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2010/03/26 第174回国会 参議院 参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第12号
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2010/03/26 第174回国会 参議院

参議院会議録情報 第174回国会 本会議 第12号

#1
第174回国会 本会議 第12号
平成二十二年三月二十六日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十二号
  平成二十二年三月二十六日
   午前十時開議
 第一 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の
  規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入
  承認義務を課する等の措置を講じたことにつ
  いて承認を求めるの件(第百七十三回国会内
  閣提出、第百七十四回国会衆議院送付)
 第二 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の
  規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物に
  つき輸出承認義務を課する等の措置を講じた
  ことについて承認を求めるの件(第百七十三
  回国会内閣提出、第百七十四回国会衆議院送
  付)
 第三 関税法及び関税暫定措置法の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 裁判所職員定員法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 在外公館の名称及び位置並びに在外公館
  に勤務する外務公務員の給与に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第六 市町村の合併の特例等に関する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
  )
 第七 平成二十二年度における子ども手当の支
  給に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、雇用保険法等の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 この際、中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名についてお諮りいたします。
 内閣から、中央選挙管理会委員五名の任命について、本院の議決による指名を求めてまいりました。
 本委員を指名するときは、併せて同予備委員を指名することとなっております。
 よって、これより中央選挙管理会委員及び同予備委員各五名の指名を行いたいと存じます。
 つきましては、中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名は、いずれも議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 中央選挙管理会委員に伊藤基隆君、伊藤忠治君、鈴木恒夫君、神崎浩昭君及び鳥居一雄君を、
 また、同予備委員に西川洋君、尾崎智子君、元宿仁君、山田秀樹君及び小宮修二君を、
それぞれ指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(江田五月君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、人事官、原子力安全委員会委員、情報公開・個人情報保護審査会委員、公益認定等委員会委員、公認会計士・監査審査会会長、同委員、中央更生保護審査会委員、日本銀行政策委員会審議委員及び中央社会保険医療協議会委員の任命について、本院の同意を求めてまいりました。
 これより採決をいたします。
 まず、人事官に原恒雄君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十七  
  賛成             二百十  
  反対               七  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#8
○議長(江田五月君) 次に、原子力安全委員会委員に代谷誠治君を、情報公開・個人情報保護審査会委員に小林克已君、名取はにわ君、遠藤みどり君、北澤義博君、伊達規子君、中村晶子君、橋本博之君、池田綾子君及び村上裕章君を、公益認定等委員会委員に池田守男君、堀裕君、北地達明君、時枝孝子君、門野泉君及び出口正之君を、公認会計士・監査審査会会長に友杉芳正君を、同委員に廣本敏郎君、引頭麻実君、櫻井久勝君、淵田康之君、田島優子君及び根本直子君を、中央更生保護審査会委員に宮本信也君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#9
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#10
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十八  
  賛成            二百十八  
  反対               〇  
 よって、全会一致をもって同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#11
○議長(江田五月君) 次に、原子力安全委員会委員に班目春樹君を、公認会計士・監査審査会委員に市川育義君、坂本道美君及び八木和則君を、日本銀行政策委員会審議委員に森本宜久君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#12
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#13
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十七  
  賛成             二百十  
  反対               七  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#14
○議長(江田五月君) 次に、公益認定等委員会委員に海東英和君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#15
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#16
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十九  
  賛成            百二十五  
  反対             九十四  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#17
○議長(江田五月君) 次に、中央社会保険医療協議会委員に牛丸聡君を任命することについて採決をいたします。
 内閣申出のとおり同意することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#18
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#19
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十九  
  賛成            百五十一  
  反対             六十八  
 よって、同意することに決しました。
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#20
○議長(江田五月君) この際、日程に追加して、
 雇用保険法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。長妻厚生労働大臣。
   〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(長妻昭君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現在、我が国では、雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあり、特に、非正規労働者の雇用の安定や雇用保険財政の安定的な運営に大きな影響を与えているところであります。
 このような状況に対応し、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化、雇用保険の財政基盤の強化等を図るために所要の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、雇用保険法の一部改正であります。
 まず、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化を図るため、一般被保険者の適用範囲を拡大することとし、週の所定労働時間が二十時間以上であって三十一日以上雇用見込みの方については、雇用保険の適用対象にすることとしております。
 また、事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったことにより、雇用保険に未加入とされた方について、二年以上前の時期に、賃金から雇用保険料を控除されていたことが確認された場合には、事業主が届出を行わなかったことにより所定給付日数が短くなる不利益が生じないようにするため、現行制度において遡及可能な二年を超えて遡及して適用できることとしております。
 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。
 二年を超える遡及適用の対象となった方を雇用していた事業主が、事業開始時に必要な保険関係成立の届出を行っていなかった場合には、保険料の徴収時効である二年経過後においても保険料を納付できることとし、厚生労働大臣はその納付を勧奨することとしております。
 また、現下の雇用失業情勢に対応した雇用対策の実施に必要な財源を確保するため、平成二十二年度における雇用保険二事業の保険料率については、弾力変更の規定は適用せず、原則の〇・三五%とすることとしております。
 第三は、特別会計に関する法律の一部改正であります。
 雇用保険二事業の安定的な運営を確保するために、雇用調整助成金等のために必要な額について、失業等給付に係る積立金を使用することができる暫定措置を講じることとしております。
 なお、この法律は、平成二十二年四月一日から施行することとしておりますが、遡及適用に関する部分は、公布の日から起算して九か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 この法律案によって、これまで雇用保険に入ることができなかった非正規雇用の方のうち、約二百五十五万人が新たに雇用保険に加入できるようになります。
 以上、よろしくお願いします。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。土田博和君。
   〔土田博和君登壇、拍手〕
#24
○土田博和君 昨年十月、静岡補選で皆様の仲間入りをさせていただいた土田博和です。
 民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して質問をさせていただきます。現役医師生活三十五年、この経験を基に雇用保険法等の一部を改正する法律案に、会派を代表して質問します。
 私は、数か月前、あるおばあちゃんと百歳のお祝いに会うことができました。そのおばあちゃんに、そのお祝い金、どうしますか、そうしたら何と言われたか。老後のために貯金をする、今はこういう暗い時代です。
 さて、私の生まれた一九四九年、生まれた赤ちゃんは二百三十三万人、昨年は百六万人です。このままの出生率では、この何と二十年間、五十万人台に落ち込むと言われております。
 つまり、たった六十年で出生率が半減、八十年で五分の一になると言われております。この異様な出生率の減少は確実に日本の屋台骨をむしばんでいると思います。児童数の大幅な減少で全国の小中学校が統廃合され、高校、大学も定員割れが続出しております。デパートやコンビニ、自動車、住宅の売上げも減少し、テーマパークも相次いで倒産しております。道路通行量のみならず、九十六に及ぶ空港の利用量も減少し、企業・個人所得が減少し、デフレスパイラルに陥っております。
 反対に増えているのは失業者です。潜在的な失業者まで入れれば労働人口の一三%に達していると言われ、生活保護者も百七十九万人と急増しております。
 また、国民年金保険料はもちろん、国民健康保険の保険料を支払えないため、医療を受けられない人が増えております。高校を卒業しても、大学を卒業しても、希望する就職ができない若者が二〇%に迫っています。こうした社会の中で、うつ病にかかる人が一九九九年より九年間で実に二・四倍も増加し、悲しいことに十二年連続で三万人を超えています。
 さて、この迫りくる日本崩壊を防ぐのは、民主党が掲げた子ども手当の支給、高校教育の無償化、待機児童ゼロ作戦を目指す幼保一元化、そして、産科、小児科に重点を置いた医療費改定、不正請求……、しかし、何よりも親が安定した雇用を確保していることが大きな前提です。
 まず、川端文部大臣にお尋ねします。
 就職難の若者たちの中でも工業高校の中の内定率が良いようです。そろそろ、偏差値一辺倒の教育から、個々の児童の優れた能力を引き出す教育、ドイツのマイスター制度のような職能教育方針を取り入れたお考えはいかがでしょうか。また、将来に向けて、大学生の何%かを、見聞を広め、何でも見てやる精神で、国費で様々な国々へ留学させる政策はいかがでしょうか。
 今回の雇用保険改正法案、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化を図るのが最大の目的だと長妻厚生労働大臣は強調され、具体的には、週二十時間以上働く人については、雇用保険の適用を受けるために必要な雇用見込み期間が六か月以上だったのを三十一日以上に短縮しました。これで新たに二百五十五万人が雇用保険に加入でき、雇用者数の三〇%を占める非正規労働者にとって大きな朗報となり、国民の生活が第一という民主党の政治目標にふさわしい英断だと思っております。
 そこで、長妻厚生労働大臣にお尋ねします。
 今回の適用に必要な雇用見込みの期間の短縮、これがどうセーフティーネットの拡大につながるか、国民に分かりやすく説明してください。
 改めて言うまでもありませんが、雇用保険制度とは、自らの労働によって暮らしの生活を立てている労働者が不幸にも失業した場合、その生活安定を図るために設けられた制度です。早期の就職を促す就業促進手当制度ありますが、仕事を見付けてすぐには就職しないで、失業給付を十分に受給してから再就職するなどの確信的なモラルハザードも報告されています。
 安定したセーフティーネット、国民のモラル保持、保険制度の両輪です。つまり、国が何をしてくれるか、そればかりではなく、国のために何ができるかというメッセージも不可欠だと思います。長妻厚生労働大臣、不適当な受給を防ぎ、早期の就職を促すため、どのような取組を行っているか、お答えください。
 次に、遡及適用に係る特例の創設についてお伺いいたします。
 現下の著しい雇用情勢では、求職者、失業者に対する国民の強い期待が寄せられています。現行の法律の下では、雇用保険料の納付先は労働基準監督署、資格取得届の届出先はハローワークとなっております。雇用保険においては、事業主が届出を行わなかったために、失業給付等が受けられる期間が短くなった事例が発生しています。
 つまり、ハローワークに行って自分の加入履歴を調べた結果、肝心の事業主が被保険者資格取得の届けを行わなかったことが分かった場合でも、現行の法律では遡及期間、つまり過去にさかのぼって適用が認められる上限が二年のため、幾ら本人の雇用保険料が天引きされているという給与明細書などを持っていっても、失業給付等をもらえる期間が短くなってしまうわけです。
 今回の改正に当たっては、現行の遡及適用期間である二年を超えて遡及することが可能になるように改められました。この遡及適用期間を改善するねらいについて、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
 次に、雇用調整助成金を始めとする雇用保険二事業の財政安定化を図るための特例措置についてお伺いします。
 この二事業は、雇用上の問題が企業主の責任に帰するところが多いため、事業者間の互助事業として事業主負担だけの保険料によって運営されてきました。現在は百七十三万人の人の労働者が雇用調整助成金により支えられ、事業縮小の危機に陥っている事業者の命綱となっております。
 今回の改正では、急増した雇用調整助成金の財源を補うため、失業等給付にかかわる積立金約五兆円から四千四百億円を活用することを盛り込みました。
 従業員負担と国庫負担が入っている失業給付と、事業主のみが負担する雇用調整助成金という異なる両者間で借入れを行うという暫定措置になっております。雇用調整助成金が失業者の発生を予防する観点から見れば、今後、更に利用しやすいように手続の簡素化などの措置を講じていくべきではないでしょうか。
 雇用保険二事業による助成金などは二百近くも乱立し、もちろん大切なものはありますが、事業内容が類似し、重複していたり、助成金額に比べて運営管理費が膨大となっております。一定の整理、統合、廃止が必要だと思いますが、御意見をお伺いしたいと思います。
 次に、求職者支援制度についてお伺いします。
 民主党は、野党時代から求職者支援に力を入れてきました。求職者支援制度は第二のセーフティーネットと言われ、雇用保険に入れない人、失業給付中に仕事を見付けることができない人の生活を支え、就職活動を支援し、生活保護受給者になることを防ぐ重要な施策だと思っております。長妻厚生労働大臣はいかがお考えでしょうか。
 厚生労働省が一九八〇年代に出したいわゆる医療費亡国論、すなわち医師数の増加が無駄な医療を生み、国を滅ぼすということによって、今、医療現場では大変な問題が起きています。医師定数の一〇%削減、それに度重なる診療報酬改悪を繰り返してきた結果、日本は今や先進国の中で最低レベルの医師数、看護師数になっております。
#25
○議長(江田五月君) 土田君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#26
○土田博和君(続) 過労死に近い残業時間などを余儀なくされ、医療崩壊を起こされています。こうした超高齢化社会の中で十分に予期されていたにもかかわらず、十分な対策が取られてこられたことがなかったために起きていると思っています。
 ところで……
#27
○議長(江田五月君) 土田君、簡単に願います。
#28
○土田博和君(続) 最後に聞いてください。
 二週間ほど前、ニュージーランドから帰国された看護師さん、そのとき、ニュージーランドの仕事と生活の調和、残業はゼロ、有給休暇は二か月取れ、仕事もやりがいがあり、子育ても、そして大好きな休暇も取れます。
#29
○議長(江田五月君) 土田君、簡単に願います。
#30
○土田博和君(続) この言葉が日本の医療現場にはぐさりと突き刺さりました。
 日本の少子化をストップさせ、ニュージーランドで働く人々が普通に行っているワーク・ライフ・バランスについて日本で実現できるよう、環境整備に力を入れてほしいと思います。
 最後に、緊急的に雇用保険を安定化させ、高齢者に安心を与えることによって消費サイクルを呼び起こし、最も経済効果が高いとされる医療・介護分野に働く若者たちに熱い夢と希望がもたらされるメッセージをいただき、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(長妻昭君) 土田議員からお尋ねがございました。
 雇用保険の適用に必要な雇用見込み期間の短縮がもたらす効果についてお尋ねがございました。
 この適用範囲については、平成二十一年の雇用保険法改正に合わせて、昨年四月からは、非正規労働者の方の適用範囲を一年以上雇用見込みから六か月以上雇用見込みに拡大しました。それでも雇用保険の適用とならない方があったところであります。そこで、現下の厳しい雇用失業情勢の中で、非正規労働者の方に対するセーフティーネット機能をより強化する必要があると考えておりまして、この改正案によって六か月以上雇用見込みを更に三十一日以上雇用見込みに拡大することとしております。今回の改正によって新たに二百五十五万人の方が雇用保険の対象になる見込みであり、雇用期間が短い方々へのセーフティーネットの拡大となるものであります。
 日本ではこれまで雇用保険がなく、失業した場合、生活保護との間のセーフティーネットが非常に不十分でした。この課題に対応するため、雇用保険の範囲を広げるものであります。
 次に、不適当な受給の防止と早期の就職促進の取組についてお尋ねがありました。
 失業された方々に対して雇用保険の給付を適切に支給するとともに、早期に再就職をしていただくことは非常に重要であります。このため、次の三点を中心に取り組んでいるところであります。
 第一点といたしましては、仕事を探す方との対面での失業認定によって、求職活動状況をきちっと確認すること。第二に、早期に就職したときに一定の手当を支給する再就職手当の活用により、早めの再就職、これを促進を図っていくこと。第三に、個々の求職者の方に応じた再就職支援プログラムによる支援など、職業相談窓口におけるきめ細やかな職業相談、職業紹介を実施することを実行してまいります。
 今後とも、雇用保険の給付と早期再就職のための支援を一体的に実施することで制度の適切な運営を図ってまいります。
 次に、遡及適用期間の改善のねらいについてお尋ねがありました。
 現行制度上は、事業主が従業員の雇用保険の資格取得届の提出をしていなかった場合であっても、ハローワークが被保険者であったことの確認をした場合は、確認をした日から二年までさかのぼって雇用保険の被保険者とすることができます。しかしながら、二年までとされているため、天引きをされていた事実が明らかであるにもかかわらず、本来受給できるはずの金額を受給できない場合がありました。そこで、この法案では、二年を超えてさかのぼることができるというものとするものであります。
 これによって、例えば一つの例を申し上げれば、解雇等によって離職された四十歳の方が六年前の給与明細等で給与から雇用保険料を天引きされていた事実が明らかであった場合には、これまで二年しかさかのぼれませんでしたが、この方の場合、六年前までさかのぼることができるため、給付日数が九十日から百八十日分に倍増することとなります。
 次に、雇用調整助成金の手続の簡素化についてお尋ねがありました。この件も多くの方から指摘をいただいている重要な論点でございます。
 本助成金については、一昨年十二月に中小企業向けの助成金を創設して以来利用が急増しておりまして、雇用の維持に取り組む多くの事業主の皆様に御利用をいただいております。こうした中、本助成金の申請については、事業主の皆様の御負担をできる限り軽減できるよう、これまで何度も簡素化に取り組んできました。また、昨年十一月三十日には、緊急雇用対策を受け、申請様式を改正し、提出書類を五種類から三種類に統合をしたところであります。
 雇用調整助成金の手続の簡素化については適正な支給の確保という点についても留意する必要がありますが、今後とも、その時々の状況に応じ不断の見直しを行って、多くの事業主の方々にとっても利用しやすい制度にしてまいります。
 次に、雇用保険二事業の整理合理化についてお尋ねがありました。
 かつては、勤労者福祉という美名の名の下、スパウザ小田原から勤労者福祉施設という箱物を乱造したという苦い経験があるわけでございまして、私のしごと館もこの会計から出たわけでございます。もう今後は、そういうことがないように我々も努めていきたいというふうに考えております。
 雇用保険二事業は、事業主負担の保険料を財源に各種雇用対策を通じて失業の予防や再就職を促進し、失業等給付の抑制を図るものとして実施しているものであります。
 私も、就任以来、平成二十二年度の予算編成において徹底した見直しを行って、雇用保険二事業についても次のような例を始めとして大幅な予算削減をいたしました。第一に、高齢期雇用就業支援コーナーを廃止しました。名前だけ見ると何か非常に有効そうに見えますけれども、利用者が非常に少ない。第二に、介護雇用管理助成金の支給に係る運営費について、支援員に係る経費を廃止しました。その結果、雇用調整助成金以外の事業について、平成二十一年度二次補正予算後と比較して八百十七億円の削減を実行したところであります。
 厳しい雇用失業情勢が続く中、雇用保険二事業による各種の取組は大変重要と認識しており、保険料負担者である事業主の方々の意見も踏まえながら、効率的で質の高い事業運営に努めてまいります。第一に、効果の低い事業については廃止や縮減を今後もいたします。第二に、類似事業の統合をいたします。第三に、管理費の削減をいたします。
 次に、求職者支援制度について今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねがございました。
 昨年七月末、雇用保険を受給できない方々に対して緊急人材育成支援事業を創設をいたしました。これにより、無料の職業訓練を実施するとともに、訓練期間中に月額十万円、養う御家族がいらっしゃる場合は月額十二万円を給付しているところであります。今後は、平成二十三年度から恒久的な求職者支援制度の創設に向けて労働政策審議会において検討を進め、平成二十三年の通常国会に法案を提出する考えであります。
 今時点でも、失業保険に入っておられない方が無料で職業訓練を受けて生活費を受給できる、こういう制度がございます。ハローワークにおいて申込みができるということでございますので、我々も広報に努めていきたいというふうに考えております。
 以上、よろしくお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣川端達夫君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(川端達夫君) 土田議員から二つの質問がありました。
 最初に、個人の能力を引き出す教育と職業教育についてお尋ねがありました。
 教育においては、個々の能力を最大限に引き出すため、発達段階からそれぞれの状況に応じ適切な教育の機会、環境が提供されることが重要でございます。特に、厳しい雇用情勢や若者の社会、職業への円滑な移行をめぐる問題が顕在する中で、社会人、職業人として必要な能力を育成することは極めて重要と認識しております。
 我が国において、企業における職業訓練と職業学校における教育を同時に実施するドイツのマイスター制度のような仕組みを直ちに取り入れることは困難ですが、社会や職業との関連を重視した教育の改善充実を図ることは重要であると認識をいたしております。例えば、大学や専門高校などでは、企業等と連携し、職業の現場における長期間の実習を積極的に取り入れることなどにより専門的な職業人を育成しております。
 このような観点も含め、現在、中央教育審議会において今後の学校におけるキャリア教育、職業教育の在り方について御審議をいただいているところであり、今後とも、審議の状況を踏まえつつ、職業教育の一層の充実を図ってまいりたいと思います。
 次に、大学生の海外留学についてのお尋ねでありますが、我が国の国際競争力の強化、グローバル人材の育成などの観点から、より多くの日本人学生が海外留学を経験することが望ましいと考えています。このため文部科学省では、留学する学生に対する奨学金の給付及び貸与、留学情報の提供や相談などを行っています。
 今後、我が国の成長戦略を考える上で、東アジア地域の経済活動の一体的な進展を見据えた人材育成が必要と考えており、海外で事業を展開する企業へのインターンシップなども含め、日本人学生の送り出しや国際的な大学間交流を積極的に進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#33
○議長(江田五月君) 西島英利君。
   〔西島英利君登壇、拍手〕
#34
○西島英利君 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案について関係大臣に質問をいたします。
 まず冒頭、若者の就業支援対策について伺います。
 今年一月の十五歳から二十四歳の完全失業率は、昨年比一・一%増の八・五%と大変厳しい情勢であります。また、高校卒、大学卒の就職内定率は約八〇%にとどまっております。三月の卒業式を終えてからも就職活動に汗を流している学生諸君のことを考えますと、胸が痛みます。政府は、産業界等の協力を得て、一人でも多くの学生が四月から働くことができるよう全力で取り組んでいただきたい。
 また、一括採用システムから外れた既卒者などは、正規の就業機会を得られずに、非正規雇用からなかなか抜け出せません。それは、多くの就職氷河期世代がフリーターなどの非正規雇用にとどまっていることからも明らかであります。政府や産業界等には、更なる中途機会の増大や通年採用の導入、卒業後数年間は新卒扱いにする等、一括採用以外の道の開拓にもより一層努めていただきたい。
 そこで、以上の点を踏まえて、若者の就業支援対策について厚生労働大臣の御所見を伺います。
 それでは、雇用保険法改正案の質問に入ります。
 まず、非正規労働者に対する適用範囲の拡大についてお伺いをいたします。
 この法律案は、すべての労働者に雇用保険を適用するという民主党マニフェストなどを実現するものだとされております。
 我が国の労働者は、厚生労働省の試算によりますと五千五百三十九万人であります。そして、今回の改正により、週二十時間以上の労働者のうち雇用期間が六月未満である二百五十五万人が新たに適用対象となるとされる一方で、適用対象とならない週二十時間未満の労働者がなお四百十三万人存在をしております。
 ここで注意すべきであるのは、週当たりの労働時間は事業主ごとに把握されているということです。すなわち、複数の事業主の下で掛け持ちで労働しているいわゆるマルチジョブホルダーは、いずれかで二十時間以上働いていない限り、他と通算して二十時間以上働いている場合であっても適用対象とはなりません。さらに、新たな適用拡大となるという二百五十五万人につきましても、実際には全員が適用対象となるわけではありません。この中には、統計上、日雇で働く者と、三十日未満の雇用期間の者が含まれております。これらの労働者については日雇労働被保険者としてカバーされることが予定されているようですが、現在、日雇労働被保険者として認定され、適用されるための要件は非常に厳しく、必ずしも全員適用されているわけではありません。そして、登録型派遣労働者についてもカバーし切れているものではありません。これは、長妻厚生労働大臣は十分御承知であろうことと思います。
 細切れで働かざるを得ない非常に弱い立場の労働者については、なお雇用保険のカバーを受けられないままに置かれるというこの事実に目をつぶり、あたかもすべての労働者がカバーされるかのごとく喧伝するのは国民を欺くものではありませんか。厚生労働大臣の所見を伺います。
 次に、適用拡大に伴う制度論、実務上の問題点について伺います。
 雇用保険は社会保険の一つであり、現在の設計は、生活の糧を得るために働く者が失業した場合の生活の安定等を図るため給付することを想定しております。こうした労働者は、まさに生活が懸かっているわけでありますから、再就職を予定せずに自己都合で退職することは余り考えられないということから、離職があたかも地震や火事などの偶然の外来の危難、事故というリスクと同等と考えられることから保険という構成ができるわけであります。つまり、好んで失職するということはないということであります。
 これに対し、同じく賃金を得て労働する場合でも、辞めても生活に困らないといった場合はリスクの発生を同じと考えられるものでしょうか。好んで細切れで働き、いつでも辞められる者と、細切れで働かざるを得ない者がいるのは承知しておりますが、それは本来は別の枠組みで設計すべきものではないでしょうか。短期間での退職が予定されている短期雇用特例被保険者が別の枠組みとなっているのは、そもそもはこのような特性に配慮したものでありました。リスク発生状況が異なる者への適用、受給を大幅に認めることは、一般の被保険者に負担を掛け、財政の悪化を招くことになります。
 今回の改正では、適用拡大により、失業等給付に係る保険料収入は三百六十億円増加する一方で、支出は平年度で千八百七十二億円増加し、毎年千五百十二億円の支出超過となることが見込まれております。
 重ねて申し上げますが、生活の糧を短時間労働から得ざるを得ない弱者の存在は十分認識しておりますが、なぜ一般の被保険者という類型に入れることとしたのか、その判断に至る経緯、従来の一般の被保険者との均衡をどう考えるのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 そして、運用上非常に不安が残るのが、事業所の事務負担手続が非常に煩雑となり、かえって適用逃れを招くのではないかという点であります。
 現在の雇用保険適用者は三千七百七十七万人とされています。現在でも、手続をしていない事業所は内部者からの通報がないとなかなか発見できないという状況でありますが、それをここまで拡大してしっかりフォローできるものなのでしょうか。さらに、適用を逃れるために、例えば労働時間を十九時間にしたり、期間をより短期にするなど、より労働者の地位が不安定にならないか等、様々な不安が残ります。事業所の負担軽減策、ハローワークにおける適用逃れ対策について、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
 次に、雇用保険二事業の財政基盤の強化にかかわる改正についてお伺いします。
 今回の改正では、失業等給付の積立金から二事業への貸出しが可能となることが提案をされております。
 現在、雇用調整助成金の支給条件の相次ぐ緩和により、二事業に係る収支状況は急速に悪化しており、二十一年度第二次補正予算ベースで支出は一兆一千九百九十二億円に至り、六千七百九十三億円もの単年度赤字であります。安定資金の残高は三千四百六十七億円となっており、このままでは二十二年度の事業実施が立ち行かなくなることは明白であります。
 雇用調整助成金が失業を未然に防ぎ、百七十三万人もの雇用の下支えをしていることから、何らかの財政的支援策が早急に必要であることは否定するものではありません。しかし、その財源の手当ての仕方に問題があります。借りるということは、返すことを前提としております。一般には、借入れをする場合は、返済期間、返済額の見通しの計画を立てないと借入れはできません。国債であれば、償還期間と予定利率が決まっております。それが、今回の返済は、二事業の単年度収支が黒字化した場合、その黒字分を返すということしか決まっておりません。しかも、同じ労働保険の勘定内ということで、利子も付されないことになっております。
 一月に成立した雇用保険法改正案と二十一年度第二次補正予算では、雇用保険の失業等給付の積立金に一般会計から三千五百億円が国庫負担として追加投入されております。そして、今回の雇用保険法改正案と二十二年度の本予算では、その積立金から四千四百億円を雇用調整助成金等を行う二事業に貸し出すという内容が盛り込まれております。
 この三千五百億円の積算根拠等、いろいろ問題はありましたが、通して見ると、実質的には、二十一年度の予算を使って二十二年度の二事業に対する支援のために追加投入がされていることは明らかであります。返済の見通しがないままに積立金の一部が凍結されるがごとき構成を取るよりは、特例的に一般財源から直接二事業に投入する方が理解しやすく、すっきりするのではないでしょうか。今回の一連の改正案のような構成、措置を選択した理由を厚生労働大臣にお伺いをいたします。
 また、この背景には、二十二年度予算の総額を抑えたい財務省との間で調整があったとも言われておりますが、財務大臣の見解もお尋ねいたします。
 最後に、平成二十二年度の雇用保険料率についてお伺いをします。
 平成二十一年度の失業等給付の保険料率は、労働者、使用者双方の経済的負担を軽減するため、法律の弾力条項の枠を超え、特例的に千分の八まで引き下げられております。これが、二十二年度は千分の十二とされようとしております。
 企業にとっては大変厳しい経済状況が続いているとともに、労働者においても給与が減少しております。こうした中、政府が五割も保険料を上げるという判断に至ったのは理解し難いところですが、その理由を厚生労働大臣にお伺いをいたします。
 あわせて、失業等給付の積立金残高は、仮に四千四百億円を二事業に繰り入れたとしても約四兆円ありますので、むしろ雇用保険料率を据え置くべきではありませんか、お尋ねをいたします。
 今回の法案は、生活の糧を得るために働く労働者を対象としていた雇用保険の枠組みを大きく変え、将来の雇用保険財政に大きな課題を残すことになるであろうことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(長妻昭君) 西島議員にお答えをいたします。
 若者の就職支援について御質問がありました。
 今春卒業予定の新卒者の就職内定率は、高卒者が八一・一%、大卒者が八〇%となるなど依然として厳しい状況です。特に大卒の方は史上最悪の数字となっているということでございまして、このため、平成二十一年度第二次補正予算や平成二十二年度予算に新卒者対策を盛り込み、重点的に取り組んでいるところであります。
 第一に、学校や企業を訪問して新卒者のみの就職を支援する高卒・大卒就職ジョブサポーターのハローワークへの倍増配置を進めております。今現在までで約九百人をハローワークに配備をいたしました。この方は、企業で採用担当をされておられた経験を持つなど一定のベテランの方を配備をして、ハローワークに座っているんではなくて、学校と企業、ここを回って情報交換をしているところであります。第二に、新卒者を体験雇用する事業主を支援する新卒者体験雇用事業を創設をいたしました。第三に、新卒者向けの職業訓練コースを新たに設置をいたしまして、一定の要件に該当する方には生活費十万円を支給をいたします。今までは新卒者は対象ではございませんでしたけれども、要件を緩和をさせていただきました。
 また、雇用対策法において、募集・採用方法の改善等により若者の雇用機会を確保することを事業主の努力義務として、事業主の取組を促すための指針を次のように定めて周知を図っております。第一に、既卒者についても新卒者の採用枠に応募できるような募集条件を設定してくださいということです。第二に、新卒者の採用時期について、通年採用や秋の採用の導入なども検討してくださいということであります。今後とも、将来ある若者が円滑に就職できるよう全力で取り組んでまいります。
 あたかもすべての労働者がカバーされるごとく今回の雇用保険改正法で言っているというようなお尋ね、非正規労働者に対する適用範囲についてお尋ねがありました。
 雇用保険の適用範囲については、現下の厳しい雇用失業情勢の中でセーフティーネット機能をより強化すると考えておりまして、本改正法案について、六か月以上雇用見込みを更に三十一日以上雇用見込みに拡大することとしております。また、三十一日未満の雇用契約であっても、契約の更新等により同一の事業主の下で三十一日以上雇用される見込みがある場合には、雇用保険の適用対象とすることとしており、幅広く適用対象とする考えであります。
 雇用保険制度は、自らの労働による賃金で生計を立てている労働者の方について失業時に必要な給付を行い支援するものであり、週二十時間以上働いていることを要件としております。今回の改正は、この趣旨から対象範囲とすべきすべての労働者について適用を拡大するものであります。
 次に、雇用保険の適用範囲の拡大の経緯及び新たな対象者と従来の一般被保険者との均衡の考え方についてお尋ねがありました。
 今回、短期の雇用の方、三十一日以上六か月未満の雇用見込みの方を雇用保険の適用対象とするに当たっては、非正規労働者の方に対するセーフティーネット機能の強化の必要性、雇用保険財政への影響等を勘案し、労働政策審議会において労使の合意をいただいたものであります。
 また、今回新たに適用対象とされる短期間の雇用の方についても、受給資格要件は従来と同一の要件を維持することとしております。これは、次の理由によるものであります。第一に現在一般被保険者とされている方との公平性、第二に安易な離職や繰り返し給付の防止、第三に保険財政の給付と負担のバランスの影響であります。
 次に、適用拡大に伴う事業主の事務負担の軽減策及び事業主による適用逃れへの対策についてお尋ねがありました。
 今回の適用拡大に併せて、事業主の事務負担を考慮し、被保険者資格取得の際の手続の簡素化を図る予定であります。具体的には、これまで従業員を雇用保険に加入させる際に事業主から提出を義務付けていた雇用契約書などの確認書類においては、原則として提出不要とする方向で考えております。また、適用拡大の対象となる方々についての適用手続を確実なものとする観点から、今般の改正内容を広く周知することが重要と考えており、このため、厚生労働省のホームページあるいはハローワークにおいてリーフレットを配布するほか、雇用保険のすべての適用事業所に対してはがきを送付することにより周知を図ってまいります。
 次に、失業等給付に一般会計から三千五百億円を追加投入し、その積立金から四千四百億円を二事業に貸し出すこととした理由についてお尋ねがありました。
 厳しい雇用失業情勢を反映して、失業等給付の積立金について大幅な取崩しが見込まれております。過去においては、平成九年度に約四兆円もあった積立金が急速に減少して、平成十四年度には約四千億円にまで減少したことがありました。このときは、雇用失業情勢が非常に厳しいにもかかわらず、年度の途中で保険料率を引き上げたり、あるいは給付日数を減らすなどの対応を取らざるを得なくなったところであります。こうした事態を繰り返さないよう、雇用保険財政の安定的運営を早期に確保するために、先般の補正予算において三千五百億円を投入したところであります。
 一方、今回の改正法案においては、失業等給付の積立金から雇用保険二事業へ四千四百億円を貸し出すこととしております。これは、御存じのように、雇用調整助成金の要件緩和等に伴う支出増に対応するため、雇用調整助成金が失業等給付の抑制効果が高いことも踏まえながら、緊急的かつ例外的な特例措置として行うものであります。
 なお、雇用調整助成金の要件緩和等のために必要な費用を一般会計で措置することは、雇用調整助成金は労働者や失業者ではなく事業主に給付されるものであり、これまで事業主負担の保険料のみで賄っていた経緯等を踏まえると、困難であると考えております。
 最後に、平成二十二年度の雇用保険料率についてお尋ねがありました。
 平成二十二年度の失業等給付の雇用保険料率は、本来は一・六%になるところを弾力条項により一・二%に抑えることとしております。しかし、平成二十一年度と比較すると労使の方々にとっては保険料負担が増えるところであります。厳しい雇用失業情勢が続き、失業等給付に係る収支の悪化が懸念される中で、本来の雇用保険料率の半分にするような特例を再度設けることは、雇用保険制度の安定的な運営の観点からは困難であると考えます。
 なお、平成二十二年度の雇用保険料率は、保険料を御負担いただく労使も参画した労働政策審議会の合意を得たものであります。
 以上、よろしくお願いをいたします。(拍手)
   〔国務大臣菅直人君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(菅直人君) 西島議員の御質問にお答えいたします。
 質問は、雇用保険二事業の財政基盤の強化のための方策が、二十二年度予算の総額を抑えたい財務省との調整によるものではないかという御質問でありました。
 二十一年度二次補正予算における一般会計から失業等給付に充てるための繰入れについて、今、厚生労働大臣からもお話がありましたが、昨今の厳しい雇用情勢を反映して、失業等給付の積立金の大幅な取崩しが見込まれたところから、雇用保険財政の安定的運営を確保するための措置を早期に講じていくとの観点に立って行ったものです。つまりは、年度を超えてこの雇用調整助成金がきちっと継続されるということを早めに国民の皆さんに理解していただき、間違っても年度末にもう駄目になるだろうということで解雇といったことにつながらないように、そういうために早期に講じていったところであります。
 また、今回の雇用保険法改正案に盛り込まれた失業等給付の積立金から雇用保険二事業への貸出しは、これももう厚労大臣から御説明がありましたが、雇用調整助成金の要件緩和に伴う支出増に対応するために、労使の合意も得た上で、緊急的かつ例外的な特例措置として行うものと、このように承知をいたしております。したがって、御指摘のように、二十二年度の予算の総額を抑えるための調整の結果であったということは当たらないと、このように考えております。(拍手)
#37
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
     ────・─────
#38
○議長(江田五月君) 日程第一 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件
 日程第二 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件
  (いずれも第百七十三回国会内閣提出、第百七十四回国会衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長木俣佳丈君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔木俣佳丈君登壇、拍手〕
#39
○木俣佳丈君 ただいま議題となりました両承認案件につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件は、北朝鮮からのすべての貨物につき、平成二十一年四月十四日から平成二十二年四月十三日までの間、引き続き、経済産業大臣の輸入承認を受ける義務を課する等の措置を講じたことについて、国会の承認を求めるものであります。
 次に、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件は、北朝鮮を仕向地とするすべての貨物につき、平成二十一年六月十八日から平成二十二年四月十三日までの間、経済産業大臣の輸出承認を受ける義務を課する等の措置を講じたことについて、国会の承認を求めるものであります。
 委員会におきましては、両件を一括して議題とし、経済産業大臣より趣旨説明を聴取した後、順次採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#40
○議長(江田五月君) これより両件を一括して採決いたします。
 両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#41
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#42
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十六  
  賛成            二百十六  
  反対               〇  
 よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#43
○議長(江田五月君) 日程第三 関税法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長大石正光君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔大石正光君登壇、拍手〕
#44
○大石正光君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、暫定関税率等の適用期限を延長するとともに、水際取締り強化等のための罰則水準の引上げ等、所要の改正を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、今後の関税政策の在り方、税率決定過程の透明性の確保、水際取締り強化の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#45
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#46
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#47
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五  
  賛成             二百八  
  反対               七  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#48
○議長(江田五月君) 日程第四 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長松あきら君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔松あきら君登壇、拍手〕
#49
○松あきら君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所職員の定員を改め、裁判官のうち、判事の員数を六十五人増加し、判事補の員数を二十人減少しようとするものであります。
 委員会におきましては、司法制度改革の理念に沿った裁判官の増員の達成状況及び今日的課題、裁判官の行政府への出向及び判検交流の根拠・目的、適正な審理期間及び裁判官一人当たりの手持ち件数の在り方、裁判官の質向上のための取組、労働審判事件を地方裁判所支部で取り扱うことへの取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#50
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#51
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#52
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十四  
  賛成            二百十四  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#53
○議長(江田五月君) 日程第五 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長田中直紀君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔田中直紀君登壇、拍手〕
#54
○田中直紀君 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、在ベナン日本国大使館の位置を変更すること、マレーシアの在コタキナバル日本国総領事館を廃止すること、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定すること等について定めるものであります。
 委員会におきましては、ハイチ地震後の外務省の現地体制と在外職員の手当の加算、海賊対処等に伴うジブチの外交体制の強化、在外公館増設に対する新政権の方針等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し八項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#55
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#56
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#57
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十六  
  賛成            二百十六  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#58
○議長(江田五月君) 日程第六 市町村の合併の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長佐藤泰介君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔佐藤泰介君登壇、拍手〕
#59
○佐藤泰介君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、自主的な市町村の合併が引き続き円滑に行われるよう、市町村の合併の特例等に関する法律の期限を十年間延長するとともに、市町村の合併が相当程度進捗していること等にかんがみ、都道府県等の積極的な関与による市町村の合併の推進を定めている規定を廃止しようとするものであります。
 委員会におきましては、三万市特例を廃止する理由、市町村の数の在り方、安定した地方議会議員の年金制度の確立、小規模市町村の取組に対する財政支援、国主導による合併推進の問題点等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下芳生委員より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し四項目から成る附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#60
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#61
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#62
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十六  
  賛成             二百九  
  反対               七  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#63
○議長(江田五月君) 日程第七 平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長柳田稔君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔柳田稔君登壇、拍手〕
#64
○柳田稔君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するために、平成二十二年度において、中学校修了前の子どもを養育している者すべてに対し、子ども一人につき月額一万三千円の子ども手当を支給しようとするものであります。
 なお、衆議院において、児童養護施設入所児等に対する支援を含めた制度の在り方及び平成二十三年度以降の子育て支援に係る全般的な施策の拡充について検討を加える旨の修正が行われております。
 委員会におきましては、参考人より意見を聴取するとともに、鳩山内閣総理大臣にも出席を求め、審査を行いましたところ、子ども手当の制度設計と財源の確保、子育て支援における現金給付と現物給付の在り方、児童養護施設入所児等に対する支援の在り方、国外に子どもがいる外国人に対する支給の妥当性、保育サービスの拡充とワーク・ライフ・バランスを含めた全般的な子育て支援策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 本法律案に対する質疑の終局を諮ったところ、異議がありましたので、採決により質疑の終局を決定いたしました。
 採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#65
○議長(江田五月君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。丸川珠代君。
   〔丸川珠代君登壇、拍手〕
#66
○丸川珠代君 私は、自由民主党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案に反対の立場から討論いたします。
 ちょうど九日前に参議院において子ども手当法案の審議が始まりました。その際、私が代表質問で指摘させていただいた問題は、今日この日まで何一つ解決されておりません。
 数々の深刻な欠陥に政府・与党は手を付けようともせず、更なる事務負担を地方自治体に押し付けることで、とにかく今年だけを乗り切ろうという姿勢です。制度の欠陥に気付いていながら修正もせず、十分な審議もせず強行採決に持ち込むことは、国民に対する許し難い背信行為です。
 委員会でも数々指摘された子ども手当の欠陥は、今年限りとなおざりにできるようなものでは到底ありません。
 日本人ではない、日本で育っているわけでもない外国人の子どもでも、親が日本から仕送りをしていれば手当を受給できる一方で、日本で育っている日本人の子どもが、親が海外にいるという理由だけで子ども手当による支援から排除される、この制度の欠陥は致命的です。
 長妻大臣が言うようにたとえ書類を統一したとしても、その書類が母国の役人に賄賂を贈って不正に手に入れたものであるかどうかは窓口では判断できません。幾ら書類を厳格化しても本質的な問題の解決にはならないのです。
 しかも、この付け焼き刃の水際作戦で、地方自治体の負担は更に増えます。駆け込み申請の増加などに対応するため、既に臨時の職員を雇用すると決めたところもありますが、増大する事務負担に対応し切れない自治体も出てくるでしょう。
 こうした自治体への過大な負担や海外にいる外国人の子どもたちへのばらまきは、たった一つの条項を加えるだけでほぼ解決できます。法律案の第四条に次の一項を加えればいいのです。第一項の規定にかかわらず、子ども手当は、子どもが日本国内に住所を有せず、かつ、日本国民でないときは、当該子どもについては、支給しない。この条項は、難民条約に抵触することもなく、海外へのばらまきを防ぐことができます。
 政府はこうした問題に法案作成段階から気付いていながら、たった一項の修正さえ加えようとせず、不公正を見逃そうとしています。すべては六月に現金をばらまくためです。
 しかも、政府は、この現金のばらまきによって何の効果を上げるのか一切目標を設定せず、目標値も掲げていません。ただ、後から現金の使われ方を検証して、実はこのばらまきにはこういう効果がありましたと事後的に国民に示すだけです。何の効果があるかも考えずに二兆三千億円をばらまけるほど我が国の財政に余裕はありません。一人一万三千円を配ることそのものが目的で、効果は不明、これが税金の無駄遣いでなくて何でありましょうか。
 この壮大な無駄遣い法案の行方を、保育や教育の現場で働く多くの方々が歯ぎしりをし、やるせない思いで見詰めていることでしょう。何不自由ない家庭にまでばらまくお金があるのなら、その中から二十五億円をすべての小学校にスクールカウンセラーを配置するために回してもらえないだろうか、あるいはすべての保育士さんの給与を月二万円アップするために七百二十億円を回してもらえないだろうか、あるいは児童養護施設の設備更新に、学校の実験道具を買うために、あと少し子ども手当から現場に予算を回してほしい、このような子どもを育てるあらゆる現場からの怨嗟の声に政府は耳を傾けていません。
 なぜ子育て環境の整備より現金の給付が優先されたのか、説明は一切ないのです。サービス給付は後から増やすと言うばかりです。しかし、後になれば、現金給付への偏重はむしろひどくなります。
 政府の現物給付の五か年計画である子ども・子育てビジョンによれば、今後五年間で、現金給付は三兆円増え、現物給付は五千四百億円しか増えません。この三兆と五千四百億といういびつなバランスを是正する方針はついぞ示されませんでした。政府には、現金給付と現物給付の差を埋めるつもりがなく、少子化への懸念は口先だけであることがはっきりしたのです。
 そして、この三兆円にも五千四百億円にも、無駄を省くという以外の財源はありません。つまり、政府の子育て支援策は財源が極めてあやふやで、実現の裏付けがないのです。
 国と地方の役割分担もはっきりしません。総務省は、現物給付はすべて地方でやると言い、厚労省は、現物給付に国も一定の役割を持つと言います。政府内の方針がばらばらでは現場は振り回される一方です。国と地方の綱引きの中で子育て支援策が継ぎはぎの一貫性のないものになってしまうという懸念がぬぐえません。
 財務省の見通しによれば、マニフェストの実施と今年度と同程度の国債発行を前提にすれば、来年度は十兆円の新たな財源が必要です。財源の当てとなる仕分対象の真水部分、すなわち独立行政法人と公益法人への一般会計からの支出はたった二・六兆円にしかすぎません。二・六兆円を仕分しても十兆円の無駄は出てこないでしょう。無駄削減だけでは、どう考えても財源が足りません。再来年以降、子ども手当を満額支給するには増税をするか、国の借金を増やすしかないと考えるのが自然です。しかし、増税や借金までして続けていくには余りにも制度設計がずさんです。
 子ども手当は、子どもの格差を放置し、むしろ格差を助長します。年収九百万円、一千万円の家庭の手取り給付が最も優遇され、子どもが幼いほど、年収が低いほど手取りの格差は大きくなります。長妻大臣は、子どもの相対的貧困率を引き合いに出して、子ども手当を貧困対策の一助としたいとおっしゃいますが、この制度設計は相対的貧困、すなわち格差の解消にはつながりません。
 大臣はまた、子ども手当の意義を訴えるのに、夫婦が理想の子どもの数を持てない最大の原因は経済的な理由だという調査の結果を引き合いに出します。これは、データを詳しく見れば、既に子どもがいて、もうあと一人子どもが欲しいという夫婦の場合だけです。初めての子どもを持とうとする夫婦には別の原因があります。そうであるならば、二人目以降の子どもについて手当の金額を増やすような制度設計をするべきですが、そうした工夫はこの制度に一切ありません。
 このように、所得制限もない、子どもの数に応じた傾斜配分もない、したがって少子化対策にもならず、新たな不公平、不公正を生み出すずさんな欠陥制度に満額で五兆四千億円もの税金を投じるのは愚かな選択です。恒久財源がないままに恒久制度を立ち上げたならば、必ずやそのツケは借金となって子どもたちに回ってきます。
 まず何をすべきか、政府は優先順位を間違えています。まず、制度の欠陥を改めるべきです。まず、財源を確保するべきです。まず、現物給付とのバランスを取るべきです。
 鳩山総理が昨日厚生労働委員会で指摘をしたように、十分に時間を掛けて考えればいいのです。将来にわたって、私たちの子、孫までを拘束する重大な決定にもかかわらず、政府・与党は選挙目当ての視野狭窄に陥って愚かな選択をしようとしています。
 国民の皆様、どうかこの極めて無責任な選択をしようとしている人たちの顔を決して忘れないでください。未来へのとがを負うべきはこの人たちなんです。このような悪法は成立しないのがベストです。少なくとも、この法案の欠陥に作成過程で気が付いていたのなら議論を続けるべきです。拙速な給付は大きな間違いです。
 このまま給付を押し切れば、子ども手当が日本国民の将来に取り返しの付かない不幸と不利益を招くことを明言して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#67
○議長(江田五月君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#68
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#69
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#70
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五  
  賛成            百四十七  
  反対             六十八  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#71
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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