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2010/04/07 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第4号
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2010/04/07 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第4号

#1
第174回国会 少子高齢化・共生社会に関する調査会 第4号
平成二十二年四月七日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     谷岡 郁子君     尾立 源幸君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     梅村  聡君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         田名部匡省君
    理 事
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                友近 聡朗君
                南野知惠子君
                丸川 珠代君
                鰐淵 洋子君
    委 員
                家西  悟君
                梅村  聡君
                岡崎トミ子君
                工藤堅太郎君
                藤谷 光信君
                牧山ひろえ君
                松岡  徹君
                水岡 俊一君
                石井みどり君
                岡田  広君
                荻原 健司君
                中村 博彦君
                中山 恭子君
                義家 弘介君
                紙  智子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        工藤 政行君
   参考人
       東京大学大学院
       工学系研究科都
       市工学専攻教授  大西  隆君
       NPO法人高齢
       社会をよくする
       女性の会副理事
       長
       ノンフィクショ
       ン作家      沖藤 典子君
       NPO法人しん
       ぐるまざあず・
       ふぉーらむ理事
       反貧困ネットワ
       ーク副代表    赤石千衣子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○少子高齢化・共生社会に関する調査
 (「コミュニティの再生」のうち少子高齢化と
 コミュニティの役割(子どもと高齢者の安心・
 安全なまちづくり、貧困と格差))
    ─────────────
#2
○会長(田名部匡省君) ただいまから少子高齢化・共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、谷岡郁子君が委員を辞任され、その補欠として梅村聡君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(田名部匡省君) 少子高齢化・共生社会に関する調査のうち、「コミュニティの再生」を議題といたします。
 本日は、「少子高齢化とコミュニティの役割」のうち、「子どもと高齢者の安心・安全なまちづくり、貧困と格差」について参考人から御意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授大西隆君、NPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長・ノンフィクション作家沖藤典子君及びNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事・反貧困ネットワーク副代表赤石千衣子君の三名でございます。
 この際、御参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございました。
 参考人の皆様方から、「少子高齢化とコミュニティの役割」のうち、「子どもと高齢者の安心・安全なまちづくり、貧困と格差」について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、大西参考人からお願いいたします。大西参考人。
#4
○参考人(大西隆君) ありがとうございます。
 機会をいただきましたので、今日は、少子高齢社会における地域・まちづくりの在り方というタイトルでお話をさせていただきます。
 この調査会のカバーしているテーマがかなり幅広いので、私の話がどこにうまくはまるのかとちょっと自信がないところもありますが、私の専門と本調査会の趣旨との重なる部分ということで、特に地域・まちづくりの在り方というところに焦点を当てて話をさせていただきます。
 お手元に、今から映しますパワーポイントの印刷物と、それからもう一つ、昨年ですが、日経新聞に書いたもので、今日これからお話しする大きく三つテーマがありますけれども、その真ん中のことに関連した「経済教室」の記事をお配りしていますので、参考にしていただけたらというふうに思います。(資料映写)
 私は東大で教師をしていますけれども、一つ、この少子高齢化、特に高齢化という調査会の趣旨と関連すると、自分の仕事の中で、東大では唯一ではないかと思いますが、夜学を始めています。夜学と言うとちょっと言い過ぎなんですが、すべての講義が夜に開講されて、土曜日に演習があって、仕事と両立しながら修士課程を卒業できるという制度を二年前から発足させました。二〇〇七年の十月、二年半前です。二十名弱の学生が学んでいまして、大変人気が今のところある修士課程になっています。
 テーマはまちづくりあるいは都市計画というところでありますが、社会に出てから第一線で活躍している人がもう一度勉強したいという意欲が強いということで、大学の在り方もこうした高齢社会の中で変わっていく必要があるというのをひしひしと感じているということでございます。
 それを担当している、それ以外の昼の普通の課程についても務めているわけですが、加えてこういうことをやっているということをちょっと紹介させていただきます。
 最初の二、三枚が前置きで、先生方よく御存じのところでありますけれども、日本はかなり人口あるいは地域に住む人という問題について深刻な状況にあるということであります。
 このグラフは、西暦二〇〇年から二一〇〇年程度まで日本の人口をトレースした将来についての予測でありますが、御覧いただきますように、ピークを既に過ぎて急速に減少していると。この点線で書いてあるところであります。この一番行き着く先が、四七七一と書いてありますが、四千七百万ぐらいに二一〇〇年にはなると。この二一〇〇年、四千七百万というのを確認できる方はこの中にはもしかしたらいないかもしれません。ただ、これも楽観的な予測だと。少し厳しい予測では三千六百万になるという予測が、これは国の機関の予測として出ています。
 ここでしかしとどまるわけではなくて、これは二一〇〇年の時点でありまして、更にそれが進んでいくと、つまり結局はゼロになるまでこの予測は続いて終わるということであります。出生率、合計特殊出生率が非常に低いので将来は日本の人口はなくなるということで、どこかでこれを逆転させて人口の安定化を少なくとも維持する出生率に戻すということは極めて重要なテーマだというふうに私は思っています。
 それと、今のは総人口でありますが、これは日本国内における人口の分布を表したグラフであります。
 一番上が総人口の変化で、今申し上げたとおりでありますが、下の二つのグラフは、上が地方圏の人口の動向、下が大都市圏、少し大都市圏を少なめに数えています。一都三県が東京圏で、二県が名古屋圏で、二府一県が大阪圏というのを大都市圏というふうにここでは定義をしていますが、まだ地方圏の方が少し人口が多いんですが、地方圏の減り方が激しいので、将来、ここで取っている大都市圏の人口が地方圏を上回るということになっています。つまり、人口の大都市圏集中という動き、とりわけ東京圏への集中という動きが続いているということであります。
 もう一つの見方は、一つの都市における人の住み方というのが拡散的になっているということであります。
 このグラフは、DIDという人口集中地区、いわゆる市街地の面積と人口を表したものであります。
 一番上のグラフが一九六〇年を一〇〇とした場合の市街地の面積の動向で、真ん中がそこの人口の動向であります。一九六〇年から人口も面積も市街地が拡大してきたわけでありますけれども、最近では、その拡大が鈍って人口は地方圏では横ばいになっている。しかし、ややまだ市街地そのものの面積は広がっているということで、結果としては密度が特に地方圏の都市では低下しているということであります。
 つまり、都市に人が集まるという現象から、都市の人が拡散的に住むという、そういう様相を呈してきているということであります。簡単な人口の指標で見ても、人口が減少するという問題と大都市集中という問題と都市で人が拡散的に住むという三つの、しばらく前ならば余り心配しなかった問題が起こっているということであります。
 その問題点はいろいろあるわけでありますが、端的に、次のパワーポイントがちょっと重複していますのでもう一枚次のやつを御覧いただきたいんですが、これは日本の、ちょっとラフでありますが、都道府県の中でどこが一番いわゆる持続可能な地域なのかということを指標で整理してみたものであります。
 持続可能というのは、普通は経済発展があり、社会的な公平があり、環境保全が行われているという三つの指標が取られますけれども、ここでは更に加えて、人口が、出生率が比較的高いということも持続可能性、文字どおり持続可能な地域という意味で必要だというふうに考えました。それから、都市が余り拡散しないという指標も入れて五つの指標で地域を整理しています。
 全部説明する時間はないわけですが、東京を御覧いただきますと、東京都、今人口が集まっていると申し上げた東京都では、経済的豊かさは全国一であります。それから、コンパクトで密度が高いという点でも全国一でありますけれども、例えば出生率は最も低いということであります。それから、社会的公平という観点からも、その東京都の中における所得格差が大きいということで、東京都に集まってくることが持続可能な場所に集まっていることにはならないということであります。
 次のページに持続可能性の総合順位というのがあって、東京都は二十四番、ちょうど私の作った指標では真ん中辺りに位置していますけれども、日本の中でもっと持続可能な地域があるので、そういう地域にもっと人が住んでいろんな活動が行われるような新しい流れをつくっていく必要があるのではないかと。たまたまこの指標では、石川、長野、滋賀、静岡といった大都市からそう遠くない、しかし大都市ではないという場所が優位な場所ということになっているということであります。
 ということで、こういう問題意識から、私は、都市計画あるいは地域計画というのが専門でありますけれども、東京にだけ人が集まるのではなくて、いかに全国土を有効に使っていくのかということが極めて大きなテーマではないかというのをかねがね考えていろいろな研究をしてきたということでございます。
 そこで、以上を前提条件として、今日は、こうした人口が減少する、あるいは都市が拡散する、私はそれを逆都市化時代というふうに呼んでいるわけですが、その逆都市化時代における地域づくりあるいは都市づくりということについて、特に三つのテーマについてお話をさせていただきたいと思います。
 議論の前提としては、今申し上げましたように、地域の在り方を考えるときに今我々が抱えている一番大きな問題は、地域からしまいには人がだれもいなくなってしまうという深刻な少子化問題で、これに対して対処するということは非常に重要だということになります。
 それから、その点はしかし今日の本題とはせずに、一極集中を避けながらいかに各地域を活性化するのかということに焦点を当てて、取り上げるテーマとしては、地域の主体性を発揮していくということが大事ではないかという点と、それから、何といっても地域で産業を興して雇用を増やしていくということが根本的に大事だと。
 三つ目に、そのためには人材の交流あるいは人材の派遣ということで、地域で手薄になる、特に地方で手薄になっている人材を補完するというようなことが政策的に必要ではないかという三つの点をこれからお話しさせていただきたいと思います。
 第一番目のテーマは、地域の主権あるいは分権ということで、主体的な地域づくりをするということであります。
 この点について、私は二つの重要なポイントがあるというふうに考えています。
 一つは、御案内のように、地方分権、あるいは最近では地域主権という言葉も使われているようでありますが、そうした動きは進んでいる、地域に権限が移譲されあるいは財源も移譲されようとしているわけでありますが、今度は各地域、市町村がその移譲された権限あるいは財源を使って自主的な行政を行うということが極めて大事だと。その一番大きな象徴は、各地域が独自な条例を作ってまちづくり、地域づくりを進めることではないかということであります。
 このスライドは、石川県の金沢市でまちづくり関係の条例だけに絞って挙げたものです。非常に小さな字になっているのは、たくさんの条例、二十を超える条例を金沢市では作っているからであります。この中には、いわゆる委任条例、法律で委任された条例と、自主的に地方自治法に基づいて作る条例が両方含まれていますが、それぞれのテーマに応じて自主的な条例を含んだ条例を作ってきたということであります。
 特に、条例の数という点では金沢は突出しているわけでありまして、ほかの自治体も分権分権という言葉の次に自らルールを作って行政を進めていくという主体的な行動に転じていくことが必要だということでありますが、なぜ各地域が条例を作って行政を進めていくことが必要かというと、市町村というのは住民に身近な自治体だということに尽きるわけであります。
 したがって、住民に身近ということは、いわゆる参加によって、住民の参加によって行政あるいは政治が行われていく必要があると。この御紹介した金沢市の条例の中でも、最近のものでは市民参加の制度というのが様々に取り入れられているということであります。
 一般的には、私は市民参加というのは四つの発展のレベルがあるというふうに考えています。足による参加、手による参加、知恵の参加、知恵の実践による参加というふうに名付けていますが、足による参加というのは、行政や税制の内容によって居住する地域を住民が選ぶということであります。手による参加は、選挙によって首長、議員を選ぶ、あるいは住民投票で個別テーマに意思表示をするということが発展していく必要があると。
 しかし、さらに最近では、知恵を持っている住民が知恵によって参加する、例えば審議会の公募委員になったりパブリックコメントに参加するということで、自分たちのアイデアを市政に役立てるということを行うようになってきています。しかし、更に進めば、これももう一部では出ていますが、知恵の実践による参加ということで、公益的な事業を自ら実践することによって社会的な貢献を果たすということも行われるようになってきたということであります。
 一番最後の知恵の実践ということがこれから重要になるというふうに思っているわけですが、御承知のように、阪神・淡路の大震災をきっかけにしてボランティア活動が非常に普及してきたと。最近では、新たな公、これは国土形成計画の言葉ですが、あるいは新たな結という概念、あるいは新たな公共というような言葉が出てきて、この市民参加ということを更に進めようという動きがあるというわけです。
 同時に、こうした市民の活動をサポートする仕組みも大事だということになっておりまして、ここで御紹介したいのは、その中の最も進んでいる仕組みの一つと思いますが、千葉県市川市で行われている市民活動団体支援制度というものであります。これは概念的には、納税者が納税額の一部を寄附をすることによって市内で活動するNPO、公益的な活動を支援しようということができる制度であります。現在参加している人たちは一万人弱ということでありますが、二千万円ぐらいのお金がこれによって支援に回されているということであります。
 二つ目は、地域の発展にはやはり地域で産業が興り、雇用が増えるということが大事だということであります。
 この点で、私は基幹産業論という考え方が非常に重要だというふうに思っています。基幹産業論というのは、地域の産業を基幹産業と地域産業に分けて、いわゆる輸出、国でいえば輸出産業に当たる基幹産業の振興によって地域の発展を考えていこうという考え方であります。
 その場合に、一つの基幹産業というのはなかなか永続しないということで、これはジェーン・ジェイコブスというアメリカの都市社会学者がデトロイトを例にとって基幹産業の連鎖の模様を描いたものであります。つまり、デトロイトが今では日本の自動車産業にやられていますけれども、自動車産業が非常に盛んになるまでにいろんな産業が現れて、それが継続することによってデトロイトが発展してきたということを述べています。基幹産業というのがうまく継続するということが大事だというのがポイントになります。
 しかし同時に、基幹産業でせっかくお金を獲得しても、地域で消費する機会がないと、地域に気の利いたお店がないということだと地域外に富が流出することになります。そこで、地域の中で、需要は地域内に限られるかもしれないけれども、地域産業が興るということが大事だということも重要な点で、私は、そういう意味で、基幹産業と地域産業という両方に目配りをしながら地域の雇用を増やしていくという戦略が重要ではないかというふうに思っています。
 この点では、立法的には、当初日本ではいわゆる地方に工場を分散させるという政策が取られてきたわけでありますが、国際競争が激しくなるにつれてそういう政策が廃止されまして、法律が廃止されたわけです。しかし、やはり地域の疲弊が、特に地方の疲弊が激しいということで、最近ではまた産業政策、地域産業政策というのが復活してきているという状況にございます。産業というのは極めて地域の将来にとっては重要だということで、こうした政策に注力していくことが必要ではないかと。
 最後に、人材派遣による地域づくりということについてお話しさせていただきます。
 なかなか人口が減ってしまって、いい人材ほど地域外に出てしまう、大都市に行ってしまうということで、地方の疲弊が、そういう意味では人材が枯渇するということを通じて厳しくなっているということで、いろいろな人材派遣制度というのが政策的に取り上げられています。
 ここで幾つか例を挙げましたけれども、まちづくりに関する地域再生マネジャー制度、あるいは地域おこしに関する地域振興アドバイザー制度、観光に関する観光地域プロデューサー制度、こうした経験から、短期的に二、三日指導に行く、それで帰ってくるというやり方ではなくて、場合によっては二、三年滞在してじっくりと指導すると。
 しかしもう一方で、余り長くなり過ぎない。五年、十年ということではなくて二、三年という、そういう期間で集中的に、しかし余り短い期間ではない、そういう期間で地域に人材を派遣して、その人材の持っているノウハウを伝達するということが効果があるんではないかというふうに指摘されているところであります。
 こうした、これまでの経験をうまく整理して、人材派遣ということによる地域づくりということも一つの柱にする必要があるんではないかと。
 最後にまとめで、これからの政策に求められることを、以上述べたことを踏まえて申し上げたいと思います。
 一つは、市民の活動を更に促すために市民税等からの寄附に対して税額控除制度を設けるという、所得控除から一歩進んだ税額控除制度というのが、今も議論されているようですが、非常に有効ではないかというふうに考えます。
 二つ目は、基幹産業と地域産業を組み合わせた地域の雇用増大策、特に地方都市を対象としたこの政策を重視していくべきではないか。
 三つ目は、それでも当面、人材が不足しているという問題があると思いますので、地域に刺激とアイデアをもたらすような人材の二、三年という長期派遣を行って人材交流と地域活性化を図るべきではないかと。
 この三つの政策を是非重視していくべきだというふうに考えます。最初に述べたように、しかし、地域の将来にとっては少子化対策というのが大前提になるということを申し添えて、話を終わりにさせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#5
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、沖藤参考人、お願いいたします。沖藤参考人。
#6
○参考人(沖藤典子君) 沖藤典子でございます。高齢社会をよくする女性の会副理事長、ノンフィクション作家をいたしております。
 本日は、発言の機会を与えていただきましたことを大変有り難く存じております。
 添付させていただきました資料は二種類ございまして、高齢女性の就労についての調査研究、これが二〇〇四年度の研究でございます、それともう一つ、本年三月二十九日に福島みずほ大臣に提出いたしました男女共同参画社会基本計画改定に向けた要望書、この二点でございます。こうした活動にのっとりまして、日ごろ、当会の活動及び私自身の活動の中から得ましたお話をさせていただきます。
 レジュメを用意いたしました。両側の参考人はパワーポイントを使っておりますが、私は口パワーポイントというか、これはある面では後にお話しする情報格差の一つの典型的な例ではないかと思ったりもいたしますが、なかなか機械になじめませんで、専ら紙資料でございます。
 まず初めに、長期的視点から、高齢期女性の貧困の根絶といいますのは、やはり高齢期の女性の貧しさというのは、人生百年の計がなかなか成り立たないところで生きざるを得なかった女性たちが多いという現実の反映であると思います。
 人生百年の計というのはまさに国家百年の計に通じるものでございまして、この「はじめに」のところで雇用、税制、年金、保育・家庭生活維持支援、介護休業制度の拡充、男性や経営者・管理職の意識変革、女性自身の意識変革等々を挙げましたけれども、こうした点について女性が本当に若いうちから様々な教育なり情報なりを得て人生を支援されて生きていく、そのことによって貧しい高齢者が根絶されていくのではないかと考えております。そういう長期的視点から、まず高齢期の女性の貧困を考える必要があると思います。
 次に、高齢女性に配慮した安心、安全なまちづくりといたしまして、本日のテーマでございますが、二点に分けて問題点を整理してまいりました。
 一つは、高齢女性の貧しさとそれによる諸問題、女性単身世帯五十五から七十四歳の年収の低さでございます。
 これは、平成二十年、内閣府男女共同参画局が行いました高齢女性の自立した生活に関する調査の一部でございます。年収が百二十万円未満は、男性一七・三%に対しまして、女性は二三・七%に達しております。四人に一人は年収が低い。逆に、三百万円以上の男性は二九・三%に対して、女性はわずか一三・九%にすぎません。このように、年収の低さというものが高齢女性の大きな特色だと思います。
 そして、こうした年収の低さを背景といたしまして、高齢女性は就労希望が多いという事実、このことは当会の、先ほど申し上げました高齢女性の就労についての調査研究に表れていることでございます。特に、六十代、七十代女性に対して様々な働きの場が必要なんですが、就労動機の第一位は経済的理由です。第二位は自分の技能、能力を生かすため、第三位が社会参加して人間関係を広げるということでございまして、高齢女性の就労希望をどのような形でかなえていくのかということが大きな問題になろうかと思います。
 当会のこの調査は、実はサンプル数も少なく会員に限定した調査でございますので、代表性という点ではいささか難があるわけでございますが、現代の高齢女性のある種の側面を表すと思いますので、資料の五ページをお開きいただけますでしょうか。ここの上の表に今どういう仕事をしているかということがありまして、保健・福祉・介護の専門職、医療・看護含むというところに高齢女性の働く場が多いということ、このことを一点ここで押さえておきたいと思います。
 次に、高齢女性の貯蓄格差でございますが、世帯の平均貯蓄額は二千四百八十一万円、総務省の家計調査、平成十九年でございますが、実は一千万円以下が三五%あるということです。これは、よく高齢期の貯蓄格差として言われていることでございますが、恐らく高齢になるにつれて、特に女性は貯蓄額が低下するのは当然だろうと思われます。
 例えば、私が取材した例で申し上げますと、父親が入院して、また介護で貯金を使ってしまったと。残り、母親をどうするかと。娘は働いていて、母親は日中独居。ここから介護保険の問題も始まってくるんですけれども、介護保険が支給限度額をオーバーしてしまって、自費負担が増えて払い切れないと。彼女は仕事をしなければ母親の介護費用が生み出せない。しかしながら、日中だれが母親の世話をするのか。自費負担と言われても、父親でお金を使い果たしてしまったので母親の分はないという、非常に切実な事例もございます。
 そういうわけで、世帯に貯蓄があるからといって高齢女性が安心とは言えない。父親がどのぐらい金を使い果たすのか果たさないのかということで、非常に不安定な老後というものが映し出されていると思います。
 今の話に引き続きまして、介護保険における自費負担の増加ということが非常に今大きな問題として高齢女性たちに打撃を与えていると思います。
 特に訪問介護の区分支給限度額オーバー、それによる自費負担が今六万円、七万円という方が増えております。そして、通所介護を利用しなさいと言われるわけなんですけれども、人によっては通所介護が合わないという人もいるわけです。そういう方々はホームヘルパーを利用するのですけれども、利用に限界があるという中で途方に暮れている家族が多いということを申し上げたいと思います。
 そしてまた、認定がありながら介護保険を利用していない方が八十万人ほどおります。この方々の利用していない理由というのは調査されていないように思います。多分、この費用負担の問題や自分に適したサービスが利用できないということへの疑問もあるのではないかと思います。
 そしてまた、特に認知症高齢者グループホームでは低所得者対策というのがございませんので、金持ちの人は入れるけれども低所得の人は入れないということがありまして、ここでは補足給付の増額と認定区分の問題と給付額の再検討が必要だと思います。
 さらに、レジュメの二枚目に参りますが、介護役割による病と貧困の悪循環が高齢女性に起こっております。
 皆様御存じのように、老老介護は約三五%が七十歳以上でございます。そういう中において、先ほどから言っております同居家族がいる場合の生活援助の制限というのは、高齢女性にとってはもう共倒れの危険性を非常に大きくはらんでいるものでございます。
 最近、二〇〇九年の十二月二十五日でございますが、老健局の振興課の課長の公印付きで通知が出されまして、同居家族がいる場合の生活援助の制限を、老老介護の場合、日中独居の場合、家族が虚弱な場合について一律機械的に判断しないようにという通知が出されましたけれども、これは全保険者に徹底しているかどうか、かなり疑問のあるところでございます。私としては、運営基準にしっかり入れていただきたいと願っている部分でございます。
 このように、共倒れの可能性を持ちながら高齢女性が高齢の夫の介護をしている。そういう方々が結局自分の病を見逃してしまっている。私の知人にも乳がんの発見を遅らせてしまって入院しているという人がおりますが、病と貧困が悪循環することをやはり介護保険で断ち切っていくようにしなければならないと考えております。
 と同時に、高齢女性に広がっている格差は、健康格差として、特に女性に、介護になる要因として関節疾患とか転倒、骨折等、女性特有の疾患がございますので、そういうところでの健康支援というのが非常に重要だと思います。
 さらに、このことは外出格差にもつながっておりまして、移動手段がないために今買物難民になっている女性たち。タクシーを使えればすぐ行けるところでも、自分の足で歩いていくのには非常に困難が伴う、そういう女性が非常に多いと思います。また、運転免許の取得も、これは高齢になると運転免許は使えなくなってまいりますけれども、やはり女性の運転免許取得率が低いということも関係していると思います。そういうことで外出格差が起こっております。
 それから、情報格差も、私のような者もおりますので、これが広がっております。よく市町村等々で公募委員等を募集しているんですが、そういう場合も、相手が使えなければ情報も入ってこないし応募することもできないというようなことがありまして、高齢女性に広がる格差として、経済的な要因のほかに健康格差、外出格差、情報格差があると思います。
 さらに、介護問題からコミュニティーを考えてみますと、高齢期において何が必要かといいますと、私は、清潔な生活環境と適切な栄養を提供すると。介護保険では軽度者をどうするかということが様々議論されておりますけれども、私は生活援助は非常に重要だと思っております。特に、食事サービス、体の骨格をつくっていく食事サービスを、配食型であれ会食型であれ、きちんと守っていくということがこれからのコミュニティーとして非常に大事なものだと思っております。
 そして、コミュニティー資源としての介護周辺人材の育成。先ほど高齢女性の就労の実態で見ましたように、六十代以上の女性が介護関係で働いている場合というのが非常に多いわけです。そういう方々を今後どのような形で活用していくのかということは、大きなこれからのコミュニティーを考えるときのポイントだと思います。
 特に、見守りとか話し相手、ごみ出し、町内会の催しの参加、医療の訪問マッサージとか車いすで行ける観光、緊急事態発生時の対応など、こういうことがコミュニティーの中でどのぐらいやり通せるかということで高齢者の生活の質というものが決まってくると思います。
 ところが、現在の介護保険は、大規模事業所が加算を取って各地に支店を出すという形で、NPOとか小規模事業所が閉鎖に追いやられております。そういうところで働いていたのが高齢女性たちでございますので、事業所が閉鎖されると収入がなくなり、そこでまた貧しさに追い込まれていくということでございます。
 ですから、このスケールメリット主義の政策というのはコミュニティーを崩壊させると思います。そして、その一方ではボランタリーな組織、ボランティアはいないかと、軽度者はボランティアで守ったらどうかという意見があるというのは私は非常に矛盾だと感じております。
 また、次に申し上げたいことは、都市計画の中核として介護施設や高齢者住宅などを置いていただきたいと思います。昔は町の中心は小学校だと言われておりました。今は介護施設であってもらいたいというのが大きな願いでございます。しかも、その介護施設にも耳の不自由な方、目の不自由な方という、そういう共生型の施設というのもあっていいのではないかと思います。
 たまたま私は相模原市に住んでおりますが、その市でこういう共生型のユニットケアの特養が最近オープンいたしまして、そういう様々な方々が住み合う。しかも、そこには保育所も併設されておりまして、今のところは職員だけの保育所ですが、将来的には地域に開放した保育所にしていきたいということを言っておりまして、介護施設が今や町の中心的な役割を担うものとして多様な人たちが集まる場所になっているということでございまして、今後ますます都市計画と介護施設の関係は深まっていくであろうと思います。
 そのことはまた、特に孤立死とか無縁死とかいう現在の状況、様々言われている不幸な事態を予防する大きなかぎになるのではないかと思います。
 よく言われる言葉ですが、老いたる者と幼い者が共生する、老いたる者と若者が共生する、障害のある人と私たちとが共生する、またさらに、公・民の大規模集合住宅には地域密着型施設とか保育所、共働き家庭などとの共生ができるようにというように願っております。
 特に、これから共働き家庭とのことを考えますと、例えば配食サービスとか会食型の食事サービスを高齢者だけではなくて共働き家庭なども利用できないか、そういう仕組みがつくれないかということを強く願っているものでございます。
 またさらに、大西参考人の方から災害の問題が出ましたけれども、災害弱者としての高齢女性というのがありまして、また、高齢女性が災害のときに抱える問題は、排せつの問題、衣服の問題、暖房の問題、健康管理等々非常に大きなものがあると思いますし、それと同時に、一つ小さなエピソードとして、高齢社会をよくする女性の会が阪神大震災のときに行った援助といたしまして、化粧品を化粧品会社から供託を受けましてお届けいたしまして、大変女性たちに喜ばれました。そういう女性ならではの心遣いというものも大切だと思います。
 あと、今非常に高齢女性の中で話題になっておりますのが保証人制度です。だんだん係累が少なくなっていく中でだれに保証人を頼んだらいいんだろうか、あるいは、だれにお金を預けたらいいんだろうか等々の問題がございますので、様々な保証人制度や成年後見制度の問題にも是非取り組む必要があるかと思います。
 最後に、今後の課題を申し上げます。
 先ほど、軽度の方は介護保険から外して地域の中でボランティアが見たらどうかというような財政論の立場からの御意見が非常に多くあるわけですが、私はそれに対して非常に危機感を抱いております。特に、私が住んでおりますところを見回してみましても、近隣は皆六十代過ぎ、七十代前後の方々です。近隣が高齢化する中でどうやって安全を守り合うのかということで一段の工夫が必要だと思います。
 ボランティアも非常に大切なことなのでございますけれども、ボランティアもまた高齢化している、志望者が減少している、こういう状態の中でどうやって高齢者が多くなるコミュニティーを維持し再生を図っていくのかということが課題であろうかと思います。
 最後に、現在八十五歳以上の女性高齢者について特化して申し上げますが、この方々は大体が靖国の花嫁であり戦争未亡人であり岸壁の母など、様々な戦争経験者が多いわけです。この方々にサービスの、特に介護サービスなどの制限を掛けるということは私は大変残念なことだと思っております。国家の礼儀としてお見送りが必要なのではないかと考えておりますことを申し添えて、話を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#7
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 次に、赤石参考人にお願いいたします。赤石参考人。
#8
○参考人(赤石千衣子君) NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事をしております赤石です。
 今日は、こういった機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。(資料映写)
 私に与えられたのはシングルマザーを中心とした女性の貧困とコミュニティーといったところかなというふうに思っておりますけれども、正直なところ、何というんですか、コミュニティーとかまちづくりということを余り意識して今まで活動してきておりませんので、若干お役に立つかなと思いながらお話しさせていただきます。
 それで、私は、しんぐるまざあず・ふぉーらむというところでシングルマザーの当事者団体の活動をしておりますとともに、女性と貧困にかかわってネットワークをつくっております。だから、高齢女性や若い女性についての貧困については余りたくさんはお話しできないかなというので、事例をちょっと御紹介するような感じになるかと思います。
 様々な貧困の当事者というのがいらっしゃいます。私自身も、今もう二十九歳に子供がなりましたけれども、二十九年前に結婚しないで子供を産みましたときには勤め先がなかった、フリーター、今でいうフリーターでしたので、本当に職がなくて、一年弱生活保護を受けて暮らしました。
 その後に共同保育園の、無認可保育所の保育士になりまして、その当時、九万五千円のお給料だったと覚えております。ですので、児童扶養手当三万三千円が入って十二、三万円で家賃四万六千円の家に暮らしていたなというようなことが思い出されるわけですけれども、その後、団体で正規の職員になれたのでまだましなんですけれども、二十年前と違うところは、何年たってもシングルマザーは正規の職に就けない、現在は、というような状況がかなり違うなというふうに思っております。
 三枚目は、写真は、青山のこどもの城前に、しんぐるまざあず・ふぉーらむ及びNPO法人ウィンクの会員の方たちが集まって、児童扶養手当の削減をやめてくださいということで集まったときの映像ですけれども、本当にみんな必死で子供たちを連れてやってきております。これはただ見ていただければいいんですけれども。
 まず、シングルマザーの状況をちょっと御説明したいと思います。
 まず貧困といえば経済的な貧困なんですけれども、政府は昨年、一人親家庭の貧困率五四・三%というのを発表いたしました。これは相対的な貧困率でして、もう有名になったのでお分かりいただいていると思うんですけれども、例えば相対的な貧困率というのは、百人の人を所得順に並べて五十番目、真ん中の人の所得の、可処分所得ですかね、それの半分以下の人のパーセントというのを相対的貧困率というふうに言っています。
 それで、母子家庭だけの貧困率を出しますとこれよりも高くなるだろうということは容易に推測できるところであります。まあ、六〇%ぐらいになるのかなというふうに言われております。
 この経済的な貧困というのはやはり就労年収が、何しろ働いてもなかなか収入が得られないということです。平均の就労年収は百七十一万円ですけれども、百万円未満の方も三〇%ぐらいいらっしゃいます。シングルファーザーはどうかと申しますと、年収で三百九十万円ぐらいですので二倍ぐらいにはなるのかなというふうに思います。
 じゃ、別れたお父さんから養育費をもらったらいいんじゃないですかというふうに皆さんおっしゃると思うんですけれども、養育費をもらっていると答えていらっしゃる方は一九・〇%です。これはやっぱり景気に左右されまして、男性の方も景気が悪くなれば払う方が少なくなります。それから、再婚すれば払いが悪くなります。それから、非正規の方の方が払いが悪いです。本当に、男性の状況にも左右されるということです。
 こういった状況ですので、生活が苦しいと答えているシングルマザーは九〇%ぐらいです。シングルファーザーの方も決して高い年収ではございませんので、こちらもやっぱり生活が苦しいというふうなことはあります。
 では、今どのようにしているんですかというふうに聞くと、この経済的な困難を、預貯金の取崩しをしていますとか、親族から援助を受けて何とかやっていますとか、借金をしていますとか、何とか節約していますとか、そのように答えている方が多いです。そのほか、やっぱり子供が大きくなるとダブルワークをするという方が多いかと思います。子供が小さいうちはなかなか夜働けないんですけれども、ちょっと大きくなったら夜も働く、二つ、三つの掛け持ちをするというような方も、私たちの調査でも二〇%ぐらいいらっしゃいます。
 経済的な貧困というのはそれだけでとどまらないのです。それは、やっぱりシングルマザーの場合には時間の貧困、時間がない、それから教育の貧困というのにつながります。先ほども言ったように、一人で仕事をしながら、済みません、ちょっと一つ抜かしました、就労率は非常に高いんですね。シングルマザーの就労率は八五%、それからシングルファーザーは多分九〇%を超えていますので、本当に、働いても貧しい、まさにワーキングプアということです。
 働いているわけですので、家事、育児を一人で担っているので、すごくやっぱり時間が足りない。当たり前のことなんですけれども、時間が足りなくて、平均の育児時間というのは四十六分という数字が出ています。子供にかかわることが本当に少ない。これは子供の育ちにとってどういう影響を及ぼすのかということを考えていただきたいと思います。
 それから、教育の貧困ということで、今日お配りしたこれはできたてほやほやなんですけれども、「母子家庭の子どもと教育」というので、福祉医療機構からの助成金で、仕分対象に福祉医療機構はなったみたいですけれども、調査したものですが、これを見ると本当に深刻な状況がお分かりになるかと思います。
 やっぱり中学生の親というのは、高校進学に非常に困難感を抱えております。中三になりますと、周りはすべて塾に通わせているというようなところがありますので、どのようにしてその塾代を出すのかというので困惑しているんです。本当に、三科目とか通わせますと年間で六十万ぐらい掛かる。しかし、母子家庭の年収は、先ほど言ったように就労年収は百七十一万円、あるいは私たちの調査でも年収二百六十万円ですので、そこで六十万円ぐらいの塾代を出すということはいかなることなのかということでございます。
 そこの中で、例えばこんな声がありました。子供たちを食べさせていくのが精一杯で塾に行かせたくても行かせてやれないし、親のもう心のゆとりがない分、落ち着いて子供と向き合う時間が取れませんということです。このようなのが普通の状況だと思います。
 さらに、時間がない、お金がないといったところには健康の貧困ということがあります。本当に、健康状態が悪いと答えていらっしゃる方、あるいは、この数年で悪くなったと答えている方が半数以上いらっしゃいます。何かこう貧乏でもにこにこと、何というんですか、何とか頑張ってやっているイメージというのはぎりぎりの線ですので、崩れてきているということだと思います。
 さらに、どんなことが気掛かりですかというふうにお聞きしますと、子供の病気二八%。子供の反抗、これは大きくなればなるんですけれども、子供が反抗してきたときに受け入れられる余裕がないとか時間がないというようなこともございます。それから、周囲の偏見を感じるという方も二二%。それから、不登校一四%。障害を持っている、結構、発達障害を持っているお子さんをお持ちのシングルマザーの方がとても多いです。これはどうしてなのかなと思うと、一つは、障害を持ったお子さんに対してお父さんの方が受け入れ難いといったときに離婚に至るということもあるのかなというふうに思っております。それから、引きこもりが五%ということで、こういった悩みを一つ二つ抱えていた場合に、更に生活が非常に困難を増すということがあります。
 子供の十七人に一人は一人親で育っているというふうに言われているんですけれども、やっぱり町とかではなかなか一人親の存在というのを可視化するのは難しいというふうに思います。では、どのようなときに可視化するのか。それは、あるときには虐待という形で突然私たちの目に触れてくるわけです。
 子供の貧困ということが大きな問題になりつつありますので、これは一体どういう原因なのかということも言われるようになりました。今までは密室育児の主婦の問題であるとのような認識があったかと思いますが、実は虐待は貧困と大きくかかわっているというのが現場の方の認識です。
 今お出ししているのは東京都の福祉保健局の児童虐待の実態からのデータですが、すべて、家庭の状況というのを特記して、一つ、例えば一人親家庭というので付随する状況を見ますと、経済的な困難、孤立、就労の不安定といったような数字が出てまいります。それは、育児疲れであってもその背後には経済的な困難といったものがあるということなんですね。
 ですので、実は現場の人間の中ではもう虐待は貧困とかなり相関しているのだということは常識です。それは一人親家庭に多いのかもしれないんですが、実はその背後には貧困があるというふうに解釈した方がよいのではないかと思います。
 シングルマザーの、あるいはその子供たちに必要な支援というのは何なのかということなんですけれども、それはもうある程度お分かりいただけるように、一つは経済的な支援、給付だと思います。これは、今、児童扶養手当という制度がありまして、これは月額満額支給で四万一千七百二十円が支給される。今改正案が審議されようとしているのかなというふうに思いますけれども、父子家庭にも支給するというようなことになっていますが、そういうものがあります。あと、子ども手当といったちょっとユニバーサルなもの、あるいは生活保護といったものだと思います。
 どれも制度的にはやや不安定な部分がありまして、児童扶養手当については、五年間支給後は一応支給停止という条文が生きておりますので、是非これを十八歳年度末まで支給することにした方がよろしいのではないかと思いますし、生活保護についても、母子家庭の場合には、受けられていない方、所得からいったら絶対に受けられる、しかし受けられていない方がたくさんいらっしゃる、これを捕捉率が低いというふうに言うんですけれども、そういう問題があります。
 こういう経済的な支援とともに、住宅という問題があります。公営住宅や住宅手当、諸外国で見られる住宅保障のようなものがないといけないのではないかということです。
 あと、やはり健康の問題がありますので、医療費の助成制度とともに、やっぱり保険料滞納者に対する対応というのをきめ細かく、今対応なさっていると思うんですけれども、まだ漏れていらっしゃる方がいるように聞いておりますので、しなければいけないということとともに、就労支援というのはなされているんですけれども、今まであるいは今やっている就労支援の効果を測定するということがきちんとやられていない。
 全くやみくもにやっているような状態なのではないかなというふうに思っておりますので、七年間、就労支援にかなり力を入れてきていますけれども、ちゃんと効果を測定した方がいいと思います。例えば、在宅就労などにお金を掛けるというのは余り意味がないのではないか、やはりきちんと雇用されて就労したいというふうに思います。
 シングルマザーのつながりということを見ますと、次のところに行きますと、親族と同居している方と同居していない方がいらっしゃいます。それから、親族は同居していなくても保証人などを頼める方と頼めない方というのはいらっしゃるので、先ほどの沖藤委員の御発言と同じように、保証人問題はかなり大きな問題になっています。
 あと、地域というものにかかわる余裕とか時間がないので、地域から支援を受けるというのもなかなか難しくなっている、あるいは職場というところでも、非常に少数派ですので、何というか、いじめに遭ったりとかいろんなことがあります。セクハラのターゲットにもやはり母子家庭はなりやすいということがあります。
 私たちはインターネットやメールのコミュニティーをつくっているわけですけれども、実際のところ、情報格差というのはここにもありまして、貧乏なのでパソコンを持てないシングルマザーが多いです。ですので、メーリングリストというメールでやり取りする仕組みがあるんですが、携帯のメールで入っている方が多いです。だから、情報は携帯で取るという方が多いということを意識した情報の提供というのが必要な気がいたします。だから、年齢によっていろいろな、ニーズが違うということですね。
 それから、私たち、いらっしゃれる方には、一緒に顔を合わせてグループ相談会、次の写真、こんなようなものですけれども、各地でやっております。
 あと、元夫と良好な面接交渉と養育費の支払があれば非常に安定するわけですけれども、この問題もかなり援助が必要ではないかなというふうに思います。
 それから、異性と書きましたのは、いろんな形で、やっぱりこれだけ不安定な世の中ですので、頼れる先を見付けたいという気持ちになるシングルマザーも多いと思うんですが、これが新たな危険をもたらすこともあります。虐待のところの事件でもいろいろな、新たな恋人が子供を虐待しているような事例も見聞きするところですけれども、いい面と悪い面というのがあるというふうに思っています。
 このような相談会をやっていますということで、済みません、何かちょっと時間があれなので少し飛ばして。
 子供と暮らしのところでは、子供は地域に本当に根差して暮らしていますので、いろいろなツールで子供にかかわることができると思います。それは保育園であり、小学校であり、中学校であり、高校であり、学童保育であり、児童館であり、塾であり、PTAであり、父母会であり、あとホームヘルパーの派遣事業というのは全国で行われておりますし、ファミリーサポート事業というようなものもあります。だから、このようなものをどのように使って一人親の子供を支援していくのかということがやっぱりツールとして必要なのかなというふうに思っています。
 やはり、お母さんたちから来る悩みの中には、病児保育がないので欲しいとか、子供の放課後の安全が気掛かりであるとか、学童保育が三年までで終わってこの後が気掛かりだとか、いろんなことがあります。それから、PTAに参加する時間も本当にないのだというようなこともあります。そのほか、特別な援助が必要な困難を抱えているシングルマザーの方もいらっしゃるので、この方たちには、やっぱり出ていらっしゃいというよりは訪問で相談をするというような必要性もあるかと思います。
 シングルマザーのことに時間を掛けてしまったので、あとは、高齢女性のところとかは、私が春の派遣村とかをやったときの体験を少しお話しさせていただきます。
 派遣村にもかかわらせていただいたんですけれども、女性は本当にごくわずかですが、いらっしゃいました。去年の春の派遣村というのも相談事業をやりましたけれども、七十代の女性がいらしていました。この方たちは、先ほどの沖藤さんのお話を聞いていて本当に思うんですが、ヘルパーあるいは清掃などで七十代で働いている方です。
 しかし、今、紹介所は若い方が入ってくるのでヘルパーの登録していても仕事が回ってこなくなったということで、もう食べられないということで御相談にいらした。同居の娘さんがいらしても、その方は病気で働けないというようなことで、本当に生活が立ち行かない。
 でも、非常に誇り高い方たちなんですね。どんな方たちも誇りを持っているんですけれども、特に誇り高くて、やっぱり生活保護を受けるというところを御案内するまでに物すごく時間が掛かりました。何度も付き添ってやっと受けていただくところまで行ったわけですけれども、そのお二方ともやっぱり離婚あるいは別居の、要するに、やっぱり離別あるいはシングルということが不利に重なっていくということがあります。
 私も七十代で働く必要のある女性というのにお会いしたのは初めてだったので、でも、私たち、しんぐるまざあず・ふぉーらむの未来なわけですね。ショックを受けました。そういうわけで、仕事があっても本当に暮らしていけない、そういう高齢女性がいらっしゃるということです。
 それから、若い女性の方なんですが、若い女性の方も、非常に今仕事がない、あるいは家で家事手伝いという名で引きこもっていらっしゃる。それから、やっぱり学校でのいじめ、家族のDV、そういったことを見聞きしていく中で人間関係が非常に困難になって働けない、非正規で働いていて先が見えない。そういう方が増えていて、女性と貧困ネットにもいろんな方がいらっしゃいます。そこには、精神的な問題を抱えていらっしゃる方もいらっしゃいます。
 先進的な取組としては、横浜市の男女共同参画センターがガールズ講座というのをやっておられて、働いていない若い女性たちのための講座をやっているんですけれども、本当にパソコンから習って、何とか、初めて友達ができたということで、そこからステップアップされている方もいらっしゃいます。だから、実はこういう方たちも何とか今対策が必要なのかなというふうに思っています。
 女性と貧困ネットワークでも、「かたり・れん」という語り合う場を毎月つくっているんですけれども、やっぱりそこに来て安心して語り合う場で自信を得ていくというような方がいらっしゃいます。
 こういった若い女性は、なかなか困難を抱えているということは見えにくいのかもしれないんですけれども、実際は深く進行しているなという気がしていて、その人たちのつながりをどうつくっていくのか、どうニーズを把握していくのかというのはこれからなのではないかなというふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。
#9
○会長(田名部匡省君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどに終了させていただきます。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
 また、一回の質問時間は答弁及び追加質問を含めまして最大十分とし、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかをお述べください。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 友近聡朗君。
#10
○友近聡朗君 参議院民主党の友近です。
 三人の参考人の皆様、今日は貴重なお話をいただきまして、本当にありがとうございました。
 まず、私の方からお三方に質問したいと思いますが、まず大西参考人の方にお伺いさせていただきたいと思います。
 事前に配付していただきました論文も読ませていただきました。その中で、まちづくりを市町村を主舞台にして行われる意義というのは、住民参加というものと地方分権を結び付けることだというふうにお話をされていたと思います。私も、個人的なことで恐縮ですが、二年ほどドイツで生活したことがありまして、その中で本当に分権が進んでいる社会というのを肌身をもって感じさせていただきました。
 その中で、どういうことなのかなと自分なりにもいろいろ考えましたけれども、やはり気候風土であったり、地理、地形、歴史的な背景とか市民意識とか、そういったもののそれぞれの地域の特性というのを生かすということが住みやすくて魅力あるまちづくりになるのではないかなと感じてまいりました。
 そこで、住民参加について大西参考人にお伺いしたいんですけれども、例えば、日本で自治会とか商店街のような組織だけではなくて、若者、女性あるいは高齢者、障害者とか子供を含むすべての人がまちづくりに参画できる仕組みというのはどうあるべきかということをお伺いしたいと思います。
 その中で考えられる課題としましては、例えば、市民参加が専業主婦の方であるとか高齢者とか自営業者とか、偏った人たちになってしまうのではないかなということも懸念されますし、あるいは、行政が特定の市民組織とだけ協働するということの透明性の確保とかということも課題に上がるとは思うんですが、制度上の課題もあれば含めて御意見をお伺いさせていただきたいというふうに思います。
 続きまして、沖藤参考人の方にお伺いさせていただきたいんですけれども、介護保険の改善のことについてお伺いさせていただければと思います。
 事前の配付資料を拝見させていただきまして、介護現場の裁量の貧しさ、日常生活の支援の制限であるとか介護保険の枠内での院内介助が認められていない点とかということで、介護保険が比較的最近できた制度であるということもあると思うんですけれども、院内介助の例に見られるように、医療の壁というのに阻まれて多くの制約があるというふうに思います。
 そこで、少子高齢化が進んでいく中で、医療と介護を分割するのではなくて、包括的なケアを位置付ける制度全体の見直しが課題になっていくと思うんですけれども、この点についてどのように改善すればいいか、御所見をお伺いさせていただければというふうに思います。
 続きまして、赤石参考人にお伺いしたいんですが、参考人が副代表をされております反貧困ネットワークの中で、様々な貧困にさらされている方々と支援者の皆さんがネットワークを組んで、見えない貧困問題というのを見えるようにする取組をされているとお伺いしておりますが、その中で特に苦労をされている点があれば教えていただきたいなというふうに思います。
 あと、若者の貧困についてお伺いしたいんですが、私自身、フリーターの経験もございます。先ほど収入のお話もありましたが、私もその当時十三万五、六千円とかいうお給料で生活したことありましたが、今、若者がホームレスとかフリーターとか派遣労働者、シングルマザー、多重債務者とか生活保護とかいろんな貧困問題に直面していると思うんですけれども、若者の貧困問題について、現状や貧困に至った原因、政治や行政がなぜ防げなかったのかということを参考人のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 以上です。
#11
○参考人(大西隆君) ありがとうございます。
 一般には、例えばNPOなんかに入って、そこの意見が政治に反映される、地方政治を含めてですね、ということは随分進んでいるんではないかと。今日のお二人もそうした団体に入っておられるということであります。私も地域の団体で活動したりはしています。そういう場合には、特に時間が、昼間例えば仕事があるという方でも、そうした団体を通じて意見を表明できたり、あるいは、ある種の影響力を行使できるということがあるのかなと思います。
 それから、行政にかかわるという観点では、二十年ぐらい前に都市計画マスタープランという制度ができて、これで市民参加を随分重視したということがあって、まちづくりにおける市民参加というのは随分発展してきたというふうに思います。最近では、例えば自治体の審議会なんかで公募委員を何人か加えるというのは当たり前になっておりますし、パブリックコメントなんかも活発に行われているというふうに思っています。
 確かに、その審議会の委員等で時間が決まった場合に出れるかということがあると思います。そこは、委員会をなるべく日程が合うように調整するとか、そういう現場的な対応でやっていくということだと思いますし、パブリックコメントについては、いろんな時間帯で、ある期間の中で意見を述べられるということで、それに対して法定なり条例で定められていないケースについても小まめに回答するという自治体が増えていると思いますので、手間は多少掛かりますけれども、そういうことを通じて一般の市民の方の意見というのがかなり反映されるようになってきているんではないかと。
 特に首長は選挙を抱えているので、そうした意見を吸収していくということが大事だという意識を持っておられる方が多くて、それが職員にもある程度行き渡っているという自治体もあると思います。
 そういう制度を更に進めていくということが必要で、ヨーロッパの進んでいる国に比べるとまだ足りないということはあると思いますが、私の経験上も日本でも随分最近はその面が発展してきているんではないかと。更にそれを進めていくような条例によって、市民参加を制度付けるということをいろいろな条例の中でやっていくべきかなというふうに思います。
 以上であります。
#12
○参考人(沖藤典子君) 御質問ありがとうございます。
 大変難しい御質問であると思います。待遇の問題と医療、介護の包括の問題、この二点だと解釈してよろしいでしょうか。
 まず、待遇の問題、働く人の待遇の問題ですが、これは介護労働安定センターで毎年調査をいたしておりまして、どうしてこの仕事に就きたいと思うのですかという調査があります。それによりますと、働きがいのある仕事だと思ったからが五八・一%、人や社会の役に立ちたいから、これが三五・四%、今後もニーズが高まる仕事だから、三四・七%という具合に、働きがいと人の役に立ちたいと今後もニーズがある、これが三つの入口です。
 三つの出口というのがあります。では、なぜ辞めるのでしょうかと。直前の介護の仕事を辞めた理由を見ますと、一番目が、法人や施設、事業所の理念や運営の在り方に不満があったため、これがトップです。二三・四。二番目が、職場の人間関係に問題があったため、これが二三・〇。僅差です。収入が少なかったため、二一・八。つまり、出口は経営理念と人間関係と収入です。この三つが出口だと思っています。
 それで、賃金の問題に関しましては、非常に問題だと思いますのは、初任給に関しましては他職業と余り差がないと言われています。問題は、昇給していかない、昇格していかない、将来のキャリアアップのステップが見えない。この辺りのところが待遇の問題で非常に大きな問題です。
 それから、ホームヘルプに関してどうしても申し上げたいのは、ホームヘルパーの平均年齢が五十一歳です。六十代以上の人が半数を占めている、二十代、三十代は二割に満たないという形で、ホームヘルプで若い人が働かなくなっている。中高齢の人たちの仕事、それはそれでいいんです、六十代の人たち、まだまだお元気な方はたくさんいますから就労機会としていいんですけれども、先ほど申し上げましたように、小規模事業所が地域の中で撤退を余儀なくされていて、働き場を失っている中高齢のホームヘルパーが多い。このことが非常に大きな問題だと考えております。
 二番目の医療、介護の包括の問題、これは極めて難しくて、もう私も答えようがないのでございますけれども、一つ言えることは、介護の部分で軽度者を重度化させないという、私の論でいいますと、生活の清潔を守り、適切な食事を守る、この二つを徹底的にやりますことで、それが重度化を防ぎ、それは医療費の削減にもなるのではないかというように考えております。
 介護保険論議の中で今非常に問題なのは、要介護者が重度化している、それから医療ニーズが非常に高まっているということです。ここのところでその医療と介護の包括というテーマが出てきているわけですけれども、これは極めて人の命にかかわることで、どこまで医療をやって、どこまでが介護でやれという線引きは私はできません。ここでは申し上げられないし、そのことで解答を持っている人は今はいないのではないかと思います。これこそが、議員の皆様、先生方の仕事として今後に期待したいところでございます。
 以上でよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
#13
○参考人(赤石千衣子君) 御質問ありがとうございます。
 反貧困ネットを運営していく上での苦労ということと、若者の貧困の問題、原因ということでございますよね。
 まず、反貧困ネットワークのどのようなことを申し上げたらいいのかなというふうに思いましたけれども、まず、二〇〇七年に反貧困ネットワークを立ち上げましたときには、いろいろな団体がつながろうと。これだけいろいろな問題が起きているにもかかわらず、日本に貧困問題があるということが全く言われていない、これを可視化させなければいけない、見えるものにしなければいけないのだということがまず一番だったと思います。
 ごめんなさい、今日持ってこなかったんですけれども、お化けのヒンキーがロゴマークなんですね、反貧困ネットワークの。これは、貧困はお化けのようなものであると。見えていない、幽霊だから見えていない。でも、この人たちをちゃんと見えるようにして供養をすればちゃんと成仏してくれると。だから、ちゃんと貧困問題を可視化させましょうということで、そういうヒンキーというお化けのマークを使っているんですけれども、可視化すること、それからつながることというのが最初の目的だったと思います。
 ある程度それが見えるようになってきた。多分、二〇〇七年の某新聞で検索を掛けると、それ以前は貧困というキーワードでは第三世界の貧困の問題しか出てこなかった、日本の貧困ということでは記事はヒットしてこなかったんですが、それ以降はもう御存じのようにたくさんの貧困問題が新聞記事に躍るようになったわけです。
 さらにその次ということになりますと、一つは、貧困問題は自己責任であるという、そういう意識をどういうふうに説得するのかということなんですね。
 貧困というのは、やっぱり自己責任ではないのだ、そもそも同じスタートラインで出発しているのではない、この日本では、もう生まれたときから格差が非常に開いていると。そこから自分で頑張りなさいよと言われても、もう既に教育のレベルから違う、進学希望から違うというところで、もう付けられているその格差をあたかも自己責任であるかのように見させられているというところを、そうではないんですよというふうに分かるように理解していただくというのがもう一つの大きな課題だと思います。半ばやりながら半ばいつもその自己責任論と闘っているということがあると思います。
 もう一つは、ここまでもうやったではないかと、貧困を削減するための政策をいろいろ取っていますよというようなことが言われて、もういいじゃないかというような議論になりがちだと思います。例えば、生活保護でも母子加算は復活したよと、もうこれで母子家庭の問題は終わりでしょうというようなことがあったり、それから、グッドウィルのように日雇派遣の問題は規制しましたというようなことで、もうやりましたというような、もういいよというようなことがあるかと思います。
 それに対しては、やっぱり貧困率というのをきちんと測定していただいて、では、これは改善しているのかということでその政策目標を掲げていただきたいなというふうに思っているんです。
 例えば、子供の貧困率は一四・三%ですかね、全体の貧困率一五・二%で、子供の貧困率一四・三%で、これはOECD各国の中ではかなり深刻な数字です。イギリスのブレア政権は、貧困ゼロを目標にして政策を掲げて、十年間掛かって貧困率を一四から七%に削減したということがあります。ですので、日本もやることはできるはずなので、どう測定するのか、測定値がない限りはその政策を評価することができないので、そこをきっちりやらなければならないんではないかというふうに思っております。
 あとは、私は女性の問題をやっているので、やっぱり女性の貧困を放置してきたからこそ、男性、若年の男性にも貧困が広がったという視点をきちんと認識していきたいなというふうに思っています。
 それから、若者の貧困問題の方なんですが、困窮フリーターあるいはネットカフェの難民の方たちの調査などを読みますと、一人一人のどのような形で育ってきたのかというのを読みますと、かなりもう育ってきた家庭の中に離婚を抱えておられたり別居したりという形で、あるいは養護施設で育っていらっしゃったりとか、そういう生育歴のところからの不利を抱えているということが分かります。ですので、世代間連鎖をしている。ですので、やっぱり子供の育ちは、ある程度その育った家庭によらない、そういう育ちを応援するのだということが必要なのかなというふうに思います。
 もう一つは、全く別の観点なんですが、やっぱり同一価値労働同一賃金あるいは均等待遇というふうに言ってもいいと思うんですけれども、仕事をする、例えば自動車の組立てをするとか機械の組立てをするとか、同じ仕事をしていても、その人が正社員であるか派遣社員であるか非正規であるかによって、江戸時代の士農工商のように賃金が全く違うという身分差別を日本の会社、企業、公務も全部取っています。これを何とかしない限りは貧困問題は解決しません。
 ですので、同じ緊張、同じ大変さ、同じ疲れを呼ぶ仕事であれば、それは身分によって賃金が異なるということはなしにする、あるいは不安定なほど高い賃金にする、派遣の方が不安定だから高い賃金にする。これはヨーロッパの制度です。ですので、その均等待遇あるいは同一価値労働同一賃金原則をきちんと日本が採用しない限り、貧困問題は解決しないのではないかというふうに思います。
 以上です。
#14
○友近聡朗君 ありがとうございました。
#15
○会長(田名部匡省君) 丸川珠代君。
#16
○丸川珠代君 済みません、座ったままで失礼いたします。
 自由民主党の丸川珠代と申します。
 今日は、お三方の参考人からそれぞれ非常に御自身の研究あるいは経験を通じて得られた知見を御披露いただきまして、誠にありがとうございます。
 特に、沖藤参考人、それから赤石参考人それぞれ、見渡してみますと、政治の場において最も代弁者が少ない、高齢の女性であるとか、あるいは既婚、未婚かかわらず今一人で子育てをしておられる女性という、非常に弱い立場ながら代弁者が少ない方々についてその思いを代弁していただいて、本当に有り難いと思っております。
 それでは、それぞれにお伺いをしたいと思いますが、まず先に質問だけ、お三方にそれぞれ言わせていただきます。
 大西参考人にお伺いをしたいと思います。
 基幹産業と地域産業、これは私の理解では恐らく地域にとっての外需と内需なのかなというふうに理解をいたしましたが、日本国であれば、内需でもそれなりの数の人口がありまして、マーケットも国内で成立する産業もございますけれども、事地域でも人口が、つまり商圏がそれほど大きくないところへ行きますと、なかなか、基幹産業を立ち上げる、育てるというときに、非常に地域によって差が激しい。
 中には、基幹産業を立ち上げるその意欲であるとか力というもの自体をそもそも見付けづらいような地域もあるかと思いますけれども、論文をお読みしますと、例えばハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車みたいなことも例に挙げておられるのかなと思うんですが、具体的なイメージとしてどういうふうにその基幹産業というものを描いておられるのか、もう少し詳しく教えていただきたいです。
 それから、沖藤参考人、赤石参考人それぞれにお伺いをしたいと思います。
 自己責任論の壁とお二方ともそれぞれに闘っておられることだと思います。沖藤参考人におかれましては、個人の選択や努力によって左右できる範囲を超えていると思われる分野、特に大きく二つ挙げていただけますでしょうか、高齢の女性に関して。
 私ども、今ロストジェネレーションに少し足が掛かっている世代なんでございますが、私たちも恐らく夫を見送った後二十年ぐらいお一人様生活をしなければいけないという覚悟の上で今お話を伺っておりましたので、よろしくお願い申し上げます。
 それから、赤石参考人におかれましては、自己責任論の壁で必ず出てくるのが、例えば、私は、夫のことは非常に納得がいかないこともたくさんあったけれども、子供がいたから、あるいは暮らしをしていくために離婚はしませんでしたと、我慢したから今の生活があるのという方が必ずおられて、だから離婚されたあなたは自分の選択でしょうというふうにおっしゃる方がたくさん世の中におられると思うんですが、こういう方に対して、その自己責任論の壁を赤石参考人はどのように打ち破っておられるのか。
 やはり沖藤参考人と同じように、個人の選択や努力によって左右できる範囲を超えているというふうに思われる大きな分野を二つ挙げていただきたいと思います。
 一つコメントですが、沖藤参考人が災害対策本部に女性担当者、特に高齢の女性や男性の思いが分かる方を置くべきだというのは非常に参考にすべき意見だと思って拝聴いたしました。
 以上でございます。
#17
○参考人(大西隆君) 最初に質問がありましたので、私から最初にお答えさせていただきます。ありがとうございました。
 基幹産業、御指摘のように外需、地域にとっての外需に対応する産業ということになります。日本の人口が、さっき少しお話し申し上げましたけれども減っていく、かなりドラスチックに減っていくということは覚悟しなきゃいけないということなので、地域という場合に、従来よりもその地域の経済圏あるいは生活圏を少し広く取るということが一つの視点として大事になるのかなと思います。
 市町村合併されたわけですが、その市町村、千七百ぐらいはまだその経済圏という意味では小さいかもしれないので、幾つかの市町村が協力してその地域の経済圏というのを考えていくと。つまり、通勤できる範囲というのもかなり距離的に延びているということを前提とすれば、広域で物を考えるということが必要なのかなと思います。
 具体的な産業の中身、従来であれば外需というと製造業が代表的なものでありました。あるいは農業も、自分だけで食べるわけではなくて外に売るという産業であったわけです。
 もちろんそうしたものもこれからも必要だと思いますが、例えば特に注目されているのは、観光に関連して農業、つまりそこで取れる農作物を加工して、さらにそれを提供するサービスを行うということで、農業に工業、加工で一部製造業がかかわって、あるいはそこに商業とかサービス業というのがかかわるということで、産業がつながりながらいわゆる付加価値を高めていくということが地域にとって重要ではないかということで、私はそこはいろんな工夫があるのかなというふうに思います。
 実例を細かく挙げませんけれども、地域の農産物を加工してちゃんとした企業に育っていった事例というのも日本全国にかなり出てきているので、そうした足下を見詰めて、単に原料を外に出す、作ったものをそのまま出すということではなくて、いろんな付加価値を地域の中で加えていくという工夫をするということがこれから重要になるのかなと。そこで、さっき最後に申し上げた、そういうことを、ノウハウを持っている人材が地域で協力するということが大事になるのではないかなというふうに考えているわけです。
 以上でございます。
#18
○参考人(沖藤典子君) 御質問ありがとうございます。
 個人の選択や努力を超えている分野、二つ例示してほしいということで、まず最初に思いますことは、いつの時代にも新しい風や古い風、新しい意識、古い意識があるんですが、特に現在六十五歳以上の高齢女性たちがいわゆる青春期、結婚期あるいは子育て期、そのころに吹いていた風を見ますと、相当強い社会的規範の風があったということです。
 端的に言いますと、性別役割分業が非常に厳しく、特に親の介護が発生したときにやむなく仕事を辞めた女性というのはたくさんおります。
 私の友人の例ですが、夫婦で海外留学をしていたときに夫の親が倒れたと。そうしたら、その夫に帰国せよという命令ではなくて、夫の妻の、つまり嫁と言われている立場の彼女の方に帰国して親の介護をせよという命令が来たと。彼女は泣く泣く帰ってきて、つまり自分の留学を途中放棄して親の介護に当たったわけですが、それも非常に長期の介護になりまして、結局、彼女は中年期の活動期に夫の親の介護に縛られたまま再就職の機会も逃しということで、非常に、貧しいと言っていいかどうか分からないけれども、人生の達成感を得ない、そういう人生を送らざるを得なかったという事例がございます。
 つまり、彼女は、社会の規範に従順であったがために、その従順さによって復讐されたと言っても過言ではないような、そういう意識があったと思います。このときに、性別役割分業を拒否し切れたかどうか、恐らく拒否し切れなかった。それが当時の女性たちの一般的な社会通念であったと思います。
 そういう社会通念の犠牲になったという女性は、今高齢期を生きている女性の中に非常に多いと思います。ですから、やはり社会の中での性別役割分業というようなもの、これを正していくということが非常に高齢者の貧困を防いでいく大きな道のりの一つであろうかと思います。
 それから、二例ということでもう一例を考えてみますと、今の事例に関連するんですが、例えば介護休業制度を考えてみましても、今の介護休業制度だけでは親の介護ができ切れない事例というのはたくさんございます。
 ここにもまた社会通念があるわけで、御存じのように、介護休業制度というのは、その介護している人だけではなくて、介護している人の兄弟あるいは配偶者等々も利用できる非常に幅広い取得資格が用意されているんですけれども、ここにもまた配偶者である妻が休むべきだという形で職業的な達成感が得られない。
 それもまた親族間の関係性によるわけですけれども、長男の嫁だとすると、次男の方あるいは次男の配偶者、三男、三男の配偶者、仮に三人の子供がいれば六人取得できるわけで、九十三日掛ける六で数えれば、順繰りに取っていけば、そういう取得が可能であれば介護によって職業を中断しなくてもいいわけですけれども、現実にはそうはならない。一人の人に介護が集中するということで職業が継続できない。
 ということによって、やはり老後の貧しさを再生産させていくということが言えるかと思います。
 以上、二例申し上げました。
#19
○参考人(赤石千衣子君) 御質問ありがとうございます。
 シングルマザーにかかわる、何というんですか、自己責任論と申しますと、やはり我慢が足らなくて勝手に離婚したのだから自分で何とかやっていけというようなことかなというふうに思いますし、離婚はやっぱり道徳的に許されないことだというような意識も、まあ少しずつ減ってきてはいるものの、まだ社会に根強いのかなというふうに思っております。
 ただ、私は、相談を受けたり、先ほども言ったようにグループの相談会で皆さんのお話を、離婚前あるいは離婚後の皆さんのお話を聞いていると、もうそんなに気軽に離婚していらっしゃる方はほとんどいらっしゃいません。それはもう本当に悩みに悩んだ挙げ句、今結婚を継続するよりも離婚した方がまだ子供のためにとってもいいのではないかというぎりぎりの選択をしていらっしゃるという方が多いです。
 例えば、ドメスティック・バイオレンスがあって本当に殴られてしまっているとか、あるいは、借金があって、しかも、それも一回はその借金を親族に頼み込んで何百万か返した、もうこれ以上借金はしないと夫も誓った、でも一、二年たってみたら実はまた数百万の借金があったことが分かってしまったと、もうこれ以上は我慢できないとか、あるいは、身体的な暴力でなくてもずっと精神的な虐待、暴言を吐かれているというようなことがあります。
 私は、十年ぐらい前からそういったお話を聞いているときに、実は目の前にいる女性の背後にいる男性が物すごく生きづらくなっている、物すごく傷んできている、やっぱり男性が男性としての規範で生きにくくなっている。妻子を養って十分な給料を得るというようなことがなかなか難しくなっている時代に、痛め付けられてきたその矛先が妻や子供に暴言となっていく。あるいは、自信がないので妻、子供を巻き込んで自殺未遂をするとずっと脅していたというような夫の方もいらして、本当に子供を巻き込んで自殺未遂すると言われたら、それはもう離婚するしかないわけです。距離を取らなきゃいけないわけです。
 というようなことがありまして、本当にやむを得ない、そういった事由で離婚されているというふうに思います。ですので、何かわがままで我慢が足らなくて離婚されているというようなのは一般のイメージとは全く懸け離れているということを申し上げたいと思います。
 それからもう一つは、離婚したら貧しくなるというのは平均的にはどうしてかといいますと、やはり女性が継続の就労をしていないということだと思います。結婚したらいったん退職する女性は、日本の場合には六割あるいは七割の方が第一子の出産で仕事を辞めています。それで、再就職されるときには非常に安い賃金のパート就労しかないというような状況ですね。これが貧困の原因ですので、女性がもっと継続就労できるような状況をつくればもうちょっと貧困の問題は大きく改善するだろうというふうに思います。
 ですので、本当に正社員で継続就労しておられるシングルマザーの方はもう本当にごく少数なんですが、その方たちはそれほど困っていらっしゃらない方もいらっしゃることを考えますと、やはり女性がちゃんと仕事をしていけるという応援をするということも、またこれも必要なことなのかなというふうに思っております。
 以上です。
#20
○丸川珠代君 ありがとうございます。
#21
○会長(田名部匡省君) 鰐淵洋子君。
#22
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
 今日は三人の参考人の皆様、大変にありがとうございました。貴重な御意見を賜り、心から感謝申し上げます。
 お一人ずつ、一つずつ質問させていただきたいと思いますが、まず大西参考人にお伺いしたいと思います。
 地域振興の戦略ということで幾つか挙げていただきまして、また、これからの政策に求められることということで幾つか御提言をいただいておりますが、その中で、人材交流とも少しつながるかもしれませんが、地域間交流、地域と地域との交流によって活性化が図られている、そういった成功例があったら是非お伺いしたいと思うんですけれども。
 例えば、観光ですと一番分かりやすいと思いますが、観光で有名な地域があったとして、その近隣の市町村だったり県にまたがって連携を取ることによって、今までは日帰りだった観光が一泊だったり二泊だったりして、他地域との連携によってそれぞれの地域が一緒になって活性化するというか発展するというか、そういったことも例えば観光の分野では考えられるかと思うんですけれども、こういった地域と地域との連携によって活性化しているような、こういった成功例がもしありましたら教えていただきたいと思います。
 次に、沖藤参考人にお伺いしたいと思いますが、介護保険制度がスタートして様々環境の変化もある中で、先ほども参考人の方からもお話がございましたが、単身の高齢者が増えていることとか、あと、男性の介護者が増えていること、また認知症の問題とか様々、沖藤参考人も御指摘されておりますが、そういった中でこの介護保険制度、今までの答弁の中にも重なる点もあるかと思いますが、改めて改善点、ここをもっとこうしてほしいとか、具体的に改めて付け加えられる点がありましたら教えていただきたいと思います。
 次に、赤石参考人にお伺いしたいと思いますが、丸川委員の答弁に重なる点もあるかもしれないんですが、母子家庭に至るまでに様々な背景というか理由というか原因があるんだと思います。
 実際に、国勢調査で平成十二年では母子世帯は六十三万世帯ということだったんですが、平成十七年度は七十五万世帯になっているということで十二万世帯増えているということで、単純にこの数だけを見ても増えているという中で、こういった母子世帯また父子世帯も含めて増えてきているというその背景について、改めて現場で実際にかかわっていらっしゃる立場で教えていただきたいと思います。
 あわせて、そこに至るまでの対策、支援というのか対策というのか、もっとこういうことをした方がいいんではないかというか、そういった支援策なり具体策ですね、至るまでの母子家庭というか、そこに至るまでの対策の必要性をもし感じている点がありましたら教えていただきたいと思います。
#23
○参考人(大西隆君) ありがとうございます。
 観光については、委員御指摘のように広域的なネットワークが大事だということで、たしか広域観光圏というような制度もできたと思います。
 この例は、そこに手を挙げているといいますか、そういう制度を適用しているところも、都道府県の境界を越えてネットワークをつくろうというところも随分増えていると思いますので、これは一般の我々の行動パターンからしても、一か所よりも何か所か回ることで観光旅行の価値が高まるということがあるので、一つのやり方で定着していくのかなと思います。
 ちょっと角度を変えて、これから大事になる広域的なネットワークの一つに流域圏、川の流域というのをもう一回考えてみようと。
 つまり、文明が発展する、発達するということは、川に橋を架けて、これまで川で隔てられた地域が結び付いてつながっていくと。日本でいえば太平洋ベルト地帯なんかが典型です。そうやって、平野と平野が川、山を越えてつながっていくということで発展してきたというふうに考えると、やっぱり縦の源流から河口までという川の流れの一体感というのが総体的に希薄になってきていると思います。
 ただ、水を共有しているとか、伝統的な文化のつながりがあるとかいうことで、流域圏にはいろいろなつながりがあると。そこをもう一回見直して、特に水源の管理あるいは水の管理ということを災害対策等も含めて考えていこうという、こういう動きは絶えず出てくるんですが、現代社会でも必要なことではないかと。
 特に、その中で中山間地域、水源を抱えるところが、人口が減っているとか産業が疲弊している、林業が疲弊しているということで貧しい地域になったり、人口が流出している地域になっているわけで、都市部がそこをいろんな意味で助けるということも重要になっているので、私は、流域圏という考え方で広域的な関係というのを強めていくということもこれからの地域間交流にとっては大事な点かなというふうに思います。
#24
○参考人(沖藤典子君) 御質問ありがとうございます。
 私は、介護保険制度というのは本当にできてよかった制度だと思っています。この制度に助けられたという人が私の周囲にも非常に多くて、本当に有り難いと思っておりますが、しかしながら、制度の中をよく見てみますと、改善しなければならない点が多々あるかと思います。
 大きく五つに絞ってお答えしたいと思います。
 まず一つには、制度をシンプルにしていただきたい。特に〇九年報酬改定におきましては、加算が四十項目ぐらい付きまして、もう加算がどこにどれだけ付いているのか理解するだけでも容易ではない。その制度がますます複雑になっていくということによって、利用者は幾ら説明されても分からない。非常にケアマネ依存度が高くなっております。
 私なんかが取材に行きましても、家族が五十代ぐらいの介護家族の方ですら、私よく分からないから、ケアマネジャーさんと同席でないと取材に応じられないと。ケアマネさんが病気して寝込んじゃったので取材拒否みたいな、そういうことが現実に起こるぐらい、家族も利用者も介護保険制度をよく理解できないでいるということで、今の加算方式のやり方がいいのか、もう少し制度がシンプルにならないかということを第一点申し上げたいと思います。
 それから第二点は、これは非常に大きな問題なんですが、認定が果たしてこれでいいのかという問題です。
 特に〇九年の改訂版テキスト、御存じだと思いますけど、大混乱を招きまして、すったもんだの迷走がありました。そのことで私は非常に思ったことは、認定に一体幾らぐらいのコストが掛かっているのかが明朗になっていない、これがブラックボックスになっているんですね。
 審査会において、要介護認定に一人当たり今一万円ぐらい掛かっているんじゃないかという、そういうデータはあるんですが、全国的に見て一体どのぐらい掛かっているのか。区分変更もありますので、まず認定の費用が分からない、ブラックボックスになっているということは大きな問題だと思うし、そもそもこの非該当も含めて八段階必要なのかということが今関係者の中から言われ始めております。私なども大ざっぱに四段階ぐらい、非該当も含めてですね、軽度、中度、重度ぐらいの四段階ぐらいでいいのではないか。
 それから、区分支給限度額、これがまた非常に悩ましい問題で、これをどうするのかということは今後の大きな議論の課題だと思います。私は、個人としては支給限度額は設けなくていいのではないかと考えております。
 説明すると長くなりますので、三点目に行きますと、これは制度そのものであると同時に運営の問題になるわけですけれども、先ほど来ちょっと話しておりますように、同居家族がいる場合の生活援助の給付制限というのは、これは見直す必要があると思います。
 先ほど、運営基準に入れてほしいと、日中独居、老老介護、それから家族の疾病、障害、そういう場合に生活援助を出すということは運営基準に入れてほしい、課長通知だけでは浸透しないのではないかと申し上げましたが、ここも是非とも考慮していただきたいところです。
 特に、生活援助が二時間から九十分に〇三年改定で削減されまして、それで困っている家族が非常に多いということも、この家族同居の問題と同時にお含みおきいただければ幸いです。
 それから四番目に、やっぱり散歩とかそれから院内介助の問題、つまり外出支援をどうするのか。
 一種の、今の状況ではもう閉じこもり状態になっていて、散歩とか院内介助をケアプランに入れるのにはケアマネジャーは非常に勇気が要ると言われております。そういうわけで、いわゆる閉じこもりをどうやって防ぐのかということが四番目の課題として大きい問題だと思います。
 五つ目として、先ほども待遇の問題、友近先生から御質問いただきまして、やはり介護人材を今後どのような形で守り育てていくのかということは非常に大きな問題だと思います。
 先ほどちょっと言い落としましたが、厚生労働省の調査で、前年度から今年度八千九百円給料が上がったという資料が発表されておりますが、それは平均値で八千九百円であって、分布で見ますと一番多いところが五千円です。そのように、待遇問題も含めて、介護人材をどのような形でフォローアップしていくのかということが介護保険制度を考える上での大きな問題だと思います。
 以上、五点申し上げました。
#25
○参考人(赤石千衣子君) 御質問ありがとうございます。
 一つは、母子家庭、シングルマザーの増加の背景、もう一つが、そのシングルマザー対策として求められるものという御質問だったかと思います。
 まず、シングルマザーの増加の背景ですけれども、今、鰐淵委員がおっしゃった統計はちょっと余り使っていないかなと思いまして、普通には、全国母子世帯等調査を五年に一回しておりますので、その統計を使っております。
 それでは二〇〇三年に百二十五万世帯。これはどうして先ほど六十四万とか七十五万というふうな数字とかなり違うのかと申し上げますと、親族との同居の母子世帯を数えているからなんです。やはり、離婚した、あるいは死別になって母子家庭になったときに自分たちだけで暮らしていけない、そういうシングルマザーの人たちは親元に帰るというような選択をしますので、その人たちの状況をカウントするかしないかというのが数が大きく変わる原因だと思います。
 実は、この調査が二〇〇六年にも行われておりますが、そのときに全数を推計するのを厚生労働省はおやめになっていらっしゃいます。ですので、このときから全数の推計値が出ていない。まあ、百二十万世帯ぐらいかなというふうにおっしゃっています。
 それはどうしてかといいますと、サンプル数が少ないので推計を出すのはちょっと危険であるというような判断をなさったんだと思うんです。せっかく五年に一度やっていらっしゃる調査ですので、サンプル数が千八百であっても、もうちょっと増やせば推計値が出ると思いますので、是非出していただきたいなというふうに思っております。
 そうしますと、何を使っているかというと国勢調査なんですが、その国勢調査の数は単独の母子世帯しか浮かび上がってきません。それですと八十万世帯ぐらいということでいっているかと思うんですけれども、ややそれでは同居母子世帯の方の実態が浮かび上がらないということがございますので、是非とも調査をまずきちんとやっていただくということが必要ではないかなというふうに思っております。
 その後で、増加の背景なんですけれども、離婚の件数が一九九二、三年から二〇〇五年ぐらいまでかなり伸びました。右肩上がりに、バブルの崩壊後びいっと、こういうふうに増えていったわけです。実はバブルのときには離婚件数は減りました。ですので、経済との連動あるいは失業率との連動というのを非常に指摘している研究者の方もいらっしゃいます。言うなれば、経済が悪くなれば離婚も増えるというようなことです。二〇〇五、六年をピークに離婚の件数は余り増えていないんですね。そのことが増加の背景、つまり、やっぱり経済が悪くなると家族がもたなくなってくる。
 先ほども一人一人が痛め付けられているというようなことを申し上げましたけど、そういうことが見えるのではないかなと推測しています。原因というのはなかなか分からないことかなというふうに思っているんですけれども、ですので、女性の社会進出あるいは女性の独立の意識が高くなったというようなことを、母子家庭の増の背景として感覚的に思っていらっしゃる方が多いかもしれませんけれども、実際はそういうことではないということを申し上げたいと思います。
 それから、もうちょっと調査のことを申し上げたいんですけれども、また調査の中身についてもなかなかすべて公表されていないとか、いろいろな離婚の、未婚、死別という、母子家庭になった理由別の平均年収が公表されないとか、いろいろちょっとうんと思うような、うんというのは、つまりどうしてだろうというようなものがありますので、そこら辺を改善していただけるともっと母子家庭の実態がはっきり分かるのではないか。あるいは、子供の進学希望、子供の貧困の中で母子家庭、父子家庭の子供が占める割合が大きいので、やっぱり教育の問題に注目した質問項目も必要なのではないかなというふうに思っているところです。
 もう一つ、支援策の方ですが、先ほども申し上げましたとおり、まず経済的な問題が大きいということで、経済的な問題に関しては現金給付、あるいは今何か給付付き税額控除みたいなものも検討されているやに聞いていますけれども、要するに経済的な支援というのはどうしても必要になるというふうに思っています。
 ただ、みんながオーケーと言うなら、私はそこを十分に手厚くするのが良いかと思うのですが、でも当事者団体から言うのも悲しいものではありますが、グループを特化したところに現金給付をすると非常にバッシングが強くなるというのはこの日本社会の悲しいところです。
 ですので、ある程度はユニバーサルな、子供に対して、どんな子供に対しても応援するよというような制度を拡充した方がいい面もあります。それがやっぱり、例えば就学援助金であったり、いろんな現物給付だったりするのではないか。教育費の中で、例えば学校に行くときに、一々制服は買わなくてもいいとか、ピアニカとかも学校に備付けになっているとか、そういうところでかなり助かるところがあるのではないか、あるいは、わざわざこのお店指定の体操服は買わなくてもいいとか、そういうので随分助かるところがあるのではないかというようなことがあります。
 あとは住宅、経済的な困窮者に対して住宅をどのように保障するのかというところで、やっぱり住むところというのがまず非常に大きい。これはもう経済的困窮者すべてにそうなんですけれども、そこをどのように保障していくのかというのは、この日本社会にとって大きな課題である。
 今、本当にゼロゼロ物件であるとか追い出し屋であるとか、いろんな問題が起こっておりますが、住宅を景気浮揚の、何か利用してやっているために、みんなが私費負担しているというシステムがいいのかなというふうに思っているというようなことがあります。そういうことがあります。
 それからもう一つは、別れた父親と良好な関係を持って養育費を送ってもらうというようなことをするにはどのようにしたらいいのかということをもうちょっと研究するということだと思います。
 それで、今、共同親権、共同親責任、共同監護についてのいろいろな議論がされていて、国会でもいろいろな要望が上がっている、国会に届けていらっしゃる方がいらっしゃるかと思うんですけれども、私たちは早急な共同親権制度については慎重派でございます。
 ただ、裁判所あるいはいろいろなところに、安全に、低廉に、ちょっとやっぱりコミュニケーションが難しくなっている元夫、父親と会えたりできる場を確保して交渉できる、そういうところをつくっていくことによって養育費の確保も少しやりやすくなるというようなことがあると思うので、家庭裁判所等あるいはいろいろなNPOがそういった仲介役をする、そういうインフラ整備というのがあってこそ良好な面接交渉と良好な養育費になるのではないかというふうに思います。
 でも、もちろん、DVとかで虐待があったりして会えないという方には、それは除外した方がいいというふうに思っております。
 済みません、何か複雑なことを申し上げましたけれども、以上です。
#26
○会長(田名部匡省君) 紙智子君。
#27
○紙智子君 今日、三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
 それで、私は、非常に気になることでもあり、早く何とかしなければならないと思っていることの一つで今日はちょっと考えたいと思うんですけれども、介護施設の火災事故が続いているわけですけれども、昨年の三月は群馬県の有料老人ホームたまゆらで、これは十人の方が犠牲者になる、そういう火災事故がありましたし、今年の三月は、私の出身地でもあるんですけれども、札幌のグループホームみらいとんでんで火災事故があって、七人の方が犠牲者になってしまったということで、本当にお悔やみを申し上げたいわけですけれども。
 それで、消防法の設置基準、それから費用についてなんですけれども、最初に大西参考人と沖藤参考人のお二人にお聞きしたいんですけれども、認知症のグループホームの数というのが、二〇〇三年当時三千六百六十五か所だったものが二〇〇八年に九千二百か所ぐらいですから大体二・五倍、入所者は二〇〇三年当時四万三千五百人ぐらいだったのが二〇〇八年には十三万二千人余りですから、大体三倍に増えているんですよね。もっと増えるんじゃないかということが言われているわけですけれども。
 そういうふうに増えてきている中で、一方で、高齢者の施設で犠牲者が出た火事、火災の事故というのが、消防庁によりますと二〇〇六年から二〇〇九年の四年間で十一件になっていて、大きな施設もあるんですけれども、小さな、それこそスプリンクラーの設置義務というのは二百七十五平方メートル未満は必要ないと言われているんですけど、そういう小さな施設も含めてあるわけですよね。
 それで、消防庁が長崎県の大村市のグループホームであった火災事故を受けて、その後、消防法の施行令を改正して、そこでは、自力で避難が困難な入居者がいる施設ではスプリンクラーや火災報知機などの設置基準を強化するということだったわけですけれども、しかし、十人未満の施設ならば消防計画の作成や防火管理者を置かなくてもよい、それから、二百七十五平方メートル未満の施設だったらスプリンクラーを置かなくてもよいというような内容なわけです。
 一方で、自動火災報知機ですとか一一九番の装置というのはすべての施設で設置しなきゃいけないということなんですけれども、その設置のための費用というのは八十万前後は最低でも掛かるということなんですよね。札幌の今回の火災事故というのは法令違反ではないというふうに言われていて、そうすると、本当に現行の防火の安全対策で入居者の安全が守れるんだろうかということがすごく問われてくるわけですよね。
 この点で、安全対策の問題どうあるべきなのかということや、本当に今の設置基準で大丈夫なのかと、費用なんかはどうするのかということについてお二人からお聞きしたいということと、あわせて、もう一つなんですけど、人員配置です。人員配置の問題では、今回、札幌の火災の事故というのは三月の十三日の未明に発生していると。それで、夜勤が一人だけだったわけですね。お年寄りの九人のうち七人が介助が必要だったと。
 火災が発生する場合、まず最初に初期の消火ということが必要なのと、消防への通報と避難介助ということが必要になるわけですけれども、結局、グループホームの国の人員配置の基準というのは一人の夜勤職員で最大十八人まで可能だということになっていて、本当にそれで大丈夫なのかというのは、どう考えても、一人で、じゃ、どうするのかということがあるわけで、これについてもちょっと御意見をお聞かせいただきたいというように思います。
#28
○参考人(大西隆君) 手を挙げましたけれども、今御質問の点について私は専門家というわけではないので、参考になることを申し上げられないと思いますので辞退させていただきます。
#29
○参考人(沖藤典子君) 御質問二つあったと思うんですね。入居者の安全はどうあるべきかということと、人員配置基準は現在の状況でいいのかということです。
 入居者の安全はどうあるべきかという御質問は全く当然のことでありまして、中に入っている方々が非常に虚弱な方である、あるいは、例えば出口はこっちですと仮に叫んだとしても、その出口の方に行かれない、出口を認知できない、そういう方々の安全を守るということに対して私は非常に何か甘いというか、もっともっと厳しくするべきだと思います。
 防火できる建物がありますね、鉄筋コンクリートとか、それから壁の材質とか、カーテンの材質とか、そういうこともきめ細かくチェックした安全基準を設けるべきだと思っています。それはグループホームに限らず、特養であれ高専賃のような高齢者専用住宅であれ、足腰が弱まっている人たちが住む住居というのは特別の配慮が必要だと思っております。
 これはちょっと常識的な答えで申し訳ないと思いますが。
 それから、人員配置に関しては、これはもう介護保険が始まって以来、認知症グループホームに限らず、特養も老健も配置基準が変わっていないということです。夜勤が、グループホームでは十人に対して一人ですけど、特別養護老人ホームですと二十五人に一人とか、それからショートステイでも二十五人に一人ぐらいの配置基準で、今までこういう事故が度々ありながら配置基準が改善されていないということは非常に残念なことだと思っております。
 私も、去年、おととしですか、五十人のショートステイの方々のところで夜勤を経験しまして、そこは法律上では夜勤人員二人いればいいというところを、特別に施設法人持ち出しで三人夜勤を置いているというところに私も加わって夜勤を経験させてもらって、もう本当に夜のお年寄りの動き方の多様性といいますか、もうぞろぞろぞろぞろ、あちこちからはい出してくる。あちこちでピンポン鳴ると。それから、ベッドから降りると自動的に通報が入りますね。自動センサーマットがあるから、ピンポンピンポン始終鳴っていると。
 そうしますと、五十人に三人であっても、もう本当に走り回るわけですね。四人目の私は、恐ろしくて、そのはっているお年寄りたちを抱きかかえていいものやら、もし骨折させてしまったらどうしようとかという恐怖感があるから、そうは簡単に手出しできないという状況で一晩過ごしまして、この夜勤の体制というものは根本的に見直す必要があるというように思いました。
 しかも、働く人の側からいえば、十時間拘束で二時間仮眠時間があるわけです。ところが、実際に二時間仮眠取れるという状況じゃないんですね。登録型の人ですと、その二時間は無料、無料というか、ただ働きになるわけで、実際の賃金が払われていない二時間、空白の二時間があるということも体験いたしまして、根本的な問題だなと実感いたしました。
 それこそ高齢者の本当の姿は夜にあるというか、高齢者は夜動くというか、夜の実態を見ない限り人員配置を是正はできないんじゃないかと思っております。
 特に今重度化して医療対応が必要な方が非常に増えていますから、万一の火災あるいは水害、水害でも土砂崩れで押し流されて、事件がありましたですね、そういう大雨とか台風とか、そういうものに対する対応というようなことも含めた人員配置体制と、それから、これはコミュニティーとのかかわりだと思うんですが、地元の消防団とかそれから自治会、町内会と施設側が日常的にどれだけコンタクトを取って防災体制を整えているかということと非常に大きく関連している問題であります。
 そのことによって特別養護老人ホームなどが迷惑施設化されてしまって、いまだに設置をしようとすると住民運動の中で反対運動がなきにしもあらずということで、つい最近もある駅から非常に近いところに設置をしようという動きに対して地元住民が反対だ、そういう施設はどこか山の遠いところへ持っていってほしいと。これが去年聞いた話です。そういうことがいまだに起こっていると。山の方へ持っていけば土砂災害とか、そういうことが起こるわけです。
 ですから、先ほど言いましたように、都市計画の中にきちんと位置付けて、地域の人たちとの連携も組み合わせて設置基準を考えていっていただきたいというように思っております。
 ありがとうございます。
#30
○紙智子君 ありがとうございます。
 御自身の体験も踏まえてお話しいただきまして、一人体制では介護する側も物すごいプレッシャーだと思うし、やっぱり責任が掛かっているので持てないと思うんですよね。そういう意味でも、最低でもやっぱり夜間はそういうところでも二人体制とか複数体制にする必要があると思うし、介護報酬ですね、これの引上げも必要だというふうに私ども考えております。
 それから、ちょっともう一人の赤石参考人にも伺います。
 それで、先ほどのお話を聞いておりまして、やっぱり貧困という問題に、なぜそういうことになるのかということと、それと貧困の問題を解決するためにどうするかということで正面から向き合って努力されていることに敬意を申し上げたいと思うわけです。
 それで、お話も聞きながら、やっぱり不安定雇用が非常に増えてきているということですとか、そういう中で労働者世帯の収入減ということが親の貧困格差ということにもなり、親の貧困格差が子供の貧困ということにもつながっているということでは、そういう全体をどうするかということでやっていかなきゃいけないし、社会全体でそれこそ子育てを支えていくことや経済的な支援を強めていかなきゃいけないというふうに思うんです。
 私は、生活保護の母子加算の問題でこの復活をということでいろいろ要求をされてきた方々とも直接お会いして話を聞いたときに、本当に何というんですかね、もう朝から三回ぐらい仕事を切り替えて働いて、何とか高校に子供をやらせたいと。
 子供の方はもうお母さんのことを苦労を知っていて、別に行かなくていいと言うんだけれども、親はやっぱり行きたいだろうと思っていて、そのために何とかしようということでもう体を壊してしまうぐらい働くという状況があって、本当に安定して働けるということと収入という問題と、それから教育の問題でもできるだけ軽減していくということでいうと、今、高校無償化の法律ということで、これができてということで、そういう意味では非常にいい面というのもあるんだけれども、もう一方で特定扶養控除が縮減されるということによって一部で差引き増税になったりというようなこともあるわけですよね。
 やっぱり、そういうこと全体を含めてどうしたらいいのかということなんかについて御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
#31
○参考人(赤石千衣子君) ありがとうございます。
 母子家庭の子供たちを応援する施策としてどんなもの、現状の政策をどう考えているかみたいなことでしょうか。
#32
○紙智子君 とりわけ教育ということで。
#33
○参考人(赤石千衣子君) 今回、「母子家庭の子どもと教育」というアンケートをしていろんなことを考えました。まず、高等教育、高校や大学に進学させたいという希望を持っている母子世帯のお母さんは非常に多い。これは何かもう既に困窮世帯の子供の親があきらめているということがよく希望格差という形で言われているんですけれども、私たちの調査では、母子世帯のお母さんは、何とかして高校にやりたい、何とかして専門学校にやりたい、何とかして大学にやりたいという希望を非常に持っているということがありました。
 ところが、やっぱり二百十三万円の年収で子供に教育を受けさせるということはもうはなから無理なんですね、それは食べさせるだけでやっとなわけですから。そうすると、どうするか。一つは、親族からの援助がある場合には何とかなるかなと思っている人が多かった。あるいは、養育費が定期的に支払われている場合にはちょっと何とかなるかなと思っている人が多かった。あとはどうするかというと、奨学金か貸付金ということになります。
 この奨学金、貸付金というのは、もう高校のときから借りている方が多いです。これは本当に、母子団体のこれまでの積み重ねによって母子向けの貸付金で修学資金というようなものがありまして、ちょっと低利なのでそちらを借りる方が多いんですけれども、それを、借金の返済は子供にするという形で親が保証人になるという形に今なっております。そうすると、高校あるいは専門学校あるいは大学を卒業したときにはその子供たちは既に四百万、五百万の借金を負っているという状況で、何とか借金をしてやっていけるというのが今の現状です。
 それで、確かに高校の無償化というような施策については歓迎なんですけれども、授業料免除というのは今までもありましたので、本当に一番低所得の世帯にとっては有り難いけどすごくメリットがあるわけではないという、ごめんなさい、何かちょっと、もちろん有り難いんですけれども、それで一番救われるというところではないかなというふうには思っております。
 あとやっぱり、この間も座談会をしたんですけれども、引きこもっている、あるいは不登校である、あるいは、というような方たちには直接の恩恵がないというようなこともありました。うちの会員でずっと不登校でいた子は、やっぱり特別のものがないと、その後単位制の高校に何とか引っかかって入れたんですけれども、単位制の高校というのは自分で意欲を持って単位を取らない限りは卒業できません。二年間たっても十単位しか取ってないんです。
 こうすると、サポート校というのが民間にありまして、そのサポート校に行かなきゃいけないんです。これは年間で七十万だそうです。母子家庭割引があって十万円割り引いてくれたそうなんですけれども、こういう特別なニーズがどうしても生じてしまうんですね。そのことに対してはやっぱりまだまだちょっと薄いのかなというようなことがあって、フリースクールに行っているような子供たちにとってもそうかなと思います。
 ただ、基本的な、子供に目を向けるという今の施策全体に対してはこれからもっと進めてくださいというような気持ちでおります。
 やっぱり、子供たちを何とかしてやらせたいと思うと親は頑張ります。それが、例えば塾代を出そうと思って掛け持ちの仕事を増やしたとか、そういう形になってしまうんですね、ほかに何もないわけですから。それは本当に、親が自分の老後など考える余裕は全くないわけです。ですので、今の母子家庭の問題はそのまま高齢者の貧困の問題に移行してしまうというような構造になっております。
 本当に、私はたまたま子供一人ですので、大学まで何とかやって、それも親族の援助があって、それで学費を払わなくなった途端に本当にちょっと息をついたわけです。でも、子供がまだ小さかったり、二人、三人いてという親は本当に死に物狂いで、私の年齢でも働いております。そうなると、老後の準備なんか全くできないというようなことになるのかなというふうに思います。
 子供たちは、本当にどこからもそういう支援がなければ、そのまま高校中退などでほうり出されていくような子たちもいます。その子たちが本当に次の困窮する世代をつくってしまっている。これはもう本当に社会問題なのかなというふうに思っています。
#34
○紙智子君 ありがとうございました。
#35
○会長(田名部匡省君) いいですか。
#36
○紙智子君 はい、結構です。ありがとうございました。
#37
○会長(田名部匡省君) 岡崎トミ子君。
#38
○岡崎トミ子君 民主党の岡崎トミ子でございます。
 大西参考人、沖藤参考人、赤石参考人、本当にありがとうございました。皆さんのそれぞれの研究、そして取組、提言まで具体的にしていただきまして、感謝申し上げたいと思います。
 質問をまとめてさせていただきたいと思います。
 まず最初に大西参考人ですけれども、それぞれ大体国の役割、地方自治体の役割といったことでお聞きしていきたいわけなんですけれども、分権改革の現状についての問題意識、提言をいただきました。正面から受け止めたいというふうに思っております。民主党の原点でもあろうかなというふうにも思っております。
 この地方分権をストレートに進めるときに慎重にさせるのは、格差と名付けられた違いへの懸念とかあるいは抵抗だというふうに思うんですね。参考人が指摘されました住民による四つの参加、この主体的に行われることが、制度を変えるということの意味で、改革と同時にこれが進行されていくべきではないかというふうに私も思って、政治が勇気を持って、市民を信じて前に進めというこの四つの参加を促すことは、私たちにとりましても大変勇気をいただいたというふうに思っております。
 そこで、実例がやっぱり強いと思いますので、この四つの参加の可能性について、市川市の例についておっしゃいましたけれども、共有すべき事項がありましたら更に御紹介をいただきたいと思います。
 それから、自治体のサイズについてですが、そのサイズはどうお考えか。また、自治体の在り方について発想を柔軟にしていくべきだと思いますけれども、自治体の組織ですとか機構の在り方ですね。場合によってはその仕事によってこのサイズがいい、また別な仕事によってこのサイズがいい、また別な場合によっては、ちょっと遠く離れていたとしても、そういうところとつながってやるということが可能性としてあるかどうか、参考人の御意見も伺っていきたいというふうに思います。
 それから、沖藤参考人、ありがとうございました。いろいろと審議会にも参加していただいて、二〇〇六年の改定のときには、審議会に座っていても実は気が付かないことがあったというほど項目がたくさんあって、これじゃちょっとその審議会の在り方というか、問題があるんじゃないかという、おっしゃりたいことがたくさんおありになるんじゃないかと思いますので、国が現場の声とか当事者とか有識者の皆さんの御意見を伺うための仕組みについてどうあるべきとお考えか、不満と怒りを是非ぶつけておいていただきたいなというふうに思っております。
 それから、地域力についてもちょっと触れられていた、前の資料だったというふうに思います、地域力ですね、地域力のことについても資料の中で、この評価が大変難しいというふうにおっしゃっておりましたけれども、いろんな施設とか人材とかに、ケアマネとかそういうコーディネーターとか、つながっていないとなかなか表れてこない問題がたくさんあるというふうに思うんですけれども、国として地域のまた資源をつなげてやっていくということで何かやるべきことがあるのか。
 その工夫はやっぱり私は手間を掛けることじゃないかなと私自身は思っているんですけれども、これは全体的に適正化に伴っていくことだろうと思いますので、どのような工夫が必要かについてお教えいただきたいと思います。
 それから、赤石参考人には、反貧困ネットワークで集会が開かれますと、私も仙台の集会ではいつもお話を伺うことにしているんですが、つい先日、仙台に湯浅誠さんがおいでくださいまして、これは派遣村の村長さんをなさっていたそのときの経験を、内閣府の参与になっていただいて、そして参与としていろんな仕事をされた。
 そのことはNHKのドキュメンタリーでも、NHKだったでしょうか、放送されたので、それについてもよく拝見しておりましたところ、政府の中に入って、政治がこれだと言ったら何でもできると思ったら、そうじゃなかったという、私もちょっとがっかりしたんですけれども、そういうことをおっしゃって、また、地域の中の講演会では、先ほど貧困という問題について自己責任だというのは違うよという話を湯浅さんもしていらっしゃった。
 同時に、仕事がなくなって、それで貧困になって、そして家もなくなる、その滑り台社会のことについても触れられましたけれども、そのときに、住まいというものについて権利だと、社会保障だという考え方がこの国はないという御指摘もされたわけなんですけれども。
 私もそのときに、政治に言うだけではなくて社会運動として、やっぱり地域の中でそういうことについて、貧困の状況にある人たちについて差別感で見る人たちが非常に多いので、だから社会運動がすごく大事なんだということを湯浅さんがおっしゃったのを大変印象深く思いましたので、そういう観点からいいますと、貧困の拡大の連鎖、これを断ち切るためには国が最終的な責任を負わなくてはならないというふうに感じる一方で、やはり実際の対応は現場に近いほどそれはうまくいくんじゃないかというふうに思うんですね。
 でも、結局はそういういろんな発言力が余り大きくない人だとか弱い立場の人のところにしわ寄せが行って、そういうことが薄ければ実はもう自治体では全部後に後にといって後回しにする傾向などもあったりするんじゃないかなと。どうして自治体に任せようというふうにならないのかというのは時々私も感じるんです。
 その地域レベルで本当は何が大事なのかと、国と地方と地域コミュニティーの役割分担、どうあるべきかと、今お考えになっていらっしゃることでお教えいただきたいと思います。
#39
○参考人(大西隆君) 御質問ありがとうございます。
 幾つかありましたので、手短にお答えさせていただきます。
 まず、参加の例ということですが、私は参加というよりも公益的な活動を自治体だけが専売特許で行うという時代から、一般の人がNPOなんかをつくって、しかし個人の利益ではなくて公益に資するようなことをやる、そういう動きが非常に進んできていると思うんです。それを更に発展させるということが社会的に見ても大事ではないかと。
 今日の議論からすると、一方でセーフティーネットといいますか、社会の中で所得が少ないとか、それがいろんな問題を生んでいるところに対して社会全体としてどう支えるのかと。これは公的な仕組みでやらないといけないことだと思うんですが、それと、むしろ自主的にいろんな活動をしていく人たちに一般の人が寄附なんかができるというような自主的な活動に対する支援、自主的な支援という、税によるものと、言わば自主的な活動というのをうまく組み合わせていくことがやっぱり社会に活力を生むと同時に安定性をもたらすということで、両方バランスを取っていくことが必要かなというふうに考えています。
 それから、自治体の合併に関連してですが、例えばフランスは三万六千とか自治体があって、減らそうとしているわけではなくて、むしろ戦後からいくと増えていたりするわけですね。世界にいろんな例があるということです。
 例えば、一人当たり歳出というのが少ない方が効率的だというふうに考えたときに、どのくらいの人口規模で一番一人当たり歳出額が減るかというと、これははっきりした値がなくて、例えば二万人ぐらいから先は余り変わらないというデータもあるんですね。ですから、自治体の最適規模というのはなかなか決められない。大きければ大きいほどいいということでは必ずしもないということだと思います。
 そうやって考えていくと、これは国民の選択ですから、千七百ぐらいの今の自治体の状況でこれから必要なことは、広域行政、自治体同士が協力し合うという広域行政の仕組みを新しい自治体の数に合わせて再構築するということではないかと。従来、広域市町村圏とかいろんな制度があったわけですが、平成の合併の過程でしばらくそちら側はお休みをしていたということで、定住自立圏とかいう新しい制度がまた出てきていますが、それを含めて広域的な自治体間の協力ということが必要になってくるのではないかと。
 私は、特に小さな自治体については、やはり財政力もさることながら、行政力、人材がどうしてもいないということなので、都道府県の役割が大きくなってくるのではないかと。
 だから、千七百の自治体が横浜市から一番小さな自治体まで同じことをやるということではなくて、小さな自治体は、自らやることと広域行政や場合によっては県に任せるという行政分野を整理して、任せるところは任せるということで、手が足りないところをカバーするということも必要になってきているのではないかと。
 せっかく都道府県という国と市町村の中間のところがあって、この位置付けがややあいまいになってきているということがあると思いますので、県の役割に、特に地方ではそういう少し力の弱い自治体をサポートするということを考えていくべきではないかというふうに思います。
 以上にさせていただきます。
#40
○参考人(沖藤典子君) ありがとうございます。
 二つ御質問ありました。審議会の在り方と地域力についての二つでございます。
 審議会の方につきましては、私自身が余り有能な委員ではなかったということもありまして、この決定されていくプロセスに追い付いていけなかったという実につらい思い出もあるわけなんでございますけれども、御存じのように、介護保険は非常に膨大で、それを一つ一つ細かく審議していく時間的余裕がなかったということも、私がいろいろ後になって気が付いて、ああ、こんなことが議論されていたのかと思った原因の一つであろうかと思います。
 審議会のメンバー、委員について私は申し上げたいことがあるんですが、私が委員になったときすぐ気が付いたんですけど、ホームヘルパーの代表が入っていないんです。日本介護福祉士会からは代表が入っているんです。これでいいのでしょうかと事務方に聞きましたら、いや、ホームヘルパーの代表は沖藤さんが代弁してくれればいいというような意見であったんですが、私は職能の団体の者ではないしということを思っておりまして、ホームヘルパーの代表を審議会のメンバーに入れていただくように働きかけていただければ有り難いと思います。
 それから、在宅介護関係者は二〇〇八年から代表が入るようになりましたけれども、ほかに、先ほどからの議論にありますグループホームとか小規模多機能とか様々な地域密着型のサービスができておりながら、そこの関連の職種の代表が入っていない。このこともやはりメンバーに偏りがあると思わざるを得ません。ですから、総体的に言えば介護関係者の委員の配置が少ないのではないかというように感じております。
 それからもう一つ、利用者の代表というものをどう考えるかということです。現在、利用者は認知症の人と家族の会から代表が出ております。沖藤は利用者の代表も兼ねて入っていたわけですけれども、私は年齢が参りまして、外されたと言ったら語弊があるんですけど、委員を降りました。そのことについて、私は、やはり六十五歳以上の人が中心となる介護保険にあって、六十五歳以上の利用者、当事者の代表が、まあ家族の会も入っているからいいといえばそれまでなんですけど、必要ではないのかと個人的には思っています。
 しかしながら、ある年齢に達したから委員を降ろされたという、そういうことを言って歩くのは聞き苦しいという意見もありまして、やはり世代交代して若い人にポストを譲っていくのは大事なことだという意見もありまして、なかなか言いにくいところです。
 しかしながら、後期高齢者医療制度が七十五歳以上の人を委員に入れたということは非常に喜ばしいことで、ならば介護保険も六十五歳以上の利用者の人をもう一人入れてもいいんじゃないかと。私がある年齢に達したことによって降ろされた、余人をもって代え難しとは言えない人材であったということが何とも寂しいんですけれども、やはり一人か二人利用者代表が入る必要があると感じております。
 それから、地域力に関しまして、私は本当にコーディネーター、地域をコーディネートする人の不在というものを非常に痛感しております。いろいろなボランティア団体もある、町内会も自治会もいろいろあるんです。それから、お食事サービスグループとか、いろんな、一時間千円ぐらいでやりましょうという小さなグループもあったりするんですが、それを総体的に取りまとめるコーディネーターは一体だれなのかといったときに、その存在が見えない。
 ケアマネジャーさんが私はなさるのが一番いいと思うんですけれども、ケアマネジャーさんは介護保険のケアプランに関しては報酬が出るけれども、それ以外の、例えばごみ出しグループとの連携をしたとか、先ほど来ちょっと書きましたように、小さな観光旅行をするようなところとコーディネートしたとかというような場合には介護報酬出ません。
 そういうことに対して私は非常に気の毒だと思って、むしろケアマネジャーさんというのは地域のコーディネーターとして様々な介護保険外のサービスメニューもプラン化していただいた場合の報酬設定を考えたらどうかということも発言いたしましたけれども、しかしながら、ある委員から、介護保険は社会保険であって社会福祉ではないと一喝されまして、私は、これは介護保険の第一条に福祉に係るサービス給付というのが入っているわけだから、そう一概に言ってしまっていいのかと個人的に疑問を持っていますけれども、その審議会の中ではその意見が、声の大きさに比例したかと思うんですけど、通ってしまいまして、地域力ということに関しては不問のままに介護保険が進められているのを非常に残念に思っております。
 私は、ここで言いますことは、国としてやるべきことと先生おっしゃられましたので申し上げたいんですが、ケアマネジャーの更なる質の向上と、それから職掌範囲を広げていって、そういう地域の各サービスメニューも、それこそ地域包括で包括的に見たケアプランの作成という方向に報酬体系を位置付けていっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#41
○参考人(赤石千衣子君) 反貧困運動から地域コミュニティーとか地域レベルで何ができるかというような御質問だったかと思うんですけれども、本当に今、私の想像力というのはまだそこに向かっていないので、ちょっと少しずつのことしか言えないです。
 それで、まずは、やっぱり貧困問題が自分と地続きだよということの理解がもう少しないと、やっぱり地域の中で非常に少数派のような感じになってしまうということがありますので、実は自分の息子がロスジェネ世代で余りいい仕事がないんだというようなことがその問題とかかわっているんだとか、ホームレスの人は物すごく遠く離れたように見えるけれども、実は娘も非正規でずっといるとか、そういうことを想像力の中で地続きに見えるということが必要なのかなというふうに思います。
 あと、例えば今自殺の問題がちょっと注目されていますけれども、自殺と貧困の関係が少しずつ言われるようになりました。皆さん、やっぱり自死遺族の方たちはなかなかおっしゃらないので、そのことがどういうことなのかという理解が進んでいないというようなこともありますけれども、実は、家族の中で、あるいは親族、親戚縁者を見れば、自死された方が一人ぐらいいらっしゃる方はとても多いと思うので、そういうこととの関連が分かるというようなことも必要なのかなとか思います。
 その上で、今、何かそういう地域レベル、地域コミュニティーでいろんなことが、どんなことがあるかということでちょっと考えてみましたけれども、反貧困ネットワークというのがあるおかげで私たちもいろいろなグループとつながっております。
 例えば、フードバンクという、食料品で賞味期限にはなっていないけれども、いろいろな食材を困っている方に届けているようなグループがありますので、その方たちにお米をいただいて、私たちもシングルマザーに届けるというような活動を始めようかなということで試行的にやっています。本当に喜ばれるんです。つまり、お米があれば何とか食べていけるとみんな思っているんですね。それで、そのことの切実性は送ったときのその反応で分かりました。セカンドハーベストさんというところもあります。そこにお菓子を提供していただいたりとか、そういう活動もしております。
 それから、地域で、やっぱり塾に入れない人たちが、お金は払えないけど、何か子供たちを応援したいからと塾で無料で教えるよみたいな意欲を持っている人たちはたくさんいるので、その方たちを何とか組織してコーディネートして応援するような塾をつくりたいと思っているんですが、各地域にコーディネートするって結構手間が要るので、今できているのは本当に、もう都内でもこことこことここというぐらいしかできていないんですけれども、退職の教員の方たちですとか、ボランティアで今現職の教員の方たちとかがやりますよみたいなことを言ってくださることもあるので、そういうことがあり得るといいな、そのときに場所とかの確保で何かちょっと公的にお手伝いいただけるとすごくいいかなとか思ったりもしています。あるいは、現在の民間の塾に少し援助をもってそこでもうやっていただくということもあり得るかもしれないと思います。
 それから、やっぱり児童館で、困窮している子供たちも交ぜて炊き出しをやっているような児童館もあります。これは釜ケ崎とか、東京だと福生の方であるというふうに聞いております。あと、やっぱり保育とかの場が、保育というのは、今保育の待機児童が増えているので、それが母子家庭のお母さんにとっての保育士として働くそういう場にもなるかなというふうに思っていたりします。
 それから、学校は、やっぱり今まだ困っている子供たちに対する目線というのがなかなかないと思うんですが、その学校の場で困窮している人たちに対する授業づくりをしようというようなネットワークができております。ホームレスの人たちは何でホームレスになっちゃうんだろうということを授業づくりの中で教えていくというようなことをやっている人もいます。
 いろんなことが考えられると思うので、そういう芽を出しながら、それをつなげていくというのはとても大事なことかなと思います。
 以上です。
#42
○岡崎トミ子君 ありがとうございました。
#43
○会長(田名部匡省君) 牧山ひろえ君。
#44
○牧山ひろえ君 本日は、貴重な御意見、参考人の先生方ありがとうございました。
 神奈川県選出の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 まず、大西先生の最後のまとめで触れておられました寄附に対する税額控除についてですが、公益活動を活性化するためにも、寄附控除の対象となる団体を増やすべきだという考えも私も同じでして、財政金融委員会に以前所属しておりましたときから主張してまいりました。また、納税の選択制についても、以前からハンガリーの一%法などを例に挙げてまいりましたけれども、先生もこのことに触れていただきましたこと、大変うれしく思います。
 さて、ここで、今日は沖藤参考人にお伺いしたいと思います。
 高齢女性の収入の低さについては実にショックでした。年収百二十万円以下の高齢女性が二三・七%、つまり四人に一人が貧困状態ということをお聞きして、したがって働かなくてはならないというこの一連の流れを大変興味深く伺いました。また、老老介護についてですが、私もこれは大変大きな社会問題だと考えております。こうした方々に何らかの支援ができないかと改めて感じた次第です。
 さて、東京八王子市を拠点とする永生病院に安藤高朗さんという院長先生がいらっしゃいます。今回、私が今日、少子高齢調査会で発言できると伺いまして、真っ先に介護関係の専門家の書籍を集めて、そして目に留まったのが安藤高朗先生の御本なんですが、安藤高朗医師は大変独特な視点を持っていらして興味を持ちました。
 安藤高朗先生は、介護される方の気持ちになってみようと実際に御自身でおむつをはいてみて、下剤を飲んでその実況を御本の中で述べておられます。実際にその部分を、この本なんですけれども、この本の中の一部を読み上げてみます。
 私も一回患者さんの気持ちになってみようと、下剤と水を通常よりかなり多めに飲んで一日おむつを着けて過ごしてみました。お小水については、今のおむつはテレビのコマーシャルでやっているように逆漏れせずにさらっとしている。これはいいじゃないかと思ったんですが、やはり大きい方は気持ち悪かったですね。あれは出たらすぐおむつを替えてほしいなと思いました。老人病院というのは、ある時間帯に一斉に機械的におむつを取り替えるんです。そうでなくて、その人その人の排便や排尿のリズムに合わせておむつ交換をすれば、その人も気持ちいいし、病院としても経費が節減できるだろうと思うのです。そういう意味では、データに基づいた医療、介護をしていかなければならないなと思っております。
 このようなことが書いてあります。
 私は、これを読んで、安藤高朗医師はなかなか普通の医師では思い付かないような介護される方の目線からの医療を心掛けていらっしゃるな、同じようなすばらしい先生はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、安藤先生もすばらしいお医者様だなと思いました。
 私は、安藤高朗医師のこうした取組について非常に感銘を受けているところですけれども、では、沖藤参考人に、この安藤高朗医師の取組についていかがお考えでしょうか、御感想をお聞かせいただければと思います。
#45
○参考人(沖藤典子君) 浅学の身にして、その安藤先生という方をよく存じ上げないんですけれども、私も後で御本、拝読いたします。
 おむつに関する問題はもう本当に三十年、四十年前からいろいろ言われていて、出たらすぐ替えるとか、あるいはおむつをしない介護、いわゆる誘導ですね。それから、人間の体ってリズムがありますので、一人一人のケアアセスメントをきちんとしておけば、この方は食事後大体二十分ぐらいで排便があるのではないか、あるいは一時間後にまた排尿があるのではないかという大体その人の生体リズムである程度のケアプランが予測できるということが言われております。したがいまして、私は、おむつをしない介護という方向に行くことが一番人間的な介護のありようだと感じております。
 しかもまた、おむつも様々でして、最近は紙おむつが非常に多くなりまして、でもそれも賛否両論実はあるんですけれども、私は布おむつというのは賛成しません。といいますのは、どんなにきれいに洗濯して消毒してあったって、だれかがそこでおしっこして、うんちした布なんです。それを幾らきれいだからといってまたあてがわれると。じゃ、あなたはだれかがはいたパンツ、洗濯してある、消毒してあるからはきなさいと言われたらはけるかといったら、それはだれだって嫌なものなんですね。
 ですから、私は、紙おむつが普及してきたことは有り難いと思いますが、それに対してまた異論もあるのは事実で、やっぱり行き着く先は、おむつをしない、いわゆる誘導して、出そうですか、あるいは、出たらすぐ押してくださいねという形で排せつ介護をしていくのが本当に介護の基本ではないかというように考えております。
 しかしながら、これもまた人手と関係するんです。人員配置と関係して、理想はそうはおっしゃるけれども、現実にはそこまでいかないのですという施設の側の方からの反論も多々いただいております。
 そういう状況でございます。
 どうも御質問ありがとうございました。
#46
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 この安藤高朗医師のモットーは、障害や病気のある人を治してさしあげ、少しでも社会復帰、在宅復帰していただこうと、リハビリマインドがすべての職種の志だと考えていますとも述べています。崩壊しつつある医療の再生が急務でありますけれども、やはり安藤高朗医師のような高い志を持った方がいると日本の医療の行く先も明るいかなと思います。
 沖藤参考人に伺います。
 この安藤高朗医師がモットーとするリハビリマインド、これについて何か御感想があれば教えていただきたいと思います。
#47
○参考人(沖藤典子君) 非常に重要な御指摘だと思います。リハビリは肉体的なリハビリ、精神的なリハビリありますけれども、両面にわたってその方の尊厳を守る、まさに介護保険法第一条にあります尊厳の保持というものに最も近づくのがリハビリだと思っております。
 しかしながら、このリハビリも通所型のリハビリが今は中心で、我が家に来てリハビリを指導していただくというのは、これはまた非常に難しい状況なんです。介護報酬設定上も難しいし、人材的にも難しいしということでございます。
 ですから、私の本当の希望は、施設型のリハビリから在宅型のリハビリへと。しかも、認知症の方々のリハビリもまた非常に重要で、施設に行って、例えば通所介護へ行ってリハビリを受けると混乱して帰ってきて、もうその夜が大騒ぎして大変だという方もいらっしゃるんです、お年寄りの中には。そういう方には、認知症のリハビリとして在宅で何か専門家の目と手、知恵等を配ってもらえないものかというように思います。
 ですから、施設内のリハビリも大事だけれども、在宅の中でのリハビリも御尽力いただければ有り難いというように思っております。
 以上でございます。
#48
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 高齢者の格差についても興味深く思いました。所得格差ですとか医療格差、これについては日ごろからある程度分かっているんですけれども、情報格差についてはなるほどなと、先生のお話を聞いて思いました。
 実は、先ほど取り上げました安藤医師がトリアージについても述べております。これは、例えば具合が悪くなったとき、とにかく一一九番するんだという考えから、結果として救急医療が大変込んでしまう、忙しくなる。安藤先生のお話ですと、こういった現象に対して提案しているんです。いきなり救急ではなくて、患者の容体急変時にも一段階設けるべきではないかということを言っておられます。
 安藤先生の言葉を抜粋しますと、在宅や介護施設などの高齢者の急変時に、直接大学病院や救急病院などへ行く前に、療養病床がトリアージすることにより、高齢者にも介護施設にも疲弊している救急病院の医師にも、そして療養病床にも良く、最終的には日本の医療費の削減にもつながると確信すると書いてあります。
 療養病棟の現場におられる安藤高朗医師らしい重要な指摘であると思いますけれども、この患者さんの容体急変時においても一段階設けるべきではないかという、こういった安藤医師の意見についてはいかがでしょうか。
#49
○参考人(沖藤典子君) これはそのとおりだと思います。
 実は、私が住んでいる町でも二十四時間オンコールの〇一二〇ナンバーが各戸に、各家に配られております。私もそれを二枚もらって、電話のところに張ってあって、夜中に何かあったら救急車を呼ぶ前に、その二十四時間オンコールでケアマネさんとか看護師さんが待機しているそういうステーションがあるんですね。そこに〇一二〇何ぼ何ぼで掛けて、そこの対応から救急車を呼ぶかどうか判断しようと今のところは思っているんですけれども、私も九十になればどういう反応をするかちょっと予測し難いんですけれども、そういう形で地域の中で組織をつくっていって。
 ところが、その〇一二〇ナンバーを知らない人が近所にたくさんいるんですよ。どうやって地域住民に、救急車を呼ぶ前にここですよ、二十四時間三百六十五日オンコールですよということを知らせていくかというツールが見付からないんですよ、なかなか。自治会、町内会も頑張ってはいらっしゃるんですけれども、そういうところまではなかなか手が回らない。自治会、町内会の会長さんたちはほとんど男性なんです。ですから、女性の不安とかそういうところになかなか思いが至らないことも情報を流通化させていない一つの要因ではないかと思うんですね。
 ですから、地域に住んでいる私たち、やや高齢ぎみの女性が、こういう仕組みがある、こういうナンバーがあるということを口コミで伝えていく役割もあるかなと、お話を聞いていて思いました。
 どうもありがとうございました。
#50
○牧山ひろえ君 貴重な意見、ありがとうございました。
 時間となりましたので終わります。
#51
○会長(田名部匡省君) 質疑も尽きないようでございますが、予定の時間も参りましたので、以上で参考人に対する質疑は終了いたします。
 参考人の皆様方には、長時間にわたり貴重な有意義な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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