くにさくロゴ
2010/06/01 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第14号
姉妹サイト
 
2010/06/01 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 法務委員会 第14号

#1
第174回国会 法務委員会 第14号
平成二十二年六月一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     友近 聡朗君     前川 清成君
     森 まさこ君     秋元  司君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     秋元  司君     森 まさこ君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     神本美恵子君
     前川 清成君     松浦 大悟君
     福島みずほ君     近藤 正道君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     簗瀬  進君     川合 孝典君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         松 あきら君
    理 事
                今野  東君
                松岡  徹君
                森 まさこ君
                風間  昶君
    委 員
                石井  一君
                神本美恵子君
                川合 孝典君
                中村 哲治君
                平田 健二君
                松浦 大悟君
                浅野 勝人君
                松村 龍二君
                丸山 和也君
                仁比 聡平君
   国務大臣
       法務大臣     千葉 景子君
   副大臣
       法務副大臣    加藤 公一君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中村 哲治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 本日までに、友近聡朗君、福島みずほさん、千葉景子さん及び簗瀬進君が委員を辞任され、その補欠として松浦大悟君、近藤正道君、神本美恵子さん及び川合孝典君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(松あきら君) 理事の補欠選任についてお諮りをいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松あきら君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に森まさこさんを指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(松あきら君) 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○森まさこ君 おはようございます。自民党の森まさこでございます。よろしくお願いいたします。
 本日、初めに、先日、五月十四日の決算委員会で時間切れになってしまった件について、まず初めにお伺いをさせていただきます。
 地方法務局の廃止、統合についてですけれども、福島県の二本松出張所並びに須賀川出張所が、これが郡山と福島の法務局に廃止、統合される件でございます。これについて、手続面と内容面、両方とも疑問がございますので質問をします。
 これは、一月の十二日、今年の一月に突然福島地方法務局長がこの廃止、統合の対象となる二本松市安達地方と須賀川市石川地方の市町村を訪れて、一方的に説明や相談もなく廃止、統合をすると、その期限が二十三年の三月だという、ほぼ一年後ということを通告しました。これに対して各市町村は、二月中に電話等で問い合わせをしたり、それではらちが明かず三月になって福島地方法務局を訪問したりして、それでも課長、係長には会えたんですけれどもなかなか局長に会えないという中で、四月の二十日になって私のところに陳情にいらっしゃいました。そこで、私が法務省の方に問い合わせをしましたら、八日後の四月二十八日に一年延期しますという回答が参りました。私は、これは一年延期をするという先送りでは解決できない問題だと思っております。
 そこで、法務大臣の方に、この廃止、統合についてのまず一般的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#7
○国務大臣(千葉景子君) この法務局の登記所の統廃合という問題は、それぞれの地域の皆さんの生活等にかかわる、権利義務関係にもかかわることでございますので、皆さんからも大変関心を持っていただいているということでございます。
 この登記所の統廃合につきましては、利用者である国民の皆さんの利便は十分に考慮しながら行政の効率化を図っていくということで、現在、平成七年に策定された民事行政審議会の基準にのっとって全国で登記所の適正配置を実施をしていると、こういう現状でございます。
 具体的には、原則としては、一つの広域市町村圏に一つの登記所を設置する、登記申請件数が一万五千件未満の登記所又は隣接登記所への所要時間がおおむね三十分以内の登記所を統合するという考え方に、基準にのっとってこの適正配置を実施をしているということでございます。
 ただ、登記につきましては、登記の申請とかあるいは登記事項証明書等の送付請求、こういうことが必要になりますが、オンラインやあるいは郵送等も可能でございますので、こういうことをできるだけ十分に活用をしていただきながらこの適正配置の推進を進めていくと、こういう形でございます。
 しかし、地域の皆さんにとっては大変いろんな影響がございますので、そういう不便をお掛けしないように、あるいは利便を何とか維持をしていくというところは、これからも努力をして代替サービスなどを充実をしていくということを考えていかなければならないと、こう考えて進めているところでございます。
#8
○森まさこ君 手続面に関しては、今大臣が引用された、平成七年七月の民事行政審議会から法務大臣に提出された適正配置に関する答申の中でも、登記所の適正配置の実施に当たっては、地域の自然的地理的諸条件や社会的経済的諸条件などの地域の実情を十分留意するとともに、地域住民へは十分説明し、その意見をできるだけ尊重すべきというふうに記載をされております。地域の方でいろいろと努力をした中でなかなか意見が聞いていただけなくて私のところに来て、国会議員が問い合わせたら一年延期しますという回答が来たということを私は大変残念に思っておりますので、どうぞ大臣が御指導をしていただいて、地域の方々とコミュニケーションを取っていただいてその実情を聞いていただくということを、まず手続的な面をお願いしたいと思います。
 次に、内容なんですけれども、果たしてこれが廃止、統合に適しているかという点でございますが、確かにこれ行政改革というのは大事でございます。やはりこの審議会の答申の後に出されました閣議決定、平成八年の閣議決定の中でも、行政改革プログラムと題して簡素で効率的な行政の実現とうたわれておりますが、それと同時に、国民に対する質の高い行政サービスという要請についても書き込まれてございます。
 それを受けて役人の方々が私に対して説明をしてくださったには、閣議決定があるから、審議会の答申があるからということでございましたけれども、よくよくこの審議会の答申の基準を見てみますと、登記申請件数が一万五千件未満であると、年にですね。それから、隣接登記所への所要時間がおおむね三十分以内ですという、二つの要件のいずれかに該当する場合というふうになっております。
 ところが、今回統廃合が予定されております須賀川出張所については、年に一万五千件以上の登記事件数がございますし、それから、三十分以内で新しく統合先となる郡山へ行ける市町村というのは非常に少のうございます。例えば古殿町などは一時間弱ぐらい古殿町の中心からも掛かるということで、また、もっと郡部の方に行くともっと時間が掛かるわけでございますので、この二つの要件を満たしているかということさえも怪しいわけでございます。この辺もやはり地域住民の話を聞いてみないと、机上の計算では基準を満たしたことになってしまうのかもしれませんが、その辺を十分にお聞き取りを願いたいなと思っているわけでございます。
 さらには、この審議会の基準については先ほどの要件だけ法務省が紙にまとめておりますが、初めは、私のところに審議会の答申、持ってきていただけませんでした。私の方で調べまして、審議会の答申の本文をよくよく読んでみますと、その二つの要件を仮に満たした場合であっても、やはり地域の住民の生活圏の状況でありますとか、それから交通の便でありますとかいったことを配慮して決めるようにというふうになっております。この地域、特に交通の便が悪く、やはり道路状況も悪いということがございます。
 それから、この答申が出されたのは平成七年と大分前でございますが、ここの答申の前文のところに書き込まれている状況として、司法書士や土地家屋調査士が市民の代行することが多くなってきたのでという理由が書き込まれているんです。
 ところが、今福島県のこの地域では司法書士、土地家屋調査士さんに頼める場合というのが非常に少ない。地理的な条件が一つ、それからもう一つは経済的な条件です。企業の方々も、今不景気でございますので司法書士さんに頼むと費用が掛かるということで、自分の会社の社員が法務局又は出張所に赴いてそういった実務をするという状況になっております。そういった前提からしてまた違っているという状況がございます。
 また、答申の中には同じようなサービスとしてハローワークや税務署が掲げられておりまして、それと同じような単位で行政改革を行っていくということが書いておりますが、実はこの須賀川地方はハローワークの統合は昨年見送られたという経緯がございます。これをやはり須賀川のハローワークを郡山に全部統合してしまうと地域住民の利便性を著しく害するということで、須賀川のハローワークは大変規模は小さくいたしました。そして、機械なども導入いたしましたけれども、全部廃止するということはなくしてやはり残して、行政コストの削減もしながら住民の利便性にこたえていくと、そういう選択をいたしましたので、そういった例もやはり見ていただいて、廃止をするのに適当かどうかということを考えていただきたいと思うのでございます。
 また、地域圏を分割して、先ほどの二本松の方は福島と郡山に二つに分ければいいではないかというようなことを役所の方で言っているようでございますが、この二本松安達地方は一つのやはり地域圏として活動しておりますし、ほかの行政サービスもそこで一体としてなっている中、法務局のサービスだけ二つに分けるということは、例えば企業を誘致するときに、企業さんが法務局を使うというそういう利便性の上でも支障が出てきますので、そういった地域圏のことについても御配慮をいただいて、もう一度これを見直しして、そして撤回をしていただきたいというふうに強く要望をいたします。
 大臣の御見解を最後にお聞かせいただければと思いますが。
#9
○国務大臣(千葉景子君) 先ほど、まず手続の問題も御指摘がございました。
 手続については、基本的に関係市町村、あるいは関係する司法書士会あるいは土地家屋調査士会、あるいはいろんな関係者、そういう皆さんに、約一年くらい先のことですね、実施は一年くらい先を考えつつ、一年前には案をお示しをし、考え方をお示しをし、説明をしながら御意見をちょうだいをし、そして適正配置、納得をいただきながら進めているということでございます。
 そういう意味では、突然ということはそこがスタートだということになろうかというふうに思います。こういう手続を進める中で、いろいろな地域の事情、あるいはその基準に当てはまるとしても、いろんな生活圏の問題等々も併せて協議をさせていただくというやり方をこの間進めていると承知をしております。
 確かに、なかなか距離とかは難しいですね。おおよそその中心地とその登記所との距離、これが三十分以内というおおよそで考えますので、広いエリアですと、この一番北側のところと登記所、あるいは一番南側のところと登記所と、こういうことを考えると、必ずしもぴったりとその三十分というものに当てはまらない部分もあろうかというふうには思います。ただ、平均して利便を損ねないようにと、こういうことで進めさせていただいているということでございますし、御指摘がありましたように、場所によっては、例えば近い方の登記所、二つある近い方の登記所に統合すると、こういう、分けて別々に統合するということも全くないわけではないというふうに思います。
 いずれにしても、今この問題につきましては、現地それぞれの関係の皆さんにお示しをし、説明をしているということでございますので、十分にその御意見をちょうだいをしながら手続は進めてまいりたいというふうに考えております。
#10
○森まさこ君 是非よろしくお願いします。
 次に、本法案の質問に入りますけれども、特に消費者契約の部分について質問をいたします。
 前にも委員会で取り上げたことがある事故を例に取りますけれども、二〇〇〇年にオーストリアのカプルンでケーブルカーの火災事故が起きました。福島県の猪苗代町の中学生、スキー合宿に行った中学生たちを含む日本人十人が亡くなった、全体では百五十五人が亡くなったという大きな鉄道火災死亡事故でございます。
 このように、大臣、一般論でお答えいただきたいんですけれども、海外で鉄道事故が起こったと、これが鉄道乗車契約等の消費者契約の違反ということが争点になり得る場合について、海外の鉄道会社、事業者に対して日本人が、日本に今住所を持っている者が訴訟を提起できるようになるというのが本法律だと思います。消費者、大変に弱い立場でございますから、海外で訴訟するのが大変な負担がございます。大変すばらしい法案だと思っていますが、過去の事件についての適用はどうなっているかということについてお伺いしたいと思います。
#11
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のように、消費者から事業者に対する訴え、消費者契約につきましては、締結時又は訴えの提起時に消費者の住所が日本国内にある場合には日本の裁判所に提起が可能だということでございますので、過去の消費者契約違反、こういうものであっても、訴訟を提起するときに消費者の住所が日本にございますれば訴訟を提起することは可能でございます。
#12
○森まさこ君 ありがとうございます。
 過去の事件であっても、訴訟提起時に消費者の住所が日本にあれば訴訟が提起できるということが確認できました。
 このような消費者契約について、今までなかなか日本で訴訟を提起ができなかった理由の一つに管轄合意というものがあると思います。鉄道乗車契約など契約書を結んだとき小さい字で書いてあって、そこには通常、海外での消費者契約の場合には、当該海外の裁判所で訴訟が提起することという管轄合意が契約書に書いてあるために、消費者はなかなか日本で訴訟を提起することが難しかったわけでございますが、今回そのことについて特則が設けられて、消費者も日本で訴訟を提起する場合が多くなったというふうに伺ったんですが、その点について教えていただければと思います。
#13
○国務大臣(千葉景子君) 管轄の合意についてでございますけれども、これは事業者と消費者、この間には交渉力とかあるいは経済力に格差がございますので、消費者契約に関する紛争を対象として、事前の合意、これは原則として効力は認めないということに本法律案ではさせていただいております。こういうことによって、無理やりというかなかなか合意を拒否できないと、こういうような形でなされた契約締結時の管轄合意には効力を生じないという形にしております。
#14
○森まさこ君 時間が参りましたので、ほかにもいろいろ論点がございますが、とにかく消費者にとって大変訴訟を提起しやすくなったということで、この問題は従前より懸案であったものが、たしか平成二十年の保岡法務大臣のときだったと思いますが、法制審議会に諮問をして、そしてその結果答申が出てきて、今回この法案が提出されたということ、消費者のために大変良かったと評価をしております。是非また速やかな施行の方をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#15
○丸山和也君 自民党の丸山でございます。
 大臣にお聞きしたいと思います。
 今回の民事訴訟法及び民事保全法の改正につきまして、ある意味で非常に画期的であろうと思いますけれども、すばらしいという反面、非常によく分からない点もいっぱいありまして、特に民事訴訟法の管轄に関するいろんな、基本的に管轄の定めがこれまでなくて基本的には裁判所の判断にすべて任せられていた、基本的に条理というような考えで任せられていたところをある程度明確にされたんですけれども、何でもかんでも管轄を認めればいいというわけでもないわけでして、そこら辺が今回形の上では非常に広げられているんですけれども、実際どうなのかなというところ、運用上の問題がこれから出てくると思うんで、そういう点に若干配慮しながら幾つか御質問したいと思うんですけれども。
 まず、不法行為に関する訴えの管轄権なんですけれども、これも、改正案に見ますと、不法行為地又は結果の発生地、いずれかであればいいという、こういうふうに、が日本であれば日本でできると、こういうことになっているんですけれども、ここで問題はやっぱり結果だと思うんですね、損害といいますか被害が発生した。例えば、外国で一番大きい、交通事故にしましょうか、交通事故での被害に遭ったと、こういう場合で日本人が外国で外国人によって交通事故の被害に遭ったような場合で、比較的軽微だと思って治療終わって帰ってきた。ところが、日本でやっぱり予想外の後遺症といいますか、出て、そういう訴えをしなきゃならぬと、損害が発生したような場合、これはどういうふうになるんでしょうか。単純な質問なんですけれども、お聞きしたいと思うんですけれども、管轄権に関して。
#16
○国務大臣(千葉景子君) 確かになかなかいろいろ個別考えてみますと難しいといいますか、どちらになるんだろうと分からないところがまだまだ多いようには思います。
 今御指摘のような、外国で交通事故に遭ったと、そして日本に戻ってきて後遺症が思いも掛けず出てきたと、こういう場合で、これもなかなか事案ごとで分かりませんけれども、通常予見できるような結果の発生、後遺症というようなことであれば、日本の裁判所に不法行為に関する訴えを提起することができると、そう解されるものだと思います。あと、それが通常予見することができるかどうかという辺りは、最終的には裁判所の判断になるんだろうというふうに思いますけれども、そういうことはかなり交通事故のような場合には限られたケースなのではないかなというふうには推測をいたします。
#17
○丸山和也君 すると、やっぱりこのただし書の部分が結構僕は現実問題として大きな問題になってくると思うんです。
 これは結局、すると、取りあえず管轄を認めて、あと訴訟の中で裁判所が受理して、その中で、立証の中で予見可能性というところで日本の裁判所の中で争えると、こういう枠組みができたというふうに考えてよろしいわけですね。
#18
○国務大臣(千葉景子君) はい、そのとおりだと思います。
#19
○丸山和也君 時間が本当に限られているんで、余り深くは聞けないんですけれども、ちょっとこれに関するわけでは必ずしもないんですが、全般的に、今回、いわゆる人事訴訟とか家事審判とかいわゆる非訟事件に関しては、国際管轄については何も定めがないんですよね。特に取り上げてないんですが、実際、数からすると、やっぱりこの非訟事件に関する国際間のもめ事といいますか、が一番多いと思うんですね。これについては全く議題になってないんですけど、これは何か特別な意図があったんでしょうか、余り通告をしてませんでしたけれども。
#20
○国務大臣(千葉景子君) これは、確かに人事訴訟あるいは家事審判等についてもかなり今国際的ないろんな問題が生じていると思いますので、管轄権を法整備する必要は私もあるんだろうというふうに思っております。ただ、人事訴訟の場合には、家事審判手続等、それから国内法の内容等とも相当関係をしてくるものですから、今回の改正の中ではこの人事訴訟については取り上げていないと、こういうことでございます。
 今ちょうど家事審判手続については、法制審議会でその手続あるいは現代語化、こういうものを今検討していただいているということでございますので、こういうものが少しきちっと出そろって、そしてその上で、国際的な法制の違いとか、あるいは今の国際的な事件といいましょうか、そういうものの増加の状況等も踏まえて検討をする必要があるのではないかと考えております。
#21
○丸山和也君 次に、国際裁判管轄の合意についてお聞きしたいんですけれども、これは、改正案を見ますと、当事者は三条の七になっているんですけど、「当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができる。」と、極めてフラットに広く書かれているんですけど、これは内容はどういう意味なんでしょうかね。どういう意味なんでしょうかねということは、合意管轄の定めなんですけれども、いわゆる専属的に、これを専属的な合意と見るのか、単なる合意管轄の定めであって、これ自身は解釈にゆだねるのかと。例えば、ここでも起こせるけれどもこれには限らないんだという、いわゆる専属の合意なのかどうかについてはどのように解釈したらいいんでしょうか。
#22
○国務大臣(千葉景子君) この国際裁判管轄についての合意ですけれども、これは基本的には当事者が定めることができる、専属的に定めることができると、専属的にというか、当事者も定めることができると、こういう趣旨だというふうに解されると思います。
 ただ、それについては、非常に力関係とかそういうものに格差があるという、例えば消費者契約、先ほど森委員からも御質問がありました消費者契約とか、あるいは個別労働関係にかかわる民事紛争等については原則としてその効力を制限をしていると、それ以外の経済的な契約等については当事者間で合意をすることができるという考え方でございます。
#23
○丸山和也君 ちょっと質問があいまいだったので分かりにくかったかも分かりませんけれども、いわゆる専属管轄の定めが法律にある場合はそれが優先するわけですよね、この合意管轄よりも。それから、あるいはこの合意管轄の定めによって法定の専属管轄を排除することはできないと思うんですよね。そういう意味で、これは補完的な、専属管轄の定めがない場合にこれが効力を持つと、こういう考え方でよろしいんでしょうか。
#24
○国務大臣(千葉景子君) これも当事者の合意の内容でもあろうというふうに思うんですけれども、当事者において合意による管轄を専属、ほかを排除するという形であるとすると専属管轄という、そういうことになるのだろうというふうに思いますが、先ほど言ったような除外、効力を制限をしている、例えばそれは三条の七第五項及び第六項で個別労働関係あるいは消費者契約、こういうものを除外をしておりますが、それ以外についてはその合意によって専属的な管轄を定めるということができると解することができるのではないでしょうか。
#25
○丸山和也君 私もまあ断定的にはよく分からないんですけれども、そういう意味ではないんじゃないかなというふうにも思うんですが、例えば仲裁なんかの場合は、仲裁合意というのはそれですべて管轄が決まるんですけれども、この法の趣旨というのは、要するに当事者が各法律によって専属管轄を定めている反しない範囲では自由に決めていいよと、そういう意味で、専属性を持たないという考えが原則じゃないかということと、それともう一つ、この合意の中で、例えば一方当事者だけの管轄を認める合意も認められるんでしょうかね。例えば、双方の合意なんですけれども、その一方当事者はここで提起することができるという合意ですね、一方の合意、これも認められるんじゃないかとこの条文から考えられるんですけれども、そういう解釈でよろしいでしょうか。
#26
○国務大臣(千葉景子君) もう一度ちょっと私も整理をしながらあれをいたしますが、各制度、法律によって管轄が定められている専属管轄をこの合意によって排除をするというものではない、ただ合意によって定めることができると、こういうまず規定だということだというふうに思います。
 それから、今御指摘のあったことについては、そのとおりでこの解釈をすることができるのではないかと思います。
#27
○丸山和也君 では次に、保全命令事件に関する国際裁判管轄の合意について。
 これも、かつて保全事件というのは国際的にはなかなかほとんど行われないというか、希有な例だったんですけれども、これ条文ができて一気にこれはできそうな感じにはなるんですけれども、この条文はあるんですけれども、例えば、本案の管轄はあると、しかし不動産が日本国内にないと、外国にあるとか、こういう場合になりますと、条文だけからいいますと、どうなっていたかな、十一条で、保全命令の申立ては、日本の裁判所に本案の訴えを提起することができるとき、又は仮に差し押さえるべき物又は係争物が日本国内にあるときに限り、することができると。ということは、仮差し物件が、対象物が日本にあるときはできるということと、ほかに、本案さえ提起できれば、仮差し、仮に差し押さえるものが日本になくても、例えば外国の不動産でもできるんだよという規定にも読めちゃうんですけどね、この条文からいくと。
 しかし、実際に外国の不動産の仮差押えというのはできないわけですから、すると、これはどういう意味があるのかなと思うんですけれども、この点についてはどのように、矛盾を感じるんですけど、考えたらよろしいんでしょうか。
#28
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘のとおりで、差し押さえるものが日本にないと、外国にあるというような場合には、確かに日本国内において保全執行の手続を取ることはできないと、現実にもできませんし、これが原則でございます。これは、もしそのようなことであれば、申立てを受けた日本の裁判所で保全命令の必要性の有無を判断をするということになるんだというふうに思います。
 ただ、こういう例は多少考え得ることがございます。差し押さえるべきものは日本国内にはないんだけれども、保全執行は可能だと。例えば、日本船籍を有する船舶、これが日本の港には今いないんだけれども航行中であると、こういうような例だと日本国内において仮差押えの登記をするということは可能でございますので、こういう場合には、確かに国内には存在はしないんだけれども、保全はすることができるというケースもあろうかというふうに思っております。
 そういう意味では、この規定ですけれども、仮に差し押さえるものがなくても、本案の訴えの管轄権が日本の裁判所にある場合には、日本の裁判所が管轄権を有することがあり得るよと、こういうことを規定をしていると、意味するということであろうかと思います。
#29
○丸山和也君 すると、そういうケースで、先ほどのそういう船舶の例とか極めて限られた場合に可能性があるというふうに思われるんですけれども、仮にそうじゃなくても、訴えは自由ですから、実際に保全の申立てをしたような場合、これは裁判所の判断になると思うんで、法務大臣に直接お聞きするのも変なんですけれども、すると、裁判所としては保全事件を受け付けますよね、日本の本案の可能性があるということで、管轄はあると。すると、保全の必要性というところで、要するに差押えできないんだと、外国にあって執行もできないんだということで、必要性というところでそれを却下していくことになるんですかね。そこら辺についてどのように大臣としてはお考えですか。
#30
○国務大臣(千葉景子君) そうですね、多分、やはり裁判所としては必要性の判断の中で行われるのではないかと思います。私も裁判所でないので、ただ、これまでの保全の手続とか、あるいは多少なりとも経験から考えると、そういうところで判断する、していただくことになるのではないかなというふうには思います。
#31
○丸山和也君 というようなわけで、今回の法の改正は非常に、今まではほとんど裁判所の判断に任せられていた、条理とかいう一般的な判断に任せていたところを、大まかなところではメスを入れたというか、くいを打って方向性は示して枠も非常に広げたと思うんですけれども、結構広げただけに難しい問題がいっぱい起こってくると思うんですね。
 特に、先ほどの森委員からの質問もありましたけれども、やっぱり日本人が日本国内で訴えをできることが特に消費者の場合大きくなった分だけ、よく間接管轄という言葉で言われますけれども、外国で日本、特に企業辺りが訴えられる可能性というのは非常に高まってくる可能性もあると思うんですね。ですから、そこら辺の、どうなっていくのかと考えた場合、非常にこれは、改正はされて非常に良かったんだけれどもどういうふうになるのかなという、分からない点が余りにもたくさんあるんですね。ですから、先ほど言いました非訟事件なんかも含めて、やはり更に改正なり定めが必要になってくる場面もたくさんあると思うんですね。
 ですから、国際私法、私法と公法の関係もかなりあいまいになってきている面はいっぱいあるんですけれども、特に国際関係の私法でやっている当事者にとってはすばらしいし、しかしどうなるんだろうなという不安もいっぱいあるし、まだ分からない点がたくさんありますので、いろんなケースを特に検証しながら、是非あるべき方向に導いていただきたいと思いまして、それをお願いして私の質問を終わります。
#32
○風間昶君 公明党の風間ですけれども。
 この法案は、先ほど来話題になっております国際裁判管轄についての規定を決められておりますが、民事訴訟法と民事保全法をどうして一緒にして改正になったのか、つまり何で単行法としてやらなかったのか。デメリットがあるからなんでしょうけれども、それを教えていただきたいというふうに思います。
#33
○国務大臣(千葉景子君) 今回の法律につきましては、単行の法律ではなくして、民事訴訟法、民事保全法の改正という形を取らせていただいております。
 これは、国際裁判管轄、それと国内の土地管轄、これがいずれも訴えを提起する場所に関するものだということで共通をする、密接不可分にございますので、こういう意味では同一の法令において規定するということが利用する側にとっても便宜が図られるのではないかと、こういうことで、別建ての法律ではなくして、この国内の土地管轄などを規律をするこの法律の中に国際裁判管轄を盛り込むという形にさせていただいたということでございます。
#34
○風間昶君 ということは、デメリットはないということですか。
#35
○国務大臣(千葉景子君) 全くデメリットはないということはないと思います。まだこれが、先ほどお話がございましたように、個別の非常に問題についてすき間といいましょうか、そういう問題があるわけですし、それから国際関係においても統一した基準というのが必ずしも今条約などで設けられておりませんので、そういう意味での解釈の幅等々、あるいは外国の裁判での解釈の仕方、こういうものとの違いとかも出てまいりますので、これだけで全くデメリットがないということではありませんが、逆に、これまで全く基準がなかったと。これについて一定の方向性、これを、訴訟を起こす方もこれならできるんだなということが分かるということになったそのメリットは大きいのではないかというふうに思っております。
#36
○風間昶君 分かりました。
 諸外国の管轄合意条約の批准状況を見ると、二か国が加入すれば発効しますけれども、現在のところメキシコ一か国だけしか加入してない、将来的にどうなのかなと、批准、発効するめどが立っていないんじゃないかというふうに思われます。ただ、アメリカとEUが署名だけはしているということでありますけれども、今回のこの法改正で、我が国としてはこの条約に署名するための条件が整うことにはならないのかということを伺いたいんですけど、どうでしょうか。
#37
○国務大臣(千葉景子君) 我が国としてこのヘーグの管轄合意条約を締結するかどうかということになるわけですが、可能性、先ほど御指摘がありましたように、締結しているのがメキシコ一国と、米国とEUが署名をしているというまだ状況でございます。そういう中で、国内法との整合性とか、それからこういう世界的な状況、こういうことを考えますと、いささかこの条約を締結するというなかなかところまでには、現状では至らないのではないかというふうに思っております。
 また、この条約についても、内容的に管轄権の合意について現在の国際取引の実務に沿わない、そういう条項が散見をされるとか、あるいは管轄合意により選択された締約国の裁判所が出した判決の承認、執行について、この規定なども包含をされているんですけれども、これがまた我が国の民事訴訟法の規定と異なるという部分もあったりいたしますので、今の状況の中で直ちにこの条約を締結する、署名をするというには至らない、こんな実情でございます。
#38
○風間昶君 非常に寒い答弁でしたけれども、そうすると、批准に向けた取組というのは不断にこれからやっていかなきゃならないと思うんですけれども、その意思は当然おありになるんでしょうねと伺いたいんですが、どうでしょうか。
#39
○国務大臣(千葉景子君) これは国際的に統一した取決めあるいは条約によって共通な基盤ができるということは大変大事なことですので、全く意思がないなぞという、そういうことではございませんが、ただ、今申し上げましたような現状からいうと、締結の各国の状況も考慮をしながら慎重に検討を続けていくということになろうかと思います。
#40
○風間昶君 包括的な国際条約の締結については非常に困難な状況だということは大臣から今御答弁ありましたけど、そうすると、法執行の実効性高めていくためには、近隣諸国や経済連携の多い国で二国間条約を考える必要があるんじゃないかというふうに思いますが、その部分については御検討されていらっしゃいますでしょうか。
#41
○国務大臣(千葉景子君) 今御指摘のあるように、全体として包括的な条約がなかなか難しい。そうなりますと、二国間条約という形でできる限り取引の安定を図っていくあるいは法的な安定を図っていくというのは大事なことだというふうに思っております。
 今回、この法律案については、そういう意味では、各国の国内法とかあるいはEUの域内で適用されているブリュッセル条約等の内容を参考にして法律を定めさせていただいたということでございますので、二国間の条約なくてもこの法律によって、今申し上げましたようにEU等なりあるいはかなり近い各国とは共通な基盤ができたものではないかというふうに思っております。
 ただ、更に二国間条約を作っていくということは大事なことでもございますので、それぞれの法制などを十分に勘案しながら今後検討していく必要があるのではないかというふうに思います。
 これも決して否定的に考えることではなくて、いろんな条件整備、こういうことが必要になってこようかというふうに思います。
#42
○風間昶君 この法律案による改正対象は基本的に財産関係ですよね。だけど、国際裁判管轄で問題になるものとしては、私はむしろ数の上では人事とか家事審判の方が多いような気がしてならないんですよね。この人事関係の事件の方が財産事件の方よりも絶対数は多いと思うんですけれども、そのことについては御承知していらっしゃると思いますけれども、実際には実数としてどうなっているのか、教えてくれますか。
#43
○国務大臣(千葉景子君) 私も、是非これは分かればきちっと把握をしておきたいものだというふうに思いますが、実際には統計資料というのがございませんで、なかなか把握が今できていないという状況でございます。
 やっぱりどういう切り分けで、財産的な訴えなのかあるいは人事に関する訴えなのかというところ、どこで線引きをするかというようなこともあり、なかなかこの統計というのが取られていないというふうに私も承知をいたしております。何か工夫をして、実際どのくらいの訴訟があるのか、把握を私も努力をさせていただきたいというふうに思っております。かなり増えているということは予測をされるんですが、統計がないというのが実情でございます。
#44
○風間昶君 これは、いや、それは政府は難しいでしょうけれども、裁判所は押さえているんじゃないかと私は思うんですけれども。そこはやっぱりもうちょっと、恐らく、推測で物を言うのは確かじゃないからあれだけれども、絶対僕は人事関係の方が多いと思っているんです、案件は。であるならば、やはりその実数のつかみぐらいはやっておかないと、将来問題が起こってくるんじゃないかと思います。後から要するに立法化せざるを得ない状況になって、いや、こんなはずじゃなかったということが、ほぞをかまないようにしてもらいたいし、なおかつ、そのことを視野に入れるとやっぱり立法化も検討しなきゃならないんじゃないかというふうに思っておるんですが、今回対象外にしているようですから、このこともまた大臣に問えば決意発表みたいな答弁になると思うんですけれども、お願いします。
#45
○国務大臣(千葉景子君) 先ほども御答弁申し上げましたが、人事関係の問題については多分、私も推測で物を言うわけにはまいりませんが、かなり増えている、あるいはなかなか表に出なくてもそういうトラブルが増えたりしているということが予測をされます。
 そういう意味では、この人事関係の訴訟についての国際管轄、これも整備をしていく必要があるだろうというふうに思いますので、今、国内の家事審判法等の整備の状況等も併せつつ、是非今後前向きに検討をしていきたいものだというふうに思います。
#46
○風間昶君 是非、大臣を続けていかれようという意思があるならやっていただかないと、これは国民の側からすると、国民目線でと言っている大臣からすればやっていただきたいというふうに思います。
 それから次に、第三条の五の三項で規定されている知的財産権に関する訴えで、著作権は対象外になっていますよね。しかし、この著作権については現在国際競争力が期待されて、特にその保護育成の必要が唱えられているコンテンツ産業では非常に重要な知的財産権であります。そういう意味で、産業政策的な観点からは法務省の所管になるかどうか分かりませんが、私は特許権などと同列に扱ってもいいのではないかというふうに思っております。このことに関する基本的な考え方はどうなのか、また、対象外にしたのは、不得意なのかどうか知りませんけれども、どうなのか、伺いたいと思います。
#47
○国務大臣(千葉景子君) 今回の法律、第三条の五第三項では、設定の登録によって発生する知的財産権のみを対象にしているということでございます。
 この趣旨は、特許権等の設定の登録により発生する知財、こういうものは、その存否とかあるいは効力の判断にかなり技術的、専門的な判断を要すると。それから、各国でも行政処分により付与されることが多いわけでございます。そういう意味では、その存否とか効力に関する訴えについては登録国の裁判所に任せるのが相当であろうと、こういう考え方でございます。
 これに対して、著作権のような、一定の要件を満たすと設定の登録とかを必要とせずに発生する知財については、行政処分によって付与されるという形ではございません。そういう意味では、日本で登録された著作権の存否とか効力に関する訴えについての管轄権を必ずしも日本の裁判所に専属させるということは必要ではないのではないかということで、区分けをしたというのがこの立法の際の趣旨でございます。
#48
○風間昶君 もう一つ、三条の九について、現行法では国際裁判管轄に関する規定はないため、特段の事情ということで、当事者間の衡平、裁判の適正、迅速という観点から、私、よく分からないんですけれども、素人で、利益衡量に重きを置いて裁判所の裁量で決められておりますよね。
 それで、そのことで訴訟が却下されるケースがありましたけれども、今回の法改正でも、三条の九で、特別の事情により訴えの却下という項目が規定されておりまして、結局、そうなると従来どおり訴訟を起こせないことがあり得るんじゃないかというふうに思うんですけれども、ここはどうなんですか。何だかうやむやにしてまたいるんでないかという気がしてならないんですけれども。
#49
○国務大臣(千葉景子君) これも委員が御指摘をされるところは私も同感の部分はあるんですが、ただ、今回この法律を作ることによって、これまでは個々の訴えごとに判断をするということがやっぱり類型ごとにおおよそ方向は定められたということで、ぐずぐずにということには私はならないのだろうというふうに思います。
 ただ、そうはいっても、個々の様々な事例によってやはり関係する証拠、例えば日本の裁判所が管轄権を有するけれども証拠はもうほとんど外国にあるというようなことも想定はされるわけでございます。そういうときに、日本の裁判所が管轄権を持つというよりはこれを外国の裁判で行った方が適切だという、そんなケースもあるだろうと。こういうことを考えながら、例外的に訴えを却下することができるということにしているものでございますので、これが、安易にこの規定が使われるということになっては私も法の趣旨を逸脱をするというふうに思いますが、今のような、あとどんな事例がというのはなかなか個々には分からないのですが、そういうケースもあるだろうと、そういう際には却下をすることができると、そういう余地も残したということと私は理解をし、そしてこの法律を提起をさせていただいたということでございます。
#50
○風間昶君 終わります。
#51
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 大臣、御苦労さまです。この法案は、我が党、賛成をさせていただきます。
 国際社会における我が国のありようを考えるときに、国際人権条約の水準に照らして著しく不十分な我が国の現状を速やかに正すことが私は千葉大臣に期待されていると思います。
 そこで、この際、改めて聞いておきたいと思うんですが、まず選択的夫婦別姓などの家族法改正の問題について、九七年以降毎年、私どもも野党時代の民主党の皆さんとも共に共同提案を続けてきたわけですけれども、ところが、その実現を言わば公約をされた政権が成立したこの通常国会においてその法案がないという状況について、女性NGOの中からも逆さまの状況ではないかと、そうした厳しい声も上がりつつあるわけですが、この問題について大臣が今後どのように進めていこうと考えていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#52
○国務大臣(千葉景子君) 大変厳しい御指摘をいただきました。
 私も、国際的な様々な条約等に照らして、そして国際的な要請にも照らして、民法等の改正、是非実現をすべき課題だというふうに考えておりますし、これまでも取り組んでまいりました。今もその意思は全く変わるものではございません。
 そういう意味では、様々な御意見があることも確かでございます。そういうところにも十分納得をいただき、そしてこれからも説明もさせていただきながら、この法案が早期に国会で御議論をいただくことができますように私もこれからも努力を続けていきたいと、これが今の私の決意でございます。
#53
○仁比聡平君 取調べ全過程の可視化についてはいかがでしょうか。
#54
○国務大臣(千葉景子君) これも、取調べの可視化については、民主党、そして今回、私も是非実現をすべき大きな課題だということで取組をスタートをさせていただいているところでございます。既にこれについては、実現の方向を見定めながら、今省内で勉強会を続けているという状況でございます。是非、これもその取りまとめを着実に進めることによりまして、実現に向けて努力を継続をしていきたいというふうに考えております。
#55
○仁比聡平君 勉強は制度の速やかな具体化、実現のためのものだと、大臣、決意をして臨んでいらっしゃると思いますので、その見通しが全く立たないというのでは政権全体の真剣さが疑われてしまうことになると思います。是非、引き続き実現に向けて全力を尽くしていただきたいと要望を申し上げておきたいと思います。
 そうした中で、国民の人権擁護と権利実現を担う法曹の養成の問題について少しお尋ねをしたいと思います。
 司法修習生への給費制度は、資力に乏しくとも法曹資格取得の道を開いて、高度の専門性を持つ多様な法曹を養成して国民の権利実現に貢献をしてきたわけでございます。
 我が党は、平成十六年に、この給費制を貸与制に変えるというその法案には断固として反対を申し上げました。この十一月に、今年十一月に貸与制の導入が予定をされているわけですが、現状でも、例えば日弁連の調査によりますと、修習生の五三%に上る多数の方々が、平均で三百十八万円、最高では千二百万円という多額の負債を抱えて、加えて、弁護士登録後も収入の保障がない、あるいは収入が決まらないなどの理由で弁護士登録をしない方々も増えているということです。
 こうした状況は、平成十六年の法改正の当時には全く想定をされていなかったのではないか。平成十六年の当時に、この給費制を貸与制にという議論を法務省でも、あるいはこの国会でもしているわけですけれども、そのときにこんな事態を想定をしていましたかと、大臣、いかがでしょう。
#56
○国務大臣(千葉景子君) 私も改めて司法制度改革、それからとりわけて今御指摘のある給費制から貸与制への転換と、こういうときの議論等を振り返ってみるわけでございますけれども、私は全く予測をされなかったということはないだろうというふうに思います。
 その当時も、逆に言えば資力の十分でない人でも法曹になる道を閉ざしてはならないということで、逆に奨学金であるとか、あるいは教育ローンとか、あるいは授業料免除制度等の支援制度を十分に整備して活用しなければいけないというふうにむしろ盛り込まれているわけですので、決して予測がされていなかったというわけではないかというふうに思います。ただ、その額がかなり大きくなっているという現状、これは私もなかなか本当に厳しいところがあるなというふうに思います。
 それから、弁護士登録をしない方が増えているという実情、就職先がなかなかないということも、これは多少予測はしていなかったことではないかなというふうに思うんですね。というのは、そのときにはやはり司法の法曹需要、これがこれから社会の中で大変大きく伸びていくんだと、こういう考え方がございました。これが現実化、なかなか顕在化しているというふうには言えないのではないかと。ただ、民間とか公官庁などで確かに少しずつ増加はしておりますけれども、その増加というのは非常に少ない、こういう現状があると、こういうことで、こういうところをより一層増やしていく。
 そして、基本的な考え方としては、法曹が社会のいろんな部分で社会を担い、そして公正なリーガルマインドを持ったそういう者が社会で活躍をすると、こういうことが大きな理念だったので、そこがなかなか進んでいないという現状はあると思いますし、そこまで進まないかなというのはちょっと予測に反している部分もあるかというふうに思います。
 こういう実情の下でこの給費制、そして貸与制の問題も考えていかなければならないというふうに思います。
#57
○仁比聡平君 支援制度の議論が改正時にあったというのはそれはそのとおりだと思うんですけれども、ただ、ロースクールの学費やその間の生活費などが大変な負担になって、志を貫いて法曹資格を取得をしても、実際に現今の大変深刻な就職難とまで言われる事態の下でその借財を返すことすらままならないと。やっぱりこの法曹志望者の皆さんの現状をしっかりとリアルに見た見直しが私は必要だと思うんです。
 衆参の当時の附帯決議においては、統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることのないよう、また経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、関係機関と十分な協議を行うことと明記をされているわけです。
 まさにこの関係機関との協議を真摯に行うべきときなのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
#58
○国務大臣(千葉景子君) 今、御承知のとおり、この法曹養成については、給費制、貸与制という、これに特化をするという、そういうことではございませんけれども、法曹養成に対する検証作業をさせていただいているという実情でございます。法務省と文科省、それぞれ副大臣をキャップにいたしまして検証作業を進めていると。もうできるだけ速やかにその検証の結果、問題点、こういうものを整理をさせていただいて、そして、これをさらに、大きないろんな多角的な皆さんの意見をいただきつつ方向性を定めると、こういう取組につなげていかなければいけないと考えているところでございます。
 そういう中で、法曹の人口の在り方あるいは法科大学院の在り方等も含めて、今後そこの中で、じゃ法曹人口との関係で給費制あるいは貸与制、どう位置付けるべきかと、こういうことも併せて検討をしていくものではないだろうかというふうに私は認識をいたしております。
#59
○仁比聡平君 もう一つ数字を伺いますけれども、こうした下で、近年、法曹志願者が減少していると言われているわけです。平成二十二年の大学入試センター法科大学院適性試験の志願者数は何人でしょうか。
#60
○国務大臣(千葉景子君) この法科大学院の適性試験ですね、志願者数、これ、大学入試センターと日弁連法務研究財団と両方でやっておりますが、大学入試センターの志願者数は八千六百五十人というふうに、二十二年度ですね、承知をしております。また、日弁連の方では七千八百十九人という数字でございます。
#61
○仁比聡平君 その八千六百五十人という数字は、平成十五年の三万九千三百五十人と比べますとわずか二二%、約五分の一に急減しているわけです。昨年との対比でいいましても一五・九%減っているわけですね。この理由についてはもちろんよく検証も必要かもしれませんけれども、経済的な理由で法曹への道を断念する人が増えてしまうということになれば、これは我が国の司法の質と社会正義の実現が損なわれてしまうということになります。
 私は給費制を維持すべきだと思います。先ほど大臣、検証というお話があったんですけれども、今年の十一月に貸与制へ移行するという、このことが法文に規定をされているわけで、これ、私ども国会も、速やかに協議を深めて、この十一月条項を削除するということを各党よく議論をするという、そうした場を是非つくっていくべきではないかと、これは御提案を皆さんにしておきたいと思うんですけれども、少なくとも大臣、修習終了者の抱えている借財だとか、あるいは就職状況だとか、こうした法曹養成の現場をめぐる現状を検証して、その結論がしっかりと見通せるまではこの貸与制の実施は凍結する、現行の給費制を維持すると、そういう方向で検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
#62
○国務大臣(千葉景子君) 今、実情については、大変深刻というか、大変負担が大きい実情があるということは私も承知をいたしております。
 ただ、これは法律として成立をしていただいて、ようやく、ようやくというか、施行するという段階に至っているわけでございますので、今の施行前に凍結をするということを決めるということは適切ではないというふうに思います。
 ただ、今委員も御提起をされておりましたように、これは国会の場でも大いに議論をいただいて、確かにこれ、法曹人口の拡大ということと相まってこの貸与制という議論も出てまいりました。そして、国民の確かに権利義務を守っていく、そういう大変重い仕事に就いていただくということでございますけれども、これ反面、国民の負担の下で行われると、給費制ということになりますと、国民のそれは税金負担をお願いをするという側面もあるわけですので、十分に、この辺は国民的にそしてまた納得をいただいて、そして議論を進めていく必要があるのではないかというふうに思います。
#63
○仁比聡平君 そもそも法曹資格は、法曹資格者の利益だとかビジネスの手段ではなくて、権利実現の担い手という高い公共性、倫理、使命を持つものだと思います。
 今の大臣の御答弁は、言わば国会の側にボールを投げておられるようにも私受け止めました。法律で決めてあることですから、国会でしっかりと議論をして、この給費制の維持のために是非力を尽くして、国民のための司法が本当に実現をしていくようなそういう時代を御一緒につくっていきたいということを呼びかけまして、質問を終わります。
#64
○委員長(松あきら君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#65
○委員長(松あきら君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト