、政治家、幹部職員が率先し国家公務員の総人件費を二割削減しますということをうたわれたわけでございます。
 柳田前大臣は、先日、この民主党のマニフェストというのは裁判官の報酬及び検察官の俸給も含めた国家公務員の総人件費について二割削減することを意味するという発言を行われております。ただ、裁判官とか検察官のこの引下げの問題というのは、これまでも憲法上の問題と法律の関係からいろんな議論がございました。ある意味ではほかの公務員とは異なる面も考慮しなければならないと私は思うんですが、その点も踏まえて、この総人件費の二割削減という民主党のマニフェストと、裁判官の報酬、検察官の報酬、この関係について改めて伺っておきたいと思います。
#61
○副大臣(小川敏夫君) まず、総人件費、公務員の、二割削減、これは民主党のマニフェスト、約束でもございますので、実現するよう取り組んでおるところでございます。
 今、裁判官の問題について、あるいは検察官の俸給の点について御質問をいただきました。これ、大変に困難な問題も含んでおるところでございます。
 というのは、公務員の給与、これは人事院勧告ということを踏まえて決定しておるわけですが、人事院勧告というのがそもそも、公務員に労働基本権を、本来憲法上労働者には保障しなければならないこの労働基本権を制限していると。制限しているからその代償措置として、人事院が客観的、公正な判断で俸給を勧告するという仕組みになっております。
 ですから、その人事院勧告というものが、仮に無視してそれよりも下げるとなりますと、憲法上公務員も含めた労働者に与えられている労働基本権を制限していいのかと、こういう議論が当然出てまいるわけでございますので、今回の人事院勧告の言わば勧告以上に給与水準を引き下げるという問題はまさに労働基本権の問題と絡み合った問題ということで、結論がまだ至らずに、引き続き検討するということになったわけでございます。
 さらに、委員の質問のポイントであります裁判官の場合はどうするのかと。これまでは、一般職の給与が人事院勧告で出たからそれに準じてということになって、裁判官も同じような率で上がったり下がったりしておったわけでございますが、仮に一般職の公務員が、人事院勧告というものがなくなって、言わば労使交渉で決まるというようなことになった場合に、一般職の給与水準が労使交渉で決まったから、労使交渉を行っていない裁判官がそれに連動するというのは論理的にいいのか。絶対いけないとも言えないけど、少し議論する余地があるんじゃないかというふうにも思っております。
 そうした委員の御指摘も恐らくそこの問題点を指摘されたんだろうと思いますが、これは今そこで即答できる問題ではありませんので、引き続き検討させていただきたいと、このように考えております。
#62
○木庭健太郎君 先ほども、これも議論、九月の代表選挙のときに菅総理が、勧告を超えた削減というのを掲げられたんですよね。人事院勧告を超える削減の可能性を、これは報道ベースですけれども、幾つかありました。そして、今おっしゃったように、この問題については、臨時国会、通常国会を通じて今後目指すことだと小川副大臣、先ほど答弁されましたよね。
 ただ、今も御指摘しましたが、その中に裁判官とか検察官の報酬の問題についても、まさに人事院勧告が今あるわけですね、現実に。あるという中でも、人事院勧告を超えるような削減の対象として何らかの検討をされたんですか、法務省とか最高裁で。つまり、先ほどおっしゃったのは、今回は一般の公務員の場合は検討したけれども反映されていないという言い方をされたわけで、じゃ、裁判官とか検察官の報酬についても、それ以上の勧告を超えた削減というものを本当に検討されたんですか。
#63
○副大臣(小川敏夫君) これまでは、裁判官、検察官はまさに人事院勧告に伴う一般職の給与に準じておりましたので、今回も基本的には準ずるというような考え方でございましたので、特に裁判官、検察官だけ抜き出してという議論は少なくとも私の知っている範囲ではしておりません。
#64
○木庭健太郎君 私は、だから、その細かいことまでやることがどうなのかと言われるかもしれませんけど、やはり全体の二割削減という問題、それはそれとして姿勢として大事なことだし、ただ、そういう対象にならないものもあるはずなんですよね。そういうものはそういうものでやっぱり丁寧にしてあげないと、何かやると言ったらもう全部何が何でも、いや、そうじゃなくて、そういった違う条件でやっていらっしゃる方もいらっしゃるわけですから、そこはある意味丁寧に、おっしゃるときは、ここは違う部分があるよということをやっぱり言っといていただかないと、マニフェスト、それから菅総理の代表選のときの発言だけ聞いたら、あら、これはもう何でもかんでもやるのかみたいなことになりかねないような気がいたしました。
 したがって、もし今後も同じ方針で進められるんであれば、今お答えのあったとおり、やはりその中でもできないような部分というのはあるんだよということもきちんと、例外もあるんだということもきちんと明示をしていただきたいと思いますが。
#65
○副大臣(小川敏夫君) 委員の御指摘の問題点、そのとおりでございますので、そうした問題点を踏まえて検討してまいりたいと思います。
#66
○木庭健太郎君 少しその考え方で聞いておきたいんですけど、裁判官の報酬の減額について、最初やるときにですね、裁判官会議で、人事院勧告の完全実施に伴い国家公務員の給与全体が引き下げられるような場合に、裁判官の報酬を同様に引き下げても司法の独立を侵すものではないということで、憲法に違反しない旨を確認されたというようなことを伺っているんですが、この趣旨は、単に公務員の給与全体が引き下げられるような場合ということではなくて、一番大事な点は、人事院勧告の完全実施に伴いというような点もこれ憲法に違反しないための要件というふうに考えてよろしいんでしょうか。そこをお尋ねしておきます。
#67
○副大臣(小川敏夫君) まさに人事院勧告そのものが公務員の労働基本権、憲法上保障された公務員の労働基本権を制限するための代償措置ということにあるわけですから、私としても委員が考えるのと同じように考えたいと思っております。
#68
○木庭健太郎君 そうすると、これからの、さっき労働基本権の問題もおっしゃっていられたんですが、今後、人事院勧告の完全実施であることを憲法に反しないということになるとするならば、官民の給与水準の均衡ということで今なっているわけですよね。ただ、今後、人事院勧告がもし本当になくなった場合というか、そういった場合、労働基本権の問題があるんですけれども、そういったこととの絡みの中で、裁判官について労働基本権の、それと同等になるような何か代替的措置というんですか、それを保障するための措置というのはどんなことが考えられるのかというのがもし何かあれば教えてもらいたいと思うんですけど。
#69
○副大臣(小川敏夫君) 私一人が今ここで結論を出すようなというところではなくて、委員御指摘の問題点がまさにございますので、そうした委員の御指摘の問題を含めてこれからしっかりと検討してまいりたいと、このように思っております。
#70
○木庭健太郎君 検察官も同等の問題になるんでしょうが、最後、検察官についてはこれ憲法上の規定はないんですよね。ただ、検察庁法の第二十五条によって、懲戒等の場合を除いて、その意思に反して俸給を減額されることはないというふうな定めになっております。だから、検察官についてはどう考えればいいのか。つまり、人事院勧告を超える引下げというのが可能になるのかどうなのかとか、憲法上の保障がないわけですから、ある意味では裁判官と異なる扱いということも可能なのか。今後、いろんなことを議論していく上で、これについての何か考え方があればそれを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#71
○副大臣(小川敏夫君) 考え方があればといって、今ここに回答をお示しできないんですが、まさに人事院勧告そのものが存続するのかどうかというところの大本の議論がございますので、人事院勧告が存続すればあるいは今までどおりを踏まえた小さな修正で足りるのかもしれませんが、人事院勧告というものがなくなって労使で決めると、一般職がですね、ということになった場合に裁判官、検察官どうするのかというのは、まさに委員が本当に指摘されました問題点そのものがございますので、今ここで回答ということではなくて、委員の問題点の指摘を受けた点を踏まえてしっかりと検討してまいりたいと、このように考えております。
#72
○木庭健太郎君 終わります。
#73
○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
 仙谷官房長官には、私が大蔵官僚時分から大変この政治の道に入っていく上でも御指導をいただきまして、大変感謝申し上げます。ただ、今日、非常に残念なことに、我がみんなの党は、参議院の先ほど事務総長に対しまして、官房長官の問責決議案を提出してまいりました。党としてはそういう状況ではございますが、問責決議案、いまだまだ採決等及んでおりませんので、今日は法務大臣としての仙谷法務大臣を始め皆様方に御質問させていただきます。
 早速、給与法に関しまして質問をさせていただきます。
 先ほどの仙谷大臣の趣旨説明にもありましたように、一般の政府職員の例に準じてという形で、このように裁判官そして検察官の給与を恐らく平均して一・五%ですか、引き下げるという形になっております。
 先ほども他の委員の質問にもありましたけれども、まず一つお聞きいたしたいのが菅総理の九月の代表選におきます公約であります。人事院勧告、今回の平均して一・五%の削減を超えて深掘りするということをおっしゃっていたわけでありますが、そのような形に今回のこの給与法はなっておりません。これは一体どういう理由に基づくものなのか、御説明をお願いします。
#74
○大臣政務官(黒岩宇洋君) 今、桜内委員のおっしゃるとおり、現菅総理大臣が代表選挙のときに、国家公務員総人件費二割削減に向けて人事院勧告の深掘りを目指したいと、目指すと書いておりまして、これについては今も何ら変わることはございませんが、ただ段階段階があるということで、今回は確かに一・五%の削減であると。ただし、次期通常国会に自律的労使関係の制度を措置するための法案を提出して、その法案を提出することによって更なる深掘りをしていくということを今変わらず目指しているということで御理解をいただきたいと思います。
#75
○桜内文城君 これまでも、賃上げの場合ですけれども、人事院勧告完全実施しない例もございました。あるいは、片山総務大臣が鳥取県知事時分に、人事委員会の勧告を超えてやはり深掘りした例もございます。
 先ほどからの議論からしますと、そういった人事院勧告を超えてそのような深掘りをするということ自体が憲法上の労働基本権を制約する代償措置であるとの議論がずっとなされておりますけれども、その観点から見ると、こういった深掘りの例というのは、過去のそういった例というのはどのように考えればよろしいんでしょうか。
#76
○副大臣(小川敏夫君) 深掘りの例というのは、要するに人事院勧告よりも下げるという。これは、質問の趣旨が、過去上げるという勧告についてそれを完全実施しなかった、つまり人事院勧告よりも低い水準でしか引き上げなかったと、例があったと。
#77
○桜内文城君 それについて、憲法上の労働基本権を制約する代償措置であるからということをずっとおっしゃっているわけですけれども、そういった深掘りといいますか、人事院勧告よりも低い水準で実際の給与を定めた場合というのは、これは憲法違反に当たるのか、あるいはそうでないとすればどういうふうに解釈されるのかということをお尋ねしています。
#78
○副大臣(小川敏夫君) 最終的には、それが、やらないことが憲法違反になるかどうかというのは司法の判断をまつしかないというふうに思うわけでございまして、過去、引上げの際の勧告を完全実施しないということがあったとしまして、それが直ちに労働基本権を制約した人事院勧告の趣旨を損なうものかどうかということの点、確かに委員の御指摘の問題点があるんでしょうけれども、しかし、それが直ちに違法であるということであったわけでもございません。ただ、そうした議論があるということは十分踏まえて、今後の参考にしていきたいというふうには思っております。
#79
○桜内文城君 副大臣おっしゃるとおり、恐らくは、この給与に関する部分というのは、単に労働基本権あるいはその代償措置という論点のみならず、国の財政の在り方等にもかかわってくる論点ですので、恐らくは政府の、あるいは国会の裁量権の範囲というものの中から答えが導かれるのではないかと私は解釈いたします。
 ただ、そういった意味でいえば、今回、労働基本権に関して、代償措置としての人事院勧告だからということだと思うんですけれども、深掘りしなかったということなんですけれども、逆に言いますと、先ほど申しましたとおり、国会にはそういった程度の、若干人事院勧告を上回る、あるいは下回るといった裁量権が恐らくあるというのがこれまでの慣行からでき上がってきた解釈だと思うんですけれども、そういった面で、今回そういった裁量権を行使せずに深掘りをしなかった。それも総理がわざわざ代表選挙で国民に約束といいますか、そこまで言えるかどうかは別ですけれども、大っぴらに公表された公約をそのような、国会あるいは政府の裁量権でもってなぜ実現できなかったのか、その点についてお伺いします。
#80
○副大臣(小川敏夫君) まず、私の法務副大臣の、その法務省の所管外のことでございますので、言わば政府の見解を述べるという立場でないわけでございまして、私が答弁してもあくまでも小川敏夫個人の見解というぐらいに受け止めていただきたいのでありますが、今、菅総理の民主党代表選挙における約束というのがございました。それを今見てみますと、勧告を超えた削減を目指すとともにということでございまして、目指しておったけど、この来年度の分には間に合わないから、引き続いて労働基本権とともにこれから検討していくというようなことだと思います。
#81
○桜内文城君 目指すという言葉でもって総理大臣の言葉が守られないということが、恐らく今の菅直人民主党政権が国民から信頼されない一つの大きな理由ではないかと指摘させていただきます。
 目指すと今おっしゃいましたけれども、公務員人件費を二割削減というのはもっと大きな民主党政権としての公約でもあるはずです。昨年、政権交代を果たされました。既に一年以上このように民主党政権が続けていらっしゃるわけですけれども、仮に来年の通常国会に労働基本権を公務員に対して付与する、そういった法案が国会に出されて通ったといたしまして、それから実施していく、実際に団体交渉なり労働協約を行っていく、そういったスケジュール感からしますと、一体この民主党政権が続く間に可能なのかという疑問が生じるんですが、その辺、まさに民主党政権がこの公務員の総人件費二割削減というのは、この給与の引下げだけでなくして、よくおっしゃいますように、地方支分部局の定員を地方に移す、そういったもろもろの対策、政策を含めての話でありますけれども、このスケジュール感という観点から、四年間の政権を担う時期に本当にこれが可能なのかという点についてお尋ねします。
#82
○大臣政務官(黒岩宇洋君) 現時点では詳細なスケジュール感をなかなか申し上げづらいんですけれども、国家公務員制度改革基本法を踏まえまして、法令施行後三年以内である平成二十三年六月までの法案提出に向けて今検討していると、こう承知をしております。
#83
○桜内文城君 恐らく、民主党政権のマニフェストの一項目、重要な一項目であるこの項目も無理であろうというふうに国民の多くがもう既に考え始めているということを指摘しておきます。
 次に、これは仙谷官房長官に怒られるかもしれないんですが、毎日新聞の記事で、今回深掘りが民主党政権ができなかった理由として、同党の労組系議員の反発などを受け今年度は断念した、こういうふうな記述がございます。この記述が真実かどうかというのは別といたしまして、国家公務員あるいは地方公務員の政治的行為について若干お尋ねいたします。
 特に、公務員の労組というのはこういった給与の引下げにはもちろん反対するわけでありますけれども、その国家公務員のあるいは地方公務員の労働組合というものが仮にこういった政府の意思決定に対して影響力を行使する、これが国家公務員法百二条あるいは人事院規則一四―七に照らしてみていかがなものなのか、これについてお尋ねいたします。
#84
○政府参考人(桑田始君) お答え申し上げます。
 一般論でございますけれども、職員団体は、御承知のように、国家公務員法第百八条の二第一項におきまして自らの勤務条件の維持改善を図ることを目的として活動することとされておりまして、職員団体がそのような行動を行うことは、国家公務員法百二条並びに人事院規則一四―七、いわゆる政治的行為の制限に抵触するものではないというふうに考えております。
#85
○桜内文城君 この国家公務員法百二条あるいは人事院規則一四―七でいうところの政治的行為というのは、その人事院規則一四―七の五項、政治的目的、あるいは六項の政治的行為、これに該当するか否かによって判断されるわけでございます。もちろん当たり前ですけれども、名あて人、この政治的行為の禁止が求められるのは国家公務員であります。国家公務員法上の場合にですね。
 この政治的行為に当たるか否かで私はダブルスタンダードがあるのではないかと考えて、あるいは感じております。といいますのも、例えばある政治家、私でもあるいは仙谷衆議院議員でもいいんですけれども、徳島市役所なりが保有しておる市民ホールをお借りして、そこで政治的といいますか、国政報告会でもいいですけれども、集会をしました。これを許容する判断をする地方公務員、これがそのような言動を行うことがあらかじめ明らかでありますけれども、そのような集会を市役所の保有する、市の保有するホール等で行う場合、これが国家公務員なり地方公務員が政治的行為あるいは政治的中立性を害されると誤解されるおそれがあるものなのか否か、人事院にお尋ねいたします。
#86
○政府参考人(桑田始君) 個別の事案はよく分かりません。
 個々の職員におきまして政治的行為の制限に抵触する行為があったか否かにつきましては、やはり先ほど申し上げましたように、人事院規則一四―七に規定しております政治的目的を持ち、かつそれで政治的行為に該当するか否かについて個別に判断する必要があります。人事院といたしましては、実際にどういう形が行われているかどうかということを承知する立場にないものですから、それ以上にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#87
○桜内文城君 それで結構でございます。
 政治的行為の概念、概念といいますか定義に当たるかどうか。もちろん、個別の事情に照らして判断がなされるわけでありますけれども、通常のこの国家公務員法上の、人事院規則一四―七、あるいは今日人事院からいただいた資料でございますけれども、人事院事務総長の運用方針というものとかがございまして、これ非常に緩いんですね。政治的行為というのを認定するに当たって、相当重大な、例えば政権交代が起こるような活動を行うとか、そういった非常に緩い形でこの人事院規則というのは実際運用されておるという実態がございます。
 明日私は、済みません、別の委員会ですけれども、また官房長官に御質問する機会があると思いますので、またそれは別にさせていただきます。
 今日は質問これで終わります。ありがとうございました。
#88
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 仙谷大臣、真摯かつ簡潔な答弁でよろしくお願いいたします。
 裁判官、検察官の給与については、私どもは、幹部と一般の格差が非常に大きいということは是正をするべきだということを考えております。しかし、今回の問題でいいますと、本来、公務員の労働基本権を制約する代替措置としての人勧が連続してマイナスを出していると、こういうことに基づいて行われていく、国民生活の低下を招くと、こういうことで賛成ができません。
 そのことをまず申し上げておいて、法務局の登記乙号事務についてお聞きをいたします。
 個人の財産にかかわる不動産の登記、それから取引にかかわる商業法人登記は、国民の財産を守り経済を支える非常に重要な制度であり、本来国が責任を持つ制度だと考えます。一九六〇年代の高度経済成長期に非常に業務量が増えましたけれども、公務員を増やすことができないという中で一部を民間に委託し、その業務を非営利団体である民事法務協会が四十年にわたりやってきたという経過があるわけですね。
 これを今市場化テストにより民間競争入札が本格的に実施をされておりますが、この重要な公共サービスであるこの事務を民間競争入札にした、その理由は一体どういうことなんでしょうか。
#89
○大臣政務官(黒岩宇洋君) 端的に申し上げますと、この登記簿等の公開に関する事務は、登記の審査事務とは異なりまして、相当な必要な専門知識を有する者であれば国家公務員でなくとも担当が可能であるという、こういう考え方に基づくものであると、そう承知をしております。
#90
○井上哲士君 それを競争入札にした理由です。
#91
○大臣政務官(黒岩宇洋君) 市場化テストを踏まえて、ある程度効率よく、そして質を高めながらもある程度廉価に事務を担当してもらえるということを趣旨として競争入札にしたと、そう承知をしております。
#92
○井上哲士君 法律上は、民間事業者の創意と工夫を適切に反映させ、より良質かつ低廉な公共サービスの実現を図ると、こうなっているわけですね。
 実際どうなのかと。例えばATGカンパニー株式会社というのがあります。これは、この事務を二〇〇八年度には十局四十四庁、二〇〇九年度には三局九庁落札をしております。この会社のグループ企業であるアイエーカンパニー合資会社は、〇九年度に十局四十五庁落札をしております。
 この二社は、これ以外にも実は落札したものの、入札価格が低過ぎるということで低入札価格調査を求められておりますけれども、その結果が一体どうなって、またそれを受け入札の実施要項はどういうふうに変更されているんでしょうか。
#93
○政府参考人(原優君) お答え申し上げます。
 個別の事業者に対する低入札価格調査の結果につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、平成二十一年度入札におきましては十三の局で低入札価格調査が実施されております。
 そして、その調査結果に踏まえまして、平成二十二年度の入札実施要項におきましては、低入札価格調査に協力しなかった事業者を入札から排除することができることとしております。具体的には、この低入札価格調査に協力しなかった事業者については当該事実があった日から二年間入札資格を認めないと、こういうことにしております。
#94
○井上哲士君 この二つの会社は、入札価格が低過ぎると、これで適切にできるのかということで調査を求められたが、それを拒否をして落札を取り消されたと、こういうことになっているわけですね。
 では、それ以外には幾つか受注をしているわけですが、それがどうなっているのかと。
 この乙号事務を受託するに当たって必要な人員体制や研修の実施などが条件となっておりますが、それが守られない場合は改善指示がされることになっておりますが、これまでのこの事務の受託事業者の数、それから改善指示を出した事業者数とその回数の合計、そのうちこの両社に出された改善指示の回数は幾らになっているでしょうか。
#95
○政府参考人(原優君) 本事業の受託事業者の数は全部で十四事業者でございます。それから、改善指示を受けた事業者の総数は七事業者、改善指示をした回数の合計は三十七回でございます。
 恐縮でございますが、個別の事業者についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#96
○井上哲士君 事前にいただいた資料でいいますと、この二社に出された改善指示は二十七回ということになっておりますけれども、これで間違いないですか。
#97
○政府参考人(原優君) 個別の事業者につきましてここで改善指示があったかどうかということをお答えしますと、これは当該企業の競争上の地位その他について悪影響があると考えますので、その点についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#98
○井上哲士君 いや、税金でやっている事業でしょう。そこを受託したところが問題を起こして改善指示を出した。何で言えないんですか、おかしいじゃないですか。
#99
○政府参考人(原優君) 情報公開法におきましても、企業に関する情報でありまして、公開することによりましてその企業の競争上の地位に悪影響を及ぼすと考えられるものにつきましては不開示情報とされておりますので、この場でこの点についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#100
○井上哲士君 だって問題を起こしているわけでしょう。契約と違うことになっているということに対して改善指示を出している。それが悪いことをやっているんだったら不利益になっても当たり前じゃないですか。なぜそれを国民の前に出せないかと。おかしいですよ。
 事前にいただいた資料では両社で二十七回ということになっているんです。そうしますと、この二つの会社で改善指示の四分の三を占めているんですね。繰り返し改善指示を受けております。これは悪質だと言わざるを得ません。
 このATGカンパニーというのは、今残業代の未払や労働条件の一方的不利益変更等をめぐって労使間で紛争が起きておりまして、この十五日には労働組合側から都労委に不当労働行為の救済命令申立書も出されております。この経過で重大なことが明らかになったんですが、このATGカンパニーの法人登記によると、本店は渋谷区の元代々木町になっておりますが、関係者がその住所を訪ねても存在を確認できませんでした。同じ住所にあったマンションの管理人に尋ねましても、その会社も社長も知らないと、こういう返事だったわけでありますが、この事実については把握をされておられるでしょうか。
#101
○政府参考人(原優君) 現時点におきまして、先ほど十四の受託事業者がいるということを申し上げましたが、今委員御指摘のように、登記簿上の本店所在地に事務所を有していない者がいるということは承知しておりませんし、それから登記簿上の代表者の住所に当該代表者の住所がないということも承知しておりませんけれども、本事業が適切に行われることを確保するために必要な調査をしていきたいと思っております。
#102
○井上哲士君 でたらめ言っちゃ駄目ですよ。労働組合が言っているでしょう、ちゃんと交渉のときに。私、事前に紙もらっていますよ。ここに、紙。
 昨年度末、法務局の職員がATGカンパニー株式会社の登記上本店にされている場所に出向いたところ、同所に建物が建っていることは現認できたが、同社を表示する看板等は確認することができなかったと、紙で出しているじゃないですか。うそを言っちゃ駄目ですよ。もう一回答えてください。
#103
○政府参考人(原優君) まだ十分な調査ができておりませんが、御指摘の会社につきましては、東京局の方で本店所在地に行って看板が出ていないということは確認したということでございます。ただ、この本店所在地あての書留郵便は返送されていないということで、今後この実態について書面により報告を求めて調査をしてまいりたいと思っております。
#104
○井上哲士君 初めからちゃんと答弁してください。
 郵送がちゃんと届いていると言っていますけれども、これは労働組合の側が配達証明便に転送不要と書いて送ったら、あて所に尋ね当たりませんということで戻ってくるんです。つまり、郵便局の転送手続をしているから届くだけであって、現場にはあて所に尋ね当たりませんと郵便局も言っているんです。
 実際にはこういう、行っても場所がないと。これはやっぱり登記上と本社の場所とが、ないんじゃないですか。いかがですか。
#105
○政府参考人(原優君) 委員の御指摘を踏まえて調査をしてまいりたいと思っております。
#106
○井上哲士君 これはもう大分前から言っているんです。実際は世田谷区の北沢にある東京支社で業務を行っているようでありますが、この本社の所在地も社長の所在地も実在しない、登記と違うということになりますと、商業登記についての虚偽記載ということになるんですね。
 これ一般論で聞きますけれども、商業登記で虚偽の内容を申請したら、法律上はどういう問題になりますか。
#107
○政府参考人(原優君) 一般論としてお答えしますと、株式会社の登記におきまして虚偽の申請をするという行為は、刑法第百五十七条の電磁的公正証書原本不実記録罪に当たります。
#108
○井上哲士君 代表者が同法で禁錮以上の刑に処されたらどうなりますか。
#109
○政府参考人(原優君) 当該会社の代表者がこの罪によりまして禁錮以上の刑に処せられた場合には、本件の委託契約は解除することができるということになっております。
#110
○井上哲士君 これはいろんな公共サービスの受託全般にかかわることだと思うんですが、この登記についていいますと、ちょっと違う問題があると思うんですね。
 この民間入札の皆さんが作っている実施要項を見ますと、「商業法人登記は、権利義務の主体となる会社・法人を創設し、その組織と業務内容を明らかにして、経済秩序を維持するものである。」と、こういう意義が書かれております。
 その商業登記の事務を受託した会社が、自らが虚偽の登記をしていると。こんなことを許していたら商業登記に対する信頼を土台から揺るがしますし、本来のこの法律上で入札の目的は、より良質な公共サービスといっているんですね。どこがより良質な公共サービスになるのかと。
 私は、これは、こういうところが受けているということは、本当に登記への信頼を土台から揺るがすと思いますが、事実を調査して厳正な対処を行っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#111
○国務大臣(仙谷由人君) 私どもは、公共サービス改革ということで、市場化テストを取り込むなどして公共サービス関係を改革を進めようとしてきているわけでありますが、そういうある種の改革を実施するときに一番重要なことは、事後的なチェックがなされないと、事前規制から事後チェックへということがしっかりとなされないと、今、井上議員がおっしゃったような非常にいわく付きの業者が参入してくるというふうなことがもしあり得るとすれば、これはゆゆしき事態でございますので、徹底した調査をしてこの受託関係を適正化すると、そのことを推進してまいりたいと思っております。
#112
○井上哲士君 まさにゆゆしき事態になっているわけですね。
 何でこんなことになっているのかと。より良質な公共サービスという目的よりも低価格を重視するような、そういう法務省の姿勢に私は問題があると思います。入札自身が、中身、より良いサービスをするということよりも、価格が低いところの方が有利になるような仕組みになっているんじゃないかと。この大幅な改善をする必要があります。
 元々は、提案書のいわゆる基礎点三百点に対して加点というのがあるんですね、いろんな提案をして。これが三百点あったのを、これ百五十点に途中から下げてしまいました。ですから、非常に低価格のところが有利になるような入札制度になっているんですね。これをまず改善をするべきだと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
#113
○政府参考人(原優君) 公共サービス改革法に基づく市場化テストにおきましては、委員も御指摘していただきましたように、公共サービスの質の維持向上という観点とそれから経費の削減という観点、この二つを実現するために価格に加えてサービスの質を評価する総合評価落札方式を採用しております。
 現在の入札実施要項はこの二つの理念を考慮して基礎点も加点も定めておりますので、その評価方法自体は妥当ではないかというふうに考えておりますけれども、今後も適正かつ確実な公共サービスの提供ができるように、かつ民間事業者の創意工夫が生かされて質の高い行政サービスが実現できるように積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#114
○委員長(浜田昌良君) 井上君、時間が来ております。
#115
○井上哲士君 はい。時間です。終わりますが、入札方法を変えてからこういう業者が入ってきているという事実があるわけでありますから、私は抜本的な見直しをするべきだということを強く求めまして、質問を終わります。
#116
○委員長(浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#117
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、裁判官の報酬並びに検察官の俸給等に関する法律案の両案に対する反対の討論を行います。
 本案は、人事院勧告に基づき公務員の賃金を引き下げることに準じて裁判官、検察官の報酬、俸給を減ずることを内容としていますが、人事院勧告は公務員の労働基本権を制約する代償措置として設けられているものであり、マイナス勧告を繰り返すなどは目的を逸脱し、受け入れられるものではありません。
 また、公務員の低賃金化は民間労働者の低賃金化を招き、景気の悪循環をもたらし、国民生活の不安定化を招くことになります。
 さらに、憲法並びに裁判所法にあるとおり、裁判官の報酬については、在任中、これを減額することができないものであります。法的行為であれ行政の行為であれ、直接に裁判官の俸給を減額することを禁ずるものとして解するのが通説であり、裁判官の独立性を侵しかねないものであります。
 以上により、両法案の反対討論といたします。
#118
○委員長(浜田昌良君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#119
○委員長(浜田昌良君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#120
○委員長(浜田昌良君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#122
○委員長(浜田昌良君) 裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院法務委員長奥田建君から趣旨説明を聴取いたします。奥田建君。
#123
○衆議院議員(奥田建君) ただいま議題となりました裁判所法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 本年十一月一日に施行された改正裁判所法により、司法修習生に対し給与を支給する制度に代えて修習資金を国が貸与する制度が導入されたところであります。しかしながら、昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかんがみ、それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、法曹養成制度に対する財政支援の在り方について見直しを行うことが緊要な課題となっております。
 本案は、このような状況にかんがみ、平成二十三年十月三十一日までの間、暫定的に、司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を停止し、司法修習生に対し給与を支給する制度とするものであります。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上が本案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
#124
○委員長(浜田昌良君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#125
○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
 まず、提案されました衆議院の法務委員長にお伺いいたします。
 今回のこの裁判所法の改正案ですけれども、元々今回議論になりました貸与制への移行というものが国会で通りましたのが二〇〇四年のことであります。その際、当時野党ではいらっしゃいましたけれども、民主党も賛成されております。この六年の間にこの貸与制をもう一度このように強引に、ほとんど衆議院での議論もなく、そしてこのように急に既に施行されている法律をひっくり返すその実質的な理由をお伺いいたします。
#126
○衆議院議員(奥田建君) 桜内委員からの御指摘、またしっかりと受け止めたいと思います。
 ただ、強引にということに関しては、各会派の中で慎重な審議等プロセスを経て、また衆議院の法務委員会では全会一致という形で成立しているということを御承知いただきたいというふうに思います。
 まず、この六年間の間、やっぱり法曹を取り巻く状況というのが大きく変わってきたということもあるかと思います。一度、司法制度改革という中で提起されたことではありますけれども、そのときと比べて法曹を取り巻く状況が大変厳しいものになっている、これは提案の趣旨にも書いてございますとおりであります。
 そして、やはり法曹の志望者、志願者というものがここ数年大きく減ってきてしまっている。司法制度改革の大きな目的でもあります、目標でもあります法曹人口の拡大ということにやはりまだめどが立っていないと。一つでも、そういう法曹志望者、法曹人口の拡大とともに、国民に対してその権利を擁護するその点を広げていくという大きな目標というものに到達していないという点が挙げられるかというふうに思います。
#127
○桜内文城君 今委員長おっしゃいましたけれども、残念ながら衆議院の法務委員会では我が党みんなの党は会派として参加できておりませんので、そういった意味で各党各会派の議論をしっかりしたという点は当てはまらないというふうに指摘させていただきます。
 事ここに至るまで、既にこの改正法が施行されたこの時期に至るまで、なぜここまで来たかといいますと、それは与党である民主党、あるいは野党、自民党そして我々みんなの党を始め大変異論が多かった、議論もその分たくさんあった、論点といいますか、法律であります。それをここに来て突然、先週から一気に委員長提案でこのように衆議院を通過させてこの参議院に付託されてくるということは、国会対策上の政治的配慮あるいは国民不在の党利党略に基づくものと言わざるを得ません。その点について、委員長、どうお答えになりますか。
#128
○衆議院議員(奥田建君) 異論が多かったといいますか、そういう意見があったことは事実だというふうに思います。
 ただ、この法が平成十六年に施行される際にもまた貸与に対する異論というものがあったのも事実ですし、また日弁連としても一貫して給費制の維持ということを訴えていたわけでもあります。そして、先ほど言った、また法曹界を取り巻く就職の状況あるいは経済状況といったものの中から、やっぱり有為なそしてまた優秀な人材を育成するというところの大きな危機感というものが各会派にも訴えられてきて、そのことをまた真摯に受け止めて、今暫定の措置ではあるけれども、この一年足らずの間に修習生に対する財政支援という在り方を政府も、そして最高裁も、そしてまた日弁連も協議の上でしっかりと決めていただきたいというのがこの法案の趣旨でもあります。
#129
○桜内文城君 実質的なこの給費制維持の理由が私はないと考えております。
 最高裁から日弁連に対しまして、この九月に二度にわたりまして質問状が出されております。最高裁及び、できれば法務大臣にもお答えいただきたいんですけれども、その質問状の中では、経済的事情によって法曹を志すことを断念せざるを得ないというような日弁連の主張に対して、それが本当に給費制維持との論理的な関係があるのか、これについて最高裁も尋ねております。確かに、日弁連はその後二回にわたりまして回答書を出しておりますけれども、私が見ましても、恐らく国民の多くが見ましても、十分な説得力のある理由をそこに書いてあるとはとても思えません。
 最高裁は、これに納得しているのか、そしてまた実際にこのような法曹養成制度を所管する法務大臣、どのようにお考えか、お聞きいたします。
#130
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。
 裁判所といたしましては、日本弁護士連合会に、今御指摘のとおり、例えば弁護士となって五年を経過した以降の収入の状況等、日弁連の主張の根拠となる具体的なデータの提供を求めていたわけでございますが、こういった点につきまして日弁連から十分な提供ないし説明があったとは必ずしも考えておりません。
 ただ、最高裁といたしましては、今後この論点についての検討がされる際には、関係機関との間で実証的なデータに基づいた意見交換をしてまいりたいと、このように考えております。
#131
○国務大臣(仙谷由人君) 個人的には、この麗しい司法研修制度、そしてこれが給費制であったという戦後の歴史の中で受益を受けてきた者といたしましては、なかなかこれについての論評を特に今の立場としてはし難いわけでございます。
 個人的な感慨、見解は多々あるわけでございますが、今日は法務大臣として参っておりますので、特にこの本法案は議員立法として提出されておりますので、国会の意思を尊重すべきものと考えておりまして、私の個人的な見解は、さすがの丸山先生や森先生も、あるいは江田先生も小川先生もいらっしゃいますけれども、ここは差し控えさせていただきます。
#132
○桜内文城君 この法案の一番の問題というのは、法曹の志願者が減少する、そういった原因に対して真の回答を示していないからだと私は考えております。経済的な負担が生ずるその大半は、むしろロースクールの修学期間に生じております。給費制維持のために約百億円の税金を投入し、そのことは別の言葉で言えば、ロースクールで頑張って学びながらも残念ながら司法修習生となれなかった、そういった人たち、ロースクールで多額の負債をしょってしまった人たち、その人たちからも税金という形で、言わば勝ち組の司法修習生に対して年間百億円もの税金を投入する、言わば強い者が弱い者いじめをする、そういった構図だからこそ、恐らくは、様々な新聞の社説にもここ数日にぎわしておりますけれども、国民の大多数の賛同を得られていない、こういった法案になぜ、私どもみんなの党としましては、大きな巨大与党であります民主党、そして自民党さん、公明党さん、皆が議論もなく賛成されるのか理由が分からない、このように考えております。
 今日、仙谷法務大臣は、常に国民の目線に立ち、こういうふうなことを述べていらっしゃいます。そしてまた、とりわけ法曹養成制度の在り方については云々と抱負を述べられておりますけれども、その初日からこういったまさに弱い者いじめをする、強い者がむしろ給費制を維持することによって弱い者から税金をむしり取る、こういった制度をこの国会において通してしまおう、それも衆議院ではほとんど全く議論もされずに委員長提案でやってくる。私どもみんなの党は、そういった国民の目線から乖離したこの永田町の常識に対して異議を唱えたいと考えております。
 委員長、どのようにお考えになりますか。
#133
○衆議院議員(奥田建君) 桜内委員御指摘のとおり、経済的な問題というのは何も修習の期間だけではないというのは全くそのとおりであるというふうに思います。そして、先ほどの質問のところに戻る部分ありますけれども、なぜ最高裁からの質問が今年の九月なのかということがちょっと私にも疑問に残る点でもあります。六年もの間それだけの議論が真摯にされてきていなかったのかと。やっぱり、関係機関の間で納得し合える制度というものを私たちは提示していきたいということであります。
#134
○桜内文城君 私、法務委員会の理事をしているということで、ロースクールの学生さんからもたまに電子メールをいただくことがあります。大変悲痛な声であります。それは、給費制維持という、そういうものでは全然ありません。むしろロースクールの在り方そのもの、そして今の制度であります三回受験に失敗したらという、三振したらというその制度、あるいはまさに人生を懸けて彼らは、会社を辞めた人もロースクールに行っているわけですね、社会人の方は。そして、お金も掛けて、若い時間、時間を掛けて、二年なり三年なり、社会人として周りの人間が頑張っているところを横目で見ながら耐え忍んで、経済的な苦境にも耐えて、しかしながら法曹になる道がないかもしれないというこのリスクにおびえながら一生懸命やっている学生さんがいっぱいいるわけです、若い人が。その人たちが望んでいるのはこんな給費制の維持じゃないんですよ。まさに勝ち組に対して負けた人たちが税金でもって、年間百億円も彼らに対して援助をしていくことになるんです、結果として。
 確かに、司法修習生の方々が貸与制に替わることによってその分負担が増えるというのも十分理解できますし、不満を述べられるのも分かります。しかし、今のこの世の中、就職が大変だ、あるいは経済が大変だという時期に、負け組を更にいじめるようなこういった制度を、それも国会での議論なく、ほとんどなくしてこういうふうに提案されてくるということに私は大変憤りを感じております。
 最後の点、一つ予算の点についてお伺いいたします。
 最高裁にお伺いいたしますけれども、今回の法案、非常に、私が言うのも大変失礼ですけれども、予算措置、財源措置というものについてほとんど全く触れられておりません。しかし、これを一年間とはいえ延長するということは、百億円程度の予算が、財源が必要とされてまいります。これにどういうふうに対応されていくおつもりなのか、お聞きいたします。
#135
○最高裁判所長官代理者(林道晴君) お答えします。
 給費制が一年間延長された場合には、まず、平成二十二年度予算におきまして、この十一月二十七日に採用される予定の修習生、司法修習新六十四期の修習生になりますが、それに係る司法修習生手当あるいは共済組合の関係の負担金等として、合計約二十七億円の予算を計上する必要があります。これにつきましては、裁判所の他の予算を流用する手続を速やかに取ることになると考えております。また、平成二十三年度の予算につきましては、本年の十一月から貸与制に移行することを前提として概算要求を行っておりますので、給費制が一年間延長された場合には、それに応じた予算要求に改めることが必要になります。
 以上です。
#136
○桜内文城君 予算ですので、財政法の関係になってくるんですけれども、財政法三十三条二項、流用するためには財務大臣の承認を経なければならないということでありますが、今回、報道なりで聞くところによりますと、報道というと仙谷長官に怒られますけれども、財務副大臣が聞いていないよというふうにお怒りになったとも仄聞しております。
 確かに、手続上は同じ最高裁判所という項の中の話ですので、流用は確かに可能であります。国会の議決を経ることなく財務大臣の承認があればもちろん認められるわけですけれども、しかし、これ、修習資金貸与金というものを司法修習生手当に変えるということでございまして、これは言わば貸付金をあげっ放しのお金にしてしまうというものでありますので、お金に色はないとはいいますけれども、その性質は全く違います。
 これが財政法上も、もちろん財政法上認められる手続とはいえ、そういったまさに無理強いをしてまでこのような法案をそもそも通そうとする、そういった与党及び大政党の皆様方に一言抗議を申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#137
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 給費制を一年間継続させるという法案であります。様々な議論、困難ありましたけれども、この法案、取りまとめられました法務委員長を始め関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。
 我が党は、公的な役割を担う法曹の養成に受益者負担主義を持ち込むべきでない、そして経済的な理由で法曹を断念する事態が生まれれば、多様な人材を法曹界に取り込むという、取り入れるという司法制度改革の趣旨にも反するとして、当時、法改正に反対をいたしました。その後、関係者の懸念が現実のものとなり、また法改正時に、必ずしも予想されていなかった事態も生まれました。その中で、法曹を目指す若い皆さん、ビギナーズ・ネットや日弁連、市民からのいろんな世論と運動が広がる中で、今回の改正になったんだろうと思います。
 勝ち組、負け組というお話があったんですが、私はやっぱり若い法曹の皆さんとお話をしていて、司法試験受かって弁護士になったら勝ち組だと、そういう発想で弁護士活動をしたくないからこそちゃんと給費制をしてほしいという、そういう声だったんだろうと思います。
 その上で、まず提案者にお聞きいたしますが、これを一年間継続させるということが必要だと判断した事情、理由について改めてお聞きしたいと思います。
#138
○衆議院議員(大口善徳君) ただいま井上委員からこの法案に対して賛意の御指摘がございまして、ありがとうございます。
 まず、衆議院法務委員長も答弁いたしましたけれども、本当に最近の法科大学院の志願者が急減しています。平成十六年に比べても、それこそ三分の一になっているんですね。また、平成十五年から見ますと、これはもう四分の一以下になっています。ですから、法曹の志願者が激減しているという、ここをやはり我々がしっかりこの原因を究明しなきゃいけない、こう思っているわけですね。
 その中には当然、例えば法科大学院を修了して、そして合格者が二割と、こういう非常に合格率が低いということもあります。それから、やはり司法試験合格して修習終了しても就職できない人が、例えば今年の七月ですと三五%がまだ内定が出されていない、こういう諸事情もあると思います。それとともに、やはり法曹を目指す人に対する時間的あるいは経済的な負担が非常に大きいと。特に、我々の場合は例えば現役で合格をして、それで修習をしてということがございました。しかし今は、学部を卒業しても二年とか三年とかいう期間が掛かります。そういうことからいきまして、非常にそういう点でも経済的にも負担があると。
 このことも、やはり志願者が急減している要素一つ一つを取っていかなきゃいけない。そのために一年掛けてしっかりと、この財政支援の在り方も、これは政府もまた最高裁判所も当事者としての意識を持って検討していく。また、我々国会も、あるいは立法府の怠慢ということがあったと思います。我々もしっかりやっていく、それによってこの議論をしていく、そして法曹養成制度全体のことにつきましてもしっかり議論をしていく、そのための一年間であるということでございます。
#139
○井上哲士君 給費制が廃止をされた二〇〇四年の改正の際に当委員会で附帯決議を付けたわけでありますが、その中身は、統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることのないよう、また経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことがないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、関係機関と十分協議を行うことと、こういう決議を付けたわけですね。
 私は、この決議が実際十分に行われてこなかったということが非常に大きな問題だと思うんです。先ほどありましたように、最高裁が今回給費制の維持を求める日弁連に対して質問状を出されましたけれども、この決議の趣旨からいいますと、やっぱり最高裁や法務省自身がそういうデータをしっかり持っておくべきだったと思うんですね。そういう調査をしてこなかった、そしてまともな検討をしてこなかったということが問題だと思うんです。
 私は、今回のこの一年の延長、継続ということを受けて、最高裁そして法務省自身がそういう実態についての幅広い調査をして検討することが必要だと思いますが、最高裁それから法務大臣、それぞれいかがでしょうか。
#140
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) お答えいたします。
 法曹養成制度に対する財政支援の在り方につきましては、多分に立法政策にかかわるものでありますため、今後政府を中心に検討がなされるものと承知しておりますが、法曹養成の最終段階である司法修習を所管する最高裁判所といたしましても、経済的事情から法曹への道を断念するような事態が生じないように、司法修習生の経済状況等につきましてどういう調査を行うことがデータ収集として適切かといったことについて検討いたしまして、そして関係機関に対して必要な協力をしてまいりたいと、このように考えております。
#141
○国務大臣(仙谷由人君) 先ほどからお伺いしているんでありますが、結局この問題は、とりわけ法曹の場合には、弁護士のみならず、出口は検察官と裁判官の養成ということにもなります。あるべき法曹一元がそもそも実現しておれば、こんな議論にはならないのかも分かりません。
 というのは、先ほど御質問された桜内先生、僕はそれ非難して言うんじゃありませんが、やっぱり国費で留学していただいて、外国の世界でも通用されるリーダーシップになっていただきたいというのが多分今の霞が関人材の外国留学というふうな制度だと思います。つまり、だから法律とか司法の世界の人材養成を、これ裁判官も検察官も含めて、国民の理解の下でどのように税金を使って養成していくのかと。これは、例えば医療もそうであります。皮肉なことに、法律家というか、法曹養成のところで税金を使わないことになった瞬間に、それまでいわゆる無給インターンという制度だった医者の養成のところにお金が入れられるということになったのが多分二〇〇四年だったと私記憶しておるんでありますが、ここはやっぱり改めてこの機会に国民的な議論をしていくと。
 つまり、この法律の世界を、あえて国費を投入して人材養成していくに値する世界なのかどうなのかということを、議論をもう一遍していかなければいけないのではないかというのが最近の私の気分でございまして、政府の中にワーキングチームもできたということでありますから、人材養成あるいは教育という観点から、改めて、この百億という、巨額と思うか、百億程度のお金で人材養成ができるのであれば大いにやるべしというふうになるのか、あるいは百億は高いから五十億で何とか事を済まそうとするのか、その種の議論を大いに闊達に私はやってみるべき価値のあることだと思っております。
#142
○井上哲士君 その上で最後ですが、そういう議論を通じて、やっぱりこの公的な役割を成す法曹の養成については給費制が必要だと、こういう結論になった場合は、この法案自身は一年間の継続でありますけれども、再改正もして、制度自身の存続ということも法律としては排除をされていないと、そういうことを確認をしておきたいんですが、よろしいでしょうか。
#143
○衆議院議員(奥田建君) 井上委員のおっしゃるように、こうであらなければならないという将来のことを断じている法案ではありません。あくまで暫定的な措置として、そして修習生の財政支援、あるいはその以前の、今桜内委員から御指摘のありましたように、ロースクールのところの負担というもの、あるいは修習生を終えて法曹界にデビューしてからの方たちがどういう財政状況にあるのかと。やはり、しっかりとしたデータをお互いに持った上で、国会も含めて、先ほど言った法曹の三者と、そしてまた国会での議論というものを通じてこれからの在り方を決めていきたいというところに対しての暫定的措置であるということを御理解いただきたいのとともに、またそれからの道は皆さんとともに見付けていくんだということを御了承いただきたいと思います。
 なお、付け加えてになりますけれども、人材養成ということに関しても、中期的な視点でしっかりとその在り方というものを、教育のプログラムであるとかそういうことも含めて考えていただきたいということを決議の一つに付け加えさせていただいております。
#144
○井上哲士君 ありがとうございました。
#145
○委員長(浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#146
○桜内文城君 私は、みんなの党を代表して、裁判所法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 この法律、給費制を維持するための実質的な法律がない、そのことを反対の第一の理由とさせていただきます。
 経済的な理由の大半は、むしろロースクール修学期間に生じております。給費制維持のために約百億円の税金投入をすることは、ロースクールで学びながらも残念ながら司法修習生となれず、多額の負債だけを抱えた者からも税金という形で勝ち組に対する経済的援助を強制するということになりますけれども、これを合理化する理由はありません。
 そして、反対する第二の理由でありますけれども、一つには、今回のこの国会での議論が十分になされていない、その手続上の瑕疵を指摘させていただきます。
 六年前、この貸与制が決まった際に、当時野党でいらっしゃいました民主党も賛成して成立した法律でございます。そして、この十一月からいよいよ施行がされております。それをこの時期に、事ここに至るまで民主、自民両党でも異論が多かった本件につきまして、突然委員長提案で衆議院を通過させてこちらに付託する、これは国会対策上の政治的配慮、国民不在の党利党略に基づくものと非難せざるを得ません。
 例えば、今、先ほどの質疑でも仙谷法務大臣もおっしゃいましたけれども、本来であれば法曹の人材育成制度等については大いに闊達な議論をすべきである、そのように私たちも考えております。また、最高裁も先ほどの質疑の中で答弁されましたが、今回の給費制維持の日弁連さんからの回答にも十分納得はしていないけれども、そのような御答弁もありました。
 今回、私どもが反対する理由としまして、その二つ目に挙げました手続が十分でないということは、まさにこの議論をすべき国会の場でほとんど議論もなくこのような法律が今まさに通ろうとしていることにあります。
 例えば、議論すべきところといたしまして、ここで挙げさせていただきますが、例えば貸与制を補完する他の制度といたしまして、弁護士過疎地域での勤務や国選弁護、介添え人活動に従事する弁護士について貸与金の返還免除を認める、このようなことも考えられます。あるいは、日弁連がこれほどのごり押しをしようとするのであれば、優秀な後進育成のために返還不要な奨学金制度を創設する、あるいは司法修習生の修習専念義務の緩和を行い、少なくとも法律事務所でのアルバイト等を認めてやる、いろんなやり方はあろうかと思います。
 そのような他の補完する制度について何の議論もなされることなく、単に過去の制度を復活させる、それも先ほども質疑の中で述べましたけれども、年間百億円もの税金を投入してそのような制度を維持することにどれだけの理由があるのか、少なくともそういった議論をこの国会で私どもはさせていただきたかった、このことを申し上げまして、以上、反対の討論を終わります。
#147
○委員長(浜田昌良君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 裁判所法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#148
○委員長(浜田昌良君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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