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2010/04/20 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 厚生労働委員会 第15号
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2010/04/20 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 厚生労働委員会 第15号

#1
第174回国会 厚生労働委員会 第15号
平成二十二年四月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     大河原雅子君     梅村  聡君
     石井みどり君     岩城 光英君
     西田 昌司君     岸  宏一君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     岩城 光英君     石井みどり君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     長浜 博行君     大河原雅子君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     大河原雅子君     藤谷 光信君
     下田 敦子君     川崎  稔君
     木庭健太郎君     弘友 和夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田  稔君
    理 事
                小林 正夫君
                津田弥太郎君
                森 ゆうこ君
                衛藤 晟一君
                山本 博司君
    委 員
                足立 信也君
                家西  悟君
                梅村  聡君
                大河原雅子君
                川崎  稔君
                島田智哉子君
                下田 敦子君
                辻  泰弘君
                藤谷 光信君
                森田  高君
                石井 準一君
                石井みどり君
                岸  宏一君
                伊達 忠一君
                中村 博彦君
                西島 英利君
                南野知惠子君
                丸川 珠代君
                木庭健太郎君
                弘友 和夫君
                小池  晃君
                近藤 正道君
   衆議院議員
       厚生労働委員長  藤村  修君
   国務大臣
       厚生労働大臣   長妻  昭君
   副大臣
       厚生労働副大臣  細川 律夫君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       山井 和則君
       厚生労働大臣政
       務官       足立 信也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        松田 敏明君
       厚生労働省労働
       基準局長     金子 順一君
       厚生労働省保険
       局長       外口  崇君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (年金記録問題及び新たな年金制度の設計に関
 する件)
 (医療安全及び死因究明制度に関する件)
 (B型肝炎訴訟への国の対応に関する件)
 (軽度外傷性脳損傷及び脳脊髄液減少症への対
 応等に関する件)
 (最低賃金の引上げの必要性に関する件)
 (ディーセント・ワークの実現に向けた取組に
 関する件)
○国民年金法等の一部を改正する法律案(衆議院
 提出)
○厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の
 支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等
 の一部を改正する法律案(衆議院提出)
○医療保険制度の安定的運営を図るための国民健
 康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(柳田稔君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、西田昌司君及び長浜博行君が委員を辞任され、その補欠として岸宏一君及び梅村聡君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柳田稔君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長外口崇君外二名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(柳田稔君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○梅村聡君 おはようございます。民主党の梅村聡です。
 政務三役の皆様方におかれましては、日々御苦労さまでございます。本日は一般質疑ということで、質問をさせていただきます。
 まずは、長妻大臣が就任をされて七か月が経過をいたしました。この中で、当初から年金記録回復、これはもう長妻大臣のライフワークとして取り組んでこられてきていると思います。しかし一方では、最近どうも報道が少なくなってきているということで、私たちはこれを、年金記録回復を国家プロジェクトと位置付けて二年間集中的に取り組む、こういったことをマニフェストでもお約束したわけであります。
 改めて、これまで七か月間の取組、それから、あるいは徐々に成果も出てきていると思っておりますので、その成果につきましてもお答えいただければと思います。
#7
○国務大臣(長妻昭君) この年金記録問題、消えた年金問題は、これは国家の信頼が傷ついたわけでありまして、それを回復するというのが喫緊の課題だということで、非常に重点を持って取り組んでいるところでございます。
 政権交代後、年金記録が回復された方が延べ二十二万人、回復額の年金総額は二千百億円ということになっておりまして、政権交代後、毎週毎週、必ず一週間に一度、どういう先週と比べて進捗があったのか、何人の方が統合されたのかなどなど、数値を公表しております。そして、前々回から年金の記録が戻った金額が多い方上位十人の方も毎週公表をしておりまして、先週金曜日公表した一番多く戻った方は八十三歳の男性で、約、一定の前提で計算をすると全体の増加額が一千九百四十万円という方が一位でありまして、毎回大体二千万円ぐらい戻る方が一番多いという形です。同時に、そういう方々、十人の方が具体的にどういうきっかけで、どういう形で戻ったのかというのも詳細に書いたものを毎週公表をしておりまして、参考としていただくということであります。
 そしてもう一つは、今まで第三者委員会に送られていた回復基準については、第三者委員会に送らなくても年金事務所で一定の簡便な方法で回復しようということで、既に昨年十二月に三つの回復基準というのを出させていただきまして、それはもう既に今、年金事務所で実施をしております。そして、今月は脱退手当金の関係でそれを出させていただこうということで、この案件についてはもう第三者委員会に送らずとも年金事務所で判断できるということです。
 そしてもう一つは、紙台帳を全件照合するということも決めまして、今準備をしております。特殊台帳というのは前政権から照合がなされておりますけれども、今度は全部を照合するということで、今、画像の紙台帳検索システム、これを構築をしておりまして、この前は記者の皆さんの前でもデモンストレーションをいたしたところでございます。本人が気付いていなくてもこちらから御連絡できる体制を取っていくということで、集中的に進めているところであります。
 そして、また法案のお願いも近々申し上げるところでありますが、国民年金の保険料、さかのぼり納付を実現することで、被保険者の方で四十万人程度の方が無年金にならなくても最大済むのではないか、あるいは最大一千六百万人の方が年金額が増やせるのではないかというふうに考えております。
 まだまだ細かい点でいろいろ、サービスの向上などなど取組を複数、今鋭意進めているところでありますので、全力で信頼回復に努めていきたいと思います。
#8
○梅村聡君 年金記録についても順調に回復されている方が出てこられておりますので、またそういうこともしっかり、記者の方も含めて、PRをしていっていただければなと思っております。
 もう一つは、インデックス二〇〇九、これは民主党の政策集でありますけれども、この中には年金記録回復促進法案の成立を図るということが書かれております。
 先日の三月十八日の参議院予算委員会におきましても、津田先生からその旨の質問があったかと思います。このときの大臣の答えとしては、紙台帳のまずは全件照合を目指すと、それでも解明できない記録というのが五千万件の中で当然残ってくると、これに対してはこういった立法措置も含めて対応するんだと、そういうお答えがあったわけであります。
 国家プロジェクトとして最初の二年間集中的に取り組むということでありますから、逆に言いますと、二年間ぐらいをめどにしてこういった立法措置ということを考えておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
#9
○国務大臣(長妻昭君) この法案はまさに、今ここにいらっしゃる津田先生中心に野党時代に作っていただいた考え方の法案でございます。これにつきましては、一期四年の中でこの法案提出をするということを申し上げているところでありまして、これについては、まずは紙台帳を含め、先ほどの基準の第三者委員会に送らずとも年金事務所で一定の審査で回復をするという、あらゆる手だてを尽くしていっても解明できない記録が残ると思われます。そのときに、その残った記録の特徴などを勘案をして、ある意味では機械的にその特徴に準じた基準を決めてこの法案措置で補償をしていくという時期が来るというふうに考えておりますので、そういう国民的なコンセンサスも得られるような、そういう時期が四年の中で参ったときにこの法案を提出をさせていただこうということで、皆様方の御意見も賜りながら考えていきたいと思います。
#10
○梅村聡君 運用の改善で対応するべきものと、それから立法の措置で改善すべきもの、ここのバランスをこれから考えていかなければならないと思っております。
 その次に、年金記録が回復した後の年金支給までの期間、これも非常に重要であります。特に、受給者の方からは、再裁定の申請を行っているけれどもなかなか年金が支払われないと、昨年はそういう声が非常に多かったわけであります。特に、この一年間でこの支給までの期間、どれぐらい改善が見られたのか、教えていただきたいと思います。
#11
○国務大臣(長妻昭君) これに関しては、記録が戻って、戻ったということを再裁定ということで窓口で申請してもなかなかお金の振り込みが来ないということが言われておりました。我々、これを鋭意短縮するべく取り組んでまいりまして、昨年の三月末時点で平均七・二か月、これについては時効に掛かっていないもの、つまり過去五年よりも新しいものに限定して今お話ししておりますけれども、それは昨年の三月末に平均七・二か月だったものを、最新の数字で今年の二月末時点で平均三か月ということで、半分以下の期間で払えるようになりました。
 ただ、これ平均でございますので、やはりかなり難しい案件についてはこれ以上掛かるということもございますので、これについては極力短縮をこれからも続けていく。
 そして、今申し上げたのは五年の時効よりも新しいことでありますが、五年よりも古いお金でございますが、これについては若干時間が掛かっておりまして、そのお金の支払は、再裁定から、昨年の三月末時点では十か月掛かっていたものが、今年の二月末時点で五・四か月で振り込むことができるということになりましたが、いずれにしてもまだまだ長いというふうに考えておりますので、これを極力短縮するべく、今全力で取り組んでおります。
#12
○梅村聡君 最初の半年間の取組ということですから当然、限界というのはあるかと思いますが、この期間については鋭意お取り組みをいただきたいなと思っております。
 それからもう一つ、これも民主党インデックスの中に、年金通帳という問題があります。私たち、ふだん通帳といえば銀行通帳が一番身近なんですけれども、実は私は銀行通帳も最近は持っていないんですね。もうネットで大体パスワード入れてやると、もうこれは記録も全部見えると。私たち、今通帳作るときには、むしろ通帳がない方が安全なんではないかとかいろんなことがあって、大分ペーパーレスの時代が来ているという中で、この年金通帳に関しましては、これ加入者全員という方針なのか、あるいはもうこれネットとか記録がある程度固まっている方におかれてはこういうものなしでもいいんじゃないかと、いろんなお声があるかと思うんですが、改めて、これはどういう方針でお考えになっておられるのか、教えていただきたいと思います。
#13
○国務大臣(長妻昭君) まずは我々申し上げておりますのは、一期四年の中で年金通帳を実現をするということがまず前提にございます。その中で、どういう年金通帳の体裁がいいのか、あるいは中身の情報はどういうものがいいのかなどなどの制度設計については、国民の皆さんによくよく御意見を聞いて確定していくということにしております。
 その前段階といたしまして、まず今年度については、インターネットでの記録確認をより使いやすくするということで、御自宅ではもとより、お年を召した方が例えば市区町村や郵便局に行って、そこに置いてあるパソコンを使う、当然、自分ではできない方は職員が補助が付くということで、今その制度設計を行っておりまして、そういう方がどこでも自分の記録を確認できる、あるいはそのインターネット上でも、平成二十三年度からはシステムを大幅に変えまして、今までは自分の払った記録を見るということだったんですが、二十三年度からは新たに、自分がこのまま払えば老後幾ら年金がもらえるのかの見込額もお知らせができるというようなシステムにしようと考えておりまして、そういうシステムが稼働した後、国民の皆さんに、じゃこれにまだ不足する、どういう具体的な年金通帳の姿がよろしいのかどうかということをよく聞いて実行をしていきたいというふうに考えております。
#14
○梅村聡君 もうきちんと確認ができると、いつもそれを見ることができると、そういう仕組みをつくり上げることがこの年金通帳という書き方だと思っておりますので、是非それに向けて我々も知恵を絞っていきたいと思っております。
 それでは次に、年金のこの理念について、改めて本日は制度設計も含めて議論をしていきたいと思います。
 今回の民主党政策としましては、最低保障年金とそれから所得比例年金の二階建てと、これが将来の姿であるということをうたっているわけです。この最低保障年金というもののそもそもの考え方は、全国民の方にそれを幅広く保障することで、それに更に所得比例の部分を乗せていくという考え方なのか、あるいは、所得比例年金がまず基本的な考え方だと、それに対して、年金支給額が少ない方に対して最低保障年金部分を集中させるというそういう理念なのか、まずどちらの理念をこの二階建て年金制度として考えておられるのかを教えていただきたいと思います。
#15
○国務大臣(長妻昭君) まず、基本的にありますのが所得比例報酬、所得比例年金という考え方でございまして、これについては、どんな職業でも、同じ年収であれば同じ保険料、老後の受給額も同じ、これがまず下にあるわけでありまして、そしてその所得比例年金が一定の金額以下の支給の方は、それに加えて最低保障年金というのが、全額税金でございますけれども、これが上乗せになると、こういう考え方が基本であります。
#16
○梅村聡君 実は、その質問をした理由は次の質問にも関係があるのですけれども、すべての人が七万円以上の年金を受け取れるようにすると、こういうことが我々の主張であります。これはもういろんな方に質問を受けるんですが、二通り考え方があります。
 一つは、だれもが七万円を受け取れると。ですから、例えば国内に住民票があればとにかくそれだけの要件ですべてまず七万円を受け取って、それに対して所得比例が付くと、そういう方向なのか。あるいは、まず被保険者にとにかくなってもらうと、つまり、たとえ所得がゼロであっても何らかの手続をして、そして被保険者になる手続をした方だけがこの七万円を受け取れることができるのか。
 これは、思想として保険方式なのか、あるいは最低ミニマムを保障するのか、大きな違いがあるわけですね。ですから、最低限、被保険者になる手続をした方、この方だけが七万円という資格を得ることができるのか、ここの整理をお願いしたいと思います。
#17
○国務大臣(長妻昭君) これは考え方といたしましては、保険の手続をして被保険者になった方についてということでございます。
 もし、そういうことをしなくて、だれでも七万円ということになりますと、じゃ、年金に入る入らないというのは本人の勝手になって自由になるということで、今、賦課方式の日本国の年金の中で受給されている方などの財源をどうするのかという問題も起こりましょうし、これまで全く未納だった方もそうでない方も同じ扱いになる不平等感などなど、いろいろな論点が出てくると思いますので、我々としては被保険者になった方ということであります。
#18
○梅村聡君 その点が確認できてよかったと思います。このことは、実は受給資格期間二十五年という問題にも絡んでくると思っています。
 この受給資格期間二十五年というのは、過去のこの当委員会においても海外並みに五年にするのはどうか、十年はどうかという議論があったわけでありますけれども。今お答えいただいたように、被保険者になる手続をすると、私はこれのハードルによってこの受給資格期間の問題というのは方向性が変わってくると思っています。
 といいますのは、これまではやはり届出を忘れた方、あるいは仕事が変わって途中で抜けた方、こういう方が二十五年に達しなくて無年金になると、そういうことが多々あったわけなんです。つまり、この手続をして被保険者になるというハードルが低ければ、例えば一例を挙げますと、社会保障番号制度などを導入して二十歳になればほぼ自動的に皆が被保険者になれると。そういう仕組みであれば、ほぼすべての方が四十年間被保険者になられるわけですから、そうすると、この二十五年の議論というのはそれほど重要性が高くなくなってくるわけですね。
 しかし一方で、届出はあくまでも自分で情報を得て足を運ぶとか、忘れてはならないという、こういうハードルが高ければ、やはりこの二十五年の受給資格期間というものを、じゃ、これから二十四年の人はどうするのかと、十年の人はどうするのかという議論が必要になってきますので、その被保険者になるまでのハードルがやはりこの二十五年に対しては問題になってくるのかなと思っております。
 そして、仮にそのハードルが多少でも高く残っていれば、次は、じゃ、その被保険者になっている期間が一か月の人でも七万円なのか、四十年間でも七万円なのかと、こういう問題も残ってきますから、やっぱりそこのハードルの高さということを我々はしっかり考えていかなければいけないと思っておりますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
#19
○国務大臣(長妻昭君) 今、非常に重要な御指摘をいただいたと思っております。
 年金の新しい制度の下では執行機関も非常に重要になるということで、我々は歳入庁ということを考えておりまして、税金と保険料を同時に集めるということと、今社会保障も含めた番号制度も検討しております。これは厳重なプライバシーの保護というのがもう大前提の議論ではありますが、それを前提として、そういう番号制度を入れて、ある程度こちらの方が把握できるような、お知らせをするなどなどが的確にできるような形を取っていくということが前提となるというのは、おっしゃるとおりだと思います。
#20
○梅村聡君 保険方式であるということはこれは一方であると、しかしその被保険者になるハードルはできる限り低くすると、そして徴収に関しても税と似たような形で徴収をすると、私はこの方向性が今、民主党が目指している方向性だと思っておりますので、またこれからも議論をしていきたいと考えております。
 そしてまた、年金制度が新しくなると、これこれからの議論になるかと思いますが、普通に考えますと新年金制度への移行ということは、移行した年に二十歳の方が受給者になる方の年齢になると初めて完全移行ということでありますから、何もしなければ四十年ぐらい、四十年ということになるかと思いますが、これは移行期間はどれぐらいの期間を想定されているのか、教えていただきたいと思います。
#21
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃった移行期間でありますけれども、二十歳の方が六十歳になるまで四十年ということで、何もしないと四十年ということになろうかと思いますが、スウェーデンなどでは一定の前提を置いてその移行期間を早めるということで新制度への完全移行、すべての国民が新しい制度に全員が入っているという段階が十七年掛けてスウェーデンは実行したということもありますので、諸外国の事例も含めて今政府の中で原則を決める検討が始まっておりますので、その中で国民の皆さんの意見も聞きながら我々は制度設計していきたいと思います。
#22
○梅村聡君 この辺りはやはり制度設計の基礎部分に当たると思いますので、これからの議論がやはり必要だと思っております。
 そしてまた、もう一つは無年金、それから低年金の方への対策、これも非常に重要だと思っております。究極の無年金対策というのは、これは特例納付ということになるかと思うんですが、しかし一方で、これを余り乱発をすると、これまた年金制度全体としていかがなものかなという思いもいたします。
 そんな思いから過去に三回、昭和四十四年、四十九年、五十三年と過去三回この特例納付が実施されたわけでありますが、今回、政権交代に当たって、あるいは新しい年金制度移行に当たって、この特例納付の実施ということは全く検討がなかったのか、あるいは検討があったけれども、やはり様々な観点から今回はすべきではないというお話になったのか、その辺りの議論の経緯を教えていただきたいと思います。
#23
○国務大臣(長妻昭君) これに関しては特例納付是か非かというのもかなり時間を掛けて議論をさせてもらったわけでございます。過去三回特例納付があって、これはもうずっと前までさかのぼれると、つまり国民年金が始まったときまでさかのぼって払えるということでありますが、その払う期間は一定の一時的な期間だけだということであります。
 やはり、その特例納付を新政権で仮にやった場合、まずこれはお金を持っておられる方が一括して払う、まあお金持ち優遇ではないかという批判が出る可能性もありますし、一時的な短期間でお金を用意しなきゃいけないと、その期間限定でありますのでそういう問題も出てくる、あるいは今後また新政権で特例納付があると、またいつか、来年ぐらいもう一回特例納付があるのかなというふうに考えられる方がもし多くおられるとすると、納付の意識というのがまた変わってくるのではないかという、いろんなそれ以外のことも考えて、そうであれば恒久的措置として、今度、法案をお願いをする国民年金については、今は過去二年しかさかのぼれませんけれども、これを過去十年までさかのぼれるというのを、これはもう恒久的な措置として実施をするという方が国民の皆様方に対して適切ではないのかと、こういう議論もございまして、今回そういう法案をお願いしようというふうに考えているところであります。
#24
○梅村聡君 それは非常事態のときの特例納付は話でありますのでかなり慎重に議論をしなければいけないわけでありますけれども、新政権、新しい制度に移行するときにどうやって被保険者の方、国民の方からの信頼を得るかと、そういう観点からの議論ということが私はやはり必要ではないかなと考えております。
 年金の問題については少し駆け足でしたけれども、これから一項目に一日掛けてもいいぐらいの議論の内容だと思っておりますので、これからも委員の皆様と一緒に考えていきたいと思っております。
 では、引き続きまして、医療安全調査委員会設置法案、これはいわゆる大綱案というものでありますが、二〇〇八年六月に厚生労働省の方から発表されて、パブリックコメントも募集をされたわけであります。
 これは衆議院の方でも議論があったお話でありますが、改めて、この法案の現在の位置付け、それからこの大綱案に沿った議論というものが現在、厚生労働省内で行われているのかどうか、現状を教えていただきたいと思います。
#25
○大臣政務官(足立信也君) お答えいたします。
 大綱案という話がありましたが、これはもう御案内のように、平成二十年に第三次試案、それに基づく大綱案ということを厚生労働省が公表したわけです。それに対して当時の民主党も、医療死亡事故の原因究明、再発防止を行う仕組みとして、死亡だけではない、もっと広い範囲を含んだ法律案の骨子案を公表したわけでございます。これはかなり大きな議論になったと思っております。
 そして、先日、衆議院の予算委員会でも答弁いたしましたが、第三次試案あるいは大綱案のまま原案とすることはないと。
 今、その検討の状況はどうかということですが、これはモデル事業というものにまた関連してまいることでございまして、五年間のモデル事業の期間が終わりました。そして、今年度のモデル事業は、これを約六億円、五年間で投じて百五例ということが全国にあまねく広めることができるのかということの反省に立ちながら、また、死因究明というものは解剖に偏重しないでもできるのではないかという観点を入れた内容のモデル事業の変更ということも考えておりまして、繰り返しますが、大綱案そのものが法案として成案となることはないと、そのようにとらえております。
#26
○梅村聡君 この大綱案がそのまま法案化されて出てくるということがないということでありますが、そうしますと、新たな制度、考え方、これを今後議論して進めていかなければならないということでありますが、そこの最初の入口の議論として、私、非常に考え方が難しいなと思うんですけれども、一般論で考えますと、そういう医療安全、医療事故、それに対する対応、これはそもそも医療というものの一部なんでしょうか、あるいは医療が行われた後の、後の処理になるんでしょうか。
 これ、非常に重要な観点でして、今、インフォームド・コンセント、それから患者さんとの同意と、そういうものが今話題になっております。これは、医療というもののスタートは、これは患者さんとのまずコミュニケーションからスタートする、そしてその真ん中、コアな部分に治療というものがありますけれども、その後にもし何か疑問がある、トラブルがある、こういったことへの対応をする、これすべてを含んで医療というふうにとらえるのではないかなと私個人は考えておりますが、これをどのようにとらえるか。プロセスなのか、あるいは後の処理なのか、ここをまずしっかり考え方の基本として確認をしたいんですが、いかがでしょうか。
#27
○大臣政務官(足立信也君) おっしゃるとおりの御指摘だと思います。
 今インフォームド・コンセントの話がございました。一昔前は、医師が患者さんに対して、私はこういう治療をやるんだと、それに従わなかったら診ないというようなことも実際あったわけです。しかしそこに、インフォームド・コンセントから始まり、その後インフォームド・チョイス、いろんな治療法の中で何を選択するか、それが今はインフォームド・ディシジョンと、患者さんが判断するというような時代になってきたわけです。これはある意味、インフォームド・コンセントのその時期も、以前は医療と切り離されていた部分がある。しかし、これはもちろん、今委員御指摘のように、医療の一環、プロセスの最初のスタート時点だという認識を皆さんもうお持ちだと思います。
 という流れで考えると、不幸にして亡くなった場合、あるいは事故が生じた場合に、それは医療の一環として何が原因であったのか、そしてそれを、再発を防止するためにはどうしたらいいのかと。もちろんこれは、亡くなった後はもう関係ない、その後に別物の問題として原因を究明したり再発予防策を講じるのではなくて、医療のプロセスの中でそれをしっかり究明をして、そして再発防止に役立てるというのはまさに医療のプロセスの一環だと、そういうとらえ方をすべきであるし、そういう流れになってきていると私は思います。
#28
○梅村聡君 私も同じ認識でおります。
 つまり、例えば不幸な事例が起きたときに、それを最初から第三者の機関に丸投げするという仕組み、これはまず良くないと思います。
 これはインフォームド・コンセントのときの話もそうですけれども、やはりまず医療側と患者側がどう対話をしていくのかと、それは治療の前でも後でも全く同じことだと思っております。そして、そこから手を離してしまうと、つまり余りにも公平性とか、それからそういうものを重視してそこのところから目を離してしまうと、今非常に医療側と患者さん側、あるいは国民側、双方がお互いの話が見えなくなってきてしまっている。こういう形をそのまま進めていくと、いよいよ医療というものに対する信頼がなくなってしまうのかなと。ですから、私は、やはり医療の行為だけではなくて、時間的軸で前の部分も後ろの部分もこれもう等しく医療としてとらえて、そして医療安全、医療紛争、こういった問題への対応ということを制度設計をしていかなければならないと、まず基本的な考え方を確認させていただきました。
 そうしますと、そういう中で、じゃ今度は、例えば何か紛争が起きました、あるいは不幸な事案が起こりましたと。これに対しては当然、原因究明、科学的な原因究明が必要だと思っておりますし、それから何らかの再発防止策、これから同じような事案が起きないようなそういう取組をしなければいけないと考えておりますが、この原因究明をする機関と、それから再発防止を行う機関、これはどういう関係であるのが一番良いかと。つまり、同一の機関でそれを行うことができるのか、あるいはそれを別々の機関なり組織なりで行うのが良いと思われるのか、これも一般論でお聞きをしたいと思います。
#29
○大臣政務官(足立信也君) 委員が先ほどおっしゃった丸投げしないと、これを言葉を換えれば、あくまでも当事者主義であるんだと、医療を提供する側と受ける側の当事者間での説明であり理解であることがまず第一であるという指摘だと思います。
 そして、ただいまの件ですが、あくまでも治療の一環であるならば、そこで原因の究明をしっかりやることと、そして責任を追及するということは全く別の組織、あるいは別の考え方であると思います。原因究明に責任追及の部分が入ってくると、今まさに求められていることは、逃げない、隠さない、ごまかさない。これが責任追及に入ってくると、それが混同されますと、その部分がやはり有形無形の形で表に出てきます。これはあってはならないことであって、ですから原因究明と責任追及は分離しなければいけないと、そのように考えます。
#30
○梅村聡君 やはり今、逃げない、隠さない、ごまかさないと、これがそもそも医療現場で当たり前の文化であると。それを後押ししていくような仕組みを私たちはやはりつくっていかなければならないと思っています。そういう中で、じゃ逆に、逃げない、隠さない、ごまかさないであったとしても、何らかの事情があれば、当然これはどなたかが、つまり第三者的な方がこれを整理をしていく、そういった仕組みというのも同時に必要なわけであります。
 この第三者というのがなかなか難しい問題がありまして、二つ考え方があるかと思います。一つは、ある一定の基準に当てはまった方はすべてこの第三者の機関で整理をします、議論を整理をします、あるいは調停をします、こういう形の第三者機関というのは当然考え得ると思います。それからもう一つは、現在、考え方の主流としてメディエーターと言われる方がおられます。これは、やはりそういった問題というのは現場で起きているわけですから、現場の方が一番状況も知っていれば、いろんな証拠等々も残っているわけであります。ですから、できるだけメディエーターのような方が間に入っていただいて、そしてその実際に起こった現場で話合いを進めていくと。今の現状であれば、院内の調査委員会ということもあるかと思いますが。
 そういうもので双方の話合いの場面をしっかり確保した上で、さらに患者さん側やあるいは医療側が、やっぱりこれは第三者の方に判断してほしいということで、その第三者の機関を利用すると。つまり、多様な選択肢を残していくという方法も私はあるかと思っております。
 やはり、対話というもの、現場のオートノミーということを重視すれば、私は後者の方法を選択すべきであると考えておりますが、この点に関してはいかがでしょうか。
#31
○大臣政務官(足立信也君) これまで幾度か申し上げましたが、私は、今、医療崩壊の危機と言われている原因の中で大きなものは、やはり長年にわたる医療費抑制策と、そして医療を提供する側と受ける側の情報並びにその理解、つまりリテラシーの格差にあると思っております。そのことが不信を生み、不満が生じ、そして場合によっては訴訟を起こすと、そのような事態になっているんだと思います。
 先ほど当事者主義と申し上げましたが、あくまでも医療の提供が始まった初期の段階から、これはお互いの情報の共有ということが欠かせないわけでございますから、その延長線上で解決できる問題は僕は多くの部分があるんだと、そのようにとらえております。
 しかしながら、不幸にして事故が生じた場合に、そこの病院ではもうこれ以上は調べてほしくない、あるいは、主治医の方々あるいはそのチーム医療に携わった方々と会いたくもないという方はやっぱりいらっしゃるわけです。そこで隠されては困るという事態を感じる方もいらっしゃる。そのような必要性を感じた方にとっては、病院外の第三者の機関で代わりに原因を究明するというシステムは必要だと思いますし、それは必要に応じて機能すべきだと私は考えます。
#32
○梅村聡君 いずれにしても、現状では双方やはり不幸になっていくと。つまり、一つは、医療側から見れば、例えば福島県立大野病院事件のような案件が出てくると。しかし、患者さん側からすると、本当に対話というものを確保することができる、そういった場がなかなか設定ができていない。この双方の食い違いというものをやはり我々は真摯に受け止めて、制度設計を考えていかなければならないと思っています。
 そういった意味では、今後、こういった医療安全の課題あるいは死因究明制度も含めて、どういった形で議論をして、そしてどういったスケジュールで今後この政策をつくっていくのか、教えていただければと思います。
#33
○大臣政務官(足立信也君) 鳩山政権が発足後、長妻大臣が就任され、当初のころから、医療、介護について国民的な理解が、あるいは情報の格差というものが存在しているのではなかろうかと。これを、現実はどうなのか、あるいは、受けたい医療や受けたい介護のためには国民としてどれだけの負担が必要なのか、海外と比較して日本の現状はどうなのか、そのような国民的会議が必要なのではなかろうかという認識を大臣と共有いたしました。
 そして、その中の項目の、数ある項目の中で、あるいは費用負担、あるいは事故の原因究明、あるいは無過失補償等々、様々な問題を私は抱えている、しかもそれが国民の皆さんに共有されていないという問題認識がございます。
 ですから、先ほど申し上げたような会議体をまずつくる必要があると。これはずっと準備しておるんですが、残念ながらあと一歩のところでまだ公表という形にはなりません。しかし、これはすべての立場を代表したステークホルダーが集まるというものではなくて、日本の医療や介護をどのように考えていくかというような会議をつくって、そしてその中で項目別にしっかり議論をして、国民的議論になるようにそこから情報を発信していきたいと、そのようにとらえておりまして、今まさに、もう間もなくその会議体は発足すると思います。
 その議論を進めながら、やはり二年後の医療と介護の報酬の同時改定というものを見据えながら、必要な法制度については来年も検討あるいは提出もしなければなりませんし、今年度中そして今年中かなりの議論を進めて、そして必要なもの、法案あるいは制度、そして報酬そのものをどうしていくかという議論を時間を掛けてやっていきたいと、そのように考えております。
#34
○梅村聡君 これも今日は肝の部分だけお話ししたつもりなんですけれども、つまり三月末まではこれはやはり予算の議論が多かったですから、どうしても診療報酬とか様々な予算の案件が多かったんですけれども、実は医療の課題はこれは金目の問題だけではないと、やはりこういったことがこれから新しい政権の下でどれぐらい集中的にスピード感を持って取り組むことができるかと、私は医療崩壊に対するもう一つの大きな視点だと考えておりますので、この問題に関しても是非精力的にこれから取り組んでいただきたいと思っております。
 それでは、今日三つ目の話題でちょっと変わりますけれども、介護についてお伺いをしたいと思います。今日は、介護の中でも特にがん末期の患者さん、この方が介護保険のサービスを受けるときの問題について質問をしたいと思います。
 先日、日本ホスピス・在宅ケア研究会、ここの黒田裕子さん、藤田敦子さん、この方たちとかなり長時間にわたって議論をさせていただきました。その中で、今がん末期の方は二〇〇五年の法改正によって特定疾病の中に入ってきたわけであります。ところが、介護保険を、特に今緩和ケアとか、がん末期の方ですね、それから在宅ケアと、行うときにおいては非常に使い勝手が悪いと、そういうお声をいただきました。
 私も恥ずかしながらそのことには実感として気付かなかったんですけれども、つまりこういうことなんですね。これ、この日本ホスピス・在宅ケア研究会の論文を見ると、この中で姫路市での例が書かれております。全国平均でいきますと、この要介護認定に掛かる日数の長さ、これは申請から認定が下りるまでですけれども、三十四・七日、法律上は三十日以内にそれを出しなさいということでありますが、この姫路市では平均が二十八・八日なわけであります。このときに末期がんの患者さんの認定が下りるまでの平均日数は二十二・六日と。つまり、やはり末期がんということも考えて相当急いでは取り組んでいただけているとは思うんですが、やはり三週間以上こういった期間が掛かっていると。
 これは大きく二つの点で問題なんですね。一つは、やはり末期がんの患者さんですから、下手するとこの一か月の間にお亡くなりになる方というのも当然出てこられる。それからもう一つは、がんの末期の患者さんはやはり日々状態が悪くなるということでありますから、訪問調査を受けた日の状態とそれから実際サービスを受けるときの状態というのは、これはやっぱり差が出てきちゃうわけですね、差が出てきちゃうと。それから、そういう形で、非常に使い勝手が悪い制度になっていると、そういうことを私、お聞きしたわけでありますけれども。
 まず、厚労省側としてこういった問題が存在するということを認識されているのかどうか、お聞きしたいと思います。
#35
○大臣政務官(山井和則君) 梅村委員にお答えを申し上げます。
 この末期がんの問題は、今御指摘のように十六種類の特定疾病に含まれており、末期がんの方は四十歳以上六十五歳未満の方であっても介護サービスを利用することができるわけです。それで、恥ずかしながら、私自身も介護保険のことはずっと二十年ぐらい導入の前から議論にかかわってまいりましたが、結局、末期がんというのも後になって議論で入ってきたということもありまして、このような問題があることは十分に承知をしておりませんでした。
 それで、最新のデータでは、平成二十一年の十月から十一月の申請分では平均三十一・三日となっております。それで、恐らく先ほど梅村委員御指摘のように、全国平均は三十一・三日だけれども、末期がんの方は急いだとしてもやはりこれより一週間から十日ぐらい短くなっているであろうぐらいで、それにしても三週間ぐらい掛かっているんではないかと思うんですね。そういう意味では、末期がんの方など特に緊急を要する場合には、市町村の判断によって要介護認定申請を受けて直ちに認定調査を行い、暫定ケアプランを作成して介護サービスを提供するなど、迅速に対応せねばならないと思っております。
 中には、申請日の当日に認定調査を行い、即日介護サービスを提供できるようにしている自治体もあると聞いておりますが、とにかくこのことは梅村委員御指摘のように、手遅れになってしまっては仕方がないわけですし、また状態が変わってしまったらこれは意味がないわけであって、急がねばならないというふうに思っております。
#36
○梅村聡君 介護保険については特定疾病ということで十六疾病が登録をされている、挙げられていると思うんですけれども、その中でがん末期というのはやはり特殊だと思うんですね。
 つまり、介護保険の仕組み自体は、やはり慢性的な経過ということを考慮して、想定してつくられている制度であると。しかし、がんの患者さん、やはりそれはいろいろな経過がありますけれども、日々その活動なり病状なりということが落ちてきて、進んでくると。つまり、日々、一日単位で変わってくる疾患、これががん末期になるんですよね。つまり、そういう面からいうと、本来最初の制度設計と、それから疾病のいわゆる特性ということ、ここのずれということが今申し上げたような問題を引き起こしている一つの原因ではないかなと思っております。
 さらに、この論文を実際に読み進めていきました。どういうことが書かれてあるか。これはがん末期の方ですけれども、申請をして訪問調査がやってくると。これ、姫路市の例ですけれども、訪問調査を待っている間に、また、つまり家に、あるいはそういうところに調査に来てくれる前にお亡くなりになって未認定となった方、これが全体の七・六%、それから要介護認定を受けて、その結果が要支援一又は二、これはがんの方というのは比較的動くことができるわけですね、相当末期まで動くことができると、ですから要介護認定というのはどうしても低く出がちなんです。で、要支援、支援ですね、要支援一又は二と認定されて、介護予防と判定された方が一八・九%。
 そこで、さらに、じゃ、そんな判定ではないよということで区分の変更申請を行います。その区分の変更申請をしてから認定結果が出るまでは更に二十一・七日。だから、またそこから三週間掛かると。じゃ、この区分変更申請をして、結果どうなったかというと、九七%の方はこの要介護一以上に要介護度はアップしたというわけですね。つまり、最初からほぼ全員の方は要支援なんかになるはずないと。申請して三週間待たされて、待ったら全部要介護一以上に上がっていったということでありますから、やはりこの疾患の特性というのを考えていかなければならない。
 じゃ、これはもちろん患者さんも大変な問題を抱えているんですけれども、ケアマネジャーさんとか事業所の方というのもこれは大変なことになるんですね。これはどういうことかといいますと、さっき申し上げた七・六%の方、訪問調査の前に亡くなられます。そうしますと、未認定ですから介護サービスは受けられません。ですから、全額自己負担になります。それから、仮に暫定プランで介護サービスを受けていたとしても、つまり、先に取りあえずサービスを受けて後払いするという形であったとしても、認定結果が要支援一とか要支援二になれば、これはやっぱり介護サービス受けられないわけですね。
 そのときどうしているんですかと。全額自己負担、これも問題です。これも問題ですけれども、実際にお聞きすると、何とこれをケアマネジャーさんとか事業所が自腹切っていることもあるというんですね。自腹なんか切らなくていいじゃないかと言えば、それは自分たちが介護申請をお手伝いをして、それが間に合わなくて亡くなったと。自責の念にとらわれるわけですね、自分の腕が悪かったからこういうことになったんじゃないかと。しかも、亡くなった御家族の方に、そういう自責の念がありながら出かけていって、いや、実は全額自己負担なんですよ、払ってくださいよと。これはとても私ら言えないんだと。これ、人間の心情としては当然だと思いますね。あるいはプロ意識として考えた場合、そういう気持ちになるのは、私、当然だと思うんですよね。
 ですから、これ、もちろん期間を短くしていく、それから制度をできるだけ迅速に運用していく、これも大事なんですけれども、やっぱりこれから非常に高齢化社会が一層進んで、がんという疾病が本当にありきたりな話になってくるという中で、私はやはりこれらの解決には今後抜本的な改正というのが必要だと思っておりますが、この点に関する御所見、いかがでしょうか。
#37
○大臣政務官(山井和則君) 梅村委員にお答えを申し上げます。
 そもそも介護保険というのは、保険料を払う義務がある代わりに、その代わりにその保険給付の対象になったときにはスピーディーにサービスを受けられるという、この権利義務の関係で成り立っているわけですから、この十六疾病であるにもかかわらず、四十歳から六十五歳までの方でがんの末期でサービスが受けられずにお亡くなりになってしまうということはあってはならないというふうに思っております。
 そういう意味では、本当にこれは一刻を争う問題であるというふうに思いますので、今おっしゃいましたように、これは現場の努力の問題ではなくて、やはりおっしゃいましたように、慢性期を比較的対象としている介護保険の中で非常にスピード感が求められると。もちろん、すべての認定が早くせねばならないことは当然なんですが、特にこれは非常に急ぐということを認識して私たちも取り組んでいかねばならないというふうに考えております。
#38
○梅村聡君 もちろん運用の面、これはもうしっかり改善をしていただきたいんですけれども、私は抜本的な介護認定の方法を変えなければこの問題は解決できないと思っています。
 先ほど少し例に挙げました、要支援と判断された方が、九七%の方が要介護一以上に上がったんだというお話をしました。実は、この方たちを綿密に調べていくと、その方が申請するときの主治医意見書、この主治医意見書の中にがん末期であるという記載がなかった例が二四%ありました。つまり、これ、がん末期という単語が入るか入らないかというのはこれ難しいんですね。つまり、がんのそういう途中経過、そういうことがざっと書いてあると。書いている主治医の先生は、これはいよいよ緩和ケア、ターミナルケアが必要だという意味で書いたとしても、そのがん末期という言葉がなければ、これは判定のときにそこ引っかかってこないわけなんですね。もちろんこれは、判定のときにしっかり注意をしてくれと言えばそれまでなんですけれども。
 ですから、私は、まず一つは、末期がん、がん末期、この言葉をまずはきっちり入れ込むかどうかということを考えなければいけない。そういう意味では、主治医意見書の下の欄にがん末期なのか否かなのかということを、私はやはり入れる欄というのを作るべきだと思っています。
 それから、もっと言えば、今申し上げたような、一度要支援になってからまたもう一回要介護度を上げるというような不細工なことをするんじゃなくて、もうその欄にがん末期であるということに丸が付いたときには、はっきり申し上げたら、ベッドとかそういうものをすぐ使えるように要介護二又は三以上に自動的に入るような仕組み、さっき自治体でそういうふうな取組があったというお話いただきましたけれども、もう自動的にそこに入れるような形に私はすべきだと思っております。この点に関していかがでしょうか。
#39
○大臣政務官(山井和則君) 梅村議員、非常に建設的な御質問ありがとうございます。
 もちろん、これは末期がんのみならず、十六疾病の中で、ほかにもこういうふうに急ぐ事例はあるのかもしれません。
 この主治医の意見書に関しましては、特定疾病の名称を記載するように通知で促しているところでありますが、おっしゃるように、やはりこれはそういう欄を作った方がいいのか、そしてまた、今おっしゃったように自動的にある程度重くなるという、先ほど九七%というお話もありましたので、そういうふうにしたらよいのか、そのことは、今年度、老人保健の健康増進事業の中で要介護認定における主治医意見書の記載方法等に関する調査研究事業も行う予定でありますので、本日の質問を踏まえてしっかり議論をして、やはり末期のがんの方がスピーディーに、そして十分な介護サービス受けられるように何とか取り組んでまいりたいと思います。
#40
○梅村聡君 私は今日、末期がんということを一つの例に挙げました。これだけの疾病だとは思っておりません。
 今、日本人の方がどこで亡くなられることが多いか、やっぱり病院、施設なんですよね。ところが、その方たちに御家族の負担とか不安とか、そういうものを全部取り除いたときに、じゃどこで自分の最期を過ごしたいのかとお聞きすれば、これは自宅で過ごしたいとおっしゃるんですね、多くの方がそうおっしゃるんですよね。だから、今日は末期がんの話と介護保険のこの関係だけをお話ししましたけど、実はこれから我々国民が一体どこで最期を迎えるのかと、そのことについては非常に重要な観点だと私は考えておりますから、この問題については、私、これからも継続的にいろんなところで取り上げていきたいと思っております。
 最後の質問であります。
 最後は、特定の一つの疾患でありますけれども、脳脊髄液減少症について、これは民主党の中でも議連をつくりまして、議員連盟をつくりまして、難病・脳脊髄液減少症を考える議員連盟と、これをつくって様々な活動を行っております。これについては検査とか治療、こういったものの保険適用の問題とか、そういったことが今るるあるわけでありますが、これは今交通事故の後遺症の問題でも取り上げられることが多くなっておりますが、このことについて厚労省として今後どういった対応、取組されていかれるのか、お答えいただければと思います。
#41
○大臣政務官(足立信也君) もう委員には釈迦に説法だと思いますが、まずはこれ、民主党だけではなく多くの政党、会派の方々も熱心に取り組まれている問題だとまずは思います。
 これは、前提条件としてまず申し上げたいんですが、国際疾病分類、ICDの中でもこの脳脊髄液減少症という疾患単位はございません。あるのは脳脊髄液漏ですね、脳脊髄液漏、漏れるということです。日本では保険病名として低髄液圧症候群というものがございます。ということは、疾患単位として広く認知されているわけではないというのがまず前提に立つと思います。
 それから、保険適用あるいは先進医療に位置付けることについても、まずは診断ということが大事だと思います。そんな中で、熱心にこのブラッドパッチを含めて推進されている方の論文を集めますと、このブラッドパッチによる治療で治癒が一割、一〇%、それからもう一人の方は二割、二〇%、患者さんの中でのブログの中でも約一割というような率でございます。
 まず、これを認識していただいて、そして何よりも、今までの取組で厚生労働省の研究費で、まずは診断基準、どういうものがそれに該当するのか。例えば、虫垂炎の手術のときなんかは腰椎麻酔というのをやりますけど、そこで漏れたような場合はブラッドパッチをすると約八割が治る。これは、特定できて、その場所に穴が空いていて漏れるということがはっきりしているわけですから、そういった意味での診断基準の作成が何よりも大事だと思います。
 これ、三年間やってまいりましたが、症例数がまだ七十数例ということもあり、延長して、さらに診断・治療の確立に関する研究という形で厚生労働科学研究費補助金でやられております。
 まずは、保険適用は普遍性が必要ですし、その前の先進医療に位置付けるにしても、まずはその診断基準というものが何よりも大事になってくると私は思っておりますし、これは、かといってそこを抑えるわけでもなく、これは十分に検討していかなければいけない課題だと、そのようにとらえております。
#42
○梅村聡君 ありがとうございます。
 また、この取組についてもしっかり議論をしていきたいと思っております。
 今日は年金と医療と介護ということで少し幅が広くなってしまいましたが、一般質疑ということですので、これからの当委員会でこういった内容を中心にまた私、質問をし、取り組んでいきたいと思います。
 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
#43
○石井準一君 自民党の石井準一でございます。
 まず、三月十六日の下田委員が冒頭に、長妻大臣に非常に忍耐強くバランスのいい仕事をしているという評価をされておりました。与野党問わずどの委員も、やはり厚生労働大臣の職というのは、国民の日常の生活の安心、安全のために大変な職務であるということは認識をしておるわけであります。私自身も一議員として、厚労大臣の日ごろの活動に対し敬意を表したいと思うわけであります。
 しかしながら、朝日新聞の世論調査におきますと、鳩山由紀夫内閣の支持率が二五%にまで落ち込んだと。一大臣がどんなに努力をしても内閣の評価というものはやはり国民の目から見れば厳しいものであるなというふうに私自身も思うわけでありますが、わずか七か月で危険水域と言われる三割を切ったと言われておりますが、鳩山内閣の一閣僚としてどのような思い、その辺の見解をお伺いをしてみたいなというふうに思っております。
#44
○国務大臣(長妻昭君) 今のお尋ねですけれども、やはり政権交代という大きな政治の変革の中で、政と官の関係あるいは与党と政府の関係、これが劇的に変わったということで、我々は大きく変革の中で政治主導で国民の期待にこたえるということで取り組んでいるつもりでございますけれども、その関係が激変したということで、試行錯誤という部分もあろうかと思います。その部分で国民の皆様が御不安に思う点も多々あるのではないかというふうに感じておりますので、私としては、今月から新しい予算が執行もされますので、仕事の面で総理始めすべての閣僚が全力を出し切って期待にこたえていくということが国民の皆さんの求めていることだということで、これからも全力で取り組みたいと思います。
#45
○石井準一君 大臣におかれましては、そうした思いでこれからもしっかりと取り組んでいただければ有り難いなというふうに思っております。
 長妻大臣に私もマニフェストについてお伺いをしました。まさに、国民との約束事であるというふうな答弁をなされました。過日十六日の日に、学者や経済人でつくる新しい日本をつくる国民会議、二十一世紀臨調におきまして、「政権選択時代の政治改革課題に関する提言」ということで、鳩山首相に、民主党の衆議院選挙での選挙公約について政権発足と同時に総点検をすべきであったというふうな批判的な意見もあったと。また、参議院選挙を政権実績の中間評価の機会と取り、マニフェストの見直しを国民に問う絶好の機会ではないかというような提言もなされたと聞いております。また、財源なきマニフェストという批判もあるわけであります。
 参議院選挙に向け、財源の裏付けのある実現可能なマニフェストの練り直しにつきまして、所管であります厚生労働行政に関するところだけで結構でありますので、どのようなお考えをお持ちなのか、お伺いをしたいなというふうに思います。
#46
○国務大臣(長妻昭君) 私は、選挙が終わって七か月たってもマニフェストのことが国会でもいろいろなところで話題で上るというのは、恐らくこの憲政史上でも初めてではないか。それだけマニフェストの重みというのが増しているということで、今後の選挙においても、民主党を問わず、ほかの政党のマニフェストというのはこれまで以上に重視をされる。これまでは選挙公約というのは選挙が終わったら忘れ去られるというものでありましたけれども、我々はそういう意味で公約、マニフェストは重要だということで選挙を戦ったつもりであります。
 その意味で、今の段階でマニフェストを厚生労働省所管のところで変えてしまうということは私は考えておりませんで、マニフェストについてそれを実行すべく全力を尽くしていくということが基本的な考えであります。
 そして、財源の点につきましても、これ消費税は議論はしますが、それは一期の中では上げないということでありますので、税制あるいはこの保険料の在り方、そして何よりも浪費を厳しく見直していくということで、厚生労働省も四月一日に厚生労働省事業仕分け室という新たな組織をつくりまして、室長以下、今省内事業仕分、昨日も取り組みましたけれども、こういうことを通じてお金を捻出する努力も続けるということであります。
#47
○石井準一君 私自身も、マニフェストについては政権政党から行政庁に対するプロポーズではないかというような質問を三月十六日の日に大臣にさせていただきました。大臣からは、一定のマニフェストというのは国民の了解あるいは指示というような意味合いからも、官僚の皆さんに国民からの指示的要素があるというような答弁をいただきました。
 まさに、厚生労働省、職員数、十万人を超える、また政策的一般歳出も五〇%を超えたという、まさに巨大な省庁に君臨する大臣であります。先ほど来いろいろとお話を聞いている中でも、大臣に就任をいたしまして、自らどのようなことが変わったのか。新聞を見ますと、堅実派に傾く長妻大臣、そのような印象がかつての存在感を薄めているような、こうした陰りとかいうような言葉もありますけれども、しっかりとやはり現実を見た大臣としてのこの厚生労働行政の難しさであるとか、取り組む姿勢をいま一度お伺いをしたいなというふうに思います。
#48
○国務大臣(長妻昭君) やはり、厚生労働行政で痛感いたしますのは、最も重要なことは、当然、国民の命と健康を守るということは大前提でございますけれども、現状把握能力だということをもう日々痛感をしております。
 いろいろな統計あるいは政策が本当に現実的に効果を上げているのか、あるいは我々が考えている日本国の実態が現実とずれているんではないのかということは、やはり現場に足を運んで現状をきちっと掌握をしなければ多くの職員が動いた政策自体が空回りしかねないと、こういうようなことがあるということで、何しろ現状をきちっと把握する、現状をきちっと把握すればある意味では仕事の半分はそれで終わったと同じであるというぐらい重要なことだということを自分にも言い聞かせ、省内にも言い聞かせ、そういう体制を整備するというのが非常に重要な案件であるというふうに考えて、今仕事に取り組んでいるところであります。
#49
○石井準一君 現実をとらえながらしっかりとその職責を全うしていただきたいなというふうに改めてお願いを申し上げる次第でございます。
 それでは、本題の質問に入らせていただきます。
 衆議院厚生労働委員長提出の議員立法であります国民年金法の一部を改正する法律案、衆議院から送付をされております。障害基礎年金、障害厚生年金等の額の加算対象となる子及び配偶者の範囲を拡大する趣旨であるこの法案は、昨年秋に自民、公明が共同提案で衆議院に提出した法案と同等の内容であり、評価できるものであります。この法案により年金制度の課題が一つ解消されたわけでありますが、残されている課題はまだまだ多いわけであります。
 そこで、消えた年金記録問題からお伺いをしていきます。
 民主党のマニフェストの主要事項とされておりました子ども手当法案と高校無償化法案が次々に成立した今、次は国家プロジェクトと位置付けをされた消えた年金記録問題の解決の番だと我々委員も、国民だれしもが思っていると思うわけであります。そこで、ミスター年金と呼ばれた長妻大臣に、消えた年金記録問題に対しては特に御尽力なさっているはずでありますが、政権交代から約八か月が経過をし、これまでの消えた年金記録問題の取組の成果について、大臣の認識をお伺いをしたいと思います。
#50
○国務大臣(長妻昭君) まず、記録が戻ってお金が振り込むまでの期間を短縮するということで、今は再裁定から三か月ということに短縮がなりましたが、更にしていくと。
 そして、非常に大きい観点といたしましては、今までは国民の皆様に通知をお送りしてチェックをしてくださいというアプローチでありましたけれども、今後は、紙台帳を全件照合をいたしますので、ある意味では気付いておられない方にこちらから、あなた様の実は年金は間違っていましたということをこちらからお知らせできるということであります。その場合、時効は今撤廃をされておりますので、過去の増額分から全部お支払いできると、こういうようなアプローチ。
   〔委員長退席、理事小林正夫君着席〕
 そしてもう一つは、第三者委員会にこれまではすべて案件を送っていたものが、第三者委員会に送らずとも、年金事務所で簡便なチェックで回復できるという項目を昨年十二月、三項目出して今実施をして、今月もあと一項目追加をしようということで、そういうものについても今後更に強化をしていきたいということでございまして、二十一年度当初予算に比べて今年度の予算は、記録問題については三・二倍増やしまして九百十億円を計上をしておりまして、これを適切に執行していきたいと思います。
#51
○石井準一君 今答弁いただきましたとおり、大臣自身もこの年金の信頼を回復するということが大きな原点であると、記録問題については一番大きな目標、目的だというふうにいろいろな場面で答弁もなさっております。優先順位を付けた形で、税金の意味でも節約をし、四年後に全件処置をできる予算案をこれから提示をしていきたいというふうな答弁も過日されておりました。二十三年度の予算については、予算編成の過程で議論をしていきたいと。二十二年度では全体の一割、二十三年度には二・五割から三割、最大二十三年度までには四割の照合を可能にしていきたいというような答弁をなさっております。
 そこでお伺いをいたします。消えた年金記録問題の取組について、今後のスケジュール、見通し及び、ならば平成二十三年度にどれぐらいの予算が必要になるのか、お伺いをしたいと思います。具体的な答弁を是非お願いをいたします。
#52
○国務大臣(長妻昭君) これは当然、記録問題というのは紙台帳だけではございませんで、先ほどの回復基準の緩和というのもこれから第二弾、第三弾を出していくということで今、詳細分析をしているところでありますし、サービスの向上、あるいは通知を分かりやすく改善するという取組も続け、年金事務所のサービスコンテストということも今準備をしております。
 そして、紙台帳というのは非常に大きな中核でございますけれども、これについては、今おっしゃったように、四年で全件を照合するということでございますが、初めの二年間につきましては、紙台帳を照合する中でも優先順位の高い紙台帳、つまり年齢が高いであろうと想定される紙台帳について集中的に照合していくということでございます。
 その意味で、それぞれ初年度、二十二年度の予算編成の中で予算を付けて、それを執行していくということがなされるわけでございますけれども、来年度この目標を達成するために具体的に幾らの予算が掛かるのかということは、今年度の予算の執行状況も見て判断をして、適切なその予算額を二十三年度計上していきたいというふうに考えております。
#53
○石井準一君 先ほど来私が申し上げているとおり、次は国家プロジェクトと位置付けした年金記録問題の解決が最優先であるのではないかなと、私自身もどの委員もそのような認識を持たれていると思うわけでありますが、大臣は野党時代、人、物、金を集中投下して全部で一、二年やれと、番たびこの委員会でもこの言葉が出てくるわけでありますけど、しかし今では、皆さんも御存じのとおり、二年間で集中的に取り組み、四年間で全件の照合を済ませる旨の答弁を繰り返しているにすぎません。
 平成二十二年度予算では、年金記録問題の解決としてたしか一千七百七十九億円を概算で要求をし、実際付いたのは九百十億円が計上されたというふうに答弁をいただきました。平成二十三年度については十分な予算措置が担保されるか疑わしいというような質問も私は三月十六日にしたわけであります。何よりも最優先で予算を付けていただきたいという私からの願望でもあるわけであります。
 子ども手当のような平成二十三年度以降の見通しも立っていないばらまき的な政策を行うよりも、この国家的プロジェクトと位置付けをされた消えた年金記録問題に集中的に取り組むためにもしっかりとした予算措置を優先して行っていきたい、その思いでありますが、大臣、いま一度答弁を願いたいと思います。
#54
○国務大臣(長妻昭君) 適切な予算を付けていくということは重要でございます。
 その中で、先ほどの紙台帳でございますけれども、紙台帳とコンピューター記録の突き合わせに関しては平成二十二年度予算額で四百二十七億円ということを計上しておりまして、やはり当初概算で要求したときについて、片っ端から紙台帳を照合するなどの考え方もありましたけれども、やはりこれは優先順位の高い紙台帳から適切に照合をして、少しでもその税金の金額は、適正に予算が付くような、そういう形が重要であるということで今回の措置になったわけでございまして、いずれにしましても来年度については、今回、今年度は四百二十七億円でございますけれども、その予算の執行状況も見ながら来年度の予算はきちっと付けていくということであります。
#55
○石井準一君 それでは、改めてお伺いをいたしますが、国家プロジェクトということで、ある意味では国家の信頼を回復する大変大きな使命を持った事業だと思うわけであります。先ほどの消えた年金記録問題に関する野党時代の発言と今、厚生労働大臣になってからの発言を自らよく比較をし、当時の自分の発言についてどのようにお考えなのか、現実味のある発言だったのか、いま一度お伺いをしたいと思います。
#56
○国務大臣(長妻昭君) 当時の発言と今の私の行動は変わっておりません。
#57
○石井準一君 本人はそのように答弁なさっておりますけど、国民や我々、民主党の委員さんも多少のずれはあるんではないかという認識はお持ちなんではないかなと思うわけであります。そこまできっぱりと言われると、やはり大きな問題があるんではないかなというふうに私は認識せざるを得ないわけであります。
 それでは次に、消えた年金記録問題に関連して、先日、衆議院において年金遅延加算法の一部を改正する法律案が全会一致で可決をし、参議院に送付をされました。第百七十一回国会において成立した同法案は、法令の公布の日から一年を超えない範囲において政令で定める日から施行されていると言われております。
 この法律について、施行日前に再裁定が行われたものに対して特別加算金を支給する点では大変評価ができるわけであります。しかし、一点だけ心配な点があります。それは、施行日前に既に年金給付が支払われた者に対する特別加算金の支給について、当該者の請求により行うとされている点であります。自らの請求によらなければ特別加算金が支給されないというのは、大臣が一番嫌っていた申請主義にほかならないのではないかと思うわけであります。
 そこで提案でありますが、特別加算金の対象となる可能性がある方々への対応をしっかりと行っていただきたい、また、対象となっていたのに気が付かなかったというケースが生じないよう十分に対応していただきたいと思いますが、所見をお伺いをしたいと思います。
#58
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただいたのは大変重要な御指摘だと思います。
 この法律が施行した後は、もちろん申請なしに利息が払われるということでありますし、昨年の五月から、この時効特例給付を受けた方については、この方についても昨年五月以降の方は申請不要で我々も処理をするということでございますが、昨年の五月以前、この時効特例給付を受けた方については、これは申請を必要とさせていただいておりますけれども、当然、何も広報をしないわけではございません。我々、広報をした上で、その方個別に、一定の要件の方に御連絡を申し上げていく、こういうような形、御通知を申し上げていくと。そこに分かりやすく、申込書もその中に入れて簡便な形で申請できるようにしていくという取組をする予定にしております。
#59
○石井準一君 十分な対応をしていただきたいということを改めてお願いをしたいのと同時に、改めまして、施行期日が迫っているものの、法案成立からは一年近くたつわけであります。この間、政府は施行に当たり、どういう検討をなされてきたのか。特別加算金の対象となる可能性がある方々への対応はしっかりと行っていくという長妻大臣の改めて決意をお伺いをしたいと思います。
#60
○国務大臣(長妻昭君) これ、やはり国会の御議論も含め、国民の皆さんの御議論も含め、やはりその利息を払うべきであると。年金の保険料を滞納したときは国は利息を取るのに、受給のときはなぜ払わないんだということは、もちろんそのとおりでありますので、この措置が実現した後は基本的に一定の要件の方についてはきちっと通知をして、そういう方が漏れなく申請をいただけるような、そういう対応をしていきたいと思います。
#61
○石井準一君 よろしく十分な対応をお願いをしたいと思います。
 次に、年金保険料流用問題についてお伺いをしていきたいと思います。
 野党時代、大臣は、年金の保険料はすべて年金の支給に回す、ほかにはびた一文使わないと発言をし、民主党のマニフェスト二〇〇九でも、年金保険料は年金給付だけに充当することを法律で定めると書いております。
 私も、三月十六日の質問で、衆参で過半数を有している民主党さんでありますので、すぐにでも廃案となった流用禁止法案を出せば通るんではないかなと、なぜ早くそうした行動を起こさないんだということを質問いたしましたが、これを踏まえてお伺いをいたしますが、今現在、国民の皆様方が納めた年金保険料はすべて年金の支給に回り、びた一文流用させていないんだということを言い切れるでしょうか。
#62
○国務大臣(長妻昭君) 私どもは、この年金保険料のいわゆる流用ということについては、一期四年の中でそれをなくしていくということで、一期四年の中でそれは我々はなくすということでございます。
 その中で、今現在は、年金保険料財源で二千四十五億円が平成二十二年度予算として組まれておりますが、前年に比べてコンピューター経費を徹底的に見直すなどなど百四十七億円削減をすると同時に、年金保険料に関しては年金の教育あるいは年金の広報についてはそこに流用はしないというような措置をとって、最終的には年金の保険料については全額支払に充てるという措置を実現していきたいと考えております。
#63
○石井準一君 実際、年金保険料の流用は続いているということであります。大臣はマニフェスト違反をしているとは認めないようでありますが、大臣は、一期四年の中で年金保険料が流用されていた部分の経費を節約し、なるべく早くこの年金保険料を年金の支払だけに使うということを実現をしていきたいということも答弁をなさっておるわけであります。しかし、本当に年金保険料の流用が禁止されるのか、大いに疑問を感じるわけであります。
 さきの答弁におきましても、国民の皆様方はもうすぐに実現してほしいという思いを持っておられる中で初年度でそれがすべて実現できなかったことは本当に遺憾に思っていると、一期四年の中でなるべく早く実現をし取り組みたいというような考えをさきの質問でも答えております。
 このなるべく早くとは具体的にいつか、マニフェスト違反ではないというのであれば、この場で年金保険料の流用禁止をいつまでに実現するのか、改めて御答弁をいただきたいと思います。
#64
○国務大臣(長妻昭君) これは先ほども申し上げましたけれども、一期四年の中で実現をするということでございます。なるべく早くと言いましたのは、その四年以内よりも更に早く実現すべく努力をしていくということを申し上げたところであります。
 いずれにしましても、税金財源も含めたこの事務費の削減というのにも全体のコストダウンということにも徹底的に取り組んでいきたいと思います。
#65
○石井準一君 年金保険料の流用をすぐにでも禁止できない今、大臣は年金に対する国民の疑念を打ち消すことはできないということを自覚をしていただきたいと思うわけであります。
   〔理事小林正夫君退席、委員長着席〕
 次に、日本年金機構についてお伺いをしていきます。
 民主党は、野党時代、日本年金機構の設立に反対をしておりました。本年一月から日本年金機構の業務が開始をされております。
 そこで、現在の日本年金機構の業務執行状況に対する大臣の見解をお伺いをしてみたいと思います。
#66
○国務大臣(長妻昭君) この日本年金機構でございますけれども、今、その業務の執行状況でございますが、今年の一月にスタートいたしまして、お客様へのお約束十か条なども制定し、サービス向上に努めているところでございます。
 今、事務所ごとにサービスの向上を競い合うサービスコンテストというものも準備をしておりまして、そこでいいサービスがあれば全店に展開をしていくと、こういうような発想がこれまで不足をしていたということは、政権交代後、中に入って更に痛感をいたしましたので、そういう改善が今徐々に進みつつあるということであります。
#67
○石井準一君 私の方もマスコミ等から、非常に職員の対応が良くなったと、相談者に対しお客様的な対応をしていただいて、非常に変わったなということも承っております。これからもしっかりとした業務執行を行っていただきたく、御指導いただければ有り難いなというふうに思っております。
 一方で、民主党はマニフェストにおきまして、社会保険庁と国税庁の機能を統合した歳入庁の創設を掲げております。今後も歳入庁の創設を目指すのか、大臣にお伺いをしたいと思います。
#68
○国務大臣(長妻昭君) この年金制度が新しくできて、そしてそれがスタートするときまでに歳入庁というのは設立をするということでございまして、具体的には国税庁にこの日本年金機構をある意味では吸収合併といいますか、合併をするというような形になろうかと思います。コストをできる限り縮減をした上で税金と年金保険料を同時に一括して集めていくと、今税金の徴収率というのは一〇〇%に近いと聞いておりますので、年金保険料についても払える方はきちっと払っていただくと、こういう体制を取っていきたいと思います。
#69
○石井準一君 改めまして、この歳入庁が新設された場合、日本年金機構の取扱い、職員の立場等、どのようにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
#70
○国務大臣(長妻昭君) これはまだ詳細な制度設計があるわけではございませんけれども、基本的には、日本年金機構はなくなり、そして職員の方はそのまま歳入庁に全員が移行するか否かというのも検討でありますけれども、そこでいったん、もちろん移行すべき方などをきちっと見極めるということも必要になってこようかと思います。
#71
○石井準一君 それでは、新年金制度についてお伺いをしていきたいと思います。
 政府は、新たな年金制度について一期四年の中で検討していくと繰り返しているだけであります。四年掛けて新たな年金制度について議論していくことが悪いということではありませんが、生活の基礎となる年金制度について、その体系や仕組みを明らかにし、十分な議論を行っていくべきであると思います。
 そこで、現政権における新たな年金制度設計について具体的なプランを提示をしていただきたいと思います。
#72
○国務大臣(長妻昭君) まさに、今具体的プランを検討、議論しているところでありまして、この具体的プランの提出締切りというのも我々は一期四年の後、四年後ですね、国会に法案を提出するという一番明確な形で期限を切っているわけであります。
 一概に年金制度改革といいましても、恐らく戦後、日本国の社会保障の改革の中では最大級の改革になるんではないかと、日本国の人口が一億三千万人近くにまでなった国が年金の制度を改革していくというのは、もうこれは大変な大改革でございますので、慎重に議論をして、間違いが絶対ないようなきちっとした制度を構築するということで、この四年の検討時期というのは決して私は長いとは思っておりませんで、非常にむしろ時間が短いとも言えるんではないか。その中で、まず総理をトップとした検討会を立ち上げておりまして、来月五月にまず大原則を発表し、国民的な議論をしていただくということで、今その作業を進めているところであります。
#73
○石井準一君 関連してですけど、年金制度改革の関連として、今国会でいわゆる年金確保支援法案が提出をされております。
 そこで、お伺いをしていきますが、新たな年金制度の体系や仕組みが分からなければ、国民年金の追納を十年までさかのぼって可能としたところで、最低保障年金が受給できるのであれば年金保険料を納める必要がないのではと考える国民も多く出るのではないかと、モラルハザードが生じるのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
#74
○国務大臣(長妻昭君) これは最低保障年金が、民主党が、我々政府も申し上げているから、今、年金を払わなくてもその制度が入ればもらえるんだから今払わなくてもいいんではないかというふうに仮に考えておられる方がいらっしゃれば、それは間違いでございまして、まずは新しい年金制度が導入をされたときに、これまでの払った実績が全くゼロになってすべての方が平等に年金制度がなるということではもちろんございませんで、これまでの制度で払った方、払っていない方というのは老後の受給額に当然これは差が付くわけでございますので、年金の保険料は払っていただくということをお願いをしたいと思います。
#75
○石井準一君 十年の追納可能期間延長については、社会保障審議会の中間報告でも、基礎年金の受給資格期間二十五年の在り方や最低保障機能の強化等の論点と併せて総合的に判断すべきとされております。
 今回、なぜ追納可能期間だけの延長だけを法案に盛り込んだのか、新たな年金制度の全体像が依然あいまいである現状をかんがみると、本法案はこの夏の参議院選挙対策ではないかという印象も持つわけでありますが、大臣の見解をお伺いをしたいと思います。
#76
○国務大臣(長妻昭君) 我々もいろんな御批判の中で、対策を取らないと不十分だと批判され、取ると選挙対策だと言われるということで、これは、政府というのは大変つらい立場でもあるというふうに思います。
 その中で、これはもちろん選挙対策ということを政府が考えているわけではございませんで、これについては、今までは過去二年さかのぼるまで保険料は払えませんというルールでありました。その心は、更にさかのぼって払えるとすると、それまで自分は後で払えばいいんではないかと考える方が増えてむしろ未納が増えると、こういう発想で、これまで過去二年ということでずっと歴史的に縛ってきたという経緯も聞いております。
 ところが、今回の記録問題でも判明したように、非常に年金制度あるいは年金の執行に不信感がある中で、そして年金の仕組みの周知も不足している中で、これは確信的に払わないというよりは本当に払わないでいいと思っていて払っておられないとか、制度の複雑な形で、払っていると思っていたけれども実は払っていなかったとか、そういう方々が大変おられるということが判明をいたしたわけでございまして、そして、さかのぼりも無制限にするというわけではございませんで、一定の十年という年限を決めて、それも恒久措置として今回実施をさせていただくということであります。
#77
○石井準一君 最低保障年金の額を七万円と定めた。子ども手当が満額支給されるようになりますと二万六千円、また、生活保護世帯にも支給される額とよく比較をされるわけでありますが、七万円とした根拠についてお伺いをしたいと思います。
#78
○国務大臣(長妻昭君) 今この国民年金につきましては、満期払いますと一か月六万六千円というのが受給金額でございます。それを一定の程度上回るということでそういう金額を設定をさせていただいたわけでございますけれども、もちろんそれは基本的な金額でございまして、その下に報酬比例の年金があるわけでございますので、それに上乗せしてその金額があるということであります。
#79
○石井準一君 民主党のマニフェストでは、最低保障年金は所得比例年金の受給額が一定以上の者は減額されていると聞いておりますが、その金額は幾らぐらいなのか。また、さらに、所得比例年金の受給額が多い者は不支給となると聞いておりますが、その金額は幾らなのか。最低保障年金の支給範囲はどのようなものになるのか、お伺いをしたいと思います。
#80
○国務大臣(長妻昭君) 今の御質問も、これは制度設計の中で決定していく事項であるというふうに考えております。一定の金額以上報酬比例年金が受給される方については、そこの段階から減額をしていって、そしてある一定の比例報酬の年金の受給額以上の方は最低保障年金は支給しないというような考え方を我々取っておるところでありまして、その範囲、そしてどれだけの規模にするのかなどなどについては、詳細な制度設計あるいは財政再計算の中で決めていく課題であると考えております。
#81
○石井準一君 この制度の基準とする根拠は何なのか、改めてお伺いをしたいと思います。
#82
○国務大臣(長妻昭君) この制度の基準とする根拠というお尋ねの趣旨が、十分理解があれですけれども、制度の根幹の原則だけ申し上げますと、私が常に申し上げているのは、若い人も無理なく払える持続可能性のある制度。今、若い方でも国民年金は固定の保険料でございますので、一定の年収以下の方は比率的に過度の負担になるということもあります。私どもが考えているのは、パーセンテージ、自営業の方も報酬の一定のパーセントということでありますので。二番目が、ライフスタイルの変化にも対応できる、つまり転職を繰り返しても変わらない一つの制度。三番目が、最低保障機能があると。こういうような一つの大きな考え方を示しておりますけれども、これを更に踏まえた原理原則というのを、五月、来月に発表させていただいて、国民の皆さんの御意見も聞きたいと思っております。
#83
○石井準一君 最低保障年金の、それでは支給に必要とされる額はどれぐらいを見込んでいるのか、またその額は何%ぐらいの消費税率に当たるのか、お伺いをしてみたいと思います。
#84
○国務大臣(長妻昭君) これにつきましても、前の前の質問と同じ質問だと思います。どれだけの年収から最低保障年金を低減をし、どこまで満額をお支払いするかということになろうかと思いますので、それについては制度設計の中で議論をして決定をしていく案件であると思います。
#85
○石井準一君 民主党のマニフェストでは最低保障年金は消費税を財源とするとしているが、一方では消費税は上げないと言っておるわけであります。最低保障年金の財源を消費税とする限り、消費税率のアップは避けられないと考えますが、大臣の見解を改めてお伺いをしたいと思います。
#86
○国務大臣(長妻昭君) 少なくとも、先ほども申し上げましたけれども、この政権一期四年の中では、法律を提出するということでございますので、まだその財源が必要になるわけではありません。その後、新年金制度がスタートした時点でも、その時点で直ちに大規模な財源が必要となるわけではございませんで、制度導入が進んでいく過程で、新年金制度の受給者が増えるにつれ、その財源が必要になってくるというふうに考えております。
#87
○石井準一君 それでは、将来的に消費税率のアップの可能性が高いのであれば、一期四年は消費税を上げないと言っていないで、早く新たな年金制度の具体的な姿を国民に示して、消費税率のアップの必要な理由を国民に説明すべきではないかと思うわけであります。国民の理解を得る努力はした方がいいと思いますが、大臣の見解を改めてお伺いをしたいと思います。
#88
○国務大臣(長妻昭君) これについては、一期四年の中で消費税は上げないと申し上げているところでありますけれども、議論はしていくということでありますので、将来的にこれだけの財源が必要となるときに、税制改革、保険料改革あるいは消費税について将来の絵姿というのを示すというような考え方はあろうかと思いますけれども、今の段階につきましては制度設計にまだ入っていない、原則を来月公表する段階でございますので、それを国民の皆さんと共有をして、我々として検討していくということです。
#89
○石井準一君 新たな制度設計にはやはり国民に対する周知徹底が必要だと思うわけでありますので、その辺をよろしくお願いをしたいなと思うわけであります。
 所得比例年金について民主党マニフェストでは、すべての人が所得が同じならば同じ保険料を負担し、納めた保険料を基礎に受給額を計算するとしております。同一所得、同一保険料を実現するためには自営業者などの国民年金被保険者の所得把握が必要となると思いますが、具体的にどのような方法を考えているのか、また、これまでの所得把握の方法は問題となってきたが解決の見込みはあるのか、お伺いをしたいと思います。
#90
○国務大臣(長妻昭君) これは、年金一元化をした先進国はそこは非常に苦労しているテーマだというふうに聞いております。
 自営業の方の所得捕捉ということでございますけれども、私どもとしては今番号制というのを検討しておりまして、納税者番号あるいは社会保障の番号ということでありますが、これはもう私も申し上げているのは、もう大大前提としてやはりプライバシーの保護、情報が漏えいしないということがきちっと担保されるというのがもちろんこれ大前提でございますけれども、そういう手法も取り入れて自営業の方の所得を正確に捕捉をしていくということで、今これは、番号の導入の検討会も私もメンバーになり、関係閣僚と協議をしているところであります。
#91
○石井準一君 次に、本年三月八日、政府に総理大臣を議長とする新年金制度に関する検討会が設置をされ、同日、第一回の検討会が開催されたと聞いております。
 鳩山政権発足から三月八日時点で既に半年以上が経過をしており、検討開始が少々遅過ぎる印象も否めない事実でありますが、なぜその期間まで開催が遅れたのか、大臣の見解をお伺いをしたいと思います。
#92
○国務大臣(長妻昭君) この新しい年金制度につきましては、当然その記録問題というのも、制度には直接は関係ありませんけれども、年金の信頼という意味では非常に密接に関係性があるということで、その取組を進めるということがまず初めにあるということと、これは、会議は今おっしゃった時期に開かれたわけでありますが、その前に何もしていないわけではございませんで、政権交代後、厚生労働省の中でこれまでの年金の制度に関する財政的な検証というのも精力的に行っておりまして、そういうデータを整えてその会議に臨み、今は総理大臣トップのその会議体の下に実務者の会議を設置をして、それが有識者からヒアリングをして詳細を今詰めている段階であるということであります。
#93
○石井準一君 五月中を目途に新年金制度の基本原則を取りまとめるとのことでありますが、現在の検討状況、既に四月中旬でありますが、五月中の基本原則の取りまとめが可能なのか、お伺いをしてみたいと思います。
#94
○国務大臣(長妻昭君) これはもちろん五月に発表をすることになっております。これ、実務者検討チームというのは総理トップの会議体の下に設置をされているものでございますけれども、三月十九日、四月一日、四月十二日と三回開催をいたしまして、そこで原案を練っているところであります。
#95
○石井準一君 基本原則取りまとめの後の検討は新年金制度に関する検討会で引き続き行うのか、今後どのような点について検討していくのか、取りまとめ後の検討スケジュールについてお伺いをしてみたいと思います。
#96
○国務大臣(長妻昭君) 最終的な期限というのは、もう法案提出というのが四年後というデッドラインがございますので、この原則が出た後は国民の皆様からよく御意見を聞く。そして、いよいよ新年金制度の原案の作成に入ってくる。そして、財政見通しを推計をしていく。そして、もう一回更に国民の皆さんとの対話あるいはコンセンサスを形成をしていく。そして、与野党間の協議というのも実施をしていくなどなど、いろいろな手段を丁寧に踏んでいく必要があると考えております。
#97
○石井準一君 今答弁をいただきましたが、基本原則は新たな年金制度の根本であり、広く国民の納得のいくものである必要があると思いますが、五月までに、タイトなスケジュールの中で国民の意見をどのように取り組んでいくのか、改めてお伺いをしてみたいと思います。
#98
○国務大臣(長妻昭君) これ、まずは今いろいろ有識者の方からも御意見を聞いておりまして、この五月に基本原則を公表して、その原則というのは詳細な制度設計ではございませんので、原則ということでありますので、その原則について国民の皆様からいろいろな御意見をいただいていこうということであります。
#99
○石井準一君 我が国の年金制度の今後は、今の大臣の発言だと全く見えてこず、国民が老後の生活について具体的な姿を描いていくことも不可能ではないかなというような印象も否めない事実でありますけど、マニフェストでは所得比例年金と最低保障年金を組み合わせた制度と言っておりますが、改めて今後の年金制度設計について、具体的にお伺いをしたいと思います。
#100
○国務大臣(長妻昭君) この年金の新しい制度でありますけれども、これはどんな職業の方でも一つの年金制度に入る所得比例年金、所得が同じであれば保険料も同じでございますし、老後の受給額も同じ。ただし、一定の所得以下の方には最低保障年金が上乗せになる、こういう基本的な考え方を申し上げ、そして詳細な制度設計については財政検証もやらなければなりません。その過程の中で国民の皆様にお示しをして、四年後にこれは法律という明確な形で国会に提出をさせていただくということであります。
#101
○石井準一君 最後の質問になります。
 政府としての制度設計をしっかりと明示をできないのであれば、ミスター年金と言われた長妻大臣であります、自身の頭に描く年金制度設計はどのようなものか、改めてお伺いをしてみたいと思います。
#102
○国務大臣(長妻昭君) 我々、これ選挙の前から四年後に法律を出すということはマニフェストにも明記し、いろいろな場面でも申し上げているところでございますので、そのスケジュールの中で、一つ一つ国民の皆さんとコンセンサスを取って制度設計を実行をしていくというのが私の責任だと考えております。
#103
○石井準一君 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#104
○委員長(柳田稔君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#105
○委員長(柳田稔君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、大河原雅子君及び下田敦子君が委員を辞任され、その補欠として藤谷光信君及び川崎稔君が選任されました。
    ─────────────
#106
○委員長(柳田稔君) 休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#107
○丸川珠代君 自由民主党の丸川珠代でございます。
 社会保障及び労働問題等に関する調査ということで、まず皆様のお手元にお配りをしております専門二十六業務派遣適正化プランというものについて御質問をさせていただきたいと思います。
 二月の八日に厚生労働省は、専門二十六業務派遣適正化プランというものを発表いたしました。これは、長妻厚生労働大臣の指示を受けて厚生労働省の職業安定局長から各団体に対して要請をするとともに、都道府県の労働局において、三月及び四月を集中的な期間とする派遣の専門二十六業務と言われるこの適正化のための指導監督を行うよう通達したものであります。この要請や通達は、専門二十六業務と称した違法な労働者派遣の適正化に向けた対応についてという題になっております。済みません、手元にはそれそのものはないんですが、その内容が職業安定局長の有する権限を逸脱したものであると私、とらえておりまして、極めて問題があるのではないかと思っております。
 その内容もさることながら、まずちょっとこちらを御覧いただきたいんですが、手元の立入検査等に伴う対応についてということで、派遣の事業主の業界団体であります日本人材派遣協会というところから厚生労働省の職業安定局に対して出された要望でございます。これ見ていただきますと、この専門二十六業務派遣適正化プランの立入検査の内容が非常に、まあ何というんでしょうか、被疑者として決め付けるようなことがあったり、犯罪の捜査でもないのに身柄を長い時間押さえたりというようなことが書かれておりまして、これは本当に立入調査でできるようなことなのかというような調査の実態が指摘をされております。
 そこで、ちょっとお伺いをしたいんですが、まずこの立入検査に伴う対応についてという要望の中のAの項目でございます。派遣先の方に担当官がアポなしで訪問をして、派遣先の責任者がいないので内勤の社員が調査協力をお断りすると、断るなら行政命令を発動するからそのつもりでいろと言われたので、急遽、社長が帰ってきて対応したと。担当官は、五号業務で電話一本取っても自由化業務だというふうに決め付けて派遣先に是正指導をすると言ってきたというような形で、たしかこの立入調査というのは任意であったかと思うんですが、これ任意の調査協力に断るなら行政命令を発動するというような、そういうことを言うのは強制と同じことではないかと思うんですが、長妻大臣、いかがでしょうか。
#108
○国務大臣(長妻昭君) まず、条文がございまして、労働者派遣法の第五十一条第一項においては、「厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、労働者派遣事業を行う事業主及び当該事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。」と、こういう条文がまずあるということでございます。
 その中で、今配付をしていただいた資料についてのAということでございますけれども、これについて、どこの場所でこういう話があったのかというのはお分かりになりますでしょうか。
 これについて、この書面を受けたときに課長が聞いたところによると、一つの、その事業所の名前はいただけなかったようでございますけれども、ある地域をおぼろげながら教えてもらったということで、私どもとしてもその地域の労働局に問い合わせて、どこなのかというのがなかなか確定ができませんでしたけれども、恐らくここではないかというところがありまして、それはまだはっきりしておりませんが、そこの労働局にヒアリングしたところ、問題のあるような行動、発言は取っていないということを確認をしたということであります。
#109
○丸川珠代君 それを調査とおっしゃるのは、今まで野党側にいて政府の態度を追及してこられた長妻大臣のおっしゃるべきことではないと思うんです。
 それ以外に手段がないのかもしれませんが、これ何で労働局を特定されるようなことを人材派遣協会なり個別の企業が言いたがらないか。結局、後で仕返しされるのを恐れているんですよ。
 それ以外にも、私に、ある団体から、登録型派遣の禁止反対ですというような御意見をお持ちなのに、じゃデータを出してくださいと、アンケート取られたデータ出してくださいと言ったら、いや、我々、民主党からいじめられるから出せませんと言われました。
 非常に問題だと思いますよ、これは。大臣の知らないところで起きているとしたらこれ大変な問題ですので、是非そういう後々の嫌がらせが起きないようにということに目を配っていただきたいと思います。
 で、このAは確かに必要な限度においてというのが一体どの程度なのかという問題がありますし、それから@あるいはB、@見ていただきますと、突然派遣先にアポイントもなく指導官が訪れ、派遣先担当者が不在であっても派遣スタッフを拘束し、被疑者でもないのに、あなたのやっていることは違法なことだと分かっていると、違法であると決め付けて尋問をした。あるいは、定期調査等に伴い、派遣スタッフは派遣先の個別の部屋で午前九時から六時まで八時間拘束を受けたと。これですね、果たしてこれが必要な限度においてなのかと。
 ここにわざわざ、派遣法の第五十一条、今し方大臣が触れられたこの法律には、わざわざその三項に、「第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」とわざわざ書いてあるのに、こういう立入調査のやり方が認められるんでしょうか。
 私、こういう個人の意思を制圧するというようなこと、あるいは体や財産に制約を加えるということは、強制処分、つまり強制捜査のときに行われる強制処分というものと同じだと思いますけれども、大臣、いかがですか。
#110
○国務大臣(長妻昭君) まず、国会でございますので、今、民主党にいじめられたから出せないということが、役所から発言があったということでありますけれども、これ具体的に、いつ、どの人物が発言したのか、これは、私はそういうことが一切ないと言うつもりはありませんけれども、国会でございますので、今のこのお話も全部事実に基づいて確認をされた上で言われておられるのか。
 確かに、この課長に出した文書には、私も今持っておりまして、こういうことが書いてありますので、これが本当に事実かどうかということを、我々は事業所名が分からない中で、おぼろげながら地域を教えていただいたわけでございまして、この五つについて確認をさせていただいたところ、問題のあるものはなかったという今の時点の報告を受けているということでございまして、更に具体的な中身を御指摘いただければ我々は調査をしないと言っているわけではないということも御理解いただきたいと思います。
#111
○丸川珠代君 役人の方がおっしゃったのではなくて、この業界団体の関係者の方、そしてもう一つ、先ほどデータを出してくれないという話をしたのは、ある労働者の派遣労働者の関係団体の方でございます。いずれも、その自分たちの存在さえ明かせないほど、この立入検査のありようについて非常に恐れておられる、あるいはその後、更に厳しい追及が来るのではないかということを非常に恐れておられます。どうか大臣、まずここは、そういう弱い者いじめになるようなこと、あるいはグレーゾーンを徹底的に自分たちの恣意的な解釈で追及するようなことはしないということを明言いただかなければ、とてもじゃないですけれども、派遣先の方あるいは派遣元の方はその自分たちの存在を明らかにできないのではないかと思います。
 この専門二十六業務派遣適正化プランというものの中身について申し上げたいのですが、この二十六業務をこの専門二十六業務派遣適正化プランの中で決めているこの内容と、もう一個、労働者派遣法第四十条の二の第一項の第一号に従った政令ですね、施行令に定められているこの二十六業務の在り方というのがどうも随分ずれているのではないかと。これは政令を局長通達が超えることになっておかしいのではないかということが業界の方から上がってきております。
 二十六業務を定める法的な根拠というのは、労働者派遣法第四十条の二の第一項第一号にございます。資料にも付けさせていただきました。二枚目と申しますか、この要望書の次に掲げているものでございますが、御覧のとおり、この同号はまず、「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」、又は、A「その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」のいずれかに該当する「政令で定める業務」と規定してあります。したがって、派遣可能期間の制限を受けない二十六業務というものについては、政令、つまり政治家である大臣が構成員として組織している内閣が閣議決定して定めていることにしているんですね。決して、所管であり、あるいは政治家である厚生労働大臣が単独で定めるという権限を与えていない、まして職業安定局長にそのような業務を定める権限を与えていないと考えますが、まず見解はいかがですか。
#112
○国務大臣(長妻昭君) 今のお尋ねは、この通知を出させていただいたわけでございまして、これが今年の二月の通知でございます。これについてのお尋ねだと思いますけれども、これについて専門の二十六業務の解釈を逸脱しているのではないかというお尋ねでありますけれども、これは逸脱をしているものではございませんで、例えば事務用機器操作とかファイリングなどについては具体的な考え方を示させていただいたということであります。
 第一に例示を最新のものとした、例えばタイプライターやテレックスなど現在使われなくなった機器ではなくて、オフィス用コンピューター等で文字作成ソフトを用いる業務などを例示に用いることとした、あるいは第二に明確に示していなかった解釈を明確化したという点でありまして、例えばこれまでも単純に数値をキー入力するだけでは事務用機器操作に該当しないと運用してきましたけれども、これを通知に明記することとしたなどでございまして、これはその法解釈を逸脱しているものではありません。
#113
○丸川珠代君 今の話、二点ございます。
 まず、二月に通達を出して三月、四月に強化をやるというので、今まで明確になっていなかった基準が突然示されたわけですよね、これが私たちの解釈ですと。そういってもう三月には立入検査するというのが果たして合理的なのかどうか。派遣の期間というのが一般的にどのくらいかということをお考えいただいたら、それは余りにも唐突だと現場は受け止めても仕方がないのではないでしょうか。
 それからもう一点、この政令として、まず労働者派遣法の施行令の第四条があって、その第五号が電子計算機、タイプライター、テレックス又はこれに準ずる事務用機器の操作というふうに書いておりますよね。一方の今おっしゃった、大臣がおっしゃった通達の方ですけれども、こちらには、事務用機器操作については、オフィス用コンピューター等を用いてソフトウエア操作に関する専門的技術を活用して、入力、集計、グラフ化等の作業を一体として行うものとされ、迅速、的確な操作に習熟を要するものに限られると。
 これ見ていただいたら分かるように、五号では専門的とか何か能力が限られるということは全く規定をしていないわけですよ。それを、通達になったら途端に、「習熟を要するものに限られる。」というのが入っているわけです。
 これは操作方法を、これ政令で定めているものを超えて、局長通達が「限られる。」というふうに規定しているわけであって、おかしいんじゃないかと思うんですけど、普通に考えたら。何でこれが労働者派遣法第四十条の二の第一項の第一号の違反ではないと言えるんですか。
#114
○国務大臣(長妻昭君) まず、そもそもこの専門業務というものについては、今お配りいただいたところにもあるようでありますけれども、労働者派遣法第四十条の二で、「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」と規定をしておりまして、すなわち、事務用機器を操作する業務であったとしても、専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しないというのは、従来から一貫して取っているこれは解釈であります。
#115
○丸川珠代君 しかしながら、これ施行令の方では、専門的な能力を要するということに限られるということをちゃんと書き分けしてあるんですよ。
 例えば、施行令の四条の八号業務、十二号業務、二十二号業務においては、高度の専門的な知識、技術又は経験を要するものとわざわざ書いてある。一方で、第五号にはそういう技術や知識、経験を要するものという規定は入っていないんですよ。ちゃんと八号、十二号、二十二号と五号は書き分けをしてあるんですよ。にもかかわらず、五号にその拡大解釈を局長通達で加えるというのは、現場にとってグレーゾーンを極端に超えてきたと、そういうふうに解釈されても仕方がないことだと思いませんか。
#116
○国務大臣(長妻昭君) 先ほども申し上げましたように、まず大前提にあるのが、この条文の規定でも専門業務とは何かということが言われているところでございまして、そういう意味では、専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しないというのが大前提にありまして、こういう例示があるということでございます。
#117
○丸川珠代君 今回のように、突然通達で政令を覆す、乗り越えていくというようなことをやった上に、一か月後にはもう調査ですよというようなことをすると、現場の予測不可能性というのが非常に高くなるんですね。今までどこにも書いていなかった解釈や政令にも書いていないことが、突然ルールですといってまかり通るようになると、現場は、ただでさえコンプライアンスリスクは派遣にとって非常に大きいと考えている派遣先、派遣元が多い中で、ルールを守りたくても守れないと、仕方がないから切るか、雇用を切るかと、派遣先から返してくるかと、そういうことにもつながりかねないということを十分御認識をいただきたいと思います。
 こういうことを度々なさいますと、現場のコンプライアンスリスクが増大して、労働者、使用者双方にとって新たなコストになる。コストというのは何もお金の話だけではありません、自分たちの雇用を懸けたコストでございます。こういうことになってまいりますので、十分こういうものはまず周知徹底をして、理解を得てからルールを守っていただくということをやっていただきたいと思います。
 続いて、次の質問に進まさせていただきます。B型肝炎訴訟の問題でございます。
 B型肝炎訴訟の原告団の皆様が、昨日が期限となっております関係大臣への、六大臣への面談要請を出しておられましたが、再び拒絶をされました。これまで何度も原告の皆様方は、請願あるいは要請で原告と会ってもらいたい、被害者の思いをまず聞いてもらいたいということを訴えてこられましたが、無視されております。今回の面談要請も今日朝の段階では返事がない、返事すらないということでございます。今日からまた二日間、日比谷公園で原告団の皆様は座込みの抗議をやっておられます。
 先ほど、原告団の皆様と我が党の谷垣総裁が面談をさせていただきました。八名の原告の皆様が来られました。それぞれが、偏見に苦しんだ人生、母子感染をさせてしまった我が子への思い、自分たちには時間がないんだ、重篤な患者さんにとっては一か月だって長いんだと、涙ながらに訴えられました。私たちは、私たちの意思を谷垣総裁の談話という形で発表させていただきました。
 自由民主党は、二年前にも薬害C型肝炎の全員一律救済、救済法を成立させ、また、去年の十一月には、与野党の協力にもよりまして肝炎対策基本法も二年越しで成立をさせることができました。こうした経過を踏まえ、鳩山総理始め政府におかれましては、いつまでも政府部内で総合的に検討するというような官僚的な答弁に終始して問題を先送りするのではなく、和解に向けた具体的協議の開始の決定を強く求めるものであります。
 私は、政権交代前と政権交代後と、今そこにお座りの長妻大臣、山井政務官、お二人におかれましては、事この肝炎訴訟に関しましては言っていることとやっていることが全然違う。あれだけ言っておられたのに、どうしてそこに座った途端に全く違う行動をお取りになるんですか。私は、ここまで苦しい人生を強いられた方々の思いを裏切っていいのかという、大変な怒りと悲しみを感じております。
 そこで、私は、昔の議論をもう一度拝見しました。平成十九年三月二十八日、衆議院の厚生労働委員会で薬害肝炎訴訟の議論の際にこちらにおられる山井政務官がおっしゃったことをそのまま長妻大臣に申し上げたいと思います。
 私は、国会議員として恥ずかしくて仕方がありません。最も苦しい立場に置かれている肝炎の方々本人が、自分の健康を顧みず座込みをしないと、大臣が会いもしない。
 大臣、改めて申し上げます。
 私も行ってきましたが、肝炎の方々が体調が悪い中、座込みをされる、これはやはり本当にただならぬことです。是非、まず一度会っていただいて、話を聞いていただきたいと思います。
 これは、最終決断をするのは厚生労働大臣なんですよ。だから、大臣が会わないと、大臣は現状が分からないじゃないですか、どれだけ大変かということを。
 山井政務官は、御自分のこの言葉を今そこに座って聞いていて情けなくありませんか。
 これらの御自身の発言は、薬害肝炎訴訟で福岡、大阪そして東京の地裁の判決が出て、国の責任が認められたというタイミングでの質問でした。この後、国は控訴をして、仙台地裁では原告敗訴ともなっています。
 一方で今、B型肝炎訴訟は、国の責任を認めた最高裁の判決が出てから三年以上経過をしており、肝炎対策基本法も施行され、三月には札幌、福岡、二つの地裁が相次いで和解勧告を出しております。国として、もはや取るべき責任は明確な状況であります。しかしながら、国は原告団からの関係大臣への面談要請をまた断りました。そして、まさに今この瞬間も肝炎患者の方々は抗議の座込みを行っています。
 山井政務官は、私は国会議員として恥ずかしくて仕方がありませんとおっしゃっていましたが、今も自分のことを恥ずかしいと思う神経はお持ちですか。
#118
○大臣政務官(山井和則君) 丸川委員にお答えを申し上げます。
 この肝炎の問題は、まさに今、御患者として座込みをされていると、そのことに関しては私も非常に胸が締め付けられるような思いであります。
 そして、この闘い、今までから長年ずっとやってこられましたし、最高裁の判決が出るためにも十七、八年掛かっておりまして、その五人のB型肝炎の最高裁で勝訴をされた方もお二人は亡くなってしまわれております。そういう意味では、丸川委員おっしゃるように、本当にこれは急がねばならない問題だというふうに思っております。
 政権交代をして、とにかくまず最初に、この肝炎の訴訟の問題のことは私も頭に当然ございましたので、まずはこういう基本法があればいいなと思っておりましたが、逆に政府の立場ですから私は何をすることもできませんでしたが、幸いにも与野党を超えた先生方が肝炎対策基本法を作ってくださって、その中で、最高裁で五人のB型肝炎の方が予防接種で感染をしたという、そういう非常に重い条文も書き込んでいただきました。また、それを基に、核酸アナログ製剤というB型肝炎に効く治療薬、初めて医療費助成がこの四月からスタートをしました。
 肝炎対策基本法、そして初のB型肝炎患者の方々に対する医療費助成、そしてまさに一番重要なのが、本日も傍聴にお越しになっておられますが、B型肝炎の訴訟のことであるというふうに思っております。このことに関しましては、厚生労働省のみならず、仙谷大臣も含め、政府を挙げて今検討をしております。
 そして、札幌地裁から言われております回答の期限が五月の十四日であります。刻一刻とその回答期限迫ってきておりますので、その日に向かって精いっぱい努力をさせていただきたいというふうに思っております。
#119
○丸川珠代君 なぜそこまで分かっておられて会えないんですか。一番身近で時間がないということを聞いておられたのは山井さんじゃないんですか。
 山井政務官はこうも言っておられますよ。
 患者の方、原告の方には時間がないんですよ。もう、今日、明日、がんが発症するんじゃないか、もう余命一年、二年じゃないか、みんなそういうことにおびえておられながらやっておられるんですよ。
 私は、これは本質的な問題だと思いますよ。厚生労働省は、そして国は、国民の命を守るためにあるのか、一番つらい、病気で人生で苦しみもがいて、死すら意識しているような方々を、引き延ばし引き延ばしやっていくのか。これは本質的な問題ですよ。
 大臣、是非、ここが決断のしどころです。その決断をするためにこそ厚生大臣がいるんじゃないですか。政治家がトップにいるんじゃないですか。
 山井政務官は、このときと同じことを同じように長妻大臣に対して説得されておられるんでしょうか。
#120
○国務大臣(長妻昭君) 今のお尋ねでございますけれども、我々もこの問題については、総理大臣をトップとして、先日も官房長官、私、法務大臣、財務大臣、仙谷大臣集まって協議をし、その後も関係各大臣が協議をしております。
 やはり、原告の方とお会いするからには、責任ある発言がなければなりません。その意味で、先ほども話を申し上げたように、札幌地裁の期限というのが五月十四日、もうすぐでございます。それに向けて万全の体制を取るためにも、今、政府挙げて検討をして、責任ある発言ができるときに原告の方とお会いをしてお話をするということでございまして、もう来月の半ばでございますので、それまで政府の中できちっと協議をするということでございます。
#121
○大臣政務官(山井和則君) 丸川委員、御質問をありがとうございます。
 政権交代をしてから七か月になりました。本当に、政権交代をした後から、このB型肝炎のことに関してはもう何度も何度も長妻大臣とも相談をさせていただきました。
 肝炎対策基本法を作るその段階では、C型薬害肝炎の方々とともにB型肝炎の原告の方々にも大臣室にお越しいただきましたし、一緒に総理官邸にも行かせていただきました。
 しかし、先ほども申し上げましたが、肝炎対策基本法そして核酸アナログ製剤の医療費助成というのは裁判を終結するための一つのステップであるというふうに思っております。そういう意味では、五月十四日という回答期限がありますので、そのときに回答ができるように精いっぱい長妻大臣とも相談をしてまいりたいと思います。
#122
○丸川珠代君 責任を持って発言できないときには会わないと長妻大臣はおっしゃいましたが、その対応ではいけないということをお二人ともおっしゃってこられたんじゃなかったんですか。そこに座った途端に言うことが百八十度変わるんですか。そうやってそれまでの政府に物を申されてきたんですよね。何が政治主導ですか。
 あと一か月とおっしゃいましたけれども、重篤な患者さん、肝硬変、肝がんの患者さんにとって一か月は長いんです。山井さんが一番よく御存じのはずです。どうしてその山井さんが、五月十四日までに相談します、それまで会えません、そういうことが言えるんですか。今日おいでの原告団の皆様、山井さんもよく御存じだと思います。どういう顔をして皆さんにそういうことがおっしゃれるのかと。私、一番苦しい思いを聞いてこられた山井さんが、はっきりと和解のために動くと、そうおっしゃらないことに本当にがっかりされていると思います。
 そして、政治家は結局、権力の側に座ってしまえばみんな同じなんだと、弱い者の苦しみを忘れてしまうんだと、そう思われることが一番情けないと思います。その豹変ぶりというのは、私は政治そのものを、政治家への信頼をおとしめるものだと思いますが、何とかなりませんか。せっかく政権交代したのにと、それは民主党の支持者だけじゃないです、国民皆さんをがっかりさせていると思いますよ。政権交代したのに政治はもう信用ならぬと、そう言われることだけは避けていただきたいんですが、原告の皆さんに申し訳ないという気持ちはおありですか。
#123
○大臣政務官(山井和則君) 丸川委員にお答えを申し上げます。
 本当にこの件に関しては、私も、百二十人もの肝炎の方が一日にお亡くなりになっておられる、また、我が党の家西議員始め多くの議員の方々にいろいろ教えていただきながら、肝炎問題、私も国会で取り組ませていただきました。そして、B型肝炎の訴訟の問題というのは、ある意味で薬害C型肝炎より前から訴訟がずっと起こってきて、それで逆にB型肝炎の集団予防接種の問題をある意味で飛び越えて先に薬害C型肝炎が和解をしたということで、本当に最初の最高裁の訴訟からするともう二十数年掛かっている問題であります。
 丸川委員御指摘のように、これは政権交代をしたわけですから、こういう問題について、私も今までと思いは変わっておりませんので、精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。
#124
○丸川珠代君 山井政務官は政府の中でB型肝炎訴訟の和解に向けて自ら働きかけをしようと、そうお考えですか。
#125
○大臣政務官(山井和則君) 先ほども長妻大臣から答弁がありましたが、まさにこれは厚生労働省のみならず政府全体の重要な、本当に命をいかにつなぐかという大切な課題であると思っております。微力ながら、私は今まで原告の方々とも何度もお目にかかってお話をお聞きしておりまして、そしてまさに今、御病気が悪化しておられる方々も非常に多くなっているわけですから、一番スピードが必要だということを痛切に感じている一人でありますので、そのような思いで取り組んでいきたいと思います。
#126
○丸川珠代君 そんな官僚答弁を聞きに原告の方来られたんじゃないと思いますよ。関係六大臣に会ってくれるように山井政務官から働きかけたらいかがですか。
#127
○大臣政務官(山井和則君) 丸川委員のおっしゃる意味はよくよく分かります。だからこそ、五月十四日という一つの回答の期限があります。もちろん、その日よりも一日でも二日でも早く回答できたらそれが一番いいわけでありますが、それに向かって私も精いっぱい努力をさせていただきたいと思います。
#128
○丸川珠代君 一つだけ教えてください。
 どうして会えないんですか。
#129
○大臣政務官(山井和則君) 先ほど長妻大臣もおっしゃいましたように、大臣、仙谷大臣も含めてですが、大臣が会うということは、やはり今後どういうふうなことを考えているかということを大臣が話をされることになろうかと思います。まさにその議論を、今政府を挙げて議論をしている最中でありますので、できるだけ早くその方向性というものが出るように協議を続けてまいりたいと思います。
#130
○丸川珠代君 野党時代におっしゃっていたことと全然違うので、私は本当に、そんなにそこにいることが山井さんを変えてしまうのかなと思って、本当に残念でなりません。まず、テーブルに着いて話を聞くべきだとおっしゃっていた当の本人であります。
 何とかひとつ、一刻も早く会うべきだということを、まず山井さん自身が関係六大臣に働きかけるべきであると思います。そして、私は、この言っていることとやっていることがこんなにも違う、みっともない姿をさらすべきではないと思います。これは本当にB型肝炎の患者の皆様がどれだけ情けない思いをしておられるかという、その思いを裏切らないでいただきたい。
 長妻大臣は、B型肝炎の患者の皆様の思いを裏切らないと、そういうふうにおっしゃっていただけませんか。
#131
○国務大臣(長妻昭君) もちろん、この問題は、もう政府挙げて誠心誠意取り組まなければならないという問題でございます。そういう皆様の期待にこたえるべく、今全力で協議をしているということでありまして、来月の期日までには責任ある回答を申し上げるということでございます。
#132
○丸川珠代君 今のところ、会う気はないということなんですか。
#133
○国務大臣(長妻昭君) お会いをして、私の意見、見解を言うということになると思います。
 その意味で、今申し上げましたように、政府挙げて取り組んでおりますので、責任ある発言ができるときまでお会いは難しいということを申し上げたところで、ただ、それも何か月もということではもちろんございませんで、来月五月十四日の期日までに責任ある発言ができるよう、今、政府の中で協議をしていると。いろいろな中身の詳細も詰めているところでございまして、その意味で、責任ある御回答ができるというときまで全力で今協議しているということであります。
#134
○丸川珠代君 たった今、一か月でも重篤な患者さんにとっては長いんだということを申し上げたはずですが、聞いておられませんでしたか。
#135
○国務大臣(長妻昭君) 先ほども申し上げましたように、五月の十四日、来月の期日までに責任ある発言ができるように、政府の中で、内閣挙げて今協議をしているということであります。
#136
○丸川珠代君 発言にはもちろん責任がなければ困りますけれども、まず会って被害者の思いを聞くべきだと自分自身が言ってきたのだから、まず、責任ある発言云々の前に被害者の声を聞くということから、直接会って話を聞くということから始められたらいかがですか。
#137
○国務大臣(長妻昭君) お会いして当然見解を聞かれるわけでございまして、そのときにあやふやな答えというのはできない、あってはならないわけでありますので、その意味で、政府全体で今この問題について、非常に重要な問題であるというのは、もう言うまでもなく総理トップの協議をしているところでもございますので、期日までに責任ある回答ができるように、今、関係各大臣協議をしているということではあります。
#138
○丸川珠代君 責任ある回答ができるまで会わないという姿勢自体が問題だと追及されてこられた当の本人が、そこに座ってそういうことをおっしゃるのは本当に残念でなりませんし、腹立たしくてしようがありません。そんなことなら、やれないことは言うべきじゃないと私は思いますし、その姿勢の一貫性は貫いていただかないと、政治家としての信頼を疑いますよ、私は。いかに御自身たちが野党におられるときに、この問題を自分たちが責任ある立場で解決するならどうするべきであるかということを何も考えずに議論をしていたというその証拠じゃないですか、責任ある回答ができなければ会わないなんて。
 政権交代準備完了なんというあんな標語で選挙を戦ったのは何ですか、あれ、うそっぱちですか。あなたたちの政治主導というのは一体何なのか。私、羊頭狗肉もいいところだと思いますよ。いつから官僚主導になったんですか。私は、こういう政治主導といううそっぱちの看板は早く下ろされた方がいいと思います。そういううそをつくのをやめて、御自分たちがもしそれをできないのであれば、しっかりと言葉、姿勢、それを一貫して貫いていただいて、一刻も早く和解のテーブルに着いていただきたいと思います。
 大臣、最後に、今日は原告の皆様が傍聴に来ておられます。今のお気持ちと、皆様にもし申し訳ないという思いがあったら、一言おっしゃっていただきたいと思います。
#139
○国務大臣(長妻昭君) 本当に、お会いして一刻も早く責任ある発言、責任ある内容の御回答を申し上げたいということで、それを実現するべく、期日に向かって総理始め関係閣僚が全力で今協議をしているということでありますので、それを今申し上げたいと思います。
#140
○丸川珠代君 是非しっかりと後ろを向いて目線を合わせて申し訳ないという気持ちをお伝えいただきたい。何のためにここに来ているのか。官僚答弁を聞くために来ているんじゃないんですから、政治主導を期待しておられるんですから。有言実行を心からお願い申し上げたい、一刻も早く和解のテーブルに着いていただくことを心からお願いを申し上げます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。健康保険法の一部改正に関する質問でございます。
 協会けんぽ、組合健保の保険料率の上限が一〇%から一二%に引き上げられますが、まずこの理由は何でしょうか。
#141
○大臣政務官(足立信也君) 理由は、今でも協会けんぽ、もちろん組合健保の中にも、保険料の上限設定、保険料の設定の中で一〇%に非常に近いものがあるわけです。これが、今現在の経済情勢あるいは、もう二年後になるでしょうか、診療報酬の改定等で保険料の上昇につながるようなことがあり得る、医療費がまた上昇する可能性も当然あり得る、そのような中で、法律上一〇%を超えてはならないということになっている以上、これ以上の保険料の上昇というのができない事態になっているということは、そのままでありますと健保組合すら解散せざるを得ないという事態になり得る可能性が当然ございます。これを防ぐ必要がある。健保組合につきましては、その保険者機能等、非常に大きな役割を果たしてきたという認識は皆さん共有されていると思いますが、それが解散を余儀なくされるような事態が生じないようにする必要があると、そのような考えでございます。
#142
○丸川珠代君 確かに健保組合が支えている中小企業の皆様方の健康というのは、非常に私たち日本にとって大切なものであると私は思っております。
 しかしながら、ちょっと順序がおかしいのではないか。今回、国庫補助率の、つまり国庫補助の割合を一三%から一六・四%に引き上げるのは、保険料の大幅な引上げを抑制するためであります。にもかかわらず、一方では保険料率を上げられるようにその上限を引き上げるということをなさっている。その前に、国庫補助率は既に法定で二〇%まで上げられるわけですから、引上げの余地がございます。まずここを、つまり国庫負担を二〇%まで引き上げる方が先決ではないのかと思いますが、なぜこういう優先順位、順序になってしまったのでしょうか。
#143
○大臣政務官(足立信也君) 考え方の順序というものと時間的な制約の中で今回一六・四%ということになったわけですが、じゃ、今の時点で二〇%に先にしろというよりも、これで保険料率が一〇%を超えることによって、それが法律違反という形になって解散を余儀なくされる、この事態を防ぐこともまた同時に今必要なことだというふうに私は考えます。
#144
○丸川珠代君 私は、それは一体、国の財源の方を向いているのか、それとも国民の生活の方を向いているのか、今この状況で何を優先すべきかというときにどちらを向いているかの問題ではないかと、そういうふうに思います。
 御承知のように、協会けんぽの標準報酬月額が平成二十一年度に入ってかなりこれまでに例のない状況で下がってきているということは御承知のことだと思いますが、これは海外の需要からも置き去りにされがちな中小企業が中心の協会けんぽで、今後、給与がV字回復することも考えにくい。さらに、今後の保険料率の見通しを見れば、平成二十四年度には一〇%近くまで上げざるを得ない。けれども、国の財政をもし二十兆円の無駄が出せるというのであれば、まずそこからお支えをして、保険料率が引き上げるのを何とか抑えていく、そういう姿勢を示すことこそが生活が第一の政府がなさることではないかと思いますが、いかがですか。
#145
○国務大臣(長妻昭君) この協会けんぽの国庫補助率についてでございますけれども、急速な保険料の上昇を抑えるということで、今まで国庫負担率が本則よりも下げられていたわけでありまして、それを一六・四%に引き上げると、こういう措置をとらせていただくということでありまして、ぎりぎりの今財政状況の中でこういう措置をとらせていただいてこの保険料の上昇を抑えていくと、こういうことであります。
#146
○丸川珠代君 何でぎりぎりの財政状況になるのかがよく分からないんですね。だって、二十兆円無駄があるとおっしゃっていて、マニフェストを見ましてもしっかりと無駄が出せますということをうたっておられるにもかかわらず、なぜ財政がぎりぎりになるのか。
 しかも、保険料率も上がるわけですね、国庫補助率だけではなくて。皆様の御負担も上がるわけです。八・二%から九・三四%に平均保険料率が上がってまいります。それだけではありません。この四月からは介護保険、雇用保険、厚生年金も上がってまいります。中小企業で働く皆様の家計の御負担というものを考えたときに、これが受容可能な範囲でいつまで収まるか。今年の経済状況の見通しを考えてみると、非常に危ういものが私はあると思っております。
 それだけではありません。既に働いて給与を得ている協会けんぽの被保険者のみならず、これから中小企業が人を採用するときにこの社会保険の負担というものが大きなハードルになっているという認識を大臣はお持ちでしょうか。
#147
○国務大臣(長妻昭君) ですから、ほっておけば急上昇する保険料について、それをできる限り抑えていくという措置をさせていただいているということであります。
#148
○丸川珠代君 ですから、この危機的な状況の中においても雇用を増やしたい、とりわけ正規社員の雇用を増やしたいと思っておるのであれば、雇用の七割を支えている中小企業の皆様に特段の配慮が必要ではないかということを申し上げているわけであります。
 社会保険料というのは、年々、新しく人を採用することへの障害になっているということをよく中小企業の皆様からお伺いをしております。といいますのも、この社会保険料というのは売上げに関係なく支払っていかなければならない。売上げあるいは利益というものは時期時期によって波がございますが、社会保険料というものは年一回これと決まったらこれを払っていかなければならないわけでございます。ある中小企業の方は、これは人頭税のようなものだという表現をされることもあります。厳しいとき、あるいは資金繰りに窮しているときに、商売を続けていくためには何としても相手先の支払を優先しなければ、その後、景気が回復してきても自分たちの商売ができないからというので、一生懸命、社会保険事務所へ行って、何とか待っていただけませんか、そんな相談をされるという話も大変よく聞きます。
 私は、先ほど申し上げたように、雇用を増やさなければならない、雇用を守らなければいけない、特段、雇用の七割を背負っておられる中小企業の方には、やはりこの保険料率、社会保険料の負担というものに対しては特段の配慮が必要だと思いますが、最後に大臣のお考えを伺って、私、時間でございますので、これで質問を終了させていただきます。
#149
○国務大臣(長妻昭君) 今の御趣旨は、保険料の上昇をもう限りなく抑えていくということはもちろん我々も同感でございます。その中で、この中小企業の皆さんが入っておられる協会けんぽについては、この上昇分をぎりぎりに抑えていくということで、新たに今年度は一千二百億円投入する、満年度でいうと一千八百億円をそこに投入するというようなことをさせていただいて、三年間に限って国庫補助率を一六・四%に引き上げると、こういう措置をさせていただいているところでありますので、これについても協会けんぽの皆様方にも説明をしていきたいというふうに考えております。
#150
○丸川珠代君 それを二〇%まで、つまり一六・四%を二〇%まで増やしたとしても、子ども手当の二・四兆円に比べたら何てことない額じゃありませんか。私は、子ども手当をもらってお父さんが社会保険料が払えなくなるなんということが起きないようにしていただきたいと心からお願いを申し上げます。
 以上です。
#151
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 一般質問ということで、本日は、事故などによってある日突然にだれでも起こり得る二つの病気を中心にしましてお聞きを申し上げたいと思います。
 初めに、軽度外傷性脳損傷というこの病気についてお聞きを申し上げる次第でございます。
 この軽度外傷性脳損傷は、脳で情報伝達を担います神経線維、軸索と言われるそうでございますけれども、その神経線維が交通事故とか転倒とか、またスポーツなどで頭部に衝撃を受けて損傷し、発症する病気でございます。症状は多様にございまして、高次脳機能障害を起こすと、記憶力、理解力、注意集中力などが低下をします。また、手足の動きや感覚が鈍くなる、また視野が狭くなる、においとか味が分からなくなる、耳も聞こえにくくなる、排尿や排便にも支障を来す。重症では、車いすとか寝たきりの生活となる場合もあるわけでございます。
 これらの症状は事故後すぐに現れないことがございまして、注意深い経過の観察が必要ですが、医師からはむち打ちとか首の捻挫、こう誤って診断をされて、適切な治療が受けられずに悩んでいる多くの患者の方がたくさんいらっしゃるわけでございます。大部分は三か月から一年程度で回復をいたしますけれども、一割前後の方々は一年たっても症状が長引いて、一生涯この後遺症に苦しむこともあるわけでございます。外見からではなかなか分からないために、気のせいではないかとか仮病ではないか、こうした偏見にもさらされている厳しい現状がございます。
 私も、この軽度外傷性脳損傷の患者の皆様、家族の方々にも何度もお会いをして、大変この実態といいますか、本当につらい実態というお話を伺っている次第でございます。先日、細川副大臣には患者の方たちにお会いをいただいて、要望を受けていたとのことでございますけれども、こうした方々に対する一刻も早い対策が求められていると思います。
 そこでまず、この軽度外傷性脳損傷につきまして、これまでの政府の対応、どのような認識をまずお持ちなのか確認をしたいと思います。さらに、労災保険の中でこうした神経系統の機能に関する障害等級の認定基準はどのように扱われているのか、このことに関しましてまずお聞きをしたいと思います。
#152
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員、御質問ありがとうございます。
 まさに、静かなる流行病とさえ言われているこの軽度外傷性脳損傷、非常に重要な問題だと認識しております。
 軽度外傷性脳損傷については、交通事故などの外傷により脳が損傷し、その結果として持続する頭痛や記憶障害、倦怠感、睡眠リズムの変化等の症状が現れるものと承知しております。
 こうした方々については、二点ありまして、まず一点目は、症状が重度化し、例えば記憶障害等を伴う高次脳機能障害に当たる場合や、麻痺を伴う障害者としての認定基準に該当する場合には障害者自立支援法による福祉サービスの対象となりますが、二点目として、そうした障害の状態に至る前の診断、治療を充実していくべきとの御指摘もあると承知をしております。
 厚生労働省としては、こうした症状にある方々についてどのようなニーズがあるのか、患者団体や専門家等の御意見を十分にお伺いしながら対応を検討していく必要があると思っておりますし、また、労災に関しましては、業務上の外傷性脳損傷による残存障害の等級認定については、現在、MRI、CT等により脳の損傷が確認できるものについて認定基準を定めて運用しております。
 なお、この認定基準においてMRI、CTによる画像所見等により医学的に脳の損傷が確認できない場合についても、なかなかこの画像で確認できないケースが多いんですね、残念ながら。脳の損傷が確認できない場合についても、症状等から脳の損傷の存在を合理的に推測できる場合には、最も障害の程度の軽い障害等級第十四級の認定を行うこととしております。
#153
○山本博司君 ありがとうございます。
 この軽度外傷性脳損傷の方々、大変今の現状の中での支援ということでは厳しいわけでございまして、こうした方々の救済ということを考えていった場合には、まずこの病気の診断基準、この確立をすることが課題ではないかと思うわけでございます。
 この医学界におきましても、軸索損傷に関する論文というのが出され始めておりまして、本格的な研究体制の整備が急務であると思う次第でございます。
 一説では、国内患者数は推定でも数十万に上るのではないかという推計もなされております。こうした方々、早期に全国調査を行うとともに、この軽度外傷性脳損傷の方々、実態把握とか原因の解明、また治療のガイドラインを確立をするための研究を推進する、このことがまず大事ではないかと思います。
 今、厚生労働省では、厚生労働科学研究費の補助金事業というのがございます。こうした事業に積極的に取り上げて推進をしていく、このことを強く思うわけでございますけれども、大臣、この点に関しましてはいかがでございましょうか。
#154
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃられた軽度外傷性脳損傷については、持続する頭痛、記憶障害、倦怠感、睡眠リズムの変化等の症状が現れる疾病であると承知をしております。
 この外傷性脳損傷の方で記憶障害等を伴う高次脳機能障害の状況になった方の研究については、これまでも科研費で実施をしているところでございます。その意味で、今御指摘の軽度の外傷性脳損傷についての研究というのは、これまでその部分については十分に行われたものではないというふうに考えておりますので、これをどういう形で今後研究を進めていくかについてはよく検討していきたいと思います。
#155
○山本博司君 この軽度外傷性脳損傷の方々、現実的には日本の中で、今大変実態の部分を含めて、非常にまだまだ厳しいのが実態でございます。
 じゃ、一方、世界、アメリカとかそういう分野ではどうこういったものをとらえているかということでございますけれども、この外傷性脳損傷、先ほど政務官からもございましたけれども、静かなる流行病と世界的に関心を持たれているわけでございます。
 これは、世界保健機関、WHOが二〇〇七年に外傷性脳損傷に関する勧告文を発信をしております。その中で、この外傷性脳損傷という静かな、そして無視されている流行病に関して、全世界で闘いを組織しようと、この呼びかけがこのWHOの勧告文にあるわけでございます。そのWHOによりますと、外傷性脳損傷、軽度のほかにも中度、重度も含みますと、世界で毎年一千万人がかかり、十万人当たりの発生頻度が百五十人から三百人ということが言われております。また、WHOは、外傷性脳損傷が二〇二〇年には世界第三位の疾患になると、こういう予測もしているわけでございます。
 また、アメリカの疾病対策センター、CDCが発表しました二〇〇三年の外傷性脳損傷に関する連邦議会報告書によりますと、アメリカでは毎年百五十万人が外傷性脳損傷にかかり、五万人が死亡、八万人から九万人が後遺障害者となり、その累計数は米国人口の二%に当たる五百三十万人に達すると、このようにも言われているわけでございまして、アメリカでは外傷性脳損傷は公衆衛生学上の重要課題として認識されておりまして、一九九六年のクリントン政権時には外傷性脳損傷法という法律も制定をされているわけでございます。
 最近では、アフガニスタンやイラクの戦地から帰還した米兵の中に爆風の衝撃などで軽度外傷性脳損傷が多発をしているために、オバマ大統領は軽度外傷性脳損傷を軍医療上の最重要課題と認めて対策強化策を打ち出しております。アカデミー賞の受賞されました「ハート・ロッカー」という、これも爆弾の処理班ということでございますけれども、この処理班の方々がその後人生どうなっているかという、様々な形でこの軽度外傷性脳損傷に大変多くかかっているということもアメリカでは指摘をされているということで、大変重要な部分でございます。
 こうした海外での状況を踏まえて、我が国でもこうした軽度外傷性脳損傷に関しまして対策を強化すべきと考えるわけですけれども、大臣はこの二〇〇七年のWHOの勧告、政府としてどのように受け止めておられるんでしょうか。
#156
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃられたように、二〇〇七年にWHOが、損傷後、最初に患者を診るお医者さんが患者さんの意識レベルを評価するための基準を報告しているというものであると承知をしております。ただ、この中には後遺症の基準とかあるいは確定診断の基準というのが示されているわけではありませんので、やはり我が国におきましては、まず診断のガイドラインといいますか、そういう基準を決める必要があるんではないかというふうに思います。
 その意味で、先ほども答弁申し上げましたように、これまで十分な医学的な知見があるものではありませんので、我が国において、日本においてどのように研究していくか、あるいは診断のガイドラインをどうやって決めていくのかについて検討を進めていきたいと思います。
#157
○山本博司君 この軽度外傷性脳損傷、WHO勧告と比べると非常に日本の認識というのは少ない。担当者の方ともお話ししてもこの内容に関しては知らなかったこともございますし、細川副大臣もいらっしゃいますから、今日は軽度外傷性脳損傷、お会いをされた方々が来ていらっしゃいますけれども、やはりWHOの勧告、この基準を少しでも日本としてもこの研究を含めて推進をしていただければと思うわけでございます。その意味で、今この研究事業のこの対象ということで是非とも推進をしていただきたい、また強力に応援をしていただきたいと思う次第でございます。
 その中で、もう一つ別の観点で少しお話を申し上げたいと思います。
 日本の医療現場で、CTとかMRI、画像診断が重視されております。先ほども山井政務官からこのお話がございました。ところが、この軽度外傷性脳損傷では、軸索とともに近くを走る血管が損傷をされて出血が起こらないと、通常のMRIでは脳病変が画像に出ないわけでございます。また、出血巣も時間がたつと吸収をされてしまいますので、よってこの軽度外傷性脳損傷の軸索損傷が必ず画像に出るとは限っておらないわけでございます。ですから、現在、軽度外傷性脳損傷の多くの患者はこの軸索損傷に由来する数々の臨床の症状を認めながらも画像診断では異常なしと、こういう判断をされるわけでございます。ですから、そのため、自賠責とか労災で脳の症状と事故との因果関係、これが認定をされませんので、就労が困難であっても正当な賠償や補償を受けられないで大変困って、困窮しているケースが頻発をしているというのも大変放置できない問題も、この問題という形ではあるわけでございます。
 こうした画像診断に出ない患者に対しましても、総合的な診断によって障害等級を決定すべきと考えるわけでございまして、労務困難な場合には、労働損失の補償という観点から労災保険の障害等級の認定基準の等級の適切な見直しなどが必要であるのではないかな、これが多くの皆様の大変声でございます。この点につきまして認識をお伺いをしたいと思います。
#158
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
 画像所見等により医学的に脳の損傷の存在が確認できない場合であっても労災認定をするよう基準を見直すことについては、高次脳機能障害等を的確に診断する手法がまだ確立しておらず、医学的な根拠がまだ乏しい状況にあるため、現時点ではその見直しはなかなか困難であると認識しておりますが、石橋医師によりましても、数十万人ぐらい患者の方がおられるのではないかという推計も出ておりますし、また、数年たって初めてこの病気であるということが分かるという方もおられますので、その意味では引き続き医学的な知見の収集に努めてまいりたいと考えております。
#159
○山本博司君 そうしますと、先ほどの部分を含めましてこの軽度外傷性脳損傷の方々、これからこうした診断基準を含めてガイドラインという形で進めていく場合には、大臣、今後の認識としては、まずそうした科学研究を具体的に進めて、その後、臨床研究、ガイドライン、そして先進医療という形での保険適用とか様々な形でそれを進めていくという形で進めていけばいいということでしょうか。
#160
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃっていただきましたけれども、画像診断もいろいろ問題のある、そこに映らないということもございますので、この軽度外傷性脳損傷についてはまず医学的知見を蓄積をしていくということで、診断のガイドラインをやはりまずどうやれば作っていけるのかという前提となる研究をどうやって始めるのかということがまず前提にあるという今段階だというふうに考えております。その意味で、今後どういう形の研究が適切であるかについて省内でまずは検討をしていきたいというふうに考えております。これはもちろん、診断技術の確立ということもその研究の中には含まれるわけであります。
#161
○山本博司君 今、軽度外傷性脳損傷の方々、患者の方々、こういう部分で模索をされているわけでございますので、是非ともそういう道筋を付けていただきたいと思います。
 そして、もう一つ、画像診断技術のことで御質問をしたいと思いますけれども、軽度外傷性脳損傷ではCTとかMRIの画像に脳病変が出ないということが、大きな問題があるわけでございます。この軸索損傷を抽出する最先端の画像診断技術であります拡散テンソルトラクトグラフィーという、こういうDTIという研究も進んでおられまして、こうした臨床応用の場合、画像の再診断の技術、大変重要であると思うわけでございます。例えば、乳がんの早期発見にはマンモグラフィーが大変大きな効果を発揮しておりまして、画像の診断技術の開発という点では、我が国が技術立国としましても今後飛躍的に重要な一分野と考えるわけでございます。
 こうした技術開発の促進支援、大臣、積極的に進めていくべきと考えますけれども、この点、見解をお伺いをしたいと思います。
#162
○国務大臣(長妻昭君) 画像診断機器をどういうように活用していくかも含めて研究するように検討していきたいというふうに思います。
#163
○山本博司君 ありがとうございます。
 やはり、軽度外傷性脳損傷のこの今本当にこうした法のはざま、様々なこういう社会保障の仕組みに入ってこない方々、大変そういう全国で声を上げていらっしゃるわけでございますので、そういう声をしっかり受け止めていただきながらお願いをしたいと思います。
 続きまして、もう一つの病気でございます脳脊髄液減少症に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 この脳脊髄液減少症に関しましても、同じように交通事故、転倒、スポーツ外傷などの体への強い衝撃が原因で脳脊髄液、まあ髄液が漏れまして、この髄液が減るために大脳や小脳が下がって神経や血管が引っ張られて頭痛や目まい、耳鳴りとか吐き気、倦怠などの症状が出る疾患でございます。自律神経失調症やうつ病などのほかの疾患と誤診をされたり、単なる怠慢ではないかということで扱われて理解をされない事例も同じように多くございます。患者の皆さんにとりましては、一日も早い診断、治療法の確立が求められているわけでございます。
 そうした中で、この髄液漏れが起きている部分に患者自身の血液を注入をして漏れを防ぎますブラッドパッチ療法でむち打ちの症状が改善をしたという報告が相次いで、こうした関心を集めているわけでございます。この脳脊髄液減少症につきましては、四月十二日に長妻大臣は患者団体の方々とお会いをし、ブラッドパッチ療法の次期診療報酬改定での保険適用に大変前向きな姿勢を示されたとのことでございますけれども、また厚生労働省は、四月十三日に脳脊髄液減少症の疑いがある患者の検査に関しまして保険診療の対象とするよう周知徹底する通知を全国の自治体に出しました。
 そこでまず、この事務連絡の概要に関しまして御説明をいただきたいと思います。
#164
○政府参考人(外口崇君) いわゆる脳脊髄液減少症に関する検査等の保険適用につきましては、都道府県間で取扱いに相違があるとの御指摘をいただいておりましたことから、去る四月十三日に保険局医療課より地方厚生局や都道府県、医療関係団体に対して事務連絡を発出し、その取扱いを明確にしたところであります。
   〔委員長退席、理事森ゆうこ君着席〕
 その内容は、頭痛等の症状が出て初めて受診された場合は、その原因が分からないことから診断に至るまでの検査等の費用は保険請求できる、診断が付いた上でブラッドパッチ療法を行うことについて同意した場合、同意以降に行われるブラッドパッチ療法及び関連する診療からは保険請求できない、最初からブラッドパッチ療法を目的とした場合は保険請求できない、ブラッドパッチ療法を行った結果、症状が改善し、いったん通院が不要となった場合であって、再度同様の症状等が出現した場合については必要な検査等の費用は改めて保険請求できる。
 以上であります。
#165
○山本博司君 ありがとうございます。
 これに関しましては、これまで本当に地域によってばらつきがあるという現状を何回も私ども指摘させていただきましたけれども、当たり前のことが当たり前になっただけという、こういう指摘もございますけれども、検査の保険適用につきましては、是非こうした事務連絡を含めた周知徹底を更にお願いをしたいわけでございます。
 また、その際、今日も患者の方来ていらっしゃいますけれども、この事務連絡、大変これ分かりづらい、もっと国民に分かりやすい形でのそういう工夫も是非お願いをしたいということもございましたので、お伝えを申し上げたいと思います。
 この脳脊髄液減少症につきましては、二〇〇七年度より厚生労働省の厚生労働科学研究事業の一つといたしまして、脳脊髄液減少症の診断、治療法の確立に関する研究班が設置をされまして、髄液漏れと症状との因果関係を明らかにし、診断基準の作成、治療方法の確立、さらにだれが見ても納得できる診療指針であるガイドラインの作成を目的にこの研究事業が進められてきたわけでございます。
 ところが、残念ながら、当初予定の三年間の研究期間内では、科学的な根拠に基づく診断基準を作るために必要な数の症例を得るには至りませんでした。そこで、症例百例を目指して今年度も研究を継続をしていくということになりまして、百例が集まった時点でガイドラインを作成すると、こう理解をしているわけでございますけれども、大臣に、今後の研究事業の見通しに関しましてどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
#166
○国務大臣(長妻昭君) これも研究事業が二十一年度までで終了してしまうんではないかということで御心配をいただきましたけれども、これは二十二年度も継続をしてやっていこうというふうに考えております。
 研究の名前は脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究ということで、最大平成二十四年度まで実施可能になっておりまして、二十二年度二千五百万円の研究費を付けさせていただいております。これについて、速やかに診断のガイドラインをまとめていただくということを我々はこの研究に期待をして、その中身について随時報告を受けてまいりたいと考えております。
#167
○山本博司君 ありがとうございます。
 今年度に今お話がございました脳脊髄液減少症の診断基準の作成、そして来年度にはブラッドパッチ療法の診療のガイドライン、さらに二〇一二年度には保険適用という、当初描いていたスケジュールになるとすれば、大臣が示されておりました次期診療報酬の改定に間に合うと思いますので、是非とも強力に推進をしていただきたい、そのことを思うわけでございます。
 公明党はこうした患者の団体からの要請を受けまして、二〇〇二年から脳脊髄液減少症の問題に取り組んでまいりました。当時、公明党以外の方々、どの党も余り取り合わなかった問題でございましたけれども、二〇〇四年の三月に遠山清彦参議院議員、今は衆議院でございますけれども、参議院の厚生労働委員会で研究推進などを要請をしました。また、古屋衆議院議員もこのブラッドパッチ療法とかの研究と保険適用を求める質問主意書を二〇〇四年には出しております。また、十二月には浜四津代表代行らが脳脊髄液減少症患者支援の会の代表とともに、当時の西厚労副大臣に約十万人を超える署名簿を添えまして治療法の確立とかブラッドパッチ療法への保険適用などの要請をしたわけでございます。二〇〇六年には脳脊髄液減少症のワーキングチームを公明党に発足をしてこの推進をさせていただきまして、三月には渡辺参議院議員が質問をした経緯で、やっと二〇〇七年から先ほどございました研究班が設置をされたという経緯がございました。
 さらに、やはり都道府県でも地方議会とまた患者団体の方が協力をし合って、連携をして、行政にもこの脳脊髄液減少症ということを知っていただこうということで働きかけをされたわけでございます。二〇〇七年には、全都道府県におきまして脳脊髄液減少症の治療推進を求める意見書が採択されております。現在、四十二の府県の公式ホームページで脳脊髄液減少症の治療可能病院ということが公開されるなど、対策が進んでいるわけでございます。
   〔理事森ゆうこ君退席、理事小林正夫君着席〕
 このように、我が党は八年前からこの問題に取り組んでまいりましたが、こうした課題というのは本来やっぱり超党派でしっかり取り組むべき課題だと思います。いよいよその時期がもう来たんではと思うわけでございますので、どうかこのブラッドパッチ療法の保険適用に向けて、もう具体的に、段階になってきたと思いますから、着実に進むように是非ここは長妻大臣の御尽力をお願いをしまして、是非とも推進をしていただきたい、このことをお聞きをしたいと思います。認識をお聞きしたいと思います。
#168
○国務大臣(長妻昭君) まず、診断のガイドラインを作成をするということが大前提になってまいります。今度はきちっと必要な症例数を確保をして、その診断のガイドラインの作成を目指していきたいということに、まずはこの研究を途中の報告も含めて見ていくということであります。改めてこの研究の責任者に今日の質疑もお伝えをして、国会でもかなり期待が高いということを伝えていこうと思っております。
#169
○山本博司君 是非ともこの脳脊髄液減少症、全国のそういう患者、家族の方々、大変期待をして、やっと研究事業から具体的な形で進めていくという形でございますので、先ほどの軽度外傷性脳損傷の方々はそのまだ先でございますけれども、一つ一つこういう福祉の枠から本当に外れた方々に対するそういう支援を、もう是非とも新しい福祉ということでお願いをしたいわけでございます。
 続きまして、これまでお聞きをしてきました二つの病気、症状によって含まれると思いますけれども、交通事故とか脳卒中などによる脳の損傷で記憶とか思考の機能が低下する高次脳機能障害についていち早く取組が進められて、支援事業が実施されていると思います。
 そこで、この高次脳機能障害の支援普及事業、こういった方々、どう支援をしているかという体制をお聞きをしたいと思います。
#170
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員、御質問ありがとうございます。
 この高次脳機能障害に関しましては、障害者自立支援法に基づくサービスの対象であることを丁寧に周知してもらうよう、障害保健福祉関係主管課長会議等で繰り返し都道府県に対して依頼をしております。
 また、国立障害者リハビリテーションセンターが都道府県等と連携し、平成十三年度から平成十七年度までの間、計十二地域において、全国に普及可能な支援体制を確立するためのモデル事業を実施しております。
 また、三番目に、モデル事業の結果も踏まえて、平成十八年度より、患者、家族からの相談への対応や普及啓発活動等を行う高次脳機能障害支援普及事業を開始しました。
 そして四点目には、高次脳機能障害支援普及事業はこれまでに全都道府県で実施されております。この普及事業においては、高次脳機能障害に関する支援の中核となる支援拠点機関を置き、障害の方やその家族の方に対する専門的な相談支援、医療機関を始めとする関係機関とのネットワークの充実、障害に関する研修による普及啓発等を実施しております。
#171
○山本博司君 是非とも、この支援体制の強化ということをお願いをしたいわけでございます。
 この支援普及事業の中には、障害のある方とか家族にとりましては大変重要な事業でございまして、診断、治療から社会復帰という連続したケアを本当にどうするのかという意味では充実が求められているわけでございます。しかし、残念ながら、この支援拠点機関というのは、全国によりましてばらつきといいますか、立ち上がったばかりのところもございますし、地域によるばらつき、格差がございます。ですので、こうした方々に対する支援サービスの質の均てん化というのは大変大事だと思います。その点に関しましてはいかがでしょうか。
#172
○大臣政務官(山井和則君) 全国どこの地域に住んでおられても、格差なく安心して生活できるようにする体制がつくることが重要であると考えております。高次脳機能障害の方や家族などから相談への対応等を行う支援普及事業は全都道府県で実施されているが、その中で、支援の中核となる支援拠点機関、病院や福祉施設などは、平成二十二年の四月一日現在、四十六都道府県で六十三か所設置されておりますが、今年度中には全都道府県で設置される見込みとなっております。
 この各都道府県の支援拠点機関で相談対応や普及啓発の業務を行う支援コーディネーターの支援技術の向上を図るため、平成二十一年度から国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、専門的な研修や支援コーディネーター同士で意見交換を行う全国会議を開催しております。
#173
○山本博司君 この高次脳機能障害の方々、そういう様々な支援強化という意味で、よろしくお願いをしたいわけでございます。
 それでは、こうした高次脳機能障害の方々たくさんいらっしゃいますけれども、先日、私は厚生労働委員会で、総合福祉法、障害者自立支援法を廃止して、総合福祉法が議論をされておりますけれども、発達障害の方々の意見、これをどう反映するかということを質問をさせていただきました。今この制度改革推進会議で部会等を開きまして、昨日も制度推進会議が開かれたということを聞いております。
 この中に、じゃ高次脳機能障害の方々、こういった方々の意見をどう集約をしているのか、このことに関しまして、内閣府の方よろしくお願いしたいと思います。
#174
○政府参考人(松田敏明君) 御説明申し上げます。
 今、先生御指摘のございました総合福祉法の制定に向けまして、私ども内閣府で障がい者制度改革推進本部の下に障がい者制度改革推進会議と、こういうものを設けて各分野にわたります検討を進めていただいているというふうなことでございますが、この中で、特に総合福祉法の制定に向けまして総合福祉部会、こういうものを新たに設けまして、この中に関係団体の方にもメンバーとして参加をしていただいているというところでございます。
 また、発達障害者につきましても、総合福祉部会におきまして関係団体の方にメンバーとして参加していただいておりますほか、昨日の親会議におきましても自閉症に関係する団体からのヒアリングを行ったところでございます。
 今後とも、障害の関係者の方々の意見を十分踏まえながら、制度改革に精力的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#175
○山本博司君 今、高次脳機能障害の方々も入っているということでございますね。
 今、障害者のこの総合福祉法ということをどうするかということで、様々団体の方、ヒアリングをされていると思います。その中で、この障害の範囲ということをどう見ていくかということが大事な分野でございまして、この障害の範囲、今までですと三障害を含めた形の部分でございましたけれども、やはり発達障害とか難病とか高次脳機能障害の方々とか、所得とか住宅の確保とか生活支援の分野でのサービス拡充にこうした方々の範囲に入るかどうか、このことによって大きな変化が生ずるわけでございます。
 大臣、こうした、現時点でございますけれども、この障害の範囲の拡大ということ、この高次脳機能障害の方々も含めましてどのような今認識でおられるんでしょうか。
#176
○国務大臣(長妻昭君) まず、御存じのように、今の時点でも発達障害や高次脳機能障害については脳の機能障害としてとらえられておりまして、障害者自立支援法に基づく福祉サービス等の対象となっておりまして、予算措置で二十二年度からは低所得者の方は福祉サービスは無料ということにさせていただいております。
 その一方で、いわゆる制度の谷間と言われておりまして、難病等で障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス等の対象とならない方々もいらっしゃいます。そういう方々についてはどう扱うかということで、私どもは以前から制度の谷間がない、そして利用者の応能負担を基本とする新たな総合的な制度をつくると、こういうことを申し上げておりますので、その議論の過程でその扱いについても決定をしていきたいと考えております。
#177
○山本博司君 是非とも、この障害者、漏れない形での範囲の拡大も含めて検討をしていただければと思うわけでございます。
 今日は、脳脊髄液減少症とか軽度外傷性脳損傷と言われた方々の、二つのこうした制度の谷間で大変御苦労をされている方々の部分でございますけれども、こうしたある日突然、事故、交通事故等に遭って今までの生活が一変してしまったと、そういう方々が孤立しないで地域で暮らすことができると、そういう意味で福祉的な支援の策の充実ということが大変大事でございます。
 私たちは、この障害があるなしとか年齢等にかかわりなく、安心して暮らせるユニバーサル社会の形成を推進をする必要があるわけでございます。最後に、こうした考え方、大臣の御見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
#178
○国務大臣(長妻昭君) 今言われたユニバーサル社会というのは、私が理解するのには、年齢、性別、障害の有無などにかかわらず、だれもが暮らしやすい社会を目指すということだと思います。
 私も、今少子高齢社会の日本モデルをつくろうということでビジョンづくりをしておりますけれども、まさにこういうユニバーサル社会というのも一つの少子高齢社会における日本モデルの到達、ゴールではないかというふうに考えておりまして、こういう考え方に基づいて、具体的には、障害者自立支援法に代わる制度というのを具体的に今議論をしているところであります。
#179
○山本博司君 是非とも大臣、この様々、大変御苦労されている方々の支援を強力にリーダーシップを持って発揮をしていただきたいと思います。
 以上でございます。
    ─────────────
#180
○理事(小林正夫君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、木庭健太郎君が委員を辞任され、その補欠として弘友和夫君が選任されました。
    ─────────────
#181
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 後ほど採決される年金遅延加算法について、これは、公布日以前に支給された場合には遅延加算金が自動的に加算されるけれども、それ以後は申請しないと駄目だということで、公布日前に支払を行われた方が漏れなく手続できるように個別に周知をしていただきたいと。それから、手続も簡略化していただきたいと。質問しようと思っていたんですが、さっき答弁ありましたので、もうその線できちっとやっていただきたいということで、答弁を求めません。
   〔理事小林正夫君退席、委員長着席〕
 その上で、最低賃金について聞きたいんですが、大臣は、二〇〇七年、最低賃金法改正のときに、一般的な働き方をしたときに最低賃金が生活保護を下回らないという哲学があるかと問いかけて、当時の柳澤大臣も、最低賃金は生活保護を下回らない水準にすると答弁をしているんですね。
 厚生労働省、参考人にお伺いしますが、現在の時点で最低賃金が生活保護水準に到達していない都道府県どれだけあるのか、乖離を簡単にお示しください。
#182
○政府参考人(金子順一君) 下回っております都道府県でございますが、全部で十都道府県でございます。二十一年度の数字でございます。
 具体的な乖離額ですが、最大は神奈川県の四十三円、最小が青森県の六円となっております。
#183
○小池晃君 いまだに十都道府県が下回っているわけです。これは今日お配りした資料を厚生労働省から示していただきました。
 これによると、例えば東京は三十五円、大阪は十二円引き上げれば生活保護水準を上回ることになるんですが、大臣、もちろんこの状態の改善、解決は必要だと思うんですけれども、これだけ上がれば本当に生活保護水準の生活ができるようになるのか、大臣の見解をお聞きします。
#184
○国務大臣(長妻昭君) まずは、これは法律でも規定が、最低賃金法でもある趣旨というのは、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮すべきと、こういうふうに解釈されると思いますので、今おっしゃられた、下回っているものを下回らないようにするというのは一つの大きな課題であるというふうに考えております。
 その賃金で生活ができるか否かということでありますけれども、これについてはナショナルミニマムということもございますけれども、生活保護と異なりまして、これは貯金がどの程度あるのかなどなど総合的に判断されるべきものだと思います。
#185
○小池晃君 数字の上でこの乖離がなくなったからといって、生活保護水準の生活できるということは、そうはなっていないという実態があります。
 今日お配りした資料の二枚目はその事実を示すものでありますけれども、大阪の労働組合、大阪労連が実態、労働生活相談の中で出た具体的な事例です。
 例えば、三つ例を挙げているんですが、最初の例、清掃委託の会社で勤務する六十二歳の男性ですが、これ、時給は地域最賃を七円上回る七百七十五円。一日七時間、月二十一日働いて、一か月の給料は十一万余り。ここから税、社会保険料を取ると、手取りは十万円切るんですね。それで、これでは生きていけない、暮らしていけないということで相談に来られて、生活保護申請して、これは勤労に必要な経費の控除も認められて、支給されることになりました。
 二つ、残り二つも全部フルタイムで働いて生活保護受給に至っているんです。
 大阪では時給十二円引き上げれば生活保護水準になるはずなんですが、この方々の場合は、一時間当たりの賃金三百円以上引き上げないと、これは生活保護水準になりません。
 問題は、何でこんなことになるのかなんですが、ちょっと厚生労働省にお聞きしますけれども、厚労省が最低賃金と生活保護水準を比較する際に、一か月の賃金額を出すときの労働時間の基準を百七十三・八時間としていると。この根拠を示していただきたいのと、これについて審議会で問題点指摘の意見はありませんか。
#186
○政府参考人(金子順一君) 今委員から御指摘がございましたけれども、最低賃金額と生活保護の水準を比較するに当たりましては、最低賃金額が時給でございますので、月額換算して比較する必要があるわけでございます。その際、どういう数字を使うかでございますが、今、最低賃金審議会で使っておりますのは御指摘のございましたような法定労働時間でございます。これは平成二十年度の最低賃金審議会におきまして、使用者側はこの法定労働時間の採用を主張しておりました。労働者側は所定内の実労働時間の方を使うべきだと、こういう議論がございました。結局、その審議会での議論としては、公益委員が引き取る形で今使っております法定労働時間の方が採用されたと、こういう経緯になっておるところでございます。
 これは、最低賃金はすべての労働者に適用されるものでありますとか、生活保護との比較によって、引上げ額を計算する上での実務上安定的に行う必要があるとか、そういった点が配慮されて、この審議会での議論を踏まえて、審議会としての取扱いというものが決められたというふうに理解をしております。
#187
○小池晃君 今の経過なんですが、これ月百七十三・八時間だとすると、年間では二千八十五・六時間になるので、これ実際には所定内で二千時間を超えて働くことなどできませんから、労働側が小委員会で主張したことは私はこれは当然だと思うんです。
 続いて厚生労働省、もう一回聞きますが、一般労働者の月の所定内実労働時間は昨年の毎月勤労統計では何時間でしょうか。
#188
○政府参考人(金子順一君) 平成二十一年の毎月勤労統計調査におきまして、規模五人以上でございますが、調査産業計で百五十三時間となっております。
#189
○小池晃君 ですから、百七十三・八時間の厚労省の基準と、だから実労働時間とでは月当たり二十・八時間の差がある。その分、現実の最低賃金水準よりも水増しされることになるわけであります。
 大臣、私、お聞きしたいのは、一般労働者の現実の所定内実労働時間を働けば生活できるだけの賃金を保障すると、これがやっぱり当たり前じゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
#190
○国務大臣(長妻昭君) これは基準をどこに持っていくかという大変悩ましい議論でもあると思いますけれども、これは最低賃金審議会で、これは普通の審議会ではなくて、労使そして公益委員ということで、労働側、使用者側の代表が入った議論の中で、この法定労働時間を使っていこうという一つの決めがなされたわけでございますので、今の段階ではまずこの基準でクリアをしていない最低賃金の地域もあるということでもございますし、我々新政権では最低賃金そのものを更に上げていこうということを目指す施策も出しておりますので、まずは最低賃金の底上げを図っていくということであります。
#191
○小池晃君 まずは、まずはと言うけれども、新政権になったんだから、自公政権時代の数字をそのまま使って、実際には働けない労働時間を根拠にしたんでは本当に必要な最低賃金額が出てきませんから、これはきちっと、これはすぐできるはずですから、一か月賃金、所定内実労働時間で計算すべきだと思います。
 民主党はそもそも、昨年の総選挙で最賃全国平均千円を目指すと公約をしました。ところが、昨年の最賃引上げでは高いところで東京で二十五円、これ七百九十一円になりましたけれども、佐賀、長崎、宮崎、沖縄、こういったところは一円から二円しか増えていないんですね。全国加重平均で七百十三円、対前年比で十円の増額、仮に今後このペースでいったら、平均千円になるには三十年近く掛かるわけです。時給八百円程度の賃金ではこれは生活維持も困難ですし、労働意欲にもつながりません。中小企業に対する支援、もちろん必要ですけれども、フルタイム働けば生活できるという賃金保障は私はこれは最低限必要だと思うんです。
 今年の中央最賃審議会では、今の時点では何の議論も行われていません。このままではゼロに近いんではないかという悲観する声も出ているんですね。大臣、やはり政治主導というのであれば、審議会任せにせずに、大臣のイニシアチブを発揮をして平均千円といったことに近づける、そのイニシアチブを今こそ発揮すべきじゃないですか。
#192
○国務大臣(長妻昭君) まずは、これはマニフェストでも申し上げておりますけれども、全国最低賃金八百円を想定をしようということで、これはマニフェストでもあるように、一期四年の中で実現をしようということでございます。そして、今、調査の経費も付けまして、最低賃金を上げていくには、例えば中小企業にとってどういう問題が発生するのか、その問題を解決するためにどういう別の政策、中小企業支援等が必要なのかということについて調査を開始をしております。その調査結果が夏ごろまでに出ますので、その調査結果も踏まえて、我々は最低賃金の底上げを図っていきたいと考えております。
#193
○小池晃君 いや、選挙のときと大分違うじゃないですか。そんなことを言ったら、八百円だって十年ぐらい掛かっちゃいますよ、今のペースで十円ずつだったら。
 私は、これは日本経済の回復のためにやっぱり今こそこういう分野が必要なんだというのが民主党の主張だったんだし、これはやっぱりちゃんと実現できる、そういう手だてをしっかり政権として示すべきですよ。そのことを強く求めたいと思います。
 それから、変形労働時間制についてもお聞きしたいんですけれども、四月七日に、全国で約百九十店を展開するパスタチェーンの洋麺屋五右衛門、ここのアルバイトの店員さんが、変形労働時間制の不当な適用で支払われなかった残業代を請求した訴訟で、この変形労働時間制を無効として、未払残業代、懲罰的損害金、こういったものを合わせて支払うように命じる東京地裁の判決が出ました。
 厚生労働省にお聞きしたいんですが、現時点で変形労働時間制はどれだけの職場で導入されていますか。
#194
○政府参考人(金子順一君) 変形労働時間制を採用している企業数割合でございますが、一年単位の変形制の場合三五・六%、一か月単位の変形制で一五・五%、全体では五四・二%というふうになっております。
#195
○小池晃君 全体の五割も導入されているんですね。やっぱりこれ、きちんとやられていないと大変なことになると思うんです。
 このケースでは、労基署は変形労働時間の違反を認めたんです。是正指導をしたんですが、会社はそれに従わずに、二年分のところを一か月分しか是正しなかったんです。ですから、労働者は訴えて、不足分の請求と、悪質な場合に裁判所が認定する付加金、これを求めた裁判なんですよ。
 大臣、元々こういう、本当に今、業界は低賃金です。非常に劣悪な労働条件です。そこで働いていた上に、不誠実な態度で、労基署の指導にも従わずに残業代払わないということは許されない。しかも、それを裁判所に訴えなければ解決しないということでいいんでしょうか。
 大臣、私、少なくともこの洋麺屋五右衛門というところでは、アルバイト、有期雇用で同じような労働時間管理に置かれている人が六千人もいるというんです。私は、裁判と同様のこういう実態がないかどうかを総点検する必要があるんではないかと思いますが。
 私は、大臣、裁判について聞いているわけじゃないから、個別事例と逃げないで、やっぱりこれは労働行政として総点検するということが必要じゃないかと思いますが、いかがですか。
#196
○国務大臣(長妻昭君) 今言われた個別の事業者の中身のコメントというのは差し控えますけれども、一般論としては、労働基準監督機関としては、申告人以外の労働者にも共通する問題が認められた場合は、当然、併せて是正を求めるということをしていくわけであります。
 そして、今おっしゃられた変形労働時間制でありますけれども、これについて、これを本来の趣旨とは違って運営をしていくということは、これはあってはならないわけでございますので、我々はこういう観点も着目をして、今後とも適切に監督指導を実施をしていこうと考えております。
#197
○小池晃君 いや、ほかにもある可能性があるんじゃなくて、これは大いにあるじゃないですか。だって、労基署の指導に従わないでやっているんですよ。裁判でようやくこれが認定されたんですよ。だから、私はここに対してはちゃんと点検に入るべきだと思いますが、どうですか。点検するかどうか答えてください。
#198
○国務大臣(長妻昭君) 個別のことを国会のこの場でお答えはできませんけれども、今申し上げた趣旨のとおり適切に、ほかの申告者以外の方にも同様の法違反が認められるという場合は、その是正を図るようにきちっと指導をしてまいります。
#199
○小池晃君 きちっと指導をしていただくように、これはこっちでこれからも見守りたいというふうに思います。きちんとやってもらわないと困ります。
 今回のように、アルバイトなど有期労働者が圧倒的な店舗で働いて、シフトの勤務の変更というのはもう日常茶飯事なんですよ、こういうところは。勤務直前で突然労働時間が変わる、こんなことがしょっちゅう起こるわけですね、こういうところは。私は、こういう職場ではそもそも変形労働時間制認めるべきでないと思いますが、大臣、いかがですか。
#200
○国務大臣(長妻昭君) これは、変形労働時間制というのが一定のルールの下これが認められているということが今までもなされておりますので、単に、例えばアルバイトの労働者が多い職場だから認めないとか認めるとか、職場によって差は付けるべきものではないというふうに考えております。
#201
○小池晃君 いや、でも、現実にこういうことが起こっているんだから、やっぱりしっかり問題意識持ってやってもらわないと困りますよ。やはり、こういう事態を放置することは許されないというふうに思いますので、この問題、引き続き私、取り上げていきたいというふうに思います。
 それから、今日ちょっとどうしても、時間がないので、最後やりたいのは、先ほども議論ありましたけれども、B型肝炎の問題です。
 今、原告団、弁護団の皆さんが厚生労働省の前で座込みをされていて、私、昼休みに行ってまいりました。先ほど責任ある対応ができないから会わないんだというふうにおっしゃったけれども、私はとんでもないと思うんですよ。だって、会わなければ責任ある対応策ってできるんですか。会って話を聞くのが責任ある対応策をつくり出していくその第一歩になるじゃないですか。
 大臣が記者会見で言ったんです、省内でA案、B案、C案、検討していますと。そのA案、B案、C案なるものの中身は全く明らかになっていないんですよ。これは、密室で官僚と一緒に検討して答えが出るんですか。
 舛添大臣は厚生労働大臣時代のことを回顧録を書いていて、そこで薬害肝炎のときのことを言っているんです。何て言っているかというと、役人がはじき出してきた二兆円という数字があったと、それに対して弁護団が出してきた数字は全く違ったと。問題が解決した今から振り返ってみると、原告弁護団の数字の方が実態に近かったと、こういうふうにおっしゃっているんですよ。
 やっぱり補償の水準考える上でも、実際に訴えている原告団、弁護団に話を聞くということをやって初めて責任ある対応ができるんじゃないですか。だから、そのためにも私は会うべきだと思いますが、いかがですか。
#202
○国務大臣(長妻昭君) 私が先ほど申し上げましたのは、責任ある発言ができるというときにお会いをしてお話をするということを申し上げたところでありまして、当然、省内で過去のいろいろな事例の分析をする、その情報というのは省内にとどまらず、関係各省庁とも、今事務方同士も連絡協議をする、そして関係閣僚も協議をする、そして総理大臣を中心として議論もし協議をするということで、もう期限が迫っておりますので、それに向けて一つ一つ議論をして、責任ある発言ができるように努めていくということであります。
#203
○小池晃君 責任ある発言ができないから会わないって、私は勘違いしていると思いますよ、国民は何のためにあなたたちに政権を渡したんですか。責任ある回答ができないから会わないなんて、そんな対応をするために政権渡したんじゃないですよ。野党のときだったら、真っ先にあなたたち駆け付けて会いなさいと言っていたじゃないですか。今も座り込んでいるんです、今日の夕方までも。行って手を握って話を聞くと、そういうことをやるのが新しい政権の仕事なんじゃないですか、それを期待して国民はあなたたちに政権を渡したんじゃないですか。こんな冷たい官僚的な対応をするために政権交代したんじゃないですよ。山井さん、どうですか。
#204
○大臣政務官(山井和則君) 小池委員にお答えを申し上げます。
 本当に、そういう御質問いただくと、私も非常に責任を感じます。先ほども丸川委員に答弁をさせていただきましたが、肝炎対策基本法そして核酸アナログ製剤の医療費助成、この四月からスタートをしました。そして、一刻も早く、苦しんでおられる方々がやはりこの訴訟が終わるように私もせねばならないというふうに思っております。
 大臣も答弁しましたように、五月十四日という具体的な一つの期日というものがありますので、そのときに回答ができるように精いっぱい今協議をしている最中でございます。
#205
○小池晃君 何で会わないんですか、今日夕方まで厚生労働省の前に座っているんですよ、行って手を取って話を聞くだけでいいんですよ。ここで回答できなくても、それは無責任なことを言われちゃ困りますよ、でも話を聞いてあげてくださいよ。それが新しい対応を考えていく土台になるんじゃないですか。私は、新政権ということに国民が期待したのはそういう対応なんだと思いますよ。
 大臣、あなたは何のために権力持っているんですか。あなたが会うと言えば会えるんですよ。あなたは厚生労働省のトップになったんですよ。その権力を今こそ国民のために使うべきときなんじゃないですか。行って会ってください。
#206
○国務大臣(長妻昭君) 先ほど来答弁いたしておりますけれども、我々は今政権の座に着いているということで、まさに責任ある対応、責任ある実際の問題解決をしなければならないということで、政府挙げて我々今協議をしているところでありまして、それについて五月十四日の期日までにきちっとした回答ができるように責任ある今議論をして、その回答ができるように今関係各大臣とも様々な情報の交換をし、いろいろな過去の例の問題あるいは最高裁の判決も含めて、我々鋭意協議をしているというところであります。
#207
○小池晃君 官僚と議論しているだけでは私は結論は出ないと思います。声を聞くと、それが解決の第一歩だということを重ねて申し上げます。
 終わります。
#208
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
 有期雇用、そして派遣、請負などの間接雇用、これは小泉構造改革による労働法制の規制緩和によりまして、今や労働者の三人に一人までに増えてまいりました。デフレからの脱却、国内消費の立て直しのためにも小泉構造改革で破壊された雇用を再建してディーセントワーク、人間らしい働きがいのある仕事、労働、これを実現しなければならないというふうに思っています。
 新成長戦略におきましても、このディーセントワークの実現に向けて同一価値労働同一賃金、そして均等・均衡待遇の推進がうたわれておりますし、鳩山総理も同一価値労働同一賃金に向けた均等・均衡待遇の推進に積極的に取り組んでいくと、こういう決意を今年の四月、衆議院の本会議でされておるわけであります。
 ディーセントワークに向けては非正規労働者を正規化する、あるいは非正規のまま均等待遇を実現すると、この二つのやり方があるわけでありますが、その手法としては奨励金を払う、あるいは規制強化を行う、そしてメリット措置などの経済的インセンティブを与える、こういうやり方があるわけでございます。
 今日はそのディーセントワークを実現する手法に沿って少し質問をしてみたいというふうに思っています。
 まず、奨励金を使ってのやり方でございますけれども、政府は現在、派遣労働者やフリーターを正社員として雇い入れる企業に対して奨励金を交付している。派遣労働者雇用安定化特別奨励金とか、あるいは若年者等正規雇用化特別奨励金、こういう制度を使っておりますが、現場の声を聞きますとこれは非常に評価は余り良くない、これが現実でございます。
 大臣も均等待遇に向けて取り組んでいきたいと、こういうふうに明言されているわけでありますが、いかにして均等化するかという政策手段以前に何を均等にするか、これを検討しなければ私はならないというふうに思うんです。そもそもどの程度正規労働者と非正規で格差が存在するのか、データが私はないんではないかと思うんです。データはあるんでしょうか。
 少なくとも、企業ごとに非正規労働者を受け入れている割合及び一定以上非正規労働者を受け入れている企業においては、部署ごとあるいは勤続年数ごとの平均的な給与額を含む正規と非正規の労働条件の格差の情報開示を私は企業に求めるべきだというふうに思うんです。
 こう言いますと、必ず同一労働同一賃金、この同一価値労働というものの概念が不明確だという話がすぐ出るんですが、私は少なくとも職務内容が基本的にほぼ同じだというものをやっぱり対象に置きながら、どういう不均衡あるいは格差があるのか、この情報をしっかりと公開をすると、これが同一価値労働同一賃金の、私はその作業の土台になるんではないかと、こういうふうに思っております。是非これをやっていただきたいというふうに思うんですが、御所見をお伺いいたします。
#209
○国務大臣(長妻昭君) 実態把握ということは本当に重要でございまして、この有期労働契約研究会で昨年調査をいたしましたものは、正社員と比較した基本給の水準ということで、有期労働者がどのくらいの水準かということでございます。これ、一時間当たりの基本給の水準を比較をしたものでございますけれども、正社員に比べて、八割以上十割未満という方が二四・七%、六割以上八割未満という方が三一・八%、四割以上六割未満という方が一六・九%ということで、つまり一番多いのは、三割の方は正社員に比べて六割から八割の給与水準であるということでございまして、やはり格差というのは今のような状況であるということも一定の調査で分かったわけでございますので、この待遇にかかわるそういう論点も含めて、今、有期労働契約の研究会の中で議論をして、対策をまとめていきたいというふうに考えております。
#210
○近藤正道君 次に、規制強化を通じてディーセントワークを実現するというルートでありますが、いよいよこの十六日から衆議院で労働者派遣法の改正案の審議がスタートをいたしました。まず、これを早期に成立をさせて規制強化の第一歩としていきたいと、こういうふうに思っております。
 一方で、この間、急速に増えました有期雇用でございますけれども、これは民主党、社民党、国民新党の三党が、〇八年の十二月に、有期労働契約の締結、更新、終了のルールを明らかにした有期労働契約遵守法案、これを共同提案をいたしました。これは結局通らなかったわけでありますけれども、長妻大臣も当時、民主党の担当者として打合せなどにお見えになっていた、こういう経過もございます。
 現在、有期雇用につきましては、今ほど来話が出ております有期労働契約研究会、これで検討が進められているわけでありますが、この研究会の検討事項の中に、さきの有期労働契約遵守法案、この内容は盛り込まれているんでしょうか。
#211
○国務大臣(長妻昭君) 今御指摘の点でありますけれども、有期労働契約研究会の論点の中で、このいわゆる三党案に盛り込まれていた事項も含む論点として、一つは契約締結に関するルールはいかにあるべきか、二番目としては公正な待遇を実現するためのルールはいかにあるべきか、三番目は雇い止めにかかわるルールはいかにあるべきかという論点も盛り込んで議論を進めているということであります。
#212
○近藤正道君 派遣切りとか請負切り、これは今も大変深刻な状態にあると、こういうふうに私は認識しております。これらの間接雇用においては、派遣先や発注者といった就労先企業との派遣契約や請負契約の解除などを理由に、派遣会社や請負会社の有期労働者だけではなくて常用労働者も解雇されている、こういう実態がございます。
 労働契約法の第十七条の一項では、使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することはできないと、こういうふうに規定されております。にもかかわらず、派遣先や発注者から契約が中途解除されたという理由だけでやむを得ない理由があると認められるものではない、こういうことで解雇されるケースが非常に今も後を絶たない。やむを得ない事由があると認められるケースというのはそういうことを言うのではないんだということをもっと徹底して厚労省としては周知をする私は必要があるのではないか。多分皆さんはやっているというふうに思うんだけれども、とにかくこれ後を絶たないですよ。もっと徹底して私は周知をしていただきたいと、これは要望的な質問でございますが、いかがでしょうか。
#213
○国務大臣(長妻昭君) 今御指摘いただいたのは、労働契約法の第十七条第一項にやむを得ない事由というのがありますが、その解釈であります。
 今おっしゃっていただいたように、派遣元が派遣先との間の労働者派遣契約を中途解除されたことをもって派遣元が雇用している派遣労働者を解雇することは、直ちに労働契約第十七条第一項のやむを得ない事由があるものとは認められないということであります。
#214
○近藤正道君 確かにそうなんですけれども、しかし現にこのことによって、こういうことを口実にした解雇が依然としてやっぱり後を絶たない。だから、皆さんの周知徹底がまだ不十分なんではないか、だからここをもっとしっかりとやっていただきたいという質問をしているわけでございます。どうぞ、もう一度。
#215
○国務大臣(長妻昭君) 今の点、よく私も労働基準監督署等に再度確認をして、不十分な点があれば、さらにそういう対象者にどういうふうに告知するのが一番適切なのか、これをよく話を聞いて、適切な広報の強化ということについても進めていきたいと思います。
#216
○近藤正道君 是非徹底していただきたいというふうに思っています。
 次に、メリット措置によるインセンティブを働かせて何とかディーセントワークを実現すると、このやり方、手法でございますが、国の機関が民間に仕事を発注するいわゆる公共調達というのは、国民の貴重な税金を民間企業に支払うわけでありますので、非正規の正規化あるいは均等待遇という望ましい雇用秩序の実現に向け取り組んでいる企業を優遇するというのは、私は企業間の競争環境の公平、公正を保障するためにも私は望ましいことだと、是非やるべきことだと、こういうふうに思っております。
 この点について、内閣府におきましては、男女共同参画あるいはワーク・ライフ・バランス実現のための公共調達のためのポジティブアクション、この制度を始めました。
 質問でありますけれども、厚労省の調達におきましても非正規の正規化あるいは均等待遇に取り組んでいる企業に公共調達において加算措置をとるなど優遇する制度を是非導入すべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#217
○国務大臣(長妻昭君) 内閣府ではそういう取組があるということで、今ここに入札公告を持っておりますけれども、これは、購入等の件名、何を発注するかというと「「ワーク」と「ライフ」の相互作用に関する調査」ということでありまして、その中のこの技術評価ポイントの中で百点中七ポイントをワーク・ライフ・バランス実現のための取組の状況というのに入れていると、こういうなかなか興味深い取組をされておられるということでございます。
 その中で、こういう取組を厚生労働行政の中でどういう位置付けでできるのか。その一方で、国民の皆様から要請があるのは、やはり安いお金でいい仕事をしてもらうという要請もコストの問題もありますので、そういうバランスの中で、内閣府と同様の取組かどうかは別にいたしまして、今御指摘いただいた点をどう位置付ければいいかというのは一度省内でも発注部局に検討させてみたいと思います。
#218
○近藤正道君 厚労省ぐらいは是非私はやっていただきたいと思うんです。厚労省の会計課とかあるいは財務省の法令解釈、いろいろ聞いてみましたけれども、少なくとも非正規の正規化あるいは均等待遇に関連した事業であればこういうことをやるということは全然構わないと、こういう私は答えもいただいておりますので。
 内閣府が、男女共同参画の部署がそういうことを始めたんですから、次は厚労省がその後を追っかけると、こういう是非体制を取っていただきたい、そしてその政治的な意思を明確にしていただきたいと、こういうふうに思っています。今ほど大臣の御答弁、前向きの私は答弁だというふうに評価をさせていただきますので、是非これを具体化させ、スピードアップをしていただきたいと、お願いをしたいというふうに思っています。
 先日、セーフティーネットを強化する方向で雇用保険法が改正をされました。一般に、保険制度では、保険事故を引き起こした者の掛金、保険料は高くなります。現在の日本の雇用保険制度では、体力があるにもかかわらず解雇や有期の雇い止めを繰り返す会社が長期の正規雇用を維持して頑張っている優良な企業の保険料を食いつぶしながら堂々と利益を上げるという一種のモラルハザードが私は発生しているんではないか、起きているんではないかと、私自身はそういうふうに見ているわけであります。
 アメリカの雇用保険では経験料率という制度が取られておりまして、解雇権を濫用する事業主の保険料が上がる仕組みになっているんです。また、日本の労災保険でも、事業所ごとの労災の件数に応じて保険料率を上下させる、そういうメリットの制度を採用しております。
 厚労省、これは〇八年の六月でありますけれども、第七回の今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会というところで、雇用保険のメリット制度は議論されたことはあるけれども理論的、技術的に難しいと、こういうことを当時の職業安定局長が発言しているわけでございます。私は、この発言がちょっと腑に落ちないわけでございまして、こういう雇用保険制度のメリット制度、理論的あるいは技術的に難しいという、その断定は一体どういう根拠に基づいてこういう断定のされ方をしているのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
#219
○国務大臣(長妻昭君) 私が報告を受けましたのは、アメリカに今言われたようなメリット制というものがあるということでございますけれども、それについて日本ではどうかということでありますが、一つは、アメリカの雇用保険というのは自己都合の退職は出ないと、こういう扱いになっているということでございまして、つまり会社都合の解雇だけしか失業保険制度が適用されないと、そして原則として事業主負担のみであると、こういうようなことからかんがみてそういうメリット制の導入というのはあろうかという、アメリカではですね。
 ただ、日本では、この自己都合退社というのが、それはすべて会社の責に負わすことがいいのかどうか、自己都合の退社がですね、そういうような議論もあり、広く社会全体で雇用を支えるという趣旨でそういう一定の意見が出たというふうに聞いております。
#220
○近藤正道君 私は、この議論は是非一度、一度というか、これから徹底的にやっぱりやっていただきたいなと、こういうふうに思っています。自己都合解雇についてはいろんな意見が、今大臣もおっしゃったけれども、いろんな意見があるということはよく分かるけれども、少なくとも、会社都合の解雇だとかあるいは非自発的な失業を生み出した後にも事業を継続するような事業者、事業主の負担部分については雇用保険のメリット制度をやっぱり検討すべきではないかと。
 そして、そういう解雇をたくさん出すような会社にはやっぱりその後、保険料が高くなる、頑張る企業は保険料を抑えていただく、そういうインセンティブを働かせる、この議論の是非について私は審議会等で是非これから議論をしていただきたい、こういうふうに思っているわけでございまして、こういう制度はスウェーデンにもあると。頑張る企業は保険料を安くしていただける、簡単に労働者の首を切るような企業については保険料は高くなる、こういう形でインセンティブを働かせると。こういうやっぱり制度は是非私は議論して今後いただきたいと、こういうふうに思うんですが、ディーセントワークを実現するという立場で、是非大臣、どういうふうにお考えなのか、お考えを最後に聞かせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
#221
○国務大臣(長妻昭君) これはせっかくの御指摘なんですけれども、慎重な対応が私は必要だと考えておりまして、一つは、まず失業は国全体の経済状況の影響も受けるということで、当然その会社だけの責に負わせることは難しい。あるいは、これは例えばの話でありますけれども、そういう形になりますと、企業によっては有期雇用を増やして、それが期間が来ればそのまま解雇ということが増えるのか増えないのか。あるいは自己都合に対する日本は給付もありますので、これについて労働者負担も日本はあると、事業主負担だけではなくて。そういうことからかんがみて、今の時点ではこれは慎重な対応が必要だということで、直ちに議論をしていくということにはならないというふうに思います。
#222
○近藤正道君 今日の段階ではそれだけにしておきたいというふうに思いますが、更にいろいろ私も勉強してまた質問させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 終わります。
#223
○委員長(柳田稔君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#224
○委員長(柳田稔君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案及び厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、提出者衆議院厚生労働委員長藤村修君から順次、趣旨説明を聴取いたします。藤村修君。
#225
○衆議院議員(藤村修君) ただいま議題となりました両案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 まず、国民年金法等の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。
 障害年金制度においては、年金受給者により生計を維持される配偶者や子がある場合に、年金額が加算される仕組みが設けられており、この加算は、年金受給権が発生した時点で配偶者や子を有していた場合に行われています。しかし、年金受給開始後に結婚したり、子供が生まれた場合には加算されないため、所得保障として不公平な取扱いではないかとの指摘がなされております。
 本案は、公的年金制度に基づく障害年金の受給権者について、受給開始後の結婚や子の出生等による生活状況の変化に応じて障害年金の額を加算するための措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、障害基礎年金等について、年金受給開始後に子を有するに至ったときも加算を行うものとすること。
 第二に、障害厚生年金等について、年金受給開始後に六十五歳未満の配偶者を有するに至ったときにも加算を行うものとするとともに、国家公務員共済組合等の障害共済年金についても、同様の改正を行うこと。
 なお、この法律は、平成二十三年四月一日から施行することとしております。
 次に、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本案は、平成二十二年一月に日本年金機構が発足したこと等に伴い、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律の規定中「社会保険庁長官」とあるのを「厚生労働大臣」に改めるとともに、遅延加算金の支給に係る事務等を、通常の年金給付と同様に、日本年金機構に行わせるための規定等を整備しようとするものであります。
 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から施行することとしております。
 以上が、両案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#226
○委員長(柳田稔君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、国民年金法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#227
○委員長(柳田稔君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#228
○委員長(柳田稔君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#229
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#230
○委員長(柳田稔君) 次に、医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明を聴取いたします。長妻厚生労働大臣。
#231
○国務大臣(長妻昭君) ただいま議題となりました医療保険制度の安定的運営を図るための国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国の医療保険制度においては、昨今の経済状況の悪化や医療費の増加等により、各医療保険者の財政状況が非常に厳しくなっており、このままでは市町村国民健康保険、協会けんぽ、後期高齢者医療制度それぞれの来年度以降の保険料の大幅な上昇が見込まれるところであります。このため、厳しい経済状況の中で、できる限り保険料の上昇を抑制するために必要な財政支援措置等を講ずることにより、医療保険制度の安定的な運営を図ることとしております。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、国民健康保険制度においては、市町村が運営する国民健康保険の財政基盤の強化を図るため、所得の少ない方の数に応じて市町村を財政的に支援するための制度や、高額な医療費に対して国及び都道府県が補助する事業を継続するとともに、一定の額以上の医療費を市町村が共同で負担する事業について、都道府県の権限と責任の強化を図った上で継続することとしております。
 あわせて、国民健康保険事業の運営の広域化や財政の安定化を推進するため、都道府県が市町村に対する支援の方針を策定できるようにすることとしております。
 また、保険料の滞納により世帯主に被保険者資格証明書を交付する場合において、子供が安心して医療を受けることができるよう、保険者は、当該世帯に属する中学生以下の被保険者に加えて、高校生世代の被保険者に対しても、有効期間を六か月とする短期被保険者証を交付することとしております。
 第二に、健康保険制度においては、協会けんぽに対する国庫補助率について、平成二十四年度までの間は、千分の百六十四とするとともに、同期間については、毎事業年度における財政均衡の特例を設けることとしております。
 あわせて、被用者保険等の保険者が負担する後期高齢者支援金について、平成二十四年度までの間、その額の三分の一を被用者保険等の保険者の標準報酬総額に応じたものとすることとしております。
 なお、協会けんぽに対する国庫補助率については、その財政状況等を勘案し、平成二十四年度までの間に検討を行い、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずることとしております。
 第三に、後期高齢者医療制度においては、被用者保険の被扶養者であった高齢者に対して課する保険料の減額措置について、当分の間、市町村及び都道府県が行う財政措置を延長するとともに、都道府県に設置する財政安定化基金について、当分の間、これを取り崩して保険料率の増加を抑制するために充てることができるようにすることとしております。
 最後に、この法律の施行期日については、平成二十二年四月一日と提案しておりましたが、衆議院において公布の日に修正をされております。
 なお、高校生世代の被保険者に対する短期被保険者証の交付や協会けんぽに対する国庫補助率、後期高齢者支援金に関する規定については、平成二十二年七月一日から施行することとしております。
 以上が、本法案の趣旨でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げます。
 以上です。
#232
○委員長(柳田稔君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#233
○委員長(柳田稔君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案について、総務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#235
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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