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2010/02/10 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号
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2010/02/10 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号

#1
第174回国会 国民生活・経済に関する調査会 第1号
平成二十二年二月十日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員氏名
    会 長         矢野 哲朗君
    理 事         大河原雅子君
    理 事         佐藤 公治君
    理 事         轟木 利治君
    理 事         古川 俊治君
    理 事         吉田 博美君
    理 事         澤  雄二君
                一川 保夫君
                川崎  稔君
                谷  博之君
                津田弥太郎君
                中谷 智司君
                広田  一君
                広野ただし君
                山根 隆治君
                吉川 沙織君
                米長 晴信君
                石井 準一君
                泉  信也君
                佐藤 昭郎君
                塚田 一郎君
                鶴保 庸介君
                若林 正俊君
                松 あきら君
                山下 芳生君
    ─────────────
   委員の異動
 一月十八日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭郎君     川合 孝典君
 二月九日
    辞任         補欠選任
     一川 保夫君     小川 敏夫君
     川合 孝典君     水戸 将史君
     広田  一君     松浦 大悟君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     川崎  稔君     植松恵美子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         矢野 哲朗君
    理 事
                大河原雅子君
                佐藤 公治君
                轟木 利治君
                古川 俊治君
                吉田 博美君
                澤  雄二君
    委 員
                植松恵美子君
                小川 敏夫君
                川崎  稔君
                谷  博之君
                中谷 智司君
                広野ただし君
                松浦 大悟君
                水戸 将史君
                山根 隆治君
                吉川 沙織君
                米長 晴信君
                石井 準一君
                泉  信也君
                若林 正俊君
                松 あきら君
                山下 芳生君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        五十嵐吉郎君
   参考人
       株式会社メディ
       ヴァ代表取締役
       医療法人社団プ
       ラタナス総事務
       長        大石佳能子君
       長野県原村長   清水  澄君
       NPO法人高齢
       社会をよくする
       女性の会理事長
       東京家政大学名
       誉教授      樋口 恵子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国民生活・経済に関する調査
 (「幸福度の高い社会の構築」のうち、社会保
 障とくらしについて)
    ─────────────
#2
○会長(矢野哲朗君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会をいたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 去る一月十二日、長谷川大紋君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭郎君が選任されました。
 また、去る一月十八日、佐藤昭郎君が委員を辞任され、その補欠として川合孝典君が選任されました。
 また、昨日、広田一君、川合孝典君及び一川保夫君が委員を辞任され、その補欠として松浦大悟君、水戸将史君及び小川敏夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(矢野哲朗君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民生活・経済に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(矢野哲朗君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○会長(矢野哲朗君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、「幸福度の高い社会の構築」のうち、仮説三、「高負担・高福祉国家の国民は総じて国民幸福度が高い」に関し、「社会保障とくらし」について参考人の方々から御意見を聴取をいたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、株式会社メディヴァ代表取締役・医療法人社団プラタナス総事務長大石佳能子君、長野県原村長清水澄君及びNPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長・東京家政大学名誉教授樋口恵子君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 大変御多用のところ御出席をいただきまして、ありがとうございます。
 本日、皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でありますけれども、大石参考人、清水参考人、樋口参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと思います。
 その後、時間がございましたら、必要に応じて委員間の意見交換を行いたいと思います。その際、随時参考人の方々の御意見を伺うこともございますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 なお、御発言は着席のままで結構であります。
 それでは、まず大石参考人、お願いいたします。
#7
○参考人(大石佳能子君) 皆さん、こんにちは。株式会社メディヴァの大石と申します。このような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、メディヴァというのは多分聞き慣れない会社だと思いますので、簡単に私の自己紹介をいたしまして、それから意見を述べさせていただきたいと思います。持ち時間二十分ぐらいなので、手短にやらせていただきます。
 メディヴァは私が十年前に起業いたしました会社でございまして、私を始めましてマッキンゼーという外資系のコンサルタントの人間と、あとは、後ろに随行でも来ていますが、医師と一緒に始めた会社でございます。
 業態としましてはコンサルタント会社なんですが、いわゆる分析をしてレポートを書くというコンサルタントではなくて、実際現場に入り込んで運営をお手伝いをするというオペレーターをやっております。元々は、やはり医療界をもっと患者視点にできないか、また医療スタッフの人たちにとってもっと働きやすい場にできないかということを考えて、それを当然、今の枠組み、国民皆保険ですとかいろんな既成の枠組みはあるんですけど、その枠組みの中でも実はできることっていろいろあるんじゃないかということで、そこを現場に入り込んで一緒にやりたいと思ってこの会社をつくりました。
 十年前に世田谷に一つクリニックをつくりまして、そこはグループ診療の複数の医師がいるクリニックなんですが、そこで電子カルテを使って、まあ十年前ですから電子カルテとか余り普及していない時代なんですけど、その電子カルテを使ってみたら、例えば待ち時間がほとんどなくなったであるとか、また電子カルテなので、印刷というところ、プリントというところを押すと紙のカルテが出てまいりますので、それをすべての患者様にお渡しするというカルテの完全開示をやってみたら、やはり患者さんが自分の医療に対する意識が上がってかなり治る度合いが良くなったであるとか、そういうふうな現場型の実験をやってまいりました。
 また、ほかの業界でよく使われているITですとかいろんなベストプラクティスも医療界に転用できないかということで、例えばカルテだと、インターネットを通してセキュリティーが利いた形で自分のカルテをいつでもどこでも見れるというそういう仕組みをつくってみたり、そういうことをいろいろやってみました。そこでの成功を基にそれをどんどんほかのクリニックですとか病院に転用していこうということで十年間やってまいりました。
 最近多い仕事は、病院の再生の仕事が増えております。御存じのとおり、非常に病院の経営というのは厳しいものがございまして、経営が成り立たなくなっている病院に対して、私どもが医師とまた私どものような事務方が入って再生のお手伝いをする、運営代行ですね、そういうふうな形で、例えば立ち行かなくなった公立病院が民間譲渡されたときにそれを立て直す仕事であるとか、またへき地で医者が来ない病院に医者を集める仕事ですとか、そういう仕事をメーンにやっております。
 今日お時間いただきましてお話をさせていただくのは、実は、そういう再生のストーリーというのはいろいろございまして、また御興味ございましたらいつでもお話しさせていただくんですが、ちょっと視点を変えて二つのお話をさせていただきたいと思っています。
 お手元に今からちょっと御紹介する資料の多分分厚いバージョンが行っていると思うんですが、全部しゃべると時間がないので、ちょっと抜粋のお話をさせていただきます。(資料映写)
 一つ目のお話は、実は健康度を上げて医療費を削減するということはできるんだということを現在やり始めております。そのお話を簡単にさせていただきます。二つ目は、実はこれは私どもの直接携わった仕事ではないんですが、地域医療の中で病院の機能を組み替えて、医者の数は変わらないんですが、より高機能の脳外科の連携の仕組みをつくったという、これは富山の事例でございます。
 この二つをお話をさせていただいて、趣旨としましては、これは両方とも事例なんですけれども、まだまだいろんなことができるんだ、その結果、今の財源、当然もう皆さん御存じのとおり、医療費というのは財源が非常に厳しくて、また医療スタッフを含めた医療資源というのも非常に厳しいんですけれども、今の中でもできることがまだまだあるんだというメッセージをお伝えしたいと思っています。
 そういうことで、まず一つ目の健康度を上げるという仕事でございまして、これは私ども、健保組合様をお客様にして、そこに入り込んで一緒にお手伝いをしている中で出てきたデータでございます。御存じのとおり、健保組合は今九割方が赤字でございます。この赤字の状況というのを原因を探るために、レセプトとあとは一昨年から特定健診というのが始まったので、健診がデータ化されて全部手に入るようになりましたので、この二つを見て内容を深掘りをしました。
 その結果分かってまいりましたのは、これは非常に特定の、ここの健保の例ですと、上位の十五疾患群で五〇%、五十疾患群で九〇%医療費を使っているということが分かってまいりました。要は、その疾患群に注力をすれば医療費削減になりますし、あと健康度も上がるということですね。
 それはどういう疾患かというと、これは大ぐくりしてしまうと、当然のことなんですけれども、生活習慣病とがんでございます。がんに関しては検診の見直しということが必要になってきて、今一般的に人間ドックでやられている検診というのは今どきの疾病構造と少しずれています。例えば、一般的な人間ドックだと、女性の場合、乳がんだとか婦人科の検診はオプションになってまいりますが、実は三十代、四十代の女性にとってはこれが一番大きなリスクなんですね。ですから、そういう検診の見直しをするということが必要になってまいります。
 あともう一つは生活習慣病です。生活習慣病に関しましては、実はもう少し深掘りをしてみますと、これちょっと分かりにくいチャートなんですけれども、何を申し上げているかというと、平成十五年、要するに約六年前に生活習慣病のリスクが高かった人、例えば血糖値が高い、高脂血症であった等々のリスクが高い人は、平均の人に比べてやはりこれ薬だとか、脳卒中だとか心臓麻痺だとかの大きな疾患を除いていたとしても、大体六倍から八倍ぐらいの医療費を使っているということがこれデータで証明されました。
 ですから、反対に言いますと、今、そういうふうな検査数値が高い人をどうやって治すか、若しくは抑えるかということが医療費を抑える、若しくは健康度を上げるために非常に重要になってくるということが、レセプト上、また健診結果上分かってきたということでございます。
 これを見るために、まず健診、過去の健診結果をそのまま放置した健保組合というのを見てみましたところ、この健保組合はそうなんですけど、何もしないで介入しなかった、その代わり健診は人間ドックみたいに非常にいい健診をやっているんですが、この場合、ほっとくと現状維持の人が四割ぐらい、良くなる人はやっぱり一割弱なんですね。悪化する人が二割ということで、やはりいい人間ドックをやって、高価な人間ドックをやって手間を掛けても、やはり何の介入もしなければ悪化する人の方が圧倒的に多いということが分かりました。
 反対に、今いろんな形で批判は出ているということは理解しているんですが、特定保健指導、メタボ指導をやった健保の場合というのがどうなるかということを見てみますと、これは指導をやった群とやってない群というのを比べてみたときに、現状維持は大体同じぐらいの五四%ずつなんですけれど、指導ありの群は改善が三割弱見られると、指導なしの場合は一割弱であるということで、やはり指導した、メタボ指導という、非常にいろんな問題はあるんですけど、そういうふうな指導であったとしても、やると三割弱の人が良くなるということが分かってきて、やはりこれは効果があるんだということが分かってまいりました。
 どれくらいの人が脱メタボ、要するにメタボだった人がメタボじゃなくなるのかということを見てみますと、これは健保様によって、あとやり方によって違ってまいりますが、私どもの指導の経験でいうと、大体二割弱ぐらいから、多いところだと三割ぐらいが半年間の指導でメタボから脱します、脱メタボになります。ただ、そのときは、やはり面談中心の若干手間の掛かる指導をやらないと駄目だということも分かってまいりました。
 こういうふうにして、やはりメタボ指導というのは健康度をアップするのに役には立つんですが、反対に指導しなかった人がどんどん悪くなるということと、あとは、ちょっとこのチャートにはストレートには書いてないんですけど、今三十代の健康状態の悪い方、これは実はメタボだけではなくてメンタルもそうなんですけど、やっぱり三十代の方々の健康度というのが非常によろしくなくて、その人たちが、メタボの基準って、これ四十代以上の話なので、四十歳になった途端にメタボと、元々メタボなんですが、メタボと認定されるんですね。ですから、指導した人の二割から三割が脱メタボしても、どんどん新規のメタボが増えてくる結果、全体としてのメタボは減らないという状況が出てきました、分かりました。
 なので、一つ、指導を今後徹底するというのと同時に、もう一つは、やはり三十代の健康をどうしていくのかということが今後大きな課題ではないかというふうに思っています。
 あともう一つの課題は、いわゆるメタボ指導というのは、これ定義上薬を飲んでいる人は対象にはなりません。ただ、現実、特定健診で細かく健康データが取れたので、それをよく見てみますと、実は、例えばBMIが高い、また血圧は例えば二百であるとかという、いわゆる医療的にはパニック値と呼んでいるんですけど、非常にまずい数値を取っていて、かつ血糖値もすごく高くてという、私どもはABCDのDと呼んでいるんですけど、Dを複数取っていて、かつ薬を飲んでいる人というのは、これは非常に多いということが分かりました。
 これは何が起こっているかというと、薬を飲んでいると称して飲んでいない、要するに捨てているという場合もありますし、また、例えば自分は血圧でかかっているんだけれど、血糖値が悪くて、それを医師も本人も見逃しているというケースもあります。また、先生が残念ながら十分専門の先生じゃないので、きちんとしたコントロールができてないというケースもあります。
 ですから、いろんな理由で非常に数値が悪く、ほっとくと例えば脳卒中で四百万、心臓麻痺で二千万使う可能性があって、本人も非常に不幸な状態になる可能性がある人が、治療も不十分であり、かつ、きちんと生活指導もされてないという、そういう現状も分かってまいりました。
 これが各、私ども、事業所別に人数を具体的に出しますと、そこの産業医の先生とかと話をしながら対応していくんですが、現実的にはきちんとしたお医者さんにかかっていただく。そのお医者さんがきちんと検査数値を分かって、単に血圧だけじゃなくて血糖値も悪いんだよということを御理解いただいて治療をするということと、あとは本人がやはり生活を変えるための生活指導を行っていくという、その二つを組み合わせることによって、本人の意識も変わり、先生の方にも認識が改まり、また薬の飲み方とか生活の仕方というのも変わっていきます。
 これをやることによって、現実的にかなりこういうふうに、ちょっと幾つか御覧いただきますが、例えば血圧ですとか高脂血症ですとか糖尿病だとかという、そういう数値が格段に良くなるというケースをかなり実感してまいりました。また、これをやることによって、まだ人数は少ないですけれども、半年なので、薬が要らなくなったであるとか半分になったであるとかというケースもかなり見られます。
 ですから、何を申し上げたいかというと、だれがどういう問題があるのかということが、せっかく今取られている特定健診のデータからかなり詳細に分かりますので、それを基にきちんと治療と指導と、また軽い人、メタボの人に対しては指導することによって今の枠組みの中でもかなり健康度はアップし、医療費抑制というのにつなげることはできるんじゃないかと思っています。その中で一つ欠けているのは、三十代若しくは二十代の方々というのは今後一つの大きな課題になってくると思っています。ということですね。
 あと、ちょっと傍証なんですけれども、こういうのを分析してみますと業界によってすごく健康度って違うんだということが分かってきて、特に会社にお勤めの方の場合は会社の文化が結局その人の健康をつくるんですね。当然、営業の方というのは夜遅くまで飲んでいらっしゃいますし、あと、なぜかなんですけれども、薬品会社の方、やはり薬の知識や医療の知識があるからだと思うんですけれども、かなり健康度が良かったり、また反対に食品会社の方は、サンプリングとかで会社でいろいろなものを食べたりもするからだと思うんですけれども、非常に健康度が悪いであるとか、何といいますか、やっぱり会社の文化が変わらないとその人の健康度って変わらないんだなということも分かってまいりました。こういうヘルシーカンパニーづくりというのも業界別だとか会社別で比べてみるといろんな意識が高まっていいんじゃないかと思っております。
 ということで、一つ目のお話をさせていただきました。
 二つ目は、これは先ほども申しました、もうちょっとマクロな話でございまして、富山県の脳外科の集約化の事例でございます。これもお手元の資料は割と大部でございますので、抜粋だけでお話をさせていただきます。
 富山県というのは、御存じのとおり、総人口百十万ということで割とコンパクトな県で、四つの二次医療圏で構成されています。まあ小さな、小さなといいますかコンパクトな県なんですけれども、実はここ、結構医局構造は複雑で、富山大、金沢大、金沢医科大、新潟大の四つの医局から医師が派遣されていて、どの病院はどこの医局というのでちょっとかなりややこしい状態ではありました。通常ですと、こういう県でいろいろな施策を進めるのに当たって、やはり医局同士の連携というのはなかなか難しいというのが通例なんですけれども、この場合、脳外科に関して、何人かの先生方が医局を越えて、また医療圏を越えて県全体を巻き込んで改革を進めました。
 ここは、この例でいうと、どういうふうな危機意識があったかというと、一つは県内の医者の数が非常に少ないという問題と、あともう一つは、これはもう日本全国なんですけれども、脳外科の医師が減っているという問題がございました。初期研修医の充足率が第四十六位、また脳外科の医師はマイナス五五%ということで非常に減っていると。このままだとちゃんとした脳外科ができなくなるという危機意識があって、その中でトップレベルの医療と、またトップレベルの医師を育てていくという、そういう方向性を持ってみんなが大同団結したという事例でございます。
 結果だけを申し上げますと、これは二十一年度時点での成果なんですが、元々二十二病院が脳外科をやっておりまして、その中に四十五名の脳外科の医師がいました。そうしますと、夜間の救急対応は、病院の平均の医師の数が二名ということで、これ非常に厳しいですね。だから、やはり本人の労働条件としても厳しいですし、あと、それがちょっと問題になってくると、要するに受けれないという、いわゆる言われているたらい回しという問題になってしまいます。ここを集約しまして、脳外科の手術をやるところを九病院に絞りました。そこの一つを脳卒中センターにしました。大学病院は脳腫瘍に特化し、また、脳外科をやらないその他の病院は慢性期ですとか外来を中心に組み替えました。その結果、県内の脳外科の医師数が四十五名、そこは変わらないんですけれども、夜間の救急対応ができる人間が一病院当たり五・二名ということで二倍以上になったということで、非常に充実した体制かつ教育ができる体制になったということでございます。
 その一環として脳卒中センターをつくりましたし、また、これは医師だけが頑張れというわけじゃなくて、やっぱり仕組み全体の話でございますので、例えば救急隊員のサポート目的で脳卒中のホットラインというのを設置をし、ここに電話をすれば二十四時間担当の当直医に直通で掛かって、どうすればいいのかという振り分けを行うということであるとか、また救急隊員向けの脳卒中のチェックリストというのを作って適切な情報を速やかに医療機関へ情報提供するという、こういうふうなことを行ったということですね。また、受入れ基準というのも設定し、この受入れ基準に当てはまらないものは受け入れないですが、反対に言うと、受け入れたものはすべて受け入れるという、そういうふうな仕組みをつくりましたということです。
 二つ目の事例は何でお話し申し上げたかというと、これは実は私の仕事じゃないんですけれども、やはり日本全国、少ない医療資源をどう配置するのかということを考えるために、こういうことをやっぱり考えることが本当の意味の医療計画なんだと思います。ですから、これをやるためには、どこの病院で何人の患者さんをどういう状態で受けているのかであるとか、かなり詳細な分析が必要で、ただ、その分析をした事実に基づいてみんなが共通の目標を持ってすれば、これは、私が話をすると三分なんで割と簡単なんですけれども、非常に難しいことでもできたので、これを全国に是非広めていきたいというふうに考えております。
 ということで、大体お時間になりましたので私の発表を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#8
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 次に、清水参考人にお願いをいたします。
#9
○参考人(清水澄君) 皆さん、こんにちは。長野県原村の村長の清水澄といいます。
 本日は、数多い健康福祉の地域づくりを進めている市町村の中から我が原村をお選びいただきまして、その内容についてお伝えできますこと、大変ありがとうございます。感謝申し上げます。
 それでは、早速、村の紹介から入らせていただきたいと思います。(資料映写)
 原村は、長野県の南東部、八ケ岳のふもとに展開する、標高は九百メートルから千三百メートルに広がる村でございまして、車で中央高速を使った場合に東京から二時間半、名古屋からは三時間というふうな位置にございます。昭和四十年代にペンション開発というのをやりまして、日本一のペンション村というようなことで結構有名になりましたけれども、大変に八ケ岳高原、降雨量が少なくて、大体年間千二百ないし千四百ミリぐらい、この乾燥冷涼な気候というのはリゾートにいらっしゃる皆さんに大変受けたというふうなことがあろうかと思います。
 そういうふうな立地条件ですから、大変に高原野菜あるいは花の栽培が盛んでございまして、セルリー、これは農協はセルリーと言うんですね。一般的にはセロリという食品名ですけれども、何かちょっと縄張意識があるようで、そんなことになっておりますけれども、これが現在八十万ケースを超えるというふうなことで、夏場のセルリーの産出額が全国一というふうなことでございますし、アネモネという花は、これはハウス栽培のものでして、冬場のハウスの中が空になったとき、そこに裏作的に作るというふうなことで、これも現在、大分燃料が高騰しまして栽培農家は減ってきたんですけど、十軒ぐらいありますが、それでもそのアネモネの産出量が全国一というふうなことでございます。
 農業生産は、以前、九十億もあった時代もあったんですけれども、現在は大分減りまして、農協出荷で約四十一億というふうな状況でございます。
 人口が漸増傾向でございまして、大体年間四十人ないし五十人増えているというふうな状況でございまして、本年、国調の推計人口でいきまして七千七百四十六というふうな数字になりまして、長野県一、人口が増えているというふうなことで新聞報道もされまして、ちょっと話題になっております。
 人口が増え始めたために、村土を計画的に使用するために三つのゾーン分けをしまして、テクノパークゾーン、リビングゾーン、そしてグリーンリゾートゾーンというふうにいたしました。なるべく居住をリビングゾーンに誘導するために、若者の人たち、四十歳以前の人がグリーンリゾートゾーン以外に家を建てた場合には五十万円村費で補助をするというふうなことも大変受けまして、若者が移り住んできているというような状況でございます。
 この手厚い福祉医療の制度のゆえかどうか、お年寄りが大変元気なんですね。六十五歳以上の就業率、お仕事を持っていらっしゃるお年寄りが五四・四六、これは平成十七年の国調レベルなんですけれども、そんなふうなことで大変に村内のお年寄りは元気でございます。また、お年寄りが働いているゆえかどうかは分かりませんけれども、住民一人当たりの将来負担が四万六千円というふうに大変将来負担が少ないというふうなことで、健全財政だと自負しております。
 村づくりのコンセプトなんですけれども、原村は次のような考え方で福祉施策を進めております。
 まず、幸せな生活、これはやっぱり健康が第一だと。それから、二番目の柱としては、健康を維持するために費用の心配をせずに健診やそして医療を受けることができればいいなというふうなことで、これを二番目の柱に据えております。三番目は、やっぱり小さな子供さんの遊び声が村じゅうに満ちあふれるようでないと元気な村とは言えない、そういうふうなコンセプトでやっております。
 この考え方は、村民憲章、昭和五十二年制定でございますけれども、その村民憲章の精神であり、第四次総合計画にも反映され、人も地域も輝く緑豊かな原村というふうなことで四つの柱にまとめられております。その中の一つとして、健康と幸せを誇れる福祉の村づくりというふうに位置付けて、六本のサブテーマを設定して行っているところでございます。
 原村では、各種健診や相談等はすべて無料でございます。早期発見、早期治療でみんなが健康になるというふうなことであり、一人当たりの医療費も長野県平均を下回っております。この数字については、また後ほど報告したいと思います。
 まず、妊婦健診・相談でございますけれども、妊婦健診は健康診査を六回、ちょっとこの資料、点が変なところに打ってありますけれども、超音波検査が一回というようなことで、母子手帳を交付しながら行っている。そうしまして、不妊治療、これに対しましても、一回だけなんですけれども上限十五万円の補助を行っているというふうなことで、少子化対策。不妊治療で、少子化対策というと、村の人たち、若い人が特にプレッシャーを掛けられて嫌だということですから、村ではこれは少子化対策には入れていないんですけれども、実際は大きな柱になっております。安心して子供が産める、そういう環境を整えております。
 乳幼児健診でございますけれども、一般的なメニュー、先天性股関節脱臼検診とか、それから乳児健診、あるいは一歳半、三歳児、これの健診、また二歳、二歳半の歯科検診、このようなことを行っております。相談や教室も御覧のようなメニューで行っております。
 なお、詳しくはお手元の資料二十一ページに記載されておりますので、また後ほど御覧になっていただければよろしいかというふうに思います。
 成人健診・相談なんですけれども、基本健康診査、そして胃検診、婦人検診、胸部レントゲンというふうに行っておりまして、特に特徴的なのは、原村は以前、大変原因不明の肝炎があって、そして大変にそれにかかる人が多くて、二十歳代の若者の体力が実は体力テストをやってみたら四十歳代にも及ばないというようなことがあって、これはこの対策をしなきゃいけないと、当時、原村ですから原肝というふうに言われまして、大変世間をにぎわわせたんですけれども、現在それが分離されましてC型肝炎であるというふうなことが分かって、このC型肝炎の抗体検査というのを全村民を対象に行いまして、そしてだんだん絞られてきまして、今は若い人だけ検診をすればいいというふうなことで中学生を行うんですけれども、新たにこの抗体のキャリアになる子供は年に一人かゼロかというふうなことで、ほとんど撲滅したというふうになっておりますけれども、これもずっと続けておりますし、それから、男性の前立腺がん、これは通常はオプションか何かでやるんですけれども、うちの方は希望があれば全員に行っているというふうなことで、特徴的なものかというふうに思います。また、婦人検診で子宮がん、乳がん等の検診を行っておりますけれども、マンモグラフィー等もそのメニューに入っておりまして、これも無料で行っているというふうなことであります。健康相談等も充実して行っていくというふうなことでやっております。
 人間ドックについては、日帰りあるいは一泊検査というのがあるんですけれども、いずれの検査も七割補助というふうなことで、まあ一件当たり二万五千とか三万というふうな補助額になるんですけれども、これも住民の健康を維持するためだというふうなことで行ってきております。検査を受けただけでは駄目で、やっぱりその後のアフターフォローといいますか、この健康教室、そういうふうなものが重要だというふうに考えております。
 原村の福祉医療の給付制度あるんですけれども、ちょっとこれ県との関係がありますので、最初に福祉医療の方についてお話ししたいと思います。
 六十五歳以上の高齢者、十五歳までの乳幼児それから重度心身障害者、母子家庭等、それから世帯主と、この五つのメニューで行っていますけれども、いずれも自己負担額、一部負担金ですね、これについては償還給付というふうなことで後刻村の方から本人の口座あてに振り込むというふうなことで無料化しております。
 六十五歳以上の高齢者の無料化は、七一年に始まりまして、そして八一年からは六十五歳以上完全無料化というふうなことで行っております。
 また、十五歳までの乳幼児につきましては、七二年に始まりまして、最初は一歳から始まったんですけれども、その後、三歳、六歳、九歳、十五歳というふうに年齢を上げていきまして、〇六年に十五歳から、つまり中学卒業までの子供たちについて医療費を無料化しているということでございます。
 重度心身障害者につきましては、七三年から始まりまして、そして七九年に現在の形にいたしました。身体障害者手帳三級以上、療養手帳B一以上、精神障害者福祉手帳二級以上、特別児童扶養手当一級、特定疾患、自立支援医療費受給者あるいはウイルス性肝炎のいずれかに該当する方に適用をしております。
 母子家庭等の無料化は、七四年に三歳から十八歳のお子さんを持つ御家庭に対して行いました。その後、制度を改正しながら〇四年に十八歳未満のお子さんまで拡大をしまして現在に至っております。配偶者がなく十八歳未満の児童を扶養する親及び児童、父母のいない十八歳未満の児童、それから五十歳以上六十歳未満の寡婦ということにしております。それ以上は老人医療に入るというふうなことで、六十歳未満ということにしております。
 それから、非常に特徴的なのが世帯主医療でございまして、これは、一家の大黒柱の世帯主が病気で倒れるというふうなことになると家庭の生計を維持する人がいなくなってしまう、非常に生活が困窮するというふうなことで、平成五年からこれを行っていますが、高額療養費として国保連合会で共同事業がありますから、その高額療養費で見ない分を対象として行うというふうなことにしております。
 これにつきましては、資料の十ページから十七ページに制度の変遷の模様を記載してございます。また、二十六ページから二十九ページにはどのくらい費用が掛かっているかというふうなことについて記載してございますが、これを行うのに村単で約九千二百万、それから県の制度がありまして、県が行う分が二千六百万、そんなふうな状況で、合計で一億一千八百万というふうなのが福祉医療として支払われている金額でございます。
 ちょっと時間が足りなくなっちゃいました。
#10
○会長(矢野哲朗君) いや、大丈夫ですよ、お続けいただいて。子育てまで入ってください。
#11
○参考人(清水澄君) 済みません。
 次に、この原村の福祉医療の給付についてちょっとだけお話ししたいと思うんですけれども、長野県が県で行う福祉医療について、自動給付方式というのを取っております。これについては、受益者負担金というのを五百円、一レセプト当たり徴収するわけですけれども、原村は県下約八十市町村ある中で唯一この制度に乗っかっていません。
 というのは、五百円受益者負担を納めるということは、五百円以下の人は全然戻ってこない、それから、もちろん五百円以上の方も五百円目減りがするわけですから。そういうふうなことで、ここに試算した表を載っけてございますけれども、五百円受益者負担を納めるがゆえに二千三百万ほど医療費が事務費として消えちゃう、そういうことになるものですから原村はこの制度に乗っていないわけでございまして、少しでも受給者の方に多く差し上げたいというふうなことでやっております。
 次に、子育て支援について御説明申し上げますが、まず、小さなお子さん、医療費の無料化は当然行われているわけですけれども、通常の保育料が平均の一六%、国の示している標準の一六%軽減し、第二子は半額、第三子以降は無料としております。この第二子以降の制度につきましては、兄弟が同時に入所していなくても適用していくと、ここが非常によそがおやりになっているところと違う点かというふうに思っております。
 保育中の体調不良やけがなど、そういうことに対して専属の看護師が対応する病児保育というようなものも行っており、また保育士の数は配置基準よりも多くして上乗せをしてきめ細やかに行っているということでございます。一時保育等の充実、あるいは未満児棟、この一月に建設して完成したところでございますが、待機児童の解消に努めるというふうなことでやっていこうとしているわけでございます。もちろん、現在、待機児童はおりませんけれども、そういうふうなことが原村が力を入れてやっていることでございます。この対象児童等については三十ページに説明してございますので、また後ほど見ていただければというふうに思います。
 それでは、こういうふうな手厚い福祉をやっておって財政は大丈夫かと大分長野県の諏訪地方の周辺の市や町から言われております。そんな関係を最後の三十六ページに載せてございますけれども、経常収支比率というのは年々下がっておりまして、福祉事業というようなソフト事業をやることによっては財政の硬直化を招くということはないんだというふうに心得ております。
 以上でございます。
 どうも時間オーバーしまして、済みませんでした。ありがとうございます。
#12
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 次に、樋口参考人にお願いいたします。
#13
○参考人(樋口恵子君) 樋口でございます。
 本日はこのような機会を与えていただき、誠にありがとうございました。
 私は何といっても後期高齢者で、大のアナログ人間でございますので、パワーポイントは持ってまいりませんでした。二十分、口先ポイントでやらせていただきたいと思っております。
 自己紹介がてらということで、お手元にNHKの昨年三か月ほどずっと連載というか放送しておりましたが、「人生百年 女と男の花ごよみ」というのがございます。これが私、このごろ何を話しますにもサブタイトルというか、に付けておりますのが人生百年でございまして、今日も申し上げたかったことは、社会保障の基本を国民の人生を百年という標準単位に取り直して、社会保障の設計も、雇用を始め就労も、あるいは家族関係の在り方もすべて人生百年、何よりも私は就労を人生百年型に転換して、そして、これは時間は掛かると思いますけれど、例えば私は今七十七歳でこうして働かせていただいておりますけれど、周りを見ればもうみんな定年退職いたしております。まだまだ元気な人はいて、働ければ働きたいと言っている人がたくさんおります。そういう人材がたくさんいるのに、その人たちに年金を与えて、年金があっぷあっぷしてきて、そして財政が足りないというのは誠にもったいないことでございまして、時間は掛かると思いますが、是非政治家の皆様方のお力で人生百年のできるだけ長い間、今の雇用と思わないでください。いろんな条件を皆様方で御勘案いただきまして、人生百年のかなり終わりの方まで働いて、できればささやかなりとも税金を納める立場に立つことができる、この人生百年、自立の政治ということを是非お願いいたしたいと思っております。
   〔会長退席、理事吉田博美君着席〕
 何でも人生百年を私は頭に付けておりますけれど、御存じのとおり、平均寿命、女性はもう八十六・〇五、男子ももうほとんど八十歳に近い七十九・〇二ということでございまして、百歳を超える方々が全国にもう四万人を超えていらっしゃいます。社会のシステムはもう百年でつくっておいた方が、都市計画も住宅計画も、昔、耐用年数、木造は三十年という時代に私は四十代で家を建てましたら、つい二、三年前、大雨でもう雨漏りがどうしようもなくなりまして、莫大なお金を掛けて家を直しました。これなどは、人生五十年、六十年時代に木造耐用年数三十、四十で本格的な家を持つ、それでその家が耐用年数が尽きるころは七十、八十になっていて、まずは生きていないだろうという発想だったわけでございまして、私は建築も都市計画も、今や国家百年の計が人生百年の計になりましたので百年型に是非構造を変えていただきたいと思っております。
   〔理事吉田博美君退席、会長着席〕
 高齢者は、私などはもう人生終わりの方でございますけれど、やはり長い人生を生きてきた高齢者が、高齢者こそ見果てぬ夢を見る特権があると思っております。そして、このような夢の特権をどうぞ若い世代の特に政治家の方々に受け継いでいただきたいと心から願っている次第でございます。
 今回のこの調査会のテーマでございますが、お手紙の中に、日本を、幸福度を上げるというようなことがございました。日本はもちろんこれからも経済大国である道を歩まねばならないと信じておりますけれど、と同時に日本を、もうGDPですれすれラインを競い合うことも一方では大事なんですけれど、それと同時に、日本が今まで少し見落としてきたのは生きがい大国、幸福社会、幸福大国、生きがい大国になることではないだろうかと思っております。それが本調査会の、税金高くても何かやる気を出している国があるようだけれどという御発想だと思いまして、そういうことを考えることに私も大賛成でございます。
 それで、私は、夢物語ではございますけれど、これを考える上で私なりに幾つかのキーワードを持っておりますので、それをお話ししたいと思っております。
 第一番目は、既に申し上げましたように、あらゆる発想の基礎を人生百年社会へのパラダイム転換、システム転換ということに基礎を置いていただきたいと存じます。そうしますと、さっきも申しましたように、就労ということはもうできれば、年齢差別禁止法をここで作るのがいいかどうかということはちょっと私も判断できかねますけれど、しかし働く能力があり、意欲のある人にとっては、その人たちが、居場所と出番と言われますけれど、働く場所はまさに出番の部分だと思いまして、社会的に接触する場所、いろんなことを考えておりますけれど、結局、一番その人にとっていい出番になるのはやっぱり就労だと思っております。原村の村長さんからも、また前の参考人の方からも健康のお話がたくさんございましたけれど、私の実感では最大の介護予防は人中での就労の場をつくること、ささやかなりとも自己実現の場をつくること、これが私はもう最大の介護予防であり、保険の一つではないかと思っております。
 二番目。これは実は出所がございまして、一九九四年に国連がカイロにおきまして人口・開発会議を行いました。非常にいろんな成果のあった会議でございまして、私はこの年、初めて民間から国の一行の中に、代表団の中に加えていただきまして参加することができたんですけれど、高齢者の部分、かなり力を入れた書き方をしております。この文書はいつでも御覧になれると思いますけれど、その高齢者のところにありました文章で私はいたく心を引かれまして、以来よく引用しております。人口の高齢化というのは、早い遅いは別として、地球上の国々がいずれはたどる構造的変化である。ここでチェンジという言葉を使っておりました。しかし、このチェンジは、嫌なことでも悪いことでもなく、地球が正常に運行していればということであるから、これは実は人類がより良く変わることのできる絶好のチャンスである。チャンスをオポチュニティーという言葉で言っていたと思いますけれど、日本語仮訳は絶好のチャンスと訳しております。それから、だから我々はみんなで力を合わせてこの高齢化という問題にチャレンジしようではないか、挑戦しようではないか、この課題を受け止めていこうではないか。
 私はすっかり気に入っちゃいまして、チェンジ、チャンス、チャレンジ、これはくしくも頭文字がCHAでありますので三CHA主義と呼んでおりますけれど、私たちは今、人類が始まって以来、こんな高齢化したというか長寿に恵まれたのは先進国の中でもたかだか、たった五十年。日本は高齢化社会に突入したのが一九七〇年でございますから、高齢化歴まだ一世代でございます。私たちは、人類がこんなに長生きするようになったのも先進国含めてもやっとそのぐらいでございまして、特に日本は後から来て、追い抜いて、今や、バンクーバーでオリンピックがありますけれど、ここに高齢化という種目があれば日本は絶対金メダルなんです。もう平均寿命で一位、スピードの速度で一つ、それから高齢化比率二二・七%は今や世界一でございます。だから高齢化、オリンピックがあれば三冠王、金メダルというところにあって、そしてまた、他の先進国を含めて、アジアの国々を含めてどんどん高齢化していく。
 実は、日本だけの問題ではなくて、人類が出会った初めての急激な長寿化、高齢化、少子化ということに日本が先鞭を着けて金メダルのところにいるので、ある意味で諸外国も日本のこれからの行方を実はかたずをのんで見守っているということで、北欧などをモデルにする、もちろんたくさんモデルにしていきたいと思っておりますけれど、しかし実行するのは私たちが一番初めでございまして、世界初めての人生百年丸という船に日本人は全員乗っかって、人生百年社会、幸福な人生百年社会追求の海図のない旅に今出航したところだと思っております。
 その意味で、私、政府も政治も、国会も含めて、リーダーの方々にまだまだちょっと危機感が足りないんじゃないか。世界中で二二・七%なんて高齢化している国は日本が一つしかありません。あとはみんな一〇%の終わりの方で、もっと低いです。にもかかわらず、対GDP比の社会保障費の比率は日本は大変低い方でございます。
 私は、先ほど原村の村長さんからもお話がありまして、子育て支援というのは本当に一番力を入れなければならないことの一つだと思っております。と同時に、高齢者のケアをするというのは、実は今、日本を始めとして私たち人類の中での高齢社会が初めて、こんなに大量に長期間向かうのは実は人類の中で初めてでございます。でありますから、これからケアというものを、ケアというのは私は子育てを含めて言っておりますから、必ずしも介護ではございません。病気、それから子供を育てる、もしかしたら義務教育までの教育は一種のケアの中に入れていいかもしれない。そして、その時々の病気、それから高齢期において最大の介護予防である就労をしたりいろんな努力をしても、人間が最後に一定のケアを人間の尊厳を持って受けることの社会ということをつくっていくのが私は社会保障の一つ重要な役割ではないかと思っております。
 その社会保障費が、これだけ高齢者が多い国でありながら、日本はアメリカの次に対GDP比低いです。これは、前政権の福田政権のときの社会保障国民会議に私も加えていただきまして、これは本当に中立の立場で様々な社会保障の国際関係の資料など、これは国会議員の先生方はもう百も御承知のことでございますけれど、いろいろ見せていただきまして、例えば対GDP比、北欧諸国が社会保障費ほぼ四〇%を超えている。フランス、ドイツがほぼ四割であると。イギリスもサッチャー政権でぐっと切られましたけれど、もう日本を抜いて今三割になっているというとき、日本は当時の数字で二五、六%でございました。今度、子ども手当などで二七、八%まで上がったのではないかと言われております。でありますから、人生百年社会、大変な高齢者、長生きができることになった、この国で生きるということは、やはり社会保障費を増やしていくのは当たり前のことだと存じます。
 そして、その図表をいろいろ見ながら考えましたことは、考えたといいますか、身にしみて感じましたことは、なぜ日本だけがあっという間に高齢者の比率二割を超えて二二・七%、もうじき三〇%、二〇五〇年には四〇%だなんて言われるようになったかといいますと、一つはおめでたいことで、長生きになったことで、実は他の先進国も長生きになったことは大体似ているんです。ただ、他の北欧諸国やイギリスやフランスと何が違うかというと、日本だけが出生率が上がっていないからなんです。
 ですから、ここで私は、高齢化の問題、絶対政治の世界で、高齢者に金を掛けるべきか、子供に金を掛けるべきかという奪い合いにしないでいただきたい。これはもう絶対、両方は完結しているのでありまして、日本の場合、高齢者がこんな多い国でありながら、高齢者に掛ける社会保障も含めて世界最低に近いわけです。OECDの中では最も低いグループの一つでございます。それは、実は子育てに掛けている費用ももっと低い。ここも低い。ですから、言ってみればその両方を増やしていく。
 両方が、なぜ日本の子育ては、日本の少子化は歯止めが掛からないか。つまり、これも先生方は百も御承知のことだと思いますけれど、北欧諸国にせよ、イギリスにせよ、どこにせよ、日本のようにおなかが大きくなったお母さん、まだお母さんになっていません、おなかが大きくなった働く女性が出生前に七割も職場を辞めていく国は日本だけでございます。これはもうだれが何と言おうとそうなのでございまして、他の国々は育児休業の普及、父親の育児参加、それやこれやでもっと、言ってみれば、ダイバーシティーとこのごろ言われますけれど、あるいはワーク・ライフ・バランス、私はもうワーク・ライフ・ケア・バランス、三位一体の未来社会をと思っておりますけれど、とにかく日本は今一番子供が産みにくい社会になってしまった。
 ですから、個々の村では、原村さんのようにいろんなことをして出生率を上げていらっしゃる地域もございます。しかし、日本全体が一・二九まで下がって、やっと一・三、四ぐらいまで戻っておりますけれど、これが急激に回復するか。民主党さんには申し訳ありません、私、子ども手当に反対しているんじゃないんです。ただ、子ども手当は恐らく出生率向上にはほとんど影響を与えないだろうと。そういう意味での政策効果じゃなくて、子供を大事にしていますよという、その言ってみればメッセージの効果だというふうにおっしゃるなら私何にも申し上げません。だけど、とにかく日本の場合は子供を持ちながら働き続けるということが最も難しい国になりました。
 一番最後の資料に、私は、これは麻生政権のときに百人ぐらいの人から意見を聞いたときに私が持っていった、作っていったポンチ絵でございますけれど、女の人生、滑り台三度がさとタイトルが付いております。第一回の滑り台が子供を持ったとき、ここで七割が辞めます。二回目、離別その他でいろいろと経済的困難に立ち向かいます。三度目、これも是非先生方に御配慮いただきたいと思うんですけれど、女の人は言ってみれば安定的、継続的な就労の機会に恵まれません。まず、子育てで辞め、夫の転勤で辞め、そして次に、今度は自分の親のみならず、しゅうと、しゅうとめなどの、介護保険が始まってもこれは助けぐらいにしかなっておりません、やはり介護で辞めてまいります。三度の滑り台というのは湯浅誠さんから少し借用させていただいたんですけれど、その三度の滑り台、このキーワードの中にもございますけれど、社会保障というのは、そういう滑り台になりそうなときにそこを支えるかさをつくっておくことが社会保障なのではあるまいかなどと思ってそんなことを書いたわけでございまして、結論を申し上げますと、子供にも社会保障を行い、そして高齢者が倒れたとき、さあ、嫁なり娘なり、あるいはこのごろは息子が辞めるところが増えてきております。
 この間、ある大企業へ行きましたら、これから何に力を尽くしたいですかと言ったら、その大企業のトップが、当社は育児休業とかその他は十分にしておりますので、これからは男性の申請が増えてくると思うから、介護休業をもっと男の人も取りやすいようなやり方に変えたいと、社内でしていきたい。これはもう有数の日本企業の、しかしダイバーシティーの進んでいる大企業で言われて、私はこの会社の発展を信じて帰ってまいりました。
 どうぞ、この日本の社会におきまして、子育てと、それからそうした対策を取ることを通して日本の出生率が、産めよ増やせよではなくて、産みたいと思う人が産めればいいんです。
 その会社で、私は今、これで終わりますけれど、課長になっている女性、三十二、三歳、おととし結婚したという管理職に、私は実はキャリアアップの方の調査で行ったんですよ、とってもやる気満々でしたので、あなた今課長さんだけれど、どこまで行きたいですか、部長になりたいですか、その上まで行く気って質問したら、行けるところまで行きたいですね、うちは副社長まで出たことのある会社ですからって言って、私がやる気満々ですねって答えたら、はい、そして産む気満々ですと言いました。やる気満々という言葉は聞いたことあるけれど、当事者から、結婚二年目の人から、しかも課長さんから産む気満々という言葉を聞いて、そういう企業もできてきたんだということを私は大変うれしく思うと申し上げました。
 このような産む気満々の人が仕事を辞めなくて済むような社会風土を是非形成していただきたいと申し上げて、終わります。
 ありがとうございました。
#14
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入らせていただきます。
 質疑及び答弁の際は挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言されますようお願いいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力を賜りたいと思います。
 それでは、質疑のある方の挙手を願います。
 米長晴信君。
#15
○米長晴信君 三人の参考人の皆様、本日はお忙しい中、御足労いただきまして、本当にありがとうございます。時間がないので、できるだけ発言された順番に満遍なくお伺いをしたいというふうに思います。
 まず、大石参考人の方ですけれども、話の前段は健康度を上げて医療費を下げるというような研究、予防医学のようなものだと思うんですけれども、結果的に将来の医療費を下げるために予防にお金を使うと。その予防にお金を使うという部分については、瞬間的には何もない状態においては高負担になるということだというふうに思いますけれども、ただ、これ、将来的な医療費を圧縮するという結果が出ているわけですから、会社によってはそういった予防医学的なものをほうっておく、会社によってはそういうのに力入れて差が出るというのは、国益上は、本当は制度的に均一にしてできるだけ予防医学というものを取り入れると、その分負担高くなるけれども将来の負担は減るというような仕組みにこういう結果が出ている以上はすべきだと思うんですけれども、今の国の制度上、そういった部分で不備あるいは改善点というのがあれば御指摘をいただきたいというふうに思うんですけれども。
#16
○会長(矢野哲朗君) ちょっと待ってください。
 お一人お一人でよろしいですか。
#17
○米長晴信君 一人一人伺います。
#18
○会長(矢野哲朗君) そうですか。
 大石参考人、お願いします。
#19
○参考人(大石佳能子君) 今の点、お答えします。
 今、まだいろいろデータを取っている段階なので、実質例えば大量にこういうふうな予防をやったときにどの程度の効果が確率的に起こるかというところはまだ取れていません。
 ただ、現実予防したときに掛かるコストと、それから実際薬を飲むのをやめた人というのだけで見てみたときに、その段階ですね、予防に掛かる費用が大体いろんな指導費なんかも入れて五万から十万の間なんですね。大体、こういうふうな人たちというのは薬だけで、薬剤費だけで年間十二万から十八万ぐらい掛かっているので、もうその段階で効果がきちんと出ればペイするということになると思います。
 で、これをもう少し大量に取るときに、その発生確率ですとか、あとはそれこそ脳卒中になって四百万掛かるとか、心臓麻痺に二千万掛かるというのも全部入れたときにどの程度のペイバックがあるかというのをまず出してみなくちゃいけないんですが、実際は多分、推測ですけれども、やはりコスト効果はあるなというふうに出ると思うんです。
 そうなってきますと、制度的に何が必要になってくるかということが御質問かと思いますけれども、一つは、多分段階的になってくると思うんですが、現段階では、じゃ、すべての保険者がこれを実行しなさいというのはなかなか難しいと思うので、一つ目は、そういうふうな施策を自由にやれるように支援をする、奨励する、また健保組合、今非常に財政的に厳しいので、いわゆる保健事業費というのが使いにくい状態になっているので、そこを使うことを勧めるような形というのがいいかと思います。これはメタボの保健指導なんかは割とそういうふうな仕組みであったと思います。
 二つ目は、それをやることによって大量なデータが今、今回特定健診を通して取れますし、今度レセプト電子化できるとレセプトのデータも取れますので、ペイバックがきちんと算定できるようになったらこれは実行すべきものとして各保健所で予算立てするという二段階構えがいいのではないかと思っております。
 あともう一つは、それを実施する人材の育成というのがございまして、やはりこれを実施するのにはいわゆるお医者さんと、それと保健師若しくは管理栄養士という指導者と、あとはいわゆるメディカルコンシェルジュと私ども呼んでいるんですけれども、いろんな医療連携をしている専門の医師に何というかそこを誘導するような特殊な職種が必要なんですけれども、そういう人材を育成するということと、あとはこういうふうなものというのは実は対面であることが大事なんですが、ちょっと話飛ぶのかもしれませんが、遠隔でもできるんですね。
 最近、遠隔医療のいろんな仕組みが進んでいて、日本だけが今遠隔医療というのが非常に遅れていて、これはもう一つ別の課題としてあるんですけれども、この遠隔医療をもっと取り入れることによってより効率的にできる。これはメタボ指導でももっと効率的にできると思いますし、こういうふうな疾病管理的な指導をもっとできると思いますので、遠隔医療を促進するということも重要ではないかと思っております。
#20
○米長晴信君 次に、清水村長さんにお伺いしたいと思います。
 本日は、今たまたま二人席におられませんけれども、地元の長野の吉田先生、若林先生おられますけれども、私は隣の山梨で、清里までは割としょっちゅう行くんですけれども、その先のちょっと原には足を運んだことはないので、また今度行かせていただきたいというふうに思います。
 早速ですけれども、人口が増えていると、もう我が県内はほぼすべて村というのは過疎の対象になっていまして、うらやましい限りなんですけれども、この内訳は、元々村内にいる人のお子さん、自然増のような形なのか、あるいはいろんな制度がしっかりしているので引っ越して村に来るというケースが多いのか、その辺は内訳はいかがですか。
#21
○参考人(清水澄君) やはり自然減でございます。そういうことで、原村に移り住む人が多いということです。
 ただ、先ほど発表、お伝えしましたように、非常にこの医療福祉制度が充実している。それによって、特に御高齢の方、六十五歳以上の方が来るのではないか、そういうふうに思われていました。実際、村民もそういうふうに思っていたんですが、これ、そのつもりでちょっと年齢構成を三年ぐらい取ってみましたら、そうではなくて、子育て中から大体壮年の方、その人たちの方がずっと余計移り住んでいるというふうなことで、やはりその医療費の魅力よりも環境の良さ、そういうことにあこがれていらっしゃる方が多いんだな、そのように感じております。
#22
○米長晴信君 ありがとうございます。
 自然の魅力というのも写真を見ただけでもよく分かるんですけれども、ただ、やはり六十五歳以上の人、十五歳以下の人、あるいは世帯主、そういった人たちが医療費無料なんというのは夢のような制度で、これを全国で取り入れられるなら取り入れたいというところでやはり財政面がネックになるということかと思うんですけれども、その財政面もしっかりされておると。これは村民の方の税負担がほかより多いとか、あるいは特産品であるセルリーとかアネモネ、こういったものが村の財政を支えているのか、あるいはほかの市町村で無駄に使われている、原村ではこの無駄を排除してそれを財源に充てているとか、簡単にこれをどうやって可能にしているのかという部分を教えていただきたいんですけれども。
#23
○参考人(清水澄君) 原村では、こういうふうなことでやっぱり固定的に経常経費が出ていくものですから、それに対してどういうふうに対応していったらいいんだというふうなことは長年論議してきました。そういう中でやっぱり、鳩山内閣はコンクリートから人へというふうにおっしゃっておりますけれども、我が村はもう十年以上も前にそれを先取りしてやっているということで、ハードの整備に、まあ人並みにはやっておりますけれども、特段、余計お金の掛かるような箱物を造ってこなかった、それが大きいというふうに思っております。
#24
○米長晴信君 じゃ、清水村長にもう一問だけ。
 ある程度人口が少ないというか、あるいは基盤が少ないという自治体だからこそできる制度でもあるというふうに言えるかと思うんですけれども、資料を拝見しましたら今人口が八千人弱ということですけれども、人口、このまま増えるとしても、今の村の制度の中で理想的な人口というのは最終的には何人ぐらいとお考えなんですか。
#25
○参考人(清水澄君) 大変難しい質問だと思うんですけれども、私は一応理念としては人口一万人止まりというふうに思っております。それ以上増えることによって、村内の魅力ある自然環境が非常に色あせたものになっていく可能性があるというふうなことでございます。したがって、一万人止まりというふうに考えております。
#26
○米長晴信君 では、最後になりましたけれども、樋口参考人の方にお伺いしたいんですけれども、今、人口減によって、あるいはいろんな景気の状況とかによって就労人口というものが極端に減っていって、それを求めるには高齢者の方、女性、外国人、あるいは障害をお持ちの方というような形で就労人口自体を確保しなきゃいけないという中で、お年寄りはもっと働きたいと、ましてや女性もということですけれども、現実にはいろんな例えば一般企業の採用ですとかある程度の年齢制限がむしろある、それに縛られているという状況なんですけれども、今後、樋口参考人の理想どおり六十五歳以上の人が働ける、まあ原村ではその比率が非常に高いということでびっくりしたんですけれども、どういった職、どういった制度がそれを可能にできるのかというのがお考えがあればお聞きしたいというふうに思います。
#27
○参考人(樋口恵子君) それは本当に米長先生始め政治家で考えていただきたいと思うのですけれど、恐らく幾つものやり方があると思います。
 今、高年齢者雇用安定法を変えまして六十五歳までの雇用が一応保障されておりますね。だから、私は今の小康状態に安んじていたら大変で、二〇〇七年問題ってあんなに申しましたね、二〇〇七年に団塊の世代の人が定年になるから大変だと言ったのが今は鎮静化しております。あれは、あの法律のおかげで五年定年が結果として延びているから静かなので、二〇一二年問題には、この問題が今度は六十五歳となって噴き出してくると思います。ですから、あと時間はもう本当に二、三年しかございません。
 是非六十五歳以上の方々を受け入れる受皿を、定年延長でいくのか、あるいは、私は、NPOとかそういうものをもっと盛んにして地域で起こすのか。これは一つ割と有力な方法で、既に定年後の男性の起業なども大分起きております。特に介護保険や子育て支援の部面ではこうした方々の参入が大変多いです。これをもっと政策的に奨励して、何も若い方と競争して若い方と同じ賃金を稼ぐ必要はないし、かつ、これもどこかで誤解を招くかもしれませんけれども、場合によっては、私は、特に六十五歳以上、まして後期高齢者になりましたら最低賃金でなくたっていいぐらいじゃないかと。一種の今流の言葉で言えばボランティア就労と言ったらいいでしょうかね、そういう形も年齢とか本人の希望に応じてあってよろしいのではないか。
 何はともあれ、あらゆる衆知を集めて、そして地域の中にということが高齢者は大事だと思います。もう満員電車に揺られて、幾ら高給をくれると言っても私はもう満員電車に乗るのは嫌ですよ。もう年を取ったらやっぱり地域の中か、あるいは時間短縮して満員電車に乗らなくても働けるようなところへつくっていただきたいし、政策的にも是非六十五歳以上とか七十歳以上を雇用して、それも雇用して老人を搾取しちゃいけませんけれども、それをきちんと福祉的にもうまくやっているような企業を御推奨くださるとか、あるいは税制上も優遇してくださるとか、私は本当に高齢者が働ける場を確保することが一番だと思っておりますし。
 おっしゃってくださいましたように、それ以前に、女性、女性の方はただ若い世代はもう変わってきておりますから、もう共働きをして、子供を産んで働き続けるということがだんだん、じわじわですけれども普通になってきておりますし、中高年の女性も、これはもうタレントの山でございますから、どうぞ中高年の女性を、活躍できる場を先生方のお力で広げていただきたい。
 私自身も及ばずながら、これからは中高年の女性が豊かになりませんと、二十一世紀半ば、私などは影も形もございませんが、この辺の若い先生方は生きていらっしゃいます。そのときに、人口統計って割と合いますから、四割が高齢者だそうです、六十五歳以上だそうです。寿命が長いから女が六割以上を占めるのです。そうすると、六、四、二十四、二十五ですね。もうそう遠い先じゃございません。二十一世紀半ばの日本人全体の中で四人に一人が六十五歳以上の女性なんです。
 だから、私は昔からこの時期をおばあさんの世紀と呼んでおります。おばあさんの世紀で、しかも今は女性の五〇%以上は非正規雇用です。非正規雇用の方というのはプアであって、かつ健康格差に泣いている人たちです。この人たちが、ですから、私はこのごろBBBPという運動をいたしております。BBというのは、ポンチ絵にかいておりましたけれども、昔はベベと呼んで、ブリジット・バルドーのことでございましたけれども、今は、日本名物貧乏ばあさん、貧乏ばあさんの頭文字であります。これを、全人口の四人に一人、高齢者の六割いる女性が貧乏になったら日本の社会は立っていきません。ですから私は、男女共同参画と言いますと気に障る方々も時には、かつてはいらっしゃったようでございますけれども、これは日本のお国のためなのです。女性がちゃんと自立できて、高齢者になっても働いたり年金をもらえたりしているようにしておかないと、二〇五〇年は四人に一人がおばあさんで、その六割が貧乏ばあさんだったら日本社会は立っていきません。ですから、BBBPの最後のBPは貧乏ばあさん防止プランというのであります。
 是非これはいろんな形で、ぐずぐず申し上げましたけれども、女性が出産しても働き続けられるようになる、正規雇用から滑り落ちないで済むなどということもすべてこのBBBPに、日本の未来にかかわることでございます。
 長くなりました。
#28
○米長晴信君 終わります。
#29
○会長(矢野哲朗君) よろしいですか。
 次に、石井準一君。
#30
○石井準一君 自由民主党の石井準一でございます。三人の参考人の方々には、それぞれの意見を聞かせていただきまして本当に感謝を申し上げる次第でございます。
 政権交代が実現をし、新しい政治で暮らしを良くしてほしい、そんな国民の期待を背に鳩山政権がスタートを切ったわけであります。生活に直面する数々の公約は実際に実現をするのか、財源の手当てはしっかりとあるのか、制度の持続性、また改革はしっかりとやってくれるのか。国民の大きな期待と、またその反面、大きな不安も否めない事実ではないのでしょうか。
 私自身は、社会保障制度を含めた老後の生活の問題が今一番大きな問題であると、これは政治課題の一つの大きな課題であると認識をしております。
 今日は、樋口参考人のみにこうした観点からお伺いをしたいわけでありますが、超高齢化社会という日本がこれまで経験をしたことのない未知の時代を迎えていくに当たり、高齢者の生き方についていろいろと意見を拝聴させていただきました。
 私も、厚生労働委員会に所属をしておりまして、老いの受入れ、介護の在り方、そして若い人たちがそうした高齢者に向き合う姿勢やその理念について大臣に聞いたことがあります。そうした中で、老いを受け入れていく中で、人の手を借りながらも充実した老後を生き生きと明るく送っていくことが高齢者の取るべき最も良い生き方であると。そのためには、周囲の人々がいろいろな障害を取り除いてやることが大切であると。
 また、介護で世話になっているということではなく、ありがとうという、お年寄りから、その言葉の力、また言葉を発することができなければアイコンタクト、手でぎゅっと感謝の気持ちを返す、そうしたやはり施設の在り方、介護の在り方について、私は厚生労働委員会で大臣や政府の方々に聞いたことがあるんですが、改めまして、こうした超少子高齢化時代を迎えるに当たり、樋口参考人に、我々、与野党を問わず、政治家がこれからしっかりと何を見詰めながら、向かい合いながら、そうした現実に取り組んでいかなければいけないのか、叱咤激励を込めて、御意見をいただければ有り難いなというふうに思います。
#31
○参考人(樋口恵子君) ありがとうございます。
 何しろ、先ほど申し上げましたように、このように長寿を享受できる、これはひたすら平和と一定の豊かさのおかげです。平和と豊かさがなかったら絶対、長寿社会、長い寿命はまいりません。やっぱりその意味で、与野党がどうだったかこうだったかということは別として、何はともあれ、戦後の六十何年、日本が、危ない橋を渡りながらも平和を守り抜き、外国兵も日本の自衛隊員も一兵たりとも戦争で殺さず、おかげで平均寿命は延び、豊かになってきたということを、これを忘れちゃいけない。もう長寿というのはどんなことがあろうと平和のあかしであり、私は大事にしていきたいと思っております。
 ただし、さっき申し上げましたように、人類が初体験なんです。日本はそのトップを行っているんです。そこへもってきて、個人というのは、昔であろうと自分の六十は生まれて初めてなんですね。七十になって七十を初めて体験する。個人的にも社会的にも初体験ですから、私は、戸惑うのも無理はない、行ったり来たりはしようがないわよと、お互いに認め合いながら、同じ乗組員として生きていきたいと思っております。
 私自身もいつ要介護になっても分からないような年齢になってまいりました。一体どのように生きたいか。
 私、いろんな問題、改正は問題があったと思うんですけれど、私は二〇〇六年の介護保険改正で一つだけ良かったと思っているんです。介護保険法の目的に、その人の尊厳を維持する介護、尊厳という言葉がきちんと入ったということはとても大事なことで、これは認知症の方を意識したから入れたんだろうと思いますけれど、もう訳の分からない、周りから、困っては、もう本当に分からぬちんのどうしようもない人になっても、その人にとっては生まれてから八十年、九十年と生きたかけがえのないその人の尊厳があるということを、やっぱり介護する人、家族はもとより、介護職員に一番求めなければならないことはそれではないかと思っております。
 そして、介護される人に是非ともこれは少し、昨年になってから、私どもも介護職員の待遇改善について、小さなNPOですけれど、まず最初旗を振らせていただきまして、衆議院の方にはいろいろ、介護人材確保、何だっけ、待遇向上に関する法律ができるときに私またそのときも参考人に呼んでいただいたりして、やっと去年から動き出したのですけれど、介護人材をどうするか、どのように待遇するか、どのような資格の人にするのか、これも是非お考えいただきたいし、介護の本当に中核を担う人にはしっかりと人間らしい待遇をしていただきたい。
 思えば、介護というのは、これは子育てを軽んじて言っているんじゃないから誤解しないでください、子育ては絶対大事だよと私は力説しております。ただし、子育てはあらゆる動物がする、介護は人間しかしないんです。どこのアフリカの原野へ行っても若いアフリカゾウの嫁が年取ったアフリカゾウを助けていたなんて話ないんです。これは人間が豊かに、それも人間だっておば捨ての時代もございました。人間が豊かになって人類がたどり着いた文明として介護がございます。
 ですから、私たちが介護に臨むとき、三つのフレーズを合い言葉にしております。介護は人間しかしない人間の証明です。この人間の証明をその社会のどこに位置付けるか、政治的にも経済的にもどこに位置付けるかによってその社会の品格が決まります。そして、介護する人が幸せでなかったら介護される人も幸せになれません。ということだと私は思っております。
 という意味で、ここから先、私、今日来て変なことを言いそうで困っちゃっているんですけれど、でも思っていることですから言わせていただきます。
 介護する人というのは物すごく膨大に要るんですよ。それを今、厚労省でも言っていらっしゃる、民主党さん、どういうふうに出していらっしゃるか党のは拝見していないんですけれど、毎年まだ数万人、十万人近くぐらい介護人材が必要なんですよ。増やさなくちゃならない。それから、介護というのは医療とちょっと違うところが、介護の方がずっと日常的なんです。ですから、介護の中も周辺的なことはあるいは普通の素人に研修した程度の人でもできるかもしれない。
 ですから、この辺が看護師の資格と介護福祉士の資格、これは同等な国家資格でなければならないと私は思っておりますし、介護福祉士もちゃんとたんの吸引なんかできることを認めていただきたいと思っております。
 はっきり言って、私の夫に、亡くなっちゃいましたけれど、やっぱりたんを年中引いて病院にいましたけれど、退院させられたら、私が七十のばあさんでも、あんた家族だからたんの吸引しなさいと言われるんです。家族はしていいんです、あるいはさせられるんです。ところが、介護福祉士の資格を持った人は看護師、医師でないからしてはいけませんと。だけど、私まだしっかりしていますけれど、手指の震える高齢者であろうと、妻ならば夫ならば家族はそれをやれと言われるんです。こんなばかな話ありますか。私はきちんとした資格を持った介護福祉士にはやらせてほしいと思うんです。
 ただし、一方で、天井の電球が付け替えられなくなっちゃった、だれか電球替えてくれないかな、このときに介護福祉士を呼ぶんですか。私はそれはもったいない人材の使い方だと思って、こんなふうに国費を浪費してはいけないだろうと思っております。
 ですから、これから是非お願いしたいことは、介護というのは、ケアというのは非常に広いんです。広い中のどの中枢の部分を有資格の介護福祉士に持たせ、その介護福祉士にはかくかくしかじか、しかじか国家試験するべきですよ、今もしていますけれど。研修もするべきです、こうでなければならない。その代わり対価もきちんと払う。
 さて、今度はもうちょっと本当に地域の助け合いの範囲でできることをだれが負担して、だれがやるんだろうかと。
 これ、このごろ少子高齢社会のキーワードに今日本社会でなっておりますのが、地域です。私は地域がとっても大事だと思っておりますけれど、かつて介護も嫁がやれと言われて、人生五十年が八十年、九十年になって、介護時間も昔は本当に半年、一年で見送ったのが五年も十年、そうなってつぶれるということで、ようやく介護保険ができた。今、何でも地域にやれ、地域にやれ、地域にやれといって、村長さんどうですか、全部地域が詰め込まれたら、また家族がかつてそうであったように、積み過ぎた箱船となって地域が崩壊してしまうかもしれません。私は、そこには是非国費の投入ということも必要だと思っていますし、最後に言いたかったのはこれです。福祉国家、福祉社会は福祉的な市民や国民によってでなければ担われないと思っております。
 でありますから、今おっしゃってくださいました石井先生への御返事でございますけれど、やっぱり義務教育のときから、人は支え合うのだと、人の尊厳は守るのだと、人は支え合うのだと。そして、その人の尊厳というのは、私流に解釈すると、仮にぼけても私何かのお役に立っているかしら、私何かのお役に立ちたいわという思いが、どんなに心身の不自由になったとしても、その人の命の根源の底にあるということを信じるのがその尊厳を守るということだと思っております。
 そういう教育を、人生百年の命を支える教育を是非義務教育のときからしていただきたいと思っておりますし、私たちが隣近所にいる人を、困っている人をほうっておくような、そしてただ要求だけするような市民であったならば福祉国家はできないと思って、私たち自身一人一人福祉的市民になろうという決意を固めております。よろしくお願いいたします。お世話になることの方が多いと思うけど。
#32
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございます。
 石井委員、今の質問に、大石、清水両参考人に何か御意見あったらいかがですか。
#33
○石井準一君 いや、時間の関係もありますので。
#34
○会長(矢野哲朗君) いや、いいですよ。
#35
○石井準一君 では、もう一点だけ。
 樋口参考人には本当に胸温まるような、我々議員に対して本当に重要なお言葉を賜りまして、感謝申し上げる次第でございます。
 ところで、最近、人ごとではない新老人の孤独と不安という形の中で、切れる子供ではなく切れる老人が多くなったという話を聞くわけですけど、そうしたことに対し何か見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
#36
○参考人(樋口恵子君) 私も年中切れて、ここに随行もおりますけれど、このごろとみに怒りっぽくなったと言われておりますけれど。
 ただ、昨日、実は後期高齢者の医療制度を見直す委員会に、私も該当年齢者、あれは何よりも当事者の意見を全然聞いていなかったのがいけないと私叫んでいましたら、おまえも委員になれというので入れていただいて、そこであるお医者さんの著書を配られましたんですけれど、やっぱりその切れるとか、うつとか、その本をもうぱっと、読みやすい本なので今読んでここへ来たところでございますけれど、健康にも大変所得やそれから人間関係などの格差があると。
 私がこのレジュメの中で、今日は大して説明しない、くだくだ申し上げる中で大体言いましたけれど、格差や貧乏にもいろいろあり、四番のところで、人貧乏、関係貧乏、時間貧乏、情報貧乏、こういういろんな貧乏がございまして、やっぱりその近藤さんという日本福祉大学の教授でした、その方の本でもやはり健康の格差、うつになったりするというのは人間関係が乏しい、社会から疎外される、自分の言うことがだれも話を聞いてくれない、それから人間とのネットワークがない、こういう辺りで大変、切れるというところに出るのかどうか知りませんけれど、うつのような状況は多いという本を読んでまいりまして、私は我が意を得たと思っております。
 ですから、これから日本は本当に金持ちになれるのか、私個人も、高齢社会をよくする女性の会も貧乏ばあさんを脱して金持ちばあさんになれるかどうかは分かりませんけれど、このようなアソシエーションとか地域活動を通して、人間貧乏にはならない、関係貧乏にはならない、そういう社会をつくっていくことが幸福社会の基礎ではないだろうか、そんなふうに思っております。
#37
○石井準一君 ありがとうございます。
 参考人の方から、ケアという概念の広さ、またその豊かな奥深さ、いろいろな角度から光を当てつつ、人間の世界にそうした思いやりの介護があふれ、尊厳のある老後社会が送れるような社会構築のために我々も一生懸命努力をしていきたいなと改めて感じた次第でございます。
 ありがとうございました。
#38
○会長(矢野哲朗君) よろしいですか。
 松あきら君。
#39
○松あきら君 本日は三人の参考人の先生方、お忙しい中を大変にありがとうございます。公明党の松あきらでございます。
 お一人一問ずつまとめて質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、大石参考人、先ほど予防が大事、また健診の見直しをというお言葉に意を強くいたしました。と申し上げますのは、昨年、私どもは女性特有のがん検診無料クーポンを提案させていただきまして、実行させていただいておりますけれども、先進国では七〇から八〇%の検診率、これが日本では残念ながら乳がんは一四・二あるいは子宮頸がんは二二、三%という大変低い数字で、特に二十代、三十代の方はなかなか検診に行かれないという現実がございますので、しっかりとこれらをやっていかなければいけない。アメリカなどは、特に治療は保障できないけれども予防は保障すると、これはもちろん医療費の関係もございますけれども、こうした予防ということに非常に力を入れていらっしゃいます。先ほど予防ということでは御質問が出ましたので、伺おうと思いましたけれども、これはやめさせていただきます。
 また、大石参考人は、患者の視点、医療スタッフの働きやすい環境というすばらしい理念の下で病院経営やあるいはコンサルタントをやっていらっしゃるわけでございます。
 私は、実は昨年、三重県に参りまして、これはがんなどの在宅緩和ケア、終末医療を在宅でやっていらっしゃる青年医師のところへ行ってまいりまして、二十四時間体制で訪問介護を実施していたわけでございます。すばらしい、それ話しているとちょっと時間がございませんけれども、すばらしいまさに訪問介護をやっていらしたわけでございますけれども、その中で、例えば日本はモルヒネなど医療用麻薬を確保しにくい体制なんだそうです。ですから、その緩和ケアというものに対して非常に遅れていると。それとともに、連携をしている訪問看護事務所には、人員基準の問題、これは厚生労働省が、常勤換算で二・五人を満たせなくなった場合、即座に閉鎖しなきゃいけない、こういう問題があるわけでございます。
 こうした問題についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、原村の清水村長さん、すばらしい原村、やはり多くの人たちがこういうところで例えば老後を過ごせたらいいなというふうに思うというふうに私も思いました。やはり、また健全財政ということで胸を張っていらっしゃいましたけれども、すばらしいというふうに思います。
 その中で、四十歳未満の方たちには、リビングゾーンに家を建てる場合五十万円の補助金があるというふうに伺いましたけれども、例えば、じゃ定年後の老後にここに住みたいと思った場合にそうした住まいの購入費などの補助などが出るのかどうか、それも伺いたいと思いますが、一点だけよろしくお願い申し上げます。
 それから、樋口先生、本当に今日はありがとうございます。かねてより特に私ども女性に対しましては様々な指針をお示しくださっておりまして、心から感謝を申し上げたいと思います。ワーク・ライフ・バランスあるいは男女共同参画という、今は当たり前の言葉ですけれども、先生が御提唱くださったときにはまだまだいろいろな意味で抵抗が高かった時代から先生はまさにそれらを提唱していただいているというふうに思います。
 実は私どもの党も、先ほどまた介護の問題も出ましたけれども、私どもの党は三千有余名全国で議員がおりますけれども、介護総点検というものもいたしまして、約十万人の方々から、市民の方あるいは一万人超の介護従事者の方からアンケートをいただきまして、これらを基に介護政策の立案に取り組んでいるところでございます。
 先ほど、介護は人間しかしない、人間の証明であるというふうに伺いまして、まさに社会の品格が決まる、この介護の問題抜きには何も語れないわけでございます。
 これからまさに介護をしてもらいたいという人は増えていくわけでございます。この介護という中で最も大事にしなければならないポイントは何であるか、お教えいただきたいと思います。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
#40
○会長(矢野哲朗君) それでは、順次お願いします。大石参考人、どうぞ。
#41
○参考人(大石佳能子君) ただいまの御質問にお答えさせていただきます。
 まず、ちょっと一瞬脱線するんですが、御質問いただきました在宅医療と在宅看護ですね、訪問看護、訪問介護に関しては、今後の幸せな高齢化社会を支える非常に重要な仕組みだと思っています。
 実は私どもも在宅医療には取り組んでおりまして、私どもの医療法人プラタナスの中に在宅医療をやっている部門がございまして、そこに医師、常勤が約十名及び非常勤が十五名ぐらいがかかわって、グループで在宅にかかわっております。
 診ています患者様が大体全部で千五百人ぐらい常時診ておりまして、そのうちの百名はがんの末期の方、この方は、実は高齢者だけではなくて若い方もいらっしゃるんですけれども、がんセンター、癌研等の病院から、最期はおうちでお過ごしになさってくださいという方を引き受けて、大体百名ぐらいその方々を診ております。大体その百名の方は、私どもが診させていただいてから二か月から三か月ぐらいでお亡くなりになりますので、百名のみとりを、何といいますか、常時その患者さんが入ってきて、常時みとらせていただいてという、そういう状況でございます。
 その経験に基づいて今の御質問に対してお答えをさせていただきますと、まず、在宅医療に関して、やはり本当に質の高いものを医師が疲弊しないでやるためには、やはりグループ診療が必要になってくるかと思います。
 これは、病院の当直を考えていただきますと、例えば一人の医師が年間三百六十五日ずっと当直をしてずっと患者さんの対応をしたら、これは疲弊してしまいます。同じように、特にがんのターミナル等の急変が激しい、いつ呼ばれるか分からないような在宅の状況を、赤ひげ先生がすごく気持ちがあったとしても、一人で対応していると、大体ほかの事例とか見ていても、二年から三年ぐらいでバーンアウトされて、辞めてしまうか若しくは御自身が病気になってしまいます。
 ですから、病院の当直は持ち回りでやっているみたいに、やはり医師もグループを組んで、私どもみたいに一つの診療所に十名とか二十名とかっているケースは珍しいですけれども、地域の開業医の先生なんかも含めて、みんなでグループを組んで連携をし合って当番制で対応するという仕組みが必須になってくると思います。
 それをやるために一番一つ重要なのは、やはり情報連携というのが重要になってきまして、この患者様がどういう病気なのかということだけではなくて、どういうふうな生き方をされているのか、またどういうふうな亡くなり方をされたいのかというソフトな情報も含めて連携をすることが必要になってきます。
 そのために、医師だけじゃなくて看護職ですとかケアマネジャーさんが集まってカンファレンスという形で会議をするんですが、やはりその細かい日々アップデートする情報というのはなかなか伝えにくいので、例えば私どものクリニックですと、これアイフォンなんですけど、ここに電子カルテの情報が全部飛んできて、当番の先生は、ここを見るとその患者さんの細かい情報が全部入っているようにしております。また、新しく得た患者さんの情報をこれまたアップデートしておかないと意味がないので、これを吹き込んで、吹き込んだものをメールで添付して送って、事務方がタイプアップしてそれを電子カルテに張るという仕組みを取っております。
 ですから、これは何を言いたいかというと、いい在宅をやるためにはやっぱりそういう仕組みが必要で、仕組みの中には複数の医師がいること、また研修制度があること、情報連携できるような顔を合わせる機会があることとともに、システムというのと、あとそれをバックアップする事務方等のインフラが必要になってくるというふうに思っています。
 ですから、そういうふうな形の仕組みが全国、一つの診療所だけじゃなくていろんな、例えば医師会単位ですとか地域の開業医さん単位ですとか、そういうふうな連携ができるようになってくると、いろんなところで在宅が普及するのではないかと思っています。
 私の今の経験を背景としまして御質問に答えますと、まずモルヒネに関してですね。緩和ケアに関しては、やはり従来、非常にモルヒネは怖いというイメージが、それは医師だけではなくて患者様にもあった結果、日本の場合というのはやっぱり緩和医療というのは非常に遅れています。
 ただ、最近やはりそれが必須だということでいろんなところで勉強会が行われているんですけど、なかなか十分に普及していないということが現状で、ですから、モルヒネ自体が手に入れにくいというよりは、それはむしろ先生方をどうやって勉強していただくのかという仕組みになってくるかと思いますので、先ほどの例えばグループ診療ですとか、あとグループを超えて研修をする場ですとか、こういうふうなツールなんかも使いながらグループを超えてサポートするような仕組みがあればもう少し普及しやすくなるのではないかと思っております。
 また、人員基準に関しましては、私は個人的にはやはり、例えば看護ステーションは、夜間の急変のときに看護婦さんが飛んでいけないと最終的には本当に患者さんのためにはならないので、できれば複数の方でグループを組むという体制がいいかと思うんですが、ただ、そのときに、先ほどの開業医さんの例と一緒で、じゃ一人しか開業医、一人しか医師がいなければ在宅医療をやってはいけないかというと、そういうことはないわけですね。それはグループでやることが望ましいんですが、きちんと連携をすれば持ち回りで対応できるということなので、これは地域地域の事情もございますし、看護婦さんが非常に、看護婦さんがふんだんにいらっしゃる地域もあればそうじゃない地域もございますので、一律にこの基準を達しなければやっちゃいけないという形ではなくて、基準に達しないところは、例えばグループを組んで連携をするように努めるであるとか、またその仕組みをサポートするような仕掛けをつくるであるとかということで、やりたいという気持ちをできるだけ生かすような施策にしていくのがいいのではないかと思っております。
#42
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 それでは、清水参考人、お願いします。
#43
○参考人(清水澄君) これは、原村の年代別人口構成にまず一つ問題があります。というのは、三十代、四十代付近の働き盛りという年齢層が非常に少ない、そういうことが一点ございます。
 それから、これは人口増対策、人口を誘導するというような意味よりも、むしろ子育て世代を応援したいという意味合いの方が強くて、それで、まあそうは言いながら、四十代過ぎてくると大体子育ても終わって貯蓄もそこそこできてくるだろうということで、したがって四十歳で切らせていただいて、小さなお子さんをまだ一生懸命育てているという方々に対して応援をしたいという意味がございます。したがって、四十歳以前の人たちというふうに切ってございます。ただし、御夫婦いずれかが四十歳以前ならば補助金は出すというふうなことでやっております。
 以上です。
#44
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございます。
 それでは、樋口参考人、お願いします。
#45
○参考人(樋口恵子君) 恐らく、松先生は介護に対する本質的な心掛けとかそういうことで御質問くださったのか分かりませんけれど、だと思いますけれど、まあそれは今までも何度か申し上げましたし、私は、樋口さん自身どういう介護を受けたいですかなんてこの歳になると聞かれるようになるんですよ、もう悔しいですけれど。だから、そのときは言います。やっぱり急に八十、九十になったんじゃないやと言うんですね。だれだってみんな一続きの人生があって、だから私、この間七十七歳の誕生日に一冊のアルバムをくれた人がございまして、それで、樋口さん、お誕生のときから自分の一番いいハイライトの写真を一冊に集めておいて、そして、どうしても介護施設に入らざるを得なくなったらそれを持っていって、若い人々がおばあちゃんなんて言ったら、これを見よと、このような人生のハイライトがあったのだと、ローバは一日にしてならずと言ってやりなさい。これは私の本のタイトルでございますけれどね、ローバは一日という。
 要するに、私は、介護なさる方々は、だからこの間、実は一つ研究会がありまして、教科書に介護従事者の、教科書にする事例にするといって一つ事例をおっしゃったので、私、ええっと言ったんです。グループホームの研究事例なんですけれど、いつもむっつりしていて機嫌の悪いおじい様がいらっしゃるんですね、認知症の方です。それが、その方が、ずっと一か月ぐらいお世話していて、あるきっかけでピアノが弾けるということを発見した。ピアノが弾けて、よくよく聞いていったら、小学校の、小学校全科やりますから、小学校の先生で、それで元々ピアノが得意だったということが分かって、その音楽、ピアノを持ち出すとそのおじいちゃまが本当に、写真は載っていましたけど、生き生き表情が変わっちゃっているんですね。それを良い事例で載せるというから、やめてくださいと言ったんです。何でそのお方が入居なさるとき、グループホームになさるとき、御家族からいろいろ事情を聞くなどとして、御本人はお答えになれなくても、長いこと学校の先生していましたよ、音楽が得意でしたよ、ほかの人の分まで、クラスまで音楽の指導はしてあげたんですよというバックグラウンドをきちんとつかんでその方に合った介護をするのが介護施設の役割じゃないですかと。一か月もたってから、あら、このおじいちゃん学校の先生だったんだでは、預ける家族もお粗末、預かる方もお粗末、そんな事例を教科書に載せないでくださいと私は言いましたんですけれど。
 やっぱり、ここにいらっしゃる先生方も幾ばくかの著名人、若干の知名度を得た樋口恵子も、みんなやがて年老いて、普通の年寄りとして老いていくわけですね。普通の年寄りに私たちはまたなっていかなければいけないと思います。
 我は石見の人、森林太郎として死せんと欲すというのは森鴎外の最後のころの遺言か何かにありましたけれど、軍医総監でもない、大文豪でもない、石見の人。私はこのごろそのピアノの先生の例見てちょっと意見が変わっているんですよ。森林太郎は、勲一等だか何だか、そんな軍医総監だか文豪だか、そういうのは全部かなぐり捨てて、ここに生まれた一人の人間としてという大変謙虚な、あるいは世をすねた、そういう文章かと思ったけど、そうじゃないとこのごろ思っています。どこまでいっても石見の人、森林太郎の中に、大文豪であったり、ドイツ人の娘と恋をしたり、うたかたの恋を書いたり、軍医総監の座を争って挫折したり、悔しがったり、そういうことを含めた中に森林太郎というのが入っているというふうに思いまして。
 ですから、介護に当たる方は、もうどうしようもない、言うことも聞かない、物の分からない年寄りかもしれないけれど、でもそこに来るまでにその人の固有名詞の中に込められた長い歴史があって、かけがえのない長い人生を生きてきているんだという、そうですね、そのかけがえのない人生をこの人は生きて、今終わらんとしている、その場に私はかかわることができて、それを仕事の喜びとしたい、適切な介護をすることを自分の人生の喜びとしたい、そのために研究もしたい、勉強もしたいと思っていらっしゃる方に介護されたいと思っております。
 なお、私のアルバムの方は、その後、まだ一ページも完成いたしておりません。
#46
○松あきら君 ありがとうございました。
    ─────────────
#47
○会長(矢野哲朗君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、川崎稔君が委員を辞任され、その補欠として植松恵美子君が選任されました。
    ─────────────
#48
○会長(矢野哲朗君) 引き続き質疑に入らせていただきます。
 山下芳生君、どうぞ。
#49
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 三人の参考人の皆様、ありがとうございました。福祉、医療、介護をする際に、財政の面であるとか、そういう面から見るんじゃなくて、一人一人の人間の人生をしっかりと尊厳を持って見ながら当たらなければならないなということを学びました。
 まず、清水参考人に伺いたいと思いますが、医療費の無料化について、なぜ原村ではこういう制度をやろうとなさったのか、そのきっかけはどういうところからでしょうか。
#50
○会長(矢野哲朗君) 一問一答というような形でよろしいですか。
#51
○山下芳生君 それで結構です。
#52
○会長(矢野哲朗君) それでは、清水参考人、お願いします。
#53
○参考人(清水澄君) 原村でこの福祉医療を始めたきっかけというのは、昭和四十六年、国において初めて、七十五歳ですか、何か制度をつくったんですね。そのときに村内で先輩方が議論したのは、原村という村は明治八年に周辺の八か新田が合併をしてできた村で、本年で百三十五年という歴史を重ねる村なんですけれども、その当時、村が今日あるのはやっぱりお年寄りの功績だと、だからせめてお年寄りが医療にかかるときには医療費の心配はないようにしてあげようではないか、そんな議論がされて始まったというふうに聞いております。
#54
○山下芳生君 今、その制度に対する村民の皆さんの受け止め、それから、実際に生活や健康などへの影響とか効果、いろんな面で出ているかと思うんですが、教えていただけますでしょうか。
#55
○参考人(清水澄君) 村民の受け止めは、全般に肯定的です。
 それで、特にやっぱりだんだん年を重ねて収入が減ってくると、あるいは子育て世代でも稼ぎが少ない、あるいは子供に掛かるというようなときに、この医療費の無料化というのは大変に有り難いというふうな受け止め方でございます。
 それから、効果なんですけれども、先ほど私、余りにもボリュームが多過ぎて、村で一回リハーサルはしてきたんですけれども、時間をオーバーして済みませんでした。
 そのとき、一人当たりの医療費も長野県平均を下回っているというふうなことを申し上げました。これは、三十一ページから三十五ページに資料を示してございますけれども、村としては国保あるいは後期医療、これで見るしかございませんけれども、資料は二十年度のものなんですけれども、ちょっと国保全般、それから国保の一般は、ちょっと長野県でもそう少ないとは言えない、ちょうど中位のところにあります。これは、大変に高額医療の方が多かった、原村の国保というのはそうはいいながら二、三人高額医療の方がいるとぐっと跳ね上がってしまうという特質がありますので、そんなことなんですけれども、退職者、そして後期高齢者の方になりますと、数字を御覧いただけばよろしいかと思うんですけれども、大分少なくなってきております。そういうふうなことで、村の財政上も大変有効であるというふうなことが言えるかと思います。
 これに関しては、やっぱり始まって二十年ぐらいの間はそう低くなりませんでした。というのは、やっぱり潜在的に病気を持っていらっしゃる方がなかなか予防とか医療にかからないというようなことがあって尾を引いたんだと思いますけれども、平成に入るとともにぐんぐん少なくなっていって、最近では、平均的に言いますと、長野県約八十市町村ある中で大体七十五位以下、いつもそんなところをキープしております。そういう意味では、村もこれはやってきて良かったなという感じでございます。
 以上です。
#56
○山下芳生君 お話を伺っていまして、是非、国全体の制度としてそういうことをやる必要があるなと感じているんですが、OECDの加盟国、先進国の中で、医療保険制度がある国で、大半は患者の窓口負担はゼロ、若しくは定額制、低い料金の定額制ですよね。日本のように、本人、家族三割、高齢者も一割ないし三割、こういう窓口負担をしている国というのは例がないと思います。だから、それが特に低所得層の受診抑制につながっていると、それが健康悪化、結局、医療費の増大ということにもなっていくんだろうと思うので、是非これは国の制度として高過ぎる窓口負担の軽減に踏み出すべきだと思うんですが、清水参考人、実践踏まえて、いかがでしょうか。
#57
○参考人(清水澄君) 私も全く考えることはそういうことでございまして、これが国の制度として行っていただけるならば大変すばらしいと。そして、それによって医療費が増嵩するんならば、これは国でやる価値ないと思いますけれども、そうじゃなくて医療費は下がるんですから、やった方がいいというふうに思っております。
#58
○山下芳生君 ありがとうございます。
 樋口参考人に伺いたいと思います。
 介護保険の問題について先生は昨年三月三日の読売新聞で、低所得者にもサービスを行き渡らせるために、原則一割の費用負担について見直すことを求めたいと語られておられますけれども、その背景というか御趣旨を。
#59
○参考人(樋口恵子君) ありがとうございます。
 やはり最近の貧困とか格差の増大ということの中で思ったことでございまして、まあ言ってみれば、一億中流化などという懐かしい言葉がまだ生きていた時代には、私は一割負担は当然のことだと思っておりました。
 ただ、ここ数年来、この一割負担が非常にこたえてきて利用を抑制する利用者さんが増えてきているということは、いろいろ現場を回っておりますので、あちこちから聞きますし、それから、残念なことに、本当は使いたいのだけれど、これはもうもっと家族関係とかあるいは若い方の貧困の問題だと思いますけれど、高齢者の国民基礎年金などが若い人の生活費に回ってしまって、なかなか介護保険が使えないという話をたくさん聞きましたので、さっき申し上げました貧乏ばあさんの、そしてそういう方は割に女の人が多いものですから、そういうひそみの中で発言したわけでございます。
#60
○山下芳生君 関連して、政府は、利用者負担の上限を一般世帯で三万七千二百円、住民税非課税世帯で一万五千円に抑える措置をとっているからいいんじゃないのと、こういう態度なんですが、その件についていかがですか。
#61
○参考人(樋口恵子君) ありがとうございます。
 それで、これは、私たちも一生懸命考えますから、政治家の先生方も一生懸命考えてくださいませんか。もう我々民間も、今度の介護保険改定への要望を出すタイムリミットがだんだん迫っておりますので、先ほど公明党さんは何か党として調査なさったっておっしゃいましたけれど、私どもささやかなNPOも、この間、全国的に介護保険利用者、関係者、家族、そして当事者、私はこれからの介護保険はもう少し当事者の声を聞く手法というものを発達させていただきたいと思っておりますけれど、いろいろ聞いて、今後の介護保険改定に要望書をまとめて各政党に持って伺いたいと思っておりますので、どうぞ本日のよしみに皆様、各政党、お受入れいただきたいと思っております。
 そのときの争点が幾つかあって、一つはその一割負担。この一割負担の方は一割負担で、今私も申し上げたし、御質問の先生もおっしゃってくださいましたけれど、貧困層への配慮があればそれでよろしいのではないかと思っております。
 ただ、もう一つ、要介護認定をどうするか、これも大変な問題です。どのようにするべきか。余りにも複雑怪奇過ぎます。介護保険はいつの間にか、不正を抑制するために屋上屋を重ねる改定に次ぐ改定で、あっという間に書類の山がなければ通過できない関所になってしまいました。加算、減算、悪魔の計算と言うんだそうですけど、とにかくあっという間に紙の山です。そういうところを是非、この要介護認定が一つの山です。
 もう一つが先生おっしゃいました支給限度額です。医療と介護と一番違いますことは、御案内のとおり、医療費は上限がない、だけど介護保険には要介護度によって上限がございます。現実にはこれ三割から四割までしか使われていない人がほとんどですから限度額はこのままでいいという意見と、その限度額を超えちゃう重度の方は限度を超えるといきなり十割負担になって、これ家計破綻します。
 今日はもうお話し申し上げている暇なかったんですけれど、私は本当はもう一つ今日は介護貧乏、介護破産という言葉を使いたかったんですけれど、本当にそれ、金持ちは金持ちなりに個人的に雇って、それも限度があるから、長引くと限度があるから破産しかけている少し金持ちの私の友人いっぱいいます。それから、介護貧乏の方は、もう息子の所得も少なくなって一割の負担が払いかねている。本当に介護が貧乏と結び付くようになってしまいました。それを思うと、中所得者向けの対策かもしれませんけれど、今見ておりますと中所得者が介護によって一挙に貧乏になります。これを防ぐために、私は、介護限度額を上げるか、上げるのも一つ。無制限にするところまでは勇気ないですけど、上げるのも一つの策です。そうでなかったら、介護限度額を上げて、いきなり十割でなくて、そこを三割にするとか、その辺是非政治家の先生方に御勘案いただきたいと思っております。
#62
○山下芳生君 ありがとうございました。
#63
○会長(矢野哲朗君) よろしいですか。
#64
○山下芳生君 はい。終わります。
#65
○会長(矢野哲朗君) その他、御発言。
 中谷智司君。
#66
○中谷智司君 民主党の中谷智司です。貴重なお話をありがとうございました。
 まず最初に、大石参考人に御質問させていただきます。
 大石参考人の患者の立場から今の医療を変えたいというお考えに大変共感をさせていただきました。また、お話を通して、医療資源の集約化など新しい医療サービスに取り組まれている様子が非常によく分かりました。
 在宅医療にも取り組まれているそうですけれども、私もある統計を見せていただいたことがあるんですけれども、一九五一年には八二・五%の方が自宅で亡くなられていたのが二〇〇二年には一三・四%、病院や診療所など自宅以外で亡くなられたのは八六・六%だそうです。自宅で亡くなるのは十人のうち二人以下となり、病院で医師や看護師にみとられて亡くなるというのが今や普通になってきているそうです。そうした中で、安心できる自宅で医療を受けたい、くつろげる自宅で最期を迎えたいという方はたくさんいらっしゃると思います。そんな御要望におこたえする在宅医療に取り組まれていることはすばらしいなと、お話を聞いて思いました。これからも患者の皆様方の立場に立った医療サービスを次々と打ち出していただきたいと思っています。
 そこで、患者の皆様方の御要望におこたえするために本当に新しいサービスを提供されていますが、それに加えて、やはり医療従事者の満足度の向上というのも必要だと思います。資料を拝見させていただきましたが、そういうことにも触れられていましたが、新しいサービスを提供されるに当たって医療従事者から不満の声や困っているというお話があればお伺いをさせてください。
 そして、様々なサービスを提供されていますけれども、これからもっともっと次に打ち出していきたいというサービスがあればお伺いいたしたいと思います。お願いします。
#67
○参考人(大石佳能子君) お答えさせていただきます。
 私どもは、新しいサービスを実行したり、また特に病院の再生とかで入るときには、必ずそこで働いている医療スタッフの声を聞きます。結構やっぱり世の中的にお医者さんも看護師さんも、例えばお医者さんというとちょっとリッチなイメージみたいなのがありますけれど、ほとんどの医療職の方々は、介護職の方もそうなんですけど、非常にまじめに患者さんのために若しくは介護をしている対象者のためにというその思いで動いているという感じなんですね。なので、その人たちが本当に満足するのは、お金とか報酬とかではなく、本当に自分らが役に立っているという実感と、あと、自分たちが勉強できている、自分たちの技能が向上しているという実感というのが非常に大事で、その機会を提供するような仕組みというのが非常に必要になってくると思います。
 ですから、先ほどグループ診療の話をしましたけれど、やはりお互い学び合える、お互いサポートし合えるような、そういうふうな仕掛けというのが大事であるということが言えると思います。
 あとは、やはり、病院の数ですとか診療所の数というのは日本はほかの国に比べても非常に多うございますので、分散化している人たちをどうやってきちんと自分らが勉強できるようにするかというところで、また遠隔の仕組みなんかも必要になってくるかと思っています。
 とはいいつつ、じゃお金の話が全く関係ないのかというと、実はこれはお金のために皆さん仕事しているわけではないということだけで、やっぱり最低限の収入というのは必要になってきて、それは個人の報酬というだけではなくて、個人の報酬というよりは例えば本当にやりたい医療ができるような診療報酬が付いていることというのが大事だと思うんですね。
 それとか、ちょっと一瞬話飛ぶのかもしれないですけれども、今最新の薬品ですとか最新の機材というのはもう日本では導入できない、診療報酬になかなか採用されないので導入できないという問題があって、外資のメーカーさんもまた国内のメーカーさんも、ある種の日本パッシングですね、中国の方に目を向けているであるとか東南アジアの方に目を向けているという状況の中で、本当にきちんとお金が診療報酬に付いて、本当にやりたい医療ができる環境、またそれが最終的にやっぱり患者さんのためになるという、そういういいサイクルをつくっていかないと、皆さん単に思いだけで動いて忙しくて疲弊していくという、そういう状況があると思います。
 ですから、ミクロの、それぞれの病院だとか診療所でできることというのは勉強の機会を設けるであるとかグループ化するということですけれども、今申し上げた診療報酬の問題ですとか財源の問題ですとか、本当に勉強できていい医療が提供できる仕組みづくりというのは国家の問題かなと思っております。
#68
○中谷智司君 大変参考になりました。ありがとうございました。
 あともう一点、清水参考人にお伺いをいたします。
 原村は都会からの移住者を中心に年間四、五十人ずつ人口が増加しているとお伺いし、驚きました。自然・環境・景観を生かしながら、病院やスーパーなどの生活環境に加え、高校や大学などの教育環境も充実をしていますし、先ほどの話の中で若者定住のための制度が充実している、そして医療や子育てについても積極的に取り組んでおられるというお話を伺って、大変感激をいたしました。
 私の地元は徳島県です。過疎の集落だとか限界集落と言われる地域でありながらも、明るく元気に幸福感を感じながら生活をされている地域があります。もしかしたら御存じかもしれませんけれども、テレビや新聞でよく紹介されているんですけれども、徳島県に上勝町、いろどりという葉っぱをビジネスにしている町があります。そこは人口が二千人弱の四国で一番小さな町で、毎年人口が減り続けています。高齢化率は約五〇%です。この町のおじいちゃんやおばあちゃんが本当に元気に生き生きと生活をされています。
 というのは、東京や大阪の高級料亭の日本料理に添えるつまもの、つまり赤紅葉や青紅葉や松葉やウラジロなどの葉っぱを近くの山で取ってきて、それを販売をされています。この出荷を支えているのが平均年齢約七十歳のおじいちゃんやおばあちゃんです。もちろん収入が少ない方もいらっしゃいますけれども、ある方は一千万円を超えるような大変大きな収入がある方もいらっしゃいます。やはり生きがいを持って生活をされていますので、この町の医療費はほかの町に比べて格段に少なくなっています。
 原村も上勝町も、地域の皆様方がその地域の特性を生かして地域を良くし、自分たちがその中で生きがいをつくることに多分成功をされているんだと思います。
 清水参考人からいろいろなお話を伺いましたけれども、村長になられたときに、まずこの村をどんな村にしたいと思ってスタートされたかを是非ともお伺いをいたしたいと思います。
#69
○参考人(清水澄君) 大変に難しい御質問だというふうに思うんですけれども、やっぱりこの村に住む、その住人の人たちの誇り、誇りを持てる村をつくっていきたい、そういう私は信念で今日までずっと村政に携わらせていただいてきました。
#70
○中谷智司君 ありがとうございます。
 もう一点追加で今のことなんですけれども、若者が定住するための政策を打ち込んだだとか、あるいは医療や子育てに力を入れたというお話でしたけれども、一番最初にこの点に取り組んだということを是非とも政策として教えていただきたいんですけれども。
#71
○参考人(清水澄君) 一番最初に取り組んだことというのは、今から十一年前になるものですから、私はどちらかというと楽な人間でございまして、余り村長になってやろうと、こういうふうに村をつくっていこうという自覚がなくて村長になってしまいました。
 というのは、私の前任の村長が病気で任期半ばで亡くなってしまった。そのとき私は議長に就任してわずか二か月目だったんです。それで、おまえ村長やらぬかというふうなお話がございましたけれども、いやいや、村長なんてそんな大それたことはとても私にはできないからだれかほかの人にというふうに逃げ回っていたんですけれども、とうとう逃げ切れなくなって、ついに白羽の矢を立てられてやむを得ずなったということでございまして、そのときに、これをこういうふうにという考えはなかったんです。
 というのは、前村長が大変にきめ細やかな施策をしいておりましたから、だから、せいぜいできることというのは前村長がやった路線を守っていければいいかなというふうに思っておりました。今日発表させていただきました施策も、ほとんど前村長時代に礎ができたものでございます。
 そんなことですけれども、そうはいいながら、私がそこに改良を加えた点も数々あります。その中で私はやっぱり考えたのは、前村長は福祉、これに力を入れた、私は村民のやっぱり健康づくりに力を入れていこうというふうなことで、この各種健診等のメニューを増やすこと、そしてすべて無料で行うというふうなことをまず取り組みました。
 それからもう一つは、やっぱり田舎の村、子供が少なくなって子供の遊び声が聞こえないような村になってしまえば、お年寄りの皆さんも元気が出ないんではないか、そういうふうに考えまして、これは子育てを力を入れて、そして子供さんの数を増やして、そして日常的に村内の道路に出ても子供が遊んでいると、こういう村がいいなというふうに思って、そこに力を入れてきました。
 以上でございます。
#72
○中谷智司君 貴重なお話、ありがとうございました。
#73
○会長(矢野哲朗君) よろしいですか。
 それでは、古川俊治君。
#74
○古川俊治君 じゃ、時間もありませんので、大石参考人にだけ伺いたいと思っております。いつも医療への取組、そして医療政策への御提言、本当にありがとうございます。
 最初に、健診の管理、健保経営についてなんですけれども、今日は生活習慣病管理についてお話を賜りまして、それで、この事業、大石さんのデータの中に平成十五年の高リスクの方々が平成二十一年度における医療費が高かったという分析を示されましたね。それから、恐らくはそのリスクを下げて、リスクの高い人たちに介入をすれば病気にならずに済むんであろうということが出てくるんですけれども、全体として生活習慣病管理を考えた場合に、人間いつかは亡くなるわけですよね。そういう意味でいうと、これが本当に国の社会保障費、特に医療、介護の費用を安くするのかというのは私は明確でない気がするんですね。その分長く生きる。もちろん反対しているわけじゃなくて、国民の健康度が上がってこれは非常に喜ばしいことなんですが、長く生きる分、介護の必要性も出てくるかもしれないという点がまず一つと、それから、いつかは何かほかの病気で亡くなるわけですね。そのときの医療費というのは当然掛かってくるわけですね。
 ですから、そういう意味で、私は、この生活習慣病管理をやった場合に、どこか、日本の事例少ないと思うんですが、海外でも結構ですけれども、総合的な医療費が下がったという明確なコホート研究ですとか実証的な根拠があるのかどうか、先生御存じかどうか、このことをまず教えていただきたい。これが第一点についてですね。
 第二点は医療資源の集約化の方なんですけれども、今日、富山県の事例をお示し賜りましたけれども、脳外科で、非常に重要な課題だと思っておりますけれども、この件で、今御紹介にもございましたように、富山大学と金沢大学と金沢医科大学が、三つが組み合わさったところで話合いが起こったというような御指摘がございまして、私も、これ全体を考えてみた場合に、各病院、やはり脳外科がなくなるというのだと、かなり病院経営的に痛手のところも出てくると思うんですね。それが話し合って協力をしていくためには、根元になる何かそういった文化といいますか流れがないと無理で、全体の病院の派遣という意味でですね。これはやっぱり医局間の話合いという形でできていったんだから、ある意味で医療側からそういうことを考えていったからうまくいったんではないかというふうにちょっと考えておりまして、今、医療政策のシンクタンクとかあるいはメディア等の医療に対する提言でよく、厳密に言うと、国の側から、あなたがこの医師の配置を規制するですとか病院配置を意見を言っていくというようなことがあると、これがなかなか、そこで医局間が違ったりするとチームが崩れたりして、私は何かうまくいかないような気がするんですね。
 そういった意味で、大石さんが全体、今医療にお取り組みになっていて、集約化におけるそのリードの取り方、国が本当にそういうところに介入していいかどうか、あるいは専門家に投げておいた方がいいのかどうか、ちょっとそのバランスについてお考えを伺いたいと思っています。
#75
○参考人(大石佳能子君) 非常に鋭い御指摘ありがとうございます。
 まず、一つ目の論文に関しまして、これは私どももかなり調べまして、海外に論文らしきものはございますが、やはり本当にこれだなと思うものというのはなかなかないというのが実情でございまして、かつ医療制度が海外と日本と相当違いますので、仮にあったとしてもそのままは比べられないと思います。
 ただ、私が現在思っていますのは、これ、実はここの部分だけ取ってみると、結局、最後お亡くなりになるんだからどこかで医療費掛かるというのはもっともなんですけれども、結局、ある人の人生を取ってみたときに、どういうふうな、どこで医療費を掛けるのか、若しくはその結果どういう健康、人生を送っていただきたいのかということを考えたときに、例えば一番極端な例でいうと、この例で二Dという方は、この会社なんかだと、心臓麻痺で亡くなったりとかちょっと脳梗塞起こされた方というのが立て続けにあった結果こういう分析をしたんですけれども、仮にその方が五十歳代で脳梗塞を起こしましたということになったとすると、そこから先はやはり相当な医療費、介護費が掛かります。
 この方は仮にならなかったとすると、当然人間ですからどこかでお亡くなりになるんですけれども、例えばそういう方が、何といいますか、御高齢である結果亡くなったであるとか、また老人に非常に多い肺炎で亡くなったということになってくると、個人で見たときにやっぱり医療費って低いんだと思うんですね。
 あともう一つは、これは在宅医療とも非常に関係するんですが、最後を、どこで亡くなったとしても、最後、病院に緊急搬送してスパゲッティ状態にしてしまうとそこで高額な医療は掛かりますけれども、それが本当に本人にとって幸せなのかということも考えると、やはりその在宅で亡くなれる仕組み、そこは、先ほどの御質問の中でもやはり病院死が圧倒的に今日本が多いという話ございますけれども、これが在宅で亡くなれるよう、安心して過ごせて、結果として亡くなれる仕組みができ、かつ、それはいいことだという文化ができると在宅死って増えると思うんです。
 これは、医療費の観点だけで在宅を勧めるというのはちょっとどうかとは思いますが、でも現実的に在宅で亡くなって、最後、病院搬送しなければこれはかなり医療費というのは総額、個人に対しては低くなりますので、そういう、何といいますか、早目に治療し、そこで医療費は若干掛けるけれども、こういう三百万とか四百万とか、年間四百万という金額を掛けないことによって個人個人下げていくというのと、あと終末期の中で、幸せでかつ医療費が掛からない仕組みというのを同時に設計していくことによって、下がり得る可能性というのはあると思っています。
 ですから、ちょっとお答えの論文はございませんが、全体設計の中では無駄ではないかと思っているというのが私の答えになると思います。
 二つ目の富山県の例でございますが、これは音頭を取った方が富山大学の今病院長をやられている先生と、あとは県の厚生部の部長さんが音頭を取られたというふうに伺っています。
 ここのポイントは、おっしゃるとおり、行政の方ですとかシンクタンクですとかが音頭を取るだけではやはりなかなか運用できなくて、現実の運用は、やはりその医局間同士のどこがだれのシマだという話だとか、あとその結果、脳外科がなくなった病院の経営の問題だとかにもなってきますので、やはり何といいますか、行政の方だけではできないことは確かなんですけれども、多分ポイントは二つあって、一つは医療者側、医療職側が、特に大学の医局側がこのままだといい人材が育てられない、育てられないとこれはじり貧だと、結果、自分らの大学にいい人が来なくなる、研修医も居着かなくなるという危機感があったからというのはあると思うんですね。これの危機感は富山だけではなくて、もう全国各地で起こっていますので、この危機感を変な言い方ですけれどもうまく利用するというのが一つ。
 あともう一つは、そういう意味では三つあるのか、もう一つは、実態を非常に明確に分析をしたということがあって、どの病院にどういう状態の患者さんが何人来て、その結果、その人はどうなったか、それは病院にとって、手術したから収益は上がったかもしれないけれども、本当にそれは望ましいことだったのかということも含めて、やっぱり徹底的に分析をしてファクトを共有化することによって、それで共通土俵をつくったということがあると思います。
 ですから、そういう意味でいうと、医局だけではやっぱりできなくて、医局と行政、若しくはそういう行政をサポートする、分析をする人なんかがセットになって動いたから成功した事例ではないかと思っています。
 あと三つ目は、じゃ脳外科がなくなったというのか、脳卒中を扱わなくなった病院はどうなったかというと、これは別に、何といいますか、脳卒中だけが脳外科の病気ではなくて、例えば富山の大学病院は脳腫瘍に特化しましたし、あとそこで脳外科の手術がなくなった病院は、慢性期だとか回復期に特化することによって、結果としてそれぞれの病院が収益を確保できるすべを残し、かつ片一方で、元々そんなに医者が集まらない病院が医者を集めるためにきゅうきゅうとしなくてよくなったという意味で、総合的には経営にとってプラスだったという効果が出ていると思いますので、そういうそのすみ分けによってそれぞれ生きていく方法というのは十分に設計し得るとは思っております。
 以上でございます。
#76
○会長(矢野哲朗君) よろしいですか。その他御発言ございますか。
 山根隆治君。座ったままで結構でございます。
#77
○山根隆治君 樋口先生にお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど先生は、子育て、子供への行政の施策、力を入れるべきだと、そしてまた高齢者にも力を入れるべきだ、この二つは矛盾するものではなく両方にケアする必要があるというお話でしたけれども、私自身の考え方は、子供は親が育てるということに無理があるという考え方、実は私自身は個人していまして、やはりおじいちゃん、おばあちゃんや、あるいは地域が育てるということが一番のベストではないかと、個人的にはそういうふうにも考えています、自分自身はそれできませんでしたけれども。
 そこで、先生のいろいろな御経験の中で、外国でそういった事例があるのかどうか、あるいは事例がないとすれば、そうした高齢者による、あるいは地域による子育て、それをうまく融合された何かアイデア、そういったものが、御提案みたいなものがあればお聞かせをいただければ有り難いと思います。
#78
○参考人(樋口恵子君) ありがとうございます。
 子育てにつきましては、日本はこれから本当に子ども手当と相まって、是非、保育所の増設といいましょうか、そういう車の両輪の輪だと思いますので、進めていただきたいと思います。と同時に、私は、まだ行ってみたわけではございませんけれど、文献で調べた程度でございますけれど、フランスはやっぱり一つ学ぶべき国ではなかろうかと思っております。フランスは一時、出生率がヨーロッパの中でもいち早く一・七か一・六ぐらいまで下がりましたのですけれど、二十年来の、子育て支援というよりは、むしろ私に言わせていただけば男女平等政策とかあるいは女性の就労支援が功を奏して、今先進国の中では、人口横ばいは二・〇あればいいんですけど、ついに二・〇をフランスは超えてしまいました。
 いろんな文献を見ますと、実に子育てというか子供さんを預かる方法が多様です。もちろん主流は保育所です。主流は保育所ですけれど、日本でいいますと、少し部分的にやっていますのは、地域の高齢者や退職者を生かしたファミリー・サポート・センターというのがございますけれど、そういうところとか、あるいは東京都の幾つかの区でやっていて、まだ少し残っているかもしれませんけれど、ママさん保育。
 一人の子育てを終えたような方が二人か三人ぐらいまでできて、これはもしかしたら母子家庭のお母さんでなかなか離れられない人の就労対策としてもいいんじゃないかと思うぐらい、区によってはかなり援助も出しておりますし。フランス辺りでそういう保育所とは限らないママさん保育が非常に多様化してあって、言ってみれば地域社会全体が見るような形で、日本も是非そういうママさん保育的なところに、例えば空いている時間の保育所の園庭を一緒に使うとか、あるいは空き教室ができている小学校をそういうママさん保育に貸していくとか。
 何か大変縦割りで、本当に子育て支援もできにくくなっておりますし、私、これまた半分宣伝になりますけど、私は四年前に「祖母力」という本を書いたのです。子育てに祖父や祖母の力が実はとても大きかったし、今も実はキャリアウーマンのかなりの人は祖父か祖母を使って、私自身がそうでございましたし、キャリアウーマンの陰に祖母という名の女ありと言われるぐらい、肉親の祖父母が手伝っているわけなんですね。そして、私は、家族の中でも、もう同居が少なくなった以上、地域の中の祖父母力というものを開発し、ネットワークし、地域の中での世代間交流、今日ちょっとキーワードで言いそびれましたけれど、これからの地域づくりの一つのキーワードは世代間交流だと思います。
 人生百年が一緒の家に住んでいる人なんか、これは地方へ行けば、原村には多少あるかもしれませんけれど、まず東京ではございません。その代わり、地域社会の中が人生百年、四世代が交流できるシステムを地域の中で持っていかなければならないから、自宅に祖父母が同居していないのならば、地域社会の中で社会的祖父母力を使って、定年後の理系のお父さんなんかは、例えば学習遅滞児に学童保育でそういう専門を教えるとかパソコンを教えるとか、そういうことも提案して、「祖母力」という本を書きました。
 ちょっと話題になりました。しかし、ろくに売れませんでした。でも、おかげさまで講談社がすぐ文庫本にしてくれましたし、本としては今の世の中、割合とラッキーな本だとは思いますけれど、ここから先が言いたいのでございまして、その一年後ぐらいに、私の若い友人、上野千鶴子さんが「おひとりさまの老後」というのを書いたら、こちらはたちまち七十五万部売れました。つまり、今、社会の方向性がどっちへ来ているかということなんですね。
 確かに、独り暮らしは増えているんです。介護保険もお一人様仕様にして作り直さなかったら支えられないと思います。と同時に、だからお一人様、私は、上野さんもいい人ですし、けち付けているわけじゃございませんで、お一人様仕様の福祉をつくっていくと同時に、やっぱり社会政策的には、まさに政治の場で考えてくださる方は、そのお一人様がネットワークでき、お一人様が年寄りならば若い人にかかわれ、あるいは孤独な若者の独り暮らしだったら多様な高齢者にもかかわることができるような地域づくりを構築していくことがこれは政策的に必要ではないだろうかと私が愚痴をこぼしたら、上野さんには、あなた、勢いのある方に向かって本は出さなきゃ駄目よと怒られました。誠に、そうだとは思いますけれども、是非、社会的祖父母力を地域の中に活性化する、先生の御提案のとおりだと思っております。
 よろしくお願いします。
#79
○会長(矢野哲朗君) ありがとうございました。
 まだまだ御意見あろうかと思いますけれども、予定されている時間も過ぎております。参考人に対する質疑を終了させていただきたいと思います。
 大石参考人、清水参考人、樋口参考人、大変今日は御多用の中、本調査会に出席をいただきまして、ありがとうございました。
 本日お述べいただきました御意見でありますけれども、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表しまして御礼を申し上げたいと存じます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後三時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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