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2010/04/22 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第12号
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2010/04/22 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第12号

#1
第174回国会 法務委員会 第12号
平成二十二年四月二十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     松浦 大悟君     前川 清成君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     石井  一君     前田 武志君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     前田 武志君     石井  一君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     牧山ひろえ君
     前川 清成君     轟木 利治君
     福島みずほ君     渕上 貞雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松 あきら君
    理 事
                今野  東君
                松岡  徹君
                松村 龍二君
                風間  昶君
    委 員
                石井  一君
                轟木 利治君
                中村 哲治君
                平田 健二君
                牧山ひろえ君
                簗瀬  進君
                浅野 勝人君
                丸山 和也君
                森 まさこ君
                仁比 聡平君
                渕上 貞雄君
   国務大臣
       法務大臣     千葉 景子君
   副大臣
       法務副大臣    加藤 公一君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中村 哲治君
       外務大臣政務官  吉良 州司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務省入国管理
       局長       田内 正宏君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際受刑者移送法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 昨日までに、松浦大悟君、福島みずほさん及び千葉景子さんが委員を辞任され、その補欠として轟木利治君、渕上貞雄君及び牧山ひろえさんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(松あきら君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 国際受刑者移送法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省入国管理局長田内正宏君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(松あきら君) 国際受刑者移送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今野東君 おはようございます。民主党の今野東でございます。
 今日は国際受刑者移送法の一部を改正する法律案についての質疑でありますが、今回のこの移送法の改正は、従来の欧州議会との条約締約国との間で行われてきた外国にいる日本人受刑者あるいは日本にいる外国人受刑者を本国のそれぞれの刑務所に入ることが適切な場合に受刑者の移送ができるというものを、個別の条約でタイとの間でも行えるようにするという趣旨だと思いますけれども、これはこれでいいと思うんですが、日本と中国の間であります。
 日中の受刑者移送に関しては、四年前には中国の司法部長と当時の法務大臣が会談をして、協議をしていこうということで合意をして、さらに、二年前には胡錦濤国家主席が来日した際、犯罪人引渡条約と受刑者移送条約の同時期の署名を目指そうということで一致をしていると承知しております。
 毒入りギョーザ事件の新しい展開や、あるいはさきには日本人四名の死刑執行などもありました。国民が今までになく関心を高めている今、中国との間でこの同時署名に向けた作業のピッチ、これはどのようになっているんでしょうか。これは急ぐべきだと思いますけれども、法務大臣の意気込みを伺いたいと思います。
#7
○国務大臣(千葉景子君) おはようございます。
 今野委員の御質問に答えさせていただきますが、日本と中国との間の条約の締結についてでございます。
 御指摘がございますように、この間、平成十五年十二月に犯罪対策閣僚会議で策定された行動計画において中国との間の受刑者移送に関する国際約束についての協議に言及がされまして、行動計画の決定以降、中国側との意見交換をやってまいりました。
 そして、これも御指摘のとおり、平成二十年五月、胡錦濤国家主席の訪日の際に発表された日中両政府の交流と協力の強化に関する共同プレス発表において、この犯罪人引渡条約の締結交渉を開始するとともに、受刑者移送条約についても速やかに締約交渉を開始して、同時の署名を目指すことで一致がされております。
 その後、平成二十一年二月に日中外相会談におきまして、犯罪人引渡条約及び受刑者移送条約の締結交渉の早期開始をするということで一致をしております。
 そういう意味では、様々な協議が大分煮詰まってきているということでもございますし、今お話がございましたように大変関心も高いという関係でございますので、外務省と連携しながら、ただ相手国があることでございますので、こちらの意向だけでというわけにはまいりませんけれども、中国との間の受刑者移送条約の正式な締結交渉、これを速やかに開始できるように私も全力で努力をしてまいりたいと考えております。
#8
○今野東君 是非その点は力を入れてやっていただきたいと思います。
 さて、受刑者移送とは違いますが、法務省入管では、法務省が言う不法滞在者の強制送還が行われております。先月十六日にも、私、この委員会で強制送還をされたペルー人親子の件について質問をさせていただきましたが、あのような非人道的な措置が今後決してとられないように希望をし、私はそういう希望を受け入れていただいたと思っておりましたが、その一週間後、三月二十二日、またまた問題のある強制送還が行われました。行われましたというよりも、行われようとしたのですが、なぜ行われようとしたかというと、強制送還されようとした男性が死亡したことで中断したからであります。
 亡くなったのはガーナ国籍のスラジュさんという四十五歳の男性です。一九八八年五月十一日にこの男性、スラジュさんは入国をして、その後オーバーステイとなっていたんですが、スラジュさんには同棲の期間を含めて十八年間生活を共にしてきた日本人の奥さんがありました。在留特別許可のガイドラインの積極要素、夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力して扶助していることに当たりまして、私はこの方は在留特別許可が認められるべき人であったと思いますけれども、入管当局は、このスラジュさんが日本人女性と結婚していたことは知っていたんでしょうか。
#9
○政府参考人(田内正宏君) スラジュさんは、平成十八年十一月八日に日本人女性と婚姻届をしておりまして、その後、その事実は承知しておりました。
#10
○今野東君 強制送還に当たって奥さんに知らせなかった、これはなぜでしょうか。
#11
○政府参考人(田内正宏君) 一般的なお答えになりますけれども、通常、送還する際には、その具体的な送還日等を親族等関係者に事前に連絡することについてはしておりません。その理由は、被送還者の奪取等送還の妨害のおそれがあること、親族等から被送還者に伝わった場合には、被送還者の逃亡のおそれ、自損行為に及ぶおそれがあることから事前連絡はしていないということでございまして、本件についても同様の取扱いをいたしました。
#12
○今野東君 逃亡のおそれがある、その他の理由を今おっしゃいましたけれども、これは世界的な基準から見てどうなんでしょうか。二〇〇八年の十月にジュネーブであった自由権規約委員会の第五回日本政府報告書についての審査で、シーラー副委員長は、日本の非正規滞在者に対して非人道的に退去強制が行われているのではないかと指摘しています。
 この問題の焦点は、自由権規約第十七条、二十三条で規定されている私生活、家族、住居等に対する不可侵でありまして、シーラー副委員長が問題視したのもこの点でした。家族の不可侵を完全に破って、強制送還することを奥さんに知らせることすらしなかった。しかも、その上で本人を死なせてしまった。この重大な過ちを、本人が暴れるからといってタオルを口にかませて、そしてぐったりしていたから慌てて蘇生をしたけれども、もうそのときには呼吸がなかった。死なせてしまったんです。
 この重大な事実、過ちを法務省は深刻に考えているんだろうかというふうに思いますけれども、これについては大臣はどのようにお考えなんでしょうか。
#13
○国務大臣(千葉景子君) 本件の手続について、確かにその過程で死亡をされたということがあることは大変重大なことだと受け止めさせていただいております。これについては、私からも改めて本当に哀悼の意を申し上げたいというふうに思っているところでございます。
 ただ、本件の事案については、死亡がどのような原因であったかということなど、今警察での捜査が継続をしているということもあります。決して逃げるということではなくして、まずはその警察の捜査に協力をしつつ、自らも事案の解明、原因の特定などに努めていきたいと、していかなければならない、こう考えております。
 また、御指摘のように、人権規約にかかわるという御指摘でございます。自由権規約十七条、これは、何人もその私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。また、二十三条でも、家族は社会の自然かつ基礎的単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有するということでございます。こういうことに基づいて家族の統合などがされなければならないということで、できる限りこれに沿った取扱いあるいは手続が取られなければならないとされているところでございます。
 今回の問題について、この人権規約に本当に抵触するものかどうか、これも含めて、私もしっかりと事案の実情、それから今の退去強制手続、この在り方、これも含めてしっかりと、今野委員の様々な御意見もいただきながら検討をさせていただきたいというふうに思います。
#14
○今野東君 こういう国連等の国際機関からの指摘について、それを国内の法制度に照らして、あるいはこの委員会等でもいろいろお尋ねをすると、国連等からの指摘についてはほとんどの答えが法的拘束力がないということなんですね。なので、あえてそういうことについてはお聞きはしませんけれども、法的拘束力がないのならば、何でいろいろな条約に加盟するんだろうなと私は思いますが。
 それはそれとしまして、この重大な事実、今大臣がこの委員会で哀悼の意を申し上げると、ささげるというふうにおっしゃっていただきましたけれども、奥さんには哀悼の意をささげる、そういう誠意を示したという事実はあったんでしょうか。亡くなったことを奥さんに知らせたのはいつですか。
#15
○政府参考人(田内正宏君) 本件事案が発生いたしました当日、本年三月二十二日、東京入国管理局から御遺族に対し、事案の概要を説明させていただきました。その後、三月二十五日には、法務省において、当局から御遺族に対しお悔やみを申し上げるとともに、それまでに判明しました事実関係について御説明させていただきました。
#16
○今野東君 これは奥さんのところに行ったんじゃなくて、電話で奥さんに御主人が亡くなったことを知らせ、そして奥さんが法務省に来て初めて説明をしたんです。
 少なくとも、奥さんに哀悼の意を示し、状況が分かるごとに逐次説明をするということはお訪ねをして言わなければならないんじゃないかと思いますが、そういうことは、行って何か説明をするということはしたんでしょうか。
#17
○政府参考人(田内正宏君) 本件事案が発生いたしました当日、三月二十二日、東京入国管理局では、事案発生後の一時間をたっておりませんけれども、午後四時二十分ごろから御遺族、配偶者の方に連絡を取ろうとしておりました。電話連絡が取れたのが十八時三十分ころということでございます。その後、当日、東京入国管理局から車で配偶者の御自宅までお迎えに行き、成田空港署までお連れしたということでございます。また、その最初に電話連絡が取れたときには、送還中に死亡したこと、重大に受け止めていること、調査中であること、またそういう電話連絡を取ろうとしていたことなどについて御説明させていただきました。
#18
○今野東君 そうじゃなくて、その後。三月二十二日のことです、それは。それ以降説明に行ったんですかと聞いているんです。
#19
○政府参考人(田内正宏君) 三月二十五日には、こちらから行ったわけではありませんけれども、配偶者、奥様が来られたので、そこで御説明させていただいたということでございます。
#20
○今野東君 大臣、やっていることが全く誠意がないんですよ。亡くなったんですよ、この方は。死亡させたんですよ、少なくとも搬送中に、移送中に。それについて、当日電話をして説明するのは当たり前のことですよ。行って、どういうふうになっているのか、哀悼の意をささげつつ説明するのが当然なんじゃないんでしょうか。何で行ってないんですか。
#21
○政府参考人(田内正宏君) 当日、先ほどお答えいたしましたけれども、御自宅までお迎えに行き、成田空港署までお連れさせていただいたということがございますし、その後、二十五日には奥さんの方から来られて、事実の解明とかあるいは陳謝、そういうことを要請されてこられました。
 その後も、東京入国管理局については、遺体の取扱いとかそういうことで、できるだけ真摯に、誠意を持って奥様と連絡を取って対応させていただいておるところでございます。
#22
○今野東君 これ、ガーナ大使館には知らせたんでしょうか、送還することは。
#23
○政府参考人(田内正宏君) ガーナ大使館には、この事案、事故が起こったことについて、三月二十二日、連絡を取ろうと試みました。しかし、そのときは祝日でございまして連絡が取れなかった。二十三日、火曜日になりまして連絡が取れましたので、ガーナ大使館の方が東京入管に来られまして、説明を伺いたいということであったことから、事実関係を説明いたしました。
#24
○今野東君 これ、送還する前も知らせてないんです、大使館に。大使館に知らせることもなく、奥さんに知らせることもなく送還したんです。そして死なせてしまったんです。大使館から抗議が来るのは当たり前ですよ。
 大使館からの抗議、口上書ですけれども、ここに文書があります。大使館は、アブバカール・スラジュ氏が残虐行為の被害者であり、彼の死の原因であるに違いない物質を注射されたという確かな情報を得ているとまで書いてあります。こういう事実はあるんですか。
#25
○政府参考人(田内正宏君) 今の御質問の前に、送還前にもガーナ大使館には送還について連絡をしておるということを付け加えさせていただきます。
 それから、注射の事実というようなことは全くございません。
#26
○今野東君 それはこれからの調べで明らかになることだと思いますけれども。
 三月二十二日、十四時二十分ごろ、エジプト航空機に乗せようとしたところ、このスラジュさんが暴れたために金属手錠着用のまま抱え上げて搭乗させたわけですね。この手錠、戒具の使用については法律上の根拠はあるんですか。
#27
○政府参考人(田内正宏君) 戒具の使用につきましては、被収容者処遇規則第十九条において定めがございます。被収容者が逃走すること、自己又は他人に危害を加えること、設備、器具その他の物を損壊すること……(発言する者あり)そういう場合に第一種手錠、第二種手錠、第一種捕縄、第二種捕縄を使用するということでございます。
#28
○今野東君 それは入管内部の規定にすぎません。法律上の根拠あるんですかと私聞いているんです。
#29
○政府参考人(田内正宏君) これは法務省令、被収容者処遇規則は法務省令ということでございますが、それは入管法の範囲の中に定められたものだというふうに理解しております。
#30
○今野東君 これを使う方はそういうふうに解釈をするわけでありますけれども、それではこれ、タオルを口にかませて、そして長時間したらぐったりしたのでとありますけれども、タオルを口にかませた、これの法的な根拠はあるんですか、あるいは規則があるんですか。
#31
○政府参考人(田内正宏君) 事実関係につきましては今捜査中でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいところでございますが、タオルにつきましては、法令上、戒具として定めた規定はございません。
#32
○今野東君 局長、そういう無責任なこと言っちゃ駄目だよ。自分のところの入管行政の中で人を一人死なせたんですよ。事実関係については今捜査しているところでありなんて、そんな澄ましたこと言っていられることですか、これ。
 タオルを口にかませた規則そのほかはあるんですかと聞いている。
#33
○政府参考人(田内正宏君) タオルを戒具として定めた法令上の規定はございません。ただ、一般的に申し上げれば、緊急避難、正当防衛、正当業務行為に当たるような場合に使用することがあり得るとは思っております。
#34
○今野東君 タオルは普通にかませた、どういうことでかませたのか等も含めて、もちろん内部で、これは捜査機関がやっているからというだけでは済みません、御自分のところで起きた事件ですから当然内部でも調査をしたと思いますが、それはやりましたか。
#35
○政府参考人(田内正宏君) 入管当局といたしましても、非常に重大な事件であると受け止めております。現在警察で捜査中でありますので、それに最大限協力することを最優先にしておりますが、その上で、当局としても護送した護送官から事情聴取をする等の調査を実施しております。
#36
○今野東君 この護送に当たった人は十人だと聞いておりますけれども、この十人は今どういうふうになっていますか。
#37
○政府参考人(田内正宏君) 現在は警察の捜査に協力して、あるいは局内での調査もしておりますが、東京入管で、あるいは成田からの応援もございまして、それは今までどおり勤務しております。
#38
○今野東君 この政権は命を大切にする政権なんです。外国人の命はどうでもいいんですか。あなた方は自分で、自分たちでも捜査をして、お手の物でしょう、検事さんいっぱいいるんだから。この十人は本来ならば警察に拘束されているべき人ですよ。この人たち、何事もなかったように普通に仕事しているんです、今も。
 タオルは何本使って、この当の四十五歳の男性を拘束し口にかませるというようなことをやったんですか。調べているんでしょうか。
#39
○政府参考人(田内正宏君) 事情聴取は先ほども申し上げたとおりしておりますが、警察の捜査中でもあり、事実関係につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
#40
○今野東君 私、ゆうべ、タオルをかませられてどれほど苦しくなるかということをやってみました、二十五分間。だけど、こういう状態で口をふさいで猿ぐつわのようにかませられても、二十五分間なら呼吸できるんです。だから、平常の状態で、当人を静かにしてもらうためにしたんじゃないんですよ、これは。呼吸できなくして死なせたんですから。ぬれたタオルを突っ込むかぎゅうぎゅう詰めにしてやらないと呼吸ができなくまではならないんです。何でそんなことまでする必要があるんですか。
#41
○政府参考人(田内正宏君) 死因につきましては、警察の方で窒息死だというようなお話がございましたが、その死因は不明であるというふうに警察の方では発表しております。さらに、その事実関係につきましては、繰り返しになりますが、警察の捜査最優先、協力させていただいて、事案の解明に努めたいと思っております。
#42
○今野東君 大臣、命を大事にすると言っている政権の中で、こういうことが起きています。強制送還をして、そして死に至らしめて、それにかかわった十人は知らぬふりして勤めていて、責任者に聞けば、今警察が捜査しているから、本人のところには説明にも行っていません。
 こんな誠意のない対応を許していていいんでしょうか。大臣、どうお考えになりますか。
#43
○国務大臣(千葉景子君) 責任者は私です。最後の責任者は私でございます。
 御指摘の点については、今捜査もあり、そしてまた自らも調査をさせていただいている。当然のことながら、その結果によって厳しい処遇あるいは対応をするのは当然のことだと考えております。また、今回の事案にかかわらず、国際的な人権条約あるいはまた様々な法的な人権の保障、こういうものに基づいて、退去強制手続、これらの在り方については常日ごろから考えていかなければならないと考えております。
 そういう意味では、これが調査をきちっとさせていただいた上で適切な対応をしっかりと取らせていただきたいと思っております。
#44
○今野東君 責任者は私ですとおっしゃるのなら、強制送還をするこの人たちの内容についてもよく承知しておいていただきたい。
 この間説明を伺ったペルー人の親子についても、子供は小学校五年生でした。母国の言葉ができるからといって帰しました、ここでもお話をしましたけれども。しかし、その母国に帰された子供は、小学校一年生に編入されました。理由は、自分の国の言葉ができないからです。
 誤った情報を聞かされて、責任者は私ですと高らかに宣言をしていただくのはいいですが、それでは今後は、このようなことが起きて今後はどうされるんでしょうか。二度とこのようなことが起きないように対処をしていただきたいと思いますが、御所見を伺います。
#45
○国務大臣(千葉景子君) 情報については、誤った情報に基づいて判断をするわけにはまいりませんので、適正な、そしてまた、誤りのない情報をきちっと得るように私も努めているところでございます。
 今後ともこのような事態が起こらないように、それから、制度としてもこのようなことが起こらないきちっとした仕組み、こういうものをより一層検討をさせていただかなければいけないと考えております。
#46
○今野東君 今後の対応についてですけれども、こういう場合の戒具、ましてや規則にもないタオルを使って恐らく死に至らしめている。こうしたことについて、この戒具そのほかについて見直しをするつもりはありますか。
#47
○国務大臣(千葉景子君) 今申し上げましたように、退去強制手続等の在り方あるいは適正、こういうものについては全体として検討をさせていただきたいと思っております。
#48
○今野東君 この間もお伺いをしましたが、これは大臣名で送還をしているわけですね。ですから、大臣が声を大きくして、責任は私にあるとおっしゃるのは当然のことだし、よく分かりますが、それならば、この強制送還の件数、余りにも多くて日常の業務も大変だとは思いますけれども、やっぱりそれぞれについて精査をしていくという必要があるんじゃないんでしょうか。
 この方は、実は以前に強制送還をしようとしてタイの空港で暴れて、そしてそこでやむを得ず一回日本に引き返してきたということもあります。こういう方の強制的な送還については、これは暴れることを想定して、通常一人の人に十人も付かないのに十人も人を付けて強制送還をしようとしたわけでして、これらのことはやっぱり事前にチェックして、本当にそれが入管行政として正しいことなのかどうか、それから送還をする方の身の安全ということももちろんこれは発生してくるわけでありまして、それらのことについても、後でその報告を受けるという形ではなく、強制送還をする人については政務三役のところで精査をするということがあっていいんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#49
○国務大臣(千葉景子君) 率直に言いまして、すべて事前にチェックできるかどうかというのは、私は今ここで確定的に申し上げることはできません。しかし、だとすれば、逆にチェックがどのようにすればきちっとなし得るか、それは最終的には政務三役でさせていただくわけですけれども、その間に客観的にしっかりとチェックができるような、そういう方策も考えておかなければならないというふうに思います。ただ、基本的に、最終的にでき得る限りのチェック、そしてその事案の内容の検討は政務三役、最大限させていただく決意でございます。
#50
○今野東君 時間がありませんから終わりますが、ガーナ大使館からも、これは口上書といいながら抗議であります。世界に向けて日本は恥をかいています。もう少し入管行政について精査をし、きちんとした行政をお願いしたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
#51
○浅野勝人君 今、今野議員から行政と取り組む者の大事な心構えについて重要な指摘があったと。私も今重い気持ちでやり取りを聞かせていただいておりました。法務行政というのはあらゆるところで人権とのかかわりの裏表にある現場ですから、今の指摘重く受け止めていただきたいなと私からも申し上げておきたいと存じます。
 先日、中国で麻薬密輸罪で死刑の判決が確定していた日本人の死刑が執行されました。鳩山総理は、日本人の感情からすれば厳し過ぎるという思いはあると述べておいでです。以前、死刑廃止議連のメンバーでもあった法務大臣は、中国における日本人の死刑執行についてどんな感想、思いをお持ちでございますか。
#52
○国務大臣(千葉景子君) 中国で死刑制度を一つの刑事司法手続あるいは刑罰として存続をさせておられるということは承知をいたしておりますし、そしてそれは、それぞれの国の司法手続あるいは刑罰の在り方、こういうことで決められているものだというふうには承知をいたしております。
 そういう意味では、私からこれがどうかということを申し上げるという立場にはございませんけれども、しかし、国際的なあるいは日本の刑事手続あるいは刑罰、こういうものと比較をいたしてみますと、確かに、手続が十分に保障されているか、日本と同じような形になっているのか、あるいはまた適用される刑罰、それの犯罪の範囲等が相当日本の適用とは異なっているなと、こういうことは私も率直に感じさせていただくところでございます。
#53
○浅野勝人君 受刑者移送条約、CE条約も、今回締結した日・タイ条約も、刑の定義について、有期又は無期の自由の剥奪を伴うものと規定しています。したがって、死刑は対象外と読めます。仮に、将来日本と中国の間で同じ内容の条約が結ばれて、移送法改正案の今回の改正によって適用を受けたからといって、例えば死刑囚の扱いは何も変わらないなということに読めます。
 そうすると、日本に移送させて日本で死刑を執行することは、この改正案が成立し日本と中国の間で受刑者移送条約が締結されたとしても、今とは何も変わらないということになりますか。
#54
○国務大臣(千葉景子君) この条約等では基本的に変わることはないということだと思います。
#55
○浅野勝人君 そうですね。
 今回締結した日・タイ条約を含めて、なぜそれでは条約の締結に伴ってこの関連国内法の改正が必要か、改めて確認をしておきます。
#56
○国務大臣(千葉景子君) これからこの移送については、でき得る限りやはりその国の環境の中で、母国で執行されるということが、社会復帰やあるいはその後の生活にとっても、それから改善更生ということについても実益があるだろうということがまず言えようと思います。
 そうなりますと、やはりこれから様々な国との間で条約を積極的に締結をしていくということになりますので、それに対してその都度法律を整備をするということなく、どのような条約を締結をしようとも、そのときにきちっと国内的にそれを担保できる法律を作っておくということが求められるということでございますので、今回このような法律を提案をさせていただき、成立を図っておきたいということでございます。
#57
○浅野勝人君 そうすると、今回締結した日・タイ条約を含めて、今後日本政府が締結するバイ及びマルチのすべての条約をこの国内関連法の対象とするために現行の移送法を一行変えるのがこの改正案だということですから、反対をする理由が見付かりませんね。全部対象にしようというだけですから、悪いことではない。むしろ遅きに失したぐらいで。そうすると、質問はこれで終わりですということになっちゃうと、野党の理事が時間が余り過ぎて心配をしますから、引き続き何か聞かせていただきます。
 それじゃ、条約の締結に伴って、これが改正されるわけですから、これまでの受刑者を日本から相手の国へ移す移送、送出移送というんですか、送出移送と、相手の国から日本に移す受入れ移送の実績がこれまでどんなことになっているか、数を教えてください。
#58
○国務大臣(千葉景子君) これまでの実績でございますけれども、平成二十二年三月、直前でございますけれども、現在で申し上げますと、送り出し移送が百六十九人、それから受入れ移送が二名と、これが数としての実績でございます。
#59
○浅野勝人君 百六十九人の二人では、送り出す人数と受入れの人数がひどくバランスが欠いているなと。一体これどういう意味があるだろうと思いますけれども。
 じゃ、ちょっと念のため、日本の受刑者の数、それから条約締結国で刑に服している日本人の数、つまり百六十九人とそれから二人の分母ですな、これはどのぐらいですか。
#60
○国務大臣(千葉景子君) 受刑者数、まず、我が国の刑事施設に収容されている来日外国人受刑者は平成二十二年三月末日現在三千百七十七人、うち受刑者移送条約の締約国の国籍を有する者は三百八十九人という実情でございます。今度、逆に海外において服役している日本人受刑者は、これちょっと年月が異なりますが、平成二十一年一月一日現在で百十六人、うち受刑者移送条約の締約国において服役している者は四十八人という数字になります。
#61
○浅野勝人君 なるほど、分母が全く違いますから、三百八十九人のうちの百六十九人と四十八人のうちの二人というのは、ちょっと今、僕は数学が弱いんですぱっと比率が出ませんけれども、そう違わないのかなと。そういう意味ではバランスが欠けているというのには理由がないわけではないとは思いますけれども。
 さはさりながら、この百六十人と二人というのは、やっぱりちょっとこの条約の意味があるのか。関連国内法を整備して、せっかく整備しておいて意味があるのか。これは分母の、数の違いだけですか、それとも何か特段の理由があるとお考えですか。私はそこのところ分かりませんが、やっぱり何かあるに違いないと、いかなことこの数字は合わないと、そういうふうに思いますが、いかがですか。
#62
○国務大臣(千葉景子君) まず、移送の基本としては、申出ですね、その受刑者の申出が一つの条件になってございます。特に受入れ移送の実績が二人ということの中の原因の一つには、申出をした人数が少ないということが言えるのではないかというふうに思われます。ただ、そのほかにも、十分な残り刑期があるのかどうかとか、あるいは帰国費用をどういうふうに負担するのか等、種々の条件を勘案しながら決定をされると。
 これは、特に受入れというのは、その相手国ですね、そこで例えば本人の申出、あるいはこういう制度があるということ、申出ができるということをどれだけきちっと本人に伝えられているのかと、こういうこともあろうというふうに思いますし、その国の考え方によりまして、一定の刑期が終わらないと送り出しはしないと、こういう考え方を取っているところもあるように聞いております。
 いずれにしても、CE条約の締約国たる外国において服役する日本人受刑者に対して、やはり、まずは受刑者移送条約の内容がきちっと告知されて、そして自らも申出ができるように、これは外交ルート、外務省とも連携の上、在外公館などを通じてきちっと本人に伝わるようにしていかなければならないというふうに考えております。
#63
○浅野勝人君 大臣、今とても大事なことをおっしゃったんですけれども、だとすると、私ちょっと気が付いたことがあるんですが、CE条約と日・タイ条約とで微妙な違いがあるのに気付いたんですよ。
 それはどういうことかというと、受刑者に対する条約の内容の、今大臣の言っていた通知の問題なんですよ。CE条約は四条で、情報を提供する義務を定めた上で、一項で「通知する。」と明確に規定しているんです。つまり、受刑者への通知を義務付けています。ところが、日・タイ条約では、手続を規定した五条の一項に「条約の内容を通知するよう努める。」となっているんですよ。言わばこれ努力義務なんですね。通知義務から努力義務に格下げされた形になっています。言い換えると、受刑者への配慮がせっかく今の法務大臣の御答弁にもかかわらず軽くなっている。今回の条約の批准に伴い関係国内法が整備されて、タイに服役している、例えばですよ、タイに服役している日本人受刑者を受け入れることがせっかくできるようになるわけですから、それが軽くなったんじゃまずい。CE条約より一歩進めたのなら分かるけれども、一歩後退させた形になっているのは、私は逆さまだと思いますよ。
 国内法の不手際ではありませんから、法務省及び法務大臣のこれ責任じゃない。条約の中身の問題だから外務省が悪いんで、外務省がお粗末だと私は思いますけれども、さはさりながら、現場を任せられる、現場に対応する法務省として、後退するような中身をほっておいてよろしいんですか。
#64
○国務大臣(千葉景子君) 委員が御指摘のことは、私も本当にそのとおりだと思います。
 それで、実はこの日・タイの条約の締結に当たっては、どうもタイ王国側でこれまで受刑者移送の条約を様々な各国と締結をされているようでございますが、この条約がこのような努力義務という形で締結をされている、それに合わせてこの日・タイの条約も締結をしたいと、こういう強い意向があったとも聞いております。そういう意味で、なかなかこれは両国で締結をするものですから、日本側としてはやはり努力義務ではなくて、義務化をするということを当然求めてきたということも推測はされますけれども、こういう事情があったということでございます。
 ただ、運用上後退をするような、そういう取扱いになってはなりませんので、是非、先ほど申し上げましたように、受刑者移送ができる、そして申出ができるんだということをきちっと通知されるようにこれは徹底をさせていただきたいと、法務省の立場でもこのように考えております。
#65
○浅野勝人君 政府の仲間として外務省を一生懸命かばった今の大臣の思いやり発言は是とします。
 じゃ、次に、念のため、国籍別の数字のことは、大臣、そんな数を知っているわけありませんから、こういうことを聞きますよという通知はさせていただいておりますので、国籍別の外国人受刑者数を教えてください。
 なぜそんなことを聞くかといいますと、外国人受刑者の扱いについては、日本人の受刑者とは異なる処遇がかなりの点で必要だろうと想像するからなんです。例えばモスレムの人たちの、イスラム教徒の方々の習慣だとか、食事や宗教の違いによって収容する施設をある程度限定しなきゃならぬとかいろんなことがあるだろうと思ったものですから、その辺りの実態をちょっと知っておきたいなという意味の質問です。
#66
○国務大臣(千葉景子君) 現在我が国の刑事施設に収容されている外国人受刑者でございますが、平成二十年のこれは数字になりますが、二十年十二月末日現在で三千四百四十二人。これの主な国籍は、多い方から申し上げますと、中国が千四百三人、約四〇%、ブラジルが四百四十九人で約一三%、イランが四百七人で一二%弱です。韓国が二百十八人で六%強と、あと、順次、ベトナム百五十七人、フィリピン百十七人、ペルーが九十人、コロンビア七十三人、そして今回条約ができますタイが六十六人と、このようなおおよその実情になっております。
#67
○浅野勝人君 中国籍が断トツで、次いでブラジル、イランがこれ御三家だということが分かりました。直感ですけれども、日本が受け入れている外国人労働者の数とおおむね比例するのかなと今感じました。
 上位三か国はいずれもEC条約に加盟していない、締結していませんから、受刑者移送の対象になっていません。中国、ブラジル、イランが早急にCE条約に加入すれば、さっき僕、EC条約って言った、逆さまでした、ごめんなさい。CE条約に加入すれば一件落着と自動的になるわけですけれども、よその国がどういうお考えを持っているかは計り知ることができません。だとすると、日本が二国間条約の締結を急ぐ必要があるのではないかなという思いがいたします。
 これも外務省の課題ですから、直接には法務省の責任、直接の責任はありませんけれども、現場で問題を迫られるのは法務省です。閣僚は連帯して内閣に責任をお持ちになるわけでございますから、法務大臣はこの点についても外務省に督促するぐらいの用意があってもよろしいのではないかと、そんな思いがいたしますが、いかがでしょう。
#68
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のとおりでございまして、私の方からも、是非積極的に各国との条約締結ができるような、いろいろな機会に話合いをしていくよう外務省にも要請をしていかなければならないと考えております。
 先ほど御指摘がありました上位三つといいましょうか、それぞれについては、まず、やはり早急に必要だということで、例えば中国については、平成二十年の五月に胡錦濤国家主席が訪日された際に、犯罪人引渡し、そして受刑者移送、この条約を何とか同時に署名をしていきたいという、目指そうということで一致をし、その後、様々な機会をとらまえて協議をさせていただいているという状況でございます。
 それから、ブラジルでございますが、これはなかなかまだ締結交渉というようなことには至りませんけれども、司法に関する外交協議の分野におきまして、受刑者移送条約の締結の可能性があるかどうかということを含めて今話合いをさせていただいている、実情などをお互いに確認をし合っているということでございます。
 それから、イランとの間では、受刑者移送に関する予備的な協議、これも今、先ほど申し上げましたように、それぞれの国の受刑者の状況とかあるいは司法制度、あるいは、そういうことを踏まえながら予備的な協議という段階でございますけれども、これもできるだけ締結協議というところまで至ることができるように努力を私もさせていただきたいものだというふうに考えております。
#69
○浅野勝人君 そうすると、今の御答弁、日中政府間で協議中と理解してよろしいんですか。
#70
○国務大臣(千葉景子君) 日中間につきましては、条約締結交渉を開始するところの前ですね、もうできるだけ早くその締結交渉そのものに入ろうということで協議をしているということでございます。
#71
○浅野勝人君 分かりました。いい御答弁いただけました。
 実は、二十八日から、民主党の大石先生が団長で、私ども野党からも参加して北京で日中議員協議がありまして、幾つかのアジェンダがありますから、その中に一つ加えさせてもらおうかなと、今そんなふうに思いました。
 それから、外国人受刑者から自分の国、母国への移送の申出があってから、それはいろいろ条件があるんでしょうけれども、移送が実施するまでの期間、私は国に帰って服役したいという申出があってから、それじゃ帰しましょうというまでの期間というのは平均どのぐらいですか。そういうデータというのはあるものですか。
#72
○国務大臣(千葉景子君) なかなかこれどういうところを基準にするかということがございますけれども、移送要請がありましてから移送までには約一年程度の期間が掛かっております。
 それから、それとは別に、送り出し受刑者が受刑者移送に関する言わば関心を表明して我が国の法務省が認知した日から本当に引渡しまでに要する期間というのは、平成二十二年三月末現在で、一年以下というのは二人、一年を超えて二年以下が五十五人、二年を超えて三年以下が六十人、全体で百六十九人のうちこういう状態ですので、およそ二年ぐらいは、二、三年掛かっているというのが状況ではないかと推測されます。
#73
○浅野勝人君 受刑者の移送手続というのは簡単ではなかろうとは思います。相手国との制度上の調整とか関係書類のやり取りなどというのは、一週間で来るところと、返事が来るのに半年も掛かる国もありましょうから、外務省でいろいろ、政府側でかかわった経験から、従来の経験からしてもばらばらですから大変なんだろうなと思うんです、所定のものをきちんと整えるのに手間が掛かるというのは。だけど、二、三年というのは、手間取るだろうなと予測していましたけれども、思った以上に時間が掛かっているなという気は否めません。
 やっぱり、こうやって関連国内法をたとえ一行といえども改正して、オールカマーで世界中やっていきましょうという決意表明を日本政府がするからには、実態的にできるだけ速やかに、やってよろしいというものに関してはできるだけ速やかに実施するのが望ましい、その改善の努力というのが望まれると思いますが、その点のお考えを確かめておきます。
#74
○国務大臣(千葉景子君) もう委員がよく本当に難しさを御指摘をいただきました。
 確かに相手国の様々な手続あるいは考え方もあろうかというふうに、手続上のですね、あろうかというふうに思いますが、やはりでき得る限り母国に戻ってしっかりと責任を果たしてそして更生を果たすと、こういうことが大変重要なことでもありますので、これからもできるだけ関係機関とも連携を図りながら早期にやはり送り出し、それから受入れ、こういうことが実施できますように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#75
○浅野勝人君 無理無理質問をつくってただして終わっちゃったんですが、まだ七、八分あると。やっぱり時間は埋めぬと務めとしていけませんから。
 本当は、大臣、これから僕は議論したいことは枝野大臣とか仙谷大臣と議論すべきで、法務大臣と議論するのは、質疑するのはいかがかなと思うんですけれども、法の番人とか法解釈という立場においでになるという意味でちょっと一点だけお考えを伺わさせていただきたいと思います。
 いよいよ注目の事業仕分が華々しく展開をされるように承知をしております。私は大変意味のあることだと思っているんです。政権浮揚の手段みたいな、やり方についていろいろ様々な議論があるようですけれども、三、四日前も論文が一本六千万円だとか、それから、まだわたりもいっぱいあるということがあるらしくて、やっぱりこの事業仕分というのは意味があって、自公政権の中で分からずに、そういうことを分からずに来てしまったのか、分かっていながら目をつぶっていたのか、様々な思いがあるだけに真剣に取り組んでいくということは大事な側面だと思っているんです。
 思っているんですが、重要であるだけに私は法的根拠その他についても様々な思いがありまして、まず一点、事業仕分というのは政府と民主党が政治主導を具現化する行政及び政治上の代表的な公的行為と解釈してよろしいですか。
#76
○国務大臣(千葉景子君) 当然のことながらですけれども、やはり公的な位置付けをさせていただかなければ、このような行為といいましょうか活動というのはできるものではないというふうに思いますので、基本的に公的な行為というふうに私は考えるものだというふうに思います。
#77
○浅野勝人君 だろうと思います。
 そこで、事業仕分というのはどのような法的根拠に基づく権限によって行われると法務大臣はお考えになっておりますか。特に、これに参加する国会議員の場合は、院内での発言は一切罪に問われない旨憲法が保障していますが、事業仕分の現場での発言はどういう扱いになるんですか。それと、もう一つ最後に、民間人の権限は何によって担保されると法務大臣はお考えですか。
#78
○国務大臣(千葉景子君) 私も改めてちょっと検討させていただいたというか、どういう形で法的には位置付けられるかということを考えさせていただきました。
 この事業仕分を実施する行政刷新会議、これは平成二十一年九月十八日に閣議決定された行政刷新会議の設置について、これに基づいて設置をされておりますので、基本的には閣議決定ということになるのだろうと、法的な根拠は。それは、更にさかのぼると、内閣法の四条一項で、内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとすると、こうなってございますので、この内閣法四条一項に基づき閣議決定をした上でこの行政刷新会議が設けられ、そしてその行政執行として事業仕分ということが実施をされているというふうに私は解釈、理解をしているところでございます。
 また、事業仕分に参加をしている民間の有識者の方々でございますけれども、これは評価者、よく仕分人という言い方をされておりますけれども、結局、行政刷新会議での了承に基づいて議長たる内閣総理大臣が指名をしていると、そしてこのときの様々な評価とかあるいは発言については、これは各評価者の意見表明ということで、法的な拘束力を持つものではないというふうに理解をされるものだと思います。
#79
○浅野勝人君 終わります。これは真剣に議論を、この辺りの一体、事業仕分に伴うその団体の損害の発生とか個人の名誉とか様々な問題に対する担保がどうなるかというふうな議論を始めたら、一時間も二時間も枝野さん、仙谷さんとやるテーマですから、ここでやるテーマでは主体的にはないと思っていますが、真剣に法の番人としての立場からお答えをいただいて、この限りにおいて了とさしていただきます。
 ありがとうございました。
#80
○風間昶君 公明党の風間ですけれども、何点か、同じ議論になるかもしれませんけど、確認をしたいと思います。
 平成十四年のこの国際受刑者移送法に関する法案の審議に附帯決議が付けられておりまして、第一項目に、「外国で服役している受刑者のための国際受刑者移送制度が、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の促進に資することにかんがみ、アジア諸国等に本制度の導入を働き掛けるとともに、諸外国の刑事法制の調査、法整備支援の拡充に努める」という決議がなされておりますけれども、その一環として、本来ならCE条約で進めていく話であったけど、タイ自身がCE条約に加盟していないことから二国間のものになったと思いますけれども、じゃ、今後、先ほどは非締約国の中国、ブラジルの話が大臣からございましたけれども、それ以外に、今後の条約締結に向けての言わば法務省サイドで考えている、実際は交渉は外務省がやるんでしょうけれども、法務省が今考えていらっしゃる締約先国あるいはスケジュール観というのを教えていただければ有り難いと思いますけれども。
#81
○国務大臣(千葉景子君) 現在のところで個別にどことという、是非というところまでには方針を固めているものではございません。しかし、できるだけ多くの国との間で、とりわけお互いに受刑者等が多い国などについては積極的に検討をしていかなければならないと私も指示をさせていただいているところです。
 まずは、今もう何とか締結交渉間近に大分見えてきたという中国ですね、これについてできるだけ力を入れ、それを仕上げてから、さらにまた次へ力を入れていきたいと、こんなことを考えているところでございます。
#82
○風間昶君 そういう意味では、非締約国の最も多い受刑者を抱えている中国のお話がありましたけれども、今回は二番目に多いタイとの条約部分の議論ですけれども、その次に多いのはフィリピン、それからインドネシアなんですけれども、ここについては今のところ全く考えていらっしゃらないということで受け止めていいんでしょうか。
#83
○国務大臣(千葉景子君) 考えていないというか、具体的に何かの話合いとか、あるいはそういう緒に就いているという状況にはないということでございます。
#84
○風間昶君 先ほど附帯決議を読ませていただいたのは、「アジア諸国等に本制度の導入を働き掛けるとともに、」という、まさにこれ、日本がやらないと向こうからはやってくる話じゃ全然ないと思うんです。だから、あえて多いフィリピン、インドネシアに対してはどうなんですかと伺ったんですけれども、どうでしょうか。
#85
○国務大臣(千葉景子君) その認識は私も風間委員と同様でございます。待っていてやってくるものではないというふうに思いますので、それぞれ関係機関、外務省等々にも是非積極的に、とりわけアジア諸国、受刑者などが多いところとの何らかのきっかけをこれからつくっていくように私も要請を強めてまいりたいというふうに思います。
#86
○風間昶君 それから、平成十四年のときの審議のときも議論になりましたけれども、十四歳未満の人たちに対する受入れ移送の問題でありますけれども、今回は十四歳以上となっていますから全く十四歳未満入っていないわけでありますけれども、現実に諸外国では十四歳未満の受刑者がいないということもあるようでありますし、現実的でないかもしれませんが、しかし、これだけグローバル化が進んで、多くの日本人が海外を訪問する機会が増えていく中で、全く可能性がないというわけではないというふうに考えて私はいるんですが、万が一海外で十四歳未満の受刑者が出た場合に、それから日本はどうするのかと考えるのでは遅いんじゃないかと私は思うんですが、ここの部分について議論をすべきだと思いますが、どうでしょうか。
#87
○国務大臣(千葉景子君) これも委員が御指摘のとおりだというふうに私も思います。
 我が国の刑事法制では十四歳未満の者が刑を科せられないということですから、当然のことながら刑事施設に収容されることはありません。ただ、国際的に諸外国を考えれば、必ずしも、同じかどうかというのは、すべてそうではないところもあろうかというふうに思います。
 ただ、やはり我が国とすれば公権力の行使の在り方として十四歳未満の少年を何らかで収容するというのは相当ではないというふうに考えておりますので、刑の執行の共助だということであっても、我が国において十四歳未満の者がいて、仮にですね、それを受入れ移送をして刑の執行を刑事施設で行うということは相当ではないと、そういう基本的な立場で対応していくべきだというふうに思っております。
#88
○風間昶君 次に、受入れ移送の実績で、日本から海外に送る送出移送の方は先ほど大臣の方から百六十九名というお話がありました。逆に、海外から日本に受刑者を受け入れる受入れ移送は二名ということでございました。
 そもそも、海外における日本人受刑者の人数が少ないということもあるわけですけど、何でこのようになっているのかということについては、先ほど大臣から通知の問題、内容の告知の問題と絡めての御答弁がありましたけど、外務省的には、まずは、なぜこのような人数にとどまっているのかということと、海外にいる日本人受刑者が円滑に移送されるような対応をどう取っていくのかということを、済みません、わざわざおいでになっていただきました外務省の政務官に伺いたいと思いますけれども。
#89
○大臣政務官(吉良州司君) まず最初の御質問でございますけれども、人数的に海外で受刑している人の数が少ないということと、日本で外国人が受刑している数が多いということでございます。
 そして、二点目につきましては、我が国としましては、領事面会等を通して、(発言する者あり)あっ、失礼、済みません、もう一回ちょっと、今二番目の方の質問、大変失礼いたしました。
#90
○委員長(松あきら君) 風間昶君、じゃ、もう一度。
#91
○風間昶君 海外にいらっしゃる日本人受刑者が円滑に移送されるような対応をどのように取っていらっしゃるんですかと聞いているんですけど。
#92
○大臣政務官(吉良州司君) 大変失礼いたしました。
 やはり、領事面会等を通しましてまず本制度に対する通知を行っております。御承知のとおり、CE条約上は通知をする義務はその裁判国側にあるわけですけれども、我が国は、自発的にガイドライン、日本語で作成しましたガイドライン等を受刑者にお見せをし、きちんと丁寧に説明をして、この制度の通知、周知に努めておるところでございます。そういう形で便宜を図っているのが我々外務省の実態でございます。
#93
○風間昶君 もう一つ、済みません、政務官にお伺いしたいんですけれども、先ほど千葉大臣からもタイ自身が受刑者移送条約を締結している国が述べられましたが、その通知についてはほとんどの国が努力義務だということでありました。
 私が伺いたいのは、外務省の資料からタイ自身が条約を締結している国は二十七か国と、それで、CE条約に加盟していなかったということに対して、衆議院でも三月の末に、独自の基準をタイは有しているからだという御答弁がございました。それはそれでいいとして、じゃ、そういうことで今後不都合が起こってくる可能性はあるのかないのかということがどうなのかなということを是非お伺いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
#94
○大臣政務官(吉良州司君) 御指摘のとおり、努力義務というふうになっておりますけれども、委員御指摘のとおり、タイ自身が他の二十七か国と締結した受刑者移送条約について通知は裁判国の義務とはなしていないということに加えて、受入れ国にも一定の役割を担うという規定を設けてございます。
 今回、我が国としては、CE条約に近い規定を盛り込むべく数度にわたって交渉いたしましたけれども、タイ側として自国の制度、そしてタイが二十七か国と締結している条約を重視するという姿勢が壊れませず、我々としては最終的に努力義務ということを受け入れた次第でございますけれども、実際問題としては条約の趣旨を損なうものではないというふうに判断をしております。それは、最大限の努力を払うと、今言った交渉の過程において、向こうが最終的に義務としなかったけれども最大限の努力を払うということを盛り込むことに成功しております。
 ということで、実態面においてはこの条約の趣旨に反することはないと、このように理解をしております。
#95
○風間昶君 そうすると、分かりやすく言うと、あれでしょうか、今後、今CE条約に我が国は加盟しているわけでありますけれども、加盟してない国とは二国間の移送条約を結んでいくという二本線でいくというふうに考えているんでしょうか。しかも、今の政務官の御答弁ですと、二国間の部分についてはできるだけCE条約に近いような条件といいましょうか、最大限の努力を払うという、この二本線でいくという基本的な考え方でいいんですか。
#96
○大臣政務官(吉良州司君) 実際この条約というのは、本当にまず必要性があるかどうかという判断が必要だというふうに思っておりますけれども、必要性があると判断した場合には、日本国政府としては、できればCE条約の内容に近い、また相手国がCE条約に入ってくれることが望ましいという立場でございますけれども、どうしてもこのタイのようにCE条約そのものを受け入れることはできないという国については二国間での交渉を進めてその必要性にこたえていくと、こういう立場でございます。
#97
○風間昶君 そうすると、先ほど浅野委員からの質問と関連しますけれども、いわゆる非締約国で最も多い中国についても二国間でいく形で今交渉が、三回目の条約締結の交渉の前交渉といいましょうか、そういうお話でありましたけれども、ブラジルについてもイランについても同じように考えていってととらえていいんでしょうか。
#98
○大臣政務官(吉良州司君) 今委員御指摘のとおり、まさに中国とは締結交渉を始めたところでありますし、ブラジル、イランとも予備的な協議を始めたところでございまして、今御指摘の点については、今後、相手国との協議の内容次第ということになろうかと思います。基本的な立場は先ほど申し上げたとおりでございます。
#99
○風間昶君 委員長、政務官もう結構でございます。
#100
○委員長(松あきら君) 吉良外務大臣政務官は御退席いただいて結構でございます。
#101
○風間昶君 タイ国内での日本人受刑者に対しての通知の担保をどのようにしていかれるのか。先ほど大臣は通知の徹底をさせたいとおっしゃいましたけれども、ちょっとどうも具体的ではない。それは決意だけでありますので、具体的にはどのようにされるんでしょうか。
#102
○国務大臣(千葉景子君) これは今外務省の方での答弁がございましたけれども、同じようなことになろうかというふうに思いますけれども、具体的には、やはり在外公館を通して受刑者移送ガイドライン等々、分かりやすい日本語で記載をされたそういうものをきちっと手渡すと、こういうことなどを確実に行っていくということがまず第一であろうというふうに考えております。
#103
○風間昶君 日本国内のタイ人受刑者の対応、今はタイ国内での日本人受刑者の話を聞きましたけど、日本国内にいらっしゃるタイ人受刑者への対応については、これはCE条約の受刑者と同じように通知を行うんですか。
#104
○国務大臣(千葉景子君) これもできるだけ、努力義務ではございますけれども、これも積極的にきちっと告知をし、そして受刑者が分かるようにしていく必要があるというふうに考えております。CE条約と同じような取扱いということと考えていただいて結構だと思います。
#105
○風間昶君 我が国の移送法というのは、一定期間の刑の執行を送出要件にはしておりませんよね。でも、タイは、国内法では執行済刑期が言渡し刑期の三分の一未満又は四年未満である場合は移送されないということがあります。したがって、こう違うわけで、そうなると、タイにいる日本人受刑者は、タイの国内法の規定によって我が国の移送に時間が掛かってくるおそれがあるわけであります。
 こういう状況下で見ますと、日本人受刑者の社会復帰のためにも迅速な移送を、幾らタイがそういう状況だとしても、タイ側にこちらの状況もかんがみていただけないかということを含めたタイ側に働きかけ必要じゃないかと思うんですけど、そこは具体的に、技術的な問題なんでしょうけど、どういうふうにされますか。
#106
○国務大臣(千葉景子君) この国際受刑者移送制度というものの意義を考えますときに、移送国において最低限服役すべき期間を定めてあるとしても、それがよっぽど著しく長期にわたるものでない限りは基本的には許されるものだというふうには思います。
 しかし、先生の御指摘のとおり、これが社会復帰やあるいはこれからの生活、改善更生、こういうものに寄与をするということを考えるときには、できるだけやはり迅速に、早期にこの移送が実施されていくというのが望ましいというふうに思っております。
 ただ、なかなかこれは制度的にということはいきませんので、何しろ、要請があり、それから申出、こういうことができる時期になりましたら、迅速に事務的な手続などを進めて、この趣旨ができるだけ早期に実行できるように努めていきたいというふうに思います。
#107
○風間昶君 分かりました。
 ちょっと法案と直接関係ありませんが、でもリンクしますので伺いますが、来日外国人の受刑者の大部分は、先ほど三千何十人という、多い、しかもほとんどは未締結国、非締約国であります。相当、ですから、各国と条約を締約するまで時間が掛かりますので、そうなると、多くの非締約国の外国人受刑者の処遇、要するに矯正の役割というのは非常に重要なものになると思うんです。
 そういう意味では、一つ目は、刑務作業がありますが、これは、刑期が終わって社会復帰したとしても、それが外国となると、刑務作業を行ったとしても効果は疑問であるという意見があります。その意見についてどういうふうに考えているのかが一つ。
 もう一つは、来日外国人受刑者の仮釈放については、その他の受刑者と比べて仮出所率高いのは御案内のとおりでありますけれども、仮釈放も早期に認められる傾向にあるというふうに聞いていますけれども、その理由について伺いたいと思います。
#108
○国務大臣(千葉景子君) 私も、風間委員の御指摘のことについては、確かに外国人受刑者に刑務作業、どういう意味があるんだということ、考えるところはございます。
 ただ、これまでも一般的にこの刑務作業の意味とそれから効果、これは例えば、やはり規律ある生活、そういうものを身に付けるということもございますし、共同生活、こういうものへきちっと順応していく、対応できるようなそういう力をつくっていく、あるいは勤労意欲の養成、こういうことなどが挙げられております。そういう意味ではなかなか、もう一つ職業的な知識あるいは技能の習得というようなこともあるんですけれども、これはなかなか外国人の皆さんに直接当てはまるかどうかというのは疑問のところもあるかもしれません。
 しかし、先ほど申し上げましたような規律とかあるいは共同生活あるいは勤労意欲、こういうものを高めていくというようなことなどには、私はやはり相応の効果があるものだというふうに思いますので、刑務作業を全くなくするということにはならないだろうというふうに理解をいたしたいと思っております。
 それから、お話がございました仮釈放率なんですけれども、必ずしも外国人に高いということではございません。
 例えば、特に外国人の場合にはほとんどが結局犯罪を犯して処罰をされると強制退去になりますので、大体が初犯という、そういう実情もございます。それから、そういう意味では犯罪傾向が進んでいないというふうに見られるわけでございますので、そういう意味で、多少他の一般的な受刑者と比べますと仮釈放率が高い傾向にはあるかというふうには思いますけれども、こういう理由を考えますと、必ずしも、特段に外国人だからということで仮釈放率が高いというよりは、そういう初犯であるとかあるいは犯罪傾向がまだ進んでいない、こういうことによって日本人の場合と同じように判断をされている、結果的に多少高いということではないかというふうに思います。
#109
○風間昶君 時間なりましたので終わります。
#110
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 国際受刑者移送法の一部改正案は、私ども賛成でございます。
 法の基本的考え方について大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、外国人による犯罪を我が国が我が国の法に基づいて裁き刑罰権を行使するというこの国際法的な根拠、考え方というのは、そもそもどんなものなんでしょうか。
#111
○国務大臣(千葉景子君) これは、基本的には刑罰権の行使というのは、その主権に基づくものというふうに理解をされるというふうに思います。それに基づいて我が国では刑法第一条第一項において属地主義を取り、この法律は日本国内において罪を犯したすべての者に適用するという規定を設けているところでございます。そういう意味で、基本は、国の主権に基づいて刑罰権が行使をされると、ここに根拠があるというふうに考えております。
#112
○仁比聡平君 そこに関連して、米兵犯罪に対する第一次裁判権放棄のいわゆる密約についてお尋ねしたいと思います。
 二〇〇八年にアメリカの公文書館でアメリカ政府解禁文書の中から発見されました一九五三年十月二十八日付けの日米合同委員会の裁判権分科委員会刑事部会の秘密議事録に、日本側部会長の声明があります。この声明には津田實氏の署名がありますけれども、この方は当時の法務省刑事局総務課長で、日米地位協定の前身である日米行政協定を所管していたという方ですね、大臣。
#113
○委員長(松あきら君) 加藤法務副大臣は御退席いただいて結構でございます。
#114
○国務大臣(千葉景子君) そのとおりでございます。
#115
○仁比聡平君 その声明には、私は、政策の問題として、日本の当局は通常、合衆国軍隊の構成員、軍属、あるいは米軍法に服するそれらの家族に対し、日本にとって著しく重要と考えられる事件以外については第一次裁判権を行使するつもりがないと述べることができると述べられているわけです。
 加えて、外務省による核密約の調査の結果として、一九五八年十月四日付けの会談録が明らかになりました。これは、当時の岸首相、藤山外相、そしてマッカーサー駐日大使の会談の記録ですけれども、その中でマッカーサー大使は、先ほど御紹介した五三年十月二十八日付けの声明の存在に触れて、これを公にして差し支えないなら甚だ好都合だと求めたけれども日本側は断ったというものです。
 こうして見ますと、五三年十月二十八日付けのいわゆる秘密議事録の存在は明らかだと思いますけれども、大臣、いかがですか。
#116
○国務大臣(千葉景子君) これ、率直に言いまして、そのようなものが御指摘をされているということは承知をしておりますが、五十年以上になる話でございます。この議事録等についても、今調べてはおりますけれども、私ども法務省当局の元には全く見当たらないといいますか、存在をしていないという今の状況でございます。そういう意味では、そういうことが御指摘はされていることは重々分かりますけれども、何とも、存在しないというものなものですから、内容を確認するとかそういうことはいたしかねるというのが現状でございます。
#117
○仁比聡平君 今の大臣の御答弁を伺っても、そうした記録が作成されたということは否定をできないのだと私は思うんですね。その意味では、前政権がこうした密約はないことは明らかだとおっしゃってきた答弁とは今の大臣の御発言も違うのだろうと私は受け止めているんですが。
 これ、大臣、今見当たらないというお話でしたが、破棄したという証拠は何かありますか。
#118
○国務大臣(千葉景子君) 全くそれも、調査をしている今の現状の中では、ございません。いずれにしても、何とも現時点では、この五十年の期間の間にどういうことがあったのかということももう既に分からない部分も多々ございますので、何とも申し上げようがないというのが現状でございます。
#119
○仁比聡平君 一九五三年といいますのは、それまでの米兵犯罪の裁判権はすべて米軍側が握るという、その治外法権の日米行政協定十七条の改定交渉の時期です。
 一九五三年の十月七日付けの法務省刑事局長が発した行政協定第十七条の改正についてという通知がありますが、これは今日も有効でしょうか。
#120
○国務大臣(千葉景子君) これは現在も有効に継続をしております。
#121
○仁比聡平君 この通達の中に裁判権の行使についてという項目がありまして、ここには、差し当たり日本側において諸般の事情を勘案し実質的に重要であると認める事件についてのみ第一次の裁判権を行使するのが適当であるという規定があります。こう規定した理由は何ですか、大臣。
#122
○国務大臣(千葉景子君) こう規定した理由というのは私も分かりませんけれども、この局長通達のまず、もう御指摘がありましたけれども、概要は、今お話があったように、米軍事件に対する裁判権の行使について、日本側において諸般の事情を勘案し実質的に重要であると認める事件についてのみ第一次の裁判権を行使するのが適当であると記載をされております。
 この通達の中で、実質的に重要でないと考えて差し支えないという事件としては、例えば、一般の標準に従って起訴猶予の処分を相当とするようなもの、それから、米国の軍法に服する家族が犯した犯罪で、その被害法益が全く日本国及び日本国民に関係のない事案等、実質的に見て、日本側において起訴を必要とする程度に重要であるとは認められない事案を例示をしております。
 こういう意味では、この通達というのは、起訴、不起訴について検察官が言わばどのような訴追裁量権を行使するのかということの指針を示しているのだろうというふうに思います。
 考えてみると、起訴猶予の問題、それから米国人相互のある意味では犯罪というようなことを示しているわけでございまして、これは、考えてみると、今現在でも、それからその当時でも、一般の刑事手続の運用としても至極当たり前というか、それをより一層明確に示したものではなかったのかなというふうには私は理解をいたしております。
#123
○仁比聡平君 今の大臣の御答弁は全く私は論理的にも理解がならないし、五三年以降の実際の運用の実態を見て、国民的に全く理解できないのではないかと思います。
 この規定の趣旨について、この同じ通達の文書の中にこうありますよね。第一次の裁判権の行使については、日本国に駐留する合衆国軍隊の地位並びに外国軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する国際先例にかんがみその運用上極めて慎重な考慮を払わなければならないものと思慮すると。これが先ほど御紹介した部分の趣旨として文書上記載があるわけですけれども、この日本国に駐留する合衆国軍隊の地位というのは、これはどういう意味ですか。
#124
○委員長(松あきら君) 千葉大臣、よろしいですか。
#125
○国務大臣(千葉景子君) ちょっと、御質問の趣旨でございますけれども、地位についてということでしょうか。ちょっと……
#126
○委員長(松あきら君) もう一度。じゃ、もう一度、仁比聡平君。
#127
○仁比聡平君 第一次裁判権が行政協定の改定によって日本側にあることになるわけですね。それまでは米軍が全部持っていた、握っていたと。第一次裁判権を日本側が有することになるんだが、その運用上極めて慎重な考慮を払わなければならないと思慮すると刑事局長は通達しているわけです。
 なぜ、せっかく裁判権があることになるのに、極めて慎重な考慮を払わなければならないとか、第一次裁判権の行使はこういう場合に限るんだというふうに言うかという理由として、日本国に駐留する合衆国軍隊の地位というのを理由に挙げているわけですよね。米軍だから慎重に考慮をしなければならないんだということじゃありませんか。違いますか。
#128
○国務大臣(千葉景子君) 適切なお答えになるのかどうか、私もちょっと十分にお答えできるものではありませんけれども、多分、この第一次の裁判権の行使については、日本国に駐留する合衆国軍隊の、今おっしゃったような地位とか、あるいは外国軍隊に対する刑事裁判権の行使、こういうものが国際先例等にかんがみて大変重要なものだと、慎重に考慮を払わなければならないということから言われていたものではないかというふうに思います。そういう意味では、合衆国軍隊といいましょうか、いわゆる外国軍隊ということに基づいて慎重な配慮をすべしというふうに指摘をされたものだというふうに思います。
#129
○仁比聡平君 そうしますと、前の政権は、密約はないという理由として、あるいは意味合いとして、日本人による事件と米軍構成員による事件とで起訴すべきか否かの判断に差はないと、そうした答弁もしてきたことがあるんですけれども、これは合衆国軍隊の地位にかんがみて慎重な考慮を払うというようなことを日本人に対してするはずはないわけですから、前の政権が言ってきたのとはこれは大臣がおっしゃっているのは違いますよね。
#130
○国務大臣(千葉景子君) これは、前の政権のおっしゃっていた、あるいは認識されていたことと違うか同じかはこれは私は分かりませんけれども、今申し上げましたように、この当時、要するに外国軍隊ということにおいて裁判権の行使については慎重な配慮をしなさいと、こういうことと認識していたものだというふうに思います。
#131
○仁比聡平君 時間なくなりましたから今日はここで終わりますけれども、問題は、これはもう大臣重々御承知のように、米兵犯罪の被害者の人権や独立国家としての我が国の主権よりも、軍の論理、米軍の論理を上に置いて、国家刑罰権の行使の代表である日本の捜査機関が米軍に屈してきたのではないのかという、そういう重大な問題なんですよね。
 この点についてこれからこの当委員会でも取り上げていきたいと思っているんですけれども、先ほどの五三年の十月二十八日付けの秘密議事録を始めとしたこの第一次裁判権の不行使あるいは放棄の問題についての議事録、五三年以降の記録を、これ大臣、責任を持って徹底して調査をして公表するべきだということを強く求めて、私の質問を終わります。
#132
○委員長(松あきら君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国際受刑者移送法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#133
○委員長(松あきら君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○委員長(松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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