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2010/04/13 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第10号
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2010/04/13 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第10号

#1
第174回国会 法務委員会 第10号
平成二十二年四月十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月八日
    辞任         補欠選任
     平山  誠君     千葉 景子君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     植松恵美子君     前川 清成君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     大島九州男君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     福島みずほ君     渕上 貞雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松 あきら君
    理 事
                今野  東君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                風間  昶君
    委 員
                石井  一君
                大島九州男君
                中村 哲治君
                平田 健二君
                前川 清成君
                簗瀬  進君
                浅野 勝人君
                丸山 和也君
                森 まさこ君
                仁比 聡平君
                渕上 貞雄君
   国務大臣
       法務大臣     千葉 景子君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    中井  洽君
   副大臣
       法務副大臣    加藤 公一君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        泉  健太君
       法務大臣政務官  中村 哲治君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   植村  稔君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(
 内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、平山誠君及び植松恵美子さんが委員を辞任され、その補欠として大島九州男君及び前川清成君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(松あきら君) 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○松岡徹君 おはようございます。
 この法案につきましての討議といいますか審議も三日目に入りまして、全体として、今までの質疑、そして参考人質疑も聴取も行いまして、今日は三日目ということでございますが、今日がほぼ最終の実質的な質疑になるんではないかと思っておりますので、今日は千葉大臣に、主にこの間に出てきました様々な問題点といいますか課題といいますかというものについて、その取り組む方向といいますかその姿勢につきまして、大臣の考え方を聞かせていただきたいという思いで質問をさせていただきたいと思います。
 まず、これまでいろいろ出てきましたが、いわゆるこの公訴時効の撤廃というので、死刑にかかわる犯罪にかかわってはその時効を撤廃する、その他の犯罪についてはその時効の期間を延長すると、こういう法律でございます。
 これまで我が国は公訴時効制度を採用してまいりましたし、この間の質疑の中でも我が党の松野議員からもありました、公訴時効を採用してきた我が国のその趣旨といいますか、そういったものが今回の法改正によって変わるのか変わらないのかいうことについて、まず千葉大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#5
○国務大臣(千葉景子君) 今回の改正の基になる大変基本的なところであろうというふうに思います。
 そもそも公訴時効制度の趣旨というのは、処罰の必要性と法的安定性、この調和を図るというところに基本がございます。すなわち、治安を守り、公共の福祉を維持するため、犯罪を犯した犯人を処罰することが必要である一方、時の経過による法的安定を図る必要も認められるというところからこの公訴時効制度というのは設けられているというふうに考えられます。
 その要素としては、時の経過によって証拠が散逸する、それから被害者を含む社会一般の処罰感情が希薄化する、そして犯罪後、犯人が処罰されることなく一定の期間が経過した場合には、そのような事実状態を尊重をすべきではないかと、こういうことなどが、一つの時間の経過とともにこういうことが問題になるわけですので、こういうことを踏まえながら、処罰の必要性とその時の経過による法的な安定というものを調和させようということでございます。
 今回の法改正において、このような公訴時効制度の趣旨について、これについては一般的に合理性があるものでございます。これを趣旨を変えよう、これ自体に変更を加えようということではないというふうに御理解をいただければというふうに思っております。
 ただ、そういう中で、人を死亡させた犯罪、そしてとりわけ死刑という大変重い処罰を求められると、こういうものについては、やはり人の命という法益が侵害されたということによってこれは回復不可能な状況が生まれるわけでございます。こういうこと、それから処罰感情の希薄化の度合いや事実状態の尊重という必要性の度合いが弱くなるということが言えるのではないかということで、そういう意味で、今回は、人の命が失われた、そして死刑に当たるという大変重い結果、重い刑罰が科せられると、こういうものについて公訴時効を撤廃をするということを提起をさせていただいているということでございまして、基本的な公訴時効制度の趣旨、これを否定をしたり、あるいは変更を加えようというものではないと理解をさせていただいております。
#6
○松岡徹君 これまでの公訴時効制度を我が国が採用してきたその趣旨については基本的には維持をしていくということでありまして、この公訴時効制度を採用してきたときも三つの要件を挙げておりました。
 いわゆる私が大事にしたいのは、その公訴時効制度を採用してきた我が国のありようも、今回の法改正の趣旨であります処罰の必要性と法的安定という、これ、そういう意味では治安の維持ということが大事な目標だというふうに思うんですが、今回の法改正、そして公訴時効制度を引き続き採用するといったときに、本当に治安の維持は保てるのかということだと思うんですね。処罰の必要性というのは当然のように今までもありましたし、そういう意味では、法の安定、法的安定といいますか、安定性というのは、それは今までも考えられてきたことだと思うんですよね。
 そういうことからすると、例えば、この公訴時効の三つの要件の一つであります例えば証拠の散逸というものが、時とともに散逸していく危険性、そういう状況が生まれると。例えば、その当時の目撃者とかそういった方が時とともにお亡くなりになる可能性もあるし、あるいは物的な証拠も散逸する可能性があるということがありました。それはますます犯人を突き止めていくことが不可能になるということが一つだと思うんですね。この証拠の散逸というものが本当にこの公訴時効を撤廃することによって確保されるのか、散逸を防ぐことができるのかということになってくると思うんですね。
 それはどういうふうに千葉大臣としては、その点だけに関しては、証拠の散逸というこれまでの公訴時効制度を我が国が取ってきたその趣旨について、今回の法改正に伴ってこういうふうに変わってきているというふうなことがあれば、是非お聞かせいただきたいというふうに思います。
#7
○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘のとおり、この公訴時効制度、それの一つの要件として、時の経過によって証拠が散逸をすると、こういうことが言われております。これを更に公訴時効を延長する、あるいは公訴時効を撤廃をするということになりますれば、より一層この問題というのは大変懸念をされるというところもあろうかというふうに思います。それは私も承知をしておりますし理解ができます。しかしながら、処罰をそれによってしなくてよいということではないというふうに思いますので、いずれにしても、証拠の散逸をできるだけ防ぐ、あるいは証拠の管理をきちっとしていくと、こういうことが大変重要なことになってくるのだろうというふうに思っております。
 その証拠保管の体制については、特に捜査の過程でこれは全く無関係、事件とは無関係だということが判明したようなものはできる限り還付をするとかということになろうかというふうに思いますけれども、やはり、特にこれが事件と関連性があるということで保管をすることについての徹底した管理が必要だと、それからそのための様々な仕組みの整備ということが求められるというふうに思います。
 今回特にその中で指摘をさせていただきたいのは、DNA鑑定等の試料、これについては適切に保管していくということが求められるということで、捜査機関においてこのようなDNA鑑定の試料等についてはできるだけきちっとした形で保管をするということが求められております。そのための保管のための費用、こういうことも十分に考えなければいけませんので、もうこの間も答弁をさせていただいておりますけれども、平成二十一年度の補正予算では警察における証拠品保管用冷凍庫の整備費用として約四億六千九百万円の予算措置がされている。また、平成二十二年度予算では検察庁における証拠品保管用冷凍庫の整備費用として約二千六百九十万円を計上している。こういうようなことをできるだけ積み重ねながら、証拠品の管理、保管、こういうことに万全を期していかなければいけないというふうに思っております。
 御指摘の証拠がだんだん散逸しがちだということに対しては、それができるだけ防ぐような手だてをこれからも着実に講じていく必要があるというふうに認識しております。
#8
○松岡徹君 今の証拠の保管の方法とかそういったことは警察庁の方で質問をしていかなくてはならないと思いますので、私は法務大臣として聞きたいのは制度なんですよね。
 すなわち、公訴時効が撤廃されるということになれば、これまで公訴時効制度を採用してきたその三つの、時間がたてばたつほど証拠が散逸するという、それは真相解明に妨げになるということになりますから、そうすると保管技術が高まってきたのかということになります。それは先ほどあったようにDNAの問題等々もあるかもしれませんが。
 私は、証拠というものが、だれが保管するのかということは、警察なんですよね、一部検察になるかもしれませんが。すなわち、治安の維持とかあるいは真犯人を突き止めていくということになれば、証拠というものが非常に大事なものになってきます。この証拠の取扱いというものがどういうふうに扱われていくのかというのが非常に大事になってくると思うんですね。
 証拠が保管されているのかされていないのか。今なお様々な再審請求事案がありますし、その中で証拠が散逸している、なくなっているというのもあります。もう大臣も御存じだと思いますが、福岡の飯塚事件というのがございました。本人は死刑の判決を受けたんですが、そのときのDNAが一致したということで犯人になったんですね。あのDNAの型の鑑定の仕方はあの足利事件と全く同じやり方なんですね。それで、飯塚事件の被疑者は死刑になって、一昨年死刑が執行されたということになるんですよね。そのときにあのときの犯人の遺留物だと言われている証拠の血液がもう一度再鑑定しようといったときに、それがなくなっているんですよね。要するに、証拠物というのは警察あるいは検察だけのものなのか、事実を明らかにするというものだというふうに証拠物というものを定義付けをもう一度しっかりとしなくてはならないと思うんですよね。
 すなわち、真実を明らかにしていくものだということになれば、この議論の中でも問題になってきましたが、例えば三十年、四十年たってから被疑者を呼ばれて、被疑者に対して防御権がない、すなわち、警察が保管する証拠が一体どんなものを保管しているのかが分からないということでは、何が保管されていて何が保管されていないのか、あるいはないのかあるのかすらも分からなかったら、事実を解明するという客観的な判断ができないと思うんですよね。
 そういう意味では、防御権という視点からすれば、証拠の扱い方というものが、大事に厳重に保管するということと同時に、それをどう扱うかということでなければ、この公訴時効を撤廃すれば一つの懸念事項である冤罪が生まれる可能性が高まるんではないかということの一つの論拠として出ている、防御する側の証拠がないんですよね。あるいは、同じように散逸していくといいますか、という危険性というのがあるんですよね。そういう意味では、そういうことからいうと同じなんですよね。真犯人を突き止める側の警察や検察側の証拠としても成り立ちますし、あるいは冤罪を防止するという意味では被疑者の側の防御権の証拠にもなるということになってくるんですよね。そういう扱いにしていくべきだと。
 そのための制度設計といいますか、というものを検討していく、あるいは制度を整えていくということが私は大事だと思います。すなわち、どんな証拠が、せめて保管されているのか、あるいはそれが被疑者の側にも閲覧あるいは自由に見ることができるのかどうか、そういうことまで考えておられるのかどうか、どうですか。いかがですか。
#9
○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘の点は、多分証拠の開示の問題等も含めた御提起ではないかというふうに受け止めさせていただきました。
 これは、公訴時効という問題にかかわりませず指摘をされているという問題であることを私も承知をいたしております。基本的に証拠というのは、これまでも立証をするための様々な証拠だと、材料だという位置付けであろうというふうには思いますけれども、確かに真実を究明をする、あるいはそれが被告人の一つのまた反証といいましょうか、防御権の手だてにもなるということもあろうかというふうに思っております。
 そういう意味で、基本的にはやはり証拠というのが立証のための一つの手だてということではありますけれども、それをできるだけ防御権という観点からも、あるいはそれから真実をきちっと解明をしていくということに寄与するという意味でも、念頭に置いてしっかりと保管をする、あるいはそれを散逸しないようにしていくということは私も大変重要なことであろうというふうに思います。また、それをどういう制度的に担保をしていくかというようなことにつきましては、また御提起もいただきつつ検討をしていかなければいけないことだというふうに思います。
#10
○松岡徹君 これは今までのこの委員会でも様々な点で問題として、懸念される検討テーマとして指摘もあったところでありますし、私も非常に大事に思っています。
 当然のように、警察や検察の方が保管をする、適切に保管するということが求められるわけですから、当然のように信じて、前提でありますが、この法案を審議する審議会の中でもありますけれども、例えば永久に保存するとかということは物理的にも不可能ではないかというようなことも言われております。どこかのところ、要するに保管の方法を考えていこうということもありますし、それはこの間の委員会で中井大臣が来られて、証拠の中にもたくさんいろいろ種類があって、民間の倉庫を借りて保管しているところもあればというふうに言っていますけれども、そういう証拠の保管の仕方というのは、当然のようにその保管のありようというものが議論されていきます。
 当然のように、証拠の、これは有罪証拠になるだろうという視点で、例えば証拠の中でもこれは必要ない、必要あるという仕分がされていくんではないかというふうな、要するに保管する側がですよ、というような気がするんですね。すなわち、保管する側は当然のように犯人としての立証証拠としてという視点で見ますから、当然のように、仕分されていくと偏った視点での保管になってしまうという危険性があるのではないか、生まれてくるのではないかという気がするんですね。
 被疑者の側に立てば、自分の無実を証明する証拠も併せてその中にはある可能性がある。それはこれまでの他の冤罪事件、これまでの事件でもそういうことがあったということは証明しているわけでありますから、それらの証拠が確実に保管されるということが大事なことであります。
 それは、ひとえにその前提は被疑者の防御権をどう保障していくかということだと、単なる証拠物を保管するテクニック、技術というだけで議論してはならないというふうに考えているんですね。そのために、被疑者の防御権を保障するために、あるいはその証拠をどういうふうに取り扱っていくのかということを考えていきますと、極めて大事な視点だというふうに思っています。これは今後引き続き検討なりしていかなくてはならないと思いますが、私の個人的な思いとすれば、それらが当然のように整備された上で今回の法改正がされていくべきだというふうに思うんですが、是非併せてそういった検討を法務省の中でしっかりと行っていただきたいというふうに思うんですが、千葉大臣、どうですか、再度。
#11
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のことは大変重要なことだというふうに思います。
 基本的には、御指摘は私も理解をさせていただきますが、これまでの考え方というのが、やはり証拠というのがまずは立証の一つの手だてという形で収集をされ、そして保管をされていくということが大きな基本ではあるというふうに思っております。そういう意味で、改めて防御権ということ、それから真実の解明ということを踏まえてどう証拠というのを考えるかというのは大変私かなり大きい問題だというふうに思いますので、これはまた今後の議論を十分にさせていただく必要があるのかなというふうに思っております。
 それから、この証拠の保管について、何というんでしょうね、一つの何かシステムとか、あるいは法的、あるいは枠組みでどのくらい保管をするのかとか、あるいはその保管の方法はどうすべきかということ、こういう御指摘も大変重要なポイントであろうというふうに思いますので、私もよく勉強をこれからもさせていただきたいというふうに思います。
#12
○松岡徹君 千葉大臣の思いというのは痛いほどよく分かりますので。
 私は、この法改正で冤罪が生まれないという保証はないわけでありまして、冤罪が生まれる原因の大きな要因の一つに取調べというものがあります。それは調書主義といいますか、取調べのときに取った調書が非常に重要視されるということがこれまでの日本の裁判のありようでございましたから、取調べに力が入るというのはそのとおりであります。しかし、その自白を裏付ける客観的な証拠というものが併せてなければ駄目なわけでありますね。取調べをなくせということでは私はないと思います、大事な捜査の一つの手法だと思っておりますが、しかし、この取調べのときに強圧的な、あるいは誘導的な取調べが行われるということがあってうその自白をしてしまうということが起きてきているんですね。それが一つの冤罪の大きなきっかけになっています。その自白を裏付ける証拠が非常に希薄な、どれも大体そうですね、冤罪事件の結果を見てみれば、足利事件の場合もそうでありますけれども、それを裏付ける客観的な証拠が非常に希薄な証拠でしかなかったということが冤罪の構成としては大きな要因になっていると思うんですね。
 だから私は、この公訴時効が撤廃されて三十年後に、君はちょっと来てくれといって取調べを受けたときにどのような防御権を持たされているのかということについては、私は、三十年前、何月何日、あなたは何時ごろどこにおったと言われたって、記憶なんかなかなか、個人の記憶なんか出てこないですよ。それを取調べでもう延々とやられると、分からない、そこでうその自白を誘導してしまう可能性があるということから考えると、私は証拠というのは非常に大事だと思うんですよ。だから、その証拠というものの保管と、そしてそれが被疑者の側にもやっぱりしっかりと行き渡るような、そして真実を明らかにしていくという、こういうルールを作らなかったら私は駄目だと思うんですよね。
 だから私は、取調べの全面可視化というのは、取調べという公権力の行使を公正に行っているということの証明にしかすぎないんですよね。それは、調べる側、調べられる側に対しても同じことなんです。すなわち、取調べというのは法の下に指定された公権力の行使ですから、それが公正に行使されているという状況を証明するだけにすぎないわけでありますから、取調べの可視化というものは非常に大事な私はセットの法律だというふうに思いますし、同時に、せめてどんな証拠が保管されているのかということの標目を、被疑者の側、弁護する側にもどんなものが保管されているかということを、あるいはどんな証拠があるかということをやっぱり出すことが大事だというふうに思うんです。
 特に証拠の開示のところでいえば、他の事件でもそうですけれども、弁護のする側が証拠の開示を求めても、保管している警察の側、検察の側はそんな証拠は見当たらないという回答で証拠の開示がされていないという事件はほかにたくさんあるんですよね。そういう意味では、証拠が弁護する側、被疑者の側に同じ事実を解明する証拠としての取扱いがされていないというところに問題があります。
 したがって、公訴時効の撤廃というこの法改正は、そういったことによって冤罪を生み出してきた要因を加速する可能性があるというふうに思えてならないわけであります。私たちは、当然のように、そういう意味では、可視化法が同時にこの公訴時効撤廃の法案と併せて提案されて成立するというのがまさに治安の維持あるいは社会正義を実現していく唯一の方法だというふうに私は思うんですが、そういう意味で、残念ながら今回可視化法は提案されていませんので、そういった視点で私は証拠の扱いあるいは取調べの可視化についての考え方を申し上げました。
 公訴時効を撤廃するという今回の法改正の趣旨から見ても必要な制度設計だと思うんですが、千葉大臣、お考えをちょっとお聞かせいただきたい。
#13
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘の点については、私も共通なほぼ認識を持たせていただけるところが大だというふうには思っております。
 今お話がありましたように、まずは自白あるいは供述に頼ると、こういうこれまでのどちらかといえば刑事司法、こういうことから、できるだけ客観的な証拠の裏付けと、こういうことに重きを置くということがまず第一に大変重要だろうというふうに思っております。
 そういう意味では、時効が延長される、あるいは撤廃をされるということを別にいたしましても、まずは初動で客観的なできるだけ証拠をきちっと捜査で収集をするというようなことを徹底をするということがまず大変重要なことだろうというふうに思います。
 また、御指摘の点は、大きくは二つ御指摘があったというふうに思います。それは、証拠の開示の問題、それから取調べの可視化の問題であろうというふうに理解をさせていただきます。
 これも、公訴時効の今回の延長、廃止ということによって、より一層証拠の散逸とか、それからいざというときの防御が大変事実上困難になるという点などがあろうかというふうに思いますが、この延長あるいは時効の撤廃ということ、ないとしても、証拠の開示をいかにすべきか、それから可視化、取調べについて透明化を図るということは私は大変重要なことだろうというふうに思っております。
 そういうことも含めて、既に取調べの可視化ということについては、その実現に向けて今精力的に検討、そして精査をさせていただいているという状況でございますので、この公訴時効の問題と必ずしも軌を一にしてスタートをするということにはならないかもしれませんけれども、これは当然実現をすべき課題、公訴時効の問題なくしてもやらなければいけない問題だという認識の下で、これから是非早期のまとめに向けて取組をしてまいりたいというふうに思っております。
#14
○松岡徹君 私も全くそのとおりであるというふうに思っておりますので、時期がずれたというのは非常に残念な思いでございますけれども、一日も早い成立を願っております。
 今回の公訴時効撤廃でもう一つ、例えば証拠の散逸という前に、捜査する側ですね、捜査技術が進展していくということに伴う要因もあるんだというふうに言っています。今、千葉大臣もおっしゃったように、例えばDNAの検査、鑑定の方法が犯人逮捕の有力な証拠となり得るということでございます。
 このDNAそのものの検討とか、DNA鑑定そのものが犯人を割り出すのではなくて、これはどの型なのかということを識別するだけの機能であって、根本のこの生体情報はだれのものかということは、そこまではDNAは特定できないんですよね。この失敗をしたのが足利事件だと思うんですが。
 そういう意味では、科学技術が進展していくと、新たな証拠として採用できるようなものがあるというふうにDNAの例を出されましたけれども、これまでのような血液型とか指紋とかという以外の新たな証拠といいますか、そういった新たな技術というジャンルでどんなものを想定しているのか、DNA以外ですね、何かお考えがあったらお聞かせいただきたいんですが。
#15
○国務大臣(千葉景子君) 今の段階では私も理解、それから承知をしているのは、やはりDNA鑑定というのがかなり大きな捜査手法になっているということは言えるのではないかというふうに思います。
 ただ、これも、今御指摘がありましたように、これだけで何か犯人を特定をするとか、そういうものではないわけでして、やはり一つの有力な型を同じくするということで裏付けの証拠ではあるけれども、これに頼る、あるいはこれだけに依存をするという認識があってはならないのだというふうに思います。先ほど言ったような客観的な様々な証拠や他の科学的な捜査の手法などを大いに取り入れていく必要があるだろうというふうに思います。
 ただ、ちょっと現時点で私も具体的に、DNA鑑定等、その他科学的なあるいは新しい捜査の手法ということ、まだまだ十分に承知をしておりません。いろいろ捜査機関などでもいろんな研究はされているというふうには承知をいたしておりますけれども、具体的にこういうものが有力な捜査の手法あるいは証拠になるんだということまではまだまだ言えない状況ではないかというふうに思っておりますが、今後、様々な客観的な捜査の在り方、こういう中で検討がされていくものだというふうに思います。
#16
○松岡徹君 まさにDNA鑑定というのはそういうものだというふうに思いますので、これ自身が捜査技術だとは思っていないんですよね。これが犯人のものだというふうに特定できる、そこにまで持っていく、DNA鑑定する前のところがやっぱり捜査技術だと思うんですよね。
 私は懸念しているのは、今回の法改正で、捜査技術をどう高めていくかということが大事な捜査する側の課題となってくるということはそのとおりであります。だからこそ、捜査技術を高めていこう、DNAがまるで捜査の一つの手段のように言われていますけれども、決してそうではない。それ以外の捜査技術を高める方法とは一体何なのかというのが全然見えてこないんですよね。見えてこないのに、例えば防犯カメラとか設置する、あるいは携帯電話の履歴とか高速道路の通行履歴とかそういったものが出てくるんですよね。この捜査技術は、一つ間違えばプライバシーの侵害や人権侵害につながっていくということになるんですね。
 私は、今日は答えを求めませんが、捜査技術というのはそういうことだと思うんですね。捜査技術を高めるということだけですべてに渡すといいますか、そんなことを無視していいですよということではないということで御指摘を申し上げておきたいというふうに思うんです。
 治安を維持するため、今回の法改正に伴って捜査技術を高めるためという理由だけで町じゅうに防犯カメラがどんどんできていくとか、あるいは携帯履歴とかメール履歴が、そういうふうにプライバシーが侵害されていくような状況を生み出していくということは、これは本意ではないというふうに思っていますので、その辺は是非とも私の方から指摘だけはしておきたいというふうに思っています。
 それで、もう時間もありませんので最後になりますが、犯罪被害者の方たちをどう救済するか、今回の法改正の大きな一つにもなりました。千葉大臣もその改正案を提案するときの理由に、被害者たちの感情とかあるいは世論の高まりということをおっしゃっています。被害者の方たちの感情といいますか思いというのはどこにあるかというのを簡単に、千葉大臣の考え方、お聞かせいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(千葉景子君) 私から被害者の皆さんのなかなか内心、本当の感情というのをせんさくさせていただくというのは大変僣越なことではないだろうかというふうに思います。ただ、被害者の皆さんのいろいろなお声を聞きますと、一つは、やはりきちっと犯人を見付けて、そしてきちっと処罰をしてもらう、しかし、かといって、長きにわたって時間が経過をする中で、一つの安定した状況を余りまた改めて掘り出して、その安定した精神的な状況をそのままそっとしておいてほしいんだと、こういう感情もお持ちだということもお聞かせをいただいております。
 それから、やはり被害の皆さんにとっては、非常に孤独といいましょうか、そういう中で、その精神的な本当にダメージみたいなものをどうやって回復していくか、それから周りが支えていくのか、それから経済的にもやはり厳しくなる、そういうものをどうやって回復、支えていくかと。本当に大変複雑な、そして思い、心情、そして状況があるのではないかというふうに私は思います。
 そういう意味では、そういう被害者の皆さんの様々な、ある意味では複雑であり、そしてなかなか言えない、そういうものをきちっと受け止めたいろいろな総合的なこれから施策、そういうことが求められていくのではないかというふうに思っておりますので、そういう面は犯罪被害者等基本法、基本計画、こういうもの、より一層中身の充実したものにしていくというようなことを通じて、是非積極的に努力をしていきたいというふうに思います。
#18
○松岡徹君 もう時間もなくなりましたので、要望だけ申し上げておきたいと思います。
 今、千葉大臣がおっしゃったように、今回の法改正に至る大きな背景の一つに、被害者の人たちの思いがあったと、被害者の思いは、処罰感情だけで言っているんではないと、処罰感情は死ぬまでなくならないということは理解してほしいというふうに言っているんですね。すなわち、社会正義を貫くような社会であってほしい、それが第二、第三の私たちのような被害者を生み出さないということだと、そういう思いであると思うんですよね。それをやっぱりしっかりと受け止めるためにも、社会正義をどう貫くか、逃げ得は許さないということは大事なことだと思います。
 しかし、あわせて、犯罪被害者の人たちが一身に受けている様々なこの社会の弱さといいますか配慮のなさといいますか、それによって生まれる様々な状況、経済的な状況、千葉大臣が今おっしゃったように、そんなものがあります。
 犯罪被害者等基本法に基づく基本計画が来年度五年目ということで、改正の議論がいよいよ始まったというふうに聞いていますので、私はそのメンバーに法務省も入っていると思いますので、是非ともその中に積極的に、今回の公訴時効を撤廃したその趣旨の中に、犯罪被害者がやはり社会正義を貫いてほしいという思いと同時に、あわせて、犯罪被害者をどういうふうに救済していくのか、そのような社会になるのかということは大事なことだと思っています。
 犯罪被害者とはだれのことを言うのか、殺されていなくても障害を負ってずっと暮らしている人たちも犯罪被害者なのか、被害者の家族というのはどこまでのことを言うのかとか、あるいは性犯罪による被害者、心の殺人と言われている性犯罪の被害者の人たちの救済の手だては本当にこれで十分なのか、被害者の被害というのはどんな状況なのかということをしっかりと目を向けて、救済という内容をやっぱり豊富化してほしい、これを機会に豊富化してほしいということを法務省として積極的にこの来年度の基本計画策定に当たった議論の中に反映していただきたいと。その決意だけを是非とも千葉大臣からいただいて私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくお願いします。
#19
○国務大臣(千葉景子君) この犯罪被害者の皆さんに対する救済というのは、多分政府一体となって取り組む大きな課題であろうというふうに思いますが、私としても、その一翼をしっかり担って、そして私の管轄をするそういう側面については全力できちっと救済に向けた施策をしっかりと講じていきたいというふうに思います。
#20
○松岡徹君 終わります。
#21
○丸山和也君 丸山でございます。
 今日は、この公訴時効の廃止という重大な法案に対して非常に問題が多いという気持ちを抱きながら幾つか質問させていただきたいと思っています。
 まず、私つらつら、この前も質問ちょっとしたんですが、考えてみますと、やはりこの法案で最大の問題点というのは、いろんな先生からも、特に民主党の先生からは実質反対だという意見のように思えるいろんな質問がされているんですけど、やはり問題点というのは、前にも言いましたように、やっぱり永遠に公訴時効が完了しないということになると、実際問題としては、むしろ捜査があるいは摘発していくのが後送りになっていくんじゃないかと。いつでもできるわと、簡単に言えば、そういう形で、これ人がやるものですから、組織がやるものですから、そういう形で、むしろ逃げ得を許さないというより、事実上放置されていく可能性が非常にあるんじゃないかと。これが一点。
 それから、度々言われていますように、証拠が時の経過とともにかなり散逸していくと。これは、十分補完する体制をこれから考えると言われても、現実問題としては時の経過には勝てない部分がかなり出てくると思うんです。
 それと関連しまして、やはり今、松岡議員並びに松野議員も言っていましたけど、やっぱり冤罪が生まれる可能性は高くなってくると、これは否定できないと思うんですね。
 こういう三つの問題がある中で、やっぱりやや強引に、性急に改正が行われようとしていると。だから、私はこれは、ある意味で一種の、言葉は適当かどうかも分からないけれども、ややポピュリズム的な、世論の動向に迎合しているんじゃないかという気がするんですね。凶悪犯の報道とかいろいろありますから、あるいは直前に時効が完成したとか、こういう例が過大に報道されますと、それはやっぱりけしからぬなとだれだって思いますから、そういうのが犯罪被害者の会の方のこれは熱心な活動と相まみえて、ややそれに刑事司法の骨格を決める方針が引きずられているんじゃないかと、ここにやっぱり危険性が最大あると思うんですね。やはりそれは、哲学が欠けているからだと思うんですよ、この問題に対する。
 それで、これは永遠に許さないということは、やっぱり一つの原理主義なんですよ。一つの原理主義なんですよ。例えば、日本にそれが合うかどうかという問題もある。例えば、日本は戦争のときに鬼畜米英と言っていた。一億玉砕と。要するに子々孫々まで全滅してでも米英と戦うんだと。ところが、戦争に負けると、ころっと親米になったと。これは、やっぱりパレスチナとかイスラエルとか、ああいうところからは考えられない発想なんですよ。あり得ない。だから、日本は基本的に原理主義的発想というのはなじまないんですよ。それはもうそこから、原理主義の中からやっぱりテロリズムも生まれてくるんですよ。
 ところが、日本というのは、ある程度のけじめを持って、物事は終わりとして新たな一歩を踏み出そうという、こういう連綿とした日本の歴史、文化というのがあるんですね。そういうところをやっぱり日本的文化とか伝統に根差した刑事政策をやらないと、早晩やっぱり僕は失敗していくと思うんですよ。そういう意味で、この改正というのは非常に幼稚な改正だという気がするんですね。
 だから、何といいますか、私は前に言いましたように、公訴時効に関しては、もちろん被害者の感情もありますし、それからDNAを中心にした捜査方法の格段の進歩とか、いろいろありますから、基本的には延長でいくべきだと思うんですね。それを一気に廃止と、重大事件について、というのはややおかしいと思っています。
 それで、先般、参考人からもいろいろ出まして、その中で、資料を若干引用させていただくんですが、あすの会ですか、それで殺人罪の時効について百四十二人回答があって、廃止するべきだ、九五%だとありましたね。それから、殺人罪以外の犯罪の時効については八三・九%、これも廃止すべきだと。要するに、犯罪被害者の方が、我々は被害者の遺族ですと訴えて、これは廃止したらどうでしょうかと、どう思われますかと聞けば、それはそうですよ、やっぱり同情もしますし、悪いやつはやっぱり処罰した方がいいと、こういうレベルのと言ったらおかしいけれども、単純明快な、同情的回答なんですよ、こういうのはね。だから、これが九五%あるから、あるいは八三%あるからということで、即もうやっぱり改正しなきゃならないということでは、やっぱり国の骨格を決める制度としていかにも拙劣なんですよ。
 だから、それはるるもう民主党の議員がいいことをおっしゃっているんですよ。それで、民主党さんもそういう見解だったと僕思っていたんだ、基本的には。それが、どうしたことか、季節が変わるところっと変わるという、変わっているのかどうか知りませんけどね。だから、これは、大臣、心してこの法律はやっぱり提案していただかないと、千葉大臣がこれをやったということであるいは汚点になるかも分からない、将来的に、と私は思っているんですよ。
 そういうことで、例えば、このアンケート、もう一つあります。遡及適用を認めるべきかというのが九九%、九九・二%遡及させるべきだと。これも、本当にじゃ憲法論議、罪刑法定主義を理解した上で言っているのかどうかと。いや、やっぱり犯罪を犯したやつはもうとにかく今からでも時効はあっても遡及されて、改正とともに遡及されたらいいんだという、まあ逃げ得は許さないという非常に漠然とした一般常識を余り大なたで本当の刑事司法という細かなところにぼんとぶち込んでいくということは、僕はやや世論に、世論をやっぱり指導すべき立場もあると思うんだけれども、指導されているような気がするんですけれども、いかがでしょうか、千葉大臣。
#22
○国務大臣(千葉景子君) 丸山委員から大変本当に基本的な理念に基づいて、そしてまた大きな観点で御示唆と御苦言をいただいたものではないかというふうに思います。
 ただ、私も決して全く、何というんでしょう、理念なくして、それから世論に振り回されてということではございませんで、基本的な公訴時効の制度、これ自体を根本から変更しようということではなくして、その中でもどうしても、人の命を奪った、そして犯罪の重さとすれば死刑という大変重罰が法定刑に記されていると、こういうものについて、一定のやはり逃げ得は許さない、そして何とか処罰をきちっとして正義を回復するということを行っても私は全く理念に反するものではないというふうに理解はいたしております。
 しかも、アンケート等で確かに聞かれればそう答えるのではないかという御指摘、そういう面はあろうかというふうに思いますが、個別の様々な意見聴取、こういうことも行わせていただいて、その中で多様な意見もいただきました。
 それから、これも必ずしもそれだけが理由にするものではありませんけれども、ゼロベースで法制審議会などにも諮問をさせていただいて、そしてこの中でも確かにいろんな御議論があったと承知をしておりますけれども、そういう議論を経て一定の方向性、結論を出していただいたということでもございます。
 そういう意味では、確かに指摘をされるような、やはり長きになると証拠が散逸をする、あるいは一定のところでやっぱり調和を図るというのが日本の考え方ではないかと、文化といいましょうか、そういうことではないかという御指摘もありましたけれども、基本的には、これまでの公訴時効制度というものを基本にしながら、人の命というその重さをかんがみながら、今回の改正案を提案をさせていただいたところでございます。御指摘のことは私も肝に銘じておきたいというふうに思います。
#23
○丸山和也君 まあ優等生的答弁で、千葉大臣はもういつも大臣になられてから超優等生で困っているんですけれども。
 例えば、これ二十歳で罪を犯した人がいたとしますよね、殺人事件を。それで逃亡すると。七十年ぐらいたったら九十歳ですよ。おお、見付かったと。それで、九十歳の人を例えば絞首刑にしていくというようなことが、まあ一例ですけれども、割かし僕は、これ、いい悪いは、逃げ得は許さないという、じゃ、七十年間も逃げていた、本当に悪いやつだ、このやろうと、九十歳で寿命が尽きようとしている寸前に絞首刑にどんどん送っていくというようなことが割かし僕は不自然な感じがするんですよ、不自然な感じというかね。
 だから、やっぱり物事というのは永遠に変わらない考え方というのはないと思う。どこかでけじめを付けていくということは、ある意味じゃ、永遠に追及する、永遠に憎む、永遠に摘発する、永遠に処分していくということより一歩やはり進んだ考え方じゃないかと僕は思うんですよね。ある意味じゃ、広い意味で寛容の精神を刑事司法の中にも取り入れたというのは、要するに原理主義でない、非常によりそれを進化した考えじゃないかなという気もするんですよ。
 日本というのは、だから割かしそういう文化を繰り返してきていますよね。明治維新にしたって、ある意味じゃ、まあいろいろな戦いはありましたけれども、最終的には全面戦争、江戸戦争にならずに無血開城になったというようなこともあるし、いろんな形を見て、だからそれは世界の模範にもなると思うんですよ。今度の政権交代だってそうですよ。血で洗う、まあいろいろありましたけれども、やっぱり民主的にこうなったわけでしょう。
 だから、そういうことの大きな日本的誇りをやっぱり深いところで見る価値はあると思うんですよ。だから、欧米で廃止している国が多いとかそういう、欧米なんていうのは随分ある意味では遅れているんですから、そういう点は。だから、そこら辺は、経済でも市場原理主義というのはやや破綻しておる面もあるんだし、やっぱりそこらは自信を持って日本的司法ということをやるべきだと思う。
 僕は、むしろ刑事のこの関係では、検察官の求刑というのが非常に軽いと常々思っているんですよ、これまでも。例えば、死刑の賛否はいろいろあるでしょうけれども、死刑求刑するかなと思った事件でも無期懲役、無期求刑というのは随分多いしね。私は抗議して電話したことあったの、検察庁に。何でこれで死刑求刑しないんだ、死刑制度があるのにと。こういうところの甘い形を、私から見れば非常に軽い求刑をする一方、公訴時効だけもう永遠にありますよ、皆さんこれで安心してくださいみたいな。要するにポーズなんですよね。そこはいかぬと思うんですよ。本当に実際にそれは三十年、五十年、六十年、捜査どうやってやるのかと。それがないまま、皆さん大丈夫ですよと、はっきり言って、殺されても大丈夫ですよみたいなね、極端な話。それは僕はもう二重の罪をつくっているような気もするんですよ。
 そこら辺について、千葉大臣、真摯にいろんな意見を検討して考えたとおっしゃるんですけれども、やっぱり心の底では疑問に思われているんじゃないんですか。いかがですか。
#24
○国務大臣(千葉景子君) 今お話を伺いながら、本当に、何というんでしょうね、共感をさせていただくことは、それは当然ございます。
 今例に出していただいたように、二十歳で犯罪を犯して、そして逃亡なりして九十近いときになって処罰をする、これが本当に国民の感情であったり、あるいは本当に社会的な正義なのかと、その辺も非常に難しいところだというふうに思います。確かに、そういう状況のときというのはほとんどもう公訴の提起というのが事実上は困難な状況なのではないかなということも推測されますけれども、いつまでもとことん追及をしていくという姿勢がいいのかどうかという、そういう御指摘、日本の本当に文化等々を考えてもう少し寛容でバランスの取れたというそういう思い、私も決して否定できるものではございません。
 ただ、今回の法改正というのは、全体とすればそういうバランスの上に立った公訴時効制度というのは決して全面的に否定をするというものではございませんので、そういうところを是非、ある意味では一部、ここまではやっぱりきちっとした処罰をあくまでもするのだぞという姿勢をしっかりと示していくということも大きな必要なことではないかというふうに思いますので、そういうところを是非御理解をいただきたいというふうに思います。
#25
○丸山和也君 大臣が奇しくも、九十歳ぐらいになった人が捕まって、そういうときはまあ公訴をするような気持ちにはならないんじゃないかというようなことを、ニュアンスのことをおっしゃったんですけれども、すると、長く逃げおおせて、年取って逃げおおせたやつが得だということになるわけですよ、長く、長い間逃げた方が勝つというみたいなね。だから、やっぱり中途半端なんですよね、この制度。
 それで、僕は、やっぱり実態的に十分それを成し遂げるだけの体制も整っていない上にそういう公約だけを、一種の公約みたいなものですよ、永遠にうちがやりますよみたいな、これはここがやっぱり僕は破綻していくんじゃないかという気がして、非常に心配しているんです。
 それで、むしろ一番のあれは、例えばよくヨーロッパなんかは、あのナチスのヒットラーの残党辺りを、南米に行っているやつとかもう死にかけた人を捕まえたとか、物すごくこうやって追っかけたり、世界中やっています。あれは戦争犯罪ということで、非常に人道の罪で違った点、観点ありますけれども。
 やっぱり僕は、一般の刑事司法の場合、けじめをどこかで持っておいた方が司法がやっぱり機能するんじゃないかという気がするんですよ。それで、捜査する方も、例えば二十五年、あるいは三十年、ここまでには何とかやらなきゃというめり張りが出てくると思うんです。これがずっとないと、二十年たとうが、いやまだずっとあるんだからと、三十年たとうが、いやまだまだ時効にならないんだから、まだ後輩諸君、頑張ってくれみたいな、こういうことで結局垂れ流しみたいになっていく危険性が非常に多いし、やっぱり日本人的感覚からすると、三十年、五十年、七十年たったやつを地の果てまで追っていって摘発して絞首刑にしてやろうという気迫がなかなか日本民族の中には出てこないですよ。結局失敗するというような気がするんですね。
 だから、それよりも、期限を決めて、その期限内に何事もやる、やれなかったらそれはもう覚悟しなきゃならぬと。要するに、相手が得したとか損したとかいう問題ではないような気がするんですが、いかがですか。
#26
○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘のことの基本ですけれども、公訴時効が一定の年限決められているとしても、やはりまずは初動といいましょうか、できるだけ早くやはりきちっとした捜査をして、そして処罰、公訴を提起をするということがやっぱり基本だというふうに思います。
 ある程度限られた時間であっても、その間時間が経過をすればやはり証拠が散逸するという状態も出てきますし、それから、やっぱり一定の期間があれば捜査が少し、まだまだ時間があるということになるかもしれません。それがなくなるとなれば、より一層捜査の体制が散逸するという御懸念も本当にこれはあるところかもしれません。そういう意味では、いずれにしても、その時間の経過を待つことなく、そしてまたそういうことに頼るのではなくして、できるだけ早い初動の捜査によってきちっとした証拠を集め、そして公訴の提起をするということがやはり何事についても基本ではないかというふうに思います。
 ただ、時効を延ばしたから、あるいはなくなったからといって、そういう意味でいつまでも、捜査はいつでもできるんだからいいやと、こういう姿勢であってはこれはもう当然ならないというふうに思います。
#27
○丸山和也君 基本的にそこらはなかなか法案提出側と私の意見は必ずしも合わないんですけれども。
 それを前提にした上で、今回の法案が出されたことを前提にして若干具体的なことをお聞きしたいんですけれども、公訴時効の廃止、延長の対象となっている重要凶悪事件の捜査、これの年間発生件数とか検挙数、あるいは検挙に至るまでの期間とか、ここら辺についてどのようなものか概略教えていただきたいと思います。
#28
○国務大臣(中井洽君) いわゆる凶悪犯、捜査本部を設置した、警察庁が報告を受けている事件は、平成二十一年中は八十六件でございます。また、二十一年中に解決した捜査本部設置事件、これは二十一年以前に設置したのを含めまして八十二件でございます。
 この八十二件を見ますと、半年未満で解決したのが八二%、その八二%を含めて一年未満で解決したのが八七・八%、三年未満ということになりますと九七・六%、こういう数値になっております。
 毎年毎年の設置件数だけと解決年数ということを単純に見ていきますと、大体昨今は九三、四%解決をいたしている、これが実態であります。
#29
○丸山和也君 すると、基本的に、捜査本部が置かれるというのは凶悪事件ですね、については非常に成績はいいという、解決といいますか、検挙期間も含めて解決しているという理解でよろしいんでしょうか。それとも、いやいや、もうなかなか解決しなくて困っていると。まあ、数字だけ見ると九〇%以上行っていますから、三年未満では九〇%以上行っているということはかなりいいように思うんですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。
#30
○国務大臣(中井洽君) 十年以前には時として八〇%台という年もあったように思っておりますが、昨今、定数を増やしていただく、科学捜査を導入する等々ございますし、また国民の御協力という面もあり、かなり率としては私は高いところへ行っていると。ただ、解決しない事件というのは報道が長く続きますので、それだけに国民の間からは、凶悪犯を見逃しているんじゃないか、捕まえていないじゃないかと御非難を受けているのも私は率直な事実だろうと。ここら辺を含めて謙虚に受け止めて対策を取っていかなきゃならないと思っています。
#31
○丸山和也君 すると、その関連でもう少しお聞きしたいんですけれども、二十一年度には八十六件だと。これはここ数年といいますか、十年単位でもいいんですけれども、増えているのか、凶悪事件と言われるものが。それと、平行なのか減っているのかという点が一点。
 それと、これは私の意見ですけれども、未解決事件があると長く報道されると。そうすると、解決した事件が八〇、九〇%以上あるということであれば、どこまで実名を細かく出すかは別にして、リストのような、これくらい検挙して解決しましたみたいなことを発表するということもお考えになった方がいいようにも思うんですけれども、この二点についてお聞きしたいと思います。
#32
○国務大臣(中井洽君) 例えば、平成十一年の本部を設置した件数でいきますと百三十五件、平成十六年でいきますと百四十三件、平成十九年と二十年は百件でございます。二十一年八十六件、少し二十一年になってから減っている、こういう状況でございます。
 なお、未解決の事件につきましては、いろんな意味で、犯人が全く分からないというのと犯人が分かっているけど検挙できないというのを含めまして、いろんな形でマスコミも含めて御協力をいただき、国民にも全国的に御関心をお持ちいただく創意工夫をいろいろと重ねているところでございます。
 解決した事件につきましては、いろいろとデータ等を集めてございますし、それらがどういう形で解決したかということについて、先生の御指摘のような分析あるいは今後につながる報告等も一度考えてみたい、このように思います。
#33
○丸山和也君 ありがとうございます。
 一部もう既にお答えになった部分もあるんですが、いわゆる検挙率も非常に良くなっているという状況のようですけれども、しかし未解決の事件もあるわけで、中長期的な方向として更に重要凶悪事件の検挙に向けて、今おっしゃった以外に、こういうことをより力入れてやりたいとかこういう点に注意したいとかありましたら一言お願いしたいと思います。
#34
○国務大臣(中井洽君) 何といいましても初動の捜査、しかもその初動捜査における科学的手法、これをきちっと全国警察が現場現場わきまえて対応するということが一つだと考えております。
 また、この防犯ビデオ、各民間のいろんなところに御設置をいただいております防犯ビデオのこのフィルムの保存期間等も含めて御協力をいただく。そしてまた、国自らが、繁華街を含めて、プライバシーの問題もあってなかなか日本では難しいところもありますが、防犯ビデオというものを犯罪予防、また捜査の援助という意味でももっと増加をしていくべきだというのが私の思いでございますし、公安委員会全体もそういう議論をいたしております。
 また、昨今御議論を賜っていますDNA鑑定につきましても、まだまだ検体数が足りません。これにつきましても、採取ということを、それを残していくということについて日本では議論があるわけでございます。これらをやはり集中的におやりをいただいて、DNA検体というものを数多く残していく、そのことによって捜査が長引いてもいつ何どきでも余罪追及という中で犯罪摘発ができる、こういう実態が出てくるように努力をしていくべきだと考えております。
#35
○丸山和也君 一点ちょっと通告もしていなかった細かい質問で、答えられればお聞きしたいんですけど。
 DNA鑑定を非常に重視していく手法ということで、これは新しい時代の捜査として保存もできる限り予備的に取れるものは採取して保存していくと。一方、かつてやっぱり指紋の採取というのがありましたよね。こういうのは、どういう関係、関係というより非常に重要視がなくなってきているのか、あるいはそこら辺もどのようにとらえたらいいのか、ちょっとお聞きしたいんですけれども。
#36
○国務大臣(中井洽君) 昨今は犯罪を犯す方が指紋ということをめったに残さないということもありますが、しかし指紋採取の技術というものは飛躍的に発達をいたしておりますし、また日本は指紋の判定ということに関してはかなりレベルの高い水準を維持し続けていると考えております。
 したがって、犯罪現場で地道な初動捜査、そしてたくさんある指紋の中からこの不審の指紋を見付け出す努力、こういったものをきちっと積み重ねていく苦労、これが捜査の一番大事なところだと。御指摘のとおりだと。決しておろそかにせずにこれからもこの技術の向上、そして採取の現場での努力、こういったものを督励していきたいと思います。
#37
○丸山和也君 警視庁なんかも鑑識というのがありますよね。そうすると、やっぱりそういう部門のスタッフの、DNAも含めて、これから格段に充実されていくんだと、スタッフがやっぱり、予算も当然ですけど、充実されていかなきゃならないと思うんですけど、そういうことは当然、即できなくても、腹の中にはおありになるわけなんでしょうか。
#38
○国務大臣(中井洽君) 今年のお認めいただきました予算で、警察の増員八百六十名ほどお願いいたしましたが、これは各都道府県の鑑識のメンバーということで中心にお願いをいたしました。
 警視庁だけじゃなしに、各地域でそういう初動の鑑定等がきちっとできて、証拠固め、証拠集め、こういったものが抜かりなくやっていける体制をつくるために、装備の面、予算の面、十分これからも気を付けてまいりたいと思います。私自身も、過般、警視庁の中のそういうところをきちっと見させていただきまして、現場の職員からも足りない点あるいはまた配慮してほしい点、聞かせていただきまして、これらを次年度の予算に十分生かしてまいる決意であります。
#39
○丸山和也君 分かりました。
 若干、最初の質問とも関連するんですが、公訴時効が凶悪重大事件についてはなくなったと、そして捜査は、かといってだらだらはやらないんだということを大臣の方からはおっしゃってもらって、当然だと思うんですが。
 例えば、変な話ですけれども、なかなか例えて言いにくいんだと思うんですけど、目安として、凶悪殺人事件が起こったと。じゃ、取りあえず何年間は徹底的にやる、それからは少し緩めたというか小規模で補充的にやる、それから更に三段階目は、まあ何か新しいのがあったら動くみたいな、こういう三段構えでいくのかとか、ここら辺の実際のところはそろそろ考えていく必要があると思うんですけれども、中井さんに。
#40
○国務大臣(中井洽君) 各県本部県本部で対応は違うんであろうかと思いますし、その事件のその地域における重要性あるいは凶暴性、いろんなことも私は考慮されているんだろうと。しかし、現在も今大体先生のおっしゃったような中で捜査本部は置き、捜査員は必ず置いておりますが、他に事件も起きますからやっていると。しかし、DNA鑑定等で万々一問い合わせがあったときにはすぐ体制が取れる、こういう状況をつくるべきだと。
 そういう意味で、昨年、私就任しまして、この前に先生の御質問でお答えしたと思うんですが、凶悪犯の現在持っておる証拠の中のDNA鑑定できるやつを、今の時点で鑑定できるやつを全部きちっとやってくれ、そして冷凍庫を全部配備するから冷凍庫へ保存してくれ、十年、二十年、三十年たっても間違いなくDNA鑑定が比較できる、こういう体制をつくってくれとお願いをして、現在その状況をつくりつつございます。
#41
○丸山和也君 すると、するとというのはあれですけれども、そういう新しい刑事訴訟法下の捜査体制に備えるべくいろんな方針を打ち出されているということで、これは非常に結構なことだと思うんですが、各県警によっていろいろ違うと思うんですけど、現場の空気、空気というか、反応というのは、それはいいことだ、新しい体制に向けてやろうということなのか、とんでもない、こんな公訴時効廃止されちゃってたまらんよというようなところが本音なのか、なかなか言いにくいかも分かりませんけれども、そういう点でやや国家公安委員長としても困っておられるのか、それは案外スムーズにそういう公訴時効が廃止になった場合も動いてくれそうなのか、そこら辺はどんな感じなんでしょうか。
#42
○国務大臣(中井洽君) この法案が国会へかかりました後、二つほどの公安委員会と懇談会はいたしました。この席では、各地方の公安委員の皆さん方は賛成でございました。また、警察庁本部におきましては、もちろん政府の作ります法案で事前にもう十分法務省と打合せもしておりますので賛成でありますが、問題は、先生も御指摘の、保管場所をどういうふうにこれから、証拠の保管場所を、四十年、五十年と残していくわけでございます、これをどういうふうにするのかなというのをちょっと頭を正直痛めているんじゃないかと私は思っております。
#43
○丸山和也君 ここら辺がやっぱり一番現実の問題としては、保管場所、それからそういうことにドラスチックに変わってくると、そういうとらえ方の認識といいますか、そこら辺がないと動かないと思いますので、是非徹底させるというか、理解をやっぱり深めるようにやっていただく必要があると思うんで、ひとつその点はよろしくお願いしたいと思います。
 それから、参考までに、今回改正の一つのきっかけにもなったと思うんですが、公訴時効の完成間際になると非常によく報道されるんですね、あと何日だとか、あと一か月だとか、一年だとかね。特に著名な事件というのはそうなっています。それで、気持ちが非常に、我々もどうなるのかなということを思い出して関心が高まるんですね。それとか、逆に公訴時効満了ほんの三日前に捕まったとか、これもまた、おお、よくやったなというような感じがあって、ああ、そういえばあんな事件があったんだな、おお、こんなに長い間逃げていたのかみたいなとか、いろんなことがあって、急に眠りから目が覚めたみたいに国民はいろんな意味で歓声上げるんですけれども。
 いわゆる公訴時効の完成間際に犯人が検挙された事件というのは、参考までに、結構あるんですか。
#44
○副大臣(加藤公一君) 丸山先生御指摘のとおり、公訴時効の完成間際に検挙される、あるいは起訴される事件というのは様々ございまして、一部は報道等でももう御存じのことかと思いますが、具体的な例として幾つか御説明をさせていただきたいと思います。
 一つは、かなりこれもマスコミ報道に載ってございましたから御案内かと思いますが、昭和五十七年八月十九日に松山市内で発生をしたホステスに対する強盗殺人事件というのがございました。被疑者が、女性でありますけれども、整形手術をしながら十四年十一か月間にわたって逃亡生活を続けていたという事案であります。公訴時効完成直前の平成九年七月二十九日に殺人罪で逮捕をされて、その後強盗殺人罪で起訴をされております。
 また、もう一例で申し上げますと、平成二年十一月十二日に東京都足立区内で発生した路上における男性の殺人事件というのがございました。公訴時効完成までおよそ一か月と迫りました平成十七年十月十三日に被疑者が殺人罪で逮捕をされ、その後起訴をされております。
 また、もう一例だけ申し上げるといたしますと、平成六年一月十六日に大阪市の北区で発生をしたデート嬢殺人事件というのがございました。こちらも公訴時効完成まで約一年ほどに迫りました平成十九年十二月二十七日に被疑者が強盗殺人罪で逮捕をされております。その後、実際には強姦致死罪及び殺人罪ということで起訴をされてございます。
 ほかにもまだ事例はたくさんございますけれども、一応具体的な例として三点だけ御説明をさせていただきました。
#45
○丸山和也君 ありがとうございます。
   〔委員長退席、理事風間昶君着席〕
 今紹介いただいた中の松山の事件、これは非常に有名で、ドラマにもたしかなったような気がするんですけれども、テレビドラマで私も見たことがあるんですけれども。あとの二件というのは、ちょっと私二番目ははっきり、別に更に事件を起こしたことがきっかけで逮捕、発覚したんでしょうか。三件目はたしかそういう、二件目の足立区の事件は、たまたま時効間際といいますか、一年前ぐらいに捜査線上に上がったということなんでしょうか。分かればちょっと教えていただきたい。
#46
○副大臣(加藤公一君) 御指摘の足立区の事件については、実際に事件発覚二か月後ぐらいに被告人が容疑者としては浮上していたようでありますけれども、その当時は否認をしていて、物証もなかったということで、捜査が継続をされていたようであります。時効完成の四か月ほど前になりまして、発覚当時に現場付近で発見されていた果物ナイフに付着した血痕からDNAを採取することに成功して、その鑑定を実施をした結果、それが当該被疑者のものであるという鑑定結果が得られたということで、実際には平成十七年の九月、警視庁の方で被告人を取り調べて自白が得られたということで、翌月、十月ですね、逮捕をしたということのようであります。
#47
○丸山和也君 そうすると、時効完成間際に逮捕されるのもいろんなケースが、たまたま更に別事件を起こしてそれをきっかけに前の事件も発覚するような場合もあるし、先ほどおっしゃったDNA鑑定によって昔あった証拠から突き止められたという例もあるし、捜査官の執念によって追っていて最後にやっぱり捕まえたと、こういう例もあるようなんですけれども。
 それぞれパターンがあって当然だと思うんですけれども、一つ捜査の手法として今まで行われているやり方についてお聞きしたいんですけれども、例えば、そろそろ時効になる、これまでの制度の中で時効になるなと。もう例えば一年以内とか一年が迫ってくるというふうになると、やっぱりもう一度全部最後の一年間頑張ろうみたいな形の捜査をするのかどうか、そういうことになっているのか、事実上、そこら辺が私よく分からないんですけれども。よくマスコミに出るようなやつは、再度皆さんから情報をいただきたいというか、懸賞を付けたり時々するじゃないですか。ああいうのを特定の事件だけやっているのか全般的にやるのか、そこら辺が、気ままにこれはやろうかやらないかということで自由裁量でやっているのか、ここら辺はどうなんでしょうか。
   〔理事風間昶君退席、委員長着席〕
#48
○国務大臣(中井洽君) 余り捜査手法について具体的にお答えするのはどうかとは思うんですが、やはり捜査本部が置かれたその署あるいは県におきまして未解決事件を抱えるということは、遺族の、被害者のお気持ちやら考えますと本当に堪えられない、悔しさも残るわけでございます。
 したがいまして、今先生御指摘のような、どこかで最後もう一度、今まで捜査にかかわっていない人の目も含めて検討して関係者に当たり直すということも往々ございます。特に関係者の方々も、黙っておったけれども実はといって新しいことをしゃべってくれるということも時にはあると聞いております。それ以外にも、他の事件で検挙された者が良心に堪えかねて自供して、あるいはあの事件はこれこれあれだよと言って出てくるのもございます。最近は、一、二、DNAの鑑定をして、結果出てきたというのもあったやに報告を聞いております。
 したがいまして、鋭意努力をしておりますが、何年か何年かにきちっと見直していくという仕組みがどこまでできるか分かりませんが、私どもは絶えず犯人を眠らさないという思いで頑張っていきたいと考えております。
#49
○丸山和也君 そのとおりだと思うんですね。そして、今までもやっぱり時効完成間際になると、あるいは近づくと、そういう一種の、最後にもう一回あらゆる情報をやって、見直して、また新しい情報も寄せてもらってやろうじゃないかと、こういう機運が特に重要事件については高まってきたと思うんですね。だから、それはやっぱり一つの時効制度というのがあったがゆえにそうなったという面があるわけですよ。
 すると、今度時効が撤廃されますと、そういう心配はないわけですよね。すると、それが、先ほどの私の質問にもかかわりますけれども、ある程度大まかな基準を作ってやらないと、もう五十年でも百年でも時効にならないんだからいつかやりゃいいやみたいなことになって、結局、再度もう一回やるということになかなかつながらない。その以前に、新しい事件が起こってきますから、どうしてもそっちへ行く。それで、初動捜査の中で検挙してやったやつの立証に力が行って、やっぱりもう五年も十年もたったやつは、まあ何か出てきたらやろうやということで終わってしまう可能性が非常に多いと思うんで、そこらを制度的にやっぱり考えなきゃうまくいかないと思うんです。
#50
○国務大臣(中井洽君) 御趣旨、よく分かります。
 警視庁でおととしぐらいから、いわゆる未解決の事件を専門に再度見直していくという班をつくる試みが始まったところでございます。こういうシステムも含めまして、この法改正、御成立をいただいた後、先生の御指摘十分踏まえて、とにかく折り目、切れ目にきちっと捜査を忘れずにやっていく、こういったことを当局に要請をしてまいります。
#51
○丸山和也君 是非そこらを、一つの、がちがちじゃなくても、制度設計として入れていかないと、この時効の撤廃というのは逆にマイナスになると思うんで、是非留意いただきたいと思います。
 それから、ようやく各論的質問に入るんですけれども、今回の改正によって強盗強姦致死ですか、は公訴時効が撤廃される、しかし強姦致死についてはそうでないという、ここらもやや、非常にテクニカルに分けているんですけれども、昔は物を取るということは非常に悪いということがあって、今もそれは悪いんですよ、悪いんですけれども、極端な話、財布の中から千円取っても、やっぱりそのときに千円取ったか取らないかで公訴時効のない範疇に入るのか、それから従来どおり公訴時効に入るのかという、千円が命運を分けると言うとおかしいですけれども、将来のあれになる。
 ここら辺は、僕は、だから、結局、非常にテクニカルなところが公訴時効制度の廃止問題全般の問題をさておいてもかなりあると思うんですけれども、これはどういう見解なんでしょうか。実際、強姦致死、死に至らせたということは非常に大きくて、ちょっとそのついでにと言ったらおかしいけれども、その際に盗んだということで分けてしまうということに何か合理性があるんでしょうか。
#52
○副大臣(加藤公一君) 丸山先生はもう十分御理解の上での御質問ではないかと思いますが、御質問でありますので、少し今回の時効廃止の対象犯罪についての基本的な考え方のところから、そこに立ち返って御説明をさせていただきたいと思っております。
 今回、公訴時効を廃止をするという犯罪は、刑事責任の追及に期限を設けない、そして事案の真相をできる限り明らかにすることが強く要請されるほどの当罰性を備えた犯罪に限定をすべきではないかというのがまず基本的な考え方としてございます。
 そのような犯罪としては、やはり人を死亡させた犯罪のうちでも、最も悪質であり、最も刑も重い、故意に人を殺害した殺人罪等を中心とした、いわゆる法定刑として死刑に当たる罪に限るのが相当ではないかというふうに判断をさせていただいたところであります。
 その上で、今御指摘の強姦致死罪については、もうこれは御意見のとおり、私も全くそのとおりだと思いますが、極めて凶悪重大な犯罪でございます。ただ、法定刑としては死刑が定められているわけではございませんで、そこは殺人罪とはその法定刑を異にしておりまして、犯罪の重大性については法律上どうしても差異があるということは申し上げざるを得ないところであります。
 一方で、この強姦致死罪につきましては、重い結果である死について、被害者の方の死について故意のない場合に適用されるということにすぎませんで、この重い結果である死について故意があるという場合には殺人罪と強姦致死罪の観念的競合というふうになりますので、言わば強姦に及ぶ際に殺意があったと認められるような事案については殺人罪も適用されることになりますから、今回の公訴時効の廃止というものを受けて、訴追に関して時効の制約を受けるということはなくなるものと理解をいたしております。
#53
○丸山和也君 よく言われるんですけれども、物を取るのと婦女子を強姦するのとどっちがより重いんだというなかなか面白い質問が、答えるのに難しい質問があるんですけれども、その点については副大臣はどういうふうに思われますか。
#54
○副大臣(加藤公一君) 私が簡単にお答えするのが適当かどうか、非常に悩ましいところではあります。いろいろな御意見があることは承知をいたしておりますし、私も一人の人間として考えれば感情的にいろいろ思うところがないわけではありません。
 ただ、今回のこの刑事訴訟法、そして刑法の一部改正案、公訴時効の廃止、延長を含むこの改正案の中では、やはり先ほど申し上げましたような趣旨でその改正の中身を御提案をさせていただいているところでありますので、先生御指摘の刑法上の法定刑の上限、下限、簡単に言えば重い、軽いというものにつきましては、先生の御指摘も含めて更に多くの皆さんから御意見をお出しいただき、また御議論を深めていただくのがよろしいのではないかというふうに思いますし、私どももその御意見をしっかり承って勉強を続けさせていただきたいと考えてございます。
#55
○丸山和也君 では、副大臣としても、千円と婦女子のそれを比べてどっちがどうこうというようなことじゃなくて、いろんな意見はあるけれども、今後やっぱり法定刑自身についても、やっぱり大変なことでしょうけれども、時代に応じて見直していくということについては賛成だというお考えなんでしょうか。大臣でも結構ですけれども。
#56
○国務大臣(千葉景子君) 私は、やはり法定刑については不断にいろいろ検討はしていかなければいけないというふうに思います。特に、多分先生の御指摘の背景にもあろうかというふうに思いますけれども、先ほどに話がございましたいわゆる性的な犯罪、強姦罪、あるいはこの強姦致死罪もそうなんですけれども、やっぱりそういうものが従来はいささか法定刑としては軽く位置付けられていたのではないかという私も思いがいたします。やはり人の命と、しかしやはり性的な被害ということとの重さというのは、なかなかどっちが重い、軽いと言えるものではないかというふうに思います。
 そういう意味では、やはり法定刑の軽重というのをやっぱりこれからまた検討し直してみる、そういうものは私は幾つかあるのではないかというふうに思っております。
#57
○丸山和也君 やはり刑法の実体法的な法定刑というのは、かなり歴史的な背景というか価値観が色濃く出ているんですよね。もう何回も何回も改正されていますけれども、刑の範囲とか見方、中には当然戦前の考え方を随分引きずっているものもいっぱいあるでしょうし、だからそこら辺はやっぱり節目節目でそういう議論を喚起しながら、拙速にどうこうするとまたあれでしょうけれども、やはり常に議論をしながら見直していくということが必要だと思うんで、是非大臣も先頭に立ってやっていただきたいと思います。
 それから、これは役所の方から聞いてくれということでもないんでしょうけれども、まあ提案ですかね、放火殺人、放火して殺そうとした場合の公訴時効はどうなるんでしょうかという、私ちょっとお聞きしたいんですけれども。
#58
○国務大臣(千葉景子君) これは常々問題になるところでございますけれども、要するに、放火の罪というのは人を言わば死亡させた罪というのには該当しないということになります。確かに、特に現住建造物放火などというのは人の命にかかわりは大変多いわけですし、それからそれによって亡くなられるというようなことがあり得る、これは想像ができるわけですけれども、この放火罪自体は人を必ずしも死亡させる目的でということではないものですから、人を死亡させる罪には当たっていないということでございます。
 ただ、人を殺す、故意があって人を殺害をするという手段のために放火をするということになりますと、先ほどお話がありましたけれども、殺人罪そしてこの放火罪と、一つの行為で両方の犯罪を犯すという形で観念的競合ということになりますので、こういう場合だと殺人罪も適用されるということで公訴時効の制約を受けることはなくなるという解釈になろうというふうに思います。
#59
○丸山和也君 最後に、時間が数分になってまいりましたけれども、大臣含めて、大臣、大臣におなりになる前から死刑制度の廃止ということをおっしゃっていましたよね、そういうお考えだと思うんですけれども。また、それを支持する方々の中でも、やっぱりそれは死刑を存置している国の方が世界的に見ても非常に、三分の一かあるいはそれ以下かというような統計もありますし、それから廃止なり停止というか終身刑というか、そういう方向で取りあえず死刑をストップさせていくということが世界の潮流だという意見がかなりあるんですけれども。
 それはさておき、凶悪犯罪について公訴時効を廃止するということは、これは一つの御見識として世界的潮流だというようにお考えになっているんでしょうか。それとも、これはたまたま日本独自のというか、昨今の日本の事件の発生状況、国民の意見、そういうことの中から、それとは別個に考えて、世界は世界、参考にはしてもそういう流れだからやるというようなことと余り関係のない改正だとお考えになっているんでしょうか。そこら辺を少しお聞きしたいんですけれども。
#60
○国務大臣(千葉景子君) 今回のこの改正は、必ずしも世界の動きということと連動してとかあるいはこうしてということでは私はないというふうに考えておりますし、私も別にそういうことでこれを提起をさせていただいているということではありません。
 公訴時効については、それぞれの諸外国を見ますと、公訴時効というそういう概念そのものがないというそういう国もありますし、それから本当に重い、謀殺ですとか国家を転覆するような、そういうものについては公訴時効をなくしているというような法制もあるようですし、これはかなり多様な考え方によって立っているように思います。そして、国際的にそれを一定の方向に何か動かしていこうという動きが今あるとも思われません。
 今回は、日本のこれまでの公訴時効という考え方の原則に立ちながら一定の改正をさせていただくというものだというふうに御理解いただければと思います。
#61
○丸山和也君 終わります。
#62
○風間昶君 公明党の風間ですけれども。
 まず、前回にも質疑をさせていただきました刑の時効についてでありますが、先般の参考人質疑の中で、それぞれ参考人の方々は、お一人は、公訴時効と刑の時効の見直し、この二つは整合性を保つべきだという御意見がありました。また、もう一方、刑の時効と公訴時効は全く話が違うことなので別々の議論で進めていただくのがいいという意見もありました。細井参考人はこのようにおっしゃっています。刑の時効の問題はほとんど、罰金刑とかそういうものはしょっちゅうそれはあり得ると思うんですけれども、そうでない事件というのはほとんど今実際問題考えられないんですねと。適用になった例はほとんどないんじゃないでしょうかと。それで、私どもはもう今の時効期間で十分だと思いますので、あえてここで延ばす意味はほとんどない、抽象的な議論にすぎないと思っていますというふうに、三者それぞれおっしゃっていまして、私の印象からすると、三人の参考人の方はやっぱり刑の時効も併せてやる改正については評価していないんだなという印象を受けたんです、私は。
 だから、なぜ今回の改正でこの刑の時効まで見直す必要があるのかを、是非もう一度法務省としての考え方を分かりやすく御説明いただきたいんですが。
#63
○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘がございましたように、公訴時効とは違い、刑の時効、それによって刑の時効に係るというのは私もそんなにある事例ではないというふうには理解をいたしております。
 今回の公訴時効制度とそして刑の時効を併せて改正をさせていただくということにつきましては、特定の者の刑事責任について、時間の経過によって公訴時効が公訴権を消滅させるというのに対して、刑の時効というのは刑の執行権を消滅させるというもので、制度の性格が類似しているといえば類似していると。要するに、一定の時間の経過によって一定の処罰をする権限あるいは公訴をする権限ということを消滅させるという意味では趣旨が共通するところがある。それから、刑の時効制度は、年月の経過により犯罪に対する社会の規範意識や被害感情は緩和することに基づくものと一般に解されておりまして、そういう意味でも、公訴時効という制度とやはりこれも趣旨において共通するところがあるということでございます。そういう意味で、公訴時効制度の趣旨として一般的に言及される事情が妥当しなくなっているのではないかという点、そういうことを考えますと、刑の時効制度もそういうことを考えれば見直してもよろしいのではないかということでございます。
 また、具体的に例えば殺人を犯した者について、裁判にかけられるまでは時効に係らない。これによって、最も重い刑である死刑を宣告されたときには時効があって、そして逃亡するなどすると、時効期間三十年の経過によって実際に処罰されなくなるというのはいささか不合理ではないかという現実的なこともございます。
 そういう意味で、公訴時効期間との均衡をできる限り考慮するとすれば今回刑の時効期間も見直す必要があるのではないかということで、併せてこの法案の改正に盛り込ませていただいたということでございます。
#64
○風間昶君 今のまたお話伺っていると、非常に丁寧な御答弁ですけれども、見直してもよいのではと、バランスを考慮してという、積極的に見直すという方向ではない感じがするんですけれども、そうなんですか。
#65
○国務大臣(千葉景子君) いや、今申し上げましたように、具体的に均衡を考えるとおかしいなと思われるような事例がやはり出てくるわけですので、そういう意味では、積極的にというか、それを併せてやはりバランスが、均衡を逸しないような改正をする必要があるというふうに理解をいたしております。
#66
○風間昶君 必要性があるからこそ提案されたんでしょうから、もうちょっと力強く意思を持っていただきたいというふうに私は思います。
 そこで、この公訴時効の見直しの範囲と刑の時効の範囲、前回も加藤副大臣に御説明をいただきました。何回読んでもちょっと私はなかなか分かりづらいなと思っていまして、副大臣は、併合罪の関係にある複数の犯罪について一つの刑が言い渡されたということになると元々の法定刑では判断しかねると、それは分かります。言い渡された刑のうちその犯罪の分がどれだけかというのは分からないという御説明だったんですけれども、何をもってそういうふうに言っているのか、もうちょっと具体的な例を交えて御説明いただきたいと思います。
 今回こういう大きな改正をしようとしているんですから、この範囲が違うということの理由をきちっと説明を具体例を入れて願いたいと思うんですが、いかがですか。
#67
○副大臣(加藤公一君) 御指摘をいただきました部分、少し具体的な例でお話を申し上げたいと思いますが、例えば自動車運転過失致死罪と窃盗罪について併せて審理をされたという場合を考えてみたいと思います。
 法律上選択できる刑の範囲は懲役十五年以下の刑ということになりますが、仮に、例でありますから、仮に懲役十年の刑の言渡しを受けたといたしますと、その言い渡された懲役十年の刑のうち、人を死亡させた罪であるところの自動車運転過失致死罪に係る刑の量定がこの十年のうちの何年分で、人を死亡させた罪には当たらない窃盗罪に当たる部分が何年分か、それぞれどれだけ占めるのかということはこれは明らかにならないということを前回の質疑のときに申し上げたつもりでございまして、具体的に申し上げると今のような御説明になるというところでございます。
#68
○風間昶君 分かりました。だから、要するに範囲が違うんですということなんですね。分かりました。
 次に、中井大臣にもおいでになっていただいていますので、お伺いしたいと思います。
 その前に、泉政務官にもおいでになっていただきましたので、お伺いしたいんですけれども。
 先般の参考人質疑で、参考人のお一人の方からは、被害者が被害から立ち直り平穏な日が来るまで途切れることのない支援が必要であるという被害者支援の重要性、立ち直って平穏な日が来るまで途切れることのない支援と、これは非常に長いことだと思うんですけれども、この被害者支援について、内閣府としての取組はどうだったのかお伺いしたいと思いますけれども。
#69
○大臣政務官(泉健太君) ありがとうございます。
 犯罪被害者等への支援ということでありますけれども、平成十六年の十二月、被害者等の視点に立って施策の総合的かつ計画的な推進を図る観点から、これは議員立法で犯罪被害者等基本法が成立をしております。それに基づいて、平成十七年十二月、犯罪被害者等の要望も踏まえた犯罪被害者等基本計画というものが閣議決定をされて、ちょうど今、第二次基本計画に入りつつあるというところでありますけれども。
 政府としては、この数年間の流れでいいますと、基本的には犯罪被害者給付制度というものを徐々に徐々に拡充をしてきたと、自賠責との整合性等々もございましたけれども、拡充をしてきたということが一つ。そして、刑事裁判における被害者参加制度の創設ということで、やはり被害者が今までは情報を全くもらえなかったという時代から随分と参加ができるという状況になってきたと。そしてまた損害賠償命令制度の創設等々、こういった施策を講じさせていただいてきております。
 しかし、一方で、まだまだ、やはり委員おっしゃるとおり、被害者の方々に寄り添った立場からすればできることというのは残されているであろうというふうに思っておりますので、今後も引き続きこの施策の強化に取り組んでいきたいと思っております。
#70
○風間昶君 そういう意味では、来年四月施行を目指してこの第二次犯罪被害者等基本計画の検討を行われていると思いますけれども、きちっと入れていただきたいのは、やはり被害者団体、被害者団体というか支援団体が十分取組ができるような財政面の援助が一つと、もう一つは、結構ボランティアでやられている方が多いので、そのボランティア参加の意識を高めていく広報啓発活動についてより一層充実していくような検討を、この二本柱を是非この基本計画の具体的な実施の部分に掛かっていけるように進めていただきたいと思いますけれども、政務官、御答弁をお願いしたいと思いますけど。
#71
○大臣政務官(泉健太君) ありがとうございます。
 ちょうど先ほど申しましたけれども、本年度末までに現行の計画が一度終了して、その次の年から新たな第二次計画ということになるわけですけれども、現在、その中身については有識者等から成る基本計画策定・推進専門委員等会議というところで検討をしております。
 それに当たっては、平成二十一年、昨年の九月から十一月に三十五団体、要望数にしますと二百八十の要望が上がってきておりまして、それだけでは語れないことも多々あるかとは思うんですが、各団体からの御意見もいただいているところであります。
 委員御指摘のとおり、財政支援というか、本当にボランティア、手弁当で協力をしてくださっている方々が大勢おられますので、その層を厚くするということが非常に大事だろうというふうに思っております。
 そういった意味で、例えば犯罪被害者週間ですとかそういった中で広報啓発を行って協力者を増やす、あるいは、どうしても犯罪ですとか自殺というのは当事者が声を上げづらいということがあって、なかなか当事者の側からのそういった取組というものはしにくい状況がございますので、やはりそこを行政が後押しをしていくということが大事かと思っておりますので、新たな基本計画の中で、この広報についても、できる限りそういった層を厚くしていくという観点で進めてまいりたいと思っております。
#72
○風間昶君 そこで、今二百八十もの要望をいただいたというお話ですけれども、御党のお得意の仕分作業はどうするんですか。その基準というのはあるんですか。
#73
○大臣政務官(泉健太君) ありがとうございます。
 特に広報啓発につきましては、やはりマンネリ化の部分というものをどう改善するかということが仕分の中で言われたかと思います。
 例えば、分野は違うんですが、食育の分野におきましては、内閣府で食育の広報を行い、かつ農水省、厚労省でも、あるいは文科省でも行っていた、そういった重複をどう省いていくかということが一点。もう一つは、せっかくポスターを作っても、それが役所の廊下に張られて終わっていたという状況、そういったものをどう解決をしていくかということで、仕分は質的転換を図っていく、広報をより効果的にという観点で行われたというふうに理解をしておりますので、単純なる広報予算の削減ということではなくて、効果的な広報という観点で今後も施策を進めてまいりたいと思っております。
#74
○風間昶君 先般の参考人のお一人から、各地で被害者支援センターみたいなところがいっぱいできていましたけれども、まだ設立後間もないところが多いですし、早期支援というものはあるわけですが、極めて長い事件をずっと支援を続けるということは現状大変難しいことだと伺っておりますので、是非、こういった面に向けても関心を持っていただきたいなというふうに思っていますという御意見がありました。
 まさに長期の事件に対する被害者支援というのは充実していないんだなということをいみじくもおっしゃったんだと思いますが、この点、各地に被害者支援センターが置かれていることを、所掌している国家公安委員長に、この現状把握を受けてどうするのかということについてお考えを伺いたいと思いますけれども。
#75
○国務大臣(中井洽君) 被害者支援ネットワークに加盟している民間犯罪被害者支援団体は、各都道府県に一つずつ設立をされておりまして、全国に四十七団体ございます。
 このうち、犯罪被害等早期援助団体、先生御指摘の団体に公安委員会から指定されているのは四月一日現在で三十でございまして、まだ残り十七団体は指定がされておりません。警察と十分な連携をして、被害者発生早期の段階から長期間経過したものまで御努力をいただけるような、柔軟な支援ができるように私どもも御支援を申し上げていきたい、お手伝いをしていきたい、このように考えております。
#76
○風間昶君 分かりました。よろしくお願いしたいと思います。
 国家公安委員長について引き続き、先ほども議論になっておりました捜査についてでありますけれども、まさにこの証拠物件の保管、大臣は非常にこのことは悩ましい問題でありますとおっしゃっていますね、この間。都道府県あるいは検察当局と十分相談を申し上げて、長期間で事件が解決した、しかし証拠はなくなっていた、こういうことがないように方策を考えていきたいと。また、DNAについては、今回の補正予算で冷凍庫を各本部に配置をしたところでございますというふうにおっしゃって、先ほど丸山議員の質問に対しても、証拠の保全管理体制についても予算付けも含めてお話がありましたが、先般、参考人の方から、この証拠の保全管理体制と証拠の保管については、運用上ではなくて立法化が必要だという意見がございました。この間大臣は運用上でやっていくようなお話ぶりでありましたけど、立法化が必要だと、つまりセットでやらないと意味がないというお話がございましたので、これに対する御意見を。
 それから、もう一人の参考人の方から、DNAなどの捜査資料について、第三者委員会などで証拠保管をすべきだという御意見があったんです。この意見について、二つ、国家公安委員長に考え方をお伺いしたいと思いますけれども。
#77
○国務大臣(中井洽君) 現在、刑事訴訟法によって証拠保全、保管が決められているわけでございます。したがいまして、送致するまでは警察の任務、送致後は検察庁の任務、基本的にはそういう状況でありますが、現在、検察の側も場所がいっぱい等でしばらく預かってくれよと言われて預かっておるのが随分あって、これをどういうふうに今後検察ときちっと御相談して場所を確保していくかということは、今回の法案に伴ってだけじゃなしに、考えなければならない問題だと私はあえて法務大臣のお隣にいるときに申し上げているわけでございまして、この法案成立後、十分現場現場で御相談をいただいて、運用という形で間違いないようにしていきたい、法改正で第三者に預けるというようなことは考えていない、このことを申し上げたいと思います。
 同時に、この間もお答え申し上げたと思いますが、現実的対応として、極めて大きな証拠物、例えば船だとかあるいは家だとかいろんなことがございますときは、これはこのときこのときに合わせて柔軟に第三者と契約をしてやるということもあると承知をいたしております。
 DNAの鑑定について、この間、参考人の御意見の中で先生御指摘のようなお話があったということは承知をいたしております。
 しかし、世界中、警察が鑑定をしていない、保存をしていないというところはありますが、いずれにいたしましても、それらはすべて政府機関ということでありまして、第三者、民間にこの大事なものを任せるというところは今私ども公安委員会では想定をいたしておりません。
#78
○風間昶君 前者の立法化の問題については今現在考えていらっしゃらないということで、運用上で間違いが起こらないようにという、努力するというお話でありました。間違いが起こったら困るから立法化すべきだという意見も実はあるわけで、このことについては、起こったら責任取れるんですか、間違いが。もう一回御答弁願いたい。
#79
○国務大臣(中井洽君) それぞれ各警察で対応をいたしていることでございますので、万々一そういう間違いがあったら、各県の公安委員会また私どもにも報告は参ると考えております。
 ただ、私は、そういう先生の御指摘はごもっともだと思うんですが、心配していますのは、やっぱり証拠物件も、繊維であるとかいろんなことを含めて、風化をするわけでございます。これをどういうふうに保存するか、これらの問題をきちっとこの今回の法案成立後対応を考えていくべきだ。そして、対応したものに対して裁判所が本当に証拠価値というものを認めてくれるのかどうか、こういったことについても論議をいただかなければならない問題点だろうと考えております。
#80
○風間昶君 可視化の問題で、先ほど松岡委員からの質問に対しても千葉大臣は、可視化の実現に向けて精査、検討中というお話がございました。公訴時効に関係なくというふうにおっしゃったわけです。可視化についてはいずれにしても早期のまとめに向けて取り組むというお話がございましたが、先般の参考人から、この公訴時効廃止と取調べの可視化は密接な関係がある、したがってセットでやるべきだという、冤罪防止の観点からもという意見があったんです。それに対して、今、松岡委員の質問に千葉大臣は、公訴時効は公訴時効で、両輪というお話じゃなかったですけど、に関係なくこっちは議論しなきゃならないというお話でありましたけれども。
 私は、一つは、国民の皆さん方の関心高いと思うので、きちっと国民の意見を、例えば内閣府に依頼してでも世論調査をすべきではないかというふうに思います。それで、同時に、この問題については警察庁との間での検討、やり取りが必要だと思いますけれども、その検討状況もきちっとタイムリーに開示していくということが必要だと思うんですけれども。
 この二点について、国民の意見をきちっと聞くべきだと、やり方は一つとしては世論調査あるのかもしれませんが、もう一つは検討状況の開示、この点についてお伺いしたいと思います、千葉大臣に。
#81
○国務大臣(千葉景子君) 国民の皆さんの御意見をいろいろな角度から、それからその節目節目でお聞きをするということは当然なことだというふうに思いますし、私も今後そういう機会をつくっていかなければいけないというふうに思います。
 ただ、ちょっと先生の御趣旨は、公訴時効の廃止と可視化を両輪に据え、その関係性について問うべきではないかという御趣旨なのかどうかちょっと分かりませんが、可視化の実現については、当然のことながら国民の御意見お聞きをするということはもちろんのことだというふうに思っております。
 それから、情報といいましょうか、検討状況を御報告をすると、これも私も必要なことであろうというふうに思っております。今部内の、省内の勉強、検討という形になってございますので、これも一定の方向性あるいは一定の検討の一つの節目になりますれば、当然のことながら、警察庁の御検討とも併せてあるいは御報告するときが必要だというふうに私も思っております。
#82
○風間昶君 ですから、両輪でやるべきかという意見も必要なんですけれども、まずは、可視化が必要だと思いますかという、その可視化の内容をきちっと書いて、そういう意見を聞くと。私は、それは二通りあるんだと思うんであります。
 だから、そこはやっていくという、やっていきたいという今あれでしたけれども、やっていきたいというのはいつになるか分からないので、やっていくのなら、やっていきたいのなら、いつをめどにやっていくのかということがないと私はちょっと納得できないんです。もう一回どうぞ。
#83
○国務大臣(中井洽君) 可視化の問題につきましては、千葉大臣と常に打合せをして、内閣一体となってやっていこうということで努力をいたしております。
 度々御説明を申し上げていることでありますが、可視化はマニフェストに書かれた民主党の公約でございます。したがって、次の衆議院の解散・総選挙、ここまでにやる、任期四年の間には必ず実現をしたいと考えておりまして、そういう方向へ向かって今、何が要るんだ、どういう手法だ、どういう手続だということで、それぞれ法務省は法務省、私のところは公安委員長の下とそれから警察庁の中と二つに分けてこの勉強会をいたしております。この国会終わりましたら、一度、千葉大臣と私のところで勉強会のお互い打合せをして、進むべき方向を確認し合いながらやっていきたい。
 先生お話しのように、民主党のマニフェストのように、可視化すぐやれという議論もあれば、いろんな議論もあることを承知をいたしております。特に、公安委員会あるいは警察庁の内部、各地公安委員会、それぞれ御意見をいただいておりまして、私どもは、こういう御意見も十分に受け止めながら勉強会で生かしていきたい、このように思いますので、またどうぞ御指導、御鞭撻をいただきますことをお願いいたします。
#84
○国務大臣(千葉景子君) 今、中井委員長と重なり合う部分があろうかというふうに思いますけれども、今、いつということは確定はできませんけれども、いずれにしても、もう実現をするということを前提に様々な課題の精査あるいは検討をさせていただいているということでございますので、当然のことながら、お約束をしているそういう期間には必ず実現をするということでございます。
 そういう間でいろいろな皆さんからの御意見をちょうだいをするということは当然節目節目で必要だというふうに考えているということでございます。
#85
○風間昶君 中井大臣、また泉政務官、御退席、結構だと思います。委員長の方から御指示いただければと思います。
#86
○委員長(松あきら君) それでは、中井国家公安委員長、そして泉大臣政務官、御退席いただいて結構でございます。
#87
○風間昶君 それでは、公訴時効の、さっきは刑の時効の改正について話しましたので、いよいよ公訴時効のことについてお伺いしたいと思いますけれども。
 先般の参考人の方からの御意見で、重篤な障害を負った殺人未遂や傷害については、殺人の場合よりも被害が長引くとも考えられる場合もあって、悲惨なケースもあるというふうにお話がありました。そういう場合もあるんでしょう。
 どちらにしても、今回の改正でこのような殺人未遂や傷害について対象としなかった明確な理由というのは何でしょうか。
#88
○国務大臣(千葉景子君) 今回の法改正は、人を死亡させた犯罪、そして死刑という重い刑罰が適用、法定刑に存在をするということを一つの基準に取らせていただきました。これは、この間申し上げておりますように、人を死亡させるという取り返しの付かない、回復不可能な、こういう点に着目をしたということでございます。そういう意味では、公訴時効に関する特別に扱いを行うものとして殺人未遂あるいは傷害というのは改正の対象とはしておらないということでございます。
 これらの犯罪については、確かに参考人の御意見でもあったと承知をいたしておりますけれども、大変重度の障害などですと本当に回復困難な被害という場合もある一方、ただ、傷害等が軽微であるということもあり、大変この障害という場合には態様が非常に幅広いということになります。そういう意味で、今回は人を死亡させた犯罪という、そういうところで基準を取っておりますので、公訴時効の見直しの対象とは傷害、殺人未遂というのをしていないということでございます。
#89
○風間昶君 対象範囲の妥当性についてもうちょっと議論をしていくべきだと思っておりまして、つまり、参考人のお一人の方が、子供を産んで処置に困って殺害した女性、あるいは、医師が介護疲れの家族に頼まれて殺してしまったが、その後更生した場合も、同じく死刑、無期若しくは五年以上の懲役に問われる殺人罪に当たってしまう我が国の法制において、一律に公訴時効を廃止するというのは広過ぎるという意見を述べられました。また一方、もう一人の参考人の方は、仮に人を死亡させた犯罪で死刑に当たるものについて公訴時効を廃止した場合でも、諸外国との比較においては中間的であり珍しくないと、こんな発言もあったわけであります。
 ですから、そういう参考人の広過ぎる、中間的というそれぞれの意見があるように、対象範囲の妥当性がどこにあるのかということは、今まさに大臣は人を死亡させた犯罪が基準だと、それだけでおっしゃったんだけれども、起こした罪の方から、グルーピングと言うとおかしいんですけれども、基準をするということは、今後、じゃ、しないということにつながっていくのかなという印象もちょっと受けたんですけれども。
 今回、人を殺した、人を死亡させたということで基準を置いていますよね。それでずっと行くのかどうかということが、私はどうなっていくんだろうかなということを考えているものですから、是非この部分についてお伺いしたいと思いますけれども。
#90
○国務大臣(千葉景子君) 基本的には、なかなか行為態様のようなもので分けるというのは難しいことだというふうに思います。そういう意味では、一つの犯罪の構成要件として、人を殺害をしたと、そして法定刑としても死刑という大変重いものがあると、こういう一つの客観的な基準を取らざるを得ないのかなと、今後もですね。
 むしろ、先生の御指摘のところは、これから刑の、法定刑の在り方等のところとも関係してくるのではないかというふうに思っております。法定刑自体はかなり幅を持って設定をされておりますので、その中で態様の悪いもの、あるいは大変これはもうある意味では気の毒というかそういうもの、そういうものは法定刑の中でかなり判断をされるものにはなっておりますけれども、公訴時効ということよりもむしろそちらの問題なのかなという気もいたします。公訴時効の場合には、やはり一定の客観的なところで線引きをするというのがこれからも基本になるのではないでしょうか、そう私は考えております。
#91
○風間昶君 公訴時効でない部分でいうと、それは法定刑の在り方の一つとしてこれから検討を、これからというか、今までも検討されてきているんでしょうけれども、していくお考えはありますでしょうか。
#92
○国務大臣(千葉景子君) 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、やはり法定刑については、例えばこの間のいろいろな社会的な変化やあるいは価値観の変化ということなども踏まえながら、よく例に挙げさせていただきますけれども、性犯罪とかあるいは強姦罪、こういうものに対するやっぱり考え方、そして価値観、そういうものも大きく変わってきている、こういうものなどを踏まえて、刑の、法定刑については不断にやはり検討をしていく必要があると私は感じております。
#93
○風間昶君 まさに今大臣が性犯罪の話を出したんで、ちょっとこれに関連してまた議論をしたいんですけれども。
 平成十六年の改正のときには、強姦罪の法定刑が強盗罪よりも低く維持された理由はあるんだと思うんですけれども、だったら、今回この十六年改正時にできなかった性犯罪に関して、やはりもうちょっと性犯罪ということに関しての刑の在り方あるいは性犯罪のとらえ方についてきちっと一歩踏み込んだ議論を、政権交代したんだから、やったらどうですか。
#94
○国務大臣(千葉景子君) ありがとうございます。私も、この間、性犯罪に対してのとらえ方、あるいは処罰の在り方、法定刑の在り方などを考える必要があるというふうに私も思っております。そういう意味では、今後、この法定刑の在り方、そして性犯罪の、何というんでしょうね、総合的な対応の仕方、こういうことは私は是非やらせていただきたいというふうに考えております。
#95
○風間昶君 その際、女性だけでやらないで、男性もちゃんと入れてやるべきだと私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 先般、古川委員が質問をされた件、私も関心がありますのでお伺いしたいと思うんですけれども。医療事故によって業務上過失致死の時効時間の延長と、医師法二十四条でカルテの記載、五年間保存、あるいは医療法二十一条でも、カルテ以外の手術記録とか血液検査とかレントゲンは、いわゆる諸検査の資料は二年というふうに決められていますけれども、保存が、やはりなくなってしまってから、保存期間、大学病院とか大きなところは取っておくんだけれども、そうでないところはやはり五年の保存期間あるいは二年の保存期間終えちゃうと処理してしまう可能性があります。
 そうなったときに、業務上過失致死事件の場合、証拠がもうなくなるわけでありますから、この整合性をきちっと取って円滑にしていくには、やっぱり厚労省ときちっと連携取っていく、そういう検討が必要じゃないかというふうに私は思うんですけれども、これについてはどう考えていらっしゃいますでしょうか。
#96
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘の問題、私も改めて勉強させていただくところでございますが、カルテとか、あるいは例えばレントゲン等の保存期間とか、こういうものは医療法そして医師法という、ある意味では公訴時効とかあるいは民事上の時効期間等、こういうものを考慮しながら設定されているものではそもそもはないだろうというふうに思います。
 そういう意味ではなかなかこれをどういうふうに関係を考えていくのかというのは難しいところだとは思いますが、要するに犯罪捜査というのは、カルテというのは大変、一番重要な証拠ではあろうかというふうに思いますが、必ずしもそれだけで捜査をするというものでもないと、こういうことも言えようかと思います。
 できるだけそういう証拠がきちっと保存をされる、こういう体制の中で捜査がなされませんと、とりわけ医療などは医療行為の萎縮をもたらしたり、そういうことにもなりかねませんので、ここはどういう形で連動させるのか、あるいはそうした保存期間を非常に長くする必要があるのか、あるいは保存期間というのはもう医療上の一つの考え方ですので、じゃ犯罪捜査の方でより一層カルテなどに頼ることのない、あるいは萎縮をもたらすことのないような犯罪捜査、いかにあるべきか、これは死因究明とかこういう問題ともかかわっていくだろうというふうに思いますが、是非私ももう少し勉強をさせていただければと、厚労省などともここはまた研究をさせていただくことができたらというふうに思います。
#97
○風間昶君 終わります。
    ─────────────
#98
○委員長(松あきら君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、福島みずほさんが委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。
    ─────────────
#99
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日はまず、事件発生から例えば三十年あるいは五十年という長期間が経過をした後に起訴された刑事裁判における証拠の問題を大臣にお尋ねをしていきたいと思います。
 発生当初の目撃証人などを初めとした参考人調書の問題ですけれども、これは前回の質疑で松野委員が取り上げられましたが、参考人が死亡した場合は伝聞証拠の例外として証拠採用はされるということになるわけです。
 私も、はっきり目撃したという調書があって、現場に行ってみますと参考人が述べている場所からは犯行現場は見えないという、そういう事件を経験をしたことがあります。大臣ももしかしたらそうした御経験もおありかもしれませんが、けれども、すぐにその目撃証言の信用性がないということにはならなかったわけですね。その参考人を証人として尋問を実現をすること、そしてその反対尋問を尽くす中で信用できないということを明らかにしていったわけですけれども、その中で、被告人の記憶がはっきりしていたということと、それから、その調書に表れる現場の様子はその尋問までの間に変化をしていなかったということが大変大きな要素になったわけです。
 そうした反対尋問は、今度の公訴時効の廃止をされる罪において、証人が死亡していると、その可能性が高くなるだろうということは前回大臣も松野委員に御答弁なされていましたけれども、そうした反対尋問というのは不可能になる調書が提出されることによる信用性、これをどのようにお考えになってこの法案を提出をされているのか、確認にもなるかもしれませんが、大臣にお尋ねします。
#100
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘いただいておりますように、公訴時効が長くなる、こういうことによって確かに供述した者が、あるいは参考人等が亡くなるようなケースというのが率としては高まるということは言えようかというふうに思っています。そうなると、そのときに供述調書、供述に対する反対尋問というのがなされない形で供述調書が証拠として採用されるということも、これは法的に認められているところでございます。
 ただ、だからといって、その証拠、供述調書の信用性というのが否定されるということでは必ずしもないわけで、法的には別に否定はされていないわけですけれども、ただ、裁判所が判断するに当たって、反対尋問を受けていないものなんだ、こういうことを念頭に置いてその証拠をどのように評価するかという、そういうことの中では、一定のやはり、何というのでしょうね、証拠信用力というのが比率としては高くなることはなくて、低くなるようなことが多いのではないかというふうに思います。ただ、信用性が否定をされている、法的に否定されているというふうなことはありませんけれども、個々の証拠の判断という中でいろいろな配慮がされていくというふうに私は理解をいたします。
#101
○仁比聡平君 松野議員に対する答弁では、供述調書の証明力の判断に当たって裁判所において適切にしんしゃくされると、こう理解をすべきではないかという御答弁をされておられます。
 そこで、最高裁刑事局長においでいただきましたが、この反対尋問ができないということを含めて、調書の証明力を言わば類型的に低くするというような考え方とか、あるいは心証形成における準則というのがあるんでしょうか。
#102
○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 委員御指摘のような供述調書の証明力でございますが、特に準則のようなものは承知しておりません。個別の事件を担当する裁判所におきまして、個別の事案ごとにおっしゃったような法の趣旨にのっとって判断する裁判事項でございまして、裁判所は事案ごとに適切に判断してきたというふうに考えております。
#103
○仁比聡平君 つまり、刑事訴訟の言葉で言う自由心証主義の場面の問題であって、個々の裁判官ないし裁判体の心証形成にかかる話であるという御趣旨だと思うんですね。
 これが市民裁判員にどのような影響を与えると考えるかという点について続けて千葉大臣にお尋ねしたいんですが、調書は、これは警察によってストーリーは明らかな形で作られるということが私たちの経験をするところです。ストーリーは明らかな調書があると。その御本人は既に亡くなっていて、反対尋問はできないし、三十年も五十年も前の事件で被告人の記憶ははっきりしないと。こうした場合に、裁判員は何が真実かということについて極めて迷うだろうと思いますし、その中で調書に寄りかかった心証形成がなされるというおそれは私は強まるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
#104
○国務大臣(千葉景子君) 基本的に、裁判員裁判というそういう中では、でき得る限り、調書によることではなくして、やはり裁判廷での実際の供述、証言、こういうものを尊重するということが私は大事なところだろうというふうに思っております。
 ただ、今お話しのようなケースというのは、それがかなわないわけですので、どうしても供述調書を一つの証拠として採用、そしてそれを証拠として検討しなければいけないということになります。裁判員がどのような供述調書に対して証拠としての価値というか重みを感ずるかどうかというのは、なかなかこれは難しいことだというふうに思いますけれども、供述調書のみならず、様々なできるだけ多様な証拠、こういうものを提示をして裁判員に誤りのない判断をしていただくと、こういう努力はしていかなければいけないのではないかというふうに思います。
 一概に裁判員だからといって、供述調書を非常に、何というのかな、そこに強い印象を抱くということは必ずしも言えないのではないかというふうに思います。
#105
○仁比聡平君 いずれにしても、事件発生から長期を経過した場合に、いわゆる見て聞いて分かる公判を実現するというのはこれ極めて難しくなるということだと思うんですね。
 最高裁刑事局長は、もうこれ以上質問ありませんから御退席いただいて結構です。
#106
○委員長(松あきら君) 植村刑事局長は御退席いただいて結構です。
#107
○仁比聡平君 続けて、DNA鑑定についてお尋ねしたいと思うんですけれども、法制審の中でもDNA鑑定の精度の向上をもって証拠の散逸を言わば否定するという方向の意見もあったやに伺っているんですが、そもそもDNA鑑定の特性といいますか性格というのはどんなものかと。これ、千葉大臣にお尋ねしたいんですが、そもそもDNA鑑定というのは、DNA型が一致する確率の問題であって、たとえこれがその精度が上がってもそれ自体で犯人を的確に指し示す決定的証拠ではないと思いますけれども、いかがですか。
#108
○国務大臣(千葉景子君) それは御指摘のとおりだと思います。
#109
○仁比聡平君 ここは中井国家公安委員長も御同様でしょうか。
#110
○国務大臣(中井洽君) どういう事件を御想定でおっしゃっているのか分かりませんが、唯一の証拠だということでもないんだろうと思いますが、極めて有力な証拠になると考えています。
#111
○仁比聡平君 今のお二人のニュアンスの違いは何なんだろうということを感じるんですけれども。
 DNA鑑定というのは、千葉大臣が御答弁になったように確率の問題であって、それが犯人と被疑者、被告人との同一性というものを決定的に示すものではありませんし、加えて、もちろんそのDNA型の一致、不一致の問題で、犯行の態様だとか犯情だとか犯行に至る経緯などの事案の真相というのは、これはもちろん分からないわけです。
 これ、千葉大臣、そうしますと、DNA鑑定で一致をしたということが、とりわけ三十年、五十年と長期にわたったといいますか、発生から長期を置いてDNA鑑定が一致したという、そういう事件の場合、勢い自白を追及するということになるのではないでしょうか。
#112
○国務大臣(千葉景子君) これは総合的に捜査をされるわけですので、必ずしもDNA鑑定で一致をしたということだから自白を強要すると、そこに直結するとは思われませんけれども、そういう意味では、できるだけDNA鑑定も大事な証拠の一つにはなりますけれども、更に他の証拠をできるだけ早期に収集をし、そしてきちっとそれを保存をする、あるいはそういう供述なりをきちっと明確な形で取っておくと、こういうことも併せて、そのときになって突然DNA鑑定が一致する、だから自白というか供述を強要すると、こういう捜査があってはならないというふうに私は思います。
 そういうことが強まるとは必ずしも私は思いませんけれども、いずれにしても、そういう捜査のやり方が当然だというようなことになっては私はまずいというふうに思います。
#113
○仁比聡平君 果たしてそうでしょうか。
 初動捜査で、深刻、重大な犯罪なわけですから、これは警察はもちろん力を注いで客観証拠の収集やあるいは被疑者、被告人の特定に努力をされるのであろうと思います。けれども、それが犯人逮捕に至らずに、あるいは起訴に至らずに二十五年を経過しても、これは時効が完成してしまうと処罰ができなくなるからということで廃止をしようという御提案なわけですね。あるいは延長しようということになるわけです。
 つまり、私が今申し上げているのは、事件発生から、例えば二十五年でも結構ですが、三十年あるいは五十年という時間が経過して初めて被疑者を特定できたというような事案について、DNA鑑定は一致するかもしれない、けれども、犯行の態様などを明らかにするには、これは、ほかの証拠をそこからどうやって捜すのかよく分かりませんが、自白が重いものになるという、この傾向といいますかベクトルというのは働くんではないんでしょうか。事件発生にかかわって、先ほどの目撃証言なども含めた古い調書はあると。遺族の大変強い処罰感情もあります。発生から長期間たっての言わば劇的な逮捕ということになれば、これはDNA鑑定が仮に一致したとすれば、それを過信して虚偽の自白を強要するということが、これは絶対にあってはならないと。そうした冤罪を引き起こしてはならないというのが足利事件の教訓でもあろうかと思うんですね。
 これ、千葉大臣、私は余り千葉大臣にこういう言い方をしたくなかったんですよ。けれども、もう申し上げざるを得ないんですけれど、取調べの全面可視化の問題ですが、今私が申し上げたような状況を起こさないために大臣もこの実現を求めてこられたと思うんですが、その実現の時期や思いについて今日も議論がありましたけれども、私は、大臣たちが野党の時代に、この委員会で既に可視化を含む、あるいは証拠開示の問題も含む法案を可決して衆議院に送ったと、私も賛成討論をさせていただいたという、つい昨年のことでございます。そのことを思いますと、おっしゃってきたこととやっていることが違いませんかと。いかがでしょう。
#114
○国務大臣(千葉景子君) 応援をいただいて、ありがとうございます。
 基本的な考え方というのは全く変わっているものではございません。もう是非、これまで皆さんと一緒に取り組んできたそういうものを具体的に現実な成果にしていきたいということは、全く変わるものではありません。
 あとは、現実にどのような本当に形でスタートをさせることができるのか、あるいは細かい点でどんな部分まで、どこからスタートをするのか、こういう現実的な、具体的な検討をさせていただいているということでございまして、可視化について実現をするということは、この公訴時効の問題、延長するあるいは廃止する問題とは全く別に、今でも一定の期間が過ぎるとやはり証拠が散逸する可能性は高くなり、あるいは、今おっしゃったような、どうしても自白に頼るようなところもこの間の経緯だと出てきやすい、だからこそ可視化ということを是非実現をしようと、こう強くこの間取組をしてきたわけですので、その考え方には全く変わりはありませんので、今後、また仁比先生の御協力やあるいは御提起も是非積極的にいただければというふうに思います。
#115
○仁比聡平君 ちょっと質問を変えまして、DNAの検体の保存の問題について何点か中井国家公安委員長にお尋ねしたいんですが、これまでに冷凍庫を各所に整備をしているというお話が繰り返しありまして、それは整備をしていただきたいと私も思っているんですけれども、冷凍庫を含めたDNAの検体を含んだ証拠保管をどんなふうにいつまでに達成していくのかという、こういう明確なそういう意味での計画というのは、これはあるんですか。
#116
○国務大臣(中井洽君) もう既に各県、県本部には鑑定の新しい機械等も導入をされております。また、警察庁におきましてもセンターをつくりまして速くコンピューター的に処理できる機械の導入というものを今進めているところでございます。同時に、この四月、五月ぐらいまでには日本中千二百四十一の警察署に冷凍庫は既に配備をされて、そして新しいスタイルでDNAの個体を保存する、こういう統一的なことが実行できる、このように考えております。
 足利事件のときには、前にも申し上げましたが、一千分の一・二という確率でございましたが、今のDNAの検体は四兆分の一、こういう確率になるわけでありまして、日本人の人口から考えてまずこのDNAが一致すれば、そのDNAをどこで取ったか、どういう取り方をしたかという犯行現場でのいろいろなことはあろうかと思いますが、私は大きな証拠になる、こういう思いで、十年たっても二十年たっても三十年たっても証拠保存をしていく、こういう形で今体制をつくっているところであります。
#117
○仁比聡平君 随時の予算で随時の整備をされるということは私これまで伺っているんですけれども、これから五十年、百年というその保管をしなければならないという下で、場所の問題やあるいはそこにかかわる運用の問題などでの計画というのがおありなのであれば、後ほどでも事務方の方からいただいて、また別の機会に議論をしたいと思います。
 その冷凍保存の問題なんですが、今の公安委員長の御認識といいますか思いは今お話があったんですけれども、どれだけの期間証拠価値が持続するのかと。逆に言いますと、採取された検体が五十年先、百年先にそのDNA鑑定に付するだけに足る証拠価値は減じないという、そういう検証あるいは実験の成果というのはありますか。
#118
○国務大臣(中井洽君) 世界中DNA鑑定というものが出てきて二十年という状況でありますから、それは実証されたかと言われれば、たかだか二十年のことでございます。
 しかし、冷凍保存をしてやっていけば、半永久的にDNA鑑定というものは証拠として十分価値があると私どもは判断をいたしているところであります。
#119
○仁比聡平君 今おっしゃるような判断が過去、例えば足利事件やあるいは今日も指摘のあった飯塚事件のような事件を起こしたわけです。私は、科学的なそうした検証というのはなされていないのではないかというふうに思っています。
 もう一点DNA鑑定の問題について伺いたいんですが、前回も問題になりました、昨年十一月に横浜で発生した窃盗事件にかかわる警察庁のDNA型データベースの誤登録の問題なんですけれども、これ、結局このデータベースが信頼できないということなのではないかと私、前回答弁を伺いながら思ったんです。つまり、検体を扱う際の取り違いや人的ミスがあったということのようなんですが、だったらば、ほかにもそうした人的ミスはあり得ると。人的ミスを経たものがデータベースの中に含まれているということがあり得るということになるんですよね。
 そうすると、再発防止というふうに簡単におっしゃるんだけれども、すべてのデータベースをこれ調べ直せるんでしょうか。
#120
○国務大臣(中井洽君) 警察庁の間違いという御指摘がございましたが、神奈川県警で内部でどうやって間違えたかという今検証をいたしているところでございます。各県警から鑑定されたものが警察庁に登録されていく、こういう過程であります。
 今回の過ちのようなことがあってはならないことは御指摘のとおりであります。したがいまして、原因をきちっと追求いたしますとともに、対策を立てていきたい。一番間違いやすいと思われた要するに綿棒での検査、これをやめて、乾かさなくても検体ができる、そういうシステムに今四十七都道府県のうち大体四十五都道府県警察は切り替えたと、間もなく全県切替えが完了すると。
 そういうことを含めて、まあ人間のやることですから絶対間違うなと言われても間違うときがあることは、これは議員もお分かりのとおりでありましょう。しかし、私どもは、捜査というものを担当する機関として、間違いを犯さない、このために精いっぱい努力をしていきたいと思います。
#121
○仁比聡平君 現実の捜査に使ってしまった後に間違っていましたと、謝罪しますと、繰り返しませんという、そうしたことでは、そうした言わば行き当たりばったりでは、これは余りにもお粗末なんですよ。そうしたことでいいのかと私は思います。
 証拠の保全や管理の体制について今日も議論がありました。私は、弁護側あるいは国民の側がきちんと利用できるようにする、チェックできるようにするというシステムをつくることが不可欠じゃないかというのが前回の、あの第三者機関をという提案も含めた日弁連の細井参考人の御意見の中心の部分だったんじゃないかと思うんですが、この点について、大臣、御答弁いただければ──千葉大臣、御答弁いただいて、時間が来ましたから終わりたいと思います。
#122
○国務大臣(千葉景子君) 今日も答弁を申し上げましたように、証拠については、これは一つの捜査の手だてということが基本で、この間、証拠というものを位置付けられてきたというふうに思います。ただ、それが事案の解明あるいは被告人の防御権ということにも決して無縁なものではないということでもあり、そういうことを念頭に置きながら、証拠の開示の在り方とかあるいはまた保存の仕方、そういうものについて是非検討をしていかなければいけないというふうに考えております。
#123
○委員長(松あきら君) 中井国家公安委員長は御退席いただいて結構でございます。
 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#124
○仁比聡平君 日本共産党を代表して、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を申し上げます。
 公訴時効は、犯罪が終わったときから一定期間を過ぎると公訴ができなくなるという、刑事訴訟法の重要な骨格にかかわる制度であるところ、これを廃止、延長しようとする本法案に対しては、制度の本質、根幹にかかわる重要な諸問題について、日弁連を始め法曹、人権団体から強い反対の意見が示されております。法制審でも、四か月足らずの審議では一致を見ることなく、強い疑義を残したまま答申、そして法案提出に至っております。
 我が党は、問題の重大性にかんがみて、先議となった当委員会での十分かつ慎重な審議を求め、参考人質疑においても四人のうち二人が明確な反対意見を述べられましたが、今こうして採決に付されようとしているわけです。
 公訴時効の存在理由についてのこれまでの通説的考え方に対する、時が経過しても処罰感情は薄らぐことはないという被害者団体の皆さんの強い批判は、そのとおりであると考えます。
 一方で、確かに時効廃止によって冤罪や証拠の散逸の可能性もまた高くなるということを、大臣も答弁の中でそうした趣旨を述べられる中で、遠い過去に起こった出来事について突然関与を疑われ、身柄拘束や応訴の負担、危険にさらされることはないという国民一般ないし被疑者、被告人の適正手続保障をどのように考えるのか、時効廃止の一方で、取調べの全面可視化を始めとした捜査適正化の手だてはなされていないこと、時効完成によって真犯人が処罰を免れることが著しく正義に反する事案に対しては公訴時効制度そのものを廃止する以外にも方法はあるのではないか、被害者の感情の多様性をどのように考えるのか、長期間経過後のDNA鑑定の証拠能力と信用性、公訴時効が現に進行している事案についての遡及適用は憲法三十九条の精神に違反しないか、刑の時効を廃止、延長する合理的理由は示されているのかなど、法案の根幹にかかわるこうした重大な諸点について、当委員会はもちろん、国民的議論が尽くされたとは到底言えず、採決は拙速であると考えます。
 以上の理由で本法案に反対をいたします。
#125
○委員長(松あきら君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#126
○委員長(松あきら君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、松村龍二君から発言を求められておりますので、これを許します。松村龍二君。
#127
○松村龍二君 私は、ただいま可決されました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・改革クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 公訴時効の廃止及びその期間の延長により、捜査が長期にわたる場合が増えることを考慮し、えん罪が発生する余地のないよう、捜査資料・証拠物等の適正かつ確実な保管を図るとともに、犯罪検挙率の低下することのないよう、適正迅速な初動捜査態勢の確保、捜査資源の適正かつ効率的な配分及び捜査技術の開発向上等を通じ、捜査力を一層高めること。
 二 公訴時効の廃止及びその期間の延長によりもたらされる効果について、今後ともその検証に努めること。
 三 医療事故に起因する業務上過失致死傷事件の処理に当たっては、医療の萎縮効果を生じない運用に努めること。
 四 殺意の有無により公訴時効期間が大きく異なることにかんがみ、捜査機関がその認定を行うに当たっては、十分な証拠に基づいて適切公平な判断を行うべきよう努めること。
 五 性犯罪については、被害者等の声を十分に踏まえつつ、罰則の在り方及び公訴時効期間について更に検討すること。
 六 現在実施されている犯罪被害者等基本計画の検証を十分行うとともに、検討中の第二次犯罪被害者等基本計画(仮称)の策定等を通じて、犯罪被害者及びその家族又は遺族の実態も踏まえ、犯罪被害者等に対する必要な施策を一層推進すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#128
○委員長(松あきら君) ただいま松村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#129
○委員長(松あきら君) 全会一致と認めます。よって、松村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、千葉法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。千葉法務大臣。
#130
○国務大臣(千葉景子君) ただいま可決されました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。
#131
○委員長(松あきら君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○委員長(松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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