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2010/03/24 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 総務委員会 第7号
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2010/03/24 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 総務委員会 第7号

#1
第174回国会 総務委員会 第7号
平成二十二年三月二十四日(水曜日)
   午後一時十八分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     川崎  稔君     高嶋 良充君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 泰介君
    理 事
                加賀谷 健君
                武内 則男君
                林 久美子君
                礒崎 陽輔君
                世耕 弘成君
    委 員
                高嶋 良充君
                土田 博和君
                外山  斎君
                友近 聡朗君
                那谷屋正義君
                内藤 正光君
                長谷川憲正君
                吉川 沙織君
                木村  仁君
                小泉 昭男君
                末松 信介君
                関口 昌一君
                谷川 秀善君
                二之湯 智君
                溝手 顕正君
                魚住裕一郎君
                澤  雄二君
                山下 芳生君
                又市 征治君
   国務大臣
       総務大臣     原口 一博君
   副大臣
       総務副大臣    渡辺  周君
   大臣政務官
       総務大臣政務官  小川 淳也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩見 政幸君
   政府参考人
       総務省自治税務
       局長       岡崎 浩巳君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消
 防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
 (自立的かつ持続的な財政運営を可能とする地
 方財政制度の構築に関する決議の件)
○市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、川崎稔君が委員を辞任され、その補欠として高嶋良充君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤泰介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治税務局長岡崎浩巳君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(佐藤泰介君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○又市征治君 社民党の又市です。
 今日は、バッター入れ替わりまして、私の方が先にやらせていただきます。
 去る十八日の質疑で、原口大臣の、昨年十月の概算要求での地方交付税の交付率四三%に引き上げるという大胆かつ正当な要求を改めて私は支持をいたしました。市町村大合併やあるいは交付税の削減など小泉改革によって地方の格差が拡大をして、担い手たる職員も減らされる、替わったまた非正規職員は官製ワーキングプアと、こういう状態になってきたということも申し上げたところであります。住民の暮らしに必要なサービスを復活をする、そのため自治体の財政需要を組み立て直す、これが政権交代した連立政権の使命だろうということについても申し上げてまいりました。
 二〇一〇年度の交付税を含む地方財政対策にもその努力の跡が見られることは高く評価をしつつ、今日は臨時財政対策債への批判と、あるいは幾らかの提言も少し行ってみたいと、こんなふうに思っています。
 まず、今日は図を配らせていただきましたが、この図一の一番下の折れ線グラフ、これが交付税です。一番上の線の地財計画の大きさに対していかに地方交付税が少ないかというか貧弱か、全体平均してみますと二一%程度、グラフで見てみましたらそういうことでありました。しかも、交付税は御覧のとおり、二〇〇一年度から二〇〇七年度まで削られ続けてきているわけですね。
 私は、前政権に対して、削減は意図的に住民の暮らしの変化あるいは高齢化や過疎化に伴う自治体のニーズを無視をして、ねらい撃ち的に引き下げられてきたというふうに批判をいたしました。今日は、削減のメカニズムを大中小の三レベルで少し見てみたいと思うんです。
 まず、大枠ですが、この地方財政計画とその中心部分にある二段目の地方の一般歳出の下がり具合を見ていただくとお分かりのとおりですが、ピーク時に比べますと、地財計画で約七兆二千億円の削減、そして地方一般歳出で約八兆四千億円の削減になっております。日本経済の中で重要な地方財政のセクターが一割前後縮小させられた、こういう格好ですね。
 三段目を飛ばしてグラフの四段目に地方税があります。二〇〇五年度に地方税が上向いて、二〇〇八年度にピークを迎えて自治体財政の自由度が高まったのに、前政権は地財計画、一般歳出を引き続き右下がりに抑え込んでいったことがここでは分かります。
 自治体のサービス、地域経済が与えたマイナスの影響について、まず大臣にこういうグラフ見ながら御感想を伺っておきたいと思います。
#7
○国務大臣(原口一博君) 又市委員におかれましては、地域主権、また地域の独自財源の獲得に大変お力をいただきまして、ありがとうございます。
 その上で、このグラフ、大変象徴的でございます。地方税が上がっているにもかかわらず、地方一般歳出は抑制、地財計画も抑制、そしてもっと言うと、交付税を増額するということではなくて、臨財債でもって、臨財債の伸びが非常に強いです。つまり、先食いをする、借金の先食いで埋めてきたという構造が委員のこのお示しいただいたグラフから如実に出ているというふうに思います。
 また、委員がおっしゃるように、三位一体改革のまさに地方歳出の抑制、切捨てによって逆に地域経済が厳しくなって、そして税収はこのように落ち込んでいるということもここで顕著なのではないかというふうに思います。この結果、地方の公共サービス格差が拡大し、地方の活力を奪い、しかも財政力の弱い市町村であればあるほどそれが直撃をしているということを私は大変憂慮をしているところでございます。
 以上でございます。
#8
○又市征治君 ありがとうございました。
 連立政権の地財計画は後ほど見たいと思うんですが、旧政権はどうやって交付税やその大本の地財計画を抑え込んだかということを見ておきたいと思うんです。
 この二枚目のグラフを見ていただきたいと思うんですが、基準財政需要額の推移であります。政府がルールを示して自治体に積算させたわけですね。この上のラインが市町村で、最高時の二〇〇一年度は二十五兆二千億円でしたけれども、以後、御覧のように二〇〇七年度まで六年間下がり続けて、二兆四千億円削減をされております。念のため、下のライン、都道府県の基準財政需要額を見ますと、やはりどんと下がりましたが、それでも市町村よりは早めに回復をしている、グラフがそういうふうに示しています。つまり、交付税の二〇〇七年度までの連続的な削減は、とりわけ市町村の基準財政需要額を切り下げることで達成されていったまさに人為的な数字だ、こういうふうに私は思います。
 合併で人件費や施設を減らし、効率化をするんだという新自由主義が裏目に出たのが今の地方の荒廃だろうと思うんですけれども、例の大合併との関連を含めて、大臣、この点についてどういう御感想をお持ちでしょうか。
#9
○国務大臣(原口一博君) もちろん義務教育の国庫負担金だ何だというのが都道府県にございますから、そこのところは勘案しなければいけないと思いますけれども、今委員がおっしゃるように、大合併あるいは三位一体改革による効率化一辺倒の地方切捨てという、それが地域、特に市町村に大きな影響を与えているというのはこのグラフでも如実なんではないかというふうに考えます。
 すなわち、私たちは、人口の補正だ何だというのはありますけれども、財政力の弱い小規模や条件不利地域の市町村において、まさにこういう要因が、兵糧攻めと申しますか、合併を意図せざるを得ないというところに現れてきているというのは、ここは否定し難い事実であるというふうに思います。
#10
○又市征治君 それじゃ、今度、図三を見ていただきたいと思います。財源不足といっても実態ではなくて、前述の需要額と同様、あくまでも交付税算定のために総務省が出す数値ですね。これも御覧のとおり、二〇〇四年度から〇七年度へ急降下しているわけです。〇七年度だけなら前述のように地方税収が上がったという要素がありますけれども、しかし四年も続けて財源不足が十三兆円も縮小するなんてことはあり得ない話です。交付税を減らすための作為があった、こう言わざるを得ないということだと思います。交付税の重要指標がこんなに乱高下するのはもう不自然そのものだと思います。大は地方財政計画、小は基準財政需要額、そして交付税に直結する財源不足額などの決定プロセスを自治体に分かりやすく透明化をすべきではないかと、こう思うんですが、こんなことをやっているから地方からも不信と反発が起こっている、こういうことなんだろうと思うんですね。
 こうして、小泉政権以降、七年連続で五兆円削減したわけですけれども、実際は、もう一度一枚目のグラフに戻っていただいて、一番下の太い線、地方交付税を見ると、まるで定規で引いたような直線で、右下がりに二〇〇七年度の十五兆二千億円まで切り下げられている、こういう格好です。もちろん、この切下げのねらいは国から地方への財源移転を削るためだったんでしょう。地方財政計画、地方歳出、需要額を縮小すれば交付税への国の財政補てんを削れるから、こういう格好でやられてきたということです。
 需要額切下げの手段は、人件費の削減、福祉の自己負担というか住民負担の強化、市町村合併など何でもあり、こういう格好でありました。つまり、旧政権の下で、交付税は大枠では財務省と総務省の密室の地財計画交渉で縛りを掛けて、また細部の算定においては、本来客観的たるべき単位費用であるとか補正係数という物差しを縮めることによってどんどん切り下げられてきた、こう言えるだろうと思います。
 この単位費用や補正係数の切下げの実例を少し挙げていただきたい、こうお願いしてあるわけですが、例えば人件費であるとか、介護や福祉、義務教育や生活保護の教育扶助、消費者行政など、交付税の扱いがどう変化をしたのかということをまず一つはお聞きしたい。そして、この物差しを今、連立政権は小規模自治体に重点を置いて回復をする。せんだってから、原口大臣、大変力を入れてそこのところにやっていただいておるわけですが、それをもう一度、こういうものをどう復元をしていくか、御説明をいただきたい、このように思います。
#11
○大臣政務官(小川淳也君) できるだけ客観的な形でこの需要額の見積りなりに努めていかなければならないことはもう御指摘のとおりでございまして、今後とも努力をいたしたいと思っております。
 その前提ででございますが、需要額の算定、一例を申し上げますと、例えば、いわゆる三位一体改革期間と言われました平成十五年から十八年で見てみますと、投資的経費が一八%、三・七兆円減少をしておりまして、これを単位費用に置き換えますと、道路橋梁費で都道府県分が四五%余りの減、市町村分が四二%余りの減、あるいは河川費、これも河川の延長を測定単位としておりますが、都道府県分で四四%の減、さらには給与関係費が一兆円余り減少したことに伴いまして、高等学校費、これは教職員数が単位でございますが、都道府県で六%、市町村で七%の減、その他消防費や警察費など比較的人件費の割合の高い費目でこのような減少傾向が見られるところでございます。
 小規模市町村対策でございますが、この間、より小規模な市町村に厳しい形で見直しが行われてまいりました段階補正ですとかあるいは人口急減補正、これらをその見直しを行う前の段階の姿をイメージをして更なる見直しを進めてまいりたいと思っております。
#12
○又市征治君 ありがとうございました。
 そこで、いや、地方交付税は国税五税から自動的に決まるじゃないか、こう思われがちですけれども、実際は、今申し上げてまいりましたように、財源不足への国加算が大きく左右する、こういうことだろうと思います。これが財界や自民党政府からすると、国加算は無駄金だ、他の防衛費や産業投資やODAという名で企業の海外進出支援に金を回せ、こういう主張があったと思うんですね。
 ですから、大臣、国の財政も大変だからと言っていたんでは交付税は取り戻せないということだろうと思いますね。公的サービスの七割は今やもう自治体が実際上やっている、こういう実情にあるわけでありますから、この不足額を国費の移転でカバーするというのはこれは当たり前のことではないか、ここは共通認識だろうと、こう思います。
 それが長期的に足りないときは、大臣がおっしゃっているように、交付率、現在五税平均の約三二%でありますけれども、大幅に改定をする。これは元々交付税法の第六条の三の第二項そのものの趣旨だと、これが全然やられてこなかったということこそが大変問題だということであって、そういう意味では、大臣が今年度概算要求で四三%を要求をされたというのはまさに正当だと、こう申し上げてきたわけでありますが、しかし、これも言わば小手調べでありまして、さあ再来年度に向けてどうしていくか。更に説得力のある理論武装が政府内でも必要になってくるということはせんだってからのいろんな様々な議論の中でも明らかでありますけれども、是非、そういう意味では理論武装をしっかりとしていただきたいと、こう思いますけれども。
 過去のピークである交付税二十一兆四千億円までにはあと四兆五千億円上積みする必要がある、こういうふうに数字上は出てまいります。小規模自治体を重点にしろというのは、これは私もそう申し上げてまいったわけですけれども、配分より前に、総額のやはり拡大、交付率の引上げをどうしていくか、ここのところをもう一度改めて大臣から御見解を承りたいと思います。
#13
○国務大臣(原口一博君) 大変重要な御指摘だと思います。
 先ほどの地財計画で申しますれば、まさに地方からも予見可能性を奪われていたということがよく分かると思います。まさにその算定根拠についてもしっかりと積み上げたものという建前とはまた別に、まさに、ちょっと言い方は悪いですけれども、国の財政赤字を地方に付け替えてきた、中央政府がやるべきことをやってこなかったと、私は率直にそう批判されても仕方がないのではないかと思います。
 その上で、お尋ねでございますが、今委員がおっしゃるように、地方財政は巨額の財源不足額が続いておりますので、地方交付税法第六条の三第二項に長期間該当する状況であると。この認識の下で私たちは地方交付税を十一年ぶりに一・一兆円増額し、総額約十六・九兆円としたところでございますが、どのように理論武装をするかというと、まさにこの地方交付税法が予定しているこの状態であるということを政府全体あるいは国民との認識を一にすること。
 それからもう一つは、これも委員に大変御指導をいただきましたけれども、この参議院でも全会一致で通していただいた公共サービス基本法、まさに公共サービスにおける国民の権利を保障するためには最低限の財源保障が必要である、そのためには国税五税の算定率を上げなきゃいけない。
 一方で、財界等の理論もお話しになりましたけれども、世界に対してダイナミックな展開ができているかというと、それはほとんどできていないわけです。要するに、世界との協調、協力の中でしっかりと富を日本の中に蓄えていく。この間、百七十兆のお金が外に、日本企業、外に持っておるわけで、それがもし中にあったとするんだったら今の日本の姿は変わっています。
 緑の分権改革やあるいは地域主権というものを進める中で地域の創富力を高めるとともに、中央政府が地方に対して果たす役割をしっかり果たす。そのことはまさに交付税の国税五税の算入率、これを上げることだということで政府一丸となって理論武装をしてまいりたいと思いますので、引き続き、御指導をよろしくお願い申し上げます。
#14
○又市征治君 大臣のおっしゃったことは全く同感でありまして、是非本当に頑張っていただいて、元々今年度の予算は、それこそ年度半ばの九月に政権交代して、概算要求そのものもある程度前のものを引き継ぎながらやっておって、手直しということで限界があったということが元はあるわけで、もう少し前に申し上げればよかったんですが、そういう中で大変御奮闘いただいているということでありますが、引き続き努力をお願いしたいと思います。
 さて、今日問題にしたかった臨時財政対策債についてでありますけれども、グラフでは一番下段の交付税の太い線の上に細い線、これが加算をされているわけですね。創設した二〇〇一年度からの一期目は倍々ゲームで増やしているわけですが、自治体にはその当時は天の助けだと、こんなふうに言われたこともありました。だから、二期目の三年間はこれは減ってきているわけでありまして、そして三期目の二年目に当たる二〇〇八年度までは横ばい、こういうふうにグラフを見ていただければお分かりだろうと思います。
 他方で、純粋交付税はこの期間、御承知のようにつるべ落としに下がっておりまして、ところが、交付税の不足を補う実質的な交付税と宣伝をされていたこの臨時財政対策債だったわけですけれども、交付税削減の穴を埋めるには全然足りなかった。これはもうグラフで明確であります。このグラフで交付税プラス臨財債の合計も二〇〇七年度まで下がり続けているわけですね、ちょうど真ん中の線にありますけれども。そういう格好です。
 大臣、そこで、この二〇〇八年度までの臨財債は交付税の激しい削減に対して実質的な交付税と呼べる効果を果たさなかった、私はそのように思いますけれども、この点について御見解がございましたら、お伺いしたいと思います。
#15
○国務大臣(原口一博君) 委員がお話しのように、この臨財債ができたときの地方の受け止め、それは一定のものがございました。しかし、これはあくまで借金でございます。
 そして、この借金について、地方側からすると、自らの改革努力が、どうしても出さなきゃいけないこの臨財債と相まって、じゃ、おたくの借金はあなたの努力でどれだけ減ったんですかということも分からなければ、逆に言うと、今委員がおっしゃるように、急激な減少、これは臨財債も減り続けておりまして、多くの自治体が懸命な行政改革を通じ歳出削減に取り組んでいるにもかかわらず、結果として財政の予見可能性を高める形にはなっていないと、そのことが大きな私は問題であるというふうに考えております。
#16
○又市征治君 臨財債を実質的な交付税と言ってきたのは我々ではなくて当局がそう言ってきたわけでありまして、交付税を減らしたら百歩譲って臨財債を増やして合計額を維持をすべきだ、これは当たり前のことだったと思うんですね。そういうことが全然やられなかったということだろうと思います。
 さて、鳩山連立政権の下で地方財政対策も大きく様変わりをしております。図一に戻って、二〇一〇年の上の二段、地財計画及び地方一般歳出、ひどい下降線を描きましたけれども、しかしながら、まだかなり財政的に厳しい状況の中で微減の状態、こういう状況がグラフからは見て取れると思います。これは計画、つまり政策の問題ですから、回復させるように是非ともこれは御努力をお願いをしておきたいと思います。
 四段目、地方税は二年連続で大きく落ち込むという、こういう予測であります。それを補うべく一番下の段、交付税を頑張って今度一兆一千億増やした。そういう大変な努力はあったけれども、しかし単独では税収減を補うには足りません。交付税はまだまだ回復途上だ、こう言わなきゃならぬのだろうと思います。そこで、臨財債の大幅増で来年度の場合はカバーをするということで大きくここが伸びておる。額は大胆ですけれども、その原型は二〇〇九年度にありそうです。その当時も財源は大変落ち込む、税収が落ち込んでいる、こういうことなどの中でそういうことがやられたんでしょうけれども、交付税の増と臨財債の大増発で、そういう意味では似ているだろうと思います。二〇〇九年度と同様に、貢献度では臨財債の方が大きくて二兆五千億円増、こういうことになっております。
 こういう対処について、大臣、限られた現行制度の中で手法が旧政権とも似てくるのは一面ではやむを得ないという、こういう反面、臨財債の否定的な側面は看過できませんから、何か他の手段を求めたり財務省と交渉しなきゃならぬのではないか、あるいは再来年度に向けてどんな手を打つのか、ここらのところをもう少し大臣の抱負、考え方をお聞きしておきたいと思います。
#17
○国務大臣(原口一博君) これは大事な御指摘だと思います。
 ちょうど一九九〇年代の後半でございますが、あのころ私たちはいわゆるメガバンクの不良債権処理のための法律を作っておりました。そのときに考えていたのは、要するに、この間出てきた不良債権というものをどのようにリスクヘッジするかということでございました。今回は自治体でございますけれども、自治体に積み上がっているある意味での負債、この負債について、それの償還をきっちり、やはり地方債、臨財債と、ボンドマーケットといえどもこれはやはり市場の信認が必要でございます。その市場の信認をどのように得ていくかということで、あのとき中小企業やあるいは国民に対する影響を減らす中で何をやったかというと、不良債権を切り分けました。切り分けて、そこの不良債権を低減する方法をやったわけです。
 私は、地方についてもある意味そういうことが必要なのではないか。この臨財債というのはあくまで臨時特別の措置であるという認識を持つことが私は委員がおっしゃっているように大事なことであるとともに、あるいは地方を成長させ日本全体を成長させると、このことなしにはこれは持続可能でないということも併せて申し上げておきたいと思います。
#18
○又市征治君 先ほども大臣も言われたように、臨財債は将来の交付税の先食いであるということはもう今やだれもが分かっているわけでありますけれども、未償還が三十四兆三千億。償還の計画あるいは展望はあるのか。これは正直言ってないんじゃないのかという気がしてならない。
 そこで、一つの提案ですけれども、あるいは検討いただきたいと思うんですが、臨財債の前の二〇〇六年度までやっていた交付税特別会計からの借入れ、この地方分は残高三十三兆六千億円ですけれども、今回の予算でも繰り延べされております。実は、これに対応する国分の負債というのが十八兆七千億円あったのに、二〇〇六年度に国の一般会計に付け替えをしているわけですね。財務省は自分だけこんなことをしらっとやっている。こういうことなわけでありまして、これは他にも実例があって、林野特別会計の借金の一部を国に付け替えた、また民主党の道路政策では高速道路保有機構の借金を国が継承する、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども。
 そこで、私の提案は、この塩漬け中の地方の負債三十三兆円余りを、これを国分と同様に国の一般会計で面倒を見てもらう、そういうこれから交渉事が必要ではないんだろうか、こういう気がするわけですが。こうすれば地方はせめて臨財債の方の三十四兆円の償還に大分展望が出てくるんではないかと思うんですけれども。さて、ここは大臣、力業になってくるのかどうか分かりませんが、ひとつ御見解を伺っておきたいと思います。
#19
○国務大臣(原口一博君) 先ほど九〇年代の不良債権処理の例を象徴するかのように出したのも、まさに委員がおっしゃるような趣旨のことを私たちも最後は検討しなければいけないんではないかということでございまして、もちろんこのためには様々な政府内の調整が必要でございます。
 しかし、今おっしゃったように、交付税特別会計の右と左でバランスシートを一方的に崩して中央政府に移し替えるというやり方は、それはまさに地方からすると裏切り以外の何物でもございませんので、そういったことも踏まえて委員の御提案を基にまた連立三党で御議論いただいて、そして政府内でも積極的に議論を進めてまいりたい、このように考えています。
#20
○又市征治君 さて、こうして連立政権は地方交付税の政策を大きく転換しようとしているし、また現実にされつつあります。
 ただし、私たち社民党としては、交付税の先食い、いわゆるタコの足食いである臨財債にはずっと一貫して反対をしてまいりました。交付税は交付税率の大幅引上げによって中長期的に解決をすべきだということを一貫して申し上げてまいりました。先ほども大臣もおっしゃいましたが、臨時財政対策債はあくまで臨時的、例外的な手段だ、こうとらえるべきであります。
 そこで、次に地方との協議機関など二つの法案との関係を伺っておきたいと思います。
 根底には地方六団体が提出をした分権の意見書がありました。地方六団体等が要求してきた地方行財政会議という構想や、そこで地方交付税の総額を決定するといった要求に、今回の政府提案の二法案はどこまで合致しているんだろうか。この点、是非大臣の御見解を伺っておきたいというのが一つ。
 また、今日問題にいたしました地方財政計画はもちろんですけれども、財源不足の折半であるとか、臨時財政対策債ルールが当分続くのならば、そのルールも財務省対総務省ではなくて地方との協議会で承認を受けていく、あるいは了解を得ていく、こういうことが必要なんだろうと思うんです。会議に権能が与えられないと地方の失望も大きいわけでありまして、地方財政の分野に絞って、この点について大臣、どのようにお考えなのか、お伺いをしておきたいと思います。
#21
○国務大臣(原口一博君) 三月五日にこの地域主権改革関連二法案を閣議決定させていただいたわけでございますが、これを受けて地方六団体は法案化を率直に評価するという早期成立への期待を表明してくださいました。
 今委員のお尋ねの国と地方の協議の場に関する法律案は、これは地方側と実務検討グループで検討、合意した制度案骨子を基に作成をしておりまして、委員がおっしゃるように、協議の対象には地方財政に関する事項が含まれております。協議が調った事項については議員及び臨時に参加した者は協議結果を尊重しなければならないということにもなっておりまして、私たちは、実際の国と地方の協議に当たっては、協議事項の設定や進め方等について地方側の意見をよく踏まえるとともに、おっしゃるとおり、総務、財務の戦争をやっている場合じゃないです。このごろ私も何か半分財務省に入り込んで、昨日おっしゃいました孫悟空の、お釈迦様の手を今け飛ばしているという状況でございまして、是非、委員の御指導をいただきながら、しっかりとした地方の、これは正当な主張であって、何も無理難題を国に言っているわけじゃ全くないので、その点も勘案して頑張ってまいりたいと思いますので、よろしく御指導をお願い申し上げます。
#22
○又市征治君 委員会が二十分ぐらい遅れて始まりましたから、私も飛ばしてきて、おまけに質問も二問ほど飛ばしました。早めに審議促進を図りたいと思いますが。
 今日は、交付税が切り下げられてきた実態、そのメカニズムへの反省、回復の方向性、それと対比して臨財債という非常手段の危うさ、最後に地方主権二法案で地方財政の決定がどう変わるかということをお尋ねをしてまいりました。多くの点、共通認識に立てたと、こう思いますし、また私どもも与党の一員として努力をしてまいりたい、このように思います。
 今回の地方財政対策予算と交付税法案についてはまた今日は論じませんでしたけれども、暫定税率の廃止などの地方税法の改正については賛成を申し上げ、大臣には地方の財政自主権確立のために更なる御努力をお願いを申し上げて、少し早いですが、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#23
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生でございます。
 まず、昨日の澤委員の質問のちょっと続きになりますけれども、今回の地方税法改正案では、住民税の年少扶養控除と特別扶養控除上乗せ分を廃止するとしております。それによって、お手元の配付した資料一枚目にありますように、課税総所得金額、税額(非課税か否かも含む)等を活用している制度に影響ありというふうになります。これまで要するに利用していた制度が利用できなくなったり、負担が増えたりするケースが出るということだと思います。
 私は、子ども手当の創設によって、他の制度が利用できなくなったり負担増になったりするような方が一人でも生まれてはならないと思います。これは漏れのないように、そういうことがない対策を取る必要があると思いますが、政府税調の代表代行でもある原口大臣の認識と決意を伺いたいと思います。
#24
○国務大臣(原口一博君) 山下委員にお答えいたします。
 昨日、澤委員にもお答えいたしましたけれども、ここは政府税調で何回も議論いたしました。
 今委員がおっしゃるように、子ども手当というものによって、所得が変わることによって、様々な給付あるいは扶養控除その他の控除の上乗せ分の廃止によって影響が出る制度について整合性を取る、そのためにPT、この二人、そのPTの責任者でございますけれども、そのPTをつくって各省に働きかける。今委員がおっしゃるように、しっかりとした目配りをし、決して国民の負担が増えないようにしっかりと対応をしてまいりたいと、このように考えています。
 詳細については政務官の方からお答えをさせていただきます。
#25
○大臣政務官(小川淳也君) 委員の御指摘の点は、大臣申し上げましたとおり大変慎重に議論をしてまいった点でございまして、既に政府税制調査会内にPTを設置をいたしまして、検討会議もスタートをいたしております。できるだけ早く詳細な検討を進める予定でございまして、できれば夏ごろにも一定の結論なり対策を具体的に打ち出したいというふうに考えております。
#26
○山下芳生君 一人たりともそういうことがあってはならないという立場で、しっかりとした対応をしていただきたいと思います。
 次に、子ども手当の創設に当たって、税制改正大綱や子ども手当法案そのものに、税を課すことができない、あるいは差し押さえることはできないというふうにされております。しかし、同様の規定がある児童手当では差押えが現に行われております。
 今回、自治体で子ども手当でも同様のことが起こっては私は絶対ならないと思うんですが、特にこの間、口座振り込みというものが一般化しておりまして、いったん口座に入った瞬間から、手当が普通預貯金とされて差押えできるということがまかり通っております。このような対応は改める必要があると思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。
#27
○副大臣(渡辺周君) 委員は御案内のとおり、平成十年の二月の最高裁判決で一度これは判例が出ているわけでございます。我々としても、ただしかし、だからといってまさに生活が窮迫をするような、まさにその手当が、その後自治体の人間が飛んできて、とにかくそれを問答無用で取り上げるというようなことがやっぱりあってはならないんだろうというふうに考えております。
 これは実は定額給付金の議論のときに、我々野党の時代に、これが配付されてそれが窓口で差し押さえられたらどうなんだということも実は議論をした覚えがございますが、この子ども手当は児童手当同様に法律で差押えができないようにはなっておりますけれども、窓口に対しても、とにかくその方の世帯の、滞納者等々の状況を踏まえて適切に適正に判断するように私どもとしてもその点については進めてまいりたいなというふうに考えております。
#28
○山下芳生君 これはしっかり注視していきたいと思います。
 続いて、地方税法の改正案に入りたいと思いますけれども、資料の二枚目にありますように、旧政権時代、特に小泉構造改革の下で低額所得世帯や高齢世帯をねらい撃ちにした個人住民税の各種控除が廃止あるいは縮小されました。資料三枚目を見ていただくと、それと軌を一にするように個人住民税の滞納が平成十八年度をボトムにして十九年、二十年とぐぐっと急増しております。これは何を意味するかということですが、私は、旧政権時代の税制改正によって多数の低額所得世帯、高齢者世帯が新たに課税対象とされてしまったと、こういう方はかつかつの生活をされていた方々だと思います。しかしながら、収入は全く増えないのに税額だけが大きくなったと、中には税額が数倍になった方も私知っておりますけれども、それによって税金を払いたくても払えない人が大量に生み出されたということではないかと思います。その結果の滞納のこの間の急増だと私は認識するんですけれども、原口大臣、どういう認識でしょうか。
#29
○国務大臣(原口一博君) 私は、委員がおっしゃるように、社会的な貧困の広がり、そして各種控除、特に低所得世帯に対しても大きな影響を与えている控除の見直しなど、例えば配偶者特別控除の見直しで、これは十七年度分で二千五百五十四億円、老年者控除の廃止で千三億円、こういったものがやはり多くの課税水準の問題を引き起こし、そして今おっしゃるような税の滞納ということにつながった面は否定できないというふうに思います。
 個人住民税においては、生活保護基準額程度以下の収入である方についてはもちろん非課税とする非課税限度額制度を設けているほか、納税が困難であると認められる方については個別具体の事情に即して減免を行うなど、低所得者の税負担について配慮を行うべきだと。また、現に行っているということでございますが、委員がおっしゃるような現象が起きていて、私も生活保護の受給の現場に一回行ったことがございますけれども、まさに待ち構えておいて、そして債権者が債権のカタに生活保護のお金を取るなんということは決してあってはならないというふうに思っております。
#30
○山下芳生君 ちょっと総務省に確認ですけれども、個人住民税のフラット化、要するに、二百万円以下で五%だったのに、今度の税制改正で一〇%になる方々ですけれども、地方税が五%から一〇%になった課税所得二百万円以下の人数はどれだけか、それから老齢者控除廃止、公的年金控除廃止で増税になった人数はどれだけか、御報告いただけますか。
#31
○政府参考人(岡崎浩巳君) お答えいたします。
 まず、税源移譲によりまして、実際やった平成十九年のベースで数字を申し上げますが、最低税率が五%から一〇%に引き上げられた方のうち、住民税の課税所得が二百万円以下の方の数は約三千六百二十九万人でございます。ただ、税源移譲に際しては住民税と所得税を合わせた税負担が増加しないように調整措置を設けておりますので、両税の合計で増税にはなっておりません。
 それから、もう一つのお尋ねでありますが、老年者控除の廃止、公的年金控除の見直しの影響、人数でありますが、この見直しが実施されました直前の平成十七年度におきまして、老年者控除の適用を受けていた方は約四百五十二万人でございます。また、六十五歳以上公的年金控除の適用を受けていた方は約四百四十五万人でございます。
#32
○山下芳生君 個人住民税のフラット化で三千六百二十九万人が増税になったと。もちろん所得税で相殺されているということはありますけれども、しかし、地方税の方にこういう方々が滞納者としてどかんとやってくるということになったのは否めないと思います。それから老齢者、それから公的年金、それぞれ廃止されることによって四百万人台の方々が増税になったということであります。
 この五年間の、もう一度総務省に伺いますけれども、地方税の差押件数、それからその金額の推移はどうなっているか、また、差押えを行った地方公共団体数の推移はどうなっているか、お答えいただけますか。
#33
○政府参考人(岡崎浩巳君) 差押えの関係でございます。
 平成十五年度から十九年度までの五年間におきまして、把握しているのは都道府県だけでございますが、都道府県が地方税の滞納に関しまして差押えを行った租税債権の件数は、各年度ともおおむね二十万件程度でございます。また、租税債権の金額も各年度ともおおむね百六十億円前後で推移しております。それから、市町村における件数、金額は把握しておりません。
 それから、団体数でございます。これは、平成十七年度以降の団体数は把握いたしておりますので申し上げます。差押えを行った都道府県は、十七年度から二十年度まで四年間、すべての団体が行っております。それから市区町村でございますが、平成十七年度は千四百五十五団体であり、直近の二十年度では千六百十五団体となっております。
#34
○山下芳生君 十七年から直近までわずか数年、二、三年の間にやっぱり増えているんですね、差押えをした地方公共団体が。やっぱり、先ほど原口大臣がお認めになったように、こういう各種控除の廃止、低所得、高齢者ねらい撃ちの増税が滞納者を増やし、差押えも地方の税のところで増えているということだと思います。
 こうした中で、私は悲劇が起こっているということをやっぱり直視する必要があると思います。大阪市で昨年起こった、固定資産税が納められず、悩んだ末の自殺者が出たということなんですけれども、Aさんといたしますけれども、固定資産税の滞納をし始めたのが一九九九年ごろであります。次男の方の仕事が失敗して、その借金の一部も肩代わりされておりました。滞納した固定資産税と延滞金合わせて七百五十万円、新規の五十八万円を合わせて、十万円ずつきちっと分納されていた方なんですね。
 そして、相談をしに、納付書をもらいに行ったら、残念ながら窓口で、十万円じゃ話にならない、七百万円耳をそろえて持ってくるくらいでないと駄目だと。この方はマンション経営もされているんですけれども、自宅兼マンションの不動産を売却しろとは言わないが、ほかに方策があるなら言ってみろ、破産しても税からは逃げられないなどという、これは私はもう脅迫だと思いますけれども、そういうことを言われまして、夜アルバイトをしても月十万円が限界なんですと訴えましたが聞き入れられず、昨年の三月までには答えを持ってこいと再度念押しされた結果、三月二十五日、もう一度出向くことになっておりましたが、その直前、二十三日に自宅で自殺されているのが発見をされました。
 遺書がありまして、遺族の方に、死にたくない、死んだらアルバイト代も年金も入らなくなる、経営するマンションの収入が少なくならないことをこれからは考えるようにと言い残して亡くなられたわけです。御遺族の方は、最後まで税金のことを心配していた、あんなに取り立てるから追い詰められてしまったんですと述べておられます。
 私ども日本共産党は、政党としては最も早い一九九二年に納税者憲章の提案を行いまして、人権無視の強権的徴税をやめさせて、国民が主人公の税務行政と税制を実現することを広く国民に呼びかけました。民主党も、昨年の総選挙政策で納税者権利憲章の制定というものを掲げておられます。
 大臣に伺いますけれども、私が今紹介した事例のような強権的な徴税によって自殺者が出る、このようなことは絶対にあってはならないと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#35
○国務大臣(原口一博君) お答えいたします。
 委員の御質問の中に出ましたけど、昨日が御命日ですね。御冥福をお祈り申し上げ、いやしくも納税者の権利を踏みにじるような徴税ということは、それはなされてはならないというふうに思います。
 また、滞納処分をすることによって滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがある場合は滞納処分の執行を停止できることとされておりまして、私は、今委員がおっしゃったような痛ましいことが二度とないように、政府を挙げて、また納税者の税制上の権利を明確にし、私たちの納税者権利憲章、私もこの大綱において、国民主権にふさわしい税制を構築していくためにということでいろいろ文言を検討したことがございまして、委員の御指摘を受けて、更に納税の在り方あるいは徴税の在り方についても政府内で議論をしていきたいと思っております。
#36
○山下芳生君 やっぱりこういうことはあってはならないということだと思いますが、ところが、あってはならない事態を今一層拡大する土壌となりつつあるのが税務徴収を共同処理する組織、いわゆる地方税滞納整理機構だと言わなければなりません。これは二〇〇〇年以降、全国各地で広域連合とか一部事務組合の形を取って設立が相次いでおります。大体二十ぐらい今あると思います。
 この地方税滞納整理機構で次々と深刻な事態が起こっております。例えば、実例で言いますけれども、和歌山、ここは一部事務組合で機構をつくっておりますけれども、ここで、Cさんといたします。自分が病気になり、収入が激減をされました。その後、夫が悪性リンパ腫となって保険が利かない病気で高額治療が続いていた。借金をして滞納金を支払い、残りは支払できる範囲で毎月納税をされていた、担保を生命保険から不動産に変えて支払ってきたと。ところが、この機構から突然更なる徴税の働きかけを受けて、夫が加入し給付を受けている生命保険の解約を余儀なくされて入院もできなくなったと、こういうことが起こっております。
 あるいはまた、京都でも、これは京都府が入りまして、京都市を除く自治体で京都地方税機構というものがつくられておりますけれども、ここでも、これはBさんといたしますけれども、事業所得が三十八万円、年金四十六万円、そういう方ですが、年金が振り込まれて五万四千四百十五円を、さっき原口大臣がおっしゃっていたとおりです、振り込まれたら差し押さえられるということが起こっております。
 これは、調べますと、京都府の滞納処分の水準を定めた要綱、これは生活保護水準の一・二倍以下の所得の世帯からは差押えしてはならないということにも反するようなやり方が京都の機構の名によってやられているわけですね。
 ここに加入する各市町村が滞納者に納税の催告及び移管予告という文書を送り付けているんですよ。指定期日までに納付されない場合は京都地方税機構へ移管し、差押え、公売等の滞納整理が行われることになりますといって送り付けて、言わば、何といいますか、滞納者に対して差し押さえられますよということを予告するようなもので、実際にその機構に移管されたら、さっき言ったような条例にも反するようなやり方で差押えがされているということなんですね。
 私は、この広域連合や一部事務組合による滞納整理機構は、これは県がかかわった場合は総務大臣が許可することになっております。そういうところで納税者の権利を踏みにじるやり方がどんどん広がっていると。これは是非、原口さん、実態をよくつかむ必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#37
○副大臣(渡辺周君) いずれにしても、生存権を脅かすような徴税があってはならないんだというふうに思います。
 今御指摘のような滞納整理組合、滞納整理機構の個別の事例については承知はしておりませんけれども、これはウイル・ノット、これは払わない人、キャン・ノットで払いたくても払えない人、私はいろんな事情があろうと思います。それだけに、本当に払えるのに払わないという方、それから本当に払いたくとも払えない方、多くの国民が、あるいは地域住民が国税、地方税を一生懸命懸命に納めている中で、本当に払えるのに払わないという方に対しては、これは厳しく徴税をしなければいけないと思いますが、しかし、公共の立場にあるものが納税者を追い詰めて、ましてや命を奪う、結果的になるようなことはやっぱり許されてはならないと思います。
 それだけに、今御指摘のような個別の例については承知をしておりませんけれども、私は、やっぱり払いたくとも払えない方には、その事情をそんたくをする当然裁量というものがなければいけないと思っております。個別の事例は分かりませんが、とにかく命を奪うようなこと、ましてやその方の生存権を奪うようなことがあってはならないように、しっかりと総務省としても注視をして、またちゃんとした対応を取れるように検討してまいるべきだろうというふうに思っています。
#38
○国務大臣(原口一博君) 総務省としての答えは、個別の課税事案の徴税の実態については、課税庁でないために総務省としては把握ができないわけですけれども、一方、私は政府税調の会長代行でございますので、税調でもこうした委員の御指摘を踏まえて、納税者の権利を保障するためにどういう調査が必要なのか、少し検討をしてみたいと考えております。
#39
○山下芳生君 是非しっかりと検討して調査をお願いしたいと思います。
 それで、実はこれは地方が勝手にやっているんじゃなくて、旗振りしているのは総務省なんですね。総務省の二〇〇七年三月の通知というものがございます。地方税の徴収対策の一層の推進について、自治税務局長、それから地方税の徴収対策の一層の推進に係る留意事項等について、自治税務局企画課長から各都道府県あてに通知が出されております。その中で、地方団体間の広域連携等による徴収体制の強化を図ることは極めて有効、有用であると考えられることから、地域の実情に応じその推進に努めるとしているわけですね。こういうことは総務省が旗振られて徴税の広域化というものがやられております。旧政権時代の通知ですけれどもね。
 私は、地方団体間の広域連携等による徴収体制の強化がなぜこういう納税者の権利を踏みにじるような事態を生むのか、これは偶然じゃないと思うんです。二つ理由があると。
 一つは、やっぱり滞納整理に特化した機構が二〇〇〇年代に入って、古くからのいろいろ税の業務全般を広域でやるところはありますけれども、二〇〇〇年代に入ってできているのは滞納整理に特化した機構なんですよ。それが一つ。そして二つ目に、広域化ですから、やっぱり各小さな市町村単位でやっていたときよりも住民の顔は見えにくくなる。生活の実態も分かりにくくなる。情け容赦なく取り立てるというふうになりやすくなる。
 こういうことを総務省が旗振ってやっているというのはいかがなものかと思うんですが、このちょっと実態を、原口大臣調査すると、何とかしてみたいとおっしゃっていますが、そういう弊害が恐らく出てくると思いますけれども、その上でこの通知はもう撤回する必要が私は出てくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(原口一博君) 先ほど副大臣からもお答えさせましたけれども、やはり徴税についての配慮すべき事項というものがあるわけでございまして、地方税の滞納処分については一方で専門的な知識や経験の蓄積が必要であることから、特に小規模な地方団体ではノウハウの蓄積が困難であると。そういうことで、今回、今委員がおっしゃるような一部事務組合等において徴収困難事案などについて滞納処分を実施することは、地方税の徴収体制を図る上では有効な手段だと認識をしております。
 しかし、それと同時に、先ほどから私たちが何回も申し上げているように、納税者の権利についてどのような配慮がされているのかといったことについても、しっかりと通知をしていかなきゃいかぬというふうに考えております。
#41
○山下芳生君 さらに、広域連合でも一部事務組合でもない任意組織による回収というものが広がっております。そこでどんなことが起こっているか。
 これも具体的に紹介すると、宮城は任意組合をつくって、市町村から職員を集めて回収に特化をした業務をやらせております。国保も含む滞納が五十万円を超える人たちをこの機構に回しております。
 Dさん。働いていた岡山の本社にまで本人の承諾なしに連絡がされた。Eさん。通知を受け取って、驚いて相談に行きたいと機構に電話したら、期限までに納められなければ来なくていいと、準備ができれば段ボールを持って二、三人でお宅にお邪魔するといって、捜索調書を持ってそういうことを強行したと。実際に持っていったものはヤフーのインターネットオークションで競売されていると。それからFさん。年金もない、パートなどの収入で暮らしている御夫婦ですが、昨年の十一月に郵便局に行ったけれども振り込みがないので調べてもらったら、パートの給与四万六千八百六十円を差し押さえられていたと。ずっと相談していたんです、納税の、ところがそういうことがやられたと。
 この宮城県の地方税滞納整理機構、任意の機構ですけれども、こういう黄色い毒々しい、これは督促状だと思いますけれども、至急開封願いますというのをばあんと送り付けるようなこともしております。
 そこで、総務省に伺いますけれども、総務省として、任意の組織が公権力の行使である徴税行為ができると、そう判断しているんでしょうか。
#42
○副大臣(渡辺周君) これは、法人格のない整理組合等であっても、構成団体である市町村の持つ課税権に基づいて徴税吏員が差押えなどの滞納処分をすることは可能であるというふうに認識をしておりますが、今我々としても税調の中で、先ほどお話ありました納税者の権利憲章等を作る中で、例えば国税の不服審判の在り方、またあわせて、こうした徴税の、やっぱりこれは人権を無視したかのような、もし御指摘のようなことが事実であって本当にこれは常軌を逸したようなことであるのならば、当然我々としてもこの実態を少し考えて、納税者の側に立った権利憲章と、そして徴税の在り方、これについても当然税調の中で検討してまいりたいというふうに思っています。
 いずれにしても、今の時点で申し上げられることは、個々の市町村が持っています課税権に基づいて滞納処分を行うことは可能ではありますが、あとはそのやり方については、やはりこれはちょっと注視をしなければいけないというふうに思っております。
#43
○山下芳生君 今まとめて提案しましたけど、そういう広域化による徴税攻勢で納税者の権利が踏みにじられていると、それが広域化がどんどん広がる中で、機構がつくられる中で加速されているという実態を是非調査をしていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事林久美子君着席〕
 それから、地方自治体の職場では、今人事管理の仕組みとして目標管理型人事評価制度というものが実施を迫られております。
 推進している総務省の地方公共団体における人事評価の活用等に関する研究会研究報告書、二〇〇九年三月によりますと、具体的なモデルケースとして、徴収に携わる職員の目標管理のモデルケースとして、@市民・県民税、特別徴収について、何月末までに事業所へ電話・文書催告を行い、滞納事業所数を何件に減らすとか、A平成何年度から新たに未納になった者に対し、年度末までに最低何日程度、電話や文書催告等を行い、新規滞納者の前年度比何%削減を目指すとか、B現在約何%である市税の口座による還付について、各支所何々課と集落単位の市税の説明会を合同で行うことによりPRし、年度末までにどのぐらい、何々以上向上させるという、こういうふうに具体的に数値目標を書かせて、それを人事評価にしなさいということがモデルになっているんですね。
 私は、これはひどいなと。どんどん滞納を数で追いなさい、そして回収しなさい、減らしなさい、これが人事評価のモデルケースとして総務省から各自治体に通知されているんですよ。こんなことになったら納税者の権利よりも、とにかく滞納者を減らす、回収を進める、そして評価してもらおうというふうになりかねない。
 私はこれは、こういうケースをモデルとして推奨するのはすぐにでもやめるべきだと思いますけれども、原口さん、いかがですか。
#44
○大臣政務官(小川淳也君) 御指摘の点でございますが、こういう時代背景の中ですので、できるだけ行政としてパフォーマンスを上げていこう、成果がしっかり出るようにという大きな方向感、これについては委員も御理解をいただけるのではないかと思います。
 その中で、例えば市民課の業務についてはできるだけ市民の皆さんをお待たせしないようにとか、社会福祉についても努力目標をしっかり具体的に掲げるようにとか、全般的な取扱いの中で今御指摘の納税に関する目標があるということでございます。
 いずれにしても、できるだけ定型化をして、各職員の皆さんがそれぞれ具体的な負荷を負って具体的な成果に出していこうということについては引き続き努力されるべきことだと思いますが、それが、先ほど来議論になっていますように、常軌を逸したような取立てとか、あるいは生存権を脅かすような形での取立てとかいうことにつながってはならないことは、それはもう言うまでもないことでありまして、これはあくまでそこのバランスがきちんと取れた形で執行されることが望ましいというふうに考えております。
 いずれにしても、この報告書そのものは各自治体がそれぞれの地域の実情に応じて具体の取組をしていただくに当たっての参考資料でございまして、それ以上でもそれ以下のものでもございません。今委員からずっといただいたその御指摘の趣旨をよく踏まえて、参考にしていただくべきものではないかと考えております。
#45
○山下芳生君 そんなパフォーマンスは理解できませんよ。
 市民課とか社会福祉課のモデルケースは、今政務官おっしゃったように真っ当なものになっていますよ。でも、この納税課は、先ほど読み上げたように、とにかく滞納者の数を減らせと、いつまでにどれだけ減らすのかということを書かせて、それを人事評価の物差しにしなさいということを書いているんですから、これは人権侵害を起こす土壌を総務省が音頭を取って広げているようなものだと私は思いましたね。こんなパフォーマンスはしてもらったら困るんですよ、納税者にとってみたら。それは、悪質な場合は別ですよ。
 だから、原口さん、これはちょっと検討する必要があるんではないかと思いますが、いかがですか。
   〔理事林久美子君退席、委員長着席〕
#46
○国務大臣(原口一博君) 先ほどからお答えしていますように、生活困窮者に対しては特段の事情がある者については地方税の減免や徴収猶予ができることとされています。
 ですから、人事評価についての、やはり一方的な単なる数だけでは駄目で、質のいい公共サービスということは、やはり納税者の権利をしっかりと踏まえている、あるいは保障しているということが前提でなければいけないと思いますので、ちょっと省内で検討してみたいと思っています。
#47
○山下芳生君 私は、本来自治体の徴税業務というのはどんな姿勢で行われるべきかと、これはやっぱりよく考える必要があると思うんですね。
 テレビでも紹介された大阪門真や秋田の事例は、滞納世帯に声を掛けて生活の状況を丸ごとつかんで、住民の実情をちゃんとつかんで、その生活を支援する中で税金を納めていただけるようになってもらうと、こういうやっぱり支援していますよ。
 それから、鎌倉市の具体的なレポートを私今持っているんですけれども、実際には払いたくても払えない方がやっぱり多いんですね。実際、その窓口を担当されていた経験者の方がこう言っています。ある多重債務者の方が市の支援によって債務整理し、かなりの過払い金を手にすることができ、その翌日に市役所に来られて、長年にわたる多額の市税や健康保険料を全額納付していただいたことがあります、納付を終えたときのその人のすがすがしい表情は今でも忘れられませんと。
 これが自治体の徴税業務の私はあるべき姿ではないかなと思います。この方は、納税者はたとえ滞納していても信頼できる存在ですと、ですから滞納整理というのは職員と納税者の信頼関係で進めていくことを基本に置くべきだと、悪質な人はわずかだろうということはやっていて分かると言うんですね。
 ですから、この鎌倉市では、滞納相談の場で、ある時点で一歩突っ込んで、原因を問いかけて、サラ金への返済に追われていたんだったら消費生活センターに案内して債権の整理から始めてもらうとか、取ることばっかりではなくて、やっぱりさっき大臣、副大臣からおっしゃるように、生活を脅かしてまで取り立ててはならない、そこをちゃんとわきまえて、生活保護が必要な方にはそういうこともあっせんするとか、機械的徴税の強化というのはやっぱりやってはならないということで実践をされております。
 ところが、多くの、多くのと言ったら語弊がありますけど、少なくない自治体では、徴税の窓口の職員がころころ替わるんです。もう三年もいないことが圧倒的で、そうなりますと、そういう住民の生活をしっかり丸ごとつかんで必要なアドバイスを必要な関係部署にするとか、そういうことはやっぱり一年や二年ではできないと思います。やっぱりよく経験を積んで人の痛みも分かってこなければできないと思いますが、残念ながらくるくる替わるということになっている。
 ですから、私は、いい事例を是非大いに紹介していただきたいということと、もう一つ、もう時間来ましたので、それからやっぱり職員の研修がすごく大事ではないかというふうに思います。
 税務の現場で働いている職員の方々も、ちゃんとした基礎的な地方税、税務の知識をやっぱり身に付けたいと思っておられるんですね。今職員数減少の下で、地方税業務の基本的な理念、ノウハウが継承されにくいという状況がありますから、是非、納税者の生活実態を調べない、そんな行政の対応ってあってはならないと思いますので、研修の強化、特にその中で、基本的な徴税の精神、納税者の権利問題をちゃんと教育すること、それから二つ目に、住民にその権利やいろいろな利用できる制度の分かりやすい説明をすることが大事だと。パンフレットやしおりを作っているところもあろうかと思います。
 こういう権利があるんだ、こういう制度があるんだということをきちっとつかんでこそ、それから外れた悪質な滞納者にきちっと毅然とした態度を取るということも、やっぱり自ら職員としてどこまでが権利なのかということを分かってこそ厳しく悪質者には対応することができるんだと思うんですね。そういう進んだ事例の啓蒙普及、それから職員の教育研修の強化、これは非常に大事だと思いますが、原口大臣、いかがでしょうか。
#48
○国務大臣(原口一博君) 重要な御指摘であるというふうに思います。まさに納税というのは義務であるとともに権利であるわけです。ですから、納税における国民の権利を保障するということはいかなることなのかということを、総務省といたしましても、いい事例、また一方で、徴税の現場に携わる方々の御心労もこういう時代ですから大変なものがあると思います、そういう方々も働く皆さんも守るという、その両方の視点から今の御指摘を検討させていただきたいと、こう考えています。
#49
○副大臣(渡辺周君) 連立三党の政府税調の中でも、是非御指摘のような点につきまして議論をしたいと思います。私どもは、マニフェストの中のインデックスで、いわゆる連帯保証人制度も、これは民間の金融機関を想定していますが、いわゆる連帯保証人制度も廃止も含めて見直しますということもうたっております。まさにお金のことで生活を、自らの命を追い詰めるようなことがやっぱりあってはならないというふうに思っております。
 また、窓口については、まさに人間の顔をした窓口にしていかなければいけないということで、また御指摘のことも踏まえまして、是非検討してまいりたいと思います。
#50
○山下芳生君 終わります。
#51
○委員長(佐藤泰介君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#52
○礒崎陽輔君 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、地方税法等の一部を改正する法律案に反対、地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について意見を述べます。
 民主党は、子ども手当の創設に伴い、地方に負担を掛けない前提で個人住民税の扶養控除の見直しは行わないものとし、民放のテレビ番組における自民党の幹部の発言に対して抗議までしていたところであります。しかし、予算編成過程において税制改正に個人住民税の扶養控除の見直しを盛り込んだことは全く支離滅裂と言うよりほかはなく、地方を欺くものと言わざるを得ません。同様に、揮発油税等の暫定税率の廃止は民主党の極めて重要なマニフェストの柱であったにもかかわらず、党幹部の発言により急転直下これを継続することとし、暫定税率を当分の間と言い換えるだけの、まさに国民を欺く改正案を提出したことは、全く言語道断のことであります。
 さらに、その穴埋めのように、揮発油税の税額が石油価格によって変動する前例のない極めて不安定なトリガー税制を創設しています。万が一年度の途中で税額が変わるようなことがあれば、税の徴収現場で大混乱が起きることは目に見えています。また、その場合の地方税の減収に対しどのように対処するのか、法律上全く明確にされていません。一方で、軽油についても同様の扱いをすることとされていますが、軽油価格は揮発油価格と同じ値動きをするものではなく、価格の逆転など様々な弊害が予測されています。
 我が党は、このような付け焼き刃の混乱した税制を地方税制の世界に持ち込むことには断固反対します。
 たばこ税については、なぜ値上げをしなければならないのか全く不明です。当初、財源確保のためのたばこ税の値上げが議論されていたにもかかわらず、急に健康問題を表面に出してきました。この問題でも政府・民主党のぶれを感じさせます。この値上げは、不景気の中でたばこ小売業者やたばこ生産農家に与える影響は甚大です。十分な検討がなく、思い付きのようなたばこの値上げを行うことは許されません。
 このように、地方税法等の一部改正法案は、税制のあるべき方向についての基本的な議論を欠き、単にマニフェストとの整合性を持たせるため、思い付きのようなことを積み上げたものになっています。さらに、その民主党のマニフェストすら守られていません。今、厳しい地方財政を考えるとき、政権交代によって地方公共団体存続の最も基礎にある税制を一政党の思い付きでゆがめてしまうことは大問題です。今後、扶養控除の廃止に伴う住民税の課税最低限の引下げ等、多くの弊害が顕在化してくるでしょう。このような地方税法等の改正には、絶対に賛成することができません。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について意見を述べます。
 原口総務大臣は、地方交付税を一兆一千億円増額し、地方が自由に使える財源を増やしたと大宣伝をしていますが、実態が決してそうではないことは委員会質疑を通じて明らかにしたところです。地方交付税を増額する一方で、コンクリートから人へと称して地方単独事業を一兆二千億円も削減してしまいました。この地方単独事業の中には、八千億円もの一般財源が含まれていたのです。とらの子の地方財源を一気に削減してしまいました。地方交付税を増額したといっても、財源不足額は実に十八兆円を超え、地方交付税額十六兆九千億円を上回っています。
 原口総務大臣は、予算編成過程で地方交付税関係諸税の法定率の引上げを口にしながら、結局実現しませんでした。地方交付税の増額とほぼ同額の財政需要を計上したことには一定の評価をしますが、それを上回る額の地方単独事業を削減したことにより、その成果は相殺されました。
 このように、地方財政計画及び地方交付税法改正案には大きな問題点を指摘できるところでありますが、全国の地方公共団体が地方交付税法一部改正法の成立を一刻も早く待ち望んでいるところであり、我が党としても大局に立ってこの法律案に賛成することとします。
 以上のとおり、地方税法等一部改正法案に反対し、地方交付税法等一部改正法案に賛成し、討論を終わります。
#53
○武内則男君 民主党・新緑風会・国民新・日本の武内則男です。
 地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論をいたします。
 自民党政権の末期に登場した小泉内閣が進めた構造改革、三位一体改革が日本社会に与えた影響は計り知れないものがあります。一部の富裕層や大企業、外資系企業優遇によりGDPは増加したとされるが、一方で、地方は構造改革、三位一体改革の弊害をまともに受け、福祉や公共サービスの縮小や、あるいは社会的セーフティーネットを崩壊をさせました。例えば医療分野では、医療制度改革によって医療負担の増と医師の労働環境悪化を生み出し、地域の医療システムが崩れていきました。また、地方交付税の縮小により地方自治体財政が縮小し、公共サービスは切り詰められ、地域で生きていくための最低限の条件が失われる事態となりました。
 地方交付税の削減や福祉、医療サービスの圧縮は、国民の安心と安全を奪い、持続的な社会に対する不安感を生み、結果として、国民は政治の変革を求めて政権交代を選択をいたしました。
 鳩山政権は、新年度予算を編成するに当たり、その柱として、社会的ネットワークの再構築と福祉、医療など公共サービスを立て直すことを基本に、その決意が国民に確かなメッセージとして伝わることが求められました。その上で、公共サービスのほとんどを担う都道府県と市町村に対する交付税を一兆一千億増額したことは、国民に対する地方の再生に向けた明確な意思として高く評価できます。
 長い間の自民党政権が本来対策を打つべきことを打ってこなかったツケがあることは明らかであります。地方財政計画の健全化は緊急の課題であり、地財計画の財源保障の意味と役割を重く位置付ける必要があると考えます。
 平成二十二年度税制改革大綱の税制改革の視点において、地域主権を確立するための税制を確立するとし、国と地方の役割分担の大幅な見直しと併せて、それぞれの担う役割に見合った形へと国、地方間の税財源の配分の在り方を見直しますとなっています。
 今後、地域主権を進める中で、権限移譲や義務付け、枠付けの廃止と、地方に対する税財源の移譲は大変重たい課題であると同時に、重要な課題であります。小規模自治体の交付税削減は段階補正の見直しという形で実行され、国が市町村合併を強制的に誘導したことは間違いありませんが、それは交付税に頼らざるを得ない小規模自治体にとっては死活問題であり、自民党政権の地方切捨て政策の象徴でありました。
 既に原口大臣は、現在の厳しい地域への交付税の重点配分や、条件不利地域や小規模の市町村において必要な行政サービスが実施できるよう、段階補正及び人口急減補正の見直しを行うことを表明をされております。
 その自民党政権の間違った政策を根本から正そうとする段階補正などの見直しについては大いに評価をした上で、見直す内容は、上限の見直しや段階の見直し、あるいは経費の範囲や都道府県、市町村など様々だと思いますが、基本的には、人口における段階を細かく設定する方向が良い方向であると申し添えます。
 最後に、国民主権を目指した地域主権改革は、国は当然のこととして、地方自治体や地方議会の断固たる決意と覚悟が問われているものであります。そのことを申し上げ、あわせて、政権初年度予算においてその第一歩が記されたことを高く評価し、賛成の討論といたします。
#54
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法及び地方税法の改正二法案に対し、反対の討論を行います。
 地方交付税法案に反対する理由の第一は、地方の財源不足への国の責任が果たされていないからです。
 地方交付税法第六条の三第二項は、地方財源不足が三年にわたって生じる場合には、地方行財政制度の改正又は交付税率の引上げを定めています。十五年連続の地方財政の財源不足は、これまでの行財政制度の改正では限界があることを示しています。
 しかし、交付税率の引上げを行わず、来年度も財源不足額のうち十兆七千七百六十億円を国、地方で折半することにしています。これでは到底、地方財源の総額確保への国の責任を果たしているとは言えません。
 反対理由の第二は、地方財源を安定的に保障する措置がないからです。
 自公政権の地方交付税の大幅削減によって、地方の一般歳出は抑え込まれ、医療、福祉、教育、雇用など住民サービスは深刻な事態になっています。地方交付税額は昨年に比べて一兆円余の増額となっていますが、一年限りの別枠加算によるものです。臨時的、特例的な措置では地方財源を安定的に保障することにはなりません。
 反対理由の第三は、構造改革路線に基づく地方公務員の定員純減と給与抑制が断ち切られていないからです。
 来年度の地方財政計画では、二〇一一年度まで地方公務員の純減方針を定めた骨太方針二〇〇六に基づいて二万人以上の地方公務員純減を盛り込んでいます。行政改革推進法や骨太方針二〇〇六など国から地方へ定員純減を押し付けている仕組みは今すぐ撤廃し、構造改革路線ときっぱり決別すべきであります。
 次に、地方税法案についてであります。
 年少扶養控除の廃止と特定扶養控除の上乗せが廃止され、平年ベースで四千五百六十九億円もの過去最大規模の増税がもたらされることになります。二〇一〇年度予算案では、子ども手当の支給は月額一万三千円しか計上されておりません。今後月額二万六千円支給の保障がないにもかかわらず、住民税の年少扶養控除等の廃止は恒久措置とされています。現状では、子ども手当の支給より負担の方が多くなる世帯が生まれることになります。こうした影響を是正する措置もいまだに示されていません。
 そもそも、民主党のマニフェストには個人住民税の扶養控除廃止はありません。国民には何の説明もない、公約違反の大増税であります。子ども手当のまともな設計も示さず、その一方で公約違反の扶養控除廃止による大増税を押し付け、保育、子育てへの国の責任を投げ捨てるやり方は容認できません。
 以上の点を指摘し、反対討論を終わります。
#55
○委員長(佐藤泰介君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#56
○委員長(佐藤泰介君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#57
○委員長(佐藤泰介君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#59
○委員長(佐藤泰介君) 次に、行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題といたします。
 礒崎君から発言を求められておりますので、これを許します。礒崎陽輔君。
#60
○礒崎陽輔君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・改革クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による自立的かつ持続的な財政運営を可能とする地方財政制度の構築に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    自立的かつ持続的な財政運営を可能とする地方財政制度の構築に関する決議(案)
  国・地方を通じた厳しい財政状況の下、特に財政力の弱い地方公共団体においては、厳しい財政運営を強いられている状況を踏まえ、政府は、個性豊かで活力に満ちた分権型社会にふさわしい自立的かつ持続的な地方税財政システムを確立するため、次の諸点について格段の努力をすべきである。
 一、地方財政計画の策定に当たっては、地方公共団体が引き続き厳しい財政状況にあることを十分認識し、地方独自に行う施策・取組を十分実施できるよう、地方の意見を確実に反映しながら、地方全体の財政需要を適切に積み上げるとともに、これに伴い必要となる一般財源の確保を図ること。
 二、地方交付税の本来的な役割である財源保障機能と財源調整機能が適切に発揮されるよう、基準財政需要額については、地域の再生・活性化や雇用創出の推進等地域住民が将来にわたって安心できるための施策に要する財政需要等を的確に反映した算定に努めること。
 三、現下の厳しい地域経済環境において、地方の疲弊が極めて深刻化している中、毎年度発生する巨額の地方財源不足への対応については、いわゆる「国・地方の折半ルール」による暫定措置の在り方を見直すとともに、法定率の引上げを行うなど地方税財政制度の抜本的改革を検討すること。
   また、地方税財政に係る諸制度の見直しに当たっては、特に財政基盤の脆弱な市町村に対し、特段の配慮を行うこと。
 四、地方公共団体は、直接住民サービスを提供する役割の大部分を担っていることから、その基盤となる地方税財源の拡充のため、地方公共団体の財政力格差に配慮しつつ、安定的な地方税体系の構築を早急に進めること。
 五、巨額の借入金を抱える地方財政の健全化に当たっては、安定的な財政運営に必要な地方一般財源の確保に留意しながら、計画的に進めること。また、臨時財政対策債をはじめ累積する地方債の元利償還については、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることにかんがみ、将来において各地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、万全の財源措置を講ずること。
 六、地方公営企業については、社会経済情勢の著しい変化や厳しい経営環境の中で、一層の自立性の強化と経営の活性化を図ることができるよう、引き続き十分な支援を行うこと。
   特に病院事業については、住民が安心・安全に暮らせるよう、不採算地区病院、小児医療、救急医療、へき地医療、周産期医療等について、所要財源額の確保に一層努めるとともに、今後とも、地域医療の確保のための対策や財政支援策等の充実を図ること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#61
○委員長(佐藤泰介君) ただいまの礒崎君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#62
○委員長(佐藤泰介君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、原口総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。原口総務大臣。
#63
○国務大臣(原口一博君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 ありがとうございます。
#64
○委員長(佐藤泰介君) 暫時休憩いたします。
   午後二時五十分休憩
     ─────・─────
   午後二時五十二分開会
#65
○委員長(佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を再開いたします。
 市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。原口総務大臣。
#66
○国務大臣(原口一博君) 市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、自主的な市町村の合併が引き続き円滑に行われるよう市町村の合併の特例等に関する法律の期限を十年間延長するとともに、市町村の合併が相当程度進捗していること等にかんがみ都道府県等の積極的な関与による市町村の合併の推進を定めている規定等を廃止しようとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、法律の題名及び目的の改正であります。
 法律の題名を「市町村の合併の特例に関する法律」に改め、目的の「自主的な市町村の合併の推進による市町村の規模の適正化」を「自主的な市町村の合併の円滑化」に改めることとしております。
 第二に、市町村合併推進のための措置の廃止であります。
 総務大臣が市町村の合併を推進するための基本指針を定め、当該指針に基づき都道府県が市町村の合併の推進に関する構想を定めることとする等の合併推進に向けた国、都道府県による関与を廃止することとしております。
 また、合併後の市となるべき要件は人口三万以上を有することとする特例を廃止することとしております。
 第三に、合併の障害を除去するための措置等に関する事項であります。
 自主的な市町村の合併が引き続き円滑に行われるよう、地方税に関する特例や議会の議員の在任に関する特例等の措置のほか、合併協議会設置に係る住民発議・住民投票や合併特例区等の制度を存置することとしております。
 また、合併市町村に交付すべき地方交付税の額は、合併年度及びこれに続く五年度については、合併前の合算額を下らない額とし、その後五年度については、激変緩和措置を講ずるものとしております。
 第四に、法律の有効期限を平成三十二年三月三十一日まで延長することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#67
○委員長(佐藤泰介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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