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2010/04/08 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 環境委員会 第5号
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2010/04/08 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 環境委員会 第5号

#1
第174回国会 環境委員会 第5号
平成二十二年四月八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月六日
    辞任         補欠選任
     藤谷 光信君     松野 信夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山谷えり子君
    理 事
                相原久美子君
            ツルネン マルテイ君
                有村 治子君
                加藤 修一君
    委 員
                池口 修次君
                岡崎トミ子君
                谷  博之君
                轟木 利治君
                広中和歌子君
                牧山ひろえ君
                松野 信夫君
                荒井 広幸君
                神取  忍君
                川口 順子君
                中山 恭子君
                浜四津敏子君
                市田 忠義君
                川田 龍平君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 堅一君
   参考人
       早稲田大学大学
       院法務研究科教
       授
       早稲田大学法学
       部教授      大塚  直君
       電気事業連合会
       環境委員会委員
       長
       東京電力株式会
       社取締役副社長  猪野 博行君
       東京工業大学大
       学院総合理工学
       研究科長・教授
       国際影響評価学
       会(IAIA)
       理事・会長職   原科 幸彦君
       よみがえれ!有
       明訴訟弁護団事
       務局長
       元九州弁護士会
       連合会環境問題
       に関する連絡協
       議会委員長    堀  良一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○環境影響評価法の一部を改正する法律案(内閣
 提出)
    ─────────────
#2
○委員長(山谷えり子君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六日、藤谷光信さんが委員を辞任され、その補欠として松野信夫さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山谷えり子君) 環境影響評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、参考人として早稲田大学大学院法務研究科教授・早稲田大学法学部教授大塚直さん、電気事業連合会環境委員会委員長・東京電力株式会社取締役副社長猪野博行さん、東京工業大学大学院総合理工学研究科長・教授・国際影響評価学会(IAIA)理事・会長職原科幸彦さん及びよみがえれ!有明訴訟弁護団事務局長・元九州弁護士会連合会環境問題に関する連絡協議会委員長堀良一さんの四名に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、大塚参考人、猪野参考人、原科参考人、堀参考人の順でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず大塚参考人にお願いいたします。大塚参考人。
#4
○参考人(大塚直君) 大塚でございます。私から、まず環境影響評価法の一部を改正する法律案についての私の意見を申し上げたいと思います。
 最初に、一九九七年に環境影響評価法が制定されましたが、その特徴についてレジュメの方を御参照いただければ有り難いと思います。時間の関係上、この点については飛ばさせていただきまして、三ページのところに移りまして、現在の法律の足りない点といたしまして、代替案としての複数案の検討が義務付けられていなかったという、三項めのところ、それから第三者機関としての環境大臣の意見が評価書の段階にとどまっていたということ、それから、事後調査につきまして規定は置かれてはいますけれども極めて任意性の強いものであったという三点について指摘させていただきたいと思います。
 そして、時間の関係上、五ページの四の評価と論点のところに移りたいと思います。
 今回の改正法案は、現行法制定のときに残された課題の重要な部分につきまして改正によって対処しようとするものでありまして、積極的に評価できると考えております。
 第一に、計画段階配慮書の手続が導入されていますが、これは代替案の意味での複数案、すなわち本来の意味の複数案を実質的に義務付けるものでございまして、法律に基づく環境影響評価制度が欧米に言う環境影響評価本来の目的を果たし得るものになるということは慶賀すべきことであると考えております。より早い段階での環境面での検討を行うことによって環境影響の回避を図ることができるようになりますので、大きな効果が期待されると思います。
 第二に、第三者機関である環境大臣の意見を述べる箇所を増やしたということは重要な進展であると思います。現行法におきましては、環境大臣は評価書のところでのみ意見を言う機会がございましたが、今般の改正案におきましては、配慮書、方法書、評価書、事後調査の報告書という四つの箇所で意見を言えることになっております。
 第三に、市民の意見聴取に関しまして、現行法は、既に閣議決定要綱、この現行法制定前の閣議決定要綱のころとは異なりまして、方法書の段階と準備書の段階の二回意見聴取の機会をつくって、さらに関係地域以外の者の意見聴取も認めているということになっておりましたが、今般の改正によりまして、配慮書の段階でも意見聴取の努力義務を課しておりまして、意見聴取の機会は計三回となります。さらに、縦覧に関して電子化をするということがございますし、また、方法書段階での説明会を義務付けて住民に事業の内容を理解して意見提出の基礎をつくる機会を設けたということなど、市民の意見聴取の強化を図っていると考えられます。
 第四に、環境保全措置等につきましては従来全く事業者の自主性にゆだねられておりました。この点は事後調査の問題も含まれていますけれども、全く事業者の自主性にゆだねられておりました。これにつきまして今般の改正案におきましては、許認可権者に対する報告の義務付け、公表の義務付けを事後調査の段階で入れております。この点は、環境影響評価の実効性を確保する、環境配慮の促進をするという観点から重要な改正であると考えております。
 以上四点、今般の改正案についての積極的に位置付けられる点について申し上げました。
 特に注目されますのは、第一点として申し上げました計画段階配慮書の手続の新設でございます。これについてやや詳しく触れておきたいと思います。
 今般の制度見直しにおきましては、実績の積み重ねがある個別事業の位置、規模又は施設の配置、構造等の検討段階を対象とした戦略アセスメント、SEAの導入を図ったものでございまして、これは、欧米で導入されているSEA、つまり、より上位の計画や政策段階での環境影響評価とは必ずしも一致しません。その意味で日本版の戦略アセスメントでございます。
 計画段階配慮書の手続の導入の最大の眼目は、代替案の検討を基本とするということでございます。条文上は「一又は二以上」というふうに書いてありまして、正確には単数案もあり得るわけでございますけれども、基本は複数案であると考えられます。この複数案につきましては、複数の区域の設定ということが条文上書かれていますが、区域の設定以外にも施設の構造、配置等の内容も含まれることになります。
 この点に関しまして、現行の国の環境影響評価におきましては、複数案の検討が八割の環境影響評価の中で行われているとされていますけれども、この中には環境保全措置、英語で言いますとミティゲーションが含まれておりまして、欧米で言われているような代替案では必ずしもございません。いわゆる代替案、オールタナティブズに当たるものはごくわずかでございます。そして、従来の環境影響評価におきましては、早期段階での案の選定に関しまして市民の関与とか主務大臣等第三者の参画がなく、環境影響の低減が図られずに問題になった事例が存在しております。方法書の段階では既に事業の位置、規模、配置等の枠組みが決定されておりますところから、環境影響の回避とか低減ということが十分でないという傾向があるというのが今回の改正案に直結していると考えられます。
 代替案、オールタナティブズというのは環境影響評価の先進国でございますアメリカでは環境影響評価の核心であると言われていまして、今般の改正案によって、代替案の意味での複数案が基本的に検討されること、つまり回避を含めて対応するということになれば環境配慮の促進に格段の効果があると考えます。また、より早い段階での環境面での検討を行うことによって、事業者がより柔軟な措置をとることが可能となりまして環境影響の回避を図ることができるようになります。生物多様性基本法が既に二十五条におきまして、事業計画の立案の段階等での生物の多様性に係る環境影響評価の推進について規定しておりますところからも、本法のこのような改正というのは既に求められていたところであると思われます。
 もっとも、改正法案における計画段階配慮書手続の導入に対しましては幾つかの論点がございます。
 まず第一に、二〇〇七年から環境省の方で作られている戦略アセスメントについてのガイドラインというものがございますけれども、これとは違っていまして、ガイドラインの方は二段階に分けて市民の意見を聴くという形を取っていますが、今回は二段階に分けておりません。これは、事業計画というものが種々行われるものであって、一義的な手続を設けにくかったということに起因していると考えられます。
 第二に、配慮書としてはどの程度のものが要求されるかという問題がございます。
 この点につきましては、配慮書の段階では、早期の段階ですので既存情報からの複数案が検討されるのに対しまして、その後の方法書の段階では、より調査が進んだ段階での複数案が検討されるということでございまして、両者は異なっております。他方、配慮書が非常に大ざっぱなものになるおそれがあるのではないかという問題もございますけれども、この点につきましては、配慮書の内容というのは後の方法書に反映されますので、配慮書と方法書が大幅に違っていれば、市民には直ちにそれが明らかになるということになります。方法書につきましては、事業者は説明会を開いて説明をするという責任がございますので、事業者も非常に大ざっぱな対応を配慮書においてするというわけにはいかなくなるということが予想されます。
 第三に、三条の七を見ますと、市民及び自治体から意見を聴く際に、事業者は配慮書又は配慮書案を示すということにしています。さらに、市民や自治体の意見を聴くことが努力義務にすぎないということになっていますが、これをどう見るかという問題がございます。この点は、事業者に対して、公表前の配慮書案の段階で意見を聴いてもいいし、公表後の配慮書の段階で意見を聴いてもよいという柔軟な対応を可能としているということでございます。
 また、努力義務にとどまるという点につきましては、国交省等では既にパブリックインボルブメントを行っていますし、努力義務にすぎなくても、事業者は後で方法書のところで手続が進まなくなるということになりますと困りますので、実際には市民への聴取の義務を課するのと変わらない効果が期待されると思われます。自治体に対する意見聴取についても原則として行われるものと認識しております。このSEAの過程におきます自治体あるいは市民の関与の在り方につきましては、事業の種類によって様々でございますので柔軟な対応が必要であるということが中環審の答申におきましても言われていますが、そのためにこのような規定ぶりになっていると考えられます。
 第四に、今般、計画段階配慮書の手続が入ることによって、事業全体の遅延に影響し、またコストが掛かるのではないかという問題がございます。
 しかし、環境影響評価の手続は、それだけを独立して行うのではなくて、ほかの法令の手続とか地元自治体との調整など、事業の実施に当たって不可欠な手続と並行して進められているのでございますので、環境影響評価によって時間が掛かるという部分はそれほど長くはございません。調査を始めてからすべての手続が終了するまではおおむね二から三年掛かるのが一般でございます。
 また、今般導入される予定の計画段階配慮手続に必要な期間につきましては、現在でも方法書を準備する以前から既存情報などを用いた調査が行われていることは多いものですから、半年程度までの増加にとどまるものと考えられます。そして、半年程度までの期間の増加というのはあり得るといたしましても、むしろ後になって時間が掛かるよりも、早めに市民の意見を聴いてそれを参酌して合意形成をした方が結局は早く事業を実施できると考えられます。
 具体例を挙げますと、例えば高速の横浜環状北線の道路につきましては、パブリックインボルブメントをしないで手続に入りまして、準備書段階で市民から二十九万通もの意見が提出されたということがございます。一方で、高速の横浜環状北西線の道路におきましては、パブリックインボルブメントをいたしまして十三のルートを提案して比較検討しましたので、意見はほとんど来ず、特に反対運動もなかったということがございます。このように、早い段階から市民意見を聴取するということは、合意に基づく事業の円滑な実施につながると考えられます。
 なお、既存情報による調査が主になりますので、配慮書の手続の新設による金銭的な負担の増加というものは限られたものになると考えられます。
 第五に、発電所等のリプレースの問題にも配慮書手続が必要となるのは事業の供用の遅れを招くのではないかという批判もなされますが、この点につきましては、中環審の答申にございますように、我が国で導入すべきSEA制度の柔軟性にかんがみれば、SEA手続自体をもってその後の事業実施段階における環境影響評価の手続自体を完全に省略するということは適当でないけれども、方法書における評価項目の絞り込みを通じた運用をする、期間の短縮をするなど、弾力的な運用で対応するということが必要であるとされています。
 一つ飛ばしますけれども、第七に、配慮書手続の導入によって事業を中止させることができるかという問題もございますけれども、これにつきましては、そういうことはもちろんあり得るわけでございますが、それはまさに個々のケースごとの判断とか意思決定の結果行われることであるということを申し上げておきたいと思います。
 第八に、いわゆるゼロオプション、事業を実施しないという選択肢を含めた複数案の検討を義務付けるべきではないかという批判がございますけれども、ゼロオプションにつきましては、それが現実的である場合やほかの施策との組合せによって対象事業の目的を達成できる場合などにおきましては、事業の種類によっては入れるということが望ましい場合がございますけれども、一般的には、中環審の答申にも示されておりますように、配慮書手続を柔軟な制度とするという趣旨からいたしますと、義務付けまでするのは困難ではないかと考えております。
 時間の関係上、環境保全措置等の公表等の手続の義務化のところは飛ばしまして、将来の課題として残された点に移りたいと思います。
 本法が将来の課題として残したものは少なくありませんけれども、環境影響評価に伴う時間的、金銭的なコストについても一定の配慮はせざるを得ないということがございまして、また、本法が本来目的とするベターディシジョンに向けて、事業者と住民とがコミュニケーションを取り合えるような運用方法を我々自身の手でつくっていくという必要がございますので、そのためには制度の改変を一歩一歩行わざるを得ないという面があると思います。国交省の那覇空港等におけるパブリックインボルブメントの手続はその一例でございます。また、条例に基づくアセスとの関係についても相当の配慮が必要であると考えられます。
 将来の課題として考えられるものは、幾つか挙げておきましたけれども、一つ飛ばしまして、まず、欧米において行われているSEAの導入、あるいは簡易アセスの導入、さらにアセスメントに関する訴訟の導入、この三点につきましては、審議会でも議論が行われましたし、学会においてもそのような提案があるわけでございますけれども、今回直ちに導入する時期には至っていないというのが審議会の大勢でございました。
#5
○委員長(山谷えり子君) そろそろ時間でございますので、おまとめを。
#6
○参考人(大塚直君) はい。
 欧米で行われているSEAにつきましては、中環審の答申でも検討の必要が指摘されているところでありまして、今後の課題でございますけれども、今般の制度見直しにおきましては、実績の積み重ねがある個別事業の位置、規模又は施設の配置、構造等の検討段階を対象とした日本版のSEAの導入を図ったものでございます。本格的なSEAの導入に当たっては、環境影響評価法以外の法律が問題となるということがございまして、更に検討を必要とするものと思われます。
 簡易アセスにつきましては、当初から法律の内容に含めていれば別でございましたけれども、今となっては根本的な変革が必要となりますので、既に制定されてしまった条例の対象に法律が侵食していくということになりますので、条例との関係を含めた十分な検討が必要であると思います。
 訴訟との関係につきましては、幾つかの配慮すべき点がまだ残されておりますので、例えば環境影響評価法という個別法において取り扱うべきものかという法体系上の問題、さらに制度化した場合の都市計画等への影響、制度化の際に事業の許認可に違法があることの証明を必要とするかどうか等々の根本的な議論を行った上で更に検討を進めていく必要があると考えております。
 以上、私のお話を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(山谷えり子君) ありがとうございました。
 次に、猪野参考人、お願いいたします。猪野参考人。
#8
○参考人(猪野博行君) 猪野でございます。本日は、環境影響評価法改正案について電力業界から意見を述べさせていただきたいと思います。
 電力業界においては、地球環境問題の解決に向けた低炭素社会実現が喫緊の課題であると認識をしておりまして、低炭素社会実現の切り札となります原子力発電所の新増設であるとか、火力の高効率発電へのリプレースを早急に進めていかなければならないと考えております。
 そのような中で、今回の環境影響評価法改正において、事業構想段階での検討事項の公表を義務付ける、いわゆる戦略的環境アセスメント、SEAの導入が低炭素社会実現を妨げることにもなりかねないことから、大きな関心及び懸念を抱いているところでございます。また、民間事業者、とりわけ競争環境にあります民間事業者にとって、事業構想段階での検討事項の公表を義務付ける戦略的環境アセスメントは、環境への配慮のためとはいえ、まさに経営戦略に係る重要情報の開示を求めるものであり、事業経営に影響を及ぼすことになりかねないと懸念をしております。
 まずここで、電気事業、すなわち発電所建設に関する現行の環境影響評価、アセスの取組について御説明をさせていただきたいと思います。
 発電所におけるアセスについてですが、アセス法制定以前の昭和五十二年から省議アセスによりほかの事業に先駆けてアセスを実施しており、百三十五件の実績があります。また、平成九年のアセス法制定後のアセスについても既に九件の実績があり、我々の取組については社会の信頼を得ているものと考えております。
 次に、現行のアセスでどのような手続が実施されているかを説明をいたします。
 発電所の建設において、アセス手続は環境影響評価法及び電気事業法で規定されております。まず、方法書手続では、住民意見、知事意見を踏まえて経済産業省での審査が行われ、その後、経済産業大臣の勧告が出されます。この審査の段階においては、専門家の先生方で構成される環境審査顧問会の意見も考慮をされます。次に、準備書手続では、説明会を経て、住民意見、知事意見を踏まえて経済産業省での審査が行われ、その後、経済産業大臣の勧告が出されます。この審査の段階において、専門家の先生方で構成される環境審査顧問会の意見及び環境大臣の意見も考慮をされます。
 このように、発電所建設に係るアセス手続では様々なステークホルダーの意見を取り入れており、その意見を踏まえ調査や予測を行い、その結果、アセスを開始した後であっても計画の中止、変更も可能であり、その実績もございます。
 次に、これらの発電所建設に係るアセス手続を踏まえ、現行のアセスにおいてどのような環境配慮がなされているかについて御説明をいたします。
 まず、建設計画公表後に続いて開始される方法書段階においては、事業実施に当たっての背景、経緯及び必要性をできる限り明らかにするとともに、地域特性並びに環境保全の配慮に係る検討の経緯及びその内容について把握することとなっており、これに基づき計画早期段階での環境配慮を行っております。
 次に、生物多様性への配慮でございますが、発電所のアセス手続の詳細を規定した省令において、生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全を旨として調査、予測及び評価されるべき環境要素といたしまして、動物、植物、それから生態系の三つの要素が定められております。我々電気事業者は、これに従って調査、予測、評価を行い、重要な種及び注目すべき生息地の保全といった必要な措置を講じております。生物多様性基本法の第二十五条には、計画の立案段階からその事業の実施までの段階において、その事業に係る生物の多様性に及ぼす影響の調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、事業の特性を踏まえつつ、必要な措置を講ずるものとするとありますが、現行の発電所のアセスでは、この生物多様性の保全について必要な措置は既に講じられていると考えております。
 以上のことから、現行の発電所アセスにおいてその評価項目の一つとして生物多様性の確保も含んでおり、計画早期段階からの環境配慮は十分実施されていると考えております。
 また、現行のアセス手続開始後の計画変更についてですが、SEAの議論がなされるときに、よく現行のアセスでは手続を開始してしまえば計画を変更できないという意見も出されますが、実際にそういうことはありません。先ほども申し上げましたが、現行の発電所アセスにおいては、住民の意見、知事の意見、環境審査顧問会の専門家の意見が反映され、地域や専門家、自治体の意見を考慮する仕組みとなっており、それらの意見や評価結果による建設計画の中止、変更も行っております。
 こうした中、今回、アセス法改正案が提示され、現行のアセスの前の段階で新たに日本版SEAともいうべき手続が設けられようとしておりますが、電気事業者としては次のような問題点があると考えております。
 一つ目は、仮にSEAを建設計画公表前の事業の構想段階における意思決定プロセスの途中でまさに経営戦略、事業の根幹であります技術的ノウハウ、重要情報の開示を求めるものだとすれば、競争環境にあります民間事業者としての経営上の利益を著しく毀損することになります。
 また、計画の公表により、ケースによっては様々な意見が寄せられ、反対運動等も起こることが想定され、投資計画の不確実性が増すことを意味しますので、競争環境にある民間事業にとって、建設計画公表前の事業構想段階におけるSEAは受け入れられるものではないということであります。
 今回のアセス法改正案では、SEAを行うべきタイミングとして、事業が実施されるべき区域その他の事業の種類ごとに主務省令で定める事項を決定するに当たってはとされていますが、主務省令が定められるに当たって、事業計画の根幹を決定する前のタイミングでSEAの実施を求められることも懸念されるため、中央環境審議会での答申でもありましたように、事業の種類、特性に応じた柔軟な制度というものが必要不可欠であると考えます。
 二つ目は、発電所建設のための意思決定プロセスには地点、燃料種、出力、発電方式等の重要な要素がありますが、エネルギーセキュリティー及び立地制約等からその選択肢が限定されるため、すべての条件を満たす複数のプロジェクト案は現実的には存在いたしません。したがって、地点、燃料種、出力、発電方式については複数案の提示は不可能と言わざるを得ないということであります。
 特に、地点については、もし仮に複数案が存在したとしても、建設計画公表の前後にかかわらず、それを提示することによって地元等の混乱を招くことになり、さらには将来の開発地点をも失うおそれがあることから、地点の複数案の提示、公表は不可能であります。
 複数案については、先日の参議院本会議で自民党の有村議員が御質問され、それに対して小沢環境大臣が、事業の立地箇所ではなくて施設の配置等に関する複数案の検討は十分可能だと思っておりますと回答されていました。
 施設の配置につきましては、配慮書手続の趣旨にのっとり可能な限り検討を行ってまいるものの、現実的には、施設の配置においても、例えば十分な開発区域を確保できない、又はリプレースの関係で制約を受ける、そのような様々な制約から複数案を設定できない場合もあると考えておりまして、このようなケースも許容される制度設計となるようお願いをいたします。
 三つ目は、建設計画公表後であっても現行のアセスの前に別途SEAの手続を義務付けるということにつきましては、先ほど御説明しましたとおり、従来、方法書で対応してきました環境配慮の手続を別途方法書の前に課すことになり、更なるアセス期間の長期化やコストアップといった計画の不確実性を増大させることにつながり、低炭素社会実現に向けて不可欠な原子力発電所の新増設や火力の高効率発電へのリプレースを遅延させるおそれがあるということであります。
 今申し上げました問題点の二つ目、三つ目に関しましては、今回のアセス法改正案では、複数案の検討内容や一般からの意見聴取の方法など、詳細については主務省令や基本的事項で規定されることになっております。
 しかしながら、主務省令や基本的事項は具体的な内容が定められていない状況ですので、それらの中で、地点、燃料種、出力、発電方式等の提示不可能な複数案の検討が規定されることや、アセス手続が更に長期化するような過重な手続が規定されることが懸念されます。したがって、基本的事項や主務省令を定めるに当たっては、中央環境審議会の答申にある事業の種類、特性に応じた柔軟な制度との考え方を十分に反映されるようお願いをいたします。
 さらに、今回の改正によって、環境影響評価として、事業者は一事業ごとに配慮書、方法書、準備書、評価書、それから事後調査報告書と、さらにそのうちの配慮書、方法書、準備書、評価書についてはその要約書も作成することになります。今後、詳細を決めていくに当たっては、この環境影響評価全体にわたり、過重な手続とならないよう御配慮いただきたいと考えております。
 最後に、繰り返しになりますが、我々電気事業者としましては、現行のアセス法においても計画早期段階から生物多様性も含め環境配慮を十分実施してきており、今後とも十分な環境配慮を実施していく所存でございます。
 以上、本日は環境影響評価法改正案について意見を述べさせていただきました。
 御清聴ありがとうございました。
#9
○委員長(山谷えり子君) ありがとうございました。
 次に、原科参考人、お願いいたします。原科参考人。
#10
○参考人(原科幸彦君) それでは、発言いたします。
 東京工業大学の原科でございます。本来ですと、今日はスイスのジュネーブに行っているはずでございまして、私は今、ここに出ておりますけれども、(資料映写)国際影響評価学会という学会の会長、理事・会長職ですが務めております。三年の任期でちょうど四月までが任期最終段階なので、本当は向こうへ行っていないといけないんですけれども、たまたま一月の選挙で研究科長、これ学部長になりますけれども、相当しますのに選ばれましたので、四月早々は日本は大変ですからね、そういう事情を説明しまして皆さんの御理解を得てこちら、日本にとどまっております。ということで、たまたま逆にうまい具合に今日はお話しできるという、何がどうなるか分からないですね。人間万事塞翁が馬でございます。ということでお話しさせていただきます。
 私、この研究ずっとやってまいりました。この学会は世界百二十以上の国と地域からメンバーが入っておりまして、国連でも特別に認定された学術団体で大変権威があります。日本人として初めて会長になりましたので、新聞でも報道されたんですけれども、多分皆さん御存じないと思うんですね。日本でアセスメントに対する認識が余り高くない結果だと思うんですけれどもね。というようなことでございます。
 そこで、実は日本で私はこういうようなことになっている、日本計画行政学会という。この学会は第三代目の会長が大来佐武郎先生でございます。こういった環境分野に大変かかわりの深い方が会長をやっておられまして、私もそういった分野のいわゆるプランニングの世界の研究をやってまいりました。アセスメントはむしろこのプランニングとの関係で考えなきゃいけないんですね。今お二人のお話で、現在の改正、私はかなりいい部分があると思いますということではそれは評価いたしますけれども、プランニングという立場から考えますとまだ十分ではない点がございます。
 そこで、今日は資料を用意いたしましたけれども、ちょっと資料が多過ぎたようで少し恐縮でございますが、ちょっと御紹介いたしましょう。
 お手元に一枚だけ、これが中身、ポイントでございますが、私の申し上げたい点を要約してございます。
 前半、改善された主な点につきましては、特に大塚先生がお話しになった点、私も多々あると思いますので、これはもうこれを見ていただけばよろしいと思います。
 問題は、こういった改正に対する議論でございますから、残された問題点は何があるかということを申し上げたいと思います。
 実は、環境アセスメント、日本において認識が低いのはなぜかといいますと、アセスメントというのはどうも嫌なものだと、余計なことをやらされてと、そういう認識がかなりあると思うんですね。しかし、世界はそうじゃないんですよ。国際影響評価学会で私が会長に選ばれたのは、これも選挙で選ばれますけれども、恐らく日本の国際面での環境配慮がかなり進んできたと、このことが評価されていると思います。実際、この十年間で国際協力の分野では、特に国際協力機構、JICAとか、それから国際協力銀行、JBIC、こういったところがすばらしいガイドラインを作ってまいりまして、中身はアセスなんですが、これが国際で、世界から見えますからね、評価されて日本もなかなかやるんじゃないかと、期待があるかと思います。
 実際、JICAは現在は何と一兆円を超すお金を動かす組織でございまして、世界銀行の動かしているお金の二倍以上の額で、あっ、半分以上ですね、極めて大きな活動をしておりますので、その活動に環境社会配慮ということでアセスをしっかりやるということがありますので、これは当然皆さんが注目するわけですね。
 翻って、日本の国内を見ると、余りにもこれは情けない状態でございます。アセス法のできましてこの十年間の経過を見ますと、一年間にわずか二十件でございます、アセスの適用率が。
 世界はどうか。アメリカはNEPA、これは世界のアセスの先駆けでございますが、連邦政府のアセスメントだけで三万件から五万件、平均四万件ですね。ですから、日本の二千倍やっております。経済規模が二倍ほどですから、経済規模で考えても一千倍ほどの程度やっているわけですね。遅れてアセスを始めた中国はどうか。中国はすばらしい今経済発展をしておりますが、この中国も経済と、環境への配慮等をやってまいりまして、何と年間三万件です。
 我が日本は国のレベルでたった二十件、この事実をまず認識していただきたいと思います。それはアセスメントに対する国民の理解が少し十分でないと思いますね。つまり、アセスメントというのはもう究極のCSRなんですね。事業をする主体が自主的に環境配慮、これを促進するための方法なんです。
 環境政策の手段には実は三つありまして、ちょっとこういう本を書いております、私は。環境計画・政策研究、こういうような分野でございますが、そこで、持続可能な社会づくりへの合意形成ということがキーでございますけれども、社会の意思決定を合理的で公正なものにするにはどうしたらいいか、是非皆さんにもこれをお求めいただいてお読みいただきたいんですけど、すばらしい本でございますよ。このことを是非考えていただきたいですね。この考え方はまさに持続可能な社会をどうやってつくるかなんですね。そのためには情報公開なんです。情報公開を徹底してやっていくのはこれは世界の流れでございます。国際協力分野ではまさにそうなんですね。それが進んできたので日本もやるかなと思われていると思いますね。
 そこで、環境社会配慮、ちょっと広い概念で申しますと環境配慮でもよろしいんですが、合理的で公正な意思決定をどうするかでございまして、三つの点がございます。
 一つは合理性ですね。科学的な判断が必要だということで、システム分析という方法が使われております。これが代替案の検討、これも何度も出てまいりましたが、これはやっぱりキーなんですね。
 二つ目は公正性です。特に民主的な社会では参加と情報公開がポイントでございますので、この二つですね。しかし、この二つだけを追求いたしますと時間が掛かってしようがない、しかし意思決定は時間の制約がありますね。ですから速やかに下したいわけです。
 そこで、工夫がありまして、効率性のためにコミュニケーションなんですね。私もコミュニケーションが悪かったと思います。今日、スライドのこのコピーを用意していただいたんですが、私の感覚は一ページ一個じゃなくて六個入っているので、たった二枚で終わるはずだったんですけれども、丁寧にこうやっていただいて有り難いんですけど、それこそコミュニケーションちょっと足りなかったですね。コミュニケーション大事なんですね。
 ということで、アセスメントはそういうことでコミュニケーションのための手段なんですよ。しっかりコミュニケーションをやって、その結果、事業をする主体が自主的に環境配慮を進めていく、これがポイントです。ですから、法規制で守らなきゃいけない、これ当たり前でしょう。それを超えてどれだけやるかなんですよ。
 電力会社はよくやっていると私思います。それは今の制度の下でよくやっていますけれども、生態系保全という点では一番肝心な問題、立地のところ、これいじれなかったら、もうそこに決まった以上、もうそこにある生物はいかに貴重な生物であろうともなくなっちゃうんですよ。もう根本的な問題でしょう。だから位置、規模等の検討段階でアセスメントをやらないということを、我々議論して、そのようになってきたわけですよ。だから、そこのところをよくお考えいただきたいと思います。
 そういうことで、このようなことを考えると、参加が一番ポイントですね。参加にはこの五段階モデルが最近よく使われますけれども、一番低い段階は情報提供でありますね。これ昔の日本です。意見を聴く、そしてその上で応答しますけれども、形だけの応答が結構多いんですね。だから紛争になるわけです。大事なのは意味ある応答です。きちんと答えていくことですね。ということで、意味ある応答が大変重要な概念だと思います。五番目はパートナーシップと書きましたけれども、とりわけ環境に影響の大きいようなものは大体イーブンな立場で物を考えられません。パートナーシップというのは事業する主体とあるいは住民が対等な関係ですから、そういう状況は余りないので、実際はレベルフォーの意味ある応答、これをいかに実現するかなんですね。そのための手段としてアセスメントを私考えております。ですから、アセスプロセスではそのプロセス全体を通じて意味ある応答がなされます。
 今、先ほどのお話でたくさんの文書を作るのが大変だというお話がありました。確かにそうなんですけれども、それを公表して意見をもらうことによってフィードバックができるんですね。ですから、ラブレターのやり取り、ラブレターじゃないかもしれないですけど、そういう手紙のやり取りみたいなことでやっていくのがこのプロセスなんですね。ですから、これは一種のハーバーマスの言います公共圏が形成されるわけです。つまり情報が公開されて、その中の意見がお互いに公表されて、どんなやり取りがあったか分かるわけですね。一つには公共空間という言い方をしますけれども、特定の地域が中心ですから、公共空間でのオープンな議論がされると、これがポイントでございます。これをいかに効率的にやるかというのがポイントだと思っております。
 そこで、日本のアセスメントをどのレベルにあるかということで評価しますと、これ三つ書きました。左が閣議アセス、昔のものです。網掛けしておりますのが参加の機会でございまして、昔のものは準備書段階一回しかありませんでした。ところが、今は二回ございます、方法書と準備書ですね。これは大きな進歩でございまして、二回あることによってフィードバックが可能ですから、意味ある応答の生まれる可能性ができました。
 右は、アメリカのNEPAです。これは世界のアセスの先駆けでモデルと今でも言われておりますが、この場合には、この二回の前後にも参加の機会がございましてより多いわけでございますけれども、世界の標準形は真ん中です、日本のものです。例えば、世界銀行は日本でやっているような方法書段階と準備書段階での参加の機会を設けることを必須条件としておりまして、このようなアセスをやらなかった場合には融資はいたしません。このぐらいきちっとしております。ですから、日本はそういう意味で世界標準になったんですね。ただ、問題は運用なんですよ。
 ところが、従来の環境アセスの問題点ございまして、ほとんどが事業実施の直前ですね。ですから、今回改正をしようということでございます。これは世界もそうでありました。しかし、この十五年ほどで様子変わってまいりまして、今ではこういった問題点に対応することを考えています。もう話が決まっている、立地が決まったら、必要な生物を守ろうとしてももう話はそれ以上進まないですね、十分な環境配慮ができない。事業のそのような場合には中止はほとんどできません。そしてまた、個別の開発行為ですね、小さなもの、簡易アセスやっていませんから、小さなものはみんな見逃されますから、そうすると累積的な影響を回避できないんです、ということがございます。
 そこで、事業段階では遅過ぎるんだと、計画や政策という意思決定の上流でです、戦略的な意思決定の段階で環境を配慮しましょうというのがこの世界の流れでございまして、この十年以上そういうことで変わってまいりました。
 これは一つ例を申し上げたいと思います。これは東京とニューヨークの比較でございます。
 私は放送大学で十五年間三つの番組をやってきまして、アセスメントの授業ですが、こういうテキストを使っております。(資料提示)これをちょっと参考に回覧したいと思いますが、ちらちらと見ていただいて、放送は昨年で十五年でちょうど終わったところなんでございますが、その中で作った絵です。これは私がヘリコプターに乗って撮ったんですが、都心部の状況は東京、ニューヨークともに高層ビルが大変立ち並んで、いかにも大都会ですね。
 都心から離れるとどうなるか、これ十キロです。東京とニューヨークまるで違うでしょう。ニューヨークはこれだけ自然が守られているんですよ。これは土地利用規制なんです。だからプランニングの問題なんですね。まさにこれは持続可能な都市ですね。東京は持続可能と言えますでしょうか。
 二十キロ行くとどうなるか。ますます差が大きくなります。ニューヨークは森の中です。東京はこれは調布の辺りですけれどもね。さっきの十キロは世田谷区ですよ。このぐらいです。
 こういったことが何で起こったかといいますと、結局、人間活動の管理という概念がないんですね。これは私が日経の「経済教室」に書いたものが英語になりまして、漫画を付けてくれました。見てください。左側、都市活動、経済社会的な側面に比べて環境面が余りにも軽んじられている、こういった東京の都市構造の問題を論じていまして、そのためには結局累積的な影響を減らすために人間活動をいかに管理するかです。そのために生み出されたのがアセスメントなんですよ。
 しかも、それは、事業主体の自主的な判断であるということですね。それを促進するための枠組みは何といっても情報公開なんです。
 戦略的環境アセスメント、これは御存じのとおり、ストラテジック・エンバイロンメンタル・アセスメントといいますけれども、これは、世界で共通の認識は持続可能な開発のための手段であると位置付けられております。
 環境に著しい影響を与える人間活動の管理ということになりますけれども、一つは必要性ですね。ですから、立地段階でノーアクションと必ず比較するんです。これが本当に必要という場合でも、ノーアクションと比較しています。これはやらないという意味じゃないんですよ。やらないときよりもこの事業をやった方がこれだけいいことがありますという社会の説得なんです。納得してもらうための仕組みなんです。コミュニケーションなんです。だから、ノーアクションを出さないのはかえってコミュニケーションを拒んでいるようなものですね。これをやらないよりはやった方がいいんですよと。普通そうでしょう、セールスのとき。あなたこれ買わなかったらとんでもない、これ買ったらこんなにいいことありますと言うでしょう。同じことなんですよ。だから、ノーアクションを出すのはこれ当然なんですね、コミュニケーションの立場で言えば。そして、累積的影響の緩和ということですね。こういったようなことを考えまして、方法論の基礎は同じでございまして、システム分析と参加と情報公開でございます。
 戦略的環境アセスメント、世界はどうなっているかですね。申し上げた事業段階の計画段階、それも更に上の政策、通常、政策段階、計画段階、事業段階、の意思決定と進んでまいります。
 計画、プランという、より上位のものとそれからプログラム、より具体性の高いものに分かれます。通常、英語の世界ではポリシー・プラン・アンド・プログラムと、スリーピーズと言っていますけれども、ポリシーレベルはオランダでもう十五年前から始まっております。
 それから、計画段階、これが今主流でございまして、EUではSEA指令がもう六年前ですね、加盟二十七か国すべてが法制化を進めてほとんどでき上がってまいりました。世界銀行は九〇年代からやっております。アメリカも、実は中国もやっていまして、韓国もそうです。日本だけが取り残されておりましたけれども、ようやく二〇〇七年に日本型SEA、先ほどお話しのように、位置、規模等の検討段階で、レベル、一番事業アセスに近いんですね。ですから、事業アセスとのボーダーがよく見えないような状況でございますが、これがようやく始まった。
 ところが、土壇場で発電所だけが外れてしまったんですよ。非常におかしなことです。極め付きにおかしなことでした。これはもうそのとき大ニュースになりまして、新聞やテレビで報道されましたので御存じの方多いかと思いますけど、恥ずべきことが起こりましてね。
 これは、私これ新聞に書いたんです。これもまた英語になりました。この場合にはインターナショナル・ヘラルド・トリビューンということで、パワー・プランツ・カット・アウト・オブ・ニュー・アセスメント・プラン、このニュー・アセスメント・プランというのは戦略アセスです。戦略アセスという新しい枠組みに対して何で発電所だけが外れたのか。これ、IAIAの大会でもこれをお話ししましたら、もう世界中の専門家はびっくりしまして、そんな国があったのか、しかも日本は先進国だとみんな思っているはずですから、これが大変恥ずかしい思いをしたわけでございますが、こんなことがございました。その辺のことは、資料、お手元にございますので、是非御覧いただきたいんです。
 そして、例えば去年の二月でございますが、これは香港ですね、香港で、──もう時間が来てしまったようですね、早いですね、若干早くまとめますが。行ったところですが、SEAはこのようにもうアジアとか世界中でやっているということをお示ししたいと思います。
 じゃ、この万博アセスの例はスキップしましょう。御質問があれば後で御説明いたします。万博アセスの例が本当にいい反省例でございまして、環境配慮が事業を成功に、結果言いますと、アセスを丁寧にやったおかげで万博は成功しました。これはこのアセスのおかげなんです。位置を変更しまして、規模も変更したんです。その結果、大成功だったと私は思います。
 それから、アセス法、これだけ申し上げますね、改正、残された問題点でございますが、対象事業の範囲が狭い。簡易アセス、私は是非やるべきだと思います。
 スコーピングですね、アセス前の事前調査は、これは禁止しなきゃいけないです。例えば辺野古のアセスでは、これがボーリング調査が行われてサンゴ礁へえらい影響を与えました。
 それから、審査。外部専門家ですね、これはそうなんです。経産省で顧問会を持っておられるといいますが、これは外部性がないと駄目なんです。だれがそのメンバー選ぶか、これで決まりますから、これは大変重要なことです。環境省は自分で審査をするとおっしゃいますけれども、最終処分場もありますから、そうなると環境省の第三者性、今ありませんから、当然、環境影響評価委員会が必要なんです。これが世界の基本的な考え方です。
 それから、代替案の比較検討、これはそのとおりですね。特に、SEAを行うならノーアクションです。
 それから、司法制度との連動。実はアメリカでは、この司法制度との連動があったおかげでだんだん環境アセスメント制度が良くなってまいりました。それは、結果的には事業をする主体にとっても大きなメリットを与えております。
 最後に、持続可能な社会を目指してということで、さっき申し上げたことの繰り返しになりますけど、これだけ違うということをまず改めて御確認いただきたいんですね。
 持続可能な社会づくりには、人間活動の管理ですから対象は広くするべきであります。そこで、第一条、目的の修正が大事だと思いますね。これを今回やっていないわけです。目的は、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれのある事業にと赤で二つ書いてあります。これを外さない限り、本当に持続可能な社会づくり、世界標準になりません。世界のものはこうなっています、環境影響のおそれのある事業にということでやっております。
 我が国のJICAもそうでありますし、JBICもそうでありますし、そしてジェトロもそうです。つまり、日本の国際的な活動をやっている主体はみんなこういう格好のアセスをやっています。ですから、日本国内でどうしてこれができないのか。この考え方は、中国も韓国も、アメリカもヨーロッパも、オーストラリアもニュージーランドも、カナダも、みんなやっているんですよ。だから、日本も世界のやはりそういう流れに沿ったことをしていただきたいと思います。
 そして、例外を作ってはいけません。第五十二条に例外規定がありますけど、第三項を突然最後に付加されましたね。極めておかしな例外で、あれは削除してください。あれは全く意味がありません。もし災害に対応するんなら、第五十二条の第二項に書いてありますからね。それ以外に考えるなら、辺野古のアセスを簡単にしたいぐらいのことでありましょうか。これはとんでもないですよ。問題になっていることこそしっかりアセスをやるべきなんですよ。
 そして、人々が納得すれば立地はうまくいきます。アメリカの原子力発電所はみんなこれアセスやっていますから、逆にそのおかげで立地が可能になるものも若干出ています。ほとんど難しいんですね、だからほとんどリプレースなんですけどね。そんなことでございますので、アセスをやることが結局は合意形成を促進するものであるということを申し上げます。
 若干オーバーいたしましたが、どうも失礼いたしました。
#11
○委員長(山谷えり子君) ありがとうございました。
 次に、堀参考人、お願いいたします。堀参考人。
#12
○参考人(堀良一君) おはようございます。弁護士の堀と申します。よろしくお願いします。
 私は、現在、よみがえれ!有明訴訟弁護団の事務局長をやっております。これは、諫早湾の干拓事業から発生した有明海漁民の漁業被害を救済するために有明海の再生を目指して提訴をしたという裁判でございます。私も含めてたくさんの弁護士がボランティアで、何とかしたいということで参加している事業です。私は、この有明海の再生を目指す訴訟の経験を通じて、環境アセスメントがどうあるべきかということについて考えてみたいというふうに思います。
 お手元に四枚つづりの資料がございますので、これを御覧になってください。一枚目が諫早湾干拓事業の概要でございます。九州の有明海の、その有明海の中にある内湾である諫早湾、そこの湾奥部を三千五百ヘクタール、約三千五百ヘクタールほどを締め切ると。これは、潮受け堤防と呼ばれる堤防で締め切って、その中に干陸地を造ると、それから調整池という淡水の池を造る、その干陸地には農地を造るというような事業でございます。
 この事業は、長崎県の要綱に基づく環境アセスメントが実施をされております。まだ法律の制定前の段階のアセスメント手続でした。一九八八年に公有水面埋立てが県知事によって承認をされると、八九年に予算が計上され、起工式が行われて着工をされるということで、二〇〇八年の三月にはもう事業は完了、終了をしております。そして、四月から営農が開始されて現在に至っていると、そういう事業でございます。
 この事業、皆さん御承知のように、九七年に潮受け堤防の締切りが行われました。鉄板がざあっと海中に落下して、ギロチンと呼ばれてみたりしました。その後たくさんの漁業被害が生じているということで大きな社会問題になっております。
 この事業はアセスメントの法ができる前の事業でございますけれども、アセスメントの法制度がしっかり整っていないとどんなに悲惨な結果を招くのかと、どんなアセスメントが求められているのかということについての歴史的な教訓を我々に与えているものというふうに考えます。
   〔委員長退席、理事有村治子君着席〕
 そこで、まず、アセスメントの法制度がない中で行われたこの事業がどういう結果をもたらしたのかと、その上に立って、どういうふうなアセスメント制度が求められているのかという点について考えてみたいというふうに思います。
 まず、長崎県の要綱に基づいて実施された環境アセスメントですね、事業の影響についてはこんなふうに結論付けられております。諫早湾湾奥部の消滅は、干潟域や諫早湾湾奥部に生息する生物相の生息域や産卵場などを一部消滅させるが、このことが有明海の自然環境に著しい影響を及ぼすものではなく、またその影響は計画地の近傍に限られることから、本事業がその周辺海域に及ぼす影響は許容し得ると、これが事業着工前の県要綱に基づくアセスメントの結論です。
 潮受け堤防によって締め切られた内部にできる干陸地とともにできる調整池という淡水湖の問題ですけれども、アセスメント書はこういうふうに述べています。また、潮受け堤防によって新たに造成される調整池の水質は、予測からすると十分環境保全目標を満足する結果となっているが、より一層の水質保全を図るために調整池への流入する汚濁負荷量の軽減対策が推進されるよう調整するとともに、造成された後、調整池の水質予測の再現性を確認すると、これが事前に行われた県要綱に基づくアセスメントの結論でした。
   〔理事有村治子君退席、委員長着席〕
 ではどうなったのか。着工された後、間もなく、諫早湾内ですけれども、漁業に深刻な影響が出てきました。着工後既に二十年が経過しておりますけれども、現在に至るまで十七年間タイラギ漁業が全くできないと、十七年間休漁せざるを得ないという状況が続いております。そして、一九九七年四月のギロチンと呼ばれたあの潮受け堤防の締切り後は被害が有明海全域に及んでおります。こういう環境破壊については有明海異変などと呼ばれています。
 お手元の資料の三枚目を見てください。写真が幾つか張り付けてございます。一番上の段、これはちょうど潮受け堤防の排水門、北部排水門の辺りですけれども、左側が調整池の内部です。この緑色になっているのはアオコが異常に発生をしているという状況なんですね。アセスメント書で調整池の水質は予測からすると十分環境保全目標は満足する結果になっているんだというふうに言われた調整池が、いざ完成をしてみるとこういう状況です。
 その左側、上の左側に、一面植物が繁茂しておりますけれども、これはホテイアオイと呼ばれる。これは、世界中で淡水湖でこのホテイアオイが大発生をして、それが腐れて水底に沈んで、水質悪化の重要な要因になっているということで言われているものです。こういう状況があると。
 そして、真ん中ですね。これ左側の写真、これも潮受け堤防の、潮受け堤防の上には道路が通っていますけれども、ちょうどその中間地点辺りです。その左斜め上に広がっているのが調整池ですね。この粒々粒々で見えているのは、実はこれ、ユスリカと言われる蚊ですね。この右側に少し大きくした拡大の写真が載っておりますけれども、この虫がもう一面にこういうふうに飛び交っていると。私、何度も行きましたけれども、目も開けてもいられないという状況です。
 これが水質保全目標を達成したと言われる調整池の状況で、既に一昨年、事業を完了する前の十年間、水質保全の五か年計画というのが二回ほど行われました。莫大な資金が投入されています。それでも水質保全目標は達成しないと。現在は第三期目の水質保全五か年計画が実施されておりますけれども、これも五年たった後に達成される見通しについては厳しいというような結論が既に出されております。
 一番下にあるのが、調整池のすぐ外、諫早湾の湾内の漁業被害の状況です。左側の写真が、ハゼ、カニ、キス、クチゾコが大量に死滅していると。右側の写真は、毎年夏場になるとアサリの養殖場でこういう被害が生じるというような状況が発生をしています。
 次の四ページ目を御覧ください。これは諫早湾内だけではないというデータです。
 一番上のデータは、あるノリ養殖漁民の一小間、ノリ養殖業は小間という単位で行っておりますけれども、一小間当たりの生産量。これは、ちょうど干拓事業の有明海を挟んで対岸にある大牟田の漁民の例です。私が裁判で担当した原告なんですけれども。左側の縦軸が、これ単位書いておりませんけれども、円ですね。従来は一小間当たり百万円水揚げがあるというのはかなり有明海ではいい、生産性の高い小間でして、堤防締切り前はまさにそういう小間だったわけですね。それがこういうふうな状況になっていると。
 真ん中の写真の上側が、赤潮が異常発生をして栄養塩を奪われて、栄養塩不足で色落ちをしたノリの色ですね。その下の方の写真は正常なノリです、真っ黒なノリ。有明海、有明ノリということでブランド化していますけれども、こういう違いがある。色落ちしたノリは全く売り物にならないという状況です。
 こういう深刻な被害の中で、漁村、漁業を基盤にする地域経済が破壊をされると。ある小学校では、若い人がどんどん漁業離れをするものですから、小学校の入学児童が二人しかいなかったと。あるいは、伝統的な祭りが、青年がいないものだからできなくなってくると。地域経済を破壊し、地域社会を破壊し、地域の歴史的な文化を破壊すると。ある漁協では、漁業協同組合というのは二十名以上漁民がいなければいけませんけれども、漁業離れの中で二十名の組合員が維持できなくなって漁協がつぶれてしまうというような状況も生まれています。また、累積的に不漁が続くものですから、たくさんの借金を抱えると。その中でとうとう借金苦にあえいで自殺をするという人も決して少なくはありません。
 そういうことで、私、この有明海異変というのは、一つは破壊された自然の貴重さ、これは我が国有数の沿岸漁業、有明海漁業を支えてきた生物多様性の海を破壊したわけですから、まず破壊された自然の大切さの点において、そしてそれによってもたらされた被害の深刻さの点において、そしてさらに、その被害が長崎、佐賀、福岡、熊本、有明海沿岸四県に及んでいる、その被害の広域さの点において、まさに未曾有の環境破壊だったというふうに考えております。そして、だからこそ紛争が繰り返し繰り返し継続しているということでございます。
 資料の一番最後、四枚目のところに、私が担当しております、よみがえれ!有明訴訟の経過を書いてございます。
 二〇〇二年の十一月に佐賀地裁に提訴をしました。そして、途中、仮処分決定で、工事中止の仮処分決定が出ると。二〇〇八年の六月には開門の判決が出ると。原告総数は二千五百名、うち漁民が一千四百五十名。実はこれ、二〇〇二年の十一月に提訴した当時は、漁民の原告というのは八十五名しかいませんでした。その原告が、こんなふうに膨れ上がってくるんですね。そしてさらに、事業が二〇〇八年の三月に終了した直後、営農が開始された直後、その年の四月には諫早湾内の漁協の組合員さんが長崎地裁へ開門を求めて提訴をすると。そしてつい最近、二〇一〇年の三月には、諫早湾内には、現在、小長井漁協、瑞穂漁協、国見漁協、三つの漁協がございます。残りの瑞穂漁協それから国見漁協からも新たに開門を求めて裁判が提訴されるというような状況で、事業が終了してもなお漁業被害が継続し、そして紛争が継続するというような状態です。
 一番下に漁業被害等、数を示すために書いてきましたけれども、潮受け堤防の中には、従来八漁協ございました。当然、この漁業権は消滅しております。組合員の総数は一千名です。そして、現在、諫早湾内潮受け堤防の外側には三漁協ございます。組合員は現在残っている者が二百名です。この漁師さんたちは、非常に毎年毎年の不漁に苦しんでおります。干拓地で営農している農家は四十一経営体です。
 私、この事実からだけでもこの事業がいかに無駄な公共事業だったのかということは明らかじゃないかと。
 それで、こういう事業を踏まえて、じゃ、一体こういう無駄で有害な公共事業、そして、走り出したら止まらないと大規模開発型の公共事業は言われています。どうすればそういう過ちを繰り返さないのか。やはり、環境アセスメントの制度に大きな課題が託されているというふうに思います。
 一つは、事業者に対して環境省、主務官庁である環境省、それから国民がいかに有効にチェックを掛けることができるのか。これは事前にチェックを掛けることができるのか。そして、環境アセスメントというのはどうしても不確実性がありますから、事業が実施された後も後戻りが確実にできるんだというふうな制度である必要があるだろうと思います。
 そういう点では、今回、計画段階の配慮書ができたり、あるいは方法書における説明会ができたり、いろいろ前進面はございます。そういう点では大いに評価はしたいというふうに思います。しかし、まだまだここにとどまってはいけないんだというふうに思います。
 この点については他の参考人が既に触れられましたけれども、やはり代替案を検討するということは、当初からきちっとしたものにしていくという上では欠くことができないだろうと。それも、環境アセスメントの場合には、やはり回避、低減、それから、それができない場合には代償ということで、順序は決まっております。回避のための代替案、これは何もしないというゼロ案ですね、というふうなことも含めてきちっと提示をする。低減のための代替案、それができないならできないという理由も明確にした上で代償案も言うと。
 それから、手続に関しては、やはり国民がいつでも不服申立てをいろんな手続の中でできるんだと。私、裁判担当しておりますけれども、環境アセスメントというのは、現在の制度は非常に裁判では使いにくいです。そういう不服申立てを行った人間は、いざその後許認可がされたときには、その許認可の取消しを求めると、これ行政訴訟ですね。よく行政訴訟では原告適格が問題になりますけれども、そういう原告適格は与えられるということも明示すべきだろうというふうに思います。
 それから、環境省の位置付けについても、基本的事項、これは環境省が定めますけれども、やはりそれは法律で定められるものはできるだけ法律で定めていくと。そして、法律で定められないものについては、環境省令で環境省が責任を持って定め、そして事業官庁、開発官庁はそれに基づいて細則を定めるというような、環境省の位置付けの強化というのはどうしても必要ではないかというふうに思います。それによって初めて環境省が遠慮なく開発官庁に対して物が言えるという条件が整備されるんじゃないかというふうに思います。
 そして、不確実性を前提にしますから、事前に、そういう有害な公共事業がスタートした後でも、これは今回その点についての手当てもされておるようですけれども、確実にそのときには中止をする、原状回復をする、そういう義務を負っているんだということを是非明記していただきたい。そして、環境省が意見を述べるときには、そういう中止や原状回復も含めて意見を述べることができるんだということを明示するということが必要じゃないかというふうに考えております。
 諫早湾の干拓事業という非常に悲惨な例を基にしながら意見を申し上げましたので多少、少し先走るところもあるかもしれませんけれども、以上、私の意見を述べさせていただきました。
 御清聴ありがとうございました。
#13
○委員長(山谷えり子君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○牧山ひろえ君 本日は、大変貴重な御意見、先生方、ありがとうございました。神奈川県選出の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 私は神奈川県選出でありますので、神奈川県、特に横浜市、川崎市、また神奈川県の中の環境影響評価に関する条例に関してはかねてから興味を持っておりました。例えば、これまで県の条例では、日本ビクターの工場建設あるいは日産自動車の施設拡張事業など、県民生活に直結した案件を扱い、周辺住民と企業との相互理解が円滑に進んだ事例など、多数ございます。
 さて、今回の環境影響評価法の一部改正案は、三月十九日に閣議決定され、参議院先議案件として現在当委員会で審議中でございます。本改正案に関しては、昨年来、広く意見聴取を行い、論点整理をし、そしてSEAの導入を始めとした改正がなされようとしております。
 まずは大塚参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今回のSEA導入に関して、先ほどアメリカのお話、大変参考になりました。ほかの国々の事例や今日のほかの参考人の先生方のお話を踏まえて、追加で御意見などございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#15
○参考人(大塚直君) どうもありがとうございます。
 SEAにつきましては、アメリカの話は先ほど若干いたしましたが、アメリカの場合は、環境影響評価が、事業アセスメントとSEAというのは一つのまとまった形で、環境影響評価という形で行っています。法令とか政策に関するアセスメントと事業に関するアセスメントと一つにまとまった形の、一つの制度として法律で対処しているということでございます。
 これに対してEUは、事業アセスというEIAとそれからSEAという戦略アセスメントというのを二つ区別していまして、先ほど原科先生の方からもお話がございましたけれども、政策とか上位の計画に対してはSEAという別の枠組みをつくっているということでございます。EUの影響でヨーロッパは、若干の違いはございますけれども、基本的には同じ制度をつくっていますので、日本としてはアメリカとEU辺りを中心に参考にしていっていいのではないかと思っております。
 SEAに関しまして、先ほど来、ほかの参考人の方々からお話がございましたが、まず、猪野委員がおっしゃってくださったことにつきましては、例えば、特に発電所の場合に複数案というのが出しにくい場合があるという御趣旨のお話をいただいております。これは、先ほど私も申し上げましたように、事業の種類に応じて柔軟に配慮書のところの段階につきましては対応していくべきだと思いますので、どうしても一つの案しか出ないという場合はないわけではないと思いますけれども、その場合には、特に複数案が出せない理由というのを出していただけると有り難いということでございます。
 猪野委員もおっしゃっていただきましたけれども、答申においても、中環審の答申においても出ておりますように、配慮書の段階につきましては、事業の種類とか特性に応じた柔軟な制度にするということではございますので、その点は配慮しながら、しかし少し早い段階である種の計画アセスメントを導入するということに今回大きな改正の意義があると考えております。
 さらに、原科参考人がおっしゃったSEAに関して、日本でもヨーロッパと同じようなSEAを導入すべきではないかという御趣旨の御発言もございましたが、これにつきましては、今までの日本のガイドライン等の経緯を踏まえて、今回は日本版のSEAということで計画の一番事業と近い部分のアセスメントをするにとどめたということでございまして、将来的には上位の計画のアセスメントとか政策のアセスメントという方向にも広げていくということを今後の課題としては検討すべきであると考えております。
 以上でございます。
#16
○牧山ひろえ君 ありがとうございました。
 次に、本改正案には各方面からの御意見が組み入れられている、そのように思います。例えば弁護士会からは、SEAを導入すべきであり、環境アセスメント結果の修正、確定時には弁護士等の学識経験者などの意見を求めるべきなどの意見表明をしていました。私は、こうした弁護士会を始めとした各方面からの意見を本改正案に組み入れたことについて、率直に評価をしているところでございます。
 こうした点について、大塚参考人、それから原科参考人から、本改正案が各方面から意見を組み入れたことについて御感想をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
#17
○参考人(大塚直君) 弁護士会からの御意見につきましては、SEAに関しましては、ある程度でございますけれども今回導入させていただいたということでございまして、ある程度御趣旨にこたえたのではないかと思っています。
 それから、弁護士等の学識経験者についても審査会等に入れるべきだという御議論がございますけれども、これは、科学的な知見を持っておられる方とか、あるいはその事業についてよく御存じの方とか、あるいは法曹の中で弁護士さんもちろん入ってくださるという可能性もあると思いますし、そういう学識経験者なども含めた形で審査会を設けるという御議論がございますけれども、今回、審査会につきましては、国の方につきましては第三者機関として恒常的なものは特に設けないということで、その場その場で事業の種類に応じた対応が必要だということがございますので、あらかじめ有識者について指定をしておいて、その場その場で審査に関して環境省が意見を言うときに聴取をすると、意見を聴取するという形を考えているところでございます。その中に弁護士さんが入るということもあり得ると考えております。
 以上でございます。
#18
○参考人(原科幸彦君) 御質問の趣旨、ちょっと私、確認したいんですが、各方面からの意見をアセスのプロセスで反映することが大切だと、その点に関することでよろしいですか。
#19
○牧山ひろえ君 はい。
#20
○参考人(原科幸彦君) それでは申し上げます。
 これは極めて重要なことだと思います。
 私が先ほど申し上げたように、参加と情報公開ということがベースでございますけれども、これはアセスメントはアート・アンド・サイエンスといいまして、アートというのは主観的な判断入ります、サイエンスは客観的な判断ですね、両面あります。私は理工学の分野ですから科学でかなりやれるなという気持ちは持っていますけれども、一方でニュートンは、人間のやっているのはほんの一部だと、大きな砂浜の一つの砂にすぎないと言っていますから、ほんの一部しか分からないわけですよ。ですから、科学で判断できるとしっかりやりますけれども、それ以外に関しましてはかなり主観的な判断、あるいは実際は、人々の意見といっても、その背景に科学的な、本人は認識していないけれども科学的な判断が入っている可能性ありますね、いろんな知見とか知識とか地域の情報、そういうものがございますので、これはやはり積極的に取り入れるべきです。
 ということで、一つは、いろんなパブリックコメントを通じたインプットありますね、それに対してやはりきちんとこたえていただくのが大事なことでございまして、意味ある応答と申し上げました。
 それに加えて、やはり専門家の集団によるチェックは極めて重要だと思います。
 環境省は、事業に、物によっては、これはそういった特別の委員会、研究会などをつくって意見を求めるような仕組みにすると今回出ておりますけれども、これを私はやはり恒常的なものとして、しかも独立性の高いものを設けていただきたい。当然、案件によって必要な専門変わってまいりますから、毎回同じ人とは限りません。しかし、コアになる人は選んでおいていただいて、そしてさらに、その人たちが必要な専門家を更にセレクションするとかいうことが必要だと思います。日本の審査会という、これは審議会ですね、一番問題はだれがどう選ぶかですね、ということでございますので、そんなことを考えると、そういう仕組みをしっかり取る、それは環境省から一歩離れたような形で設けていただきたいと思います。それは是非やっていただきたいです。
 同じ考え方で、実は国際協力機構、JICAには今回、審査諮問をするような機関として助言委員会を設けました。これは今申し上げたような趣旨でございまして、これももう海外から大変高く評価されるようなものになっております。
#21
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 先生方も十分御承知のとおりではございますけれども、この環境影響評価に関しては以前から都道府県や政令指定都市などが独自の条例、地方アセスを制定しております。これらの地方アセス条例が国による環境影響評価法と重複することは法律の六十一条一号及び二号で事業内容の大小によって区別されていることになっておりますけれども、この法律が制定される以前から地方アセス条例を制定していた自治体にとってはやや歯切れの悪い経過があったと言われています。つまり、この環境影響評価法と地方アセスのすみ分けについて、私も含めてですけれども、一般的な市民からすれば条例と法律を混同するかもしれないと思います。
 こうした環境影響評価の在り方について、参考人の皆様方から率直な御意見を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
 では、大塚参考人からよろしくお願いいたします。
#22
○参考人(大塚直君) 法律と条例の環境影響評価に関する関係につきましては六十一条で規定されていますけれども、これは手続に関するのは上乗せをするかという形で規定が置かれています。これは、手続の不必要な重複とか、それによる余計な費用が掛かる、無駄な費用が掛かるということを避けるという観点から、基本的には手続は全国的に統一的に規定すべきだけれども、しかし、知事の意見の形成のための手続等については条例で自治体が定め得るとしているのが基本的な六十一条の発想でございます。
 今お話しいただきましたように、法律ができる前からその条例があったという場合については、既に法律の前から条例があったわけですから、法律ができたために条例をわざわざ改正しなければいけないということは実際にはなかなか行われにくいということがございまして、その点については、現在の地方分権推進の観点から合理的に対処すべきであるし、それで十分であると考えております。
 しかし、一般的には手続の重複というのは無駄なこともございますので、こういう規定を置いて法律と条例との関係について考えていくということに関しては肯定すべき点があると考えておりますけれども、元々できていた条例に関しては実際には運用上少し違う在り方があってもよいのではないかというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
#23
○牧山ひろえ君 済みません、時間となりましたので終わらせていただきます。ほかの先生方、済みません。
#24
○中山恭子君 自由民主党の中山恭子でございます。今日は、諸先生方、貴重な、また大変示唆に富む御意見を伺いまして、有り難いことだと思っております。
 環境アセスメント、これをしっかり行っていく、日本の美しい自然又は世界にとっても当然のことと考えております。ただ、その評価の在り方につきましてはまだまだ検討を深めていかなければならないかなと、今日お話を伺いながら考えておりました。
 今回、私からは、原子力発電所につきまして、今原子力発電所は、電力の安定供給ができるというだけではなくて、環境問題の面から、二酸化炭素の排出削減など環境問題、環境分野に大きな貢献ができると期待されていると思われますが、そういった意味で、今日は原子力発電所とそれから今回の環境影響評価とのかかわりでお話を伺いたいと思っております。
 そんなこともありまして、まず猪野参考人から。
 原子力発電所が非常に優れたものであるということは分かるところでございますが、日本ではやはりまだ原子力発電所の建設については一般の人々の理解というのは十分でないのではなかろうかと思われます。資料を見ますと、原子力発電所の稼働率につきましても、アメリカや韓国など、国際的に見て大変低いという数字が出ております。こういったことも日本の状況が影響しているのかと考えられますので、環境影響評価の前にこういった不安を払拭することが必要なのではないかと思いますが、例えば電気事業連合会としてそういった事柄について何らかの対応をしていらっしゃるのか、又はどのように対応したらよいとお考えなのか、伺いたいと思います。
#25
○参考人(猪野博行君) ただいま原子力発電所のことにつきまして御質問がございました。
 おっしゃられるとおり、一つは、今現時点で見て、やっぱり現在の地球環境を守るという意味から、CO2を出さない、運転中CO2を出さない発電という意味では非常に今後大きな期待を国からも寄せられております。将来的に、今後また更に九台がこの先十年間で建設していかないといけないという状況にもございます。
 それからもう一つは、もちろん原子力ばかりではなくて、同じような火力のリプレースみたいなことも、例えば今古い火力が徐々にちょうど切り替わるような、寿命的に切り替わるような時期に来ていると、そういう意味で火力もこれからリプレースが多くなってくると思います。
 あともう一つ、原子力の稼働率の話が出てまいりました。大変いろいろ原子力の稼働率が低いのは、当社でいいますと柏崎が地震のために止まってしまったケースもございますけれども、海外に比べて非常に今稼働率が低くなっております。それはもちろんいろいろな条件があるわけですけれども、それを少しでも今後高めていこうと、例えばそれを八八%ぐらいまで稼働率を高めていこうという方向で、今、国もあわせて一緒にやっていこうということになっております。
 特に、今海外では、韓国も米国も含めて九〇%ぐらいの稼働率になっております。それは、日本の場合はいったん何かで止まったときにはなかなかその再立ち上げまでに時間が掛かってしまうとか、そういうようなこともございます。
 それからもう一方で、原子力に対していろいろ不安をお持ちの方もいっぱいいらっしゃることもあると思っております。そういうような意味では、今立地している地域の住民の方々も含めて、非常に安心、安全だと思っていただけるような、そういうふうなことをどしどし電事連全体でいろいろ広報していったり、広聴、いろいろお話を伺ったりして、そういう関係、いい関係を努めていきたいという話と、それから、原子力にかかわるいろんな事故の情報をすべて生のまますぐ出していくとか、そういうような情報公開的なものもどんどんこれからも進めていきたいと思っております。
 そういう意味で、今後、原子力は環境としては非常に貢献できる分野だと思っております。
#26
○中山恭子君 ありがとうございます。
 情報を共有するということで全体の安心感を、何というんでしょう、醸成できるということも非常に大きいと思いますので、今のお話伺いまして、これからいい方向へ向かってもらえたらなと、そんな印象でございます。
 では、今日、今回の環境影響評価法の改正で、今後、原子力発電所を開設する又は火力の切替えを行っていくということのときに、そういう際に、事業実施段階の前に配慮書を提出して一連の作業を行うということになってまいります。
 大塚先生の資料にもありますように、環境影響の程度を比較評価することができるという点で大変良い改正であると私も思っておりますし、大塚先生が積極的な評価をしてくださっているということで、こういった改正が段階的に今後進んでいって環境影響評価がしっかりしたものになると期待しておりますけれども、原子力発電所を例に取った場合、今後の、今、大塚先生も柔軟な形でやっていくことでよいだろうというお考えと受け止めましたけれども、例えば主務省令などを制定するに当たって、又はいろんな法律を運用していくに当たってどのようなことが重要とお考えなのか、お伺いしたいと思います。
 また、原科先生、私、保育園の記事を読みまして、非常に分かりやすい、また私自身もいろんな仕事をしていく上で、多くの情報を共有してみんなの意見が一致していくやり方というのは、ある意味では急がば回れのような形でいい結果をもたらすであろうと、そのように考えておりますけれども、今後、原子力発電所などの非常に大きな、場合によっては意図的な活動が入ってきたりというような可能性も秘めているような、そういった計画を立てていく段階で、計画段階配慮事項の検討、SEAをどのように考えていったらいいのか、そのお考えを伺えたらと思います。
 もう一つ、もし時間があればですが、猪野参考人に、大塚先生の中でも事業アセスメントの関係を使ってティアリングを考えてもいいのではないかというようなお考えがあったかと思いますが、そういったことも含めて、今後何か今回の改正に併せて考え、工夫していくことが可能かどうか、そういったことが伺えればと思っております。
#27
○委員長(山谷えり子君) 時間は三十三分までですが、順番として、では、大塚参考人、原科参考人、猪野参考人の順番でよろしいでしょうか。
 それでは、大塚参考人。
#28
○参考人(大塚直君) 先ほどお話ししたこととも関係いたしますけれども、原子力発電所のすべてというわけではございませんが、場合によっては複数案というのが立てられないという場合もあり得ると思いますので、その場合には一つの案しか出てこないということも、理由を付していただくことが必要だとは考えていますけれども、あり得るということで、そういうことも含めた形で主務省令を作っていくべきではないかと考えています。
 あと、配慮書の作成におきましては、既存情報を用いた調査でいいということになっていますので、余り過大なものを求めるということでは必ずしもないということは主務省令においても規定していくべきではないかと考えております。
 さらに、リプレースによって原子力発電所をまた新しく造るということもあり得ると思いますけれども、その場合も、評価項目を絞り込んでいって余り期間が掛からないようにするというような配慮も主務省令の作成において必要であると考えております。
 以上でございます。
#29
○参考人(原科幸彦君) 今、原子力発電、大変難しい問題で、これは本当に合意形成が難しいと思います。ただ、日本の安全管理は相当水準が高いので、私は、日本の国内ではそういったことをきちんと理解してもらうということは必要だと思います。
 そこで考えますと、やはり第三者性なんですね。原子力安全・保安院が経産省の傘下にある限り、信用はしてもらえませんよ、これは。ですから、経産省から切り離して環境省の下に置くとか、あるいは財務省でもいいですけれども、とにかく切り離さなきゃ駄目です、独立した。こうすれば、かなりこれは理解は深まると思います。今のやり方は駄目です。もう明らかにこれは不信感をぬぐえません。ですから、そういうようなことですね。
 専門家も、しかもその委員の選び方、大事なんですね。やはり専門家のエシックスの問題ですね。お手元に配った資料、後ろから二つ目見ていただきたいんですが、フロム・ザ・プレジデントと、こういうので、エシックス・アズ・ア・プロフェッショナルと書きました。つまり、専門家としての倫理観を持ってしっかりやる人、そういう人をしっかり選ぶと。それはやはり推進する母体の経産省ではなくて、ほかの母体が選ばない限り、社会は信用してくれないですよ。仮に、だから、私の同僚は本当にすばらしい研究者がいっぱいいますので、すばらしいですよ。だけど、だれが選んだかでもう色が付いちゃうんです。だから、これが大変重要なところなんですね。そういうことをやらない限り、なかなか安心感というのは得られないと思います。
 その上で、原子力は温暖化に効果ありますけれども、やはり放射能汚染の問題が大変ありますね、リスク問題。ですから、この点が今心配しているわけですから、そこの意味でも保安院をしっかり表へ持っていくということですね、これがポイントだと思います。
 私、そういうようなことがなければ、つまり科学的判断といえばみんなが信用するということがなければ合意形成は無理なんです。だから、今御紹介いただいた保育園というのは、今のフロム・ザ・プレジデント、次のページの討論という、戦略環境アセスメント、これはSEA導入、今のガイドラインつくるとき、あのときに最終段階でこういう意見出しまして、これが最後の委員会の前の日に出たんですね。導入は世界の常識と書いてあります。これ読んでいただいたと思います。その中で保育園のこと書いていますけれども、このときは立地段階から始めました、白紙に戻して。だんだん絞り込んでいったんですよ。
 そのときにやはり専門家の役割が大変重要だと思いました。だから、それも皆さんが納得するようなメンバー選んでおけば、そのプロセスで専門家の意見というのはみんななるほどと思ってくれるんですね。そうじゃないと、本当にすばらしいことを言って、本当に正しいことを言っても受け取ってくれないんですよね。だから、コミュニケーション、まずそこなんですよ。ですから、複数案に関して必ずできるんです。絶対二つできるんです。つまり、その案と、ウィズとウィズアウト、最低二つはできるんですよ。
 アメリカの制度、世銀もそうです、みんなノーアクション求めているんです。それを比較するということは、やらないという意味ではないんですね。やらない場合に中身を替えてやったらこうなりますよと比較してもらって、そして初めて理解が進むんです。ですから、ノーアクションを比較すると、もうやらないことで決まりそうだということはこれはもうあり得ないというか、そんなもんではないんですよね。そういうことだと思います。
#30
○参考人(猪野博行君) 最初のコメントのときにお話をしましたけれども、発電所そのものを建設していく上においては、環境面だけではなくて、技術面とか社会面とか経済的な面、それらを含めて決めていくんですが、特に立地に対しては、やっぱり複数案を出すのは非常に難しいということでございます。そういう意味では、今後、主務省令で定める中におきましても、複数案でないと駄目だというそういうことではなくて、やっぱり柔軟性を持って、事業によって柔軟性を持って制度を設計していただくというのは非常に大事なのかなと思っております。
 それから、ティアリングについても、いろいろなことは重複なるべくしているところについては極力避けられるような、そういうような柔軟性も必要ではないかなと思っておりますので、設計においてはよろしくお願いをしたいと思っておりますけれども。
#31
○中山恭子君 ありがとうございました。
#32
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 今日は四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。非常に有益な御意見を伺ったなと、そういう思いでおります。
 まず最初に、原科参考人にお聞きしたいわけでありますけれども、SEAは、持続可能な社会をつくるためにはこれは必須のものである。先ほどの話の中では、日本のアセス法では年に二十件、条例で五十件、合わせて七十件程度である。あるいは、別の国、アメリカでは、連邦政府では三から五万件と、中国は三万件ほどということで、国際社会、先進国の間では日本は極めてこういった面については遅れているというイメージが固定化しつつあると。
 私は、途上国も意外とこの辺については関心が高いと思っておりまして、JBICとかJICAとか、いわゆる貿易保険の関係でNEXIってありますけれども、それがある意味でJBIC、JICAの従来の環境社会配慮ガイドラインが統合化されて、今年の四月一日からですかね、新しい新環境社会配慮ガイドラインが進んでいる話でありますけれども、無償協力、有償協力あるいは技術協力の関係含めて、これは公的資金も投入されるわけでありますから、とりわけ途上国における環境が破壊される、そういうことがあってはいけないということで、極めてこれは国際的にもこのガイドラインについては評価されていると思うんですね。
 先日の本会議における質問について、環境省側からは全然制度が違うんだと。私は、精神とか考え方とかそういった面については十分評価できる内容になっているので。大臣の答弁は、我が国の環境影響評価制度とは全く異なることから一概に比較することは困難であると、加藤さんが心配するような配慮が不十分だとは全く思っていないと。かなり強い答弁だなと思っておりまして、もっと私は環境省は意欲的にこういった問題については取り組んでいくべきでないかなと、とりわけSEAの関係については特にそう思っておりますが。
 この途上国で展開されているガイドラインの関係と国内法におけるこういった面についてどういう優劣、そういった面についてどのように御見解をお持ちかというのが第一点目です。
 二点目は、やはり先ほどもほかの委員から話がありましたけれども、常設の国の審査委員会といいますか、そういう第三者的な審議機関というのはつくるべきであると。
 これは今回の法律の提案理由の中で、今日の環境政策の課題は一層多様化、複雑化しており、平成二十年六月に公布された生物多様性基本法、地球温暖化対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進等の状況の変化ということがありまして、要は環境にかかわる問題というのが非常に多様化してきていると、あるいは複雑化してきているという話だと思うんですね。
 さらに、日本の場合は狭隘な国土でありますから、様々な事業からもたらされる環境への影響というのはそれは十分考慮しなければいけない、あるいは地球温暖化の問題で環境の様々な状況というのは大きく変わり始めてきているということについても理解しなければいけないと思うんですね。
 そういった観点から考えると、国土形成計画法という法律がありますけれども、要は、全国的な視野からどう見るかということを考えていった場合には、個々の自治体が確かに審議会等を持っておりますが、国というレベルの段階でそういう審議会等を常設すべきだと思っておりますが、この辺についてはどのようにお考えかと、これが二点目です。
 それで、次に大塚参考人にお聞きしたいことは、先ほどの説明の中で、これ八ページなんですけれども、具体的な例を引かれまして、準備書段階で市民に知らせるということが非常に大事であると、早期段階から市民意見を聴取するということが合意に基づく事業の円滑な実施につながる、私はそのとおりだと思います。だから、早い段階でどういうふうに開陳するかと。様々な事業、事業もそうでありまして、事業の前の段階の計画の段階もそうだと思うんですね。
 ですから、これは配慮書の手続、その段階でも恐らくそういうふうにやらなければいけないということを考えていくと、住民の意見を聴くに当たって義務化をしていないと、努力規定ということはまずいんじゃないかなと。
 これは第三条の七に、関係に書いてありますけれども、一般の意見を求めるように努めなければならないものとするということで努力規定で、やはり義務化することが大事で、それがやはり事業を早く進めることにもつながる場合も当然あり得ると、そういう情報開示が当然必要だと思っておりますが。
 それともう一つは、ウィズアウトプロジェクトの関係ですね、要するに代替案の中で、ノーアクションの、ゼロオプションですか、そういうことが書かれておりますけれども、九ページの上の方に行きますと、環境影響評価はベターディシジョンである、そのために行うものであると。だから、ベターな決定、意思決定をするという意味では、時には事業をしないこともベターディシジョンなんですよね。だから、最初からそういうふうにゼロオプションはどうかというふうに疑問を呈することはどうなのかなと、そんなふうに思いますけれども、この辺についてもう少し説明をお願いしたいと思います。
 以上です。
#33
○参考人(原科幸彦君) それでは手短にお答えします。
 まず、国内の制度とそれから途上国における、ODA等における制度は、違うと言えば違うんですが、しかし考え方は全く同じであります。つまりアセスメント、同じ文書を作らせますからね、それをチェックするわけです。同じなんですよ。ですから、違うと言われた趣旨がよく分からないと思います。ですから、大臣にはもう少しそれはしっかり見ていただきたいし、だからこそこのアセスメント、JICAのガイドライン作りにおきましては環境省のメンバーも入っておりました、ということですね。
 私は、JICAのこの新しいガイドライン作り、二年間三十三回ずっとチェアしてまいりまして、さらに最終段階でおまけに二回ほかのミーティングをやりました。三十五回大変に密度の高い議論をしてまいりました。その議論の中では、環境省の方はこれに、国内の制度の参考になることを十分認識されたと思いますので、大臣にはその辺もう少しよくお考えいただきたいと思います。ちょっとこれは意外なお言葉だと思います。
 例えば、世界銀行があれだけのアセスをやってきたのは、実はアメリカの影響があるんですね、NEPAの影響とかね。ということで、IAIAの中では途上国ODAのアセスメントもこのアセスの大きな枠の中で一緒に議論していまして、この区別はありません。これに線を引く方がおかしいんですね。社会によってアセスの制度が違うのは当たり前で、これは先進国でも途上国でも国によって違いますよね。そういう違いはありますけど、しかし持続可能な社会をつくるための手段であるという点では全く共通でありますから、そういう点で比較すると日本の制度は余りにも対象件数が少ないので情けないなというわけです。
 先ほどアメリカ連邦政府三万から五万と申し上げましたが、アメリカには州の制度もございます。州の制度でまた何万件やっていますから、足しますと六万とか七万ですよ。だから、まるで違うんですね。だから、せめてそのぐらいは日本もやらないとこれは情けないと言わざるを得ないと思います。
 それから、二つ目でございますが、国のレベルの審査会、これはまさに都道府県で審査会を設けているのと同じような趣旨で必要なんです。従来は、この法律ができましたときは環境庁でした。そのときは環境庁は事業官庁ではございませんでしたので、対象十三事業は対象外ですね、環境庁は関係なかった。ところが、今は廃棄物処理施設、最終処分場がこれは対象事業ですから、ですからこれは事業官庁になっているんですよ。つまり、第三者性がなくなっちゃったんですね。
 だから、そういう仕組みが変わったわけですから、当然今回の改正で環境省の客観性を保つために審査諮問機関相当のものを設ける必要があるんです。都道府県はそういう考えで四十七都道府県すべてが審査会を設けています。知事がこれは事業を行いますね、環境知事と事業知事の両方やっているわけですからね。だから環境判断の客観性を保つために審査諮問機関を設けているんです。全く同じ考え方で国の場合もそれをやらなきゃいけないです。これはもう私もそうだと思います、きっちりやるならですね。そこで、その専門家、さっき言ったようなことでしっかりした人を選んでもらいたいということでございます。
 国レベルの大きな観点からの判断は極めて重要でございまして、特に国際的な関係ですね、ですからODAの世界では日本は世界に貢献するんだということで、本当に環境に、あるいは社会への影響を配慮したすばらしい事業展開をしていくということで、これは日本の評価は高まると思います。そのことを進めるためには、国内でもしっかりしたアセスをやらないと海外で事業を行うときにうまくいかないと思います。ですから、国際レベルのものにするということは日本の国、そして将来のために大変重要なことだと思っております。
#34
○参考人(大塚直君) 二点御質問いただきましたけれども、まず第一に、配慮書の段階で住民の意見を聴くというのが努力義務にすぎないということについてでございます。
 これはそれぞれの事業種によって事情がいろいろあるということがございまして、先ほど猪野参考人がお話しになったようなこともございますので、例えば原子力発電所とか発電所とかを考えた場合に、やり方はそれぞれの事業種で柔軟に考えていく必要があるということがございますものですから、そのこととの関係で今回努力義務になっているというところがございます。
 将来的には法的な義務にしていった方がいいというふうにも考えておりますが、今回の改正は、ある種の戦略アセスメントを入れたということを考えてみるとかなり大きな前進ですので、先ほどもちょっと申し上げましたように、住民と事業者の間のコミュニケーションを十分に取っていく中での制度の一歩一歩の前進ということをしていくのが必要であると考えておりますので、今回は努力義務というところで適切ではないかと考えているところでございます。
 それからもう一つのゼロオプションの問題でございますけれども、ゼロオプションについて、それが現実的である場合には検討を義務付けることはよいと思っているのですが、常にゼロオプションを検討する義務があるというふうにいたしますと、実際にはそれをすることによって選択肢を狭めることになり得るのではないかという問題も事実上の問題としてはございますので、そういうことを考えると、常にゼロオプションを義務付けるということが現実的かという観点からは、義務付けまではちょっと難しいのではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。
#35
○加藤修一君 猪野参考人にお願いなんですけれども、先ほど原科参考人からも、SEAの関係で、発電所のみ除外ということで、アセス法のいわゆる十三事業が対象になったガイドラインでありますけれども、発電所のみ除外という話になっているのは、どういう背景でそういうふうになったんでしょうね。
#36
○参考人(猪野博行君) その当時も今も、実際に発電所の建設に当たっての位置付けは変わっていないと思っております。すなわち、発電所を造るにおいては、まず将来的も含めてどういうような出力のものが必要かとか、どういうような燃料のものが必要かとか、それからその立地の場所とか含めて、それは同じだと思っております。
 ただし、今回、SEAそのものが必ず複数案を前提にしてやるべきだというようなものが最初のときにあった場合には、それは今後、発電所というのはなかなか建設スムーズにできないということであります。今回はそういうような、発電所を建設するようなそういう事業特性を持っているようなものは複数案でなくても一つの案でそれで進めていける、そういうような柔軟な制度を取り入れていくというようなことで入ってきておりますから、そういう意味では、今後のその制度設計の中に生かしていければ今回発電所も対象になってくる、そういうところだと思っておりますけれども。
#37
○加藤修一君 原科参考人にちょっとお尋ねしますけれども、もう時間がありませんので。
 見直し規定があるんですよね。これ、多分十年、今回も十年なんです。施行後十年で、施行まで二年がありますので、そうすると十二年ぐらい掛かる。だから、多分、二〇二二年ごろに見直しという話なんで、これはいかにも私は長いなと。幾ら今回の戦略的アセスメントの関係の部分が入ったとしても、それがやられてある程度総括してということも踏まえたとしても長過ぎるな。やはりここはもう少し短くして考えるべきだというふうに指摘する人もいますし、私もそう思っておりますが、この辺について手短にお願いいたします。
#38
○参考人(原科幸彦君) 私も、もし与野党協議が成り立ってかなり更にこの直しができるのであればいいと思いますけど、そう簡単にいかないですよね。特に私は目的自体を書き直すべきだと思いますので、そうしますと、幅広くやるための工夫としては、政令のところで対象事業の範囲を広げていくとか、例えば第二種事業は今は四分の三の規模相当、大体それ前後ですよ。これ大き過ぎるんですね。ですから、これ十分の一ぐらいに落とすとかすれば少し良くなります。それからもう一つは、その他項目で、その他環境大臣が認めるものという項目を追加しておけば、本当に必要なものはピックアップできますからね。それなら政令での対応はかなりできますから、これ是非お願いしたいですね。
 しかし、それにしても基本的なところが大事なので、早目に私はこれは法を作り直してもらいたいと思います、新たにね。
 今回の改正がある意味で不幸だったのは、政権交代があったでしょう。だから、旧政権の枠組みの上でやってきたものが今度は新政権がまとめたというんで、両方の政権の考えありますんで、その調整が必要なんでどうしても不十分になっちゃうんですよ、これ本質的に。ですから、新政権の下で新しい法律というのは、もう三年で参議院のメンバーは替わるんですから、三年後には新政権の下での見直ししてもらいたいと思います。だから、旧政権と新政権が交ざっている、たまたまそういうタイミングなんで、今回は特に早いタイミングで見直すことが至当かと思います、これは。だから、是非お願いしたいと思います。そして、世界の標準から見て恥ずかしくないものにしてもらいたいと思います。
#39
○加藤修一君 ありがとうございます。
#40
○市田忠義君 日本共産党の市田です。今日は、四人の参考人の皆さん、ありがとうございます。
 今回の法改正では、環境保全措置等の結果の報告、公表の手続を新たに設けるということにされています。私は、環境保全措置が不十分な場合は、事業者に対して本来求められる保全措置を実施させること、必要な場合は事業を中止して原状回復させるということが必要だというふうに考えています。
 先ほど堀参考人が述べられた諫早湾干拓事業ですが、当時の環境アセスによればわずか一ページ足らずの総合評価で、まあ大したことはないと、計画地の近傍だけしか被害はないという断定をして、しかし結果は、深刻な自然破壊と漁業被害、自殺者まで出るという状況の説明がありましたが、事後調査をして環境保全措置をとらせるというなら、諫早の問題でいえば開門調査直ちにやって原状回復をするべきだというふうに私は思いますが、参考人のお考えはこの点についてはいかがでしょうか。
#41
○参考人(堀良一君) 市田先生、ありがとうございました。
 確かに、有明の事例が示しているのは、まさに一番不幸な結果を招来しているというような事例だと思います。先生方御承知のように、現在、開門についての検討委員会ができて、どういうふうな政治判断をしていくのかということが大きな社会的な注目を集めているわけですけれども、やはり制度としてきちっと後戻りができるんだということは、本来、環境アセスメントの制度というのはどうしても将来予測ですから不確実性が伴います。ですから、仮に事前のことがきちっとされても、その後のモニタリング等によって、あるいは事業の進展によって、あるいは科学的知見の前進によっていろんな形でまずいんだということが明らかになる時点というのは、これは避けられないと思うんですよね。その時点でどうやって後戻りをきちっとするのか、そしてその環境を場合によっては原状回復をするんだということも含めてやるんだというその辺の手当てというのは、これは絶対に必要だというふうに思います。それは今回の改正で実現できるかどうか分かりませんけれども、今後の課題としては確実にその辺の議論は続けていただきたいというふうに思います。
 そういう点では、有明の問題でここで開門を実現するというのは、ある意味では今後の環境アセスの議論にとっても大変大きな実験になるんじゃないかというふうに考えております。
#42
○市田忠義君 原科参考人はSEAの総合研究会の第一回検討会からずっと一貫して研究、検討に携わってこられましたけれども、先ほどもおっしゃいましたが、発電所をSEAの対象から外すのはおかしいと一貫して主張してこられました。私も当然発電所を例外にしてはならないと、上位計画や総合計画、政策も視野に入れたSEA導入が必要だと考えていますが、改めてこの点についての、発電所を例外にしてはならないという意味についてお聞かせいただきたいと思います。
#43
○参考人(原科幸彦君) 発電所は大変重要なものでございますので、これはどの国でも対象になっておりまして、日本も基本的に対象なんですが、なぜSEAで対象にしないかということが不思議なんですね。
 というのは、現在の言われている日本型SEAというのは、世界の標準でいうとむしろ事業アセスを少し前進させたようなものなんですね。ですから当然対象です。これは特に立地が難しい問題こそ必要なんですね。今のお話で、猪野さんのお話ではいろんなことがうまく進まなくなっちゃうからやりたくないというようなことをおっしゃったんですけれども、逆でありまして、だからこそきちんと情報公開して、皆さんの納得を得ないと先へ進めないわけですよ。ですから、発電所立地を推進したいのであれば、十分手厚い形でアセスメントやるべきであります。
 アセスメントというのは情報公開がベースでありますし、しかもそれは事業主体の自主的な環境配慮が元々の考え方です。まさにCSRそのものです。つまり、法で規制されることは当然これ守らなきゃいけないですよ。それに加えて更にこれだけのことをやりますよというのがアセスメントのねらいですからね。自主的なこれは活動なんです。それをきちんと手続でやることによって社会が理解するんです。それをきちんとやらないで社会は理解できません。
 ですから、これは是非情報公開、更に進めていただきたいですね。こういっては何ですが、電力会社、いろいろ事故隠しとかありまして、随分批判されてきて、CSRと言っておられるわけですから。であれば、むしろ逆に積極的に早い段階から情報公開していただいて、そして理解を得ると。そのことによってアメリカ等では立地がうまくいっているわけですよ。そのことをよく見ていただきたいと思います。
 世界中がそういうことです。これは民主主義社会ならそうです。民主主義社会でなければそれじゃない方向で行くでしょうね。我々は民主主義社会なんですから、国民あるいは住民の理解を得なきゃならないと思います。
#44
○市田忠義君 大塚参考人にお伺いしますが、今回の法改正で方法書前の手続が新たに設けられました。大塚参考人、先ほどの陳述でも、お書きになった環境法という著書の第九章で、アメリカのNEPA、国家環境戦略法では、代替案の提示は評価書の核心中の核心だと、極めて重要な事柄だというふうに述べられていますけれども、今度の法案では、複数案について一又は二と書かれていて、複数案の検討なしでも仕方なしとも読めます。我が党は政策、計画、プロジェクトなどの立案段階においてゼロオプションも含めて複数案の検討が必要だと考えています。参考人の代替案の重要性についての認識。
 それから、先ほどゼロオプションについて、それが効果がある場合には必要だけれども、一般的には柔軟な制度とするという答申の趣旨からして、義務付けは困難だというふうにおっしゃいました。これはどこかへの配慮なんですかね。これは加藤委員も質問されましたけれども、どうしてそのゼロオプションが駄目なのか、その辺の積極的理由が先ほどの御説明では少し理解しにくかったんですが、おっしゃりにくいかもしれませんが、どうぞ。
#45
○参考人(大塚直君) 二つとも先ほど加藤先生からの質問に答えさせていただいた点でございまして、なかなかそれ以上のことは申し上げにくいのですが、代替案に関して、環境影響評価において非常に重要だという認識は私も持っているところでございます。ですから、代替案の検討は義務付ける方向に行くべきだと思っておりますし、今回、その配慮書のところで、事実上その義務付けに近いようなところまで来たということは高く評価できるのではないかと考えているところです。
 ただ、努力義務だということは確かにありますので、御指摘の点はあるわけですし、一というのが入っていますので単数案も全くないわけではないということでございますけれども、しかし、今回こういう場を設定することによって、事実上複数案を検討を義務付ける方向に行くのではないかというふうに私自身は考えておりますので、そうしないと、後で、方法書のところとかで説明会をしたときに非常に困ったことになるとかというようなことが出てくると思いますので、義務付けにかなり近いところまで行っているし、複数案の検討はなされるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 それから、ゼロオプションに関しては、先ほど申し上げたようなことでございまして、ある事業の事業の種類によっては地道に人間関係とかをつくることによってようやくその事業が立地できるというようなことがあるようでございますので、そういう御努力というのも全く考えないわけにもいかないというところもございまして、それを今回、全部表に出して最初からゼロオプションも含めて検討をするというようなことをすることは、私自身は望ましいことだと思っていますけれども、しかし、ゼロオプションというのを余り表に出すことを義務付けをしてしまうということになりますと、かえってその選択肢をそちらのゼロオプションの方だけに目を向かせてしまうというような結果になるのではないかという事実上の問題点というのがございますので、そこでちょっと義務付けまでは難しいというところでございます。難しいところでございます。
#46
○市田忠義君 じゃ、今のゼロオプション問題について、堀参考人がもし御意見ありましたらお聞かせ願いたいのと、もう一点、先ほどの諫早問題で、これはたしか農水省の所管事業で、当時は環境大臣が意見を述べる機会がなかったと思うんですけれども、今度の法改正で公有水面埋立事業にも環境大臣が意見を述べることができるというふうになるわけですけれども、当時環境大臣が生物多様性保全の観点から意見を述べる機会がもしあれば、若干は現在の諫早の状況を回避できたとお考えか、環境大臣の意見の重要性についての堀参考人の御意見、御認識、この二点お聞かせいただきたいと思います。
#47
○参考人(堀良一君) ありがとうございます。
 ゼロオプションの問題ですけれども、諫早に即して言えば、お手元にお配りした資料の一枚目ですね、諫早湾干拓事業の事業目的が下の方に書いてございます。これ、農水省の管轄する土地改良法に基づく農地造成事業なんですね。事業目的のトップに、本来であれば優良農地の造成というのが入るべきなんですね。ところが、この干拓事業の場合には、防災機能の強化というのがトップに掲げられております。これは、そもそもこの干拓事業が始まるいろんなすったもんだの中で、やっぱり本来の農地造成ではなくてここを強調せざるを得なかったという経緯があります。だとするならば、本来のこの地域の、まあ海抜ゼロメーター地帯というのは東京にもたくさんございますけれども、そこの防災機能の強化というのは全国に経験があるわけですね。だから、その目的達成のために、この事業ではなくて別の方策があるんではないかということは当然検討されてしかるべきだったというふうに思います。そこがなかったことが、そもそも当初からのボタンの掛け間違いで今日まで来ていると。
 今回開門に反対している皆さん方というのは、この防災問題なんですね、一番言われているのは。だとすれば、当初からそのゼロオプション、この干拓事業ではなくて防災効果を果たす方法は何だったのかということまで含めてきちっと議論がされていれば、今回の事態は避けられたんではないかというふうに思います。それが一つです。
 それから、環境大臣の意見が当初からあった場合にどうなのかと。これはなかなか時代状況が違いますので、今のように環境基本法ができ、あるいは生物多様性条約に日本が加盟し、国際的にもこれだけ、今年は名古屋でCBD、COP10がありますけれども、という状況の違い等がありますので一概には言えませんけれども、私はやっぱり環境アセスメントの制度というのは、これは事業者が自主的に行う制度です。事業者がどうしても事業をしたいというのがあります。そういう、言ってみれば子供をきちっとしかって導いてやる親がいるかどうかと、これが環境アセスメントの制度じゃないかと思うんですね。
 そういう点では、環境省、環境大臣がそれなりのきちっとした権限と権威を持って、やりたいやりたいと言う子供に説きほぐして正しい道に行ってあげる、間違ったことをしようとするのであれば止めてあげるというような制度として運用できればというふうに考えておるんです。そういう点では、当時、環境大臣がそういう立場から物を言っていただいたらもう少し変わった状況になったということは十分に考え得るというふうに考えております。
#48
○市田忠義君 もう時間がありませんので、一問、原科参考人にお聞きしたいんですが、私は昨年の自然公園法改正審議の際に、辺野古での事前調査でジュゴンやサンゴが被害を受けている問題を指摘したんですけれども、参考人もスコーピング段階でアセスの方法が決まっていないのに先行して調査を行うことは禁止すべきであるというふうに主張されていますが、この点について改めてお願いします。
#49
○参考人(原科幸彦君) これはもう、簡単な例が、釣りをしているところで隣の人が石をぽんと投げると。で、釣れますかと言ったって、魚逃げちゃうでしょう。同じことで、野鳥を調べるとき、そこでがんがん音がするような工事をやったら、たちまち野鳥は逃げますよ。貴重種いなくなっちゃうんですね。だから、環境調査できないですよ。だから、科学的な分析が不可能になっちゃうんですね。サンゴの場合には、サンゴ礁のところにボーリングしちゃえばサンゴは破壊されますから、そうしたらもうその段階で生態系変わりますね。その後で調査したって元々価値がない。だから、価値があるものを破壊すれば価値がなくなっちゃうわけですよ。
 だから、明らかにこれは、科学的な立場からいって、当然これは手を入れないことというのは当たり前のことだと思います。これはだれが考えても分かることで、何も私が言わなくても、普通の一般の人、もう小学生でも分かることだと思います。手を入れないでしっかり調査して、その後で考えるということだと思います。だからこそ、早い段階からスタートしなきゃいけないんですよ。つまり、まだ計画案検討段階で、いろいろ対応できる段階で始めればそんなに手を入れなくていいんです。
 そのためにどうしたらいいか。基本的な調査は環境省が環境統計という形で自然環境に対する基本調査をしっかりやってもらいたいです。このためにはむしろ国費を投入してもらって、十分な環境統計を作ってもらえばいいんですよ。そうすれば、個別にそのようなことをやらないで済みます、これは。十分対応できます。
#50
○市田忠義君 終わります。
#51
○川田龍平君 座ったままで失礼いたします。
 四人の参考人の方、今日はありがとうございました。
 先ほど、大塚参考人の説明の中で、改正法案における計画段階配慮書手続の導入に対しての論点の中で、この八ページの第六番目のところ、時間の関係で飛ばしていらしたんですが、そこについて関連したことでちょっとお聞きしたいこともあるので少しお話聞きたいんですが、まず、対象事業の追加について、大塚参考人と原科参考人と堀参考人に伺いたいと思います。
 環境省では、これまで対象事業については十三事業であるという公表をしてきたんですが、そのうちの宅地造成の事業については、この二条の第二項の一号のワにおいて、一の事業に係る環境影響を受ける地域の範囲が広く、その一の事業に係る環境影響評価を行う必要の程度がこれらに準ずるものとして政令で定める事業の種類とされて政令で指定することになっておるということで、法律の段階での事業種を指定したほかの十二事業種とは性質が異なっているということがあります。
 今回、この枠に風力発電も加わりますが、この部分についてはその十二事業種とは別の枠をつくって、法律改正を待たずとも政令によって、新たに政令を改正することによって対象事業種を増やせることを強調すべきではないかと考えるんですが、例えば今回加わる風力発電に加えて、河川環境から海岸線に至るまで影響を与えている農水省の治山ダムであったりとか、それから国交省の砂防ダムなんかもこの生物多様性に影響を与える全国的な問題であるということから加えるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#52
○参考人(大塚直君) どうもありがとうございます。
 風力発電以外に、御指摘のような治山ダムとか砂防ダムとかについて著しい環境影響があるということが明らかになってまいりましたら、一定規模以上のものについてそういうものを政令で指定していくということは十分考えられると思っております。それについても検討が必要であると考えております。
 以上でございます。
#53
○参考人(原科幸彦君) 私も政令でそのように幅広く対応できるようにするべきだと思います。そういう手段を持っておられるんです。是非活用していただきたいですね。
 それで、数を増やすことによる効果がすごくあると一言申し上げておきますが、詳しくはお手元の資料で私が書いたもので、環境影響評価法の見直しと書いてあるこれ御覧いただきたいんですが、これの、これは岩波から出ている「環境と公害」というものに書きました。これの六十三ページから後に書いてあります。右の方ですが、対象事業の拡大ですね。今のような方法で是非お願いしたいんですが、その効果は極めて大きいんです。
 特に大きなのは、いわゆるアセス逃れがなくなります、小さくしてですね。そしてそのことが、実はたくさんのアセスするということは産業も活性化するんですよ。つまり、環境アセスメントは相当の規模の産業になりますので、ですから、何万のオーダー行けば、これ何千億という市場になります。そういう大きなこと。それから、そのための専門家も育ちます。というようなことで、さらには社会が変わるんですね。つまり人々、市民の意識が本当に持続可能な社会をつくる方向になります。あわせて、事業者がアセスメントに対して物をかなりしっかり考えるようになりますから、環境配慮の社会ができていくんですね。ですから、アセスメントの数を増やすということは社会を変えることになるんです。
 先ほど弾力的に対応していただきたいとおっしゃった、私もそう思いますよ。つまり、ゼロオプションというのは弾力的に対応することなんです。ゼロオプションと比較したからやらないという意味じゃないんですよね。むしろ柔軟に考えていただいて、ゼロオプションに比べてこれやった方がこの事業はこれだけ意味がありますよということを説明するんですから、コミュニケーションの手段なんです。ということで、そうすると社会、文化が変わりますね。日本はそういう文化にまだなってないので残念なんですけれども。日本人は自然を大切にしてきているはずなんです。だから、そういうことを、そういう社会のシステムを先進国らしいものに変えていただいてですね、と思います。そのためには、当面は政令の改正で広げていく。しかし、根本的には再改正を三年後にはやっていただきたいと、もう一回申し上げておきます。
#54
○参考人(堀良一君) ありがとうございます。
 私も、対象事業は、現状の制度を前提にすれば、広げれば広げるほどいいというふうに考えております。基本的には、現在の仕組みのような規模要件等で縛りを掛けるという方向、これは是非将来的には御検討いただきたいというふうに思うんです。
 実は私、諫早の干拓事業の問題を通じて、ラムサール条約、湿地保全条約ですね、だとか生物多様性条約等のいろんな自然保護団体あるいは海外のそういう取組をなさっている方との交流ございます。例えばラムサール条約でも、国際的に重要な湿地という場合に規模要件というのはございません。小さくっても、むしろ重要なんだということが強調されております。生物多様性条約においてもそうです。規模要件というのは基本的にはございません。生物多様性にとってどういう重要な場所なのかということが強調されていると。そういう点からいくと、規模要件で縛りを掛けるというのはそもそも発想として問題があるというのが私の基本的なスタンスです。
 そういう点では、今日、原科先生が第一条の目的のところの議論をされましたけれども、全く同感で、そういうことも踏まえての規模要件の将来的な検討というのを是非行っていただければというのが私の感想です。
#55
○川田龍平君 私も本当にそのことはそのとおりだと思っていまして、八丈島の一般廃棄物最終処分場建設計画について質問をこの委員会でもしたんですけれども、その処分場の埋立容積が四万九千五百立方メートルと、都の条例では環境アセスの対象となる基準の五万立方メートル以上というのをわずかに一%下回る規模で申請してこのアセスを逃れているということがあって、やはり規模が大きくということでやってしまうと、そういう本当にそこのまた基準を設けることで非常に、その一%という本当にこういう枠でやっぱり逃れようとしてくるということが実際に起きているわけです。
 次に、猪野参考人と原科参考人に、現在、瀬戸内海で進められている山口県上関の原発建設予定地を例に、生物多様性の観点から、この事業アセスの限界とSEA導入の効果について伺いたいと思うんですが。
 この上関原子力発電所の建設予定地は、五十年前の瀬戸内海の姿が残っていると評されるほどに生物多様性のスポットであって、ここでの建設に関しては大きな社会問題となっています。その一例として、鳥類のカンムリウミスズメとカラスバトの生息、繁殖の問題があり、これ今、事業の工事を進めながらこの調査をするということになってきているんですが、これらは絶滅危惧種などにも指定されていますが、平成十三年に事業者が経済産業大臣に提出した環境影響評価書にはこの両種に関する記述がないものの、その後、予定地周辺でこれらが確認できたことから事業アセスに対する不信感が周辺住民にとどまらずに、日本鳥学会など専門家の間にも共有されています。その後、事業者はこれらの生息状況について調査を実施し、生息や繁殖の可能性を否定していますけれども、専門家からはより詳細な状況調査とこれに基づく再度の環境アセスを求める強い意見が出されています。
 こうした状況は、環境への配慮と周辺住民への合意形成という観点から考えると、この事業アセスの限界を示していると考えられますが、どのようにお考えかということを伺いたいと思います。また、これらの事例について、この改正案のSEA制度にどのような効果が期待できると考えているか、猪野参考人と原科参考人からお願いします。
#56
○参考人(猪野博行君) 今御質問のございました上関原発は、今まさにこれから建設着手をしていって原子力の発電につなげていこうとしております。元々、あの原子力発電所は、今、現行の事業アセスに基づいて、それからまた原子力の規制法の新しいの、そちらも含めて、そういうような手続を経て現実に最後までいって、そういう建設のところまで来ているわけですね。
 それで、その当時、特にそういうような希少種みたいなことはなくて、それで途中でそういうものが見付けられた、見付けてくれた人がいて、そういうような状況に対して、発電所側としては、そういうようなものがどうなっているか、それは実際に調査をしているわけですね、周りにどのくらいいるのか。それと、今実際に建設しようとしている用地のところにそういうようなものが頻繁に営巣をしているかどうかとか、そういうのも含めて一応調査をして、その調査の結果については、県であり、それから国であり、報告も一応出してきているわけですね。
 それで、そういうような報告をしながらやってきておりますので、今後、またそういうような場合によって新しいそういうもの、今までなかったようなものが出てくるかもしれません。ただ、そういうときにはまたその都度やっぱり調査をしていかないと新しい知見として見ていけないので、別にそれが今現状の現行アセスが、それが不備だということじゃないと思っております。
 それは、その当時の知見では、文献調査とか何度か行っても、やっぱりそういう希少種みたいなものも一応全部、その地域にあるものを全部評価しているわけですね。そして、それはみんな新たに見付かったときにどういう対応をするかというのが非常に大事だと思っております。そして、その工事を続けていったときに、じゃそれにミティゲーションじゃないですけれども、その代替的なことが少しその中に、計画を少し一部変更してとか、そういうことも十分可能になっていると思っております。
 別に、この件ばかりではなくて、ほかの発電所の建設のときにおいてもいろいろなことが言われて、例えば発電所の向きを少し変えているとか、それから煙突の高さも含めて、それから場合によっては湿地の影響が大きいのでその範囲を改変する、範囲を小さくすることとか、そういうようなことは現実に現行アセスの中でも十分やってきているわけですね。だから、そういう意味では、その都度、その対応が取れていると思っておりますけれども。
#57
○参考人(原科幸彦君) 現行の制度の中でできるだけ対応する、おっしゃるとおりだと思いまして、でも原理的にそれが可能な範囲と、とてもそれではできないような場合がありますね。特に、貴重な生物の生息地というのは、そこをもう使ってしまうと取り返しが付かないわけです。ですから、このために賢明な判断というのは、通常はもっと早い段階でよく調べて、そして判断していく。
 これはどういうことかといいますと、そういう基本的な情報は、国とか自治体が持っている公式の情報以外に地域住民が持っている場合が多いんですよ。だからこそ人々に、環境情報を幅広く集めるために人々に意見を求めるんです。だから、そのために戦略アセスがありまして、そのことは世界中が分かってきたので、もうこれは事業段階では遅過ぎるというのは、これは共通の認識でございます。世界中でもう十五年も前からやっているわけです。特に、世界銀行が九〇年代中ごろからそれを始めましたのは、途上国の自然環境の情報は余りないでしょう。だから、既存のデータだけでは分からないですよ、文献だけでは。そうすると、早目に情報を公開しまして、そして地域から情報を得て、そうすると適正立地が得られるわけです。今の上関の例はまさにそうだと思いますね。
 ですから私は、環境省にお願いしたいのは、やはり自然環境に関する基礎調査、もっとお金をしっかり取っていただいて、仕分人の方、よく聞いてくださいよ、こういうところにしっかりお金を使うべきなんですね。そういう整備があればそれによって、本当に発電所も苦労していると思いますよ、そういうのがないので今苦労しているわけでありまして、むしろそういう情報をしっかり押さえた上でやれば早い段階からできます。
 通常、これは早い段階で、たくさんの地点が候補に挙がった段階で情報公開した方が紛争が減ります。なぜならば、地主は立地するかもしれないと思えば絶対売らないでしょう。だから、変なインサイダー取引はなくなりますね。そういう不祥事がいっぱい起こるわけですよ、もう決まっているから。決まる前にやればいいんです。例えば十か所あったら、だれもその十か所みんな買うことはできないわけですし、それから地主も、ひょっとしたらうちに来るかもしれないと、売らないですよ。だからそんな不正行為は起こりませんね。途上国はそういうことが結構起こってきたんです。だから問題なんですね。ということで、早い段階で情報公開した方が社会のシステムとしていいわけです。
 上関の例も、早い段階でもっと早くそれをやっていただければ、これまでたくさんお金を使ってきたと思いますから、もし最悪の事態になってとてもできないとなったらこれまで投資したものが無駄になっちゃうんですよ。そういうことが起こらないために、まさにリスクマネジメントですよ。だから、経営者としてはそのリスクマネジメントをしっかりやるべきでありまして、そのことは是非考えていただきたいと思います。
#58
○川田龍平君 ありがとうございます。
 質問の時間がちょっと来てしまったので、まだ聞きたいことたくさんあったんですが、原科参考人の資料の後ろから三枚目のところのこの「日中文化交流」のところで、中国での例というのが出ていまして、日本の環境アセスの置かれている状況というのは国際的にやっぱり非常に遅れているということと、数の問題だけではなくて事業規模のところですね、やっぱりしっかりと中国では小さいものから取り組まれているということで、これがやっぱり日本の中でしっかりとした国際標準になっていかないと、仮に原発が、僕は推進しているわけじゃないんですけれども、仮に原発を国際的に輸出していくというときにも、やっぱり国内でのそういう経験や環境アセスに基づいて、そういった年間二十件ということで日本がやらないことにより企業の競争力が落ちていくことというのが、やっぱりこれが懸念されるところだと思うんですね。
 そういう意味で、ほかの国とこれから競争していくという中でも、環境についての制約という規制の反面、やっぱりそうした成長のためには必要な環境アセスのこうした法規制というものが非常に必要だと思っていますので、是非そういう意味で、原科参考人、もう一度、中国の例などをもう一度お話しいただいて、是非それを言っていただければと思います。
#59
○参考人(原科幸彦君) これは中国の戦略だと思います。
 中国のアセス、個別に見て必ずしも高い水準とは言えないと思います。日本はすばらしいですよ、そういう枠の中ではね。ただ、余りにも数が少ないですね。しかし、十分でなくてもたくさんやることが社会を変えていくんですね。中国で今環境問題がどんどん起こっていますが、そういう環境情報が伝わることによって国民は目覚めてきたんですよ。それがいい方向へ行っているんですね。ですから、中国政府は本当に環境配慮を進めようとしています。しかし、地方政府がそうでないんで、その食い違いがありますね。だけど、国が主導してリーダーシップを取ることで社会が変わっていきます。だから、是非、国が主導してすばらしいアセスメントをもっと導入といいますか進化させていただいて、そしてむしろ地方に広げていくと。それが社会を変えると思います。
 コンクリートから人へって言いますけれども、まさに人へなんですよね。アセスを広げることは、これは人になります。つまり、ゼネコンとかいろんな、私は建築出身なんでそういう友人いっぱいおりますけれども、そういう分野の方々が産業転換する場合に、アセスというのは非常に移りやすいところです。環境調査はいろんなこともやっておられますからね。
 そういう意味でも、新しい産業をつくるという意味でも、是非アセスはもっと広くやっていただきたいと思います。中国を良い手本にしていただきたいと。完全にいいとは言いませんけどね、たくさんやっているという点では、いい手本だと思います。
#60
○川田龍平君 ありがとうございました。
#61
○委員長(山谷えり子君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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