くにさくロゴ
2010/03/19 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第10号
姉妹サイト
 
2010/03/19 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第10号

#1
第174回国会 本会議 第10号
平成二十二年三月十九日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
    ─────────────
  平成二十二年三月十九日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び
  高等学校等就学支援金の支給に関する法律案
  (趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。川端文部科学大臣。
   〔国務大臣川端達夫君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(川端達夫君) 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 今日、高等学校等は、その進学率が約九八%に達し、国民的な教育機関となっており、その教育の効果が広く社会に還元されていることから、高等学校等の教育に係る費用について社会全体で負担していくことが要請されております。
 また、高等学校等については、家庭の経済状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して教育を受けることができるよう、家庭の経済的負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっております。
 さらに、諸外国では多くの国で後期中等教育を無償としており、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約においても、中等教育における無償教育の漸進的な導入について規定されておりますが、我が国はこの規定を留保していることから、この留保の撤回に向けた施策を進めることが求められております。
 この法律案は、このような観点から、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的として、公立高等学校について授業料を徴収しないこととするとともに、私立高等学校等の生徒がその授業料に充てるために高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとするものであります。
 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
 第一に、公立高等学校については、原則として授業料を徴収しないものとするとともに、これに要する経費について地方公共団体に交付するものであります。
 第二に、私立高等学校等に在学する生徒は、高等学校等就学支援金の受給資格について都道府県知事等の認定を受けて、一定額の高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとするとともに、その保護者等の収入の状況に照らして特に経済的負担を軽減する必要がある生徒については、支給額を増額することとしております。また、高等学校等就学支援金は、私立高等学校等の設置者が生徒に代わって受領し、生徒の授業料に充てるものとしております。なお、この支給に要する費用の全額は、国が都道府県に交付することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、衆議院におきまして、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行う旨の規定を追加する修正が行われております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。加藤敏幸君。
   〔加藤敏幸君登壇、拍手〕
#6
○加藤敏幸君 民主党・新緑風会・国民新・日本の加藤敏幸です。
 会派を代表し、議題となりました公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案に関し、賛成の立場から質問をいたします。
 本法案は、公立の高等学校については授業料を徴収しない、また私立高校等については生徒が授業料に充てるための高等学校等就学支援金を支給することで、教育に係る経済的負担の軽減を図ろうとするものです。
 我が国では、家計収入が低迷する中、子供を育てる家庭での教育費負担は一段と重くなっています。とりわけ、高校からは一挙に教育費負担が増え、子供のためには無理をしてでも教育費を捻出するという、これまでの日本の家計の姿も限界に近づきつつあります。
 そして、今回、教育費負担の軽減を求める国民の声を受け、鳩山内閣は、高校授業料の無償化に大きな一歩を踏み出しました。これまでの政権では実現することができなかった政策を、政権交代からわずか半年間で準備されたわけであります。政府関係者に心より敬意を表したいと思います。
 さて、我が国の初等中等教育では、予算措置を伴う政策的課題が山積しています。学級の少人数編制、校舎の耐震化改修、あるいは理科、科学関係教科の充実など、優先課題は幾つもあります。しかし、今回、政府は高校授業料無償化を最優先され、約四千億円にも上る膨大な予算を確保されました。まず、この高校授業料無償化を最優先されたことにつきまして、その政策意図、政策目的を端的に説明していただきたいと思います。
 次に、直面する卒業クライシス問題を取り上げます。
 二〇〇〇年代半ばに回復基調にあった我が国経済は、二〇〇七年にはサブプライム問題、そして二〇〇八年にはリーマン・ショックによって再び雇用と家計が直撃される深刻な不況に陥りました。そして、多くの家庭が困窮し、全国的に高校生の授業料滞納という事態が生じました。
 昨年三月末時点で高校の授業料滞納者は、公立高校で〇・四%、私立高校では〇・九%、人数では約一万七千名に上りました。また、昨年は二千二百八名もの高校生が経済的理由で中退を余儀なくされました。今年度も、依然として厳しい経済情勢が続く中、授業料滞納者や中途退学者が多数出ていると思われます。卒業式シーズンの今、授業料滞納のために卒業できないという卒業クライシスを何としても防がなければなりません。
 現在、各都道府県が家計急変世帯などに対し授業料の一部を補助する私立高等学校等授業料軽減助成事業を実施していますが、文部科学省は更なる対策として修学支援基金の積極的活用を打ち出されています。この支援策は、各高校が生徒の家庭状況をきちんと把握し、制度の活用を保護者に周知することが重要です。何よりも急がなければなりませんが、文部科学省としての取組状況を説明していただきたいと思います。
 次に、授業料外負担の問題を取り上げます。
 高校授業料無償化が実現しても、PTA会費、生徒会費、教材費、制服費、旅行積立金、通学費など、いわゆる授業料外負担と言われる教育費が家計に大きくのしかかります。この負担は、平均して、公立高校で年間約二十四万円、私立高校では約四十六万円掛かると言われています。さらに、私立高校の場合は、高額な入学金や施設設備費の負担があり、一部、一口十万円の寄附金や学校債の募集もあります。
 都道府県によっては、入学金軽減助成制度なども実施されていますが、これら授業料以外の負担は依然として大きく、文部科学省としても、奨学金の充実を始め負担軽減化のための施策を真剣に検討していく必要があると考えます。大臣の考えをお聞かせください。
 また、教育費負担では、修学旅行積立金が平均して年間五万円から十万円と大きな割合を占めています。最近は積立てができない生徒も増えていると聞きます。この際、修学旅行につきましても、教育効果そのものを検証していく必要があると思います。また、経費の効率化を図り、家計に過大な負担を与えない方策についても検討すべきだと思います。文部科学大臣の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、定時制高校の課題について質問します。
 経済的理由による授業料滞納や退学を回避するためにも、これまで多様な役割を担ってきた定時制高校を活用していく必要が出てきたと思います。定時制高校の充実に関して大臣の御所見をお伺いします。
 また、授業料の無償化措置に伴い、経済的理由から定時制高校に通っている生徒が全日制を希望するケースも出てくることが考えられます。特に、定時制から全日制への転学では、単位の問題、転学要件の問題が障害となります。生徒の多様なニーズにこたえるためにも、転学についても柔軟な措置がとられるべきだと考えますが、文部科学省の考えをお聞かせください。
 最後に、私立高校が持つ諸課題について質問します。
 現在、私立高校の高校生は全高校生の三〇%を占めています。そして、私立高校の授業料は平均で年間三十五万円と言われています。今回、就学支援金が支給されても、ほとんどの私立高校では本来の授業料との差額徴収が継続されることになります。基本的には、公立、私立間の格差を縮小するために、今後も私立高校や高校生を支援する追加的施策が必要になってくると考えます。
 一方で、公立、私立間の教育費負担の格差が縮小すると、生徒集めなどにおいて公立、私立間で一定の競争原理が働いてくることになります。
 現在、多くの都道府県では、公立、私立間で入学定員のすみ分けが行われていますが、今後は、特色ある教育を自由に展開できる私立高校の方がより優位に立ってくる可能性があります。地域によっては、質の高い教育を提供する私立高校と生徒を集める力を失った魅力のない公立高校という構図ができ上がるかもしれません。既に、大阪府では、高校間の競争を促進し、府立高校でも生徒を集めることができない高校は退出してもらうというような議論も行われています。
 私学は、宗教的理念や教育理念に基づく建学の精神を教育実践し、個性豊かな人づくりを展開してきたという歴史があります。しかし、今日、少子化が進む中で深刻な経営問題にも直面しています。今回の高校授業料無償化政策は、この私立高校を教育全体の中でどのように位置付けるのか、あるいは国、自治体はどのように私立高校を支援し公立高校とのバランスを取っていくのかという基本的な課題をも浮かび上がらせました。
 この課題については、各都道府県が地域主権に立って主体的に検討されることを期待しますが、文部科学省としても何らかの基本的指針を打ち出すべきだと考えます。大臣の所見を伺い、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣川端達夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(川端達夫君) 加藤議員にお答えいたします。
 七点質問をいただきました。
 最初に、高校の実質無償化の政策意図及び政策目的についてお尋ねがありました。
 高等学校等への進学率は約九八%に達し、国民的な教育機関となっており、その教育の効果は広く社会に還元されるものであることから、その教育費について社会全体で負担していく方向で諸施策を進めていくべきであります。
 また、高等学校等については、家庭の経済状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して教育を受けることができるよう、家庭の経済的負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっております。
 特に、高校生のいる世帯の教育費の負担は、それ以前の学校段階の子供のいる世帯と比較して重くなっており、これらの負担の軽減を図ることが必要であります。
 さらに、多くの国で後期中等教育を無償としており、国際人権A規約にも中等教育における無償教育の漸進的な導入が規定されるなど、高校無償化は世界的な常識であります。
 このようなことから、高等学校等における保護者の教育費負担の軽減を図るため、公立高等学校に対しては授業料を不徴収とするとともに、私立高校等については高等学校等就学支援金を支給するものであります。
 次に、卒業クライシスを起こさないための支援策の周知についての取組についてお尋ねがありました。
 経済的理由により修学困難な高校生に対しては、すべての都道府県において公立高校授業料の減免や奨学金事業を実施するとともに、私立高校が行う授業料減免措置への補助が行われており、この補助に対し、文部科学省が私学助成としてその一部を補助しているところであります。
 さらに、平成二十一年度第一次補正予算において、都道府県に新たに高校生修学支援基金を設け、都道府県による高校奨学金事業への支援の充実を図ったところであります。これらの支援施策の活用を図るため、本年二月に各都道府県教育委員会等に対して高校生や保護者等への周知を図るよう依頼するとともに、各学校において生徒や家庭の事情を十分に把握した上で相談に応じるなどの配慮を求めたところであります。
 文部科学省としては、学ぶ意欲のある高校生が経済的理由によって学業を断念し、又は卒業できなくならないように努めてまいります。
 次に、授業料以外の負担軽減についてお尋ねがありました。
 経済的理由により修学困難な者の授業料以外の教育費負担については、高校の実質無償化後においても引き続き各都道府県が行う高校奨学金事業により軽減が図られるものと認識しております。
 また、先ほど述べた高校生修学支援基金により、高校奨学金の希望者数の増に対応したところであります。この高校生修学支援基金では、私立高校の授業料のほか、施設整備費の減免補助にも活用できることから、各都道府県においては、これも活用し、地域の実情に応じて低所得者世帯への支援を充実することを期待しております。
 奨学金の充実については、給付型奨学金の創設も大変重要な課題と認識しており、必要性を踏まえて来年度に向けて検討してまいります。
 次に、修学旅行についてお尋ねがありました。
 修学旅行は、集団への所属感を深め、より良い学校生活を築こうとする態度を育てることなどを目標として、各学校が実情に応じて計画を実施するものであります。
 文部科学省では、修学旅行の実施に当たっては、このような教育的効果を主眼に旅行地を選定するとともに、実施に必要な経費をなるべく低廉にし、すべての児童生徒が参加できるよう計画することなどについて教育委員会等を通じて各学校に求めてきたところであります。このことを踏まえて、各教育委員会等においては、旅行期間、見学先、費用等について実施基準を設け、上限を定めるなどしております。また、最近の修学旅行では、見学中心の活動のみならず、農業体験、自然体験、職業体験などの特色ある活動が行われるようになってまいりました。
 文部科学省としては、今後とも、各学校において、より教育的効果の高い修学旅行が家計に過剰な負担を招くことなく実施されるよう促してまいります。
 次に、定時制高校の充実についてお尋ねがありました。
 定時制高校は、経済的事情により働きながら学びたいという者に加え、多様な入学動機や学習歴を持った者が学ぶ場となっています。このため、これまでも多様な履修形態による特色ある教育活動を展開できるよう、単位制高校の導入や修学年限の弾力化など様々な制度改正を行ってきたところですが、今後とも社会や生徒のニーズに応じた定時制教育の改善充実を図ってまいります。
 次に、定時制から全日制への転学についてのお尋ねがありました。
 定時制から全日制への転学については、学校教育法施行規則において、修得した単位に応じて相当学年に転入することができることとされています。また、転入学については、各高等学校等の判断により具体的な要件が定められ、その判断に基づいて許可されているものと承知しております。
 文部科学省としては、これまで高等学校における転入学者の受入れの一層の促進を図る観点から、各都道府県教育委員会に対し、受入れ機会の拡大や手続の簡素化、情報提供などに関して指導してきているところです。今後とも、高校生の転入学等が円滑に行われるよう努めてまいります。
 最後に、高校の実質無償化に伴う今後の公立高校と私立高校の関係についてお尋ねがありました。
 公立高校については、授業料の無償を確実に措置するとともに、事務負担の軽減に資するため、授業料を不徴収とすることとしております。また、私立高校に対しては、公立高校生一人当たりの負担軽減額と同等の額を支給するとともに、低所得世帯の生徒に対して手厚い支援を行うこととしております。これに加え、現在都道府県が独自に行っている授業料減免補助が就学支援金に上乗せされることにより支援が充実することを期待しており、当該補助に係る地方交付税についても、対前年度三十億円増の約五十億円が措置されております。
 このように、低所得世帯の私立高校生に対しては手厚い支援を行うこととなっており、公私間格差は縮小すると考えられております。また、公立高校と私立高校は高校教育においてそれぞれ重要な役割を果たしており、公立高校、私立高校のバランスについては、それぞれの役割も踏まえつつ、各都道府県に設置されている公私立高等学校協議会において各地域の実情に応じた適切な対応がなされるものと考えています。
 文部科学省としては、今後、御指摘の私立高校への支援の在り方も含めて高校の実質無償化に係る効果や課題を検証するとともに、その結果に基づき、公立高校、私立高校それぞれの役割も踏まえ、支援の充実に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(江田五月君) 義家弘介君。
   〔義家弘介君登壇、拍手〕
#9
○義家弘介君 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、いわゆる高校授業料無償化法案に関して質問いたします。
 まず、高校授業料無償化法案について、衆議院の文部科学委員会では、法案の根幹にかかわる重大な課題が審議されてきました。にもかかわらず、民主党はわずか四日で審議を打ち切り、参議院に送付したのです。しかも、民主党提案による法案の課題点などを列挙した附帯決議がなされています。つまり、民主党は、自らが審議が不十分であることを認めているということであります。
 例えば、法案には幾つもの重大な欠陥があります。私立高校を一年で退学し、別の私立高校に再入学した場合、在学期間が通算三十六月を超えた時点で授業料が生じます。一方、公立高校を一年で退学し、私立高校に再入学した場合は、就学支援金が三十六月分支給されます。また、私立高校を一年で退学し、公立高校に再入学した場合も、授業料三年分が不徴収となるのです。
 鈴木文部科学副大臣は、これについて、転入学を促進する制度と述べましたが、転入学の促進というのは法案の趣旨説明や提案理由には全くなく、唐突に出てきた概念であります。なぜ転入学の促進を図るのか、後ほど御説明願います。
 とにかく、どう考えても不合理な支給形態です。公立高校は期間を明示せずに授業料不徴収とし、私立高校は三十六月の期間を定めて就学支援金を支給する。これでは公立、私立で異なる制度となり、整合性がありません。
 しかも、政府・民主党はもろもろの欠陥を知っていたはずであり、だからこそ、審議が深まると次々に新たな問題点が発覚するので、マニフェストの最重要政策なのにもかかわらず、重要広範議案とせずに審議を短期で打ち切ったのではないでしょうか。民主党が重要課題を未解決なままに法案を送付してきたことについて、参議院として強く抗議すべきです。このような欠陥法案は衆議院に差し戻したいところですが、参議院では改めて問題点を明らかにし、責任ある意思決定を行うべきと思っております。その上で、以下に述べる法案の課題点について、川端文部科学大臣始め関係閣僚に質問いたします。
 第一に、理念がありません。高校授業料無償化は戦後の学制改革以来の六十年ぶりの大改革であり、多額の税金を投入する以上、まずは後期中等教育の理念、その在り方を示し、その上で無償化にする成果や効果を国民に示し、理解を得るべきです。しかも、政府の答弁は、学力や公共心、規範意識の向上など抽象的な言葉のみであり、それ以上の具体像を示そうとしません。結局、鳩山政権は、制度の一番の根幹である、なぜ高校授業料を無償化するのかという理念を説明できないのではないでしょうか。納得できる答弁を求めます。
 第二に、恒久財源がありません。来年度は、学校耐震化や老朽化対策などの予算を削って財源を捻出しましたが、これ以降は大幅に削減できる予算はありません。国会審議で川端大臣は、財源については確保することで予算は必ず編成していきたいと答弁しましたが、しかし、その根拠は示していません。民主党は公約を破って特定扶養控除の高校生部分の上乗せを廃止しました。国民には、財源確保のために新たな増税があるのではないかとの不安も広がっています。恒久財源の確保について、責任ある答弁を求めます。
 なお、子供たちの命を預かる学校施設の耐震化について、我が党は最優先課題と考えており、予算が認められなかった二千八百棟分や老朽化対策など併せて、即刻、予備費の使用について鳩山総理や財務省と調整するよう、川端大臣及び菅財務大臣に改めて強く求めます。
 第三に、所得制限がありませんので、過度の平等主義や均一主義となっております。しかも、低所得者については、従来の地方自治体による授業料減免を国が行うようになったというだけで、何の支援にもなっておりません。低所得者のために給付型奨学金の創設が望まれており、文部科学省も百二十三億円を概算要求しましたが、認められませんでした。我が党の対案のように所得制限を加えれば、本当に支援すべき人々のために財源を確保することができたはずであります。
 民主党は、衆議院で趣旨説明、質疑の際に給付型奨学金の創設を求め、川端大臣も前向きな答弁をいたしましたが、高校授業料無償化の財源のめども立たず、百二十三億円の概算要求すら認めない中で、給付型奨学金などできるはずもないのです。給付型奨学金を含む低所得者への支援策について、川端大臣及び菅財務大臣は財源を示して御説明ください。
 第四に、公私間格差の解消がありません。私立高校には授業料の負担が残りますので、希望していた公立高校に入学できずに私立高校を選択したという生徒に対しては著しい不公平を生じさせます。また、私立高校生に国から就学支援金が支給されるため、私学に対して独自に行っていた授業料減免の予算を減額する地方自治体も出てきており、今まで授業料を全額免除されていた生徒に自己負担が生じるのではないかという不安が広がっています。
 財政力のある自治体は教育費の負担軽減を手厚く行えるのに対し、財政力のない自治体はそこに十分な対策を講じることができないという地域間での格差が新たに生まれます。全国的な公正、公平を確保するために、地域の状況に応じて国は必要な施策を行うべきだと考えますが、検討状況をお示しください。
 第五に、国外の日本人高校生は無償化の対象にはなりません。これは、教育基本法の、すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならずという規定に反します。さらに、川端文部科学大臣が法案の趣旨として述べている、すべての意志ある高校生が安心して教育を受けることができるということにも反しています。国外の日本人高校生は、すべての意志ある高校生には含まれないのですか。納得できる答弁を求めます。
 第六に、無償化の対象となる外国人学校を判断する客観的、普遍的な基準について、民主党は省令で決めるのだから法律の成立後でよいとの考えを示していますが、どの外国人学校が無償化の対象になるかは国民の重大な関心事です。その判断を行政にゆだね国会では議論しないという姿勢は、行政監督の責任を放棄するものであります。衆議院の審議の最終盤でやっと基準らしきものが示されましたが、現在検討している基準を整理してお示しください。
 さらに、朝鮮学校を無償化の対象とするかについて、鳩山総理が判断を先送りし、第三者機関に教育内容を検証させると報道されましたが、驚くべきことに、三月十五日の衆議院の文部科学委員会で川端大臣は、報道で知った、鳩山総理と意見交換した際には文部科学大臣の責任で決定するよう指示されたのでそうするつもりと。つまり、第三者機関は設置しないと答弁したのです。朝鮮学校については、鳩山総理のみが国会の外で発言を繰り返し、川端大臣に主体性が見られません。鳩山総理の無責任な発言のたびに、朝鮮学校に通う子供たちは一喜一憂したことと思います。鳩山総理に猛省を求めるとともに、一連の発言の真意をただすべく国会での説明を求めたいと思いますが、平野官房長官、御検討いただけますか。
 また、中井拉致担当大臣は、朝鮮学校については我が国が北朝鮮に制裁を行っていることを十分に考慮すべきとの考えに変わりはありませんか、お答えください。
 第七に、地方自治体の条例改正が間に合わないんです。これまでの議論で、授業料を徴収できる特別な事由として、留年者や既卒者、越境通学者などが例示されましたが、具体的判断は地方自治体任せです。法案の例外規定に基づいて授業料を徴収する場合は、三月議会で条例を改正する必要がありますが、もう準備期間がありません。全国的な公正公平を確保するためにも、授業料を徴収できる際の一定の基準を国が示す必要があると考えますが、明確にお示しください。
 第八に、東京都、大阪府への激変緩和策が明確ではありません。公立高校について、一人当たり十一万八千八百円を基礎とする額が国から地方自治体に交付されます。しかし、東京都の高校授業料は十二万二千四百円、大阪府は十四万四千円であり、差額負担が生じます。さらに、自治体独自の授業料の減免分は交付金には積算されず、低所得者などに手厚い支援をしていた自治体ほど交付金が減らされます。自治体からは、国策として授業料を無償化するのだから経費もすべて国が負担すべきという強い声が上がっております。負担増となる自治体に対して、文部科学省は、激変緩和的な措置で対応するとのことですが、これも単年度にとどまる可能性があり、自治体は不安を抱えています。検討状況をお示しください。
 最後に、民主党が高校授業料無償化という公教育の根本的な改革を行う適格性を問わねばなりません。
 川端大臣自身の事務所費問題、小林千代美議員の北教組による裏献金問題、日教組の政治団体である日政連会長の輿石東議員の農地違反転用など、文部科学分野の議員による不祥事が連続しております。川端大臣は事務所費に対して適正に処理しているから問題ないという答弁を繰り返し、小林議員は議員辞職せず、輿石議員は違法な転用で収益を上げたような話ではないから悪質性はないなどと勝手に決め付けており、それに対する国民の不信が増しています。
 川端大臣は、北教組の事件などで折に触れ、教育に携わる者は遵法精神が必要だと述べています。是非その言葉を自らかみしめ、率先して事務所費問題に対して会計帳簿や領収書などの証拠を示し、文部科学行政への信頼を回復する努力をすべきと考えますが、あくまで証拠を開示しないおつもりでしょうか。
 また、小林議員は最初に小沢幹事長に謝罪したとされますが、謝罪先を間違えています。まず謝罪すべきは、事件により多大な不安を与えた北海道の子供や学校関係者、道民、国民であり、一政党の幹事長に対してではありません。こうした点にも民主党の倫理感覚の麻痺が現れています。しかも、いまだに小林議員は説明責任を果たしていません。真相解明のため、小林議員を含む関係者を国会で喚問する必要があると考えますが、平野官房長官に鳩山内閣としての方針を伺います。
 本日、三月十九日は、北海道の大半の小学校で卒業式が行われています。総理大臣は国政の最高責任者ですから、地元には目が行き届かないのかもしれません。しかし、この時期であるからこそ北海道に思いを致していただきたい。なぜなら、今回の北教組の事件により、子供たちが北海道の教育に大きな不安を抱きながら卒業式や入学式を迎えるからです。そして、今この瞬間も、北教組による日の丸・君が代反対というイデオロギー闘争が教育現場で繰り広げられているのです。
 鳩山総理も、朝鮮学校の件で無責任な発言を繰り返して混乱させるぐらいなら、直ちに北海道に飛んで、北教組に、教育者としての良心があるならイデオロギー闘争に子供たちを巻き込むことは即刻やめてくれと言っていただきたい。
 教育の正常化はすべての教育改革の大前提であり、子供たちに安心して教育を受けてもらいたいというのは我々共通の願いであるはずです。この件についての川端大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣川端達夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(川端達夫君) 義家議員にお答えをいたします。
 なぜ高校を実質無償化するのか、理念についてお尋ねがありました。
 高等学校への進学は約九八%に達し、国民的な教育機関となっており、その教育の効果は広く社会に還元されているものであり、その教育費について社会全体で負担していく方向で諸施策を進めていくべきだと考えております。また、高等学校等については、家庭の経済状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して教育を受けることができるよう、家庭の経済的負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっております。さらに、多くの国で後期中等教育を無償としており、高校無償化は世界的な常識であります。
 このようなことから、公立高等学校に対しては授業料を不徴収とするとともに、私立高校等については新たな支援制度を導入するものであります。
 次に、恒久財源についてお尋ねがありました。
 平成二十二年度においては、高校の実質無償化の実現のため、政府全体として必要な財源が確保されております。平成二十三年度以降についても、歳出歳入両面にわたる予算の見直しを行うことにより、政府全体として必要な財源を確保していくものと考えております。
 次に、公立学校施設の耐震化と老朽化対策への予備費の活用についてお尋ねがありました。
 総理からは、これまでに、公立学校施設の耐震化について、平成二十二年度予算の執行状況を踏まえながら、一兆円の予備費を含む二兆円の景気対策枠の活用も視野に入れて進めていきたい旨答弁がありました。文部科学省としては、まずは予算を効果的、効率的に執行することでより多くの耐震化事業を採択できるよう努力してまいりたいと思います。
 その上で、耐震化はもちろんのこと、老朽改修等の緊急性、必要性の高い事業についても、地方公共団体のニーズを踏まえ、関係省庁と連携しながらあらゆる機会を通じて予算の確保に努め、公立学校施設の整備を推進してまいります。
 次に、低所得者への支援策についてお尋ねがありました。
 経済的理由により修学困難な高校生に対する支援の充実を図るため、給付型奨学金については大変重要な課題と認識しており、財源問題も含め、必要性を踏まえて来年度に向けて検討してまいります。なお、平成二十一年度第一次補正予算において、都道府県に新たに高校生修学支援基金を設け、都道府県による高校奨学金事業への支援の充実を図ったところであります。
 次に、都道府県による私立高校の授業料減免についてお尋ねがありました。
 低所得世帯の私立高校生に対しては、就学支援金を増額して支給することに加え、各都道府県が地域の実情に応じて授業料減免を就学支援金に上乗せすることを検討しています。特に、低所得世帯の私立高校生に対する就学支援金と併せた支援は、全額免除相当となるケースを含め、多くの都道府県で現在よりも手厚くなると認識しております。
 国は、都道府県に対する財政支援を行っており、平成二十二年度予算において地方交付税措置を拡充することとしております。これらの支援措置も活用して、都道府県においては地域の実態に即した適切な対応が取られることを強く期待しております。
 次に、国外の日本人高校生が対象外となっている理由についてお尋ねがありました。
 仮に、海外に在住する生徒に就学支援金を支給する場合には、在籍状況、授業料額、保護者の収入等の基本情報の把握や支給方法など、適正な支給の確保が困難であります。また、本法案は、我が国の法律の及ばない海外での学習活動についてもすべからく支援するものではなく、あくまでも我が国の法律に基づいて設置された教育施設における学びを支援するものであります。このため、高校実質無償化については日本国外にいる者を対象としないものであります。
 次に、対象となる外国人学校の判断基準についてお尋ねがありました。
 外国人学校を含む各種学校については、法律案において、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるものを対象とすることとしております。文部科学省令においては、対象を定める際の客観性を確保するため、高等学校の課程に類する課程として、その位置付けが学校教育法その他により制度的に担保されているものを規定することを考えております。
 外国人学校については、客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められるものとしてどのような基準や方法で指定するかという点について、高等学校や専修学校設置基準等、また大学入学資格などを参考にしつつ、現在検討しているところであります。
 この問題については、国会における審議も踏まえつつ、最終的には文部科学省において適切に判断してまいりたいと考えております。
 次に、授業料を徴収できる特別な事由の基準についてお尋ねがありました。
 本法案については、公立高等学校で例外的に授業料を徴収できる場合として、生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合を規定しております。その例としては高校既卒者等が考えられますが、特別の事由の具体的な判断は地方公共団体における個別の事情によって変わり得るものであり、国がその具体的場合を網羅的に示すことは、むしろ地方公共団体の裁量を狭めることにもなりかねないことから、各地方公共団体において判断していただくこととしております。
 次に、授業料が高い自治体の激変緩和策についてお尋ねがありました。
 今回の法案による公立高校の無償化は、公立高校運営費のうち、これまでの授業料収入に相当する額を国が地方公共団体に交付することによって実施するものであります。具体的な交付金の算定方法は政令で定めることになりますが、原則として、標準的な授業料額を基礎としてこれに生徒数等を乗じて一律に算定することが基本であると考えております。
 しかしながら、御指摘のとおり、東京都や大阪府のように他の地方公共団体より高額な授業料を設定している都府県があり、授業料減免の実施状況も都道府県により様々であることから、これらの事情を考慮してほしいという地方公共団体からの要望も踏まえ、平成二十五年までの経過措置として、これまでの実際の授業料収入を勘案した交付金の算出方法を検討しているところであります。
 次に、政治団体達友会の事務所費について御質問がありました。
 政治団体達友会の政治活動に係る経費の収支については、その時々の政治資金規正法にのっとり適切に処理され、また必要な事項については公表されていると認識しております。
 また、その事務所費に係る一連の報道を受け、私としても、主たる事務所の届出は、外部からの連絡拠点としてその代表者又は会計責任者の自宅としてきたこと、達友会の政治資金収支報告書に記載されている経常経費には、家賃及び光熱水料は計上されていないが、その活動の結果発生した経費のうち、経常経費に相当するものが計上されており、具体的には、備品・消耗品費として新聞、事務機器、文具、車、ガソリン等の経費、事務所費として電話、ファクス、コピー等に係る経費が含まれていること、したがって、これらの経費はすべて実体があるものであり、議員御指摘の事務所費問題には当たらないと認識していること等について説明を申し上げてきました。
 私としては、本件について、今後ともこの政治資金規正法に基づき適切に対処していきたいと考えております。
 文部科学行政についても、法令にのっとり適切に行うとともに、その意義や必要性等についても積極的に説明し、今後とも国民の信頼を得るように努力したいと考えております。
 最後に、子供たちに安心して教育を受けてもらうことへの決意についてお尋ねがありました。
 学校は児童生徒に対する教育の場であることから、すべての者が法令を遵守し、政治的な中立性や適正な学校運営を確保することが重要であります。国旗・国歌につきましては、学習指導要領に基づき適切な指導が各学校について行われるよう、北海道教育委員会等と連携を図りながら取り組んでまいります。また、仮に公務員である教職員に違法な活動があれば、北海道教育委員会と連携し、法令にのっとり毅然と対処してまいります。(拍手)
   〔国務大臣菅直人君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(菅直人君) 義家議員の御質問にお答えをいたします。
 まずは、高校の実質無償化の恒久財源、さらには耐震化等についての御質問でありますが、既に川端文科大臣からお答えがありましたけれども、若干重なりますが、お答えを申し上げます。
 平成二十二年度の予算におきましては、この高校の実質無償化などの新規政策の実現のために、国の総予算の見直しにより二・三兆円に上る歳出削減を行うとともに、公益法人等の基金の返納等により一兆円の税外収入を確保し、合計三・三兆円の財源を確保したところであります。この三・三兆円の中で、高校無償化も含め、マニフェストを含めた新規政策に充てたところであります。
 二十三年度以降については、今後策定を予定しております中期財政フレームや財政運営戦略を踏まえ、行政刷新会議等と連携しつつ、歳出歳入両面にわたる徹底した予算の見直しを行うことにより必要な財源を確保してまいる所存であります。
 第二点は、所得制限がなく過度の平等主義になっていると、そういった御質問、さらには給付型奨学金についての御質問をいただきました。
 まず、高校の実質無償化においては、授業料が無料にならない私立高校生等のいる低所得世帯については、年収が二百五十万円未満程度の世帯については二倍額の費用を、さらに年収が二百五十万から三百五十万円未満程度の世帯については一・五倍の費用を給付をすることになっております。つまり、就学支援金の額が十一万八千八百円のところが、二百万円以下のところについては倍額支給され、二百五十万から三百五十万のところについては一・五倍の五万九千四百円が上乗せされるという形で、低所得者の皆さんに対しての支援の充実を図っているところであります。これに加えて、都道府県が独自に行っている授業料減免補助が上乗せされることになりまして、そうした自治体独自の支援も期待されるところであります。
 給付型奨学金については、貸与制を基本としてきた奨学金について給付型を導入することの影響などについて総合的に勘案する必要があると考えております。こうした施策を実現するに当たっては、歳入歳出両面にわたる徹底した予算の見直しが必要だと考えております。
 この給付型奨学金については、民主党のインデックスにおいても、諸外国の例を参考に給付型の奨学金についても検討を進めますということもありますし、また、たしか衆議院の附帯決議だったと思いますけれども、その中でも、奨学金の給付に係る制度の創設については検討しようということが含まれておりますので、こうした諸施策を、こうした点から決して後ろ向きということではなくて真摯に検討していきたいと、このように考えております。
 答弁は以上です。(拍手)
   〔国務大臣平野博文君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(平野博文君) 義家さんに御質問二点ちょうだいをいたしました。
 まず、高校無償化に関する総理の発言についての質問でございます。
 総理は、この法案によって、家庭の状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込めるようにするために、公立高校の授業料を無償化するとともに、高等学校等就学支援金を創設し、家庭の教育費負担を軽減をする、このことを考えているわけでございます。
 その上で、朝鮮学校を含む各種学校についての総理の発言の趣旨につきましては、高等学校の課程に類する課程として、この位置付けを判断する基準や方法を定めることになる文部省令のことについていろんな論点があると、こういう趣旨で述べたものと承知をいたしております。総理は、文部科学省令につきましては、国会での審議を踏まえつつ、大臣の責任において判断するものと考えているところでございます。
 二点目、小林議員の国会招致に関する質問でございます。
 御指摘の政治資金規正法違反容疑にかかわる事案につきましては、現在、検察において鋭意捜査中でございます。政府といたしまして、国会に関する事項に関しては国会でお決め願いたいと存じますが、いずれにいたしましても、事実関係と全容が捜査によって解明され、それに基づく検察としての処分方針が示されるものと考えておるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣中井洽君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中井洽君) 私は自分の考えを同じように終始一貫申し上げておりまして、何も変わっておりません。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(江田五月君) 澤雄二君。
   〔澤雄二君登壇、拍手〕
#15
○澤雄二君 私は、公明党の澤雄二でございます。
 公明党を代表して、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案について、文部科学大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
 教育とは、社会のための教育ではなく、教育のための社会であるべきです。日本は一億総中流社会と言われてきましたが、これははるか昔の話であります。ここ数年、経済格差の拡大が叫ばれました。しかし、今や日本が克服したはずの貧困が広がり続けています。これによる教育の貧困は、子供の生涯を通じて格差を決定付けるものであります。ゆえに、子供たちを教育の貧困から救済することが我々政治家にとっても最も大事な責務の一つと考えております。
 本法律案の目的、第一条、経済的負担の軽減による教育の機会均等に寄与する、この目的、趣旨については大賛成であります。しかしながら、この目的が十分に達成されるのか、私は大きな危惧を持っております。それは、本法律案により負担増になる家庭があるからです。
 特別支援学校、通信制高校、定時制高校に通う子供たちは全国で二十五万人います。この家庭は、通常の公立高校より授業料がはるかに安いため、特定扶養控除の縮減により負担が増えることになります。また、今まで学費の減額や免除を受けていた子供たちも全国で四十万人います。公立高校で減免措置を受けている子供たちは、そのほとんどが授業料を免除されています。この家庭も、何ら恩恵がない上に、負担増の可能性だけが残ります。
 高所得者層においては授業料分の費用を学習塾などに回すことができ、経済的な理由による教育格差の拡大をかえって助長することになります。我が党にも多くの教育関係者から、そのような懸念の声が寄せられています。
 さらに、中学卒業後、就職せず、また進学もしない子供たちが年間一万六千人います。この中には、高校に行きたくても行けないという子供がいます。この人たちも特定扶養控除の縮減による負担増だけがあり、何ら恩恵がありません。このような子供たちに手を差し伸べることこそがまさに必要とされているのです。
 本法律案の目的に経済的負担の軽減を掲げているのに、低所得者層の人たち合わせて七十万もの家庭に負担増になる可能性が残されているのです。教育の貧困、教育の格差を解消していくためには、低所得者への手厚い支援がどうしても必要なのであります。この問題に対してどのように対応されるのか、文部科学大臣の見解を求めます。
 次に、低所得者層に対する支援策の一つを提案いたします。
 文部科学省は、現在、支援策として、すべての都道府県において実施されている奨学金事業を挙げています。しかし、この奨学金は貸与される奨学金であり、いずれは返還しなければなりません。負担軽減というよりは負担の先延ばしなのであります。経済的条件にかかわらず希望すれば学ぶことができるようにするためには、授業料以外の費用についても支援が必要になります。
 そこで、我が党がかねてから主張している給付型奨学金制度の速やかな創設を改めて提案をいたします。給付型奨学金制度の創設についての文部科学大臣の見解を求めます。
 次に、地方自治体の費用負担について質問をいたします。
 今回のいわゆる授業料実質無償化で高等学校等について国から交付される額は、これまでの授業料収入相当分だけです。つまり、地方自治体が負担してきた授業料減免分は交付額から差し引くとされています。これでは、これまで授業料減免に懸命に取り組んできた地方公共団体ほど国から交付される額が少なくなってしまいます。社会全体で教育を支えるといいながら、地域間格差を残すことになってしまいます。この点について、総務大臣に見解を求めます。
 次に、本法律案のように多額の財政支出を行い、かつ教育内容に大きな影響を与える事柄について中央教育審議会になぜ諮問されなかったのですか。
 平成十七年に義務教育費の国庫負担の補助率を変えたときは、中教審に特別部会を設けて議論されました。国、地方、教育関係者など、全国を巻き込んだ大議論を経て初めてこのような変更が行われました。これまでは高等学校等の運営は設置者の責任において実施されていますが、授業料を国が負担することにより、高等学校等にかかわる地方行政に対して国の関与が強まることが心配されています。
 本法律案は、単に財政論でのみ語られるものではなく、教育行政制度の大きな変革であります。このようなことが中教審の重要な検討事項でないわけがありません。なぜ諮問されなかったのでしょうか。国の関与の懸念と併せて、文部科学大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、十六歳以降の多様な学びの支援について質問をいたします。
 本法律案は、高等学校等への学びを支援するとされていますが、例えば高等学校以外の進路を希望する子供や義務教育を卒業し社会へ旅立つ子供への支援についてはどのように考えているのでしょうか。本法律案では、高等学校等へ進学しない子供たちはそもそも支援の対象にすらなっていません。また、厚生労働省が所管する職業訓練校なども対象となっておりません。一律に高等学校等の授業料を支援するという考え方ではなく、義務教育の質の更なる向上を図った上で義務教育以降の多様な学びの機会を保障していくことも大変重要ではないかと考えます。多様な価値観が存在する社会にあって、子供たちの自由な選択が妨げられないような支援の在り方を検討すべきであります。文部科学大臣の見解を求めます。
 これまで指摘してきたように、本法律案は多くの問題を抱えています。このような問題を見逃すわけにはいきません。
 先日、衆議院の審議において、私たち公明党の主張により、本法律案の附則に見直し規定を盛り込んだ検討条項が追加され、附帯決議も採択されました。この附則では、本法律案の見直しを施行後三年を経過した後としていますが、少なくとも現在指摘されている問題については速やかに検証を行い、予算措置を含めた対策を講ずるべきであると考えます。文部科学大臣の見解を求めます。
 以上、本法律案が抱える問題の解決は急務であると強く申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣川端達夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(川端達夫君) 澤議員にお答えいたします。
 最初に、特定扶養控除の縮減により負担増となる者への対応についてのお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、授業料徴収額が低廉な学校種に通っている子供や授業料の減免を受けている者、高校に通っていない子供を持つ家庭においては、高等学校実質無償化による便益よりも、特定扶養控除の縮減により負担が大きくなることはあり得るものと認識をいたしております。
 このことについては、昨年十二月に閣議決定された税制改正大綱において、現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討しますとされており、教育費負担の実態等を踏まえつつ、特定扶養控除縮減により実際に家計に影響が生じる平成二十三年末に向けて、必要な対策を行えるよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、高校生への給付制奨学金制度の創設についてお尋ねがありました。
 御指摘の給付型奨学金の創設については、大変重要な課題と認識しており、必要性を踏まえて、来年度に向けて検討してまいります。
 次に、中教審への諮問についてお尋ねがありました。
 中教審への諮問については、これまでも教育条件の整備に係るものについては必ずしも諮問を行わず、文部科学省として必要な措置を講じてきたところであります。高校実質無償化については、その重要性を踏まえ、地方教育行政の責任者、私立学校関係者を始めとする関係団体との意見交換会や中教審委員を含む有識者との懇談会の場に加え、本年一月二十一日の中教審総会においても御意見を伺ったところであります。
 なお、本制度の導入後、運用状況やその効果を検証し課題等が明らかになった場合には、中教審等において改善方策についての御意見を伺うこともあり得るものと考えております。
 同時に、授業料を国が負担することによって国の関与が強まることへの懸念についてのお尋ねがありました。
 本制度においては、あくまで生徒の授業料負担を軽減するため、公立高校は授業料不徴収、私立高校生等については生徒個人に対して就学支援金を支給することとした上で、学校設置者が代理受領するという制度にしたものであり、設置者に対する機関補助ではありません。したがいまして、本法案は、地方教育行政に対する国の関与の強化を図るものではないものと考えております。
 次に、子供たちの自由な選択への支援についてお尋ねがありました。
 この制度では、全日制の高校だけでなく、専修学校高等課程などにおける多様な学びを支援することとしており、子供たちのニーズに応じた多様な学習機会を選択できるきっかけになると考えております。また、高校に進学しなかった人についても、年齢制限が設けられていないことから、本人の学ぶ意欲に応じて学習する道は開かれております。
 今後とも、義務教育の質の更なる向上を図るとともに、このような取組を通じ、子供たちの自由な学習意欲を支援していきたいと考えております。
 最後に、現在指摘をされている問題について速やかに検証や対策を講ずるべきと、御指摘とお尋ねがございました。
 本法案に対する衆議院での審議においては、高等学校教育の質の向上や教育の機会均等、教育に係る経済的負担の一層の軽減など、様々な御議論をいただいたところであり、議員修正により、この法律の施行後三年を経過した場合において、本法の施行状況を勘案し、必要に応じて見直しを行う旨の規定が盛り込まれました。
 これから参議院で御審議をいただくところでありますが、本制度が導入されたならば、国会での御論議を踏まえ、その運用状況や効果を検証し、必要に応じて適切な措置を講じてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(原口一博君) 澤議員から、公立高校の無償化による地域間格差に関してお尋ねがございました。
 公立高校については、授業料を不徴収とし、これまで地方公共団体が徴収してきた公立高校の授業料に相当する額を国費で交付するとされております。具体的な国費の算定方法については、文部科学省において、授業料減免の実施状況は各都道府県により様々でございますので、地方の実情も踏まえながら現在検討中であると伺っております。
 いずれにせよ、委員が御指摘のように、頑張ってきた自治体に不公平感が持たれることのないように、そういう検討がなされることを総務省としては望むものでございます。
 また、平成二十二年度において、地方交付税を十一年ぶりに一・一兆円増額するとともに、その配分についても、財政力が弱ければ弱いほど厳しい、三位一体改革の影響が出ておりましたので、そういう地域に配慮することとしており、地方公共団体が地域のニーズに適切にこたえられるように努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
#18
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト