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2010/02/10 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第1号
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2010/02/10 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第1号

#1
第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第1号
平成二十二年二月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         石井  一君
    理 事         主濱  了君
    理 事     ツルネン マルテイ君
    理 事         藤田 幸久君
    理 事         有村 治子君
    理 事         牧野たかお君
    理 事         加藤 修一君
                相原久美子君
                犬塚 直史君
                大石 正光君
                大久保潔重君
                大島九州男君
                風間 直樹君
                室井 邦彦君
                森 ゆうこ君
                加納 時男君
                神取  忍君
                川口 順子君
                小池 正勝君
                佐藤 正久君
                松田 岩夫君
                丸山 和也君
                山下 栄一君
                山本 香苗君
                山内 徳信君
    ─────────────
   委員の異動
 二月九日
    辞任         補欠選任
     大久保潔重君     姫井由美子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         石井  一君
    理 事
                主濱  了君
                藤田 幸久君
                有村 治子君
                牧野たかお君
                加藤 修一君
    委 員
                相原久美子君
                犬塚 直史君
                大石 正光君
                大島九州男君
                風間 直樹君
                姫井由美子君
                室井 邦彦君
                森 ゆうこ君
                加納 時男君
                川口 順子君
                松田 岩夫君
                丸山 和也君
                山下 栄一君
                山本 香苗君
                山内 徳信君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        杉本 勝則君
   参考人
       財団法人世界自
       然保護基金(W
       WF)ジャパン
       気候変動プログ
       ラムリーダー   山岸 尚之君
       国際基督教大学
       教養学部教授   毛利 勝彦君
       長岡技術科学大
       学経営情報系教
       授        李  志東君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査
 (「日本の国際社会における役割とリーダーシ
 ップの発揮」のうち、京都議定書目標の達成に
 向けた地球温暖化対策の現状と課題及び国際的
 な取組と日本の役割・課題―二〇一三年以降の
 問題―(COP15への評価及び包括的枠組み
 構築に向けた課題)について)
    ─────────────
#2
○会長(石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、大久保潔重君が委員を辞任され、その補欠として姫井由美子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(石井一君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(石井一君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○会長(石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。
 本日は、「日本の国際社会における役割とリーダーシップの発揮」のうち、京都議定書目標の達成に向けた地球温暖化対策の現状と課題及び国際的な取組と日本の役割・課題―二〇一三年以降の問題―に関し、COP15への評価及び包括的枠組み構築に向けた課題について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパン気候変動プログラムリーダー山岸尚之参考人、国際基督教大学教養学部教授毛利勝彦参考人及び長岡技術科学大学経営情報系教授李志東参考人に御出席をいただいております。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず山岸参考人、毛利参考人、李参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、山岸参考人から御意見をお述べいただきます。山岸参考人。
#7
○参考人(山岸尚之君) 皆様、こんにちは。WWFジャパンの気候変動プログラムリーダーをさせていただいております山岸と申します。
 本日は、このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。(資料映写)
 最初に、私の団体の簡単な御紹介だけさせていただきますと、このWWFジャパンという私が所属します団体は、一九七一年に日本に設立されまして、以来四十年近く自然保護の分野で活動しているNGOです。パンダのロゴマークがこちらの画面の左上の方にありますけれども、このマークに象徴されますように、本来は野生生物の保護とか、それから今年の一大テーマである生物多様性の保全といったことを中心に活動してきたNGOですが、近年では温暖化問題を始めとしたその他の環境問題についても活動させていただいております。
 私は、この団体の中で気候変動プログラム、つまり地球温暖化問題の担当として二〇〇三年より活動させていただいておりまして、今回話題にさせていただきますCOPについても、それ以来、二〇〇三年以来ですから七年間、主要な会合以外の会合も含めて交渉に参加させてきていただいております。その観点から、今日はコペンハーゲン会議という会議が、皆様御承知のとおり余りうまくいかなかったわけですけれども、そこでどんな教訓が残されているのかということと、それを踏まえて我々は今年一年間どういったことをしていかなければいけないのかという点について、お話をさせていただければというふうに思っております。
 私の資料はレジュメと、それからパワーポイントの資料、両方ありますけれども、主にパワーポイントの方で御説明をさせていただければ幸いです。
 本日、まず最初にコペンハーゲン会議がどんな会議であったのかということを簡単にお話をさせていただいた後、そもそも、では、もうちょっと、一歩下がって、コペンハーゲン会議というのは一体どういうことを期待されていたのかというお話をして、そして、今回うまくいかなかったわけですけれども、そのうまくいかなかった要因として、そもそも分かっていた要因と、それから予想以上に難しかった要因にそれぞれ分けてお話をさせていただいた後、最後にどういうことが今後考えられるのかというお話をさせていただければと思います。
 それから、ちょっと冒頭お話をし忘れてしまったんですけれども、私今回、環境NGOとして参加させていただいたということのほかに、もう一点、日本政府代表団に初めて環境NGOとして、私とそれからもう一団体、気候ネットワークさんという団体が別に環境NGOであるんですが、そこの平田さんという方と一緒に日本政府代表団に参加させていただいて、この会議にも参加したということがあります。その経験も踏まえてのお話ということでお聞きいただけますと幸いです。
 それでは、早速、中に入っていきたいと思います。コペンハーゲン会議の概要ということですけれども、まず会議がどんな形で流れたのかということからお話をさせていただきます。
 国連会議というのは大体二週間開かれます。COP15と今回の会議は呼ばれていましたけれども、15というからにはこれまで十四回会議が開かれておりまして、大体毎年同じような時期、十一月、十二月ぐらいに開催されております。二週間掛けて開催して、大体その二週目の最後の方に閣僚級の方々が来られて、合意をまとめるというようなプロセスを取っております。
 今回の会議がどのような形で進んだのかという点についてですけれども、第一週目からそれから第二週目の頭ぐらいまでは、既存の二つの作業部会での議論の継続がされました。ここで突然作業部会と、しかも括弧書きでAWGLCAとAWGKPという見慣れない単語を使ってしまって恐縮なんですけれども、この点については後ほどちょっとだけ解説をさせていただきます。
 取りあえずここでは、これまで、通常ですと国連会議というのは年に二回、この分野では開かれるんですけれども、コペンハーゲンで期待をされていた合意の大きさというのはすごく大きな合意を期待されていたので、それに追加して会合が何回か開かれていたんです。その会合の名前を作業部会、ここでいうとAWGLCAとかAWGKPという名前で呼んでいたんですが、その会合で議論されていた中身を基本的には第一週目から第二週目の頭にかけては議論をしていたということになります。
 ただ、その作業部会で議論をしていた議論の中身というのは非常に細かい、要するに事務レベルの交渉官が交渉するような中身も含んでおりますので、かなり難しい話も入っていました。ですから、それを今回の会議だけで、COP15だけでまとめ上げるということはちょっと難しいというのは事前に分かっていたので、ある程度抽象化する、もう一段レベルを上げて、大枠を決めましょうという雰囲気になっておりました。その大枠に持ち上げる、昇華させるというところで、実は第二週目の中盤、少し混乱がありまして、どうやってやるべきかというところに混乱があって、議論がなかなかうまくいかない雰囲気が出てきたと。
 そして、第二週目の終盤になり、閣僚の方々は第二週目の頭ぐらいから入ってこられたんですけれども、第二週目の終盤になると今度は各国の首脳が到着されました。通常、首脳が来られるような会議というのは、G8などでおなじみのとおり、普通、首脳が到着された段階ではもうテキストが大体できているというのが通常だと思います。でも、今回の会議はかなり異例で、一応文章はあったんですけれども、もう本当、最初の第一項ぐらいの文章しかなくて、首脳自身がテキストの、文章の文言の調整を行うというかなり異例な会合でした。
 それで、ようやくまとめ上げた文章も最終的には合意ができずに、会議全体では普通、合意を採択ということ、英語でアダプトというふうに呼びますが、会議全体で採択をするんですが、これができなくて、新聞報道等で御覧になられているかもしれませんけれども、最終的な合意を留意するという表現で会議を終えることになりました。
 これがコペンハーゲン会議が余りうまくいかなかったと呼ばれる最大の理由なんですけれども、そのような形で最終的には合意ができなかったという流れになっております。
 ちょっとイメージがわきにくいと思いますので、今、これから少し写真を御覧いただければと思います。
 今最初に映しております会議場の様子というのは、これは総会の場で、ここがいわゆる全体会合をやるような場です。大体の会議というのは、こういう全体会合の場のほかに分科会みたいなものをつくりまして、それぞれの分野で議論を進めるという形が行われます。これ、会場内の文書が配られているドキュメントセンターと呼ばれるセンターの前でして、ここで皆さんいろいろな文書を取って会議場に向かわれるというような形になっています。
 次は、会議場内につながる中央の広間みたいなところでして、右側にちょっとしたカフェテリアみたいなものがあるのが御覧いただけるかと思いますが、ここで御飯を食べながらもう皆さん実は交渉をされていたりとかしまして、そういう大きな会場の中でも、必ずしも会議場だけじゃない場所でも交渉が行われております。
 これは、私どもWWFがやっていた活動の一環なんですけれども、会議場内でこういった形でちょっと何か大きなものを置いて皆さんに働きかけるというようなこと、見える形での会場での働きかけもありますし、もうちょっと、交渉担当官の方々に紙を持っていっていろいろな形で説明をさせていただくというような形での交渉、働きかけも我々はやらせていただいております。
 さて、ちょっと本題に戻りまして、会議の成果として一体何が出てきたのかというところをまとめておきたいと思います。
 今回の会議では基本的に三つの成果がありました。一つ目は、先ほど申し上げた二つの作業部会の下で事務レベルの人たちが一生懸命交渉をしてきた細かい文書があるんですね。これ自体は今も残っておりまして、これが一つ、交渉途中の文書が残っております。二つ目は、これらの作業部会のうちの一つは今回の会議でおしまいになる予定だったんですけれども、引き続きこういう交渉はまだ必要ですよねということで続けるということが合意されております。これが二つ目の成果。三番目の成果が、新聞報道等でも多少出てきておりますいわゆるコペンハーゲン合意、英語でコペンハーゲン・アコードと呼ばれておりますけれども、これが各国の首脳が集まって作り上げた文書になっております。この合意文書を最終的には採択することができずに留意するという形になったということになっております。
 さて、後でもう少し詳しくお話ししたいんですけれども、そこで一歩下がって、そもそもこの今回の会議では一体どんなことを期待されたのかという点についてお話をさせていただきたいと思います。
 これまでの流れをちょっとおさらいさせてください。ちょっと見にくくなってしまっていて恐縮なんですけれども。そもそも今回の会議に至るまでのプロセスというのは実は結構前から始まっていて、二〇〇五年のときから始まっています。二〇〇五年の段階で、この年、ちょうど実は二〇〇五年というのは京都議定書が発効した年になります。この京都議定書が発効したこともあり、二〇〇五年にカナダのモントリオールで同じように毎年の国連会議が開催されました。そのカナダのモントリオールで開催された会議でモントリオール行動計画と呼ばれる文書が採択されまして、ここで大きく分けて二つの流れができました。
 一つは、右側の「AWGKPの設立」とありますけれども、これが先ほど申し上げた二つの作業部会のうちの一つです。この作業部会の主な役割は、京都議定書の中にある先進国の目標をもう一回次の目標に書き換えるというものです。ですから、京都議定書の目標というのは、皆さん御案内のとおり、二〇〇八年から二〇一二年までの目標しか書いてありません。二〇一三年以降の目標は書いていないので、京都議定書の中自体に二〇〇五年の段階から次の目標について話し合うプロセスを始めなさいよということが書いてあります。それに基づいてつくられたのがこのAWGKPという作業部会になります。
 ただし、ここに一つ難しさがありまして、御存じのとおり、京都議定書というのはアメリカが当時参加しておりませんし、今も参加しておりません。当時はオーストラリアもまだ参加しておりませんでした。ですから、京都議定書の中の目標を書き換えますよとだけ言ってしまうと、アメリカも目標を議論できない。それから、途上国がどういう削減行動をしてくれるのかという点も議論できないということになってしまいます。
 ですから、その部分をどうにかしてカバーしたいということで、もう一つ、かぎ括弧で「「対話」の設立」と書かせていただきましたけれども、本当は長期的な行動に関する対話というようなちょっと若干長い名前で、略称で通称ダイアログと呼ばれていたので「「対話」の設立」と書かせていただきました。これをもう一つのプロセスとしてこういうのをやりましょうというのが設立されました。ただ、結局、この流れ、余りうまくいかなかったんですね。
 そのうまくいかなかった流れをもう一度、もうワンランク議論を上げなければいけないということで二〇〇七年に採択されたのがバリ・ロードマップと呼ばれる合意になります。ちょうど、この二〇〇七年という年はIPCCの第四次評価報告書が発表された年でもありますので、そういったこともあって世間的な流れが後押しされたという部分があります。この二〇〇七年のバリ・ロードマップの中で設立されたのがAWGLCAと呼ばれる作業部会になります。こちらで、今回の二〇〇九年までに大きな合意をつくりましょうねということが合意されました。
 これによって二つの作業部会、AWGLCAと呼ばれる作業部会と、それからAWGKPという作業部会の二つがつくられました。
 ここで一つ注意をしていただきたいのが、AWGKPという右側の作業部会は京都議定書の下で作られている作業部会です。これが何を意味するかというと、アメリカは締約国ではないのでここには基本的には、参加はしますけれども、合意事項には関知しないんですね。これに対して左側の作業部会というのは、AWGLCAというのはすべての国々が、ほとんどすべての国々が参加している国連気候変動枠組条約という京都議定書の親に当たる条約の会議なので、こちらにはアメリカも含めてすべての国々が参加しています。
 そういう作業部会、二つの作業部会の流れで二〇〇九年、合意しましょうということが言われていたという流れになっております。
 今のがどちらかといえばプロセス、過程のお話ですけれども、じゃ、今回、合意としてどういうものが合意されるべきだったのかという点についてお話をしたいと思います。
 これは、今私が合意されるべきだったというふうにお話をする内容は、どちらかというとNGOの視点、私、環境NGOの視点から言っている内容ですので、恐らく日本政府さんが言われる内容とちょっと違いますので、その点だけちょっとお含みおきいただければと思います。
 今回合意されるべきだった内容としては、基本的に三つあると考えています。一つは新しい議定書、二つ目は京都議定書の改正、そして、三つ目は上記二つを補完するもろもろの決定というふうになります。
 新しい議定書には、端的に申しますとアメリカの目標とそれから途上国が何をするかという点、それから途上国に対する支援とかいったような問題について合意されるべきであったと。京都議定書の改正については、京都議定書に参加している国々の目標を新しくするという、この点を合意すべきだった。そして、三番目の上記二つを補完するもろもろの決定というのは、上記二つは両方とも基本的には国際条約なので余り細かいことは書けないんですね。日本国内でいったら基本法に当たるようなものですので、個別法に当たる部分をまた別でつくらなければいけないと。ですから、その個別法に相当するものを、条約よりはワンランク下になるんですけれども、締約国会議の決定という形で今回採択すべきだったというように考えています。
 この三つのセットが本来は採択されるべきだったんですけれども、結論からいいますと、すべてできなかったという形になっております。
 もうちょっと深く今度は中身の、さらに、今のは合意されるべきものの形式のお話でしたけれども、今度はもう少し深く中身のお話をしたいと思います。
 中身としては、世界全体が、どんな形式になるにせよ、世界全体として地球の温暖化を、産業革命前と比較して、温暖化の平均気温の上昇が二度未満になるような、そういう合意が合意されるべきだったと考えます。
 世界全体では排出量の大幅な削減が合意されて、先進国の削減目標、そして途上国の削減行動、そしてそれらに関連する分野として、例えばREDDと呼ばれる森林減少からの排出を削減するための仕組みとか、あるいは現状ですと、CDMなどの途上国との間でのクレジットのやり取りをするようなメカニズム、これの新しいバージョンとか、あるいは現在は排出削減の対象になっていない国際航空とか船舶からの排出の削減に関する仕組み、あるいはそして、それらすべてを下支えするものとして技術とか資金とか、それからキャパシティービル、これらは基本的に途上国に対して先進国が行うべき支援という形になりますけれども、そういったものが合意されるべき、まあ合意のセットとしてはこんな形になるべきだったというふうに我々としては考えております。
 ただし、先ほども冒頭で申し上げたように、残念ながらそういう形にはなり得なかったと。じゃ、どうしてなり得なかったのかという点について、当初から予想された、ある程度交渉関係者であれば分かっていた難しさと予想以上に難しかった点について分けてお話をしたいと思います。
 当初から予想された難しさとしましては、まず第一点に伝統的な先進国対途上国の意見対立があったというふうに思います。
 すごく大ざっぱな整理になってしまいますけれども、先進国の側としては、日本政府さんも含めてですけれども、中国とかインドの排出量の増加が最近はもう著しいと、だからこういった国々についても是非削減に参加してほしいと、しかもその削減に参加してもらうレベルとしてはかなり厳しいレベルで参加してもらわないとちょっと困るというような思いがありました。
 他方で途上国の側は、やはりその温暖化を引き起こした責任というのは先進国にあると、先進国をしかも見てみると、アメリカとか、それから日本もそうなんですけれども、現時点で排出量を減少傾向に落とせていないじゃないかと、その段階において何で私たちに削減をしろと、経済成長が第一の課題である我々、貧困削減が第一の課題である我々に対して何で我々に削減を求めるのかと、あなたたちがまずやってから先に削減をしろというのが筋じゃないのかというような意見があります。
 こういう、どちらが単純に正しいとも言えない難しい対立があり、その対立が典型的に表れていたのが二つの作業部会、先ほど来から何回か出させていただいているこの二つの作業部会の役割に対しての意見の違いとして出てきました。
 一つは、先進国の側は、やっぱり上のような中国やインドも、そしてアメリカ以外の先進国の側からすればアメリカもという意思があるので、やっぱりAWGLCAというすべての国々について議論をできる場を重視するんですね。こちらにすべてを含めてしまいたいということを主張されています。
 これに対して途上国は、それをしてしまうと先進国と途上国の責任の区別があいまいになるというおそれがあったりとか、あるいは、一緒にしてしまうということは最終的には京都議定書とそれから新しく作る議定書を同じ一つの議定書にしてしまうということにもつながっていくので、それだとやっぱり京都議定書の既存の枠組みを緩くしようという魂胆が先進国の方にはあるんじゃないかというような疑いもありました。
 こういった対立があってなかなか合意が難しかった。これは、最後の首脳同士の交渉の中でも見られていた対立だというふうに思います。
 もう一つ指摘をしておきたいのは、今回のコペンハーゲンの会議の前までに各国が自主的な目標を出しておりました。アメリカも含め、日本も含め、それから中国、インドといった主要な途上国も含めて出しておりました。
 この自主的な目標を下から積み上げていって一体どれぐらいのレベルにつながるのかということをいろんな欧米の研究機関が計算した例がありまして、今こちらに表示しているのはそのうちの一つなんですけれども、赤い線が結局すべての目標がうまくいったとした場合の数字なんですね。そうすると、気温上昇のレベルとしては、右側にありますように三・五度になってしまうでしょうと。ですから、国際的なコンセンサスになりつつある二度はどう考えても今の目標、今先進国が出している目標、そして今途上国が出してきている自主的な行動を積み上げても届かないということがあらかじめ何となく分かっていたということも難しさとしてはあります。
 これが予想された困難なんですけれども、予想以上に難しかった困難としては、プロセスをめぐる困難があります。先ほど冒頭で、第二週目にまとめ上げていくプロセスが難しかったというお話をしましたけれども、このプロセスに対しての難しさというのが非常にありました。
 これは余り大きな声では言えないんですけれども、ホスト国たるデンマーク政府の采配のミスという点も大きかったと思います。第一週目にある事件が起きまして、それはデンマーク政府が一部の国々との間で作っていたと言われるデンマーク・テキストと呼ばれる合意案の下書きみたいなものがイギリスの新聞であるガーディアンというところにリークされたんですね。これを見て途上国は、こんな話を聞いていないという途上国がたくさんいて、まずそこでホスト国としての信頼が少し落ちてしまった部分があります。
 これに加えて、最終的にコペンハーゲン合意というものの文章が、首脳間で合意がされた後に、国連の会議ですので、全体会で一回採択しなければいけないんですね。それは、首脳間でたとえ交渉したとしても、国連の会議なので最後は国連の締約国のコンセンサスで決めなければいけないので、その採択のための総会に文書を持ってきたときに、ここでもやっぱり一悶着が起きてしまった。
 何でこんな一部の国々の首脳の間で合意された文書をこの場で合意しなければいけないのかという文句が一部の国々から出まして、それで結局最終的には合意ができなかったんですけれども、そのときの議事采配のやり方も、ホスト国の首相であるラスムセン首相がやられたんですが、こう言ってはなんですけれども、余りうまくなかった。ある参加者の言葉を借りれば、COP史上まれに見る混乱した総会であったというぐらいであったんですけれども、そこでの議事采配のまずさもあり、最終的には留意という形に落ち着いてしまった。
 この辺のプロセス、コンセンサスという形で最終的な合意を取らなければいけない国連会議においてプロセスをうまく持っていくことができなかった、そのプロセスの持っていき方が思った以上に難しかったという点が予想以上に難しかった点であるというふうに思います。
 会議の結果については、先ほど申し上げた三つの点がありまして、これらについて細かくちょっと書かせていた文章がこちらになります。
 ちょっと今日はこの細かい部分を一個一個説明している時間がないんですけれども、直近で一月三十一日に各国がいろんな目標とか行動を国連事務局に提出をしたというような報道が流れていたかと思いますが、これがその部分に当たります。先進国と途上国それぞれについて、先進国については各国が掲げている目標を、そして途上国については各国が計画をしている行動を、それぞれ一月三十一日までに提出してくださいねという形でコペンハーゲン合意には書かれていました。
 この合意というのは、基本的には留意するという形になってしまったので今回の国連会議の合意ではないんですけれども、これに参加した、要するにこれをつくる過程に参加した国々の間では一応の合意なわけですね。ですから、それに参加をした国々は一応こういった、ここの中に書かれていることをやる意義があるので、日本政府も含めてこういった提出をしたと。その国々の数が大体一月三十一日の時点では五十五か国だったということがあり、このコペンハーゲン合意という合意の中身がなかなか、位置付け自体が申し上げているようにすごいあいまいではあるんですけれども、今後の交渉に向けてのステッピングストーンになるか、踏み石になるか、踏み台になるかどうかというところは、辛うじて命を保ったというところだというふうに思います。
 最後、ちょっとコペンハーゲンの合意のポイントについて細かく書かせていただいておりますけれども、ちょっと時間がもう過ぎてしまっているので、まとめとして二点ほど、ここをちょっとスキップしてお話をしたいと思います。
 今回コペンハーゲンでの合意というのができなかったという議論がいろんな場所で話題になっておりますけれども、そのときに、国連の合意の形成の方式としてコンセンサス方式というのがあって、これはちょっと全会一致とは違うんですけれども、どんな国でも強く反対する国があったら合意ができないという方式なんですね。これがあったがゆえに難しかったんだというような意見がたまに散見されます。でも、それは本当は正しくないと私は思っていて、何でかというと、一つは、そういう形式で出てくるものだからこそ国連でつくられる合意というのは強いんですね。そういうプロセスの中でつくられてくるからこそ、いろんな国々の支持を集めている意味では強いというのが一点と、もう一つは、今回合意ができなかった大きな理由は、きちっとしたコンセンサスが形成される前にかなり無理やり合意に持っていこうとして、首脳の間で合意をつくろうとして、そこがなかなかうまくいかなかった。それを、いざ無理やり、じゃ合意にかけましょうと思ったときに、やっぱりそのプロセスの中に十分に参加していなかった国々が反発をしてしまったという部分があります。
 ある国の言葉を借りれば、私はこの合意文書というのを見せられてから一時間しか時間の猶予を与えられていないと、我が国の国益を背負うのに一時間でこの文書を判断せよというのは、これはとんでもない話だという形で反対をしていました。これが反対をするための方便だったという部分も多分にあるんですけれども、でも、今申し上げた理屈自体は正しい部分があると思うんですね。ですから、今回はやはり宿題をきちっとできてなかった部分があると、各国が、というところがあります。
 ですから、そういったところを踏まえておくのが必要で、なおかつ、コンセンサスを形成していくためにはやっぱり信頼醸成が非常に大事だという点もあります。
 また、それをつくっていくに当たっては、今回如実に分かってきたポイントとしては途上国の中でもいろんな立場が出てきていると。ちょっと、本当はこの辺もお話ししたいんですけれども、なかなか時間がないのでできないんですが、途上国の立場がかなり多様化しているという点も踏まえて議論していくことが必要じゃないかと思います。
 今回成功とは呼べないんですけれども、今回の失敗が本当に単なる失敗になるのか、それとも、次回はメキシコで会議が開かれるんですけれども、メキシコの会議での合意のために必要だった失敗だったと歴史が評価するかは、これから一年間の世界とそれから日本の活躍に懸かっているというふうに思います。
 済みません、ちょっと最後駆け足になってしまいましたけれども、私のお話とさせていただきます。失礼いたします。
#8
○会長(石井一君) ありがとうございました。
 次に、毛利参考人から御意見をいただきます。毛利参考人。
#9
○参考人(毛利勝彦君) 国際基督教大学の毛利です。よろしくお願いいたします。
 私からはコペンハーゲン合意と資金メカニズムの課題について意見を述べさせていただきます。(資料映写)
 まず、今回の調査テーマにある包括的枠組み構築について資金をどう位置付けるべきかを説明いたします。その上で、資金問題から見たコペンハーゲン合意の評価と今後の取組について提言させていただきます。
 コペンハーゲン会議では、気候変動の緩和、適応、資金、技術といった主要争点がありました。専門家や官僚レベルの作業部会での対立が解けないまま全体会議、閣僚級、首脳級会議へとなだれ込んだわけです。しかし、他の交渉項目に与える影響を考えると、資金の位置付けが極めて重要となります。資金は、緩和や適応に直接的に働きかけるだけでなく、技術開発や技術移転を通じて間接的にも緩和や適応に貢献し得るからです。この構造は、交渉のみならず今後の包括的枠組みを構築する上でも同じです。そこでは内容面での包括性とプロセス面での包括性の両方とも重要だと思います。
 まず、内容として何を包括すべきかということですが、一九七〇年代以来の国際環境交渉の中で確立された持続可能な三本柱というのがございます。経済、社会、環境、この三本柱をうまく統合する、結合することが大事です。
 経済、社会、環境というのは、資本、労働、土地・自然資源と言い換えることもできます。財政、金融、外国為替といったマクロ経済政策や貿易、投資、援助といったミクロ経済政策が、労働、健康、教育といった社会政策、そして気圏、地圏、水圏、生物圏に対する環境政策にもプラスとなるかどうかをいつもチェックする必要があります。また、環境や社会を良くするための政策が低炭素経済の再生となっているかを監視することも重要です。
 持続可能な開発のためには、これらのどれもが重要なのですが、持続的な経済成長を最優先するのが自由民主主義、人間開発や社会開発を最優先するのが社会民主主義です。冷戦の終結後には環境民主主義も台頭してきました。経済、社会、環境の三つが相互に衝突するところに、真ん中ですね、そこに新しい科学技術やスマートパワーといったものが生まれるのだと思います。そのためにこそ、こうした異質な三つのものを包括する必要があるのだと思います。
 次に、二番目で、プロセスの包括性です。
 物事を決めて実施する場合には公平なプロセスが重要ですが、何がフェアなのかについて様々な解釈があります。私は、少なくとも四つの、四通りのフェアネスがあると考えています。それぞれ、一国、国際、世界、地球といった四つの存在の利益にかかわるフェアネスです。それぞれ、単独主義、有志連合、国連、グローバル社会に当たります。
 この調査会の名称も国際と地球という二つの言葉が使われていますが、意味が違うからこそ使い分けているのだと思います。
 第一に、例えば中国が主権論を持ち出して国際検証を受けずに単独で排出削減するという行為は、一国の自律性を目的としたフェアネスです。また、気候変動に脆弱な途上国が気候正義ということを主張して先進国に資金を求めているのは、援助や支援としてではありません。海面上昇など、先進国の歴史的な排出によって生まれた被害を修復するために気候債務を返済せよと、原状回復を迫る矯正的正義を主張しているわけです。
 第二に、国際社会には国内の政府に当たるものがありません。ですから、ある意味で市場にも似た取引や交換的正義が有志連合国間に働きます。温室効果ガスの削減交渉では、対象国間の削減割合の衡平性が重視されます。また、排出量取引や資金と削減クレジットとの取引は、効率的に目標を達成するための交換的正義を目指していると言えます。
 第三に、国連のような多国間主義の世界においては、機会や結果が公平に分配されているかという配分的正義が重要です。途上国が先進国の歴史的責任を問うのは、途上国が排出する空間や発展する機会を狭めてしまったからです。急速に大量排出国となった新興国の歴史的責任も既に発生し始めているのですが、インフラが整った先進国と十分に整っていない途上国とではイコールフッティングではありません。ですから、その分資金や技術を再配分すべきと、そういう論理です。
 第四に、国境を越えた地球市民社会の価値観や科学者コミュニティーの科学的知見からすると、また違った正義観が考えられます。そこでのフェアネスは、何が公正であるのかを多様な主体による対話や協働によって構築していくダイナミックな正義観です。
 これらすべてのフェアネスがうまく組み合ったときに気候変動交渉は進展するのだと思います。ですから、日本の国益は有志連合や国連や地球市民社会をすべて巻き込んだ上で追うことが重要だと考えています。中国や米国を有志連合として再構築し、国連改革や地球市民社会の発展につながる低炭素戦略が必要です。
 以上のような観点から、コペンハーゲン合意の資金問題を評価してみたいと思います。
 まず内容評価ですが、環境的側面においては、二度C以内という長期目標は排出ピークや削減量に依存します。特に、排出ピークの目標年や削減量の具体的な数値目標が合意に盛り込まれなかったので、これでは間に合わなくなりかねません。低炭素化の経路は着陸する飛行機に例えられることがあります。例えば二〇五〇年に二度Cということが、羽田空港に着陸するという場合には大島上空辺りから降下しなければならないわけですね。科学者は、その降下する最後のチャンスが二〇一五年辺りだと指摘しています。これを過ぎると急降下できません。
 社会的側面については、脆弱途上国の適応が優先される点や、社会開発、貧困削減、技術移転、能力構築といった言葉が並んでいますが、それをどう達成するかが書かれていません。
 経済的側面については、短期資金三百億ドル、長期資金年一千億ドルという数字が明記されました。官僚レベルではこうした数字を入れることさえついにできませんでしたので、首脳級会合だからこそ書き込めたのかもしれません。短期資金については、日本が鳩山イニシアチブとして条件付きで百五十億ドルという表明をしましたので、世界最大の短期資金供与国となる見込みです。
 新しい多国間適応基金やコペンハーゲン緑の基金の創設も記載されました。また、市場の活用、民間資金、二国間、多国間基金を合わせてとのことですが、二度Cで安定化する道筋を付けるためにこの資金規模でよいのか、どう調達してだれがどのように何のために配分するのか、それをどう検証するのかといった問題が未解決です。つまり、二度Cという緩和目標はあっても、そのための資金メカニズムの設計図がかかれていないわけです。
 次に、プロセス面での評価ですが、多国間主義の公式全体会合ではなく、BASIC諸国とアメリカの五か国の首脳だけで非公式に大筋を決めたことが反発を招きました。二十数か国の首脳代表にも相談したとのことですが、百九十四か国の締約国会議で正式に承認された代表ではありません。しかも、削減目標や資金拠出は各国が自主的に提示するボトムアップ方式です。
 拘束力はなくても、仲間のプレッシャーによって成功した例もあるんですが、これが成功するためには、どこの国がどの程度削減しているのか、あるいは資金拠出しているのかということがみんなに分からなければなりません。そのための測定、報告、検証するプロセスが重要になります。この検証プロセスをどう設計するかについて、資金調達のハイレベルパネルを通じて日本が主導していくべきだと思います。
 市場メカニズムや民間資金の扱いについては、市民社会の懸念をよく理解した上で、京都メカニズム改革や革新的資金メカニズムといったものを創設していくことが重要だと思います。
 現状において、気候変動対策の資金メカニズムには様々なものがございます。条約下の三つの資金、大きく分けると、多国間レベルでは条約と議定書に基づくものがあるんですが、条約の下の三つの資金メカニズムは、拠出国の影響力が強い世界銀行を中心とするGEF、地球環境ファシリティーが運営主体となって一元管理されています。資金源は先進国の任意拠出で、途上国分類によってアクセスできる基金が異なり、途上国にとって極めて使いにくいとの批判がございます。しかも、プロジェクト全体の資金が拠出されるわけではなく、地球益になると認められた追加的な部分だけです。
 京都議定書の下での適応基金やCDM、クリーン開発メカニズムは締約国の下に統治、運営されていますが、これらを合わせても、途上国がアクセスできる資金規模はそのニーズを満たす規模ではありません。どれほど少ないかについては、お手元の緑の表紙の資料シリーズの九十八ページの図を御覧いただきたいと思います。京都メカニズムの中では、中国やインドに集中しているCDMの投資額がGEFや途上国のための基金総額よりも大きくなってはいるのですが、それでも、将来、途上国で追加的に必要となる条約事務局の試算額の平均の一千百億ドルレベルにははるかに及びません。
 今後、途上国で気候変動対策に幾ら必要なのかについては様々な試算がございます。例えば、資料の九十六ページにもいろいろと書かれているんですが、中国や途上国グループが交渉の中で提案した試算は二千百から四千二十億ドルの規模でした。今回のコペンハーゲン合意の長期資金目標はその半分から四分の一です。これらのニーズ評価はとてつもなく大きな資金規模のようにも見えますが、金融危機で失われた損失と比較しますと、スケールの違うレベルで交渉しているという点にも認識しておく必要があるかと思います。
 いずれにしましても、この大きな資金ギャップをどう調達するかについて様々な提案が出されてきました。大きく分けると、一定の評価基準で国別に割り当てる公的資金と、市場や市民社会を巻き込んで調達する革新的資金メカニズムとがございます。途上国側は、公的資金による安定的な支払を要求しています。
 分担のための評価基準については、環境、社会、経済のどこにウエートを置くかによって様々でございます。財政赤字を抱える先進国側は、炭素市場や民間投資など市場メカニズムを活用する意向です。世界規模で統一炭素税や金融取引税を導入しようという動きもございますが、産業界や市民社会が参加した討議のプロセスが重要になっていると思います。
 技術メカニズムにつきましては、資金ニーズと技術成熟段階によって公的資金と民間の資金を組み合わせるスキームが提案されています。つまり、研究開発や実証化段階では公的資金が大きな役割を負いますが、展開、普及の段階に行くに従って民間資金の比重を増やすという考え方です。商業競争の段階では民間投資のリターンも見込めますので、民間資金が更に増えて将来の資金ニーズにも対応できるというわけなのですが、しかし、この考え方には可能性と課題の両面がございます。
 産業セクターによっては、日本で普及している技術を途上国に移転すれば即効的に排出量削減に結び付くものもございますが、そのような段階に達してない技術やセクターもあります。ですから、技術段階やセクターによって環境税や排出量取引や民間投資を使い分けた重層的な対応を取ることで、効率的に技術移転できる可能性がございます。その一方で、途上国の実情を踏まえずに民間資金を投入してしまいますと、かえって債務が累積してしまうという可能性もあります。それによって福祉や環境が破壊することになれば本末転倒です。
 また、技術の知的所有権についても争点となっています。公的資金を投入した技術は一体だれのものなのでしょうか。WTOドーハ交渉におけるTRIPS協定の見直しを含む知的所有権のルールの再構築が課題となります。
 新しい資金メカニズムをめぐる諸提案の中で、今多くの締約国が注目しているメキシコ提案がございます。先週、カルデロン大統領が来日されていましたが、メキシコは今年のCOP16の議長国です。この提案が想定する資金規模は年百億ドルからということで必ずしも十分ではないのですが、なぜこの提案が支持を集め始めているのかというと、内容面でもプロセス面でもとてもバランスの取れたものだからだと思います。
 環境、社会、経済の三本柱として、炭素排出、人口、GDPという要素を基礎としています。さらに、公平性を確保するために一人当たりの排出量、支払能力を担保するために一人当たりのGDP、効率性を求めるためにGDP当たりの排出量という複数の評価軸のバランスを考慮しています。汚染者負担の原則から、炭素排出の尺度については歴史的責任を免除するという選択肢、それから排出量ではなく温度上昇寄与度で計算しようという選択肢、それから、あるいは基準年として一九九〇年以降の排出量、排出責任のみを考慮するといった選択肢を示して交渉の余地を与えています。
 資金源は途上国が望むとおり公的資金ですが、途上国にも任意拠出を求めています。資金の使途は、使い道は、緩和、適応、技術がカバーされていますし、ガバナンス構造は、締約国が同等で参加し、科学者、多国間開発銀行、市民社会の助言も想定されています。OECD加盟を果たし事実上先進国入りしたメキシコならではの環境十全性を重視した提案だと思います。
 日本は、途上国への資金拠出として、また国内対策でも多額の資金が必要となります。国内の地球環境対策税論議では、税制のグリーン化、社会保障政策のグリーン化、経済政策のグリーン化につなげることが大事です。これまでは所得税や消費税など社会における労働や消費に課税することに重点が置かれてきましたが、少子高齢化時代には適しません。今後は、汚染者負担としての環境税や金融安定化のための資本取引税などへ重点をシフトしていくことが必要だと思います。
 使い道についても、経済面では、赤字国債を発行するのではなく、グリーン消費やグリーン投資に結び付き、内外の削減、適応、技術に活用されるグリーン国債の発行を検討すべきです。社会面で家計へ返還する際にも、高齢者家庭や低所得家庭でこそ再生可能エネルギー固定買取り価格制度といったものが活用されるような社会保障政策のグリーン化を目指すべきです。
 最後に、今年は国際生物多様性年ですが、このままでは人類が絶滅危惧種になってしまうのではないかと心配しています。そこで、二つの提案をいたします。一つは、日本の資金拠出について環境、社会、経済の包括性、妥当性、実効性を担保する財政と税制のグリーン化を二〇一二年まで、京都議定書第一約束期間が終了する二〇一二年までに完成させてほしいと思います。二つ目に、二〇一五年の排出ピークを目指し、二〇五〇年以降の地球環境に適した産業構造、社会構造、政治構造をつくり出す必要があります。
 調査会の皆様におかれましては、是非、中国や米国と連携し、国連の再生や低炭素地球社会の構築につながるよう長期的な低炭素社会戦略を基本法として御検討いただくことを願って、私の意見陳述とさせていただきます。
 以上です。
#10
○会長(石井一君) ありがとうございました。
 次に、李参考人から御意見を聴取いたします。李参考人。
#11
○参考人(李志東君) どうもありがとうございます。長岡技術科学大学の李と申します。まず、本日、貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。(資料映写)
 私の方から、地球温暖化防止に関して国際的にも非常に大きな役割を期待されている中国について、まず中国がどういうふうに主張しているのか、何でそのような主張をするのか、さらに国内でどのような取組を行っているのか、それを受けまして日本に対する示唆について簡単に紹介したいと思います。
 温暖化の国際交渉に関して中国が一番重視しているのは、共通だが差異のある原則ということになります。これは、ここで数字を書きましたが、二〇〇七年現在ですと中国が世界において一番大きな排出国ということです。これは何を意味するかというと、中国も責任がある、加害者として、同時に、中国も当然、温暖化の被害者、さらに、地球温暖化を防止することができれば中国も受益者ということになります。そういう意味で、共通の責任が当然中国は持っています。また、中国政府も国内ではこのような論理で、つまり加害者であり被害者である、さらに受益者であるという論理で国民を説得しています。
 ただし、実際にどのような責任を負うのかについて考える必要がある。これは何かというと、このページの下の表になりますが、排出量についても、現時点の一か国の総排出量という視点もあるんですが、もう一つ、やはり温暖化というものは現時点だけではなくて、産業革命以降排出された温室効果ガスはみんな悪さをしているんですね。だから、歴史的な排出量はどうなるのかという視点。
 もう一つ、これはIPCCでも言及しましたが、温暖化の原因というのは人間の活動ですね。そうすると、一人当たりの排出量はどうなるのか、こういう視点も非常に重要ではないかと思います。例えば、二〇〇七年ですと、中国の一人当たり排出量というのは四・六トンですね。日本の半分、アメリカの二四%という状況になります。さらに、累積排出量を見たらもっと少ないということになります。そういう意味で、一人当たりの排出量に関しては先進国と途上国の間に大きな格差があるんですね。これは何を意味するかというと、温暖化防止に関して責任の格差は当然認めないといけない。
 もう一つ、やっぱり温暖化防止についてその能力があるかどうかということも考えないといけないと思いますが、この能力は、例えば一つの指標として所得水準で測ってみると、途上国の場合三千ドルですね。先進国全体の平均ですと三万ドル。という視点を考えると、やはり適応能力、防止能力の面においても格差が存在する。その意味で、共通責任がありますが差異のある責任の原則を堅持すべきではないかというふうに思っています。
 実は、この原則は今出てきたわけではなくて、一九九二年の枠組条約で既に確立されたものですね。COP15について、主な論点、先ほどの話もありますが、先進国の削減目標、中期目標ですね、途上国の緩和行動、さらに先進国による途上国への支援また長期目標といったものが大きな論点になりますが、これも実は二〇〇七年のCOP13、バリ行動計画で、こういう話について、こういう論点について二〇〇九年のCOP15で議論しましょうよという話ですね。今から出てきた問題ではないです。
 そこで、中国がどういうふうに主張しているのか。ここであえて中国政府の、あるいは議会も絡んでどういうふうに主張しているのか、公文書ベースあるいは国家主席の発言ベースのものを書きましたが、これ言いたいのは、中国は地球温暖化の交渉に関して、かなり緻密的に研究をして、一貫的な主張を行っているということです。
 最も重要な公文書というのは二〇〇九年の五月に国連に出しましたが、これはどういうものかというと、温暖化交渉に関しては国連重視、つまり今まで枠組条約があった、京都議定書があった、さらにポスト京都議定書に関してそのロードマップを決めるバリ・アクションプランがあった、そういったものを踏まえて交渉すべきだ。その次に、先進国に対して、二〇二〇年は少なくとも一九九〇年比で四〇%以上の削減を求める。さらに、途上国はどうするのかということですが、これは義務化ではない、自主行動を行うべきだ。さらに、途上国内の行動に関しては、どこに優先順位を置くのかについて、これは途上国自身で決めることといったことを主張しています。
 これは二〇〇九年の五月の政府の主張ですが、これを受けて、中国は八月になりますと、議会、全国人民代表大会ですが、この温暖化に関する防止を推進するということに関する決議を出したんですね。私はこれは非常に重たいものだと思います。その決議の中に何を言っているかというと、中国政府の方針を了承する、さらに低炭素経済の発展をやりますということが重要なポイントです。それを受けまして、去年の九月の気候変動サミットで胡錦濤国家主席が顕著な削減ということを表明したんですね。具体的な目標は十一月に国務院で決定されて、これは二〇〇五年と比べると二〇二〇年までGDP当たりの二酸化炭素排出量を四〇%から四五%削減という目標ですね、この目標を用いてCOP交渉に参加したというわけです。
 この目標については一体どういうイメージかというと、もし何も対策を取らなければという場合と比べると、二〇二〇年に年間の二酸化炭素の削減量というのは大体六十億トンから八十五億トンぐらいになるんですね。これは非常に大きな削減ではないかというふうに私は思っています。
 さらに、この中国の目標というのは何の条件も付いていないですね。つまり、全くの自主行動の目標になります。そうすると、先進国から例えば資金と技術の援助が付いてくれればもっと上乗せる可能性がある。この目標をもっと早く達成できる可能性があるということを強調したいと思います。
 そうしますと、このポスト京都の枠組みというものがどういう形になるのかということですが、これはこれからの国際交渉で決められると思いますが、私個人の意見としては、恐らく二〇二〇年までの枠組みというのは、一つはアメリカも参加して京都議定書というものが拡大する形で出てくる。じゃ途上国たちはどうなるのかというと、恐らく国連承認の、GDP当たり、GDP原単位方式の目標でやっていくんではないかというふうに思っています。それでも、もしこういう形になりますと、これは京都議定書より大きな前進になるんですね。京都議定書のときはアメリカが離脱して、途上国は何の目標も表明してないですね。それと比べると大きな前進になるというふうに私は考えています。
 じゃ、二〇二〇年以降、より長い枠組みはどうなるのかということを考えると、恐らくすべての国が参加する、もちろん中国も含めて参加する。そのとき、やはり排出枠をどういうふうに配分するのかということが一つの焦点になると思いますが、恐らく中国は、あるいは途上国の多くがそういうふうに主張すると思いますが、一人当たりの炭素排出量に応じて配分するんではないかというふうに私は考えています。
 これは中国の主張ですが、では次に、中国国内でどういうふうに取り組んでいるのか。これは、二酸化炭素の削減ということを考えると、結局、どこから二酸化炭素が出てくるかというと、化石エネルギーの使用ですね。そうすると、省エネルギーが一つのやり方。もう一つ、できるだけ化石エネルギーを使わないようにする、これは低炭素化という考え方。さらに、化石燃料を使うんだけれども、二酸化炭素を大気中に出さない、これはCCSの考え方。また、出したものを吸収する、これは森林拡大というような考え方ですね。理論的に考えるとこういうアプローチしかないんです。
 そこで、中国が重視しているのは何かというと、省エネルギー、低炭素化と植林の三つではないかというふうに思っています。もう一つ、この低炭素化ということは、よく国際社会で中国の低炭素化というのは再生可能エネルギーに重点を置いているというふうに言われている、宣伝されているんですが、それは一つの事実で、もう一つ、中国の場合、天然ガスの比率は非常に低いんですね。石炭の比率が高くて、天然ガスの比率が二、三%しかない。そうすると、石炭から天然ガスへの転換によって、低炭素化、二酸化炭素の抑制にはかなり寄与をする。そういう意味で、中国の低炭素化というのは、天然ガスをたくさん使うこと、プラス再生可能エネルギー、プラス原子力というふうに理解した方が適切ではないかというふうに思っています。
 具体的に、実は中国のこういう低炭素社会に向けた取組というのは今から始まったわけではなくて、二〇〇六年以降、経済社会の戦略の転換に伴ってやっていると思います。二〇〇五年まで中国の総合戦略というのは経済成長を追求しているわけですね。これはいろんなひずみをもたらしました。それに対して、二〇〇六年以降、戦略を転換して、全面的な調和と持続可能な発展を行う。
 それに伴ってエネルギーについてどうなっているのかということですが、従来ですと、経済が発展して、国民所得レベルが向上してエネルギー需要が出てきた、この需要を満たすために供給拡大を重視してきたんですね。ところが、二〇〇六年以降はそうではなくて、まず需要を抑える、これは省エネ、次に重要なのは何かというと、できるだけ脱化石燃料ということを図る。これは具体的な目標として、二〇一〇年までに二〇%の省エネをする。さらに、非化石エネルギーの比率というものを、二〇一〇年までに二〇〇五年の七・五%から一〇%まで引き上げるという具体的な目標も立てました。こういう目標に合わせて、様々な中期五か年計画、さらに二〇年までの計画を立てられました。
 もう一つ、温暖化防止というものが決して一朝一夕でできるわけではないんですね。そうすると、どうしても長期な視点が必要。そこで、中国政府も二〇五〇年をターゲットにいろんな研究をやっています。時間の関係で詳しくは説明しませんが。
 そこで、具体的な取組について、私は今、中国の取組というのは非常に健全になってきたではないかというふうに評価しています。何でこういう評価をするのかというと、システム的な取組が始まったんですね。これは、温暖化防止について精神論では決して長続きはしない。結局、経済主体、環境主体が、低炭素化の活動をすれば得、そういう活動をしなければ損というようなシステムをつくらないといけない。
 そこで、中国がまず取り組んでいるのは法整備。これは省エネ法、再生可能エネルギー法が中心となりますが。次に、組織整備ですね。気候変化対策グループ、これは温家宝首相がトップになっています。行政機関として、国家発展改革委員会の中に温暖化対策局というものをつくったんですね。
 具体的な取組について、一般的に、中国は、社会主義市場経済をやっている、規制あるいは行政指導が中心ではないかという話があるんですが、確かにそういう面があります。もう一つは、実は経済的な手法、また技術開発についてオールチャイナの体制でやっているということが特徴ではないかというふうに思っています。
 具体的に、例えば省エネについて目標があった。この目標を即座に各地域、産業、主な重点企業、事業体に割当てをするんですね。この割当てを守っているかどうか、まずは人事評価。割当てをきちんと達成できなければ昇進させない。これは一票否決制と。もう一つ、審査延期の連座制度というもの、これは何かというと、目標を達成できなければその工場だけではなくて親会社全体、またその所在地域全体の新規プロジェクトをすべてストップさせるというような対策も取っているんですね。さらに、日本のようなエコポイント制度も中国も当然導入しています。
 こういうふうに様々に努力した結果、二〇一〇年の目標、これは省エネに関して二〇%の省エネを達成すること、非化石エネルギーの比率を一〇%まで引き上げるという目標は今どういう状況かというと、ほぼ達成可能な状況になっています。これは大きな成果ではないかというふうに思っています。
 こういうふうに考えると、中国国内の対策の特徴というのは、私は四つぐらいあるんではないかというふうに思っています。先進国で有効と実証された対策ならば何でもやる。この省エネ重視というのは日本の経験を生かしていることです。再生可能エネルギー開発の重視というのはヨーロッパの経験に基づいている対策ですね。もう一つは、比較優位性のない技術についても長期的な視点で挑戦している。一番典型的な例は燃料電池あるいは電気自動車などの開発です。三番目、中国の実情、固有性に合わせた対策を積極的にやっている。中国は今でも約七億人が農村で住んでいるんですね。その農村部の人々にどうやって低炭素のエネルギーを提供するのか。これは中国は相当工夫しています。さらに、もう一つの特徴というのは、温暖化対策というものを持続可能な発展の一環として考え始めた。これは非常に大きいんではないかというふうに思っています。
 ただ、いろんな問題もあるんですね。これよく言われているのは法制度の不備、また実際の対策について、割当てなどをするんですが、例えば取引市場は整備していない。そうすると、どうしても対策のコストが高くなるといった問題が存在しています。
 今後について中国の方針は何かというと、私は非常に注目しているのは、中国において議会が決議を出したということです。議会が政府を監督して、まず低炭素経済の指針を作らないといけない。さらに、温室効果ガス抑制の計画を作らないといけない。また、議会自身は、温暖化関連の法整備をきちんとやるということを言っているんですね。
 私は、なぜ中国の議会が動き出したかというと、これは本音を言いますと、これはアメリカ対策ですね。よく今回のCOP15についても、日本などのマスコミを見ると、アメリカの削減目標が、実は、日本は二五%ですが、アメリカの場合は四%ぐらいですね。それなのに、日本においてもアメリカに対する批判が非常に少ないです。なぜ少ないかというと、いや、オバマ大統領が頑張っているんですが、議会が足を引っ張ったということをよく言うんですね。
 じゃ、同じことが中国でどうなっているのかというと、中国政府と議会が結束して温暖化対策に挑戦し始めた。これは非常に大きなメッセージになると思います。ただ、今の段階ではこういうふうになるんですが、例えばの話で、もっと中国政府に対して総量削減などを求めて、万が一、中国の担当者がこれを受け入れたら、これは議会が反対するということも当然出てくるんですね。そういうリスクも国際交渉においてほかの国も考えていただく必要があるんではないかというふうに私は思っています。
 そこで、中国の基本戦略というのは何かというと、これは決して先進国にだけ厳しい要求を突き付けているわけではない。国内でも議会と政府が結束して実は低炭素化社会に取り組んでいるということですね。
 そこで、その中で実は国際交渉の位置付けということですが、これは温暖化対策というものが、国際交渉も非常に重要ですが、ただしCOP15でいい結果が出なかった、あるいはポスト京都の枠組みについてすぐ合意できなかった。だからといって中国が低炭素化の動きをやめるかというと、これはやめることがないというふうに私は思っています。中国政府あるいは議会の考え方というのは、これから持続可能な発展を実現するために炭素依存はとにかくもう無理だ。そこで、低炭素化社会というものを先に成功すれば、これは国際社会からの尊敬も得られるし、また経済的な実利もたくさん得られる、だから一生懸命やろうという話ですね。
 これを受けて、じゃ、COP15以降の戦略は何なのかということを考えますと、まずは中国が主張している義務化されない自主的な適切な緩和行動による枠組みへの参加ということをこれは死守するだろうというふうに思います。この譲歩は今の段階では私は全くあり得ないというふうに考えています。で、先進国に対して、恐らく支援の強化、具体化、さらに削減目標の上積みを求めていくということになると思いますが、ただし、中国が一番最初に求めている先進国全体で少なくとも四〇%の削減ということをこれを強硬に主張するかというと、私は恐らくそうではなくて、この点についてはある程度の譲歩があり得るんではないかというふうに思います。
 そうしますと、では日本がどうすればいいのか。これは示唆ということになりますが、私は、日本が先進国グループの中で一番意欲的な目標を出しています。中国は新興国、途上国の中で一番意欲的な目標を出しているんですね。お互いに認めるべきではないかというふうに、私の基本的な考え方です。
 次に重要なのは何かというと、やっぱり一人当たり排出量が非常に大きく、さらに全体の排出量も大きいアメリカをいかに説得するのか。今までは中国が一生懸命、あるいは新興国、途上国が一生懸命頑張っているんですが、そこでもし日本が加えて説得すると、これは力が大きくなると思います。また、途上国支援体制の構築というところに努めるべきではないかと思います、これは国際交渉において。国内の対策については、やはり日本は二五%減という非常に意欲的な目標を打ち出しました。これは非常に歓迎すべきです。
 じゃ、次の問題は何かというと、いかに低いコストで達成するのか。そのときは恐らく日中連携というものが非常に重要になると思います。その日中連携について早く手を打つべきではないかというふうに私は考えています。
 駆け足ですが、以上です。
 どうもありがとうございます。
#12
○会長(石井一君) ありがとうございました。
 これより質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。
 なお、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力のほどお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 犬塚委員。
#13
○犬塚直史君 どうもありがとうございました。
 毛利参考人に伺います。
 革新的資金メカニズムについて非常に簡単に触れられたんですけれども、私たちは、特に参議院は今年の七月に選挙、なる人もかなりいるんですけれども、実感として、選挙で例えばODAの増額を訴えて当選するというのはまず難しいことなんですね。つまり、パスポートのない問題、地球温暖化とか、こういうことに対して、要するに有権者の血税をこういうところに使いますよということを言って選挙を戦うというのは大変難しいことなんです。そういうことを考えると、こうやって国別でいろいろ考えても、後進、まあ発展途上国の人たちの中にも旅行するときにはいつもファーストクラスに乗っているような人たちもたくさんいるわけでありまして、国別で考えていくというのは大変難しいんじゃないか。パスポートのない問題に対しては、パスポートのない資金を考えなきゃいけないんではないかと。
 そういう意味では、今革新的資金メカニズム、例えば航空券に対する課税を行ってアフリカの貧困対策に使うなんていう枠組みができたところですけれども、まだまだ資金が足りない。どうしてこういう話をCOP15でもっと大きく取り上げなかったのか、何でそんなに簡単に革新的資金メカニズムを軽く触れただけでおしまいになされるのか、その辺の実感を教えていただきたいんですけれども。
#14
○参考人(毛利勝彦君) コペンハーゲン合意に資金の額は出たんですが、資金メカニズムについては、事務レベル、官僚レベルでずっとやっておりまして、進展が見られなかったわけですね。ただ、議論がなかったというとそうではなくて、もちろん今、金融取引税ですとか国際連帯税という議論は、途上国だけでなくヨーロッパを中心にもうじわじわと今週もいろいろと広がっております。そういったものが日本で報道されていないだけで、選挙のときにというふうにおっしゃいましたけれども、連帯的に市民社会や国民から取るというだけではなくて、ベネフィットとして一般国民に伝わっていないと思うんですね。
 ですから、取っただけじゃなくて、それをどう使うのかということで、先ほどもちょっとお話ししましたように、例えば年金問題とか、かなり資金が足りなくなる、子ども手当とかありますけれども、そういったところにもグリーン化して、年金として配布するのではなくて、再生エネルギーのスマートグリッドにして固定価格で買取りをしていただくといったようなもので高齢者なり低所得者層に現金収入が入ってくるということ、そういった国民一人一人の実感としてベネフィットにもなるし気候にもいいし経済にも良くなるんだよというその辺りの見える化ですね、それがあれば選挙でもあるいは一般国民でももっと革新的資金メカニズムの問題が実生活にかかわる問題として認識されるんだと思うんですね。
 それがどうしてないのかというと、私の考えでは、中国でもアメリカでもイギリスでも低炭素戦略の基本になる法案があるわけですよね、それが日本はないんですね。地球温暖化対策基本法案もそれはいいんですが、環境省から閣法として出すのではなくて、もっと社会保障も経済政策も気候も統合される形で、まさに参議院からどっと政治的に出していただくと選挙にもいいんじゃないかなというふうに思います。
#15
○会長(石井一君) いいですか。
 はい、どうぞ。
 丸山弁護士。
#16
○丸山和也君 ありがとうございます。
 李参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、この地球温暖化の問題、極めて、素人的にといいますか、一般の人もそうだと思うんですけれども、なかなか、結構重大な問題という認識は深まりつつあるんですけれども、具体的になかなか進まない一つの理由として、おっしゃったようにアメリカが世界最大の排出国、一人当たりも断トツであると。それで、それを享受して、そういう享受した生活を維持しようとしてなかなか世界的枠組みの中に入ってこないと。アメリカ的エゴですね。これが一つの問題と。
 それからもう一つは、やっぱり急成長を遂げつつある中国が、これだけの世界最大の人口があって、おれたち今まで使っていないんだと、国民一人当たりにすると本当にもう少ないじゃないかと、今まで使った量を換算すれば先進国のエゴだと、おれたちももっと使う権利があるとまで言わんばかりの、こういう、それも一つ一つ分かるんですよね。
 そういうことで、両大国がそれぞれ角を突き合わせてなかなか進まないんじゃないかというようなイメージが何か私は素人的にあるんです、今も私はあるんですけれども。
 その中で、李参考人が、いや、中国も非常に意欲的に、二〇〇六年以降ですか、そういう仕組みをつくろうということで努力しているんだと、またこれからも自由余り拘束されない立場でその基本方針を守るということをおっしゃっていただいて、本当ならじゃ安心をしたいところで、良かったなと思っているんですけれども。
 その中で、最後におっしゃった、やはり日本に対しても提言されたんですが、日本と中国がこれからやっぱり協力していくことが非常に前進させる原動力になるんじゃないかということをおっしゃったんですけれども、具体的に日本と中国がどういう協力が可能で、実現的にですね、可能で望ましいのか、もう少し具体的に、念頭にあれば教えていただきたいなと思いまして、お聞きします。
#17
○参考人(李志東君) どうもありがとうございます。
 非常に重要なポイントで、私は日中協力というものが是非必要。どういう面で必要か、どういうふうに協力するのかというお話ですが、まず日本のこの二五%減の目標ですが、これは前提条件として主要国の意欲的な参加ということを挙げているんですね。じゃ、この主要国はだれなのかということを突き詰めて考えると、これは中国、アメリカ、インドなどになるんですね。
 ところで、中国とアメリカは同じレベルで取り扱うことができるかというと、私はなかなか難しい。先進国と新興国あるいは途上国との関係になりますので、これは枠組条約にしても、あるいはバリ・アクションプランにしても全然区別してやっていますので、そういう意味で、日本が二五%減の前提条件について、解釈上のことですが、主要国から中国を外すということが恐らく私は必要だと思います。さもなければ、日本の主張は中国は絶対受け入れられないということになりますので、これは恐らく日中協力の第一歩だと思います。
 認識をまず統一して、次に何が必要なのかというと、日本も一番意欲的な目標、先進国の中で。中国も途上国あるいは新興国の中で四〇%から四五%減を打ち出していますので、これは一番意欲的ですね。それだったら手を結んでお互いに認めましょうよという話になります。
 三番目は何かというと、アメリカの説得に当たるんですね。今まで、はっきり言いますが、ほとんどアメリカの方針に従って日本が動いているような気がします。そういうふうにやるべきではないというのが私の基本的な考え方で、むしろ日本がリーダーシップを取って、アメリカも是非京都議定書の枠組みの中に戻ってきていただきたいという説得を、中国あるいは中国を始めとする途上国グループ、新興国グループと共同して説得すると、これは実現する可能性がうんと高くなるんですね。
 もう一つは、今の新しい枠組み交渉に関してもう一つ重要な点は、やっぱり途上国に対する支援です。
 支援は技術支援と資金支援があるんですが、中国が、御存じのように、今、経済、GDP規模というのは今年は恐らく日本を超えるということになるかと思いますが、中国自身がそんなに先進国から資金を欲しがっているかというと、私は全然思っていないんです。ただし、今、中国は途上国七十七か国をまとめているという立場上、これは資金援助などを一生懸命求めないといけないという立場にあります。
 日本がたくさん、百五十億ドルだと思いますが、たくさん出しているんですが、そこで、じゃ、中国と日本が協力して資金援助、こういう金額だけの話ではなくて、メカニズム、どうやって使うのか、組織論などの話をリーダーシップとしてやっていくと、これはかなり恐らく途上国からも歓迎される話になると思います。そうすると、新しいこのポスト京都議定書というものがある意味で成功する可能性がうんと高くなると思います。
 この辺りでよろしいですか。
#18
○丸山和也君 李参考人に詳しく説明していただいてありがとうございました。参考にさせていただきます。
#19
○会長(石井一君) 加藤修一理事。
#20
○加藤修一君 三人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。
 私は、まず山岸参考人にお願いしたいんですけれども、様々な形で、例えば気候難民とかあるいは気候紛争、気候変動に由来するそういうことが言われ始めていて、気候安全保障なんていう言葉も国際社会で飛び交っている話なんですけれども、私は、科学と政治というか、あるいは立法者との対話というのはもっともっと深めるべきだと思っているんですね。そういった中で、こういう極めて深刻な状態になりつつあることから、やはり気候安全保障ということについてもっと政府が真っ正面から取り組んでいくべきだと思っております。
 それで、日本の防衛計画大綱、これは昨年見直しをする予定でしたけれども、大きな変化がありましたから、今年の十月までに防衛計画大綱というのをつくるという話になっていますけれども、その中に、こういう気候安全保障、その安全保障と国防戦略の議論をする場合に、気候変動の影響を十分に考えた形で策定することが非常に大事じゃないかなと、こんなふうに思っていますので、その辺のことについてどうお考えかということが山岸参考人に対する質問であります。
 それから、非常に基本的な質問になって申し訳ないんですけれども、李参考人に、先ほどの御説明の中で累積総排出量という表が出てきておりますけれども、一般に気候変動なんかを議論するときには、産業革命のころからどうであるかと、つまり二百五十年間のそういう長期的な過去の議論もあるわけで、そういうことを考えていくと、累積されているCO2というのは、もちろんこれは先進国多いですけれども、各国別で見ると、アメリカが一七・八%、中国が七・八%、日本が三・九%だったと思いますけれども、そういう意味では、過去の累積については中国は第二位を占めている。現在は二一%ということで中国が第一位ということなんですよね。
 先ほど、原単位が相当減ってきている、大変な努力を中国はしていると思っておりますが、ただこれは、年間のGDPの成長率七%、八%続けていくと、これは当然排出量ということについても増えていくわけですよね、多分。そういうことについてはどういうふうにお考えかという、以上の点。
#21
○参考人(山岸尚之君) 御質問ありがとうございます。
 おっしゃられたとおり、気候変動問題を安全保障の問題の中に組み込んでいく、いわゆる気候安全保障の考え方というのは日本にとっても非常に重要であるというふうに私は考えています。特に、日本にとって重要であるという理由について二つの側面からお話ししたいと思います。
 一つの側面は、気候変動の影響というのは日本という国自体に対しても大きな影響を与える、これは恐らく異論がないところだと思います。海面上昇が起きれば日本の周りの砂浜は失われますし、それによって経済的なダメージを受ける地域も非常に多いと。これが安全保障上どのような影響になってくるかというのは、もう少し研究を待たねば分からないところかもしれませんが、非常に大きな意味があります。
 ただ、私がそれ以上に重要だと思っていて、なおかつ日本の今現在の検討の中で視点として入っていないなと思う点は、海外の気候変動による影響がどのような影響を日本に対して間接的に持ち得るかという点です。なぜかといえば、御存じのとおり日本の食料自給率は大変低いです。かなりの部分を海外に対して依存している。これで例えば、アジアの穀倉地帯であるとかアメリカであるとか、それから中南米に対して大規模な影響が気候変動によって起きてきたときに、果たして日本は無事でいられるのか。食料だけではなくて様々なものを日本は海外から輸入することによって栄えていると、経済を発展させてきているという部分があると思います。
 こういった観点を考えたときに、じゃ、日本はそういったいろいろな輸入しているもの、あるいは海外に依存しているもの、これらに対しての気候変動の影響を十分これまで考えてきたかと言われると、恐らくそういった研究というのを余りされていないと思うんですね。日本の安全保障ということを考えるにおいては、やはりそういった視点も含めて考えていかないと十分ではないと思います。
 また、冒頭で加藤先生がおっしゃられた気候難民についても、やはり気候難民と呼ばれる者が仮に気候変動の影響で発生してきたときに、果たして日本は受け入れる覚悟があるのか、そういった点についてもきちんと検討しておくべきことだと思います。
 例えば、太平洋の島嶼国が海面上昇によって住めなくなったような場合、オーストラリアとかニュージーランドに対する移住計画というのは既にありますけれども、日本は果たしてそういった国々で気候難民になってしまった人たちに対して何もしないのかと、それを安全保障の観点からとらえることは必要なのかどうか、この辺についても検討すべきじゃないかなと思います。
 ちょっと簡単なお答えになってしまいますけれども、以上が雑駁な意見です。
#22
○参考人(李志東君) 御質問ありがとうございます。
 先ほど、累積の話で、確かに産業革命以降、二百数十年のデータを全部出した方がいいと思いますが、私の資料で出しているのは、あくまでも一八九〇年以降のものです。先生が御指摘したのは国全体としての累積の数字で、それを見ると、確かにアメリカが二七%、二七・七ですが、中国は八・七ということですが。
 もう一方、じゃ、一人当たりの累積ということもやはり考慮すべきではないかというふうに私は思っています。恐らく、枠組条約あるいはこのポスト京都についてロードマップを決めているバリ行動計画においても、この辺りのことを考えて、先進国に対しては総量削減、途上国などに対してはアクションプラン、緩和行動だけを求めているんですね。中国はあくまでも国連で決められたことを忠実に遵守し、それに従って、先ほども説明したように、GDP当たりの二酸化炭素排出量を二〇〇五年と比べると四〇%から四五%の削減をする。
 確かに、先生がおっしゃるとおり、経済は成長する。例えば、このデータとしては七ページに書いていますが、例えば最大で九%の成長と仮定した場合どうなるのかということですが、もし対策を全く取らなければ排出量は実は百八十八億トンになるんですね。それに対して対策を取った場合排出量はどれくらいになるのかということですが、これは百十三億トンから百四億トンまで減少するんですね。これは対策の効果というふうに思っています。
 私は、恐らく二〇二〇年までは中国も含めて途上国の総排出量が下がることが余りあり得ないんではないかというふうに思っています。もし下げようと思ったら、一つの前提条件として、先進国からもっとたくさんの技術支援と資金援助というものが必要ではないかというふうに思っています。
 以上です。ありがとうございます。
#23
○加藤修一君 責任とか役割は過去、現在、未来と、そういう連続性の中で考えなければいけないなと思いますけれども、毛利参考人にちょっとお尋ねなんですけれども、御説明の中で技術の関係についてもお話しされていると思うんですね。これは、途上国に対して先進国がどれだけ技術移転ができるかどうか。もちろん基本は民民になるんでしょうけれども、ただ先ほどのお話の中では知的所有権の再構築という言い方されたと思うんですね。こういった面について国際社会ではいかなる議論がされているのか、あるいは参考人としてはどのような再構築ということについてお考えがあるのか、その辺のところをちょっとお願いいたします。極めて重要な問題だと私自身は思っています。
#24
○参考人(毛利勝彦君) 知的所有権の問題につきましては今WTOでやっておりますけれども、気候関係は気候、あとミレニアム開発目標とかいろいろな部分であるんですが、大きく分けますと、途上国は知的財産は元々は人類共通の財産として考えていたわけですね。それで、特にWTOではなくて知的所有権に関する国際機関を中心にそういった考え方を広めてきたんですが、逆に先進国としては研究開発費に投資しているわけですから、そのものを単に、例えば中国が、先進国がやったものを全部やるとおっしゃって、その場合、無料で配付、移転するわけにはいかないという、そこがネックになっています。
 それを再構築という言葉を使わせていただきましたのは、二者択一ではないと思うんですね。技術によってもう既に普及しているものは、ほとんど知的所有権、ミニマムな支払をするのかどうかも別にして、あるいは無料で、あるいは政府が負担をして移転をするというものは、技術のレベルによってもセクターによっても違うと思うんですね。ですから、今までの途上国が言ってきた人類共通の財産だというのと先進国が言っていたような一歩でも譲らないというものも、二者択一ではなくて、もうちょっときめ細やかに、環境に関する技術、あるいは途上国の排出削減に対する技術については個別に、セクター別に、あるいは技術の発展段階別にレビューする必要があるのではないかというふうに私自身は考えています。
#25
○会長(石井一君) 有村理事。
#26
○有村治子君 自由民主党の有村でございます。今日は三人の先生方、ありがとうございます。
 特に山岸先生にお伺いさせていただきたいと思います。
 時間の関係で余り御言及がなかったんですけれども、発展途上国、途上国間での相反する利害ということで、そのことについて立場の多様化という言葉を使われていますが、どのようなダイナミックスがあったのか、それが今後どのような影響を持ち得ると予測されるのか、御言及をいただきたいと思います。
 あと二点。
 REDDについて、これはお三方共に、もし、ちょっと今日は三人ともREDDについての御言及が余りなかったんですけれども、日本ということで、里山とかプロジェクトを日本は持っていますけれども、なかなか人的な不足で手入れがなされていないという御言及を李先生していただきましたけれども、もう少しこの分野についてのコメントがあれば御教示いただきたいと思います。
 山岸参考人にまた戻りますけれども、今回、平田さんとともに一緒に日本ということでいらした、大変有り難いと思います。そこでは、今までのCOPで重ねてずっとその会議に出ている国際的なレギュラーも多いという中で、やはり私自身は、日本というのもNGOの皆さんだけではなくて、何度も何度もそこに行ってレギュラーになって初めて分かることとか、そういうのも交渉力に強みになっていかなきゃいけないというふうに思いますので、そのNGOのエキスパートとして御覧になって、日本政府の交渉力というのはどのような強みがあったか、弱みが露呈したか、今後、その日本の交渉力ということを確かなものにするためにはどういうところを補強していけばいいという御示唆があれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
#27
○参考人(山岸尚之君) 御質問ありがとうございます。
 まず、最初の御質問の途上国の多様性についてですけれども、基本的には幾つかのグループにだんだん立場が分かれ始めているというふうに思います。
 第一のグループは、先ほど毛利参考人のお話だったか出てきた言葉ですけれども、BASICと呼ばれるグループ、これは頭文字を取っているんですけれども、ブラジルとそれから南アフリカ、そして中国、インドという、この国々の基本的にはグループになっております。
 このグループは途上国の中でも主要な途上国という位置付けでして、かなりいろんなところで立場をそろえて主張されてきます。途上国の中でも主要であるということもあり、途上国全体に対してなるべく利益になるような立場を取ろうとするがゆえに、かなり先進国にとっては厳しい立場を要求してくるケースがあります。
 これに対して伝統的なグループとして、第二番目のグループとして、AOSISと呼ばれる、A、O、S、I、Sと書いていわゆる小島嶼国連合というふうに呼んでいますけれども、太平洋の小さな島国であるツバルであるとかフィジーであるとか、そういったような国々から構成される国々であります。この国々というのはやっぱり気候変動の大きな影響を受けますので、最も先鋭的な立場を主張してまいります。
 例えば、中国、インドといった国々は先進国全体の削減目標として四〇%以上という数字を掲げてきますが、このAOSISに関して言うと四五%以上という、そこから更に厳しい数字。それから、全体としての目標も、例えば二度未満という目標を私挙げましたけれども、環境NGOが一般的に掲げている二度未満よりも更に厳しい一・五度より下に抑えるべきだという主張をしてきます。ですから、何かにつけて一番厳しいことを主張してくるのがAOSISです。
 これと若干立場は似ていますけれども、時々違う国としては後発開発途上国のグループ、通常LDCと呼んでいますけれども、後発開発途上国のグループがあります。立場は大体のケースでいうとAOSISと似ております。
 これらに加えて更に、やや特殊な国々としては産油国があります。サウジアラビアを代表とする、本当に油を出している国々。これらの国々の主張はかなり首尾一貫しておりまして、温暖化対策を取ると石油の輸出が減るだろう、そうすると我々にとっては経済に対して打撃が与えられるのでそれの補償をしてくれと。先進国からしてみるとかなり虫のいい主張に聞こえるんですけれども、そういった主張をずっとされているということになっています、この産油国のグループ。
 それから、特に、これは今申し上げた国々のグループというのはそれほど珍しくないんですけれども、今回のコペンハーゲン会議を語るに当たって欠かせないグループと私個人的には思っているのは、中南米の一部の国々が集まったALBAグループというグループがあります。これは、頭文字はA、L、B、Aと書くんですが、この頭文字の由来はスペイン語なのでちょっと私発音ができないんですけれども、構成している国々は、主要国はベネズエラとかそれからボリビア、ニカラグア、キューバといった国々になります。
 これらの国々は、ちょっと、すごく単純化して申し訳ないんですけれども、反米、反資本主義、反市場主義です。ですから、非常に立場もかなり厳しい立場を取る傾向がありまして、一番典型的な立場としては、先ほどからちょっとお話に出ているクリーン開発メカニズムという制度が現行であります。途上国で削減や技術に対して支援をして、その代わりに先進国がクレジットを得て、先進国の中での削減としてみなしてもらうこの仕組み、これは基本的にその性質ゆえ、市場メカニズムというふうに呼ばれていますけれども、これを発展させたもう一段レベルアップした仕組みをつくりましょうという議論が現在行われていますが、これに対しては非常にこのALBA諸国というのは反発をしています。要するに、新しい市場メカニズムを持った仕組みというのはもう一切入れるべきではないと。非常に厳しい主張をしていて、これが一つ彼らが最終的にコペンハーゲン合意というものに合意できなかった理由の一つでもあるので、すごい強硬です。
 こういった国々があると、たとえそれらの国々の影響力というのはそんな全体的には強くなかったとしても、コンセンサスで合意をしなければいけない国連の中にあっては非常に大事なポイントになってくるということです。
 どれくらい彼らが本気でこの交渉において主張しているかといいますと、今度、四月の二十二日だったと思うんですけれども、オルタナティブなサミットを開くと、気候変動について、という形で、彼ら自身が開催する気候変動の国際会議を主催するぐらい彼らは本気で今回の交渉について不満を持っているという状況です。
 ですから、こういったグループの立場がだんだん分かれてきているという部分がありまして、一つ、ちょっとお話が長くなってしまって恐縮なんですけれども、典型的な事例としては、ツバルが、第二週目の頭ぐらいに、ある議題の中で議定書について、新しい議定書をつくるということに関しての分科会をつくりましょうという提案をしたんですね。これに対して中国とかインドは猛反対をしました。それから、アフリカ諸国の一部も猛反対をしました。
 これ、何でかといいますと、すごく複雑なのでちょっと細かいところまでお話しできないんですけれども、ツバルとかは基本的に途上国の中でも主要な途上国、中国とかインドに対してもかなり厳しい削減目標を持ってもらいたい、目標とまで言わないまでもかなり厳しい削減をしてもらいたいということを本心では思っている部分があるんですね。ですから、新しい議定書をつくって、かなり法的な拘束力のあるという言い方をしますけれども、法的拘束力のある仕組みをがっちりつくってしまいたいという思いがどこかにあるんだと思うんです。
 これに対して、中国、インドとしては、やっぱり現段階においてそういった仕組みを議論始めてしまうと先進国も恐らくそっちの議論に流れてくるだろうと、まさしくそっちが先進国としてやりたいこと、だから今この段階でそういう分科会をつくるのはちょっと得策ではないということを言って反対をしたんですね。
 最後は、ツバル代表が涙を流しながら私としてはここを頑張らないと駄目なんだと言うぐらいもう話がもつれたんですが。
 途上国内の話のもつれというのがオープンな場で、それ総会の場で議論をしていたんですけど、総会の場でそこまで表に出てくるというのは、実は過去の会合では余りなかったんですね。G77プラス・チャイナ呼ばれる途上国全体のグループがあるんですけど、その会合の中ではいつでもそういう議論はあったと思うんです。そのいろんなグループ、途上国といってもインドとパキスタンが一緒に入っているようなグループですので、やっぱりいろんな立場の違いはずっとあったんです。それが平場というか公の場で明確に立場の違いとして闘わせて、しかも一方の代表が涙を流してまで訴えかけるほどの意見の差が出てきたというのは、今回のコペンハーゲンという会議がまさしく大きな合意をつくろうとした非常に重要な会議であったからこそ立場の違いが鮮明化してきたと。それによって日本政府代表の方々も、恐らくどのラインが違うのかというのがかなり明確に分かってきたと思うんですね。
 それが、その辺を踏まえた上で本当の懸念が、各国、途上国の中でも懸念をいろいろ抱いていますけれども、本当の懸念の理由がどこにあるのかというのが少しずついろんな場所で分かってきていると思うので、それを踏まえて交渉をしていくということが今後非常に大事だと思います。ちょっと、余り抽象的なお話が多くて恐縮なんですけれども、大体そういうふうなことです。
 あと、REDDの話はお二方にお譲りして、日本政府の交渉力という点について簡単にお話をさせていただきますと、まず良い点、日本政府の良い点としては、すごく誠実にいろいろな物事を主張される。決まってきたことの論理立った主張を恥ずことなくいろんな形でしますし、日本政府が言うことというのはやっぱり余り裏表がないので、それなりの信頼を持って受け取ってもらえる。で、二五%の削減目標という形で、先ほどもお話がありましたけれども、先進国の中ではかなり野心的な水準の目標を掲げているということもあり、かなり信憑性を持ってとらえてもらえる、これは日本政府のすごくいい点です。
 逆に悪い点は、これは構造的な問題なのでいかんともし難い部分があるんですが、先ほどおっしゃられたように、この交渉というのはもう一九九二年からずっと続いている交渉なので、もう二十年近く続いているわけですね。その二十年の歴史の中で古株の交渉官というのが各国にいるんですよ。で、古株の交渉官から構成される一種の特殊なサークルみたいなものがあって、そのサークルの中に食い込めるか食い込めないかによって入ってくる情報量が全く違います。これに対して日本政府の代表の方々はなかなか食い込めない状況がある。
 これは、日本政府の方々が実力がないからとかという以前に、交渉担当官の方は基本的にお役所の方ですので、二、三年でポジション替わっちゃうんですね。そういう状況だとやっぱりちょっと難しいです。その二、三年で替わった後、また別の部署を経験されて戻ってこられる方もいますし、元々課長補佐だった方がちょっと上のランクに上がられて残っているケースもありますので、そういう方は知られていますけれども、でも、名物交渉官になれる人というのがやっぱり必要なんですね。そういう人たちが入ってくると、やっぱり入ってくる情報がまず違うというのと、あと、立場の説明が必ずしも上手じゃないというふうに、まあ日本政府代表団に参加させてもらった人間が言うとちょっとあれなんですけれども、あります。
 例えば、先ほど私が御説明した立場の中で、二つのプロセスがあるけれども、先進国は二つを一つにまとめたいと思っているという話がある。これ、先進国にとってはほぼ共通した思いなんですね。EUもそういう主張をしています。日本は、ある地点でこの主張をかなりまじめに、よく言えばまじめに、悪く言えば、何というか、歯にきぬ着せぬ言い方で言ってしまって交渉の雰囲気をかなりまずくした部分があったと思います。
 そういうふうに、同じ主張をするのでも、建設的な言い方ができるか、そして柔軟性を持って、いや、あなたたちの言うことも分かるからその辺はこれからの交渉の中で何とかしましょうやというふうに言うことができるか、この辺が日本の政府の方々からの発信を見ているとちょっと残念かなと思うところがあります。
 例えば、日本政府の方々で今回ちょっと、すごく余談が増えてしまって恐縮なんですけれども、ちょっと気になったのは、例えば主要国、中国も含めてなんですけれども、会場内で例えば必ず海外のメディア向けのブリーフィングとかもやるんですね。アメリカなんかも物すごく力を入れて、毎日のようにそのパビリオンという場所を会場内で借り切って説明をしていました。
 日本政府さんは、恐らくあの鳩山イニシアチブを御発表になられたときとかはそういう形もやりましたけれども、それ以外のケースでは英語で海外のメディアに向かって発表するということが余りなかったように思いました。後半はちょっとやっていたみたいなんですけれども、余り、少なくとも序盤はなかったような気がします。
 海外のメディアだけに限った話ではないですし、それは我々NGOに対する立場でもあるんですけれども、コンセンサス方式という方式があるがゆえに会場の雰囲気ってすごく大事なんですね。会場の雰囲気が何によってつくられるかというと、締約国がどう考えているかというのが一つ、それからメディアがどう報道しているかということが二つ、そしてNGOがどういうふうに話を、雰囲気をつくっているかということが三つ、国連会議ではこれ非常に大事なんですね。これに対して、日本政府さんとして積極的に情報を出しているかどうかというと、必ずしもそう言えない部分があると。ここを強化していただくことが重要かなと思います。
 済みません、長々とお話ししてしまいまして恐縮ですが、以上です。
#28
○参考人(毛利勝彦君) REDDについてお話しさせていただきます。
 コペンハーゲン会議で、結果、コペンハーゲン合意ということがこういう形で、私から見ればほぼ失敗に終わったと思うんですが、その中でもぎりぎりの合意につなげた一つの理由がREDDだったというふうに思っています。事務レベルではかなりの進展があったんですね。REDDがなければコペンハーゲン合意もなかったんじゃないかと思うほどです。
 そのREDDといいますのは、簡単に言いますと、途上国での森林保全ですね。途上国での森林、熱帯林、ブラジルの熱帯林ですとか、そこで吸収するCO2というのがたくさんございますので、それが急速に今乱開発で、森林伐採でそこがなくなっているために、今二〇%ぐらいでしょうかね、かなりCO2が吸収できなくなってしまっているというのが問題です。途上国の森林をじゃ守ればいいかというと、ただ守ると、熱帯雨林の中でも先住民族の方々が暮らしていますし、そういう人たちのケアも考えなければならないということですね。
 これは途上国の話なんですが、実は日本の森林政策にも深くかかわっていると考えておりまして、京都議定書の方では、先進国の森林吸収源というのはLULUCFという舌をかみそうな言葉で言っています。日本の京都議定書、六%削減の中の三・八%が森林の吸収源と言っているわけですね。それにしては、今の日本の森林政策というのはそれに対応するようなことをやっているかどうかというのは非常に気になります。
   〔会長退席、理事藤田幸久君着席〕
 日本の森林、非常に今大変なことになっておりまして、気候変動が生じますと、例えば水問題が出てきますと、緑のダムですね。森林、山は今非常に土地の値段も安くなっておりまして、外国に買われているという状況も出ているというふうに伺っています。そんなことでいいのかと。
 日本の森林、持続可能な森林経営を確立した上で、それをREDDとして途上国にノウハウを移転するとか、そういったことが今後重要になってくるのではないかというふうに考えています。
#29
○参考人(李志東君) 御質問ありがとうございます。
 REDDについて、元を考えれば、先ほど毛利参考人がお話があったように、やはり途上国において、生存するために、生活するために開発を行った。開発の結果、森林が破壊されて吸収源が減少してしまったということですね。ただ、もう一方、やっぱり持続可能な発展のことを考えると、森林の減少は、単に温暖化の吸収源が減少するということだけではなくて、やはり水源の保護とか水資源の保護とか、あるいは土壌の保護、また大気汚染の吸収という意味で、森林は途上国にとって非常に重要ですね。
 その意味で、私は、もうほかの対策ももちろん必要ですが、途上国の貧困問題、持続可能な発展の問題を解決するためにも、やっぱりREDDというメカニズムを利用して活用した方がいいんではないかというふうに思っています。
 ありがとうございます。
#30
○理事(藤田幸久君) 大石委員。
#31
○大石正光君 大変三人の参考人の皆さん御苦労さまでございました。
 ちょっと李先生に、参考人に御質問したいんですが、一つの疑問点として、GDP比四〇%というのを出されました。ほかの国は全部別な形の比較で出しておりまして、なぜ中国がGDP比で、意図的に出されたのかそれは分かりませんけれども、そういう点の疑問が一つ。
 それから、知的所有権というものがありますが、中国の特許の問題、実はこれからあらゆる産業が発展していく上で、それぞれ国際特許という問題が中国でも大いにいろんな問題でもめて、要するに、いろんな自動車にしても何にしても、別な形で海外に中国から輸出されているものがいっぱいあるんですね。そうなってくると、これから産業が発展していく国においては、特に新しい産業は環境産業という一つの技術が大きな問題になってきている。そうなってくると、我々日本で考えますと、その技術を要するに支援するためにいろいろやるということになると、特許そのものが守られていないと結局は応援できにくくなる部分が非常にあるわけですね。そういう部分の中で、やはり国内でもう少し法的な整備と同時に罰則を厳しくして国際的な信用をやっていただきたいこと。
 それともう一つ、中国は発展途上国とお話をされますけれども、沿海地域は中進国なんですね。上手にそれを使い分けてお話をいつもされているわけでありまして、そういう部分の中で、もう少し中国の主張が一貫してやらなければ、国際的にこれから世界一のGDPになろうということの中ではやっぱり信頼というものが成り立っていかないんではないかと、そういう面でいつも疑問を感じているわけでありまして、中国の国内の事情はある程度分かっておりますけれども、しかしやっぱり国際交渉というものは、上手にあめとむちを使い過ぎると結局は元も子もなくなる。
 被害は、確かにこれから地球温暖化で被害が多くなりますけれども、国土が広いほど被害が大きいんですよね。日本はある程度島国ですから、アメリカやヨーロッパや中国から比べると被害比率というのはそんなに私は大きくないと思う。しかし、やはり大きな国土を持っていれば持っているほど、これから乾燥地方になってくるし、穀物が取れなくなってくる、水が不足になってくる、あらゆる影響がすべて広がっていく。そういうことが分かっていても、やはりまだ、要するに主張をもう少し緩めて、今回一緒に共同でやってくれることは大変有り難いことですけれども、もう少し加速をしてやっぱりやっていただきたいというのが率直な希望で、その辺、何を言えということではありませんけれども、ちょっとお考えをお話しいただければと思うんですが。
#32
○参考人(李志東君) ありがとうございます。
 まず、中国が今GDP当たりの二酸化炭素排出量という指標を出しているんですが、これは中国だけではないんです。インドも同じような指標を出しています。また、ほかの例えばブラジルとか南アフリカなどは、BAUというんですが、従来のようなやり方、単純に言えば従来のようなGDP当たりの二酸化炭素の排出量でいくことと比べると、何%削減ということになりますので、これは中国のGDP当たりの指標とほぼ同じようなものです。これは全然中国だけということではないんです。これはまず一点、御理解いただければと思います。
 二点目ですが、知的財産権、所有権の保護というのは、これは中国にとって大きな問題です。確かにこれからやっていくために知的所有権の保護をしっかりやらないとなかなか先進国から技術を積極的に中国に入れたくない、これは気持ちはよく分かります。片一方、今までの流れで考えますと、では日本あるいは先進国のこういう知財保護のシステムというものがこれ一、二年でできたものかというと、私はそうではないというふうに実は考えています。
 そこで、では中国はどうすべきかというと、長期的な計画を立てて法整備、人材養成なども含めてシステムをつくり上げないといけない。これは第一、中国の自助努力。
 もう一つ、私は最近常に思っているのは、従来の先進国同士の経済、貿易とか投資のことを考えると、みんな同じ土台で、例えば日本の技術をアメリカ、ヨーロッパに持っていったら保護される。安心して仕事できる。しかも、日本の技術を先進国で売れば十分もうけが出てきて、そうするとやっていけるんですね。
 ところで、最近の世界の経済の状況を見ると、先進国の需要などがもうほとんど飽和しているんですね。ビジネスをやろうとすると、あるいは新しい技術を売ろうとすると、どこに売ればいいかというと、結局、中国、インドなどの途上国になるんですね。
 ところで、問題が出てきたのは、じゃ、途上国において知的所有権の保護というシステムができ上がってない。この段階で技術移転を止めるか、止めて途上国のシステムができるまで待つか、あるいは途上国のシステムが十分ではないということを前提にして新しいビジネスのモデルを開発するのか、これ大きな選択になります。
 私は成功例として挙げたいのは何かというと、日本の環境技術が世界トップ、例えば排煙脱硫装置について、これどこの国と比べても日本が一流ですね。ところで、これが中国の市場で調べてみると、日本のこの技術が中国に入っているかというと、シェアとしては非常に低いんですね。じゃ、どこが入ってきたかというとヨーロッパです。
 ヨーロッパのやり方は何かというと、ヨーロッパも当然知的所有権の保護ということを強く求めています。ただ、やり方としては、ライセンスを中国に供与して現地で生産してビジネスをやるというやり方ですね。新しいモデル。そうすると、日本が幾ら技術レベルが高いといっても、中国では商売できない。となると、大きな損になると思います。
 もう一つの例、これも新しいビジネスモデルだと思いますが、中国において原子力の開発は急速に進んでいます。もちろん一番新しい原子力炉を入れた方がいいと思いますが、そこでアメリカも、これ第三世代のモデルですが、アメリカも持っている、フランスも持っている、ロシアも持っている。そこで、結果的にアメリカと中国が契約したんですね。
 そこで、どういうやり方でやっているかというと、アメリカから少なくとも四基、一基当たり百二十五万キロワットのものを四基、中国はアメリカから直接輸入して導入する。じゃ、四基以降について使いたいとなる場合どうなるかというと、国内では自由に使っていいという契約ですね。ただ、海外には売っては駄目というふうになります。じゃ、いつになったら中国国内で生産できて、なおかつ輸出できるかというと、そこで一つのキャップをかぶっているんですね。中国自身がアメリカの技術をベースにして、アメリカは百二十五万キロワットですが、中国が独自に百三十五万キロワット以上のものを自分で設計、生産できれば自由に使っていいというやり方ですね。
 こういう新しいビジネスモデルの開発も、日本においても必要ではないかというふうに私は思っています。これは決して知的所有権の保護が重要ではないという話ではなくて、もう少し現実的な途上国の実情も把握して新しいビジネスモデルを開発していった方が、日本にとってもあるいは途上国の中国にとっても、両方に利益になる話ではないかというふうに思っています。
 最後の国内の格差という問題ですが、これは非常に大きいです。ただ、温暖化の交渉については、私の考えですが、温暖化の交渉はあくまでも国対国の交渉になります。国が例えばどれぐらい削減というものがいったん合意できれば、具体的に国内に持ち込んでどうやって削減するのか。上海がたくさん一人当たり出しているわけだから、じゃ上海はもっと削減しろ、そういう選択はむしろ国内の問題だと思います。こういうふうに考えればいいんではないかというふうに思っています。
 最後のところ、先生が御指摘したように、中国が国土面積で考えると日本の二十六倍、温暖化の被害がひどいはずですね、おっしゃるとおりです。また、一番早い話で、温暖化が発生して一人当たり例えば三千ドルの損害があったとすると、日本が三万ドルを持っているわけだから、十分の一損しても残った二万七千ドルで何とか生活していけるんですね。中国の場合は三千ドルしかないから、これやっていけないということになります。だから、被害が大きいということは中国政府も当然認識している。
 だから、中国政府が今やっているのは何かというと、温暖化防止に本気で中国はやらないと自分自身の利益が損なわれるということでやっているんですね。今の段階で、じゃ削減しろというふうに言われて、はい、はい、できるかというと、現在の技術、現在の資金力の状況では、私は二〇二〇年まではなかなか削減ということは見えないんではないかというふうに思っています。
 以上です。ありがとうございます。
#33
○大石正光君 ありがとうございます。
#34
○理事(藤田幸久君) 川口順子委員。
#35
○川口順子君 質問は一つでして、今後の交渉をどういう枠組みでやるのがいいかというふうにお考えかということについてお聞きしたいんですけれども、問題意識としては、今世界でこの枠組条約あるいは京都議定書関係でも集まっている国が、正確には知りませんが、百七十とか百八十とかそれぐらいの国が集まっていて、それぞれ異なる利害を持っていて、そこでコンセンサス方式で議論をしてまとまる方が不思議であると私は思うんですね。
 それで、この前の京都議定書あるいは京都議定書の細目の交渉、これは私が担当しましたけれども、その場合には、発展途上国はお客様であった、直接に何かの義務をしょうわけではなかったということで、実質的に交渉にかかわった国というのは非常に少なかった、だからぎりぎりまとまり得たということではないかと思います。
 今度の交渉で、最後の段階、オバマ大統領やサルコジ大統領や首脳が実際に自分で鉛筆をなめて交渉をし文言を変えてということをやって、それでそれが一部の国によって反対をされて実らなかったというのは非常に残念だったと思うんですが、そういう少数の国が合意をしてということが、実際のところはコンセンサス方式でやるということが無理だったから実態的にそれの代替手段がそこで機能をしたということではないかと思うんですね。それを、例えばスーダンとか中南米の国とか、実際排出量からいえば〇・何%という国が本当に反対をしてつぶしてしまうということが妥当なのかどうか、適切なのかどうかということを考えないといけないと思うんですね。
 というのは、この温暖化の交渉は十年時間を掛けていい話ではなくて、京都議定書、もう二〇一二年ですから、新しい枠組みがどういう形でできるにせよ、それを各国が批准をして発効させるまでにはもう十分に時間が掛かって、今合意があったとしても、二〇一二年、京都議定書の後、二〇一三年から間に合わないという公算が非常に大きい。京都議定書すら発効したのは二〇〇五年ですから、そういうことを考えたらとても間に合わない。
 ですから、コンセンサス方式でこういうことをまとめるというのが今後の国際社会の意思決定の枠組みとして本当に適切かどうかという問題を今回の交渉は提起をしているというふうに私は思っておりまして、例を挙げればたくさんあって、例えばアメリカで、何で連邦政府では決められないけれども幾つかの州のレベルで排出量取引が実際に動いているとか、あるいはその前の段階で、排ガス規制が実は連邦規制になる前の段階で、州のレベルでの規制がまず最初に動いてそれが力となったとか、そういうことを考える、それから、今のWTOの交渉が実際うまくいかなくて、世の中EPAとかFTAとかそういうところで代替をしていると。例はたくさんあるわけで、温暖化の交渉についても、そういう世界全体集まってやってという世界をどこかで脱出すべきではないだろうか、そうしないと間に合わない、何よりも間に合わないということだと私は思っていまして、そこで、その最初の質問に戻って、皆様の今後の交渉の具体的な中身というよりは枠組み、舞台の設定の仕方、それについての御意見を伺いたいと思います。
#36
○参考人(山岸尚之君) 御質問、ありがとうございます。
 おっしゃられた問題意識というのは、実は環境NGOの世界の中でも非常に大きな話題として出てきたものです。恐らく政府の関係者の中でも公に、そして公じゃない形でも、いろんな形で語られている非常に大きな一大テーマという形で、これからお話しする考えというのは、私のあくまで個人的な考えという形で聞いていただきます。
 今回、単刀直入にお答えしますと、私は基本的にこれまでどおり国連を中心とした交渉の枠組みを変えるべきでないというふうに考えております。これは別に例えばG8であるとかG20であるとかといったような他の交渉の場所を活用するべきでないと言っているわけでもないですし、それからボトムアップでの取組をするべきでないと言っているわけではないんですが、そういうところを活用しつつも、逆に言うと、むしろ積極的に活用するべきだとは思っているんですが、基本は国連ベースでの合意形成を今後も図っていくべきというふうに考えます。
 これがなぜかというところなんですが、まず一つは、私のプレゼンでちょっと話し切れなかったところがあるんですけれども、今回の合意がそもそもなぜうまくいかなかったかというところの原因について、おっしゃられたように、形を見ると、本来の最終日である十八日の真夜中までの過程でつくられた、首脳の中でつくった合意案があって、それを総会に付したときに結局合意ができなかった。その総会の中で反対していた国々の筆頭が途上国グループの代表であるスーダンであり、そして私が先ほど述べた中南米、一部の中南米諸国から構成されるALBAグループであった。
 こういった一部の国々の反対によって合意ができなかった、だからやっぱりコンセンサス方式は難しいでしょうというふうな形になるんだと思うんですが、じゃ、そもそも彼らはなぜそこで反対をしたのかというと、そのコンセンサスに至るまでのプロセスがちゃんと踏まれていなかったから反対した部分もあったと思うんですね。中身が気に入らなかったというところももちろんあるんですけれども、先ほどの私の説明の中で申し上げたように、ベネズエラの人が言っていたのは、これを私が見てから一時間で判断しろと言われていると。国益を背負う者の人間として、一部の国々の中でつくられたものを見せられて一時間で判断しろと言われて合意ができるわけがないだろうというのが彼らの主張だったですね。
 先ほど申し上げたように、これは多分に方便の部分もあるんですが、でもやっぱり正しいところがあって、コンセンサス方式というのは、おっしゃったように確実に時間が掛かります。確実に時間が掛かって、それで、もっと言えば、今回の会合の前までに本当はやっておかなきゃいけないところがたくさんあったと。その宿題を片付けることができないまま首脳同士の交渉という極めてハイレベルで難しいところに突っ込んじゃった、その中で無理やり合意をつくろうとした部分があります。ここがやはりまずかった点ではないかと。
 私が先ほどのプレゼンで、プロセス、予想外に難しかったと挙げたのは、やはりそこの難しさを克服していくことが大事で、それをコンセンサス方式という方式に求めるよりも、むしろそこに至るまでの宿題ができなかったことにこそ問題があるんではないかというふうに考えています。
 じゃ、その宿題をどうやってやっていくのかというところが恐らく問題になるんだと思うんですが、そのためには、多分近道はもうなくて、いろんな場所で信頼醸成と合意の外堀を徐々に埋めていくしか本当はないんだと思っているんですね。
 私が国連方式でいくべきだと考えているもう一つの理由は、じゃ、オルタナティブとして何があるかと。オルタナティブとしてこれまでもいろんな形が検討されたというか、事実上あったわけで、例えばG8の場なんかもそうですし、それからブッシュ政権時につくられたMEM、今でいうとMEFと呼ばれている会合なんかもそうですけれども、じゃそういった会合の場で、きちんとした実行可能でなおかつ実質的な排出量削減につながるような枠組みをつくってこれたか。
 日本政府も参加している例えばAPPという枠組みがありますけれども、あれが本当に大規模な排出量削減につながるほど強力な枠組みになり得ているかというと、ちょっと難しいんですね。やっぱり国際条約の下で縛られているからこそ日本は京都議定書目標達成計画をつくっていますし、それを達成しなければいけないという形で各企業さんも必死になって頑張っておられる。
 じゃ、オルタナティブのプロセスでつくられたものが同じほどの効果を持ち得るのか、特に途上国を巻き込んだ形で持ち得るのかというところが、要するに、現状、国連のプロセスが難しいのは分かった、でも、じゃそのオルタナティブとして何があるのか。そして、オルタナティブのプロセスをつくるためにどれぐらい時間が残されているのか。オルタナティブのプロセスを進めていくんだとすれば、それに対してもまた世界的な合意がひょっとしたら必要かもしれなくて、それをやっている時間は果たして我々にはあるのか。
 あと、最終的に、最後にもう一つだけ挙げるとすると、やっぱりコンセンサスが重要だというのは、たとえ小さな国でも、被害を大きく受ける国々の声をしっかり取り入れていかなければいけないという点があるからだと思います。
 例えば、G8なんかの場で物事を決めていくと、例えば、それにG8プラス例えば中国とかインドを比べれば、世界の排出量をほとんどカバーできるんだから、それで決めちゃえばいいじゃないかという話がある。確かに、それで排出量削減はできるのかもしれない。でも、排出量削減の水準を決めるときに、最も甚大な被害を受ける国々の意見を聞かなくていいのかと、そのほかの国々の意見というのは重要じゃないのかと、じゃ重要である国と重要でない国々の線引きというのは一体どこでできるのかという非常に難しい問題があって、そこを解決できないとすると、やっぱり国連方式に戻ってこざるを得ないのではないかというのが私の現状での結論です。
 ちょっとまとまりのないお話で恐縮ですけれども、取りあえずの回答とさせていただければと思います。
#37
○参考人(毛利勝彦君) 時間の掛かる民主主義と時間の足りない環境問題というのがまさに悩ましいところの本質なんですが、私自身は、例えばWTOもドーハ交渉もマルチラテラルなところでいかないので、FTAだとかリージョナルというものが出ていますが、そういった面に可能性の余地は今回の場合もあるんですが、ただ、それだけでやはり解決できないと思うんですね。マルチラテラルの国連の場でも努力しなければいけないと思います。
 今回のコペンハーゲンでも、コンセンサス方式じゃ時間がないので、多数決方式を導入しましょうというふうに言ったんですね、最初に。ですけれども、コンセンサスが取れなかったんで、それが決まらなかったわけですよ。
 コンセンサス方式にもポジティブコンセンサスとネガティブコンセンサスというのがございまして、今日、この調査会でも、私たち呼んでいただいて、会長が御異議ないですか、異議なしと言ったから私たちが話ができるわけで、そこでどなたかが異議ありと言ったら話せないわけですよね。同じですよね。
 そのコンセンサスというのが、異議ありというコンセンサス、言ってしまった、今回の場合は具体的にはスーダンとボリバル同盟のベネズエラといったところなんですが、そこに対する日本の外交がどの程度やったかですよね。もちろん、スーダンには中国企業がたくさん進出していますし、国際刑事裁判所の問題とかいろんな問題が絡んでいてマルチラテラルに対する不信感というのがあったと思うんですが、ボリバル同盟の方も、かなりラテンアメリカではこれまでのアメリカの開発政策、安全保障政策も絡めて苦い経験がありますので、そういったところも含めて日本がバイラテラルあるいはリージョナルな形で何かやっていった上で、努力をした上で、国連を再生するようなコンセンサス方式、ポジティブコンセンサスが取れるような努力をしてから、両方必要だと思うんです。
 結論としては、日本外交の独自でやるものと、それから少数国ですね、有志国連合でやるものと、国連も捨てるわけではなくて再生する形、それで、あと、先ほど山岸さんがおっしゃったように、民間セクター、NGOも含めて、その四つの方式を含めて、初めて国連のコンセンサス方式が生きてくるんだというふうに思っています。
#38
○参考人(李志東君) ありがとうございます。
 この問題については、恐らくCOP15で一つ明らかになったのは、そういう国際的な交渉の構図が大きく変わったということだと思います。従来のいろんなことを検証してみると、先進国が中心になって、リーダーシップを取って何かを提案し、みんな賛成していくというのが多かったんですが、どうも今回はそういう状況ではなくなった。
 そこで、ではこの国連中心のコンセンサス方式はどうすべきなのかということですが、私は、むしろ今回の問題は恐らくプロセスの透明性の問題だと思います。コンセンサス方式自体が問題というよりも、どうも交渉がみんな知らぬうちにだれか、幾つかの国がまとめてしまった、これに対する怒りが相当出ていると思います。そういう意味で、もうしばらくやってみて、透明性を向上しながら、現在の国連中心の体制でやっていくべきではないかというふうに思っています。
 もう一つ、やっぱり日本語でもそういう根回しというのが非常に重要だと思いますが、国際交渉においてもやっぱりそれが重要ですね。国と国の間、グループとグループの間、常に行き来するというものが非常に重要ではないかと思います。
 どうもありがとうございます。
#39
○川口順子君 そうすると、そのお三方の、三人の参考人の方の意見は、今年もこれから今までの方式と全く同じでCOP16まで、MEMなりMEFなりそういうことをやりながらまた16に行こうと、そういうこと、それ以外にはないだろうということで理解をしてよろしいですか。
#40
○参考人(山岸尚之君) 全く同じにというところはちょっと違うかもしれないと思っています。全く同じことをやり直しても恐らくうまくいかないだろうというところは我々も感じていまして、ただ、国連を中心としつつほかの場を活用する、これが一つの基本ですね。
 それと、国連の会合の中でどうやってこの難しさを乗り越えていくのかという部分については、正直言って今のところ回答がないです。その点については、我々のNGOの中でもいろんな国々の担当者等の意見を交えながら今現在検討をしているところで、それについて具体的にどうしなければいけないかというところが非常に大きな課題として我々の中でも認識しています。
 単刀直入な回答を今現時点でお答えすることはできないんですが、基本は国連中心としつつも、絶対に改善は必要だと。このままで突き進んでも、メキシコでの合意というのは正直難しいだろうというふうに、その問題、危機意識というか、危機意識の部分については私も大変共有しております。
#41
○参考人(毛利勝彦君) 具体的にアメリカと中国をどう巻き込むかということだと思うんですが、日米同盟のグリーン化と、それから東アジア共同体のグリーン化ですね、そこに少数国、有志国連合をつくっていく努力はすべきではないかというふうに考えています。
   〔理事藤田幸久君退席、会長着席〕
#42
○参考人(李志東君) 私は、基本的に今現在の国連中心の方式で、ただしその運営の仕方、特にプロセスの透明性のところに大いに改良すべきではないかというふうに思っています。
#43
○会長(石井一君) 川口先生、これでいいですか。
#44
○川口順子君 はい。
#45
○会長(石井一君) 主濱理事。
#46
○主濱了君 今日はお三人の先生方、本当にありがとうございました。
 端的に私は李参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 中国における地球温暖化対策、取組を紹介していただいたということでございます。
 それで、日本を含むG8、日本を含むG8というのは、産業化以前の水準から全世界の平均気温が、上昇がその二度を超えないようにと、こういったような努力をして二〇五〇年までにCO2を半減すると、こういうふうな目標を持っているわけであります。その中で先進国は八〇%削減をすると、こういったような目標を持っているわけですけれども、この二〇五〇年まで温室効果ガス、全世界が五〇%削減をすると、この一つの目標についての評価、その意味、これが意味があるのか、あるとお考えなのかどうかですね。
 要するに、今は、単純に申し上げますと地球が処理できる二酸化炭素の二倍を人類は出しているわけです、現実問題として。それを何とか半減させようと、こういうふうな目標を立てているんですが、この五〇%削減、半減するということについての意味があるかどうかと、これを中国がどのように考えておられるのか、ここの点、もしお分かりであればお伺いをいたしたいと。
#47
○参考人(李志東君) 御質問ありがとうございます。
 御存じのように、コペンハーゲン合意の形成に当たって、中国側がこの二度Cまでにコントロールすることには合意したんですが、ただ世界全体の半減、更に先進国が八〇%削減については全く同意しなかった。
 その背景は何なのかということについて考えてみますと、私はあえて、日本は非常に高名な先生、茅陽一先生がいると思いますが、東京大学名誉教授も務めていらっしゃると思います。茅先生がこの一月二十六日のエネルギー・資源学会で記念講演をしまして、先生は何をおっしゃっているかというと、二度Cに対応する世界全体の半減ということは途上国が反対する、反対している。何で反対しているかというと、経済発展が制限されるから。
 ではどうすればいいのかというと、これは茅先生の一つの考え方ですが、現状では大体半々になっているんですね、先進国と途上国が半々になって、将来はむしろ先進国が八〇%では足らなくて無限にゼロに近くまで持っていかないと駄目ではないかというふうに茅先生がおっしゃっている。私も、ある程度こういう考え方も非常にあり得るんではないかと思います。
 じゃ、中国側がどういうふうに、何で反対しているのかというと、一つの研究例を挙げますが、中国の実は温暖化対策に関する行政機関というのは、中国国家発展改革委員会の下に温暖化対策局があるんですね。その国家発展改革委員会の中に所属している一番大きなエネルギー関連のシンクタンクというのはエネルギー研究所があって、これは去年の九月に二〇五〇年までの低炭素発展の道という報告書を出されました。
 そこで、世界半減プラス先進国八〇%削減ということは何を意味するかというと、これは途上国が二〇〇六年レベルよりも三六%ぐらい削減しないといけないということを意味する。そうすると、途上国がどうやって先進国のように経済を発展して豊かになるのか。貧困の問題が果たして途上国が解決できるのかというようなことを言っているんですね。私は、ある程度これは真実ではないかというふうに思っています。
 これは単に、まあ国際世論、国際報道では中国は強硬に反対しているというふうに言うんですが、これは恐らく一つの途上国の代表として中国が言っているだけで、その背後に中国と同じような考え方を持っている途上国がかなりいるんではないかというふうに私は思っています。
#48
○会長(石井一君) それでいいですか。
 それでは、予定の時間までまだ少しございますが、ほかに御発言がないようでございますので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。
 山岸、毛利、李参考人におかれましては、貴重な時間をお割きいただきまして、経験に基づく貴重な御意見をちょうだいいたしました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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