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2010/02/24 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第3号
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2010/02/24 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第3号

#1
第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第3号
平成二十二年二月二十四日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十七日
    辞任         補欠選任
     梅村  聡君     尾立 源幸君
 二月二十三日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     谷岡 郁子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         田名部匡省君
    理 事
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                友近 聡朗君
                南野知惠子君
                丸川 珠代君
                鰐淵 洋子君
    委 員
                家西  悟君
                岡崎トミ子君
                工藤堅太郎君
                谷岡 郁子君
                藤谷 光信君
                牧山ひろえ君
                松岡  徹君
                水岡 俊一君
                石井みどり君
                岡田  広君
                荻原 健司君
                義家 弘介君
                紙  智子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        工藤 政行君
   参考人
       特定非営利活動
       法人ホームスタ
       ート・ジャパン
       代表理事
       特定非営利活動
       法人プレーパー
       クせたがや理事
       長        西郷 泰之君
       特定非営利活動
       法人フローレン
       ス代表理事    駒崎 弘樹君
       介護情報館/有
       料老人ホーム・
       シニア住宅情報
       館館長      中村寿美子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○少子高齢化・共生社会に関する調査
 (「コミュニティの再生」のうち少子高齢化と
 コミュニティの役割(育児・介護の社会化によ
 るコミュニティの維持))
    ─────────────
#2
○会長(田名部匡省君) ただいまから少子高齢化・共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨日までに、梅村聡君が委員を辞任され、その補欠として谷岡郁子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(田名部匡省君) 少子高齢化・共生社会に関する調査のうち、「コミュニティの再生」を議題といたします。
 本日は、「少子高齢化とコミュニティの役割」のうち、「育児・介護の社会化によるコミュニティの維持」について参考人から意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパン代表理事・特定非営利活動法人プレーパークせたがや理事長西郷泰之君、特定非営利活動法人フローレンス代表理事駒崎弘樹君及び介護情報館/有料老人ホーム・シニア住宅情報館館長中村寿美子君の三名でございます。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に出席いただきまして誠にありがとうございました。
 参考人の皆様方から、「少子高齢化とコミュニティの役割」のうち、「育児・介護の社会化によるコミュニティの維持」について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、西郷参考人からお願いいたします。西郷参考人。
#4
○参考人(西郷泰之君) 座ったままで失礼します。(資料映写)
 私は、勤めは大正大学というところに勤めておりますが、今日はNPOの代表という立場でお邪魔をさせていただいております。二十分の間に、二つの団体の活動を通して、今後国として取り組んでいただきたいことについてもお願い、御提案をしていきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 まず一つ目ですが、ホームスタートということについて説明をさせていただきたいと思います。
 この投影されている皆様から向かって左側が私の画面ということになりますが、このホームスタートについては、タイトルにも書かせていただきましたが、「待つ支援から届ける支援へ」という、支援の形態が大きく変わってくる活動であります。
 現在、国も養育支援訪問事業とか乳児家庭全戸訪問事業とかなどでかなり訪問型の支援に力を入れていらっしゃいまして、それについては、とりわけ欧州、ヨーロッパの方に比べますと日本はかなり後れているわけではありますが、ただ、かなり力を入れて取り組んでいらっしゃるというところについてはとても歓迎したいなと思っております。それをより進めるというための活動がホームスタートということになります。
 そしてもう一つが、市民参加、虐待防止についての市民参加が可能であるということです。虐待防止は、ややもしますと専門家たちによってでしか支援ができない、防止ができないということのイメージが強いようですが、専門家だけではなくて一般の住民も参加をすることで住民の意識を高めていって、虐待の予防、防止に役立っていくということもありますので、そういった視点からホームスタートは新しい活動ではないかということで話をさせていただこうと思います。
 ホームスタートについて話をさせていただく前に、地域子育て支援拠点とか子育てサロンとか、従来ですと地域子育て支援センターとか、親御さんたちがたまって友達になったりとか話をしたりとか子供同士を遊ばせたりとかというところがあります。
 そういうところを運営をしている社会福祉法人とかNPOの方たちが同じく口をそろえておっしゃるのが、こういうところに来ている親御さんないしは子供たちはいいと。保育所とか幼稚園とか、そういう地域子育て支援拠点に来ている親御さんたちはいいと。ですが、来ていない人たちに対しては私たちはとても心配であると。そして、以前来ていたけれども現在来なくなってしまったという方たちについてもとても心配だという話があります。
 そういう拠点に来れない人たちないしは来ない方たちに対して支援ができる方法だということで意味があるのではないかということです。
 ちょっと画面を見ながら説明をさせていただきたいと思います。
 「はじめに」ということで、「ホームスタートとは」ということですが、ホームスタートは、やることは至って簡単であります。この三点だけやるということです。
 一つ、子育て経験者が、二つ目、定期的に乳幼児がいる家庭を訪問し、定期的というのは週一回二時間程度というのが一般的です。そして、やることは傾聴です。傾聴といっても、家庭にいて、お子さんもいてお母さんもいて、話ばっかり聞いているというわけにはいきません。当然、家事、育児、買物、散歩、公園での遊びなどに付き合いながら傾聴するという活動です。
 たったこれだけであれば何の画期的な点もないだろうということになるわけですが、私が考えているのは、一つは制度面との関係で、こういったところが画期的ではないかというふうに思っています。
 まず一つは、地域子育て支援拠点事業というのがありますが、この地域子育て支援拠点事業というのは、先ほども申し上げましたように、出てこれる親たちについては極めて有効で、とても人気もあることから現在全国で七千を超える設置がされているわけですが、そういうところに出てこれない親たち、来ない親たちがいるわけです。
 ちなみに、私は埼玉県の児童福祉審議会の委員長、会長をやっておりまして、埼玉県がこういった地域子育て支援拠点に来る乳幼児の親たちはどのぐらいの割合がいるのか調査をしたところ、正式な数字ははっきり覚えておりませんが、大体七%です。残りの九三%は地域子育て支援拠点を利用していない親たちということになります。九三%みんなが心配な親たちということでは決してありませんが、でもその中に心配な親たちが当然含まれているのではないかというのは容易に推測がされると思います。
 二つ目、虐待予防については、この育児支援家庭訪問事業、現在は法律が変わって養育支援訪問事業という名前になっておりますが、こういう子育て困難家庭に対して支援をする厚生労働省所轄の事業があります。これは極めて有効な事業ではありますが、ただし、子育て困難家庭にならないとこの事業は活用できないんです。
 つまり、平たい言葉で申し上げますと、要は不幸になってからでないとこの事業は発動しないということになるんです。こういった不幸になってからでないと発動しないという事業の在り方がいいのかと私は疑問に思っています。
 こういう不幸になっていない、ですが、もうストレスが極めて高くて、もう少しすると虐待が起こりそうないわゆるグレーゾーンと言われる家庭に対して、ホームスタートというのは極めて有効だということです。
 そして、同じように、生後四か月までの全戸訪問事業、乳児家庭全戸訪問事業ですが、これも困難家庭を見付けた場合は、先ほども申し上げた育児支援家庭訪問事業につなぐことができますから、何らかの社会的な支援ができるわけです。ですが、ストレスが高いようだが困難ではないと、つまり虐待など発生していないという家庭については、その次に対応する手だてがないということになります。そういった点で、ホームスタートというのはその手だてになり得るのではないかということです。
 ちょっとこれはすごく粗い表というか図なんですが、皆様から向かって左半分が、親を対象にした、主に厚生労働省所管の事業です。右半分が主に対象は子供です。上に行けば行くほど重い事例、つまり虐待などの重い事例の家庭ないしは子供、そして下に行けば行くほど白というか、問題がない家庭ということで理解をしてください。
 対象が子供については、重篤な問題がある子供たちについては児童養護施設の利用など取組がありますし、比較的ストレスが軽い、ないしはない家庭についての支援も一応制度としてはあります。それに対応して親の方を見ますと、重篤な親、つまり虐待を起こしている親たちに対しての支援施策は、十分ではないのかもしれませんが、というか、十分ではないものの事業としては用意はされています。
 ですが、私が今日中心に申し上げたいのは、このストレスがない、ないしはストレスが極めて高くて、でも虐待などの行為には至っていないという家庭に対しての支援については、地域子育て支援拠点事業だけ、施策は地域子育て支援事業だけと言ってもいいような状況です。地域子育て支援事業は、先ほども申し上げたようにその拠点に来れる人たちにしか有効ではありませんから、来れない人たちについては全く社会としては手だてが講じられていないというのが現実だというふうに思います。
 では、画期的な点を今度は対象家庭との関係で説明をさせていただきます。
 対象家庭ですが、これまで手が届かなかった家庭です。つまり、そういう地域子育て支援拠点のような拠点に来れない孤立している家庭、なおかつレッドゾーンないしはイエローゾーン、つまり重い虐待ないしは軽い虐待が発生している家庭については育児支援家庭訪問事業や児童養護施設などの仕組みが動くわけですが、グレーゾーンについて、つまり高ストレス家庭に対しては支援がないわけです。グレーゾーンのところで止めない限りイエローゾーンになり、回復が極めて難しくなっていくということになります。ですので、このグレーゾーンに手が届くというところで画期的ということになります。
 そして、システム上は、これは簡単に申し上げますが、ボランティアの活動ではあります。全く、訪問をする人たちはボランティアです。無償です。交通費しかもらわない。ただ、そのコーディネートをするオーガナイザーは有償で専門家を雇うと。そうしないと、利用家庭を守りボランティアを守るということができないからです。
 そして、ホームスタートと名前のとおり、これは海外で、イギリスで約四十年前ぐらいから始まったものです。ちょっとイギリスの様子を説明いたします。
 イギリスでは、一九七三年にイギリスの、日本でいうと児童福祉司、児童相談所の専門家であったマーガレット・ハリソンさんという方が、先ほども私が説明させていただいたように、困難家庭についてはイギリスは専門家がいると、だけれども困難家庭になる前、困難家庭になる前で止める人たちがだれもいない、なので、こういったボランティアの人たちでグレーゾーンの人たちに対しての支援をしようということで始めたものです。
 とりわけ、ボランティア、なおかつ子育て経験者などの当事者によるボランティア活動というのは、その後の日本の国の中でも、なおかつ高齢でも障害関係でもそうですが、調査研究で明らかになっているのは、専門家よりも気持ちを元気にする、エンパワーメントする点では専門家よりも効果が高いということが言われています。
 そういうことをマーガレット・ハリソンさんは経験的に理解をしていて、専門家ではない、非専門家によるボランティアでグレーゾーンの子供たちないしは家庭に支援をするということを考えたわけです。
 これは大きな地域組織ですから、小さいところは年間の予算が百万ぐらいで、ボランティアの交通費、コーディネーターの賃金なども出したりしています。ボランティアのトレーニングも当然行います。
 効き目としては、一〇〇%に近い母親たちが活動に満足をし、約八割の母親たちが情緒面で安定し、約九割の保護登録児というのは、要は被虐待登録、虐待されている子供たちの家庭で登録が解除されているということです。
 日本のホームスタートについて簡単に説明して、ホームスタートについての説明を終えます。
 日本のホームスタートの組織は二〇〇六年にできて、昨年の十二月に内閣府認証のNPO法人になりました。そして、試行事業などをして、現在、十三地域でホームスタートの試行事業ないしは準備に取り組まれていて、この日本地図の赤い点がそういう取組があるところです。この赤い点以外にも、今分かっているところで五地域、来年度に向けて取り組むということがあるので、約二十地域で来年度に向けて取組が始まるということです。既に始まっているところもございます。
 そして、二〇〇八年度に日本版で、日本型でやらなければいけない、イギリスの直輸入では必ずしもできるとは限らないということで日本型のシステムを開発して取り組みまして、大体九九%の親たちの子育てニーズが緩和ないしは解消したと。完全にすべて解消ではありませんが、効果があったということが分かりました。
 厚生労働省さんも応援をしてくれている制度をつくってはくださっていますが、必ずしもこういったボランティアによる活動が永続的に行える、要は収入がない活動ですので、永続的に行えるという仕組みがないので、なかなかどうしたものかというふうに考えているというところです。
 これは先ほど申し上げたところなので省きます。後ほど詳しく話させていただく時間があれば、ホームスタートの利用者の声、そして派遣されているボランティアの人たちの声ということについては補足で申し述べさせていただきたいと思います。
 まとめとしては、従来の壁、つまり拠点に来れない親たちへの支援ができる点、そしてイエローゾーンになる前の、つまり虐待の発生予防が、直前で止められるということができるという点でホームスタートが有効であると。そして、質の高いボランティア活動、市民参加ができるということが特徴点だと思います。
 ということで、ホームスタートの説明をしながら、ホームスタートを例に取りながら申し上げたかったことは、こういった家庭訪問型の支援、欧米でいうとホームビジティングとかホームビジットと言いますが、これについて力を入れていただきたいということを一つお願いをしたいとともに、こういったボランティア、つまり市民参加型の活動もありますと。つまり、有償の支援ないしは専門家による支援だけではなくて、こういう市民参加型のボランティアによる支援でも極めて力があります。
 こういった活動についても活用していただきたいということの二点をお願いして、ホームスタートについての説明を終わりたいと思います。
 次は、また画面が変わりまして、プレーパークせたがやの理事長としての話をさせていただきます。
 これから話をさせていただくのは、余りとやかく申し上げる必要はないのですが、要は、子供にとって遊びが必要であるということは皆様も十分御承知ですし、屋外での遊びというのも大事だということも皆様も御承知です。ですが、今我々が、私も子供が、一番下がもう二十一になってしまいますので、私も大分子育ての真っ最中ではなくて、ただ今度、私事で申し訳ありませんが、長女が初孫を産んでくれるので、おじいさんとして、祖父としてまた子育ての参加をしたいと思っておりますが、そういう子育て真っ最中ではない私もそうなんですが、極めて子供の遊び環境は私たちが考えている以上に劣化しているということをお伝えしたいなと思って参りました。
 例えば、地球環境、CO2の問題とか言われています。我々は、今から三十年とか四十年も前の日本国民は、ほとんどが別に環境問題が地球環境まで悪くするとは思ってもみていませんでした。でも、よくよく考えてみたら地球環境自体が人類のせいで大きく変わってしまっているという、ちょっと後戻りができにくいような深刻な事態になってしまっていました。同じように、子供の遊ぶ環境というのは同じような事態だというふうに思っていただきたいなと思います。
 ここにはいろんな世代の議員さんがいらっしゃいますので、世代ごとに子供時代の思い出は違うと思いますが、とても先輩の議員さん方については、野山でとにかく遊びなんか用意されなくても自由に遊べたという時代があったかと思います。私は五十五になりますが、私も東京都で生まれ育っていますけれども、東京といってもかなり野原とかがありました。そういった時代環境に育った我々からは信じ難い事態が現在起こっています。
 それで、ちょっと時間もないので簡単にパワーポイントを進めますが、屋外遊びについてどういうことに効き目があるかということの復習ですが、運動能力が当然高まりますと、免疫力とか循環器とか呼吸器とか知的好奇心も高まります。だけれども、現在、最も幼児の親御さんたちが心配されている、子供のいらいらが最近は心配だというふうに様々なアンケートで幼児の親御さん、幼児の親御さんですよ、幼児の親御さんの心配事の一位が子供のいらいらだという調査もあります。
 そういうことに対応する意味合いからも、情緒の安定というのが、屋外遊びというのはとても効果があるということがあります。
 それで、屋外遊びは昔はもう当然でした。これまでは屋外の遊びが当然過ぎたので、逆に屋内の遊び場を整備してきました。児童館、児童センター、地域子育て支援拠点、みんな屋内です。でも、屋外が十分にあったから屋内の拠点整備でもよかったんです。
 でも、どんどん屋外がなくなってしまいました。公園もあるにはあるけれども、公園での活動はないです。そして、環境が破壊されていって、でも細々とプレーパークないしは冒険遊び場などの活動が日本でも続いてはいました。ですが、全国でたかだか二百か所です。今やるべきことは、屋外での活動をまた再び取り組むということを国を挙げてやっていただかないといけないのではないかということです。
 イギリスは、屋外での遊び場について、ないしはスポーツ活動について極めて膨大な予算を投下して、イギリスの極めて急速な肥満傾向に対してとか精神病への傾向について、それを止めようという努力を極めて急速に力を入れてやっていらっしゃいます。イギリス方式がいいかどうかは別として、日本も是非そういった取組に力を注いでいただきたいなというふうにお願いをいたします。
 最後の項目については、後ほど公私の協働の仕組みについてちょっと御提案をしたかったんですが、時間も来てしまいましたので、後ほどの質疑の中で補足ができればと思います。
 ありがとうございました。
#5
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、駒崎参考人、お願いいたします。駒崎参考人。
#6
○参考人(駒崎弘樹君) ただいま御紹介にあずかりましたNPO法人フローレンス代表の駒崎です。(資料映写)
 今日は、国民の代表たる皆さんに二つの御提案をしたく参りました。一つが国民保育券、そして二つ目がおうち保育園というような構想です。
 まず、その構想についてお話しする前に、私の自己紹介をさせてください。
 私は、現在NPO法人フローレンスという団体の代表をしておりますが、同時に、内閣府から政治的任用で非常勤公務員ということで任命していただきまして、一月から内閣府の「新しい公共」円卓会議の事務局というようなこともさせていただいております。ですので、現場で親御さんを助けながら、また政策の立案等々にまでかかわらせていただいているというような立場でございます。
 そんな自分は現在三十歳なんですが、この事業を始めたのが二十三歳のころでした。当然そのころは結婚もしていなければ、出産というか子供もいませんでしたが、この病児保育ということをやり始めたのは一つのきっかけがあったからです。
 それは、私の母、ベビーシッターをしていた母からの一言でした。その母がお気に入りのお客さん、双子のママがいたんですが、その方がもう今日で最後にしてくださいということを急に言い出したんですね。うちの母は何か自分がミスをしてしまったのかなと思って聞いたところ、いやいやそうじゃなくて、私が会社を首になっちゃったんで、もうベビーシッターさんが必要なくなっちゃったんですよというふうにその方は言われたそうです。
 あなたみたいないい人が何でというふうに聞いたところ、いや実は、この前この双子の子供たちが熱を出して、私が預けている保育園は三十七度五分以上の子は預かってくれません、だから私が会社を休んでこの子たちを看病しました、双子だったのでお互いうつし合ってしまって、割と長い間会社を休まざるを得ませんでした、そうしたら会社が激怒して、私は事実上解雇ということになってしまったんですということをその方は言われたんですね。
 その話を聞きまして、私は非常にショックを受けました。と申しますのも、子供が熱を出すなんというのは当たり前のことですし、親が看病してあげるというのも当たり前のこと。だけれども、その当たり前のことをして職を失ってしまう。そうした社会に自分は住んでいるんだなということをそのとき初めて知りまして、これは何とかしなきゃいけないというふうに思いまして、そこからフリーターになりまして、このNPOを起業し、今に至っております。
 私のちっちゃかったころは、団地の、それこそ今日のテーマですけれども、コミュニティー、団地コミュニティーで私にとっては松永のおばちゃんという人がいまして、松永のおばちゃんが私が病めるときも健やかなるときも預かってくださったおかげでうちの母が共働きで働けた、そういうのがあったんですけれども、もはやそういうものが、私は東京の江東区、下町出身ですが、下町ですら失われてしまっているというような状況を何とかせねばいけないというところから起業していきました。
 この病児保育、皆さん御存じかどうか分かりませんが、病児保育というのはこの保育の世界では非常に重要です。風邪や発熱など軽度の突発的な状況で子供を預かってケアするんですが、通常の保育園は三十七度五分以上の子を預かってくれません。これは感染のおそれがあるためですね。ですから、保育園が悪いというわけではないんですが、しかし預かってくれない。
 そうすると、例えばその人が今日参議院に出なきゃいけないといったときに、済みません、子供が熱を出したから今日はキャンセルさせてください、なかなか言えないわけですね。その人がもし女医だったら、今日は子供が熱が出たから手術キャンセルしてくださいと言えないわけですね。
 というように、働きながら子育てをされている親御さんにとっては、子供が熱を出すと非常に困ってしまうというような状況なわけです。国民も非常にニーズが高い。仕事と育児の両立で最も悩むことは何ですかという問いかけに対して、子供の病気で遅刻や欠勤をすることがあって周囲に迷惑を掛けてしまうとおっしゃる方が七二%もいらっしゃいました。また、必要性を感じている育児支援制度は何ですかという問いかけに対しても、子供の看護休暇という方が九割弱、またさらに、保育園に子供を預けていて不満に思うことは何ですかということで、一位が病気のときも預かってほしいというような、多くの方々が望んでいるサービスなわけですね。
 しかし、この病児保育というのは非常に数が少ない。それをやっている施設というのが非常に少ない。全国に約八百四十五です。私が起業した当時は五百程度。これは保育園が二万四千あるのに比べると、その当時二%、今でも三%ちょっとしかないというような状況でした。
 これはなぜか。既存の病児保育の施設は成り立たないんですね。経済的に自立ができない。病児保育の施設、小児科がやったり、保育園がやったりしています。だけれども、九割が赤字というふうに言われています、九割が赤字。
 なぜ。厚労省からしっかり補助金は出ているのになぜ赤字になるんだというところなんですが、それが補助金というもののしようもなさで、補助金をもらうと実はいろんな手かせ足かせが付いてしまいます。一番困るのは、料金というのが自分で決められなくなっちゃうんですね。親御さんから一日子供を預かって、もらえるお金は二千円までだよというふうに決められちゃうんです。
 そうすると、大体、皆さん恐らくベビーシッターとか利用されたことはなかろうかなとは思うんですが、東京でベビーシッターを頼むと一時間千五百円ぐらいになるんです。そうすると、一日預かると一万五千円もらえる。だけれども、この病児保育の施設は一日二千円で預かってもらえるんですね。これは預ける方としてはすばらしい、安い。だけれども、預かる方としては一日二千円もらっても成り立たないんですね。
 じゃ、補助金に頼ろうというふうになるんですけれども、補助金の額自体ももう非常に少額です。私が起業した当時は六百六十万、今でも八百万程度です。それで、保育士を雇って、看護師を雇って、家賃を払って、水光熱費を払って云々かんぬんというふうにすると、いつの間にか足が出ちゃうよということになるんですね。ですから、安定すると思って補助金をもらったにもかかわらず、補助金をもらうと赤字になるという非常に不思議な仕組みがここにも適用されているわけです。
 さて、こういった状況において、私たちフローレンスは考えました。じゃ、補助金なんてもらわずに自力でやろうということで思ったのは、このこどもレスキューネットモデルというフローレンスの仕組みです。
 やり方として二つの特徴がありまして、一つは、行政がやっているような施設を持つんじゃなくて、施設を持たないでその子の家で預かってあげようというような非施設型という仕組みですね。もう一つは、お金のもらい方をベビーシッターみたいに一時間幾らというと高くなっちゃうので、そうじゃなくて、月々幾らという共済型の仕組みにしちゃったということが特徴の二つです。
 モデル図で見ますと、子供が熱を出して困っている親御さんがいたらフローレンスに御連絡いただきまして、フローレンスは地域にこどもレスキュー隊という、保育の経験がある方あるいは子育て経験がある方、元保育士さん、元看護師さん、そういった方々をネットワークしておきまして、この方々が助けに来ます。
 そして、子供を連れて地域の小児科に搬送してあげて、小児科が預かってもいいですよと言ってくれたら、このこどもレスキュー隊の家であるとかあるいはその子の家でお預かりすると。さらに、リスクが高い子を預かっていますので、地域の小児科医と提携しまして、何かあったらすぐに小児科に連絡できる、電話で指示を受けられるというような仕組みをつくり上げました。
 例えて言うなら、私にとっての松永のおばちゃんが地域の小児科医とタッグを組んで、熱を出したときにお預かりしてくれるというような仕組みです。
 これが現場の様子です。こんな感じでやらせていただいております。
 こうした子育て経験のある方、その子育て経験って履歴書には書けない。だけれども、すばらしい経験なんですね。それが、ある種の資格ですよということで、こうした子育て経験のある方々が来てくださって、それを再教育して、また社会貢献を仕事にしてもらうというようなことをやらせていただいているわけです。
 お金のいただき方も、一時間幾らじゃなくて月々幾らというふうに掛け捨ててもらって、使うときは無料ですよというような形にすることによって、既存のベビーシッターよりも安く提供できるというような仕組みを取っております。
 初めは、私の故郷、東京都江東区、下町から始めまして、今は東京二十三区に広がりました。千葉県にも、千葉県浦安市にも今展開していまして、今年度は川崎、横浜というふうに広げていきたいなというふうに思っております。企業も法人契約というものもしております。
 そういったところで、厚労省さんが参考にして視察に来てくださいまして、これいいですねということで、二〇〇五年から全国に施設を持たない病児保育というのを始めてくださいました。ただ、うまくいかないので去年で打ち止めということで、この事業自体はなくなってしまったんですけれども、一つ国が、ある種、この病児保育に踏み込んでくださるきっかけをつくれたんではないのかなというところで、国との接点というのが生まれてきました。
 さて、そんなこんなでいろいろやらせていただいているんですが、今日はひとつ皆さんに、病児保育問題を解決する方法とそして待機児童問題を解決する方法、この二点について是非議論したいなと思います。
 一つは、病児保育問題をいかに解決すべきかというところから始めていきたいと思うんですね。
 まず、既存のこれまでの政府の方法でいうと、成り立たない病児保育施設をたくさん増やそう、施設をたくさん増やそうというふうな政策をずっとやってきました。これはいかぬですよと、駄目ですよと。そうではなくて、病児保育の市場をつくっていきましょうというのが私の提案でございます。
 どういうことか、御説明さしあげたいと思います。
 まず、こちらに民主党の議員さんいらっしゃいますけれども、民主党政権下において子ども・子育てビジョンというのをこの前出されました。そこで病児保育の話もされています。目標利用者数二百万人というものを民主党の皆さんは挙げられていらっしゃいます。二百万人です。今三十万人なので、七倍近くにしましょうということを目標として挙げられています。
 これはすばらしいと思います。病児保育のことを取り上げてくださってありがとうございます。ですが、この二百万人を達成するというのはどういうことかというと、今三十万人なので百七十万人、百七十万人利用者数を増やさないといけないわけです。
 じゃ、予算どのぐらいあるかというと、病児保育とかいろんなものを含めて二百億というふうに計上されていたので、そのうちの大半使えるとして百五十億が手持ちであるとしましょう。
 そうすると、この百五十億を使って病児保育の施設、一施設年間八百四十万でやれますので、八百四十万。これを割り算すると、何施設造れるかというのは、これはだれでも分かる。施設数出ますね。千七百八十五施設になるわけです。
 じゃ、千七百八十五施設でどれだけの利用者数になるのということを計算しますと、年間一施設定員数九百六十人と決まっています。東京都の稼働率平均が三六%です。それを施設数に掛けると、全体で増やしたその施設でどれぐらいの利用者数が増えるかというのが分かるわけですね。そうすると、六十一万六千八百九十六人増えるんです。あれ、百七十万人増やさなきゃいけないのに六十一万人しか増やせないじゃないですかというのが分かるわけですね。これは単純な割り算と掛け算だけで分かります。
 ですから、民主党の方々が百五十億円掛けても目標の達成というのはできませんよということを御理解いただきたいなというふうに思っています。
 そこで、じゃ、どうすればいいのかというところなんですが、施設に補助金を投入するのではなくて、国民保育券というようなクーポン券を発行して国民に補助する、そしてその国民が病児保育にそれを使っていくというふうにしてはいかがでしょうかというような提案をしたいと思います。
 国民保育券、これは利用者にICカードやクーポン券のような形で配付して、保育に関するサービスで適用できるようにするというようなアイデアです。当初は病児保育サービスにて実験して行って、徐々にどんどんどんどん広げていきましょうと。そうすると、ここに、ある種の市場ができますので、既存のベビーシッター会社やNPOが、じゃ、うちも病児保育やろうかなということで参入してきます。そして、それを保育産業全体に広げていくというふうなことをしていけばいいのではないのかなということですね。
 それを計算してみました。例えば、医療保険も三割負担ですので、国民保育券で三割負担させて、国民が三割、そしてクーポンで七割補助したとしましょう。そうすると、一万五千円。大体一日ベビーシッターを使うと一万五千円ですね。そのうち国が七割、クーポンによって持ってあげましょうと。そうすると、一万五百円、一回当たりクーポンで補助してあげるわけですね、一回当たり一万五百円補助してあげる。
 そうすると、百五十億円でどれだけの回数を補助できるか。一万五百円で割ればいいわけですね。そうすると、百四十二万八千五百七十一人が病児保育なりで使えるわけですね。百四十二万八千五百七十一人がクーポンを使えるわけです。
 そうすると、先ほどの施設に投下したときと利用者数の差を見てみると、百四十二万八千五百七十一人対六十一万六千八百九十六人でいうと、二・三一対一でこちらの方が投資対効果が高いということになります。ですから、箱物に投資して生み出される利用者の数と、こうしたある種の利用者補助をすることによって補助できる人数というのはこれだけの差があるんですよと、同じ予算でもこれだけの差があるんですよというのを是非皆さんにお分かりいただきたいなというふうに思います。
 ということで、この病児保育、もし二百万人に広げていきたいんだったら、今までの政策じゃ駄目です。そうではなくて、クーポンのようなものを発行して利用者数を拡大するということが必要です。
 次に、待機児童問題をいかに解決すべきかです。
 皆さんの中で大都市圏から選出されていらっしゃる議員の方々いらっしゃると思います。待機児童問題、非常に大きなイシューになっていようかと思います。
 これまでの政策はどのような政策だったかといいますと、認可保育園をたくさん造っていきましょう、保育園が足りない、ならば保育園を造ろうというようなことだったかと思います。しかし、これだと限界があります。そうではなくて、認可保育園以外の新たな保育の手法というものを開発しなければ、もはや待機児童問題というのは解消できません。その中で非常に有力なツールがこの家庭的保育というような手法です。
 認可保育園の問題点、皆さんも御案内かと思いますが、振り返ってみましょう。
 まず、認可保育園というのは非常に税金が掛かります。公費コストが高いです。今いる待機児童、潜在待機児童を含めると八十五万人いると言われています。これをすべて認可保育園で対処しようと思ったら二兆円掛かります。これはかなり公費コストが高い。
 かつ、いろんな条件がありますので、特に面積基準というのがあります。大きな園庭が必要であるということがあるので、一番待機児童が集中している都市部、都心部に関して造れないんですね。土地のない都心部では造りづらいということなのでミスマッチが起きちゃうんですね。例えば、本当はここに造りたい、だけれども土地がない、だからちょっと外れたところに造ろうとしますよね。そうすると、いや、本当に必要なのはここなのに、ここに造っちゃったら空くじゃないかというふうになってしまう。これがもう既に出てき始めています。
 例えば横浜市です。横浜市は待機児童数千二百人ということで、どうしようと困っているんですね。でも、一方で定員割れですね。定員に達しないという園が続々出てきていまして、定員割れを全部ひっかき集めると、何と千五百三人なんですね。つまり、待機児童よりも定員割れの方が多いんです。
 これは何を意味しているか。保育園の数が足りないんではなくて、偏在なんですね、問題は。ということで、需要と供給をベストマッチするような手法というものに認可保育園がなっていないという問題なんです。
 さらに、認可保育園は撤退するときも大変です。人口動態というのは年々年々刻々と変化していきます。ある年にはニーズがあったにもかかわらず、翌々年には既にニーズがなくなるということもあります。そうしたときに撤退というのはしづらいわけですね。一回リフォームして造って何とかやっていると。そうすると、そこに居続ける。居続けても補助金で食べていけますので、まあまああり続けるわけですね。
 というふうになるっていうのはよろしくない。撤退コストが高いというのは何とかしなくてはいけない。もっと機動的に、撤退して参入して、撤退して参入してというふうにできないと変わっていく人口動態にマッチしていけないわけですね。
 さて、ここで、先ほどの、西郷先生もイギリスに学んでホームスタートやられていますけれども、私どもも学びました。そこで、イギリスのやり方、着目するとイギリスは面白いんですね。
 チャイルドマインダーっていう人たちがいまして、この人たちが七万五千人います。この人たちがこの国家資格を、チャイルドマインダー資格を取って家でミニ保育園っていうのをやり始めるんですね。家で一人で保育園をやり始めたり、あるいはチャイルドマインダー同士が二、三人集まっておうちを使ってミニ保育園というのをやって待機児童というのを吸収している。そういったことが行われている。
 だったら、日本でもそれをやったらいいじゃないかというふうに思うんですね。でも、日本でも実はこのチャイルドマインダーに近い仕組みはあるんです。名付けて保育ママです。保育ママっていうのは、一人で三人の子供を預かる、自分の家で預かるっていう仕組み。これがあるんですけど、全然はやっていないんですね。全然機能していない。
 なぜかといいますと、自分一人でやるので、自分が休んじゃうともうその三人の子供が預けられなくなっちゃうので、物すごい責任が重大になっちゃうわけですね。自分が例えば一週間風邪を引いちゃったら、一週間も親御さんが仕事に行けない。これはなかなかつらいということで増えていかないという悲しむべき状況があるわけです。
 そこで考えました。だったら、保育ママを複数人にして、イギリスのように、ある種、一人が休んでも一人代替要員が派遣できるみたいな仕組みにすることによって、日本でも家庭的保育というものをできるんじゃないかなということでやり始めました。名付けておうち保育園という制度でございます。
 これの特徴は、保育ママが自治体と保育ママと直でやるのに対して、ここに事業者をかませます。自治体、事業者、そして保育ママ数人。そうすると、事業者の方で何人か保育ママを抱えておけば、その保育ママが休みたいと言ったときに、じゃ、代わりの人を出してあげようということが可能になります。
 またさらに、保育者一人じゃなくて複数人でやる。だけれども、ある種の認可外保育みたいに押し込み型ではなくて、一人の先生に対して三人までっていうような基準はしっかり守るというような仕組みです。
 さらに、自分の家じゃなくてもいいよと。マンションを借りて、そこを、その三LDKをミニ保育園にしようっていうことも可能にしようと。これであれば、もう都心部の土地がない、待機児童がたくさんいるというところでも、ピンポイントで、マンションさえ借りられれば待機児童が吸収できるという仕組みになります。
 モデル図としてはこんな感じですね。おうち保育園があって、子供が複数、一人の保育者に対して三人までですので、大体九人ぐらいというようなことになります。
 これは、コストとしても認可保育園に比べて格段に安いです。今、実は東京二十三区の公立保育園、ゼロ歳児一人当たりに掛ける税金は五十万円です、一月で。なので、すごくすごくすごくコストフルなんですね。そこをすべて公立保育園でやっているとなかなか待機児童問題って解消できませんので、このおうち保育園のような機動的にかつコストが安いような仕組み、内装とかそんなに変える必要はありませんから、こういうものを導入することによって行政コストも下げられるというようなことになります。
 このおうち保育園、今年の四月一日から東京都江東区の豊洲地区、より正確に言うと東雲という場所がありまして、そちらの公団、UR都市機構さんに協力していただきまして、こちらの一室で始めることになっております。こちらの方、なぜ東京都江東区かといいますと、東京都で一番待機児童数が多い、かつ豊洲というのは一番待機児童が多いエリアなんですね。
 ということで、東京で最も待機児童が多いエリアでこの実験事業をして、そして、ほら、これでもできるじゃないか、これでもう待機児童を吸収できるじゃないかということを証明して、これを国の制度にしていくということができれば、全国でこのおうち保育園のような仕組みができると。
 今だと、私どもが実験事業をやりますが、これは単なる認可外保育施設です。ですので、ある種、東京都の取締りとかも受けてしまいますし、補助金というのも普通だったら出ないということになるんですね。だけれども、これが制度に変われば、児童福祉法を改正して、今は家庭的保育事業という単なる事業なんですが、家庭的保育制度になればこうした取組が全国各地の待機児童集中地帯でできることになります。ですので、大きな巨艦主義の認可保育園でなく、小さな箱がたくさんという形で待機児童問題を解決していけるというようなことになるわけです。
 時間が迫っておりますので最後にしたいんですけれども、基本的にこのおうち保育園によって待機児童問題が解消できます。その手法として認可保育所等々よりも格段に設置コストは安いですし、撤退コストも安いです。またさらに、こうしたところで中小企業がこうしたミニ保育園事業に参入できますので雇用創出にもつながっていきます。さらに、規制が緩和されていけば、例えば独居老人の家であるとか、あるいは二世帯住宅の一世帯が出て行っちゃったそこでできるというようなこともできますので、ある種、そうした福祉の連携ができますし、独居老人の見守りの機能も付加することができる。
 そうした形で新しい領域というのをつくっていくことができますよということです。
 以上、おうち保育園に関しては是非制度にしていただきたいなというふうに思っておる次第でございます。
 以上、病児保育に関する国民保育券、そして認可保育園を補完する案であるおうち保育園を提案させていただきました。
 どうもありがとうございました。
#7
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、中村参考人、お願いいたします。中村参考人。
#8
○参考人(中村寿美子君) 中村寿美子でございます。
 説明に入る前に少しお時間、自己紹介をさせていただきたいと思います。
 私は、現在は三菱商事の子会社で山手線田町の駅前で介護情報館、どういう方が相談に見えるのかというと、有料老人ホームを探している方、あるいは御家族が介護が始まってどうしたらいいか分からないという方に来ていただいて、いろいろ御相談をしております。
 私は、専門は有料老人ホームでございますが、実は十三年前に有料老人ホームを経営する四人の社長さんに頼まれまして、相談するところがないからやってくれないかと。そして、東銀座、歌舞伎座のすぐ横の小さな事務所で一人で始めたんですね。
 十三年前に一人で始めたのが、相談者がどんどんどんどん増えまして、そして今現在は五名の相談員で相談を受けております。一年間で大体、まあいろいろ波はございますが、八百名ぐらいの方が御相談に来ています。実は十三年前に始めたときと今はちょっと組織が変わりまして、現在の田町に来て五年目になるんですが、今、御相談者の累計が三千六百名ということになっています。
 本当に日本は高齢者が相談に行くところがないんですね。そこがまず一番の問題点かなと思って、後で提案事項の中に入れさせていただいております。
 それでは、レジュメを基に説明をさせていただきます。
 一ページ目の介護サービスの種類。今日御出席の先生方はもう介護保険のことは多分御存じだと思いますけれども、念のためにお話をさせていただきます。
 このページに書いてあるのが、実は介護保険で現在行われているサービスの種類、一番から六番までを区分ごとにまとめたものでございます。今、全国ではこの事業者数が三十二万四千九百六十一件ございます。ここに一から六まであるうち、一と二は五年前の一回目の法律改正でできたサービスでございます。ですから、十年前に介護保険の制度が始まったときにできたのは三、四、五、六なんですね。
 介護保険、大別しますと施設サービスと在宅サービスですね。多くの方が施設サービスを望むので、御存じのように特養待機者四十二万人というのが絶えず新聞報道でなされているところでございます。
 その施設サービスは、このページでいきますと五番でございます。特養、老健、介護療養型病床群。そして、この三番目のいわゆる老人病院でございますけれども、こちらが、自民党のときは二年後で介護保険のベッドは廃止となっておりましたが、今度民主党さんになってそれは撤回するということでございますが、じゃ、どういうふうになるのかという具体的な案はまだ見えていません。そういう状況でございます。
 六番のその他。福祉用具のレンタル、これは福祉用具を借りても一割で借りられるよと。それから住宅改修、手すりを付けたり、改修が一回だけ二十万円まで使えるよというのがございます。
 その次に特定施設と書いてあります。これは多分御存じない先生方がたくさんいらっしゃると思いますが、介護保険の法律の中に特定施設という項目がございまして、種類は五種類、一般型特定とか予防型特定とか外部サービス利用型特定とか五種類あるんですが、要は介護保険の事業所指定を受けているものでございます。ほとんどが有料老人ホーム、介護付有料老人ホームのことを言います。次がケアハウス。そして、最近出てきたのが、高齢者賃貸住宅の適合高専賃というのもこの特定施設に入るんですね。
 次のページで二ページにわたって、じゃ、現在の高齢者の住まいってどうなっているのというのをアウトラインだけお話しさせていただきます。
 まず、これを全部理解している方というのは、日本の高齢者、ほとんどいないんですね。実は私は、今高齢者の住まいって十三種類もあるのよ、多くの方が十年後、介護が始まったらどこかでお世話になるんだから、十三種類あるということだけでも知っておいてねということで、毎月、消費者センターあるいは行政あるいは民間の金融さんのセミナーで講師をしてまいります。多くの方が参加したいといってキャンセル待ちという状況でございます。
 簡単に御説明しますと、一番が私の専門の有料老人ホームでございます。この有料老人ホーム、厚生労働省の管轄で、老人福祉法二十九条できちっと法律に定義付けられておりますんですが、いろいろやはりクレームが多かったりするわけなんですね。
 じゃ、何でクレームがあるのというのは、実は有料老人ホームというのは利用権で一時金というのがあるんですね。その一時金が本当に玉石混交で、百万円から五億二千九百万と物すごく幅がございます。その一時金の返ってくるはずのお金が返ってこないよ、あるいは全然返ってこないよ、あるいは思ったより少ないよというクレームがほとんどなわけですね。
 それは、調べると間違ってはいないんですね。なぜかというと、一時金、例えば一千万なら一千万に対して償却内容というのが各ホーム違うんですね。その償却は二つございまして、一つが初期償却というのがあります。二つ目が償却年数というのがございます。その初期償却も償却年数も、老人福祉法でも介護保険法でも決まっていないので、民主主義の世の中ですから経営者が決めるわけです。そこに問題がございまして、私は理想的には一五%から二〇%、まあ民間がやるんだから三〇%までは無理ないなと思うんですが、何と七〇%というところもあるんですね。
 その初期償却って、じゃ、どういう性格のものかというと、入居したその日にホームの収入になる割合でございます。それを初期償却といって、二〇%、三〇%、五〇%としているんですね。そういうことがまず知られていない。
 実は、二〇〇八年、アエラのムック版「選ぶ介護」、これは私が監修しているんですが、このとき初めて、ここで八百四十のホームの償却内容を情報開示したんですね。要は、本当に情報開示ができていない業界でございます。
 ちょっとレジュメに戻っていただいて、次の二、三、四、これは国土交通省なんですね。特にこの二番の高齢者専用賃貸住宅、これがこれから増えてまいります。これもまた消費者が、ああ、だまされたと思ってクレームが出てくるだろうなという心配があるわけです。これは後でちょっと御説明します。
 そして、五番、生活支援ハウス。これはもう福祉の方で、福祉事務所です。
 六、七、八が三つ合わせて軽費老人ホーム。こちらも厚生労働省ですが、もう国はお金がないので増えません。
 次のページに行って、養護老人ホーム。これは年齢も介護保険も関係なく、昔からあるいわゆる老人ホームでございます。
 それから十番、認知症グループホーム。これも今全国でもう一万二百五十件、増えてはおりますが、厚生労働省が総量規制を掛けている関係でなかなか思うように増えない、そして入りたくても入れない人が待っているという状態です。
 次の十一、十二、十三、これがさっき申し上げた施設サービスになるわけでございますね。
 ということで、こんなに、十三種類もホームがあるんだよ、仕組みはあるんだよということはほとんどの方が御存じない。
 その次の四ページに行っていただいて、じゃ、これから増えてくる高専賃、高齢者専用賃貸住宅と今まである介護付有料老人ホーム、どう違うのと。同じ特定施設でありながら、こんなに違うわけでございます。
 まず、権利が違う。それから、管轄しているお役所が違う。認可が必要なものと全く必要ないもの。サービスの中身も違う。手続も違う。保証人が要る要らない。もう本当に違うんですね。
 実は、今年の二月一日に、浅草の浅草寺の横にも大手さんがこの高専賃を造りました。一時金がないから気軽に皆さん御利用にはなりますけれども、外廊下なんですね。ですから、雪が降ったら寒い。それから、有料老人ホームにはリズムセンサーというのがあるので、十二時間水を使わない、あるいはトイレに行かないと自動的に職員が駆け付けてくれるというシステムがあるんですが、高専賃はそれが付いていないので、結局普通のマンション、ただ賃貸だよ、断られないよというだけであって、結局孤独死の心配もあるわけですね。
 ところが、有料老人ホームも高専賃も両方ともそうなんですけれども、どうしても営業マンはいいことしか言わない、説明が十分でないので、それでクレームが多い。そこをきちっと説明している人は、じゃ、一体いるのというと、現在はいない状況なんですね。
 それで、その次のページに行きまして、有料老人ホームに入居する高齢者の背景、じゃ、どんな人が有料老人ホームに行っているのと。
 そもそも今、有料老人ホームってどのぐらいあるのということなんですが、実はもう現在、全国で四千六百二十三件も有料老人ホームございます。これが、介護保険が始まった年、二〇〇〇年ですよね、二〇〇〇年はたった二百七十八件です。そして、一年ごとに百件、二百件、三百件と増えていって、二〇一〇年で四千六百二十三件。
 これはますます増えます。なぜかというと、在宅サービスの中のサービスなんですね。施設サービスじゃないんですね。在宅サービスはこれからも厚生労働省がどんどん増やしますので、有料老人ホームはどんどん増えていくわけです。
 ここで、自立の人はちょっとおいておいて、介護専用型、真ん中ですね、に入居する高齢者の背景というところで、在宅介護に限界を感じて入居。結局もうせっぱ詰まって、家族が入院しちゃう、あるいは認知症の進行が進んでしまって問題行動、包丁を振り回して、一緒に暮らしていられないといって家族が逃げてきたとか、もう本当に悲惨な状況でございます。
 それから、長期入院ができないので退院を迫られて、もう独り暮らしだから自宅には帰れないという方。
 それから、介護だけじゃなくて医療的ケアが必要だけど、もう病院は置いてくれない。例えば病院に行きますと、すぐに足が弱って歩けなくなる、それから筋肉が衰えますから嚥下力というのがなくなって飲み込めなくなると、すぐに病院では胃瘻というのをつくります。胃に穴を空けて直接流動食を流すんですね。病院では、その手術をして、そして退院ですよと。もう本当に、退院と言われたって、じゃ、どこに行ったらいいのといってみんな泣き付いてくるわけですね。
 それから、妻に先立たれた男性で家事能力がない高齢者、その方たちはやっぱり介護専用型でないと家事ができないので困るということですね。それと、特別養護老人ホームに申込み順番を待つ高齢者、もうこれは本当にたくさんいらっしゃいます。
 それから、自宅で見てましょうといって御自宅で見ていたんだけどやっぱり無理よというのが、次の在宅から施設へ移る理由。自宅のおふろに入れなくなったとき、それからかぎの管理ができなくなった。
 これは不思議に思われるかもしれませんが、認知症というのは、家族が一番分からないんですね。一人でお母さんが暮らしていて、お嬢さん、息子さんと電話で話している、その電話だけでは認知症は気が付かない。
 でも、ある日お嬢さんが自宅に行ってみたらホームレスが住み込んでいたという、実際にそういう問題がございました。お母さんは既にもう認知症になっていて、かぎの管理ができないんですね。ですから、開けっ放し。大きなお屋敷で独り暮らしで開けっ放しですから、ホームレスがすきを縫って住み込んでいたんですね。お母さんが昼間いるときは寝ている、お母さんが寝ると起き出してきて、冷蔵庫のもので御飯も作って、おふろも入って住んでいたと。もう本当に不思議なような本当の話がございます。
 それから、ぼや騒ぎを出したとき、これはもう御近所に迷惑で、また自宅には帰れなくなっちゃうんですね。
 そういうことで、現在、老老介護、認認介護が本当に深刻な問題になって、それで皆さん有料老人ホームを御利用になっているということです。
 老人ホームだけではなくて、高齢化が物すごく進んでいるということで、次のページでちょっとすばらしい取組を御紹介したいと思います。
 地域コミュニティーが果たし得る役割ということで、二つの事例。
 一つが、武蔵野市が始めているテンミリオンハウス。実は武蔵野市というのはとても福祉が進んでおりまして、いわゆるリバースモーゲージ、それを福祉公社でやっていました。何名かの方が利用されて、その親御さんが亡くなったときに、その自宅を担保にして福祉公社のサービスを受けていたので、自宅は武蔵野市のものになったわけですね。その武蔵野市になった自宅を利用して、一年間テンミリオン、一千万補助金を出して、そしてそこがミニデイになっているんです。
 普通のデイサービスですと、今全国で六万件以上あるんですが、やはり介護保険の制度の中なので、できないこととかいっぱいあるわけです。制約があるわけですね。その制約を全部取っ払ったミニデイなので、とてもすばらしい活動でございます。こういうものがやはり全国にあると、高齢者が生き生き暮らせるんではないかなと思います。
 それから二つ目、八王子の介護サービス訪問ふれあい相談員。これはボランティアの一つではあるんですけれども、やはり専門家の研修を受けて、そして登録をして、いわゆる介護事業所を利用している認知症の方あるいは介護が必要な高齢者のお話し相手として出向くという制度でございます。
 私は今、東京都の第三者評価で、毎年、グループホーム、特別養護老人ホームの評価で歩いていますので、この制度は是非どの行政も早速まねしていただきたいと思うんですね。
 なぜかというと、どうしても密室介護になるんですね。そこに第三者が入るだけでとても風通しが良くなるということと、それから認知症あるいは介護が必要な高齢者もとてもお喜びになります。確かになじみの職員ではあるけれども、やっぱり社会性が欲しいわけですね。そこが幼児と高齢者の大きな違いでございます。
 そこで最後に、提案事項のページに行きますが、実は私がいろいろ仕事をしている中で、十三年この相談を受けている中でつくづく感じることでございます。
 一番が介護保険制度の講習会。私は今、実は大手企業に出張サービスにも行っているんですね。そして、予約を取って出張して、まず何の相談、いろんな相談ある中で、えっと思うのが、母親をデイサービスに行かせたい、日中独居だから行かせたいんだけど、どうやったらデイサービス利用できるんですかと。そんな簡単なことまで予約を取って相談されるんですね。
 というのは、なぜそうなってしまうかというと、市区町村で「介護保険のしおり」というのは確かに出しています。出していますけれども、それを読んだだけでは利用方法が分からない。
 ということで、ここで提案しているのは、まず六十五歳になると認定が空欄の介護保険証が送られてきます。送られてきただけで、そしてそのしおりを読むだけでは駄目なんですね。ですから、是非、これから六十五歳になった方たちに五年に一回講習会に出ていただきたい。
 読むだけでは分からないので、一ページ目で私が皆様にお示ししたサービス、一番から六番までいろんなサービスがありました。どうやったらサービスが利用できるのか、また内容はどういうサービスなのかというのを、是非その講習会で実例、それからロールプレイを入れて受けていただきたい。法律改正五年ごとにありますから、それも五年に一度必ず受けていただくということを提案したいと思います。
 二番目、高齢者住宅に関する相談員を育成し、役所に常駐する。これが本当に、私の仕事ではあるんですが、本来は公的なところでする仕事だと思うんですね。それがないから私がしているんであって、ですから、是非、最低今日のものです。介護保険の利用の仕方、サービス内容。それから、同じ訪問介護でも身体介護と生活援助では料金が半額なんですね。身体介護が四千四十円だとしたら、生活援助は二千二百円です。そういうことも知らないわけです。
 ですから、そういう具体的なことを相談できる、しかも構造的に、制度も具体的なことを盛り込んで、一人ずつ相談したら相談を受けてくれる、そういう相談員をこれから育成して、そして、市役所、区役所、都庁、要は行政の窓口に必ず置いていただきたいと思うんですね。消費者センターは、あそこは苦情受付だけなので、また役割が違います。
 そして、現在は厚生労働省の独立行政法人福祉医療機構が運営しているサイトにWAMNETというのがあるんですね。そのWAMNETに全国の介護事業所が入ってはいるんですが、普通の方がそれを利用して探そうと思ってもできないんですね。というのは、エンドユーザーの人が利用するようにできていないんです。
 ですから、まず相談窓口で相談できる職員の育成ですが、その次に、そのWAMNETをもうちょっと利用しやすく変えていただきたい。これは、今までの高齢者はほとんどがインターネットを使っていません。子供や孫に頼んで調べている。でも、これからは高齢者その人がインターネットで探す時代にもうなります。ですから、WAMNETを、十年たちましたので、是非エンドユーザーが利用できるWAMNETに直していただきたいと思うんですね。これはすぐ予算さえ取れればできることです。
 三つ目が、デイサービスの二次利用です。ここにも書きましたように、一月二十九日に、子ども・子育てビジョンがまとまりまして、その中に放課後児童クラブの増設というのがありましたが、具体策は何にもまだないわけです。
 そこで、デイサービスの二次利用でございます。今全国でデイサービスが六万以上あるわけです。それを全部利用するとは言いませんけれども、その中で利用可能なところであれば、高齢者は十時―四時でいなくなるんです。送迎車が九時に迎えに行って、そしてまた四時にまた送迎車で送りますので、デイサービスは九時―五時なんですね。
 ですから、その五時から八時、さっき、前半の御説明は保育の問題でしたが、私は学童でございます。小学生、みんなこれからはお母さんも働く時代ですから、お母さんがもう残業ができないんですね。ですから、少しでも充実してお仕事をしていただくために、残業ができるように、それにはこのデイサービスの二次利用はとっても、私は、すぐもう、デイサービスがある、車もある、そうすると子供を送ることもできるということで、このデイサービスの二次利用は是非検討していただきたいと思います。
 その辺に関しての内容は余り規制を強くなさらないで、その運営主体が好きなようにやった方が、やはり子供にとっても魅力的なものができるんじゃないかなと思います。
 どうもありがとうございました。
#9
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどに終了させていただきます。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。
 また、一回の質問時間は答弁及び追加質問を含めまして最大十分とし、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べください。
 それでは、質疑のある方は挙手願います。
 岡崎トミ子君。
#10
○岡崎トミ子君 今日は参考人の皆様に、私たち、日ごろから少子高齢化とそしてコミュニティーの役割ということでたくさんの悩みがあった、そういうことについて新しいアイデアをたくさんいただいたというふうに思っております。本当にありがとうございました。
 最初に、西郷参考人にお伺いしたいと思います。
 孤立やそして孤独感に対してホームスタートは非常に有効なアプローチをされているということで、感銘を受けました。地域による子育て支援の役割が実態的に大変低下しているということから、やはり孤立あるいは孤独感をサポートするということは大変重要なことだというふうに思っております。
 ただ、元々他者から支援を受けにくいという、慣れていない、あるいは得意でないという方々が孤立や孤独感を深めていくわけなんですけれども、そうであるとすれば、どういうきっかけでホームスタートのサービスを必要とするその提供を受けることができるのかというのが大事になってくると思いますが、どういうきっかけでサービスを受けるようになりますでしょうか。
 それから、傾聴と協働ということを主な活動としていらっしゃいますけれども、親子とボランティアの間には一定の距離感が必要だというふうに思うんです。例えば、何もかも手伝えるわけではないということを事前に伝えなくてはなりませんし、一方でボランティアの方々も、口を出したくなるけれどもここは少し我慢をしなければいけないというケースもあると思うんですけれども、そういうルール化というものがあるのかどうなのか、お聞きしたいと思います。
 家庭訪問型というのが基本でありますけれども、もし外に向けて、地域に向けて、地域社会に入っていくにはという場合には行政のサービスを受けるように促すようなことはあるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
#11
○参考人(西郷泰之君) 三つ御質問いただきまして、ありがとうございます。
 一つ目の利用のきっかけですが、これはイギリスでも日本でもそれは大変な手だてというか工夫が要りまして、例えば日本の場合ですと、乳児家庭全戸訪問事業で訪問をした家庭で、その訪問した人と親御さんとの信頼関係で利用に至るとか、それからあと、地域子育て支援拠点を利用していて、その地域子育て支援拠点のスタッフとの関係、信頼関係で親御さんが利用するとか、あとは、広報が行き渡っていくと、まだそこまで行っていませんが、日本の場合は、行き渡っていくとお母さん自身からの申込みというのも、イギリスの場合ですと四分の一ほどあったりします。
 私は、まさにその掘り起こしというところについては、ホームスタートはいろんな関係機関との連携をして様々な情報をもらって、そこから情報をいただいた方について支援をするということなので、要は、議員がおっしゃるように、そういう情報を得ること、ないしは利用に至るような信頼関係を持つ人をつくることというのがとても大事になってきていて、それはホームスタートだけでは到底できないわけなので、それはそれできちんとつくらなければいけないかなと思っています。
 イギリスの場合は、極めて助産師さんが、出産後、もう直後、翌日から家庭に帰りますから、そこにかなり頻繁に入っていますので、助産師さんとお母さんとの信頼関係、御家族との信頼関係が高いので、助産師さんからの紹介という極めて太いパイプがあるんですが、日本の場合は様々なパイプを使ってという形にならざるを得ないというのが現状です。
 それから二点目の御質問ですが、活動上のルールについては、訪問するボランティアの人たちについても八日間の研修を日本でもやっていまして、基本的には傾聴なので、要は指導とか示唆とか指図とかいうことはしないとか、聞かれたらそれは当然話しますけれども、要は傾聴なので、こちらから余り発言をしていかないということを基本姿勢にしています。
 守秘義務とかについても基本的なルール付けをしたりとか、先ほど申し上げたように、虐待とかDVの場合はとりわけ別ですよとか、それから利用家庭が勘違いをして、ヘルパーさんと勘違いをされたりとか専門家と勘違いされてしまう場合もあるので、そういうことはありませんよとかいう事前の説明も、オーガナイザーの人が事前に行って利用家庭と話をしてくるという形。
 そして、ちょっと繰り返しになりますが、ボランティアの研修でも、ボランティアの人たちがそこら辺の段取りないしはやっていけないことなどもきちっと理解して伺うという形になっています。
 そして三つ目は地域資源へのつなげ方ですが、まさにそれが役割だというふうにも認識しています。つまり、ホームスタートがあれば世の中すべて良くなるはずもなく、例えば地域子育て支援拠点がとても社会的にも人気だし、利用者からも評価が高いし、その効果についても調査などで明らかになっています。
 例えば、ああいう地域子育て支援拠点を利用できるようにするとか、ですから、そのためには一緒に地域子育て支援拠点に行って一緒に遊ぶとか、そういう地域資源を紹介したりとか地域資源を一緒に利用したりとかいうことを積極的にして、要は何か月もボランティアが行くということではなくて、極めて短期的な支援になりまして、二か月とか三か月とか、それより長い場合は既存の社会資源を活用した方が有効である場合が多いということも経験的に分かってきているので、どちらかというと、言い方を変えると、そういう地域資源をより活用できるように活動しているという言い方もできるかもしれません。
 ありがとうございました。
#12
○岡崎トミ子君 ありがとうございました。
 駒崎参考人にお伺いいたします。
 参考人は働き方革命を訴えていらっしゃいます。無駄な長時間労働をやめて、その時間を家庭とか地域とか自分のために使うことで、行き着くところは共生社会を目指そうという、そういうことだというふうに思います。民主党も仕事と家庭の両立支援に力を入れてまいりましたが、重なる問題意識だというふうに思っております。
 その育児の支援につきましても子ども手当ばかりがクローズアップされておりますけれども、元々広い意味で子供を育てるという、社会的なインフラを整備することを両輪として考えてきたわけですが、社会起業家としても注目を浴びていらっしゃる駒崎参考人について、その社会起業家とは何か、行政のトップではなくNGOでもNPOでもない、社会起業家ならではの社会への貢献は何だというふうにお考えでしょうか。
#13
○参考人(駒崎弘樹君) 御質問、誠にありがとうございます。
 そもそもこの社会起業家というのはイギリスが発祥です。ソーシャルアントレプレナーという英語をそのまま日本語に訳しただけなんですけれども、イギリスあるいはアメリカでは、レーガン政権あるいはサッチャー政権において大きな政府から小さな政府へということで変換を遂げました。というのも、政府の借金が、今日本もそうですけれども、非常に膨れ上がりまして、これは何とかしなくてはいけないというようなところから、政府の役割というのを縮小し、民間でやれるところは民間でやっていこうというような変貌を遂げました。
 そこにおいて、これまでのNPOは連邦政府あるいはイギリスの政府の補助金にある意味おんぶにだっこなところがありまして、補助金で食べていたと。そういったところがばたばたとそうした改革に伴って倒れていったというところの反省から、座して補助金がもらえないから死を待つのみではなくて、自ら経済的自立を果たしながらビジネスの手法を使って社会的課題を解決していこうというふうにNPOが体質転換してきました。NPOからソーシャルビジネスへという流れが英、米、ヨーロッパではあったわけですね。そこから社会起業家というのが生まれてきました。
 ここ四、五年で日本でもその流れというのがありまして、これまでNPOというと、やれ補助をくれとか、そういったある種の陳情を国に対して行うというような色合いというのが強かったんですけれども、昨今のNPOはそうではなく、国を助けて国を頼らずというところで、自ら寄附やあるいは事業によって経済的自立を果たしながら地域の困っている人々を助けていこうというようなところで変わってきているということを是非皆さんに知っていただきたいなと思います。それらが私は新しい公共ではないのかなと。
 これまで官が公共サービスを担っていたところから、そうではなく、民間の、あるいは国民自らが公を担う、そうした気概とそして行動というものが新しい公共という新しい考え方を下支えするのではないかなというふうに思っております。
#14
○岡崎トミ子君 ありがとうございます。
 質問時間十分ですよね。そうですね。
#15
○会長(田名部匡省君) はい、十分です。
#16
○岡崎トミ子君 中村参考人、済みません、終わってしまいましたので。
 ありがとうございました。
#17
○会長(田名部匡省君) 丸川珠代君。
#18
○丸川珠代君 自由民主党の丸川珠代でございます。
 私は東京都選出でございまして、今、西郷参考人がお持ちくださった地図を見て、あっ、あそこもそうなんだというような気持ちで拝見をさせていただきました。
 屋外型拠点の量的な整備というのは本当に大賛成の意見でございまして、特に東京のようなところは遊びを工夫できるような公園というのは本当に少ないなと思いますので、できることはやってまいりたいなと思っております。
 そんな中で、御提言の中に、遊び場にプレーワーカーが必要だというようなことを書いていらっしゃいますが、野山で遊んで育った者からすると、なぜプレーワーカーが必要かというのがどうしてもぴんとこないものですから、その点を是非ちょっと教えていただきたいと思います。
 続きまして、駒崎参考人にお伺いをいたします。
 非常に実態に即した御提言をいただきまして、ありがとうございます。駒崎参考人の病児保育へのお取組というのは本当に画期的で、施設にこだわらないという考え方は、これからの人口の減少の時代に自治体にも非常に取り組みやすい方向性ではないかなというふうに思っております。
 そうした中で、今度の豊洲でお取り組みになる施設について、保育者が替わることで子供たちが不安を覚えるということがありますが、この点にはどういうふうに御対処されるつもりであるのかということが一点。
 それから、保育産業の中に様々な主体が入ってくるときに我々がいつも懸念するのが、責任をしっかり果たしてくれる事業者もいれば、突然保育所を閉めてしまうような事業者というのもおりまして、私の友人も実際に、ある日、子供を連れていってみたら張り紙がしてあって、だれもいなかった。もうその日から預ける先がなくなって、どうしたらいいのか分からないと。仕事もしておりましたので、大変困った経験があると。
 こういうような事態も発生いたしますが、そういう中で様々な事業者の参入というものをどういうふうにお考えになるのかという点。
 それからもう一点は、仕事を生活の中心にしないという働き方は確かに多くの若い方々の間には十分浸透してきていると思いますが、一方では、駒崎参考人のように生産性の高い仕事をしておられる方々ばかりではございませんで、企業の側からすると、やはり高いお給料を払う人には目いっぱい働いていただきましょうと、一方で、代わりができる仕事は細切れでもいいから安いお給料でやっていただきましょうというようなことがございます。
 これが現実かと思いますが、これはグローバルな壁であろうかと思いますけれども、こうしたものにどのように立ち向かうことによって日本の働き方を変えていくということを現実に進めていこうと思われているのか、この点を教えてください。
 続いて、中村参考人にお伺いいたします。
 独居あるいは独身の高齢者が増えることに伴って、高齢者の貧困ということに注目が集まってきているかと思いますが、今挙げていただいた、御説明をいただいた中村参考人御専門の介護のサービスの中における格差との関連というものについて少しお話をいただけますでしょうか。
#19
○参考人(西郷泰之君) プレーワーカーについてのお尋ねでございました。
 何か先ほど来、イギリスの話ばかり出てきて恐縮ですが、プレーワーカーはイギリスでもプレーワーカーという言い方をしていまして、日本でいうと児童館の職員のような形、方たちですけれども、そのプレーワーカーの方たちが、例えば先ほどの、家庭を訪問して家庭で遊びを親に指導するということまでプレーワーカーがやっているということで、ちょっと日本のプレーワーカーと意味合いが大分イギリスの場合は違ったりします。
 とりわけ、この冒険遊び場でなぜ野山があるだけじゃ駄目なのかと。もうそれはおっしゃるとおりでございまして、私も実は代官山の近くで生まれ育ったんですが、あそこはかなり大きな、今は公園になっていますけれども、野原がありまして、そこで走り回って遊んでいたので、そんなところに邪魔な大人はいてほしくないと思った立場ですから、そういう意味ではおっしゃるとおりかと思います。
 ただ、時代状況が変わってきているのかなと思っています。というのは、その当時は、やはり自分の仲間の中には年長者がいて、年長者が遊びのロールモデルというか、こうやって遊ぶといいとか、ここが面白いとか、様々な、ここは危険だとかいうのも含めて教えてくれていたわけです。ですが、そういう遊びのロールモデルがないと、公園だけあっても遊べないというのが今の実態かと思うんですね。
 今、公園はかなり整備がされつつありまして、整備されていないところもあるかもしれませんが、公園自体はあって、でもそこで子供が遊んでいるかというと遊んでいないという事実があります。そこで、子供たちが公園で遊べるようにするためには何かきっかけづくりをしなければいけない。別に遊びの指導とか遊びを組織化してとかということではなくて、きっかけづくりをして、基本的には子供たちが自主的に主体的に遊ぶと。
 ただ、外で遊びなさいと言われても、じゃ、どうすればいいのかというのが分からないのが今の子供たちですから、まあとにかく、じゃ、穴を掘ってみようとか。穴を掘るだけでも楽しいわけです。普通の公園では火はたけませんけれども、火をたくだけでも楽しいですよね。そういうことだけでも楽しいんだよということをやってみせると、子供たちはもうどんどんどんどん遊びを発展させますから、そこから先はプレーワーカーは最低限の安全だけを確保するという形で活動するという形になるかと思います。
 そして、基本は子供主体で、子供の声に耳を傾けながらということなので、あくまで子供の指導者ではないと、指導者として立ち現れるわけではないということをお伝えをしておきたいなと思います。
 よろしくお願いします。
#20
○参考人(駒崎弘樹君) 御質問、ありがとうございました。
 まず、豊洲の新しいおうち保育園で保育者が替わることで不安ではということなんですが、こちらの方、私の説明がちょっと不足しておりましたが、実は保育者は替わりません。
 基本的には担任の先生でずっと一年間見ますが、例えば風邪を引いちゃったとか、時々、例えば何か体調が悪くてお休みしたときに、私どものフローレンスの方から、たくさん保育者がいますので、派遣して代替要員をカバーするというような仕組みになっていますので、通常は三人決まった人が助け合いながら、だけれども、担任の先生として三人の子供を専属で見ています。だけれども、時々お休みしちゃうときには代わりの先生が行くというような仕組みになっているので、そんなにしょっちゅう入れ替わり立ち替わり保育の先生が替わってということではございません。
 一方、先ほど丸川先生がおっしゃられたような、いろんな主体が入るとその責任の主体はどうなるんだと、中にはいいかげんな株式会社があってつぶれちゃって子供があぶれちゃうじゃないかというこの議論は、非常にこの保育業界ではよくあるお話でございます。
 そこで、少し参考にしていただきたいのが医療や介護です。基本的に医療や介護では、保育の世界と違って参入は保育よりはとっても自由です。どこに病院を開業しようといいですし、あるいはデイケアセンターをどこで造ろうとそれ自体は構わないという形になります。しかし、保育の業界では配給制なわけですね。行政がどこに認可保育園を出すか全部決めて、公募して、ここでやってください、このようにやってくださいというふうな形を取ります。
 これは、どっちがいいかという話なんですけれども、現状だと、この配給制がゆえに待機児童というのを生み出しているというような状況において、少しでも待機児童問題を解消するためには、やはり需要と供給のマッチングを効率的に行う必要というのは出てきます。ですので、ある程度の市場原理というのを入れないといけません。
 だけれども、その市場というのがもう完璧に市場だと、お金を持っている人は保育園に入れるけれども持っていない人は入れないというふうになってしまうので、介護や医療のように、準市場という言い方がありますけれども、税金をつぎ込んで、もう値段が決まっていて、ある程度、お金持ちも持っていない方も入れますよというような、いいサービスが受けられますよというような形にする。だけれども、やぶ医者は淘汰されたりとか、あと質の低い介護事業者が淘汰されるような仕組みというものをつくらなくてはいけません。
 ちなみに、保育園というのは、皆さん御存じかと思いますが、第二次大戦で父親を失った、兵隊として父親を失った母子家庭の子供を預かるために生み出された、そういった施設です。ですので、完全に福祉の施設だったんですね。だけれども、一九七〇年代以降共働き世帯数が増え、そしてこの十年間でそれが逆転し、今では働く御家庭の方が当たり前のようにもうなっています。ということは、社会サービスになっています。
 ですから、この社会サービスを支えるためには、ある程度の供給体制というものをきっちりつくらなくてはいけない。だけれども、旧態依然とした保育の業界のままであるということが、これが問題のもう極めて中心にあるところです。
 ですから、私としては、来るべき二十一世紀を支える保育の仕組みというのは、そのような抜本的な改革というものが望まれる。そこにおいて、確かにいろんなところが参入してくるとつぶれるところもあるでしょう。だけれども、それに関するセーフティーネットの法律をきちんと作れば、それは対応可能です。
 例えば、ある事業者がつぶれたとしたら、そうしたらすぐに役所がそれを一時期公立化して運営して、その後、また公募に掛けてそこを民間に手渡していくというような、ある種のスキームが今はないんですね。ですから、あっ、つぶれちゃった、どうしようみたいな感じになってしまう。だけれども、それがスムーズに移行できるような法的整備さえできれば、そうしたことがあったとしても対応可能になるわけです。
 ですから、頭の使い方次第ですというふうに言いたいなというふうに思います。
 最後に、働き方をどう変えるかというようなお話ですが、皆さんも御案内のとおり、労働人口というのは非常に減っております。今から二十年後、二〇三〇年には労働人口は八〇%、今の八〇%までに減少します。これは、十一人でやっていたサッカーを九人でやってほかの諸外国と戦っていきましょうというようなことと同じになるわけですね。
 一方、高齢者、増えております。先ほど介護のお話がありましたが、二〇五〇年には高齢者人口、人口に占める高齢者の割合、四〇%以上になります。人口の半分近くが高齢者になる。同時に、働く人は減っていく。じゃ、社会保障はどうなるんだというような状況になりますよね。
 そうしたときに、一二〇%仕事で打ち込めるというような人しか働けないとなると、これはもはや無理なわけですね。なぜならば、介護も当たり前のものになりますし、また子育てもしなくてはいけない。そうした仕事とXを両立できるような働き方というのが当たり前にならなければ、我々のライフスタイルというのは破綻してしまうというのは既に明白です。ですから、我々は働き方を変えなくてはいけません。
 だけれども、国がそれに明確な政策を打っているかというと、例えば私、一昨年、福田首相に呼んでいただき、社会保障国民会議に出させていただきました。そこで、じゃ、どんな政策が打たれたかというと、カエルキャンペーンということで、カエルのマスコットで、カエルのワッペンとかをここに張ったりして、働き方を変えるというのと早く帰るというのを掛けて、これで国民を啓発していきましょうというようなキャンペーンが内閣府からなされていた。確かにカエルはとてもかわいくていいんですけれども、それで我々の働き方が変わるかというとなかなか厳しいものがあるというふうに思います。
 ですから、今、割と世界的な不況になって下火になってしまっているワーク・ライフ・バランスの議論なんですが、是非、内閣府を中心にしてもう一度その話合いの場、そして有効な政策の場をつくっていただきたいなというふうに思いますし、また、諸外国ではフレキシキュリティー政策、特にデンマークではされています。これは、フレキシビリティーという言葉とセキュリティーという言葉を掛けている政策です。
 どういうことかといいますと、フレキシビリティーというのは、労働条件をフレキシブルにしましょう、つまり解雇というのを容易にできるようにしましょうと。その代わり、失業しても全然オーケー、全然困りませんよ、セキュリティーですね。失業したとしてもきちっと失業者にお金が払われて勉強ができる、あるいはいろんなスキルを身に付けられる、そしてまた労働市場に再参入できるというような政策パッケージがフレキシキュリティー政策というふうに呼ばれていて、北欧などでは取られています。
 日本では、解雇等々の流動性というのは非常に低い、一方で、一度そこから漏れてしまったらセキュリティーがないというような状況になっています。もちろん失業保険はありますが、生活保護も必要とされている人の三割にしか出されていなかったりします。
 そういった意味で、じゃ、労働政策においてどのようなビジョンでいくのかというのをもう一度、いま一度考えていただいて、正社員の雇用をがっちり守ります、確かにいいでしょう。だけれども、それのみだとやはりこの働き方を変えるというところにまでは行きませんので、そこの部分でもう少し柔軟な働き方、具体的に言えば、労働基本法のところにも踏み込んで、ある程度いろんな働き方を包摂するような法体系にしていくというのが非常に重要じゃないかなというふうに思いますので、そこら辺をお考えいただけたらなと思います。
 どうもありがとうございます。
#21
○参考人(中村寿美子君) 高齢者の貧困についてお答えしたいと思います。
 実は、もう既に介護のこの有料老人ホームの事業でも貧困ビジネスということがうたわれております。そして、介護保険が始まったときからこの問題は出てきているわけですけれども、日本の今格差と言われているいろんな分野で、私はこの高齢者の世界が一番格差が大きいと思っています。それから、団塊の世代で男性の一二%がシングルというデータを見たことあるんですが、その方たちが介護になったとき、これが一番問題じゃないかなというふうに思います。
 そして、そこにもう早くも目を付けた企業さんが、お医者さんがありまして、有料老人ホームではあるんだけど、一時金がなくて月額払い方式で、今もう全国に百五十以上の有料老人ホームを展開している企業さんがあります。その百五十のホームに入居している方の二割から三割は生活保護の方なんですね。要は、生活保護を利用していただいて、介護保険と両方で成り立つ、そういう事業を行っている。その方が成功されているものですから、それをまねしてこれからもそういう事業所さんが増えてくるだろうなというふうに私は見ています。
 それから一方で、昨年、無届けホームたまゆらが火災を起こして問題になりましたが、ここで厚生労働省に再度お願いしたいことは、実は、今、特別養護老人ホームは全国で六千二百五十件ぐらいで、有料老人ホームが四千六百二十三件、これは五年後、十年後、多分逆転します。そうしたら多くの人が有料老人ホームを利用するようになるのに、厚生労働省はほったらかしなわけですよね。
 老人福祉法の中に法律的な定義は作ってはあるけど、介護保険もそうです、制度をつくったけど運営は民間に全部投げて、そして問題が起きたときだけ、例えば私が関係することでは、コムスンさんが三年前廃業になったとき、そういうときだけ問題を大きくして、ふだんはもうほったらかしというのが実は有料老人ホームの業界でございます。
 ですから、そこをもう少し、国としてもどういうふうに今後、十年、二十年後、三十年後の介護のグランドデザインをどうかくのかと。実は、平成元年にゴールドプランができまして、その後、新ゴールドプランができまして、その次にゴールドプラン21というのができて終わっちゃっているんですね。その次のプランが何もないんです。今年は法律改正二回目ですけど、自民党から民主党に替わったということもあって、ほとんど見えてきていないわけなんですね。だから、その貧困ビジネスだけを考えるんじゃなくて、やっぱりグランドデザインをもう一度描き直さないと私は大変なことになると思います。
 それから、人材の問題も、人材がいないいない、そして、人材がいないがためにフロアを開けられないというホームも実際にあるんですね。何てもったいないことかと思うんですけれども。その辺も、ですから、国としてどうするという政策がないのでなかなか充実してこない。貧困ビジネスを含めて、私は、もう一度ここでやり直さないと、介護保険も医療保険と同じことになるんじゃないかという気がしています。
 それから、多くの相談を受けていて感じることですけれども、現在シングルでそんなにたくさんの年金がない方たちに私がどういう答えを出しているかというと、じゃ、もう都落ちしてくださいと言うしかないんですね。どうしても、東京、神奈川、要は首都圏に暮らしていると人件費も高い、食費も高い、家賃も高い。
 だから、例えばそれが四国とか九州とか行っていただくと、もう家賃は三分の一、四分の一、人件費も半分ぐらいということで、一か月に掛かる生活費そのものがもう半分で済むわけですね。これが多分極端にいくと、じゃ、もう外国に行ってくださいということになってしまうんじゃないかと。そうならないように、やっぱり国としてもう一度デザインを考え直さなきゃいけないんじゃないかなというふうに感じております。
#22
○丸川珠代君 ありがとうございました。
#23
○会長(田名部匡省君) 鰐淵洋子君。
#24
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
 今日は、三人の参考人の皆様、本当にお忙しい中、また貴重な御提言等をいただきまして、ありがとうございました。
 私の方からそれぞれお一人ずつお伺いしてまいりたいと思いますが、まず西郷参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどの御質問にちょっと重なる点もあるかもしれませんが、やはりこのグレーゾーンの方をどう見付け出すのか、探し出すのかと、一番そこがまず大事になってくるかと思うんです。
 その上で、次の課題として、そこの御家庭というかその親子のところにどう入り込んでいくかという、やはり最近は本当にもう近所付き合いさえも難しい中で他人がその一つの家庭に入るというのは本当に大変なことだと思うんですけれども、そういった多分御苦労とか課題もあると思うんですけれども、そのほかにもし、こういった課題とか含めて、こういったこと、今課題であるということがありましたら、是非教えていただきたいと思います。
 あわせて、そういった入り込むというか、かかわっていく上でこのオーガナイザーの方の役割も大きいと思うんですが、こういったオーガナイザーの条件とかまた養成内容ですね、具体的にどういったことを注意されてというか、どういった養成をされているのかということをお伺いしたいと思います。
 次に、駒崎参考人にお伺いしたいと思います。
 二〇〇八年だったと思いますが、港区の方に視察に行かせていただきまして、ありがとうございました。
 基本的に、やはり駒崎参考人のような男性というかお父様が増えるといいなというのが率直な感想で、今日も改めて、いろいろ資料をいただきながら、またお話を伺いながら思いましたけれども。
 ちょっと具体的にお伺いしたいと思うんですが、これから衆議院の方でも子ども手当のいろいろ審議が始まると思いますし、これからまた参議院にも入ってくると思うんですが、そういった中で、この現金給付と現物給付のバランスについて何かちょっとお考えがあれば伺いたいと思うんです。
 私もちょっとまだ全部、例えばフランスとかイギリスの状況を全部分かっているわけではないんですが、そういったヨーロッパに比べて、やはり日本はどちらかというと現金給付のが多いというか優位になっているという状況があると思うんですけれども、このバランスについて何か具体的にというか、お考えがあれば是非ちょっとお伺いをしたいと思います。
 最後に、中村参考人にお伺いしたいと思いますが、御指摘のとおり、やはり高齢者の皆さん、また御家族の皆さんに様々な情報提供していくということは大変に重要で、やはり今の状況ですと自分たちが聞きに行かなければ、調べなければ分からないという状況ですので、まずやっぱりそこも改善しなければいけないというのが一つの大きな問題であることを改めて実感をさせていただきました。
 それで、ちょっと具体的にこれもお伺いしたいと思うんですが、先ほども御指摘がありました例えば高齢者専用賃貸住宅、こういった住宅が増えるだろうと。しかし、これでは普通の住宅と一緒なので、孤独死とかそういった心配も残されているという、そういった御指摘もございましたが、そういったこれまでのやはり国の高齢者の住宅政策がどうしても介護、福祉と、また住宅政策、もう縦割りで分かれていましたので、やはりこの連携がすごくこれからますます大事になると思います。
 そういった意味で、今、品川の方で高齢者優良賃貸住宅とあと介護サービスが合築したそういった施設ができておりまして、私もそこをちょっと施設を視察させていただいたんですが、自分の住宅にいながらそういった介護サービスを受けられる、安心して生活できるという、そういった施設ができておりまして、今後一つの高齢者の住宅の在り方としてこういったものもいいんではないかと個人的には思ったんですけれども。
 これからの福祉・介護部局と住宅政策の連携というところで、是非もっとこうするべきだとか、そういった御意見とか具体的な御提案があったら、是非お伺いをしたいと思います。
#25
○参考人(西郷泰之君) 大きく二つの御質問をいただきました。
 一つ目ですが、入り込み方ということでございまして、日本の場合もそうなんですが、日本だけではなくて、私が詳しいのはイギリスなんですけれども、イギリスについてもやはりそう簡単にグレーゾーンないしは白の家庭に人が入るということは難しいです。
 やっぱりイエローとかレッドゾーンになってきますと、そこについては一定の、イギリスの場合ですと登録制度があって、全国ネットでその登録された子供たちについて、ないしは家庭についての情報が共有されて、どこに引っ越しても一定の支援ないしはこれまでの支援の状況が見えるという仕組みがあるんですけれども、ただ、そういう困難家庭になる前の家庭に対して入っていく有効な仕組みというのは多分世界中にないんじゃないかなと思います。
 ただ、先ほどちょっと申し上げたように、出産直後から、ないしは、本当ですとあれは出産前からですけれども、助産師さんがずっとかかわっているような仕組みとかいう、どの家庭でも頼りになる家庭外の第三者がかかわれるような軸となるような仕組みがないといけないのではないかとは思っています。そのはしりというか、それにつながる一つの方法として乳児家庭全戸訪問事業という事業がありますが、あれもこれからどんどん発展していってもらいたい事業かなと思っています。
 ホームスタートに限って言いますと、ホームスタートの場合は外からの紹介ということになりますから、紹介があったところで行くんですけれども、比較的いろんな方たちから紹介があって、当然必要な家庭にすべて入っている状況ではないんですけれども、家庭について訪問が行われていることから、親御さん御本人がちょっと来てほしいなとか、保健師さんとか、頼りにしている保健師さんとかから声を掛けられて、じゃ、ちょっと利用してみようかと思ってくださる親御さん。
 意外と日本は家庭に人を入れにくい雰囲気がありそうだということもよく言われますが、先ほど来のお話のこともあるんですけれども、介護保険制度のおかげもあって、やっぱり家庭の中で家庭外の人が活動をすると、支援をするということはあるんだということは、まあ子育て関係についてはほとんどされていませんけれども、そういう形態があるんだということは日本人は理解をしてきているので、まだまだ敷居は高いものの利用するようにはなってきてくださっているかなというふうには思います。
 それから、オーガナイザーの養成ですが、オーガナイザーについては、例えば社会福祉士でなければいけないとか保健師でなければいけないとかいう決めはありません。それは日本もイギリスも、そしてホームスタートに取り組んでいる二十か国の世界の国々もありません。
 ただ、じゃ、どうでもいいのかというと、そうではなくて、日本の場合ですと子育て支援についての経験がきちんと、十年とかあって、親御さんとかお子さんたちとのかかわりがきちんとできて、なおかつその活動の背景となる組織的な基盤もきっちりしているということなどを踏まえてオーガナイザーの研修に来ていただいて、二泊三日のオーガナイザーの研修を受けていただくんですが、当然そのオーガナイザーの研修を受けたからといって一人前のオーガナイザーにはなれません。
 ということなので、組織の立ち上げからオーガナイザーの研修、そしてオーガナイザーとして一度試行事業をやってもらうんですね。その試行事業をやってもらって、試行事業を終わるというとこら辺まで掛けて七段階支援の局面をつくってありまして、その七段階で様々な支援をしながらオーガナイザーが一人前に仕事ができるようにすると。
 そして、我々は東京に組織がありますから全国すべてを日常的に支援をするわけにいかないので、その近くのオーガナイザー同士の相互協力も位置付けていますし、それから、それぞれの地域ごとに専門家がいらっしゃいます。例えば、法律家もいらっしゃるし、ソーシャルワーカーもいらっしゃるし、保育士もいらっしゃる、保健師さんもいらっしゃると。そういう専門家たちによるアドバイザーグループをつくってオーガナイザーのバックアップをするという仕組みもつくったりして、安全な派遣、訪問を実現するような形になっております。
#26
○参考人(駒崎弘樹君) 御質問、誠にありがとうございます。
 現金給付と現物給付のバランスというようなお話ですけれども、日本は現金も現物も少ないというようなのが私の考えでございます。
 日本の場合、対家族支出と対高齢者支出を比べてみますと、つまり、子供に出されている支出と高齢者に出されている支出、これは二〇〇三年時点において一対十一です。これぐらいの差がありますよということで、決して、子供に割かれている予算が諸外国に比べて多いかというと、実は全く少ないというような現状を御理解いただきたいなというふうに思います。
 ですので、両方少ないということを前提に置いた上で、じゃ、いかにしてこれを望むべきレベルぐらいに上げるかという話なんですが、一つは、予算の関係もありますので、そんなに財源が物すごくあるわけではない中でパフォーマンスを高めていく、効率、生産性を高めていく考え方があろうかなというふうに思うんですね。ですので、現物給付というもののやり方というのを変えていきましょうということを御提案したいなと思います。
 例えば、子育ての分野でファミリー・サポート・センター事業というものがあります。これは行政がやるベビーシッターみたいなサービスなんですけれども、地域の預かりたい親と預けたい人をマッチングするというような仕組みなんですね。これは元々NPOがやっていたものを国の制度にしてやられて、全国でやられているんですが、これは半分が自治体直営でやっているんですね。そのうちの、残りの半分のうちの更に半分が準行政である社会福祉協議会でやられているんですね。これは何で民間でやらないんですかと、何で地域のNPOにやらせないんですかということなんですよ。
 皆さんも御案内のとおり、地域の社会福祉協議会、現場の方は頑張られていますけれども、たくさんの自治体の天下りの方々を受け入れていらっしゃる。そういった関係で随意契約って非常に多いです。現場でも、私はNPOをやっていますけれども、いつの間にか公募がやられていて、結局、社協に決まっていましたみたいなことというのはざらにあるわけですね。
 こういったところを開いていって、地域のNPOや、やる気のある住民組織がしっかり福祉を担えるというふうにしていかないといつまでたっても担い手というのは育っていきませんよということで、現物給付の質も上がっていきませんというようなことがあります。
 また同時に、補助の在り方、現物給付の在り方の中で、二つやり方があります。事業者補助と利用者補助というやり方があるんですね。
 事業者補助というのは、認可保育園みたいに、事業者にぼんと補助金をあげて、やってくださいねというようなやり方です。利用者補助というのは子ども手当のような形で、ある種、利用者に対してお金をあげて、それで、選んでくださいねという形を取ります。事業者補助は安定的にその事業者のためになって広がっていくんですけれども、同時に、成果と関係ないので、ある意味、全然成果出していないところにも補助金が投入され続けるというようなことが起き得ます。
 例えば、東京二十三区の某区ではお泊まり保育というものをやっているんですけれども、東京の下町のある区なんですが、そこでお泊まり保育をやっています。だけれども、泊まる場所というのは杉並区なんですね。年間の利用者数、二人です。これに五百万円が投入されているんですね、例えば。
 こういったことというのはざらにあるわけですね。事業者補助というのは、こういうことを生み出します。もし、一人当たり、預かり一泊二百五十万円ってすごいあれですけれども、そういう予算があるのであれば、もっとうまく地域福祉に対して使えるはず。こういったことが多々あって、現物給付の質というものを高めていくことによって、より少ない予算でより多くの人を助けられるということも可能ですということを是非言わせていただきたいなというふうに思います。
 と同時に、そのプレーヤー、その担い手たちがどんどんどんどん増えていかなくてはいけない。行政だけが地域福祉やっていちゃ駄目なんですね。西郷先生がやられているようなホームスタートのような、そうしたNPOがどんどん出てきて行政ができないところを担っていかなくてはいけません。そのときに、じゃ、補助をそこに全部付けていたらなかなか財政もたないわけですね。
 じゃ、どうするかといったときに、寄附控除です。きちんと、ああ、ホームスタート頑張っているな、フローレンス頑張っているなといったときに、民間の方が、じゃ、寄附するよということで、しやすいような制度にしなくてはいけません。
 今、日本のNPOは四万ありますが、そのうち寄附控除が受けられる団体は百に満たないんですね。〇・二%程度です。非常に狭められてしまっています。さらに、寄附控除が受けられますけれども、所得控除ということでたかが知れているんですね、メリットはそんなにない。
 それを欧米のように税控除、税額控除にするということによって、きちんとメリットがあるという形にすることによってNPOがどんどん活躍できて、そして民間から資金を調達する。決して自治体や行政におねだりするのではなく、きちんといいことをやって、それを民間の人に分かってもらって支持を受けて、共感がきっちりと集まって、それが寄附という形に変わっていって活動ができるというような仕組みにしていかないと、すべて行政が地域福祉あるいは少子高齢化のコミュニティーのお金を出していきましょうなんてことをしていたら、国家財政が幾らあっても成り立たないのではないかなというふうに思います。
 ですので、決め手としては、まとめますと、きちんとその公共サービスの市場というものを、ある種、社協というような準行政だけでなく民間に開いていくということ、そして事業者補助から利用者補助へ、そして寄附税制の改革、こうしたことが政治に望まれることではないかなというふうに思います。
#27
○参考人(中村寿美子君) 御質問にお答えしたいと思います。
 まず一つ、私もよくセミナーで申し上げるんですね、日本の高齢者福祉というのは、自分から何でも聞いていかないと向こうからは何にもないのよと。ただ、赤ちゃんの場合はおぎゃあと生まれて出生届を出しさえすれば小学校に上がるまで自治体の方からいろんな連絡が来るけど、高齢者は介護保険証が来るだけよというのをセミナーのたびに言っているんですね。そこが日本の高齢者福祉だなと思います。
 それから、住宅と介護の連携でございますが、実は東京都が低所得者のためにこれから安い家賃で介護の付いた賃貸住宅を四万人分造るというふうに計画は作っていますけれども、まだ実際にそれができたわけではないんですが、さっきおっしゃった品川区の高専賃、適合高専賃ですが、あれは本当にモデル事業で、しかもその施設長さんに元上川病院の婦長さんというもう専門家の最たる方を備え付けていますし、あれはもう本当にこういうのがあったらいいねというのであって、あれが日本全国にできたらそれはすばらしいですけど、そんなことは、夢みたいなことはとても考えられないわけですよね。
 ですから、例えば今東京とか神奈川にいっぱいできている高専賃は、二十四時間、人はいないんですよね、サービスもないんですよ。普通の賃貸住宅で、ただ断られないというだけのもの。東京都が考えているのは、そこに、サービスを利用できる、外部サービスですけれども、そして人も置こうかと。ただ、その人は、さっきお示ししたように、専門家ではないわけですよね。
 それから、シルバー交番を中学校区に一つぐらい置く、要は地域包括センターのところに置くと言っていますが、シルバー交番を置いても、そのシルバー交番から出向いていかないと駄目なんですよね。そこが、高齢者で歩けないわけですから、動けないわけですから、それを在宅で、今は政府は施設より在宅、病院より在宅と言っていますが、在宅で介護保険を使ってサービスをすると非常に非効率なわけですよね、移動の時間とか。
 それで、私は、将来的にはやっぱり土地の広くあるところに施設と住宅の中間的なものをもう少し増やして効率のいいサービス提供をしないと、物すごい数になるわけですから無理じゃないかなと思っています。
 今、東京都がやろうとしているのは、私のところにもヒアリングに実はいらしたんですけれども、空いている団地とか、それから使われなくなった中古住宅を利用してということを考えているわけですけれども、それだけでは追い付かないんではないかと思いますね。
 それから、小学校とか中学校の空いた校舎の利用、それも実際にデイサービスで使ったりされているわけですが、そこで、例えば文京区ももう小学校をデイサービスに使っているんだけど、困るのが、おふろサービスができないんですね。デイサービスとしては機能するけど、ほとんどの方がデイサービスに何を求めるか。自宅でおふろに入れないから、おふろに入りたいからデイサービスに行くんだけど、肝心のそのサービスが付いていないというところで、仕方ないねという状況なんですね。
 それで、先ほども申しましたように、もう一度デザインを一から考えないと大変なことになっちゃうと思います。
#28
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
#29
○会長(田名部匡省君) 紙智子君。
#30
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
 それで、私は三人の方にお聞きしたいのは、ちょっと答えの中でもうダブっちゃっているところもあるかもしれないんですけれども、NPOの活動というのは社会や地域の課題を解決する、そういうための活動であったり、あるいは政府をある意味で監視するという活動であったり、さらには政府や行政が把握できない情報に基づいて政策提言をするとか、非常に大事な役割を果たしているというふうに思うんですね。
 ところが、現実には、行政事務の言わば委託先としてだけ見る傾向や、あるいは自治体の財政状況が良くないということで、行政が直営でやるよりもNPOなどに委託した方が安価だというふうな、そういう発想があるという指摘もあるわけです。それで、こういう指摘についてまずどのようにお考えかということが一つです。
 それからもう一つは、行政とのかかわり方で、私たちとしてはNPOの社会的な役割というのはきちっと認めて、行政と対等、平等の立場で多面的な協力関係を築くことが大事だというふうに思っているんですけれども、そのために必要なことがどういうことかということです。
 この調査室からいただいた資料の中で八ページのところに、これはホームスタートのことが書かれているんですけれども、イギリスではホームスタートの本部や支部の収入の約七割が国や自治体の助成ということで書いてあるわけですけれども、このNPOの活動への国の支援の在り方ということでは、こういう資金面だけにとどまらずというか、どういうことが必要なのかということについてお話しいただきたいということが一つ。
 あわせて、もう一つ質問だけ先にさせてもらうんですけれども、介護の質とか保育の質にかかわってなんですけれども、その質を確保するための人材の確保、それからスタッフの労働条件というのは密接にかかわりのあることだと思うんですね。それで、人材を確保するための努力、それからスタッフの雇用形態ですとか労働時間や賃金というのがどうなっているのかなということを三人それぞれからお聞きしたいと思います。
#31
○参考人(西郷泰之君) 四点いただきましたので、まず一つは、NPOが安上がりに使われているのではないかということは私もしみじみ感じたりしておりまして、確かにそれは事実としてあるんではないかなと思います。
 それで、二番目の御質問との関係で、要はそういった行政とNPOなどとの協働の仕方というのがシステムとしてできていないから、要は委託とか補助とかいう関係でしかないんじゃないかというふうにも思っております。
 それで、私が最後に説明をし残したものが、私の資料の一番最後の、プレーパークの一番最後のページに書かせていただいております。
 公私協働の枠組みが必要だということでありまして、今は、やはりガバナンスの問題なんですが、行政、それが市町村であれ都道府県であれですけれども、行政がやはり決定権を持っているということです。それで、事業内容についても、その事業の実施、中止も含めて最終的な決定権を持っていて、NPOと一緒にやるということです。
 ですから、NPOはいろいろ意見は言うけれども何も聞き入れられないということもよくあります。私は、行政の、この間、子供の、次世代の計画を全市町村、都道府県で作って、この四月から実施ということになっているわけですが、あの計画策定の委員会、各市町村とか都道府県で委員をやったりしていろいろ提案はするんですが、まあお金がなくてできないとか、それはそれで分かりますけれども、その提案したのにもかかわらず全然行政が動かないというのによく遭遇してきました。
 これはちょっと前のブレア政権下でのシステムなので、別にこれが最新で最もすばらしいものとは私は思っていません。こういった協働の仕組みについて専門の研究をしているわけではありませんので、例えばということで聞いていただきたいんですが、シュアスタートという方法がありました。そのシュアスタートというのは、ブレア政権下で取り組まれたイギリス版の子育て支援、とりわけ低所得階層の方たちを重点化した子育て支援の政策です。
 現在は、ブレア政権になって一般化していくという形になって、法律制度も変わってきていますが、そのシュアスタートは、行政と民間とで、自分たちのところでシュアスタートのプログラムを実施したいというふうに手を挙げさせて、そこに国が膨大なお金を投下して、その地域を変えてしまうという取組です。その膨大なお金の管理は行政が行います。
 ですけれども、そのお金の使い方とか事業の中身とかについては、協議体があって、ボードというのがあって、その協議体が決めて、そこで協議体で決まったことについては行政も民間の団体も、合議ですからどっちが上とか下ではなく、合議でのガバナンスの構成ということになっています。
 というように、単純に税金をすべてNPOに自由に使わせろと、それはなかなか不思議な話で、そうはいかないとは思いますけれども、ただ、そこまでいかなくても、行政と民間の協働のテーブルづくりというのをいろいろと工夫していただくと、我々NPOもやりがいがあるかなというふうにも思っています。
 そして、ホームスタートについては、イギリスの場合は七割ぐらいが国からの補助ということになっていますけれども、日本の場合は、国からいただくということも、つまり税金からいただくということも考えてはいますが、税金に頼らずという、先ほどのお話ではありませんが、そういうスタンスも持っています。企業からいただいたりとか、会費を集めたりとか、いろいろなイベントをやってお金をつくったりとかいう、住民による活動をしてお金を集めていこうということで、でも、そうはいってもなかなかお金は単純に集まらないので、半分ぐらいは行政からの公的な支援が必要かとは思いますけれども、そんな形で考えています。
 そして、最後にスタッフのことですが、ホームスタートの場合はボランティアですので、有給のワーカーではありません。
 ただ、ボランティアはただですから、そんなに集まるのかという御質問がよくあります。今どきほとんどの子育て支援関係でも有給で、先ほど来の話の中では、ファミリー・サポート・センター事業も、低価格ではあるものの有償です。全くの無償というのはほとんど今ない中で、無償でできるのか、来てくれるのか、ボランティアがいるのかという心配をよくいただきますが、私も最初は心配でしたが、かなり来てくださいます。無償でもやりがいがあるからやりたいんだ、手伝いたいんだというふうに来てくださいます。
 ただ、そういういい人たちだからといってボランティアに向くかというと、必ずしもそうではありませんので、ボランティアについても七段階のチェックというか支援というかをしていって、場合によっては、その七段階を経てもうまく活動に取り組めない、取り組める可能性が低い、家庭を傷つけてしまうという可能性があれば御遠慮願うということも含めて、質ということは担保しようとしています。
 以上です。
#32
○会長(田名部匡省君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
#33
○参考人(駒崎弘樹君) はい、分かりました。それでは簡潔に。
 後段の御質問に関しては、賃金の話ですが、期間の定めのないという意味においては、弊社では全員正社員で雇用しております。
 その前段に関して、NPOは下請になるのではないかということに関して、簡単に三つのお話をします。
 一つ目はイギリスの話、二つ目はアメリカの話、三つ目は日本の話です。
 一つ目は、イギリスの話が参考になると思います。イギリスではサードセクター庁というものがありまして、サードセクターというのは、NPOとか、そうしたところを管轄する庁ですね。サードセクター庁というのがありまして、そこに担当大臣がいます。非常に力を入れています。NPOが下請化しないように、様々なお約束というのをNPO業界としています。これらの名前をコンパクトと言います。協約という意味です。コンパクトというものを業界と結んでいます。
 その中のメーンのトピックとしてあるのがフルコストリカバリーという考え方です、フルコストリカバリー。つまり、人件費を含めて必要な経費をきちんと見ますよというような原則をフルコストリカバリーと言います。イギリスでは常識です。日本では常識ではない。それがありますよということで、こうしたものをきちんと日本でもやっていけば、おっしゃるような問題というのはクリアされるでしょうということが一つ。
   〔会長退席、理事下田敦子君着席〕
 二つ目、アメリカの話です。
 まず、日本で下請化してしまうのはなぜか。それは、行政の仕事が仕様書というものですべてはしの上げ下げまで決められているからです。これをプロセス管理と言います。アメリカの例えばニューヨークにあるセントラルパークという公園はNPOに委託されているんですけれども、プロセスは管理していません。年間何万人の市民が憩えるようにしてください、年間このぐらいのイベントをやってくださいというようなアウトプットで管理しています。結果で管理しているんですね。やり方は自由に任せますよというふうになっています。
 日本は逆です。結果は知りませんと。でも、言われたようにこれだけ配置してこのぐらいの面積でやってくださいねというプロセスを管理するんですね。ですから、このプロセス管理からアウトプット管理というふうに契約法を変えれば、かなりNPOが創造性を発揮して非常に大きな効果を出せるんではないかなというふうに思います。
 最後に、日本の場合においては、こうしたフルコストリカバリーの原則もなければ、ずっとプロセス管理をされてしまっている。そして、さらに寄附控除もない。こういった手かせ足かせがはめられた状況で活動をしているということで、非常に生産性がそがれている状況にあるということを皆さんに知っていただけたらなと思います。
 以上です。
#34
○理事(下田敦子君) それでは、中村参考人にお願いを申し上げます。
 御答弁は簡略にお願い申し上げます。
#35
○参考人(中村寿美子君) 介護の質と労働条件にお答えしたいと思います。
 皆様のお手元に配付させていただきました私の「こんな介護で幸せですか?」、それはちょうど去年の今ごろ小学館から出しました。全部自分が原稿を書きました。それを読んでいただくと介護の質のところもお分かりいただけると思います。
 実際に私は今有料老人ホーム五十社、三百五十ホームぐらいを自分が現場を歩いて、そして、あっ、ここ駄目だなと思うと、非常にうまくいっているところにまず社長から見学に行ってもらって、そして現場から直していただいています。
 介護というのは本当に現場なんですね。幾らマニュアルがきちっとできていても、幾ら面接でいい人を雇ったとしても、現場が命なんですね。ですから、私も現場を歩きます。トップの人が現場を歩かなければ介護の質は上がらないんですね。そこが今後も問題だと思います。
 それから、労働条件でございますが、これは私が申し上げることもなく、今、介護の人材はもう大変な状況でございます。これは実は、お読みいただいたかどうか分かりませんが、この介護というのをもう少しきちっと介護学に育て、そして新しい産業として、もうどうかすると産業革命を起こすぐらいのことを今後していかないと労働条件も良くならない。それから、この介護の現場で働きたいという人も増えない。それから、介護保険もパンクしちゃう。マイナスの方にずっと動いてしまうと思うんですね。
 ですから、日本は福祉大学が幾つかございますが、福祉大学の卒業生も私のところに実は勉強に来るんですね。なぜかというと、もう使っている教科書が何十年も前の教科書のままで、今の介護を教えてくれないんだよと。それで、これからは有料老人ホームの世界になるのに有料のことなんかこれっぽっちも教わってこない。いわゆる今までの福祉のことしか勉強していない。だから、大学の教科書も書き換えなきゃいけない時期ではないかなと。そうでないと介護の質も上がらないと思います。
#36
○理事(下田敦子君) それでは、家西悟委員からどうぞ。
#37
○家西悟君 民主党の家西悟でございます。
 本日は、お忙しい中、本調査会にお越しいただき、貴重な御意見をお聞かせいただき、感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 まず、西郷参考人には、日本ではこのホームスタート事業はスタートラインに立ったばかりの事業だと感じました。このような意味で、ホームスタート事業の考え方、実践的な活動、大変感銘を受けたところでございます。
 そして、駒崎参考人には、病気になった子供を預かるということについて、私自身、血友病という病気で、子供のころから母親は常に付きっきりのような状態。そして、父は自衛官でしたが、私の治療となると父親も大変な思いをした。その病気の治療のために私は中学しか出ていません、学歴は。
 そういう意味で、駒崎参考人の事業には本当に頭が下がりますし、また、こういう事業というものはすばらしいことだと感銘を受けているところでございます。
 それとあわせて、資料の方で、これは委員部の方からいただいているわけなんですけれども、参考人の主要論文等々ということでいただいた中で、一つ、フローレンス新規事業、公共サービスを担い利潤を上げるという考え方。利潤を上げるというと資本家と労働者とか、搾取とかを考えがちになり誤解を与えるのではないか。ここは利潤という考え方を取らず、鳩山総理が提唱する新しい公共の考え方ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 この新しい公共との考え方で事業展開といいますか、活動を進めることは、西郷参考人の事業もそうですし、これからお聞きする中村参考人の事業もそうだと考えます。
 鳩山総理が言うように、ともすると政府とか行政か市場に任せるということになりますが、それをそれぞれの地域や場所で社会がネットワーク活動、皆さんから言えば事業を展開する、このようなスピリットを市民、企業、行政などに広く浸透させ、一人一人が居場所と出番があると感じることができる、その方向性を社会制度や具体的なアクション、施策につなげることを提案していますが、いかがお考えでしょうか。
 最後に、中村参考人には、この同じ資料ですけれども、つい最近まで介護という言葉は特に使われませんでした、また、それは家族が介護をするのが当たり前だったからですというようなことも書かれています。
 私に一つ違いの兄がいました。同じく血友病でC型肝炎で三年前に肝硬変で亡くなりました。この間、子供のときから両親は本当に子供の介護、そういったものに追われ、そして大変苦労してきたと思います。そういうようなことを考えると、やはりこういった介護そのものが社会のシステムに入ること、それを私は非常に願って今も活動をさせていただいているわけですけれども、そういったことについてお考えをそれぞれお聞かせいただければと思います。
#38
○参考人(西郷泰之君) ありがとうございました。
 御質問の中で、とりわけ新しい公共との関係について私の考えを話させていただきたいと思いますが、例えば、新しい公共についてはその財源、NPOの運営資金の財源のミックス度を高めるとか、単純に公的資金に頼らずということもあるものの、それはそれで我々もホームスタートも、それからプレーパークせたがやも、プレーパークせたがやは、例えば運営費の六割から七割ぐらいは行政からいただいていますが、残りの一千数百万は自前で稼いでいるとかということはあったりします。
   〔理事下田敦子君退席、会長着席〕
 ただ、ちょっと今話させていただきたいのは、もう一つ、ホームスタートの方でありまして、ホームスタートの方での公私協働で新たな活動の領域が広がっているということをちょっと手短にお伝えをしたいと思っております。
 それは、先ほど来申し上げていたレッドゾーン、イエローゾーン、グレーゾーン、ホワイトゾーンと四つの区分を申し上げましたが、レッドゾーン、イエローゾーンについては、やはり虐待ないしは虐待が発生し出している家庭ということで、行政が一定の基準で選んで、これはもう公的資金を導入してでも支援をすべきだということできちんと支援、きちんとかどうかは別として、支援ができる仕組みになっています。
 ですけれども、グレーゾーンというのは具体的に何か問題行動が起こっているわけではないので、それをどういう尺度で測っても、どこからどこまでがグレーゾーンの親御さんたちかというのは見えないわけですね。そうすると、公的サービスとしてそれに取り組むことは不可能でして、じゃ、ほっておくのかということになると、やっぱりほっておくとイエローゾーンになってしまう。
 なので、民間が入っていくと。民間がボランティアで入っていくのであれば、公的な資金も使っているわけでもないから、かなり自由度高く柔軟に入っていけるだろうと。なので、グレーゾーンに手出しができると。今までそういう仕組みがなかったので、グレーゾーンにはだれも手出しができなかったという状況があると思うんですね。
 そういう意味での新しい公共、つまり、行政でも民間企業でも手出しができなかった部分についてボランティアだから手出しができるという新しい公共という考え方は、私はとても賛成で、そういった視点からホームスタートは取り組んでいきたいなと思っております。
#39
○参考人(駒崎弘樹君) 新しい公共という考え方には全くもって賛成です。
 その新しい公共という考えを民間から担うべく、私は内閣府に非常勤公務員として任命していただきまして、今新しい公共の社会インフラをつくるべく官僚の方々と知恵を絞っておるところでございます。
 その中で、しかし、この新しい公共を実現するためには幾つもの障害を取り除いていかなくてはなりません。日本ではNPOの活躍というものが制度的に阻まれております。多くは寄附税制、寄附するのは非常にしにくい、そういったところをしっかりメリットを与えるように税額控除を寄附にしていくということが望まれます。
 これは、例えば荻原議員のスポーツの分野でもありますね。例えば、自分が愛好しているスポーツに対して、マイナーだから政府からお金が出ないなんてときに、でも、みんなで、それが好きだから、じゃ、お金出していこうよというものを盛り上げていくためには、そうした税額控除を付けることによってマイナーなスポーツでもきちんと成り立っていけるようになるじゃないかとか、あるいは政治資金規正法の話が言われていますけれども、我々の代表に対してきちんと頑張ってくださいねというような志のお金を個人がしっかり届けていくというためには、寄附というものが個人レベルできちんと文化にならなくてはいけない。
 そうしたたくさんの可能性を秘めているこの寄附というものに対して政治がもっともっと一生懸命コミットしていく、税額控除を勝ち取っていく、そういったことをしていかなければ、新しい公共というのは立ち現れないだろうというふうに思います。
 またさらに、我々NPOがきちんと事業を担えるようにならなくてはなりません。これは私たち自身の反省であります。四万あるNPOの中で事業予算三千万円以上のNPOというのは一五%にしかすぎません。ですから、まだまだ我々の業界自体脆弱です。そうしたNPOがきちんと事業を担えるように我々自身も研さんしていかなくてはいけません。
 ただ、NPOという法人格自体が非常に使いにくいのもまた事実でございます。ですから、NPOのいいところと、そして企業のいいところを掛け合わせたような新しい法人格というものも考えていかなくてはなりません。
 実は、イギリス、私は視察に行きましたけれども、イギリスでは、CIC、コミュニティー・インタレスト・カンパニーという名前の社会的企業向けの法人格というのがつくられました。また、韓国では、日本のNPO法人というのをまねしてNPO法を作ったんですが、日本よりも先に社会的企業育成法というものを作りました。これによって、事業によって社会問題を解決していくような法人を後押ししていこうという法律を韓国は日本より早く作っています。
 こうした全世界で政府を補完するような事業体を盛り上げていこうというような政策というのが打たれ始めています。ですから、日本もそれに見習って、より新しい公共を下支えするような新たな法人格というものもまたつくっていかなくてはいけないのではないかなというふうに個人的には思っております。
 以上、新しい公共に対して全くもって賛成です。ですけれども、それを成し遂げるためには幾重もの制度設計、そして障害を取り除いていく作業というのをきちんとやっていかなくてはなりませんし、また、やっていきたいというふうに思っております。
 ありがとうございました。
#40
○参考人(中村寿美子君) 介護の社会化について三つお話ししたいと思います。
 まず、日本の介護保険の特徴の一つが、家族がいるという前提での制度設計になっております。ですから、最初の法律改正で、同居家族がいると生活援助は全面的には利用できないよというふうに、今、これも市区町村によって多少差がございますが、サービスが少なくなってきているのが事実でございます。
 それからもう一つの特徴、介護保険は選択と契約なんですね。自分でサービスを選択して、自分で契約をする。それには知識がなかったらできないんですね。さっきの話にちょっと戻ってしまいますが、そのために講習会を是非つくっていただきたい。そして、講習会を受けて自分でサービスを選べるように、そして自分で契約ができて、それで初めて自己責任でサービスを受けられる。
 それから三つ目が、現在の制度ではとても中途半端なものなんです。なぜかというと、外国のようにヘルパーは医療行為ができないんですね。家族ならできるんです。例えば人工肛門、ストマの交換、それから糖尿病のインシュリン注射、それから気管切開をした人のたんの吸引、この行為は医療行為なんですね。でも家族ならできるんです。だけどヘルパーはできないんです。
 ということで、有料老人ホームを、そこにずっと暮らしたいんだけど暮らせない人が余儀なく退去させられて入院しているという事実がございます。ですから、この介護の社会化をもっと充実するためには医療と介護の線引きのところの法律を変えていただかなきゃ、それが実行できないんですね。
 実は、今年二月二十日に、医療介護福祉士という新しいまだ民間の認定でございますが、日本慢性期医療協会が、武久先生が提案いたしまして、二月十日から五日間、百名が受講しています。要はメディケアワーカーです。今はケアワーカーなんですね。そこにメディを付けてメディケアワーカー。形は、それから呼び名、呼称はどうでもいいんですけれども、要は寝たきりの方あるいは介護が重くなった方の医療行為をヘルパーができるようにしないと、介護の社会化が実現できません。
 きっと皆さん御存じないと思いますが、人間の基本は食べて出すことです。寝たきりの人、ほとんど全員が便秘です。そうすると、どうするのか。看護婦さんが最初にすることはゴム手袋をはめて便をかき出すことなんです。摘便と言いますが、これもヘルパーはできないんですね、医療行為だから。だから、そこから変えていかないと本当の介護の社会化は難しいと思います。
 以上でございます。
#41
○会長(田名部匡省君) 牧山ひろえ君。
#42
○牧山ひろえ君 私は、神奈川県の参議院議員の牧山ひろえと申します。
 今日は、西郷先生、駒崎先生、中村先生の非常に参考になるお話、ありがとうございます。
 私は駒崎先生にいろいろ伺いたいと思います。
 先ほどから何度か駒崎先生の方からNPOに対する寄附の寄附控除についてお話があったので、非常にうれしく思いました。実は私、昨年まで財政金融委員会に所属しておりまして、私はアメリカに長く住んでおりましたので、寄附、寄附控除といえば一セントから寄附控除になる。
 それとあと、日本は今二月の時点で百十一団体しか認定されておりませんけれども、アメリカでは百十三万団体、もう全然けた違いの団体が寄附控除の対象になっているという、それを私は取り上げさせていただきまして、もう何度も野党時代から、是非控除の対象になる団体を増やしていってほしいと、伝統文化の継承という意味からも。
 例えば、アメリカではメトロポリタン・オペラへの寄附なんかも控除になると。先ほど先生はスポーツのお話をしていらっしゃいましたけれども、とにかくいろんな選択を納税者に与えて、そして本当に納得がいく形で、また少額の寄附でも認めていただける。
 だれでも、一セント、一円まで行けるかどうか分かりませんけれども、今五千円の壁がありますから、とにかくそれを千円、二千円のレベルまでまず落としていって、だれでも気軽に自分が好きな団体に寄附できる、そういう仕組みを私もかねてからつくりたいと思っておりましたので、引き続きそれは頑張りたいと思います。
 さて、質問ですけれども、私は最近、フランスで別件で国際会議に出席してまいりました。その国際会議の後に、フランスはトータル的な子育て支援を実行しておりますし、また少子化対策で成功している国ですから、いろんな専門家の方々や議員の方々とお会いするチャンスをいただきましたので、あちらで本当に二十種類ぐらいの子育て支援について学んでまいりました。
 その中でちょっと話題になったのが保育ママのお話なんですけれども、御存じのとおりフランスでも保育ママの制度がございます。ただ、フランスの保育ママというのは、週に一、二回、預かっている子供と一緒に保育所に行ってプロの指導員から幼児教育を受けたり、また、ほかの保育ママさんが合同で、どこか公の施設で一同に合同保育を行ったり、それが保育ママ同士の意見交換の場になったり、リフレッシュになったり、子供同士の交流、保育士同士の交流の場になっているということを学びました。
 先生、先ほどおうち保育園のお話を御提案されていらっしゃいましたけれども、おうち保育園の場合、このような週に一回ぐらいのペースで合同保育や合同勉強会を開くことについてはお考えでしょうか。それと、日本の今の現状において、そういうことが現実的に可能なのかどうか。また、駒崎先生が運営されていらっしゃるフローレンスでは、スタッフを教育、研修する際にどのような点に最も重点を置かれていらっしゃるのでしょうか。
#43
○参考人(駒崎弘樹君) 非常に専門的なすばらしい御質問、どうもありがとうございました。
 まず、日本で今フランスみたいな保育ママが可能かどうかという質問であれば、無理です。なぜならば、日本では保育ママというのは制度化されていないからです。事業としてしか設置されてなく、また、厚労省の保育ママ事業がありつつ自治体がそれぞれ独自でやっていて、厚労省のやり方でやるとちょっと使えないよなとかって自治体が自前でやって細々やるみたいな、非常にそういう統一的な政策、保育ママに関する政策というのが欠落していますので、基本的にフランスのレベルからは乖離しております。
 実際、では、おうち保育園は何をねらいたいか。それをきちんと制度化したいということです。実験事業を行って、これできっちり待機児童を吸収できますよねということを見せて、それで、ある種、制度にはね返らすということをしたくて、まあ、わざとやっているという感じなんですね。
 おっしゃるとおり、保育ママ同士が研さんするというのは非常に重要です。孤独な保育をしていると、うっくつしたいろんなストレスがたまってきます。ですので、数年前、世田谷区で保育ママによる子供の虐待という悲しむべき事件も起こってしまいました。これは、ある種、自治体が保育ママに保育を丸投げしたことによる一種の悲しむべき事件だったのではないかなと思います。ですから、おっしゃられるとおり、きちんと保育ママ同士が情報を交換したりだとか、あるいは悩みを打ち明け合ったり、そういったようなスキームというのは是非とも必要でございます。
 フローレンスでは、基本的におうち保育園では保育者を完全に雇用しますので、基本的にその人たちにきっちり導入研修して、あるいはブラッシュアップの研修もして、悩みがあったらきちんと本部のスタッフが行って聞いてあげるというような形で、密なマネジメントを行うというようなことで保育の質というのを保っていきたいなというふうに思っております。
 また、寄附のお話等々ありましたが、是非、民主党で寄附の問題に切り込んでいっていただきたいなというふうに思います。財務省側の言い分としては税収が少なくなるじゃないかということで、寄附控除というのはなかなか認められないというところありますけれども、イギリスでも同様な問題を抱えています。だけれども、イギリスは税控除をしてNPOを育てている。
 というのは、それが合理的だから、それが、ある種、国ができないところを機動的にやってくれるから、予算が逆に節約できるんだという観点から、その寄附控除というのを大幅に認めているという考え方を是非とも御理解いただいて、この改革を一歩でも二歩でも前に進めていただきたいなというふうに思います。
 ありがとうございます。
#44
○牧山ひろえ君 時間になりましたので、ありがとうございます。
#45
○会長(田名部匡省君) 下田敦子君。
#46
○下田敦子君 非常に御煩多な中から、西郷参考人様、駒崎参考人様、中村参考人様、お出ましいただきまして、ありがとうございました。
 掛けさせていただきます。
 釈迦に説法なのですが、実はこの度、内閣で予算を今、二十二年度を組んでおりますけれども、その中で病児保育に対する予算化が少し、まだまだ安心できるまでとはまいりませんけれども、今までになく予算化されましたことは、いろいろまた御活動のたまものかなと思って今感じております。経営が非常に難しい、全国的に困っている状況がこの病児保育の状況でありますので、大変そういう意味で、今、内閣は頑張って意見を聞いてくれているという状況でございますので、よろしくまたお願いいたします。
 あと、働くお母さん方のことを考えて企業内保育、これをもういろんな病院やら様々なところでするんですが、みんな一年足らずで大方店じまいをしている保育所が多くて、この辺もまた将来的に随分と考えなければならない部分だなと思っております。
 さて、中村参考人様にお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、大変いろいろ御指導をいただきましたが、御本に、先生の御主人様の御両親を在宅でみとられたということは、本当に本当に大変なことをよくよくおやりいただいたのだなと大変感銘して拝見しておりますが、この御本は先ほどいただいただけなんですけど、大変拝見しやすくて、今すらすらとずっと拝見させていただきました。本当に分かりやすく、まただれもが導入部分として、これは大変一般の方も読ませていただける御本だなと思って拝見しております。
 そこで、いただいた資料の中で少しくもうちょっと御理解をいただければ有り難いなと思ったのは、この武蔵野方式というのはもうつとに有名で、ずっといい方式であることは有り難いんですが、ここにテンミリオンハウスというふうにありますけれども、地方と中央の、いわゆる地価の高い、不動産価値の多い武蔵野市とはけたが違って、このリバースモーゲージというのはもうある時期非常に動揺した時期があったと思います。
 今も少しくそういう意味では大変かなと思うんですが、これを考えたときに、先ほど都落ちというお話がございまして、誠にそのとおりなんですが、フィリピンに参りましたときは、フィリピンの郊外に日本の方が経営している老人ホームがあります。そんなことがこれからどんどん出てくるのかなという気がいたしておりますが、なかなか地方ではこういうリバースモーゲージはあり得ない、進まない、そういう状況があるということを是非、いろいろな場所にお出ましでしょうから、高齢者のためにもお願いしたいと思います。
 それから、高専賃のお話なんですけれども、大変、この御本の百四十五ページにも書いておりますが、もう介護保険が破綻寸前という状況、市町村によってはございます。例えば、私どもの青森県は、十和田市などは全国一高い介護保険を納めなければならない市になっておりまして、そういうことであっていても、介護規制というもので、総量規制ができてきて、市役所ではもう受け付けませんと、そういう状態がありまして、大変困っている状況がたくさんございます。
 この中で、先ほど、高専賃が大変増えているということがあります。地方でも徐々に増えているんですが、当直がないということ、それはどちらでそういうことなのか分かりませんけれども、入る方が、特養とか、いわゆる老健とかと違いまして非常に様々な状態、病態といえば差し障りありますが、いろいろあります。ですから、夜当直がないということはほとんどあり得ない。人件費その他を考えたときに大変困っているということは私は言えると思います。
 それから、納められるお金も中央とは格段の差があるのが、これという規制もないからなおのこと、高専賃が非常に多様化していながら経営としてはいろいろ難しいものがあるという現状があることをまた申し上げたいと思います。そういう点でお願いしたいと思います。
 それから、介護のことで先ほどお話ありました医療行為のできる介護、これは非常に大事なことで、今どんどんこの類でやってきているわけですが、専門介護福祉士とか、そういう名称を持ってメディケアということからやっていくことは今やっているんですが、なかなかホームヘルパーの団体が質を上げようとなさらない、そこがどうしてもかみ合わないところがあります。
 それから、あともう一つ、介護の産業化ということは非常にこれは重要なことだと思います。ソーシャルビジネス、なかなかこれが理解できない、何やら利益追求だけを印象に残すということですが、全くそうではなくて、やっぱり経済波及効果、雇用促進の数からいうと、介護はすべての職種の中で第一位でありますから、そういうことはやはりどんどんお広めいただいて、できれば、今日は時間ないのであれでしたけれども、そういう意味からお話をしていただければ、百人いる施設は百人の雇用の促進になります、経済波及が出てまいりますので、よろしく御尽力のほどお願い申し上げたいと思います。
 私からは要望でございます。
 以上です。
#47
○会長(田名部匡省君) 他に御発言ございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑は終了いたします。
 参考人の皆様方には、長時間にわたり貴重な有意義な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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