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2010/02/17 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第2号
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2010/02/17 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第2号

#1
第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第2号
平成二十二年二月十七日(水曜日)
   午後零時三十一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十日
    辞任         補欠選任
     姫井由美子君     大久保潔重君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         石井  一君
    理 事
                主濱  了君
            ツルネン マルテイ君
                藤田 幸久君
                有村 治子君
                牧野たかお君
                加藤 修一君
    委 員
                相原久美子君
                犬塚 直史君
                大石 正光君
                大久保潔重君
                大島九州男君
                風間 直樹君
                室井 邦彦君
                森 ゆうこ君
                加納 時男君
                川口 順子君
                小池 正勝君
                松田 岩夫君
                山下 栄一君
                山本 香苗君
                山内 徳信君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        杉本 勝則君
   参考人
       慶應義塾大学環
       境情報学部教授
       株式会社SIM
       ―Drive代
       表取締役社長   清水  浩君
       上智大学経済学
       部准教授
       同大学・環境と
       貿易研究センタ
       ー長       有村 俊秀君
       社団法人日本鉄
       鋼連盟地球環境
       委員長
       新日本製鐵株式
       会社参与・環境
       部長       山田 健司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査
 (「日本の国際社会における役割とリーダーシ
 ップの発揮」のうち、京都議定書目標の達成に
 向けた地球温暖化対策の現状と課題及び国際的
 な取組と日本の役割・課題―二〇一三年以降の
 問題―(低炭素社会実現に向けた具体的道筋と
 変化する産業構造への対応、国民の取組)につ
 いて)
    ─────────────
#2
○会長(石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、姫井由美子君が委員を辞任され、その補欠として大久保潔重君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。
 本日は、「日本の国際社会における役割とリーダーシップの発揮」のうち、京都議定書目標の達成に向けた地球温暖化対策の現状と課題及び国際的な取組と日本の役割・課題―二〇一三年以降の問題―に関して、低炭素社会実現に向けた具体的道筋と変化する産業構造への対応、国民の取組について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、慶應義塾大学環境情報学部教授・株式会社SIM―Drive代表取締役社長清水浩参考人、上智大学経済学部准教授・同大学・環境と貿易研究センター長有村俊秀参考人及び社団法人日本鉄鋼連盟地球環境委員長・新日本製鐵株式会社参与・環境部長山田健司参考人に御出席をいただいております。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず清水参考人、次いで有村参考人、山田参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後三時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、清水参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。清水参考人。
#4
○参考人(清水浩君) ありがとうございます。慶應大学の清水と申します。最近、SIM―Driveという新しい会社をつくりまして、そちらの代表取締役もやっております。
 今日は、「温暖化を時代変革のきっかけとする成長戦略」という表題でお話をさせていただきたいというふうに思います。(資料映写)
 温暖化の問題について、あるいは石油枯渇ということにつきまして、世界中の方々が二十一世紀は悪い時代になるというふうに考えておられます。私は、これから二十一世紀というのは、二十世紀になかったような、人類の歴史の中では最もすばらしい時代がやってくるというふうに考えております。で、温暖化あるいは石油枯渇というのは、その二十一世紀をつくるための一つのきっかけであるというふうに考えるべきであろうというふうに思っております。大きな社会の変革のときには、何かきっかけがないと進まないというのが人類の歴史でありました。
 農業がなぜ始まったかと、産業革命がなぜ始まったかということを考えますと、当時のそれまでやっていた生活がいろいろな状況変化によってできなくなってきたと。そこで、人類は知恵を働かせて新しい技術、新しいやり方ということを発明してきたということでありました。
 温暖化、非常に大きな問題であるということでありますけれども、これにどんな知恵が働かせられるかということでもって、二十世紀までにはなかった新しい世界ができてくるというふうに考えているということであります。
 一言で申しますと、二十世紀というのはとても豊かな世界でした。とてもすばらしい世界でした。それはだれにとってのすばらしい世界かと申しますと、先進国の人々、世界人口でいうと、わずか一割の人々にとっての幸せな時代だったというふうに考えております。それが、二十一世紀になると、世界中の人々がひとしく豊かな生活ができるという社会が待っているというふうに思っております。
 その基盤となりますのはエネルギーです。人間の生活の豊かさというのは、工業化時代以降はエネルギーがどれだけ使えるかということに大きく影響されてきました。そのエネルギーが間もなく枯渇するというふうに言われておりますけれども、一方、人類は新しい技術を生み出してきたと。そして、この新しい技術を今、人類は世界中に普及できる一歩手前まで持ってきていると。その新しい技術を世界中に広めるということでもって、世界中の七十億人の人が現在のアメリカ人が生活しているということと同等の生活あるいはそれ以上の生活ができるようになるんだということです。
 その基本的な技術の基盤というのは、二十世紀の初めに人類が発見をした量子力学という学問なんです。どういう意味かといいますと、人類は二十世紀になって分子と原子の中身がよく理解できるようになったと。それによって、二十世紀の後半から末に掛けて全く新しい技術が発明をされ、そして二十一世紀になって使えるというところまで来ているということであります。ということが、私の申し上げたいまず第一のポイントです。
 今、CO2の排出量というのは、世界的に見ると二百七十億トンという巨大な量でありまして、それを例えば五〇%減らそうとすると、日本人は八割減らさないと世界の平均分減らせないという現実があります。八割減らすということは、二十世紀の概念でいいますと、生活を八割切り詰めるということになります。それはとてもできないということは当然のことであります。
 では、そのCO2を出している技術というのは、いつごろだれが発明したのかということを見てみますと、自動車からCO2の二〇%が出ています。これが実に一八八六年の発明。それから、製鉄から約一〇%のCO2が出ています。これは実に一八五六年の発明。そして、発電から約三〇%のCO2が出ています。これも一八八二年の発明。それ以外のCO2を出しているところというのは、昔ながらの火をたいてCO2を出しているところ、例えば家庭でいいますと、お風呂をたく、調理をする、暖房をする、火をたいて熱を得ているということで残りの三分の一を出していると。船と飛行機だけはしようがないとしても、それ以外で九五%のCO2が、人類の有史以来あるいは十九世紀の技術をそのまま使い続けているということで発生しているというふうに考えるのがよろしいのかなと思います。
 先ほど申しましたように、一九〇〇年から一九三〇年に掛けて、原子と分子の中身がよく分かるようになってきたと。そういうことのおかげで、例えば太陽電池というものが一九五三年に発明された。リチウムイオン電池、実に日本人の吉野彰さんという方が一九八六年に発明をしました。ネオジウム鉄磁石、これは一九八二年にやはり日本人の佐川眞人さんという方が発明されたということで、こういう画期的な発明がなされて、そしてそれを主に日本人の手でもって実用化するということの努力がされてきて、やっと二十一世紀になって使える寸前まで来ました。問題は何かというと、まだ値段が高いだけです。じゃ、なぜ値段が高いかというと、普及していないからですということだけの理由です。そこまで技術というものは来ているということであります。
 例えば、太陽電池ということを考えてみますと、世界の陸地の一・五%の面積に太陽電池を張ると、世界中の七十億人の人がアメリカ人と同じだけの幸せな生活が送れるということであります。そして、このエネルギーは自動車にも使う、それから暖房にも使う、そして将来的には製鉄にも使っていくということでもって抜本的にCO2の削減ということが可能になってくるというふうに考えております。
 もう少し詳しく申し上げますと、家庭の屋根に太陽電池を張る、遊休地に張る、砂漠に張る、そして夜の間太陽電池が使えないということのために、一たんこれを電池に蓄える。その電池として日本人がリチウムイオン電池というものを発明しました。そして、このエネルギーを、これまでのように電気を使うところは電気で使っていく、そして熱を利用するところも電気でやっていく、車も電気に替わっていく。そして製鉄も、これから恐らく十年、二十年という技術開発の期間は必要かと思いますけれども、そういう期間を使って新たな技術開発をして、石炭を使わない新しい製鉄というものが生まれてくるだろうというふうに考えています。
 そこで、私の本題でありますところの電気自動車というところに話を移させていただきたいと思いますけれども、なぜ私たちは電気自動車を選択すべきかということなんですけれども。
 この図が、化石燃料を一次エネルギーとした場合の電気自動車とこれまでのガソリン自動車のエネルギー効率の比較ということであります。一見、電気自動車、効率が悪いというふうに考えられておりますけれども、実は発電の効率、送電の効率、充電の効率、モーターの効率、これが極めて高いんですね。一方で内燃機関の効率というのは余り高くないということがあって、結果的には、最新の技術ということを考えますと大体四倍の効率の違いと。同じ石油、化石燃料を使ったとしても、電気自動車の方が四倍長く走れるんですということです。しかも、これからは化石燃料に頼らない電力ということが中心になってまいります。そうしますと、全くCO2を出さない車ということが現実になるということです。
 ただし、これまで電気自動車というのは余り実用的でないとされてきました。では、車が実用性を持つということはどういうことかということを私なりに分析をしてみますと、結局は加速がいいか、乗り心地がいいか、広さが広いかということ、これが値段当たりに合理的であるかということに尽きるというふうに思います。だとしたら、もし電気自動車を普及させようとしたら、環境に優しいからという理由でもって普及させるということではなくて、使われるユーザーの方にとって、これは買いたいなという車にしていく必要があるんだと。そのためには、ここに挙げました三つの価値というものをガソリン自動車以上にしていくということが重要なポイントだというふうに考えております。
 そういうことを考え始めて既に三十年たちました。この間、十台の電気自動車を開発するということにかかわってきました。そして今、十一台目、十二台目ということの開発にかかわっておりますけれども、これが、ここにお示ししておりますものが二〇〇五年に造りましたエリーカという車です。最高速度が三百七十キロ出たというようなことがあって、多くの方々にこの車の存在を知っていただいておりますけれども。
 次が、映像になりますけれども、映像の部分は放送局の画像をちょっと借りてきていますので速記はお止めいただくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
#5
○会長(石井一君) それでは、速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#6
○会長(石井一君) 速記を起こしてください。
#7
○参考人(清水浩君) こういう技術を実際に現実に移すために、繰り返し申し上げますけれども、リチウムイオン電池というものを日本人が発明して、世界で最もいいリチウムイオン電池を日本が作っていると。最近資源のことが問題にされますけれども、資源も世界中に十分あります。値段のことも問題にされますけれども、値段もたくさん作れば十分に安くなります。そして、ネオジウム鉄磁石というもの、これも日本人の発明でありますけれども、これを使ったモーターによりましてモーターが非常に小さくなる、高効率化できるということがあります。というような技術が日本人によって発明されたと。
 そして、私はこの三十年間何をやってきたかと申しますと、この技術を、こういう基礎的な技術をどうやったら電気自動車として合理的に使えるようになるんだろうかということの研究をしてまいりました。一つの大きな技術というのは、車輪の中にモーターを入れると。私どもはインホイールモーターというふうに言っておりますけれども、車輪の中にモーターを入れる技術というものが電気自動車の時代になったときに本質的な技術になるだろうというふうに思っています。
 技術というのは確実に効率の悪いものからいいものに変わる、それから、難しいものから単純なものに変わる、そして、使いにくいものから使いやすいものに変わる、これが技術の流れであります。そう考えたときに、今までの電気自動車というのはエンジンがあった場所にモーターを置いてありますけれども、車輪の中にモーターを付けるということは効率が圧倒的に変わります。
 私どもが最近造ったモーターを付けたガソリン自動車を改造した車と、去年市販され、あるいは今年市販されるであろう電気自動車とその航続距離を比較してみますと、モーターを替えるということだけで大体三割から五割航続距離が延びるということになるんですね。というような違いがあります。
 それから、私どもは床下に非常に強いフレーム構造を造って、そのフレーム構造の中に電池その他の大事な部品をすべて挿入するという形にしております。こうすることによって車室が非常に広く使えるということ、それから車重が軽くできるということ、そして空気抵抗が圧倒的に小さくできるということがあります。こういうことの相乗効果を考えますと、同じ量の電池を使ったとしても、これまでの電気自動車に比べて約二倍航続距離が延びるというようなことが可能になってまいります。こういう技術を使って先ほどのエリーカというようなものを造ってきたし、それから、更に新しい電気自動車を開発していこうとしております。
 ここで少し話題を変えまして、今後の技術、あるいは今技術をどう考えるべきかということについて少しお話をさせていただきたいと思いますけれども、まずは、技術の変化ということに対して私はこんなふうに考えていますということでありますけれども。
 まずは、一つの社会、一つの時代で一つの目的を持つ技術は一つしか生き残れないということなんですね。これが技術の現実ですということです。例えば、カメラがデジカメに替わったらすべてデジカメになってということ、CDが出てきたらレコードがなくなってと、薄型テレビが出てきたらブラウン管テレビがなくなってというようなことです。
 さらに、その普及の速度というのは極めて速いものですと。これまで存在していた技術が次の技術に置き換わるのにわずか七年しか掛かっていないんだということ。そして、社会に存在しなかった技術が普及するのには大体二十年掛かるということです。それは、政府の予測あるいはメーカーさんが出される予測とは圧倒的に違っております。政府の予測で例えば電気自動車の普及、二〇二〇年に一〇%だとしたら、二〇三〇年に二〇%になるんだと、二〇四〇年に三〇%になるんだと、そういう予測がされておりますけれども、そのような直線的な変化ということは技術の変化の場合には起こり得ずに、あっという間にその変化が起こり始めると変化をしてしまうと。それを決めるのは作り手ではなくてユーザーが決めるからだということがポイントだと思います。
 もう一つ言われますのは、もし電気自動車に替わったらこれまでの自動車産業がつぶれてしまうんではないかということがよく言われます。これにつきましては、新しい技術が生まれてくると非常に使いやすくなります。機能も増えてきます。特に電気自動車の場合にはランニングコストが圧倒的に安くなります。それに、途上国でもって多量な需要が生まれてきます。そうすると、必ず産業規模が大きくなるということなんですね。産業規模が大きくなるので、既存のメーカーも十分に大きくなると、それから新規参入ということも十分に出てくるということ。ということで、日本の産業、自動車産業がますます大きくなるということが言えると。
 これが今申し上げたことの一つの傍証ということになりますけれども、横軸が年で縦軸が普及台数又は台数ということですけれども、レコードがなくなってCDが出てくるというときにわずか七年。レコードの販売の枚数に対してCDになったら約三倍市場が増えました。フィルムカメラがなくなってデジカメが出てくるのに約七年。フィルムカメラの販売の最盛期に比べて二〇〇六年の段階で約二倍の需要があったと。固定電話に比べて携帯電話、これも大体七年ということで、非常に速い速度で変化をするし、なおかつ、その先には大きな市場が開けていますと。ですから、これから日本がどれだけうまく電気自動車とあるいはその他の新しい環境技術を世界に広めていくかということによって、世界も幸せになるし、日本の経済力ということがますます大きくなってくるということだということです。
 もう一つ言われておりますのは、電気自動車非常に高いじゃないかということですけれども、これは一に掛かってまだごく少量生産しかされていないということです。工業製品というのは、二倍造ると値段が半分になるという法則があります。ということで、自動車というのは一本の生産ラインで十万台造るというのが大量生産の基本的なユニットということになりますけれども、電気自動車も十万台造るという会社が現れてきたときには、その値段というのは今のガソリン自動車同等あるいはそれ以下になると。なぜかと申しますと、構造が簡単で部品の数が少ないからということです。
 一般的には、既存の産業が自ら変革するのは難しいというふうに言われています。一方で、日本の産業というのは技術変革に対して極めてうまく転換をしてきたということもあります。例えば、コンピューターの世界で申しますと、アメリカでは、大型コンピューターの時代にはIBMしかなかった、ミニコンピューターの時代になったらミニコンピューター専門の会社になった、それからパソコンになったら更に専門の会社になったと。一方で、日本の場合には、大型コンピューターの場合には大手のコンピューターメーカー四つありました、ミニコンピューターになったらそれが四つ残っていますと、そして今、パソコンの時代になったら、その四つのメーカーにプラスして新たに二つの新しい会社が市場に参入してきてということが行われています。日本は、非常に技術の転換ということに対してはうまくやってきた国だというふうに思っています。
 そういうことで、これからの技術ということでありますけれども、環境あるいはエネルギーの問題を抜本的に解決するということについての新しい技術というものについて、発明は例えば太陽電池というのはアメリカでしたけれども、それを実用化したのは日本です。しかも、リチウムイオン電池、ネオジウム鉄磁石は日本の発明です。ですから、現時点では日本が最も大きな優位性を持っています。ですけれども、まだ高い、それから追随する国も出てきているということ。したがって、日本では、そのすばらしさを十分に皆さんに理解していただいて普及をさせていくということがこれからの非常に重要なポイントであるというふうに考えております。
 そういうことを考えて、これからどうやって電気自動車を普及させていったらいいのかということを考えたときに、新しい会社をつくりました。この会社は自動車を造って売る会社ではなくて、私どもが蓄積してきた技術を早く世界中に普及させるための会社だというふうに御理解ください。オープンソースという形態が非常に特徴でありまして、どなたでも私どものプロジェクトに参加して、技術に参加してください、どなたでもその技術を持ち帰ってくださいと、そして持ち帰った技術は、どうぞ御自身の力で商品にして世界中に販売してくださいと、これがそのオープンソースという技術です。
 ということで、そういう仕組みで去年の八月に会社をつくって、二十社から二千万ずつその開発費というものをいただいて車を造ろうかというふうなことで第一号の事業をしようと思っておりましたところ、実に三十四社が集まってくださいまして、そして今プロジェクトを始めているところです。例えば東京電力さんですとか、大手の自動車メーカーさんも入っておられます。こういうところで今、新しい技術の開発を始めております。
 まとめといたしまして、日本には太陽電池、リチウムイオン電池、ネオジウム鉄磁石等の基本技術で最良なものがあるということを多くの方々にまず理解をしていただくということが重要だと思っています。これらを使って電力システム、あるいは電気自動車等を普及させるということによりまして、二十世紀とは全く異なる豊かな生活が七十億人の世界中の人々に提供できるんだということ、そして、私どもはそれを普及させるということのためにまた新しい会社をつくって動き出しているところであります。
 どうもありがとうございました。
#8
○会長(石井一君) それでは、次に有村参考人お願い申し上げます。
#9
○参考人(有村俊秀君) 上智大学の有村です。
 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は経済学部におりまして、経済学をバックグラウンドとしております。それで、特に環境経済学を専門としておりまして、最近は排出量取引に関する研究をしておりまして、この四月に学内に環境と貿易研究センターというところをつくりまして、代表を務めております。
 本日は、排出量取引の炭素リーケージ、国際競争力問題に関する論点としてお話をさせていただきます。(資料映写)
 私の報告の内容ですけれども、メーンテーマでありますそのリーケージ問題、国際競争力問題ということについてお話をさせていただきます。その中で、特定業種への緩和措置という、国際的にこれは議論になっているんですけれども、その緩和措置の方法、それから業種の選定、それからこのリーケージ問題に対応する国境措置という考え方もヨーロッパ、アメリカで議論されておりますので、その考えを御紹介したいと思います。我々の研究センターの成果も交えながらお話をさせていただきたいと思います。最後に、排出量取引に関して、二重の配当という経済学でよく議論されているお考えも紹介させていただきたいと思います。
 排出量取引制度というのは、ここで私がお話しさせていただきますのは国内排出量取引制度というものです。国がある削減目標を決めて、それを排出削減の義務を負う事業者等に割り振って対策をしてもらうと。そうすると、排出枠に炭素の値段が付いて、その炭素の値段が市場メカニズムを利用しながら効率的に二酸化炭素の削減、温室効果ガスの削減につながるというふうに言われておりまして、基本的には効率的なシステムであるというふうに経済学の中では考えられております。
 しかしながら、実際にそれを現実に利用するとした場合に、いろいろな問題が起こる可能性が確かにあります。どのような社会の制度も完璧なものはありませんので、いろいろな問題が起こる可能性はあると。
 その中で、国際的に一つ論点になっているのがこの国際競争力問題というものです。これは、例えば日本だけが削減義務を負って温暖化対策に取り組むということになりますと、日本の企業は、あるいはヨーロッパの企業は規制を実施しない地域、国の産業との競争の間で不利益を被る可能性があると。具体的にイメージとしては、例えば日本、ヨーロッパの企業あるいはアメリカの企業が中国やインドの企業と競争上不利益を被る可能性があると、これを国際競争力問題というふうに呼んでおります。これが経済の上での問題です。
 もう一つは、リーケージ問題というものがございます。このリーケージというのは、よく情報のリークなどと申しますが、炭素がリークする、炭素が漏れるという意味です。これは、先ほどと同じように先進国だけに削減義務を課した場合に、結果的にその産業あるいは生産の一部分が規制を実施しない新興国に移転してしまう可能性があると。そうすると、日本で例えば十トン減らしたとしても、実は規制を実施していない国で排出量が若干増えてしまって日本などの先進国の努力が一部相殺されてしまう可能性があるといった問題です。これは、排出量取引が先進国のみで実施されるときに起こる環境面での問題です。
 これらの問題に関して私どものセンターでは上智大学を中心としまして研究をしておりまして、国内では関東学園大学の武田先生に御協力いただいて、それから米国のワシントンにあるシンクタンクの研究者にも協力をいただいて研究を進めております。私が二年間、二〇〇六年から八年にかけて二年間、こちらのリソーシズ・フォー・ザ・フューチャーというワシントンのシンクタンクにおりましたので、そのときのネットワークを使って進めています。それから、アメリカの政府の中で国際貿易委員会というところがありまして、そこの経済学者のアラン・フォックス氏も協力いただきながらプロジェクトを進めております。
 これが国際的に非常に重要な問題であるということ、そして、それに対して何らかの対応をしようということが国際的に重要になっているということの一つの傍証としまして御紹介させていただきたいのは、実は来週、この問題に関して、私どもの研究所、それから協力先であるシンクタンクのリソーシズ・フォー・ザ・フューチャーとアメリカの環境保護庁、EPAとの共催でワークショップを行います。ヨーロッパ、アメリカ、日本でこの問題にどのように対応していくべきなのかといったことを研究者が研究して議論するということで、ワークショップにはアメリカのホワイトハウスのスタッフなども参加することが予定されておりまして、かなり国際的に重要な問題になっているということで御理解いただきたいと思います。
 それで、この国際競争力問題あるいはリーケージ問題に対処する方法としまして、排出量取引で排出枠をどういうふうに配分するかと、そのことで対応しようという考え方があります。
 実際に、ではどんなふうに排出枠は配分されているかというのをヨーロッパの事例についてお話しさせていただきたいんですけれども、皆さん既に御承知かと思いますが、二〇〇五年からヨーロッパではCO2温室効果ガスの排出量取引制度が始まっております。二〇〇五年に始まったフェーズ1では、無償配分といって、基本的にはある一定量を無償で削減義務者の方に配付する、付与するという形です。フェーズ2、二〇〇八年から始まった制度では、電力部門に関して一部有償配分を導入すると。これは電力産業に買っていただくと。これは経済学の用語ではオークションというふうに我々呼んでおりますけれども、そういった制度を導入していると。そして、二〇一三年ですね、ポスト京都の期間に関しては、原則有償配分にしようというような方向で話が、議論が進んでおります。しかし、有償配分にしてすべてをその削減義務者に購入していただくということになりますと、先ほど申し上げた国際競争力問題とか炭素リーケージの問題が起こる可能性があるということで、そういった業種に関しては緩和措置を実施しようではないかというようなことがヨーロッパでは具体的に話し合われております。
 その際に、このリーケージ問題を対策するときに基本的な考え方としては、国際競争上不利益を被るエネルギー集約的な産業に対して緩和措置を実施しようというのがアメリカでもヨーロッパでも考え方にありまして、そのときのポイントとしては二つあります。一つは、どんな緩和措置を実施するかということ。それからもう一つは、どういう業種がそういった業種に当てはまるのかというのを考えるということがポイントとなります。
 緩和措置の方法としましては、排出枠を利用して緩和措置を実施する方法としては、単純に言って、欧州の提案しているベンチマーク方式と、それから二つ目に、米国で提案されているような産出量に応じた排出枠、英語で言うとアウトプット・ベースド・アロケーションという言い方もありますし、リベートプログラムと言われることもありますが、いうものがあります。
 この二種類に関して、絵を使ってイメージで御紹介したいと思います。
 欧州で提案されている方式はベンチマーク方式というふうに呼んでおります。これは、この絵は、こちらのこの横幅が生産量当たりの排出量、排出係数ですね、CO2の排出係数というようなものをイメージしておりまして、縦軸が生産量をイメージしておりますので、全体でCO2の排出量をイメージしていただければと思います。この生産一単位当たりに対してある基準をもって無償配分をしていく、排出枠を付与するという形で、この今の部分が無償配分になります。そして、残りの部分に関しては自己負担をしていただくというような考え方です。もちろん、効率のいい業者の場合にはこの自己負担分がすごく少なくなると、効率の悪い業者の場合には自己負担分が大きくなるというような考え方です。
 ヨーロッパの場合には、このときに、もし景気の拡大などによって生産量が増加した場合に排出量が増えたとしても、無償配分分は余り変わらないというのがヨーロッパの考え方です。これで残りの自己負担分が単純に増えるというのがこのベンチマーク方式で、事前に決めたルール、無償配分からその後変更はないといったような考え方です。
 アメリカで提案されているタイプのものは、これが事後型ということで、事前には無償配分と自己負担分の考え方というのは変わらないんですけれども、仮に景気拡大によって生産量が増えてしまった場合といったときの対応が違うということが提案されております。このように生産量が伸びて排出量が増えてしまった場合には、事後的に、生産量が増えたのでそれに応じるような形で無償配分の量が増えていくというような形が提案されております。このことによって、自己負担分が事前型よりも少なくて済むというようなことになります。
 これが緩和措置の方法の事例なんですけれども、じゃ、今度はどんな業種が軽減措置の対象になるのかというのも非常に重要な課題になってきます。これも、ヨーロッパの基準とアメリカの基準とそれぞれ似ておりますが、若干違っているような提案がそれぞれなされております。ここでは時間の都合上、アメリカでのお話をさせていただきたいと思います。
 これはアメリカの下院を夏ごろに通過したワクスマン・マーキー法案というものの中に書かれているものです。いろいろな業種が、アメリカの場合は経済データを使って五百数業種なんですけれども、それぞれの業種に関して、エネルギー費用基準という指標、それからCO2基準という指標、それから貿易基準という指標を計算します。エネルギー費用基準というのは、その業種がどのくらいエネルギー費用の負担が大きいかというのを表す指標です。これが大きければその業種はエネルギー負担が大きい業種だと。貿易基準というのは、これが高ければその業種は国際競争に非常にさらされている業種だということで、アメリカだけで温暖化対策を実施すれば国際競争上不利益を被る可能性が高いというようなことを表す指標になります。
 ワクスマン・マーキーの法案の中では、例えば、たくさん基準があるんですけれども、この上のここのところを見ていただきたいんですけれども、エネルギー基準が五%で、かつ貿易基準が一五%を超えるような業種は、炭素規制を実施された場合に国際競争上不利益を被る業種であるということで認定されて緩和措置を受けると。ワクスマン・マーキーの場合には、実はその対象業種は排出権の無償配分を大体八五%ぐらい受けられるというような形で法案の中に具体的に書いてあります。
 それは、ではどのような業種が本当に対象になるのかというのをアメリカのシンクタンクのピーターソン国際経済研究所というところが試算しております。これは横軸にエネルギー基準、先ほど申し上げたエネルギー基準を掲げまして、縦軸に貿易基準を表しています。そして、先ほど申し上げた五百数種類の業種に関してそれぞれどこの位置にあるかというのをプロットしたものです。例えばここのアルミニウムという業界は、エネルギー基準でいくと二〇%、貿易基準でも六〇%を超えておりますので、これは国際競争上不利益を被る可能性のある業種だということで緩和措置の対象にしようというような形で、化学肥料などというような形で具体的に計算がされております。
 同様な基準をCO2基準というものに関しても計算いたしまして、それぞれ両方基準を見て試算した結果というのがありまして、アメリカの方でのその研究所の試算によりますと、五百六十五業種中三十五業種がこういった措置の対象になるのではないかというようなふうになっております。製造業に関しても、この中で製造業だけに関して見ると二十六業種がこの対象になるだろうというような試算が行われております。
 私どもの環境と貿易研究センターの方でも、じゃ仮に日本でこのような基準を使った場合にはどういうことになるだろうというような試算を行ってみました。日本の場合には、産業連関表という経済分析でずっと使われている信頼できるデータがありますので、それによりますと日本の産業というのは四百一業種に分類されております。その四百一業種に関して計算をしてみると、大体三十九業種が対象となる、製造業で見ると二百四十業種中二十三業種ぐらい対象になるんだというような試算が我々のところで出ました。これはあくまでも一つの選定方法なので、いろんな考え方があって、いろいろな、日本は日本流の算定基準というのも考えることも可能かと思いますが、一つの基準としてこんな結果も出るといった具合です。
 それで、そういったような国際競争上不利益を被るかもしれない業種というのが選定された上で、じゃ、そういったような業種に対してアメリカ型の緩和措置を実施したらどういうことになるんだろうかというのも、応用一般均衡分析という手法を使って関東学園大学の武田先生の御協力を得ながら試算した結果がこちらの表です。こちらではいろいろな試算結果の一部だけをお見せしております。ここでは、排出量取引をオークションで行う有償割当てのケース、それと無償配分で行うケース、それから米国型のリベートプログラム、緩和措置を実施する場合の三つを比較しております。
 ここで、エネルギー集約的な産業(高貿易依存型)というのが国際競争上不利益を被るかもしれない業種だということで、そこでの生産額にどういう影響があるかというのをシミュレーションした結果、オークションとか無償配分をすると生産額が四%から四・七%下落する可能性がありますが、米国型のリベートプログラムを実施すれば、その生産額の落ち方を、CO2削減しても例えば一・五%まで緩和できるといったような試算結果が出ております。ここでエネルギー集約的産業と言っているところは、鉄鋼ですとか化学ですとか紙パルプとか、全部含めての集計した値です。個別な業種にもう少し細分化してみますと、また更に明確な違いは出ております。
 といったことで、このような米国型のリベートプログラムを使えば、エネルギー集約的産業への影響を排出量取引を実施しながらも緩和することができるんだというようなことがアメリカやヨーロッパでも研究されておりまして、日本に関しても我々のセンターの試算ではそういう可能性があるということが出てきました。
 一方で、この緩和措置を実施することによると、国内で排出量取引制度を導入した場合には排出枠価格が上昇するということになりますので、その結果、ほかの産業とか家計での負担は増えるということなので、削減の費用を特定の業種に偏らないでほかの産業あるいは家計部門でも負担を負うといったような視点からは、そういった考え方もあるというふうに言えるかと思います。これが我々の研究センターの試算結果です。
 それと、この国際競争力、リーケージ問題に関しては、排出枠の配分方法を使うだけではなくて国境調整という考え方もございます。これは、削減義務を持つ国、日米欧、多分米も入るとしまして日米欧とそうでない新興国との差を国境で調整しようというものです。
 例えば、日本に中国からエネルギー集約的な財が何か輸入されてくるという場合に、中国がCO2削減に熱心に取り組まなかったというのであれば、国境でそういった製品に対して炭素税を課してしまおうと。炭素税を課せば国内で日本の企業と中国企業の間での国際競争上の不利益、不公平はなくなる。それから、中国企業の方も炭素税を課されるのであればCO2削減に努力するだろうといったような考え方で提案されております。
 それから、アメリカではこの国境調整の税金で行うのではなくて、排出枠の購入を義務付けようという考え方があります。
 それと、輸出財に対する調整という考え方ももちろんありまして、例えば日本の企業が海外市場で新興国と競争する際に、日本国内だけで炭素の値段を産業が負担するということになると不公平だということで、その国内での炭素価格負担分を輸出する際に割り戻してあげるといったような考え方もあると思います。
 具体的な法案の中に、既にアメリカの下院を通過したワクスマン・マーキー法案というところではこれが具体的に書かれております。実施時期は二〇二〇年以降、大統領が委員会を設置して実際に導入するかどうかというのは決めるわけですけれども、もしやることになった場合には国際リザーブ排出枠というのを政府が用意して、そこからアメリカの輸入業者が該当する財に対して排出枠の購入義務を負うと。基本的には炭素税と似たような形なんですけれども、国境で調整しようという考えが出されております。
 ただ、これは下の一、二、三にありますように、例えば相手国がアメリカ以上の削減努力をしているとか、あるいはその商品に関してアメリカよりも効率がいいですとか、あるいはその国とアメリカの間でそのセクターに関して何か協定があるというのであれば対象にしないと。つまり、アメリカ並みにCO2削減に努力しているのであればこういった措置は行いませんよというような意味で、ある種新興国に対して温暖化対策に熱心になってくださいというメッセージを送るというような意味合いもある条項だと思います。実際に実施するといっても二〇二〇年以降ですので、本当に実施するかどうかというのは全く別の問題ではあると思います。
 それから、排出量取引に関してですと、もう一つ重要な論点として二重の配当ということをお話ししてお話を終わらせていただきたいと思うんですけれども、排出枠を有償配分してオークションにするということが二つのメリットがあるんだというのが二重の配当の考え方です。
 一つ目は環境の配当というもので、これは排出枠にCO2の値段が付くことによって家計や産業がCO2削減に努力をするためCO2が減ると、これは環境の配当というものです。もう一つは、排出枠を売却して政府が収入を得ることができれば、その収入をほかの税の減税に利用することも可能だと。このことによって経済を活性すること、既存税制によるゆがみを是正するということが可能であって、これが経済にメリットをもたらすということで経済の配当をもたらすんだということで、環境と経済の両方に配当をもたらすので二重の配当という言い方を経済学ではしております。
 実際に経済学では、既存税制というのは、例えば所得税、社会保険料でいうと、これが高くなっていくと労働者の労働力供給のインセンティブが低下するんじゃないかとか、あるいは法人税に関していえば、法人税が高過ぎると企業の投資活動の低下になっているんではないかというようなことが指摘されております。したがいまして、オークション収入を法人税の減税に使って企業の経済活動を活発にしながらCO2削減に取り組むというようなことも考えられるということで、先ほど申し上げましたアメリカ型のリベートプログラムでも一部オークションというのを実施することは可能ですので、そういったものが両立できると。
 さらに、これに付け加えさせていただきますと、所得税、法人税だけではなくて消費税なんかでも、消費税を上げる代わりに、例えばここでのオークションによって得られる排出枠売却収入を利用する、で、消費税を上げる代わりに排出枠を使うといったような考え方もあり得ると。アメリカでは、実際にオバマ大統領の予算教書の中でもそのようなことは議論されておりますし、実際に今議論されている法案の中でもこういったような考え方は反映されております。
 ということで、私の方からは排出量取引に関しまして、いろいろな問題はありながらもその問題に対して幾つかのいろんな提案がなされているということを御報告させていただきました。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#10
○会長(石井一君) 次に、山田参考人。
#11
○参考人(山田健司君) 鉄鋼連盟で地球環境委員長をやっております山田でございます。本日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。(資料映写)
 それでは、鉄鋼業をヒアリングの場に呼んでいただいたというのはこのようなことがあるのかなと思います。第一点は、我々、エネルギー多消費産業であります。それと、我々の素材を他の製造メーカーあるいは社会のインフラとして供給するという立場にございます。それと三点目は、国際競争に極めてさらされた業種であると、そういった特徴があろうかと思います。
 本日は、我々が今取り組んでおります温暖化問題の取組の考え方につきまして御説明させていただきたいと思います。
 昨年の十一月、今後の鉄鋼連盟の地球温暖化問題への取組について発表いたしました。日本鉄鋼業は既に世界最高水準のエネルギー効率にあります。これに甘んじることなく更なる向上を図るということ。日本を製造・開発拠点としつつ、他の製造業との間の密接な産業連携、これを強化しながら、三つのエコというふうに我々言っております、いわゆる製造プロセス、エコプロセス、二番目は我々のプロダクトの高機能材の供給を通じて社会で消費されるときにCO2が低くなる、エコプロダクト、三つ目は、我々の技術を海外含め移転、普及させていくエコソリューション、これらを世界に発信していくということと、日本の経済成長あるいは雇用創出に貢献するとともに地球温暖化対策に積極的に取り組むという考え方でございます。
 まず最初に、エコプロセスということについて御説明したいと思います。
 日本の鉄鋼業は、主要な省エネ技術・設備を開発、実用化し、ほぼすべての装備を終えております。左のまず棒グラフですけれども、オイルショック以降省エネに努めまして、七〇年代、八〇年代の二十年間で約三兆円の投資により省エネを二〇%程度達成してきております。現状は、九〇年から二〇一〇年に向けて更に一〇%削減目標ということで、約一・七兆円の設備投資で省エネを図ってきております。
 主要な設備については、大きく三つあろうかと思います。一つは、工程の連続化、ここでは連続鋳造設備と言っております。二点目が、我々製造段階で副生ガス、有用な副生ガスをいろいろ出しております、そういった副生ガスの活用。その次は、排熱、排圧力等の活用と、そういった面がございます。
 この棒グラフは、赤が日本を示しております。今言いました主要な設備について、日本、韓国の、二番目が韓国ですけれども、普及率はかなり高いと。ところが、特に排熱回収、そういったものになりますと、欧米あるいは中国等については普及率が低いという実態になっております。
 さらに、日本では、海外ではほとんどやられておりませんが、社会で発生する廃プラスチックあるいは廃タイヤ等を資源として活用しているということでございます。
 こういった省エネ設備についてはほぼ一〇〇%我々普及しておりまして、こちらの棒グラフは鉄を一トン造るときのエネルギー効率を表しております。日本を一〇〇にしたときに、ヨーロッパで大体一二〇程度ですね、アメリカ、カナダで一二五程度、中国、インドでは一三〇程度ということで、日本の生産を落として、先ほどリーケージの話がありましたが、海外の生産が増えるということになると、世界のCO2が増えるということになります。
 さらに、今後の削減ポテンシャルとして、これは国際エネルギー機関、IEAが発表したものでございます。ちょっと分かりにくいグラフなんですが、この縦軸が削減ポテンシャル、今後の省エネ努力等で削減できるポテンシャル、これを折れ線グラフで表しております。日本は〇・〇七ということで、先ほど申しましたように省エネ設備はもう普及しておりますので、削減ポテンシャルは非常に小さいということを表しております。一方、例えば中国、あるいはウクライナ、特に中国で見てみますと、これ〇・四八ですから、日本の七倍ぐらい、鉄を一トン造るときに七倍ぐらい更に削減する余地があると、そういったデータでございます。
 二番目は、エコプロダクトでございます。
 我々が造った高機能材が実際に自動車あるいは造船等で社会で使われる段階でどの程度省エネ、省CO2に貢献できているかというデータでございます。
 このデータにつきましては、日本エネルギー経済研究所の協力と各ユーザーさんの協力を得て、例えば自動車の外板を軽量化しましたと、その軽量化したことによって自動車の燃費がどれだけ改善されると、それがCO2としてどれだけ削減になるかと、そういった試算、試算というか評価をしております。実際に評価している量は、我々日本で約一億トン造っておりますが、その中の八百万トン程度を定量的に評価いたしました。各ユーザーでCO2がどれだけ減るかということについて、国内出荷分と輸出分、これを合わせまして評価しますと、二〇〇八年度断面で約一千五百万トンの減に資するということが分かっております。
 具体的な例としてエコプロダクトの例を申し上げますと、今出ましたハイブリッドカー、あるいは電気自動車用の外板、あるいはそのコアになるモーター用の電磁鋼板、こういったもの。特に日本が誇るハイブリッドカーについては、日本が造る電磁鋼板が不可欠であります。あるいは超々臨界圧ボイラー等、非常に厳しい条件の下で必要なボイラー等、あるいは原子力発電に必要ないろんな部材、こういったものについては日本が非常に大きいシェアを持っております。こういったものを供給するということが我々の役割だというふうに思っております。
 それと、三点目は、我々が持つ技術、これまでも日本で実用化した技術、ここでは、先ほども出ましたけれども、排熱回収発電設備、コークスの乾式消火設備というもの、あるいは高炉の炉頂圧発電等、ここでは例示的に六つの技術、設備を出しております。
 これまで具体的に中国を始め諸外国にこういった技術を出してきた。これは日本の設備として出してきたものですね、彼らが造ったということではなく日本の設備として協力してきたもの、これが約三千三百万トンございます。
 今後の削減ポテンシャルといたしましても、我々APPと言っておりますが、アジア太平洋パートナーシップという環太平洋の七か国の協力体制を持っておりますけれども、そこで試算したところによりますと、七か国で一・三億トンの削減ポテンシャルがある。あるいは、世界では、先ほどのIEAのデータでございますが、三・四億トンの削減ポテンシャルがあると。この三・四億トンというのは、日本の九〇年の排出マイナス二五%ということが目標に掲げられておりますけれども、ちょうどその量に相当する量でございます。鉄鋼業の今の技術を世界の鉄鋼に移転、普及するだけで日本の目標が達成できるということでございます。
 これらをまとめますと、えてして産業あるいは製造業につきましては自らのプロセスだけのことを問われますけれども、我々、プロセスとしても更に省エネを図るということをやっておりますが、加えまして、プロダクトとしての貢献あるいはエコソリューションとしての貢献と、これらを合わせますと日本の総排出量の五%相当の削減に寄与しているということ。あるいは、鉄鋼業の量だけで見ますと、量に換算しますと三三%の削減に寄与していると。したがって、プロセスだけではなくて、日本の誇る高機能材あるいは低炭素に資する製品、あるいはそういった技術の移転ということが極めて重要だろうというふうに思っております。
 それで、今後の話ですけれども、日本鉄鋼業の目指すべき方向、大きな方向については、三つのエコ、それと中長期をにらみました革新的な製鉄プロセスの開発、これが大きな点だと思っております。
 エコプロセスにつきましては、既に政府の総合資源エネルギー調査会等で答申された長期エネルギー需給見通しというものがございます。その前提である、粗鋼でいえば約一・二億トンを前提にして最先端技術を最大限導入した場合の削減量というのが出されております。我々は、その削減量、約五百万トンでございますけれども、これを目指すということを考えております。
 具体的な内容についてはこちらに記載されております。設備の更新時に実用段階にある最先端の技術を最大限導入していくということでございます。その量としては約五百万トン、削減ポテンシャルが少なくなっている中で五百万トンという、数字的には余り大きくありませんが、更にこれを図っていくと。ただし、それに必要な設備投資が約一兆円掛かるというふうに言われております。
 具体的にはここに個々の技術を挙げております。自家発あるいは共同火力発電、これを最効率のものにしていく、あるいは先ほど言いました廃プラスチック等の更なる活用というようなこと、あるいは省エネ設備の増強と。あるいはSCOPE21、新しいコークス炉、コークスの製造過程でどうしてもCO2が出ますけれども、それを世界最先端のものに替えていくと。こういったことによって約五百万トンの削減を図っていくということを目標に掲げております。
 さらに、長期の話ですけれども、革新的製鉄プロセス、先ほども製鉄業の水素による還元等と、あるいは電気による還元という話がございましたが、我々は国プロとしてCOURSE50というものに既に着手しております。鉄鉱石の還元プロセス、これ石炭を使用するということが不可避でございますので、CO2の排出を免れることはできません。我々は水素による鉄鉱石の還元と、高炉ガスは非常にCO2リッチなガスでございます。これからCO2を分離するということによって、総合的に三〇%程度の削減を図るということを考えております。二〇三〇年ぐらいまでに技術を確立し、高炉関連設備の更新タイミング、高炉の設備というのは大体二十年から二十五年寿命がございます、それらの更新タイミングで更新していこうということで、五〇年までには実用化を図りたいというふうに考えております。
 それと、先ほどエコソリューションということで国際的な技術移転の話をいたしました。鉄鋼業では三つ、大きくは三つの柱がございます。
 一つは日本と中国の間。中国の鉄鋼業は、御存じだと思いますが、どんどん生産量が増えておりまして、今世界の半分近くは中国一国で世界の鉄鋼業の半分の生産をしております。したがって、非常に排出が大きいということで、日本と中国の鉄鋼業で協力いたしまして、二〇〇五年の七月から専門家による交流会をしようということで始めております。
 二点目は、先ほども言いましたアジア太平洋パートナーシップ、七か国でございます。これは、二〇〇六年から七か国が集まりまして、ここに技術ハンドブックと書いておりますが、具体的な効果的な省エネ技術というものはどういうものがあるのか、それを各国で入れるためにはどういったバリアがあり、それを、どうやってバリアを除いていくのかといったことをやっております。
 それと、三点目は、ワールドスチール、世界鉄鋼協会でございます。こちらについては、二〇〇七年の十月、最初に申し上げましたが、鉄鋼製品というのは極めてグローバルな製品でございまして、世界で競争しております。したがって、共通な評価軸がないと競争がゆがんでしまうということであります。したがって、世界で共通な評価方法を確立しCO2の改善をしていくと、そういったプロジェクトを始めております。
 最後に、京都議定書、我々こういった形で世界で最も効率がいいということで自負しておりますし、今後もそういったことをやっていこうと思っておりますが、京都議定書の下で日本鉄鋼業は極めて大きな負担を強いられているという実態について御説明したいと思います。
 この表は何を表しているかと申しますと、世界の二千万トン以上、新日鉄が三千万トンから三千五百万トンぐらいの生産を誇りますけれども、世界の二千万トン以上の製鉄所をすべて挙げてみました。二〇〇六年と二〇〇八年を比較しております。
 まず、二〇〇六年につきましては、世界で七社二千万トン以上の製鉄所がありますということ、八年については十社になっていると。BRICsを中心に世界の鉄鋼生産が拡大しているということがこの辺からもお分かりいただけるかと思います。
 八年で見てみますと、このそれぞれの棒グラフが生産量を表しております。それで、ブルーの部分がCO2の排出に制約があるところ、ヨーロッパと日本ということですね、ヨーロッパと日本。赤いところは制約がない、それ以外の国ということになります。第一位のアルセロール・ミッタル、これは世界一の会社でございます。三分の一がヨーロッパにあって排出に制約があります。三分の二については排出に制約がないという状態にあります。二番目が新日鉄で排出に制約があると。中国、韓国、JFEさん、日本ですね、を飛ばしまして、中国、中国、中国、米国と。我々の競争相手は事実上CO2の排出に制約がないという実態でございます。世界一効率のいい日本が唯一、事実上CO2排出に制約を負っているということでございます。
 なお、そのために、我々自主行動ということで日本の京都議定書の達成に貢献すべくやっております。自主行動とはいえ、約束した以上守りたいということでやっておりますが、この間生産量が増えました。効率はいいわけですけれども、生産量が増えたということで、目標として掲げた排出を上回るということになりまして、我々はその分をやむなく排出権を購入するということで日本の達成に貢献しようと思っています。今、排出量取引についてはEUでマーケットがございますけれども、大体CO2を一トン排出していい権利が十五ユーロから三十ユーロぐらいでございます。それで、これを計算しますと一千億以上と、こういった負担を日本の鉄鋼業は負っているということについて御理解いただきたいというふうに思います。
 それと、もう一つ最後に、ポスト京都の各国が掲げている今目標について簡単に、またその影響について御説明させていただきたいというふうに思います。
 二〇二〇年の中期目標ですが、ここに各国の目標を九〇年比、〇五年比でそれぞれ見ております。EUについては、今二〇と言っておりますけれども、先進国がみんなやるんであれば三〇ということで掲げております。この数字を見ていただきますと、途上国はちょっと抜きにして、日本、EU、米国、九〇年比で見ても日本の数字は高いと。あるいは、〇五年比で見ても、日本は〇五年比換算では三〇ですけれども、EU一三、あるいはアメリカが一七といったものに対して、ある基準年からの削減の目標としても日本は極めて高いということが言えようと思います。
 さらに、問題なのは、限界削減費用という手法で見たときに、日本は五百ドル近い数字であります。EUは五十ドル、米国は六十ドルということでございます。さらに、韓国、中国、我々はこういった国々と競争しておりますけれども、韓国では二十ドル程度と。あるいは、中国ではほとんどコストが掛からない、省エネでメリットがあるということでございます。
 こういった中で我々競争をせざるを得ませんので、総理が掲げられた公平な目標ということを是非とも実現していただいて、我々のように国際競争上厳しい競争にさらされている業種に対して不公平にならないように是非ともお願いしたいというふうに思います。
 私からの説明は以上であります。
#12
○会長(石井一君) 三人の参考人からの意見の陳述を終わりましたので、質疑に入ります。
 本日はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。
 なお、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分以内、またその都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。
 質疑のある方は挙手願います。
 大島九州男君。
#13
○大島九州男君 一点、山田さんにお伺いをしたいんですけれども、うちの実家がちょうど新日鉄の加熱炉を造る専門のメーカーであるんですが、グローバルスタンダードでとにかく製鉄所設備の更新をしっかりすると。要は、CO2を抑える最新式の設備を造らなくちゃいけないような形になると、日本の製鉄所設備が世界に流れていくというか、そういう設備を導入しなければならない、日本の技術を導入しなければならないというような方向にはならないんですか。
#14
○参考人(山田健司君) 状況によりけり、いろんなことが言えると思うんですけれども、まず、例えば今の中国で何が起きているかというふうに申しますと、我々、設備投資の余裕があったときに一番いいのは、やっぱり能力増なんですね。能力を増やしていく、これが最終的には利益に最もつながる。中国では、日本のようにまだ省エネ設備が入っておりませんので、省エネもメリットはあります。ただ、省エネよりもはるかに生産を増やした方が利益が出ますから、省エネの設備を入れる前にどうしても能力増になっちゃうということがあります。
 したがって、省エネ設備が意味があるということは理解できたとしても、優先順位として途上国が省エネ設備を入れることが今すぐかというと、必ずしもそうじゃないという実態があろうと思います。
#15
○会長(石井一君) それでいいんですか。
#16
○大島九州男君 それじゃ、もう一つ。
#17
○会長(石井一君) はい、どうぞ。
#18
○大島九州男君 結局、当然そういうふうに能力増をするということでいくんでしょうけれども、やはりその環境の部分でCO2の削減目標というものが出てきたときには、日本の技術が中国だとかインドだとか、そういったところに流れていくのか、例えばほかのヨーロッパの技術の方がインセンティブが高いというか能力が高いのか。ちょっとそこら辺の技術的なところはどうなんですか。
#19
○参考人(山田健司君) 鉄鋼の技術については日本が圧倒的に進んでいるというふうに思います。先ほどAPPの事例あるいはIEAの事例がございましたけれども、少なくともAPPでは、あそこに出ているような技術というのは日本が最も進んでおりまして、中国、インド等はそういった技術を導入していくという方向にあります。
#20
○会長(石井一君) いいですか。
 加納時男君。
#21
○加納時男君 ありがとうございます。加納時男でございます。
 短く質問させていただきます。
 まず、清水参考人に伺います。
 先ほど、日本の優位性があるというお話がありました。私も、アイミーブを始めとしてこの電気自動車、ファンの一人として応援してきたつもりでありますけれども、この中で、発展途上国が今、自動車の急激な生産を増やしています。今までの自動車産業と違って、例えばこの電気自動車になった場合には全く生産体系が変わってくるという先生の御指摘です。そのとおりだと思います。部品の膨大な数が減ってくる、それから工程が割と簡単になってくる。
 そうすると、今まで日本が得意としていた精緻な品質管理ですとか精緻な部品ですね、こういったもののまたコーディネーション。こういった技術というものよりも、むしろやりやすくキャッチアップしやすい体系になる可能性もあると、技術体系ですね。そうなった場合にどうするのかと。日本の戦術、戦略として特許をいかに守るかというのがあると思うんですけど、特許戦略についてはどのようにお考えかを伺いたいというのが第一点であります。
 それから、次に有村参考人に、各参考人に一つずつ伺いたいと思うんですけれども、先ほどお話のあったEUETSのお話がありましたけれども、これの排出量購入の最大のプレーヤーといいますか、だれが一番買っているのか。産業なのか、エネルギー産業なのか電力なのか金融業なのかということ、そしてCO2はどの程度、EUETSの第一段階、第二段階とやってきましたけれども、成果があったのかを伺いたいと思います。
 最後に、山田参考人に伺います。
 三ページのところでいろいろお話がございました。確かにこれで見ると、アメリカ、ヨーロッパというのは非常に遅れているように見えますけれども、新設備が入ってこないというのは、逆に言うと二、三十年の高炉の寿命がありますから、リプレースが、既存の大国ではなかなかリプレイの時期が来ないということもあって遅れているんじゃないかと思います。
 だとすると、ここで質問なんですけれども、例えばコーク・ドライ・クエンチだとか、あとトップターバインというのはここで例で挙がっていますけど、これで中国とかインドが非常に遅れているように見えます。韓国はかなり進んでいますけど。この理由は何でしょうかということ。
 それから、最後に、これはお二人に関係することなんですけど、有村参考人のお話の中で、ワクスマン・マーキー法における国境調整のお話がございました。これについて、例えば国境で税金を掛ける、あるいは税金を戻す、あるいは排出量を買わせる、排出量を戻す、いろんな方法があると思うんです。これについて山田参考人はどのようにお考えか、以上伺いたいと思います。
#22
○会長(石井一君) それでは、清水参考人、有村参考人、山田参考人から順次御意見をお願い申し上げましょう。
#23
○参考人(清水浩君) 清水です。今の御質問にお答えします。
 まず、車が電気自動車になると非常に簡単になるので、途上国が参入しやすくなるのではないかということについてはそのとおりです。
 ですけれども、クオリティーが高くて長もちをして、そして安全性が高いという商品を造れるというのは、やはり日本の技術だと思っています。ですから、エンジンがモーターに替わったとしても日本の自動車産業の優位性がそう簡単に変わるものではないというふうにはまずは思っています。それ以上に、そのマーケットが大きくなるということのメリットの方が大きいというふうに思っています。
 さらに、特許戦略ということにつきましては、大事な特許は日本が押さえております。ですから、更に電気自動車に対する研究開発を加速することによってまたまた新しい特許が生まれてくるということになりますので、日本が先頭を切って電気自動車の技術開発を続けていくということが特許戦略上も非常に大事でありますし、もう一つ大事なのは、日本の規格で世界に広めていくということがもう一つ経営上の、経済上の大きなメリットになりますので、特許と同時に規格化ということを考えていくということが重要だというふうに思っております。
#24
○参考人(有村俊秀君) 御質問ありがとうございます。
 最初に、EUのCO2のマーケットでの購入者、どのようなところが大きいのかというお話ですけれども、金融が大きいというようなことは特にないと思います。最終的には、結局、遵守主体である機関が使うことになりますので、エネルギー多消費型のところに行っているということになると思います。
 それから、成果ということに関して言うと、フェーズ1のところは、やはり最初の試行段階のところで必ずしもなかなか望ましい成果にはなっていなかったという面もあるかと思いますが、フェーズ2においては、炭素に値段を付けることにおいて、結局CO2というのはただではないのだと、地球温暖化というその危機がある中で、それに値段を付けていって、経済を低炭素化に向けていこうというところが一番の成果ではないかというふうに思っておりまして、今後、値段がしっかり付いていくことの中で、恐らく電力産業での削減が期待されているといったような状況にあると思います。
#25
○参考人(山田健司君) まず、省エネ設備の欧米での普及の問題ですが、ここで挙げた設備の中で特に普及が遅れているのは排熱回収等の設備であります。いろいろ問題あろうかと思います。
 一つは、やっぱり新しい製鉄所に付けるのは付けやすいわけですけれども、既存の設備に新たに付けるというのは効率がどうしても悪くなるという問題が一つあります。
 それともう一つは、これ排熱回収ですから、エネルギーあるいは電気代との比較になるわけですね。欧米に比べて日本の方がそういった産業の電気あるいはエネルギーコストが高い、彼らの方が低いということで、どうしても投資回収に乗りにくいという問題が二つ目の問題としてあろうと思います。
 それと、三点目は、これEUETSの仕組みなんですけれども、EUETSでは電力は直接排出ということになっております。したがって、鉄鋼業が電力を幾ら使っても、コスト上はもちろん掛かりますけれども、EUETSのカウント上はカウントされないということになりますので、EUETSの下ではそういった制約は余り意味がないという仕組みになっているという問題があろうと思います。
 これが第一点目でございます。
 第二点目は、国境調整の問題についてお話ししたいと思いますが、私は、何というか、キャップ・アンド・トレードを入れるために国境調整をどうするのかという問題はちょっと本末転倒で、そもそもキャップ・アンド・トレードが温暖化対策に特に日本において効果があるのかということについてちゃんとした議論をする必要があるというふうに思います。何点か問題があると思っております。
 一つは、やっぱり公平な目標設定、キャップの設定というのは極めて難しい。例えば、総量であれば、効率が良くて量が伸びる、そういったところがキャップで規制されると。あるいは、効率が悪くて量が減る、そこに補助金を充てるような仕組みになるわけですね。そういったことが妥当かどうかというようなこと。
 EU等でもやっぱり公平な排出というのは非常に難しくて、国を企業が訴えて訴訟を起こしている、あるいはEUの各国とEU政府との間で訴訟が起きているという実態があります。これは非常に難しいと。公平なキャップができませんと、さっき言ったように効率がいいところがペナライズされるようなことになりますから、公平な競争がゆがんでしまうと。目的と手段がちょっと違うような、そういうことになるということ。
 二点目は、特に日本の場合ですけれども、我々はさっき言ったように、ほとんど想定できる技術については導入してまいりました。したがって、キャップがあろうが、あるいは税が掛かろうが、技術がないところは削減できませんので、日本でこういったものを入れますと、ある目標を達成するために海外から買ってこざるを得ないと。このこと自身が温暖化のためになるのかどうかということはちょっとさておいても、日本で本来技術開発に投資すべき、あるいは技術開発で削減すべきということが、その排出権を買ってくればいいということで済まされてしまうと。これがそもそもいいのかという問題。
 それと、三点目は、マネーゲームかどうかという問題です。先ほど御質問にちょっとありましたが、EUETSの例を見てみますと、これ二〇〇九年の実績ですけれども、EUETSでは総取引量が五十六億トンございます。元々のETSの配分は約二十億トンです。二十億トンある中で、この第二期、二〇〇五年から八年は約六%の削減をするということですから、二十億トンの六%というのは一・二億トン相当だと思います。本来目標達成するためにはそういった量が必要だと思われますけれども、その量に比べて五十六億トン取引されているということがどういうことなんだろうと。もちろん実需もあると思いますけれども、それ以外の金融取引等が相当あると思われます。そういったことが温暖化のためにいいのかどうかということをよく考える必要があろうというふうに思います。
 以上です。
#26
○会長(石井一君) いいですか。
 加藤修一理事。
#27
○加藤修一君 ありがとうございます。
 山田参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほどの答弁に関連するわけでありますけれども、配付資料の六ページにエコソリューションという形で説明がございます。グローバル・セクトラル・アプローチ、これAPPの関係で展開している話でありますけれども、その二つ目の黒丸のところに「省エネ技術を国際的に移転・普及した場合」というふうに書いてありまして、技術移転ということに当然なってくるわけでありますけれども、非常にそこは重要であると。いかなるビジネス展開が現況で進み始めているのか、あるいは新しいビジネスモデルとしてはどのように考えていかなければいけないか。要するに、技術が展開して普及して初めておっしゃるような数字が出てくるということになると思うんですね。
 ただ、ここの技術移転というのは、当然のことでありますけれども民民の契約によるということが基本になるわけでありますので、途上国の場合はなるべく安い費用で鉄を造ろうということになるわけでありますので、そこの兼ね合いが非常に難しいなというふうに考えておりますけれども、その辺についてどのようにお考え、要するに技術がもっともっと進んでいくためにはどういう仕組みを考えればいいかと。その仕組みの一つがAPPで議論されていることだと思いますけれども、どうも余り進んでいないという話も聞いたり、いやそうでもないですよという、その辺の見解を教えていただきたいなと思います。
 それから、お二人目の参考人にお聞きしたいんですけれども、以前に配付いただいた資料によりますと、先ほどの説明とも関係するんですけれども、有村先生のこれは今日配付された九ページ、米国型のリベートプログラムの生産額への影響試算ということで、エネルギー集約的産業ということで、アメリカのリベートプログラムを展開したときにはマイナス一・五ということで、マイナス四からマイナス一・五に減る。しかし一方、非エネルギー集約的産業とかサービス産業が逆にマイナスの成長になってしまうというふうに出ているわけですけれども、これはどういう意味を示しているかということですよね。
 それから、事前に配付された三十七ページで国際競争力に配慮した炭素価格政策という論文がございまして、これは様々な前提条件で産業連関分析を行ったというふうに書かれておりますけれども、もちろんこれ非完全競争市場における数字を基にして、前提は完全競争市場だということなんでしょうが、我々いろいろなモデルの話を聞いて、数字が独り歩きしてそれで困る場合も多々あるわけなんですけれども、三十八ページに炭素税によるコストの上昇とか直接燃焼によるコスト上昇とか、あるいは電力利用によるコストの上昇ということがあって、それぞれの業種の順位がこれ大きく変わる場合と、今まで一位であった、炭素税によるコストの上昇が一位であったものが百九とか、相当凹凸が激しいなというふうに書かれているんでよすね。こういう数字が出てきているというのは、どういうふうに我々これをとらえたらいいのかなと、政策的に考えていく場合にどういうふうにとらえたらいいのかなという、そういうところについてお願いしたいと思います。
 それで、最後に清水参考人にお伺いしたいのは、今すぐでもその清水参考人の技術を基にしますと航続距離が二倍になるという、これ極めてすばらしい内容だと私も思っていますけれども、これは日本のカーメーカーはどういう評価をしているのか、あるいは導入についてはどういうふうに見解をお持ちなのか。
 それから、部品が減るとよく言われます、内燃機関に比べてEVは部品の量が減ると。場合によっては半分とか四分の三になるとか、まあ七掛けとか五掛けとかそういう話ですけれども、それが下請企業に影響を与えて雇用にも跳ね返ってくるんではないかという、そういう心配をする方もいらっしゃるんですけれども、そういうことに対して先ほど、そういう延長の話だと思いますけれども、国際競争力を維持あるいは強化していく中でより一層日本が力を増すことによって、日本の自動車産業がそういうことを通しながらますます大きくなっていく、だからそういう心配はないんではないかという、そういうふうに間接的に私は理解したんですけれども、その辺の点について御見解をお願いしたいなと思います。
 以上です。
#28
○会長(石井一君) それじゃ、山田参考人からお願いします。
#29
○参考人(山田健司君) じゃ、途上国への技術移転の現状について御説明します。
 私は、大きく三点、ポイントがあろうかと思っています。
 一つは、やっぱり省エネ技術を熟知して導入することの意義を十分理解できるかどうかということだろうと思います。先ほども説明しましたが、日中の交流会あるいはアジア太平洋パートナーシップでの交流会、そういったところでは、日本の省エネ技術を開示してそのメリット等についても十分説明するということをやっております。そういった努力が一つ。
 それと二点目は、やはり国、中国なりそれらの国の政策ですね。中国では、もちろん能力を上げていく、能力増をしていくということはもちろん重要ですけれども、省エネ、エネルギーのセキュリティーという観点から、省エネ設備の導入ということも国策として大きくうたっております。そういった政策の下で、先ほどコークスの乾式消火設備、CDQというものを御説明させていただきましたけれども、九〇年代には日本が一緒に立ち上げた宝山製鉄所にしか入っておりませんでした。二〇〇〇年に入りまして、これは日本がやったNEDOの省エネモデルということに、これは北京にある首都鋼鉄という会社に日本のCDQをNEDOの省エネモデルということで入れました。
 それから、更にやったことは、やはり中国の中では価格的にも競争力があるものでないと当然売れません。新日鉄はそれまでは日本から輸出しておりましたけれども、中国の会社とジョイベンをつくりまして、競争力ある価格で提供できるといった体制をつくっております。
 そういった努力があって初めて普及していくというようなことではないかなというふうに思います。
 以上です。
#30
○参考人(有村俊秀君) 御質問ありがとうございます。
 まず最初に、今日配付させていただいたパワーポイントの方の資料のページ九のところで、米国型リベートプログラムの生産額への影響試算というところに関しての御質問にお答えします。
 御覧のように、オークションとか無償配分といったような通常排出量取引で想定されているような制度を利用した場合に、どうしてもエネルギー集約的な産業での負担が大きくなる、生産額の減少が予想されるということになっています。それに対して、リベートプログラムを利用すればそういった業種への影響は緩和できると。一方で、我々のモデルの試算は、日本経済全体で一定の削減を達成する、それを効率よくどう達成するかというところで試算をしております。エネルギー多消費型産業の削減幅が小さくなりますので、その分ほかの産業が減らすことになる、あるいは家計での削減量が増えると、そういった関係があるということをこのモデルのシミュレーション結果はお示ししているということになります。これが一点目の御説明で。
 二点目は、本日お配りになられている緑の冊子の方ですけれども、三十八ページのものですが、これまず第一点に、これ学会での報告ですので、実は最終成果ではなくてまだ途中段階の試算結果が資料として出ているということを御承知いただきたいと思います。
 これは四つほどコストが書いてありますが、炭素税を導入した場合のコスト上昇というのが一番左側の列に書いてあります。炭素税によるコストの上昇、これが最終的な結果です。その内訳を示しているのが、直接燃焼、電力利用、中間投入財という三つの列になります。
 というのは、まず炭素税が導入されれば化石燃料の値段が上昇されるということが想像されますので、それによる費用の負担の増加があると。それから、それによって電力産業で電力料金が値上げするということが起こる、それの費用負担の増加の分と。そして最後に、そういったもろもろのものは、例えば自動車産業でいえば、当然鉄鋼業界から材料を買うわけですから、鉄鋼業界で鉄鋼製品の値段が上昇するとその部分を自動車業界の方で負担しなければならなくなるので、そういった中間財の投入の上昇があるといったような形で、右側三列は内訳を示しているといったような中身になっております。
 以上です。
#31
○参考人(清水浩君) 二つございましたけれども、一つは、自動車産業は私どもの動きに対してどう見ているかということですけれども、今日お配りした二十六ページに、新しく始めましたプロジェクトの参加企業さんの名前が載せてあります。先ほど申しましたけれども、二十社程度の参加企業さんで試作車を造るというプロジェクトを始めようということを考えておりましたところ、三十四社が集まってくださいました。その中で三菱自動車工業様といすゞ様が今回は私どものプロジェクトに入っていただいています。
 ということで、これまで自動車産業が大学でやっている新しい技術というようなものにはほとんど興味を示さないということが長く続いておりましたけれども、今回につきましては、まず二社がかかわってくださったと。恐らく、この第二号車を造るというプロジェクトをこの夏ごろから始めることになると思います。その段階になると、また新たな自動車メーカーさんが私どもの技術ということに注目をしてくださるという可能性はあるというふうに考えております。というのが一点目のお答えです。
 それから、部品の数が減るということについてはそのとおりでありますけれども、部品の全体の重量という点ではそれほど変わりません。電気自動車の重さとガソリン自動車の重さというのはそれほど変わりません。最終的に商品の値段というのは、大量生産したときの値段というのはかなり重さ比例ということになりますので、販売価格が変わるということは余りないというふうに考えています。
 ですけれども、これまでエンジンを作っていたメーカーさんが業種転換をしなくてはいけないということは事実であります。そういうことを見越して、この同じ二十六ページの表の中にも、これまでエンジンの部品しか作ってこなかったというメーカーさんが、次は電気自動車になるはずだ、だったら今のうちに業種転換しておこうということで参加をされている企業さんがおられます。
 ということで、早目に転換するか遅れて転換するかということの違いはありますけれども、早目に転換をすれば、これまでのエンジン部品を作っていたメーカーさんでも確実に電気自動車のビジネスでもって利益を得るということは可能になるというふうに考えております。
#32
○加藤修一君 会長、済みません。
 清水参考人、最初の質問というのは二号機を造るという話じゃなくて、既にEVについては市場に出回り始めていますから、そういう、今既にある出回り始めた車について先生の提案しているものを導入すれば、それについても航続距離が二倍になると。そうであるならば何でそれをやらないのかという単純な質問で、コストの問題は当然あると思いますけれども。
#33
○参考人(清水浩君) 三菱さんが去年、アイミーブという車を造りました。アイミーブというのは、元々私どものようなインホイールモーターということを採用したかったんだけれども、開発期間が短かったのでトラディショナルな方法しか取れなかったと。なので、三菱さんが次に売る車については、是非我々の技術を導入したいというふうにおっしゃっております。ということで、私どものプロジェクトに入ってきていただいたという経緯であります。
#34
○会長(石井一君) 風間直樹君。
#35
○風間直樹君 山田参考人にお伺いをします。
 今日、日本の鉄鋼業界が置かれている大変厳しい状況がよく分かりました。勉強になりました。私は、鳩山政権のこの二五%削減という方針を達成するためには、恐らく国内のみでは非常に厳しいんだろうと思っております。日本企業が海外に出て、中国等に出て、そこで達成した分を何らかの形でカウントすることが不可避だろうと思っております。
 そこでお尋ねですが、この鉄鋼業界で日中の技術交流会をやっていらっしゃるわけですけれども、今後、日本企業が例えば中国に出て、中国との間で合弁企業を設立して、先ほどのように達成した分を日本の分としてカウントしていく、こういうことを視野に入れた場合に、この技術交流から皆さんが得ていらっしゃる課題がもしあるとすれば何なのか。あるいはもう一点は、今後政府に対してこういったカウントのスキームを含めてどのような枠組みの構築を望まれるのか、この二点をお尋ねしたいと思います。
#36
○参考人(山田健司君) お答えします。
 我々が中国等に出ていってやることについて、私は大きな障害はないというふうに思っています。既に我が社では、出てジョイベンをつくってやっております。ただ、やっぱり難しいのは知的財産権の保護、そういったことがちゃんとできるかどうか、これは非常に大きいと思いますね。ここが一つポイントだろうというふうに思います。
 それと、我々が世界で削減に貢献した分をどのようにカウントするかという問題については、例えば京都議定書ではクレジットを買ってくるということが必要になりました。このために、我々もそうですし、日本政府もそうですし、まあ一兆内外のお金が必要だというふうに言われています。仮に同じようなことになるのであれば、これは大変な支出になりますから、何というか、クレジットを買ってくるだとかそういうことでない仕組みをどのようにつくっていくのかということが課題だろうというふうに思います。
 以上です。
#37
○会長(石井一君) いいですか。
#38
○風間直樹君 はい。
#39
○会長(石井一君) それでは、川口順子さん。
#40
○川口順子君 三人の参考人の方には、御説明ありがとうございます。
 それで二つ質問がありまして、一つはちょっとかねがね不思議に思っていて御意見を伺いたいと思うことなんですが、山田参考人と有村参考人にまず第一番目の質問ですけれども、日本の経済界の方が、国内で削減すべきであって、基本的に、海外でお金を使うということは余りよろしくない、したがって例えば京都メカニズムのようなものが広範に使われるとか、それは望ましくないというお考えを大体皆さん持っていらっしゃって、民主党の議員の方にもさっき山田参考人がおっしゃったときにうなずいている方いらしたので、多分同じ意見、自民党内にも同じ意見があります。
   〔会長退席、理事藤田幸久君着席〕
 それで、ただこれは有村参考人がおっしゃったその国境措置がうまく機能するかどうかに依存をするという前提はありますけれども、それが機能するということを前提にした場合であれば、国際的な排出量取引とか京メカのようなものというのは、コストを安くする措置、メカニズムであるわけですから、何も日本国内で減らさなくても、もっと安いお金で日本の産業界は外で減らすことができる、これがその京メカのそもそも意味であるわけですね。
 そのときの問題というのは、日本の企業が海外でそのお金を使って、海外の企業がそのお金を使ってより炭素を出すような生産をしてしまうじゃないかということであるわけで、これは国境措置を機能させれば、うまく機能すれば防げるということですから、もっと安いところで合理的に炭素を減らす、温暖化、温室効果ガスを減らすという発想になってもいいというふうに思うんですけれども、そういうふうに思われない理由というのは、何で国内で削減するということにこだわられるのかということをお伺いしたい。
 これはさっき言った海外で安く作って温室効果ガスが増えちゃうということが理由ですというなら、これは理解します。だけど、ほかの理由で国内で高いお金を払って削減をしなきゃいけない、そもそももう技術的に飽和状況にある状態であるわけですから、特に鉄鋼業は、そう思わなければいけないのかということが疑問の一つで、これについて有村参考人が学者の立場でこういう考え方についてどう思われるかということを伺いたいというのが質問の第一です。
 それから、第二番目は、今度はちょっと逆の質問なんですが、国境措置が本当に機能するかどうかということについてなんですが、まずその一点目としては、これ税金を掛ける、あるいは排出枠を買ってもらうという考え方があるということですけれども、税金はともかくとして排出枠ということで考えますと、どこの国で生産をした鉄鋼かということでその過程で出される温室効果ガスの量は違う、技術が違いますから、ということなので、現場で実際に機能させるときに、どのように具体的に、概念的にはよく分かるんですけれども、具体的にどのようにそのメジャーメントをやるのかということなんですね。
 それが一つ問題があるだろうということと、もう一つは、途上国・途上国間の貿易はどんどん増えていっているわけで、例えば中国とインドの間の貿易というのは今非常に増えていって、いずれ水平貿易のようなことがもっと起こるようになるでしょうから、増えていくわけですね。ですから、先進国の国境措置だけで世界の温室効果ガスの増加がうまく防止できるかどうか。
 例えば新日鉄さんが、日本じゃもうとても生産できないからインドに出ていって、世界市場を相手にインドからサウジに売りますというようなことをなさる。あるいは、もっといい例は、中国の企業がインドに出ていってインドで生産をし、あるいは中国で生産しサウジに出しますというようなことをやったときに国境措置は機能しないわけですから、そういったことをカバーする何か措置が必要なんじゃないだろうかという二つの質問です。二番目は有村先生にです。
#41
○参考人(山田健司君) 今の先生の御質問は、私は二つの点がどうもごっちゃになっているような気がしています。
 一つは、やはり国の目標が妥当かどうか、公平かどうかという問題をまず最初に議論する必要があろうというふうに思います。目標が公平な下でどうやるのかといった場合には、それは国内で当然下げれるということがあるはずですね。そうでなくて非常に高い目標を、それは高い目標をいただいてしまったと、その下で効率的にやるためにはどうするかというと海外から買わざるを得ないと、あるいは買った方がいいということがあると思いますけれども、そもそもなぜ海外から買わなきゃいけないのかということを考えなきゃいけないと思うんですね。
 だから、目標がまず妥当かどうかと、妥当であればその下でどういう努力をしましょうかという話ができるわけですけれども、非常に国内で元々できないような目標を設定して、それを海外から買うことで埋め合わせをするということだとすれば、それは例えば技術協力だとかODAだとかいろんなやり方があるわけで、それを排出権の中でやるのかどうかということではないかなと思うんですね。だから、まずは目標が妥当かどうかということの議論をすべきだと。
 それと二点目は、目標が妥当として、じゃ排出権取引をどう考えるのかということですけれども、排出権取引というのはやはり、先ほどの表でも限界削減費用とありましたけれども、日本で削減するよりも海外で削減した方が当然安いわけですね。先ほど私、公平な目標が必要だと言いましたけれども、ただ現実的には努力しても途上国等を含めて公平な目標というのはなかなか難しいだろうというふうに思わざるを得ない面はあると思います。
 そのときに日本はどうやって生きていくのかということが重要で、安いから海外から買ってくるということであれば、日本がまさにやってきた省エネ技術だとか、産業の連関の下で強くなってきた、そういったものだとか、そういったものが失われる可能性があるんじゃないかなというふうに思います。したがって、やはり日本は、単純に海外から買ってくる、効率がいいから買ってくるということを目指すべきではなくて、産官学一体となって、やはり明日の技術を開発していくということに注力しながら国内の削減を目指すということが一義的には必要じゃないかなと。ただ、前提としてやはりできるだけ公平な目標があるということが大前提だというふうに思います。
 以上です。
#42
○参考人(有村俊秀君) 御質問ありがとうございます。
 まず最初の点ですけれども、一番最初に明らかにしておきたいのは、国内排出量取引制度と、京メカのような国際排出量取引制度というのは多少違うのではないかなという点です。私が今日お話しさせていただいたのは、一つの国内の中で効率的に排出を削減していく、経済全体で費用を安く削減していく方法としての国内排出量取引制度とそこでの国際競争の問題などでした。
 川口委員から今お話しいただいた点というのは国際的な排出量取引に対する懸念ということで、そのことになりますと、やはり最初に国の目標がどこにあるかということがまず大前提になると思うんですね。国の目標がもう所与で決まっているというのであれば、それはもう安いところで削減するのがいいわけですから、結果的にそれが海外であれば海外で削減するというのは合理的になるんだというふうに思います。
 問題は、国の目標がどのレベルにあるのかということによって、結局、どうすべきかということはまた別途議論しなければならなくて、やはり経済学的にいうと限界削減費用というのは、かなりその国がそれまでCO2削減にどのくらい努力してきたかを表す一つの重要な指標だと思いますので、そこが大きい国で更に削減しようというのはやはり容易ではなくて、それを考えながら目標を設定する必要があるというところが重要かと思います。
 それから、二番目の国境措置に関してですけれども、これに関して二点ほど御質問をいただきました。
 一つは測定の問題です。これは、やはりそれほど容易ではないと思います。実は昨年九月に米国の上院に行きまして、そこでこのことを検討しているスタッフの方とお話をさせていただいたんですけれども、まだ明確にきちっと測定をするといったようなところまでは議論が進んでいないと。実際に法案の中でも二〇二〇年に実施するかどうかという措置だということで、かなりまだ準備することがあるだろうというような印象を持っています。
 それと二点目も、これは先進国と例えば新興国の間では一定の効果を持つかもしれないけれども、途上国と途上国の間ではそれほど効果がないのではないかというお話でしたけれども、まさにそれはそういった面はあると思います。国際的な環境経済学の研究でもまだその点まで議論が進んでいないというのが現状かと思います。
 以上です。
#43
○川口順子君 ありがとうございました。
 今の山田参考人おっしゃったように、目標が公正であって実効性のあるというのはもうおっしゃるとおりだと思うんですね。ただ、それであっても、途上国がある限りは、これは枠組条約で御案内のコモン・バット・ディファレンシエーテッドというのがありますから、事中国やインドを相手にしている限りは、同じ限界削減費用で減らしましょうということにはもうウン十年間はならないというのが現実だと思うんですね。
 そういうことを考えると、むしろその相手に、受け取ったお金を、より生産を、温室効果ガスを増やすようなことに使わないようなメカニズムをむしろ日本が考えて国際社会に働きかけていくような、そういう行動を取った方が日本の産業界全体としては、空洞化するとかそういったことにならなくて、より長期的にはいい戦略ではないだろうかと思うものですから、御質問をさせていただきました。
#44
○理事(藤田幸久君) それでは、ツルネンマルテイさん。
#45
○ツルネンマルテイ君 清水参考人に一つ質問したいと思いますが、質問に入る前に一つ簡単な報告をさせていただきます。
 先生もちょっと触れましたように、私たちは先日、環境委員会の視察で先生のところをお訪ねして、そしてこのエリーカという電気自動車のすばらしさはよく分かりましたし、試して乗ることもできましたから、だから、一日も早くこのエリーカがもっと多くの国民が使用できるようなものになることを私も期待しています。だから、そういう意味でそれに是非エールを送りたいと思います。
 質問は、この先生の今日の話のレジュメの中で、十ページには、本当に夢のような話、これは電気自動車だけではなくて、夢のような話が書いてありますから、これに対してちょっと先生の考え方を聞きたいと思います。
 これによりますと、この太陽電池で発電すれば、仮に陸地の一・五%を使えば十分エネルギーを、世界のエネルギーを蓄えることができると私はこれを読んでいますね。このリチウムイオン電池に蓄えることができる。あらゆるところのエネルギーというか、電力を賄うことができる。これはもちろん、先生はこの下に書いてあるように、これは先生の考えているというよりもランダムハウス講談社の資料のようですけれども、もちろんこれはあくまでも、その一番下に書いてあるのは、これによりますと九五%のCO2が削減可能になる。もちろん、これは可能ということだけであるんですけれども、将来的には世界ではそういうときが本当に来るんだろうか。あるいは来るとしたら、どういうふうに私たちはこの太陽電池をそれほど増やすことができるか、もし何かそれに対するコメントがあったらお願いします。
#46
○参考人(清水浩君) 御質問ありがとうございます。
 先日わざわざ私どものところまで来てくださいまして、大変ありがとうございました。
 十ページの資料の、実はここに著者の名前を書いておくのを忘れましたけれども、私の著書でありまして、資料の出元は私が計算した結果であります。
 そういう時代が来るかということについては、大きく見れば必ず来るというふうに思っています。と申しますのは、二千年前に万里の長城を造ったり、二千年前にローマ街道を造ったりというような人間の努力というものが太陽電池を世界中に普及させるんだというところに向かっていけば、必ず世界中に太陽電池が敷設されていく時代が来るというふうに思います。
 そのためには、まずは値段が安くなる必要がある。その値段が安くなるには、まず日本の国内での値段が半分になる、日本の国内での値段が半分になるということは、自分の家の屋根に太陽電池を張る方が電力会社から電気を買うよりもむしろ安くなるということになります。今、日本の国内で太陽電池の生産量というのは、電力発電量の約一万分の一の太陽電池の生産量が毎年増えているということですので、それをまず千分の一まで増やしましょうと。十倍生産量を増やせば値段は半分になります。
   〔理事藤田幸久君退席、会長着席〕
 その次は、更に国内で遊休地があります。広大な遊休地としては農業放棄地、農業をやっていたんだけれども既に休耕して、更に休耕田を通り越して全く回復の見込みのなくなった土地というのが実に五十万ヘクタールあるんですね。日本の国土の一・二、三%あります。こういうところに次は太陽電池を張っていく。それは日本政府がやっていく努力目標だと思います。そういうことのプロセスの中で、太陽電池の値段というのは劇的に下がってくるはずです。そういう準備をした上で、更にそれに基づく電力系統のシステムを国内で完成させた上で、そのシステムを世界中に展開していくというのが最も現実的な、かつ日本にとっての極めて大きな国益になるやり方ではないかなというふうに思っております。
#47
○会長(石井一君) それでは、相原久美子さん。
#48
○相原久美子君 参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず最初に、清水参考人にお伺いしたいと思います。
 先日私どもエリーカと、それからGPSによる無人の車と乗せていただきました。まさに技術が本当に世界を変えていくということが私どもは実感として得ることができたわけですけれども、それぞれのところでそういう努力をされている。じゃ、政治は何をすべきかというところで、もし御要望がございましたら、お伺いしたいなということでございます。
 それから、山田参考人にお伺いしたいと思います。
 鉄鋼業界の皆さんの御努力、この図にも非常に表れておりまして、今まさに、もうほぼこの省エネの技術の普及率は一〇〇%だというような形でおっしゃっている。だとすると、やはり次の展開をしなければ恐らくこのCO2の削減というのは難しいだろうと。そこで、一つ、参考資料の中にございます、次の展開の水素ですか、十ページのこのところなわけですけれども、この技術開発が到達すれば、相当のやはり削減が可能であるということはもう出ているわけですけれども、これを実際に早めていくためには、じゃ政治的には何をやはり政策として打っていったらいいのかという御要望がありましたらお願いしたいと思います。
#49
○参考人(清水浩君) 御質問ありがとうございます。また、先日おいでいただきましてありがとうございました。
 政府が何をしたらいいかということについては、いかにして早く日本の技術を日本の国内で普及させて、なおかつその技術を世界に展開していくかということに尽きるかと思います。
 その方法としては、まずは試作品のレベルまでうまくいった技術を、今度は商品として造るということについての技術開発のための援助ということが必要かと思います。よく最近、死の谷、デスバレーという言葉が使われますけれども、試作品まではうまくいったけれども、商品までなかなかうまくいかないと。なぜうまくいかないかというと、生産性、信頼性、耐久性ということを完結させるためには、試作品を造るまでに掛かった費用の約十倍お金が掛かると、そのお金がなかなか出てこないということがあります。
 それが一点と、それからもう一つは、自動車産業が、例えば新しく自動車工場、電気自動車の工場を造るということについては、今までの資産をお持ちですから、なかなか決心が付かないということがあります。では、その新しい工場を造るための支援をどうするかと。そして、大量の生産をしたとして、最初、確実に売れるのかどうかということがだれにも分からない、そこが不安だからなかなか商品化ができないということがあります。だとすると、その買上げあるいは買上げの補助というような予算を計上するということが大事だというふうに思います。
 ということは、試作品までできた技術を商品にまで造り上げるための技術開発と、工場建設のための、これは融資ということになると思いますけれども、それから車を買うというときのための補助と、三つだと思います。
 一般によく言われますのは、環境対策をやると、未来永劫、政府はたくさんのお金を使わなくてはいけないというような言われ方がいたしますけれども、むしろ、この数年かなり集中的に技術を普及させるんだというところに使うということによって、その後莫大なリターンが戻ってくるということを前提にして環境技術の普及ということを考えていただくのがいいのかなというふうに思っております。
#50
○参考人(山田健司君) 二点ございます。
 まず第一点は、いわゆる高炉法による製鉄業というのは世界で最も効率のいいプロセスです。世界では約三百年、日本でも、釜石で初めて高炉法による製鉄業を始めまして百五十年たっております。こうしたものを抜本的に変えていくということなので、いわゆるラボベースからパイロットプラント、あるいは実機化というプロセスを考えますと、幾ら頑張ってもそれなりの時間は掛かるということはしようがないというふうに思っています。
 ただ、これ、例えば我が国鉄鋼業だけがこういった負担を民間でし、それも十年、二十年というタームでやっていくということになると、それ自身が非常な重荷になりますので、今も国プロでスタートさせていただきましたけれども、産官学の知恵を集めていただくということと、やっぱりこういった革新的な技術開発については、国がやっぱり集中的に資金を投入していただくということが不可欠だというふうに思っています。それが一点。
 それともう一点は、これに直接関係ありませんけれども、先ほどの京都の議定書の下での我々のCO2排出権の負担等ございましたが、我々は特別なフェーバーを求めているわけでは当然ありません。少なくとも今ある競争条件をこれ以上悪化させていただきたくないということをお願いしているわけですから、こういった負担が更に続く、あるいはそれが更に多くなるということにならないように、国際的な公平性であるとか、その中での日本の施策であるとか、そういったことを是非とも考えていただきたいというふうに思います。
 以上です。
#51
○会長(石井一君) いいですか。はい。
 有村治子理事。
#52
○有村治子君 三人の先生方、今日は本当にありがとうございます。大変興味深く拝聴いたしました。
 その上で、清水先生、山田先生にお伺いさせていただきたいと思います。有村先生、同じ名前でうれしいです。ありがとうございます。
 清水先生、せんだってワールドビジネスサテライトにお出になっていらして、オープンソースとしてのビジネスモデルは大変面白いなというふうに思ったんですが、具体的にSIM―Driveのビジネスモデルについてお伺いします。
 この参加各企業、参加料二千万円を出したら一年以内に先行開発車を一緒に造ろうということなんですけれども、確認ですが、これは海外の資本、海外の企業にもオープンなのかどうかということと、それからすべての、この三十四社というのは、すべての新しい車を造っていく上での技術、情報にすべて対等なアクセスを持たれるのかどうか。また、対等なアクセスをすべての企業なり組織が持っていくとしても、その情報や技術を深化させる能力を持った組織と、その情報に接しても使い切れない組織とか企業が出てくると思うんですね。そこの差はそれぞれの企業でおやりなさいというお考えなのか。どうやってマックスを取っていこうとされるのか、そのビジネスモデルとしての仕組みを教えていただければ有り難いと思います。また、この三十四機関の中で岡山県と鳥取県が地方自治体として入られていますが、彼らの戦略的意図がどの辺にあるのかということも御教示いただければ有り難いと思います。
 次に、山田参考人にお伺いします。
 山田参考人は、以前お話を伺ったときも極めて真っ当でフェアな議論をしていらっしゃるという意味で私は心からの敬意を持っているんですけれども、そのとき、以前お伺いしたときに、経営陣側だけではなくて労働組合の方からも、皆さんの貴重な本当に額に汗して築いた国の富を戦略なく、戦略的な考えがなく京都プロトコルということで、海外での排出権取引で五千億円なり一兆円に近い国の富が海外に流れるというのは労働組合としても反対だというようなお話を伺いました。
 鳩山総理は、私は自由民主党でございますけれども、民主党だからいいとか悪いとかという議論じゃなくて、日本の内閣総理大臣である以上はやっぱり国益を背負ってもらわなきゃいけないし、私も単に攻撃するだけではいかぬというふうに思っています。
 そんな中で、やはり世論の動向というのも極めて大事だと思っているんですけれども、山田参考人が代表される、代弁される業界の現状ということをどのように国の意思決定のトップに伝えていくのか、これからの世論形成とともに政権に戦略なき排出権で海外に国の富が一方的に流れることのないようにその影響力を行使しようと考えていらっしゃるのか、お教えいただければ有り難いと思います。
 以上二点です。
#53
○参考人(清水浩君) それでは、お答えいたします。
 大変貴重な御質問ありがとうございます。
 まず、先ほどの二千万円で三十四社ということの中に海外が入っているかということにつきましては、入っております。ここでの中では台湾のメーカーさんが一つ入っております。ということですけれども、SIM―Driveは世界中に同じ技術を展開していきたいというのが基本ポリシーです。
 そのときに当然質問に出るのは、国益との関係はどうなるのかということかと思いますけれども、まず理想論的に申しますと、私どもの会社の会長の福武總一郎のお考えでは国益か地球益かと、それをどう優先させるのかと。新しい技術を早く世界中に広めるということのためには世界にオープンで技術を公開するということが最善の方法だというのが理想論的な意味でのオープンソースということです。
 もう一つ、国益という点で申しますと、日本から出ていった技術というのは日本が国際標準を作りやすい、国際的な標準化をしやすいということが現実でありまして、そういう意味で結局は日本の利益になると。国際標準をした技術というのが、やはり世界を制覇していく技術になるということになります。
 それからもう一つは、世界中に情報を出せば、情報を出した分だけの情報が逆に戻ってくるというのが情報の面白いところでありまして、我々がたくさん情報を出すと参加企業からもその情報が入ってくると、そういうことが相乗効果となって次の新しい技術開発に結び付くということで、オープンソースということ、考え方、今までのように技術というのはクローズドにするんだというよりは、むしろオープンにした方がたくさんのメリットがあるというふうに考えております。
 さらに、対等に情報を提供するかということについては、かなり厳格に対等に情報を提供するということにしております。ですから、我々が持っている情報はすべてお持ち帰りくださいと、お持ち帰りいただいてどうぞお使いくださいと。そして、お使いになるなり方は御自由ですということで、三番目の御質問として、その技術をうまく使えるところとそうでもないところが出てくるであろうと、そこはそちらの参加してくださった企業等にお任せしますということです。
 もう一つの御質問として、自治体が入っているということにつきましては、各知事さんがこの話を聞いて、我が県の県おこしといいますか地域おこしの一つの重要な役割になるんではないかと。新しい技術というものを導入したいけれども、新しい技術の情報というのはどこでも取れないと、だけれども、ここに入ってくることによって新しい情報が導入できると。
 現実には、鳥取県の場合ですと、十社の県下の企業から、細かい話で百万円ずつ徴収をして、そして県がそれにオンをして、そしてトータル二千万として一口と、岡山県も似たような形で入ってきてくださっているということなんですね。将来、それが例えば鳥取に自動車工場ができるということにでも発展していけば、あるいは部品工場が成長するということに発展していけば、それは地域おこしとしては極めて有効であろうというのが各県の知事さんのお考えということです。
#54
○参考人(山田健司君) 大変難しい質問をいただきましたので的確に答えられるかどうか分かりませんが、二点申し上げたいと思います。
 一つは、やはり日本の国の成り立ちといいますか、それを考えたときに、やはり日本は資源あるいはエネルギーが少ない、そういった国ですので、国際的な競争を通じて経済の成長を図るということが必要ですし、かつ雇用の維持ということもそういうことを通じてできるというふうに思っています。したがって、イコールフッティングができる条件というのを何としてもつくっていただくと。組合がこの問題についても大きな声を出しているというのはその辺の危機感の表れだろうと思っています。それが第一点であります。
 第二点は、温暖化に対して、特に日本の特徴を考えたときにどういったアプローチをしていくべきなのかと。えてして、国の数字の削減だとか、あるいは製造業については、今日も言いましたけれども、製造プロセスでのCO2の排出の削減ということだけに目を奪われがちになります。
 我々は、今日申し上げました。やっぱりエコプロセスは当然です。世界一の効率のいいものを我々、効率のいいプロセスでつくっていくと。これは当然だと思っていますけれども、日本がまさに供給できる、今日の電気自動車でももう当然そうですが、そういったものを造れるような工業では技術、それを出していく、プロダクトとして出していくというようなこと、あるいは日本の技術を海外に移転していくと、そういうことが国益にも当然かないますし、これ地球益にも当然かなうわけですね。
 だから、国内の数字の削減だけ、あるいはある産業、ある企業の数字の削減だけということではなくて、三つのエコと、そういった視点でもって温暖化問題にアプローチしていくということが必要ではないかなというふうに思います。
 以上です。
#55
○会長(石井一君) それでは、牧野たかお理事。
#56
○牧野たかお君 時間がないものですから、参考人の清水先生に一点だけ伺いますが、大変御努力をされて日本の電気自動車の先端を走っていらっしゃる先生に聞くのは失礼なんですが、ある自動車メーカーの役員さんと話したときに言われたんですけれども、電気自動車に替わっていくんですが、日本の研究者、技術者、そして各メーカーの努力、家電も含めてですけれども、とにかく技術を向上させて、バッテリーの耐用時間、また走行距離を増やしていくことにエネルギーを注ぎ込んでいるんだけれども、海外の後発メーカーが、例えば一日二回替えなきゃいけないんだけれども、そのバッテリー、途中で切れちゃって、その代わり、簡単にカートリッジというバッテリーを交換できて、安い、そういう電気自動車を開発した場合、日本は携帯電話と同じように、技術を研究する余り、要は安く、早くというか、広がりを求めないうちに後発の国のメーカーが寡占状態になって、要はすばらしい電気自動車が完成したときには世界中の電気自動車が安いバッテリーの、簡易に交換できるような、そういう電気自動車にもう占有されていて入る余地がなくなってしまうおそれがあるんじゃないかというふうに言われたんですけれども、そういうことというのは考えられますかね。
#57
○参考人(清水浩君) 今の御質問、最近スモールハンドレッドという言葉があって、例えば中国では百社どころか千社の電気自動車会社ができていると。それに日本は勝てるのかどうかという議論があります。
 昭和二十年代の初めのころの日本の自動車産業を思い出していただくと、百社以上の二輪車メーカーがありました。そういう中から、天才本田宗一郎さんの会社が伸びてきたと。さらに、二番目の天才鈴木さんの会社が伸びてきたと。多分、数百社の中から伸びてくる会社がそのスモールハンドレッドの中から出てくるだろうと。一方で、企業名を出して恐縮ですけれども、トヨタさんは初めから高いレベルの技術を目指してスタートしたと。ホンダさんとトヨタさんが会社をつくった年ってほとんど同じなんですね。トヨタさんは最初から最後まで高いレベルの技術を目指してこられたと。ホンダさんはスタートを簡単なものから始めて大きくなってきたと。二つのビジネスモデルというのがあると思います。
 多分、日本が目指すべき新しい技術に対するビジネスモデルというのは、初めからいいものを造って世界中に売っていくんだというのがこれからの日本のビジネスモデルではないかなと。一方で、おっしゃいますように、スモールハンドレッドが出てくるだろうと。その中からすばらしい会社が成長してくるだろうと。その二つの流れでもって新しい電気自動車の産業も出てくるであろうというふうに私は予想しております。
 ですから、日本も十分に勝つチャンスがあると。というよりは、十分に勝てるんだというふうに考えております。
#58
○会長(石井一君) それでは、多少時間が残っておりますが、参考人に対する質疑はこの程度といたします。
 一言ごあいさつ申し上げます。
 清水参考人、有村参考人及び山田参考人におかれましては、長時間にわたり非常に貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたします。
 委員の皆様もどうかひとつ名刺でも交換していただきまして、ひとつ今後継続してまたいろいろの考え方を、意見の交換をお願い申し上げれば大変幸いであります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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