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2010/03/16 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第3号
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2010/03/16 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第3号

#1
第174回国会 法務委員会 第3号
平成二十二年三月十六日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松 あきら君
    理 事
                今野  東君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                風間  昶君
    委 員
                石井  一君
                千葉 景子君
                中村 哲治君
                平田 健二君
                前川 清成君
                浅野 勝人君
                丸山 和也君
                森 まさこ君
                仁比 聡平君
   国務大臣
       法務大臣     千葉 景子君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    中井  洽君
   副大臣
       法務副大臣    加藤 公一君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中村 哲治君
       厚生労働大臣政
       務官       足立 信也君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   戸倉 三郎君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   植村  稔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務省入国管理
       局長       田内 正宏君
       厚生労働省労働
       基準局長     金子 順一君
       厚生労働省職業
       安定局次長    山田  亮君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に法務省入国管理局長田内正宏君、厚生労働省労働基準局長金子順一君及び厚生労働省職業安定局次長山田亮君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(松あきら君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○今野東君 おはようございます。民主党の今野東でございます。
 今日は大臣の所信に対する質疑ということでございまして、先日、大臣の所信を伺いました。この中にはしっかりと取調べの可視化についても大臣の決意が書かれてありまして、取調べの可視化の成立については大臣の中にも変わらぬ情熱がめらめらと、めらめらとかどうか分かりませんけれども、燃え続けていることを知り、ほっとしたところでありますし、できるだけ早い時期に取調べの可視化成立に向けてやっていかなければならないという思いを強く改めてしたところでございます。
 また、適正な入国管理というところについては、近年急増している難民認定申請について、一層の処理期間の短縮と適正化に努めますと、難民条約上の難民には該当しない申請者についても、本国の事情、経歴、家族状況などを個々に考慮して、人道的な配慮が必要な場合には、我が国への在留を特別に認めているところですが、引き続き、申請者の置かれた立場に十分に配慮した対応を行いますとおっしゃっておいでで、大変この決意は是とするものでございますけれども、すばらしいと思いますけれども、しかし、実際にはどのような入管行政が行われているかといいますと、実は過日二月十六日、ペルー人の親子が強制的に送還をされてしまったという事案がありました。
 今日はそのことを中心にお伺いしたいと思いますけれども、その前に、大阪の西日本入国管理センターでも男性収容者のおよそ七十人がハンストをしているという報道がありました。何が問題で、なぜこのようなことになっているのか、また今後どういうふうに対応しているのか、まず冒頭これを伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(千葉景子君) 所信に対して今野委員から大変心強い応援のお言葉をいただいて、ありがとうございます。
 その中で今お尋ねがございました、三月八日、西日本入国管理センターに収容中の被収容者百三十三人のうち約八十人が、開放処遇終了時に帰室ですね、部屋に戻るのを拒否をしたということがございました。その際に、一部の者が居室外の区域で立てこもるなどのようなこともございました。職員の説得等で帰室はしたものの、官給食の搬入を拒否して給食を取らないという、そういう事態が起こっております。三月十五日夕食時の現在で、七十一人が引き続き拒否をしております。その一方で、有り難いということでしょうか、支援者からの差し入れや自費購入の食品類を摂食をして、一定の体力といいましょうか、そういうものは保持をしているのではないかと承知をいたしております。
 この事案の発生後、被収容者から、仮放免について改善を求める、そういう申出がなされているものの、なかなかその要望に至った原因、背景というのは必ずしもまだ確たるものは分かりませんで、今調査中でございます。いずれにしても、このような行為は、収容している者の安全、それから収容所自体の安全と秩序ということを阻害するということもございますので、大変重大なことだというふうに認識をしております。
 これ、今後の対応ですけれども、長期化することになると被収容者の健康上の問題が大変危惧される、そういう意味では、職員が被収容者に対し官給食の摂食を促してはおりますが、今後もそういう点は説得を継続をしてまいりたいと思っております。
 一つの理由に仮放免ということが挙げられているようですけれども、仮放免については、本人の情状や仮放免の請求理由など諸般の事情を総合的に考慮して、また人道上の観点からこれまでも弾力的に運用させていただいております。
 仮放免については今後ともそういう観点で適切に対応してまいりたいというふうに思っておりますが、どのような理由に基づいてこのような事態が生じているか、今調査もしておりますので、そういうことも踏まえて今後の対応を検討してまいりたいと思っております。
#7
○今野東君 西日本入国管理センターは前にもこういうことがあって、つまり、こうして複数回このようなことがあるということはやっぱり何らかの問題があるのではないかと。これはしっかり対処していかなければまた同じようなことが起こって、それぞれぎくしゃくした関係が続くということは決して好ましくないことですので、一応途中の経過ですけれども、私自身も見詰めていきたいと思っておりますが、善処をよろしくお願いいたします。
 さて、このようにして様々な問題を抱えながら実際に行われている入管行政ですけれども、政権が替わりまして半年であります。入国管理行政、どのように変わったんでしょうか。
 むしろ、替わってから以降、仮放免、在留特別許可については非常に厳しくなったように思い、そして、その数字を出してくれと私自身も入国管理局に出しているんですけれども。特に子供がいる家庭といいますか、家族についての在特について詳しく知りたいと思って、小学生がいる家庭、中学生、高校生どういうふうになっているのかと調べてくれと言うと、高校生は高校生以上という分け方になっていて大人もその中に入れて数字を出してきて、これじゃ駄目だからもう一回出してくれと言ってもいまだに音さたがないという状況なんですよ。よく分からないんです、政権が替わって半年、どうなっているのか。
 入管行政は政権が替わってどのように変わっている、あるいはどう変えるべきだというふうに指示をしていらっしゃるんでしょうか。
#8
○国務大臣(千葉景子君) 入管行政については、従来どのような対応を取っていたかということは必ずしも私が確たるものを持ち合わせているわけではありませんけれども、私の基本的な認識といたしましては、政権替わって私がその責任者を務めさせていただくということになってから、基本的な考え方としては、やはり我が国の経済成長、こういうことのみを考えることではなくして、これから幅広い文化交流、あるいは友好関係の土台の構築、言わば共生型の社会、こういうことを頭に置くことが大変重要だというふうに認識をいたしております。そのため、入国管理行政を適正にそういう観点で行うことは不可欠なことだという認識でございます。
 そのために二つの視点が必要だというふうに思いますが、一つは、やはり外国人の皆さんの円滑なそしてまた人道的な受入れ、外国人の皆さんの暮らしやすさ、こういうものを向上、発展させていく、こういうことが一つは大事な視点だというふうに思いますが、もう一方で、やはり違法な行為をもくろむようなそういう意味での外国人の入国というのは、やはりこれはきちっと厳しく適正に対処して暮らしの安全、安心を確保していかなければいけない、こういうことも一方では言えようかと思っております。
 そういう視点で私も認識をしながら運営をさせていただいておりますが、現在少し取組を進めさせていただいているということは、例えば政府全体としては、新成長戦略に掲げられた観光立国、こういうことを実現するための入国審査、こういう点についても新たな視点として取組をさせていただくことになっておりますし、それから中長期在留する外国人の皆さんの利便性の向上、それから専門的、技術的分野における外国人労働者の受入れを促進をすること、それから御指摘がありました難民認定の一層の処理期間の短縮そして適正化、こういうときに、例えばUNHCR等々、そういう機関との連携などもより一層密にしていかなければならないというふうに考えております。
 また、先ほど言いました主に安全、安心という観点からいえば、水際で不法なものはきちっと阻止をしていくと、こういうことも必要ですし、それから、やはり不法、非正規な形で滞在をしているようなケースについてはでき得る限り摘発もきちっといたしますけれども、積極的な広報やあるいは在留特別許可、これをできるだけ自発的に出頭していただくなどして適正に運用するということによって、でき得る限りきちっと日本で生活をしていただくべき方については生活をしていただく、しかし不法な場合には厳正にしていく、こういうめり張りをした対応を取っていかなければいけないというふうに考えております。是非、これからもより一層、在留特別許可等についても特に透明性を確保していくということにも留意をしていきたい。
 なかなか、今お話がございましたように、より厳しくなったんではないか、そういう御指摘もございます。そういう意味では、やはりどうして在留特別許可が出たのだ、あるいはこれは認められなかったのだというようなことについても、できる限り透明性を確保することによって納得いただける、こういうことに私は留意をできるだけしていきたいというふうに思っております。
 なかなか一遍に半年等々で大きな、何というのでしょうね、変化ということが見えないところはあろうかというふうに思いますけれども、今申し上げましたような認識の下で是非取組をしていきたいというふうに思いますし、大きく言えば、これから外国人の皆さんの、どういう形で日本に来ていただくのか、受入れ、そういうことについては、やはり政府全体として日本の社会のあるべき姿ということを踏まえて検討していくものだというふうには思っておりますので、こういう点について私の方からも積極的な提起をしてまいりたいというふうに考えております。
#9
○今野東君 大臣のそういう思いが表れてくるのは恐らくこれからなんだろうと思います。
 今、入国管理行政について基本計画を恐らく作っているところだろうと思いますけれども、それの基になるのがこの第五次出入国管理政策懇談会の報告なんだろうと思いますが、この中には、残念ながら難民認定申請について今非常に長い期間、一年半から長い人は四年も五年も放置されている。にもかかわらず、この報告書には早くその短縮と適正化に努めるべきだというような内容のことが残念ながら書かれていない。
 是非、大臣の思いとして、これからの基本政策の中にはそのことも書き込んでいただきたいと思いますし、ガイドラインもついこの間新たに出ているものもありますけれども、在特を出すについても明確な基準を是非その基本計画の中でお示しいただければなという思いがしております。
 さて、そうした大臣の思いが、先ほどもちょっと触れましたけれども、この大臣の所信の中にも、申請者の置かれた立場等に十分に配慮した対応を行いますと大臣が言っているにもかかわらず、足下の行政の窓口ではとんでもないことが起きております。
 二月十七日、成田空港から強制送還されたペルー人の親子の件について、ここから伺います。
 親子は二月十六日、仮放免延長の申請のために弁護士と一緒に品川入管に出頭いたしましたところ、弁護士と引き離されたまま、お母さん、母親だけではなくて子供も収容されて、弁護士と面会することもかなわないまま、翌日七時五分に成田空港に移送されて強制送還されました。人権を最も尊重し、むしろ他の省庁に範を示さなければならない法務省という役所の中でこのような非人道的な措置が堂々と行われているということに私は驚きを感じ、非常な怒りを感じました。
 強制送還されたお母さんは、これは弁護士さんの了解も得て名前を出しますが、サンチェス・コロネル・ヒエンダ・バネッサさんという方であります。一九九三年五月、九十日の短期滞在で入国して、その後、オーバーステイになりました。日本に来てからペルー人男性と交際して、一九九八年六月に男子出産をしております。この男の子は今十歳、小学校四年生です。二〇〇七年十二月五日、自宅で摘発を受けまして、二〇〇八年の九月十八日、退去強制令書が発付されました。二〇〇九年五月、退去強制令書取消しの再審申出をしていますが、六月に再審について不開始の告知がありました。二〇〇九年七月、再び再審の申出をしています。
 なぜ二度の再審申出をしているかというと、在留特別許可を出してもらえるのではないかという希望を持っていたからなんです。なぜこういう希望を持つに至ったかというと、この母親は一九九三年五月十四日に来日しています。十六年半も日本に滞在している。子供は十歳になっている。日本でもちろん生まれた子供です。母親がペルー人なのでスペイン語であいさつ程度はできますけれども、日常の会話は日本語です。日本の小学校にもちろん通って、間もなく五年生になるところでした。完全に日本になじんでいます。
 平成二十一年七月に改訂された在留特別許可に係るガイドラインによりますと、この中に積極要素の四というところがありまして、四、当該外国人が、本邦の初等・中等教育機関に在学し相当期間本邦に在住している実子と同居し、当該実子を監護及び養育していることに当てはまります。
 重大犯罪等による刑に処せられたこともありませんし、反社会性の高い違反を犯しているわけではありません。現に、このガイドラインでは、在留特別許可方向で検討する例としてもこういうことが書かれています。「当該外国人が、本邦で出生し十年以上にわたって本邦に在住している小中学校に在学している実子を同居した上で監護及び養育していて、不法残留である旨を地方入国管理官署に自ら申告し、かつ当該外国人親子が他の法令違反がないなどの在留の状況に特段の問題がないと認められること」と記してありまして、そうしますと、この親子はここからすると在留特別許可を出せる方向だったのではないかと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#10
○国務大臣(千葉景子君) 今、ガイドライン等に照らして、在留特別許可を出せるものではなかったかという御指摘でございます。
 私の認識では、様々な判断材料、当局でもきちっと状況を調査をした上で、本件については、改訂された在留特別許可に係るガイドラインに照らしても、在留を特別に許可をするという事案には該当しないということで、私もそれを報告を受け、承知をしたところでございます。
 ガイドライン上の様々な条件があるわけですけれども、例えば、本件については、自宅で摘発されたということで出頭申告ではないというような事情もございます。あるいは、お子さんが裁決時に小学校三年生で、いまだ可塑性に富んでいるという実情もございますし、お子さんが母国語の読み書きが十分にできるということなどもあります。
 こればかりではございませんけれども、様々な状況を配慮した上で、総合的に判断をしても在留特別許可には今回は該当させることができないという判断であったと私は承知をいたしております。
#11
○今野東君 これ大臣、どういう報告を受けていらっしゃるのか分かりませんけれども、再審でも新しいガイドライン適用すると言っているんです、法務省は、私が呼んで勉強会をしているところで。
 ですから、これは当然在特を出すことに当たると思いますし、それから大臣、これも大変重要なところですけれども、母国語が十分できるという報告を下から受けているようですが、実際どうなっているかというと、この少年は、ペルーに、本国に帰されて小学校で入学手続をしたんですが、今、今度五年生ですよ、この四月から、日本にいれば四年生終わるところだったんです。ですが、言葉が不自由なので小学校一年生に編入なんです。母国語ができていません。こういうことを、大臣、どうやって報告を受けているのか分かりませんけれども、正しい報告を出してくれというふうにこれからは請求してください、是非。子供が十分言語できないんですよ。四年生だったんだけど、一年生に入れられることになっているんです、ペルーの小学校では。母国語が十分ではありません。
 どういうことをチェックしてそういうふうになっているのか、私にはよく分からない。わざわざ在特を出さないために正しい情報をつかもうとしていない入国管理局の姿勢というのがここに表れていると思います。そして、大臣にそうじゃない、真実ではない報告をしている。大臣、そんなことを一々現場に行って調べることできませんから。入管当局、今日来ていますけれども、今後決してこういうことがないようにしていただきたい。
 続いて質問をしますが、親子は仮放免を繰り返して二月十六日まで日本に滞在していたんです。母親は、仮放免の延長手続のときには息子は学校なので連れていかないことが多かったんですけれども、二月十六日の出頭のときには、入国管理局側から、子供と話したいから連れてきてほしいと、今度は子供を連れてくるようにという連絡がありました。弁護士さんは電話で入管に、子供の出頭を求めているのは収容のためじゃないんですかと問い合わせをしています。しかし入管の職員は、それは同居や就学状況を聞くためですと言っているんです。
 親子は、弁護士と一緒に、二月十六日九時半、東京品川の入管に仮放免許可証と仮放免延長許可申請書を提出しました。そして、九時五十分に母親が面接室に案内されています。九時五十五分に子供が面会室に連れていかれて、そのとき執行部門の職員は弁護士に対して何と言ったかというと、これ私に対する入管の報告ですけれども、個人的な状況を伺うので同席していただくまでもない、子供の状況も確認する必要がある、自後説明すると言ったとなっています。
 しかし、十二時五分、面接室で、今度は執行部職員が弁護士に対して説明したときには、強制令書を執行し収容したということは伝えているんですが、送還することは伝えていません。しかも、積極的にそのことを隠している。弁護士には何と言ったかというと、私、弁護士の先生に聞いたんですけれども、先生には子供の収容はするなと言われていたが、結論として退去強制令書を執行した、ただし子については児童相談所に送るか、今後検討の余地もあると言っている。送還することを決定したと言っていないんです。なぜこんなうそを報告されているんでしょうか。今日は入管局長来ていますから、お話を伺います。
#12
○政府参考人(田内正宏君) 送還のことにつきましては、その送還前にこれを話すということは、送還を遂行する上でなかなか難しいところがあると考えております。
 お尋ねのペルー人親子を担当した東京入国管理局の職員からは、弁護士に対応した翌日に行政書士の方がお見えになりました、その際、事案によっては子を児童相談所に預ける場合や親と一緒に収容する場合等があるという説明をしたと、そういう記憶があるという報告を受けております。ただ、弁護士さんと話をしたときに同様の説明をしたかどうかは記憶が定かではないということでございます。この行政書士さんにお話をしたことは、行政書士さんの方から子供の収容は異例ではないかと、こういう御質問があったということから、児童の収容の実情について児童相談所に預ける場合や親と一緒に収容する場合があると、こういう説明をしたと、一般的にお答えをしたものということでございます。
 一般的には、親が帰国説得に応じないなど、その送還を確実に実施する必要から親を収容せざるを得ない場合がございます。その場合には児童の収容をなるべく避けるべく、親の意向や監護養育を行う適当な者の有無などを踏まえ、できる限り児童相談所や親族に預けるなどしております。
 本件につきましては、翌日、出頭の翌日に国費で送還する予定であったことから、収容する部屋には当該親子のみとするなど、その心情に配慮しつつ、親とともに収容したということでございます。
#13
○今野東君 つまり、子供をだまして連れてこさせて、そして送還したんです。当然、在特を出す事由もあった。当然この枠の中に入っているじゃないですか、ガイドラインの中に。だけれども、連携して弁護士にも会わせないようにして強制的に帰したんですよ。
 弁護士に会わせなかったことについて私に対する説明では、この間、弁護士と面会を希望する旨の申出がなかったというふうに報告をし、書かれているんですけれども、これは本当ですか。
#14
○政府参考人(田内正宏君) 先生の方に御報告いたしました内容、そのようになっておりますし、東京入国管理局からは、ペルー人親子から弁護士と面会したいという発言はなかったと、こういう報告を受けております。
#15
○今野東君 これも大臣、そこで聞いていただいていますけれども、うそなんですよ。こんな困ったときに、弁護士と一緒に来ているんですよ、入管に。それで自分は送還される危険を感じているわけで、そのときに弁護士と会わせてくださいと言わないわけがないじゃないですか、通常考えて。
 実際に、品川入管では親子に仮放免期間延長許可申請について不許可の通知書を出して、署名をするように求めているんです。入管局長、報告を受けているかどうか分かりませんけれども、このときにこのペルー人の母親は、よく分からないから弁護士さんと相談したい、相談しないと署名できないから会わせてほしいと言っているんです。さらに、母親は、弁護士に電話をしたい、何度も申し出たと言っています。入管職員は、後でとか、あるいはあしたなどと言って電話を掛ける機会さえ与えなかった。その申出は事実と違いますよ。
#16
○政府参考人(田内正宏君) 御指摘も踏まえまして、東京入管の方に慎重に聴き取りをして調べております。
 東京入国管理局においては、仮放免担当の統括審査官がペルー人親子から仮放免期間延長許可申請を受理し、主任審査官の決裁を仰いだところ、不許可とされたことから同統括審査官が不許可の告知を行っておりますが、ペルー人親子は淡々と不許可の説明を聞き、母親が子供の分も含め不許可通知書に署名を行ったものと報告を受けております。
 東京入管からは、これら手続の間、さらに送還するまでの間、当該親子から弁護士と会いたいとか弁護士に電話をしたい等の発言はなかったとの報告を受けております。
#17
○今野東君 十六年半も日本にいて、そして子供にもキミオという名前まで付けて日本の社会に溶け込んで暮らしていた人が、いよいよ送還されるというときになって淡々と聞くと思いますか。そんな説明通じると思いますか。弁護士に会わせてくれと悲痛な叫びをしているんです、このお母さんは。それでも無視したんだ、あんたたちは。
 小学生に対して収容、送還が行われたことについては、児童の権利条約からも明確に逸脱しています。児童の権利条約三条一項、「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」、児童の権利条約三十七条(b)、「いかなる児童も、不法に又は恣意的にその自由を奪われないこと。児童の逮捕、抑留又は拘禁は、法律に従って行うものとし、最後の解決手段として最も短い適当な期間のみ用いること。」。(d)、「自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利を有すること。」というふうに書いてあります。
 ここから完全に逸脱した非人道的な行為を東京入管は行っているんです。大臣、これまでのところでどうお考えになりますか。
#18
○国務大臣(千葉景子君) 今、今野委員から様々な今回の事案についての御指摘をいただいております。これについては、私も大変重く受け止めさせていただいております。きちっとした報告を私も受けることが大切だということは当然のことでございますし、それに基づいてガイドラインあるいは人道的な観点から対処をしていかなければいけないというふうに思います。
 この御指摘のあった事案についても、やはり弁護士との面会が実施できなかった、確かに弁護士と面会は要らないと言っているともなかなか思えませんし、そういうときにできるだけ援助を必要とするということは私もよう理解ができます。
 そういう意味で、弁護士等の面会が実施できなかったというようなことは、私も配慮が足りなかった、やっぱりもうちょっとそこをきちっと考えて対応をすべきだったというふうに思います。
 こういう点について、弁護士からの面会の申出があったような場合には、できるだけ面会時間や、あるいはいろんな状況があろうとも面会について配慮をすべしという通知をこれから各入管当局に発出する指示を出したところでございまして、それぞれ現場で、執務時間等にとらわれず、それから本人の意思等の確認は必要ですけれども、できるだけ弁護士との面会などができるようにこれから私もきちっと配慮それから監視をしてまいりたいというふうに思っておりますし、そういうときがどうしても難しいというときには電話等での対応もできるように配慮をすべし、こういうこともこれから徹底をしてまいりたいというふうに思っております。
 今回の件につきましては、ガイドライン等におきましても在留特別許可ということに必ずしも該当しないという事案ではございますけれども、やはりその手続あるいは御本人の納得、そういうことを含めてこれからも適切に対処をしていかなければいけない、大変重要な御指摘をいただいた事案だというふうに思いますので、これから私も重く受け止めて対応してまいりたいと思います。
#19
○今野東君 是非、大臣も入管当局の報告には疑いを持って聞いていただきたい、本当にそれが正しいのかどうかということです。
 だって、これ弁護士が一緒に来ているんですから、弁護士にむしろ会いたいと言わなくたって会いますかと聞くのが普通じゃないんでしょうか。
 さらに、私の説明には、この入管当局の反省としてこういうことが書かれているんです。弁護士への説明が不適切という反省をしているんですね。それからもう一つは、首席入国警備官及び統括入国警備官において状況把握が不十分、執行部門の令書執行班と荷物整理班を担当する送還具備班との連携が不十分でした、執行部門と面会を担当する処遇部門との連携が不十分でした。不十分だらけなんです。
 優れた職員によって構成されている東京入管の日常業務が、こんなにずさんで各部署ばらばらに行われているとは私は考えられない。むしろこれは、一人でも二人でも不法と言われる滞在者をなくして成果を上げようという東京入管の見事な連係プレーなんです。これに大臣も乗せられているんですよ、うその報告聞かされて。
 大体、大臣、これお聞きになったのはいつですか、このことがあったのは。あったと聞いたのはいつですか。報告を受けたのはいつですか。
#20
○委員長(松あきら君) いいですか。
#21
○今野東君 いいです。大臣、三月十日なんですよ、お聞きになったのは、大臣が報告を受けているのは。これ、二月十七日なんです。そして、その直後、私はこれについて説明してほしいと部屋に来てもらって、東京入国管理局の職員の方に説明を受けているんです。それでもなおかつ大臣のところにこの説明が上がっていない。質問をしますよということになって初めて大臣はこの事実を聞いているんです。報告が上がっていないんですよ。
 こういうことをやるのはどこで決定されるんですか。大臣名でこれは帰されているんですよ、このペルー人の親子は。大臣名で執行されているんです、こんな非人道的なことが。一体これはどこで決定するんですか、入管の中の。
#22
○政府参考人(田内正宏君) 御指摘の事案に関しまして、被収容者の送還要件具備及び退去強制令書の執行並びにその執行のための護送及び送還に関する事務は、東京入国管理局執行担当の首席入国警備官が行っております。その監督上の責任者は東京入国管理局長でありますが、適正な入管行政の運営は入管局全体で取り組むべきものと思っております。
#23
○今野東君 そういう執行をするということは、当然、この現場の統括入国警備官が決定をして、そして局長のところに上がってきて、それを大臣のところには上げないの。
#24
○政府参考人(田内正宏君) 本件の執行の際には大臣のところには上がっておりません。
#25
○今野東君 大臣名でやるのに、何で大臣のところに報告が上がらないんですか。
#26
○政府参考人(田内正宏君) それは、それぞれ東京入管に委任された事項、専決された事項ということでやっているところでございます。
#27
○今野東君 これは日本の恥なんですよ、こういう非人道的な措置は。国連でも恐らく問題になりますよ、千葉景子法務大臣名でこの親子は送還されているんですから。私たちは、大臣を支える立場として、こんなことを勝手にやられちゃ困るんです。
 大臣、こういうことがないように、これからどういう処置をされますか。
#28
○国務大臣(千葉景子君) 私もできるだけ報告を適切に受けるということはしたいというふうに思っておりますけれども、なかなかすべて私も決裁をするということは困難だというふうに思います。何か問題のある、あるいは御指摘があるような事例について、私も適宜報告を受けるように努力をしていきたいというふうに思っております。
#29
○今野東君 二度とこのようなことが起こらないように、入管行政、しっかりしていただきたいですし、そして、東京入管、今日は入国管理局長もおいでですけれども、大臣のこの不自由なつらい立場をしている方々に対する温かい思いを十分に行政の窓口のところでも具体的に表していただけますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#30
○松岡徹君 おはようございます。
 元々の予定は今野先生は二十五分やったんですが、四十分やってしまいましたので私の時間が短くなりましたので、手際よくしたいというふうに思っています。
 千葉大臣のさきの所信表明につきまして、所信演説を受けまして御質問したいと思いますが、私は、この間、ちょっと混乱している状況を見るにつきまして、これからの課題というものを明らかにしたいという思いで、千葉大臣の考え方をお聞かせいただきたいという思いで聞かさしていただきます。
 民主党の政権になってから、鳩山総理は命を大事にする政治をつくり上げていきたいと。私は、さきの代表質問でも命を守るという中に、人権侵害や差別によって命を落とすという状況を見れば、我が国における人権政策の確立が命を守る政治の重要な政策の一つではないのかということも質問をさしてもらいまして、人権侵害救済に関する法律、あるいは民主党がマニフェストで挙げている取調べの可視化等につきましても非常に重要な課題だと思っておりまして、その中で特に部落問題について大臣の考え方といいますか、というものを聞かせていただきたいと思っています。
 先ほどの今野先生の話を聞いて、可視化はいよいよ必要だなという必要の範囲が、入国管理のところまで可視化せなあかんのかなというような気がしましたが、弁護士に相談をする権利まで奪っているという状況はやっぱりどうしても許せないというふうに思いますが、いずれにしても今日は私はそういう質問ではございません。部落問題に絞っていきたいというふうに思っています。
 もう釈迦に説法でございますから、多くは語りません。日本の、世界にはない日本固有の差別として部落差別というのがございます。この問題をめぐって日本政府とあるいは世界の国々、特に二月に行われた人種差別撤廃委員会、ジュネーブでの会議あるいは国連の人権理事会等での議論等々で混乱をしておりますし、そして一向に部落問題を解決するための方策がなかなか見えてこない国内の状況いうものを考えますと、しっかりとした考え方をこの際確立をしていくべきではないのかという思いであります。
 そこで、一つ目の、これまで部落問題を解決するために日本政府が取ってきた、いわゆるそのスタートとなった一九六五年、内閣同和対策審議会の答申というものがございます。この評価で、その後六九年から同和対策事業特別措置法という法律が施行されまして、三十数年間にわたる事業法が展開をされてきました。特に、この部落問題を解決するための方策として取られてきた三十数年間の事業法というのは、その名前のとおり事業でありますから、今から約四十年ほど前に全国一斉に同和地区の指定が行政の手によってなされました。その数は四千六百に上ると言われています。それでもまだ全国で千地区の未指定の地区が存在をしてきたわけでありますが、その当時、行政によって行われた地区指定、そしてそれが同和地区であり、そしてそこに住む人たちが地区住民としてこの事業の対象になってきたわけであります。
 御存じのように事業が中心でありますから、それは差別によって生まれた劣悪な住環境を整備していくと。劣悪な状況を放置していけば差別が再生産されるという認識の下でありました。これは大きな成果を上げてきたことも事実でありますし、二〇〇二年にその役割を終えて法律は期限切れを迎えました。こういった一連の経過がございますが、この根拠となっている同対審答申、そしてそれによって行われてきた国の施策というものに対して今の、今日の時点で千葉大臣はどのように評価しているのかということをまずお聞かせいただきたいというふうに思います。
#31
○国務大臣(千葉景子君) 今、松岡委員からこの間の言わば部落問題、同和対策についての取組の経緯等についてお触れをいただきました。
 そして、この間、これまでの間、取組については総務庁に設置をされていた地対協の意見具申におきまして、物的な生活環境を始め様々な面で存在していた格差が大きく改善されたことや、差別意識の解消に向けた教育及び啓発が様々な創意工夫の下に推進されてきたこと等により、全般的に見ればこれまでの特別対策がおおむねその目的を達成できるものと考えられ、これまでの対策は大きな意義があったと。しかし他方、差別意識は着実に解消へ向けて進んでいるものの、結婚問題などを中心に依然として根深く存在している等深刻な課題が残されているということが指摘をされております。
 私は、この地対協意見具申で示された実情というか認識、これは基本的には現在でも当てはまっているものではないだろうかというふうに認識をいたしております。そういう意味では、こういう実情を踏まえたこれからの取組というんでしょうか、これが大切ですし、求められているものだというふうに基本的に考えております。
#32
○松岡徹君 今大臣おっしゃっていただきましたように、一九六五年の同対審答申、当時の内閣は佐藤栄作内閣でございました。その後、九六年の地対協、今おっしゃったように、総務庁の中に設置された窓口、そこでの審議会、地対協意見具申が出ました。そういう意味では、今、千葉大臣がおっしゃったことも、九六年地対協意見具申の中のこれまでの取組の評価と課題そして政府のそれが方針というふうに理解して、今日も変わらない方針だというふうに理解していいわけですね。
#33
○国務大臣(千葉景子君) 基本的にはそのような理解でよろしいというふうに思います。
#34
○松岡徹君 この地対協の意見具申というのは一九九六年に出されました。これが同和問題に関する我が国の基本的な認識と取り組むべき課題、責務、方針というふうに理解をしています。
 その中で、残念ながら依然として我が国における重要な課題と言わざるを得ないと、国際社会における我が国の果たすべき役割からすれば、まずは足下とも言うべき国内において同和問題などの様々な人権問題を一日も早く解決するよう努力することは国際的な責務でもあるというふうに九六年の地対協意見具申、文言を今引用をさしていただきました。
 今後とも、国や地方公共団体はもとより、国民の一人一人が同和問題の解決に向けて主体的に努力していかなければならない。同和問題を人権問題という本質からとらえ、解決に向けて努力する必要があるということも今後の課題として提起を九六年の意見具申ではされていますが、これについても大臣の認識は同様なのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#35
○国務大臣(千葉景子君) 今お話がございましたように、この地対協の意見具申において、今後の残された問題として、依然として存在している差別意識を解消すること、そして人権侵害による被害の救済等への対応などが挙げられているというふうに思いますし、私もそのとおりだというふうに認識をいたしております。
 そういう意味では、これまでも、これ、総務庁の手から離れて、そして人権問題という形で法務省もこの問題に対して対応させていただいているわけですけれども、例えば法務省の人権擁護機関では、この具申で指摘された課題について、例えば平成十四年には、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律七条に基づいて、人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、人権教育・啓発に関する基本計画を策定して、これに基づいた人権啓発活動を実施をしていると、こういう中に部落問題ということも当然人権の差別の一つとして含まれるというふうに私も承知をいたしております。
 また、平成十六年四月に、人権擁護推進審議会の答申を踏まえまして、現行制度の枠内において可能な範囲で被害者に対するより実効的な救済を実現できるようにするため、人権侵犯事件調査処理規程を全面的に改正して、人権侵犯事件の迅速かつ適正な調査・救済活動を展開をすることができるようにしておるなど、取組をしております。
 今後とも、こういうことの更なる進展とともに、人権啓発・救済の活動について関係省庁とも連携協力しながら更なる取組をしていく必要があるだろうというふうに思っております。
#36
○松岡徹君 大体今まで聞いてきた内容と同じような内容なんで、ざっくばらんに聞きたいんですが、今なお部落問題という、部落差別は大臣は存在していると思いますか、今の社会の中で。
#37
○国務大臣(千葉景子君) なかなか難しい問いであろうかというふうに思います。
 いわゆる、そういう、何というんでしょうね、部落を何か一つのキーワードにして差別をするというような行為とかあるいは問題、そういうものが存在しているということを私は承知をしているというか、そういう認識でございます。
#38
○松岡徹君 今までも歴代の法務大臣に私は質問をしてきました。その中の、例えば士業の人たちがその職務上の職権を利用して他人の戸籍謄抄本を取って、それを一通三千円から一万円で興信所、探偵社に売っていたという事件が全国で発覚しました。これはもう三年ほど前の話です。そのときに法改正がされて、例えば行政書士の方はこれまで行政罰だったのが刑事罰になっていく、あるいはそれを請求した人間にまでその刑罰が及ぶというふうに刑法が改正されていったという歴史が以前ありました。
 これも、なぜ士業の人たちがその職務上の職権を利用して他人の戸籍謄抄本を取るのか、それによって何が起きたのかということを私は言ってきたんですね。何が差別かということを言うときに、その行為によって何が起きたのかということをしっかり知ってなくてはならないと思うんです。
 すなわち、例えばその人が部落であるかどうかということによって不利益を生じるような行為が起きれば、これは差別につながると思うんですよね。しかし、その人が部落出身であるということを知っていても、その人の不利益になるような行為はないと。すなわち、共存共栄といいますか、そういうようなことになれば一番いいわけでありまして。
 行政書士の方が、あるいは司法書士や弁護士の方がその立場を利用して、そういうことによって行われた行為によってどんなことが起きているのか、これを私たちは調べてきました。それによって、結婚や就職、具体的に就職で排除したという企業も明らかになっています。今なおそういったことが起きています。
 あるいは、グーグルの古地図の問題も私は去年森法務大臣のときに説明をさせてもらいました。グーグルで出された古地図、日本の古地図の提供者はラムゼイさんという歴史学者のアメリカの方でありました。その方からも連絡をいただきまして、その人は歴史学者ですから、歴史ですから事実なんです。その古地図の中には、えた村とかえた寺とか、そういう記載があると。これは事実なんです。
 しかし、その出身によって不利益を生み出すような行為が生まれる。結婚や就職や様々なところで起きてくる。こういった行為が差別だと。こういった行為によって何が生まれているかということをしっかり見なかったら駄目だと思うんですよね。私は、今も部落差別が存在しますかということを申し上げました。明らかに存在するんですよ。今はあるんですよ。だからこそ政府はこれからも大事な課題として方針を持っていると思うんですね。
 ところが、残念ながらこの国に同和問題の窓口がないんです。それは法務省でよろしいんですか。もう一回確認しますけれども、同和問題のこういった問題を、あるいはこれからの同和問題の解決のための窓口は法務省でいいわけですか。これまで総務省にありました。総務省の同和対策室というのが設置されていました。あるいは、地域改善対策室に名前を変えて窓口として存在していました。その後、法務省になっているんですが、法務省のどこにこの問題の議論をする窓口があるのかというのがいまだにちょっと理解ができないんですが、大臣はどういうふうに思われているんですか。
#39
○国務大臣(千葉景子君) この問題については、冒頭の委員からの御指摘がございましたが、昭和四十年以来、総務庁を窓口として様々な施策が推進をされてまいりました。そして、それが平成八年の地域改善対策協議会意見具申という形で大きく整理がされ、そして、それによってこの同和問題と言われるものに対しては、個別で対応をするという形ではなく、人権の大きな課題の一つということで取組をこれから進めていくべしということに私はなったものだというふうに思っております。
 そういう意味で、法務省の人権の部署におきまして、人権の啓発あるいはそれについての救済等を含めて全体として法務省の人権部局が対応しているということではございますけれども、同和対策あるいは部落問題ということに特化して法務省が対応しているということではないかというふうに私は認識しております。
#40
○松岡徹君 私は、特化するというか、窓口はちゃんとつくるべきだと思うんですよね。どこで議論をするのかというのが分からない。事実、インターネット上での差別というのはもう大臣もよく御存じだと思います。これは、部落差別だけではなくて様々な人権侵害事案がインターネット上で起きています。要するに、人間社会の成長とともに人権侵害という形態は変わってくるんですよね。これにどう対応するかということが大事なことです。すなわち、現状どうなっているかということをしっかりとつかむ必要がある。実態把握というものがあります。
 そういう意味では、九六年の地対協意見具申が政府の今日も生きている方針だと言いながら、もう十四年たつんですよね。その間に様々なこの変化したところで違う新たな形態として差別事象が起きてきていると。それにどう対応すればいいのかというのは、人権侵犯等処理規程に基づいてやっていると言っているけれども、それすらも見えないという状況になっているんですね。
 そういう意味では、しっかりとした今日的な実態をつかむ必要があるというふうに思います。これは要望でありますが、是非とも検討をお願いしたいと思います。そういった実態を把握するということをこれはやっぱり是非行ってほしい。人権侵害の実態というものを、差別の実態、現実というものをつかむ、実態をつかむ努力を是非ともお願いを申し上げたい。そのために今、窓口はどこが担当するのかとかいうこともありますので、私は是非ともそういうことを検討をしていただきたいというふうに思います。
 そこで、こういった混乱、状況が、さきの二月の二十四、二十五と国連の人種差別撤廃委員会というのがジュネーブで開催されました。そこで、当然、日本の政府も参加しています。外務省を中心に各省も参加しています。
 その中で、日本の政府報告書に対する様々な各国の委員からの質問があります。その中の一部を抜粋をしていますが、特に日本の報告の中で、アイヌの人たちを先住民族として認めたことは高い評価を受けています。それに対する取組がこういう形で始まっているという報告を受けたときには高い評価を受けています。しかし、日本にはまだ沖縄の人たちとか部落問題というものの先が見えないと言っていますね。
 その中で、特徴的なことを言いますが、国連の人権人道大使というのが日本の代表として出席をしているんですね。各委員から様々質問が出ています。例えば、部落差別、部落問題とは何なのか、部落民とは何なのか。部落民の人たちが差別されるというのは、部落民とはどういう定義をしているのか、部落問題とはどういう定義をしているのかというのが日本政府にはあるんですか、ないんですか。
#41
○国務大臣(千葉景子君) これ、なかなか定義は難しいのではないかというふうに思います。
 これもまた昭和四十年の同和対策審議会答申によれば、いわゆる同和問題というのが日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的、社会的、文化的に低位の状態に置かれ、現代社会においても、なお著しく基本的人権を侵害され、特に近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという最も深刻にして重大な社会問題であるというふうに、解説といいましょうか、そういう認識が出されているんですけれども、そういう意味合いだということだというふうに思います。なかなか定義となると難しい問題ではないかな。
 ただ、こういう実情、実態といいますか、そういうことについて部落問題なんだという認識ではないかと、それは、日本政府もそういう意味では、そういう認識の下でいろいろな対応を取っているものだというふうには思います。
#42
○松岡徹君 日本の部落問題の定義は、今おっしゃったような同対審答申なり、そのときに議論されてきたことが一つのことになっています。
 憲法で十四条に社会的身分又は門地、この中に日本の部落問題が入っているという理解で今も生きています。社会的身分又は門地というものをどういうふうに定義していくのかということが大事なんですね。
 しかし、今なお部落差別が存在するというのは、先ほど言ったように、その出身を暴く、暴くということは、この人はどこの出身か、どこの生まれかというのを暴くことによって、この人は部落の出身だということが認知されるんですね。そこで差別が起きるかどうかは別問題ですよ。
 私も大阪ですから、大阪で新幹線に乗ってきても、だれも私のことを部落民だと言う人間はだれもおりません、分からないんですから。しかし、それを、戸籍謄抄本を取ったりとか身元を調べると、私は大阪の被差別部落の生まれでそこに住んでいるということが分かれば、社会は私は部落出身だということが分かるんですね。認知される。そこで差別が起きるかというのは利害関係にも絡んできますし、様々な、ないかもしれません。
 しかし、そういう意味では、部落問題というのは非常に独特なんですね。しかし、日本にしかない差別なんです。だから、海外でもなかなか理解されないというのがあります。
 私の子供は、私の連れ合いは沖縄出身ですから子供は半分半分ですけれども、差別されるかいうたら、部落に住んでいますから部落差別受けているんですよ。同時に、沖縄に対する見方もされるんですね。二つ、ダブルで差別を受けるんですよ。
 要するに、なぜこんなことが起きるのかというのがあるんですね。どうやったら効果的にこの問題を解決できるのかということを考えていくときに、日本政府とすれば、やっぱり部落問題の定義をしっかりすべきだ、すべき時期に来ているのではないか、この差別はどういう差別なのかということをはっきりしなくちゃならぬと。
 結局、二月の二十四、二十五の人種差別撤廃委員会の中で、様々、各国の委員から日本政府に質問がありました。その中で特徴的なのが、例えば、封建時代の社会階層に発するのであればカーストではないのか、民族問題なのか文化の違いなのか、身分階層制の残渣ではないのかとか、いずれにしてもマイノリティーだというふうにずっとやっているんですね。要するに、宗教が違うわけでもないし日本語も話すし、顔を見ても日本人だと。分からないと言ったら、この日本政府の代表の上田人権人道大使という方は、もう何も違いはない、区別できない、私自身も部落民だと言うんですね。こんなすかたん答えているんですよ。これが各国をまた混乱させるんです、日本の定義がないからなんですね。
 結局、それを、その上田大使が発言した後に外務省が引き取って何を言っているかいうたら、今、千葉大臣がおっしゃったように、同対審答申の中身を引用するんですよ。日本社会の歴史的、社会的過程において形成された身分階層構造に基づく社会問題だと言っている。近年、江戸時代に重点を置いた通説が批判されているので差別は多様性を帯びている。何を部落とするか、だれを部落民とするかは不明確であり定義できない、外務省はこういうふうに言っているんですね。
 それを明確に答えている日本政府の定義はないんです。この間、二月、先月の二十四、二十五で行われたやつですよ。そのくせ、この人種差別撤廃委員会の中にこの部落問題は当てはまらない、すなわち対象外だと言っているんですよ。対象外だと言うぐらいはっきりした部落問題の定義を持っているんなら、それを言いなさいと。しかし、そういう答えをしていると。これ、非常にあいまいなんですよね。所によって言い方を変えているというふうにしか見えないんですよね。
 ですから、やっぱりこの際、しっかりとこの辺の議論を、定義をはっきり明確にしていただきたい。これ、外務省がはっきりするんではなくて、この担当省庁としては当然法務省だと思うんですけれども、そういった議論、今すぐ、明日にというわけにはいかないと思いますけれども、是非、この混乱状況を避けるためにも、今日の部落問題の定義とかあるいは実態、残された課題というものを明確にしていただきたい、その努力をお願いしたいと思うんですが、いかがですか、大臣。
#43
○国務大臣(千葉景子君) この問題について松岡委員が代表質問の中でも御指摘をされました。人権問題という大きな意味では、鳩山総理も、大変重要な、政府として考えていかなければいけない問題であるというような答弁もなさっております。
 そういう意味では、やはりこれから政府全体として人権問題、そしてそこに当然部落問題というのも含まれるでありましょう、差別ということが現に存在をしている、こういうことについて、やはり政府としてどう対応していくのかということを全体で考えていく、こういうことが必要ではないのかなというふうに私は思いますので、そういうことをできるだけ政府全体で議論できるように私も提起をしてまいりたいというふうに思っておりますし、また、そのための様々な仕組みですね、そういうこともこれから考えていかなければいけないことであろうというふうに思いますので、そういう人権問題をきちっと受け止めることのできるような、そういう箇所をどうやってつくっていくのか、こういうことも併せて議論を進めていきたいというふうに思っております。
#44
○松岡徹君 非常に抽象的な話なので、そういう答弁しかできないというのは私もよく分かった上でなんですね。
 ただ、そういうふうに混乱している状況、それは国自身が、例えば人権行政を進めていくに当たっても、一体人権とは何かという定義もやっぱりしっかりとしていく必要があると思うんですね。私は、日本国憲法で保障されている人権の定義が我が国の今のスタイル、それにプラス我が国が批准した人権条約、国際人権条約の中に定義されているものが私は人権の定義だと思うんですよね。それが差別という行為によって侵害されていくということが人権侵害のことだと思うんです。
 人権侵害を起こしてしまう人たちをどうするのかということだけではなくて、人権侵害を受けたことによってどんな人権が侵害された状況になっているのか、どんな権利が奪われているのかということをやっぱりしっかり見ていくべきだというふうに思うんですよね。そこにやっぱりしっかりとした法の網を掛けていかなかったら私は絶対駄目だというふうに思います。人権政策の中身を豊富化していくということは、一つ一つの個別課題の現状というものをしっかりと把握していただいて、その上で課題、方向などをやっぱり明らかにしていくということが大事だと思います。
 是非とも、九六年の地対協意見具申が部落問題の政府にとっての方針だというならば、それから十四年たっているわけですから、今の現状はどうなっているのかという把握をする努力をしていただきたい。そして、この混乱状況になっている同和問題を解決するための政府の定義といいますか、部落問題の定義というものを明確にしていくような努力をしていただきたい。
 先ほど、千葉大臣は政府全体でとおっしゃいましたけれども、だから最初に私は、なぜこの問題の窓口がないんですかと聞いたんですよ。どこに言ったらいいんだ。政府全体のどこに言ったらいいんですか。やっぱり、それはまずは法務省だと私は今は思いますから、是非とも、千葉大臣の先ほどの決意を形にしていただきたいというふうに思っています。そのことを是非とも千葉大臣にお願いを申し上げたい、そのために私たちも努力をしていきたいというふうに思っています。
 ただ、国際的な場で日本の政府代表が非常にちんぷんかんぷんな、あいまいなことを各国の質問に対して答えているという状況は直ちに是正すべきだというふうに思っています。したがって、少なくともこの問題についてどう解決をしていくのかという政府の方針だけはしっかりと打ち立てられるように努力をお願いを申し上げたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、私は、人権侵害を受けた人たちが、あるいは人権侵害の結果、どんな被害が生まれているのかということをしっかりと見ていく、そこに視点を置くということが効果的な方策、施策が生まれてくるというふうに思います。
 すべてを批判するつもりはありませんが、人権侵犯処理規程によって処理されてきた人権侵害事案の内容について我々は逐一報告を受けたことはありませんが、先日も千葉大臣から、昨日、法務省の人権作文の表彰式の冊子をいただきました。その中でも、あの御巣鷹山に登った経験のある女の子の作文がありました。結婚を間近にした女の人があの犠牲者の一人でございました。その人が実は被差別部落出身だった。それを知っただれか分かりませんが、匿名で、おまえが乗っていたからこの飛行機は落ちたんだと、部落の人間はテロリストだというようなことを、二十五年前の日航ジャンボ機が落ちたときの犠牲者の中に部落の人、出身がいたからあの飛行機は落ちたんだというようなことを聞いて、彼女は非常に残念がって作文に書いていました。
 要するに、そういった理不尽なといいますか、そういうようなことはたくさんあるんですよね。あるんですけれども、それによってどういうことが生まれているかということをしっかりと見ていく必要があるんではないかと思います。
 私は、冤罪事件のときに免田栄さんが来られて、年金を受けていないということの相談があって、年金を是非とも受けたいと。もう八十五歳です。もうここにおられる先生方、免田事件というのは、もう一九八三年に冤罪で死刑囚から無罪になった人ですけれども、その人が来て、年金受けられない、厚生労働省の窓口に相談に行ったら、年金をくれないと。いや、掛金払ってないから払えない。いやいや、掛金を払おうと思っても刑務所に入っていたんですと。そうしたら、なぜ刑務所に入っているときに掛金の免除申請をしなかったんだと言われたと。あした死刑になるかもしれない人が三十年後の年金の掛金の免除申請をするかと。しかし、その後に、一九八三年に免田さんは晴れて無実になったんですね。死刑台から戻ってきたんです。彼はまさにこの犠牲の中に、こういった結果、今なお年金を受けられないで八十五歳で暮らしている。
 これを救うのは何ですか。政治しかないんですよ。今の法律の枠内で考えれば、彼に年金を支給することはできないんです。やっぱりそういうことだと私は思います。被害がどんなところで生まれているかということを、被害の実態が何であるかということをしっかりと見ていただきたいということであります。そのことを申し上げて、時間が来ましたので終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#45
○松村龍二君 自民党の松村でございます。
 大臣の所信に引き続きまして、法務行政について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、先回、大臣の所信を伺いまして、意気込みを伺ったわけですけれども、ちょっと私にとって分かりにくい部分がございました。冒頭、法務行政は、国民の命と生活を守るための基盤づくりというべき役割を担っておりますと、こういう御説明でございましたけれども、従来、法務行政というのは法秩序の維持とか出入国管理とか基本法制とか国民の権利義務の擁護とか、そういうような具体的なお話があろうかと思いますけれども、国民の命と生活を守るための基盤づくりといいますと、厚生労働省の所信であっても通用するし、国土交通省でも通用するのかなという意味において、大臣の御理解、認識を再度伺いたいと思います。
#46
○国務大臣(千葉景子君) 私の申し上げました基本的な所信について、大変御指摘をいただいてありがとうございます。
 私は、この国民の命と生活を守るための基盤づくりということについて、法務省のそもそもの任務が法務省設置法に規定されておりますが、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理、出入国の公正な管理を図ることと、こういうことが法務省の設置法で任務とされております。こういうことを考えますと、これらすべてがいずれも国民生活の基盤をなしているというふうに私は認識をいたしましたものですから、これを国民の命と生活、国民のもう本当に、が存在するための基盤づくりなんだということで表現をさせていただきました。
 その他、具体的な今申し上げましたような任務の中身につきましては、各論的にこういう問題について取り組んでいくという形でまとめさせていただきましたので、この基盤づくりということについては、当然のことながら法務省で行うべき基本的な任務を含めて表現をさせていただいているということでございます。
#47
○松村龍二君 次に、法テラスについてお伺いいたします。
 司法過疎地域等におきます法律サービスの提供はもちろん、全国どの地域においても、増加している民事法律扶助事件や、昨年対象範囲が大幅に拡大した被疑者国選弁護事件への対応、裁判員制度の着実な実施ということに法テラスが大変貢献しておるということで、その進捗につきましては敬意を表するわけでありますけれども、法テラスが行っている民事法律扶助は、憲法で認められている裁判を受ける権利を実質的に保障している重要な制度であるところ、近年の経済情勢の悪化によりその利用件数が増加し、今後もその傾向は続くと思われます。これに対応するための予算や人的体制整備について来年度においてはどのような措置をとるつもりか、法務大臣にお伺いします。
#48
○国務大臣(千葉景子君) 民事法律扶助制度の重要性や、あるいはその利用件数が今のような経済状況を含めて大変増加傾向にあるということはもう御指摘のとおりでございます。こういうことに適切に対応するため、人的体制整備経費を含む平成二十二年度の日本司法支援センター、いわゆる法テラスの民事法律扶助事業経費等運営費交付金ということでございますけれども、対前年度比約五十一億円、五〇%増の百五十五億四千百五十五万円を予算案に計上をさせていただいております。このような形で、できるだけきちっとした財源の確保、予算の確保に努力をしているところでございます。
#49
○松村龍二君 次に、司法修習制度の近況についてお伺いいたします。
 平成十三年の司法制度改革審議会意見書では、司法制度改革推進のためには法曹人口の大幅な増加が急務であるといたしまして、二〇一〇年ころには新司法試験の合格者数の年間三千人達成を目指すべきという提言がなされました。それを踏まえて閣議決定された法曹増員計画が今年まさに目標の年を迎えておりますが、この間、法曹養成制度において様々な課題が生じ、当時の政府目標の実現が困難視されているのは御承知のとおりであります。
 そこで、まず、法曹人口増員の審議会意見書及び政府目標の基準となる年を迎え、三千人という目標の取扱いをどうするかといった課題があるんではないかというふうに思います。
 そういうことで、政治主導で法曹養成制度を抜本的に検討するために今年二月にワーキングチームの設置を決めたと報道されておりますが、その設置趣旨、検討内容、構成員、スケジュールについてお伺いいたします。
#50
○国務大臣(千葉景子君) この法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム、御指摘をいただきましたが、この設置の趣旨は、法曹養成制度の問題点を検証して、その改善方策の選択肢をまず整理をしようというのが設置の趣旨でございます。
   〔委員長退席、理事風間昶君着席〕
 検討の内容については、現在の法曹養成制度の問題点、論点、それからそれらの論点を解決するための改善方策、その選択肢を整理をすると。その改善方策を決定するためのフォーラムの在り方。かなり大きなやはり場でしっかりとした決定をしなければいけない。先生御指摘のように、法曹人口三千人というのも閣議決定をされたという経緯もございますので、やはりかなり大きな形で総合的な決定をする必要があるだろう、そういうことのためのフォーラムの在り方と、こういうことを検討内容にさせていただいております。
 このワーキングチーム、法務省、文科省担当者のほか、法曹三者と言われる裁判所、検察庁、日弁連の推薦者や法科大学院関係者で構成をさせていただいておりまして、スケジュールは可能な限り月に一、二回の頻度で開催をさせていただき、本年半ばをめどに、今申し上げましたような論点について整理をさせていただくということを考えているものでございます。
#51
○松村龍二君 次に、各論に入ってまいりますが、広島少年院の不祥事についてお伺いします。
 昨年四月二日に広島少年院におきまして法務教官らによる収容少年への暴行や虐待が発覚し、特別公務員暴行陵虐の罪で元法務教官四人と元首席専門官が起訴されました。今日までに元法務教官四人が実刑判決を受けているとのことであります。
 広島少年院は、収容定員百人、先進的な矯正教育を導入して、模範施設と注目を浴びていたと聞いております。このような施設において法務教官らによる収容少年への暴行陵虐事件が起きたのでありますが、本件が起きた原因は何なのか、お伺いいたしたいと思います。
 先日、本委員会におきまして、茨城県の茨城農芸学院という少年院を視察いたしました。豊かな自然環境の中で、職業資格の取得指導に重点を置いた矯正教育が行われている様子を拝見いたしました。
 ところが、広島少年院の場合、一時、在院者の規律を保てない荒れた状況にあったと伺いました。それへの対応の暴走が不適正処遇につながったとのことでありますが、事件に対する反省、改善が必要なことは当然でありますが、施設内の規律保持がないがしろにされることがあってはなりません。
 事件の前に規律が保てなくなったことについて、蓄積された矯正教育のノウハウがうまく機能しなかったのはどこに理由があると考えるのか、お伺いします。
   〔理事風間昶君退席、委員長着席〕
#52
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のように、昨年四月初め、元法務教官四人による不適正処遇事案が広島少年院において発覚をいたしました。大変残念なことでございます。早速五月に矯正局内に広島少年院不適正処遇事案対策委員会を設けて、調査分析が実施をされ、その中で問題点が整理をされております。
 その委員会の調査分析によりますと、四つの問題点があるのではないかと。一つには、元法務教官四人において在院者の人権に関する意識が著しく低下をしていた。二つ目に、幹部職員においては監督者として取るべき対応、努力を怠り、不適正処遇の発見の機会を逃していた。三つ目に、その他の一般職員においては職員間での相互牽制が十分に機能していない。そして、制度面においては在院者から院長への申立て制度が有効に機能していなかった、こういう問題点があったとされております。
 確たる原因というのは、さらにどのようなものであったかというのは、公判も係属中であることもあり、今後も更に推移は見守っていきたいというふうに思いますが、この調査結果としてはこのような問題点が指摘をされております。
 先生御指摘の蓄積されてきたノウハウが機能していなかったのではないかと、こういうことでございます。
 少年院においては、御視察をいただいたという、少年院等を含めて、規律正しいかつ更生を促すような風土、雰囲気の醸成が常に考えられているということでございますけれども、少年院においてこのようなノウハウが機能しなくなる背景として、一般的には、例えば収容定員を超える過剰収容、こういうことによってなかなかそういう風土あるいは雰囲気がつくり出せないということも考えられます。また、そういうことになりますと、職員の負担増大に伴う、やっぱり職員の意欲といいましょうか、そういうものが低下をする。あるいは、幹部職員による適正、適切なリーダーシップが欠如してしまうと。それからもう一つは、入所少年の構造的なやはり変化というものも背景にはあるんではないかと。せっかく少年院で培われてきた様々な処遇、教育のノウハウというのがやはりこういう形で機能しなくなっていくということが考えられようかというふうに思いますので、こういう変化あるいは実情等を踏まえた様々なまた対応を考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。
#53
○松村龍二君 さきに名古屋刑務所におきまして忌まわしい事件が起きたわけですが、これは突然何か名古屋刑務所でああいう事件が起きたと、それが収まったかと思ったら、今度は少年院においてまた同様の事件が続発していたというふうなことで、法務行政において何か日ごろ日常的にそういうことが拾い上げられるんでなくて、法務省の中において知らないところで突然次の事件が起きるというふうな、しかも大々的に起きるということは何らか問題があるんでないかなというふうに日ごろ私は思うわけでございますが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#54
○国務大臣(千葉景子君) やはり、起こったときに対処をするということだけではなくて、こういうことがやはり起こらないような、そういう体制あるいは様々な措置を考えていかなければいけないというふうに私も思います。
 この広島少年院における事案を受けまして、それでは再発防止、全体としてこういう事案が起こらないように勘案していかなければいけないということで、再発防止のためにまずはということで措置を講じさせていただきました。
 一つは、少年院長会同の開催をいたしまして、再発防止を徹底するということで私から指示をさせていただいたということでございます。そして、不服申立て制度、これは既に昨年の九月につくられておりまして、法務大臣等への苦情の申出、それから院長申立て制度の改善、少年院幹部職員による在院者への定期面接、法務教官に対する研修の充実、こういうことが既に対応策としても取られておりますし、広島少年院において講じた措置としては、これらの措置に加えて、処遇体制を大幅に見直し、それから施設設備、死角をなくするような形で施設整備を点検をさせていただいております。
 こういう形で、起こったときに対応策を考えるということでとどまらず、こういうことが度重ねて再発をすることがないような対応をしていくことが大事であろうということで、御指摘のことを十分にまた踏まえて取組をしてまいりたいというふうに思います。
#55
○松村龍二君 先般、茨城農芸学院を視察させていただいた際に、廊下に苦情申立書みたいな箱がありまして、その中に意見を言うような設備ができておりましたけれども、果たしてこれ使われるかなというふうな率直な感想を持ちましたので、形だけに終わらないようにお願いしたいというふうに思います。
 それでは次、人権事件の近況についてお伺いするわけですが、近年の人権侵犯事件の特徴と法務省の対応についてお伺いします。
 法務省が取り扱っている人権侵犯事件は、平成十六年に初めて新規救済手続開始件数、処理件数共に二万件を超え、その後も二十年までに二万件超の状態が続いております。特徴的な傾向としては、インターネットにおける人権侵犯事件が急速に増加し続けており、その他社会福祉施設における虐待、学校におけるいじめなどが問題になっている年が多いようでありますが、法務省ではこのような近年の傾向にはどのような原因があると分析し、どのような対策を取っておられますか。
 また、人権救済機関設置の意義と具体的なスケジュールにつきまして、大臣は政府からの独立性を有する人権救済機関の創設を具体的施策として検討していくとおっしゃっておりますが、このような機関の設置が近年の人権侵犯事件発生の状況に対してどのような効果を期待できるのか、その意義をお伺いしたいと思います。
 また、具体的施策として検討していくそのスケジュールを具体的にお示しいただきたいと思います。
#56
○国務大臣(千葉景子君) 今、近年における人権侵犯事件について御指摘をいただきました。
 最近の傾向として、これも御指摘をいただきましたように、インターネットを利用した名誉毀損等の事件の増加あるいは社会福祉施設における利用者に対する虐待事件などの増加などが挙げられようかというふうに思います。
 原因には様々なことが考えられようかというふうに思いますけれども、やはり社会の構造的な変化、こういうことが背景にあるのではないかというふうに思います。例えばインターネットの普及によって匿名性を確保したまま容易に名誉毀損等の行為に及び得ることができる、こういうこともありますし、それから、人権相談等の人権擁護機関の取組に関する周知が図られたことで、ある意味では被害が顕在化しているということもあるかもしれません。
 こういう状況の中で、やはり社会の変化等に対応した人権啓発活動を充実強化をしていくこと、それから人権相談の拡充を図るなどして人権侵害の被害者等が相談しやすい体制を整備をすること、それから、人権侵害の疑いのある事案に接した場合には、人権侵犯事件として立件し、必要な調査を行った上、適切な措置を講ずると、こういうことが対策として取られているところでございます。こういうことをこれからもより積極的に進めていかなければならない、こう考えているところでございます。
 そして、そういう意味でも、やはり人権侵害をできるだけ的確、そして早く救済をすることのできるような人権救済機関というものが設置されることが必要なのではないかということを考えておりまして、政府からの独立性を有する人権救済機関の創設について検討させていただいております。新たな人権救済機関等については、どのような形で、どのような仕組みで行うかということは今検討中でございますけれども、より人権侵害の被害者に対する実効的な救済を図ることができることを期待をいたしております。
 現時点では、スケジュールについては、まだ確定的なスケジュールを立てているわけではございませんけれども、このような人権侵犯事件がやはり増加しているということをかんがみれば、できる限り早期にこのようなことをまとめた法案を国会に提案をさせていただくことができればと、今鋭意検討しているところでございます。
#57
○松村龍二君 なかなか新しい役所をつくるということは難しい部分があろうかと思いますが、御検討いただきたいと思います。
 次に、死刑の問題についてお伺いするわけですが、今日たまたま朝の読売新聞に死刑についての記事がございました。「死刑執行半年でゼロ 「廃止派」法相論議も進まず」という大きな見出しでありまして、問題点を全部書いてありますが、鳩山内閣では死刑廃止を推進する議員連盟の廃止議連のメンバーだった千葉景子氏が法相に就任し、死刑制度に注目が集まったが、昨年九月の就任以来、執行は一度もない。自公政権下の昨年七月、森英介前法相、大臣時代に執行されたのが最後で、現在の死刑確定者は百九人に上る。法務省によると、年末時点での未執行者として過去最多だったのは百七人で、現在、これを上回っている状態だと。千葉法相は昨年九月十六日の就任記者会見で、死刑執行について、法相という職責を踏まえながら慎重に考えていきたいと発言されたと。内閣府の世論調査で死刑容認派が過去最高の八五・六%に上ったことに触れた今年二月九日の記者会見では、非常に高い数字で重く受け止めたいとしながら、一つの世論調査だけですべての世論を表しているのかどうかは、もう少し慎重に考える必要もあろうかと思うというような記事でございます。
 そこで、私がお伺いしたいのは、千葉大臣、死刑についてどのようにお考えなのかということが第一点。それから、死刑を今後執行するお覚悟があるのかどうか。これについてお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘をいただきましたように、今日もこのような記事が出ているようでございます。
 私も就任ちょうど半年という状況でございまして、この間、申し上げておりますように、私も死刑制度についてのいろんな議論をこの間させていただいてきたことも事実でございます。しかし、法務大臣というものにやはり就任をしたことは、当然のことながら、法務大臣としての職務、そして任務と、こういうことも十分理解をした上で就任をさせていただいているということでございます。
 死刑というのが、多くの皆さんがやはり存続を承認をしておられ、そして様々な、刑罰として今存在をしている、そういうことを十分に私も考えながら、ただ、反面、申し上げておりますように、これが大変究極の刑罰でございます。人の命を国が権力の下に奪うということでございますので、これについては慎重な、そして真正面からやっぱり考えていくと、こういうこともやはり必要であろうというふうに思っております。
 そういう意味で、個別どういうことをするのかということについては、これまでも大臣として明らかにするということをされてこられたというものではないというふうに思います。こういうことをわきまえて私も対処していくということを申し上げたいというふうに思っております。
#59
○松村龍二君 日々残虐な事件等が起きまして、裁判も死刑の判決が日々行われているという、まあ日々は大げさにしても、死刑の判決も多いわけでございまして、大臣が死刑について正しい認識を持って頑張られるということを信じまして、よろしくお願いしたいと思います。
 また、昨日、おとついの新聞を見ておりましたら、台湾の台北発のあれで、死刑反対の法務部長、法務大臣が、王清峰という方が、死刑の制度の廃止を明確に主張した王清峰さんが世論の猛反発を受けて十二日辞任したというふうな記事もございまして、そのような記事も目に付くところでございます。
 最後に、検察の捜査能力の強化と必要性についてお伺いいたしたいと思います。
 近年、幾つかの冤罪事件が明らかになりまして、その報道に接しているところでありますが、御承知のとおり、一九九〇年に女児が殺害された事件で菅家利和さんが冤罪事件になりました足利事件、鹿児島県警が摘発した選挙違反事件で起訴された十二人が全員無罪判決を受けた志布志事件、強姦など二事件で富山県警に逮捕され実刑判決を受けた男性が服役後に真犯人が見付かり無罪と分かった冤罪事件の氷見事件などがありまして、いずれも大きく報道されたわけであります。これらの冤罪事件は警察によります冤罪事件の結果であるというふうに分類といいましょうか、言えるかと思いますが、警察の捜査を初期の段階から相談も当然受けるでしょうし、また起訴も行うという立場の検察も不十分な点があったということは指摘せざるを得ないんじゃないかなと思います。
 氷見事件、志布志事件等の反省を受けまして、最高検察庁は平成十九年八月に「いわゆる氷見事件及び志布志事件における捜査・公判活動の問題点等について」という報告書をまとめましたが、再発防止のための方策の冒頭では、両事件は一方が判決確定後に真犯人が判明した事件で他方は無罪判決を受けた事件であって質的に異なることは言うまでもないけれども、両事件の捜査過程を検討すると、両事件共に捜査に多くの問題を含んでおり、しかもその多くは捜査の基本にかかわる事柄であると、検察としては本件の教訓を共有化するとともに、個々の検察官に対し基本に忠実な捜査を励行させるためあらゆる機会を活用して不断の指導をしていかなければならないと、そして基本に忠実な捜査の徹底が重要であるというふうに指摘されておられます。
 この報告書以降、検察では基本に忠実な捜査を徹底させるための方策が十分機能しているとお思いか、まず法務大臣にお伺いいたします。
#60
○国務大臣(千葉景子君) 今委員が御指摘をされましたように、様々な問題を受けまして、最高検察庁が公表した報告書で基本に忠実な捜査を徹底させることが重要だということを指摘をしていることを承知をいたしております。
 そのために、検察当局においても、例えば平成十九年そして平成二十年に全国の決裁官を集めた会同、あるいは初めて決裁官となる検察官を対象とした新任決裁官セミナーや新任検事を対象とした新任検事研修等の各種研修の機会に、この基本に忠実な捜査をきちっと行うようにというようなことを周知徹底をしております。また、各検察庁における上司による部下検察官への指導においても、この報告書を活用をしてまいりました。
 なお、足利事件については、最高検察庁において捜査、公判の問題点について今、更に検証中であるということでございます。
 私も、このようなことを踏まえまして、今年の二月十七日、検察長官会同におきまして、昨年は無期懲役刑が確定していた事件について再審の公判が開始されるなど、捜査、公判の在り方が深刻に問われる事例が発生していると、こういうことを真摯に受け止めて、改めて適正、適切な捜査・公判活動の徹底を図っていただきたいという旨を訓示をさせていただきました。十分にこの私の訓示、あるいはこれまでの調査の結果ああして起用しているこういう基本に忠実な捜査というものが徹底しているかどうか、これからも十分に検証、そしてまた注視をしていきたいというふうに思っております。
#61
○松村龍二君 警察の捜査に対する検察のかかわりという意味において手を打っていただいておるということでございますが、もう一つ、警察とかかわらない検察だけの問題について、最近冤罪事件等が、報道が目に付くようになっております。
 枚方市発注の清掃工場建設工事にかかわる談合事件に関して、小堀副市長が平成十九年五月、大阪地検特捜部に逮捕、起訴され、平成二十一年四月二十七日、大阪地方裁判所において無罪判決があったという事件が大々的に報道されております。また、最近では、元厚生労働省局長村木厚子被告が、障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用事件で虚偽有印公文書作成などの罪に問われた事件では、村木被告は冤罪であると終始主張しております。
 いずれの事件においても、検察主導の捜査において強引な取調べを行っていたとの報道がなされているわけでございます。私は、この委員会で黒白を一つ一つ付けるとか、捜査の手法について論ずるつもりはございませんが、しかしこれだけ報道されますと、適正な捜査が行われていたとは言い難く、問題が多過ぎる印象がございます。
 三月十三日の朝日新聞に、元特捜部長、検察をどうするというふうなことで、例の宗像紀夫さん、河上和雄さん、熊崎勝彦さんという元特捜部長が大きく意見を述べているわけです。
 宗像紀夫さんは、他の捜査機関が切り込めないような強い権力に立ち向かう。私は、これが東京地検特捜部に与えられた使命だと思ってやってきました。しかし、ここ十年くらいを振り返ると、その使命が自己目的化し、無理な筋読みに基づく事件の立件が散見されるように思います。私自身の経験だけでなく、最近の特捜事件にかかわった弁護士からも、特捜部が最初に決めた筋書きから外れるような供述は受け入れないという話をよく聞く。結論だけを先に求める成果主義に陥っているのではないかと心配していますと。特捜部が大きく変容してきているのを感じますと。
 また、河上和雄さんは、検事はあくまで捜査の職人として、手元の証拠で犯罪事実が証明できるかどうかだけを考えて捜査すべきだというふうなことを指摘しております。
 また、熊崎勝彦さんは、捜査のプロ、取調べのプロが少なくなってきているようにも感じますというふうな記事がありまして、この特捜の在り方とか検察の捜査についても、やはり法務大臣、それを是正するとかいろいろ手直しするとすれば、やっぱり法務大臣の大きな職務だろうというふうに思います。
 法務大臣としてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
#62
○国務大臣(千葉景子君) 個々の捜査について、それがどうだったかというふうなことについて私からコメントをすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
 また、法務大臣、一般的に検察に対して指揮をするということは可能であるとしても、捜査の具体的なやり方というようなことにやはり口を挟むといいますか、それを何か問題を私の下でやるという、そういうことは慎重であるべきだというふうに思っております。
 いろいろな御指摘を受けて、当然のことながら、検察当局におかれて適正、そして法と証拠に基づき、そして先ほどお話があったような基本に立ち戻ったそういう捜査、こういうものに努めるべくそれぞれ努力あるいは対応をされているものではないかというふうに承知をいたしておりますが、そういう多くの批判あるいは声、こういうものを真摯に受け止めていくことも大事なことであろうというふうに思っているところでございます。
#63
○松村龍二君 終わります。どうもありがとうございます。
#64
○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。
 本日は、まず初めに裁判員裁判について御質問をさせていただきたいと思います。
 二〇〇九年の五月二十一日から裁判員裁判がスタートしたわけでございますが、大臣も所信表明の中で、裁判員制度が順調に実施されているものと考えていますとお述べになっておられますが、裁判員制度は市民の裁判参加という観点から評価されるとともに、一方では、公判前整理手続に関する問題等に加え、例えば対象事件の範囲、裁判員の守秘義務等々、今後検証し充実させなければならない諸問題が指摘されているところでございます。
 本日は、特に地方の格差、すなわち公平な裁判を受ける権利の地域間格差の観点から質問をさせていただきたいと思います。
 私の地元であります福島県では、裁判員裁判は県庁所在地である福島市とそれから郡山市の二か所において行われておりまして、会津若松支部といわき支部では行われておりません。この会津といわきは、従前から裁判官三名によるいわゆる合議体の裁判が行われているにもかかわらず、裁判員裁判は現在行われておりません。
 このことが福島県民に対し重大な負担を強いているという指摘がございます。これについて三つの観点から指摘をさせていただきたいと思います。すなわち、被疑者、被告人の立場、それから裁判員になる県民の方の立場、そして被害者の立場でございます。
 被疑者、被告人の防御権が十分に保障されるためには、充実した弁護活動が行われなければならないのは言うまでもありません。ところが、例えば会津若松支部管内やいわき支部管内で発生した裁判員対象事件においては充実した弁護活動を展開する上で様々な困難があります。交通の便が悪いことから、弁護人が大変な移動時間、それから移動費用も掛かりますと、これはまた被疑者、被告人の負担にもなってくるわけでございます。
 そういったことから、裁判員裁判が行われる福島市や郡山市の周辺にいる弁護士の方に事件が引き継がれるということが多くなっておりますが、やはり私も弁護士としての経験から申しますと、途中から引き継いだ事件というものはなかなか弁護活動をする上で非常に難しい問題も抱えております。さらには、やはり刑事事件の重大な事件でございますから、その弁護ということになりますと、やはり現場によく足を運んだり、それから関係者の方にお話を聞くということが弁護活動の上で大変重要なこととなってまいります。私も無罪事件や少年事件にかかわってきた経験から申しますと、やはりどれだけ現場に足を運んだかということ、それから、地元の弁護士であれば当然に事件現場の周辺や関係者の情報等もより多く入ってくるわけでございます。そういう意味で、被疑者、被告人の立場からも困難があるということ。
 それから、二番目の裁判員裁判に参加を求められる県民の立場からとしても、福島県というのは北海道、岩手県に次いで日本の中で三番目に面積が広く、しかも地域間の交通の便がそれほど良いとは言えない上、冬期間には相当の降雪に見舞われる地域もあることなどから、裁判員になる県民の方に多大な負担をもたらしております。
 そして、三つ目の被害者の立場でございますが、被害者が様々な立場で、被害者参加制度を利用したり証人になったり、そういった立場で裁判にかかわってくる上で、被害者の代理人に弁護人が付いている場合にも地元の弁護人がなかなか付いていけないというような点でやはり困難がございます。
 この三つの観点で、裁判員制度が非常に県内でも限られた地域でしか行われていないことによる問題点を指摘をさせていただきましたけれども、私としては、裁判員裁判の今後の充実を図るためには、その実施庁、これがやはり合議体の裁判が行われている支部ではすべて行われるようにしていくべきではないかというふうに考えておりますが、これについての最高裁とそれから法務大臣の御見解をいただきたいと思います。
#65
○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 裁判員裁判は、今委員から御指摘がございましたが、五十の地裁、本庁以外ということになりますと、現在十支部で実施しているところでございます。福島では郡山支部で実施させていただいております。
 どうしてこのような十支部ということになったのかについてお話をさせていただきたいと思います。
 裁判員裁判におきましては、裁判員の方々の御負担にも配慮しながら、適正な裁判というものを実現いたすために、裁判員の方々に分かりやすい審理をなるべく連日的に、日を連ねて実施する必要がございます。そのためには、裁判所、それから検察庁、弁護人におきまして、裁判員事件以外もいろいろな事件がございます。刑事、民事、家事、少年、たくさんの事件がある中で、そういった事件の運営にも支障を来すことなく、裁判員事件が係属いたしましたら速やかに公判前整理手続をやっていただいて、それに引き続く連日的開廷というものにも対応していただかないといけないということであります。
 したがいまして、法曹三者それぞれに体制が整備されているということが不可欠でございます。そうすると、私どもといたしましては、裁判員裁判の実施庁というのはできる限り本庁に集約することがまずは現実的かなと思っていたわけであります。
 他方、委員御指摘のとおり、裁判員の方々の御負担、それから今ございましたような被疑者、被告人、それから被害者としてのお立場をお持ちの方、そういったお立場の方を考えますとほかの考慮も要るわけでございまして、そういたしますと、ある程度対象事件の係属が見込まれると。
 それから、本庁までの移動にそれぞれの支部で時間の長短がございます。相当長い時間を要する支部においては、その支部でやる必要性が高まるわけでございます。
 それから、当該支部の所在地におきます特に弁護体制の整備の見通し、こういったものを考えまして、当該支部におきます裁判員裁判の実施の必要性、相当性というものを検討してまいったわけでございます。
 その結果、実施支部を十支部に決定するに当たりましては、当該支部において予想される対象事件数、それから本庁までの移動に要する時間のバランス、これを基本に置きまして、制度施行時の弁護体制の整備の見通しなど諸事情を考えた上で、制度施行時におきましては本庁のほか十支部で実施することが相当という判断に至ったものでございます。
#66
○国務大臣(千葉景子君) 森委員から御指摘をいただきました点については、私も今後、どのような形で裁判員裁判が実施をされていくかということを改めて考えていく必要があるなと。本当にそれぞれの立場から考えて、生かされるようなことを考えていく必要があるというふうに本当に痛感をいたします。
 これ、考えてみますと、司法制度改革というのが大議論されまして、そして今実施段階にある。その中では、やはり法曹ができるだけ厚みを増していろんな地域で活躍をする。そして、そういう中で、裁判所、あるいは検察、そして弁護士、それぞれがやはり数も増やして、そしていろいろな問題に対応することができるようにしていこう。そういう中で、国民の皆さんにも参加をいただきながら、身近な、そして国民が主人公だぞという、そういう司法あるいは裁判を実現していこう。こういうトータルな多分問題だっただろうというふうに思います。
 そういう中で、やはり法曹の人口、そしてとりわけ裁判所の体制等々をより積極的に充実させていくことも求められていることではないかというふうに思います。裁判所の方でもそれに対して努力をされておられるというふうに承知をいたしておりますけれども、法務省としても、最高裁判所の意向も踏まえつつ、この体制の整備、人的体制の充実、こういうことに法務省としても努力をして、やはり皆さんが、やっぱり裁判員制度、本当に十分に生かして実施されていると言っていただけるようにしていかなければならないというふうに思います。
#67
○森まさこ君 最高裁の方からは現実的な問題の回答がございましたんですけれども、都会と地方は事情が違うわけでございまして、電車があって道路も整備されていて簡単に行けるような地域であれば別なんでしょうけれども、今までいわきや会津で裁判を受けていたものが福島、郡山に移るということで、被疑者、被告人や被害者が本当にそれで不利になってないかという点を非常に心配をしているわけでございますので、今大臣が前向きな答弁をいただいて本当に有り難かったんでございますが、この市民に充実した法的サービスを提供するというその改革の趣旨を没却しないように、本末転倒なことにならないように、是非ともこの問題については御検討をいただきたいと思います。
 次に、同じく裁判員制度でございますが、性犯罪事件が裁判員裁判の対象となっている点について質問をさせていただきたいと思います。
 強姦致傷などの重大な事件が裁判員裁判の対象事件になっているわけでございますが、私はこの点については問題意識を持っています。性犯罪事件の被害者はプライバシー侵害などの二次被害を受けるということが深刻な問題として指摘をされているわけでございますが、この問題については今までも国会で議論をされてきたことを承知しておりますが、本日は、私は、この被害者が三つのプロセスでこの裁判員裁判にかかわっていくという点を細かく分析をして、問題点を指摘をさせていただきたいと思います。
 一つ目は、裁判員の適格性審査の場面でございます。
 これについては、裁判員が被害者の知人等であると公平な裁判ができないとして、裁判員の候補から外すために被害者を特定する情報を提供をするということが行われていますが、しかし、その中で被害者のプライバシー侵害が起こってしまうのではないかということが心配をされているわけでございます。
 そこで、まず最高裁に、この点について現在どのような措置をとっておられるのかお伺いをいたします。
#68
○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 委員御指摘のとおり、性犯罪事件というのは、被害者のプライバシー保護というのは非常に大切でございます。
 今御指摘になられましたのは、いわゆる選任段階における問題だというふうに認識をいたしました。例えば、裁判員法十七条は、委員も御指摘になりましたけれども、事件の被害者の親族でございますとか、それから被害者に雇われた人とか、そういった方は裁判員になることはできないというふうに定めをしております。したがいまして、選任手続の中でこういった一定の関係にある方を見付け出さないといけないというのが一方であるわけでございます。ただ、先ほど委員も御指摘のとおりの事情もございますので、私どもといたしましては、できるだけ裁判員候補者に被害者の方を特定する事項を知らせずに、何とか被害者と候補者の関係の有無を判断することができないかということでやってまいっております。
 具体的に申しますと、実は裁判員候補者に対する質問手続というのは普通は二段階に分けてやっておりまして、最初は候補者全員の方に入っていただきまして事件の説明などをいたします。そういった場面におきましては、通常の事件でございますと当然被害者の方の名前まで御説明をするわけですが、性犯罪の場合には、犯行日時や場所、まあ場所につきましても被害者の御自宅の場合なんかもありますが、そういう場合には言わないということになりますが、犯行日時や場所、それから犯行の概要、罪名程度にとどめまして、被害者御自身については性別、年齢程度にとどめる運用をまずいたしております。そして、その段階で、全体質問の段階で、ひょっとすると被害者と一定の関係にあるのではないかというふうに候補者の方にまず気付いていただいて、その候補者の方から手を挙げていただいて、次の段階の個別質問という段階に入らせていただくと。
 個別質問と申しますのは、先生も御承知と思いますが、別室に法曹三者がおりまして、そこにお一人お一人来ていただくわけですが、来ていただいたところで候補者の側から、思い当たる名前ですとか住所とかその辺りについて、被害者の特定と関係するような情報を知っているところをおっしゃっていただいて、それで被害者と候補者との間に先ほど申しましたような裁判員法十七条のような一定の関係があるのかないのか、こういったことを確認させていただくといった工夫をしております。
 それから、裁判員候補者名簿をこれ当事者に開示することになっておりますが、その段階で検察官の方では、被害者と候補者の関係の有無を判断するための手段といたしまして、候補者の氏名を被害者の方にお伝えするといった工夫がされることもあるというふうに承知をしておるところでございます。
#69
○森まさこ君 今の御説明だけであるとすると、全く被害者のプライバシーは保護できないというふうに思います。
 まず一つ目の、候補者に心当たりの者を確認をすると。ひょっとして私は被害者と知り合いではないかということに気付いていただいて申し出ていただくという方法は、これは候補者の善意を前提としておりまして、興味本位や悪意があった場合には対応ができません。しかし、むしろ性犯罪の場合には、こういった興味本位や悪意によるプライバシー侵害により二次被害を受けることが多いのです。これについて全く対処をしていない現在の方法では、被害者の二次被害防止はできないというふうに私は考えます。
 また、もう一つの方法をお示しいただきましたが、被害者が候補者の名簿を見て知人の可能性を指摘するとおっしゃいましたけれども、被害者が候補者の名前を見て気付くかどうかは分かりません。被害者が候補者を知らなくても、候補者の方が被害者を知っている場合もあるのです。
 実は、現在、私の事務所に性犯罪の被害者の方が相談に来ておられまして、強姦致傷の被害者の方でございますが、裁判員裁判にかかっております。彼女の場合は非常に広範囲な方にお会いする窓口業務に従事しておりますので、彼女の方が候補者の名簿を見て心当たりを探すということは不可能なわけでございます。
 そもそもこの裁判員の適格性審査というものは、えこひいき等の裁判を防いで公平な裁判を実現するためにやられている制度であって、それが主眼であって、そこに副次的に被害者のプライバシーを侵害しないような工夫を凝らしているだけでございますから、そもそもが被害者の二次被害を防止するための制度ではないから、このような不十分な状態になっているというふうに私は考えます。
 次の被害者がかかわるプロセスは、性犯罪被害者の証人尋問でございます。裁判員制度においては、裁判員が膨大な供述調書を読むことが想定されておりませんので、できるだけ供述調書に頼らず、直接証人尋問によって証拠調べを行うことが要請されています。他方で、強制わいせつや強姦などの性犯罪事件においては、被害者の名誉を守り二次被害の防止を図るため、できるだけ出廷の負担を掛けず、証人尋問を行わないことが望ましいとされています。
 この相反する二つの要請、すなわち裁判員制度では証人尋問を行う、性犯罪事件では証人尋問を行わない、相反する二つの要請をどのようにしていくか。これは、実質的に決定権を持たされているのは被告人及び弁護人でございます。すなわち、検察官が被害者の供述調書を証拠請求しても、被告人及び弁護人がこれを証拠とすることに同意をしなければ、検察官は被害者の証人尋問を請求せざるを得ません。
 このように、一方当事者である被告人及び弁護人、しかも自分と全く違う立場の被害者のことについて考慮しなければならない立場にはない被告人及び弁護人に実質的に決定権を持たされているという現在の制度においては、性的犯罪の被害者の二次被害の防止を制度的に担保していることにはならないというふうに思われます。
 最後に、被害者参加制度についても質問をしたいと思うんですが、これまでのこの二つのプロセスを今お述べをしました。一つが適格性審査の流れの中で、もう一つが証人尋問の流れの中でですが、大臣にここでちょっとお伺いをしたいと思います。裁判員裁判における性犯罪被害者のプライバシーが保護されているという状況にないというふうに私は考えるのですが、大臣は、ここまでお聞きになってどのようにお感じになられましたでしょうか。
#70
○国務大臣(千葉景子君) 私も、性犯罪被害者の方々、あるいはそれに大変心を寄せて心配をなさっておられる、そういう皆さんから、選任手続及び証人尋問などにおいて二次被害を被る本当におそれがあるのではないか、そういう懸念の声を私も本当に聞いておりますし、この間、何とかそういうことがないようにという私も問題を提起をさせていただいてきたという経緯もございます。
 なかなか難しいことではありますけれども、今最高裁の方から、等も答弁がございました。あるいは証人尋問などでビデオリンク方式を活用するなど、かなり被害を防ぐ努力はできてきているのではないかというふうには思います。しかし、御指摘のように、完全なものであるとは言えませんし、それから制度的に、性犯罪を、被害を防止するというなかなか制度とはなっていないということも御指摘のところ、私もよく分かるところでもございます。
 そうはいいましても、やはりいわゆる性犯罪について、すべて裁判員裁判から外すということにもこれはならないものだというふうに思います。やはり、重大な結果をもたらした犯罪について国民がやっぱり主体となって参加をする中で、きちっとした判断を、そして国民の立場に立った刑罰あるいは処罰をきちっと出していくということもこれは求められるところでもございます。
 そういう意味では、今の運用をより一層厳格にしていく、あるいは更なる二次的な性犯罪被害を出すことがないような知恵をより一層働かせていくことが必要なのではないかというふうに思っております。御指摘のところは、私も問題点はほぼ共有はさせていただいているのではないかというふうに考えております。
#71
○森まさこ君 私は、やはり性犯罪事件は裁判員裁判の中から外していただきたいと思っております。今二つのプロセスでの被害者のかかわりを指摘させていただきましたが、三つ目、被害者参加制度についてまた指摘をさせていただきたいと思います。
 刑事裁判に被害者が参加するという被害者参加制度、これは裁判員制度の導入よりも先に導入をされたわけでございますが、この制度を利用して性犯罪の被害者が刑事裁判に参加する場合も被害者の名誉の保護や二次被害の防止が要請されることは言うまでもありません。しかし、裁判員制度の導入によって被害者が職業裁判官以外の裁判員の目にさらされることを恐れて被害者参加をためらうということが指摘をされております。
 実際に私のところに相談に来られたその強姦致傷の被害者の方も、様々に被害者参加制度の内容を自分なりに考えた上で参加をしたかったけれども、やはり裁判員裁判になるということで被害者参加制度に参加することはやめられました。ビデオリンク等の方法を、先ほど大臣が御指摘なさった証人尋問で使われている制度も被害者参加制度の場合にも使われるそうでございますし、つい立て等の工夫もなされていると思いますが、そうであってもやはり裁判員という市民の方々に目に触れてしまうということが、やはり被害者が被害者参加制度をためらってしまったという理由であることは間違いありません。そうしますと、犯罪被害者の保護を目的としたこの被害者参加制度の趣旨を没却しかねません。
 性犯罪事件の裁判員裁判について被害者が参加をためらうことがないように工夫をしていかなければならないと思いますが、私は現状の工夫では全くその効果が出ていないと思いますから、先ほどの二点に加えてこの被害者参加制度の側面からも、性犯罪については裁判員制度から外すべきというふうに考えています。
 大臣は先ほど、外すというお考えはなくて運用上の工夫ということでございましたが、この点について検討を始めるということもお考えないでしょうか。もう一度御答弁をいただきたいと思います。
#72
○国務大臣(千葉景子君) 大変重い御指摘をいただき、私も本当に心に刺すものがございます。
 この裁判員裁判につきましては、施行されてから三年の経過をしたところで検証をするということにもなっております。そういう意味では、この性犯罪被害という、そういうことに特化をするということではございませんけれども、いろいろな角度から裁判員裁判についていろいろな検証が積み重ねられるものではあろうかというふうに思っております。そういう中でまたそういう御指摘も出てくるのかもしれませんし、そこはまだ分かりませんけれども、是非、そういう声があるということ、そういうこともいろんな議論の中で頭に置かせていただかなければいけないというふうに思っております。
#73
○森まさこ君 ありがとうございます。三年と言わず、どうぞ前倒しで検討をしていただきたいということをお願いを申し上げておきます。
 次に、夫婦別姓制度について御質問をしたいと思います。
 三月十二日には、この夫婦別姓、選択的夫婦別姓制度を含む民法改正については閣議決定は見送られたということでございますが、大臣の所信表明の中にも、夫婦別氏制度というふうに書かれておりますが、今国会中に提出したいということを述べられておりますので、質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、この選択的夫婦別姓制度、子の氏についてでございますが、今まで民主党が何度か議員立法で出されてきたものは、子の姓は子の出生ごとに決めるというふうになっておりましたが、平成八年の法制審の答申を踏まえるということですと子の姓が統一されることになりますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#74
○国務大臣(千葉景子君) 選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、この間、私も民主党あるいは共同した形で提案をさせていただいてまいりました民法の改正ですが、そういう中では、確かに民主党案として子供の氏についてはそれぞれ生まれたときに選択をすればいいのではないかという形になっていたのも確かでございます。
 ただ、法制審議会、ここが大変多角的な幅広い方々からの意見も聴取をして議論をしていただいたと。そういう中で、やはり子供の氏は統一をした方がよろしいという、そういう結論を出されておられるわけですし、それから、いろいろな御意見をお聞きをする中でも、やはり子供は一人一人別々になるとかわいそうだ、あるいはいろんないじめに遭ったりするのではないかと、こんなお声も聞かせていただきます。そういう意味では、どちらが正しいとかどちらがということではありませんけれども、やはり多くの皆さんが子供に対して心配がないようにというお気持ち、そういう考えをお持ちであるとするのであれば、法制審でも御議論をいただいた、そういうことも踏まえて、子供の氏を統一をするということが今の時点で適切なことではないかというふうに判断をさせていただいているところでございます。
#75
○森まさこ君 そして、この選択的夫婦別姓制度の趣旨でございますけれども、女性の社会進出に伴う、大臣の所信ですと、最近の家族をめぐる状況の変化ですか、それにかんがみということになっておりますが、私もこの女性の社会進出の支援ということは大変大事なことだと思います。自分自身も働く女性の一人でございますので、女性の社会進出は支援をしていくということを重要であると思っているんですが、一方、私は母親でもありまして子供の立場を一番先に考える立場でございます。
 先ほどの子供たちの、選択的夫婦別姓にした場合の子供たちの取り巻く状況ということ、大臣も触れられましたけれども、子の氏を統一したとしても、やはり母親と、又は父親と姓が異なっていくということが本当に子供の立場に立った場合にどうであろうかということを私などはやはり一番先に頭に浮かんでしまうものでございます。選択的な夫婦別姓ですと選択をできるということで個人の自由があるわけでございますが、子供の場合は選択ができないわけでございますので、子供の立場を思いやるということが大変重要だと思います。調査の中では、子供たちに聞いたところ、やはり母親又は父親と姓が異なるのは嫌だと述べた子供が六割いたという調査も耳にいたしました。
 子供の立場を考えると、私は選択的であっても別姓制度を取ることには消極的な考えでございますが、一方で、女性の社会進出、女性が社会で出ていくときに姓が婚姻により変わることでいろいろな不便があるという指摘もされていて、それも現実にあると思います。
 そこで、私が法務部会長を務めております自民党では、女性の社会進出を支援するために女性の通称を使用する機会を現在よりももっと拡充をしようということを男女共同参画法等を改正することによってこれを確保していこうと。例えば、女性の社長さんが今まで使ってきた旧姓で銀行口座を開設できないんだとか、海外の論文でキャリアを積んできたんだけれども、婚姻で変わるとこれが海外で通用しないんだとか、そういったことについては様々な法制度の改正をしていくことによって、それを、支障を取り除いていくということを自民党では検討しております。
 やはり守るべきものは何かと、一番大切なものは何かと考えたときに、やはり私は第一に子供たちのことを考えてやるべきではないかと思っています。
 そこで、最近の世論調査を見ますと、時事通信社の世論調査、三月十二日の記事でございますが、三月五日から八日に実施した世論調査ですと、選択的夫婦別姓制度に賛成が三五・五%に対し、反対は五五・八%であると出ております。これは民主党の支持層の方々でも、賛成が三三・六%に対し、反対が五九・六%。自民党の支持層で、賛成が二四・三%、反対が六九・三%と出ております。
 そこで、大臣に御質問いたしますが、やはりこのような世論調査を見ましても、もっと国民的議論を多く行った上で、そして女性の社会進出の支援についてはできる限りの手だてを講じた上で、そしてその上で戸籍の中の別姓制度というのはその後に考えるべきではないかと、拙速にこの法案を国会に提出をせずに、国民的な議論をまずするべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#76
○国務大臣(千葉景子君) 自民党の中でも通称を使えるようなそういう制度にしたらどうかという御議論をされているということを私も耳にさせていただいております。
 この問題は、この間、かなりいろんな形で国民的なあるいは議論というのも続けられてきたのではないかというふうに思っております。そういう中で、確かに世論調査、そういう結果も出ておりますけれども、自ら直接かかわりのないという問題ですと、余りそういうことを導入しなくてもなと、こういうふうに感ずる方もいらっしゃるのかもしれません。よく世代別などで見ると、これから結婚する、そして仕事もしたい、こういう層などだとやっぱり賛成が増えたり、こういう世論調査もございますし、そういう意味ではいろんな御意見があると。そういう意味では、改めてですが、あくまでも選択的に、それぞれが子供のこともいろいろ考え、そして判断できるというこういう形を取ったらどうかと考えたところでございます。
 通称使用というのも一つの考え方であろうかというふうに思いますが、また逆に、通称を正式な形で使えるということになると、通称と今度は戸籍のまた名前と二つができてしまって、これまた使い分けて混乱をするということも逆に言えばないわけではないのかな、こんなことも感じたりいたしております。
 いろいろと御意見あるところだと思いますが、やはり女性のそれぞれの社会への参加、こういうことを踏まえ、そして家族の形もいろいろな、単身のところもあればいろいろな形態もある、多様な生き方ができる、そういうことを考える意味で、あくまでも選択的にそれぞれが選べる道を少し用意するということは私は適切なことではないかというふうに考えておりますので、どうぞまた一緒に協力をさせていただくことができたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
#77
○森まさこ君 では、時間が参りましたので、終わります。
#78
○委員長(松あきら君) 午後一時三十五分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十八分開会
#79
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#80
○風間昶君 公明党の風間でございます。
 中井国家公安委員長、大変お忙しいところ、わざわざ委員会においでいただきまして、ありがとうございます。
 最初に、大臣の方にもお伺いしたいと思っておりますが、いずれにしましても、異状死体の死因究明に関して、大臣も所信表明できちっと究明に全力を尽くすという御発言をされておりまして、現状では、警察で取り扱っている遺体の解剖率は、十六万六千余体にもかかわらず、たった一〇%なんです。残りの十四万数千の遺体は、言わば外見と触診の外表検査だけなんですね。言われているのは、この外表検査だけでは死因の言わば診断率というのはほぼ半分近く誤診の可能性が高いということが現実に言われてきております。そういうことから欧米では解剖率が物すごく高いわけです。フィンランドは一〇〇%ですし、アメリカでも五〇%前後を確保しているわけであります。
 そういう意味で、問題は、私、指摘したいのは、十六万体の御遺体、異状死体のうち、残された九〇%、一〇%が解剖ですから、外表検査だけで死因が判断されているんですけれども、問題は十四万数千人の死因がどういうふうになっているのかというのは極めて大きな問題で、ある意味では、日本の一年間に亡くなるのは百八万人ぐらいいらっしゃって、がんが圧倒的に多いわけでありますけれども、十四万人がそのまま一つの死因ということになると、これ死因の三番目ぐらいに入るわけですよ。これは大変なことなんですね。日本の人口動態統計にも正確を期さなきゃならないという形で来ているんだけれども、それがもし外表検査だけで死因を特定されているとなるとこれは極めて私は憂慮すべきことだと思っております。
 そういう意味で、この外表検査で十四万数千体の遺体がどういうふうに人口動態に反映されているのかということをまず厚労省はどこまでつかんでいるのか、伺いたいと思います。
#81
○大臣政務官(足立信也君) それでは、お答えいたします。
 医師である風間委員にこれを言うのはなかなか釈迦に説法みたいな話で申し訳ないんですが、まず、診断書と死体検案書というものがございます。これは、診療行為を行っていた診療に係る傷病と関連した死因の場合は診断書、それ以外、つまり診療していてもその元々の原病と違う場合も含めてこれは死体検案書になるわけですけれども、その検案した際にこれは異状であると、体表から見て異状であるという場合に異状死としてこれを警察へ届け出る形になります。委員がおっしゃる異状死の死体というのはその段階で判断されるわけです。
 いずれにしても、死亡診断書も死体検案書も医師の判断によるわけでございます。そして、その死亡原因というものが記載されてそれが分類されていくという形になっておりまして、平成二十年では百十四万の死亡数に対して、診断名が不明確及び原因不明という場合は、合わせますと七千五百三十七という数値になっております。
 以上です。
#82
○風間昶君 大臣、それで、大臣も解剖率を今一〇・一%を約半分、五〇%ぐらいに上げたいというふうにおっしゃっておるわけですけれども、これもなかなか容易でないんですね。
 一つは、検視の段階で言わば問題になるのは、この検視制度というのは警察が担っているわけです。法的根拠が公安委規則の死体取扱規則という位置付けで弱いんですね。だから、ちゃんと検視が確立されたものになっていくためにはこの部分の言わば改善が必要でないかというのが一点でございます。
 それで、現実に私、たしかおととしの内閣委員会でしたけれども、今一部でやられておりますが、オートプシー・イメージングといって、遺体にCTや画像で診断ができないのかということが今行われておりまして、平成二十年が千三百体ぐらい、平成十九年は五百体ぐらいやられているんですけれども、どちらにしてもこの精度を高める、検視における死因究明のための制度を改善することが大事だと思います。
 そういう意味で、現実には検視官が不足しているということもあって、検視官が現場に行けない状態のところにも、この画像で処理してそれを送信して、あるコントロールセンターなりなんなりでこの画像を見て判断するというのも一つの方法ではないかと思っておりまして、これは現実に今警察庁でやられているというふうに聞いております。
 問題は、もっとこの検視支援装置を、予算付けの問題もあると思いますけれども、有用にしていくための言わば具体的な導入についてどういうふうにしていったらいいのかということのお考えがあったら、伺いたいと思います。
#83
○国務大臣(中井洽君) 誠に正確な御指摘、また問題点を的確につかまえた上での御意見、本当に承りました。
 先生がおととし御質疑をいただいた面も勉強のために読ませていただきました。以来、警察におきましては、今回の予算でも検視支援装置補助金として出していく。また、お尋ねのCTにつきましても、千三百体ほど献体できるように今年の予算付けと、おいおいと増やしてはいるところでありますが、これはまた解剖とは別のものであろうかと、このようにも考えています。
 昨今、幾つかの殺人を見逃して自然死あるいは自殺死として処理した事件も何年かたって分かってくる、あるいは次から次へと事件が起こってようやく戻って分かる、しかしそのときにはもう死体がないというような残念な事件も起こっておりまして、これらのことを考えますと、私は根幹的に死因究明というものをどうしていくか、つくり直すべきだと、こういう思いで野党民主党のときから仲間の皆さんとこの国会で超党派の勉強会を続けてきたところでございます。
 それらを基に民主党は二回ほど法案を出しておりましたが、図らずも警察担当になりまして、御指摘ございましたように、警察が解剖あるいは死因究明の最前線でございますから、この警察において勉強会という極めて異例な形でスタートをさせていただいて、早急に方向付けをして法務省あるいは文科省、厚労省等々と打合せをして、次年度の予算からその方向へ向かっていく、また大学の制度や法医学部やあるいは医学部の定数やいろんな問題は年数を掛けて対策を取る、こういう中で粘り強くこの改正を行って、今お話ありました五〇%という目標に到達をさせていきたいと考えております。
#84
○風間昶君 それじゃ具体的に、人の死を無駄にしないというのが検視制度の根っこなんですね。ただ、現実的には、これは行政の怠慢といったらそれまでかもしれませんが、私は、警察がいったん事件性がないと判断したら、もう遺族が希望しても解剖してもらえないんです。現実そうなっているんですよ。警察そのものが解剖の意義をきちっと説明していない、説明不足になっている。だから、説明しないから遺族も解剖を嫌がると。それを見て警察の方が、いや遺族が拒否していますからと。ある意味では隠れみのというとおかしいですけれども、解剖に回さない言い訳にしているということが予測されます。これは大きな問題で、そのことをきちっと改善しない限り、幾ら具体的に解剖率を五〇%上げようといっても無理な話なんです。
 ここは、国家公安委員長の下できちっと現場の検視官の検視調査能力、法医学的な知識も含めてですけれども、ここを高めていって、警察がやはり市民にあるいは遺族に説明をしていく旨の努力義務を私は課していかないと、いつまでたってもこれは良くならない、解剖率は上がらないと思いますけれども、どうでしょうか。
#85
○国務大臣(中井洽君) 日本人独特の死生観もあって、解剖ということに関して抵抗のある場合もあるし、また今御指摘のような警察官の思い込みということもあって解剖をしないというようなこともあると聞いております。とにかく、すべての問題に対して証拠中心主義で臨むんだと。このためには、やっぱり科学的な解剖、それによる調査というものが必要だと考えております。
 同時に、数多くの解剖が行われることによって、先生にはもう既に御理解だと思いますが、病理学的にもいろんな発展もあるんだろうと、こんなことも考えておりまして、今私ども、公安委員長の下につくりました死因究明制度の在り方についてのところで幅広く議論をして進捗を図っていきたいと考えております。
#86
○風間昶君 まさに今大臣がおっしゃったように、死因究明制度の在り方について調査研究を進めますというふうに所信で述べられて、今なおかつ大臣が御発言ありましたように、遺族に対しての説明の在り方も含めて検討をしていくべきだと私は思いますので、是非、大臣のリーダーシップを発揮していただけるようにお願いしたいというふうに思います。
#87
○国務大臣(中井洽君) 確かに承りました。
#88
○風間昶君 検察も警察も医療に関係した死亡については、起訴前までは非常に慎重で公正公平にやっているのが実態であります。でも、一度起訴してしまうと、これもう勝負の世界へ入っていくんですね、変な話、言葉は悪いですけれども。特に日本の起訴至上主義ということの下では、勝訴率がまた検事さんの出世率、出世の、何といいましょうか、大きく影響しますので、これはもう勝ちに行く。だから、裁判になってしまうと、もう何か別人格のようにすら映るわけです。
 この部分を含めて、公正公平な捜査、それから、むしろ死因究明することは再発を防止することにつながる話ですので、是非しっかりやっていただきたいというふうに思います。
 大変、大臣、貴重な時間を取っていただきまして、ありがとうございました。どうぞもう御退席ください。
#89
○委員長(松あきら君) 中井国家公安委員会委員長は御退席いただいて結構です。
#90
○風間昶君 そこで、足立政務官においでになっていただいて恐縮ですけれども、御存じのように、異状死体の多くというのは、犯罪性がない非犯罪死体でございます。大体、だから行政解剖になっていくわけですけれども、これは自治事務ではありますけど、死因究明の観点からいうと、行政解剖の数をきちっと増やしていくことによって死因を確定するということが極めて大事だというふうに私は思うわけです。
 監察医制度がある東京、大阪、神戸等々についてはいいんですけど、監察医が不在の地域、これは実際には警察の検死官や警察嘱託医がやっていますけど、これは解剖をやっていませんから、ほとんど。やっていらっしゃる警察医もいますけれども、やっていませんから、むしろ監察医、まあ無医地区と言うとおかしいんですけど、監察医が不在の地域における解剖をしていくことによって死因を究明していくということが是非取組としては必要だと私は思っております。それがそのまま、正しい診断が付いて初めて厚労省の人口動態統計に表れてくるんだと私は思いますので、この部分についての厚労省の考え方をお示しください。
#91
○大臣政務官(足立信也君) もう五年以上になるかと思います。千葉法務大臣共々、民主党の中でずっと死因究明のことを検討してまいりました。
 風間議員が冒頭におっしゃられたことが一番大事だと私は思っています。それは何かと申しますと、死因を究明することは死者に対する最後の尊厳だと私は思っています。そこで、議員が触れられた、私は、オートプシー・イメージング、この方が国民の皆さんにとってははるかに障害の、ハードルの低いことだと思います。
 そして、今監察医制度のことをおっしゃられましたけれども、これは日本で五つの地域、東京二十三区、横浜、名古屋、大阪、神戸。先ほど委員がおっしゃった行政解剖、これは九千四百、平成二十年であるんですが、このうち六千は、その監察医制度に基づいて遺族の承諾なしに行われていると。承諾なしに行われるのは、司法解剖とこの監察医制度に基づく解剖であります。あとの三千は承諾解剖ということになっております。これを全国あまねく展開するのは極めて困難だと私は思います。
 これは一つの例を挙げれば、医療関連死の死因究明制度というモデル事業がずっとやられておりました。五年間、恐らく六億以上掛かったんだと思いますが、わずか百数体です。ということは、私は、死因を究明するのは解剖に偏重してはいけないという考え方がまず一つ大事なんだろうと、そのように思っておりますので、このモデル事業の部分も含め、そしてまた医療関連死、そして医療に無関係な異状死体の死因究明については是非とも厚生労働省の考えも反映させていただきながら検討をしてまいりたいと、そのように思います。
#92
○風間昶君 是非、ここは厚労省だけで進む話じゃありません。現場的には一元的に警察が見るわけですから、そことの連携を強く求めたいというふうに思います。
 次に、千葉大臣に、冒頭で千葉大臣は、取調べの可視化をまず所信の第一項目に挙げられました。現在、副大臣が中心となって、我が国における捜査、公判の実情を踏まえた取調べの可視化の在り方について精力的に検討を進めておりますというふうに述べられております。検討状況が非常に私は見えていない。それは恐らく、いろいろな方に、省内の方に聞いても、省の中でもどうもよく分からないという声がちらちらと聞こえております。そのことを考えるならば、もっと具体的な検討内容をつまびらかにして、そしてスケジュールを、どういうふうになっているのか、是非この際、副大臣にお聞きしたいと思います。
#93
○副大臣(加藤公一君) 先生御指摘のとおりに、法務省内に取調べの可視化に関する勉強会と、またその下にワーキンググループを既に設けてございます。勉強会に関しましては、昨年の十月二十三日に第一回目を開催をいたしまして、本日までのところ計四回開かせていただいております。また、ワーキンググループにつきましては、国会の日程等にもよるところが大きいものですから一〇〇%必ずということではありませんが、おおむね毎週一回ずつこのワーキンググループも開催をしてきております。その中で、勉強会におきましては、この取調べの録音・録画制度の導入に関する当面の論点の整理をさせていただいた上で、ワーキンググループではその論点に沿って研究、検討を進めているところであります。
 また、千葉法務大臣におかれましては、一月初旬にこの可視化に関して韓国に視察に行かれておりますので、その状況も御報告をいただいて、また意見交換もさせていただいたところであります。
 細かな点はワーキンググループの方で議論をさせていただいておりますが、こちらでは勉強会で整理をした論点に加えて、検討の中で更に出てまいりました論点もそれに加味するということで進めておりますが、取調べの可視化のメリット、あるいは検察における現在進めております取調べの一部録音、録画の実情、さらに検察における取調べの適正確保方策、これが幾つかもう既に進んでいるものがございますので。その概要、また取調べの実務の概要、あるいは可視化を実現する上で実務的に生じる問題点、さらには諸外国における法制度や取調べの可視化に関する実情、概要など、ここについて順次検討をしているというところでございます。
 今後も同様に、できるだけ精力的に取り組んでまいりたいと思っております。
#94
○風間昶君 初めて具体的に中身の一部も教えていただきました。
 問題は、何回かそのワーキンググループを含めて検討会、研究会でやられているということでございますけれども、当然、中間であろうが何であろうが、一定の取りまとめをする必要が出てくると思いますが、この取りまとめの言わば最終像というのがいつごろになる見込みなのか、またそれをどういうふうに今度現実に活用していけるのかということについて、今の段階で言えることがあれば教えていただきたいと思いますけれども。
#95
○副大臣(加藤公一君) 当然のことだとは思いますが、この勉強会あるいはワーキンググループで検討しました事項につきましては、適切な時期に何がしかの形で取りまとめをいたしまして皆様にもお知らせをしてまいりたいというふうには思っております。
 しかし、今日現在、まだその細かなスケジュールにつきまして確定的なことを申し上げられる段階まで至っておりませんので、その点は御理解をいただきたいというふうに思っております。
 また、何がしかの形で法務省内で取りまとめがなされると、また皆さんにそれをお知らせするということになりますと、さらにその後には、先ほどいらっしゃいましたが、中井大臣の下の国家公安委員会における検討、議論もございますし、警察庁における議論もございますし、またその他の関係府省庁もございます。それらは当然のことながら調整、議論を進めていくことになりますので、そこには十分に生かしてまいりたいというふうに考えてございます。
#96
○風間昶君 じゃ、是非大臣も、国家公安委員会、警察庁とも協議をしながら可視化実現に向けてというふうにおっしゃっておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思いますが、ちょっと気になるのは、いわゆる警察庁は警察庁でやっているということで、もう中井大臣はおいでにならないんですけれども、いわゆるおとり捜査あるいは新たな捜査手法が可視化を実現するためには必要だと思うんですが、このことに関して千葉大臣は二月の二日、九日の記者会見で、必ずしもセットではない、言い方がちょっとそういう言い方ではなかったと思いますけれども、可視化と捜査手法などの議論というのは別建てでいくべきではないのかとかいうふうにおっしゃったことが私は非常に気に掛かります。
 公明党でも去年の三月十四日、あるべき取調べの可視化についての提言で、新たな捜査手法も含めて、刑事手続全体の在り方との関連に十分留意しつつ、捜査の在り方に関して検討すべきということを申し述べました。
 そういう観点からすると、可視化と捜査手法の検討というのは必ずしも別にやって私はいくものではないというふうに思います、私自身は。その点について、再度、千葉大臣にこの件についての二月二日、九日の記者会見、記者から問われたことに対する答弁と併せて、今現時点ではどのようにお考えか伺いたいと思いますけれども。
#97
○国務大臣(千葉景子君) ありがとうございます。
 風間先生御指摘の、公明党で取調べの適正化について御議論をしてお取りまとめをされているということを私も承知をさせていただいております。そういう中で、可視化とそれから捜査手法については両方の角度からという御提言の内容であろうというふうに思っております。
 私がこの間申し上げておりますのは、可視化とそれから捜査手法の導入というのが同時に併せて行われなければならないということはないのだと、こういうことを申し上げております。
 議論の中で、取調べの可視化に向けまして今様々な論点を整理をし議論をしておりますが、そういう中で捜査手法についての議論なども当然出てくることも予測をされるわけでございまして、そういうものを全く否定をするということではございません。
 最初から、何しろ両方セットにしてスタートをしましょうと、こういうことではないのだと、こういう趣旨で申し上げているところでございまして、いろいろなこれから捜査の適正化について論点あるいは議論が進展をしていくものだというふうに承知をいたしております。
#98
○風間昶君 どっちにしても、どこかでセット論議にならざるを得ない部分も出るんです、現実的には。だから、そのことを全く別にずっと行くという話には私はならないと思うんです。だから、それは当然、手法の問題でいろいろあるんでしょうけれども、どちらにしてもそれとのリンクが強い中で可視化というのは現実に実現せざるを得ないような状況が出るということだけは指摘しておきたいと思います。
 次に、大臣の所信の中でちょっと気になったのは、国家公安委員長の方は当然その所掌であるからだと思うんですけれども、児童ポルノに対する、今回、去年もそうでしたけれども、宮城や東京で実の母親が子供のポルノ画像を撮影して、なおかつそれを販売するという事件が起こっています。
 国家公安委員長は、とにかく児童権利を著しく侵害する児童ポルノについては取締りを強化し、被害児童の……(発言する者あり)ちょっとうるさいぞ、こら。
#99
○委員長(松あきら君) お静かに願います。
#100
○風間昶君 取締りを強化し、被害児童の保護に全力を尽くしますと述べられていますが、千葉大臣の所信にはこの児童ポルノについては一切言及がございません。非常に私は残念な気がします。それは所掌でないといえばそれまでかもしれないけれども、これまでかつて一生懸命やってきた大臣にしては珍しいことをおやりになるなというふうに、つまり何にも述べられないのは、という気がいたしました。
 それで、どっちにしても、去年、イタリア、それから三年前ミュンヘンでG8の司法・内務大臣会合があって、そこで当時は事務次官と警察庁の担当者しか行っていないんですが、児童ポルノに対する宣言が行われているんです、G8で。これ、御存じですか。
#101
○国務大臣(千葉景子君) はい、基本的なことは承知しております。
#102
○風間昶君 中身知っていますか。
#103
○国務大臣(千葉景子君) 細かいことはあれでございますけれども、児童ポルノとの戦いの重要性が強調され、あらゆる形態の児童の性的搾取を強く非難をしているものというふうに承知をしております。
#104
○風間昶君 御存じだと思いますけど、これ議員立法で、現行の提供や公然陳列などの禁止に加えて、みだりに児童ポルノを持ったり保管をすることを禁止した法律案を出して継続協議になっているわけであります。私は、このことを考えると、やはりこの昨今の実母などによる児童ポルノの販売事件とか何かが起こってくると、これ非常にゆゆしき問題で、つまりは根本的には自分の子を慈しめない今の状況がいろんなファクターであるとはいえ、法的にもやはりきちっとそこは縛っていく必要があるんじゃないかというふうに思いますので、政府としては今後この法整備含めてどのような対策講じていくのか、お考えがあれば、考えがないんだったらこれ言語道断でありますけれども、教えていただければ有り難いと思います。
#105
○国務大臣(千葉景子君) 私も、児童ポルノ事案が大変増加傾向にございますし、それからインターネット等の普及によって大変ゆゆしき事態が起きているということも認識をして、大変心は痛くしているところでございます。
 検察当局におきましても、児童ポルノ事犯に対しては厳正な科刑の実現に努めておりますし、法務省としても、検察に対してその経験年数に応じた研修等も実施して、これの事犯、児童ポルノ事犯に対する知識をしっかりと持つように、そして必要な的確な処罰をするようにということを浸透させているところでございます。
 そして、更なる法的な整備ということにつきましては、今、この問題について、この間、国会で大変論議が深まっておりまして、ほぼ議員の中での立法化の方向がおおよそ見えているというところまで至っているところだと承知をしております。
 そういう意味では、国会もやっぱり立法機関ということで大変熱心にお取り組みをいただいている、それを私どもも十分注視をしながら、そして必要でございますれば適切な協力をさせていただきながら、この問題の法整備が進展をするように努めてまいりたいと考えております。
#106
○風間昶君 もう一つ、児童虐待の問題ですけれども、法務省が設置している児童虐待防止のための親権制度研究会で、去年六月から親による子供の虐待を防止する手だて検討して今年の一月に報告書を出されて、二月から法制審に諮問されて今議論をされているというふうに思いますけれども、この一月に報告書が出された概要について、簡単でいいですから教えてください。
#107
○国務大臣(千葉景子君) 児童虐待防止のための親権制度、今、親権制度の喪失の制度がございますけれども、それが大変利用がしにくい。親権そのものをすべて制約するということに対する大変抵抗感もあるということで、この報告では、民法の親権制度、親権について一時的に制限を設けることができないか、あるいは一部制限をするようなことはできないのだろうか、こういうことで論点を整理をさせていただいているところでございます。
 そういう意味では、これは児童福祉あるいは児童虐待防止法などとも関連はいたしますけれども、民法という中では親権の一部あるいは一時制限というようなことができないかと、こういう論点で研究会のまとめがされているところでございます。
#108
○風間昶君 今まさに大臣がおっしゃったように、児童福祉法、児童虐待防止法、これ、児童虐待防止法の附則に三年以内に見直しについて検討して必要な措置を講じると。三年以内ということは来年度末ですわ。二十二年度、二十三年の三月。
 だから、それまでに、必ずしも同じ、民法と児童福祉法と児童虐待防止法と同じにはならないにしても、やっぱり同じになっていく方が私は望ましいというふうに思いますので、それに間に合うように検討スケジュールをきちっと立てていらっしゃるとは思いますが、そういうお考えでよろしいですか。
#109
○国務大臣(千葉景子君) 今、法制審議会の方で御議論をいただいております。その御議論を煮詰めていただくことがまず第一ではあろうかというふうに思いますけれども、やっぱり法が三年を目途にということを要請をされておりますので、それをきちっと念頭に置いた結論を導いてまいりたいというふうには思っております。
#110
○風間昶君 終わります。
#111
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、いわゆる団体監理型の外国人研修生・実習生制度の問題について大臣にお尋ねをしたいと思います。
 国際研修協力機構、いわゆるJITCOによりますと、九二年度から〇八年度までの十七年間に死亡した研修生、技能実習生は累計で二百十四人に上り、そのうち脳・心疾患が原因とされる方が六十七人、自殺は二十一人に達しております。とりわけ〇八年度の死者は三十五人と過去最多になりまして、そのうち脳・心疾患は四六%に当たる十六人、自殺もお二人です。この件についてJITCOは、正確な比較はできないが、心疾患の発生率は同年代の日本人のほぼ二倍というふうに言っているわけですね。
 研修生は健康診断を受けて来日する二十代、三十代の青年です。建前は研修、技能移転だというふうにされながら、現実には現場に蔓延してきた深刻な人権侵害と奴隷労働がこうした事態を生んできたのではないのかと私は思います。
 そこで、労働基準局長、いらっしゃるかと思いますが、こうした実態についてどのような認識をお持ちか。加えて、これまでに発生した死亡事故について、綿密な調査を行って原因を解明し、その結果を公表すべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
#112
○政府参考人(金子順一君) お答え申し上げます。
 まず、労働基準監督機関といたしましては、労働者の方が業務上の事由で死亡したおそれがある場合でありますとか、そういったことにつきまして、その状況をよく調査いたしまして法違反の是正等をやることにしております。これは技能実習生の場合も同様でございます。
 今お尋ねのございました平成二十年度におきます死亡の事例、三十四名でございましょうか、このうち技能実習生に係ります二十四名につきましては、このうち業務上の事由が疑われるもの、あるいはこれに関連して労働基準法違反のおそれがあるものにつきまして、十一件につきまして労働基準監督署による監督指導を実施したところでございます。その結果、何らかの労働基準関係法令違反が認められた事業場が九件ございました。我々、今後とも、技能実習生の労働条件につきましても、問題があるものにつきましては適切に監督指導をしていきたいというように考えております。
 また、公表についてのお尋ねがございましたが、平成二十年度の技能実習生に関します監督指導結果、今厚労省のホームページに載せております。二十一年度につきましても、これらに関する調査結果も含めまして、なるべく早期に公表をしたいというように考えております。
#113
○仁比聡平君 今御答弁があった二十年度の監督指導及び送検の状況について私も拝見をいたしました。この中で申告事例あるいは送検事例について、その前年までの報告以上に工夫をして、どうした悪らつな事案でどういう形で労基局として正したのかということについて見て分かる形で工夫をされていると思うんです。十一件指導に臨んだもののうち九件についてそうした違法が認められたということ自体が極めて悪質なわけですから、この事態について工夫をして解明し、公表を強化するということを強くお願いをしておきたいと思います。
 これからは制度改定で全期間を労働者として保護するわけですから、労基局の責任というのは大変重くなるということかと思います。
 そこで、研修生、実習生の死亡について、これまでは権限もないJITCOへ自主的に報告することになっているだけだというふうに伺ってきました。それでは青年を死にまで追い込む人権侵害や法違反の悪らつな働かせ方を明るみに出すことはできないと思います。脳疾患や心不全など病死や自殺とされている案件も含めて、すべて権限がある当局に詳細に実態をつかめるように、その当局が詳細に実態をつかんで正すべきだと思いますけれども、入管法とその省令の改定ではどんなふうになっていますでしょうか。
#114
○政府参考人(田内正宏君) 現状では技能実習生についてのみJITCOを通じて入国管理局に報告することになっております。これは法務省告示にあります指針の中にそう定められております。
 新たな研修・技能実習制度におきましては、上陸基準省令及び変更基準省令において、研修及び技能実習の活動を継続することが不可能となる事由が生じた場合、これにその失踪、死亡事故が入るわけでありますが、監理団体等が直ちに地方入国管理局に対して当該事実及び対応策の報告を行わなければならないとされております。
 なお、この監理団体等が地方入国管理局への報告を怠った場合には不正行為認定の対象となっております。
#115
○仁比聡平君 報告を怠れば不正行為認定になるわけですから、つまり入管にそうした死亡や失踪等を含めた事案の報告をするということは、これは法律上義務だというふうに言っていいんだと私は思うんですね。
 この報告を受けて、入管はどのように対応するわけですか。
#116
○政府参考人(田内正宏君) 失踪事案につきまして報告を受けた場合は、当該受入れ機関における研修・技能実習の実施状況について把握に努めます。技能実習生に対する低賃金労働等の不適正な事案が判明したときには不正行為の認定を行う等、厳正に対応してまいるつもりであります。
 死亡事故につきましても、死亡事故の概要、研修生、技能実習生の身分事項や受入れ機関名等の事実関係の把握に努め、死亡事故の原因が研修・技能実習と因果関係があると思われるものにつきましては、更に受入れ機関における研修・技能実習の実施状況について速やかな調査を行い、不適正な事案と判明した場合には不正行為の認定を行う等の厳正な対応をしてまいります。
 また、失踪事案、死亡事故事案において、調査等の結果、労働関係法令違反等が疑われるものがあれば労働基準監督署と関係機関に通報してまいります。
#117
○仁比聡平君 入管の権限と専門性ということを考えますと、不正行為を認定していくというテーマに向かっての調査の中でそれが極めて大事だと思いますが、直接、労働関係法令違反による是正やあるいは送検などのそうした権限をお持ちではないわけです。
 この労働関係法令違反という問題について、これ情報を共有して、労基署はどんなふうに取り組んでいくのでしょうか。
#118
○政府参考人(金子順一君) 私ども労働基準監督機関といたしましては、出入国管理機関との間に今相互に通報する制度を設けております。入管当局の方から御連絡があった場合には、私どもの方で労働基準法違反を是正すべく必要な監督指導を実施しているということでございまして、今後、こういった連携につきまして新しい制度の下でも適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#119
○仁比聡平君 これまでの研修生それから技能実習生という制度が持っていた多くの矛盾の中で、権限ある当局の現場の実施機関に対する監督、是正ということが十分に行われていたのかということについては私は甚だ疑問に思っているわけですね。
 大臣にお尋ねをしたいんですけれども、これまでこれほど蔓延してきた人権侵害、大臣も直接お聞き及びのこともあると思うんですが、これからの制度でいえば、監理団体や実施機関、ここに対するインパクトという意味でも、入管と労基が合同して無通告で立入調査、監査を行うと。そうした取組を行えば違法状態を正す力になると思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。
#120
○国務大臣(千葉景子君) 大変重要な御指摘をいただいたのではないかというふうに思います。
 これまでも両機関の間、連携をしながら対処をしてきたことは確かでございます。しかし、まだまだ十分でないところもあるのかもしれません。
 調査というのは普通は抜き打ちなんだろうとは思いますけれども、改めて、対象となる機関の規模や不正行為の実態等に照らして、やはりこれは合同で抜き打ちで調査をすることが大変要請されているというようなものについては、今御指摘のあるような抜き打ちで合同調査を実施をするというようなことは検討をしていかなければならないというふうに思います。
#121
○仁比聡平君 ありがとうございます。
 そうした取組を進めていく上でも、私は入管の体制がなかなか大変だなと思うんですね。各地方入管の現場で研修・技能実習の担当審査官を担っていらっしゃる方はほぼ幾人かという、そういう状況だと思います。管内は大変広いですし、相手はこれまた大変な数と悪らつさを持っている人たちが含まれていると。ここの中で権限を持って監督をすべき担当官が幾人かしかいないというのでは実態にこたえられないと思うんですが、私は抜本的に増員すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょう。
#122
○国務大臣(千葉景子君) 私も、入国管理官署全体としても、是非人員は体制を強化をしていかなければいけないというふうに考えております。
 全国の地方入国管理官署に配置している入国審査官というのが千七百三十七人でございます。入国審査官というのは、出入国審査、あるいは在留資格審査、違反審査、難民調査等、各業務に機動的に配置をしているわけですけれども、一部大規模庁を除いては、研修・技能実習を含め、特定の在留資格のみに専従する形での職員配置というのはされておりません。
 平成二十二年度予算案で、研修・技能実習の適正化に必要な要員として入国審査官二十三人増員はさせていただきましたけれども、到底これで十分というわけにはまいりません。是非これからも、体制整備については、研修・技能実習生として入国、在留する外国人の推移、あるいは受入れ機関による不正行為の状況などそういう状況、これを十分に推移を見ながら体制の充実に適切に対応してまいりたいというふうに思っております。基本的には、やはり増員の方向をきちっと考えていかなければいけないというふうに認識しております。
#123
○仁比聡平君 次に、人権侵害が横行してきたこの団体監理型という仕組みの下で、今後、団体による監理というのを強化するんだというテーマでの仕組みがつくられているわけです。この問題について、これまでの一次受入れ機関、制度改定後は監理団体、これまでの一次受入れ機関による人権侵害について、大臣がどんな御認識かというのをまず伺いたいと思うんですが。
 天草市でワコールの女性下着の縫製をしていた会社に受け入れられていた研修生、技能実習生が大変な人権侵害を受けて、その受入れ企業とともに一次受入れ機関である事業組合に対して、さきに熊本地裁は損害賠償を初めて認めたわけです。この地裁判決の中で、被告協同組合は、被告会社らに対する十分な監査を行わず、福岡入国管理局長に対し定期的に提出した監査結果報告書においても問題はないと記載し続け、研修生たちの旅券、預金通帳及び印鑑の保管状況についても事実に反する極めて不十分な報告を行った、こうした事態に対して何らの指導も行っていないなどを認定して、一次受入れ機関が適正な監査を行い、その結果に基づいて被告会社らを適切に指導すべき作為義務に違反をし、損害賠償責任を負うんだという判決をしているわけです。弁護団は、この事案は特殊ではなくて極めて典型的な事案だというふうに指摘をいたしました。
 このうち、原告お二人が中国から来日して、局長に二月、御面会をいただきました。そのときに大臣への手紙をお渡しをしておりますので、大臣もお読みいただいたかと思うんですが、一文だけ紹介しますと、私たちは希望を持って日本に来たのにこんなにつらい目に遭わされるとは思ってもいませんでした、私は私たちを三年間奴隷のように働かせるこの制度はすぐにでもやめてほしいと思います、私たちは日本の人たちと一緒に楽しく仕事ができる日が一日も早く来ることを心から望んでいますというふうに大臣にお伝えをしています。
 この一次受入れ機関が行ってきた人権侵害ということについて、大臣はどうお考えでしょう。
#124
○国務大臣(千葉景子君) 私も、この熊本地裁の判決読ませていただき、そして大変、このような監理、監督、こういうことがきちっと行われていないという状況、憂慮をしているところでございます。多分、本件が特別なものではなくして、このような第一次受入れ機関が傘下の第二次受入れ機関に対する監理を怠っていると、こういう例はほかにも少なからず存在するのではないかというふうに私は認識をいたしております。
 平成二十一年中に、傘下の第二次受入れ機関が不正行為認定を受けたことに対する監理責任を問われ、不正行為に準ずる行為の認定を受けた第一次受入れ機関が六十機関ございます。そういう意味では、これは判決が出たものは氷山の一角ということも言えるのではないかというふうに思います。こういうことがあってはならないわけで、こういうことを防ぐ意味でも、改正後の入管法では、研修と技能実習を統一をして、技能実習制度として統一をいたしました。第一次受入れ機関はその監理団体と位置付けて、その監理と責任の下で実施することとしております。
 そういう意味では、その監理強化、そしてそれが適切に行われているのか、こういうことを十分に私たちも調査をし、そして人権侵害あるいは不正な行為が行われないように努めていかなければいけないというふうに承知をいたしております。
#125
○仁比聡平君 今大臣のおっしゃられたとおり、そうしたあってはならないことをしてきたプレーヤーが今後排除されなければならないと思うんですね。
 ところが、今後の改定によれば、これまでの一次受入れ機関がいわゆる監理団体という形でその監理全体に責任を負うということになるわけで、そうした中で、これまでのこうした団体が、全部が悪質かどうかは私も決め付けるつもりはありませんが、改定後の団体による監理の規制にかなう体制を持っているのかどうかということを速やかに調査して、公表して、ガラス張りにして、現在も進行しながら潜在している可能性が大いにある権利侵害、これを速やかに是正するということが私は必要だと思いますが、大臣、いかがでしょう。
#126
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のこと、私も重く受け止めて、必要に、きちっと実態を把握をするように努めてまいりたいと思います。
#127
○仁比聡平君 是非お願いをしたいと思うんですが、伺いますと、一次受入れ機関は、今、現状の入管での認識でいえば、おおむね二千強、二次受入れ機関は三万くらい、送り出し機関は残念ながら全く数としてはつかめていないというふうに私の部屋での勉強でお伺いをいたしました。
 これ、そうした認識の下では、本当に悪らつなブローカーを排除するというのはこれなかなか大変なんですよね。大臣の先ほどのお言葉のとおり、そうした事態をなくす調査と公表を是非お願いしたいと思うんです。
 そこで、深刻な権利侵害の背景に、研修生を食い物にするそうした悪らつなブローカーや研修生ビジネスがあるわけですが、今回の改定であっせん機関という概念があります。職安局次長、いらっしゃいますですか。説明で、技能実習生のあっせんを行う場合は、今後は職安法等に規定する許可を受けなければならないというふうにありまして、この職安法上の許可というのは、例えば有料職業紹介ということになるわけです。この職安法に言う有料職業紹介の有料、これはイコール手数料ですね、これについては何らかの制限があるんでしょうか。
#128
○政府参考人(山田亮君) 職業安定法上の有料職業紹介の手数料の徴収額、二つのやり方に限定をされております。一つは、法令に定められた額の徴収、具体的には紹介した労働者の六か月分の賃金の一〇・五%、プラス求人受付手数料六百七十円を加えた額ということです。
 それからもう一つは、あらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく徴収ということでございます。
 それから、手数料の使途につきましては、職安法上の規制はございません。
#129
○仁比聡平君 職安法上の規制はそうしたものにとどまる下で、入管局長にお尋ねしたいんですが、改定される省令に言うところの営利を目的とするものでなく、かつ、あっせんに関して収益を得ないことというこの営利あるいは収益という概念はどんなものなのか、あっせん機関はどういう性格の金銭なら受け取れるという考えになるのか、お尋ねします。
#130
○政府参考人(田内正宏君) 技能実習制度の本来の目的が、労働者受入れのためではなく国際貢献を目的としたものであるという趣旨から、営利目的のあっせん機関を認めず、かつ、あっせん機関があっせんによって収益を得ることを禁じようとしたものであります。
 この場合に、収益を得るとはあっせん行為により利益を得るという意味でありまして、実費相当額を超えて手数料等を徴収した場合がこれに該当します。逆に言いますと、あっせん機関は実費相当額までなら金銭を受け取ることができるということでございます。
#131
○仁比聡平君 その実費相当額というのが一体どういうものになるのか、それも大量に、例えばベトナムにあるいは中国に行って研修生をたくさん日本に連れてくるというような形の中で、その実費というのがブローカーを絶対に排除するという概念になっていくものになることを強く求めておきます。
 最後に、そうしたブローカーが今後監理団体の中に入り込んで技能実習計画を作り監理するというなどのことは、これは許されないと私は思うんですね。愛知県に、今日はK産業というふうに申し上げておきますが、労働者派遣業を営む株式会社があります。その会社が受入れ企業と結んでいる研修・実習生派遣契約書というのが私の手元にあります。今の制度の下で労働者派遣事業として研修生を企業に派遣しているわけですね。こんなことは現状も絶対にあってはならない、許されないことです。
 この会社が受入れ企業に説明をしているQアンドAというのもありますが、ここでは、強制貯金について、預金については企業様にお任せします、パスポートの取扱いについて、パスポートは企業様にて保管をお願いします、こんなことが平気でやられているんですよ。これ、局長、違法でしょう。
#132
○政府参考人(田内正宏君) 受入れ機関等が研修生、技能実習生の旅券や外国人登録証明書を取り上げたり、あるいは研修手当、賃金の天引きを行うことは、研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針におきまして、不正行為に該当する行為であると定めております。その場合、受入れ停止期間は三年となります。
 Kについてでありますが、このKの役員等が二次受入れ機関に対し不正行為を指南するなど、関与の度合いによりまして不正行為になり得るものと考えております。
#133
○仁比聡平君 時間もないので、最後に大臣にお尋ねしたいんですが、そうした今の局長の、Kについても関与の度合いによっては不正行為認定足り得るというのは重要な答弁だと思うんですけれども、こうした悪らつなブローカーが監理団体の例えば非常勤職員として入り込んで技能実習計画を作り監理するとか、そのことによって受入れ機関とされている監理団体は自ら監理を実態としては行っていないというようなことは、これはもう排除されなきゃいけないと思いますが、大臣、いかがでしょう。
#134
○国務大臣(千葉景子君) おっしゃるとおりだと思います。
#135
○仁比聡平君 終わります。
#136
○委員長(松あきら君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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