くにさくロゴ
2010/02/10 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第1号
姉妹サイト
 
2010/02/10 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第1号

#1
第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第1号
平成二十二年二月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         田名部匡省君
    理 事         島田智哉子君
    理 事         下田 敦子君
    理 事         友近 聡朗君
    理 事         南野知惠子君
    理 事         丸川 珠代君
    理 事         鰐淵 洋子君
                家西  悟君
                尾立 源幸君
                岡崎トミ子君
                工藤堅太郎君
                藤谷 光信君
                牧山ひろえ君
                松岡  徹君
                水岡 俊一君
                石井みどり君
                岡田  広君
                荻原 健司君
                岸  信夫君
                中村 博彦君
                松下 新平君
                義家 弘介君
                浮島とも子君
                紙  智子君
                福島みずほ君
    ─────────────
   委員の異動
 二月三日
    辞任         補欠選任
     松下 新平君     中山 恭子君
 二月八日
    辞任         補欠選任
     福島みずほ君     渕上 貞雄君
 二月九日
    辞任         補欠選任
     藤谷 光信君     松野 信夫君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     牧山ひろえ君     白  眞勲君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         田名部匡省君
    理 事
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                友近 聡朗君
                南野知惠子君
                丸川 珠代君
                鰐淵 洋子君
    委 員
                家西  悟君
                尾立 源幸君
                岡崎トミ子君
                工藤堅太郎君
                白  眞勲君
                牧山ひろえ君
                松岡  徹君
                松野 信夫君
                水岡 俊一君
                石井みどり君
                荻原 健司君
                浮島とも子君
                紙  智子君
                渕上 貞雄君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        工藤 政行君
   参考人
       白梅学園大学学
       長
       白梅学園短期大
       学学長      汐見 稔幸君
       株式会社ニッセ
       イ基礎研究所主
       任研究員     土堤内昭雄君
       株式会社ベネッ
       セコーポレーシ
       ョン執行役員   成島 由美君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○少子高齢化・共生社会に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (「コミュニティの再生」のうち少子高齢化と
 コミュニティの役割(少子化が経済・社会、地
 域コミュニティに与える影響))
    ─────────────
#2
○会長(田名部匡省君) ただいまから少子高齢化・共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、松下新平君、福島みずほ君及び藤谷光信君が委員を辞任され、その補欠として中山恭子君、渕上貞雄君及び松野信夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(田名部匡省君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少子高齢化・共生社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(田名部匡省君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(田名部匡省君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○会長(田名部匡省君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少子高齢化・共生社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求め、その説明を聴取することとし、その手続については会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○会長(田名部匡省君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#8
○会長(田名部匡省君) 少子高齢化・共生社会に関する調査を議題といたします。
 先般、本調査会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。南野知惠子君。
#9
○南野知惠子君 派遣委員の報告をさせていただきます。
 平成二十一年十二月十日及び十一日の二日間、岩手県及び青森県において、少子高齢化・共生社会に関する実情調査を行いました。
 派遣委員は、田名部会長、島田理事、下田理事、丸川理事、鰐淵理事、松下委員、紙委員及び私、南野の八名であります。
 以下、調査の概要を御報告申し上げます。
 一日目は、まず、岩手県より、同県の人口動態、少子化対策等について概況説明を拝聴いたしました。
 同県は、平成十一年に人口が初めて自然減となり、また産婦人科医師数及び分娩可能な医療機関が減少傾向にあるなどの課題を抱えております。これに対し同県では、妊婦や子供連れの家庭に割引等を提供するいわて子育て応援の店、医療機関と市町村が妊産婦の健診データなどを共有することにより、妊婦の緊急搬送や産後の育児支援を円滑に行う岩手県周産期医療情報ネットワークの構築等の対策を講じております。
 岩手県は、高齢化率が平成二十年で二六・三%となり、また七十五歳以上の後期高齢者人口が前期高齢者人口を上回りました。同県では、介護予防事業参加率の向上、ICTを活用した高齢者安否確認見守りシステムの整備等の対策を推進しております。
 岩手県においても、人口減少と少子高齢化の同時進行に伴い、コミュニティー機能の低下が懸念されております。これに対し同県は、草の根コミュニティ大学によるリーダーの養成に努めるとともに、コミュニティー活動の担い手を県外からも招請するため、インターネット等を通じた積極的なPRを展開しております。
 派遣委員からは、産科医不足への対応としての助産師の活用と育成、妊産婦の病院への搬送体制の改善等について質疑が行われました。
 次に、盛岡市にある岩手県立中央病院の視察を行いました。
 同県には現在、二十一の県立病院と五つの地域診療センターがありますが、同病院は盛岡医療圏における中核病院であるとともに、急性期高機能センター病院として県全域を対象とした先進・高度・特殊医療機能を担っております。また、県内他地域へ年間三千件近い診療応援を行っております。さらに、同病院には、子育て中の女性医師や看護師のための院内保育所があり、二十四時間保育が可能となっております。
 派遣委員からは、県立病院と地域診療センターとの連携、女性外来の利用状況、病院運営における看護師・助産師の位置付け、院内保育所の具体的な運営状況等について質疑が行われました。
 次に、八戸市にある認定こども園八戸文化幼稚園の視察を行いました。同園は幼保連携型の認定こども園であり、幼稚園、保育園、認可外保育園が併設されております。
 派遣委員からは、青森県における認定こども園の設置状況、幼稚園教諭と保育士との連携、幼保の完全一元化等について質疑が行われました。
 二日目は、まず、青森県より、同県における人口減少対策、地域再生施策等について概況説明を聴取いたしました。
 同県は、近年人口の自然減が続いており、合計特殊出生率も平成二十年で一・三〇と全国平均を下回っております。人口減少対策として、青森県は、少子化対策の推進に加え、企業誘致等による若年層の県外流出抑制に取り組んでおります。また、地域再生施策として、絆で結ぶ地域がつながるモデル支援事業等を実施しております。
 派遣委員からは、モデル支援事業の財源と雇用創出効果、新生児がいる家庭への全戸訪問の実施状況、若年層の県外流出対策としての農林漁業の活性化等について質疑が行われました。
 次に、人口減少、子育て支援施策等について、自治体関係者との懇談を行いました。御出席いただいたのは、西目屋村、東通村、新郷村の各村長と住民の方々であります。
 西目屋村は、平成十二年から十七年の間に人口が約二二%減少し、高齢化率も三五・八%に達しております。同村では、三歳児以上の保育料の無料化等の少子化対策を講じ、若年世代の定住促進を図っております。東通村では、原子力発電所の所在による雇用効果はあるものの、若年層の都市部への流出は続いており、同村では、村費負担による教諭・講師の学校への配置など、独自の対策に取り組んでおります。新郷村は、平成十七年の高齢化率が三六・六%に達し、農林業の後継者不足も深刻化しており、農業振興と福祉の充実に取り組んでおります。
 派遣委員からは、独自施策の継続性とこれに係る財源の確保、子育て支援の充実による近隣からの移住の促進、雇用の受皿としての農業活性化策における課題等について質疑が行われました。
 次に、青森市において、クリニック等を併設したシニア対応型マンション・ミッドライフタワー、商業施設と図書館等の公益施設を併設した複合施設アウガ等を視察するとともに、青森市等から中心市街地活性化策等について概況説明を聴取いたしました。
 派遣委員からは、空き店舗の増加、駐車場の確保、中核的施設が撤退した後の再開発、民間資金の導入等、商店街の活性化に向けた課題等について質疑が行われました。
 今回の派遣を通じ、地方公共団体、地域住民、医療機関等、地域コミュニティーの担い手が、様々な創意工夫と独自の取組により、コミュニティーの活性化に取り組んでいる姿を拝見することができ、限られた時間ではありますが、充実した調査を行うことができました。
 最後に、今回の調査に当たりお世話になった関係者の方々の御協力に対し、心から感謝を申し上げ、報告を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#10
○会長(田名部匡省君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
    ─────────────
#11
○会長(田名部匡省君) 少子高齢化・共生社会に関する調査のうち、「コミュニティの再生」を議題といたします。
 本日は、「少子高齢化とコミュニティの役割」のうち、「少子化が経済・社会、地域コミュニティに与える影響」について参考人から意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、白梅学園大学学長・白梅学園短期大学学長汐見稔幸君、株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員土堤内昭雄君及び株式会社ベネッセコーポレーション執行役員成島由美君の三名でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に出席いただきまして誠にありがとうございました。
 参考人の皆様方から、「少子高齢化とコミュニティの役割」のうち、「少子化が経済・社会、地域コミュニティに与える影響」について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、汐見参考人からお願いいたします。汐見参考人。
#12
○参考人(汐見稔幸君) 汐見でございます。よろしくお願いいたします。(資料映写)
 お言葉に甘えまして、座ったままで御報告させていただきます。
 私の方の報告につきましては、お手元に二枚とじのレジュメと、資料用に作りましたパワーポイントのスライドを印刷していただいたものがございます。適宜このパワーポイントの映像を見ていただきながら、このレジュメに沿ってお話を進めさせていただきます。
 私の御報告は三つのテーマに一応分けてありますが、最初は、もうこのデータ等については御承知だとは思うのですが、改めて整理するということと課題をそこから抽出するということで、地域における子育て支援の現状について御報告いたします。
 次世代育成の行動計画を策定するということが義務付けられた辺りから、大体数年前辺りから、子育て支援の取組は点から面に展開してまいりました。そのために、自治体と民間の取組は相当率直に言って進んできたと申し上げてよろしいと思います。
 ここに若干の数をちょっと分かる限りで示しておきました。地域子育て支援拠点事業と申しますのは、今までつどいの広場、それから子育て支援センター、別々だったのを一本化したものでありますが、平成二十年度のデータで申しますと、これだけですね、大体今五千か所弱になっております。このひろば型が今千二百五十一か所ですが、一応これを五千か所まで広げる等の目標が定められています。
 それから、新しく始まりましたこんにちは赤ちゃん事業というものも少しずつ取組が始まっております。これは、支援を本当に必要とする人が実はセンターにはなかなか来てくれない、こちらから出向いていかなければまずいのではないかということで数年前に始まって、少しずつ今広がっていますが、生後四か月までの出産家庭を訪問して様々な相談に乗ったり、場合によってはニーズにこたえる対応をするというようなことでして、ただ、今のところ、専門性を持った方でないと下手に、各家庭を訪問するわけですから、できませんので、保健師さんを中心とした事業になっていますので、そこの広がりがいま一歩であるというところに課題があります。
 それから、放課後児童健全育成事業。これは、例えば学童保育というふうに呼ばれているものですが、幼児までは保育所があって、両親が共働きの家庭だとか単親で働いている家庭へのサポートはかなり手厚く行われています、待機児はもちろんあるんですが。ところが、小学校へ行くとそれがうんと減ってしまうという問題がございまして、今その数を急速に増やさなけりゃいけないということで様々な取組がされています。
 それから、放課後子ども教室というのは、これは文科省が初めて、放課後の子供に対して何らかの対策を打たないと、学校から帰った子供たちについて、例えば家庭の中に入ってテレビゲームをやっているだけだとかということが放置されたままであるということに対応した事業でございます。
 これは今、主に七割、八割は小学校で放課後、授業が終わった後に、今度は退職した先生方だとかあるいは地域の様々なサポーターに来ていただいて、子供たちに例えば将棋を教えてやるとか、あるいはいろんな遊びを教えてあげるとか、あるいは学校の勉強の手伝いをしてやるとかというようなことを学校のようなところを拠点に始めた事業でございますが、これは大体今九千か所弱ぐらいまで広がってきています。
 等々、もっとたくさんあるのですが、そういう取組がかなり広がってまいりまして、出生率が一・二台から一・三七まで戻ってきた。まあわずかですが、その一番の要因は、こういう地域の子育て支援の広がりだというふうに私どもは考えております。
 それから二番目に、こうした自治体、国が取り組んでいる事業以外に、子育てに関するたくさんのNPO等の支援団体ができていまして、私、今、こっちへ来る前も、ある地域のそういうNPOの取組のところにちょっと行ってきたのですが、実に多様な取組が展開されております。最近では、若者の就業支援等のNPOも増えてきてまいりました。
 ただ、日本のNPOの一つの大きな限界なのですが、そのNPOの活動をサポートするファウンデーションというのが余りございませんので、補助金に頼らざるを得ないということで、補助金の総枠がまだまだ活動の全体に対しては少ないという問題がございまして、日本的な補助システムをどうつくるのかという辺りが課題になっています。
 それから、全体としてどう評価するかということですが、余り車に乗せて連れていかないと遊ばせられないということになりますと、なかなか出かけられません。ちょっと歩いたらたまり場があるかというようなところ、そういう環境をつくっていく必要があるんですが、そういうことを目標にする限り、まだまだだというふうに考えざるを得ません。
 小学校だけで大体二万五千ぐらいございますが、せめて例えば最初のうち子育て支援拠点事業を、今五千か所弱ですが、これが例えば二万か所ぐらいになっていかないと、気楽にいつでもどこでもというふうにはなかなかならない。面の世界に今広がってはいますけれども、まだまだ課題は大きいということです。
 それから、この反面という、四、五、六のところなんですが、新しい問題が実はその反面でたくさん出てまいりました。
 例えばここに、四番に書いたのは東京の児童公園の問題です。
 これは昨年の十一月にNHKの「クローズアップ現代」で取り上げられて、かなり知られるようになりましたけれども、最近、東京の児童公園はだんだん子供の数が、遊ぶ数が減っているのですが、そうなればなるほど、そこである意味では頑張って遊んでいる子供たちの声がうるさいということで苦情が役所にもたくさん持ち込まれている。
 特にこの場合、NHKでやっていたのは足立区でしたが、足立区の子供たち、まだ遊んでいるんですが、その近所の特に高齢者が生活を妨害されるということで役所の方に訴えていく。それが一例、二例であればまあ何とかなだめるんですけれども、たくさん来るために対応せざるを得なくなった。どう対応しているかというと、公園に立札を立てて、この公園では子供たちは声を出して遊んではいけませんという立札を立ててあります。もちろん遊戯は禁止です。現在の公園はほとんどが遊戯は禁止です。
 だから、サッカーもドッジボールも野球も一切できませんが、そこへもってきて、走り回って声を立てたらいけないということで、そのテレビでは、ベンチでふて腐れている子供、ポケットからDSみたいなものを出して遊んでいる子供たちに遊ばないのって聞いたら、だって声出しちゃいけねえんだもんということで、つまんねえよというようなことが報道されていました。
 同時に、訴えた高齢者の女性にインタビューしておりまして、うるさいですかと言ったら、もう本当うるさいのよね、もう私たちは静かに暮らしたいのにということをおっしゃった後に、でもこの公園以前からありましたよね、以前はうるさくなかったんですかって言ったら、そういえばそうね、昔はそんなうるさいとは思わなかったわ。何が違うんですかって言ったら、昔はだれが遊んでいるか分かったのよね。今はどこのだれが遊んでいるかさっぱり分からない。
 子供の顔と名前が一致しているときには、それほどうるさいと思わない。つまり、ああ、あの子ね、あの子の家、たしか離婚して大変だったのよ、大きくなったわねとか、ああ、ケンちゃん、ああ、あそこはね、何かお父さん酒飲んで大変だったけれども、今どうなのかしらと。そういうことを知っていると、その子たちが遊んでいたら元気で活発、子供っていいわねっていう気持ちになれるのが、全然知らない子供たちが遊んでいるともう騒音にしかならないという、地域というものが何かということの大事なヒントが出ているような回答をされていました。
 やっぱり、高齢者と小さな子供がほんの幼いころからお互いに交流して、その家庭についてそれなりに知っているという社会をつくっていかない限り、子供はやっぱりうるさいという形で忌避されて、その子供の数はどんどん減っていきますから、増える高齢者に対して圧倒的に不利になっていきます。
 ここにちょっと書いておきましたが、なぜ今、お茶大の学長だった本田和子先生は「子どもが忌避される時代」という本をお書きになっていますが、どんどん社会から少しずつ嫌がられていくという社会になっている。
 その理由の一つは今のようなことですが、それ以外に、時代の変化が早過ぎて、小さな子供がお年寄りを余り尊敬しなくなっている。これはもう時代の変化が早いときは、お年寄りは必ず余り尊敬されなくなります、知恵袋じゃなくなりますから。場合によっては化石になってしまうものですから。それで、今度は若い人の流行だとかがお年寄りは全く理解できない。何であんな服着るのかね、何であんなにズボン下げてあんなことするのか、何でへそ出しルックするのかねと。
 そういうことで、コミュニケーションしなくなって、やっても多分通じないということがありますね。そういう形で、子供あるいは若い世代と高齢者がふだんからほとんどコミュニケーションしなくなってしまって、不気味がるという状況が起こっていますね。子供たちって怖いわよねというような感じになっていく。そういう社会現象がございます。
 そういう問題と、それからもう一つは、テレビなんかを通じて子供の問題が報道されたときというのは大体否定的なことだとか、心配する、また事件が起こった、子供が虐殺された、あるいは子供が親を殺した等の事件がいっぱい報道されて、子供って本当はみんな個人的に接するとすごく面白い子たちがたくさんいるんだけれども、そういうイメージがだんだん持てなくて、非常に不気味に思ってしまうという状況もある等々が重なりまして、地域社会で子供が本当にいなくなってきて、ようやく公園に出てきたらうるさいと言われるという、そういう問題が起こってきているという問題、これは何とかしなきゃいけないという問題になってきました。
 それから五番目に、危険社会ということで、不審者等ですが、これは実は日本だけではなくてイギリスやアメリカでもそうなんですが、親の方が危ないからといって子供を外に出さなくなる。放課後外で遊んではいけませんということで、最近不審者問題がたくさん出ましたから、私の子供たちが通っていた学校も夕方親は必ず迎えに行かなければいけないと義務付けられています。
 そうすると、働いている女性だととっても大変なものですから、専業主婦の女性が一手に三、四人連れて帰るというようなことがあるんですが、そういう状況ですので、放課後かばんをほうり出してどこかへ行って遊んでくるねという状況には全くなっていないということが分かりました。
 実は、面白い研究書が出ていまして、イギリスですけれども、イギリスでは実はそうやって子供たちを外に出さなくなってきました。そうすると、家の中にいると、ある確率で子供が虐待されてしまうんですね。外に出して不審者に何かいろんな危害を加えられる確率と家の中で親に虐待されてしまう確率とどちらが高いかというと、家の中の虐待の確率の方がはるかに高いそうです。
 ですから、危険を避けるということでかえって子供たちは危険な環境に置かれているというような研究書が既にイギリス辺りでは出ています。同じようなことが日本でも起こりつつあるということで、子供が少なくなってくるということが新しいいろんな問題を生み出しているということでございます。
 それから、そういうことを考えますと、文科省が始めました放課後子ども教室、それから、今度学童保育と一体化した放課後子どもクラブといった取組がありますが、ちょっとあちらの画面を、これは、びーのびーのというのは、このつどいの広場の今事務局があるところですが、この写真はパンフレットですので一応顔写真は出すことはオーケーになっているものなんですが、こういうところが今、先ほど言った、たくさん広がっていってですね、このびーのびーのというのは、つどいの広場のひろば型です。
 それから、保育園に併設してやるのがここに書いてありますセンター型というものですが、これは私が非常にいいところだと思って推薦してきたあゆみ保育園というところなんですが、熊本市内にあります。いつもこういう雰囲気でやっています。
 それからもう一つ、児童館でやるのが、こういう児童館のリソースを大事にしてやっているのがこの児童館型なんですが、この三つのタイプが今少しずつ広がっているというのは、これなんです。
 それから、これはデータを見ていただければいいと思うんですが、この写真は、私の知人である私立小学校の校長と幼稚園の園長を長くされていた宮原洋一さんという方の出されている写真集です。この方は、仕事の半分はカメラマンです。この方が最初に撮り始めた写真が一九七〇年前後の東京、川崎等の都会の子供たちでした。定年されて写真を整理しようとしていたら、この最初に撮った子供の写真というのはとっても面白いということに気が付いて、捨てるのは忍びないということで整理して、それを「もう一つの学校」という本にして出版されました。写真集ですが、当時の子供の様子が非常によく分かる解説付きです。
 これは七〇年前後ですが、こうやって一歳、二歳の子供たちが外で遊んでいるのに対して高齢者が世話をするということが行われていました。これはほんの一部ですけれども、こういう姿があったわけですね。
 これは夏ですけれどもね。子供たち、特に小さな子供たちが遊ぶと、そこにおじいちゃん、おばあちゃんが見ていてあげるということですね。
 それから、子供たちもこういうダイナミックな遊びを皆でやっていたわけです。いつもこうやって外で群れて遊んでいるという、こういう姿がございました。
 この子供たちの姿が、実はこれは一九七〇年前後なんですが、一九八〇年代に入りますと、こういう写真を撮れなくなった。撮れなくなったということは、こういう子供の姿がいなくなってしまったと。そして、その子供の姿が町から消えていった途端に学校でいろんな校内暴力だとかいじめだとかが一斉に始まったという、これは非常にきれいにはっきりと浮かんでいるということをおっしゃっていました。
 そういうことをちょっと見ていただきたいために、こういう資料を添付しました。
 ちょっと急ぎます。
 それと六番、一の六のところで、結局、放課後子どもクラブのような、放課後子供たちを町から排除しないでやるというところに新しい意義が出てきております。
 ここにもう一つ次のテーマがあるんですが、ちょっとこれを見ていただきたいのですが、実は日本の子供たちの学力低下問題が深刻になっていることはお聞き及びだと思うんですが、これはOECDが行っておりますPISA調査という学力調査です。
 OECDがなぜ学力調査をしているかといいますと、OECDって、二十一世紀持続可能な資本主義というものを掲げて、各国の経済がそれに向けてどういう貢献をしていくかということについてのいろんな調査をして提言したりしているところなんですが、そういう持続可能な資本主義の社会づくりにとって一番大事なのは、石油があるだとか鉄鉱石があるということよりも、これからは人材が豊かであるかどうかということが各国の経済力の中で一番大事になってくると。そういう判断をして、各国の教育によって持続可能な社会づくりのための人材というのはどれだけ育っているかということを調査するということを始めたのです。これがPISA調査というものです。
 二〇〇〇年から始まりました。二〇〇三年、二〇〇六年ということでずっと三年に一回やっていくんですが、この調査が始まるまでは日本の若者は、これ十五歳でやります、義務教育が終わった段階で学力が高いと言われていたんですが、一回目は確かに高かったんですが、これは、二回目の二〇〇三年で読解力については八位から十四位までおっこちてしまいました。三回目は十五位までおっこちてしまいました。読解力については八位、十四位、十五位ですね。それから、数学については一位、六位、十位。それから、科学については二位、二位、六位という形で、参加国の中でやるごとに一番下がっているのが実は日本です。
 なぜこうやって下がってしまうのかということをいろいろ分析しているんですが、これは一つちょっと御承知おきいただきたいデータなんですが、これは今の読解力の点数を点のいいものからレベル五、その次はレベル四ということで点数で分けていったときに、最後のレベル一とレベル一未満を見ていただきたいんですが、これは社会へ出たときにちょっと仕事ができるかなという程度の読解力なんですが、日本は二割弱、一九%います。トップだったフィンランドはたった五・七%、二位の韓国も六・八%で、つまり、社会的に落ちこぼれていくという、そういう層を必死に防いでいるために平均的な学力が上がっているということです。
 日本は、学校で最初に小学校一、二年生で付いていけなさそうだなという子供に対する社会からのサポートシステムはございません。それは塾へ行ってやってくれという形で私費でやっています。そうすると、貧困の問題が重なってきますと、ほったらかしにされてしまう子供たちはずっとほったらかしにされてしまうという、そういう構造があるわけですね。
 放課後子どもクラブとか子ども教室というのへ来させたときに、単に遊ばせるだけじゃなくて、そこで落ちこぼれない子供たちをどうつくっていくのかということを公費でやっていかなきゃいけない時代を私は迎えていると思っていまして、遊ぶ力と同時にこういう問題もやっていただきたいというのがお願いなんです。
 それから、これは藤沢市の教育委員会がずっと取っているデータで、中学三年生の子供たちをもう一九六五年から毎年取っています。貴重なデータです。単純なアンケートなんですが、あなたはもっと勉強したいですか、今ぐらいがちょうどいいですか、もう勉強はいいですかってやったら、こうやって、もっと勉強したいというのは一貫して減り続けています。そして、もう勉強はいいというのはどんどん増えています。
 これは、日本の私は最大の危機だと思っています。子供たちは勉強したくないんです。逃げているんですね。難しくなる社会を担わなきゃいけない子供たちは勉強なんかもういいよというふうになってきているという現実をほっておいて、政治もヘチマもない。つまり、これからを担う子供たちが本当はもっと僕らより勉強してくれなきゃいけない。
 ただ、受験で圧力を掛けてきたことの要するにツケだと思っています。何で勉強するのかといったときに、こうこうこうだから勉強しなきゃいけないんだというのではなくて、やらないと、おまえ高校行けないぞとかになると、今受験の圧力は効きません、もう大学の定員とそれから受験者数はほぼ同じですから。ですから、それに代わる、勉強って大事だなというふうな動機付けをするような教育に切り替えていかないと、この現実はどんどん広がって、日本の学力低下はとどまるところがなくなっていく可能性があります、そういう問題もあって。
 あと、済みません、時間がちょっと来たのでこの辺であれしますが、二枚目のところは、少子化対策については、実は少子化対策という形で政策的にやっている国はヨーロッパにはほとんどございません。フランスぐらいなんですが、フランスの場合は、核家族になった場合にやらなきゃいけない項目は大家族と同じぐらいあるのにかかわらず、それを小さな家族でやらなきゃいけないので、そこには社会的な経済支援をやっていかなきゃいけないということで、日本の何倍もの経済支援をやっています。
 それが少子化対策で、今出生率が二ぐらいまで回復しています。ほかの国も二ぐらいまで回復しているところも多いんですが、特に、親が産むかどうかについては不介入の方針ですね。それはプライバシーにかかわることなので、国家が決めるべきじゃないということです。
 にもかかわらず回復しているところが多いということは、別のやり方をやっているからです。参考のためにちょっと書いておきましたけれども、北欧はやっぱり男女共同参画社会をつくらなきゃいけない、そのためには保育制度を充実しなきゃ無理だという形ですね。
 それから、イギリスなんかは、ブレア政権のときになって、特に貧困層が増えているところですね、移民が多いところですね、そこで不審者が増えていくということがあるので、そういうところに思い切った投資をして、その貧困地域の子供の家庭支援と子供の保育について膨大な投資を行いました。シュアスタートと言いますけれども、貧困地域にチルドレンズセンターを中心とした総合施設を造っているんですが、最初九か所から始まりまして現在千二百か所ありまして、これを今二千か所まで増やすと。そのために何兆円とこれだけで独自のお金をつくっていますが、それでかなり回復しています。
 あとは、ここに書いておきましたのは学力対策。今先進国は皆、日本と同じような理由で少しずつ学力低下が起こっていますが、それを克服するためには幼児期から丁寧に社会的な投資をしていかなきゃいけない。金のある家はちゃんとやるけど、そうじゃない家は駄目だという、こういう社会は危ないというわけですね。
 ですから、幼児教育の公教育化ということが起こっています。つまり、公費でやる。つまり、ただにしています。ただになっていない国というのはもうほとんどありません。今三歳からほとんどただになっています。そういうふうな形で今変わってきているということですね。
 あと、三番目に私が書かせていただいたのは、地域が今のような形になっていくと大変まずいので、先ほどのおばあちゃんやおじいちゃんと、その若いお母さん、そして孫の世代とがお互いに交流できる場を必死になってつくっていかなきゃいけない。そのためには、働いているお父さんが地域に帰ってくるのが楽しみだというような地域をつくらなきゃいけない。地域に遊ぶところ、楽しいところがなければいけないということですね、一つのお祭りなんですが。
 そのためには、少なくとも労働時間短縮の問題と同時に、ワーク・ライフ・バランスと言いますけれども、ワークはあるけれども、ライフの訓練は日本の男性はされていないんですね。地域に帰ったときにこうやって楽しむんだという訓練は一切されていません。ですから、なかなか進まないんですが、そこのところを何か、例えばコミュニティーカフェみたいなものをたくさんつくるとかお祭りをするとか、例えばここにちょっと書きましたけれども、国を挙げて家庭菜園を推奨していくということで、そこで地域ごとに協同でお父さん方が集まらざるを得ないというような場所をつくっていくというようなことを何か考えていただきたい。
 それから、二番目に書いたのは、バギーで歩いているお母さんを見たら必ず赤ちゃんに声を掛けようという、そういう国民運動のようなものを展開していくというようなことをやって、子育てしているお母さん方が祝福されているという気持ちを感じるような社会にしていかなきゃいけない。
 それから、三番目に書いたのは、田舎の方と都会の方とが交流するためには、一人の人間が二拠点を持っているという社会をつくっていく必要があると私は思っているのですが、そういうふうなことを具体化していくと、田舎が実は貴重なところになっていくという展望が切り開かれるんじゃないかということで、少子社会の一つの提案であります。
 どうも失礼いたしました。
#13
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、土堤内参考人、お願いいたします。土堤内参考人。
#14
○参考人(土堤内昭雄君) 皆さん、どうもこんにちは。ニッセイ基礎研究所の土堤内と申します。
 私の方からは、少子高齢化とコミュニティーの役割、つながり求める社会というテーマで今から二十分ほどお話をさせていただきます。
 まず最初に、スライドをちょっと変えていただけますでしょうか。(資料映写)
 お手元にパワーポイントの資料もお配りしていると思いますけれども、まず最初に人口構造の変化というグラフがございます。これ、皆様方よく御案内の、戦後の年齢三区分の人口の推移を表したグラフなんですが、これを見ていただくと、オレンジの高齢者の人口が増え、そしてブルーの子供の人口が減るという、いわゆる少子化、高齢化の進展というのは見てとれると思います。あわせて、この真ん中の生産年齢人口、十五歳から六十四歳の人口ですが、これが九五年をピークに既に日本では減少に入っていると。
 このグラフの中で私が申し上げたいのは、真ん中に折れ線グラフがあるんですが、これは従属人口指数といいまして、子供とお年寄りの人口の合計を生産年齢人口、働き手の人口で割った数値です。これが現在見ていただくと五〇になっている。つまり、五人の子供とお年寄りを十人の働き手が支えているという、こういう今社会扶養の状況になっているわけです。
 この水準は、グラフを見ていただくとお分かりのとおり、一九六〇年代と同じぐらいの水準なんですね。ただ、何が違うかといいますと、当時は社会的扶養の対象の大半が子供であったと、それが現在は高齢者になっている。子供は成長すれば当然労働人口に、生産年齢人口に算入されていくわけですから、どんどんこの社会的扶養は軽くなっていくんですが、現在は少子高齢化ということで、全くその逆にこの社会的扶養がこれからますます大きくなっていくと。
 現在の人口の推計によりますと、二〇三〇年にはこれが七〇・九、それから二〇五〇年には九三・〇まで上がっていくと。つまり、もう子供とお年寄りの数の合計の数と働き手の数がほとんどイコールになってくると。こういう今状況の中で我々は生きているということでございます。
 そういう人口構造なんですが、今少子化が極めて速い速度で進展しているんですが、この少子化の要因なんですが、大きく二つ要因があって、一つは真ん中に書いてあります有配偶率の低下、つまり結婚する人が少なくなっているということでございます。もう一つは、有配偶出生率の低下ということで、一組の夫婦から生まれる子供の数が減っているということです。
 結婚する数が減ったら子供の数が減ると、考えたら当たり前のような気がするんですが、実はフランスとかあるいは北欧のスウェーデン、デンマーク、こういった国は必ずしもそこは直結していないんですね。それはなぜかというと、婚外子の比率が五〇%を超えているということで、必ずしも結婚の数と出生の数がリンクしないと。ところが、日本の場合は婚外子の比率が二%ですから、そこが直接結び付いていると、こういう状況にございます。
 もう一つ、一組の夫婦から生まれる子供の数が減っている理由ですが、これは結婚そのものが遅くなって晩婚化が進む、晩婚化の結果晩産化が進む、そして子供の数が減るということ。あるいは、社会的な背景として、教育費が高いとかあるいは仕事と子育ての両立が難しいと。そういったことから、その理想とする子供の数と実際の数にかなり乖離があって子供の数が減っていると。
 こういうのがこれまで日本の少子化を進めてきた大きな二つの理由と、こういうふうに言われていたわけです。
 しかしながら、ここに来て、実は新しい非常に重要な要素がございます。それは何かといいますと、結婚したいけれども結婚できない人が増えているということでございます。これは、その背景に若年層の非正規雇用の問題があります。非正規雇用のために経済基盤が安定しない、だから結婚したくても結婚できない、こういう人たちが今増えているというのが非常に大きな課題になっております。あるデータを見ますと、三十歳前半の男性の場合ですけれども、正規雇用の人に対して非正規雇用の人の婚姻率は約半分になっているという、そういう数字もございます。
 それから、男性の生涯未婚率、これは五十歳時点での未婚率ですが、これが現在急速に高まっておりまして、二〇〇五年時点で一六%の男性の生涯未婚率ということになっております。
 こういうような理由で、今日本では少子化がどんどん進んでいるわけですが、政府は様々な少子化対策を取っております。その結果として、じゃ、日本の人口は回復するんだろうかということです。
 これは、答えを最初に申し上げれば、回復することはありません。それはなぜかといいますと、このグラフの右側の人口ピラミッドを見ていただければ明らかでございます。
 上の方に出っ張っているのがいわゆる団塊世代、その下のこぶが団塊ジュニアです。つまり、団塊世代はたくさんの自分たちの子孫をつくりました。しかしながら、団塊ジュニアは自分たちの子孫をたくさんつくっておりません。結果的に、下にもう一つ、三つ目のこぶがないということでお分かりいただけると思います。したがって、この後何十年かたって次の人口の大きな波がやってくるということはない。
 それからもう一つは、団塊ジュニアの下を見ていただくとお分かりになるんですが、いわゆる出生力の高い二十代から三十代前半にかけての女性の人口が急激に減っているということです。したがって、今、仕事と子育ての両立ができるような、そういう環境が十分整ったとしても、産む母数そのものが急激に減っているために、出生率は上がっても出生数そのものは増えないというのが日本の人口構造でございます。
 ということで、日本の社会は社会的な扶養がこれからますます大きくなって、そして本格的な人口減少時代に突入していくと、そういう時代の中に我々はあるということでございます。
 次ですが、もう一つ我々を取り巻く非常に今大きな変化がございます。それは、家族の形が大きく変わっているということです。日本は既に人口減少に入っているんですが、世帯の数は二〇一五年まで増加するというふうに推計されております。
 その理由はなぜかといいますと、一つの世帯の規模がどんどん小さくなっているからでございます。ここに資料がございますように、二〇〇五年の平均の世帯人員は二・五六人であります。これが、今推計されている数字では、二〇三〇年には二・二七人まで減少をいたします。
 じゃ、なぜこういうように世帯の規模がどんどん小さくなっているかというと、右側のグラフを見ていただくとお分かりになるとおり、世帯類型を見ると、いわゆるひとり暮らしの単独世帯の比率が急速に増えているからでございます。これを見ていただきますと、二〇三〇年にはひとり暮らしの単独世帯は三七・四%になるというふうに推計されています。したがって、世帯の四割近くがひとり暮らしになっていくと、こういうことでございます。
 これを実感するようなことがいろいろございます。例えば、卑近な例で申し上げますと、NHKの教育テレビで「きょうの料理」という番組を皆さん御存じかと思うんですが、「きょうの料理」のテキストを見たところ、昨年の春まではレシピは四人前書いてありました。しかしながら、昨年の春からですね、今レシピは二人分しか書いてございません。したがって、料理を作るのももう二人が普通という、そういうような状況になっているということでございます。
 こういうように一人世帯がどんどん増えてくる。上野千鶴子さんが「おひとりさまの老後」という本をお書きになりましたが、このお一人様社会というのは、実は老後だけではないんですね。
 これは次のグラフを見ていただくと分かるんですが、この右側は二〇三〇年の世帯主年齢別の世帯類型別の世帯数なんですね。一番下の青いところ、これがひとり暮らし、単独世帯ですが、御覧になっていただくと分かるとおり、高齢者の部分だけではなくて、若者から中高年全体にかけてこの単独世帯が増えているということがお分かりになるかと思います。
 したがって、お一人様社会というのはいわゆる高齢者だけではなくて、若者、中高年、お年寄りまで各世代、あらゆる世代がひとり社会になっていく。つまり、私たちはこれからひとり社会の中を生きていくということでございます。
 ここでお話し申し上げたいのは、じゃ、そのひとり社会が抱えている課題というものは一体何なんだろうかということでございます。
 それがレジュメの三のところに書いているんですけれども、一つは、やはりひとり社会になることによって、これまで担ってきた家族の機能、これがどんどん失われていくということです。その結果、それを代替するような社会的な制度が必要になってくるということになります。
 例えばですが、介護であったり子育て。介護については、御案内のとおり、二〇〇〇年に公的介護保険制度が導入されて、その社会化が図られました。また、子育てについても、現在保育所の整備やファミリー・サポート・センター等々の子育てを社会化するためのいろいろな施設なり制度が今整備されつつあるところでございます。
 こういうような家族機能に代わる社会制度をどんどんこれからつくっていかなくてはならないということが一つと、二番目に、ひとり社会になったときに、その社会的な孤立が拡大していくということでございます。
 よくニュースなんかでも御覧になるかと思うんですが、大都市近郊の大規模な団地などで高齢者の方が孤独死をするという、そういった悲惨なニュースが時々報じられております。社会とのつながりを失ってだれにもみとられずに亡くなっていく、そういう方が今全国各地で出てきているということでございます。
 それからさらに、よく御存じのとおりだと思うんですが、日本では年間三万人を超える人が自殺をしております。今、交通事故で亡くなる方が年間五千人を切っておりますから、その六倍以上の方が毎年自ら命を絶っている。その理由は、高齢者の方の健康問題というのが一番多いんですが、その次に多いのが四十代、五十代の男性の経済的な理由による自殺です。
 これは私も一人のサラリーマンとして感じるんですが、やはり企業社会の中で、成果主義が導入されてから会社の中での孤立感というのは非常に深いものがございます。ある意味では、会社の中で一緒に仕事をしていても、もう同僚というような感覚がだんだん薄れてきていると。そういうサラリーマンの、ある意味では社会的な孤立というものも非常に今深まっていると思います。そういったことから、そういう四十代、五十代男性の自殺につながったり、あるいは、今非常に深刻になっているのはやはりメンタルヘルスの問題でございます。
 そういう中高年だけではなくて、若者も、先ほど申し上げたような非正規雇用が増えることによってやはり職場でのつながりが薄れております。また、仕事と仕事の間にいわゆる失業状態が発生して、それを契機にしていわゆる引きこもりになったりということもございます。
 それからまた、子育てですね。特に専業主婦の人が子育てをするときに孤立してしまうという、そういう状況もあります。そして、先ほど汐見さんからもお話あったように、そういう孤立の中でそのはけ口が子供に向かって子供の虐待につながるような、そういったようなケースも出てきております。
 そういうことで、このひとり社会というのは深刻な社会的孤立を今拡大しているという状況にございます。
 それから三つ目の課題は、今までの二つとはちょっと性格が違うんですが、「家計効率の低下」というふうに書きました。
 ここのグラフにもあるんですけれども、一人世帯は例えば四人世帯に比べると、家計消費というのは一人当たりに対して二倍掛かるんですね。ちょっと飛躍するかもしれませんが、例えば二〇二〇年に温室効果ガス二五%削減ということで、産業部門はかなり減っていますが、家庭部門のCO2の排出量は非常に増えています。それは確かに我々のライフスタイルの問題もあるんですが、実は世帯が小規模化することによって極めて家庭のエネルギー効率が低下しているというような背景もございます。そういったことからひとり社会の課題というものが出てまいります。
 そういうような、ほかにもいろいろあろうかと思うんですが、こういったひとり社会の課題を解決していくためには、ではどうしたらいいのかということでございます。
 一つはまず、先ほど、家族機能が薄れてきている、それに対して代替する社会制度が必要だということを申し上げたんですが、実はこの社会制度だけですべてがカバーできるわけではございません。そのときにそれを補完する機能として、やはりコミュニティーの機能というものがこれから非常に重要になるというふうに考えています。
 このコミュニティーをつくっていくということは、つまり人と人のつながりをつくっていくということでございます。この人のつながり、最近ではソーシャルキャピタルというような言葉がよく使われますけれども、人間関係資本ということで、そういう人のつながりをベースにしながら地域の問題を地域の人が自ら解決をしていく、そういう地域力を醸成していくことがこれからは求められるのではないかなというふうに考えております。
 それから二つ目は、いろんなものをシェアする社会をつくっていくということが重要ではないかというふうに私は考えております。
 例えば、そうやって世帯が小さくなってひとり社会になっていったときに、赤の他人でも例えば気の合う人と一緒に暮らすとか、例えばルームシェアとかハウスシェアといったような、そういうようなライフスタイルであったり、あるいは車みたいなものをカーシェアリングで共用して使ったりとか、そういうような暮らし方というものもこれからは必要になってくるのではないかなと思っています。
 それから、そこにちょっと「相部屋」と書いたんですが、最近では、一人でグループツアーに参加をして、見知らぬ人と相部屋になってその旅の体験や会話を共有するという、そんなような一人旅も結構人気があるというふうに聞いております。そういうようなシェアの仕方。
 あるいは、昨晩の「ニュースウオッチ9」でやっていましたけれども、共同墓、お墓ですね。少子化が進んでお墓を見てくれる人がいないということで、全然知らない人同士が一緒のお墓の中に入ろうといってコミュニティーをつくる。それはそのお墓の管理だけではなくて、むしろそういう意識を持つことによって、生前に、要は生きているうちにコミュニティーをつくって交流を図っていくという、そういったことでつながりをつくっていく。こういったことも一つのシェアする社会ではないだろうかというふうに考えております。
 あと最後に、私も子供が中学校のときに保護者会の役員を二年間やりました。そういう意味で、学校を始めとした地域の活動を随分体験をいたしました。そのときに感じたことは、子供はよく夫婦のかすがいと言いますけれども、私が実感したのは、子供は地域のかすがいだということでございます。つまり、地域の中で子供がいるがゆえに大人もネットワークというものが張り巡らされているという実態を私はつぶさに見ました。
 ただ、問題は、やはり少子化が進むことによって、そのかすがいになる子供はこれから減っていくということです。そうなったときに、じゃ、だれが地域のかすがいになるのかということでございます。
 その地域のかすがいは、ある意味ではリタイアした高齢者の方が務めていただければいいんですが、実はそう簡単に地域のかすがいになれるものではないんです。といいますのは、やはり企業の中でのいろんな価値観と地域が持っている行動様式や価値観というのはやっぱり大きく違います。
 したがって、私が大事だと思っているのは、リタイアしたから地域ではなくて、先ほどやっぱり汐見さんのお話にありましたように、現役時代に働いているときから常に地域生活、家庭生活、そして職業生活といったもののバランスを取っていくということが極めて重要ではないかというふうに考えております。
 それは、ですから、ワーク・ライフ・バランスという言い方もありますけれども、私はいつも人生は好い加減に生きようと。好い加減というのはちゃらんぽらんという意味ではなくて、好い加減に生きるという意味で、グッド・ライフ・バランスというものを実現することが人々が地域に居場所を求めていく非常に有効な方法ではないかなと、そんなふうに考えております。
 一応時間が参りましたので、これで私の発表を終わります。ありがとうございました。
#15
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、成島参考人、お願いいたします。成島参考人。
#16
○参考人(成島由美君) ベネッセコーポレーションの成島です。よろしくお願いします。(資料映写)
 私の方からは、ベネッセにおける女性社員の活用であったり、会社の中で整えている両立支援の取組について御紹介できればと思っています。
 お話しすることは、最初、どんな会社かとかいう紹介をさらっとしまして、ベネッセの女性活用について、あるいは女性の力とはといったような定義、最後に、今ベネッセもそうはいいましても課題を抱えていますので、課題とまとめをしていきたいと思います。
 まず、私なんですけれども、ベネッセに入社して十八年、二〇〇三年にベネッセの中で部長職で初めて出産をして、二か月で戻り、キャリアをそれなりに積み上げ、今は執行役員として、小学生向けの、進研ゼミという約百七十万人の小学生に対してのサービスを提供している仕事をさせていただいています。
 ベネッセなんですけど、本社は岡山の地方企業として生まれまして、ちょうど今年で五十五年の会社です。ほとんど物を作っている機能は東京都の多摩市、多摩ニュータウンのど真ん中に、駅からすぐのところに本部があるんですけれども、そこで物を作っています。
 どんなサービス、物を作っているかというと、赤ちゃんから本当にお年寄りまで、皆さんも身近にあったサービスもあるのではと思うんですが、しまじろう、お孫さんとか、しまじろうの幼児教育であったり、あるいは小中高校生向けの通信教育、進研ゼミですね、大体四人に一人ぐらいのお客様が私たちのお客様です。
 それから、高校時代に進研模試というのを受けられた方いらっしゃるかと思うんですけど、模試事業、あるいは、お母さんになる前に「たまごクラブ」、「ひよこクラブ」なんかを出版事業として作っていたり、介護事業ですね、ベネッセスタイルケアといったような介護事業、こういった幅広い教育、語学、生活、福祉といった領域で事業展開をしている会社です。
 ちなみに、元々は福武書店と言ったんですけれども、社名を変更いたしまして、ラテン語の造語で良く生きるという意味がベネッセという言葉にはあります。
 これは、たまKidsクラブといいまして、会社の一階に定員三十名の子供、お父さんかお母さんが子連れで出社をし、ここに子供を預けて一日仕事をして子供と一緒に帰宅するといったような施設があります。もうほぼ定員、今の時点でもう来春開始の子たちがいっぱいなんですけれども、社員にはとても有り難がられているサービスです。
 ベネッセと女性活用の歴史なんですけれども、一九七〇年代から女性を活用してきました。これは、均等法よりも十年以上前から女性を相当積極的に活用している歴史がございます。
 なぜ女性の活用にこだわったか。これは後で資料で触れますけれども、創業社長が、地方発だから、本当に有能な人はこんな小さな会社に来ない、だからこそ女に目を付けるんだといったような日記が見付かっていたりとか、女性の力というものに非常に早く目を付けて、女性の繊細さ、あるいは教育、育児への関心というところを、女性らしさを武器に会社がサービスとして組み立てていったという歴史があります。
 八六年に育児休業制度をつくりまして、最近は会社、ダイヤモンド社調べで大卒女子の就職人気ナンバーワンということになったり、管理職の大体四割がベネッセの中では女性、四名の執行役員や一名監査役がいたりします。おかげさまで、二十年度に厚生労働大臣最優秀賞を受賞させていただいたりしました。
 会社として女性を活用していくメリットは幾つかあると思っています。まず、やっぱり採用枠も女性の総合職だと非常に小さいので、やっぱり女性、新規大学生採用での企業イメージアップというところは、かなりの数採用しますし、入った後平等で、本当に同じように登用されていきますので、すごくイメージは女性、男性とらわれず上がっているなということとか、あるいは能力のある社員が集まってくる。
 それから、株主たちからも非常に毎年のように、もっと管理職が増えないのかとかいう質問も出てくるんですけれども、やっぱりいつも女性の味方の株主はいて、その辺を目を光らせていらっしゃる方もいるので、こういう女性の力を使ってサービスを拡大したり磨いたり、業績も伸ばしたり、そして、本当に見せかけだけではなく、能力のある女性を活用していくことで、様々な方面へのイメージアップというところが今生まれているんではないかなと思っています。
 これが今の実績なんですけれども、大体管理職の四割ぐらいが女性です。入ったとき、入る新卒は実は八対二ぐらいで女性が多く、全体では六対四ぐらいで女性、男性の割合の社員構成なんですけれども、管理職となるとその辺が逆転して、女性が四割、男性が六割といったような形に収まります。
 これが創業社長の朝礼の方針発信というものを一冊にベネッセでまとめているものなんですけれども、これが、なぜ女性を使うのかといったところが一番創業社長の気持ちとして表れているなと思って、引用してまいりました。
 進研ゼミをここまで伸ばしてきたというのはやっぱり女性社員の力によるところが大きい。他社が余り採用しないから、優秀な人材が宝庫として余って、うちみたいな小さな企業でも来ると。女性はきめ細かく対応ができて、熟練度も早くて、半年もすればプロになると。
 そういったいい面と、それから一方で、ただ、すぐ辞めてしまうとか、いざというと結婚とかほかのものに逃げ込む場所も実際あるので、能力がせっかくあるんだから甘えは許されない、会社も覚悟して女性を本当に対等に使うからには、やっぱり責任を持って仕事に向かってほしいといったような女性社員についてのエッセーが社史に残っていたりします。
 ベネッセの女性を引き出す風土なんですけれども、なぜここまで女性活用を促進したのかという、これは別に女性活用のための風土ではなくて、これがベネッセの風土だと思っていただければいいんですけれども、男女を問わず個人ごとの違いを重視します。どちらかというと、年功序列よりは能力重視です。男でも女でも、若くても何でもできる人を採用する、あるいはできる人にチャンスを与えるといったような会社です。
 なので、若いときから仕事を任せたり、自分で選択をしていく。それは福利厚生もそうだし、それから、自分がこの仕事に就きたいというふうに思ったら、自由に手が挙げられる制度がベネッセの中では豊富にあります。そういった選択型というものを多数導入しているような風土が元々あったり、余り固定概念にとらわれない、あるいは違いを認める、そういった風土が元々にあった。
 それから、創業社長のコメントを引用したように、経営戦略、地方発の本当にディスアドバンテージみたいなものがありましたので、それを払拭して成長するには、やっぱり女性を経営戦略として位置付けようといったようなものが根底にあったのではないかというふうに思っています。
 ベネッセの人財部というのは、材料の材ではなくて財産の財という字を書くんですけれども、あくまでも社員を人財としてとらえて、その力を引き出すこと、そして、成長を支援していくことなしで事業、事業も成長させるには人も成長させなきゃいけないという、人の成長とともに事業を成長させるといったような経営の意思が根底にあるというふうに考えています。
 これが幾つかの御紹介したい両立支援の制度なんですけれども、母性保護の施策とかあるいは休職、柔軟な就業時間。育児時短制度は、うちは勤務形態は七時間が通常勤務なんですけれども、時短は六時間コースと五時間コース二つあります。五時間コースを取っている社員が今二十人ぐらいいるんですけれども、自分の子供と時間を取りたい、家族と時間を多く過ごしたい時期にはこういった選択制度が九歳まで認められていると。
 それから、子育てだろうと、していない本当に普通のひとり者だろうと、スーパーフレックス制度というのがあって、午前中歯医者さんへ行って午後から仕事をするとか、あくまでも九時―五時といったような決まった形で仕事をするのではなく、大体、普通の開始時間が多摩センターは九時半、岡山、神保町が十時という時差通勤辺りを認めて七時間ということなんですけれども、人によってそういったライフスタイルに合わせて、こういったフレックスを導入しています。
 先ほど御紹介したような託児施設であったり、カフェテリアプラン、大体十七万円弱の補助をシッターに使ったりとか、それから保育園に使ったりとか、学資保険に積み立てたりとか、人それぞれ使い方はいろいろなんですけれども、それも自分で決めて、会社が自由なチケットを配付するといったような仕組みを持っています。
 形だけ制度をつくって、実は運用されていない会社って結構あったりするらしいんですけれども、ベネッセは相当使われていて、制度の利用状況もかなりたくさん使われていますし、最近顕著なのは男性が育児休職を取るようになってまいりました。男性はさすがに一か月前後というケースが多いんですけれども、それでも、お父さんが生まれたての赤ちゃんと一緒に過ごす、これがだんだん定着してまいりました。あと、介護休職制度とか、さっき申し上げました時短勤務、大体こういった利用者構成になります。
 ベネッセの女子力を引き出す風土なんですけれども、制度面以外の成功要因としては、経営者が本当にトップの意思として取り組みました。創業社長だけではなくて二代目も同じ意思で取り組みましたし、現社長も同じような、職場にとって女性を活用していくこと、多少休んで会社としてはコストも上がるんだけれども、それは倍になって返ってくるんだという信念を持って取り組んでいることというのがあると思います。
 それから、もうかなりの規模で、休んで戻ってきている休んで戻ってきている女性社員がたくさん会社の中にうようよいますので、ノウハウの積み重ねができているんですね。どこのシッター会社さんはいいよとか、どこに頼むと突然でも預かってくれるよとか。私も、自分で産んで、六年前にそういう経験をしたんですけれども、かなりお姉さん社員たちの知見とか経験に基づいた実感ベースのアドバイスというのは参考になりました。
 それから、女性がにこにこ、その自分の家庭もきちんと守りながら生きがいを持って両立している社会、会社というのは、男性も居心地がいいんですね。なので、女性が働きやすい会社というのは男性も働きやすいねと、こういう議論を社内で、うちの部なんかは年に一回ぐらい、どう思うか、ワークライフについてとか、時短社員をどう扱うかみたいな話をするときに、男性からもプラス面があるよねという話は出てきたりします。
 それから、すべてが産んだ経験のある女性とか、それから結婚した女性ばかりではないんですけれども、いつかは自分もなるだろうとか、それから自分の姉もそうだったみたいな意識で、管理職にかなり理解があるということが一つ挙げられるかなと思っています。
 それから、先ほど、会社の本部、物を作っている本部は多摩にありますというふうに申し上げたように、職住接近しているという環境がとても大きいかなと。子連れでもし会社に一緒に託児に行くにしても、座っていけるんですね、下りなので。なので、ぎゅうぎゅう詰めに乗らないとか。それから、やっぱり多摩のそばに戸建てなりマンションを買っている社員が非常に多いので、そういう職住近接という環境は非常に今プラスに働いているかなと思っています。
 後でも触れるんですけれども、やっぱりいいことばかりではなくて、多少バッファー人材を多めに抱えながら事業をやっていかなければいけないので、投資というふうな判断をしながら、それでも産んだ経験、子供を育てた経験、それに基づいていい商品を作ってくれるということがうまくサイクルとして動いている中で、やっぱりこういう女性力というのを引き出しているんじゃないかなと思っています。もちろん、時代の流れも背中を押してくれている気がします。
 私が考えている女性の力、もちろん男性にもすばらしい力はあるんですけれども、うちの会社、編集とか子育て系の畑でいうと、やっぱりいろんな、四月号、五月号、六月号とか一気に並行して走っていくので、そういった組合せとか、横並びで、ながら仕事が非常に女性だと上手とか、メンタルも男性よりも女性はなる割合が低いです。
 柳に雪折れなしという言葉があるように、非常にしなやかで、怒られてもへこたれない、何か明るく怒られるみたいな、そういう出過ぎず手抜きせず、しなやかなんだけど実はしたたかみたいな、そういうソフトなコミュニケーションを持ちながら、きめやかな気配りもできるんだけど強さも持っているみたいな、そういう気質があるんじゃないか。
 それから、どこかに、男も女が産んでいるよねぐらいの強さがあったりとか、あと、男性だと派閥にちょっとこだわったりとか、今だれの決裁がはやっているんですかねみたいな、そういうことを結構気にする子もいるんですけど、女性はやっぱり、いざとなれば辞める、これは無責任にもつながるんですけど、しがらみがなかったり、一番結構会議で言いたいことを言ってくれるのは女性のリーダーが多かったりもします。
 あとは、サービスを考える、組み立てる、企画にする際に、女性のその生活実感、金銭感覚、これが結構男性以上に女性はシビアで、そういう人を感じたりお金を感じたりする力というのも女性は仕事に生きている気がいたします。
 いい話も結構してきたんですけれども、課題はまだあるなと思っていて、我々、子育て期の支援策というのは大分整備してきたんですけれども、今後人口動態が変わっていく中で、お一人様対応とか、結婚しない方も男性、女性に限らず結構ベネッセの中にもいたり、あるいは親の介護、これがもう団塊世代が管理職を卒業して、今社長とか経営陣にいるんですけれども、次の私たちぐらいの親を、今は平均年齢三十六歳ぐらいなんですけど、会社の平均年齢が四十歳を超えてくると、今度、子育てではなくて介護対応といったことをベネッセでも真剣に検討しなければいけないんじゃないかと。子供は九歳までとか六歳までとか結構期限が見えるんですけど、介護というのはなかなかそこが分からないので、そこは会社としても今から考えねばならない課題だとは思っているんですけど、難しいテーマとして今挙げています。
 これは資料を後で見ておいていただきたいんですけれども、ワーキングマザーが今本当に増えていて、いい意味で定着しているし制度を使ってくれているんだけれども、一般社員との残業差が非常に大きくなってきているとか、あるいは会社としても、若手女子が二〇一八年度ぐらいまでに子供を産むだろう、産むのがピークだろうということで、四億から六億ぐらいの幅でコストバッファーを持つということを今覚悟をしています。
 女性活用をまとめますと、進めていく上で努力しなければいけないことというのは企業側、社員側、両方にあると思っていまして、阻害要因はそれなりに本当に社会の風も吹いて払拭されつつあると思うんですけれども、これは短期ではなかなかやっぱり決着は付かず、ベネッセも二十年、三十年近く掛けて今の結果があるわけで、時間を掛けて粘り強く、規模が規模をつくり出す回路をつくっていかなければならないと思っています。
 企業側は、やっぱりトップを始めとする強い意思とか信念が必要だろうな、そして周囲への理解とか制度の準備。私も、今の社長に、実は妊娠しましたと言いに行ったときに、いつ戻るのと言われるだろうなと思ったんだけど、妊娠中は無理絶対するなよというのを最初に言ってもらって、二か月で戻ってみようという決心をしました。なので、やっぱり人を使おうじゃなくて人を生かそう、そういうトップの思いというのは重要だと思います。
 社員側も、会社が制度を用意しないとか前例がないとか、そういう文句ばかり言っているんじゃなくて、前例は自分がつくるんだぐらいの意識がやっぱり要ると思っています。そして、規模が本当に規模を呼んでいるんですけど、大事なことは、おかげさま感を持つ。私が今休めていること、私が子供と一緒に暮らせていて仕事もできることは若手の頑張りがあるからなんだよな、だから若手を育てなきゃとか、あるいは、自分一人がサボったりしたら、その割れ窓でもう二度と女性社員が信用されなくなってしまう、その割れ窓を絶対につくっちゃいけないんだと。
 こういう研修を私も社内で年に一回必ずするんですけど、当たり前と思わず、権利と思わず、やっぱり必死で美しいキャリアも自己実現も子供も夫もという、そういう側面も見せながらシンクロの足かきのように必死で努力する、それは両方必要なんじゃないかな、女性社員側にもというふうに思っています。
 最後、幾つかまとめていますが、長い時間を掛けて風土の中で醸成したり、トップの意思、そして制度、こういったものがそろって、本人たちの覚悟と会社の制度、両輪あって実現することではないかということで、ベネッセの一例をお話しさせていただきました。
 以上で私の説明を終了いたします。ありがとうございました。
#17
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時五分をめどに終了させていただきます。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
 また、一回の質問時間は答弁及び追加質問を含めまして最大十分とし、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べください。
 それでは、質疑のある方は挙手願います。
 島田智哉子君。
#18
○島田智哉子君 本日は、本調査会に、大変お忙しい中、三人の参考人の皆様より御意見をお聞かせいただきまして、誠にありがとうございました。心より感謝を申し上げます。
 時間が限られておりますので、私からは、成島参考人に、具体的な問題点や実態について、三点まとめてお聞かせいただきたいと思っております。
 まずは、女性の活用の現場で実際に起こっている具体的な問題点はどういうことがあるのか、是非本音ベースでお話がお聞きできればと思いますけれども。また、先ほどのお話にございましたように、ベネッセさんは様々なお取組をされていらっしゃるわけですが、それは大企業のベネッセさんだから可能なことなのか、中小企業においても対応ができるのか。また、最後に、企業の制度で越えられない障害はどのようなことがあるでしょうか。
 以上について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#19
○参考人(成島由美君) ただいまの島田さんの質問に回答させていただきます。
 まず一点目の、現場での本音ベースの問題点なんですけれども、正直ゼロではないです。割れ窓がないというふうにここで今言い切れるかというと、出始めているから私がこういう話を社員の前でしなきゃいけない機会が年に一回、二回あったりします。
 少ない数、おっかなびっくり、あっ、課長職だけど妊娠しちゃったとか、少し本当に今自分が休んでいいのかなぐらいの気持ち程度の広まりだったときにはなかったことが、結構もう当たり前のように、一つの事業部、百人超えるぐらいの事業部だったら二十人ぐらいが結構そこで子育て経験者だったりするので、堂々と今は妊娠しました、二年休ませて、一年半休ませてくださいということが言えるんですけれども、それが結構、周りへの感謝の気持ちとかあるいは結婚してない独身女性社員への配慮等がなくて、休めて当然、だから私の仕事は全部やってくださいねみたいな引継ぎを、上長と全く相談もなく、もう権利として押し付けてしまうといったようなケースも最近あったりします。
 それは、若者の質の変化なのか、それともやっぱりある程度規模が出てきたから当然ということで、そういったちょっと今までは考えられなかったようなケースが出てきているんではないかなということで、休みに入る前の心得とかそういった指導をきちんと女性に対して、あるいは男性の育休中の職場への配慮等の指導もしっかり行うようにはなってきています。
 それから二点目なんですけれども、これもよく外から質問を受ける内容なんですが、私は大企業しかできないこととは思ってなくて、中小企業であってもトップというところが動けばかなり変わるのではないかというふうに思っています。
 例えば、ベネッセはいろんな事業体の固まりなんですけれども、私が妊娠した事業部は当時二百五十人ぐらいの規模で、売上げでいうと四百億ぐらいの事業でした。それぐらいの中小企業さん、企業はあると思うんですけれども、そのときに、私が休んだら、その次にばたばたばたと編集長クラスの管理職が妊娠してくださったんですね。実は気を遣っていたんだなと、管理職たちが。
 なので、やっぱりトップが行動を変える、思い切って部長が育休を取った部はやっぱり制度利用が進んだりとか、そういった部単位、課単位でも進み方が全然上の背中を示すというところで違ってくるので、そういったことはやっぱり発信をする、あるいは態度を変える、やってみせるみたいなことをしていくと浸透も大分異なるかなと。
 ただ、それだけ制度が用意できるかとかいうことは、やっぱり課題はあるかもしれないんですけれども、まずは意思を持つということは大きな企業、小さな企業に限らずできるのではないかなと思っています。
 それから三点目の、私たちだけではどうにもならないことというのは、やっぱり結構ありまして、例えば病児保育、これは会社もどうしてあげることもできない。それから、なかなかそういう受皿が社会にもあったりしないんですね。そうなると休まなきゃいけないんです。これだけ保育所も、それから保育所がもし駄目だった場合のシッターさんもみたいに、もう幾つも何重にもファミサポさん、シッターさん、保育所さんと基盤は押さえているつもりなんですけど、朝、突然熱が出たみたいなのにだけはどうすることもなく、その場合は会社の仕事に穴を空けざるを得ない。
 それが続くと信用を失う、さっきの割れ窓をつくるということになりかねないので、本当に病児保育の問題は安定しない、いつどれぐらい出るかがインフラ整備側でも安定しないからなかなかつくっていくことは難しいと思うんですけど、こういった社会的な突発インフラ対応みたいなものは是非お願いしたいなと思っている一部です。
 以上、御説明申し上げました。
#20
○島田智哉子君 ありがとうございました。
#21
○会長(田名部匡省君) 丸川珠代君。
#22
○丸川珠代君 自由民主党の参議院議員の丸川珠代と申します。
 今日は、三人の参考人の方、それぞれに本当に示唆に富んだ、かつ具体的なお話をしてくださって大変ありがとうございます。
 せっかくここまで具体的なお話をしていただいているので、御質問もそれぞれ個別に少し具体的にお伺いをしたいと思います。
 まず汐見参考人、お忙しいところありがとうございます。
 言葉の中で、特に出生率の回復が、財政的支援以外の施策が少子化対策の効果を生み出しているというのは非常に深い示唆を含んだお言葉であったなというふうに思っております。
 そしてまた、落ちこぼれをつくらないためのサポートが学校を含めて学校のその周りでも必要であるということが日本の人材育成のために必要だというメッセージ、大変重く受け止めさせていただきました。
 また、必死になって地域をつくらなければいけないとおっしゃったんですが、今まで地域づくりのこと、これまで我々調査会で様々な方にお話を伺ってきまして、必死でつくらなければいけないという強い言い方をされたのは多分汐見参考人が初めてだと思いまして、非常に思いを込めて言われたんだと思うんですが、その必死になってつくらなければいけないという言葉の後ろには、子供を忌避するような社会をこれ以上つくってはいけないという、そういうメッセージと理解してよろしいのでしょうかというところがまず一点であります。
 それと、幼児教育を世界的にやはりもう義務化するような流れがあるというところ、もう少し詳しく、どういった流れなのかをお話しいただければと思います。
 それでは、順番に質問だけ先にお話をさせていただきます。
 続いて土堤内参考人なんですが、一つ資料の中で、お一人様社会の到来というところで二〇三〇年のお一人様社会のグラフがございました。これはどういう数字の根拠があってこのお一人様社会の出現ということをおっしゃっておられるのか、ちょっと根拠を教えていただきたいという点であります。
 それから、成島参考人におかれましては、本当に働きながら子育てもされておられて、まさにワーキングマザーの星だなという感じで拝見をさせていただきましたが、実際にやはり企業の中でバッファーの人材を抱えなければこれが実現できないということはくしくも成島参考人がおっしゃったとおりでありまして、この資料の十ページに状況と課題ということでまとめていただいております。五時間の時短社員はやはり会社が期待する役割にアサインができないということも書かれておりますし、その下には、高い部署には負担が掛かっていると書かれております。
 具体的にもう少しこの点を御説明いただければ有り難いなと思います。具体的にどういう負担があって、また、下にも、実際にこれをもし、労働時間の不足をほかの労働力でカバーした場合にこれだけのコストが掛かるという、これはベネッセといえどもなかなか大きな負担かと思いますけれども、これは会社としてはどのような方向性でカバーをしていくつもりであるのかということを、厳しい競争の中でありますので、企業のお考えとしてお聞かせいただきたいと思います。
 病児保育についてはしっかり対応させていただくよう頑張ります。
 それでは、お一方ずつお願いします。
#23
○参考人(汐見稔幸君) 最初の御質問は、地域をもう必死になってつくらなきゃいけないということは、もちろん、子供が減って、家に入って、そして世代間のギャップが大きくなってますます不気味がるという、こういう悪循環をどこかで断たなきゃいけないという、そういう思いです。
 そして、子供は未来の宝ですから、その子供たちが社会から余り歓迎されていないという思いをどこかで持つと、心の深いところに自分に対する信頼感だとかあるいは意欲だとかというものがそがれていくような育ち方をするという可能性があります。幾ら学校で頑張っても社会がそういう形で子供たちを本当に深くは迎え入れていないような社会というのをつくっていきますと、本当に人材を育成するという点でも大変な難点になっていくと思います。
 ですから、子供が小さいときから地域の様々な世代と出会いながらそういう人たちに支えられて育っていくような社会に、必死になって現代風の工夫をしていかなければいけない。そのためには、高齢者が出てくるという、社会に出てくる、地域に出てくる社会をつくらなきゃいけない。
 私は実は、日本は若者が今たくさん引きこもっているというのは知られているんですけれども、若者だけが引きこもっているんではなくて、みんなが引きこもっている社会だというふうに思っています。
 これは、例えば私の知人が二十年ほどパリに暮らして数年前に戻ってきて、そして東京にいたときに、汐見さん、一体東京どうなったのというふうに最初に聞いた質問にかかわっています。
 何がと言ったら、子育てしている人どこにいるのと。パリでは子育てしている人はみんな出てきて、そしてバギーを横に置いてお茶を飲みながらぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃしゃべっていて、金曜日になるとどこかでホームパーティーをしてと。そうしなければ生きていけない、一人で子育てなんかできっこないんだからと。そういうことをやっていて、自分もやってきたんだけれども、東京はどこに子育てしている人がいるのというふうな、もう二十年でこんなに変わっちゃったのかしらというふうなことを言っていたのとかかわっています。
 私たちが知らないうちに引きこもり社会になっているという気がします。それは、父親が遅くまで帰ってこないということとかなりかかわっているような気がいたします。
 それからもう一つの質問、ちょっと時間が掛かって申し訳ございませんが、先進諸国、ヨーロッパ諸国の幼児教育充実策について、ちょっとこちらを映していただけませんでしょうか。ちょっと口で言っているうちに映ると思いますが。
 実は、EUが統合された一九九三年辺りから、各国の制度が様々異なるのをどうならしていくかということでいろんな委員会がつくられました。それで、各分野で最も進んでいる国に足並みをそろえていくという合意があって始まったんですが、子育て支援策だとか保育政策については各国が違いました。
 そこで、特にヨーロッパは先に少子化問題が起こっていたことに対する対応策を八〇年代から進めておりまして、九三年にEU保育ネットワークというものがつくられます。ここで三年ほど議論した後、一九九六年にOECD加盟国閣僚会議が、生涯学習の基盤を強化するためにECEC、幼児教育と保育へのアクセス及び質の改善を最優先課題とするということで各国ともが合意しました。つまり、幼児期から大学、大学院までの教育の中で最も力を入れなきゃいけないのは今幼児教育であるということを合意しました。
 そして、その結果、二〇〇六年までの第一目標で九分野四十項目の目標を設定いたしました。その中には、各国の幼児教育予算を各国のGDP比で一%以上にするということも決まりました。それから、一人一人の先生の持ち数は、ゼロ歳が何人とか、三、四、五は一人で十五人以下にするということも共通の目標になりました。男性保育士は二〇%まで確保するということも目標になっています。それで、一斉に始めまして今、第二期の目標に入っています。
 具体的には、これはなぜかといいますと、一つは男女共同参画社会をつくろうというのがありまして、これは特に北欧ですね。そうすると保育制度を充実しなきゃいけません。それから、少子化・家族対策。これはフランスなんかがやってきたんですが、これもやっぱり、家族支援というのは実際には子育て支援と、それからその育てた親支援ですね。
 それからもう一つ、イギリスのように格差解消のために貧困地帯に充実した保育制度をつくっていく。そして、学校でちゃんと適用できるようにしていくと不審者は減っていくという、そういうことで、これも教育と保育に力を入れていました。
 それから、これが大事だと思うんですが、実は今の義務教育制度というのは大体百年ぐらい前にできて、国の税金で国に必要な人材を育てていくということで、大体どこの国も六歳からやっていますね。それ以上の高等教育もあって、これはオプションなんですけれども、義務教育は大体十五歳まであります。これが二十世紀はうまく機能していました。ところが二十一世紀は、まあ二十世紀の最後にほころび始めたんです。
 この二十世紀型の義務教育というのは、ゼロ歳から六歳までは、特に公費を特別に掛けないでも、まあ家庭と地域社会でそれなりの準備して育ってくれるということが前提だったわけです。もちろん、オプションとして幼稚園とか保育所があって、少しずつ増えてきましたけれども、これを国の義務でやるということはなかったんです。
 ところが、実際には家庭で育てるといっても、核家族になってきました、女性が働きに出ました、地域で群れて遊んでたくましくなることもなくなってきました。その上、文明化が進んで何でも便利になりましたから、自分で工夫するということがほとんどなくなりましたよね。
 だから、そういうことで子供が本当に育たなくなってきて、体も心も、そして頭も十分に準備ないまま、あるいは無理するために、家庭でわあわあ言ってがみがみやるために、心がおかしくなって小学校へ入ってくるという、そういう子供がどこの国も増えてきたんです。
 それで、これはまずいということで、二十世紀型の義務教育システムを二十一世紀にバージョンアップする際に、やり方を変えなきゃいけない。そのゼロから六のところを社会の責任でもう少しきっちり育てていくというふうに切り替えなきゃいけない。それはどこか。幼稚園と保育園でちゃんとやってもらうということです。
 ですから、そこに公費を投入するということで、これはほとんどの国が三歳、四歳からの幼稚園、保育園の教育をただにしました。これはすべて共通しているところ、クロスしているところは全部同じ理由で、これは全部幼児教育の充実なんです。だから、ヨーロッパの方は皆一斉にここに力を入れ始めたんです。日本ははっきり言って遅れました。
 具体的には、多くの国で保育園を拡充して幼児教育の無償をと。例えばイタリア、ポルトガル、ベルギー、オランダ、デンマーク、フランス、イギリス、みんなただになっています、こういう国。
 イタリアでもそうです。イタリアは、先ほど申しましたPISAの点数が非常に低いということで国会で問題になって、なぜ低いか、一クラスの人数が多過ぎる、何人か、二十五人もいるということになって、二十人クラスで担任二人ずつ付けるという法律が通っています。実際にそういうことをやっているかどうかは別ですが、イタリアは国が決めても自治体は余りやりませんからなんですが、それで予算を大幅に増やしているという、こういう問題があった。
 これは御存じだと思いますが、二〇〇三年にOECDが発表したあれで、日本は幼児教育、今〇・三三%ですね、現在は〇・三二%です。イギリスがこの段階では三位ですけれども、現在、世界で教育予算のトップはイギリスです。というか、見るのも嫌になるぐらい、比較にならないぐらいになっています。
 それで、これは税制が違うために単純に比較はできません。各国とも消費税二〇%、二二、三%という国の予算。それから、フランスがこれだけできているのは、保険機構というのがございまして、各企業からの拠出金が圧倒的に多いんです。そこが大体高齢者から幼児までのそういう福祉機能の財源を担っています。ですから、単純に比較できないんですが、ともかく抜本的な税制改革か何かをやっぱりやらないと私は無理だと思っていますけれども、ただ、現実的にはこれだけ遅れてしまっています。
 以上です。
#24
○会長(田名部匡省君) お願い申し上げますけれども、答弁は簡潔にお願いをしたいと思います。
#25
○参考人(土堤内昭雄君) 私が先ほど御説明に使ったグラフは、二〇〇五年までは国勢調査の実績値でございます。それから、二〇一〇年から三〇年は、資料のところに書いているとおり、国立社会保障・人口問題研究所が平成二十年三月に行った推計値を基にして作ってございます。
 お一人様社会、ひとり社会がなぜ来るかということなんですが、高齢者がお一人になるというのは、結婚をしないから配偶者がいないからお一人になるということでは実はなくて、男性と女性の平均寿命というのが大体今七年、差がございます。平均初婚年齢が約三歳の差がございます。したがって、統計的に単純な足し算をすると、有配偶の人でも、要は連れ合いが亡くなってから十年は女性はお一人になるということでございます。
 それから、あとはやはり先ほど書いていましたけれども、結婚をしない、生涯未婚率が高まっているという、そういう非婚が進むこと、あるいは結婚してもその時期が遅くなる晩婚化が進むこと、それから結婚してもやはり離婚をする方が増えると、そういったようなことからお一人の世帯が増えてくるということでございます。
 実はこの一人世帯が、ひとり社会が進むということは、人口減少とともに私は非常に大きなやっぱりインパクトがあるというふうに考えております。なぜならば、家族というのは、夫婦と子供がいわゆる核家族と呼ばれたわけですね、ニュークリアファミリー。核家族、その名が示すとおり、それは家族を構成する最小単位なんですね、核ということは。しかしながら、それが現在更に細分化が進んでいるということです。
 したがって、そういうひとり社会が大宗を占めるような、四割を占めるような時代というのは、やはり家族の在り方としては、非常に現在とは異なる状況、異なる、つまり社会的な様々な課題を生み出すんではないかなと、こんなふうに認識しております。
 以上です。
#26
○参考人(成島由美君) 先ほど御質問があった時短社員、五時間時短社員のアサインの問題等なんですけれども、実際、五時間ですと三時半ぐらいに帰ってしまうので、会議時間、結構長い時間編集会議とかを持つ場合に、やっぱりそのメンバーにはしにくいといったようなことがあります。
 そうすると、非常に自分の知識とか企画力を生かして一般の普通の社員のように働いてもらうよりは、どちらかというとサポート的な仕事しかできないといったようなこともアサインせざるを得ないので、その辺が現場からは、五時間というところがうちの社員としては受け入れ難いといったような声が出てきており、ここは今会社でも見直しをしていて、復帰後一年、今までは小学二年生まで認めていたんですけれども、復帰後一年までが五時間制度を認めるということに制度を変更しようと今しています。
 それから、負担が掛かっている、これは事実コスト負担になります。本当は四人でできるところを五人置いたりとか、二人でできるところを三人で補うとか、そういうやっぱりややバッファーを置いて、それがPLに結構乗ってきますので負担はコスト上掛かってきます。
 それで、我々としての意識は、じゃ、切って新しい人を採るのかといったときに、やっぱりそれでも採用コストとか研修コストというのは掛かりますし、熟練された女性社員、この人たちが、大体私が今やっている事業が七百億、売上利益二百億ぐらいの事業なんですけれども、社員二百名ぐらいだと一人当たりの創出利益が年間一億ぐらい。
 本当に考えていいサービスを生み出すという女性もいるわけで、その人たちと子育てとか出産を機に縁をなくすよりは、一定のバッファー規模で会社も覚悟をしながら生かし続ける。そして、出産して子育てして戻ってきて、自分の母親としての実感のこもった付録であったり保護者系の雑誌企画が大当たりしているケースが会社に結構あるんですね。
 なので、会社としてはもう投資として割り切り、四億円ぐらいを予算として積んでいくという決定をしています。
 以上、御説明申し上げました。
#27
○会長(田名部匡省君) 浮島とも子君。
#28
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。
 本日は、本当にお忙しい中お越しいただき、また貴重な御意見を賜り、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。
 私の方から三人の参考人の皆様にそれぞれお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、まず初めに汐見参考人の方に、「子どものアフタースクールの現状」というのを読ませていただきまして、その中で汐見参考人が、放課後子どもプランにつきまして、育ちという観点から指導員に高度の専門性が必要であるということを述べられておりました。
 そこで、具体的に、指導員における専門性について、特に学齢期には学齢期の子供たちの特性があると考えております。その専門性をどのように育成していくべきなのかということの御見解をお伺いさせていただきたいのと同時に、先ほどのお話の中にもございましたけれども、遊ぶ力と同時に教育が必要であるというお話でございました。
 そこで、学齢期の子供の教育に携わる教員の育ちという観点からの専門性について、また教員と指導員の役割分担について御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。
 また、次に土堤内参考人にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、先ほどもお話にございました地域力というところにもありましたけれども、「人口減少時代の地域力向上に向けた提案」というのを読ませていただきました。
 それを読ませていただいて、本当に今までの地域で担ってきた組織とはこれからは変わってきて、具体的な事柄をテーマにした市民活動あるいはNPOなどに担い手が移ってきているということを再確認をさせていただいたところでもございますけれども、このような地域活動に、若い方が活動に参加していくためにはきっかけがとても大事になるのではないかと考えているところでございます。
 特に、今の若い方々はインターネット世代ですので、これをどのように地域力向上に役立てていくかということも大事な視点であると思っております。特に今、地域で取組が行われておりますソーシャル・ネットワーキング・サービスが、若い方が地域活動へ参加するに当たり良いきっかけになるのではないかと思いますけれども、このサービスの果たす役割について御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。
 また、最後に成島参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 成島参考人の本当に体験に基づく「出産準備のツボ」というのを読ませていただきまして、本当にすばらしい体験をされているなと思ったんですけれども、お伺いさせていただきたいのは、この中で、産休中また育休中に、地域で同じように子育てをされているお母様方とはどのような交流をお持ちになられたのかということと、そしてお母様方と、特に働くお母様方とのつながりやそのサポートの仕組みを地域でつくり上げていくことがとても地域力という観点から重要であると考えておりますけれども、そのために必要なものはどういうものがあるかということをお伺いをさせていただきたいと思います。
 以上です。
#29
○参考人(汐見稔幸君) 放課後子どもクラブの専門性に対する御質問でしたが、これは今は退職教員だとか地域のボランティアの人に行っていただいていますが、実は、これは昔から学童保育の指導員の専門性ということで随分議論になってまいりました。
 子供が今豊かに遊ぶということができなくなっているために、地域社会の中で知恵を出して遊ぶということができるという、その指導をしなきゃいけません。ところが、遊びというのは、こうしなさい、ああしなさいとされたら実は遊びじゃなくなってしまいます。遊びの中でまた管理だとか教育が行われていきますと、本当の遊びの力は伸びないわけですね。
 だから、バランスですね、遊びを知らない子供たちに豊かな遊びを教えつつ上手に引いていくという、その非常に上手なバランスが必要なんです。だから、子供の様子を見て、ここは出た方がいい、ここは引いた方がいいというようなことが判断できるような力というものは相当な高度な専門性が要るということで、これは昔、東京弁護士会でこのことがシンポジウムになったときにも、そのことがテーマになりました。
 そういう人たちを専門に養成する機関が今ありません。私の白梅学園大学で今年の四月から、そういう人を専門的に養成する学科を初めて立ち上げました。ソーシャルワークといいますか、親の支援もできなきゃいけないということで、この人たちは実は親の支援もできなきゃいけなくなるんですね。ですから、社会福祉士の資格を取らせて、かつ教員免許も持ち、こういう放課後子ども教室で実習を積むというような形で今養成を始めています。
 それで、教員についても実は同じことが要求されていまして、放課後の子供の生活の仕方についての知識がないまま教室で指導をすることは今なかなか難しくなっている、あるいは家庭での様子を。
 したがって、私は、近い将来、学校の中に一人地域担当の先生がいて、そこで、例えば親が悩みがあったときに一つの空き教室でそういう親たちがいろんな相談をしているという、そしてその情報が的確に職員室に伝えられていくというようなシステムをつくっていかなければ、学校と地域社会が切れたままで運営はもうできない時代に入っていると思います。
 やり方は様々あると思いますけれども、そのために教員がソーシャルワーク的な勉強をする、そしてその地域でいろんな人材が学校へ入ったときのやり方をどこかで学んで入っていくという、そういう相互交流がこれから必要だというように今考えております。
 以上です。
#30
○参考人(土堤内昭雄君) 今お尋ねのように、人口減少時代というのは極めて財源のまた厳しい時代でもあるわけです。そういう時代の中で活力ある社会をつくっていくために必要なのが、やはり私は地域力だというふうに考えております。
 この地域力、すなわちコミュニティーの力なんですが、実はこのコミュニティーには大きく二つの意味がございます。一つは、ある地域という、いわゆる即地的な地理的な意味での地域コミュニティーがございます。もう一つは、共通の価値観を持ったグループという意味でのコミュニティーがございます。
 先ほどの御質問にあるように、最近の若い人たちというのは、ある即地的な意味でのコミュニティーには正直余り興味を示しておりません。むしろ、共通の価値観のある中で自分たちの価値を実現するために一緒に活動をしていこう、こういうようなコミュニティーを形成していく、そういう形での思いというのは非常に強く持っていると思います。
 したがいまして、先ほど御質問にあったソーシャル・ネットワーキングのような、そういう価値観を共有していくという意味において、それは若者のコミュニティーを形成していく上でこれから非常に期待が持てるんではないかなと、そんなふうに考えております。
 以上です。
#31
○参考人(成島由美君) 先ほどの御質問に対してなんですけれども、私、産休、育休中にちょうど通っていた病院が、御存じの方もいらっしゃると思うんですけれども、国立成育医療センターという世田谷にある大きな国立病院だったんですけれども、なかなか地域の人だけではなくて結構遠くからお母さんたちがいらっしゃっている方もいたので、そこで知り合ったお母さんたちとやっぱり情報交換をもちろんしましたし、あとは、ベネッセでは私と同じ時期に子供を産む人がもう五、六人いるんですね、このくらいの規模だと。その人たちといつも、京王線沿線の地域仲間なので、どうしよう、こうしようという話は結構していました。
 私が実際に消費者側に、数か月たって社会に初めてバギーを引いてデビューしたときに、あったらいいなと思ったようなサービス、あるいはお母さんたちと話したサービスは大分整備されてきていて、杉並区なんかはもう大分様々なチケットが用意されているんですけれども、お母さんをかわいがるものが意外になくて、本当に抱き疲れで肩が痛くなるみたいな、そういう母親をマッサージするというか、心も体もですね、そういうサービスとか、あとは安いタクシーのようなものがあるといいねと。子育て中って本当に結構もう際限なくお金を、もう重いからタクシーを使ったりしました。そういうものが、乗り合いがあるといいねとか。
 あと、バギーを引いていて思った以上に、車いすの方はとうに気付かれていると思うんですけれども、凸凹が多かったり、エレベーターがあるとはいってもすごい反対側の出口に一個しかなかったりとか、そういった整備がなくて町に出かけにくいという、引きこもり型のお母様もいたので、バギーが苦にならない道というのが結構引いてみるとない。
 それから、シルバーシートって結構はっきりしているんですけれども、今はこういう、私妊娠していますというメダルもあると思うんですけれども、なかなかそれも当時はなかったので、お母さんたちが堂々と座れるピンクシートみたいなのがあるといいねみたいな話もしていたので、バギーが置ける電車とかバスも、なかなかつかまって、両方つかまえていないと無理とか、難しいので、そういうインフラの中で妊婦とか育児中の方を少し意識したような、ちょっとした気遣い、心遣いのあるサービスというのが欲しいなと思いました。
 以上、御説明いたしました。
#32
○会長(田名部匡省君) 紙智子君。
#33
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、三人の皆さん、ありがとうございます。
 それで、私は、この会自身が少子高齢化と、非常にこれが、これからの行く先としては、統計上とか数字の上では確かにそういう見通しになるよということなんですけど、やっぱり大変な事態であり、これをどうやって打開するかというところを本当に考えてやらなきゃいけない、そのための調査会だというふうに思っているわけですよね。
 それで、最初に汐見先生からお聞きしたいんですけれども、子育てということで、例えば安心して子育てできる社会といった場合に総合的な対策が必要だと。だから、仕事と子育ての両立という問題ですとか、それから働くルールもちゃんと確立していくということや、それから待機児をゼロにするために保育所をちゃんと整備するということや、親の経済的な負担を軽減するということ、それから子供の貧困解決という問題など、総合的な対策が必要なんだというふうに思うわけです。
 それで、汐見先生のお話や、それからここにあらかじめ資料で読ませていただいたんですけれども、これを読みますと、特に子供の保育の問題あるいは福祉の問題の質というところで、汐見先生の中では欧米の子育ての支援政策について三つに分類されておられるんですよね。
 高負担高福祉型、それから社会政策型、民間主導型というふうに分類していて、日本のこれまでやってきた小泉改革というのは社会政策型から民間主導型に移すものだったというふうに指摘されているんですけれども、この民間主導型の政策、規制緩和ということも入ると思うんですけれども、このことで保育の質とか、あるいは福祉や介護の質なんかがどうなったのかというところの御認識を一つはお聞きしたいということ。
 それからもう一つは、日本では、国が定めている保育所の最低面積の基準というのは終戦直後の時期から全く変わってない。厚生労働省の調査でも、諸外国と比べても、子供一人当たりの面積基準というのは一番下の方にランク付けされているということでありまして、待機児童で保育所が足りないというときに面積基準を緩和しようという議論があるわけですけど、このことが質との関係でどんなふうにかかわるのかということなどを、御認識をお聞かせいただきたいと思います。
   〔会長退席、理事下田敦子君着席〕
#34
○参考人(汐見稔幸君) 御質問は二つあったと思いますが、このデータを見ていただいても分かるんですが、民間主導型というのは、モデルというか、典型はアメリカでありますが、実は公費負担がこのように非常に少なくなっています。アメリカはしかし共働き率は日本より高いのでして、ですから、赤ちゃんのときから保育所に預けるという方がたくさんいらっしゃいます。
 それで、最近はゼロ歳から保育所に預けるというケースが増えているんですが、その保育制度は日本のように整備されたものではございませんので、場合によってはチェーン店がやっているとかというのが多いですね。それはもう値段は様々ですが、私の知人が今シアトルで二人子供を預けていますが、やはり心配だということで、質のいいところをといったら大体月々三十万です、日本円で。一人十五万円ぐらいは払わなければいけないということで、アメリカは典型的にお金次第ということになっています。
 それで、御存じかもしれませんが、アメリカではそうやって増えてきて、保育園にゼロ歳から預ける人が増えてきたんだけれども、その質によって子供がちゃんと育たなくなるんじゃないかということで、一九九一年からアメリカの連邦政府の音頭取りで調査が始まりました。NICHDという厚労省の、日本でいうと厚労省の附属機関で調査が始まりました。
 アメリカの千三百人ぐらいの子供をピックアップして、その子たちの育ちを毎年、一九九一年ですからもう二十年ぐらい継続的に追っております。一人一人の家庭に入っていって、その家庭での対応の仕方、その子が幼稚園に行った、保育園に行った、その保育園がどういうレベルの保育をしているのかということを全部調査することで、膨大なお金を掛けてやっています。
 その結果、面白いことが分かってきまして、四年目までのデータについては今パンフレットが出ていまして、アメリカではただでまいていますが、それを日本で翻訳を最近いたしました。お茶大の菅原ますみさんが中心になって、私の仲間と手伝って翻訳しました。その結果、面白いことが分かったのは、ゼロ歳から保育園で育っている子供と家庭で育って三、四歳から幼稚園へ行った子供が、四歳段階で社会性、言語能力等についての発達の違いは平均すると全くないということで、保育所で育った子供も全然心配はないということでした。
 しかし、つぶさに見ると、安かろうまずかろう的な保育ですね、先生がしょっちゅう替わるとか、子供が訴えているのに対応をなかなかしてくれないというようなところと、丁寧にやっている保育所、例えば日本の保育所は大体ここのレベルでいうと丁寧にやっているところに入るんですが、それから家庭で育って幼稚園へ行った子供と三つに分けて比べますと、一番よく育っていたのは実は家庭ではなくて、ゼロ歳からレベルの高い保育所で育った子供たちが一番よく育っていたということが分かりました。二番目が家庭、三番目がレベルの低い保育所でした。
 点差は少ないのですけれども、明確に差があるということは、保育の質が子供の育ちに影響を与えることが非常にはっきり出てきているということで、今後保育を、数を増やすだけではなくて、その質をきちっと担保しなきゃいけないということで、ヨーロッパは実は初めからそのことについてかなりうるさくやってきたわけです。
 先ほどちょっと申しましたEUなんかで一人で十五人までだとかなんとかというのは、実はヨーロッパは日本と今反対のことをやりまして、日本はこれから分権化しようとしていますが、ヨーロッパは一個一個の国が数百万だと、その規模ですので、一つにくっついて、ある意味でヨーロッパという国をつくってやっている。
 そのときに各国で共通のものを作るということは、実は最低基準を作る、分権化した場合にこのレベル以下ではやってはいけないという共通の基準を作っているわけです。つまり、最低基準をはっきり作ろうとしているのがヨーロッパであります。
 ところが、日本は今、自治体が分権化するというのは結構なんですけれども、最低基準まで分権化してしまって、自治体任せにするというような動きが出てきていますので、私どもはそれは大変心配しています。それは自治体の財政事情も全く違いますから、最低基準がばらばらになるということは、子供たちの平等ということを考えてもやっぱりちょっとまずいのではないかと思っております。
 以上です。
#35
○紙智子君 もう一点、三人の方にお聞きしたいんですけれども、短くということになりますけれども、先ほどの汐見先生のお話の中で家族政策という角度が出てきて、それで、フランスでは女性のいろんな能力を高く評価をして社会に出ていくということが必要だと、そういうふうになったときに従来のように女性が家庭を支えるのは難しいということで、社会が家族をサポートするということで家族政策を充実させたということが紹介され、今の話にもあったんですけれども、EUの他の国もそこを目指しているということなんですけれども、日本の中で家族政策という観点というか、個々別々にはもちろんあるんですけれども、家族を支援する、支えるという視点というのは余り今まで言われてこなかったんじゃないかなということを実は思っていて、なぜなのかなと。
 そういうことについてどのようにお考えかなということを、汐見先生は今お話しされたので、お二方からちょっとお聞きしたいと思います。
#36
○参考人(土堤内昭雄君) 確かにおっしゃるように、私自身も少子化対策という言葉に非常に長く違和感を持ってきました。今度、子ども・子育てビジョンが出て、明確に施策の対象が子供であるということが提示されたということは、大変私は喜ばしいことだと考えております。
 やはり、何か今までの少子化対策というのが基本的に数の議論であったり、あるいは子供を育てる親への支援であって、本当の意味での子供の育ちへの支援ではなかったというような気がいたします。
 そういう意味で、これから、今御指摘にもありましたように、総合的な施策という意味では、そういったものを全部包含した形での家族政策というふうに転換していくことが私はやっぱり必要ではないかなというふうに考えております。
 以上です。
#37
○参考人(成島由美君) 私は、日本はやっぱり伝統的な価値観があって、女性の役割とか家族の在り方、女がおうちを守るんだみたいなやっぱり伝統的な価値観というのがあったのかなと。それはやっぱり、先ほどフランスの話もありましたけど、フランスはその辺思い切って進められたけど、同じ西欧でもドイツなんかはこの価値観にまだ縛られていて、二者択一、女性は働くか家を守るかみたいな、そういうところがやっぱり根っこにあるとなかなか難しいのかなと思います。
 ただ、そうはいってもこれだけ風が吹いてきて、女性の進出も今甚だしくなってきている中で、トータルなサポート、例えばクリーニング屋さんとかタクシーもあるし、それからそういう子育てのサポートセンターも充実してきているので、その辺を全部パッケージでつなげるようなトータルなサポートがあったらいいなと思っています。
 今はまだ私たち外注ワーク、冷凍食品を食べさせることとか外食をすることというのは何となくお母さんとしては悪っぽいんですけれども、その辺が、仕事も子育てもあるときにはいったん外の人の力を結構思い切って借りていいんだよというようなことがもっと広まってくると、その辺の、明るく家族も運営、会社も運営みたいなことができるかなと考えています。
#38
○紙智子君 ありがとうございました。
#39
○理事(下田敦子君) じゃ次に、渕上貞雄委員よりお願いいたします。
#40
○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。
 今日は、参考人の方々、大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。
 まず、汐見参考人にお伺いをいたしますが、少子高齢化・共生社会に関する調査会ということで、基本的に、男女共同参画社会をどのように今後我が国においてつくり上げていくかといった場合に、今働く方の問題を含めて大きな問題になっているところですが、そこで、今子育てのところで我が国の場合は所得保障的子育て、子ども手当とかですね、そういうところでいこうとしている。
 同時に、私は、やはり公的な機関、それは民間でやっていく場合もありましょうし、学校の場合もありましょうし、いろんなところがあると思うんですが、そういう施設によるサービス等あると思うんですが、我が国の場合はどちらを選択をした方がいいのか。それとも、やはり所得もある程度保障しながら、そういう公的なサービスのところも混在させていくのかが一つ。
 地域といった場合に非常に幅が広いと思うんでありますが、小学校単位にするのか人口単位にするのか。それも、都市と都市農村混在型の都市と農村型の都市と大きく三つぐらいに分けられると思うんですが、それぞれの政策は違うと思うので、先ほど先生おっしゃったように、一番基礎的なミニマムのところは共通にして、それから先は、私は地域ごとにいろいろ対策立ててもいいのではないか、このように考えているんですが、先生はいかがお考えでしょうか。
 それから、土堤内参考人にお伺いをいたしますが、一番最後のところでお話をいただきました地域の居場所づくり、それから二つのワーク・ライフの調和、最後の好い加減な人生というのは、私はこれ大変面白いと思いました。やっぱり人間は好い加減に生きにゃいかぬというふうに私は思いますが、それでもなお規律のあるところで生きなきゃならないと思うんです。
 やはりこの好い加減な人生を、先生がイメージしている職業生活、家庭生活、地域生活、ここのところのバランスというのは非常に難しい、それぞれが今問題になっているところですが、先生、どのようにこの三つのところを考えて、どういう社会の方向へ持っていこうとされているのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
 それから最後ですが、成島参考人にお伺いいたしますけれども、我が国の男が育児に携わることは大変苦手なのか、そういう教育を受けていないのか、しつけられたのか、日本の文化なのかどうか分かりませんが、先ほど、徐々に男性が育児休暇を取っていくと、このように報告があったと思うんでありますが、どのようにしてそういう過程で育児休暇を取ろうという男性が増えていったのか、それは先生のところの特別なことなのか、これは一般化されるのかされないのか、一般化できないところの理由などがあればお聞かせ願いたい。
 以上でございます。
#41
○参考人(汐見稔幸君) 御質問は二つだったと思いますが、少子高齢化対策、そして共生社会づくりということで様々な施策が今行われている中で、例えば少子対策として所得保障的な対策と制度拡充的なものというのは、どちらかにプライオリティーを置くのか、それとも両方をということでございましたが、今出生率が回復している国、例えばフランスだとかそういうところを見ますと、先ほど紙委員がおっしゃいましたように、やっぱり施策はかなり総合的だと私は思っています。
 両立支援だとか、それから、例えばフランスなんかは、シングルマザーというのは、離婚した場合にきちんとした、窮状を訴えて、それがクリアしますと大体月十数万円きれいに振り込まれていきますよね。子供が小学校へ入ったらランドセル買ってあげなさいという形で、ちゃんとどこの家にも何万円かずつ振り込まれていきます。そういうのがかなり充実している。それでいて、エコールマテルネルという幼児教育はすべてただですよね。保育園に行っている親に対する支援もかなり整っている。
 それから、これから進むのは多分、フランスは貧困対策だと思うんですが、そういうことを総合的にしないと安心して子供を産めるという社会にならないから、本当の出生率の回復は望めないと思うのですね。ただ、先ほども言いました、それに対する財源の確保の仕方が全く違いますので日本はすぐにはそのまねはできないんですが、ただ、この施策については総合的でなければやっぱり無理だと思います。
 今回民主党が、子ども手当ですか、高校の授業料の無償化というふうに出されましたよね。それだけ話題になりましたけれども、今は、例えばヨーロッパ諸国、特にOECD加盟国諸国は、そういうことはどこも皆やっているんですね。
 御存じかどうか分かりませんけれども、高校の授業料をいまだに払わなきゃいけない国はOECD加盟国でたった四つしかないんです。日本と韓国とメキシコとトルコかなんか、四つしかないんです。いまだに授業料を払っているという国だというふうに逆に問題であって、そこを多分今の民主党さんはこれは問題だというふうにされたんだと思うんです。
 ですから、むしろそれは遅きに失したというぐらいの感じはあるんですが、ただ、総合施策が見えないままそこだけをやるとなると、どこかで金の奪い合いみたいな形になります。そうすると、保育所の方はどうなるのかということになります。ですから、それで不安が広がるんだと思います。
 それから、フィンランドなんかは、フランスと違って一人目から家族手当一日百ユーロぐらい全部出ますし、そういうのがもう世界の流れ。それから、小学校の先生が大学院出というのがもう当たり前になっているんです。
 そういう施策の総合化ということを日本も図っていかなければ奪い合いになってしまって、これはまずいと思います。
   〔理事下田敦子君退席、会長着席〕
 それから、二つ目は分権化の問題ですが、私は地方分権に対しては大いに賛成なんですが、ただ、例えばそれをどんどん進めていきまして、小学校の先生や中学校の先生の給与も仮にそれぞれの自治体の基準でやるということになりますと、同じ仕事をして、こちらの自治体は給与が安い、こっちの方が高いといったら、みんなそっちへ、高い方に移住していきますよ、先生方は。そうすると、金のない自治体の先生方は、やっぱり余りやる気のない先生が残ったりするということになりかねません。
 ですから、日本の子供を育てるというのは、これは平等でなきゃいけないと思いますので、私はその点では、日本という国家があることの存在理由だと思うんですが、日本の国の基準でいって、これ以下にはしてほしくないという基準はやっぱり作っておいて、それができない自治体に対しては多少補てんするなりということをやって、子供の平等はやっぱり確保していかなきゃいけない。
 だから、自治体に譲ることは大事なんですが、その最低基準はきっちりやっぱり確保していくというのが国の責任ではないかと思います。
#42
○参考人(土堤内昭雄君) 先ほどの御質問は、地域の居場所づくりをしていく上で好い加減に生きるということが非常に有効ではないかということを申し上げたんですが、これは職業生活や地域生活、あるいは家庭生活、あるいはまた趣味の暮らし、そういったものをどういうふうにバランスを取っていくのか、ただ、そこに一定のパターンというのは私は実はないというふうに考えています。
 やはり、例えば子育てが忙しい時期であれば家庭生活やそういったものに重点を置けばいいし、あるいは子供が育っていけば職業生活にうんとシフトするということも、それは全然問題ないことであって、要は軸足を幾つか置くことによっていろんな、多様な価値観を身に付けて生きていくということが実は地域に居場所をつくっていくことにつながるんではないかというふうに考えています。
 あと、「ふたつのワークライフの調和」というふうに書いたのは、実は働くということが、今では貨幣経済ですからお金を稼ぐことが働くというふうに考えられるわけなんですが、実は働くという中には、例えば介護をやったりあるいは子供を育てたりあるいは地域でボランティア活動をするといった、つまり貨幣価値に還元されないような活動も行為も、これも当然働くということなんですね。
 ですから、私どもがやっぱり幸せに生きていくためには、経済基盤をつくっていく賃金労働というワークライフと、それから賃金価値に還元されないようなワークライフ、こういった二つのワークライフをバランスを取ることによって実は私たちは幸せに生きていけるんではないかなと、そんなふうに考えております。
 それから、ちょっと余談になりますけれども、先ほど汐見さんの方の御質問にもあったんですけれども、経済的な支援なのか施設のサービス支援なのかということなんですが、非常に個人的なことをお話しして恐縮なんですが、私は実は二十年前に離婚をしまして、二十年間二人の子供をシングルファーザーとして育ててきました。そのときに一番欲しかったのはやはりサービスであります。経済的にはそれほど困りはしませんでしたけれども、当時は保育所しかなくて、そういう意味では非常にサービスがないということが子育てをしていく上で非常に大きな壁になったということでございます。
 以上です。
#43
○参考人(成島由美君) 男性の育児休業についてなんですけれども、今はもうお父さんたちは取るようになったという話をしましたが、ベネッセにおいても二〇〇四年度調査で、実は取りたいと思っているというお父さんたちは四割いました。ただ、取りたいと思っているお父さんたちによくよく突っ込んで取れると思うかという調査をしたところ、九割が取れないで、一割が取れる可能性もあるんじゃないかというふうな答え方をしているデータがありました。
 これを取得しやすい工夫を会社が仕掛けに行った背景には、さっき女性が生き生きしている職場というのは男性も居心地がいい、逆に男性がパパとしても職業人としても生き生きしている職場というのは女性も居心地がいいわけで、そういうお父さんの心の健康というのが職場の健康につながるんじゃないかということを会社も意識しました。よって、お金も結構使っています。
 例えば、育児休業を取る最初の二週間を有給にしましたとか、それから、上司が非常に奨励した。取ったことによってマイナス評価が付くんじゃないかとか、そういうことを男の人は結構気にするんですけれども、そういうことは一切なく、きちんとそれまで仕事をしてくれていれば全然プラス評価も付くし、上司はもうそういうことを気にするなという奨励の仕方をしました。それから、キャリアも途絶えないということを約束しました。
 それから、これが結構効いたんですけれども、ブログで休業中に男性社員が子供を抱きながら写真を送ってくるんですね。そういうものがすごく女性社員としても、そこですぐ、たまひよ作っている子たちが、ひよこクラブに記事が穴空いちゃったからちょっと載っけようとか、それから、お父さん社員の笑顔で家事やったりしている姿が、ほかの男性社員に自分たちもいいんだという広がり方をネットを通じて広がったことで、急速にこの三年間で広がったということがあります。
 ベネッセだからかというと、やっぱりそれは違うかなと思っていて、コンビさんだかどこか、社長がやっぱり育休を取って広まり方が加速したというのがあると思いますし、偉い人ほど取るということを例えば仕掛けに行ったりとか、あるいはワークシェアですね、妻と夫のワークシェアも家でやっているかもしれないけれども、会社でもそういうワークシェアをもっと進めていけば、男だって取っていいよと。
 それから、規模が規模を呼ぶということで、今ベネッセでも三人に一人ですけれども、これが五人に一人ぐらいになると当たり前のように二週間、一か月取ってくれて、お父さんが生まれたては一か月いたんだぞ、非行は許さないぞみたいな子育てにつながるんではないかという話もたまに飲み会で出たりもしますので、これはもう時間を掛けて前例が規模をつくっていくという流れに持ち込んでいきたいと思っています。
 以上、御説明申し上げました。
#44
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
    ─────────────
#45
○会長(田名部匡省君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、牧山ひろえ君が委員を辞任され、その補欠として白眞勲君が選任されました。
    ─────────────
#46
○会長(田名部匡省君) 他に御発言ございませんか。
 水岡俊一君。
#47
○水岡俊一君 民主党の水岡俊一でございます。
 三人の参考人の方々、貴重な御意見ありがとうございます。
 三人の方々それぞれにお伺いをしたいと思っておりましたが、時間の関係もありますので絞らせていただきたいと思います。
 汐見参考人にお伺いをいたします。
 子育てをしている人にとって支えになるのは、十分な手当、そして子育て・保育環境であるということはもうおっしゃるとおりだろうというふうに思っております。では、どのような保育・子育て環境をこれからつくっていくのかということを、政治にかかわる者としてこれから考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。
 そういった観点で御意見をいただいたらというふうに思っておりますが、手当の話は、先ほど子育て手当のお話もいただきました。民主党として一定の考え方を示したところでありまして、この後、小学校、中学校の就学前とそれから就学後の教育にかかわる手だてをどのようにしていくのかということを今まさに進めようとしているところで、御案内いただいております高校無償化等は、後期中等教育、それから、これからの高等教育についての一つの見方を示したものでありますが、この就学前の教育について今新たな視点でこれからの施策を出していきたいと、こういうふうに我が党は考えているというところであります。
 保育につきましては、私は民間主導型といいますか育児産業を否定するものではありませんけれども、やはり社会政策型と言われるような家族政策、先生が先ほどからおっしゃっていただいているフランスをモデルにしたような家族政策を求めていく動きというのは大方の方々の賛同を得るのではないかなと、そんなふうに思っております。
 その上で考えていかなきゃいけないのは、今幼保一元化の問題もございますし、また保育料であるとか、そういったものの無償化の問題もございます。
 そういった点で、先生が御指摘をされている家族政策、とりわけフランスを例にしたような家族政策を考えるとき、今この日本にとって取るべき道というのはどのようなものなのか、先生のお考えがあれば是非お聞かせをいただきたいと思います。
#48
○参考人(汐見稔幸君) 是非頑張っていただきたいというのが最初のあれなんですが、保育政策については、その前に、子育てについては手当という物質的基盤を高めることと、それから環境を整えるというふうにおっしゃってくださいましたが、その環境の方に二種類ある。それは制度的環境というのと、なかなか制度にはならないんだけれども、先ほどちょっと私申しましたけれども、みんなが引きこもってしまって、地域といってもだれも出てこなくて寝に帰るだけになってしまっているという、そういう在り方をみんながわいわい出てくるような感じの町に変えていくという、そういうことと、私二つあるような気がします。
 それで、私が先ほど、赤ちゃんを連れている親御さんを見たら、だれもがまず近づいていって、あら、かわいいわねというような声を上げよう運動というのをわざわざ提案したのは、こういうことがあるんです。
 例えば、これはちょっと本の名前を忘れましたけれども、是非この参考人に呼ばれればいいと思うんですが、一人目を日本で産んで三年育てたら、夫の転勤でロンドンに転勤しなきゃいけなくなって、そこで二人目がすぐ生まれて、そこで三年間子供を育てた。上の子を幼稚園にやる。そうしたら、すぐに夫の転勤でパリに転勤しなきゃいけなくなった。そこで三番目の子供が生まれて、上の子供二人を幼稚園にやりながら必死に育てたら、三年たったらまた日本に戻されたという方がいらっしゃいまして、この方がその体験を本にされています。ちょっと今正確に覚えていないんですが。
 その本の最初に、多分東京のターミナルのところを子供三人を抱えて、乳母車を持ちながら、バギーを持ちながら荷物を持って階段を上っているシーンが出てくるんですね。
 向こうからわあっと来て、もう物すごく不安になって、子供たちに離れちゃいけないよって言いながら、しかし、バギーも荷物も持たなきゃいけないことの大変さで、もうどうしようと思ったときに、瞬間、だれかバギーを上に持って運んでくれないかしらって私は思ってしまったと。その次の言葉、あっ、いけない、ここは東京だったんだって書いてあるんです。
 これは、パリでもロンドンでもこういうシーンであったらだれもが運んでくれた、自分で持っていかなきゃいけないなんて考えられないと。ところが、日本ではそういうことを期待する方がばかだと。この違いは何なのかということを、やっぱり、何というか、そういうことを思っているさなかに書かなきゃいけない、私はだんだん東京に適応してしまっているというんです。
 どうして子供にこれだけ優しくない国になってきたのか。朝のラッシュ時に、乳母車で連れて子供を乗せて電車なんかに乗り込もうとしたらじろっとにらまれてしまう。まるで何かいけないことをしているような思いになってしまう国、子供が小さいのに九時、十時しか亭主が帰ってこない国ということは、ヨーロッパでは考えられないというわけですね。
 ですから、何か、私たちは次の時代を担う子供を育てている人をみんなで応援していこうじゃないかという、子供に優しい国というのがその子供たちが自信を持つために一番大事なんでという、そういう精神的環境というんでしょうか、それをどうつくっていくのかということに私たちはみんなで知恵を上げていかないとというような、そういう思いで今日は申し上げているんですね。
 ですから、まず僕は自分でやっているんですけれども、見たらもうともかく声掛けようということを始めて、そして若いお母さんがほっとする、知らない人に声掛けられてうれしかったって、そういう社会を何とかつくれないか。
 そして、お父さんが帰ってきても、土日あるいは金曜日の夜なんかに集まって、ただみんなでわいわい楽しくやって、そして、なかなか地域の生活も捨てたものじゃないですなというような、そういう町にしていかないとそういうのがやっぱりできないんじゃないか、そのような工夫を、これは制度的に簡単にできるものじゃないです。ただ、どうしたらいいかということの名案があるわけでもない。ただ私たち一人一人がやっていくしかない。環境問題みたいなものですね。だから、そういうふうな思いで申し上げているわけです。
 それから、家族政策の中には、無償化、幼保一元化というのはいろいろあると思うんです。幼保一元の問題については、私は下の方からもうちょっと盛り上がっていかなきゃいけないと思っていますけれども。家族政策の中には、やっぱり貧困家庭、単親家庭、それから文化的貧困家庭、そういうところに対する手厚い保護がないと、実際上はもう家族の体を成してないようなところがたくさんあるんです、保育園なんかももう皆御存じなんですけどね。
 それで、子供は一体どうなっていくのかというようなところに対する支援というのはとても難しいです。だから、そういう専門家もたくさん置いていかなければいけない、ソーシャルワーカーもたくさん必要になってくるという、そういうところに手厚くやっていただければ、何というか、結局、一番貧困の問題というのがやっぱりネックに日本もなっていくと私は思っています。
 以上です。
#49
○水岡俊一君 ありがとうございました。
#50
○会長(田名部匡省君) 石井みどり君。
#51
○石井みどり君 お三方の参考人に本当に感謝を申し上げたいと思います。それぞれのお立場で、実に示唆に富んだ知見を御披露いただきました。
 私は、各委員からも御質問が出ているので、幅広いいろいろなことを今日教えていただいたのが有り難いんですが、一応ちょっと、少し今までの御質問と違うかも分かりません。
 私としては、まず汐見参考人ですが、資料としていただいたものも読ませていただいたんですが、先ほどアフタースクールに関する人材養成のところで専門性というお話が出ました。中で、今後は学校が地域との連携というか地域社会との連携というようなことも、学校のそのシステムの中に要るんじゃないかというお話が出ました。
 私、それを伺っていて、私は政治の場へ来てやっと二年半ですが、その前は医療職として働いておりまして、特に小児歯科と矯正をやっておりましたので、ゼロ歳から大人まで診ていたんですが、今医療では、大体大きな病院、地域の基幹病院は地域連携室というのをつくっています。そして、身近な自治体である市町村にもそういう課があったりします。それから、今大学でも地域連携、いわゆる成人の大学院とか、あるいはいろいろな生涯学習というようなことで、大学も今地域連携というところの、そういうポジションを置くところも出てきています。
 そういう意味で、私は、先生のお話の中でも地域の再構築ということが出てまいりました。その中で、やはりこれを、一つ先生の示唆では、これからは小学校とか中学校とか、まあ小学校単位でもいいんですけれども、そういうところで地域連携を視野に置くような、そういう動きが一つ必要だろうということ。それから、ひとつそこで、いつも私申し上げるんですけど、じゃ行政は何をするかという、公的なサービスとインフォーマルというところで、行政の役割はやはりそういうコーディネートの役割が大変大きいだろうというふうに思っています。
 そういう、もう一つ地域を再構築するときの地域での連携の在り方というところを先生の幅広い御見識のところからちょっとお教えいただければと思っています。そういうものが、例えば高齢者も引きこもっている、若年者も引きこもっている、そしてお母さん方も専業主婦ということで引きこもっているという、この人たちをいかにその地域に引っ張っていくかという、これは連携の一つの在り方だと思うんですけれども、そういうところをちょっと先生のお考えをお聞かせいただけたらと思います。
 それから、地域ということで、今度は土堤内参考人ですけど、土堤内参考人はそのコミュニティーというところ、今日はもう本当にコミュニティーがやはりキーワードですから、これは地理的なコミュニティーと、それと共通の価値観を持っているというところのコミュニティー、まあ心のふるさとというか、そういうコミュニティーがあるということで、これが例えば今よくピアママとかいう、私はそういうお話をするんですね。育児をしていていろんな自主的なつながりがあります。自主的にそういう子育てをしているお母さん方の集まりがあるんですけど、それが今ネットで物すごく、ネットを介して結構そういうのがあります。
 そうすると、例えばそれが若年者にもそういうのがあると。では、このネットを介したような、そういう共通の価値観のコミュニティーをいかに地域につなげていくか。これから団塊の世代がどんどんリタイアして地域へ入っていくわけですね。そことこのネット社会を様々な子育て世代あるいは若年者とか、あるいは子供たちというのは親には言わないけど第三者には言うというところがあるんですね。
 私はそれを非常に自分が医療者として経験してきました。年に二回しか定期健診で会わない私には何でも言うというような、そういうことが実際にありましたので、そういうところをどうつなげていったらいいだろうかという、そこをちょっと先生のお考えをお聞かせいただいたらと思います。
 それから最後に、成島参考人は本当に、ベネッセ、まさに良く生きる、ラテン語の造語とおっしゃった。すばらしい会社、いかにベネッセが増えていけばいいかなというふうに思うんですけれども、残念ながら二〇一〇年の大学生の女子の文系では三位に志望が落ちたということですが。
 女性の働き方が変わるというのは男性の働き方を変えなきゃ駄目だというのは、私自身、いつも思っているんですね。二人がつくったんだから二人で育てろといつも申し上げている。
 そのために、まさに汐見参考人はトータルサポート、総合的な施策が大事だということなんですが、その中で、私は別に日本は資本主義社会だし自由主義社会だから民間のものがあってもいいと思っている。あってもいいけれども、例えば、先ほど成島参考人がおっしゃった、しかしながら行政の役割もあるだろうと。例えば病児保育、病後児保育ですね、そういうようなところ。
 そういうところが少し、民間ができるところと行政ができるところという、そういうところを、今非常に地方自治体の財政も国の財政も非常に厳しいところなので、その辺りを少し、例えば少子化とかのところを民間がやるというところで事業につなげるという御発想があるんじゃないかと思うんですね。
 ベネッセというのはそうやって少子化のものをだんだん事業にしていって、そして高齢者サービスまで持っていかれたという、スタッフの方々が、あったらいいなサービスを全部事業にしていかれたら、これは日本社会の非常に企業の生き方、企業としての在り方の参考になるんじゃないかという気がしますので、そういうところを少し企業人としてのお考えをお聞かせいただけたらと思います。
#52
○参考人(汐見稔幸君) 最初の御質問ですけれども、学校と地域の敷居をどんどん取っていってということで、これからの学校はそういう形でないと私はうまくいかないと思っています。地域社会と家庭の中でいろいろ困難を抱えた子供たちがそのままその影響を受けてきて、学校はそれを知らないでちゃんと勉強せぬかとやっても、うまくいくわけないのです。
 それで、ちょっと前に大阪市の教育委員会が大変面白い試みを行いました。教育委員会から幾つかの小学校に地域担当専門の教員を派遣したのです。そして、その人は一つの教室をいただいて、そして例えば不登校の子供の家を回って、その不登校の子供に学校へ来いと言うんじゃなくて、その家庭をサポートしていくとか、何か悩みがあったら、学校に来たら私たちが相談を受けるよという部屋をつくるとか。だから、地域連携室をつくったわけです。
 それは、小学校の先生がそういうことをやろうとしても忙し過ぎてなかなかできないという問題があって、そこでその情報を先生方に共有していただくというような形でやったら、これは一年だけの試みでしたけれども、相当な成果を上げたように私は評価しています。
 これをもっと全国的に広げられないかというようなことが今ありまして、できたら本当は学校の先生の中に地域担当者も一人、少子化で減ってきていますから、先生を減らすんじゃなくてそういうふうにしていくとか。それから、地域の有為な人材、絵かきさんがいるんだったら学校に来て子供に教えてあげるとかね。いろんなことをやりながら、学校とこの辺の相互交渉というものをもっとうまくやっていけば、子供たちはすごい面白い世界に出会ったということができるようになると思いますので、おっしゃるとおりだと思いますが、そういうために制度をつくっていただきたい。
 それで、行政に対しては、例えば私は白梅学園という大学の学長をやっているんですが、白梅学園というのは小さなところですけれども、かなり積極的に地域との交流をしているのです。例えば子育て支援センターのようなものがあります。東村山市につくってあるんですが、運営は私どもがやっています。私は実はそのセンター長です。子育て支援センターのセンター長もやっていますので、いつも子育て相談なんかやっているんです。
 それから、障害を持ったお子さんのその指導の仕方を、小平市とかあるんですが、小平市の小学校の先生方に、どう扱ったらいいのかということの研修なんかを私の大学はやっています。さらには、子供たちが自閉症の子供たちとふだん余り接触することはないですね。私どもが出かけて、一緒に踊ろう、一緒にペインティングをしようなんてやったら、物すごく距離が近づいていきます。そういう障害のある子とない子が共生する社会をつくるというふうなことについても小平市の教育委員会と一緒になってやっています。
 そういうことで、もう必死になって地域との協働ということをやっているんですが、これは文科省がある程度の期間お金を出してくれるとやれるんです。ところが、なくなるとしり切れとんぼになっちゃいます。ですから、そういう地域共生型の学校づくりのためのきちんとした財源的な、財政的な保障システムというのをきちっとつくっていただければ、これは大学としてはすごくやる気になると思いますので、それは是非お願いしたい。
 それから、例えば、これから少子化になっていきますと、家で息子が出ていったので空いているという方がたくさんいるんです。部屋が空いちゃったとか。そういうところを借りてちょっと子育てのための部屋をつくろうということも少し私、ある保育園で始めました。
 そうしたら、実際にひとり住まいになってしまったので不安でしようがないから、週に一回でも二回でもいろんな人が来てくださるとかえって助かるという人がいるんですね。地域にいろんな施設をつくるということは金掛かりますけれども、空いた部屋だとか家を提供するとなると、これは楽にできますよね。そういうことをやっている人は税制で何か優遇するとか、そういうふうな形の制度をつくっていただくともっと広がっていくんじゃないかと思いました。
 住民といろいろ知恵を出し合っていると、行政のやることはたくさん僕はあるような気がします。というようなことを考えています。
#53
○参考人(土堤内昭雄君) 先ほど私申し上げたように、二十年間、二人の子供を育ててきまして、その中でやはり助けてくれる人はだれでも助けてもらうというのを基本スタンスにしてきました。したがって、やっぱり地域の助けというのは私にとって極めて重要な課題になっていました。
 そういうことで、孟母三遷の教えじゃありませんけれども、子育て環境の整ったところを目指して引っ越しを何度か繰り返しました。たまたま行ったところが、今のむしろ汐見さんへの御質問にあったような、学校と地域の連携をやっている、そういうところへ私は引っ越しをいたしました。
 そこでは、就学児の子供がいなくても、学校に地域の先生というそういうプログラムがあって、地域住民が自分のいろんな得意技を学校に登録をします。そうすると、一学期に一回ぐらいいろんなテーマで授業が行われて、そこに講師として招かれると。そこで子供たちと接して、自分の持っているいろんな知識をもって授業をする、そういったようなことをそこではやっておりました。
 それからもう一つ、私は、子供が中学になったときに二年間PTAの会長をやりました。そのときに、自分がいろいろと地域のおかげで子育てを支えてもらったということもあったので、今度は私自身が地域の子供を育てることをそこでいろいろ展開をしました。例えば父親をどうやって参加させようかということで、例えばパソコン講習会なんというのを四回ぐらいやりましたけれども、それのインストラクターとして父親に募集を掛けて、そしてその人たちが集まって実際に作業するということは非常に難しかったので、ネットを使ってテキスト作りなどをして、そして実際には講習会を開くと、そういったことをやってまいりました。
 先ほど御質問にあったように、ネットを介するということはやっぱり非常に今の時代において有効な手段だと思います。私自身が、先ほど申し上げたPTAの会長を二年間もできたというのは、学校との連絡においてメールを使わせてほしいということを前提にしたからです。
 私は、当時まだ学校にメールが入ったばっかりのころで先生方がそれを使うという習慣がなかったために、会社に行くと学校の教頭あてにメールを送って、メールを送ったというそういう電話を三か月間続けました。その結果、教頭先生は毎朝メールを見るという習慣ができて、私のPTAの活動は極めて順調に進むようになったと。
 そういうネットの社会というのは、確かに極めて有効です。しかしながら、ネットの社会では、何といいますか、充足し切れない部分、やはりそこが、フェース・ツー・フェースのやはり対人的なコミュニケーションというものが逆に相対的に価値が高くなってくるんではないだろうかというふうに考えています。
 以上です。
#54
○参考人(成島由美君) 御指摘の民間ができること、行政ができることという点なんですけれども、行政の方につきましては、何度か話に出たフランスにあるような子供を持つ家庭に有利な所得税制とか、あるいは給付とか、あるいは多様な保育サービス事業者への補助のもっと手厚さとか、いろいろあると思います。
 私たち民間の方は、何度かベネッセでも検討したことがありますし、実際、介護事業とセットでベネッセチャイルドケアという事業も、介護事業が大体四百億ぐらいの規模だとすると、そのチャイルドケアは二十ぐらい、非常に小さいんですけれども、スタートさせてはいます。
 ただ、やっぱり利幅、そんなにお年寄りの介護ほどお金が取れない、働くお母さんたちからお金が取れない。介護事業は、うちは施設介護ですので最低価格でも千万単位で、かなりのもう退職金を頭金みたいにして御夫婦で入られるというスタイルがほとんどなので、かなり一人成約するとウン千万という事業なんですけれども、子供対象の事業は立ち上がりも非常に小さな足し算ですし、巨額なお金もなければ利益率もなかなかうちのコンテンツ事業と比べると小さいというところで、済みませんが、会社として積極的にここには余り投資をしないという判断はしています。
 ただ、私たちは教育の質を上げていくことはできるだろうということで、最近、そのコンテンツビジネスに加えて塾を幾つか買収しました。子供の居場所、その塾は小学校から高校までを範囲に、十八歳ぐらいまでを対象にしている塾なんですが、居場所でありながら、自習室でありながら、自分たちの勉強も聞きたいときに先生がいて見てくれるみたいな、新しい形の居場所プラス個別指導といったようなところを次世代型の塾として展開できないかといったような話も検討したりしておりますので、まるっきりしないかというと、まだまだこれからだろうと。
 ただ、よく社内でも話されるのが、補助金が出たり出なかったりするような事業体に我々のような上場会社が手を出すとひどい利益喪失みたいなリスクも担わないとは言い切れないので、そこに余り手は出さない方が無難かなみたいな話は実はしています。
 以上御説明いたしました。
#55
○石井みどり君 ありがとうございました。
 少しちょっと提案をさせていただきたいんですが、先ほど汐見参考人がおっしゃった、子育て中のお母さんへの祝福というかサポートという意味で、私、一人運動やっているのが、新幹線とか飛行機で子連れのお母さんが隣に来られたら、子供は泣くのが仕事ですからと、そういうふうに最初に一言申し上げたら本当に伸び伸びされるんですね。
 だから、先生方も、多分新幹線とか飛行機で一緒になられたら是非声を掛けてください。それだけでも本当にリラックスして会話もできますし、サポーターの一人としては御提案をしたいと思います。
 ありがとうございました。
#56
○会長(田名部匡省君) 尾立源幸君。
#57
○尾立源幸君 民主党の尾立でございます。
 お三方の先生、参考人の皆様、本当にありがとうございます。
 時間の関係で二名の参考人の方にお聞きしたいと思います。
 まず、成島参考人にお聞きしたいんですが、前提として、資料の中に「割れ窓をつくらない」という言葉がございます。ちょっと御説明をまずいただけませんでしょうか、どういう意味なのか、済みませんが。
#58
○参考人(成島由美君) 窓がちょっとでも割れていると部屋がだんだん汚く、ジュリアーニさんがニューヨークでされたと思うんですけれども、町をきれいにするにはちょっとでも汚いものをつくってはいけないんだと。
 ベネッセでも、女性の活用とかお母さん社員が気持ちよく働く、あるいは上司も認めていくためには、女性の復帰社員一人一人がサボったり自分の自己都合だけを優先して権利主張ばかりをしていると、もう二人目の復帰社員要りませんというふうに、そのセクションであったり課は言われちゃうよと。なので、一人一人が窓をきれいにしていなきゃいけないということを心掛けています。
 なので、ちっちゃな事例でもあったら大きいようにどこで言い触らされるか分からないんだと。なので、一人一人がお手本になる、みんなに余計注目されているわけだから、そこは一二〇パーぐらいの仕事の発揮をしようねということを、暗黙の了解も含めて、女性社員たちはそこを守って進めてきています。
#59
○尾立源幸君 それともう一つ、過去の御発言で、官民連携子育て支援推進フォーラム全国リレーシンポジウムというのを読ませていただいた中でこういう御発言がございまして、会社の努力、皆さん方の努力という中で、数十名という規模で毎年休んでいく会社ですから、休職発生に伴う欠員の配慮、そのために用意する組織サイズの計算は入念にやっておく必要があります。その他浸透のための施策、あるいは復帰を見込んだ要員計画、社内外への積極的なアピールは必要ではないでしょうかということをおっしゃっているんですけれども。
 もう少し具体的に、人財部というところでこういう計画を作っていらっしゃるんだと思うんですけれども、例えば妊娠されるということは非常にデリケートな個人情報だと思うんですけれども、どういう段階でこれを把握されて、この計画の中に織り込んでいくようなことをされているのか。
 ましてや、例えば、元々シングルマザーみたいな方々がいらっしゃるのかどうか分かりませんが、そういう方がいらっしゃった場合などは非常にデリケートな話かなと思うんですが、少し、実際の運用でどのようにその辺を扱っていらっしゃるのか、お聞かせ願えればと思います。
#60
○参考人(成島由美君) 実際に時短社員が何人かとか復帰社員を何人受け入れるとかいうのは計算がしやすいんですけれども、難しいのが、今年何人期中に出ちゃう、出ちゃうって言葉悪いですね、何人出産します、来年という方が出るかが非常に難しいんですね。
 ただ、やっぱり部に五人ぐらい、結婚を今ぐらいの時期にする子がいたとすると、一人、二人、年度内にそういう、実は妊娠しましたというのが出てきてもおかしくないなというのとか、あるいは今、大体世の中は三分の一はできちゃった結婚だったりしますので、結婚しますと同時にそういうことが聞かれることがあります。
 なので、やっぱり女性社員の新婚さんの割合に対して、少し今年は、じゃ、二人、三人出るかもしれないけれども、だとして、人事異動というのはまさに今ぐらいに決めて四月から替わるんですけれども、期中に抜けるというのは大体この年明けぐらいに、今回私は五人から聞いたんですけど、大体五月産休です、八月産休ですぐらいなのがこの年明けに五人から聞きました。そうすると、もう今の時期なので五の穴は埋められます。
 ぎりぎり、じゃ、分からないのが、九から来年の三月まで耐えられるかというところなんですけど、そこはもう勘で、これだけ女性で、去年結婚した子、その前に結婚した子、じゃ、これだけいるなら三人はバッファー持っておこうかなとか。特にリーダークラスですね、管理職クラスです。管理職クラスがぽっと抜けると困るので、産むなとは絶対言えませんから、その辺も、確実な男性の二人ぐらいをサブに入れておいて、年度内にあったとしても組織の運営ができるような、そういうのが、ここ五年ぐらい私もこういう大きな組織で何人かやっぱりそういう報告を受けながら自分の経験値の中でそういう計算をしていますけど、大体どこの、ベネッセの女性を多く抱えるマネジャーはそれをバッファーとして積んで組織を今ぐらいの時期につくっています。
#61
○尾立源幸君 そうすると、社員の方から申告ベースでそういうお話が上がってくるんだと思うんですけれども、早い人からそうじゃない方までいろいろあるということでしょうか。
 それとまた、男性の方は育児休業取れるということなんですけど、同じ職場じゃないときはこれまた大変な、予測が難しいと思うんですけれども、その辺りはどうでしょうか。
#62
○参考人(成島由美君) 女性も、まあ私が女性だからかもしれぬし、自分が産んだ経験があるからかもしれませんけど、年に二、三回全員面談をするときに、実は考えていますと、ただ授かり物なのでいつかは分かりませんが、家の中はそういうことになっていますみたいな話をしてもらえるとこっちも楽なんですね。なので、女性で部下でそういうことを考えている子が何人いるかは私は把握しています。
 それから男性の場合は、さっきも示しましたけど、二週間とか一か月なので、ベネッセ、ほかにもベネッセ休暇というのがあって、三十とか十とか二十とか、切れのいいときには大体二週間とか一週間とか、どんな社員も記念休暇をもらえるんですね。そのときと同じように、突発で来るわけではなくて奥さんが妊娠して夫が休むまでには七か月あるわけなので、うまくシフトを組んでそれには備えられるような社内調整をして越えるようにしています。
#63
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 それでは、汐見参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、これまた「世界の保育に学ぶ」という特集の中で発表されていらっしゃる論文でございますが、家族政策、核家族化したことへの対応ということで三つの類型を御提示されて、高負担高福祉型、社会政策型、民間主導型ということになっておりまして、その中で、フランスが社会政策型と、このような定義付けをされておりますが、その中で興味深いのは、実は日本も、第二類型すなわち社会政策型から、第三類型、民間主導型、典型的な国はアメリカというふうに書いていらっしゃいますが、アメリカに移そうというのが小泉改革ですと。
 これはどういうことでこのような評価をされて、これが小泉改革なんだとおっしゃったのでしょうか。
#64
○参考人(汐見稔幸君) 多分、歴史的に見ると、日本は、一九七〇年代の末辺りまでは言わば社会政策型で福祉国家型の国家を目指していたと思うんです。
 参考のために申し上げますと、一九七〇年ごろには保育所は一万二千か所ぐらいで、それから十年間の間に二万一千か所まで増やしました。十年間で八千か所以上増やしました。子供の数でいいますと、百万人から二百万人まで十年間で増やしました。その当時、今よりも財政的に豊かであったという保証は多分なかったと思うんですが、将来に向けてその保育ニーズに対して対応して、きちっと保育所を造っていくということを当時はやっていました。八〇年代、中曽根内閣になって臨調・行革が出てきて以来一つも増えなくなりました。
 以来、最近になってようやく少し増えるようになりましたけれども、高齢化社会が出てきて財政的に非常に難しい配分をしなきゃいけなくなってきた、コンピューター社会になったことによってまた新しい財源が必要になってきたということで、昔と同じような施策が取れないということだとは思いますけれども、基本的に、福祉を重視するような国家というふうなあれではなくて、かなりをもう一回民間に戻してみて、自由に競争する中で新しい芽生えを考えるという路線に転換したんだと私は思っています。
 しかし、それは実はかなり不十分なやり方であったということで、小泉内閣のときにそこをもっと思い切って徹底してやってみるというような形でチャレンジをしたんだと思うんですね。
 だけれども、その結果、ある部分は活性化すると思うんですが、長く見るとどうしても格差が広がってきたりなんかするということで、各国とも、例えばアメリカの場合はクリントン政権、それからイギリスの場合はブレア政権、それからシュレーダー政権のように、これを修正する政権が出てきましたよね、九〇年代の末に。日本はそこは不十分であって、逆に進行する政権ができたということで、ワンテンポずれているような感じがするんですね。ですから、アメリカの場合は非常に家族の底辺まで行くと相当深刻だということをもう言われています、格差の問題はもう当たり前になっていますから。
 私は、その辺のことを日本は追ってしまったら非常にまずくて、私は民主党さんには、ブレア政権のように、基本的には市場主義というのは残したまま、そのことによって破綻が生じる部分というのには徹底的に投資するというようなやり方、ブレアはそうなんだと思うんですが、それで僕はうまくいっている部分がたくさんあったと思うので、そういうことをすごく期待するんですね。
 私は、今のように難しくて、昔の煙もくもくの産業ではうまくいかなくて、どういう産業を日本に領導していくかということに対しては模索しながらやっていくしかない。そういうときに市場にある種の開放していくということは、これは大事なことだと思っているんですが、ただ、それをやった場合に、例えばさっきも出ていました、ベネッセのははっきりしていますけれども、小さな子供を育てるまだお金が十分ない世代から利益を上げるというのはなかなか難しい、つまり保育というのはなかなか産業化しないんです。
 ですから、それよりも、例えば私は、田舎のたくさん抱えている県は若者が離れていくというのに対して、田舎というのは実は資源が物すごい豊かなわけですね、自然資源その他は。それを産業化するということを本気になって考えていかないと、田舎はもっとひどくなっていくと思うんです。
 でも、そのためには物すごく長期的な展望と相当な投資をやらないと田舎が、例えば農業を産業化する、農業を株式会社化していくというようなことをやっていくというようなことは私は将来的に必要だと思っている。そうすると、そっちで働いてという人が増えてくる。そして、私は二拠点型と言っているのは、そういうところがあるんであれば、週末はそっちで暮らしてウイークデーは都心で働くという、そういうふうなやり方とその逆もあるんですけれども、そういうふうな形になっていくということが可能になっていくと思うんです。
 そういうところに投資させるために規制を緩和するということと、そういう投資のために物すごく、何というか、国としてきちんと財源を確保して長期的にやってくれというのは、そういう施策を是非取ってほしいというふうに思っているんです。ちょっとついでに申し上げました。
#65
○尾立源幸君 最後になりますが、もう一度汐見参考人にお聞きしたいんですが、エコールマテルネル、保育学校というフランスの制度を挙げてお話をされていますが、ここは小学校と同じ敷地内に保育学校があって、職員は教師の資格を要して、年長の担当が翌年そのまま小学校一年生の先生にもなれるような法システムだということなんですけれども、まさに省庁縦割りではなくスムーズに移行するようなお話だと思うんですが、その前に幼保の一元化のことも言及されていますし、これはそういう意味では幼小一元化みたいな話なんですけれども、この辺のお考えを少し最後にお聞かせ願いたいと思います。
 私たちも社会全体で子育てを応援していこうという、家族を応援していこうというスタンスに立っておりまして、いずれそういう方向に行くのではないかなと思っておりますので、御参考までに意見をお伺いしたいと思います。
#66
○参考人(汐見稔幸君) その点ではフランスはかなりの典型例だと思います。フランスの場合は、もうかなり前から三歳以降は幼稚園でもなく保育所でもなくて、エコールマテルネルという、フランスの国の規定では幼児教育ではなくて学校教育の基礎期間というふうになっています。
 カリキュラムは日本の学習指導要領と同じようなものが実はそこから作られていますから、実質的にもう義務教育が三歳から始まっている。これは九九%は公立です。先生は、幼稚園の資格と小学校の先生の資格、両方取っていなきゃなりません。そして、公立で、できたらその子たちを持った年長の先生が、その子が進学する小学校の一年生を担当するという形の順繰りが望ましいし、先生方は絶えず交流していかなきゃいけない、小学校と幼稚園の、エコールマテルネルの先生はというようなことも書かれていますよね。そういう意味では一つのモデルです。
 その場合は、保育所はどうなるかというと、基本的にはゼロ、一、二が保育所だというふうに考えてくださればいいです。だから、それ以降、つまり幼児教育機関というのと保育所と一つのでつながってもいいんですけれども、制度的には分けている。もし幼保一元化をやっても、新しく子供家庭局とか省をつくってしまいますと、今度は文科省とも切れてしまうという可能性があるんです。
 そうすると、その新しくできたところは、今まではまだ同じところにあって情報交換が簡単だったのが、制度的に分けてしまうと、今度は幼と小がきれいに切れてしまうということで、逆の難題が起こります。そうすると、文科省の中に幼小一貫をつくってしまえばいいことになってしまいますよね。そうすると、今度は福祉系のことの考え方が分かるのかという問題、ゼロ、一、二の問題がある。
 だから、その辺のきちっとクリアしていかなきゃいけない問題がまだたくさんありますので、私は個人的には、基本的な方向は結構なんですけれども、検討しなきゃいけないことは相当ありますので、余り拙速にならないようにやっていただきたい。幼稚園の先生の免許とか全部違います。それから、私どもの養成校でやっている科目も全部違います。それをうまく統合していこうとしたら先生がかなり職を失います。
 そういうふうなことも含めてやっていただいて、将来的には、私、ただし、幼小はきちっとつながる、それと保ともつながっていくというような制度を何とかやっぱり実現していただきたいと思っています。
#67
○尾立源幸君 ありがとうございました。
 終わります。
#68
○会長(田名部匡省君) 他に御発言ございませんか。
#69
○紙智子君 時間がまだ許せば。いいですか。大丈夫ですか。
#70
○会長(田名部匡省君) それじゃ、簡単にお願いします。
#71
○紙智子君 最後に一つだけあとお聞きしたかったんですけれども、汐見先生にお聞きしたいんですけれども、オランダですよね、一九七〇年代の施策を支えたオランダということで、いわゆる一・五政策というのを紹介されているんですけれども、これ自体は働く環境ですとか、それから労働政策をかなり大胆に変えていくものだったと思うんですけれども、その際にすんなりいったのかなと。
 やっぱり企業側も相当いろいろ抵抗もあったと思いますし、その辺での政府と国会というのはどんなふうにされていたのかなというのをちょっと最後に、済みません、それだけお願いします。
#72
○参考人(汐見稔幸君) この辺は私は専門ではないので詳しいことは申し上げられませんが、たしか九十何年でしたか、オランダが相当不景気で失業率が一〇%を超えていたときにその政策に切り替えたんです。猛烈な反発が企業からありました。
 端的に言いますと、正規雇用とそれからパートタイム雇用の基本的単価を同じにする、それから男女の賃金を基本的には同じにしていくという、そういう政策ですよね。
 ですから、長時間働くんじゃなくて、男性が〇・八、女性が〇・七働いて、合わせて一・五にすればだれもが夕方に帰れて、そして家庭が充実するという、そのためにはその政策を変えなきゃいけなかった。そのときに担当した大臣が猛勇を振るったはずです。財界と物すごくけんかし、交渉し、これでやらなきゃ駄目なんだということで、財界の方がその趣旨をのんで、じゃ思い切ってやってみようというまでに相当すったもんだやったはずです。
 ですから、日本でもしこういうことをやるとしたら、相当な決意と周到な準備がなければなかなか難しいと思います。日本のような大きな社会になるとちょっと簡単にはいかないと個人的には思っています。
#73
○紙智子君 ありがとうございました。
#74
○会長(田名部匡省君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたします。
 参考人の皆様方には、長時間にわたって貴重で有意義な御意見を述べていただきまして誠にありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと思います。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト