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2010/02/24 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第3号
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2010/02/24 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第3号

#1
第174回国会 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第3号
平成二十二年二月二十四日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         石井  一君
    理 事
                主濱  了君
            ツルネン マルテイ君
                藤田 幸久君
                有村 治子君
                牧野たかお君
                加藤 修一君
    委 員
                相原久美子君
                犬塚 直史君
                大石 正光君
                大久保潔重君
                大島九州男君
                風間 直樹君
                室井 邦彦君
                森 ゆうこ君
                加納 時男君
                神取  忍君
                川口 順子君
                佐藤 正久君
                松田 岩夫君
                丸山 和也君
                山下 栄一君
                山内 徳信君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        杉本 勝則君
   参考人
       東京大学生産技
       術研究所教授   山本 良一君
       社団法人日本経
       済団体連合会常
       務理事      椋田 哲史君
       立命館大学大学
       院政策科学研究
       科教授
       京都大学経済研
       究所特任教授   佐和 隆光君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査
 (「日本の国際社会における役割とリーダーシ
 ップの発揮」のうち、京都議定書目標の達成に
 向けた地球温暖化対策の現状と課題及び国際的
 な取組と日本の役割・課題―二〇一三年以降の
 問題―について)
    ─────────────
#2
○会長(石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。
 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。
 まず、「日本の国際社会における役割とリーダーシップの発揮」のうち、京都議定書目標の達成に向けた地球温暖化対策の現状と課題及び国際的な取組と日本の役割・課題―二〇一三年以降の問題―に関して、低炭素時代に向けた提言―日本及び世界の未来について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 本日は、東京大学生産技術研究所教授山本良一参考人、社団法人日本経済団体連合会常務理事椋田哲史参考人及び立命館大学大学院政策科学研究科教授・京都大学経済研究所特任教授佐和隆光参考人に御出席をいただいております。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査の参考にしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず山本参考人、椋田参考人、佐和参考人の順でお一人十五分程度御意見をお述べいただいた後に、約一時間三十分程度質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、山本参考人から御意見をお述べいただきます。山本参考人。
#3
○参考人(山本良一君) 御紹介いただきました東京大学の山本でございます。
 私は、気候政策が安全保障政策であり経済成長政策であるという点から私の意見を申し上げたいと思います。(資料映写)
 実は、私は温暖化地獄三部作という本を出しておりまして、昨年十一月には「残された時間」ということで二度C突破のポイント・オブ・ノーリターンがあと二十年後に迫っているという本を出したわけでございます。
 第一の観点は、一九七〇年から二〇〇〇年の三十年間、世界経済は成長の限界の標準シナリオで進行、二〇〇〇年から二〇〇五年、世界の温室効果ガスの排出量はIPCCの最悪のシナリオで進行しております。つまり、これは要するにイナーシャが非常に強いということですね。科学的予測の不確実さと社会システム及び地球気候システムの慣性から、このままでは気候変化による大災害が数十年以内に起こることが懸念されると、我々科学者は大変事態を憂慮しております。
 すなわち、この科学的な問題の予測の不確実さとこの社会システム、気候システムのイナーシャ、これが相まって大災害の可能性があるということが我々科学者の最大の懸念であります。証拠は、これが成長の限界のスタンダードランが実際の三十年間の世界経済の発展とほぼ一致していると。
 それから、IPCCのシナリオは極めて楽観的であってGDP当たりのエネルギー消費、エネルギー当たりのCO2の排出量はほとんど減少していないと、これが世界経済の実態であるわけです。
 御覧のように、IPCCの最悪のシナリオで排出量は増加して、年間三百億トンを今超えているわけですね。温暖化は確実に進行しておりますし、平均の海面水位もIPCCの予測の一番上限に近いところで推移している。
 世界の平均気温の上昇が産業化前と比較して二度Cを突破するのは、既に避くべからざる情勢となっております。このままでは二〇六〇年に四度C突破もあり得るという予測が今出ております。
 御覧のように、二度C突破する確率が五〇%を超えるのは、あと累積でCO2換算で一兆二千億トン出すとこの二度C突破がポイント・オブ・ノーリターンを迎える。それがいつかといいますと、単純に計算しますと二〇三二年五月十二日が二度C突破のポイント・オブ・ノーリターンを迎える。
 そこで、世界は二度C以下に抑えようということが、これは国際的に実質的に合意されたと私は思っているわけですが、そのためには世界の排出量をなるべく早くピークアウトさせて、二〇五〇年までに五割削減、二十一世紀の末までに八割削減して、結果的にほぼゼロカーボンエコノミーを実現する以外気候の安定化は図れないと。これが科学者の意見だと思います。
 ところが、この二度Cターゲットを守るための排出経路でありますが、これが非常に厳しい削減を迫られているわけでありまして、来年からスタートすれば年率三・七%でよいわけですが、今、年率三%で排出量が増えていますから、実質六%世界全体で削減するしかないと。そういうことは、これはソ連が崩壊したときのCO2の減少に匹敵するわけでございますから、ソ連崩壊時のような社会の大混乱、経済の大後退を招かずにこの大幅削減をすることは容易なことではない、すなわち実質的にもう不可能ではないかということが科学者の憂慮するところであります。
 それで、これはドイツ政府の報告書でありますが、二度Cターゲットを六七%の確率で守るためには今後七千五百億トンしか放出できない。世界人口六十八億人で割り算すると、一人当たり百十トンしかもう出せないと。日本人は今年間約十トン排出しておりますから、日本は許容排出分をあと十一年で使い切ることになるわけです。これは、十二年以降はCO2ゼロで暮らすしかないと。これはもう容易ならざることでありまして、これが日本の社会の隅々までまだ認識が行き渡ってないということが非常に大きな問題である。
 これはそのほかの問題ですが、昨年十二月に、これはイギリス政府の研究センターでありますが、猛烈な勢いで温室効果ガスが増えているわけでありますが、このままでは二〇六〇年にも四度C突破の可能性が出てきたと。それから、二十一世紀に入って最初の十年間はこの百六十年間で最も暑い十年間であって、今年は過去最大の気温になるだろうということが今予想されているわけであります。
 そこで、世界の平均気温が三から四度Cを突破するような事態になれば、幾つかの地球の気候のサブシステムがティッピングポイント、つまり臨界点を超えて急激な気候変化をもたらす可能性が高いと判断しているわけです。
 温暖化は、水、生態系、食糧、沿岸域、健康等、これは徐々に被害が増加していくという問題と、もう一つは突発的に変わるということが今懸念されていて、このティッピングポイントが、ティッピングエレメンツと言っておりますが、世界にたくさんあるわけです。実は、日本は幸か不幸かティッピングエレメンツから離れたところにおりまして、日本だけがのうてんきで世界規模の異変に気付かずにいるのではないかというふうに私は懸念しているわけです。夏の北極海氷が消滅、グリーンランドの氷床が大崩壊をし、北方の森林が枯れて、南極の西大陸が大崩壊を始め、アマゾンの熱帯雨林が枯れ出すと、これがあと四十年以内に恐らくティッピングポイントを超えるであろうというのが標準的な見方なわけであります。
 御覧のように、九月の北極海氷の面積は専門家の予想をはるかに上回るスピードで今減少していて、今後十年から三十年で夏の数か月は北極海から氷が消えるということが懸念されているわけです。アマゾンもあと二十年で六割が破壊される可能性がある。グリーンランド氷床は既に年間二千七百億トンの氷を失っている。ボリビアのチャカルタヤ氷河は予想より六年早く消滅したわけであります。
 急激な気候変化は、これは気候戦争をもたらす可能性があると今憂慮されているわけでありまして、この地球温暖化問題は実は安全保障問題であると。この気候変化が我が国の安全保障にどのような影響を及ぼすか、これは詳細な調査を行うべきである。既に日本の防衛省は予備的な調査を行っているわけでありますが、これはイギリス、アメリカ、ドイツ、詳細な調査報告が出ているわけでありまして、この温暖化の問題を安全保障の問題と我々は考えなければいけない。気候戦争、クライメート・ウオーズという本が出版されておりまして、その中では、早くて二〇三六年にはインド、パキスタンが水争いから核戦争に及ぶと、二〇四〇年代には中国が環境崩壊から内戦に至るというようなシナリオも検討されているわけであります。地域的なホットスポットもたくさんあるわけであります。
 さて、気候ターゲット二度Cがイタリアのラクイラ・サミット、それからG8及びMEF、さらに昨年十二月のコペンハーゲンの合意で世界的に実質的に受け入れられたことは高く評価されるわけであります。二度Cターゲットを守るためには二つのやり方があります。一つは低炭素革命を実行するか、化石燃料を使い続けながら地球を冷やす、このジオエンジニアリングに頼る方法があるわけであります。
 ラクイラ・サミットで二度Cが合意され、IEAは既に二度にわたりこの二度C、四五〇ppmシナリオを達成するための手段を提案しているわけであります。御存じのように、省エネを大幅に進める、原子力発電所を二十年で二百三十五基建設する、さらにはCCSを四百六十基建設する、再生可能エネルギーを大幅に増やす、これがシナリオであるわけでありまして、これは天文学的な努力を必要とするわけでありますが、私の意見はこれをやるしかないと。つまり、私は原子力を極めて重要視しなければいけない、その上でこの再生可能エネルギーを全力を挙げて増やしていくということだと思います。
 温室効果ガスの大幅削減の政治的合意が遅れているわけでありまして、二度C突破のポイント・オブ・ノーリターンが二十年以内に近づく中、地球を冷やす、つまり気候の緊急事態において部分的、全域的に、地球全体を冷やさなければいけない事態が迫っているという判断から、このジオエンジニアリングに国際的な注目が集まっているわけです。
 既にアメリカ、イギリスの下院の委員会は公聴会を開催しておりますし、昨年九月には英国王立協会がレポートを出しておりますし、さらに来月三月にはカリフォルニアでアシロマ・コンファレンスセンターでジオエンジニアリングの野外実験のガイドラインの作成が行われる予定であります。英国政府も米国政府も予算を付けると言っているわけでありまして、このジオエンジニアリングは、しかしながら副次効果が非常に大きい、CO2削減の完全な代替策にはなり得ない、しかしながら我が国も早急に調査研究に着手する必要があるというふうに私は思うわけであります。
 御覧のように、二〇〇六年にノーベル賞を取ったポール・クルッツェンがジオエンジニアリングをタブー視しないで研究開発をすべきだと発言をして、例えば巨大な円盤を宇宙空間に打ち上げる、ただ、この太陽光遮へい板を実現するには五百兆ドルのお金が掛かるということで、ほとんどこれは無理だと。それに対して、太陽光反射の屋根を付けるとか、それからヨットで雲をつくり出して、雲を白くして太陽光線を反射するとか、硫酸エアロゾルを年間百五十万トン成層圏に注入するということが今大変注目を集めているわけでありまして、フィリピンのピナツボ火山の爆発のときに同じ状況が起きて、地球の表面温度が〇・五度Cほど下がったわけであります。この方法は非常にチープであります、安い。試算によりますと四十二億ドルで実現できると。
 ところが、やればいろんな副次効果がありますが、一つは、青空がなくなる、あるいは血の色のように赤い夕焼け空を毎日見るようになるという、そういう副次効果があって、やるかやらないか、インターナショナルガバナンスをどうするかが今焦眉の急の問題になっています。これが王立協会のレポートです。
 アメリカのスチーブン・チューは、屋根を白くする、道路を白く舗装することを今指示しているわけですね。さらに、ビル・ゲイツは、四百五十万ドルをポケットマネーからジオエンジニアリング研究に支出して、さらに彼自身も五つの特許を今申請中であります。これに対しては環境NGOは猛烈に反発しておりまして、ジオエンジニアリングの特許は認めるべきではないという主張を展開している。
 これがアシロマセンターでありますが、来月、ここで野外実験のガイドラインが策定されるという事態に今なっているわけです。
 そこで、これはイギリスの機械技術者協会でありますが、軽減策、適応策、ジオエンジニアリングということで、このMAGですね、MAGロードマップというものを彼らはもう作っているわけです。
 私は、二度Cターゲットを守るためには低炭素革命を断行することが現在の最善の方法であると考えておりまして、環境イノベーションとエコプロダクツに優れる我が国は、グリーンな経済成長に全力を挙げるべきである。日本は、アジア・グリーン成長フォーラムをAPOのエコプロダクツ国際展に合わせて開催して、低炭素革命を世界的にリードしてはどうかということが私の意見でありまして、今日お持ちしたのは、これはアジア生産性機構という、これは日本政府がほとんど財政的に支援している国際機関でございますが、本部が日本にあります。そこが今、毎年のように国際エコ展を開催して、エコ製品のデータベースを作っているわけであります。
 この中には八百の日本の誇るエコ製品、日本以外のものもございますが、大半は日本の製品でありますが、日本の優れた特徴は、切れ目なしに我が方はエコプロダクツがあると。これをアジア太平洋に展開するということが日本の最大の国際貢献ではないかと考えております。
 どうもありがとうございました。
#4
○会長(石井一君) それでは、次に椋田参考人から御意見をお述べいただきます。
#5
○参考人(椋田哲史君) ただいま御紹介いただきました経団連の椋田と申します。
 本日は、このような場で私どもの考えを述べさせていただく機会を賜りまして、本当にありがとうございます。これまで当調査会では産業界からのヒアリングも何度かされていると伺っており、重複する部分もあるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 さて、気候変動問題というのは、まさに地球規模の問題であり、また長期的課題でありますが、問題を先送りすることなく、今すべきことを一つ一つ具体的に実行していくということが重要だと思います。何かの行動を起こすときには目標がなければいけないということで、私どもは、新しい科学的知見が政治的に合意されるまでの間は世界全体の排出量を二〇五〇年までに半減するというビジョンを官民で共有し、取組を進めていくことが重要であるというふうに考えております。
 それでは、お配りいたしましたパワーポイントを御覧ください。
 スライド二にございますが、二〇〇五年に二百七十億トンの世界のCO2の排出量は、今のままでは二〇五〇年には六百二十億トンとなります。IEAは、これを百四十億トンに半減させるためにはエネルギーの供給サイドと需要サイドの両面で革新的な技術開発が必要であるという指摘をしています。
 スライド三にありますように、まさに革新的技術こそが環境と技術の両立を可能とするものです。日本には問題解決のかぎを握る数多くの技術もありますので、産業界はこれに磨きを掛けて是非解決に貢献をしていきたいというふうに思っております。
 スライド四ですが、二〇五〇年半減に向けた戦略というのは、技術が持つ特性に応じて短期、中期、長期といった時間軸に即して立てていく必要があると思います。
 短期では、何よりも国民や企業の意識改革が重要で、既に多くの企業については温暖化への取組が企業の成長を左右するという考えも広まってきておりますが、過程については、例えばサマータイムなどの導入も含めて省エネの必要性を官民でもっとPRしていく必要があるかもしれません。加えて、現存する最先端の技術、いわゆるベスト・アベイラブル・テクノロジーズを着実に普及させていく取組が望まれます。政府のエコポイント制度、これもこういったことに寄与すると思っております。
 次に、二〇二〇年ごろを見通した中期では、既存の最先端技術の延長線上から大きく離れた技術の大幅な普及というのを想定するのはなかなか困難です。そこで、製品や設備のライフサイクルに合わせて既存の最先端技術の改善と最大限の普及に取り組むと同時に、その先を見越した革新的技術の開発に力を入れていくという必要があります。製品や設備の更新には一定の時間が掛かります。今後十年間で既存の最先端技術をどこまで加速度的に導入できるかが中期戦略のかぎを握っていると思います。
 さらに、長期につきましては、既存技術の延長ではとても半減目標を達成することはできません。ブレークスルーとなるような革新的技術の開発普及が不可欠です。また、この基盤となる研究の国際協力、これも重要だと思っております。
 ここで、経団連のこれまでの取組を簡単に御説明いたしたいと思います。スライド六を御覧ください。
 経団連は、ブラジルのリオの地球環境サミットの前年に当たります一九九一年の四月に経団連地球環境憲章というのを発表いたしまして、地球温暖化問題に主体的に取り組む決意を表明しました。そして、十一の行動指針の一番目として、環境問題に関する経営方針の確立と徹底というのを掲げまして、すべての事業活動において、全地球的な環境の保全と地域生活環境の向上、生態系及び資源保護への配慮などに努めるということを宣言いたしました。また、京都議定書が合意されたCOP3に先立ちまして環境自主行動計画を発表いたしまして、毎年フォローアップをしております。自主行動計画につきましては、透明性を高めるべく外部の有識者による第三者評価委員会を設置するなど、PDCAサイクルを回しているところです。同時に、政府においても、経産省の産業構造審議会と環境省の中央環境審議会の合同のフォローアップも行われております。
 環境自主行動計画について説明は簡単にいたしますが、産業エネルギー分野を中心に国内のCO2の排出削減に大きく貢献してきたと思っております。スライド九の棒グラフにございますように、二〇〇八年度については九〇年比で生産活動量が四・一%増える中で、生産活動量当たりの排出量、つまり省エネが大幅に進んだ結果、排出量を一〇・五%減少することができました。また、スライド十のとおり、こうした結果、各業界で世界最高のエネルギー効率を達成しています。
 経団連の自主行動計画は、目標の達成が視野に入った業種は更に高い目標を掲げるという、税や規制的措置にない良さがあります。例えば、二〇〇七年には二十三業種ということで、その後も多くの業種が目標の引上げを行っています。
 どうしても、自主という言葉があるために目標の達成が不確実なのではないかという御批判をいただくこともございますが、実際には社会的公約と考えておりまして、国内の努力だけでは目標の達成が困難と思われる業種は、海外からのクレジットの購入を行っております。この結果、二〇〇八年から一二年までの五年間に数千億の資金がクレジット購入のために国外に流出する見通しです。こうした実績から、政府が閣議決定をいたしました京都議定書目標達成計画の中でも、自主行動計画は産業界における対策の中心的役割を果たしているという評価をいただいております。
 経団連環境自主行動計画は、京都議定書の第一約束期間である二〇一二年までの計画ですので、我々の考えております短期戦略に該当します。この自主行動計画を更に進化させて二〇一三年以降のポスト京都議定書をにらんだ中長期の戦略が、昨年十二月に発表いたしました低炭素社会実行計画です。スライド十三がその全体像ですが、スライド十四のとおり、この計画は、二〇五〇年の世界の温室効果ガス半減に産業界が技術で中核的役割を果たすということを目標として掲げております。この実現のために、十年後の二〇二〇年まで、国内においては最先端の技術の最大限導入などを通じて国内のCO2の排出を最大限削減するとともに、海外の温暖化防止に向けた意欲ある取組の支援、革新的技術の戦略的開発などを目指しております。
 行動計画に参加いただく業種は、世界最高水準の低炭素技術やエネルギー効率の維持向上を社会に公約をいたしまして、自らが主体的に取り組む内容をメニュー化した上で公表し、実施することとなっています。現在、各業種でどのような取組が可能か知恵を絞っていただいておりまして、夏ごろには全体像をお示しできるというふうに思っております。
 経団連は、こうした各業種の取組が確実に行われますよう、政府と一緒になってPDCAサイクルを回していきたいと思っております。
 実行計画は四つの柱がございますが、スライド十六にございますが、参加業種は生産活動、業務など各分野で設備の新設、更新時などにおける最先端技術の最大限の導入を前提といたしまして、二〇二〇年のCO2削減の数値目標を設定します。目標設定に当たっては、最先端技術の具体的内容、その導入計画の明確化、エネルギー効率の国際比較などによって、この水準が自分で行い得る最大限の目標水準であることを自ら対外的に説明することとしています。
 利用可能な最先端の技術が何かということについては、国際機関でありますIEAとかエネルギー経済研究所などで調査分析が進んでおります。スライド十七、十八にも具体例がございますので、御参照いただければと思います。
 第二の柱は、スライド二十にございます主体間連携です。参加業種は、低炭素社会の実現に向けまして、消費者、顧客、従業員、そして地域住民などの様々な主体との連携を強化することとしています。特に世界最高水準の省エネ製品の開発、実用化などによりましてライフサイクル全体を通じたCO2削減が重要です。
 産業部門の温暖化対策につきましては生産段階でのCO2の削減ばかりが着目されがちですが、経済活動を行っている立場からしますと、こうしたアプローチに違和感も覚えております。
 例えば、スライド二十一にございますように、製品使用段階のCO2には大変大きな削減ポテンシャルがあります。しかし、多くの製品で使用段階の方が製造段階よりも多くのCO2を出しておりますが、スライド二十二のように、使用段階の方が結構大きな削減ポテンシャルがあるということです。
 ただ、CO2排出量が少ない製品を作ろうとしますと生産段階でCO2をより多く出してしまうということもございまして、こうした点も踏まえて温暖化対策の在り方を検討する必要があるというふうに思っております。
 第三の柱は国際貢献の強化ということで、既に多くの実績と経験がありますアジア太平洋パートナーシップを始めとする様々な国際枠組みに積極的に貢献をして、意欲ある途上国に対して我が国の優れた技術、ノウハウを移転していくということを考えております。鳩山イニシアチブというのも発表されましたので、今後これとも連携をしながら、セクター別にベストプラクティスによるCO2排出削減ポテンシャルを評価して、途上国の人材育成を含めた技術移転を進めていくための方策、こういったことを考えていきたいと思っております。
 第四の柱は、二〇五〇年までに世界の温室効果ガス半減という長期目標のための革新的技術開発、この具体的な課題及び削減ポテンシャルを明確化して、中長期の開発普及のためのロードマップを作成、推進していきたいと思っております。
 スライド三十六は鉄鋼の例ですが、コークスの代わりに水素で鉄鉱石を還元するといった研究も進められております。大変息の長いプロジェクトですけれども、是非成功させたいと思っております。
 最後に、温暖化問題への取組は一方で新たな成長の機会をもたらす可能性を秘めております。多くの国や企業が今まさにグリーンイノベーションの主導権を握るべく緑の大競争時代というものに突入したと思っております。経団連もこの提言を三月に行うべく検討を進めておりますが、全体図、スライド三十九を御覧ください。
 グリーンイノベーションを実現する上で何よりも重要なことは、政治のリーダーシップによって低炭素社会の構築に向けた国家としてのビジョンの確立と産学官による共有です。まず、産学官の英知を結集して、長期的視点に立って我が国の取組の明確なビジョンを描いてみんなで共有する。その未来の絵からバックキャストしながら今後やるべきことの工程表を作り上げていくことが重要です。残念ながら、こうしたビジョンというのはこれまで描かれておりません。
 次に重要なことは、先ほどお話ししたLCA的な視点です。
 そして第三に、技術の開発普及のかぎはどうしても企業にありますので、またイノベーションの実現までには様々な障害があります。企業活力が阻害されることなく物づくりが続けられるような環境の整備、特に国際競争上の対等な条件の整備をお願いいたしたいと思っております。これはそのまま雇用や国民生活の向上に結び付くものと思っております。
 最後に、温暖化対策を進める上で国民に開かれた議論を是非お願いいたしたいということです。温暖化対策は、方向を誤れば経済や雇用に深刻な影響を及ぼすということは昨年十一月の政府のタスクフォースの分析結果からも明らかです。日本の経済や雇用に与える影響をしっかり検証して国民に提示した上で、国際的な公平性、実現可能性、国民負担の妥当性について国民的な議論を行っていく必要があると思います。国民の理解と合意なくして効果的に政策を進めることはできません。また、その前提として、公平かつ実効的なポスト京都議定書の国際枠組みの構築と、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意、この鳩山総理の話された点の実現に向けまして、我が国としてもあらゆる外交努力を傾注していただきたいと思っております。
 例えば、今通常国会への提出に向けまして政府で検討が進められております地球温暖化対策基本法案は、我が国の経済や雇用、国民生活に深刻な影響を与えかねない内容を多く含んでおります。昨年末の同法案に対するパブリックコメントでも極めて慎重な意見が国民から出されております。
 したがいまして、法案の作成過程で、消費者、産業界、労働組合など幅広い関係者の意見を直接反映するためのプロセスを丁寧に積み重ねていただきたいと思っているところでございます。
 私からの説明は以上のとおりです。
 どうもありがとうございました。
#6
○会長(石井一君) それでは次に、佐和参考人。
#7
○参考人(佐和隆光君) それでは、御覧のようなタイトルについて、私の思うところを忌憚なく話させていただきます。(資料映写)
 まず、内容の要約でございますが、人類の生存を脅かす九つの危機というのは一体何なのかということをまず最初に列挙いたします。
 続きまして、これらのいずれもが気候変動とグローバリゼーションに由来すると。
 それからさらに、グリーンニューディール、つまり、先進国では気候変動対策なくして経済成長なしだということを明らかにしたいと思います。
 続いて、やはり先進国ではいわゆるケインズ主義的な財政金融政策は今や無効と化した、しかしながら、まだグローバルなレベルは生きていると。これはどういうことかというと、例えば、今回の世界同時不況から脱出するに当たっても、中国が四兆元という財政出動をやったと。その余波で日本経済も息を吹き返しつつあるというのが現状でございまして、つまり、一言で言えば、新興国や途上国には、まだ掘り起こす余地のある潜在的な需要が山のようにあるということなんですね。ですから、そういう意味では、グローバルなレベルでケインズ主義的な政策を考えなければいけない。
 それから五番目が、クリーン開発メカニズムという制度がございますが、これによって途上国、新興国の潜在的内需を掘り起こして先進国への製品、部品の需要を誘発すると、今申し上げたことの繰り返しになりますが。これはまさしく気候変動問題というのが実はこれからの世界経済の成長のかぎとなるであろうということを意味しているわけでございます。
 まず、人類の生存を脅かす九つの危機の一番目は、テロと国際紛争であります。
 これは、同時多発テロに始まって、アフガン、イラクというところにアメリカを中心とするいわゆる有志連合というのが派兵して、そしていまだにアフガンでもイラクでも状況は泥沼化していると。こういったことの根源にあるのは、やはりグローバリゼーションの下での国家間の貧富の格差と資源争奪が火種であるということであります。
 それから次に、二つ目が、気候変動による被害の頻発であります。
 二〇〇三年の欧州熱波に始まって、ハリケーン・カトリーナ、それから長江のはんらん、それからオーストラリアの干ばつによる小麦の収量の減少とか、それからおととしにはミャンマーをサイクロンが襲って十万人以上が死亡するといった、今までの常識では考えられないような気候異変というのが現に起きているということなんですね。
 それから、三つ目の危機というのは、原油価格の高騰であります。
 二〇〇二年一月から〇八年七月にかけまして原油価格が七倍高という高騰ぶりを示したわけですね。その後、世界同時不況の襲来によって急落いたしましたけれども、〇九年二月を底に反転上昇に転じました。そして、IEA、国際エネルギー機関の予測によりますと、二〇三〇年には二百ドル・バレル、バレル当たり二百ドルまで上昇するであろうと。
 高価格化した希少資源である石油は一体何に使われるのかと。そうすると、自動車をガソリンで走らせるなんてもったいない、ディーゼルで走らせるのももったいないということで、結局、いわゆる石油化学ですね、石油化学製品というのにやはり非常に希少化した、乏しくなった原油というものが向けられると。そして、自動車、飛行機、船舶というものの燃料転換が図られねばならないと。
 これは、原油価格の急騰と急落、そして、同時にまた、去年の二月を底にして再び上昇に転じて、今は七十八ドルぐらいでしょうか、バレル当たり、というその模様を示したものであります。
 それから、四つ目の危機というのは、再生可能エネルギーの利活用でございます。気候変動の緩和、低炭素社会の構築の切り札として、太陽光、風力、バイオマスなどの利活用が欧米先進国、中国、そして日本でも推進されるようになりました。
 しかし、これはなぜ危機なのかといいますと、電力送配電系統が不安定になる。つまり、こういう再生可能エネルギーというのは、供給量、発電量そのものが非常に不安定であり、電圧も不安定、周波数も不安定な、そういう不安定な電気が大量に送配電線に流れ込んだらどうなるかということで、そこで出てきた考え方が一つスマートグリッドというやつでございまして、送配電網の系統の安定化とか、そのほかスマートグリッドといいますといろんな意味合いがあるわけでございますが、そういったところがその危機克服のための一つの打開策として提案されているわけであります。
 それから、五つ目の危機は食料価格の高騰であります。これは皆様方御記憶のとおり、二〇〇六年から〇八年の半ばにかけて世界の穀物市場で価格が急騰いたしました。理由は幾つか挙げられますが、ここでは省略させていただきます。
 しかし、これも実は気候変動と非常に密接不可分の関係にある。このAのところに地球規模の気候変動の影響ということで、これは先ほど申し上げた、オーストラリアで二〇〇六年に干ばつが襲って、その結果として小麦の収量が六〇%減ったということを申し上げましたが、気候変動の影響で穀物の収量が激減するというようなことが現に起こっている。
 それから、バイオ燃料というのは、これはいいんだということで、トウモロコシやサトウキビというようなものがバイオエタノールに転換されて、それでガソリンに混ぜて走るというようなことが特にブラジルやアメリカで盛んに行われるようになった、それも一つの原因。それから輸出国の輸出規制、それから投機マネーの穀物市場への乱入等々が挙げられるわけです。
 次の図は、これは穀物の価格上昇をそのまま示したものでございますが、意外なことにといいますか、実は米が二〇〇八年に急騰しているわけですね。これはインドが輸出規制をやったからなんです。禁輸措置を講じたからであります。その後、やはりオイルと同じように下がって、そして再び上がり始めているというのが現況であります。
 それから、公衆衛生の旧態化。これは一見関係ないようでございますが、これは要するに新型インフルエンザをイメージしていただければいいかと思うんですが、やはり新しいグローバルな規模での公衆衛生の展開というものが図られなければならないのではないでしょうか。
 それから、国際金融危機ですが、これは二〇〇八年に米国のサブプライムローン問題に端を発して国際金融危機が起きたわけでございますが、それが〇八年九月のリーマン・ショックを経て後、米国では金融安定化法の修正版が上下両院を通過ということで、七千億ドルもの公的資金を用意して経営破綻目前の金融機関を救済したと。ヨーロッパの金融機関ももうどんどん国有化されるというようなことで、国際金融危機というのは特にアメリカ、そしてヨーロッパ諸国にこの危機が生じたわけであります。
 一方、日本では金融危機はさほど深刻ではなかったわけですけれども、これ実は、その金融危機は間を置かずに実物経済にも深刻な影響を及ぼしたと。象徴的なのは自動車産業への影響でありまして、自動車産業という、自動車というのはまさにアメリカンライフのシンボルのようなものですね。そういう二十世紀のアメリカ経済のシンボルともいうべき自動車産業の凋落というのは、これは大変一つの歴史の転換点を示唆する意味を持つのではないでしょうか。
 これは簡単な図でございますが、これは年率換算した各月の売上台数ですが、やはりこれ二〇〇八年に入ってから二〇〇九年にかけて激減していると、ひどいときには半減しているという様子が見て取れるかと思います。そして、今、年間一千四百万台という大台を割り込みまして、とうとう中国が自動車販売台数でアメリカを抜くというような事態になっている次第でございます。
 それから、八つ目の続きでございますが、日本ではやはり経済成長に対して非常に深刻な影響が及んだということであります。私がグローバルなケインズ問題というふうに呼ぶものは何なのかといいますと、発展途上諸国の工業化に伴って工業製品の供給力が有効需要を超過するという世界的な意味での供給超過ですね、これが今回の同時不況の本当の原因であるというふうに私は考えております。
 それから雇用問題です。GDPの成長率が高いとか低いとかいうことよりももっと重要なことは、やはり失業率をできるだけ低くするということなんですが、アメリカでは今現在一〇%超で推移しておりますし、日本でも五%台で推移しているということで、やはり雇用問題というものにもっと今後とも目を向けるべきだと。
 それから、さて、この世界同時不況への処方せんでございますが、先進諸国においては、先ほど申し上げましたとおり、いわゆる財政政策とか金融政策というのはほとんど効かなくなっているわけですよね。第一、その平成不況といいますか、九一年に始まったバブル崩壊不況のときに、あれだけ金利を下げて、そしてあれだけ財政出動をやったにもかかわらず、何の効果もなかったわけですね。今回の世界同時不況に際しても、やはりいろいろ財政金融政策を講じたけれども、先進国においてはほとんど効き目がないと。したがって、先進国においては、今後成長を期待するならば、やっぱりグリーンニューディールの実践しかないんではないかということであります。
 それを言う前に、まずこの図を見ていただきたいんですが、日本では非常に見事に、この一九五六年以降でございますが、三つの期間に分割されるわけですね。つまり、高度成長期というのがあって、そのときの平均年率は九%を超えているわけですね。平均年率がですね、実質経済成長率。それからその次に、オイルショックの後、大体四%台の成長まで落ち込んだと。そして、その後、いわゆるバブル崩壊以降は実質経済成長率は一%。この間、デフレで物価が落ちていますから、だから名目成長率はほとんど伸びていない、九〇年代に入ってこの方ですね。これは大変な危機的状況です。
 それから、この図を見ていただきたいんですけど、これは耐久消費財の普及というのが実は成長の言わば担い手であったということを示しているわけです。つまり、これも一九五五年以降でございますが、御記憶のとおり、電気洗濯機、電気冷蔵庫そして白黒テレビというのが三種の神器と言われたわけですが、それとプラス電気掃除機というのが一九六〇年代にどんどん普及したと。それが普及し尽くした後に、うまく後を三つのC、つまりカラーテレビとカー、乗用車ですね、それからエアコン、当時はクーラーと言っていましたよね、三つのCがそれをフォローしたと。
 そして、その中でも乗用車というのがどんどん売れるというのは、これ御覧いただいたら皆様方もちょっと意外に思われるかもしれませんが、一九七〇年でようやく乗用車の世帯普及率というのは二〇%をちょっと超えたんですね。そして、一九八〇年に五〇%を超えたと。そして、一九九一年に八〇%になるんですね。そして、八〇%になって、それ以降は上がったり下がったりで八〇%台の半ばぐらいをうろうろしているということは、要するに、日本では自動車の保有に伴うコストが非常に高いということで、したがって、結局自動車の普及は言わば頭打ち状態になる。
 そして、言いたいことは、九一年以降のバブル崩壊不況以降に普及したものってすべてデジタル製品なんですね、最近の薄型テレビは別にしてですね。ということは、乗用車というのが売れればあらゆる素材型産業が潤い、石油産業が潤い、損害保険会社も潤い、ショッピングセンターも潤うというふうに、ありとあらゆる産業に対する波及効果が非常に大きいのに対して、デジタル製品は必ずしもそうではないということですね。
 ですから、これから、何かがどんどん普及して、そしてそれが経済成長の牽引力になるとすれば、ここに書いているように、省エネ家電・自動車、太陽光パネル、燃料電池等の普及しかないんじゃないかと。それから、公共事業という側面で見ても、送配電網のスマートグリッド化とか、あるいは住宅・ビルの省エネ化とか、あるいはドイツ型フィードインタリフ、いわゆる固定価格買取り制度ですね、再生可能エネルギーの、そういった制度の導入をして、それがない限り日本経済はもはやもう成長しないというふうに言っても決して言い過ぎではないと思います。
 それから、グローバル・ケインズ主義的政策ですが、これは発展途上諸国の内需を喚起するための政策でありまして、中国は内需喚起策により、去年の第四・四半期の対前年同期比の経済成長率は一〇・七%を記録しております。そして、それが日本の部品・製品メーカーにとっての福音となったということでございます。
 そして、オバマ大統領は、オバマ政権はと言うべきでしょうか、オバマ政権は、米国経済立て直しと再生可能エネルギー、気候変動対策を連動させて、巨額の財政出動を計画中であります。二〇五〇年に温室効果ガス八〇%削減のために再生可能エネルギーの普及促進と、それに伴う五百万人の雇用、これをホワイトカラー、ブルーカラーではなくグリーンカラー・ワーカーズというふうに呼んでいるわけです、そういう雇用を創出すると。そして、再生可能エネルギー比率を二〇一二年までに一〇%、二五年までに二五%の目標を掲げています。
 ただし、ここで一言断っておかなければいけないのは、再生可能エネルギー比率という場合には大型の水力発電所は含まないんですね。だから、水力でも小水力は含むけれども大型水力発電所は含みません。
 太陽光発電の固定価格制度の導入というのは、これ日本でも去年の十一月から始まっておりますが、世界中各国で採用されております。
 それから、グリーンニューディールにつきましては、エコカー、再生可能エネルギーの導入のインセンティブを仕掛ける必要があると。要するにこれは、ここで細かいことを申しませんが、この文脈の中で、例えば環境税とか排出量取引制度というものも出てまいるわけですね。
 そして、やっぱりインセンティブと。これはあるアメリカの経済学者が、経済学のエッセンスはインセンティブの一語に尽きると。つまり、インセンティブをどうやって仕掛けるかというのが、これがスマートであり、そしてモダンな政策なんですよね。つまり、規制でぎしぎし縛るというのは、これは非常に野蛮なといいますか、余りスマートでないやり方だと思うんですね。ですから、スマートな政策というのはそういうインセンティブを上手に仕掛けるということが必要だと。
 それで、オバマ大統領は、一月二十日の大統領就任演説の中で、我々のエネルギー消費の在り方は敵を強化し、これは気候変動ですね、を強化し、地球を脅かしていることが日を追うごとに鮮明になっている、太陽、風、大地を使い自動車を動かし工場を稼働させるということを言っています。一月二十四日のネット演説で、風力、太陽光、バイオ燃料など再生可能エネルギーの生産を三年で倍増する。延べ四千八百キロメートルの送電網、スマートグリッドを新設する。エネルギー効率の悪い連邦政府ビルの改築。それから二百五十万戸の住宅を省エネ化するということですね。
 それから、新興国、発展途上国の潜在的な需要の掘り起こしですが、まず途上国に潜在的な需要を掘り起こすことによって、それがブーメラン効果というやつで、例えば日本の製品、部品に対する需要として跳ね返ってくると。先進国でのケインズ主義的財政金融政策はもはや無効なんですから、CDM、クリーン開発メカニズムが先進国から新興国、途上国への資金の流れをつくると。ここにも気候変動緩和策と経済とのポジティブな関係が見て取れるのではないでしょうかということでございます。
 以上でございます。
#8
○会長(石井一君) これより質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。
 なお、従来どおり、質疑の時間が限られておりますので、委員の発言は三分程度以内とお願い申し上げ、その都度答弁者を明示していただきたいと思います。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 それでは、有村理事。
#9
○有村治子君 三人の先生方、今日は本当にありがとうございます。自由民主党の有村でございます。
 まず、山本先生にお伺いしたいと存じます。
 先生は、大変勉強になりました、原子力については積極的に推進していかなければかなりチャレンジングな目標達成には到達できない、原子力というのはもう当然安全に快適に使っていくべきだというお立場だというふうに理解をしておりますけれども、今度与党がお出しになられる、民主党さんが今頑張っておられる地球温暖化対策基本法の中では、仄聞するところによると、その原子力ということがまだ見出しの一つにもなっていないかのようでございます。
 それに対して、やはり現実をしっかり見据えるという意味では、どのようなビジョンがあり、またどのくらい推進しなければ鳩山政権が打ち出された目標というのがどれだけ難しいのか、もう少し御言及をいただければ有り難いと存じます。
 それに関連して、椋田参考人にお伺いをいたします。
 経団連の御主張は私も常々お伺いしておりますけれども、それだけを伺っていると極めてリーズナブルな御主張をしていらっしゃるなという、そんな思いで、本当にぎりぎりのところで大変な御努力をされているというふうに思っておりますけれども、この地球温暖化対策基本法にこれだけは守ってもらいたい、このことを気を付けてほしいと、イコールフッティングということを御主張されていますけれども、日本だけが踊らされることのないようにここには気を付けてほしいという御主張があればお教えいただきたいと思います。
 同じ観点で、佐和先生からも御言及いただければありがたいと思います。
 以上です。
#10
○会長(石井一君) それでは山本参考人から順次御意見をお述べいただきたいと存じます。
#11
○参考人(山本良一君) 原子力につきましては、国際エネルギー機関の二度C、四百五〇ppmシナリオ実現のための方策のところにも書いてありますように、CCSとか、それから再生可能エネルギー、再生可能エネルギーは、これは、例えばソーラー発電については百三十倍くらいに増やさないといけないとか、それから世界的に年率二%くらいの省エネを達成するしかない。これ、年率二%の省エネというのは物すごいことでありまして、世界全体ですから、現在は年率〇・九%で推移しているわけですね。それを二倍以上にしなくちゃいけない。
 したがって、再生可能エネルギーを増やすとか、それから省エネをやるとかCCSをやるというのはもうほとんど極限に近いわけで、それだけですべてを、温室効果ガスの削減をすることはできなくて、やはり原子力を活用するしかないという考え方なんですね。原子力で必要な削減量の一六%を賄うということでありますから、私も原子力をやはり大事にしなければいけないと。
 それから、私は実は、原子力委員会の中に作業委員会ができまして、その座長を引き受けて、福田内閣のときに新しい原子力のビジョンを、これを半年掛けてまとめまして既に政府に提出しておりますので、それをごらんになっていただければ全部、日本の新しい原子力ビジョンが書き込まれてございます。
 私は、今度の地球温暖化対策基本法ですか、そこにもやはり原子力をきちんと明記してはどうかと考えているところでございます。
 ありがとうございました。
#12
○参考人(椋田哲史君) お答えいたします。
 地球温暖化対策基本法につきましては、先ほども若干申し上げましたように、日本経済、雇用、国民生活に、あるいは企業の国際競争力、大変大きな影響を及ぼしかねない内容がかなり含まれているというふうに我々は承知しております。ですからこそ、法案の作成に当たっては、各政策の具体的な設計、あるいは効果、国民や企業にどういった影響を与えるのか、そういったものをしっかりと明示していただいて、その上で国民の声を直接反映させていただくようなプロセスをしっかりと丁寧にやっていただきたいということが第一点です。
 第二点といたしましては、この中、仄聞するところによりますと、国内排出量取引制度、地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの全量価格買取り制度、こういったものも入っているというふうに伺っておりますけれども、制度の導入ありきということではなくて、これら政策全体でどういった効果があって、どういった影響があるのか、それを十分検証した上で、そして、その上で、十分な国民的な議論を経た上で法案に盛り込む必要があるのかどうか、それをしっかり御判断いただきたいというふうに思っております。
 そして、第三点ですが、中期目標についても具体的な数字が書かれるというふうに伺っておりますが、実現のために具体的にどういった道筋があるのか、そのためにどういった政策を取る必要があるのか、そういったものを国民に明示していただいて、その上でまた、さきに総理が述べられた前提条件の確保の基準というものも明確にしていただいて、国民の理解と合意の上に是非決定していただきたいということが私どもの要望でございます。
#13
○参考人(佐和隆光君) 幾つかの論点があるわけです。まず原子力について一言申し上げますと、結局、電力の自由化が一定程度進んで、そして電力会社にも、今までのような地域独占はこれはもうやめにして、その代わり、もっと民間企業になりなさいというようなことを言っているわけですね。
 そうしますと、結局、恐らく今の電力会社としては採算ベースでは原子力発電は造らない。つまり、要するに高く付くわけですよね。やっぱり立地のために十五年間掛かって、そしてその間、人と金を使って、そしてこれ立地しても、今度はその後もいろんな意味での社会的なコストが掛かると。そういう状況の下で、なかなか造るモチベーションがない。しかも、電力需要が伸びないわけですね、今。伸びないわけです。
 そんなときに、大きな原子力発電所を造ることの、何というんでしょうか、これまでの電力会社は、地域独占というものが国によって許されているということに対する言わばエクスキューズミーというような感じで一生懸命使命感を感じて原子力発電というものを推進してきたと。ところが、これ、今のように民間企業になれと言ったら、民間企業のそろばん勘定からすれば原子力発電はやっぱり割に合わないと。その最大の一つの大きな理由というのは、先ほど申し上げた要するに需要が伸びないということなんですね。ですから、なかなか難しい。それから、当然パブリックアクセプタンスの問題もあるわけですね。
 そういう意味で、なかなか、山本先生がおっしゃることも分かるんだけれども、事実上推進することは難しいんじゃないかというふうに私は思います。
 それからもう一つは、まず、これも椋田参考人の御発表の中に、参考人としての御報告の中にベスト・アベイラブル・テクノロジーという言葉が出てきましたよね。ベストアベイラブルなテクノロジーの中でベストなものということですね。だけど、アベイラブルなテクノロジーでもコストが物すごく高かったら、だれもそういう技術は実用化しないわけですね。
 だから、ベスト・アテイナブル・テクノロジーと。つまり、アテイナブルというのは、これはちゃんとコスト的にも十分見合うといいますか、そういうコストなら十分、要するに支払うことができるというような意味でも、あるいは社会的なアクセプタンスもあるという、そういうベストアテイナブルなテクノロジーと。アベイラブルじゃなくてアテイナブルなテクノロジーの中からベストなものを選ぶという、そういう考え方がこういうエネルギーとか環境の問題を考える場合には必要ではないかと思います。
 それから、温暖化対策基本法についてでございますが、まず、二〇〇八年に、福田内閣のときに、二〇五〇年までに、これは何に比べて、九〇年比とは明確におっしゃっていませんけれども、現状に比べて六〇ないし八〇%削減するということを閣議決定されているんですよね。何か四十数年先のことなら、みんな死んでいるからいいじゃないというような感じで。ですから、そういう意味でコミットメントにならないというふうにお考えだったのか、すんなりと決まっているわけですよね、六〇ないし八〇%削減、いいですか、二〇五〇年に。しかし、二〇二〇年については極めてあいまいであったと。二〇二〇年では皆さんも生きていらっしゃるからですよね。
 そうすると、二〇二〇年というのは、これは二〇五〇年で六〇ないし八〇%削減するための一つの道筋として必要であるというふうに理解すべきです。だから、二五%削減したら国民生活にかくかくしかじかの負担が掛かるとかいうような、そういう議論をするんじゃなくて、これはまず必要であるという前提で議論をしていただきたいというふうに思います。
 以上です。
#14
○会長(石井一君) ありがとうございました。
 大島九州男君。
#15
○大島九州男君 どうも今日は先生方、ありがとうございます。
 まず、山本先生にお伺いをいたしますが、このジオエンジニアリングの中で、先生が考えられる中でこれが一番現実的で効果があるんじゃないかというのを一つ挙げて教えていただきたいと思います。
 それから、椋田参考人に、今回、今米国トヨタの問題だとか、あのリコールの問題ありますが、ああいう問題が今後一つの大きな経済の中で及ぼす影響というものがどういうものになるのか。また、今アメリカで徹底的にやられていますけれども、やはりこれは日本のトヨタの車が結構世界的に売れている部分においてのちょっとバッシング的な部分もあるのかなと。そこら辺の私見をちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
 それから、佐和参考人に、今後の再生可能エネルギーの中で、例えば風力も大きい風力は今なかなか、低周波がどうだとかこうだとか言われていますが、それを回避するのに洋上の風力をやろうなんていうような九大の大屋先生なんかの取組があったりとか、いろんな先進的な取組があると思うんですが、今後の中でやはり一番これが現実的で進んでいくだろうというふうに思われる、そういった技術というのはどういうのがあるのかを教えていただきたい。
 それとお三方に共通してお伺いをしたいのは、原子力の、まあ結局は最後、廃棄をしていかなくちゃいけなかったり、解体をしていかなかったりしなければならない原子力発電所のエネルギーの燃料棒の問題であるとかいろんな問題があると思うんですが、そういった最後の始末の部分について、皆さんどのような考え方をお持ちなのかと。造れば造るほど必ず最後はその処理をしなけりゃならないんでしょうけど、そういった部分が、先ほど佐和参考人のお話にもありましたけれども、コストを考えて、まあ処理を考えると、三百年後先なんかを考えたときに、だれがどう責任を持ってやっていくのかと。当然、動燃だとか原燃だとかそういうところが責任を持てるはずもない部分のところを皆さんはどういうふうにお考えなのかということを併せてお伺いをしたいと思います。
#16
○会長(石井一君) それでは、山本参考人からお願いを申し上げます。
#17
○参考人(山本良一君) ジオエンジニアリングにつきましては、これはまだ提案段階のものがほとんどでございまして、一部実験が行われているという段階でございます。したがって、どれが最も有望なものということを私は申し上げられないわけでありますが、評価の観点が幾つかございますけれども、余り副次効果というか悪影響がないものとして将来的に注目されているのが、空気から、大気から直接CO2を回収する技術を開発をする、それからバイオチャーと言いまして、これはバイオマスを炭にして、これを土壌にすき込んで固定化すると。これは土壌改良とか農業の農作物を収量拡大するということでかなり実験が行われているわけですね。
 それから、今国際的に注目されているのが硫酸エアロゾルを成層圏に注入するという方法で、これはコストが安くてやれるということで、特に欧米で今急激に研究が進んでおります。
 もう一つは、海に大量の船を、まあ二千隻くらいヨットを並べて、そこで海水を空気中に噴霧して雲を作り出して、その雲で太陽光線を反射すると。これがイギリスとそれからアメリカの議会の委員会が共同で四月には報告書を出すと言っておりますので、日本もそういう調査研究は進めた方が私はいいんではないかと考えております。
 二つ目の原子力の廃棄物の処理処分の問題でございますが、そこで私は、この温暖化地獄、つまりこのCO2の問題というのが極めて深刻であるというふうに今認識が相当変わりつつありまして、というのは化石燃料起源のCO2を大気中に出しますと、平均して三百年大気中に実質上残留していると。一部は五千年とか数万年、実質的に空気中に残って地球温暖化させるわけですから、これはまさに放射性廃棄物と同じような問題なんですね。
 そこで、放射性廃棄物の処理処分の問題はどうかといいますと、これはもう三十年以上長い研究の歴史があって、処理処分の技術は私はもうほぼ完成しているというふうに考えておるわけです。問題は、どこで、その最適サイトですね。サイトの選定のところでまあいろいろ議論があるわけでございますが。
 ですから、今のままの状況で地球温暖化をこのまま我々が進行させる方がはるかにはるかに大変な事態を招いてしまうと。それよりははるかに原子力に依存した方が、これは様々な国際法があってリスクが管理されていますから、そちらの方がマッチベターだというのが私の考えでございます。
#18
○参考人(椋田哲史君) まず、トヨタの話につきましては、こうした場で責任を持ってお答えできるだけの情報がございませんので、回答は控えさせていただきます。
 あと、原子力につきましては、私も山本先生同様、低炭素社会をつくる上での最大の切り札だと思っております。太陽光もこれからもっともっと技術革新が進むと思いますが、やはり今のエネルギー変換効率、それから稼働率等を考えますと、まだまだもっともっと技術革新を続けていかなければいけない部分は相当多いと思っております。
 そうした中で、バックエンドの費用の話につきましても、技術的な面ではもう相当程度完成されているわけですから、既にバックエンドの費用についてのいろいろな試算も出ております。ですから、そういった試算を基に、まさにそれを国民でどうやって負担をしていくのか、その国民的な議論をしっかりと情報公開をしながらしていくということに尽きるんだと思っております。
 以上です。
#19
○参考人(佐和隆光君) 幾つか問題が出されたわけですが、まず再生可能エネルギーの可能性についてでございますが、やはり私は、まず今後の電力供給というものを考えるときに、再生可能エネルギーというのにまずプライオリティーを与える、それでやれるところまでやってみると。それでも十分だとは私は決して思いません。その上で、それでやれるところまでやって、じゃまだ足りませんよということになれば、そうするとそこで初めて原子力の出番がやってくるんだと思います。
 それで、そのためには、先ほどもちょっと触れましたが、フィードインタリフという固定価格買取り制度なんですが、これがドイツと日本というのを比較すると、どうも日本の方はやっぱりお粗末に過ぎるんですね。つまり、余剰電力に限って二倍の値段で買うと。それから、例えば要するに家庭用にしか適用されない。風力等々には全く適用しない。
 じゃ、ドイツではどうなっているのかといいますと、まず、余剰電力だけではなくて、全量買取りをやりますということが一つですね。それから、すべての再生可能エネルギーに適用しますと。風力でも何でも買いますよというわけですね。三倍の値段で買いますよというわけですね。もちろん地熱、それからごみ発電、何でもいいです。あるいは小水力、何でもいいんです。そういう形で事業としての再生可能エネルギー発電も買い取りましょうと。例えば、大きな駐車場を持っている人がそこに屋根を付ける、屋根を付けてその屋根に太陽電池をべったり張る、そこで発電したのも買いましょうと。そのぐらいのことをやらないと。
 そして、今後二十年にわたって要するに三倍の値段で買ってくれるわけですね、ドイツの場合は。ところが、日本の場合は十年ですね。だから、なかなか日本のフィードインタリフではとても元が取れないというのが、これは偽らざる実情だと思います。
 そういう意味では、ドイツぐらい思い切った政策をやって、徹底的にその普及を図ってみるということですね。そうすると、例えば洋上の風力なんというのだって、それは元々イニシャルな投資コストが物すごく掛かりますしね、そういうのもやってみようと。そうしたら、結構、十年、二十年という時間的視野で考えれば十分元が取れるというようなことで、実際そういう行動を起こす人が出てくるということだと思います。
 それから、その次に原子力についてですが、やはり原子力に関しては、先ほどちょっと申しましたので繰り返しませんが、私は、今、要するに民間の電力会社に任せておいただけでは、もう原子力はこれ以上新規建設ということは難しいだろうというふうに思います。
 しかし、問題は、原子力のテクノロジー、技術というのをどうやって持続、つまりサステインしていくかということですね。ところが、もし仮に今後十年間一基も原子力発電所が造られない、新規着工されないとするならば、そうすると間違いなく原子力の技術者というものはもうほとんどいなくなってしまうと。そして、十年、二十年たってやっぱり原子力が必要だということになったときに技術者がいないというのは困るということで、私は、やっぱり原子力に関しては、国が責任を持って、言わば技術をサステインするために、原子力発電公社と言うとちょっと大げさですけれども、そういうことで、技術を維持していくというようなことで、そういう対策でも考えないと、やっぱりエンジニアがいなくなってしまうということに対して危惧の念を抱かざるを得ません。
#20
○大島九州男君 私も、今後の電力会社、佐和先生がおっしゃったように民間になりなさいと。はっきり言えば、いろいろなところで、工場でつくったりとか、今さっきおっしゃった駐車場でつくったような電力を、電力会社というのはネットワークで、ちゃんとそれを供給するネットワークで生きていくと。だから、自分が発電しなくても、そういった家庭やいろんなところで発電していくものを整理していく中で生きていく、そして、なおかつ足りなければおっしゃるような原子力でやる部分がいいんじゃないかと。
 それともう一つは、山本先生がおっしゃった、原子力の廃棄の部分の技術は確立をされているというふうな認識でおっしゃったんですけれども、僕らが現場に行って、あのガラス棒を作るといったときに、それが本当に理論的にはできていても現実的にはうまくいかないところを見ていくと、もっともっとやっぱりここら辺のところに日本が努力をしていく部分かなと。だから、今ある原子力の技術というのは、当然平和利用の中で生かしていくことは必要でしょうけれども、今後大きく問題になるやっぱり廃棄の部分の技術というか、そういったものを現実的に確立をしていければいいなというふうな思いを持っているということでございます。
 御答弁は要りませんので、感想を述べさせていただきました。
 ありがとうございました。
#21
○会長(石井一君) それでは、丸山和也弁護士。
#22
○丸山和也君 特に山本参考人にお聞きしたいんですけれども、ほかの方もあれば言っていただいて。
 ちょっと、やや漠然としたというか質問で申し訳ないんですけど、何年か前に宇宙の、ホーキング博士というのが、講演がありまして、その中で、私の記憶によりますと、人類は、この地球上のですよ、地球上の人類は、恐らく最大限長く生きたとしても百年はもたないだろうということをかなり断定的におっしゃっていたような記憶があるんですね。いろんな原因があるんですけど、この地球温暖化問題というのも大きな原因だったように思うんですが。
 それで、山本参考人が、資料の中には、例えば全く対策を取らなかった場合、水とか生態系、食糧、健康、いろんなことがこうなるだろうとおっしゃっているんですけど、これはなかなか予測難しいし、そうあってはならないために努力をするのが我々の使命なんですけれども、いろいろ努力しても非常に難しい問題もあるし、四度Cの上昇も避けられないかも分からないというようなことも断片的におっしゃっているところからも読み取れるんです。
 これから対策をやるんでしょうけれども、最悪の場合、人類というのはこの地球でどれくらい生存できるかというふうに思われますか。
#23
○参考人(山本良一君) その問題については、ちょっと紹介させていただきたいのは、イギリスにガイア理論を提唱したジェームズ・ラブロックという有名な先生がいて、この方はもう九十歳くらいなんですね。この方はもう数冊本を出されて、最近、やはり二十一世紀中にもう四十億から五十億くらいは死亡すると、この地球の温暖化の気候変化の影響でですね。それは九十歳の老科学者が言っていることなんですが。
 実は、私が今非常に心配しているのは、この気候科学のトップサイエンティストであるアメリカのNASAのゴダード研究所の所長のジェームズ・ハンセンという方がいらっしゃって、彼は昨年末にストームズ・オブ・マイ・グランドチルドレンという本を出版したんですね。これは私の孫の時代のあらしという本で、彼ももう六十九歳なんですよ。彼ももう相当深刻に考えていて、ですから、六十九歳のハンセンの孫の時代には、アメリカを相当強力なパーフェクトストームというかキラーハリケーンが襲うだろうと予言しているわけですね。先ほど紹介したビル・ゲイツの五つの特許というのは、それは、キラーハリケーンがやってきたときにその勢力を弱めるためのビジネスモデルで、ビル・ゲイツが特許を今出しているんですよ。
 私は、そういうことを考えると、先生の御質問なんですが、事態は非常に深刻なところに来ている。つまり、科学者は、これ以上政治的合意が遅れるようであれば、もう気候の非常事態に突入することが必至の情勢と考えているわけですよ。だから、したがってイギリスの王立協会、ロイヤルソサエティーというのは三百五十年の歴史のある世界の最も古い科学協会が八十三ページのレポートを出して、もうジオエンジニアリングをタブー視するのではなくて、様々な軽減策、適応策、それプラスジオエンジニアリングで我々は事態に対処するしかないと。一番恐れているのは、北極海氷が夏の数か月解けるという事態があと五年から二十年で起きるだろうとみんな考えつつあるわけですよ。起きたときにどうするか。これはもう北極圏だけでもジオエンジニアリングをやるべきだという意見が今出始めているわけですね。
 ですから、このまま事態を放置すれば、私は数十年で大変深刻な事態になるだろうと、そう考えているわけです。
#24
○会長(石井一君) ほかに、皆さんいかがですか。
 それでは、加納時男君。
#25
○加納時男君 自民党の加納時男でございます。
 山本先生に一点伺い、それから椋田先生、佐和先生に一つずつ伺いたいと思います。
 まず山本先生ですけれども、先ほどジオエンジニアリングの話、冒頭に伺って、百五十万キロメートルぐらい先の宇宙に遮へい板を乗っけるという研究もある、御提案もあるというお話で、非常に刺激的なお話だったと思うんですけど、もうちょっと具体的に、手近な話で、今私は太陽光をファンで応援しているつもりなんですけど、地上の太陽光、どうにもこうにも低効率で非常に高コストで往生しているわけですね、何とかお金付けてというのが今の政府の方針ですけど。
 もうちょっと科学的な観点で見ると、太陽光の地上まで来て薄い密度のやつを濃縮するというのは、とてもじゃないけど利用するのは非効率なので、私もその議連やっているんですが、SSPSという、スペース・ソーラー・パワー・システムズ、三万五千キロぐらいのところにステーションを上げまして、そこでマイクロウエーブとかレーザーにして地上に運ぶという、かなり原理的には明確になってきたし、いろんな要素技術、日本も研究進んでいるんですが、これについての先生の御所見を伺いたいというのが一点です。
 それから、椋田先生に伺いたいのは、先ほどのお話で革新的製鉄プロセスというようなお話があって、これもとても夢のある、今日は夢のある話が多いんですが、夢いっぱいの話だと思うんです。
 要するに、Fe2O3という鉄鉱石のOを取ればいいわけですから、何も炭素で取ることはないので、水素で取れればこんなきれいなことはないというのはとてもよく分かるんですけど、私の質問は、そうであっても、先ほど椋田さんが注意深く、実用化、普及はかなりまだ先だと、二〇五〇年ぐらいだと言われたんですが、そこで椋田さんに伺うのは、この技術的可能性なのか、経営的可能性なのか。
 技術的可能性というのは、この技術はもう確立しているんですか、まだ開発中なんですか、いつ開発できますかという見通し。それから、経営的可能性というのは、実はこれ入れる場合には、あしたぽんと入るものじゃありません。高炉のリプレースに合わせてやらなきゃいけないと私は思うんですけど、そういう理解でよろしければ、高炉のリプレースのタイミングを見ていくと何年ぐらいまでにこれが本当に経営として判断して投資されるのか、是非伺いたい。
 最後に佐和先生に伺いたいと思うんですけど、今日、経団連の自主行動計画が先ほど椋田さんからお話がありました。自主行動計画、実は私自身が経団連にいたときに地球環境部会長として作った一人でございますので、これ非常に自信があったんですけど、そのときに大変社会から批判がありました。こんな自主的行動計画というのはあかしが立たないじゃないかと。要するに、計測、報告、検証、これよく我々の業界用語でMRVと言いますけど、メジャーメントとそれからレポーティングとそれからベリフィケーションですけど、このMRVがないと不十分じゃないかということを、国連の会議で私が発表したときにも批判がありました。
 こういったことの議論もずっと佐和先生見ていらっしゃったと思うんですけれども、今日の経団連の発表で見ると、ほかの分野はいざ知らず、産業部門では少なくとも約束は守ってきたと、それからベリフィケーションも第三者によってしっかりやってきたということなんです。
 私の質問は、今中国に対して、私、実は中国に何回か行ってこういったことを勧めてきたわけです。あなた方、自主的でいいから原単位改善目標を作って、それをしっかり検証すると、こんなことを提案したらどうですかということを言いまして、これ考慮の余地があるという返事をもらって、先般見ていたら、確かにそれらしきことが出てきたわけです。まだまだ私は不十分だし、ピークアウトの時期も明示していないのも私はまだ十分でないと思っていますが、こういったときにやはり議論になったのがMRVです。中国は非常にベリフィケーションというものに対しては強い抵抗を示しているんですけど、このMRVについての、自主行動計画とMRV、これについての佐和先生の御見解を是非伺いたいと思います。
#26
○参考人(山本良一君) 太陽光発電衛星についての御質問というか、私のコメントをということだったんですが、ですから、対策は、要するに中長期的な対策と、もうすぐにもあと二十年以内の対策と分けて考えないといけないと思うんですね。
 先ほど、空気中からの炭酸ガスの直接回収という方法も、これはもうコストが高くてすぐには物にならないわけですね。しかし、それが非常に今注目されているのは、今世界の議論は二度C以下に抑制すると、そのためにまず差し当たり四五〇ppmでいこうということなんですが、四五〇ppmを危険だという考えがこのところ台頭してきてまして、究極的にはもう三五〇ppmにまで落とさなけりゃいけないと。それはなぜかというと、三五〇ppmまで落とさないと、数千年たつと南極の氷が全部解けてしまうと、そういう議論なんですね。だから、三五〇ppmまで落とすとなると、空気中の炭酸ガスを直接回収する手段を持たないとできませんから、これは植林だけでは無理なんですね。
 ですから、先生の今の太陽光発電衛星というのは非常に魅力的な私は手法であって、これは、核融合研究とかそういう研究と同様に注力していかなければならないというふうに考えております。
#27
○参考人(椋田哲史君) 水素還元製鉄ですが、まだ技術的には確立されておりませんで、現在フェーズ1という状況です。
 鉄鋼連盟といたしまして二〇三〇年ごろまでに技術的な確立を経て、その後、まさに先生がおっしゃいましたように、その高炉関連設備の更新のタイミングをとらえて新しい高炉の中にこの技術を埋め込んでいくということで、二〇五〇年ぐらいまでをめどに普及させていくことができればということを考えております。
#28
○参考人(佐和隆光君) 私に対する質問はちょっとよく分からなかったんですけど。要するに、ベリフィケーション、中国、簡単にちょっと。
#29
○加納時男君 済みません、どうも不明確な質問だったようでございますけれどもね。
 ポイントは、今まさによく議論されているベリフィケーション、検証可能なものでなきゃならないと。例えば、中国が自分で、あるいは先進国から資金援助を受けて、いろいろな方法がありますけれども、様々な形で、中国は今御案内のとおり、国連事務局に提出したものを読んだんですけど、あの中ではGDP当たりの温室効果ガスの排出量を二〇〇五年に比べて二〇二〇年には四〇%ないし四五%減らすと。これは自発的なものであって、中国は義務は負わないということまではっきり書いてありました。それで、私、英語の読み方悪いのかもしれない、そういうふうに読んだわけですけど。
 だとすると、私が前からこだわっている、先進国と違って途上国、特に中国はこれからも成長しなきゃならない、これは分かりますと。したがって、総量はすぐには減らないでしょうと、これも分かります。しかし、増える分をどんどん省エネルギー技術を入れたりして、燃料転換をやったり原子力をやったりして減らしていきますよと。そして、その結果、GDP当たりの温室効果ガスの排出量は四〇ないし四五%減りますよということを言っているわけです。そこまではとても、すごく前進とは言わないけど、ちょっと前へ出たなと私は思っています。
 ところで、そこでの問題は、これは自主的なものであって義務を負わない。そこはしようがないとしても、議論はありますけど。当然のことながら言いっ放しでは困るんで、何らかの格好で計測可能なもの、メジャーメントが可能なものでなきゃならない。どうやって計量するんですか、計測するんですかと、これはやれるだろうと思います。次に、レポートしてくださいと。レポートは当然国連の方の事務局に、FCCCの事務局の方に出すということになるだろうと思いますが、これは恐らく中国はのむと思うんです。
 問題、彼らがこだわっているのは、ベリフィケーション、検証というところですね。私はそれすごく大事だと思ったし、さっき椋田さんから報告された、経団連の自主行動計画のときに、幾つかの新聞、幾つかの、失礼ですけど、評論家の方々が一斉に非難したのは、こんなのは当てにならないと。政府が法律で強制すれば企業は仕方なしにやるだろうけれども、企業人というのはお金のことしか考えないから、環境のことなんか考えないと、したがって経団連の自主行動計画はまやかしだとまで言った評論家がいたし、失礼ですが、学者もいたし、新聞もそう書きました。私はそれと徹底的に議論してきたつもりですけれども、今政治家になってみて、やはりあのときの経団連、たたかれてもたたかれても信念を貫き通して自主行動計画をやり、しかもいろんな審議会なり第三者の目を通してレポートした結果を検証するというのを私はやったのは正直言って立派だなと思っているんですけれども、こういうことでやってきた。
 そういう検証は不可欠だと私は思うんですけれども、佐和先生は、ちょっと長くなって済みません、こういったような動きについて、私の今申し上げた質問についてはどのようにお考えか、是非伺いたいと、こんなことでございます。
#30
○参考人(佐和隆光君) まず、GDP当たりの温室効果ガスの排出量を四〇ないし四五%削減するということを、これをどこまで約束と見るかどうかというところはベリフィケーションの問題も含めて当然問題としなくちゃいけないわけですが、実は、日本も京都会議の直前ごろまでは、GDP当たりの、当時はまだ温室効果ガスとは言わずにCO2というふうに言っていましたけれども、GDP当たりのCO2の排出量の比率、原単位ですね、について何か削減義務を負わせるべきであるというようなことを言っていましたよね。つまり、成長している国はみんなGDP当たりにしたいんですよ。
 というのは、簡単に計算すればすぐ分かることなんですが、中国の場合、今の九%成長というのが今後十年ないし十一年間続くとしますよね。そうすると、要するにGDP原単位といいますか、分子に温室効果ガスの排出量を取って分母にGDPを取った比率というのが仮に四〇%減っても、実は温室効果ガスの排出量というのは五五%増えるということなんですね。
 そうすると、今既に御承知のとおり、中国は世界全体の、CO2に限って言えば、CO2排出量の二〇%を排出しているわけですね。それが五〇%増えるということはこれは大変なやっぱり増加だということになるわけで、したがって、GDP当たりということではこれはなかなかそういう目標というのが、一見四〇%削減する、ないし四〇ないし四五%削減するといったらえらく大きな目標だというふうに見えるんですけれども、それはまさに見かけだけだと思います。
 それからもう一点、やはり中国はまだまだ経済発展したいと、あるいは十分まだ発展し尽くしていないというのは、例えば自動車の世帯普及率とかそういうものから見ればまだまだ十分発展し尽くしていないというふうに言っても言い過ぎではありません。しかしながら、クズネツ曲線というのがよくありますけれども、要するに経済がどんどん成長している段階では初期のころはCO2の排出量であれあるいは硫黄酸化物の排出量であれ増えるんだけれども、しかし、あるところまで行くと、一人当たりのGDPがある水準を超えると、今度は一人当たりのCO2排出量はむしろ減少傾向に向かうというような、そういう言わばおわんを伏せたような形になるというようなことはよく言われるわけで、中国もやはり今後の発展のあるレベルに達すれば、言わば、何というんでしょうか、いわゆるターニングポイントといいますか、ちょうど一人当たりGDPが、過去の各国の例を見ると七千五百ドル、年間の一人当たりGDPが七千五百ドルまで達すれば、今度はむしろ環境は今まで悪い方向に来ていたのがいい方向に向かうというふうに言われますね。
 それから、中国やインドの新興国の参加ということについて一言申し上げておきますと、まず、中国やインドに関しては、ビジネス・アズ・ユージュアルで、つまり何もしなければ、例えば中国の温室効果ガスの排出量が二〇二〇年に現状に比べて一・八倍になると仮に仮定しますね。その一・八のビジネス・アズ・ユージュアルに比べて何十%削減ということを義務付ける。そうすると、それは中国は非常に不愉快に思うかもしれないけれども、実はそういうことで、言わば義務を負うことによって、いわゆる排出枠なり排出権というものを中国は持つことができるわけですね。
 ですから、そうすると今度は日本が中国に投資をすると。今だったら、クリーン開発メカニズムだということで、オペレーショナルエンティティーの評価を受けないといけないし、国連のCDM理事会の認可も必要とすると。しかし今度は、中国が義務を負えば今のいわゆる附属書T国の仲間入りをするわけですから、そうすると、中国への投資というのはこれは共同実施ということになって、二国間交渉で、じゃ、これだけ風力発電所をここに日本の例えば東京電力が造ってくれたと。これに対して中国はどれだけの排出枠をそれと言わば引換えに日本の電力会社に対して排出枠なり排出権なり、それを移転するかという、そういう二国間の話合いで済むわけですね。
 ですから、そういう意味で、どんどんどんどん中国やインドが日本を始めとする先進諸国から投資をどんどん呼び込むためにはむしろ附属書T国の仲間入りをした方が中国にとっても望ましいんではないかというふうに思っております。
#31
○会長(石井一君) ツルネンマルテイ君、どうぞ。
#32
○ツルネンマルテイ君 私の方から山本参考人と佐和参考人に同じ質問をさせていただきます。
 特に佐和参考人の資料の中では、人類の生存を脅かす九つの危機、それを具体的に書いてあります。それだけでも読めば、本当に深刻な状況になっているということは我々はよく分かっていますし、専門家の人もよく分かっています。あるいは、さっきから山本参考人の方から、本当にこれは深刻で、人類があと何十年くらい生き延びることができるかということが分からないくらい。
 私が聞きたいことは、一般の国民、一般の市民の危機感は今どういう状況になっているか、例えば十年前に比べると今はどんどん増えているかということ、それから、我々が今日も話しているようなこんなに深刻な状況になっているのは一体どのくらいの一般の市民たちは認識しているかということ、あるいは認識してなかったら、その危機感を高めるためというか、その情報をどうやって教えることができるか。まず、これをちょっと是非二人の参考人にお願いしたいんです。
#33
○参考人(山本良一君) まず、危機感についてでありますけれども、私は、この二十年間やはり日本人の危機意識は少しずつ高まってはきていると思うんですね。ただ、今地球全体で大変な異変が起きていて、それがあと二十年くらいで本当に深刻なものになるという危機感はほとんどないと、まだ日本には。
 ところが、私が注目しているのはスイスなんですね。スイスは永世中立国でありますけれども、あと二十年でカーボンニュートラル、炭素中立国になるということを国際的に表明されているんですね。これは大変なことでありまして、それはなぜかというと、これはスイス・チューリッヒ工科大学の大村纂先生という氷河の研究で有名な先生が書いていらっしゃいますけれども、マッターホルンという有名な山が、氷河が解けて大きな岩石がごろごろ転がり落ち始めているわけですね。ですから、スイスの国民にとってはかなり身近に異変が起きているということが理解できると。
 それから、例えばノルウェーも、これはエネルギーに恵まれた国なんですが、ノルウェーもあと二十年で炭素中立国になるということを表明されているわけですが、じゃ、なぜノルウェーがそう動いているかというと、ノルウェーの目の前は北極海があって、その北極海の氷が激減しつつあるわけですね、今。ですから、異変が目の前で起きているところは相当危機感が私は高まってきていると思うんですね。
 日本はなぜそう恐怖心というかそういう感覚がほとんどないのかというと、身近なところに氷河もなければ砂漠もなければ熱帯雨林もないわけですね、我が方は。しかしながら、北海道大学の研究によると、オホーツク海が今急激に温暖化していると。これは漁業に大きな影響を多分与え始めると思うんですね。ですから、時間の問題だと思うんです。
 それで、どうすれば適切な情報を国民に伝達して危機意識を高められるかというと、これは、今、川口先生いらっしゃいますけれども、川口先生が環境大臣のときに環の国くらし会議という会議をやりまして、そこで私が提案したんですが、もう十年前になりますが、要するに、NHKの朝と晩、天気予報をやるときに、地球環境情報というものも同時にテレビでやっていただけると、全世界で何が起きているか、あるいは株式、株価を伝えるときにも、ある会社の株価が今何円ということばかりじゃなくて、その会社の株価一株当たりのCO2の排出量も同時にテレビで報道していただけると国民は極めてよく分かるというふうに、十年前に川口先生に私は提案したんだけれども、まだ現実のものとなってないと。
#34
○参考人(佐和隆光君) まず、御質問に関連して申し上げたい第一点は、実は私、京都会議の何年か前からずっとこの気候変動問題には関心を抱いていろんな形で発言したりしてまいったわけでございますが、ずっと過去十年余りを振り返ったときに、二〇〇七年という年がありますね。これはちょうど京都会議十周年、それからブルントラント委員会のアワー・コモン・フューチャーという報告書が出されて以来二十年、それからリオ・サミット以降十五年ということで、ある意味で気候変動にとって記念すべき年だったわけですね。この二〇〇七年というのを節目にして、世界全体で気候変動問題に対する関心というのはやにわに高まったというふうに私は思っております。
 ざっと振り返ってみますと、まずその一月早々にアル・ゴアの「不都合な真実」という映画が公開された。それから、四月の前後にIPCCの第四次報告書が出たと。そして、日本でも、いわゆる安倍イニシアチブとその後称されるようになった二〇五〇年までに世界の温室効果ガス排出量を半減するという、そういう首相のメッセージが出されたのが二〇〇七年の六月というようなことで、二〇〇七年というのを節目にして気候変動問題に対する関心というのは大変な高まりを見せて今日に至っているというふうに思います。
 それで、ただ、御質問にあった日本人の一般の市民にとってどの程度認識というか、されているかという質問に対しては、私は、いや、十分だとは決して言えないわけです。
 私はそれに関連して引用したい一つの文献があるわけですが、ポール・ケネディという歴史家がいますよね。かつてといいますか一九九〇年ごろにライズ・アンド・フォール・オブ・グレートパワーという、「大国の興亡」という本を書いて大変有名になったイエール大学の教授です。このポール・ケネディが別の本の中で、北欧三国、オランダ、デンマークという北西ヨーロッパの五か国に住む市民たちは大変環境意識のレベルが高いと。それはなぜなのかと問うて、それに対する彼が与えた答えは二つある。一つは教育水準が高いことと、それからもう一つが十分豊かであることということを二つ挙げたわけですね。
 翻って日本のことを考えてみると、日本の場合も教育水準という点では、大学進学率がもう五〇%超えていますし、ちょっと申し遅れましたが、さっき申し上げた北西ヨーロッパの五か国では大学進学率は七〇%を超えています。日本も五〇%超えていますから、そういう意味、教育水準の高さという意味では世界屈指であろうと。
 それから、豊かさという面ではどうなのかというと、少なくとも一九九三年には一人当たりGDPで世界第二位だったわけですね。今現在はといいますか、二〇〇七年にはそれが十九位まで落ちましたけれども、とにかく、だからといってそう貧しくなったというふうな実感は一般の市民の方々は持ってないと思うんですね。だから十分豊かである。
 しかし、にもかかわらず環境問題に対する関心というのがこの北西ヨーロッパの五か国ほどは高くないのはなぜなのかというと、やっぱり本当にクオリティー・オブ・ライフという意味での豊かさという点に関して言えば、やっぱり日本の一般の勤労者というのは、とにかく忙しいとか、通勤時間に非常に長時間を要するとか、その他もろもろのことがあって、環境のことを考えるだけの十分ゆとりのある生活をしていないということが一つですね。
 それからもう一つは、教育の面はどうなのかというと、最近学力低下というようなことがよく言われますが、今の教育の在り方ということについて考えてみますと、そういう環境問題に対して熱心になるだけ十分そういうふうな教育をしているかというと、やはりこれもしてないと言わざるを得ないということで、その教育とそれから豊かさの中身ですね、つまり、量的には豊かなんだけれども、質的にも本当に豊かなのかというと決して豊かじゃない。この両面をやっぱりきちんともう一遍見直すということが必要ではないかというふうに思っております。
#35
○会長(石井一君) 加藤理事。
#36
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。三人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。
 先ほど原子力発電の話が出ておりました。私は反原発でも脱原発でもないわけでありますけれども、ただ、これは確かに炭素排出量という点では極めて、出ないという意味では有力な武器だと私は思いますが、ただ、ほかの方からも、委員からも話がありましたが、バックエンド政策の関係、それから私は危機として考えているのは、やはり核テロといいますか核拡散の問題ですよね。
 我が国には原子力基本法があり、原子力政策大綱があり、かつまたIAEAからも極めてしっかりした管理でやっているということで評価されているわけですよね。余剰のプルトニウムについても持たないということで、そういうことも含めてしっかり私はやっていると思っておりますが、ただこれが途上国含めて行け行けどんどんという形になるというのは、やはり核拡散、核テロの問題を含めて大きな危機をまた一つ抱える可能性が私はあると思っていまして、三人の参考人の皆さんはこの辺についてどう思うかという点。
 それから、先ほど山本参考人からも安全保障の問題であると。防衛省も、確かにシンクタンクに発注してそういった面についてのアウトプットを持っておりますし、あるいは東アジア戦略概観だったでしょうか、その中でも相当ページ数を割いて安全保障の問題について触れていると。そういった意味では、かなりそういった意味での認識は深まりつつあるなと思いますけれども、防衛省の設置法なんかを含めて、そういう防衛省の役割のありようをやはり考えなければいけないのかなというふうに思うことも私自身はあります、安全保障上の観点から。二点目はそういうことなんですけれども、そういった点についてどう思うかということ。
 あと三点目は、政府は二五%削減というふうに言っていて、非常に野心的な試みであるということで評価しておりますけれども、ただ、条件が付いているわけですよね、主要な排出国が意欲的な目標達成ということを言った場合に日本は二五%をやりますよと。この点は、中国に言わせると結局日本は何も言ってないじゃないかという、そういう指摘があることも事実で、人によっては、そういう条件は付けるべきでないだろうというふうに言う方もおります。
 ある意味で、日本が先導的というか、指導性を持ってほかの国を引っ張る形でやっていくべきではないかと。そして、大変つらい部分もあるんでしょうけれども、いち早くパラダイムシフトというか、産業構造も含めて大きく転換をしていく。そして、先進国の新しいモデルを世界に向かって提示すると。そういう役割を日本が、従来の一部あったような、ほかの国がいろいろ進んだ後で日本がそれじゃというふうに出ていくんじゃなくて、リーダーシップを取るという、簡単に言えばそういう話なんですけれども、そういう指導性をこの際に明確に示すべきであると。そういう意味では条件を付けてやるんじゃなくてというそういう言い方だと思いますけれども、そういう御意見についてはどのようにお考えかという、以上三点、できれば、時間の関係もあるかもしれませんが、簡潔にお話しできればしていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
#37
○会長(石井一君) それじゃ、共通のお答えを求めておるんですから、佐和先生からどうぞお願いします。
#38
○参考人(佐和隆光君) まず、順序が逆になりますけど、二五%排出削減というのについて条件を付けるということに関連してでございますが、条件を付けるのはいかがなものかという御意見に対する私の考えでございますが、おっしゃるとおりではありますが、やはり安倍イニシアチブの場合でも主要排出国、メジャーなエミッションカントリーというのが要するに参加するということを前提にしてということだったわけで、一貫して日本の政府の一つのこれは、いろいろなことを言うに際しての一つの前提条件になっているわけです。
 しかし、そのときには、重要なことはやっぱり世界一の排出国、当時は少なくとも世界一の排出国であったアメリカ、そして第二位でもうほとんどアメリカとほぼ等しいほどの排出国である中国というのが、これがメジャーエミッターで、そしてさらにインドも、たとえわずか四ないし五%とはいえ、一人当たりでいうともう非常に少ないんですけれども、何といっても人口が多いものですから、やはりアメリカ、中国、そしてロシア、日本に次ぐということになるわけですね。
 だから、そういう意味で、こういう国々が何らかの義務を負うことがやっぱり必要だということで、アメリカに関しては、既にそれは、アメリカがもう義務を負わないということは、ポスト京都議定書で義務を負わないということはあり得ないと思いますし、中国やインドに対しても、私は、さっき申し上げたように、むしろ参加した方が得ですよと、参加のインセンティブを与える必要があるというようなことで、そのためには、ですから参加のインセンティブとなるような条件、条件といいますか、参加のための条件というものを提示していくということがやっぱり必要ではないかというふうに思います。
 それから、その次は安全保障の問題ですが、やっぱりクライメートセキュリティーというのは、これは必ずしも自衛隊が出動するとかいうような問題ではなくて、むしろクライメートの、先ほどの先生方の質問の中にございましたように、やはり気候変動というのが人類の生存を脅かしていると、そういう意味で、それに対してだから何かやらないとこれは大変なことになるということでの、そういう意味でのセキュリティーであって、決して防衛省の在り方等とは必ずしも直接的には関係しないというふうに思います。
 原子力発電に関しては、やはり世界中が原子力原子力ということになったら確かに夜もおちおち眠れないということになりかねません。だから、そういう意味で、やはり、確かにそれが核不拡散の問題にも抵触するというようなことも含めて考えると、私はやはりさっき再生可能エネルギーとの関連で申し上げましたように、プライオリティーはあくまで再生可能エネルギーに置いて、そして、やれるところまでやってみて、そこで十分な電力供給ができるとも思わないわけですけれども、そうしたら、そのときに初めて原子力という切り札が切られるのではないかというふうに思っております。
#39
○参考人(椋田哲史君) まず、原子力の輸出につきましては、当然二国間協定が必要になってくると思いますので、その中でその相手国がテロ対策あるいは核拡散防止にきちっと対応している、そういったことを確かめていくということはまさに大前提だと思いますので、そうした中で無制限に原子力をどの国でもいいから輸出していくという形ではなくて、それはしっかりとした対応を取っていく必要があると思います。
 それから、二つ目の安全保障につきましてはもう佐和先生のおっしゃるとおりだというふうに私も思っております。
 それから、二五%の話ですが、実は温暖化につきましては各国とも外交ゲームをしたたかにとらえて、まさに自分の国が不利にならないような形で本当に厳しい国際交渉をしております。大変今激しい国際競争にさらされている日本の産業界といたしましては、今日本が掲げております九〇年比二五%というのが諸外国に比べて極めて突出した目標であるというふうに思っておりますので、少なくとも国際公平性の観点から先ほどの前提条件の確保、これをきちっとしていただきたいということを思っております。
 また、二五%を前提とした政策を進めようといたしますと、やはり具体的に、じゃ費用対効果から見てどのような政策が望ましいのか、その判断する材料をきちっと国民に示して、産業界や労働界の意見もじっくり踏まえた上で御議論いただきたいというふうに思っております。
 それから、産業構造の転換の話ですが、日本の産業構造を低炭素型に変えたとしても、無理に国内生産を減らしますと、結局、効率の悪い海外での生産が増えてしまって地球全体での温暖化対策にならないという問題があります。むしろ、産業構造の転換というのは、日本がこの後何で食っていくのか、こういったことを中長期的な観点から考えながらきちっと国民全体で議論していくべき話で、温暖化問題は非常に重要な要素の一つでありますが、それだけで決めていくような話ではないんではないかなというふうに思っております。
#40
○参考人(山本良一君) まず、原子力についてでありますけれども、核のリスクですね。この問題は、私が申し上げているのは、実は原子力とジオエンジニアリングという対比というか比較が非常に重要になると。原子力についてのリスクはかなりコントロールされていると思うんですが、このジオエンジニアリングは実はもうほとんど条約というか国際条約がないわけですね。一つ、一九七八年だと思いますが、ジオエンジニアリングを軍事目的あるいは敵対的意図で使ってはならないという国連の条約、決議があるということなんで、唯一それしかないんですね。したがって、今国際社会ではこのジオエンジニアリングのインターナショナルガバナンスというのが極めて重要だという議論になっております。したがって、ジオエンジニアリングに頼るくらいであれば原子力に頼った方が非常にいいというのが私の基本的立場なわけです。
 二つ目の安全保障の問題ですが、私はこの気候の変化が、水不足、食料不足、気候難民の発生、それが武力衝突、この事態を我々は軽く見るべきではないと。というのは、もう既にイギリス、アメリカ、ドイツのそれぞれの報告書ではそういうことが起こり得るということを言っているわけですね。
 日本の防衛省の分析はまだ予備的なものですから、北朝鮮の問題でどうなるかということも言及されてはいるわけですが、直接難民が日本に来ることはないという前提の下で分析されているわけで、ティッピングポイントをこれ数十年以内に超えるような事態になれば当然日本の防衛というか国境線も難民が押し寄せるという事態も考えられるし、特に日本にとってはエネルギー、食料の供給が途絶えるという問題が大変大きな問題になると思うんですね。ですから、安全保障の問題は真剣に私は考えた方がいいと思います。
 それから、三番目の二五%の問題でありますが、まず私の理解では、これは日本のほぼ全政党が二度Cターゲットを実質的に私は受け入れていると思うんですね。昨年の総選挙のマニフェストを見ても、これは公明党と共産党は二度Cターゲットを明確に書き込まれている。さらに、自民党は、ラクイラ・サミットで麻生前総理は二度Cターゲットを受け入れて帰国されたわけでありますから、民主党、社民党も実質的に中期で二五から三〇%、長期で八割削減ということをマニフェストに書かれているわけですから、私は二度Cターゲットを受け入れるということがもう実質上、中期も長期も大幅削減ということを受け入れていると、これは科学的に言って。
 問題は、それをどういうふうに国際社会に言うべきかということでありますけれども、麻生前総理は九〇年比八%削減ということを言われているわけで、だから国際社会に日本が約束しているのはこの八%と二五%と。八%は条件なしでやるということで、二五%は条件付いているわけでありますから、私は要するに八から二五%で、他国がやるんなら二五%までやるというふうに理解すれば非常にいいのではないかと考えているわけであります。
 いずれにしても最大の問題は中国とアメリカの問題でありますので、この中国とアメリカの説得が日本の重要な役割ではないかというふうに思うわけです。
 それから、中国についてあと一分間だけちょっと御紹介したいことがあります。私は既に六十五回中国に行っているわけですが、昨年九月に、胡錦濤さんの国連演説のときに北京におりました。先ほどの中国の中期目標でございますが、あれは余り高く評価されてないわけですが、実は中国政府は私は本気だなと思ったのは、昨年九月二十五日に北京に何と中国全土から二百二十名の科学者を集めて、中国は温暖化と闘うための長期国家戦略の策定を始めているわけですね。これは、エネルギー、食料から材料から全分野でそういう検討作業を昨年の九月二十五日から始めているわけで、日本はそういう大掛かりなことは全然ないわけですよ。中国は、これ科学技術担当大臣がヘッドになって、その二百二十名の科学者が分科会に分かれてそういう長期戦略の策定をやっているわけですから、私は非常に真剣に取り組んでいるというふうに考えているわけであります。
 ありがとうございました。
#41
○加藤修一君 安全保障の問題につながるということでは、私は山本先生がおっしゃった内容、つまりそれは気候難民とかあるいは気候戦争につながると。そういった意味で、私は防衛省の設置法がどうなっているか、つまびらかに知っている話ではありませんが、しかしそういったことも含めて見直す議論ぐらいは最低限やるべきかなと、そんなふうに思っております。
 ありがとうございます。
#42
○参考人(山本良一君) 今のは大賛成であります。
#43
○会長(石井一君) それじゃ、川口順子委員。今日の質疑はこれで打ち止めたいと思いますが、いいですか。どうぞ。
#44
○川口順子君 二つ質問がありまして、一つは椋田参考人なんですけれども、先ほどまさにおっしゃっていた産業構造への影響とか将来日本が何で食べていくかとか、そういうことを考えると、取組が何らかの形で決まったときに日本の産業が空洞化しないということが大事だと思うんですね。経団連として、そのために具体的にどういう政策を望んでいらっしゃるかということをお伺いしたいんです。
 実は、この同じ質問をある経団連に属する企業の方にいたしましたら、答えは、そのようなことが起こらないような枠組みを合意してくれればいいんだというふうに言われました。これはもうそうなればベストであると思いますけれども、今実際に国際場裏での交渉を考えると、限界費用を等しくするような形での合意というのは非常に望ましいことでありますし、日本の立場としては当然にこれは言い続けていかなければいけないことであると思います。思いますが、最終的な落ちを考えたときに、これは日本が一番明らかに有利に立つ枠組みでありますから、アメリカ、ヨーロッパあるいは途上国、反対をするのは目に見えていて、日本の一国だけが言っていることが通るというのは、私はおよそ現実的ではないというふうに思うんですね。何らかの妥協はここに行われざるを得ないと私は思っていまして、そうであれば、政策として空洞化しないような政策を取るということが非常に大事で、経団連としてどういうようなそこは政策を望んでいらっしゃるかということをお伺いをしたいというのが一点です。
 経団連が今主張していらっしゃることが間違っているということを申し上げているわけではなくて、本質的には非常に正論だと私は思いますが、現実社会ではそれは通り切れない、通らないだろうということを前提に申し上げています。
 それから、山本先生に、先ほどおっしゃった地球環境情報というのはよく覚えております。それで、ちょっと今はまた別な質問、それとは別な質問なんですが、よく二〇五〇年まで八〇%削減というそのことを考えたときに、今の時点から二〇五〇年までにいろんなパスがあるということで、このパスが何を取るかということでいろんな議論があると思いますけれども、非常に大ざっぱに言うと、後になって、時間がたった後で大きく削減努力を掛けた方が技術も進んでいるし、全体としての地球に与えるコストといいますか、日本だけ取ってもいいんですが、費用的にも少なくて済む。だから、五〇年までに要は八〇%削減できればいいのであって、後倒しにした方がいいという考え方で、アメリカなんかの言っていることもかなりこっちの方であるというふうに思います。
 それから、日本ももちろん技術が進んだというときの削減を期待しているということでありますけれども、という考え方と、それからもう一つ、やはり早く削減をするということが後々楽になることであって、それから、その政策あるいは技術というのも、最初に早く削減のロードを掛けた方が出てくるだろうという考え方もあって、できるだけ前倒しで厳しい規制を、あるいは目標を掲げるということが大事だろうという考え方はあると思います。コストが高くてもそうすべきだと。
 二つ考え方があって、余り現実的に、これがどっちが本当にいいんだろうかという議論が今までなされていないと私は思うんですね。あらまほしき議論、あるいは期待をしながらの議論というのが双方にあるんだろうというふうに思います。山本先生は本当に技術にお詳しくていらっしゃいますし、この問題をずっと考えていらっしゃいますので、この二つのパスについてどのようにお考えかということをお伺いしたいんです。
#45
○参考人(椋田哲史君) 産業界は特別なことを望んでいるわけではなくて、国際競争をしていく上でのレベル・プレーイング・フィールド、つまり外国の企業と同じ土俵で戦わせてほしいということをいつも望んでおります。同じ土俵で物づくりをすれば、日本はどの国よりもより効率的にうまくつくっていく自信がありますし、それによって多くの雇用も生み出していくことができるというふうに思っております。
 そういったことから、先ほどまさに先生がおっしゃったように、限界削減費用、これを均等化していくということは、エネルギーコストを均等化させていくということですので、レベル・プレーイング・フィールドの一番重要な要素の一つであるというふうに我々は思っておりますので、まさにここについては全力で外交交渉をしていただきたいというふうに思っております。
 万々が一、非常に不幸なこと、結果があって非常に不利な状況になってしまった場合には、今既にこれに加えて日本の法人税率も非常に高い、世界で最高水準にあります。ですから、企業のトータルコストをいかに下げていくのかということを国として是非考えていただきたいというふうに思っております。
 以上です。
#46
○参考人(山本良一君) それでは、川口先生の御質問なんですが、早く削減した方がいいのか、後倒しの方がいいのかと、この議論でありますが、私は、最近いろいろ研究論文が出てまいりまして、一つはアンダーソン、バウの研究、それからドイツ政府のアドバイザリーグループの研究報告書、さらにはオーストラリアのガルノーレポート、これはスタンレポートと並び称されるレポートですね。そういう最新の研究を見ますと、結局後倒しは問題が多いという結論なんですね。
 それはなぜかといいますと、カーボン・サイクル・フィードバックというメカニズムがありまして、実は我々、化石燃料を燃やして炭酸ガスを空気中に放出しますと、その炭酸ガスが原因で地球が温暖化して、更に環境中から炭酸ガスというかメタンガスがまた出てくると。そういう要するに雪だるまを転がすような現象が起きていくわけですね。その結果、だから、我々が炭酸ガスを一キログラム空気中に放出すると、それが何年かたつと一・二キログラムくらいに増えてしまうわけですね。そこで、そういう自己増殖作用があるために、後になって削減しようとする場合は、例えば二度C以下に抑えようとすると、削減するのを後にずらすと、物すごい比率で、年率比率で削減していかざるを得なくなると。
 そうなると、先ほどグラフでお見せしましたように、来年から直ちに世界が減らし始めるとすればこれは四%くらいで済むんですが、これを十年後にしますと年率九%で減らさなければいけないと。そうなるともうほとんど不可能だということで、現在の議論では前倒しで削減した方がいいという結論だと私は思います。
#47
○会長(石井一君) それでは、有村治子理事。
#48
○有村治子君 ありがとうございます。
 先ほど、何人かからスマートグリッドの話が出ました。答えていただく先生方を特化せずに、もし必要であればというところで御言及いただければ有り難いんですけれども、スマートグリッドというと名前からして随分クールなんですが、伺えば伺うほどどうもブラックボックスだなという印象も持っております。
 あれはアメリカがパッケージングがうまいんであって、何らびっくりすることはない、日本は当然前からやっているんだという御主張も一方で聞かれるんですけれども、その日本の電力の操業の競争力というのは実際のところどのくらいのポジショニングにあるとお考えなのか。また、そのスマートグリッドという概念に見合うだけのものを構成する要因というのは、実際にそこでどういうものをコントロールすればいいのか、必要によっては蓄電ということも機能に入れた方がいいのか、コスト的に見合うのかどうか、その辺について御言及をいただきたいと思います。
 また、最後に、このスマートグリッドなるものが将来的には地域地域、あるいはカントリー、リージョンごとにその仕様が違ってくるんではなくて国際標準という形、動きになっていくのであれば、それぞれの家単位になるのか、町単位になるのか、どこのブロックごとにだれのコストによってそのスマートグリッドなるものを付けることが妥当だとお考えになられるのか、御教示いただきたいと思います。
 以上です。
#49
○参考人(佐和隆光君) 私も必ずしも専門家ではないので完全な答えはできないと思うんですが、確かにおっしゃるとおり、日本で言うスマートグリッドとアメリカで最近言われるようになったスマートグリッドとはかなりイメージが違うわけです。
 つまり、アメリカというのは御承知のとおり非常に停電が多いわけですね。つまり、送配電網が元々非常に不完全である、あるいは不安定である、そのために停電が起こりやすいと。日本は、少なくとも国際比較すれば停電の頻度というのは非常に少ない、極端に少ないと。そういう意味で、そういう送配電網を改修するという意味でのスマートグリッドというのは日本では余り問題にならない。
 しかし、それは、何でじゃそういう停電が少ないのかというと、一つは、何といっても面積が狭いということなんですね。つまり、要するに、アメリカのように広大な面積ですと、そうすると、例えば、つまり電力の需給がアンバランスを来すことが間々あり得ると。ところが、日本の場合は非常にデンスといいますか、一応非常に濃縮した形でこの小さな島の中に密集して人が住んでいるものですから、非常にそういう送配電がやりやすいということがあるわけですね。
 しかし、じゃ日本でスマートグリッドと言う場合はどういう意味なのかというと、例えば家庭で、今需給がタイトになってくれば、例えば夏の暑い日にエアコンをつけっ放しにするうちが多くて需給がタイトになってくれば、例えば、要するに電力料金をピークロードプライシングというやつで、ロードが非常にタイトになってくれば料金を上げると。その都度その都度の電力料金が電光掲示板に出る、各家庭の中で出る、それを見て、あっ、そうすると、こんなに今電力料金が高いんなら、少しエアコンの温度も二度ほど上げようとか、あるいは余計な電力、例えばあちこちで電灯で照らしているのを消そうとか、そういうふうなことで、そのこと自体は家庭にとっても節電になるし、それから電力会社にとってみてもそういう停電のようなことを回避することもできるというようなこと。
 そして、ロードカーブがいわゆるフラット化すれば次々と設備投資をする必要も電力会社にはないということにもなって、そういうロード曲線のフラット化という効果も望めるというようなことで、それから、例えばもう今までのように人間が各家庭に検針に行くのではなくて、その各家庭に取り付けた機器を通じて、つまり、まさに情報通信技術を使って、電力会社の方で例えば消費電力量というものを、各家庭の使用電力量というものをリアルタイムで把握できると。そういうふうな意味で日本では使われているというふうに、私の知る限りではそういうふうに理解しております。
 それからもう一つは、一つの小さな町あるいは集落の中で、そしてそこでできるだけ再生可能エネルギーを利用して、そしておっしゃったように蓄電池等を備え付けて、晴れた日には十分そこに蓄電しておいて雨の日には蓄電した電気を使うというふうなことで、それでそういう一つのある地域というものの中で電力を自給するというような、そういうふうなシステムも今後のやっぱり課題として当然浮かび上がってくるのではないかというふうに思います。
 それから、その費用をだれが負担するかということにつきましては、これは一つのやっぱり重要な問題で、仮に電力会社にそれをすべて負担せよと言うならば電力料金の値上がりということになりますし、その辺は今後むしろ国会等で御検討いただければと思います。
#50
○参考人(椋田哲史君) 多分、佐和先生のおっしゃっている内容で結構だと思います。
 それで、国際標準化につきましては日本政府も大変重視しておりまして、国際標準を取るための課題を幾つか決めまして、まさにチームをつくって産学官が一体となって国際標準を取るための戦略を今練り上げている最中でございます。
#51
○会長(石井一君) それじゃ、よろしいですか。
 予定の時間が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。
 一言ごあいさつ申し上げます。
 山本参考人、椋田参考人及び佐和参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表して、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#52
○会長(石井一君) 速記を起こしてください。
 次に、京都議定書目標の達成に向けた地球温暖化対策の現状と課題及び国際的な取組と日本の役割・課題―二〇一三年以降の問題―について、委員間の意見交換を行います。
 議事の進め方でございますが、昨年十一月二十五日、本年二月十日及び二月十七日に行った調査の概要と論点整理について調査室長から説明を聴取した後、お手元の資料も参考にしながら、午後四時ごろをめどに委員間で自由に意見の交換を行っていただきます。
 なお、御発言は着席のままで結構であります。
 それでは、調査室長から説明を聴取いたします。杉本第一特別調査室長。
#53
○第一特別調査室長(杉本勝則君) 第一特別調査室長の杉本でございます。
 三年目における温暖化問題に関する調査の概要について御説明いたします。
 三年目は、最終報告に向け、産業革命からの気温上昇を二度以内に抑えることが不可欠であり、そのためには化石燃料に頼らない低炭素社会の構築が必要であるとの認識の下、我が国が果たすべきリーダーシップについて取り上げました。
 まず、昨年十一月二十五日の調査会では、京都議定書以降の国際的な枠組みに関し、COP15での合意を目指す我が国の取組について調査を行いました。調査会では、削減目標の公平性をいかに確保するかや国際交渉におけるリーダーシップ発揮、低炭素社会実現のための方策などについて意見が述べられました。
 続く本年二月十日の調査会では、COP15を総括し、COPプロセスの問題点や中国等の取組などを検証した上で、公平で実効性ある国際的枠組みの構築について途上国支援の問題を中心に調査を行いました。調査会では、実効性ある途上国支援の在り方や国際枠組みへの中国の積極的参加などについて意見が述べられました。
 また、二月十七日の調査会では、温室効果ガス排出削減には国民の取組が不可欠であり、それが人々に幸福をもたらすものでなければならないとの認識を踏まえ、公平な競争による産業の国際競争力の維持、技術革新及びそれに伴う産業構造の転換等について、電気自動車や鉄鋼など具体的な部門を取り上げ、国民生活への影響とこれを豊かさにつなげていく上で何をなすべきか等について調査を行いました。調査会では、電気自動車など二十一世紀型技術への転換の持つ意義や、排出量取引とカーボンリーケージ問題、日本の環境技術による地球的規模での削減の評価などについて意見が述べられました。
 そして、ただいまございました本日の調査会でございますけれど、まとめといたしましては、気温上昇を二度以内に抑えることの意義、産業界における温暖化対策、低炭素社会がもたらす日本及び世界の未来についての調査を行いました。調査会では、気候変化が我が国の安全保障にもたらす影響、温暖化対策としての原子力発電、国民理解の必要性、あるいは産業の空洞化を防ぐ必要性について意見が述べられました。
 なお、お手元には以上述べました調査会における議論を主要論点別にまとめましたものと、これに対し、これまでの参考人意見陳述の骨子を配付しておりますので、本日の意見交換の参考にしていただければと思います。
 以上でございます。
#54
○会長(石井一君) それでは、これより委員間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。
 発言を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。
 それでは、どうぞ。どなたからでも結構です。どうぞよろしくお願いいたします。
 それじゃ、犬塚直史君。
#55
○犬塚直史君 一つ視点として、環境適応に係る資金をどうするかという話があると思います。やっぱり環境問題は国境のない問題ですから、国境のない資金徴収といいますか、どうやって資金を集めるかという議論はやっぱりしなければいけないと思います。
 そこで、一つ是非参考にしていただきたいと思いますのは、革新的資金メカニズム。
 昨年、我が国は、フランスが主導しておりますこの革新的資金メカニズムのためのリーディンググループに五十五番目の国として参加をいたしましたが、そこで行われている議論は、COP15もそうだったんですけれども、結局その資金をどうするかという話になりますので、その資金を手当てするために金融取引に課税をして、金融取引という意味は、国ごとの取引ではなくて、例えば発展途上国においても一部の物すごい金持ちがいるわけでありまして、そういうところの取引に対する課税と同時に、いわゆるマネーゲームに対する課税を行って、ここに金融取引に対する課税を、今の議論ですと〇・〇〇五%の課税を行うことでこのCOP15に見合うぐらいの資金調達は可能であるという試算まで出ておりますので、是非その金の調達という意味でそういう議論を喚起をしたいと御提案申し上げます。
#56
○会長(石井一君) その税制は各国によって違うんですけれども、どういう機関でどういうふうにそれを国際的合意に達するんですか。
#57
○犬塚直史君 これは基本的には、この議論をしているグループが約六十か国弱あるんですけれども、この言い出しっぺはフランスになっておりまして、いろんなアイデアがあるんですが、現実に動いている取組では、航空券課税、つまりフランス発着の航空機を利用する人たちには、例えばエコノミークラスであれば、ちょっとはっきり覚えていませんが、例えば十円とか百円ぐらい、ビジネス・ファーストクラスに乗る、国籍を問わず、人たちに対してはたしか一万円程度という課税をもう四年前から始めておりまして、この課税収入が年間で今五百億円程度になっていると思います。これをフランスの国庫には一切入れないですべてユニットエイドという国際機関に入れまして、この国際機関の目的はアフリカのエイズ、マラリア、結核に対する支出にしか使っていないという枠組みが一つできておりますので。
 一番の問題は資金規模が足りないということですから、是非マネーゲームに課税をして環境適応資金に使っていくという議論をしていくべきではないかと思います。
#58
○会長(石井一君) 何か御意見がございますか。
 どうぞ、大石正光君。
#59
○大石正光君 いろいろお話を聞いていて、一番単純に基本的に考えると、先進国は一生懸命努力をしている面があるけれども、中進国や発展途上国は自国の生活を豊かにしようと思って一生懸命で、環境という問題に対しては意識がそんなに高くない。後進国はもっと低いわけですよね。結局、被害はそういう発展途上国や、例えば乾燥地域になったり、様々に被害が大きくなっている。
 とすると、これからは皆さんの生活レベルを上げないならば、先進国が一生懸命努力をすればそれだけのことは抑えられるかもしれないけれども、中国やインドとかブラジルとか中南米の国を含めて、これからもっともっと生活レベルを上げていこうと努力している国々を考えると、一生懸命先進国が努力してもその排出枠はなかなか規制されない、限度があるんじゃないかという感じが率直にするんですね。
 と考えると、犬塚さんのおっしゃったように、世界があらゆるそういう部分の中で薄く広く負担をさせて、それが国際機関の中で例えば発展途上国とか中進国に対してある程度援助をして技術を供与するという、そういうことをしながら二酸化炭素排出を減らすような努力をしていくことによって、世界の足並みをそろえて何か前向きにできるような気がしてならない。それ以外は、幾ら日本やヨーロッパが努力しても非常に難しいような気がするんですね。
 そういうことをもう少し、お互いが国連の中で協調し合うことが可能ならば、先進国はかなり負担を強くし、中進国は減らし、発展途上国は今は供与という形になると思いますけど、そういうふうな施策を何か考えていかなければ地球温暖化というのは解決できないような気がしてならないんですけれども、率直に、じゃ具体的にどうしろということにはなかなか提案としてできませんけれども、犬塚さんがおっしゃったような形を含めて何かそういうことを国際機関で取り上げて、それを政策として織り込むことが現実に必要ではないかなという気がするんですけれども。
#60
○会長(石井一君) ありがとうございます。
 川口順子さん。
#61
○川口順子君 これからの交渉を考えたときにやはり日本として考えていかなければいけないのは、どういう枠組みなりどういう形で交渉を進めていったら合意ができるだろうかということなんですね。やっぱり日本国内の削減も、国際的な合意が本当にできるかどうかということに残念ながらかなり依存をしてしまっているところというのがあると思います。なかなか国際的な枠組みができないと前に加速度を付けて削減努力が進んでいかないというところがあると思うんですね。
 それで、これ前の調査会のときにも申し上げたことですけれども、百九十か国が集まって交渉をするといっても、実際に温室効果ガスの排出で考えると、大事なのは、その全部が参加することではなくて、最低限考えたときに排出量で何十%かをカバーする国が入るということが大事なのであって、そういう形の枠組みについて日本がリードをしていくというか提案をしていく、そういったことも日本ができる一つの国際貢献であり、世界に対して、地球を守ることにもなるということだろうと思います。
 それからもう一つは、環境というのは、私が今までかかわってきた範囲で思うことは、環境に非常に関心を持つ人たちと環境について全く関心を持たない人たちと二グループにきれいに分かれてしまうということだと思います。
 環境というのは行動を伴いますから、行動しなければ意味がないことですので、やはり環境に関心を持たない人たちをどうやって行動する人たちにしていくかということが大事なことであって、そのためには、もちろん機械を動かせば自然に削減できるということも大事なんですけれども、環境教育、これは子供だけではなくて、子供も大人も社会人もという形でやっていくということを、これは迂遠なようでいて非常に大事なことであると私は思います。
 以上です。
#62
○会長(石井一君) それじゃ、順次。
 相原久美子さん。
#63
○相原久美子君 国際交渉の場面の部分については相当数、いろいろな方からの参考人の御意見なんかもお伺いしたりしたんですけれども、今の川口議員がおっしゃられたように、結局、一般市民の中で、国民の中でどれだけ削減できるかというところがまだまだ議論が足りなかったなというように私自身も思っていまして、それはすなわち、やはり環境教育、ヨーロッパと大きく違うという点もそれなんだろうなと。私自身もヨーロッパにお邪魔したりなんかしたときに、やはり国民の皆さんそれぞれの、本当にその辺で歩いている方たち自身の考え方がもう既に環境問題に入り込んでいる、日常の会話の中に。
 ここをどうやっていくかということがやはり必要なのかなと思っておりますので、ここの調査会がいつ結論が出されるのか、ちょっと私も分からないんですけれども、できましたら、やはりこれから長期的なスパンでこの教育ということについても議論なり、それから参考人の意見が聞かれる場があるといいなということを思います。
#64
○会長(石井一君) 森ゆうこさん。
#65
○森ゆうこ君 先ほどの川口委員の、日本の新しい国際的な枠組みをつくるという意味での日本のリーダーシップの在り方ということで御提言がありましたので、私は大いに賛同したいと思います。
 せっかく鳩山イニシアチブということでああいうふうな形で発表したとしても、実際の様々な国際的な会議の中で日本のリーダーシップという、顔の見える、常に同じ政治家が顔を出して、また会いましたねと、この問題についてはこれからもこういうふうに進めていきましょうというお話をきちんとリーダーシップを持って進めていかなければならないわけですが、そのために私は一つ提案があるんですが、ここの調査会、参議院独自の調査会においてのみこういう議論が先行して進められるのではないかなというふうに思って御提案申し上げるんですけれども。
 国際会議に同じ政治家が常に出ていく、そして、世界のリーダーたちと顔なじみになって、そういうことをきちんと発信していけるために、やはり今までですと、大臣があるいは他の政務三役が国際会議に出席するということについて国会日程との関係があって、川口委員もかつて環境大臣であったときに大変御苦労されたと思うんですね。あなたたちは野党のときはそうは言っていなかったよという御意見もあるかと思うんですけれども。
 やはりこれから、特にこの環境問題において、地球温暖化、気候変動の問題において日本がリーダーシップを発揮していくためには、そういう部分の改革も是非、つまり国会とそれから国際会議、その調整、これはやはり党派を超えてお互いに協力して進めていかないとできないと思うんですね。
 もしできれば、ここは自由討議の場ですので、今の私の提案について、特に川口委員のお話も、御意見もお聞きしたいと思いますし、先ほどの犬塚委員の提案の例えば国際連帯税的な新しい資金の獲得についても、やはり官僚ではなくて政治家の国際会議においてのリーダーシップの発揮という、その環境をまず整えることが私は非常に重要であるというふうに考えますので、是非、川口委員、また他の委員の御意見もお聞きしておきたいなというふうに思います。
 また、ちなみに、私も拉致問題についての国際議員連盟の会議に何度か参加しているんですけれども、やっぱり三回、四回と同じ人たちが顔を合わせると、その顔なじみになった時点でやっといろんな議論が進むということもございますので、やはりそういうことを是非、党派を超えてこの調査会で提案できればいいのではないかなというふうに思います。
#66
○会長(石井一君) それじゃ、藤田幸久理事。
#67
○藤田幸久君 私はたまたま一月にハイチに参りまして、その援助の現場にテントを持って、寝袋を持って、簡易トイレを持っていったんですが、私も今までスマトラとか行っておりましたが、今回感じたのは、いわゆる援助支援外交というものが全く新しい局面に来ていると。これから何か起こった場合に、それに始めからスタートダッシュよく参加をし、トップが決断をしてやっていかなければ国際社会に大きな顔ができない状況になったという、大変大きな違いになったと思っているんですが。
 今のその森さんの話とも関係するんですが、なぜそういうふうになったかというと、要するにヒラリー・クリントンさんが飛んでいった、ビル・クリントンさんが飛んでいった。そして、日本でいうと、みのもんたクラスの人が現場で中継をしている。だから、当時一か月ぐらいは、CNN、BBCばかりでなく中国国営放送も二十四時間中継やっていました。これは中国がPKOの人が亡くなったのですぐ飛んでいったと、遠い中国が現地に着いたのは四番目でございます。
 そこで、今の話なんですが、政治家行くべきだろうと思うんですが、会議に。ただ、重要なのは、コペンハーゲンとか大きな会議場に行く政治家の姿じゃなくて、例えばツバルに行ってみる、北極に行ってみる。実際に環境で被害が起きている場に政治家が出ていって、それを中継していただくということが、いろんな国の国民も巻き込んだ、つまりもうこういう時代なんだと。まさに先ほど先生がおっしゃっていたような、ノルウェーの場合はこれだけ深刻なんだとか。要するに、政治家が会議に出ていくんじゃなくて、環境が破壊されている現場に行くということを、広報を交えてやることによって国民を巻き込むことができるというのが一点目です。会議の場じゃなくて現場に行くのを見せるということ。
 それから、二つ目は、ヨーロッパの場合はもう皆さんが生活の中で環境に対する対応をしているというのは、要するに自分で考える国民に育っているということです。ですから、すべてこれ、別に環境に限らずですが、日本の国民が、まあ政治家がそういったことを言うならおまえはどうなんだという話になりますけれども、一緒に考えるということを含めて、考える国民が、そして情報を取る国民が出てくれば、環境に限らず動くようになると思います。
 それから、三点目ですけれども、いろいろこの専門家のお話聞いていて、例えば中国の話も心配が寄せられたんですが、実態とすれば、あと十年かあるいはその十年たたずに中国の環境政策は、対応は日本をはるかに超えるだろうという話があります。すごい莫大な、今アメリカの企業なりが中国の環境対応に対して投資もしていますから、今はその中国、遅れているんじゃないかという話ありますけど、すぐに抜かれてしまうんじゃないかという分析がある。例えばそうした具体的な生の情報を、せっかくですからもうちょっとこういう場で聞いて、議論をしていく。せっかくこれだけの、日本の国会で唯一の調査会があるわけですから、そうした生の、この動向も含めた情報をやり取りするような議論をしていただきますと、もっとはるかに有効な議論ができるのではないかと。
 その三つを、それにつけてもやはり党派を超えて、外務大臣がいいのか環境大臣がいいのか、あるいはこの委員の人たちも現場に出かけていくようなそういう仕組みを、議運と話さなきゃいけないのかもしれませんけれども、していって、一緒に、大きな問題ですから取り組んでいただくような提案を申し上げたいと思います。
 以上です。
#68
○会長(石井一君) ありがとうございます。
 それでは、山内徳信先生。
#69
○山内徳信君 私からは二点かいつまんで申し上げたいと思います。
 日本の環境教育といいますか、それは義務教育が終わるまでには基本的な環境教育を終わる必要があるんじゃないかと思います。私、北欧を何度か行っておりますが、そのことを強く感じました。
 それから、あと一点は、やはり戦後の日本のこの六十年間を振り返ってみたときに、一生懸命あの瓦れきの中から経済再建、国家再建のために開発、開発、開発と、こういうふうに進んできたわけですが、そういう開発という意識から私たちは今の自然と共生をするという、そういう意識の変革がやはり基本になければ、先ほどの三名の先生方のお話も聞いておりましていろんなことを感じましたが、やはり地球とかあるいは自然とかいうのを大事にするような社会、政治、環境になって初めてやはり人間をも、人間の生活をも大事にするようになるんだろうとかねがね思っております。
 したがいまして、そういう自然と一緒に生きていくという気持ちがなければやはり地球温暖化によるいろんな災害を防ぐこともできぬのじゃないかとこういうふうに思って、この二点、私から、もっと議論を深めていきたいし、まとめの段階にはそういう環境教育についてはまたその専門の省庁にこっちから問題も提起をしていく形を取っていただけたらと思っております。
 以上です。
#70
○会長(石井一君) どうです。ほかに御意見ございませんか。
 それでは、川口先生。
#71
○川口順子君 先ほど森議員から私の意見も聞いていただけるということでしたので、調査会ですから個人としての意見を申し上げたいと思いますけれども、森議員のお話を伺って、ああ、民主党もようやく分かってくれたかというのが私の実感でございます。
 それで、議員が外に出ていって議論をほかの国の同僚の議員とする、まさにGLOBEの仲間たちとするということも大事で、藤田理事が言われたような現場というのも大事ですし、会議という場も私は大事だというふうに思っています。
 それで、国会は大事なので、国会を抜けるということにはなるわけですから、いろんな仕組みや議論をしなければいけないんじゃないかなと思ってまして、一つ御参考までになんですけれども、外国で、これは多分イギリスあるいはほかの国でもやっているかもしれませんけれども、一人、与党と野党と同じ人数、外国に行くときには野党からも、与党から一人行く場合には野党からも一人行く。必ずしも同じ場所に行くということではないんですけれども、数が抜けると採決に影響があるという考え方で、一人どっちかから出るときにはどっちかから出る、野党が出れば与党も出ること、それによってバランスを確保しながら海外の活動を可能にしていくというシステムを使っている国もあるということを御参考までに申し上げておきます。
#72
○森ゆうこ君 そのシステムというか、例えばIPUなんかの国際会議に出たりするときにはそれぞれやはりバランスを取ってやっているというふうに思いますので、それは、今のお話は、要するに大臣、政務三役、大臣が出る場合に、例えばイギリス的に言うとシャドーキャビネットというか、そのカウンターパートが出るという、そういう意味ですか、そうではないですよね。
#73
○川口順子君 私の知っている先ほど申し上げた制度は、どこに行こうと、とにかく院を離れる人が同数同じときに外に行くと、そういうシステムです。
#74
○会長(石井一君) いずれにしても、今日の自由討議の中で出ました御意見で、犬塚委員の提案されました航空料金云々ということ、それから川口委員でしたか、提案されました、環境に対するCO2の排出の比率によってというのも、国連の分担金の分配のようなのを環境でやるのかなというような、ちょっとイメージ的にそういうことを考えたわけですが、要するに負担の大きいところへ負担を加えるということなんですが、ここで議論するよりも、日本の代表が国際会議へ行って提案してもらいたい話ですよね、具体的なものを詰めて。その議論を詰めれるのは我々ではない場合に、我が国の政策決定をやるのに与野党共に一緒になって何らかの形で提案をし、それが世界に通用するような形でそれを発表していくと。
 それからまた、藤田さんの言われました、いわゆる現場へ行って、そして国民に、世界の人々にそういう意識を高めていくという行為だって、これ国際会議で日本の代表が発信するということにみんな尽きてくるわけですから。
 こういう形の今日は有益な御発言がございましたので、これをどういう形でまとめるのか、今ここで決めるわけにもまいりませんから、ひとつ重要な御提案を今後それぞれが持ち帰って検討し、調査室の方でも、政府委員の方でも、何らかの形で調査会の意見としてまとめていくと、そして与野党を問わず、国民の、日本の意思として国際社会へ広めていくと、こういうふうにするべきだなというふうなことを感じました。
 ほかに御意見がなければ、今日は有益な御発言がたくさんございました、本日の調査はこの程度といたします。
 委員各位には、貴重な意見を熱心にお述べいただき、誠にありがとうございました。今国会においては、三年間の調査活動を取りまとめた最終報告書を作成する必要があります。地球温暖化問題に関しましては、今後、調査室において、本日の意見交換も含め、これまで行われた議論を整理した上で、必要に応じ委員間で更に議論、協議し、最終報告書案の作成を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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