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2010/02/02 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第5号
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2010/02/02 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第5号

#1
第174回国会 本会議 第5号
平成二十二年二月二日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  平成二十二年二月二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る一月二十九日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。谷川秀善君。
   〔谷川秀善君登壇、拍手〕
#4
○谷川秀善君 皆さん、おはようございます。私は、自由民主党の谷川秀善であります。自由民主党・改革クラブを代表して、鳩山総理始め関係閣僚に質問をいたします。
 まず初めに、先般、ハイチで起きました地震によりお亡くなりになられた方、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 我が党は、先日の党大会において、立党以来守り続けてきた自由、リベラリズムについては、自立した個人の義務と創意工夫、他への尊重と寛容、共助の精神から成る自由であることを再確認し、新綱領を決定し、常に進歩を目指す保守政党であることを宣言いたしました。これからは、立党当時の政治は国民のものとの原点に立ち返り、新綱領の下、我が党の姿勢、政策、目指すべき国家像を国民の皆さんに強く訴えてまいる所存であります。
 さて、昨年夏の総選挙から早いもので五か月がたちました。鳩山総理は、政権交代を果たし、友愛政治を掲げ、政治の変革を主張され、マニフェストによって国民に多くの約束をし、今日まで数々の試みをしてこられました。そこで、このことを振り返りながら、総理の政治姿勢、哲学をお伺いいたしたいと思います。
 何よりもまず、我々国会に籍を置く者を始め多くの国民が驚いたのは、総理御自身の信じ難いような言葉の軽さであります。我が国のリーダーとして、また重責を担う総理大臣として、就任以来の発言には唖然とし、少なからぬ不安を覚えたのは私だけではないと思います。
 一日五十万円ものお母さんからの子供手当を、数年にもわたって十数億円を超える巨額の金が贈られていたにもかかわらず、それは秘書が受け取ったこと、私は知らなかった、違法性の認識は私にはありません、裕福な家に生まれ育ったものだからなどと総理はおっしゃっていますが、国民には到底理解できない信じ難い話であります。
 小沢民主党幹事長の政治資金問題や石川議員の逮捕に関連しても、二人を擁護するような発言をしたり、すぐ後でそれを否定するという繰り返しを何度もされました。誠に不見識な発言であり、軽率であります。なおかつ言い訳をされるのには大変見苦しささえ感じるものであります。検察を含む行政のトップである総理ならば、警察や検察の捜査には静観して具体的な言及は極力避けるべきであります。一体、総理大臣としての自覚をお持ちなのでしょうか、お伺いをいたします。
 普天間基地の移設問題では、オバマ大統領に、決定は近い、トラスト・ミーと言った翌日にこれを否定されました。この問題では、外務大臣と防衛大臣が互いに違う計画を唱える中、総理大臣は、県外も国外も移転の可能性があると言い続け、その挙げ句、平野官房長官にこの問題の解決を任せ、五月まで結論を先送りしてしまいました。これらの迷走で、堅固でなければならない日米関係が揺らいでしまったらどう責任を取るおつもりなのか。自らの軽い発言により、毎日国政を混乱させ続けていることについて、総理はどうお考えなのか、お伺いをいたします。
 総理は、さきの我が党議員会長尾辻議員からの、政と官の役割分担についての理念、思想はとの質問に、政治主導とは何か、それは政治家自らが国政の最終的な意思決定を行う、その責任を持つこと、官僚は、その際の選択肢の提示とか、あるいは行政事務の執行を行うという役割分担がなされるべき、この内閣においては、国民の審判を受けた政治家が政府の運営に名実共に責任を持つ新たな体制を構築していくと答弁をされました。
 政治主導と言うが、今まで官僚が行ってきた何を否定し、何を肯定するのか。否定するとすればそれを官僚に代わってだれがするのかが明確ではございません。民主党のスローガン、政府と与党の一体化の意味は、官僚も含めた政府と議会で多数を占める与党が一体となって政治を行うことでしょうか。
 憲法上は三権は分立で、権力を分けることが基本理念ではないですか。議会とのかかわりをどうするのかがあいまいであります。民意を実現するのは議会ではないのでしょうか。
 予算編成過程で小沢民主党幹事長は官邸に乗り込んで、国民が要求する予算はこれだと政府に迫り、決着したと言われております。予算が成立すれば、それに伴って法律や政省令の立案、各省間や国と地方との調整が待っております。これを政務三役がおやりになるのですか。官僚の補佐は必要ないのですか。
 事業仕分作業は民主党と官僚のサバイバルゲームの様相でした。私には政治家と官僚の闘いのように見えましたが、これによって対立した感のある両者がうまく動かなければ的確な予算執行ができなくなります。それこそ、一刻も早い手当てが必要な経済不況がこの影響で長引くことにならないのか、心配であります。政治家が責任を持つというものの、責任だけ取られても何の解決にもなりません。政治主導の形、その中身を分かりやすく御説明願いたいと思います。
 これと関連して、国会審議の中で法制局長官を政府特別補佐人から外した件についてお伺いをいたします。
 さきの衆議院予算委員会で、我が党谷垣総裁が天皇の国事行為と公的行為について平野官房長官に質問をしましたが、平野長官は即答できずに、法律的な観点でしっかり答えなければいけないので後刻答えると答弁し、立ち往生となりましたが、これが政治主導、脱官僚というのでしょうか。
 こういった憲法解釈は、政治家でなく法制局長官が整理して答える問題ではないでしょうか。結局、政府の統一見解を出すことになりましたが、官僚を排除して政治家同士の議論も結構ですが、時の政権党によって憲法解釈がころころ変わるようでは、国家としての安定性を欠くことにならないかと危惧するものであります。政府特別補佐人を見直すお考えはありませんか、総理にお伺いをいたします。
 次に、マニフェストについてお伺いをいたします。
 八ツ場ダムはマニフェスト一丁目一番地であるということで廃止を宣言されましたが、続けて、コンクリートから人へのスローガンの下、ダム事業の検証が始まりましたが、本体工事に入っているという理由で、疑惑の胆沢ダムは建設続行ということのようであります。八ツ場ダムの現地の住民の皆さんの今までの御苦労を一体どう考えているのでしょうか。
 在日米軍基地の在り方についても見直しの方向で臨むということで、普天間基地の移設問題は迷走をいたしております。総理の発言が二転三転するばかりでなく、閣僚間でも意見の食い違いが露呈し、結果、結論は先送り、これでは五月に結論を出すなど到底信じることはできません。このことは、日米同盟の根幹が大きく揺らぎ、今後の日米関係に大きく影を落とすことになることを危惧するものであります。
 来年度予算は、マニフェストにこだわる余り、歳出規模は過去最大の九十二兆円に膨らんでおります。実現には過去自民党が行ってきた財政の無駄を省けば可能だと高らかに宣言されておりました。
 事業仕分は国民的人気で、テレビの視聴率もぐんと上がり、私も、これは面白い、自民党時代にやるべきだったと悔しく思いましたが、結果は思ったほど無駄が出ませんでした。まあまあ、そんなものでしょう。
 例えば、スーパーコンピューターをめぐっては、なぜ一位でなければならないのか、二位では駄目なのか、こんなせりふでたんかを切った方もおられましたが、ノーベル賞受賞者を始め各界各層から批判が続出するや、あっさり撤回をしてしまいました。
 前政権の一次補正を凍結して、財源を確保して、鳩山政権として第二次補正を組まれ提出されましたが、内容において一次補正とどう違うのでしょうか。私にはその違いが分かりません。一次補正予算の凍結により、経済状況が更に悪化したのではないでしょうか。
 ガソリン暫定税率の廃止も断念されたようであります。昨年三月、民主党は、暫定税率廃止のため、国会議員によるガソリン値下げ隊まで組織をして国会審議を混乱させました。あの騒ぎは一体何だったのでしょうか。鳩山総理は廃止にこだわっておられるようですが、結局は国民をだましたことになりませんか。
 子ども手当は、所得制限導入を見送り、今回、児童手当を残して地方自治体に負担の一部を肩代わりさせました。所得制限によって財源不足を補うはずが、それを地方に助けを借りて実施することになりました。再来年度からは全額を支給する予定だそうですが、財源確保は大丈夫なのでしょうか。
 あなた方が実施するばらまき支給は、マニフェストによる国民への公約だから、もうやめられないのですか。必要な財源は更に膨らみますが、どうされるのでしょうか。埋蔵金の活用は、単年度だけならまだしも、続ければ国家の資産の減少につながります。国債の増発による負債増加と何ら変わりはありません。これで国債を四十四兆円に抑えて財政規律を守ったというのは、全く筋が通らない話であります。
 鳩山総理は、マニフェストは今後四年間で何をなすかの公約であると発言されておられますが、このまま四年間消費税の論議もせずにばらまき支給を続けると、財政の破綻は目に見えております。このままマニフェストにこだわる政治を遂行していくと、我が国の将来が暗たんたるものになると思いますが、総理の認識をお伺いいたします。
 鳩山総理は、お母様からの献金問題で、私腹を肥やしたり不正な利得に手を染めたりはしていないと言明をされました。そして、判明した事実に基づいた贈与として申告して納税を行い、法にのっとって納税の義務を果たしたと国会で答弁をされております。とんでもない話であります。脱税は犯罪なのであります。一般国民なら後で判明したから納税しましたでは済みません。刑事告発をされ、一億円を超えれば巨額脱税として刑務所行きであります。再来週から確定申告が始まります。国民は正直に正確に納税しているのであります。総理、あなたの弁明で国民が納得すると思われますか、お伺いをいたします。
 民主党小沢幹事長の政治資金も様々な疑惑が報道され、また先日、自らも記者会見で説明をされました。今後、少しずつでも解明されていくものと思いますが、国会でも政治と金の問題で近々集中審議が行われるようであります。是非御自身が出席して事実を明らかにすることを望みますが、彼を信じると言われた総理、小沢氏に国会で説明せよと民主党代表の立場で指示されるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 民主党マニフェストには、企業団体による献金、パーティー券購入を禁止しますと掲げられております。今回の小沢幹事長の問題でも、企業献金の疑惑が見え隠れしております。民主党は禁止にどう取り組まれるのか、お考えをお伺いをいたします。
 鳩山総理と小沢幹事長の政治資金問題で、民主党内に検察やメディアに対する批判が続出をいたしております。自ら進んで解明すべきであるのに、筋違いではありませんか。
 民主党は、元検事の小川敏夫民主党広報委員長の下に捜査情報の漏えい問題対策チームを設置したと伺いました。これは、検察からマスコミへの意図的な情報操作や漏えいがあるかどうかを調べるものでしょうか。民主党内では、逮捕された石川議員の同期生が石川議員の逮捕を考える会を、また参議院では事件の論点整理をする勉強会が発足したという報道がありました。平野官房長官は記者会見で、余りにも一方的に情報が出てくることで不公平感を感じると発言し、チーム設置に理解を示されたようであります。
 メディアの使命は、様々な取材対象から得た情報を吟味し報じることで、国民の知る権利にこたえることにあります。これを利用した検察がメディアを操っていると民主党は考えているのでしょうか。
 電波行政の主管大臣である原口総務大臣は、関係者という報道は何の関係者か分からない、そこは明確にしなければ公共の電波を使うことは不適だと考えると述べておられます。情報源はできる限り明らかにする一方で、真実の報道のためには、信頼関係を保つため情報源を隠さなければならないこともあります。この総務大臣発言は報道規制と取られかねず、厳に慎むべきであります。
 総理は圧力などないと言明されましたが、党、そして閣僚までもが検察への対決姿勢を示す行動や発言をしているのが現状であります。今民主党がなすべきは事実関係の解明ではありませんか。総選挙に圧勝し、政権交代をしたのであるから、捜査機関を思いどおりに動かせるというおごりが見え隠れしてなりません。
 鳩山総理は記者団の質問に答え、党も捜査の行方を冷静に見守るべきだ、余り熱っぽく行動することは控えて、冷静にした方がいい、そう求めたいと語っておられますが、かつて国策捜査と発言し、先日は、検察との対決を宣言する小沢幹事長に、どうぞ戦ってくださいと激励した総理の言葉を信用することはできません。
 民主党の一連の動き、発言は、検察を批判し、牽制しているとしか見えません。まさに居直りであります。政権与党のすることではありません。民主党内の動きを総理はどう総括されますか。また、総理御自身、報道についてどう考えておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、普天間基地移設問題についてお伺いをいたします。
 去る一月二十四日、名護市長選挙が行われ、民主党を中心とする与党が推薦し、普天間基地の県外移設を主張された稲嶺氏が千五百八十八票差で当選をされました。平野官房長官は選挙結果を受け、自治体の反対をしんしゃくしていたら何もできなくなると発言したと聞いておりますが、鳩山総理始め関係閣僚はゼロベースを強調しておられます。
 まさに名護市を真っ二つにした結果でありましたが、地元の県内移設反対の意思が明らかになり、自民党政権と米政府が合意した米軍キャンプ・シュワブ沖への移設は大変困難になったわけであります。地元の人の気持ちとしては、やはり基地には不安を感じると考えるのは当然であります。
 しかしながら、私どもは、朝鮮半島、中国、台湾海峡と、不測の事態が想定される現在、沖縄の基地は必要であると考え、キャンプ・シュワブ沖に移設するという合意をいたしました。憲法の制約もあり、有事に単独では対処し切れない我が国として、米国と協力していかなければなりません。鳩山総理はこの解答をどう求めようとしておられるのか。
 そもそも、総理は普天間基地の意義をどのように考えておられるのか。かつて、常時駐留なき安保を訴えられた総理は、日本に米軍は全く要らないと考えておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、地方経済対策及び中小企業対策についてお伺いをいたします。
 政府は、景気は持ち直してきていると判断しておられるようです。確かに、鉱工業生産や住宅建設、公共投資など、昨年末現在の統計上の数値は持ち直しの傾向を示しております。また、倒産件数や負債総額も減少傾向を示し、失業率も改善してきております。しかしながら、これらは昨年春に麻生内閣が行った第一次補正予算の効果によるものであります。
 申し上げるまでもなく、地方経済は公共事業と中小零細企業により成り立っていると言っても過言ではありません。私どもは、地方経済の底上げを目指し、従来から様々な手を打ってまいりました。とりわけ昨年は、ものづくり補助金、官公需について中小企業の受注目標を設けるなど、中小企業の仕事づくりを図ってまいりました。こうした政策効果により、例えば倒産件数を地域別に見ますと、九州及び北海道の二四%減少を筆頭に、東北二〇%、中国地方一五%など、従来から厳しい景気状況にあった地域が大きく改善をいたしております。
 ところが鳩山内閣は、昨年秋に、補正予算のうち公共事業などを中心に二兆九千億余りを無駄あるいは不急不要として執行停止にしました。この結果、政府自ら経済成長にマイナスの影響が出ると認めています。さらに、来年度予算を見ますと、公共事業は一八・三%削減しております。
 来年度の中小企業予算については一・一%増額となっておりますが、このほぼ半分は融資の焦げ付きを肩代わりする信用保証制度や政府系金融機関からの低利融資制度の強化であります。
 現在、中小零細企業は日々の資金繰りに苦しんでおり、融資制度の強化は大切でありますが、資金繰りが苦しい原因は仕事が減っているからであります。
 したがって、中小零細企業の仕事を増やす施策がなければ、単なる対症療法になってしまいます。来年度予算を見ても、施政方針演説を聞いても、そうした施策は全く見えません。
 政府として、地方経済の現状をどのように見ておられるのか、今後どのような対策を講じていこうとされておられるのか、経済産業大臣のお考えをお伺いいたします。
 鳩山政権には財政再建目標が存在しないことが大変心配であります。今の鳩山財政を率直に表現するならば、マニフェストを実現するためには、ばらまきを気にせず、国債増発でほとんどの財源を賄うという姿であります。平成二十二年度は国債を過去最高四十四兆円も発行し、年度末には国の借金の総額は九百七十三兆円にも達する見通しであります。借金一千兆時代が目の前に迫ってきました。
 鳩山内閣では今年六月をめどに中期財政フレームを策定すると報じられております。どういった目標値を掲げ、どのような手段でいつまでに実現するのか、その際、消費税をどのように見直すのか、包括的かつ説得的な終始一貫した理由付けにより財政再建計画が構築されなければなりません。消費税については、四年間引き上げないと公言されていますが、議論もしないのか、議論はするのか、内閣としての方針が統一されていません。
 財政再建については、六月と言わず、一刻も早く道筋を国民に示す必要があります。というのも、財政破綻の懸念が少しでも出てくれば、国債が大量に売られ、国債金利が上昇し、マーケット、そして実体経済に深刻な影響が出るからであります。既に内外の投資家は、日本の国債発行の急増と財政破綻のリスクをささやき始めています。
 第二次補正後の国の普通公債残高は約六百兆円なので、単純計算では、金利が一%上がるだけで六兆円の利払い負担が追加されることになります。もちろん、市場には様々な要素が影響するため、そのときの状況で幅を持って見る必要はあります。これは、公共事業五・八兆円、文教科学五・六兆円、防衛四・八兆円の予算を上回る規模であり、金利の上昇分だけでこれらが吹き飛んでしまうことになります。したがって、財政が破綻してから止めるのでは遅いのであって、その思惑が芽生えることさえも絶対に許されない規律が求められるのであります。
 鳩山内閣にその認識と覚悟はあるのでしょうか。そして、日本の財政の健全さと規律を市場に納得させるだけの財政運営のかじ取りのノウハウはあるのでしょうか。思わぬ失言が市場を攪乱する危険性もあり、非常に危うい、不安でいっぱいであります。財政再建に向けた具体的な取組と覚悟について、菅財務大臣にお伺いをいたします。
 次に、現下の雇用情勢等に対する認識についてお伺いをします。
 現下の雇用失業情勢は、昨年の平均完全失業率が五・一%、有効求人倍率は〇・四七倍となるなど、大変厳しい状況であります。また、大学生の就職内定率は、十二月一日現在、前年同期比七・四%減の七三・一%と低くなっております。第二次就職氷河期の到来と言っても過言ではありません。
 政府は、雇用調整助成金の要件緩和など、雇用の維持確保対策に努められていることは一定の評価をいたします。しかしながら、雇用の創出を図るためにも、今後の成長へ向けた積極的な雇用戦略を早急に定めるべきであります。
 そこで、現下の雇用情勢の御認識についてお伺いをいたします。あわせて、政府は早急に具体的な雇用戦略を打ち出すのか、お尋ねをいたします。
 次に、選択的夫婦別氏制度についてお伺いをいたします。
 政府は選択的夫婦別氏制度の導入を検討されているそうですが、この問題はまだ、家族の一体感が損なわれるのではないか、日本の風土には適さないのではないかと危惧があります。国民の間でも意見の分かれるところであります。また、連立与党間においても、以前、国民新党の亀井大臣から、夫婦になるのに別姓でなければならないという心理がよく分からない、夫婦、子供で姓が違う、家の表札が全部違う形になるのがよいのかとの異論が出るなど、その導入の可否が分かれていると聞いております。
 総理は常々、きずなの重要性を語られております。家族のきずながこの制度によって揺るがされかねないとの意見もある中、この問題についてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。
 教育に関しては、まず、鳩山政権は我が国の国旗・国歌についてどのような認識をお持ちなのか、確かめておかなければなりません。
 日の丸・君が代は、日本の長い歴史と文化の流れの中ではぐくまれ、民族の感性や価値観が象徴的に表現されたものであります。日本民族の誇りであり、国際的な場においても世界各国から日本の象徴として重んじられ、最大の敬意を持って取り扱われているものであります。
 さきに我が党尾辻議員会長が、昨年八月、地元鹿児島県で民主党候補者が開催した集会の場に、二枚の国旗、日の丸を切り裂いた上で上下に張り合わせて、民主党の党旗を掲げた問題を取り上げました。総理は、日の丸は大変重い、重要なものであり、国旗に対する尊厳は当然持ち合わせていると答弁されました。
 では、なぜこのようなことが起こったのでしょうか。
 私は、日教組に属する教員によって、国旗・国歌に敬意を払わない、さらには平気で侮辱することを教えている学校現場に原因があるのではないかと思います。学習指導要領では国旗掲揚、国歌斉唱についての規定があるはずですが、鳩山総理は学校における日の丸・君が代の教育に関してどのような認識をお持ちでしょうか。あわせて、今現状がどうなっているのかをお伺いをいたします。
 特に、民主党において問題なのは、教育の分野において、その本質がゆがめられる活動が堂々と行われていることであります。例えば、参議院の輿石議員会長は、約一年前、日教組の会合で、教育の政治的中立はあり得ないというとんでもない発言をされています。
 教育基本法第十四条には、政治教育として、法律に定める学校は、特定政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他の政治活動をしてはならないと明確に規定しているのを御存じでしょうか。法律違反を憶面もなく宣言し、日教組のために日本全体の教育を偏向させようとしているのではありませんか。
 現に、鳩山政権が進める教育政策を見ると、学力の低下につながりかねない学力・学習状況調査の縮小、教員の質を悪化させる教員免許更新制度の廃止など、日教組の意向をそのまま反映したものばかりではありませんか。
 特に、免許更新制度の廃止は、更新における講習の目的が不適格教員の排除にあることを強弁し、自ら教員としての資質、能力向上を否定するものであり、教員の信頼確立に逆行するものであります。
 我が国の教育は重大な危機を迎えつつあり、一刻も早く悪化の流れを食い止めなければなりません。我々は、日本の将来を担う次世代の教育を何よりも重視し、日本の進路を誤らないよう、全力を挙げて教育現場の正常化に努めたいと考えております。
 総理には、日教組と民主党の関係の在り方をどのように判断され、また偏向した教育行政にならないようどのような措置をとられるお考えなのか、日本の将来を見据えてしっかりとした御認識をお示しいただき、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 自民党の谷川秀善幹事長にお答えをいたします。
 まず、小沢幹事長あるいは石川議員に関する発言でございます。
 私が行政の長の立場であることは言うまでもなく自覚をしているところであり、検察が公正な捜査を行うことであるということは信じているところでもございます。検察の捜査を今は冷静に見守っていくということは何回も表明を申し上げているとおりでございまして、言うまでもございません。さらにまた、私の発言は検察の捜査に何らかの影響を与えるという意図もありませんし、現実に与えてもいない、そのように感じております。
 日米関係についてのお尋ねがございました。
 普天間の飛行場の移設問題に関しては、累次答弁を申し上げておりますように、現在、官房長官を長といたします沖縄基地問題検討委員会、これをつくりまして、精力的に議論を行っております。米国ともすり合わせをいたしまして、理解を求めて、国が責任を持って五月末までに結論を出すと、そのように決めているところでございます。
 日米関係があたかも揺らいでいるというような御指摘もありましたが、そのようには思っておりません。私とオバマ大統領との間でそれぞれ談話を発表いたしまして、アジア太平洋地域やグローバルな課題における日米の協力をなお一層推進強化をして、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で深化させる、深めていくということについて確認をいたしているところでございます。
 政治主導の形、その中身を説明せよという御質問がございました。
 政治主導というものの形とその中身でございますが、この内閣におきましては、官僚政治、官僚内閣、あるいはそういった批判がかつてありました。官僚任せ、官僚が陳情を受け、あるいは官僚が立案し、官僚が答弁をし、あるいは官僚が政策を遂行するという、こういう旧政権の状況というものを改革をしたい、そのために各大臣あるいは政務三役が、国民が、生活が第一だ、こういう思いの下で政策立案を行って、まず政治家自らが働くことによって国民の皆様方のための政治を実現をしていくと、そのことを目指したいと考えております。
 官僚の補佐については、政策の立案過程におきましても、あるいは意見や行政実態について聴取をして資料の提供を受けること、あるいは予算及び法案が成立すれば、官僚が行政機関の一員となって公務員としてその執行にかかわる実務を誠実かつ着実に遂行することも当然のことでございます。したがいまして、政治家と官僚が対決をする、対立をするなどというようなことはありません。
 さらに、国会と内閣の関係で申し上げれば、内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決を経てこれを指名すると規定されておるわけでありまして、国会が内閣と殊更に対峙をするという必要はないと、そのこともそのように考えているところでございます。
 法制局長官の政府特別補佐人についてのお尋ねがございました。
 国会を言論の府として活性化をする、そして国会審議を充実させていくために、最終的な責任を有する政治家が質問及び答弁にそれぞれの責任を果たしていくことが私は大変重要なことだと、そのように思っておりまして、当然、その過程において、内閣法制局における法律的な見地から検討の結果というものを含めて必要な情報を関係する部局から提出をさせた上で政治家が答弁の内容を判断をする、これが政治主導だと考えております。したがいまして、官僚に質問しなければ国会審議が成り立たないなどというようなことはないんじゃないんでしょうか。どの政党が政権を担っても、政治家が責任を持って答弁する姿勢が大変重要だと、そのように考えているところであり、この内閣ではそのように行っていきたい、そのように感じております。
 マニフェストの見直しかあるいは遵守についてのお尋ねがございました。
 マニフェストは、御案内と思いますが、政権四年間、この間に達成していく政策の項目を掲げたものでございます。今後とも、国民の皆様方の様々な御意見にもしっかりと耳を傾けていきながら、順次掲げた政策というものを一つ一つ着実に実現をしていきたい、そのために全力を挙げていく決意は変わりません。
 暫定税率の廃止の見送りに関しては、率直に国民の皆様におわびを申し上げたところでございます。
 また、この無駄遣いの根絶はまだ途上でございます。今後も全力で取り組んでまいりたいと思っておりますが、マニフェストの実現に向けては、まずは国債の発行という形ではなくて、無駄遣いを徹底的に排除していこう、その努力を我々は進めているところであります。
 マニフェストの個別政策を申し上げれば、一年目に実施するといたしました子ども手当、高校の実質無償化あるいは戸別所得補償、さらには高速の無料化など、いずれ実現をしたりあるいは着手をしてきたところでもございます。工程表については、四年間の政権期間の中で見直しをしたりあるいは補正の検討もそれは必要だと思っておりますが、マニフェストの実施を盛り込んだ平成二十二年度の本予算の成立がまず当面の最重要課題でございまして、検討はそれ以降に考えていきたい、そのように思っております。
 それから、母親からの資金提供について国民の皆様方の御理解が得られるかということでございます。
 これは何度も申し上げておりますが、母からの資金提供については検察の捜査によって初めて解明されたことでございまして、私自身は、何度も申し上げておりますように、承知をしていなかったということも、これも捜査によって事実が明らかになったと、そのように思っております。したがいまして、贈与税を免れたいなどという発想自体があり得たわけではありません。したがいまして、脱税などという認識、発想はありません。また、既に贈与として申告納税をしておるわけでありますが、これを脱税とするか否かの判断は国税当局が行うものだ、そのように認識をしております。
 国民の皆様方に御理解をいただけているかどうか、これにはなかなか難しいと思っておりまして、まだいましばらく時間が掛かると、そのようには思っておりますが、真実は一つしかございません。引き続き、繰り返しにはなりますが、事実を事実として御説明してまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 小沢幹事長の国会での説明についてでございますが、小沢幹事長の国会招致に関しては、当然、これは国会で御議論をいただきたい、そのように思っております。したがいまして、政府として申し上げる立場ではありません。また、どのような立場で国会招致をお考えか分かりませんが、検察捜査の途中で事実関係も解明されていない状況でありますので、政治家としての判断は小沢幹事長自身にあると、そのように思っております。
 企業・団体献金の禁止についての御質問がございました。
 民主党としては、企業・団体献金の在り方を含めて、今、政治資金規正法改正につきまして検討しているというふうに承知をいたしております。お尋ねの企業・団体献金についてでありますが、自民党の御提案については正式に承知をしているわけではありませんけれども、まず各党から積極的な御提案もあると、そのように承知をしております。是非、各党各会派で十分に御議論をいただきたい、前向きに御検討をいただければと期待をしているところでございます。
 党内の検察、報道批判について問うということでございますが、まずは行政の長として、検察が公正な捜査を行うことは当然であり、そのことを信じております。また、報道機関には報道の自由があることも当然でございます。さらに情報源の秘匿を含めて、報道における節度と良識は報道機関自らが保つべき問題だと考えております。
 同時に、政治家が個人として疑問や見解を表明したり、あるいは研究や検証を行うことは、節度を持って冷静に行う限り、それを一概に非難すべきことでもないと、そのようにも考えております。それを前提として、同志を心配する党の議員の皆さんにも、検察の捜査中であると、だからそれを冷静に見守るようにということも表明をいたしたところでございます。したがいまして、逆に申し上げれば、既に検察が捜査に入った以上、捜査権を持たない民主党が調査を行うのではなく、解明は検察にゆだねるべきだと、重ねてそのことを申し上げておきます。
 普天間の飛行場の意義、移設問題についての御質問でございます。
 在日米軍がアジア太平洋の地域の平和と安定の維持のために、抑止力としてのその機能を果たしているということは事実だと思います。普天間の飛行場はその基盤の一つであるけれども、その危険性あるいは騒音といったものを考えれば、一刻も早く移設先を見付けることが重要だと、その認識に立っております。
 移設問題につきまして、沖縄の県民の皆様方のお気持ちを大事にしていきながら、安全保障上の観点も踏まえながら、日米の合意あるいは連立政権であるというゆえをもって政策の合意を勘案した上で、五月末までに具体的な移設先を決定をいたします。
 なお、私自身がかねて申し上げておりました常時駐留なき安全保障という議論は、現在の立場の中で封印をいたすことにいたしております。
 それから、雇用情勢の認識、雇用戦略についての御質問でございます。
 雇用情勢は、昨年の十二月の完全失業率が五・一%、有効求人倍率が〇・四六倍と、大変依然として厳しい状況にあるという認識を持っております。
 当面は、したがいまして、昨年十月、緊急雇用対策、あるいは十二月の緊急経済対策、これに盛り込まれました雇用調整助成金の積極的な活用と、あるいは貧困・困窮者支援の強化、さらには新卒者の支援、こういったものを強化して、可能な政策を総動員をして緊急対応に当たっていきたい、そのことによって経済、雇用を下支えすると同時に、経済を何としても上向かせていかなければならない、そのように考えております。さらに、雇用創出ということも大変重要だと思っておりますので、需要サイドに着目をした新成長戦略というものを実施をして新たな雇用を生み出してまいりたいと考えております。
 選択的夫婦別氏制度についての御質問がございました。
 選択的夫婦別氏制度に関して、御指摘のようなこのきずなの問題など様々な御意見があることは承知をしております。ただ、この問題、この制度に関しましては、平成八年、もう大分以前の話でありますが、平成八年に法制審議会において民法改正案の要綱というものを決定をして法務大臣に答申がなされているというわけでございまして、この答申を踏まえて、現在、今法務省におきまして改正案が検討されているというところでございます。
 学校における国旗、そして国歌の指導についての御質問がございました。
 学校教育におきまして、入学式などで国旗を掲揚して、また国歌を斉唱するように指導しておるところでありまして、この取扱いに変更はございません。国旗の掲揚、今、掲揚率、これはほぼ九九・九%にまで高まっておりますし、国歌の斉唱も九九・八%、ほぼ一〇〇%近いというところになっておりまして、おおむねすべての公立学校で実施をされておりまして、指導はもうほぼ定着をしていると、そのように認識しているところでございます。
 教育行政と日教組との関係についてのお尋ねがございました。
 教育の政治的な中立性を図らなきゃならない、当然のことだと思っております。これは、いつの時代においても尊重されるべき基本的な普遍的な理念であると、そのように考えております。日教組の意見、様々な立派な意見もございます。ただ、意見に従って政策をすべて決めるとか、そういう話を申し上げているわけではありません。教育政策については、様々な立場から、いろいろな意見に耳を傾けて判断をしていくことが重要であると、そのように考えているところでございまして、くどいようですが、教育の政治的な中立性は確保してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
   〔国務大臣直嶋正行君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(直嶋正行君) 谷川議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、地方経済の現状と対策についての御質問でございます。
 地域経済については、御指摘のように、一部持ち直しの動きが見られますが、中小企業を中心に依然として厳しい状況が続いているという認識をしております。このため、中小企業への資金繰り対策に加えて、中小企業に仕事が行き届く施策を進めることが重要だと思っております。
 そのために、二つ申し上げたいと思います。
 第一には、経済全体が持ち直すことにより、中小企業にも仕事が波及するような施策が必要であります。このため、先般成立した二十一年度二次補正予算では、景気回復に貢献するため、需要創出の観点から家電エコポイント制度やエコカー補助の延長、住宅版エコポイントの創設等を盛り込んでおります。また、デフレ経済下で抑制されている設備投資の下支えや雇用維持を図るため、物価下落に対応して、公的金融機関等の貸付金利の引下げを図ることとしております。さらに、今後、内外で需要拡大が見込まれます低炭素型製品を製造、開発する事業者を支援するための法案をこの国会に提出を予定をいたしております。
 第二に、平成二十二年度当初予算案においては、自ら需要を開拓する意欲のある中小企業を後押しするため、例えば、ものづくり中小企業の研究開発等への支援に百八十六億円、農商工連携の促進などによる新商品、新サービスの開発や国内外への販路開拓支援に八十六億円などを計上いたしております。
 以上に加えまして、本年六月ごろには新成長戦略の全体像を完成させ、我が国全体としての成長のフロンティアを拡大し、新たな需要と雇用をつくり出すべく内閣一丸となって取り組んでいきたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣菅直人君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(菅直人君) 谷川議員からは、財政再建に向けた取組について御質問をいただきました。
 我が国の財政状況、国債残高等、主要先進国の中で最悪の水準にあることは皆さん御承知のとおりであります。また、足下の経済状況を見ますと、リーマン・ショック以来の経済危機が、辛うじて多少は持ち直してきておりますが、自律性に非常に乏しくて、まだまだ失業率は高水準にあるなど、大変厳しい状況が続いていると認識をいたしております。
 そこで、財政再建のためには二つの要素、一つは歳出の見直しを行うこと、もう一つは経済の成長を達成すること、このことが必要だと考え、既にコンクリートから人へという方向での歳出の見直し、さらには投資効果のあるものに選択と集中を図っていくという、こういう方向での見直しは相当に進んでいることは御承知のとおりであります。また、新成長戦略につきましては、十二月の三十日に基本方針を発表したところでありますけれども、これから六月に向けて具体的な工程表などを含めた肉付けを行うことにいたしております。
 本年前半には、そうした成長戦略なども踏まえ、国家戦略担当大臣を中心に、複数年度を視野に入れた中期財政フレームをつくることとしており、同時に中期的な財政規律を含む財政運営戦略を策定し、財政健全化への道筋を示すことといたしておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(江田五月君) 輿石東君。
   〔輿石東君登壇、拍手〕
#9
○輿石東君 民主党・新緑風会・国民新・日本の輿石東です。会派を代表し、平成二十二年度予算、政府四演説について質問をいたします。
 歴史的な政権交代を実現した二〇〇九年が過ぎ、いよいよ新政権の下で新しい政治を実現していく年、二〇一〇年を迎えました。
 鳩山総理は、先週金曜日、初めての施政方針演説の中で、インドのガンジーが八十数年前に記した七つの社会的大罪に触れ、今の日本と世界が抱える諸問題を鋭く言い当てていると驚いておられます。とりわけ大罪の最初に掲げている理念なき政治は、特に私たち政治家が常に胸に刻んでおかなければならない言葉だと思います。
 鳩山内閣が旧来の自公政権とは異なる新しい政策を着実に実現していく年が今始まったのであります。さあ、これからいよいよ民主党の出番であります。私たち民主党は、新しい日本を築くために一丸となって鳩山内閣を支え、全力を尽くすことを国民の皆さんに改めてお誓い申し上げます。
 さて、この施政方針演説の中で総理は、人間が人間らしく幸福に生きていくために、どのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか、今、その理念が、哲学が問われていますと述べられています。全く同感であります。その上で総理は、我が国を世界に誇る文化立国にしたいと表明し、さらに人間性ある科学や人格を養う教育を目指すとしておられますが、是非それらの具体的な内容について分かりやすく説明していただきたいと思います。
 迎えた新しい年、二〇一〇年の日本列島は、いまだ不況の厚い雲に覆われ、失業率が五・七%、求人倍率〇・四二倍と、過去最悪を更新いたしました。高校は、大学は出たけれど、まさに就職氷河期の再来で、デフレ危機や景気の二番底の到来も心配されております。景気が低迷し、生活の先行きが見にくい今こそ、日本が元気を取り戻し、すべての人が出番と居場所のある社会を目指さなければなりません。
 子供を元気に、地方を元気に、地球を元気に、今年はこの三つの元気を本気で取り戻す一年にしようではありませんか。そのためには喫緊の最重要課題として、景気、雇用、医療・介護の三つの対策を実施していく必要があると考えますが、総理の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 日本を元気にするためには、緊急対策と同時に将来ビジョンがなければなりません。鳩山内閣は、昨年末に新成長戦略の基本方針を閣議決定しました。輝きのある日本へという名の新成長戦略は、二〇二〇年までに環境、健康、観光の三分野で百兆円を超える新たな需要を創造し、これによる雇用創出で失業率を中期的に三%に低下させることを目指す、同時に、マクロ経済運営によって二〇二〇年までの平均で名目三%、実質二%を上回る成長を達成し、二〇二〇年度における我が国の名目GDPを六百五十兆円程度に引き上げることを目指すという画期的なものであります。
 総理は施政方針演説の中で人間のための経済を掲げておられますが、この新成長戦略は、自民党政権が行ってきた従来の成長戦略とどのように違うのか。また、この新成長戦略に対し、我が国の現状からするとかなり高いハードルではないかとの声も聞かれますが、総理はいかなる覚悟を持ってこの計画を具体的に進めていかれるお考えか、伺います。
 以下、具体的にお聞きをします。
 一昨年の世界金融危機によって大きく落ち込んだ我が国経済は、ようやく上向きの傾向を示しているものの、その水準はまだ低く、厳しい状況が続いております。国民の間では、地方での生活者や中小零細企業の労働者を中心に、先行きへの不安感は根強いものがあります。
 我が国経済についての現状認識と、今後それをいかに力強く再生させ、国民の生活を守っていくのか、総理の決意を伺いたいと思います。
 世界経済の状況も徐々に持ち直しつつある一方で、巨大経済圏である米国においてもヨーロッパにおいても将来の不透明感はぬぐい切れません。総理は施政方針の中で日本型企業モデルを提案すると述べられましたが、グローバル化した資本主義の中で、日本型企業や資本主義の在り方はどのようなものがふさわしいと考えておられるのか、伺いたいと思います。
 総理がいのちを守る予算と名付けた平成二十二年度予算は、バランスの取れた予算になったと考えます。不況対策を考慮して約九十二兆三千億円という規模を確保しながら、四十四兆三千億円と、国債発行を一定の水準に抑えることができました。また、公共事業を前年度比マイナス約一八%と厳しく抑制する一方で、給食費が払えない子供たちや病院にも行けないお年寄りがいる現実を前に、子供や高齢者、苦しい状況にあえいでいる地方の人たちへの手厚い措置を盛り込んだことは高く評価できると思います。また、医療や雇用についても目配りがされていると思います。まさにコンクリートから人へ、人のいのちを大事にする政治との理念を具体的な数字で示したものであります。改めて総理のこの予算に込める思いと御自身の評価を伺いたいと思います。
 従来の自民党政権下での予算編成は、前年度予算をベースにした官僚主導の積み上げ方式でした。しかし、鳩山政権は、昨年、自民党政権の下でなされた概算要求を一から見直し、各省庁では政務三役を中心に政策と予算の査定を改めて行い、平成二十二年予算を編成しました。その過程では事業仕分にも国民的な注目が集まりました。その結果、一兆円の歳出削減のほか、これまで手を付けることが難しかった公益法人などの基金からの国庫納付を実現しました。短い期間の中で政治主導とはいかなるものかが示されました。
 改めて今回の予算編成過程あるいは政策形成過程における政治主導とは何かということについて総理のお考えを伺いたい。
 こうした景気低迷の中、厳しい雇用情勢が続いております。昨年四月に失業率が五%台へ上昇し、有効求人倍率が〇・四倍台へと下落し、非正規労働者、高齢者のみならず、これからの日本を支えていく若年労働者、新卒者の職探しも困難な状況にあります。また、離職中の生活不安、特に住む場所がないという大きな不安の解消も喫緊の課題であります。
 昨年十月の緊急雇用対策や今年度補正予算に盛り込まれた緊急経済対策の内容などを踏まえ、こうした深刻な雇用不安、生活不安への取組の姿勢を伺いたいと思います。
 我が国の少子高齢化は以前から予想されていましたが、対策の先送りを重ねた結果、事態の急激な進展に政策が追い付かないところまで追い込まれました。そこで、鳩山内閣は、政権交代を機に、子供は社会の宝との観点から、子供を安心して産み育てる社会環境づくりに着手しました。子ども手当や高校の授業料無償化とも併せて、将来にわたる日本社会の活力維持のためにもこれを高く評価したいと思います。
 政権一年目は過渡的な措置にとどまっているものもありますが、国民との約束であるマニフェストの実現に向けての大きな第一歩であります。今後の取組に向けてのスケジュールと強い決意を伺いたいと思います。
 なお、子ども手当に関しては、総理は、先週末の山梨視察を受けて、二十三年度に子ども手当を拡大する中で、給食費を払っていない家庭についての対策を検討するよう厚生労働大臣に指示したと報道されていますが、総理の御見解を伺います。
 二十二年度予算では、公共事業関係費が前年度比実にマイナス一八・三%に抑えられる一方で、社会保障関係費はプラス九・八%という高い伸び率を示しています。まさにコンクリートから人への変化を示す予算となっております。
 また、文教及び科学振興費の伸び率がプラス五・二%であったことは、ガンジーが七つの社会的大罪に含めた人格なき教育からの脱出を目指すものと高く評価いたします。
 ただ、医師不足など医療崩壊への対応のため十年ぶりに診療報酬を引き上げるなど、人を守る政策の実現の下、社会保障関係費は一般歳出の五一%を占め、急速にそのウエートを高めています。急速な高齢化という構造的な要因が大きいと考えられますが、年金、医療、介護などの分野においても制度の再検討が必要と思われます。将来にわたる社会保障制度の構築についての基本的な考え方や議論の進め方についてもお伺いいたします。
 総理は、地域のことは地域で解決できる社会に変えていきたい、これこそ国民が主役の政治だと年頭の記者会見でも言われました。全く同感であります。自治体に必要な権限と予算を与えることなく、中央の官僚による旧態依然としたコントロールが続いていたのでは、その実現はおぼつきません。
 したがって、二次補正予算で、税収の減収による地方交付税の減額分を補てんし、きめ細かなインフラ整備のための地方支援策を行ったこと、また、二十二年度当初予算で地方交付税を当初予算としては過去最高の一兆円近く増額したことは高く評価されるべきだと思います。
 その上で、今後、国民が主役との観点から、権限と予算をどのように中央から地方へ移転させていくのか、地方の自立が推進されるために国が果たす役割は何かの二点について総理のお考えを伺います。
 平成二十二年度予算では、食料安定供給関係費が大幅に増額されています。食料自給率の低い我が国において、食料の安定供給体制を維持、構築することが不可欠であります。その一環として、米の生産に対する戸別所得補償制度の創設は大変効果的であると思います。また、農業や林業を衰退産業としてとらえるのではなく、地域に根差した成長産業として位置付けることが必要であります。
 地域生活の維持のためにどうしても必要な公共事業は確かに存在しますが、地域の活性化を図るため安易に公共事業に頼る時代は既に終わっているのであります。治山治水、砂防など、環境への好影響も期待できる農業や林業を地域の成長産業として見直し、将来にわたって大きく育てていくという新たな視点からの方策を検討すべきだと考えます。認識と将来展望を伺いたいと思います。
 急激な落ち込みを見せた日本経済を早急に回復させ、安定成長の軌道に乗せていくことが不可欠であります。そのための新成長戦略について、菅財務大臣は財政演説と経済演説の中で、これは従来の公共事業や財政支出頼みの第一の道でも行き過ぎた市場原理主義に基づく第二の道でもない、新たに需要と雇用をつくり出す第三の道の考え方に立っていると述べられております。是非この第三の道について詳しい説明をお聞きしたいと思います。
 平成二十二年度予算は、過去最大の予算規模となりましたが、国債発行額四十四兆円という当初の基準は守れました。税収の大幅な落ち込みという現実の下での苦渋の予算編成であったと理解いたします。長期債務残高の増大を始め、財政をめぐる厳しい現実から目を背けることはできません。将来世代の負担を少しでも軽くし、また金融市場などへの悪影響を防ぐためにも、実効性の高い財政再建の道筋を示すことが不可欠であります。菅財務大臣の認識を伺います。
 また、安易に国民の負担を増やすのではなく、限られた財源を効率的に重点配分するという予算編成における考え方や方法が必要だと考えます。今後更に二十三年度予算に向け一年かけて歳出における無駄の排除の徹底、一般会計と特別会計を合わせて二百七兆円と言われる総予算の全面的見直し、予算執行の中身の公開などにどのように取り組んでいかれるのか。またあわせて、使い切り型の単年度予算ではない中期的な視点に立った予算の在り方を検討すべきだと考えますが、菅財務大臣の考えを伺います。
 平成二十二年度予算では、国民一人一人のいのちを大切にするという姿勢に基づく、政治主導による予算編成や新しい重要な政策の提示がなされたことを高く評価したいと思います。官僚依存や前例主義を排するこうした発想の転換による予算づくりや政策づくりは、新政権にしかできないものであります。また、政務三役や補佐官の増員など、政治主導体制を一層強化していこうとする姿勢も高く評価されます。
 政治家が人間を、生活者を見据えることの重要性を再確認したこの予算と政策に対する総理の思いと実行に向けての決意を伺います。
 次に、外交と安全保障の問題についてお尋ねいたします。
 鳩山内閣は、友愛の精神を基に、我が国が東洋と西洋、先進国と途上国の間などで様々な架け橋の役割を果たしていくことを掲げ、日本外交に新たな息吹を吹き込んでいます。また、国民の理解と信頼に支えられた外交を目指し、自民党政権時代における日米密約の真相解明にも努めております。
 さらに、鳩山総理は温暖化ガスの二五%削減目標を表明されました。このような地球的規模の課題に対する積極的な取組は、日本外交の主導性を示すものとして高い評価を得ております。
 鳩山外交に対し、外交、安全保障の基軸が定まっていないなどという的外れな意見があります。しかし、鳩山総理には、友愛の精神を基にリーダーシップを発揮し、我が国にふさわしい役割を積極的に果たしていく外交を引き続き力強く推進されることを望みたいと思います。総理の外交に対する基本姿勢と決意のほどを伺います。
 本年は、日米安保条約改定五十周年に当たります。十一月に横浜で開催されるアジア太平洋経済協力会議の際のオバマ大統領来日の機会に、新たな日米安保共同宣言を取りまとめることが期待されております。
 安全保障だけでなく、政治、経済、文化の分野など日米関係全体を深化させ、日米両国が、地域の平和と繁栄はもとより、地球的規模の課題に対して連携して取り組む姿勢を打ち出すべきであります。総理の認識を伺います。
 沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題については、五月までに結論を出すこととなっております。沖縄県の米軍基地の負担をどのように軽減するかは、自民党政権の時代からの重い課題であり続けてきたのであります。いたずらに日米同盟の危機などと騒ぎ立てるべきではありません。
 安全保障上の観点を基本とし、先般の名護市長選挙の結果も踏まえ、沖縄県民の皆さんの思いを受け止め、真剣に取り組み、結論を出すとの鳩山内閣を支えてまいります。普天間基地問題に対する岡田外務大臣の決意をお聞かせください。
 本年五月には、核兵器不拡散条約の再検討会議があります。核保有国が、核の唯一の目的は核に対する抑止だとの宣言を行うこと、包括的核実験禁止条約を発効させ、軍事用の核分裂物質の生産禁止条約を締結することなどが課題とされております。
 核兵器のない世界を目指すオバマ米大統領と連携し、唯一の被爆国として、核兵器国と非核兵器国との架け橋として、核廃絶に向けて我が国は主導的な役割を果たすべきであります。岡田外務大臣の決意を伺いたいと思います。
 さて、一月十二日、大地震が起きたハイチ共和国の皆さんへ心からのお見舞いを申し上げます。
 民主党としても、早速現地に藤田幸久国際局長と首藤信彦衆議院議員を派遣し、ハイチ大統領と会談するなどして現地の状況把握に努めているところであります。
 また、政府も一月二十五日、国連平和維持活動協力法に基づき、陸上自衛隊を中心に三百五十人程度を人道復興支援目的で派遣する方針を決めたと聞いております。今後も政府・与党一体となってできる限りの支援を行っていきたいと思いますが、今後の復興協力について、総理のお考えを伺いたいと思います。
 日本でも、今から十五年前、阪神・淡路大震災が起こりました。総理は、施政方針演説の中で、十六歳の息子を震災で亡くされたお父さんの悲しみと無念の言葉を紹介され、当時の国民的な助け合いやボランティアの心が総理の提唱される新しい公共の出発点だったかもしれないと述べられております。改めて、新しい公共とは何か、分かりやすく説明していただきたいと思います。
 今、鳩山内閣に対して、国民の大多数は、鳩山内閣、民主党、さあこれから、政策実現に全力を尽くせと言っていると私は受け止めております。
 政権運営に当たる内閣を取り巻く風は、いつも順風とは限りません。時には逆風やつむじ風が吹くこともあるでしょう。行く手に古い壁が立ちはだかることがあるかもしれません。しかし、日本の今日を、日本のあしたを築くために、鳩山総理には強い決意を持って前進していただきたい。政治はスピードと結果が問われます。拙速を避けるべきは当然でありますが、迅速を旨として政権運営に当たっていただきたいと思います。
 今年は、平成二十二年は参議院通常選挙の年であります。鳩山内閣を一層盤石なものとするために、我が党が全力を挙げてこの選挙に勝利することをお誓いし、代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 民主党の輿石参議院会長の激励を込めた大所高所からの様々な御質問に対してお答えをさせていただきます。
 まず、文化立国、そして人間性のある科学、さらには人格を養う教育についてのお尋ねがございました。
 私が申し上げた文化というのは、狭く芸術その他の文化活動だけを指すのではありません。むしろ、国民の生活あるいは行動様式や経済の在り方、さらには価値観を含む概念として申し上げたところでございます。
 日本は、御案内のとおり、古来より海外から多様な文化や技術を吸収をして、そして日本独自の文化と融合させて豊かな文化をはぐくんでまいりました歴史がございます。今、食料や環境、エネルギーの危機、さらには世界でも類のない少子高齢化に日本は直面をしています。こういうときに、この危機をむしろばねに、世界に誇れる新しい時代の生活行動様式、さらには企業や労働の在り方というものを提示をして、多くの国の方々から日本を訪ねたいあるいは暮らしたいなと、そのように思われるような日本、また国際社会から信頼をされて、国民が日本に生まれたことに誇りを感ずるような国をつくること、それが私が申し上げる文化立国でございます。
 そのような新しい時代を切り開いていくときに基本となるのは、まさに人を育てる教育でございまして、人間の可能性を創造する科学だと、そのように思っております。
 人間性ある科学というのは、人間の英知を結集をして、食料、環境、エネルギー、こういった人類の生存にかかわる深刻な問題の解決や、あるいは人間のための経済に大きく貢献をする科学を意味するのでございます。
 また、人格を養う教育とは何かと申し上げれば、一人一人が地域という共同体、日本という国家、地球という生命体の一員としてより大きなものに貢献する、そんな人格を養う教育でございまして、こういうものをベースにしながら、政府として運営をしてまいりたいと考えております。
 景気、雇用、そして、医療・介護対策についての御質問がございました。
 まさに輿石会長がお話しされている、子供を元気に、地方を元気に、地球を元気に、この三つの元気を取り戻すために、景気、雇用、あるいは医療・介護、こういった対策が必要だというのはまさに的を射た御指摘でございまして、まさに政府としても同じ問題意識から、昨年の十二月に、雇用、景気、あるいは環境といったものを主な柱として、さらには医療など生活の安心確保などにも強力に取り組むための緊急経済対策を取りまとめたところでございまして、これから迅速に執行してまいりたいと思っております。また、昨年の十二月に成長戦略を新しく取りまとめたところでございまして、その基本方針にのっとりまして具体的な目標を定めたところでございます。
 新成長戦略と旧政権下の成長戦略との違いについてのお尋ねがございました。
 一言で申し上げれば、見る視点が違うということでございます。今まで人間を歯車のように考えていたと、経済のための人間だと、そういう発想ではなくて、これからはまさに人間のための経済だと。もっと別の言い方をすると、供給サイドに傾いていた、そういった成長戦略ではない、これからはむしろ需要というところに視点を合わせた成長戦略を考えていきたいというところでございます。
 もう一つ申し上げれば、なぜそのような旧政権の成長戦略がうまくいかなかったか、それは縦割り行政の中で埋没してしまったということでございまして、私どもとすれば、強いリーダーシップ、決意の下で縦割り行政を排除していくと、そして政治主導で行ってまいります。内閣一丸となって取り組む所存でありますので、どうぞ御指導いただければと思います。
 日本経済の現状認識と国民生活を守るための総理の決意についてのお尋ねがございました。
 これも何度も申し上げておりますが、景気はやや持ち直してきているというところではございますが、自律性はいまだに乏しいと、そして失業率などまだ高水準にあるわけでありまして、非常に依然として厳しいという認識を持たなければならないと思っております。
 したがいまして、こういった厳しい景気・雇用情勢に対処するために、昨年の十二月、緊急経済対策を取りまとめたわけでございまして、その一日も早い効果の実現のために、先般成立をいたしました、おかげさまで成立をいたしました第二次の補正予算をできる限り迅速に実行していくという、これが一番求められているところだと思っております。
 また、いのちの予算と銘打ちました平成二十二年度予算、これ今御審議をいただいているところでございますが、この予算案の成立及び着実な執行と、あるいは成長戦略の推進によって国民の皆さんのお暮らしを守る、日本経済を確かな回復軌道に乗せる、これが非常に重要だと思っておりまして、このことによって持続的かつ安定した経済成長を目指してまいりたいと思っております。
 日本型の企業や資本主義の在り方についての高い見地からの御指摘がございました。
 私が提唱しておりますのは、いわゆる行き過ぎた市場主義、金融資本主義みたいなものも含まれているわけでありますから、そういったものから人間のための経済への大きな方向転換、これを何としても行わなければならない、そのように考えております。企業は、株式のみならず、従業員あるいは消費者、さらには地域社会といった関係者の密接な協力があってこそ初めてこの持続的な活動が可能となると、私はそういう社会的存在が企業だと、これが日本の企業の今日までの在り方ではなかったかと、そのように思っております。
 すなわち、人や地域社会というものをとことん大切にしてきたのが日本型経営の良さであったと思います。それがやや様々な思想によって失われつつあるというところを、これを回復させることが大変大事だと思っております。
 厳しい国際環境などにも柔軟に対応していかなければなりませんが、多様な関係者の利益を経営に反映するような日本型の、今申し上げました企業モデル、そして、そういった企業が広く地域において貢献をする、働く人々がまさに居場所や出番というものを見出していけるような新しい形の日本型資本主義、これを提案してまいりたいと思っておりまして、是非その豊富化に向けて御指導願えればと思います。
 二十二年度の予算に関する御質問がございました。
 この二十二年度の予算は、御協力によって予算の全面的な組替えに取り組んで、公共事業の関係費、これが一八・三%減と、一方では社会保障関係費が九・八%増えました。また、文教及び科学振興費も五・二%増と、いわゆるいのちを守る予算としてめり張りが付いた予算案ができたと、そのように考えております。
 また一方では、税収が大変に大幅に落ち込んでいるという厳しい財政事情の中で、子ども手当などいわゆる民主党がマニフェストなどでうたった関連の政策には、必要な財源三兆円、これは国債の発行によらないで、歳出の削減とあるいは公益法人などの基金の返納など予算の組替えによって確保ができたと思っておりまして、このような大胆な見直しが皆様方の御協力の下でできた、まさにそれは国民の皆さんが選んでいただいた政権交代のたまものであると、そのように感じているところでございます。
 予算編成過程、政策形成過程における政治主導とは何かというお尋ねがございました。
 平成二十二年度の予算の編成におきましては、国家戦略室がトップダウンで予算編成の基本方針というものを策定いたしました。この方針に基づいて、各役所も政務三役が中心となって政治の責任において予算編成を行ってまいりました。その過程において、いわゆるお尋ねがありました事業仕分という手法の導入によりまして、国民の目線による予算編成というものができたな、そのように思っておりまして、これはまさに画期的なことではなかったかと思っております。
 税制についても、鳩山政権の下では、かつて政府と与党に二元化していた従来の税調というものを一元化をいたしまして、政治家のみをメンバーとする新しい税制調査会を設置をしたところでございます。
 このように、いわゆる政治主導というものは、国民の審判を受けた政治家が政府の運営に名実共に責任を持つ新たな体制を構築をすることでございまして、その構築のスタートがなされたと、そのように考えているところでございます。
 雇用不安、生活不安への取組についてのお尋ねがございました。
 昨年の十月、緊急雇用対策を策定し、十二月に緊急経済対策、さらには新成長戦略というものを、基本方針を取りまとめたところでございまして、当面は、いわゆる雇用調整助成金の積極的な活用、あるいは貧困・困窮者の支援の強化、新卒者の支援の強化、さらには新たな雇用の創出といったことなど、可能な政策を総動員をして緊急対応に取り組んできているところでございます。
 したがいまして、先ほども申し上げましたが、先般成立をいたしました第二次の補正予算の迅速な執行、そして来年度予算、この一日も早い成立と着実な実施というものが雇用のあるいは生活不安というものを取り除く最大のものだと、そのように思っておりますので、是非審議を十分にしていただきながら予算の早期の成立をお願い申し上げたいと思います。
 民主党のマニフェストの実現に向けた今後のスケジュールについてのお尋ねでございますが、マニフェストは、これは御案内のとおり、政権四年間に達成をする政策を掲げた、民主党にとりましてのでありますが、国民の皆様方との約束でございます。この二十二年度の予算におきましては、子ども手当あるいは高校の無償化、戸別所得補償、さらには高速の無料化など、これは多くのものを盛り込んでまいりました。一部はスタートをさせることができると、そのように考えております。
 二十三年度以降も、歳出歳入両面にわたってこれは徹底して予算の見直しを行う必要があると、そのように思っております。必要な財源を何としても確保しなければならないと思っておりまして、そのためには国民の皆様方と真摯に向き合いながら議論をしながら、そしてマニフェストに掲げた政策を一つ一つ実現をしたい、そのために全力を挙げてまいりたいと思っておりまして、是非とも御協力を願いたいと存じます。
 それから、子ども手当の給食費などへの充当についてのお尋ねがございました。
 つい先般、山梨にお邪魔をいたしまして、そこの現地で、給食費を払っていないお父さん、お母さんがおられると、また修学旅行の積立金などの問題があるということを伺いました。そのことによって結果として子供さんたちが傷ついておられる現実、これを深刻に私たちは考えなければならない、そのように思っております。
 したがいまして、一番大事なことは、子供の幸せという観点から、子供の幸せをどのようにして保障することができるかという観点で関係大臣とよく協議をしてまいりたいと思っております。既に長妻大臣には、そのようにまずは周知徹底をするなど運用面での取組について検討を指示したところでございます。
 それから、将来の社会保障制度の構築についての基本的な考え方についてのお尋ねがございました。
 新政権、これは毎度申し上げておりますように、何よりも人のいのちを大切にする、すなわち国民の暮らしを守る政策、政権でなければならないと、そのように思っておりまして、その政治を実施してまいりたい。その意味では、年金あるいは医療、介護といった分野における生活の安心、将来への安心が現在大変揺らいでおりますので、これを早急に立て直していかなければならない、そのようにも考えております。
 したがいまして、急速な今少子高齢化が進んでいるわけでありますが、年金、医療、介護といった社会保障制度をより信頼できる持続可能なものにしていかなければなりません。そのためにまず国民的な議論を尽くしていくということが大切でありますし、連立政権で合意をしたもの、あるいはマニフェストでうたったものもございます。こういったものを実施をしていきながら、制度の全般に対して大きく見直していくことに対して、国民の皆さんとともに大いに議論をして進めてまいらなければならないと思っております。
 地域主権についてのお尋ねがございました。
 地域主権の実現は、まさにこの内閣の一丁目一番地と考えております。そして、まず行いたいことは、地方に対する不必要な義務付け、枠付け、これを一切廃止をするということでございます。そして、権限を地方に移転をさせる。さらに、ひも付き補助金の一括交付金などを行って、地域主権を支える財源というものを確保することが大事だと思っております。
 そのようなことを行っていくために、まず国としては新たに設置をいたしました地域主権戦略会議において、こういった措置を実現する法案あるいは大綱の検討を進めていきたいと思っておりますし、国と地方が対等の立場で協議を行う、今まではややもすると上下関係になっていた、そうではない、これからはまさに対等の立場で協議を行う、そういった体制を整備をしていくことが必要で、こういったものの法制化も含めて地域主権改革を率先して進めてまいりたいと思っております。
 農林水産政策についてのお尋ねがございました。
 我が国の農業あるいは林業はまさに地域においての核となる産業でありますし、その営まれる農山漁村は、炭酸ガスの吸収源でもあり、また、バイオマスを利用する新エネルギーの供給源としての機能を果たしているところでございます。国民全体の安全、安心に大変大事な役割を今日までも果たしてまいりましたし、これからは更に果たしていかせなければならないと思っております。すなわち、こういった農山漁村の豊富に存在する未利用資源というものを積極的に活用した新たな産業、雇用の創出が期待されているところでございまして、そのために、私どもといたしまして、戸別所得補償制度あるいは六次産業化の推進などを提示しているところでございまして、農林水産業をまさに成長産業だと、新たな成長産業として大きく育ててまいりたいと思います。
 生活者を見据えた予算と政策に対する思いと決意についてのお尋ねでございますが、これは私ども施政方針演説でも申し上げたところであります。私たちの内閣に課せられた使命は、国民の皆さんのお一人お一人のいのちを守り、生活に希望と夢と安心を与えることだと、そのように思っております。そういう観点から、いのちを守る予算というものに思い切って転換をしたということでございまして、三党連立のこの内閣は、こういった皆様方の、国民の皆さんと一緒に旧態依然たる利権の分配政治を抜本的に変えていかなきゃならない、そのための大きな責任を担うという思いでございまして、どうぞ御指導をいただきたいと思っております。
 外交に対する基本姿勢でございますが、これは友愛の精神に基づいてということであります。架け橋としての日本が国際的な役割を果たしていかなきゃならないということでございまして、国連でのあの演説なども行ったところでありますが、新しい価値や文化を生み出す、そして世界に発信する日本を目指していきたいと思っております。
 当然、日米同盟というものが基軸であることは変わりないのでありますが、その下に東アジアの共同体という構想を推進していくことも大変重要なことだと思っております。同時に、世界のいのちを守るということで、アフリカの問題、あるいは気候変動問題、さらには核拡散問題などに対しても積極的に努力をしてまいりたいと思っております。
 日米関係についてのお尋ねでございます。
 日米の安保の改定五十周年という今年でございます。日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で深化をさせていくという所存でございまして、今、両国の政府で共同作業を行っている途中でございますが、安全保障のみならず、輿石会長からお話ありましたように、政治あるいは経済、文化、こういった幅広い分野での日米の二国間関係を強化をする、そのことがアジア太平洋の地域の平和などにも大変貢献するということでございまして、さらには気候変動、今申し上げましたような核軍縮・不拡散、こういったグローバルな課題に対しても、年内に国民の皆さんにその姿をお示しすることができようかと、そのように思っております。
 それから、ハイチへの復興協力についてのお尋ねでございます。
 我が国は、これは地震による今回ハイチの皆さんが大変な被害を受けられたということで、まずは国際緊急援助隊で医療活動などを支援をいたしました。さらに七千万ドル、これはアメリカに次いでということでありますが、緊急・復興支援を約束をいたしました。PKOの自衛隊、間もなく送ることになります。
 ただ、同時に、こういったのみならず、政府として、いわゆる国民の多くの皆さん、NGOの活動なども積極的に支えてまいりたいと思っておりまして、多くの民間企業あるいは団体などがハイチの大地震の被災者を支援するために募金活動などを積極的に行っておられるわけでございまして、こういった取組を新しい公共という概念の中でうまく支持をし、支援をすることが大変重要だと、そのように思っております。
 最後に、新しい公共についてのお尋ねがございました。
 輿石会長がお話ありましたように、阪神・淡路大震災、十五年前でございましたが、被災者の方々や、あるいは地元の方だけではなくて、全国からボランティアの皆さんがリュックサックを背負って駆け付けたのでございまして、海外からも支援が多く寄せられたのも御案内のとおりでございます。まさにハイチでも世界中から多くの支援が寄せられてきているということでございます。
 このようにいろいろな災難、災害というものが起きたときにみんなで力を合わせて、人のため、社会のために力を結集させていくということによって新しい公共という概念を大いにこれから支持していく、支援していくことが政府にとって重要なことだと、そのように思っております。いわゆる公共性の空間を、ただ官のみならず地域やNPOの方々とともに担えるような、そういう社会をつくり上げていきたい、これが新政権の思いだと御理解を願いたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣菅直人君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(菅直人君) 輿石議員会長からの御質問にお答えをいたします。
 まず第一は、第三の道について少し具体的に述べよと御質問をいただきました。
 私は、この十年間、約十本を超える成長戦略が時の政権から出されてきているけれども、それがなぜ実現できなかったかということを検討させまして、やはり政策の方向性が間違っていたことに原因があると、このように検証いたしました。その第一が、いわゆる公共事業に過大に依存した第一の道、さらには行き過ぎた市場原理主義に基づく第二の道、これが今の日本の時代状況にはマッチをしなかったことに原因がある。それに対して、今回の新成長戦略は、新たに需要と雇用を生み出すことを柱とする、そうした第三の道を取ることが今必要だと考えております。
 その柱については、新成長戦略に六つの戦略分野を提示をいたしましたが、若干具体的に申し上げますと、介護とか医療のように潜在的な需要は存在するけれども、しかしそこに人が十分に働く状況が生まれていない、こういう分野については、もちろん場合によっては介護の人たちに対する給与の引上げ等も含めて雇用と同時に需要を拡大する、この分野がライフイノベーションという形で第一に掲げられております。
 もう一つは、環境の問題で新しい技術や新しいルールによって更に新しい需要を生み出すような、いわゆる環境分野におけるグリーンイノベーションの分野であります。さらには、アジアが今極めて成長しているわけですが、そういった国々に鉄道とか道路とか原子力発電所とか、そういった形の日本の技術を生かしてそういったところに提供していく、こういった分野、さらには環境、地域、科学技術、さらに雇用と人材、こういった内需、外需を含めて需要を拡大するというところに柱を置くこの新成長戦略によって二〇二〇年までに名目成長率三%、実質成長率二%の目標を実現していく、これが第三の道の方向性であることを是非御理解をいただきたいと思います。
 第二点について、財政規律についての御質問をいただきました。
 確かに、今リーマン・ショックの経済危機という一方で、国債残高が前政権からの負の遺産として大きくのしかかっている、この両方を考えますと狭い道にならざるを得ないわけであります。そういった意味で、現在財政再建は、御承知のように、投資効果の小さい公共事業への依存をやめて、歳出の抜本的な見直しを進めているところであります。そして、ただいま申し上げたような第三の道による経済成長をも含めて、財政再建への道を進めていきたいと、このように思っております。
 本年の前半には新成長戦略を完成させ、国家戦略担当大臣を中心に中期財政フレームをつくるとともに、中期的な財政規律を含む財政運営戦略を策定し、財政健全化への道筋を示していきたいと考えております。
 第三点として、総予算の見直し等についての御質問をいただきました。
 二十二年度予算においては、概算要求の絞り込みや事業仕分により新規施策に充てる三・三兆を捻出したところであります。また、予算の執行の公開などについても、今手だてを進めているところです。
 そして、今年に入りまして、二百七兆円とマニフェストに盛り込みました総予算の見直しの具体化のため、一月十二日の閣僚懇において、各省庁の特別会計の見直し、さらには制度、組織の見直しに着手することを合意をいたしました。
 そして、先ほども申し上げましたが、本年前半に国家戦略担当の下で、複数年度予算も見通した中での中期財政フレーム、さらには財政運営戦略を提示して、将来に向かって安心できる、こうした方向性を総予算の見直しの中から生み出していきたいと、このように考えているところです。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣岡田克也君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(岡田克也君) 私につきまして、二点御質問いただきました。
 第一問は、普天間飛行場の移設問題についてであります。
 この問題につきましては、現在、官房長官を中心に沖縄基地問題検討委員会において精力的に議論を行っているところであります。
 私は、この問題を考えるに当たって、二つの視点、第一には沖縄の負担軽減、第二に米軍基地、この場合には海兵隊基地ということになりますが、海兵隊基地が日本の安全及びアジア太平洋における平和と安定のために果たしている役割、この二点についてしっかりと踏まえて検討していくべきだというふうに考えております。いずれにしましても、政府として本年五月までに具体的な移設先を決定することとしております。
 次に、オバマ大統領と連携して核のない世界を目指すべきだという御質問についてであります。
 オバマ大統領の核なき世界を目指すというプラハ演説は、確かに印象的なものでありました。そして、その演説によってつくり出された大きな流れ、日本はこの流れをより確実なものとするために、意味ある役割を果たさなければならないというふうに考えております。
 本年は、核セキュリティーサミット、それから御指摘の核不拡散条約運用検討会議が予定され、核兵器のない世界に向けて非常に重要な一年だと思います。NPT運用検討会議においては、核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用、それぞれの分野において前向きな合意を達成できるよう、日本としてもリーダーシップを発揮しなければならないというふうに考えております。
 そして、私は、核なき世界を実現するための第一歩となる具体的な手段として、核兵器を持たない国に対する核兵器の使用を禁止すること、そして核兵器保有の目的を核兵器使用の抑止のみに限定するといった、そういった考え方に注目をしているところでございます。
 これらの点を含めて、米国など関係国とも議論を深めてまいりたいというふうに考えております。(拍手)
#13
○議長(江田五月君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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